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1958-04-24 第28回国会 参議院 内閣委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十四日(木曜日)    午後二時十一分開会   ―――――――――――――   委員異動 本日委員西田信一君辞任につき、その 補欠として中島敏夫君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            大谷藤之助君            松岡 平市君            永岡 光治君    委員            上原 正吉君            大谷 贇雄君            剱木 亨弘君            後藤 義隆君            中野 文門君            平島 敏夫君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            森中 守義君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   委員外議員            岡田 宗司君   衆議院議員            保科善四郎君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君    運 輸 大 臣 中村三之丞君    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    内閣官房長官  愛知 揆一君    法制局長官   林  修三君    法制局次長   高辻 正巳君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    防衛政務次官  小山 長規君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁教育局長    心得      小幡 久男君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁調査    局長      金子 美雄君    法務政務次官  横川 信夫君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省矯正局長 渡部 善信君    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務大臣官房長 田付 景一君    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    厚生大臣官房長 太宰 博邦君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎮雄君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    運輸大臣官房長 朝田 静夫君    郵政政務次官  最上 英子君    郵政大臣官房文    書課長     上原 一郎君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○恩給改訂に関する請願(第三〇八  号)(第一七〇七号)(第一七〇九  号)(第一七七七号)(第一八五二  号) ○恩給法等の一部を改正する法律案の  一部修正に関する請願(第一一一九  号)(第一一三八号)(第一一三九  号)(第一一四〇号)(第一一九二  号)(第一一九三号) ○軍人恩給加算制復元に関する請願  (第八〇七号)(第一〇六二号)  (第一〇六三号)(第一二二九号)  (第一二三〇号)(第一二四八号)  (第一三五五号)(第一四四五号)  (第一四四六号)(第一四五〇号)  (第一四七八号)(第一五四三号)  (第一五六〇号)(第一六一五号)  (第一七七六号)(第一八〇四号) ○傷病者増加恩給増額等に関する請  願(第七二号)(第八八号)(第二  六七号)(第二九八号)(第三七〇  号)(第三九八号)(第四二〇号)  (第四九六号)(第七九二号)(第  九五五号)(第一二七九号)(第一  三六七号) ○戦歿者遺族公務扶助料増額等に関  する請願(第二九号)(第三〇号)  (第八六号)(第八七号)(第一〇  七号)(第一五八号)(第一八〇  号)(第二四一号)(第二九〇号)  (第三三四号)(第三四九号)(第  三五〇号)(第三五一号)(第三七  一号)(第三九九号)(第四〇〇  号)(第四〇一号)(第四〇二号)  (第四一四号)(第四一九号)(第  四二八号)(第四四四号)(第四四  五号)(第四八一号)(第五七六  号)(第九一三号)(第九六一号) ○旧日本医療団職員恩給等に関する  請願(第三八四号)(第四〇五号)  (第四二六号)(第四二七号)(第  四八九号)(第四九〇号)(第五〇  八号)(第五三一号)(第五三二  号)(第五三三号)(第五三四号)  (第五三五号)(第五三六号)(第  五三七号)(第五三八号)(第五三  九号)(第四〇号)(第五四一号)  (第五四二号)(第五四三号)(第  五四四号)(第五四五号)(第七五  四号)(第七五五号)(第七五六  号)(第八二九号) ○恩給法第五十一条第一項第二号に対  する特別例外措置請願(第七三一  号) ○元外地鉄道職員に関する恩給法等の  特例制定に関する請願(第七三号) ○元満州鉄道社員に関する恩給法等の  特例制定請願(第一〇九八号)  (第一一〇七号)(第一一一二号)  (第一一四一号)(第一一四二号)  (第一一四三号)(第一一四四号)  (第一二一六号)(第一二七〇号)  (第一四〇六号)(第一五〇四号)  (第一五三二号)(第一七〇八号) ○軍人恩給受給資格拡大に関する請願  (第一七四一号) ○金し勲章年金等復活に関する請願  (第五五七号)(第五九四号)(第  八〇〇号) ○国家公務員退職年金法制定等に関す  る請願(第一〇四一号) ○国家公務員等退職手当暫定措置法施  行令中引揚者の外地勤務期間通算是  正に関する請願(第二一七号) ○海外引揚教員退職金に対する勤続  年数算定改訂請願(第一二七二  号) ○旧陸軍共済組合女子組合員年金支  給の請願(第六四二号) ○国立病院等勤務医師待遇改善に  関する請願(第八二八号) ○寒冷地手当石灰手当及び薪炭手当  等に関する請願(第三七五号)(第  三七六号)(第四八〇号)(第八〇  一号)(第八〇八号)(第九〇三  号)(第一〇四二号)(第一五四二  号) ○農林省定員外職員定員化に関する  請願(第九三九号)(第九四二号)  (第九四三号)(第九四四)(第九  四七号)(第九四八号)(第九四九  号)(第九五〇号)(第九五三号)  (第九五四号)(第九六六号)(第  九六九号)(第九七八号)(第九八  三号)(第九九三号)(第  一〇〇〇号)(第一〇〇一号)(第  一〇〇二号)(第一〇〇三号)(第  一〇〇四号)(第一〇〇五号)(第  一〇〇六号)(第一〇〇七号)(第  一〇〇八号)(第一〇〇九号)(第  一〇一〇号)(第一〇一一号)(第  一〇一二号)(第一〇四三号)(第  一〇四四号)(第一〇四五号)(第  一〇四六号)(第一〇四七号)(第  一〇六四号)(第一〇六五号)(第  一一〇六号)(第一一二七号)(第  一一四五号)(第一一九一号)(第  一二二八号)(第一二七五号) ○建設省勤務常勤労務者等定員化  に関する請願(第七〇六号)(第九  五一号)(第九五二号)(第九六五  号)(第九八二号)(第一一一一  号)(第一一二八号)(第一二二一  号)(第一四五一号)(第一六一三  号) ○定員外職員定員化等に関する請願  (第一二二〇号) ○調達庁定員維持等に関する請願  (第五五〇号) ○国家公務員任用等平常取扱等に  関する請願(第一二六九号) ○下水道行政一元化等に関する請願  (第九号) ○東北開発局設置に関する請願(第四  五〇号)(第八三二号) ○恩給省設置等に関する請願(第一一  一八号) ○新潟市に北陸地方建設局設置反対の  請願(第一五〇二号) ○岩手県に自衛隊施設部隊設置請願  (第九五六号) ○新潟飛行場自衛隊使用反対に関す  る請願(第五五五号) ○各務原旧軍用地の一部を岐阜県松山  中島郷土復興団体に払下げの請願  (第一〇九九号) ○占領軍のための施設提供者損害補  償等の請願(第一四七五号) ○経済企画庁設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国家公務員共済組合法長期給付に  関する施行法案内閣提出衆議院  送付) ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○郵政省設置法一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  本日、西田信一君が辞任され、後任として平島敏夫君が委員に選任されました。  以上でございます。   ―――――――――――――
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、岸内閣総理大臣に対する質疑を行います。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  5. 八木幸吉

    八木幸吉君 憲法第九条と自衛隊関係につきまして重ねてお伺いをいたすのでありますが、意見相違は別といたしまして、岸内閣としての筋の通った見解を要約して伺いたい、こういう意味でお伺いいたします。  二十日の答弁で、総理は、自衛戦争という言葉は使いたくない、自由行動と言っていられるわけでありますが、この言葉から察しますると、岸内閣としては第二章の表題の「戦争放棄」と規定されてある通り、九条の法意としては、戦争放棄すると、こういうお考えであると思うのですが、念のために伺います。
  6. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私が自衛戦争という言葉は用いたくないということを申しましたのは、主として従来自衛戦争ということで、非常に広義にこの自衛戦争ということが用いられておる慣例があるために、私はそう申したのであります。  それからなお、法律的にいいまするというと、この自衛権発動としてやる実力行使は、武力行使については交戦権を持たないということになっております。従来、国際法上広い意味において戦争というものは、その場合に交戦国交戦権を持つというのが従来の解釈でございますから、そういう誤解を受けないために、そういうことを私は申したのであります。戦争放棄ということは、これは言うまでもなく、憲法九条の全体の趣旨を受けて、そういう表題を設けておることと思います。
  7. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで九条二項の冒頭の「前項目的を達するため、」と、こういうのは、戦力放棄動機を示すものであつて、戦争放棄そのものは、戦力放棄そのもの無条件であると、こう当然なると思うのですが、さようでございますか。
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ちょっと八木委員の御質問が私に十分のみ込めないのでありますが、私どもは過般もお答えを申しげましたように、「前項目的を達するため」、いうのは、前項全体を受けておるのであるということを申し上げましたが、そういう趣旨で私ども考えております。
  9. 八木幸吉

    八木幸吉君 質問趣旨を少し明確にいたしますが、この前項目的を達するため、」というの「国際紛争を解決する手段としては、」と読みますと、自衛戦力も持てると、こういう解釈になるわけでありますが、さようではなくして、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」すると、こういう動機のもとに「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」、「前項目的」というものは、単に戦力保持することを禁ずるに至った動機を示すだけである、従って戦力そのもの保持しないということについては、何らの条件はついていないのだ、岸内閣としても、戦力は全面的にこれを保持しないという考え方であるが、自衛行動権戦力に至らないと、こういう考え方であろうということを念を押して伺っておるわけであります。
  10. 岸信介

    国務大臣岸信介君) この九条の一項と二項の関係におきまして、「前項目的を達するため、」というのは、ただ単に動機だけであって、その動機さえ、前項目的を達するための動機がよければ、どういう力を持ってもいいというようには私ども解釈いたしておらないのであります。私どもは、九条第一項は、一面において自衛権はこれによって否定しておるものじゃない、同時にいわゆる国際紛争武力をもって解決するということは一切しない、こういうこの二つ意味を持っておるのであって、その自衛権裏づけるに必要な最少必要なる限度実力というものは、二項で禁止しておるところの「戦力」のうちには入らない、かように私どもは一貫して解釈いたしております。
  11. 八木幸吉

    八木幸吉君 あと自衛権裏づけとしての自衛行動をするための最小必要限度実力は、二項にいうところの「戦力」に入らない、こういうお考えはよくわかります。  そこで、私は「前項目的」云々を申しましたのは、これは戦力保持の、それが目的が悪かろうがよかろうが、何であろうが、戦力内容を制限するものではないのである。戦力の不保持規定そのもの無条件だ、こう今の岸総理お答えでも二項を読まなければならぬと思うのですが、その点は岸内閣としてのお考えとして、私はそう肯定されて一向差しつかえないのだと、こう思うのでありますが、念のために伺います。
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど来申しげておりますように、自衛権裏づけ必要最小限度実力は別として、動機のいかんにかかわらず、いわゆる戦力は持たないということは、私どもはそう思っております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。総理答弁は、この憲法解釈はそのつどつど違っております。きょうは質問に対して、自衛のためならは最小限度実力と、こういう言葉で述べられていますね。ところが、従来、本委員会における答弁におきましても、自衛のための、すなわち自衛行動をとるためには最小限度戦力は持てると、その戦力は、しかし憲法後段の「戦力」とは違う戦力を持てると、こういう答弁をされているわけです、その確認と。――同じじゃないですよ、これは。法制局長官、何を私語していますか。私はお答え願いたい点は、自衛行動をとるための戦力ですね、自衛行動をとるための戦力は持てると、しかしその戦力は、この憲法活字で表われている「戦力」とは違う、こういう解釈をされているわけですね。
  14. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ええ。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではですね、吉田内属当時の解釈との相違はいかように国民に説明するのですか。あなたの内閣は、今は自由民主党でありますけれども、連綿として続いた日本保守政党、責任はあると思う。当時からあなたはやはり保守政党の一員であったわけですからね、その説明を国民に対してどういうふうにするのか、明確にお答願いたい。
  16. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 戦力という言葉自体の用い方と私は思います。要するに九条の二項で禁止しておる「戦力」は、戦力と、私に第一項においで認められておるところの自衛権内容をなすといいますか、自衛権というものを裏づけるに必要な最小限度の力、戦力と申しますか、実力と申しますか、力というものは、この第二項にいっておるところの「戦力」には入らない。私は従来ともあるいはその誤解を防ぐために、私としては注意して、自衛権裏づけておるところの最小必要限度実力とか力というようなことを申しておりまして、戦力というような言葉を用いないように私は注意しておったつもりでございます。それで、従って、それはなぜならば、この九条二項に戦力」持つことができないという、こういう言葉がございますから、戦力という言葉はいろいろな意味に実際普通には用いられておるわけです。しかし憲法九条二項にあげておるところの「戦力」と、この自衛権裏づけておる実力とがこんがらがるといかぬというようなつもりで、実は注意してそういう言葉を用いておるのであります。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一回……。そこで要求している点は、自衛行動をとるために必要な最小限度戦力という活字が残されていますから私も使います。その憲法後段で使っている「戦力」とはどういうふうに違うかということを、国民が納得できるようにあなた説明できたらいいわけです。たとえば大陸にICBM、これはまだなくても、IRBMはあり得るわけです。IRBMは三千キロか四千キロの距離を飛ぶわけですね、そうすれば日本を守るための自衛行動としての最小限度の力、戦力といっても武力といっても、力を必要としたならば、そのIRBMを迎え撃つところの、あなたの解釈でいえば自衛行動をするために、そのために必要なアンチ・ミサイルミサイルミサイルを要撃するミサイル最小限度のものとして持たなければならぬいうことに理論上なってくるのではないかと思うのですが、このことと、あなたは核兵器を絶対持たぬ、他国からも持ち込ませないということとはどうしても矛盾しますよ。そこをはっきり国民が納得できるように説明してください。
  18. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今おあげになりましたアンチ・ミサイルというものがどういうものであるかということは、いろいろ研究もされておるようでありますし、まだ十分出ておりませんが、私は他を攻撃するのじゃなしに、日本攻撃するために、それを途中でもってその攻撃を阻止するに必要なアンチ・ミサイルというようなものは、これを置いてもちっともこの憲法上差しつかえないと思います。ただそれが核兵器であるという場合においては、別の何が出ることは当然でございますけれども、防御的な何におきましては、まだいろいろなアンチ・ミサイルの、このことの何は現実には現われておりませんからも、いろいろな議論はありましょうが、私は観念としてはアンチ・ミサイルのごとき、すなわち、われわれが攻撃されるその攻撃を、途中でキャッチして、これを無効ならしめるような装備というものは、これは差しつかえない、こう思っております。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連ですから、これはあとでやります。これは重大ですよ、そういう解釈は。
  20. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の矢嶋委員とのやりとりでありますが、総理は従来、最小限度実力といって、戦力という場合は、俗称戦力という言葉を使っておられるが、その意味はよくわかっております。  そこで次に申し上げますが、憲法公布の際に内閣官房の名において発行されました英文憲法確定版では、「国権の発動としての戦争否定する、」それからまた、「国際紛争解決手段としての武力行使否定する」というふうに同格になっております。また、マッカーサーノートでも、自衛戦争否定するということが明記されております。このマッカーサーノートは、憲法の成立の育成過程における非常に重大な文献でありますが、岸内閣戦争放棄に対する考え方は、このマッカーサーノートと私は同じだと思うのでありますが、いかがですか。今申し上げましたマッカーサーノート岸内閣の第九条の解釈は、全然その意味において同じである、同一である、こう考えるわけです。というのは、自衛戦争否定する、自衛戦力といいますか、自衛行動権は是認するが、自衛戦争となった場合は否定する、こういう立場でありますから、マッカーサーノートと私は同じだと、こう思うのでありますが、これを否定されますと、また憲法解釈が非常にややこしくなりますけれども、同じであるといえば論理一貫すると思うのです。いかがですか。
  21. 岸信介

    国務大臣岸信介君) マッカーサーノートと、現在の憲法との関係につきましては、多少その制定の経緯におきまして、マツカーサー・ノートそのままを入れたわけでもないように聞いておりますので、なお法律上の問題でございますから、その間の事情につきまして、法制局長官からお答えをいたします。
  22. 林修三

    政府委員林修三君) 御承知通り、いわゆる今、八木委員のおっしゃったマッカーサーノートというものは、この占領が終ったあとにおいて公けにされた、いわゆる昭和二十一年の初めごろに、マッカーサーが部下に示したと称するものだと思いますが、あの中には、いわゆる自衛のための武力行使日本は認めないということが書いてあるわけでございます。ところが、それが実際の条文化する過程におきまして、これは御承知通りに、今の九条一項をごらんになります通りに、いわゆる九条一項は自衛権行使否定しておりません。従って九条一項は、自衛のために日本があるいは武力を使うということは否定されてないというのが、この九条一項の解釈としては一般の解釈ございます。そういう意味におきましては、マッカーサーノートと今の憲法九条一項とは違っておるわけであります。その違ったいきさつについては、これはいろいろ議論があるわけでございまして、当時、もちろん日本側は、あのマッカーサーノートの存在を知らなかったわけでございますし、向うから示された英文のものを日本文に訳して、その日本文をまた英文に訳して持っていった過程において今の形になって、これははからずも、マッカーサーノートと変わったものになった。こういうふうに私どもは了解しておりますから、ただいまの憲法解釈としては、マッカーサーノートと違うということだと私は思います。
  23. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の法制局長官の御答弁は、実は今まで総理並びに岸内閣の御答弁と非常に実は論理的に私違うと思います。というのは、マッカーサーノート自衛戦争も、国際紛争解決手段としての戦争もこれを否定する、こういうことが御承知通り書いてあるのですね、ところが、これは自衛であろうが侵略戦争であろうが、戦争そのもの否定するというのがマッカーサーノートのこれはポイントです。ところが、今の総理が言われましたのも、戦争はやはり岸内閣としても否定しているのですね。自衛権裏づけとしての自衛行動力を持つことは岸内閣否定しないが、戦争そのもの否定をする、戦力そのもの否定をする。ただ、今の自衛裏づけとしての自衛行動力というものは、憲法にいわゆる二項に規定するところの戦力に至らないものであるから憲法違反でない。戦争そのもの否定する、戦力そのもの否定する、こういう記場でいえば、マッカーサーも、自衛たると侵略たるとを問わず戦争そのもの否定する、全然私は同じだと思うのです。ただ、ここで議論二つに分れるのは、しからば今の自衛隊戦力であるかないか、二項にいわゆる戦力であるかないかということが、これから後に意見の分れるところでありまして、それについては自衛侵略もともに戦争及び戦力否定するという立場において、私はこれはきわめて簡単に同じであると思うのですが、総理いかがですか。
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) マッカーサーノートとの関係は別といたしまして、私はこの憲法趣旨は、自衛権否定してないから、それに他から急迫不正の侵害を受けた場合において、これを実力をもって排除することはこれを否認しているものじゃない。しかしそれは交戦権を持って戦っておるいわゆる戦争ではない。たとえ自衛目的であっても、そういう広義意味におけるところの、広義内容を持った、交戦権を持った戦争はできない、こういうふうに私は解釈すべきものであると思います。
  25. 八木幸吉

    八木幸吉君 この点であまり時間をとることは困りますが、戦争戦力否定するというのが岸内閣立場だと思います。その立場はお認めになりますか。
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 交戦権を持っておるような戦争は、これをできないという、これは否定する。それからまた、自衛裏づけるに必要な最小限度をこえたところの戦力はこれを否定する、こういう立場に立っております。
  27. 八木幸吉

    八木幸吉君 戦争に、交戦権を持った戦争否定すると、何か奥歯にもののはさまったようなお話をなさいますが、その交戦権を持つというのをのけて戦争否定すると、こうおっしゃって一向差しつかえないと思いますが。
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ただ、実力行使で、向うから急迫不正の侵害があった場合に、これを実力をもって排撃している、その状況においては向うの敵軍が殺傷をされるような事態も起りましょう。そういうことを見て、それ戦争じゃないか、こういうような議論が出ることを私は考えまして、それは一つの実力行使であって戦争ではないのだ、われわれはその場合において、国際法上認められておる交戦権を持って戦っているのではなしに、ただ自衛のための必要やむを得ざる処置である。こういう意味においての実力行使をわれわれは是認するのでありまして、これはそういう意味においては戦争ではない、こう解釈しております。
  29. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで岸内閣はいろいろ、うっかり言葉を使うと誤解されるので困るけれども岸内閣としては戦争は認めないのだ、私は、答弁を要求しないまでも、こう解釈して、次の問題に移りたいと思います。  そこで、総理は、自衛権裏づけとしての自衛行動憲法にいわゆる戦力でもなければ、従って違憲でもない、こう仰せられるのですね。そこで次の問題として、自衛隊戦力になるかならぬか、憲法にいわゆる戦力になるかならぬか、こういう問題になるわけでありますが、私は、敵から急迫不正の攻撃が行われた場合に、坐してこれを甘受するというわけには参りませんから、急にそこでたとえば民衆が隊を作って敵の侵略に対してこれに応戦するということは、これは何も憲法が禁じているところではないと思います。でありますから、民間防衛隊のごとくに、急迫不正の侵害に対処するために、その事態に直面して組織される抵抗隊は、これは戦力でないから違憲でない、こう考えるのでありますが、今の自衛隊のように一定の装備と編成を持って、そうして常時に組織されている一つの組織体ですね、これは当然戦力と常識的に言わなければならない、こう思うのですが、この点は、先ほど矢嶋委員がお伺いになられた点と思うのですけれども、そういうふうに常時的に組織された装備、編成を持ったものは戦力でないというのを、どういうふうに弁解なさいますか。
  30. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 自衛権裏づけるに必要最小限度実力、力というものは、現在どういう急迫不正の侵害が起ってくるか知れませんし、その場合において有効に私ども自衛目的を完遂するというためには、平時からそれに対する最小必要限度の力を備えておいて、それを訓練をし、そういう場合において直ちに自衛目的のために活動できるというふうにしておく事柄は、決して憲法が禁止しているものじゃない。自衛権がある以上は当然考えていいことだと私は考えております。
  31. 八木幸吉

    八木幸吉君 そこで、少し条文について伺いますけれども、九条二項の「陸海空軍」という概念ですね、それと、自衛隊という概念と、どこが違うか、同時に、実態として、ただ交戦権の有無によってこれを区別されるということで、果して社会通念にこれは合致するかという点はいかがでありますか。
  32. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 憲法九条二項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」といっているのは、「陸海空軍」といっているのは、そういう名称で装備され、そういう名称で配置されるところのものを含んでいる。そういう名称を用いなくても、これに当るところの「その他の戦力」もこれで保持することができない、こうなっておると解釈いたしております。
  33. 八木幸吉

    八木幸吉君 この憲法の「陸海空軍」と自衛隊との概念は、どこに違いがあるか、実態的に違いがあるか、交戦権のあるなしだけでなくて、どこに違いがあるか、これを伺いたい。
  34. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは、自衛隊法その他をごらんになりますというと、この自衛隊の本質、目的、それの任務というものは明瞭になっておりまして、この範囲のものは、われわれは自衛権裏づけるに必要最少限度のものであって、憲法第九条に禁止しているところの戦力には当らない、かように考えておるわけであります。
  35. 八木幸吉

    八木幸吉君 法律の条文でなしに、この前の国会で私がお伺いしましたときには、日本自衛隊は軍隊ではない、その意味交戦権がないからだ、こういう御答弁があった。今のは、自衛隊法に書いてあるものというお話でありますけれども交戦権を外にして、自衛隊の実態と、社会通念上のいわゆる陸海空軍と、実態上どこに違いがあるか。自衛隊の実態と、それから憲法に禁止しているところの「陸海空軍」と、交戦権の有無を別にして実態上どこが違うか、これを伺っておきたい。
  36. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今、八木委員の御質問の実態上ということの私意味がはっきりしないのですが、これは、この自衛隊法をごらんになりますというと、自衛隊を置いておる趣旨、その任務というものは、従来のかつてありました日本陸海空軍とはその本質を異にしておるということが、きわめて明瞭であるように私は考えております。
  37. 八木幸吉

    八木幸吉君 たとえば、陸上自衛隊にいたしまして、満州事変当初に陸軍は十八万、自衛隊は今度ふえましたら十七万、それから海軍の艦艇は三百八十七隻で九万一千トン、それから飛行機約千百機ですね。千百機の飛行機と、九万一千トンの海上自衛隊と、それから十六、七万に及ぶ陸軍、そのほかに火砲とか戦車とか、いろいろなものがございますが、こういったような装備内容を有する自衛隊が、果たして社会通念上いわゆる陸海空軍と言えないというのはどこに理由があるのか。法律上は交戦権のあるなしはありますけれども交戦権を別として、社会通念上の陸海空軍とどれだけの違いがあるか、それを伺っているのです。
  38. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私はこの問題は、ただ単に持っている装備であるとか、その数量でもって比較して云々ということは言えないものであって、その力の設けられておるところの趣旨並びにその組織されている力の任務というものの意義が違っておりますがゆえに、従来の陸海空軍とはこれは違っているものである、かように解釈しなければならぬと思います。
  39. 八木幸吉

    八木幸吉君 今、任務と仰せられましたが、吉田内閣時分には、保安隊は国内の治安のためにあるのだ、外国の侵略に対するものではないから、これは戦力でない、陸海軍ではないというような閣議了解の公けの見解がございますが、今度の自衛隊になりますと、外敵を防ぐということがあるのですから、その解釈はすでに無意味になったと思うので、どうも私は今の自衛隊陸海空軍に相当する戦力であると考えますけれども、この問題を幾ら論議いたしましても時間を使うばかりありますから、さらに私は先に進みたいと思います。  それは総理は、この前、自衛のための最小必要限度実力のなかには米駐留軍は入らない、こういう御見解をお述べになりましたけれども、ところが、今の日本の防衛という者は米駐留軍と、それから日本自衛隊とで日本を防御している、その限りにおきましては、今の日本自衛隊というものは、これは最小必要限度でありましょう。ありましょうけれども、将来だんだんこの米駐留軍が撤退していくにつれて、そのギャップを日本自衛隊が補っていくということは、これは当然だと思うのです。非常に極端なことを申しますと、米駐国軍が全部撤退したあとには、日本自衛隊がそこまで拡充されなければ、日本の防衛のための最小必要限度にはならないのであります。もしもその程度でなくても最小必要限度になり得るということであれば、今の米駐留軍というものは、日本の防衛の必要以上に駐留している、こういうことが言われなければなりませんので、そこで自衛のための最小必要限度には、今の自衛隊と米駐留軍の実力とを合せたものが当然日本最小必要限度と、こういうことになるのが、これが論理上当然である。もしそれを否定されるならば、今の米駐留軍というものは日本の防衛以上に駐留しておる、こういうことに私なると思うのですが、いかがですか。
  40. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 現在日本に駐留しております米軍は、安保条約に基いて駐留しておることは御承知通りであります。そして安保条約の一条に掲げられておる目的というものは、日本の防御のほかに、極東における安全の確保の点もございます。従って、直ちにこれが日本自衛のために必要な最小限度の力だけが日本に駐留しておるということは、安保条約の上からも私は解釈ができない思います。それから、さらに、今度は事実上の問題でありますが、日本から米軍が徹退いたしました場合に、日本が米軍が持っておった力まで持たなければ自衛ができないかどうかという問題になってきますというと、米軍が撤退します理由なり、それから撤退した後における米軍の配置等から見まして、われわれは事実問題として、米軍が持っているものまで全部日本自衛力でもってこれを補っていかなければ日本の安全はとうてい最小限度にも保障できないという事実にはならぬと思います。そういう二つ意味から見まして、私はこのいわゆる駐在しておる駐留軍の力を加えて、この力が日本自衛のために必要最小限度の力なりと断ずることは適当でない、こう思っております。
  41. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の御答弁は、この前の千葉委員との質疑応答の問題に私は関連してきたと思う。というのは、安保条約の第一条で、なるほど今仰せの通り、この極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、同時に外部からの武力攻撃に対する日本の安全に寄与する。この極東における国際の安全を維持するという意味は、日本の防衛の一つの前提であると思うのですね。アメリカを、何も日本の防衛に全然関係のないものを日本に駐留さす必要はないし、日本の国土そのものにすぐ侵入してくるのでなしに、極東の安全が脅かされた場合には、これが日本の防備にも波及すると、こういう意味で実は安保条約の第一条はできておると、こう思うのでありますから、そしてやはり極東の安全はどうでもいいのだということには、日本の防衛の見地からいってはならないと思います。そこで、あとで仰せられました米駐留軍が全部撤退した後でも、そこまで日本は拡張する実力もないし、事実必要ないのだということは、他の国際的の集団安全保障のことをお考えになってのことでありましようけれども最小必要限度という議論を進めていけば、やはりそこまでは日本の国力さえ許せば、それだけの軍備を持つことが日本最小必要限度にもやはり必要じゃないか、こういうことになると思うのでありますが、いかがでありますか。
  42. 岸信介

    国務大臣岸信介君) それは私は日本の国力とかだけからではなくして、いろいろな観点から、日本自衛のために必要な最小限度の力というものは考えていかなければならぬ。むしろ自衛力の増強につきましても、量よりも質に重きを置いてわれわれは研究開発していくというようなことも方針に掲げておりますから、数学的に日本の持っておる力と米軍の力を加えたものが、この自衛のための最小限度だというふうな方式には私ならぬように思います。また、今おあげになりましたように、なるほど、極東における安全が保持されるということ、またそれが脅かされるということは、日本の安全にも波及し、これに影響を持つということは、これは当然でありますけれども日本が持つところの、自衛権裏づけ必要最小限度のものは、将来はひいて日本に影響を持つというような事態をも、われわれは武力でもってこれを防ぐというような意味はないことは、しばしば、われわれの自衛というものは、緊急不正な侵害があった場合に、他の方法で排除できない場合に、万やむを得ずしてその実力によって排除する、こういう非常に限定された意味からも当然御了解いただけることだと思います。
  43. 八木幸吉

    八木幸吉君 三十一日の衆議院内閣委員会総理は、「もしも敵の攻撃が、やはりそういうものを用いて」「そういうもの」というのは核兵器ですが、「攻撃が加えられるというような場合で、これに対してはどうしてもそういう兵器をもって侵略を防ぐほかはないというような事態の場合において、アメリカ軍がそれを用いるということについては、これはやむを得ない措置じゃないかと思います。」、こういう御答弁があるわけです。そこで緊急な事態に即応いたしまして、いわゆる極東の平和、もしくは日本の防衛の直接の必要上、米軍が領空、領海外で、近接した場所で核兵器を使用すれば、当然自衛隊核兵器装備せずとも、また核兵器日本の国内に持ち込まなくても、米軍のわが国への持ち込みを禁止いたしましても、実際上に米軍が核兵器をもって敵に応戦いたしますから、日本の近海あるいは領空が核兵器の戦場になるということは、これはやむを得ない事態ではないかと、こう思うのでありますが、その点はいかがお考えでありまするか。
  44. 岸信介

    国務大臣岸信介君) あらゆる場合におきまして、私は一つの原則として、日本自衛隊核兵器をもって装備しないし、また核兵器の持ち込みはこれを認めない、すなわち核兵器装備された軍隊の日本に入ってくることは、これは認めないということを従来強く主張をいたしております。そうして、これは私の政治の信念として貫いていくつもりであります。しかし、いろいろな侵略の場合をいろいろと想像して、こういう場合はどうだ、ああいう場合はどうだということでありますけれども、この原則だけは、私はあくまでも貫いていくという考えを持っておることをここに重ねて明瞭に申し上げておきます。そこで、日本の領空やこの領海等、もしくは日本を取りまく周囲において、いわゆる原子力で戦われる、核兵器戦争の状態が絶対に起らないかどうかという問題につきましては、これはおのずから別の問題でございまして、いろいろな場合を想像をしていきますと、いろいろな場合があり得ると思います。私は、先ほど申しておるような核兵器をもって装備しないし、また核兵器の持ち込みを認めないと言っていることの根本の考え方は、核兵器というものの使用を世界的に禁止したいという非常な強い熱望を持っております。これを用いることは、人類のためにこれは許すべからざることだという考えでおりますので、そういう強い主張をしておるのであります。しかしながら、遺憾ながら、今日なお核装備をしておるところの軍隊が世界の中に存在しておりますから、それらのものの戦争の様相によりましては、日本の近海なり、あるいは領空等においてそういうことが絶対に今のところないんだということを言い切ることはできないのであると思います。
  45. 八木幸吉

    八木幸吉君 アンチ・ミサイルミサイル核弾頭を使わない。アンチ・ミサイルミサイル自衛隊で研究をされるお考えはありませんか。
  46. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私の承知しております限りにおきましては、まだこの研究題目になるまでにはなっておらないように思います。  それから、先ほど矢嶋委員の御質問お答えを申し上げましたように、核兵器ミサイルは一切研究の対象にもいたしませんけれども、アンチ・ミサイルといわれるところのものは、それが核兵器でないならば、私は防備のために研究する価値のある問題であると思います。
  47. 八木幸吉

