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1958-04-15 第28回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十五日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員異動 四月十一日委員秋山長造君辞任につ き、その補欠として岡三郎君を議長に おいて指名した。   ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小沢久太郎君            小幡 治和君            古池 信三君            小滝  彬君            小西 英雄君            島   清君            椿  繁夫君            加藤 正人君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   政府委員    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    中小企業庁長官 川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○工業用水道事業法案内閣提出、衆  議院送付) ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○経済の自立と発展に関する調査の件  (日中貿易に関する件) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る十一日、秋山長造君が辞任し、その後任として岡三郎君が選任されました。   —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、先ほど委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日は、まず工業用水道事業法案石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を審議し、ついで中小企業金融公庫法の一部改正法律案を審議いたしたいと存じますが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより工業用水道事業法案議題といたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 大体、前回委員会で質問いたしましたので、法案の内容は了解したわけですが、最後に、大臣もお見えになっておりますから、一、二点だけお伺いして質問を打ち切りたいと思います。  農林省あるいは建設省とか、通産省関係河川法とか、工業用水道法とか、この種のいろいろの法案があるわけですが、これを一本にして一つの大きな法案として、将来は運用していくようなお考えはないかどうか。  それから小さな問題ですが、地方自治体がそれぞれ条例によって上水道、下水道をやっている。これとの関係は全然ございませんか。この二点をまずお伺いいたします。
  7. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、水の問題につきましては、従来から非常に所管争いというと語弊がありますが、そういうようなことでいろいろ争いがありましたことは御承知通りであります。従って、現在におきましては建設省、あるいは簡易水道につきましては衛生に関係があるということで厚生省、工業用水につきましては通産省というようにはっきりして参ったのでありまして、もちろんその三つの間にいろいろ共通の問題もあることはあると思います。しかしその目的からいいますと、それぞれ違った特色を持っておりますので、ただいまのところは、これを一本にするということは困難でもあり、また実質からいいましても、ただいま申し上げましたようにおのおの違った意味を持っておりますので、従ってただいまの行き方がいいのではないかというふうに考えているのであります。  それから、今度の工業用水道につきましては、御承知のように地方公共団体がやりますものについては届出制ということで、これは地方団体でありますから、国とは緊密な連絡もとり得るわけでありますし、またいろいろ内面的指導によりまして、公益の目的に合するという方向地方団体考えるわけでありますので、この法律でいきますと、もちろん地方団体との関係につきまして特別に地方の権限を侵害するというわけのものでもありませんし、抵触する点もありません。その間地方自治法との関係は摩擦のあるような面もありませんし、もちろんまた抵触する面もないわけでございます。
  8. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後に一点お尋ねいたしますが、まずその一つは、現在の公団でやっております愛知工業用水道、これは本法案とは全然関係のないものであるか、あるいは将来本法に何らか関係を生じてくるものかということと、その次に、前回局長さんから御答弁がございました五億円の補助金と三十億を予定されておる起債、これの対象たるものは地方公共団体に限る、あるいは自治団体に限るものか、その点をもう一度御明確にお示し願いたいのと、もう一つ通産省当局からちょうだいしておりましたこのプリント、これも一度若干お尋ねいたしましたが、この十三ページに仙塩工業用水道から始まりまして今年度の予定されておるのが大体五点ほど示されましたが、その下もずっと順位がついております。将来ここに記入しております通りやられるか、その点を最後にお尋ねをいたします。
  9. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 御承知のように、愛知用水公団で水の幹線計画をいたしまして、その水の幹線の中へら工業用水を分けてもらうことになっておりますが、工業用水を分けてもらってから以後のいわゆる工業用水道事業愛知用水公団がみずからやるのではなくて愛知県がやることになっておりますので、その意味愛知用水公団と直接の関係は、愛知用水公団に直接この法律適用になることではなくて、それから水を分けてもらう愛知県がこの事業法適用を受ける、こういう形になると思います。  それから、本年度約五億の補助金と三十億の起債対象はいずれも地方公共団体であります。ただ、形といたしましては、御承知北九州の場合におきましては北九州地方公共団体が集まりましていわゆる一部事務組合を作っております。これは関係市町村水道事業を営むというその仕事についていわゆる一部事務組合を作っておりまして、事業主体北九州水道組合となっておりますが、その実体は関係市町村が集まって市町村仕事事務の一部を持ち合って作る組合でありますが、実体的にはやはり地方自治体というふうに断定できると思っております。従っていずれも地方公共団体であります。  それから配付資料の表の中で、「計画中の事業」云々となっておりますものの中で一番上に載っております仙塩、磐城、愛知県営北伊勢、徳山、これらの五つの事業補助金対象事業としてすでに予定されておるのでありますが、それ以下の予定されておる事業につきましてはいずれも起債ベースで着工可能であるという一応私どもの方の考え方でありますが、そのような方向でいずれも今後着手できる見込みのものでございます。
  10. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 ちょっと一、二点お尋ねしたいのですが、この補助金、今補助金お話阿部さんから出ましたが、この総ワクは将来逐年ふやしておいでになるかどうか。
  11. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 工業用水道事業補助金につきましては、過去、本年度合せて三年間逐次ふえて参っております。今後も計画されております工業用水道事業もいずれも私どもの方の考えでは重要な工業用水道事業でございますので、来年度におきましても、予算上の許す限りさらにふやしたいという希望は強く私どもも希望しているところであります。
  12. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 それから、この地方公共団体と、ほかのものとが競願になって来ませんか。この場合は、やはり地方公共団体の方を優先的にやるのかどうか、その点。
  13. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 工業用水道事業として現実にこの法律に基いて計画提出があります際には、ほとんどすべての場合にその水源の問題、いわゆる水利権の問題の片がついてからでないと工業用水道事業等計画自体ができないので、水利権をだれがとるかという場合には、いわゆる競願の問題が起るかと思いますが、現実問題としては大部分のいわゆる工業用水道事業水利権地方公共団体がとられることが多いと思います。事業計画が出てくる場合には、水利権の問題の片がついておるし、従って現実問題としていわゆる競願の点などは起って来ないということに相なると思います。
  14. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 自家用工業用水道事業につきまして、場合によっては政府あるいは地方公共団体が適当に助成をして一般需要家に対して給配水するというような方策は講じていませんか。
  15. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 自家用工業用水道ということに関します限りは……いわばその企業の経営の一部をなすものでございますから、それが自家用工業用水道にとどまります限りは、現在のところ、補助金その他の助成考えておりません。しかし、今お話のように、従来は自家用工業用水道であったけれども、さらに設備を拡張して他にも供給したい、一般に供給したいというようなことになりますれば、これはいわゆる自家用水道事業一般給水目的とする水道事業に相なるのでありますから、その場合にはこの法律適用を受けて、その事案の性質いかんによっては、いわゆる助成が必要であれば助成考えなければならないということになっております。
  16. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 それから補助金ですが、これはその総事業費の四分の一を一括して渡し切りにするか、あるいは項目別に検討して金額を指定するか、その点は。
  17. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) お話のように、総事業費に対する四分の一補助でございます。項目別のこまかいことは別に特定をいたしません。
  18. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、この辺で質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  これより、討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  工業用水道事業法案を問題に供します。  本案衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  20. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、委員長報告等、諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、本法案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     青柳 秀夫  高橋進太郎     小澤久太郎  加藤 正人     小滝  彬  古池 信三     椿  繁夫  相馬 助治     阿部 竹松  島   清     大谷 贇雄  小西 英雄     小幡 治和   —————————————
  22. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、次に石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  23. 加藤正人

