運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-03 第28回国会 参議院 大蔵委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月三日(木曜日)    午後一時五十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            青木 一男君            木暮武太夫君            左藤 義詮君            廣瀬 久忠君            山本 米治君            大矢  正君            栗山 良夫君            小林 孝平君            野溝  勝君            杉山 昌作君   政府委員    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省銀行局長 石田  正君    大蔵省為替局長 酒井 俊彦君    国税庁長官   北島 武雄君   事務局長    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省銀行局銀    行課長     塩谷 忠男君    国税庁間税部長 泉 美之松君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査の件  (金融の問題に関する件)  (租税行政に関する件) ○外国為替及び外国貿易管理法の一部  を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより委員会を開きます。  まず、租税及び金融等に関する調査を議題にいたします。質疑のある方は、順次、御発言願います。
  3. 野溝勝

    野溝勝君 金融の問題についてお伺いいたしたいと思います。政府は昨年来、国際収支均衡をはかるという理由のもとに、金融引き締めを大いに強行されたのでございますが、今日も依然と同じ方針をとっておると思うのでございますが、いかがでございますか。
  4. 石田正

    政府委員石田正君) お話の点は非常に大きな問題でございまして、大蔵大臣お答え願うような問題かとも思うのでございますが、われわれ事務当局といたしまして承知いたしておりますることは、御承知通りに、昨年国際収支が急激に悪化いたしましたのに対処いたしまして、いろいろな措置を講じたわけでございますが、その一環といたしまして金融引き締めをいたしたわけであります。その効果は着実に上って参っておりますることは国際収支がよくなってきているということに端的に現われているものと存じます。そうして、これは大臣からもほかの委員会におきましてもお話がありましたごとくでございまして、現在はその効果の仕上げの時期でありまするので、やはり金融引き締め措置はそのまま続けていく、かように了承いたしております。
  5. 野溝勝

    野溝勝君 今銀行局長からの御答弁がありましたが、国際収支均衡バランスがだんだんと軌道に乗りつつあるという展望の答えなのですが、国際収支均衡一つの現象として正確にドル保有ができたのですか。
  6. 石田正

    政府委員石田正君) それは為替局の所管でございまして、具体的に今どのくらいの数字になっているかということを私、的確に知っておりません。外貨保有高につきましては、大体三月末をもちまして十億ドルをこすところに従来の発表形式によればなっておる、かように了承いたしております。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 石田銀行局長は、国際収支均衡が順調に進行しつつあると答えておきながら、あと外貨保有がどのくらいあるかわからぬというようなことでは、まああげ足をとるわけじゃないが、無責任であって、局長の将来への金融展望は信頼できない。だから政府の所見に対しまじめに聞くわけにはいかないです。といって荒立てようというわけじゃないが、大体国際収支均衡のとれてきたというか、ドル外貨保有高はどのくらいか、現在はこのくらいの段階に達したが、もう一息、しかし危機にあった前年から見るというと、こういう発展と希望のコースをたどっておる、しかしこの政策遂行には企業の犠牲もある、こうした具体的に話してもらうのじゃなくちゃ、国際収支の方向が緩和をしてきて、非常によくなってきたというようなことだけでは、承認できがたいところでございます。この点一つざっくばらんに局長に突っ込んだお答えを願いたいとこう思うのです。
  8. 石田正

    政府委員石田正君) これは私も前に為替のことをやっておりましたが、為替の何と申しますか収支につきましても、形式収支実質収支、いろいろ見方がございます。それからまた外貨保有馬につきましても、計算の仕方がいろいろございます。そういう関係から申しまして、数字的にはっきり申し上げますることは、むしろそれは毎日働いておるものでございますから、毎日の経過を顧慮して為替局から数字をもって申し上げた方が正確ではないだろうかと思います。ただ大体の傾向といたしまして、まあ三十二年度の国際収支につきましては、数億ドル赤字を予想されるということで非常に心配いたしておりまして、あるいはどのくらい赤字が出るものかということにつきまして、なかなか見定めがつかないという工合に心配しておったわけでございますが、御承知のように、実質的な収支にいたしましては、三十二年度を通じまして一億一千八百万ドルというようなことに終ったわけでございます。これは、そのよくなった原因は、主として下期にあることも、これまた御承知通りだろうと思うのでありまして、そういう意味におきまして国際収支は非常な悪化のところから展開いたしまして、そうしてだんだんと黒字を見るようになってきたというふうに言えると思うのでございます。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 それではこの際、銀行局長並びに為替局長希望をしておくんですが、昨年以来、今日までの外資の変動を毎月限りで国際収支均衡という観点において資料を一つ出していただきたいと思います。
  10. 石田正

    政府委員石田正君) 為替局と相談いたしましてできるようにいたしたいと思います。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 次に、お聞きしたいことは、先百参議院予算委員会におきまして、日銀山際総裁は、引き締め政策結末に近いというようなことを表明されたのでございますが、この引き締め政策結末が近い、記事の発表金融業者の間には思惑的の資金貸し出しの思惑をやらんとする業者も出てきておるし、さようなことはまだ政府から何らの意思表示もないから軽率にはできないとして、依然と引き締めを強行している業者もある、かような大きな影響を起すべき金融政策に対し、日銀総裁がかような見解を表明したことは、政府、特に大蔵当局との間に打ち合せをしたことがあったのでございましょうか。私は大臣に聞きたいのでございますが、むしろ直接の当局であります銀行局長にこの際お伺いしておきたいと思います。
  12. 石田正

    政府委員石田正君) 大蔵省とそれから日本銀行関係でございますが、これは始終機会あるごとにいろいろと話をしております。そういうことをいたしまして、私は大蔵省銀行局日本銀行事務当局というものと金融情勢の判断なり、あるいは金融というものをどういうふうにもつて参ったらよろしいかという点については一致しておるというふうに思っております。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 日本銀行政策委員会というのがあるのでございますが、これは一体どんな任務を帯びておるのですか。
  14. 石田正

    政府委員石田正君) これは野溝先生も御承知通りに、日本銀行業務運営につきまして、大体の方針をどういうふうに持っていくかということをきめまするところの機関といたしまして、政策委員会というものがあるわけでございます。条文で申しまするならば、日本銀行業務運営とか、あるいは中央銀行としての日本銀行の機能及び他の金融機関との契約関係に関する基本的な問題につきまして、いろいろと日本銀行やり方をきめて参るということがその任務になっておるわけでございます。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 さような重大な委員会であれば、もちろん金融上の問題ないし展望などについても、委員会において審議されたことと思うのでございますが、日銀総裁山際君の見解は、かような審議会の議を経て発表されたものでございますか。
  16. 石田正

    政府委員石田正君) 山際総裁参議院予算委員会においでになりましたことは、これはまあ国会のお呼び出しがありましたので参ったわけでございます。他面、山際総裁はまた日本銀行政策委員会の議長でもあるわけでございます それから、委員会は週二回は必ず開かれまして、諸般の問題を討議しておるわけでございまして、山際総裁お話になったことは、日本銀行政策委員もみんな同じ考えを持っておることを言われたのだろうと思います。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 きょうの新聞に、大阪自由党川島幹事長談話発表いたしまして、二四半期からは金融事情が好転するということを大胆に発表しておるのでございますが、それは自由だからいいようなものでございますが、何か一脈の関連がありはせぬかと思うのです。というのは、ただいままで申し上げておりまする山際君の予算委員会における見解、いわば引き締め政策に対する結末が近いというのと裏表になっておるように思うのでございますが、日銀総裁自由党選挙政策のために見解を表明されたように非常な誤解を起しておるのです。実は大蔵大臣日銀総裁にここに来ていただいて、さようなことを聞きたいと思うのでございますが、後日の機会に譲るといたしまして、銀行局長、あなたから、私のきょう聞いたことに対し責任をもって山際君と一萬田大臣にお伝えを願いたいと思う。でありますから、あなたの見解として最初お伺いしておきましょう。
  18. 石田正

    政府委員石田正君) 私は山際総裁がお考えになっておることはこういうことだと思います。金融引き締めということは、金融引き締め自体目的としてやっておるわけではないので、経済が安定して発展していくということを目的として金融引き締めというものがとられておるわけでございます。今の経済段階というものは、経済が安定した基礎で成長していくところの問題といたしまして、物の需要供給というものが、だんだんと均衡を回復するような段階になってきておる。その意味におきまして、金融引き締めというものはまだ続ける必要があるのだ、しかしいっその金融引き締めというものが終ったか、しないでよろしいという段階になるかということは、これはなかなかむずかしい問題であって、産業界動き関係いたしましょうし、金融家の心がまえにも関係いたしましょうし、また、事業の動きにも関係いたしまして、非常にむずかしい問題である。しかし、これはやはりそういう意味調整を早くしなければならないのであって、金融をゆるめるとか何とかということを仮想に言うことは、かえってその調整をおくらせるということに相なって、工合の悪い状況が長引きはせぬか、こういう意味で、じゃしからば、一体全然見通しがないのかというお話につきましては、大体もう今申しましたいろいろな要素がうまく動けば、だんだんと金融引き締めを必要とするところの事態はおさまっていくのではないか、こういうように見られると思います。特に、第一四半期はこう推移する、第二四半期はこう推移するというふうに予測することはなかなかむずかしいのであるというふうに考えておられるのが山際総裁の御気持ではないか、かように私は聞いております。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると、きょう川島幹事長大阪においての二四半期は大丈夫だというような談話は、どこにも根拠がないということにわれわれは考えてよろしいのですか。
  20. 石田正

    政府委員石田正君) 大蔵省日本銀行あるいは政府一般と申しましてもいいかと思うのでありますが、金融引き締めが、でき得ればこの一−三月の間において終ることになれば非常にけっこうだというふうに思ってやってきたわけでありますが、実際問題として、多少それがズレているというのが実際ではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういう点から申しまして、これはそのときになってみなければ、ほんとうのことはわからないんでありますが、しかし相当効果が上っており、大体趨勢は終る過程にある、近づきつつある、こういうことは、日本銀行考えておるところでございますし、大蔵省考えておるところでございまして、時期をはっきりいつからどうということは、これはなかなかむずかしいと思いますが、だんだんと経済調整がうまく行われるようになるであろうということは根拠があるのではないかと思うわけでございます。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、石田局長、先日大蔵大臣と、需要供給観点、特に国際収支貿易政策を中心にして一萬田大臣質疑応答をかわしたのですが、最後に、大臣展望は、考え方は、非常に楽観的だった。今の国際情勢から見て私は大臣の認識は甘いということを例をあげて強く述べたのです。特に、三十一億五千万ドル貿易目標は、非常に危険である、というのは、言うまでもなく、アメリカの経済事情から見て判断ができるのです。そこで、需要供給バランスがとれるようになってきたという石田局長考え方山際日銀総裁見方、これはどこから割り出しているか、直剣にさようなふうに考えておられるならば、その根拠を示してほしい。
  22. 石田正

    政府委員石田正君) お話は、国際収支の点におきまして、三十一億五千万ドル輸出というものは果して達成できるかどうか、それから、また、国際収支一体均衡が回復し得るというふうに考えておるかどうか、こういう御質問だろうと思います。三十一億五千万ドルということは、私はこれは非常に算定はむずかしい問題だと思います。と申しますのは、いろいろな物別にいろいろ入り繰りが起ると思いますし、それからまた輸出の方の問題でございますが、輸出価格がどういうふうに変動するかということとのかね合でもございます。ただ、三十二年度の経緯、特に輸出の上におきましては、その点から考えて見て、これは決してやさしい数字ではないけれども、努力次第によっては達成可能な数字ということで、三十一億五千万ドルという数字ができておるのであります。それから、一体国際収支均衡し得るかどうかということは、三十一億五千万ドルがうまくいくかいかないかという問題のほかに、輸入というものの需要一体どういうふうになるだろうかという問題がうらはらとしてついておるわけでございます。この方の問題につきましても、たとえば、輸入需要が、何と申しますか、非常にふえるということに相なりますれば、輸出ができても、輸入の方が多くなるから、従って国際収支バランスがとれないではないかという問題がございます。逆に、輸入の方が非常に低くなるということに相なりますれば、輸出の方が所期の通りいかなくても、国際収支バランスがとれるという面もあると思います。そこで、輸入につきましても価格の問題があるのでありまして、国際価格が上る場合と下る場合とあると思う。下る場合におきましては、輸入額は減りましても、むしろ量といたしましてはかえってふえるというふうなことも期待せられるのでありまして、これは非常にむずかしい問題でございますが、三十一億五千万ドル輸出をし、それからそれに見合うところの輸入をして、一億五千万ドル黒字を出そうという計画を立ててやっておるわけでありますが、これは、私はもう非常にむずかしくてだめなものだという  ふうには考えておりません。
  23. 野溝勝

