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1958-04-23 第28回国会 参議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十三日(水曜日)    午前十時五十五分開会     ―――――――――――――   委員異動 本日委員西川平治君、小滝彬君、海野 三朗君及び岡三郎君辞任につき、その 補欠として三木與吉郎君、小山邦太郎 君、赤松常子君及び野溝勝君を議長に おいて指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            小幡 治和君            古池 信三君            小西 英雄君            小山邦太郎君            高橋  衛君            三木與吉郎君            赤松 常子君            椿  繁夫君            野溝  勝君            大竹平八郎君   衆議院議員            川村善八郎君            松平 忠久君            渡辺 惣蔵君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君    国 務 大 臣 石井光次郎君   政府委員    北海道開発庁総    務監理官    中平 榮利君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     岩武 照彦君    通商産業省繊維    局長      小室 恒夫君    通商産業省鉱山    局長      福井 政男君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    中小企業庁長官 川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    大月  高君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中小企業信用保険公庫法案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業信用保険公庫法施行に伴  う関係法律整理等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○経済の自立と発展に関する調査の  件  (繊維業不況対策に関する件) ○日本貿易振興会法案内閣提出、衆  議院送付) ○水洗炭業に関する法律案衆議院提  出) ○北海道地下資源開発株式会社法案  (内閣提出衆議院送付) ○航空機工業振興法案内閣提出、衆  議院送付)     ―――――――――――――
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日海野三朗君が辞任し、その補欠として赤松常子君が選任され、また岡三郎君が辞任し、その補欠として野溝勝君が選任され、また西川平治君が辞任し、その補欠として三木與吉郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより中小企業信用保険関係の二案を議題といたします。  まず、衆議院における修正部分につきまして衆議院側から説明を聴取いたします。
  4. 松平忠久

    衆議院議員松平忠久君) 中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案、この修正部分について御説明申し上げます。  御承知のようにこの中小企業信用保険公庫法案包括保険制度に移行をしていく、こういう考え方でできておるのであります。しかしながら、二百億の予算をもって始める。こういうことでありましたのが、予算の圧縮を受けたために、どこかにそのしわが寄せられてきておるのであります。従ってそのしわの一番大きく寄せられてきたのは、いわゆる普通保険普通保証保険てん補率並びに保険料率でありまして、政府側説明によりますと、てん補率現行七〇%を六〇%にしたい。それから保険料率現行二分でありますものを二分五厘にしたい、こういう説明であります。しかし、これではせっかくの信用保険制度というものが逆行いたすので、私どもといたしましては、少くともこの保険料率現行に据え置きしなければならないし、また、あわせてそのてん補率現行法通りにすることが、この逆行を救うゆえんである、かように考えたのであります。従ってこの関係法規整理等に関する法律案の中の第十二条、第九条の中にてん補率を百分の六十という原案の規定がありますが、これをそれぞれ百分の七十に改める、そういうのがこの改正趣旨であります。なお、この普通保証保険保険料率に関しましては、これは政令できめるわけでありますので、修正を要しないわけであります。従って修正点てん補率だけにとどめたわけでありまして、以上簡単でありますが、御説明にかえさせていただきたいと存じます。
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上で説明は終りました。修正点について御質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 松平代議士にお伺いいたしますが、その料率を、六十を七十にしたことによって、金額はどのぐらい差を生ずるわけですか。
  7. 松平忠久

    衆議院議員松平忠久君) 六十を七十にしたことによってどの程度金額が生ずるかということは、現在の全部の普通保証保険というものが、どの程度あるかということと関連をいたしますのみならず、今回におきましてはいわゆる包括保険ということで第一種、第二種というものを、ことごとく包括保険にするということになっておりますので、ちょっと現在だけの資料については、的確な数字が捕捉しがたいのではないか、こういうふうに思います。しかしながら、政府説明によりますと、てん補率原案の六〇%から現行の七〇%にしても、そう大して影響はない、若干の赤字はあるいは出るかもしらぬけれども、これは将来これを始末していくと、こういう答弁でありますので、われわれはこれを強行したいと、こういうふうに考えておるのであります。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 私が聞くところによると、四百億とか、四百五十億とかいうことを聞いているわけですが、政府は当然その六十という原案を作るときに大体のパーセンテージをつかんでおられると思う。衆議院修正通りにすることによって、どれだけの差額が生じてくるということは政府当局はおわかりございませんか。
  9. 川上為治

    政府委員川上為治君) 普通保証保険につきましててん補率を六十から七十ということにいたしますことと、それからもう一つは、包括保証保険につきまして二十万円から五十万円までを、この保険料率を九厘から七厘ということにすることによりまして、大体私どもの方の計算としましては三千万円程度差が生じてくるだろうというふうに考えます。なお、今の普通保証保険料率二分五厘というのは、二分にいたしますが、それを合せますというと、合計しまして大体三千万円程度、しかしこの会計におきましては一応六千万円程度余裕金を持っておりますので、今の三千万円程度差がつきましても、それで十分処理できるのじゃないかというふうに考えております。
  10. 阿部竹松

    阿部竹松君 六十を七十にすることによって、私は四百億とか聞いているのですが、そういうあれだと、数字の桁が違うのですが、それ間違いないですか。
  11. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは間違いでございません。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 それからもう一点お伺いしたいことは、付帯決議がそれぞれ三件ともついて参っておりますね。前の一件は本会議で可決してしまったわけですが、どうも抽象的な内容ですが、とにかく時宜を得た付帯決議だとは判断しますけれども、この付帯決議政府はどう判断されるわけですか。
  13. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実はこの信用公庫を作りますについて、政府部内でいろいろ協議いたしまして、それからまた党内におきましても、いろいろ協議をいたしまして原案ができたわけであります。大体におきまして実は最初通産省としてわれわれの主張して参りましたような修正になりまして、従ってその点につきましては、われわれ何ら異論もないところであります。また、付帯決議中の簡素化とか、迅速化とか、そういうような問題につきましても、全部これは当然われわれとしてやらなければならぬ問題であります。付帯決議につきましては、全面的に政府として賛成をし、その趣旨に従って今後の運用をやっていきたい、かように考えております。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、中小企業信用保険公庫法案に対する付帯決議と、もう一点は、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案に対する付帯決議、これは政府考えておった通りであるし、当然のことであるから、これを実行できる、こういうお答えですね。
  15. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 大体さように考えております。
  16. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、衆議院側に対する質疑はこの程度にし、引き続き政府当局に対する質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 二、三お伺いしたいと思います。まず大臣にお伺いしたいのです。今回、信用保険公庫法提案に対しまして、党及び政府は慎重に審議されたと存ずるのですが、この法律案経済基盤強化に関する法律案と、うらはら法律案と思いますが、どうですか。
  18. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、この信用保険公庫は、基金を百七億の基金を持っている。そのうち二十億はこれは普通の一般会計からの予算でまかなっているわけであります。と申しますのは、二十億は地方信用保証協会に貸し付けをする。そうして利ざやを、向うに、保証協会に与えまして、保証協会運用にこの基金をもちまして、保証の範囲を広げるという一面の役目をいたしますとともに、極力保険料も引き下げる。そういうような関係になっているのであります。それから六十五億は経済基盤強化基金から出まして、そしてそれは御承知のように、資金運用部に預けまして、その利息が今後の中小企業信用保険公庫のまあ貸し倒れとか、いろんな維持費に対して使われていくわけであります。さらにその残余の二十二億は、これは従来の信用保険特別会計から引き継ぎまして、そして今後の運用に資する、こういう関係になっているわけであります。で経済基盤強化基金につきましては、六十五億円がそこから出てくるという関係になっております。しかし、その運用益がありませんと、この公庫としましては、所期の目的であります信用保険の事業、また地方に対するいろいろの、地方保証協会というものに対する援助というものが円滑に行われません。従ってうらはらといいますか、非常に大きな、重大な関係を持っているとわれわれ考えているのであります。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 大臣の御答弁ですが、経済基盤強化法律案とは、重大なる関係があると申されました。お説の通りだと思うのでありますが、六十五億からの融資といいますか、出資するような形になっている、この重要なる関係を持つ経済基盤法律に対し、閣議におきましては、意見がまちまちであったと聞いているのでございますが、ただいま大臣の御所見では、中小商工業者のためには、金融上重要なる法案だと答えられているのに、内閣該法律案を軽く見ておって、最近においてようやく国会提案がきまったと聞くのでございますが、主管たる前尾大臣と他の大臣との間に相当なズレがあったように思うのですが、この点一つざっくばらんにお話し願いたいと思います。
  20. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は私どもはこれが出資されますので、一番最初構想から申し上げますと、常に剰余金を使うということを考えて参りました。昨年の決算上の剰余金というものをこれに振り充てるのが一番妥当だというふうに考えて参りまして、当初におきましては二百億を要求しておったのであります。と申しますのは、約使い得る剰余金が四百数十億ありました。その半額をこれに充てるということで、昨年の八月以来常に主張して参ったのであります。予算編成期に差しかかりまして、ほかのいろんな基金というようなものが、これとよく似た構想のものがたくさん出て参りまして、従ってその二百億が八十五億に減らされるというようなことに相なったのであります。しかし、形式におきましては、私は常に、将来におきましても剰余金をこういう方面に使っていくのが最も合理的であるというふうに考えて参りました。あの法律経済基盤強化法律につきましては、最も私はこれは典型的な使用方法である。従いまして、その間におきまして、別にわれわれは矛盾も感じたのではないのであります。ただいまお話しのように、ほかの基金との関係について、いろいろ閣内で議論があったのじゃないかというようなお話しでありますが、実はそういうような事実はないので、あって、われわれとしましては一貫して、こういう基金、あのような基金はこういう使途に使ってもらいたいという主張をして参ったのであります。ただいまお話しのような、それに関していろいろ議論があった、あるいは他の基金との関係について議論があったという問題は、私といたしましては全然なかったと申し上げて差しつかえないと思います。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 真実でなければけっこうでございますが、先日新聞には、河野国務大臣と一萬田君との間に、経済基盤強化法律案と、中小企業信用保険公庫、これらの関連において意見の相違を来たしたということが新聞に報道され、さらに、あなたの言われるように、重要な法案であったら、解散まぎわの審議期間の少い国会に出されるということは、はなはだ遺憾であり、無責任です。あなたの言われるように、本法案は重要な法案であり、中小企業金融突破の上にも役立つと思うのです。ですから、そういう点から見て、当然かような法律案につきましては、前に十分審議できる期間をとって提案をするのが正しいと思います。この問題については、この程度反省にとどめておきます。  次に、私は具体的にお伺いいたしたいのは、信用保証協会法が、昭和二十八年八月十八日に出たのでございますが、これにつきましては、われわれは当時の大蔵委員会におきまして、慎重に審議し、相当に問題のあったことは、政府事務当局においてはよく御理解が願っておると思うのであります、特にこの信用保証協会法ができるに際しまして、中小企業救済に役立つ制度として期待を持っておったのでございます。しかるに、その後の様子、その後の経過を見ると、あまり利用されておらなかったのでございます。何がゆえに保証協会利用が少かったか、その精神は、中小企業金融のために大きな成果をもたらすという提案理由でございましたが、この理由と事実の反した現実に対し、経緯を事務当局の方からお伺いしたいと思うのでございます。
  22. 川上為治

    政府委員川上為治君) この保証協会法ができましてから、この保証協会というものは、現在全国で五十二あるわけでございます。今、先生があまり利用されなかったとおっしゃいましたが、私どもの方としましては、順調にやはり進んできたのじゃないかというふうに考えます。ただし、最近各県のいろいろな財政関係から、この保証協会に対しましての基金援助が大体限度にきておるのじゃないか、そういう県が相当あるのじゃないかというようなことで、その保証協会がさらに飛躍的に伸びるということができないというような状況に、現在あるのじゃないかというふうに考えます。現在この三十二年度の平均残高を見ましても、約五百億の金額に達しておりますし、また、保証協会法ができましてからすでに延べ四千四百億という相当大きな私どもとしましては役割を果しておるのじゃないかと思いますけれども、ただいまも申し上げましたように、基金関係から、最近におきましては特に県の援助相当ありますので、県のうちで財政的に苦しいところにおきましては、なかなか保証協会の仕事が伸びないというような状況にありますので、従って昨年度におきまして、この国会の承認を得まして、政府の方から十億の援助をいたしたわけでございます。この十億程度では、とても私どもはうまくいかないというようなふうに考えましたので、本年度におきましては、さらにこれに追加して二十億程度出し政府援助を三十億程度やるというようなことにいたしまして、今後におきましても、さらに政府の方から相当援助をし、同時にまた、県の方からも援助するということになりますれば、先ほど申し上げましたこの保証の額もざらに伸びていくのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  23. 野溝勝

    野溝勝君 ただいま企業長官から答弁がありましたが、大蔵省大月調査官の見た御所見を伺いたいと思います。
  24. 大月高

    説明員大月高君) 大蔵省考え方といたしましては、中小企業に対する金融疎通のために役に立つ考え方といたしまして、もっぱら民間金融機関によるという考えでございますけれども、その不足する分につきましては、政府において国民公庫中小企業金融公庫、そういうところに直接金を出して金融疎通に努める。しかし、いかに政府で努力いたしましても、実際の金額におきましてはどうしても限られたものになるのはやむを得ません。従いまして民間金融機関中小企業金融をやるにつきまして、できるだけやりやすいようにしてやるというのが根本であろうと考えております。そういう意味におきまして、従来から信用保証制度については、大蔵省としては非常に大きな関心を持っておったわけでございまして、従来法的な基礎のございませんでした保証協会を、昭和二十八年に法制化いたしまして、監督も厳重にする、また政府としてこれを育成するという精神もはっきりいたしたわけでございます。その後の経過は、企業庁長官からお話のございました通りでございまして、われわれが見ておりますところ、利用の実態も逐次増大いたしております。決してこの保証制度がうまくいってないというようには考えておらないわけでございます。ただ、保証協会自体といたしまして保証能力に限界がある、あるいは一部の保証協会について資産の面に欠陥がある、そういうようなことがございますので、昨年の金融制度調査会に諮りまして、この信用補完制度をさらに強化するにはどうしたらいいかという答申を求めまして、今回の法案を提出した、こういうような次第でございます。従いまして政府の育成の態度も、次第に積極化いたしておりますし、利用の率も上っておる。非常に中小金融に対しましては、大きな貢献をしておるものだ、こういうように考えております。
  25. 野溝勝

    野溝勝君 実際問題として、信用保証協会基金の少いために利用度が思うようにいかなんだといわれておりますが、信用保証協会基金が少かっただけでなく、一般中小企業者利用しなかった欠陥というものがありはせぬかと思うのですが、他には全然ないとおっしゃるのでございますか。他に何か欠陥といいましょうか、利用する面において欠けておる点がありはせぬかと思うのですが、そういう点については、何ら考えたことはございませんか。
  26. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 信用保証協会の今までの規模でいきますと、非常にあったと考えております。欠陥がなかったわけではありません。実は非常に欠陥を持っておるわけであります。その一つの大きな理由は、保証料が高いということであります。この保証料を安くしませんと、結局中小企業者が普通の金利を払い、しかも、その上に保証料を払っていくのですから利用しない、そこで今回のような改正一つ考えたのであります。今度は政府の再保険も極力安くする、また、地方信用保証協会自身が弱体でありまするから、貸付をし、利ざやを与えまして極力保証率を下げていく。それからもう一つのこれによる利点は、極力、包括保険にもっていこうという考えを持っております。包括保険に持っていきますと、信用保証協会自身がほとんど再保険によってつぶれることがなくなる。これはその点は金融機関として安心して保証協会信用することができる、こういうことになるのであります。もうすでに保証協会保証があれば、金利を下げようじゃないか、こういう機運も出ておりますし、今後政府としましても、それを指導していきたい、かように考えておりますので、これが両々相待ちまして、そう保証のために多くの保証料を払う、あるいは金利の上に保証料を払っていく、こういうようなことがその負担が非常に少くなってくる、これが一つのねらいであります。  それと私自身が非常に迷いましたことは、地方信用保証協会強化していくということが先か、中央のこういう信用保険公庫を拡大するのが先かということで、実は迷ったのです。しかし、これはやはり中央相当な機構を持ちませんと、地方強化することはできない、こういうふうに考えまして、今後におきましては今度の改正になりました信用保険公庫中心にいたしまして、地方信用保険協会というものをもっと強化、拡充し、今後におきまして大きな働きをやってもらうという方向に持っていく、これが最初だというような考えを持っております。今後画期的に、今までのようなことではなしに、信用補完制度というものを拡充していきたい、これがまず第一の出発点だと、こういうふうに考えております。
  27. 野溝勝

    野溝勝君 ただいまの大臣の御所見だと、しごくごもっともな反省意見で、確かに保証協会につきましては、政府としては、取扱い総額を、いかにも効果があったものといわれておりますが、それなら改正の要なしであって、政府の言うような効果があったとは思いません。一般的には、初の期待とは喰い違で、案外当初の期待とは食い違って、利用度が少かったというような批判をいたしておるのであります。具体的に申せば、たとえば中小企業商工者特殊関係を持つ相互銀行は、掛金制度給付制度でやっておるこの相互銀行方式に対し、信用保証協会からは、いわば信用上の警戒をされておった、実際問題として。協会は、地方銀行中心にして考えるという古い思想で一貫され、相互銀行中小商工業専門金融機関は、掛金制度で成績を上げているのでございます。しかし金利の方は掛金方式のために、三銭五厘という相当金利なので、信用保証協会利用するということになりますと、銀行金利のほかに、協会に二厘五毛をさらに業者に加えなければならぬ。そうなると、ますます中小企業金利に追い倒されることになって、こういう関係から利用度というものが少かったのです。こういうような点を十分当局も知っておられると思うのです。ですから今、前尾大臣金利の点について特に保証料の点について頭を痛めたと言われますけれども、当然であると思うのです。そこで今、大臣はそれらを反省して、保証協会強化することに考えた。それは地方を先にするか、中央を先にするかという点で検討してみたということなんでございますが、実際問題といたしまして、今回提案された法律案並びに内容を検討すると、融資保険の配分について、金融機関が昨年までは予算を計上されたのは、三百億でしょう。本年はこれを百億に切り下げられておるのでございますが、これは大臣の御所見と矛盾するではないか、保険料率が何ら考えられておらないように思うのでございますが、この点どうなんでございますか。
  28. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今回の改正につきましての一番問題でありますのは、先ほど大臣からお話がありましたように、包括保証保険、これは主として零細企業関係に重点があるわけでございますが、この包括保証保険制度というものをこれを強化するということが第一点、それからもう一つは、融資保険につきましては、いろいろ問題もございますし、また、一般銀行につきましての旧債の借りかえというような非難もありますので、しかも、この保険特別会計関係では、最も大きな欠損を出しておる問題でありますので、やはり今後におきましては、特別な事情のあるものにつきましては、融資保険制度というのは残しておかなければなりませんけれども、だんだん融資保険というものを保証保険に切りかえ、しかも、そのうちの包括保証保険に切りかえていくということが、これが一番大事なことではないかというふうに私ども考え、また、金融制度調査会におきましても、相当長期にわたりまして、いろいろこの問題を検討しました結果は、今申し上げましたように、やはり融資保険というものをだんだん保証保険に切りかえていくというような、そういう答申も出ておりますので、私どもは、そういう線にのっとりまして、融資保険につきましては、五十万円以上については残しますが、五十万円以下については、この際やめて、これを保証保険なり、あるいは包括保証保険の方へ切りかえていくというようなことにいたしたわけでございます。  そこで、資金のワクの問題でありますが、先ほどお話がありました、三十二年度におきましては、融資保険は一応三百億ということになっておりましたが、五十万円以上の融資保険についで、三十一年度の実績を見ますというと、約百四十五億ということになっております。今回は百億という五十万円以上についてはワクを設けたのでありまして、しかもその百億というのは、この公庫法が通りまして、この七月からこれを実施するということになりますというと、この百億程度で五十万円以上については、大体私どもとしましては、支障がないのじゃないかというようなふうに考えておるわけでございます。
  29. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると、先ほどの大臣の御答弁とのあれはどうなんですか。たとえば、地方保証協会は非常に弱体だ。基金を初め、その他弱体の点がある、こういわれておるのでしょう。それを、弱体である保証協会が、さらにこの融資保険制度というもののワクを切り下げられたのでは、私は一そう弱体になっていくと思うのですが、たとえば、あなたの言われるように、包括保証といいますか、に一応切りかえたといたしましても、私はあなたの今のような答弁だというと、より一そう不安が出てくるのです。大体五十万円以下は全部保証協会、包括保証する、それ以上は融資保険のあれとして存置する、こういう御意見ですが、そうなってくるというと、私はまことに小さいところは非常に不安になってくると思うのですが、かえって今までのような融資保険制度でいけば、まだまだ利用度と申しますか、相当まだ応用する見込みがあるのです。私はむしろこの点では資金をもう少しふやして、いましばらくこの弱体な地方融資保険というものをもう少し充実さして、そうしてその過程において漸次発展をせしめていくというような方向に持っていってもらったら、いいのじゃないかと思うのでございますが、この点一つ大臣の御所見いかがでございましょうか。
  30. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) われわれは包括保険に持っていこうという考えを持っているのでありまして、包括保険になりますと、全部政府が再保険しておりますから、保証協会としては非常に安泰になるわけでありまして、先ほど申しましたように、金融機関信用して、金利も下げる、こういうようなことになって、今までの融資保険というものはいわゆる逆選択で、危いものだけで、金融機関の救済みたいな格好になっている。むしろ信用保証協会を全部通じて、そうして信用保証協会強化されるというのには、極力包括保険に持っていくべきだ、こういうふうに考えているのでありまして、これが本来の趣旨に合いますし、その点では従来包括保険でおやり願っておらぬような信用保証協会につきましても、包括保険が非常に有利である、こういうことが判明いたしますと、みんな包括保険に持ってこられる、またそれを信用保証協会がとられるというふうに考えているのでありまして、将来は、現在は五十万円以下ということになっておりますが、基金をふやしまして、そうしてだんだん限度を上げて参りまして、すべて包括保険ということに持っていきましたら、日本全国常に包括保険で一定の、どのくらいのリスクが出てくるかということが判明しますと、それだけの基金を積んで、そうしてその利息でいつもそれを償却していくということにしましたら、中小企業金融というものは、一般市中金融機関から金が借りられるということが非常に安全になり、確保され、円滑になる、こういうふうに考えているのであります。ただ、過渡期におきまして、包括保険に一挙に持っていくということは困難であります。漸次そういう方向に持っていく、こういうふうな考え方をいたしているわけであります。
  31. 野溝勝

    野溝勝君 私は、専門家でないから割り切れぬのです。大臣の御答弁によると、市中銀行を非常に高く買われているのでございますが、市中銀行こそ、全くさや取りの名人でございまして、こういう名人の御所見ばかりを中心考えておられるから、あやまちをおかしやすい。いわば、今日の三井銀行見てごらんなさい。別にこんな話をするわけじゃないのですけれども、三井銀行などは市中銀行の代表的なものだ。ここに大月調査官がいるのでよくわかると思うが、あの内容はどうですか、自分の関係会社だけに資金を回して、一般民からは、預金を集めておいて、そっちの方には融資をしない、関係会社にばかり融資をしている。今その成績が悪くて問題にならぬじゃないですか。まあこれは一つの例でございます。さらに地方銀行におきましては、先般の千葉銀行、たまたま千葉銀行が表に出たのでありますけれども、悪質な地方銀行は、地方から金を集めて中央にのさばってきて、何かうまみはないかといって、浮貸ばかりしているのでございます。それは全部ではございませんが、それを信用の対象にして計画を立てられるということは、どうかと思うのです。市中銀行地方銀行が全部ではありません。政府が包括保証に対して金利の面、あるいは補てん率の面、そういう点について、一つ思い切った、政策がとれないものか、市中銀行とか、それらの手を経なくて、政府がもう少し中小企業に目をかけてやるというような気持になれないものでしょうか。
  32. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は、私どもの意図しておるのは、金融機関を保護しようという考えではないのでありまして、信用保証協会を育成しようという考えに基きましたので、こういうふうな制度にいたそうと考えておるわけでありまして、むしろ、金融機関保護のような従来の行き方を改めようというのが、この考えの根本であります。ただいまのお話しのような御趣旨に従って、もちろん、先ほど大月君も言いましたように、従来の行き方は、政府関係金融機関を通じまして、政府資金を直接流すという行き方をしてきたわけでありますが、それもまた一つの方法でありますが、一般の市中金融機関からも手っとり早く金が借りられるというのが、私は根本であります。その根本的な問題に向って、この制度でいきましたら、その根本的な解決が得られる、かように考えておるわけでありまして、あるいは説明の足りません点は、政府委員から答弁をさせたいと思います。
  33. 川上為治

    政府委員川上為治君) 大臣の御説明に対しまして、補足して具体的に申し上げますが、全く、先ほど先生がおっしゃいましたように、この融資保険というのは、ややもすれば、金融機関の保護というようなふうに言われている面もございますので、この際、どうしても保証協会強化する、特に零細企業にとりまして最も役に立つであろうと私ども考えております包括保証保険というものを、この際、飛躍的に強化するというような考え方でやっておるわけでありまして、従いまして、具体的には融資保険でも全体の金額のワクを減らした、あるいはまた、五十万円以下をやめたというのは、これはなるべく保証協会強化して、保証協会による再保険包括保険あるいは普通の保証保険というものを、もっと大きくしようというような考え方から、実はいっておるわけであります。そこで、包括保証保険につきましては、従来は二十万円までにつきまして、一分四厘六毛という保険料率がかかっておるのでありますが、これを今回は七厘ということに、もう大体半分以下というところまで実はしようと考えておるのであります。また、衆議院付帯決議によりまして、二十万円から五十万円までの包括保険につきましても、これまた私どもは、最初九厘と考えていたのですが、これも七厘に持っていくというふうに、五十万円以下の包括保証保険につきましては、従来の一分四厘六毛というものを七厘という、半分以下というようなところまで、実は切り下げておるわけでございます。それからまた、この包括保険全体につきましては、従来のワクというものは百八十億、この三十二年度が。それを、私ども考えとしましては、三十三年度は千三百億というようなふうにワクを考えておるわけでございまして、かようなやり方によりまして、特に保証協会強化し、同時に、この小口零細企業に対する保証保険を大いに強化しようというような考えでございますので、先ほど先生からお話がありましたような、実はそういう趣旨で私どもとしては考えておるわけでございます。
  34. 野溝勝

    野溝勝君 よくわかって参りました。そこで、この点を一つお聞きしておきたいのです。今お話がありました通り、従来の融資保険制度が、何といっても普通銀行の推進力に頼っていた、たとえば地方でいうなら地方銀行、これらの推進力が強くて、大体一方的な偏向があったのです。ですから、なかなか利用しようと思いましても、利用し得なかった点、さらにまた、先ほども話した通り金利といいますか、利率の高い銀行金利のほかに、保証協会で取られ、うっかり借りたら、身動きならんようになる零細中小業者は、利用も思うようにいかなんだという点なんです。今度こうした点は、もっと具体的に言えば、運営面の人事配置が問題になるのですが、今度、保証協会の人事などについても、一体、具体的にどうしようと考えておられるか、従来のような普通銀行中心の形でいこうとするのですか、もっと広範なる検討を加え、あらゆる関係業者を入れ、公平な機関を作ろうとするのですか。こうした点について、両当局から御所見を聞きたいと思います。
  35. 川上為治