    加藤正人君 この改正案提案理由を見ますと、これはわが国の石炭鉱業の現状及びエネルギー需要趨勢にかんがみてこの改正案を出したというふうにうたわれてあるのでありますが、エネルギー需要趨勢にかんがみということになっておりますが、エネルギーにはいろいろな種類がありますが、特に従来石炭の需給は、いろいろな点から、重油輸入の消長と対照的になっておる場合がありますので、従来、政府燃料対策が非常にぐらつきまして、ある場合には、各工業重油使用を奨励して、各企業がこの燃焼の設備を相当な資金をかけて実施したという直後に、また政府政策が変って、石炭増産を奨励したような場合には、重油使用を規制するということで、各企業は非常に困ったことがあるのでありますが、そういうことから考えまして、今ここに提案理由にうたっておりますエネルギー需要趨勢にかんがみということになりますと、自然重油などの輸入対策というような点について、どういうふうな将来お考えを持っておられるかどうか、承知したいと思います。
  24. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいまお話通りに、重油に関しまして、石炭重油関係が多少動揺したという事実はいなめないと思います。しかし、石炭は何と申しましても国内資源であります。またエネルギー需要というのは、五カ年計画でごらんの通りに、今後非常にふえて参るのでありまして、しかもまた従来の五カ年計画の非常な欠陥は、国際収支の面があまり重視されていなかったという点にあると思います。従って今度の新五カ年計画という点におきましては、極力国際収支というものを頭に入れて、そうして計画を立てていこうということに相なってきたのであります。その点から申しますと、極力国内資源によってエネルギーをまかなっていかなければならぬ。そういう意味合いにおきましては、私はあくまで、まず石炭重点を置いていく、そうしてその足らざるところを重油によって補う、その重油につきましても、重油なり原油によっていくわけであります。それもやはり国内資源があります限りにおいては、極力国内資源によっていかなければならぬ。そう申しながら、エネルギー需要量が非常にふえて参りますので、石炭なり、そるいは国内石油を使いますにつきましても、外国からの輸入の量はだんだんふえていかなければならぬ、こういうような状況にあるわけであります。従って、決して海外から輸入する石油をおろそかにするわけには参らない。これに対する輸送の問題、あるいはそれに伴う港湾整備の問題、また、できましたら、極力外貨を使わずに外国から石油を入れるということに努力して参らなければならぬと思います。しかし先ほど来申しておりまするように、極力国内資源であります石炭につきましても、増産をはかり、また合理化をはかりまして、いずれにしましても、非常に高いものを使わせるというわけには参りませんから、その間の関係十分頭に入れながら、価格を安くして増産して、そういう意味におきましては、あくまで石炭重点を置いていく、こういう考え方で、これは私はだれが考えましても、当然のことだと思います。そういう方針は、将来にわたりまして堅持しながらいくべきものだと、かように考えております。
  25. 加藤正人

