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1958-04-17 第28回国会 参議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十七日(木曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   委員異動 四月十六日委員小幡治和君及び相馬助 治君辞任につき、その補欠として黒川 武雄君及び占部秀男君を議長において 指名した。 本日委員黒川武雄君、大谷贇雄君及び 岡三郎辞任につき、その補欠として 小幡治和君、上原正吉君及び吉田法晴 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長            近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君    委員            大谷 贇雄君            小澤久太郎君            小幡 治和君            古池 信三君            小西 英雄君            島   清君            椿  繁夫君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   衆議院議員            淵上房太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁企画    調整局長    鈴江 康平君    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君    中小企業庁振興    部長      今井 善衞君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    法務省刑事局総    務課長     桜井 大三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理化学研究所法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○水洗炭業に関する法律案衆議院送  付、予備審査)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を開きます。  委員異動について御報告いたします。昨十六日、相馬助治君が辞任しその補欠として占部秀男君が選任され、また同日小幡治和君が辞任し、その補欠として黒川武雄君が選任されました。また本日、黒川武雄君が辞任小幡治和君がその補欠として選任され、岡三郎君が辞任され吉田法晴君がその補欠として、それぞれ選任されました。   —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより理化学研究所法案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 島清

    島清君 しばらく委員会の方へ出なかったのでございますけれども、先般西川委員科学研究所をごらんになりまして委員会発言をされておられまする速記録を拝見いたしまして、非常に村山何がしの説明を聞いて憤慨されたという、あの温厚篤実な西川さんの御発言を拝見いたしましたので、私は科学研究所の方へ参りまして、果してそういうような言葉の表現に現われておるような、運営の面においてそういったことが具体的に現われておるかどうかということについて調査をしてみたのであります。そして多くの研究者諸君にお会いをいたしまして、そういう事実を確かめながら、なおかつ、本法案に対する研究者としての要望事項等について拝聴する機会をいただいたのでありまするが、私は西川さんがお怒りになりましたことは、無理からぬことであると、まことに西川委員ならずとも、だれでもお怒りになったに違いないと、こういうような感をこの運営の面と照し合せて深くいたしたわけでございます。研究所内部研究者諸君が口をそろえて言っておりますことは、ただいまの研究所特殊法人になって切りかえられましても、やっぱりその切りかえられました首脳部役員の方に、その人を得なければ所期目的を達成することは困難ではなかろうかと、ただいまの首脳部に対しましては、あまりにも市場性を濃厚にいたしました近視眼的な、実利的な研究ばかりを推奨いたしまして、研究所の持ちまするところの特殊性というものを無規しておるのだというような声が濃厚にあがっておるわけであります。こういうことは、もちろん法案提出におなりになりました政府当局といたしましては、今研究所内部に出ておりまするところの首脳部に対する不信こういうようなもの、さらにその不信の声からあがって参りまする運営実態不適切性といいましょうか、そういうようなものの実態から、こういったような特殊法人化というお考え発展されたと思うのでありまするが、新法人とただいまの首脳部との関係において、私がただいま御推測申し上げているようなことの事実等にかんがみて、こういったような法案提出の若干の一種の要素になっているかどうか。なっていないといたしまするならば、ただいま研究所内におけるこういったような首脳部に対する不信といいましょうか、首脳部の適正ならざるところのこの運営あり方等について、新しく発足をいたしまする特殊法人のこの首脳部人事については、いかように考えておられるか。この二、三点について御説明をわずらわしたいと思います。
  5. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) ただいまの御質問でございますが、私ども今回特殊法人にいたしました理由一つといたしまして、大きな理由でございますが、やはり従来株式会社でございましたときには、何といいましても自分で研究費を生み出すということに何といいましても、努力が集中しますものでございますから、お話がございましたように研究というものを深く、まあ目先の利益をすぐ念頭に置かないで、十分ゆっくり腰を落ちつけて研究するということに欠けているのじゃなかろうか。そういう点を是正いたしますために、特殊法人にいたしまして、まあ国がめんどうをみて、りっぱな成果を上げさしたいというのが、一つの大きなねらいでございます。従いまして今後の運営におきましては、従来ほど利益、採算ということを念頭に置くというような運営をする必要がなくなるのではなかろうか、まあぜひそうさしたいということでございますので、従来の運営と異なりまして、研究の本質を十分理解するという方々理事者になるのが適当であるというふうに考える次第でございます。ただ、具体的にどの人をどうするかということにつきましては、先般大臣から申し上げましたように、ただいまのところは白紙でございます。でございますが、十分そういったようなことを念頭に置きまして人選が行われるというふうに考えております。
  6. 島清

    島清君 今の御答弁をいただきまして、法案提出要素の中にそういったような条件が加味されておるということの御答弁について満足するものでございますけれども首脳部人事におきましても、今御答弁にありましたような形でやがて総理大臣から任命されるであろうというふうな期待をするものでございまするが、その首脳部のもとに働きます研究者もまた、人を得なければ所期目的を達成することは困難であるということは申し上げるまでもございません。ところが、今、研究所の中の研究者待遇というものは、他の研究所と比較いたしまするというと、非常に待遇が劣悪でございます。従いまして、この特殊法人成果をおさめようとするのには、かなり待遇を向上させなければならないと思うのでありますが、具体的な例を申し上げまするというと、正力国務大臣の所管になっておりまする原子力研究所、この原子力研究所研究所員と今のこの研究所の所員の待遇は、およそ四割ぐらい違うという実情にあるのであります。こういったような実情のもとにおいて、所期成果を期待することは困難であるように思うのでありまするが、そういう問題に対して、所期目的を達成されるために、特殊法人に切りかえられた場合には、何か原子力研究所程度待遇をして、そうして所期目的を達成せしめるための十分な活動のできる条件を作ってやる、こういうようなお考えがあるかどうかを承わっておきたいと思います。
  7. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまのお話がありましたが、実は私は今度の理化学研究所といわず、元来技術者待遇が悪い。だから技術者待遇を改善することは、私は担当大臣として考えておるのであります。従ってもちろん今度の理化学研究所待遇についても、大いに、どの程度まで上げるかということは、ここでは明言いたしかねても、待遇は改善したいと思っております。
  8. 島清

    島清君 首脳部人事につきましては、今白紙である、こういうことでございますが、これはまあ当然今の御答弁の、今日の段階においては、そういうふうに御答弁されるということが、しごく妥当だと思います。しかしながら、少くともここで明確にしていただきたいと思いますることは、この前西川委員も憤慨されたように、ただいまの首脳部営利本位市場性の濃厚な研究ばかりを推奨しておるような形でございますので、当然に私は特殊法人に切りかえられた場合には、この特殊法人から首脳部人事市場性の高い研究を推奨するような形の考え方方々は、ちょっとやっぱり遠慮してもらわなければならないと思うのです。従いまして、その研究所首脳部というのは、学界あたりで推奨するような方々によって大半は占められるというふうな形にならなければならないと思うのでありまするけれども、これらを具体的にどういう方々を配してどうするんだということは、今御答弁は私は期待できないと思いまするけれども、少くとも学界において推奨し、学界方々大半を占める、役員のうちから大半を占めるという形にならなければ、特殊法人所期目的を達成することはできないので困難じゃなかろうかと、こういうふうに考えるのでありまするが、大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  9. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 御承知のごとく、今後特殊法人にしても、これを運用することは全く人いかんによるのであります。よろしい人を得なければいけませんので、今度は広く一つ方面意見を聞き、むろん学界意見も尊重します。そうして人事を進めたいと思います。ほんとうに今のところ白紙でございます。そうして全く考えておりません。そうして学界はもちろん、ほかの方面意見もよく聞いて、そうしてこの特殊法人にした目的を達成するように努力いたします。この点については、御安心を願いたいと思います。
  10. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 理化学研究所法案がただいま提案になっておるのでありますが、同時にこの委員会には日本貿易振興会法案提案になっておるのでありまして、ともに特殊法人に対する監督法制であります。従って内容を見ますると、リーガル・コンストラクションは両方とも同じになっておるのであります。しかるに、こまかく検討いたしてみますると、両者の間に法律的に食い違いがある、その点について質問をいたしておきたいと考えるのであります。  第一点は、理化学研究所法案につきましては、御承知通り衆議院の方で政党役員というものは原案においては欠格条項に入っておったのでありますが、これを修正して、欠格条項から削除した、ところが同じく特殊法人である貿易振興会法案によりますると、欠格条項としての政党役員というものがそのままになっておるのであります。これが一つ両者食い違いであります。  それからもう一点は、理化学研究所法案によりますると、第十七条によりまして兼職禁止をしておるのであります。貿易振興会法案の方は、第十五条によりまして同じく役員兼職禁止をしておる、ところが貿易振興会法案の方は、ただし書きをもちまして除外例を設けておる。ところが、理化学研究所法案の方には、そういう除外例はないのであります。ここも違うところでありますが、要するに両者を比べてみまするというと、理化学研究所法案の方が、すべて建前が厳重にできております。しかるに、政党役員の問題については、理化学研究所法案の方からこれをはずしている。厳重な建前の方について政党役員関係については、特に緩和規定を置くということになっておるのでありまして、この点非常に大きな矛盾があると思うのであります。その両者法案が同時にこの委員会にかけられておって、しかも、同じく特殊法人監督法制であるという見地から見ますというと、両方つじつまを合しておかないというと、この委員会における審議というものは妙なものになってくると思いますので、この点いかなる理由によってかようなことになっておるのかという点について、まず伺いたいと思います。
  11. 野木新一

