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1958-04-23 第28回国会 参議院 逓信委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十三日(水曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員紅露みつ君及び川口爲之助君 辞任につき、その補欠として吉田萬次 君及び川村松助君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            手島  栄君            松平 勇雄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            川村 松助君            黒川 武雄君            新谷寅三郎君            前田佳都男君            吉田 萬次君            鈴木  強君            三木 治朗君            光村 甚助君            横川 正市君            奥 むめお君            野田 俊作君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政政務次官  最上 英子君    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    郵政省電気通信    監理官     岩田 敏男君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社業務局長   吉澤 武雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○継続調査要求の件 ○公衆電気通信法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○電話加入権質に関する臨時特例法案  (内閣提出衆議院送付) ○日本電信電話公社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。  本日は、まず継続調査要求についてお諮りいたします。  本委員会郵政事業の運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を進めておりますが、本院規則第五十三条の規定により、閉会の場合、継続して調査を行うため、継続調査要求書議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成、手続等については、委員長に御一任を願います。   —————————————
  4. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 次に、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を行います。
  5. 山田節男

    山田節男君 この公衆電気通信法の一部改正について、昨日、大臣並びに関係者質疑を重ねたんですが、結論的に申しますと、この改正案のねらっておる地域団体加入電話、これは趣旨は大へんに私けっこうだと思う。ただ、昨日私、大臣にも御質問申し上げましたが、公衆電気通信法の第一条に示してある、いわゆる国内の電信電話は、電電公社独占企業として経営させる、そこへ、この法の修正によって何と申しますか、地域加入電話をなしますと、一種PBX交換電話、それに共同電話と混合した一種の変形的な電話加入制度というものが認められるわけです。これは厳密にいいますと、この公衆電気通信法の精神、これは必要やむを得なかったとはいえ、一つの変態的なものである。いわゆる農山漁村における電話逼迫をいかに緩和するかという、やむにやまれぬ一つ施策だと私は了解いたします。そこで、ここに示されておる地域団体加入電話は、主として僻遠の地にある、きわめて不便な、しかも、経済的社会的に、大体同じような利害関係を持った地域内にこれを限るということになっておる。これは、私は農山漁村における電話架設を促進する趣旨はいいと思うんですが、国家的に見ますと、都市における、ことに大都市における電話加入ということが、非常にむずかしくなっておりまして、われわれに示されておるこの参考の資料によって見ましても、東京都内のごときは、電話加入権というものは、二十五万円もする所がある。十万円以上のものは、もう数多くある。こういう都市における電話加入の問題は、やはり私は公社としても、政府としても、考えるべきじゃないかと思う。こういう地域団体加入電話というものは、農山漁村に対する電話加入需要に対する特別対策でありますが、都市においては、一体どういうことを考えているか、この点について、これと相並んで、都市における電話逼迫というものに対してどういう対策を持たんとしているのか、もしおありになれば伺いたい。大臣並びに公社からお聞きしたい。
  6. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) ただいまの御発言がございましたように、僻遠の地にある所で、同じような条件にあります地域に対して地域団体加入電話制度を設けようということで改正案を出しておりますが、都市も積滞が非常に多くて、第一次五カ年計画を遂行した後、なお積滞が減らないという状態でありますので、第二次五カ年計画で、大幅な計画を進めておるわけでありますが、第二次五カ年計画をしても、まだ全部の積滞を解消できるということではありません。でありますが、今年度予算総則において、当該年度に生じた剰余金も、建設勘定に回すことができるという道を開きましたので、自然増収分も、できるだけ電話架設回線増設に振り向けたいという考えであります。もう一つは、都市は御承知通り二十万円以上しているような所もございます。大森とか世田谷とかという所でございますが、こういう所に対しては、回線はあるのでありますから、今までのものの中で、多少無理をすれば公衆電話というものはできるわけでありますので、根本的には、できるだけ早く積滞を解消するように計画を進めるとともに、どうしても大衆需要に応じられない期間等公衆電話等の道を適切に定めて、できるだけ大衆の利便に供したいという考えであります。
  7. 山田節男

    山田節男君 電電公社の今年度からのいわゆる五カ年計画によって、これは都市における電話架設について計画を立てて、建設に対する所要の費用まで予算に組まれておるわけです。大体年間二十万程度のものをふやそう。で、先ほど申し上げましたように、都市におきます電話の積滞と申しまするか、電話加入需要に対しての応じ方というものが、大都市になればなるほど、これが非常にふえる、そのこと自体が、いわゆる経済的、文化的に見て非常に不便を感じておる。そうして今回、本委員会でも、電話加入権質権の設定という、見ようによれば、一種の特権的な法律を作らなくちゃならぬ、こういうようなことは、これは過去五カ年間電電公社計画というものは、一面におきましては、戦災による復旧ということも含まれておる。しかし、三十三年度に始まる今後の五カ年計画というものは、もっぱらこれは建設であり、施設の改善である、こういう方面に向けられておると思うんです。そういたしますと、今回農山漁村に対して、これだけの一つの社会政策的な電話施設拡充をやるというならば、国家的に見れば、より以上必要な都市電話加入増設ということには、もっと私は、努力すべきである。これはアメリカと比較するということは多少無理があるかもしれませんけれどもアメリカのごときは、一九五六年において、三百五十万の年間架設がふえておる。日本におきましては、せめてその十分の一くらいふやせないことはないと思う。この点がやはり公衆電気通信法によって、独占企業としての地位を与えられているところの電電公社が、今日において、三十三年度に始まる五カ年計画においても、年間約二十数万のものしか増設できない、今回こういったような地域団体加入電話というものができれば、都市に対して私はもっとスピード・アップして、電話加入をふやすべきではないかと思うんですが、この点に対してはどうでしょうか。
  8. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 都市に対して、私のところへも、電話がもう一年も二年も架設できないといって、非常に陳情が来ておりますし、都市電話架設を急がなければならぬということは、私も感じております。施策もその線に沿って進めておるわけであります。今年度から、衆参両院を通過した予算で、五カ年計画が始まるわけでございますが、当初は七百五十億であります。五年間で四千百億という数字で進めておるのでありますが、私は七百億か八百億程度電話架設をしていくということは、これは少しスケールが小さいという考えで、私は去年の七月大臣に就任したときに、おおむね一カ年一千億で、五カ年間で大体五千億、五千億で一割ないし二割の自然増収が生まれるとすると、うまくすると六千億できる、そうじゃなくとも、最低見ても五千億ないし五千五百億できる、こういう程度のものを、私は省において考え、立案を進めたことがあります。でありますが、なかなか電電公社の五カ年計画の四千億という数字を出すときにも、財政当局等の意向もありまして、なかなかこれがうまくいかなかった。特に経済五カ年計画を進めるときに、電話拡充というものは入れなくてもいいというような論がありましたので、一体何を考えているんだ、電気通信というようなものや電波というものは、これからの日本の産業の中枢指揮系統を持つものであって、こういうものの拡充をしないでもって何もできるものでない。特に電話等拡充せられる場合には、交通難緩和にもなるんだし、そういう意味では、電話拡充というものは、最高度必要性を強調しなければならないというので、ようやく五カ年計画の中に計上いたしました。その経済五カ年計画の中の電話拡充計画は、私が四千億ないし五千億と、こういうふうに主張をしたのでありますが、最終的には三千四百億ないし四千二百億と、こういうふうな幅を出されたわけであります。でありますから、私は最小の限度においても四千百億以上、また四千百億達成できるということは、一割の剰余金が生まれることを想定しても四千五百億できるわけであります。二割生まれると五千億できるわけでありますから、少くとも四千五百億ないし五千億の線はどうしても確保したいということで努力をして参ったわけであります。そういう意味で三十三年度電電公社の総事業量を七百五十億と押えたわけであります。七百五十億と押えましたが、そのうちに私の方でまかなえる、私の簡保の運用上まかなえるものが三十億ありましたので、そのものを三十三年度の当初にこれを付加しよう、私の方でまかなおうということを決意をいたしまして、これは今月の末ぐらいにはやるつもりであります。そうしますと七百八十億であります。七百八十億に、自然増収がいかに少く見ても三十億あると思いますから、そうすると八百億できるわけであります。初年度八百億できるということになると、もうこれよりも減るということは考えられませんから、おおむね五カ年間に四千百億はできる。自然増収を見て四千五百億、まあ私は五千億にしなければいかぬ、こういう考えでありまして、今、事務当局でもって提示のできるところの積滞の解消というものに対しては、まだ問題はありますが、私は少くともそれよりも二割ないし三割はよけい積滞の解消ができるようにしなければならない、こういう考えで非常に熱意を持ってこれらの問題に対処いたしておるわけであります。
  9. 山田節男

    山田節男君 まあそれは今の三十三年度電電公社予算における建設勘定について、これは自民党が、与党建設勘定の百億を削ったということも私はお聞きしたのですが、一体まあ田中郵政大臣が在任の今日において、昨年の十二月一日の全国電話市価電話市場価格仲値を見ても、たとえば東京においては、中野であるとか、荻窪、それから大森荏原城東、こういう所がもう多いのは二十三万、少くとも十七万、上石神井は二十三万という仲値につけられた、こういうようなことは、先ほど大臣が言明がありましたが、電電公社についても、電話市価の非常に高い郊外地区で、これほどの暴騰を来たしているということは、これは電電公社電話架設する場合の三年ないし五年の先を見た、いわゆる電話デベロプメント企画性というものがないから、こんなことになってきている。これは建設勘定が足りるとか、足りないという問題じゃないと思う。私はこういう上石神井のごとき二十三万という、電話市価を来たしておるというこの実情は、何としても私はもうこれはけしからぬというか、どうしてもその了解に苦しむところなんです。こういう現状がありながら、一方には農山漁村の、一面においては、むしろありがた迷惑のようなものまでも加入をさしてやるというような、こういうようなことをやる。私は非常な片手落ちだと思う。これは大臣が御答弁ができなければ、これは電電公社の方にお聞きしたいと思う。一体こういう大都市における市外地といいますか、郊外における電話の将来の要求が増大することは、これはわかることなんですから、そういうものに対して、デベロプメントというものに対して、企画というものがあるのかどうか、この点を私はお伺いしたいと思う。
  10. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは都市農村を問わず相当厳密な計画を持っておりますことは御承知通りであります。しかし、この法律改正によって、都市にそういう問題があるんですが、農村に偏重するようだというお話でありますが、そうじゃないんです。これは総予算農村関係の救済は  一割にも満たない金額でありますから、そういう意味では、都市が幾ら必要であっても、農村を全然捨てておくという都市偏重のものの考え方はとてもいかないのであって、現在農村に対して有線放送が非常に発達しておるという例から考えても、やはり普遍的に乏しい中からもあまねく恩恵が渡るようなやはり方向をとらなければいかぬということで、今度は農村に対しては、御承知通り地域団体加入電話制度を設けて、できるだけ、都市のように個人々々に架設をすることはできませんし、また特に個人負担も多くなりますが、これは実際農村の方の実情は、私、申さなくてもおわかりの通りでありますが、病人が出ても連絡もできない、火事があってもどうにもならぬというような問題がありますので、そういう最小必要やむを得ざる限度においては、これを救済するのが当然の務めであるということで、こういう制度を設けたわけでありますが、これは都市の、七万円か八万円でもって架設ができるものが二十何万円もしているということは、これは非常にいかぬことでありますし、また、あわせて御審議願っておるところの質権を設定しなければならないという法律を出したこと自体が、もうその需要と供給のバランスがとれておらぬからこんな法律が出るのでありまして、これはもちろん質権がないようになるのがほんとうであります。でありますので、この法律時限立法として、五カ年間で積滞を解消すると、五カ年間以上、公衆電気通信法ではっきりと質権を禁止しておるものが、こういう特例でいくようなことはよくないので、できるだけわれわれは五カ年計画、少くとも第二次五カ年計画が完成せられた場合には、経済が異常膨張してどうにもならないという場合は、これはある程度やむを得ないかとも思いますが、いずれにしても、今の首都圏整備というような、相当明確な線も出ておりますし、大都市における積滞の解消というものに対して全力をあげなければいかぬ、こういう意味で少くとも経済に密接な関係を有するものを優先順位を定めて、計画を立てておるのでありますから、山田さんが言われるように、第二次五カ年計画で全部解消できるという見通しは今のところまだないようでありますが、私は少くとも第二次五カ年計画初年度に、電電公社要求したのは八百三十三億であります。今度国会で御審議を願ったのは七百五十億でありますが、先ほど申し上げた通り三十二年度の分を三十億、私が肩がわりしようというのが三十億円ありますから、そうすると七百八十億になります。七百八十億に、自然増収分当該年度に使えるということでありますから、これは事業総収入の一割以上あることは例年の例でありまして、最低を見ても一割以上はまだ出るだろうという考えでありますので、うまくいけば八百三十三億、電電公社要求通りできるという考えでありますし、少くとも八百億の線は下らない、こういう考えで私も七百五十億をのんだのでありますから、そういう意味では計画計画通りに進められるという考えであります。ただ、この計画自体が先ほど申し上げた通り、大体七百億から八百億のワクで仕事をしようというのが無理なのであって、鉄道が一千億以上でありますから、少くとも鉄道建設勘定、千億に匹敵するものは投入する必要がある。特に電話戦災でもって主要部分が全部焼けたのでありますし、しかも、新しい設備、新しい建物というものを土台から作り直してこなければならない電話特殊事情考えますと、少くとも第一次五カ年計画が終るまでには国鉄に匹敵する程度建設勘定ワクがなければいかぬ、こういう無意を持って今やっておるわけであります。
  11. 山田節男

    山田節男君 電電公社責任者一つお伺いしておきますが、交通通信が異常な発達を、しかも、短期日の間にしているというこの事実は、少くとも数年前まではわれわれも予想しなかった。これはやはり科学技術の進歩、ことにエレクトロニクスの科学発達がもたらした私は重要なものだろうと思う。で、御承知のように、国鉄は、飛行機あるいは高速度道路建設されるというので、東京—大阪間を広軌にして一千二百億円の金を役じてこれをスピード・アップしょうという今計画を作っておるわけですね。そういうような時代でありますから、この電気通信事業というものも、各国の、少くとも三年前と今日では、非常な激変を来たしておるわけです。従って、社会の電話電信に対する需要というものに対して、スピード・アップしなければならぬ。世の要求というものは、これはもう予想しなかったものが今日生まれてきておるわけです。そういうようなときに、たとえば、今ここに示されておる全国電話市価のずっと一覧表を見ましても、東京における上石神井あるいは中野荻窪大森荏原城東、こういったようなむしろ東京都市からいえば、まあ新市内といいますか、郊外というていいぐらいな場所が電話市価が著しく上っておるというこの事態ですね、これは何としても、私は電電公社大都市における電話架設に対する企画性というものが少し足りないのではないか。少くとも三年、五年の前を見れば、都市における電話の混雑についての対策というものはこれはとっていたこともわれわれは知っておりますが、上石神井において二十三万円の電話市価がここに実際あるというこの事実は、これは何としても電電公社企画性というものに対して非常に私は疑念を持つんですが、どういうわけでこういうような事態が生じてくるのか。ここは一つ最高責任者から御答弁をお願いしたい。
  12. 梶井剛