    八木幸吉君 最後に一点だけ申し上げたいと思いますが、自衛隊員のために、基礎的な法理論の教材があります。その自衛隊員教育用の基本的法理論の中にも、現在の自衛隊憲法違反であるということが多数学者の説だということが詳しく述べられております。そういう学説を教えられますと、今の自衛隊は、なるほど自分たちの存在は違憲ではないかということを考えます。私はこの教科書だけで申すわけでありませんが、今、一言で申しますと、日陰者のように思っていることは、これは間違いのない事実だと思います。ところが、この自衛隊員の職責は、申すまでもなく、日本の国防の責に任ずる最も崇高な立場にある者が、日陰者のような地位に置かれて、ほんとうの自衛が全うできるかという点については、私は非常な実は疑問があると思うのです。命を捨ててやるんですから、自分の存在が法律違反だというようなことでは、ほんとうの自衛の職責を全うすることができない。それがすなわち憲法の改正論になってくるわけでありますが、今総理は、憲法調査会でいろいろ研究さしている、こう仰せられますけれども、私はほかの家族制度だとか、いろいろなことは別問題といたしまして、また、これから大いに自衛隊を拡張するという立場から申し上げるわけでも何でもありませんが、現在の自衛隊に合憲性を持たせるということが、自衛隊員の精神的の支柱の見地からいっても最も必要である。そのためには、九条第二項さえ一応削れば法律的には筋が通るわけでありますから、これはいつまでも長く延ばすべき筋合いのものではないと私は思っております。そこで総理が幹事長時代の三十一年一月には、三年以内には憲法改正を努力さえすればできるんだというので、国民の啓蒙運動を大いにやるということを仰せられたことがあります。衆議院の解散両三日に追っておりますが、来年もまた参議院の改選があるわけでありまして、今の情勢であれば、もし参議院で三分の二以上の憲法改正論者が当選をしなければ、また三年先になるわけであります。私はこの自衛隊が日陰者であるということが非常な支障である、こういう意味で、二項の改正を勇敢に、これが選挙の結果にいかなる影響を及ぼしましても、これを積極的に国民に訴えることが、岸内閣として私は当然の行き方ではないか、こう思いましたので、その点に関する総理の御見解を伺いたい。  それからもう一つは、自衛というものは、敵がなければ自衛でないのでありますから、自衛隊を今のように増強するだけの極東の軍事情勢であるか、これはまことに簡単でけっこうでありますから、二点を伺って私の質問を終ります。
  48. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 憲法改正の問題は、いろいろ国内においても議論のあるところであり、私はこの重大性にかんがみて、憲法調査会を作って今審議を進めておるわけであります。八木委員のいわゆるこの自衛隊の合憲性――憲法違反であるか、憲法上当然正しいものであるのかということにつきましては、私どもは終始一貫この合憲性を主張しておるのであります。ただしかし、これが違法であるという、意見であるという意見も存在しておることは事実であります。そうしてそういうようなことが自衛隊の隊員諸君の精神的の、何といいますか、基盤といいますかの上に、いろいろなおもしろくない影響を与えるおそれがあるということも、私は八木委員と同様に何しております。従って、憲法が改正されるというような場合、また改正しなければならぬという結論が出るような場合におきまして、そういういろいろな、これはこの九条だけじやありません。いろいろな規定においても学説の分れているような点もありますが、こういうふうな大事な自衛権に関する問題について意見が分れており、これが悪影響を与えることをおもんぱかりまして、将来改正する場合においては、そういうことについての議論がないように、明確にすべきものであるということについては、私八木委員と同様な考えを持っております。ただそれを、今憲法全体を検討し――それは法律において権威ある調査会として作られておる、その調査会の研究の途上において、政府の首班である総理大臣が、どの条文はどうすべきものであるというふうな意見を述べるということは、私は正しいことでもないし、穏当なことでもないと思います。従いまして、調査会の結論を待ってこれに対しては善処したい、そういう場合においては、議論があれば、こういう大事な問題については、根本的に相反する議論のないように、明確な規定にすることが望ましいと思います。  それからなお、極東におけるところの軍事情勢については、防衛長官から大体のことを御説明させます。
  49. 八木幸吉

    八木幸吉君 その防衛長官の御答弁あとから伺つてもけつこうですが、滞在主権のある沖縄に対してもし攻撃があった場合は、これは日本自衛とどういう関係にお考えになりますか。
  50. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 沖縄につきましては、潜在主権を持っておりますけれども、これは一切の施政権をアメリカが持っております。従って、これに対しての侵略が行われましても、それはもっぱらアメリカ軍によって防衛さるべきものであると思います。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して伺います。憲法の先刻来の解釈は、私はこれは許されぬと思うのです。従って、私は伺いますが、憲法制定国会においてその担当大臣であった金森国務大臣は、武力行使さえ許されないということをはっきりと答弁している。そうして、議員の質疑に対しましては、日本憲法の前文、「日本国民は、恒久の平和を念願し、」から始まって、「平和を愛する諸国民の公平と信義に信頼して、」云々、この項を述べられて、そういう武力行使できないのである。そういうことは行使しないで、話し合いによって平和を守っていくのだ、国を守っていくのだ、こういうことを担当国務大臣が明確速記に残しております。先刻、長官は、武力行使自衛のためにはできるいうことを言われて、おりますが、これは一体どういうように国民に説得したらいいのか。  それから、先刻来のあなたの説明を聞いておりますというと、自衛のためでない戦力を結局あなたは持ちたいと考えておるのだ、ということは、あなたが政界に復帰して、再建連盟を結成して以来、わが国の政界においてあなたは憲法改正論者の筆頭であったわけなんです。で、先到来の憲法九条の解釈をすれば、それを裏返しますというと、あなたは、自衛のためでない戦力を持つべく憲法の改正をしたいということを再建連盟を結成以来主張した、こういうことになるわけなんですが、御答弁いただきたい。
  52. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私が憲法改正論者であるということに対しましては矢嶋委員がおっしゃる通り、私は憲法改正論者であります。しかしながら、憲法は非常に重大な法律であり、これに対していろいろな議論がありますから、有識者の議論を十分尽して、その結論によって善処しようというのが、憲法調査会を設けたゆえんであります。私の個人的な意見はございます。しかし、個人的の意見としても、今お話しになりました、私のさっきからの憲法解釈は、自衛権のこの限度を越えた戦力を持とうとしておる意思をもって憲法改正を唱えているのだというあなたの判断に対しましては、私はそういうことを申したこともありませんし、そういうことを考えたこともございません。今、私が八木委員お答えを申し上げましたように、われわれは、自衛権によるところの今の自衛隊組織は、これは憲法違反にあらずと私は解釈をいたしておりますが、不幸にして、おそらく矢嶋委員は、それは憲法違反であるという御解釈じゃないかと思います。自衛隊のごとき重大なる任務を持っておるもののそもそも置かれている理由、それの存在の基礎について憲法違反であるという議論と、憲法において認められているものであるというような相反しておる議論ができておるということにつきましては、幾ら法律解釈とはいえ、私は望ましい状態ではないと思います。憲法改正のときには、そういう議論を生じる余地のないような明確な規定にしたいというのが私の念願であります。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 金森さんの答弁は、総理はどう考えます。金森国務大臣憲法制定国会において担当責任国務大臣として説明をし、さらに議員の質疑に対して、先ほど私が申し上げましたように、武力行使はできない、そしてかくかくにするのだということを速記に残しておる、これをいかように考えられますか。
  54. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 憲法制定のときのいろいろな事情もございます。それから、憲法のみならず、あなたの法律解釈におきまして、私は必ず立法者の意思が唯一の法律というわけにもいかぬと思います。私どもが今、今憲法解釈として、自衛権を持っておる、自衛権を否認されたのじゃない、独立国として自衛権があるということは、これについては私はほとんど学者のうちにだれも異存がない。日本はこの憲法九条の規定を設けたので、自衛権はないのだということを言っている人は私はないと思います。そうすれば、自衛権というものはただ観念上のものだけじゃなしに、この自衛権というものの本質から、それを裏づけるに必要最少限度の力を伴わない自衛権というものは、ただ観念上の問題で、その力を持つということは、自衛権が認められている以上は当然であることであって、私どもの一貫して解釈しておることは、憲法九条の解釈として私は間違いでない。ただ自衛隊――先ほども質問のありました、自衛隊の現状が、この自衛権の裏付けるに必要な実力の範囲を出ておって、それは戦力になっておるのだ、どうだというような議論はなり立ち得る何があるかと思いますけれども、これは議論がありますけれども、私の今申し上げているようはあるということは、九条は否定しておるものじゃない。それを裏つけるに必要な最小限度実力、力というものは、当然自衛権がある以上は持ってよろしいのだ、これは憲法が禁止しておるものじゃない、かように解釈をしております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 詭弁を弄されては困ると思うのです。私ども自衛隊否定していません。憲法制定国会において自衛権否定する論もあれば、肯定する論もありましたけれども、最終段階においては、大勢としては自衛権はあるということになっています。わが日本社会党も、この矢嶋自衛権を認めておる。しかし、その自衛権たるや、あなたが今言われるような自衛権とは違う、規定が違う、それから概念の範囲が違う。そうしてこの金森国務大臣の私は趣旨説明と、速記に残された答弁をあなたに申し上げてあえて伺ったわけなんですが、以来、日本の教師は、この金森さんの趣旨説明、答弁に基いて、子供に憲法というものをそういうふうに教えてきているのです。今あなたのような説明をされたならば、一体、教師はどうすればいいんですか。(「変えればいいじゃないか」と呼ぶ者あり)これはこういうところに問題がある。あなたのお答えは詭弁だと思う。  それから、私は関連ですから長くやりません。もう一つだけ伺いますが、それは、ただいまのあなたの答弁で、日本には日本を守る最小限度実力戦力を越えての力が、自衛隊プラス米駐留軍で存在するということを、八木委員との応答で認められているわけです。このことは私は重大だと思う。なぜかというと、あなたは先般の本委員会における私の質疑に対して、「日本国内及びその附近に」ということ、その附近に」というのは沖縄は入るか入らぬかという質問に対して、沖縄は入らぬ、狭い意味日本国内だけだ、こういうことを答弁されました。そしてこの安保条約の前文には「日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。」と規定して、それから第一条には、中ごろから「日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる」云々ということを書いてあるわけです。だから米駐留軍は日本自衛権とあわせて、日本を守るに必要な最小限度戦力以上のものは持てないわけです。ところが、あなたは持てるということに八木委員との答弁でなるわけです。そうなれば、安保条約そのものが、憲法第九条に違反する内容においてアメリカと条約を結んだということに解釈がなってくる。きわめてこれは重大なことだと思う。はっきり国民がわかるようにお答え願いたい。
  56. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 本来、観念上からいっても、米軍の持っている実力というものと日本が持っている実力というものは関係ないことでありますけれども日本の駐留しておる米軍の関係につきましては、あなたがお読みになったところはそういうことになっておりますが、この前のところに「アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備……。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その「付近」というのは沖縄も入らぬと言ったじゃないですか。
  58. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆または干渉によって引き起こされた」云々と二つの何がなされている。従って私は、この今何に駐留しておるところの、日本に駐留しておるところのものは、日本自衛、狭い意味自衛だけに限られてしおらないいうことを先ほど申し上げたわけであります。  それからもう一つ、今あなたの御質問になった沖縄の問題でありますが、沖縄に駐留しているアメリカ軍が、私は安保条約に基いて駐留しておるのではないので、これは別の根拠でアメリカが何をしておるということを申し上げたのであります。それは今もなおそう思っております。
  59. 永岡光治

    ○永岡光治君 ただいま議論をかわされておりまりが、結局尽きるところは、これはこの前の岸総理が出席いたしました当委員会において、私が質問いたしましたが、結局、この整備計画ですれ、これが完成した暁におけるわが国の実力は、外敵の侵入兵力にどの程度の期間堪え得るかと言うことを質問いたしたわけですが、これは事務当局にも十分に調べて答弁をしてくれということを申し上げたわけでありますが、これは岸総理の方から、資料も提出されたと思うのでありますが、明確に一つお答えいただきたいと思うのです。
  60. 藤田進

    委員長藤田進君) この点については、政府から資料の提出を津島防衛庁長官が約束されておるのでありますが、その後提出されていないように思いますが……。出てますか、それではその説明をしていただきます。
  61. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ちょっと専門的ですから、防衛庁長官からお答えをさせます。
  62. 津島壽一

    ○国務長大臣(津島壽一君) お答えいたします。  防衛力整備計画が完成した後におけるわが国の防衛の能力という問題でございますが、これは資料に概略したためまして委員会に提出いたしましたから、大体これによって御承知下さることと存じます。要すれば、今後の外国からの侵略その他に対処するために、自衛実力行動をするということは、この侵略の様相、時期、程度、装備、そういったものに非常な関係があるわけでございまして、一がいにこの程度のものはできるということは、これはそのときの事情、そういった侵略の様相等に非常な関係があることでございまして端的にこうだという、いわゆる一がいにこうだということは申し上げかねることは、事情やむを得ないことと存じます。しかし、おおむねこういったよりなことになることをわれわれは目標としておるものでございます。  第一は、陸上自衛隊十八万、これはわが国の地理の関係、すなわち非常に縦が長く幅が狭い。山岳地帯が多いといったような関係もあり、また道路の関係等かありまして、そういった防衛について他に見られない困難な事情もありまするが、陸上自衛官の十八万がもしこの目標として完成をみた暁においては、六管区、四混成団の編成によって所要の配置をいたし、これらの直接、あるいはその場合の間接侵略もある場合もありますが、敵の上着陸というものを、これを阻止する。そして同時に、この容易に侵略を許さないという程度並びに国内における治安の保持ということも、これによって可能であるという見解をもってこういったこの目標を立てたわけでございます。  第二は、海上自衛隊でございます。この整備目標においては、大体警備艦艇は約八万四千トン、掃海艇が一万六千トン、その他港湾防備等に一万三千トン、これで十二万四千トンというものの艦艇が整備され、さらにこれにP2Vといったような対潜哨戒機その他の航空機でもって、大体周辺、近海における警備を全うし得るだろう。なお、主用港湾の防備もこれによって全ういたしたいと同時に、外航護衛、海外に向う、あるいは商船の護衛といった船団護衛についても相当の計画がこれによって達成される。もちろんこれは最小限度でございまして、その敵に応じて十分であり得ないこともあり得ると思いますが、そういった考え方をしております。  なお航空自衛隊、すなわち空の関係におきましては、この目標においては千三百機ということを予定いたしております。これによって戦闘機による要撃、これは二十七隊、スコードロン、輸送機隊を三、偵察機隊を三、そういったような編成を見まして、レーダーサイトの所要の警戒、また誘導の組織といったようなことによって、敵機と申しますか、相手機の早期発見に努めますことによって、わが国の領空における相手方の飛行機の跳梁といったようなことは防止する、こういう考え方をいたしておるのでございます。  これについては装備の充実によってさらにその実力を増したいと思うのでございますが、重ねて申し上げますが、これはそのときにおける様相または時期、一時にくるか、あるいは時をおいてくるかといったようなことにもいろいろなそこに違いが起ってくると思いまするが、大体の防衛能力というものは、そういったような考え方からこの目標ができた、こういうわけでございます。
  63. 永岡光治

    ○永岡光治君 わが国の実力の配備の状況については説明を受けておるわけですが、それがどのくらいの兵力に耐え得るかということを聞いておるわけで、いろいろ情勢が違うと、こうおつしゃいますが、それは違うことがあるでしょう。じゃあそこで一例をあげて、たとえば陸上兵力何十万、あるいは海上の艦艇何万トン航空兵力何十機、これには向うから襲来してきても耐え得る、こういう一つの目標がなくてはならぬと思うのです。私はそのことを聞いておるのです。今、世界でいろいろ装備はずっと進んでおりますが、現地点において予想される装備、外国の装備を予想して、陸上はたとえば十万人なら十万人来たならば、そのぐらいのものは防げるとか、あるいは海上で五万トンぐらいの海上艦艇が押し寄せてきたものには耐え得るとか、航空機ならば、たとえば五百機なら五百機一時に襲来してもそれに耐え得るとか何とか、一つの目安があってしかるべきだと思うのです。そういう点をお聞きしたいのです。そういう点がないならば、端的に聞きますか、十万人の陸上兵力が来てもこれに耐え得るのか、十万トンの艦艇が押し寄せたときこれに耐え得るのか、一千機の航空機が来ても耐え得るのかどうか、具体的にあげますから、それに耐え得るのか、耐え得られないのか、その点を具体的にお聞きしたいのであります。
  64. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ただいまの御質問は、非常に困難な点は、ただいまの十万人の陸上隊に耐え得るか、こういうようなお話であります。これは予想の状態をどう考えるかということに関係してくると思うのです。一挙に十万の陸上兵がある一地点に来る場合と、東西、中央に分れて来る場合とによって、兵の配置の関係もあるわけであります。しかし私どもは、十八万の配置によって、これ以上のものが来ても、これを挾撃、上陸を許さないという自信を持っておるわけであります。しかし一挙に五十万、百万が来た場合に、これが果して可能であるかどうかという問題になるかと思うのでありますが、これは要するに旧来の言葉で言えば用兵の問題の非常にこまかい問題でございます。私はその足らざるところは、やはりこの安全保障の体制によって補っていくという基本的の考えを捨てては、なかなかこの防衛の完全を期するということは現段階ではむずかしいし、また、ある意味においては、第一次整備目標と申しますか、ただいま申しました防衛力整備目標というものによって、現状あるいは将来起り得る様相を考えると、最小限度のものであるという考え方を持っておるのでございます。ただいま千機の飛行機が一挙に東京上空に来たら東京上空が守れるかという仮定の質問は、私は非常に困難であると思うし、防衛責任者がそういうことをはっきり言うことは、私は避けた方が国の防御のためにいいのじゃないか、こう思うわけであります。
  65. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは防衛計画がなっていないということになるのですが、そこで大体お話によれば、今の日本実力程度のものならば、陸軍の数にしても、海軍の艦艇にしても、航空機にしても、その程度の外敵ならば大体耐え得ると、こういうお話がありました。それはそれとして、岸総理は、この前から、もちろんそういう場合には、日本のみならず、アメリカの軍隊の応援を得てこれは防ぐのだ、こういうお話をしておるのですが、さればお尋ねいたしますが、日本の国内のアメリカの軍隊の配備状況、兵力の配備状況、これは十分御承知だろうと思いますが、どういう状況に相なっておりますか、その点をお尋ねいたします。
  66. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私自身が配備状況を現存において全部知悉しておるというわけではございません。しかし防衛の専門家は十分な連絡を、米軍との間に連絡を持って配備の状況を知っております。
  67. 永岡光治

    ○永岡光治君 こういう重大な問題を、しかも国防会議のあなたは議長をされておいでになる。もとよりこれは事務当局でも十分これは検討されて資料をお持ちだろうと思いますが、非常に重責を持っておいでになる岸総理が、およその兵力の配備状況を知らないでは私は済まされないのじゃないかと思うのです。それは十分おわかりと思いますが、全然おわかりになっていないのですか、重ねてこの点をお尋ねいたします。
  68. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今申しますように、必要な場合においてこれを知ることはできるようになっておりますが、常時これを知っておるということではございません。
  69. 永岡光治

    ○永岡光治君 それではこれは事務当局から御答弁になりますと時間もかかりますから、その兵力の配備状況、これを一つ資料として御提供をお願いいたします。
  70. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 資料については、極力お求めに応じて提出いたしておるのでございます。しかし米軍駐留軍の配置その他の具体的なことは、これは米軍側で発表し得るもの以外は発表しないという建前になっておりまして、私ども承知しておるのでございますが、資料としてその詳細にわたっての提供はここですぐお引き受けするわけにいかない事情もございます。しかしながら、でき得るものについては提出するということに御了解願っておきます。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。ただいま総理は、永岡委員質疑に対して、国防会議の議長であり総理であるが、常時知っていない、こういう御答弁をされております。それでは国防会議の議長であるあなたに基本的なことを一つだけ伺います。今、永岡委員が指摘されておるその「防衛力整備計画完成後における自衛隊の能力」というこの資料にこういうことが書いてある。「具体的に仮想敵国を想定し整備して」おるのではないのであります。こういうことを書いてあります。一体、一国の実力、ささやかなるも戦力を持つ場合に、仮想敵国というものを考えないで持つ場合があるのですか、具体的に伺いますよ。昭和三十三年のアメリカからあなた方が供与を受けるべく申し入れて、アメリカの了解を得ているS2F対潜哨戒機三十一機、それからP2V大型対潜哨戒機、これが六機、それからP2V―7、この大型対潜哨戒機四十二機の国産化計画を立てております。これは仮想敵国というものではないのでしょうか、これに重点を置いているじゃありませんか。これは明らかに日本に課せられておるところの向うから来るものに対する防御として、この対潜哨戒機に重点を置いて、特に大型P2Vに置かれておる。これは永岡委員の要求によって出された資料はおかしいと思う。こういう基本的なことは、あなたは少くとも国防会議の議長としては知っておられるのですから御答弁願いたいと思います。
  72. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日本の国防計画を定める場合に、いわゆる仮想敵国というものを置いてやるかどうかということは、これは重要な国防上の方針の一つであります。私どもはそれについては、ただいま具体的の一国、もしくは数国を仮想敵国として、それに対して防衛計画を立てるということでなしに、われわれのこの祖国に対する侵略のいろいろのあり得る形を考えて、これに善処するために防衛上必要な自衛の力を持とうということをやっておるわけでありまして、仮想敵国というものは設けておりません。
  73. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理に二、三お伺いしたいと思います。  まず、核兵器の持ち込みについてお尋ねいたします。総理は、原水爆は憲法違反だが、小型核兵器については、憲法関係なく、人道上許せないから持たない、こういうふうにしばしば言っておられるわけであります。そこでこの際、小型核兵器憲法違反なのかどうか、この際しっかりと確認しておきたいと思います。まずこの点をお伺いいたします。
  74. 岸信介

    国務大臣岸信介君) いわゆる小型核兵器と称せられるものは、ちょうど核兵器は御承知通り進歩発達の段階にありまして、いろいろなものができてもおりますし、私どももその一々をつまびらかにすることができないほどいろいろのものがあるように承わっております。将来もまた、いろいろな発達をすることであろうと思います。私の申しておるのは、核兵器という名前がつけば違反、兵器といえども憲法にこれを禁止しておるという私ども解釈にはならない。私は先ほど来、われわれが持ち得る自衛隊の力は自衛権裏づけのための最小必要限度の力であるということを申しております。その範囲内に属するものも、今言っておるように、やはり核兵器というものは非常に種類が多いのでありますから、あり得ると思います。しかし、そういうものは憲法では禁止していないけれども、私は核兵器全般に対して、先ほど来八木委員にも申し上げましたような信念から、これをもって自衛隊装備しない、またその持ち込みを認めない、それは憲法の規定のいかんにかかわらず、私の考えとしてそう言うことを申上げておるわけであります。
  75. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理は人道上許せないから持たないということをしばしば言っておられるわけであります。そこで、人道上許せないということなら、これは憲法違反でなければならない、この核兵器に限らず、憲法が人道上許せないようなことを認めるはずがないではないですか。で、この小型核兵器が人道上許せないというのであれば、それは当然に憲法違反と言わなければならないと思うのです。この点をはっきりさせていただきたいと思います。
  76. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私が先ほど来お答えを申し上げておるように、自衛権というものがあり、それの裏づけに必要最小限の力というものはこれを持ち得る、そしてそれは憲法の禁止しておるところの戦力には入らない。今日核兵器というようなものに対してはいろんな発達の段階があるから、その種類いかんによっては、自衛権内容とする必要最小限度のものに入り得るものもあるだろうけれども、従って、そういうものは憲法のこの九条では禁止しておらないけれども、私が核兵器装備しない、こう言うことを申し上げておるのは、その間に何らの区別を置いて、原水爆その他のものと区別を置いて、こういうものなら核兵器装備していいのだというふうに分けて考えておるのじゃなしに、これは大きな人道的の見地から、ちょうど原水爆に対して私が抗議を提出し、これを大国間において兵器に使わぬというふうな申し合せをしろというようなことを提案しておる、その趣旨の一環としてこれを認めないのだ、こう申し上げておるのであります。
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 政府の統一解釈では、この小型核兵器に対して違憲であるとしておるのかどうか、この点を明確にしてもらいたいと思います。違憲でないなら持っても差しつかえないわけです。そこでこの点が非常に重要になってくるわけです。この点を明確に。
  78. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 去年、同じ問題に関する論議がありまして、その際、政府の統一的見解をお答えを申し上げております。趣旨は、要するに今日核兵器といわれておるところのものの中心は、原水爆を中心にしておるようであるが、こういうものが憲法上持てないことはこれは当然であるけれども、その他のものについては、いろいろな種類があるので、発達の道程にあるから、一がいにすべて憲法違反というわけにはいかぬ、こういう趣旨で統一的お答えを申し上げたと記憶しております。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理はしばしば、小型核兵器については憲法違反ではないけれども、政策として持たないということをしばしは言っております。今もそう考えておると思いますが、そうだとすると、このことは国民にとってまことに不安きわまりないことです。政策が変ればまた持つようになるかもしれぬ、そういう点で非常に不安きわまりないことであると同時に、国民としてはまことに迷惑千万なことです。政治というものはこれは制度化さなければならぬ、また法律化して初めて意味があると思うわけです。そういう意味で、総理に小型核兵器を持たないとか、核兵器を持たないというそういう信念があるならば、この際思い切ってこれを制度化すべきではないでしょうか。この小型核兵器については持つべきでない、そういうようなことを政策としてでなく、しっかりと法律化し、制度化すべきではないか、そういうふうに思うわけです。この点をはっきりさしていただきたいと思います。
  80. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その点は議論相違になると思いますが、私は従来とも私の信念を国民に明確に申しておりまして、国民も十分にその点においては理解をし、私を支持してくれるものと私は信じております。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間がありませんので、最後に戦力について一点だけお伺いしたいと思います。この前もお伺いいたしましたように、鳩山さんは、自衛のためであるならば必要にして最小限度戦力を持ってもいい、あなたは、ただ最後の方が違っておるだけで、自衛力は持ってもいい、この解釈については同様だとおっしゃっておるわけです。ところが「自衛のためならば」は、近ごろはまた変って、実力というふうに表現が変っておるわけです。それはともかくとして、普通の観念からいえば、最小限度実力戦力だと、こういうことも言っておるわけですね。そうだとすると、憲法の禁止する戦力こそ普通の観念の戦力でないか、そういうことが言えると思うわけです。この点について総理のはっきりしたお答えをいただきたい。
  82. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私はこの憲法九条の、戦力を持つことはできない、保持できないという言葉がありますから、自衛のための、これを裏付けるに必要な最小限度の一つの力、これをまあ戦力という言葉で呼んでも、戦力という意味をそういう意味解釈すれば差しつかえないことでありますし、少し、私が戦力という言葉を特に避けるのは、九条二項で一切の戦力というものが否定されているではないか、自衛のためならば戦力もいいのかという誤解を受けるおそれがありますので、私は、特に実力とか自衛とかいう言葉を特別に用いておるのでありまするが、趣旨においては鳩山内閣お答えと同じような考えでおります。
  83. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、お諮りいたします。岡田宗司君から、質疑のため委員外発言を求められております。これを許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それでは、岡田君から御発言を願います。
  85. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 国防会議の議長としての総理大臣にお伺いいたします。  それは、日本で新しい機種の内定がなされた。つまり、F11Fが防衛庁の幹部によって内定された。さらに、今度国防会議によって確認されたわけなんです。このF11Fの内定ということは、総理大臣はどういうように解しておられるか、決定と内定というのはどういうふうに違うのか、それをまずお伺いしたい。
  86. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 機械の問題につきまして、機種を決定するということは、同時にそれを裏づける製造計画、その他この製造に必要なる一つの具体的の案が成り立たなきゃならぬと思います。大体のこの標準については、機種をきめる場合におきまして、そういうことを参考にいたして大体の見通しは立っておりますけれども、しかし、具体的のことにつきましては、やはりこの機種にするということが内定することによりまして、具体的の今の計画をさらに詳細に立て得る実情にありますので、最後の決定は、その具体的の、あらゆる面におけるところのものが、このデータが確立したときに決定をいたしたい。しかし、いろんな点を参考して、大筋としてこの機種にするということをきめたのが、先だっての内定の意味でございます。
  87. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) F11Fは、アメリカで試作機が二機できておるだけなんです。そしてアメリカの、これは陸軍も海軍も空軍も採用しておりません。たった二機の試作機だけなんです。そういうようなものを決定をするということは、かなり冒険ではないかどうかです。先ほど岸総理か言われました、内定から決定に至るまでの間に、いろいろな試作、試験の段階が入るけれども、そのときに、もしこのF11Fが新しい飛行機の発達に合わないということになりましたならば、これは内定から決定に進まないで、廃棄されるものかどうか、その点をお伺いしたい。
  88. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私どもの研究によれば、飛行機そのものとしてのいろんな試験は済んでおります。むしろ、製造に至る具体的の計画及びこれを裏づけるに必要な確定的数字等が問題になっておるわけでありまして、これを決定するにつきましては、今お話しのように、冒険的な要素を含んでこれをきめたわけではございませんで、十分に、あらゆるこの飛行機自体としての試験から生じておる結果も、これを頭に置いて内定をいたしたわけでございます。
  89. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 国防会議の議長として、飛行機、特に戦闘機の将来について、どういうふうにお考えになりますか。
  90. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 最近の戦闘機の発達の何を見まするというと、非常に高度が高くなっており、速度が非常に早くなってきております。これに対して、私どものいわゆる防衛の見地から、要撃する機種としましては、十分にそれらの事情を、ないし全天候――どういう天候下におりましても十分な飛翔刀を持ち、スピードを持ち、相当な行動半径を持って、これらの、もし侵略の起った場合においてこれを要撃して、十分に戦闘機の性能を発揮するというふうなものを選んで防衛を全うしたい、かように考えております。
  91. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 総理大臣は、イギリスの国防白書をお読みになったことがあるかどうか、私知りませんけれども、とにかく飛行機というものの将来は、今日のミサイルの発達の時代におきましては、相当変らなければならぬと思うのであります。また、アメリカ等におきましても、すでに一九六〇年から一九六五年までの機種はきめておりますけれども、それから先につきましては、もはや有人飛行機といいますか、とにかく人が乗る飛行機というものは、それ以降においては必要がないのだという意見がすでに起っておる。おそらく、最近のアメリカの飛行機というものは、人の乗る飛行機の最後のものであろう、こうなっておるのであります。つまり飛行機自体が、変化していくのであります。人間が乗って操縦する飛行機がなくなっていく、こういうことが全体として見られている。そうして、これがまあ右翼のGM化していくというふうになっていきますときに、それらのことを考慮に入れて、このF11Fをきめられたかどうか、その点をお伺いしたい。
  92. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 一部、今の有人飛行機というものに対して無人飛行機、誘導によるところの飛行機という議論もあることは、十分頭に置いてこの研究をいたしたのであります。私どもは、結論として、有人飛行機がこれはなくなるものであるということは、決して、アメリカにおいても、その他の国におきましても、通説として採用されているものではないし、そういうことは、今前提として考えるということは適当でないしいう見地に立ってF11Fをきめたのであります。
  93. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) ただいまの岸総理のお話ですと、はなはだ見通しが甘いのでありまして、私は、おそらくF11Fが生産を開始される二年後におきましては、航空機に対する世界の考え方というものは非常に変ってきて、これまたF86と同じように、役に立たないものになる。こういうふうに考えております。これはまあ見解の相違でございますから、ここで争おうとは思いません。あと、このF11Fの購入等の問題につきましては、これは津島防衛庁長官あるいは事務当局からお伺いしたいと思います。
  94. 森中守義

