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1958-03-19 第28回国会 参議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)    午後一時五十分開会     —————————————   委員異動 本日委員泉山三六君及び荒木正三郎君 辞任につき、その補欠として廣瀬久忠 君及び片岡文重君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君           小笠原二三男君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            木暮武太夫君            左藤 義詮君            塩見 俊二君            土田國太郎君            廣瀬 久忠君            山本 米治君            大矢  正君            片岡 文重君            野溝  勝君            杉山 昌作君   衆議院議員            横山 利秋君   政府委員    大蔵政務次官  白井  勇君    日本専売公社監    理官      村上孝太郎君    大蔵省主税局長 原  純夫君    国税庁長官   北島 武雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    国税庁税部長 金子 一平君    日本専売公社総    裁       松隈 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○酒税保全及び酒類業組合等に関す  る法律の一部を改正する法律案(衆  議院送付予備審査) ○連合審査会開会の件 ○日本国アメリカ合衆国との間の安  全保障条約第三条に導く行政協定の  実施に伴う関税法等臨時特例に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○租税及び金融等に関する調査の件  (専売事業に関する件)  (租税行政に関する件)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより委員会を開きます。  先刻委員異動がありましたので御報告いたします。  荒木正三郎君及び泉山三六君が辞任され、その補欠として片岡文重君及び廣瀬久忠君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) まず、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  4. 横山利秋

    衆議院議員横山利秋君) ただいま議題となりました酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明いたします。  昭和二十八年二月二十八日 同法か制定されてから、法は一方的に酒税保全のみを重視した結果、大企業に有利になるよう、酒類業組合運営において、組合定款の変更、調整活動等の最重要事項議決組合員が移出する酒類石数も行使できるよう規定したのであります。  この結果は、酒造組合特にしょうちゅう酒造組合の例に見られるごとく、組合運営中小企業者意見が反映されなくなったのであります。われわれは酒造組合の円滑な運営をはかるため、同法の特別の議決についての石数による制限を撤廃する必要があります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  なにとぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 都合により本案質疑は後日に譲ります。     —————————————
  6. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、連合審査会に関してお諮りいたします。  目下、商工委員会において審査中の企業合理化促進法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険公庫法案、それから地方行政委員会において審査中の公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案は、いずれも本委員会審議事項と密接な関係がありますので、この際、右の各案について商工委員会及び地方行政委員会に対し連合審査会開会申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。よってさように決しました。  なお、連合審査会日時等につきましては、関係委員長と協議の上決定いたしたいと存じますので、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
  8. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  9. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第一条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。
  10. 平林剛

    平林剛君 ただいま議題となった法律案の中で、合衆国軍隊構成員等の用に供するため免税輸入されておる物品、その物品にはどういうものがあるか、かなり多岐にわたることは承知いたしておりますが、概略おもなる物品について御説明を願いたい。  第二に、もし年間これらに課税されるとしたらどの程度総額になるか。全般的なことを把握するため、課税額としてその総額幾らになるかの御説明を願いたいと思います。
  11. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまの御質問の第一点、物品にはどういうものがあるかという御質問に対しましては、これは行政協定によってあらゆる物品免税となっております。その物品のおもなるものといたしましては、自動車とかあるいは酒、たばこ、それからカメラゴルフ道具、それから腕時計類、それからアイス・ボックスであるとかテレビとか、そういうものが主として問題になる物品かと思います。  それから、大体それによって免除される関税の額はどれくらいかという御質問かと思いますけれども、これも確実な数学は出ませんが、大体昭和二十七年度におきましては二百二十七億円、それから二十八年度におきましては二百五十四億円、二十九年度二百十六億円、三十年度百三十三億円、三十一年度百五十二億円、それから三十三年度の四月から十二月までしかまだ数字が出ておりませんが、これが九十九億円、大体二十七年度から三十二年の十二月までを合計いたしますと一千百億円ちょっとになるかと思います。
  12. 平林剛

    平林剛君 今説明になりました数字は、本来課税をされる税額として説明をされたのでございますか。その点が明瞭でありませんから、もう一度。
  13. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 今おっしゃった通り税額でもし関税をとったならばこの程度になる、この程度免税されておるということでございます。
  14. 平林剛

    平林剛君 もう一つお尋ねをいたしますが、この法律によりますと、今後税関許可を受けないで、ただいまの免税輸入物品を譲り受けた場合には、申告を待たず一方的に告知徴税できることになっておりますけれども、実際問題としてその事実をどうやって知ることができるか。これは私、どうもなかなかむずかしいのじゃないかと思うのでありまして、この法律を出した以上、捕捉することについてもある程度の御確信があると思われるのでありますが、その点の御説明を願いたいと思います。
  15. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまおっしゃった通り、この譲り受けられた場合の物品を捕捉するということは非常に困難でございます。もちろんこれは現行法のもとにおきましても、今提案しております改正法案のもとにおきましても、これは同じく非常に困難でございます。しかし、従来の方法といたしましては、たとえば自動車のように、道路運送車両法のような法律で、他法令でもって登録制をしかれておるようなものは、その登録の際にキャッチをする機会がございます。それからまた、輸入腕時計であるとか酒であるとかいうようなものにつきましては、証紙制度が行われておりますので、この点もある程度つかみ得るかと思います。たばこにつきましては、これも外装等からはっきりいたしております。それ以外の物品につきましては、はなはだばく然としたものが多いのでございますが、税関といたしましては、できるだけ販売の業者なりあるいは、いろんな情報なりを基礎にいたしましてこれを捕捉するように努力をいたしております。
  16. 平林剛

    平林剛君 私の質問に対して十分でありませんけれども、次の質問を行います。  それは、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律は、かなり前から施行されておったのでありますが、これが、最近になって今度の国会提案をされた動機——前から当然このような措置が行われておらなければならなかったと思うのでございますが、今国会提出をしたのは、少しおそきに失するのではないかという感じもいたします。そのことが一つと、何か、この法律案提出するに至った最近の直接的な動機——何か事件などがございまして提案の運びになったのかどうか。こういう点についてお尋ねをいたします。
  17. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまの御質問の第一点は、現行法と新しい法律案との間にどういう区別があるかということかと思いますが、第一点は、従来、軍人軍属等から譲り受けをいたしました場合に、これが輸入とみなされて、関税物品税を納付しなければならぬということは、従来も改正案についても同じでございます。ただ、その譲り受けたものが、さらに転々譲り渡しをしました場合に、従来でございますと、法律に明記はしてないけれども、そういう転々譲渡されるたびごとに当該譲渡輸入とみなされるという、解釈上そういうことにしておったわけであります。しかし、この解釈には相当疑問の余地がございますので、この際、その点をはっきりいたしまして、第一次の譲り受け行為は、これは輸入とみなされるのだ、第二次以下の転々譲渡は、これはもう輸入とはみなさないのだと、しかしながら、その譲り受けた者が、そういう外国物品販売することを業としておる者である場合、あるいは自動車のように登録制がしかれておって、税金が納まっておるか納まっておらないか、買い受けた者が知り得る場合、そういう場合では、第一次の譲り受け人と連帯して納税をしなくちゃならない、こういう点が第一点でございます。それからもう一つの大きな点といたしましては、かりに、税関輸入手続未済自動率を街頭で発見いたしましても、申告をして納税をしなさいということを、頼むと申しますか、相手方に慫慂することができますけれども、その物品を強制的に保税地域に搬入して税金が納まるまではもう出さない、使用させないということはできなかったのでございます。それが、今回提案した法律案によりますというと、そういう場合には、保税地域へ搬入することを税関でもって命ずることができる、それで、持ち主が搬入をいたさない場合には、税関がかわって保税地域へ入れてしまって、そして、所定の手続が済むまでは、その自動車相手に使わせないということが非常に違う点でございます。  それで、それに関連しまして、この提案はおそきに失するのじゃないかという御質問と、それから直接的な動機は何かという御質問かと思いますが、これは御承知のように、最近自動車——ことに自動車につきまして非常に無申告の譲り渡しが多うございます。そのために、いろんな、検察庁の問題になったり、あるいは税関の問題になったりしておる事件が多うございますので、この際、こういう点をはっきりいたしまして、そうして今までよりも強い法的な手段によって税関が取締りが行い得るように改正をいたしたいと思ったわけであります。
  18. 平林剛

    平林剛君 先ほど御説明がありましたように、三十二年度においても約九十九億円、本来、課税されれば国家収入として入るべき税額が、アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定で従来の措置をとってきたのでありますけれども、これは本来合衆国軍隊構成員等の用に供するための物品に対しての特別措置であります。従って、これを税関許可を受けないで他に譲り渡すということは適当な行為ではない、しかし、今のお話のように、しばしばこれが行われる、その際に、その事実が発見された場合、あるいは捕捉された場合に当然申告を待たず一方的に告知徴税できるわけでありますけれども、それだけでなく何か他に罰則が加えられるものか、あるいはこの場合、物品を譲り受けた側に対しては課税措置でいろいろな制裁——当然のことでありますけれども、措置が取られるのでありますけれども、故意に本来の目的に反して譲った者に対しては一体どういうことがとられるのか、この点を一つ説明願いたいと思います。
  19. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 罰則の点につきましては、これは特例法関税法に譲っております。従って故意関税を逋脱する趣旨と申しますか、故意にそういう目的でもってやるという場合には、いわゆる関税逋脱犯という罰則がかけられます。それから譲り渡した側につきましても同様でございまして、関税が未納の物品であるということを知って相手方に無申告で譲り渡した場合には同様の罰則がつけられております。
  20. 平林剛