    野溝勝君 石田君。ざっくばらんに申し上げれば、国際収支の点で、また貿易の点においても、ずいぶん無理をしておるということはあなた御承知でしょう。たとえば、肥料などはどうなんです。外国向け肥料などは、トン当りドルから七、八ドル安く出しておる。かような出血貿易のような形でやっておる状態で、それが正しい国際収支、正常な貿易とも言えないですよ。こういう点において、あなた方は一体それが整調だという見通しあるいは見込みの上に立ってさような御答弁をなされるのですか。
  24. 石田正

    政府委員石田正君) 為替局長が見えております前で申しあげるのもいささかどうかと思うのでありますけれども、私は、三十一億五千万ドルの輪…というのは非常にむずかしい数字であるけれども、しかし、これは達成不可能と言ってしまうほどの数字ではない、努力次第ではできるという可能性を含んだ数字であろうと思っております。
  25. 野溝勝

    野溝勝君 まあその問題については、努力目標という点において考えておられるという当局の意見でございますから、努力目標と言われれば、それは努力いかんによってはできないということはないから、その程度にしておきましょう。前には為替局長をやられておるわけでございますから、その間の事情はよくわかっておるわけでございますから、慎重に考えてやってもらいたいと思う。  次に、国内における需要供給関係均衡がとれてきたと言いますけれども、今日の商品ストック、これはどうする。消化する見込みはあるのですか、一体市場にはそんな購買力があるとも思えませんし、それから日本銀行貸し出しが六千億もあるのですけれども、一体これはどういうふうな結末をつけようとするのです。また貸し出し対称銀行を知らしてほしい。その解決をすべく努力されておるのですか。お答えを願いたい。
  26. 石田正

    政府委員石田正君) 各物資につきまして、需要供給を合わすようにするということは、これはまあ私は、率直に申しまして、業者がまず第一に考えなければならない問題だろうと思います。通産行政の問題もあると思います。大蔵省として金融の面で考えますることは、金融をつけるということが、物資の不均衡というものをさらに拡大する結果になるということであってはいけないということでございまして、その点から申しまして、先ほど来お話がありました、金融引き締めというものを今急に変えるべき時期ではないというふうに考えておるわけでございます。それから、そういう何と申しますか、物資の需給の見通しが立つような工合になりますれば、これはそのときにおけるところの在庫というものは漸次適正な在庫になっていくという基礎ができるわけでありますから、そういう状態のもとにおいては、われわれは金融考えていかなければならないのではないか。こういうのがまあ基本的な考え方にわれわれとしてはなっておるわけでございます。
  27. 野溝勝

    野溝勝君 貸し出し六千億の問題はどう解決しようとするのか。
  28. 石田正

    政府委員石田正君) まあ日本銀行貸し出しが五千億を越え六千億までも超えるというような状況は、これは何と申しますか、非常に工合の悪いことが起ってしまったということだと思います。しかし、それをどういうふうにして解決していくかという問題でありますが、これは私は率直に言いまして、六千億すでに出てしまったものを、直ちにこれを日本銀行が引き揚げるということをやりますれば、経済界に非常な無理を生ずることでありまして、一挙にこれは解決することはできないというような状況に今相なっていると思います。しからば、それをどういうふうにして解消していくかということは、これは大臣のお考えもそうであろうと思いますし、日本銀行もそうだろうと思いまするけれども、やはり二つの問題が関連していると思います。一つは、輸出超過になりまして、その面から資金供給が行われる場合に、それによって日本銀行貸し出しとの関係をどういうふうにして調整していくかという問題だろうと思います。それから第二の問題は、国庫民間に対するところの散布及び引き揚げの関係がどういう状況に相なるか。国庫がどんどん金を揚げていく場合におきましては、日本銀行金融調整的に資金の面で配慮いたさなければならぬわけでありますが、逆に国庫が散超になりました場合には、その散超の分につきましてこれをどういうふうに日本銀行貸し出し、回収の関係において調整していくか。こういうふうな二つの問題に帰着するのではないかと思っております。ただそれをどの程度にどうやっていくかということは、これは経済は生き物でございますから、あらかじめ、こういう数字で、こういうふうにやっていくのだというふうに数字を立ててそれを無理押しするということは必ずしも経済の実情に沿わない、かように考えております。
  29. 野溝勝

    野溝勝君 だから、実際あなたにこういうことを聞くのは私もまことに心苦しい。むしろ大臣総裁に来てもらって、この間の事情をよく聞きたいのですが、何しろ大蔵委員会大臣を始終呼ぶということもなかなかできないような状態にあるので、あなたによく聞いて、この次にまた大臣総裁に聞くことにしたい。金融界一般にはオーバー・ローンを戒めておいて、それで総本家——総元締めの日銀が数千億も貸し出しをしておる。まことに工合が悪いじゃ、これは済まされぬ。こういうようなことで簡単に片づけておったのでは監督の立場にある大蔵省責任を問わなければならない。日本銀行のやることに対しては、何ら注意も勧告もやらず、放任主義ですか、放慢貸し出し工合が悪いということは、常識的に見てもよくないと、こういう解釈だが、これはどう解釈したらいいのですか。
  30. 石田正

    政府委員石田正君) 将来のことを主として申し上げたのでありますが、そういう日本銀行貸し出しが非常にふえたというところのもとは、裏返してみますると、先ほど申し上げました二つの点ですね。国際収支逆調になっておって、それをそのままにしておけばどんどん資金が吸い上っていくというような情勢が去年あったわけであります。それからまた国庫収支の問題につきましては、国庫民間から金を吸い上げてしまうと、それに対してまた日本銀行としては金融をしなければならない、こういう状態があってそういうことが起った、こういうふうにまあわれわれは考えておるわけでございます。
  31. 野溝勝

    野溝勝君 先ほどの三十一億五千万ドル貿易目標に無理があり危険だというのはこういうことはこの日銀の無理な資金計画、すなわち数千億の貸し出しですね。輸出超過をあえて承知しつつやるでしょう。ここに危険があると思うのです。だからその三十一億五千万ドル目標を達成するために、日本金融的な危機を強行するのでなく、むしろ国内的の市場開拓金融政策を転換すべきであると思うのです。日本中堅官僚ともいうべき若き官僚にその点は真剣に考えてもらわなきゃならぬと思って皆さん質問するのですよ。少くとも皆さんくらいは純粋に考えてくれると思うから、こういう質問をしておるのだ。どうかさような意味お答えを願いたい。  次に、この問題についてはいま少しまあ掘り下げて聞きたいのでございますが、いずれまた委員長及び理事らの了解を得まして後日大臣並びに日銀総裁に来ていただきまして、この点をいま一応お聞きしておきたい、かように思うのでございますので、さよう御了承を願って、この点に対してはまた後日に譲ります。  次に、お伺いしたいことは、銀行当局はずいぶん銀行に対し検査並びに監督をされておるようでございますが、一体監督やり方についてこの際お承わりいたしておきたいと思います。もちろん銀行法に基いた検査をやっておられるのでございますが、われわれしろうとにはよくわからぬのでございますから、この際承わっておきたいと思います。
  32. 石田正

    政府委員石田正君) 銀行につきましては、これは人員、予算関係もございまするので、なかなか思うにまかせないのでございまするけれども、しかし銀行につきましては大体二年に一ぺんくらいの割合で検査をいたしまして、そうして検査いたしました上におきまして、銀行業務運営なり、あるいは貸し出しやり方なり、あるいは預金の取り方につきまして、工合の悪いところがありますれば、それを検査官から口頭でもって自制方を要求いたします。またあとにおきまして、書面によりまして示達書というのを出しまして、不備事項、あるいは適当でないものにつきまして是正をいたしまするように要望をいたしておる次第でございます。
  33. 野溝勝

    野溝勝君 金融問題が重大なる影響を及ぼすことについてはよく承知しおります。ですから私は無理に波乱を起す、あるいは財界を混乱するというような意味でこれから質問しようとするのではないのでございます。この点を十分当局におきましては含んでいただいて、率直に御答弁願いたいと思います。  政府は貯金奨励に努力されておりまして、その結果が思うようにはいかない。半分にもいかないという状態で、政府自身も弱っておると思うのですが、しかしこれはどういう点でさように成績が上らないのか、当局といたしましては調べたことがありますか。この貯金目標がなぜ達成しないかという具体的な事実をつかみましたか。
  34. 石田正

    政府委員石田正君) この貯蓄の問題につきましては、御承知通り毎年貯蓄目標額を設定いたしまして、そうしてまあそれを達成すべく努力をいたしておるわけでございます。私きょう手元にその数字を持って参りませんので、はっきりした数字で申し上げられませんのは非常に遺憾でございます。また御要求がございますれば、目標と達成額を各年度につきましてお手元に資料として差し上げてもよろしいかと思っております。大体年度によりまして多少違った傾向を持っております。ある年におきましては目標額を達成できないこともございますし、ある年におきましては目標額をオーバーすることもあったわけでございます。おそらく野溝先生お話は昭和三十二年度の貯蓄目標が一兆四千億であったのに対して、一兆一千二百億か三百億くらいしかできない、非常に目標と実績との間に差があるのではないか、その原因は何んなんだ、こういうお尋ねではないかと思うのでございます。昭和三十三年度の貯蓄目標を作成いたしました経緯におきましては、大体一兆三千億くらいのことでやったらどうであろうかという考え方もあるようでございますが、御承知通りに、昭和三十一年度におきましては、非常に景気がいい、神武景気という話もございまして、実際の実績が、三十二年度の目標をきめる前に一兆三千億をこしてしまったというようなこともありまして、一兆四千億というような数字をとったわけでございます。その後その年度がアタートいたしますと、先ほど来お話がございましたように、金融引き締めということを強行することに相なりまして、すっかり基本的な情勢が変ってきてしまったわけでございます。その結果といたしまして、昭和三十二年度におきましては、貯蓄の実績が非常に目標額を下回るような結果になったわけでございます。これは一般的な問題でございますが、特に特徴的な点と申しますか、その点から申しますると、貯蓄性の預金というものは割合に着実に伸びておるわけであります。ところが常業性の預金、当座預金その他営業性の預金が、特に大都市銀行を中心といたしまして伸び悩んだということに根本的な原因があろうか、かように考えておる次第でございます。
  35. 野溝勝

    野溝勝君 私の貯蓄成績が芳ばしくないということは、国民生活にゆとりがないというふうにとっておるのであります。国民生活にゆとりがあれば貯金の成績というものは上ると思います。そういう点におきましては、今の政治全体が国民生活の安定を期しておらないからだと思います。ここに大きな欠陥があると思う。それは部分的にはいろいろ見方があると思います。今石田局長お話しになったような点も確かにその一つだと思う。しかし、何としてもなけりゃ貯金ができないのです。そうかと思うと、大きな資本家などはありますけれども、この大きな資本家は見せ金だけの貯金でありまして、すぐそれを五倍にも、十倍にもないしは百倍にもしてまた融資を受ける、すなわち借り入れるということに使うためにするだけでありまして、ほんとうの貯金というものは、特に長期にわたる貯金というものは多くは大衆の資金だと思うのです。そういう点について、むしろ国民生活を安定せしめるという政治が誤まっておるから、この貯蓄目標などは思うようにいかぬと解釈しております。その点については、あなたの見解もその一つだが、私の見解の方が真理があると思う。この点についで一つ考え願いたいと思う。国民が貯蓄をしたいと思いましても、銀行に預金をした場合は金利が安いということ、それからいま一つは、自分たちの預金、貯蓄をした資金というものが不正に融資をされておる。いわば、銀行の重役ないしは支店長らの関係においてやみ取引され特殊な方面に融資されておるといううわさも入って、その貯蓄に影響しておる場合もあり得ると思うのです。かようなことは事実だと思うが、この点に対する見解はいかがですか。
  36. 石田正

