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1958-04-11 第28回国会 参議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十一日(金曜日)    午後二時三十七分開会   —————————————   委員異動 本日委員井村徳二君、大谷藤之助君及 び森中守義君辞任につき、その補欠と して後藤義隆君、近藤鶴代君及び松本 治一郎君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            松岡 平市君            永岡 光治君    委員            上原 正吉君            剱木 亨弘君            後藤 義隆君            近藤 鶴代君            苫米地義三君            中野 文門君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            田畑 金光君            千葉  信君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   国務大臣    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    総理府恩給局長 八巻淳輔君    調達庁長官   上村健太郎君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○旧令による共済組合等からの年金受  給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国家公務員共済組合法案内閣提  出、衆議院送付) ○国家公務員等退職手当暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(第二十六回国会内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動がございましたので、事務局から報告させます。
  3. 川上路夫

    ○参事(川上路夫君) 御報告いたします。  本日、井村徳二君、大谷藤之助君及び森中守義君が辞任されまして、後任として、後藤義隆君、近藤鶴代君及び松本治一郎君が、それぞれ選任されました。  以上でございます。   —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  まず、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案国家公務員共済組合法案及び国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)を一括して議題といたします。  以上、三法案につきましては、さき提案理由説明を聴取いたしたのでありますが、本日は、まずこれから三案の内容について説明を求めます。
  5. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) ただいまの三案につきまして、簡単に内容の御説明を申し上げます。  第一の、旧令による共済組合等から、の年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案でございますが、この法律案は、詳細に申しますると、共済組合から受けておりまする過去の支給年金につきまして、今回、恩給及び援護法による年金支給額引き上げられるのと歩調を合せまして、同一内容でもって年金額引き上げようという趣旨のものであります。  この特別措置法対象となっております年金と申しますか、過去の共済年金には、三つ種類がございまして、第一は、旧令年金と申します。これは陸軍、海軍及びもとの外地の朝鮮、台湾、ここにございました共済組合、これが全部で八つでございますが、この共済組合から、昔、年金を受けていた方々に対しまして、昭和二十五年この旧令措置法というものができまして、国庫の負担年金を支給するという法律ができております。この旧令措置法からの系統の年金が第一です。もう一  つは、国家公務員共済組合法によりまして、内地の一般共済組合から支給されておりました共済年金というものがございます。この共済年金が第二のグループです。第三は、公共企業体共済組合法に基きましてこの共済組合から出ている年金、これが第三でござ  います。以上、三つ共済年金種類がございますが、これをすべて今回恩給及び援護年金増額とあわせまして増額するというわけであります。  年金種類といたしましては、この共済年金には六つほどございまして、  一つは、恩給法でいう普通恩給に相当する退職年金恩給法普通扶助料に相当する遺族年金恩給法公務扶助料に相当します殉職年令恩給法公務扶助料受給者死亡しました場合に遺族に参ります第二種的公務扶助料、これに付属する公務扶助料及び増加恩給に相当する障害年金、そのほか廃疾年金というのがございますが、大体恩給法各種年金に見合った年金があるわけでございます。  今回の法律案におきましては、これらの年金のすべてにつきまして、別途提案になっております恩給引き上げとほとんど同一内容で、その増額を行おうとするものであります。  その内容につきましては、非常にこの法律案は技術的な法律案でございますから、一々これを御説明申し上げますと非常に厄介なことになりますので、その趣旨だけを申し上げますと、ただいま申し上げました第一点が年べースから一万五千円ベースまで、恩給にならって共済年金引き上げるというのが第一点でございます。第二点は、旧令と申しますより、共済組合年金独自のものでございます。非常に下級者のための最低保障額という制度がございます。これは障害年金殉職年金及び障害遺族年金、この三つにあるわけでございますが、この最低保障額も、今回の恩給法及び援護年金引き上げに見合いまして、若干増額をはかっておる点が第二点でございます。  非常に簡単でございますが、旧令の方は、内容恩給並みということでございますので、これ以上の説明は省略さしていただきたいと思います。  第二の、国家公務員共済組合法案でございます。  これは、現行国家公務員共済組合法を全一面改正いたす趣旨のものでございます。現在、国家公務員共済組合規定しております事項は三つございます。第一は、いわゆる国家公務員全員に対しまして短期給付制度を行う。短期給付と申しますのは、健康保険法による医療給付とか葬祭給付とか申します、いわゆる健康保険給付に相当するものでございます。これについての制度規定いたしております。第二は、国家公務員のうちの雇用人だけについて長期給付制度を定めております。この長期給付と申しますのは、いわゆる国家公務員のうちの雇用人グルーブ、これに対します年金給付制度でございます。一般公務員のうち、官吏には恩給があり、雇用人にはこの共済組合法長期給付としての年金が行われるという組織になっております。このうちの後者を規定いたしております。第三は、国家公務員全員、これは官吏雇用人を問わず全員について、福祉事業を行う。雇用人年金積立制度を利用いたしまして、病院、療養所の経営、あるいは組合員に対する貸付、こういった福祉事業を行う制度、これが第三の制度でございます。この三つをあわせ規定しておるわけでございます。  ところで、現行国家公務員共済組合法ができましたのは昭和二十三年でございます。その後、公務員共済組合規定いたしております三つの仕事についてのいろいろな条件が変って参っております。短期給付について申し上げますと、一昨年健康保険法改正に相なっております。全面的に健康保険制度を、相当内容の変ったものが行われるようになりましたので、国家公務員についてもこれに準じた同様な措置をとる必要があるわけでございます。これは、現行法にはそうした面の制度が、まだ状況の変化に応じた規定が入っておりません。これを直したいというのが第一点であります。  第二点は、上長期給付の方でございますが、これは雇用人年金制度規定していることは先ほど申し上げました。大体において雇用人長期給付制度は、昔から厚生年金保険法と申します民間一般勤労者対象といたします厚生年金歩調を合せて、制度を作って参っております。昭和二十九年に厚生年金保険に根本的な改正がございました。その際に、国家公務員長期給付制度というものの根本的な検討は一応見送りにいたして、今日に参ったわけでございます。その後、昭和三十一年には国会提案公共企業体共済組合制度というものが成立いたしました。共済年金制度自体についても、根本的な改正公共企業体については行われるということになったわけでございます。そこで、今回この国家公務員共済組合につきましても、厚生年金保険、あるいは公共企業体共済組合法、そうした制度内容とバランスをとって、この雇用人長期給付制度を直していきたいということに相なったわけでございます。これが第二点でございます。  ただ、この長期給付制度を根本的に、そうした厚生年金なり、あるいは公共企業体共済に合せて直します際に、従来の恩給法適用を受けました公務員、いわゆる官吏の一部も、この共済組合の、長期給付適用対象に加えるということにいたしたわけでございます。具体的に申しますと、五企業特別会計、造幣、印刷、郵政、林野、アルコールという五企業特別会計官吏も、新たに共済組合長期給付制度適用対象に加えるということにいたしたわけであります。  これが今回の国家公務員共済組合法案提案いたしました根本的な理由でございます。要するに、戦後十年間、大体根本的な変革を経て参った制度でございますので、この際、外界の条件の変ったのに応じて根本的に変えようというのが、この法案趣旨でございます。  法案の大体の概要は、先般提案理由で御説明申し上げてございますので、あと質疑に応じましてこまかい点を申し上げることにいたしまして、内容説明は、恐縮でございますが、省略させていただきたいと思います。  ただ、この国家公務員共済組合法案衆議院で可決いたされました場合に、一つ修正案が行われております。政府側から御説明申し上げるのも恐縮でございますが、提案者がちょうどおいでになりませんので、かわって御説明さしていただきたいと思います。  この国家公務員共済組合法案に対する衆議院での修正点一つでございます。これは国家公務員共済組合法自体改正するというよりも、この付則を借りまして、公共企業体共済組合法内容改正したものでございます。今回の国家公務員共済組合法改正法案によりまして、この短期給付制度一の中に付加給付制度というものが新しく設けられることになりました。これは法律の上で、短期給付としてはこれこれの給付を行うということが、法律給付種類が明定されておりますが、その明定された法定給付以外に、組合財政能力に応じて、妥当な特別な給付を行うことができるというのが、この付加給付制度でございます。民間でも、組合管掌健康保険ではすでに実行されているところであります。この付加給付制度国家公務員共済組合制度に取り入れましたので、公共企業体の方でも同じことをやりたいという御希望がございまして、衆議院ではそれをお取り上げになりまして、この国家公務員共済組合法付則で、公共企業体共済組合法の一部改正を行いまして、公共企業体についても付加給付を行うことができるという一条文の追加になっております。  以上が衆議院での修正案内容でございます。  最後の国家公務員等退職手当暫定措置法の一部を改正する法律案でございますが、内容は、簡単に申し上げますと、退職手当を、現行レベルに比べますと、大体三割程度引き上げるという内容でございます。ただ、その適用対象、この新しく退職手当増額する部分の規定適用対象は、全国家公務員とはいたしませんで、新しい共済組合制度による長期給付適用を受ける公務員に対してだけ高い退職手当を支給する。共済組合長期給付規定適用を受けない一般官吏につきましては、この退職手当「の引き上げは行わないという趣旨のものでございます。  その理由を申し上げますと、現在公務員に対する退職給付といたしましては、官吏、いわゆる公務員に対しましては恩給法による恩給がございます。雇用人に対しましては、先ほど申し上げました共済組合法による年金制度がある。それから官吏雇用人を通じまして一律に支給される退職手当、この三つがあるわけであります。このうち退職手当は大体、昭和二十四年に制定されましてそのままの水準でございます。その間今日に至るまで、民間では相当退職手当レベルが上っております。公務員については、この退職手当を二十四年に制定いたして以来、根本的な引き上げが行われていないという事情にございます。