    政府委員野木新一君) 法制という点に関連いたしますから、私の方から、法制局の方から御答弁さしていただきたいと存じます。理化学研究所法案日本貿易振興会法案、ともにいわゆる特殊法人に関する法案でありまして、これが同一の委員会にほとんど同時に提出されまして、各条文を比較検討してみますると、御指摘のように両者若干相違点がございます。これは非常に正直に申し上げますと、今たまたまこの二法案が比較されておりまするが、すでに同じような法案、成立しておる法律等についてみましても、たんねんに比較検討してみますると、その成立の時期によって、あるいはその法案提出した動機等によって、強調すべき点が違って参ったりいたしまして、多少のニュアンスが出てきておることは、おそらく否定できないことだろうと思います。特殊法人は、そのときどきの要求に従って漸次発展してきておるものでありまするから、発展過程において時期的に相違するものは、あるいは御了承いただけるのではないかと思います。ただ、今回のように、同じ時期に出てきておる法案につきまして相違があるのは、どうもおかしいという点、これは一応まことにそのように存じられます。しかしながら、立案当局といたしましても、こういう特殊法人法案発展過程においても漸次法を統一し、不必要な相違点はなくしていこう、そういう努力は随時払ってきておるわけでありまするが、古い法律と新しい法律と比較した場合に差異が起ったり、あるいはこの二つの法律案が同時に出た、その場合に差異が起るということにつきましても、これはなるべくこまかく配慮して、統一をはかっておりまするが、その原案作成当局、あるいは法制部で立案する参事官なり、部が違ったりする関係上、それから短時間でやるような関係上、それからその原案の、元になった法律なんか、従前の法律に一応ならってきておりまするが、その法律がそのときどきによって多少違ったという点等からして、どうもこういうような差ができてしまったわけであります。これは非常に正直なところを申し上げたわけでございます。  この法案におきまして、まず御指摘の第一点でございますが、政党役員をいわゆるこの特殊法人役員欠格事由にあげておるという点、この点につきましては、これも広く申し上げますると、政党役員というものを、こういう特殊法人役員欠格事由にしたことは、豊田先生戦前のことも御承知だと思いますが、戦前にはほとんどなくて、戦後の傾向だろうと存ずる次第であります。私この点が特にこの委員会で問題になったということを聞きましたので、こちらに上るまでに法令集をざっと見て参ったわけでありまするが、どうも最初に起りましたのは、いわゆる日本国有鉄道法最初法律のときですか、このときにこういう条文が入ったのが、どうも初めのようでありまして、それ以後たとえば公庫とか公団公社等類似条文が入って、さらにその他、たとえば日本原子力研究所とか、日本科学技術情報センター、そういうもの、あるいは今国会において成立しました国立競技場とか、あるいは今提案になっておる日本労働協会法案、そういうのにも同種の条文が入ってきておるわけであります。  この政党役員がこういう特殊法人役員欠格事由にあげられて参りまして、漸次こういうふうになってきております理由考えてみますると、やはりこういう法人は、多くは非常に公共ないし公益的の目的をもつて、特殊の規制に服しておる法人でありまして、その業務運営は、きわめて政治的中立性が要求せられるもの、あるいは国家の資金を擁しておりますので、それが政党的に左右されてはいかぬ。あるいはそれがいろいろ営利的の事業にも関係してくる場合があって、それで左右されてはならない。そういうようないろいろの点でありますが、要するに一口に言いますと、政治的中立性を担保する必要がある。そういう点から要請が来ておるのだろうと思います。しかしながら、これも御指摘のように、だんだんと詳しく見てみますと、同じ公社でありながら、できたときによりまして、日本国有鉄道とか、ほかの公社にもありますが、日本電信電話公社、こういうのにもありますが、日本専売公社には、そういう規定はないというようなことになっております。しかし全体の傾向といたしましては、こういう非常に公共性並びに公益性の強い、政治的中立性を要求した方が妥当だというような特殊法人につきましては、漸次この規定原案立案当局でも要求し、法制的にも妥当であるということで入れて参ったわけであります。なお、その規定の形態につきましては、そのときどきによって若干のニュアンスがありまして、一番きついのは、初めの日本国有鉄道のときのように、政党役員が退職しても、一年間ですか、一定年限は、国有鉄道役員になってはならないというような規定もあって、今これは改められて参っておりますが、そういう規定の残っておる古い法律も若干あります。詳しく申しますとあれですから、簡単に申しますが、そういうようなことでありまして、この点につきましては、今までの私の聞きました点では、あまり問題にならなかったようでありますが、今度の国会におきまして理化学研究所法案につきまして、特に問題になって、衆議院の方でこの規定は削除されたわけであります。この見方につきましては、いろいろ見方があるかと存じます。しかしながら、私ども法制的に見ますると、やはり政党役員欠格事由にいたしましても、政党役員をやめればこういう地位につき得るものでありますし、必ずしも憲法上の職業の自由を害するというほどのこともないし、また、積極的に政党の発達ということ、またこういう特殊の中立性を要求せられる特殊法人というものの業務が公正に運営されていく、また世間からもいろいろ疑惑を受けないという点からも、やはりこの規定は適切、適当なものではないかと存ずる次第であります。しかしながら、いわゆるマンネリズム的に、何でもかんでもこういうものを入れていくという点は、やはり厳にいましむべきでありまして、そのつど十分検討をすべきだと存じておるような次第であります。  それから役員兼職禁止の点でございますが、これもそういう差異を生じましたのは、やはり今まで申し上げた事情からでありましたが、これが果してどっちの方がいいのか、こういう点は、私どもとしても将来十分検討してみたいと思います。どちらかといいますと、今まで公庫とか、公団とか、そういう類似方面におきましては、この理化学研究所法案のようなのが多いのではないかと存ぜられる次第でありますが、これも将来こういう法案を審議する際には、十分研究して参りたいと存ずる次第であります。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今のお話を聞いてみますと、同時にやる場合については、特に慎重に両方のバランスをとらなければいかぬということに、法制局自身答弁しておられるのでありまして、これは別の時期だったら、やむを得ないかもしれないが、少くとも同時に同じような法律が出てきた場合には、そのときこそ両方つじつまを合わしておかなければならないということになるということを、法制局自身言っておられるのであります。しかも、非常に問題になると思いますのは、理研法の方自身は、すべてがやかましくなっておる。これは当然でありましょう。ほとんど政府が出資をするのだ、それから正力国務大臣の前回における御答弁でも、これを中枢的な、総合的な、ほんとう研究機関にするのだというような意気込みでありますから、この方については、やかましくやられるのが当然である。ところが、やかましく言う方が、政党役員が今度は役員になれる。それに比べれば比較的なまぬるいと言うては語弊があるかもしれぬが、ゆるい調子にできている方の貿易振興会法案の方を、依然として政党役員というものは欠格条項にしておる、これは非常におかしいのです。やめれば、政党役員といえども特殊法人役員になれるという点は両者とも同じである。その点からいえば、貿易振興会法案の方も、政党役員というものを欠格条項から同じくはずしたらいいじゃないかということになるわけであります。こういう点から見まして、理化学研究所法案原案に入っておった、政党役員を削除したときに、正力国務大臣、あるいは吉田政務次官はそれを認められたと思うのでありますが、そのときに、少くとも今後は、しかも同時に審議するような法律については、全部同様な行き方をするということが、当然あってしかるべきだと思うのです。そういう点について、国務大臣としての正力さんの御意見を伺いたい。
  13. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 今のお話は私も同感であります。ただ、このときは、せっかく衆議院がこういうふうに削除せいと言うておりますから、まあこれでもよかろうというので、賛成したわけでありますけれども理屈から申しますると、今お話し通りだと思いますが、さっき法制局でああいう答弁をしたようなことでありますから、まことにこれは私ども理屈からいうと、今おっしゃる通りでありまして、やむを得ずこれに同意をしたようなわけでありますから、どうか…。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいまの正力国務大臣の御答弁でありますと、つじつまの合わぬことをはっきりお認めになっている。ということになると、これをどういうふうにしてつじつまを合わすかということについて、やはり国務大臣としてこういうふうにするのだというお話がありませんと、それを黙って承わっておるわけにもいかぬのでありますが、いかがでしょうか。
  15. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほどから申し上げます通りに、法文上から言えばお話し通りと思いますが、法律規定はせっかく衆議院がこう言われたのだからこれには賛成しましたが、実際の面においては、特別に二者の法案に違うことのないようにしたいと思います。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 具体的にはどういうことになるでしょうか。
  17. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 私ども当初の考え方といたしまして、先ほど法制局から申し上げましたように、この理研公的機関でございますので、政治的な中立を保ちたいという念願でございました。ただ、衆議院でそういう御修正がございましたので、私ども修正によりまして、政党役員であるという理由で排除するということはしかねるわけでございます。しかしながら、理研公的性格ということを考えまして、そういった今度の役員政治的役員というような活動が非常に旺盛でございまして、従って理研公的性格がそこなわれるということがあってはなりませんものですから、そういうことを十分配慮いたしまして、そういうおそれのない方でございますれば、あえて否定はいたしませんがそういうおそれのない方で、しかもりっぱな方をお選びするというような運営の方針にもって参りたいと思うわけであります。
  18. 椿繁夫

    椿繁夫君 関連して。ただいま政党役員欠格条項の問題について正力さん、この前の委員会の御答弁とちょっと違っておりますよ。あなたはこの前は、私の記憶に間違いがなければ、政党政治を将来育成する見地から、衆議院修正はまことに時宜を得たものであって、私も心から歓迎しております、こういう御答弁でありました。きょうのは、先ほどからの部長が御説明になっておるので、いろいろ関係法令をお調べになっておる点には敬意を表しましたけれども大臣の当委員会における御答弁を無視しておられる点について、私は奇異の感じを持ちながらあなたの御答弁を聞いておったのであります。この際、この岸内閣の閣僚として正力さんにお尋ねをしたいのでありますが、この前衆議院から前田代議士がこの修正条項の御説明においでになりまして、将来の問題についてまで、委員の皆さんから御質疑があったのであります。そこで、前田代議士の当時の御答弁によると、今後提案をする法律案については、政党役員であるからということによって欠格条項を挿入することのないようにしていきたい。これまである法文については、その時期を見てそろえるように修正を用意いたしたいという御発言がありました。しかも、これは自民党の政調なり、総務会とも相談の上であります、こういう御答弁があったのであります。そこで、私どもその衆議院修正を了として、きょうあたりこの研究所法案は上がるものと思っていたのでありますが、先ほどから政府委員の御説明なり、正力大臣の御答弁によりますというと、前回のお話とちょっと違うのであります。で、豊田委員の御発言によっても同じ時期に、しかも同じ委員会法案を審議しております際に、一つ衆議院の方で欠格条項から政党役員を削除するということが了承され、これからまた審議いたします貿易振興会法案の方では、同じような思想に基いて法案というものが起草されておる。これは私は当然修正しなければならぬと、前田代議士の説明を聞きながら実は思っていたのであります。大臣もそういう御発言でありました。衷心から歓迎をする、こういうことであったのであります。もう一ぺん一つこれは重要なことでありますから、大臣の御答弁をわずらわしたい。
  19. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 法案が貿易振興会の法案と一致しなかったことは、私はまことに遺憾に思いますのですが、衆議院の方で修正されたその政党役員を除くということについては、私は同感である。ただ、これは今、局長も話している通り衆議院だからいかぬと言うのじゃない。努めて公的の人物という点に重きを置いて選びたい、こう思っているわけであります。
  20. 椿繁夫

