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1958-06-09 第28回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月九日(月曜日)    午前十時三十九分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            木内 四郎君            西川甚五郎君           小笠原二三男君            平林  剛君    委員            木暮武太夫君            左藤 義詮君            塩見 俊二君            土田國太郎君            廣瀬 久忠君            宮澤 喜一君            山本 米治君            荒木正三郎君            大矢  正君            栗山 良夫君            野溝  勝君            杉山 昌作君            前田 久吉君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    大蔵省主税局長 原  純夫君    国税庁長官   北島 武雄君    国税庁間税部長 泉 美之松君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査の件  (補助金等に関する件)  (酒税の問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより委員会を開きます。  租税及び金融等に関する調査を議題にいたします。  補助金等に関する件について大蔵省当局説明を聴取いたします。
  3. 小熊孝次

    説明員小熊孝次君) さきの国会におきまして御要求のございました補助金負担金交付金補給金委託費及び出資金に関する調につきまして、その概要を簡単に御説明いたしたいと思います。  まず、お手元に配付してございますところのこの調書でございますが、この調製の仕方につきまして、一応御説明いたしたいと思います。この調書は、科目名称でございますが、これは三十二年度の科目基準といたしまして調製してございます。それでその内審は二十九年度から三十三年度までの予算額、これは補正後の予算額補正がありました場合には補正後も含めまして予算額計上しておりまして、これは会計別、それから種類別、すなわち補助金負担金交付金補給金委託費及び出資金種類別、それから各省所管別に作成いたしたものでございます。従いまして、国際分担金計上してございません。  それから、予算執行段階におきまして移しかえ使用するというような場合がございますが、そういう場合におきましては、この移しかえ使用前の所管計上してございます。  それから移流用の問題でございますが、移流用をされたものもございますが、それは移流用前の金額計上してございます。  それから、予備費使用決定のあったものにつきましては、これは計上してございません。予算額のままで計上してございますから、予備費使用金額計上してございません。  それから、補助金交付対象につきましては、補助事業者とか、それから委託費でございましたならば受託者というようなもの、あるいは間接補助事業者、こういろようなものにつきましてもできるだけこの交付対象欄に掲記してございます。  それから、備考摘要の欄でございますが、ここには、何年度から計上するかという点、それから根拠法法律根拠があるものにつきましては根拠法を記載してございます。それから名称が変ると、たとえば二十九年度の名称と三十三年度の名称が変っておるというような場合におきましても、それを摘要欄に注意書きしてございます。なお、備考欄で、何年度より計上と書いてございますが、そこに実線でアンダーラインをしておるのがございますが、これは法律に基いてい二十九年度以降新規計上されたものと、こういう目じるしのためにアンダーラインを引いてございます。  以上がとの調書の作成の要領でございますが、なお念のために申し上げておきたい点でございますが、ここで言っております補助金負担金交付金補給金委託費出資金につきましては、これは予算科目の名前がそういうことになっているものを全部計上したわけでございますが、しかしながら、予算科目といたしまして、こういう名称になっておらないもので実質的に補助金とか負担金になる、こういうものも実はあるのでございますが、それはこの表の中には入っておりません。たとえば一般会計からの他の特別会計への繰り入れというようなものでございますが、その内容におきまして、たとえば社会保険国庫負担金というようなものはまあ一つ保険料援助してやる、こういうような性格のものがございます。それから共済組合負担金、農業の災害共済組合負担金というようなものもございますが、これは異常とか普通の災害、あるいは異常の災害につきましては二分の一保険料国庫負担してやる、あるいは超異常の場合は全部国が見てやるというような、その保険料負担は、国庫負担というものは、これは直接一般会計から特別会計へ行っておりまして、形の上では補助金とか負担金という形では出て参らないわけであります。そのほか失業保険の三分の一の給付費国庫負担金というようなものにつきましても、これは一般会計から特別会計へ直接入れまして、補助金とか、負担金という形では表には出て参らないわけでございますが、実質的にはそういうものも入れるべきではございますが、時間の関係もございましたし、また従来補助金負担金というようなものにつきましては、そういうものを含めないでいっておりますので、一応形式的な意味での補助金負担金等につきましてこの表を作成いたしたわけでございます。  それから次に、との調書内容を簡単に御説明いたしますと、まず、総話表が七ページにございます。これは一般会計特別会計、それから政府関係機関、全体につきましてのトータルを掲記してあるわけでございますが、漸次ふえておるというような実情になっております。  補助金の欄をごらんになっていただきますと、三十年度におきまして少し減っておりますが、これは一般会計における減少が原因となっております。これは内容につきましては、またあとで簡単に触れますが、補助金としては三十年度におきまして若干減っておる、こういうことが見受けられます。それから出資金は、これは各年度いろいろ変動しております。とれも一般会計特別会計における各年度の変動によるものでありまして、これにつきましても、あと関係のところで御説明いたしたいと思います。  それから、次は一般会計につきましては八ページに総表がございます。その種類別の内訳、それからその下に補助金につきましての所管別、それから負担金についての所管別交付金についての所管別というふうに十一ページまで続いております。  まず、補助金について見ます、三十年度減少しておりますのは、主として農林省及び建設省関係災害関係補助金が減少しておるために減っておるということが言えます。  それから、三十三年度でございますが、これも三十二年度の補助金二千三百八十四億に対しまして二千八十二億となっておりまして、相当大幅な減り方をしておりますが、これも実は予算の組みかえと申しますか、道路特別会計におきまして、先ほどちょっと触れましたように一般会計から特別会計への繰り入れという形に変りまして、補助金負担金という形におきましては、特別会計の方の補助金という形で出て参りますので、一般会計の方では減っておる、こういうことになるわけであります。  それから負担金をごらん願いますと、これはもろ累年ずっとふえておりますが、このおもなものは義務教育国庫負担金がこの中に入っておりますので、その関係でずっとふえておるということが言えるわけであります。  それから、次の交付金でございますが、これも大体においてふえておりますが、三十二年度に減少しております。これは厚生省所管国民健康保険助成交付金というのが実は補助金に組みかえられました関係上、補助金の方に回りまして、交付金という形では減っておる、こういうことでございます。それから、三十二年度に減少しておりますのは、これも組みかえでございまして、日本道路公団交付金補助金に変ったためでございます。  それから主十三年度をごらん願いますと、これは相当大幅にふえておりますが、これは総理府及び厚生省関係交付金増加であります。総理府関係といたしましては国有提供施設等所在市町村助成交付金増加、それから厚生省増加といたしましては新規に三十三年度に設けられました国民健康保険財政調整交付金新規計上、これは十三億、先ほどの国有提供施設関係は十億、こういうような関係がありまして大幅にふえておるわけでございます。  それから次は補給金の欄をごらん願いますと、三十二年度におきまして大幅に減少しておりますが、それは御承知のように災害特例地方債元利補給金が廃止されたものでありますが、それから、もら一つ原因といたしましては、外航船舶建造融資利子補給金が三十一億とか、すぽっと落ちた関係によるものであります。  それから委託費についてごらん願いますと、これは総理府所管の三十年度におきまして増加いたしておりますのは、総理府所管委託費増加したためでございますが、これは国勢調査委託費計上によるおけでございます。  それから三十一年度に増加いたしまして三十二年度に減少しておるのは、主として参議院議員通常選挙費を三十一年度に計上したことによるものでございます。  それから三十三年度の増加といたしましては、これは御承知のように、衆議院議員の総選挙費用計上されておる。こういう関係でございます。  出資金でございますが、これは三十一年度まで減少しておりますが、これは大蔵省所管出資金が減少したためであります。それはまたこの二百十四ページ、二百十五ページに各個に書いてございますので、これをごらん願いたいと存じます。  それから三十二年度に増加しておりますのは、主として総理府所管出資金増加でございますが、これは原子力研究所原子燃料公社出資金新規計上によるという関係でございます。  それから三十三年度に増加しておりますのは、主として大蔵省所管出資金増加原因するものでございまして、これは二百十四ページに示す通りでございます。  以上が、各補助金負担金等区分によりまするところの一般会計につきましての概略の説明でございます。  次は、特別会計でございますが、特別会計につきましては、十二ページの一番上に総表が掲げてございます。  補助金について見ますと、三十三年度に著しくふえておるわけでございますが、これは先ほどもちょっと触れましたように、建設省所管道路関係補助金が、道路整備特別会計の設置に伴いまして、一般会計から繰り入れまして、特別会計の方の補助金として計上せられたと、こういう関係が主体でございます。  それから負担金交付金補給金及び委託費につきましては、との関係でふえておりますが、主として交付金の欄でございますが、これは交付税とそれから譲与税が累年ふえておりまして、その関係でこのようにふえておるわけでございます。これも、交付税につきましては一般会計から繰り入れるわけでございます。交付税及び譲与税配付金特別会計におきまして交付税交付金という形で計上されますので、特別会計の方の分類になるわけでございます。  それから特別会計出資金でございますが、これは、三十二年度から新たに計上されておりますのは、大蔵省所管産業投資特別会計から電源開発株式会社等に対する出資が行われたことによるものでございます。  なお、政府関係機関につきましては、十八ページの一番上に総括表がございますが、これは特に御説明申し上げる点もございませんので、省略させてていただきたいと思います。  以上は、補助金負担金等につきましての金額的な推移でございますが、なお、どのくらいの件数があるかということでございますが、件数は特にとの表には計上してございませんが、三十三年度について簡単に申し上げますと、一般会計におきまして、これらの補助金負担金交付金等件数を申し上げますと、これは七百八十八件、それから特別会計におきまして百三十三件、政府関係機関におきまして三十六件、合計で九百五十七件となっております。すなわち約千件程度でございます。この場合の区分は、大体におきまして予算目単位程度で考えまして、それを一件として考えまして、約千件近くの件数になるわけでございます。  なお、この調書につきましては、過去五年間にわたりますものにつきまして、いろいろ決算書とか、そういうものを当りまして作ったわけでございますが、時間の関係もございまして、まだこれが確定版という程度に正確を期し得られる程度には達しておりません。お手元にすでに正誤表を配付してございますが、なお、その砥かにうまだある程度あると思いますので、その点あらかじめ御了承おき願いたいと思っております。  なお、これはずっと、先ほどの、七ページの総括表の際に申し上げましたが、非常に金額が膨大な金額になっておる一わけでございますが、との中には、生活保護費であるとか、それから失業対策事業費であるとか、公共事業費であるとか、交付税であるとか、それから義務教育費国庫負担金であるとか、非常に金額の大きい、しかも、国の作用といたしまして、国土保安とか、民生安定の見地から当然持つべきであるというような、非常に基本的な補助金負担金というようなものが入っておるわけでございます。しからば、そういうものを除いた金額は幾らになるかというのは、これはいろいろ御審議を願う際におきましても、一つのメルクマールになるのではないかと思いまして、簡単に調べた点をちょっと申し上げますと、一応この全体の中から、生活保護費と、身体障害者保護費……。
  4. 左藤義詮

