○
政府委員(齋藤正年君) 設置法の一部
改正法案に関して、簡単に御
説明を申し上げます。
通商産業省設置法の一部を
改正する
法律案の要綱というものをお配りしてございますので、これによって御
説明をいたしたいと思います。
今度の
改正をお願いいたします項目は、四項目でございます。第一は、通商局に振興部を設置したい。で、部を設置する際に、意匠に関する
事務の一部を通商産業省に加えたいということでございます。現在、通産省には、内局として九つ局がございます。しかし通商局は、そのうちで飛び抜けて大きな世帯でございまして、四百人以上の人間がおりまして、課が十五あるということで、これの業務の管理につきましては、現在でも非常に困難いたしております。
で、通商局の
仕事は、大まかに申しまして、三つの
仕事がございまして、
一つは貿易の管理に関する
事務、すなわち輸出の
承認とか、あるいは輸入の外貨の割当というような貿易管理に関する
仕事と、それからもう
一つは、通商協定の締結でありますとか、あるいは通商に関する
調査でありますとか、そういった
仕事、それからもう
一つは、輸出振興に関するいろいろの施設を運営する
仕事、すなわち通商に関する団体の指導監督でありますとか、あるいは輸出保険、これは国営でやっておりますが、その特別会計に関する
仕事でありますとか、あるいは輸出品の検査でありますとか、そういった輸出の振興の施設に関する
仕事が三つございます。最初に申しました貿易の管理に関する
仕事及び通商協定あるいは通商の
調査に関する
仕事というものは、これは、両方一応違った
仕事でございますけれども、非常に密接に関連をしておりまして、切り離すことが困難でございます。従って、従来次長が二人おりまして、貿易振興の問題等を含めて
局長を補佐して参ったわけでございますが、そのうち、貿易管理と通商振興の
仕事だけは、ややほかの
二つの
仕事と異なっておりますので、これだけを切り離しまして、振興部というものを作りまして、
部長として
専任に所管をしてもらいたい、こういうふうにわれわれは考えたわけでございます。
それで、今度この国会にすでに提案されております
日本貿易振興会法案というものがございますが、従来貿易振興の中核団体をなしておりました海外貿易振興会というものを改組いたしまして、
日本貿易振興会というものを作り、それによって貿易振興の
仕事を画期的に強化したい。
予算も本
年度十二億の
予算でございますが、それが十七億ばかり、四割ぐらいふえまして、非常に貿易振興の
仕事がふえましたのと、それから先ほど申しましたデザインに関する
仕事を取りまとめて、大いに推進したいということ、この
二つの
理由から、あらためて貿易振興部というものを
一つ作りたいということで、提案を申し上げたわけであります。
それから第二は、軽工業局にアルコール事業部というものを設置したいということで、これは現在通産省でアルコールの専売をいたしております。工業用のアルコールでございますが、専売をいたしておりまして、その業務が軽工業局の所管になっているわけであります。で、現在は組織令にアルコール事業長というものを
規定いたしまして、それが事実上専売
関係の
事務を総括しています。今回それを設置法の中で、はっきり部という形に独立させた方がいいということで、そういうことをお願いすることになったわけであります。これはアルコールの専売が他の
一般の
行政事務と全然異なりまして、工業用アルコールの製造あるいは買い上げ、あるいは販売、あるいは他の用途への流用の防止というような、
一般行政事務と全然異なった
仕事でございまして、これを一人の主任者がはっきりした
権限をもって管掌するということが、事業の性質上適当であるというふうに考えまして、そういう
関係で新しく設置法上の部としてお認めを願いたいと、こういうことであります。
それから第三番目は、金沢の繊維製品検査所に高岡支所というものがございます。これは富山県高岡市にあるわけでございます。繊維製品検査所と申しますのは、輸出用の絹人絹織物というものを検査いたしているところでございますが、富岡支所の所管する業務が非常にふえましたので、あらためて本所に昇格したいということであります。本所と支所との違いは、本所におきましては、検査で合格せしめることについて、若干疑点がありました場合は、所長の決裁でその場で決定ができますが、支所の場合は、一々本所まで伺いを立てなければならない。場合によっては、現品を持って行かなければならないという点で、非常に不便であります。金沢と高岡との間は、汽車で三時間ぐらいかかるそうです。非常に
地方の方が不便を感じているということで、本所に昇格したい、こういうことであります。
それから第四番目は、特許庁に工業所有権
研修所というものを作りたいということでございます。特許庁は最近非常に出願がふえまして、
事務が渋滞をいたしておりまして、その点で国会からも常に御注意を受けている。われわれの方も何とか早く
事務を処理するようにしたいということで、ここ数年非常に増員いたしまして、四、五年前まで七百名程度の
職員が現在九百四十名をこえるということで、ここ数年非常に急激に増加してきた。増加した
人員も、ほとんど大部分が審査官という特許の申請の審査をする
職員でありますが、相当高い技術的あるいは
法律的な訓練が要る
仕事でございます。従って、特にそういう新規の採用者に対して訓練を強化する必要がございます。なお、最近技術が非常に飛躍的に進歩いたしておりますので、従来の審査官あるいは審判官に対しましても、補充的な教育を強化する必要がございます。そういった
関係で新しく工業所有権
研修所というものを設けて、
人員その他は現在の特許庁の
人員から流用いたしまして、ただ専門の方をそれぞれ講師として依頼するために、若干
予算を計上されましたので、
研修所というものを作りたいということでございます。
なお、最初に申しました意匠の
関係の
仕事を通商局にまとめますために、従来特許庁に付属してございました意匠奨励審議会を本省の付属
機関に直すということが、これに加わっております。
以上、五項目の今回の設置法
改正の要点でございます。