    椿繁夫君 政党役員をこの種の法人役員にしてはならぬという立案当局の思想は、これは私どもと相いれませんから遺憾に思っておりますが、しかし、当委員会としましては衆議院修正を了解し、なお、これに対する大臣の積極的同感の意思表示もあって、この衆議院修正を通したい、こう私ども実は思っておるのであります。そこで、これから日程に上ります貿易振興会法案を審議いたします際にも、同様な思想をもって法案の審議に当りたい、こう思っておるのであります。修正をしたいと思っておるのであります。そうしなければ筋が通らぬ、こう私ども思っておるのであります。ですから政府を別に、あとから出てきたからといって、立案された当時は、これは一緒であったかもしれませんから、それを責めようとしてはおりません。ただ、政党役員をこの種の法人なりいろいろな公的機関から排除しようとする思想だけは、今回の衆議院修正通り自民党の総務会もこれを了承されたというのでありますから、この線に沿って今後法案の審議に当りたいと思いますが、岸内閣の閣僚としてそういう方針でよろしいかどうか、重ねて大臣の所見を聞きたい。
  21. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいまのお話し通りに、つまり政党役員であるがゆえに排除するということは言わない。ただ、公的の人物というものが、中立でなければならぬとこう言っておるのであります。
  22. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 もう一ぺんお尋ねしますが、理研法案の方によりますと、第四十八条によりまして報告をしないとか、あるいは検査を拒んだというような場合においては、三万円の罰則になっております。ところが、同じく今問題になっております日本貿易振興会法案の方によりますと、同じことが罰則が五万円になっておるのであります。ここにもまた、はっきりした食い違いがある。これはどちらかに統一をすべきものだというふうに考えますが、その点はいかがですか。
  23. 横井大三

    説明員(横井大三君) 罰則の点でございますので、法務省からお答えいたします。私どもが今罰金の額をどのくらいにするかということにつきましてとっております基本的な立案の態度と申しますのは、最も類似の先例になります法案に従うということでございます。で、そういう考えから、この理化学研究所法案につきましては、原子力研究所法案におきまする三万円というのをとったわけでございます。ところが、日本貿易振興会法の関係におきましては、これは貿易関係法案でございますので、貿易関係類似法案を探してみたわけでございます。そういたしまするというと、かなり罰金額が高いのでございます。場合によりましては、たとえば懲役などのついておるのもございます。で、従いまして外見的には一方は三万円でございますし、一方は五万円でございますが、この貿易関係法案につきましては、元来一般にこの種の罰則の刑が高くなっておりますので、それを考えまして五万円ということにいたしたわけでございます。ただしからば、三万円と五万円と違いが出てきたもとになるところの貿易関係の方は高くて、原子力研究所の方が低いのは一体いかなる理由かと、こういうお尋ねがあるいはあるかもしれないと思うのでございますが、これは先ほど野木部長も言われましたように、先例になります法案は、時期を異にし、立法の当時の事情も異にいたしまして、いろいろな事情からそういうことになって参りますので、それを受けまして新しく作ります法案につきましては、どうしてもこの先例に従いませんと、先例との間のアンバランスを生ずるということになるわけでございます。ただ、一般論から申しますというと実は戦後の貨幣価値の変化に伴いまして、刑法におきまする罰金の額が時勢に沿わないというところから、御案内の通り昭和二十三年でございましたか、罰金等臨時措置法というのができまして、これでとりあえず昔の明治時代の罰金額も一応二千円ぐらいのところまで引き上げて参ったのでございますが、これだけではどうも罰金のアンバランスはささえ切れないというので、現在法務省におきましては、罰則の整備について至急検討しなければならないというところから、現在ございます各種の法案の罰則を全部拾い上げまして、これの罰則の調整をはかろうということで、特別顧問を置きまして研究を始めております。かなり難事業ではございますが、できるだけ早い機会に、何らかの方針を確立いたしまして、その方針に従って今後の罰則の額をきめるということにして参りたいと思います。とりあえず現在の態度といたしましては、この基本方針ができますまでは、一番類似の先例に従うということでやって参った結果が、こういう形になりました。これは実質的に見ましても、その一方は貿易関係のものでございますので、比較的高いということも考えられないことはないのでございます。それらをにらみ合せまして、こういう形になったということを御了解いただきたいと思います。
  24. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今の答弁は、非常におかしいですよ。これは貿易関係とか貿易関係でないとか言われるけれども、これも貿易業務に対する関係と、あるいはその他の関係とかいうならあれですけれども両方これは特殊法人に対する監督規定なんです。貿易の関係特殊法人であろうと、あるいは理化学研究関係特殊法人であろうと、その特殊法人の責任者を処罰する上においては、これはもう同じものであってしかるべきだ。従って罰金も同じであってしかるべきだ、むしろそういう実質的な行き方を考えられるということならば、理化学研究所の方はごらんになればわかるように、法律建前が全部やかましくなっているのだから、理化学研究所の方こそ七万円にでもすべきだ。ところが五万円にもなっておらぬ、三万円だと、おかしいじゃないですか。
  25. 横井大三

    説明員(横井大三君) あるいは私の御説明が足りなかったかもしれませんが、貿易関係法案でも、たとえば外国為替銀行法につきましては、この国の検査につきまして、検査拒否が懲役一年、罰金十万円となっております。従いまして特殊法人でありましても先例に従いますというと、貿易関係……これはもう一律に申し上げるわけにいきませんが、一般的な傾向としまして、高い罰則がついておるという実情に実はあるわけでありまして、それらを勘案しまして現在の立法といたしまして、とりあえずこの五万円という形にいたしたわけでございまして、特殊法人であるから同じであるということになりますというと、これは確かにその面から言いますと、同じでございますが、特殊法人の中にも、従来の立法例からいきますというと、いろいろな罰則の高低があるということを、一つ御了解いただきたいと思います。
  26. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 了解してくれと言うけれども、どうも了解できるような答弁してくれぬと、ちょっとこっちも困るのでしてね。今のお話しだと、両方とも特殊法人であって、その特殊法人の責任者が同じく報告をしないというような場合に、いよいよ罰則を適用する。そうすると、理研の所長は三万円で済むと、貿易振興会の方の会長かしらぬが、その方は五万円でやられる、おかしいじゃないですか。法務省というのは、一々立案のときには、刑罰関係については少くとも協議を行なっておるようですが、そのときにそういう統一をはかられなければ、将来やるとかなんとかいっておるけどれも、これは政策的なことと違って、罰金それ自身が刑罰ですから、そういうことを将来はやるとか、研究するのだとか言ったんじゃ、お話しにならぬと思うのですがね、どうですか。
  27. 横井大三

    説明員(横井大三君) 確かにお叱りを受ける点もあるわけでございますが、何分にも現在までわれわれが現行法として持っておる法律の罰則が、明治以来、ことにこの終戦後は価幣価値の変動と、もう一つは、当時の司令部のいろいろな感覚がございまして、罰則体系がかなり乱れておるわけでございます。われわれには、十分納得できないような罰則も当時は制定されたわけでございまして、この罰則の混乱ということは、終戦後特に著しいわけでございます。われわれといたしましては、できるだけ統一をはかりたいというふうに努力いたしておりますが、新立法がございまして、そのA法案とB法案の統一をはかるだけでは、実は問題は解決しないわけでございまして、A法案のもとになる法案とA法案との統一と、あるいはB法案とその系統を同じくする過去に制定された法案との統一もはからなければならぬというところから、われわれとしては、それらを総合的に考えまして、できるだけ調整をはかるという努力をいたしておるのでございますが、その努力が十分できませんのは、努力はいたしておりますけれども、結果が現われて参りませんのは、実は先例になります法案についても、この際一気に全部統一するということが困難でありますためでございまして、こういうような結果になりませんように、われわれとしてもできるだけ早く基準を立てまして、そうしてこの罰則関係のアンバランスをなくしたいというふうに考えておる次第であります。
  28. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは何度も言うように、特殊法人であって、法人格を持っておるという点から言えば、しかも、それが特殊法人だということになるというと、特殊のことをやっている個人と同じことなんで、そのやる違反の事実が、同じような場合には、Aのものに対するのとBのものに対するのとこれで刑罰が違うと、たとえば正力国務大臣に対する同じようなことに対する罰則と、われわれに対する罰則と、それが全く内容が同じであるにかかわらず違うというと、それの統一を日ごろからしておられぬというのは、実におかしいですね。そうして明治以来どうだとかこうだとか言われるのですけれども、私が聞いておっても、納得がいかぬのですが、しかし、これは事前にこういう内容についての質問があるということも通告がしてあったのですし、もう少し納得のいくような答弁ができると私は期待しておったんです。しかし、それができないので、これ以上私やっておりましても、どうも御答弁では十分に納得ができないので、これ以上やることも意味がないと思いますから、私は質問をやめますが、しかし、今の御答弁では、私は今後お進みになることについて、非常に法務省の存在意義を疑うということを、私ははっきり言っておきます。
  29. 小西英雄

    ○小西英雄君 先ほど来からこの役員の問題について、私たちもいささかこう得心のいかぬ点があるのですが、正力国務相はこの前の委員会答弁で、はっきり同僚議員からも聞かれた際に言われたのですが、政党役員をはずしたと、これは二大政党下にあって、いい人物は政党の中に十分おるのだから、これは矛盾しておるのだというふうな意味合いの答弁があって、われわれは納得しておったのですが、結局先ほど来この法案を作った立場にある法制局の長い答弁を承わっておるのですが、同じ特殊法人の中にいろいろないきさつが違う、それを例にとって、国鉄と専売公社との内容が違うようなことの詭弁もあったようですが、実際法制局がこれは答弁するのは、われわれむしろはずれておるのであって、通産省の方から一応人事についても、これは大体一つの目標があって、この人を理事長にすすめてならす場合には、これは政党関係がないから政党役員ははずしておこう、片っ方の場合は、科学技術庁の方は、これはそういうふうな関係者がないから、これはとっておこうというふうに、どうも今までいろいろ法案を出してくる同じ内容を持つものの非常にバランスがとれてない。あるときには総裁を置いておいて、今度は副総裁が足らぬ、一つ追加してくれとか同じような国家資金を使って、総裁とつけたり、あるいは理事長とつけたり、これはまちまちなんで、われわれは非常に困ると思うので、そういう点正力国務相は閣議において、こういう問題を一つとくと今後そういうことのないようにお願いしたいと思う。それともう一つ、この理事長副理事長に対する、この理化学法案の方は理事長、副理事長を同じく置くようになっておるが、これは常勤ですか非常勤ですか。ちょっとそれ御答弁願いたい。
  30. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) それは常勤であります。ただ、ただいまの御質問といい、さっき豊田委員質問といい、私は全く同感でありまして、この点はぜひ改めなくちゃならぬことと思っております。そうしてくれぐれも、先ほど申し上げましたように、政党であるということでなしに、公的という公的の人物をとるという方針は、これはもう重ねて申し上げておきますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  31. 小西英雄