    政府委員川上為治君) 現在、この保証協会法によりましては、政府の方で保証協会に対する人事権というものはございません。しかし、経理その他の問題につきましては、監督権を持っておるわけでございますけれども、人事につきましては、特別に持っておりません。ただ、人事について、人事権を持つか持たぬかという点につきましては、特に保証協会は現在独立していて、しかも、県の方の相当援助もありますし、あるいはまた、金融機関その他によりまして援助がありますので、これをそのままにしておいて、すぐ政府の方が人事権を持つということがいいかどうかという点については、これは慎重に考えるべきではないかと考えております。しかしながら、保証協会が非常に弱体であって、また、なかなか努力もしないというようなものにつきましては、私どもの方としましては、極力努力するような措置を別な方から講じていきたい。ということは、先ほど申し上げましたように、昨年は十億の金を国が出しております。今年は三十億の金を保証協会に対しまして、それぞれ配分して出していくわけでございます。その際におきまして、私どもはやはり一つの、保証協会の活動に熱心であり、非常に努力するというようなところに対しましては、たとい小さくても、やはり援助していくべきであって、もし、なかなかそういう点が改まらないし、なかなかやらないというようなところに対しましては、やはり融資の面でわれわれは考えていくべきじゃないかというふうに考えて、そういうような方面からいたしましても、この保証協会強化されるような措置をとっていきたいというように考えておるわけでございます。
  36. 大月高

    説明員大月高君) 信用保証協会の資産及び人事の点につきましても、次第に向上を見ておると考えておりますが、政府がこういうように保険公庫を作りまして、背後において融資の方法により、あるいは再保険をするという方法によって、援助するということになりますれば、さらに結果において、保証協会内容の充実が期待できると思います。人事の面は、やはり信用保証協会民間の機関でございますので、政府が直接にこれを左右するということはむしろ適当でない、民間の自主的な良識のある運用に待つ、こういうようにいたしたいわけでございます。ただ、現在の制度におきましては、府県の地方公共団体の、この保証協会に対する援助が、相当程度ございますので、各保証協会の定款におきまして、県知事が役員を選任する、こういうように指導いたしておりますので、その人事について、非常に間違った人事が行われる、こういうことはないとわれわれは考えております。府県知事の、むしろ良識に待つと、こういうように考えております。
  37. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちょっと二点ばかりお尋ねしたいのですが、国の余裕財源を中小企業金融難を緩和するために使う、そういう余裕があるなら、減税に充てるというようなことについて、私ども絶えず主張しておるところでありますが、この法案を拝見いたしますと、役員の欠格条項の中に政党役員を除くということになっております。本委員会にはこの日本貿易振興会法案、さきに議決をいたしました理化学研究所法等がございますが、理化学研究所法におきましては、欠格条項の中から政党役員を除くということになったのでありまして、これは衆議院から修正されまして、前田代議士から提案者を代表して当委員会にも説明があったのでありますが、その際に政党、政府、特に二大政党に整理されつつある政党の現状から考えて、将来この種の機関から政党役員を欠格条項にすることは改めたい、これはこの修正をなすに当って、自民党の総務会でも了承を得、今後政府提案する法律案においては、こういう考え提案をいたしたい。すでに政党役員が欠格条項となっておるものにつきましては、そのつどこれを修正を加えるようにいたしたいという説明がありまして、理化学研究所法というのは、成立を見たのでありますが、同じ政府から続いて提案されておる日本貿易振興会法、さらにこの中小企業信用保険公庫法において総務会でも御相談になりましたようなことが、またこれ出てきておるのですが、今人事のことに関連して、ちょっと大臣から一つこの点について明らかにしていただきたいと思います。
  38. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 最近御承知のような、ただいまお話しのような問題が起っておるのであります。しかし、われわれはまだ金融機関については、政党の方にはまあ遠慮していただくというふうな考えを持っておるのでありまして、これは一種の金融機関でありますし、他の公庫につきましても、同じようにこういう欠格条項を設けておるのであります。ただいまのところは、私は金融機関はやっぱり政党を離れた方によって運営していただくということが妥当である、かように考えておるわけであります。
  39. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これは金融機関といえば金融機関でありますが、これは保険公庫でありますから、保険会社みたいなものだと私は理解しておるのですが、金融機関ということならばそれでもよろしいのですが、理化学研究所法のごとき特殊法人から欠格条項としての政党役員を除き、この種のものからは将来除いていきたいということなんでありますが、金融機関に限ってはこれは別である、こういう御見解ですか。
  40. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私はただいまのところは、金融機関は政党は超越した態度でいってもらいたい、こういうふうに考えておるのであります。
  41. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ほかにはございませんか、お考えになりますようなことは。
  42. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実は他の機関については、ものによっては、あるいは考えなければならぬ点があるんじゃないかと思いますが、実は具体的にそこまで検討いたしておりません。金融機関に関する限りにおきましては、私たちもそういうような考えを持っております。
  43. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちょっとこの機会に、先ほど野溝委員の御発言に関連してお尋ねしたいと思っておったんですが、六十五億を経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律が成立した際に、例の四百三十六億の資金の一部からこれに六十五億を出して、それを預金して、その金利によってこの公庫を助けてゆこう、いろいろ御説明であったのですが、経済基盤強化の資金に関する法律がまだ衆議院を上っていないというように聞いておるんですが、この法律そのものの趣旨には、私ども賛成なんでありますけれども、もしこの法律が成立を見なかった場合に、中小企業信用保険公庫の発足には何ら差しつかえないんでございましょうか。
  44. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど申しましたように、一応この公庫は六十五億の基金を中に入れて、そうしてその利息を運用いたしまして成立するような構想になっておりますので、経済基盤強化基金は、ぜひとも通していただかぬ、少くともこれに関する部分につきましては、通していただかぬと、われわれの期待しておるような公庫事業は全然できなくなるのでありまして、その点はぜひともこの関係に関する限りにおいては通していただくということは一われわれとしては期待いたしておるような次第でございます。
  45. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 これでありますとか、ジェトロの何につきましては、これは中小企業擁護のためでもありまするし、特に貿易振興会法は、中小企業の貿易振興に関する御趣旨のように承わっておりますから、そのものについてもちろん反対の意思をわれわれ持っておるわけではないのですが、ああいうふうに経済基盤強化の資金のための法律というふうに一括して国会提案をされなければ、あれだけの余裕財源を持ちながら、これはこれなりとして御提案する御意向なり方法というものは、これはなかったんでしょうか。私はまだまだ別に余裕財源があるわけですから、別の方法があつたかと思うんですが、そのことについて大蔵省意見もあわせて伺いたいと思いますし、もし親法となるべき経済基盤強化に関する法律が、不幸にしてこの国会において成立を見ざりし場合の対策について伺っておきたいと思います。
  46. 大月高

    説明員大月高君) 立法の技術といたしまして、基盤強化法の各基金に充てられております、五つの基金に充てられておりますが、これを別々の法案に繰り込むことはできなかったかと、こういうお尋ねであったかと思いますが、この基盤強化法の精神は今度の予算全体を貫いております一つ考え方に基いてできておるわけでございまして、一部は基金に充てますけれども、その基金自体を使うということではなしに、それを資金運用部に預託いたしまして、その金利だけを使う。従って、その資金は民間には出ない。それからあとの残りの資金につきましては、これも一般の対民間関係においては放出しないという、この全体をもって一つ精神といたしておりまするので、その考え方を明確にいたしますために、一本の法律とされておるわけでございまして、むしろ考え方をはっきりするためには、現在の御提案の仕方の方が妥当であろう、こういうふうに考えております。それから経済基盤強化法が通らなかった場合でございますが、われわれといたしましては、今衆議院大蔵委員会において御審議をお願いいたしておるわけでございまして、ぜひとも基盤強化法の成立をお願いいたしたい、こういう段階でございますので、われわれといたしましては、その法律とこの公庫法案、両方が成立いたしまして、中小企業金融の円滑を期し得るように考えておるわけでございます。
  47. 野溝勝

    野溝勝君 また逆戻りいたしますが、地方保証協会は、知事を中心として、人事の問題などにつきましても順調にいくものと思うという見解が披瀝されました。今日まで、保証協会の人事の問題が、地方銀行中心であったということを申しておるのでございまして、地方銀行中心であったということは、まだ地方保証協会が、全体の金融業者利用されておらなかったという点において私は申したわけであります。全体の金融業者は、たとえば相互銀行の給付でやっておるのに対し、いつも地方銀行意見に押されて、その利用度が少かったということを私は申しておるわけであります。そうした点に対し、今回この公庫法案提案されておるのでございますが、この公庫に対する監督などは、主務大臣中心となって、それぞれ責任を持ち、監督をすることになっております。これと関連のある地方保証協会などの運営、人事の配慮がこの精神に沿って是正されるのか、中小企業者の運営、利用の上に効果のあるように考えていかなければならぬじゃないか、前の保証協会のような欠陥、原因、そういう点をよく検討して、直す気があるかどうか。また、そういう点を直させようと思う気持ちがあるかどうかという点を一つお伺しておきたいと思います。
  48. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまお話しの点は、私どもも実は考えておるわけでございます。先ほど来申しておりますように、今までの機構は非常に小さいものでありましたから、まあ便宜上、おそらく銀行関係の方が中心になっておやりになった所もある。しかし、今度保証業務も広まり、社会的な地位も非常に変って参るのであります。その点につきましては、人事権はありませんが、この内容を十分承知していただきますと、従来の考え方と違った意味でいろんな指導が行われる、われわれもまたそういうふうに指導していって、これが、本来の趣旨に沿った方が中心になって、保証協会を運営していただく、こういうところに持っていかなければならぬ、かように考えております。
  49. 野溝勝

    野溝勝君 まことに妥当な御所見をお伺いいたしました。金融業というのは、公共性のあるものでございまして、特に、信用保証協会法を作るときも、あるいは今回の公庫法案にいたしましても、その盛られておる理由というものをよく翫味するというか、この理由趣旨を徹底するようにあらゆる方面に実践していただきたいと思うのです。また、理由だけは非常にいいのでございますが、いざこれを実施する段階になって参りますと、特別な金融機関というものがはびこってきて、どうも公共性とか、大衆の福利というようなことよりは、やはり利潤追求と自分の銀行の安全性というようなもののみに重点を置かれておるようでございますから、こういう点は、ただいまの大臣の御所見のように対処する指導の方針を持ってもらいたいと思っております。それからそれに関連して、現在までの地方保証協会一分四厘六毛の利子が今回七厘になったが、これをもっと引き下げるというようなことには、一つ検討してみるという気持ちにはなりませんか。
  50. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実は、先ほども申し上げましたように、一分四厘六毛ということになっておりますものを、この今度の改正によりまして、七厘程度に引き下げる、そういうわけでございます。七厘をさらに引き下げるかどうかという問題につきましては、これは実は私の方でもいろいろ検討いたしたのですが、やはりこの七厘程度で全国の保証協会の大部分がいけるんじゃないか、中にはこの七厘ではちょっとむずかしいというものが一、二あると思うのですが、しかし、これは先ほども申しましたような資金のいろいろな援助、あるいは県の援助、そういうようなことによって、もっと強化して、この七厘でいけるような体制をだんだんとっていきたいと思いますから、私どもの方としては、やはり七厘をもっと下げるということよりも、一応この七厘でやっていくということにした方がいいじゃないかと考えております。というのは、この公庫は、あまり欠損を大きく出すということは、これはやはり公庫法の趣旨からいいましてもどうかと考えますので、いわゆる独立採算ということを一応原則として考えていかなければなりませんので、そういう点から言いますと、やはり包括の五十万以下につきましては七厘程度、あるいは五十万以上につきましては一分三厘というようなところがまあ私どもとしましては、最初の出発としましては妥当なところではないか、今後一年ぐらいこれをやりまして、かえって公庫の方が黒字が出てくるというような事態が生じますれば、やはりもっとこれを切り下げていく、あるいはもっと資金をふやしてこれを切り下げていくというようなふうに考えておるわけでございまして、差しあたりとしましては、やはり七厘程度が妥当ではないか、しかも七厘というのは、先ほど申し上げましたように、現在の一分四厘六毛というのを半分以下にしたわけでございまして、非常に私どもとしては勉強したということになるじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  51. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、大体三分五厘でしょう、銀行は。そこへ持っていって、さらに保証協会金利が加わるわけですからね。ですから、どうも中小企業金融あるいは融資というような点になりますると、もう少し私はこの金利を下げて、本法案中小企業者に役立つ機関になるというように考えてもらえませんか。
  52. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは、先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、いろいろ非常に勉強しまして、しかも、この公庫の経費というのは、ぎりぎりにこれを少くしまして、そうして、七厘という線を出したわけでございます。それから、保証協会の方とも十分いろいろその相談をいたしまして、まあ七厘という程度であるならばということで、保証協会もほとんど大部分のものが納得を実はしておるわけでございます。それから、なお、今回の措置によりまして、三十億という金が保証協会に、しかも二分五厘程度で貸し付けるということになりますというと、それによって保証協会の現在の年間保証料率の全国平均二分三厘というものがこれが一割くらいは軽減されるというふうに考えておりますので、私どもとしましては、差しあたりのこの措置としましては、この程度でいくよりほかないのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、これをさらに五厘とか、四厘というようなことになりますというと、これは下げれば下げるほど中小企業者の方は、保証協会の方はそれでよいでしょうけれども、やはりこれをうんと下げるということになりますというと、われわれは百億程度基金では足りないのでありまして、もっと大きく基金を上げなければならぬという問題が生じてきますし、あるいは、非常に大きな欠損をみなければならないという問題も起きますので、大体初年度としましては、保証協会の方も大体納得しましたので、この程度で踏み出していく。そうして、だんだんとこれからもっと切り下げていくということに努力するということに私どもはしたいと、そういうふうに考えております。
  53. 野溝勝

    野溝勝君 どうも私の言うことがよくわかってくれておるとは思うのでございますが、所管の通産省として資金量といいますか、公庫に出す政府の資金量の増額、それからいま少しく金融業者金利の点に対する協力、こういう話をすれば、私は五厘ぐらいにはなると思うのですが、こういうようなことについて努力されたことはございませんか。
  54. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実はわれわれももっと引き下げたいという気持で当初二百億円を主張しておった。それが結局において基金が百億と、こういうことになって参りますと、これは何しろ長いこと継続していかなければならぬ事業であります。基金をどんどん食っていくということではなりません。結局は基金をちょうど剰余金を初めてこれに充てたわけでありますが、今後剰余金が出ましたら、その半分といいますか、あるいは三分の一といってもよろしいのですが、毎年これは基金に繰り入れていくという考えを今後とっていきたい。そうしますと、それだけの出ます利息だけは損していってもかまわん、こういうことになります。そうすると、保証料も下げていけるということになります。今後極力、こういう剰余金が出ました場合にこれを繰り入れていくという考え方を、とにかく最初出発したこの基金、また、基金でいきますと、七厘がむしろ非常に苦しいくらいの限度であり、まあ、最初としてはやむを得ない。しかし、将来はその基金を繰り入れていただいて、そうして保証料を下げていく。そうして、また、極力銀行に対しまして保証のあるものにつきましては金利を引き下げるということをあわせて行いまして、中小企業者の負担を少くしていく。かように考えております。
  55. 野溝勝

    野溝勝君 ただいま大臣の御所見をお伺いして、そうして今後とも期待に沿うように最善の努力を払うというふうに私は解釈して、この問題については一応これで、その御努力を願うということで、この点は省略します。  これに関連をして当局にお伺いしておきたいことは、一体、信用保証協会というものは掛金制度をやるような、あるいは無尽制度をやるような機関に対しては、ほかの一般の普通銀行と違う扱い方をするように御指導しておるのでございますか。
  56. 大月高

    説明員大月高君) ただいまのお尋ねは、相互銀行の給付にかかる掛け込みの債務につきまして、この保証協会がどう扱っておるかということかと思います。一般の債務につきましては、簡単な掛金等でございますが、相互掛金は御存じのように給付をする反面、掛け込みということがございまして、ある意味で両建的になっておるわけでございます。性格は異なりますが、しかしやはり掛け込むということは一つの債務でございますので、現在信用保証協会法の規定によりまして、法律でこの掛金につきまして保証ができると、こういうことになっております。現実にやっております協会は二十八ございまして、全部ではございません。それから実際の金額もさほど大きくはございませんけれども一般の債務と同じように保証できる、こういうような制度でやっておるわけでございます。
  57. 野溝勝

    野溝勝君 そこで、これは、調査官にお伺いしておくんですが、掛金が債務ということに扱われるというならば、もう少しく対等な扱いをしたらいいと思うのですね。それが今、お話がありましたごとく、半分くらいしか利用されておらないのですね。先ほどから言うのですよ。信用保証協会というものは、地方銀行の一方的な発言力、主導力と知事とがタイ・アップして推進しておるから、そこに他の業界の不満があるのです。そういう私は欠点をこの際一つ事務当局政府当局におかれても十分考えて、金融機関の公共性、金融の社会性というような点を十分配慮して、その趣旨に沿うようにしてもらいたいと思うのです。
  58. 大月高

    説明員大月高君) ただいまのお説は、まことにその通りだと存じます。現に、役員が地方銀行から出ておるために、そういうことになっておるかという点につきましては、われわれは必ずしもそういうことではなくして、相互銀行の掛金の業務と保証協会との関係一般にそう広くは理解されてはおらないという点もあるのではないか。しかし、われわれの考えといたしましては、当然、この掛金の関係保証協会の業務の対象になると考えておりますので、今後の指導といたしましても、十分これを保証協会で行なっていく一こういうような指導に努めたいと思います。
  59. 野溝勝

    野溝勝君 通産当局、大蔵当局御承知のことと思うが、政府は先ほどの大蔵委員会において、同僚平林委員から、政府の推進しておる貯蓄内容に対して強く批判されたのです。昭和三十三年度貯蓄目標額を見ますると、金融機関のうちで、全普通銀行は三十二年におきましては、八千三百億、比率四八%、三十一年度におきましては目標額五千四百億、同年度末達成額六千二百二十二億、目標額の一一五%に至っておったんです。三十二年度は四八%しかない。これは千葉銀行のようなことをやっておるから、信用を落したのも一つの原因になっておると思う。相互銀行におきましては、三十二年度におきましては、二月までですけれども、目標額は七百五十億、達成額は八百十九億、比率一一〇%、それから前年度の三十一年度は目標額五百億に対し五百五十億、パーセンテージにしまするというと一一〇%、両年度とも相当努力をして好成績が示されておるのです。政府に協力しなければならない金融機関が、この成績から見るとあまり政府に協力しておるとは思えぬ。しかるに、政府に協力している金融機関を軽視し、非協力の銀行と手を握るような一方的な感じを与える従来の保証協会の運営改革すべきだと思うのです。政府は本法実施に際し配慮する意思ありや、お尋ねいたします。  最後に一つお伺いいたしまして、私の質問を打ち切ります。補てん率の問題ですが、本法案の中の融資率、融資制度が現在までは八〇%の保証をしていたのですが、今回はこれを五〇%に引き下げた、これはどういうわけでこういうふうに引き下げられたのですか。全く中小企業金融対策としての本法の精神にもとるのではないか、かつ矛盾しておりはしないかと思う。
  60. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは先ほども申し上げましたように、また、先生のお話しになりましたそういう趣旨に私どもは全く沿うておると思うのですが、いわゆる融資保険につきましては、金融制度調査会意見もありますし、先ほど来再々お話し申し上げますように、いろいろその批判の点もございますので、やはりだんだんこの保証協会保証による保証保険の方へ切りかえていくというその体制を私どもとしましてはとっていきたいというふうに考えておりますので、しかしながら、今急激にこの五十万円以上のものについてこれをなくするということは、これはまあ非常に無理でございますので、やはり全体のワクにしましても百億程度にし、またてん補率につきましても、八〇%を五〇%にして、だんだんだんだんこの保証協会保証保険の方へ切りかえていくというような体制を整えていくということが、これが私どもはベターではないかというふうに実は考えまして、そういう措置をとっておるわけでございます。  なお、その融資保険包括保険というのは、まあむずかしい言葉で言いますと、逆選択をとるかとらないかという問題でございますが、融資保険というのは、現在各金融機関、たとえばその大銀行とか、地方銀行とか、そういう金融機関中小企業者に対しまして金を貸しますというと、もう政府の方で選択する――政府といいますか、特別会計の方で選択する余地がなくて、すぐそのまま保険を認めてやらなければならぬ、保険にかけてくれば。こういうような制度になっておりますので、非常にいろんな危険性があり、また、参議院の決算委員会におきましても、相当この保険関係からは、ほとんど融資保険だけが批難事項が出ておるわけでございまして、やはり私どもといたしましては、融資保険というのは、先ほど申し上げました保証保険の方へ切りかえていくということが妥当ではないか。しかも、金融制度調査会においても長い間検討いたしまして、そういう方針でいくべきだというその結論を出しておりますので、今申し上げましたような趣旨から、てん補率につきましても八十を五十くらいに今度は下げる。それから全体の資金のワクも百億程度にするということにしたわけでございます。
  61. 野溝勝

    野溝勝君 川上長官の説を聞いておるというと、国会よりは金融制度調査会意見を重点とし、かつ調査会の見解は聞かなきゃならぬような印象を与えまして不愉快だ。国会は第二次機関みたいに考えている感じを与えるから注意してほしい。調査会も行政的専門の機関であるけれども、参考にし、敬意を払うということはいいけれども、それが最高のものじゃないのです、あくまで国会が最高機関なんですから。そこで、いろいろと御所見も聞きましたが、何と説明しようとも、保証料率の引下げは、中小商工業者の需要量の減ることになり、業界は案外期待を裏切られるということになると思うのでございます。こういうような点についてあらゆる角度から検討されたことありますか。金融制度調査会の御所見だけでなくて、一般中小企業者の一体調査なり所見なりを聞いたことがございますか、この点一つお伺いしたいと思います。
  62. 川上為治

    政府委員川上為治君) 金融制度調査会意見をあまりに尊重し過ぎるような意見を申し上げまして、まことに相済みませんが、実は私の方としましては単に金融制度調査会だけの意見ではありませんので、これは一般中小企業者意見もいろいろよく調べる、特にその保証協会関係、これはもう何べんも会いまして話し合いをしまして、そうして、最初ども考えていましたものも、やはりその保証協会意見相当入れまして、これを引き下げる、料率についてはそういうような措置もとったわけでございまして、私どもとしましては、この百億程度基金ということから考えますというと、まあ、この程度最初は踏み出すということが最も妥当ではないかというふうに考えたわけでございますし、特に包括保証については五十万円以下を現在一分四厘大毛というのを半分以下にしたということは、これは非常な大きな私の方としましては勉強ではないか、勉強というと、非常に語弊がありますが、実はそういうふうに考えておるわけでございます。
  63. 野溝勝

    野溝勝君 私所見を述べて質問を打ち切ります。金利の点、機構、運営の点につきまして強く私は所見を申し述べた次第でございます。政府は大体論の御答弁はあったのですが、政府考えは、金融機関に主点を置き、中小企業の意向が汲みいれられず、決して政府考えておるようなものではないのでございまして、この際、特に零細なる中小企業者にこたえるように、運営の上に大努力を願いたい。かように申し上げて私の質問を打ち切ります。
  64. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、この辺で質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  66. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。  それでは午前中は、この程度にし、午後は二時半に再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十分開会
  67. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を再開いたします。  質問の通告がございますので、これを許可いたします。
  68. 赤松常子

    赤松常子君 当委員会で、重要な法案が山積いたしておるにもかかわらず、今の繊維の不況対策に関しまして、若干の私の質問時間をお許しいただきましたことを、委員長初め理事の皆様に心から感謝申し上げます。  時間もございませんから、私簡潔に要領よく御質問いたしたいと思いますので、どうぞ答弁も要領よくお願い申したいと思っております。  繊維産業が、戦後、及びずっと戦前から日本の経済発展のために尽して参りました。その功績を今さら私ここで申し上げる必要はないと存じます。ほんとに、製糸を含めまして、過去一世紀の間、日本の貿易の王座を占めて参りまして、外貨の獲得のために非常に織維産業が尽して参りましたことは御承知通りだと思うのでありますが、昨年来の経済不況から、急に繊維産業界にも深刻な波が押し寄せて参りました。つまり、設備が過剰になる、従って、在庫が増大している。だから首切り、操短というようなことに、非常に悪循環をして参っておりまして、しかも、そのたびにいつも犠牲になるのが、関連労働者、特に繊維産業は、申すまでもございません、未成年の婦人労働者が八〇%も占めておりまして、こういう、一面非常に力の弱いと申しましょうか、そういう婦人労働者を多く擁しておりますものですから、こういう操短などが非常に簡単に行われがちでございます。ところが、こういう実態に際しまして、政府及び行政機関は、もうこれはしようのないことだ、既定の事実だ、というような態度をお示しになっていらっしゃるだけでございまして、私どもは非常に遺憾に思う次第でございます。特に、繊維産業は景気の変動を敏感に感ずる特殊性を持っておりますけれども、私ども、その根本的な不況のよって来たる原因は、政府のこういう繊維産業に対する計画性と申しましょうか、その計画性の欠除、及び、その反社会的な問題がいろいろ起きておりますが、そういう問題に関しても実に冷淡でいらっしゃる。そういう政府自体の繊維産業政策に対する計画性のなさというものが、こういう不況を招いている大きな原因のように私どもは思っているわけでございますが、こういうことがずっとこれから放置されるということになりますと、日本の経済の発展に大きな障害を来たして参り、また、輸出の面からも、大へん私は日本の経済に大きな損失を招く問題になると思うのでございます。さらに、今申しますように、ここに働いております婦人労働者、八〇%でございますので、首切りなどになりますと、最近も御承知のように農村に帰っても仕事がない。で、最近売春防止法も施行されておりますから、そういう、農村に帰った若い女子の人が、そういう方面に落ちていくということは防いで参りましたけれども、しかし、都会などのまだ不健全な職場にそういう人が流れてきている事実は、私、これは一面大きな社会問題でもあると思うわけです。こういう実情に対しまして、私は、政府がどう思っておいでになるのか、将来の見通しをどういうふうにお立てになっているのか、こういう社会問題をどう処理されようとなさっているのか、少し質問したいと思うわけでございます。  まず第一は、操短についてでございますけれども、いつも問題になっておりますのは、操短ということが一応行われましても、現実、その過剰生産になっておる。こういうことはもうすでに御承知通りでございますけれども、この、額面通り操短ということが行われていないという、こういう実情でございますね、これも私は非常に問題だと思うのでございますけれども、まあ、きょうは問題をしぼって参りたいと思っております。で、昨年の四月にスフが一二%操短をいたしましたことから、だんだん人絹、綿紡、純毛糸に波及して参りまして、本年一月からは綿糸が約二〇%、それから人絹が約五〇%の操短が強化されております。この四月一日からは、さらに、綿紡糸が三〇%の操業短縮に切りかえられておりますし、その上に、さらに政府の三十三年度の上期の外貨予算では、原綿とか原毛の割当を減らしていらっしゃる。こういう対策が行われておりますけれども政府は一体、繊維の不況対策は、こういう操短だけで十分であると思っておいでになるのかどうか。今申しますように、そのしわ寄せはすべて労働者にかかってきている。  で、私は政府にお伺いしたいことは、現在の操短の効果というものが、一体どのくらい現われているものか。先ほど申しましたように、逆に過剰生産になっている面はないのかどうか。それからさらにこの操短の期間、これをいつごろまでに限定しておいでになるのでございましょうか。この点をお聞きいたしたいと思います。
  69. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 具体的なお尋ねでありますから、私から答弁させていただきます。操短は昨年の初め、化繊から始まりまして、お示しのように本年一月の状態では全面操短に、あらゆる品目について適用されるような形になっております。その間操短が完全に守られたかというお尋ねでありますが、部門別に多少実情が違っております。人絹については、五〇%の操短はほぼ確実に守られた、それに対して綿糸などの例では、実はあまりよく守られていない、そう言うのは、はなはだ私どもとして不行き届きでありますが、現実の問題として十分操短が守られないといううらみがあったわけでございます。これは一つは、昨年の下半期において、国際収支の関係から原綿の削減を相当強度にいたしました際に、相当反騰するじゃないか、価格が相当上るじゃないかという懸念が業界に横溢しておりまして、懸念といいますか、そういう期待といいますか、操短等についても非常にぴしっと、こまかいところまで政府が監視するというところまで実は行き届いておらなかった。むしろ、業界の自主的な協力を待つ面が非常に多かったのであります。ところが、前年から持ち越しております綿なども相当関係もありまして、やはり若干操短が励行されてないのであります。そこで、実は四月から勧告操短に切りかえて操短の率もきびしくなりまして、ことに励行の面に力を入れて、もちろん関係業者にも協力してもらい、非常に監視を厳重にやっておりまして、最近は勧告通りの操短、三割操短が実施されているといって差しつかえないかと思います。そういうこともありますし、また、他の並行してとられた政策、買い上げ機関の運用ということもございますし、金融的にもある程度その辺を弾力的に運用していただくという、言葉は適当ではないかもしれませんが、それぞれの配慮をいたしまして、実は四月に入りましてから、市況は持ち直して参りました、まだ一〇〇%安心するというところまで参りませんが、大体四、五月の間に操短を励行して参る。まず、正常在庫といいますか、異常在庫を解消して、大体普通の状態に六月、七月ごろには戻るんじゃないか。そうなって参れば、操短のやり方等についてもまた実情に応じたように、品目別に検討してやっていきたい、こういうふうに考える次第であります。
  70. 赤松常子