    説明員梶井剛君) お答えいたします。大都市加入者の積滞というものが意外に増加しておる形勢であります。第一次五カ年計画では、大体年々架設するに従って積滞数はふえも減りもしないという程度にいっておったのでありますが、最近の情勢におきましては、むしろ積滞がふえるという状態になりつつあります。従って、第二次五カ年計画では、今大臣がお答えになりましたように、さらに規模を大きくしてやっておるのでありまするが、何分にも東京のごとく大きな都市になりますると、地域が非常に広まっておるばかりでなく、人口が都市中心から郊外の方へ移動して参るのであります。そのために、都の中心地におきましては電話の不自由はさほどないのでありまするけれども、先ほど御指摘になりましたように、荻窪であるとか、あるいは荏原という地域におきましては、電話が非常に不自由で、市価が高いという状態になっております。いずれもそれに対しましては、われわれは計画を立てまして、一挙にすべてを解決することはできないのでありまするけれども、漸次解決するように今進めております。先ほど御指摘になりました荻窪に対しましては、杉並の局が近く開局されます。そしてそこに約二万加入者が入るような設備をしております。それが完成しまするならば、荻窪電話はよほど緩和されてくるだろう。しかし、それだけではまだ解決できませんのでして、荻窪地域の中に野方という所があります。野方の方にもう一つ局を作らぬと完全な解決はつかない。それから荏原の方は、目黒の局を作りまして少し緩和したのでありまするけれども、これだけでも解決はつきません。それで、目下第二荏原の局を作りつつあるのであります。それから、自由ケ丘という局を計画しております。で、この二つが完成いたしますと、荏原の局も大体解決がつきます。それから江東地区の方は、向島という局を作っております。で、そういうのができますると、それと隅田の第二隅田ども作りますので、本年度から来年度にかけまして、大体今のお話の二十三万円というような市価の所は、一応は市価がうんと下るというふうになるだろうと思っております。先ほどのお話のように、農村に対して団体加入をする、しかし、大都市はどうするのかというお話でありますが、大都市団体加入はちょっとむずかしいのでございます。従って、住宅地域に対しましては、できるだけ共同加入を進めていきたい。共同加入につきましては、従来秘密が確保できないというようなきらいがありましたので、二共同に対しましては、これを秘話装置をつけまして、そうしてお互いに甲乙の人が聞けないようにする、また、従来はそれが度数料金でなかった、一定の定額料金を二人に課しておったのですが、これも個別に度数計が働くように装置いたしまして、それによりますと、実際利用の度数少い所では単独加入と少しも変らないようなふうになりまして、私どもの方としましては、電話は二つできますけれども一つ回線を二人が使うのでありますから、料金も安くかつ普及も促進するだろうということで、極力それを大都市においては進めるつもりでおります。大都市は、何分にも、一つの局を作りますのに約二カ年かかりますので、地方の小さな局と違いまして日数がかかるために、直ちにすべてての問題が解決つくというわけには参りませんが、計画は各都市に対して十五カ年の計画をちゃんと立てております。それによって順次解決していくようにする。もちろん、予算関係がありまするから、これを全部一挙にやるわけにはいきませんけれども、さっき大臣お話がありましたように、私どもは、極力経費を節約し、そうして単金を安くして、そうして弾力条項によって予定された加入者よりも千名でも二千名でもよけいつけるという方針をもって大都市には処して参りたいと考えております。
  13. 山田節男

    山田節男君 これは、私そういうことを申し上げるのは、過去二回にわたって本院において、電話架設を急げ、それをすみやかならしめるように最大の努力をしろということを、電気通信並びに郵政大臣にわれわれの決議全会一致でやっておるわけです。当時の電気通信大臣なり、あるいは郵政大臣は、極力これに対して努力をいたしますということをあいさつしておられるわけですね。これはもう電気通信省から今度公社になって、公社の諸君は、公社になった以上は、前だれ式にやれ、経営の幹部から従業員に至るまで前だれ式にやれ、一種のマンネリズムに陥っているということを私はやかましく言った。自来、公社ができて満五年であります。少くとも電気通信に関する一種の革命の時代なんです。国民の需要に応じ切れないということは、これは何としてもやっぱり公社責任だ。ですから、公社としては、国会で二回も決議をされたということになれば、これはもうどんなことがあってもやり抜かなくちゃいけない。さっき、三十三年度建設予算与党内閣が百億削ってしまったが、あなたが努力して三十億円増した、ということをおっしゃったが、公社自体も、これは公社になってからは独立採算ですから、しかも、政府の国有とは違ってコンマーシャル・ベースに行けるのです。さっき申し上げたように、アメリカのベルのごときは、一昨年に三百五十万の電話架設している。これはやっぱり借金しておる。しかし、これは損をしない。これから公社がもう少しコンマーシャル・ベースに乗って積極的にやるといえば、こういったような東京市内のみならず、名古屋、奈良、札幌、こういう所が皆十万も出ておる、こういう状態、これは何としても公社実現によって希望した、少くとも具体的には電話加入が、かなり速力を早めて普及するだろう、これが五年になってもなかなか解決しない。これはいろいろな事情がありましょう。いろいろな社会的な条件がありますが、これは公社としては頭を切りかえなければならない。今日の電気通信の革命時代に、もう一ぺん頭の切りかえをする必要がある。ことにその責任者である郵政大臣は、今のような八百五十億円くらいでもってできないということは、あなたでもおわかりになるのです。だから、政府もいかぬと思うのです。政府が財政投融資から金が出せなければ、これは公社自体でもって借金する方法がある。現に国鉄が大阪に対する広軌の弾丸鉄道を作ろうという、やはりそれだけの熱意を持てば道は開けてくるのです。どうかそういう点で——電話市価が依然として十数万、二十万にも及ぶというような、こういう国辱的な状態公社ができて五年にしてなお存続するということは、これは公社としてこれがいいのか悪いか、民営がいいのか国営がいいのかということになってくると思うのです。ですから、もう一ぺん公社の諸君に聞きますが、政府が、予算を立てられた場合でも、削って、三十億やったとしても、なおこれは七十億くらいも足りないのです。で、公社としては、少くともこの質権の設定の時限法律が三十八年の三月にはこれは効力を失う、少くともそれまでで、五カ年間の終末、五カ年計画の終末年度でありますが、それまでにはこういったような事態がなくなるということで確信を持っておやりになることができるかどうか、その一つ決意をお伺いしたい。
  14. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 私どもとしては、これが時限立法になっておりますから、五カ年にかような事態がもうなくなってしまうというふうにしたいという決心は持っております。しかし、要するに資金の面におきまして一番われわれが困るのでありまして、先ほどベル・システムのお話がありましたが、ベル・システムのごときは、本年度社債を七億五千万ドル募集をするのです。しかし、電電公社としては、日本の金融情勢の関係上、今年は全然社債を募集することができないのです。で、ベル・システムといえども資本の増加だけではとてもできないのでありまして、結局社債に非常によっておるのでありますので、何千億、日本の金に換算いたしますれば約三千億円近くの社債を一年間で募集しておるというアメリカの情勢でありますから、それに比して日本は今日までベル・システムに比較いたしますと、電話拡充スピードは大体十分の一に達しております。向うは電話機の数でいっております。われわれの方は加入者の数でいっておりますから、電話機の数で換算いたしますると、大体向うの十分の一程度の規模で進んでおります。
  15. 山田節男

    山田節男君 今の梶井総裁の御答弁を聞いても、これはやはり田中郵政大臣の政治力が足りないのでなくして、岸内閣全体の、私はどうもそういう方面に対する誠意はあっても、熱意が足りないと思うのです。政府全体の政策としては、金融を引き締めようとして公定歩合も上げておるのだが、その政策の犠牲になって、こういうような国辱的な、しかも、これは損をする仕事ではないのですから、将来。ですから、これは田中大臣が、今後もまた郵政大臣として再任されるだろうと私は思いますが、これはどうでしょう、あなたのような相当有力な大臣は、こういうものの計画的な、一つ計画性を持たずに、たかが電話ということでなくって、これは日本経済の、社会生活の基本になるものなんです。そういうものに対して、どうも歴代の内閣というものは関心というか、認識がないのです。それがずっと山積されて、こういう現状が依然として続いている。ですから、公社がやろうと思っておっても、政府の金融の政策によって建設勘定を十分に与えられない、そこに険路があるとすれば、今総裁が言われたように、そこに険路の根本があるとすれば、これは私は岸内閣の重大な責任だと思う。ですから、この五カ年計画初年度に入っておるわけですが、少くともこの電話加入権質権の設定がこの期間に効力を失うまでにはそういうふうな必要がなくなるということ、それからもう一つ国辱的な存在としては、電話設備のために、非常に、何といいましたか、電話設備費負担臨時措置法、これもやはり時限立法になっております。こういったような国辱的な法律を置かなくちゃならぬということ、これはどの政党が政権をとろうと、これはすみやかに解消すべきだ。私は今回公衆電気通信法改正によって、農山漁村に、これはきわめて微細な、全体としてせいぜい五百カ所ぐらいのもので、全体の一地域平均は五十加入者にしましてもわずかなものです。ですから、どうしてもこれは、やはり政府が、せっかく公社にして自由に経営させるというなら、金融方面にもう少し伸縮性を持たした政策を一つとられるように、そういうふうな事態をわれわれに見せないように、また国会の意思も何べんもこれは政府に訴えておるのですから、監督の任にある郵政大臣は、これはあなた、最大の努力をされたということは私よくわかります。わかりますけれども、しかし、すでにもう数代にわたる郵政大臣努力の結果、依然としてこういう事態があるということは、何としても私は慨嘆にたえない。これは一つ電電公社におかれても、電話に対しては少くとももう一ぺん頭の切りかえをしていただいて、政府に対しても、これはもう千億なり、千五百億要ろうが、計画がわれわれ是認し得るものならば、これは当然承認しなければならぬものなんです。この点を一つ私は希望として大臣並びに公社の最高責任者に対して、一つもう一ぺん頭の切りかえをやって、金融措置においても、一つの革命的措置をとられることを強く要望しておきます。  それから、これは大臣に昨日私はちょっと質問いたそうと思ってしながった一点だけを追加して質問しておきますが、昨日もテレックスの問題について、国内、国際のテレックスの法制化について若干質問したのでありますが、この国際テレックス、すなわち外国と日本とのテレックス・サービスの問題ですが、昨日電電公社の方から聞くところによると、今日もうすでに十カ国とテレックスのサービスをやっておる、たとえば東南アジア諸国のごときは、まだ受け入れ態勢がないからこれを開設することはできない、このことは、将来、われわれと経済的に最も密接な関係にあるべき東南アジア諸国との将来を考えますと、やはりこのテレックスというものは必ず開設しなくちゃならぬ、しかし、向うには、資力においても、技術においても、従って、需要を感じておる人も少いかもしれない、こういう点はやはり政府あるいは会社あるいは電電公社、こういったようなものが三位一体となって、そういったような開設を促すような方法を私はとる必要がある。しかも、東南アジア等ではわれわれは賠償の責任を持っておる国が多いのでありますから、これを善用することによって、このテレックスのみではありません、電信電話の問題もありましょうが、テレックスに限って話しをいたしましても、そういう道は私はあるのじゃないかと思う。たとえばビルマであるとか、あるいはフィリピンであるとか、フィリピンはすでに開設してあるように聞きましたけれども、その他のインドネシア、こういうものと、そういうようなテレックスの開設というようなことについて、政府として何かの案を持ち、またこれらの国に対して交渉された事実があるのかどうか、この点一つお單きしたい。
  16. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知通り、東南アジアにはもうすでに今年度から賠償実施の段階に入っておりますので、テレックスのみではなく、有線関係の仕事、マイクロ関係の仕事、それから通信機材をどう入れるかというような問題に対しては、積極的に進めております。それから今のテレックス、並びに国際通信の問題に対しては、郵政省及び電電公社、特に国際電電もあわせて一つ調査をしておりますから、この調査機関の結論を早く出して、できるだけ早く軌道に乗せたいという考えでおります。  それからもう一つ申し上げたいのは、国際電電及び電電公社が——この間鈴木さんの質問にありましたが、海外における工事の受注調査、技術の提供というような問題がありますが、これはもうざっくばらんに申し上げると、少くとも今の公衆電気通信法及び電電公社法等では、国内の役務提供というもので、法律の形態が備わっておると思うのですけれども、少くとも日本において日本の通信を代表するものは電電公社である、国際電電であるということになりますと、ほかの人が出ていって仕事をするわけにもいきませんので、そういう問題もあわせて研究をして、結論が出て、必要であれば法律改正して、こういうことは電電公社ができるのだ、しかも、そのワクはこうだというような立法措置を次の国会では必要ではないかというふうに考えますので、そういうものもあわせて三者の間でできるだけ早い機会に結論を得たい、こういう考えでございます。
  17. 山田節男

    山田節男君 これは無線電信電話を含めての問題でありますが、御承知のように、英連邦群は、従来英連邦国家として一つの、団結して、他の外国に対しては非常に不利な条件を今日まで堅持してきておったわけです。カナダは、これは英連邦の中でもかなり自由な国でありますから、このテレックスの問題でも、カナダは開設した、インドとも今話し合いにある、それからオーストラリアとも話が今進行中であるというふうに、昨日聞いたのでありますが、英連邦の中でも、やはりオーストラリアなり、インド、セイロン、これが今中核体になっております。その一角のオーストラリアとテレックスの開設ができるということになれば、私はインド、セイロンというものも非常にやさしくなると思う。で、先般濠州の議員団の一行がこっちへ来ました。大臣お会いになったろうと思いますが、中には郵政大臣もおりました。この委員会でも私は会いましたが、このオーストラリアとの協定がうまくいけば、日本からいけば、一つのガンになっておる英連邦の一角をくずし得ると思うのですが、オーストラリアとのテレックスの開設交渉はどういう経過にあるか、これを一つ承わりたい。
  18. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 濠州とは、御承知通り、この開議員団及び郵政大臣が参りまして、私との間に話をまとめまして、無線電話は開通をいたしております。無線電信も開通いたしておりますが、御承知通り、テレックスの問題も近くやろうという相互了解に達しております。ところが、実行の方法でありますが、英連邦諸国の一環でありますので、シンガポール経由でもって今やっております。でありますので、日本の受取分及び濠州の受取分というものに相当問題がございます。でありますので、私たちは直通でやりたい、こういう提案をいたしてございます。向うは直通という日本の立場は非常にわかるし、同情もするし、理解もしておりますが、少くとも英連邦の一環としてわれわれは考えておるので、英連邦間における円満な了解が得られることが前提であるので、その間しばらく時間をかしてもらいたいということでありますので、これは、もう外交的な立場からお互いの立場も了解できる問題でありますので、お互いが相互了解できる問題でありますので、お互いが相互了解に達しておることを早く実現するために、できるだけ御努力を願いたい、今、日本は三分の一しか料金を受けておらないわけでありますが、少くとも英連邦間の中継というものは、中継という方式を持続するにしても、直通にするにしても、より合理的なものにやってもらいたいということを私が強く申し述べておりますので、向うは帰国後、英連邦間でよく話をして、料金の折り合いがつけば、シンガポール経由をやめて、直通通話になるかもわからない。いずれにしても、私たちに少し時間をかしてもらいたいということでありますので、そういう先方の御発言を了承して、現在はシンガポール経由の在来の方式をそのまま踏襲いたしておるわけであります。
  19. 山田節男

