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説明員(金子一平君) ただいまお手元に
提出申し上げました商工庶業所得標準率表と効率表について簡単に御
説明を申し上げたいと思います。
まず標準率表について申し上げたいと思います。大体
説明の
便宜上、様式と、作成の要領、適用の場合の要領とに分けて記述してございます。
第一ページの表をごらん願います。大体各局ともこの表を——多少の相違はありますが、こういった格好の表で仕事を進めております。で、これは申すまでもなく、納税者の売り上げはわかっておるけれども、
経費なり所得がはっきりつかめないという場合におきまして、この所得率をかけまして、所得を推計する、こういうためにできておるものでございます。で、表の格好は、一番左の端に種目、たとえば荒物なら荒物、
日本料理なら
日本料理というような格好で種目が並びます。それから業態、これは販売でございますとか、製造でございますとか、あるいはサービス業でございますとか、そういった種類が出ます。それから卸、小売の順序です。
〔
委員長退席、理事
西川甚五郎君着席〕
それから売り上げなり収入
金額に対する割合と、それから
経費の率とに大別されて、それぞれ差益率、所得率あるいは雑収入の率、減価償却の率、固定
資産税の加算率が、まず売り上げなり収入
金額に対する割合としてパーセントで出ております。あるいは百円当り幾らと申してもいいかと思うのであります。で、今回問題になりました所得標準率は、ここに出ております所得率が問題になっておるわけでございます。
それから
経費の方は、ここには公租公課、荷造り、運賃、水道、光熱費とか、旅費、通信費でありますとか、広告宣伝費でありますとか、接待交際費、火災保険料、修繕費、消耗品費、福利厚生費、それから建物以外の減価償却費、雑費とかようなふうに分れております。で、ここに出ておりません
経費、たとえて申しますと、雇人費でございますとか、建物の減価償却費でありますとか、地代、家賃でありますとか、そういったものは、売上げに所得率をかけまして出ました所得
金額から別途控除する建前になっております。
そこでこの表の作り方でございますが、二ページにそれが記述してございます。これは先般も御質問がございましたけれども、各国税局単位で作成することになっております。この資料の集め方につきましては、資料が一地区に偏在することのないように、地域別あるいは特定の所得階層に集中することのないように、
事業の規模別等の分布
状況を十分考慮いたしまして、なるべくまんべんなく広
範囲にデータが収集できるよう
計画を立てて集めることになっております。
で、こうやって集めました資料の中から、特に異常な資料、たとえば経営状態が異常によいとか、あるいは異常に悪いとか、一年間を通じて営業をやっていない、年の中途で廃業したとか、あるいはほかの業種目と兼業しているというようなものは、はずしてしまうわけでございます。そうして残りの資料の中で、なお特に高いもの、特に低いものをはずしまして、中庸の標準率を求めますために、平均値を出したり、あるいは標準偏差を用いまして、上下の——特に上の方と下の方ではずすべき資料を求めます。その資料の求め方は、三ページ以下に記述してございますけれども、具体的な
やり方として参考のために五ページに表を掲げてございます。これは、ごく簡単に申し上げますと、たとえばある業種目につきまして二十九のデータが集まったといたします。先ほど申し上げましたような、中途から廃業したとか、特に非常にいい悪いというようなものははずしたものでございますが、これを各十グループずつに分けまして、三組に直します。そうして件数項でこのグループの平均の値を求めます。それが平均十二円八十五銭という欄でございます。向って左の下の方に平均十二円八十五銭というのが出ております。それからさらに今度は、各グルーブごとに最大のデータと最小のデータを求めまして、その差額を出します。たとえて申しますと、一グループでは最大が十四円、五十六銭、最小が六円五十四銭になっておりまするが、その
範囲は八円二銭ということでございます。かように、各グループごとに最大と最小との差額をそれぞれ求めまして、それを三つのグループで削りました答えが、平均の欄のまん中のところに(B)として七円四十三銭という数字が出て参ります。この七円四十三銭に一定の変動係数をぶっかけるわけでございます。この変動係数は、(C)の欄の〇・三二四九という、これは実は統計学上は平方根を求める方式になっておりまするけれども、行政上の実際の
やり方といたしましては、簡単な速算の表を作っております。それが四ページに出ております表でございます。四ページのまん中くらいに、資料の件数に応じた変動係数が出ております。こういったものを使ってやるわけでございます。そうして出ました標準偏差を求めまして、それを一・五倍いたしまして三円六十二銭というものが出ます。この三円六十二銭を、一番最初に出しました平均の十二円八十五銭にプラスいたしましたものが、この集めた二十九の資料から切り取るべき上の方の限界でございます。それから、十二円八十五銭から今出ました三円六十二銭を引きました結論の九円二十三銭というのが、下の方のデータを不適当なものとして落すその限界でございます。この十六円四十七銭以上九円二十二銭以下を落しましたその結果が、この表の向って右の欄に資料検討後の資料として出ております二十一の件数になるわけでございます。これを平均いたしますと十三円、こういう標準率になって参ります、大体作り方は、ごく大づかみでございますけれども、以上申し上げましたように、なるべく片寄った数値が出ないように、中庸的なものを出す努力をいたしておるわけでございます。それから所得標準率の使い方でございまするが、これは六ページに出ております。先ほども申し上げましたように、
経費の中で雇い人費でございますとか減価償却費でございますとか、地代、家賃あるいは
借入金の