    赤松常子君 今、局長は将来の見通しを楽観的におっしゃっていらっしゃいますが、はっきりとその操短をいつ打ち切るかということは、どう思っていらっしゃいましょうか。
  71. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) ただいまの需給の基調がこのままで推移いたしますならば、四-六月の軒並みに非常に強度の操短をやっておりますが、これはある程度是正するといいますか、むろん品目別の事情も異なりますし、十分検討した上でのことでありますけれども、このままで推移すれば、ある程度操短を、部分的に漸進的に緩和していくというようなことを考慮しなければならぬのではないかと思います。
  72. 赤松常子

    赤松常子君 時期は、はっきりおっしゃられないのでございましょうか。
  73. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) これはどうも繊維界の需給の見通しというものは、専門家でもなかなか十分立てられないのですが、私ども役所としては、いろいろな関係業者、専門家の意見も聞いて判断はいたしておりますが、これはやはり六月ごろになりましてから、最終的に判断いたしたい。
  74. 赤松常子

    赤松常子君 できるだけ早くそういう時期が来るように御指導いただきたいということをお願い申し上げます。  それから次に、この繊維の関係は昨年来非常に商社の倒産が深刻でございまして、六百四十二軒に達しております。その負債額は二百七十億円となっておりますけれども、本年一月、二月になりますと、少し軒数は減っておりますけれども、負債額は漸増いたしております。そうしてかえって、一軒の商社の倒産の負債額というものが、大口化されているわけでございますが、こういう商社の倒産に反比例いたしまして、紡績大手筋の四月の決済というものは、十社合計で約四十一億円利益を上げている。まあ、これは表面上の数字でございますけれども、実態は、隠し利益が相当あると言われているわけでございます。それで、商社や中小企業あるいは織物、織屋と比較いたしまして、相当私は紡績十社は利益を上げていると思うのでございますが、政府として、こういう繊維不況に際しまして、商社の倒産の原因、それからその実情というものに対してどういうふうに見ておられますか。将来こういうことは、どうして防げばよいと思っていらっしゃるのでございましょうか。私のここで申し上げたいことは紡績十社はそう損していないということ、そうして中小企業の織屋、商社がそのしわ寄せを食っている。こういうことに対して、政府の御指導に手抜かりがあったのではないか。将来こういうことは、どういうふうになさろうとお考えになっていらっしゃいましょうか、お聞きしたいと思います。
  75. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 商社の倒産につきましては、昨年の七月に、例の日比谷商店が倒産したときが金額的に、軒数から申しましても、最近のレコードでございます。そのころに比べますと、軒数でいうと七割前後、あるいは金額でいうと四、五割というようなところで、大体毎月推移しておるわけでございます。ただ月によって、たとえば最近で言えば十二月が多い、あるいは三月、これはそれぞれ市況の底と申しますか、非常に急激に値段が下ったとか、そういうような変化に応じておるわけでございます。それで、倒産の原因ということになりますと、これは各企業ごとに異なりますけれども、やはり放漫な経営をしているということが原因になっておるものもございますし、また、過去において何べんか危機があって、その際に累積した赤字というか、負債というか、そういうものがある機会に表面化したというものもございます。いずれかというと、大きいところの倒産には、そういうような事情が何らか伴っているように思われます。しかしながら、一般的に言ってこの黒字倒産、つまり経営はちゃんとしておったんだが、金融上の行き詰りで倒れた、あるいは人が倒れたために、連鎖反応で倒れるという、そういうような事態が起らないようにということは、金融当局にも私どもは、日比谷商店の際にはもちろんであります、その後も十分に連絡をとっておるのであります。最近は、少し市況が持ち直して参りましたので、そういう意味の倒産というものは軒数も、金額も私相当減って参るということを期待いたしております。  それから大きな紡績会社あるいは大メーカーと商社との関係が、アンバランスではないかというお話しでございますが、今の御指摘の十大紡について、個々に一々私どもは申し上げるわけに参りませんが、あるいは人絹メーカー、そういうものは相当苦しい状態に現在なっております。表面の利益がどうであるとか、推定の利益がどうとか、そういうことは私は申し上げたくございませんが、相当苦しい経営になっていることは事実であります。しかしながら、それはそれとして、商社あるいは機屋その他の中小企業との関係もバランスをとっていかなければならない、そういう点は私どもも十分留意しておりまして、まあ、個々の取引のことでございますから、あまり立ち入ったことは申せませんけれども、しかしながら、関係業界で話し合いが行われる際、そういう事情をよく承知して、側面からある程度相談に乗っていくというようなことも、ときにはいたしておるわけでございます。
  76. 赤松常子

    赤松常子君 金融対策のことについて、ちょっと今お触れなさいました。もちろん、あれでございますね、紡績十社の苦しいというのと、破産、倒産して、ほんとうに根も葉もなくなったというのとでは、だいぶ違うわけでございますが、私はこの商社あたりにも、中小企業者にも金融対策というものは、相当熱意を持っておやりになっているのでしょうか、どうでしょうかというところに、相当疑問を持っておるわけでございますが、具体的に簡単でよろしゅうございますけれども、何かそこに片手落ちがあると私どもは感ずるわけです。簡単でよろしゅうございますけれども……。
  77. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 最近の例で申しますと、人絹の機屋さん、これは北陸地区のですが、この経営が非常に苦しくて、これに対して中小企業の専門金融機関から、そのワクをきめて融資をすることをきめて、それから経常的に機屋さんの団体その他から、いろいろと融資の申し出もあります。それに対しては、やはり専門金融機関を通じて相当融資のワクを広げておるということでありますが、実は零細な商社その他になりますと、正直に申し上げて、なかなか専門金融機関、あるいは市中の金融機関にしても、手の届かない面があるということは、どうもそういう面があるようでございます。
  78. 赤松常子

    赤松常子君 どうぞそういうように、ほんとうにその点には御留意願いたいと思っております。それから次にお尋ねいたしたいことは、一昨年施行されました繊維工業設備臨時措置法、この中には、またそのときの政府の御説明では、一般消費者及び関連業者の利益を不当に害するおそれがないと、この条文の中にもそういう規定がございます。けれども実際今操短が行われておりますその実情を見て参りますと、たとえば操短を、主として原糸を作るその段階で行われているわけでございますけれども、これは生産が少くなるのでございますから、糸の価格の維持には、相当私は効果を上げていると思うのです。それは糸が少く生産されるから、価格は相当維持される。だから、そういう点の糸を作る面では、利潤は相当確保されることと思うのでありますけれども、しかし、これが織屋になると、織屋の多くは中小事業場でございまして、こういう織物の段階に参りますと、糸は高い、布は安いというようなことになって参っておりますのです。これは私は糸を作る段階では、利潤が相当確保されているが、織屋に回ると、そのマージンが少くなる、こういうところが、私は非常に関連労働者、あるいは関連業者においてバランスが破れていると思うのであります。こういうものに対して、一貫した総合した対策というものを、何か根本的にお考えでいらっしゃいましょうか。  私のお聞きしたいのは、糸は高い、布は安い、そういうわけで、原糸を作る事業場は、利益があるけれども、布を作るところは非常に苦しいというわけです。こういう繊維の一貫性というところにおいて、バランスが破れておると思うのであります。こういう点の御指導を、どういうふうにしていらっしゃるのでございましょうか。
  79. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 操短を励行する効果をはっきり出すという面から申しますと、できるだけ元の方を締めていった方がはっきりするわけです。中小企業は非常に多い数で、操短を励行すると申しましても、やはりなかなか監督の行き届かないという点もありまして、どうしても原料あるいは原糸の段階の操短の方が強く響く、実効が上る。むろん、私どもとしては、糸の段階と並行して、機屋さんの段階に対しても、これはただいまでは中小企業団体法でございますけれども、これの調整組合で相当厳重に操短を励行させ、糸と織物とのバランスがとれないようなことのないように指導しているわけであります。実際問題として、励行の度合が違うということから、アンバランスが出てくるということは、ある程度いなめない事実であります。ただ、最近私は市況が回復してきて、糸、織物の価格が元に戻っております。その戻り方は、割合健全な戻り方であります。数字をあげてもよろしいのでありますが、綿糸の上り方と、織物の上り方というものが、大体でありますが、並行してきております。三月の今ごろの時期に比べますと、機屋さんの採算というものが、一カ月の間に相当よくなっている。これは私どもの計算でもよくなっている。むろん、一カ月前には非常に悪いのでありますから、それと比較して、現在非常に手放しで喜んでいるというわけではございませんが、大体綿糸、綿織物あるいはスフ糸、スフ織物、その辺は相当バランスがとれております。毛糸、毛織物の関係が、毛糸が比較的大幅に、急激に上ったというようなことで、一時的にはちょっとバランスがくずれている面もございますが、しかし概して言えば、これはそれほど悪い形ではないという感じが実はしております。むろん、将来とも大企業の生産する原料分が、非常に独歩高で、中小企業の生産する製品の方が、バランスがとれないということであれば、いろいろな方法でこれは調整していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  80. 赤松常子

    赤松常子君 ただいま大へんよくなったとおっしゃいますことに関しまして、私どもの持っている資料は非常に悪い資料なんでありまして、この点の食い違い非常に私遺憾に思っております。この点についての質問は、きょうは時間がございませんからいたしませんけれども一つの例を申しますと、一ヤール当りのマージンがたった二十六円というのです。これで工賃も払わなければならぬ、運営もしていかなければならぬというような実情の資料を、私実は持っているわけなんでございますが、今あなた様の大へんよくなっているとおっしゃることと、ちょっと食い違っておりますことは、いつかまた掘り下げて御質問したいと思っております。  それから次に、先ほど申しました産業設備法の政府の御説明の中に、今申しましたように関連者には、関連労働者にも、関連業者にも、不当に利益を損害しないという答弁をしばしばなされているわけです。ところが、現実その起きております、この不当な不利益をこうむっているのは今申します首切りだ、一時帰休だという目にあっている労働者なんであります。これを一体産業設備法のその御説明の中に、関係している者には不当な利益の損害を与えないとおっしゃっているのでございますが、その中にも労働者が含まれている御答弁だったのでございますが、今度のこれには今繰り返して申しますように、みんな首切りされているのは労働者だ、こういう点に対して不当な不利益を与えていないとお考えなのでしょうか、いかがでございましょうか。
  81. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 私ども操短を勧告いたします際にも、特に労務関係において不当な整理を行わないようにという一項目を、実は入れて勧告しているような次第でございます。ただ、実際問題として経営が非常に成り立ちにくいといいますか、非常に困難な状況になりました際に、また、操短によって人がどうしても一時的には不要になるというような際に、ある程度の、まあ言葉はよくありませんが、整理とか帰休とかいうようなことがどうしても起って参る。その際にも、できるだけ将来情勢が好転したときにはすぐ復帰できるように、あるいはそういう整理というところまでいかないで話を済ます、その辺の考慮は、相当経営側でも払っているようでありまして、私どももその辺の実情は聞いておるのであります。まあ、労務者の方からいえば、いろいろとまた御注文もあるだろうと思いますが、私ども決してその点を軽視しているわけではございません。  それからなお、機屋の採算のことを、ちょっと私言い方によっては、誤解を招くかと思いますが、今日でも実は計算上は、やはりある程度の赤字はございます。決して経営が非常に楽だということを申しているわけではございません。ただ、一カ月前に比べて好転しておる、あるいは糸だけが上って織物が上らぬというような状態ではないという点を申し上げたのでございます。
  82. 赤松常子

    赤松常子君 次に、お尋ねいたしたいことは、繊維の不況打開のいろいろな方策があると思うのでありますが、その一つといたしまして、今申しますように原糸製造の段階が大企業、それから第二段階の織布の段階が中小企業、こういうふうに日本の繊維の業界の構造が二重になっておるのでございまして、そこにもいろいろ私は問題があると思うのでございますが、これが再編成なり、あるいはそこのスムーズな何と申しましょう、運営なりというようなことに、何か将来お考えがございましょうか。この現状がいいとお思いでございましょうか。何かそこに私は不況の原因があると思うのでございますが。
  83. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) これは私が御答弁していいのかどうかと思いますが、まあおっしゃるような企業の規模の差が一般的にございます。私どもとしては、中小企業が大企業にある程度同じような立場で取引ができるように、これは団体法による組織化という方法もありましょうし、金融の裏づけという面もありましょうし、いろいろな面で、これは中小企業対策の面でいろいろ考えております。特に機屋さんの部門等につきましては、織機の買い上げに補助をいたしておりますとか、あるいは織機の入れかえ、近代化設備を入れるようにする、これも実質的な補助をやっておるというようなことで、中小企業の体質改善と申しますか、そういう方面にもいろいろ努力をいたしておるのであります。今後ともそういう努力を続けて参ります。
  84. 赤松常子

    赤松常子君 いろいろ私その点でもお聞きしたいことがありますけれども、またの機会に譲ることにいたしましょう。それからその次に、やはりこの不況打開の一つの方策といたしまして、糸価の安定、繊維製品の価格の安定ということが、非常に大事な要素だと思うのでございますが、これが今、投機の対象になって、取引所の非常な投機の対象になっているということも、私は変動の原因だと思うのでございます。何も業界にも生産にも関係がない証券関係の人々が、こういう繊維の価格のあるいはつり上げなどに、非常に糸をあやつっているということ、投機の対象になっているということが、こういう縦維業界の敏感性を一そうあおっていると思うのでありますが、この取引所の制度というものをどうお考えでございましょうか。実は米の統制撤廃反対を私どもがいたしておりますのも、衣食住の大事な米を投機の対象にしてはいかぬという、そういう立場に立っているのでございますが、繊維の不況の一つにこの取引所の存在、こういう制度の存在というものが、大きく原因していると私は思うのであります。この点についてどう考えていらっしゃいましょうか、お聞きしたいと思います。
  85. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 繊維取引所の取引において、いわゆる過当投機と申しますか、今のお話しのようなしろうと、場違いの方まで入って値を上げ下げするというような弊害の出たことが、何回かございます。それは事実でありますが、そのたびごとに、私どもとしては過当な投機を抑制する措置を取引所にとってもらっておりますが、今後も市況の回復に伴って、またそういうような投機が起ってくることも考えられます。その点については十分監視を続けるつもりでおります。ただまあ、そういう弊害がある一面、やはり繊維の正常な取引を続けて参ります上に、取引所の果す役割、保険作用と申しますか、かけつなぎと申しますか、そういうような面、あるいはその他相当必要な機能もございます。過当投機の場にしばしばなるから、直ちにこれを閉鎖せよ、上場を停止せよということは、少し行き過ぎではないか、そういうように考えております。
  86. 赤松常子

    赤松常子君 どうぞこれは本質的な問題でございますし、私も考えていきたいと思っている問題でございますので、よりよい指導をお願いしたいと思っております。あと二、三点でございますけれども、今業界では、輸入の原料を使わないで合成繊維とか、化繊の方面を助長をしていくというような声もあるのでございますが、これが今またそろそろ始っております混乱、たとえば合成繊維がいいといえば、どっとその方に傾いていく、また、これで過剰生産になっていく。こういう悪循環が実は合成繊維の中にも現われておるわけでございますが、こういう点に対する政府の指導、見通し、どういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  87. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) 合成繊維について、ただいまは各社が競って計画している分野と申しますると、実は羊毛にかわる新しい合成繊維の分野であります。これは世界的に、まだ作業としてはきわめて初めの段階にあるのでありまして、どういう品種のものが、最も国際的に見て競争力のある将来性のあるものであるかということも、まだ確定しておらないような段階であります。で、こういう初期においては、各社にそれぞれ競争的にある程度の生産をさしていくということが、非常にいいんじゃないか。合成繊維工業については、数年前から政府が育成しておりますのは、これは将来輸出産業にして一つ育てていこうという、それから綿花なり羊毛の輸入の節約になる、主として国際収支の面の立場から、それからもう一つの産業の構造の高度化と申しますか、石油化学工業等と並行して新しい工業を興して、産業構造を高度化していくというこの二つのねらいがある。私どもとしては、むろん一時的に非常に大規模の合成繊維工業が乱立して興るということは、歓迎しておらないのでございまして、それについては調整を加えておりますけれども、しかし、今の段階でどれとどれはいいが、どれとどれはいかぬというふうに、はっきり区別して統制するということは、少しまた行き過ぎではなかろうかと考えておるわけでございます。
  88. 赤松常子

    赤松常子君 この合成繊維に対しましても、綿糸、綿紡みたいな混乱の起きませんように、前もって私適切なる御指導をぜひお願いしたいと思っております。  あともう一点でございますけれど、この操短の問題に関しまして非常に問題になっておりますことは、国際市場において非常に過当競争が行われている、これも、私、国内の繊維の価格の不安定になっている一つの要因だと思うわけでございます、設備が多いとか少いとかいうことでなくですね。いろいろな商社の人が国外に出まして、そして同じ製品をA社は百円、B社は九十五円、C社は九十円というふうに、お互いが国際的な市場に出て、出先で過当な競争をしている、これがタコが自分の足を食うように、自分で自分の首を締めているという結果になっている実情は、私も二、三海外で聞いておる事実でございますが、こういう国際的な市場においてのふだんの統制と申しましょうか、そういうことのために、在外公館に商務官制度でもお置きになって、出先でそういう監督なり統制なりをなさるというお考えはございませんでしょうか、私はこれは非常に大事な一点だと思うのでございますが、この点に対してのお考えをどうぞお聞かせ下さいませんか。
  89. 小室恒夫

    政府委員(小室恒夫君) これもあるいは私が御答弁するのは適当であるかどうかと思いますけれども、繊維は特に過当競争が激しいといわれておる品物でございますし、現在でもこういう問題があるマーケットに対しては、経済官庁から適当な人が外務省へ出頭して、実際上商務官的な役割をしておる、それと並行して、私ども輸出の窓口の面でできるだけ過当競争が行われないように、業者間に協定してもらうとか、いろいろと対策は講じておるのであります。そのほかまあジェトロとか、その他の機関にも実情を調査し対策を立てる上に参考となるようなことを調べてもらうようにいたしておるわけでございます。商務官制度というものは、これはまあ、それ自体大いに議論の対象になり得ることだと思います。私どもとしては繊維の過当競争の防止のために、いろいろなことを考えておるということを取りあえず申し上げます。
  90. 赤松常子

    赤松常子君 どうぞこういう点でも将来見通しをもってお考え置き願いたいと思っております。  最後の一点でございますが、非常に輸出振興が叫ばれておりまして、従来から繊維の輸出はもう王座を占めておる、相当のウエイトをもってやっておる産業でございますが、将来こういう繊維産業の輸出問題は、これをどういうふうに御指導なさいましょうか。あるいはその今の現状はどうなっているか、それだけお答えいただきまして、私の質問をこれで終ることにいたします。
  91. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 繊維品の輸出につきましては、御承知通り、また先ほどお話がありましたように、現在の日本の輸出品の三分の一を占めておるわけでございます。しかし、今後の行き方として考えますと、東南アジアその他につきましては、機械類並びにその原料品、まあ率直に言いますと、現地で繊維を作るというような傾向にありますことは、これまた御存じの通りであります。従って今後の繊維品の輸出を考えます場合には、アメリカその他のいわゆる先進国に対しましては、極力高級品を作るということで、さらに輸出を伸ばしていかなければなりません。また、東南アジア等につきましても、化繊を向うで自給して作るような情勢になってはおりますが、従ってこれまた、やはり高級品を次から次へと考えながら繊維品につきましては、それを輸出を伸ばしていくという方向で考えていかなければならぬのでありまして、それにつきまして、われわれといたしまして、国内の繊維工業というものに対しましては、今後外国の競争力に十分打ち勝ち得るように設備を近代化していかなければならぬということが一つであります。  それからもう一つは、ただいま申し上げましたように高級品を作っていく、技術指導を十分やって、技術の向上ということを考えていかなければなりません。ことに、繊維品は中小企業者が非常に重要な地位を占めて生産をしておられます。で、中小企業者のいわゆる設備の近代化、あるいは技術の向上、いわゆる体質の改善ということに努力いたしておりますのも、繊維品が中心になっておるわけであります。この点は極力ただいま申し上げましたような方向で推進し、また、輸出振興の直接のいろいろな関係につきましても、ただいまお話がありましたように、ジェトロ等を通じまして、日本の繊維品の宣伝に努めるということで、極力今後におきましても重点を置いて推進していきたいとかように考えております。
  92. 赤松常子

    赤松常子君 最後に要望を申し上げておきます。今、小室局長からも再三おっしゃいましたように、操短の矛盾がどうぞ起きないように、強くその面に目を通していただきたいと思います。それから今大臣がおっしゃいましたように、ほんとうに中小企業の人々がこれに多く関連いたしておるのでありますから、そういう人々へのしわ寄せがこれ以上深刻にならないように、そうして婦人労働者の多いこの産業に、また弱い者だからというので、しわ寄せが多く行かないようにということを、縦からも横からも、十分な御指導とそれからこの御注意をいただきたいということをくれぐれもお願い申し上げておきます。また、広く国民の立場から日本の繊維産業の重要性というものを、また将来の繁栄というものを、ほんとうに正常化して参りますように強く要望いたしまして、今後の御注意をさらに一そうお願いして、私の一応質問を終ることにいたします。     ―――――――――――――
  93. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは次に、日本貿易振興会法案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  94. 相馬助治

    ○相馬助治君 一点大臣に承わりたいのですが、従来ジェトロの本部は、大阪にあったわけでありますが、今回はこの法律によりますと、本部を東京に置くことに相なるわけです。そこで考えられますことは、大阪は何といっても、中小企業の多いところでありまするし、貿易商社も中小規模のものが多いのでございまして、ジェトロというものが海外事情を調査して日本の貿易振興のために資する組織であるということになれば、中小企業者は、自分の力で海外の事情を調査をして貿易をするということが、うまく参らないということを考えまするというと、当然ジェトロは大阪のようなところに力を注ぐべきものであり、今まで大阪にその本部があったということも、理由のないことでなかったと、こういうふうに思うのです。今までの地方公共団体としてのジェトロへの協力態勢を見ましても、東京都に比べて、大阪はきわめて積極的であったということも、われわれは承知いたしております。また、今回の大阪で開かれておりまする日本市を見ましても、あれが東京ではあの程度にまで地元の協力が果して可能であろうかというふうに考えられる程度に、なかなかよく協力をしていると思うのです。もちろん、あれが刺激となって、次に東京で見本市が開かれるという場合には、東京の協力はあれ以上のものであることを期待はいたしまするが、しかし、とにかく現実に見まするというと、大阪というのは、府もそれから市も非常に積極的に協力をしているようでございます。従いまして、私は大臣に明確に承わりたいと思いますことは、本法の成立によって東京に本部を置くにいたしましても、ジェトロの事業という面から考えて、当然大阪に重点を置くように特段の配慮があってしかるべきであろうと、かように考えるわけでございます。従ってそのように期待して果してよろしいものかどうか。これに関しまして大臣から明快に所信を拝聴しておきたいと、かように存じます。
  95. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまの御質問に私も全く同感であります。大阪はもちろん貿易の中心でもありますが、中小企業者が多い。従ってジェトロが中小企業者中心の貿易振興機関であるということにかんがみまして、仕事としては大阪に重点を置き、中心として考えるべきだと思います。ただ、今まで大阪中心でありました点の欠陥は、大阪には全国的な機関がない。従って大阪には重点が置かれますが、他の府県あるいは商工会議所あるいは商工会というものとの連絡が、かえってとりにくい。従って本部としましては東京に置いて、その全国的組織との連絡を密にとるという必要があると、かように考えまして、本部は今回東京に移すのでありますが、仕事の量、あるいは仕事の重要性につきましては、従来とまあ変りなく大阪に重点を置いていかなければならぬ、かように考えておるのでありまして、従いまして大阪には有力な役員も駐在させる、あるいはまた、人員につきましても、現状以上にこれを縮小することば全然考えておりません。また、本部の権限も、十分向うにも権限を与えまして、そうして迅速な活動をやれるというふうにいたしまして、仕事はあくまでも重点を大阪に置いていく、そして全国的な連絡は東京の本部でとっていく、こういうような考えでおります。ただいまのお話のような御懸念のないように、われわれ運営をして参りたいと、かように考えております。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 午前中に野溝、椿両委員から触れられておったのですが、まだ私はっきり了解しない疑問点があるわけです。経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案、これが大蔵委員会において、わが参議院どころか、衆議院でもまだ成案を見ておらないと、こういうことになってございまして、この法案ができないうちに、それを使う法案をきめるということは、若干邪道に触れるというように私は判断するわけですが、この点について通産当局はどうお考えになっておりますか。
  97. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) まあ、この基金経済基盤強化資金の法律によって規定されておりますので、これは不可分のものではあると思います。しかし、切り離して進行をしていただきますことは、たとえば農林関係法律も通過しておるように承知をいたしておるのでありまして、従って、もちろん、経済基盤強化基金に関する法律もぜひお通しを願わなければなりませんが、これもそれとまあ離れて、なるべく早急にお通しを願いたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 前尾通産大臣は、農林委員会の例を取り上げて御説明下すったわけですがね、これは衆議院法案を審議する場合とか、農林委員会法案を審議する場合等においては、まだ解散の日程もきまってございませんでしたし、相当な日数がございましたので、当然この経済基盤強化法案が通るであろうというところで上げたかもしれませんけれども、しかし、今日の段階においては、すでに衆議院すら上っておらぬ法案でございますから、本国会ではとうてい成案を見ることができないということが明白になっておるわけです。明白になった今日、なおかつその法案が通らなくても、本法案をやはり成立させなければならぬかということに、私はきわめて疑問を持つわけです。通産大臣はこの大蔵委員会にかかっている基盤強化に関する法律が通るという御自信がおありなんですか。
  99. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 基盤強化に関する法律が、まあわれわれとしましては通ることを期待はいたしておるのでありますが、これは私がどういうふうな進行になるかについて、確信を持ったり、あるいは私の考えを申し上げるわけには参らぬと思います。しかし、この法律の振興会につきましては、あの基盤強化基金と切り離しましても、ぜひお通しを願いたいことは、この振興会に関する考え方が、おそらくどなたもそう内容についての御異論があると私考えておりません。また、それが設立がおくれるかもわかりませんが、おくれるにしましても、いろいろ準備もして考えていかなければならぬのであります。そういう意味合いからいたしまして、これが通らぬといいますと、貿易振興会自身に何か欠陥があるのじゃないかというふうに考えられますことも、私おそれるところであります。ぜひこの振興会法につきましては、できるだけすみやかにお通しを願いたい、かように希望いたしておりますのも、そこらの考え一つあるわけであります。
  100. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して今の問題お尋ねしたいのですが、おっしゃる通りに、貿易振興のために相当多額の金を出すということを政府が決意し、その必要上ここに法律案を出して参ったということに対しては、たびたび私ども触れているように、これに敬意を表しているわけです。ところが、われわれがどうしても理解に苦しんでおりますことは、ここで通産大臣に対して非常な攻撃をするという立場でなくて、全く了解に苦しんでおりますことは、この経済基盤強化に関する法律案というものは、その内容とするところ、私ども社会党の立場から、きわめて好ましいものと、それからきわめて好ましからざるもの、具体的に例をあげますと、労働協会法案というものに相当額の金を出しまして、調査研究ならまだしも、これがかなり大規模のPR運動を行う、どうもこれは社会党の立場からいたしまするというと、やや出ない化けものにおそれているきらいはあるかもしれないけれども、好ましからざる金の出し方であるというところから、この経済基盤強化のための法律案にわれわれはいまだ共鳴し得ない、こういう状態になっておるわけであります。なぜこういうものの、政策上大きな問題になることが、当然予想せられる親法案なんかにジェトロの問題をからませたのか、これは率直にこの経済基盤強化のための法案だとか何とかこんなものを出さずに、出さずにでなくて、これはこれとして出したとしても、私はこの貿易振興会法案関連のある今度の財政支出というものは、別途すっきりした線で出すようにしておいた方がよかったとこう思うのです。従いまして、それに対する大臣の見解。それから第二には、かりに不幸にいたしまして、この親法案という法案が通らなかった場合においても、なおこの法律の成立を期待する理由、これについて、率直な御見解を承わっておきたいと思います。
  101. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この日本貿易振興会の特殊法人の出資という構想につきましては、実はもう以前からわれわれ考えておったのであります。ただ、出資でありますから、過去の剰余金を使うという考え方がまあ適切ではないかというふうに考えて、参ったのであります。と申しますのは、まあ臨時的な、一時的な支出でありますから、過去の剰余金を使うというのが、財政原則からいいましても適当であるというふうに考えて参りまして、従ってああいう剰余金の使途につきましては、中小企業金融公庫の出資とか、あるいは日本貿易振興会の出資というものは、剰余金を充てるというふうな考え方で、ずっと貫いて考えて参ったわけでございます。その後いろいろな考え方ができまして、そうして率直に言いましたら、この二つの基金考えたのが、まあ最初でありまして、その後いろいろの農林省関係におきましても、あるいは労働省関係におきましても、いろいろな構想をお持ちになったように思うのであります。しかし、それもあの基金を使うのが妥当であるということでありましたので、まあ、われわれとしましては、それと一緒の出資でありましても、これはわれわれの方として文句を言うべき筋合いの問題でもありません。そういうような関係で、ああいう基盤強化法律というものができたのであります。これがまた予算でも言われておりますように、二としの新しい考え方によったその点を明確にするという意味で、ああいう法律ができたと思います。また、この法律の貿易振興会法案を切り離してもお通し願いたいというのは、先ほどちょっと触れたのでありますが、とにかくこの法案自身は、忍ばそう御異論のあるところではなしに、むしろ十分皆さん方の御了解が得られるというふうにも考えておりますので、これが流れたということになりますと、何かその法案の中に非常に適当でない、あるいは欠陥があったのじゃないかというふうに考えられることをおそれるのが一点と、もう一つは、通ってさましたら、これに基いて必ずまあ今後出資も行われると思いますし、また、それに対するいろいろの準備等も促進できる、かように考えているわけであります。ただこいねがわくば、経済基盤強化法律もぜひ通していただきたいということをつけ加えてお願いしておきます。
  102. 相馬助治

