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1958-02-28 第28回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十八日(金曜日)    午後一時二十六分開会     —————————————   委員異動 本日委員苫米地英俊君及び泉山三六君 辞任につき、その補欠として後藤義隆 君及び増原恵吉君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤田  進君    理事            上原 正吉君            大谷藤之助君            永岡 光治君    委員            近藤 鶴代君            後藤 義隆君            田中 啓一君            苫米地義三君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            伊藤 顕道君            千葉  信君            矢嶋 三義君            島村 軍次君            八木 幸吉君   国務大臣    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君    外 務 大 臣 藤山愛一郎君    国 務 大 臣 石井光次郎君    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    行政管理政務次    官       榊原  亨君    行政管理庁行政    管理局長    岡部 史郎君    行政管理庁統計    基準局長    美濃部亮吉君    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    外務大臣官房長 田付 景一君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    通商産業大臣官    房長      齋藤 正年君    通商産業省軽工    業局長     森  誓夫君   事務局側    参     事    (委員部第二課    勤務)     川上 路夫君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    通商産業省通商    局次長     伊藤 繁樹君    特許庁総務部長 鮫島 正蔵君     —————————————   本日の会議に付した案件科学技術会議設置法案内閣送付、  予備審査) ○行政機関職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○外務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○通商産業省設置法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○統計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。  委員異動につき、参事に報告いたさせます。
  3. 川上路夫

    参事川上路夫君) 御報告いたします。  本日、苫米地英俊君及び泉山三六君が辞任されまして、その後任として、後藤義隆君及び増原恵吉君がそれぞれ委員に選任されました。  以上でございます。     —————————————
  4. 藤田進

    委員長藤田進君) それでは、これより議事に入ります。  まず、予備審査のため付託されました法律案について、順次、政府から提案理由説明を聴取いたします。  まず、科学技術会議設置法案について説明を求めます。
  5. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいま議題となりました科学技術会議設置法案につき、御説明申し上げます。  最近における世界科学技術の進歩は、まことに著しいものがありますが、このようなときに際して、天賦の資源に恵まれないわが国がその文化と経済の発展を期するためには、科学技術の画期的な振興をはかるほかにはないということは、自明のことと考えます。このため政府といたしましては、科学技術振興国家的重要性を深く認識いたし、その振興のために諸般施策を推進しているのでありますが、従来の施策が、総合性という面において、必ずしも十分でなかったということに思いをいたし、政府施策に一そうの総合性を持たせるため、ここに科学技術会議設置法案提案する次第であります。  以下、科学技術会議設置法案につき、その概略を御説明申し上げます。  科学技術会議は、総理府付属機関として置かれる内閣総理大臣諮問機関であり、内閣総理大臣は、科学技術に関する重要な事項に関して関係行政機関施策総合調整を行う必要があるときには、その事項について、科学技術会議諮問しなければならないことといたしております。この科学技術振興のために重要な事項と申しますのは、第一に、科学技術一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立、第二に、科学技術に関する長期的かつ総合的な研究目標の設定、第三に、この研究目標を達成するために必要な研究のうち、特に重要なものの推進方策の基本の策定、第四に、これらの事項に関連する日本学術会議への諮問及び日本学術会議答申または勧告、以上の四つの事項であります。  このような事項につきましては、従来とも、大学研究に関しては文部省、工業の分野においては通商産業省、農業の分野においては農林省というように関係各省において、それぞれ所掌事務の範囲内で決定推進されて参ったものであり、また、科学技術庁原子力委員会のように、総合調整任務とする機関もすでに設置されているのではありますが、科学技術全般にわたって、施策総合調整をはかる機関は現在のところ存在しないのであります。そこで、新たに科学技術会議を設けて、これに科学技術の全分野にわたる施策総合調整の機能を果させようとするものであります。  もとより、本会議は前述のように、各行政機関科学技術全般に関する施策総合調整をはかることを目的として設置されるものでありまして、各機関の専管に属する事項のみを対象とした審議は行われないものであり、また、大学における学問研究をも含めた総合的な調整を行うに際しましても、憲法により保障されたその自由は十分に尊重されるものであることは、言うまでもありません。  科学技術会議のこのような任務重大性にかんがみ、その組織には、他の一般諮問機関と違った大きな特色を持たせているのであります。すなわち、第一に、議長は、内閣総理大臣であり、第二に、その議員としては大蔵、文部両大臣及び経済企画庁、科学技術庁、両長官が充てられるほか、関係国務大臣が必要に応じて議員として会議に参加できることとされていること、第三に、閣僚以外で識見商い議員四人のうち二人は常勤とされて、常時科学技術に関する諸事項の把握に専念できるようにされていること、最後に、議員全体の数が少数に制限されていること、以上であります。これは、科学技術会議の設問の趣旨にかんがみ、その組織を強力にし、かつ、その活動を実効あらしめんとするためであります。従いまして、閣僚以外の議員の人選に当りましては、特に意を用いて、科学技術に関して最高識見を有する者を選び、科学技術会議の公正な運営を期する所存であります。  以上、はなはだ簡単でありますが、科学技術会議設置法案につきまして御説明申し上げました。科学技術振興重要性に対する皆様の深い御理解により、本法案が可決されるよう心から希望いたします。本法案の慎重なる御審議をお願いいたします。     —————————————
  6. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  7. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案提案理由について御説明いたします。  今回提案いたしました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、第一に、昭和三十三年度における各行政機関事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務増加に伴う所要増員を行いますとともに、業務の縮小に伴う余剰定員の縮減を行うことといたしました。  第二に、定員外職員定員化につきましては、総理府総務長官の手元において検討中の公務員制度全般にわたる改正を待って、問題の根本的解決をはかりたい所存でありましたが、公務員制度改正作業もまだ結論を得ない段階でありますので、今回は、公務員制度調査会答申趣旨を十分考慮し、かつ、戦後これに見合う適正な定員措置が、諸般事情で押えられていたというような事情も認められますので、この際、暫定的に、各行政機関における定員配置適正化を行い、あわせて定員外職員処遇改善をはかるため、必要な定員外職員定員化を行うこととするものであります。  次に、法律案内容について申し上げますれば、今回の改正によりまして、第二条第一項の表における各行政機関職員定員合計六十四万三千九百二十五人に対しまして、定員外職員定員化に伴う増一万九千六百十五人、及び昭和三十三年度事業予定計画に伴う増三千七百二十一人で、結局二万三千三百三十六人を増加いたしまして、合計六十六万七千二百六十一人といたしました。  事業計画に伴う増員のおもなものといたしましては、科学技術庁付属研究所等の拡充に伴うもの百四十三人、国立学校学年進行、学部、学科の増設等に伴うもの七百八十四人、郵便取扱業務量増加に伴うもの千六十七人、電気通信施設拡張に伴うもの千九百二十二人、特定郵便局増設に伴うもの二百人等がありますが、いずれも業務増加拡張に伴う必要やむを得ないものであります。  なお、事業計画に伴い減員となるおもなものといたしましては、郵政省の電信電話業務日本電信電話公社の直轄に移管することに伴うもの六百九一八人、調達庁の行なっております駐留軍施設等提供業務の減少によるもの百三十五人等があります。  次に、この改正法律は、四月一日から施行することといたしております。  以上がこの改正法律案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本法案審議に必要な、今申し上げます資料提出をお願いしたいと思います。各省庁常勤的非常勤等のいわゆる定員外職員の、以下五項目に分けますが、勤続年数別職種別、それと日給別学歴別採用条件別、この五項目に分けて、各省庁のをなるべくすみやかに御提出をお願いいたします。
  9. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 承知いたしました。
  10. 永岡光治

    永岡光治君 それから、常勤的非常勤職員定員内職員との給与上、身分上の区別がどういうふうになっておるか、一覧表をほしいわけです。たとえば待遇はどうなっている、身分がどうなっている、共済組合の方はどうなっている、とにかく区別のあるものを一切知りたいわけですから、そのことがわかるような資料をしさいにわたってお出しをいただきたい。  それから、今、各省庁別の要求がありましたが、第二の私の資料は、職員が足りないために、勤務時間を済ましたあとで、その定員内の職員を臨時に切りかえて使っておる実情があるやに承わっておるわけですが、そういう職場があれば、それがどういう原因でそういう結果になっておるのか、そしてそれは一人当り一ヵ月にどの程度の時間勤務しているかということ、超勤ですね、超勤をやっておるかということ。  それから三番目の資料は、各省庁別超過勤務を実際にやっておる状況です。定員内の職員超過勤務をやっておると思いますが、どの程度超過勤務をやっておるか。これは実際支払われていない超過勤務があると思うのですが、そういう実情を含めまして、なぜ払わないかということでなしに、実情が知りたいわけですから、超過勤務の実際の状況ですね、これをお知らせいただきたい。  それから第四番目は、開発庁あるいは港湾建設等で船なんか使っておるだろうと思いますが、つまり船だとか機械とかいろいろな作業をいたします。それについて最低このくらいの人員がなくてはならぬという、大体これは法律できめられておるが、あるいは船の場合あると思いますが、あるいは法律できめられなくても、この機械を動かすに何人必要かというおよその定員ないしはそれに近い基準のものがあると思うのです。ところが、実際はそれだけの定員が配置されずに運用されておる向きが、現場において見受けられております。私たち見て参っておるわけでありますが、これの実情を知りたいわけですから、私が今言ったような趣旨で、その実情を知るために参考になる資料をぜひ御提出いただきたい、こういうことでございます。
  11. 石井光次郎