    政府委員石田正君) 大体貯蓄の奨励をいたしますときに、大臣もよく申されるのでありますが、それからまた、貯蓄というものは役所が無理々々に貯金せよというものでない、やはり自発的な形でしていただく方がいいと思うのでありますが、御承知通りに、貯蓄奨励委員会というものを設けまして、そちらで活躍していただいておるのでありますが、こちらの希望といたしましては、通貨の価値を安定してもらうということが第一の条件である、それからまた、預けた先の預金が心配ないというのがその次に大きな問題であるというふうに言われておるのであります。その通りであろうと思うのであります。われわれといたしましてはできる限り金融機関につきまして監督をいたしますし、それからまた銀行の経営者の考え方と申しますか、心がまえという点も、そういう点よく認識してやっていただけるように、できるだけそう努めるべきものであるというふうに思うのでありまして、微力でおしかりを受けるかもしれませんが、気持といたしまして、また、実行問題といたしまして、そういうふうに努力いたしております次第でございます。
  37. 野溝勝

    野溝勝君 三月二十四日の新聞でございますが、一々新聞に出たごとを別に取り上げて問題にするわけではございませんが、銀行に対してはオーバー・ローンで警告を発し、一般の人民に対しては金融引き締めで苦しめ、中小商人ないしは一般庶民階級は金融の恩恵に浴さないで困っているときに、何を商売やっておるかわけのわからぬ婦人に、別に婦人だといって、これを差別するわけではございませんが、事業していない札つきの一婦人に対しまして十二億もの融資をするということは、これは想像のつかないところでございまして、いやしくも金融業者でございまする千葉銀行が、かような金融をやったということが新聞に出ておるのでございますが、この間の事情はいかがであったか。
  38. 石田正

    政府委員石田正君) 具体的な数字をもってお答えすることは遠慮さしていただきたいと思うのでございますが、まあ、ある銀行が特定の者に対しまして過大と思われるような貸し出しをいたしております場合におきまして、これは検査の場合におきまして、そういうものを整理いたしまして、なるべく早く解消するように要請をいたしておる次第でございます。
  39. 野溝勝

    野溝勝君 ちょっと聞きとれなかったのですが、融資額の点については事重大だから一つこの際申し上げることは遠慮させていただきたいとの御答弁に聞いておるのでございますが、さような見解ですか。
  40. 石田正

    政府委員石田正君) 金融機関がどういうところへどういうだけの傘を貸しているかということをはっきりと申し上げることは遠慮さしていただいたらどうだろうかというふうに申し上げたのでございます。ただ大口の貸し出しにつきましては、われわれとしてはそういうものは好ましくないから、なるべく早く整理するようにやって参るということを示達いたしておるということを申し上げた次第でございます。
  41. 野溝勝

    野溝勝君 どこにどう融資をしておるということを聞いておるのじゃない。だから、最初から率直に一つお答え願いたい。最初に私は言うておる。金融がいかに影響をもたらすかということを知っていますから。しかし、新聞に出た程度のことはうそか真か、この程度のことは大蔵委員会に話してもらわなければ、私はあらゆるすべてを掘り下げることにします。
  42. 石田正

    政府委員石田正君) 具体的な数字をもって申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、その数字はあまり違っておらぬというふうに申し上げてもいいと思います。
  43. 野溝勝

    野溝勝君 先ほど石田局長の御答弁の中に、銀行法に基いて——銀行法の二十条並びに三十四条のところにも検査のことはよく書いてあるのでございますが、確かに年二回の監査をやる、それから随時また問題のあったときには検査をする、また譜面で警告も発する、こういう御意見なんですが、千葉銀行に関しましては、すでに一昨年春金融王の森脇将光の取調べから、すでに高利で裏貸しをしておるということが問題になりまして、その当時検察当局の手入れとなり問題になった。われわれもこれを問題視しておったのでございますが、その当時から今日まで、千葉銀行動きに対し、大蔵当局は別にこの銀行に対しまして何ら措置をしたことがないのですか、あるのですか。この際、お知らせ願いたいと思うのです。
  44. 石田正

    政府委員石田正君) お尋ねの点につきましては、実は去年の二月この銀行検査がちょうど来ましていたしました。これは従来もそうでありますが、今後もさらにそうして参りたいと思うのでございますが、まあ二年に一回しか検査ができない。なかなか手が回りかねるという点があるのでありますが、そのときに一律に全部検査をすべきかどうかということにつきましては、今いろいろと考えております。まあ率直に申しまして、銀行の中でも問題のない銀行と、多少問題のある銀行もあるわけでございます。そういう銀行につきましては、特に念を入れて検査もし、それからその後の処置につきましても多少違ったことをする必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。この銀行検査をいたしました結果、一般的な示達のほかに、問題になっております貸し出しのようなものにつきましては、特に毎月々々の移動の状況を報告してもらいまして、また銀行の当事者にも出てきてもらいまして、そうして一々どうしてこういうことになったのかということを聞きながら、われわれとしてもできるだけそういうものを早く解決するような工合にやって参ったわけでございます。
  45. 野溝勝

    野溝勝君 国営銀行ではないんでございますから、そう政府当局がやたらに監督といって自分の家の財産でも洗い立てるようなふうに干渉されても、それはまことに行き過ぎでございます。が、さりとて預金者の保護の立場から、なお昨年来問題になって、すでに不正融資の事件を起し、千葉地検に告発して、さらにこれを脅迫罪としてまた反撃して、かような大きな問題を超しておる銀行に対して、その後具体的な、調査あるいはそれぞれの行政措置のなかったということは、大蔵省銀行当局としては怠慢であり、何んとなく割り切れぬのでございますが、もう少しくわれわれにわかるように、その間の経緯を話していただきたいと思います。
  46. 石田正

    政府委員石田正君) これは先ほど申しました、昨年検査をいたしました。その結果に基きまして、どうも思わしくない貸付金の回収整理につきましては厳重な示達をいたしたわけでございます。それからまた、そういう思わしくない債権の中で大口のものにつきましては、現在個別の整理状況を毎月報告させまして、現状を把握するように努めますと同時に、整理回収についてできるだけの指導を行なっておる次第でございます。
  47. 野溝勝

    野溝勝君 千葉銀行の資本金は今幾らになっておるのですか。
  48. 石田正

    政府委員石田正君) 三億五千万円でございます。
  49. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると、昭和十八年当時と少しも違わないのですか。昭和十八年当時三億五千万円です。
  50. 石田正

    政府委員石田正君) 私昭和十八年のときのことは知りませんので、現在三億五千万円でございます。
  51. 野溝勝

    野溝勝君 今銀行局長にお伺いいた片しますると、それぞれ注意をしてきたというのでございますが、ただ注意だけでは了承ができないのですが、注意をするまでに一応調査に参ったことはあるのですか。
  52. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほど申しましたように、去年の二月、相当ほかのところよりも手間をかけまして、時間を多くいたして検査をしたわけであります。検査をいたしました結果厳重な、工合の悪いところは示達をいたしたのであります。示達をしまして、そして貸付金の回収を求めたのでありますけれども、特に大口のものにつきましては、毎月々々報告を特別にとって、そしてどうなっておるかということを報告してもらっておるわけでございます。
  53. 野溝勝

    野溝勝君 千葉銀行というのは、どうも婦人社長に金を貸すことが好きなんです。すでに昨年問題を起したときも、葛原工業の竹内寿恵社長、今度もまた女の社長坂内女史なんでございますが、大口貸し出しに対して厳重な注意を発したと言うけれども、十二億という金は莫大の金ではないか。一体こういう莫大な融資をするまでに当局がわからなんだもんですか、昨年以来、厳重な注意をし、調査をやってきたというのに、さらに一年足らずの間に坂内女史社長に融資したという、あまりにも不注意としてはどうも割り切れないのですが。
  54. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほども数字につきまして大体似たような数字であるということを申し上げました。これは昨年以来、それは実は検査をいたしましたときに、大体もうそのくらいのお金が出ておったのでございます。それからまた、これはそのお話しの人の——いろいろ事業をやっておりまして、いろいろ関連事業があるわけです。そういうものをわれわれの方ではみんな集めまして、そして法人格は別個でありますけれども、そういう関係のものをあれしまして、大体それに近い数字を、去年に似たものでございますので、厳重に示達をし、そしてその後それがふえていくということがないように注意をして参っておる次第でございます。
  55. 野溝勝

    野溝勝君 三億五千万円という資本金で、坂内女史に対して、何の仕事をしておるかわからん、関連事業としましては銀座のレインボーというと、これは化けもの屋敷とみんな言っているのですよ、そしてそれと取引しておる多くの商人の方々が、この新聞に出る三日前に怪しいとにらみ手形を引き揚げた、すでに大体わかっておるのです。こういう事情がはっきりしておるのです。三億五千万円の三倍の資金を一女性に坂内女史のところに三億五千万円、ほかにも千葉銀行は融資しておるのです。銀行当局はそういうことは聞きませんが、知らなかったですみますか。また一片の示達くらいで銀行局当局はなおざりにしておくということは、どうもおそろしい手落ちではないかと思うのです。いかがですか。
  56. 石田正

    政府委員石田正君) これは銀行それ自身といたしまして、その貸付金についてはまあ独自の見解を持っておるわけであります。銀行経営者といたしましては金が、これはこういう種類の貸付であって、こういうふうにして貸付の回収は可能であるというふうなことを申しておるわけでありますから、われわれといたしましては、野溝先生お話のような点も、これは疑問に思いますので、役所としては役所の見解に従いまして注意を与えておった、こういうことでございます。
  57. 野溝勝

    野溝勝君 昨年第一相互銀行が不正融資を起しまして、政府当局はこの立て直しのために傘下にある相互銀行を動員いたしまして、数十億を出資せしめ、その立て直しに努力されておるということを聞いておりますが、結局この数十億を出して立て直しをしたということは、それだけ資金量が焦げついたわけです、凍結したわけです。庶民大衆はいい迷惑をした。そうして年末における金融がそれだけ凍結したようなものですから、年末資金に事欠いた、迷惑をこうむったのは中小企業であったと思う。ところが今の千葉銀行は問題をたびたび起している、普通銀行特別銀行の区別の要なし、普通銀行の千葉銀行は昨年来問題を起しておったこの銀行が、幾ら大蔵省銀行局調査をした、厳重に注意をしたといっても、今日半年足らずにかような問題を起して検察当局の手入れになるというようなことは、まことに遺憾であってひとり千葉銀行の問題でなく、全金融界の事件であって、当局の手ぬるさといいますか、あまりにもだらしのないといわざる得ない。この点は非常に遺憾だと思います。私はこれ以上言うてみても、まるで被告の尋問をするような……検察当局じゃありませんから、これ以上は省略いたしますが、日本金融政策というものに対して国民の気持というものは不安になってくると思う、特に金融の引締めをやり、行き詰まっておるでしょう。中小企業の誰君などは、声を高くして大蔵委員会でこの問題を取り上げてくれないとは何事ぞと、憤慨しているのです。中小企業者の諸君に、われわれ委員会も真剣になって勉強しておりますよというところは見せなければならないわけです。特に聞きにくいようなことでございましたが、金融界を明朗にかつ平等にという立場から銀行局長にお尋ねしたのです。この後一体どうしようとするのでございますか、ただ検察当局の結果を待って乗り出そうというのですか。
  58. 石田正

    政府委員石田正君) お話の点につきましては、まず私は弁解する意思を持っておりませんので、まことに申しわけのない事件が起きたというふうに思っております。それからどう処置するかという問題でございまするが、これはまあこの銀行の全体の状況をわれわれは見ておるわけでございます。で、個々の案件につきまして、先ほど申し上げましたような工合に、この銀行の当事者をしてできるだけそういう適正でないところの貸出につきましては、回収をやってもらうような工合に指導をするということがわれわれのできることでございますので、その点をできるだけやって参りたい、かように思っておる次第でございます。
  59. 野溝勝

    野溝勝君 銀行の中には、千葉銀行事件を機会に、遂には大蔵当局はこれをいいえさにして、今度は銀行監督を強化して、行き過ぎた官僚統制みたいになってきてどうも困るから、お手やわらかに頼みますというような意見を吐いておるのもあるし、かようなことを野放しにされておるというとどこの銀行も同じように見られたんじゃ困るからと、こういう意見もあります。この間行政庁としては非常にめんどうなことだと思うのです、ざっくばらんにいって。しかしこれは預金者初め、中小企業者といたしましては、金融の恩恵に浴さない諸君は非常に興奮しています。千葉銀行といえば融資を一婦人に十二億も金を出す。われわれ庶民金融に対しては相手にもしない、こういうようなことを聞くのです。この事件が一片の注意とか通達というようなことでなくて、この際、むしろ積極的に銀行当局に対し、社会の批判を解決一掃する措置をとってほしい、同時にまた普通銀行側としても、貯金者初め、一応国民大衆に声明といいますか、考え方を述べることが、この間の誤解を一掃し、よいことになりはせぬかと思うのです。むしろ私はさようなことは公共性をもっている金融上の問題ですから、それはその発表の仕方もなかなか重大でございますが、新聞に出た以上は、これはもう何とも隠すということはできないのですし、うやむやにすますことはよくないと思いますから、発表の仕方はなかなか重大だと思いますから、そう簡単にもいくまいと思いますが、一般の国民大衆が、金融の引締め、枯渇で苦んでいるだけに、憤激しておる際でございますから、至急銀行協会とでも話をされて、ないしは政府独自の見解でもよろしゅうございます。一つ善処を願いたいのでございますが、この点いかがでございますか。
  60. 石田正