    ○森中守義君 大へん総理もお急ぎのようですが、非常に大事なことを、一つこの前漏らしておりましたので、この機会に簡単にお尋ねをいたします。  先刻、同僚委員から若干指摘があったようでありますが、安全保障条約の一条の中に、「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに」云々ということがあります。これから申しますと、明らかに国連憲章が集団的に、もしくは個別的に安全保障条約の締結はできる、こういうことになっておりますが、私は数年前の朝鮮の戦争ですね、この実例から考えていけば、非常に危険な条文じゃないかと思うのです。つまり朝鮮戦争の場合には南鮮、北鮮が一つの目的を持って争いました。しかしその当時、わが国に存在をした、この安保条約によっていわゆる配備を許与していた米軍が、福岡の板付から飛び立った、あるいは艦船が佐世保から行く、そこで全然目的の違った、むしろわが国と直接関係のない両国が争いをしているのに、アメリカがこれに入って、で、そうなると、朝鮮の方ではやはり米軍とも一戦を交えようということで、日本の本土に米軍の基地がある、あるいは艦船の基地がある、こういうことで反撃を加えてくる。そういうことになりますと、わが国とは関係のない戦争でありながら、実質的にはわが国が犠牲をこうむる、こういうことが私は朝鮮戦争によって……。幸いにしてそういう事態の発生はありませんでしたが、この条文からいけば、米軍に基地を提供し、あるいは軍港を提供する限りにおいては、争う目的が違うのに、間接にわが国が犠牲をこうむるということが、この安保条約からいけば成り立つということになると思う。そうなると、前文及び主文にうたっておるように、だいぶ、わが国の自衛のためにこの安全保障条約が必要である、米軍の配備が必要であるという趣旨とは根本的に趣きを異にしてくるわけですが、こういう観点からいけば、安保条約は、少くとも直後侵略、あるいは直接の自衛目的以外のところに米軍が関係をしておりますが、若干訂正の必要があろうかと思いますが、この点明確にお答えをいただきたい。
  95. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 現実に発動する場合は、今おあげになりました朝鮮事変のときは、これは安保条約じゃなしに、マッカーサー元帥のいた占領軍の時代であったと思うのです。それでこれは事情が違うと思いますが、この安保条約によってアメリカ軍が出動するという場合は、やはり国連憲章の規定に基いてやらなきゃならぬことは、これ当然であります。そういう意味から申しまして、また日本自衛隊自身が防衛出動するという場合は、自衛隊の規則に明記されておる場合に限られることは、これは当然であります。そういう意味から申しまして、今、森中委員の御心配の点は、私は事実上としては起り得ないと思いますけれども、しかしこの安保条約全体の運営そのもの、また、あるいは必要に応じてこの改訂をわれわれが願っておる事項として研究をしなきゃならない一題目であることは、私もさように従来から考えております。
  96. 田畑金光

    ○田畑金光君 大へんお忙しいようでありますので、簡単に一、二お尋ねいたしますが、先ほど伊藤委員質問に対しまして、要するに総理は常々、核兵器を持ち込まない、武装しない、こういうお話をなさっておるので制度化したらどうかという質問に対しまして、そういうことは私としては考えていない、私のこの考え方国民は支持しておると思う。こういう趣旨答弁がありましたが、しかしそれは国民一般として非常に不安に思っている問題であります。われわれといたしましては、しからば総理のその信念は、信念としてはけっこうでありまするが、安保条約に基く米軍の配備は日米行政協定できめるということになっておりますので、日米行政協定の中等で、どうして総理の信念を条文化しないのか、協定化しないのか、それをわれわれは強く要求しているわけでありまして、総理のお話のように、国民はそれについて不安を持っていないということじゃ断じてないのです。非常な不安を持っているわけです。なぜ協定化する、そういう努力を考えてないのか、払われないのか、これを明確に承わっておきたいと思います。
  97. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私はこの安保条約に基く日米合同委員会におきまして、安保条約あるいは行政協定等の運用を、国民の感情や利益のためになるようにやっていくという運用をこれでやっているわけでありまして、しかしそれには現行の規定ではある限度があるという、その限度について国民がどうも納得しないというような場合におきましては、これらの改訂の問題に関してもやはり研究をして、両国民のほんとうに協力と信頼の基礎がゆるがないようにしていかなきゃならぬと思っております。現在の段階において私はその必要はないだろうということを先ほど来申し上げておるようなわけでありまして、そういう御趣旨そのものに私が反対をしておるわけでもなければ、そういう努力は一切いたしませんということをここで申し上げているわけじゃございません。ただ、今すぐそういうことをしなければ、国民は非常に不安を感じて、ある意味からいったら寝ても立ってもいれぬような不安を感じているというような、御議論を聞いているというと印象も受けるのでありますが、私はそういう意味において、国民は今のところにおいては私の考えを支持しておってくれるものであると私は信じております。しかし、将来ともこの信頼が永久に続くなんということをうぬぼれて考えておるわけじゃございませんから、そういう今申しましたような趣旨において検討を加えていくべきことは当然でございます。
  98. 田畑金光

    ○田畑金光君 昨年も、二十六国会でありましたか、総理が東南アジアやアメリカに旅行されるその直前のこの内閣委員会におきまして、総理といたしましては、国民の不安に思っておるこれらの問題については、アメリカに行っても十分一つ話し合いをして、条約の改訂、協定の改訂等について努力をしていきたい、こういう御答弁をなさっておられたわけです。しかし事実はそれと大きく離れて、結局、日米安保委員会ということで逃げたわけですが、まあ今度近く総選挙が行われるわけで、その結果どういう内閣ができるか、それは不明です。鈴木内閣ができるかもしれない。万一、第三次岸内閣ができた、こういうようなことになってきますと、まあいずれ特別国会ということにもなりますが、総理はことしもアメリカに出かけられるとか、あるいはその他に出かけられる、こういうことを考えておられるのか。特に私はこういうような問題に関しましては、今、日米安保委員会において取り上げられる機会があるわけでありまするから、どうしてこれを取り上げられて検討をなさらないのか、あるいはまた一歩をさらに進めて、日米行政協定等において明確にこの話し合いで協定化されないのか、あるいはまた、そういうアメリカ等に行く機会があるならば、どうしてもっと国民の世論を背景にして、勇気をもっておやりにならないのか、こういうような点について、あらためて一つ総理の気持を伺いたいと思います。
  99. 岸信介

    国務大臣岸信介君) この安保条約の改正そのものにつきましては、私は国民感情としてやはり一番根本は、この外国軍隊の駐留しておるということに対して、だんだんこうした日本の自主独立が完成を見るとともに、そういう気持が起ってくるのは当然であり、私はその意味において、これを理想としてはなくすることが一番望ましいことである。しかし、それが一挙にいかない場合においても、この規定の、われわれの国民感情と相いれないような、また非常な不安を持たなきゃならぬというような規定を適当に改訂するということを考えなきゃならないし、またこの改訂の運営の上においても、従来やってきているものが非常に適当でないということについては、これを運用を適正にして、両国の国民感情や利益に合うようにしていかなければならない、こういうふうに考えております。決して現在の状況で満足して、これに変更するとかあるいは改訂するとか、適当な処置を講ずるということを怠る、ゆるがせにするというような気持は毛頭持っておりません。  従って今、私は、この選挙後にどうするというふうなことはまだ具体的に考えておりませんけれども、今申しましたことは、私の一貫しての考え方でありますから、できるだけ今言ったような趣旨においてあらゆる方法を通じて努力をするということにつきましては、私は以前申し上げたと同じような、今日もまた同じような考えを持っておるということを申し上げたいと思います。(「最後に一つ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  100. 藤田進

    委員長藤田進君) お静かに願います。理事間で今話し合いができまして、総理質問はこの程度にということであります。(「最後だから」と呼ぶ者あり)それじゃ一問で一つ。
  101. 田畑金光

    ○田畑金光君 総理の御答弁を聞いておりますと、一向われわれの気持に合致するような、そういう決意のほどがうかがわれないわけです。ことに、私はこの間、矢嶋委員からも強く質問として取り上げておりましたが、先般の米国防次官補のアーウィン氏のあの演説の内容、これはなるほど、総理はあの当時新聞を見ていない、こう言っておられましたが、翌日アメリカの国防省当局はこれを否定しているようでありますが、われわれはこれを一つ総合して判断してみますと、近く総選挙が行われる、自民党政権を間接的に援助しようとするアメリカ当局の現われが、あの国防省の翌日のアーウィン発言の否定となって出ておるものと見るわけです。アメリカの国防省当局は、明らかにこれは早く日本自衛隊を核武装したい、これは軍部らしく率直で、また、それがほんとうだと思うのです。ただアメリカの国務省はさすがにそれは外交機関だけあって、政治性をもって、政治的な観点から、やはり今、しかも総選挙を目前に控えて保守政党にそれを要請することは総選挙を不利にする、こういう政治的判断からこういうような問題については慎重を期しているにすぎないとわれわれは見ているわけです。ことに条約の、あるいは行政協定の建前からいうと、アメリカの配備というものは、明確に権利として日本はそれを認めておる。ほんとうに総理が信念を持っておるというならば、やはり核武装の兵隊は要らないとか、日本は核武装しないというならば、明確になぜ行政協定で協定化する努力をなさらぬのか。日米安保委員会というものは、その行政協定の不平等性を是正するために、わざわざアメリカに行ってこられて、そして日米共同声明に基いてできておりますけれども、あの日米安保委員会の今までの運営を見ますと、この間も私が申し上げましたが、アメリカの軍隊の使用配備を云々するのではなくして、むしろ自衛隊装備を、サイド・ワインダーを持ってくるとか、強化するとか、こういうような、向うから押しつけられて、日本を誤まった方向に、国民の心配なような方向に持っていこうとしているのです。これは否定しても、国民の気持から拭い去ることができないわけなんです。こういうことを考えたとき、なぜ総理といたしましては、ほんとうにあなたがそういう信念を持っているならば、日米安保委員会ぐらいでは堂々とこれは話し合って、国民の前に、心配するなと明確に態度を示されたらどうか、こういうことをわれわれは申し上げているわけです。あなたの先ほど来の話を聞いておりますと、御答弁を聞いておりますと、国民はそれほど心配をしてないのだ、こうおっしゃいますが、そうではないのです。今日のあらゆる新聞雑誌をごらん下さい。これを世論の代表と見なければ、われわれは何を世論の代表と言えばいいのです。これが国民の気分、国民の感情だとわれわれは判断しなければならぬと思いますが、総理の見解からいうと、何を基準として、しからば国民の感情や国民の気分を見るわけですか。われわれはこれを申し上げているので、どうか一つ総理として、ほんとうにそういう気持があるならば、明確な一つ態度をもって日米安保委員会等で話し合いをなさったたらどうでしょうか。こう申し上げているわけで、その気持があるかないかはっきりとお答え願いたいと思うわけです。
  102. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 過日アメリカの国防次官補の言動がいろいろと伝えられたのでありますが、これに対しては、国務省が明確に否定している何を出しております。これは今、田畑委員は、何か選挙対策で云々というようなことを話されておりますけれども、これは他国の何をそういうふうに想像することは、私は適当でないと思います。同時に、いろいろまたソ連や、あるいは中共政府のこの日本に対する外交政策や、あるいは声明等を逆に選挙対策のごとく言う人もありますけれども、私、ともにそういうことを、この国際情勢のもとにおいて言うべきものではないのみならず、われわれは独立国として、そういう干渉なり援助なりを一切受けないという信念のもとに、堂々と両党は選挙を争うべきものであって、そういうことに籍口することは、お互いに慎しまなければならぬ問題であると思います。いずれにしても、責任がある国務省が責任をもってあれを否定しており、日本を核装備をする意思を持たない、また、そういうことはしておらないのみならず、持たないということを明確に申しております。なお、この行政協定や安保条約の運用並びにその将来に関して、これが国民の感情なり国民の世論の気持に合致しないものについては合致するように、これが改訂なり変更、修正等に努力すべきものであるという田畑委員のお考えは、私も同感でありますから、それについてはあらゆる努力をいたしますということを申し上げたわけでございます。
  103. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) それでは津島防衛庁長官にお伺いいたします。アメリカにおいてこのF11―1Fは現在試作の段階でないということは御存じだろうと思うのですが、いかがですか。
  104. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) F11―1Fという飛行機がすでに製作を終え、お説のように二機が完成し、しかもその実験は、機体の操縦、すべての点においてもう完成いたしておるものでございます。試作中のものではございません。まだ残った実験といたしましては、この装備関係において何がいいかという、いわゆるファンクショナル・デペロップメント、このテストだけ残っている。これは専門家の意見を十分徴しまして、この機体については最も優秀な性能のいいものである。しかし、最後の装備と申しますか、ファンクショナルのこのテストは近くやる、こういうことに相なって、それのいかんにかかわらず、この機体そのものについてはでき上ったものでございます。そういったものでございますから、この機種がその他の条件において一番最適であるということは、長い間の研究によって一致した見解となったわけなんでございます。ただ、総理が申しましたように、この生産をどうするか、あるいはいろいろな点についての具体的の計画はこれは大体これが適当であるという上でないと、そういった計画は立たぬわけでございます。その計画が立ったときに、初めて最終的の決定をいたそう、こういう趣旨でございます。
  105. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 防衛庁長官は、アメリカでもって空軍なり、あるいは海軍なり、新たなる機種を設定いたしました場合に、試作して、今度は実際にそれを採用する段階に至るまで、いろいろなやり方、これは御存じですか。たとえば空軍で申しますと、クッククレギー・パターン、あるいは海軍で申しますればマーフィー・プランというやり方を御存じですか。
  106. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 各飛行機においてプランが、設計ができまして、それからだんだんそれに対する試作の段階に入り、最後の確定した採用機とするには八段階あるように思います。あるいは飛行機の簡単なものについては、他の飛行機を利用して、それに改善を加えるという場合は、非常に手続を省略する場合もございましょう。そういったいろいろな飛行機の種類、その性能、ないし従来あったものに対して改善を加えて新しいものを作るというやり方のごときは、いろいろDとかJとかあるようであります。全部の問題について同じような段階を経るということには限らない、こう思っておる次第でございます。
  107. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 私はあなたがクッククレーギー・パターンとかあるいはマーフィー・プランの内容を御存じかと聞いている。
  108. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ただいまのプランという言葉は、私は初めて聞いたのですが、内容については知っておるかもわかりませんが……
  109. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) アメリカでは飛行機を買うのに非常に念には念を入れている。つまり、前にアメリカでは試作機を二、三機作った。それでよろしいということで大量生産をやって非常な失敗をした。そこで空軍ではクッククレギー・パターン、それから海軍の方ではマーレィー・プランというものをやって、まず試作機を二、三機なり作って、それからそれにたとえばファイアー・コントロール・システムを載せてまたこれを試作する。そうしてだんだんそういう装備なりいろいろなことをやって、何機も試作をやった上で採用することになっている。しかもその間におきまして、今日の飛行機は非常に高度に進んでおりますので、第一の試作機から最後の試作機にを変えていかなければならない。非常に金のかかる方法なのであります。それをやっておる。ところが新しく今度採用されるF11―1Fはまだその段階を経ておらない。アメリカで採用された機種ではないのです。そうして、もし日本でこれを採用いたしまして、新たにこれをやるといたしますならば、どこの会社にやらすか知れませんけれども、そのために何べんも試作をするために非常な金がかかって、それを国家で補償しながらやらなければならない。それも果して今の日本の生産状況でできるかどうか、私は非常に疑問に思う。前のF86、あれを採用いたしましたときには、すでにアメリカでもこれは採用されておりまして、しかも実戦に使われた。従ってそれをこちらで採用して作り出すということについてはそれほどむずかしい問題はなかった。しかし試作機をもってこれを新たな機種として選定して、二カ年間の間に日本の貧弱な飛行機産業、そしてまた金もないのに、果してこの非常な高度な技術を要するものがこれが間に合うかどうかと私は考えるので、あなた方のやっておることは非常に危いと思う。おそらく今後そういう問題でいろいろ問題が出てくるだろうと思うのでありますが、これは装備局長に、新しい飛行機の機種の採用と、それから、それをどういう試験方法をもって試作の段階を経ていくか、さらに、それをほんとうに生産させるにはどういう段階を経るか、それらのことをさらに局長の方から一つ伺いたい。
  110. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ちょっと一般的な問題ですから、まず私から簡単にお答えして、装備局長から専門的にお答えいたしたいと思います。  この機種の内定は、今後、今仰せになった点もすべてを含めての計画というものを具体化しよう、こういうわけであります。本来これは国産化するという方針でございまするが、これほどうしても米側の協力なしにはできないわけでございます。従ってそれに要するいろいろな資材であるとか、すべての問題がこれにからまって参るわけでございます。そうしてまた、資金的というか、そういったような援助も新機種に対してはわれわれは期待しておるわけです。従ってそれらの、これからの具体的な交渉の段階においてあらゆるそういった問題が提供され、検討され、しかして日本で技術的に不可能な分は、これはアメリカは全面的に協力するという態勢でなければ、これはなかなか困難な事業であるということはよく承知しております。われわれはさしあたり、この飛行機が性能として、また、その他の条件において日本に最も適しているものであるという、こういう一応、相生の期間にわたる調査の結果出たわけでありまして、御指摘の点は、これから具体的にこういった問題に対する研究、その計画化という段階において十分考慮される問題である、こう思う次第でございます。
  111. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) ただいまのお話は、きわめて一般的なお話でありますけれども、新しい機種が大量生産されるまでの技術的な諸段階というものについての御考慮はきわめて足りないようであります。もしこれが、この飛行機がアメリカですでに試作の段階を終って、大量生産の段階に入っている採用された機種であるならば、日本の方でこれは新たに作る上に容易であろうと思うのであります。たとえば、向うから機械を輸入し、あるいはまた金の援助を受けましても容易であろう。しかし、これが全くまだ採用された機種になっておらぬ、しかも試作もきわめて初期の段階で二機しかできておらぬというような段階において、果してこれを日本でもって機種として採用することが妥当であるかどうか、非常な疑問にわれわれはかられざるを得ないのであります。ことに、これが選挙前に急に内定されたというような事態を考えますときに、私どもとしては、なるほど、今きめなければならぬと言われるかもしれないけれども、いろいろ疑問があるのじゃないかと思うのですが、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
  112. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 飛行機をものにいたしますには相当期間がかかるということは、お説の通りでございまして、一般的には、まあ始めましてからものにするまでまあ七年かかろうといわれているような次第であります。ただこのF11F―1Fは、F11F、いわゆるタイガーが母体でありまして、これは現に海軍で実用化されております。F11F―1Fの方は、お説のごとく試作機が二機できておりますが、先ほど長官からお話しいたしましたように、機体に関する部分のこのフェイズ・テスト、段階的なテストはほとんど全部完了いたしまして、海軍でも空軍でもそれで間違いなし、あと残っておりますのが実用的なテスト、先ほどお話しにありましたように、ファイアー・コントロール・システム等を積みましてやるテストが少し残っております。ただこれも、いろいろ高度になりますファイアー・コントロール・システムが、十分その機体にアダプトし得るという前提のもとに――これはどれをとるか、今後の問題になりますが、前提のもとにやれば、大体いけるのではないかという向う側の見通しも聞きまして、それで仕事を進めて参りたいということであります。今後の準備の段階といたしましては、お話しのように、まず試作機を、このファイアー・コントロール・システムを積んで、今度作るべき新しい型の試作機を何機作って、どういうテストをやっていくかということをまず計画できめまして、これをテストして、こちらはテストの設備、人員もありませんので、向うも十分手伝ってやるという話になっておりますので、それをどういう段階でどうやっていくかということの検討が一つと、もう一つは、機体の方の生産の準備、治工具等の準備は、それがなくても十分始め得る、時期的にも、その両方のかみ合せばうまくいくという一応の見通しをつけておりまして、お説のように、この飛行機は86、33等にいたしましても、やっている間にこまかい変化というものはしょっちゅうあるわけでございます。これは両方で協議してきめておりますが、そういう問題、もちろんあろうと思いますが、本質的に大きく変って、それがむだになるとかいうことは、見通しとしてはないというふうな確信のもとに、これは先方の意見も十分聞きまして、計画を進めているわけであります。こまかい変化はあろうかと思いますが、それともう一つ、試作機は初めはどうしても金がかかります。試作も同機作りますか、それによって相当割高のものになりますが、これは全体の生産計画の中で、両方の試作も含めましてその費用を、アメリカ側と日本側でどう分担するかという交渉の問題に持っていくことになろうと思います。大体、計画はそう支障なくできるものという見通しのもとに作業を進めております。
  113. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) まだ試作の最初の段階にあるのに、すでに三百機を作る、これを注文するというようなことを決定されておるようでありますが、これは非常に危険だと思うのです。すでにこの機種を三百機作るということを内定されまして、それぞれの生産会社へ通達だとか命令だとかをされるということになったのか、その点をお伺いいたします。
  114. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 機数につきましては全然きまっておりません。この間の国防会議の決定も、とにかくその成案を得るような準備をしろというような意味で内定になったわけであります。準備をします過程において、その機数をいろいろやり方によって、金の関係もありますから、きめていくわけでありますが、その決定は、成案ができました、計画案ができましたときに国防会議できめていただく。作業する会社には、何機の場合、何機の場合、何機の場合というようにいろいろあれしてございます。
  115. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 装備局長にお伺いしたいのですが、一九六〇年からアメリカではどういう機種を採用することになっていますか、海軍、空軍です、インターセプター及びファイターですね。
  116. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 一九六〇年以降においてどういう飛行機を採用するかという話はまだ聞いておりません。ただ、アメリカといたしましては、ああいう国でございますので、いろいろな用途につきまして、それぞれの飛行機をそれぞれ開発をいたしております。たとえば、現在の防空戦闘機といたしましては、御承知通り、F102を使っておりますが、さらに最近はこれにF104を加えようとしておるように聞いております。爆撃機みつきましては、B52の次にB六十何といいましたか、こういうふうな飛行機を開発しておるようでございますが、着実に一九六〇年以降にどういう飛行機ということは、なかなか向うとしてもきめにくい事柄ではないかと思います。
  117. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) アメリカが六十年以降の飛行機をきめにくいということは、私は飛行機自体の発達の問題ではなくて、他の武器の発達との関連においてアメリカでもきめにくがっておる。そうしてアメリカにおきましても、飛行機の発注が減りました。そうして飛行機の生産はどんどん切り下げられてきております。そこでアメリカの諸会社は後進国に、日本もそのうちに入っておりますけれども、それにどんどん売ることに一生懸命になりまして、日本でもずいぶん競争が行われておって、それにつきましは、いろいろなうわさを聞いておるのであります。すでにアメリカにおいて飛行機はそういうふうに時代おくれのものとして見られつつあるようなことになっておる。イギリスにおきましても、国防白書をお読みでありましょう、そういう事態になっておる。日本ではまだ、私先ほど岸総理に伺ったのですが、飛行機についての将来の見通しというものはお持ちになっておらぬ。今のままでいいのかどうか、その点について装備局長から専門的なお答えをお伺いいたしたい。
  118. 藤田進

    委員長藤田進君) 加藤防衛局長から答弁したいということですが、よろしゅうございますか。
  119. 岡田宗司

    委員長委員(岡田宗司君) ええ。
  120. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 今お話しになりました点は、われわれといたしましても非常に関心を持っておる問題でございます。これは各国の資料、米国のももちろんでございますが、いろいろな資料を集めまして、始終検討いたしておるのでありますが、私どもの今の検討の結果といたしましては、ここしばらくの間は、やはりGMというものは開発をせられますけれども、GMと飛行機は並用されるだろう、もちろんこれは用途によって違うと思います。たとえば戦略用の場合は、私は飛行機よりは、GMの発達によりましてはGMの方のパーセンテージは多くなる。防空用の場合もそうでございましょう。戦術用になりますと、やはりこれは人の判断、非常に正確に、移動する小さな目標に対して行使いたしますので、GMというものよりか、やはり飛行機の有人機の方が用いられるパーセンテージが多いのじゃないかと思います。一般的に申し上げますと、飛行機の利点といたしましては、航続距離が非常に長いということ、機動性の点でございます。まあGMは、御承知のごとく、固定した陣地に配置いたしますので、たとえば一方面に集中して攻撃をかけてくるというような場合には、どうしても飛行機のように機動性のあるものをもって集中して防ぎませんと有効なる防御ができない。これは一つにはGMの機能上の問題もございまして、現在のわれわれの承知しておりまする範囲の、GMの射程も数十キロぐらいでありまして、一つ一つ誘導によりまして一発一発誘導していく、一分間に一つぐらいしか使用できない。そうすると大量に攻撃をかけてきた場合においては有効な防衛ができない。それからGMに対しましては、だんだんと各国とも電波による妨害工作を考えておるようでございます。こういう点を考え合せますと、やはりGMと飛行幾というものは当分の間は併用せられるだろう。少くともここ数年というものは飛行機が主体になりまして、飛行機に加うるにGMをもってその防衛の強靱性、柔靱性を加えていくということになろうかというような判断を持っておるわけであります。
  121. 岡田宗司

    委員外議員(岡田宗司君) 武器の発達というものはきわめて急速であります。おそらく今のお話は、現在の時点においてそう考えられておると思うのでありますけれども、しかし最近の諸国の情勢からいたしまして、もっと進んだGMができるというようなことになって参りますというと、あなた方が二年後に始められる、しかも非常な金をかけて始められる航空機の生産というものがむだになりはしないか。そうしてまた三百機作る、これはまあ一つの目標のように聞いておったわけでありますが、三百機作っても、もうできたときには、これは全く役に立たないものになるということを私はおそれるのであります。そのために多額の費用が使われるということ、これは国民として見のがすことができない重大な問題であろうと思うのであります。それからまた、アメリカからいろいろ売り込もうとしておる。その売り込みが、国内においていろいろな商社を通じて防衛庁に何されておるということも、それにいろいろな政治家が関与しておるということも聞いておるのであります。そういうようなことがこの飛行機の生産についてもしあったとするならば、そしてそのために、むだなものに非常な金をつぎ込むということになりますれば、これは悔いを千載に残すことだと、こう私どもは思う。そういうような点で、どうも私とあなたとは、この新しい兵器の発展の速度についての見方が違うようでありますが、まあそれは議論といたしまして、別にこれ以上お聞きしませんが、私は、どうも日本の飛行機生産は今後この方式ではだめであるというふうに考えるので、それを申し上げまして、質問を終ります。
  122. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは両案につきましては、一応この程度にとどめます。   ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  123. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。   ―――――――――――――
  124. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に昨日委員会の決定に基いて本委員会に付託されました請願百八十七件の取扱いについて、本日、委員長及び理事打合会において慎重検討を加えました結果、恩給に関する請願百八件、退職手当等に関する請願三件、旧令共済組合の年金に関する請願一件、寒冷地手当等を含めて給与改善等に関する請願九件、定員関係請願五十三件、公務員制度に関する請願一件、行政機構に照する請願三件、防衛施設に関する請願四件以上、百八十二件は、願意おおむね妥当なものと認め、これを議員の会議に付し内閣送付することを要するものと、また、行政機構関係のうち、恩給省設置等に関する請願一件及び新潟市に北陸地方建設局設置反対請願一件は、願意不適当なものと認め、議院の会議に付するを要しないものと、さらに金鵄勲章年金関係請願三件は、なお検討を要するものと認め、決定を保留することに、それぞれ意見が一致いたしました。  以上の通り決するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、その他自後の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと、速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  127. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。   ―――――――――――――
  128. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、一昨二十二日、衆議院から送付されました経済企画庁設置法の一部を改正する法律案外六件の設置法改正案につきまして、順次内容の説明を聴取いたします。  まず、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  129. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 今回、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を提案いたしましたのですが、その内容につきましては、先般予備審査の際に御説明申し上げましたが、大体を申し上げますと、  一つは、経済企画庁の任務及び権限といたしまして、経済全般の運営の基本方針及び毎年度の経済計画大綱の策定に関する事務を明示することが第一点。  第二点といたしまして、経済研究局を新設いたしまして、経済構造及び経済循環の基礎的な調査及び研究、国民所得及び国富の調査及び分析、その他経済に関する総合的かつ基本的な事項の調査及び研究に関する事務を所掌することといたしたことが第二点。  第三点といたしまして、特別の職といたしまして参与を置きまして、参与は非常勤といたしまして、内外経済動向の分析、経済全般の運営の基本方針の策定、その他重要な庁務に関して、長官に対して意見を申し述べることとしたこと。  第四点に、経済企画庁の任務、権限の明示に伴いまして調整局の所掌事務の整備、審議官の定数及び職務の改正、総合計画局及び総合開発局の名称変更等、所要の改正を行わんとしたものであります。  その後、衆議院内閣委員会で御審議がございまして、その結果、ただいま御説明いたしました政府原案に対しまして、第一点といたしまして、内部部局として経済研究局を新設することに対しまして、行政簡素化の見地より、内部部局として新設することをやめまして、付属機関として経済研究所を置くことといたされました。  第二点といたしまして、総合開発局及び総合計画局の名称変更をいたすことにつきまして、昨年設置法改正に伴いまして、従前計画局、開発的と称しておりましたのを、総合の二字を冠したのを、また今回の改正によりまして、総合の名を削ることは、いたずらに紛糾する印象を与えるから、この際、名称の変更を避けてはどうかという御意見がございまして、政府の方もこれに同意いたしまして、従いまして、名称変更を取りやめた次第でございます。  以上が主要な修正点でございまして、御質問によりまして、法文に即して御説明いたしたいと思いますが、大要はその程度でございます。   ―――――――――――――
  130. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  131. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、改正の要点を御説明申し上げます。  現在、法務大臣官房に調査課がございまするが、この機構を整備いたしまして、司法法制調査部にいたそうとするものであります。最近におきまする司法制度の調査、あるいは資料の収集等の事業は非常に増加して参っておりまするし、また、御承知のように、裁判所におきましては法律提案件がございませんので、これにかわりまして、法務省で立法いたしておるような次第でもあります。最近における状況から考えまして、この調査課を整備いたしまして調査部にしようとするのが第一点でございます。  第二点は、法務大臣が必要と認めた場合には法務研修所の支所を置くことができるようにいたしたいと思うのであります。幸いに広島と名古屋に旧軍事施設の適当なものがございまするので、この二カ所に設置いたしたいと、すでに予算もお認め願っておるような次第でございます。  第三点は、売春防止法の改正に伴いまして、婦人補導院を東京、大阪、福岡に設置しようとするものでございます。  それから第四点は、現在、東京の拘置所は小菅にございますが、これを東京都の豊島区に改めまして、巣鴨に移転をしようとするものでございます。  以上が法務省設置法改正の要点でございますが、このほかに、入国管理事務所の出張所の名称及び位置を法務省令で定めようとする案を提案いたしましたが、衆議院の御審議の際に、国会の承認を得て訂正すべきが妥当であるというような御意見によりまして、削除に相なっております。  以上の改正点を整理をいたしまして提案をいたしておるような次第であります。   ―――――――――――――
  132. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、提案理由の説明を求めます。
  133. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま議題となりました国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  政府は、今国会において、さきに国家公務員共済組合法案を提案し、共済組合の長期給付制度に大幅な改正を加えるとともに、いわゆる五現業の恩給公務員をも新たに改正後の長期給付制度の適用対象に加えることといたしたのでありますが、同法案では、これらに伴う経過措置について必要な事項は、別途法律で定めることといたしておりますので、ここに国家公務員共済組合法の施行に伴う長期給付に関し必要な経過措置を定め、あわせて関係法律の整理を行うため、この法律案を提出した次第であります。  次にこの法律案の概要を申し上げます。  (一) まず、改正前の長期給付の規定の適用を受けていた旧組合員期間及び恩給公務員であった期間は、原則として、改正後の長期給付の規定の適用を受ける新組合員期間に通算し、(二) 田組合員期間及び恩給公務員期間について改正前の長期給付の規定及び恩給に関する法令の規定を基礎として計算した金額と、新組合員期間について改正後の長期給付の規定を基礎として計算した金額との合計額をもって改正後の長期給付の支給額とし、(三) 恩給公務員であった者については、年金の最短所要年限が延長され、また旧組合員であった者及び恩給公務員であった者についてともに退職年金の若年停止年令が引き上げられることに伴う所要の経過措置を講ずるほか、(四) その他、制度全般にわたり所要の経過措置を講じ、(五) これら経過措置に伴う追加費用は、それぞれその所属に従い、国、地方団体等の負担とするほか、(六) いわゆる五現業の恩給公務員にも新たに共済組合の長期給付が適用されることによって、その他の一般恩給公務員との間の人事交流に支障を来たすことがないよう所要の調整規定を設けるとともに(七) 関係法律につき所要の改正を加えることといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由とその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  134. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、本案の内容について補足説明を求めます。
  135. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) ただいま提案になりました国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案内容を補足説明させていただきます。  この提案の趣旨につきましては、ただいま御説明申し上げました提案理由の説明の冒頭で申し述べている通りでございまして、内容につきましては、非常に制度全般にわたって技術的な問題が多いのでございまして、こまかく申し上げるとおわかりにくいと存じますので、ただいま提案理由の説明で申し上げましたおもな点につきましての四、五点につきまして、例示的に御説明申し上げたいと思います。
  136. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  137. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。
  138. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 資料の提出が間に合いませんで、まことに恐縮でございます。以後注意いたすことにいたします。  この補足説明を、これまた逐条ごとにいたしますと、非常に分厚な法案でございますので、時間もとりますし、また、非常に技術的過ぎる問題も多いわけでございます。今、提案理由の説明で申し上げましたおもな点について例示的に申し上げたいと思います。  まず、第一点といたしまして、この共済組合法の改正後の長期給付の組合員期間には、この制度改正前における恩給公務員期間とか、あるいは共済組合員期間を通算するということが第一点になっております。従いまして、過去恩給法上十五年勤めた、新しい制度になって五年勤めた、合計二十年になるということになりますと、新法の年金は二十年でつくことになるわけでありますが、この場合については、年金の受給資格がつくということが、この第一で申し上げた点でございます。法文で申し上げますと、第七条がこれに該当いたします。  それから第二点は、新年金制度のもとでの、たとえば退職年金の支給額をどうして計算するかという点が第二点に書いてあるわけでありますが、これはやはり、昔の通算されました旧組合員期間あるいは恩給公務員期間に対する分と、新制度施行後の新組合員期間に対する分と、二つに分けて計算した分の合算をいたそうという点でございます。法文で申し上げますと、第十一条がこれに当るわけでございます。例示的に申し上げますと、たとえば恩給公務員期間が十五年あった、新しい制度になって五年の組合員期間があった合せて二十年の人の年金制度はどういうふうに計算するかと申しますと、これは過去の恩給公務員期間十五年につきましては、過去の恩給法上の支給率で計算する――過去の恩給法の支給率といいますと、これは十七年で百五十分の五十がつくわけでありますから、百五十分の五十の十七分の一、つまり五十一分の一になります。過去の恩給公務員期間十五年分についてはその五十一分の一がつく、それから、新制度の期間の五年につきましては、新制度の退職年金の率は二十年の四〇%になりますから、二十分の四十、これを五年で計算する、それを合せましたものを新制度の年金の額とするという点がこの第二点であります。十一条に詳細にこれは率を出しております。  それから、第三点は、新しい制度の退職年金の資格年限は二十年に相なります。ところが、過去の恩給公務員の普通恩給の方は十七年ででついていた。そうしますと、この制度がそのまま施行されますと、過去の恩給公務員期間の長い人は、やはり二十年待たなければ年金がつかないということになるおそれがあります。この点は、過去の恩給法上の期待権を尊更して、若干の経過措置を講じております。条文にいたしますと、第八条がそれでございますが、この新制度施行前に恩給法上の公務員としてすでに十一年以上在職しておる人は、新旧の組合員期間を合せたものが十七年で年金がつく、五年以上十一年末満すでに恩給法上の公務員であった者は十八年で年金がつく、施行前の在職期間が五年未満の短期在職者は十九年で年金がつくというふうにして、経過的にこの二十年に持っていこうということに考えておるわけであります。  もう一つの、(三)で申し上げました点は、若年停止年齢が、現在の共済組合あるいは恩給と変って参ります。新制度の退職年金は、五十五歳でなければ支給いたさないことになっております。ところが、過表の恩給は四十五歳から半額停止、五十歳から三分の一停止、五十五歳から全額支給になっております。また現在までの共済組合も、これは五十歳まで全額停止で、五十歳から全額支給、いずれにしましても五十五歳まで今度引き上げになるわけでございます。その点につきましても、一挙に五十五歳まで年金を支給しないという措置をとりますことは、将来の人事問題についても障害を生じますので、この点は若干やはり経過的措置を講じまして、一挙に五十五歳まで年金支給停止はいたさないということにいたしております。条文にいたしますと十五条でございます。十五条の趣旨は、大体過去の恩給法上の期間、あるいは共済組合法上の期間がすでにその年金の受給資格年限の三分の一、また恩給法の場合五年でありますが、大体三分の一程度をすでに過去に在職している職員につきましては、若年停止年令につきましてはなお従前通り恩給法上の割合、あるいは旧共済の制度五十歳、それによって処理いたしていこうということにいたしております。  以上申し上げました、一、二、三、これが今回の改正点の最もポイントになるところでございます。その他制度全般にわたりまして、あるいは退職一時金、あるいは遺族年金、遺族一時金、すべてについて以上申し上げました退職年金に準ずるような経過措置を講じまして、過去の既得権あるいは期待権は十分尊重いたすことにいたしておるわけであります。  なお、この経過措置を講じますと、ある程度国の持ち出しになるわけでございます。たとえば、主として恩給公務員でございますが、恩給公務員については過去の積立金がないわけでございます。恩給納付金がすべて国家の一般歳入になっておりまして、それに対する積立金がない。ところが新共済制度は、これは保険制度でございまして、積立金の中から年金を支払うというこことになっておりますので、恩給公務員をこの新制度に取り入れる、しかも過去の期間を通算するということになりますと、新制度の共済組合の積立金に穴ができるわけでございます。この穴は使用者たる国が負担する。地方公務員の共済であれば、地方公共団体が負担するということにいたしております。国が年金制度を変えたわけてございますから、それに伴う追加費用は使用者としての国の責任ということにいたしていくわけでございます。  なお、今回の制度で五現業の恩給公務員は、今度共済の長期給付に切りかえられることになりますが、しかし恩給法は依然として残っていくわけでございます。従いまして、将来恩給法上の公務員と共済法上の公務員という両者の人事交流の問題が出て参ります。その場合、年金の面でどちらかを選んだために、不利が生ずるということのないように、つまり人事異動が円滑にいきますように若干の経過規定を設けております。その経過規定は、第八章、第四十二条でございます。つまり恩給公務員がこの長期給付の制度の適用を受けるということになった場合に、その人の希望があれば、恩給法の適用を引き継いで受けることができるということにいたしました。従いまして、たまたま一般会計から特別会計に異動いたした、それでまた一般会計に返ってくるという人を対象にして考えますと、必ずしも長期給付を選択しないで、特別会計に参りましても、恩給法を選択する道が残されるということにいたしておるわけであります。  以上が、非常に簡単で恐縮でございますが、この法案の最も重要な骨子でございます。あと質疑お答えいたしましてまた申し上げたいと思います。   ―――――――――――――
  139. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  140. 田付景一