  12. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  13. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) 法務省設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。  この法律案の要旨は、法務省設置法の一部を改正して、法務大臣官房司法法制調査部を置くこと、法務大臣が必要あると認めるときは、法務研修所支所を置くことができるものとすること、法務大臣管理のもとに婦人補導院法第一条の規定による婦人補導院を置くこと、入国管理事務所出張所名称及び位置法務省令で定めるものとすること及び東京拘置所位置を改めることの、五点であります。 一、まず、法務大臣官房司法法制調査部新設についてでありますが、現在、法務省におきましては、司法制度その他他の部局の所管に属しない法令案作成、内外の法令並びに司法制度及び法務に関する資料調査、収集、整備、編さん及び刊行、法務に関する統計法制審議会国立国会図書館支部法務図書館に関する事項等を、大臣官房調査課においてつかさどっているのであります。この種の事務、ことに、司法制度等に関する法令案作成並びに司法制度及び法務に関する資料調査等事務は、近時ますます増大するとともに、その複雑重要性を加えて参りましたことはすでに御承知通りでありまして、現に今国会におきまして御審議をわずらわしております最高裁判所機構改革等に関する法律案等毎国会多数の法律案を立案している状況にあります。従って、これらの事務は一課をもってはこれを円滑に処理することが著しく困難な状況に立ち至りましたので、ここにこれに関する機構を改め、事務の円滑、かつ、能率的な処理をはかるため、大臣官房司法法制調査部設置し、これらの事務をつかさどらしめることにしようとするものであります。 二、法務研修所支所設置についてでありますが、法務関係職員事務  能率の向上並びに事務適正処理に資するため、従来法務研修所におきまして、諸般研修を実施して参ったのであります。しかし、中央における研修のみによりましては、予算等の点からその実施に種々制約が生ずるのでありまして、この際、地方における研修を充実実施し、中央地方を通じて総合的な研修の効果を上げるため、法務大臣が必要あると認める場合には、法務研修所支所を置くことができるものといたしたのであります。さしあたって来年度において、名古屋市及び広島市に支所設置することを計画しております。 三、婦人補導院設置についてでありますが、今国会提案審議をわずらわしております売春防止法の一部を改正する法律案第十七条の規定により、補導処分に付せられた者を収容するための婦人補導院につきましては、同じく御審議をわずらわしております婦人補導院法案第一条にその規定ががあるのであります。そこで、この婦人補導院は、法務大臣管理のもとにこれを置き、東京大阪、福岡の三婦人補導院新設することとし、なお、法務大臣は必要があると認めるときは、婦人補導院の分院を置くことができるものといたしたのであります。 四、入国管理事務所名称位置法務省令で定めるものとすることについてでありますが、入国管理事務所出張所につきましては、配置職員が二名ないし三明程度のものが多く、そのほとんどが出入国港設置されていて、主として外国人に対する出入国審査事務を取り扱っております。しこうして、国際情勢の推移、貿易の消長、出入国船舶増減等影響を受けてその事務に繁閑を生ずることがあるのでありますが、限られた予算人員を有効適切に利用し、これらの事務円滑化をはかるために、出張所新設位置変更等を臨機に行うようにすることが強く要請される次第であります。そこで、同じく港関係行政機関である税関の支署、出張所等の場合と同じく、これらの出張所名称び位置を省令で定めるようにするものであります。なお、この改正に伴いまして付則におきまして、地方自治法の一部所要改正措置をいたしております。 五、東京拘置所位置東都豊島区に改めることについてでありますが、法務省付属機関で、東京豊島区にある巣鴨刑務所におきましては、御承知のように、従来戦犯受刑者を収容してきたのでありますが、その在所者の数が著しく減少し、その施設の大部分が遊休化し、これを転用することが必要な状態になって参りました。しこうして、同施設は元東京拘置所として建設され、多年東京拘置所として運営されていたものであり、未決拘禁施設として適切であるのみならず、その収容能力も大であり、かつ、裁判所等関係機関との交通の利便等を考慮するとき、これを東京拘置所として復旧することが適当でありますので、現在東京都葛飾区の小管刑務所施設にある東京拘置所位置巣鴨刑務所のある東京豊島区に移し、当該施設東京拘置所を開設しようとするものであります。  以上が法務省設置法の一部を改正する法律案趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますよう、お願い申し上げます。     —————————————
  14. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案について説明を求めます。
  15. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 外務省設置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  わが外交活動の基調の一つとして、アジア外交を重視している次第は、すでに御承知通りでありますが、アジア諸国は、申すまでもなく、地理的人種的にも、また、戦前戦後の諸関係上からも、わが国との相関関係は、他地域に比し、格段に緊密なものがあり、従いまして、これら諸国との間の外交案件処理に当るアジア局事務は、対外対内の山国にわたり、まことに膨大なものがありますので、局長を補佐して局務を整理する次長をぜひ置きたいのであります。  次に、海外経済協力は、世界的趨勢でありまして、わが国におきましても、アジア、中近東、南米等において、その事例が著増しております。外務省においては従来、事柄の性質上、各地域局経済局とともにこれに当っておりましたが、窓口を一本化しこれを総合的に運営するため、これら海外経済協力に関する事務経済局において総括処理するための規定を、同局所掌事務に追加したいのであります。  次に、現在の国際協力局所掌事務に関する規定は、わが国国際連合加盟前の状態につき規定した部分がありますところ、わが国はすでに国際連合加盟済みであり、国際協力局事務は、大半、国際連合に関するものとなっている現状なので、この際、同局名称国際連合局に改めるとともに、所掌事務現状に即したように改めたいのであります。  最後に、外務省大阪連綿事務所でありますが、これにつきましては、外国事情の紹介、旅券発給についての便宜供与関西駐在外国公館との連結等のため、関西外務省出先機関を必要としておりましたところ、たまたま、一昨年来大阪府知事及び同地の財界、経済界から、経済外交推進等のため、ぜひ連絡事務所大阪設置するよう強い要望がありましたので、昨年二月来、大阪公使級職員を出張駐在せしめて連絡事務に当らせてきましたが、今般法律上正式に連絡事務所として設置したいのであります。  以上をもちまして、本法律案提案理由を終ります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いします。
  16. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  17. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記をつけて下さい。  なお、説明聴取予定のうち残余の案件につきましては、都合により後日に延期することにいたします。     —————————————
  18. 藤田進