    政府委員石田正君) これは、私は銀行の経営がうまくいくということは、やはり銀行それ自身がほんとうによくするという気がまえを持っていただくことが根本だと思います。私もなったばかりでございますが、地方銀行協会というのが、まあ毎月例会があるわけでありますが、そこに参りまして、特に皆さん方にそういう点につきまして、銀行経営の健全化及びそれだけでなくして、社会的な見地からいたしまして、公益的な性質を持つ金融機関のあり方というものをよく幹部の人が心得てやってもらわなければ困るということを申しておるわけでございます。お尋ねの点は、地方銀行協会としてなかなかこういう問題をとり上げるということはデリケートな問題がございます。私は率直に申しまして、地方銀行の大部分というものは健全な方向に進んでおると思っております。そういうときに何かほかの地方銀行も同じようなことがあるのじゃないかというようなことは、これは非常にむずかしい点であると思いますので、その点は一つよく考えさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  61. 野溝勝

    野溝勝君 きょうはこの程度で後日に譲ります。
  62. 山本米治

    ○山本米治君 私は一、二年前まで参議院議員であったある人から依頼の伝言を受けて質問するのですが、ごく簡単な質問なんです。広島県の福山市で市金庫の指定をめぐって広島銀行と中国銀行が猛烈な競争をしておるというのですが、その事実を御承知ですか、どうでしょうか。
  63. 塩谷忠男

    説明員(塩谷忠男君) お答えいたします。ごく最近に至りましてその事実を知ったわけでございます。
  64. 山本米治

    ○山本米治君 これは銀行同志競争するということはあることで、それ自体も一つの問題なんですが、そのために一般の銀行利用者が非常に迷惑をこうむっておるという、こういうわけなんです。というのは、銀行に行っても、銀行の幹部がほとんど出払って、いない。融資その他の話をするのに、幹部が不在で、話ができぬというような状況だそうです。これは私自身が調べたわけじゃないから知りませんが、私はその前の参議院議員であった人を信用しておるものですから、その人からの間接の話でそういうふうに思っておるのです。こういうことだと非常に一般利用者も困るし、まあ困るところなんですが、最近この競争の事実を調べられたというが、どの程度承知なのか。また今のようなたくさんの利用者に対して迷惑をかけておるということについて、どの程度情報を得ておられますか、お伺いします。
  65. 塩谷忠男

    説明員(塩谷忠男君) 私どもが知りました事実はごく簡単なことでございまして、福山市の市金庫の問題で、従来のやり方をこの四月から変える。それにつきまして、地元の二行の間に市金庫の何といいますか、自分の方にしてもらいたい、そういう意味合いの話がうまくついていないということでございました。この問題は現地の問題でございますし、かつ市当局銀行相互間で解決すべき問題でございますので、われわれが直接介入してどうこうしろというようなことでも、今のところないように存じておりましたので、事実は知っておりましたけれども、具体的な措置は講じておりません。
  66. 山本米治

    ○山本米治君 さっき申しました二銀行のうち、どちらが市金庫の指定を受けるかということは、市当局銀行間のことでしょうが、そういう猛烈な競争をめぐって、幹部が皆出払って、銀行の利用者に迷惑をかけるということになると、銀行行政の問題になると思う。私自身詳しいことを知らないわけなんですが、そういう事実があるようでありますから、一つ大蔵当局からまず事実を調べて、そういう事実があるかどうか、あるとすれば一つ厳重に注意を促していただきたいと、これだけで私の質問を打ち切ります。
  67. 石田正

    政府委員石田正君) 私その問題をうかつで存じませんで、まことに恐縮でございました。しかしいずれにいたしましても、銀行の当事者が、そういうことのために店を留守にいたしまして、取引先に迷惑をかけるということはけしからぬことだと思いまするので、至急事情調査いたしまして、もし御指摘のような点がございますれば、そういうことのないように至急処理いたしたいと思います。
  68. 河野謙三

    委員長河野謙三君) この問題は私からちょっと補足いたしますが、これは銀行の当事者が、市長、市議会に向って猛烈な割り込み運動をやっておる、そのために銀行業務にさえ支障を来たしておる、こういうことなんですか。それからもう一つは県境の町であるということが、たまたまこういう問題を起しておる大きな原因です。ですから、こういう問題はやはりよその県にも私はやっぱり類似した問題があると思うのです。従って組織上、制度上、市金庫についての問題は、この際、現地を調査されると同時に、将来に向って再検討される必要が私はあるのじゃないか、こういうことを思うのですが、どうですか。
  69. 石田正

    政府委員石田正君) 御指摘の点につきましては、私何と申しますか、金庫の問題につきましては、県にいたしましても市にいたしましても、その関係がございましょうしするので、大蔵省だけでこういうふうにやっていくのだということをきめるということはいかがかと思います。しかしながらわれわれの監督しておりますところの銀行等が、そういう問題をめぐりまして、過当な競争をするということは思わしくないことでございますから、その点につきましては、今後注意もいたしますし、また地方銀行協会等の会合等におきまして、そういうことのないように注意いたしたいと、かように思っております。
  70. 大矢正

    ○大矢正君 ただいまの問題とは関係がありませんが、先ほど為替局長に対する質問等がありましたので、私資料をちょっと要求しておきたいのです。  それは、局長おりませんから、政務次官の方でよく御記憶願って、為替局長に指示をしていただきたいと思います。三十三年度の上期の外貨予算がきめられたということが新聞等にも発表されておりますが、もちろん当然なことだと思うのですが、その外貨予算の内容について、できる限り具体的な資料を出していただきたい。もちろんこれは内容別の資料とそれから各国別の資料ですね。二つに分けて、できるだけ早い期間にぜひ出していただきたいということを政務次官にお願いしておきます。
  71. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 政務次官よろしゅうございますか。
  72. 白井勇

    政府委員(白井勇君) できるだけ検討しまして、御期待に沿いたいと思います。
  73. 左藤義詮

    左藤義詮君 私はしろうとですから、一つお教えをいただきたいのですが、銀行局がいろいろ金融検査あるいは監督をしておられる。銀行法による検査か、先ほども伺いますと、千葉銀行の例でも去年の二月したきりだと。もう少し私は金融というものは、むろん私企業ではございますけれども、今のいろいろな社会情勢経済情勢から見て、非常な公共的な意味を持っていると、また野溝委員の御質問のように、庶民金融にも影響を及ぼし、むろん預貯金者にも非常な影響を及ぼす。もう少し、これは官僚統制になってはいけませんけれども、しかし、その公共性にかんがみて、こういうような事件を未然に防止するようにすべきだと思うのですが、どういうような、たとえば非常に銀行局で人員が不足で、十分できばいとかいうようなことがあるのかどうか。このままでいいと思っていらっしゃるのかどうか、もう少しこれを、先ほどのお話のように官僚統制にならぬ点においてそういう一方の心得もありまするが、しかし非常に大きな影響にかんがみて、何らかの改善をしなければならぬとお考えになっているかどうか。現在の銀行検査あるいは監査に対する実情、それから将来の御方針等について伺っておきたいと思います。
  74. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほど野溝先生からお話がありましたような工合に、地方銀行につきましては、今の人員と予算をもっていたしますると、二年に一回しかできないことになっております。これは実は予算につきまして、人員の増加あるいは予算の増加ということについても、いろいろ毎年予算ができますときに事務当局としては要求もし、またある程度聞かれてもおりますが、なかなか意にまかせないというのが実情でございます。ただ私この銀行局のことをやるようになりまして、こういうことをやってみたらどうかということを今考えておるわけでございます。と申しまするのは、まあ大蔵省監督しているところの金融機関というものは相当広範でございますが、他面日本銀行貸し出しをやっておるわけでございます。あるいは取引関係を持っておるわけでございます。従っていわゆる銀行の大部分——相互銀行の中の目ぼしいものにつきましては取引関係があるわけでございます。取引関係がございますと、そこで検査ではございませんけれども、そういう立場からの考査というものを行なっておるわけでございます。どうもそれが考査は考査で行われ、検査検査で行われる傾きがあるのではないか。つきまして、最近日本銀行と話をいたしまして、そういうふうに両方でやる。もちろん性質は違います。違いますけれども、日本銀行関係からいって、見ておって、そうしてこれは割合に支店もたくさんございますし、また人員等も広範なところがありますから、そちらがまずそういうものについては自主的によく目を光らしてもらって、そうしてわれわれも、もちろん、この銀行、いい銀行だけほっぽらかしておいて、悪い銀行にはいかないというわけには参らないと思いますけれども、しかし、われわれの検査やり方について、やはり重点主義にする。日本銀行がまず、ここは大体大丈夫だから、検査しても、まあ一定の規格はあるわけでありますけれども、なるべく簡略にしていいと思うというようなものについては、大体それにまかして、ここはどうも取引関係で、もちろん役所と偉いますから、厳格な検査はできないわけでございますが、ちょっともう少し気をつけてもらった方がいいんじゃないかという場合については、われわれの方が、そこに重点を置いて、回数なり日数なりをふやしてやるというようなことをやったらどうかと思います。大体日本銀行も賛成のようでありまするので、そういう方向で考えて参りたい、かように思っております。
  75. 左藤義詮

    左藤義詮君 私ども、しろうとには実に驚き入ったお話で、日本金融の元締めである日本銀行大蔵省、特にその銀行局等は、今お話しのようなことは、とっくに私はもう行われておったと思ったのですが、日銀が考査をして、その銀行は、ジャの道はヘビでよく知っておる、どうも、これはちょっと注意しなくちゃいかぬというところは、検査を厳重にやるのは当然のことと思うのですが、これからおやりになるというので、実は私は驚いたわけでありますが、日本の役所のセクショナリズムというものが——日銀の方は支店もたくさん持っており、いろいろな人手もあるのですから、それが今まで全然連絡がなかったということは、それを聞いて、私ども実は驚いたわけなんであります。まあ今さら仕方がありませんが、そういうことはすみやかに、これから相談をしていくというようなことでなしに、おやりになるべきだと思うのでありまして、私は、先ほど申しましたように、非常な公共性を持ち、特に貯蓄奨励その他から考えても、非常な責任のある仕事で、やはり国としても考えなくちゃいかぬ問題がある。ところが、人手が足りない、予算が足りない、これは実にごもっともだと思うのですが、あまり人手があり過ぎて、つまらぬ監査をやられても困るのですが、しかし、一番私は、ジャの道はへビなんですから、急所というのは大体おわかりになると思うのです。そういう点は、もう少し私は——在外つまらぬところは人手も多くやって、ずいぶん、役所の方で調べをして、迷惑をしておるところもあるのですが、今、野溝委員お話を伺って、しろうとの私としては実に驚いたのですが、実はそういうふうに、いつまでも驚かしておらないで、今のお話のごときは、とっくにもう行われておったと思っておったのですが、これからということなんで、一つすみやかに緊密な連絡をとって、社会に不安を与えないように善処せられるように、特にこれは希望しておきます。     —————————————
  76. 平林剛