    左藤義詮君 何ページですか。
  5. 小熊孝次

    説明員小熊孝次君) これはちょっと、実はございません。ちょっと御説明いたしたいと思いますが、生活保護費と、身体障害者保護費、それから児童保護費社会保険費失業対策事業費公共事業費義務教育費国庫負担金地方交付税交付金と、こういうよろなもの、もちろん、これ以上にも重要なものがございますが、一応かりの案といたしまして、こういうものを除いて考えた場合に、補助金負担金等がどういうことになっておるのかという点をちょっと御参考のために御説明申したいと思いますが、そういたしますと、これは一般会計でまず申し上げますと、三十三年度について申しますが、これは一般会計で三千二百億ばかりに全体でなるわけでございますが、そのうちで、ただいま申し上げました生活保護費等金額の占めるのは相当のウエートを持っておりまして、二千四灯五十七億になるわけであります。残りの七百四十四億というものが、その他の、かりにここで雑件と申すといたしますと、その雑件に相当するわけでございます。従いまして、それから件数で申しますと、そういう、生活保護費等補助金負担金等件数は百三十五件でございまして、その七百四十四億の雑件の方が六百三十九件と、こういうことになっております。従いまして、大体金頭のウエートから申しますと、生活保護費等補助金負担金等と、その他の雑件とでは、四対一くらいになっておりまして、件数で申しますと、逆に生活保護費等の方は少くて、それで雑件の方が非常に多い、こういうことになります。一件当りで計算しましても、生活保護費等の方は十八億、一件当り十八億二千万円と、こういうことになりまするし、それから雑件等の方は、一件当りが約一億程度、こういうことになります。この一億程度のものが、四十六の都道府県とか、あるいは四千近くの市町村に配付されていくということになります。従いまして、まあ、数万円、かりに四千の市町村で割ってみるといたしますと、数万円、こういうことに、一件当り補助金が数万円ということになります。これはもちろん平均でございます。それから、この中に民間の補助金も入っておりますので、一がいに申し上げられませんが、大ざっぱなめどと申しますと、まあ数万単位ということになるのではないか、このように考えられるわけであります。で、従来からいろいろ御審議願っております補助金合理化という問題も、実は、この非常に件数が多くてしかも一件当り金額が少い、こういう補助金対象にしてやっておるわけであります。かりに数十億の補助金整理するといたしましても、この雑件から申しますと、相当ウェイトが重いわけでございます。かりに百億というようなことになりますと相当なウェイトを占める、数十億でも一割程度は出てくる、こういうことになるので、そういう点でも補助金合理化あるいは整理と申しましても、いろいろな摩擦抵抗と申しますか、そういうものが出て参るわけでありまして、その辺のところが非常にむずかしい問題を包蔵しておるということが、こういうような非常に大ざっぱな分析でございますが、こういうふうに分析してみるとわかるのじゃないか、このように考えまして、御参考のために御説明いたしたわけでございます。  なお、従来この補助金合理化につきましていろいろやって参ったわけでありますが、御参考のために昭和三十三年度におきましてどのような方針でやって参ったかという点を簡単にお話し申したいと思いますが、行政事務事業内容効果等からみて、その施行を地方公共団体自主的判断にまかせてよいもの、自主性と申しますか、自主的判断にまかせてよいものは、これはなるべく整理減額をしていきたい、それから相当の期間を経過いたしました奨励的な補助金、こういうものにつきましてその奨励の目的がすでに達成されたと認められるもの、あるいは相当長年奨励補助をやっておるわけでありますが、その効果になかなかみるべきものがないというようなはっきりしないもの、こういうような補助金はこれを減額あるいは打ち切っていく、それからもう一つは、国と地方との行政責任分担見地からいきまして、補助率をもう少し下げていいのじゃないかというような問題、あるいは各省の意図する行政補助対象を圧縮いたしましても、一時にそれだけやらなくても十分確保できるというようなものの補助事業対象の圧縮というような点での検討をいたしたわけであります。それから一番最後の方針といたしましては、資本投下というような補助金で、その効果が主として個人に帰属するとか、あるいは採算の可能性があると、こういうようなものにつきましては漫然とした補助金をやめまして、それで融資の方に切りかえていったらどうか、こういうような方針で検討いたしまして、いろいろまあ整理合理化をはかって参ったわけであります。なお、これは予算編成段階の問題でございますが、そのあとに引き続きますところの予算執行段階におきましても、適正化法の精神にのっとりまして交付決定基準をはっきりする、採択基準をはっきりする、こういうような面を通じまして、補助下業者との間の補助金法律関係を明らかにする。そのために適正化協議会というのを設けまして、各省と打ち合せしましてその適正を期しておる次第でございますが、その他予算編成段階参考に資するために、大蔵省自体といたしましても、財務局、財務部を通じまして監査の実施をいたしておりまするし、それから検査院検査報告とか、行管報告等参考といたしまして、そうして適正な補助金負担金等予算が、編成されるように鋭意努力いたしておるわけでございます。  非常に雑駁な御説明でございますが、この調書に関連いたしまして簡単に御説明して終りたいと思います。
  6. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 何か御質疑ございませんか。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 しろうとの質問なんですが、補助金から出資金までのこの六つの分け方を、今補助金から交付金にかえたとか、いろいろ転換もあるようですが、どういうような基準でこれを分けておられるのか。
  8. 小熊孝次

    説明員小熊孝次君) お答えいたします。ここに掲げました補助金負担金交付金補給金委託費出資金、中にははっきりした基準のあるものもございますが、ほんとうの、いわゆる確定的な意味基準というものは、非常にこれはむずかしいわけでございます。特に補助金負担金区分というものが一体どこにあるかという問題でございますが、これは非常にむずかしい問題と思いますが、負担金というのは、国とそれから地方公共団体の間におきまして、まずその事務なり事業につきましての責任分担ということがまず前提となりまして、普通の財政的な裏づけといたしまして財政的な支出が行われる性格のもの、これが負担金ではないかと考えられております。それ以外の財政援助でございますが、これは主として奨励的なものというふうに考えられております。  それから交付金でございますが、交付金と、それからむしろ委託費というものでございますが、委託費は主として相手方義務としてでなしに、国の仕事をやってもらう法律上の当然の義務とはなっておらないが、予算の範囲内において相手方に頼みまして、相手方もこれを了承して、そうして事務なり事業をやってもらう、その場合の財政的な裏づけになるものでございますし、交付金というものは、本来は国の仕事であるが、法律的に相手方義務づけておりまして、そうしてそれにつきまして財政的な裏づけをする、従いまして交付金委託費、いずれもこれは補助率という考え方はございませんで全額みてやる、こういうことになるわけでご、ざいますが、ただ交付金の方は相手方法律上、制度上当然それをやることが建前にされておりまして、ただそれに財政的な裏づけが与えられる、こういうことになります。  それから補給金というものは、これは利子補給金等を考えるわけでありますが、中には補給金という名称を用いておりますが、補助金と実質的に差異がない場合がございます。ただ利子補給などの場合を申しますと、金融機関というものはこれは全然自己負担というものがないわけでございまして、そのかわりある特定の第三者なら第三者に対しまして特別な援助を与える、こういうことになるわけでございます。  それから出資金は、これはいわゆる普通の私法上における出資と観念的には同じでございまして、一定の金額支出をいたしまして、そうしてその専業なり事務の遂行についての責任負担する、こういう形になるわけでございます。  以上簡単でございますが、区分の御説明をいたしました。
  9. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記をとめて。    午前十一時八分速記中止      ―――――・―――――    午後零時十四分速記開始
  10. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それじゃ速記を起して。  都合により暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時十八分開会
  11. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 午前に引き続きただいまから委員会を開きます。  酒税の問題について御質疑を願います。
  12. 大矢正

    大矢正君 前の通常国会が終りに近づきましたときに、酒の――特に下級酒値上げをめぐりまして、政府と私どもの間においていろいろ意見がかわされたことは御存じの通りでありますが、当時はいろいろな情勢からして、直ちに酒の値上げを行うべきではないという考え方のもとに政府も了承されまして、減税分をまるまる酒の価格の引き下げに振り向けるということで今日に至っておったのでありますが、けさの新聞を見ますと、きょう告示をして明日から前回の国会において論議をされました減税分に引きかえて今度は酒の値上げをするということが発表になっておりますけれども、事実あすから、新聞なんかによって報道されているように、酒の値上げを行おうとするのかどうか。まず、その点伺っておきたいと思います。
  13. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 結論だけ申し上げますと、本日付の大蔵省告示をもちまして、明十日より酒類を若干の率について価上げすることにいたしております。その大体の内容につきましては、本日の各新聞に出ている通りでございます。
  14. 大矢正

    大矢正君 新聞に書かれていることが誤まりがあっては困りますから、念のためにどういう内容告示をしょちとしておられるのか、伺いたいと思います。
  15. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 告示のこまかい内容につきましては、ただいま手元にございませんが、大体の内容を申し上げますと、清酒第二級酒につきましては、旧価格一升びん詰の小売価格でございますが、四百八十五円でございましたのを五円値上げの四百九十円、それから合成清酒第二級につきましては、同じく一升びん詰小売価格は、旧価格三百七十二円でございましたのを八円引上げの三百八十円、しょうちゅうにつきましては、二十度もの、旧価格二百七十円のところ五円引き上げの二百七十五円、同じくしょうちゅう二十五度ものにつきましては、旧価格三百三十五円のところ十円引き上げの三百四十五円、同じくしょうちゅう三十五度ものにつきましては、五百十円の旧価格のところ十五円引き上げの五百二十五円、酒かすとりしょうちゅうにつきましては、二十度もの、旧価格四百二十五円のところ五円引き上げの四百三十円、同じく二十五度ものにつきましては、旧価格五百二十円のところ五円引き上げの五百二十五円、同じく三十五度ものにつきましては、旧価格七百六十円のところ十円引き上げの七百七十円、みりん乙類につきましては、旧価格三百九十円のところ五円引き上げの三百九十五円と相なっております。なお、はかり売りの販売価格、これは一合当りの小売価格でございますが、これにつきましては、清酒第二級が旧価格一合当りの小売価格四十八円のところ一円引き上げの四十九円、合成清酒第二級は、旧価格三十七円のところ一円引き上げの三十八円、しょうちゅうの二十度、二十五度ものにつきましては、旧価格それぞれ二十六円及び三十三円そのまま据え置いております。それからしょうちゅうの三十五度ものにつきましては、旧価格五十一円のところ一円引き上げの五十二円、なお、酒かすとりしょうちゅう及びみりん乙につきましては、全部旧価格の据え置き、こういう内容でございます。
  16. 大矢正

    大矢正君 このことは非常に政治的な、何と申しますか質問になって非常にお答えをいただくことが困難かと思うのでありますが、明日から国会開会されますし、そういう前提から考えていきますれば、きょう必ずしも告示をしなければならないという理由はないように感ぜられるのであります。きょう告示をしなければならない、明日から値上げをしなければならないという理由が一体どこにあったのか、この点のお答えをいただきたいと思います。
  17. 北島武雄

    説明員北島武雄君) この点につきましては、私からお答えするのは必ずしもいいかどうか自信ございませんが、いきさつについてお考えいただきますと、まず昨年以来蒸留酒類につきまして、その原料であるイモの値上り等によりまして一応値上げを昨年十二月に考えておりましたところ、去る三月三十一日に御説明いたしましたような事情によりまして、一応これをとりやめて、酒税の引き下げと同時に実施するという案をもちまして、これに清酒第二級酒も加えて実は四月一日から減税と同時に原価の引き上げによる価格の改訂をも織り込んで一つの価格改訂を行う、こういうことにいたしたのでございますが、御承知のように衆議院におきまして、減税の効果はこの際はすべて消費軒に及ぼし、原価の高騰による価格の改訂を必要とする場合には別途検討すべきであるという付帯決議がございました。まあ私どもといたしましては、当時の衆議院大蔵委員会における御審議の経過からいたしまして、減税と、それから原価の値上りによる価格の改訂とを明らかにいたしまして告示すればよろしいのではなかろりかというふうにも考えておったのでございますが、結局衆議院の御決議を、一応とにかく減税分は消費者価格に及ぼす、こういうふうにとりまして、四月一日から減税の分だけの価格改訂を行なったのでございまして、しかしながう申し上げるまでもなく、原価高騰による価格の改訂を必要とすることは、私どもの方といたしましては、これは当然と考えておりまして、ただ時期至らずと申しますか、最後に上司の御判断によりまして六月十日から実施する、こういえふうに相なったわけでございます。
  18. 大矢正

    大矢正君 そのことはまたあとで質問申し上げることとして、前にあなたの方からいただいております資料は、三十二年の四月二十日現在の各年度別製造原価の表が手元に参っておりますが、ごく最近における原価の状況ほどういうようになっておるのか、この点御説明をいただきたいと思います。二十九年度から各年度別の三十二年度までのやつは私の手元に来ております、いただいております。各清酒それから合成酒別に全部出ておりますが、三十二年四月二十日以降の原価ほどうなっておるかということがその後出されておりませんので、念のためにこれを数字的に占めげていただきたいと思います。
  19. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) お話の資料につきましては、これは相当多部にわたりますので、後日書類でもって差し上げたらいかがかと存じますが……。
  20. 大矢正

    大矢正君 あなた今あすから値上げをするのかどうかというのに、あとから資料をもらったって、それは話にならないのでね、それでは製造原価だけでよろしゅうございますよ。製造原価だけでよろしゅうございますから、先ほど来話を聞いていると原価の値上りであって、販売諸がかりのいわゆる経費が高くなったためにということじゃなくて、原価そのもの、製造原価そのものが高いということでありますから、製造原価の推移だけでわかると思いますから、製造原価だけでよろしゅうございますから、ごく最近のものをお知らせいただきたい。
  21. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) それでは大へん恐縮でございますが、数字だけ申し上げます。まず、清酒第二級から申し上げますと、三十二年の四月のときに、原料費が八十一円五十九銭となっております、これが八十六円六十五銭になっております。それから燃料費が四円四十四銭となっておりますが、四円六十二銭であります。それから労務費が十一円八十五銭となっておりまするのが十二円二十銭になっております。それから工場経費が二十七円五十九銭とございますのが二十八円五十七銭、それから雑収入は七円七十一銭変らずでございます。そういたしますと、工場原価が百十七円七十六銭でございましたが、それが百二十三円三十三銭にしることになるわけでございます。そのあとは変っておりません。それで計算いたしまして、清酒二級につきましては五円引き上げるということにいたしたわけでございます。
  22. 大矢正

    大矢正君 製造原価はなんぼになる、びん代からなにから全部入れて……。
  23. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 工場原価のところ百十七円七十六銭、それが百二十三円三十三銭、それからその次の一般管理費の三十二円三銭というのがございますが、そこのところが三十一円二十三銭に、これは管理費の方は減っております。それで調整額としまして、百五十一円七十銭のところでございますが、そこが百五十六円三十銭に四円六十銭値上りいたすことになります。そこでびん代とびん詰費は変更ございませんので、製造原価の百九十七円二十銭というところが今度ふえまして二百二円二十銭と五円引き上げの勘定になるわけでございます。それから合成酒第二級について。
  24. 土田國太郎

    土田國太郎君 もう一ぺん言って下さい、あらためて清酒二級を……。前年四月一日のものですか。
  25. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 四月二十日の計算になっております。
  26. 土田國太郎

    土田國太郎君 それで一番先きのは何ですか。
  27. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 原料費八十一円五十九銭。
  28. 土田國太郎

    土田國太郎君 それはことしのかね。
  29. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) それは昨年の四月のものでございます。
  30. 土田國太郎