    委員長藤田進君) 次に、通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本法律案につきましては、昨日内容説明を聴取いたしましたので、本日はこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 東南アジア開発基金構想が前に発表になったおけですが、これも構想倒れになって、結局、輸出入銀行に五十億ですか設置したということでありますけれども、この五十億の使途について、概要でけっこうですが、その具体的な構想を承わりたい。
  20. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これはまだ詳細な使用の計画というようなものは決定いたしておりません。御存じの通りに、ある程度計画が具体化しておりますものは、それぞれ各省予算に載っておるわけでございまして、その資金につきましては、まだ具体的な計画はきまっておらないわけでございます。ただ、形といたしましては、日本輸出入銀行に特別の勘定を設けまして、それからこの輸出入銀行資金としておくわけでございますが、使途といたしましては、将来国際的な協力による特別の機構ができました場合には、その出資に使うほか、そのような機構ができることが大体きまりました場合に、そのような機構ができるまでの間において出資または融資に使用する、こういうことになっておりまして、それ以上具体的な内容等は、現在はまだ決定しておりません。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 世界経済が不況になっておる折から、輸出目標額を三十一億五千万ドルに決定しておるようですけれども、海外市場の開拓その他の輸出振興に必要な対策費としては、はなはだ不十分のように思うのですが、なお、そういうことによって国民に与える影響は非常に大きいと思う。特に中小企業に対する圧力が非常に強いではないか。この点についての考え方を承わっておきたいと思います。
  22. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 来年度輸出目標は、為替ベースで三十一億五千万ドルに決定いたしましたことは、仰せの通りでございます。この問題につきましては、予算委員会などで再々御質問がございましたし、各大臣とも、三十一億五千万ドルは相当困難ではあるが、しかし達成しなければならないし、十分な努力をすれば達成は可網である、こういうお話がございました。  それから予算でございますが、これは前回にも御説明いたしたと思います。が、通産省の貿易振興費といたしまして十七億円強になっております。本年度十二億円ございますので、本年度に比べまして四割くらい増加いたしております。その面で、われわれといたしましては、もちろんこれで非常に余るほど十分であるというふうには考えておりませんが、しかし、当面の輸出振興措置を実施するためには、まずこれで十分責任は持てるものというふうに考えております。  それから輸出目標が達成されなかった場合どういう影響があるであろうか、特に中小企業にどういう影響があるかという御質問のように伺いましたけれども、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、三十一億五千万ドルはぜひ達成したいと考えておりますので、達成されなかった場合の影響というような点について特に論及いたしたことはございません。また、達成されなかったという場合に、それがどういう内容によりますものか、それに上りまして非常に違うのでございます。従って、一律的に中小企業に対してこういう影響があるというようなことを、ちょっと具体的に申し上げることは困難ではないかと思っております。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、この法案によりますと、通商局に新たに振興部設置して、日本貿易振興会によって貿易振興をはかる、こういうふうに説明を聞いておるわけですが、所掌事務の遂行上の中核的な形になるのかどうか、その点伺いたいと思います。
  24. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 日本貿易振興会業務について前回説明申し上げましたが、それは、通商振興に関する仕事が非常に来年度増加する、予算増加いたしますし、また日本貿易振興会というような新しい組織を作って仕事も大いにふやす、こういうことで、業務量もふえるという例証として御説明申し上げましたわけでございまして振興部の所管になります業務は、日本貿易振興会の所掌いたします事務のほかに、検査でございますとか、あるいは保険でございますとか、ほかの、国におきます輸出振興業務を全部総括していたしますので、日本貿易振興会処理いたします業務は、大体市場の調査とかあるいは博覧会、見本市というようなものでございますとか、あるいは輸出のための共同施設の運営でございますとか、主として海外におきます貿易振興に関する業務を総合的に行う法人として計画いたしております。振興部所掌事務の中で、貿易振興に関する業務という仕事の中のまた一部を取り扱うものが、日本貿易振興会でございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日本貿易振興会の性格についてですが、これは半官半民でやるのかどうか。それから役員等について、それから運営、それから補助金の使途等についてはどのようになっているか、その点について。
  26. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 日本貿易振興会は、全額政府出資でございますので、もちろん公法人になります。そして役員でございますが、これは理事長、副理事長各一名、理事が七名、監事二名になっておる、こういうことにいたしております。  それからこの貿易振興会の経理の内容でございますが、大体これは貿易振興会の行なっております業務は、政府の補助を受けて、あるいは政府の委託を受けて行う業務と、それから独自に行う業務とございますが、政府の補助あるいは委託を受けて行います業務がほとんど大部分でございます。で、政府の補助金といたしまして八億ちょっと足りないくらいじゃないかと思いますが、あとで正確に申し上げますが、そのほかに民間側から、大体これは業務内容によって違いますが、四億ないし五億程度資金を受け入れましてそのほかに今度二十億の政府出資を受けることになりましたので、それの金利が、平年度でございますと、一億二千万程度と思います。それだけの資金業務をすることになっております。  業務内容は、先ほど御説明いたしましたように、海外の市場の調査、それから商品の市況の調査というような調査業務、それから見本市、博覧会、展示会というような商品の宣伝のための施設の開催とか参加とかいうような事業、それからカメラでありますとか、あるいは合板でありますとか、そういった業務について現在やっておりますが、要するに貿易振興のための海外におきます共同施設事業、それの運営、それから特定の商品の海外におきます宣伝、たとえばミカンでありますとか、あるいはお茶でありますとか、そういったものの海外におきます宣伝事業、大体そういった事業を主といたしまして、そのほかにそれに関連して、国内におきます宣伝とか連絡とかの事業を行なっております。現在二百四、五十人だったと思いますが、職員を擁しております。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このほかには、通商関係の団体は別にないのかどうか。それから、今後の方針についてお伺いしたい。
  28. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 通商関係には、ほかにたくさん団体がございます。しかし、日本貿易振興会は、政府の行なっております各種の補助につきまして、特に海外におきます事業につきましては、できる限りこの団体に統合して行いたい。もちろん、特別の事情によりまして、現在この団体に統合されておらない仕事は幾つかございます。通産省関係のものでは、たとえば日本プラント協会が行なっております海外におきます機械の宣伝とか、あるいはコンサルタント業務というようなことをやっておりますが、日本プラント協会、農林省の機関でございますニューヨークにあります生糸の宣伝機関というふうなものが、それぞれこれはいろいろの成立までの歴史的な事情なり、あるいは仕事の内容の特殊性なり、あるいは人事その他の関係で、独立しているものはございますが、しかし、通産省の方針といたしましては、できる限り日本貿易振興会ができますればそれに統合していきたい。ただし、仕事の内容あるいは歴史というような今までの御説明しましたような関係で、統合した場合に非常に摩擦の多いようなもの、仕事の能率の低下するようなものを、無理に統合するという考えはございませんが、円滑に統合できますならば逐次統合していきたい、このように考えております。すでに、農林省の所管の農林関係貿易振興事業を行なっております団体が現在ございますが、これは日本貿易振興会ができますと、この団体に統合されることになっております。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この日本貿易振興会は、今仰せのあったように、二十億の出資とか、その他補助金を出しておって、貿易振興会が貿易上の実際上の実権をにぎるようになるわけですが、これに対して振興部が十分指導監督ができるかどうか、そういう点についての明確な所信をお伺いしたいと思います。
  30. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 先ほど官房長から御説明申し上げましたように、日本貿易振興会は、政府の委託もしくは政府の補助というようなものを土台として、仕事を行うものが多いのであります。これらにつきましては、政府の指導と監督のもとに運営されますので、私は、その日本の輸出の振興に強く働き得るもの、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 補助金については企業局を通じて出すというふうに聞いておりますけれども、その点どうか。それと、そういうことではいろいろ指導監督上支障があるのではないか、そういう点御説明願いたい。
  32. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これは通商局の所管でございます。通商局から全部出ることになっております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今申し上げた点について、三十一年度の決算報告で、御承知のように、日本貿易振興会の前身である財団法人であった海外貿易振興会ですね、これに対する補助金の交付をめぐって、いろいろ事業内容とか経理内容について不当な点が指摘されておったと思うのです。この点について現在部内監査とか指導監督をどのようにやっておるのか、この点、明確にしていただきたい。
  34. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 海外貿易振興会の事業等につきましては、御説明申し上げましたように、海外における事業が大半でございます。事業の内容につきましては、補助条件で精細に規定されておりますので、またこの団体の性質からいたしましても、内容自体について、補助条件に違反して事業を行なったというようなケースはございませんが、海外関係でございますので、計画を立てましてから実施までに非常にいろいろといきさつがございまして、あるいは業界の負担すべき分の負担について、なかなか協議がととのわないというようなことで、事業が非常におくれがちであるという点が一つと、それから海外関係等が多い関係だと思いますが、また若干仕事のふなれの点がございまして、経理上の処理が非常に不十分な点があったという点が指摘されておりますが、それにつきましては、十分われわれも気をつけまして特に経理上の処理と申しますか、取扱いが非常に不完全なものが多かったので、その面については、特に人の強化というようなことを通じて、厳正にやるように指導監督いたしております。特に今後は事業の内容もふえますので、その点は特に注意していきたい、かように考えております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 貿易振興会の本年度の事業費は、貿易振興費の六割である八億八千五百万円ですか、こういう数を占めておるわけです。昨年度に比べますと、大体三億一千万が円の増を示しているわけです。こういうことは大企業に対する支援にはなるけれども、中小企業に対しては何ら恩典を浴しない。特に中小企業の面に対しては、その振興費としてわずか三百万円の増にすぎないわけです。こういうことでは、中小企業の輸出の面には立つ瀬がないわけです。こういう点について、どのように考えておられるのか、お伺いします。
  36. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 昭和三十三年度貿易振興会の予算は、御指摘のような増加になっておりますが、私は、日本の中小企業というものがどう動いていくか、こういうふうな観点に立ちますときに、結局日本の中小企業を近代化し、能率化していく、そしてその製品を海外に輸出していくという基本方針がどうしても必要だと、こう考えおるのであります。そういうふうな観点から考えますときに、日本の中小企業の輸出品というものは、非常に海外に出にくい状態が多いのであります。特に新しい製品等において、その感を深くするのであります。それはいわゆるこれを扱う貿易業者、さらに相手市場におきます輸入業者というふうなもの、相手市場における市況の調査というふうなところに十分な、いわゆる便益がない。そこで、日本の中小企業製品の輸出を振興していくという上におきましては、こういう今回二十億の出資をもちまして、やはりジエトロ——略称ジエトロでありますが、ジエトロのようなものがその面に中心的な活動の重点を置くべきものと私は考えておるのであります。  特に最近いろいろの問題の安定に伴いまして、大企業にありますれば、海外市場に支店を置き、その市場の調査もみずからやるし、有能な職員をそこに置いておりますので、みずからの手によって市況の把握、取引の実態をきわめる。ところが、中小企業においては、そういうことは困難であるというふうな状況に置かれているようであります。この貿易振興会というものは、そういう意味から申しますと、その業界での共通問題でありまする調査事務、市場調査事務、あるいは取引のあっせん事務等々につきましては、中小企業製品というものが当然に優先的に取り上げられなければならぬものと考えておるのでありまして、そういうような趣旨から申しますと、この運営に当りましては、日本の中小企業製品の海外へのドライブをするという方向に私は指導していく、また働いていかなければならぬと、こういうような考え方をいたしておるのであります。従いまして、お尋ねのようなこの組織が、大企業の便益に片寄り過ぎるということは、私は戒めなければならぬと思いまするが、そういうことより、逆に、今申し上げたような方向に私は重点を置こうと思っております。そういう方向で指導していくべきものと私は考えておるのであります。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中小企業のための市場の調査とか、あるいは貿易あっせん、それから試作品、そういう面の補助、こういう具体的な面についてどのような具体策があるか、そういう点についてのお考えを伺いたい。