    平林剛君 本日は、私の質疑はこの程度で終ります。
  21. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっとこの際、私から伺いたいのですが、先ほど伺いますと、百億とか口五十億に該当するほどの税金がある、こういうことですね。そうすると、向うからこちらに駐留している軍人軍属の数というのは大体わかっていますね。向うからこちらに来ている頭数で、たとえば百億なら百億というものを割ってみると一人当り幾らくらいになりますか。それは私は続けて申し上げますが、なぜそういうことを伺うかというと、私は、実は一、二年前に、たしか運輸委員会だったと思いますが、オレンジネーブルの何か問題が出たときに、外人観光客用ネーブルオレンジをホテルに何か特別の価格で、要するに税金を抜いた価格で供給していましたね。それでその輸入したネーブルオレンジというものを観光客頭数で割ってみると、朝から晩まで一日ネーブルを食っていなければそろばんが合わない、腹をくだしてもまだ足らなかったほど一人頭消費量というものが出てきた。それとやや似たような私は数字が出てくるのじゃないか。アメリカ人がいかに消費が旺盛であっても、百億とか百五十億とかいうものを、わずか五万か何万かしらぬけれども、その人数で割ってみたら一人当り免税を受ける恩典というものは大へんな私は額になると思うのですがね。常識にはずれた金額が出てくると思うんですが、どうなんですか、その点は。
  22. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) ただいまの、私案はこちらにおる軍人なり軍属の数を存じませんので、はっきり一人頭どれくらいになるか、ちょっと申し上げられませんけれども、ただいまお話しになりましたような事例は確かにございます。たとえば時計でございますが、これが一昨年——三十一年度に八万七千佃、免税で入っております。それからカメラ撮影機のようなものが六万個入っております。それからウイスキーが二百大十七万七千リットル入っております。従いまして私、軍人軍属の数はわかりませんが、一人当りにしておそらく考えられないような数量入っております。これはやはり日本の国内に転売されておるという事実が相当ありますので、そういう方面に流れているんではないかと思います。
  23. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 重ねてもう一点だけ。  そういう数字を現に抑えておられるんなら、今度の法的な措置によって監督を厳重にするということも私らもちろん必要だと思いますけれども、同時に一人頭の、たとえば時計とか、今カメラお話しがありましたが、消費の絶対額を何か抑えておくというふうな方法はとれないものでしょうかね。それは、最初からそういうことをやると非常に相手を疑ぐるようで工合悪いですけれども、そういう実績に徴して、何か絶対量、絶対額でこの輸入量を抑えると、それをこえたものに対しては普通の輸入と同じように税金をかける、というようなことはお考えになったことはないんですか。
  24. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) これは、米軍申し入れをいたしまして、特定の物品、たとえば腕時計でありますとか、ウイスキーたばこカメラ、そういうものにつきましては、一つPX販売制限をしてもらえないかということを向う申し入れをいたしまして、現在、各兵隊がレーション・ブックを使いまして、それで記入をして購入をしておると。しかしながら、これはたしか年二冊ぐらい出るかと思います。それと、ほかの人に買ってもらえば結局いいわけでありまして自分の名義で買わなくても、ほかの名義でも買われると。それから、果して一種の割当制が厳重に行われておるかどうかということは、こちらの方で確認するわけには参りません。そういう関係で、一部の物品につきましては今のような措置申し入ればいたしておりますけれども、果してその実効が上っておるかどうかという点については、かなり疑問を持っております。
  25. 大矢正

    大矢正君 これは、実はきょう質問しようという気持で来たんじゃなかったので、参考のためにお尋ねしたいと思うんですが、この臨時特例に関する法律というのは、行政協定の中で関税免税をすべきであるというように規定をされているのかどうか、その点お尋ねしておきます。
  26. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) これは日米行政協定で、そういう物品——米軍なり、米軍軍人軍属契約者等輸入する物品については、免税をするという協定がなされております。
  27. 大矢正

    大矢正君 そうすると、行政協定では免税をするということになっているんですから、法律的に根拠のあるものなので、日本側としてこの内容について量が多いとか、今ちょっと話にも出ましたが、内容がどうとかいう意味合いにおいて意見を述べても、それは法律的には受け入れられないということに解釈されますかね。
  28. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) もちろん法律的には向う側に、その物品輸入量が多いとか少いとかいうことは申すことはできません。けれども、この犯則事例が非常に多うございますので、その犯則については、お互いにこれを摘発し、そうしてお互い犯則のないように予防するということについてはお互いにその援助をし合う、ということになっておりますので、そういう援助規定に基いて向うに協力を要請しておる、こういうことでございます。
  29. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御質問ありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御質疑がなければ、残余の質疑は後日に譲ります。     —————————————
  31. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、関税法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。   〔「本日はなし」と呼ぶ者あり〕
  32. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本案につきましても質疑は後日に譲ります。     —————————————
  33. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、租税及び金融等に関する調査議題とし、専売事業に関する件について質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  34. 平林剛

    平林剛君 専売事業に関する件につきまして、専売公社総裁初め大蔵当局から、それぞれ御見解を承わりたいと思います。  その第一は、毎年わが国の一般会計歳入に対して大きな割合を示しております専売益金国庫納付金算定する根拠について承わりたいのであります。ことしの予算案を見ますと、たばこ消費税を含めまして約手六百四十六億、昭和三十二年度におきましても千五百九十三億、それぞれ相当大きな専売益金が計上されておるのであります。昭和九年ないし十一年を一〇〇にした場合、ことしの専売益金は、昭和三十三年度においては七百数十倍にも当りまして、国家一般会計歳入に対する割合も、戦前は約八・八%であったのに対して戦後は一二ないし一六%ということに、大へん財政上の比重は重くなっていることは御承知通りであります。元来たばこは、その大部分が税金でございまして、国民の必需品と言われている現在、専売益金の増徴は、私どもといたしましても無視することはできません。この際、その算定根拠について御説明を願いたいと思うのであります。
  35. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 専売益金算定をどうするかという問題のようでございますが、われわれが、翌年度国庫納付金算定いたします場合に、これは予想になるわけでございますけれども、それを、最もあり得べき蓋然性の高い数字というものを想定いたしますにつきましては、まず前年度と申しますか、昭和三十三年度国庫納金算定いたします場合においては、昭和三十二年度たばこ売れ行きというものを参考にいたします。で、この売上収入というものがきまれば、大体たばこの銘柄が、あと必要な数値として入るということになりますというと、益金が出て参りますので、その総収入というものが、ことしのたばこ売れ行きから、どういうふうに予測されるだろうか、むろんこれを算定するわけでございますけれども、ことしの、あるいは来年の売り上げの総収入を予定します場合の二つの要素と、こういうことは、結局数量たばこ単価ということでございます。たばこの数壁につきましては、従来長い間といいますか、戦後十年ばかりの経験から、大体現在においては、婦人層に新しい分野を画期的に開拓しない以上、おおむね、青年人口一人当り二千本という消費量が、これが通常われわれの考えられる消費量でございます。従って、この数量につきましては、ことしから翌年度に対する背任人口の増加というものを見込みまして、大体二%程度でございますけれども、数量をまず出しまして、それに掛ける単価としまして、ことしのたばこ売れ行きというものから、来年の単価予測するわけでございます。たばこ単価と申しますものは、景気の消長によりまして、いろいろ変化いたしますものではございますけれども、大体その近接年、前年の実績というものが、予測根拠としては、相当確実であるという従来のわれわれの経験からしまして、昭和三十三年度たばこ単価考えますときには、予算を作りますときまでわかっております今年度たばこの十本当り単価というものを精細に計算いたしておりまして、それに何らか、来年考え得べき修正要素というものがあります場合は、その修正要素を加えまして、十本当り単価予測単価というものを出す。これと、先ほど申し上げました青年人口一人当り二千本という、この数量をかけますというと、総売上収入というものが出てくるわけです。総売上収入が出て参りますというと、これから国庫納付金が計算されてくる、こういうふうな順序でございます。
  36. 平林剛

    平林剛君 ただいま監理官政府側の立場から、財政規模について御説明になりましたけれども、日本専売公社総裁公共企業体最高責任者として、専売金算定する場合のお考えを、この際お聞かせ願いたいと思います。
  37. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 専売公社といたしましても、事業分量からいたしまして専売益金が何ほどになるかということを予算いたすのでありますが、御承知通り専売益金基本をなすものはたばこ事業であります。従ってこのたばこ事業益金をどうみるかということが基本になって参るのでございます。その場合におきまして、一方において監理官説明がありましたように、消費数量がどう動くだろうかということ、それから他方においてこの売上金額、これは公社といたしましては、十木あたり売上金額幾らであるかということを押えて、計算いたして参ろうというわけであります。この両方から積み上げて参りまして、たばこ事業益金算定し、それに塩の益金、これは益金と申しますけれども、最近においては赤字になっておりますが、それにショウノウ事業の損益、これは大体収支とんとんか、ごくわずかな赤字という程度でありますが、これらを総合勘案して、益金を出しております。たばこ事業益金を出す方法につきましては、公社も大体政府考えているところと同じような考えを持っておりまして、数量につきましては、最近たばこ消費が大体横ばい状況にございまするので、一人当り消費増を見込むことは無理と考えました。そこで青年人口が二%伸びておりますが、これくらいの増は見込んでもだいじょうぶだろうと、かように考えて、消費本数の増加はみるわけであります。それから十本当り単価につきましては、三十二年度の、最近と申しますか、予算編成当時までの実績を参酌いたしまして大体その状況が横ばい程度か、幾分下ることがあるかもしれないというくらいのところまでは加味いたしまして単価を見積って、かけ合して、益金算定したと、こういう状況でございます。
  38. 平林剛