    政府委員(田付景一君) 外務省設置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  この設置法の一部を改正する法律案の第一点は、アジア局に次長を設けるということでございまして、御承知のように、アジア外交は最近非常にわれわれとして重視しておるところでございまして、アジア諸国との地理的あるいは人種的関係から申しましても、これらの国々とわれわれとの外交関係は非常に重大視されておるわけであります。そこで局長を補佐いたしまして、局務を整理する次長をぜひ置きたいということが第一点でございます。  第二点は、最近、海外経済協力問題が非常に盛んに論じられておりまして、単にアジアばかりでなく、中近東、南米等においても盛んに重視されて参った次第でございます。ところが、外務省におきましては、従来事柄の性質上、各地域局がこれを担当しておりましたのでございますが、このたび窓口を一本にいたしまして、経済局においてすべての海外経済協力に関する事務を所掌していきたい、こういうふうに考える次第でございます。  第三点は、「国際協力局」を「国際連合局」に名前を改めたい、と申しますのは、国際協力局ができましたのは、日本が国際連合に加盟する以前でございましたために、国際連合という名前を特につけることを避けたのでございますが、日本も国際連合に入りまして、国際協力局の所掌事務はほとんど国際連合に関する事項でございますので、これを名前と実質とを合せるように国際連合局にいたしたい、こういうふうに考えております。  最後に、外務省の大阪連絡事務所というものをそこに設けたいということでございます。これは御承知通り、関西方面は経済関係におきまして外国と非常に関係があるわけでございますが、従来外務省はこの方面に全く等閑に付しておったのでございますけれども、外国事情の紹介だとかあるいは旅券の発給をするとか、あるいは関西方面にあります外国公館との連絡をするために設けたいと考えておりましたところが、たまたま、大阪府知事を初め関西財界の方面からも経済外交の推進等のためにぜひ連絡事務所を設けてほしいという要望がございましたので、このたび法律で連絡事務所を正式に設置したい、こう考えた次第でございます。  これが政府の原案でございますが、これに対しまして、衆議院内閣委員会におきましては、アジア局に次長を置くということは必要性は認めるけれども、この際、あまり行政的に複雑な機構を設けることは賛成でないということで、この次長の要求は認められないということでございます。  以上でございます。   ―――――――――――――
  141. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  142. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 厚生省の設置法の改正について概略申し上げます。  改正の要点は二つございまして、一つは現在、厚生省の行政のうちで環境衛生関係の行政、これは上下水道とか、あるいは環境衛生関係のいろいろな業態の指導、取締り等の仕事でございます。最近非常に仕事の分量がふえて参りまして、これを所管しておりまする局が公衆衛生局の中に、局内の部として環境衛生部という部を置いて、そこに所管させておるのでございますが、予算もふえ、仕事の分量もふえて参りましたので、その責任体制を明らかにすると同時に、御承知通り、ただいま各省とも仕事は局というもので締めくくりをつけてやっておりますので、対外的ないろんな問題につきましても、部長という立場で折衝するよりも局長という立場で折衝をしないといかないというようなことから、この環境衛生部を独立にいたしまして、環境衛生局とする、従いまして、公衆衛生局の中の部が独立して局になる、残った公衆衛生局を、今度は予防行政一手にしぼりまして、予防局と名前をかえる、こういう考え方が一つでございます。この点につきましては、衆議院の方で修正を受けまして、環境衛生行政を伸ばすという必要性は十分認める。また昨年、環境衛生適正化法という法律を作りました関係で、また責任も非常に重くなったことは認めるけれども、今回の方針といたしまして、局というものを作ることは認めがたいということで、これは修正を受けて削除になりました。  それから第二点は、引揚関係の地方の支分部局でございまして、その一つは、舞鶴の地方引揚援護局を本年の十一月十六日から廃止するということであります。海外からの引き揚げの仕事も漸次終結に近づきまして、大量引き揚げの最後の地域と目されまする樺太からの引き揚げも、三十二年度におきましてすでに四回も引き揚げ、大体、大量の引き揚げは終了したというふうに私どもは感じております。それで、本年も、念のためにもう一夏それだけのものを開設しておきまして、本年度の引き揚げも大体終るという時期、すなわち十一月の半ばには、この舞鶴の地方引揚援護局を廃止するようにいたしたいということが一つ。  それからもう一つは、復員関係の、特に未帰還調査の仕事をやっておりまする地方の復員連絡局及び支部というものが、現在、大体、連絡局が四、支部が四というふうに、各地の枢要な所におきまして未帰還調査の仕事を中心にやっておるのでありますが、この方も漸次終息に近ついて参りました。かつまた、別に御審議をいただきました定員法の関係で、計画的にこの職員の数を減らすようなことを考えておりまするので、それとの見合いにおきまして、一番能率の上る方法で今後の残された仕事を運営いたしますために、大体役目を果しましたこの復員連絡局及び支部というものの機構を廃止いたしまして、あとは中央でもってその分を能率的に執行していきたい、かようなことでこれはそのまま通ってきたわけでございます。この復員連絡局及び支部の廃止は、本年の五月十六日から廃止する、こういうことであります。   ―――――――――――――
  143. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  144. 上原一郎

    政府委員上原一郎君) 郵政省設置法の一部を改正する法律案内容を御説明申し上げます。  改正の要点が四点ございまして、その第一点は、省名を逓信省に改めることであります。郵政省という省名は、昭和二十四年旧逓信省が、郵政省と電気通信省とに分割された際に名づけられましたものでございまして、今日のように電気通信ないし電波に関する行政事務を行うようになった省の名称としては狭きに失し、最近におけるこれらの事務の質的及び量的の発展に対応するよう逓信省と名称を改めようとするものであります。  改正の第二点は、現在特別の職としての電気通信監理官二名を廃しまして、内部部局として電務局を設け、次長一名を置くということでございます。御承知のように最近の電気通信行政は、有線放送電話や、目ざましく進展してきております私設の有線電気通信設備等に対する監督指導及び助長を適切に行い、また、戦後占領下にありて国際的に不利益を受けていた電気通信界の発達に十分な施策を行なって、わが国の経済その他に遺憾なからしめるように電気通信行政の充実をはかるというのが設置の理由でございます。  改正の第三点は、電波監理局の局名を電波局に改めまして、次長を廃しまして、同局に企画部、放送部及び無線部の三部を置くことであります。御承知のようにテレビジョン等の発達によりまして、昭和二十七年電波監理局が郵政省の内局として発足して以来、無線同数が四倍強の約三万局となっており、しかも多方面の業務に用いられるようになったこと、これらに関連して周波数の割当、その他電波行政の基本的な問題について、企画の重要性が特に高まってきたこと等の事情から、行政能率の向上と責任体制の明確化をはかるために、先に申しました三部を設けようとするものであります。  改正の第四点は、大臣官房に新たに官房長を置くことであります。郵政省の官房は、非常に大きな人員を擁しておりまして、部はございますが、最近における行政事務の質的、量的発展のために、総合調整その他の官房の事務を一そう適確に行う必要が増して参りましたので、官房長を置こうとするものであります。  これが政府原案でございましたが、衆議院におきまして、行政機構簡素化の見地から、官房長の設置は取りやめる。で、第二点、電気通信行政の責任部局である電務局設置の要否は、さらに研究を要する点があるの出、将来の問題としてこの際設置を見合せることに修正を受けました。  簡単でございますが、以上が内容でございます。   ―――――――――――――
  145. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  146. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 農林省設置法の一部を改正する法律案の概要を御説明申し上げます。  改正の要点は四点ございます。  第一点は、食糧庁に経理部を設置するという問題でございますが、御承知のように今回食糧管理特別会計法の改正が行われ、また、それに伴う予算の措置も講ぜられまして、従来、食糧管理がいわゆるどんぶり勘定といわれておりましたが、これを六勘定に区分するというふうな措置をとることにいたしたのでございます。  そこで、これらの経理事務を軌道に乗せて処理していくというためには、相当の企画力と行政力が必要であるわけでありますが、この点につきまして、現在これらの所掌事務は、食糧庁の総務部というところで所掌しておったのでございますけれども、食糧庁の総務部は三百七名をかかえておりまして、従来とも総務部の仕事が非常に過重であったのでございます。従いまして、今回、合計の経理の適正化、損失の明確化、こういう措置がとられたことに伴いまして、その責任体制を明確にしたい、かように考えまして、食糧庁の総務部を二つに分けまして、新たに経理部を設けるということにいたしたのでございます。これが改正の第一点でございます。  第二点は、輸出品検査所という付属機関が農林省にございます。この付属機関の業務といたしまして、検査業務を従来行なっておったのでございますけれども、新たに民間の検査機関に対する検査の指導監督も行うことができるということに規定を改めたのでございます。その趣旨といたしますところは、本年二月一日から、従来の輸出品取締法にかわりまして輸出検査法が施行されることになったのでございますが、この検査法に基きまして、従来の検査の建前が自主的検査から強制検査に移るということになりまして、また、それに伴いまして、強制検査の監督を強化するということを骨子といたしておるのでございます。従って政府の検査機関で行いますほかに、民間の検査機関において行う場合におきましても、強制検査を建前といたしますので、この検査の適正を確保するという意味におきまして、従来ともこれらについての知識、経験を有しますところの検査機関をして指導監督させることが適当であろうということにいたしまして、本年度もこれに必要な定員予算の計上をいたしておるのでございますが、それに伴いまして、今申しました指導監督の業務を新しく検査機関につけるというふうに明確化いたしたのでございます。これが第二点でございます。  第三点は、種畜牧場に対しての業務につきまして、試験研究を行う機能を与えることにいたしたのでございます。種畜牧場は、従来、本来の業務といたしまして、家畜、家禽、ミツバチの飼養管理あるいは改良増殖を行い、あるいは草地の改良を行うといったようなことを業務といたしておるのでございますが、これらの機関におきましては家畜を相当備え、また、それに必要な施設も持っておりますので、試験研究面におきましても、これらの施設を活用した実用化試験というものは、むしろこれらの施設を使ってやった方が有利であり、また実際的でもある、こういう見地に立ちまして、新らしく、試験研究機関としてはもちろんほかにあるわけでございますけれども、この施設の活用という面をかねまして、家畜の飼養管理、改良増殖に関連した実際的な試験研究をも行うということに明確化いたしたのでございます。  改正の第四点は、これまた従来から行なっておる点でございますが、農林省の所掌事務に農村建設青年隊事業に関することということを明確に規定いたしたのでございます。この事業は、すでに昭和二十七年から予算措置を講じて事実上行なっておるものでございまして、その趣旨は、農村の二、三男対策の一環といたしまして、農村の青少年を集団的に土地改良事業等に活用するとか、あるいは共同生活を通じて農業の学習を行うとか、つまり作業と学習と生活を三位一体といたしまして、よき有為な自作農の素地を作っていきたい、こういう事業でございます。この事業を従来とも予算的には行なっておったものでございますけれども、二、三男対策の重要性にかんがみまして、設置を、所掌事務として明確化いたしたい、こういう措置をとった次第でございます。  以上、四点が農林省設置法の改正の概要でございます。   ―――――――――――――
  147. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  148. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) 運輸省の設置法の一部を改正する法律案の要点につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  今回の改正の要点のまず第一点といたしましては、本省の内部部局でありまする海運局に次長一人を置きまして、海運局に現在あります海運調整部を廃止するということでございます。現在、海運調整部は海運局内の一部といたしまして、海運局、船舶局、船員局、港湾局という海運局に関連する事務の総合調整に当っておるのでございまするが、これが昭和二十四年運輸省設置法施行当時の一つの異例ともいわれるような措置でありますので、最近の行政の実情にかんがみまして、海運行政の複雑多岐にわたりまする仕事に即応いたしまして、海運調整部をこの際廃止いたしまして、次長に切りかえて、海運局の所掌事務全般につきまして局長を補佐して局務の整理をさせる、こういうことで能率化をはかって参るということでございまして、海運調整部長が次長に切りかえられるような形になりますので、機構の膨張を来たすような結果にはならないのでございます。  次に、改正の第二点につきましては、航空局の監理部と技術部の仕事を整理いたしまして、再配分を行うということでございます。航空法に基きまする事務のうちで、航空従事者に対する証明あるいは乗組員の免許、航空従事者の教育養成と、こういったような事務は非常に技術的な性格を持っておりまするので、現在、監理部が所掌しておりまするのを技術部に移しまして、技術部が現在所掌いたしておりまするような機構上の設置計画あるいは管理、維持と、こういったようなものを監理部へ移すということであります。  改正の第三点は、原子力の平和利用の関係で、原子力商船の研究調査のために運輸技術研究所の支所を東海村の原子力研究所の中に置くということであります。原子力商船に関する試験研究はどうしても原子力研究所と一体になりまして、緊密な連繋のもとにこれを進めて参らなければ効果か上らないものでございまするので、現在、運輸省の付属機関でありまする運輸技術研究所の支所を東海村に設置いたしたい、こういうことが第三点であります。  以上が改正の概要であります。
  149. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  150. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。   ―――――――――――――
  151. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次、御発言を願います。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 審議に入るに当って、先ほど委員長にお願いしました全般的な問題については、ぜひとも衆議院内閣委員会の責任者並びに官房長官にただしたいと思っております。実は、それをただして審議するのが本義であり、審議しやすいわけですが、関係者がおいでになっていないからやむを得ず審議をいたしたいと思いますが、採決だけはその質疑が終った後にしていただきたいということを私はお願いいたしておきます。  法務省のこの資料並びに提案説明は、適切を得ておりまして、内容が明確でございますので、簡単にほんの一、二点伺っておきたいと思います。  政務次官に伺いますが、これは伺いかけると限りがないのでございますけれども、司法法制調査部ですね、これは、新たに設けられる前は、新たに設けられる調査部がなすであろう仕事は、どういうふうにしてやっておったんですか、お伺いしたいと思います。
  153. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、大臣官房に調査課を置きまして、それに課長を補佐いたしまする参事官を五名置きまして運営をいたしておりました。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 むしろこの改正はおそきに失したぐらいで、さぞかし今まで苦労、不自由したことだろうと思うんです。今度これ見て初めて、今までこういうのがなかったのかと、私は司法行政はしろうとでありながら驚いたほどです。  それから次にお伺いいたしたい点は、お伺いしょうと思っていましたことは、さっき提案理由のとき御説明になりましたが、法務研修所の支所を、これを名古屋と広島に置いたというのは、どうも私、ふに落ちなかったわけなんです。と申しますことは、日本の人口の分布状況、それから地理的な立場から考えましても、婦人補導院を全国に三つ設けるに当って、福岡と大阪と東京と位置づけているのでありまして、この法務研修所の支所を設けるということも、これはきわめて適切だと思う。位置としましては、私は大阪と福岡ぐらいが非常に便宜ではないかと思ったわけなんですが、先ほど何か軍の施設云々、ということですけれども、それは暫定的であってね、半永久的に置くに当ってはそういうものにとらわれずに、将来百年の計のもとに、ある私は適当な所に置くべきではないかと。今、軍の残った施設があるからというようなことで、これは暫定的にはよろしいですが、将来それは是正さるべきものと思うんですが、どうお考えですか。
  155. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 先ほども申し上げましたように、幸い使用に耐える施設がございますので、二カ所にさしあたって設置をいたしたのでございまして、極力、経費も節約いたしたいという考え方から、庁費三十四万余だけを予算で計上しておるのでありまして、適当な施設がございますれば、お話しのように全国的に整備した研修所支所を設けたいという考えは持っておるのでございます。
  156. 藤田進

    委員長藤田進君) この際、質問者に申し上げますが、御要求の官房長官、それから衆議院議員保科善四郎君が見えられております。それで、衆議院内閣委員長の出席は、議事進行の時間的関係から見て、なかなか見通しが困難じゃないかと思われますから、できればこの際、劈頭御要求になった質疑にお入りいただきたいと思います。
  157. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうお願いします。簡単にやりますから……。  まず、衆議院内閣委員会の代表者、保科先生にお伺いいたします。議案の付託について、行政府に対しまして第一院の内閣委員会から、特に先議にしてほしいとか後議にしてほしいとか、そういう御要望されたことがございますか、ございませんでしょうか、お伺いいたします。
  158. 藤田進

    委員長藤田進君) 保科衆議院議員
  159. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 今の、もう一回。どうもよくわかりませんが。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内閣委員会というところは、御承知通り関係事項が多いので、法案が非常にたくさんくるわけなんですが、第一院の内閣委員会の審議の都合上、かくかくの法律案は先議で一つ内閣は提出してほしいというような、衆議院内閣委員会で、かくかくの法案はわが衆議院に先議で提出してほしいとか、そういうような御要望を行政府に衆議院内閣委員会としてなされたことがございましょうかどうでしょうかということを伺っているんです。
  161. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) ありません。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 官房長官にお伺いいたしますが、私の調査では、わが参議院に付託されました法律案件は三十三件、これは内閣提出でございまして、これ以外に議員提出が二件ございます。この三十三件のうちに、わが参議院に先議として出されたのは二件ですね。で、国会正常化という立場から、与野党の首脳の話し合いで、議案を付託する場合には適当にあんばいしてということが申し合せとしてあったわけですが、第一院としては、御承知のように予算審議に当って優先権を持っておりますから、予算に関連ある法律は先にかけてほしいという御要望が、あるいは第一院であるかもしれません。しかし、予算に関連のない法律というものは私はほとんどないと思うんですね。そこで、まあ私は結果から論じたいと思うんですが、内閣を代表しての官房長官ですね。こういう付託の仕方をどういうふうにお考えになられるか。私は若干資料をもってあなたのお答えをいただきたいと思うんですが、岸総理が、わが社会党の鈴木委員長と解散の時期について話し合われた、その四月十八日の前夜――十七日現在で、本院に付託されていた法案数は、本付託十八件、予備付託十三件、こういうことになっているんですね。そうしてこの国会の末期になりまして、衆議院から送付された件数は、四月十七日に六件、十八日に四件、二十二日に八件となっております。私は、第一院の衆議院としては、いろいろ審議の事情もございましたでしょうから、先議の院の……、後議の院の審議がおくれたということは申しません。第一院として審議の事情があったと思うんです。しかし、現実にこういうことになったわけです。それで私は立法府に議席を置く一人として、法案はその賛否ももちろんでありますが、立法府としては審議の経過というものが非常に重大であるという、私は常にそういう見解に立っているんです。そこでもこうなって参りますと人力で及ばないところは、私は自分のことを申してまことにおこがましく失礼でございますけれども、最近一時前に寝たことはございません。それだけしても尽し得ない。それでわが参議院も審議の都合があったわけですが、通商産業省の設置法は相当慎重審議いたしました。そうして本日、今かかったのは、防衛庁設置法を除きましても六件という設置法、設置法だけでも六件が今補足説明を聞いたばかりなんです。こういう事情は、根本は私は付託の仕方にあるんだと思う。私どもいかなる場合といえども、尽すべきものを尽さないでこの法律案をずさんな審議で上げるということは、これは国会の権威にも関するし、国民から政治に対するところの不信の念を増大させることになると思うんですね。従って私は、これを審議するに当ってできるだけ、あなたが提出されたんですから協力します。また委員長にも協力します。しかし、その協力というものも私は限度があると思う。だから、審議すべきだけは審議して処理しなくちゃならぬと思うんですが、これは大所高所から見た場合に、全く、私は若干今数字を申し上げましたが、いかにもひど過ぎますよ。もし、われわれがきょう六つの設置法を、審議の仕方いかんによりますがね、これは変な審議の仕方をしたならば、前に審議した通商産業省の政府委員は、何だ国会はと、ずいぶん審議の仕方が違うじゃないかというような、あるいは行政府が立法府を批判しないとも限らない。それぞれ第一院、第二院においても事情があって、審議がおくれたり進んだりするわけですけれども、大かた幅というものがあると思う。これは事前に与野党の間で、国会の正常運営と審議の充実という立場から付託の仕方を話し合った。それを守られなかった。だから私は、第一院の衆議院内閣にそういう強い要望をして、そうしてその第一院に先議にしてこういう結果になったんじゃないかと思いましたので、今衆議院の方にお伺いしたら、そういうことはないというんですが、一つお答えいただきたいと思うんです。
  163. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) ただいまのお説はまこにごもっともでございまして、実は政府側といたしましても非常に苦慮しておるところでございます。ことに明日解散というようなことを目前に控えまして、当委員会にたくさんの法律案が殺到して、委員の方々に非常な御迷惑をかけておりますことは、現実の事態でございまして、まことにこれは、政府側として恐縮に存じておるわけでございます。そこで、さかのぼりまして、法律案の提案について、衆参両院に対してどういうふうにお願いをしておるかということの基本的な問題についても、ただいまちょっとお触れになりましたので、私の方からも御説明申し上げたいと思うのであります。  これは実は今、通常国会が始まります前におきましても、衆参両院、及び参議院の与野党の方々から、いろいろと御意見がございまして、私どもとしては、たとえば議運の非公式の話し合いその他におきましても、いろいろと御相談申し上げて、なるべく審議を円滑にできるように、また両院の立場を尊重して、これは具体的に申しますれば、参議院への先議の案件というものをできるだけ多くしたいというふうに考えまして、努力いたしたわけでございます。ところで、ただいまもお話がございましたが、実は、予算関係法律案というものの定義を、どういうふうに定義したらいいかということについては、いろいろ説があると思いますけれども、大体これはできるだけ広く解釈するというのが従来の慣行になっておるようでございます。で、予算を伴う法律案及び条約案は、まずこれはやはり衆議院が先議であるということが慣行にもなっておりますので、自然、各省設置法等、内閣委員会にお願いをいたしております案件が、ほとんど全部、これが予算関係法律案というカテゴリーに入るわけでございます。そういう関係から、努力はいたしましたつもりでございますが、どうしても内閣委員会に御審議を願う案件が、原則的に衆議院の先議ということになりまして、そういう関係から、ただいまの事態のように、非常に御迷惑をかけておることに相なっておるわけであります。これらの点につきましては、私は、将来の問題としては、両院のいろいろな考え方、あるいは御協力によりまして、政府の立場におきましても、できるだけこういったようなことを避け得るように工夫をする余地はあると思います。また、さようなふうに、一つ両院のお立場の方でも、さらに一そうの御鞭撻をお願いいたしたいと考えるわけでございます。  それから、なお、これは政府側から申し上げるべきことではございませんが、たまたまそういうふうな御意見になって参りますると、国会の各委員会における法案の付託の状況等も、非常に多くたまりまするところと、必ずしもそうでないところもあるようでございますので、これは、今申しますように、政府の方から申し上げることではございませんけれども、国会の正常な運営あるいは能率的な運営という点から考えますると、いろいろとまたお考えいただいてもよろしいような問題もあり得るかと思うのでありますが、この点は蛇足でございますが、要するに政府といたしましては、この現状に対しましては、非常に残念に思っておるわけであります。何とか一つ改善をいたしたい。それから同時に、こういう事態になって御迷惑をかけておりますことに対しては、衷心から私どもとしては申しわけなく存じておりますので、御了承願いたいと思います。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官が遺憾の意を表明されておりますから、私は深追いいたしません。実は私は、総理大臣の出席を求めたいくらいな気持であったわけで、あなたは、内閣で各省庁の調整をはかられる立場にあるわけです。また内閣のスポークスマンでもあるわけですね。従って、これらの点については相当私は責任があると思う。しかし、あなた以上に責任は、岸総理の私は解散時期の設定に問題があったと思うのです。ごく最近まで解散はしないとぼかして、そうして審議を促進するようにしていただきたいと、それのみ言っている。そうして自民党の諸君すら、第一院においても非常に出一席率が悪かった。私は二十五年以来国会に席を置いておりますが、この国会ほど審議が質的に充実してなかった国会はないと思う。これはやはり世論として一月解散ということが予期されておったのですが、それに目をつぶって、そうして優柔不断に解散時期の設定を誤まった私は岸さんの責任だと思う。しかも、岸さんを初めあなた方は、いつも解散権は総理にある、まさに伝家の宝刀のようにこれを抱えておられて、そうして一方の審議状況をこういう状況に追い込んだ、取りようによっては、あなた方は、審議しないで法律案を通しなさい、われわれは解散権を持っていて、いつでも解散をやりますよ、それから、あなた方が応じなかったならば、われわれは院内勢力を、多数を擁しているのだから、採決でいきますよ。で、あたかも野党である少数派に対しては、審議しないで法律を通せ、通してもらいたい、実質的にはそういうふうになると思うのですね。まことに遺憾な状況だと思うのです。で、あなたにこれ以上申し上げることは忍びないから、これでとどめますが、今後、法案が成立するか、あるいは継続審議になるか、廃案になるか、それはともかくとして、少数野党にも、ある程度の審議期間は与えられるように、配慮していただきたい。もちろん与野党のやりとりですから、時によっていろいろな事態もありますけれども、おのずとやはり幅というものはあると思いますので、御意見を承わって要望したのでございます。それでけっこうであります。  そこで、衆議院内閣委員会の代表者としてお答えをいただきたいと思うのです。一つだけ伺っておきたいのですがね。第一院のあなた方が、これらの各省設置法を、十分検討されて修正されたと、この研究と努力に対しましては敬意を表します。で、私、限られた時間内に、あなたの方で修正されたのを検討してみますと、必ずしも意見の一致しないところがございます。しかし私は、第一院のあなた方のやられたことですから、十分尊重して審議に臨みたいと思っておりますが、伺っておきたいことは、内容を見ますと、この局を分離するのを要求してきた場合、次長というところで妥協する、それからある場合には次長を落すと、これは一つの例ですがね、そういうふうに全般的に見ますと、やや統一性のない感を受けるわけです。これは主観の差もあるかと思いますが、これは原案のままでよかったのじゃないかというようなのを、次長というようなところで妥協をしたり、一貫性のない感があるのですね。これもあなた方としては、審議期間が短かかったからこういうことになられたのじゃないかと思いますが、そういう点はどういうようにお考えになっているか。また、第一院としては、相当の修正をされましたので、この院の構成が変りますけれども、第一院としては、近い将来に、行政機構を抜本的に一つ検討してみようというような御意向を前提としてやられたのか。それだけ一つ、大まかなことを承わっておきたいと思います。
  165. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 何か首尾一貫してないような御質問でありますが、実は、この行政機構設置法全体にわたって与党と野党と一致した点は、行政機構簡素化の見地から、これをできるだけ全般にわたって検討するという大きい観点から一つやる。それからもう一つは、やはり今御質問にあったように、全体として行政機構を再検討すべき時期に達しておるものもあると思います。そういうようなことで、とにかく、もう少し全般的の能率の点から、行政機構全般に関する検討をする必要がある。そこで、今回の修正は最小限度にとどめるべきである。こういう二つの観点からこの問題と取り組んで、相当期間これは第一院において検討をして、そしてこういうような結果になったわけでありまして、決していたずらに妥協をしたなんという点は絶対にございません。
  166. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  167. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。   ―――――――――――――
  168. 藤田進

