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1958-04-03 第28回国会 参議院 地方行政委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月三日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            伊能繁次郎君            佐野  廣君            西郷吉之助君            館  哲二君            成田 一郎君            本多 市郎君            中田 吉雄君            成瀬 幡治君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 郡  祐一君   政府委員    自治庁税務局長 奥野 誠亮君    林野庁長官   石谷 憲男君   事務局側     常任委員会専門     員      福永与一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会開きます。  本日は、地方税法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案は、一昨日衆議院において修正の上、本院に送付されました。衆議院修正は、本案施行期日について、政府原案が「四月一日から施行する。」といたしておりましたものを「公布の日から施行する。」と改めたのみでありますので、衆議院側修正点説明聴取は便宜省略いたして、審査を進めたいと存じますから、その点、御了承を願っておきます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は御発言願います。
  3. 加瀬完

    加瀬完君 木引税の点でもう先日来、鈴木委員からいろいろ詳しい点が質疑されたわけでございますが、そのときにも触れておる点でありますが、木引税一般会計歳入に対する比率を見ると、一番大きいものが七三・五%、それから六〇%以上二・五%以上五・三〇%以上になりますと三十カ町村という数を数えるわけであります。これは将来の財源補てんといってもなかなか問題があると思うのです。これを今までの御説明によると、特交で埋めるということでありますが、はっきりと初めから財源に大きな響きがあることがわかっておるものを、特交という方法で埋めるということは、少し交付税法の精神からいえばはずれてくるのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
  4. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 木材引取税税率引き下げます結果起ります市町村財政上の影響は区々でございま会員会会議旧して、どの団体にも同じような結果が生ずるわけではないのでございます。税率引き下げますのも、木材引取税全般にわたる徴収円滑化をねらっているわけでございますので、その結果、全体としてはむしろ適正課税が行われて、合理的なものになる、こういう期待をいたしているわけでございます。しかし、一部の市町村には、御指摘のような影響があるわけでございますので・それも留意しなければなりませんが、それがあるがために、木材引取税全体の改正ができないということもおもしろくないわけでございますので、あえてこのような改正をいたしたわけでございます。その結果起ります問題につきましては、やはり今のような事情でございますので、財政運営の面においてめんどうを見ていくというよりいたし方がないのではないか、かような考え方を持ったのであります。やむを得ず、そういう措置によって若干の市町村についてはめんどうを見ていきたい、かように考えております。
  5. 加瀬完

    加瀬完君 それで、前にたしかいただきました資料で、制限税率をも含めて大幅に税率を下げて、しかも三十二年度と三十三年度の見込との税収開きは、一億五千七百万ですか、それくらいしかない、こういう資料が出ているわけでありますが、そこまで資料を出したら、一億五千七百万という、総計については大した開きがないということになりますが、各個の町村でどういう響きが出てくるかということも、こういうふうに、ひどいのは七三・五%も歳入響きがあるということも出ているわけですから、あわせて考えなければならないと思うのです。それだけ穴ができるならば、特別交付税ということではなくて、普通交付税の算定か何かにおいて結局この穴が埋まるような方法が前提で考えられなければ、各町村におきましては、木引税引き下げというものは、財政的に非常に大きな影響があるのではないか。ただその木引税のとり方とか、あるいは木引税のトータルにおける数字とかということだけの見当ではなくて、個々町村木引税税率引き下げられることによってこうむる影響をどうカバーするかということは、特別交付税というものではなくて、その前の問題で解決しなければならないという建前をとらなければならないのじゃないかと思うのですが、この点どうなんですね。
  6. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 御指摘のように、木材引取税税事引き下げるに当りましても、個々市町村に与える財政上の影響考えますと、漸進的に改正をしていくべきではないかと、こういうことが考えられると思います。実は政府内におきましても、そういう点は十分検討をいたしたわけでごさいましたが、昨年、木材引取税合理的な運営を期待いたしまして、税率を一%引き下げたわけであります。一%引き下げたわけでありましたが、市町村において適正課税に蹈き切った結果は、かえって引き下げ以前の状態木材引取税負担の二倍、三倍になるといったような市町村が出て参ったわけでありまして、非常に混乱を生じたわけであります。そういう経緯もございましたので、この際、全体としては、従来の税額を確保しながら、思い切ってそこまで税率引き下げたらどうだと、こういうことになったわけでございます。どちらがよろしいか、いろいろ考え方があろうと思うのでございますが、昨年の例にかんがみまして、この際としては、一挙に税率を二%まで引き下げる、こういう措置をとったわけでございます。その結果、東北や北海道市町村に対しましては非常な御迷惑をかけることになるわけでございまして、従いまして、またそういう市町村に対しましては、減収額全額特別交付税補てんする。従来の行き方から考えますと、特別交付税制度運営としましては、若干異例的なものになるかもしれませんけれども、そこまで思い切って補てんをしようと、こう考えておるわけでございます。それ以外の市町村におきましては、基準財政収入額を基礎にして考えました標準税収入額木材引取税の過去の実績が達していないと、こういうようなところが非常に多いわけでございまして、そういう団体につきましては、一段と適正課税をやっていきたい、そうして、少くとも基準財政収入額考えられているような税収額は維持してもらわなければならないのじゃないだろうかと、こういうように思っておるわけでございます。多くの市町村におきましては、適正課税を行うことによって減収を生じないのだと、こういう見方をいたしておるわけでございます。
  7. 加瀬完

    加瀬完君 これは地域的に見まして、木引税にたよっておる市町村などは、ほとんど第二次産業、第三次産業は持たないで、一般税収の非常に低い町村と言い得るだろうと思うのです。で、他の税源に求めることができませんから、木引税というものにたよらざるを得ない。それで、その木引税が、ひどいのは七三・五%もたよらざるを得ないというような因果関係で、結局その木引税というものを切り離されてきては大へんだということになってきておると思うのです。  そこで、話は少し飛びますけれども自治庁の御態度としましては、とにかく三十二年度において大幅な、たとえば木引税にしても、遊飲税にしても改正したのだから、しばらくこれで見よう、三十三年度はいらないと、こういう御説明をたびたび承わり、われわれも、それはしかるべき理由だと思っていたわけであります。で、他の税から比べれば、影響するところは小さいといっても、木引税だけをこの際、突如、今年改正しなければならない理由というものはどこにあるのか、木引税というものをいじらなければ——他の不合理なものをたくさんある。今、局長の御説明のようにやってみたけれども、いろいろな問題があるというなら、やってみて問題があるならば、遊飲税もやってみて問題があるのであって、影響するところの大きいのは、市町村におきましては、県における遊飲税よりは、町村における木引税の方がかえって影響するところが大きいと言えないわけでもないと思う。これを一応大幅に、去年変えておったものをさらにまた大幅に今年改正する、しかも、あまり今までそういう話を聞いておらなかったが、突如改正になって現われたということは、非常に私ども腑に落ちない。これは大臣がおれば大臣に聞かなければわからない問題かもしれませんけれども、これは好ましいこととは私どもには考えられないのですよ。どうなんです。
  8. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) お話のように、あまり地方税をたびたび改正いたしますことは、関係地方団体に思わざる迷惑をかける場合が多いと思います。従いまして、例年改正を加えるということは特に慎しむべきだと思います。当初そういう考えを持っておりました。持っておりましたが、昨年の改正木材引取税実施経過を見て参りますと、一%引き下げたけれども税負担はかえって二倍、三倍になって、異常な争いを起したり、こういうような混乱状態が出て参りましたので、実施後の経過から、あえて再び改正をせざるを得ない、こういう決意をするに至ったわけでございます。率直に申し上げまして、現在の法定税目の中で、法律には書かれているが、実際に行われているところがかなり食い違っているというような姿にありました税として、遊興飲食税木材引取税があげられると思います。遊興飲食税につきましては、そういう状態でございますので、例年やはり改正が加えられて参りまして、ようやく安定を見ようとしているわけでございます。しかし、当委員会の御意見もございまして、さらにその後の実施経過をしさいに検討した上で、なお進んで改正を加える準備をいたしているわけでございますが、木材引取税につきましては、今申し上げますような事情がございましたので、あえて引き続いて今回のような、このような改正をしようと決意せざるを得なくなったわけでございます。
  9. 加瀬完

    加瀬完君 いろいろ木引税についての取扱いの上で問題点があったということであれば、それはあるいは行政指導をして、行政指導で解決できるかどうかという、ある一定の期間を置いてそれでやってみて、どうにもならないから、これはまあ改正しなければならないだろうという手続が蹈まれなければならないと思うのですよ。木引税について、非常に綿密な行政指導が行われた、しかしその行政指導だけでは解決できないというふうな結論が打ち出されているというお話は、まだ私ども承わっておらない。しかも、そういうテクニックの問題もありますけれども、要は町村固有財源というものをあらゆる形で固めていこうという一つ考え方というものが今まで強くあったのが、一つ一つそれがくずされて、たとえば事業税なんかも、将来は問題になりますけれども、どうもその圧力団体という言葉が適しておらなければ、他の意見というものによって、自治庁の今までの考え方というものがだんだん変らせられてきておる。変らせられてきておりましても、基本的には固有財源というものを広げなければならないという考え方は、これは改めるわけに参りませんから、そうすると、その今までの固有財源の減らされた分が形を変えてどっかの同有財源の方に加重されてくる。これが住民税にきたり、その他にきたり、固定資産税にきたりといったようなことに将来どうしてもならざるを得ないのです。不合理というなら、住民税なんかの方に不合理な点がたくさんあると思う。こういう点を本腰を入れて改正をする方には持っていかないで、もう力関係ではないかといわれるような疑念を持たれつつ、木引税のようにその強力な、木引税の在置の強力な団体がないと、今度は木引税減免の強い力に押されて、固有財源を固めていくという考え方がくずされている。これは地方税にとりましては非常に大きな問題だと思うのですよ。単に木引税の問題じゃないと思う。こういう動きがあるということはお認めになるでしょう。単に木引税に限りません。たとえば、事業税にいたしましても、その他につきましても、遊飲税もそうですが、それらの関係者から税の減免運動というものが激しく起っておる。それは合理的なものは受け入れなければなりませんけれども、それはあくまでも地方財政収入というものと見合った上で、あるいは他との負担均衡というものと見合った上で考えていかなければならないと思うのですよ。自治庁考え方というのは、今まではそういう線が強かったと思うのです。しかしここは、新しい内閣になりましてからは、どうも情実人事ということがございますが、情実的なにおいのもとにいろいろの法律改正が行われるという疑念をわれわれはぬぐうわけに参らない、こういう感じを持っているのですが、どうでしょう。
  10. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 木材引取税運営を適正にしたいということで、従来からも努力は続けて参ってきておるわけでありまして、たとえて申し上げますと、昭和二十九年には林野庁と話し合いをいたしまして、従量課税で参ります場合の地域別樹種別石当り価格というものを市町村に示しまして、これを通じて市町村間の負担均衡化をはかろうとして参ったわけであります。その後さらに林野庁の協力を得まして、国有林材につきましては営林署で特別徴収をしていただこうと、こういうことで打ち合せをいたしました上で、市町村に通達を流して参ったわけであります。しかしながら、なお適正を得られませんので、昨年は税率を一%引き下げる、さらにその後の混乱状態から今回再び税率引き下げる、こういう措置をとったわけでありまして、経過的には今申し上げましたようなことでございます。木材引取税撤廃運動があるわけでございますし、また強い運動をされておったことも事実であります。また、そういう運動をされている人たちの趣旨をもわれわれとしましても十分検討はいたしております。しかしながら、ただ圧力団体のそういう圧力があるからその通りやったのだということじゃございませんで、いろいろ検討を加えました結果、先ほど来申し上げますような結論を得て改正を行なったのだという点は御了解いただきたいと思うのであります。  なお、御指摘のように、市町村財政需要として必要なものがあるのに、一方で税源を押えたのでは、他の種類の税の増徴になるのではないかということ、これはもっともなことだと思っております。他の税の増徴ができなければ、税外負担にまでなっていく性質のものだろうと思っております、しかし、今回は地方交付税増額地方独立税収入増額を得まして、市町村基準財政需要額も大幅に引き上げられるわけでございますので、別途必要な財源は従来よりもさらに相当なものが各市町村を通じて保障されることにもなって参りますので、木材引取税廃止の結果、あえて他の税の増徴に直ちにいくのだというようには考えていないわけでありまして、さしあたり減収を特別に補てんをいたしますならば、一そうその点は救えるのではなかろうか、こういう考え方を持っておるわけであります。
  11. 加瀬完

    加瀬完君 今度、確かに交付税税率が上りましたけれども、しかし税率を上げてもらいたいという要望をしておった地方団体側の実情を、そのまま百パーセント見るというわけにいかなくても、客観的には、一・五%上げなければ、一般財源と他の需要額との均衡がとれないということで、一・五%最低上げてもらわなければならない。これを上げたからといって、非常に一般財源が豊富になって、今までできなかった、差し控えておったいろいろの仕事が一挙に解決する、赤字も一挙に解決する、こういう形の効果を現わすほど、交付税増額というものは条件を含んでおるということにならないと思う。それで、税収伸びがあるといっても、税収伸びというのは、木引税なんかをたよりにしている町村で、税収伸びというものをそう大きなものを期待することはできないのじゃないか、そこに私はこの関係町村の問題があるのじゃないかと思うのです。木引税引き下げるということは、木引税というものから見れば非常に合理的だということも、私どもは認めないわけではありませんよ。しかし、木引税だけを合理的に扱っても、それが他の町村関係一般財源というものから見て、非常に不合理を生ずるということであっては、木引税そのものだけで合理的だからといって進めていくわけに参らないと思う。それは住民税だって何だって不合理のところはたくさんある。しかし税収入の他の合理性というものを進めるためには、ある程度バランスをとっていかなければならない、こういうことで、まあまあということで制限税率というものを抑えたり、あるいは制限税率というものがあっても、若干制限税率を上回る町村をも黙認せざるを得ないという形に置かれていると思う。そういう関係に他の税種が扱われているときに、木引税だけを取り出して合理性ということを主張することは、私は一方的だと思うのです。税全体の合理性というものからはかえって離れてくる結果になると思う。  で、まあ局長さん、いつも御説明で、交付税増額あるいは特別交付税での取扱いということをおっしゃいますが、特別交付税というものは、三十三年度、三十四年度、三十五年度と永続的に特別交付税取扱いをし得るものでもありませんければ、でき得るものでもないと思う。そうであるならば、ことしはかりに特別交付税というもので補うとしても、来年度以後はどうするのだということも当然問題として生じてくるわけですよ。それに十分な財源措置というものを講じないで、木引税をことしは特別交付税でやりますといったって、それは木引税減収になる町村では納得できる説明として承わるというわけには参らないと思う。木引税をいじるなら、本年は特別交付税というものは認めましょう、来年以後それじゃどういうふうにしていくか、一般税収伸びがあるから、それでとるとか、もっと町村税収入を上げろとか、そういうものではなくて、自治庁自体で、こういう形で木引税減免分というものは補いがつくのじゃないかという具体的な方法を示していただかないと、どうも納得しかねることになるのです。
  12. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 木材引取税関係のあります市町村は手数百にも及んでおるわけでございます。木材引取税合理的なものにいたします関係から、そのうちの何割かの市町村にとりましては、非常に財政収入が減ってくるというような状況の起って参ることも事実でございますけれども、全体を見て考えました場合には、その程度影響が生じましても、木材引取税合理化のためにはやむを得ない、こういう結論から今回の改正を行なっておるわけでございます。従いまして、特別交付税めんどうを見ていきますものは、あくまでも激変緩和経過的な措置にすぎない、こう思っておるわけでございます。一つ市町村につきましても、財政収入が激変するから改正をやっちゃいけないのだということになりますと、税制合理化ができませんので、その点につきましては、若干の市町村に御迷惑がありましても、税制度そのもの合理化のためにやむを得ず断行せざるを得ない場合が生じてくるわけであります。しかしながら、それらの市町村財政状態をも放置できませんので、特別交付税制度をもちまして経過的な補てん措置を講じたいと、かように考えておるわけでございます。しかし、将来なお、そういう市町村につきましても、適当な自主財源補てんできるような方法が講じられれば、それに越したことはないわけでございますけれども、それが考えられてからということじゃとても税制合理化ができませんので、やむを得ず、今回このような措置をしようと思っておるわけでございます。なお、それらの団体には独立税収入の増収というものはないじゃないかというお話でございます。これは大体そういうことじゃないかと思います。しかしながら、それらの独立税収入財源になって、基準財政需要額が引き上げられていくわけでございますので、そういう面を通じまして、これらの市町村にも潤いがいくのではなかろうか、こういうふうに考えておるということを申し上げたわけでございます。
  13. 加瀬完

    加瀬完君 木引税合理化というけれども木引合理化というものは、三十二年度の改正で一応遂げられているはずである。そうでなければ、去年やったことは全然だめで、こういう結果になるから、新しく変えなければならないのだという説明が当然なされなければならない。そういう御説明があまりないところを見れば、一応われわれは、去年の税率改正木引合理化というものは進んでいるはずなんですから、それをあなた方のおっしゃるように、一年なり二年なり、少し見てみて、それで非常に不合理な点は、行政的な指導をしてみて、その結果、どうしてもだめならば改正してみるという手順になると思う。それをおやりになっておらないということは、やはり木引合理化ということだけからこの税率の変更ということを考えたとは、われわれは了解できない。それはまあ別としても、適当な自主財源というものをみつけてから税の合理化というものをはかるということでは、税の合理化の進度もおそくなるので、税の合理化は税の合理化で進めていって、将来、自主的な財源、あるいはその他一般財源の補給というものを考えるのだというお考えですが、それにしても、他のいろいろの、衆議院なんかの段階でも論議になりました税改正あるいは税の修正、こういう問題に対する自治庁態度とは、木引税に限っての御態度とはどうも食い違いがあるように思われる。たとえば、遊興飲食税でもいいですよ、あるいは私は、必ずしも個人的には賛成ではありませんが、その他いろいろ修正をされるような論議になった点でもいいですよ。税の合理化ということであれば、これをそのまま進めていいでしょう。ところが、税の合理化ということでは一応筋が通っても、今度は地方団体税収というものにあまり穴があいては、地方財政としての収支の上に欠陥を生ずるから、ここで非常な大きな全額に上るものの改正は差し控えたいというのが、自治庁態度と私どもは聞いておる。それならば、個々町村にとっては、むしろ遊興飲食税や、あるいは旅館の税以上に大きな響きのある木引税というものを、その町村に対する補充財源というものを全然考えないで、ただ木引合理化ということだけを進めるということは、自治庁態度が、ほかの税に対するものと、木引に対するものとは、まるでうらはらで、どうも了解に苦しむと言わざるを得ない、理屈を言えば。  そこで、議論を進めますが、今年は特別交付税で何とかしていくというのもいいでしょう。将来に適当な方法考えるということは、こういう町村のために、制限税率の幅を今年もっと設けておってもいいじゃないか、将来考えるということは、いろいろやってみても、どうにもならないということは、制限税率の幅を来年度あたりもう少し持たせるということを考慮の中に入れておるのだと考えてよろしいか。
  14. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 税制改正態度について加瀬さんのおっしゃっておることはもっともなことだと、私どもも思っております。ただ、昨年秋以来の混乱した状態から、あえて再度改正せざるを得なくなったのだということでございます。圧力団体の激しい運動のあったことも事実でございますが、それによってこういう改正を決意したのでもございませんので、この点でも再度申し上げさしていただきたいと思うのであります。  なお、北海道関係市町村におきまして、特に大きな減収が生ずるのでございますが、この点につきましては、この間、鈴木委員から御指摘になっておったのでございますが、私はその通りだと思っております。それは、うまみのある税だったのだ、こういう言葉で表現しておられました。といいますのは、基準財政収入額を計算します場合に、必ずしも適正課税が全市町村にわたって行われておりませんので、現行法で二十億円内外の税収入しかない、こういうことで個々市町村基準財政収入額が置かれている。そうしますと、適正課税を行なっておるところでは、もっと多くの収入額が事実得られるわけでございます。ところが、適正課税の行われておりません市町村は、少額の二十億しか見ていなくても、なおかつ基準財政需要額で予想されておる税額に達していない。その結果、従来から適正課税をされておりません北海道方面におきましては、基準財政収入額をこえる木材引取税を確保しておるのであるから、地方交付税の計算の外の財源を持っておったわけであります。しかし、こういうことは、木材引取税合理化を行なっていきますと、大体得られるだけの税収入基準財政収入額で捕捉されておるわけでございますので、将来やはりこういううまみはなくなっていくはずだと思うのでございます。また適正課税を行うように持っていきますことが、税制を国民の信頼のもとに置いておきます一番基本的な問題でございますので、年々そういう努力もいたしておるわけでございます。経過的にうまみもあるのであって、将来やはりうまみはなくなるのじゃないかと思います。そういたしますと、今回、木材引取税改正を行いますが、うまみのなくなる部分につきましては、さしあたり、特別交付税補てんをしていくといういき方をいたしますことも、それほど大きな差はないのじゃなかろうか、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
  15. 加瀬完