なぜかと申しますと、雇用人年金制度の方は、本来これは保険制度でございまして、費用労使折半負担するという建前のものでございます。いわゆる国が給与として出す年金ではございませんで、保険費用労使折半負担する建前のものが共済長期給付でございます。ところが、公務員の大多数を占めておる因給につきましては、恩給は本来保険制度でなくいわゆる国の給与でございます。公務員がよく働いたから出そうという意味での年金、これが恩給でございます。そういたしますと、恩給退職手当というものは、制度的に、ダブつた重複した制度でございます。従いまして、退職手当がある程度民間レベルからおくれておりましても、これを上げようと申しましても、別途恩給があるということで、なかなか上げにぐかったのでございます。最近公共企業体につきましても恩給制度がなくたり、国家公務員のうちでも、今回の北済組合法改正法案で五現業恩給公務員については恩給ははずして、共済年金制度に移行するということになりました。いわゆる公務員とかそうしたグループに対しては、恩給制度は大半消滅いたして参ったわけでございます。この機会を選びまして、今回の退職手当改正を行なったわけでございます。従いまして、先ほど申し上げましたような趣旨からして、恩給でもって依然として退職時の給与を国から受けている者には、この新しい退職手当は支給しない。保険制度で、民間のいわゆる厚生年金保険のような同じような性格の共済年金折半負担保険年金を受ける公務員に対してだけ退職手当を今度増額しよう、こういう内容のものでございます。  改正案内容を、技術的にいろいろこまかい点もございますが、まあ達観して申しますと、三割程度引き上げに相なるものでございます。  この退職手当改正法案につきましても、衆議院で一部修正がございました。  修正内容を申し上げますと、現在の国家公務員等退職手当暫定法は、国家公務員ばかりでなく、三公社職員に対しても適用されると思います。今回の退職手当増額につきましては、国家公務員のうちの共済組合年金適用を受ける者、いわゆる五現業公務員と非現業雇用人、これだけに対して増額をいたすことにいたしまして、一般官吏と三公社職員に対しましては退職手当増額はこの際見送ったわけでございます。  これに対しまして、衆議院では、公社職員については退職手当増額を行なったらいいではないかという議論がございました。その御趣旨は、公社でもすでに恩給制度はなく、共済組合による保険年金をもらっているのだから、退職手当退職手当として妥当なものを出したらいいじゃないか、こういう御議論でございました。それに対しまして、政府側がそれに反対いたしておりましたのは、同じ共済年金でも、公社共済年金公務員共済年金では若干レベルが違っております。公社の方が高く相なっております。従いまして、国家公務員退職手当増額になりましても、その分だけ公社について上げるのはやはり早急ではないかという点が一つと、国家公務員共済組合年金が変って参りますれば、公社についても将来その根本的な改正がやはり問題になるのじゃないか。その際退職手当についても一緒に検討してはどうかということで、一応この際見送りにしてそういう点はなっておるわけですが、そういうことに政府側から説明があったわけであります。これに対しまして、その結果、衆議院では妥協と申しますか、その中間的な考えをおとりになりまして、修正案をお作りになっております。  この修正案内容は、三分社の職員退職手当増額を受けさせるというような法文の形に、一応いたしまして、しかし、その内枠についてはまた別途法律で定めると、こういう条件つきになっております。従いまして、それが今回の衆議院で行われました三公社退職手当についての修正内容でございます。  以上、簡単でございますが、三法案概略を御説明いたしました。   —————————————
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、三案の質疑は後刻に譲ることにいたしま
  7. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします、。  本案につきましては、さき提案理由説明を聴収いたしておりますが、本日はまず本案内容について説明を求めます。
  8. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 恩給法等の一部を改正する法律案内容につきまして、概略説明を申し上げます。   お手元に御配布申し上げました「恩給法等の一部を改正する法律案の要旨」というのをごらんいただきたいと思います。   第一点は、旧軍人公務扶助料増額でございます。で、この倍率を兵において三十五・五割とする。倍率は、公務扶助料の額を計算いたします場合には、御案内の通り普通恩給というものを土台に計算されております。すなわち、普通恩給と申しますのは、相当年限を勤めましてそうして退職しました場合に、この普通恩給が支給されるわけでございます。その普通恩給を受ける者が死亡したという場合には、遺族普通扶助料というものが受けられる。それがつまり普通恩給の二分の一になっております。この普通扶助料に対して、公務扶助料を出す場合について、普通扶助料に対して一定の倍率をかけたものが公務扶助料の額になるわけでございます。その普通扶助・料に対する割増しの率と申しますか、これが倍率でございます。この倍率を、従来兵において二十六・五割という倍率でございましたのを、三十五・五割というふうに引き上げる。この引き上げ方につきましては、準士官以下「の分だけにつきまして引き上げる。尉官以上につきましては現行倍率をそのまま据え置く、こういうことにいたしております。と同時に、四で書いてございますように、恩給年額計算基礎となる仮定俸給年額引き上げを行い増額する。すなわち、現在仮定俸給年額は一万二千円ベースでございますが、これを原則として一万五千円ベースまで持っていくということによりまして、俸給年額引き上げることと、倍率引き上げる、この両建によりまして公務扶助料増額をいたそう、こういうものでございます。   この一万二千円ベースの」現在の仮定俸給を一万五千円ベース引き上げるという引き上げ方におきましては、上の方を相当つめておるという点につきましては、四のところで申し上げます。それから、第二点は、傷病恩給増額でございます。傷病恩給年額は、これは、第一項症を十七万一千円とし、以下それぞれ五割ないし八割程度増額するとともに、階級差をなくする。」、こうございます。傷病恩給というものは、御承知の通り増加恩給傷病年金と、こういう二つに分れております。で、増加恩給につきましては、その傷病恩給のほかに普通恩給が入っております。傷病年金につきましては傷病年金だけ、こういうふうなことになっております。第一項症から第七項症までが増加恩給、第一款症から第四款症までが軍人の場合は傷病年金、こういうふうになっております。で、まず全廃疾の第一項症の額というものを、現在十一万六千円という額を——丘の場合でございますが、十一万六千円という年額を、今回十七万一千円というものに引き上げまして、以下順次下の項症におきましても逐次引き上げていく。これによりまして現在よりも五割ないし八割程度増額になっております。この増額程度につきましては、別な表に掲げましたように、それぞれ八割ないし五割程度増額になっております。  それから、この傷病恩給につきまして、第二点は、特別項症、第一項症、第二項症というものにつきまして、介護手当を年二万四千円加給する。ただいま申し上げました年額、すなわち一項症におきましては十七万一千円というのが基本年額でございますが、このほかに、特別項症、第一項症、第二項症というふうな重傷者につきましては、そうした介護を要するような重傷者につきましては、介護手当を別に年二万四千円加給するということにいたしております。  このほか、さらに増加恩給受給者退職後の子女についても加給を行なっております。現在この家族加給ということが増加恩給の場合に行われておるのでありますが、これは退職時の状況において現存したところの家族に対して給するというのが建前になっておりますが、退職後出生をした子女については加給をつけないということになっておったわけです。しかしながら、昨年の臨時恩給等調査会の答申にもございます通り退職後の子女については、重傷者については特にその加給を考慮した方がいいという御意見もございましたので、この退職後の子女についても加給をつける、こういう改正になっております。  それから第三点は、普通恩給普通扶助料増額でございます。これは文武官を通じての問題になるわけでございますが、普通恩給普通扶助料増額につきましては、これは仮定俸給引き上げというものが土台になるわけでございます。この仮題俸給引き上げ方につきましては、次の項に説明してございます。この仮定俸給引き上げを行いますが、この普通恩給普通扶助料における特に考悪いたしました点は、六十五才以上の高齢者について、増額実施時期を公務扶助料のそれと同様に給する。つまり、あとで御説明申し上げますけれども、増額実施時期というものを、原則としては公務扶助料傷病恩給よりも二年おくれてやるということにいたしておりまするけれども、六十五才以上の高齢者については、公務扶助料及び傷病恩給と同様に今年の十月から実施する、こういうことにいたしております。  それから四番目は、仮定俸給については、「文武官を通じ准士官以下にあっては、一万五千円ベースとし、また、尉官にあっては、現行仮定俸給と一万五千円ベース仮定俸給との差額の九割ないし七割、佐官にあっては、その五割ないし二割をそれぞれ現行仮定俸給に加えたものをもって仮定俸給とし、将官については据えおきとする。」、仮定俸給というのは、先ほどから申し上げましたように、恩給金額を計算いたします場合に基礎になりますものは、退職時の俸給あるいは死亡時の俸給、こういうことになっております。しかしながら、その後の物価水準上昇等によりまして、死亡時の俸給あるいは退職時の俸給というものを漸次見直していくということになりますというと、別の新しい俸給に見直す、この場合に仮定俸給といっております。この仮定俸給というものを今回一万二千円ベースから一万五千円べースまで引き上げよう、こういう考え方でございます。この引き上げるに当りましては、准士官以下につきましては大体全面的に一万五千円ベースまで持っていく。しかしながら、尉官以上の階級につきましては、相当これを押えていく。こういう考え方でございます。すなわち、尉官につきましては、現在の仮定俸給、すなわち一万二千円ベースと一万五千円ベース仮定俸給差額の、少尉クラスの場合は九割、中尉クラスであれば八割、大尉クラスであれば七割、少佐におきましては五割、中佐におきましては四割、大佐におきましては二割という程度増額をするという程度にとどめたわけでございます。また、将官クラスにおきましては、全然一万二千円ベースから一万五千円に上げない。現行のまま据え置く。こういうことにいたしております。  それから、今まで申し上げました公務扶助料普通扶助料普通恩給を通じまして、今回の増額措置について年令制限を加えておることでございます。すなわち、扶助料につきましては、妻、子、六十才以上の父母、祖父母についてだけ行う。すなわち、言いかえれば、遺族でありまするけれども、六十才未満の若い父母、あるいは祖父母もございますかもしれませんが、そうした遺族については六十才に到達するまでその増額分を停止する、こういう形にいたしております。それから普通恩給の方につきましては、これは御本人でございますが、六十才以上の退職者及び傷病恩給を受ける者についてだけ行う。従いまして、裏を返せば、六十才に到達するまでその増額分は停止される、こういうことでございます。  そのほか雑件につきまして、「通算その他」というところで、第一点は、「軍人の実在職年の通算」、これは実は軍人の実在職年というものは、昭和二十八年の法律百五十五号のところにおきましては、七年未満の軍人の実在職年は算入されないと、こういうことになっておったのでございますが、その後の改正におきまして、軍人恩給基礎といたしましては、これを一年以上七年未満のものであっても算入する、こういうことになったわけでございます。しかしながら、その算入の仕方におきましては十二年で打ち切る。それ以上幾らあっても、それは年額の計算上プラスにならないというふうな措置がなされておったわけです。また、軍人の在職年が一年以上七年未満の在職年を文官が持っておったと仮定いたしますと、その場合には文官恩給を一受ける場合の基礎の在職年には軍人の在職年というものが通算されない、こういうことになっておったわけです。