    山田節男君 これで、私の質問を打ち切ります。
  20. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣にちょっとお尋ねをしておきますが、一度あなたの御意見を承わったことがあると思いますが、電信の赤字対策ですね、電信の赤字解消対策、それは今もいろいろとお話がありましたように、電話が非常に需要供給のアンバランスがありまして、バランスがとれていないということから、非常に大きな問題になっておるのでありますが、そういう中で、電電公社事業会計というものが、とにもかくにも百億という電信の赤字を背負ってやっておるという事実があるわけです。ですから、これは、国の政策上料金の値上げということが容認できない事業であるし、まあ原価計算してみても、赤字の出る事業ですから、私は、もう少し政府自体が、直接生ずる赤字を何とか一つめんどうを見るという方法を、より積極的にやるべきではないかという意見を強く持っておるわけです。大臣御就任以来、いろいろと予算の編成当時にも努力されて七百五十億という予算が一応建設資金として確保できたわけですけれども、しかし、これが足りないことも、今の論議を見ても明らかであります。従って、そういう関連からして、電信の毎年累増する赤字対策というものを大臣はどう考えておりますか、伺いたいと思います。
  21. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) これは、もう電電公社の経営上のポイントでありまして、私、十分就任当時から考えております。これはもう平たく言うと、目標数もらわぬでもいいから、かかったものくらい払ってくれ、こういうふうに料金改訂をしたいのです。これは郵政省の中にも、第三種郵便というのがあるんです。これは一円なんですが、三円何十銭かかっておるのです。これは不合理だというふうに私は考えておる。郵政省も電電公社も、今郵政省は貯金局に間借りをしておるという状態でありますから、郵政省の時代から考、えても、どうしても電通も必要である。郵政本省も必要である。今度外務省ができれば、間借りしておるのは郵政省だけです。二十年前の姿に逆戻りをしてやっていなきゃならぬということでありますから、この問題と電信の赤字という問題をあわせて考えておる。私も閣議で話したことがあります。ありますが、そのときに、まあ議論をすれば君の方が勝つだろう、それは専門家だから。だけれども、まあ物価政策として、いずれにしても、NHKの料金とかいろいろな問題があるので、物価政策の凹凸修正ということは、中には二十九年、三十年に修正したものもありますし、二十五年据え置きのものもあるわけであります。こういう物価の非常に変動の場合には、当然近い将来に物価の再調整、凹凸是正は当然必要である、その場合にまあ考えなきゃいかぬのじゃないかという議論に終ったわけであります。でありますが、その後、また私も専門的にいろいろなことを申して、少くとも、電話郵政事業というものは、どうしても大衆負担をしいてはならないということの原則であるならば、一般会計から赤字を補てんするということが必要じゃないか、そういう意味で、NHKの値上げが不適当であるならば、一般会計から出してやればいいのだ、こういうことで、まあ、そういう議論は一朝一夕にきまるものではありませんので、いずれにしても、郵政省は郵政省関係の、しかも、郵政大臣が設置法に基いて監督しなければならないというようなものに対して、国民の要求として満たしていかなければならないというものに対して、郵政大臣が持っておる簡保の運用は重点的に使って、将来それを補助金に置きかえるか、交付金に置きかえる、もしくは長期の低利なものに置きかえるかは別といたしまして、とにかくうちうちの話だから、私は少くとも郵政大臣の関連をしておる三つか、四つの事業に対しては、大蔵大臣と協議をしなければならないというようなことよりも、郵政大臣の専門的な見解にまかしてもらいたいということで、まあ値上げをするか、交付金を出すかという問題は別にしまして、いずれにしても、そういう方向でやろうということが、先ほどもちょっと触れましたが、もう時期的にいいと思って触れたわけですが、昨年の九十五億のうち六十億が復活してあとの三十五億残っておるから、これも四月一ぱいに出してしまう、こういうふうに相当幅の広い考え方、考え方だけではなく、とにかくそういう思想に基く事業拡充という意味で強行しておるという状態であります。
  22. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣が非常に、日浅い中で電信というものを非常に理解してくれておると私は思いますし、今の閣議の中で御発言なさった料金の適正化と、それからもう一つ、一般会計から少くとも政府が赤字を見てやるべきだということを言われたことに、非常に私は敬意を表します。問題は、歴代大臣にしても、率直に言って、われわれが何回言ってもそういうことは問題にしてくれないのですね。実際に電信というものが国の政策上低料金政策でやられておるということを国民がよく理解すれば、私は大臣のおっしゃったような考え方が世論として出てきていいと思うのです。やはりそれをやることが正しいことだと思う。ですから、ぜひ一つ今後もそういうお考え方で電信政策を考えていただきたい。特にこの際私が申し上げておきたいのは、今百億ある赤字をなくするために、いろいろ公社努力されております。電報中継機械化とか、その他あらゆる角度から合理化を進めておることは事実なんです。しかし、その合理化が行き過ぎになる危険性が非常にある。現にこの前の委員会でさもお話がありましたが、八百局の電報局のうち六百局が電報の配達を請負にまかしておる、こういう事実が出てきましてこれは最近その行き過ぎを認めて、公社も組合との話し合いで多少修正をするようになったと聞いておりますので、私も非常にいいことだと思っておりますが、そういうことで勢いサービスの面からやや低下してくるということが出て参りますので、どうも赤字があるために、従業員自体も何かしら肩身の狭い思いをしています。一生懸命やっていますが、どうしても電信は赤字があるということを言われてくると、どうも肩身が狭いという悩みがありまして、この赤字が悩みのガンなんです。何とかして私はもう少し電信というものの実情を国民に理解していただいて、それを実施する、まあこの委員会なり、あるいは監督する大臣なりが勇断をもって国民に訴えていくことが一番私は大事だと思うのですが、われわれは、何回も何回も申し上げても、そういう世論がなかなか出てこないように思う。私は今後皆さんの協力を得て、電信の赤字対策、赤字を克服していく国民運動を続けたいと思うのでありますが、もし百億の電信の赤字がないとすれば、それだけかりに自己資金を使う場合でも入ってくるわけですが、それによって七百五十億が八百五十億になる、こういう勘定にすぐなる。ですから、そういうことを考えても電話はまだまだ需要が多いのにかかわらず、供給が非常に足りなくて世論のごうごうの非難がある時期、ですから、やはり電話もどんどん伸ばしていかなければならない。そのためにはどうしても電信をカバーすることによって、電話が多少なりとも非難を受けることがあってはいけないことだと思いますので、どうか一つ、赤字政策についてはより積極的な御努力を願いたいと思いますし、公社の合理化施策の中で非常に従業員にしわ寄せをされたり、サービスを低下されるような運営については、監督の立場からもう少し私はめんどうを見てやっていただきたいと思うのであります。そういう点一つ御所見を承わっておきたいと思います。
  23. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私は先ほど冒頭に申し上げた通り電波とか無線に対する日本人の感覚が少し違うのじ心、ないかということを、私が就任直後に申し上げたら、しろうとのくせにして何を言うかと、こういうような議論もありました。私は確かに電信電話というようなものが、あまり便利過ぎるために、どうもありがたみを忘れてしまう、郵便もその通りであります。毎日々々一通の五円のはがきを五里も六里も、その一通のために運ぶのでありますが、それが便利過ぎてなかなか理解してもらえないということで、私も非常に困っておったのですが、三十三年度では、不本意でありますが、七百五十億、それに三十億プラスして七百八十億、それに弾力条項を認めましたから八百三十億くらいにはなるだろうという見通しでもって一応私は納得したわけであります。そのときに、電信の例の百億の問題を出したら、自己資金でもってやれるのじゃないかという問題もあったのです。郵政大臣が、第三種の値上げをし、NHKの値上げをし、それから電信料金の改訂を行うという勇気があるならば、もう二、三十億援助する、こういう話まであったわけでありますが、私は少くとも初年度において八百億の台をくずしたくない。初年度に八百億の台をくずさないでおれば、少くともそれより減るということはありません。それにあの電信の問題が片づけばプラス最低限度百億になる、こういうことから自然増収を見込んで、四千四百億の大台を割らないで初年度が発足できれば、最低でも五千億はできる。これを六千億にしなくちゃいかぬのだ、こういう思想でやっているわけであります。でありますから、もし値上げをすれば、私どもの方では事業ワクを認めましょうというようなこと、それから経済五カ年計画電信電話事業拡充をいれなかったこと、まあこれはほんとうに言いにくい話でありますが、それが、まして私が微力ながらも相当それに対して着目をしてやっているという一つ時代でありましたが、それなら、大蔵省と経済企画関係の申し入れに対しては、一切もう電話架設をしない、まあこういうことを閣議で言ったものですから、河野経済企画庁長官は、直ちに一時間後の省議で、あれが架設しないと言うとほんとにしないんだから、とにかくいれろというので、三千四百億ないし四千二百億という数字がようやく入ったというような状況です。私はこれはもう政府責任でもあるし、われわれ国会議員も、しぼられた専門家だけの議論じゃなく、より大衆的な感覚に訴えて、新しい事業の中枢を受け持つべきであって、これがとまったら、もう全く経済が麻痺してしまうのだという、通信政策の重要さというものをもう少しPRする必要がある。私は電電公社及び郵政記念日などにも、省内だけでやるようなことではなくて、国民がとにかく郵便の記念日を作り、電信電話の記念日を作るというくらいな大幅の、大きな感覚でもって新しく国民に訴えて協力を求めていくようにしようじゃないか、こういう考えでありますので、政府部内でもって、できるだけこれらの問題がより合理的に、理想的に行けるように努力をいたします。
  24. 鈴木強

    ○鈴木強君 その次に、今、山田委員からもちょっと質問がありましたが、有線放送設備地域団体加入とは、もうこれは本質的に問題が違うのであって、この点は大臣も御了承の通りだと思います。そこで、きのうも論議があったのですが、農村とか、小都市、そういう辺の電詰が非常に大都市から見ればおくれている、こういう世論もあるわけです。公社も、第一次五カ年計画では大体中都市中心にやられたと思うのですが、もちろんまだそれでも足りない。しかし、小都市ないし農村地域電話が非常におくれている。従って、その方面に第二次五カ年計画においては相当重点を置いておられるように思います。特に農村電話とか、町村合併に伴う電話統合問題とか、非常に今年あたりは従来から見ると、まあ三十億、三十億と出ておりますので、若干なりとも前進していると思うのでありますが、そういう段階から地域団体加入電話制度というようなものがここに生まれてきたのでありますが、非常にこれは、さっき総裁もちょっと言っておったように、共同電話でも一本の線で幾台かが使われるわけですから、通信の秘密に対しては、相当問題がある。ましてや一本に十もぶら下げるというようなことでありますから、相当その点は問題が残ると思います。従って、私はこの地域団体加入というものは、これは窮余の一策であって、まことにこれはやむを得ざる措置であって本来の公社法第一条に明定された精神というものをやはり本質的に変りなくやらせていって、そうして今のような補足的な問題は徐々になくなっていく、こういう方針でやらなければならないと思うのでありますが、そういった点、いろいろこの前の委員会でも質疑がありましたが、きょう大臣にあらためてそういった点非常に大事でありまして、もし公衆電話有線放送と、今度の地域団体加入との考え方がごっちゃになっておりますと非常に危険がありますので、しかも、一個の電話に十以上は公社としてこれは絶対つけたくない限度だということも発言されておるのでありますが、そういった点も含めて大臣の所見を承わりたいと思います。
  25. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この問題に対しては、あなたの言う通りであります。私もそういうふうに考えております。これはちょうど質権の問題と同じような問題でありまして、テレックスというような試行的なもの、いろいろなものを新しく改良というような問題じゃない。今までの第一次五カ年計画では戦災電話の復興をやった、それからようやく第二次五カ年計画で、新しくやるのだ、それから第三次と、こういうふうに続くわけであります。農村の非常に利用度の少い、しかし、急用が起きた場合どうするかというような、非常に利用度は少いが、重要である、こういうものに対して年次計画を立てて、やはりペイしないというのは、電電公社はペイする所から自己資本でやっていって、そうしてペイしない所までいって、最後にこの法律でもってあまねく全国ぺイしない所までやるという理想に立っておるわけですから、どうしても必要やむを得ざる所から先やっていきますと、農村にまでいくということは時期がおそくなるわけであります。おそくなっては困るので、必要やむを得ざる暫定措置として救済をしようというために、地域加入電話制度を設けたのであって、これが理想的なもので、これを永続せしめるものであるという思想に立つものではないということを厳密には考えております。
  26. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ほかに御質疑ございませんければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  27. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は、ただいま議題になっております公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対して、四つの希望条件を付して賛成をいたしたいと思います。  その第一は、加入電信制度についてでありますが、新しく採用される制度でありまして、非常に国民としても重大関心を持っておると思います。特に現行試行段階における加入電信機器の種類については、現在二種類ございまして、その規格が異なっております。こういった点は質疑の中でも明らかになりましたように、非常に取扱い側からいたしましても不便がございますが、これらについてはぜひ一つ運営の面において十分規格の統一ということを私は考えていただきたいと思います。  それから次に料金の点でございますが、料金は当然認可制度になりますので、大臣の承認を得てやることになると思いますので、この料金は非常に私たち見ますと低廉な料金制度になっていると思います。特に電信の赤字問題が論議されている折からでありますので、これらの料金につきましては、適正な一つ料金制度大臣としては十分お考えになって、認可をしていただくようにお願いしたいと思います。  それから第三番目に、加入電信の取扱者の訓練でありますが、この制度は、今日無料で公社が実施されているようでありますが、この取扱者の資格問題については、全然無資格でよろしい、こういうことになっておりますが、これは質疑の中で営業局長もお答えになっておりますような、将来の問題として、果して全然無資格でいいのかどうなのか、こういう点はやはり問題があろうかと思います。従って、これらの点は十分一つ今後本実施の段階においても並行的にお考えになって一つの基準を設けて、簡単な一つテストぐらいはやって、電信オペレーターとしての一般公社従業員とは違うにしても、加入電信法の実施に際して万全なる運用ができるように、お考え願いたいということであります。  それからもう一つは、この制度が採用されますと、今日の段階で電報局に加入者の座席が設けられますので、これがあまねく普及して参ります場合は別として、電報局の手数をわずらわすことが相当多いわけでありますから、この制度が実施されるに伴って当然業務量というものは増大して参ります。従って、これに伴う人員というものの私は適正な処置と、それから適正な要員というものが必要になってくると思いますので、これらの点を一つ考えになって現状でも、この制度が実施されて要員が非常に不足しているという声も聞いておりますから、この点は一つ特に御配慮をいただきたいと、こういう四つの希望条件を付して賛成をする次第であります。
  28. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 他に御発言もなければ、討論を終局し、採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  29. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 全会一致でございます。本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成及び手続につきましては、委員長に御一任願います。  順次御署名を願います。   多数意見者署名     前田佳都男  石坂 豊一     野田 俊作  奥 むめお     三木 治朗  横川 正市     鈴木  強  山田 節男     光村 甚助  黒川 武雄     長谷部ひろ  新谷寅三郎     松平 勇雄  手島  栄
  30. 宮田重文

    委員長宮田重文君) これにて一時休憩いたしまして、午後一から再会いたします。    午後零時八分休憩    —————・—————    午後一時四十四分開会
  31. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を再開いたします。  電話加入権質に関する臨時特例法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。
  32. 横川正市