    加瀬完君 その基準財政需要額という町村の計算が、そのまま県なり自治庁なりでお認め下さって、それと基準財政収入額というものを比べて、その差額が平衡交付金の当時のように、あの目的通りに実現されてくるというのならば、局長の御説明もその通りだということになりますが、基準財政需要額をどのように町村がはじいたって、それは割引されちゃって、その基準財政収入額も割増しされてしまって、うまみのある財源というものをすっかり吸い上げられたら、これはやりようがない、また赤字を重ねるほかはないでしょう。そうでない限りは、これは基準財政収入額考えていた以上に、あるいは六〇%も七〇%も木材引取税でカバーできておった町村は、それができないということになれば、一般の税目に税金をよけいかけていくという形をとらざるを得ないと思うのです。ですから、そのうまみを若干残してやるということで、三十三年度は特別交付税で見てやるということはわかりました。その特別交付税というものは、実際に町村では、木材引取税減収によってあいた穴を埋めるということの、総体で一億五千七百万だけを埋めることになるのじゃないかと思いますが、そう了解してよろしいですね。そう了解した上で三十三年度は町村に心配がないことは認めましょう。じゃ、三十四年度以降はどうしますか。三十三年度だけうまみを一年アルフアをつければ、もう二年目からはお前の方で何か自主財源を見つけろ、こういうことではちょっと——木引合理化はできるかもしれないけれども町村財政の方は、はなはだ不合理になってくるわけですが、三十四年度以降はどういう取扱いをするのですか、うまみは全然消してしまうのですか。先ほどのお話ですと、うまみを若干残してくれるようなお話だけれども、どんな形で残すのですか。
  16. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 基準財政需要額は、それらの市町村におきましてもかなり増額になっております。増額になりますから、それらの団体に交付される普通交付税も、他の税収入に増減がございませんければ、それだけのものが増額になっていくのであります。こういう計算とは別個に、木材引取税のうまみのあった部分につきまして、減収になるものを三十三年度はそっくりその市町村に交付していきたい、三十四年度はさらにこのうまみの点につきまして半分程度をしていきたい、三十五年度はさらにその半分程度にということで、漸減をしながら、三年程度は保障するようなやり方をしたいと、こういうように考えているわけでございます。
  17. 加瀬完

    加瀬完君 特別交付税というものは、そういうものじゃないと思うのですよ。特別交付税というのは、そういうふうに、たとえば去年は住民税一つ特別交付税のひもをつけた。ことしは木引税でひもをつける。あるいはまた自転車荷車税でも、若干特別交付税に流れていくものは出てくるかもしれない。来年、税制改正して穴が出てくるところはまた特別交付税ということになったら、特別交付税を本来の目的で使わなければならないような必要事象が起った場合には、特別交付税が何ら意味をなさなくなる。こういうやり方は、特別交付税のワクがふえてくるならば別だ。一応、特別交付税はワクを比率の上では下げてきているのですから、額は変らないですから、そして特別交付税の使用目的というものを、法律にない使用目的というものをたくさん作ってしまったら、十五条の目的というものは達しられないことになる。こういう運営というものを私はしていってはまずいと思うのです。そんな無理なことをしないで、なぜ一体、ことしやってみて、来年からの見通しが無理だと思うならば、若干制限税率——理屈には合わないかもしれぬけれども制限税率の幅を伸ばそうということを率直にお認めになるというお考えに立たないのか、そんなこと、こだわる必要はないじゃないか。どうせ、いろいろな御説明をしているけれども、無理な説明をしているので、初めから今度のように改正をすることは無理なことで、まあ無理なことを無理にさせられたと思うから、こっちもあまりほんとうのことを質問しないけれども、それならば、どうせ無理なことをやっているなら、若干つじつまが合わなくても仕方がないから、やってみて、まずかったら、特別の町村については制限税率を緩和しようということを率直にお認めになったらどうですか。どうでしょう、それでいいということになれば、もうあまり質問をしないから……。
  18. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 標準税率四%、制限税率五%をどう改正していくかということにつきまして、標準税率を三%、制限税率を四%にするにとどめる、これが一つの案でございましょう。その次には、現在のように標準税率二%、制限税率三%、これが一つの案でございましょう。その次には、標準税率を二%にするが制限税率は四%にしておくか、これが第三の案だろうと思うのでございます。いずれも検討したのでございますが、御指摘になっています最後の案につきましては、こういう基礎資材について税率の幅が二倍もあるということは、かりに暫定的であっても、いいかどうか、こういう点について疑問を持ったわけでございまして、そういう点から、あえて今回の改正案のような方式を採用したわけでございます。
  19. 加瀬完

    加瀬完君 住民税なんかは制限税率で無理に基準を整えようとしても、まだ実質的には非常な差がありますよ。これは木引税よりはむしろ響く範囲は広いのにもかかわらず、非常にまだそういう点では、税制そのものから考えれば不合理な点が残存しておる。そういうような形にしてでも、町村によりましては収支を合せていかなきゃならないということが、まあ仕方なく許されておるし、許さなければならないような現状にあるわけですから、木引税制限税率の二%程度も、やはり町村によっては許容していいという、他との振り合いから考えれば、私は理屈も成り立つのですから、全然だめだというお考えではなくて、いや、今の形で、一般財源で、木引税で減った分が確実に補てんされるという、何か他のいい方法が生まれてくれば別ですよ。三十三年度は特別交付税をやるが、三十四年度からは特別交付税は無理だということになれば、なるだけ特別交付税はそういうものに使わないでも、制限税率を何か緩和する形で、現状のうまみを残していくという方法を十分考えていただきたいと思いますが、十分考えていただけるということは了承してよろしいですか。
  20. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 関係市町村財政につきまして、深い御同情をいただいております点につきましては、私たちも感激せざるを得ないのでございます。今後の実施の推移も見まして、御指摘になりましたような点につきましても、十分検討を加えさしていただきたい、かように存じております。
  21. 加瀬完

    加瀬完君 その点は、町村の実情を十分調査の上、来年度やはり今論議されているような問題がまだそのまま残っているとすれば、十分制限税率の問題も考えてもらえるというように了解をいたし、その問題の質問は打ち切ります。  次に、自転車荷車税ですがね、自転車荷車税の廃止には賛成しています。しかし、廃止をしておいて、注文をつけるようでありますが、財源措置というのがやはり確実にできてきませんと、この財源が確実に埋まってきませんと、移動された財源町村が非常な穴があくということが匡正されませんと、自転車荷車税を廃止した目的もなくなってくるわけでございまして、このいただきました資料を見ますと、たとえば川越とか本庄といったような、まあその地方にとっては相当中心な都市でありながら、たばこの消費税ではまかない切れない、こういうことが、この表から意味づけられると思うのです。たとえば五井とか八千代といった——千葉県でございますが、こういうところが、たばこ消費税によって、いなかの町でもまかなえるようになっておりますが、これは特殊な地域です。たとえば五井というようなところは、一時間か二時間おきに支線が出る、どうしてもそこがたまり場になりますから、在が広いから、そこへたばこを買ったりなんかするという特殊な対象というものが考えられるわけです。八千代は、これはもう新しい住宅地ですから、普通の地方都市としてのサンプルとしては考えられない。そうしますと、どうしても私どもは、こういう特殊地域は別ですが、押えなければならないのは、川越とか本庄とか、こういところですら、たばこ消費税ではまかなえないとするならば、相当の町村は、たばこ消費税ではまかなえないところが出てくるのじゃないかという疑問を持つわけです。府県におきましても、十七県が減少いたしますし、この傾向は町村によれば、さらに今申します通り多くなる、で、これらの財源措置というものをどう考えておられるかという点を承わりたい。
  22. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 自転車荷車税の課税は、担税力という点から考えた場合には、それに即応した課税になっていない、こういうことが今回の廃止の一つの大きな理由でございます。
  23. 加瀬完

    加瀬完君 自転車荷車税はわかっておりますから、財源補てんだけ……。
  24. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 従いまして、それを廃止して、たばこ消費税を増率しても、なお減収になるといいますのは、地域住民の担税力からいたしますならば、他の地域よりも過大な税負担をしておった、それを是正するのが今回の目的でありますので、担税力の弱い地域の市町村におきましては、たばこ消費税が増率されても減収になっていく、これはやむを得ない結果ではなかろうかと、こう考えているわけであります。そういうことをいたしますために、また地方交付税制度があるわけでございまして、基準財政収入額がそれだけ減額になって参りますので、それらの市町村に対しましては、地方交付税増額されるので、住民負担が地域間において均衡が保たれるようになってくるのじゃないか、こう思っておるわけであります。もとより、できる限り、弱小の市町村に対しましても、自主的な財源が確保される税制を考慮したわけでございますけれども そういう税ということになりますと、現在では、たばこ消費税しかないんじゃないかと、こう思っておるわけであります。将来、なお、たばこ消費税のような税が増額されればよろしいわけでありますが、御意見に基きまして、一そう普遍的な地方財源増額できるように、われわれといたしましても努力をいたして参りたいと、かように考えるわけであります。
  25. 加瀬完

    加瀬完君 林野庁おいでになっておるそうですから、ちょっと今の質問を保留いたしまして、鈴木さんから質問があるそうですから……。
  26. 鈴木壽

    鈴木壽君 林野庁自治庁の両方にお聞きしたいと思うのですが、今問題になっておりますところの木材引取税のことでございますが、先ほど局長は、この税が安定をしないと、昨年度五%から四%の税率にしたのだけれども、波乱を生じたものであるから、これが安定化と申しますか、合理化をはかるために、さらに税率引き下げを行なったと、こういうことを御説明になったように思います。税率を下げることによって安定するかしないか、これはいろいろ考え方があると思うのですが、その問題は一応ともかく、私は、税率引き下げによって、なおかつ安定をしなかったということは、率そのものが高いことでなしに、私は、徴収の際の捕捉なり、あるいは徴税の成績そのものに関連してのことでなかったかと、このように思うわけであります。と申しますのは、これは従来、営林署等で、この税の特別徴収義務者となっておるにもかかわらず、この税の徴収を行なっていないというようなことがあるはずでございます。あなた方の、昨年までの資料によっても、そのことが裏書きされるものがあるのですから、今度この税率改正に伴っての、いわゆる徴収の適正化と申しますか、あるいは課税対象の捕捉に万全を期すというような意味から、今度は、営林署の直営部分につきましては一〇〇%、あるいは立木の売却分につきましては九〇%の徴収歩合を見るというところにも、今言ったように、私は過去において、あるいは現在でもそうであるかもしれませんけれども、営林署当局が特別徴収義務者としてのその責務を果さなかったという問題がここにあって、それが昨年の税率改正に伴って、なおかつ徴収成績の向上をはかる際に、強くそういうことが、義務を果すことが要望されたために、今までとらなかった業者から今度税金をとらなければいかぬという事態が起って、混乱が生じたものと、私は、昨年来の混乱の最大の問題はそこにあったのじゃないかと思うのです。東北あるいは北海道などはそうじゃないですけれども、少くとも関西、九州方面においてはそういう問題がいわゆる波乱の最大の原因であったと、私はそのように把握しておるのですが、この点自治庁はどういうふうにお認めになっていらっしゃるか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  27. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 国有林材につきまして、特別徴収をやってくれていなかった営林署もございます。また、木材引取税税率を適正なものにしたいという場合に、かなりそういう点につきまして御協力をいただけなかったような印象のあることも事実でございます。そういう点は、やはり木材関係業者が、かなり強い反対態度をとっておったからだろうと思うのでございますが、そういう点につきましても、今回の措置をとることによって、全面的に是正しなければならぬ、こう考えているわけでございます。
  28. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、私、お聞きしたいのは、少しさっき長くなったようでございますから、あるいは私のお聞きしたいことを、つかみかねたかもしれませんが、従来、もしくは現在までに、いわゆる徴収に際し、特別徴収義務者としての責務を果さなかった営林署があったのではないかと、その事実があるかどうかということなんです、端的に申しますと。
  29. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) そういうことで市町村からのたびたびの要望もございましたので、林野庁と話し合いをいたしまして、営林署等が特別徴収を励行してくれるようにというような文書も、昨年か出したのでございます。今回また林野庁との間で、全面的にそういう点についても、林野庁としても努力してゆくという、こういう約束をしていただいているわけであります。
  30. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると現在までの間に、特別徴収義務者としての責務を営林署においては果さなかった事実があるということはお認めになるわけでございますね。
  31. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) そのように承知しております。
  32. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは市町村で、条例によって、特別徴収義務者を指定することになっているのですが、条例によって指定されても、なおかつそのように徴収の責務をしなかったと、こういうことなんですか。
  33. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 具体的のこまかいところを承知しておりませんが、大体条例できめまして指定します場合にも、市町村のことでありますから、納得ずくでまず了承してもらうと、こういうことをやっているところが多いと思うのでございます。そういう段階において、なかなか話がうまく進まないということを、われわれ聞いているわけでございます。
  34. 鈴木壽

    鈴木壽君 じゃ市町村で条例をきめる際に、そうしますと、営林署の方ではなかなか納得しない段階があったと、こういうお話なんですが、一体納得しなかった理由について、あなた方、何かそういうことについて調査等せられて、なおかつ対策を講じられておりますか。
  35. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 私たちが聞いておりましたのは、一つは、あまり市町村の金を扱うようなことを営林署としてはしたくない、間違いを起したりすることになってもおもしろくないからと、こういうことがあるようでございました。もう一つは、営林署も人手不足なものだから、そのためにまた人手を要するようなことは、できるだけ避けたいからということもあったように聞いているわけでございます。やはり私どもは、これは一つは、基本的には木材業者に税負担を加重することになるわけでございますので、そちらの方の反対が強ければ、営林署としてもなかなか踏み切りにくいというようなのが、これもむしろ基本的なところじゃないかと、こういう感じを持っているわけでございます。
  36. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方のお調べでは、大体地域的に、これは一つ一つの営林署についてはなかなか調査もつかないと思いますが、大まかに、地域的にどこら辺の営林局管内でそういう問題が多く起っているか、これは把握しておられますか。
  37. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) そういうことをあまり具体的に申し上げますと、かえって営林署と市町村との関係が、せっかくよくなろうとしているのに、悪くなるのじゃないかという心配を持つわけであります。心配を持つわけでありますが、たとえば、前橋営林局管内その他におきましてかなり無理な点があるように、私どもは承知しているわけでございます。
  38. 鈴木壽

    鈴木壽君 林野庁長官にお伺いしますが、今の自治庁の税務局長のお答えで、営林署が、この木引特別徴収義務者になることを、いろいろな事情はあるでしょうが、どうも拒否しているというような事実について、どのようにお考えになっておられますか。
  39. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 私どもの調査いたしたところによりますというと、現在、条例で特別徴収義務者に指定されておりまする営林署の数は、全体三百三十六のうちの一百一というように承知しておるわけでありまして、従いまして、残りの百三十五は指定されておらない、こういう現状であるように思うわけでございます。  ただいま自治庁の方から御答弁に相なりましたように、一応、地方のことでございまするから、指定をされる前に、町村当局との間に話し合いがされるということが通例であるように考えておるわけであります。そこで、どういうわけでこういうようなことになっておるのかといいますと、私ども指導といたしましては、あくまでも全面的に協力をするようにという指導を従来からやって参っておるわけでございますけれども、どういうわけでこういうことになっておりまするかというと、大体、私どもの承知しておりますところも、自治庁当局のお話しのように、まあできるだけ国有林野会計以外の現金扱いはいたしたくない、こういうようなこと、並びに人手不足というようなことが主たる事由のように思うのでございます。しかしながら、実は特別徴収義務者に指定をされてはおりませんけれども、できるだけの協力をいたすという意味からいたしまして、営林署におきまして納付令書を発行いたしまして、引取者から直接に市町村に納付をさせる、同時に納税されたという事実を確認いたしましてから引渡しをするというような、まあ便宜的な方法によっての協力を申し上げておるというような事実も実は承知をいたしておるわけであります。若干の地方事情とからみまして、全面的に御満足のいくような協力態勢になっておらないということは私どもも認めます。しかしながら今後の方針といたしましては、全営林署が特別徴収義務者として全面的にこれに協力し得るように、十分に指導を徹底いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  40. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も実は非常にりっぱにこの義務を果されておるところを、私の郷里の方でも知っております。今お話しになったように、令書を出して、市町村に納めてから木を引き取るようにしております。これはまあ的確にできることでございますから……。  しかし、先ほどあなたもお認めになったし、また自治庁の方からもお話しのあったように、前橋営林局とか、あるいは大体関西とか九州の方では、まあ拒否をしておるようなところがある。こういうことも私どもも承知しておりますが、これはいろいろ、何と申しますか、金を取り扱うことそれ自体は、だれもやっぱり好きな者はございませんし、また取り扱うためには、新たな人手を要するようなことも場合によってはあるかもしれませんから、これは迷惑なことはあると思いますが、しかし地方団体のために、あるいはまた、いわば法律にきめられておるこういう税のために、一つ積極的にこれに極力をするような態勢に持っていってもらうように、ぜひ一つこれは長官から、従来にもましての強い御態度で、地方の営林局並びにその下にある営林署にまで徹底するようにしていただかないと、この問題は解決しないと思うのです。とらないでおるところは、こういう事務的な煩瑣、あるいは人手を要するという新たな経費を必要とするような場合もあるかもしれませんが、中には、業者の反対によってどうも困る、こういうことを言っておるところもあるやに聞いております。もし、このようなことが事実だとすれば、これは非常な問題でありましてこれは業者の利益のために、営林局あるいは営林署がそのようなことを私はなすべきではないと思うので、この点を含めて、一つ長官の御決意のほどを聞かしていただければありがたいと思うのですが……。
  41. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) お話のように、確かに関東以西と申しますか、につきましては、必ずしも十分なる協力ができておらなかった。それに反しまして、東北、北海道地域におきましては、全面的に従来からも協力を申し上げてきたという状況でございますが、国有林野の事業と地元市町村との関係というものは、非常に密接不可分のものであるわけでございますからして、いずれの場合におきましても、全面的に協力いたすというのが当然の建前であろうかと思うわけであります。私といたしましては、今後の問題につきましては、責任を持って全面的に協力をいたしまするように、管下の者をして徹底を期したいと考えております。
  42. 鈴木壽