  38. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 全般的な方針につきましては、今、政務次官よりお答え申し上げました。具体的に予算について御説明申し上げますと、来年度予算といたしまして、たとえば貿易あっせん所の運営費七千万円——従来一億五千万円でございましたものを一億二千万円にいたしまして、七千万円増加いたしております。貿易あっせん所の取り扱います品目は、雑貨関係、あるいは繊維、雑品というようなものが中心でございまして、ほとんど大半が、中小企業関係の市場開拓を一そう積極的にやろうというのが、貿易あっせん所の費用が非常に増加いたしました大きな原因であります。それから海外宣伝費で、従来六千万円ありました特別宣伝費というものを一億四千万円に増加いたしまして一挙に八千万円ばかりふやしております。これはたびたび問題になりますが、米国あるいはカナダ、あるいは豪州、あるいはヨーロッパ等におきまして日本の、これもやはり主として繊維、雑品、あるいは若干の農産品等ございますが、そういうものに対する輸入制限運動に対処する費用でございまして、事前に、そういう輸入制限運動あるいは関税引き上げ運動のようなものが起りました場合に、その起る前に事情調査いたしまして対策を講ずる、そのための費用でございます。  それから特に中小企業のための施設といたしまして、デザイン関係でございますが、海外におきますデザインの盗用問題というものが、非常にやはり日本品排斥の一つの動機になっておるので、これは一昨年でございましたか、雑貨、それから繊維及び陶磁器の三つにつきまして、デザイン・センターというものを作りました。そこに国内あるいは海外のデザインを陳列いたしまして、それに陳列されたものは、模倣して海外に出したりしないようにする。そういうための施設を作りましたが、それに対しまして、来年度新たに六百万円の補助を計上いたしたのであります。そのほか、宣伝事業その他につきましても、できるだけ中小企業を中心にするという運営方法をとっておりますことは、今、政務次官から御説明申し上げた通しであります。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外国との経済協力ということを強調して、新たに海外技術センターを設けて、一億八千万円ですか、こういうものを予算化しておるわけですが、この経費で十分所期の目的を達し得るかどうか、この点についてお考えを伺いたい。
  40. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これは、今お話がございましたように、経済協力事業というものが、非常に大きく最近取りし上られるようになりまして、来年度から新しくついた費目でございましてお話のように一億一千八百万円でございます。これの具体的な内容は、インドの西ベンガル州に、職業訓練と申しますか、難民救済のための職業訓練の施設を作りたい、それの機械設備及び指導員について日本側の援助を得たいという話が、総理がお回りになりましたときにそういう話が起りまして、それが具体化いたしました。それの関係の経費が、大半の七千万円以上がその分でございます。これは非常に計画が、今両方の外交系統を通じて話が進んでおりますので、これは具体化すると思います。それからマレーから、インドにそういう施設をやるならばマレーにもやってほしいという話が、非公式ではございますが起っております。この分と、そうなりますと、その他の東南アジア諸国で賠償を行なっておらない国につきましては、同じようなことが問題になる可能性がございますので、残りはその他の地区の調査費でございます。これは十分外国におきます計画が具体化いたしますれば、十分効果を上げて使用できるものと考えております。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 中共におけるあの例の見本市で、パンフレットが非常に問題になったわけです。こうした日本商品の海外輸出について、十分指導監督が届かなければならないのじゃないか、私どもそういうふうに考えておるわけです。まことに遺憾のことであったと思うのです。その点について一つ、立場上の釈明をお伺いしたい。
  42. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 今回の中共におきます見本市に不注意なパンフレットを出したことは、まことに遺憾に存ずるのであります。一昨年でありますか、北京のときには不良品を出しまして問題になりました。今回はパンフレット問題で不注意な資料を配付した、こういうことでありまして、まことに申しわけないと思います。今後貿易業者の方々が世界の動きに十分な理解といいますかを持つように、一つしていかなければならぬと、こう考えておるのであります。政府側といたしまして、たとえば検査の問題等、やれるものにつきましては、先般は輸出には輸出検査を施行いたしまして、不良品の出るようなことを防止しております。今回の件につきましてはまことに遺憾でありますが、今後こういうことのないように、今できるジェトロというものも、これらのPR運動を一つの仕事として取り上げられていいのではないか、こう考えております。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案によって振興部設置するということになっておりますが、実質的には貿易振興の実権を日本貿易振興会に与えて、そうして部長を一名増員と、それから意匠に関する特許庁の所掌事務を行うと、こういう中身であって、それ以外の目的はないわけだと思うわけですが、問題となるのは人事構成の面だと思うわけです。で、通産官僚によって日本貿易振興会をまず十分動かして、そこで通産省自体がまたこの日本貿易振興会によって左右される、そういうような懸念が考えられるわけですが、こういう点については心配がないのかどうか、明確にお願いしたいと思います。
  44. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 日本貿易振興会というのは、日本の輸出の振興業務振興に関する具体的な事務を中心としてそれに当ることになっておるのでありますが、私は、この日本貿易振興会というものは第一線部隊でありますので、その仕事のやり方等につきましては、政府の指導下に、大きな方針は政府の指導下に、そうして具体的な問題につきましては各方面の知識経験を集めてやってゆくということになろうかと思うのでありまして、第一線部隊というような意味におきまして、日本の輸出振興に関する事業がこの貿易振興会によって実権を握られるというふうな御心配は、ないんではないかと思うのであります。特に結局問題は、振興会運営の衝に当る人々の能力と良識にかかるところが非常に大きいと思うのであります。で、振興法案におきましては理事長、副理事長及び監事は政府任命に相なっております。この首脳人事によく国際視野のある、貿易、産業に練達の士を迎えることができますれば、国家の付託されておる輸出振興任務を果し得るというように実は考えておるわけであります。  で、今お話がございました第二段の意匠の問題でございますが、最近、申し上げるまでもなく、意匠の斬新さ、グット・デザインということがよくいわれておるのでございますが、通産省におきまする意匠の所掌事務通商局、軽工業局、特許庁等々に今まで分散いたしまして、それぞれ各局の所管する角度からそれに関与しておった、こういうような状況でありまして、これを貿易振興、特に輸出の振興の見地から、よいデザインを作ってゆく、また一方から申しますと、外国の模倣、盗用をしないという、こういうような見地から一元的にこれを取り扱う、こういう趣旨におきまして、各部局にありまする意匠に関する事務通商局に集中するということにいたしたのでありまして、これによりまして私は意匠の進展というものが期待できるのではなかろうか、そういうふうに実は考えておるわけであります。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 日本貿易振興会と外国商社との関連はどういうふうになるのですか、この点をお伺いいたします。
  46. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) それは、外国商社につきましては、特別な関連は全くないと思います。現在ございます海外貿易振興会は、貿易商社あるいはメーカーあたりから会費を徴しておりますけれども、これには外国商社が入っておるものはないと思っております。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 海外市場に対する基本的な態度、それと、中共貿易に対する態度、こういう点について明確な考え方をお伺いしたい。特に中共貿易に対して輸出制限を現在やっておるわけですが、こういう点について、こういうものを排除する道はないか、その点をお伺いしたい。
  48. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 非常にむずかしい問題でありまして、海外市場に対する日本の貿易経済協力に対する基本的態度いかんというお尋ねでございまして、非常にむずかしいのでございますが、私は、特に通産省におきましては、何と申しましても、一番最初伊藤さんからお話がありましたように、三十一億五千万ドルといういわゆる輸出をすることによって九千万国民が生きていく、こういう運命的な状態に置かれておるのでありますから、当面何といっても輸出の振興を中心にし、この輸出の振興の中心になりますのは日本の産業の発展で、その発展状況にあわして持っていかなければならぬと思うのであります。  で、日本の現在の貿易情勢から、現という見地から、日本の産業がそこに出ていくのだという方向に、どうしても一つの重点を置かざるを得ないものと考えておるのであります。  そういう意味におきまして、ただいまのところは、海外市場に対しましては、まず当面輸出の伸長ということを重点に置いてその中に地域的に重点の商品別な差を、ニュアンスを持たせつつ、進めていくほかないと考えておるのであります。  第二点の中共貿易に対する基本的な態度をどう考えるかということでございますが、これは私ども、中共との関連は、これまでの過去の実態が、すでに申し上げるまでもないのでありまして、お互いに物の交流を強くしていくことが望ましい。それが相互の経済の発展へ貢献する点が多いと考えておるのでありますが、現在の日本の国の世界政治の中心に置かれておる地位から申しますると、なお一本筋に経済的な観点のみで進みにくい状態にあることも、申し上げるまでもないのであります。具体的に、チンコム・リストというものが昨年の八月に修正されまして、非常に禁輸品目の整理をいたしまして、二百六十幾つだったかと思うのでありますが、チンコム・リストの整理をいたしております。このチンコム・リストに掲げられておるもの以外のものにつきましては、輸出は自由でございますが、チンコム・リストに載っております問題につきましては、現在の段階としては、これをただいま一挙にやめられないかというようなお話がございますが、私は、現在は相互のいろいろな状態を十分に検討しながら縮小していく、こういう立場をとるほか、一挙にこれをやめるということはなかなか困難ではないかと、こういうふうに実は考えておるのであります。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、外国の商社が日本の下請メーカーに商品を作らしてそれに若干手を加えて独得の商標を利用する、それが商標盗用という問題をしばしば起しておると、そういうふうに聞いておるわけです。この面についての指導監督はどういうふうにやっておりますか。
  50. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) 意匠盗用の問題につきましては、ただいま御質問にありましたように、外国の商社なりメーカーなりが、デザインを指定いたしまして内地のメーカーに作らせまして、内地のメーカーの方は中小企業者が多いものでありますから、その間の事情をよく知らないで作りましたその結果が、外国におきまして意匠盗用の問題を起しているというようなことが、非常に数多いわけでありまして、われわれの方の指導方針といたしましては、従いまして、外国のハイヤーが内地のメーカーに発注する場合には、よって事後に起るところの意匠盗用の問題については、一切の責任を外国のバイヤーにおいて負うという保証状を取りつけるような指導を行なっているわけであります。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 発注外国商社との連絡、それから下請業者との連絡ですね、そういう連絡の方策はどういうふうになっておりますか。
  52. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) 外国の商社は、日本の商社に比べまして、非常に金繰りの面で楽な場合もございますし、そういうような関係もありますので、従来主として日本の商社なりメーカーなりの連係をある程度そういう力によって排除いたしまして、中小企業に直接発注しているというような事例は、物によりましては、真珠とかいろいろな、ことに零細な企業状態の多い商品につきまして、間々あるところでございますが、これにつきましては、一応商取引の問題でございますので、十分には通産省としてタッチをいたしておりません。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、アルコール事業部の設置について、内部部局をふやして、業務管理の二課長のホストをふやすだけなのかどうか、これは定員増になるのかどうか、この点についてお聞きします。
  54. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これは前回補足説明で申し上げましたように、現在アルコール事業長、アルコール管理官二名ございます。従って、それをただこういう部課という形、部長課長という形に直すだけで、定員の新規増加はございません。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、地方通産局の体制はどのようになっておりますか。それを、いろいろ事務過重になるのじゃないかということが考えられますが、その点、明確にしていただきたいと思います。
  56. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 今の御質問はアルコール関係についての御質問でありますか。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうです。
  58. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) アルコールの行政は、実質的に申しますと、二種類あるわけでありますが、第一は、アルコールの生産なり、あるいは民間に委託して作った場合の収納なり、あるいはそれをまた専売制度のもとに販売する、こういう仕事と、それからもう一つは、やや行政的なもので、アルコールの取締り、アルコール税の確保をするための取締りを行うという、これは行政的なものです。そういう一つの種類の仕事でありますが、これらの仕事を行いますために、中央においては、今お話にありましたように、アルコール事業長、管理官というものが携わっているわけでありますが、地方においては、各通産局にそれぞれアルコール課というものが商工部の中にありましてそういう仕事を担当いたしております。生産の関係もやりますから、官営工場の能力の非常に大きい所では、職員も非常に多い。たとえば九州の関係では、全部で五百人前後、これは労務者も含めての話でありますが、そういう大きな陣容になっておるわけであります。そういうわけで、現場の仕事は、通産局で担当の部課がございましてそこでやっていくということになります。  なお、御質問の第二点でございますが、仕事のやり方につきましては、特にそれは従来と比べまして過重になるとか、楽になるというふうな変化はございません。ただ、この部の役職によりまして、従来軽工業局長がすべてのアルコール行政の責任者として、すべての書類を見て、たとえば毎日のちょっとした支出にも、一々判を押しておるということもあるのでございますが、そういうことは今後事業部長に委任いたしまして、専決させたい。そういうことによりまして、本省の事務の能率化が実現でき、また対外的にも非常に組織が明確化されまして、事業部としての活動がやりやすくなるということをねらっているのでございます。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に、工業所有権研修所の点について一つ二つ伺いたいのですが、この内部組織の概要はどんなですか。
  60. 鮫島正蔵