利子、貸し倒れ金というようなものは、売り上げに所得率をかけました答えから別途控除いたしまして実際の所得
金額をはじき出す、かようなことになっておる次第でございます。それからあと、減価償却率とか固定
資産の加算率とかいろいろございますが、たとえて申しますと、減価償却率は、実際の減価償却の額が判明いたしません場合、これは別途控除できませんので、売り上げ
金額にこのパーセンテージを乗じて減価償却額を算出する、かような
やり方でやっておるわけであります。以下大体同様の
やり方をいたしております。
次に、所得の業種目別の効率表について申し上げますが、これもやはり様式と作成の
やり方、それから適用の
やり方の三段に分けて記述しておきました。
一ページに業種目別の効率表の様式が出てございます。でこれは、二ページの方をおあけ願います。二ページの方から先に御
説明申し上げた方がわかりやすいかと思うのでありまするが、効率表と申しますのは、御
承知のように、売り上げ
金額が実際にわからないという場合に、一定のその営業の外形標準をもちまして、売上
金額を推算しよう、こういう目的で作られたものでありまして、その外形標準と申しますのは、たとえば従業員の人数でございますとか、料理店ならば部屋の数でございますとか、あるいは飲食店や喫茶店ならばテーブルの数でございますとか、あるいは通常の問屋さんだったら、たなおろしの商でございますとか、そういった売り上げと相関
関係にある一定の外形標準を基礎にして売上
金額を推計しよう、こういうことでできておるわけでございます。
この効率表の作成も、やはり所得標準率と同様各国税局において作っておりますが、作り方は、地域別とそれから
事業の規模別の二本立で作っております。地域別と申しますのは、そこに出ておりますように、六大部市と市部、町部、この三つに大体大きく分けまして、それぞれ売り上げの
状況がこういった地区ごとで違いますので、その点を
実情に合わせるように分けて作ることになっております。それから
事業規模別と申しますのは、たとえて申しますと、従業員の数でございますとか、たなおろしの高でございますとか、あるいはテーブル、あるいは部屋、そういったものの数だとか、かようなことで区分して作っております。そこで、この地域別と、それから
事業の規模別の二つをかみ合せて、この効率表をこしらえるわけでありますが、さらに効率表は算術平均算式のものと、加重平均算式のものをそれそれの業種について作っておるわけでございます。算術平均算式と申しますのは、たとえば、従業員の数はわかるけれどもほかのものは全然わからぬ、あるいは部屋数はわかるけれどもほかの方がつかめないというような、効率項目の
一つしかわからない場合におきまして、その
一つのものをつかまえまして、大体この店の売り上げはこのくらいであろう、かようなことで
計算をする
やり方であります、しかし、申すまでもなく、こういった算術平均式な
やり方は非常に危険でございますので、もし、二つ以上の効率項目がわかりました場合には、たなおろしもわかる、従業員の数もわかるというような場合には、その両方をかみ合せましてそれぞれの従業員なら従業員、あるいは部屋数なら部屋数というようなものにそれぞれウエートを置きまして、これは変動係数の小さいものほど大きなウエートを置くことになるわけでございますが、ウエートを置いて
計算をして大体の売り上げを推算する。かようなことになっておるわけでございます。算術平均算式の作り方は、全く標準率を作る場合の作り方と同様と御了承いただいてけっこうかと思います。
この効率をどういうふうに使うかと申しますと、それは四ページに表が出ておりますが、ごく荒っぽい表でございますが、従事員しかわからないというときは、あま大体従事員一人当りの売り上げは年間五十万円ということならば、三人おれば百五十万円、あるいは在庫の方がわかればたなおろし
資産に千円当り幾らをかけるというような
やり方で出しておるわけでございますが、きわめて単純な
やり方でございますので、間違いもあろうということで、特にこれは所得標準率についても同様な問題があるわけでございますが、店の売り上げというようなもりは、これは所得の率は同じでございますが、地域の店の所在でございますとか、経営者の能力でございますとか、あるいはのれんというようなことによって
相当違って参りますので、一定の
限度において加算をする、あるいは出てきた答えから減算をするというような
やり方を認めておる次第でございます。加重平均算式の方は、そこに出ておりますように、従業員なら従業員に一人当りの係数をかけまして、五十万なら五十万という係数をかけまして、ウエートをつけまして、そうしてそれにたなおろしの方もやはり同じように係数をかけたものをプラスして出す、かような
やり方になっておるわけでございます。
以上の
説明でもわかりますように、非常に中庸的なものを私どもはこれで出すように、全体の平均値を出すということに主眼をおいて作っておりますので、各種の業種、それぞれの業態によりましては、必ずしもこれ一本でいくわけにいかない、押しつけはとうていできる筋合いのものではございません。さような
意味におきまして、ことしからお知らせ制度も廃止いたしたということでございます。要するにこれは税務官吏の
調査の際の
一つの資料、あるいは申告のぜひを検討する際のデータの
一つである、かように私どもは考えておるのでございます。もしこれを公表すると、それでこれをやってよろしいというようなことになりますならば、先般来繰り返して申し上げておりますように、申告納税制度の建前に根本から反します。特に今日のような申告納税制度のもとにおきましては、それぞれ個々の納税者の
実情に即したような納税なり、課税をやるというのが建前で、一時的な動き方をやるというようなことは必ずしも適当でない。特に今日青色申告の納税者が営業者の半分を占めておりますので、もしこれを公開してこれによってやってよろしいということになりますと、青色申告
自体の問題がやはりくずれるというような問題がございますので、さよう御了承いただきたいと思います。