    ○相馬助治君 それが通らなくても、これは通してもらいたいということですね……。
  103. 阿部竹松

    阿部竹松君 これも相馬委員が触れたのですが、やはり問題になるのは、この法案内容そのものについては、反対でございません。反対でございませんけれども、そのやり方とあるいは方法がどうも納得がいかぬのです。政府がこの種の仕事にお金をお出しになって、貿易を振興して、ドルをかせがなければならないという理屈については、これは全く異議がない。ただこの法律をこしらえても、しかし、その金の出道がまだ明確にならない。それでも現在の内閣がずっと続くということであれば、次期臨時国会でやるということであればよろしいが、もうあす、あさって、やのあさってになると、国会は解散して選挙になる。そうすると内閣が全部かわるわけですよ、そうすると、こういう政策でいくかどうかということが、まず第一番に問題になる。あなたたちが全部残ればけっこうだが、また自民党が第一党になっても、総理大臣がどうなるかわからぬ、通産大臣がどうなるかわからぬ、そういうときに、この子法案を先にきめて、親法案を宙ぶらりんとするというようなことを、国会議員としてやっていいものかどうかということについては、私はあまり自信を持てない。前尾通産大臣も代議士なんです、国会議員として、親法案がきまらないのに、子法案だけきめて、そうしてこの次の国会で親法案の成立を希望するというあやしげなことで、立法の府にある議員としてこれでよろしいという、あなたの自信を持った、確信を持った御回答を願いたい。それがなければ、私は賛成者であるが、きわめて私は消極的にならざるを得ない。その点あたりを大臣の明確な御答弁を願いたい。  第二点は、さいぜんから、あなたが例を引かれて御説明になりました農林委員会の問題等においても、わが商工委員会においてこれをきめましても、一切がっさい子法案をきめてしまうと、大蔵委員会は何を論議するかということになる。大蔵委員会で論議しても、あらゆる各種のこのここから出発する法案がきまってしまったからきめなければならぬということになると、大蔵委員会でそれをでんぐり返せば、また再びここで法案を審議しなければならないという矛盾が出てくるわけですが、そのあたりを明瞭にお聞かせ願えば、これは何より幸いだと思います。
  104. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私は貿易振興につきましては、従来から申し上げているように、いろいろな点はありますが、少くともこの貿易振興のいわゆる振興事業の中核体としての形式につきましては、政府がといいますか、全国的な問題でありまするから、そうしてまた、政府がみずから力を入れていかなければならぬのだということについては、これはもう国民の全般の常識じゃないかというふうに考えておるのであります。私でなくても、この点は私の政策的な考え方というよりは、当然来るべきところに来たのだ、これはジェトロというものが自然発生的にできて参りまして、そしてそれが段階を追うて強化されるという意味からいたしますと、当然ここらで特殊法人に切りかえるという筋合いのものだというふうに考えておるのでありまして、これは自民党だからどう、社会党だからどう、あるいはまた、私が通産大臣だからどうこうという問題ではないように思うのでありまして、これはぜひ極力早い機会に、ことに今貿易振興の重要なときに、こういうふうな改正を行うべきだというふうに考えておるわけであります。従いましてそれにつきましては、一日も早い機会に御審議を終っていただいて、そして通していただくということが、   〔委員長退席、理事相馬助治君着席〕 肝心だ。たとえ出資の問題は別といたしましても、そういうふうにお願いしたい。こういうふうに考えておるわけであります。ただ、これはもちろん出資をしなければ発足はできないわけであります。従って極力また出資の問題につきましても、経済基盤強化のうちでも、中身につきましては、一体ではなしに、切り離していろいろ御審議なり御修正を願うようなことになるかもわかりません。それにしましても、ぜひ出発のできるようにお願いしたいのでありますが、それを切り離しましても、とにかく、そういう方向で行くのだということは、この際にやっておいていただきますと、その準備からいたしましても、極力早い機会に発足できるということにもなりますので、切り離してでも、ぜひお願いしたいというふうに考えておるわけなのであります。
  105. 阿部竹松

    阿部竹松君 早い機会といっても、五月二十二日選挙で、選挙の日から三十日以内に特別国会を開かなければならぬということがきまっておりますから、当然特別国会で論議されることでしょう。しかし、そこで経済基盤強化に関する法案というものが廃案になれば、この法案は、これもともに廃案になるという結論になりますね。
  106. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これが通過いたしましたらそれはそれとして、廃案というのでなしに、通過した法律になりますから、経済基盤強化の方のあるいは規定を直すとかそういうふうな問題になるかもしれませんが、これとしては廃案ということにはならぬのじゃないかと思っております。
  107. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の心配するのは、それは法律は生きておるわけですよ。しかし実際問題として、四百三十六億ですか、それから出てくる金を使っちゃいかぬということになると、この法案は残っておるけれども、実際上の仕事は何にもできないということになるから、形はあるけれどもなきがらであるということなんですが、あなたのお話を聞くと、そちらの方がだめになれば、大蔵省の方で別個の特別予算の方ででも認めてくれるという話し合いでもあるわけですか。
  108. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 経済基盤強化法律が特別国会に出されるということになりますれば、これが通過すれば、これが生きてくる。もし、経済基盤強化法律の形が変りましたら、あるいはまたこちらの方の法律修正を要することになると思います。その修正によって、何らかのあれがあるものというふうな関係になるものと思います。かように考えております。
  109. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、次期国会にもしそちらの方が思い通りにいかなければ修正なされると、こういうことですからお話はその点はわかりました。  次に、バナナの輸入についてですが、あれは別個の法律ですから、これと直接関係ないと思いますが、だいぶ前の委員会ですが、松尾局長さんにお伺いしたとき、横浜であったか、神戸であったか、私よく記憶しておりませんけれども、大体百ポンド、十二貫、それが二千七百円で来る。われわれの口に入るときは一万二千円から一万五千円だ。そうすると、横浜に着いてわれわれの口に入るまで一万円のさやがある、こういうことについて、私は非常に疑問を持っておるのです。ですからこの貿易振興がこの法案とは直接関係ございませんけれども、そういうものはまことにけしからぬと思う。こういう点についてどうお考えですか。
  110. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) バナナの価格のいわゆる小売価格、あるいは卸売価格、あるいは浜におきます価格と、それぞれあるわけでありますが、確かにその消費者の口に入ります場合の価格は、かなり高くなっておることは事実であります。しかしながら、これは需要供給の関係できまっておるのであります。台湾との間の協定によりまして、年間六十万貫、四百五十万ドル、それから中共から、これはごく少量でございますが入っておる、こういうことであります。今御指摘にありました二千七百円といいますのは、いわゆる日本の港における到着価格で、それに関税が二〇%かかりますし、それからその他港のいろいろなチャージを入れまして、普通輸入のコストというようなものが三千五百円ぐらいになっておるのじゃないかと思うのです。その上に例の特定物資の法律によりまして、差益を徴収いたしておるのであります。差益の徴収は、先般も大竹先生も御指摘になったのでありますが、この夏場に向いまするので、前期よりは確かに差益を高くいたしまして、一一七%にしたのでありますが、しかしその差益を加えましても、大体浜相場が六千七百円ぐらいになるわけであります。若干こういう青物の商売でありますから利益もありましょうが、今現実のところ、浜では七千円とか七千五百円ということになっております。それから室に入って加工されて、所定の配給ルートを通して消費者の口に入る、こういうわけでありますので、われわれといたしましては、法律ではその差益を取れと、こういうふうになっておるわけであります。従いましてこの浜相場がどの程度になるかということを頭におきながら、差益を取っておる。従ってこの現実の浜相場が七千円、七千五百円というものが転々としまして、消費者の口に入る場合には一万二千円になっておるという場合も、これはこういうものの性質から来る一つの現象であって、いいとか悪いとかいうことにはならないではないか、こういうふうに思うのであります。ただ、われわれがその差益を算定しましたときに想定をした浜相場というものと、現実の浜相場とが非常に遊離をしておるということでありますれば、差益の取り方が少いのじゃないか、あるいは差益の取り方が多かったのじゃないかということで、けしからぬという問題が起るかと思います。今、先生の御指摘のように、一万円、一万二千円になったからけしからぬ、こういう問題ではないのではないかと私は思います。
  111. 阿部竹松

    阿部竹松君 確かに二千七百円が一万二千とか一万五千円になっておってけしからぬが、私は一万二千円全部がもうけになっているのではないと思います。あなたの御説明のように関税もかかりますし、加工料もかかります、政府の差益金が高いとか安いとかということで、大竹委員が論議をしたことも聞いておりました。しかし、それにしても、わずか三千円足らずで来る十二貫目のバナナ一かごが一万数千円になるということは、あまりにめちゃくちゃだとはお思いになりませんか。まあ、大臣は最高の元締めかもしらぬが、おそらくあなたが一番実権を握っておられると思うのです。で、私は、あなたから、なるほどこれは高いと思います、もう少し安くしなければなりませんという御答弁をいただけるものと思っていたところが、そういうことではないというお話しでございまするから、どうもあなたの貿易政策というものに対して私は非常に疑問を持つ。二千七百円のバナナが、商売人がもうけるのだから、政府ももうけるといって差益金を取る、そうしてわれわれの口にくるときには、十貫目で一万円も、とにかく差がつくというのは、私は政府のお考えがどうも不思議でたまらぬのです。こういうことをやっておったら、貧乏人はバナナが食えないんです。口ではりっぱなことを言っても、海外のドルを働かなければいかぬと言って、こっちへくるのはノーズロースでやっておる、こういう点については通産大臣はどうお考えになるのですか。   〔理事相馬助治君退席、委員長着席〕
  112. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) バナナの輸入につきましては、これは特に生活必需品ということでもありませんから、需要があれば全部入れるというわけにはいかぬと思います。従って希少価値からかなりバナナが高く売られるという現実問題があると思います。と申しまして、われわれも決してそれで、高くていいんだという考えを持っているわけではないのであります。結局安く手に入るということが望ましいのは事実であります。しかし、結局において、希少価値のためにバナナが高い、その間にまた暴利といいますか、非常に利益が得られているということになりますと、その利益は個人に帰属させずに、国で徴収すべきだ、こういう筋合いになってきていると思うのです。ただそれが、今度は逆に、差益金を取るから高いのだというふうにいろいろ言われておるのでありますが、実際は差益金を取りますのは、結局高くてその商売人の方に利益があるから差益金を取る、こういう行き方でなければならぬ。それが丁度逆のような感じを与えておるのではないか、もし差益金を少くしまして、それによってバナナが現実に安く食えるということでありましたら、私どもも差益について十分考えていかなければなりません。また、その間におきまして、現在においても業者の利益が非常に大きい、暴利だということになりましたら、それについての対策も考えていかなければならぬのですが、ただ差益金ということだけでいきますと、どうもこれはぐるくる回りする、従って何らか他にいい方法がありまして、行政指導等によりまして、もっと安くバナナが消費者の口までいくということでありましたら、それについては極力差益金も少くしまして、安くみんなが食えるようにしたい、かように考えるわけでありますが、これらにつきましては、十分今後検討いたしたいと思います。
  113. 相馬助治

    ○相馬助治君 局長に一点だけ伺っておきたいと思うのですが、今、阿部委員が質問しましたバナナは特定物資の法律によって律せられるのであるから、ジェトロについては直接の関連がないと、こういうふうに思いますが、現在まで輸入して参りました雑豆のようなものは、特定物資の法律にはかからないために、かなり問題のある差益金をジェトロに取り扱わせて参ったわけです。これはいろいろ問題もあるけれども、日本の利益のために、適法がなければ、これによってすることもやむを得ないとして、私は前の委員会においても、問題にはしましたけれども了解いたしておるのですが、この際特にジェトロ法ができ上るについて、局長の見解を承わっておきたいことは、最近伝えられるところによると、その差益金を従来の一五%から三〇%程度に上げるということやら、あるいはまた青天井の受け付けをやるというようなことが、一部から伝えられております。で、一つは、差益金をそういうふうに上げるということが、国際的な問題としても実に重大かつ微妙な問題であろうと思いまするので、その点については何パーセントとかというようなことを、私は差し出がましく申しませんが、一つ善処をお願いしたいということが一点。  それから第二点は、これをその調整金を上げることによって、青天井で入れるというようなことに踏み切りますというと、従来中小企業者、特に中小企業の輸出業者のために設けておりました特別外貨制度、これは実に私は成功していると思うのです。通産省が今までやった制度のうちでは、これくらいりっぱに中小輸出業者のために成功している制度はないと思うのですが、その制度の妙味が全く失われることになりますので、これらの点についても、その妙味の失われないように、すなわち第一は、ジェトロ取扱いの差益金の問題についての善処及び特別外貨制度の妙味を失わしめないというための善処、そういう問題についての局長の見解を、簡単でいいですから伺っておきたいと思います。
  114. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 雑豆につきましては、最近国内の価格がかなり高騰して参っておりまするので、早急に輸入をしたい、あるいはしなければならぬという要望が、業界からもあるし、農林当局からもあるわけです。そこで、その差益の率あるいはマル特制度でやるというようなことにつきましては、過去の例もございまするので、今、関係各省と十分協議をいたしているのでありまして、今ここでまだ最終的な意見を申し上げる段階に実は来ておらぬのでありますが、先生の御意見も十分体しまして慎重に処置をしたい、こう思っておる次第であります。
  115. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  この際、お諮りいたしますが、阿部委員から修正が提出されておりますので、本修正案を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは阿部委員より修正案の趣旨説明を願います。
  118. 阿部竹松

    阿部竹松君 本委員会における自由民主党並びに日本社会党両党を代表いたしまして修正動議を提案いたします。    日本貿易振興会法案に対する修正案   日本貿易振興会法案の一部を次のように修正する。   第十二条を次のように改める。   (役員の欠格条項)  第十二条国会議員、国家公務員   (審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員は、役員となることができない。   第十三条中「前条各号の一」を「前条の規定により役員となることができない者」に改める。  以上であります。  なお、理由といたしましては、原案には日本の貿易を振興せむとするこの種の法案は当然超党派的にやるべきであって、かような見解から十二条の二号に政党の役員を入れたというように考えるのでありまするが、もちろん、本法に基いて総理大臣より任命される役員の方々は、国家的な立場からお仕事をなされるのが当然でございます。しかし、そのような適任者が選任されるのは当然でありまするけれども、われわれ委員会におきましては自民、社会両党共同提案といたしまして憲法に抵触する云々は別といたしましても、健全なる政党政治の発展、固有の権利を認めなければならないと存ずるからであります。また、本法の適用に当って一方的な片寄った政治的行動をとるべきでないことはもちろんでございまするけれども、広範囲に人材を求めることができるという点も合せまして、三月二十五日に本委員会で論議されました理化学研究所法案中、衆議院において修正せる十五条二号と同様のものに従いまして、自民、社会両党代表いたしまして、修正案を提案するものであります。
  119. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のおありの方は、順次御発言願います。――他に御発言もなければ、修正案に対する質疑は尽きたものと認め、これより原案及び修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  121. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま議題となりました日本貿易振興会法案に関しまして、私は日本社会党を代表いたし、ただいま阿部竹松提案にかかります修正を含めまして賛成の意を表明いたします。  本問題につきましては、質疑の段階において、だんだんの質疑をいたし、担当大臣よりもそれぞれ確信に満ちた答弁をいただいておりますので、多く言うことをやめます。  ただ、この際強く要望をいたしたいと思いますることは、日本の貿易の実態は、中小企業者に負うところきわめて重かつ大であります。かような観点から中小企業の実態に基きましてこれをながめまするときに、経済的負担能力が乏しいため、十分なる海外活動のできない実情にございまするから、海外市場の動向の把握とか、商品の海外宣伝等につきましては、特段の便宜をはかる必要があろうと存じます。従いまして日本貿易振興会がその運営に当っては、その点を十分心するように私は強く希望をいたします。  第二は、この種の仕事は、何と申しましても、結局人材を得るかどうかにかかって参ります。従いまして担当大臣といたしましては、この法律の成立に伴いまして、それぞれの組織その他について積極的なる見解を持って整備をされると存じまするが、その際よき人を得て、よき事業効果を上げられるように特段の御注意あらむことを私は強く希望いたします。  以上、二点をお願いいたしまして、阿部竹松提案にかかる修正案を含め、私どもは本法に心からの賛意を表する次第であります。
  122. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は無所属クラブを代表いたしまして、ただいま阿部委員提案修正案を含めての本案に賛成の意を表するものであります。  しかし、私は実はいろいろな問題で十二分質疑をする機会がなかったことを非常に残念に思うのでありますので、この機会に一、二言その点を述べさしていただきたいと思うのであります。  まず第一に、この問題につきまして、異論の何人もないということは、三十一億五千万ドルのいわゆる輸出の至上命令、この問題を遂行する上には、どうしても本法案の必要であることはこれは言を待たないのでございます。しかしながら、新しく発足をしようとするところの本案に対しまして、われわれは従来とって参ってきておるところの過去のジェトロの様相というものについて、深く実は解剖の刃を向けなければならない。しかしその質疑をする機会がなかったので、この際特に一言申し上げたいと思います。むろん、これは私は不正とか、あるいは不当とかというのではないのでありますが、この前私が指摘をしたバナナに関する差益だけでも約二十二億も入っておるというような、こういう点におきまして支出の状況を見ますと、むろん、半分ぐらいは国庫に寄付とはなっておりますが、五千万円とか八千万円とか一億とかというようなまるでつかみ取り的な支出をいたしておるのであります。いかに閣議の了解事項といいましても、こういうやり方を一般が見まするならば、これは驚かざるを得ないのでございます。そういう点におきまして、今後も会計のあり方等につきましては、特段の一つ御監督を願いたいと思うのであります。  それから今後発足をするのに当りまして申し述べたいことは、過去におきまして民間の貿易団体というものがたくさんあるのでありますから、できるだけそうした民間団体との連絡を十分にとってもらうこと、ことにただいま開催されておりまする大阪の見本市というようなものが、今後どんどん開催されるのでありますから、こういう各種団体につきましては、一そうの連絡をとり、必要に応じましては、また本会が後援をするというような点にまで御留意を願いたいと思うのであります。  それから人事の問題は、しばしば本委員会質疑が出たと思うのでありますが、決して官僚中心の人事にならないで、でき得る限り広く人材を野に求めていただきたいと、かようにお願いをするわけであります。  さらに、これは大阪方面の要望でございますが、従来のジェトロの本部は大阪にあったわけであります。それが今後東京が中心になるということにつきましては、大阪の少くとも中小企業相当がっかりいたしておるのでありますが、こういう点を特に御留意いただきまして、あるいは大阪に支部とか何かりっぱな事務所ができるのでございましょうが、こういう点に対しましては職員、機構その他を充実して善処されたい。  以上をもちまして私は本案に賛成の意を表する次第でございます。
  123. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は自由民主党を代表いたしまして、先ほど阿部委員のお述べになりました修正案を含めて本法律案に賛成をいたします。  本法律案は、今までの財団法人の海外貿易振興会を改組して、特殊法人である日本貿易振興会にするきわめて重要な法案でございますが、わが国の経済界の実情からいたしまして、貿易の振興は最も国家のために緊要のことでございます。そこで、ただいま各委員からもお述べになりましたが、この日本貿易振興会の中心は何といいましても、これを処理される理事長以下役員に人を得るかいなかという点が最も重大であると思いまするので、その人選等に当っては、特に御留意願いたいのであります。  なお、この会の運営に当られる運営審議会、これもきわめて大切なことと思いますので、この点についても御留意を願いたいのでございます。これが、この改組されました後の働きによって、日本の貿易が伸展することをこいねがいまして、賛成の討論といたします。
  124. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決いたします。  まず、阿部君提出の修正案を問題に供します。阿部君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  126. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって阿部君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  127. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって修正すべきものと議決されました。  次に、委員長の報告等諸般の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  次に、本案に賛成の方は、順次御署名願います。   多数意見者署名    青柳 秀夫   高橋進太郎    古池 信三   小沢久太郎    三木與吉郎   小幡 治和    椿  繁夫   相馬 助治    阿部 竹松   大竹平八郎    赤松 常子   高橋  衛     ―――――――――――――
  129. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、中小企業信用保険公庫法案及び中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案を議題といたします。  これより両案を一括して討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  130. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ただいま議題となっておりまする中小企業信用保険公庫法案並びにこれに関連する法律案に対しまして、自由民主党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  わが国の中小企業の育成に当りまして、最もその運営上困難であり、また、支障を来たしておりまするのは、信用の非常に低いという点にあるのでございます。これが、中小企業のいろいろな面において、この信用度の非常に低いということが、いろいろな場合において阻害されておるのでございまして、この点の補完作用といたしまして、今まで各県に信用保証制度が設けられておりまするが、これを各県別あるいはまた地方別をこしまして、これを総合して、日本全体において、強力な力を持つということは、各中小企業者のひとしく望んでおったところであります。そういう点から申しますれば、本法律案は、画期的な立法でありまして、まさに、さきに通りました中小企業団体の法律とともに、これは大きな実体的な意義を持つものと考えられるのであります。  その意味におきまして、心からこの法案に対して賛成し、一日も早くこれが発足を望むものでございますが、ただ衆議院等におきましても、付帯決議等にございました通り中小企業者がその信用を得まするのには、いろいろな点において支障があるのでございます。特に利率が非常に高い、経費がよけいかかる、こういう点が、非常に大企業とのギャップになっているのでございますから、そういう観点から申しまするならば、できる限りこの信用保険公庫におきましても、非常な低利で、ゆくゆくは無手数料でこれを保証するというような仕組みにならなければならぬと思うのであります。  もう一点は、各地におきまする保証協会というものを、さらに強化するというためには、むしろ今回のように、中央においてこの資金を保有すると、こういうことでなく、むしろ、これを努めて各地方における保証協会等に預託をいたしまして、その基礎を確立してやって、そうして中央地方相待って、わが国の中小企業の育成に努めるべきであると考えますので、さらに政府におきましては、この点を留意せられて、将来の予算措置その他の問題におきまして、十分考慮せられることをお願いいたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
  131. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま議題となっております二法案につきまして、私は日本社会党を代表いたしまして、賛成の意思を表明いたします。  中小企業に対する信用補完制度の拡充強化をはかるために、その機構の整備に関して、中小企業信用保険公庫法案を提出し、これに関連して関係法律整理等に関する法律案提案をいたしまして、資金難にあえぐところの中小企業者のために、何らかの、幾分なりともこれに潤いをかけたいという熱意をもって、本法を提案いたしました政府に対しましては、率直にわれわれは敬意を表するにやぶさかでございません。  しかしながら、ここでわれわれが問題としなければならないことは、かかる小部分の法整備をもってしても、とうてい救えない程度に、日本の中小企業者というものは、その企業の基礎も脆弱であり、資金の面においても、困窮を重ねて参っております。従いまして政府といたしましては、本法のようなものを積極的に出すことはもちろん、その前提といたしまして中小企業が大企業に食われるというような点を法律をもってカバーし、あるいはまた、問題となっておりまする事業税の免税等についても、積極的な意思を示し、しかも、本法のような提案を企図いたしまして、資金難にあえぐところの中小企業者のために、いま一段の積極的な誠意をこめてほしいと念願せずにはおられないわけでございます。  従いまして、そのような基本的な問題に対しまして、強く要望をいたしまするとともに、本法の改正に伴なって、どうか提案理由説明に申し述べておりまするように、中小企業者のために実効の上るような運営をなさることを強く期待いたしまして、本法に対して賛成の意思を表明いたします。
  132. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。これより採決をいたします。  まず、中小企業信用保険公庫法案を問題に供します。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  134. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  135. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、委員長の報告等諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  次に両案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名    青柳 秀夫   高橋進太郎    古池 信三   小沢久太郎    三木與吉郎   小幡 治和    椿  繁夫   相馬 助治    阿部 竹松   大竹平八郎    赤松 常子   高橋  衛     ―――――――――――――
  137. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、水洗炭業に関する法律案を議題といたします。  これより本案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、これより採決いたします。  水洗炭業に関する法律案を問題に供します。本案を衆議院提出の原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  139. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、委員長の報告等諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  次に、本法案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    青柳 秀夫   高橋進太郎    古池 信三   小沢久太郎    三木與吉郎   小幡 治和    椿  繁夫   相馬 助治    阿部 竹松   大竹平八郎    赤松 常子   高橋  衛     ―――――――――――――
  141. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、北海道地下資源開発株式会社法案を議題といたします。まず、本案の衆議院における修正点について御説明を願います。
  142. 渡辺惣蔵