    加藤正人君 もう一つ伺いますが、大体この提案理由説明の中の第三のここに書いてありますが、現有炭鉱出炭は、昭和四十年ごろをピークとして、その後は自然条件等制約のための減産方向をたどらざるを得ないと考えられる。この生産の減少をカバーし、あわせて炭鉱合理化を促進し、昭和五十年度に七千二百万トンの出炭を確保するための態勢を整えるためには、新炭鉱造成を極力推進する必要がある、こういうふうになっておるのであります。前にうたってあるのは、四十年ごろをピークとして、その後は自然条件等制約のために減産するということになっておる。この減産をカバーするには、昭和五十年度には七千二百万トンの出炭を確保しなくちゃならぬ。この態勢を整えるために、新炭鉱造成を極力推進するということになりますと、この狭小な国土の中から相当今日まで掘り進められた石炭が、自然的に、いわゆる自然条件制約で減ってきたというものをこれをカバーするために五十年度に七千二百万トンを出すために新炭鉱造成すると言われるのでありますが、そうたくさん新炭鉱として掘り出してこれだけの成績を上げるようなつまり意義がまだ残っておるのですか、そういう点について伺いたいと思います。
  26. 村田恒

    政府委員村田恒君) 結論から申し上げますと、そのような、ただいまお話のございましたような意義が、意味が残っております。それで特にその地域は、北海道地域が今まで比較的開発がおくれておりまして、北海道釧路炭田、それから石狩炭田、それらにつきましては現在鉱業権を持っておりますが、資金、あるいは設備資金関係あるいは関連産業施設、すなわち鉄道とか港湾とかあるいは道路とか、それらの整備が十分でないために十分に開発されていない地域が相当ございます。なお、同様に北海道天北地区、非常に離れた所がございますが、これらにつきましてはまだ未開発部分が相当残っております。九州の方につきましては、有明湾海底炭田の非常にまだ優良な炭量が未開発のまま残されております。これらの地区につきまして重点的に開発を進めたい、そうして七千二百万トンの出炭の目標を達成したい、こういう考え方仕事を進めておる段階でございます。
  27. 加藤正人

    加藤正人君 従来セメントの原料である石灰、そういうようなものも相当まだ残っておるのでありますが、それは非常に搬出が経済的でなくて、残っておるのを承知でまだ掘さくされておらぬという、あるいはまた非常に森林で手をつけないところがあるが、それを切り出すという道路がなかったりして、ありながらそれを利用できないということがあるように、石炭も非常に経済的に掘り出すことができないために、あることを承知しておいて放置されておる、それを今お話があったのだろうと思いますが、しからばそれは炭価幾らになってもいいという、ただ石炭を得ればいいというならばそういうことも可能かもしれぬと思うのですが、そういう搬出する鉄道まで要るというようなことを想定する場合に、およそ炭価という経済的のそこに問題があるとすると、その五十年度に七千二百万トン出炭ができても果して経済的にそれが搬出され得るかどうかということについて承わりたいと思います。
  28. 村田恒