    土田國太郎君 この原料費はアルコールと米ですか。
  31. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 米とアルコールとブドウ糖、水あめ、酸類、その他とこういう主原料及び副原料を含んでおります。
  32. 土田國太郎

    土田國太郎君 ことしは幾らになるのですか。
  33. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 八十六円六十五銭でございます。
  34. 土田國太郎

    土田國太郎君 その次は……。
  35. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) その次は燃料費が四円四十四銭でございましたのが四円六十二銭、それから労務費が十一円八十五銭でございましたのが十二円二十銭、それから工場経費が二十七円五十九銭でございましたのが二十八円五十七銭、雑収入七円七十一銭で変らず、工場原価で百十七円七十六銭でございましたのが百二十三円三十三銭、で中身価格百五十一円七十銭と見ておりましたのが百五十六円三十銭に上りました。びん代、びん諸費変らずでございまして、製造原価の百九十七円二十銭というのが五円上りまして二百二円二十銭になるわけでございます。
  36. 河野謙三

    委員長河野謙三君) この際、委員の皆様にお諮りいたしますけれども、原主税局長が、調査会の方へ出席の関係で、非常に急がれるようでありますから、質問の順序を、まず原主税局長に質問の分だけを先にやっていただきたいと思います。
  37. 大矢正

    大矢正君 それはいいのだが、値上げをするという責任の立場に立っている事務当局はどこなのですか、国税庁なんですか。そうすると、原さんの方は一体どういうことが中心になるわけなんですか、この酒の値上げ関係しては……。僕は仕事の分町がよくわからぬから、原さんに質問せいと言われても、何を質問したらいいかわからない。
  38. 原純夫

    説明員(原純夫君) この値上げは、先ほどお話のありましたように、大蔵省告示で大臣の決裁をとるわけでございます。国税庁は外局でございまして、いろいろな仕事については委任を受けて長官がやるというのが多うございますけれども、これは大蔵省告示として大臣が決裁していかれるというものであります。で、中身につきましては、国税庁が酒のいわば行政の方もやっておられるという関係から詳細な検討をされる。私どもそれを大蔵省告示にするについて、本省内局の主税局が大臣の補佐をするということでありますから、いわばこの実体的な中身と、それから私の方はそれを省令として、省の告示として出すについての形式と言うと少しなんですけれども、大臣の補佐機関であるという意味で、まあ別の言葉で言いますれば、表裏一体になってやるということなんでございます。ですから仕事のお答え申す内容は、どちらも全体をカバーしてお答え申すということになると思います。
  39. 大矢正

    大矢正君 そういう御趣旨であれば、私もどこで区分をして原さんに質問していいのだかわからないのですが、質問をやっているうちに区分ができるかもわかりませんので一応それじゃ質問しますけれども、二級酒――清酒の場合も合成酒の場合も、二級酒だけが実際問題として原料高、その他経費高のために値上げをしなければならないということになったということですが、一級とか特級、また合成の一級、こういうものは製造原価においては変化はないのですか。それからまた値上げをする必要はないのですか。
  40. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 原価計算の面からいえば、確かに清酒の特級、一級及び合成酒の一級につきましては、原価は高騰はあるわけです。従いましてこれらの酒類につきましても価格の改訂が考えられるのでございますが、現在のところこれらの酒類につきましては売れ行きがあまりおもしろくないというととが第一点、それともう一つは、やはり二級酒等に比べまして比較的原価に余裕があるという点から、この際といたしましては二級酒を中心といたしまして値上げをする、こういう考え方でございます。
  41. 大矢正

    大矢正君 原さんの方に関係するととじゃないかと思いますが、一体今度の値上げは、各品目別に計算をしていくとどの程度金額になるわけですか、年間消費量から計算して……。
  42. 原純夫

    説明員(原純夫君) 一升当り値上げ額は先ほど長官の言われた通りであります。おそらくそれが総体積って年間に幾らになるかというお尋ねだと思います。概算いたしまして、年間で三十億円程度というふうに見積っております。そのうも清酒が約半分の十四億円、合成酒が五億、それからしょうちゅうが十億円ぐらいというふうに見ております。あとはみりんとかいうのがありますから、そういう数字でございます。
  43. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  44. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をつけて。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 形式的な手続の問題ですが、表裏一体と言うけれども、外局の長官から出てきたものを、大臣補作としてそれを審査し、おおむね妥当なら妥当ということで告示、省令決定になると思うのですが、そうすると、さっきの計算による二級酒のそれがどんぴしゃり五円原料高、従って五円上げてほしいと、こう出てきた。他の合成酒の方はまだ聞いてないからわからぬですが、みんな出てきた通り内局の方ではこれを妥当と認め、今回値上げの措置をとる、こういうことですか、何かチェックした部分がありますか。
  46. 原純夫

    説明員(原純夫君) 仕事は、表裏一体という言葉でもおわかりのように、国税庁が私どもの方の意見を聞かずに原案を作ってしまうというようなものでなくて、原案を作ります閥に、まあ共同作業みたいな形で意見をいれながらやって参ります。ですから先ほど来原料費、あるいは燃料費、人件費その他等の項目について案が作られる間に、まあ表裏一体になって勉強しているということであります。ですからそろいう過程においていろいろ意見は申しております。で、最後にただいま申されたような数字になったというふうに御承知を願いたいと思います。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点ですが、その経過の間でいろいろな意見が出るということは――積っておる数字等についてですね、いろいろ意見が出、修正もされる、こういうようなことを意味しますか。それとも単位になっている計数は動かない、そういうようなものですか、どうなんです。
  48. 原純夫

    説明員(原純夫君) もちろんこの計数が動くことはあります。今度でも、やっている間に私ども意見を言うて、これは衣あやめておいたらどうだというような何はあります。
  49. 平林剛

    ○平林剛君 私はこまかい数字を説明されればもっとはっきりする問題があると思いますが、大づかみに今度の大衆酒値上げで一番疑問に感じているのは、先般四月のときは清酒二級であれば約二円程度、あるいは合成であれば五円程度という話で、減税と同時に値上げをさしてもらいたいという話が政府からあった。これは議会で結局差しとめることになったわけでありますけれども、今度は政府値上げをしようとする幅は、その当時から見ると二倍以上になっている、それぞれですね。これはちっともわからないんですよ。先ほどくどくどと国税庁の間税部長が説明した数字に二つあるのか、それとも同じやつを、選挙前は清酒二級であれは二円程度で、選挙が終ってしまうと今度五円だということにどうして変るのか。どうも、政府のこの点の説明を根本的に聞けば、ほんとうははっきりするだろうけれども、大づかみに見てはなはだ疑問を感ずるわけです。どういうわけでこんなふうに変ってしまうんですか。
  50. 原純夫

    説明員(原純夫君) 非常にごもっともなお尋ねであります。それに対するお答えは、四月一日のときに値上げと一緒にやろうということを申し上げましたときの数字というものに、非常にいろいろな方面に無理をさしてがまんさせるということがあったわけであります。ただいま問題になっております数字、まあ今二円といわれ五円といわれるというような数字と、今度私どもが申し上げている五円といい、十円といい、というような数字ですね、これはまあ倍率にすると相当大きいんですけれども、先ほど来話のありました五百円の酒、三百五十円のしょうちゅうというようなものの中のものでありまして、絶対値自体が非常に間違っているというようなことではない大きさの数字だと思うのです。  それともう一つは、やはり小売価格に二円とか三円とか、あるいは七円、八円というような端数がつくかっかぬかという問題、はかり売りでは先ほどお聞きの通りつけてありますけれども、一升のびんになりますと、実際上今の社会の通念的な感覚からいってつけにくい、しいてつけますと、どっちかが――お客さんが、つり銭要りませんよというような顔をして帰ってしまうとか、あるいは酒屋さんがまあ二円は要りませんというようなことになるわけです。まあよほどの事情があればそういう二円三円は出します。現に前回はこの委員会で強く言われまして、合成酒二級は三百七十二円という値段を出してあるのですけれども、これはやはり今申したような何で、相当いろいろ得だ損だというような話があるわけです。そこでまあ若干のことなら丸くしようということになります。そういう前提を置いておいて、前回は非常にきりきりのところを、もう卸も小売も、それからメーカーも、これはコストはもっと商いと、高いけれどもこれでがまんしろと言って押し込めたわけです。ところが御案内の通り、卸小売はああいうような格好で減税にはなったけれども、それは製造者価格を全部それだけ下げて、小売価格もそのまま全部下げてということになりますから、卸小売のマージンは全然動かしてないわけです。私どもは、一緒にやるならば――仕入れ値が下ったのだから卸小売マージンも切ろうというのは、清酒あたりは一円も消費者に戻す財源に充てていたわけです。それができなくなった、できないというか、それがどうしても上欄きになるということになったわけです。そしてただいま申しました製造者の原価に食い込んでおった分というようなものもやはりそういつもいつもやるわけにいかぬと 一方で二月おくれたというためにその無理がなお重なっておるわけです。これはまあ私ども、今は二月おくれたからその分を上に乗っけるということは言わないのですけれども、しかしこれはいかにも業者にしてみると、いろいろ政治的な角度からの押えのために、本来近ごろは自由であるべき価格だというような考え方からすると、非常に無理をしいているというようなことになります。やはり今度はそれらの原価について、何といいますか、そろ詰める詰めるというだけでない見方ですらっとはじかざるを得ぬと、そうしますと、五円刻みのワクの中で今申し上げた数字は、大体そのあと一円だとか一円二、三十銭だというような数字になるのです。一円もないというような数字になるのですね。それでまあ清酒は丸くして五円、合成酒は八円、しょうちゅう十円というようなことにしたわけで、御疑問はまことにごもっともな御疑問だと思いますけれども、四月のときに相当各方面に、何といいますか、がまんしてくれということで行こうと思っておりましたのがかなり大きい。卸小売の何でもってがまんが全然できない。今さら卸し小売のマージンを、今度原価が上って製造者価格を上げるといろときに卸小売マージンを、この閥あれをやったのだから下げろというようなわけにもいかないというような事情もあり、それからその他の項目についても、いろいろそういう意味ですらっとした計算を一応出すと、こういうような数字になるということですので御了承いただきたいと思います。
  51. 平林剛

    ○平林剛君 これは原主税局長の理論家で通っている話にしてはまことに納得のいかないことです。選挙の前は無理をさせた。選挙の終ったあとになるというと、業者の言い分の方がかなりすらすら通ったという形にしか私には聞きとれない。そういう政治的なことで、こういう酒の販売価格が変ったり、メーカーの取り分が多かったり、少かったりするということはまことに奇怪なことである。しかもこれがしつかりした審議機関でもあれば別ですよ。先般も同僚議員と話をしておったのですが、医療費の一点単価の問題については、これは新内閣がずぐできるのだから、その新内閣で検討して、その上で結局新しい単価をきめようという慎重な態度をとられた。お酒の場合についでは、どうもききが早くて、旧内閣のときにやってしまう。これはもう慎重を欠いておると私は思うのです。そして今の問題についても、理論的なことでなくて、無理をさせたということと、今度はその無理をさせることができなかったということだけで倍以上の開きが出てくる。まことに国民としても納得のできないことだと私は思う。  そこであなたにお聞きしたいのは、原料高であれば原料商を基礎にしてやはりいろいろはじくでありましょう。イモ価格等についても、それは去年は確かにイモの値上りがあったかもしれない。しかしおととしはイモの指示価格があったにかかわらず、実際酒のメーカーが買い入れた価格というのは非常に低かった。こうなりますと、一年イモが高く上ればすぐそれを根拠にして酒の値上りをきせる、また来年もさらにイモの値上りがあったらすぐ酒の値上りをさせる、こういう性質のものかどうか。一体私は、今度の大衆酒の値上げを通じて感じたのですが、どうもこういうきめ方についてしっかりした基準があってやっているのではないのではないか、政治的な取引が多過ぎる。やはり、たとえばこれについては、こういう基準があって、こういうふうになったならばこうだというようなものがなくちゃならぬのだが、まことに御都合主義になっているのではないかと思いますが、政府はそれについてはっきりした基準のもとにこうやったと言い切れる確信がございますか。私はこの点も将来検討しなければならぬと思いますが、あなたはどう考えますか。
  52. 原純夫

    説明員(原純夫君) 原料イモの値段が今回はじいております数字よりも下る、そうして、ほかの原価項目はありますけれども、総体の原価が下るということであれば、酒の価格を下げます。これははっきり申し上げていいと思います。過去においても、そういう実例があります。ただ、まあ去年高かったので、今はどうかというような問題になりますと、この価格構成が一年ずれるという点におかしな点はありますけれども、しかしこれはまあ従来ともそうしておって、これ以外に今としてはやりようがないということで、今後下りますれば、その実績を見て、来年は引き下げも考えるということにいたします。
  53. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 今原価構成の話がありましたが、原価構成の中のイモの価格は一体幾らをとっているのですか。農林省の指示価格である二十三円何がしをとってやっているのか、それとも過去三年なり二年なりのイモの平均価格をとってやっているのか。私はおそらく指、本価格をとってやっているのではないかと思うのですよ。変動常ならざるイモの価格を追いかけてやるなんということはできないはずなんです。またそういうことをやらないということは、現に今季林さんからのお話で、一昨年は、年次で言えば去年ですか、これはイモはたしか十七、八円が酒屋さんの入手価格であったはずです。昨年は二十九円、三十円だった。一昨年はもうかって、昨年は損をしたと、こういうことになるわけですね。そろいうことは別として、原価計算の中に入れるイモの価格というのは、指示価格を常にとっているのか、それとも過去二年なり三年の平均価格をとってやっているのか、どういう計算をしているのですか。
  54. 原純夫