こういうようなことで、軍人恩給の内部におきましても、軍人、文官相互間におきましても不均衡の問題がございましたので、この点は臨時恩給等調査会においても指摘せられておる通り、この通算を実施しようと、こういうことにしてあるわけでございます。  それからその次は「昭和二十三年六月三十日前退職者の妻の扶助料に対する六十才の年令制限の撤廃」、これはどういうことかと申しますというと、昭和三十一年の法律百四十九号というものによりまして、昭和二十三年六月一三十日前に退職した方、まあ主として——主としてと申しますよりは、給与体系が全面的に改正になる前に、すなわち旧官吏俸給令時代の退職者、こういう方々について、昭和三十一年の法律百四十九号で、その後に退職した人との不均衡を是正するということで、そういう方々についての恩給増額いたしたわけでございます。この際に、その増額分につきましては六十才以上の方々についてだけ増額する、こういう抽置をいたしたのでございます。従いまして、遺族である妻でありましても、六十才にならなければその増額分が均霑しない、こういうことになっておったわけでございます。しかしながら、この点も、今回の措置によりましてこれを撤廃しよう、妻に関しては六十才未満であっても、これを増額分は均霑させるべきである、こういう考え方から、またこの点につきましては、すでにこの法律の審議の際両院の付帯決議もございましたので、その付帯決ようと、こういうわけでございます。  その次は「恩給外多額所得者に対する制限の強化」でございます。現在恩給が、普通恩給が九万五千円以上の方で、その方が恩給外所得が、五十万円以上ございます場合には、恩給額に対して一定の率をもって制限が加えられておるのでございます。すなわち、九万五千円以上、五十万円以上をこす場合におきましては、恩給額の一五%から、上の方へいきますというと、恩給外所得が百二十万をこす、こういう場合には恩給額の三〇%を減らす、こういうことになっておるわけでございますが、これをさらに今回、一五%を二〇%に、三〇%を五〇%にというふうに、大幅に、恩給外所得が多くなるに従いまして大幅に制限をいたしていこう、こういう措置が行われております。  その次は「未帰還公務員に対する扶助料の遡及支給と留守家族手当、普通恩給等との調整1「でございます。これは、未帰還公務員、すなわち、ソ連、中共に抑留されておりますところの公務員、こういう方々の留守家族につきましては現在留守家族手当等が支給されておるわけでございます。ところで、その方々が死亡が判明するということになりまするというと、留守家族手当が打ち分られまして、そうして死亡判明のときから公務扶助料が支給される、こういうふうなことになっておるわけでございます。ところで、留守家族手当も何も支給されぬと、こういうような方々につきましては、それまでの間、すなわち死亡判明までの間、全く未支給の状態に置かれると、こういうような問題もございまするし、また、公務扶助料原則というものが、死亡時期に遡及して支払われるというのが原則でございますので、そうした未「帰還公務員死亡判明した方々についての扶助料というものは、原則として死亡の時期に遡及すると、こういうふうにいたしたい、こういう考えでおります。しかしながら、その場合に、遡及いたしますことによりましてその間、生きているものとして支給された留守家族手当なり、あるいは普通恩給なりというものともこれは調整をすると、こういうことに相なってくるわけでございます。   その他、いろいろと技術的な調整のこまかい問題もございまするが、これは省略さしていただきます。    「増額等の実施時期」、以上申し上げました増額につきまして、その実施の順序というものがどうなるかと、こう申しますというと、うしろの表についてございますように、大体今年度の、三十三年の十月から始まりまして、十月から公務扶助料につきましては、まず増額分の半額だけを実施していくと。すなわち、たとえば兵の公務扶助料について申しますというと、兵の公務扶助料は、ほかの表にございますように、現在三万五千二百四十、五円から五万三千二百円と、約一万八千円増額になるわけでございまするけれども、そのうちその半額約九千円を十月から増額いたして参りまして、昭和三十五年の七月には完全にこれを一万八千円の増までにいたそう、こういうことでございます。  それから、傷病恩給につきましては、重症者であるところの増加恩給につきましては、今年の十月から満額実施をいたし、軽症者でありまするところの傷病年金につきましては、来年の七月から実施をいたす、増額実施をする、こういうことにいたしております。なお、退職子女加給ということにつきましては、これは来年の一月分から支給する、こういうことにいたしております。  それから、普通恩給普通扶助料、すなわちベース・アップだけの問題につきましては、これは原則としては三十五年の七月からこれが実施されることになっておりまするが、六十五才以上の方につきましては、増額分の半額だけを公務扶助料傷病恩給と同時にスタートさせる、こういう考え方でございます。  それから、通算、あるいは妻の年令制限撤廃というふうな措置は、これはベース・アップなり、公務扶助料の完全実施と時期を伺じゆうして、三十五年の七月から実施いたそうと、こういうわけでございます。   以上をもちまして、大体簡単なる内容の御説明を終ります。   —————————————
  9. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案一第二十六回国会閣法第一五五号)を議題といたします。   まず、政府から提案理由説明を求めます。
  10. 津島壽一

    ○国務大臣(津島壽一君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案提案理由並びに概要について御説明申し上げます。   政府は、行政機構改革の一環として、調達庁を防衛庁の所管のもとに置くことといたしました。   調達庁は、駐留軍が必要とする施設区域及び労務を提供し、また駐留軍から需要を解除された施設区域を保管、返還もしくは処分し、または駐留軍の行為により生じた損害に対する補償請求の処理等を主たる任務とするものであることは、御承知の通りであります。   これら施設区域及び労務の提供等の業務は、わが国の安全に寄与するために駐留する外国軍隊の任務の遂行を円滑ならしめるために行われているものでありますが、なかんずく提供施設区域については自衛隊の施設区域とも密接な関係があり、これらの点から、最近防衛庁と調達庁との関係はいよいよ緊密の度を加えて参ってきております。従いまして、今回わが国の防衛に関する行政事務を一体的に処理しようとする趣旨から、調達庁を従来その担当大臣であった防衛庁長官の統折のもとに置くこととしようとするものであります。   以上、この法案提案理由及びその内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
  11. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、本案内容について補足説明を求めます。
  12. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) ただいま国務大臣から防衛庁設置法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の概要について御説明がありましたが、これについて補足説明をいたしたいと存じます。  現在、防衛庁及び調達庁は、それぞれ総理府の外局として、内閣総理大臣のもとに置かれておりますが、国家行政組織法第三条第三項ただし書きにより、国務大臣を長とする外局には庁を置くことができることとなっておりますので、調達庁を防衛庁に置くこととし、防衛に関する行政事務の一体的運用をはかることといたした次第であります。  このため、防衛庁の任務及び権限に調達庁設置法に定める調達庁の現行の任務及び権限を追加し、調達庁長官の任命は防衛庁長官が行うことといたしました。ただし、その他の調達庁の職員に対する任命権は、従前通り調達庁長官が有することといたしております。  なお、調達庁と自衛隊との関係につきましては、自衛隊の任務にかんがみ、調達庁は自衛隊に含めないことを適当と認め、そのように規定いたすとともに、調達庁の職員につきましても、これらの職員は自衛隊の隊員とはならず、従前通り一般職に属することとされております。  右のほか、現在の調達庁及びその職員の身分の継続を確保するための経過規定を設け、及び関係法律の整備を行なっております。   なお、本案は、第二十六回国会以来、衆議院において継続審査となっておりました関係上、衆議院におきまして施行期日の修正等、若干の技術的修正が行われた次第であります。   以上をもちまして、補足説明を終ります。
  13. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、本案につきましては、本日はこの程度にとどめます。   —————————————
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、先刻内容説明を聴取いたしました、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案国家公務員共済組合法案及び国家公務員退職、手当暫定措置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたしまして、順次、質疑をお願い申し上げます。
  15. 永岡光治

    ○永岡光治君 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案は、これは恩給法改正案と密接な関係がありましてうらはらの法律案でありますので、その際に、関連をいたしまして、あわせて審議した方が適当かと思い出すが、従いまして、本日は時間の許される限り、国家公務員共済組合法案を中心にして、若干の質問を行いたいと思うわけであります。  まず、お尋ねをいたしたいことは、適用範囲と、それに関連する諸事項についてであります。  第一点は、長期給付に関する規定がそれぞれあげられておるわけでありますが、この規定によりますと、特に限られた五現業を中心にいたしまして適用することに相なっておりますが、うれはこの際全公務員適用する考えはなかったのかどうか。もとより、この法律案が今国会に提案されるまでにおいて、政府部内でもかなりの論議が入わされたやに承わっておりますが、あわせてこの際、その当時論議された経過等も御答弁をいただけますれば、私ども今後の審議の上に非常に参考にたろうかと思うのでありますが、その辺の事情もあわせてお答えをいただきたいと思うのであります。
  16. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 今回の国家公務員共済組合法案適用対象を、非現業雇用人と五現業の全職員に限短いたした点はなぜかという御質問でございますが、この立案の経過には、いろいろ新聞紙上等にも出ましたし、御承知のことと思いますが、ただ最終的には、閣議でもって一つの線が、将来非現業の特に恩給公務員をどうするかという点については、閣議でもって一つの線が出ておるわけであります。それに従いましてこれを処理いたすわけであります。   経過の点につきましては、でき得れば説明を省略さしていただけれはと思いますが、最終にこういうことになりました。   あとの非現業恩給公務員をどうするかという点でございますが、これにつきましては、今回の最終の政府の方針としましては、五現業以外の国家公務員につきましては、なお根本的に公務員制度というものとの関連を考慮して、年金制度についてももう少し検針する、しかもそれを近い機会にやつて、雇用人との不均衡をなくす、こういう趣旨で一応見送りに相なっておるのであります。
  17. 永岡光治

    ○永岡光治君 まだあまりはっきりした答弁でないようでありますが、それは公務員法の改正の問題が出てくれば出てくるだけ、問題が多くなろうと思うのでありますが、そもそも恩給制度を改めて、保険システムによる共済年金制度に切りかえるということは、公務員諸君にとっては私は相当思い切った、言うならば、悲壮の決意とまで言わないまでも、かなり負担金が相当増すわけでありますが、そういうところまで踏み切った気持は、やはり今日の段階においては恩給制度というものはよくないのだ、やはり公務員といえどもそういう特権に甘んずることなく、国民年金制度等も考慮して、この際やはり保険システムによるところの共済年金制度に移行すべきであるということを、私は決意されたと思うのであります。その決意には敬意を表すべき」だと思うのでありますが、そういう際に当って、特に五現業だけに限られる、範囲をきめるのではなく、おそらく、私たちの知っている限りにおいては、公務員、つまり公務員の中で恩給を受けられる権利を持っておる諸君といえども、この際共済年金制度に切りかえるべきであるということで、政府の関係当局に陳情運動をされたと承わっております。そういう熱心な動きがあるにもかかわらず、なぜこの際それらの諸君を含めずに、特別な限られた五現業だけに限定したか、それをもう少し詳しく説明してほしいと思うのです。
