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説明員(梶井剛君)
日本電信電話公社の本年度の事業
概況につきまして御
説明申し上げます。
まず、
予算の
実施状況でありますが、本年度の
建設勘定予算は成立額六百三十四億円と、前年度からの繰越四十五億円とを合計いたしまして、
総額六百七十九億円でございますが、工事は年度初頭より順調に進行いたしまして、十一月末までの
支出額は四百八十八億円、
総額の七二%の推捗を示しております。
現在までに
実施いたしましたおもな工程について申し上げますと、
サービス工程につきましては、
農山漁村電話普及特別対策を含めまして、
加入電話十八万七千、公衆
電話一万一千七百の
増設計画に対し、十一月末には、それぞれ十六万三千及び七千四百の架設を終り、それぞれ八七%及び六三%の進捗を示し、市外
電話回線につきましては、約四十七万キロの
増設計画に対し三十九万三千キロを
増設いたしまして、進捗率は八四%となっております。
基礎工程についてみますと、
電話局の建設は百三十局の
計画であり、そのうち年度内に
サービス開始を
予定しているものは六十七局でありますが、十一月末までに四十二局が
サービスを開始しております。長距離ケーブルにつきましては、七区間の新設
予定に対し、三区間を完成しております。その他、
町村合併に伴う
電話サービスの
改善並びに
農山漁村電話普及特別対策につきましても、
目下鋭意進捗をはかつております。
以上の結果、十一月末における
加入電話の数は約二百五十六万、公衆
電話の数は約六万となりました。しかしながら、市内通話のつながる割合を十大都市についてみますと六六%でございまして、そのつながらない原因の大半は、相手方のお話中であり、この面からも
電話の不足が
サービスの
向上をはばんでいることがうかがわれます。また、市外
電話回線は三百三十七万三千キロとなり、その
内訳は、公衆線三百八万九千キロ、専用線二十八万四千キロでありまして、公衆線のうち四三%が即時回線となっております。
電報につきましては、受け付けてから配達されるまでの平均
所要時間は、普通
電報で五十四分、至急
電報で三十八分であり、間違いの字数も一万字当り、
一般電報で一一・七字、照合
電報で二・八字と、それぞれすでに戦前を上回っております。
また、
加入電信は、三十二年四月より名古屋におきましても
サービスを開始し、東京、大阪を合わせまして十一月現在三百六十五
加入となっております。
なお、
収入につきましては、おおむね順調な経過をたどつており、
予定よりもある程度の増収を見得るものと思われます。
次に、最近の労働
情勢について申し上げますと、全電通労組の昨年春の賃金引き上げ要求につきましては、四月十六日仲裁裁定が提示され、これに基く補正
予算の成立を待って基準内賃金を四百十円引き上げることとして春季闘争は終了いたしました。その後組合は、九月以降
合理化問題、賃金引き上げ問題及び年末手当問題等につき、亜求書を
提出し、秋季年末闘争に入りましたが、
合理化及び年末手当問題につきましては、
団体交渉により十一月八日、基本的
事項につきまして了解点に議し、十二月二日に協約、覚書等の仮調印を行い、早期に妥結を見ることができました。
合理化問題につきましての妥結の
内容は、労働条件、特に要員に
関係のある設備
計画等については、組合と事前協議を行うこと、機械化等により生ずる剰余人員は、配置転換等をより広く行うことによって吸収し、人員整理等の事態をなるべく到来せしめないようにすることを中心としたものであります。今後第二次五カ年
計画の遂行に当りましては、この基本線に沿いまして、誠意をもって事態の解決をはかることによって事業を円滑に
運営し、もって国民の与望にこたえて参りたいと考えております。
なお、基本賃金の引き上げにつきましては、年末まで
団体交渉を行いましたが、結論を得ず、組合は公共企業体等労働
委員会に調停を申請し、現在その手続中であります。
次に、本年度をもちまして、
昭和二十八年度から着手いたしました第一次五カ年
計画は終了することと相なりましたが、おかげをもちまして、
計画に対しておおむね順調な成果を上げ得る見込みであります。すなわち
昭和二十七年度末と対比いたしますと、
加入電話は五年間に百三万を増し一七倍、公衆
電話は四万五千個増で三倍、市外
電話は二百万キロを
増設して、二・五倍と、それぞれ
増加することになります。
しかしながら、このような拡張にもかかわらず、
加入電話の需要充足率は依然、わずか三〇%内外にとどまり、市外通話につきましても、大部分は依然として長い待ち合せ時間を要しております。元来第一次五カ年
計画は、戦災都市における
サービスの復興を中心として一
計画されたものでありますので、勢い大都市に重点が置かれ、地方都市、農山漁村に対する
サービスの
改善までは、遺憾ながら十分力が及ばなかったのであります。本来
電話サービスは、申し込めばすぐ架設され、その
電話から全国至るところの場所と即座に通話ができるというものでなければなりません。もちろん、現状をもってしましては、短時日にこの目標に到達することは困難でありますが、公社といたしましては、今後十五カ年間におおむねこの目標を達成したいと考え、引き続き三十三年度より第二次五カ年
計画の実行に着手することといたしました。そのおもなる目標としましては、第一次五カ年
計画よりも規模を拡大いたしまして、
一、五カ年間に百三十五万の
加入電話を
増設し、
昭和三十七年度末には
加入数を約四百万、
電話機数を約六百万とすること。
二、公衆
電話を六万五千個
増設し、現在の二倍に
増加すること。
三、市外回線を四百三十万キロ