    説明員(原純夫君) 実績価格でいっております。ですから、今度のは三十五円、それから前回のは二十七円といろ数字でやっております。これは貫でございますから、委員長のはキロでおっしゃっておると思いますが……。
  55. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 実績価格といいますと、それはたとえば、あすからの改訂価格というのは、現在の実績価格ですか。
  56. 原純夫

    説明員(原純夫君) それは、昨年の出来秋、昨年産のイモを買った実績価格です。清酒の方ですと、昨年産の米を買う価格です。そこに今申し上げたズレはあると申すのです。つまり、実際は蒸留液の方はどんどん作って出しますから、もう高いイモは出てしまって、ことしのイモはどうなるかわからぬという問題はあるのです。しかし、それを出来秋に、ことしは幾らだからこれで値段をきめてということは、実際問題としてできない。従って、安くいった年がありますと、それが終ったころになって、安いのに応じて下るということになる。その下げた秋になって上ってくると、去年の秋みたいにわあわあと言うわけです。まあ峠期は若干動くことはありますが、大体やはり四月に待たしてやっているというのが実情です。そのやり方のよしあしに御議論はあると思いますけれども、いわば過去一年を追いかけてやっていると、こういう格好になっております。
  57. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 僕は、そういう原価計算のし方というものは他に例がないと思う。過去五年なり十年のイモの価格の推移を見てごらんなさい。非常に変動の激しいものです。わずか一年の間に十七円のものが三十五円になっている。そういうものを実績価格でやるなんて……。現に、私は伺いますが、かつて十七円、十八円でイモを入手した。そのときの原価計算の標準価格は幾らになっておりますか。その実績から見れば、非常に高いものになっているでしょう。そのときに価格の上にチェックされておりますか、してないでしょう。
  58. 原純夫

    説明員(原純夫君) それは、私ただいま申し上げましたような実績べースで見直してやっていますから、下ったときには下げると、また下ったのと他の原価要素を合して毎年計算をし直すということにいたしております。
  59. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ですから、その下った――二十三円五十銭という指示価格のときに、十七円、十八円で実際に酒屋さんはイモを買ったでしょう。そのときの指示価格は二十三円幾らだが、そのときのあなたの方の実績価格は幾らだった、おそらく二十数円のものでしょう。そんなに大幅に下ったものについて、それだけの不当利得をしたものを、一体いつチェックしたかということなんです。チェックしてないでしょう。だから、われわれの常識から言えば、これは実績価格とか何とかいっても、やはり仮定の一つのイモの価格というものを貫いてやるのだから、もし下ったときは、ある程度今度上ったときのリザーブになるわけですよ。それが、下ったときは一年で、上ったときが二年も三年も続けば、そこにリザーブしてないから、酒の価格を上げてやらなければならぬ。この二年、三年を見ますと、下ったときも上ったときもちょうどツーパーですよ、大ざっぱに常識的に言えば……。それを、去年上ったからここですぐことし上げなければならぬということについては、私にはどうも納得がいかない。イモの作付面積なんというものは、農林省ですぐわかるわけですね。従って、大体イモの予定価格というものはすぐ出てくるわけですよ。そういうものは参考にされておりますか。
  60. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) ごもっともな御質問でございますが、御承知のように、蒸留酒の原価の中ではイモの占める要素が一番大きいわけでございます。蒸留酒の、原価はほとんどイモによって左右されると申してよいわけであります。従いまして、私どもといたしましては、蒸留酒の原価を計算する際に、イモの値段を全国の税務署を通じまして、蒸留酒業者が賢い入れた数量並びに価格を全部調査をいたしまして、その報告を求めて、その最終的な、数量で申しますと何億貫というふうな数量でございますが、それに対して幾ら金を払ったか――もちろんいろいろな事情がございまして、畑で買う場合もあります。その場合には、引き取り運賃を加えなければなりません。それから駅渡しの場合もあります。そういう場合は、駅から工場までの運賃をみなければなりません。それから、ものによっては工場庭先渡しの場合もあります。そういう場合には、運賃をみません。そういったこまかい資料を全部集めまして、原価計算をいたしておるのであります。そういうので、なるほど委員長の仰せられました十七円というようなときもある一時点ではあったと思うのでありますが、その年度の蒸留酒業者が購入しましたイモの全部の数軍についての――何億貫かについての一貫当り幾らの値段というものは、やはり安いときもあり産すれば、樹いときもあります。御承知のように、イモは出荷時には非常に下るわけでございます。その出荷のラッシュが終りますと、必ず上ってくる。そういった事情がございますので、ラッシュのときの安い値段だけを基礎にしていくわけには参りかねると思うわけでございます。私どもの方では全国から集めました資料を検討いたしておりますことを申し上げたいわけであります。
  61. 河野謙三

    委員長河野謙三君) あなたの方では昨年かもしれないけれども、一昨年のイモは実際安かったですね。十七円もあり、十八円もあったということは事実なんです。そのときのあなたの原価計算のときのイモの標準価格は一体幾らできめておりますか。
  62. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) それは、運賃をこめまして二十七円でございます。
  63. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それでは運賃を引いたら幾らになりますか。
  64. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 運賃を引きますと、二十四円何がしになります。
  65. 河野謙三

    委員長河野謙三君) そうでしょう。二十四円何がしのものを、十七円、十八円で人手した。平均すればもっと高くなったかもしれないけれども、いずれにしてもあなたの方の原価計算に盛られた価格よりも相当安い価格で、実際価格というものは動いた、その年には、非常に酒席さんは恵まれたわけです。ところが、昨年のイモについては逆だった。だから、そこで昨年――一昨年やはりツーパーじゃないですか。だから、ことしも、上げてはいけないというのではない。ことしはこれから政府もイモの指示価格をきめなければならない。同時に、ことしのイモの見通しももう少したてばできるのですよ。一番原価の中で大きく占めるのはイモなんです。あなたのところで実績価格を御採用になるときに、もっと資料を集めてやったらいいじゃないですか。それを、ことしのイモがどっちへいくかまだわからんというようなときに、実績できめた以上これからまた一年やるのでしょう。そういうことでは、私はおかしいと思うのですよ。もう少し、イモの価格というものは、原価計算の中で一番大きく響くのだから、これについてはもっと慎重に農林省が価格を押えたらいいじゃないですか。農林省なり大蔵省は、一体イモの価格についてどういうふうに研究され、今年のイモの価格についてはどういうふうに見ておられるのか。実績もけっこうですが、やはり生きた政治として、ことしのイモの見通しというのはもうできるはずでしょう。作付面績はきまっているので、もうそろそろとり始めているのだから、ことしの数量はわかるはずですよ。
  66. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 実は経過を申し上げますれば、昨年の蒸留酒の仕込みの際におきまして、国税庁におきまして各税務署から調査いたしました平均的な数字は、総金額を総量で割りました平均でございますが、それは一貫目三十五円ということでございます。実はあとで計算いたしますと、これには運賃が入っていないということがわかりましたが、一応一貫目三十五円、それに対しまして一昨年仕入れましたイモは二十七円でございました。この昨年の仕入れましたイモの原価高を目安にいたしまして、実は昨年の十二月一日に価格の改訂をしようというふうに私ども事務当局は考えておりました。実は、このときに実現されておりますれば、あとでいろいろな問題が起らなかったかと私ども思うのでありますが、これは私ども微力のために、昨年の十二月一日におきまして、蒸留酒の価格の改訂を行うことができませず、結局大衆酒について何がしかの減税をし、それと同時に原価の高騰による価格の改訂を織り込んだらどうだろうかということになりまして、ああいうような案を提案いたしたのでございます。しかるに、不幸にして御承知のようないきさつで、四月一日に原価の高騰による価格の改訂の分が取り残されまして、事務当局におきましてはできるだけ早くこれを直す必要があると感じておりましたところ、時期いまだ至らずと申しますか、ついに今日まで延びておったと、こういう事情でございまして、お話がございましたように、あるいは一部の業者につきまして一昨年あたり十何円ということもあったかと思いますけれども、全体を平均計算いたしますれば、一昨年は二十七円、昨年の仕込みのときは一十五円というのが実情でございますので、その実際の価格をもとといたしまして原価計算をすべきではないかと私ども思うのでございます。ただ、先ほどお話がありましたように、そういうふうにあまり変動が大きいのだから、毎年変るから、むしろ一定の価格をきめておいてそうしてやったらどうだろうかというようなお考えもあろうかと思いますが、しかしそれは、何しろ蒸留酒につきましては、イモの価格というものが大きな原価構成要素でございますので、それをやはりできるだけ現実に近づけて、実態に即して価格の内容をきめるのがよろしかろうと私ども実は考えておりまして、今のようにいたしておるわけでございます。
  67. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 私は、先ほど申し上げたように、政府がイモについては指示価格を出しているのですね。指示価格を中心にして価格を安定せしめるという責任政府は持つと同時に、努力もしておるわけです。イモについてこういう指示価格を政府はきめておる。大蔵省が酒の価格をきめる場合には、この指示価格とは何ら無関係に実績価格でやっていること自体がおかしいと思うのですよ。やはり政府は一体になって、指示価格を出した以上は政府責任ですよ。その責任をもっと政府が……、酒の価格の中に織り込まれるイモの原価というものは指示価格を中心にしてきめるのですよ。それを自由取引でやって価格が思うようにいかなかったという場合には、その後において価格の改訂をしてもいいけれども。これがまず第一点。  それからあなたに一つ念を押しておきたいことは、一昨年は二十七円何がしだった。そうすると、あなたの方の原価計算に織り込まれているイモの価段と実際の取引価格と一致しておった、従って酒屋さんはイモに関する限り得はなかった、昨年は三十五円で非常に赤字を出した、こういうことですか。一昨年はあなたの方の原価計算の中の価格と実際取引価格と一致しておったと、こういうふうにあなたの方は見解を持っておられるのですか。
  68. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 業者が仕込みに使うために購入いたしましたイモの総平均は、一昨年は二十七円であったと私ども思っております。
  69. 河野謙三

    委員長河野謙三君) そうではなくてあなたの方の原価計算に織り込まれているイモの価格と実際の取引に出てくる平均価格と一致しておると、こういうふうに見解を持っておられるのですか。
  70. 北島武雄

    説明員北島武雄君) さようであります。そういうふうに考えております。
  71. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それは私非常に間違っておると思う。しかし、この点はあとでまた申し上げます。
  72. 平林剛

    ○平林剛君 まあ基礎に対する疑問というものはまだたくさん残っておるわけだけれども、きょうはあまり時間もないから、こういう値上げのし方をやると、私ども議員は、行政区分であるかもしれないけれども、相判干渉しなければならぬ、こういうふうにきょうは強く考えました。同時に、基礎に対する疑問だけでなくて、問題は政治感覚ですよ。選挙が終ったあとにさっと値上げをするというような政府の政治感覚、これはまああなた方の答弁の範囲ではないけれども、しかし私は原さんに聞きたいことがある。一つは、こういう酒の値上げというものは、一般の国民の生活にすぐぴんと響いてくるものです。そうなると、政府の幹部の中にも、低物価政策の建前から見て、いかに前からいろいろなことがあっても、この際に酒の値上げをすべきでないという議論もあったと聞いておるわけです。こういうことについては、一体どこでその不安が解消したのか、その根拠ですね。こういう議論はもう大して問題にしなくてもいいのだと、これを上げてもほかの物価にはね返りがないと、たとえばウイスキーでも、あるいはその他についても、すぐ予想せられるような値上げをおそらく押え得る、あるいはその他にもはね返りがないという確信のもとに今度判を押したのかどうか、これが一つ。  それから、主税局長の立場から言うと、私はいつでも考えるのですが、こういう酒は税収入の上では非常に国家財政に大きな影響を持っておるものです。そうなりますと、この酒の値上げが今後の税収に一体どういう影響を与えるか。国民も、こんな、選挙前は減税をやって、選挙のあとになったら値上げをしたあつかましい政治感覚に対して、酒を飲まないというストライキまでは組織できないにしても、相当な抵抗を考える。私は全部がそこまで意識が高まるとは思いませんけれども、やはり反発はあるものと見ておる。あるいはないと見ているかもしれませんけれども、こういう税収入に対して国民はどんな動きを示すだろうかという点はどの程度御検討になったのか、私はこの二つの問題についてわれわれの納得できるだけの解明ができれば、これはまた別でありますけれども、こういうことについて一体政府はどういう態度とどういう見通しを持って結論を下したのか、これを一つお答えを願いたいと思う。
  73. 原純夫