    鈴木壽君 重ねてお伺いするようで恐縮でございますが、従来の自治庁で見ておりましたこの木引の徴税成績は、この営林署自体においても、必ずしも高いパーセンテージで見ておったわけでない。今度直営に関する分は一〇〇%見る、それから立木のそれに対しては九〇%を見るということで、私ども資料をいただいておりますが、この点については、長官の方ではっきりお約束できることなんでございますか。
  43. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 直営によります素材につきましては、私どもの管轄機関がみずから生産をいたしているものも、具体的に引取者にこれを渡すわけでございますから、従いまして、全営林署長が特別徴収義務者になりまして、通常行われる役所の業務と同じような感覚をもってこの仕事を責任処理いたしまするならば、これは百パーセントということがはっきり申し上げられるわけであります。立木の売り払いにつきましては、私どもといたしまして、当面とり得る方法といたしましては、立木の売り払いをいたしましたつど物件の内容を明確にいたしまして、その売り渡し人を市町村長にこれを連絡する、一件ごとに連絡をするということによりまして、捕捉を確実にいたそうということ、さらに指導上の問題といたしましては、そのことによりまして、納税が確実に行われたということになりませぬ限りにおきましては、その後の立木売り払いの場合の相手方としてこれらを除外するというような措置まで講じましてまあ協力いたすということにいたしませんというと、私どもとしましては、九〇%のお約束はできないのではなかろうかと考えておるわけでございます。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 立木の場合でも、これはいわゆる特別徴収義務者の責務の範囲等のことにも関連するとは思いますが、努力すればあるいは百パーセント可能じゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、立木を売却してやる場合と、直接一つの素材としてここに持ってきて、あれを土場なら土場まで持ってきてやっておる場合と、売り払いの方法が違うのですが、あなたの方で金のとり方とか、そういうようなことで違うのですか。
  45. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 立木を売り払う場合におきましては、営林署長が特別徴収義務者となって特別徴収をするということが大へんに困難ではないかと、かように考えるのであります。従いまして、立木を売り払いました者が、買い受け人の伐出によりまして、これが第三者に売り払われるという場合におきましては、その買い受けました第三者が市町村にこれを納税するということに相なるものと考えまするし、立木の売り払いを受けました者が生産いたしましたものを自己消費するという場合には、立木の買い受け人がこれを納税する、こういうことに相なるもののように考えておるわけであります。
  46. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこら辺、私はちょっとこまかい技術的なといいますか、事務的なことはわかりませんが、直接の買い受け人から、立木の場合であっても、これはその後他に転売しようと、どういう経路をとって消費されようと、直接の、たとえば私なら私が、立木のまま買ったといった場合に、私から木引税を納めるというような形をとるべきが至当だと思うのですが、第三者に納めさせるという、あるいは第四者か第五者になるか知れません、そういう経路をとっていきますと。そこら辺、直接的に買い受けをした人その者から徴収するという方法をとれば、営林署においてそういう方法を徹底してやるとすれば、百パーセントとれるのじゃないだろうか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがでしょうか。
  47. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これは素材という形になりまして、製品の流通段階におきまして課税されるものでありますので、立木のままでございますと、それからどういう内容の製品がどれだけの数量確実に生産されるかということは、生産をしてみた結果でないと明確にならない、こういう見解をとっておるわけであります。
  48. 鈴木壽

    鈴木壽君 いずれも専門家でございますから、立木でこれからどのくらいの材積のものがとれるか、これはもう測定する人もいますし、売り払うときだってそういうことをちゃんとやってやりますから、これは不用になる部分もあり、不測な、あるいは中が空洞で役に立たなかったということがたまにあるかもしれませんけれども、そういうことは、率にすればきわめて少い率であって、売り払いする際に、これが素材としてどのくらいのものであるかということは、みんな計算して売るし、買うし、私はそういう点まで的確にどうのこうのというようなことになりますと、ちょっとそこにずさんな売り払いの方法がとられているのじゃないかという疑念をいだかざるを得ない、その点どうですか。
  49. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) もちろん、立木のまま売り払う場合におきましても、ただいまのお話のように、歩どまりを計算をし、従いまして、そういう立木を買い受けた場合に、一体どういうような種類のものがどの程度出るであろうということが、いわば立木価格そのものを決定する要素になるわけでございますが、そういうような点につきましては予測がつくわけでございますが、確実に生産をされました具体的な内容についての明細なものとは、若干の食い違いは生ずる、こういうことに相なろうかと思うのでございます。従いまして、私どもといたしましては、そういった立木価格算定の要素をもあわせまして、これらのことを市町村長に通知をするということになりまするというと、その市町村長の側におかれまして、具体的に徴税をいたします場合におきましては、おおむねどういう程度のものがどのくらい出ただろうという見当は十分につくわけであります。いわゆる把握の仕方といたしましては、相当的確な把握というものができる、こういうふうに考えております。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほどのお話の中に、立木売却の際に、市町村に通知して、市町村から第三者と申しますか、それから徴収させるようにして成績をあげていきたい、こういうことがありまして、そのお話の中に、もし納めないようなものがあれば、次回の払い下げ、売り払い等には参加させない、こういうことがあったのですが、これはきわめて私はありがたい言葉だと思うのですが、ほんとうにそういうふうにやっていただけますか。
  51. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 先ほど申し上げましたように、先ども徴収をいたしまして、全面的に納めるというものにつきましては百パーセントの責任を持てるということでございますが、ただいま申し上げましたように、立木については一応九〇%という見当をつけておるわけでございます。けれども、この九〇%もなかなかのものでございます。そこまでやらなければならぬ、これは契約を締結いたします場合の条項の中にうたうという方法によって、適当に行い得ると考えて、指導をいたすつもりでございます。
  52. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関連して。今、立木を九〇%とおっしゃいましたが、今までの実績は何%ですか、立木の場合は。
  53. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 実績につきましては、私ども特別徴収を立木についてはいたしておりませんので、あまり明確に承知しておりませんが、とうていそういう段階まで、もちろんいっていないわけであります。政府委員奥野誠亮君) 国有林の立木についてどうというような調査をいたしておりませんので、お答えしかねるわけでございますが、捕捉の問題と、それと石当りの税額の問題と、両面あるかと思います。
  54. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると九〇%という数字は何も根拠なしで、ただ単にここに出てきた腰だめ的な数字で、大体このくらいとれそうだという、そういう数字なんですか。
  55. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 立木売り払い分につきましても、今、林野庁長官からお話しありましたように、全面的に協力する。そうすれば九〇%は確保できるだろう、またそうしてやる、こういうふうなお話もございまして、税収入の見込額を立てて参ってきているわけでございます。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の率の問題は、実は私もちょっと心配なものですからお聞きしたかったのですが、よろしゅうございましょう。  一つ長官、これはうわさですから、私も実態をつかんでおりませんけれども、こういうことなんですが、営林署によっては、木引税をとっておりながら、なおかつ町村には払わないというところもあるやに聞いているのですが、こういう事実について何かそういう金を業界の方の金に使うとか、そういうこともあるやに聞いているのですが、そういう事実についてはいかがですか。ちょっと想像つかないようなことなんですけれども、話として私は聞いているのです。
  57. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 木材引取税をとっておりながら、それを市町村に納めないで使っている、営林署において使っているという……。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 いや、営林署でなしに、業界の、そこの土地の業者の会とか何か、そういうことに使っているというようなことを聞いたことがございますけれども、いかがですか。
  59. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 私どもといたしましては、全然承知いたしておらぬのでございますが、十分調査を徹底していきたいと考えております。ただ、従来特別徴収をいたします場合に、所要の若干の手数料というようなものを町村からちょうだいしているというような事例が若干あったことは承知しているわけでございまして、しかし、これらにつきましても、今後は全面的に廃止するということを考えております。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 木引税に対して営林署が特別徴収義務者になることについておっくうがっておった。今度はそうでなしに、長官の、何と申しますか、責任においてそういうことのないようにする、こういうお話で安心したわけですが、これは考えてみますと、地元の方々のいわゆる国有林野に対する協力というものも、私は有形無形に非常に大きいものがあると思うのです。特に火災等の場合には、これは地元の人たちは、もう直接営林署に関係あるなしにかかわらず、防火、鎮火に努めた例なんか私も知っているのですが、そういうこともありますし、先ほど申しましたように、これは町村にとっては大事な一つの自己財源として見ている税なんでございますから、これは特に一つこの問題に対する協力方を、長官から末端の営林署長、あるいは取扱いの人に至るまで、ぜひともやっていただきますようにということを特に要望して、私、長官に対する質問を終ります。
  61. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いただきました資料を見ますと、木引税市町村の税の六、七〇%、八〇%にもなる町村があるのですが、これが今回の改正で、できるだけ合理化して、あまり減らないようにする、減るものは交付金で見るということにしても、そういう山村の林政が後退しないかという点なのですが、七、八〇%も木引税に依存していますところは、水田も畑もおそらく少いでしょうし、そこの住民の福祉というものは、山林資源の開発にほとんど依存していると思うのですが、木引税等が形が変って、交付金等で一般財源のような形でくれば、それがおのずから町村の林政の後退、やがてそれが住民の福祉というふうにはね返ってくることはないかどうかという点なのですが、どんなものでしょう。その市町村自身でやはり特別な、林野庁がお立ての植林、砂防、林道というような補助金がついてずっときたやつをこなしていく以外に、やはり山村では、産業経済費としてかなり計上しているところもあると思うのですが、そういうことの後退というものはないでしょうか、どうなのでしょうか。
  62. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) この自主財源の乏しい山村地帯におきまして、木材引取税が相当大きな財源の部分を占めておるというような町村は、必ずしもそう少くはないわけであります。これによりまして、あるいはその金額に相当いたしまするものの一部をもちまして山村施設をいたして参るというようなことも、十分に従来考えられてきておるように私ども考えるわけでありますが、確かにただいまお話しのように、全面的にそういう地域の林政に悪影響を及ぼさないということは言い切れないのではないか。若干具体的に申し上げまするというと、治山事業のようなものにつきましては、私格別な影響はないじゃないか、かように考えるわけでありますが、林道の開設事業の場合におきましては、御承知の通り、いわゆる地元負担、受益者負担というものがあるわけでありまして、なかなか、いわゆる直接の受益者が十分に負担し切れないというような場合に、直接の受益者の負担すべきものの一部について町村として負担をするというようなことは、従来からやられておるところがあるわけであります。それから、特に造林でございますが、町村営の造林につきましては、もちろん、造林補助金の交付対象になっておりますけれども、いわゆる自己負担分に相当する部分につきましては特別融資、特別起債の道もないというような現状からいたしますと、いわゆるこの自己負担分の負担というものが、こういう措置によりまして、山村地帯で相当程度に減って参るということによって後退していくというような、やや具体的な影響が現われてくる懸念も十分ある、かように考えておるわけであります。
  63. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、やはり合理化して無理のないことで、漏れなくとるということも一つ方法だとは思うのですが、そういうやはり山林政策の振興なしにはやれないところを、やっぱりひものつかぬ一般財源のような形でくると、まあ何年か先でないと実がならぬようなことは、ともすれば等閑に付されて、それがはね返ってきて、長い目で見ると、住民の福祉に影響がないか。これは市町村ですから、林政をやるといっても、財源、事業量その他で限界があると思うのですが、その点を私は、特殊な町村で、その振興なしには住民の福祉はないというところが、これはどうなのでしょうか。町村で植林したりする場合なんかにはね返る面はどういうことでしょうか。
  64. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) いわゆる補助金交付を主体にいたしまする助成手段というものは造林事業で行なっておるわけでございます。そういう場合に、平均をもって見ますと、やはり新植費の六割は自己負担しなければならない。要するに自己負担財源がなかなか調達できないというところに、いわば町村における造林というものが、その自力ではなかなか行えないという問題が実はあると思うのであります。そういう面への影響というものは確かにあるように考えられます。
  65. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ一つ今後その改正実施された後に、やはりそういうことを気をつけて、悪い方にはね返らぬような御検討をいただきたいことをお願いしておきます。
  66. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 百三十五も未指定の営林署があるということを先ほどおっしゃいましたが、この百三十五も未指定になっておる理由は、その町村が条例で定めないのか、あるいはあなたの方が拒否されたのか、あるいは両者間において円満な話の妥結ができなかったという格好になっておるのですか、その辺どういう事情でしょうか。そしてそれが方向は、東京を境にして東の部面か、西の部面か……。
  67. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これは確実なことを責任を持って申しあげるということには相ならぬかと思うのでございますが、御承知のように、国有林野の仕事と地元町村というものは確かに非常に深い関係があるわけでございますが、条例によって特別徴収をするというような場合につきましても、町村長と営林署長の間にはあらかじめ話し合いをいたしましてやるというのが通例じゃないかと、私どもそういうふうに承知をいたすわけでありますが、そういう場合に、まあこういうふうな理由によりまして、どうもあまり指定されることはおもしろくないというような意味合いのことが直接の原因になりまして、未指定ということでは私ないだろうと考えております。その場合におきまして、傾向といたしましては、やはり東北、北海道方面の国有林野の持ちます地方的な影響力の非常に大きいところというものにつきましては、それだけに地元市町村との協力関係も深いわけでございますので、そういう方面は非常に全面的に協力しておるようでございますが、関東以西の方に未指定、比較的協力の程度の低い営林署が大へん多いのじゃないかというふうに考えております。
  68. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 奥野さんに伺いますが、やっぱり未指定のところは、徴収が悪かったり、また問題も起りやすいのじゃないかと思うのです。営林署関係が四〇%未指定になっているということに対して、今まであなたの方と林野庁と全然話をしなかったのか、今度の法律改正に基いて何か協定をされたようなんだけれども、何にも今までしてお見えにならなかったか。
  69. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 林野庁とは実はたびたび御相談申し上げておるわけでございまして、昨年も国有林材については営林署長が特別徴収を行う、この点については林野庁も了解済みのところで文書を流しております。それからその前に、二十六年でありましたか、二十六年にもそういう文書を出しております。逐次よくなってはきておるのですが、今、林野庁長官お話しになりましたほど強い気持を林野庁としては持っていていただけなかった、やむを得ずまあ林野庁も協力しなければならないのだから、そういうふうに督励することにはしようという程度の御協力はいただいておったと思うのですが、今回のような強い態度は聞いておりませんでしたので、今度は真に林野庁の全面的な協力が得られるものだというように私たちも確信をいたしておるわけであります。
  70. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 理屈を言えば、税率が下って、そうして林野庁が協力するというのは、何かどうも納得がいかぬ。税率のいかんは私は問題じゃない、こういう問題については……。税率が下って林野庁の全面的協力を得られる次元ができたというのは納得しかねる、こういうことだけ申し上げておきたいと思います。  で、林野庁に伺いますが、先ほど地元町村との関係が非常にうまくいかなかった、固定資産税関係に見合う交付金の問題ですがね。実際まあ山村に行けば、国有林が普通、村のいろいろなことを圧迫しておる、一面からいえばそういうことが言えると思います。で、町村の固定資産に見合うものを私は支払わなければならないと思っておるわけですが、今までずいぶん低いと思うのです。これに対して何かお考えございませんか。
  71. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 御承知のように、国有財産台帳に登載されておりまする、交付金の算定標準額に基きまして交付をいたしておるという現状であるわけでございますが、この固定資産の額の評価が、近傍類地の民有林の場合と比較して低いじゃないかと、こういうような議論が確かにあっておるわけであります。私どもといたしましては、昭和二十九年の四月一日現在で実施いたしました国有林野事業特別会計に属します固定資産の価格改訂のときに調査をいたしましたものをもちまして、現在、交付金交付の場合の標準額にいたしておるわけでございまするが、これはいずれ再評価の時期というものを得まして、やはり改訂すべき事情にあるのではなかろうかというように実は私ども考えておるわけでございます。ただ、件当り平均の民間の林地価格というものと国有林の平均の価格というようなものを端的に比較いたしますと、国有林の方が低くなるわけでありますが、これは御承知の通り、国有林のあります地域というものが相当奥地に偏在するというような事情からいたしまして、本来そういう姿において私どもは民有林の場合と均衡すべきものであろうかと、かように考えております。
  72. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 二十九年の四月一日のときのものできているわけですが、これは近々のうちに改訂される意思があるのかないのか、それを伺っておきたいと思います。
  73. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) これは私どもといたしましても、所属いたしておりまする固定資産の価格を常時的確に把握するということは損益計算上も必要なことでございますので、近くこれを改訂するための調査をいたすべき段階であろうかと、かように考えておるわけであります。
  74. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 町村において固定資産税の評価額というものは、自治庁の通達というものは、年々歳々御承知のように変ってくるわけであります。ところが国有林野だけは四年も五年も据え置くというのは、少しあぐらをかき過ぎた行政だと思うわけであります。ですから私は、やり方というものが一つスライド方式もありましょう、いろんな方式があると思いますから、やはりマッチした、調和のとれた形にならなくちゃならぬと思うわけです。そういう点を一つ自治庁と十分話しをしていただいて、独善といっちゃ大へん失礼な言葉かもしれませんけれども、そういうことのないようにしていただきたいと思います。今聞きますと、調査の段階だとおっしゃる、調査調査といって何年も据え置かれちゃたまったものじゃないと思いますから、私は、全国的な調査の仕方もございましょうが、スライドをするということもあると思いますから、それに合わせたやり方というものを特に私孝えていただきたい、どうでありましょうか。
  75. 石谷憲男

