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1958-03-20 第28回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午後一時三十四分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員三木治朗君辞任につき、その 補欠として久保等君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            手島  栄君            山田 節男君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            剱木 亨弘君            前田佳都男君            鈴木  強君            光村 甚助君            横川 正市君   国務大臣    郵 政 大 臣 田中 角榮君   政府委員    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   参考人    日本放送協会会    長       野村 秀雄君    日本放送協会会    長       小松  繁君    日本放送協会理    事       前田 義徳君    日本放送協会企    画局長     春日 由三君    日本放送協会理    事局長     首藤憲太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  き、国会承認を求めるの件(内閣  提出、衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  本日三木治朗君が辞任され、久保等君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 宮田重文

    委員長宮田重文君) それでは放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。
  4. 山田節男

    山田節男君 このNHKの三十三年度予算案それから事業資金計画について、一応郵政大臣に御質問申し上げたいと思いますが、この三十三年度予算案は、これはテレビ予備免許が確認され、いよいよ公共放送の建前から申しても、三十三年度から少くとも三年間の間に、放送法使命を達するために、全国的な一つのネットワークを完成しようということは、これは放送法によるNHKの絶対の義務になっております。そういう意味から申しますと、三十三年度NHK予算というものは、これはまさに画期的なものであって、従って所要の資金が非常に多いわけです。そこで郵政大臣が、かねてNHKの要望をしておった受信料値上げについて心配されておったことは周知の事実なんです。ところがこれがいろいろなことから、諸般事情から、郵政大臣NHKラジオ受信料は一応棚上げにする、据え置く、こういうことがはっきりしたために、三十三年度からそういう画期的なテレビ建設、それからラジオ施設老朽化、これの改善ということについて、約五十億の金がここに計上されておるわけです。そういたしますと、これはNHKにあとで質問しなければわかりませんが、少くとも三十三年度から三年間のテレビ建設ということは、これは絶体絶命であるから、三十三年度にどうしても第一年度予算を計上しなければならない。といいますというと、三十三年度におけるラジオテレビジョン、ことにテレビジョン建設費用はここに書いてあるように膨大な金になるはずですね。しからばそれが三十四年度はどうなるか、三十五年度はどうするか、ここに私は今回政府受信料値上げを許さなかったということ、それから、NHKは絶対的な任務を果さなくちゃならぬというところに、今回のこの予算案を見ますると、非常に無理をしておる。換言いたしますと、NHKの従来の予算から見ますると、きわめて不健全な予算を組んでいる。たとえば長期借入金はもとよりでありますが、償還金を戻し、そういったような従来ないNHKが不健全な予算をわれわれに承認を求めてくる、そうして、大臣のつけておられる意見書を見ましても、やはり私どもが心配しているようなことを大臣意見書の中にも、ことに今日の経済事情から見て、これは格段努力を要するものと考える、こういうように書いてあるのですが、この点について、一体三十三年度予算を実行しまする上において、そういったような借り入れの不健全な予算からくる欠点を郵政省としてはどうしてカバーするというおつもりなのか、まずこの点をお伺いしたいと思うのです。
  5. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 御審議を願つております予算が決して姿のいいものだとは思っておりません。やむにやまれない現状においての予算の姿でありますが、できるだけ政府も、NHKが無理をしないで予算の執行ができますためには、財政資金等の面で格段の配慮を払ってやらなければならないという考えを持っておるわけであります。
  6. 山田節男

    山田節男君 そうすると、このラジオの十四億円、それからテレビジョンの三十二億円、約五十億という長期借り入れをしなくちゃならぬというこの問題に対して、郵政大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  7. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) NHKの自主的な金融措置にまかしているわけでありますが、いずれにしても民間金融も逼迫している状態でありますから、五十億全部民間資本で消化できるとは考えておりません。でありまするから、放送債の発行に際して十分相談をして、このうち三十億程度は還付の資金運用でまかないたいという考えを持っておるわけであります。
  8. 山田節男

    山田節男君 私は直接聞いたわけでありませんけれども、NHKラジオ受信料を月六十七円を百円にしてもらいたいということを大臣申し入れやに聞いております。新聞で私見たにすぎませんけれども、八十五円といたしますと、現行の六十七円から約二割六分の値上げになる。そうすると、かりに大臣の言われたようにラジオ受信料が月額八十五円となりますると、現在のラジオ収入が百十三億幾らですか、そうなると約八十五円にしますと来年度は大体百五十億余の、百五十二億くらいの金ができるわけです。そういたしますと、何もこんな借入金をしなくても済むのだ、テレビの改正はもちろん別個でありますけれども、しかしもしこれが八十五円に値上げを実現しておったならば、今のような無理な、いまだかつてNHKのしたことのない不健全な予算国会承認を求めるというような、こういう醜態にならなかったろうと思うのです。そういたしますと、今年度はそれで三十億の何か融資をあなたがあっせんされるといわれるが、来年度はどうするのか、こういうことです。
  9. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 来年度は少くとも今日提案しておるような姿の予算案ではいけないということを考えております。でありますから、五ヵ年ないしは十ヵ年という長期計画の一環としての予算案を提出しなければならないという考えでございます。そうしますと、少くとも三十三年度予算に計上しておるものより大きくはなっても小さくはならないので、どうしても財源措置というものをあらためて考究しなければならないという考えでございまして、なぜ三十三年度に五ヵ年計画の第一年次としての予算案ができなかったかと申しますと、原因としてはこういうことがございます。五ヵ年計画を立てる場合に、一体将来の見通しがどうなるのかということを考えますと、今まではラジオ聴取料をもってほかのものをまかなわないという原則でありましたが、将来テレビジョンが発達をしてテレビ増収も出る場合に、必然的にラジオは減るのでありますから、ラジオテレビ受信料というものを一本にしてNHKがものを考えなければいかぬという時代がもうきておるわけであります。値上げ考える場合には一体値上げをしたままでもってそのまま将来ずっといくのか、何ヵ年かののちには現行の料率まで引き下げられるのかという見通しもつけなければなりませんし、ラジオはおおむね現在千四百五十万台でございますが、千六百万台まで一体何年間でいくだろうかという見通し、それからテレビが七十五万台ないし八十万台のものが四百が台になり、六百万台になるには一体何年かかるだろう、おおむねテレビラジオ聴取料と合せて三百億以上になるときには、NHKは確かに健全な経営になるという見通しをつけておりますが、テレビが四百万台になる場合には、ラジオの方が千六百万台よりも減るのじゃないかという説が今あります。テレビが六百万台になる場合にはラジオも相当減って現在の千四百五十万台の線さえも維持できないのじゃないかというような意見もございますが、これは見通しの問題でありますので正確な見通しは現在ついておりません。でありますから、三十四年度予算案を編成するまでには、これらの諸問題を十分各方面から慎重に検討した結果、少くとも最良だと思われる状態において予算を作らなければならない、こういうふうに考えておるわけでございますので、三十四年度予算編成までには財源措置として値上げするのか、また、しても幾らにすればいいのか、また値上げをしても何年後には下げられるのかというような見通しも全部つけて三十四年度予算案は提出したい、しなければならないだろう、こういうように考えておるわけでございます。
  10. 山田節男

    山田節男君 そういたしますと、三十三年度ラジオ受信料値上げということは、これは私はその必要があれば田中郵政大臣責任においておやりになるべきだと思う。かつてあなたはそういう決意をもっておられたが、これが総選挙対策というようなことで党内でさたやみになったものと私は了解しておりますが、しかしそれがためNHKの今後の三ヵ年間のテレビジョン建設という大きな目標をもたねばならぬときに、料金値上げができない、それがためにこういったようないまだかつてないような予算案を組んでおる。今お話しを聞くと、三十四年度値上げができるかどうか、これもはっきりしない。いずれまた大臣もおかわりになるかもしれない。こういうようなことから見ますというと、テレビの画期的な建設時代に入ろうという初年度の三十三年度予算がスタートにおいてこういうことをやつておっては、これは公法人としてのNHK公共放送事業を遂行するについては私は非常に危ない橋を渡っておるのじゃないか。しかもこれは大臣がこれを承認されてわれわれに承認を求められたというところに、私はこの予算案に対する将来の非常な……将来といいますか、三十三年度ばかりではなくて、それ以降の年度におけるわざわいを含んでいるのじゃないかというように私は考えるわけであります。そこでかりに政治的な理由でラジオ受信料値上げできない、しかも大臣お話しとしては、三十四年度においてもそのときの勝負でわからないのだということになれば、少くともそういう所管大臣として、これは普通の民間会社であるならば、値上げできないならばまずNHK自体を少し再検討して一つ経費を極力節減するということを考えて、なるべく長期借り入れを少くすべきだということは政府としてするのが当然だろうと思う。今回の値上げがさたやみになったことについて、そういったような、具体的にいえば経費節減について大臣NHKにどういう注文をされたか、あるいは相談をされたか、お伺いしたい。
  11. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 三十三年度予算案が今までのものに比べて非常に不健全なものであるということは私も認めております。なお企業合理化及び経費節減ということに対しては、前会長時代からの申し入れもありまして、私たちもぜひ一つ自主的な、少くともある時期には受信料値上げをしなければならないということであるならば、一つ内容を全部洗うものは洗って、新しい企画とそれに合う理想的な合理化された形態というものを考えて、経費節減に対してはぜひ一つ意を用いていただきたいということを申し入れてございますけれども、NHK経費節減企業合理化ということに対しては十分の配意を払っておるわけでございます。
  12. 山田節男