    説明員(原純夫君) まず物価全体への影響の問題でありますが、統制価格を持っているというのは、やはり物価を押えていきたいということでありますが、まずその統制価格のシステムというものは、現在ではほとんどなくなって、自由に価格が形成されることに大体なっております。酒は、米それからふろ賃というようなものと並んで、ごく少い統制価格の対象物資であります。従いまして、全体としての物価への影響の考え方は、かつて非常に強い統制を要しておった時分よりもはるかに少いわけです。原則としては、ただいまでは自由に価格が形成される。統制価格の残っておるものでありましても、原価が上ればそれは上げてやり、下れば下げていくということで、すらっといってよろしいというのが大原則だろうと思うのであります。ところが昨年は例の国際収支の非常なる危機に至って、経済全般がいわば重病人のような状態にあった、そこであらゆる手を打って総合緊急対策ということで、まあこれをあまり刺激せずにやっていこうということが、昨年の夏以来続いたわけです。ちょうど秋になって、この作が悪いというようなことからイモの値が急激に上り出して、業界ではこれではたまらぬというので、ただいま長官からお答えのありましたように、十二月の初めに事務的にはこれを上げるべきだというなにがあったわけです。が、ただいまのような異常な日本経済の状況ということからそれを待たしたというわけであります。従ってそういうような状態がなくなれば、本来私企業がその計算の非常に重要なファクターである売り値をどうするかという場合に、みすみす損が出るのにそれでやれということは、これはとうてい許されませんので、なるべく早い機会にそれをゆるめてやるというのが当然であろうというふうに考えて、かたがた総合緊急対策を要した時代から比べますと、その後だいぶその面の改善もありますし、一方物価全体の基調はもう平林委員も御存じの通り、今何かあると吹き上るというようなことでなくて、一体なべ底でそのままいくだろうか、また下るのだろうかというようなことも言われるところであります。根本にあります私企業の経営性を不当に押えてはいげないというようなことも考えますと、もうこの辺で上げるのはまあある意味では当然ではなかろうかという考え方で、これは割り切ったわけであります。  それから第二の、しからばこれで税収はどうなるかという問題でありますが、大体今回の値上げについて特に特別な反応があれば別ですが、私ども酒の価格が減税の場合であれ、増税の場合であれ、あるいは原価の上昇の場合であれ、低下の場合であれ、動きます場合、どういう現象が起るかということはずっと過去の統計から帰納して参りますと、大体こういうことが言えるのです。国民の酒に対する消費資金は割合にコンスタントだということなんです。ですから減税する、あるいは値を下げる、値が下りますと消費量がそれだけふえる、つまり値段が下ったに反比例してふえるわけです。ですからこの場合は上るわけですから、それに反比例して量は減るということになってくると思います。そうしますとつまり何と申しますか、非常に雑駁な計算ですが、大体これのうち、つまりこの種のものばかりではありませんが、まあこの種の酒の税金の割合が小売価格のうちでまず四割ぐらいとみていいのじゃないか、そうすると先ほど申し上げた三十億というものが値上げになると、それはそれだけ結局中にめり込むということになって、税の部分としてはその四割ぐらいというようなのが一応出てくる数字なんです。まあ非常に正確にそうだと言い切るわけにはいきませんが、客観的にお考えをいただく場合に、まあ影響がありましても十億前後のものだろうというふうに思います。ただいろいろな先ほどお話がありましたコップ酒とその他の場合というようなことを分けて考えますと、こまかい計算があるのかもしれませんが、客観的にはそんなところでいいのじゃないかと思います。
  74. 平林剛

    ○平林剛君 経済の問題についてはまた時と場所を改めてなおこまかく聞かなきゃならぬ大きな問題ですから、きょうはこの程度にしますけれども、ただ問題はあれですね、酒税収入の影響について今お話がありましたが、結局酒造業界の年間増収額は今度清酒が十四億、合成清酒が五億、しょうちゅう十億、その他一億、計三十億円、これは得をするのかあるいはとんとんなのかこれは見解の違いで別でありますけれども、問題は今経済の問題でお話があったように、この程度の、まあある程度の刺激を与えてもいいような意味のことを言いましたが、この三十億円というのはほとんどあれでしょう、メーカーだけにいくのでしょう。経済に密接な関係のある小売関係の人には一体どの程度、分け前というとおかしいけれども、影響が一体いくのか。あなたの今の御説からいくとどうもメーカーだけを対象にしているけれども、いうならば政府が酒の圧力団体に屈したということだけは残るだろうと思います。小売関係には一体どのくらいいくのか、この点どうですか。
  75. 原純夫

    説明員(原純夫君) 小売は先ほどもちょっと申し上げましたように、卸小売はメーカーの価格が減税で下る、それからコストの増で上る、ネット下る、ネット下れば卸小売は売る商品の仕入値が下るのだから卸小売のマージンは下げるべきであるというのが四月一日のときの考え方であったのです。ですからそういう意味で言えば卸小売のマージンも下るということがあり得たのです。しかし前回はそこまでいかないでメーカー価格を下げてそれと同価格だけ小売価格を下げたわけですから卸小売のマージンは動かしていないわけです。そういう意味では端的に言いますれば、この四月一日の改訂と、今度の明日の価格改訂とを通じて卸小売のマージンは前に比べて若干有利になっているということになります。今回の措置でそれにさらに加えるということはないのではないかというふうに思います。  なお、酒の三十億、メーカーにいくわけですけれども、これはもう昨年来特に蒸留酒の業界、しょうちゅう、合成酒の業界はもう異例に高い原料イモとそれからきつい公定価格との間に立って非常に苦しんでおります。で、相当な会社がついに無配にせざるを得ないというようなことになって、配当するところもいろいろ無理をして決算をするというような状況になっておりますことをここに申し添えておきます。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 とっぴな話ですがね、今の日本での需要供給の関係で清酒を統制価格でなく自由価格にしたらこの酒は上りますか下りますか。
  77. 原純夫

    説明員(原純夫君) 非常にむずかしい問題で、一応の私の個人的な感じを申し述べるということでごかんべん願いたいと思いますが、ただいま清酒のお話ですが、清酒でしたら、統制価格をはずしますと、おそらく銘柄の通った一流品は上るという可能性があると思います。それからそうでないものはこの銘柄によって上下ができる、つまり値を割ってくるというなにもあると思います。そこで非常に大きな、要素は価格をはずすと同時に原料米の手当も統制をはずすかどうかという問題なんです。それをやはり今の四千の酒屋を抱えて、非常に経営規模の違う、条件の違うものをやっていくという行政においてそのままはずしてしまえるか、またこれは原料の主食の統制の方の制度からいってもなかなかできがたいだろうと思いますから、それはおそらく原料統制が残るということにしますと、銘柄品は、需要は実際相当多い、多いのに原料で抑えられるということになるわけであります。その辺は酒の行政をやっておってもいつも悩みの種になっておるところで、そういう自然の勢いにだんだん順応するような行政はおそらくいろいろ考えられていくと思いますけれども、今はそういう原料統制が残るということから、やはり価格は上下に開いてくるだろうというふうに私は思います。同時にまあこういう際ですから付言して申し上げさせていただきますと、そういう際にやはり酒税の収入がどうなるかというような見地でいいますと、今御案内の通り、特級、一級と二級と相当税の格差がついております。そういうようになった場合に、一体どういうふうにしてそういう制度を維持するか、果して従量税制度でいいのかどうか、従価税制度を何らか考えなければいかぬのじゃないかというような相当複雑な問題がございます。これらを含めて、私どもはやはり問題はもう相当突っ込んだ研究を要する時期だということで、よりより研究はいたしておりますけれども、それらの問題もあることをちょっと敷衍さしていただきたいと思います。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで一般的には常識として、この蒸留酒や洋酒、雑酒、こういうものがスポンサーとなつて莫大な広告までもして売り込み販売を盛んにやっておる、清酒の方は押されている、従って私は一般的には自由価格にしたら清酒は下ると思う。下げても売り込み戦に勝たなくちゃならぬと思う。清酒の方はちょっと追われている形ではないかと思うのですね。銘柄のいいものは上るだろうといいますけれどもそんなものは部分的なものなんですから、従ってさっき言いました、五円の今製造原価の値上げという計算ですね、こういうものは実際ぜひなければならぬものかどうか、どうしても五円というものを値上げしなければ、全国四千のメーカーが倒産破産というような状況が起るのかとうか。起りますか。
  79. 原純夫

    説明員(原純夫君) この公定価格というものは、これより上で売ってはいけないという価格でありますから、そういうものとしてお考え願う。そういたします。と、原価を計算して、これでは割れる、赤が出るというような限度ではいけないわけです。そこで今回それを直そうというわけでありまして、おっしゃるような酒の需給の状態、競争の状態が、相当広い範囲の二級酒について、値を下げなければ彼らが競争できない、彼らはまた競争するであろうというような実態であれば、それは彼らはやはり競争はするであろうと思いまするし、相当の部面である程度値引きがあるというような時期も、過去においてありましたし、現在でも若干はあると思います。その辺はまあ公定価格の線の中で競争があるというのは、私は当然だろうというふうに考えております。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもきょうの原局長の答弁は、日ごろの明快な、端的な御答弁と違って、非常に弁明しているようなそうでないとは思いますけれども、何かつべこべとものを言うという感じがするのだね。それでどうも突っ込んで聞きたくなってくるのですよ。それなら原さんたち、大蔵省の方としては非常に厳密な計算をやりがちな省として、四月には、さっき平林君が言うように、二円程度ということで計算ができておって、本年、今販売している酒というものは、仕込みは四月のときも今のときも計算は同じですから、仕込みの製造原価の方から言えぱ。それかどうして数字が変ってきたのか、それは政治的にこうしたのだとか、今までがまんさせたから、がまんさせた分をプラス・アルファの二円つけたとか三円つけたとか、端的に言うのならわかるよ。わかるけれども計数が変ってきて四月の計数とこの六月の計数とでは、製造した品は同じであって、変ってきたというのはわからない。時間がたっというと、何か酒でもよくなって、変ってきたとか何とかというわけのものではないのだから。どっちかがインチキだったということだ、早く言えば。
  81. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 原局長……、今主税局長の質問ですから。
  82. 原純夫

    説明員(原純夫君) 清酒については、四月には三円四十何銭上げなければいかぬ、製造者価格は。こういう判断をしました。ところで卸小売から先ほど申した理由によって、マージンを下げて、一円そこから生み出そう、二円四十四銭になる、それで埋めますから、四十四銭泣けと、こうやったわけです。その卸小売の一円は、もういまさら下げられないというのですよ、三円四十四銭ですと。で、そのときは相当きつく見ておりましたから、その他はじき直してみると、四円六十銭という数字が出るのです、先ほど泉間税部長の言うた通りです。それを五円にまるくしよう、こういうふうに申しているわけです。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さっき間税部長の話した計数のトータルが三百二円二十銭でしょう。それで前年は百九十七円二十銭どんぴしゃり、正円という差が出ている、これは原さんのおっしゃる通り半端があるものを、上にするとか泣かせるとかということで、最終価格がきまるというのがほんとうだろうと思うのです。厳密な計算をやれば。それが計算上きちっと合ったということに私はおかしいなと思うのですよ。それを間税部長の方は説明足らずで、そこにプラス何十銭をつけて、五円ちょうどにしたのだということならよかったのですが、やはり原さんおっしゃる通りのことですか。
  84. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 私先ほど説明申し上げましたのは、説明が不足でございましてなお申し上げますと、工場原価の方では六円五十七銭上るわけでございます。ただ管理費の方で先ほどちょっと数字を間違えましたが、従来三十二円三銭でありますが、三十二円一銭と二銭下りますので、六円五十五銭の値上りになるわけでございますが、従来のマル公に一円九十銭の余りがあったわけであります。そこでそれを差し引きますと、先ほど原局長の申し上げましたように四円六十銭の値上りになるわけであります。これをラウンドいたしまして、製造者販売価格といたしましては、先ほど申し上げましたように、酒税を含まないところで百九十七円二十銭を二百二円二十銭と五円を上げたのです。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、四月には大まけにまけて泣かせた、そういう冷酷無残な考え方だった、二月たったらば、その四円六十銭と諸掛り経費一切をまるまる見てやった、それでもなおかつ足りないで三十何銭プラス・アルファして、五円ほど、どんとふところの大きいところを見せた、こういうことなんだね、結局は。それはもう四月にがまんさせたので、酒税などの徴収その他で協力をさせているのだから、まあ一つこの辺のところでめんどうを見てやろうということだ、結局のところは、そうでしょう。それ以外に理由はないわけだ。たった二ヵ月の間に、まるっきり半分以上もぶった切って泣かせようとしたものが、今度はぶった切らぬでまるまる見て、その上にプラス・アルファをつけて値上げをしてやる、たった二ヵ月の時期的なズレによってだよ、そういうことじゃないですか、原さんどうですか。
  86. 原純夫