    政府委員村田恒君) この法律改正をお願いいたしました一つの大きな目的は、ただいまお話のございました、今まで未開発でりあまして、これから有望な地域重点的に、しかも経済的に開発ができるように、特に関連産業施設整備をしていくということを伴いながら重点的な開発をするということを大きなねらいとしたのでありますが、その終局的な目的はただいまお示しのございました炭価を引き下げていく、単に数量だけをふやすということでは意味がないことでございまして、あくまで炭価を将来に向って引き下げていくということが根本のねらいでございます。それで、そのためには従来もやって参りました、今後も継続いたします採掘の方法をいかに機械化、近代化していくかという合理化工事を進めて参りますと同時に、これから新しく開発をしまする山はいずれもこれは能率が二十トン以下のものは一つもこれは作らせない、非常に能率の高い山を考えておりまして、その意味におきまして、これは私ども一つの試算でございますが、昭和五十年度におきましては、かりに物価、賃金が横ばいというふうな観点に立ちますと、現在の炭価の約四〇%くらい引き下げられる、こういうふうな想定をいたしております。
  29. 加藤正人

    加藤正人君 過去の戦争の場合に、炭価などは幾らであっても石炭がほしいというような時代があったので、そういう時代に相当掘り尽されたように思われるのですが、今いろいろな新しい掘進の技術的の工夫などがその後できているので、今御説明のようなことができるのじゃないかとも思われるのでありますが、それは相当にむずかしいことで、これがためにやはりいろいろな方面からこの目的を達成するために、総合的な施策がとられなければならぬと思うのでありますが、それに要する費用なんというようなものがどのくらい想定されておりますか、参考のためにちょっと承わっておきたい。
  30. 村田恒

    政府委員村田恒君) まず、ただいま申し上げました坑内外設備を近代化して、機械化していくということが、これは根本でございまして、これは技術の問題として進めなければならぬと思いますが、しかしながら、これをいろいろな、これだけの合理化工事をいたしますためには、どうしても多額の資金を要するわけでございます、従来、石炭鉱業は比較的景気の変動に対してそれに適応するための弾力性に乏しい産業でございましたために、投資欲というものが非常に不活発でございました。と同時に、先ほどの御意見がございましたように、政府燃料政策がときどきぐらついたような印象を与えるような場合もございまして、そのために思い切った増産ということになかなか踏み切っていなかったのでございます。しかるに今回の新しい長期エネルギー対策というものが、新長期経済計画が樹立されまして、あくまで外貨節約及び輸出振興という観点から、国内炭増産をやるのだということがはっきり方向がきまりましたために、石炭業界としましては、画期的な増産態勢というものを打ち出したわけでございます。一例をとって申し上げますると、昨年度設備投資が二百七十億でございました。そのうち開銀の方から融資が出ましたものが三十八億ほどでございますが、今年度は、全部の三十三年度設備投資は三百億を突破いたしまして、そのうち開銀に期待いたしておりますものが約百億というような、飛躍的な増加をたどっているわけでございます。今後もこういう方向で極力財政投融資の大幅な投入というものを進めまして、それによって設備資金五千六百億円というものを昭和五十年度までにはこれは投下していきたいこういうふうな期待を持っております。それからいま一つは、関連産業施設が非常に立ちおくれておりまして、関連産業施設というものの整備がないために、せっかくいい地域もその熱意を持っていなかったという事実もございます。まずやはり先に炭を掘って鉄道を敷くのではなくして、将来の出炭というものを計画的に行いまして、その計画出炭に合わせたように道路なり、港湾なり、鉄道なりというものを先に整備していくということが非常に大事だと思われます。その意味におきまして、私どもの方は港湾局及び国鉄、経済企画庁と非常に密接な定期的な会合を開きまして、われわれの各年度別出炭計画に合わせるように特別港湾整備計画といったようなものを一つ進めてもらっております。その方向が三十三年度はきわめて顕著に出ております。たとえば唐津の港、釧路の港、小越、室蘭、そういったような各港の整備、あるいは、北海道におきます新しい鉄道の建設、北海道のみじゃありません、九州もございますが、新しい鉄道整備計画といったものは、われわれの要求を百パーセント入れられた方向において関係方面でやってもらっております。さらに、そのほか、やはり税法上のいろいろな優遇措置というものを石炭鉱業にもある程度与えなければなりませぬ。また、さらに、同じ膨大な設備資金を投入するわけでございますから、その金利負担というものも、企業によっては相当な負担でございます。その意味におきまして、極力この資金というものを長期で、しかも低利な資金にしていくというふうな方向において、これも、一歩一歩、大蔵省とも話をいたしまして、一どきに全部は片づかないのでございますけれども一つ一つ問題を片づけております。概略申し上げますと、そのようなことでございます。
  31. 相馬助治