  18. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 今回五現業恩給適用者を共済長期給付適用対象にいたした、これはこれ相応の理由もございます。沿革的な理由もございます。理論的にも、従来の恩給共済組合年金制度に切りかえていく方が妥当である、そういう考え方の上から、五現業職員の方と恩給公務員をこちらに入っていただいたわけであります。  同じ考え方を持っていけば、これはなるほどそういうことに、一般現業公務員についてもやはり共済組合にした方がいいのではないかということになるわけであります。まあこの辺につきましては、やはり政府内部におきましても、恩給を所管いたしております恩給局、あるいは人事院、公務員制度調査室、そういう面で、むしろもっと根本的に公務員の人事制度というものとも結びつけて、もうしばらく検討したいという希望もございます。そういうことで、私ども今回は一応見送りにいたしておるわけでございます。理論的に申せば、共済組合長期給付に入れた方がより妥当であろうというふうには考えておるわけであります。
  19. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、公務員制度との関連を考えておると。今ちょっと触れておりましたが、その問題につきましては、後刻私は質問を続けたいと思いますが、残された一般公務員も、政府当局としては同様の趣旨によってこれを共済年金制度に切りかえるべきであるという、こういう考えであるということは間違いないのかどうか。それから、そういう考えを持っているとすれば、いつごろそれを国会に提案するという考えでいるか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  20. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) ただいまちょっ、と私の申し上げ方があるいは不十分であったかもしれませんが政府当局としては共済年金に切りかえた方が妥当である、こういう考え方を持っておるというふうに御発言でございましたが、この共済組合制度の所管省として、今回この法案提案いたしました。その際、五現業恩給公務員のこの長期給付制度に当てはめた、その考え方は、主として私ども正しいと思って、これを御提案申し上げるわけでございます。ただ、その考え方を、さ場らに一般の非現業恩給公務員にまで及ぼして、すぐそのまま解決できるかということになりますと、これは先ほど申し上げました人事制度あるいは公、務員制度というものを根本的に検討したいという気持も、政府全体としてはあるようでございます。その機会までこの問題は留保にさしていただきたいと、かように思います。
  21. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、現在ある恩給制度というものは、そのままずっと続けていく考えであるかどうか、その点もあわせて、関連がありますので、明確にしていただきたいと思います。
  22. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 現在の恩給制度をこのまま続けていくということは、もうないわけでございます。先般のこの法案をきめますときの閣議におきましても、恩給の新しい退職年金制度に切りかえるということは、もう了解済みでございます。
  23. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、恩給制度をやめて退職年金制度に切りかえるという方針は変らない、しからば問題になるのは、もう少し進んでお尋ねするわけですが、どういう点が主として問題になって、今回、現業諸君の共済年金制度とあわせて行い得なかったのか。つまり、論議の対象になった、従って次に出てくるであろうそれらの非現業「の公務員退職年金制度のある姿、こういうものはどういうように考えておいでになるのか、その点をお尋ねいたします。
  24. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 非現業公務員退職年金制度がどういう形になるかということでございますが、これはやはり今後の公務員制度あるいは人事制度、これは労働権等一切がっさい含めての問題だと思いますが、公務員制度をどう変えていくかということがまず基本でございまして、それがきまりません以上、退職年金制度内容というものは出て参らないわけでございます。肝心の公務員制度自体は、これを政府の公務員制度調査室で検討中でございます。なお当分の間、これは慎重に検討を要するということになります。
  25. 永岡光治

    ○永岡光治君 この問題は、非常に問題が深いようであります。大蔵省の給与課長では責任ある答弁がいただけないかと思いますので、機会をあらためて、責任ある政府当局の出席を求めて質問をいたすことにいたしますが、従いまして、給与課長として答弁できるであろうと考えられる問題について、若干質問をいたしたいと思うんであります。  そこで、この長期給付の場合でありますが、第七十二条の二項には、それぞれ限定されております。つまり「国の経営する企業に勤務する職員給与等に関する特例法の適用を受ける者に限り、適用する。こう書いてあるわけであります。そして付則の十三条では、その長期給付に関する規定は、当分の問、次に掲げる職員である組合員についても適用する。」、こういうことになっておって、その次には「国の経営する企業に動勢する職員の、給与等に関する特例法の適用を受けない者」こういうことを書いてあるわけですが、これはいうならば、ごく高い地位の管理者だろうと思うのでありますが、これらの職員もこれには適用されると解釈していいのではないかと思うのですが、その関係と、全公務員適用することは今この際慎重に検討を要するという考えであるという、それとはどういう関連があるのでしょうか。
  26. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 通則の七十二条の方に掲げておりますこの「職員給与等に関する特例法の適用を受ける者」と申しますのは、主として公労法でもって団体交渉権があり、それによって給与がきまる。そういう職員と、もう一つはその団体交渉できまった給与の直接の反映を受ける職員、団体交渉権はないけれども、その直接の反映を受ける職員、そこに範囲を限定いたしておるわけであります。  その他の職員は、一応付則の方に譲られておるわけでございます。この付則の十三条の一号の方は、これは本省庁の課長以上の職員であることは御存じの通りでありますが、いわば給与法の関係におきましては、一般職給年法の適用を受けておる一般会計の公務員と同じように、一般職の適用を受けております。その他の公務員法あるいは人事、給与、旅費、そうしたすべての待遇において、一般の会計の恩給公務員と待遇の異ならない者、これを十三条の一号であげておるわけでございます。
  27. 永岡光治

    ○永岡光治君 そこで、続いてその点についてただしておきたいと思うのですが、新しくこの法改正によって運営される共済組合は、国家管掌でないいわゆる組合の管掌になると思うのでありますが、その際今言われました特に課長以上の場合、付則でこれを適用するごとにいたしておるようでありますが、それらの職員はどういうことになるか、国家管掌に移行されるのですか。つまり二本建になるのか、それとも共済組合管掌ということで、十本になっていくのか、将来どういうことになるのですか。
  28. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 将来の取扱いの問題は、冒頭の御質問と同じことでございます。今すぐどうなるか、御返答申し上げかねるわけでございます。当分の間の措置といたしましては、この共済組合制度に加入いたしまして共済組合長期給付適用を受け、掛金をし、その年金をもらう、そういう取扱いを受けることは間違いないと思います。
  29. 永岡光治

    ○永岡光治君 これもしかし、またあなたで十分だろうと思ったのでありますが、少し問題が深くなっていきそうでありますので、機会を譲ります。  そこでもう一つお尋ねいたしますが、共済組合の運営をこの規定からずっと拝見して見ますと、極度に規制している点がたくさんある。というのは、つまり従来は共済組合の自主性が非常に尊重されておりましたが、今度の法律を見ますと、かなり法律上の制約を強化いたしております。すなわち法律事項でなかったもの、従来法律事項でなかったものを新しく今度法律の事項に規定されておる。あるいはまた、大蔵省の権限がさほどでもなかったのを今度は非常に強化されておる。あるいは罰則等も相当強化されておるということもあるわけですが、これはどういう趣旨に基いて、いうならばこういうように改正をしたのでありますか。
  30. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 今度の法律案で、大蔵省の権限を強化された、これはいろいろの個所にございます。それは御指摘の通りでありますが、それはまたそれぞれ理由が違いますので、まあ大ざっぱに申し上げますと、資金の方の面でございます。資金の運用につきまして、一つ縛りが入っているということ、もう一つ共済組合あるいはその連合会で共済事務に従事しているいわゆる事務職員でございます。国家公務員以外のそうした事務職員に対する罰則規定が入っているという点が一番大きい点かと存じます。  第一点の資金の方につきましては、従来共済組合で積み立てられた資金というものは、まるまる共済組合で自主運用にまかしたというのが実情でございます。もちろん大蔵省といたしまして、大蔵省令で資金運用に関する規制は設けておったことは確かでございます。しかし、今回それ以上に資金の運用につきましての規定を一本入れまして、その積立金のうちの一部をいわゆる資金運用部に預託するという点が入っております。この点は、私どもの国家公務員年金制度の性格というものは、厚生年金保険とそれにあと国家公務員社会独得のプラス・アルフアーをつけたいわば特殊職域社会保険であるという考え方であります。民間の厚年金保険でありますと、一応現在はその積立金はすべて厚生年金保険特別会計に入り、資金運用部に預託運用されているのが現状であります。そういたしますと、国家公務員年金の積立金にいたしましても、先ほど申し上げました厚生年金保険に相当する部分というものの資金は、これはやはり民間年金の積立金と同じような運用をするのが妥当じゃないか。その上のプラス・アルファーの公務員独特の職域部分の積立金についてはこれは公務員の社会で扱う、そういうように年金の性格に応じて、今度積立金の運用についての考え方を一定したわけでございます。この点が確かに資金運用に対する強化であるという御指摘になろうかと存じます。  今申し上げましたような民間厚生年金保険とのバランス、さらに将来一歩進めましては、厚生年金保険に相応する分につきましては、積立金と共通のプールにしておきまして、年令制度の統一運営という方向に持っていきたい、こういう気持もあるわけでございます。そういう点からの資金の規制が行われたわけでございます。  連合会と組合の事務職員に対する統制が強化されたと申しますが、これは、一つにはこういう理由があるわけでございます。今度共済組合と連合会の事務職員は、国家公務員共済組合に加入いたすことになったわけでございます。もともと身分上は国家公務員でもありませんが、国家公務員共済制度というものに携わっておるわけでございますから、どうしても組合員として同じような待遇をした方が便利だということでこれに入れたわけでございます。そういたしますと、私ども一般国家公務員は、国家公務員法によって相当厳重なる服務上の規制を受けております。しかし、この共済組合連合会の事務職員民間ベースで雇用されているのと同じで、何ら服務規定のそ、うしたやかましい規律がないわけであります。そういう職員国家公務員と同じ組合員としての待遇を与えるわけでございますから、せめて義務偉反、職務命令に違反したとかそういう場合には国家公務員と同じ罰則が適用になるのが筋合いである、そういうような観点から、今度罰則規定を入れたわけでございます。