    ○小西英雄君 今、尋ねたのは、われわれやはりこの次に審議する建前上、貿易振興会の方でこれは理事長、副理事長は大体非常勤のような形式をとっておるというふうなことを漏れ聞いておるのですが、こういう国家の重要な金を使う場合には、理事長副理事長が非常勤であって、そうしてその下の方にまかすというのは、まことにわれわれはけしからぬと思っておるので、正力さんの所管しておられるこの理化学の方は、理事長、副理事長が常勤ということで安心したのでありますが、法制局の方も、一貫した同じ特殊法人を作る場合には、各省からどう言うてこようとも、筋の通った、すっきりした、政党役員はこういう場合にはだめだとか、こういうのはよろしいとかということを、すっきりと検討して、各省から出てきて一つの目標があって、理事長、副理事長はちょっとこれどういうことになっておるか、これ一つこさえて直してほしいというようなことに惑われるようなことがあったら、今後国政をやっていく上に、また法制局としての権威にも関するから、そういうばらばらのないように十分注意をお願いしたい。
  32. 野木新一

    政府委員野木新一君) 先ほど政党役員につきましては、私主として法案を立案して、国会提出するまでの考え方を、ざっくばらんに申し上げたのであります。衆議院の内閣委員会等におきまして議論になりまして、岸総理大臣もこの点について答弁をされました。その答弁は、こういうのを一度に全部撤廃するということが適当であるかどうかは別として、少くとも今までのように、ほとんど先例を追うような意味において禁止規定をおくことは、適当でないと思うというような御答弁もされておるのであります。私どもといたしましては、今まではそうでありましたが、この新しい、国会の御論議を、この委員会における御論議なども十分参照して、将来はさらにそういう趣旨も加えまして十分検討していきたいと思っていることはもちろんでございます。なお、罰金の点やその他につきましても、実態が違うことによりまして、法律的の規定も違っていくという合理的の理由がある場合には、違うのもやむを得ませんがそうでなくて違うという点が生じてくることは、まことにおもしろくありませんので、その点は御指摘のように法制局の権威にかけましても、将来できるだけ努力をいたしたいと思います。
  33. 小幡治和

    小幡治和君 これはすでに御質問あったかもしれませんが、科研化学株式会社と今度の特殊法人の化研とのいろいろな財産関係の契約の問題なんですが、配付されておりまするこれを見ますると、現在いろいろ再締結について交渉しておると、現在まだ妥結に至っておらないというふうなことが書いてありますが、これについては、特殊法人関係上、政府としてはこれはある程度関与して、そうして今のいろいろな契約の内容を見てみると、ちょっと特殊法人の方が、分が悪いように私は見受けられるのですが、そういう点について、政府として関与して相当直されるというふうな考えを持っておられるのか、また関与していつごろ妥結するのか、それに相当推進を加えられておるのか、その点一つ
  34. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 今の株式会社科学研究所と、それから別の会社でございます。科研化学株式会社との間のいろいろ債権債務の関係でございますが、この点はただいま妥結を見ておりませんですが、それを今妥結をはかるように、私どももいろいろ両者意見を聞いて調停するようなこともやっているのでございますが、ただいまの見通しといたしましては、新しい理化学研究所を設立するまでに、大体妥結する見込みでございます。まあ、多少こまかい点もございますけれども、大体私今の見通しといたしましては、妥結し得るというふうに確信しておるわけであります。
  35. 小幡治和

    小幡治和君 現在よりも、この特殊法人の方に有利になるようにいきますか。
  36. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) これが有利不利と一がいに申し上げかねるのでございますが、少くとも損をしないという線で交渉しておるわけでございます。多分そういくのではないかと思っておるわけでございます。
  37. 小幡治和