    衆議院議員(渡辺惣蔵君) それでは北海道地下資源開発株式会社法案修正点につまして御説明を申し上げます。  修正点は二点ありまして、第一点は第二条に定めております会社の本店所在地につきまして、原案では「東京都」とあるのを「札幌市」に改めたことと、第二点は付則における関係法律改正規定に関する事務的な整理であります。  第一点の、本店を東京から札幌へ修正をいたしました理由につきましては、討論のときからの過程におきましていろいろ問題になりました点は、第一点は北海道の経済基盤強化関連いたしてであります。従来開発八十年の途上にあります北海道は、経済上の立地条件が整っておりません関係から、ややもするとある程度企業体が伸びますと、順次これが本店を東京に移していくという傾向が非常に強いのでありまして、しかも、それが税金等をのがれるためにそういう行為をするというような事例も非常に多くなって現われておりまして、こういう状態では、北海道の全体の経済基盤強化し、北海道の総合開発を推進をする上に大きな支障に相なる、こういうことが北海道関係の人々のすべての共通の考え方であります。そこで、北海道地下資源開発株式会社のごとく、国策会社の性格を持つものみずからが、現場は北海道でありまするのに本店を東京に置くという、こういうものの考え方は、北海道の今後の開発に対して、かえってマイナスになるのではないか、こういう観点から、こういう背景から一つ第一点が問題になったのであります。  次には、一つの例といたしましては、一昨年スタートいたしました北海道開発公庫、ただいまは北海道東北開発公庫と改められておりますが、当初北海道の開発のために作られましたこの公庫法制定当時におきましても、同様にその本店を札幌市に設置をいたしたわけであります。その後東北が合併いたしまして新たに法改正をいたしました機会に、東北を合せましたので本店を東京に移すに至りましたが、この場合におきましても、札幌に本店を置くという形をとりましたので、そのものの考え方が根底にあるわけであります。  その次に第三点に考えられましたのは、この会社の特質であります。この会社は、ほとんどその企業の対象が北海道における中小炭鉱あるいは中小の金属鉱山等の経済的の基盤の条件の立ちおくれておるものに対する国家的な協力をしようというところにねらいがあるのでありまして、その対象がほとんど中小企業であります。従いまして法案の中から見ましても、たとえば受託探鉱の場合においては、その支払を三年払いにするとか、あるいは共同探鉱の場合には、一年の据え置きで五カ年払いにするというような性質から申しましても、対象が経済力の非常に弱い、北海道で事業をいたしておりますものを対象にいたしており性質から見ましても、これは本店を全面的に北海道に置いてやるべきだ。中央のやはり大会社等を対象にしてやられるのではなくて、北海道におけるそういう経済基盤を持っておるものを直接の対象にしておると、こういう点であります。そういう諸般の事情から、これを北海道札幌市に本店を移すということの修正をいたしたわけであります。  第二点につきましては、原案の付則におきまして、関係法律の整理を行い、その十二項で、租税特別措置法の第八十四条第一項を改正しておるのでありますが、同項は今国会で両院を通過成立いたしました繭糸価格安定法の一部改正法律によって改正され、すでにこの第十二項の改正の対象が変っておりますので、法律上事務的な整理をいたしたのであります。  以上簡単でありますが、衆議院における修正趣旨説明申し上げた次第であります。  何とぞ御賛同をお願い申し上げます。
  143. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上で説明は終りました。修正点について御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  144. 相馬助治

    ○相馬助治君 御出席の渡辺並びに川村衆議院議員に一点お尋ねをいたします。  衆議院におきまして本店の所在を、「東京都に置く。」というのを「札幌市に置く。」と御修正になったことは、今だんだんの説明を聞いてよく理解をいたしました。ただ、ある前例がございまするので、心配のあまりその点をただしたいと思うのでありますが、かつて参議院の商工委員会においてできた法律で、東北開発株式会社法案というものがあり、その法律によって東北開発株式会社というものが生まれまして、その本店は仙台にあったのでございます。ところが、昨年法律の一部改正を行いましたが、その際明瞭になりましたことは、人数は若干ど忘れをしているので違うかもしれませんが、仙台の本社に四人か六人の人員がいて、東京の支社に六十何人かの人がいて、総裁もほとんど東京に蟠踞している、こういうことで、われわれはけしからんではないか、そういうふうな機構では大体仕事にならんではないか一従ってこういうふうな、能率が上っていないので法改正を行なって、資金を補充しなければならないようなありさまになったのであるから、総裁の首を切れ、それからまた、本店の機構についてももう少し真剣に考えろ、こういうことをわれわれは強く主張をいたしまして、その法律の一部改正に賛成を表したのでございます。従って原案では「本店を東京都に置く。」こういうふうに書いてある。これはこういうふうに書かなければならない理屈があり、そういう意思があるものと期待をする。ところが、衆議院の方では「札幌市に置く。」ここだけ直す。政府の方ではそのことだけは承知する。そうして札幌市の本店に四人いて、東京の支店に六十人いたというようなことがないとは何人も予見できない。従って修正する場合に、そういうようなことも考慮して、くぎをさして修正されておるかどうか、この点を一点だけ私は伺うのでございます。ただ名目上だけ書きかえるのだというなら結局同じだから、こういう修正案には私ども同調をするわけに参らないので、お尋ねいたします。
  145. 渡辺惣蔵

    衆議院議員(渡辺惣蔵君) お答えいたします。これは特に北海道地下資源開発株式会社というのは、東北開発会社とは本質を非常に異にしておるのであります。東北開発の場合は、これは東北六県の異なる行政区画にまたがって、しかも、それはそれぞれの地方に工場その他の施設を持っております。仙台の本店が四名であるかどうかは存じませんが、これは仙台の場合は、むしろ連絡機関的な役割になってしまって、むしろそれぞれの地域にある工場その他の施設の方がこの会社にとっては重点であるのであろうと思います。従ってまた、東北全体の数県にまたがる行政地域を異にする会社でありますから、これが東京へ移るということはあるいはあり得るかもしれませんが、北海道の場合は、特定の一地域行政区画を対象にしたものでありますので、当然それは北海道の開発を目的としたものだから、北海道に本店があるべきであるということが一つであります。  その次に問題になりますのは、北海道地下資源開発株式会社というのは、これは何にも施設のない会社なのであります。これはボーリングの機械と事務所があればいいのです。その事務所も、別段みずから資産として大ビルディングを作らなければならぬ性質のものでない。借事務所でもやっていけるのであります。従ってすべての現場というものは、作業場というものは青天井でありまして、全部露天で作業をいたして、そこへ移動して歩きますので、その事業の対象は、すべて北海道の地域である。こういう点につきましては、この会社は東北開発とは若干の性質を異にいたしますので、北海道の現地に本店を置いて処理すべきである。中央における関係は、金融関係と監督官庁との関係及び機械整備等の問題でありますが、機械整備のごときも、特定の機械を買いますれば、相当長期に使用できますので、それほど中央における事業というものは、ある時限では多忙でありましても、継続的に東京で業務をいたさなければならんという根拠はない、こう考えまして修正をいたしたわけであります。
  146. 阿部竹松

    阿部竹松君 副総理も、修正提案者である渡辺、川村両代議士も御多忙だと思いますので、簡単な問題からお尋ねいたしますが、この法案提案理由とか逐条説明には、きわめて美言麗句をもってつづられておりますけれども、しかし、今まで北海道開発庁ができてからわずか数年の間に、所管大臣が十四、五回変っている。勘定できないくらい変っている。従って今まで大体何をやってきたかということを聞きたい。北海道の総合開発政策、こういうものについて、たまたま副総理は大物であるから、若干予算を取ったかもしれませんけれども、今までの北海道開発庁が何をやってきたか。大体衆議院の方では国土開発委員会で論議されておりまして、私ども参議院の商工委員会でやるのとは違うだろうと思いますけれども、こういうことで自民党、社会党の衆議院議員は満足しているかどうか、北海道の開発をどうするかというそういう点をまずお尋ねします。
  147. 川村善八郎

    衆議院議員川村善八郎君) お尋ねにお答えいたしますが、大臣が十何人も変ったというようなことは、われわれがどうも関知することができませんけれども、とにかく北海道の開発につきましては、相当に力を社会党においても入れて参りましたし、しかしまだ不満足でありますので、今後社会党と力を合せてやらなければならないという覚悟だけは、持っているような次第であります。
  148. 渡辺惣蔵

    衆議院議員(渡辺惣蔵君) お答えいたします。昭和二十六年北海道開発庁が成立されまして以来、わずかの間に十四、五人変られたことは事実であります。はなはだしい人は十二、三日しか在任しなかった例もありまして、これでは北海道のほんとうの計画性のある開発というものはできないと存じまして、常日ごろから、何とかしてそういう点の認識を変えていただくことを、機会のあるごとに政府に求めて参ったわけであります。さらに石井副総理は、昨年の二十六国会以来、北海道開発庁長官の代理をお勤め下さいましてから、引き続きまして開発庁長官として非常な熱意を傾けていただいておりますので、こういう点につきましても、十分に今後北海道開発の計画的な継続的な措置について、政府としてお考えになっていることと私は信じております。
  149. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 北海道の開発がいかに重要かという問題は、今さら論ずることもないのでありますが、戦争が終りまして、日本が徳川時代と同じくらいな範囲の領土に押し込められてしまった後、日本の経済をりっぱに建て直していくには、北海道のようなまだ十分開けてないところの農業、工業、鉱業、水産、これらのものを盛んに開発しなければならんということで、北海道開発庁が設けられまして、それから第一次五カ年計画が計画されまして、昨年をもって五カ年終ったわけでございます。この五カ年計画の実施の結果を見まして、いろいろな批判が昨年出たのは、御承知だと思いますが、八百億の金を投じながら、ほとんど開発らしい開発もできてないじゃないかという声もあげられたのでありますが、第一次五カ年計画の時代は、基本的な施策といいますか、河川、道路、港湾というような方面の基盤的な面に主として金が使われて、この上に立ちまして、第二次五カ年計画というものが今度策定されたわけであります。この第二次五カ年計画によりまして、私どもは第二次産業と申しますかし工業の方、インダストリーの方、マイニングの方というように力をだんだん入れていこう、同時に道路というようなものもますますよくしなければ、内地の道路の五分の一ぐらいしか道路網を持たないという北海道の今日の状態でございまするから、これに力を入れるというので、ことしは、三十三年度の予算では百億余りの道路費も盛っておるというようなことで、基本的なものをだんだんよくすると同時に、私は産業に力を入れていきたい。今日議題になつておりまする地下資源開発会社のごときも、地下資源をこれからどんどん開いていかなければならないという立場になっておる北海道といたしましての、まあ一つの計画というふうに私どももこれに熱意をこめてやっていきたいと思います。今北海道は、まだいろいろな点から見ますると、不十分な状態でございまするけれども、北海道開発庁を設けられた趣旨は、日に月にだんだん積み重ねられつつあるということだけは私は申し上げられる、こういうふうに考えております。
  150. 阿部竹松

    阿部竹松君 北海道の開発庁長官の異動について、川村代議士は私の関知しないところであるという御答弁でしたが、あなたは北海道出身であり、北海道の総合開発という面から見ても、所管大臣として来られる開発庁長官には、非常にやはりあなたがいいと思う人を長くおって欲しいという努力をされておったというふうに、私は判断いたしました。しかし今お伺いすると、全然関知をしておりませんということですから、関知をせられないのかしないのかわかりませんけれども、私はもう少し北海道出身の方が、こういう美言麗句の法案に賛成するということであれば、まだまだやらなければならぬ仕事があるというふうに判断するわけです。しかし、私はあなたに議論を吹っかけるわけじゃないのですから……。  次に、石井副総理にお伺いをしたいことは、今から一年半ぐらい前に開発庁長官の、あなたは大臣でなかったでしょうけれども、あなたの庁の今までの業績について、北大の中谷博士が、数百億の金を泥の中に投げてしまった、ということは言われませんでしたけれども、ややそれに類似するような論文を天下に発表したことがございます。これについて長官はどういう御見解を持っておられますか。
  151. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただいまも、ちょっとその問題に触れたのでございましたが、第一次五カ年計画が終りましたあとで、中谷教授が、北海道の仕事は金を使ったけれども、まだ何の成果も上げていないという意味のことをいろいろと述べられました。これと同じようなことがダイヤモンド誌にも載った。で、その内容をずっと、私もその当時ちょうど北海道長官の代理をしておるときでありました。この問題が国会の議題にいろいろなりましたので、その当時よく申し上げたのでありますが、第一次五カ年計画というものは、基本的な部分に非常に力を入れてきましたので、出てきたものがあまりぱっとしない。産業の発展というものに、たとえば農業とか、あるいは水産とかその他商工業というようなものにも、数字的にいいものが特に出てきていないと、八百億の金を投じながらそれこそむだじゃなかったかという声が上げられたわけでございますが、これはただいまも申しましたように、第二次五カ年計画、さらに第三次五カ年計画と、だんだんとこの仕事、工業あるいは農業、林業、水産業という方面の仕事が一そうしやすくなるというような状態になるような、基本的な仕事を今まではやってきたのでございまして、第一次五カ年計画はむだであったとは思わないのでございます。ただ、第一次五カ年計画を済んで振り返って見ますると、道路もこうしたい、あるいは河川もこういうようにしたいというようなもの、そういう仕事の分量が三〇%でなくて、六割から七割というようなものにまで、全体的ではでき上らなかったというところに、非常に残念なものがあったと思うのでございますが、今度第二次五カ年計画を作るに当りましては、さらにその基盤を強化すると同時に、鉱業あるいは水産、農林というようなものの仕事を一そうこれから努めて盛んにしていくという方向に向っていくつもりでやっているわけでございます。
  152. 阿部竹松

    阿部竹松君 五カ年計画という御答弁でございまするけれども、確かに五カ年計画のあったことは私も知っております。しかし、計画と内容とが伴わない、こういうことも和知っております。従って中谷博士の論文にあったと思いますが、ただいま長官の御答弁の中にありました通りの、八百億の金が八百億として成果を上げておらぬから問題が起る。八百億がせめて七百億分ぐらいの仕事をしておれば、批判が少かったかもしれませんが、そういう問題については今後どうされるように……、今回はただ第二次五カ年計画で計画書だけで、そのままで驀進するというお考えでございましょうか。
  153. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 第一次五カ年計画の八百億の金を投じたものが私はむだになっておるとは思わないのでございます。これは基盤を作っていくのに、十分な基盤を作るのには金が足りなかった。第二次五カ年計画は、さらに今までの第一次五カ年計画でやった基盤の上に、それを強化する方法を講じ、そうして、これを土台としてほかの産業を起していく、第二次五カ年計画は産業の発展という方向によけい力を入れるということになり得ると、こういうふうに考えて、その方向で進んでいきたいと思っております。
  154. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、渡辺、川村両代議士にお尋ねいたしますが、この法案内容を読んでみますと、当然さいぜんの御説明と反対の結論が出るように考えるわけです。その仕事の性質から見て、本社を、やはり交渉相手が全部東京におるのでございまするから、本社は当然に、法案内容は別ですよ。この法案を承認するということになれば、本社を東京に置くという開発庁の見解が正しいと私はこう判断するわけです。おそらく北海道の白糠炭田でやるか、あるい金山等の鉱山地帯でやるか、あるいは空知炭田においてやるか、私わかりませんけれども、しかし地下産業を、鉱区、俗に鉱業法で言われている鉱区を持っているのは、全部といっていいくらい東京に本社がございます。あるいは、さいぜん渡邊先生の御説明の中にありましたように、一ボーリング会社であるというようなことになると、帝国石油から機械を借りることもございましょうし、あるいは外国製品を買うこともございましょう。そういうようなことで、当然、役員の、首脳部の仕事というものは、一切がっさい通産省関係とか、民間の利根ボーリング、こういうところとの折衝とか、鉱区の調整とか、そういう仕事がなされる。それはとても札幌ではできない。そうすると、当然東京で一切がっさい交渉するのでありますから、北海道に本社を置くということは形の上だけであって、おえら方は、もう全部東京に来ておるということになるので、さいぜん同僚相馬委員が指摘した通りの東北開発のあの法案内容と全く同じようになってしまうという心配がございます。そういう点を衆議院の国土開発委員会では、どのように論議されたわけですか。
  155. 渡辺惣蔵

    衆議院議員(渡辺惣蔵君) 阿部さんの指摘をされる若干の問題点は、確かに内包いたしておるのでありまするが、この法案は、当初北海道開発審議会にかかりまして討議され、政府に答申をいたしましたときに、これは政府資金九億円、民間出資一億円ということでスタートをし、しかも、そういう条件を抱いて石井長官は政府予算折衝に当られた経過があるわけであります。しかし、ついに予算関係上、これが政府出資二億、民間出資一億という線で押えられて、総額三億円、最初の規模の三分の一でスタートする、こういう形に追い込められて参ったわけであります。従って、これが十億円もの大会社としてスタートするならば、それぞれの規模において中央に本社を置いてやる要素はありますが、僅か三億くらいの金で、東京に堂々たる陣をひいて、そうして現地にあべこべに出張するということになりましたら、これはおそらく仕事にならないという不安感が、衆議院における両党一致の実は不安でございます。ことに、三億円のうちで一年間の人件費が幾らかかるかと申しますと、そのうちの五千五百万円くらい人件費がかかるという数字が出て参ることになって参りますと、資本金の約六分の一強が人件費として年間に消費されるということになりますと、この会社は現地にくぎづけをしなければ非常に危険を伴うのではないか、こういう実は不安もありまして、現在の規模でありますならば、ある時限において必要な事務上の監督官庁とか、その他の連絡に東京に支店を置くなり、あるいは適当なる重役が東京に駐在をいたし執行すればよいのであって、あげてこれは現地にくぎづけをしてやるなら腰を据えてやるということで、東京で初めから雲の上に失業官吏みたいな社長をすえてやったり、妙な重役を持ってきたりすれば食われてしまう。この食われないように一つ大いに道民が監督しなければいかぬという熱意を持って、こういう形で一つは表わしてきたのだと、こういう点を御理解願いたいと思います。
  156. 阿部竹松

    阿部竹松君 こういう法律を作るときに、熱意とかということで、とてもそれを割り切るわけにもいきませんよ。今渡辺先生御答弁の中にございました通り、人件費が五千五百万円かかる、ことしは四月一日から発足しませんから若干安いでしょうけれども、人件費が五千五百万円かかる、本年は幾らか存じませんけれども、来年は五千五百万円ずばりとかかる。ことしのかかった経費と合せれば、一億数千万円が人件費にかかるということになります。そうしますとボーリングは御承知通り三千メートルくらいのボーリングを一本掘るに、場所によって違いますけれども、大体七千万円くらいかかります。ボーリング三本で二億円ほどの金で人件費一億円と、二年くらいで何もお金が一銭もなくなるのですね。そういう点についてこれは石井長官にお尋ねするわけですが、政府は今後どんどんこれにお金を出すものか、そういうことと社債を募集するとかしないとか書いてございますけれども、この点も疑問一それからまた、これを対象として民間から一億円の出資を政府がお考えになっているところも、これはまことに困った法案であると、積極的に賛成してくれるところはない、そういうところのお見通しについて、一億円は集まるものかどうか、集まるといったらどこの社とどこの社とどれだけ出すかということを、これは具体的に長官に承わりたい。それからただいま私が申し上げました通り、ボーリング三本も掘ってしまったら、二億円の金がなくなるということは長官御承知通り、そうするとボーリング三本掘ってあと人件費で、あとどうなるかということが私は心配でございます。私も北海道に関係がございますけれども、北海道に金を持っていって開発していただくということには、一円の金を持っていくことにも賛成であります。しかし北海道を開発する、道民のためだといって美しい法律を作って、中には北海道の道民を助けてやるという美名で、国民の血税をむだに使ってしまうということになりはせぬかという心配がございます。こういう点について長官に明快に一つ答弁を願いたいと思います。
  157. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この資本金は、出発に当りまして政府二億円、民間一億円をただいま予定いたしておりますが、最初の私どもの計画は、十億の金をもって出発したいということを考えておったのでございます。いろいろ折衝の段階におきまして、なかなか困難な情勢になりまして、それが今度はこれを引き下げて十億の資本でやれるような時期まで待つかどうかという問題も考えてみたのでありまするが、政府の出資というようないわゆる一ぺんにこれだけは基本的に要ると申しましても、乏しい財政でございまするから、なかなか実際問題として出してもらえないのが通常でございますので、ことしは政府が出し得る最小限で出発しようじゃないか、しかし、それには出発し得るような状態でなくちゃならない。それには三億なら三億でやれるかといいますと、三億でやりますると、実に貧弱なもの、今おっしゃるような数字がいろいろな形で違う計算も出るかわかりませんが、いずれにしても三億じゃすぐ使つてしまうというので、いろいろ相談しまして、最低五億の金をもって出発しなくちゃいかんじゃないかということで、われわれ相談をいたしまして、結局五億の資金でいきたかったのでありまするが、それもいかず、三億ということに最後は落ちつきまして、一億は政府関係の方から融資を受けるというようなことでやっていこう、こういうことに考えておるわけでございます。で、その出発に当りまして、九億と一億というような割合に考えておった。民間の一億が、今度二億と一億というような割合になって、民間としては非常に政府の力の入れ方が足りないのじゃないかという不安も持たれたと思うのでありますが、事情をすっかりいろいろ経過を御了承いただいて、仕事に関係を持つ、すなわち出資でもしようという方方の間には、これでも出発した方がいいんだ、そうして将来においてまた政府の出資もしてもらうようなこと、増資をしてもらうというようなことも、この仕事の進行によって考えてもらうということにして、一億円を民間で出そうというふうに、大体話が進んでおる状態でございます。民間から出す一億はどういうふうなところから出るかというお尋ねでございますが、大体今まで話の進んでおりまするところは、石炭関係の会社からその半分の五千万円程度、それからそのほかの金属の会社から三千万円程度、これに関係のない一般から二千万円程度ということで話をだんだんと進めておる状態でございます。これはこの会社法案が衆参両院を通過いたしまして成立すれば、直ちに社長を選考いたしまして、そうしてその人のもとに本年出発するに当っては最小限どれだけの人間でやっていくか、だんだん仕事のふえるに従って人員を増していく、平常年度におきましてこの仕事がたっぷり動くには、ただいま渡邊さんからお話のありましたように、五千万円から六千万円近くの年の人件費が要るのじゃないかという計算が出ております。しかしこれに対する計算は、数年後においてこの仕事が平常な状態にだんだん進んでいくようになりますると、これをカバーすることができるという見込みになっておるわけでございます。それからこの仕事をだんだん進めて参ります場合に、機械類もたくさん買わなくちゃなりませんし、ある限度のものがなくちゃならないのでございますから、それは大体今申しまする五億円という見当においての計算を立て、そうして仕事が経済ベースに乗り得るような方向に進めていきたい、こういうふうな考え方でございます。
  158. 阿部竹松

    阿部竹松君 長官は一億のうち炭鉱関係が五千万円、メタルが三千万円、その他二千万円とおっしゃられた。これは私の聞いたのが間違っておるか、長官が庁のそれぞれのあなたの部下から報告を受けたのが誤まり伝えられておるかわかりませんけれども、石炭会社は、現在御承知通り、七百五、六十万トンの貯炭があってあわてておるのです。新しくボーリングするどころじゃない。それからメタルの方は、トン四十五万円もした銅が御承知通りこれは十五、六万円しかない。もうとても金を出すどころじゃないといっている。ただ、政府がいよいよ法案でも通れば仕方がないから、にらまれたら困るから幾らでもおつき合いをしなければ困るだろうというふうなので、きわめて私の聞いたのは消極的なんです。あなたは安心感を持っておられるようですが、私は心配だから、明確にいいやつはいい、悪いのは悪いといって申し上げている。それと同時に、大体それくらいの金で最初十億とおっしゃいましたが、最初の十億であればけっこうです。しかし、私どもは、最初の計画で十億を頭に描いて、やはりこの法案を審議するわけにいきません。やはり現実の問題を問題として討議をしなければならぬ。そうすると、さいぜん申し上げました通り、人件費や機械購入費で一切終ってしまって、石油の場合ですと、十本のボーリングのうちで三本当れば大体採算がとれるということです。ということは、一年ボーリングして、二年目から石油が出るのです。しかし石炭の場合、ボーリングしてから、また縦坑を開さくして七、八年かかるわけです。これをどうするかということなんですね。そういうことについて、長官はほんとうに御自信がおありですか。もし、あなたのおっしゃる通りいかなければ、再び僕とここで相まみえないという決意をお持ちですか。
  159. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は、これが、北海道の地下資源の眠っておるものを開発するのに、非常な大きな力になる第一歩を踏み出すのだと、こう確信をいてしております。従って、この法案の通過することに熱意を持ち、予算の問題につきましても、さっき申しましたように、なかなか困難な状態でありましたが、十億でいけないならば、一体どの点で仕事が始められる状態か、経済ベースにおいて立ち得るかという問題を尋ねましたところが、借入金も合せまして五億の金が用意できたら出発できる。そして、それでやって、将来の問題は、また増資その他によって、仕事の発展によって、あわせていけばいいということでありまして、私は、これを信じて、その通りやっていきたいと思っております。もし私が間違っておったならば、これは私はもう、あなたと相まみえぬでしょう。(笑声)
  160. 阿部竹松

    阿部竹松君 石井長官はまことに淡白に御答弁されるのですが、私も、相まみえぬという点については、再び質問を申し上げる気はございませんが、ただ、実際問題として、これはとても不可能だ。方向は非常にけっこうであるし、そういうことをやらなければならぬと思います。しかしながら、わずか三億や五億の金で、この種の仕事は絶対できないのです。もう人件費に五千万円かかってしまう。二年目には一億円だということで、ボーリングの機械一つが一億円以上するのです。そういうことになって、ボーリング一本おろせば、さいぜん言ったように、五千万円も六千万円もかかるわけですから、これは容易な事業じゃない。そうすると、今でもわれわれは、資本主義社会だということを認めておるから、探鉱会社も認めておる。そうすると、あの人たちに補助金でもやった方が、かえって政府も責任を持たなくてもいいし、資本主義社会は競争の社会ですから、まじめにやるのですよ。あなたの方で、どなたがやられるかわかりませんが、あなたの方でやられる場合には、これは無償じゃありませんから、金を払わなければなりませんし、とにかくボーリングの方が、かえって安くつく、現存の機機をもってやるから。そういうことになると、とても太刀打ちできない。半官半民の株式会社などで、なかなか簡単に成功するものではございませんよ。ですから、私は趣旨はけっこうだけれども内容はあまりめちゃくちゃではございませんかということを非常に心配するわけです。そういう点について、長官はどういうふうにお思いになるのですか。
  161. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私も、そうなまやさしいとは思いません。非常にこれは力を入れ、そして、みんなが甘い考えで、すぐにでも掘れば、もう金の山へでもぶつかるような気持でやっておったのではいけないということを信じておりますだけに、これは力を入れて、政府も尻押しをして、こういうことをやっていかなかったならば、私は、北海道の開発というものは、なかなか、そううまくいかない。もう山の方は業者にまかせるのだという形でいけば、北海道というものは、鉱業資源はずいぶんあるのだという地上の検査と申しますか、専門家の審査の結果は、何かあるというようなことを言いながらも、それが一歩も出ないのです。これは、あなたもよく御存じだと思います。たとえば日高地帯の山々が、ずいぶんいろいろなものが出るだろう、出るはずだといわれ、そうして図面の上には、何が出る、何が出るということがいわれ、そうしてまた、たくさんの人が、これに鉱業権を設定しておる。しかし、それ以上には動かない。そこをぶち破らなければならないというのが、今日の北海道が直面しておる一つの問題だと私は思うのであります。これはまた、あなたもよく御承知のことで、私が説明するより、よく御承知のはずでありますが、それで、これをやりまして、それがどうなっていくかということは、五億の資金として始めます。二億は借り入れで始めまして、そうして、どのくらい本年度、いつごろから始められますかわかりませんが、なるべく早い機会に仕事にかかるといたしまして、少くも今年は二万八千メートルぐらいボーリングをしようというような事業計画を持っておるわけでございます。これが、会社が一つでき上って、その責任者たちの、さらに精細な検討を求めなければならぬのでありますが、開発庁において、あれやこれやと研究いたしました結果は、今年から直ちに、今すぐ出るわけじゃないというように考えておるわけでございます。これは御承知のように、私は、この仕事は非常に困難だと思いますが、困難を打ち破って、ぜひやっていくということに努力し、資金の面も、私どもは五億を基準として今年はスタートするのでありますが、これらの範囲において、できるだけの効果を上げるようにして参りたい、こういうふうに思っております。
  162. 阿部竹松