    相馬助治君 私は、石炭のことは全くわからないので、具体的なことをお尋ねしたいと思うので、局長からお答え願いたいと思います。  まず第一に、石炭鉱業を振興するということは必要でありまするから、それに所要の法の整備をしたり、これに国の金を投資するということは当然必要だと思うんですが、将来を見合って、ただ単に石炭増産というのではなくて、今輸入に仰いでいるところの鉄鋼会社が使っている超粘結炭というようなものを、何とか特殊なワク投融資等を行なって国内生産を刺激して、これに見合う優良な石炭開発が行えないものか。かりに行えないとしたら、それは、国内にないからであるのか、また、あるけれども、商業ベースに乗らないのでそういうことができないのか、こういうことについて一応承わりたいというのが質問の第一点です。  それから、第二の点は、そういう優良な超粘結炭というものを輸入する場合に、私が聞き及んだことでは、あるいは誤まっているかどうか知りませんが、ソ連にしても中共にしても、抱き合せで、ほしくもない石炭を、これも買え、そうすれば、この優良な原料炭をお前たちに輸出してやるというので、いたし方なく、普通の必要でもない石炭を買わせられる例があったと聞き及んでおりまするが、それが事実であるかどうか。そして、将来、この問題については通商局などとよく話し合いをされて、石炭局長としては、何らかの手を打たんとする構想を持っているかどうか、これが質問の第二点です。  それから、第三点は、これは、全くつまらん問題といえばつまらん問題なんですが、台所を預かるおかみさんの声なき声を私は代表してお尋ねしたいと思うんです。と申しますのは、私のうちで石炭をふろにたくために買った。ところが、非常に悪いというので、私も見たところが、石っころと泥が入っておる。私は、そこで非常に問題だと思ったのは、石炭の問題で隘路になるのは運送の問題であると、こういうふうに聞かせられている。なかなか貨車がとれないで弱っているという話を聞いている。そうすると、どこが悪いんだか知らぬけれども石炭と泥と石とを運んでいるということに結果的になっていると思う。従って、こういうことが将来行われるんであると、大へんなことだと思うので、私は、この問題について、一度は石炭局長に、これはどういうことなんだかお尋ねしたいと、こういうふうに考えていたんです。で、私のうちに配達された石炭が、全く希有の例に属する。もう全くわずかな珍しいことだというなら、話は別なんです。ここで聞くほどのこともないと思う。しかし、そうでないとするならば、あっちこっちでそういうことを私聞いたこともありますんで、最近は聞かないですが、戦後はもうたくさん聞いておりますんですが、この問題について、局長としてどういうふうにお考え——どういうふうに考えって、何を聞いているんだと、こう言われてもちょっと困るんですが、おかみさんが困っていることは事実なんです。で、この困っている事実から言うと、貨車に泥と石炭と石とが乗って運ばれていることが事実なわけです。この石と泥とを運ばなければ、それだけの石炭が運べることは事実なわけですね。従って、この問題についても、何かお考えがあったら聞かしていただきたい。  三つお尋ねします。
  32. 村田恒