    小幡治和君 この土地建物の問題ですが、土地建物の方で、最後に結局予算をなるたけ計上して、自分のものにするようにしたいのだが、しかしまた、別個に駐留軍が使用中のものを近く返還される見込みのもの等を借り受けて、そっちに移るようなことも書いてあるのですが、一体全体あれだけの施設をやっておるのに、また場所を変えてやるというような計画があるのですか、これは非常にむだなことだと思うのです。現在の場所はこの間も視察したが、あれだけで十分なんだ、敷地を見ても十分なんだが、ただ施設というものに金をかければいいので、それをまた別の場所の方を考えるということが書いてあるが、それはむだだと思うのだが、その点についてお伺いしたい。
  38. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 現在の場所でやるつもりで、別にほかの場所を考えておりません。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 前回の委員会と本日の委員会政党役員ということで論じられましたが、前田代議士が衆議院から来られて修正説明をされるときに、正力大臣もおられたはずですが、そのときのあなたの御発言と、きょうの豊田委員質問に対するお答えと、それから椿委員質問に対する御答弁とは全然違います。しかし、議事録ができておりませんので、いずれが正しいかということは別といたしまして、私の聞いた範囲内では、本質的に違うというように感ずるわけです。きのうたまたま衆議院の大蔵委員会で横銭発言が問題になって、これは表現の違いで、馬から落ちたということを落馬したといったようなあいまい模糊のものでなく、本質的に違うのです。しかし、正力大臣は最後に公共団体の役員とかそういうことで逃げられましたが、この十五条を見てごらんなさい、国会議員、国家公務員とか地方公共団体の議会の議員または地方公共団体の長ということで、第一項目で切ってあるのです。そのほかに第二項目で政党の役目ということを入れておるのですね、ですから、あなたは三つの答弁食い違い指摘された一つの方で逃げてしまった。私はその点をもう一度明確にお尋ねしておきたいということが第一点と、今度やる会社ですね、今まで戦後三回か四回改組しているわけですね、現在七億円借金がある、それに対して政府は本年三億三千万円出すとおきめになっておるようですが、そこで第二点目にお伺いしたいのは、そこに会長、社長以下相当な人員がおるわけです、さいぜん島委員質問に対して大学教授等りっぱな人を連れてきなさいと言ったら、それもよろしいと、天下に広く人材を求めてりっぱな人を集めると、こういう御答弁なんです。しかしながら、広く天下に人材を求めてそこらの方の人間を使うということになると、現在そちらにおる人はどうなるかと、そういう点を具体的に…。七億の借金もありますから、ぜひそういうことを一つ明確にお答え願いたいと思います。
  40. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほども御答弁に申し上げました通りに、第一点につきましては、つまり今まで政党役員だからいかんということは取りまして、要するに公的の人物、つまり正しい、だれが見ても公平な人間ということについて広く採用すると、そういう意味ですから、決して政党役員であるがゆえにいかんという問題は取ります。それから第二の点について、りっぱな人間を採るということとそれから借金の点とはどうかというお話しでありましたが、それは私は先ほど申します通り、りっぱな人間、そうして待遇の改善、これはやりたいと思っております。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その第一点ですが、あなたはこの前来て修正案は全くよろしいという御答弁をされたのですよ、私はこれ以上お聞きしませんが、そうしたところが、豊田委員発言に対しては、原案の方が正しいと、原案を主張したかったのだが、衆議院の方で修正されたことであるから賛成したと、こういうような御答弁なんですよ、ほんとう原案でいきたかったと、原案でいくということは、政党役員を除くということが原案ですから、あなたの御答弁は三転四転するのではないかと、こういうことを言ったわけです。  その問題はそれといたしまして、とにかく三億三千万円本年政府が出されるのですね、そういうことですか、そうしますと、そのうち新技術の開発という新しい業務に八千万円出される、三億三千万円のうちから。これを今度新しく発足したということになりますと、どちらに重点を置かれるか、その点をまずお尋ねいたします。
  42. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 本年度の政府の出資三億三千万円のうち八千万円が新技術開発でございます。私どもいずれに重点を置くかということでございますが、私どもいずれも重要な仕事というように考えておるわけですが、何といいましても、理研は財団法人以来の研究上の仕事が主流をなしておりますが、この仕事の改善と申しますか、従来の研究が十分行われていない。経費その他の点において行われておらない点がございますので、そういうものを十分改善したいということを考えておるんです。同時に、新技術の問題も、わが国におきましては非常に欠けておるものでございますので、これも大いにやらしてゆきたいと思うわけでございますが、いずれに重点ということを特に申し上げかねるわけでございますが、私どもとしては両方とも大いにやりたいということで、研究分野につきましては、過去のいろいろの業績もありますので、大いにそれを発展させるようにさらに努力をいたしたいと思うわけでございます。
  43. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 大いに努力したいという抽象的なお話しでなく、もう少し具体的に身の入った御答弁をいただきたいんですが、たとえば新技術の開発ですね、これは二十九条によっていわゆる委託方式ということになってございますね。ところが、なぜそういう二十九条で委託方式ということをきめて、研究所で一切やらないかということをまずお伺いすると同時に、もし二十九条によって委託した場合、この委託される会社なり個人なり、あるいはいろいろの商社なりに、一つの基準があるものかないものか、一切そういうもののワクを作らないということなのか、その点を一つお尋ねいたします。
  44. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) お答え申し上げます。最初の委託方式をとりました点は、この新技術の研究と申しますか、研究成果を出すまでは研究所の仕事でございますけれども、これを産業的にそれが実施できるという段階を、この新技術はねらっておるわけでございますが、そういった段階になりますと、理研がそれぞれのそういった工場、採算のとれるような規模のものまでするということになりますと、相当施設、金額等も変るものですから、それを研究所が一々構内に作るというわけにもゆきません。そういうことでそれを企業化するに最もふさわしいと思われる工場を選定いたしまして、その場所で行う、同時にまた、その研究成果の企業化がうまくゆくということになりますれば、それを工場に引き取ってもらう方式をとって参りまして、その施設がむだにならないように企図しておるのであります。従いまして自分自身の方でやるよりも適当な工場を選定して、そこでやらせる方が効果的であるというふうに考える次第でございます。それからまた、工場を選定するのに基準があるかというお話しでありましたが、私どもは特に基準は定めてございません。と申しますのは、出て参ります技術というのは、多種多様でございますので、なかなかどういった一定の基準ということは設けにくいんでございますが、しかし、いろいろ客観的に見まして、この技術はこの工場でやる方が一番うまくゆくだろうと、それはその工場の過去の技術者の技量の程度といいますか、あるいは立地条件というものを見まして、適当だと思われるものを探すわけでございまして、従いましてそういった点におきまして公平を期するとともに、また適当なところを探すという意味におきまして、各方面の御意見を聞きたいということで、実は諮問委員会と申しますか、一つの開発委員会というようなものを置きまして、学識経験者を入れました委員会の御意見を十分聞いて参りたいと思うわけでございます。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 しかし、今の局長の御答弁でございますが、この法文でゆきますと、新技術の開発を委託するところと、その成果を実施するところですね、そこと大体同じでないようにこの法文にはなっておりますね。しかし実際問題として、研究、開発を委託するところと、それと実施し得る企業と同じような場合もあるのではないかと私は考えるわけですね。しかし、どうしてこの法文上でゆくと別個になっておるのか。その理由と、それからもう一つ、やはり成果を期待し、実施する企業の基準というものは、これはあるんですか、ないんですか。やはりさいぜんの御答弁のように、ただ単に公平を期するという御答弁にすぎないんですか。
  46. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 大体新技術開発でねらっております新技術と申しますのは、大体産業界において自分自身がやりにくい、自分自身の会社ではやらないというようなものでありまして、しかも国家的に優秀な技術を開発するわけでございます。従いまして、私ども考えにおります新技術の根源は、大体において大学とかあるいは国立研究機関とか、あるいは財団法人研究機関というように、そういうところが主になっております。従いまして、そういったことをやりますのに、その大学とか、あるいは国立研究機関で企業化するというのは、不可能でございますので、従いまして、これは委託方式をとりたいということなのでございます。なお、その委託先の会社の規模と申しますか、規模につきましても、特に制限は全く考えておりませんです。その技術がうまくやってもらえる、やりこなせるという所をねらうわけでございまして、むしろ、資本金の大きさとか、何とかということでなしに、その会社に果して技術的な能力があるかということを十分考えて選定して参りたいと思っております。
  47. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次ですが、新技術を開発した所が、つまり理研が特許権を持つことになるのですね。それからそれをやらせた企業、どこにやらせるかは別として、やらせた企業が実施権を持つ、こういうことになるのですね。ですから、その二つの関係と、もう一つ私の心配するのは、そうなると、大企業にしか実施権が渡らぬというような心配があるわけです。開発の研究成果の特許権はあなたの方で持つ、しかし実施権は大企業、日立とか芝浦とかそれに付随した——電気関係であればそういうところ、例をあげれば幾つでもありますが、そういうところが持って、中小企業は一つも恩恵をこうむらぬのじゃないかという懸念があるわけです。今の二つの、実施権と特許権の関係では、中小企業の場合どういうところで恩恵をこうむるかということをお尋ねします。
  48. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 私ども考えておりますのは、むしろ逆でございまして、大きなりっぱな工場で成果を上げましたものでも、その成果はできるだけ多くの工場に使ってもらいたい、もちろん中小企業等においても利用してもらいたいと思っております。従いまして、特許権はそういう関係で、工業所有権それ自体は理研のものにいたしまして、実施権はそれを使うところに設定するわけでございますが、これは大会社にだけ使わせるというわけじゃございませんで、できるだけ広く各方面に使わしたい、従いまして、各方面に使いまして、それぞれのところで成功いたしましたところのロイアルティは、理研に戻りまして、また次の新技術の開発にその資金を利用するということを考えておるのでございまして、独占的な実施権というものは考えておりません。ただ、こういう点はあろうかと思います。最初一、二年の間に、あまり多くの業者が乱立しては共倒れになるというおそれがあります場合には、多少の年限を切りまして、独占的な期間を設定する場合があるかもしれませんけれども、原則的には、できるだけ多くの方々に、同じ条件で使っていただくということをねらっておるわけでございます。従いまして、そのためには、工業所有権を一カ所に譲渡するということは、不適当でございまして、工業所有権自体は理研が持つということにいたしたいと思っております。
  49. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、二十三条に、さいぜん局長が若干触れられましたが、開発委員会というものがあるのですが、その開発委員会の権限をお尋ねすることになるのですが、今おっしゃったようなことで、果して開発委員会が権限を持っておるものかどうか、開発委員会の議を経なければならないということだけであって、単なる諮問機関であるか、あるいは理事長なり副理事長以下役員、つまり研究所委員会の権限によって左右されるものか、二十三条の開発委員会の機構と権限と内容と、そういう点について御質問いたします。
  50. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) この委員会の性格でございますが、はっきり申し上げますれば、突き詰めて申し上げますれば、諮問的な機関だろうと思います。あくまでもこれに関しまする責任は、理研が負うわけでございますが、しかしながら、先ほど申し上げましたような新しい技術というものは、非常に未知数の分野でございますので、十分御意見を伺って、その上で採択をするということでございますので、この委員会の議を、必ずこの審議に付しまして、その御意見を十分尊重して参るということでございます。十分尊重いたしますが、絶対的に拘束されるということではございません。と申しますのは、一方において資金的な制約がございますものですから、委員会で非常に大きな計画を持って来られましても、受け入れられないことがございますので、形としては、やはり諮問機関であろうというふうにお答えいたしたいのでございます。しかしながら、十分御意見は尊重いたしたいと思います。それからなお、この委員会の中には、理事長が入っておりますので、実際といたしましては、そういった争いの起らないように、この委員会におきまして十分意見を交換いたしまして、この意見がそのまま実現できるように運営を行わしめたいと思っておるわけであります。なお、この委員会の構成につきましては、これはやはり技術が中心でございますので、各方面の技術の権威のある方々にもお入りを願いたいと思っておるわけでございます。なお、若干産業界の大勢のわかる方々にも、お入りを願いたいと思っております。委員の具体的な人選につきましては白紙の状態でございます。
  51. 島清

    島清君 今の阿部委員質問のありました委員会の中に、内部で働いておりまする研究者諸君の推薦を得て内部の者の代表の人を入れて委員会運営を全からしめる、こういったようなお考え方はございませんか。
  52. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) ただいま人選につきましては、白紙であるというように申し上げたのでございますが、これは理研理事長が理研研究所を代表しまして入るわけでございますので、この理事長に非常に適当な方を得ますならば、研究所の意向も、十分その理事長を通じまして入り得ると考えておるわけでございます。
  53. 島清

    島清君 今の御答弁の前提をなしまするものは、ただいまの研究所首脳部役員は、この際は任命しない、こういうふうな前提の上に立っての御答弁のように拝聴できるのでありますが、今は、申し上げるまでもありませんが、先ほど申し上げたように、首脳部と大体下の方の研究者たちは、対立状態にあるわけですね。ところが、かりにこの特殊法人の中に、こういったような空気ができてくると、せっかくの御答弁ではございますけれども先ほど私が申し上げたように、所期成果を期待することは困難かと思うのです。ですから、理事長が全体を代表するというような形は、形式的には望ましいことではありまするけれども、何と言いましょうか、労働組合ということになりますると、非常に固くなりましょうが、そういったような実際に研究に当っておる者の大多数の意見を聴取する、反映せしめるということは、非常に必要だと思うのです。その点、今のような空気の中からでございまするならば、理事長が代表するということには、私はならないと思うのですが、しかしながら、この際百尺竿頭一歩を進めて、一般的に実際に研究に従事する者の大多数の意見を代表する者を、そちらの方に委員に任命することが望ましいじゃないかと私は考えるのですが、そういう考え方はないのかどうかということをお聞きしたいわけです。
  54. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 確かに、この開発委員会はもちろんでございますが、今後の理研運営に当りましては、理事長に適当なる人を得るということが、一番重要な問題であると思うわけでございます。ただ、先ほど大臣も申し上げましたように、人選はまだ白紙の状態でございますが、大臣からもお話がございましたように、各方面の意向を十分聞くという中には、もちろん学界意見も聞くだろうと思いますし、また、理研の中の空気も十分お聞きするということになると思うわけでございます。
  55. 島清