    政府委員(石谷憲男君) 私どもといたしましては、確かにお話しのように、民有林の価格との間の均衡というものが、常時保たれた価格でなければならない、こういう意味におきまして、実は自治庁当局からもそういった意味合いの申し入れもちょうだいをしておるような事情もございまするし、すみやかにやりたいと、かように考えておるわけであります。
  76. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  77. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記つけて。  午前は、この程度で休憩いたします。午後は一時半より再開いたしたいと思います。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時五十七分開会
  78. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のおありの方は、御発言を願います。
  79. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 郡長官にお尋ねしますが、地方税法の審議もだいぶ進んできたのですが、大阪に参りました自由民主党の川島幹事長が、地方税改正について重大な発言を、地方税の審議の最中に言っているのですが、これは大臣とよく打ち合せしてあるわけですか。
  80. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) このたびの予算編成の時分から、いろいろと地方税については、与党である自民党、従って、幹事長などとも話し合いをしましたことはしばしばあるのであります。最近におきまして、ことに御指摘の、大阪で話をしておる、それに関しましては、その前におきまして、格別、相談、話し合いというようなことはございません。
  81. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 党と政府とは別だといえば別ですが、超然内閣というわけでもなしに、政党に基盤を置くやはり議会政治で、党の代表として内閣の要路につかれているのですから、われわれとしては、やはり総裁、副総裁、幹事長、総務会長というような党の重要なポストを占められる人の発言は、これはやはり政府内閣の方針に非常に重要な影響を及ぼすと思うのです。そういう点で、われわれ法案審議の最中に、重要なこれに対する判断をしようとするときに、こういう発言をされては、一体、党と政府地方税に対する基本的な見解がどこにあるかということで、実際、これはこういう関係がはっきりしない限りは、もう法案審議の対象にならない。きょうは、川島幹事長の帰京を待ってやってもいいというぐらいに思うのですけれども、一体どうなんですか。
  82. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私どもも一貫して中小企業対策、中小企業者の負担軽減というような点は、国会でも常に御指摘がありまするように、考えなければならないことの重要な問題だと思うております。同時にしかし、地方財政の現状から申しまして、府原税というものが住民税事業税というものを主軸としておる。従いまして、確実にかわり財源等を付与いたし、地方財政が円満に運行できるような条件に置きませんと、にわかにこれを取り上げることができないことでありまするので、十分検討しつつ、政府においても大規模な税制の審議機関を設けまして、そして中央、地方を通じて、いかなる税をいかに軽減することが適当か、また、かわりに付与するものをいかなるものにしたらよろしいかという検討をしてみたいと考えておるのであります。そのような税制審議機構もこしらえますることも、党においてもよく承知をいたしておりますので、私のただいま申し述べましたような意味合いで川島幹事長は発言をされておる次第と御了承を願います。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私の党は野党ですが、委員長が旅先で地方税について発言をする場合は、政策審議会のその部門と打ち合せして、そして発表を機関を通じてやるわけですが、地方財政全般を所管されておる郡長官と、まあ話も旅先に出るまでにはなかったようですが、長官無視ということにはなりませんか。
  84. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは終始このたびの発言は、ただいま申し述べたような意味合いに御了解を願いたいのでありまするが、地方財政、税政につきましては、党との連絡はきわめて緊密にいたしております。また、御指摘の川島幹事長自身も、自治庁長官の経験がありまするので、これにつきましては、特に意見の交換はしばしばやっておりますので、これは中田さんの属する党と同じようなやり方をいたしておると御了解を願います。
  85. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ私の知る限りでは、あまり有能な長官でもなかったようですが、(笑声)結局、幹事長がこういうことを旅先に行って——総選挙等もあり、そのことがまあだんだん具体化してくると思うのです。この税をもっと軽減して、適正にするという立場をとるわが党としてはいいんですが、この点は、私は第一、政府がこの十二月の十三日ですか、自治庁が、大蔵省との関係もあって、交付税関係その他で、交付税を引き上げるかどうかというような際に、公式な文書を発表して、地方財政の現状からして減税の余裕は断じてない、こういうことをいろいろ言われて、それは大蔵省との折衝上、交付税の一・五を引き上げる戦略上の要請もあったと思うのですが、とにかく、地方財政は減税の余裕はないと、公式の見解をもうはっきり数項目あげて自治庁の公式の見解として、やはり事業税を含んで地方財政の現況からしてはもう減税の余裕はないのだということを言われておるわけですが、これとの関連から見て、あまり大してまだ時点のそう隔たりもないのですが、どうなんでしょうか。あまりにも一貫性がないように思うのですが……。
  86. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私、一つの、ただいまお話しの十二月ごろ最も苦慮いたしました点は、交付税率の引き上げ等を主張いたしまして、そのかわりに事業税の減税であるとか——当時は軽油引取税が一つの問題になっておりました。こうしたことが一緒に問題になりましたときに、地方財政の上で心配せにゃならぬ状態が起る、これが一番気づかったことであります。従いまして、ただいま御審議を願っておりますような税制でもってまず三十三年度においては考えるべき要点であると、こういう工合に考えたのであります。しかし同時に、事業税の問題で、中小企業対策というものをどうしても、これからの国の経済を考えて参ります場合に、これはやはり同時に考えなければならない。しかしながら、これは皆さんがよく御承知のように、地方財政全体の状況から見て、これに対応する措置を講じなければならない。従いまして、今度、自転車荷車税がそうでありますように、地方税の軽減の場合には、何らかの方法でこれに見合うものを与えなければならない、そういう点をあわせて、しかしながら同時に考えて参らなければならぬ時期がきておると、こういう工合に考えております。
  87. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 われわれとしては、この発言は、郡長官がなされたのではないが、しかし、政府と党とは一体であるという点で、法案審議の最中に、はなはだ党の責任ある地位として不見識だし、また、やがてこの法案に対して態度を決定しようとする国会に対してもはなはだ侮辱といいますか、そういう可能性がもうあるなら、わが党がすでに地方税法の一部改正案の中に事業税を入れておるのですから、来年といわず、やっぱりやってもいいのを、ああいうことでは、選挙を控えて地方税を二、三にするものであるということで、われわれとしては、はなはだ遺憾に思うわけであります。せめてこの法案が通ってから、そうして将来の課題として言うのならですが、まだこの法案に対して賛否を明らかにしない、政府が諸般の情勢を見て、昨年、本年、来年度等を見て、この案をまあ最上のものとして出されているのに、そのさなかにやるというのでは、一体これをわれわれは、何のための川島幹事長の発言であるか、一体こういう状況で審議していいかどうか、地方財政には余裕があるというのか、あるいは中小企業育成のためにだか、その辺はっきりしていただかないと、ことしはこうだが、来年はどの程度どうするかと、そういう課題として取り上げられるからには、やはり相当な方寸もあることでしょうが、そういうことも聞かぬと、どうもこれなかなか審議すると言っても、めくらめっぽうで政府の出されたものは何でもけっこうですというのでは、はなはだ国会としても権威がないわけですし……。  委員長、これは私は一つこういうことに対して、一体、委員長も、これはまあ政府の、郡長官が言われたのでないから、それとは無関係だというようなことでいいでしょうか。政党というものは、大体そういう放言をするものだというふうにとられていいのでしょうか、どうなんでしょうか。私はやっぱり政党政治の建前からいって、党と政府は不可分なものだし、とにかくこの審議の最中に、きょうやろうというところに、きょうああいうことを言われては、われわれは、それを含めて、やはり党の真意を、政府の基本である党の意向というものがはっきり出ぬと、これ困るのですがね。そういうことでは、委員長は超党派的な意味で、この委員会の長として、自由民主党から出ているというだけでなしに、この法案を質疑応答して、決着をつけられる責任者としても、とにかくそういう法案審議の最中にということは、委員長を含めて当委員会を侮辱するものだと、はなはだ大幹事長としての軽率のそしりを免がれないというふうに思うのですが、委員長、いかがでしょう。
  88. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまのお話でありますが、私もまあ政党政治の建前からいって、あまり好ましいことではないと思いまするが、しかし、事柄は、ただいま上程中の法案そのものに変更を加えるとか、そういうふうなことでありませんので、真意は、来年度どういうことをしたいと、こういうお考えを、これはまあ個人的に述べられたと、こういうふうに考えまするので、この法案の審議は進めていきたいと、そういうふうに考えております。
  89. 加瀬完

    加瀬完君 税制審議会ですか、これらの答申にも、たびたび事業税が出たことがあるのですけれども、今の自治庁態度は、事業税はなるべくいじりたくない。自主財源のうちで一番大きなものだから、事業税減免についてはなるべく阻止をしたいと、こういう立場できたと思うのです。私は、川島さんの言葉じりをとらえるわけではありませんが、今、長官のお答えでも、来年度は事業税そのものもだいぶ自民党としても、今までの自治庁態度は変って、いじっていくのだというように聞えるのですが、そういう……。
  90. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) どういう工合に聞えるのですか。
  91. 加瀬完

    加瀬完君 今までの自治庁は、小さいもので、いろいろ今度もいじっておりますが、事業税そのものには触れたくないという立場が強かった。そういう説明もあったし、そういう御態度であった。しかし来年度は事業税そのものの減免措置というものも大きく考えていくんだ、こういうことになりますか。
  92. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 事業税につきましては、今まで臨時税制調査会でも、地方制度調査会でも、それぞれ、しばしば答申がございました。その答申の大部分というものは、これはそのつど地方税制の改正に具現して参って参りました。それで、今年の三十三年度の地方税法をこしらえますにつきましては、その前に、別にどちらの調査会からも、たとえば臨時税制調査会等では意見の開陳はございましたが、答申というような形は出ておりませんでした。従いまして、まあこれは加瀬さんもよくお察しいただけると思いますが、私どうも地方税制というもの、財政というものが、地方の方には立てている柱が弱い柱を立てている。しかし、それはしばしば各委員会で御指摘もありますように、それは事業税というような税に非常に強くたよっていることがいいかどうかというような問題がございますけれども、さて、それじゃもっと強い柱というものを与えてやらずに、現在の柱のよしあしを論ぜられても、それは困ることだという意味合いでは、強く私どもは対抗いたしております。しかしながら、おそらく、これで今までの臨時税制調査会よりもはるかに規模の大きい、私はおそらく、今後こしらえます税制審議会では、一方では国税部門、一方では地方税部門、これをはっきり分けまして、そしてそれを合わせて考えていくというようなやり方をいたして参ることに相なるだろうと思います。そういたしますと、今までよりももっと新たなる財源をどう考えたらいいか、あるいは国と地方との間の転換をやることが可能じゃないかとか、いろいろな問題が起って参ると思います。そういう場合には、私は事業税という問題は、やはりこれは取り上げられる問題で、その場合に地方財政全体の立場から、地方財政がほんとうに立っていくように、三十四年度はそれまでよりも一段と進歩いたしますようにという意味合いで、一つ取り組んでみたいと思います。その場合に加瀬さんの御指摘のように、税なり財政地方の実情でございますね。それをよくみんなの頭に入れといて、そうして一つものを考えるという段取りに進んで参りたいと思っております。
  93. 加瀬完

    加瀬完君 よくわかりました。そこで、今、長官が御説明になられた通り、国と、それから都道府県、市町村という、それぞれの団体税源のアンバランスというものがありますから、これも一つ有力な考慮の条件になると思うのです。それから、都道府県と市町村の間でも相当のアンバランスがあります。そういう全体的な立場で、基本的にはやはり地方財政がそれによって強力化されるということでなければ、私は地方税あるいは地方財源をいじる意味というものはなくなってくると思うのです。事業税だけを取り出していじるいじり方というのは、私は非常に危険があるのではないかと思う。これも税制調査会では、法人事業税などをも大いに率を下げることを主張しておりましたが、地方制度調査会では、法人事業税については、割合に据え置き説が強くて、個人事業税の方をもっと考えるべきではないかという意見が強かったと思います。法人事業税に限ってみますと、特に大法人は、この前もこの委員会でお伺いをしたのですが、電気ガス税にいたしましても、あるいはその他の国税の減免措置にいたしましても優遇されている面が多いと思うのです 電気ガス税や、その他についての今までの自治庁の御説明によると、国税関係減免になったのはそのまま地方税でも減免にするという立場を大筋としてはとっているようですけれども、これらの点も、国税で減免になったから地方税でも減免にしなければならないという考え方は、ある程度、大方針については修正していただかなければならない。意見がましくなりますが、こういう意見も成り立つと思うのです。こういう点も考えていただかなければならないのじゃないかと思っておるのですが、それらの点について、長官どうお考えになっておりますか。
  94. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私も今、加瀬さんが言われました点、多くの点、同感するものであります。たとえば、私自身が答弁しておりますときも。だからといって、しっぽをつかまれると困るのですが、電気ガス税は消費税として純化するのだと、こういうことを言う。ところが、なかなか、どんな形にしたら消費税として純化するのか、地方財政としてそれがどういう状態にほんとうに置き得るのか、なかなか申しておりますることは、私は一つ一つ意味を持って申しておりますけれども、それを実際に現わすとなると、なかなか踏み切れないところが多いのでございます。  従いまして、御指摘のようないろいろな点を、それは事業税にも問題がございます、固定資産税にも、住民税にも問題がございます。これらの問題をどういう工合に解決をしていくか。しかし方向は常に前進していけますように、よくなりながら、しかも税のことでありますから、あまり不安定な状態には置きたくない、落着いた状態に持っていく。しかし来年と申しまするか、今年はぜひ一つ税については洗いざらいの問題を——それが全部解決するとは思いませんけれども、御指摘のようにバランスのとれたものにして参りたい。国、地方地方団体そのほか、ぜひそうしたいと思っております。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 そこで、地方財政の問題にも触れて、参考人としておいでになりました早大の時子山教授が、結局、税源を確保するという点からは、工業地域の分散ということもあわせ考えなければならないだろうという御意見を御開陳になったわけであります。税制そのものを変えたり、税源そのものの配分を考えたりすることも重要でございますが、富裕団体と貧弱団体がこのように区別されて、このアンバランスというものを解決しなければ、やはり地方財政そのものを強化するということにはなかなか問題の解決にならない。その一つとして、やはり工業地域の分散といいますか、未開発地域に第二次、第三次産業を分散させるといいますか、こういう方法も迂遠なものでありますが、これは相当考えていかなければならないのじゃないか。たとえば府県によりましては、特に府県が多いのですけれども第一次産業ばかりで、第二次、第三次産業の貧弱なために、事業税からの収入がない。そこで非常な無理をして誘致条件を出して、工場等を誘致いたしております。たとえば県税などに対して減免措置を講じたりいたしております。すると、これは交付税の算定その他では、減免措置というものは減免分だけオミットされてくるという形になりまして、将来はとにかくといたしまして、現状においては、工場を誘致したために、さらに減収の上塗りをするという形をとらせらておるわけでありますが、これは交付税の算定等、簡単な技術によって、ある程度、工業地域を分散するという方法がとれるわけですけれども、こういう点は将来考えていただけるかどうか。それとともに、たとえば電気ガス税にいたしましても、あるいは地方税減免取扱いにいたしましても、貧弱な地域に工場が分散した場合には減免をしてやる、あるいは貧弱な地域の工場分散の計画に対しては、電気ガス税、その他について、税関係からその工場に援助をしていく、こういったような構想というものが将来立てられないものかどうか。この点はいかがでしょうか。
  96. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 国土総合開発計画なぞのねらいも、一つは私はそういう工業の発展が非常に片寄っているというような点に着目しているものであるのでありますが、実際こう見ておりまして、ある地域に発展して参る、工業用水なぞも相当大規模にいたします場合に、そこに集中してくる。たとえば三重県の五日市あたり、あそこの工業用水もようやくよくできましたが、三重県の税の六割はあそこに集まってくる。茨城県の六割は日立周辺に集まってしまう。とかく、どうもそういうところに片寄ってしまう。それはよく通産大臣、建設大臣とも話すのでありますが、たとえば、私どもの方で工業用水について詮議をいたします。場合にも——よそのことを言っちゃ何んですが、よその大臣には、どうも方針が立ってないために、偶発的にものが起ってきておるのだと、これはもっと計画的でなければならぬというようなことをよく感ずるのであります。また、おっしゃるような意味合いで、おそらく、このほんとうの財政税源のバランスがとれますためには、地方制度そのものをやはり根本的に見直すという問題が起ってくるのだろうと思います。しかし、そこまで参りませんでも、何かもっと積極的な方策はとってみたいと思っております。これは加瀬さんにもお察しいただけると思いますが、課税面で直すべきことがあれば考えてみなければならぬと思いますけれども、課税面で考えますことは、多くの場合、補完的と申しまするか、それよりももっと強い積極的な方策というものを前提として、そしてさらに課税面で改むべきことがあれば改めて参りたいと思います。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 大体、根本的には長官のおっしゃるような基本線で考えなければなりませんが、税に限ってみましても、たとえば、国の税の減免措置あるいは地方の税の減免措置というものがあるわけですから、その減免の範囲というものと工場の分散というものをからませていけば、貧弱な地域に有力な財源が提供されるということになるのじゃないか、こういう点を考えていただきたいという意味であります。  奥野さんに、午前中の質問に続いて伺いたいのですが、たとえば、自転車荷車税にいたしましても、木引税にいたしましても、自転車荷車税でも当然減収団体ができる、それは交付税の算定によってやる、こう説明されておるわけですが、交付税が一・五%引き上げられるという根拠なり目的なりは、行政水準が確保できないので、一般財源としてのその有力な課税である交付税を一・五%引き上げて、その引き上げ分で行政水準の引き上げをしよう、こういうことであろうと思うのです。少くも一・五%交付税を引き上げることによって、いろいろ問題のある税を整理していこうということでは基本的にはなかったはずです。それが上った交付税が、そのものずばりと行政水準の引き上げには使われないで、やれ木引税の割当だ、やれ自転車荷車の穴のできたところの穴埋めだ、こういう形に使われていっては、行政水準そのものの引き上げに使う交付税の幅は押えられて縮小されてくるわけです。これでは、交付税を引き上げた目的というものとはかけ離れてくる。中田先生も御指摘になりましたが、一応少くも地方財政収入というものを現状で押える、その上に一・五%引き上げた交付税を乗せて、それで地方財政のどうやら行政水準をある程度確保するバランスがとれるという建前で、交付税の一・五%がきまったと思うのです。それを今度の税制改正によるアンバランスのために交付税をそっちへ流していくということは、どうも所期の目的にはずれてくると思うのですが、この点どうです。
  98. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 私たちの御説明申し上げていますのは、地方交付税税率を一・五%引き上げたから、それができるのだとは言っていないのであります。一応、財源が同じだといたしましても、自転車荷車税の減収につきましては、たばこ消費税の税率を二%引き上げたわけであります。個々団体に帰属する収入は、税目によって違うと思うのでありますけれども地方交付税制度におきまして、たばこ消費税の増収の多い団体では、基準財政需要額が変りませんければ、地方交付税が減りまして、その部分が自転車荷車税の減収の打撃の多い団体へ回っていくわけでありまして、そういうふうに全体として調整されるのではないか、こう申し上げておるわけであります。そのほかに、昨年地方交付税税率を御決定いただきましたときよりも、地方税で五百億からの増収があるわけでございまして、国民にはかたきを忍んで、地方財源のために積極的な減税はしない。五百億をさらによけい出してもらう。それを地方交付税を計算します場合には、やはり基礎に置いておるわけであります。これと、さらに地方交付税税率引き上げ分とが、基準財政需要額の引き上げ分に回っていくのだということを申し上げたわけであります。
  99. 加瀬完