    山田節男君 これはNHK野村会長参考人としての一応御意見をお聞きいたしますが、今、大臣がおっしゃったように、料金値上げはたな上げだということになりますと、希望しておられたテレビの三ヵ年計画というものですか、これの予算が挫折する。そこでこういう長期借り入れあるいは減価償却の金を回すというようなきわめて無理な予算を組まれておるのですが、今の大臣のような御意見があれば、当然NHKとしてはたとえばラジオ老朽施設の改良という方に十数億の金が出ておる。そこでたとえばそういうものをある意味において半分にするとか、これは一番大事なことであるけれども、しかし非常事態としてはNHKとしての経費節減ということは極力計らわれるのが私は当然だと思っておりますが、この予算面から見て、どことどの点をそういう受信料値上げができないところをカバーするか、なるべく自主的な資金でまかなおうという努力はどういう項目に現われてくるのか、これをお伺いしたい。
  13. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) NHKが課せられたる使命を遂行する上においてはどうしても教育、教養の番組を充実し、またローカル放送等も充実していかなければならぬ。さらにFM放送実用化の促進にも努めていかなければならぬ。さらに研究機関整備ということもこの際考えねばならぬ。その上職員の待遇改善については国会においても決議せられて、その実現をはからねばならぬ状態にあったのであります。ところが一方にはこれに伴うて、自然に支出の増加もありまして、一方にはラジオ受信料をもってこれを十分補なっていくという余裕がありません、というのはラジオ受信者増加というものも大体において頭打ちのような状況でありますから、この受信者増加ということにはNHKとしても努力はいたしておりまするけれども、そう多くを期待することはできない状態であります。それやこれや、いろいろ考えてみるときにおいてどうしても受信料値上げをいたして、そうしてわれわれに課せられた使命を遂行することを考えたのでありますが、遺憾ながら諸般情勢は、受信料値上げというものを実行することができない状態にあるのでありまして、非常に苦心して予算を組みましたが、今おっしゃった経営合理化、あるいは経費節減というものも、これもまた限度があることでありまして、受信料値上げができず、また経費節約限度がある以上は、一方に使命の遂行、達成をせねばならぬわれわれの任務といたしましては、やむにやまれず借入金によってこの積極的施策を行うことをきめたのでありまして、われわれとしてもまことにこの点においては経営責任者として不満であり、不本意であり、遺憾である。しかしこの不満、遺憾をも超克して、あえて借入金による経営の道を立てた次第でありまして、その、今おっしゃったどの程度まで料金値上げをしないで経費節約をいたすことを考えたかという御質問に対しては、他の参考人から詳細御説明申し上げて御了解を得たいと思っております。
  14. 山田節男

    山田節男君 野村参考人に伺いますが、今おっしゃったことは値上げが……、まあ田中郵政大臣が、これは公言じゃないでしようけれども、意見を漏らされた八十五円ならば二割六分強値、上げする、そういたしますと、先ほど申し上げたように、ラジオ収入だけでも百五十二億、それだけあれば三十三年度ラジオ会計として十九億あまりの建設充実改善計画、これが十分できるわけです。ところがこれがふいになってしまったのですから、そういたしますと、やはり六十七円で今会長のおっしゃるように、やむにやまれぬ公共放送としての任務の当然やるべきものは、これは数え上げれば幾らでもあるわけなんです。ですから、この無理な予算を組む、借入金をなるべく少くするということにすれば、勢いこれは商社において早速やることでありますけれども、そういう長期借入金をするとか、あるいはほんとうに償却資金を、たこの足を食うようにするというようなことは、これは非常な不健全なことである、NHKにはいまだかつてございません。これは話が過去の話になりますけれども、故永田会長が就任早々心痛されたのは、将来これがどうなるかということです。今郵政大臣がはっきりいわれたように、ラジオ聴取ということは漸減的な方向にある、あなたはそんなことは、これは避けることができない、ただNHKとしては今後現状受信料制度でもテレビジョン会計はよくなるだろう、これはまあ私は常識的に言い得ると思うのです。しかしラジオは、もう少くとも寡少である、ことに民放が発展しました今日、これは受信料を払うか払わないかということすら、この数年来世論化しつつある状況ですから、これは少くとも三十三年度の今のような客観情勢で、ラジオ会計に関しての今度の建設計画については、やむにやまれぬなら、これはどうしてもやらなくちゃならぬ。しかしそれをやるのにしても、値上げをするということに依存しないで、そういう会計を組まない、あくまで自主的にやるのだということ、それでなお三億か五億の放送債券、それにプラス・アルファとして郵政大臣のあっせんによって投融資を五億とか八億とか借りるというならば、これは私はNHK努力のほどがうかがわれると思うのです。ところがそうでなくして、今会長のおっしゃったようなことは、何でもかんでもこれはやらざるを得ないのですね、従って借入金をしなくちゃいけなかったのだというのでは、これはむしろ公法人としての、決して採算主義じゃありませんが、少くとも独立会計である以上は、国に迷惑をかけないという立場をやはりあなた堅持なされば、この予算の組み方がもう少し違ったのじゃないか。それが突き詰めますと、一つには経費節減はどの点を努力したのか、こういうことを今お伺い申し上げた。ですからこの三十三年度予算を組む場合の心がまえというものを、私はあなたにお聞きしておるのであって、やりたいものは十もありましようけれども、そのうち優先位をつけて、ことしはこういう事情から五つまでやったら五つでこらえてもらいたいという私は努力があってしかるべきじゃないか、その数字はここでどこに出ているかということを御質問申し上げたい。これは他の方でもよろしゅうございますから、できればその点を一つお答え願いたいと思う。
  15. 田中角榮

    国務大臣田中角榮君) 私が委員会等でお答えをしましたものは、昭和三十三年度は御承知の通り民放大幅免許になりますので、放送法によって全国あまねく放送しなければならない、特に民放に先行して公共放送の努めを果さなければならないNHKとしましては、三十二年度と比べて大幅な新規事業計画を立てなければならないので、新たに実は財源措置考えなければいかぬと思います。その財源措置として考えられるものは、一つ値上げであり、その一つは国からの交付金であり、もう一つ借入金をもってまかなう、こういう道があるわけでございますが、このたびは借入金をもってまかなうという最も姿の悪い状態で三十三年度予算案を提出しておるわけでございます。私が値上げをするとすれば、まあ大体どのくらいに押えなければならないかということを一応考えて試算をしてみましたときには、おおむね八十五円とすると三十億ないし三十二億ぐらいの増収になるわけであります。NHKも初めは民放放送開始までに対応して内容充実をするにはおおむねテレビにおいて三十億、ラジオにおいて三十億は最小限必要だろうというような構想を前会長も私に漏らされておりました。そうであれば、大体値上げによるとした場合には、八十五円程度値上げをすればテレビの問題は別にして、ラジオだけはおおむね理想的にまかなえるじゃないか、テレビはもちろん建設資金でございますから借り入れによってもいいじゃないかという考えを一応立てたことはございますございますが、私鉄、電気、新聞等、皆値上げを押えておるような状態でありまするし、また物価政策としても、ことしは非常に重要なときでありますので、いずれか近い機会に物価凹凸是正、改訂があるということは御存じの通りでありますが、その時期まで一つ受信料値上げを押えようということでNHK側も三十三年度予算については値上げを前提としない予算を組んだわけであります。その組むためには三十億、最低増収を必要とするものが三十億の増収をはからないでラジオ整備を行おうというのでありますから多少無理がございます。なお三十億の増収目標と仮定した場合にはベースアップ等考えなければならぬし、老朽施設改善ももう少し大きく考えたわけでありますが、そういうことができなくなりましたので、ベースアップをおさえる。また企業合理化によって、経費節約によって一つ内容充実もはかろうということで、当初の内容整備計画というものの基本線を変えないで、値上げをまだしないで十四億程度借入金をもってラジオ整備を行おうというふうにきめて、三十三年度予算案となったわけでございます。
  16. 山田節男