    島清君 内部の空気ということでございまして、内部のことについて大へん濁しておられたようでございますが、学界意見と同時に、内部意見も聞く、こういう工合にしていただきたい。もし、そういうふうな学界意見は聞くけれども内部の空気を察知し、あるいは吸うだけだというふうになりませんように、一つ内部意見も聞いて役員を任命してもらいたい。さらには、その中には、私は百歩を進めて、大多数の人々を代表する者をもやはり任命するというだけの進歩的な考え方をもってその役員の人選に当っていただきたい。かように思うわけであります。
  56. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 今のお話しもっともでありますが、むろん学界意見を聞くと同時に、内部意見を聞きますが、私はどうしてもこの際あの空気を一新したいと思うのであります。そこで、新しい発足をしたいという考えを持っておるわけであります。従って、外部の意見を十分聞き、内部意見もむろん聞きますけれども、この機会に一つ刷新しなければならないと思っておることだけ申し上げたいと思います。
  57. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 この委員会について、局長の御答弁は、全般にわたって委員会に諮問されて議を経なければならぬというふうに考えるような御答弁ですが、しかし、実際二十三条に委員会を置くということをきめておいて、二十四条に「次に掲げる事項は、委員会の議を経なければならない」といって、一、二、三、四、五と、こう明確にきまっているのですね、委員会で論議するものは。そうすると、私はあまり詳しくございませんけれども、われわれしろうとが判断しても、これは新技術の開発の項しか、おそらく委員会がタッチしないというように断定してもかまわん内容だと思います。そうすると、さいぜん御答弁のございましたように、本年度三億三千万円のうちから、わずかに八千万円しか新技術の開発の方に使わんのですから、きわめて微々たる問題しか開発委員会はやることができない。言うなれば、一つの専門部会のようなものですね。広く人材を集めるとかなんとか、りっぱなことをおっしゃっておりますけれども、広く人材を集めたところで、これの機構が悪いのですから、幼稚園に大学の先生を連れてきたようなもので、先生はりっぱであるかもしらぬけれども、仕事ができない。やってみたところで大したことはない。こういう結論が出そうなんですが、局長の答弁は、きわめて美言麗句を使っておられるのですが、あなたの答弁法案の内容と少し違うのですよ。悪いなら悪いでしようがありませんから、端的にお聞きしたいのです。これでいくと、一専門部会、そういうような機構にしかならないというふうに判断するのですが、その点はどうなんですか、あらゆる面でやるのですか。
  58. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 第二十三条にございます開発委員会は、新技術の開発に関するのみの審議機関でございますので、研究所研究方面運営につきましては、この機関に諮るわけでございません。従いまして、研究所全体の運営につきましては、当庁においても十分監督したいわけでございますが、しかしながら、この研究所の中にも、適当なあるいは相談役、あるいは顧問といったようなものをできますれば置きまして、その中に研究方面におきまする識見の高い方をお呼びしまして御意見を伺いたいというふうに考えておるわけでございます。現在の科学研究所におきましても、定款にその定めを置きまして、そういった運営を行なっておるわけでございます。研究所全体の運営につきましても御意見を伺うようなシステムを考えて参りたいと思っておるわけでございます。
  59. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その点はそれでよろしゅうございます。  次に、第五条に「資本金」ということがございますね。そうすると、第五条は民間の理研に対する資本金を認めておるわけですね。しかしながら、将来、やはり民間の資本金の投資を継続的に認めるものか、あるいは認めたところで、期待できるものかということと、将来の政府出資ですね。将来、政府が出資をどうするかということ、あるいは、物質出資もあるかもしれませんけれども、将来政府がどういう態度をとるか、こういうことについて、第五条ですね、将来の構成についてお尋ねいたします。
  60. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) この研究所は、この法案にもございますように、資本金の半ば以上は、政府が出資をする規定になっておりますので、資本金の中においては、十分政府の予算も織り込んでいきたいと思うのでございますが、民間の出資につきましては、これも従来株式会社の時代から、御承知のように、株式として民間資本も入っておるわけでございますが、それが当然引き継がれまして、この理研法案の中に入って参るのでございますので、そういった民間資本はなくなるわけではございません。また、将来理研の性格を十分認識せられまして、財界の方で出資をするということでございますれば、それもけっこうなことでございますので、大いに歓迎したいと思うのでございます。ただ、見込みが十分あるかというお話しでございますが、それは遺憾ながら、現在のところは財界からの出資金というのは、非常に細くなっておりまして、三十二年度においては一千万円程度の出資があったわけでありますが、三十三年度においても、できるだけそういうような出資をしたいと思っておりますが、どれだけ出資いたしてもらえるかどうかは、ちょっとはっきりわからぬのでございますが、あまり多くは期待できないのじゃないだろうか、こう思っております。
  61. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 政府の方、どうなんですか。
  62. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 政府の方におきましては、三十三年度は御承知のように三億三千万円でございますが、それから以降につきましては、今後の研究所の何といいますか、事業計画とも見合いまして、政府においてもできるだけ出していきたい。なお、衆議院の方においても付帯の御希望がございまして、年次計画的に考えろというようなことでございます。私どもの方も、そういったようなことを今考えておるわけでございますが、何分にも先ほどお話がございましたような、土地、建物の改修というような、相当資金を要する面もございますもんですから、ただいま、せっかく検討中でございますが、できるだけ政府といたしましても、科研がりっぱなものになりますように資金を出していきたいというふうに考えるわけでございます。
  63. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次に、この前、科学研究所へ当委員会が視察に行ったとき、科研概要という、こういう小冊子をいただいたのです。そうして内容を見ますと、今研究事項としてやっている物理部門、それから工学部門の第二ですね。こういうのは、政府機関でやっている電研とかあるいは原研、原研の方は正力国務大臣が最高責任者ですがね。株式会社でやっておるうちは何をやられても、政府と同じものをやっても、これは御自由でしょうけれども、しかし、一たん政府が出資をして、政府が手を入れてやるということになれば、ダブル・プレーとか、トリプル・プレー、こういうことに膨大な金を使うということは、私はいかぬと思うのです。民間会社が競争されて、切磋琢麿される分には、これはかまいませんよ。しかしながら、同じ政府機関でありながら、通商当局あるいは科研と、これは違うかもしれませんけれども、しかし親元が同じなんですから、こういう部門の処置についてはどうするのですか。整理して一緒にまとめられるのですか。それともどうされるのですか。
  64. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 何分にも、研究はその研究者の能力ということが、非常に大きなファクターでございますが、理研は御承知のように、前から原子力関係と申しますか、原子核関係におきまして、相当な成果を収めておりますので、そういった歴史があるわけでございます。一方、原子力研究所ができまして、原子炉に関するものを中心に研究を集中的にやろうという、そういう態勢でございますが、ただ、私どもとしましては、そういったところで原研の現在の研究所において、その本来の目的にありますいろいろやりますときに、原子力の研究は何分にも非常に多くの、広範囲に関連のあるものでございますので、その関連のあるわきの方の問題については、やはりこの研究所において能力がございますれば、やはりやってもらうということも私は差しつかえないのじゃないだろうか。ただその間、原子力研究所との間に全然関係がなくて、同じような問題をやるということは、非常に不適当でございますので、こういった問題につきましては、十分原子力研究所と打ち合せをいたしまして、足りない分をここで補うというやり方をいたしておるわけでございまして、現在株式会社の科学研究所におきましては、原子力の方からの委託研究も受けておるような次第でございまして、研究につきましては、十分打ち合せてやっておるわけでございますので、その間、重複はないように考えております。
  65. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後に、もう一つ国務大臣に確かめておきたいのですが、くどいようですが、一番最初お聞きした、今度政府で投資して、これを明朗にするとおっしゃるのですね。それから大学校のえらい先生から、民間人から、公共団体の優秀な人を集めるというのですね。そうしますと、あすこにおる人は、一体どうなるか、ばちばちやってしまって、これはいろいろ御答弁できないかもしれないかもしれませんが、どういうふうにして明朗にするのですか、明朗にしますと言う、私は大臣を信用しないわけじゃございませんけれども一つ法案をきめて、法案がどういうふうに実施されるかということを、その前途を必配するのが、われわれの務めであるから、どういうようなことで明朗にされるのか、ただ単に、ここで委員会を通すために、一時の方便だとは、私は判断はしませんけれども、若干でも、こういうふうにしてやるんだという片りんでも、もしお聞かせ願えることができれば、お聞かせいただきたいと思います。
  66. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 現在の理研のものをばちばち切るのじゃないかということでございますが、もちろんそういうことはいたしません。要するに要点は、この機会に新しいものを作りたい、そして今までのものにとらわれない、そうして外部からでもえらい人を入れてでも、また内部からもやるというふうに、抽象的といえば抽象的ですけれども、そういうふうに考えておるのでありまして、とにかく現在の人と外部の人と合したりっぱなものを作りたい、そして、この機会に面目を一新したいというのが、偽わらざる私どもの希望であります。それに対する具体的な案については、まだ全く白紙のような状態であります。ただ、この入選については、よほど注意しなければならないというふうに考えておりますから、現在でも、中でもいい人は、もちろんおります。しかしながら、現在のところで、不適当だと認める人は、遺憾ながら考えなくちゃならない、こういうふうに考えております。
  67. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 正力大臣の御答弁は、政治家でありながら、哲学者のような御答弁で、それができればわれわれ心配しませんけれども、そこで、このように政府が投資をして、大体現在の構成人員から何名ぐらいふえる、このお仕事をやる場合ですね、それをお伺いしたいと思います。
  68. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ほんとうは、現在の人から何名ということも、まだきめておりません。すぐ実際に調べる、こういうつもりでおります。
  69. 島清