    委員長藤田進君) 議事の途中でありますが、先刻説明を聴取いたしました七件の設置法改正案のうち、農林省設置法及び運輸省設置法の両改正案を除いて、五件の各省設置法改正案につきましては、いずれも衆議院の修正が加えられておりますので、その修正点について、この際、内閣委員会の代表者がら御説明を伺いたいと思います。
  169. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) ただいま議題となっております各修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元にございます通りでございますので、その朗読は省略いたしまして、その趣旨だけを御説明いたしたいと存じます。  まず、厚生省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、政府案の提案理由にありますごとく、国民の生活環境に関する諸問題が高度に複雑化しております今日におきましては、公衆衛生行政、特に環境衛生行政の一そうの向上増進をはかりますとともに、その機構の強化をはかることは必要なこととは考えられますが、この際はこれを取りやめることといたしたのであります。なお、施行期日につきましても、これは「公布の日」に改めることといたしました。  次に、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、政府案では、国の経済全般の円滑な運営をはかるために必要な経済企画庁の任務、権限を明確化するとともに、経済に関する理論的実証的調査研究を推進するために必要な内部部局として、経済研究局を設置することといたしておりましたが、経済研究局につきましては、行政機構簡素化の趣旨にかんがみまして、この際、これを取りやめ、経済企画庁付属機関として経済研究所を設置することといたし、所要の修正を行なっております。また総合計画局及び総合開発局の名称変更につきましては、これを従前の通りとするはか、訂正漏れの関係法令の改正に関する施行期日について事務的な修正を加えておるのであります。  次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、行政機構簡素化の見地から、軽工業局にアルコール事業部を設置することは、これを取りやめることにいたした次第であります。  次に、外務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、政府案ではアジア局の事務が対内対外両面にわたり増大して参りましたので、アジア局に次長一名を置くこととしており、その必要性を認められないことはないのでございますが、行政機構簡素化の趣旨にかんがみまして、これを取りやめることとし、また施行期日につきましては、すでに四月一日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めた次第であります。  次に、法務省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、政府案におきましては、入国管理事務所の出張所の名称及び位置を法務省令で定めることといたしておりましたが、この際、現行通り法律で定めることとし、また施行期日につきましては、すでに四月一日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めた次第であります。  次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案は、行政機構簡素化の見地から、大臣官房に官房長を置くことを取りやめること、また電気通信行政の責任部局である電務局の設置に関しては、さらに研究を要する点があるので、将来の問題として、この際設置を見合せることにいたした次第であります。  何とぞ御賛成をお願いいたします。
  170. 藤田進

    委員長藤田進君) それではただいまの修正点について御質疑がございますれば、一括してこの際、御質疑をお願いいたしたいと思います。
  171. 森中守義

    ○森中守義君 昨日も同様に衆議院からおいでいただいてお聞きしました。また、行管の政務次官からも基本的なことについてはあらかた質疑は終っておりますが、私はそのことについて繰り返したくはありませんが、きのうきょう、ずっと設置法の修正を衆議院から送られた案を見ておりますと、何となしに投げやりという言葉が当てはまるかどうかわかりませんが、解散というものがすでに目前にきていて、国会運営上の妥協が行われておる。やむを得ず、こういったように一応法律は出てきたので、上げるのは上げる。しかし本質的な問題はあまり論議をかわさずに、ある程度部局の昇格等に制約を加えるという妥協が行われた結果、こういった形に現われてきているのではないか、こういう工合に考えるのですが、その点はどうですか。
  172. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、これは委員会では、提案理由の説明を伺いまして、問題点を質問いたしましたが、実際の検討は、理事会においてさらに関係者を招集いたしまして相当徹底的に検討いたしたのであります。それは記録には載りませんでしたので、今のような御質問が出たと思いますが、決して投げやりの討議をいたしたわけではございません。非常に徹底的に、いろんな各方面から理事会において検討いたしました結果、成案を得まして、与野党共同の修正を加えて、こういうことになったのでございます。
  173. 森中守義

    ○森中守義君 私も保科先生を初め、与野党議員の審議の内容いうものは確かに会議録で拝見しております。それで、与野党のいかなる意見を述べられた、あるいは質問をされた議員も、今度のこの設置法に賛成だという御意見は一つもない。むしろ鳩山内閣から現在の内閣に至るまで、行政の簡素化を国民に対する公約としてきておるのに、こういう無定見というのか、無原則に出たものはいかぬ、圧倒的にそういう意見があるのですよ。それで、先刻も矢嶋委員から御発言がありましたように、やはりこれは政党政治であり議会政治である限り、もう少し責任ある立法ということが望ましいということが、衆議院段階でもほぼ一致した意見だと思う。にもかかわらず、出たものをつぶすよりもという、そういう解散を前に控えて、妥協の結果こういうものが出たという工合に私は認識をしておる。で、その点もう少し、ほんとうにこういうものが衆議院では心よく審議をされたか、あるいは、こういうようなものをというそういうお気持であったのか、大へんむずかしい心境の披瀝を求めるわけで、お答えも困難かと思いますが、率直に感じを一つお漏らし下さい。非常に今度の政府の措置は歓迎すべき立法措置であるか、あるいは不見識な出し方であるか、その点をくどいようですが、一言お答えをいただきたと思います。
  174. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 別に不見識だとか何とか、そういうような考え方は、この審議の途中では持ちませんでしたが、実はこの各省設置法の改正案が、きのう御審議を願った六案ときょうの七案が出て、相当広範で、その前に済んだものも御承知通りあるわけでありますが、たくさん出ておりまして、どうもその、なぜか知らぬけれども、ほかが官房長を作ったからここも官房長を作らなくちゃならぬというような、そういうような印象は受けましたね。そこで、これは徹底的に検討しなくちゃいかぬ、行政簡素化というのは、すべてのこれは内閣の責任であり、われわれ立法府の責任でもある、不必要なものを作ることは、これは能率を下げてかえっていけない、こういう点から相当深刻なる実は検討をいたしたわけであります。しかし、そういう印象を持っただけでして、別に内閣が不見識に出したとか、そういうようなことは別に検討の途中では問題にはなりませんでした。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ごく簡単に二、三点伺います。行政機構の簡素化をはかるということは全く賛成でございます。それと各省庁間の行政量、事務量、それからまた同じ一つの省内におきましても、部局課によってかなりその事務員にアンバランスがあると思う。だから近く検討しなくちゃならぬと思いますが、具体的に伺います。  それは経済企画庁設置法の一部を改正する法律案、ここで私がぜひ伺いたい点は、日本の政治を見るときに、私はこの提案理由にある「経済全般の運営に関する基本方針及び毎年度の経済計画大綱の策定」に、このために経済研究局を設置するということは、非常にこれは大切なことじゃないかと私はまあ考えておったわけです。それでまあざっくばらんに申しますが、今の河野長官が就任される前は、経済企画庁というのはぱっとしなかったと思うのですね。ところが、よかれあしかれ、ともかくあの人はいわゆる政治力を持っているというような話で、それであの河野という大臣を頭に描いて、こういう局を設けたら、これは大へんだというような考え方がちょっと私働いたのではないだろうか、こんな感じがする。河野さん個人を考えなければ、私は経済企画庁というものがある以上は、この経済研究局というものは、運用いかんにもよりますけれども、大切じゃないかと思っておったのですが、ところがこの修正案を見ますと、それを削除いたしまして、経済研究所というのを付属機関として置かれるわけです。そうしてそのつかさどる事務は原案と同じことを並べております。具体的なものはさらに総理府令で定めるとされておりますが、私が承わりたい点は、この経済研究局を設置した場合と、経済研究所を付属機関として設けた場合に、定員とかあるいは予算の点においてどの程度の差があるのか、まあそこらあたりがあなた方の結論を下すまでに重要な資料となったのだと思うのですが、その点で、総理府令で定めるというのは、大まかにいって、どのようなことを定めようとされているのか、承わっておきたい。
  176. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 別にその人によって制度を考え直したということは、それは絶対にございません。  それから、経済研究局と経済研究所で、人の定員の差異はございません。ただ経済研究所とする方が、その所要の目的を達成し得るに便利であるという研究の結果、われわれはそういう結論に到達しましたので、こういう機構に改めることにいたしたわけであります。なお、その内容等についてもし詳細なる御質問がありますれば、それぞれ関係当局がおりますから、お答えをしていただきたいと思います。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員の説明はあとでよろしゅうございますが、予算面では変りない、そうすると経済研究局と経済研究所で、出した結論の行政に対する影響力が違うと、こういうことなんですか。
  178. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 影響力というよりも、経済研究局を作ろうとした目的を達成するために、経済研究所の方がはるかにベターである、こういう意見で修正をいたしました。
  179. 田畑金光

    ○田畑金光君 衆議院内閣委員会では、これらの各省設置法案について相当な時間をかけ、まあいろいろな角度から御検討下されたようでありますが、何日間くらい、これはどれくらいの時間を各省設置法案の審議に尽されてこられたのか、ちょっとそれを伺っておきたいと思います。
  180. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 今即答は、ちょっと私見当つきませんが、必要ならば調べてお答えをいたしたいと思います。しかし、この各省設置法が出ましてから、これは内閣委員会に付託されると同時に説明を聞きまして、そうしてそれぞれの委員が持って、これを検討をいたしておりますから、ずいぶん長い間皆さん検討したと、こう申し上げていいと思います。
  181. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほど矢嶋委員からも指摘しましたように、きょう、われわれは実は初めて説明を受ける法案であるわけです。しかも、明日まあ解散を控えて、できるだけこれを仕上げてくれという、こういう要請で、かくのごとく各省の方々がずらりと並んでおられまするが、参議院の内閣委員会としては十分に審議を尽すことができないわけです。それは衆議院でそれだけやったとおっしゃるならそれまででありますが、二院制度の建前から申しましても、これは別に内閣委員会自体を究明するというよりも、むしろ政府の法案の提出について大いにわれわれは問題があると思いまするが、とにかく今お話しのように、長い時間をかけて、衆議院ではいろいろな角度から検討をされて、先ほどのような、いろいろ各省ごとに違った措置が出ておりまするが、とにかくそういうような結論を出したものと考えますけれども、これはわれわれの希望でありまするが、やはり会期の末において、かくのごとく一院から多くの法案が一時に回ってきたのでは、われわれ参議院といたしまして、十分その使命を果すことができない。このことはまことに遺憾なことだと、こう考えておるわけで、実は私はそれを申し上げたかったので、何日間ぐらい審議にかけられたのか、これをお尋ねしたわけです。  それからもう一つ、どういう基準で、ある省のものは削る、ある省のものは認める。あるいはまた今の経済企画庁の場合は、経済研究局を経済研究所にする、お話を承わっておりますと、行政簡素化の観点、これ一つに尽きておるようでありますが、もう少しこの実態に即して、この省においてはこうあるべきである。経済企画庁等については、とにかく政府といたしましても長期経済計画、あるいは年度の経済計画を立てられて、今後の施策の中心をそこに置かれるようでありますが、そういう意味におきましては、経済企画庁の役割というものは、これは日本経済の今後の運営から申しましても非常に重大な役所だろう、こう見ておるわけで、われわれは、むしろそういう機関がもう少し権威があって、こういう機関において調査研究されたことは、同時に、民間経済の上においても、あるいは国家の経済全体の立場からいっても、あるいは国の財政運用の面からいっても、もっともっと権威ある機関たらしめることが、これは常識的にいって、そういう気持を持つわけでありまするが、とにかく衆議院内閣委員会といたしましても、権威ある皆さん方が各角度から検討されて、このような結論を出されたのだと思いますので、われわれも尊重したい気持はありまするが、どういう角度から、どういう基準の上に立ってそれぞれ結論をお出しになったのか、もう少し具体的に承わることができれば幸いだと思います。
  182. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 先ほど大局的なお答えをいたしましたが、この行政簡素化と申しましても、単にこれは削るだけが目的ではないのでありまして、どうしたならば能率を上げ得るか、どんどん事態が変ってきておりますから、そういう面もそれぞれの部局について検討する必要があったので、それぞれの責任者を呼んでその要点を十分に聞きまして、そうしてわれわれがこれに政治的なセンスも入れまして、そうして先ほども申し上げましたような、全般的な検討を要するというようなことも大局的に頭に入れまして、そしてこういう修正をした方が将来に対しても悪い影響を及ぼさぬ、同時に、能率が上げ得るというようなことを主体にいたしまして、そしてこういうような修正をいたすことにいたしたわけでありますので、それぞれの各省によって実態が違いますので、一律に具体的に御説明申し上げますことを、ここに省略をいたします。もしこういう点はどうだということであれば、私はお答えをいたしたいと思います。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まことに御苦労さまでした。大体、修正者の御意向わかりました。私は拝見いたしまして、ほんとうになるほどりっぱに修正されたなと感謝した面もあるのですが、ただ第二院の、ある委員からこういう意見もあったということを御記憶いただく意味で、一言だけ申し上げておきたいと思いますが、この修正の中で、ほんとうにごもっともだと思う点たくさんありました。それから、これはどうかなと理解しかねるのも幾つかあったのですが、そのうち特に二つですね。その一つは、今言った経済企画庁の経済研究局、これは私は今の日本の政治からいったら必要だと思うのですよ。その理由は申しません。これは僕は適切なる、運用にもよりますが、提案だったと思うのです。  それからもう一つは、岸内閣の政策の一つとして道路行政の伸展をうたって、御承知のように今回特別会計もできたわけでして、これは一応片がつくまでは、原案にありました道路局を二部にするということは、私は予算の効率的運用という立場から適切なる案ではなかったか、それを落して、次長を設けられたわけですが、それは一院は一院としてお考えがあって、そうなされたのでございましょうが、基本的には、私は今後長きにわたって、一院の皆さま方とお互いに研究し相協力して、国会議員としての責務を果して参るわけですが、行政機構というものは、そのときの事情によって改編をやり、伸縮自在にしておく、仕事量がふえたときには部を設けることもあるし、そのかわり、それが終った場合にはもとに戻す、官僚は抵抗するでしょう。官僚の抵抗があっても、立法府は良識を持って断固としてやるところがなければならぬと、かように私は基本的に考えておるわけで、その点につきまして、こういう意見を私が持っておるということだけをお聞き願って、あとの点、大体よく御研究いただいて、お骨折りいただいたことに敬意を表しまして、あなたに対する質問を終りたいと思います。
  184. 藤田進

    委員長藤田進君) 私から一言お伺いしたいと思うのでありますが、先ほど来の質疑応答を聞いてみますと、かような修正等については、一潟千里、ばたばたと送ったのではなくて、相当長期に取っ組んで審議をしたということのようでありますが、私ども参議院といたしましては、おととい多量に送り込まれて参りまして、さなきだに恩給、防衛その他持っていたわけですが、参議院の審議があるということは当然予想されたと思うのですね。しかも長期にわたるそういう審議がなされておるという案件なのに、参議院ではほんとうに一両日で、こんな多量なものを消化して行かなければならぬということは、もう非常に迷惑です。実際問題として、解散というものがないと予想されてそうなったのか、参議院は二、三日あれば、こんなものはやるべきだという観点なのか。私どもは先議案件については慎重審議を重ねたけれども、予備審査には手をつけないで、先議案件を審議して衆議院送付したつもりであります。衆議院の審議の際、また修正者とされても、どういうことでこういうふうなことになったのが、参議院では成立は不可能だという見越しのためだったのか、どう考えても物理的にむずかしいわけです。これらの審議態度について、この際、衆議院内閣委員会における態度をお伺いしておきたいと思います。
  185. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) これはやはり解散時期が不明であったということが、こういう結果になったと思うのですが、やはり五月十七日まであるのですから、それまでにやはり審議するという観点のもとに、実は内閣委員会にかかった各種の案件が非常に御承知通り多く、ほとんど土曜と月曜を除いては、全部これは使って審議を今日までやってきたわけであります。決して参議院の審議が短くていいのだという考えは、毛頭、衆議院ではありませんでした。問題は、解散というものが二十五日にきまったということで、こういうことになったと思います。
  186. 藤田進

    委員長藤田進君) 重ねてお伺いいたしますが、二十五日は非常に意外に早かったということで、こうなったとおっしゃるわけですが、しからば、いつごろの解散を予定されて一括七件も、通常、自然に行けば二件とか、あるいは三件とか、あるいは一件ずつ上り次第送るのが常識だと思うのです。一括七件とかいうような格好で送られてきておるわけで、しからば解散をいつごろと予定されていたのですか。
  187. 保科善四郎

    衆議院議員保科善四郎君) 解散は重要法案を審議し、それを先議するという、総理がそういうことをしばしば声明されておりますわけで、われわれは重要だと思われる法案を全部審議をしてやられるものと、こう考えておったわけです。   ―――――――――――――
  188. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、法務省設置法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点だけ伺って私の質問を終ります。  法務大臣に伺いますが、売春防止法はすでに四月一日から全面的に発動されているわけでございまして、この法は運用次第によってずいぶんと様相が変ってくると思うのです。現在のところ、どういうふうなお見通しを持っておられるかということと、それからこの婦人補導院を三ヵ所に設けられるわけでございます。予算はすでに成立しているわけですが、この法律の成立がおくれましたので、若干心配しているものでございますけれども、実際に活動ができるようになるのはいつごろになるのか、その二点について承わっておきたい。
  190. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 売春防止法は、お言葉通り、この四月一日から罰則規定が動き出したわけでございますが、この運営の方法につきましてのお尋ねでございますが、これはいわゆるこの法第五条によって罰せられまする婦女子につきましては、法律上は、罪は罪でございますけれども、その性質が他の犯罪とはよほど違っておるように思われまするので、従いまして、御審議、御決議をいただきました補導院法というようなものを作ったわけでございまして、従いまして、その運営につきましては、この売春行為の媒介とか、周旋とかいう悪質なものは、これはもう容赦なく処罰して参りたいと思いますけれども、婦女子そのものにつきましては、これを一言で申しますれば、犯罪人扱いにせずに、どこまでもその境世を改善し、指導教育しまして、善良なる市民として再び社会へ戻ってくるような、教育の意味に重点を置きまして、そうしてこの補導院を運営して参りたいと思っておる次第でございます。お言葉にもありましたように、四月一日からもうすでに罰則が動いておりまするから、違反者があり、そうして裁判所でこの補導院へ送るような決定がありますると、実は、きょう御審議をいただいておりまするこの法律が通っておりませんと、動きがつかないわけでございまして、衆議院の方へもだんだんとお願いをしておったわけでございますが、今日にまあ相なったわけでございます。  それで、さしあたり、この補導院は既存の建物を利用するものもありますが、新築のものもあります。すぐ間に合わないような場合におきましては、現存する設備によりまして、そうしてこの補導院にかえて運営して参りたい。そうして完全な設備を作って行きたい、かように考えております。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いつから完全に動くか……。
  192. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) この補導院といたしましては、制度上は、この設置法が通りますれば、すぐ動くわけでございますが、建物等は少し先に延びますけれども、代用のもので動かして行くつもりでございます。
  193. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 施設、設備か必要になるわけですね。それで、私、伺いたいのは、何月上旬、中旬、下旬とか、どの時期ごろから婦人補導院の活動が一応整った形で動けるよりになるのですかということを伺っている。急がなければいけないですね。
  194. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 今非常に急いでいるわけでございまして、東京のは新設でございます。そのほか二ヵ所は既存の建物を利用しようと思っておりますが、東京の新設の分でも、秋口までには作り上げたいと考えております。
  195. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  法務省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を衆議院送付の原案通り可決するごとに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって、法務省設置法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、その他自後の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名    大谷藤之助  永岡 光治    上原 正吉  剱木 亨弘    中野 文門  増原 恵吉    松村 秀逸  伊藤 顕道    田畑 金光  千葉  信    矢嶋 三義  島村 軍次    八木 幸吉  後藤 義隆    大谷 贇雄  中島 敏夫   ―――――――――――――
  199. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  200. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この改正の第一の点、これは現在の定員のワク内で措置したいと考えているということですが、結局、責任体制を明確にするという一語に尽きるのですか。
  201. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) さようでございます。
  202. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点伺っておきますが、それは第三の改正点の、種畜牧場にさらに新たな事務を加えられたわけで、これは適切だと思います。そうすることによって、種畜牧場の予算あるいは定員に相当の変化がもたらされると思いますが、それはいかようになっておりますか、伺っておきたいと思います。
  203. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) それもその人員、予算等には変化はないのであります。そういう充実した施設を応用しよう、そういう充実した技術、人員を活用しよう、こういうわけであります。
  204. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、種畜牧場には別にこういう改正に伴って予算が伴うということはないのですね。ありそうな気がするのですけれども……。
  205. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お答えいたします。種畜牧場につきましては、従来、飼養管理と改良増殖という業務をやっておりましたけれども、農林省の他の試験研究機関が、そこを事実上活用するというふうな措置をとっておったわけであります。そこで、今回そういう措置では経理上も不明確な点が生じますので、予算総則におきましては、それらの試験場に組まれました予算を利用するということができると、こういうふうに予算総則を変えまして、それに応じまして、設置法上も所掌事務を明らかにし、従いまして、従来ありました科学技術振興費を、種畜牧場に正規の名目で使用するということにいたしたのでございます。従って、これに伴う予算というものは別にございませんけれども、従来から科学技術振興費という名目で計上されております中の畜産関係に関連する部分は、移用の形によって、この種畜牧場で試験研究に必要な経費として使用する、こういうことにいたしたいと思います。
  206. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後にもう一点伺いたい点は、酪農振興という立場から、地域を指定するようになっておると思うのですが、現在どの程度指定されているのか、さらに今後、指定地を増加されるようになっておられるのか、その概要を承わっておきたいと思います。
  207. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) 正確な数字はちょっと記憶しておりませんが、大体、百地域というものを目標にいたしておりまして、三十二年、三十三年で大体完了する予定になっておると存じております。
  208. 田畑金光

    ○田畑金光君 食糧庁に経理部を設けて、六勘定を設けて経理の明確化をはかる、こういうことになっておりますが、もう少し具体的に、一つ簡潔でよろしゅうございますが、御説明願うとともに、今回のこの措置によって、従来いろいろどんぶり勘定と言われ、非常に国費のむだな支出が行われておる。ことに経理が不明確で、国民の疑惑を招いてきたのが、この食管特別会計の内容でありますが、これに対しまして、今回の措置によって、そういうような問題のどういう処理が進んでいくのか、解決が促進されていくのか、もう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  209. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) お答えいたします前に、現在これを取り扱っておる機構につきまして、御参考までに申し上げておきたいと思いますが、食糧庁の総務部、食糧庁には三部ございまして、総務部というところで、従来これらに関連する食管会計の経理に関する業務を担当いたしておったのであります。その業務を担当した課といたしまして、主計課、経理課、それから実行いたしました結果についての経理の監査、この三課で事務を所掌いたしておったのでございます。総務部は、総定員が三百九名でございまして、そのほかに業務一部、二部というのがございまして、定員数がそれぞれ百十名、九十九名、総務部がほかの部に比べて非常に大きな人員と課をかかえておったのでございます。従って、総務部長限りにおけるこれらの処理につきましては、従来からも非常に事務が過重になって参っておったのでございます。今回、食管会計におきまして経理の明確化、損益区分の明確化という措置に伴いまして、従来の経理勘定を六勘定に分けまして、おのおのの勘定において損失を明確にするという措置をとることになりました。しかし、これらの勘定は、総額におきましても、予算上は八千七百六十五億という膨大な資金を経理いたしております上に、この勘定自身が、通常の勘定と異なりまして、たとえば輸入食糧のごときは、そのつど国際価格の変動に応じて動いて参る。あるいは国内の食糧につきましても、集荷量の変動がある、こういったような関係で、単なる確定的な予算の執行ということのほかに、非常な経理事務についての機動性をもって運営して行かなければならない、こういう二つの要素があるわけでございます。  そこで、今度の勘定区分につきまして、新しい試みでございますので、従来の例もありませんので、これらの六勘定の経理をすみやかに軌道に乗せて参りたい。それには、この三課を駆使いたしまして、企画力のある部長がこれを総括整理するということが非常に必要になって参ろうかと思うのでございます。のみならず、今申しました第二点の面から申しましても、経理自身の立場から、食管の中間経費の合理化とか、あるいは業務の運営とかいう面につきして、経理部の立場から、これを規制していくというような業務が当然起ってくると思うのであります。それらのことにつきましても、部が独立し、部長ができることによりまして、一そうそれに対する指導力を強化して参りたい、かような意味で、秘来の総務部三百九名を二つに分けまして、経理部関係では百三十五名がこれらの仕事を扱う、こういうことにいたした次第でございます。
  210. 八木幸吉

    八木幸吉君 食糧庁の経理関係、非常に私問題があると思うのですけれども、時間がありませんので……。大体、経理部を作って、どんぶり勘定をやめて、勘定を区分して、経理の適正化、明確化をはかるという、その趣旨には賛成でありますので、大筋で賛成いたしたいと思っているのですが、後に資料として、食糧庁の課、班、係の人数、それから業務内容、経理部を独立させることにおいて、従来の部内のいろいろな問題点が解消されるというその考え方を、なるだけ詳細に書いたものを資料としてお出しを願いたい。こういうせっぱ詰ったときでありますから、通産省の要領でいけば、なかなか長く質疑応答いたしたいのですけれども、それができませんので、通り一ぺんのものでなしに、なるだけ親切な、詳細な資料を提出していただきたい、こういうことをお願いいたしておきます。
  211. 齋藤誠

    政府委員(齋藤誠君) さっそく、できるだけの資料を整えて差し上げたいと思います。
  212. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  214. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって、農林省設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、その他自後の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名    大谷藤之助  松岡 平市    永岡 光治  上原 正吉    剱木 亨弘  中野 文門    増原 恵吉  松村 秀逸    伊藤 顕道  田畑 金光    矢嶋 三義  八木 幸吉    後藤 義隆  大谷 贇雄    平島 敏夫  森中 守義   ―――――――――――――
  216. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  217. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自由国家群と共産国家群のいずれを問わず、最近の世界の情勢では、公衆衛生行政と予防行政というものが飛躍的に充実強化されている方向ではないかと思うのですが、その点については、どういう把握をされておりますか。
  218. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私ども新しい社会を作り上げるという関係からみますと、環境衛生の部門と予防衛生の部門は、お説の通り、非常に政治の分野あるいは行政の分野においても、従来に比して格段のウエートを持ってきたということを考えておりまするので、実はそれらにつきまして、私どもとしては、さらに行政機構も、予算、実質の仕事の内容の変化に応じて、これを実現いたしたいという考えでございましたが、これらにつきましては、なお議会において御審議の余地があるものといたしまして、今回、衆議院において修正をされておるような現状でございます。
  219. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 機構の簡素化という立場から、第一院で修正されたのもいたし方ないと思うのですが、私は大臣に伺いたい点は、厚生省の現機構、この中で公衆衛生の行政と予防行政、これの推進をはかるために、この局の統廃合と申しますか、事務の再配分と申しますか、そういうことを検討をされたことはございませんか。私は厚生行政にはしろうとなのでございますが、こういう機構図を拝見して、予防行政なり、あるいは公衆衛生行政というものを中国あたりも相当やっておるようですが、それを推進するためには、今の機構の中で、局長さんを減らさないで、配分なり、検討する余地があるのじゃないかという感じがしますので、大臣の所見を承わる次第であります。
  220. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 実は私自身、官庁機構が非常に膨大になっておりますことは遺憾である。できるならば、これを簡素化いたしたいという根本的な考えを持っております。持っておりまして、厚生省に参りましてからも、その観点から種々研究して参ったのでありますが、これは矢嶋委員の御質問でございますが、率直に申して、これらの今厚生行政というものが、新しい民主主義の社会、新しい憲法の理念に基きますような国民の健康と幸福を守ろうというような観点からみますときには、ちょっとお考え願っても、旧内務省では一局か二局でやっておった事柄が、かくのごとくなって参りますのも、これまた人権尊重の見地から見ますと当然のことでなかろうか。私どもも予防衛生と、今おっしゃった公衆衛生というものとの関係におきましても、実は、現在すでに公衆衛生局においては環境衛生部なるものを設けておるのであります。従いまして、定員がふえないで、しかし責任の分野を明かにいたしてやりたいというのが、行政の簡素化をはかろうという考え方が基本にありますために、ただ、いたずらに定員をちょうだいするという考え方をやめまして、実は今回、最初は環境衛生部を局にいたしまして、公衆衛生局を予防局にいたしまして、人間をふやさないでやっていきたい、こういうふうな、ただ責任の所在と事務の膨大、それから質の向上というふうな観点に重点を置いて、実は御審議を願おうと思ったような次第でありますが、私ども、もともと簡素化の趣旨に立脚しまして今回の改正案を出しました次第でありますが、衆議院におきましては、なお今後研究いたしたい、こういうふうな御観点から御修正になったものと、私どもは了承しておるわけでございます。
  221. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点伺います。それは改正の第二点に関連することでございますが、聞くところによれば、中国から日本に帰りたいと希望されて、現在なお帰れないでおられる方は、約千五、六百人程度だということを聞いているわけですが、厚生省当局としてつかんでいる数字ですね。中国、それから樺太、それ以外の地域で、戦後処理の一環として、日本に帰りたくて、まだ帰れない人は、地域別にそれぞれ何人になっているのか、また、それらの人々の帰国に対しては、今後、この改正の第二点とも関連するのですが、厚生省としてはどういう態度で臨まんとするのか、それだけ伺っておきたいと思います。
  222. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私どもの現在の調査では、ソ連本土に残っておられる方が大体二百ないし三百、棒太に在留しておられる方が六百ないし七百と考えられる。なお、中共地区においては六千ないし七千人の人が考えられる。こういうふうに考えているのであります。しかし、今回、舞鶴の引揚援護局を廃止し、地方の部局を縮小いたしますのも、大体戦後十三年に及びまして、そう大きな集団的な帰国は、今回の中共地区からの引き揚げというもので終るのではなかろうか。今回の中共地区からの引き揚げにつきましては、初め八百名くらいということを私ども了承いたしまして、白山丸その他を手配いたしましたわけであります。その後、最近の情報では、約二千ぐらい予想されるのじゃなかろうかというふうに考えまして、これらの引き揚げについて遺憾なきを期したいと思っておりますと同時に、今申し上げました残留邦人につきましては、今後全力をあげて帰還の促進方をいたしたい、こう考えているような次第でございます。
  223. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 配船の方はどうしますか。
  224. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) お帰りになる人に、配船の都合でぐずぐずはいたさないつもりでございます。
  225. 田畑金光

    ○田畑金光君 厚生大臣にお尋ねしますが、今回の機構改革の局の増設については、衆議院で修正を受けて、結局削られたわけでありますが、政府は、聞くところによると、この選挙後、どういう内閣ができるかは別にいたしまして、一応、保守党内閣としては、大幅な機構改革等を考えているようでありますが、そういう節に、あらためて今回のような局の増設をもう一度考え直そうという、厚生当局としてはお気持であるかどうか、承わりたいと思います。
  226. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) むろん、われわれ現在の内閣といたしましても、根本の考え方は、行政を簡素化いたしたいという考え方であり、今後におきましても、その努力を重ねるつもりでありますが、時間があまりどうかと思いますので申し上げませんが、この私どもの担当いたしております公衆衛生の仕事というものは、率直に言えば、以前はほとんど、何と申しますか、非常に行政面でも小さな面を占めておった。また、政治の面におきましても同様の状況でありますが、御承知通りに、清掃施設の整備といい、下水道の終末処理といい、簡易水道の問題上、水道等の問題等も、また、さらに過般立法されました環境衛生関係の常業の運営の適正を期する面から見ましても、あるいは蚊とハエの問題にいたしましても、全く新しく行政面に登場して参つた、非常に従来とウエートが違って登場して参ったものだ、それが新しい社会、新しい人権尊重の見地から見れば、私は当然のことだろうと思うのであります。行政簡素化は決して私どもも今捨てておるわけではございませんが、この面におきましては、今後私どもはますます大きく新しく政治の面に取り上げられて参る問題だ、従いまして、仕事のウエートというものから見まして、簡素化といって、ただ仕事のウエートを考えないで参るものではなかろう、こういうふうに考えておるのでありまして、今後この点について決定的なことは申し上げるのは早いかもしれませんが、当然取り上げられる問題でなかろうか、行政簡素化の方針を進めましても、なおかつ当然大きく新しく取り上げられるべき問題ではなかろうかという信念を持っておる次第でございます。
  227. 田畑金光