    ○平林剛君 私は先般、酒税法にからんで、ビール製造業者に関する疑問を発しておきました。私の疑問とするのは、ビール会社が、二月分の酒税について、その申告を行う場合に、約二〇%の脱税を行なっているのではないかという疑いであります。しかも、それだけではなくて、その脱税と思わしきものについて、国税局の方から指示がいっているのではないかという疑いについて、質問を留保いたしておきました。本日は、それを、その事実を確かめるために、長官あるいは関係者にお尋ねをいたします。  そこで、まず最初に、先般要求しておきましたビール会社別の庫出石数、それから二月分の課税石数、この二つについて、資料の要求をいたしておきました。プリントにされたものが出されておるようでありますが、一応、私の留保した質問、要求した資料について、国税局の方から御説明願いたいと思います。
  77. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) お手元に二枚の資料をお配りいたしてありますが、一つは、「昭和三十三年二月分ビール移出石数の概数及びこれに対する課税見込高表」というのでございまして、これは移出石数についての統計を申し上げる際に、御説明申し上げておきたいのでございますが、現在、私どもの方で、課税移出石数の統計を集めるときには、ある月分におきまする課税移出石数、翌月の十日までに、税務署に酒数製造者から申告させまして、その報告を局で集計いたしまして、その月の移出をしました月から申しますと、翌月の末日までに報告をするということになっておるわけでございますが、酒類行政の必要上から、できるだけ早く前月分の移出高を知りたいということからいたしまして、ある月分の移出課税高というものを、申告書の出ない前に、国税庁に報告を求めることにいたしております。それを移出石数概数と申しておるわけでございますが、その概数の数字が、お手元にありますように、東京国税局で三万五千四百二石ということで、各局累計いたしまして、十万二千九百四十九石ということになっておりまして、これを先月の十二、三日ごろ発表いたした次第でございます。同時に、その右の方にありまする課税見込み高は、その際に、この概数に基きまして見込まれます課税見込み高二十億五千八百五万二千円というものを、そこにお示ししておるわけでございます。それから、なお、つけ加えて申し上げますと、ビールの税率は、石二万円でございますから、十万石に二万円をかけた金額になるべきところでありますが、特殊用途酒類というものが若干ございまして、この方の税率は三割方軽減されておりますので、   〔委員長退席、理事木内四郎君着席〕 その間、二万石を乗じた金額と若干の差異を来たしております。  それから、いま一つの方の資料の「昭和三十三年二月分、会社別ビール移出概数石数調」と申します表の方は、実はこれは私どもの方の国税庁には、この報告が参りませんで、会社別の報告は、実は麦酒協会からとった資料でございます。これによりますと、日本麦酒が二万七千四百六十六石、朝日麦酒が三万一千六百二十五石、麒麟麦酒が四万三千四百五十九石、宝酒造が三百九十九石で、合せて十万二千九百四十九石ということになっております。その右の方の課税石数十万三千二百十六石とありますのは、これは先ほど申し上げましたように、二月の移出高につきまして、三月十日までに申告が出ます、その申告が、三月の末までに国税庁に報されるという関係からいたしまして、末日と申しましても、どうしても二、三日、郵便の関係でおくれるわけでございますが、ただいままで集まりました各局のもの、集まりませんものは、電話で照会いたしまして、合計だけ、やっとわかりましたので、ここに記載しておるわけでございますが、概数の石数とは若干差異がございます。
  78. 平林剛

    ○平林剛君 大体、日本麦酒、朝日麦酒、麒麟麦酒、宝酒造の概数石数はわかりましたが、課税石数がわからない。あなたは、三月の末日になればわかると言いますが、三月十日までに申告をせねばならぬわけでしょう、その申告した石数をお知らせ下さい。今回私が問題にしようとするのはその申告石数から出ているのですから、申告石数をはっきり示してもらいたい。
  79. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 先ほども申し上げましたように、私の方には会社別の申告石数は参りませんので、国税局別の申告石数しか参っておりません。従って今申し上げました十万三千二百十六石というのが申告石数の合計額でございます。
  80. 平林剛

    ○平林剛君 それはいけません。あなた、三月十日までに各ビール会社は各税務署に対して申告をするわけです。あなたの方はそれを二十日までに全国的に統合して、そうして大体幾らあるかということの調査統計ができるわけです。三月二十日の朝日新聞の酒の売れゆき不振、特にビールはがた落ちとして報道せられてきておるわけです。だから日本麦酒、朝日麦酒、麒麟麦酒、宝酒造別に申告の石数がわからないということはありませんよ。それで国税庁長官その点を明らかにしてもらいたい。それで私はこれはきょうはっきりさせないと、これから質問をするように、また新しい疑惑を生みますから、その責任においてもあなたはきょうはっきりさせておいてもらいたい。
  81. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 今この統計のやり方を聞きますと、移出概数石数はこれは麦酒協会からとったものだそうであります。それで各国税局から国税庁が徴しております課税石数は会社別ではなく、局別にやっておりますので、正確なところのこの内訳がただいまはわからないということでありますが、しかし全体をごらんいただきますれば、移出概数石数と、課税石数と若干の食い違いがございますが、大した食い違いではありません。おそらくこの程度の差で各会社別になっていると思います。決してこちらでもって操作してどうこうということではありませんから、その点一つ御了承願いたいと思います。
  82. 平林剛

    ○平林剛君 ここでも疑問を感ずるのは、酒税の取扱いはそんなにずさんにやっておるのかという疑問です。酒税法に基いてこれらの庫出し等については各会社へ行けばちゃんと押えることができるのです。具体的な例を言えば、税務署で言えば、川口、隅田、目黒、それぞれ税務署に行けば、それぞれビール会社の石数、庫出石数というのは押えられるはずですね。それを今回大蔵委員会に提出する資料に会社で集めたやつを出したということは、私はどうも国税庁の調べというものは疑問に感ずる、これはようござんす。ようござんすが、課税石数はそれでは今の長官の御説明によると、それぞれ移出概数石数に二倍する、大体これは一石について二万円ですね、税金は。それですからこれを倍数にすれば課税石数が出ると承知してよろしいですか。それからもう一つは、まだはっきりいたしませんけれども、申告された石数をつかんでいないのですか。
  83. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、申告された石数は各国税局別につかんでおります。会社別と申しましても、御承知のように、現在会社が四社ございまして、ビールの納税は工場別に行なっております。で、国税局所在地の工場ごとに所管の税務署の方から国税局に報告がありまして、国税局はそれを集計して、従って国税局の集計というものは、麒麟麦酒のものも日本麦酒のものも合計して本月分の課税石数は幾らということで出てくるわけであります。そのトータルが十万三千二百十六石ということでございまして、二万円云々は、この課税石数に二万円を剰ずると課税高になる、金額になるということでございます。ただ先ほど申し上げましたように、特殊用途酒類が若干ございますので、二万円を乗じた金額より多少少な目になっております。その特殊用途酒の数字はむろんこちらで把握いたしております。
  84. 平林剛

    ○平林剛君 くどいようですが、東京国税局では昭和三十三年二月分のビール移出石数は三万五千四百二石となっており、関東信越では八千四百二名、大阪では三万二千四百九十六石、それぞれ各国税局の調べはわかるわけでありますが、この内訳は結局この四社によっての合計でしょう。しからば逆からいえば、東京では日本麦酒が幾ら、朝日が幾ら、麒麟が幾ら、宝が幾らということは出てくる、そのトータルがここに含まれておるのだから、あなたは何も苦労しなくたってすぐ課税石数出てくるわけですから、空欄として出す必要はないんじゃないですか、どうしてそんな仕事ができないんですか。
  85. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) これは国税局に特別に調査を命じて報告を求めればそれを求めることはできます。ただ毎月の移出課税石数はそういうふうに会社別に求めないで局別に求めておるわけでございます。平林委員の御要求でございますれば、国税局の方に指示いたしまして会社別の集計を報告いたすようにいたしたいと思います。
  86. 平林剛

    ○平林剛君 これは意識的なサボタージュでございまして、あなたの方は私があなたに対して会社別の課税石数を調べて下さいと言ったのは、いつのことだか知っていますか、電話一本ですぐわかることを、これから御要求があれば調べるなんというのは何たる怠慢です。
  87. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 大へんこの表の不備のため、また私ども取り急ぎでありましたために疑惑を招きまして大へん申しわけない次第でございます。お説の通りでございますので、ただいままでの調査の方は今までのところでいたしておりますが、御指摘の点ごもっともと思います。ただいま課税石数につきましても会社の内訳を至急調査して提出いたします。ただ私先般平林先生の御質問を伺っておりまして、私、実はまことにうかつながら二月分のビールの台数が非常に減っているというので、私自身実はまことに申しわけない次第でございますが、そのときに発見いたしまして、さてどういう理由であろうかと非常に不審に思ったわけです。その後さらに引き続きまして平林先生が私のもうほとんど想像できないような事柄につきましてお話がありましたので、実はびっくりぎょうてん早速事実を調査申し上げると、こう申し上げておいたので、至急事実を調査いたしました結果、国税庁部内における事務連絡の不十分から担当者にたまたま誤解を生ぜしめまして、その結果それらを誤解に基いて各国税局を指導しておったことがわかりました。これは私といたしましてまことに統率の責任を免れないものと感じております。深くおわび申し上げる次第でございます。ただこの内容につきましては、非常に技術的でございますので、ただ間税部長から当時のいきさつを詳細御報告申し上げて御了承を得たいと思います。
  88. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 先ほど長官からお話がありました事務上の手違いのよって起りました理由について御説明申し上げます。先ほど申し上げましたように、酒類の移出石数につきましては、ある月分の課税移出石数につきまして翌月十日までに申告を求め、その月末に国税庁に報告をさせておるわけでございます。が酒類行政の必要からもっと早く、一ヵ月早く報告を見たいということからいたしまして、ある月の移出が済みますと、翌月の二、三日ごろ各税務署から各酒類製造業者に電話いたしまして前月分の移出石数はどの程度になっておるかということを電話で報告を求めまして、それを集計いたしまして国税局に報告し、国税局がさらにそれを集計いたしまして各清酒、特級、一級、二級、合成の一級、二級、しょうちゅう、ビールといったふうな酒類別に集計いたしまして報告を出していただいております。それらの報告は大体国税庁に集まりますのが十日前後でございます。その報告を、先ほども申し上げましたように、概数といたしまして発表いたしておる次第でございます。ところがビールにつきましては何分にも工場からの未納税移出あるいは戻し税の数量が非常に多いのでございまして、昨年の三月から本年の一月までの期間をとってみますと、先ほど申し上げました概数の方と実際申告いたしました課税石数との開きが、累計いたしまして一万二千百四十四石に達しておったのでございます。で、ビールにつきましても、その他の酒類につきましても同じでございますが、課税年度といたしましては、ある年の三日移出分から翌年の二月移出分までを一課税年度と見まして、これを統計といたして発表いたしているわけでございます。ところでビールにつきましては、今申し上げましたように、昨年の三月から本年の一月までの間に二万二千百四十四石という概数と確数との間の相違がございましたので、二月分の報告をとる際におきましては、そういった確数と概数との差が生じないようにしなければいけない。世間に発表いたしておりますのは概数でありますが、国税庁の統計として今後残りますものは確数の方でございまするので、概数と確数との間にそんなに開きがありましては困るということを事務担当者に申して、そういうことを各国税局に指示するようにということにいたしたのでございます。ところが事務担当者の方で、その点について、どうして概数と確数との間にこんなに開きが出るかというような点をいろいろ検討した際におきまして、未納税移出の石数が多いからだというようなことを一つ論議しておったようでありまして、その際に、名国税局に電話連絡をいたしたのでございますが、未納税移出の石数を控除すれば大体正確な数字が出るのではないか。従って未納税移出石数一八%を控除してやったらどうかということを各局に指示いたしたのでございます。そうして麦酒協会の方に、麦酒酒造組合の事務担当者の方にもその旨を連絡したのでございますが、ところがこれが一八%を控除して申告をしていいというような誤解を生ずる原因になったのでございまして、そのことははなはだ遺憾でございまして、平林委員お話がありまして早速いろいろ調査いたしましたところ、そういうことがありましたので、二月分として課税されるべきものが、二月分としてでなしに、三月分の方に繰り越されておるということがわかりましたので、早速そのことは訂正すべきで、二月分の移出高として課税すべきものというふうに国税局に指示いたした次第でございます。以上でございます。
  89. 平林剛

    ○平林剛君 国税庁長官が早速調べて資料を提出するという期日を私、指定をいたします。できればきょう、できなければあしたまで、至急に提出を願いたい。これが遅れることは新らしい誤解を生みます。それですから、私の手元あるいは委員会に対して   〔理事大内四郎君退席、委員長着席〕必ずきょうかあしたの間に提出をしてもらいたい。
  90. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 税務署まで照会しなければなりませんので、きょうは一つごかんべんいただいて、あしたぐらいに提出するようにお願いいたします。
  91. 平林剛