    阿部竹松君 昔はボーリングも、浅かったから、安い金額でできたでしょう。今は大てい三百メートルぐらい掘らなければならぬ。それ以上のことを今後やらなければならぬということになると、長官のおっしゃる二万八千メートルということになると、五億の金でも足ぬということになるのですが、全部ボーリング費用だけで、そうしたら、人件費も何も、一切の経費は大体どこから出るかという、非常にずさんなあれですが、どこで一体、二万八千メートルというのを、大体、一メートル幾らになりますか、どこできめたのですか。そういうことはあり得ないのです。五億の会社で、人件費を使ってやって、掘った金は年賦償還ということで、すぐ回収できないわけでしょう。どこでそういう数字が出てきたわけですか。
  163. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは非常にこまかい問題でありまして、数字的の問題ですから、私より、専門の説明の方が御納得いくと思いますから、政府委員から説明させます。
  164. 阿部竹松

    阿部竹松君 いや、ちょっと待って下さい。衆議院の方が帰られるそうでありますから、あなたは、あとまで残っていいわけでしょう。衆議院の方に質問いたします。両先生にお伺いいたしますが、さいぜん私申し上げました通り、本法案があなたの方を通ってきたのですから、どうしても私は、首脳部の仕事というものは、やはり一切、東京でやる方が七〇%も八〇%も占める、こういうふうに判断するわけです。まさか、この会長さん、副会長さん以下全部わらじばきで、ボーリングをやる現場に行くわけじゃないでしょう。そういうものは、専門の技術屋その他の人たちがやられるでしょうが、そうすると、俗にいう幹部級の、今、長官の御答弁の中にありましたお金繰りとか、機械購入とか、やはり鉱区権の問題について、各社と折衝する、これは、各社は全部本社は東京ですから、北海道にいる出張先の各社の幹部に話したところで、鉱区の問題なんか、絶対、解決つきません。そうすると、勢い、全部交渉が東京でなされるということになると、東京に膨大な東京出張所を設けなければならぬということになる。僕は、逆に、修正された熱意は買ってくれと言われますから、買いますけれども、中身が感心しないような気がしますが、それを両先生はいかに判断されますか。
  165. 渡辺惣蔵

    衆議院議員(渡辺惣蔵君) 先ほど御説明を申し上げたような事情から修正をいたしましたので、将来のことは別といたしまして、当面はやはり札幌に本店を置いて、その整備をするのが当然である。また、指摘されますような金融関係、あるいは機械の購入、あるいは官庁との折衝等は、そういう特定の仕事は、特定の時限においてなされるのであって、そのために全機能をあげて、東京に本店を置いてやるということは、よほどの必要は現段階ではない、こう私は考えます。ことに、事業の対象は全部あげて北海道だけに限定をされておりますので、やはり対象は何よりもまず事業を対象にすべきだ。おそらく中小炭鉱もしくは金属山等でありますから、その鉱区の所有者、事業を要請する側は、ほとんど北海道に居住し、北海道でみずから鉱区を持っている人でありまして、東京の三井とか三菱、北炭という東京の大会社は事業の対象にならないのであって、この点は事業本位になるべきだ。また、将来十億円のような予定の構想の出資が行われていきます場合においては、その場合にその状態に応じて会社の規模、機構等を整えるべきである、こう考えまして、私は修正いたしたわけであります。   〔委員長退席、理事相馬助治君着   席〕
  166. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは渡辺先生言葉を返して悪いのですが逆でございませんかね。その三井、三菱、北炭を対象にして私はものを申し上げているのではございません。中小炭鉱の鉱区で石炭を掘っているものはこれは租鉱権ですよ。そうして鉱業権というのは、中小の持っている鉱業権でも全部東京にあるわけです。これは中小のメタル山でも大体東京にあります。あとでこれは石炭局長、鉱山局長御出席願ってお聞きしなければなりませんけれども、私の知っている限りでは、大会社を除いては、中小炭鉱が掘っているのは租鉱権ということで掘っているのであって、鉱業権は全部東京におられる方が持っていると私は判断する。それと同時に、もう一つ将来は別として、初めは北海道だというけれども、金繰りが順調について軌道ベースに乗れば、これは当然本社が北海道に行ってもいいのだが、しかし今はあるいは官庁との交渉とか、鉱区の設定とか、それを借りるとか、借りないとか、機械の購入とか、こういうのをことしはやろうというんでしはう。そうしたら東京でやるということに私はなるのではないかと思うのですがね。特に今だいぶよくなったそうですけれども、開発庁と北海道の田中敏文さんとは昔は仲がよくなかったそうですけれども、しかし今はそんなことはないようですからいいと思いますが、田中さんと交渉するということは絶対ないですね、全部東京でやるということになれば。私は両先生のお考えが正しいかもしれないけれども、私はそうは考えない。北海道は両先生御承知通り、昔は植民地といったんです。年とった方は今でも北海道を植民地といって、全部本店は東京へ置いて、もうけた金は全部本店へ引き揚げる。北海道で使った金だけ払うということで、私も全部本社が東京にあって略奪政策をやるというならば反対ですけれども、これはそういう三井、三菱とかそういう財閥会社とこれは違うような気がするのですが、その点をもう一度お伺いしたい。
  167. 渡辺惣蔵

    衆議院議員(渡辺惣蔵君) 私として、もちろんこの会社は本来は株式会社という形でスタートすべきでなくて、全額政府出資で公社の性格でスタートすべきだ、そう思っております。会社であります以上は、やはり政府資金を使おうと、営利を全然除外しては行えない。ことに民間出資に対しましては当初から最低の配当保証をいたしておりますので、会社としましてはやはり営利第一だ。その事業の少くとも対象はすべて北海道にあるわけで、あとの残りの部分については、機械を購入するとか、監督官庁の折衝とかいうので、金融関係等も、これは銀行その他を対象にするのでなくて、政府融資あるいは開発公庫等の特定の金融機関を通すのであって、そういう点については、普通の営業会社のように常時本店を東京に置かなければならぬという必要はない、こういう見解をとっております。
  168. 阿部竹松

    阿部竹松君 それでは両先生に対する御質問は私はよろしゅうございますからさいぜんの御答弁一つお願いします。
  169. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) 他に衆議院側に対する質疑がございませんでしたら、衆議院側にお帰り願ってよろしいですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) 引き続いて、政府当局に対する質疑をお願いいたします。
  171. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 先ほどお尋ねのございました来年度二万八千メートル程度のボーリングは果してできるかどうかというような御質問がございましたので、もう少しその点につきまして詳しく御説明申し上げたいと存じます。先ほどの御質問で、ボーリングは非常に金がかかるので、果してこの程度の資金でできるかというふうなことでございましたが、私どもが計算いたしておりますところによりますと、石油の場合は非常に経費がかかりますが、石炭の場合には大体八百メートル程度掘るといたしまして、一メートル当りのボーリングの費用は六千八百円程度と出ております。従いましてこの程度の資金でもできると思いますのですが、石炭は大体一メートル当り六千八百円、金属の場合は五千四百円、非金属の場合は三千四百円、天然ガスの場合は四千五百円というふうに計算しております。この金額は大体現在やっております時価と申しますか、北海道でボーリングをいたしております会社の現状を調べまして、それよりは一割ないし一割五分程度安く見ておるということでございます。そういうことで大体石炭においては来年度一万二千メートル、金属が一万三千五百メートル、非金属は千五百メートル、天然ガス千メートルということで、合計二万八千メートルやりたい、大体そういうふうに考えておる次第でございます。
  172. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、それをいつからいつまでの間に二万八千メートルやって、総計金額は幾らになりますか。
  173. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) このボーリングをいたします期間は九カ月と見ております。と申しますのは会社設立のために大体三カ月必要と見まして、五、六、七と会社設立のために必要だと考えまして、八月から九カ月というふうに考えております。このために必要な経費といたしまして受託探鉱のために七千九百五十万、共同探鉱のために一千五十六万、合計九千万その他の物理探鉱のために七百二十万、こういうふうに見ております。
  174. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたのお話を伺っておって、あなたは知らないんじゃないですか、大へん失礼ですけれども。三カ月であれしてそんなに二万八千メートル、何カ所に企業を興すつもりですか。そういうことを、僕もよく知りませんけれども、ほとにしてまじめな論議はできませんよ。北海道で雪の五尺も降るところへ行って、そんなべらぼうなことでできますか、あんた。
  175. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 何カ所掘るかというお話しでございますが、石炭はただいま申しましたように、大体平均八百メートル掘るといたしまして十五本、金属四十五本、非金属十本、天燃ガス一本、こういう計算でやっております。
  176. 阿部竹松

    阿部竹松君 計算はいいんですね、そうすると機械は何台使うんですか。とてもそういうことは、天勝一座でも連れて来なければできないですよ。
  177. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 機械は全部で三十六台使うことになっておりますが、内訳を申しますと、石炭のため十三台、金属二十台、非金属二台、天然ガス一台ということになっております。
  178. 阿部竹松

    阿部竹松君 私ども通産関係のこれを担当しておる委員としては、専門家でありませんけれども、こういう答弁ではとても不可能だ。火を見るよりも明らかだというように判断するわけです。従って私は委員長にお願いして、石炭局長と鉱山局長に来ていただいて、これが正しいものであるかどうかということを参考のためにあわせてお聞きしたい。その上でやはり御質問申し上げたい。このように判断いたします。私ども知っている限りでは、これはとてもそういうようなことは架空の空論であるというふうに判断いたします。
  179. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) すぐ、委員部をして呼ばせております。その間に今要求の鉱山局長等が来るまでに、今御出席の北海道開発庁の政府委員並びに説明員に対して御質問がございませんか。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  180. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) 速記を起して下さい。
  181. 赤松常子

    赤松常子君 先ほど副総理にお尋ねしたいと思ったのでございますけれども、私ども、ちょくちょく北海道に参っておりますが、いろいろこの開発問題に関しての意見を聞かされるわけでございます。普通の民間の方がおっしゃいますことも、それは賛否いろいろございます。けれども一応私どもが現場に働いていらっしゃる方からの意見といたしまして聞くのですけれども、これは私非常に重大な問題だと実は思っているわけです。それはたとえば港湾の例をとってお話しなさいました、先ほど八百億円の金がまるでどぶに捨てたようなもので、さっぱり芽が出ないじゃないか、こういう質問に対しまして、副総理は、いや一応基盤はできているんだ、種はまいているんだこれから徐々に建設の形になって現われる、一応それはそうおっしゃるでしょうと思うのですけれども、その港湾の例をとって、私どもが現場で働いていらっしゃる方の御意見として聞き捨てならないことは、こういうことを聞いたんです。港湾にわずかな予算が組まれ、ところが、その港湾をほんとうに完全に構築する、でき上るまでにはその予算が足りないのですね。そうすると一年間の仕事はしているけれども、もう中断される。そうするとやはり波の関係や何かでこわれてしまって、また翌年いろはからせんならぬ、こういうことを聞いてみますと、非常に散発的に事業に金が回されて、重点的にちっとも生かされていないということが言えると思うのであります。だから毎年々々いろはからやるのだということを、現場の方がおっしゃっているのですが、私の疑問に思いますことは、一体五カ年計画というものが、何を重点にきめなされたのか、現在どういうものが形になって現われているのか、この点具体的にお聞きしたいと思います。
  182. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 第一次五カ年計画で八百億円の金を投じまして、それだけの効果が現われておるかどうかということでございますが、先ほど石井長官からもお答えがありましたように、八百億円の金を投じただけの効果はあると考えている次第でございます。ただ問題は、第一次五カ年計画では公共関係の事業費として千三百億円の計画でございます。それに対していろいろ財政上の都合もございまして、千三百億円だけの財政資金をつぎ込むことができませんで、結局七百七十億円、一口に八百億円と申しますが、七百七十億円しか金をつぎ込むことができなかったのであります。そのつぎ込んだ金は、むだになっているとは考えておりません。それだけの仕事をしておるわけであります。ただ問題は、先ほど御指摘がございましたように、予算のつけ方が非常に効果的であったかどうかということは、これは確かに疑問はございます。特に港湾、漁港でございますが、漁港の場合は、特にひどいと思いますのですが、非常にあわてて着工したと申しますか、ここをやってもらいたい、あすこをやってもらいたいということで、重点的に予算の配分ができなかったという点はございます。これは非常に残念なことでございまして、いろいろ指摘されたこともございますし、私どもももちろん痛感しておりますし、まして、現場で仕事をしている人は、ひとしくそれを感じておると思います。そういうことがないように、なるべく重点的にやりたいということは当然考えておりますが、ただ仕事を始めました以上は、一年か二年やって、次はほうっておくということになります、その一年、二年というのが全然むだになるということで、御承知のように海が相手でございますから、波にさらわれたり、あるいは砂が流れ込んだり、あるいはその他いろいろ支障がございますので、手をつけたものはほうってもおけないということで、毎年予算をつけるということになるわけで、非常に事務的にも困っておる次第でございます。うんと予算がつきまして、どの港も一ぺんにでき上るようになれば、それはけっこうでございますが、それもできない状態であります。今後はそういう非難を受けることのないように、できるだけ重点的にやりたいということは、私たちはもちろん考えておりますので、そういうふうに努力したいとは思いますが、ただ実情を申し上げますと、総花的にやらないように重点的にやるということは、もちろん困難な状態であります。
  183. 赤松常子

    赤松常子君 五カ年なさってみて、初めてそういうことがおわかりになったのですか。毎年々々漁港や港湾は一年非常にむだであった。次の年は、何か重点的に一つの港湾にうんと予算を組んで、一つ最後の完成まで見届けようというように、五カ年の間に経験を生かして、よりよい方法に切りかえられたのでしょうか、一体漁港や港湾の問題は、五カ年間にどういう実績が残っているのでございましょうか。
  184. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) まず、漁港について申し上げますと、ただいままでに完成いたしましたものが、昭和二十三年に三港ございます。それから昭和二十五年に二つございます。昭和二十六年に二つ、その後は完成したものはございません。そういった状態でございます。一般港湾の場合には、これも大体同じようでございまして、まあ一般港湾となりますと、規模も大きいものでございますから、完成したというものはないわけでございまして、重要港湾なり、地方港湾、それぞれ御承知のように、今ほとんど全部の港について手をつけておるというような状態でございまして、完成港数が非常に少いわけでございます。それで、重点的にやりたいという問題も起って参るわけでございます。
  185. 赤松常子

    赤松常子君 数は今おっしゃいましたけれども、全体として何%に当っておるのか、所期の目的と比較して、進捗している状態なのか、おくれているのか、どうも私どもしろうとですから、わからないのでございますが、その点が非常に私は問題だと思うのでございます。ただ、数が何ぼというようなことは、私は伺おうと思いません。所期の目的に沿うて相当成績を上げているのかどうか、これを一つお伺いしたいのでございます。それから今の形に残っているのは、八百億円の資本をお投じになりまして、それにふさわしい実績が上っているかどうか。全般的に所期の目的とどういうふうに、成績がいいのか悪いのか、全体的にお伺いしたいと思います。
  186. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 漁港の場合は数が七十四ございまして、そのうち完成したものは、先ほど申し上げましたように七港であります。それからただいままで投じた金が、それだけの効果を上げているかどうかという御質問でございますけれども、私ども考えでは、金を投じただけの効果は上っておると考えております。
  187. 赤松常子

    赤松常子君 七十四港の予算で、五カ年間にたった七港を完成しているということが、予定よりもいいのですか、悪いのですか。
  188. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) これは、港湾整備の五カ年計画というのがございまして、それに従ってやっておるわけでございまして、その計画には大体合っておる次第でございます。従って、何というか、漁港修築計画そのものが総花的にできておるわけでございます。
  189. 赤松常子

    赤松常子君 総花式が非常に悪かった、あまり効果を上げていないという言外の御意思があると思うのですが、今後どういうふうに改革をなさるおつもりなのでしょうか。
  190. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 効果がなかったと言外に私言ったつもりはございませんが、今後また、せっかく、先ほど申しましたように手をつけております港は、そのまま放り出すわけにもいきませんので、とにかく一応効果の上るような工事の仕方をしたいというふうに考えております。従いまして、何と申しますか、漁港としての効果を発揮するような仕方でいきたい、こう考えておる次第でございます。
  191. 赤松常子

    赤松常子君 私漁港のことは、一つの例にとっただけのことであって、ここをあまり重要に、ああだ、こうだと言いたくはないのでございます。私の言いたいのは、総花式にちょびちょびと、ごくわずかな予算を組んで、一年間たったら、またそれが総くずれになってしまって、何の役にも立たなかったということの御反省がないかどうか、これをお伺いしたいのでございます。
  192. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) その点につきましては、将来は大いに考えたいとは考えております。ただ、何度も申し上げまして恐縮でございますが、せっかく工事を始めたのに、一年たって見ると、何にもならなかったというようなことば、私ないと考えております。その点だけお断わりをいたしておきます。
  193. 赤松常子

    赤松常子君 五カ年計画では、重点的に何からなさるおつもりで、どういう序列をつけておきめになったのですか。
  194. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) それには、御承知のように、今度第二次五カ年計画というものを作りましたから、第一次五カ年計画の方では、産業基盤の整備ということに重点を置いておったわけでございますが、それが六〇%程度しか金も投資されなかったし、効果も上らなかったというのでございます。今後第二次五カ年計画におきましては、産業基盤の整備のほかに、それを完成するとともに、さらに第二次、第三次産業にも力を入れていきたい、具体的に申し上げますと、先ほど申し上げましたような道路、港湾とか、そういった方面にも力を入れる上に、さらにその他の産業も発展するような力を入れていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  195. 赤松常子

    赤松常子君 産業もいろいろございますが、重点的にどういう序列をお考えでしょうか。
  196. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 第二次五カ年計画というのは、そうこまかく序列をつけてやっておるような、そういう計画ではございませんので、ただ、第二次、第三次と申しましたのは、北海道にふさわしい産業、ただいまあります地下資源問題なんかも、その一つでございますが、そのほかに、さらに北海道に向いておりますテンサイ糖工業とか、木材関係、これに関係いたします製紙業、そういったものとか、それから地理的条件を利用いたしました鉄工業、そういったようなもの、主として第二次産業でございます。それに力を入れたい、こう考える次第でございます。
  197. 赤松常子

    赤松常子君 私のお聞きしたいのは、産業もさることながら、第二次の五カ年計画の第一年は道路に重点を置くとか、あるいは河川の改修に二年目は置くとか、そういうことがほんとうに考えられているかどうか、計画的に考えられているかどうか、それが大事な点なんで、それをお聞きしたいのであります。
  198. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  199. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) 速記を復活して。
  200. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 第二次五カ年計画の重点事項について御説明申し上げますが、結局、農業、林業、水産工業、電力等について、それぞれ計画を作っておるわけでございます。農業生産におきましては、昭和三十年度に対しまして、大体一三六%に持っていきたい、もう少し詳しく申し上げますと、耕地は大体一割増、米が二割二分増、乳牛が、これは非常に多くなりまして、十八割増、こういうふうにしたい。林業生産におきましては、素材が、数字で申しますと、二千百五十万石を二千百七十七万石に持っていきたい、これは一%しかふえておりませんが、このふえません理由は、昭和三十年度の生産額というものが、風倒木の関係で非常に臨時的に生産額がふえております。従って、平年度に引き直してみますと、かなりの増になる、こういう次第でございます。水産関係におきましては、水揚げ高で二割増、鉱業におきましては、たとえば石炭の場合、七割増、工業生産におきましては、先ほど申しました鉄が十六割増、紙が九割増、アンモニア系肥料、肥料は先ほど申し上げませんでしたが、これも重点的にやりたいと考えておるわけであります。これは九割増、セメントは十三割増、非常に割合をふやしております。電気が七割七分の増、こういうふうな形に持っていきたいと考えておる次第でございます。ただ、これは産業全般について言ったわけでございまして、ただいま申しました中には、直接国の方で資金を投ずるものでない、民間資金によるものも含まれております。政府が投資する資金は、大体二千億見当、そういうふうに考えております、五カ年間で。
  201. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) ただいま石炭局長村田君がお見えになっております。
  202. 赤松常子

    赤松常子君 いろいろ伺いまして、大へん広範な仕事だと今さらのように私痛感いたしますが、それにいたしましてもどうぞ第二次五カ年計画は、第一次五カ年計画のその失敗あるいはその欠点を補うて、ほんとうにむだのない御計画を進めていただきたい。どうぞ多額な費用を投じてやるのでございますから、非難のないようにお進めいただきたいということを要望いたしておきます。
  203. 相馬助治

    ○理事(相馬助治君) 福井鉱山局長も見えました。
  204. 阿部竹松

    阿部竹松君 さいぜん開発庁の本法案に対する質問の中で、いろいろ御計画の中に、来年の三月まで、本法案が成立すると三カ月間会社を設立するのにかかりまして、あと九カ月、つまり来年の二月までに二万八千メートル掘る、こういう御計画をお聞きしたのです。そこで、趣旨は非常にけっこうであるけれども、どうもさむらいの商法のようなにおいがするわけです。ですから、専門家である石炭局長のお立場と、それから鉱山局長のお立場で、雪の、とにかく二メートルも降る北海道の冬に、二万八千メートル掘るという御計画が、僕はどうも机上プランではなかろうかと心配するのですが、専門家のお立場でそんなことができるかどうかということをお聞きしたい。   〔理事相馬助治君退席、委員長着   席〕
  205. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 北海道におきます石炭鉱業のこれまでのボーリングの実績、三十二年度の実績を申し上げますと、ボーリングの長さが大体四万メートルから五万メートルの間の、これは実績でございます。しかしこれはすでに、ある程度のボーリング能力を持っておりまして、また同時に、これまで石炭鉱業に従事して参りました、石炭鉱業に専念して参りました専門の業者がやってきた実績でございます。ところでそれならば、これからスタートする会社で二万八千メートルのものが、特に九月以降になりますと、もう非常に作業が困難でございますが、それができるかどうかということは、いまの実績から申し上げますと、技術的には不可能ではないと考えられますが、要は、会社がいかに早くスタートして、いかにボーリングの能力というものをお備えになるかということにかかっているのではないかと考えられます。
  206. 福井政男

    政府委員(福井政男君) ただいま石炭のボーリングにつきまして石炭局長からお答えございましたが、石炭以外の金属、非金属、天然ガスについて見ますと、三十一年度、三十二年度の実績を見てみますと、大体五万六千から五万八千メートルぐらいの実績を持っておるわけでございます。まあこのうち、今度できます会社で負担するであろう、こういうふうな分野になるものが相当出て参るわけでございますし、専門の会社ができまして大いに積極的に地下資源の探査をやっていくということになりますと、この事業計画に出ております二万八千メートルというものにつきましては大丈夫ではなかろうか、こういうふうにまあ私どもの方では見ておるのでございます。
  207. 阿部竹松

    阿部竹松君 大丈夫ではなかろうかといっても、とにかくこれからどういう機械をどこから集めるかわかりませんけれども、あなた方のお話は、現在やっているのはちゃんと機械を持って行って、人間もおるし、雪解けから始めるのですよ、雪解けから十月まで、そういうことは、あなた方は北海道を知っておられるか、この種の仕事を知っておられるかわかりませんけれども、十一月、十二月の雪の二メートルも降っているところ、これは町のまん中ではありませんから、数里も山奥に入ってやるのですから、そういうことをあなた方は責任を持っておっしゃるのですか。今の既存会社のものさしをもってそれに当てるということは不可能だと、常識的にも判断されるでしょう。これから会社を設立して、冬をかかえてほんとうに大丈夫なんですか、鉱山局長
  208. 福井政男

    政府委員(福井政男君) 従来の実績から見まして、同じような条件でボーリングをやっております実績が先ほど申し上げたようなことになっておるのでございまして、それから見まして大体大丈夫である、こういうふうに私どもの方の技術者は見当をつけております。
  209. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、今度は開発庁の方に聞きますけれども、大体必要とする機械はどこからお買いになるのですか。  それからもう一つ、さいぜんのあなたのお話によると、来年の三月までだとおっしゃったが、衆議院の方の答弁された速記録を読みますと、冬は北海道は雪が降るからよそに働きに行くという答弁をされておりますね。そうすると、全然衆議院における答弁と私に対する答弁とは違うということになりませんか。
  210. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 機械の購入先は、国産機械を使いたいと考えておりますが、どの会社から買うかということはまだきめておりません。  それから冬季の問題でございますが、衆議院において私が申し上げましたことは、冬季の雪が降って仕事ができにくい場合があるかもしれませんということは申し上げましたが、ただ先ほど私が言いました計画の何メートル掘るという問題は、九カ月間にこれだけ掘るということを申し上げた次第でございまして、何月に幾ら掘るというわけではございませんから、会社ができましてから九カ月間にこれだけ掘るということを申し上げた次第でございます。従って、雪の降ります冬季も含めてという意味で申し上げました。衆議院説明と別に矛盾しておるわけではございません。
  211. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は、あなたのあげ足をとるわけではございませんが、あなたが指を折って会社設立に三カ月、それから九カ月で来年三月と速記録に出ておりますよ。今の答弁と違う。そんなそのつどそのつどの答弁をしてもらっちゃ困りますよ。僕はあげ足はとりませんけれども、あとで速記録をごらんなさい、そういうことになりますよ。  二回目の答弁でよろしゅうございます。そうすると、大体五億円の金で仕事が完成するのは何年ごろになるのですか。つまり、機械購入費が幾ら、二万八千メートル掘って、あなたの計算と、私の計算で幾らやっても、私はあなたのように安くできない。機械を購入して、北海道の山奥まで持って行って、人件費を五千五百万円ずつかけて、とにかく五億円の金がなくなるときがきますね。同時に、五億円の金では二万八千メートルしか掘れないのですか……そういう点をお聞きいたします。
  212. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 御質問の御趣旨がよくわかりませんが、どういうわけでございますか。結局二万八千メートル掘りますというのは、三十三年度で二万八千メートル掘りたいということを言っておるわけでございますが、仕事を完成するというのはどういう……。
  213. 阿部竹松

    阿部竹松君 質問が悪かったかもしれませんけれども、あなたが五億円の金で出発するというのは、本年度は――本年度というよりも来年度にかかるようですが、本年度計画は二万八千メートルで、それと同時に、また、三十四年度は一万五千メートルとか二万五千メートルとかいうことになるのでしょう。それから、機械は何台購入するという予定は全然立てんで、二万八千メートルと、人件費の五千五百万円だけで出発しておるのですか。そういうことじゃないでしょう。つまり、あれでしょう。それに関連した、会社から、理屈は抜かして、まあ一億円出してもらって、政府が二億円出しますと、それから二億の融資を得て五億だと、副総理がさいぜんおっしゃったじゃないですか。それをどういうふうに使うかということです。
  214. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 五億円の使い道としましては、事業支出として一億四千七百万、それから設備支出として三億五千万と、こういうふうなものを見ておるわけでございまして、従って、機械の購入費などは、この事業支出の一億四千七百万の中に入っておるわけでございます。機械は、先刻私御説明したと思うのでありまするが、試錐機械を三十三年度に三十六台買う、なお、その他に必要な機械、たとえば物理探鉱のための機械とかあるいは関連した機械を買いますし、また倉庫も作らなければならぬ、土地も要る、あるいはトラックも要るというようなことで、まあ一応支出を一億四千七百万、なお、先ほど申し上げた、五千五百万円の人件費というものも、そこに含まれておるわけでございます。大体、これで五億円は昭和三十三年度に使うという計画でございます。
  215. 阿部竹松