    山田節男君 今の野村参考人の補足的な御答弁を一つ
  17. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 経営合理化経費節減につきましてはもちろん常日ごろ考えておるわけでございますが、特にこの予算におきまして、ラジオ会計において工夫いたしております点を具体的に説明させていただきますと、人員節減とそれから経費節減と、この両面から考えたわけでございます。その人員節減につきましては一そう合理的な人員の配置というものを考え、あわせてこの運用方法を、仕事によりましては簡素化するというような方向考えたわけでございます。これを具体的に申し上げますと、そういう方向で百八十九名人員節減を予定しております。内訳といたしましては技術の方でございますが、従来中継放送局におきましては三人ないし四人の人間でこれを運用しておるわけでございます。これを無人局にし、自動化にいたす計画を立てまして、明年度から逐次実行する予定にしております。三十三年度は十五局これを実行しようと考えておりましたのでございます。従いましてこの計画によりまして五十名節減するということにいたしてございます。それから加入の部門でございますが、集金方面人間につきましても一そう工夫をいたしまして、内勤でございますが、いろいろ統計をとりましたり整備いたしますというふうな仕事もこの際徹底的に機械化をしようと考えておるのでございます。そういたしますことによりましてそれらの人間が百十六人節減されるという計画にいたしてございます。なお集金外勤人間でございますが、これにつきましても集金受持区域をさらに再検討いたしまして、これを地理的に、非能率なような条件のところもございます。そういうものは委託集金にとりかえるとかいうような工夫をいたしまして、外勤で十九人節減するという計画を立てましてございます。それから経費節減につきましては例年とも実行しておるわけでございますが、さらに徹底的にこれを行うことにいたしまして、真空管などの機器類でございますが、さらにこれの耐用命数を延ばすという工夫をいたすつもりでございます。大体こういうことによりまして、真空管経費で一三%の節減をはかれると考えております。その金額が千八百七十万円。それから設備をさらに改善するとか、それから消費規制をやるとかということによって電力料節約しようと考えておるわけでございます。具体的には照明を螢光灯にいたしますということによって電力量も減る。それから機械を更新いたしますと、当然それによる電力のロスが軽減されます。そういうようなものが減ってくる。それからさらに消費規制も強行しようと考えております。これらの電力量といたしまして千二百三十万円を節減することにいたしております。それから事務用品営繕経費その他につきましても、営繕経費については四%、それから事務用消耗品では五%というものの節減を強行するつもりですが、この金額としまして二千九百四十万円、その他一般の旅費とか、あるいは会議費とか、そういう雑費についてもこの際思い切った簡素化をはかる工夫をいたしまして、これらの項目で三千三百五十万円、あわせまして約九千四百万円の経費節減するという計画を実行いたしましたわけでございます。
  18. 山田節男

    山田節男君 今首藤参考人の御説明に関する数的なことは、これははっきりしているのですからこれはわかりますけれども、もっと根本的な、これはまあ私はむしろ郵政大臣が言われるべきものだと思うのですが、とかく民間放送の諸君に言わせると、今回の予算案を見ましても、やはりこのNHKは少し甘い。値上げをしなくてもある程度のことはこれは漕ぎつける工夫はあるのではないかという非難をわれわれ国会内でもって聞くわけですね。ですから、今の人件費の問題のときも片一方において二百二十一人ラジオ関係でふやして百八十九名を減らす。これはプラス・マイナスして数字で言えば三十名余のものが増員になるわけですね。これは全体的にそういう排除する方と増員する方の受持ちは違うかもしれませんが、配置転換でない要員かもしれませんが、そういう何と言いますか、人事費の節減ということは、これはもっと根本的に考える必要があると思う。たとえばわれわれ民間放送の諸君から、これは最も経営にたけた人からの話によれば、たとえば放送記者の問題とか、あるいは海外に支局員を置くのがいいか。それから永田会長が常に言っておられた放送局の中の人事の管理において、いわゆる近代的にこれをやろうと思えばどうしてもスタッフ・エンド・オーガニゼーションというシステムをとらなければならない。こういう大きな企業には限界があるかもしれませんが、いわゆるスタッフ・エンド・オーガニゼーション式のものでこれを改善させなくてはいけないのじゃないかということは非常に深く考えておられたように思うのですね。ですから、やはりNHKがすでに創立されて三十三年になるわけです。少くとも昭和二十六年以来放送法による公共法人である、公社であるということになって、社団法人のNHKではないのでありますから、公社ならば、同時に今までの社団法人NHKというものはなくなってしまった以上は再発足であります。根本から変えなければならない。これは同じことを電電公社の発足したときにも、もう君たちは前だれ式になれということを非常に強く言っている。地方に行きましても、私はまず第一に地方の電気通信が前だれかけになっているかどうかということをわれわれ見て回ったのであります。NHKも、少くとも放送法による日本放送協会であるからには前だれ式のことももちろんこれはサービスですから必要でありまするが、ことに経営の基礎ということにつきましてはやはりそろばんを持った計算の基礎を立てなければならない。これが私は過去五年も六年もNHK予算を見ておりまして、どうもやはり放送法による公社としての、全く脱皮したNHK予算ということがどうも明瞭に出てこないような気がする。ことに今回のような値上げができるという予想のもとにあったものが値上げができないということになれば、どうしようかといえば結局借入金ということで示しておられますけれども、その借入金幾らでも少くするという努力は、これは野村会長といえどもお考えになるだろうと思います。しかし予算から見ると不幸にして私は顕著に……首藤参考人言われましたけれども、大なたをふるって自主的な独立採算でやるという足跡がこの数字の上に現われていないということを私は正直に申すと申さざるを得ないと思います。ですから、ただ、今首藤参考人のおっしゃったようなことだけでは、これはわずか一億円足らずのものでありますから、もっとこれは思い切って、経費節減するということでなくて、その組織を、もう少し流線型化するということに私は思いをいたしておられれば、この予算を組む場合にこういうふうな多額の借入金を入れなくても済んだんじゃないかということを、私はそういう点を申し上げたいのであります。ですから、これは私は決してNHKとしてだらしがないとかなんとかいう予算案というような意味で申し上げるのではありませんけれども、これは一半においては郵政大臣一つ責任もこれはあるのですから、NHKだけに責任を転嫁しようとは思いませんけれども、こういう画期的な膨大な予算をしょわなくちゃならぬという建設予算を含む第一年度の三十三年度予算としては、私はいわゆるNHKがはち巻をして立ち上ったという姿が見たかった。この数字と大臣意見書と見まして、どうも政府NHKもこの点においてのふんどしの締め方が足りないのではないかというところに私はこの事業と資金と収支予算とを見まして直感したところでありますから、これを御参考のために申し上げたのでありますが、そこで重ねて郵政大臣一つ御質問申し上げますが、今回のまあ値上げはできなかった。しかし次にだれが大臣になろうとも来年は、これはできるということは大臣としてはもちろんこれは断言できないことである。時の政治情勢によりましょうし、しますが、最初に申し上げたように、普通の予算とは違ってこれは私はテレビジョンの改訂予算についてはこれは問題にしません、ということは、収入がふえるという予想がはっきりしておりますから。問題はラジオのことについて私が質問していることを頭においていただきたいのですが、この来年度予算で、この中で一つ新しいNHK予算項目としてはFMの放送というこれが入って相当な金がここに計上されておるわけであります。で、過日参議院の本会議大臣はFMのチャンネル・プランも追って決定して発表するんだということをおっしゃったのですが、とのFM放送というものを公共放送であるNHKにどの程度までやらせるのか、やはり放送法の第一条に基いてFM放送も全国的な一つのカバレージを持ち得るだけの……。
  19. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  20. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  21. 山田節男

    山田節男君 それでは今の大臣の質問は保留いたしまして、NHKの方の参考人の方に御質問いたしたいと思います。  今、大臣に質問しかけたFM放送の問題ですが、NHKとしては来年度は東京、大阪、さらに名古屋等に新設される。現に実験放送もやられているわけですけれども、御承知のようにとれはしろうとの私が申し上げるまでもなく、FM放送というものは公共放送の立場からいえばこれはあまねくやるということにはおのずから限度があるだろうと思います。FM放送については、しかも番組から申しましても、現在のアメリカその他の国でFM放送をやつている、いわゆるラジオの放送としてやっているものは音楽であるとか、あるいは特殊な教育放送であるとか、あるいは有料放送としてやるものに限ってこういうものが使われているわけです。公共放送として非常にカバレージも制限される、聴取者も制限されるFM放送を将来全国的にやるというまあこれは腹でおられるんだろうと思いますが、それまでにする全体の費用ですね、これは仮想の私数字でもいいと思いますが、一体どのくらいの金があればいいのかということを予想しておられるか、明年度からさらに再来年度とずっと続けていかれて、大体その目標をどのくらいに持っておられるかということがおわかりになっておりますか、お答え願いたいと思います。
  22. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) これはチャンネル・プランはまだきまつておりませんので、具体的な計画ではございませんけれども、一応考えておりますのは三十七年度から五ヵ年間で主要なところに設置する、ただいま考えております地域を算定いたしますと八五%のカバレージになるわけでございますが、ただいまの物価その他で計算いたしますと、その総工費が約十三億と算定されます。
  23. 山田節男