    ○平林剛君 あしたでもそれはよろしい。  そこで、私今御説明を聞いてわかったわけでありますが、国税庁は結局、私の地獄耳ではないけれども、麦酒協会に対して、あるいは出先の税務署に対して、あとで誤解をされたという言いわけはつきましたけれども、一八%については概数から引く、あるいは申告の数から引くといったのか、それはあとから確めますけれども、とにかくそういうような指示をなさったという事実は認めますね。
  92. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 遺憾ながらその事実のあることは認めます。
  93. 平林剛

    ○平林剛君 あなたはそのときの指示は誰におやりになりました。そしてその内容はどういう指示をなさいましたか。
  94. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 私が指示しましたのは、先ほど申し上げましたように、概数と確数との差がないようにということを指示しただけでございます。あと一八%云々は事務担当者が誤解をいたしまして連絡いたしたわけでございます。
  95. 平林剛

    ○平林剛君 私の承知しているところでは、これは酒税については非常に厳格な調査と、そしてかなり複雑な経緯を経て、そして取扱いについてもかなりこまかくやっているということを承知しているのです。しかるにその取扱いをビール会社が間違えて、毎月十五日までにする申告を、一八%減らすなんということは考えられないことですよ。いいでか。ビール会社が二月分の庫出石数、あるいはそれを実際に今度は課税の対象として申告する場合に、その税の方の、課税の最も大事な基礎となる申告書を、一八%減らして持ってくるなんということは考えられないことです。もしそれがあったら故意の脱税行為ですよ。かりに二月分を例にとりますというと、十万二千九百四十九石が概数でありますから金額にすると二十億円違います。二十億円をその月納めるべきものを翌月に回す場合に、これはその金のやり繰りだけにおいても、そこには何らかの不正があるのではないか。あるいはそうでくとも、相当な脱税行為になるではないかという疑問がすぐさま浮んでくるわけであります。ですから電話指示にいたしましても、私はビール会社がこれを間違えて、確定申告を一八%なり二〇%なり落してくるなんということは考えられない。いわんやこの四社のうち一社はすでに出してあって、あわててそれを引っ込めて、あらためて申告し直すなんということは、想像もできないようなことです。しかしそれは現実に行われたのです。  それからあなたのお話では、この概数と確数に毎月相違のあるという、こういうお話であります。なるほど私の手元にある資料から見ると、三十二年度における四社合計の概数と、確数との間にはそれぞれの月において若干ずつの相違が出ることは事実です。今、間税部長が御説明になったように、三十二年三月から三十三年二月までの統計をとりますと、一万二千百四十四石の差が出ていることは事実ですが、しかし概数の石数から見ても、確数の石数から見ても、この一万二千百四十四石というものは、どう計算しても一八%という数字が出てこないのだね。いいですか。あなたは確数と概数との違いがあるからそれを直すようにせなければいかんというお話は、またあとで確めるにしても、一応それをうのみに聞いてみても、じゃあその概数なり確数から、一万二千百四十四石というものを結びつけて見たけれども、一八%減らして申告しなさいというようなことは、どういう計算で出てくるのか。私はこの一八%の根拠というものは少しもわからない。電話をなさったときには、一八%の根拠はどこに求めたのですか。一八%をとにかく概数なら概数でよろしい。概数から減らして申告しなさいというその数字はどこから出てきたのですか。私はここに重大な疑問を感ずるのです。だからあなたのお話のように、どうも受け取れない。ビール会社が間違うはずはないじゃないか。それから今の数字からみても、一八%という数字は何ら関係がない。何かそこに、あなた私の質問にうまく答えるために、つじつまを合せたような印象を受けてしまうのですが、説明をして下さい。
  96. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 私は別に説明のつじつまを合せるために申し上げたのではないのでありますが、先ほど申し上げましたように、従来の差石数か一万二千百四十四石ございます。このよって生じた原因につきまして酒税課長の席でいろいろ担当者が論議した際におきまして、未納税移出の石数が一八%あるというような論議がなされておって、その後に国税局に電話連絡をした際に、その未納税移出の一八%というようなことが頭にあった関係で、事務担当者が、それじゃどれぐらい引くのですかということを国税局からいわれたときには、一八%引いておけばいいんじゃないかというような指示をいたしたというように承知いたしております。
  97. 平林剛

    ○平林剛君 そうすると、あなたはあたかも末端の税務署の人が聞き間違って、そして聞き間違えたというか、それを誤解して確数の方から一八%引くような指示をしてしまった。あたかも末端機構の税務署長か税務係長の責任であるかのようにお話になっておるわけでありますが、末端の職員はそんなふうにずさんなのですか。
  98. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 末端の職員が間違えたと申したのではございません。国税庁の方に間違えた責任があるのでございます。
  99. 平林剛

    ○平林剛君 まあそうですけれども、あなた今のお答えだというと、下僚の者に責任があるかのようにおっしゃるから、私は国税当局責任を追及しているのです。その点は間違えないでこれからも質問に答えてもらいたい。そこで数字お答え願いますが、あなたの方の指示は、そうすると、こういうことになりますか。三十三年二月の概数石数は十万二千九百四十九石であった。そこでそれよりも一八%引いたもので申告をしなさいという電話をなさったのですか。そこのところをもう一つ重ねてお尋ねしますが、それとも十万二千九百四十九石が四社の概数石数で、従来未納税の石数が一八%程度あったから、だから申告のとき何をせいというのです。ここのところ私はちっともあいまいでわかりません。
  100. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) お手元にあります十万二千九百四十九石という数字は、一八%引いた後の数字でございますから、これを八二%で還元した数字からそれを引いたということになるわけでございます。
  101. 平林剛

    ○平林剛君 十万二千九百四十九石というのは、一八%引いた、いわゆる未納税の分を引いた概数石数である。しからば三十三年一月の十万四千三百六十五石、あるいは十二月の十九万三千四百二十七石と、それぞれ各石数の概数がわかっておりますが、いずれも未納税の一八%を除いたものと理解していいですか。
  102. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 十二月、一月に一八%あったかどうか、ただいま資料を手元に持っておりませんのでわかりませんが、十二月、一月それ以前のものにつきましては夫納税移出の数字を差し引いた数字になっておるわけであります。
  103. 平林剛

    ○平林剛君 私が今あげた三十三年一月の分も十二月の分も十一月も、それから去年遠くさかのぼって三十二年三月の概数石数も、いずれもパーセントは違うかもしれませんが、未納税の分を差し引いたものであるとお答えになったのです。
  104. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) さようでございます。
  105. 平林剛

    ○平林剛君 そこで少しお尋ねしておきますが、常にこの概数と確数が違うというのは、どういうわけなんでしょうね。私は先ほどの質問でも疑問を出しておきましたけれども、麦酒協会が発表した数字で、移出概数石数を資料として出したり何かしておりますが、国税局は一々帳簿を点検しないのですか。それからこの概数と確数はどうしてこんなふうな違いが毎月出てきて、トータルとして一万二千百四十四石の違いが出てくるのですか。
  106. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 先ほどの協会から求めましたものは会社別の数字がわからなかったので、便宜協会から求めただけでございまして、私どもの方は各税務署から国税局に報告が集まりまして、それを国税庁の方に集計いたしまして、毎月の概数を発表いたしており、また確数の方を集計して統計に出しておるわけでございます。別にずさんにやっておるつもりはないのでございます。ただ概数と確数との間にこのように差異があるのはどういうわけかと申しますと、一つは戻し税というのがございます。一たん市場に出ましたけれども、売れませんために戻って参ります。戻って参りましたものにつきましては、すでに庫から出ましたときに課税されております。従って酒税法の規定に基きまして、その戻った酒に対する税金は戻った月の翌月の課税高から差し引くことになっております。そこで確数の方では戻しの数字に相当する分がこれだけ少くなるということになるわけでございます。ただ平林委員のお尋ねにつきまして、私自身も非常に疑念を持つておる次第でございますが、戻し税だけで果してこれだけの差が出るかどうかということにつきましては、私も間税部長になりましてまだ間がありませんので、はなはだ申しわけないのでございますが、今日までかような事態になるということを知っておりませんので、早速国税庁の職員をして、どうしてこういう概数と確数の差が出るかということを調査いたさせたい、かように考えておるわけでございます。
  107. 平林剛

    ○平林剛君 私はもうきょうの御答弁でも、まことに疑問百出で、この点は今の差石数の問題といい、電話指示の問題といい、国税庁長官、あなたは非常にこの点は監督不行届ですよ。いずれにいたしましても、電話の間違いであろうが、あなたのきょうの釈明であろうが、事実はそれぞれのビール会社が二月分の申告を一八%ずつ減らして申告したということは事実です。そうすると、私に言わせれば、これをもし議会で問題にならなかったならば、二十億円の税額が翌月に持ち越される。二十億円の金を翌月に持ち越すということは、もっと大きくいえば、大資本であるビール会社にこういうような恩典を与えてしまうという批判を受けてもやむを得ないことになるわけです。私は効率表、標準率表でいろいろ七十何万以下の所得者に対しては税務当局の徴税のやり方は過酷過ぎないかということを言いましたけれども、これに反して、このようなビール会社に対しては、間違いであろうが何であろうが、それにも一つ疑問があるようなことで、結局確定の申告については一八%減でやらした。幸いにして私どもの指摘によってこれは是正せられるでありましょうけれども、ゆゆしき問題です。特に総選挙を控えている前に、その裏に何かあるなという誤解を受けても一言の弁解もできないような問題であります。  お尋ねしますが、三月七日国税当局は麦酒協会と懇談をなさった事実がありますね、場所は言いませんけれども、麦酒協会と国税局のだれだか知りませんよ。このことに関して何か談合なさった事実がございましょう。
  108. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 先ほど十万二十億円というお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、十万二千九百四十九石というのは一八%引いた額でございまして、その一八%相当額は、この数字から還元してみますと、二万石という程度になるわけでございますので、二十億ではなくて四億ということになります。しかし、いずれにいたしましても、四億の金額がかような状態になったということは重大に感じておるわけでございます。(「そんな答弁あるか。三十億ならだめだが四億ならいいというような話があるかね。」と呼ぶ者あり)いいとは申しておりません。恐縮に存じておるわけでございます。  それから、三月七日に麦酒協会と懇談をしたという事実はございません。ただ、たしか三月十二日だと思います。全国の間税部長会議がありまして、その間税部長会議が終りました後、麦酒協会と夕食を共にしたことはございます。それは三月十一日でございます。
  109. 平林剛

    ○平林剛君 その点はまたあとで検討いたしまして、お尋ねをしますが、いずれにしてもそこに何が原因があったか、私はとことんまで突き詰めて指摘をするまでは、それまでは調査が行き届いておりませんけれども、いずれにしても疑問の点は明らかになったわけであります。  そこで国税庁長官にお尋ねいたしますが、酒税法という法律がございまして、酒税法の第五十五条には「左の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。一 さ偽その他不正の行為によって酒税を免れ、又は免れようとした者。二さ偽その他不正の行為によって第三十条第三項の規定による還付を受け、又は受けようとした者」。「前項の犯罪に係る酒類に対する酒税又は還付金相当額の十倍が五十万円をこえるときは、情状により、同項の罰金は、五十万円をこえ当核相当額の十倍以下とすることができる。」とある。これにかりに該当するとすれば、四億であれば十倍として四十億円罰金を課しなければならない。もし、かりに第五十六条の適用をすれば、やはり「一年以下の懲役又は二十万円以下の罪金に処する。」と、それぞれ酒税法にはこのようにそれが国民の税収にかかわるものだけに、かなり厳格な罰則規定が設けられておるわけであります。今回のやつは聞き間違い、あるいは指導違い、どうだか、そこは先ほどの点ではいろいろに考えられるのでありますが、事実は間違えて申告したことにしても、申告をなさった方の会社の方は承知していたに違いない。こういったことについては一体どの法律の適用があるのですか。
  110. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私は全く部内の仕事のやり方につきまして、ただいまのような御指摘を受けましたことをまことに申しわけなく存じます。これは私の監督の不行き届きのいたすところでございます。ただ、私は、間税部長より詳細話を聞きましたが、結局、はなはだ残念ではございますが、部内の専担当の誤解に基きまして、そうして誤った申告の指導をしたわけでございます。従いまして、私は、これは会社に対してどうこうすることはできないものと考えております。私の方の国税庁の、たとえ誤ったにしろ、指導いたしまして、ビール会社はとにかくその二月分の申告は、それだけ減らすベきものだ、こう思って、あとの三月において申告すべきものだ、こう考えたものでございまして、これは私は会社には責任はない。少くとも罰則を適用するのは非常に過酷であると考えます。もっぱら国税庁の部内の監督の不行き届き、それは一に私の監督の不行き届き、こう考えるわけでございます。
  111. 平林剛