    ○田畑金光君 この間、読売新聞でありましたかの伝うるところによると、厚生省当局としては、医師会について立法化の方針を持っておられて、会長の選任等は、政府のあるいは厚生大臣の任命制に切りかえよう、こういうようなことで準備をされておるようですが、それはどういう考え方に基いてそういう構想を進めておられるのか、さらに、この診療報酬引き上げの問題等については、その後どういう話し合いになっているのか、簡潔でよろしゅうございますが、御説明を願いたいと思います。
  228. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 過般、読売新聞だと思いますが、比較的大きく、日本医師会法を新たなる観点で法律制定するという記事が載っておりましたが、全くどこからそんな記事が出ますのか、私自身思い当るところがございません。で、私自身は、あの問題について何ら準備を今いたしておるところではございません。これをまた詳しく申し上げるときりがありませんが、私ども国民皆保険を進めて参ります上において、ああいう形の医師会を作ることによってよりも、いわゆる医療体系の整備と言われる医療機関の整備と配置の適正化を期することがまず先である、こういうふうに考えておるような次第で、新聞紙に報ずるところは、私の考えもしなかった点であるということを申し上げます。  それから第二段の問題に関しましては、私どもは社会保険を通じまして国民の健康を守ろうという観点から、六年間据え置きになっておりますところの医療費の問題について、最近の医学の進歩に適応するところの適正な診療報酬をきめなければ、国民の健康は守れないという観点から、過般、予算審議におきまして御審議を願って御承認も得たところであります。なお、この問題は、中央社会保険医療協議会におきまして、もすでに法律に基く審議機関にかけまして御答申を受けましたものであります。私どもといたしましては、この問題につきましては、いろいろ日本医師会の御意見もございますが、と同時に、病院協会等の意見もあり、その他いろいろな意見がございます。ただ、予算的、法律に基く手続は終了いたしましたが、実施の直前まで事務的に最善を尽すのが当然だと思って、なお検討に検討を重ねておりますような次第でございます。従いまして、この問題につきましては、ほんとうに科学的に問題を処理して参るべき問題である、こういうふうに考えておるような次第であります。
  229. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大臣に二、三お伺いしますが、結核対策の一環として、国立療養所があることはまことにけつこうなんですが、ただ、入所する条件がいろいろむずかしいので、貧乏人にはなかなか入れない条件のようで、非常にベッドがあいておる。たとえば私の方の群馬の六日向荘でも相当ベッドがあいておるわけでありますが、こういうことはまことに遺憾だと思うのであります。せっかく国費でベッドを作って、そういう気の毒な患者を入れようとしておりますけれども、貧乏人にはなかなか入れないということを訴えられておりますが、その点について、せっかく作ったヘッドをあかしておくということは、患者は相当おるわけですけれども、何とか貧乏人でも入れるような条件にできないものかということをお伺いしたいと思います。この点に対する大臣のお考えをお伺いしたい。
  230. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 国立療養所を作っておりますことは、貧富の差を考えるつもりは全然ございません。私どもとしては、貧乏人の人が入れないということはあり得ないのだというふうに考えておるような次第でございます。ベッドにつきましては、最近、結核の医療が非常に進歩いたしましたので、以前のように長期にベッドがふさがるということがだんだん少くなって参りまして、所によりましては、ベッドがあいておるところができております。しかし所によりては、いまだ足りない分があるというのが現状でございます。結核についての最近の医学、薬学の進歩から、私はますますこの点につきましては、入院の患者数及び入院のベッドのふさがっております日数は減って参るというふうに考えますが、地方によりましては、なおかつまだ足りないというふうな状況でありますので、一律にベッドをふやすような方向には持って行っておらないのであります。従いまして、お説のような問題は私は万あり得ないと思いますか、もちろん具体的の問題につきまして、は詳細お話しによって調査をいたしたいと、こう考えておるような次第でございます。
  231. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お言葉ではございますが、現実に群馬の伊香保に近い六日向荘ですか、あそこで現実に患者から直接私は伺っているのです。そういうことについては、なお十分緊急に調査していただいて、せっかく、ベッドがあいておることのないように、十分手を打っていただきたいということをお願いするわけです。さらに、こういう数多くの患者が、今申し上げたように改善を叫んで、たとえばアフター・ケアとか、あるいは食事その他の面について、いろいろ全国的な陳情団が来ておると思うのです。そういうような点、まことにお気の毒な方々の要望であるので、すべてを同時に、一刻も早くということは、なかなかむずかしいわけでありますけれども、できる面から具体的な対策で一つ改善をはかっていただきたい、そういうことに対して大臣はどのようにお考えか、この点をお伺いしたい。
  232. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私ども基本的には、結核を今の最近の進歩した医学をもってして、ある一定の限られた年限の間に、日本から結核を半減することはさしてむずかしいことではないというふうに考えまして、根本的な対策を持っておりますと同時に、今おしゃいましたように、現在、結核にかかっているというふうな人の処遇というものについても改善を加えるべきだ。ことに新しい医学の観点から、これらの面で、御指摘になりましたような入院愚考に対する面及びアフター・ケアの面という面についても、十分改善を怠ってはならないというので考えておるような次第でございます。今回、国会で御審議を願いました分にも、入院患者の処遇等につきましては、従来よりも増加を計上いたしておるという点、ごらん願っている現状の点につきましても、なお一そう努力をいたして参りたい、こう考えておる次第でございます。
  233. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特に今御指摘のあったように、アフター・ケアについては特に重点を置いて対策を講じていただきたいという声が強いのですが、長い間闘病生活を重ねて、ようやく退院ができたにもかかわらず、そのアフター・ケア不十分のために、即刻また元に戻る、そういう場合は非常に悪化するわけですね。一たんよくなったものか再び入院した場合には無理があるわけで、そういう点特にアフター・ケアについて具体的なお考えがあれば承わりたいと思うのです。
  234. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 今アフター・ケアの問題についてお話しになりましたように、私、今資料を持っておりませんから正確に記憶いたしていないのですが、結核がなおったというので職場に復帰し、社会に復帰した後に、また結核が再発したというのが、たしか二〇%くらいはあるという統計を記憶いたしております。従いまして、今後につきましても、これらにつきましては十分届くようにいたしたいと思いますが、相当進歩いたしました企業体におきましては、このアフター・ケアの問題が非常に大切なので、いわゆる健康管理と、そして職場との関係を非常に注意してやっておるような状態になって参りました。私どももこれらにつきまして、今後何と申しますか、労働科学の面と申しますか、そういう面からも対策を講じて推進いたしたい、こういうふうに考えております。これはさらに本年度におきまして、結核について非常に大がかりな調査をいたしますのも、その中の重要問題として掲げておるわけでございます。
  235. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で今一点お伺いしたいと思いますが、大臣も先ほど御説明の中にあったように、新しい薬、いわゆる新薬と新しい療法によって、いろいろ今までにない成果を上げておることも私どもも確認しておるわけです。そこでお伺いしたいのは、現在、全国の結核患者は、概数でけっこうですが、大よそどのくらいかということと、それからベッド数ですね、ベッド数については国立、公立、私立、――私立というのは一般開業医を指しておるのです。これを三段階に分けて、ごく概略でけっこうですから、その実情を知るための一環として承わっておきたいと思います。
  236. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 実は、そういう御質問があるのでしたら、資料を持って参るのだったのですが、この結核対策として、前に厚生省として大がかりな調査をいたしたのでありますが、御承知通り、年々死亡者数は非常に減ってきておる。結核による死亡者数は減ってきておる。しかし、なお新規発生患者が、私の記憶に誤まりなければ、七、八十万人の人があるというふうな状況でございます。で、この点につきましては、先ほど言われました通り、患者の数の中には、やはり相当数の、二十数%の再びなった人もいるというふうな状況で、注意すべき現象である、こういうふうに私は考えて、この対策は進めて参りたいと思っております。毎年それらについて、全体で今現在どれだけの結核患者がおりますか、今ちょっと記憶がございません。で、まあ正確に申し上げるのはどうかと思いますが、二、三百万人結核患者が現在いる、三百万人足らずとお考え下すって大体間違いないのじゃなかろうかというふうな状況でございます。ただ、毎年なおって参りまするのと、そうして毎年新しく出ますのとで、全体としては、やや減少数が、そう死亡者数から見て少いとは考えられないというのが今結核の欠点である。それからベッドは、これは国会でも御審議願いまして、私が厚生省に参りますまでに、すでに三ヵ年計画だと記憶いたしておりますが、二十六万床の増加を年次計画で完成いたしましたわけでございます。そういうふうな情勢で、ことしの予算では病床につきましては、ごくわずかしかふやしていない。しかもこれは僻陬の地を中心にしておる。大都市周辺等におきましては、御指摘のように、ベッドは相当余って参っておるというのが実情でございます。
  237. 八木幸吉

    八木幸吉君 ごく簡単ですが、流感のワクチンが去年は足りなくて困っておったのに、現在、民間でたくさん作ったやつを厚生省が買わないために、非常に困っていると、こういう新聞記事がありましたことが一点。それからもう一点は、この食品の有毒色素で、アメリカ等では五十年も前から許しておるのを、日本の厚生省では許していないのがあると同時に、逆にアメリカ等では禁止されておるものが日本では許されておる、こういう現状と承わっておる。それで、その点について、きょうは時間がないから、詳細な資料として出していただければけっこうです。
  238. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) ワクチンは、実は日本の製造能力をあげて昨年の流感に対処いたしたいと思ったのでありますが、流感の状況から、まあ率直に申して、金に糸目をつけないで、入れられる分があったら入れようというふうなことで入れたわけであります。いろいろワクチンの配置について、重点的に配置しました効果が、その後、予期よりもかえって蔓延すべき時期に減ったという状況でございまして、メーカーにつきましては、私も心配いたしまして、決して御損をかけないような処置を、今、事務当局に命じておるところでございます。  それから、色素の問題につきましては、新しい問題といたしまして、いろいろな問題が起き得るのでございますが、一そうこの点につきましては、今後、積極的に対策を講じて参りたい。なお、資料等につきましては、御必要あれば後ほど御提出いたしたいと思います。
  239. 藤田進

    委員長藤田進君) 御質疑のある方は発言を求めて下さい。
  240. 森中守義

    ○森中守義君 これは、私は機構改革の問題について、どうしても関係のあることですから簡単に聞きますので、簡単に答えて下さい。舞鶴の地方引揚援護局のほかに、たとえば佐世保だとか、あるいは横須賀ですね、こういうところに援護局があるのじゃないですか、どういうところに存置してあるか、それをお答えいただきたい。
  241. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 政府委員からお答え申し上げます。
  242. 河野鎮雄

    政府委員(河野鎮雄君) 地方引揚援護局といたしましては、ただいま舞鶴だけでございます。佐世保、横須賀等というようなお話がございましたが、これは地方復員部ということで、別の仕事をいたしておるわけでございます。これは今回の改正によりましても、そのままに残しておくようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  243. 森中守義

    ○森中守義君 復員部は横須賀と佐世保だけですか。
  244. 河野鎮雄

    政府委員(河野鎮雄君) 三ヵ所でございます。
  245. 河野鎮雄

    政府委員(河野鎮雄君) 呉でございます。
  246. 森中守義

    ○森中守義君 私はその仕事の内容がどういうものであるか、克明には存じませんが、先般、内閣委員会の視察で佐世保に参りましたそのときのお話だと、晦方地域の死亡認定であるとか、あるいは恩給証書の確認であるとか、非常に繁雑な業務をやっていて、年々人員が落されていく、しかも、こういったように住居の変更が激しいときには、どうにもならぬというようなお話を聞いておるのです。それで、この組織そのものが中央の方に集約をされるか、ないしは各地方の自治体におまかせになってもいいような時期にきたのではないかと思うのですが、そういうことについては、この設置法改正の際に検討はされませんでしたか。
  247. 河野鎮雄

    政府委員(河野鎮雄君) 旧海軍関係と陸軍関係と若干事情を異にいたしておりまして、非常に事務的な点はございますが、大体いろいろ残務整理等の仕事をいたします上におきまして、兵籍とか何とかいうものを、どこで持っているかということが非常に重要な問題になってくるわけであります。陸軍関係は旧連隊区司令部で持っております。それは県で引き継いでおります。ところが海軍関係は県で引き継ぎませんで、復員部で引き継いでおる、そういうような関係で、陸海軍で扱いが異なっておりますので、今回の設置法を改正いたします際にも、その点、十分検討いたしましたが、やはり兵籍を持っている地方復員部は、この際やはり残して、もうちょっと事務の推移を見た上のことにすべきではないかということで、復員部だけはそのまま残すようにいたした次第であります。
  248. 森中守義

    ○森中守義君 そういう歴史はわかりますが、まあ、やはり残務整理ということで、すこぶるじみであって、ややもすると世間からうとんじられているような傾向を佐世保で私は感じたのです。しかも陸軍関係を地方の自治体に移し、海軍関係を厚生省の独立した組織の中に入れて置くというのは、もうすでにその必要はないじゃないか、どうしてもその必要があるとするならば、たとえば人員の配置にしても、業務の内容をもう少しつき合せて見て、ああいう隠れた、埋もれた組織というものは、厚生省の方でもよほど大事に扱っていただきませんと、もとの海軍の軍人さんが大半を占めているようであります。そういう人で黙々と仕事をやっています。しかし、はたから見ていても、気の毒なくらいに一生懸命なんです。しかも気持の上では、今申し上げたように、残務整理であるということで、何となく取り残されたような気持を、私はそういう関係の人がお持ちになるのは無理からぬことだと思う。だから、お残しになるならなるで、業務の内容、人員の配置、そういうものをもう少し慎重に厚生省では見ていただきませんと、一番大事な仕事ですよ、終戦の処理ですからね。そういうことでありますので、もしも、このまま存置されるならば、もう少し実際の復員局の業務の内容の検討、適正なる人員の配置、少くとも厚生省の機関らしいめんどうを見ていただきたいと思いますことが第一点。もしその必要がなくて、地方自治体に移してもいいとおっしゃるなら、それもできるだけ早い機会に解決をしていただきたい。これは私の要望ですが、これに対する厚生大臣の所見を述べていただきたいと思います。
  249. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 大へん御同情のある御質問をちょうだいいたしました。実は非常にほんとうに下積みの仕事であって、ほんとうにむずかしい仕事であることは事実であります。それから最近残っておりますものは、よけい簡単になかなか片づけにくい。しかも問題の性質上、親切に実態を含めて処理して行かなければならぬ。仕事であるというふうな事柄でございまして、今回の機構の改革で縮小いたしますのも、以前にありましたよりは少くしておるわけであります。以前に計画を立てましたときには、もっと大きく考えてやられた事態があるのでございますが、仕事の実態に即して、この程度の縮小にとどめたい。御説のように、私どもとしては、だんだん中央にウエートが多くかかって参るような状況ではございますが、なお、現実の問題の把握には、地方自体にも相当常に接しておる部分がなくてはならないという状況で、地方の方にも、その仕事を担当してもらっているという状況でありますが、御説に従って、これらの問題については十分注意して参るつもりでございます。
  250. 田畑金光

    ○田畑金光君 それに関連して援護局長にお尋ねしますが、横須賀の地方復員部ですか、何名くらい職員がおりますか。
  251. 河野鎮雄

    政府委員(河野鎮雄君) 現在、定員は、十七名、それに臨時職員を相当配置いたしておりますので、臨時職員の数はちょっと今記憶いたしておりませんが、同数程度の臨時職員がおると思います。定員といたしましては十七名と記憶いたしております。
  252. 田畑金光

    ○田畑金光君 いろいろ今、森中委員からの質問の中に述べてありますが、傷病恩給の認定の申請とか、いろいろ仕事が殺到して事務の進捗状況が非常に長いようです。聞いてみますと、件数に比してその職員というものは非常に少ないわけで、今のお話で十七名というわけでありましたが、私の聞いたところでは、もっと人員も少なく、また、扱っている件数が非常に多いわけで、一体あなた方としては、ああいう申請事務については、どの程度の期間で処理すれば、おおむね妥当だという考えでやっておられるのでしょうか。
  253. 河野鎮雄

    政府委員(河野鎮雄君) 事務処理のスピードにつきましては、どのくらいかかってもいいのだ、どのくらいはやむを得ないのだというふうな基準はないので、できるだけ早くというふうなことで、職員を督励して築地に当っておるわけでございますが、御質問もございましたように、だんだん人員も少なくなっておりますので、相当、従来以上に能率を上げていかなければならないような事情もあるわけであります。先ほど大臣からお答えがございましたように、むずかしい案件が非常に多くなって参りますので、スムースにいきますものは、それほど期間を要しないのでございまするけれども、なかなかむずかしい案件になりますると、相当の日数をかけなければ解決しないというふうな案件もあるわけでございまして、これらにつきましては、今後も正そう勉強いたしまして、皆さん方の御迷惑にならないように努力して参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  254. 田畑金光

    ○田畑金光君 厚生大臣に私は一つ御注意申し上げておきますが、今の森中委員質問に対して、親切ある前置きで御答弁をなされたわけですが、実は私、横須賀の地方復員部を見たことはありませんけれども、ある友人から頼まれて、これは海軍出身の傷病軍人ですが、傷病恩給の認定の申請をやってあるわけです。ところが、聞いてみますと、一昨年の秋ごろの申請受付けの仕事を、今ようやく手をつけておる、こういう実情であります。かれこれ一年以上、二年近くかかっておるわけです。進捗はさっぱりしていない。こういう状況です。聞いてみますと、まことにその取扱い件数に比較いたしまして職員の数が少い。おそらくこれは横須賀だけではなくて、その他の地方復員部も同様な状況じゃなかろうかと思うのです。皆さん方は、こういう委員会の席上等で質問されると、事なかれ主義で、うまくこう答弁をされて、その場その場を逃げておられますが、これは国民立場から言うと、迷惑しごくな話です。必要なところには、人員の配置転換によってでも私はできるものと考えておるし、また、こういう国民のしかも一番弱い層の人々が非常に期待して待っておるこの仕事が、かくのごとく延びておるということは、まことにこれは仕事の怠慢と、こう申さなければならぬと思う。厚生大臣は、親切な答弁でなくて、ほんとうに親身になって、そういう職場があるということを十分一つ認識を願って、すみやかにこれは解決のために努力を払われたいと、こう考えますが、どうです、厚生大臣。
  255. 堀木鎌三

    国務大臣(堀木鎌三君) 私は議会でもって言いのがれの答弁をして責任を果そうと思っておりません。私自身、当然の責任はいかなる場合でも果さなければならぬ、今おっしゃった点も、私もふだんから、それらの処理の件数がどうなっているかは見ております。きょう材料を持って参りませんでしたが、たしかに処理件数は全体から見まして、受付と比べて見まして非常に悪かった。約半年ぐらいの間に相当進捗いたしております。しかし、なお私は万全だとは思いませんが、今後、御注意の点はさらに一そうの促進をはかって参りたい、こういうふうに考えておるので、御質問があったから、いたしますというのでなしに、ふだんから私自身が件数を見ながら、心を痛めておるところでございます。
  256. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  257. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して下さい。  他に御発言もなければ、これにて質疑は終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  258. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして御発言を願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  厚生省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  259. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって、厚生省設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、その他自後の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    大谷藤之助  松岡 平市    永岡 光治  上原 正吉    剱木 亨弘  中野 文門    増原 恵吉  伊藤 顕道    田畑 金光  千葉  信    矢嶋 三義  島村 軍次    八木 幸吉  後藤 義隆    平島 敏夫  森中 守義
  261. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  262. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて。  それでは、暫時休憩いたします。    午後七時十八分休憩    ―――――・―――――    午後九時四十一分開会
  263. 藤田進

    委員長藤田進君) 休憩前に引き続き、委員会を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  264. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三点について承わります。この改正の第三点に、原子力平和利用のために、東海村の原子力研究所に原子力船に関する試験研究の支所を設ける、こういうことを規定されておりますが、日本の造船技術は世界的にも高く評価され、世界の第一線の水準にあると思う。しかし、原子力開発がおくれました関係上、原子力船についても、確かにここにうたわれているようにおくれていると思うのですけれども、このたびの東海村の原子力研究所に置くところの研究機関は、定員並びに予算はどの程度しているか、さらに、原子力船は、すでに先進国ではまさに実用段階に入ろうとしているのでありますが、日本関係機関からは、こういう先進国に研究生としてどの程度派遣されているのか、あるいは今後派遣される予定があるのか、それらについて一つお答えいただきたいと思います。
  265. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 運輸技術研究所におきまして原子力船に関する研究をやっております。先般、中田所長もアメリカに参りまして、それらについて研究をいたして参りました。提案いたしておりまする東海村に研究所を持って行くということは、予算は二百六十万円でございまして、定員は八人であります。
  266. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 きわめて基礎的な研究程度だと思うのでありますが、こういうこの速度で行って、そこに原子力船が作れるというのは、いつごろになるでありましょうか。造船技術は確かに日本のは進んでいるわけで、原子力研究所の設置等おくれましたけれども、こういうこの基礎科学についての有力なる研究者は、わが国の学界にいるわけです。ただ、その研究、特に実験方面を推進するところの施設等、設備が不十分であり、予算が伴わぬというところに険路はありますけれども、そういう条件が整えば、思ったよりも早く、実現する可能性もあると思うのですが、あなたたちの方では、どういうこの目途を一応立てておられるのか、あまり綿密なことはお答えいたしかねるかと思うのでございますが、大まかな目標でも一つお答えいただきたい。
  267. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 運輸省の方を中心といたしまして、原子力船の研究、これはなお数年しないと、私は遺憾ながら実現できないと思います。しかしながら、民間におきましても、これらに関する研究は今ある造船所などはやっておられるわけでありますから、今後も私はこれらの人とタイ・アップして早く日本におきましても原子力船が実現するよう努力をいたしたいと存じております。
  268. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないから多く聞きませんが、参考に承わっておきますが、ソビエト、アメリカはすでに持っていると思うのですが、世界各国で原子力船をすでに持っておるのはどのくらいあるのですか。
  269. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) まずアメリカでございますが、一九四七年に、アメリカの原子力の平和利用の開発計画を変更いたしまして、御承知のノーチラス号という潜水艦はすでに就役中でありまして、またシー・ウルフ号というのも一九五七年の三月に就航中であります。なお、貨客船といった大きなものも建造いたしまして、それに各国の原子力商船の技術研究者を乗せて、共同研究するというような企てもあるやに聞いておるのであります。それからまた、イギリスにおきましては、ソ連と並び最も原子力の研究が進んでおるのでございますが、一九五二年ごろからイギリスでは研究を開始されまして、現在非常に積極化されまして、原子力船の研究の専門チームを設けたと言われておるのでありまして、個々の民間の造船会社は、グループ活動によって非常にこの研究を進めておるということを聞いておるのでございます。ノルウエーにつきましても、すでに御承知のような海運国でございまするので、政府が設立いたしました原子力研究所を中心として、原子力商船の研究を非常に進めております。過般もわが国にその権威者が参りまして、設計その他の共同研究の第一歩を踏み出したというような形でございます。
  270. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣にお伺いしますが、相当長期間にわたって研究派遣者を出すべきではないでしょうか、昭和三十三年度に同名程度出される予定でありますか、あるいは予算に計上されていないのか、お伺いいたします。
  271. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 予算には何名派遣するかということは今は計上されておりません。しかし、将来仰せのように外国に派遣するということは、これはやらなければならぬと思いますが、先ほども申し上げました通り、中田運輸技術研究所長が、まず運輸省として最初にアメリカに派遣されたものでありまして、私はその報告はまだ聞いておりませんけれども、この中田博士は、日本におきましても原子力並びに原子力船の研究に相当以前から権威者として知られている人でありますから、この人によって、運輸省のこれらの研究、原子力船の推進の道は開かれているものと私は考えております。
  272. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 海に囲まれた日本の国としては、原子力平和利用としての原子力船の問題については、格段の推進をはかるべきだと思いますので、特に強く要望いたしておきます。  次に承わりたいことは、宮崎県に航空大学校があなたの所管としてあるのでありますが、現在わが国において免許を持っておるところの航空乗員はどの程度あるのか、さらに航空乗員の養成計画はいかようになっておるか、御説明願いたい。
  273. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 具体的な数字は官房長からお答えさせまするが、足らないのでございます。乗員は不足なのです。ことに今後数年後になりますと、私の統計によりますと、三、四百名足りない。そうしますると航空の発展に沿うて参りませんから、今回は航空大学におきましても養成に力を入れ、また、その練習機なども相当増すように考えておりまして、航空大学につきましては、十分な理想的な予算をとれなかったのでありますけれども、漸次これを拡大をいたしまして、ことに乗員の養成には全力をあげて参りたいと考えております。
  274. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 養成計画の数字を簡単に……。
  275. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) 終戦当時に、航空従事者が約一万二千人おったのであります。ところが、そのほとんどが再教育しなければ第一線に立つことができないような航空技術の発達でございましたので、そこで、われわれといたしましては、これらの乗員の養成につきまして、昭和二十七年度、昭和二十八年度に約七千五百万円の補助金を支出いたしましてアメリカへ派遣し、あるいは国内において養成を実施しましたりして、約六十九人の養成を行なって、わずかながらも、これが打解に努めたのでございます。現在パイロットの数は、定期運航用操縦士として百五十三人でございますが、これは日本のパイロットばかりでなしに、外人のパイロットの六十五人を含めての数字でございますので、これで非常に外貨の支出がここで出ておるわけであります。上級事業用の操縦士が六十一人、事業用の操縦士が四百四十五人、その中で外人が十七人、こういうような数字でございます。  宮崎の航空大学校の養成計画についてお答えをいたしますが、航空大学校の従来の本科生の養成の規模を、院名を三十名に今度はいたす予定でございます。従来の専科生の給源のソースがもうなくなって参りましたので、十名を三十名に増強いたしまして養成をいたす計画でおります。
  276. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がありませんから、あと二点伺いますが、その一つは、特にこれは大臣にこの際承わっておきたいと思うのですが、これはあなたの所管であるところのバス運行路線の免許についてです。これらの業者に過当競争をさせてはなりません。従って、路線の運行許可に当っては相当セーブされているわけですが、中には独占の悪弊が出てくる場合があります。私の知っている範囲内でも、路線を独占いたしまして、サービスを十分しないのみならず、そのバス会社が、非常に一党一派に片寄って政治団体的な行動すらするバス会社が点々とあります。それでは、このサービスの向上をはかるために、それに対抗するところのバス会社に運行を許可するかという、一つの基本方針からして許可しない、こういう過当競争をさせてはもちろんなりませんが、また、独占の弊害も出てきているわけです。従って、私はあなた方といたしましは、その実情を常に十分出先機関におい監督するとともに、また、ある程度の指導も必要だと思う。そうして目に余るものは是正するなり、あるいはサービス向上のためには、その対抗者に並行路線の運行を免許するというような方法も私は講じてよろしいのではないかと思うのですが、こういう点について運輸大臣はどういう見解を持っておるか、この際に承わっておきたい。
  277. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは既段の分と、それから新たに申請のものも相当あります。それでございますから、新たな申請の場合におきまして私は慎重に考えておるのであります。ともかく過当な競争のないように、これは仰せの通りであります。また、そういう対立的なものがあって、それがために地方民にかえって弊害を与えるというようなものは、話し合いをさしております。初めから話し合いをさして、そうしてこれを調整していくというふうにやっておりまして、独占的なものもございます。しかし、これにつきましても、ある場所におきまして、は、そこが一つの拠点となって非常に進歩しておる点もあるのでございます。独占、一県一社というような例もございます。これは、ある場合においては非常に発展分こいたしておりまして、設備もよろしい、いつも車体の改善もやりておりますから長所もございますが、同時に、おっしゃる通り独占になれで、あるいは企業の改善をしない、サービスを悪くしておるという点もございまして、この点は各地方の実情を見まして、運輸省におきましては、調整あるいは改善、こういうことに努力はいたしております。
  278. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に伺いたい点は、民間航空路線の拡大ですね。ことに民間飛行場の整備計画を承わりたいと思います。そして具体的になって非常に恐縮でございますが、あえて私は伺わせていただきたいと思うのです。私は原則としては、立法府にある者は行政府にあまり関与すべきでないというので、あまり私は行政府にいろいろと私的に申し上げることを差し控えておるわけなんですが、思い余ってお伺いするわけなんですが、具体的になって恐縮ですが、熊本の飛行場ですね。これは熊本という所は地域的に考えても、また観光的に考えても、国の行政機関の出先機関が多いという点から考えても、経済的に考えても、私は当然民間航空路線の充実という立場から取り上げられなくちやならぬと思うわけですが、どういうわけですか、何年という間放置されておる。これは私は非常に遺憾に思うのです。しかし、私は立法府に席を持っておりますから、行政府に圧力を加えるようなことはいたさない。しかし、いつまでも放置されておるので、私はたえがたくなりましたので、この機会に、民間に航空路線の全般的なものとあわせて、一体あの熊本の飛行場はどういうふうにあなた方は見られておるのか、一体いつ整備を完了されようとしておるのか、伺っておきたいと思います。
  279. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) ローカル空港の整備には努力いたしまして、三十三年度も相当の予算を計上いたしております。そのうちに熊本も入、ておるはずでございます。具体的なことは官房長からお答えいたします。
  280. 朝田静夫

    政府委員(朝田静夫君) 本年度のローカル空港の整備につきましては、三億七千三百三十二万円の予算になっておりまして、三十三年度におきましては、前年度に引き続きまして釧路、稚内、函館、高松、高知、松山、広島、大村、熊本、鹿児島の十空港を整備いたしたいと考えております。そのほかに、新たに女満別と八丈島、種子島、屡久島の四空港を離島振興の関係で整備をするという予定にいたしておるのでございます。
  281. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  282. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶあり〕
  283. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして順次お述べを願います。  別に御発言もなければ、これより直ちに採決に入ります。  運輸省設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  284. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって、運輸省設置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、その他自後の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名    大谷藤之助  松岡 平市    永岡 光治  上原 正吉    剱木 亨弘  中野 文門    増原 恵吉  伊藤 顕道    田畑 金光  千葉  信    矢嶋 三義  島村 軍次    八木 幸吉  後藤 義隆    平島 敏夫  森中 守義   ―――――――――――――
  285. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  286. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して下さい。  次に、国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案を議題といたします。  これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  287. 永岡光治