    平林剛君 ただいまのお話を承わっておりますというと、政府専売公社の側においても、専売益金算定根拠といいますか、一定の方程式があるのではなくて、それぞれ消費状況の観測、まあしいて根拠といえば、人口増加率をみているように思われますが、ことしは昨年に比較して約五十三億円ふやしてある。私、この政府昭和三十三年度予算説明書を読んでみたのでありますが、人口増加率はなるほど二%ふえて、それを基礎にしているようでありますが、例年の人口増加率を、総理府の統計局で調べてみておりますというと、必ずしもこの人口増加率に比較をして、そうして専売益金の伸びが観測をされているのでない。あるときはそれを使うけれども、ある年はそれを使わない。もちろん景気ということが同時に考えられるというお話でありましたから、私、見てみますというと、ことしは昨年から比較していわゆる不況期に入っているわけであります。その不況期の中で、五十三億円ふえるという理由はどういうことか、説明がどうも納得ができない。特に人口に対する喫煙者をいろいろ検討いたしてみますというと、大体私の計算では二千三百万程度に押えた場合で、喫煙者一人当り消費金額は年間に約九千七百円になっている。一世帯当りでありますと、約二万二千四百円、たばこはかなりの部分が税金であるということを考えますと、国民は相当税の負担をしているということにななると思うのであります。私はそういう意味から、国民所得あるいは生活水準というものを比較して、益金の増加というものも考えなければならぬと思うのでありますけれども、今のお話のファクターの中には、これは入っていないようであります。国民のふところ勘定を計算に入れて専売益金算定をするということは従来おやりになっておらなかったかどうか、その点に疑問を感ずるのでありますが、毎年々々の専売益金算定には何か確定した方程式のようなものでもあっておきめになっているのでありましょうか、そのつどそのつど去年はこうであったからということだけで算定をなさっておるのでありましょうか、私がただいま指摘をした国民のふところ工合を勘定に入れた専売益金算定については、それぞれどういう御見解をお持ちであるか、一つ監理官並びに総裁から御答弁をわずらわしたいと思います。
  39. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいま問題になりました景気の消長といいますか、いろいろな経済的条件が、たばこ売れ行きにどう影響するかという問題、これは確かに過去のいろいろな経済条件の変化とたばこ売れ行きの変化を見ますというと、ある程度相関性があるわけでございます。その点は私も来年度国庫納付金算定しますときに、いろいろ問題にいたしてみたわけでございます。ところがまあわれわれがその問題を考えますに当って、ことしは確かに不況期ということになっておりますけれども、一体この昭和三十二年になってから、非常にたばこ売れ行きというものが予算で見たよりも伸びておるというのは、どこに原因があるかということをいろいろ調べてみたわけでございますが、その大きな原因というのは、減税の効果じゃなかろうか、結局このたばこというものは酒よりもむしろさらに何といいますか、所得の差というものにかかわらず、割に消費資金が均衡しておるといいますか、サラリーマンの最初になり立ての者でもピースを吸う場合がありますし、それからまあ重役でも新生を吸うということで、結局こうした嗜好性というものが非常に強い関係と、それから一般の景気、不景気というよりは、むしろ直接な消費者のふところ工合といいますか、そういう関係が非常にこのたばこ売れ行き関係する。で、ことし不況になったといいながら、実はたばこの十本当り単価というものは不況々々といいながらどんどん伸びております。それからこの一月、二月も予算を作りますときにはだいぶ下るであろうということを予測しておりましたのに、その予測に反して非常に伸びておる、これは結局減税の効果というものが、ことしのたばこ売れ行きに非常に影響しておる、かつ減税の効果というものはその後の不況といいますか、資本財の投資とか、そういうものには非常に影響あったかもしれませんけれども、減税の効果というものは依然として続いておるわけでございまして、そういう点から来年度におきましても、このたばこ売れ行き趨勢というものは続くであろうというふうな判断を下したわけでございます。  それからもう一つ、確かに景気の消長である程度影響されるのでございますけれども、ただそれが一体どういうふうにはっきり数字的に関連性を持つかということについては、われわれも算定のしようがないわけでありまして、そういう意味からある程度の控え目な見方をすると、あるいは強目な見方をするという感じの差はありましても、これを方程式に表わすということまでにはまだわれわれの研究は至って下りません。来年から消費者パネルということをやりまして、一つ景気の消長がたばこの銘柄ごとの移り変りというものにどう影響するかということを研究してみたいと思って、今やりかけておるわけでございますけれども、そういうわけから、ことしの不況というものは確かに資本財の投資とか、あるいは在庫とか、そういうものには顕著に影響しているけれども、いわゆるたばこを吸う人たちの、消費者のふところ工合には減税の効果というものはある程度潤いをまだ残しておって、それが現実のたばこ売れ行きに現在でもなお明らかな影響を与えておるということから、来年の見通しにはそうしたものを入れなかったわけであります。しかしこの一月、二月の売れ行きを見ますというと、予算でわれわれが推測しましたより以上に、やはり十本当り単価が強く高まっておりますので、われわれの見方は誤まっておらぬというふうな確信を得ておる次第でございます。まあ毎年々々違っておる算定方式でやっておるというのは、いかにも何といいますか、客観性がないように見えるのでございますけれども、これは毎年々々われわれとしましては徐々に正確なものに近づきつつあるというようにうぬぼれておるわけでございまして、今度たばこ消費というものの質的な分析というものが非常に進みますというと、おっしゃるような客観的な一連の方程式にまでなり得る、そういう理想的な状態にまでなり得る可能性もあろうかとわれわれは期待しております。
  40. 平林剛

    平林剛君 総裁のお答えの前に、これは特にことしの専売益金が昨年の予算から比較して五十三億円ふえる、それを確保することができる見通しの根拠というか、その点を特に御説明願いたいと思います。
  41. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 平林委員のお述べになりましたたばこというものは、相当大きな消費税を負担しておるところの物資である。従ってその消費量を推定するのには国民のふところ工合と申しますか、国民所得の消長から割り出して、消費性向というものを判断すべきであると、こういう理論に対してはごもっともであると考えております。ただ実際問題といたしますと、今監理官も述べられたように、その方程式を見つけることが今日の状態では非常に困難でありまするので、まあ安易な方法といえば安易な方法でありまするけれども、先ほども申し上げましたように、数量と十本当り単価予算編成時における最近の一カ年といったような実績をとらえて、それに国民所得の消長であるとかあるいは景気の好況、不況といったようなことを加味しまして推定を加えて、数量並びに金額予算しまして積算して出すと、こういうことをやっておるわけであります。  なお、国民所得との関連において算出いたしますことが非常にむずかしいのは、過去におきましても、たばこ収入金額、従って益金が大幅に動いておる例があるのでありまするが、そういう場合においてはピースを中心とする上級たばこが比較的よく売れるかどうかということが十本当り単価に響きまして、そのことが益金をかなり左右しておるわけであります。最近におきまして専売益金が比較的好成績をおさめておるというのは、ピースの売れ行きが予想以上によろしいということでございます。従って明年度においてもこれが今までのような上昇カーブで続くであろうか、いつかはその上昇がやまって横ばいになり、あるいは下向きになりはしないかと、こういうことの判定をすることが非常にむずかしいわけであります。  なお、たばこ消費の状況を見ておりますというと、景気、不承気が影響するわけでありまするが、どうもその影響はほかの物資と違いましてすぐに響くというよりは、半年以上遅れてくるというような傾向がございます。そこへもってきて、先ほど監理官から述べられたこの所得税の減税というようなファクターが一つ加わっておりますので、ピースの消費状況がどうなるであろうかということを判定する上において非常な困難を感じまして、一応現在売れている状態が横ばいでいくであろう、下ってもわずかな下り方であろうというようなことを中心に、それから新しく売り出しました「みどり」とかホープとかいうものの伸びというようなことも勘案いたしまして、益金の算出をした次第でございます。  なお、それならば来年度においては本年度よりも予算的に五十数億円の増を見ておるのであるが、果してそれが確保できるかどうか、こういう見通しでありまするが、これにつきましては、予算に見積られた益金は、できるだけこれを達成するという気持を持って努力をいたさなければならぬことは申し上げるまでもないところでございます。昨年から専売公社といたしましては販売面におきましてセールス・プロモーションという新しい販売員の教育方針、同時にそれが販売促進運動につながるわけでありまするが、それに着手いたしましてこれがだんだん三十三年度において効果を表わして参ると、かように思うのであります。従来小売店はたばこを置いておいてお客が来たらば売る、こういう受けて立つというような面が多かったのでございまするが、進んでたばこ消費者に売っていく。こういうような積極面を出す、こういうようなことのために公社たばこ配給の、配給に当る者の頭も切りかえ、同時に小売店の人にもそういう気持になってもらう。こういうような運動を公社、小売人一体となって進めて参る、こういうようなことも考えておりますが、単にそれのみではございませんが、少くとも販売面に従来以上の積極性、新味を盛り込んで、予定の専売益金はぜひ上げたい、こういう決意を持っておることだけは申し上げることができると思っております。
  42. 平林剛

    平林剛君 次の質問に移る前に、私はこの際、専売益金算定について若干要望を申し上げておきたいと思うのであります。  一つは、専売事業公共企業体として発足をして、つまり公益性を確保する立場にあるわけでありますから、単に間接税収奪の場になるだけであるということは、その趣旨に反するのではないだろうか。従って消費市況の実態を分析をして、国民の生活水準の基礎、消費者の消費能力も考え益金算定を行うように、監理官もお約束したように鋭意研究を進めてもらいたい。  それから従来専売益金算定が専売企業の持っているもう一面の財政確保の立場を考慮しなければならぬことは言うまでもありませんけれども、どうも従来はこの算定が大蔵省の立場からきめられるという傾向が強いように思われるのであります。こういう点は専売公社総裁は主として公共企業体の責任者の立場からもっと消費者の要求について大蔵省とは別な立場で考え益金算定方法を持ち、その見解を強くしていただきたい。特にこれから景気の影響というものがたばこについては半年くらいおくれてくるということになりますと、三十三年度専売益金も昨年に比較して五十三億円増ということは、なかなか困難な仕事になってくるのではないか、こう思いますから、当初の益金算定に当っては、私はその点を強く要望しておきたいと思うのであります。  そこで、去年もこの点は議論があったのでありますけれども、かなり高い専売益金の目標にかかわらず、幸いにして三十二年度の決算が近づくに従ってことしの益金の目標は当初予算に対して約四十億円程度の増加になるという話を聞いておるのでありますが、この実情について少しく御説明を願いたいと思います。そしてこの益金増がことし見込まれた理由は一体どこにあるか。先ほど総裁はピースの売れ行きがよかったという御説明で触れられておりますが、何もこれだけではないと思う。その理由がどこら辺にあるかという分析をどういうふうにお持ちになっておるか。この御説明を願いたいと存じます。
  43. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 本年度益金がどういうふうな結果を示しますか、現在においてはまだ推定の程度でございますけれども、まあおっしゃるように二、三十億の益金はふえるかと思っております。それでは一体その益金の増加はどこから出てきたのかということでございますが、実は予算で見込みました数量単価という点から申しますというと、数量はむしろ予算考えました数量より約十億本ばかり減っております。ところが益金が伸びましたゆえんは、十本当り単価の増加といいますか、先ほど総裁の言われましたやはりピースの売れ行きが増加したということから売り上げ総額がふえまして、高いたばこの方が安いたばこよりもいわゆる益金分が多いために、そこで予算以上の収益が得られた、こういうふうになっております。  そのほかどういう原因が考えられるかということでございますけれども、いろいろ原因はございましょうけれども、数字的に、結論的に表われましたところは、数量が減って十本当り単価が伸びた、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  44. 平林剛

    平林剛君 ことしの専売益金の見込みについて、きょうは三月の半ばも過ぎて十九日になりますけれども、今の御説明でありますと二十ないし三十億円、二十億と三十億では十億円も違うのでありますが、そんな大ざっぱな見込みしか立っておらないのでありますか。この点を現在の見込みにおいて推定される正確なところを御説明を願いたいと思います。
  45. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 何といいますか、三月の半ばだから、大体の推定はできるだろうというお話ですが、私は今手元に最近までの正確な売り上げ収入の資料を持っておりませんので、大体今まで聞いております感覚を申し上げたわけでございます。もっと何といいますか、わかっておる最近までの期間をもとにして推定しろということであれば、また推定をいたしてみますけれども、現在資料を持ち合せておりませんので、大体の感覚を申し上げた、こういうように御理解願いたいのであります。
  46. 平林剛

    平林剛君 専売公社総裁は当の責任者でございますから、大体の、責任者としての推定があると思います。これはどうなっておりますか。
  47. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) その前に、先ほどお尋ねの本年度益金はどういう要素からできたのであろうかという点についてお答え申し上げますが、数量予算でみましたよりも二%程度減っておりまするが、収入金額の方は逆に予算でみたよりもふえておる、こういうことであります。その収入金額がふえたと申しまするのは、先ほど来申し上げておる十本当り単価予算でみたよりも高くなっておる。それは今度はどこに原因があるかと申しますると、主としてピースの売り上げが予算でみました数量よりも多くなっておるということでありまするが、そのほかにも、しいて原因を求めますれば、ホープを売り出してこれが「いこい」等にかわっておる、こういうようなことも一部ございます。それから薄荷入りたばこ「みどり」を売り出したのでありますが、これが比較的好評でありまして、相当製造が追っかけられておるというような状況でございますが、これが十本当り二十五円のたばこでありまするが、相当十本当り二十五円の「いこい」、それから一部は十本当り二十円の「新生」が振りかわっておる、こういうようなことが結局結果において十本当り単価を引き上げる、こういうことに役立って、それらの諸原因が総合いたしまして十本当り単価が高くなり、数量の減をカバーして益金の増が出たと、こういうふうに見られるわけでございます。本年度専売益金が何ほどになるかということにつきましては、目下計数整理中でございまして、ことに最後的には塩の赤字、ショウノウの赤字等も通算して出さなければなりませんので、今のところ的確な数字は出しておりませんが、専売公社として現在では、まあ達観すれば二十五億円程度には予算を上回った益金が出るのではないかと一応予想しております。
  48. 平林剛