    加瀬完君 それはそれでいいのですけれども交付税を引き上げた一番のあの根源といいますか、原因というものは、少くも行政水準を引き上げるためということであったはずです。行政水準を引き上げるためというのは、少くも現状の地方財政収入は確保した上で行政水準を引き上げるために、交付税をこの上に乗せていくのだという建前であったと思うのですよ。ですから、交付税が相当大幅に上ったから、若干の地方税減収になっても、整理してもいいという前提ではないわけですね。従って、ほんとうの意味で行政水準を引き上げようという目的に忠実であれば、木引税にしても自転車荷車税にしても、税の合理化という立場から、いろいろこれを改廃していくことはけっこうですけれども、それは交付税とは別な形で、その減収分なり減免分なりというものは財源を補っていかなければ、一・五%そのままフルに……。交付税が上がった意味をそこなってくる。今度の税改正そのものは、何でもかんでも、何といいますか、説明がつかなくなると交付税におっかぶせてくるような形になってきて、こういう傾向というものが助長されるということになれば、それは交付税伸びた意味がなくなってしまう。あるいは特別交付税そのものの意味がなくなってしまう、こういうことをおそれるのです。逆にいうならば、特に、木引税なんか無理な改廃をやり過ぎているのじゃないか、そのために説明のできないところに説明を求めるような形になってくる。交付税本来の目的というものをそこなうような傾向すらも危惧せざるを得ない、こういうことになるのじゃないか、こういう点、どうも疑問がとけないと思うのです。
  100. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 木材引取税改正と自転車荷車税の改正とは、趣旨が違うと考えております。自転車荷車税の改正の問題は、どちらかといいますと、地域間の住民の負担均衡化していくという大きなねらいが一つあるわけであります。そういたしますと、弱小の地域住民の担税力の弱い地域の租税収入がどうしても減っていかなければならない。その結果、全体として租税負担均衡のとれるものになっていくだろうと思うのであります。そういう団体にそれじゃかわり財源を認めてやるかといいますと、やはり基本的には、私は地方交付税補てんをするということだと思うのであります。地方交付税制度を通じまして、地方税負担の地域間の均衡化が維持される。また、地方交付税制度の機能を発揮するに応じまして、その考え方というものは進められていくのではないだろうかと、こう思っておるわけであります。しかしながら、なおかつ、あえて、たばこ消費税の二%増率をはかりまして、あとう限り自主財源で埋める限りは埋めたいという積極的な措置を、今回の改正においては加えておるわけでございます。  木材引取税改正の問題は、これは木材引取税を安定したものにしたい、徴収を円滑ならしめていきたい、そういうことで、全市町村を頭に置いて考えました場合には、今回のような改正をせざるを得ない。その結果、北海道なり東北なりの一部の市町村におきまして非常な打撃を受ける市町村がありまするので、この部分につきましては、激変緩和措置として、特別交付税を使いたいのだ。こう申し上げておるわけであります。木材引取税改正につきまして、全面的に地方交付税制度におぶさっているのだと、こう私たちは申しあげておるのではございませんで、全体の市町村を見た場合には、今回のような改正をせざるを得ない。しかし、若干の市町村においては非常に迷惑をかけるのだ。その迷惑をかける団体につきましては、特別交付税めんどうを見るよりいたし方がないのだと、こう申し上げておりますので、御了解を得たいと思うのであります。
  101. 加瀬完

    加瀬完君 繰り返して恐縮ですが、税の改正ということに当るならば、その税がおりていったときに、個々団体が、今おっしゃいましたように迷惑のかからないような目安がつかない限り、その税の改正というのは一体やっていいのか、とどめるべきか、まだ判断の余地が残っていると思うのです。ですから、自転車荷車税を廃止すること、けっこうですよ。それによって当然穴ができる町村があるならば、穴ができないように、たとえば二%のたばこ消費税の増率を三%にするなり三・五%にするなりして、どうやっても穴ができないということの措置がとられておれば、おっしゃる通り。しかし、そういうことではなくて、中途半端な町村がそこに残るということならば、問題がまだ残るということになるのじゃないかということを申し上げたいのであります。税の合理化といいますか、あるいは公平化といいますか、そういう点がたびたび御説明の中に出ますが、たとえばお配りになられました三十二年度の市町村市町村税の課税状況の一覧表というのを見ますと、まだ市町村民税では標準税率以上をとっているところが九百七十一、法人均等割では標準税率以上のものは九百五十九、所得割ではオフション三のただし書きをとっているのが百七十三、オプション二のただし書きをとっているのが二千九百七十三、法人税割で標準税率以上は千二百十五、固定資産税でも標準税率以上とっておるものが千十二、こういうふうに、一応、去年あれほど合理性を強調した標準税率も、実際においてはこんなに守られておらない。守られておらないのじゃなくて、守ろうとしても守り得ない現状にあるということが言えるのじゃないかと思うのです。こういう点と、さっきの木引なり自転車荷重税なりというものをあわせ考えてみると、いずれにしても、個々町村ではまだまだこの地方税合理化といいますか、市町村に対する適合化というものは十分じゃないということは言い得ると思うのです。むしろ改めるならば、合理化を進めるならば、木引税などよりは、この住民税そのままの標準税率すらもとり得ないところをどうしてとらせるようにするかということを考えなければならない。これの方が問題としては大きいのじゃないかと思うのです。こういう点、どうお考えになっていられますか。
  102. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 税制改正します場合に、いろんな角度から考えなければならないわけでありますが、基本的な立場としましては、納税者のお立場からものを考え考え方、もう一つは、税収入を使って政治−行政のいろんな仕事をやって参ります地方団体の立場、この二つから考えていかなければならないと思っております。そういたします場合に、地方団体の全部が全部満足するような改正考えていきまする限りにおきましては、納税者の立場というものは無視せざるを得ない。こういうことになってくるのじゃないかと思うのでありまして、その辺はやはり総合的に判断をいたしまして、改正を是とするかどうかというところできめざるを得ないのじゃないかと、かように考えるわけでございます。  なお、標準税率超過課税の問題は、これは私たち標準税率超過課税をしているから悪いのだとは思っておりませんで、普通以下の施設で甘んじなければならないところで標準税率超過課税をやっている団体が多い、そこに問題があると考えているのでございます。現在、標準税率、ないしこれに準ずるものをこえて課税をいたしておりますのが、金額で百億円ぐらいだと思っております。しかしながら、この百億円という金額は少い金額ではございませんが、年々それぞれの地方団体において必要な施設財源が確保されながら、この額としては比較的減ってきていると思っております。また、これをあまり抑えて、税外負担にばかり財源を求めるようになってもいけないと思うのでございまして、その辺はよく考えていかなければならないと思いますが、今申し上げましたように、やはり税制改正いたします場合には、個々団体のことをよく考えなければなりませんが、多数の団体なり多数の納税義務者から見た場合に、どう結論をつけるかということを中心にせざるを得ないのではないだろうか、こう思っておるわけでございます。
  103. 加瀬完