  31. 永岡光治

    ○永岡光治君 やはりお尋ねしてみると、大へん失礼な言い分ですけれども、課長では少し責任ある御答弁がいただけない問題が出てきたようでありますが、しかし、技術上の問題として若干触れてみたいと思うのでありますが、現行法公共企業体関係に適用されておりまする共済組合法とこれとを比較してみますと、だいぶ相違があるわけであります。衆議院の段階におきまして、退職一時金等の問題も修正されて、これも大体公務員並みに増額になるようなことになっておるわけであります。そうしてみますと、長期給付なり、短期給付の面でいろいろ比較をいたしてみますと、特に短期給付はこれは公社の方も修正をされたわけです。長期給付の問題を主として比較してみますと、大へんこれは開きがあるようであります。その違っている点を若干あげてみますと、たとえば被扶養者の範囲が現行法並びに公企体法より制限されておる点が出てきておる。あるいは、給付額の算定の基礎どなる俸給給付事由発生の月の以前三カ年の平均をとっておる。公社の場合は、最終の俸給で計算をしておるわけでありますが、この点も違っておる。それから組合員の資格喪失後の継続給付というものに、組合員の期間一年以上の、ものと制限を今度しておりますが、この点もずっと現行あるいけ公企体等と比較して、これは制限ないのでありますから、非常に悪くなっておる。あるいはまた、第四点としては、休業手当金の支給対象から、現行にあります公務によらない傷病を除外したのは、これはどういうわけか。現行通りにすべきじゃないかと思うのでありますが、そういう点だとか、あるいはまた、一時金の支給の対象現行が六ヵ月以上、公企体の場合は一カ年以上ですね、ところが、これは三年以上ということになっておるわけでありますが、こういう点につきましても、非常に相違があるわけでありますが、どういう理由でこういうように特に開きをつけなければならなかったのか。主として技術的な点になろうかと思うのでありますが、その点のお答えをいただきたいと思うのであります。
  32. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 提案いたしました共済組合法案の内容は、相当現行共済あるいは公企体とも相異なっております。これは根本的な理由を申し上げますと、現在の公企体共済組合法案と申しますのは、当時の恩給制度共済制度とをともかくつなぎ合せて、一本化をはかるという点に重点が置かれたわけでございます。そうした意味合いにおきまして、当時までの共済組合法のいろいろななごりがそのまま残っておるわけでございますが、今度の私どもの提案いたしましたこの共済組合法案は、恩給共済を単純に一木にするということから進みまして、一般民間厚生年金保険制度との通算とのバランスもはかる。あるいは、将来の年金制度として、こういった方向がいいのじゃないかというような点も、新たに合そうした点で考え方を少し巽にいたしておりますので、おのずから制度内容にも相違が生じて参っておるわけでございます。一例を申し上げますと、たとえば退職一時金は三年たたなければもらえない。公企体では一年でもらえる。現行では六ヵ月たてばもらえるじ一、ないかということでございますが、これは厚生年金保険あたりでございますと、五年以上勤務しなければ一時金は出ない。しかも、それは五十五才まではもらえないというようなきびしい制約がございます。そうしたは、あげて年金給付額の方の財源に振り向けられているわけでございます。今回私どもの法案も、そうした民間年金制度というものと制度的にバランスを合せるという点と、もう一つは、やはり年金ベースが今までの二割ぐらい引き上げに相なります。そうした財源に充当するためにも、やはりあまり短期の方のためにする一時金ということは、ある程度御遠慮していただくのがいいのじゃないか、こういう気持もあるわけでございます。これも現在の一時恩給が三年までは出ないということに比べますと、その点は悪くはなっていないわけでございます。今度の改正等によって適用対象が変ってくるのでございますが、そういう方にとっては不利ではないことになるのであります。そのほか被扶養者の問題あるいは資格喪失後の継続給付の問題、これは短期給付の問題でありますが、こうした問題について、今より悪いじゃないかということでありますが、これもやはり民間一般のこうした健康保険とのバランスをとっていくという気持もございます。かたがた、付加給付制度を別途認め、持逃をよくしようという面もあるわけであります。そうした面を総合的に考えまして、民聞の制度並みの制度に持っていきたいということで、こういうことになったのであります。
  33. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは先ほど申し上げましたように、退職一時金の問題にいたしましても、附加金の問題にいたしましても、新しく改正されるこの法律に見合って、公社の方の共済の関係もこれにレベルを上げてきたわけです。そうなりますと、精神はやはり均衡というところがねらいだと思うのであります。これは職場を見ましても、全く同様な形態のところが、共通の職場はたくさんあるわけです、そういう際に、やはり問題は、これもあなたに言うべきことでは、あるいはないかもしれませんけれども、やはり政策としては、ひとしからざるを憂えるというところが一番大きな問題であります。今度の軍人恩給等の改正も、そういうところから軍人恩給等も出ておりますが、そういうところから問題が提起されていると思うのでありますが、そう  いうことになりますと、やはり五現業関係、公企労法を何様に適用されている職員の場合を考慮いたしましても、三公社並みに均衡のとれたものをやはり制定するのが量も妥当ではないかと思うのであります。あえてそういうことをしなかった理由はどこにあるのか、端的に一つお答えをいただきたいと思うのであります。
  34. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 先ほど御指摘になりました公企体と違う点、これは主として私どもの方が厚生年金保険民間健康保険ベースに合せてきたという点に相違があると思います。その辺のところが公企体と歩調の合わなくなった原因であります。しかし、公企体とバランスがとれないからそのままでいいということは、私ども考えておりません。そのかわり、退職手当の面におきまして、先ほどちょっと御説明申し上げましたが、公務員よりは、この際は退職手当は三公社については引き上げないという政府提案をいたしたわけであります。将来、公企体共済の方から歩み寄ってくる、共済制度として向うから歩み寄ってくる面ももちろんあるわけでございます。公企体共済国家公務員共済も、きびしい面もいい面もある。いいところ、悪いところがあります。公企体共済で歩み寄ってくるところがある。そうした場合に、総合的にバランスをとっていきたい、かように考えております。
  35. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは次の機会に譲りまして、次には委員長の方に特にお願いいたしておきますが、大蔵大臣あるいはそれぞれの責任者、所管大臣、こういうものの列席を願いまして、総理府長官も入りましょう。そういう関係責任者の出席を求めまして、質問を続けたいと思います。きょうはこの問題については、私の質問はこの程度にとどめたいと思います。
  36. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 国家公務員共済組合法案について、大蔵省に若干質問を行います。  まず最初に、国家公務員共済組合制度については、政府当局はこれを一体どのようなものとして解釈しているのか、質疑に入る前にまずこの点を何っておきたいと思います。
  37. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 共済組合制度をどういうふうに考えるか……。
  38. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 どういうふうに解釈しているか、解しているか。
  39. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 共済組合制度は、たとえて民間で申し上げれば、健康保険法、それから年金については厚生年金保険、こうしたものを国家公務員について代行している。しかし、それをそのまま代行しているわけではなく、公務員という社会の特有ないろいろな勤務条件というものをさらに考えて、いろいろな付加的な要素も加えまして、そうした民間制度を代行している制度である。かように考えます。
  40. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 人事の管理的性格が非常に強く入っているように思うのですけれども、これはこの共済組合法が社会保険として期待される運営の民主化とか、あるいはまた、生活をできるだけ保障する給付額を設定する、こういうことから、たとえば労務の管理、これは人事の面も含めてですが、こういう制度全体を規定することになるのではないかと思うのですけれども、この点を明確にしていただきたいと思います。
  41. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 共済組合は、民間の先ほど申し上げました健康保険、あるいは厚生年金保険、それに匹敵する社会保険一つであるということは間違いないわけであります。しかし、それと同時に、公務員の特殊な勤務条件に相応しまして民間並みの保険制度ではない、それよりも内容も若干よろしゅうございます。同時に、国のある程度労務管理と申しますか、人事制度の目的にも役立つようにという意味の考え方も入っているわけでございます。そういう意味で、法律の第一一条に、「公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに、公務の能率的運営に資する」、この一点を目的といたしているわけであります。単に遺族の生活安定、福祉の向上だけでございますと、これは民間健康保険厚生年金保険をそのまま当てはめていけばいいじゃないか、こういう議論も一部ではあります。これは別途「公務の能率的運営に資する」という目的をあわせ持たすことによって、その特殊の勤務条件に相応している特別の待遇をこれによっていたそう、かように考えております。
  42. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 本法案における職員の定義ですが、これは実質的組合員の範囲を規定するものであるわけです。にもかかわらず、これはまことに不明確で、重要な事項は政令にみな譲っておるわけですね。そのことの理由一つはつきりしていただ、きたいと思います。
  43. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 職員の範囲を一部政令に譲ってある点が非常に不明確であるということでございますが、政令に譲りました点も、これは公務員法などの規定を引っぱりまして、休職、停職などの処分を受けた者あるいは職員団体の職務にもっぱら従事している者、そういう原因をはっきり押えまして、そのうち政令で定めるものをこれから職員の範囲に含む。むしろ除外するのじゃなくて、職員の範囲に含む、この点はむしろ政令に含めるのでありますから、そう疑問はないと思うのです。もう一つは、臨時の使用者で「政令で定めるもの以外のものを除く。」、臨時使用者の一部は政令で除くということが出ております。この点は確かに御指摘のようにおかしいじゃないかというお気持もお持ちになろうかと思いますが、ただ臨時使用者というものは御承知の通り、身分問題その他で非常に不確定なものであります。これをそのまま取り入れるということはもちろんできないわけであります。同時に現在のものを全部除外してしまうということは、実情に即しません。この辺は政令で具体的にきめさしていただきたい、かように考えております。
  44. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 特に休職の場合ですね。あるいはまた停職の処分を受けた者とか、その他職務に専念する義務を免除された者あるいはまた臨時に使用される者、こういうものの具体的な内容一つこの際明かにしていただきたいと思います。