    平林剛君 それで大体ことしの専売益金は、超過納付金約二十五億円程度が見込まれているということが大よそわかりました。その見込まれている理由についても御説明がありましたが、私が専売公社が出している「専売事業」という本を読んでみましたら、そこにこの超過納付金が生まれてきておる理由が三つばかり掲げられている。一つは「富士」、ピースの高級品の価格の引き下げによったこと、それから経済事情の好転を背景にして販売促進に努力が集中したことにあると説明がなされておる。これは最近の経済事情の悪化にかかわらず、このような伸びがあったのは、販売促進の努力が第一の理由になるのではないかと、こう勘案をしたのであります。第二の理由は、「新生」、バットの原料葉の供給が不円滑で、前年に比して二一%の減少であったので、これが「いこい」に移って、これが全需要量の二四%を占めている。「新生」、バットより「いこい」が単価販売価格が高いわけで、それだけ益金がふえてきている。こういうことになると思うのであります。なっておるのであります。すると、去年私が大蔵委員会で議論いたしましたように、大衆たばこが少くなって、若干、一箱について十円高い「いこい」に集中したため、「新生」、バットの愛好者が大へん困っておるということを指摘をし、公社の職員も大へん販売のために苦労をなさったのではないか、こういうことが考えられるわけであります。この第二の理由が二十五億円になったのではないだろうか、こういう推定をしたわけです。第三は、この説明書によりますと、経費の節約があったと書かれておる。それぞれ勘案をしてみますというと、先ほどの総裁政府当局の説明に加えて、これらのことが総合的に考えられて、二十五億円程度益金増が見込まれた、こういうふうに見れるのでありますが、総裁の御見解はいかがでしょう。
  49. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) たばこ売上金額が増した、それについては「富士」、ピース等の高級品が売れた、それから「新生」、バットのお話がございましたが、バットは原料葉の関係で減っておることは事実でありまするが、「新生」はある程度伸びております。それから「いこい」についてお話がありましたが、「いこい」を中心銘柄として育成したいという公社販売計画を持っておることも事実でございます。それから先ほど申し上げましたように、明年度において販売に力を入れなければならぬということでありまするが、それは何も明年度突然そういうことをするのではなくて本年度からして販売促進策としてセールス・プロモーションということを掲げて公社が努力をいたしておるわけでございまして、その意味において販売に努力をしたということが益金にも影響があるということは言えると思います。それから経費の節約ということにも努めましたが、この方はそう大きなファクターには三十二年度においてはなっておりません。
  50. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 平林君に申し上げますが、御承知のように日程もだいぶ詰っておりますので、あなたの質問もできるだけ端折ってお願いいたします。
  51. 平林剛

    平林剛君 私の推定理由について大体肯定をなさいましたから、進んでお尋ねをいたしますが、この二十五億円の増の超過納付金があったことは、予算総則にある職員の能率向上による企業経営の改善によって収入が予定より増加し、または経費を予定より節減をしたときの要素とみてよいかどうか。今の御説明でありますと、経費の節約はあまりないが、二十五億円はそうだとすれば、職員の能率向上による企業経営の改善によって収入は予定より増加したということにも当てはまる。その他のファクターもありますけれども、この条項に適合をするように思われるわけであります。そう理解をしてよろしいかどうか。
  52. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) お話の通り予算総則にありますように、予算にみました収入以上に収入があるということになりますれば、お言葉は使われなかったのですけれども、いわゆる業績賞与判定の一つのファクターにはなる、かように考えております。
  53. 平林剛

    平林剛君 そこでまあ時間もございませんから、端的にお尋ねをいたしますけれども、昭和三十二年度における職員の業績もあった。また昭和三十三年度専売益金たばこ消費税を含めて千六百四十七億円を達成する要素は、今後専売公社総裁を初め、職員全般の努力に負うところが多いと私はみておるのでありますが、このため国会はあらかじめ予算総則にただいま指摘いたしましたような条項を決定をして、特別の給与の支出について慎重な配慮を加えてあるはずであります。専売公社がこの予算総則に基いて、現在大蔵大臣に承認を求めようとする特別給与の流用額はどういうふうになっておるか、この点を一つ説明を願いたいと思います。
  54. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 先ほども申し上げましたように、本年度におきましては、現在の見通しでは予算に定めた収入を超えて収入があるということでありますので、いわゆる業績賞与を出したいということでありまするが、何分にもまだ計数整理中でございますので、近く計数を整理いたしまして関係当局に正式な交渉を行いたいと、かように思っておる次第でございます。
  55. 平林剛

    平林剛君 最終的な計数整理は決算が終らなければ出て来ないのでありますけれども、現在のめどでも約二十五億円の超過納付金がある。こういう場合には専売公社総裁としては予算総則に基いて一体どのくらいを大蔵省に対して要求したらいい、こういう御見解がなくちゃならぬと思うのでありますが、最終的な結論ではなくても、現在大蔵省と話し合っておるのは大体どの程度か、こういうことをお尋ねしておるのであります。
  56. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 業績賞与の算定につきましては、柱が二木ありまして、収入予算に予定したよりもふえた場合、それからして経費が予算にみてあるよりも節約されたという場合と、二つ柱があるのでありまするが、従来この二つの柱に該当するというような場合が非常にばらばらな状態で現われております。従ってそこに確立されたルールがない、客観的な標準がきめられてないということはまことに遺憾であります。現に昨年度と申しますか、昭和三十一年度におきましては、収入の方の増加はなかったのでありまするが、経費の節約があったというので、業績賞与が出ておりまするが、本年はむしろ逆といったようなことであります。そしてそういうふうに柱が立っておっても、その柱に沿う数字の出方が違い、そのときどきで適当な判断を加えて出しておるというようなのが実情でございますので、本年度は先ほども申し上げました通り、経費の節減については見るべきものはないのでありまするが、収入の面については予算にみましたより余分の収入があることには間違いがないのでありまするから、目下その収入を確実に計算をいたしまするとともに、それに基いて算出して出した金額を業績賞与として出したい、こういう交渉を関係当局にいたすべく精査中だと、こういうわけでございます。
  57. 平林剛

    平林剛君 この予算総則にせっかく書かれておりながら、特別の給与の支払う基準というもの、あるいはルールというものがないということは、きわめて不可解なことであります。総裁も多分御存じだと思いますが、専売公社と職員の団体の組合に対して昭和二十七年の十一月二十七日に仲裁裁定の第九号が出されまして、これには、具体的な案は、当事者の協定に待つこととするが、たとえば予算に定められた専売益金を確保した上に、貸借対照表の予定利益をこえる利益を生じたような場合に、その超過部分の四分の一までであって、かつ職員一人当り基準賃金一カ月分平均を限度としてこれを適当に職員に分配するような案が考えられる、こういう裁定が下され、労使双方がこれに服した歴史がございます。今回の場合も二十五億円というものが大よそつかめるならば、何もルールがないというわけではない。歴史がちゃんと定められておりまして 一つのルールといいますか、慣例というものがあるのだから、私は公社もすみやかにこの算定をする基準というものを検討して、大蔵省との間の折衝に入るということが当面必要なことではないか、どうも現在に至っても特別のルールがないということだけでは、これは予算総則そのものが一体何のために書かれておるのかということに相なって、まことに不可解なことであります。こういうあいまいなことを私どもは議会できめているわけではないはずであります。総裁一つこの制度について積極的にこれを確立する努力を持ってもらいたいと思いますが、この御意思があるかどうか、またはそれを阻害するものが一体どこにあるかということをお聞きいたしたいと思います。  それから監理官には、今日までの業積賞与の額を私調べてみたのであります。すると、昭和二十七年の仲裁裁定に基きましては、この裁定に基いて一カ月分の業績賞与の額がはじかれました。二十八年は〇・七五カ月分、二十九年が〇・五、三十年が〇・一八、三十一年が〇・〇七、これはまあ極端に少くなっておるのでありますけれども、一体この従来業績手当をはじいてきた根拠を示してもらいたい。ここでなかなか昔のことまでさかのぼって説明することは困難でありましょうから、これを算定した根拠を後に資料として提出ができれば提出をしてもらいたい。私がこんなことを申し上げるのは、せっかく予算総則に書いてあっても、これを算定する根拠というものが定まっていない。いいかげんといっては語弊がありますけれども、時の力関係で定まるというようなことになりますれば、せっかくの予算総則が死文に化してしまう。何年も経験をしてやってきたことでありますから、私はおそらく根拠というものがあって合理的にきめたものと思いますから、それを一つ説明をしもしくは資料の提出を求める、こういう趣旨であります。第二の点は監理官から一つお答え願いたい。
  58. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 最近のごとく公社経営の能率性といいますか、企業性ということがやかましくいわれておりますときに、真に能率とスライドした賞与制度というものが実際に客観的な方式で得られるということであれば、これはまあ非常に好ましいわけでありまして、これはひとり仲裁裁定の文章の中だけでなくて、従来の合理化審議会におきましても、あるいは公共企業体審議会においても、いろいろ議論をされてきたことでございます。この予算総則には「職員の能率向上による企業経営の改善によって収入が予定より増加し、」と書いてございます。職員の能率向上という、これは一体何をいうのだということもさることながら、能率向上によって収入が予定より増加したかどうかというこの認定をすることがまず第一に一番むずかしいわけでございます。先ほどこの公社の出されました出版物で、平林委員が大いに販売促進に努力したことがその原因ではないかという御説でございます。確かにそれはそうであろうと思いますが、また一方からいいますと、欠勤率というようなもの、これははっきり出ておるのでございますけれども、これは昨年よりはことしの方がふえております。そうしますと、そういう明白な数字においては逆の要素が出ておるという場合に、一体職員の能率の向上と因果関係のある収入の増加がどこまであるか、これを一つ客観的にどう算定するかということが非常にむずかしいために、従来われわれがほしいと思われるようなそういう方程式が得られなかったわけでございます。しかもこの問題につきましては、それじゃ逆に、大いに業績が上らぬときにはどうなるのだという場合を考えますと、一生懸命やっているのだけれども、そのくせ収入が伸びない、公務員より下回った何といいますか、手当の額になるといった場合に、これはまた非常に気の毒なわけでございまして、従来業績がわかる前に、たとえば年末の期末手当を公務員にやるというときに、御存じのごとく公社予算には、公務員の組んでおります期末勤勉手当よりは少い額が予算に組んでございましてそのために業績手当の先食いということを毎年やっております。そこでその年にマイナスの業績になるかもしれないけれども、やはり期末には、従来の行きがかりから、公務員と同じ程度ということで業績賞与の先食いということで期末手当が公務員と同じに出ておるというような実情から、実は客観的な方式が見つけられないために、公務員の手当というものを中心にして、上下まあ小さな幅である程度理屈がつくというふうなものが、これが従来の業績手当の実情であったわけでございます。これを今後どうするかという問題、これは公社形態というものをどういうふうに変えて、その企業性を発揮するかという問題と同じく基本的な問題でございまして、われわれもこれに関する検討を従来もやってきたわけでございますけれども、今後も大いにやって、ある程度までいけば踏み切らざるを得ないところもあるかと思うのでございますけれども、何分非常に大きな予算制度の問題ではあり、まだ検討中という御答弁しかできないのは私も非常に残念だと思うわけでございます。従来の業績手当の算定がどうなっておるかということを、私その担当でございませんので、ちょっとお手元に資料がございませんし、覚えてもおりませんし、いずれあと当局と相談しまして資料の提出ということについて、そちらの方から御答弁させるようにしたいと思います。
  59. 松隈秀雄