    ○横川正市君 法律の提案に当って、私ども承知する限りでは、前二回の国会でそれぞれ請願の審議の際に、本件に各党から意見が出されまして、当初はこれが保留になり、それから第二回目の前国会では、この問題について、当時の状況から推してみて検討を要するという意見のもとで、一応これを採択することにしたわけでありますが、その後本国会にこの法律案が、時限立法ではありますけれども提出されてきた、こういう点につきまして、私はその電話質権の問題が前回の国会で討論されたその経緯からかんがみて、実はこの時限立法というその期間の定め方が五年というふうに定められておるのでありますが、これは言いかえれば、電通の第二次五カ年計画との関連性もあって、五年というものがきめられたのかどうか、この点をまずお聞きしたいと思うのであります。このことは、一般市場において効果の現われる問題でありますから、二年とか三年とか、まあ短期間に、実際上はこういうような法律を必要としないというのが建前であろうかと思いますが、そういう短期間でこの実際の効果というものを検討できたのではないかというふうに考えられるのでありますが、時限立法の制定——前国会のいろいろの審議の過程もありますが、時限立法を制定されたその趣旨について、まず大臣からお聞きしたい。  それからもう一つは、私はこれはおそらくその大臣答弁の中に付言されるのではないかと思うのでありますが、この法律は一日もすみやかに——五年とは言っても、実質上市場において効果がなくなれば需要者がなくなるということになるわけでありますから、そういう方向に努力すべきものだというふうに思っておるわけでございますけれども、その点もあわせて回答が願いたいと思います。
  33. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御承知通り公衆電気通信法では質権を禁止いたしております。でありますから、あくまでも公衆電気通信法で禁止をしているこの条文の精神は生かさなければならないということが一つであります。もう一つは、なぜ公衆電気通信法質権の禁止をしているにもかかわらず、除外例を開いたかということは、これはもう実際は質権を禁止しておりますが、現在の中小企業の金融状況では、これが担保に取られているということであります。担保に出すだけではなく、高利の対象になって、電話というものを担保にして金を借りても非常に高い金利を払わなければいかぬということで、何とか除外例を設けて、質権の設定ができるようにしなければならないという一般的要請にこたえなければならなかったということが一つであります。  それから時限立法といたしましたのは、これはもう当然国民の要求に対して——電話架設されて十五万、二十万というような市価を呼び、質権の対象になるということは、公衆電気通信法及び電電公社の使命から見ても、不適当でありますので、できるだけ早い機会にこのような法律が自然消滅するような方向に進めて参るということが本筋であるということであります。五年でもって積滞が全部解消して市価が一体なくなるかという問題は、これは需要供給のバランスがいつとれるかという問題で、相当むずかしい問題でありますが、できるだけ早い機会にそういうものを解消しなければいかぬと、しかし、一年や二年、特に今、第二次五カ年計画を策定実施中でありますが、第二次五カ年計画の当初においてこれが全部解決をし、この法律が要らなくなるというふうには見通しができませんので、公衆電気通信法の精神を生かしつつ、しかも、実情に即した時限立法とするには、おおむね五カ年間が妥当であろうという考えで、現在の段階においては五カ年間という期限を付したわけであります。
  34. 横川正市

    ○横川正市君 その法律の、今大臣の言われたような趣旨でこれをとってみて、私は大体二つの問題があるのじゃないかと思うのです。一つは、中小企業者が電話質権を強く要望するということは、金融機関における、まあやみでありますから、そういう意味合いでは高い金利を払わなければいけないのだと、そういうことで、これを三十八条の四項のこの制限を取りはずすことが中小企業者の金融にある程度の益するところがあるのだというふうにお考えになる点と、それからもう一つは、私はこれは今度の場合もたくさん陳情をもらっているのですが、その陳情の趣旨をとってみても、いわば市場における電話仲介業とか売買業とかいう、そういういわゆる民間の小規模な金融機関といいますか、そういったものに品物としての提供を与える結果にならないか、そのことは、しいていえば、質権を認めたことによって、それが言いかえれば、いわば非合法的な譲渡へ発展していってしまうというような——質流れは認めないわけですが、質から譲渡へという、非常に不合理なコースをたどっていくことによって仲介業者が利益を得るという、そういう結果にならないか、この点を実は私どもは心配をしたのでありますが、その点について、立法されたときに検討されたかどうか伺いたいと思います。
  35. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公衆電気通信法の三十八条の四項、質権の目的としてはならないという、これをはずすというつもりはございません。この条文は現在通り残しておくという考えであります。  それから、今度このような法律を作ったために、電話業者等がもうけるようなことにならないかという御質問でありますが、この問題に対しては、現在三十八条の四項に規定してあるにもかかわらず、質権として設定はしてなくても、建物に付属をするものとしてやっております。電話、什器、備品等一切として、電話は実際に担保に取っております。もう一つは、法律でもって明確な立法がありませんので、しかも、禁止をしておりますから、裏でもって口約束だけで電話を担保にするから金を貸してくれというようなことが行われておって、もう現在は加入者の一割に近い者がそういうことをやっているのではないかといわれておるくらいに、高利貸しのえさになっているというような実情でありますので、こういうふうな時限立法ではありますが、法律でもって制限を明確に付して、しかも、手続等が煩瑣にならないということで道を開くことによって、高利でもって非常に苦しんでおる民間中小企業の苦しさを救済こそすれ、この法律ができることによって、電話業者等が不当にもうけるというようなことは全然考えておりません。しかも、質に入れられるところの金融機関を指定してありまして、一般個人的なものには担保に入れられないということに、金融機関というものを制限をいたしておりますので、今までより以上に不当に電話業者が利得を得るというようなことは全然なく、しかも、そういうことのないような処置をするためにこの法律を作ったのであるということを御了解願います。
  36. 横川正市

    ○横川正市君 その趣旨はわかるのですが、事実上市場で取り扱われるときに、私どもがちょっと考えただけでも、たとえば電話の質価、値段というのは、今設備費を入れて三万四千三百円ですか、それに債券が六万円、地域ごとに変るわけですが、債券の問題は別として、電話の価格というのは、いわば設備費を入れての価格ということになってそれが質ぐさの値段ということになるわけですね。ところが実際には、非常に電話の疎通状況が悪いから、地域ごとに分布されている度合いによって質ぐさの値段が高かったり、安かったりする、二十万もする所もあれば、六万くらいで買える所もある、こういうことになるわけです。そういう状況の中で、中小企業者が金融機関を通じて非常に利益をこうむるのだというふうに考えるについては、まず一つ問題があるのです。もう一つは、電話局の普及が逐次行われるわけですね。そうすると、最も疎通状況の悪い所に一局電話局が建つことによって、電話の疎通状況が緩和されただけ値段が下るわけです。そうすると、これは金融業界とすれば、おそらく、私は今ちょっと電電公社の方々とお話ししたのですが、当初から建設状況といいますか、そういったものを見越して、質ぐさに対する値段というものをうんとたたいてしまって、そうして金を貸す、こういうことにならないか。そうなれば、私はあえて、公共性というものを非常に高く評価されるべき電話質権として認めてしまったことによって、その公共性を失ってしまう、こういうおそれを多分に抱くのと、もう一つは、そんな安いもの、三万足らずのものでどれだけ中小企業者が大きな援助を受けるか、それよりかやはりこれを売買する人たちのいわば商品としての数がぐっと激増してくる結果にならないか、こういうふうにいろいろと考える点があるわけなんですが、その点については、政府ではどうお考えになっていますか。
  37. 松田英一

    政府委員(松田英一君) ただいまの御質問でございますが、実はこれは、質権をこの際正式に認めていくということにいたしましたのは、現状いろいろと行われている事態考えてみまして、むしろ正常に、しかも、そのかわり適当な規律を施してやった方が、今横川先生の言われたようないろいろな事柄につきましても、むしろ結果的にはよいのではないかというふうに私ども考えた次第でございます。と申しますのは、いろいろと現在禁止されております質権をくぐって担保に供されておるということの反面には、かえって電話というものが、いろいろな形においての譲渡というようなものがたくさん事実上行われるような結果になって、また実際問題として担保に供されておるというふうな形も見えますので、むしろ正式にここで質権を認めまして、実際電話を利用しながら安心して金融が受けられると、しかも、その金融を受けておっても、自分はあくまで加入者であって、その加入者の地位は尊重されていてそうしてもし返せない場合には、その立場を尊重されつつ、適当な質権の実行といいますか、そういうことによって、これはまあ当然金を借りているわけでありますからやむを得ないわけでありますけれども、そういった実行される場合においても、加入者の立場は尊重されておるというようなことで参りますと、かえって現在行われておりますような電話加入権が、そういった場合にいろいろと商品化されて動いていくということではなくて、むしろ加入者のところにじっとそのままあると、つまり転々とされないで、ただその価値だけが活用されていくというふうになるのではないかというふうにも考えられる次第でございます。  それから値段の問題もございますが、これも実は値段はいろいろなほかの条件から事実上生じておるわけでございましてこれはむしろここで質権者というものを、つまり質に取る金融機関というものを限定しておりますために、その限定された金融機関は、それぞれ正規の機関でございますし、そういうところと公社との関係は密接にとれていくものというふうにも考えられますので、その場合に、一体どういう時期になれば電話局ができて、電話の値段というものはどういう変遷を遂げていくかということは、公社の方に聞けば、公社の方でもこれは秘密にすべき事柄でもないわけでありますから、そういう金融機関を相手にとっては、相当ざっくばらんに連絡もできると思います。そういう観点から考えますれば、かえって妥当な加入権の値段というものがあらかじめ測定もできて、加入者の利益になるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  38. 横川正市

    ○横川正市君 今の監理官の方の説明は、そのまま立法の精神だろうと思うのでありますが、結果的に私どもの心配される点の第一、しかも一番大きいのは、これは大臣も、できるだけこういうような法案は、期間が来ないうちに自然消滅するようなそういう事態が好ましいというふうに言っておる点ですよ。結局、電話の公共性というか、電話に対する信用、こういったものが、何か質ぐさになるものだということから、極端に商品視されて、とたんに信用が落ちてくる、こういうことに対する心配というのが一番大きいのじゃないか。それと、第二の問題は、電話そのものが事実上、中小企業者の陳情によりますと、このことによって何らかの金融の措置の足しになるからというふうには言っておりますけれども、ところが、それが果してそういう措置になるのか、いわば今禁止されておっても、事実上は建物に付属したとかなんとか理由をつけて売買されてお  る。ですから、公けになればなるだけ、これはやはりそういう商売をする人たちのための商品として、非常にたくさん市場に出てくる結果にならない  か。言いかえれば、質ぐさになってしまって、ちょっとあまり金額が少いも  のですから、私はそれだけのものが返されなくて即これをどうしても売ってしまわなければならない羽目に陥ってしまった、こういうふうになるのには、いささか金額が小さいような気もするんですが、そういう結果を招来しないだろうか、こういう心配があって私の質問になっておるわけです。その点が心配ありませんということであれば問題はない。それからもう一つは、これは提案の第一項の中にも説明され  ておりますように、民事訴訟法の六百二十五条の三項に基いて、特別の、質権者自身の換価に対する実際の保証がされておるのだ、これだけの問題なんですが、これは値段が安いから、訴訟を起してまで権利をお互いにやりとりするような問題が起ってはこないと思いますが、そういうような心配については考えておったかどうか、その点も  一つ伺いたい。
  39. 松田英一

    政府委員(松田英一君) お答え申し上げます。最初の、質ぐさにすることによって、こういったものについて非常に商品化されはしないかという点でありますが、この点は、確かに私ども心配する点でございまして、むしろそういう点の心配から、現在の公衆電気通信法もこれを禁止しておるわけでございますし、私どももそういうことになることは決して好ましくない、むしろ、そういうふうになるべきでないと考えておりますので、ただ現実の事態といたしまして、やむを得ずこうすることによって、実際問題として行われている、いろいろな問題を表に出してやることによって、非常に中小企業者等のためにもなるのではないか。そのかわり、ただいまの横川先生の御心配の点はそうならないようにという点で時限立法にもいたしますし、また、いろいろな制約等も加えて、この問題を実行して参りたいというふうに措置したわけであります。  それからその次に、それではこういったわずかな金額でもって金融を得られるとしても、それでは一体どのくらい役に立つのかというふうなことでございますけれども、実際問題といたしまして、わずかな金額とは申しますものの、中小企業者の場合におきましては、三万、四万あるいは五万というふうなところが、ある時期には非常に必要な金だ、しかも、それだけの金でありますために、かえってなかなか金融が得られない、もっと大きな金額であれば、それに対する金融の道その他も考えられるけれども、ちょうどそれくらいの金額を必要とするところに、かえって適当な担保物もなければ、また金を貸そうと思っても貸しにくいというふうな点があって、非常に困っておる様子も耳にしておりますので、その場合には、こういった電話加入権の担保というものが非常に役に立って、しかも、その金融を受ける期間というものはあまり長くもなく、短かい期間で、つなぎ資金として非常に役立つのだという場合が多いわけでございます。そのために非常にいいだろうというふうにも考えられる次第でございます。  それからこれが結局質権というものを実行するというふうなことを通じて、譲渡の方にどんどん振りかわっていくのではないか。それから訴訟という問題と関連してのお話でございましたが、これは現在、もちろんいろいろな、質権でなくてもほかの債権の問題と関連いたしまして、やはり電話加入権についても、訴訟の問題を起して参りますと、どうしてもその間に非常に日数もかかりますし、また経費もかなりかかりまして、従って、今度は電話加入権だけを目標にして考えました場合には、逆にそのかかる日数とか、かかる手数料、費用というふうなものはあらかじめ見込んで貸しますために、かえって借りられる金額が少くなったり、また高利になったりというような結果が生じますので、私どもといたしましては、その点では、できるだけたくさんの金も借りられ、また実際実行される場合にも、従って、それによってそう大した経費、あるいは大した期日がかからないで質権の実行ができる、従って、またその実行した結果によって、かりにたくさんの換価ができれば、本人にも返り得る金がそこに出てくるわけですから、加入者のためにも便宜ではないだろうかというふうに考えておる次第でございまして、しかも、そういった手続は、やはり正式に裁判所に願い出ての行為でございますから、今までのような工合に簡単に、金が返せないと、電話がすぐ取り上げられて人に移ってしまったというようなことから考えれば、むしろ電話の譲渡というものに対しては、そういう場合が非常に少くなるというふうに考えておる次第でございます。
  40. 横川正市