    ○永岡光治君 お尋ねいたしますが、第四十五条の、今度の法律ですが、これによりますと、例の管理職からこの長期給付の適用に入る人ですね、それがその資格を得てから、これによると二年以内に退職したらこれは適用を受けないと、こういうことなんですが、これはあまり期間が長いのじゃないか。当然これは、この法案を出すときにいろいろ問題になった条項だろうと思いますが、たとえばこれは六カ月以内とか、もう少し短縮した、二年より短縮した期間でなぜできなかったのか、その辺の事情を明確にお答えいただきたいと思います。
  288. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 第四十五条の規定は、趣旨を申し上げますと、今回、恩給法とこの共済法の長期年金の規定は変更いたしまして、長期年金の規定の適用を受ける者に対しましては、別途高額の退職手当を支給されることになりますので、従いまして、退職の直前と申しますか、退職前に、従来、恩給法の適用を受けた者をその長期給付の適用を受ける職場に回しまして、年金あるいは退職手当を高率とするというようなことはあり得ないことではないわけであります。そういう場合の措置といたしまして、この規定を考えているわけでございます。これを二年にいたしましたのは、大体何と申しますか、一般の人事交流というものは、一般官庁から長期給付の適用を受ける現業の官庁にまた帰ってくるというような人事交流は、大体二年間が常識でございますので、その辺で押えたのであります。三年もたちますと、長期給付の規定の方で退職一時金ももらえるようになるわけであります。大体二年ぐらいのところをめどにおいて、こういう趣旨の規定をいたしたらどうかということで書いたのであります。
  289. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案は、経過規定が主で、ずいぶん立法に骨を折られたと思うのですが、しかし、結果から言うと、おおむね非常によくできておると思うのです。そうして、あなたの説明も非常にずいぶん研究なさったでしょう、よくわかりました。で、一、二点だけ伺って質疑を終りますが、その一つは、先ほどの説明のときに、不則の穴ができた場合は、それは国が負担する。で、この国家公務員共済組合法の適用者の中には、地方公務員の一部も入っているので、その地方公務員の支給に関して穴ができた部分は、これは地方で負担する、こういう御説明がありましたが、その地方の負担分というのは、地方財政の中から持ち出しになるのか、あるいは自治庁の平衡交付金その他で、間接的には国が負担するというような形になるのか、並びにその地方が負担増になる金額というものは、なかなか数字ははかりがたいと思いますが、およそどれくらいになると踏まれておるのか、お答えいただきたいと思います。
  290. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 地方公共団体の追加費用の負担は、地方財政計画の上において、地方の財政支出の面で見るわけであります。もろもろの財政の支出がございますが、その中の一項目としてこの追加費用が当然出て参るわけであります。金額といたしましては、ごく概算でございますが、初年度において、つまり三十四年度において約二億と計算いたしております。
  291. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この経過措置に当っては、既得権と期待権を非常にうまく尊重して書かれておるようであります。もう一ぺん私は説明を承わりたいのは、退職年金の若年停止のさっきの説明のところが、ちょっと理解いたしかねましたので、もう一回そこのところを説明していただきたいと思います。
  292. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 退職年金の若年停止の規定でございますが、これは第十五条にございますが、これはこういうことでございます。過去の恩給法上の公務員、つまり新制度に切りかわった人間が、過去の恩給法上の公務員の期間が約五年であったという場合には、その五年以上、五年以上であった人間について、この若年停止の経過措置があるわけであります。この五年以上の経過期間につきましては、恩給法上の支給率で新退職年金を計算いたします。その計算された金額につきましては、五十五歳にならない前、つまり四十五歳であってもその半分は支給する、五十五歳まではその七割を支給するということにいたしておるわけでございます。
  293. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 了承しました。非常に合理的です。  最後にお伺いいたしたいのは、衆議院からこれは修正して送られてきているわけですが、その修正条項のうちの二十八条の修正部分について、もう一度説明していただきたい。
  294. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) 新制度の遺族年金は、組合員の期間十年以上で死亡した者に支給するということに相なっております。その新制度施行後、組合員期間十年の計算につきまして、政府原案におきましては、新制度施行後十年勤務した者ということになっておりました。しかしこれは、すでに過去において、新制度施行前に、公務員として勤めた期間を持っておられる方が大多数でありますので、過去の期間も含めて、十年以上をもって年金が支給できるというふうに修正に相なったわけであります。
  295. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その継続する以前の身分というのは、恩給公務員でも、給与法による共済組合の組合員でも、どちらでもよろしい、こういうことなんですね。
  296. 岸本晋

    政府委員(岸本晋君) さようでございます。
  297. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案全部を問題に供します。本案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の力の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  300. 藤田進

    委員長藤田進君) 全会一致と認めます。よって、国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、その地目後の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名    大谷藤之助  松岡 平市    上原 正吉  剱木 亨弘    中野 文門  増原 恵吉    松村 秀逸  伊藤 顕道    田畑 金光  矢嶋 三義    島村 軍次  八木 幸吉    大谷 贇雄  後藤 義隆    平島 敏夫  森中 守義   ―――――――――――――
  302. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  303. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 公務死に関達して長官及び担当局長に若干お伺いしたいと思います。陸上自衛隊の島松駐屯地の部隊に所属して昭和三十一年九月十七日に死亡した広島県の高田郡白木町秋山の出身である故陸士長の柳天壽君の遺族から、先般、公務死の認定申請に対して、いろいろお願いしておるわけでありますが、当局にあまり誠意がないために、いまだにこの問題は解決していない、そこで、遺族の方々や、地元の数多くの方々が、何とかこの真相を究明して一日も早く解決してほしいと、そういう要望が強いわけです。こういう強い要請に基いて、このような資料をもとにして二、三お伺いしたいのですが、自衛隊員においては、御承知のように、任務の性質上、一般の公務員とは違って、いろいろ病気休暇とか、あるいは診察を受ける際など、いろいろと自由の拘束もあろうと思う。そこで、自衛隊法施行規則の第四十八条にそういうことが見えておるわけですが、医官の証明が必要でありますし、また、長官の定める所属長の認定が必要である。こういうようなことがうたわれておるわけですが、そこで、医官の証明と所属長のそのときの状況判断によって、特定の日か、あるいは休養の時間が与えられる、そういう状況下に起きた問題だと思いますが、問題は、本人が九月十四日の朝、頭痛を訴えて医官に診察を求めた、普通であるならば、診察を求めて来たわけですから、当然、医官が、診察をして、その結果、これに該当する薬を与えて休養をとらせる、これが常道であろうと思うのです。ところが驚いたことには、この時の情勢を伺いますと、全然その医官が診察をしないで、頭痛を訴えて来たので、おそらくかぜだろうということで、かぜ薬を与えて帰した、ここに悲劇の第一の問題があると思うのですね。診察をしないで薬を与えているという点が問題点の一つだろうと思う。それから、そういう患者に対して午後から勤務させたということ、休養をとらせないで、すぐ午後からの訓練に参加させた、そこに第二の問題があろうと思うわけです。こういうような点についてどのようになっているか、一つこの点を明確にしていただきたいと思うわけです。
  304. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ただいまの御指摘の事項については、実は私のところへは報告を受けておらぬのでございますが、政府委員が見えておりまするから、あるいはその方へも報告がないかもわかりませんが、委員長のお許しを得まして、一応、政府委員の方で答弁をさせていただきます。
  305. 山本幸雄

    政府委員(山本幸雄君) ただいまの具体的事案につきましては、実は私どもの方も、いまだ報告を読んでおらないので、御指摘のごとく、この病気休暇の場合は、医師の証明によりまして、所属長が最小限度必要と認める日、あるいは時間の休暇を与えるという建前になっておるのでございまして、ただいまの場合も、やはり医師が診断をして、さような休暇を与えるというのがほんとうであったと思います。今のお話を承わりますと、診断をせずに投薬をしたというようなことでございますが、原則としては、さようなことはないはずであると考えます。具体的の事例を承知いたしておりませんので、抽象的なお答えしかできないのを残念と思います。
  306. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この要請による資料をつぶさに見ますと、こういうことがまた問題だと思うのですが、勤務を終えた十四日の晩から悪化したわけですが、医官もこのことについては遺族に語っておるというわけですね。十四日の晩から悪化したということについては、医官もはっきりとそのことを確認しておる。そのとき診察したのかどうかということが、一点まだ不明瞭なのですが、これはまさしく、そのときの情勢から過労であるということを皆判断しておるわけですが、その遺族なり、また地元の方々は、そこでそのときの状況について、一つ、はっきりさしていただきたいと思うわけです。
  307. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ただいま政府、委員からもお答え申しましたように、そのことについての報告が、本庁の方へ参っておらぬようでございます。しかし御指摘の点はまことに重要なことでございます。さっそく取り調べることにいたします。
  308. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いまだに本庁の方へそういう報告が来てないということについては、これはまあずいぶん前の話であるので、はなはだ遺憾だと思うのですが、そこで、こういう要点々々について、かいつまんで要請申し上げますので、このことをよく御記憶にとどめていただいて、早急に一つ調査を願いたいと思うのですが、さらに要点について申し上げたいと思います。そこで十五、十六日とこの二日間については、病名がはっきりしないので、おそらく風邪であろうという判断のもとに、いわゆる風邪に対する対症療法をしておったということ、そこで、結局その間の扱いについては、まことに粗雑であったというそしりは免かれないと思うのですが、こういう点については、この問題に限ったことでありませんので、この点に対する御見解を伺いたいと思うのです。
  309. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 診断後において病名が十分わからないので、風邪に対する対症療法をやった、こういうことでございます。その点についても今具体的の報告がございませんで、どういうような対症療法をしたかということが、はっきりわからぬわけでございます。いずれにいたしましても、これは全体の問題でございますが、この今日の自衛隊においては最も医官の不足を感じておるわけであります。これは何とか十分な措置を講じなくちゃいかぬと、こういうことでございまして、御審議中の防衛庁設置法の中にも、この医官部面については十分な対策を講じよう、また、その他の医療の資材等についても十分な措置を講じようというわけで、本庁に衛生局を置くというようなこともございます。従って、今の事案についてこうだということは、これは十分調査いたします。至急に調査いたします。しかし、われわれはこの問題についてのみならず、全体の自衛隊の保健衛生ということについては、今後非常な対策を講じたい、こういうことで、今回の法律案にもそのことが規定されている、こういう次第でございます。
  310. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまの点は、全然知らぬということですが、北海道現地部隊でも問題になり、すでに東京の幕僚長のところまできて、自由民主党の某代議士もこれに関係して、相当問題になっている事件なんですよ。変死しているというので、果してそれが病死なのか、その他の原因なのかという、死因に、遺族としては問題にされて、相当広範に訴えられている問題であります。いろいろな自衛隊に関する投書などは、相当私の手元にきております。きておりますが、そういうものはそれとして、現実に名を名乗って出られて、しかも自衛隊の内部における諸般のことが訴えられてきている問題を、伊藤委員質疑をしているのでありまして、これはわが国自衛隊全般に関連を持つ問題でありますから、やはりこの際明瞭に、また明朗にあなた方の考えなり、今後の方針を示される必要があろうと思います。
  311. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) はなはだ遺憾でございますが、私のところへはその報告がなく、また、ほか方面からも、その問題に関した事柄についての申し出に接しておらなかった、これははなはだ遺憾なことでございます。隊員の保健の関係においては、従来においても十分の注意を払って参ったわけでございまするか、なお足らざるところが多いと思います。その意味におきましては、医療対策、また保健衛生の関係において、昨年秋以来いろいろ対策についても検討をいたして、今回の法案においても、先ほど申し上げましたように、衛生局を置きまして、基本的な政策はもちろん、その他の部面において十分の対策を講じたい、こういう次第でございまして、ただいまの案件について私のところに報告が出てないということは、これは手続上の誤まりがあったかもわかりません。委員長指名のように、陸幕というか、陸の方では聞いていることであろうと想像しますが、まだその報告を長官としては承わっていない、こういうわけであります。
  312. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいま委員長からも指摘がありました通り、長官はしばしば知らない、存じないということでございますが、実は、ここに御出席になっている現加藤防衛局長も存じているはずです。また、駐屯司令部、幕僚長もこのことについては、これは最後に申し上げるつもりでございましたけれども、書面上で非公務死ということで判定しているわけです。にもかかわらず、関係者が同席しておって、なおかつ知らない、存ぜぬで答えないということは、きわめて遺憾だと思うのですが、加藤防衛局長にお伺いしたいと思います。
  313. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) この事件を私も確かに話を聞いたことがございます。ただ、具体的な事件は覚えておりませんので、御本人の御両親でございましたか、どなたかから手紙をいただきまして、私といたしましては、正式に、異議があるならば、異議があるような方法で申し出をされたらよかろうということをお話したような記憶がございます。
  314. 藤田進

    委員長藤田進君) どうして、知っているのに今まで長官は知らない、人事局長も知らないということはどうなんですか。政府委員できておったのに、今ようやく思いましたということですか。
  315. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私は昨年の八月に防衛局長にかわりましたので、現在の主任の局長が御答弁なさるものと思っておりました。
  316. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今も重ねて申し上げましたように、防衛庁にこういうことが入っていないということはないと思うのです。その責任のがれの言質には非常に憤激を感ずるわけですが、そういうような状況なので、このときの状態についても、こういう重要犯罪に対して、いろいろ粗雑な扱いがあったということは、数多くの陳情の書面の中にありありと見えておるわけです。そういう点、まことに遺憾だと思うのです。たとえば、この場合でも、本人が臨終というその間際に、医官が一人も付き添っていなかったというようなこと、看護婦に呼ばれて初めてかけつけたというようなこと、で、簡単に心臓麻痺であると、そういうようなことで片づけておるわけですね、こういう点については、まことに遺憾と言わなければならないわけです。こういう点をはっきりとさしていただきたいと思うのですが、加藤防衛局長は、そのときの情勢はかすかに覚えておるという程度なんですか。
  317. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私もその程度でございまして、防衛庁内の扱いといたしまして、それぞれの権限の委任がございます。そこで、今の場合はたしか陸上幕僚長の権限で認定をすべきものであったように思うのでございます。私のところには直接に、先ほど申し上げましたごとく、御本人の御父兄の方だったと思いますが、お手紙が参りましたので、正当の筋で扱うようにということを私は申した記憶がございます。
  318. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほども申し上げたように、発病は十四日であったわけで、そこで、診察を請いに行ったが診断はしてくれなかった。おそらくかぜであろうということで、かぜ薬だけもらった。しかも休養がもらえないので、午後、訓練に参加して、その夜から発病した、そういう経過なんです。ところが、まことに不可解にも、この療養経過報告書によりますと、十四日にはすでに発しておるこの病状が、十五日の初診となっておるということ、これはまことに不可解だと思うのです。そのときの情勢を知らないとしても、これは書面で見ても、十四日にすでに発病して薬をもらっておる。それをこの経過報告書には、十五日の初診になっておるという点、これはもうまことに不可解な問題だと思うわけです。なお、そのときの状況を見ますと、直接、直属上官である中隊長から、この点については十分事情を知っておるので、この点について公務死の上申をしておるわけです。にもかかわらず、この一番事情を知っておる直属上官から、公務死であるという上申がなされておるにもかかわらず、そういうものを無視して非公務死と判定した。これはまことに不可解だと思うのです。この点は特に重大な問題であるので、長官のお考えを伺いたいと思うのです。
  319. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 診察の点、またそれの報告、またこれが公務死であるべきものが非公務死になっておる、こういうような御指摘でございます。もし何らかその手続にそごがあり、取り扱いにおいて妥当を欠いた点があれば、これは私は非常に責任を問わなくちゃならぬ、ただ、ただいま申し上げましたように、具体的の事実について私は至急報告を徴したいと思っております。お説の点はまことにごもっともなことであり、また、私としてもはなはだ遺憾に存ずるわけでありまするが、ただ、重ねて申しますが、至急に調査をいたしまして適当な措置を講じたいと、こう存ずる次第でございます。
  320. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 重ねて申し上げますように、この療養経過、死亡診断書、こういうところから医学上最善を尽したのだと、こういうふうに言われておるわけですけれども、その当時の状況から推して、結局、公務遂行のための公務死であったということが断定されると思うのです。そこで今、長官から所信の表明がありましたから、その点については追及いたしませんけれども、このことについては、早急に現地に調査員を発して緊急緊密な調査を要請したいと思いますが、この点重ねて確答をいただきたいと思います。
  321. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) この問題については、御指摘の通り至急現地に人を出しまして、また、もし報告があれば、それは同時に詳細に調べまして、必要に応じて現地に人を出しまして、仔細な調査をさせたいと思います。
  322. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で最後に一点だけ重ねてお伺いしますが、死亡後、この御本人は一等陸士から陸士長に昇進しておるわけですね。この施行規則の第三十条によりますと、こういうふうになっておるわけです。この施行規則第三十条の第一号においては、「職務遂行上功労があった者」、それから第二号は、「公務上の負傷又は疾病に因り死亡し又は不具廃疾となった者」、この第三号は、「前各号の外、長官が特に定めた場合に該当する者」、こういうふうに御承知のようになっているわけです。いずれにいたしましても、昇進させたことは職務遂行上か、あるいは公務上かにかかっておるものであって、この点から推しても職務遂行上とすれば、これは当然、公務につながるものと断定せざるを得ないわけですが、こういう観点からいっても、これはどうしても公務死でなければならぬと思うのです。なぜ一等陸士から陸士長に昇進したか。今私が申し上げた一号、二号、三号のいずれかに該当するわけです。いずれに該当したとしても、当然に公務、職務遂行上に関係するわけです。そういう観点から、この点はどういうような意味合いで昇進さしたのか、そのことの理由がはっきりすれば、おのずからはっきりすると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  323. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) その点につきましても、昇進の事情がどの条項に該当し、実行されたかという問題もあわせて、先ほどの調査において綿密に取り調べたい、こう思います。
  324. 森中守義

    ○森中守義君 私は先般、防衛庁長官に御質問を申し上げた中で、どうしても理解できない点が二、三ありますので、ごく簡単に御質問を申し上げます。それは、わが国の防御計画は大体何年目ぐらいに自立能勢ができるのか、こういう御質問を申し上げましたときに、なかなかそのことは客観的な諸情勢によって明確でない、こういう御答弁がありました。しかし、大事なことは、国情を無視するような軍備の強化はしない、これは私も了承できるのであります。しかしながら、客観的な諸情勢ということをたてにして、無制限に毎年一万数千名ずつの自衛隊員の増加があってみたり、あるいはまた新兵器が次から次に保有されて行くというようなことは、将来にわたって危険があります。そこでお尋ねしたい点は、安全保障条約の中で、明らかにアメリカとしては日本の自立的な防衛体制の確立を漸増的に期待をする、こういう条文があります。それで、一体今から何年目ぐらいに完全な自立態勢を計画されるおつもりであるのか、この点を、やはり防衛には限界があるはずでありますから、正確に御答弁をいただきたい。これが第一点であります。  それともう一つ、ただいまの安全保障条約の中でうたわれているわが国のいわゆる自立態勢ということと、うらはらをなす言葉として、あるいは状態として、最近うかがわれるのは、明らかに日米共同防衛体制、こういうことが言われて参りました。これは安全保障条約を明らかに逸脱をした行為だ。逸脱をした防衛体制であろうと思うのです。そういうことになりますと、自立態勢、さらに共同防衛体制という相二つの矛盾点に対して、防衛庁長官はどのようにお考えであるか、この二つの点をまず第一に明らかにしていただきたいと思います。
  325. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 第一点は、今日の防衛力整備目標というのが、国防会議で決定いたしまして、これは昭和三十七年度にでき上るわけでございます。三十五年度にでき上るものもあるし、三十七年度に完成すると、こういう目標でございます。この目標は、とにかくわが国の国力、国防上に相応して、最小限度自衛体制の根幹を作って行こうと、こういうわけで、逐次これが漸増の形態をもって、今その第一年度に相なったわけでございます。これが三十七年度までに及ぶわけでございます。その後においてどうなるか、あるいはどの程度まで行くのかという問題は、これは結局わが国の国情を無視することもできない、また、国力、民生安定ということと調和をとり、財政の許す限度において最小限度自衛体制を作ろうという、この基本方針を変えるということはないわけでございます。大体の目標といたしましても、これは国民所得の約二%見当というものはこさないというぐらいな、つまり一つの何というか、目安もあるわけでございます。しかして、実際において兵の数とか、あるいは艦のトン数とか、飛行機の数とかいったものは、これは今のところで、三十七年度以降にわたって、どういうことをするかということについての具体的の案を持っておらぬわけでございます。これは一にこの国際情勢、その他の状態、先ほど申しました国内の問題は当然でございます。外交部面とも関係があるわけであります。こういう問題はまだ確定したわけでございませんで、今後、この漸増の計画の遂行の状態に応じて、今申しましたような国防の基本方針によって、これから研究をいたしたいということでございまして、いかなる場合においても、先ほど申しました基本的な方針というものは、ここにその確立したものに順応してやろう、こういう方針でございます。
  326. 森中守義

    ○森中守義君 防衛体制との矛盾。
  327. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 次に、第二点の日米共同防衛ということは、結局、日米安保条約によって表われたる事柄を指して言うのでございます。しかし、この条約は、第一条に示すがごとく、日本において外国からの侵略等があって、また、内地に騒擾があるといったような場合に、アメリカ駐留軍がこれに対して、日本の要請に応じて、日本の安全をはかるということに寄与しようというわけでございます。その意味において、これを共同防衛という言葉で表わすのが適当であるかどうかわかりませんが、一般的に日米共同防衛と言っています。共同措置をとるということは、これは行政協定の二十四条にございまして、いわゆる外国からの武力行使侵略があった場合に、どういうような処置を講ずるかについては、二十四条において、日米両国政府において協議をしよう、それは共同行為をとる、措置をとる、また、第一条の目的を達成するようなために、共同措置の協議をするということになっております。わが国は、米国側に対する不正な侵略というものに対して、自衛隊がこれに対して共同の防衛というものに当るということではない建前でございます。すなわち、わが国の急迫不正の侵害に対して、どういった措置をとるかというところに、共同措置という言葉が行政協定二十四条においても出ておる、こういうようなものであると、こう私は了解いたしております。
  328. 森中守義

    ○森中守義君 大へん深更に及んでいますので、お疲れなので、ちょっと私の質問が判断できなかったのじゃないかと思うのですが、後段はそういうことを聞いているのじゃないのです。なるほど共同防衛の意味合いというのはそういうことでしょう。しかし私が承わっているのは、日本の防衛の状態を聞いておる。よろしゅうございますか。安全保障条約では、アメリカは日本に対して、自衛は自前になるということを期待しておる。ちゃんとそういうことがあります。ここに、自前になりなさい、漸増的に軍備を持たないよう、いわゆる侵略をしなければならぬというような、そういう武器を持たない方向で自前になれ、実にむずかしい意味合いでありますが、そういう意味なんです。だから、自前になれということを期待しておりながら、共同防衛をしようということは、すでにして安全保障条約の精神を逸脱しているのではないか、これが私の質問の主要点なんです。もう一回正確にお答え下さい。自前と共同という混淆された現下の情勢というものはどういうことかと、こういうことを聞いておるのです。
  329. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 安保条約の前文に示してある点を御指摘のことと思います。これは言葉の上においては、日本が直接間接の侵略に対して、自国の防衛というものを今後漸増していくということを、そういった責任を負うことを期待していると、こういうわけでございます。でありまするから、将来の情勢いかんによって、かりにわが国が自分の国力相応のもので一人前となって、一国によって自分の国の防衛を達成できると、こういったことを期待するという文句ではないのでございます。従って、第四条の規定のごときも、これは適当なる集団安全保障のようなものができるということも期待されておるということもあるわけでございます。現実の問題として、わが国一国で、今言ったような国力において絶対に、その安全保障によらないで守っていけるということを、その程度の防衛計画をやるということは安保条約においては私は約束していないと、こう思っております。
  330. 森中守義

    ○森中守義君 ますます複雑になりましたね。この最後の個々的あるいは集団的という意味は、もうすでにこの安全保障条約で集団的なものを作ろうと、こういうものじゃないのですよ。だから、この安全保障条約の精神というものは、自前になるということがこれはやはり第一義的なんです。だから共同防衛体制ということが新しい問題として発展した今日に応じては、すでにこの条文は日本とアメリカとの間において、新らしい共同防衛の条約を新しく作らなければ、今、長官のお答えになったような意味合いにはならないと私は思うのです。それが第一点と、それと前段の御説明で、三十七年度という年次の目標を置いておいでのようでありますが、この三十七年というのは、自前になるという、そういう前提に立った防衛計画じゃありませんか。
  331. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 三十五年ないし三十七年度で終るこの防衛力整備目標が、その完成の暁においては、何ら他国の力を借らずして、日本自衛隊によってわが国を完全に守り得るものである、従って安全保障の条約も要らない、また、国連の集団安全保障の力にもよらなく自立できるものだと、そういった意味の目標ではないのでございます。また、それでできる場合もあり得るでしょう、国際情勢の変化においては、その点は一にその当時における国際情勢、外交上の状態といったようなものを合せ考えて、特に判断されるべき問題だと思っております。
  332. 森中守義

    ○森中守義君 それでは三十七年までに自前にならないということであれば、先刻申し上げた共同防衛ということは安全保障条約にはありません。だから三十七年までに自前でないとすれば、共同防衛についての条約というものが締結されなければ、この安保条約のワク内にないのですから、おかしいということになりはしませんか。
  333. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 安保条約の建前において、わが国の防衛力整備目標達成の暁は、この条約というものが効力を失うといったような意味はないのでございまして、そのときの状態いかんによっては、これはもちろん安保条約というものの力によって、わが国の防衛というものを全うして行くという場合もあり得るわけでございまして、それはそのときの事情によることであると思うのでありまして、必ずしも第一次整備目標というものによって、わが国は一国によってわが国を守れるという体制が必ずできるということを今日申し上げるということは、これは時期尚早ではなかろうかと思うのです。
  334. 森中守義

    ○森中守義君 今の答弁にはいずれも了承できませんし、長官の言われること自体にも大きな矛盾があります。しかし、これは後日再びこのことについては質問を展開したいと思いますし、また、私のあとに御質問される同僚議員の関係があるようでありますから、今のことはそれでとりあえず打ち切りますが、もう一点、最後にお尋ねいたしますが、今回の数日間にわたる質問に対して、しきりに局地戦ということを長官あるいは総理お答えになりました。それで、局地戦の可能性があるかないかというこの問題が一つあります。今想定し得る具体的事実はどういうものか。それと最も身近な問題としまして、日韓交渉は依然として停頓状態にある。これがいつ完璧な妥結の方向に向うかは国民ひとしく憂慮いたしております。そういう日韓両国間の交渉というものがデット・ロックに乗り上げてしまって、いわんや韓国が自国の領土であるとする竹島に対して、主権の回復は軍事力に、軍事行動に訴えたような場合に、長官としてはどういう措置をおとりになるつもりですか、自衛隊を出動させられるおつもりであるか。
  335. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 局地戦ということを申しましたことは事実でございます。しかし、それは今後起るべき非常事態、そういったものが世界の全面的戦争といったような様相を呈するか、またはそれに至らないまでも、地域的なもの、部分的なものである、そういったことになるか、これには各国の軍事家、各国の軍事当局においても、いろいろな観測はあるわけでございます。しかしながら、今日の多くの方の見方は、今のようなICBMとか、そういったような原水爆等を全面的に使用してのいわゆる全面戦争ということになる公算は非常に少い。これは手詰まりの状況である。人類の滅亡である。こういった観点から、これに対しては公算が少い、また、そうさせなくちゃならぬというところに、世界の世論というものが、今日のかくのごとき力をもって巨頭会談その他の具体的な施策を要望している、こういう事態でございます。しかしながら、それならば、それといって、この局地的に起るような戦争、またその使うべき兵器というものは、こういった原水爆でなくても、あるいは小型の核兵器もあれば、また、いろいろな新式の兵器もある、こういうような事態も想像される。すなわち、局地戦争はあり得ないという断定は今日は何人もなく、むしろその公算の方がより多いという見方をしておる、従って、そういった場合に対処しても、一国の防衛上の準備というものが必要である、こういう観点から、今日までそういったことを申し上げた次第でございます。その場合において、第二の質問だと思いますが、わが国の自衛隊のいわゆる実力行動と申しますか、防衛出動というものは、わが国を直接に侵略すると、こういった場合に対して、自国を防衛するというだけの任務を持っておる防衛出動、また国内におけるいろいろな治安の関係での出動もございますが、そういったような意味において、自衛隊の存在というものの使命と任務をはっきりと自衛隊法に書いてあるわけです。この範囲以外は実力行使というものは絶対にいたさない、こう申し上げておる次第でございます。
  336. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと答えが出ておりません、具体的に長官、日韓交渉が行き詰ってしまって、竹島の主権回復を軍事行動に訴えて韓国が来た場合に、防衛としてはどうなさるのか、これの答えが出ておりません。
  337. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) そういったような具体的な事例については、今、今日ここで申し上げることはいかがかと思います。その場合において、この自衛隊法その他に照して防衛出動をする必要ありやいなやということは、慎重に検討しなければならないと思います。
  338. 田畑金光

    ○田畑金光君 一、二の点について具体的にお尋ねいたしますが、今回のこの法律案によりますと、防衛庁長官が相当と認めるときには、友好諸国との親善関係を増進する目的のために外国人を防衛大学校に入れて教育をする、こういうことになっておりますが、具体的にどういう国の学生をわが国の防衛大学校に入れて教育をなされようとしておられるのか、そういう外国等から申し入れがあったのかどうか、さらに、こういう場合に費用はどういうことになるのか、たとえば日本はコロンボ・プランに入っておりますが、コロンボ・プラン計画によりますと、技術者をわが国から向うに派遣する、東南アジア諸国に派遣する、あるいはまた研修生をわが国に招いて、わが国において教育をして帰してあげる、こういうようなこと等がありますが、そういうような計画等との関係において教育をなされようとするのであるか、さらに親善関係を増進するというお話でありますが、こういうような形の軍事教育を施し、こういうことによって親善関係を増進するという見方でありますが、それはどういう角度からそういうような考え方を持っておられるのか、これを承わっておきたいと思います。
  339. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 防衛大学に、外国の希望ある場合に留学生として入学を許可する方法を、道を開きたいというのがこの規定の目的でございます。しかして実際の問題としましては、その希望を政府を通じ、外交のルート等によりまして、その希望が出た場合に、これを慎重に検討いたして、これはその必要があると認め、また、それが両国間の親善の上にも貢献するだろうということの十分な判定をした上で、これを受け入れたい。なお経費につきましては、これはその国の政府あるいは本人の場合もあるかもしれませんが、本邦側の負担ではなくて、先方側の自弁という建前であります。これが親善関係においてどういう影響があるかということでございますが、これは一般抽象的の問題でございますが、相手国が日本のこの教育によって自分たちの修養、訓練に資するということからして、これに対する期待を持ってやるということから、両国の国交関係においても、親善関係を増すだろうというような場合に、これを認めていこう、こういうことでございます。
  340. 田畑金光

    ○田畑金光君 具体的に東南アジアの国々等から、日本の防衛大挙に一つ教育をしてくれぬかと、こういう申し入れ等がありましたのかどうか。  それからもう一つ関連してお伺いいたしたいのは、二、三年則だったと思いますが、仙台の米軍の駐留軍の中におきまして、やはり台湾でありましたか、兵隊を呼んで教育をしていたような事実があったわけで、これも当内閣委員会等でいろいろ論議された問題でありますが、アメリカの駐留軍等におきまして、友邦諸国と申しますか、東南アジアの国々等の兵隊等を呼んで入れて、教育をしておる事実が現在もなおあるのかどうか。
  341. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 第一の御質問は、この制度の適用方を希望する国ありやというのでありますが、これはまだ正式にはございません。ただ、今日までタイまたはビルマ等で、もしこういう制度ができれば、留学をしたいという者があるということの非公式の話は承わっております。それから駐留米軍において、この東南アジア等の外国の隊員と申しますか、そういったものを、訓練のためにこちらによこしておるのを受け入れておる事実ありやということでありますが、現在はこれはございません。
  342. 田畑金光