    加瀬完君 私が問題にいたしたいのは、標準税率以上の課税をしなければならない上に、さらにこれは税外負担も相当あるわけですね。こういう現状が一部にあるからには、地方財政そのものは、いろいろのせっかくの税源を取りやめをして、まあ合理化という名のもとでも、どういう理由でもいい、取りやめをして、その穴埋めに交付税を使わなければならないことまでするほど、地方財政状態というのはよくなってきているとは思われない。ですから、自転車荷車税でも、自転車荷車税を廃止するというのは理論的にはけっこうです。それならば、それに見合い、かつ余るかわり財源というのが付与されなければならない。木引税でもやはりその通りです。今度の改正は、改正の筋としては、われわれは何も反対をいたしませんけれども、かわり財源が確実に与えられているかということになりますと、それは非常に今までの御説明では、かわり財源が将来にわたって確保されておるとは言われない、そこに問題があるのではないか。実態というものは、今申し上げました通り、住民税においてすら標準税率以上の町村がたくさんある、こういう実態では、まだまだ自主財源そのものもある程度無理な点があっても強化していかなければならないような状態に置かれておるのに、いろいろの関係から、町村の好まない方向に税の改正をして、十分な穴埋めを、いわゆる十分な財源の穴埋めもしないということでは、これはますます、また地方財政はジリ貧になってくる、そういう傾向を今度の改正の一、二の点では許容しているのではないか。事実そのものよりも、そういう考え方の方が、これから自治庁でその考え方通り進まれるとすると、どうも固まりかけた地方財政というものが、またひびが入って水が漏れてくるということになる、それを心配するのです。もっと率直に言うならば、今まで突っ張ってきた突っ張り方が急にゆるんでしまって、たががはずれたおけみたいになってしまったのはどういうわけなのか、おかしいじゃないかということを言いたいのです。
  104. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) お話しのお気持は、非常にありがたいと思うのでございます。ただ、木材引取税につきましては、たびたび申し上げましたように、かなり混乱した状態にあったわけでございます。昨年も住民税税率が、違った意味でございますけれども、あまりにも極端に不均衡だった、だからあえて準拠税率を法定いたしまして、その結果、迷惑をかける市町村も相当数出ることも予想されましたので、それらの団体につきましては、特別交付税を三年がかりでめんどうを見ていこうという、こういう方針をあわせてきめたわけであります。今回、木材引取税につきまして改正を行いまして、三年がかりで関係市町村にはめんどうを見ていきたい、一連の考え方だと思うのであります。しかしながら、それらの市町村につきまして、いろいろ心配をしなければならない点がございますので、大臣もしばしばお話しになっておりますように、そういう市町村にも自主財源が増強されるような方法をあわせて考えていきたいということでございますので、いろいろ苦慮いたしておるわけでございます。国有林地の評価額が低い、もっと引き上げるべきではないかと、こういう気持もございますので、林野庁とそういう問題につきまして、国有林地にかかりますところの所在市町村の交付金を増額する、こういう問題につきましても話し合いをいたしておるわけでございます。なお、その他につきましても、加瀬さんの非常にありがたいお気持を体しまして、一そう是正に努力して参りたい、こう考えておるわけでございます。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 これで終りにしますが、住民税なんかには、いわゆる応益原則といいますか、固定資産税にいたしましても、住民税にいたしましても、相当強い課税であると言ってもいいと思う。ところが、今度の電気、ガス税の改正が出ておりますけれども、電気ガス税にいたしましても、あるいは法人関係地方税にいたしましても、相当に利益をたくさん生んでおって、応能の原則からいえば、地方税を相当負担してもらってもいいし、もらえる力があるにもかかわらず、会社の経理状態いかんにかかわらず、相変らず優遇措置が講ぜられておる。これは住民税などの一般の方に対しての比較からいえば、どうも合理性がないと言い得るのじゃないかと思うのです。たとえば、先ほども問題になっております自転車、荷車税にしても、そういうものが減免されますかわりに、今減免されている法人からの地方税あるいは大企業関係のいろいろな減免されておるところの地方税、こういうものがよけいとられるようになって、全体としての地方団体財源がふくらんだということであればいいけれども、相当の応能の性能を持っておるにかかわらず、相変らず、産業の復興期といいますか、回復期と同じような措置を講じておる。住民税に対しては応益という原則の美名のもとに、過重な負担がそのまま残されておる。こういう点が私は傾向としてまだ顕著に残っていると思いますが、これらは長官は、来年以降税全般について考えるということでありますが、当然考慮される中に入れていらっしゃると考えてよろしいのですか。
  106. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 電気ガス税につきましては、先ほども申しましたように、その税の性質が、地方税に移って参りましたときからの経過も、どこまでも消費税として貫いていこう、そういたしますと、御指摘のような点、どういう工合にその電気ガス税というものを税の性格から考えるかというような問題はございますけれども、しかし、今の現状で、これは最善であると固定したものとは思いません。従いまして、御指摘の点はよく検討いたしたいと思います。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 合理性ということで、もう一点、局長に伺いたいのですが、地方税及び地方譲与税収入実績見込額調というお配りいただいた表によりますと、遊興飲食税は、当初の見込額と比べれば実績は三十三億増になっております。それから住民税にいたしましても、相当の実績見込額が上回っております。たとえば、道府県民税だけ見ても三十一億、市町村民税を見ますると百十四億というふうに見込額を上回っている。そうであるならば、これだけ当然上回る実績があるならば、それらの税種に対しては、税目に対しては、いろいろな減免の調節というのができるはずだと思うのです。とれるものはとれるだけとる、圧力団体の力のあるものは、筋が通らないけれども落していくというふうにどうも思われてならない、どうでしょう。
  108. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 地方税の増減税を考えます場合に、やはり地方団体財政事情考えなければなりませんし、また、地方団体財政事情考えます場合に、現在の地方税制を頭に置いて考えなければならないと思うのでございます。やはり両方かね合いながら制度改正というものを行なっていかなければなりませんので、一つの税目で二十億、三十億ふえたから、それが減税財源になるのだというような地方税財政の状況ではないのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。私たち、できるだけ的確な見通しを立てなければならないことは当然でございまして、できる限り、その間に相違のないことが望ましいのでございますけれども、何分、遊興飲食税につきましては、連年ようやく軌道に乗りつつあるわけでございまして、私たちが予想したよりもむしろ軌道に乗ってきた、こういう感じを持っておるわけでございます。今までは逆に二、三十億円ずつどうしても減収が生じておったのでございましたが、改正の結果、このようなふうになってきたものだと、こういうように思っているわけでございます。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 もう一つ地方譲与税は、当初見込み額と実績見込み額が差し引きゼロです。この地方譲与税の中では、今度は入場税等の改編によって何か四億ぐらい減収になるという話を聞いておる。これに対して自治庁はどういう立場で大蔵省関係と御折衝をなさったのか、あわせてその点も伺います。
  110. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 入場税法の改正案は、政府としては提案をいたしていないわけでございます。先般、参議院において御修正になり、衆議院に今送られておるわけでございます。その案によりますと、現在の入場税収入が、平年度におきまして六億二千八百万円減少することになります。この全額が入場譲与税として道府県に人口按分で譲与されるわけでございます。しかしながら、比較的ゆとりのあります団体には譲与額を制限いたしますので、東京都や大阪府には一文も譲与になりません。そういうことから考えますと、六億二千八百万円ではございますが、道府県全体にとりまして非常に貴重な財源だと思うのでございます。そういう意味におきまして、せっかく地方財政計画の上においても見込んでおるわけでございますので、この際としては入場税に減収を来たさせるような措置をとってもらっては困る、こういうことを大蔵省に対しましても強く申し入れをいたしておったような次第でございます。なお入場税につきましては、二十九年に国税に移ったわけでございますが、当初見込みます数字が、どうしても決算になりますと何億円かずつ減収になって参ってきておりました。この点につきましても、私たちはあまりおもしろくない感じを持っております際に、さらに積極的に減収になるような措置をとられますことは、この際の府県の財政から見ました場合に非常に困ったことだと、こう考えておるわけでございます。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 大臣に伺いますが、大蔵省だけが当初見込み額と実績見込み額がぴったり同じだと、こういうような当初の見込みを盛るということは、これは地方財政の上からいうと、非常に危険を地方団体がかぶってくるということになるだろうと思うのです。将来ともこういう見込みをつけられるということは、これは困ることですから、その点何か大蔵省に対して、こういった苦しい見積り方をしないように善処方をお願いをしたいのですが、御所見いかがですか。
  112. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは私からも大蔵大臣に話しておるところでございまして、それは譲与税という形にする、国税にするということの理由もあり、またその方が便宜だという点も考えられる。しかしながら、どうもみな地方に行ってしまうのだというと、少し見積り方がきつ過ぎるか、あるいはほかの税に比べて熱意が足りないか、決して請求をしろというわけではないけれども、これはよほど考えてもらわなければ困るということは前にも言ったことがございます。私は一体、譲与税という形がいいものかどうか、何もかも研究問題だと申し上げると、またおしかりを受けるかもしれませんが、私は譲与税という形が、ものによっては譲与税という形をとらなければいかぬものもありましょうけれども、譲与税という形でなくてやっていってもいいのじゃないかというような気もいたしまするし、そこまでいかぬでも、どうもおっしゃるように、加瀬さんと同じように、その見積り方については不満を持っておる次第でございます。率直にかけ合っておるところでございます。
  113. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 さっきの続きですが、川島幹事長は二日の夕刻に宿舎である新大阪ホテルで、この発表は政府と党の話し合いによる発表だという前提でやっていますが、地方税関係ではどういう話し合いがありましたか。
  114. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 税制調査会を作ろうじゃないかという件については、これは話し合いしました。そうしてそういうやり方——こういうところですからざっくばらんに申し上げます。大蔵大臣も、君は前に話をしておるのかということに対しては、いや、私は何の話もいたしておりません。だから私の場合と同じです。従いまして、今の政府とじっくり話が合いましてきめましたのが、税制調査会というか、審議会の件でございます。しかしながら同時に、そうした審議会を開きますれば、やはり事業税というのは大きい一つの問題になるのじゃないか。私どもも大きい問題になると同時に、それに対して地方財政全体が成り立つようなやり方をせなければいかぬということをやりますが、今の御指摘の点は審議会の方です。
  115. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は一つの新聞で間違っておってはいけないと思って、朝日新聞、読売、東京、日経、みな自分のとっておる五つの新聞を見て、これは政府と党とがこういうことを言っておる。政府と与党は、三十二年度に所得税、三十三年度に国税では酒税、地方税では自転車荷車税の減免をやった。来年度は事業税を重点に大幅な減免をやるという方針をきめて、そうしてそのために党に大規模な調査会を作る、こういうことになって、すでに政府と与党が話し合いをして、事業税の大幅な減税をやるという方針を打ち出して、そうしてそのことを検討するためにやった、こういうふうになっておるのですが、一体そういう相談を受けられたかどうかという点と、わが党はすでに地方税の減税を出しておるが、そうすれば、わが党の方針が正しかったということになるのですか。一体そういうことを来年からやろうとするなら、与党であるろうが野党であろうが、いいことには、議会政治を円満にするためには、賛成されたら一体どんなものか。とにかく、もう方針は事業税の減税を中心としてやる。三十二年はこうだった、三十三年はこうだった、三十四年度はどこにポイントを置いてそのための調査会というふうに、もうはっきりやってあるのですが、ただ、そういう調査会ということだったら、郡長官はつんぼさじきで、聡明なる郡長官としては、はなはだとらないところであると思うのですが、その点どうですか。
  116. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) その点は、第一点は、先ほど来申しておりますように、ずっと、地方税というものはこの際もっと安定したものにせにゃいかぬ、事業税というものが伸び縮みがあって地方財源としてどうか。しかし、それが非常に主軸の財源にしておるのではないか、そうすればみだりに扱えない。しかしながら、同時に地方財政全体と合せて考えていこう。こういうことで、どの新聞にもそういう工合に書いてあるのでありまして、しかし、それはとにかくとして、第二段の点は、これはことしすぐやれとおっしゃっても、これはことしの地方財政は、中田さんがしばしば御指摘に相なったように、なかなか楽観を許さぬ状態で、かわり財源といいましても、ことしにわかにいたそうと思っても無理だ、こういう状態でありまするから、これはしかし、いつも御心配にあずかっておる地方税財政というものを安定したものにしますために、十分社会党のお知恵も拝借をいたしまして、いい、地方のほんとうに満足できるものにしていくという努力をいたしたいと思います。
  117. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは私が牽強付会で言うのではなしに、三十二年度はこうで、三十三年度はこうで、四年度の方針はこうだ、そうしてそのために調査会を作り、そして今度はその方針に沿う大臣を作って、行政整理と減税の方を大いにやるということで、こういうことを言っておられますとその選に漏れますよ。そういうことで、われわれとしてははなはだ、そのもう事業税を含めて、中央地方税制検討するという郡長官の発言ならよくわかるのですが、事業税を減税するのだ、今度は中心はそこに置くという、まことに総選挙を控えてのそこまでやらなければならぬ苦しい与党の立場は同情しますが、そういうことでは……。やっぱりはっきり打ち出しているのです。ですから朝日新聞でも、事業税という問題が大きく出、読売でもその問題がやっぱり大きくタイトルで出る。そういうふうにはっきり出ているので、われわれとしては、はなはだ遺憾だし、まあそこで、わが党多年の主張が正しかったということになるわけでございます。これは何といってもお気の毒ですが、大てい私の党が一年、二年前に主張することをおくれてやられるというのが……。そこで私は、そうすると十二月二日に、来年度の地方財政の見通しということで、やっぱり減税の余地はない。それから十三日ごろですか、やっぱり同じ見解を発表しておられるのですが、それは一体どうも、奥野さんもさきに触れたんですが、この発表というものは、大蔵省の不当な圧迫を防戦する手段としての発表であるか、やはり、現在の地方税のそれぞれの柱というものは正しいものであり、また地方財政を確保するためには、やっぱりそれは必要だということになるのですか。もうその発表からあまり出すして、政府と党の見解の発表ということでは非常に困るし、特に言いたいのは、そういう発表をされたあとに、木材引取税等が一夜のうちにぴょこんと出て、林野協議会等の反対にもかかわらず、あっという間に、郡長官の強いサゼッションもあったりして、私もかなりその真相についてはつまびらかにしているのですが、そういうことでは、一体この基本方針というものは、圧力団体の、加瀬さんも言われましたように、圧力団体等があれば、自治庁の立てている税に対する基本方針というものはあめ細工のようになってしまうのか。これは一体、自治庁の来年度の地方財政の見通しでは、減税の余地がないという決定をされてから木材引取税等はやられておる。そういうことは、はなはだ不合理で、しかも私の知る限りでは、法人税の二%引き下げ住民税の法人の所得割りにはね返って減るのを、自治庁とされては、昨年の所得税の一千億減税のはね返りを、税率を上げて……、権衡を見合って上げるべきだというのは、それを放置するし、はなはだ一貫性がないので、非常に圧力団体と申しますか、経済力のある方に対しては、自治庁の立てられたルールというものがじゅうりんされているように加瀬さんも申されたのですが、この点はいかがでしょう。これは便宜的なただ一つの防波堤、一・五の交付税を獲得する手段というような便宜的なものであるかどうかというような点をお尋ねします。
  118. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは別に便宜的でも何でもないのでありまして、それは、そのときどきの、十二月なり一月なりの背景というものはございます。十二月のときには、非常に地方財政の現状のままでの事業税引き下げ論だとか、軽油引取税の移管問題とか、それから一月には、おそらく御指摘の時分は、交付税率の引き上げはいたすけれども、他に臨特法や何かの改正をいたす、そうすることによって交付税率の引き上げはうやむやにしてしまう、そういうことで相なってはならぬという背景はございまするけれども、しかし、すべて一貫しておりまして、現状のままで一体、卒然として減税をするということはできない、これはもういつも一貫しておるところでございます。しかしながら、同時に、事業税の問題だけじゃございません。いろいろの問題を、むしろ事業税と申しますより中小企業の対策という方がいいかもしれません。そうしたことはやはり私はどうしても取り上げなければいかぬ、あるいは農山村の問題といってもいいかもしれません、そうした問題をどうしても取り上げなければいかぬ。取り上げていく場合に、それが地方財政との調和ということを考えなければならないし、取り上げるときは、なるべく早いときを考えなければならぬ。そうすると、これは決して満足すべき状態にあるというわけじゃございません。ございませんけれども、今までの主張しておりましたところに比べては、今までの状態よりはやや地方財政も率直に見て安定をいたした。この土台の上に次のそうした中小企業なり農山村に対する財政上、税制上の措置考えて参ろう、こういう時期に参っておる。従ってこの点については、私は地方財政税制については、与野党を通じてのいろいろの御協力、御示唆をいただいております。そのような意味合いで、これは地方財政税制というものを主にしていろいろな意味合いでの御協力を得、そうして私は、これは一つの完全な姿に早く持って参りたいと、こう思っております。
  119. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いずれにしましても、本国会中に党に調査会を作りたいということで、事業税を重点にして減税をやるというふうになっているのですが、来年度は事業税が下るというふうに予測していいですか、それはどうですか。
  120. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは、私は地方財政の全体のめどをつけますならば、事業税については、それはことしはしませんでしたが、昭和二十四年から三十二年まで累年やって参った税であります。従いまして、これについての私は扱い方というのは、やはり負担を軽減いたすという方向に持って参るということが、私どもとして努めなければならぬことだと思っております。しかし、それがどういう形でできるかということは、これはそれこそ十分遺漏のないよう検討をいたしましていたすことでございます。
  121. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 奥野局長にお尋ねしますが、大体、郡長官のお話では、わが党多年の主張のように漸次なるようですが、私はここで非常に、ことしやられなんだが、かえって大幅なこの地方税の減税といいますか、むしろ私は、本年度、まあわが党の主張しておりますようなことは別にいたしまして、国家財政に、国税に、国の租税収入に余裕のあるうちに事業税合理化して、そしてその補てんを国家財政の方からやっていくということをとられなんだことは、私は、この総選挙を控えて、やはり中政連等の影響というものは非常に大きい。百姓には事業税がかかっておらぬのに、中小企業だけかかるのは不当だという、それは営業税その他長い歴史を見れば、そういうことの合理性は少いのですが、かなりこれは私が全国的にあちこち出て見ても、百姓にかかっておらぬのに、おれらだけかかるのは不当だということで、これは個人事業税、零細法人の事業税を適当に減免するということでなしに、もっと大幅に、やらぬでもいいところまで巻き添えを食って、非常に地方財政に重大な問題を残して、私はこの説得力はかなりあって、この総選挙を通じてかなり全国的な中小企業者の声になっちゃって、大きな大法人の事業税まで、百姓は払わぬのだから、他の者だけ事業税を払うということは不当だという世論のために、それに抗しがたく、総選挙、また来年は参議院選挙等もあり、なかなかこれは正しい合理的な線以上にゆれる。戦略的にも、ここで個人事業税の基礎控除を適当な線まで上げていく、零細法人の税率を上げて、上と下とを分断作戦をとらなんだということは、地方財政、ここ数年来の苦しいことをおもんぱかれるのあまり、かえって問題を残したんじゃないかと思うが、その点は自信ありますか。なかなか木材引取税を防げなんだように、私は大きくゆれて、かえって、ことしやられなんだことが大へんなことになりゃせぬかと思うのですが、いかがでしょう。
  122. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 事業税の減税問題などの将来につきまして、事務当局がとやかくあげつらうことは適当でないと思います。適当ではないと思いますが、率直に申し上げますと、昨年、事業税につきまして約九十億円の減税を行なっております。引続いて事業税の減税を行えるかどうかということは、常識としては私は見送るべきだと、こう思うのでありまして、事業税の減税をしなかったことが、かえって将来によくない結果を来たすのじゃないかという御意見に対しましては、私は反対であります。そういうような同じ調子で減税をやっていったんじゃ、事業税というものを基礎から危くしてしまうものだと、こう思っております。それよりも、私は、現在、国税、地方税を通じて非常に大きな問題があると思っております。一体、現在の法人税、非常に大きな財源でありますが、一体あの法人税の性格は何か、私は常にいろいろな疑問を持っております。所得税につきましても同じ問題がございます。一体、中小企業者の負担が重いのか、農民の負担が重いのか、俸給生活者の負担が重いのか、私は真剣にもっと緻密に検討しなければならぬと思うのであります。一年ばかり掘り下げても、まだ時間が短いかもしれません。国民全体の負担につきましてしさいに検討しなければなりません。ことに、事業税につきまして、今のような課税方式がいいのか、付加価値に課税標準を切りかえて、ついに実施になりませんでした。今は収入金額または所得と、こうなっておりますが、これもどのような形で行なっていくのか、事業に対する負担として、それぞれの事業の規模に応じて負担の公平が期せられておるかどうか、いろいろな問題があると思うのでありまして、やはり総合的にみっちり検討すべき大きな問題を含んでいると、こう私は考えております。
  123. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ公務員機構の中で、いろいろ政治的な問題は遠慮した方がいいという御発言けっこうだと思うのですが、しかし、私はやはり個人事業税と零細法人の下の方の合理化という問題を取り上げなんだことが、先に言われたような事業税の基礎を危くするような大きな流れになるおそれが必ずしもないではないというふうに、私は非常に心配するわけであります。われわれが伝え聞くところによると、中政連の鮎川さんは、軍人恩給をああいうふうに上げたが、事業税を全廃しなかったのは、プレッシャーのかけ方が足らなんだからだ、岸君、来年は圧力をかけるよということを言われたということを、私は有力な人から聞いていますが、これはやはり中政連が大きな力を尽されて法律になりました団体法というものが、実際やってみて、中小企業振興の万能薬でないというようなことになれば、あの組織そのものを存続させるためには、やっぱり年金問題、事業税というようなことが中心課題となって、やはりよほど腰を据えてかかられぬと、私は不安な政情の中においては、やっぱり事業税の基礎を危くするような大きなことになりはしないか、こういうことを——私の党も、ほんとうのことを言いますと、鮎川さんの方から事業税全廃に賛成せいと強硬な意見がありました。しかし、われわれとしては、個人にしても法人にしても、それには一定の限界がある。全廃には反対だということではっきり突っぱっていますが、私は、一つの流れになるのではないかという点をまあ心配するわけであります。その点一つ十分御考慮いただきたいと思うのですが……。  それから、この予算書、昭和三十三年度の予算の説明のところに、「国民所得に対する租税負担率調」というところに、三十三年度の地方税の自然増収というものが予測されているのですが、これは過去数年間の一つ、五年くらいの地方財政計画に組みました地方税と、その実際の増収額を知らしていただいて、それで三十三年度はこの百億と組んであるのですが、この景気後退を考えても、あまり少な過ぎるのではないかというふうに思うのですが、どうでしょう。これなんです。三十三年度の「租税及び印紙収入予算の説明」という中の三十三ページにあるのですが、これは一体自然増収はどういうふうに見ておるのですか。これには、三十二年度は五百億あるものと仮定して計算した金額というふうになっておるのですが、一体どうなんでしょう。
  124. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 地方税の実績見込あるいは三十三年度の見込額、これを自治庁の方で確定いたしておりません先に、大蔵省としては国会に資料を出さなければなりません関係上、非常に荒い数字でこういう付記を付けたわけであります。地方税につきましては、自治庁の数字で、政府としても一致いたしておるわけでございます。
  125. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、このいただきました「昭和三十三年度地方税に関する参考計数資料」の二十一ページ、五千百五億一千五百万ということになっていて、それから大蔵省のやつにはそれよりか百億伸びると、こういう計算になっているのです。そこで私のお尋ねしたいのは、これまでの経緯からして、いかに景気後退があっても、それよりはもう少し伸びるのじゃないかというその辺のことを聞きたいわけてあります。
  126. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 実は地方税の収入額をあげます場合に、実績をあげるのか、あるいはまた標準税率ではじいた税収入をあげるのか、使う場合によって違うわけでありまして、地方財政計画におきましては、標準税率で課税をしていっても、本来維持すべき施設は維持できると、こういうことであの計画を作っていくわけでありますので、標準税率を基礎にしてはじいております。国民負担という見地からものを見ます場合には、やはり実績を基礎にせざるを得ません。そこで、その場合には標準税率超過課税分も入ってきます。大体地方財政計画で地方税の収入見込額を立てておりますのに百億円プラスしていただきますと、これが実績見込みになるわけであります。大蔵省の方は、国民負担という見地で見ておりますから、標準税率超過課税分も入れておるわけでございまして、それが私たちの出します数字にプラス百億円というものを考えていただけばよかろうと、こういうことを言っておるわけです。そういうことが食い違いになるのであります。
  127. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それがいかに景気後退であっても、これにあげられているのを五千百五億上回ること百億ということはないでしょう。大蔵省から聞くと、やはりこれにあげている国税よりかまあ千億ないし八百億くらいはふえやせぬかという意見の人もあるのですが、あるいはもっと景気後退が深刻で伸びぬのじゃないかという御意見もありますが、これより百億ということはない、どうなのでしょうか。
  128. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 見込みのことでございますので、あるいは若干ズレがあるかもしれません。ただ国税に例をとって申し上げますと、三十二年度の国税の実績は千億円くらいだと、いや千三、四百億にもなるだろう、こういういろいろな議論がありまして、最近主税局長に聞いてみますと、やはり当初持っておった千億円がちょうどいいところであった、こういうことを言っております。大体そういうところを基礎にして三十三年度の見込みを私たち立てていったわけでございますので、今のところは、やはり見込みが正しいのじゃなかろうか、こう思っております。しかし、繰り返して申し上げますように、見込みでございますので、経済情勢のいかんによりましては若干の食い違いは生ずるだろうと思っております。
  129. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、それを類推するために、私が今言っておられる百億というものが、大体正鵠を得ておるかどうかというので、過去数年間のやつを一体どれくらい伸びておるか。これはなぜ聞くかというと、昭和三十三年度の国民負担は、総理並びに大蔵大臣の施設演説では、前年度は二〇・六%だった国民負掛が、来年度は地方税伸びを百億と踏んで、〇・六%軽くなるという説明をしているのです。だから私は午前中、大蔵省出てきてくれと言うのは、これを低く見ると、前年度より実際国民負担は、所得に対する比率は高くなるのです、これは実際……。そういう意味で、財政の専門家等もそういう、三十二年度は国民所得に対する国税、地方税合計の負担は二〇・六%だ、三十三年度は五千二百と踏んで計算して二〇・〇ということで、〇・六%減税やるのだという減税政策を謳歌しておるけれども、実質的には国民所得に対する比率は少なくならぬのじゃないかということなのですが、百億ということはないでしょう。
  130. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 税によりましては、むしろ三十二年度の実績よりも三十三年度は減って参ります。たとえて申し上げますと、法人所得につきましては九一・二%にとどまるだろう、こういう見込みを三十三年度においては立てているわけであります。しかし、たとえば電気ガス税のようなものになって参りますと、発電量がふえて参りますので、相当な増収を見込んでおります。しかしながら、現在の地方税収入の中に占めます法人所得から得られる税収入もかなり大きな額になっておりますので、そちらが伸びが期待できないということになりますと、やはり全体としての伸びもそう大きなものを予定できないのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。個々の税目で洗ってみますと、やはりこういう姿になるわけであります。
  131. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 しかし、私は地方財政の赤字というものは、財政計画に組んだ税収入に達せなかったということで赤字になった例はほとんどないじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう、その関係資料を持っていませんから……。
  132. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 財政計画で見込んだ税収入と実績との開きは、いつか申し上げたと思うのでありますが、最近はかなり開いております。しかしその前は大体相前後いたしておるわけでございます。
  133. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 マイナスになったことはありますか。
  134. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 二十六年度三百十二億、二十七年度百四十三億、二十八年度二百五十八億、二十九年度は百二十六億、三十年度は二百三十五億、まあ大体こういう百億か二百億ぐらいのプラスであります。プラスでありますが、これは標準税率を基礎にして見込んだ数字と標準税率超過課税も加えた実績との関係開きがございますから、むしろそれくらい開きがなければ見込み違いだ、こういうことになるわけであります。この当時におきましては、二百億円ぐらいの標準税率の超過課税はあったわけでございます。三十一年度、三十二年度と大幅に伸びておるわけでございまして、いわゆる神武景気などといわれておる関係から大幅な増収があったわけでございまして、大体そう大きな増収はないのじゃないだろうか、こう私たちは思っておるわけであります。
  135. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ一たん自治庁の報告で、予算書にも出ておるのだから、それを御主張されるのも無理ないと思うのですが、来年度のこのころに御高説が正しかったかどうかはっきりしてもらいたいと思うのですが、それはやはりそういうことではないということは、いろいろな角度から検討してみて、少くとも過去数年間二百億内外ふえて、昨年はまあかたく見ても五百億伸びておるわけで、それは国税の来年度の伸びを見たってそういうことはない。ただそれをはっきり見ると、中央、地方合計すると、去年の二〇・六%よりかふえて国民所得に対する減税という線が私は出せないために、その辺に問題を含ましてある、こういうふうに見て質問したわけですが、そのどちらが信憑性があるかは実績をもって対決することにいたしましょう。
  136. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  137. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をつけて。
  138. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 奥野さんに伺いますが、法人税関係で、大体地方税で三十三億ほど減税になるわけですが、地方税が……。国税はどのくらいになっておるか、わかりませんか。
  139. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 二百三十億円程度であろうと思います。
  140. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから利子……。
  141. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) ちょっと法人税の減税額をちょっと間違いましたので訂正させていただきます。平年度二百億円であります。昭和三十三年度では百二十五億円。
  142. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 国税関係ですが、利子はどうなるのですか、利子の方はどのくらいですか。
  143. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 貯蓄減税の額は、三十三年度五十億円、平年度六十三億円であります。これの地方税に参ります影響が初年度九億円、平年度十三億であったと思います。
  144. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは郡さんに伺いますが、非常にこのほかに国税関係でも減税をやられたことは、われわれも了承していますが、今ちょっと伺ってみましても、大体地方税で、大資本をまあわれわれが一日に呼ぶところに対して、電気ガス税あるいは貯蓄減税、そういうものを含めまして、地方税関係でかれこれ四十六億、国税の方で大体二百六十三億、合計しまして三百十億くらいの減税になるわけです。経済企画庁等がいっている景気の問題について、国内均衡の間に、少し刺激するためには、まあ減税をして消費の方を少し刺激した方がいいのではないかというような見解があるわけです。そういう立場に立つとともに、やはり税の均衡というところで、大法人の減税を少し優遇し過ぎておるじゃないかという考え方が出てくると思うのですが、国内均衡のその景気の立場と、それからその税の均等という立場に立って、どういうふうにこういうことについてお考えになるのか、承りたいと思います。
  145. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 地方税につきましては、まあ御指摘の点は、電気ガス税がおもなものになると思います。これは、いろいろ考え方ができるのでありまして、消費税であるという性格と、それからまた国際競争にたえていきますための配慮というようなものも、背後には考えられることだと思いますが、しかし、確かに現在の地方税全般に見まして、私は必ずしも大企業を優遇しておるとは考えませんけれども、しかしながら、中小企業者あるいは農民、比較的低額の給料生活者、こうしたものについての配慮というのが、今まではそうした配慮をする余地はございませんでしたけれども、これからは、やはり地方税についてはそういうことを考えて参らなければいかぬ、そういう工合に考えましてまあ何と申しますか、大体の大筋の方向を、そうした意味合いの負担の軽減と、また地方財政の安定と、両方からものは見ながら検討していくつもりでおります。
  146. 加瀬完