    ○横川正市君 今の最後の点ですが、これは一般に法律そのものが庶民のものになっておらない関係から、たまたま金が借りられたという、そういう結果から、私は相当程度この電話の権利をめぐって、いろいろな紛争が起ってくる可能性というものが予知できるのではないかと思うのです。そういうことで、三項にもその点については触れて説明されておるようでありますけれども、複雑な権利関係が生じておりますので、公衆電気通信法の一部を改正するということで、本法の調整をはかりたいと思っております、ということですが、この点については、どういうことが予測されて、それに対しては、このくらいのことならばこういうふうに対処してあるから大丈夫だと、こう立法について考えられた、そういうそのものがあれば、私の方でそれはよく聞いておいた方がいいのではないかと思うのです。ただ、こういう提案の説明だけでは、何かやはり一般世上の裁判ざたになるいろいろな問題を考えてみて、そう簡単に片づけられない要素というものがあるのではないか、こういうふうに思うわけです。
  41. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 電話加入権を担保として動かします場合に、基本的な金を返せないときに、その電話は、最終的には質権の実行がされて、換価される、従って、その人が使えなくなるというのは、これは加入権というものを担保に供する本質の問題でありますからやむを得ないところでもありますし、また、なるべくそれに対して加入者の立場を尊重するということに対してのいろんな手段というものは法律上講じてあるわけでありますが、むしろ、一番問題になりますことは、その場合に、何と申しますか、その電話があるいは譲渡されるとか、あるいは差し押えが来るとか、あるいは加入権があると思って質権を設定したら、その加入権がなかったとかいった工合に、そこに権利関係が非常にはっきりしなくなる、あるいはだれが先に権利を得たのか、だれがあとかということがわからなくなる、そうすると、そのたびに一々裁判所へ持ち込んで、いや、うちの質権は設定できているのだ、この電話は自分の方で先に買ったのだというふうなことで裁判所に持わ込まれるのが一番厄介な点でございまして、そこで、そういうことにならないように、非常に明確に権利関係をしておこうということで、今度の法律の中では第六条、それからこれと関連いたしまして、公衆電気通信法の一部にも規定いたしまして、とにかく質権あるいは電話加入権の譲渡の問題もございますけれども、それは電話局——簡単に申しまして電話局でございますが、そこへ登録をして、そのときにちゃんと受付番号をふって順序をきめてしまおう、その順序によって権利関係はおのずからはっきりしていくのだということをここで新たに措置したわけでございます。そういうふうにすれば、質権が設定されたのか、あるいは電話の譲渡があったのか、もともとないところへ電話の譲渡があったのかというふうな点が非常に明確になりましてことに、そういうふうに明確になっておりますと、あらかじめそこへ登録をして参りましたときに、すでに自分が質に取ろうと思った電話はもう人に売られておって、もうその人は持っていないのだというようなことも、そこへ行けば一目瞭然でございますし、権利関係の錯雑がないということで、そういうふうにいたしましたので、若干公社の方で手数はかかるわけでございますけれども、その点、私どもはできるだけ公社の手数もかからないように、簡易にして明確な方式ということで、そういった措置を考えていきたいということを措置したことによってこの加入権の立法化ということもまず無事に行われていくのではないかというふうに考えております。
  42. 横川正市

    ○横川正市君 金額が非常に少額であるからということから事務手続が簡素化されて、かえってそのことがあとからの紛争の種になるようなことになっては、結果的には、私はそのことの方法が間違っておったことになると思うのですね。ですから、そういう意味合では、これに説明されておりますように、電話の権利というものが、二重質あるいは転質された場合のいろいろな方法が書かれてありますけれども、それをさせないための方法として、電話の登記制度といいますか、こういったことが必要であったんではないかというふうに思われるのでありますけれども、これでは簡素化という意味では登録だけで事が運ばれておりまして、そして当然市場では一つ電話をめぐって、何人かの人たちがいろいろその権利をめぐって金の貸し借りをやるわけですから、そういうことから私は、まあ何といいますか、電話の戸籍みたいなものがはっきりしておって、それを調べないと貸し借りができないというような、少しめんどうであっても、そのくらいのことが必要なのじゃないか。——ただ届け出て登録した、そういうことだけを調べればいいのだというようなことではないように、事実上貸し借りの手続をするときに、その登録されたものあるいは登記されたものを見なければ貸し借りができないのだというような方法をとった方がいいじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  43. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実はその点ではもちろんこの法律ができました暁には、私どももできるだけ周知徹底をはかりまして、その趣旨をなるべく多数の方々に了解しておってもらえば、大体問題はないだろう、と申しますのは、結局登録をしませんければ、それは第三者に対抗できないわけでございまして従って登録を見て、そこにちゃんとやってある通りになっていればそれを信頼していけば、全然登録してない別の人から、いや、自分は加入権を持っているのだとか、あるいは質権を設定してあるのだとかいうふうなことは言ってこられない建前になっておりますので、安心できるということであると思います。もちろん公社の方といたしましても、ただ原簿を見てしまえばいいんだというようなことではなくて、もう少し親切な措置もお考えになるとは思いますが、そういったこととすべて考えあわせれば、質権というもの、あるいは加入者というものの加入権の存否というものについては、そう不安なく安心ができていくだろうというふうにも考えられます。それから非常に複雑な関係になって参りますために、二重質とか、転質とか流質をすべて禁止して、割に単純に質権が設定されていくというふうに考えておりますので、その点につきましてもやはり電話加入権に関する取引関係はそう複雑化することはないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  44. 横川正市

    ○横川正市君 私は、これが制定されたことの趣旨にのっとって事実上運用されることが最も好ましいのでありまして、予測される不測の事態であるが、このことが商品化されて、きわめて立法の趣旨に沿わない第三者の利得になるけれども加入権を持っておる者が全然利益をこうむらないような結果にならないように、この点は十分取扱いの窓口では厳重に監視すべきだと思います。  それから次に、これは電電公社として簡素化されたといいましても、登録制をとり、その後いろいろと権利をめぐって繁雑な問題等が窓口に持ち込まれるということになろうかと思います。それに対してどういうふうに対処されようとしておるか。あるいは事務増加に対して人員等の配置はどういうふうにお考えになっておりますか。
  45. 吉澤武雄

    説明員(吉澤武雄君) お答え申し上げます。横川先生の御質問に対しまして先ほど来監理官から御答弁があったのでございますが、公社といたしましては、われわれ今までの経験がございまして、それによりまして、実はこのような立法ができることによって、かえって質権というものがはっきり表へ出るということ、今までいろいろなもぐりがある、あるいは法を無視いたしましてほかへもぐっておったということがなくなるだろうと思っております。また譲渡件数が、東京で年に五万件くらいある、この中の譲渡件数のある部分が、先生御心配のように、むしろ質権が認められたために、直ちに譲渡に移すということがあるのです。それがこの質権によって、譲渡というものに移らないで、むしろ加入者の利益を確保するということ、こういう点があると思うので、この法律を私どもは非常に重要に思っておるわけでございます。  そこで、公社の手続といたしましては、これは新しい手続が必要でございます。原簿の整理なり、あるいは設計変更によりますところの届出の処理なり、あるいは催告の手続なり相当な手続がございます。それに対応しまして必要なる要員を配置するつもりでおります。大体東京年間四万くらい、このような金融の件数があったと係の方で推定をしておる、それが六万件ぐらいになるのではなかろうか。全国的に見ますと二十万くらいな件数になる。そこで、要員の措置を考えますと、東京におきまして七十数名くらいがこの面のために人手を増すであろう、この措置を考えておる。全国的に申しますれば二百数十名、こういう人を配置する必要を考えておりまして、なお、この要員措置については、実情に沿うように考えていきたいと思っております。
  46. 横川正市

    ○横川正市君 私の質問は以上で終りたいと思いますが、要は、私はこれはやはりこの電話の普及状況が進捗するに従って、事実上これは利用者が滅っていく、あるいは将来においては消滅するというふうに見ていいのではないかと思うのです。そういうことで、大臣が当初言われたのでありますけれども、この時限立法である法律案を事実上その期間の来ないうちに、実際上これを消滅せしめるように今後さらに一つ努力をしていただくことをお願いをして、私は質問を終りたいと思います。
  47. 鈴木強

    ○鈴木強君 横川委員の質問にも関連すると思いますが、まず最初に大臣にお尋ねしたいのは、この現行公衆電気通信法加入権質権設定は明確に禁止されておるのでありますが、何とか質権設定を認めてもらいたいという要望があったことは、私たちよく存じております。しかし、現行公衆電気通信法加入権質権設定に対する禁止条項があるということは、やはり電話というものが個人の所有権ではあっても、いわゆる公共性を非常に強く有しておるからだと私思うのであります。従ってそういう中で、時限立法であらても、今回政府が腹をきめたという理由がちょっとまだわかりませんので、たとえば、今ちょっと吉澤業務局長からのお話で、全国的にややこういったやみ金融的なものに電話が利用されておるという件数がわかったのでありますが、そういった点を考えてみても、私はなるほど電話を質に入れて、あるいは担保にして金を借りなければならぬくらいまで中小企業者が非常に金融に困っておるという事実があると思うのです。ですから、この電話の本質からいきましても、やはり中小企業に対するそういう金融政策というものは、別の形で政府が十分お考えになることがほんとうの道であって、少くとも公衆電気通信法上、この第三十八条で明確に禁止されておるわけでありまして、この四項を生かしておいて時限立法を設けなければならぬというところまで慎重な態度をとったことはわかるのですが、しかし、どうも本末転倒しておるのではないかということを非常に危惧するわけです。ですから、その金融の道を電話質権設定に求めたということは、まことに私は邪道じゃないかと思うのです。ですから、もう少しいろいろ請願もあって横川委員のおっしゃったように十分検討していただくということでわれわれは一応了承しておったのでありますが、もう少し本法を提案するに至ります間の、こういうことでやむを得なかったのだというふうな点を一つ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  48. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 公衆電話通信法三十八条四項の規定は厳重に守っていかなければならぬということは、鈴木さんと同じであります。でありますから、時限立法にいたしました。この法律をなぜ必要としたかという問題に対して、三万円、五万円という金に困っておる人があるのだが、これは抜本的な中小企業対策としては別に金融の道を講ずべきだということも、これも私もその通り了解いたします。いたしますが、そういうことをやることとあわせて現在この時限立法でも、電話の質に関する法律がないために、非常に救済されないでおる大衆が多いことは認めなければならぬわけです。それは今横川さんが慎重な態度で御質問がありましたので、ありがたく拝聴したのでありますが、これは電話を質に入れていかぬということだけは大衆も知っておるのです。知っておりますが、金融機関は担保を、もうすでに百万円の金を貸して、二百万円のうちから何から一切押えておっても、その宙話というものは担保にならないといことを知っておりますが、その電話対しても、譲渡書をつけなさいということで電話をはずせるものを各什器、備品と一緒に電話をくっつけてしまう、こういうことでほとんど家屋が他保になっておるような金融機関には、事実上電話も担保に取られておるわけです。その電話価値というものは全然認めないということで、百五万円借りられるものが百万円くらいしか借りられないということが一つあります。  もう一つは、家まで担保にして金は借りておらないが、年末だけ一ヵ月弧も二ヵ月でも五万円の金でも必要だということは、これはあります。二十五日に月給を払わなければならぬときに、中小企業が来月の五日になって手形が落ちるのだが、二十五日にどうしても払いたいという場合に、三万円、二万円、五万円、ちょうどこれは今禁止をされておりますが、その恩給証書を担保にしてどうしても三万円ぐらいのものを借りたいというものが非常に多いことは、これはもういなむこと州できない事実であります。でありますから、表に二十万というものが出ておりますが、おそらく実際のその紛争があるものの届出があるものは表に出ておりますが、私はこの倍ぐらいのものが担保に入っているだろうということを認めるわけです。これはもう電話まで担保にして金を借りていますとまではなかなか言えないものですから表には出しませんが、相当金融は行われておるということは事実であります。  もう一つ、この公衆電気通信法で厳禁されておりますので、どうしてもこういう法律でもって例を開かないと、初めからもう一万円借りるにも電話の譲渡書をつけなきゃならぬ、こういう最後の手段がとられております。でありますので、悪質な高利貸にかかったものなどは、五万円のものを五万円要らなかったものだから、高利を払えないから、実際要る金は二万円だから二万円しか借りておらないのだ、流すつもりならば五万円借りればよかったのだという例も私のところにもあるのです。それで二万円しか借りておらぬのだが、わずか一日か二日、期限よりも延びたために、譲渡書を、法律で行使をされて電話を取られてしまったというようなものがあるのです。これは法律で禁止しているのですから、事実は泣き寝入りになってしまう。もう一つは、これは勇気がある人は一つ法律で争ってやろう、争うには電話の金額ぐらい全部つぎ込んでも、あの高利貸は悪質だから一つ争ってやろうという相当勇気を持たないとなかなか裁判まで行かぬわけであります。裁判に行くと換価に対しては評価を受けたり、いろいろなむずかしいものをやっておりますが、どうせこういうことが行われておる、その実態に対して、これを救済しようという考えでは、公社でもって登録をしておれば、そこに行って登録しておるものはもう二重質、転質、流質を禁止しておりますから、これは担保にして金は貸せない、そういう限界が明確になりますが、現在のところは、やみなものですから、暗いところでやるものだから、友だちから同じ担保でもって、ひどいのはある料理屋でもって、同じ電話を、五本ぐらいを十人ぐらいのお客さんに電話を担保、担保でもって金を借りて、家を増築したという例を私は知っております。こういうことは非常にある意味では悪質なものでありますが、法律で禁止をされているということで、これは裏であるからということで、担保に入っているのかどうかということを確認をすることができないで、なかなかこれはこまかい問題でありますが、数の多い問題でありますので、現在の状態では非常に混乱が起きていることはいなめないのであります。でありますので、時限立法としてできるだけ早く法律が実質的に消滅するようにという考えのもとに、救済法として最小限度の期限を切って一つやろうと。それで、こういうことが時限立法であっても、こんな法律はいかぬという議論もまた出てきますから、その反面に公社の五カ年計画ももっと相当ふやさなきゃいかぬという議論も当然出てくるのであって、私もそういういろいろな意味考えて、問題はあるが、一つ現実に即した立法をしよう。今、公社の方から、全国で二百名もこれに対して人がふえるということでありますが、これは確かに人がふえるでありましょう。しかし、これはもう公社としてはサービスのために進んでやりますと、こういうことを言っておりますが、私はこれに、この発言の外にあるものがもう一つあると思うのです。これは電話がこういうふうにして公衆電気通信法で禁止をしておられますが、事実、売買せられておる、事実、質権に供されておるがために、各電話局にいろいろなものが殺到しているのです。これは一体どうだ、担保に入っているのかどうか。ところが、公社は届出もありませんし、まあそうだろうと思うぐらいなことでも、いや、法律では禁止をしておりますということで、こういう応待に対して非常に苦労していることは、私も自分の事務局等で十分そういう実情を知っておるわけであります。でありますので、そういう法律の筋だけを通すために、現実がどうにもならないというようなことよりも、非常に明確にして二重質等は禁止をする、また登録をしなければならないという、こういうふうに責任分野を明確にし、しかも、それが電話所有権の移転に拍車をかけない、今よりもいい段階になるんだということであるならば、やっぱり立法しなければならぬということで踏み切ったわけであります。
  49. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ三十八条四項に明確に抵触する時限立法を出すということでありますから、相当これは勇気がないとできないことだと私は思うのですが、大臣のお答えを聞いておりますと、要するに、今現実に法上もう禁止されておっても、実際にはやみ金融の中で担保になる、電話が実際にはこういう形でやられておるということをおっしゃるのですが、しかし、やっぱり基本的な考え方というのは、あくまでも禁止していくということですから、ですから、いわばそういったやみ金融的に電話が担保になる、質権のような形になってやられてるものを合法化していこうというような、こういう格好に何と言おうとなってくるんだと思うのです、私は。ですから、現実問題に立ってものを考えたときに、やむを得ずとったんだと、こうおっしゃるんですが、言うならば、今お話の中にありましたように、一人の人が一つ加入権を、四人にも五人にも担保にして金貸してくれ、金貸してくれと、こういうふうに言って悪いことをやってるわけですね。やってることは悪いんだが、やみ金融からすれば、この法律がその人を保護してやるというふうなことにもなるわけですよ。今度はそういうことできませんからね。そういうことになると思うのです。これが必要だというのは悪徳業者だと思うのですが、そういう人たちのやることは普通常識では考えられないことをやると思うのです。ですから、ある程度こういう法律を作って規制する分には規制していくということだと思うのですが、しかし、この点はもう少し明確な現実問題として、十二万件とかなんとか言っておりますが、ほんとうに今言ったように一人の人が一つ加入権を五人も六人もだまかして担保にして借りたという、こういう事実がどの程度あるのかわかりませんが、こういうことが全国的に非常に問題になっておるということであれば、ある程度考えなきゃならぬと思うのですが、そういう調査といいますか、具体的な売買の状況とか、そういったものは調べたことがございますか。これは公社の方でもいいと思うのですが、むしろ私は今日電話の売買自体公社の承認を得ればやれることになっておるのですが、こういう点を一つ裏をかいて、何といいますか、電話をブローカー的にやってるわけですね。看板を出して電話の売買をやってる業者がいるわけですよ。これなんかも、なるほど法上、公社の承認を得れば売買はできることになってるんですから、現在の法上は禁止することできないでしようが、むしろ私はこういうものがあるのがおかしいので、こういうものこそ禁止するような方法を考えるべきじゃないかと思うのです。こういう点は一つ度外視しておいて、むしろやみ電話質権の方だけを認めて、今までのやみを合法化してやろうというような、そういうことはちょっと本末転倒じゃないですか、その電話売買の点はどうお考えですか。
  50. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私はあくまでも三十八条の四項の規定は守るべきものであって、この法律はあくまでも時限立法であって、できるだけ早く担保価値がなくなる、すなわち国民の需要に対しては直ちに架設ができる、担保価値がなくなれば質権の設定はないわけでありますから、もちろんそうならなければいかぬということは、原則的に申し上げておきます。  電話業者という問題に対しては、こういう法律があるにもかかわらず、これはなかなかむずかしい問題であります。これから新しく開いてやろうというものはいいのですが、簡単にできるのですが、あるものをぶつつぶしてしまうということは、なかなか戦後の思想からいっても、自由企業という思想からいっても、なかなかむずかしい話です。こういうものよりも私は、しかし、そういうものを禁止してしまうということはむずかしいことであると思いますが、少くとも公社法等である道を開いておいて、電話を売らなければならぬ人、質に入れられる人は、公社に特別会計がありまして、ここでもってみんな預ってしまう、こういうことであり、必要なものであれば貸すというようなことであれば、特別金庫制度のようなものですが、こういうものが公社にでもあれば、こういう電話売買業者というものがなくなるということでありますが、公社架設する方が忙しくて、とてもそこまで手が回らないという点もあって、御説は私よくわかります。わかりますが、なかなか実行段階、立法措置をするということになるとむずかしい問題というふうにお答えするほかはないと思います。
  51. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  52. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記始めて。
  53. 鈴木強