    阿部竹松君 どういうふうに質問すれば御理解願えるかわかりませんけれども、まあ機械買うのも、そういう三千メートルぐらいの機械は、四千万円ぐらいしますよ。そうすると、一カ所に何カ月掘るかわからぬけれども、少くとも、ともかく二千メートルのボーリングをするということになりますと、一カ月ないし二カ月かかりますよ。そうすると、機械一台か二台しか買えぬということになりませんか。
  216. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 先ほど、しろうとだというお話がございまするので、私から御説明するのは非常に僭越だと思いまするが、私どもの計算によりますと、石炭を例にとりますと、大体平均して八百メートル程度のものを掘りたいと考えておるわけでありまして、このために必要な機械といたしましては、一台当り千三百八十万円、これを十三台買うと見ております。従いまして、ただいまおっしゃいましたこととは一けたぐらい違うことになりますが、これは必ずしも机上の計算だけということではございませんで、専門家の御意見を聞きまして計算いたした次第でございまして、相当な機械は買えると考えておる次第でございます。
  217. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは、八百メートルぐらいのボーリングの機械は、今より十年前ならいざ知らず、今は、あらゆる所で二千メートルぐらい掘れる機械でないとだめだ。とにかく、B29が飛んでくるときに竹やりを持って向ったものだが、そういうようなことでは、探鉱会社にも個人会社にも笑われますよ。そういうことになると思うのです。あなたは、どこからそういうことをお聞きになったのですか。僕は、こう言うのは失礼ですが、実にしろうとが判断してもわかるようなことを、ぬけぬけと答弁されんで、もう少し核心をついて、こうこうこうやるのだという、現在に当てはまった数字内容を持った御答弁をいただかなければならぬ。
  218. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 私が申し上げますのは、まあでたらめでもございませんで、この案を作りますときに、通産省の石炭局の方にもお手伝いいただきまして、それから、それを通じまして専門家の御意見を聞きましたし、また、現在ボーリングをやっております会社の御意見も聞いてきめたわけでありまして、まるきり机上の空論であるとは考えておりません。
  219. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、確かにこの解説書に、北海道開発庁と通商産業省鉱山局と石炭局と書いているから、三人の集まった文珠の知恵だと思います。しかし、それはそれとして、その石炭局でも、そういう種の仕事をやるのですね。そうすると、北海道開発庁は、これは石炭局と一緒にやった方がいいということになるのだけれども、しかし、それはなわ張り争いであって、これはあなたに質問するのは酷であって、石井さんに聞くのが当然なんですが、全然しろうとの方がやられるということでは、かえって国費をむだにする懸念がある、有効に使えないという懸念が起きるように考えるのですが、その点はいかがですか。
  220. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 権限の問題になると思いますのですが、もちろんこの仕事は、本来ならば、通産省でおやりになる仕事だと思います。ただ、北海道の総合開発という面から見まして、開発庁が音頭をとってやった方がいいと考えまして、作ることになった次第でございまして、従って、事業執行の面では、内閣総理大臣通商産業大臣の共管になっておりますし、通産省とは密接な連絡をとりながらやりたいと考えておりますから、御懸念のような点は起らないと思います。
  221. 阿部竹松

    阿部竹松君 音頭をとるのはけっこうです。大いに賛成です。しかし、音頭をとるだけであって、仕事は通産省に専門にやってもらった方が成果があると思う。さいぜん、委員長お話を承わると、あなたは通産省の次官の次に偉い方だそうですが、通産省の次官の次に偉い方がよくわからないのですから、まして知るべし、推して知るべしです。こう考えますが、そういうことはどうなんですか。私は、これを通産省にやってもらった方が、これは一切の、通産省は、今度は、石炭鉱業合理化法案改正によって、大臣の命令で鉱区を自由にできる権限があるのですから、そういうことも含めると、通産省がやった方がよろしいと、さむらいの商法は失敗するぞという結論になるのですが、これはどういうふうになるんですか。
  222. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) これからの監督の仕方によって変ってくると思いますが、私どもは、まあ何も知らないことについて口を差し入れる気持はもちろんございませんので、先ほども申し上げましたように、総合開発という面から監督したいと考えておる次第でございまして、技術的の問題等につきましては、これは通商産業省の方からめんどうを見ていただきたいと考える次第であります。
  223. 阿部竹松

    阿部竹松君 まあ、それはそれでわかりました。その次にお伺いしたいことは、大蔵省関係ですが、今申し上げました通り、二万八千メートル、その次に二万六千メートルまでいくかどうかわかりません、しかし、一応あなたの答弁では、これはいけるというお話ですから、こういう八百メートルくらいしかの能力がない試錐機械、これを現在北海道に持っていっても、一カ所か二カ所は間に合うかもしれませんが、ほかは全部間に合わぬと思うのです。それ以上の機械を各社が持ってやっているんですから、各社が持っている以上のボーリングを政府が金を出してやらなければ、各個人会社が持っているボーリングより悪い――悪いと言ったらちょっと表現が違うかもしれませんけれども、企業会社より能力のないボーリング機械を、政府のお金で買って持っていっても、中小の小の部は、一つか二つあるかもしれぬけれども、ほかの探鉱会社は全然相手にせぬという機械になるのですね。そういうことを私は心配する。そうしますと、ボーリングを、買ってやって、これはお金を回収するのですから、うまく当ればいいが、当らなかったときには、一切がっさい国費の欠損ということになる。その点いかがですか。
  224. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) まあ、八百メートル以上掘れるような機械を持っておるような大会社は、おそらくこの会社にボーリングを依頼することは、これはほとんどなかろうと思いますが、そういったような機械を持っていないような向きに対しましては、非常にこの会社はありがたいものになるのじゃないかと考えて、利用価値はあると考えております。  なお、当らなかった場合にむだになるじゃないかというお話でございますが、この会社のやりますことは、探鉱と、受託探鉱と、付帯事業となっておりまして、探鉱というのは、自分で鉱業権を取得してやっているのでございますが、これは御承知のように、非常に危険な事業でございますので、当らない場合も考えられます。それから共同探鉱の場合は、共同鉱業権を設定いたしまして、まあ契約によりまして異なるわけでございまして、これは契約の内容によりまして、当った場合、当らなかった場合、どういうふうに代金の決済をするかきめればいいのでございまして、契約をいたします際に、十分に注意をいたしたいと考える次第でございます。第三に、受託探鉱の場合、これは請負でやるわけでございますから、当っても当らなくても、一メートル当り幾らという契約をいたしまして、それで掘りたい。こう考えている次第であります。それで、どの程度が危険性があるかということでございますが、先ほど申しましたように、自営探鉱の場合は非常に危ないわけでございますから、さしあたりこの会社の基礎を安泰にするという意味におきまして、実際のところは自主探鉱というものは、初めのうちはほとんどやれないと思いますから、受託探鉱に重点を置く。従ってこの事業計画におきましても、九割近く受託探鉱でやるというつもりでございます。
  225. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して。中平監理官にまことに失礼なことですが、お尋ねして、法案審議の進行上御回答願っておきたいと思うのです。先ほどから同僚委員が質問いたしております際に、この数字関連してお答えしなければならないような場合に、手元の資料をそこで参照されて、答弁される際にかなり時間もかかっておりますので、あるいはあなたがこの法律案を作った中心の方でなくて、何らかの都合でそこにおすわりになっていて、そういう質問を受けることが御迷惑な立場なのかどうか、これを率直に承わっておいた方が私はよいと、こういうふうに思うのです。なぜこういうことを申すかと申しますと、この種の法案が出ます場合に、通産省の場合はかなり具体的な資料をわれわれに配付するし、従いましてわれわれはその資料に基いて聞くから、答えられる方も突然数字をあげて説明しなければならないようなことが少いのですが、この際は開発庁からはあまり詳細な資料をわれわれはちょうだいしていないので、先ほど来阿部委員赤松委員の質問のようになってきていると思うのです。そこでお尋ねすることは、総務監理官というのは政府のこの職員録から見ますと、あなたの名前は次官の次に書いてあるわけなのですが、こういうふうな法律案を作ったあなたはその当事者であるのかどうかということが一つと、それから次に、この法律が成立してこの開発会社ができますと、直接監督をする担当官はだれなのか。それは開発庁長官ですと言えば話はそれっきりですが、そうではなくて、具体的に、たとえば通産省の場合には通産大臣という答えではなくて、それは石油のことですから石油局長一石炭のことだから石炭局長だとか、鉱山のことではあるけれども保安に関することだから、それは鉱山局長ではなくて鉱山保安局長だとかというような、直接担当する責任者がはっきりしているわけなのですが、そういう意味でこの法律案ができますと、直接監督するのはだれになっているのですかということ、この二つですね。これは全くわからないから聞かしてもらいたい。  それから、事のついでに私はほかに質問がありませんから、第三点として中平さんに尋ねておきたいのは、この法律は通産省の意見も聞いて、そしてあなたたちも真剣になって、阿部委員の言葉を借りれば、三人集まって文珠の知恵でもってこれを作った、そして本店を東京に置くというにもかかわらず、衆議院が札幌市だと、こういうふうに直した。他院を批判するわけではないけれども国会議員なんかもときには気まぐれで、こういう修正案などを出すことがないではない。まことに失礼な言葉であるけれども衆議院は今正常の状態でない、そういうような状態のときに、こういう修正案をやられて、実はこの提案者としては、はなはだ迷惑だということもあり得ると思うのです。その場合には衆議院を、立法府をあれこれ批判するということは、あなたたちは好まないところだと思うのですけれども、私は現実を聞かしてもらいたいと思うのです。なぜこういうことを聞くかというと、この会社の性質上通産省等と連絡をしたり、他の関連会社と連絡をしたり、非常に中央政府と交渉をしなければならない事務が多いと思うのです。その場合に、本店を東京都に置くならばわかるけれども衆議院によって修正されたからというので本店を札幌に置いてみた、仕方がないから置いた。ここには二、三人の者を置いて、そうして東京の分店か支店か知りませんけれども、そこには膨大な人を集めて置くというようなことになると、この衆議院修正した趣旨にももとると思うので、これは一つ中平さんから率直に、実は東京都がベターなのだったら、それでもよろしい、札幌に直しても、それでも差しつかえないというなら、それでもよろしい、率直な御見解を一つ承わっておきたいと思うのです。
  226. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) お答えいたしますが、最初の御質問で、私がこの法律案の立案の当事者かどうかという御質問でございますが、それにつきましては私の立場を少し御説明しなければなりませんが、次官の次に私の名がありまして、私が北海道開発庁の事務の全般につきまして、まあ総括の仕事をしておる立場でございまして、何と申しましょうか、まあ普通の大蔵省とか通産省というような官庁と比べますと、官房長のような立場ではないかとも思います。これは私の見解が間違っているかもわかりません。そのほかにそれぞれ事業三課と申しまして、農林水産課、地政課、水政課というのがございまして、それから企画室というのがございます。そのほかに主幹というのが二つございます。この主幹も課長と同じ扱いになっておりますが、そうしてそれぞれ分担がございまして、この北海道地下資源開発株式会社の立案は桑原主幹、これは人の名前をあげるのは非常に変でありますけれども、主幹というものを二つ置いて……、主幹室と言った方が実情に合うかと思いますが、そこで実際の仕事をやるわけであります。法律的に申しますと、総務監理官というものも、この法律案につきまして責任を持っております。ですから非常に説明しにくい立場なんですが、少し言い過ぎかもしれませんけれども、多分主幹とか企画室というものが、ほかの省では、局長に当ると言った方が、これはしかられるかもわかりませんが、そういうふうな仕事をしております。  監督する担当官はだれになるかということでございますが、これも今申しましたと同じような趣旨で、主幹室と申しますか、昔は経済課と言っておりましたが、経済課と言った方がわかりやすいのですが、経済主幹の者が実際には監督の事務をとるわけであります。しかし私も責任がないわけではございません。  それから第三の御質問で、この法律案を作るときに通産省とよく相談したかというお話でございますが、もちろんこれは共管にする法律案でございますし、御承知のように北海道開発庁は非常に人が少いものですから、とても手に負えないという状態でありますが、その手の足りないために通産省の優秀の人をさいていだだきまして、一緒に作業したような次第でありまして、共同の立案でございますから、御了承願います。  それから、衆議院で本店を札幌に置くというふうに改正されたことについての意見はどうかという御質問でございますが、これは当初はもちろん先ほどの御質問の中にもありましたように、中央官庁の連絡とか、あるいは機械の購入とか資金の調達、その他につきましては、東京に本店があった方が便利であると考えまして、本店を東京に置きたいという案を作ったわけでありますが一衆議院の方の委員会におきまして事業を北海道でやるのだから、当然北海道に本店を置いて、東京に支店を置く、そうして中央との折衝その他は支店でやればいいじゃないかということに改正されました。どちらも一理あると思います。ただ当初私ども考えました点では、この会社の人間は大体五十五名とお手元に差し上げました参考資料に書いてございますが、五十五名くらいで発足したいと考えましたときには、二十名程度東京に置いて仕事をしたい。従って本店の機構としては割りに小さいものでございます。これを本店が札幌となりますと、二十名というのは、感じとしては少し多過ぎるのじゃないかと思いますので、少し減ることになるかもわかりませんが、初めの案といたしましては、あまり東京に多くの人間を置くことを考えておりません。非常に優秀なスタッフを置いて、中央折衝に必要な人間を置こうと考えた次第でございます。むしろどっちかといえば、形式的の案じゃないかと考えるのでありまして、札幌に本店を置いたらどうしても困るというほど強く私たちは考えていない次第でございます。
  227. 阿部竹松

    阿部竹松君 これは、あとで石炭局長と鉱山局長にもお尋ねいたしますが、請負でやる場合のことはわかるような気がいたしますが、この共同経営ですね、これはどういうような、具体的に……、鉱区が方々に散らばっている、どういうような工合になるのですか。共同経営ですが、これをちょっとかみ砕いてお教え願いたいのですが。
  228. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 共同鉱業権を設定してやるという場合を考えましたのは、あまり資力のない会社と申しますか、資力のない鉱業権者が多いと思いますが、請負でありますと、当っても当らなくても金を払わなくちゃならない。それではたまらない。従って、当らない場合はなるべく損害を少くしたい、当った場合はしかし大いにもうけたい。しかし、金もないから自分でもやれないというような方があれば御相談に応じてやりたい、こういうふうに考えております。
  229. 阿部竹松

    阿部竹松君 共同経営ということは、そうしますと、あなたの会社と言ってはちょっと悪いんですが、たとえば監理官が北海道開発株式会社の社長さんだとしますね。そうするとあなたの会社と、北海道にある探鉱会社と共同してボーリングをする、こういう意味ですか。
  230. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) ボーリングはこの会社がやるわけでございまして、結局鉱業権を設定すると、鉱業権を持ち分として持ち合うのですね。それを権利を半分ずつにするか、あるいはその会社が三分の一持って地元の会社が三分の二持つかということは、これはその際の契約の内容によるわけでございまして、ボーリング自体はその会社がやることになっております。
  231. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこがよくわかりませんが、だれとだれがどうやるのですか。甲と乙、甲がだれで乙がだれかということをお伺いしてるんです。
  232. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 甲が地下資源開発株式会社でありまして、乙が従来鉱業権を持っておった鉱業権者であります。
  233. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、共同経営であるから、失敗しても相手の会社は……、甲が地下資源株式会社である、乙は何何鉱業者であるということで、共同でやって失敗しても、結局欠損はあなたの方だけで持って、相手の方は損しない、こういうことになるのですね。
  234. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) それは共同鉱業権を設定する際の甲と乙との契約の内容によるわけでございます。従ってそういうふうな取りきめをすればそうなりますし、あるいは違った取りきめをする場合も考えられないことはございません。一がいには言えないわけでございます。
  235. 阿部竹松

    阿部竹松君 一がいには言えないといって、一がいではなくどうなるか、そこらあたり明確に教えていただきたいのです。いい悪いじゃなくて、どうなるかということですから、一がいに言えないじゃなくて、甲と乙でボーリングをやる、費用が一千万円かかった、その場合にだれがその負債を負うことになりますかと、こういうきわめて単純な質問なんです。
  236. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 当らなかった場合ですね、かりに契約を結びまして、お互いに半分ずつ損をしましょうということにしてもいいわけでございます。あるいはあまりひどいから、一割はもとの鉱業権者が負担して九割は会社が負担しましょうという契約をしてもいいわけです。当った場合には、その共同鉱業権を第三者に売却して処分してもうけて、そのもうけを半分ずつ分けましょうとか、あるいは三分の一を会社が取って鉱業権者が三分の二取りましょうという契約をしておる場合、あるいは従来の鉱業権者が引き続き採掘をしたいという場合には、適当に評価して、そのままその評価した金額をどういうふうに分けるかということは、両者があらかじめ契約によってきめることで、一がいに申せませんという言葉でまことに迷ったと思いますが、そういう契約の内容によるわけでございまして、三分の一取るとか三分の二取るとかいうことを今ちょっと私の口から申し上げられないと思います。
  237. 阿部竹松

    阿部竹松君 内容そのものはわかります。そうしますると、請負でやった場合には、当ろうが当るまいが取る、こういうことですね。そうしますと、あなたの方は原価計算でいくんですか、何でいくんですか。
  238. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 一応お手元に差し上げました資料によりますと、石炭の場合は六千八百円となっておるわけでございますが、六千八百円程度の請負単価でやりたいと考えております。この金額は先ほど来由しました通り、現在の市価を調べてみましても、それより一割か一割五分安いということになっております。
  239. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、市価でやる場合は、たとえばボーリングでも日本のあそこは一番大きいんですか……。当った当らぬ抜きにちゃんともらうことになってるんですよね。そうしたら、あなたの方は当らなかったらもらわぬという、一方原価計算でいくと、十本打って三本当らぬのが出る、七本出てくる場合もあります。そうすると結局それだけずつ、現在で言うと、政府の二億円から食っていくということになるのですか。
  240. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 私の説明がちょっと不足でしたが、当っても当らなかっても請負の場合は代金をもらうのです。従って掘った結果いかんにかかわらず、一メートル掘れば一メートルの代金をもらうのです。従って資本金を食うということはその点ではないのです。請負の場合は。
  241. 阿部竹松

    阿部竹松君 請負の場合ではなくて、私の言わんとするのは、さいぜんあなたが共同経営について、あなたの会社と相手の会社と共同経営でやるから一あなたの御答弁によると、当った場合一割あるいは五割あるいは八割というそのときの約束によって、今明確に規定してございませんとおっしゃると、それはそこで理解ができるのです。そうすると、請負の方は当っても当らぬでも取るのですから、これは問題はないのです。原価計算でいって。ところが、共同経営の方は必ず当らぬ場合があり得るのです。そうしたら当らなかった場合、原価計算ですから、何%当りませんぞというので、当ったコストにかけておくなら別問題です。原価計算でいくと、当らなかった分だけ必ず赤字になるということは小学校四年くらいの生徒でもわかるという計算です。
  242. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 確かにおっしゃる通り請負の場合はいいとして、その他の場合当らなかった場合は欠損になる場合でございます。その場合実は、その計画では危険負担引き当てというものを見ております。その割合を申しますと、受託探鉱の場合事業費の五%、共同探鉱の場合事業費の二〇%、受託探鉱の場合当っても当らなかっても代金をもらうわけですから、危険負担のあることはおかしいようですが、相手が当初の契約と違いまして資力がなくなって払えなくなる、二年三年先に払えなくなることを考えまして、危険負担を見ております。共同探鉱は受託探鉱の四倍を見ておるのです。
  243. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、危険負担を見ておるということになると、当然何%か見ているわけですね。今まで各営業会社の実績等を参考資料として、そうすると純然たる――北海道開発株式会社だって政府がやるといっても純然たる営利会社であって、何ら変りはないということになりませんか、当らなかった場合も見てやるということであればいいけれども、危険負担をかぶせてしまってあれすると、純然たる名実ともに株式会社であって、政府が出資者になっているにすぎない、こういうことになるのですね、当らなかったとき政府の欠損で仕方がないと割り切っておるわけではない、そういうことですか。
  244. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) ただいま御指摘の点は、ちょっと私たちは考えが違いまして、北海道の現状から見まして、放任しておいてはなかなかボーリングは進まない、従って誘い水となるような、要するに北海道の地下資源開発の誘い水となるような事業をするという考えで地下資源会社を作った次第でございます。非常にもうかる仕事ならばほっといても民間の方御自分がおやりになりましょう。非常な危険な仕事でもありますし、現在以上に――現在ボーリングをしておる会社もあると思います、三十社程度ありますが、これ以上ふえて来年ボーリングの実績が上るというふうに考えられませんので、そのためには政府資金を、どうしてでもこういった会社を作ってやりたいと考えておる次第でございます。多少でも危険の伴う事業では、民間資金だけに頼れないということから、こういう会社を作るように考えておるのであります。
  245. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭局長お帰りですか、ちょっと私お聞きしたいのですが、租鉱権で掘っておる事業所と、鉱業権でやっておる山といろいろございますね、そこで北海道の中小炭鉱で、鉱業権を現実に、名実ともに持ってやっているところはほとんど、少いように聞いておるのですが、この点はいかがですか。
  246. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 今仰せのように、中小炭鉱につきましては、完全な鉱業権でなくして、大手から租鉱権をもらいましてそしてやっておるものが相当数が多うございます。
  247. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、中小炭鉱が掘ってもらいたいと言っても、大手が鉱業権を持っておるから、そこでボーリングをおろすことができない。それと同時に、大手がやろうとすれば自分の方の機械で自分でもって、さいぜんの御説明で、八百メートルしか能力がない設備でやるのですから、片方は千五百メートルぐらい能力を持っておる。これではてんでどうにもならぬということに石炭局長なりませんか。
  248. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ただいまの御指摘は、大手炭鉱の一種の斤先のような純然たる大手の系列に入っておりますような、租鉱権に基いて石炭の採掘をやっておる中小炭鉱については、ただいまのお示しの通りだと思いますが、それ以外にも独立の鉱業権を持ってやっております中小炭鉱も相当ございます。それらにつきましては、本会社のボーリング能力を利用していくということは、それは中小炭鉱にとって相当の利益になる、そういうふうに考えられます。
  249. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長のあとの方でおっしゃった中小炭鉱ですね、そこでやっておるのは二つ、三つしかありませんよ。それからメタル山もそうですよ。自分でやっておるのは二つ三つしかありませんよ。あとは顕微鏡で見なければわからないようなものばかりで、請負でやっても金を払うことはできませんからね。それにはおそらくこの開発会社は乗り出すわけにはいかないでしょう。それには僕はきわめて不安定であり、全然問題にならないと思うのですがね。局長はたくさんあるようなことをおっしゃったが、こういう一つ一つ名前をあげてもわかるくらいです。そういうことはどうですか。
  250. 村田恒

    政府委員(村田恒君) これから北海道の石炭の開発というものは非常に重点を置かれまして、積極的に開発が行われるわけでございますが、その場合において大手のものといえどもボーリング能力というものは、日本全体としては必ずしも十分でない。従ってこの会社が、その日本におきまするボーリング能力というものを拡大していくという役割は果してもらえるものと思いますが、その場合に先ほど開発庁の方から御説明がございましたように、ほかの一般のボーリング業者の単価に比較いたしまして本会社の請負ボーリングの値段というものが市価よりも安いということであれば、大手炭鉱も相当これに対して請負に基くボーリングを委託するということが行われる。その意味において、そういう大手からの仕事は相当発注があるであろうということが考えられると思います。     ―――――――――――――
  251. 近藤信一

    委員長近藤信一君) この際、委員異動について御報告いたします。小滝彬君が辞任し、その補欠として小山邦太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  252. 阿部竹松

    阿部竹松君 それで請負でやる場合、それは今言った通り全部一切もらうのですか。これは当っても当らぬでも損得ないわけですね。しかし、その会社が払える能力があればいいけれども、払う能力がない場合これは一体どうなるか。国が今度は債務者になる。開発会社がとにかくどこからその金を取るかということが心配になってくるのです。それから、大手の方でもボーリング能力なしとおっしゃいますけれども、大手は能力があってもやらないのですよ。それで、あす大手の専門家をここで呼んできてもらって、参考人として聞かなければならないけれども、石炭が七百万トンも余っておって売れないから、ボーリングをやりたくてもやれないでしょう。石炭がどんどん売れたら掘りますよ。石炭がだぶついてどうにもならないのだから。足りないのは原料炭で、原料炭は日本にはないのだから、これは長官に聞かなければならない。何ぼボーリングしたって原料炭は出ないけれども一般炭は七百万トンも余っておる。ですから仕方がない。大手はボーリングをやらない。操短をしておるのです。違った意味で先ほど赤松先生が繊維局長にお聞きしておったのと同じことが石炭業界にも言えます。それを逆にお話しになるということは、どうも納得できませんね。
  253. 中平榮利

    政府委員(中平榮利君) 先ほどの受託探鉱でやった場合に相手が払えなくなった場合どうするかというお話でございますが、これは非常にこの会社にとっても重大な問題でございますので、受託契約をいたします際に十分支払い方法については相手方とよく話し合って、適当な炭鉱を調査するなり何なりしたいと思います。そうすると、担保を取るというと少し残酷なようでありますけれども、これは慈善会社ではございませんので、やはり会社の基礎を危うくするようなことはさせるわけにも参りませんので、十分よく契約の内容を検討いたしたいと思います。  なおあとの問題につきましては、石炭局長の方からお答え願います。
  254. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 仰せのように、一般炭につきましては今相当程度の貯炭をかかえておりまして、ただいまさしあたってどういうふうな対策を講じていくかということは、今真剣に研究中でございます。しかしながら、強粘結炭につきましては、仰せの通り年間六十万トン程度の出炭しか日本ではできないわけでありますが、それ以外の弱粘結炭につきましては、相当の出炭を見ておりますので、特に石狩炭田の有望な原料炭地域については、今後積極的な開発を進める。そういう方向において現実の行政というものも動かしておりますので、過渡的に一般炭が過剰の現象を呈したといたしましても、今後における積極的な増産態勢というものは石炭鉱業としても踏み切っておりますので、増産の熱意というものは今後も継続するものと、こういうふうに考えております。
  255. 阿部竹松

    阿部竹松君 増産の熱意があったって石炭が売れなかったらどうにもならぬでしょう。昭和二十八年から二十九年にかけて、前回もここで論議をしたのでありますが、三百万トンに対応する山を買い上げた。中平監理官が対象としておるような山を百五十も買ったのですよ。どうも石炭は売れないし経営が困難ですから、百五十もそういう山を買い上げて、若干売れるようになったからまた動き出したけれども、また今言った通り、膨大な石炭が余ってまた中小が今つぶれかかっておるのです。そんなことを言ってボーリングすると言ったって、相手が中小炭鉱で、だれも相手にしてくれないような山しかあなたの方の開発会社は対象にならないということになるような気がするのですが、そういう御懸念はどうなんですか。三年前、われわれは骨の髄までしみ込むほど味わってきて、中小炭鉱は買わなければならぬが、あなた方がこれからボーリングしようという会社ですね、石油ならいざ知らず十本のうち三本当っても四インチ管でボーリングしたところを十インチ管をぶち込めば次の日から油が出る。ところが石炭はボーリングしてから五年も六年もかからなければ石炭は掘ることはできない。そういう危険もあるので、そういうことが非常に心配なんですが、そういう心配はございませんか。
  256. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ボーリングいたしましても、それがノーマルな出炭態勢に達しますまでには、ただいまお話しのように、五年ないし十年を経過しなければならぬ。その意味におきまして、石炭の増産というものは、これは従来におきましてややもすれば国内炭の増産生産対策というものに対しまして、はっきりした政策というものが確立していなかったような感じがございます。その意味におきまして石炭鉱業が思い切って増産態勢に踏み切るというところにきわめて臆病であったことは事実でございます。そういうような石炭鉱業というものが景気の変動に対してきわめて弾力性が少い産業でありますので、一面非常に逼迫いたしました場合、あるいはある程度余りました場合の長期的な対策というものは、別途これは貯炭場の施設なりあるいは買い取り機関の問題なり、そういうような問題を進めまして、片一方昭和五十年の国内炭七千二百万トンの出炭態勢を基礎といたします新しい長期経済計画の線に沿っての増産態勢は、これは継続していくことが可能であると、かように考えております。
  257. 相馬助治