    ○平林剛君 こんなことを普通の会社が行なった場合には、これは厳格に五十五条の適用なり五十六条の適用をして、場合によっては免許取り消しまでいかなければならない問題です。ビール会社四社それぞれやったので、免許取り消しをやれば、ビールが飲めなくなるからまた別な因った問題が起きますが、しかし、これは重大な問題ですよ。いわんや、これに国税庁がとにかくいずれにしても電話なり何なりの指導によって行われたというようなことは、これは私どもは許しがたい性格も有するものである。この取扱いについて、もちろんあなたの方は是正なりしなければならぬのですけれども、文書でおやりになりましたか。また口頭でおやりになりましたか。こういう問題を私は電話でやったということが問題だと思うのです。国税庁が従来——間税部長も新任真近かであったということは、多少同情してもよろしいけれども、この概数と確数との差があるようなことだとかに気がついて、それを直そうとすることはいいかもしれません。いいかもしれませんが、それを文書でやらないで電話でやるというところに重大な誤解を生む最大の原因がありますよ。今回、これを是正なさるときには、一体電話でやるのですか。文書でやるのですか。
  112. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 昨日、とりあえず間税部より関係各国税局に対しまして、電話で指示いたしたのでございますが、得てして電話でいたしますと、また間違いがございます。直ちに私の名前をもちまして、文書でもって指示いたします。
  113. 平林剛

    ○平林剛君 きょうは、私はこの問題点を指摘しまして、国税当局に厳重に反省を求め、これの解決に当っては、いやしくも国民全般から誤解を生まないような措置をすることが最大の責任をとる方法である、こう考えております。私もきょうは全部については言わなかったのですよ。言わなかったけれども、今後の国税当局やり方を見ておりますから、どうか一つ、いやしくも批判を受けないような方法をもって解決をすることを要求をいたしておきます。
  114. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は、今、平林委員質問を伺っていて、国税庁の態度というものに非常に割り切れないものを持つのですがね。この点についてお答えを願いたいと思うのですが、平林委員は、このことを心配されて、もう数日前の委員会から国税庁に調査を依頼しておられたのです。一番最初、平林委員委員会で正式に国税庁に依頼されたのはいつでしたか、日にちは。
  115. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 三月三十一日の税法審議の、たしか午後四時ごろだったと思います。
  116. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 きょうはもう三日ですね。相当日にちが経っている。その間、先ほどの国税庁なり間税部長の御答弁の中に、移出石数と課税石数とは大した違いがありません、という言葉がありました。そういうこともあったでしょう。それからもう一つは、現地の税務署について調べることが困難だから、麦酒協会から資料を求めて、メーカー別の表を作りましたと、こういう二つお答えがありました。このことは、問題がきわめて明確なことは、あなた方が御承知ですよ。もう役所へ帰ってぴたっときたと思うのであります。きておりながら、平林君の資料に誠実に答えるのには十分の私時間的余裕があったと思うが、その努力をどうしてされなかったか、これが重大な第二の疑問だと思うんです。どうしてしなかったのか。なぜかと言えば、今、問題がここまで進んできて、それでさらに資料を要求されたときは、きょうは間に合わないけれども、あすは間に合うとおっしゃった。それくらいやろうと思えばできることを、三十一日から三日の間においてなぜおやりにならなかったか。この点に対して私は重大なる疑問を持つんです。これにお答えを願いたい。
  117. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) おしかりをこうむりまして、まことに恐縮に存じます。私は、平林委員の御要求は、最初工場別ということでございましたので、工場別は困難だから、各局別にお出し申し上げますということで、各局別にお出しするつもりでおったわけでございます。ところが、けさほどになりまして、工場別でなくてもいいから、会社別に出せと、こういうお話がございました。けさになりましては間に合いかねましたので、やむを得ず、きょう麦酒協会の方から報告を求めたわけでございまして、私の平林委員の御要求の数字に対する取扱いがはなはだ遺憾であったことをおわび申し上げます。
  118. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その点はそれならばやむを得ないとしまして、第二の疑問としては、千林委員がだんだん追及していって、とうとう困っちゃった結果、一八%控除の問題を述べて、事実を述べて、そして、まことに相済まなかった、ということですがね、そんなことは、この委員会へきょうおいでになるときもうわかってたはずです。それをなぜ冒頭から、あれだけ追及をしない前に全部述べて、そして釈明を求められなかったか、ここに非常に疑問があります。  それからもう一つは、移出石数と課税石数と同じだ、大した違いはないだろう、とおっしゃってるが、もし一八%控除ということを自主的に、積極的に国税庁が非を認めて、当委員会に釈明をせられようというならば、この移出概数石数が一八%控除されてるということが事実であるならば、課税石数になぜ一八%還元したものを表に作ってお出しにならないか。そこまでやられるのが、あなた方ほんとうに非を認められることなんですよ。そういうことをしないでおいて、だんだん小林委員が、追及していかなければ問題解決しないものだから、追及していったら、とうとう最後に手をあげて、相済まぬ。こういう態度というものは、とるべき態度でないじゃないですか。これは長官の一つ真摯な答弁を私は求めたいと思います。
  119. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私実は、当初平林先生から私に対してすぐ御質問あると思ったんです。ところが、平林先生はこの表について説明せよということで、間税部長が始めたわけでありまして、私はしかし、それは長くたってはいかぬということで、私が実は途中でちょん切って、経緯をまず申し上げて、詳細を間税部長に申し上げさせるようにいたしたのであります。決して、追及を受けて初めてやむを得ず申し上げたということではございません。  それから、この課税石数は移出見込石数と、移出概数石数とほぼ同様でございます、と、こう申し上げましたが、この課税石数は、漏れてるのは、なぜ足さないかという、これは、実は三月十日の申告がこうだということでありまして、初めから一八%足して出したら、実はかえって誤解を生むのであります。というのは、概数だけはそういうふうに指導をしたけれども、確定の一方は合ってるんだと、こういう表になるわけでありまして、かえって私は作為した表になると思います。従いまして、ありのままに出しまして、こうなっておることは結局指導の誤まりによりまして私は課税石数に漏れがあると、こう考えまして、従いまして、その差額については直ちに追徴する措置をとる、こう申し上げたわけでありまして、決して、ごまかすために課税石数の中に載せなかったわけじゃないのでありまして、足せばかえって誤解を招くと思いました。
  120. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それならば、この表を説明されるときに、間税部長がそこまで自主的に言われるべきですよ、あれだけ追及しなければ言えない。表の作り方そのものも、あなた方が専門家として作られるときには、ここにミスがあるんだ、誤差が出てくるからこれは大へんなことになるというので、あらかじめ断わっておけば、そういう疑惑は何も出ないですよ。そういうところに、私は大蔵委員会で国税庁と今国会を通じていろいろの問題をお尋ねしたんですが、どうも割り切れないところがあるんだが、もう少し率直におやりになったらどうですか、そういう点について。それで今のこの問題でも、先ほどの二十億円と四億円の問題がありますが、それにしても、ほんとうに割り切って、私が今申し上げておるような気持で、この問題を扱っておいでになれば、ああいうことは出てこないと思う。それは数字の間違いは間違いでいいですよ。いいけれども、この四億という金だって大へんな金だからそういうことはないと思うが、頭の置き方、考え方の問題だと私は思うんですがね。いずれまだ平林委員はさらにこの問題で突っ込んでいたきい、こういう話のようですから、もう少し真摯な態度で、率直に、あまり手数をかけないで、問題をすらすら解明せられるようにせられたいと思いますね。今の質疑応答を聞いておって私は痛感しました。  最後にもう一つ聞きますが、酒の売れ行き不振というので、たしかにビール……、平林委員が持っている三月二十日の朝日新聞をごらんになって、国税庁長官も、一八%の割引を承知しておられた間税部長も、この新聞の記事は少しおかしいということにちっともお気づきにならなかったんですか。人為的に国税庁の中で行われて、がた落ちになっている、数字上で。それについて少しもおかしいと思われなかったんですか。
  121. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) まことにうかつな話でございますが、私は、一八%控除して——ということを指導したということを知りましたのは、平林委員の御指摘がありまして、いろいろ係員を問いただした結果わかったのでありまして、その当時はまだ存じておりませんでした。
  122. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 間税部長、ビールのこの仕事をやっておる国税庁の中の最末端の責任者はだれですか。その人も不審に思わなかったんですか。これは事務官じゃなくて、課長の下には係長もおられるだろうし、一体だれですか。その人に対しての問題は、国税庁としては問題にならないんですか。そういう控除する数字なんか部長にも知らせない、これはけしからぬことでしょう。もちろん長官にも知らせるべきことでしょうが、それも知らせない。部長も知らない。一体だれが知っていたんですか。課長が知っていたんですか、係長が知っていたんですか。
  123. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 課長、係長が知っておったかどうか取り調べまして、御報告申し上げます。
  124. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういうことがおかしいですよ。そこまで調べて、一八%電話で通知をしたということを調べたんでしょう。調べておいて、まるで幽霊と問答しておるんじゃないんですから、係長か事務官か、それはわかるでしょう。
  125. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実はこういう発表ものは、毎週水曜日に私と記者会見がございまして、その席上発表するのが常でございます。ただし私は残念ながらそのときの発表には、たしか国会関係で用がございまして、立ち会わなかったと思います。私が立ち会いませんときには、適宜次長等が立ち会ってるわけでございます。おそらく私がおりますれば、ずっと記者班の質問に答えまして、これはおかしいじゃないかと、一応部内の人を呼びまして、いつも究明しておるのでございます。私は実はそのとき知らなかった、発表に立ち会わなかった。それから、これはまことにうかつでございますが、新聞発表を私は気がつかなかったのであります。これもまことに申しわけないのでありますが、これというのも私のふつつかなところでございまして、まことに申しわけございません。もし私が立ち会っておりませば、私がどうしてこうなったかということについて、さらにそのときに相当徹底的に調査したかと思いますが、どうも申しわけありません。
  126. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この新聞発表を長官がみずからおやりになるということは、それはその通りでしょう。であるからあなたがこの新聞を読んでおいでにならないということを、私も率直に認めます、長官がおっしゃるのですからね、しかし少くとも国税庁か記者会見をやって新聞に発表されるときの新聞発表の記事の、発表の内容ですね。内容を長官がお作りになるわけじゃないでしょう。下部機構の各部局から所要なものを集めて長官のところに集まってくるわけでしょう、そうでしょう。そうすれば何といったって、これは責任がなければなりませんよ、この記事について。私はそれをお聞きしておるわけです。長官を責めているのじゃないのですよ、長官を責めているのじゃない。長官はまじめにそのままをおっしゃっているのだから、その通りと私は受け取っておるわけだ、国税庁の中の組織の中で、どこにこういう問題の責任があるのか、新聞発表をした……。これを伺っておる。
  127. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 毎週国税庁で記者会見いたしまして発表いたします場合におきましては、各部課におきまして、それぞれ今週はどういうものを発表するかということを実は広報官室と打ち合せまして、その上で出すわけであります。で、広報官が主として主宰いたしまして記者会見に立ち会う、租の場所におきまして、当該担当課の者がそれに立ち合って説明を加えるというのが従来の例でございまして、おそらく当日も間税部か何かが立ち会って記者の方の御質問お答えしたかと思いますが……。
  128. 平林剛