    島清君 先ほど部長の御答弁の中に、気になることがありますので、この際明確にしてもらいたいと思うのですが、豊田委員が、貿易振興会は特殊法人であり、政党人が欠格条項として入っており、これには削られておるが、どうなんだというような御質問に対して、何だか知らないけれども政党人は欠格条件として、そして何かそれの、特殊法人の政治の中立性を保ちたいために、貿易振興会は、政党役員欠格条項の中に入っておるので、それに右へならえをして、運営をしていきたいというように受け取れるような御答弁があったのですが、もしそうだといたしまするならば、政治の中立性ということは、抽象的で、どういう意味か私はわかりませんが、私は、民主主義の時代においては、半分は自由民主党、半分は社会党であって一向差しつかえない。さらにどっちにもいけない人は緑風会で、みんな政党政治に所属をしておる、政党政治に所属してないものは官僚だけだと、こういう考え方でそうなりますというと、政党政治中立性という問題も、具体的にはどういうことを言わんとするかということは、官僚の言わんとする政党政治中立性ということは、具体的に言うと、政党政治家の排除というふうに、進めていきますと、響きを持って聞こえるのでありますが、先ほど豊田委員質問に対して、その運営の面については、何か政党役員を、政治の中立性を保つ意味において排除していきたいというような意味の御答弁に受け取れるのですが、それは私のうがち過ぎた受け取り方であるのかどうであるのか、一つその点、明確にしていただきたいと思います。
  70. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほどの私の答弁も、いささか明瞭を欠くような点があったと思いますが、ここでただ私、先ほど貿易振興会と違うのじゃないかと言われるのは、まことにこれは遺憾に思ったのでありますが、私の衷心、ほんとうのこれは考えでありますが、政党人であるがゆえにいかぬということはやはりいけないと思っております。ほんとうにやはり問題は、りっぱな人間ということにいくのがこれは当然だと思います。また、必ずしも政党人であるがゆえに排除するということではなしに、運用の面というものは、とかく政党人というといろいろな問題が起りやすい面もあるのです。しかし、今度はそれじゃなしに全く好適な人間、りっぱな人間ということを中心にしているのでありますから、これは決して御心配の点はありませんということを、ここで重ねて申し上げます。
  71. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に発言もなければ、この辺で質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  73. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 わが国は、科学技術を初め、その他の問題について非常に世界各国よりおくれておりますので、政府が特段の力を入れて、この種の仕事を大いに振興されるという趣旨からして、本法案には賛成であります。ただ。本法施行に当りまして、政府当局に二、三点要望しておきたいと思うわけであります。  まず第一点は、本案施行に伴なって、合併され運営される理化学研究所は、終戦以来今日まで四回の改組をみております。理研当局の責任者のお話を承っておりますると、非常に進歩発展したようにお聞きするわけでございますが、私ども見学いたしまして、必ずしも成功裏に業務が進行しているとは思っておらないわけでございます。従いまして、そういう点も十分当局といたしましては留意されて、今後の運営に万全を期していただきたい。  第二点は、国務大臣の御答弁によりますると、現在より政府が介入するのであるから、明朗化した事業にしたいと、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、その明朗化にするに当っては、今までしし営々として、理研のためにというよりも、国民の科学振興のために努力せられた数多くの従業員、こういうものの、生活でも、将来に希望を持たせるような方法も十分留意していただきたい。特に、本委員会で、役職員の問題につきまして、その氏名をあげるのは省さますけれども、自民党の西川委員から、いろいろ意見が出ました。しかし、私はここで申し上げませんけれども、議事録によって、政府当局は十分西川発言等にも留意されて、将来の戒めにもしていただきたいということを御要望として申し上げます。
  74. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 本法案の審議に当りまして、この法案特殊法人に対する監督法制であるという見地から検討いたしてみますと、一般的に特殊法人に対する監督法制の間に、あるいは欠格条項、あるいは罰則において、不均衡が発見せられるのであります。こういう点におきましては、今後特殊法人に対する監督法制を立案するに当りましては、すみやかに首尾一貫した統一ある行き方をせらるべきものと、痛感いたすのであります。それぞれ関係当局より答弁を求めましたけれども、いずれも納得に値する答弁を得ておらぬことを遺憾とするものであります。しかしながら、将来この問題について、十分に政府当局の方で、監督法制の均衡のとれた、首尾の一貫したものを作られるように要望することが第二点であります。  第三点といたしましては、この理研法案実施の際におきまして、また、将来におきまして大企業に偏重することなく、中小企業の生産性の合理化、あるいは生産性の向上につきまして、十分にこの機構が再出発に当りまして、その効果を上げ得るように万全の努力をしてもらいたいという要望が第三点であります。  以上三つの要望を付しまして、私は本法案に賛成いたします。
  75. 小西英雄

    ○小西英雄君 この法案を出したことについては、もとより私は賛成でございますが、この法案が今日まで、むしろおそきに失したという考えを持っておるのでございますが、この法案審議中に、特殊法人というきわめて重要な点について、いろいろ各委員からも指摘された点が、十分に正力国務大臣もよくわかったことと存じます。日本の科学技術は、戦前には世界の相当なレベルに達しておりましたが、戦後いろいろ再建のために、あるいは科学の振興について、いろいろな立ちおくれた点を取り戻そうという強い意思の表明も、政府当局からもあったのでありますが、この法案の成立後におけるこの理化学研究所というものの、前にやっておった法人との間の引き継ぎを、十分に大臣が監督してスムースにやらなければいかないという点についても、ずいぶん委員会指摘されております。広く人材を公正に登用されて、この法案の通過後に、極力われわれが心配した点を排除してやるならば、日本の産業発展のために、科学振興のために期待できるものと考え、私は賛成の意を表明するものであります。
  76. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、これより採決いたします。  理化学研究所法案を問題に供します。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。  〔賛成者挙手〕
  78. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、委員長の報告等、諸般の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に本法案を可とされた方は、順次御署名願います。   多数意見者署名      青柳 秀夫  高橋進太郎      古池 信三  豊田 雅孝      小澤久太郎  小西 英雄      阿部 竹松  椿  繁夫      島   清  大谷 贇雄      小幡 治和
  80. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) ただいま御採決下さいまして、まことにありがとうございました。これにつきましては、ただいまの御注意の数々については、十分今後注意いたしまするし、なお、私は一言申し上げたいのは、今度の要するに科研がああいう状態にあったということは、終戦後金がなかったことが一つの原因だと私は思っておるのであります。それは営利会社だったために、株式会社だったために、十分の金がなく、そこを今までの研究員がよく切り抜けて今日まで来たことを、非常に私は多としておるのでありますが、それと同時に、今幸いにして世間の空気が科学知識の奨励というふうになってきたもので、そこで、政府もおそまきながら、ここに立ち上ったわけでありますから、今年度の予算には、全く満足しないのであります。明年からなお一そう予算を取って、これはただ私が考えておるのみならず、政府考えております。おそらくは世論は、これを支持すると思いますから、この御賛同になった機会に、一そう努力いたしますから、どうぞ一つ御支持をお願いいたします。  どうもきょうはまことにありがとうございます。   —————————————
  81. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  82. 椿繁夫

    椿繁夫君 この間同僚の阿部君から、だいぶ御質疑があったのでありますが、この改正案を拝見いたしますと、副総裁を設置することによって、事務の迅速化をはかりたい、中小企業金融公庫の仕事もだいぶ多くなってきているので、どうしても副総裁を設置する必要があるという政府の御説明なんでありますが、従来中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金等、政府関係の金融機関の業務に対する国民の批判は、どうも申し込みをしても、いざ貸してもらうまでに、なかなか時間かかって、緊急の間に合わない場合があるといふ批判を、各地で聞くのであります。   〔委員長退席、理事阿部竹松君着席〕  今回この一部改正を行うことによって、どの程度事務の迅速化がはかられるのか、ちょっと政府の御方針を、この機会に承わっておきたいのであります。
  83. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 副総裁を置きますことによって、私どもとしましてはいろんな事務の簡素化だけではなくて、あるいはそのいろんな場合において、総裁だけ代表権を持っておりますというと、いろいろの急場に間に合わないというような問題もありますので、やはり副総裁を置いた方が便宜ではないかと考えておるのでありますが、じゃ副総裁を置いて、具体的にどの程度その事務が簡素化になるか、何割くらい簡素化になるかという点については、これは別に計数的な説明は持っておりません。ただ、現在私ども非常に遺憾と思っておるのですが、中小企業金融公庫にしましても、あるいは国民金融公庫にしましても、特に中小企業金融公庫とか、あるいは商工中金においては、なかなか申し入れをし   〔理事阿部竹松君退席、委員長着席〕 ましてから貸し出しというところまでに、相当の期限を要しておる、これは事実でございます。私の方としましては、やはりこれは一つは、特に中小企業金融公庫に対しましては、時期貸しに対する資金の需要というのは非常に多いと、常に三カ月程度は持っておるというような状況にありますので、手続等について、極力われわれとしましては簡素化しまして、そして貸し出しがどんどんできるように持っていきたいというように考えておりまして、そういうことを常に中小企業金融公庫に対しましても要望しておるのですが、何分資金量が需要量が、非常に大きいものですから、やはり供給量をふやすということが一番大事なことじゃないかというふうに考えまして、そちらの方からこの期間を非常に長くするというようなことがないように、資金量をもっとふやしてやりたいというふうに実は考えておるわけであります。
  84. 椿繁夫

    椿繁夫君 なるほど需要が多くて資金源が少いものですから、供給源を拡大していくということが、これは中小企業金融公庫にとっては、当面の緊急事でありますが、副総裁を一名設置することによって、決裁などがかえって長引いたりしやしないかという、簡単ではありますけれども心配を持つ、こういう今回の一部改正を行うことによって、その資金源を拡大するためにも、何かの任務を持たしていきたいというふうな御方針でありますか、
  85. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その副総裁を置いて、そして資金源を拡大するということにするかというお話しと思うのですが、やはり従来の理事という資格で方々に話し合う、交渉をするということよりも、副総裁が総裁のいませんときに出かけて行っていろいろ交渉するということの方が、はるかにベターではないかというふうに考えます。それによってすぐ資金源がじゃあふえるかということは、必ずしもそう断定はできないのでありますけれども、何かにつけまして、いろいろな交渉事がうまくいくのではないかというふうに、実は考えておるわけであります。
  86. 椿繁夫