    説明員(鮫島正蔵君) 内部組織の意味は、特許庁の現在の内部組織のことでございますか。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうです。
  62. 鮫島正蔵

    説明員(鮫島正蔵君) 現在特許庁は、長官のもとに、総務部のほかに、審査に関して一部、二部、三部、四部があり、審判部がもう一部、総計六部ございます。そのうち審査の一部は、商標と意匠の審査をいたしており、審査の二部、三部、四部は、特許、実用新案の審査をいたしております。そのうち二部が機械を中心といたし、三部が化学を中心といたし、四部が電気を中心とする、そういうふうにいたしております。なお、総務部の中に印刷工場を持ちまして、特許公報その他の公報類を印刷発行いたしております。それからもう一つ、万国工業所有権同盟条約に基きました義務といたしまして、資料館というものを付属館として持っております。これは特許になりました資料の公開、権利になりました資料の公開をいたす所でございます。今回設けることにいたしました工業所有権研修所は、この資料館と並びまして特許庁の付属機関として設置するものでございます。
  63. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この研修所を出ました者についての資格の付与ということについては、何か考えておりますか。そういう点は公然考えておりませんか。
  64. 鮫島正蔵

    説明員(鮫島正蔵君) 私の方では、審査官というものは非常に重大な仕事をいたしておりまして、権利の付与をやっておるわけでございます。普通の行政官庁におきましては長官が、行政官庁といたしまして長官の名前ですべて行政行為をいたしておるわけでございますが、特許法におきましては、審査官が審査して査定をするということになっておりますので、審査官の能力は審査の質に非常に影響いたします。今回の研修所を作ります前、現在におきましても、内部におきまして審査官に登用をいたしますには、内部で試験を実施いたしております。この研修所は、そういう試験制度にかわりまして、この研修所を一定年限終了した者をもって審査官にするという予定でおります。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 若干お伺いいたします。すわったまま失礼いたします。  まず第一番に伺いたい点は、通商産業省所管の行政事務の、総合的に政策の推進をはかるというような、そういう総合調整といいますか、そういう点は通商産業省設置法のどこでやっているのですか。その点を、法に基かぬでもいい、実際にどういう形態で連絡調整をやり、総合的な力を出すべく努力しているか。そういうような話し合いなんかをだれが主催して、一週間に何回か、月何回ぐらいやっているか、そういう実際運営面を承わりたい。
  66. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これは、この設置法その他の法規に規定してあるわけではございませんが、通産省内の意思決定、あるいは連絡調整最高機関といたしまして、省議というものをいたしております。これは大臣、両政務次官以下各局長全部省議の正式のメンバーでありまして、必ずこれに出席しなければならない。毎週二回定期的に行なっておりまして、主要な法令、あるいは主要な行政上の問題は全部これにかけて、その決定を受けなければならない、こういう形で全体の連絡調整をやっております。その下部機構として、庶務課長会議というものを置きまして、これはそれぞれ各局の主席課長がメンバーになりまして、そこで省議に出す問題についての事前審査をいたす。  なお、法律問題につきましては、官房の総務課に法令審査委員という制度がございまして、各局から大体一名ずつ程度の古参の事務官がおりまして、法令上の検討はその会合で検討する、こういう形になっております。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政務次官に伺いますが、今御答弁になった点は私も了承していますが、政策の検討、立案の反省とかいう、そういう立場からの点は、私は欠けるところがあるのではないか。当面の事務処理に非常に各部局が、言葉は適当でないかもしれませんが、制度的な立場にとらわれて、大きく通商産業行政の進展とかという立場でなくて、事務的な連絡に片寄る。そういう反省は、これはあえて通商産業省だけに限らぬと思うのですが、日本の廃業経済の発展に関係のある各官庁とも、そういう反省が僕は幾らかなされてしかるべきものだという見解を持っているのですが、それには、一つは運営の問題もありますし、機構の中における、それを主催する人にも関連があると思うのですが、そういう点は、政務次官としてはどういう眼で見ていらっしゃいますか、伺っておきたいと思います。
  68. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 非常にお答えのしにくい問題でございますが、率直にいって、通産省の多くの部局におきましては、お話のように、ルーティン・ワークが非常に多い。ルーティン・ワークに手一ぱいだというような面がないでもないと私は思います、その点は。ただ、政策の立案、検討という段階におきましては、今、官房長官から御説明申し上げましたように、組織を通じまして一応の調整がなされているように私は思うのであります。ただ、これはその行なった政策、企画した政策を実施したあとの反省といいますか、振り返るというような問題につきましては、ともすれば怠りがちになるということも、私は一面いなめないと実は思うのでございます。  ただ、私はこういう感じを、率直にいって感ずるのであります。行政部門の中におって行政を推進していく気持と、行政部門外におって行政を見る場合と、若干違った感覚を持つ。特にタイムの問題、全体のバランスの問題というような問題につきましては、行政部門におきます中におる者と、外で見ておる者とは、違った感覚を持つ。そこにいろいろな私は批評が出てくるのじゃないかと、私自身が実はそういう感じを持っておるわけであります。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点については、ただいまの政務次官の答弁で私はきょうは切ります。そういうただいまの政務次官のような御発言の趣旨から申しましても、政務次官の使命というものは、私は大きいと思うのです。その政務次官の手腕に期待いたしたいと思います。  次に伺いたい点は、通商産業省という所は、よく国民のひんしゅくを買う事件がときどき起る所なんですが、今部内監査はどういうふうにしてやっていますか。これは政務次官から承わりたいと思います。
  70. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 部内監査は、考査官制度を活用いたしておるわけです。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その最高責任者は、だれがやっておりますか。
  72. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 官房長の下に専任の考査官を置きまして、その考査官が部内監査に当っております、こういう状況になっております。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これはもう一、二点承わっておきたいと思うのですが、機構が変れば人事の異動も若干あると思うので、承わっておくのですが、局部長、特に課長とか、こういうポストについておる人は、長い人で同じポストについておる人はどのくらいの人がおりますか。普通、平均どの程度同じポストにおられますか。
  74. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これはポストによりまして違うわけでございます。たとえば特許庁のように、特定の仕事に専門化しなければならないようなポストはどうしてもございますが、一般の課長以上のポストにつきましては、大体二ヵ年ないし三ヵ年というものを一応の基準にいたしまして、その程度で動かすというふうに努力をいたしておりますが、場合によっては、若干それより短かくて異動させなければならぬ場合もございます。三年以上になる場合もございますが、原則として、課長以上は二ヵ年ないし三ヵ年という予定にしております。
  75. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 課長補佐はどうですか。
  76. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) これは課長補佐につきましては、非常に補佐のやっております仕事によって異なっておりましてたとえば、特定の業種を所管しております技術官の課長補佐というようなものは、どうもほかに適任者がおりません場合には、必ずしもその年限で動かすということは困難でございますけれども、しかし、建前としては、大体二年ないし三年で動かすというのを人事の方針にいたしております。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点は、私はそれを聞いてだけでおきます。それでおわかりだと思います。  もう一点、それと関連して承わりたい点は、政務次官に伺いますが、今、通商産業省管理職の方は、貿易業者その他業者の招待にかかるマージャンとか、あるいはゴルフとか、そういう招待に応ずることを禁止していますか、実情をどういうふうに政務次官は把握しておりますか、念のために伺っておきます。
  78. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 部内の綱紀の維持という見地から、今あげられましたような場所への出席はこれを避けるようにという大臣のお話は、ずっと前からあるはずでございます。私は最近は存じませんが、ただ綱紀の粛正という観点から、各自の良識を十分に働かせてもらうというふうな趣旨の指導を、それぞれの部署の長がいたしておる、こういうことであります。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうことを聞くのが主目的でないから、あと一問でその点はやめますが、政務次官の、あるいは大臣の指導方針ということは、おわかりになったわけなんですが、私ここで念のために承わっておきたい点は、政務次官としては、現に私が申し上げたような点が若干あると認識されておりますか。大臣、あなたの方針の通りに、全くそういうものはないというような認識のもとに立たれておりますか、念のために承わっておきたいというわけです。
  80. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 私はないことを期待する、望むものでありますが、お話のように、全然ないと言い切るだけの材料を持ちません。そういうことであります。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは、次に、通商局振興部を設けられるわけですが、ここで貿易業者の過当競争等も、団体の指導という条項に従って所管されると思いますが、現在日本国民同士の貿易業者の過当競争並びにそれに対する指導の状況は、いかようでございますか、承わっておきたいと思います。
  82. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) ただいまの御質問のように、商社の過当競争によりまして、みすみす高く売れますものが、結果的には値くずしになりまして、ひいては日本の貿易の阻害になっているという事例は非常に多いわけでございます。これにつきましては、政府部内におきましても先般来関係各省を集めまして、いろいろ相談をいたしておりますが、一つの方法といたしましては、現在、輸出入取引法というものがございましてそれによりまして、できるだけ業者相互間で相談をいたしまして、ある一定の値段以下では売らない、市場協定をするとかいうことを相談し合う組織になっておりますが、これが実際問題といたしましては、手続の関係その他で、なかなか敏速にそういう協定を結べないというような実情になっておりますので、そこらの点をもう少し簡易に、機動的に協定を結びまして、そういう過当競争を防止し得るような態勢を作りたい。また場合によりましては、どうしても業者その他の協定でそういうことが不可能な場合には、場合によりましては政府がある程度干渉いたしましてそういう態勢を作らせるというようなことを考えてはどうかということで、目下研究中でございまして、あるいは場合によりましては、法案の形で御審議をお願いすることになるのではないかというふうに考えております。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 新設される振興部は、承われば、五課、定員百二十人程度というふうに承わっておるわけですが、所掌事務としてもかなり重大なものもありますし、幅も広いし、またわが国経済基盤の拡大強化にも面接つながる問題ですから、ただいま伺いました一点を取り上げましても、この法律成立後においては、振興部の部長以下管理職の人選に当っては、特に私は有能な人を抜擢されたいという希望を持っていることをここで申し上げておきます。過当競争については御研究中だそうですが、これはまあ長い間の問題ですし、また日本人の国民性からいっても、そういう点は大体あやまちを作りやすい国民性を持っているし、またいろいろの情勢が国内外にあると思いますので、特に努力を要望します。  次に、承わりたい点は、通商産業省育ちと申しますか、あなたの省で育った公務員で、在外公館に、外務省あたりに出向して勤められている公務員は何人ぐらいおりますか。
  84. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 正確な数字を今持っておりませんが、在外公館に出ております者が大体二十五名、それからそのほかの関係で出ております者を含めまして、大体三十名程度が出ております。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この法案改正の主眼は、貿易振興ということがその大きな柱になっているわけですが、そうして大体三十人程度というのは、主としてどちらの地域の在外公館に勤めておられるのか。私も若干おいでになっておられることは承知しておったのですが、わずかこういう……。まあ農林省関係からも出向されているわけでしょうが、この三十一億五千万ドルの輸出を確保していこうというこういう時期に、在外公館に通商産業省育ちのそういう方面のエキスパートが、全世界に三十人程度しかいないというのを私今聞いて非常に少いなあという感じを持っているのですが、こういう点については、政務次官はどういう御見解を持っていられるのですか。
  86. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) ただいま官房長からお話し申し上げましたように、商務参事官といいますか、いわゆる普通の書記官というような形で、外務省職員として入っているのが約二十五名見当ございます。それで、私は、日本の在外公館の仕事の中心は、もちろん向うにおる日本人の保護、指導というようなこともありましょうが、経済外交というような点が在外公館の大きな使命になっておるのじゃないかと思います。そういう趣旨から考えてみますると、日本のいわゆる外交官というものが、産業貿易にできるだけすみやかに練達してくれることが望ましいということを私は考えるのでございます。ただ、そう急に参りませんので、私の方といたしましては、定員外務省に移しまして、ただいまのようなのをいわゆる経験者として送り込んでおるのでございます。こういう数をできるだけふやしていくということをやると同時に、先ほど申し上げましたような、本来の姿として、外交官に財政、貿易経済に練達してくれということを私は期待したい、こういうふうに思っております。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 島村委員の方からも質疑があるようですから、もう一、二問でやめますが、こういう点、あまり時間かけて質疑するわけにもいかぬと思いますから、私はここでこの問題はとめますけれども、実際、外交官は非常に忙しいときは忙しいのですけれども、ひまなときは、ずいぶんひまな在外公館もあるわけです。しかし、この貿易振興というような立場から国内機構をいじっても、これは世界がこんなに小さくなってくれば、やはりエキスパートが、まあ芽が出ていかなければ、僕は、三十一億五千万ドルのなんの言っても、なかなかソロバン通りにはいかぬと思うのですね。平和という立場からすれば、文化外交ということは大事でしょうし、日本の経済自立を考えるという立場からいけば、経済外交ということを非常に叫ばれているわけなんですから、そういう点も、こういう機構改革の場合には考慮する必要があるのじゃないかと考えますので、伺ったわけでございまして、今後研究していただきたいと思うのです。  次には、お願いしました資料が出ましたので、これについて若干承わりますが、それは「外国意匠の盗用防止措置について」という資料を出していただきました。これによりますと、最近における輸出品の意匠、商標等について、外国から苦情のあったものは二十六件を数える。過去一ヵ年間に二十六件あったとここに出されております。しかも、大体東南アジアが十件で、一番多い。特にその東南アジアについても、「香港向が過半を占めている。取扱業者の大部分は、中流以下と思われる。」、こういうふうに出ております。しかも、外国の業者から強請されて、そして盗用するのがかなり多いということが、あとの対策のところで書かれてあります。そういう外国の業者から強請されて、日本の中流以下の業者が外国意匠を盗用して、国際的な不名誉なトラブルを起したという場合、その相手国の国民はそういう事情はわかっているんですか、またわからせるように努力しているんですか。その点はどうですか。
  88. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) ただいまの御質問でございますが、非常に早急に書きましたので、はなはだ恐縮でございますが、「強請」ということはちょっと強いような感じでございまして、大体ここに書きました意味は、海外からこういう意匠で、こういう格好で作れ、幾らくらいでできるかというようなことがございました場合に、結果においてトラブルが起るという意味に、恐縮ですがおとりを願いたいのですが、その場合に、結局、こういうトラブルが起きますと、具体的には、向うのこちらにおります大使館あたりからこちらの通産省あたりに苦情が来るという格好で、こういう問題が提示されますから、通産省といたしましては、具体的にその事例を調べまして、実際はこういう格好である、日本の業者には責任がないのだということで、具体的なケースの照会に対しまして具体的に回答いたしておりますので、少くとも先方の当事者にはそういうことがわかるように措置しておるつもりでございます。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 具体的に伺いますが、二十六件の中に、「強請」という活字は訂正するとしても、相手方、バイヤーの希望によってやったというのは何件くらいあるのですか。
  90. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) このケースのうち何件が相手方の事情であるかということは、何と申しますか、向うの話が、はっきり最初から意匠を指定してくるという格好で来ました場合には、はっきりいたしますが、いろいろ照会の途中で相談し合って大体意匠をきめるという格好の商談もございますので、このうち何件が、今言いました相手方のいわゆる強制によるかということは、はっきりしません。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員の方は、ほんとうはわかっているのだろうが、慎重を期して、ほんとうの数を答えぬのだろうと推察しますが、それならばそれで、答弁をあえて追及いたしませんが、しかしながら、そういうあなたの答弁であったら、僕は不満なんですよ。これはやはり国辱ものですからね。事件が二十六件起ったならば、その内容というものは、いち早く把握しなければならぬ。しておるのが当然だと思うのですが、二の方に「対策」というのが書いてありますが、この対策を私は読んで、大体これでけっこうだと敬意を表しているわけなんですが、しかし、その二十六件の内容というものをはっきりつかんでおらなければ、対策も何もないですよ。これはそういうことを、ここで数字をはっきり言うことによって、いろいろ刺激する面等あって今後まずいと、そういう配慮のもとに、今のような答弁だと僕は推察して、あえて私はその数字は追及いたしませんけれども、それらの対策は十分私は講じていただきたい。  なお、大使館、在外公館に問い合せて、連絡をとって云々といいますが、やはりこれはタイムリーにいかないと、相手国の新聞に、日本の業者がこうした、こういってばあっと出たあとで打ち消すようなことは、だめなんです。そういうようなのは、やはり宣伝、PR活動というものは、適時的確にやらなければならぬと思いますので、そういう点も、今度この機構改革をしましたら、所管庁で十分注意されるべきものだと思います。  これによってもう一点伺いたい点は、反対に、日本の商標を盗用しているような事件はどのくらいありますか。どのくらいあって、そして主としてどこの国の業者が盗用をやっていますか。その訓育をしている数字を、教えて下さい。
  92. 伊藤繁樹

    説明員伊藤繁樹君) そういう事例がたまにはございますけれども、たしか私の記憶では、インドネシアあたりで一件そういうことがあったように記憶いたしておりますけれども、実際問題といたしましては、盗用の問題はやはり、どちらかといいますと、こちらで問題を起す場合の方が多いのでありまして、これは意匠、商標についての観念の相違と申しますか、外国におきましては、新しい考案であります限り、意匠、商標は、登録をいたしませんでも、それを尊重するという考え方に立っておりますが、日本では、やはりそれを登録して初めてこれを侵害しない義務があるのだという、考え方の相違があるようにも考えますが、お尋ねの点は、たまにそういうことはございますけれども、どちらかと申しますと、こちらの方が結果的に侵害がある場合が多いのでございます。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 東南アジア同士にそういうトラブルが、数字から見て比較的多いのですが、その場合に、日本の場合が多いということは、非常に遺憾だと思うのです。十分一つ御注意いただきたいと思います。  最後に、これも提出していただいた資料から、「最近における工業所有権の出願件数表」という、非常に詳細な表を提出していただいて、恐縮いたします。大へんだったろうと思いますが、この第一表を見ますと、昭和七年から十一年の平均、これを一〇〇とした場合に、逐次指数は上昇して、昭和三十一年ピークになって、三十二年ちょっと下っておりますけれども、一六四・六となっております。一・六倍になつているわけですが、昭和七年から十一年当時に比較して、現在こういう業務をやられている公務員、関係者の定員というのは、その何倍ぐらいになっているのでございましょうか。相当質的にも向上しているということになれば、相当定員が動いていると思いますのですが、どういうことになっておりますか。
  94. 鮫島正蔵