    ○鈴木強君 大臣の不在中、公社の方にお尋ねしておきますが、やみ電話電話の売買人ですか、これはなるほど三十八条によって「電話加入権の譲渡は、公社の承認を受けなければ、その効力を生じない。」という規定がございます。それで公社が承認をすれば、譲渡は自由なんですね、ところが、どうも三十八条の四項からいっても、基本的に加入権というものを明確に押えているわけですから、本来なら加入権に変動のあるような売買問題を認めておるということが、事私は問題があろうと思うのです。これは看板を出して堂々とやっておるのです。しかも、内容を見ると、金を貸すとき何月何日までに返す、返さなければ加入権はおれの方に来るんだ、こういうようなあくどい条件をつけて金を貸しておる。そのために五万円の金を借りて、期日までに返せないため、加入権を取られてしまう、これは裏のことですから、私は具体的な例を知っているから申し上げるのですが、表には出てきませんけれども、実際には裏工作があって、泣き泣き自分が惜しい電話を取られてしまうというような場合があるのです。それが電話売買業者がそういうことを現実にやるような余地が相当私はあると思う。ですから、この点を法的に押えることが一番大事ではないかと思う。そうしませんと、三十八条四項というものが名実ともに生きてこないと思う。ですから、電話売買業者に対して、公社は今日どういうお考えを持っておられるでしょうか。質権設定を、たとえ暫定的にでも、認めようということとあわせて、お考えになりませんでしたでしょうか。
  54. 吉澤武雄

    説明員(吉澤武雄君) 御質問の第一点ですが、現行法におきまして、電話加入権譲渡はできる、そういう点についてはっきり今回の公衆電気通信法におきまして電話加入権というものが一つの民事上の債権である、こういうふうに法律解釈並びに実情に適したこの法の制定をしたのです。かつて一時的な譲渡禁止をしたことがございます。これは特殊の事態でございましてやはり実情としましては、電話というものの譲渡は許すべきものであるという見解に立ちまして、従来もやったわけです。そこで譲渡の理由が、金を貸したため、あるいはその他の事情によるということは、これは別に譲渡請求そのものについての条件ではございません。従って、電話局というものは、この様式的な行為、名義人の新旧の両当事者が判を押しまして、しかも、旧名義人である印鑑その他を原簿で調べまして、正当なる権利人であるとするならば、これは譲渡を拒むことはできない。その意味では、どういう理由で譲渡したか、あるいは今鈴木委員のおっしゃったように、金を貸しておりまして、むやみやたらに譲渡してしまう、こういう事実は推定によりまして相当われわれにはわかるのでありますが、表面的にはわかりません。そういう意味でございますから、今のところは、どんなふうなトラブルがある、あるいはもぐりの金融をして、そしてこのような譲渡がいろいろな弊害があるかということは、推定でないと、表面的に現われておりません。その意味で先ほど推定した件数が、大体四万件ぐらい金融をしておるわけです。こういうようないろいろな推定の仕方あるいは調査をやったわけでありますが、そこで、このようなトラブルが現在あるかどうかということもちょっとつけ加えて申しますが、実際あるのであります。と申しますのは、金を貸す当事者同士は、金を貸した以上はその期限が来て返済しなければ、電話は自分のものになる、こう思っておるのですが、この権利者は一応それを無視いたしまして、電話局へそのまま他人に名義書きかえを請求に来ることがあります。そうすると一体、電話局へは、私が金を貸しておるのにどうして名義を書きかえたかというようなことをずいぶん言って参りまして、電話局の落度でもなければ、あるいは法的に無視を何もしていないのにかかわらず、そういうようないろいろなトラブルが起って困ることがずいぶんあるのです。今回の法律によればそういう危険はないであろうということが一応言われておる。  次の問題としましては、このような特定金融機関はこれでよろしいであろう、しかし、依然としてもぐりの高利貸、こういう人はどうして押えるか、この問題でございますが、これは今日においても実は無理でございます。従って、こういうような合理化した線に沿ってなるべくやってもらうということであれば、一応このような金融機関は信用もある金融機関ですし、他の高利貸の手をわずらわさずして、このような金融機関の方に流れていくだろうというふうに、われわれ努力するということを考えております。  電話業者の次の問題でございますが、これは先ほども大臣お話しになりましたように、これを禁止するというわけに参りません。一応電話業者というものは、それぞれの電話の必要な人あるいは売りたい人という者に対しまして仲介の労をとる者であります。これが悪らつなる行為をするかしないかの問題はまた別途の問題と考えるべきでありまして、電話業者自体を取り締るということは、法的にも、あるいは現在の実情から見ても困難と思います。以上のような公社の取扱い方法であるとか、あるいは周知の方法によって、この法案を生かして運用いたしたいというふうに考えております。
  55. 鈴木強

    ○鈴木強君 もちろん現在の法上は、この電話売買業者を取り締ったり、それをやっちゃいかぬということを言うことはできないと思いますが、しかし、今お話にもありましたように、かつては譲渡を禁止するというような法もあったわけです。ですから、それをはっきりしますと、私はこの問題は解決すると思うのですよ。だから、やろうとすればやる方法がある。もちろん私は売りたい、私は買いたい、その中間に立って労をとって、幾ら手数料を取るか知りませんが、いずれにしてもやっておることはやっておる。これは一つの商売ですからいいでしょう。しかし、電話加入権というものは基本的に質権を認めないという精神は、極端にいえば、譲渡というものが公社の承認を得てやらなければならぬとつけているように、相当厳重に、シヴィアにやはり押えておるということを思うのですね。そういう点からいうならば、今日電話売買業者がどういうふうなことをやっておられるか、私はもちろんその内容は知りませんけれども、具体的に売りたい人があったらそれを買っておいて、買いたい人があったらそれを売ってやる、こういうようなことで市価というようなものが一つ出てくるわけですね、やみ値というものが。そのやみ値をもとにしておやりになるのでしょうが、しかし、私は相当買うときには、売ろうという者は金がほしくてやるのですから、相当安く売りますよ。今度は向うから買いたいというのは、やはりほしいのですから、相当金を出しても買いますよ。ですから、その中間に立って相当ブローカー的な、ぬれ手でアワのようなことをやっておると思うのです。少くとも電話というものをブローカーのもうけの道具にされるというようなことは、これはどう考えてみてもおかしいことだと思うのです。ですから、ほんとうに自由に、もう加入権なんというものはどうでもかまわないという点に立てば、また話は別ですけれども、やはり三十八条の四項というものがある以上は、私は野放しにはできないと思う。ですから、私は電話の譲渡というものに対しては、もっとシヴィアにやる必要があると思う。ですから、こういう点をもう少し質権の問題にからんでおやりになったらどうかと思うのですが、しかし、現行においては、今吉澤局長のおっしゃった通りでありますが、公社の方では、これは極端にいって、昔のように譲渡を禁止する、こういうようなお考えをお持ちでございますか。
  56. 吉澤武雄

    説明員(吉澤武雄君) これは重大なる問題だと思います。これは電話の歴史を通じましてこの問題は常に論議されておった問題であります。しかし、現状を見ますと、譲渡を禁止するというこの社会的な問題、かつまた法理的な問題が一つあるわけであります。社会的な問題といたしましては、すでに電話をつける場合に、三万円の負担金、社債六万円を現実に納入しなければ電話はつかない、こういう状態電話をつけております。なお、さらに電話が全部に普及するかというと、御案内のごとく、電話東京都内においても積滞を生じておる、そういう需給のアンバランスがあるために、非常にそこに必然的にやはり価格的な問題が起ってくる、そこで、電話加入権というものが財産権であるという基本的な性格を持っております。かつまた市価というものが自然発生的に経済現象として生じております。その意味におきましては、これを譲渡禁止するということは、やはり非常に問題であろうと思う。また、とるべき策でないと考えております。  次に、法理上の問題でございますが、譲渡を許された財産を、これを禁止するということは、これは憲法上の問題にまで波及しやしないかというふうに、法律的には相当の問題を含んでおるわけであります。従って、電話加入権というものにつきましては、譲渡を許すということが私は当然であろうと考戸ております。ただ、これに伴う弊害をどうして防止するかということは、やはり根本的には電話をたくさんふやすことによって、このような第三者によって売買されるという事態が生じないということが一番の根本的の対策だと、こういうふうに考えております。その他派生的な問題は、先ほど申したように、できるだけ私どもの運用あるいは一般の電話加入者に対する周知によって防いでいこう、また電話局の窓口におきましても、不正な業者あるいは悪徳なる高利貸の手をかけないようなふうに、親切にそういうところを防いであげたいというふうに考えております。   —————————————
  57. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと、ただいま委員の変更がございましたので御報告いたします。  紅露みつ君、川口爲之助君が辞任され、吉田萬次君、川村松助君がそれぞれ選任されました。
  58. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、吉澤さんの御意見は、譲渡の禁止は憲法違反になる、従って、絶対にとるべき措置でないと、こうおっしゃるわけですが、そこで、大臣にお尋ねしたいのでありますが、そういう公社側の見解だとすると、三十八条の四項の——自分のものなんですからね、電話は。ですからその質権の設定自体を禁止しておるということが、公社側の言う考え方からいうとおかしいことになる。電話個人のものなんだから、売ろうとどうしようとこれはもう自由なんでしょう。そうするならば、自分の持っておる電話を困るときに質に入れることは、これはやはり許されたる自由なんです。そんなものを三十八条で禁止しておくこと自体がおかしいことになると思う。ですから公社側からいえば非常に手続が煩項になるとか、あるいは六万円の電話債券を買ってもらうのだから、もし要らないとなったときに公社が金を、さっき大臣のおっしゃったように、それこそ公社が少し金を持っていて、要らぬというときは金を返してやると、今度ほしい人があったらこれをやるという、こういうような措置をとればこれはいいんでしょうが、むしろ譲渡を禁止するという電話の公共性というものの精神は、私は、吉澤さんのおっしゃっている考え方は、若干違うのじゃないかと思うのです。むしろ公社が、そういったいろいろな複雑な点があり得るのですから、むしろやるのに困難だというような点で言われておるのですが、むしろ、できないという理由を、もちろん憲法上のこともあるでしょう、大いにその点は論議のあるところでしょうが、しかし、私は正しいと思います。そのことは。そうであるなら、もっと自由に電話質権設定の禁止などというものは、とっくの昔にはずしてやったらいいと思う。なぜ質権の設定を今まで禁止しておったか、そういう点は今のお話と矛盾するように思うのですが、そこら辺を一応解明してもらいたいと思います。
  59. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 譲渡禁止の問題について、譲渡禁止をやった場合に憲法違反になる、それは全く一般の公式論であります。そういう考え方があることは、これは当りまえであります。しかし、憲法の原則に書いてあるところの他の条章、特に公共の福祉増進のためとか、いろいろなそういう意味で必要やむを得ず制限禁止するということはこれはあります。これはおとといかさきおととい通してもらった電波法で、法人が合併した場合とか、いろいろな場合は、当然他の法律によると権利は継承せらるべきものでありますが、少くとも電波法による免許を受けた権利等は、郵政大臣の許可がなければ、免許は消滅する、こういうことは他にも立法例はたくさんあるわけでございます。でありますから、基本的な議論からいたしますと、譲渡禁止というものは相当問題があると思いますが、第四項の質権の目的とすることができないということは、これは今の電話の持つ公共性また特殊性ということで、一般民法上の観念よりもより強めて、あるいは別な角度から質権のの目的にして電話行政を混乱してはいかぬという立場から四項を設けたのでありますから、四項と前段の第一項、第二項が全然相反するものではない、このように考えますし、特に私は四項は、現在の段階また将来とも、公衆電気通信法の第四項は絶対必要だと、こういうふうな気持を持っております。
  60. 鈴木強