    山田節男君 これは濱田電波監理局長がいらっしゃるからちょっとお伺いしたいのですがね。このFMのチャンネル・プランをお立てになるのですが、FM放送のこのチャンネルの割当について、これはもちろん数限りのないものじゃないので、非常に有限的のものですが、民間放送に対しても何と申しますか、これは全部じゃないでしょうけれども、地域的にあるいはカバーする人口を勘案して、NHKに対しては今八五%のカバレージを持つまでのものは許す。しかし民間放送も御承知のようにどんどん進出してきているわけですね。民間放送と公共放送とのFMのチャンネルの割当、これは具体的な数字を聞いているのじゃありませんが、大体政府の方針としてFMのチャンネルの民間放送、公共放送との割合をどういうふうにする、これはきわめて抽象的なことでよろしいですが、どういうようなプランを持っておられますか、それを一つお聞きしたい。
  24. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 日本放送協会と、一般放送事業者にFMのチャンネルをどういう割合で分配するかということはまだ明確に決定しておりませんけれども、日本放送協会が放送法第一条の精神に従いまして全国あまねく超短波放送を普及せしめるように努力せられることは明白でありますが、それに従いまして一般民間放送も地方においてこの申請が行われ、またその各地の要望も強くなると思うのでありまして、今日中波において割当が行われております程度ぐらいに将来はやはり割り当てる必要があるだろう、そう一応考えております。
  25. 山田節男

    山田節男君 これは見方によっての相違かもしれないけれども、大体このテレビジョン公共放送と今日の程度の商業放送を併存せしめていくことがいいか悪いか。これはまあできたことだからしようがないというものの、その方針はいかがですか。今度FMのチャンネル・プランができた場合に、同じ公共放送は全国あまねくやるのだと、それから民間放送に対してもFMチャンネルを割り当てるのだ、やはりテレビと同じようにいわゆる併存主義でこれがいいか悪いか、これは非常に大きな問題だと思います。今あなたは抽象的におっしゃったが、あなたが御承知のように、ことにアメリカのような商業放送を主としてやつております国におきますFM放送に使う場合におきましては、これはもちろん向うは商業放送ばかりでありますけれども、しかしこのFM放送というのはおのずからそこに何といいますか、販路と言つちやおかしいけれども、使用目的というものはおのずから限度がある。これはたとえばヨーロッパのイギリスあるいはドイツ、フランス等にしましても、やはりこの公共放送をあまねく聞えるようにしなくちゃならぬという建前でやっておりますが、FM放送というのはおのずから需要というものからすればそこにリミットがある。だから日本のようにあまねくNHKはやるべきだからFMも八五%やらなければならぬと、そういうことになりまして、八五%のカバレージを持つにしましても、一体この放送の何といいますか社会的効果というものがどこまであるか。それほどまでにこのFMのチャンネルを総花式に割当てていいか悪いかということを考えると、そこに私は公共放送と民間放送、このFM放送のチャンネルの割当という基準と同時にこのFMの周波数のバンドは有限的なものですから、勢い民放事業家へ広く割当てざるを得なくなり、バンドの余地を少くするということは、この周波数バンドを握っておるあなたが、きわめて有効に、節約的に使われるということになれば、民間放送にもあまねくやらせるためには、これはテレビジョンの割当と同じように、周波数の問題で競争がはげしくなり、いわゆる暗躍鳴動で、政府も困るのみならず、国民共有の領域といいますか、パブリック・ドメインであるこの周波数バンドというものをむだとは申しませんけれども、とにかく効果の少いことに使用される、そういう私は憂いが多分にあると思うのですね。ですからこれは何も今、郵政大臣もあなたもおっしゃったように、このFMのチャンネル・プランは、これからお作りになるのです。そういうこの併存主義で、総花主義でいくのだということは非常に危険だ。そこでNHKが現在こういうように予算におきましても全国に八五%カバレージを持たせる第一歩として、今回この予算を、予算から申しましても三十三年度に四千五百万円ですかを計上しておりますが、これは三十四年、五年とずっと今言われたように、年度別に計画を立てておられますが、これと同時にやはり民放FM放送というものをどうなさるかということで、今おっしゃったように併存主義でいくのだということになりますと、テレビで繰り返した同じような混乱を招くと思う。これはですからいち早く政府FM放送に対する一つのチャンネル・プランなり、あるいは割当をどういうふうにするのだということを基本的にきめておいていただかないと収拾すべからざる混乱を生じます。だからテレビにおきましても、これは聞いたに過ぎませんけれども、NHKが当然もらうべき姫路のものを奪っきて大阪に渡すと、これはあなたの責任ではないから、大臣が政治的な取引でもってそういうふうにされたと思いますけれども、そういうことは一面からいえば、結局政府が根本的な方針がないためにそういうことになる。この点は特に私は濱田局長にお伺いしておきたいと思うのですが、NHKがFMの放送網をこれから開拓する、八五%のカバレージにする、しかしこれはFM放送料というものを取るのじゃないだろうと私は思うのですが、この点は政府NHK考えはどうですか。FM放送に対しては受信料に含まつているものでやるのか、あるいは別個にこれを取るのか、取らせるのか、これは政府NHKのお考えはどうですか。
  26. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) ラジオ受信料という考えは、中波でありましょうとも超短波放送でありましょうとも、あるいは教育放送というふうな名目で行われましても、すべて一本でいくのが当然である、そういうように考えます。
  27. 山田節男

    山田節男君 これはどうも今の考え郵政省の現在の考えだろうと思うのですが、この間私は本会議でちょっと、詳しく触れませんが、実際は知りませんが、何でしたか、実際は受信料のときの強制契約になるのですか、受信契約の場合に、今日の約手四百万に余る聴取者は、中波のラジオ放送を聞くための契約であって、それではFMのやつを聞くかと、これは今問題になっておるように、FMを聞く人は特殊な人しかないわけですね。結局は今の第一、第二の中波の放送を聞く人がかなりおるというわけです。それで今のように八五%も将来のFM放送のカバレージをふやすということになれば、これは見ぬ者は金を払う必要はないじゃないか、国際放送で問題になっておるように、受信料を払っておる者からいえば、FMを聞くということは国際放送に出す必要はないじゃないか。これはおかしいというのが今の論議になっておるわけです。ですからそうなりますと、受信者からいえば聞かないものまで金を払うというのはけしからぬという議論もある。それからNHKとしましては、やはり受信料を払う契約者に放送するので、その受信設備を持っている人に放送するのであるから、FM放送というものは別個の会計にすべきだという議論も出るわけです。それから放送法の第七条の「あまねく」ということはFM放送までこれに入れるのか、そこに根本的な考え方の相違が出てくるのではないかと思うのです。だから中波と同じように、FMの聴取者が多ければいいのです。けれども、私は八五%にしましても、ラジオの中波の受信者とFMの聴取者はこれは数からいえばおそらく何百分の一じゃないかと思う。少くとも何十分の一ぐらいじゃないかと思うのですね。この点については政府はやはりNHKといろいろ私は合議されたんだろうと思う。もし、何らのそういったような協議なくして、NHK放送法第七条によってFM放送も契約をやるんだ、しかも全部で初年度において予算を十三億の所要資金をもってやるんだということは、放送法の第七条によって考えるべきではなくて、NHKの、ことに民間放送と併存する今日において、またFM放送の本質からいいまして、私は妥当であるかどうかという疑いを持つのですが、この点どうですか。今濱田局長の御答弁によれば、その点はすべてのんでNHKにやらせるんだと、こういう御了解なのか、どうか。
  28. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) いわゆるラジオの放送と申しますのは、先ほど申し上げましたように、放送の技術的形式はどうでありましても、やはり同じ範疇に入るものであると考えます。たとえば同じFM放送は、これはやはり放送の進歩した形式でありまして、急には聴取者はふえないことは明瞭でありますけれども、だんだん使用目的が明らかになるにつれて、各聴取者の方はふえていくであろう、その際の受信料を取るということは、やはりラジオ受信料という一本でいってそして差しつかえないだろう、そういうふうに私どもは結論的に考えておるのでありまして、この点はNHKともときどき話し合いをして、さような結論に目下のところはいっておるという次第であります。
  29. 山田節男