  45. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 共済組合の範「囲に入ります職員というものは、大体常時勤務に服して、正規の国家公務員ということがおもな内容でありますが、その場合、休職とか停職とかあるいは職員団体の事務に専従している職員、これは常時勤務には服してないわけであります。家で休んだりあるいはほかの仕事をやっておるわけでございます。こういう者は、本来職員の範囲に入れないわけでございますが、ただこれは共済制度一つ保険制度でありますから、休まれた方が保険料を納めていただけるならば、これは別にしいて因る、外へ出しておかなければ困るということはないわけであります。そういう意味で、保険料を確実に納める者、これは政令で組合員の範囲に入れるということにいたしております。臨時に使用される方は、これは定員法あるいは給与法、その他公務員制度全般の点につきまして非常に問題があるわけでございます。やはりこれは無条件に全部職員の範囲に入れるということは、私ども現在の段階では考えておりません。ただ常勤職員の身分を持っております者でも、過去いろいろな規定制度が変ってきた関係上、現在組合員の範囲に入っておる方が一部にあるのであります。そういう方はこの政令で、ともかく組合員としての身分を続けていくように措置いたしたい、かように考えております。
  46. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、被扶養者の範囲についてお伺いしたいと思いますが、現行法では、御承知のように組合員と同一の世帯内にある者で、その収入によって生計を営む者、これは一切入っておるわけです。ところが本法案においては、これを一段と制限を加えておって、三親等内の親族としておる。これは共済組合制度の本来の趣旨から見て、明かにこれは後退しておると思うのです。こういう点について、どういう理由でこういうような後退するような法案を出そうとしておるのか、この点明確にお伺いしたいと思います。
  47. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 被扶養者の範囲は従来と、ただいま御指摘の点、取扱いを異にいたしましたが、これは健康保険歩調を一にいたしております。昔からこの共済組合短期給付健康保険と同一歩調で歩んでおったのであります。健康保険は昔は他人まで被扶養者にいたしておりました。昨年の改正でございましたか、制度的にこれを改めまして、三親等内の親族ということに範囲を限定いたしたわけでございます。やはりこの健康保険をこのまま代行いたしております共済組合としては、この面もやはり同調していく方が正しいのじゃないかということで、こうやっておるわけでございます。
  48. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これを見ますと、組合財政からのみ制限を加えてあるようにも考えられるわけですが、組合員の生活を守るという、そういう立場に立って、そのために必要な財政計画を立てていく、そういう立て方が非常に大事だと思うのですが、この点について一つ大蔵省としてのお考えを伺いたいと思います。
  49. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この組合の、何といいますか、被扶養者の範囲を限定いたしましたのは、必ずしも組合財政の建前ばかりということでございませんので、先ほど申し上げました健康保険、特にそのうちの組合管掌健康保険——内容のいい方でございますね、御承知のように。これと歩調を一にしていくということで今まで取扱って参っております。そういう意味で、今回は政府管掌の健康保険じゃない、しかし組合簿掌にはあるという例の付加給付制度、これをある程度取り入れております。そういう意味で、それとバランスをとるためには、やはりその他の面で被扶養者の範囲を向うに合わす、あるいは先ほど御質問ございました資格喪失の継続給付制度、やはりこれも健保に合わしていくという考え方をとったわけでございます。制度の面、それから財政の面、これはもちろん両輪のようなものでございまして、一方だけ私ども重点視してこういう制度にいたしているわけではもちろんないわけでございます。
  50. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 共済組合は、御承知のように法人格を持っておるわけですが、今回新たに定款を定めることとしたわけですね、その理由一つはっきりしていただきたいのです。
  51. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この点は、どちらかと申しますと、技術的な問題でございます。今までは定款でなく、単純なる運営規則というようなものでございますが、今回は定款をきめまして、組合というものの性格をはっきりさせる、独立法人であるということをはっきりさせる意味で定款にいたしたわけでございます。
  52. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 定款の変更については大蔵大臣の認可を受けなければならないとしておるわけですれ。そういうことは、かなり大蔵大臣の権限を強化しておるように思うのですけれども、この定款は、各共済組合の運営審議会の議を経るという、そういう単なる形式を通じているにすぎない、そこに問題があると思うのですね、その点を一つはっきりしていただきたいと思います。
  53. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 定款の変更を大蔵大臣の認可にいたしましたのは、従来、運営規則を認可事項としたのとこれは同じことでございまして、特にこの際規制を強化するということではないのであります。また認可をいたすという場合に、なぜ一々こんなものにくちばしを入れるかというお気持だろうと思いますが、これはやはり内容の統一ということが必要なわけでござ六ます。組合の数としても二十六、七ございます。これは中身をてんでんばらばらにきめられてもこれは困るわけでございまして、そうした意味で、中身の統一をはかるということで、大蔵大臣の認可にかけておるわけでございます。
  54. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この審議会は諮問機関で、議決機関ではないわけですね。またそういう点、委員の構成もまことに不明確だと思うのですけれども、そういう不明確な規定をしておるわけですが、この点はどうなんですか。
  55. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) この運営審議会の構成は、まあ従来の法律と同じ形をとっております。しかし実際のこの委員の運営につきましては、この法律にありますように、一部の者の利益に偏することのないように、相当の注意を払うということで、従来ともいわゆる官側とか職員側、そういうものが平等に選出まれる建前でこれはやっているわけでございます。そういう運用現状を尊重して、そのままに法律に表わしておるということでございます。
  56. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に資金の運用につ六てお伺いしますが、組合の積立金とへあるいは余裕金については「資金運用部に預託して運用しなければならたい。そういう規定になっておりますが、これはどういう考えでこんな新らな取扱い方法をおとりになったのか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  57. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 積立金の場合にこうした新しい規定を入れましたのは、今回共済年金というものの性格をはっきりさせた、その性格に応じてこういう規定を入れたわけであります、その性格が何かと申しますと、公務員共済年金はいわゆる民間厚生年金保険、それを代行するとともに、その上に特殊な公務員条件に相応した給付を行う、こういう考え方をとっております。従いまして、民間ベースに見合うもの、厚年に見合うもの、これは一般厚生年金保険と同じように資金運用部に預託して効率運用を行う、この方が民間とのバランスもいいのじゃないかというのが一つ理由であります。もう一つは、厚生年金保険に見合うもの、これは官民を問わず、資金を共通にいたしまして、しかしその間の期間通算措置も、やはり官民を通ずる年金制度の統一運営ということもやはり頭に入れて考える必要がある。こういう意味で、厚年と、それに相当するものは、それと同じ取扱いにすることにいたしたのであります。
  58. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 安全とか効率確保、こういう点から現在のような実情にしたと思うわけですけれども、現在の積立責任準備金の実際の運用の利回りですね。これはどのくらいになっているか、またこの危険な積み立てを行なっておるというような事例が今まであったのか、もしなければ問題ないですけれども、もし華故があったとすれば、それを実例を示してほしいと思います。
  59. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 御質問の第一点の健来の運用の利回りの問題でございますが、最近三十年度くらいの実績で申しますと、各組合別に申し上げますが、大体のことを申し上げますが、非現業共済組合の連合会を申し上げますと、六分一座でございます。郵政省七分四厘、造幣の組合が七分九厘、印刷が八分五厘、林野の共済組合が六分、大体こういう状況でございます。  それから御質問の第二点の、資金の運用が安全かつ確実ではなかったものがあるかという御質問でございますが、これは必ずしもなかったとまでも申し上げられないわけでございます。同時にあったから非常に因ったというほどのこともないのでありますが、しかし何分にも大切な年金給付金でございますから、これはぜひ安全かつ確実に、しかも効率的にやっていくということを法律の上で今回はっきり明確にさしていただいたわけであります。
  60. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、厚生年金における還元融資ですね、この実情はどうなんですか、この点を御説明願いたいのです。
  61. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 厚生年金保険の還元融資でございますが、これは大体積立金が現在二千億円程度ございます。そのうち約五十億程度は、今日厚生年金病院でございますが、そういうものに還元されております。あと一部、若干の金が都道府県を通じて勤労・者住宅に回されておるというのが実情でございます。
  62. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 公企体の共済組合においては、厚生年金保険法による保険給付を行うこととした場合には、必要であるべき責任準備金の額に相当する部分を他の部分と区分して経理する、そういうふうにしておるわけですが、これは資金運用部に預託して運用せしめていないわけですね、この点はどうなんですか。
  63. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 資金運用部に預託まで公企体は確かに書いてございませんが、これは法律がやはり一、二年先の問題で、できたものでございますし、その後のいろいろな問題、やかましい年金制度の問題が問題化しない前にできた法律でございまして、最近になりますと、やはり事情が違いまして、官民を通じての年金制度の統一運営をやる、あるいは国民年金を作るというような問題が出て参っておるわけであります。そういう広い意味での年金制度というもの、しかも相互に通算をやり、しかもそれを広く国民に及ぼしていくということになりますと、やはり資金を一元的に集中して、プール化していくということは、将来必要になるわけであります。国家共済組合でまずこれ踏み切ったわけでございます。公企体の方においても、できればそうした措置を尊重していただければということを考えておるわけであります。