    説明員(原純夫君) もうきわめてごもっともな御表現だと思います。差を見ると、あのときに三円と申し上げたのが五円になったり、三円と申し上げたのが八円になったりしておりまして、おっしゃる通りの感じを持たれるのはごもっともだと思います。ただ先ほどいろいろ申し上げたように四月は相当無理したのですよ。(「何で無理したのだ」と呼ぶ者あり)いや、やはりね、五円、十円と刻んでいってどこに押えるかというようなことは、実は内輪を申せば、税制改正をやるときにすでにもう蒸留酒なんというのは去年の暮からの問題ですから、いろいろ考えておりました。いろいろなにが出ても、それはがまんせいということになるわけなんですが、それが四月にはできなかったと、今ここでは表向きの理由に私はそれを申しておりませんけれども、先ほど来お話し申しているように、過去の実績、今の値段を一年かかって取り返えさせようという制度なんですから、それが四月にできないと、一年でなくて十カ月に取り戻せということになるわけです、実情は……。今の表向きの理屈には織り込んでおりませんよ。織り込んでおりませんが、いろいろそういう無理が入ってくる。卸小売マージンを切れないという問題は、これはもうどうにもならないことなんです。その他前回の計算でコストを、まあ五十銭なり、一円なり、二円なり割っておったというような点は、今回そういうふうに卸小売のマージンもはみ出してやらなければいけないのだし、二カ月遅れたというようなことがあると、ただいまのような数字に近くなる。ぴたっと来ないのです、実は、おっしゃる通り……。が、あと五十銭か一円かというところになれば、それを端数をつけてというのもどうかというので、なにしております。ただマージンだけで何割増しになった、倍になったというふうにごらんいただくと非常に心苦しいのです。これは冒頭に申し上げましたように、五百円あるいは三百七、八十円、あるいは三百五十円というものの中での数字なんで、決してマージンが、製造者価格の値上げが非常に甘過ぎるとか何とかということにはならないようにやっているつもりです。御了承願いたいと思います。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃ端的にこういうことですね。四月には、昨年の十二月一日にめんどう見ようと思ったができなかった、四月にそれを何とかしてやろうと思ったができなかったと、従って今回正当にそれを見てやろうとしたのだ。しかもそれが半端なところまで五円というふうにきちっとしたのは、今まで迷惑をかけたから、まあこの点で一つ水に流してくれと、こういうことで、業者にも喜ばれる、協力をさせる、こういうことなんだね。それ以外にないです。
  88. 原純夫

    説明員(原純夫君) その通りの気持を持ってやっております。
  89. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連。実は、えらい話の落ちみたいになってしまったが、僕は、先ほどの政府答弁の中で、ちょっと国会側としてはいただけないような言葉があったので、これは言葉じりを取る意味ではありませんが、国会側としては非常に重要視しなきゃならぬ点があるので、これを一つ主税局長と長官にも気持を伺っておきたいと思います。  今、小笠原君が、昨年の十二月以来の大蔵省の努力された経過を一口で表現をして、主税局、長もこれをのまれたわけですから、そういう精神から言えばあるいはそうかもしれぬと思うのですけれども、国会の方の四月やりましたことは、一応大蔵省当局は理論は立ったものと認めておやりになったことであろうと思いますが、実際そうでなかったのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。それは、四月に減税額の中へ値上げ分を差し引いて調整をしたいという大蔵省の意向に対して、国会側は、減税額と値上げ分とは分離すべきである。時期的に分離すべきである。こういう説を立てて、自民党、社会党と大蔵省との間に数次の折衝が持たれた結果、国会の言い分が通ったということになっておるわけです。ところがその事態に対して国税庁長官は、先ほど、「不幸にして」という言葉を使われた。その「不幸」という意味は一体どういう意味なのか。これを一つ明確にしてもらいたい。
  90. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 事務当局として考えておりましたことが実現できなかったと、こういう意味で私の気持を率直に申し上げたわけなんです。
  91. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大蔵省としてはどうなんでしょう。「不幸にして」というのは僕は穏当でないと思うのですがね。国会のやったことは悪るかったということかね。
  92. 原純夫

    説明員(原純夫君) 国会で決議があり、かっこの委員会でその衆議院の決議を取り上げて、いろいろおっしゃったことは、まことに真正面からの御意見と思いまするし、私はそれはそれでああいう結果になったということについては、それ以外の道はなかったのだというふうに思っております。従って長官が「不幸にして」といわれましたことも私どももちろん一応事務当局としての意見は持つけれども、ああいうきまり方できまった、それに何のなにも持っておりません。ただまあそういう経過的な、初め持っておった意見とは違ったことになりましたということをいわれたのだと思うので、一つまあ私から何ですけれども、そういう意味でごかんべん願えればと、そういうふうに思います。
  93. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これはあと速記録を、事態を全然知らない人が読んだときに、いかにも国会というのは手落ちきわまることをやったというふうにとられますよ。今、全部の論議が済んだあとだからそれを言うのだが、「不幸」ということは事態が明瞭にわかったからわかったわけだけれども、よく理解しておいてもらいたい。  第二の質問は、今私手元に持っておりませんが、この前の、酒造業者の経営規模別に業績の一覧表を出してもらったことがあります。造石数別の一覧表を出してもらった。これを私今記憶をたどって思い出して見るというと、ある一定の採算に乗る規模以下のもの、これは非常に業績の悪いものがあったと思います。ある石数以上になれば割合に業績がいい。こういう、業態の大きさによってずいぶん差があるということを表で私見た記憶があるのですがね。これがまず間違いがないかどうか、一つ証明していただきたい。それによってあとの質問続けていきたいと思います。
  94. 原純夫

    説明員(原純夫君) 大体においておっしゃるような傾向があることはたしかです。ただよく中小企業は中小企業として、人なり立地なりの条件を生かして生きる余地があるのだということをいわれますように、酒類によっては、かえって小さいところが原価は安いというような現象も出ております。詳しく見る時間的なゆとりがありませんが、大体蒸留酒なんかでイモの産地の真中へ持っていって、工場を建てて、そうしてイモのできた安いときに買ってどんどん作っちゃう。いわんやそれをアルコールとして若干保存がきく。あるいはためて売ってあと泳げるというようなことになりますと、非常に条件がいいというようなことがありますので、清酒なんかでも若干そういうような現象が出ておったかと思いますけれども、そういう中小企業が特定な条件を生かして、かえってコストが安いというような状況が若干出て、おりますが、概していえば、おっしゃるような傾向があるということ、であると思います。
  95. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこで今度の値上げは業態の規模には関係なしに一律に恥き上げをされているわけですが、しからば今のような業態によって経営の差が相当あり、特別なものは除いて大の方が有利で、小にいくのに従って採算は順次悪くなっていくということがあるとすれば、どの辺を安定させるために、この計算ができているか、それを伺いたいと思います。
  96. 原純夫

    説明員(原純夫君) それは総体の供給量の中で、競争上は能率の一番いいものから、何と言いますか、それを満足していく。つまり、あまり能率が悪くてコストの高いものは、それまでカバーするような値段をつけたんでは消費者がたまらぬということになるわけです。その、どの程度までの満足する値段をつけるかということがいろいろ問題になるわけですが、酒の場合は、従来ずっと全体の供給量の七割のところまで、ビリから考えて主割までの能率の悪いところは、特別に何かそういう中小企業的な特殊な条件を生かしての努力でもしないといけませんよということでやっております。まあ私どもよくバルク・ラインを七割の線に置く――供給量の七割の線に置くということを言っておりますが、そういうことでやっておるわけであります。
  97. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、今のお話を聞きますと、非常に経営状態の悪い小規模の三割のところは、この値上げではまだカバーできない、特別の努力を要する、こういうことに一応なる、そうすると、残された上位の七制のうちで、この値上げをしなくても十分採算に乗っているバンドがあるわけですね、今までの質疑から言えば。その点は、値上げによって思わない利益を生むということになりはしませんか。今まででも十分採算に乗っている。それに対して今度これだけの値上げをするということになるわけです。七割のうちで、今のままで採算に乗っておるバンドの造石数というと何割くらいですか。その七割のうちで。
  98. 原純夫

    説明員(原純夫君) バルク・ラインで線を引きますれば、それは比較的利潤の多いところと、それからきりきりだ、あるいは特別のことを考えなければマイナスだというところが出るのは当然でありますが、総体言いまして、蒸留酒が一番今度の原料高の影響を強く受けておるわけですが、蒸留酒業界では、もう前に比べて全然同じだというようなことはありません。いずれも相当弱りに弱っておるというような状況で、ほとんど減配、それから無配が出ておるというような状態であります。  第二段の御質問は、私よくわかりませんでしたので……。
  99. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 総造石数のうち、三割ぐらいが中小零細企業に属するところで採算点を割っているというお話でしたね。ですから、上位の残りの七割分ですね。七割の部分のうちで、要するに一応この値上げをしなくても採算上黒になっておる企業、それの総造石数というのは何割ぐらいになっている――七割のうちで何%になっているということです。
  100. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 私は、今あなたの方で説明されるバルク・ライン方式に忠実でないということを暴露しようと思うのだ。あなた方ので忠実にバルクライン方式をとってやるなら、今の質問の数字は常に間税部長なり国税庁の長官の頭になければならない。そうでなければバルク・ラインの方式は出るわけがない。形はバルク・ライン方式と言いながら、そういうバルク・ライン方式の基礎になる数字が出ないというのはおかしいじゃないですか。その数字がなければバルク・ラインが出るはずはないじゃないですか。価格が出るわけはないじゃないですか。
  101. 原純夫

    説明員(原純夫君) 価格の算定は、過去の一定の時期における実際原価を見まして、そしてそれの能率のいいものから七割をカバーする。総数壁で優先で計算して、大体そういう実績が出るのは、やっぱりこの間のイモで作った期というのはまだ実績がわかっていないのです。ですから、前の時期になるわけです。その後はいろいろな生産要素の価格の高騰を見て延ばすということをやっておりますから、今御質問のあったのは、去年のイモによって作った酒の損益がどうなるかという御質問でありますから、これはまあ抽象的に今も無配が出たり配当が減っておるというのはざらでありますということを申し上げたので、全部がそうなっておるということではないのでありますから、一部でございますから、これはすぐには出ないということ、これはやはり大体この三月決算が終り、そういうようなもののなにを見て申し上げるというようなことになる。会社によっては三月で切れないものもありますが、できるだけ調べるようにいたしたいと思うのであります。
  102. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 今のやつだけれども、現在行われておる価格をきめられるには、バルク・ライン方式でこまかい計算をしたんでしょう。そのときの基準になっているその七以上の造石数は幾らかということを栗山さんは言っていられるのですよ。それを聞いている。今の数字がなければ去年の数字がある。そんなものは頭の中に入っていないわけはない。
  103. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 質問の意味を取り違えましてまことに失礼いたしました。さような御意味でございますれば、清酒につきましては、二級は約三百二十万石でございますので、その七割の二百十何方石がそれに該当するわけであります。それからしょうちゅう等でございますと、百二十万石の年間生産量でございますので、その七割に相当する八十四万石が七割になりますが、合成清酒でございますと、約八十万石でございますので、五十六万石程度がその七割に該当するわけでございます。
  104. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 栗山さんの聞いているのはそれじゃないですよ。あなたの方でバルクライン方式をとって生産費を安いところから順にずっと出して、その中の七の分を押さえておる、こういうのでしょう。その七から上の八五なり一〇〇なり、その七から上の幅の造石数は幾らか、これはもうわかっているはずじゃないか、これを聞いているでしょう、栗山さん、全体の造石数の七割は幾らになるか、そんなことはわかっておる。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤喜一君 ちょっと御質問が政府側にぴんと了解されていないような感じもしますから、フリーに話ができるように速記をとめていただいたらいかがですか。
  106. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それじゃ速記をとめて。   〔速記中止
  107. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。
  108. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ただいまの問題は、やはり数字をもとにしないとほんとうの議論はできないと思いますが、大体の私の尋ねている傾向だけはわかりました。了承しました。  問題は、もう一つ、主税局長にお聞きしておきたいことは、かりに今年のイモがうんと安かったときはどうされますか、来年は。
  109. 原純夫

    説明員(原純夫君) その実績を見まして、もちろんイモ以外の他の原価要素をも考えますけれども、それらを総合して、これは安い原価でできる。七割バルクの線でいっても安くできるということになりますれば、しかるべき時期に値下げをいたします。
  110. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 値下げというのは、しかるべき時期というのは、今年の十二月ですか。
  111. 原純夫

    説明員(原純夫君) 大体それは先ほど来申しております通り、毎年三、四月ごろになっております。
  112. 大矢正

    大矢正君 関連をしてですが、今イモの値段が下れば下げるような話がありましたが、たとえば過去の年次別の統計から拾ってみると、昭和二十九年度の製造原価は二百一円五十銭になっておるわけですが、最近の統計を、さっき説明されたところによると、二百二円二十銭で、その間には、わずか七十銭しか上下がないわけですね、結論としてはない。その過程では、三十年には百九十九円八十銭とか、三十一年には百九十八円二十銭とかいって、漸次下ってきたけれども、この期間において酒の値段を下げたという実例はないわけです。そういう計算からしてくると、あなたが今誓われたようなイモの値段が下れば酒の値段も下げますという議論には、前の四年間を考えてみるとならないんじゃないですか。
  113. 原純夫

    説明員(原純夫君) この合成清酒、しょうちゅうのでいいますと、二十八年の四月一日に合成の二級は製造者価格百十三円七十銭が九十八円七十銭に、これは十五円引き下げております。しょうちゅうも十五円引き下げております。それから次は一昨年三十一年、これは少しおくれて六月一日になりましたが、やはりイモが安かったというので、その前の百十九円二十銭から行四円八十銭と、約十五円、十四円四十銭ですか、下げております。しょうちゅうも同じ時期に約八円下げております。
  114. 大矢正