    説明員(鮫島正蔵君) 昭和十年におきます特許庁の定員は七百七十六でございます。それから現在の定員は九百二十二でございます。ただ、その間におきまして、昭和十七年に一千五十五名まで増加したことがございます。従いまして、出願件数から見ます場合には、現在の人数では、まだ質的にいいましては不足でございます。われわれは、この定員でこの出願をさばくのに、非常に苦慮いたしている次第であります。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいまの政府委員の答弁、ごもっともだと思うのです。これは非常に質的にも向上して参っているわけで、疎漏ということは最も慎しむべき私は業務内容だと思うのですね。で、昭和十年が七百七十六人で、三十二年が九百三十二人と。その過程において、行政整理で大幅に減員されているという点は、これは現状に即するように是正さるべきだと思うのですが、こういう点、私は、政務次官の特にこの言質と申しますか、御見解と申しますか、その点が影響すると思うのですが、政務次官、どういう御見解でいらっしたのでございましょうか。
  96. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 最近の出願件数の増加と、もう一つは、出願の内容の高度化という問題を考えなければならないと思うのです。そういう点から考えまして、人数が足りないのでございます。で、昨年度昭和三十二年度におきまして約百名、いわゆる審査官を増加いたしました。で、昭和三十三年度予算におきましては、審判官の十一名の増員を実ははかっているのであります。審査官の面が百名の増員で十分かと申しますと、十分じゃございません。最近抗告審判その他の事故がふえて参りまして、審判官が不足して参りましたので、とりあえず三十三年度は十一名の審判官を増員すると、こういうことにいたしたのであります。  で、先ほども申し上げましたように、案の内容が漸次高度化してくる、さらに外国人の特許出願がふえてくると、こういうふうな情勢から考えまして、審査官の負担というものは漸次増高いたしておりますので、私は、これをさらに引き続いて少くとも権利の得喪に関する重大な仕事でございますので、十分に審査能力を持つように、続けて努力をして参りたい、こういうふうに考えております。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 幸いに行政管理庁の政務次官がいらっしゃるわけでございますが、おそらく所管事項として御研究なされ、御見解を持たれていると思うのですが、これはどういうふうに、政務次官、お考えになっていらっしゃいましょうか、伺いたいと思います。
  98. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) ただいまお話しになりました特許庁の問題だけでなしに、日本の人口そのものが次第にふえて参りまするし、行政の各部門にわたります複雑化と申しますか、高度化というものが、年を追うてふえて参っております。従いまして、その面から申しますれば、どうしても機構を拡大しあるいは定員増加するということは、やむを得ないことでございまするが、一面日本が置かれました経済の上から見ますというと、できるだけこれを能率化いたしまして、できるだけ少い力でやっていただくというふうなことに努力をしなければいかぬのじゃないかと私は思っております。従いまして、今年度におきましても、ある程度定員増加をいたしまするし、部局におきまして拡充しなければならぬところは拡充いたしているのでございまするが、一面、行政管理庁といたしましては、科学的手法をもちまして、そうして民間の企業体におきますような能率化ということを考えまして、ある部面においては機械をこれに導入いたしますとか、ある部面においてはデスクの配置を変えますとかいうようなことによりまして、できるだけお役所の役人の方の数を効率的に動かして、少くして、それによって国民の負担をできるだけ減ずる、この二つの方面において私ども行管は努力をいたすつもりであります。ただいまの特許庁のお話、ごもっともでございまするが、今年度は特許庁とも御相談をいたしまして、まあこれくらいな程度なら何とかなるだろうということで、内閣の統一した見解といたしまして設置法案が出た次第であります。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ただいま政務次官から行政管理庁の一般施政方針というようなところから承わったのですが、私が今伺っている点は、少し部分的でありますけれども、当面の特許庁の業務内容、質とか駐とかいうような立場から、行政管理庁としては、その点にしぼって、どういう御見解でいらっしゃるかということを承わっているわけです。
  100. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 特許庁の定員の問題に限って申し上げますと、確かに業務の面においてますます窮屈になる傾向があるわけでございます。これは戦時、戦後に特許制度が一応非常な変更を受けたというような事情もありまして、戦後の立ち直り、それに対する出願者の激増、それに機構定員というものがなかなか追いついていけなかったという事情を私ども十分に認めましてここ数年来、ことに特許の審査事務の拡充のために、定員増加にできるだけ努力して参ってきたつもりであります。昨年におきましても、先ほど通帳政務次官からも仰せられました通り、有名の審査官の充実をはかったというようなことでございます。今年はその点におきまして、今度は審判の処理能力の充実に重点を置こうということで、審判官の九名の増員を行い、審判合議体三組の増加をはかるために、その充実をはかったということでございますが、今後ますますこの特許行政の重要性というものを私ども痛感しております。これは業務量も年々ふえ、しかも質におきましてもますますむずかしくなることでございますので、これの充実ということは十分考えていかなければならぬことであると、こう考えております。それから今年の設置法におきましても、質の充実という点におきまして、特許庁においては研修機関を独立して、それに力を入れるというようなこともございまするので、そういうこともいろいろ合せまして、質の充実をはかることに私ども努力をいたしたい、こう考えております。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後に伺いますが、それは、このいただきました表の特許、それから第二表の実用新案、三表の意匠、四表の商標、これを順位をつけてずっと年次別に出していただいておるわけです。これを見て、私はこういう方面はあまり詳しくはないからかもしれませんが、この順序ですね。それから件数の数字の配列状況、これらを見て、こんなものかなというような感じを持っているのですが、大体よその国も、先進国と後進国があるわけですが、他国の特許、実用新案、商標、意匠というような序列を並べ件数をやると、分布は大体こういうことになるのですかな。何か日本の国民生活、水準の低さ、後進国の特徴としてこういう数字が出ているのじゃないかというような感じを持つのですが、そういう点はどうですか、承わっておきたい。
  102. 鮫島正蔵

    説明員(鮫島正蔵君) 外国の情勢は、全体としては詳細に資料が参っておりますけれども、この業種別、技術の分野別にどういうふうになっておるかということは、ちょっとはっきりはわからないのでございます。しかしながら、最近におきまして、たとえば有機化合物とか、あるいは電気関係とかいうものの出願の多いことは、これはやはり技術的に進んでおる国では同様のようでございます。ただこちらの実用新案で見ますように、被服、あるいは運動具、娯楽具というものがこういう高位を占めるということは、あるいは他国では少いのではないかという感じがいたしております。と申しますのは、実用新案という制度がございますのが、ドイツのほか、あるいはスペインとかポルトガルとか、そういうところだけでございまして、アメリカ、イギリス等は実用新案という制度はございません。みな特許一本になっております。そういう関係上この程度の差はあるように考えております。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 希望を申しておきますが、あなた方は専門だから、資料も持たれておるでしょうし、研究されればすぐ結論が出てくるでしょうから、やはり国際的視野から、国内的にどういうふうな方向に指導、助言すべきかというような研究をされて、国際的な視野からの助言、指導の方にも意を払っていただきたいという希望を申し述べまして質問を終ります。
  104. 島村軍次

    ○島村軍次君 ただいま行管の政務次官から一般的な御説明があったのですが、私は、各省設置法の改正審議に入るこれがスタートでありますから、特に伺ってみたいと思いますのは、二十九年の行政整理当時といいますか、定員法の改訂を行います当時から、各部局に関する考え方についてだんだん議論のあったことは局長も御存じと思います。そこで今回の改正案の提出に当って、相当広範にわたって設置法の改正が出ておりますが、そこでまず、設置法の改正に対する基本的な考え方はどういうことであったかということを承わっておきたい。
  105. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) 部局の設置につきましては、できるだけこれを、先ほどお話しいたしましたような趣旨から、今まで通り、あるいはその用があまり重要性のないところには、むしろその部局をやめていただくというような方針のもとに、できるだけこれを今まで通りの方針に押えるようにやってきたのでございまするが、これからいろいろ部局の設置につきまして御審議を願うわけでありますが、その内容をごらん下さいますと、その一つ一つにつきましては、実情やむを得ざるもののみにつきましてこれを設置するように私どもは一応認めた次第でございます。
  106. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで岡部局長に、今回の部局の設置の大要について、法案の各部を見ればそれでわかるのでしょうが、総体的な、全体を通じてどういうふうになっておるか、具体的に一つ、どこどこにどうということの説明をお願いいたしたい。
  107. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) それでは、ただいま島村委員からのお尋ねに対しまして、ごく簡単にお答え申し上げます。  まず総理府について申し上げますと、——その前に一般的に申し上げますと、今の政務次官からお答え申し上げました点を補足いたしまして、ちょっとさらに具体的に申し上げますと、行政事務の発展に応じまして、機構というものはやはり時代を追うて、それに適切なような形をとって行くように努めなければならない。従って大きさをどうするかというよりも、最も機能をよく発揮し得るような形で、機構の改善というものをはかって行こうというのが一つの考え方であります。それから事情やむを得ないものにつきましては、もちろんこれを新設することもやむを得ない。また、できるならば新設するかわりには、減らす部面も、重点の減ったものについては、これを減らすことにも最善の努力を尽そうというような点で考えて参ったわけでありまして、たとえて申しますると、通産省のアルコール専売事業につきまして、今までこれが特別会計で、公労法の適用のある五現業の一つであるにかかわらず、そのアルコール事業長、その下にアルコール事業管理官二人を置いておったようなはっきりしない形を、アルコール事業部、その下に二課を置いて、この現業に当らせるというようなことは、一番最初に申し上げました合理化の形で、決して拡充ではないつもりでございます。そういう考え方もありますので、そういう考え方のもとにおいて今度どうなったかということについて申し上げますと、総理府本府におきましては、従来付属機関でございましたが、かなり行政事務を行なっておりました南方連絡事務局を、今度北方の事務も加えまして、これを総理府の内局とし、その名称も特別地域連絡局とするというようなことがその一つでございます。  それから警察庁におきましては、交通行政あるいは売春防止、非行少年の保護というような関係の行政事務が非常に多くなりまして、これは他の警備局あるいは刑事局というような局に入れておくことは、行政——そういう仕事の性質上いかにも不適当でございますので、これらを総括しますために保安局を一局設けるということの予定でございます。  それから防衛庁には衛生行政を所管する部局が全然ございませんで、人事局あるいは装備局の一部でやっておりましたが、自衛隊二十四万の衛生行政につきまして、どうしてもこれの責任の衝に当る機構が必要であると認めますので、これに衛生局を設けることにいたしております。  それから次は、経済企画庁に参りまして、経済企画庁の長期、短期の経済計画の見通しを立てるための基礎的な研究部門として、経済研究局を設置する予定でございます。  それから文部省におきましては、体育局の新設の問題でございますが、これも体育振興の見地から、知育と並びまして、教育行政の二大部門としての体育行政の責任を明確にするという意味におきまして、体育局の設置の必要を認めております。  次には厚生省は、従来公衆衛生局のもとに環境衛生部がございましたが、この環境衛生部の仕事であります環境衛生の改善、すなわち環境衛生の適正化に関する法律の施行に関する事務のほかに、環境衛生の改善の事務というものはきわめて大量になって参りましたので、これを公衆衛生局から独立いたしまして環境衛生局にいたしたい、こういう予定でございます。  次に郵政省でございますが、郵政省におきましては、従来、電気通信監理官という制度で有線電気通信の行政、それから電電公社及び国際電電会社に対する監督を行なっておったのでありますが、この電気通信行政というものの重要性にかんがみまして、その責任体制を明確にする意味におきまして、これを電務局に改組するというのが局レベルの案でございます。  以上が各省を通じましての局レベルの案でございます。  そのほかに、今度は局の中に置かれる部の問題でございますが、これは昨年、国家行政組織法を改正していただきまして、ある局中の部におきまして特にまとまりがありまして、それが一括して一課ないし数課で、一課でまとめるのには少し大き過ぎる、数課にわたってこれを一括してまとめることが、責任体制を明確化し、事務の能率を上げるにいいという意味におきまして、局の中に部を設けることができるようになりましたが、そのための局中の部といたしましては、司法法制調査部法務省の官房に設けることにいたしました。これは例の最高裁の機構改革を初め、司法制度全般についての主としてその立案調査任務に当る部でございます。  それからなお農林省におきましては、その外局である食糧庁の所管事務につきまして、食糧管理特別会計の経理をこの際一そう明確にするための責任ある部の必要を認められますので、食糧庁に経理部を設けるという予定でございます。  それから通産省に対しましては、輸出振興の見地から、ただいま御審議いただいております通り通商局振興部を設けるわけであります。この振興部を設けるということも、輸出振興の見地からいいまして、もちろん万全のやり方ではないと思うのでありますが、しかし輸出振興のためのさしあたっての措置としては、きわめて有効な措置ではないかと、こう考える次第であります。それからアルコール事業部は、先ほど申し上げましたような筋合いでこれを認めることにいたしたいと思っております。  それからさらに、郵政省におきましては、電波監理行政というものが非常に、御承知通り電波監理の問題がむずかしくなっておりまして、現在は電波監理局長のもとに二人の次長制でこれをやっておりますが、ああいうはっきりした行政事務次長制でやるよりも、これを職務をはっきり分担いたしました分担制の方が能率が上るのではなかろうか、こう考えますので、業務拡張ともあわせまして、電波監理局に三部を置く予定でございます。  それから労働省の問題でございますが、労働省におきましては、労働行政の重点といたしまして、今度職業訓練法の制定をお願いすることになっておりますが、職業訓練行政に重点を置くという意味におきまして、職業安定局に職業訓練部を設けまして、職業訓練、技能の訓練に関する仕事を全部ここにまとめるという形でございます。  それから建設省では、大きな道路建設行政を十分に遂行するための機構の拡充ということがいろいろ考えられまして、あるいは道路庁案というようなこともあったのでありますが、結局現在の内局のままでこの機構を充実するという意味におきまして、道路局に管理部と建設部を設ける、それから地方出先機関といたしましては、北陸と四国に二つの地方建設局を設けるということに相なっております。  なお、各省及び国務大臣長官とするおもな外局には、各原局の調整機能を果すための官房長という制度がほとんど各省に設けられておりまして、現在各省に設けられてないのは、法務省、郵政省、文部省でございますが、このたびは郵政省と文部省及び自治庁に官房長を置く予定でございます。  以上が今度の機構改正案の大体の概略でございます。
  108. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、もとの行政組織法では部の設置が法制上はっきりしてなかったわけですが、それが変ってきた、それは御説明通りでありますが、しかし、ただいま通商産業省内容を承わってみますると、これは見方もいろいろあろうと思うのですけれども、輸出振興の政務次官の堂々たる御演説を拝聴いたしましたが、それ自身はすなわち通商局全部にわたる問題であって、通商局がそういう仕事をやっておる、そしてそのうちから第何課から何課を切り離すと、こういうことです。それが部を置いたからといって直ちに輸出振興に役立つというふうにはとれないと思うのですが、もっと少し具体的な、部を置くということに対する具体的な管理者の考えなり、あるいは通産省の具体的な、かくのごときことがあるゆえに機能の増加であるというような問題について、もう少し承わってみたいと思います。
  109. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 私が理解いたします範囲において申し上げますと、輸出振興あるいは貿易全体の振興のための機構をどうするかということは、第三次鳩山内閣以来、私どもに課せられた一つの任務でございまして、ずいぶんいろいろ研究いたしたのでありますが、それを今度の問題とは切り離してお答え申し上げます。  今度のこの振興部の問題につきましては、要するに通商局という非常に大きな通商行政を一手に扱っている局がございまして、その人員も四百二十二名、あるいは課長の数も十五名おりまして、これは局長あるいはその補助をしております次長二人のスパン・オブ・コントロールの範囲の中になかなかおさまりにくいほどの非常に大きなものであることは、おわかりいただけることと思います。それからその範囲におきましては、輸出、輸入に関するいろいろな政策、市場調査というふうたものと、具体的にジェトロの監督であるとか、先ほどもお話のありましたデザインの問題であるとか、あるいは輸出検査の問題であるとか、それから信用保険の問題とか、非常にルーティン化した多くの事務があるわけでございますので、局長がもしもこの全部についてみることができないといたしまするならば、これを何らか、もう一人次長をふやしてみるよりは、比較的ジェトロ以下について——申し上げましたジェトロとか、輸出保険であるとかあるいは検査であるとか、商標の問題であるとか、そういうような一つのまとまった仕事につきまして、一つの責任ある部長を置きてまして、その部長にあずけておいて、そして局長一般的な監督をし、それについて重要な事項を報告をしようというような形が、この通商局という形を残して貴く限りは非常に大きな改善になるのではなかろうか、こういうように考えられますので、特にこのまとまったものについて振興部を設けて、そこに責任体制を明らかにしよう。こういう考えであります。
  110. 島村軍次