    加瀬完君 関連。今、成瀬委員の御指摘の点ですね、法人税等において特別償却分が認められたことを根拠に、固定資産税を減税しておりますね。しかし住民税に対しては、たとえば国の減税分で、当然国税であれば減税される分が、地方税になりますと除外をしておるといったようなことは、今、成瀬委員指摘のように、ちょっと均衡がとれないのじゃないかと思います。その点どうですか。
  147. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 固定資産税におきまして、どの程度経済政策を取り入れるかということになりますと、ある程度、さしあたりは先例に従っていくということになると思うのであります。企業合理化資金につきまして、法人税におきましては、初年度二分の一特別償却を認める、固定資産税におきましては、三年間負担を二分の一に軽減する、こういう措置をとってきておりまして、今これに一つ追加されたというような形になっておるものでありますので、やはり固定資産税につきましても、法人税におきまする取扱いとはずを合せまして、三年間二分の一の負担の軽減をするというふうな改正をしたわけであります。
  148. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 地方自治の財源的なものも考慮したくちゃならないということは、私もよくわかります。わかるからこそ、こういう大法人等について、もうすでに二百六十三億円という減税の恩典に浴しているものが、地方がすぐそれにスライドしてやらねばならぬという理屈は私はないと思います。だから、税のバランス上から言えば、むしろ、こういうところには減税を与えずして、大衆の、いわゆる消費をもう少し水準を上げなければならない人たち財源を向けるというような、あたたかい思いやりのある減税政策というものをとるのが正しいやり方ではないか、こういうふうに思うわけです。それを、何か国税がなったから、すぐ地方税にそれを持ってきてやらなければならないことでなく、十分検討されていることかと思いますが、そういうような方向に一つ踏み切るわけには参りませんか。どうですか、大臣
  149. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 基本的には成瀬さんのお考えと全く同じであります。ただ、今回の法人税の減税が、特別措置の整理による増収と見合って税率引き下げるという措置がなされたわけでございますので、法人税割におきましても、全体として、従来の税額が維持できるので、そのまま税率を据え置いたわけであります。将来の問題といたしましては、国庫の財政状況と地方財政状況と違いますので、国庫財政の状況から減税を許しましても、地方財政の状況は必ずしもそれに右へならえできるとは考えられない、こう考えておるわけであります。
  150. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 次に、こまかい点で恐縮ですが、いま一度、木引に戻りまして、何かつじつまが非常に合って、一億五千万ぐらいしか赤字にならないのですが、それを見ると、あなたの方の説明を読むと、捕捉と徴収率を上げて、そうして思ったような数字は作っておいでになるようでありますが、それはそれでいいといたしますが、国有林関係の立木は営林署が、未指定の営林署を指定する、それから売却を受けた人を市町村に通知をし、そうして納税令書を持ってきたら立木を渡すようにするという措置をとられて、捕捉率九〇%と出ております。民有林を見ると、ちょっと率が落ちて、捕捉石数の方で八五%、税の方では、国有林関係の立木の税は九〇%、民有林の方は八五%になっている。これに対して、それではどういう徴税関係の強化の手段があるのか、あるいは石数をつかまえられるには、どういう方途で、こういう数字をお出しになっているのか、対策を承わりたい。
  151. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 徴収を確保する方法といたしましては、たびたび申しましたように、林野庁の協力に大きく期待いたしております。
  152. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は林野庁でなく、民有林の方を……。
  153. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 林野庁が、民有林につきましては指導的な立場をとっておりますので、木材引取税の納付に当りましても、そういう方向に協力していきたい、こういう話し合いになっているわけでございます。民有林につきまして木材引取税徴収を、事実上は森林組合等でやっておる場合も多いわけでございますけれども、そういう場合におきましても、林野庁としては、そういう方面に対しましては、できるだけ協力さしていくような方向に努力していきたい、こういうことを申しておりますので、それにかなり依存をしてといいましょうか、信頼をしてといいましょうか、そういう格好でこの数字を出したわけでございます。
  154. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、この民有林関係も営林署が大体責任を負う、こういうふうに了解していいわけですね。
  155. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 先ほど申し上げましたように、民有林につきましても、木材引取税の確保に林野庁としては協力をする、こういう文書によります話し合いはしてございます。
  156. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それから、石当りの価格を、七百五十円を一千百四十三円に引き上げられたその理由と、もう一つは、国有林は、私たちは材が古くて、突っ込みにして非常に優秀だと、こう思っております。それに対して、まあこれは民有林との比較を言っておりますが、同じ値段に大体算定された根拠はどういうわけですか。
  157. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 二十九年に市町村に示しました石当りの価格が九百八十三円であります。その後の木材の価格の高騰をした割合を見てみますと、一一六・三%ということになっているわけであります。従いまして、九百八十三円に一一六・三%をかけた額をめどにして、改正法律施行の際には市町村石当り価格を示し直したい、こう思っておるわけでございます。  なお、民有林と国有林との間において素材の平均価格が違うのではないかという御指摘でございますが、あるいは違うかもしれませんけれども、一億一千百万石を基礎にして見込むに当りましては、そこまでの掘り下げた数字の検討はいたしていないわけでございます。
  158. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一度当委員で各派で話し合ったときに、制限税率が非常に問題になりまして、これは法律の建前上からいって一%しか認められないじゃないか、これは今度二%になると三%、現行法でいけば四%が五%になっている。これでは財政上非常に穴のあくところもある。それに対して特別交付税をもって埋めていくというが、制限税率を四%にし、特別交付税で埋めたらどうか、あるいは特別交付税で埋めるというのは間違っているじゃないかという議論もありました。それから、来年度は埋めることは困難じゃないかという議論もありました。そこで、制限税率をさらに一%引き上げて四%というようなふうに検討したらどうだという話し合いが、実は各派で行われたわけです。そこで、あなたの方として、来年度施行をしていってみてそうして税の方から、他の税の伸びと比較されて、どうしてもこれは特別交付税で見ていかなくちゃならぬというような、特別交付税本来の使命というものを曲げてこれに使っていかなくちゃならぬというふうに断定された場合には、調整税率というものについて考えられるお気持がありますか、ないですか。
  159. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 午前中に加瀬さんからそういう問題についての御意見がございました。政府としても、当初そういう問題を検討しなかったわけではなかったのでございまして、ただ基礎資材でありますために、標準税率制限税率との間に二倍の開きがあるということは、なかなか、われわれとしては踏み切り得なかったわけでございます。制限税率を上げておいた方が激変緩和になりますことはよくわかっておりますけれども、何分基礎資材でありますために、そこまで踏み切り得なかったわけであります。改正後どういう姿になりますか、木材引取税その他の数字を合わせまして、十分検討していかなければなりませんので、改正の税法施行後の状況も見まして、今のような御意見につきましては、十分な検討をさしていただきたいと、かように考えております。
  160. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 なぜ、こういうことを私は申し上げておるかと申しますと、捕捉石数や徴税の強化で事が解決せられないと思うのです。やはり、あなたの方で税の伸びというものの中から、石当りの価格の値上りをカバーするというような格好になってはまずいと思うのです。だから一つ激変緩和のために、だからその判断は、来年度になったらできると思いますから、一つそういうところに対しては万般の私は間違いのない手を打っていただきたい。これは一つあなたの方が思い切って税率を二%に下げる、半分に下げるという思い切ったことをやったんですから、責任はあげてあなたの方にあるのですから、自治庁の責任において激変緩和に対処していただきたい、こういうことを希望として申し上げておきます。
  161. 森八三一

    ○森八三一君 大臣に一点だけお伺いいたします。これは、実はこの質疑を通しまして、例の税の負担均衡をはかるとか、あるいは税の本質から検討するというような非常な広範な意味から、地方税全体について本年度中に十分御検討を願う。これはきわめて大切なことで、ぜひ適正な結論が出るように期待するわけであります。  その場合に一つお伺いいたしたいことは、競輪や競艇が地方財政に相当寄与をしておるということは現実。そこでこの御検討を願う税制検討というものは、あくまでも地方行政の水準を確保、引き上げていくということのために必要な財源を、しかも安定した財源というものを確保しておるということがねらいでなければならぬと思う。その場合に、今申し上げましたような射幸的な娯楽から生ずる利益というものが相当の寄与、貢献をしておるということを、どういうように織り込んでいかれるのか、その気持をお伺いしたいのであります。
  162. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 競輪、競艇、競馬等につきましては、現在およそ百億の財源に相なっております。これはやむを得ずそのような財源を渉猟しておる次第でございまして、事柄として、地方財源として私は適当なものと考えておりません。従いまして、これらのものの新設等はこれをいたさないことにいたしておりますが、このたびの税財政の国、地方を通じました検討をいたします際に、私は、これらの財源というものは、地方団体が期待をいたしませんでやっていけるだけの地方財政というものをこしらえていこうということを一つの骨子にいたしまして進んで参りたいと思います。従いまして、私は引き続き検討をいたしまする場合にも、新しい設備、新しいこれらの競輪等に期待する自治体をこしらえません以上に、今までのものでも、そういうものがなくてやっていけるように、何も市町村が好んでそれらのものをやっておるわけではないと思いますから、財源を付与いたしまして、そしてこれらのものをなくして参り得るようにいたしたいと思います。
  163. 森八三一

    ○森八三一君 大体、方針としてははっきり了承いたしました。税の問題を検討する場合に、かくのごとき種類の事業から収益されるものはなくても、地方財政が安全であるような姿に持っていく、そのために、具体的にそのお気持を実現するためには、現在地方自治体が相当施設をしておるのですから、この施設が、一ぺんに禁止するということでありますると非常に大きな破綻になる。それを解消するということも、私は今お話しになった気持を具現するための、非常に大きな前提の行為であろうと思う。そこまで行われぬ限りは、これはどうしても、いかに言葉をきれいに言っておりましても、やはり恒久的な事業になってしまう、こう思うのです。そこで今、大臣お話しのようなことを実現されるというような場合に、現在の施設の償却等について、何か具体的な手を打たなければいかぬと、私は思うのです。そこで現在相当の収益が上っておるというものは、施設の償却に、何カ年間かの計画を立てて、優先的にまず施設の償却に充てるというくらいな思い切ったことをやらなければいかぬと思うのですが、そこまで踏み切られるのかどうか。
  164. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私は御指摘の点を同時に考えながら、むしろそこに重点を置いて 一方では、地方財政の面でありますけれども、御指摘の点というものを解決しなければ、これは無理を、できないことをさせることでございますから、それを同時に解決すると申しますか、それを前提といたしましてものを考えていかなければいかぬと思っております。
  165. 小林武治

    委員長小林武治君) 私から一つ伺っておきますが、遊興飲食税が性質上非常に偏在しておる税だと、これはもう公知の事実でありますが、ある市の施設のみを利用して上った遊興飲食税が、その市には何らの還元あるいは恩典に浴しない、こういうことで、偏在の性質からいうても、この際、一つ遊興飲食税というものを府県税と市町村税に二つに分割したらどうか、こういうふうな意見もありまするが、これについて自治庁当局はどういうふうに考えておるか、一つ伺っておきたいと思います。
  166. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) この点は従来も御指摘を受け、またそのように考えるべきではないかという気持もいたしております。十分検討さしていただきたいと思います。
  167. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この二月ですか、住民税の課税権の所在について、はっきり自治庁は割り切られたようですが、そのことが果して実際実情に合うかどうか。  それから住民税というものは、一体、これは応益的な意味で課しておるのか、両方の性格を持っていますね。応能的な面と。私は二つの面から考えて、今回の自治庁の、二月ですか、割り切られた、課税権をどっちにするかという問題は、少し問題じゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  168. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 市町村民税をどこの市町村で課税をするか。これについては地方税法の上では住所所在の市町村において課税をする、こういう規定をしているだけでございます。その住所をどう考えていくか、どちらかといいますと、昔、戸数割という税がございました。世帯に課税する、家に課税するというような観念が多分にあったのだろうと思うのです。選挙権につきましてもいろいろの問題がございます。どちらかといいますと、家の住所から本人の住所に変ってきている、こういう考え方を持っておるわけでありまして、もとより、そういうことを考えます場合に、どの市町村に課税権を与えるかということについては、本人と市町村との行政関係、こういうことも頭に置いて住所の問題を解決しなければならないと思います。課税の便宜ということも頭に置いて考えなければなりませんので、単純に本人の起居しておるところに住所があるのだと、こうも言い切れないと思います。ただ、どちらかといいますと、従来は、家といいますか、世帯といいますか、そういうものを中心に住所を考えてきたのが、だんだんと本人中心に住所を考えるようになってきたために、争いがあった場合の裁決に幾らか違いが出てきた、こういうことでございます。基本的には従来の考え方を百パーセント変えたというような問題は別にないわけでございます。
  169. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 何か、たとえば本人の日常の生活関係、家族の居住地、財産の所在地というようなことを総合的にまあ考えておった。しかし今度は、所得を本人の得るところに割り切っちゃってかける。こういうことになると、たとえば私が東京で歳費をいただいて、家族は郷里の鳥取に置いて、私がその両方の自治体の世話になる関係というものは、家族を置いておれば、火事がいけば消防の世話にもならねばならない。いろいろな関係があって、そういうふうに割り切ることは、なかなかこれはまだ現実の事態に即応しない。だから私は、この税は応益か、まあ両方ありますが、所得と両方あるのですね。そういう点から見て、やはり割り切ってしまえば、それぞれの別居して自治体にお世話になる関係からいえば、やはりあまりすっきりすることはです、私は従来の立場というものも相当意味があったのじゃないかということを考えるのですが、どうでしょう。
  170. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 生活関係がかなり複雑になっておりますので、争いもかなり多いようであります。あまり受益関係とかいうような、いろんな要素を住所に加えていきますと、取扱いが複雑になります。複雑になりますと、自然争いが多くなります。なるべく簡明に扱いたいという気持が一方にございます。しかし、そうかといいまして、今、中田さんが御指摘になりましたような点も無視してはいけないと思いますので、その辺にむずかしい問題があろうかと思っておるのでございます。しかし、財産の所在などということを住所を考える場合に基本的な要素にすることがいいのか悪いのか、これは私はやはり非常に問題があると考えておるわけであります。戸数割当時のように資産の状況等をも加味しまして税額をきめておったのと違いまして、どちらかといいますと、地方所得税的な性格のようなものに住民税はなったわけでございますので、なるべくならば、個人を中心にものを見ていきたい。しかしながら、通勤ができないから、やむを得ず勤務地に住所を持っているが、土曜、日曜には必ず家族のところに帰っているのだ。そういう場合には、家族のところを中心にして通勤しているというようにも見られるわけでございますので、こういう場合には、今後といえども、やはり家族のおるところに住所があるものとみなしたいと、こう思っているわけでございます。御自身のことを例にあげられたわけでございますが、こういう場合には少し事情が違うのじゃないかと思うのでございまして、国会で活動される場合には、東京でお過しにならなければならない。しかし、それ以外のいろいろな問題につきましては、やはり郷里でお過しにならなければならないわけでございましょうから、これは郷里におきまして、それ以外の場合はお過しになっている場合には、私は住所は郷里の方にあると見ることができるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  171. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 しかし、われわれが自治庁態度をきめられたのを知るのは、新聞の発表で推測しているのですが、もう一つここに問題になるのは、やはり昨年住民税改正になりましたが、町村間に非常にアンバランスがあって、もう倍、半分という、それほどその住民税は公共団体ごとに非常なアンバランスがある。脱税をするためといいますか、軽い税にしてもらうために、交通費を払ってもなお得だというようなことで、これはかなりあるのです。同じ国会議員でも、同じ歳費でめいめいの内部でも四千円と七千円ぐらいの差もあって、私はやはりこの問題は、国会議員は別にしまして、相当のこのわれわれが知っているのでも、軽い税の方に一応の生活の本拠みたいなものを移して、実際は別だというようなこともあって、私はその面からも問題が起きていると思うのですよ。それはいかがでしょうか。
  172. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) お話しのような点もあると思います。お話しの点があるから、住所の判断について、そこに地理的な要素を加える。これはやはり筋が違うのじゃないかと思いまして、これはそれなりにやはり負担均衡化というところに手を加えなければならないのじゃないか。そういう意味で、昨年第二方式、第三方式につきましても、準拠税率を法定いたしたのでありまして、その面におきまして、今後とも一そう努力をして参りたいと思っております。
  173. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 だから私の言おうとするのは、やはり住民税というものが、あなた方ははなはだしく自信に満ちて、もうこれで非常にいいのだという、独善とまではいわないが、あって、なかなか地域的なアンバランスが非常にあるのです。そういうことをエスケープするためにやるのだから、やはり来年度は住民税というものも謙虚に、あまり自信に満ちて、もう多年やっているのだから、何人の主張よりかわれわれの方がいいのだということで、ただ圧力団体にだけぺこぺことなるということだけでは、やはり非常にわれわれの党としては問題で、私はやはりこういうふうに課税権の所在を二、三にするというのは……。非常に違う。私の党の同じ議員でも四千円と七千円というほど、とにかく国会の歳費でも違っているのです。それほど住民税というものが地域的なアンバランスがあるのです。そのことが課税権の問題が起きてくる一つの大きな理由なんです。だから私は、将来は謙虚に一つ検討してもらいたいということを主張しておきたいと思うわけであります。  それから、修正案に出るのではないかと思っておったのですが、自動車税、自家用車ですね。これが出なかったのですが、営業と自家用車との差がついている理由。これは一体自動車税というのは、どういう理由でかけるのですか。道路をいためる理由ですか、自動車を所有するのは、所得があるというような面でかけるのですか、一体どっちでかけているのですか。
  174. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 自動車税を特に物件課税にいたしておりますのについては、一つ固定資産税的な性格があろうかと思います。一つは道路損傷負担金的な性格があろうかと思います。もう一つは奢侈ぜいたくといいますと少し言い過ぎと思いますが、消費面から担税力を捕捉する、こういう面もあろうかと思います。従いまして、乗用車と貨物車とでは、税率におきましても若干の差を置いているわけでありますし、営業と自家用との間におきましても、また若干の差をつけておるわけであります。
  175. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、将来検討される際には、この自家用車については、そういう自家用車を持つ者の担税力ということを考慮に入れて課税することも相当意味があると思うのです。しかし、トラックをぜいたくで持ったりするということはないし、私の知る限りでは、これは道路を損傷することにおいては、自家用よりか営業用の方がけたはずれに道路をいためる率は多いと思うのです。その点はどうでしょう。それから、よく自家用車が常業類似行為をするからということでそれを重くするという理由にはならぬので、それは道路運送法の問題だと思うのですが、どうですか。
  176. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 乗用車につきましては、自家用と常業用との間で税率に二倍の開きをつけています。貨物自動車の場合には、営業用と自家用との間で千円の差をつけているだけのことでありまして、数%の開き、一〇%の開きにもならないわけでございます。これは御指摘のように一緒にした方がいいのじゃないかという意見も十分立つと思うのです。また、今の程度の開きがあってもいいじゃないかという意見も立つから、現行法がそうなっているわけでございますが、自家用であったならば、いつ何時でも自由に利用できるし、自動車に広告までできるじゃないか、こういうことが常業関係者からは、自家用をもっと税率を上げたらいい、こういうふうな理由だろうと思うのです。半面、また自家用でありながら、これは脱法的な行為でありますが、営業行為をやっておる。これが営業関係者人たちからは、税率をもっと高めて、そういう脱法的な行為を防いでもらいたいということも言われているわけです。しかし、それはそれぞれの道において措置すべき筋合いのものでありましょうから、直ちに税率の差をそういう意味で設けてほしいということを私は申し上げているわけでありません。この問題につきましては、衆議院でもお話がございまして、十分検討いたして参りたいと、こう存じておるわけであります。
  177. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 乗用車が差異がついておるということは相当認めるのですが、トラックは、営業行為ないし営業類似行為をやるから地方税を重くせいということは、これは道路運送法の問題であって、私はやはりこれは、その中心は、課税の基本的な原理というものは道路損傷負担金的な意味からいえば、私の知る限りでは、常業用よりは自家用の道路をいためる率というのは比較にならぬほど少いと思います。自家用の方がむしろ少いくらいで、私はそういう意味で、道路をいためる率からいえば、将来はそういうことを含めて一つ検討をしてもらいたいと思うのです。  それからもう一つは、日赤なんかの持っておる乗用車はたしか無税、非課税と聞いておるのですが、開業医の持っておる往診用の自動車はそれがないのですぬ。しかし、日赤等は夜間急患があってもなかなか普通来ません。よほどな資産家でないと来ないのです。それに比べると、開業医は深夜でも急患に応ずる、こういう点から見たら、やはり考慮してもいいのじゃないか。開業医は相当所得があるから、自動車税をとってもいいというのはどうも……。
  178. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 日本赤十字社につきましては、その性格にかんがみまして、法人税も事業税も、固定資産税も課しておりません。そういうような扱いをいたしておりますので、特に地方税法で自動車税を課さずとはしていないのでありますが、府県で条例を設けまして、免除しているのが普通でございます。しかし、一般の開業医につきましては、別に法人税、所得税、事業税固定資産税等は課さないような立法はいたしておりませんし、特にそういう意味では自動車税だけ課さないという立法をするのもいかがなものかと、こう存じておるわけであります。
  179. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は、やはりとにかく普通の昼の常業、自家用に使うというようなことなら別ですが、盲腸が起きた、さあ大へんだというようなとき、そういうことを考えると、府県が条例を設けてやるというのでなしに、私は考慮してもいいのじゃないか。それとも、お医者さんは相当所得もあるのだから、自動車税はとってもよい、こういうお考えでしょうか、どうでしょうか。
  180. 奥野誠亮