    ○鈴木強君 それでいいと思うのです。そうならば私はその電話加入権の譲渡ということもある程度の制約を加えるということは、私は必要になってくると思うのですよ。ですから、ほんとうに個人個人が自然な形で譲渡するということであれば、私がたとえばどこかに変っていくと、他人であってもそれは親戚の人とか兄弟あるいは友だちとか、そういう人たちに譲ろうとか、そういう自然な形であったらいいと思う。それを今は電話業者というものができておって、その人が仲介に立つわけです。それを商売にしているわけですね。どこか売る人はないか、買う人はないかと、こういった中に立って電話でもうけている人がいるのですよ。それは譲渡するときには、おそらく私は、どうやっているか知りませんけれども、甲という人と乙という人が、甲が売りたい、こっちが買いたいということで、電話業者が中に入らぬと思うのです。個人個人という形でそれが譲渡がされておると思いますね。実際は中にブローカーが介在しているというか、今のブローカーというのは語弊があると思いますが、電話業者が入ってそれをやっておるのですよ。そしてその手数料をどの程度取っているか……、でも取っておられる、これは現実ですよ。ですから相手が自然な形で個人個人でいく場合には私はいいと思う。しかし、少くとも公共物というものを商売の道具に供してもうけているという、こういう商売は私は禁ずべきだと思うのですよ。だから、そういう点の判断が、商売人が入ったか入らないか、それは厳密に調べればわかると思うが、そういうところまで、私はそういうものを禁ずることになっていけば、また憲法上の問題も吉澤さんのおっしゃる通りある程度わかるのですよ。しかし、大臣の言われるように、公共物ですから、そこに制限規定がつくということも当然のことでしょう。そういう意味において、いろいろな現在の公社法なり公衆電気通信法なり、有線電気通信法なり、できていると思いますから、そういう点はもう少し譲渡禁止ということを全面的に考えずに、もう少し商売的なものが中に入る場合には禁止するとかなんとかいうぐらいのことは考えてみたらどうかと思うのですよ。全然考える価値はないですか、これは。
  61. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) そこまで議論をされると、やはり憲法論というのが出てくるのです。やっぱりそういうことになるのです。まあ、それはなかなか好ましい存在ではないというふうに考えられますが、これは、電話業者というのは、世の中の必要性から自然発生的にできたものでありまして、そいつを禁止するということはなかなかむずかしいと思います。事実的には、禁止をする場合にほかに救済方法を考えてやらなければならぬのですよ。電話個人個人で売買ができればいいのですが、きょう電話を売りたい、しかし、買手がないという場合は、電話業者に持っていって一つ売るから金をよこせと、こういうとにかく自然発生的な機関として生まれており、営業ができておるわけです。でありますから、電話業者というものを禁止をする場合には、公社法もしくは公衆電気通信法等で電話というものの持つ性格はこういうものだから、少くとも質入れは禁止しているのだ、譲渡も禁止をする、そのかわりにこういう機関でもって払い込んだ価格で買い上げます、こういう機関がないと、どうしても電話だけ禁止をするということには現実的にはいかないと思います。でありますから、こういう問題は、まあ将来一つ、どういうふうにした方がいいのか、ここは十分検討する必要があると思います。
  62. 山田節男

    山田節男君 今の問題ですがね、電話ブローカーがとにかく看板を掲げて営業し得るという、こういう存在は、これは何としても国辱なんですね。日本だけしかこういう例がない。これは外国に話しても理解し得ないのですよ。理解されないのですよ。ですから、むしろそういう電話ブローカー、売買業者というものを市中から葬るためには、各電話局に相談所というものを作って、もちろんこれはコミッションを取って、手数料を取って、これはやはり電話加入権というか、こういう異例措置を作るのですから、それでこの従来と同じように、この電話のブローカーが市中に存在するということは、これは私はいかぬと思う。ですから、これが便利な方法とするならば、やはりこれは公衆電気通信法から見ても、電電公社の方で何か相談所とか、そういう売却をするようなことをすれば、これはそう人がたくさん要るわけじゃ、ない、金がたくさん要るわけじゃないのですから、そういうことは現在はできないかもしれませんが、将来は、電話ブローカーというものを市中にはびこらしておるということ自体が国辱なんです。換言すれば、公社努力が足りないということになるのですね。ですから、この五カ年間時限立法とはいいますが、今のような政府のやり方、公社の方針でいけば、どうしたってやっぱり五年後も依然としてそういうものが存在するという公算が強いわけですね。それはただ一時急場をのがれるためにこういうことになる、結局において。やっぱり法律の建前を守るということにはならぬと思うのです。どうですか、現在の田中郵政大臣として、好ましくないですよ。
  63. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 理論的には非常によくわかるのですが、禁止をするどころじゃなく、それよりも上に質権を認めよう、また認めなければならぬという現実にあることだけは間違いないのです、これは。だから、私も先ほども申し上げたのですが、電話業者というものは自然発生的にできたものであって、しかも、それがあることによって電話を売らなければならぬ、直ちに換金しなければならぬという人たちの利便に供されておることは事実であります。でありますが、電話というものの持つ本質的性格から見て、そういうことはよろしくないということになれば、国が特別に救済をしなければいかぬとか、もしくは、もう電話というものの観念は、加入契約のときに、もう電話というものは他人には全然売買できないのだというふうに法律的な根拠を明らかにしなければならないのですが、それは今の実情で、売買よりも質さえもたくさん行われておる、しかも、潜在的には表に出ているものの何倍かがトラブルを起しているというような現実に徴しますと、少くとも理想は高く揚げなければならないが、現実的には売買をすぐ禁止をしたりということではなく、それよりも、より軟弱であり、公衆電気通信法とはどうも競合するような非常にまずい面ではありますが、現実救済の意味において、やむを得ず質権の立法を行なったという事実でありますが、これは相当、時をかけ、法律の筋を通しながらやっていかなければならぬ。特に電話業者というようなものがあることは、非常に世界的にまずいというのは、これは私もわかります。わかりますが、これはアメリカのように、申し込めばすぐにでもかかるということになると、そういうことはないのですが、日本はまだ積滞が、五カ年計画で四千億やっても、まだ相当残るということで、これは国民経済の異常な膨張という面も考えられますが、そうじゃなく、まだまだ絶対的なる需要供給のバランスがとれておらぬというところに、売買をする、また質権の目的に供されるという事実があるのでありますから、これは一つだんだん、この公衆電気通信法の精神にのっとるように、進めていかなくちゃならぬということでありますが、お説はよくわかりますが、現実には、そういう高い理想論を掲げながらも、救済規定は、どうしてもしていかなきゃならぬというふうに考えております。
  64. 鈴木強

    ○鈴木強君 どうしても問題がやはり明確にならぬのですが、たとえば、そういう需要供給のアンバランスが非常にあるから、私はむしろ護渡、売買を禁止するというようなくらいまでやらなきゃいかぬというのです。要するに、たとえば悪いことをしようとすれば、申し込んで、金もうけのためにやっているような人たちだって、これはあるのです、率直に言って。何ぼですかね、九万四千円かくらいで引いて、そして、それが二十何万で売れるのですから、えらい金もうけになるのです。これはそういう弱味につけ込んで悪いことをしようというのが出てくるのです。ですから、ある程度そういう段階においては、私は公共性というものを守るためには、シヴィアにやっていいと思うのです。それは、憲法上の問題は憲法上の問題として確かにあると思うのです。こういう公共物を、しかも、国有でやっているのですから、そういうものが一部の人たちによって悪用されるということは、やはりいけないことだと思うのです。だから、大臣も認めているように、それは五カ年間ですから、その間の電話は、まあ非常に申し込みがあるが、積滞もあるが、今は少いが、徐々によくなっていくということですから、これは公社の方はめんどうであっても、あなたが言うように、すぐ売りたいという人があったら、そういう人には原価で買ってやればいい。そして買いたいという人があったら、その人に公社がやってやればいいのです。むしろ、そこで電話業者がはびこったり、悪徳業者が担保にして高利貸がはびこるようなことがないように、やはり電話というものの公共性というものを守っていくといくという、こういう考えが貫かれることが正しいと思うのです。そのために、もし必要があれば、公社がその資金をプールしておいてそれでやったらどうですか。そこまでやって守っていくということが、私は筋だと思うのです。やればやれると思うのです。これをやったって二百人もふえるのですか、そういう必要があれば、そういうものを公社内部に作ったっていいじゃないですか。ですから、そういうことをして保護する道を開いて、むしろ三十八条というものの精神を貫いていくし、将来はそういうことのないように電話を多くしていくというふうな、こういう気持でいくのが、私は正しいと思うのです。そのことは理想であって現実はだめだということはわかりますが、だから、そういう筋を将来立てて、中小企業に対する救済というものは、こんなよこしま——よこしまと言ってはなんですが、横道に入らないで、本筋でやっていくのだということを政府が明確にしてくれれば、われわれは、現実の問題としてやむを得ぬ、こういうことであるならば、われわれは賛成していく、こういう気持があるのですが、全然その態度を示さずに、どういうものかよくわからない中でこれを認めろと言ったって、私どもは了解できない。だから、そういう事実ははっきりしてもらいたい。
  65. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 筋は私どもは明確にしております。三十八条の四項は、これは守られるべきであり、理想的には、あなたと同じであります。公衆電気通信法の精神そのものは、そういうふうになっております。でありますが、戦後の日本の電々公社の経営の仕方を見ておりますと、どうしても需要供給のバランスがとれないのです、ある時期までは。だから、とれる日までは、どうしても現実的に行われておるものに対して、救済措置をしないと、より多く深間に入っていくということで、今の段階では、禁止もしなければいかぬどいう思想でありながら、禁止どころではなくて、質権さえ認めなければいかぬという特例を開くのですから、事志とたごうておりますけれども、政治はあくまで現実でありますから、現実はむしろ、それを認めていかなければならぬ。だから、特に時限立法というところに、非常に短かい期間で、できるだけ理想に近づこうとしておるわけでありますから、私の考え、特に政府考えは、いわゆる公衆電気通信法の三十八条の四項の精神を貫こうという考えでありますので、あなたと一向変らないというよりも、ほんとうに同じ思想に基いておるということは申し上げられると思います。
  66. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと速記をとめて下さい。
  67. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  69. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ大体、私のさっきから申し上げておる点は、大臣が方向として認めておるわけですから、これ以上、この点について私は質問はいたしませんが、その次に、これは事務当局でけっこうですが、加入権質権を認めることになりますと、相当にこれは事務的には明確に答弁しておきませんと、将来問題が起るように思うのですが、厳密に不動産登記のような登録制度を、この場合、採用することは、非常に問題があるということはわかりますが、そのために手続を簡略化して、将来、非常に法規上疑問が起きた場合に、問題が起きて私は困ると思うのですが、不動産登記の登録制度のようなものはしないと言っておりますが、実際にここにわれわれ質問したいのは、具体的によくわかりませんが、どういうふうな形で登記の方法をやるのか、こういう点を、公社の方でもけっこうでございますが、一つ答弁願いたいと思います。
  70. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実はその内容は政令で定めることにしておりますが、まあ現在考えておりますことは、大体、加入電話を質に入れたと申しますか、その加入電話の番号とか、質権者の氏名だとか住所だとか、あるいは質権設定者、つまり加入者の方です。が、質権設定者の氏名とか住所、それからそれを質に入れた、つまり非担保債権となるわけですが、もとの債権の額とか、あるいはそれに弁済期がついておるときには、その弁済期の月日とか、そういった事柄を大体原簿の中にははっきりすると、それだけのことをはっきりすれば、大体において質権関係の権利関係は明確になりますので、それによって質権者あるいは第三者というものは安心して取引ができるというふうに考えております。
  71. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、今提案されているのによりますと、登録手続を相当簡略にしようとしておるわけですね、それは要するに五年間の短期間であるので、非常に法律上複雑な手続等をさせることも困難があるということで、相当簡略にしておると思うわけですが、今監理官のおっしゃった程度の記録といいますか、登録手続だけで問題は絶対ないという確信をお持ちでございますね。
  72. 松田英一

    政府委員(松田英一君) そうでございます。
  73. 鈴木強

    ○鈴木強君 それからその次に、一定の金融機関というのがございますね、その一定の金融機関の中に政令で定めるものがあるようですが、具体的にたとえば労働金庫のような金融機関を指定するというような、こういうふうなことは考えておられないでしょうか。
  74. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その点は衆議院の方でも御質問がございまして、大臣からそうするつもりであるというふうな御答弁でありました。
  75. 鈴木強

    ○鈴木強君 それからこういう場合はどうなりますか、たとえば加入権を質にしますね、そうするとその際に加入権者が電話の通話料を滞納するような場合がありますね、そうすると、一般の規定でいって通話停止という処分ができることになりますね、その場合に、質権が設定された場合にはどういうふうになるのですか。
  76. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実は通話料の滞納がございましても質権の方とは別に関係がなく質権は相変らず成立したままでございますし、別に影響を受けることはないということでございますが、ただその場合に問題が起って参りまして、たとえば普通の場合には、それは加入者がまた滞納しておっても納めることもあるでしょうし、一応先の問題にしてございますけれども、いよいよ最後の段階になりまして、質権者が、もう金を返さないと、債権の期限が来たと、こういうわけで質権をもう実行して、つまり加入権を処分しようというふうな段階になって参りまして、そのときには、いろいろな情勢をも見きわめてそこまでいくわけでありますから、そこで、その場合には第十条で規定を設けまして裁判所に申し立てますと「質権者の申立により、当該電話加入権に対する差押命令において、公社に対し、一月以内の期間を限り、当該加入電話による通話を停止すべきことを命ずることができる。」、従いまして、その場合にはもう加入者の方からいいますと、いよいよこの加入権を処分されそうだ、それじゃこの際せいぜい使って、何といいますか、加入料をうんと滞納させてやれということでじゃんじゃんやられては困りますから、通話を停止することを認めようと、こういう考えでございます。
  77. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから次に、この質権設定に対する法律通りますと、さっき横川委員のおっしゃいましたように、やはり要員措置が必要となってくると思いますが、先ほど伺いますと、全国で大体推定二十万件というお話で二百人くらいの増員を考えているというお話ですが、私は正式に法律質権設定が認められることになりますと、相当に多くなるんじゃないかという心配をしているんです。おそらく二十方件どころでない、もう相当に件数が多くなってくると思いますが、そういう見込みは、現状の二十万件ふえるということで二百人ということになっておりますが、かりに実施してみて相当にふえてくるという場合には、当然それに対する措置は考えていただけると思いますが、いかがでしょうか。
  78. 吉澤武雄

    説明員(吉澤武雄君) 大体推定をいたしました数が、先ほど申したように東京で六万、全国で二十万、こういうふうに考えております。これは推定でございますが、多分この辺で間違いないと思います。従って、これの要員措置につきましては、本年度におきまして考えております。しかし、来年度以降におきましては、また予算の措置、要員等について必要ならば適切な手を打つつもりでございます。
  79. 鈴木強

    ○鈴木強君 この要員措置ですが、今年の予算の中に質権設定に伴う業務増に伴う定員の増加ですね、そういう点はなかったと思うんですが、これは公社で今お話のような点をやるということですか。
  80. 吉澤武雄

    説明員(吉澤武雄君) 実は本年度予算作成当時におきましては、この法律が実現されるかどうか、これまたはっきり見通しも困難なこともございまして、かつまた、どういう手続を要するかということも、この法律の成案過程におけるいろいろな変化のことも考えられまして、一応本年度において実施されるならば、現在の公社要員のうちをもってこれを差し繰り充当する、こういうふうに考えたような次第でございます。
  81. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうしますと、私はさなきだに少い定員の中から、これだけの二百名というものをこちらに回すということになりますと、それがほかにしわ寄せをされまして、公社全体としての業務の遂行に支障があるように思うのです。ですから、今まで予算的に四百九名しか今年の予算はふえておらないのでありまして、少くとも二十五万の電話がふえ、六十数万の市内、市外回線がふえる、二百五十億の金を使ってやる、この発展する事業がわずかに四百九名の定員増しか認められないという実情を私たちは知っております。ですから、その中で二百名をかりにこちらに持って参りますと、残されたのはわずかに二百九名でありまして、とても自信をもって増大する電話業務に対する態勢が私はできないと思うんです。ですから、これらの点は一つ今後の運営をどうなさるか私わかりませんが、相当に困難性があると思いますが、その点は自信が持てますか、どうですか。  それからもう一つ、いずれにしても、この加入権の質に関する特例法が通りますと相当に仕事がふえます。ですから現在の窓口におる職員を何らの訓練といいますか、そういったこともせずにこの仕事をやらせるという、でとはかなり問題が起きるように思うんですが、そういった職員に対する何らかの方法におけるこの問題に対する訓練といいますか、講習といいますか、そういったものもお考えになっておりますか、どうですか、その二つの点を一つお答えをいただきたいと思います。
  82. 吉澤武雄