    山田節男君 このFMの根本問題になってきますから、FMの周波数のバンドというものを放送だけに使っても足りない。もしも民放にもお許しになるんだったら、足りなくなるんじゃないかと思う、バンドとしまして。それはまあ、いろいろ波の地域的な操作によってできるでしょう。できますが、しかし、それほどまでにしてFMの周波数バンドというものをお使いになって、それじゃ他にもう、FMの周波数バンドの要るものは幾らもあるわけですね、これは私、ここにあなたのところで持っておられるいわゆるチャンネルのプランというのは具体的にわからぬから言いませんけれども、常識で考えても、民間放送もどんどんこうしてあなたのところへ申請してきてるわけです。ですから、民放公共放送と両方で併存すべきことになれば、FMのチャンネル・プランについて混乱が起きるのみならず、あなたの手持というものがなくなっていくと思うんですね。他のものに使うバンドがなくなって、窮屈になるということを、それほどまでにしてやる必要があるかどうか。これは政府は、その根本問題として考えるべきだと思うんですが、そこまでは考えていらっしゃらないですか。
  30. 濱田成徳

    政府委員(濱田成徳君) 超短波放送の使用目的につきまして、先ほど山田委員が仰せられましたことは、私も全く同感に考えておることであります。今日行われておりますところの中波のいろいろな番組を、そのまま超短波放送でやっていいかどうかという問題につきまして、たとえば、先ほど言われましたように、FM放送は音楽に特にいいわけでありまして、最近にアメリカでFMがまた勃興して参りましたが、その理由は、おそらくアメリカ人が音楽愛好傾向を強めたためにほかならないだろうというのが一つの理由であります。そのほかいろいろ理由がありますが、番組の点でいいますとFMに特にいい番組があるのでございまして、私は、今後FMのこのチャンネルを大切に扱わなければならないと言われましたが、趣旨全く賛成に存じます。でありますので、やはり免許をするに当りましてはFMでなければ特徴が発揮できない、目的が達成できないというようなものを、まず重点的に免許していくのが大切だろうと、そういうふうに考えております。しかし、FM放送の特徴は、番組の点ばかりでありませんで、混信、妨害の軽減、ヨーロッパにおいてありますようなそういう面もありまして、将来日本が周辺の各地から中波の妨害を非常に受けるというような時代になりました場合には、どうしてもFMによって全国あまねく放送受信という目的を達しなきゃなりません。そういう際におきましては、やはり、従来われわれが扱っておりましたような中波による放送を、FMへ置きかえるというふうな、そういうふうな情勢にならざるを得ない。そういうことも想定しているわけでありまして、そういうときがいつくるかは、今、明白に申し上げかねますけれども、そういう場合には、おそらく私の考えでは中波の放送局とFM放送局と双方が共存するような状態になりかねない、そういうことを考えております。いろいろな場合を考慮しまして、そうして将来わが国がFM放送を開始するに当ってあやまちをしなかったというふうにぜひしたいという、そういう念願を持っております。  なお、山田委員が仰せられましたFM放送のチャンネルは非常に少いようにおっしゃられましたが、今日考えておりますところのFMのチャンネルは、いわゆるVHF帯を考えております。このVHF帯の波の数が非常に少いことは明白なことであります。一まずVHF帯をもってFM放送に当てまして、将来必要がありましたならばUHF帯にこれを拡張し得るということも考えますならば、そう窮屈にFMの将来を考えなくてもいいというふうに考えております。しかし、重ねて申し上げますならば、それがゆえにFMの申請をむぞうさに許して、先ほど申し上げましたようにNHKと民間放送を同一程度に割り当てるんだというようなふうにきめてかかっているわけではありません。しかし、技術の進歩でありますとか、地方でFM放送をやらしてもらいたいという強い希望がありますので、それについてはやはり技術の進歩、電波の公共性、公平なる分割割当というような見地からいいましても、これは適当でありますならば免許した方がいいだろうと、そう考えておる次第であります。
  31. 山田節男

    山田節男君 これはNHK予算と直接関係がありませんが、たまたまこれに触れたものだから申し上げておきますが、なるほど今日NHKあるいは民間放送におきましても、大陸方面の強力な電波発射があるために混信ということの状態が、われわれが予想しているより早く出てきた、そういうことになれば、濱田局長がおっしゃるように、現在の中波、すなわちAM放送をFMに切りかえる。現にヨーロッパにおいても、イギリス……西欧諸国においても、当面の問題として困っておる。少くとも日本はまだ三年や五年くらいで、今の西欧諸国のなめておるような混信というものはないんじゃないか。年々増すでしょう。が、それほど痛切の問題にならぬと思う。ましてやNHKだけのAM放送をFMということに切りかえることになれば、民放はAMでやっておけということはできない。これは今の法律で、商業放送も同じように扱う電波法からいっても、これはできない。ですから、今申し上げたようにFM放送というものの、FMの周波数ハンドにつきましては、やはり相当きつい考えを持たないと、それはUHFもあるじゃないか、SUHFもあるじゃないかと言われるけれども、これはもちろん技術の進歩で可能でしょう。可能であるけれども、経費の点で、やはり金が要るんです。少くとも現在やっておる民間放送並びに公共放送に対して、そう朝三暮四的なことは、これはむずかしいんじゃないか。そういう点で、私はほんとうの公共放送というものは、全国あまねくという立場にあるんだから、これはやらなくちゃならぬということは当然のことと思います。問題は経費の問題、ことに三十三年度のこういったNHKの異例の予算をもってやるんですから、わずか来年度は東京、大阪、名古屋にとどまるということですが、再来年はどうなるかということを継続して考えなければならぬ。私は政府一つ根本的に考えて、不幸にして公共放送、民間放送併存の実態にかんがみて、よほど政府はこの点について冷厳なプランと割当を考えておかぬと、NHK予算の企画性というものを非常に乱すんじゃないか、こういうふうに私御質問申し上げたわけですから、そのおつもりで一つ将来の計画を立てていただきたいと思います。  それから、NHKの方に対しましてさらに質問をいたしますが、先ほど申し上げたように、今回のこういう値上げはしてくれない、しかし金は要るんだと、また約九千万円の経費節減はやったんだということをおっしゃるが、しかも、三十四年度においても今日のような政治情勢値上げできない。より一そう借金がふえてくるということになるのであります。私が先ほど申し上げましたように、テレビ会計については割合明るい見通しをしておる、あるいは自己資金で、受信料がふえますから、テレビ会計は割合楽観をしておるが、ラジオ会計について憂いを持たざるを得ないわけでありますが、NHKとしては三十三年度、三十四年度、三十五年度、こういう計画を今お持ちになっておるわけですが、三十四年度にもし受信料値上げできないという場合に、これはどうなるのでしょうか。やはり借入金でやっていくという予想、そうせざるを得ぬと思うが、そういうことになれば、従来のNHKの財政と申しますか、今度の放送法の一部改正案が通れば、たしかあれは純資産の三倍に相当する何か、起債か何かは与えられている。しかしそれにいたしましても、三十四年度以降における所要資金というものは、非常にふえてくる。それから今経費節減されたとおっしゃるけれども、現在のNHKからすれば、これは来年、再来年になれば決して今のままでは減りっこない。これはふえるとも減らないと私は思う。これはよほどの今覚悟をなさらぬと、そういう方面にむしろ膨張する、放っておいても、自動的に給与であるとか、あるいは社会保障的な金がもう幾何級数的にふえなければならぬ。これは法によってやむを得ない。そういうことになりますと、この三十三年度予算一つの画期的な出発点としてお使いになる根本的な、土台になる金としてはどうしても何か私は思い切ったドラスチックな経費節減ということを、ただ単にこの一億円足らずのものでなくて、もう少し私はこれは思い切って経費を捻出する、自己捻出をする方法を考えらるべきじゃないかと思うのですが、これは野村会長なりあるいは小松副会長なり、そういうことに対してどうでしょうか、もう少し思い切ったことができるというお考えがないでしょうか。
  32. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 私はNHK経営の上においては、どうしても今年三十三年度予算においては受信料の合理的改訂が行われなかったけれども、三十四年度には、ぜひそれを実現してもらいたいと思います。また、われわれはその実現に最善の努力を尽していきたいと考えております。私は、先日中央放送局長会議並びに組合との経営協議会の席上でも申したのでありますが、今度の予算はまことにやむにやまれぬ非常措置である。借金をもって経営するということはNHKとしては画期的でもあり、また忍び得ないところである。しかし、その使命遂行のために、この措置をとったのであるが、三十四年度においては、借金しないで健全な予算を組みたい。それには政府が、国会値上げ承認してくれるだろうということをわれわれも信じてはおるけれども、それに期待しておってはいかぬ。われわれの努力によって、われわれの熱意によって、われわれの気魄をもって、必ずこれを実現させねばならぬ、そういうような態度と信念をもって今後の放送事業に当らねばならぬ。六十七円では安い八十五円でも高くない、百円出しても惜しまない、こういうふうに受信者大衆がみずから値上げをいってくれるように、われわれはその放送に力を尽して、よい放送をなさねばならぬと、かように申したのであります。私は、どこまでも健全な予算を編成して、そうして大衆の、国民の期待に沿うように、そうしてわれわれの使命を全うするように力を尽していこうと思います。本日衆議院においては、予算を御承認下きったときに、付帯決議をもってNHKに対して大きな警告を与えられました。私は、この決議の趣旨を尊重し、また、趣旨に沿うように努力していきたいと思っております。従って、来年度はこういう予算は組まない、こういう予算を組んであなた方にお目にかからないということだけは、はっきり申し上げておきます。
  33. 山田節男