    説明員松隈秀雄君) 業績手当については予算総則に大綱が書いてあるけれども、これを具体化する客観的条件はいまだにきめられていないということは、まことに公社としても遺憾に思っておるところであります。それから先ほどお示しになりました昭和二十七年の仲裁裁定での標準でありますが、これはたまたまその当時の前後の事情から、一つの例として示された標準であるかと思うのであります。しかしまあこれはある意味においての参考にはなると思うのであります。で、公社といたしましても、何らかの客観標準ができることは望ましいと考えておりまするが、それには前提として、公社企業体として企業努力によって益金がどのくらい伸びたかということがもとになるかと思うのであります。ところが、公社収入の中には、相当高い消費税の部分が入っておりまするので、それが一緒に収入金ということになりまするので、かりに公社企業体としての業績を判定するということになれば、収入のうちから消費税相当部分を除いてみて、そうしてそれが職員の努力、つまり公共企業体としての企業性の発揮によって予定されたより幾らふえたかという、こういうことを見出さなければならないのでありまするが、一体となっておる収入金額のうち、消費税部門を切り離すというところに、どういう標準で切り離したらいいかというところに非常にむずかしさがあることが、一つこの問題の解決をおくらしておる理由だと思うのであります。  それからさらに、公社といたしましては、塩事業とショウノウ事業をかかえておりまして、これはいかに職員が努力いたしましても、現在の経済情勢下におきましては、益金の方からいうと、益金は上らない。そういう場合における企業努力の判定というものは、またどういう標準を設定すべきかとこういうようなこともございまするので、困難をきわめた問題でありまするけれども、だんだんに公共企業体としての企業性の発揮というようなことが世論の問題となって世間からも注目を浴びておりますし、公社としても、この問題はむずかしいからといって放っておいてはいかぬということで、努力を続けておりまするので、できれば御心配のようなことのないような標準ができまするように、公社としてはそういう希望を抱いておるというわけでございます。
  60. 平林剛

    平林剛君 それでは先ほど私が要求した資料については、監理官の答弁で、後刻提出をしていただくことにいたしたいと思いますから、委員長においてもその点をお願いをいたします。  そこで私は純理論的に今お尋ねをしておるのですよ。総裁お話しのように、企業の努力というものをどこで算定をしていくかということは、消費税もあり、一般の益金ということと通常経費と区分をするとかしないとか、または款項目の中で、経費の節約、職員の努力による経費の節約というものはどことどういうところに表われたろうか、こういうことをもっぱら研究をして、そうしてこの予算総則に書かれている具体化をはかり、専売事業が今後も職員一体となって努力できる態勢を作るのが必要だ、こういうことを申し上げておるわけです。監理官のように、欠勤率がふえておるなんということは、欠勤率はふえたって残った人が仕事をやっておるわけですから、残った人でかなりな益金を上げたとすれば、残った人にはそれは相当の分配をしなければならぬということになるわけですから、欠勤率がこの予算総則の具体的な分配のファクターになるなんということはどうも逆なことで、ふやすというならこれはわかりますけれども、それで減らすなんというのは純理論的には生まれてこないはずであります。先ほど総裁が言われたような点をもう少し研究をされて、やはり一定の方式というものを至急に私は考えておく必要があると思う。監理官もこれは責任をもって推進をしてもらいたい、これを要望いたしておきます。何かあなたの方でお答えがあったら……。
  61. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 資料の点につきましては、あとで関係者が平林委員のところへ行って御説明申し上げるそうです。
  62. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本件の審査は一応この程度にとどめます。     —————————————
  63. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、租税行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は、順次、御発言を願います。政府から北島国税庁長官、松井理財局証券課長、中西国税庁調査査察部長の三人が見えております。
  64. 片岡文重

    片岡文重君 昨年の二十六国会で成立をいたしました法律第二十七号ですが、所得税法の一部改正が行われまして、業務に関連して他人のために名義人として配当所得の支払いを受ける者は、計算書を提出しなければならないということに規定づけられておるわけでありますが、この名義貸し規制にからんで、証券会社と、その外務員の配当支払い計算書の提出が前月末で終ったはずであります。この提出された計算書に対して、税務署がどの程度の監査をするであろうかということについては、かねがね関係の方面から相当注目をされておったと思うのでありますが、聞くところによりますと、今月の初めに大阪の国税局が地元の某証券会社について名義貸しの実情調査を行なって、さらに続いて他の商店について調査が行われておるということであります。すでに新聞にも発表されていることですから、これらの会社の名前、それから調査内容等についても十分報告は来ておると思うのですが、この調査をするに至った理由がどこにあったのか。なお、調査内容としては、申告金額が予想外に少かったことと、外務員の提出も人数から推して非常に少額であったというようなことが相当念を入れて調べられておったようであります。この調査内容について御報告があったのならば、一つその報告の内容をまず御報告願いたいと思います。
  65. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ただいま御質問ございましたように、昨年の所得税法の改正によりまして昭和三十二年分につきましては、十五万円をこえるものにつきまして、いわゆる計算書を出してもらうことになっております。大阪国税局におきましては三月の初旬から岡三という証券会社につきまして、その実情を調査に着手いたしたようでございます。まだ実は詳細な報告が出て参りませんが、一応岡三の方は調査を終って、さらに他の証券会社の方に今着手中である、こういう報告だけは参っております。今回の調査は、何分にも税法改正の最初の年でございますので、果して支払計算書に誤りないかどうか、法律通り出ているかどうかということをあらかじめ法施行の当初におきまして、十分調査しておくことが、今後のために必要であるという、こういう見地から大阪国税局におきまして調査をいたしたものであります。
  66. 片岡文重

    片岡文重君 法規に定められた通りの施行状態であるかどうかということで御調査になっておるとすれば、まず代表的な証券会社から私は調査をされるのが一番いいことで、わざわざ中小証券会社に先べんをつける必要はないと思う——まあ必要はもちろんありますけれども、まず法の厳正を維持するためには少くともいわゆる四大証券会社等、十分な組織と人手とを持つようなところ、当然守り得るようなところから私は調査をすべきだと思うのですが、どうも伝えられるところでは、まだ四大証券には調査がいっていないのではないかというようにも聞くのですが、この点はどういうことなんですか。
  67. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は岡三という会社は大阪国税局管内におきましては、相当な証券会社でございましてこれはまあ電話の報告でございますが、たまたま支払計算書を見ましたところ、相当な大証券会社なみの岡三につきまして、どうも計算書の内容について真実でないと認められる部分があるということで、監査に着手したようでございます。
  68. 片岡文重

    片岡文重君 大体岡三とか大阪証券ですか大阪屋とかいう会社のうわさは、私どもも聞かないわけではありませんでしたが、少くともこれらの会社にそういうことがあるとすれば、当然当局としても大阪でこういうことをやっておる、こういう疑いがあるということであるなら、では東京ではどうだろうかということを私はすぐにピンときていいはずだと思う、ところが東京ではまだそういうことはやっていないのじゃないですか。やっておられるならば、いつごろどういう方法でやられておるのか、それをお聞きしたい。
  69. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 東京国税局におきましては、仕事の繰り合わせ上、ただいままだ監査に着手しておりません。しかし一般的に申しまして、法の施行当初において、果してファスト・ステップにおいて、正しく法が守られておるかどうかを監査することは必要でございますので、東京国税局におきましても、事務の都合を見て監査に着手するであろうと私どもは考えております。
  70. 片岡文重

    片岡文重君 こういう問題は特に長官も今おっしゃっておられるように、法規改正早々でもありますから、特に手数の要ることでもありましょうが、こういう商店等でも円滑な事務手続が、成規な事務手続が果して瑕疵なく行われているかどうかについては、いわゆる摘発とか懲罰とかいうことではなしに、十分に指導をしていく立場に立って、できるだけ定められた法規が完全に守られるような方向で私はいくべきだと思いまするので、ぜひこの点については、全証券会社にわたって綿密な調査一つやっていただきたいと思うのですが、一体この名義貸しの規制によって、どの程度に所得税とか法人税の脱税を防止し得たか、またし得るとお考えになるか、これは主税局でなくとも、長官でわかるなら、なおけっこうです。どうぞ。
  71. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は施行の当初におきましてどの程度に見込んだか、私実は立法方面にタッチいたしておりませんでしたのでわかりませんが、現在二月末までに出ました支払計算書につきまして、まだ全国の分が集まっておりません、それによりまして、集まりますと大体の数字がわかるものと考えております。
  72. 片岡文重

    片岡文重君 そうですが、立法方面にタッチしないから大体見込みがどのくらいということがわからなかったとするならば、関係のどなたがおいでになっておられますか、そういうことのわかる人たちが。
  73. 原純夫

    政府委員(原純夫君) お話の点は私どもも先般せっかく御改正願った点でありますし、関心を持って見守っているわけであります。ただ実際に一月末の提出期限であって、その監査は、今ちょうど確定申告の時期であるというようなことから、大体国税庁の方としても、四月、五月ごろに本格的に入られるという段取りだろうと思います。しかしとりあえずどんな調子がというようなことを——これは全部の調べじゃございません。たとえば東京でも、日本橋、麹町というようなおもな所に急いでとりましたところでは、やはり調書の提出の度合いというものが、例の昨年の十五万円以下——未満ですが、出ない分が割合に多くて、出ているのが全体の配当金額の二割ちょっとというようなことは私ども承知しております。従いまして、今年は五万円の限度になりますからだいぶ違って参ると思いますが、やはり十五万円ではまあ四分の一か五分の一しか出てこない、それがどういうものが出てきて、どういうふうに総合されるかということは、ただいま申しました通り、確定申告に対する総合課税調査の段階で、四月、五月に行われますので、個々的にはまた後ほど適当なときに申し上げたいと思いますが、大体ごく概数のところを申し上げますと、そういう種類の株式の中で二割ないし二割二、三分の配当が資料に載って出てきているということはわかっておりますので、お答え申し上げたわけであります。
  74. 片岡文重