    ○田畑金光君 MSA協定に基きまして、この第七条に規定いたしておりますが、この軍事顧問団がわが国に派遣されておるわけであります。昭和三十年から三十一年、三十二年、三十三年、派遣された軍事顧問団の数は、昨年、昭和三十二年度はかえって三十年、三十一年度よりもふえておるわけです。増加しておるわけであります。軍事顧問団の役割というものは、先ほども申し上げたように、MSA協定で明確に規定いたしておりますが、なお、これを今後とも必要とするのかどうか。これは条約上必要だということになってきますと、そうでありますが、しかし軍事技術の面とか、あるいはこの日本におけるアメリカの供与した兵器の運用についての監察とか、いろいろ任務がありまするが、これは今後とも尊重するのかどうか、昭和三十三年度にはどの程度にこの数がなって行くのか、さらに軍事顧問団については再検討する時期が来ておるのじゃないかと、こうも考えられますが、どういう工合に政府としては処理されておるのか。
  343. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 軍事顧問団の米国側の人数はだんだん減っております。三十三年度においては、三十二年度よりは約百人ぐらい減る予定でございます。これは政府の関係でございます。やはり経費においても六億円が今年度は五億円に減るという漸減の形をとっております。なお、その必要有無につきましては、このMDAPと申しますか、供与物資もむしろ三十二年度よりも三十三年度において増加を見ておるというわけでございます。これは防衛力整備目標の達成に関連をして、各種の援助物資というものが、また新しいものが供与されるということを期待し、また、これが執行に当るということに相なっておるのでありまして、ここ当分この顧問団の必要ということは、これは避けがたいことだろうと思っております。
  344. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないので、簡単に伺いますから、明快なお答えを願いたいと思います。  まず第一番に、安保条約第一条の「日本国内及びその附近」という言葉と、行政協定二十四条の「日本区域」という言葉と、それから安保委員会の(イ)の項にある「日本における」というこの言葉、この三つは相違があるのかないのか、あるならば、どういうふうにあるのか明確にお答え願います。
  345. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 条約案文の解釈については、専門の担当者から答うべきでありまするが、大体私の了解しておる点についてお答えいたします。  安保条約第一条の周辺ということは、日本の領土内のみならず、その周辺海域等を含んだことを言っております。なおまた行政協定二十四条、これもこの安保条約の一条を受けた場合でございます。なお、日米安保委員会における「日本における」ということ、米軍の配置並びに使用といったような問題、駐留軍は大体、常時日本の領域内に駐留されておるという関係から、この言葉は狭い意味になるかもわかりません。しかしながら、この安保委員会の協議事項は、こういうことも含めて、あらゆる安保条約から生ずる諸問題を協議するということでありますから、委員会の任務としては、あらゆる安保条約から生ずるところの問題についての協議ということでありまするから、その議題事項というものは拘束を受けない、こういうふうに思います。
  346. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは具体的に、「日本国内及びその附近」ということと、「日本区域」ということと、それから「日本における」と、この三つの言葉の中には沖縄、小笠原は入っていないと、こういうふうに了承していいですか。
  347. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 一応この安保条約の関係におきましては、日本国内とその周辺ということでございまして、沖縄は入っていないということでございます。ただし、将来の問題は別でございます。
  348. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最初言ったのは入っていないのですね。
  349. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 入っていないです。
  350. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ、入っていないということだけ聞いておきます。  次に承わりますが、第二次世界大戦に大敗北を喫したわけですが、これは何といっても軍部が政治に介入してきたこと、それから星といかりの内部抗争が激しかったこと、これが私は大きな原因になっておると思うのです。そこで、今後の自衛隊は、ことに防衛庁の内部部局等は、あくまでもせびろがこれを支配して行くへきであって、制服とせびろとの関係は十分心しなければならぬと思いますが、防衛庁長官はどういう心組みで臨んでおられるかということと、それから私は、最近のこの防衛の事項というものは非常に複雑になり、また専門的になって参ったのでございますが、政党内閣のもとに政党所属の防衛庁長官が、ひどい場合には半年ごとに、長くても一年ごとにくるくるとかわっておりますが、多額の国費を使用しているだけに、このことは相当私は問題だと思う。防衛庁長官になって、一通りのみ込むのは大へんなことだと思うのです。ようやくのみ込んだころは更迭しなければならぬということが過去の実態でございます。  そこで、伺いたいことは、あなたは現在、防衛庁長官でありますが、防衛庁長官がくるくるかわることがいいかどうか、あなた自身のことじゃなくて、一般論として。それから私は、防衛庁長官は政党に所属してない人が防衛庁長官になることが適当ではないか、こういう見解を持っておりますが、お答え願いたいと思います。
  351. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 第一点の、制服以外の、いわゆるシビリアン・コントロールといいますか、文官が防衛の責任者となって制服を統御していくということがいいのではないか、これは私は全然賛成でございます。現在においても陸、海、空幕僚長は長官の補佐機関となっております。そういった意味において、現在の制度は非常に私は尊重され、また、これを維持せなければならぬものと確信いたしております。なお、防衛庁長官の更迭はいいか悪いかという問題ですが、これは政局が安定して、また、長くその地位にあるということが、あらゆる点においていいということは、一般論としては申し上げることはできると思います。なお、政党員外の者がいいか、政党員がいいか、これは国会政治、政党政治の世においては、シビリアン・コントロール、やはり政党員が長官になるのが私は適当な制度である、こう思っております。
  352. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在のわが国の政党の実態からは若干問題があると思うのですが、時間がございませんから質問を続けます。防衛大学について承わりたいのです。防衛大学の定員は五百三十人となって、陸海空のそれぞれの学生は、時間がないから数字を申し上げませんが、相当の差の比率となっております。で、この五百三十人のトータルと、それから陸海空それぞれの学生の比率は、いわゆる陸上十八万人、海上十二万四千トン、空千三百機という、この五カ年計画に基くものかどうかということと、それから時間がないから、あわせて承わりますが、防衛大学の学生の出身地別の表を見ますと、九州が断然多くて、東北がきわめて少い。県によりますと、一名も入学合格者がないというように、非常に地域的にアンバランスになっておりますが、これはどういうところに原因があるのか、防衛庁としては、防衛大学生の採用に当って、どういう対策を講じておられるか、あわせてお答え願いたい。
  353. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) この防衛大学の学生五百三十人と仰せられましたが、これは全体で約二千人おります。大体五百人は一学年におるわけでございます。それが四学年ございます。で、一期を五百人としまして、陸に三百、あるいは海に百、空に百三十というような割合で候補生として卒業するわけでございます。これは当然に将来幹部となる者でございます。その数等は、この防衛整備目標に沿うた空海陸の幹部の所要数を見込んで大体きておる。当人たちの希望は、空等においても、これは航空自衛隊の幹部になるべき将来の定員というものを、所要の人数を見てその配置をいたしておるわけでございまして、まあ要すれば、このいわゆる防衛の目標と所要の幹部数というものから割り出して、こういった人数ができておるわけであります。  それから入学者の問題でございますが、学生の採用されておる者、これは自衛隊各全体を通じて、学校と言わず、いろいろ各県によって、その応募採用の人数が違うわけでございます。九州は非常に多いのでございます。北海道は地域は大きいが、また人口の少いこともありまするが、比較的少い。その他各県によって、おのおの事情に応じてこれは区々なものでございます。防衛大学について、ある県は一人もないという御指摘でございますが、ある年において、五百人の中に、受験者はあっても採用にならなかった県があるかと思いますが、それは十分計数を調べてお答えいたしたいと思います。
  354. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ずいぶんアンバランスがある。原因がどこか、探求するとおもしろい結果が出ると思いますが、その質疑は繰り返しません。  で、引き続き防衛大学について承わりますが、私は先般の第二期生の卒業生を、お招きをいただきましたので、視察して参りました。卒業式に参加して見て、確かにこの防衛大学の大部分の生徒は、しっかりしておりました。中には、これは将来役に立つものかなあと思う者もおりましたけれども、おおむねよろしかった。しかし、私はあなたに申し上げたい点は、この約二千百人ほどおられるわけですが、こういう学生の将来のいかんが、わが国の国防並びに自衛隊のあり方を左右するし、きわめて影響性が大きいだけに、この教育はよほど気をつけなきゃならぬ。私はあなたにこの際苦言を呈してお答え願いたいのですが、あの卒業式の会食のときに、私も確かにごちそうになりました。あのときに、あなたはあの学生を前にして、このささやかな祝宴だ、で、防衛庁はむだづかいをしていないということは、現によくわかっていただけただろうということを、あなたはあいさつされた。卒業式におけるあなたの言われたことはりっぱであった。しかし、あの学生を前にああいうあいさつをしてはならないと思うのです。  ということは、防衛大学の学生諸君は、一人ですよ、年に三十六万一千二百五十七円、一人一年間に三十六万円、これを国費から負担していることになります。それ以外に、毎月学習費として三千五百円が手当として支給されるわけです。もちろん食費は要りません。それ以外に冬服が二着、夏服が二着と、時間がありませんから申し上げませんが、帽子が二つ、それから靴下四足まで、あらゆる品物が供与されているわけなんです。これだけ国からめんどうを見てもらっておれば、防衛大学の学生はよほど自覚をして、しっかりやってもらわなければならぬと思うのです。普通の学生はアルバイトをして学校に行きながら、あれは、入学式でも、卒業式でも、両親と一緒にささやかな食堂にも行けない学生が多いのです。ところがあの防衛大学の学生は、幸福にも父兄の方々と一緒に一堂に会して、そうして直属上官であるところのあなたを迎えて、そうして折弁当をいただけるということは、これは私は非常に幸福なことだと思う。そういう学生を前にして、ああいう甘いことを言うから、アカシヤ会なんてものあたりが出てくる。  このアカシヤ会を、私が行ったときにも調べて参りましたが、私は防衛大学の学生だからと言って、ダンスをするというようなことをやめるべきだというようなことは申しません。しかしながら、防衛大学の学生が、かりにクラブ活動にいたしましても、学校長の承認を得て、許可を得て、東京の東京駅のステーションホテルまで、ここまで出かけてこられて、そうしてこのダンス・パーティをやるということは、私は行き過ぎだと思う。これはやられるならば横須賀あたりでやられればよろしいと思う。東京へ来てやるならば個人でやればいいと思う。少くとも防衛大学のグループとしてのタイトルをもって東京まで出てくるということは、私は自覚が足りないと思う。あなたのああいうときの学生に対する言葉から、こういうことがさらに頻発しやしないかと思うのでございますが、この際あなたの御所見を承わっておきたいと思うのです。
  355. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ただいまいろいろ御懇篤な御注意で、まことにありがとうございました。防衛大学の運営については、これは非常な私関心を持っております。お説の点、十分参考に供しまして、今後よく教育の方針を一そう健全にいたしたいと思います。    〔松岡平市君「議事進行」と述ぶ〕
  356. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何を言っている。(松岡平市君「議事進行」と述ぶ)間もなく終りますからちょっと。(「議事進行、議事進行」と呼ぶ者あり)
  357. 藤田進

    委員長藤田進君) お静かに願います。
  358. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたに伺いますが、私は防衛大学を見て非常に感心したことは、科学時代にふさわしく、理化学の教育の施設設備が充実しておって、まあそれに重点を置いていることと、それにもまして私は感心したことは、先ほど来私が申し上げましたように、旧軍部は星といかりの対立があった。ところが、学校で講義を受けるときはもちろんのこと、あの寮にお帰りになったときも、陸海空の学生が同じ部屋に渾然と起居をともにしているということは、私は将来この自衛隊というものは、どうなるか知りませんが、私ども反対の立場でございますけれども、このあり方というものは今後も堅持さるべきものだと、その点は私感心したわけですが、今後どういうようなお考えであるか、この際承わっておきたいと思うのです。
  359. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 矢嶋委員の御感動下すった点は、私一そう促進いたしたいと考えております。    〔松岡平市君発言の許可を求む〕
  360. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二、三点だから、ちょっと待ちなさい。(「議事進行」、「議事は進行しておる」と呼ぶ者あり、松岡平市君「進行の発言を求めています、私は」と、述ぶ)私が許可を受けている、ちょっと待って……。  先般、総理にちょっとお伺いしたことでありますが、ここで一つだけ堀り下げて、防衛庁長官に承わりたいのは、自衛隊法八十三条に基く災害派遣、特に自衛隊法百条に基く土木工事の受託ですね。これについて先日私は触れましたように、九州にあれだけの災害があって、国鉄の幹線が二週間以上も不通になっているときに、その流された路線の築造に自衛隊員が使えないということは、私はまことに残念なことだと思うのです。これは教育の欠陥があると思うのです。で、今後、九州に限らず、あるいは四国、近畿地方等、いつ大洪水で鉄道路線が流されるかもしれません。これは十分あり得ることです。そういう場合は自衛隊が出動しまして、国鉄の保線区の諸君に協力して、一刻も早く路線が築造できるように、そういう協力ができるように、そういう出動ができるように私は訓練すべきではないかという具体的な点を伺いますとともに、さらに、この自衛隊法によりますと、国あるいは公共団体、さらに土地改良区等の要請に基いて出動できると、半ば公的なものだけに協力するように規定されておりますのは御承知通り。で、私はああいう非常災害の場合には、たとえば私鉄等に対しても、要請があれば、協力して一刻も早く交通機関が麻痺状態から回復できるようにすべきではないか。昨年、私が持っている具体的な資料といたしましては、長崎県の島原鉄道、これなどは全線六十八日間にわたって交通がとだえております。さらに熊本県の山鹿温泉鉄道、これは私鉄でありますが、これも四十日間にわたって不通になっております。これがその地域の住民の生活並びに産業経済に及ぼす影響というものは大きいと思うのです。こういう私の鉄道ではありますけれども、何といっても公共性があるわけでありますから、非常災害があった場合には、こういう方面から要請があれば、そのときは自衛隊は出動して協力するというように私はすべきじゃないか、すべきではないか、こういう見解を持つものでありますが、その訓練の点と、自衛隊法並びにそれに基くところの施行令の一部改正を検討される御用意はないか、承わりたいと思うのです。
  361. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) 自衛隊の災害派遣並びにこの土木の事業の施行という問題でございます。これは自衛隊の訓練その他の任務と調節して、できる限りやっているわけであります。御指摘の鹿児島方面の鉄道不通の事情については、十分承知いたしませんが、九州地方におけるあの当時の災害に対しても、延べ約五万五千人の自衛隊を出動したわけでございまして、その点から申しまして、自衛隊としてはこの方面には非常に力を入れている。(矢嶋三義君「その点は認める。鉄道の関係、」と述ぶ)鉄道の、たとえば私鉄等を含んで、(矢嶋三義君「国鉄もそうです」と述ぶ)国鉄等についても、これは要請がある場合にどうするかという問題でございます。(矢嶋三義君「役に立たぬ、使えないというんですよ、国鉄当局は。そこを聞いている。」と述ぶ)訓練の問題でございます。これは自衛隊というものは、自己の任務についての訓練の一環として、こういったことをやる、土木の場合でございます。そういう建前になっている、土木そのものを一般的にやるというよりも、施設部隊としての任務の遂行、訓練にもなる、こういう場合が考えられているわけでございます。鉄道の補修等については、技術的にどうであるかという点は、専門家から見れば、あるいは足りないところがあるかとも思います。鉄道の問題は、今度の陸上自衛隊の増加に伴って、その方面にも十分の訓練をいたしたい、これに対しても所要の予算をつけたい、こう考えている次第でございます。    〔松岡平市君「委員長、先ほどからたびたび私が発言を求めております」と述ぶ〕
  362. 藤田進

    委員長藤田進君) どなたにも、まだお許しいたしておりません。  今の、答弁漏れがあるのですか。
  363. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の答弁は、長官に伺いたい点は、私は、災害があったときに、その後国会が終って帰ったときに全部調べた。そうして不思議に思って、責任の管理局長に会った。どうして協力を求めないのですかと言ったところが、二週間以上も交通が途絶で困ったけれども自衛隊さんは加勢していただけない。加勢していただいたら、汽車がひっくり返るかもしれない。ほんとうなんです。局長がそう述べられた、責任者が。だから、御加勢を願わなかったと、こういうわけなんです。それではいけないんじゃないか。もちろん、自衛隊法三条に規定してあるのは、直接、間接の侵略に対し、これを主にうたっておりますけれども、国の安全を保つとか、必要に応じ公共の秩序の維持に当るということも出ておりますから、こうすると自衛隊の人気も上ってくると思いますが、あれだけの災害があって、自衛隊が使えない。そこらあたりのどぶさらいみたいなことしかできないということでは、私は施設部隊の使命を果し得ないと思う。また、ささやかなトンネルも掘れない。これは今後戦争がもしあった場合に、原水爆の攻撃があった場合、放射能をよけるために臨時に簡単な穴を掘ってもぐるということは(笑声)そこらにたくさん必ずあるごとです。笑いごとじゃない。だから、そういう装備をするとともに、そういう訓練は私はしてもらわなくちゃならぬと思いますが、今の陸上自衛隊の施設部隊にはそういう装備もなければ、またそういう能力もない、訓練をしていないということを、私は確かめている。こういう点を検討して是正すべきではないか、かような立場で伺っているわけです。
  364. 津島壽一

    国務大臣(津島壽一君) ただいまの鉄道の専門的の技術がどうであるかという問題は、これはいろいろ見方があると思います。しかし、施設部隊は昔のいわゆる工兵でございます。橋梁の建設、道路の建設、それには特殊な技能を持っております。その他の上にも十分修練したところの技能を持っておるわけでございまして、これは各方面から十分に私は評価されていると思います。しかし、鉄道部隊というものは持っていない、現在のは。それについては十分今後検討して、そういった面にも訓練をいたしたいという考えを持っておる、こう申し上げたわけでございます。    〔松岡平市君発言の許可を求む〕
  365. 藤田進

    委員長藤田進君) 松岡君、何ですか。
  366. 松岡平市

    ○松岡平市君 私はこの際、直ちに質疑を打ち切ることの動議を提出いたします。    〔「賛成々々」「時間があるじゃないか」「反対々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  367. 藤田進

    委員長藤田進君) お静かに願います。議場で大ぜいで騒然といたしますと、休憩以外にありません。お静かに願います。  ただいま松岡君から質疑終局の動議が提出され、賛成の御発言がございました。よって、松岡君提出の動議は成立いたしました。  本動議は討論を用いないことになっておりますので、これより直ちに採決に入ります。  松岡君提出の動議に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  368. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって、松岡君提出の動議は可決されました。  これにて質疑は終局いたしました。  それでは、これより両案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  369. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました二法案に、断固反対の意思を表明するものであります。  まず、内容に入る前に、審議を十分尽すことができなかったことを遺憾に思います。私ども委員会に臨むに当りましては、少くとも数ヵ月間にわたってこの内容を研究するとともに、さらに、審議の過程においては、つぶさに自衛隊の各部隊を親しく視察し、審議の資料といたしたい、かように考えておったわけでございますが、視察はおろか、十分なる質疑を尽すことのできなかったことを、非常に遺憾に思います。しかしながら、ただいま質疑打ち切りの採決が行われましたので、まことに遺憾でありますけれども、反対の討論に入る次第でございます。  まず、私どもが反対する第一の理由は、申すまでもなく、この法案が憲法違反であり憲法をじゅうりんしていることであります。憲法をじゅうりんしているということでございます。岸内閣の代表者である岸総理大臣は、事あるたびに、法治国民法律を守らなければならないということを、いたいけな子供にまでさとしているわけでございますが、その岸総理自身が、国家の基本法であるところの憲法を軽視し、じゅうりんしているということは、素わめて重大なことだと思うのでございます。  そのじゅうりんしているという理由は、本法案審議の過程において、各委員から質疑指摘されましたように、この憲法制定されました当時は、武力行使ができない、こういうことを担当金森国務大臣は再三にわたって明確に答弁をいたしておるのでございます。さらに、憲法草案審議の段階におきましては、果して自衛権があるかどうかということも論じられておりました。当時の吉田総理大臣は、自衛のためといって過去において戦争をやり、誤まったのであるから、自衛戦争もこの憲法否定しているということを、当時の吉田茂総理大臣は言明をいたしまして、速記録に残っておるわけでございます。しからば、国はいかようにして守るのかという質問に対しましては、徹頭徹尾、日本憲法の前文を引用いたしまして、そして平和裏に話し合って、諸国民の公正と信義に信頼し、そうしてわれらの安全と生存を保持することを決意したのだ、かように答弁をいたしました。それを国民は信じて参ったのでございます。で、御承知のごとく、吉田内閣時代には吉田総理は、自衛のためといえども戦力は持てない、最小限度の狭義における自衛権があると、こういう答弁で終始いたしました。当時朝鮮事変勃発以来、アメリカは日本政府に対しまして、防衛力の増強と再軍備をきわめて強く要求して参ったわけでございますが、当時の吉田総理は、この憲法九条をたてにとりまして、日本には軍備は持てない、これをたてにとりまして、アメリカの抑圧をある面において排除して参ったわけでございますが、時移り、鳩山内閣が誕生するや、自衛のためならば戦力も持てる、こういう解釈に変って参りました。さらに、岸内閣に至るや、全くズロースを抜いでしまいまして、そうして先日来の本委員会におけるところの答弁にも明確なごとく、相手が攻撃してきた場合には、これを迎え撃つための実力を持つことができる。これまで憲法解釈を曲げて参ったわけでございました。このことたるや詭弁以外の何ものでもございません。私どもは断じて許すことはできません。  これをさらに解釈いたしますならば、今やIRBMあるいはICBMの時代に入ったわけでございますが、相手国がIRBMをもって日本攻撃するおそれがある場合には、これを迎え撃つために、アンチ・ミサイルミサイルというものを持てる、また持つという解釈になって参ります。このことに対しまして、岸総理は、かような場合にはアンチ・ミサイルミサイルは持てるが、それは核兵器であってはならない、かような答弁をいたしておりますが、常識的に考えましても、ICBMとかあるいはIRBMを迎え撃つところの兵器というものは、これは核兵器に間違いございません。核兵器以外のものでIRBMを迎え撃つところの兵器というものは、考えられません。ここに岸総理答弁には非常な矛盾があるわけでございまして、憲法に違反し、これをじゅうりんしていると思う次第で、こういうことを論ずること自体が、すでに私は憲法の基本精神に反しているということを指摘せざるを得ません。  さらに、津島防衛庁長官は、領空侵犯に対する自衛隊法八十四条の発動につきまして、他国の飛行機がわが日本の領空に侵入した場合に、退去あるいは着陸を勧告した場合、これを聞き入れず相手が発砲してきたならば、自衛権発動として、自衛行動といたしまして、刑法三十六条の急迫不正の侵害に対する正当防衛として武力行使をすることもあるということを、答弁いたしておりますが、きわめて危険でございます。かような形で日本の安全を守るという立場において、日本憲法制定されたものでないということは、小学校の生徒でもわかることだと思うのでございます。  それは良心的にあなた方は私のこの理論には賛成せざるを得ないと思うのでございますが、何といっても、日本の防衛力増強というものは、アメリカの、米国の支配のもとに、その指導の下にやられておるわけでございまして、心ならずもかような詭弁を弄して、今の防衛力増強をやっていることは、国民を欺瞞し、国民を欺いているものとして、その反省を求めなければなりません。これが私の本法案に反対する、しかも最も重要なる理由であります。  次に申し上げたい点は、国民を欺瞞して、米国の世界戦略に基く極東米軍の一環として自衛隊が成り果てつつあるということでございます。で、岸総理は、事あるたびに、核兵器は持たない、また他国の核兵器は持ち込ませないと、かようなことを答弁いたしておりますが、しからば、アメリカの核兵器日本にはっきりと入ってはならないと、そういう法的根拠はどこにあるかと指摘いたしますと、それはないと。それでは、アメリカの核兵器日本に来ていないという証拠がどこにあるかと言いますと、これもまた答弁ができません。ただ、信頼していると言うだけであります。国民は不安でならないわけでございます。と申しますことは、行政協定の五条によりますと、アメリカの核兵器を持った飛行機あるいは軍艦は、自由にわが日本国の港、さらに飛行場に出入ができることに相なっておるわけでございまして、岸総理のこの点はきわめて不明確だと思うのでございます。しかも、事あるときに、行政協定二十四条におきまして、日本区域の防衛のため必要な共同措置をとるということになっておりまするので、核兵器は持たない、持ち込ませないと主張するところの岸総理は、事あるときには、行政協定二十四条に基いて、核兵器を持っているところの米軍と共同行動をとることに相なるわけでございまして、非常に岸総理の言明には矛盾が多いのでございます。従って、私どもこれを明確にし、国民に安心していただくため、非核武装決議案、日本国を核武装しないという決議案を国会で決議することによって、これを中外に宣明し、そうして日本を核武装しない、他国からも持ち込ませない、かようにいたしたいというので決議案を上程いたしましたけれども、自由民主党の諸君はこれに賛成いたしません。ここに問題があると思うのでございます。  しかも、私が質疑の段階に指摘いたしましたように、十八日UPワシントン電は、アーウィン米国防次官補代理は、日本核兵器基地を設置いたしたい、そうして日本の岸政権は核兵器並びに核兵器基地について非常に消極的であり神経質であるが、この日本の政府に対しまして米軍幹部は圧力をかけるべきである、かようなことを責任者アーウィンはアメリカの記者団を相手に談話を発表いたしておるわけでございます。これは全世界に電波をもって通じられたわけでございまして、これが虚構のことだとは断じて考えられません。さらに、ダレスさんは、一九六〇年までには極東の大部分の国は小型の戦術用核兵器を持つに至るであろう、持たせるということを言明いたしておりますし、さらにその前提といたしまして、スタンプ大将は、日本の政府が要望するならば、ナイキ、オネストジョンを供与するということも言明いたしておるわけでございまして、これらの点につきましては、われわれ国民は知らされておりませんけれども、岸政権とアメリカ国防当局とは何らかの話がかわされているものと推察されます。その線から、このたび技術研究本部等が設けられ、それに即応ずるところの予算が計上されていると思うのであります。この矢嶋の言うことがうそかうそでないかということは、いずれ時が証明するでございましょう。  かくのごとく、国民を欺瞞し、アメリカの世界戦略に基く極東米軍の一環として自衛隊が成長し、国民の多額の税金を費消しているということは、断じて許すことはできないと思うのでございます。  第三点として申し上げたい点は、今やICBM、IRBMの時代になりまして、世界の情勢というものはずいぶん変って参りまして、世界政治を動かすに至りました。ましてや、各国の国防体制というものが再検討されているこの時でございます。そのときに、従来わが陸上自衛隊は、おおむねアメリカの中古兵器を貸与あるいは購入して装備して参ったわけでございますが、二年前、アメリカの日本に対する強要によって、時の日本政府が約束をいたしました陸上自衛隊一万人増員計画を、ICBM、IRBM、世界が宇宙時代になった今日現在、この陸上自衛隊一万人の増員を主とするところのこの法案を出されたことは、全く今なお世界情勢と兵器の進歩を知らないものでありまして、まことに残念に思う次第でございます。御承知のごとく、陸上自衛隊一人を増員するに当りましては、一人当り二十六万円の予算を必要とするわけでございます。かりに自衛隊が存続し得るといたしましても、かような世界の情勢に即応しない、一世紀あるいは半世紀おくれたような、かような自衛隊の増強計画をいたしましても、数年後には国民の税金がむだ使いされたという結果がもたらされるでございましょう。かような先の見えないところの防衛計画というものは、国防政策というものは、アメリカの支配下にわが自衛隊が入っておって、ほんとうに、国民の手になる自主性のあるところの日本国の自衛隊でないところに、こういう事態が生ずるわけでございまして、戦後十二年、すでに独立して久しきわが日本国民といたしましては、そのプライドからいっても、この法案に賛成することはできません。  さらに、最後に、第四点といたしまして、予算面からこれを申し上げたいのでございますが、御承知のごとく、わが国は戦争に負けまして、四つの島に九千万に余るところの国民が生活するという、こういう悲境に追い込まれました。しかも、戦後処理が適切を得なかったために、今日なお全国に一千万有余の生活困窮者をかかえており、社会保障政策の推進が最も要望されているわが国の現状でございます。さらに、わが国は災害国でございまして、年々風水害等によって多額の損害を国民は受けておるわけでございまして、若干数字をあげて申し上げますならば、戦後十年間にこういう災害で受けたところの損害は約三兆円に相なっております。年々平均二千五百億から二千八百億円程度の損害を受けているわけでございまして、今やわが国の政策の重点は、社会保障を推進することによって民生の安定をはかり、さらに資源が少く狭い領土に多数の国民が住んでいるわが国におきましては、国土の回復、保全、この政策を強力に進めなければならない、これが何ものにも先行しなければならない政策であると私は考えます。しかるに、これらの政策を第二義的に扱って、今の世界情勢上必要もない自衛隊の増強のために多額の国民の税金を使っているということは、何といっても、私ども理解のできないところでございます。  このたびの国会で成立いたしました防衛庁の予算は千二百六億円でございまして、これに防衛分担金を合せますると、実に千四百六十一億円でございます。この数字を、あまりにも大きいのでちょっとわかりずらいので、皆さん方並びに国民によくわかるようにこれを説明いたしまするならば、この国会に赤じゅうたんが廊下に敷かれております。廊下に赤じゅうたんが敷かれておりますが、この赤じゅうたんに千円札を二百十枚、二十一万円の厚みで廊下の赤じゅうたんに貼れば、これはあなたが預かっている千二百億円に相なるわけです。だから、あなたが廊下を歩くときには、いつも、赤じゅうたんを踏んだときには、これは二十一万円を踏んだ、こういう気持で歩いていただかなければなりません。(笑声)笑いごとではございません。また、国会の面会所がそこにございますが、あの面会所は三億九百七十五万円で建築中であります。この建築は、御承知のごとく、すでに五カ年たってなおでき上っておりません。ようやく十二月にあの議員面会所は利用できることになるわけでありますが、この三億円の議員面会所を、あすこには政府委員とか、あるいは法制局の諸君が入るわけでありますが、これが五年かかってなおできて使えない。ところが、防衛庁の予算に換算いたしますと、あの建物が一年間に四百棟できるわけですね。四百できる。それだけの自衛隊は予算を使っておるわけです。これがどれだけ国の発展のために、さらに民生安定のために役立つかということを考えるときに、これらの点については納得しかねるものがあるわけでありまして、この法案が多数決によってもしも成立した暁におきましては、その使途につきましては、十分厳正に効率的な扱いをしていただかなければならないと思うわけです。  最後に、一点指摘いたしたい点は、隊員以外の訓練を百条の二においてなすということ、並びに防衛庁法の三十三条の二によって、日本の防衛大学に外国人の学生を入れて、教育訓練を受託してやる、こういうようなことは、私は非常に飛躍したことであり、今の憲法自衛隊法立場からいって、これまたできないところでございます。  時間が参りましたので、私は本日はこの程度の理由を申し述べまして、わが日本社会党を代表いたしまして、本二法案に反対の意を表明いたした次第でざいます。
  370. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております防衛二法案に対し賛成の意を表明するものであります。  まことに残念でございますが、時間もありませんので、趣旨も簡潔に、結論だけ申し上げたいと思います。(「やれやれ」と呼ぶ者あり)  この二法案は、国家財政の許す範囲において必要量小限度自衛力を漸増し、防衛力の質的改善をはかり、直接間接の侵略を未前に防止し、万一侵略が行われたときに、これを排除し、わが国の独立と平和を守り、世界平和に寄与せんとするものでありまして、あくまで国民の負託にこたえ得るゆえんであると信じ、賛成するものであります。
  371. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は、本案に反対であります。  わが国の防衛関係諸費は一千四百六十一億六千万円、国民所得の一・七%であり、金額としては大きいものとは考えません。また、陸上自衛隊一万名の増員は必ずしも多いとは考えられませんが、しかし、現在の世界、ことに極東の情勢において、陸上自衛隊を増強することがよいか、あるいは潜水艦または航空自衛隊の増強に、これにようする費用を充てるがよいか、なお研究の余地が存します。しかし、私が本案に反対する本質的な理由は、自衛隊憲法に違反しているからであります。  憲法第九条が戦争放棄し、戦力並びに交戦権無条件に否認していることについては、岸内閣意見を同じくするものでありますが、同時に、岸内閣自衛権裏づけとしての自衛行動を認め、現在の自衛隊憲法第九条二項で禁止している戦力ではないとの見解には反対であります。第九条一項は、侵略戦争を禁止しておりますが、征服を目的とした戦争、あるいは侵略戦争放棄は、一七九一年のフランス憲法から一九四九年のボン憲法に至るまで、諸外国の禁止しているところであり、一九二八年の不戦条約でも、国際連合憲章でも同様の趣旨が述べられております。従って、わが国憲法の特色は、九条一項ではなく二項にあるのであって、無条件戦力保持交戦権否認の画期的規定にあるのであります。そのために露法前文においても、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と規定しておるのであります。しかるに、不幸にして世界のきびしい現実は、ついに警察予備隊から今日の自衛隊まで成長せしめたわけでありますが、二十万四千人の三軍兵力と、三百八十七隻、九万一千トンの艦艇と、一千百六機の航空機等の装備、編成を有する常備的組織体たる自衛隊が、九条二項に規定する陸、海、空軍に該当しないとは、法律解釈としても、また社会通念としても認めるわけには参りません。  私は、一国がその国相当の軍備を持つことは当然であると思いますが、同時に、現在の自衛隊憲法違反であることは明らかでありますがゆえに、憲法九条二項を削除し、現在の自衛隊を合憲的存在とすることは、順法精神の上から見ても、また崇高なる国防の職責をになう自衛隊員の士気を高揚する上においても、最も必要なりとの確信を付言して、私の討論を終ります。
  372. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  373. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、両案全部を問題に供します。両案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の諸君の起立を願います。(「反対」、「賛成」と呼ぶ者あり)    〔賛成者起立〕
  374. 藤田進

    委員長藤田進君) 多数と認めます。よって、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他自後の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  375. 藤田進

    委員長藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書に付する多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名    大谷藤之助  松岡 平市    上原 正吉  剱木 亨弘    中野 文門  増原 恵吉    松村 秀逸  島村 軍次    平島 敏夫  大谷 贇雄    後藤 義隆
  376. 藤田進

    委員長藤田進君) 御署名漏れはございませんか。――御署名漏れはないと認めます。
  377. 大谷藤之助

    大谷藤之助君 昨日、私の恩給法質疑におきまして、発言中に適当でなかった点につきましては、ここに遺憾の意を表明いたします。
  378. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  379. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して下さい。  本日は、これにて散会いたします。    午後十一時五十七分散会