    山田節男君 これは野村会長の御決意のほどよくわかるのですが、たとえば来年度予算に計上してある放送施設改善、あるいは老朽した放送機器の改善として、あわせて約十三億円のものを計上してあるのです。これは先ほど田中郵政大臣が三十億くらいの金は何とかする、こういうことを申しておりますが、先ほど来私が申し上げているNHKの自主的経営という立場からくれば、予算においては放送施設改善として九億何がし、放送機器の改善としては四億円の金を計上してありますが、こういうものも、なるほどこれは機器も施設も日進月歩、非常にテンポの早い発達をしておりますが、今日のようなNHKの非常時の、値上げのできないという絶対的な非常時財政という立場に立てば、よしんばこの予算が通っても、たとえば放送施設改善を九億のものを半額で済ませ得るかどうかということ、機器の老朽化したものを改善する、これはやはり商売道具でありますから、一番大切なものでありますけれども、しかし、約四億円の中で、たとえば三分の一でやっていけるかどうかということを、私はこれはほんとうに困ったという立場ならば考えられぬことはないと思うのです。そうして、サービスが著しく低下しない範囲において、まだ私はより節約し得る部面が多少無理であろうけれども、この非常事態借入金を少くするという立場からすれば、私はそういうことも考えられるのではないかと思うのです。われわれに示されているこの予算というものは、これは最低のものとして出されておりますけれども、経営者から見れば、経営責任にある理事者とすれば、借入金の三十億は保証してくれているけれども、他の起債であるとかあるいは短期借り入れ資金借り入れるととはなるべくしないで済まそうというだけの私は心がまえはなくちゃいかぬ。そうなれば、これは一番大事なことでありまするけれども、放送施設とか放送機器の改善についても、この半額で済めば借入金が少くて済むわけであります。そういうことも私は当然さるべきものではないかと思うのですが、今の野村参考人のおっしゃったことは、そういうやはりお気持を含めての今の御決意であるかどうか、一つ議事録に残していただきたいと思います。
  34. 野村秀雄

    参考人野村秀雄君) 今仰せの通り、私どもは今の段階においてできるだけの経費節約をいかし、そうしてさらに積極的の施設をいたしたいと、かように考えてこの予算を編成したのでありまして、今仰せの通りの決意であります。
  35. 山田節男

    山田節男君 これは三十一年、三十二年、三十三年と決算を見ても、予算を見ても、前年度の繰越金はゼロというのが常則になっているわけです、NHKに関しては。けれども、これは繰越金があっても予算総則、私ちょっと今見ておりませんが、予算総則の性質からみても、これは必ずしも繰越金を否定していないと思うのです。ですから、今、この総計二百幾らですか、このため予算をとっておられまするが、今申されたような会長の決意でおやりになれば、何も金を五億残せという意味じゃないのであって、やはりこの予算項目によりましては、かれこれ流用し得るという範囲内の流用によっても、私は重点的に間に合うようにできるのじゃないかと思うのです。ですから、剰余金を出せというのじゃなくて、今申し上げたように、たとえば放送施設改善の九億何がしを半額にして、四億五千しか使わないで四億五千を残してしまえ、こういう意味じゃないのであって、これは誤解のないようにしてもらわないといけない。これは公共放送の立場としてベターにしていくということは、これは当然のことですから、金を余せというのじゃなくして、今の、たとえば非常時の場合には、短期資金を借りるのだということも一つですし、それから放送法の一部改正をやれば、これは三倍に相当する起債ができるのですが、そういうことはしないのだ。たとえば四億五千で、これでできれば、しないのだ。いわゆる消極的な意味での借金を作らない。借金を少くするという意味で申し上げているのであります。これが、すなわち、言いかえれば、NHK予算の内容を健全化することですから、そういう意味で私は申し上げているのであります。ですから、今ここで半額を減らせ、三分の一を減らせということは、もちろん、ここでそろばんに乗るわけはありませんが、大体そのお心がまえでやられるという意味のことを、私は会長はおっしゃったのだろうと思いますから、一応この点は了承したいと思います。  次に、ラジオ受信料見通しでありますが、これは先ほど会長もおっしゃったように、郵政大臣も言われたように、これは少くとも漸減の方向に向うだろうということは、これはもう明らかな事実だろうと思います。来年度予算におきましても、ラジオの解約、テレビの解約も相当な数をこれは予想しておられるのですから、しかし、ラジオに関する限りにおいては、この三十三年度予算において予想しておられる以上の解約があると私は思う。これは私はある程度の確実性があるのじゃないかと思っているのであります。ラジオ受信料に関しては、少し見方が甘いのじゃないか、かように考えるわけですが、この法律によって無料、いわゆる受信料を免除しなくちゃならぬということになって、これだけの数の免除数が出ているわけでありますが、この来年度に計上されたラジオ受信料の免除者というものは、大体私は、従来の免除されておるこれはカテゴリーといいますか、種類の人が免除を受けているのだろうと思いますが、来年度予算においての、これだけの解約者の大まかなどことどこと、どういう種類のものが幾らというような、三つか四つくらいの種別で御説明願えますか。
  36. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 規定によりまして免除しておりますものでございますが、現在は、三十三年度当初は、これは五十五万でございます。おもなものは、御承知の通り、生活扶助を受けておられる方々とか、あるいは学校とか、そういう方面でございますが、さらに、その五十五万に対しまして、三十三年度中に新規に免除いたします予想が四万三千でございまして、逆に免除をしておりました方々が免除廃止になると見込まれますものが九千。そういたしますと、明年度は免除いたします数が三万四千ふえると、こういう算定をいたしております。
  37. 山田節男

    山田節男君 NHKからいえば、なるべくラジオ受信料の免除、テレビもそうですけれども、ラジオ受信料の免除が少い方がいいわけなんですが、年々ふえるということはどういう意味なんでしょうか。法律でちゃんときまっておるのですから、ふえるということは、どこが原因なんですか、何が原因なんですか。
  38. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) おもなものは、学校とか公共施設増加がおもなものと予想しております。
  39. 山田節男

    山田節男君 テレビジョンはどうでしょうか、テレビジョンの免除は。
  40. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) テレビジョンにつきましては、三十三年度当初の免除しております数が、二千二百でございまして、年度内の新規に免除いたします数が千百、それから免除をやめますもの百、差引いたしまして、明年度中の免除の増加が千、このように算定しております。
  41. 山田節男

    山田節男君 これは主として学校あるいは公益団体ですか。
  42. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) さようでございます。
  43. 宮田重文

    委員長宮田重文君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  44. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 速記を始めて。
  45. 山田節男

    山田節男君 NHKが来年度から、三十三年度から、予備免許の確認によってテレビジョン建設を実施されるわけですが、大体、北は北海道から南は鹿児島まで、特に支線にわたる――支線にわたるといいますか、マイクロウエーブの支線にわたるところまで拡張されるわけですが、こういう場合に、現在の電電公社に払っておられるマイクロウエーブの使用料というものが相当にふえるということは、予算上計上されておるわけですが、このマイクロウエーブの電電公社からの賃貸料といいますか、借りる使用料というものは、今回のようにテレビ局の設置がふえてくれば、当然マイクロの使用料もふえるわけですけれども、このマイクロウエーブ使用料について、初回にきめるときは相当問題になったのですけれども、NHKとしては、従来のマイクロウエーブ使用料でやむを得ない、こういうようにお考えになっておるのか、あるいは電電公社の方から値上げを請求したようなことがあるかどうか、この点一つお聞きしておきたい。
  46. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 公社から値上げを要求されたことはございませんが、われわれといたしましては、お説の通り、これからだんだんと遠隔地域に局を作って参りますので、これが非常に使用料が激増して参りますので、われわれの気持といたしましては、さらに低減さしていただくならば、非常に経常上、好都合かと考えております。
  47. 山田節男