    片岡文重君 私のお伺いしているのとちょっと違うのじゃないかと思うのですが、たとえば三十三年度の歳入の見込みについての原案を大蔵省で作成されて、これが政府原案として決定するまでの過程で、大体罰金収入がたしか六億円に増額したはずです。こういうふうに一応こういう種類の金額の見込みが立つということであれば、この名義貸しの規制によって出てくるところの所得税とか法人税の従来脱税されておったものがこの税法改正によって規制されて、名義貸しというものがそう不当にできなくなったということであれば、相当のものが増徴できるだろう。   〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕 その増徴される額が一体どのくらいになるだろうか、もちろんそれ今主税局長の言われたように、まだ確定したわけじゃありませんから、その決定額をお伺いすることはもちろん無理ですけれども、大体見込みとしてどのくらいふえていくだろうか、徴収できるだろうかということはおわかりにならぬのですかということを聞いておるのです。
  75. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 非常にむずかしい計算で、結論としてはわかりません。しかし、ただいま割合で申しましたが、私の手元にあります東京における日本橋、麹町、大阪における大阪東署、まあこの管内に大部分の証券業者がある。特に東京ですとあるわけですが、それでの数字は、配当金額が総体で二十四億、その中で、資料に載ってくるのが五億余りという数字でありますから、これによってこの五億が、結局総合され、そしてそれによって、高い税率の人であれば追加の税を徴収するということになりますので、これは全部でございませんから、もう少しプラスがつく、それからなお、本年分は五万円になりますから、もっとそういうことがより強くなってくるということになると思いますが、ただいまのところ、数字の大きさとしては、そういうようなところから御推測いただく以外になかろうかと思いますので、そういうふうに御承知願いたいと思います。
  76. 片岡文重

    片岡文重君 その金額は、どうも私はこれでは少いように思うのですが、はっきりしたことがわかりません現在では、これ以上お聞きするのは無理かと思いますが、名義貸しの相手方が実際に申告された住所に果しておるかどうか、これは、この税法改正のときに、この申告書を提出することを義務づける税法改正のときに、もうおそらくここで十分な論議がなされたと思うのですけれども、この名義貸しの相手方が実際申告された住所におるかどうかということをどういうふうにして今政府は把握しておられるか、どんな対策をもってこの不正な名義貸しを防止しておられるのか、現在やっておられる方法があるならば、それを一つお示しいただきたいと思います。
  77. 金子一平

    説明員(金子一平君) 名義貸しの架空名義のものをどうやって発見しているかということでございますが、出て参りました資料につきまして、一応納税者の名簿をチェックする、あるいは電話番号簿等でチェックするというようなことで、まず第一段階といたしまして、実在の人間かどうか、存在するかどうか、これを照合するわけでございます。それでもどうしても合わない者が相当出てくるというような場合におきましては、やはり取扱いの外務員が、あるいは証券会社について具体的に内容をトレースしていく、こういうようなことにいたしております。
  78. 片岡文重

    片岡文重君 そういう調査は随時ひんぱんに行なっておられるのですか。それとも、たとえば岡三なり、大阪屋証券なりを今度調査をされた、こういうふうに、何らかの動機なり、きっかけがあった場合に行うのか、法規の命ずるように随時証券検査官なり何なりがやっておるのか、その辺はどうですか。
  79. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまの御質問でございますが、実は、岡三の場合は、出て参りました資料の個人のものにつきまして、今のような実在の人間かどうかをチェックして見たわけであります。ところが、合わないものがある。そこで、実施の初年度でもあります関係上、一応正確なところを出してみようということで手をつけたわけであります。随時やっておるというわけではございません。やはり人手の関係その他もございまして、不審のものが出て参りました場合に初めて手をつける、かようなことに相なるわけであります。
  80. 片岡文重

    片岡文重君 この不正な名義貸しの問題は、きょうこのごろの問題でもありませんし、この点を厳密につかれると、相当証券界にも波紋を巻き起すやに聞いております。しかし、だからといって、これを不正のまま見のがしておくことは、これは許されないことだと思う。人手も足らないということでありますが、現に、具体的に、個々に、ここはどう、そこはどうということではなくても、こういう事実が数多く存するであろうということは、世上一般のうわさだといってもいいわけですから、昨年の法規改正から少くとも一年や二年の間は、私はやはり法を厳正に実施させる意味からも、重点的といいますか、そこに力をおいて、やっぱりこれを、先ほど申し上げましたが、罰するとか摘発するとかということでなしに、やはりそういうことをしないで、正常な措置に持っていくように指導するためには、十分な調査が私は必要だと思う。それなのに、今のお話では、どうも二、三の証券会社だけにとどまっておって、他には及んでおらないように思うのだが、今後は、それではやはり今の状態で、人手が足らないからということで現状のままでいくのか、もっと法規の徹底を期していくのかどうか、この点の御所見を一つ伺いたいと思います。
  81. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実はまだ大阪の調査の事績が詳細に出て参っておりませんので、私ども今後の対策について具体的なものは立てていないわけでありますが、大阪からのつぶさな報告がまとまりますれば、一体どういう方法でこの名義貸しの規制をのがれておるかという実情がわかりますので、できるだけ初年度においてそのようなことを見のがすことのないように、しかも、指導的に円滑に正しいものにいたして参る、こういう方向に行きたいと考えておるわけであります。
  82. 片岡文重

    片岡文重君 大臣も出ておられませんし、政務次官もいつの間にやらどこかへ見えなくなってしまったようで、はなはだ遺憾に思うわけですが、どなたが御答弁されるかわかりませんが、この法規改正早々、その改正された法規を厳密に実施させるために十分な指導を行うべきであるにもかかわらず、それが現に行われておらないということが、おらない原因として人手不足であるということであるならば、この人手なりその検査の組織なり、たとえば証券検査官をもっと増員をするなり、何らかの方法が私は当然考えられなければならない、行われなければならないと思うのですが、こういう点について、この検査組織の強化拡充ということにはまだお考えを持っておられないのですか。私は当然持つべきだと思うのですが。
  83. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まだあまり手をつけていないじゃないかというお話でありますが、実は、三月十五日までは所得税の確定申告時期でございまして、東京国税局におきましても、確定申告の取りまとめに今てんやわんやをいたしておる次第でございます。ただ、大阪国税局におきまして、たまたまどうも資料がおかしいということで事績の調査を始めたわけでございますが、確定申告が一段落いたしまして、大阪の状況も十分見ましてから善処いたしたいと思っております。ただ、事柄が証券界でございまして、割合に微妙に響くものでございますので、私どもその調査につきましては万全を期しまして、いたずらに刺激することのないような、しかも初年度においてみすみす法規通り行われないのが見のがされるということのないよう、善処いたしたいと思います。
  84. 片岡文重

    片岡文重君 私はその御答弁の通りだと思う。だから、そこでそういう御答弁のような事態に持っていくためには、現に人不足の状態ではどうにもならぬということになるじゃなかろうかと思う。私は、そこで今の陣容を強化するなり、適正な指導をするということは、結局常時やはり現場に立ち入るなり、出された資料についての検討なりが行われなければならぬ。今の状態ではそういうことは考えておっても、実際にはあまりできぬというお話じゃなかったのですか。今後はどうされるのかということをお尋ねしているのです。
  85. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) まあ人手の問題になりますと、はなはだ私ども申し上げにくいのでございますが、決して十分な人間ではございません。数多くの納税者をわずかの人員でもってさばいているわけでありまして、一つのことばかり手をかけるということもなかなかできかねます。全体のバランスを見まして、最も効果的に人員の稼働を考えるというのが一番適当だろうと思います。今回の問題につきましては、一応大阪の材料が集まりましてから、それを検討いたしまして、いかにすれば初年度において適正に確保されるかということを検討いたしたいと思います。その結果、もしどうしても人が足りないといえば、他からでもさいてするより仕方がないわけであります。
  86. 片岡文重

    片岡文重君 私は、でき得るならば、そういう不正な計算書なり架空な名義人が堂々と提出されるような事態にならない以前に行政指導をすべきだと思う。しかし、まあ現在までは人手不足等によってできなかったということであれば、今後はぜひそういうことのないような方法考えていただきたいと思う。特に岡三証券に調査官が大阪国税局から行って調査をされた。そうして不正な名義貸しと思われるものを相当摘発された。摘発といいますか、審理の爼上に上ったわけです。ところがこの調査が、相当といいますか、少くとも証券会社——その当の筋から見れば相当意外だと思われるほど強く行われたということで、相当な関心を深めたといいましょうか、波紋を呼んだといいましょうか、聞くところによれば、業界新聞はすぐに某有力者によってその記事の報道が差しとめられた。で、大阪証券に調査に行ったこともなるべく報道しないように。同時に、東京の証券会社に国税局から調査に来るであろうから対策を立てるようにということで、わざわざ大阪から——これは名前も私はわかっておりますが——やって来てそういう運動をしておったやに聞いております。で、こういううわさは都内の有力な新聞も一部その記事を押えられておる。もちろん押えるということは、国家権力をもって押えたのではありません。これはその筋の有力者によって押えられたということも聞いておる。こういうことでは、私どもとしてははなはだ遺憾にたえないことだと思うし、特にこの種の検査というか、捜査といいますか、打ち切りもしくは手心を加えるようにという手が伸びるとか、画策をされておるとか、はなはだ不愉快なうわさを私たちは聞いておるのです。そこで、もしここでこういううわさのあるときに、国税庁その他がよろめくようなことが少しでもあれば、これはそのうわさを裏書きすることになる。私どもとしてははなはだ遺憾にたえないし、せっかく当委員会であれだけの論議を尽して十五万円を五万円以上にというところまで切り下げてきたこの配慮も、ことごとく水泡に帰するばかりでなしに、法の権威というものも疑われるし、ますますこの業界における不正とか不当な事柄が一部の有力者によって隠蔽されていくということは、他にもそういうことが及んでくることになると思うのです。ぜひこの点については一つ、うわさがあるときだけに、私はもっと強腰になって、しっかりやっていただきたいと思うのですが、一つ、本来ならば、これは大臣の御所見を——御所見というよりか、むしろ決意を私は伺っておきたいと思うのですが、たまたま国税庁長官がおられるようですし、それから主税局長もおられるところですから、それぞれ関係のお立場から一つ御所見をはっきり伺っておきたい。引き続き一そう厳重な調査を進められるおつもりか。それともこのうわさの通り手心を加えられるおつもりなのか。この点についてはっきりとした御所見を伺っておきたい。
  87. 平林剛