    政府委員村田恒君) 第一点の、鉄鋼用の主といたします原料炭の供給力の問題でございますが、これは、強粘結つまり非常に粘結度の高い強粘結炭は、残念ながら日本の現在の自然条件から申しますると、極小地域に出ます七十万トン程度のものが限度でございます。しかしながら、弱粘結の方は、これは相当の埋蔵量がございまして、それで、強粘結はあくまで七十万トンの出炭を確保していきたい、それとあわせて、弱粘結の方につきましては、今度の法律でお願いいたしております地域を指定して重点的な開発をやるという一つの考慮すべき要素としてこういった原料炭に重点を注いでおります。それから同時に、開発銀行の融資をつけますにつきましても、やはり原料炭というものには特別に高い点を与えてそれを優先的に考えるようにいたしております。それで、実際の数字、われわれの計画を申し上げますと、そういうふうな努力を注ぎまして原料炭というものがどのくらいの生産を上げておるかということでございますが、三十二年度におきましては全生産量が五千二百万トンをこえておりまするけれども、そのうちで原料炭は約一千万トンの生産を上げております。昭和五十年度におきましては、これを、全生産量のうちで二一・四%を原料炭の出炭にいたしたい、そういうふうな計画で進めております。  それから第二のお尋ねの、抱き合せでもって外国から要らないものを輸入している場合があるのではないかということでございますが、これは、油も非常に不足いたし、また、石炭も非常に極度の不足を告げました三十二年度の上期におきましては、外国炭の一般炭をやむを得ず輸入したわけでございますが、三十二年度の下期以降は、一般炭につきましては、全然外貨の割当をいたしておりません。本年度も全然いたしておりません。ただ、若干日ソ貿易の関係等におきまして、わが方の輸出をどうしてもこれだけ伸ばしていきたい、そのためにはこれだけの石炭を買えという場合に、原料炭だけでなくして若干の一般炭というものをソ連側からどうしても買えという今要求が参っております。これにつきましては、まだ結論を出しておりませんが、われわれの方は、極力一般炭の方は輸入を避けたいというふうな考え方で、目下折衝いたしておるような段階でございます。  それから最後に、家庭に配達されました石炭が、中に非常に泥や石が混じっておったということでございますが、これは、主として三十一年の下期から昨年にかけまして大へんに景気がよかった、そのために石炭が飛ぶように売れておったというために、どうしても一般の商業者特に小売の方に行きます、商業者の方に回るいい炭が足りなかったということから起った現象ではないかと思われます。さらに、この問題は、根本的には、非常に石炭の景気がいい場合には洗炭、十分に洗いまして、そしてそのカロリーを上げ、そしていい炭だけを出していくという最後の選炭というものに対する丁寧な仕上げをどうしても怠る傾向がございます。今後はまず第一に坑内で……、石炭鉱業というものはある意味において一種の運搬業みたいな要素も含んでおるわけであります。いかに掘り出した石炭をまず坑内において最も合理的に最も能率的にこれを運搬して地上へ持ってくるかという技術が非常に大事でございます。その場合に、悪口を言う人は、あの中へ、炭車に載せてあるものは黒いものよりも白いものが多いじゃないか、すなわち、石炭を運ぶよりもむしろ石ころを一緒に載せて運んでいるじゃないかという悪口を言われた時代もありますが、これはさらにその合理化を進め、さらに坑内の運搬の系統を非常に合理的に進めるということによりまして、まず坑内においてそういう運搬を能率的にやり、むだなものを輸送しないようにするというのが第一の今の進んでいる方向であります。第二には、そうして出て参りました石炭をいかにして選炭をよくするか、いかにしてこれを十分に機械にかけ、あるいはフローテーションをやりまして十分な選炭をよくやって、ほんとうのいい良質の石炭だけを運ぶようにするにはどうしたらいいか、そういうような点を十分に資金の面におきましても、技術指導の面におきましてもやっておるわけであります。直ちにあしたからもうすぐにいい石炭ばかりが家庭にくるかということは、すぐは申し上げられないと思いますけれども、今後はそういうふうな形で、まずもとの方で良質の石炭だけを出していくという方向に進みますので、そういう御迷惑をかけるようなことはだんだんなくなるであろうというふうに期待をいたしておる次第でございます。
  33. 阿部竹松

    阿部竹松君 二、三点お尋ねいたしますが、まず第一点は、この法案が出発しました当時、三百万トンの能率の悪い、カロリーの低い山を買い上げるということもこの法案の内容に含まれておったはずなんです。ところが、先日のお話では、大体三百六万トンに対応する分だけ石炭整備事業団で買い上げたというお話でございましたが、逆に買い上げたその種の山が三百万トンの山よりもなお多く泡末会社のようにでき上っておる。しかし、その買い上げる三百万トンのその金をどこから出すかということについては、石炭業者が銀行の金利を引き下げてもらって、そこからトン当り幾らということで金を出したはずなんです。そうしますと、今度は買い上げをやりませんという改正案でございますから、金利の方はどうなるのですか。今後の……。
  34. 村田恒