    山田節男君 このマイクロウエーブの使用料については、これは最初に大阪との間はNHKが自営でやられて、後に電電公社ができたものですから、マイクロウエーブの使用料を、郵政省が中に入ってきめたわけですけれども、どうも外国の例から見ますと、たとえばイギリス、それから西ドイツ等を見まするというと、これを邦貨に換算してみて、マイクロウエーブの使用料は、電電公社のチャージは必ずしも安くないという数字が出てくるわけです。ですから、公共放送の立場からすれば、公共通信ではありませんけれども、公共放送である限りは、民間放送のマイクロウエーブの使用料は安いのが当然の話です。法の建前からいってもそうでありますから、ことに来年度予算の、非常な異例な予算を組むからには、もっと商業べースで考えていけば、やはりマイクロウエーブの値下げというようなこともこれは当然考えられるべきじゃないか、予算を組まれてからはしようがないというんじゃなくて、今後さらに膨大するマイクロウエーブの使用料についての、これは郵政省に言われることだろうと思いますけれども、予算の面から考えても私はこの点はNHKとしてはもっと率直に勇敢に私は要求さるべきじゃないか、この額も決して三百万、五百万じゃなくて、私はこの数字からいけば少くとも億の金は、当然ヨーロッパの標準から見ても下げるべきものじゃないか、かように私は考えるのであります。  それからこの予算から見まして――テレビ予算項目から見て、何と申しますか、やはりラジオは目に見えません、耳だけのものでありますけれども、テレビの番組の質をよくするということは、これは教育にしましても、娯楽にしましても、教養番組にしても、やはり日本で一番ふえておるのは  テレビの、ことにテレビにおきましてはタレントといいますか演出、企画、こういうものに対して非常に貧弱であるということはこれは争えない事実であります。もちろんこれはまだ歴史が浅いんですから、たとえば西ドイツ、  フランス、イギリスのITA、これはインベンテント・テレビジョン放送を公社の方でやつておるのでありますが、ここらあたりに対してもタレントということは番組の質をよくするということにおいては重大なものである、これが養成訓練のためには何がしかの金をやっぱりBBCも使つている。それから西ドイツの北ドイツテレビジョン連盟の方でもそういう方面の支出をしておるわけです。このNHKの、ことに拡大されるテレビジョンの番組の質をよくするということからも当然このタレントということを特に私は取り上げて、相当なやっぱり金を使った養成訓練が要るんじゃないかと思う、こういう点については来年度あたりでどういうような企画をお持ちになっておるのか、これは数字上のことは別問題といたしまして、御方針を一つ承わりたいと思います。
  48. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 全く御同感でございまして、私たちもこの点については心痛しております。明年度はすでにいろいろ御説明申上げおりますように、予算といたしましては建設計画がやはり将来の運営上非常に大事でございますので、事業計画の面ではきわめて緊縮政策をとつていきたいと考えておりますが、少くともテレビの番組の質の向上のためにはタレントの養成をある程度の、何と申しますか、実際的な養成方針を拡大強化して参りたいと思っております。今日までラジオの方でも芸能諸団体の育成、これが私どもの義務と考えまして、過去長い間やつてきておりますが、明年度からはテレビのタレントについて特別の処置をとりたいと考えております。  それからまたテレビの番組につきましては同時に映画の問題がございますが、映画につきましても明年度からは、たとえば短編映画、教育映画はもとよりでありますが、これの自家製作を予算の許す範囲で強化して参りたい、こう考えております。
  49. 山田節男

    山田節男君 それから国際放送の問題ですが、過日大蔵大臣と岸総理に質問したのですが、例年よりも一千五百五十万円国庫の交付金といいますか、国庫負担を減らしたと、その差額は、国際電信電話での海外への送信の波を節約することによってそれだけを減らすと、たとえば、東南アジア向けのある一方向に向つてやる場合に、放送の到達の確実性を保つために一波じゃなくして二波も三波も使った、それを一波にして、あとの二波の使用料を節約することによって、千五百五十万円のものがカバーできると、こういう大蔵大臣の答弁であります。しかしこれはNHKとしては、国際放送の任務から言えば、向うに聞こえようが聞こえまいが、とにかく一波だけで波を出しておけばいいのだということは、これは私は非常に不親切だと思う。しかし、政府はあえて経費節減というようなことでもって一波でいいじゃないかと、そこに私はNHKとしての、国際放送を現地に確実に到達せしむるという方法をとらなければならないのに、政府はそれをさせないということは、これは私は非常に岸内閣の、何といいますか、無責任だということを言いたいのですが、NHKとしては、どうもこれは金を減らされたのだから、一波だけで届こうが届くまいがこれはしようがない、こういう腹ではいけないと思うのですが、この点の財政的処理は、もう金はきめられておるわけですけれども、NHKとしたらば、国際放送はやはり私の言った通りで、これはやむを得ないと、こういう考えでおられるのかどうか。この点も一つ確かめておきたい。
  50. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 国際放送につきましては、現状で甘んぜず一そう拡充したい気持を従来から持ち続けておるわけでございますが、明年度につきましては御承知のごとく交付金が約八千九百万円に相なりました。しかしながら従来以下にこの規模を減らすということはわれわれとしていたすべきことじゃないと考えます。従いまして、従来の規模を維持するために、予算といたしましては昨年と同額を計上いたしましたわけでございます。
  51. 山田節男

    山田節男君 今の御答弁によると、その政府の減額した理由というものは、一方向に対する放送の到達が不確実になるかもしれぬという憂いがあるから、その千五百五十万というのはNHK予算から出して自己負担でやると、こういう意味ですか。
  52. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) さようでございます。従来ほとんどの方向に対して二波出しておりますが、われわれといたしましては、やはり海外受信者に対するサービスをも考えまして、従来通りの波を出したいと、かように考えておるわけでございます。
  53. 山田節男

    山田節男君 委員長、よろしうございますか。
  54. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 簡単に一つ願います。
  55. 山田節男

    山田節男君 この国際放送の中で、ことに中共に対する放送ですが、これは私一昨年中共へ行って、向うの中央放送局長、それから電務部長というのに会いまして聞いたときに、どうも対中共放送というものが、過日広州の見本市でも問題になったように、中共ということをわれわれが常識的に考えておるのですが、正式に、何といいますか、NHKの放送が中共向けの放送で中華人民共和国と、こういったような工合に言われないので今の中国人は、中共の人々は、どうもどこへあてて言っているのかわからないといいますか、国のタイトルといいますか、称号をやはり正式に言ってもらわないと、聴取者が次第にインタレストを持たなくなって、聞く人が少くなっていくという、こういう注意、というより要望を受けたのですが、現在中共に対する放送においてそういう点は改善されておるのかどうか。  もう一つ、これはNHKの人にも、関係の人にも申し上げておきたいと思いますが、十五ヵ国語でやつておられるのですが、中共には、これは文字におきましても音標文字にしようというくらいまでに言葉も非常に変ってきておるそうであります。戦前の中国の標準語と今日では非常に違ってきている。これはわれわれ国内の言葉にしましても、そういう点はうなづかれる。ところがNHKの対中共放送というものの放送の言葉が、非常に非現代的なもので、オーソドックスな言葉であるかも知れませんけれども、はっきりしない。これも向うの一つの注意であり、要望であったのですが、こういう点についてNHKは是正してやっておられるのかどうか。この点一つお伺いしたい。
  56. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 中華人民共和国の呼称につきましては、実は山田先生の御意見なども承わっておりましたので、去年から呼び方を正式に変えております。それから国語につきましては、ざっくばらんに申し上げまして、まだ完全に中華人民共和国が新しく制定した言葉に完全にのり移ってはおりません。ただ明年度からは、従来たとえば、華南、広東方面その他に対して、一種の……御承知のように、広東語であるとか、そういうものを使って参りましたが、一応中華人民政府の方針を考えまして、全国共通の中華語で放送したいと、こう考えております。
  57. 山田節男