    平林剛君 関連。今片岡委員から指摘されたことについて何か国税当局に対しどこかから注文がついていますか。あるいはそういうようなことについて話を聞いておりますか。その点も合せて一つ答えて下さい。
  88. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私のところに、何も、どこからも注文つけておりません。新聞の報道によれば、証券界におきましてもやはり名義貸しは脱税だから、調べられるのは仕方がないというような気持のようでございます。私どもももちろん法の施行の当初におきまして、できるだけ誤まりのないように指導いたして参りたいと思います。ただ先生がおっしゃったように、先ほどもございましたように、やはり指導的にやるべきだと私は考える。あまり腰を高くして気負ってやりますと、えてよろめきがちであります。よろめくというのはやはり腰を高くするからよろめくのです。できるだけ腰を低くして、冷静に、丁重に、しかも実態をつかむという、こういうやり方をやれば、決してよろめく心配はないわけであります。どうぞ御安心願います。
  89. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  90. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 速記を始めて。
  91. 土田國太郎

    土田國太郎君 先般の質疑に引き続きまして本日御意見を伺いたいと思うのでありますが、過般二月の十三日でありまするか、策議院の大蔵委員会におきまして、酒税引き下げにつきまた公債改定に関連いたしまして、一萬田大蔵大臣の御説明があったのでありまするが、大臣は、酒税すなわち消費税の引き下げであるから、消費価格が引き下げられるようなことは当然のことである。しかしながら、一方原料価格の高低を考慮に入れてきめたいと答弁されているのです。これはまことに正当な考えだと思いまするが、局長のお考えはいかがですか、この点は。
  92. 原純夫

    政府委員(原純夫君) その通り考えております。
  93. 土田國太郎

    土田國太郎君 それでなお当該委員会におきまして質疑者の一人が、こういうことを局長に言うておられるようです。大蔵大臣の今の答弁は、税引き下げ分はそのまま値下げになるという改定ではないように聞えると、そこをそうごまかされては困るということの意見発表があったのでありますが、それに対しまして局長は、あなたはこういう御答弁のようです。質疑者のお気持をよくくんで非難を受けないようにするとの御答弁があったのでありまするが、この非難を受けないようにするという意味はどういう意味に解釈してよろしいのか、私はこのマル公改訂、税率引き下げというこの大きな問題について、いろいろの疑惑を生じ、業界は非常な心配をただいましておるのでありまするが、これに対しまして、ただいま私が説明申し上げました局長の答弁はどうもはっきり御意思がつかめないような御答弁でありますので、その意味をお伺いいたしたいと思うのです。
  94. 原純夫

    政府委員(原純夫君) そのときの問答は、私手元に速記録を持っておりませんので、むしろ税率の引き下げとこれに伴うマル公改訂の際に、税率以外の要素をどう盛り込むかということについての私の考え方を申し上げて答弁さしていただきたいと思います。税率が下りますれば、それによる利益は、利益と申しますか、税負担の軽減は、消費者に完全に行くようにということをまず考えるのが第一段であります。同時に、そういう際に税金以外の原価要素について変更すべき点がありますれば、これを変更するというのは、公定価格制度をとっておる以上当然のことであります。もちろん、その際物価政策その他との関連は出て参りますけれども、今回は四月一日に多分できると思うのでありますが、公定価格の改訂があれば、その際に税以外の要素を盛り込むというのは当然である。そこでいろいろそういう際に聞かれます場合に、製造者の立場を重しとされる方は製造者の立場において、また卸、小売の面から発言される方はその面から、また、消費者の立場から言われる方は、もうなるべくほかの要素は上げないで、減税分をフルに最終価格で下げて欲しいというように、いろいろ言われるわけであります。私どもの立場といたしましては、それらについて十分御意見を伺い、主張される点を承わり、さらに私どもとしては全般的に結論を出すのに必要な調査をいたしまして、これが一番正しいと思う線に結論をつけて、公定価格改訂を実施するということにほかならないと思うのであります。率直に申しまして、こういう際でありますから、いろいろな生販各界、また消費者の面というような、それぞれの角度から見ますると、結論がいずれにも十分に満足させるということはなかなかできにくいかと思いますが、私どもとしてはあらゆる勉強をし、また、できる限り業界その他の意見も伺って、公正妥当な線を出したいというつもりでただいまも鋭意勉強いたしておるということでございます。
  95. 土田國太郎

    土田國太郎君 ただいまの局長の御答弁はまことに正当な御意見でありまして、さように税務行政をおやり下されば、これは業者も消費者も満足するでありましょう。  そこで一つお伺いいたしたいことは、やはり衆議院の委員会において、今申し上げました質問者は、原料の高いのは認めてやれ、ただし、税率引き下げとは別にせよ、すなわち二段がまえにしたらどうか、上げるものは一ぺん上げて、それからまた下げるのは下げろ、こういうような御意見の発表があったようですが、この点はどういうように四月一日を期して処理なさるか、その発表方法は二段がまえにするか、あるいは一ペんに両方を整理される結果おやりになるか、それを伺っておきたい。
  96. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 一ぺんに結論を出す方がより実際的であり、その方が穏当であろうと思っております。
  97. 土田國太郎

    土田國太郎君 そこでお伺いしたいことは、生販の各三層の利潤を、大体政府におきましては何%ぐらい与えるかということは腹になければならぬはずですが、その点はいかがですか。これはどちらですか。
  98. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 実は、先ほど来のことも、主税局長ではなく、ほんとうは私がお答えすべきかと思いますが、衆議院の大蔵委員会で、私の不在中かあるいはおりましたけれども主税局長お答えになったので、引き続きお願いしたのであります。酒税の減税に伴いますマル公改訂の作業につきましては、目下なお計算中でございます。まだはっきりした成案を得たわけじゃございませんので、できるだけ新しいデータに基いて、最も適正な公定価格をはじくことに今努力している最中でございますので、しばらく御容赦願いたいと思います。
  99. 土田國太郎

    土田國太郎君 それから、よく局長は、政府の低物価政策ということをおっしゃっておられる。それはまことにけっこうなんですが、実際にこれは大蔵省が悪いという意味じゃないのですが、原料米にいたしましても、買入価格と莫大な差のある価格で売りつける、あるいはイモが一貫目最低八円以上高いということも事実である。たとえば、糖蜜をわずか三万五千トンぐらいお入れになっても、これは雀の涙程度だからこれもどうしようもない。そんな関係で、アルコールは一石少くとも三千円以上高いというのが今の成り行きのようでありますが、そのほかに運賃が一割五分かかる、石炭、人件費というように非常に物が高くなる。そうすると、これは高物価政策になってしまうのですが、そうしますると、局長の意図するところと違うのでありまするが、こういう問題について、同長はどうお考えになっておりまするか。非常に業界としたら迷惑しているわけなんですが、ひとり食管の欠損を特に酒類業者だけ背負う義務は私はない、これは一般会計からも繰り入れしているのですから、ついでにみんな繰り入れして、原価を安くして、そうして一般消費者に致酔飲料として供給する方が国民の利益じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか、局長さんのお考えをお伺いしたい。
  100. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 私は、公定価格は、それを形成する要素が変れば変ったように合理的に変えていくというのが、もう現段階における公定価格の扱いとしては当然だと思います。歴史的には公定価格制というのは、非常に窮屈な経済情勢のもとで、実を申しますと、すらっとはじけばえらい高いのを抑えておくために公定価格制度というのができたのですが、世の中もすっかり変ってきております。自由な価格が形成されるという世の中ですから、現在では私は原価要素が上ってくる、こういうものがあれば、それはそれぞれ公定価格にはね返すというのが当然であろう。それを毎月々々やるということになれば、やはり時期はあろうと思いますが、大体そういう気持でやっていけるものと思っております。
  101. 土田國太郎

    土田國太郎君 まことにけっこうなお考えで、私も同感であります。それで、先般、この委員会におきまして資料の御要求があったので、生販三層の利益のデータを本日御配付なすって下さったのですが、まあ一番メーカーの利益が少いので、大体三%見当の利益で、これじゃあどうも生活にも困ると……、もちろんこれは十軒か十五軒を抜きましたあとは全部中小企業ですから、はなはだ困るので、もう少し余裕をみてもらわなきゃならぬと思うのですが、先般長官のお話も、どうも七割までは何とかなるのだろうからというようなお話なのですが、しかも、努力によって利益を取れとこうおっしゃるのだか、その件につきましていろいろ相談もしてみたのですが、実際、現在においてはマル公でも売っていないのですから、事実が二十円なり三十円なりの値引きをして売っているのが、まあこれは余っているからでしょうが、そんなような情勢であるので、非常に業者は今かわいそうです。清酒は一番悪いですよ。蒸溜酒の方はああいうふうに規制しているのですからいいが、清酒の方は、値引きがされて最低二十円、まあ銘柄ものを抜いて、そんなようで問屋に売っているようですが、これでは、ここに出ている利益のパーセンテージのまた半額ぐらいなことになるのですが、どうかこの点を私はもう一ぺん考え直していただく必要があるのじゃないかと思います。御答弁には及びませんが、一つ御考慮を要求しておきます。  ただいま局長の御答弁に、経費の高いような場合には実際みると、こういうことで、政治的に処理しないと、こういうりっぱな御意見があるので、この点、一般業者が知ったならば、非常にこれは安心していただけることだろうと存じます。それから、マル公決定に対して、これは清酒のみならずあらゆる酒類が、アルコール価格がまだ御決定にならぬようですが、これを、今もうサービスの競争とでも言っていいのじゃないだろうかと思うのですが、四月百日に改訂が、あと十日しかないのに、まだアルコール価格がきまらないと、これはあらゆる酒類に重大要素をなしておる。この件について今ごろもうきまらなかったということはないのでございますが、この点私は、蒸溜酒業界も四千円の要求をしておる、また、清酒業者も千円台に値切る——これは両方が私は非常に悪いと思うのです。もう少しざっくばらんに一つあなた方も御心配下すって、適正な価格で、幾らコストが上ったかということは、あなたの方は百も承知なんだから、そこらのところで話をつけてやる考えはないのですか。
  102. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。アルコールの価格につきましては、供給者側でありまする日本焼ちゆう酒造組合中央会と、需要者側でありまする日本酒造組合中央会でかねて折衝中でございまして、なかなか双方の歩み寄りがございませんで、当初は、焼ちゅう協会の方は三万五千七百円という、あるいは清酒協会の方は二万一千円台ということで、なかなか折り合いがつかなかったのでございまするが、結局、一昨日、私が中に入りまして、一石あたり三五一千円ということでごあっせん申し上げ、その結果、本日、両組合から、二万三千円というあっせんを了承する、引き受けると、こういう回答がございましたので、どうやらここに決定に至ったわけでございます。
  103. 土田國太郎

    土田國太郎君 長官の御心労まことに感謝いたしまするが、それはリベートはどうなっていますか。つくのですか、つかないのですか。そこまではおわかりにならぬのですか。
  104. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私は、リベートのことは業者間の問題でございまして、私どもの方としては実はよくわかりかねます。できるだけ正常な取引において。二万三千円が行われるであろうことを私どもは信じておるわけでございます。
  105. 土田國太郎