    ○島村軍次君 大体のお考えはそれでわかりましたが、そこで、通商局には次長が一人おるようですが、それの職務の限界点というか、分界をどうするのか。これをなぜお聞きしておくかというと、この部の制度というものは、まあ抽象的には一応理由は立つのです。しかし、結局、通商局の中に——これは例の話なんですが、通商局の中につま中二階ができるわけですね。部という、中二階制度というものは権限がどうもはっきりせぬ。そうして結局、通商局長は、部長の手を経るが、さらに通商局長は今まで通りにやる、こういうことになると思うのです。そういう点が一つ  それから、次長が二人おられるわけです。そこで、次長の二人との権限がどうなるのが。従って私はこれは定員の問題にも関係して、この前の国会の時分に意見を申し上げたことがあると思うのですが、むしろ役人の管理職というものに対して、漸次、年数に応じて、その経験に応じて優遇するの道ならば、参事官制度で足りるじゃないかということを申し上げて、この参事官制度がその後だいぶとられまして、そうしてむしろこの参事官制度は非常に有効に使われておると思うのです。そういう場合に、参事官制度との関連においてどう考えられましたか、これはあわせて管理庁と通産省との御意見を承わっておきたいと思います。
  111. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 第一の点は、局長次長、部長の間の職務の分界と申しますか、指揮命令関係、そういう面がどうなるかという御質問のように伺いました。これは、次長一般的に局内の仕事を全般的に統括しまして、局長を助けるという建前でございますので、当然部長の所掌にかかわる仕事も次長の手を経ることになっております。これは当然そういう形になるわけでございます。ただ、この三次長といたしませんで、振興部長という形にいたしましたのは、行政管理庁からも御説明がございましたが、振興部所掌事務として考えております経済協力でございますとか、あるいは貿易振興課の所掌事務、すなわち貿易振興施設あるいは団体の監督というようなこと、あるいは保険あるいは検査というようなものは、いずれも施設の運営とか監督とかという仕事でございまして、それ以外のほかの通商局の、たとえば市場一、二、三課あるいは通商調査課というような仕事とか、あるいは輸出課、農水産課というような輸出関係の課とか、あるいは輸入一、二課とか、輸入関係の課とか、そういうものとはだいぶ性質が違うわけでございます。これらのものは大部分貿易、通商の管理と申しますか、輸出を承認したり、輸入の外貨の割当をしたり、例の通商協定を締結したりという仕事でございまして、市場の関係と輸出入の関係、そういうものが密接にからみ合っておりまして、どうしても一部、二部という形にはっきり分けにくいわけでございます。現在の二人の次長の分担も、一応一人がまあ主として輸出を担当し、一人が輸入と、それから一般政策関係を担当するということにいたしておりますけれども、絶えず実は両方の仕事は交錯するということで、はっきりその分界が定めがたい。それに対して振興部関係は、施設の運営、監督という面で比較的はっきり分けられますので、この分だけをあけて別に独立させた次第でございます。それから、部長を置きました意味は、お話しのような優遇の意味ではございませんので、すでに通商局には参事官あるいは審議官、相当数置いてございます。これは、とても現在、先ほど管理庁から御説明がありましたように、四百人以上の局になっておりまして、現在の内局では百人程度あるいは二百人程度というのが局の単位でございますが、それに対して四百人以上おりまして、実は管理能力からいえば限界に近いのじゃなかろうか、むしろこの際二局に分けたらどうかということも、十分われわれとして考えたわけでございますけれども、貿易振興という仕事が全体として一貫した仕事でございますので、これを分けるということになると、やはりどこで切るかということで非常に問題がございます。その辺は新しく部制を置きまして、部長を置いてやってみまして、その運営を十分見たい。御承知のように、従前は通商局振興局と二局ございまして、それを行政整理の趣旨がございましたし、部内の通商事務の統括という関係からも一同にいたしたわけでございますけれども、一局になったあとでも、通商官というような制度を置いたこともございます。いずれにいたしましても、通産関係は非常に仕事の量も多い、しかもそれが非常に複雑な関係になっておりますので、管理関係の人間が非常にたくさんいる。その場合に、どういう形でふやすかということにつきましては、先ほど申しましたような意味で増加いたしたのでございまして、人の優遇という意味では毛頭ないわけでございます。
  112. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 今、齋藤官房長からのお答えございましたから、私、制度的な点につきまして簡単に申し上げますと、次長という制度、部長という制度は、法律で設けなければならぬ制度でありますが、そこにどういう違いがあるかと申しますと、次長というものは、局長を全面的に補佐する仕事が次長である。それから部長というのは、局の中の一部分につきまして責任を負うというのが部長という制度であります。それから次長と部長との関係はどうなるかと申しますと、これは権限関係じゃございませんが、次長局長を直接全面的に補佐するという関係におきまして、次長局長に対する補佐が部長にも論理的には及ぶと、こう考えております。それから部長という制度は中二階で、責任の明確でなくなるおそれはありはせぬかというお尋ねでございますが、これは運用しそういう点はごく任意しなければならぬ点であろうと思いますが、部長というものを設ける趣旨が、一つの局内におきまして、一つのまとまったブロックの仕事につきまして責任を明確にするために置かれるのが趣旨でございますから、その部の所掌事務につきましては、局長がそのことに、ルーティンの大部分というものを権限委任いたしまして、ごく大綱だけを局長がつかむというようなことによって、この部という制度を活用し得るのではなかろうか、こう考えております。それから参事官制度というのは、これは政令で設ける制度でございまして、これは大体局部に置かれます場合におきましては、その全般的なものではなくて、その一部分、すなわち、ある一課とか二課の仕事を調整し、総括する、こういう機能に相なっております。
  113. 島村軍次

    ○島村軍次君 大体それでわかったようでございますが、そこで今度は、たとえば振興通商局の課員の実際に仕事をやっておる人の立場になって考えますと、そうあるかどうかということは別問題として、まず次長が二人おられる。従来決裁を受ける場合に、局長が全体の責任を持っておられる、それに次長がそれを補佐する。今度部ができますと、振興部の部長は、これは次長の御指揮も受けんならぬし、局長の指揮も受けんならぬ、そういう点になりますと、いわゆる屋土屋を架すというようなことで、外部に対しては、輸出振興のために振興部を置くということは、ちょっと聞えがよさそうですが、事務の執行は必ずしも——これは人の問題に関連を持つことになりましょうが、非常にはっきりしておらぬというと、かえって渋滞を来たすというようなことが起る憂いがないでもない、こういうことに考えられると思うのですが、そういう点についてどう考えられますか。
  114. 齋藤正年

    政府委員齋藤正年君) 御質問は大へんごもっともでございます。われわれもちょっと、こういう形としましては、先ほどから管理局長から不明の点について説明がありましたが、二次長を三部長にするというような制度改革もあるいはございます。そういう面も十分考えたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これは次長と部長との所管の仕事はだいぶ違いまして、具体的に申し上げますと、たとえば市場一課なら一課というものが、これはたしかヨーロッパ関係の仕事をやっておりますが、山場一課長というのは、二人の次長にそれぞれ仕事の内容によって指揮を受けるというような形になると思います。ところが振興部の仕事は、そうではございませんで、あるだれか一人の上司の指揮を受ければそれで済むと、そういう性格の仕事でございます。従って振興部関係の仕事につきましては、部長の決裁を受けまして、それで実費上大部分は部長にまかせる。さらに上に相談しなければならぬ場合にも、大体局長に相談すればよろしいと、各貿易管理の面と特に関係の深いところについては、次長とそれぞれ相談しなければなりませんが、できる限り大幅に部長に事実上権限を委任しまして、部長がむしろ局長にかわるような立場で仕事をやってもらいたい。実はこの貿易振興関係の仕事は施設関係、今度の振興部関係の仕事は非常にじみな、日常の監督とか指導とかいうような仕事でございまして、実は貿易関係の協定の締結でありますとか、あるいは輸入の割当の方針でありますとか、あるいは輸入のたとえば決済方法の問題でございますとか、そういったような問題と違いましてどうしても非常にじみなものでありますから、なかなか問題がそのため局長次長までしらないで、課長限りで事実上処理されるというような傾向が非常に多かった、手が回らないので十分指導もできなかった。われわれ仕事を見ておりまして非常にそういう感じがいたすのであります。その面の指導を、むしろこういうはっきりした専任の責任者を置くことによりまして、かえって指導が十分行き届くのではなかろうかというのが、二部を設けた趣旨でございます。形のしからいえば、御質問のような形は十分考えられる。またそういう弊に陥る危険もあるわけでございますが、運用にいたしましても、むしろ従来よりも簡素化した運用をやりたいというのがわれわれの意図でございます。
  115. 島村軍次

    ○島村軍次君 時代の進運に伴って大いに機構の改革なり新設も行う必要があるという一般論に対しては同感でありますが、ところが、今度の機構改正で、二、三年前の行政整理あるいはまた、行政機構改革の当時に比較しましてはだいぶ変っているようでありますが、たとえば厚生省における環境衛生部というようなものは、むしろ従前局であったのを、二つの局を部に格下げしてやった。それから通商産業省においては、二つの局であったのを一つにした、こういう経過から見ますると、どちらがいいとか悪いとかいうことは別として、やはり一つの局に合されたということについて、私は相当意味があったと思う。それは輸出振興という全体の立場からやっぱり通商局長がその責任を持ってやられると、こういうことであるのであり、そこで今回の部というものは、そのうちの一部分を部にしたということであって、ただいまの説明で、ある程度までは了解する点もありますが、むしろ、これによってかえって事務を繁雑化し、あるいはまた、ただいまお話にあったように、輸出振興の仕事は現業の仕事でなくして、政策の仕事が主体になって、政策を知らねば、やはり事業そのものも、現業の仕事もできない。現業の仕事を知っている人が、政策の部面も担当するというような形だったと思うのですが、それがこう分けられますことによって、かえってこんがらがるというようなきらいがないではないかということが危惧されるのです。それは別に審議の過程ですから、一つ、もしこの法律案がこの通り皆さんの御意見で適当であるという結論が出ました場合にも、そういう問題については、原局である通商産業省及び行政管理庁等も十分な一つ御検討を加えていただいて機能の増進というような点を主体に置いてやっていただくことを希望を申し上げまして私の質問を終ります。
  116. 上原正吉