    政府委員村田恒君) この法案の中で、前回委員会で申し上げましたように、事業団の終期と申しますか、事業団の方に関する規定は四十二年度までの延長をやりませんで、現行法通り三十五年八月でこれを打ち切ることにいたしております。その理由といたしましては、目標でありますところの三百万トンの買付をおおむねその目的を達成したということが第一の理由であります。第二には、今ちょうどお話のございました、この買い取りのための資金というものは、整備事業団の資金というものは、まず第一に出炭トン当り二十円というものを各社から出させまして納付金として納めさせ、さらにもう一つの納付金の元手としまして、開発銀行の約定金利が九分でございます。実際は石炭鉱業に貸し出すのは六分五厘で、差額の二分五厘というものを納付金として出す、そういう点につきましての十分な話し合いが関係方面とまだつきません。そのために実はこの問題は三十五年八月から先の問題がきまっておらない。じゃ、一体金利はどうなるかということでございますが、これは大蔵省と私ども事務的に話を今日まで進めて参りました現段階におきまする進行状況は、たとえ整備事業団が三十五年八月をもってこれが廃止され、そしてこの買い取りというものがそこで一応とめられるということになりましても、現在の六分五厘の金利というものに対しては一挙にこれを引き上げるというようなことはやらない、こういうふうな事務的な話し合いで進んでおります。  なお、今後この問題はあくまで今後大蔵省及び関係方面と折衝を続ける方針でございます。その折衝を続けますのは、ただいま申し上げましたように、あくまで積極的な今後におきまする増産のために必要な長期低利の金を石炭鉱業に投入していくという建前から、あくまで六分五厘というものは堅持していく、こういうふうな方向において今後折衝を続けていく方針でございます。
  35. 阿部竹松

    阿部竹松君 その次に、この説明書の第三点に書いてあります四十二年度までにおいて、四十年度を大体ピークにするという意味のことが書いてございます。あとは自然条件等によって下るという意味のことを書いてございます。しかし、私ども合理化法案が出発した当初から考えると、あのとき六十八本の縦坑をおろすということがやはり内容でございまして、ところが、まだ六十八本どころか五十八本もでき上っておらぬ、あの縦坑というものが炭鉱を若返らせるのだといって現在盛んに各会社が縦坑を一生懸命に今掘っている。そうしますと、実際フルに力を発揮するのが四十年度ぐらいだと私は思います。炭鉱の数は確かに減るかもしらぬけれども、総体の出炭量というものは四十年度に下ってくるなどということは考えられない。そこで、あなたの方では四十年度になったら自然条件制約されて減産方向をたどらざるを得ない。これは一体どこをさして言っておるか。それとも自民党さんの経済五カ年計画に従ってこういうように合せなければならないものかどうか、これは石炭局としてどこで……。常識的に判断すれば、これはどうもあやしいと思うのですが、この点はどういう判断をなされたのですか、その点を一つお伺いいたします。
  36. 村田恒

    政府委員村田恒君) 四十年をピークとして現有炭鉱が逐次減っていくということは全体として全部がそういう方向にいくというわけじゃございません。これは合理化によって、ただいまお話のように縦坑等をやりましたのは、これはさらに今後四十年から先につきましてもずっとこれはそういう態勢をとって参りたい。一方、もう終掘してしまいましてやめていく炭鉱が四十年度ピークにして出てくるわけです。そういう意味炭鉱は、つまり、減産態勢に入ります炭鉱と、それから休止、廃止してしまうところの炭鉱というものが含まれますので、そういうものが出てくるという意味において四十年をピークとして現有炭鉱の中には減産あるいは廃止していく炭鉱があるという意味でこの説明を書いたわけでございます。
  37. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは村田局長さん、そういう意味にこれとれませんよ。これは私の言った通り炭鉱の数は減るかもしれませぬ。一つや二つの炭鉱は、それは廃坑になっているかもしれませぬけれども、この条文で見ますと、日本の石炭産業全体をさすものだと私は判断されるわけです。しかし、そういうふうであれば、それでけっこうですが、次に当委員会に参りまして、国務大臣の正力さんが、原子力の発電のことについてときたま私どももお説を聞くのですが、石炭局というか、通産省といいますか、あなたの方では大体原子力発電はいつごろ市場に電気となって現われてくるかということを御判断なさっておりますか。
  38. 村田恒