    大矢正君 いや、私の言うのは清酒の話です。
  115. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 清酒につきましては、これはイモの値段ということは、コストの上ではあまり大してございませんので、むしろ原料米である米の方の価段が響くわけでございます。この方につきましてはそれほど変化がございませんので、動いておりません。ただお手元の資料でおわかりになりますように、三十一年のときには、消費者価格は五百五円で変えなかったのでございますが、生産者価格が下りましたので、まあ従来から小売業著のマージンが少いという非難がございましたので、小売業者にそのマージンをふやしてやったわけでございます。消費者には及んでおりませんが、止産者の販売価格は下げておるわけでございます。
  116. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは大体わかりました。  それから第三は、先ほどあなたは小笠原君の質問に答えられて、酒の自由価格制をとれないのは、主食である米の統制がまだあるからだと、その統制の関係が非常にむずかしいので、ちょっとにわかに行いがたいと、今盛んに、そういう事態はいずれはくるので、研究している、こういうことでありました。その言葉をそのままかりて言えば、今全然統制のないイモあるいは果実等を原料とする酒について、統制価格をとる必要は毛頭ないじゃないですか、この点はどうですか。
  117. 原純夫

    説明員(原純夫君) 先ほどのお尋ねは、今統制価格をはずしたらどうなるかという清酒についてのお尋ねでしたから、ああいうふうに申し上げたわけです。しかしそのお答えの最後でも、全体として世の中の経済の動きがこういうことになってきているのだから、だんだんはずすという方向で考えるということを申し上げたわけですが、御指摘の通り、そういう事情は原料の統制のない蒸留酒、ビールというような点について特に強いわけで、まあ清酒の場合だけでは価格をはずしても原料統制をはずすわけにいかぬですから、なかなか価格統制をはずすという議論自体が相当複雑になるし、また税制上も先ほど中したような従価税、従軍税の問題がかなり複雑だということを申し上げたわけで、総体の方向としてそういう趨勢にあるということ、かつそのうち最も先に取り上げなければならんのが、そういうしょうちゅう、合成酒というものであるということはおっしゃる通りだと思っております。
  118. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから最後に、先国会でも全然問題にならなくて、しかもわれわれ非常に不審に思っているのですが、ビールに対する減税、あるいはビールの原価の引下げ、こういうようなことについては全然まだ検討をされていませんか。もしされているとすればどういう経過になっているか。これをちょっと伺っておきたい。
  119. 原純夫

    説明員(原純夫君) ピールにつきましては、前回お願いいたし、かつお通し願いました法案を作る経過で、大蔵省が原案として、ビールも下げるのだという案を出したことは御記憶の通りですが、当時の私どもの態度は、間接税全般について根本的な再検討をやっております。で、酒は非常に大きな課税物品でありますから、酒一般としてだけでなく、その中の各酒類についても、そういう客観的な検討をしようというのでせっかくやっておるわけです。いろいろ議論はあるけれども、その際に、酒類によってあまり区別をするのもどうかというような意味でああいう案を出したわけでありまして、本年は三十四年度における改正を目途として、間接税全般の研究をいたしておりますから、本格的にその問題に真正面に取り組むということになります。その場合にどういうふうな考えをもっかという点は、大へんただいまの段階で、ここで申し上げるのが非常にデリケートな時期でもありますので、もう少し全部についてデータを固めました上で、しかるべき機会に御報告申し上げて、また法案の際には十分御検討いただくということで、しばらく研究が全面的な規模においてある程度のところまでできるまでお待ちを願いたいというふうに思います。
  120. 大矢正

    大矢正君 従来まで行われている清酒の地域差ですが、これは今度特別検討はされなかったのですか。
  121. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 地域差のうち、御承知だと思いますが、東京、神奈川と北海道地区は、これは十五円の特別加算があるわけです。この方につきましてはいろいろ検討もいたしましたが、据え置くべきだという結論に達したわけでございます。ただ大阪地区の二円の加算額につきましては、理屈から申しますといろいろ問題があるのでございまして、廃止するかというような点もいろいろ考えたのでございますが、いろいろ論議のあげく、まあ公定価格を撤廃するような前に、あまり卸売業者と小売業者の間で紛争の種になるようなことをしない方がいいだろうという考え方のもとに、大阪の二円の加算を一応そのままということにいたしたのであります。
  122. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 原さん、私一つだけ……。今度の据置価格は二十七円何がしが三十五円か四円になったのですね、イモの価格が。そうすると理論的には関連ないけれども、実際問題としてことしのこれからイモの指示価格をきめなければならぬ、農林省の方とあなたの方と。そういう場合は一体どうなりますか。あなたの方が澱粉の買い上げや何かで赤字も出るから、むしろ指示価格を抑えたい、従来そういう態度をとってきたわけです。しかし今度は大蔵省みずからが、先の問題とはいえ、実績価格だということで、今まで二十七円で押えていったけれども、三十何円ということであなたの方が認めるということになれば、実際問題としてことしのイモの価格の指示価格をきめる場合は関連を持ってくると思うのですが、どうですか。
  123. 原純夫

    説明員(原純夫君) そういう御主張はあるかもしれませんが、蒸留酒の価格のきめ力は、それがいい悪いは御議論があるかもしれないのですが、去年の秋にできたイモのその実績の値段をことしの春振返ってみて、それで値段をきめて、あと一年間やらすということになっておりますので、ことしの秋のイモの値段は来年の春、価格をきめるときの問題に関連してはいろいろ問題になるわけですが、ことしの秋できるイモの指示価格をきめるのに、去年の秋の実績価格をもとにしたこの値段を直接結びつけるということになりますと、ちょっとややこしくなるのじゃなかろうかというふうに思うのでございますが。
  124. 河野謙三

    委員長河野謙三君) あなたはどういう意味でややこしくなるというのですか。あなたの方で三十何円というものを実績価格だとして認めて、この価格によってこの秋から来年の酒の原価を出すわけです。だから秋の値段で当然にその価格で買い上げてしかるべきだというのです。そうだとすれば、イモの値段をきめる場合に実際問題として関連を持ちはしないかと思う。
  125. 原純夫

    説明員(原純夫君) それはことしの秋のイモをそれで買い上げてしかるべきだという判断でやっておるのではないのでございます、去年のイモをその価段で買ったから、それを今後一年間の値段を原価としてみて、それによって、いわば回収させるといいますか……。逆にことしの秋のイモが非常に安いというようなことがありますれは、まあ万一相場の立っておる価格でこの酒の価格を動かすというのもなんだから、来年の三、四月にはなるでしょう。しかしその時期には安かったのだから、その分はあと一年ではじき出しなさい、その額は幾らということにしようという建前の価格のきめ力なんでございます。
  126. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 過去においてはイモが十七円、十八円であって、酒屋の方はもうかっているのは事実です。今度は三十何円になって赤字になっておる。その場合に過去において十七円、十八円の場合に、イモの値段が下ったときに下げていないのです。それは過去のことで、先ほどの御答弁がありましたけれども、イモの値段が下ったから、民間に影響してくるのだから、酒の値段を下げるということはわれわれ信じて差しつかえない。従ってことしのイモの指示価格をきめる場合には、今のあなたが示された三十何円というものは何ら関連を持たない、関連を持たない場合は、今度は下った場合には考えようと、それでいいのですか。
  127. 原純夫

    説明員(原純夫君) その通りです。ただ下げる時期が、もう九月に指示価格がきまったからといって、それで何もいたしません。やはり様子を見て来年の三、四月になりますということでございます。  なお先ほど申し上げた、一昨年の六月には下げたが、昨年の春には下げないじゃないかというお話でありますが、おっしゃる通りなんですが、それはその場合に昨年は、昨年の一月に鉄道運賃の十三%引き上げがありました。それは御記憶にはっきりしたケースですけれども、その他の原価要素を見て、イモの方と他の方を合吊して見て、そして下げるまでのことはあるまいという判断を一応したわけです。それに対していろいろ御批判はあるかと思いますけれども、イモの値段がほかの、原価要素のあれで食われて、昨年は動かさなかったというような事情がございます。ちょっとそれをつけ加えて申し上げます。
  128. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は、小さいことですけれども二つばかりお伺いしておきたい。  まず、一つは、今答弁の中でイモの値を下げれば酒の方を値下げすると言ほれたが、政府はイモの値下げを考えているというような印象をうけたのでありますが、昨年農民の生産費を守るためにイモの値段を上げるのに日本農民組合が全力をあげて戦ったのでございます。その結果イモの値を上げることができて、農民の生産費をある程度保障するととができた、しかしそれでもまだ完全に農民の生産費など保障されている段階に至っておらない。ところが今回酒税の減税をした結果また酒の価格に対しても値下げをするということをきめられた。しかるに選挙が終ったら今度はまた酒の値上げをするというようなことになって、勝手に行政措置の失敗のシワ寄せを百姓に転嫁されるようなことがあっては重大問題なので、そんなようなことを前提に置いて値下げを考えておるのではないか、そんなふうな誤解を起さぬようにこの際一つはっきりしておいていただきたいのです、主税局長の、もしイモが値下げをするような場合があるならば、酒等に対する値下げも考えるというような印象的発言は、非常に誤解を起す。ある意味においてはそれを考えておるような印象を与えると思う。さような印象を与えないようにしてもらいたいと思う。その点を一つはっきりこの際、あなたの見解を一つ表明していただきたい。
  129. 原純夫

    説明員(原純夫君) 申すまでもないことでありまして、私どもがイモの値段が不当に下るということを望んでいるのではありません。先ほど来は、たしか下った場合には下げるかというお尋ねだったから、それは下げるとお答え申し上げただけのことで、一方において農産物価格安定法に基いてイモの価格が指示ざれるという厳たる制度がある甘木の国でありますから、イモの値段がそういう政府指示価格の線を割ってくずれるというようなことはもちろんないようにするという建前であります。それについては大蔵省も、まあ私どもの局というわけではありませんけれども、御協力してやっておるというようなわけで、その辺は全然御心配いただかない、いただく必要はない。私ども毛頭その気持でそのことを申し上げておるのではございませんから御了承願いたいと思います。
  130. 野溝勝

    ○野溝勝君 心配がないどころじゃないので、いつも心配なんですよ。このイモの値すなわち指示価格をきめるとき格安を主張するのは大蔵省なんだよ、このイモの値をたたけたたけというのは。それだから心配なんですよ。農林省の原案をいつも大蔵省はたたくことに賛成で、まことにこの点は農民組合が憤激しておることなんです。主税局長から確たる御答弁を願ったので心配はないと思うが、しかしいつもただの一回も農林省原案をすなおに認めたことはないのです。生産農民は農林省原案ですから農民は不満なんですよ。まして大蔵省原案などは生産者は納得できないのです。ですからそういう点から見ても、あなたが言明をされたのでございますから、その点は一つ責任を負ってもらいたい。  次に私は聞いておきたいのは、酒がまた値上げになるのですが、一体マージンの分配率というのですか、醸造家がどのくらい利益があって、卸がどのくらい利益がある、小売がどのくらい利益がある、現行はどんなふうにいっておるかというようなことを一つこの際お聞きしておきたいと思う。
  131. 原純夫

    説明員(原純夫君) 私先ほどから調査会の方に行きたいとお願いしておりますから、よろしかったらお願いいたしたいと思いますが、ちょっとただいま野溝委員のお尋ねにつきまして、何もイモの価格安定についての大きな責任を大蔵省は避けるわけではありませんが、誤解があるといけませんので、ちょっと補足して申し上げますと、大蔵省はもちろん指示価格の線をきめます場合に、それが適正なものであるようにと、まあいわば農林省に対しては、農林省が高い線をオッファーされて、大蔵省はそれに注文をつけるというようなことが自然あると思います。その辺については大蔵省はやはり意見はいろいろ申し上げる。先ほど申し上げましたのはそういう線が一応きまればそういう線をくずさない、不当にそれが割れるというようなととがないようにということについては、私どもは農林省と一体となって努力する態勢であるということでありますので、一つ御了承を願いたいと思います。
  132. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと私も野溝先生やそれからあなたに誤解があるといげませんので……。私が先ほど申し上げたのはイモの価格が安くてもかまわぬということではなくて、農林脚と相談して二十三円五十銭にきめた。二十三円五十銭の現在の指示価格においてはあなたの方の酒の関係のイモは二十何円何がしで、指示価格とバランスがとれているのです、あなたの方の酒用のイモの値段とは……。しかし、ことしのイモの値段がきまるに先だって、実績価格ということで現在の相場の成り行きに追従して一ぺんに三十五円といろものを認めたから、この三十五円というものと指示価格とのバランスからいけば、二十三円五十銭の指示価格を農林省も上げてくれということだろうし、あなたの方の従来の主張からいってこれはいかぬということで押えることはできないじゃないか。そういうような実際上の問題が起りはしないかと言っておるのです。私はそうではないかと思う。指示価格と酒のイモとの価格は全然別だというような、あなたの方の木で鼻をくくったよろな態度はとれないと思う。そういう何を想像しておられるか、必ずそうなりますということで私は申し上げておるのですから、野溝さんそういう意味ですから私の言ったのは…。
  133. 野溝勝

    ○野溝勝君 いや、今の委員長の御質問は別に生産者の指示価格の問題については別に値下げを前提においての御質問ではないというから諒解します。原さんの御意見もわかりました。
  134. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をとめて。   〔速記中止
  135. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をとって。
  136. 野溝勝