    土田國太郎君 それからお伺いしたいのは、この酒類審議会というのがありますね。この構成が、私は今のところ酒類の格差をつけるくらいの仕事で、しかもそれは委員がやるわけじゃなし、技術者におまかせしている程度なんですが、ほかの審議会は、非常に行政的に活動されておりますが、今回大蔵省の御提案たばこ審議会会のごときも、非常に生産者に対して擁護といいますか、規制といいますか、その点は考え方でありますが、こういうことを言っていますね。五条の三項に、これは政府提案ですが、「前項の価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌して耕作者が適正な対価を得ることができるよううに定めなければならない。」、こういう非常に生産者擁護の案を政府は出しております。で、大蔵省のこの審議会は、どうも寄ってお茶の一ぱいでも飲んで散会する程度で、どうもはっきりしていないのですが、同じ大蔵省の管轄で、たばこに対してはこういうようなりっぱな御提案があり、しかも所得税をぬかしましては、酒税は第二の国家の大財源である、千八百億も収入がある。明年度のごときは、税を引き下げましても百四十七億の増収になる。酒類審議会もこういうようなたばこ審議会のようなふうの組織にしていただく方が、政府も楽であるし、また業者も安心がつくわけでありまするが、その点を一つ御検討願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。きょう諾否を迫る意味じゃありませんが、一応同じ大蔵省の一つの仕事ですから御意見を伺いたいと思うのです。
  106. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) たばこの耕作者の方の関係はどうなっておりますか、私所管外で存じませんが、酒類審議会は、中央酒類審議会が国税庁長官及び委員三十人以内で組織するとなっておりまして、その委員は大体におきまして業界の代表の方々が生販三層それぞれ相当まざっておりまして、そのほかに関係各庁の職員と学識経験者であるわけでありまして、まあむしろ審議会の内容としましては、業者の代表の方が非常に多いという感じでございます。あるいは、もう少し、多少学識経験者を入れたらどうかという気持もいたすわけでございますが、一つ御希望の向きも十分しんしゃくいたしまして、今後検討いたしたいと考えております。
  107. 土田國太郎

    土田國太郎君 それから本年は密造対策費が削減されておりますが、どうも密造対策が、私どもの見るところでは完璧だということは遺憾ながら申し上げかねるのであります。そして、しかもこういう二千億円になんなんとするような大きな税額を取り、一面、かりに百万石の密造としても二百億というような脱税になるわけですから、もう少しどうでしょうか、密造をしっかり一つ取り締るようにお願いしたいのです。過半衆議院の大蔵委員会において川野君が密造に対する各局のデータか何か、経費のデータか何かを御要求になったようですが、そのデータもついでに当委員会にもちょうだいいたしたいと思うのであります。ついでに各局の密造取締経費並びにそれにつけ加えて何々局はどういう種類のものが、濁酒であるとか、しょうちゅうであるとかいうものを大づかみのものでいいのですが、それを何石検挙したというような検挙実績ですね、過去三カ年間ぐらいのものを、直ちにという意味じゃないですよ、一つそれをお調べになっていただけないでしょうか。そうすると、非常に私どもの方も成績がわかってきますし、それでまた私たちの見る目とあなた方の見る目とも検討ができるわけですから、その点お願いしたいが、いかがでございましょうか。
  108. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 酒類密造取締り関係の経費は、昭和三十三年度一億四千二百万円でございまして、前年度昭和三十二年度が一億五千百万円でございましたので、約九百万円程度減少いたしております。ただこの減少いたしましたのは初年度費、まあジープの購入費が初度として三十二年度相当計上しておりましたが、その初度的なものが落ちたのと、それから物件費におきまして、一般の節約——各省と同様な節約によりまして約三百万円節約になりましたので、合計八百万円程度減ったのでございますが、なお昭和三十一年度に比べますれば、まだ相当多額でございます。私ども実は密造の取締り経費につきましては、できるだけこれを充実させまして、これを有効に活用して密造対策に振り向けたいわけでございますが、今年の一般的な節約の方針に大局的見地からまあ私ども一応この金額で納得したわけでございます。なお、本年度酒税の減税もあることでもございますし、この程度金額でございますれば、私どももどうやら従来の成績は維持できるものと、こういうふうに考えております。
  109. 土田國太郎

    土田國太郎君 先ほど資料を要求申し上げましたが、もう一つ私言い残したのですが、各局の密造酒の罰金ですね、罰金額も過去三年の額を合せてちょうだいしたい。それと、しょうちゅう組合の問題ですね、これは一番最近の状況はどうなっていますか、それをお伺いしたい。
  110. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) しょうちゅう酒造組合中央会におきましては御承知の例のいわゆる石数議決——正確に申しますれば特別議決を要する際におきまして、三分の二の多数決だけでなく、石数において三分の一を占めることを要するという例の規定の削除の問題でございますが、実はまだ非常にデリケートな段階でございまして、ただいまの経過を十分に御説明申し上げるのも、あいるはかえって解決にじゃまな点があるとも思われますが、一昨日の状況におきましては大メーカー社がこのような状態では同じ組合にとどまっておられないということで脱退を宣しまして、それに対しまして中小側のごく強硬な方がお出になるなら御自由でございましょう、こういうことを言ったものですから、売り言葉に買い言葉で、非常な騒ぎになったようであります。ただし、その間におきまして、やはり大多数の中小の方々はやはり組合を割るべきでない、こういう熱心な御意見でございました。昨日も私のところへほんとうに中小企業の大多数の方々の総意だと言われて陳情者が参ったのでございます。いろいろ考え方があるけれども、結局組合を割るべきでない、何とか一つ大蔵大臣も善処してもらいたい、こういう陳情者が出て参りました。本日はさらに焼ちゅう酒造組合中央会の全理事の懇談会が午前中に行われた模様でございましたが、私はまだその経過を承知しないうちに、こちらに参ったものでございますから、ちょっと御報告申し上げかねるのでございます。私は結局この組合を割るべきでないという大多数の方の御意見、その良識がものをいうのではなかろうかというふうに期待しているわけでございまして、私どもでき得ればできるだけ部内のことは部内で処理するという建前から、自主的に、民主的に部内において円満に解決されるだろうということを期待しているわけであります。
  111. 土田國太郎

    土田國太郎君 本日も当委員会提案になりました社会党提案ですね、焼ちゅう酒造中央会の石数増石制限を撤廃せよ、こういう提案が出てきたわけでありますが、これはその影響の及ぼすところは、ひとりしょうちゅうのみならず、農林省関係にも大体関連になっているわけですが、ああいう組合は協同組合でありませんし、経済団体ですから、その点のところに一対一でいいというのが、社会党の御意見のようで、ああいう案を御提案になったのでしょうが、あの増石制限撤廃ということについて大蔵省の考えはどういうふうに考えておられるのか、その可否についてですね。
  112. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これはなかなかむずかしい問題でございますが、ごく資本的な団体でございますと、株式会社、出資に応じて議決権があるわけでございますが、それからまた単純な協同組合とか同業者の集まりでございますと、これは一人一票が原則、これは今の焼ちゅう酒造組合、合成酒酒造組合、それから雑酒酒造組合におきましては、もちろん普通の議決権は一組合員一つ、こうなっておりますが、特別議決を要する場合においてだけ制限があるわけであります。これはしょうちゅう、あるいは合成酒または雑酒のように非常に大きなメーカー、それから小さいメーカーの方々が一緒になって仕事をしていくいう場合には、やはり利害の調節のために必要な規定ではなかろうかと考えておるわけでありますが、ただこれは法律でそういうことを定款で規定できるというだけの話でございまして、何もこれを削らなくとも、定款においてお話し合いでどうにでもなり得る性質のものでございますので、非常にデリケートの問題ではございますが、私どもは法律改正の問題としてでなく、部内において話し合ってもらうように、場合によっては定款の問題として処理されることを希望いたしておるのであります。
  113. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の長官のお考えは私も同感なんです。実はこの三日前の日曜に中小企業の方々から、私と川野君が呼ばれまして、いろいろ説明も、意見も問われたのでございますが、大体あなたの今の意見のようです。中小企業は。私どももその点は同感で、千石の人が二十万石の人と一対一できめる、これはいかがと考える。大体あの表を見ますると。小企業の場合は非常に規制の割当が一部にいっている。五割以上も違います。上の方と下の方と規制の割当が、非常にうまくいっているようですが、それでも不服だというような意見を承わっておるのですが、本問題を国会へ社会党が御提案になったということのほかに、これは表面化してはおりませんが、自民党の一部にも同調者もあるのですが、これが万一通過した場合は、これは大へんなことになるのじゃないかと思う。当然これはもう中以上の人はみんな脱退でしょうね。とてもそれは五百石だ、千石だという人と何万石、何十万石という人と一緒に一対一じゃ何をされても承服しなくちゃならぬ情勢になりましょうから、それはどうもいたたまれなくなるのが当然と思うのですが、かりに約中以上が石数において八〇%でありますから、その連中が脱退した場合には、組合構成上非常に欠陥を来たすことになるので、組合の存立ということも疑われてくるのですが、万一ですね、大、中の脱退を見、石数も七割も八割も脱退した、こうなった場合には、法律上の取扱いは政府はどういうふうにお考えですか。
  114. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 焼ちゅう酒造組合におきましては現在百四十三社ございます。このうち上位の本社の方々で約六七%、ほぼ三分の二を占めております。それから上位の二十社まででございますと、八〇%近くになっております。かりに上位の十社の方が脱退ということになれば、組合法に掲げておりますところの成立の要件を欠くわけであります。欠くことになりますと、大蔵大臣は解散命令を出すことができる、こういうことになっております。かりにそういうことにでもなりますると、これは現在行われておりまする出荷規制というものは完全に自由競争になって、大も中も小も大きな自由競争の弊害に巻き込まれて、結局は中の方が非常に大きな傷を負う。また大の方の傷も必ずしも浅くはない。こんなふうに考えられるのでありまして、影響は非常に大きい。私どもはそういうことを、ごく最近ではございますが、焼ちゅう酒造組合中央会の方々の大多数の方がとにかく組合にとどまっておる、こういう御決意になっておるようでございますので、私どもはその方々の良識に期待し、また解散などの運命に至ることのないことを確信いたしておるのでございます。
  115. 土田國太郎

    土田國太郎君 この焼ちゅう中央会の問題に対する政府の態度は私もそれでけっこうだと思いますので、これは国家財源にも非常に影響のある問題でございますから、うまく善処していただく。それから先ほど来質問いたしました公定価格の問題あるいは減税の問題、これらの調整、あまり政治的でも困るのですから、先ほどから長官並びに局長が正は正とし邪は邪として取り扱う、こういう御説明があったので、私どもは安心したのですから、どうかその意味で大蔵省の大財源ですから、すぐに御考慮あらんことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  116. 西川甚五郎

    ○理事(西川甚五郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会