増設し、県庁所在地、これに準ずる都市相互間及び京浜、京阪神、中京地区等の同一経済圏内並びに同一市町村内の市外通話を即時とすること。
四、市外通話即時化に要する
市外回線増設並びにチャンネルプランの決定によって今後
増加するテレビ放送中継網の需要にこたえるために、マイクロウエーブ、同軸ケーブル等の市外伝送路の
拡充整備をはかること。
五、
電報の中継機械化を完了するとともに、
加入電信サービスを全国に
普及させること。
六、合併市町村並びに無
電話部落に対する
電話サービスの
改善を一応完了すること。等を
計画しております。
この
計画を
実施するための
所要資金は約四千百億円に上り、このうち約一千五百億円を
外部資金に仰ぐことを
予定しておりますが、これの調達につきましては相当の困難が予想されますので、特に皆様の御理解と御援助をお願いする次第でございます。
次に、
昭和三十三年度の公社
予算案について申し上げます。
三十三年度の
予算案はただいま申し述べました第二次五カ年
計画の初年度分として編成いたしました。まず、事業
収入について申し上げますと、電信
収入九十六億円、
電話収入一千五百四十八億円を中心といたしまして、合計一千六百九十四億円の見込みでありまして、三十二年度
予算に比べ二百二十一億円の
増加となります。この
収入見積りは、昨年四月から十月までの
収入実績を基礎とし、かつ、経済の動向は、…十三年度におきましても現状を維持するものとして算定したものであります。
支出について申しますと、給与
総額は五百六十八億円でありまして、前年度に比し四十六億円の
増加となっております。物件費は二百四十四億円で前年度に比し十一億円の
増加となり、
業務委託費は二百十三億円、減価償却費は二百八十六億円で、前年度に比しそれぞれ十六億円及び二十八億円の
増加となっております。
以上の結果、
収支差額は二百七十一億円となり、前年度に比して九十五億円と相当大幅の
増加となっておりますので、これが確保につきましては、格段の努力をいたさねばならないと存じております。
次に
建設勘定でありますが、三十三年度は
総額七百五十億円でありまして、前年度の六百…十四億円に対し百十六億円の
増加となっております。
建設資金の調達は、
自己資金を五百八十九億円、
外部資金を百六十一億円と
予定しておりますが、そのうち
自己資金の
内訳は
減価償却引当金二百八十六億円、
設備負担金十七億円、
資産充当五十七億円及び
収支差額二百七十一億円から
債務償還四十二億円を差し引いたものであります。
外部資金の
内訳は、
加入者及び
受益者債券六十七億円、
電話設備負担金五十九億円、
運用部資金二十億円及び簡保
資金十五億円となっております。
建設工程について申し上げますと、まず
サービス工程でありますが、
昭和三十三年度におきましては、
農山漁村電話普及特別対策を含めまして、
加入電話二十六万二千個、公衆
電話一万四千個を
増設して
サービスの
改善をはかることといたしております。市外
電話サービスの
改善につきましては、第一次五カ年
計画中に
実施いたしました各地方の中心都市相互間の長距離即時
サービスを維持するとともに、三十三年度はこれらの大都市と主要都市との即時
サービスを開始することとし、札幌—旭川間、東京から金沢富山浜松熱海間、大阪—高知間、福岡から大分長崎鹿児島間等二四区間の市外通話を即時にいたしたいと考えております。また、横浜—小田原、金沢—富山、神戸、加古川、堺—岸和田等の近接都市間の市外通話を即時化するよう
計画いたしております。
次に基礎工程でありますが、三十二年度末におきまして、設備が行き詰まつて
電話の
増設ができない局は約三百三十局に達しますので、これの対策並びに市外通話の自動即時化をはかるため、三十三年度におきましては前年度より継続の六十三局のはか、九十二局の工事に着手し、合計百五十五の新
電話局の建設工事を行いますが、このうち年度内に完成して
サービス開始をする局は六十一局の
予定であります。
市外伝送路につきましては、市外通話の即時化並びにテレビジョン中継網の
拡充をはかるため、同軸ケーブル及無装荷ケーブルを前年度より五区間増の十二区間に布設するとともに、マイクロウエーブにつきましては、前年度からの継続八区間のほか、既設の幹線のルート
増設並びに十五区間の新設に着手する
計画であります。
なお、
電報の中継機械化につきましては、前年度と同様五局を行います。
次に、
町村合併に伴う
電話サービス改善計画は、前年度に比し十億円増の三十億円をもって
実施することとし、二百三十七局の
電話局を合併するとともに、市外回線を一万三千六百キロ
増設し、同一市町村内の市外通話
サービスの
改善をはかりたいと考えております。
農山漁村電話普及特別対策につき庄しては、前年度の倍額の三十億円をもって四千個の公衆
電話及び一万二千
加入の共同
電話を設置するとともに、現在試行中であります
地域団体加入電話の
制度を本
実施に移すこととし、約百カ所に設置する
予定であります。
以上をもちまして三十三年度
予算案の
説明を終りますが、次に、今
国会におきまして公社
関係につきまして
日本電信電話公社法の一部を
改正する
法律案、
電話加入権質に関する
臨時特例法案並びに
公衆電気通信法の一部を
改正する
法律案が政府より御
提出の
予定になっておりますが、本法案成立の暁には、
実施に当り遺憾ないよういたしたいと存じております。
以上をもちまして
説明を終らせていただきますが、この機会にあらためて日ごろの御指導御鞭撻に対しましてお礼申し上げますとともに、今後ともよろしく御援助を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。