    ○野溝勝君 間税部、長の方からお答え願いたい。
  137. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 先ほどのお話でございますが、たとえば清酒でございますと、一升びんの場合の計算で申し上げますと、小売のマージンが五十一円十銭、卸のマージンが三十一円七十銭ということになっておりますが、これはもちろん卸小売のそれぞれの行為に伴う経費がこれにかかるわけでございまして、その経費を除いたものが利益になるわけでございまして、その利益が幾らかということでございますが、これはどうもいろいろ経営の規模それから酒だけ売っておるという場合が比較的少いのでございまして、酒とそのほかの食料品も売っております関係上なかなか正権な数字を出しにくいのが実情なんでございますが、まあそのうち私どもといたしましては、いろいろ経費のかかり方が卸と小売で違いますが、卸の方でございますと、その利潤はごくわずかしかないのが現状でございます。一本当りわずか二円か三円程度しかないのが実情でございます。小売の方でございますと、それはもっとございます。まあ十数円あると申し上げてよいかと思います。
  138. 野溝勝

    ○野溝勝君 私はあまりこまかいことは聞きたくないのでございますが、今、泉さんのお話の通り、卸の方が一本について二円ないし三円といいますか、あれは、卸をやる場合は大量に商売できます。小売の方は名のごとくこまかい悔いなんです。ですからやはり労力は多くかかりますわね、手間が。そうなってくれば小売の方は自家労力でやるわけですし、特に家族労働的なものなんです。ですから経費というものはあるいは少いかも知れません。しかし経費を多く使わないと商いがない。家族労働だけであれば商いが小さいと思うのです、結局。そういう点から見れば卸の方が必ずしも費用が多くかかる、経費が多くかかるから利益が少いと評価することにはならないと思うんですがね。その点一つ。  それからいま一つは、最近小売業者から、手数料があまりにも低くてやりきれぬ、これを何とかしてくれという陳情が全国的に出ているわけですね。こういうのに対して国税庁は一応監督官庁として検討したことがありますかな。
  139. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 前段のお話は、これは先ほど申し上げましたように、企業形態――雇い人を多く使うかどうか、自家労力だけでやるかどうか、販売業者がどういうものに主力を赴いているかどうか。こういった事情によっていろいろ違いまするので、一がいには申しにくいことでございます。ただ、野溝委員のおっしゃったような傾向は確かにございます。  それからあとのお話の、小売業者のマージンが少いからこのマージンを上げるようにという要望につきましては、まあ二つの問題があるわけでございます。  一つは、小売業者は小売マージンを一五%にしてくれ、こういう要望があるわけでございますが、その一五%というのを、小売価格に対して一五%と言われるのでありますが、そういうのがいいか、それとも仕入れ値段に対して一五%なのかという問題があるわけでございます。まあ小売業者のマージンが決してこれで十分であるということを言い切ることはいろいろ問題があろうかと存じますが、現在のところ酒の種類によっていろいろ違いがあるのでございますが、まあ私どもとしましては、本年の段階としましては、四月減税の際に仕入れ価格が本来下がるわけでございますから、マージンが下ってもいいはずでございますが、その場合には下げなかったわけでございます。従って、今度値上げをする場合には本来ならばマージンを上げるのが筋なんでございますが、先ほど主税局長からもお話がございましたように、小売業者の仕入れ価格そのものは減税前の三月三十一日の状態よりはもちろん値上げいたしましても下っておるわけでございまして、その三月三十一日のマージンの絶対額をそのまま据え構いておきますれば、率としてはある程度よくなるということが言えるかと思います。で、問題は、その一五%に一挙に持っていくのがいいか、だんだんに持っていくのがいいのかということになろうかと思いますが、私どもとしましては一五%の数量自体についてもいろいろ検討させていただいておりますが、まあだんだんと率をよくしていくのがいいんで、一挙によくしていくことはなかなか困難ではないかというふうに見ておるわけでございます。
  140. 野溝勝

    ○野溝勝君 それではざっくばらんにお伺いするのですが、大体小売業者からの陳情について今検討しておると、しかし、小売業者の陳情は一体小売価格ないしは仕入れ価格に対する一五%引き上げということであるらしいが、この点については検討して、どういう点においてこれを承認していくかというような点についてはまだ具体的にきめていないと、しかしその引き上げにつきましてはどの税度でよろしいかというような点については検討しておると、かように解釈してよろしゅうございますか。
  141. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) さようでございます。まあ一五%の絶対額自体のその率自体に多少の問題があるわけでございますが、まあ現在の率が必ずしもそれほどよくないということ、これはまあそれほどよくないと申しましても、しょうちゅうの方でございますと、もう一三%五という数字になっておりますまあ清酒の二級で一一%六というのでございまして、まあその間若干開きがあるわけでございます。それをだんだんとよくしていくという方向で考えておるわけでございまして、最終の数字をどの程度に持っていくのがいいかということについては、なお詳細に検討いたしたい、こう思っております。
  142. 野溝勝

    ○野溝勝君 長官、ただいまの間税部長の所見に対してはいかがでございますか。
  143. 北島武雄

    説明員北島武雄君) 卸小売のマージン、特に小売のマージンにつきましては、いろいろかねてから陳情ございます。先ほど間税部長申しましたように、仕入れに対する差益率といたしましては、現在小売マージンが一三%程度でございます、まあものによって違いますが。この数字は、決して他の食品に比べていい率ではございません。いい率ではございませんが、さてがまんできない率かと申しますと、一方において毎年酒類の扱い高がふえてきますが、酒類の販売業者の数はほとんどふえておりません。そういう点から申しますと、率は必ずしもよくはないけれども、酒類の小売業者の方々の酒類販売によるもうけの絶対額というのは、私はそう悪いものではないと、こういうふうにも考えております。一方またこのマージンを引き上げたととが直ちにそれが小売消費者価格に影響するものでございますので、なかなか消費者との負担の、利益の権衡等を考えますと、直ちに小売マージンを上げるということがいいかどうか非常に問題があると思います。ただ四月一日の価格改訂の際には、実は減税によるととろの小売価格の減と、それから原料の高騰による公定価格の増、合せて一本としてまあマル公改訂しようとした。その場合におきましては、結局今までよりもマージンを切りましても差益率はよくなるという考え方から、若干それぞれ小売マージン、卸売マージン食い込むことを考えたのであります。結果におきまして減税額だけをそのまま消費者に影響させるために、四月一日のマル公改訂におきましては、卸小売のマージンをいじらなかったのであります。その結果、利益率としては今までよりも相当よくなっております。今度の価格改訂の際に、上げてくれという陳情はございますけれども、元来減税前を考えますと、減税前よりも仕入れ価格は下っておる。それに対して差益の絶対金額は変っていない。言葉をかえて言えば、差益率は上っておるわけでございますので、今回の値上げに際してそれぞれ卸小売のマージンの引き上げを認めるということはいたさなかったのであります。しかし、これなかなか微妙な問題でございまして、メーカー、それから卸、小花業者、それに消費者とのそれぞれの利益の均衡というものを考えなきゃなりませんので、今後も慎重に考えたいと思います。まあがいして申しますれば、差益率はほかの食品に比べて必ずしもいいものではないけれども、しかし公定価格を定めている以上、そう卸小売に大きなマージンをやることは、これは消費者価格の点からいってもいかがであろう。そういった点を考えますと、今後においてもマージンの問題はやはり相当慎重に考える必要がある。こういう気持でございます。
  144. 野溝勝

    ○野溝勝君 長官、おかしいじゃないですか。一体酒の値は上げた。今度上げて迷惑したのは消費者、そこで上げてもうけた利益は、小売にも分けなければ結局卸とメーカーだけがもうけてしまう。とういうふうな解釈になるのでございますが、少しは落ちこぼれを出してもいいのじゃないか。
  145. 北島武雄

    説明員北島武雄君) それは私現在としては御無理じゃないかと思っております。三月三十一日当時の価格と、それから現在、今度価格を改訂いたします際の消費者価格と比べますと減っている、金額は、値は引下げになっておるのであります。そういう見地からいえば、やはり卸小売価格のマージンの絶対額を据え置いたということは朴当な恩恵じゃなかろうか。とういう議論も出てくるのであります。
  146. 河野謙三

    委員長河野謙三君) まだたくさんありますか。
  147. 野溝勝

    ○野溝勝君 等分が私に理解できるようになればこんなものは簡単ですから打ち切りたいと思いますが、まだ聞きとりにくい点がありますので、もう一つお伺いして、長行でも間税部長さんでもけっこうですからお答え願いたい。  何としても小売が十三円何がしかでは実際にやっていけないのです。今申したように、大ぜいの人を頼んで、販路のある市街地といいましょうか、工場地帯とか、そういうような需要家の多いような場所を控えたところは、非常に要領よく常業やっています。しかし、小さい、何と申しますか、商いの少い小売業者がありますよ。前から免許を持って開業しているのは。ところが、そういうのは全くやっていけないのですな。苦しいですよ、実際。食っていればいいじゃないかといえばそれまでのものだが、しかし、そういうのにも何とか公平な利益配分の目をかけてやる気持がないか。そのためには何とか小売マージンというものを面倒を見てやったらいいじゃないかと、こう思うのですが、その点、四月の改訂の際には考える用意はありませんかね。
  148. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) 野溝委員のお話しのように、ごく少量の酒を小売している業者はかなり窮屈な経営であるということはお話しの通りであります。ただそういう業者につきましては、どちらかと申しますと、はかり売りが多いことになっております。そのはかり売りの場合のマージン率は一般の一升びんの場合のマージン率と違いまして、かなり大幅に与えておりますのは、今申し上げましたパーセントで申しますと、大体一七%から一八%くらいになるようにはかり売りの場合はいたしております。もっともこれもはかり売りをうまくやらないといけないのでありまして、こぼしたりなどいたしますと、それはそれだけの利益を確保できないわけでありますけれども、うまくはかれば一七先ないし一八%の利益が出るようにということでいたしております。ただ今回の価格改訂に際しましては、四月一日に行いました減税の効果がなくなるようになっては困るということから、しょうちちゅうなんかのはかり売りは抑えております。そういう点につきましては、まあ多少減税との経緯がございますので、いささか無理な点は承知いたしておりますので、今後の価格改訂がございます際におきましては、十分に再検討いたしたい、かように考えております。
  149. 平林剛

    ○平林剛君 委員長にお尋ねいたしますが、大蔵大臣あるいは政務次官の御出席はどうなっておりますか。
  150. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 再三連絡をとりましたが、きょう、当委員会は、事前に連絡もしておりませんような関係もありましてそれぞれやむを得ない事情があって、どうしても出られない、こういうことであります。
  151. 平林剛

    ○平林剛君 きょう告示になった大衆酒の値上げは、第一次岸内閣最後の政治である。従って、先ほどから本問題について質疑を行いましたところが、四月減税のときと、今回とでは、その値上げの幅において三倍以上違いがある。これは一体どういうことであるか、明快な結論を得ることができませんでした。それから政府事務当局の答弁では、四月は無理をさせてあったのだ。こういうことですが、一体何のために無理をさせたかという点は、政府説明を求めたかったところです。同時に、政府の閣僚の中にも、物価政策その他の見地から、かなり議論があったところを、首脳部が集まって、結局、国税庁を通じて今回の価格の指示をさせたということになるわけで、この点を、私は、政府の最高責任者から意見を聞きたかったところであります。最後の政治に対して責任を持たず、きょうの委員会に出席をついにみなかったことは、まことに遺憾なことであるが、私はその点について、今後においても、かようなことがないように、お互いに政府に対しても注意したいものだ、こういうことを意見として申し上げておきます。  第二の意見としては、今回のごとき大衆酒値上げについては、私はやはり新内閣の手で行うべきであった。医療費の一点単価の問題については、結局、厚生大臣の主張にかかわらず、新内閣で行うという方針をきめ、この大衆酒値上げについては、もうすでに終ろうとする岸内閣が行うということは、どうも首尾一貫をしていない。私どもの見解としては、もし政府に堂々たる主張と論拠があるならば、新内閣の手で告示を行うというのが建前でなかったかと思うのであります。特に、イモの値段、あるいはこの値上げの緊急性等については、一年も前から議論があったところでありますから、何も一日、二日急いで、第一次岸内閣でやる必要はなかったのじゃないか。こういう意味では、察するところ、今回の大衆酒値上げは、新しい内閣でやると傷がつくのじゃないか。できれば古い内閣の方でやってしまえば、その批判が次の内閣にこない、という思惑があったか、あるいは選挙の結果、よんどころない理由で早目にきめなければいけなかった、というような臆測を裏づけるものか。いずれにしてもまことに悪政の一つである。こういう見解を持たざるを得ません。堂々たる主張があるならば、新しい内閣でおやりになればよい。しかもここにおいてやったということは、一つの悪政の標本である。私はそういう見解を持つのであります。そうでないとするならば、政府責任者が常々とここへ出てきて、大蔵大臣それから政務次官、最後の責任を感じて、われわれにこまかい説明をすべきだ。国税庁長官や原主税局長は、せっかくおいで願ったけれども、あなた方を防波堤にして、われわれの攻撃をかわそうとする態度は、まことに不誠意な態度である。責任政治の上からいきましても、私は、今回の処理は、まことに不明朗なものを感じます。この点だけを申し上げて、きょうの質疑は終っておきたいと思います。
  152. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十九分散会