    椿繁夫君 小笠次官にお聞きしたいのですが、ずっとこの国会を見ておりますと、各省の設置法の一部改正等が出ておる、この委員会にもこういうものが出てきた、行政の簡素化、機構の簡素化ということが、前内閣以来ずっと一貫してとられてきたように思うのですが、今度の何を見ますと、ない機構ができたり、そしてしかも新たに新設されたり、今回もまた、これまでなくて済んだ副総裁を設置したりするような傾向に、あると思うのですが、ただいま資料を拝見しますと、この種の機関で農林漁業金融公庫には、これはまだ副総裁がないようですが、またこれにならってここにも置かぬと簡素化、迅速化ということがこれはできないというふうになってくる心配さえあるのですがこういうことについてはどういうお考えですか。
  87. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 私は、機構はできるだけ簡素化することは望ましいと考えております。ただ、機構というものは、実際の動きに合った機構になる、いわゆる機能が増大してくる、あるいは機能をよりよくしていくというような情勢に対応してやっていかなければならない、こういうような趣旨で、各省設置法の関係につきましては、私は存じませんけれども、いわゆる金融機関としての中小企業金融公庫の現状は、これまで御説明申し上げましたように、副総裁を置くことによって、より機能を強化し得るのだ、こういうような考え方、特に理事者という資格よりも代表権を持たして、少し活動の幅を持たしていきたい、こういうふうな考え方を実はいたしておるのであります。そこで、御指摘政府関係機関としての農林漁業金融公庫にはございません。同時に商工組会中央金庫にも副理事長はございません。法制上この制度はないのでありますが、これは将来副理事長制度を置いたらどうか、たとえば商工組合中央金庫においては、いわゆる定款をもって副理事長を実は置いておるのであります。そういうような形をとっていったら…、それをはっきりと法制上副理事長制度を置くか、これは私は検討を要する問題である、こういうふうに実は考えております。その事業の内容、その機能の強化という見地から必要があるかどうかという問題を考えたらいいと、原則的には冒頭に申し上げましたように、やはり簡素な形で進むということを建前にしていきたい、こういうふうに考えております。
  88. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 一点だけお尋ねします。このごろ、当委員会の論議は、今御質問があったように、行政機構を簡素化するということが非常に大事じゃないかということが、強く各委員から主張されたわけでありますが、今、小笠政務次官も機構の簡素化がいいと、こういう御答弁であったわけですが、今回この法案通りますると、副総裁ができるというようなこと、今回のことはやむを得ぬにしましても、今後すべての行政が簡素化されるということが非常に望ましい、こう思うのです。そこで、この間も小西委員からお話が出たのですが、一体名称の問題もそうなんです。この間ばく然たる御答弁であったわけですが、中小企業金融公庫、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫等々は、これはみな総裁という名前で、国鉄もその通りです。ところが、公営企業金融公庫だとか、商工組合中央金庫、農林中央金庫というようなものはこれは理事長という名前、そこで総裁と理事長との違いはどうかといったところが、きわめてばく然たる御答弁であったわけです。私どもの私見をもってすれば、総裁なんというと、どうもちょっと実はとっつきにくい、何かえらそうに見えて近寄りがたいような感じが非常にするわけなんで、たとえば住宅金融公庫へわれわれが行って総裁の部屋へ行く、ちょっとおっかなびっくりのような感じがするのです。ことに中小企業金融公庫なんかは庶民が相手、対象なんですから、従って庶民的な名前がいいのじゃないか、これは私の私見でありまするが、そう思うのですよ。そこで、なるべく行政を簡素化すると同時に、名称も簡素化するということが、私は非常に公僕としての役職についておる人としては、きわめて妥当ではないか、かように実は思うのです。名前があまりえらそうだというと、机の前にでんと座ってしまって、みずから陣頭指揮をやらない、従って陣頭指揮をしないとどうしても副総裁に出てもらってやってもらう、こういうことになるのですよ、ふかふかとした大きないすに腰かけて、われは総裁なりということであってはならぬので、やはり一般国民、庶民の公僕としてのあれからいうならば、私は名詮自性です。名前というものはみずからの体を現わすから、名詮自性の建前から、庶民的な名前に一つする意思があるかどうか、また、将来統一なさる意思があるかどうかということを、この際承わっておきたい。
  89. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 総裁か理事長かという問題でありますが、実はかって統一する方向に進んだことはあるのでありますが、いろいろな事情で、なかなか実を上げておりません。しかしながら、私はなるべく、でき得る限り統一していく、そうして名前はあまり大げさな名前は使わぬ方がいい、こういうふうに私考えております。
  90. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、この辺で質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、付帯決議の御意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  92. 椿繁夫

    椿繁夫君 私はこの最近の政府で御提案になっております各種の法律案等を見まして、行政の簡素化、事務の迅速化を旨とすると言われながら、これは逆行するような機構の拡大や、役員の新設等が行われていることをまことに遺憾に思うのであります。けれども中小企業金融公庫法の一部改正法律案は、先日来の政府の御説明なり、質疑に対する答弁によりますというと、中小企業の金融難の現況にかんがみ、副総裁を設置しこれを選任いたしますることが、この中小企業の当面する金融難打開、緩和のために役立つというような御説明がございましたので、これには賛成の意を表するものであります。  ただ、厳重に、これは付帯決議をつけて今後の政府の御方針を戒しめたいと思うのであります。  付帯決議を朗読いたします。    中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に関する付帯決議(案)  今後政府は、公庫を始めこの種政府関係諸機関の役員については、努めて簡素化し、その増員、役職の新設等は特に慎重を期すべきである。  以上を付して、賛意を表したいと思います。
  93. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいまの中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして賛成の意を表すものでございます。  この改正ができます場合には、日本の産業の中核体でありまするところの中小企業者に必要な資金を融通する公庫運営を円滑にすることができる、こういう建前でございまするので、まことに喜びをもって賛意を表する次第であります。  なおまた、ただいま付帯決議につきましての御意見がございましたが、全く同感でありまして、行政におきましても、あるいは機構等におきましても、なるべく簡素にいたすということ、増員、役職の新設等につきましては、特に慎重に留意をいただくということは、これは公僕としての公庫の職員等の厳に注意を要するべきことと思いまするので、付帯決議の案に対しまして、賛成をいたす次第であります。
  94. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 本案に賛成をいたします。と同時に中小企業金融公庫だけを見ましても、政府資金の導入は昨年度中の実績を見ますると、それに比べて今回の予算は二十億の減少になっているのでありまして、機構の整備、もとよりけっこうでありますが、これに対応いたしまして、政府資金の少くとも昨年度の実績を下らざる程度に充足することを、この際特に要望して本案に賛成いたします。同時に、椿委員提案の付帯決議に対しまして、賛成の意を表します。
  95. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めこれより採決いたします。  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  97. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、椿委員提出の付帯決議案を問題に供します。本決議案を、委員会の決議とすることに、賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  98. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致と認めます。よって、本決議案を委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、委員長の報告等諸般の手続きは、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、本法案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名      青柳 秀夫  高橋進太郎      古池 信三  小澤久太郎      小西 英雄  小幡 治和      豊田 雅孝  阿部 竹松      椿  繁夫  大谷 贇雄
  100. 近藤信一

    委員長近藤信一君) この際、ただいま可決されました付帯決議について、小笠政務次官から所信をお述べ願います。
  101. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) ただいま御決議をいただきました付帯決議につきましては、その趣旨に準じまして、今後十分にその決議の趣旨の実現の方向に努力いたしたいと思っております。
  102. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、午前中はこの程度にとどめ、午後は二時に再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。     午後一時七分休憩    ————・————     午後二時三十三分開会
  103. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日大谷贇雄君辞任され、その補欠として上原正吉君が選任されました。   —————————————
  104. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより水洗炭業に関する法律案について発議者から説明を聴取いたします。
  105. 淵上房太郎

    衆議院議員淵上房太郎君) ただいま議題どなりました水洗炭業に関する法律案につきましてその提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  炭鉱地帯なかんずく九州北部の炭田地帯におきましては、いわゆるボタを水洗選別して石炭を収拾する水洗炭業者の数は、相当数に上っておるのでありまして、これを福岡県の例について申し上げれば、昭和三十二年五月末現在におきましては、業者数五百五十三、水洗個所五百六十一、該当市町村三十九、従業員数六千八百六人、推定月産トン数七万八千百六十四トンに達しております。  この意味におきましては、水洗炭業は低品位炭の供給と、失業者の吸収という面において貢献するところも少くないのでありますが、他面その施業により、河川道路等の公共施設を損壊し、あるいは洗炭汚水により田畑等に損害を与える等、社会公共の福祉を著しく阻害している実情であります。  これらの水洗炭業者の施業により発生する被害の態様は、掘採のための陥没等によるものを除きましては、中小炭鉱の鉱害と類似し、場所的にもこれらと競合することが多いのであります。しかるに、炭鉱の鉱害にあっては被害発生の防止につきまして鉱業法、鉱山保安等により、国家の監督について法的な根拠が与えられ、被害者保護のためには炭鉱の無過失責任等も認められておるにもかかわらず、水洗炭業者につきましては、何らの法的な措置も講ぜられておりません。現在市町村といたしましては条例の制定等により、取締りを行なっており、また、河川法適用河川等につきましては、河川法の運用等により、これを規制しておるのでありますが、炭鉱の被害とその取扱いが異るため、これと比較して被害発生の防止並びに被害者の保護の点において完璧を期することが困難であり、種々不合理が生じている実情であります。もとより、水洗炭業は鉱業ではありませんので、これに鉱業法を適用することはできませんが、その施業によって発生する被害の防止と、被害者の保護のため必要な限度においては、鉱業法と同様に国の法律による規制措置が必要であります。  従いまして、本法律案水洗炭業者に対しまして、登録制度を採用し、かつ被害発生のおそれの多いものについては、登録を拒否することを得ることとし、また、施業中の者に対しましては、都道府県知事が改善命令をなす等によりまして、極力被害の発生を防止することができるよう規定いたしまして、これにより水洗炭業の健全な運営が確保せられることを期待いたしますとともに、水洗炭業者に対しまして、鉱業法に準ずる無過失賠償責任と、保証金の供託義務を課し、被害者の保護に万全を期することといたしたのであります。  以下、本法律案の内容につきまして、主要な点を御説明申し上げます。  第一は、水洗炭業者の登録制度の採用についてであります。すなわちこの法律案におきましては、水洗炭業は都道府県知事の登録を受けなければこれを営むことができないことといたしますとともに、登録の実施に際し、その施業により公共の福祉を害するおそれのあるもの等につきましては、都道府県知事がその登録を拒否し得る道を開き、これにより、被害を発生せしめるおそれの多い業者はこれを登録しないことができることとしているのであります。  第二は、事業改善命令に関する規定についてであります。登録せられた水洗炭業者につきましても、その施業が公共の福祉を阻害し、または阻害するおそれの大なるものにつきましては、被害発生を末前に防ぐため、当該水洗炭業者に対し都道府県知事が事業改善命令をなし得ることといたしますとともに、これに違反した者に対しましては、その事業の停止を命令し、ないしは登録を取り消し得ることといたしまして、被害発生の防止に遺憾なきを期しております。  第三は、水洗炭業者の無過失責任の規定と、保証金の供託に関する規定についてであります。水洗炭業の施業により発生するやむを得ぬ損害につきましては、その態様が鉱害に類似しており、これと競合する場合が多い点にかんがみまして、水洗炭業者に対して鉱業法に準ずる無過失賠償責任を課することとし、なお、その損害賠償債務の履行を担保するために、五十万円以内において都道府県知事が定める保証金を供託せしめ、これについては被害者に優先弁済を受ける権利を与える等により、被害者の保護に万全を期しております。  第四は、融資のあっせん等に関する規定であります。水洗炭業者がその施業による被害を防止するために必要な施設を行おうとする場合におきましては、都道府県知事が必要と認めるときは、水洗炭業者に対し、融資のあっせん等の措置を講ずることができることとし、水洗炭業者がその施業に際し、被害を防止する設備を十分に行い得るように配慮しております。  第五は、水洗炭業審議会に関する規定であります。水洗炭業に関する重要事項を審議するために、都道府県知事の諮問機関として水洗炭業審議会を置くことができることとし、都道府県における本法の実施が円滑に運営せられるよう万全を期することといたしました。  以上が水洗炭業に関する法律案提案理由並びにその概要であります、何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを御願いいたします。
  106. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 本案の御質疑は、後日に譲ることにいたします。   速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。  それでは、本日はこの程度にいたしまして、次回は二十二日に開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十四分散会