  64. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうなってくると、資金運用部の運用については、何らこう組合が意見を具申する場がなくなってくると思うのですね、これはやはり組合としては決して有利なことではないと思います。こういう点はどうなんですか。
  65. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 資金運用部に入りました金の運用、これはやはり厚生年金保険と一体といたしまして資金運用を考えなければならないわけでございます。ただ、民間厚生年金保険でありましても、たとえばAの会社が納めた保険料がAの会社に返っておるか、必ずしもそうなっていないわけであります。やはり総体的な財政目的にも使われておるわけであります。そういう意味で、民間の勤労者と同じレベルということになりますと、この分の積立金はやはり同じような運用にまかせざるを得ない、かように考えるわけでありますが、それが結果的に組合員に不利になるかと申しますと、これは資金運用部に預託いたしましても、ただでお預けするわけじゃありません。やはり六分何がし、六分程度の金利はもらうわけでありますから、そういう意味では損にならないということは申し上げられると思います。
  66. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この現行法によりますると、連合会の設立とかあるいは既存連合会の加盟、こういうことは各組合の自主性によって、言いかえますと、各組合の自主性が尊重されて任意になっておるわけです。ところが本法案では、組合の連合会に強制的に加入しなければならないとされているわけですね。これはまことに官製統制的制度として見られると思うのです。この点は非常に問題があると思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
  67. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 各組合の自主性と中しましても、これは現状でも全部やはり非現業ではほとんど連合会に入っておるわけであります。現業を除きまして、ほとんど入っております。それを逆に、はずれていったらどうなるかということになりますと、はずれますと、これは各組合としては、自分の狭い範囲の職員でもって年金もやらなければならない、福祉事業もやらなければならないということになりますと、おのずから掛金も高くなるし、福祉事業もあまりできないという結果になるわけであります。従いまして、現状ではやはりすべて任意加入でありますが、連合会に加入しておるというような現状でございます。それをその古ま尊重いたしておるわけでございます。特に共済にしたから今までと運営が違ってくるというふうには私ども考えておりません。
  68. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 連合会の役員についてですが、今の、現在の定款では、これ肝大蔵大臣の権限はむしろ補完的であってその点は問題ないと思うので十が、この法案では大蔵大臣が直接に命ずることになっておるわけですね。本来民主的な運営を望むこういう組合員の立場からすると、決してこれはプラスにはならないと思うのです。こえいう点は非常に、やはり問題を少し考えなければならないと思うのです。この点はどうですか。
  69. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 役員のうち、最高絆部だけを大蔵大臣の任命にいたしましたが、これは強制加入にいたしました関係上、結果的にこうなっておるわけでございます。それがために、そういう積立金の運用等の民主性、山主性が破壊されるかといいますと、私どもは必ずしもさように考えておりません。と申しますのは、うしろの方で国家公務員共済組合審議会というものを今回新たに作ることが帯いてございますが、この国家公務員共済組合審議会は、この共済組合並びに連合会の制度とかあるいはその運営に関する基本事項についての諮問に応じ、あるいは意見を具申するという建前に相なっております。この審議会を通じて各方柵の意見が反映できるというふうに私どもは考えております。
  70. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、一部負担金の問題ですが、これは御承知のように前田会で廃案となりました法律案で、その審議の過程でこれは健康保険の一部改正との関連で、共済組合にも導入すると、そういうことが明確になったわけですね。これは健康保険は在来赤字であったから、赤字補てんの意味からもそういうことが一応考えられたわけですが、御承知のように共済組合は従来から健全財政で、いつも黒字経営をしておるわけですね。にもかかわらず、健康保険は一部負担したから、おつき合いとして共済組合も一部負担ということはまことに不合理で、このことについては、前国会の法案審議の過程で、私からも重ねて質問したわけですけれども、この点はまたここへ出てきたわけですけれども、これは非常に問題だと思うのですよ、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  71. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 前国会で、この点で非常に御反対のありましたこと、私ども十分記憶いたしておりますが、やはりその後いろいろ、今回の法案を作りますとき、全体として相談、意見をまとめたわけでありますが、これは厚生省側でも大蔵省側といたしましても、どうしてもやはり健康保険に対抗する共済組合では、一部負担制度はやらざるを得ないということで、恐縮でございまますが、再びこれを提案さしていただいておるわけであります。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員の方に御要望申し上げたいのですが、あなたは非常にまじめに専一、汗していただいておるのはありがたいと思うのですけれども、声が小さくて、発音が不明瞭で、口早で、どうも聞き取りづらいのでずが、もうちょっと大きい声でゆっくりお答え願うようにお願いいたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  73. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただいまも申し上げましたように、この一部負担については、共済組合に関する限り、現在でも黒字経営である関係から、当然この金は余ってくるわけですれ。そこでこれを何とか返すとはいうておりますけれども、これを実際現金で返すというようなことは、とても実際問題としてできないと思うので、一体どのようにこれを措置しようとしておるのですか、この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  74. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 法案には一部負担金を取り上げたものを一応また辺すということは帯いてございます。そのほかの措置もあるというふうにございまして、たとえばそれで相当な財源が浮いて参りますれば、これによって掛金の引き下げもできます。あるいは金を付加給付——新しくできます付加給付でございますが、これによる新設の給付にも振り向けることもできるわけであります。できるだけ各組合の実情に応じて、各組合の便宜になるような方法で還付はいたしたい、かように考えております。
  75. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、付加給付制度ですが、これは健康保険法の第十二条に明確に出ておるのですね。共済組合に関する特例として共済組合のいわゆる給付種類及び程度健康保険以上でなければならない、そういう趣旨は明確に出ておるわけで、従ってこの付加給付はもうとうに実際実施されなければならなかったわけです。前国会でもこの点強く要望しておるわけですけれども、そこで、今ごろになってこの付加給付が出てきたということについては、まことに遺憾の意を表せざるを得ないわけです。それはおそまきながら出たとして了承するとして、この先ほど申し上げた一部負担金と関連して、関係があるかのごとく見せかけておるように考えられるのですが、そこに問題があると思う。その点を明確にしていただきたいと思います。
  76. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 付加給付制度は、一部負担金の返還ということとは必ずしも関係ないわけでございます。付加給付付加給付自体といたしまして必要なものを行うわけであります七
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、公務による廃疾についての給付ですね。この問題ですが、今度のこの法案規定が加えられて、現行共済組合の性格が、人事管理とかあるいは労務管理の一環として利用するという線が強く打ち出されておるわけですね。これは別な立場で国の責任を明確にして処理すべきものと考えられるわけですけれども、これに対するお考えをまず明らかにしていただきたいと思います。
  78. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 公務災害年金をこの共済保険制度に取り入れたことは、国の労務管理的色彩を強めるのじ、やないかという御質問でございますが、必ずしもそうとも言い切れぬのでございまして、現在御承知の通り国家公務員災害補償法というのがございまして、公務災害の場合の補償は、国が一方的な負担で補償するという制度がございます。それを越えましての年金として、さらにどの程度給付をするかということになりますと、これは現在恩給法でも増加恩給あるいは公務扶助料制度でカバーしておりますが、これでも国が一方的に国の責任で支給しておるというものでもなく、やはり二%の納金をいたしております。ある程度納金した上で公務災害の場合の年金をもらえるという建前になっております。これを今回共済組合制度に取り入れまして、その結果、年金にしてみますと倍になりますが、しかし今までの年金は、やはり公務員が醵出した上でもらえるという建前は変りないわけでございます。また一般民間におきましても、この公務災害の場合の年金というのは、厚生年金でも船員保険でも、すべて折半の負担の社会保険でやっております。一時金は労災法及び労働基準法に基いて、使用者の一方的負担による一時金の制度はもちろんでございますが、それを越えての、それ以上の年金としての災害給付は、これは民間では折半の負担でやっております。それはやはりそれにならって取り入れたということでございます。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今の点ですが、最初の六年間は国家公務員の災害補償法、この規定によって補償する、それは六年間過ぎると、今度はそのとき初めて共済組合において支給をする、そういうことになっているのですね。これは一体どういうことなんですか。
  80. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 国が一時金として、国家公務員災補償法で一時金を補償いたしますが、この補償は、大体金額の計算上、年金としての六年分に相当するということにきしまっておるわけでございます。そこで六年間たってから、こちらの方の年金を出すということであります。これは現存の恩給法と公務災害補償法との関係も同じように調整いたされております。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 公務の場合の廃疾かあるいはそうでないか、こういうような認定は一体どこで行うのか、この一点をまず明確にしてもらいたいと思うのですが。  それから、公務か私傷か、これは、こういうことは組合の財政に与える影響は非常に大きいと思うのですね。そういうような点で、これはこの法案を見ますと、国の当然行うべき責任を共済組合品に転嫁せしめておると、こういうふうにも考えられる。そういう危険が多分に考えられるわけですね。この点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  82. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 公務の認定問題につきましては、やはり最終は、共済組合が行う年金でありますから、共済組合が最終決定をいたすわけでございますが、しかし別途これは圏の件事に関連して生ずる公務災害でありますから、これは組合だけの意見で決定することも参りかねるわけでございます。その点につきましては法律で——の公務災害の年金の認定については、国の方の機関の意見を聞いた上で認定を行うということが書いてございます。これによって両者の立場を折衷ようということにいたしておるわけでございます。