    ○平林剛君 私はまた質問あとに回そうと思ったのだが、今のことだけでちょっとお聞きしておきますが、私の疑問に感じましたのは、朝日新聞の記事を読んでビールの売れ行きが減ったと、暖冬異変なのになぜ減ったのか、そしてその分析を国税庁は不祝の影響でそのビールの売れ行きがここまで及んだという説明を新聞記者になさっておる、さて、これはおかしいと、いわゆる一般の酒の減税が四月一日から行われるから、小売商が仕人れを手控えるというならわかるけれども、ビールは減税になっておらないのにがた落ちになっておる。その前に私はビール減税のことか政府部内においていろいろなやりとりがあって取り消されたことと結びつけて考えたときに、ここに何かあると考えた。それからこの問題が起きてきたわけでありますが、種をあかせばですね。しかし今の事実がわかったわけです。そこでこれはビールが売れなくなったのは、やはり今でも不況の影響がこういう売れ行きに及んでいると、こう見ておるわけですか。
  129. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) これは同時に発表になりました特級、一級の酒がやはり減っておるわけでございます。で、特級、一級の酒が減りましたのは、やはり最近不況の影響ではないかというふうに私どもは見ておりますが、ビールの方はそういう影響によって減ったのではなしに、二月の減ったのは全く国税庁の方の指導の誤まりでありまして、三月の上旬、中旬の数字を見ますと、先年の数字に比べてやはり相当伸びておりますので、ビールは決して減っておらないというふうに感じておるわけであります。
  130. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 じゃ、いずれ事態はまた明らかになるでしょうが、長官なり部長なりに私ははっきりした御意思を承わっておきたいのですが、まだよく調べてみなければわからないけれども、この問題で、一八%控除通告の問題で、役所とビール会社との間に、あるいはビール協会か知りません、その間に好ましくないような関係は絶対にないという御自信をお持ちになっておるか、当委員会責任をお持ちになれるかどうか。それはあるかないか知りませんよ、知りませんが、前もって伺っておくのだが、絶対にそういう事実はない、あくまでも誤まりであった、間違いであった、指導の間違いであった、責任を持つ、こういう工合にはっきりと断言していただけますかどうか。
  131. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私は絶対にそのような懸念を抱かれることはないと信じております。私は絶対にそのような変なことはない。もっぱら誤解によるところの指導の誤まりだ、こう私は考えております。
  132. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 責任は持たれるわけですね。
  133. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 責任は持ちます。
  134. 大矢正

    ○大矢正君 今のお言葉ですが、そうすると、今回こういう不測の事態が起きたということは、すべてが税務署の手落ちであり、それから税務署の職務監督上の不行き届きだという結論であって、ビールの製造業者には何ら非がない、こういうように判断していいわけですか、長官。
  135. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは税務署でなく、全く国税庁の責任でございまして、ビール会社におきましては、国税庁がそういうふうに指示したということでいたしたのでございますので、私はビール会社については責任はないと考えます。全く私どもの責任だと考えております。
  136. 平林剛

    ○平林剛君 その問題は、私は後刻検討いたしまして、もっとよく結論をつけなければいけない問題だと思っております。あなたは今の場合、国税庁の電話からこういう事態になったのだから、いろいろなことを配慮して言われていると思いますが、研究をしなければならぬ問題です。酒税法の取扱いから見まして、またその実情についてもう少し調査をして、国税庁だけのあれではないと、私はその点は、長官はもう少し慎重に全般的な見地に立って検討を要する問題であると、こういうふうにお考えいただきたいと思うのです。私もこのことについての取扱いは、国税庁の動き方と同時に一つの結論を用意しますから、あなたの方でも慎重な態度でおってもらいたい、そしてまた研究をしてもらいたい、要望いたしておきます。     —————————————
  137. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について内容の説明を聴取いたします。
  138. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) それでは私から、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  改正の要旨につきましては、先般提案理由で申し上げた通りでありますが、若干の補足をさしていただきます。  まず第一に問題になりますのは、外国為替相場の立て方の問題でございます。これは、現在の外国為替管理法は国際通貨基金の規定に順拠いたしまして規制が行われております。もちろん国際通貨基金、いわゆるIMFは日本の国会においても承認いたしておりますので、効力といたしましては法律と同じものと考えておるわけでございます。この二つの規定があわせて為替管理法の規制とIMFの規制と両方があるわけでございます。そこで両者を比較いたしました場合に、IMFの協定のきめ方よりも現在の為替管理法の規定の方が少し煩瑣な、厳重な規制をされておる面があるわけであります。そこでそれらを改訂することが適当であるというので、この法律案を提案申し上げた次第であります。  お手元に、外国為替及び外国貿易管理法の現行法と改正法の対照表をおあげいたしました。説明の順序といたしまして、多少前後いたしますが、問題点をごく簡単にあらまし申し上げます。  第一は新旧対照表の第二ページの第五項の問題でございます。これが今回の主要なねらいでございまして、IMF協定におきましては、たとえば脱退とか割当の変更、あるいは当該国の提議による定款変更というようなものを除きまして、それ以外の規定は加盟国の五分の三以上の投票で、その投票総数の五分の四以上の賛成がありました場合には、これを変更することができるとなっております。また理事会全員の一致があります場合には規定の一時停止といいますか、百二十日を限ってこれを停止することができる。なおその期間を越えましてさらに総務会の五分の四以上の多数決がございます場合には、さらに二百四十日までそういう規定の停止をすることができることになっております。従いまして、こういう規定によりまして、IMF協定はかなり弾力的に運用できることになっておるのでありまして、たとえばIMFに登録すべき平価について、これは一番重要な問題でありますが、一九五〇年にカナダは平価の登録を停止しております。それをIMFは容認いたしております。また加盟国でありながら平価をきめておりません国もフランス、イタリア、タイ、ビルマ、ギリシャ、インドネシア等数カ国によってそのことが行われております。そこで為替相場の建て方につきましても、IMFが規定しているところをそのまま管理法で規定いたしますと、IMFの方が以上のようないろいろ非常に弾力的な運用ができますので、日本はそれを受けておりますが、別に法律が出ておりますために、もしもそういうことでIMFの現在の規定が若干変更される場合に機動的にそれについていくことができないという状況にございます。たとえば具体的に申しますと、IMFにおきましては、いわゆる直物相場——スポットにつきましては、平価の上下一%の範囲まで相場を動してよろしいということになっておるわけであります。日本は欧米各国と違いまして中心地から相当離れておりますために、メール・デーといいますか、郵送日が十日ぐらいかかりますため、その間の金利相場が一覧払いとTTとでは〇・二五%程度違って参ります。そういたしますと、厳格に一%の範囲内に現金一覧払いの為替をはめようといたしますると、日本としては上下おのおの〇・七五%、幅としてIMFは二%でございますが、日本は一・五%しか残らないということになるのでございます。それからまたIMFにおきましては上下一%という、その上一%と申します場合には、平価による相場から上下一%となっておりますが、日本の場合は基準相場あるいは裁定外国相場からの上下一%というふうに規定の仕方が違っておりますというような点も、やはり今後為替考えていきます場合に、必ずしも適当でないというふうに考えられるわけであります。今後の状態を予想いたします場合に、IMFの規定に基きまして、IMF平価を相場の基礎として直物為替相場、これを上下一%に押えるというのは、一つの金本位制度のもとにおける金を基準とする自由な輸出入というようなものを理想といたしまして作られたものでありまして、それとそれから現実というところが妥協されまして、それでかなり弾力的な動かし方になっておるというふうなことではないかと思っております。ところが、最近に至りまして、御承知のようにいわゆる為替相場を自由にいたしまして、いわゆるフローディング・レートと申しますか、そうして為替の自主性を見つけたいというような説も出て参りました。また先般の、去年の夏でございますが、フランス・フランが実質上切り下げをいたしました場合に、EPU、ヨーロッパ各国が多少通貨の動揺を来たしまして、これを三分の一くらいの幅にとどめたらどうかというような議論も起って参りました。もしこういう議論が出まして、それをIMFが認めますと、日本としてはIMFの規定がありまして、もちろんそれに従うわけでありますが、為替管理法から参りますと、上下一%しか動けない。そうなりますと、かような事態が出来いたしました場合に、緊急に機動的にこれに対応することができないということになりますので、一応この規定を削除いたしたいと考えております。もっともこれを削除いたしましても、さっき申し上げましたように、国際通貨基金の規約につきましては、国会の御承認も得、法律と同等の効果を持つのでありますから、日本政府としてはIMFの規定に従うということは当然でございます。両方を網をかけてきつい方でやっているというところに問題があるのではないかということで、削除をお願いいたしたわけであります。  それから恐縮でございますが、一ページに戻っていただきまして、第七条の第三項でございます、これは現行は、「各外国通貨について正しい裁定外国為替相場を決定し、維持しなければならない。」とございます。現実には日本におきましては、ドルと英ポンドの裁定相場をきめればそれで大体動くわけであります。そうしてまた「各外国通貨」といっておりますが、日本としては各外国通貨は全部を扱っておるわけでございません。それを一々裁定相場を出すということはいかがかと思われますし、なお何が正しい相場であるかということにつきましては、裁定相場の性質上なかなか議論のあるところでございます。ましてこれを維持しなければならないという規定がございますが、「正しい」というところに問題があるほかに、これを維持するということはどういうことかということになりますと、外国側のいろいろな要因によってこれが動いて参ります場合に、これを維持するというようなことは、ちょっと規定としてはありましても、実際問題としてこういうことはできないということもございますので、従って改正案におきましては、外国通貨についての正しい裁定外貨相場は大蔵大臣が定めるときだけにいたしまして、「各外国通貨」とか「維持しなければならない。」とか、議論のある条項を落したわけでございます。  それからその次の第三項でございますが、これは外国為替資金の運用による為替相場は大蔵大臣がこれを定めなければならないとございますが、これは実は歴史的な問題がありまして、この管理法ができました昭和二十四年当時は、外国為替管理委員会というものがございまして、これが外国為替を扱っておりました。しかしながら為替相場というものは一国の通貨価値に関することであるということでありますから、外国為替管理委員会にこれを扱わせることをいたしませんで、大蔵大臣が通貨の面でこれを決定するのだという規定をいたしたわけでございます。しかし現在におきましては、為替管理委員会もなくなっておりますし、それからまた第四項におきまして、現行の「大蔵大臣は、正当な外国為替取引における外国為替の売相場及び買相場並びに取扱手数料を定めることができる。」と書いてございますので、現在は売り相場、買い相場を外為資金できめまして、それで事は足りるのではなかろうかということで、これも整理をいたしたわけでございます。  以上が外国為替相場に関する改正でございますが、第二点といたしましては、新旧対照表の三ページの第六十八条の立ち入り検査権でございます。この点につきましては、現在為替管理法によりますところの検査質問権というのは、外国為替公認銀行とか両がえ商に限られております。いわゆる商社保有外貨あるいは交互計算も認められておる貿易業者、保険業者、海運業者と、つまりこういう銀行を通じないで外国との間に為替関係ができるというものについては、立ち入り検査の権限も質問権もないわけであります。ところが、御承知のように、輸出振興の一環といたしまして、できるだけ為替管理法の手続の簡素化をはかりたいという御要望がございまして、本年の初め以来、これに関する懇談会を開きまして、種々検討いたしました結果、かなり思い切った簡素化をすることになったわけでございます。これは後ほどちょっと簡単に触れますが、一番大きな問題といたしましては、今までは輸出をいたします場合に、書類を作りまして、それを銀行の窓口へ持っていって、これは為替管理法に違反していないということを一度確認を得ましてから税関に持ち込んで、それから輸出をするという格好になっておりましたが、今後は、一応そういう貿易業者を信用をいたしまして、初めの銀行の認証ということをやめまして、いきなり税関にいく、それだけ手数が省けるということにいたしたわけでございます。しかしながら、そのために脱法行為がありまして、この法律を破るというようなことがありました場合には、これは困りますので、一応事前に信用してかかるけれども、あと調べて不正のことがあったか、あるいはうまくいってないかという場合には、これを注意をし、あるいは改善をさせるということが必要でございます。これは、将来輸入その他について簡素化をいたします場合にも、やはり検査調査のことがありませんと、なかなか思い切った簡素化はできない、そういう面もございますので、一応立ち入り検査の点を新しく銀行、両がえ商以外に拡充していただきたいというのが趣旨でございます。  なお、先ほど申し上げました輸出のための手続の簡素化でございますが、これは懇談会を数回開きまして、通産省その他の関係各省と御相談して、今準備中でございますが、大体おもなものを申し上げますと、さっき申し上げました輸出の場合の手続について、銀行の事前認証をやめる、事後の審査に切りかえる、それで相当助かると思います。  それから、輸出承認品目の整理、これは自主的な輸出統制、あるいはココムの物資と、いろいろ制限を要するものがありますので、承認品目がかなりあると思っておりますが、これもできるだけ簡素化していきたい、整理をしていきたいというふうに考えております。  なお、標準決済規則の改正でございますが、これは今までは信用状ベースでなければいかぬという固い規則になっておりましたが、これをやはり信用状ベースでなくても、まあハウス・ビルとかDP、DAとか、そういうものでも銀行の方で大丈夫だというようなものは、必ずしも一々許可を受けるということをしなくてもいいのじゃないか。その他、バーター貿易の手続の簡素化、そういったようなものを今考えている次第でございます。それを実行いたしますために、六十八条の立ち入り検査権の改正をお願いいたしたい次第でございます。
  139. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会      —————・—————