    ○相馬助治君 ここに再び石井長官の御出席をわずらわすようになっておりますが、実は同僚委員から、先ほど北海道開発庁の政府委員に対してだんだんの質問をいたしておるのでありますが、にわかに理解しがたいような幾つかの点があったもんで、審議が思うように進んでいないわけです。そこでこの際長官の責任ある御回答をお願いしたいと思いますことは、会社の事業計画及び資金計画のうちで、機械購入費の問題や、あるいはまた、予想される請負制度の問題等について、若干問題があるようなのですが、長官としては、この法案提案するに当って、この法律がここで議決されまするならば、今まで予想した通りの事業計画並びに資金計画で十分進み得ると思う程度にそれらの問題がコンクリートされている、こういうふうに考えているかどうか、このことを尋ねたいのです。なぜこういうことを尋ねるかと申しますと、この法律では、会社の取締役及び監査役に関する事項については、内閣総理大臣が主務大臣でありまするから、国務大臣としてもちろん石井長官に、この事項については、専断にゆだねられるような形で、権限が移譲されると、こう理解いたしますが、その他の重要な問題については、内閣総理大臣及び通商産業大臣が主管大臣です。従って、この法律が通った、そうして会社の事業計画、資金計画等を出してみたところが、通産大臣がこれを許可しなかったというようなこと、ないしは、許可をするにしても、手直しを命ぜられた、こういうようなことにでもなりますれば、かなり問題が政治問題として複雑であろうと、かように考えるのです。私はこういうことについては、あまり詳しく知らないのですが、北海道開発庁が責任を持ってこの種の特殊会社の設立を期待して、こういうふうな立法措置をするならば、長官は国務大臣なのであるから、むしろ主務大臣というものは、北海道開発庁長官が主務大臣としてこれに責任を持ったらばいいのじゃないかとすら思うので、こういう質問をするわけなのでございます。ちょうど長官は中座されたときなので、私の申していることが、あるいはにわかに理解できないかもしれませんけれども、要するに、政府委員答弁がどうもわれわれには明確に理解できないのです。理解できない方の頭が悪いということになればこれは問題は別ですが、質問している方が普通の常識で普通の頭でやっているということに前提を置くならば、そしてまた、質問している方は無理でないと私自身は理解しているのですが、どうも答弁がにわかに理解しがたい点があるのです。そこで長官に御出席を願ったのですが、もう一度申しますと、会社の事業計画とか資金計画というものはぴんと立っていて、コンクリートされているのですか。
  258. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 先ほども答弁を申し上げたと思うのでありますが、これは五億円で仕事を始めていく。三億円の資本と二億円の借り入れということで仕事を始めていくという計画でございまして、それにつきましての計画の諸点につきましては、通産大臣と打ち合せをいたしまして、通産省、北海道開発庁の意見の一致したものを基礎といたしまして、案を進めているわけでございます。私どもは、この計画がすみからすみまで一つも動かないというまでは申し上げられないと思うのでありますが、これは事業体ができまして、会社が、経営者がこれを基礎として、いろいろまた検討して、さらに有利な方法、行き方等も出てくるかもわかりませんが、大きな筋においては、私どもが話し合った線はくずれることはないと思うのであります。従いまして、これの損益計算等の見通しも、まずはこういうところにいくのであろう、私ども考えるところでは、まずここまではいくというめどを書いているのであります。それの実現のために、あるいはさらにそれよりもよくなるような数字が出せるために努力をいたし、進めているのでございますが、これは私北海道開発庁の長官といたしましては、規定上、総理大臣が当面法律上の責任の地位におられるのであります。そして、北海道開発庁長官がそれを代行するわけでございます。それを私と通産大臣との間で、ただいま申しましたような、こういうことで話し合いをつけておりますので、二人の間に変なことになってがしゃがしゃになるのじゃないかという御心配はないと思っております、
  259. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  260. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。  それでは本案についてはまだ御質問もございますが、本日はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  261. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に航空機工業振興法案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  262. 相馬助治

    ○相馬助治君 この航空機振興のために通産省がこのような立法措置を講ぜられたということについては、きわめて原則的にはけっこうだと思います。しかし、私はにわかにこの法律案に賛成しがたいのは、この法律案内容的にわれわれの意思と反するからであるのじゃなくて、むしろ逆に、本気で政府が航空機の生産に熱意を持つならば、もうちょっと財政的にもものを考え、それから法律の面でももりと整理されたものを出したらどうか、こういうふうに考えるわけなんです。ことしは政府としても税金を取り過ぎてしまって、一体この余りだ金をどこに使おうというときなのだから、こういうときこそ、航空機製作というように長い間ブランクがあって、取り急ぎ世界の水準にまで達しなくちゃならないというところに、大量に金を注ぎ込んだらいいと私は思う。それもただ単に補助金というそんなわけのわからぬ形でやってはならぬというのが、わが党の主張です。すなわち、もうからないときには政府からたんまり補助金をもらっていて、会社がもうかり始めたら勝手にもうける、そういうことではたまったものではないので、人造ゴム等にやった方式でもよろしいと思うのです。相当大きな金を株式投資の形ででも何でもそこに投入して、そしてそこに何とかその仕事が線に乗るようにやらなければだめだと思う。先般私並びに阿部委員は、重工業局長とともに宇都宮の富士重工業の飛行機の生産について、この眼で見て参りました。非常に教えられた点は、われわれが想像も及ばないような大きな治具を必要としているということ、それからほかのものの自動車や自転車のように走らせてみて、工合が悪かったら一々直していくというような性格のものではなくて、一台の飛行機を新たに試作してこれを飛ばすためにはそれと同じものをこしらえて、そうして飛行場の中でいろいろなこれに抵抗を加えて、めちゃくちゃにこわすというような一つの過程をとっているというようなことをこの眼で見まして驚いている。私がとんまなのかどうかは別として、なるほど飛行機の生産というものは金のかかるものだと、つくづく見て参ったのであります。そうしてみますと、あまりにこの法律案はお粗末で、これでもって輸送機を作るのだとか何とかいって大きなことを言っていても、だれも信用できないと思うのです。しかも笑止千万であることは、輸出産業にすると、こういうことを言っている。戦争に日本が敗れて、そうして日本というものがどの程度に外国によって理解されているかは、お互いに知るところです。飛行機をこしらえて、カタログを東南アジアに回したからといって、たちまち注文がくるなどというようなことは予想されない。日本でまず飛行機をこしらえて国内で飛ばして、そうして国外にも飛んでいって、そうして日本人が作った飛行機が、もうこれは三年も乗っているけれども一回も事故がない、こういうようなことになれば、これは一つ注文でもしようかというようなことになると思うのです。食器やバケツの輸出とはだいぶ事が違うと思う。  そこで、私は大臣に承わりたいと思うことは、この法律はこれで仕方ないといたしまして、次年度からどういう計画を持っているのだということを承わりたい。今さらこれにうんと金をつけろといってもできない相談でしょうから、次年度からどういうふうに考えておるのか。それから、年次計画において相当多量の国家資金をこれに投入する用意があるというならば、この法律案にわれわれは賛成をいたしまするし、お先まっ暗だというならば、こういうチャチな法案をここで作ること自体が問題があるから、むしろ取り下げてもらって、そうして一つ次の衆議院も冷静な頭になったところで、抜本的に充実した法案を出した方がよろしいのじゃないか、私は飛行機生産の将来を思いまするがゆえに、涙をふるってこの法律案に反対だと、こういうことを今中しておるのであります。しかし、大臣の誠意ある答弁が私を満足させるならば、私はこれに賛成することにいささかもちゅうちょいたしませんので、一つこの際明快なる御見解を承わっておきたい。
  263. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この法案を出しますについて、われわれもこの内容では実は非常に不満であったわけであります。相当決心をしてかかりませんと、お話通りに飛行機産業の振興ということは簡単なものではないというふうに考えておったのであります。しかし、とにかく航空機工業を振興するのだという方針をはっきり国会で御承認願って、こういう法案の形で振興するのだという方針がきまりますと、今後におきましてこれを手がかりにしまして、さらに一段と将来の補助金につきましても十分獲得し、そしてさらにこの法案内容を整備するということもできるのであります。内容は貧弱でありましても、この航空機工業を振興するという方針についての国会の御承認を得るということがむしろ先決ではないかというふうに考えましたので、そしてこの審議会を設けまして将来の方針を早くきめていくということも必要である、かように考えたのであります。まあ具体的に補助金をどうするというようなことをただいま法案で書きますことは大蔵省としましてもちょっと同意しがたいという点もありますので、第十二条でありましたか、これは方針だけ一応はっきりさせようというふうなことで、まあこの程度に落ちついてしまったのでありまして、これはさらに審議会等におきまして方針がはっきりして参りますると、またわれわれのただいまの対象にいたしておりますのは中型輸送機の試作ということであります。これにしましても相当の年月がかかるのであります。それに対して航空機工業を振興するという方針だけを早く決定して、そうしてその方向によって補助金も十分今後獲得いたしまして、そしてさらに資金の面等につきましても詳細な規定を今後内容として書いていきたい、かように考えまして提案したような次第でありまして、この点は御了承願いたいと思います。
  264. 相馬助治

    ○相馬助治君 答弁趣旨がよくわかりましたから、それが一つ不渡り手形にならぬように十分年次計画を立てられて、それから、できる審議会の答申等も重視されて、これに財政的な裏づけをして、一つ所期の目的を達するように格段の御奮闘を私は特に期待しております。
  265. 阿部竹松

    阿部竹松君 航空機と直接関係ございませんけれども、パイロットですね、あれは運輸省関係になるわけでしょうね、従って当委員会で論議する筋合いのものでないかもしれませんけれども、私の聞くところによると、パイロットが非常に不足である。新三菱重工のごときはアメリカさんのパイロットがほとんどであって、とにかく膨大な給与をとられるというような話を承わったのですが、これは大臣から御所管でないからと言われればそれまでですが、その点についてはこの振興法案と全然関係ございませんか。飛行機はできるけれどもパイロットは全部アメリカさんということになるわけですか。
  266. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 輸送機のパイロットの養成は、運輸省の宮崎にあります航空大学でやっております。たしか一年十二名を養成しておるのでございます。それから機数がたしか六機か七機だと思いますが、今度それをふやす予定でございます。三機か四機ふやす予定でございます。御指摘のように、どうもパイロットが足りないということはあるようでございます。ただ、かなりすでに養成しております。パイロット免状を持ちます者は、何といいますか、一番大型機の輸送機のパイロット・ナンバーがたしか百四十くらいになっておりますが、かなり免状を持っておりますが、いろいろ最近の新しい操縦方法ないし管制の問題等で、あるいはその他のこともありましょうが、全部が全部進行しておるとは思いませんが、運輸省の方でも一方で飛行場の整備の計画、これは民間機の整備であります。それから、各ローカル線の飛行場整備の計画と裏打ちになりますように、宮崎の航空大学につきましても前々から拡充の計画を持っているようでございますが、これはまあ予算関係でぼちぼちやっているということで、飛躍的な拡充はなかなかむずかしいようでございます。
  267. 阿部竹松

    阿部竹松君 この本法の目的は第一条に書いているのですが、この目的を、政府説明によると、航空機の振興対策として中型の輸送機というように書いてございますね。しかし全部読んでもそういう点が明瞭でないのです。さいぜん前尾大臣が御答弁になったよりまだきわめてぼやけている。ただその四条の一号に航空機工業審議会の所掌事務として「輸送用航空機その他航空機等の国産化に関すること。」こういうところだけなんですね。しかしこれは「輸送用航空機その他」、この「その他」はこの前も椿委員も若干質問しておりましたが、この「輸送用航空機その他」の「その他」は何ですか。
  268. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これは、具体的にはヘリコプターを考えております。この次に国産化をはかるべき機種としましてはおそらくヘリコプターの問題、需要が相当多いようでございます。また国内でライセンスで作っているものもございますが、なおもう少しいろいろな機能、それから大きさ等もございますので、まあ第二着手としてはヘリコプターをねらっておるということで、そういうふうに書いてあるわけであります。その他は今考えておりません。
  269. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次に、前回の委員会でも若干質問いたしましたが、航空機振興法ということになれば飛行機の心臓であるエンジンをやはり第一番に手がけなければならぬと思う。第一番に手がけなければならぬエンジンをイギリスさんから買うということだそうですね。それが果して一番大事なエンジン、飛行機の心臓部を全然手がけずに、もちろん予算もないでしょうからやむを得ないという答弁かもしれませんけれども、しかしこれを手がけない航空機振興法なんというものは実になっておらぬ法律であると極端に言えば私は思うのですね。プロペラと羽根だけの振興法か、あるいは胴体だけの振興法かということになるのですが、それは今この法律を直せと言ってもだめでしょうが、しかしそれはそのものずばりでいけば一体いつおやりになるか。あるいは全然おやりにならないものか。その点を一つ端的にお伺いいたします。
  270. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これは法律の文句からいいますれば当然エンジンも入っております。別段この法律改正する必要はございませんし、また先般申し上げましたように、このジェット・エンジンの小型のものの試作はかなり進んで、まあ実用化まではなりませんけれども、やっておりますので、本年度からこの輸送機に向くような大型なものの基本的な事項の研究に入るかと思っております。ただ、これは今御指摘がありましたように、実は予算関係でおそらく今年度からせいぜい千万円か二千万円程度しか出せないと思います。だから、きわめて初歩の基本的なことになります。その後三十四年、五年、六年とやりますが、御案内のように、この前の日本ジェット・エンジン会社を設立いたしまして、そしてあのちっちゃいジェット・エンジンを完成いたしますまでに今年までには五年かかっております。それで今度のこの輸送機を使いますのは型が大きい上に、先般来申しますようにターボプロップの形になりますので、まあプロペラの問題はそうむずかしいものではございませんが、ギアもあり、相当むずかしい問題であります。またタービンの構造も普通のジェット・エンジンよりは若干違いますので、時間的にはおそらく少くとも毎年五千万円、あるいは一億円ぐらい使いましても四、五年はかかるのじゃないかとまあ見られております。それではなはだ残念ではございますが、当初の試験飛行、あるいはその次の営業機の初めのところはやっぱり手がけた輸入品の方が安全性という見地から見ましても間に合うのじゃないかと、こういうふうに思っております。もちろんこれは捨てたわけではありませんが、できるだけ早くと思っておりますが、今年からも実はスタートしたいということで、例の工業技術院にあります補助金の方から一部そちらへ使いたいということで考えております。
  271. 阿部竹松

    阿部竹松君 大へん失礼ですがね、局長、そのものずばりで御答弁願います。あなたがうんちくを傾けて答弁していただくのはけっこうですがね、あなたが長々やっておりますと、法案の審議がおくれて高橋先生が気をもんでいるようですから、その点も心得て、この前に十分聞いておるので残っておるものだけを聞いているのですから。  その次は、航空機工業審議会というのができ上るのですが、ところが前尾大臣のところでわれわれに審議願うという法案は、団体法でも、競輪、競馬のばくち法案でも、一切がっさい審議会というものができるのですね。きわめて民主的でいいのですけれども、作るときだけここでやりますと言って、あまり活用されていないらしい。ところが、航空機生産審議会というのがございますね、通商産業省の設置法の中にですか。そうすると、これもどうもダブル・プレイのにおいがするのですね。なぜこういうあまり活用しないものを一ぱい作らなければならぬか。あらゆる法案がきわめて民主的でけっこうだとおっしゃるかもしれませんけれども、役に立たない審議会を作って一体どうなるのか。審議会の中で、防衛庁のおえら方も来て、それにリードされるということも一面困るという心配もありますけれども、一面今申しました航空機生産審議会というのがございますから、それで間に合いませんかということもお尋ねいたします。
  272. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) あの審議会は、生産のむしろ規制の方のことを今までやっておりましたので、今度これはやめまして、この振興のためにこちらの審議会に乗りかわる、こういうことでございます。
  273. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、前の審議会はやめるということでございますね。
  274. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ええ。
  275. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、設置法の一部を修正するのですか。あれは法律でないから何ら影響ないということですか。
  276. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) この法律の付則のしっぽにございますが、あちらをやめてこれを作るということでございます。
  277. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、この法律の中で審議会の美名に隠れて官僚統制になるという懸念を一部の人が持っているやに聞いておりますが、この点はどうですか。
  278. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 官僚統制ということではございませんで、官僚が専門の技術者に教えてもらうというような審議会になるかと思っております。
  279. 阿部竹松

    阿部竹松君 それで大体わかりましたが、さてこれで出発いたしまして、航空機株式会社というものができ上ると採算の方はどうなりますか。大体これは採算のことを聞きますというのは、少し二、三年早過ぎるかもしれませんけれども、一体採算の方はどうなるのか。この種の時代おくれの飛行機を作るわけですね。四発で飛んでいるときに、双発なんて局長も乗らないと思う、安定がないから。特に東南アジアの色の黒い人はそれにはなかなか乗らぬから買わぬでしょうから、欠損でも政府はあくまでも出資をしてこの種の産業発展のためにやるということですか。
  280. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) まあでき上り値段が幾らになるかわかりませんが、これは先ほど来輸出と申しますけれども、できるだけ安くと思っております。そのために研究費も安くいたしますし、それからできますれば私たちが今年の予算要求で考えましたように、研究費のうちで治具、工具のたぐいは、あるいは機型の製作といったものは政府出資の分にしたいということを考えてやってきたわけですが、今年は実現しませんが、これは一つぜひもう一ぺん取り上げて大蔵省と折衝したい、こういうふうに思っております。そうしますれば、その分の研究費だけの分が要りませんから安く上るわけでございます。
  281. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次に、わが国の航空機工業というのは昭和二十七年から大体出発してございますね。その中で航空機製造事業法という法律がございましょう。それによってあなたの方では特需なり軍需なりを許可してきたのですが、それと同時に特需と軍需と民需の三つの大体パーセンテージを大ざっぱでけっこうですからおわかりであればお聞きしたいと思います。
  282. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 民需はございません。ほとんどございませんで、特需とそれから防衛庁だけでございます。生産関係の方ではほとんど特需ばかりで、防衛庁関係は一割五分ぐらいだけでございます。それから修理は、これはほとんど特需かと思っております。失礼いたしました。間違いました。もう一ぺん申し上げますと、累計がちょっとこまかいことになりますので、三十二年度の生産で申し上げますと、これは大体百億、今まで一番多い生産を記録しておりますが、このうちで米軍関係が約一割五分でございます。その他は自衛隊でございますが、これは御案内のように、最近ジェットの練習機、あるいは戦闘機がふえておりますので、二十七年からずっと見ますればこれは各費目とも特需の方が累計ではちょっと多いかと思います。
  283. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、今まで防衛の主要の分はアメリカさんのMSA協定の中で来たわけですね、ジェット機が。そういうことですね。それで運輸省のこの方を担当している人に聞いたのですが、昭和三十八年から四十一年ごろまで日本の国内幹線、それからローカル線合せて約五十機ぐらい必要だろう。それからまた将来百機ぐらいになるだろう。それ以後はどんどん外国に売らなければならぬ。あまりめちゃくちゃに落ちたら困りますから、落ちない飛行機ということですからね。そうすると、採算がとれなくて困るのじゃないかという話なんですよ。そうしますと、双発を作って――これはアメリカさんが大きいのを作っているから、とても四発を作ってもアメリカさんと太刀打ちできないから、ですから抜けがけの功名で、アメリカさんの作らぬ双発のやつを中型機としてねらったその趣旨はわかりますが、そういうものの見通しはどうなんですか。運輸省の言うことは正しいか、正しくないか、あなたに聞くのはちょっと工合が悪いのですが、あなたの方の判断はどうですかね。
  284. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 先日来申し上げましたような傾向から、大体私たちも五、六十機と思っております。それから輸出が残りの分ぐらい、それで双発の問題はこれはいろいろ飛行機の設計上の技術上の問題のようでございます。プロペラの双発よりはこの方のエンジンの双発の方が非常に安定しているそうでございます。世界でも、たとえばオランダが今度どうやら試作を完了しましたフレンドシップというやつも大体双発でございます。この辺のところから、滑走距離が短かくて済むし、輸送力の座席も多くありますし、それから燃料消費量も少いものですから、まあそろばんとしても一番いいというふうな傾向のようであります。世界の一流機はむしろ、この中型であれば双発、二つのエンジンでやっているようでございます。われわれもまあそこをねらったのでございます。
  285. 阿部竹松

    阿部竹松君 それで、その飛行機は今、局長承知通り総合した工業なんですね、あらゆる部門にわたっているわけです。作る方は通産省ですね。その作ったやつを動かす監督は運輸省になるのですね。それはそれでやむを得ないでしょう。しかし、研究所等を文部省でも持っているのですね、東大その他に金を出して。それから科研でも持っているのですね。それから運輸省でも持っているのですね。こういうてんでんばらばらにやるということが政府機関としてはおかしいと僕は思う。総合して一カ所に金を出した方がかえって産業発展のためにいいのではないか、しかし各省で予算をぶんどって、やれということは、けっこうのようであるけれども、私はどうも金をむだ使いにする面があるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  286. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) まあ、私見にわたりますけれども、これは御指摘の通りだと思います。そういう趣旨で実は航空技術研究所を総理府に設けたわけでございます。どうもなかなかぴしゃっと右へならへと参らずに、いろいろ小さい研究用の風洞等も方々にあるようであります。ただ基本的な、しかも相当高速力の風を出します風洞が、これは大体航空技術研究所のものしかまず使いものにならぬじゃないかというようなことで、あとの方は片手間のいわばほんの一部の試験あるいはごく基礎的なことの研究ということじゃないかと思います。
  287. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから、この種の会社の法人税とか固定資産税ですね、振興してあげるのですから、法人税とか固定資産税を免除するとか、それから外国の製品の入ってくるやつをストップすると言ったら少し言葉がきつ過ぎますが、それに関税を高くかけるといって、そして日本の製品をそういう面での保護を加えるということはお考えになっておりませんか。
  288. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これは、できて飛ぶようになりますれば、当然考えるべきだと思っております。関税の問題それから外貨割当で輸入機を押えるという問題、それから法人税の問題は、今法人税でありますとちょっとまずいものですから、今いわゆるこれを財団法人に出します金の寄付について何とか法人税がかからないような方法はないかといって大蔵省と折衝中であります。
  289. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、法律がなくても開銀から六億三千万円ですか、行政措置か何か、開銀から六億三千万円か出ていますね。それから中型輸送機研究費は一億二千万円計上してございますね。そういうことになってくると、国会末期のあわただしい中に、実際法律がなくても仕事はできるのですから、それで今の相馬委員の発言じゃございませんけれども、もう少し腰のすわった法案を本腰を入れてここに打ち出すということであれば――開銀から研究費や何か一切やっているわけですから、あわててやらなければならぬ理由一つお聞かせ願いたいと思いますがね。
  290. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 実は、これは予算要求の当初からこういう法案を作ろう、もう少し出資ということも考えましたので、特殊法人等も考えて立案したのであります。ところが、予算の方がうまくいきませんので、そこを落しまして、少し寒々とした法律で打ち出しまして、ほんとうに熱意があるかどうかとときどき御質問があったわけでございますが、これはもう初めからそういう気持でおりますので、他日予算措置その他のことを考えまして、修正増をいたしましてりっぱな法律にしたい、こういうふうに考えております。
  291. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後にもう一点お尋ねいたしますが、パンフレットをいただいておるこの輸送機設計研究会というところでまず出発するわけですね。しかし実際いよいよ製作するようになって、どこで作るかということが問題になろうかと思います。そこで今私の心配することは、当初はお互いに富士さんも、川崎さんも、三菱さんも仲よくやりましょうということでやられるでしょう。しかし、さて作るということになれば、当然自分のところで作ってみたい、作らなければならぬということになるので、果してそのときにうまくいくかどうかそれが心配と、全然別個の会社をこの研究会なるものがやられるものか、その点を最後にお尋ねします。
  292. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) これは実は今全然白紙でございます。といいますのは、試作の進みます段階に応じて、あるいは各社で、自分は胴体、自分は翼、自分はエンジンというふうに分担して最後にどっかでまとめたという方が適当なのか、あるいはお話がありましたように、今の会社とは別個に生産専門の会社を作りまして、これが既存の設備を利用してやるという形がいいか、これはもう少し試作が進みまして、そして審議会の議にも諮りまして態度をきめたいと、こう思っております。
  293. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣に、さいぜん局長にお伺いしたエンジンの問題ですね、くどいようですが、この輸送機振興法案ということになると、どうしても私はエンジンまでやらなければならぬという――これは少し頭にきているかもしれぬけれども、そう思うのです。エンジンを作らぬような輸送機法案を作るというのはおかしいと思うのですよ。しかし、大臣に今やれと言ってもこれはとても通りそうもないから、これはやはり希望になるかもしれませんけれども、来年は必ずやるというようなお約束はできませんか。
  294. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) エンジンの問題につきましては、これはもちろん決しておろそかにすべき問題ではなしにやっていかなければなりません。ただ一来年度それならエンジンの特別の補助金を取るかどうかということになりますと、この試作の胴体といいますか、エンジン以外の部分でも相当な補助金が要るわけでございます。従ってその方に集中して使うべきか、その点は今後よく検討いたしまして来年度はきめなければならぬと思います。しかし、決してエンジンの研究を怠っておるわけではないのでありまして、ただいまも局長から申しましたように、他の方法による経費も都合して出したいというふうに考えておるのでありまして、ただ相当、エンジンということになりますと、おそらく今自衛隊の関係で作っておりますものなんかの研究も進んでいくと思うのでありまして、最も合理的な早い機会にエンジンの研究も始め、試作もするということで参りたいと、かように考えておるのでありまして、ただ来年度必ずエンジンの方に出してこの方の予算を食ったがいいかどうかについてちょっとただいま私自信を持ってお答えするわけに参らぬ次第であります。
  295. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  297. 古池信三

    ○古池信三君 私は自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。  この法律の目的とするところは、航空機等の国産化を促進するための措置を講じて、これによって現在わが国が、非常な立ちおくれの状態にありますところの航空機工業の振興をはかって、もって、わが国産業技術の総合的な向上並びに国際収支の改善に寄与しようと、こういう目的でございますから、まことに時宜を得たと申すよりも、むしろおそきに失したくらいに感ずるまことに適切な法案であると考えます。ただ、この法律案は、条文もまことに簡潔であり、あるいは必要なる最小限度の事項は規定されておるかとは思いますけれども、要するに骨だけでありまして、まだまだ規定をすべきと考えられるような点があるように存ずるのであります。従いまして、この法案が成立いたしました暁においては、政府は、少くともこの法案に盛り込まれた事項については、運用上万遺憾のない措置を講ぜられまして、この目的とするところを十分に達成し得るような最善の努力を尽していただきたい、かように強い要望を持つ者であります。なお、先ほども論議の中にございましたが、とにかく、今日は非常におくれておるのであるから、まずこの法案を出発の第一歩として、今後できるだけ早い機会に逐次充実をして、りっぱなものにしていただくと、それと同時に実質的な政府の、あるいは技術、あるいは経営の面における強力な助成策をとってもらう、そうしましてすみやかに一日も早く国際的な水準に追いついて、さらに世界に誇るべきわが国の航空機工業を充実していただきたいということを強く要望をいたしまして本案に賛成するものであります。
  298. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はこれから申上げる二点を要請申し上げて、本案に賛成するものであります。  第一点は、私どもはこの種の民需の中型輸送機を将来防衛庁等において利用せぬかと、民需の名をかりて軍需に使うのではないかと懸念される点であります。従いまして本法案ができ上って実際問題として飛行機が飛ぶというようなことになっても軍需等には全然使わないのであると、あくまで民間航空の発展のためにということが第一点。  第二点は、今討論の前に質疑の中で申し上げましたが、航空機産業の振興法ということになりますると、当然飛行機の心臓部門であるエンジンの研究、エンジンの方の作業から始めなければならぬ、それが一番長くもかかるし、一番難問題であるだけにそれを一番先に手がけなければならぬというように判断するわけでございます。さいぜん大臣答弁にもございましたが、明年度等におきましては当然エンジンを予算化して、その方にも手をつけていく。  この二点を要請申し上げまして、本案に賛成するものであります。
  299. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  300. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めて、これより採決いたします。  航空機工業振興法案を問題に供します。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  301. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、委員長の報告等諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、本法案を可とせられた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     青柳 秀夫  高橋進太郎     古池 信三  小沢久太郎     三木與吉郎  相馬 助治     阿部 竹松  小幡 治和     小山邦太郎
  303. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  304. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。  それでは明日は、午前十時に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時十六分散会