    政府委員奥野誠亮君) 自動車もその用途を中心にして考えていきますと、課税を除外した方がいいのじゃないかと思われるようなものが相当あるだろうと思います。しかし、そういう区分をいたしまして、全体に波及をしない公平な扱いができるかということになりますと、これまた不可能に近い問題になるんじゃないかと、こう思うのであります。患者輸送に使われる自動車であると、それ以外には絶対に使用ができないんだと、こういう式の自動車ができました場合に、あるいはお言葉のような問題が考えられるかもしれませんが、現状においては、なかなか均衡問題が起って参りまして、思うようにも参らないんじゃないかと考えておるわけです。
  181. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はやはり事生命に関することですから、ほかのことなら言いません。それは事生命に関する、寸秒を争う、もう一時間早く手術するかどうかによって盲腸が腹膜になるかどうかというようなことを考えれば、人命尊重の考えがあれば——そういう議論もまああるが、私の議論も考慮していただいていいんじゃないか、私は生命に関することだから、所得が相当あるかもしれぬが、しかし何といっても夜、昼の診療や手術で疲れている深夜、どんなに疲れても行かねばならぬという医療に伴う責務というようなことを考えれば、やっぱりそれくらいのあたたかい措置をされると、木材引取税等の、山林解放、農地解放等ものがれて、もう毎年々々木材価格は高騰し、非常な優遇されたところに対しても、昨年一%下げる、本年さらに下げるというようなことをやりながら、事生命に関することに、いろいろそういう点でははなはだ首尾一貫しない。まあ木材引取税を下げられたことに対する事務当局の良心と苦衷は察するに余りがあるが、私はやはり事生命に関する……。所得があるんだからいいんだというようなことでなしに、やっぱり朝一時、二時というようなときに急患に応ずるというようなことに対しては、あたたかい配慮をすることがいいんじゃないかと、希望だけ申し上げます。
  182. 小林武治

    委員長小林武治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。  なお、付帯決議等がございましたら討論中にお述べ願います。
  184. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。  本案が経済の安定化に即応いたしまして、地方団体の再建の計画に基いて、そうして負担の軽減と合理化をはかっておるという点は、時宜に適したものと思うのでありまして、賛成するゆえんでございます。しかし、この審議中の質問応答等にかんがみ、また、請願、陳情等、地方の状況等にかんがみまして、若干の点について付帯の決議をいたしたいと思うのであります。  その一つは、飲食店における遊興飲食税及び旅館の宿泊等に対する免税点でございます。この点につきましては、先般の改正の際にも相当論議のあったところでありまするが、なお地方の状況等に勘案し、実際の事情等を考えますると、免税点を引き上げることが必要であると思うのであります。一面、これによって地方団体の失うところの財源等も勘案いたしまして、適当な措置を講ずることが必要と思うの  であります。  その二は、木材引取税税率引き下げでございますが、これは相当額引き下げたのでありまして、一面においては適切でありますが、しかし、それによって地方団体の失う財源、ことに非常に重要な部分をこの税によって得る地方団体等におきましては、何かこれにかわるべき財源考えなければならぬのでありまして、当局はこの点について特別交付税考えておるのでありまするが、これは当同もすでに認めておりまするように、過渡的の措置であるのでありまして、これらの点を勘案いたしまして、適当な措置を講ずることが必要と思うのであります。  さらに自家用のトラック及び三輪の小型自動車に対する自動車税率につきましては、常業用と比較いたしまして、適当にこれは引き下げる必要があると思うのでありまして、以上の諸点を考慮いたしまして、左の付帯決議案を付したいと思うのであります。   これを朗読いたします。   地方税法の一部を改正する法律案に関する付帯決議案   地方税制については、政府は至急左の諸点を検討の上、適当に措置すべきである。  一、飲食店等における遊興飲食税の免税点については現行三百円を五百円に引上げること。  二、旅館の宿泊等に対する免税点については、現行八百円を千円に引上げること。  三、自家用のトラック及び三輪の小型自動車に対する自動車税率は千円を引下げ、営業用と同額とすること。  四、木材引取税については税率引下げに伴う課税の実態、関係市町村財政に対する影響等とにらみ合せ、適宜税率を調整すること。   右決議する。  というのであります。  何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
  185. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本案に反対の意見を述べるものでございます。  今回の地方税法の一部改正案について見ます場合に、われわれが多年主張して参りましたところの自転車荷車税が廃止になりましたことは、これは、私どもそういう立場におきまして賛成をいたすものでございます。われわれの主張の正しさというものを、自民党政府で取り入れざるを得なかったところにおきまして、看板をはずさなければいけませんけれども、これは敬意を表したいと思うのであります。ただし、この場合かわり財源といたしまして、軽自動車税や、たばこ消費税の率の引き上げをもっていたしておりまして、総額におきましては大体似た額になっておりますけれども、しかし、個々団体におきましては、やはりどうしても歳入の欠陥を相当な面において生ずるものがあるようでございます。この点に対する措置がいま少しく親切になさることが望ましいということを申し上げまして、この点についてはこれ以上触れないことにいたしたいと思います。  本案について以上の賛成の点もありますけれども、どうしても私どもは賛成いたしかねる点があるわけでございまして、その第一点は、電気ガス税の非課税の範囲を拡大することについてでございます。これは、しばしば質疑応答の際にも意見が述べられておりますけれども政府の今回のこの非課税の範囲の拡大は、基礎資材の生産、従って国の重要なる産業であり、それがまた国民生活に、特に消費生活に至大の関係を持つものであるからという従来の主張をそのままに持ち続けて、現行法においてもすでに八十種目をこえる非課税の物品製造業に、さらに今回十種目のそれを加えておるのであります。もちろん、私どもは重要産業に対して何らかの保護育成の措置をするということについて反対するものではございません。それが特に国民生活に至大の関係を持つようなもの、あるいは貿易に至大の関係を持つようなものにおきましては、そういう必要性のあることは十分認めるものでございます。しかしながら、そういう措置は、国のいわば経済政策として、産業育成の政策として、国の措置として行われるべきであると私どもは信ずるものであります。そういう見地に立ってこの問題を考えます場合に、これらの産業の企業形態はすべて大企業でございます。大法人でございます。これらの大法人、大企業に対しましては租税特別措置法あるいは法人税法等におきまして、その他の問題におきまして相当大幅な、むしろ必要以上と思われるほどの保護がなされておるのでございまして、さらにその保護の手を地方税においてまかなわなければならぬというようなことに対しまして、私どもは根本的に反対をせざるを得ないのでございます。このように、いたずらに大法人、大企業にそれが重要産業であるという美名のもとに非課税の範囲を拡大されることは、この電気ガス税の持つ性格を著しく欠いて参って、現在では小口の消費者あるいは一般家庭の電気の消費量に対する税金だけにとどまっておる、こういう結果になってしまうのでございます。大法人は、大企業は、さらに一方大口需用者として低廉な電力を供給されておるという事実もわれわれは見のがすわけには参らないのでございまして、このような意味におきまして、私どもは電気ガス税というこういう地方税におきますところの措置としては反対せざるを得ない。かえって、現在ある非課税の範囲をさらに整理縮小すべき段階にある、思い切った措置をすべき段階にあるというふうに考えるものでございます。以上の観点から電気ガス税については、私どもは今回の非課税範囲の拡大につきまして反対をいたすものでございます。  反対の第二は、木材引収税のことについてでございますが、現在の木材引取税の現行法の四%というのは、これは今さら私が申し上げるまでもなく、昨年度、三十二年度におきまして当時五%でありましたものを一%引き下げて、四%にしたものでございます。それが実施後わずか数ヵ月たたないうちに、この税率引き下げなければならないということは、根本的な理由の納得に苦しむものでございます。御説明によりますと、安定しない税であり、徴税に著しい困難を来たしておる税であり、従って、徴税の成績が悪いということをしばしばおっしゃっており、この税率引き下げによって、この税の安定をはかろうということを繰り返して申し述べられておるわけでございますが、税の安定ということは、これは率の引き下げによって生まるべきものではないと思うわけでございます。もし徴税成績が悪くて、あるいは捕捉が的確にできないとするならば、その補足の的確なる、あるいは徴税の成績の引き上げ対策こそ十分に講じて、この税の安定をはかるべきであって、さらに将来、この税の税率引き下げがもし必要であるとするならば、そういう姿においてこそ税率引き下げ考えられなければならぬのでございます。この税は、山村におきましてきわめて大事な税であることは、これは今さら私の申し上げるまでもないところでございまして、その町村におきましては、税収入の四割、五割、六割、七割をこえるところもある税でございます。こういう税に対してこのような一挙に税率を五〇%も引き下げるというようなことをなすべきでない。よってくるところの財源の穴を、いかに町村がこれを処理していくかということが非常に大きな問題であるわけでございます。従いまして、この率の引き下げにつきましては、私どもは反対をいたすわけでございますが、さらに、私は、この率の引き下げに伴う今回の自治庁措置に対して、まことにまた不可思議なものとして賛成をいたすわけには参らないことを指摘しなければならないのでございます。それは、税率を四%から二%に引き下げておきながら、税収入は昨年度の四%当時よりもふえておるというこういう事実、これはいかにも、われわれとしては理解の範囲を越えておる問題でございまして、いろいろ聞いてみますと、捕捉率を一〇〇%にするもの、あるいは九〇%にするもの、あるいは八五%と、昨年よりも引き上げるようなもの、あるいはまた指示価格を大幅に引き上げて、数字を出しておるようでございますが、もしかりにそういう措置が正しく行われるとしても、実質的には私は増税の方向をとっているものと言わなければならないと思うものでございます。こういう点からいたしまして、私どもはこの税率引き下げ並びにこれに伴う措置取扱いというものについて反対をいたすものでございますが、さらにいま一つ反対の理由として付け加えたいことは、この率の引き下げによるところの町村におきますところのいわゆる激変緩和ということで、この穴を特別交付税をもって埋めていく、こういう考え方であるようでございますが、これは前々から、あるいはまた本日もいろいろ論議があったように、特交の本来の精神を踏みにじって、あまりにも都合のよい解釈、運用をしようとするものであって、決して特交本来の精神からすれば、とるべき策ではないということを私は申し上げたいのでございます。もし木引税率引き下げによって生ずる穴が大きくて、その穴埋めをしなければならぬとするならば、別に私は補てんの対策をとらるべきであるということを言いたいのでございまして、これが木引の今回の税率引き下げに対する私どもの反対の第二の理由でございます。  長官はしばしば、地方自治体のいわゆる財源の充実向上ということを考えられており、対策をすでにとるように研究中だということを言っておられるのでございますが、私はそういう考え方からしますと、今回の、このたとえば木材引取税税率引き下げ、あるいは電気ガス税の減免というようなことは、私はそういう考え方からするならば、むしろ逆行するような形においてここに現われてきているものと言わなければならないと思うのでございますが、もちろん、長官の言う税源の拡充強化というようなことは、この税のみに限らないことでございましょうが、しかし、税全体としてそういう方向をとっていって、そうしてほんとうの自治体の機能が発揮できるような財政力あるいは財源の充実をはかっていかなければならぬと思うのでございまして、一、二のいわゆる圧力団体とか、あるいは有力者とかいうような陰での工作による今回のようなこういう措置は、厳に戒むべきであろうと思うのでございますが、もし必要があり、減税を行う段階であるとするならば、これはまた、私どもが常に減税の問題は考えてやらなければならぬ問題であると思いますが、もし減税の必要ありとするならば、今のようなことに手をつけるその前に、もっと基本的な、ほんとうの大衆、低額所得者であるところの大衆のための減税をまず考えるべきであると思うのでございます。従ってそういう意味から申しまして、事業税の中小企業とか、あるいは中小企業にも入らないような、いわゆる零細企業あるいは個人の低額の所得層の事業経営者に対する減税、あるいは住民税引き下げの問題、なおまた、住民税におきますところのいわゆる給与所得者と事業所得者との間におけるところの不均衡の是正、こういう問題を考えなければなりませんし、さらにまた、私どもは、いわゆる大衆飲食といわれるものに対するところの免税点の引き上げ等も考えなければならぬと思うのでございます。さらに現在の市町村等の団体におきましては、法定外のいわゆる普通税といわれるもので、ぜひとも早くやめさせなければならぬようなものが幾つもあります。あるいはまた、府県あるいは市町村団体におきまして、法定以上の税率をもってするいわゆる増税を行なっている団体が幾つもあるのでありますが、こういう問題をこそ、私どもは減税を考える場合に取り上げるべきであろうと思うのでございますが、そういうことなしに、今回のような片手落ちな措置をするということに対しましては、私どもはまことに残念だということを申し上げなければならず、従って反対をしなければならぬということをここにはっきり申し上げるわけであります。  以上、三点にわたりまして反対の理由を申し上げましたが、付帯決議につきましては、先ほど小柳先生から御提案がございましたが、個々の問題につきましては、実は私どもも賛成をいたしたい問題があるのでございますが、今申しましたような根本的な問題の解決をよそにして、このような付帯決議だけで、私どもそのまますなおに賛成いたしかねるのでございまして、この点はあしからずお許し願いたいということを申し上げまして、私の反対討論を終るわけなんであります。
  186. 森八三一

    ○森八三一君 私は、ただいま議題になっておりまする地方税法の一部改正の原案に賛成をいたします。なお、討論中、小柳委員から発議されました付帯決議にも賛成をするのであります。  ただこの際、一言つけ加えまして、政府に希望を申し上げたいことは、地方の行政水準を適正に確保していくというために、安定した財源を得るということは、絶対の命題でありまして、従来ともそういう方向で努力されておることと思いますが、同時にまた、地方民の負担をできるだけ軽減するということも忘れてはならない大切な一つの柱であろうと思うのであります。その場合に、やはり社会政策的に低額所得者の負担というものができるだけ軽減されるように考慮を払うということも、これは当然なことでありまして、従来ともそういう感覚で臨んでこられたと思うのでありますが、さらに一そうそういうことについては十分留意を願いたいと思うのであります。幸いに、この委員会質疑を通しまして、本年度中には、全面的に国税、地方税を通じての再検討をされまして、筋の通った税制の確立をしようというような御意思の発表もありましたので、この審議をめぐりまして、そういうような目的が十分に達成せられますように格別の配慮を望むものであります。今日までもおそらく、そういう感覚でなされてきたと思いますが、しばしば地方税改正が行われましたが、行われた結果から振り返ってみますると、非常に力の強い方面には特別に、平たくいいますれば、えこひいきが行われているというように見えるものもないわけではないと思うのでありまして、そういう点もこの際は十分検討されまして、ほんとうに負担の公平、均衡が保たれますように、格別の努力をされたいと思います。  なお、私も質疑いたしましたが、射倖的な娯楽から生ずるような収益が地方財政をつちかっているということは、これは好むべき姿ではございませんし、大臣の御答弁にも、地方団体もそういうことを好んでやっているのではないというお話であり、まさにそうだと思います。といたしますれば、院の決議にもありましたように、禁止すべき性格のものであるわけでありますので、税法の改正とからみ合せて、適当な具体的な年次の計画をお立て願って、こういうような好ましからざるものはすみやかに廃止をされそれによって地方財政に圧迫が加わりませんようなことを考慮しながら、税法の改正というものを具体化すべきである、こう思いますので、その点につきましても最善の努力をされたいという希望を申し添えまして、私の賛成討論を終ります。
  187. 小林武治

    委員長小林武治君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ります。  地方税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案衆議院送付案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  188. 小林武治

    委員長小林武治君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中、小柳君から提出されました付帯決議案を問題に供します。小柳君提出の決議案に賛成の諸君の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  189. 小林武治

    委員長小林武治君) 多数と認めまる。よって本決議案は、多数をもって委員会の付帯決議とすることに決定いたしました。  この際、ただいまの付帯決議に対する政府の所信を聴取いたします。
  190. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) ただいま付帯決議を御議決相なったのでありまするが、この付帯決議につきましては、御趣旨を体しまして善処いたして参る考えであります。
  191. 小林武治

    委員長小林武治君) なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた諸君は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名    佐野  廣  大沢 雄一    小柳 牧衞  西郷吉之助    森 八三一  本多 市郎    館 哲二   成田 一郎    伊能繁次郎
  193. 小林武治

    委員長小林武治君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      —————・—————