    説明員(吉澤武雄君) 要員の問題でございますが、現在の要員を差し繰りまして十分に措置できる見込みでございます。  それから訓練でございますが、御指摘のように非常に新しい仕事でございますし、また権利義務関係をはっきりする意味において大事な、影響のございます事務でございますから、あらかじめこれに当る当務者につきましては、訓練及びその他の処理について十分な指導をして参りたい、幸い七月ごろ大体実施の予定でおりますので、この間において十分訓練をするつもりであります。
  83. 光村甚助

    ○光村甚助君 第二条の「電話加入権を目的とする質権を取得することができる者」、これをきのう新谷委員の方から発言がありまして、「政令で定めるその他の金融機関」ということを質問されたわけなんです。これは松田さんの方からは、ただこれは将来まあ市中銀行あたりがこの対象になるのだというお話があったのですがね、おそらく市中銀行が五万や六万の電話を担保に金を貸すというようなことは私はしないと思う。こういう問題は早くあなたの方でどういうところまで政令を定めるのだということをはっきりしなければ、おそらく私は高利貸あたりが相当郵政省あたりに陳情に来ると思う。現に私たちの方にもたくさん来ているのですよ、こういう陳情が、この中にはめてもらいたいという。だから、この点を一つどの程度までこれを広げるのか、それをお答え願いたいということと、森脇将光のような金貸はこの中に入るのかどうか、ちょっととっぴな質問なんだが、それを二つお答え願いたいと思います。
  84. 松田英一

    政府委員(松田英一君) この金融機関ということでございますが、もちろん私どもは今ここでこれこれだということをはっきり言い切るところまで来ていないのでございますけれども、たとえば市中銀行にいたしましても、私どもは、それは市中銀行がやってくれれば非常にけっこうな話なんでありますから、やってくれるという見通しがつけばやりたいと、それから先ほどのお話の出ましたような、たとえば労働金庫というふうなもの、これはまあほかのものと同じような一つの金庫でございますので、これも考えられる。それからきょう申し上げましたように、農業協同組合というものが農業関係の方でもしそういったことがあるようであれば、これは考えるというような程度考えておるのでございまして、特に金融機関というふうに言いました場合には、普通の個人の金融業というものは大体その中には含まないというふうに考えておりますので、私どもはまあただいまの御質問のようなものは実はどういう実態があるか知らないのでございますけれども、多分入らないのではないかと思います。
  85. 光村甚助

    ○光村甚助君 個人の金貸が入らなきゃ、私たちの方に陳情してくるのも実際上おかしいのですけれどもね。電話を持っている中小企業の方からも、金貸の方からも、この法案を通してくれというような陳情があるわけです。私は金を借りる中小企業の方からの陳情はごもっともだと思うのですが、個人の金貸というようなものは現在のまま金を貸して、さっき言ったら問題になりましたように、譲渡書をとって金を貸す方が私は高利貸には得だと思うのです。それが、今度の法律に賛成してこれ通してくれと言うのは、私にはわからないのですが、その連中にも何か得であるのか、私にはわからないのですがね、あなたの方でそういう心あたりがあったら今後参考のために聞かしてもらいたい。
  86. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 具体的に私もどういうことでそういうふうになりますのかわからない次第でございますけれども、これによって、自分らが直接利益になるというふうなことは、まあ考えられないのではないだろうかというふうに考える次第であります。
  87. 鈴木強

    ○鈴木強君 私はもう質問は、いろいろ議事運営上なにがあるそうですから、二、三ありますが、これは省略いたしまするが、この際特に要望的に申し上げておきたいことは、先ほどからの質疑の中で、電気通信事業、特に電話加入権の問題につきましては、今回電話需要供給のバランスがとれませんために、いろんな問題があるのでありますが、要は、私たちが念願するものは、あくまでも加入電話というものは、電話として公共性を持たしておきたい、そしてそのことが少くとも金融業者の、ブローカーの手中に入っていくようなことのないように、ぜひ配慮をしたいというのがわれわれの気持であります。幸い大臣も、われわれの基本的な、中小企業のしわ寄せをこの電話加入権に求めるような方法については、これはまことに不本意であって、大筋としてはあくまでも政府対策としても、中小企業に対する金融政策というものは、もっと積極的にやっていただくというふうなお話もありますので、私たちはそのことを期待し、また将来に向って、電話加入権というものが、ほんとうに保護されていくような方法をわれわれは期待をいたしまして、今日現状においてはやむを得ずとる措置であるというように私たちは判断をいたしますので、今後この法の運用につきましては、どうぞ十分な御留意をいただきまして、万全を期していただくようにお願いをする次第であります。
  88. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑を終局いたします。  別に御発言もなければ、直ちに採決をいたします。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  89. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容及び議長に提出する報告書の作成手続等につきましては、委員長に御一任を願います。  順次御署名願います。   多数意見者署名     手島  栄  松平 勇雄     新谷寅三郎  長谷部ひろ     吉田 萬次  川村 松助     石坂 豊一  前田佳都男     横川 正市  鈴木  強     山田 節男  光村 甚助
  90. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 郵政大臣から発言を求められております。
  91. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この際一言お礼を申し上げます。  本法御審議に対して寄せられた御支援に対して、心からお礼を申し上げます。この法律の公布、施行に当りましては、委員会における御発言の趣旨等を十分体しまして、万遺憾なきを期する所存でございます。   —————————————
  92. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 次に、日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  93. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案について一、二お尋ねいたします。郵政大臣にお尋ねしますが、衆議院で修正がありましたので、私の質問したいと思っておりましたことも非常に簡略になったわけですが、まず二つお尋ねいたします。それは監事という制度ですが、公社の中にも自主的な監査をするための機関があるわけです。それを特にここで監事というようなものをこしらえて、その上に立って、いわゆる役員として監事というものを二人置かなければならない、これは理由はわからないことはありませんが、提案者である主管大臣から、これはどういう必要性に基いてこういう制度を設けることにしたのか、その趣旨を、提案理由にもございましたけれども、もう少し具体的に御説明を願いたい。  それからもう一つ、監事のやる仕事ですが、ここには監査と書いてございますが、この監査という事柄は、一体どういうふうな内容を予想しておられますか。商法なんかにありまする会社の監査役の監査というようなものであるか、あるいは先はど申し上げたような自主的な監査機関のやる監査、そういったものと同じようなものでやるのか、特に、何か特別の一意味を持たしておるのか、その監査という監事の職務内容についての大臣の見解を伺いたいと思います。
  94. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 監事制度を設けました理由は、端的に申しますと三つであります。その一つは、他の二公社及び公団及び日本放送協会等の機構の中にも監事制度がございますが、電電公社の中には、監事制度がないということで、監事制度をどうしても作りたいということが一つでございます。  第二点は、公共企業体等の審議会の答申に基きまして、公社はりっぱにはやっておるが、内部監査だけでもって足るものではない、いわゆる公社と全然切り離した第三者選出の監査制度を設けて、相当大きな事務局さえもあわせて設けるべきだという強い答申であります。私は、しかし、この答申の線は了解もできますし、守るつもりではありますが、戦後の新しい公社の形態としては、電電公社は実績も優秀でありますし、非常に合理的に運用せられておるということを所管大臣としては十分認めておるわけであります。でありますので、他の公社等に対しては議論があるところでありますが、電電公社に対しては、現行の制度をよりよくしていくことによって、十分機能を発揮できるという考えであります。でありますから、将来内閣として、第二者から選出されるような膨大な機構のものを作られるというよりも、ごく少数に限られた監事を置くことによって、この任務が行われるということであるならば、それでよろしいという、私の公社に対する端的な考えが監事二名という制度に現われたわけであります。  第三は、御承知通り経営委員会は七名であり、その七名のうち二名は特別委員として副総裁、総裁が入っておりますが、経営委員会がきめた仕事を総裁、副総裁が執行するわけでありますが、経営委員会が自分できめた仕事に対して、経営委員会自体が一体どういうものに予算が使われておるのか、どういうようなことをやっておるのかという問題に対して、的確に把握することができない、実際は総裁、副総裁が委員の中に入っておられるのですから、そういうことも杞憂にすぎないという議論もありますが、いずれにしても、ニュアンスは少しは違いますが、株主が取締役というものを選任すると同時に、監査役制度を置くというような立場から、経営委員会の任命で監事を置いて、きめたものの執行というものに対しても見届けられる、また経営委員会がそれに対して責任を負うということのために、監事制度という少数のものが必要であるということを考えておるのであります。原案は、監事は郵政大臣の任命にしようか、承認を受けようか、認可にしようかという問題で、認可ということにしたのでありますが、衆議院で修正になりましたが、私は認可でなくてもいいし、初めから経営委員会の任命でも一向かまわぬという気持だったのです。それはなぜ認可、承認にしたかというと、他のものがみんな所管大臣の認可になっておりますから、平仄を合せるという意味で、他意は全然なかったのでございます。衆議院の修正を快くのんでおるわけでございます。そういうのが監事というものを設けたおもな理由でございます。  監事は何をするかということでありますが、これはこまかく末端までやろうとは考えておりません。会計検査院があり、行政管理庁があり、内部監査機構があるのでありますから、末端までやろうというのではなくて、いわんや経営委員会が自分の決定をしたものがいかに行われておるかということをみずから認め得る程度の仕事をしようという意味でありますから、高度の監査を行うということになります。でありますから、これに対する機構等はせいぜい十人以下ぐらいの小さな事務機構をもって、公社の執行部と対立をするような、全然別な立場にあるのだというような、観念的に角突き合うというようなものでもなく、特に総裁、副総裁が経営委員会の特別委員であるという思想にもかんがみて、円満に仕事が行える、しかも、第三者に対してもりっぱに行われておるということを証明できるような高度の仕事をやるということを考えております。でありますから、屋上屋を重ねてこまかい監査をやろうとは一向考えておらないのであります。  もう一つ、監事の仕事として総裁が欠けた場合、後任総裁ができるまでの間、監事をして代行せしむるというような職務があるわけであります。でありますので、全く今度の場合は、私も郵政省が監督権を強化しようとか、内部監査機構ではうまくないので、監事を置こうとか、屋上屋にしようとかという考えは毛頭ありませんことを御了解いただきたいと思います。
  95. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今のお話ですが、第二十条の追加した項目、第五項ですか「公社の業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」と、こうありますね、で、今の事務機構なんかの幅から見て、おのずから監事の監査というものの仕事の幅というものは事実上そういうふうに制限されてくるかと思いますけれども、しかし、これは会計監査だけでなしに、業務全体にわたっての監査もし得るということだろうと思います。そうすると、これは何ですか、これはいずれ経営委員会が決定することになるのだと思いますが、立案者である主管大臣としては、今のお話だと、大きな項目だけだ、こういうことですが、それが、たとえば、ある種の問題が起ったという場合は、その問題を非常に掘り下げてこまかく綿密に末端まで調べていくということはさせないというのではなしに、それはできるのでしょう。また、そういうことをさせるのが一つの仕事でもあろうと思いますけれども、これは主管大臣はそういう一般的には御意図だということですが、必要に応じて経営委員会がそれはきめるのだということだろうと思うのですが、どうですか。
  96. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) もちろん会計の監査に対しては末端までやれますが、そういう必要はあまりないのだという常識論を述べたのです。もちろんこれは監査委員会がありますが、内部機構でありまして、お互い自粛をする、内閣における行政管理庁というような立場でありますが、今度は答申によると、全く第三者、国会と行政府と会計検査院のようなものを作れというのでありますが、私はその必要がないということで、経営委員会の任命で、監事二人でもって足りる、しかも、少数下部機構でもってよろしい、しかも、その下部機構は、今まで公社の監察に従事しておった方々が籍を移されて経営委員会の所属の監事のもとの事務機構になるわけでありますが、これといえども任免権は総裁にあるわけでありますし、公社の職員であることには間違いございませんから、そこにおのずからの限界がある。ただ立場はあくまでも経営委員会の任命した監事として職務を行うのでありますから、おのずから内部監査機構としての監査局が行うものとは幾らか違うということはおかわりの通りであります。調査及び監査の権限は、監事みずからが発動するものと、それから経営委員会が監事をして行わしめるというのと、二つになっておるわけであります。
  97. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それはわかりましたが、もう一つ、先ほどの御答弁の中で、私の聞き違いであったかもしれませんが、公社法二十六条を引用されて、総裁の欠けた場合には、監事が総裁の仕事を代行するのだとおっしゃったのじゃないですか。二十六条はそういう総裁が欠けた場合の規定ではないのですね。これは総裁と公社との利益の反する事柄について、従事の副総裁、理事のかわりに監事が、ということなんですが、もし間違いであったら御訂正願います。
  98. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 言い間違いでありますから訂正いたします。公社と総裁との利益が相反する事項については、総裁は代表権を有しない、この場合においては、経営委員会は監事のうちから公社を代表するものを選任しなければならない、こういうのです。
  99. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 最後にもう一つ伺っておきます。これは衆議院で削られたことですから、今は大臣の御意図も変っておると考えてよろしいのですが、一番最後のところで、経営委員会に対して、郵政大臣公社の監督上特に必要があると認める事項については、監事に監査をさせるように命ずることができるという規定が原案ではあったのですが、それが衆議院の修正で削られたのですから、これは大臣もその当時の、立案当時の気持が変ったと思いますけれども、こういうことについて、私はやはり削られた方が、今こちらに回付された案の方が、本来の公社法を作ったときの関連からいいますと、その方がよかったと思うのです。いろいろ見方もありましょうが、公社は公共的な事業を扱っておるのですから、一般の会社とは違いますけれども、しかし、人選よろしきを得て、あまり主官庁の強い監督のもとに置いておかないで、縦横無尽に腕をふるわして業績を上げるようにしようというのが公社法のねらいなんですよ。いかにもこれが、あなたはそういう意思じゃないと思いますが、いかにも役所が監督しなければうまくいかないのだというような趣旨が見えると、これは本来公社法の制定当時の精神と違ってくる。その点については主管大臣として、こういう法律の案文がとれましても、やはり実際上の行政指導という問題があると思うのですよ。ですから、そういう点で主管大臣としての御意見を率直にお話しいただいた方がいいと思います。
  100. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) この衆議院でもって削除になりました七十六条の次の一項でありますが、これはもう私は何にもこういう気持はないんです。ないんですが、監事は郵政大臣の承認を得るというようなこの種の法律は、大体こういう事項がみんな書いてあります。でありますから、そのまま拾っただけであります。私はこんなものはなくとも電電公社法及び公衆電気通信法及び郵政省設置法で幾らでも仕事ができるのでありますから、こういうことをあえて書かなくてもよい。ただ監事制度というものを設けてしかも、答申の線に沿って第三者的なものを作れという線が非常に出ておりますが、私はこういうものに対して、その思想はわかりますが、電電公社郵政大臣の間では、そういうものまでいう必要はないということで、少し前もって私の方でそれよりも弱い性格の監事制度を作ったということでございますが、これは少し要らざるものであると言われるかもわかりませんが、そういう思想に基いておりますし、特に私は電電公社というものに対しては、非常に優秀な業績を上げておるし、もっと財政的にも拡大してやらなければいかぬという思想に基いて、私が今仕事を行なっておりますから、そういう意味ではこういう条文があってもなくても同じことであり、これがあることによって、郵政大臣の監督権を強化するのじゃないかというふうに痛くもない腹を探られるならば、どうぞお削りになってけっこうですと、こう言ったのでありますから、これは全く他意のないものであるということを一つお含みいただきたいと思います。
  101. 宮田重文

    委員長宮田重文君) それでは本日の委員会は、これをもって散会いたします。    午後三時四十八分散会