    ○上原正吉君 少しお尋ねしたいのですが、日本の輸出産業の大半が中小企業であるということは、特色であり、かつ日本の輸出産業の弱点だとも思うのですが、そこで輸出を奨励されましても、たちまち不当な価格競争が起って、輸出先でわが国の製品が擯斥されるという結果になってくることは、御承知通りでございます。たとえば、こうもりがさの骨だとか、食器だとか、あるいは体温計だとか、こういうものが、全くわれわれが考えても不当な価格で輸出されて、外国の業者を圧迫するために、外国から排斥される、あるいは法律しの手段によったり、関税の障壁が設けられたりということになってしまうのです。この中小企業産業の輸出商品を、国内でもう少し何とか統制する必要があるということは、もう万々御承知と思うのです。今までそういうことに対して、通産省はどういうことをやっておいでになったか、それからまた、これから先どういうことをなさろうとなさるのか、輸出を振興するためには何より大切なことだと思われますので、それを伺いたいと思うのです。
  117. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 日本の中小企業製品の輸出で最近、昨年来——一昨年の幕からでありますが、アメリカにおきますワン・ダラー・ブラウスを初めとして、綿製品の締め出しがございましたが、自来、今御指摘になりましたような品物、マグロ・カン詰、ベニヤ等の問題が起っております。これは一つの問題は、日本のこういう商品がずっと、度に出ていく。去年の実績の倍、三倍、そこで値段も従ってだんだんに値くずし競争をしていく、こういうような事情もありまして、相手市場におきます同業企業との競合問題を起しておるのであります。そこで、そういうことでなしに、秩序的に輸出を伸ばしていく、こういうことがぜひ望ましいのでありまして、これまでにとって参りましたいろいろな方法がございますが、第一は、貿易管理令の運用によって、たとえば値段をチェックする、フォア・プライスをつける、輸出商人において適当な措置を加える、こういう方法を、貿易管理令の運用としては少し横道にそれるかもしれませんが、そういう制度を運用して参ったわけであります。さらに御承知通り、輸出入取引法というものが数年前に制定せられまして、数回の改正を経まして、この過当競争を防止していくという意味におきまして、輸出組合及び輸入組合制度を認め、必要の場合におきましては、員外規制命令を発動するというような態勢で今日まで参っておるのであります。ところが、これはあくまで関税線、税金線だけの問題でありますので、国内の取引の関係がうまくいかない、そこで値くずし競争というものが継続されるという事実がもるのでありまして、そういう点を直していく方法として目下、先ほど伊藤通商同次長から御説明申し上げましたように、輸出入取引法の一部を改正して、税関の線だけ、貿易業者の線だけでなしに、国内の生産、販売、輸出業者、こういう縦の系列まで、一つのチーム・ワークがとれるような調整行為を認めることができる道を作っていく、こういうふうに今考えまして作業を進めておるわけであります。いま一つは、二十七国会で御審議を願いまして、来たる四月一日から施行予定になっております中小企業団体法、いわゆる中小企業団体法というふうなものも、中小企業者の過当競争の防止というところに一つの重点を置いておるのでありまして、この中小企業団体法——中小企業団体の組織に関する法律、この法律の施行によって、輸出産業面におきまする何と申しますか、過労競争を排除して参りたい、こういうふうに考えておるのであります。相手市場の状況によりまして、アメリカにおきまするような状況は、アメリカの政治情勢もからんでおるようでありますが、数量規制等によって、堅実に秩序立って輸出していくような道を講じさせる、こういう意味において輸出入取引法を改正して、これの運用で過当競争を防止して参る、こういうようなつもりでおります。
  118. 上原正吉

    ○上原正吉君 今までおやり願ったことは、しかし、ほとんど効果がなかったというと過言かもしれませんが、実際問題として、各地に輸入制限の措置であるとか、関税を高める方法とかがとられておる。そうして国内の業者が、ほとんど出血するに近い価格で輸出するにかかわらず、先方ではそれを輸入を制限し、または関税を高めるというようなことで、こちらの国内の業者にも、外国の消費者にも、何ら益するところがない結果になってしまったというのが事実なんでして、よほど強力な措置を講じないと、中小企業製品の輸出というものは振興しないのじゃないか、こう思うのですが、今承わっておるくらいなことでは、どうも実効を上げないのじゃないかという気がしてならぬのですが、たとえば輸出に関しましては、いま少し強力に統制の措置をとる、数量とか価格とか、これを厳重にチェックする、つまり許可制度にする。それからまた、外国の公館ともよく連絡をとって、外地でどのような歓迎ぶりを受けておるか、あるいは擯斥されつつあるか、擯斥されそうな状態にあるかということを、もう少し早くキャッチして、内地の業者と連絡して、不当に安く輸出したにかかわらず、かえって国際関係をすら悪化せしめるというふうな結果にならないように、日本の業者も相当利潤を獲得bできるように、もっと強力に指導する必要があると思うのですが、中小企業団体法のごときも、私どもの考えでは、それほどの実効を期しがたいと、こう思われるわけなんです。もう少し進んで、もっと強力に指導するという考えなり御準備なりありませんか。
  119. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 実を申しますと、いろいろな法令の制度を運用していますと、裏から裏をかかれるという事態を繰り返しておるということを率直に認めなければならぬと思うのであります。そこで私は、法的措置によってこれを万全を期し得るかどうかということになりますならば、いかに厳重な法的措置を講じましても、十分に達し得ない面が多くあると思うのであります。そこで問題は、私は日本の輸出、特に中小企業製品の輸出につきましては、今までめくら貿易的な感覚がやはりある。売れればバイヤーの言うなりに売り込んでいく、こういうふうな姿にあるということもいなめないと思うのであります。そういうような点から考えまして、相手市場の調査なり、特に競争品との関連をどうする、その市場の包容力をどうするかというふうな問題を十分に、関係輸出業者のみならず、関係メーカーにはっきりさせまして、輸出の秩序というものを考えさしていくような指導が必要じゃないか、そういうふうな秩序と相待ちまして、いろいろな今お話がございましたように、法的に不足なところはこれを補完していく、こういうふうな制度をとらざるを得ないのじゃなかろうか、こういうふうに実は思っておるのでありまして、法的措置のみで十分に目的を達し狩るものとも考えておりません。特に、先ほど来お話がございました日本貿易振興会等に、相手市場の調査等活動に期待しておるというところが多いようなわけであります。
  120. 上原正吉

    ○上原正吉君 まあできる限りのことはおやりになるでしょうし、これからもやっていただかなければならぬと思いますので、その点はそのくらいにいたしますが、輸出を振興するためにはやはり輸入もある程度しなければいかぬのだと思うのです。貿易振興というのは、輸出も輸入も両方とも振興することだと思うのです。ことにスターリング地域などは、物を売ってもなかなか回収ができないという状態なので、スターリング地域からの輸入などはむしろ奨励しなければならぬのではないかと、こう思われるのですが、そうすればこちらの商品もよく出ていくという結果になろうと思うのです。しかるに、多分通産省のお考えによるのだと思いまするが、輸入に関する外貨の割当が非常に窮屈でございまして、あらゆる物品をすべてチェックして、業者の申請よりはたとえ幾らでも少く外貨を割り当てる、こういうことをやっておいでのようでして、従ってあらゆる輸入物資が欠乏しておる。たとえば原綿のごときものも、各紡績界が操短をやっておるような時代にも、やはり割当はチェックされていると見えまして、思うように綿は入ってこず、しかも入ってきた綿は、その相当量がやみに流れる、これが現状なんです。従って、原綿のごときのものも、必要なだけ必要な業者に外貨割当をされていないのではないか、、あるところには多く、あるところには少く割り当てられるから、やみに流れる原綿がある、こういうことになるだろう思うのであります。そこで、これはもう脱脂綿に使用する原綿のごときもの、ごく少量で間に合うものが、しかも外貨の割当が少くて、各業者必要なだけの原綿を手に入れることができない。その結果、紡績業界で多分余ったろうと思われるやみの綿を買いまして、薬にする脱脂綿を作る、こういうようなことは、はなはだ不合理きわまると思うのです。そこで、少量しか要らなくて、しかも重要な用途のあるものについては、もう少し外貨の割当をゆるめる必要があると、こう思うのですが、この点、御当局の考え方はどうでしょうか。
  121. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 輸出の振興のために輸入をはからなければならぬということは、ごもっともであります。日本の輸出品が多くは加工輸出品、紡績品という形になっておる点から考えまして、輸出の増進は、それに伴うだけの原料輸入を必要といたしておるのであります。この原料輸入の問題でありますが、これをできるだけ輸出と見合うように、たとえばスクーリング・エリヤからできるだけ買う、こういうように努めなければならねという御説、ごもっともだと思うのでありますが、私どももそういう方向でできるだけ努力いたしておるのでありますが、ただ現出に値段が違う、価格が違うというところに問題がございまして、貿易採算という見地から見ると、なかなかそこに行きにくい点もあるのであります。しかしながら、全体的に申しまして、この輸出と輸入とが見合うように、できる限りにおいて輸入光の転換をはかるということは、試みて努力して参らなければならぬと考えております。  それから具体的に外貨割当につきましてのお話がございましたが、外貨側当につきましては、主要原材料等につきましては、輸出目標に見合う数量の輸入を確保することで外貨予算を組んでおるのでありますが、中には事情によりまして、過不足ができることも起りがちであります。例にあげられましてようないわゆる衛生綿の原料の綿の問題がございますが、私も詳しくは存じませんが、御指摘のように、いわゆる紡績綿が衛生綿、脱脂綿に流れ、あるいはノン・ミルのようなものが紡績に流れる、こういうふうな事実が出るように聞いておるのであります。特におあげになりましたような脱脂綿は、全国に数千軒の工場がある。そういうふうなところの割当方、入れたいわゆる綿の配給の問題といいますか、流し方の問題についても検討を要するところがあるように、実は私は個人的に考えておるのでありまして、こういうふうな必需品に対する輸入外貨の割当をむりに押えると、こういうことは実はいたしておらぬのでありますが、具体的な問題につきまして、特にこういう事情で非常に不均衡になっておるというような場合がございましたら、十分御注意願いますれば、われわれは考えて参りますが、今流し方等にもいろいろ問題があるというふうにも私は思うのであります。
  122. 藤田進

    委員長藤田進君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  123. 藤田進

    委員長藤田進君) 速記を起して。     —————————————
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 統計法等の一部を改正する法律案をこの次に引き続き審議が行われることになったので、そのとき伺いますが、中央地方を通じての統計事務の多元化ということは目に余るものがあると思うのですが、この立場から実はちっと質疑して、資料を要求した方がよかったかと思うのですけれども、お願いしておきたい点は、総理府統計局と各省庁のそれぞれの統計担当部門で、あることでもって統計をとるというようないろいろ配分状況がどうも明確でないですね。私はこちらでできなければ、委員部の方から直接とってもらいたいと思うのですが、最近の総理府統計局で統計をとられた項目が、どういう項目があるか、総理府だけで四億七千万円の予算を使っているわけだが、あえて総理府統計局でやらぬでも、各省庁統計担当部門でやってしかるべきじゃないかという、どうも不明確なものが多々ありますので、総理府統計局から直接とって下さい。  それからもう一点は、これは統計をただとるだけで、どうも普及とか宣伝とか言われているんだが、せっかく多額の金を投入してとった統計が、ごく一部の人に使用されるだけで、このとられた統計一般国民への普及といいますか、利用といいますか、そういう点が配慮が非常に少いと思います。もったいないことだと思います。従って幾つでもいいです。一つでも二つでもいいですから、総理府統計局でもいいし、あるいは行政管理庁で全官庁のことをつかまえているでしょうから、どの官庁でもいいから、とった統計を非常に平易化して、国民に対する統計思想の普及とか、あるいは宣伝という立場で、一般国民が非常にわかりやすく、それを生かしたパンフレットでもできている例があったら、一種類でも二種類でもいいから一つ見せていただきたい。以上です。
  125. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の統計資料のことですが、数年前から見ると、非常にとられる統計の種類が減っているように、先日いただいた資料で拝見したのですけれども、現在、政府がとっていらっしゃる統計の種類の名称だけでも一覧表にして御提出を願いたいと思います。というのは、二重にとっているから民間に非常に迷惑をかけているという点があるのではないかということを考えて、その点から……。
  126. 榊原亨

    政府委員(榊原亨君) ただいまの御要求につきましては、統計局に連絡いたしまして、そうして提出いたします。
  127. 藤田進

    委員長藤田進君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会      —————・—————