    山田節男君 もう一つで最後の質問としますが、これは昨年だったと思いますが、NHKの主催ではないかも知れませんが、日本がイニシアチブをとられてアジアの放送会議をやられた。  これは非常にいいことだと思うのです。おそらく今年もやるべきじゃないかと思いますが、放送事業は、私は行くたびに感じますことは、要するに地球が非常に小さくなったということ、それからこの電波科学が非常に進歩しましたために……もちろん初めから国境はないのですけれども、政治、経済、文化向上の方面に、これがきわめて国策としても有機的に使われている。そういう方面から見ましても、やはり国際会議アジアの放送だけでなく、世界的な国際会議も非常に重要なものであり、日本も自由国家群のラジオの方の放送の会議、連盟には加盟しておられるように了解するのでありますが、その反面またソ連並びに衛星国家のいわゆる共産主義諸国の連盟もあるわけです。私はここであえて外交論を云々するのじゃありませんが、ことにわれわれ東洋におる日本としては、中共であるとか、北鮮であるとか、北ベトナムであるとか、こういったものは無視できない。この放送事業におきましては、なおさらそういう思想の問題ということは別の問題として考えなければならない。ことに公共放送は、何も宣伝機関でないのでありますから、国際放送としても、いわゆる悪い意味の宣伝じゃない、ありのままを知らせる。これはまたNHKのごときが過去数十年間ニュースの報道で、訂正したとかいうことは一ぺんもないというほどの慎重さをもって、決して色をつけないありのままを出す。そういうような、ことに公共放送使命からみれば、国際会議というものに対しては、もっと私は熱意をもって、ことにアジア諸国におきましては、他の後進諸国放送の施設、機器におきましても、非常に未開な状態にあるということになれば、公共放送であるNHKが、このイニシアチブをとられて、第一回のアジア会議を開かれたということは、非常にいいことだと思う。さらに竿頭一歩を進めて、国際の、共産主義とか、あるいは自由国家群とかいうような、こういう政治がましい差別はあまり考えないで、ソ連、中共というものの放送の混信問題もありましよう、あるいはいい意味の放送の番組の交換ということもあるわけです。ことにテレビジョンは、ハバロフスクにも開設しておるのですから、北京も数年ならずして実施する――三年すれば実施するということを過日中共から来た人が言っておるのです。そういうことになれば、NHKとしたら、せめて来年度予算においては、こういう国際的な提携と申しますか、事業の本質からいえば、国際的にならざるを得ないというものをいかに善導するかということにこそこれは相当の額を見積っても公共放送の性格を発揮すべきじゃないかと思いますが、そういう方面についての計画事業の項目が、私はみつからないのでありますが、単に国際放送をしよう、電波を送信しようということじゃなくしまして、そういう方面に私は今後より一そうの関心を持たなければならぬと思いますが、そういう点について、理事者はどういうお考えを持っておられるか、私はこの際伺っておきたい。
  58. 前田義徳

    参考人前田義徳君) その点も私どもといたしましては、十分御同感できる御質問で、非常に感謝しております。ただ現実の問題といたしまして、やはりNHKが日本を代表する場合に、日本の国際的環境というものも十分に考慮いたさなければならないものと考えております。従って去年の第一回アジア放送会議では、原則として日本と国交ある諸国、これに呼びかけるという態度を取りました。そうしてその会議が開かれた結論として、インドネシアが次の開催地の主催国になるという提案がございましたが、国際的環境の一端として、これに対してフィリピン、パキスタン、台湾が反対いたしまして、NHKに対して、もう二、三回何とか国際紛争が生まれないような形でスムーズにこの会議が伸びていけるような方策を取ってくれないかということで、たまたまことしはアジア・オリンピックなどもございますので、その問題を討議したその会議の席上満場一致で、今年もとりあえず日本で開くという決定になったわけでございます。招請国につきましては、関係方面考え方もしんしゃくいたしまして、またNHKとして第二回の放送会議を開くに当っての自主的見解を基礎といたしまして、多少招請範囲を広げております。しかし中共、北鮮、ベトナムについては、今回も実はまだそこまで広げるに至らなかったことは、はなはだ私どもとしても残念だと思っております。放送会議の費用につきましては、ほぼ前回と同様の予算を組んでおります。それからまた共産圏、一般に共産圏の問題と私どものグループの問題につきましては、中華人民共和国の放送協会が私どもに対して、私どもと約二週間ばかりの間隔を置いて北京で共産圏のアジア放送会議を開きたい、これに対して参加する意思があるかどうかということを最近問い合せてきて参っております。しかしこの問題については、私どもは目下検討中でございまして、まだ結論が出ておりません。しかし私どもの立場といたしまして、アジア放送会議を最初に呼びかけたNHKとして、去年の議決に従うことが必要であると考えておる次第で、結論としてはあるいはこれはお断わりすることになるかもしれないと考えております。ただ放送会議については右のような実情でございますが、放送会議以外の問題につきましては、中共の放送局あるいはこれは国交回復以前のソビエトの放送局あるいはヨーロッパの共産圏諸国の放送局とも番組交換はずっと続けておりまして、ことに日本からNHKが出すニュースについては、たびたび中共もこれを再放送してNHKに非公式に手紙で謝意を表してきておるような事実もございます。できればいろいろな環境が克服されて、山田委員のおっしゃったように、近い将来に私たちがもっと広い範囲のアジア放送会議にこの計画が発展するように努力もし、また期待もいかしたいと考えております。
  59. 山田節男

    山田節男君 今のお話しでは、昨年の第一回のアジア会議でインドネシアがやりたい、そこにいろいろ反対があってごたごたするのじゃないかというので異例であるけれども、日本でもう一回やる。この間の事情はわかりますが、先ほど申し上げましたように放送事業というものはイデオロギー、宣伝ということを抜きにする。イデオロギーをこえたものでなければいけない。放送文化ということになれば、もうここには国境もなければ思想もない。こういう態度でいかなければならぬ。今回の第二回のアジア会議におきましても、私からいえば、やはり中共、ソ連、北鮮、ベトナムは正式のデレゲーションはいけないが、オブザーバーとして出席することにしたらいいと思う。これは昨年のロンドンにおける列国議員同盟では共産圏も全部出席しておるのです、正式なデレゲーションとして。そしてその雰囲気というものが非常になごやかである。この列国議員同盟の会議というものは、これは今日すでに六回目を戦後行なっておるわけでありまして、放送会議に関する限りはそういうあまり狭い考えをもたないで、政府の意向でそういうようになったのかどうかしりませんけれども、少くとも公共放送の日本の主催者という立場をとれば、これはやはりオブザーバーくらい呼んで、オブザーバーを呼ぶということは何かしらそういう正式な問題でない。ことにそういうことを利用して懇親をやる、ことに懇親という問題については、これは彼らはまだITUですか国際電気通信連合に加盟していないので、そうであれば何か放送事業に関する周波数とか、あるいは波の調整というようなことも、そういうような機会にオブザーバーとして出席すれば、そういうことの一つのひっかかりといいますか、将来の正式な交渉へのひっかかりもできる。これはあえて政府も反対しないだろうと思う。これはもとよりあなた、あるいは会長その他理事諸君で、ここでお答えはできないと思う。経営委員会で決定されることだろうと思いますが、少くとも私はそのくらいな寛容さはもっていかぬと公共放送の目的は達成できない。民間放送でまずやってもらったらそれこそ危険であるし、またはそれだけの、いわゆるタレントもないのですから、やればNHKしかない。ですから今の御答弁は、従来の考え方であって、将来はどうあるべきかということになれば私は意見がある。ですから、これは幸い野村会長を迎えて、やはり経営委員会に対して重要政策の一環としてこれは根本的にはどういう公共放送の立場をとるべきかということは、これは再検討していただく必要があるのじゃないか。これは単なる容共主義とかこういう意味ではなくて、純粋に放送文化ということになれば、相手が共産主義の国であろうと、いわゆる放送文化においては全く独立のものである。こういう私は立場をとるべきだと思う。ですから、やがて開催される第二回の会議に、向うが来る来ないは別問題として、一応オブザーバーとして来ることについては、招待ぐらいはする方が、政府の了解を求める必要があるかもしれませんが、そういうゼスチュアをするだけでもいいのじゃないか。そういうやはり何といいますか、意味というものが、これは単なるNHKの問題ではなくて、日本国という将来の、今ようやく日中の貿易問題にしても、公共放送が日本のためになるということが、むしろそういうことを進んでやるということに思いをいたすということが私は必要なんじゃないか。で、ことに北京で今度共産圏のアジア放送会議をやるということになれば、世界におけるそういう二大対立、アジアにおいても二大対立というこの現実はまことに残念です。しかしそれはそれとして、われわれとしてはやはりもっと寛容さをもって放送文化の向上という、こういう立場から一ぺんオブザーバーとして招請するぐらいのことはやるべきである。これは私はここでこうしてやれということを申し上げません。私はむしろ経営委員会でこの問題を取り上げてNHKの最高方針の一つにどうするかということを徹底する段階にあると思う。ことに今回のように来年度において国際放送は予算を減らされるというような、前年度の事業を踏襲しなければいかぬというようなきわめて遺憾な状態になっているからには、その内容というものが、ただ事後報告をすれば足りるのだという考えでなくて、この国際放送の事業内容を豊富ならしめるということならば、当然この点において強く要請したいという強い希望をもっております。会長その他理事諸君を通じてやはり経営委員会にこのことを一つ諮っていただきたい。できればこれは予算の審議の過程においてNHK経営委員会としてはどういう態度になるのかということを一つ明示していただければけっこうです。これは特に会長、副会長にお願いして経営委員会に諮っていただきたい、かようにお願いする次第であります。  三時半になりましたので、総括質問として私はこれで打ち切りたいと思います。
  60. 宮田重文

    委員長宮田重文君) では本日の委員会は、これにて散会いたします。    午後三時二十六分散会