  83. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この公務に関する給付については、これは当然に国が負担すべきだと考えられるのですけれども、今申し上げたように、こういうふうになっていることは、まことに不合理だと思うのですけれども、この点一つ重ねてお伺いしたいと思います。
  84. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 公務災害で生じたものであっても、これをどこまでも、その人が死ぬまで、あるいは遺族に至るまですべての一時金、年金を国で一方的にやるかどうか、これは確かに考え方の相違もあるわけでございます。ただ、現在の日本の現実の民間一般の例を見ましても、結局、一時使用者の一方的負担金は六年間である。それ以上の年金になると労使折半の社会保険でやるという建前に相なっております。国の場合もやはり同じような建前でいっていいのじゃないかと考えております。
  85. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 組合品貝が懲戒処分等によって退職された場合ですね、これは長期給付の全部、場合によっては一部が結局停止されてしまうわけですね。これは労働組合組合員の活動に対する非常な拘束になるのです。ね。ひいてはまた、労働者の生活権をおびやかすことにもなりますし、本来共済組合が社会保険としての立場を考えた場合、まことにこの点は理解できない個所だと思うのです。この点を一つはっきりしていただきたいと思います。
  86. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 懲戒を受けた場合、年金給付を制限する、これは確かに現行共済組合法にはある制度でございます。これはそのまま引き継いでおりますが、考え方といたしましても、これは何と申しますか、単純なる民間並みの社会保険である、いわば厚生年金そのものだという考え方でございますが、しかしちょっと懲戒の場合までは給付制限できないわけでございますが、これはたびたび申し上げて恐縮でございますが、民間年金保険プラス職域的なプラス・アルフアが入った年金であるということを申し上げております。そういう意味で、職域的なプラス・アルフアという場合に、懲戒退職を受けた場合に給付制限を受けるということはやむを得ない、あるいはまた当然な処置じゃないかと考えております。
  87. 藤田進

    委員長藤田進君) 述記をとめて。    〔速記中止〕
  88. 藤田進

    委員長藤田進君) 述記を始めて。
  89. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 短期給付に要する費用という中に付加給付の方も入っておるのですか、それからどのような給付を行う考えがあるのか、またその必要額はどのようにして算出するお考えなのか、この点を明確にしてもらいたいと思います。
  90. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 短期給付制度は、民間組合健康保険でも同じでありますが、組合財政に余裕がある場合にやるということでございます。従いまして、初めてこの付加給付制度をやるという場合には、かなり組合財政に余裕があって、掛金率も引き下げられるという状態になった場合にできるわけでございます。そうなりました場合に、各組合に共通の付加給付制度をいたしますと、ある組合ではその年の財政の範囲で実行できた、掛金事を下げないで付加給付の方に回せる、しかしある組合ではある程度持ち出しになるということもあるわけでございます。そうした持ち出しになった組合につきましては、翌年については、持ち出しになった翌年、付加給付に要する分は追加せざるを得ないのでございます。ただ短期給付の内密につきましては、これはやはり各組合の運営審議会あるいは国家公務員共済組合審議会、そういうところの意見を聞いた上で、どういうものをやるかはきめていきたいと旭います。
  91. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、長期給付に要する費用ですね、この計算基礎についてはどうなのか、具体的に伺いたいと思います。特に予定運用収入の計画とか、あるいはまた予定利率ですね、こういうものを一つ明確にしていただきたいと思います。
  92. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 長期給付の興用の算定は、大ざっぱに申し上げますと、長い期間の支出を長い期間に収入でまかなっていく、それを各年度半分して、半分の収入でまかなっていく、こういう考え方でありますが、その場合の金額は、今回大体五分五厘で予定金では考えております。
  93. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 さらに「毎事業年度の同項の掛金及び負担金の額が平準的になるように定める。」、これは九十九条にあると思うのですが、これはどういう保険料方式をとるのですか、この点を明確にしていただきたい。
  94. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) これは非常に技術的なことでございますが、ある年度から長期年金制度が始まります最初のうちは、年金の出が少いわけであります。だんだんやめる人が多くなるに従って年金額の支出が多くなっていく。まあ一つのカーブを描いて上っていくわけであります。これを毎年度毎年度の収入でまかなっていくということになりますと、最初のうちは掛金は少い。後年度になるに従って掛金が非常に多くなるわけであります。これはまあ実情に反するわけであります。長い間の支出額、カーブを描いて上っていく支出額を平均いたしまして、平均に毎年度支出があるものといたしましてその、平均の支出をまかなうに足る収入を毎年とっていくというのが、ここに書いてある意味でございます。
  95. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間の関係で、きょうはこの程度にとどあておきたいと思うのですが、最後に、資料の提出を一つお願いしたいと思うのですが、まずあの政令案ですね。本法案を審議するのにはぜひ必要な、法案の中に入ると思うのですが、これは六つの政令案を出していただきたいと思います。申し上げますと、第二条第一項一号の政令案、それから次は第二条第三項の政令案、それから第三には、第十九条第一項の政令案、それから次は第五十二条の政令案、次に第百二条第三項の政令案、それで最後に、百十一条第九項の政令案、以上六つの政令案を出していただきたい。  それから次に、財源の計算書を出していただきたい。  それから次に、健康保険法に基く健康保険組合ではどのような付加給付を行なっているか、こういう実態を明確にしたところの資料。  以上、大きく分みて三項目の資料をなるべくすみやかにこの委員会に出していただきたい。
  96. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単にお伺いいたしますが、この国家公務員共済組合の収入と支出と基金、その他財政状態がわかる一覧表をなるべくすみやかに資料として出していただきたい。  それからもう一点は、本案と非常に関係の深い国会議員の互助年金法案というのが本院に参っております。これの内容については、大蔵省ともむろん打ち合せがあったと思うのですが、赤字は出ないという立場になっておりますが、そういうふうに大蔵省でもお認めになっておるか、これが一点。  それから、もう一点は、この互助年金法案の最後に経費一のことがついております。「本案施行に要する経費一として、昭和三十三年度収入及び支出概算表収入に、全議員納付金が二千三百二十三万八百一円、過去の在職年数に応ずる納付金として四百七十五万二千円、合計、収入の部が二千七百九十八万二千八百円、それから支出の方は、元議員の普通退職年金が千四百七十三万四百八十円、元議員の遺族扶助年金が六百七十万七千六百円、合計二千百四十三万八千八十円、それで差引六百五十四万四千七百二十円残る、こういうふうになっております。ところが、この共済組合法の方では保険料も、いろいろおやりになっておりますが、この収入支出を一言で申し上げますと、納付金は全部収入に出しておるが、支出の方では、元議員の支出だけが出ておって、将来やめるべき人の支出が出ておらぬ。たとえば過去の在職年数に応ずる納付金が四百七十五万二千円というのは、おそらく十年の在職になっておる人が二百三十人ある、こういうことで出ておると思います。ところがかりにその一割の二十二人が今度の選挙で薄ちるか、あるいは死亡するか、その他の事由で、議員たるの資格がなくなった場合には、たちまち一人当り少くとも三十六万円の退職年金を支給するわけですから、たちまち七百九十二万円の支出になって、六百五十四万円の差引黒が、百四十八万円の赤になる。こういうことになるわけですが、保険の方では、民間で俗に言えば、支出の方には未払金勘定というものを立てなければならぬと思うのですが、こういう立て、方でいいのかどうかを伺いたいのと、詳細よくおわかりにならぬようでしたら、これを見て、至忠に保険理論に合うような収支明細表を資料としてお出し願いたい、こういうことを私申し上げておきます。
  97. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 国会議員互助年金以外の問題の資料の御要求は、でき得る限り提出いたしたいと思いますが、何分にも非常に膨大な資料の、ことに政令六葉すべてということになりますと、これ大へんなことでございます。今国会中、間に合うかどうか、私どもちょっと自信を持ってお答え申し上げられません。できるものから取り急ぎ調製して提出いたしたいと思います。  最後に、八木先生御質問の国会議員の互助年金法案につきましては、私どもといたしましては、正式には別に検討は加えておりません。国会の方で、事務局の方で検討になり、御提案になったものでございまして、大蔵省といたしまして、特に将来どうなるというところまで突っ込んだ検討は今のところいたしておりません。
  98. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私のにらんでいるのは、今一例を申し上げましたように、すぐこれは赤字になると。赤字になれば、これは国庫の負担になるということで、大蔵省としては非常に、当然関心を持たなければならぬ法案だと思います。ことに、この国家公務員一般共済組合とも関連があるし、恩給法案とも関連があるし、そこで、今直ちにむろん御答弁はいただけませんが、大蔵省の方から見てあるいはまた保険論か見て、一体収支がどのようになるだろう。たとえば国会の十年以上の勤続の人が、大体何年でかわるだろうというような見通しについては、むろん国会、当局にお聞きになればいいし、あるいは従来の勤続年数をお調べになればすぐわかるわけですが、保険理論を加味した収支計算書をすぐお出しを願いた、これは帰って、大蔵省でもよく御研究をいただいてむろんこれは内密に互助年金法の話があったと思うのです。その辺をお帰りになってしかるべく関係係と御相談になって、できるだけ一つ早くお出しを願いたい、こう思うわけです。
  99. 岸本晋

    政府委員岸本晋君) 法律案は、提出のところでいろいろ資料提出いたすことに相なっておりますので、やはり国会事務局の方にこの資料をお求め願えれば幸いかと存じます。国会事務局の方で、いろいろ作業上こちらと技術的問題を相談したいということでございましたら、私どもまた協力はいたしますが、資料の提出といたしましては、この法案提出の事務局にお命じいただきましたら非常に幸いでございます。
  100. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、三案につきましては、時間も経過いたしましたので、本日はこの程度にとどめまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後四時三十三分散会