    政府委員村田恒君) 私どもは実は、原子力の発電のあれは経済企画庁で作成されました長期総合エネルギー対策、これを基礎にして考えております。すなわち、昭和五十年度七百万キロワットの出力が出る、こういう計画を基礎にして考えております。
  39. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、石炭産業に一切影響ないということですか。
  40. 村田恒

    政府委員村田恒君) この原子力の発電というものが、今申し上げましたような形において出てくるということを前提として、総合エネルギーとしては七千二百万トンの国内炭出炭、こういうことを考えております。
  41. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、鉱区調整協議会のことについてお尋ねいたしますが、この協議会は大臣が任命なされるのでしょうか、それともどこかの機関で御推薦を願うわけですか、どういう方法をとられるわけですか、それとももし内容がわかるならば、石炭経営者が何名とか、通産省から何名、あるいはまたその他例によって例の学識経験者が何名、こういうようなことはまだ全然御考慮に入っておらぬですか。
  42. 村田恒

    政府委員村田恒君) まだ最終的にもちろん確定いたしておりませんが、これは大臣が任命いたす建前でございます。そうしてこれは法律の第七十六条の五に「委員は、石炭鉱業に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。」と書いてございます。それで私どもが今考えておりますのは、鉱区の調整ということは、それぞれの会社に利害関係が非常に深い、それでそのためにその委員の方は現役の石炭鉱業に従事している方はなるべくこれをやめていただきたい。これはできるだけ学者の方に、しかも五名でございますが、学者の方を中心にしていきたい、こう考えております。
  43. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、どのくらいの権限といったら、ちょっと局長も答弁しにくいと思うのですが、端的にお伺いして、大臣がどなたか学識経験者で、あまり鉱区に利害関係のない人を入れますと、そうしますと、たとえばここに相馬委員と私がおるのですが、二人が鉱区調整について協議会の答申通りやれといったとき、二人とも反対だということを言ったら、反対だったらやむを得ませぬというのか、大臣の命令でズバリ、こういう権限があるのですか。
  44. 村田恒

    政府委員村田恒君) 第六十八条の十一でございますが、採掘権の譲渡又は採掘鉱区相互の間の鉱区の増減の決定をしようとするときは、石炭鉱区調整協議会の意見をきかなければならないということでございまして、あくまでもその協議会の御意見を尊重しなければならない、こういう建前でございます。
  45. 阿部竹松

    阿部竹松君 私の聞いておりますのは、その人たちが結論出すわけですよ、結論を出した場合、その鉱業権者が二人とも利害が一致していれば問題ないのですが、その協議会の答申に基いて大臣が判断を下した場合、その鉱業権者なり、租鉱権者が絶対服従しなければならぬものか、それとも絶対服従しなくてもよろしいものかということなんです。
  46. 村田恒

    政府委員村田恒君) その点が従来の鉱業法によりますものでは通産大臣の権限が勧告であったものが、今度の規定で新たに通産大臣が決定まで持っていける。従いましてそれに従わなければならないわけです。
  47. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後に一点お伺いいたしますが、この本法案と直接関係がないかもしれませぬけれども北海道に二千万円、九州に二千万円、合計四千万円を投じて探鉱をやられるそうですが、将来やはりこれに関連して、そういうお金を出すのか、それとも山口の宇部炭田地帯は、特に中小炭鉱があって、ひとりの力で、そういう仕事がなかなかできないというようなところに、将来見てやることが御考慮の中に入っているかどうか、この点だけ最後にお伺いいたします。
  48. 村田恒

    政府委員村田恒君) この予算は、今度初めて四千万円新しくいただいたわけでありますが、元来の計画は、私どもはこれを約今年も二億要求したのですが、これが四千万円に削られたのであります。来年以降も引き続いてこの予算を要求していきたいし、また増額していくべきだと考えております。ただいまお話のありました山口の宇部につきましては、あそこの東洋鉱区という山はこれを指定地域にして積極的に開発をやっていきたいと考えております。その場合に、具体的にどこの炭鉱がその地域に入るか、まだ明確でございません。東洋鉱区は非常に有望でありますし、相当まだ権利の上に眠っている地域もあるようであります。あそこの地域は今後当然指定地域として開発を進めていきたいと思います。
  49. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 他に御発言もなければ、この辺で質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  これより、討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、これより採決に入ります。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案は、衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手
  51. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、委員長報告等、諸般の手続は、慣例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  次に、本法案を可とされた方は、順次、御署名を願います。   多数意見者署名     青柳 秀夫  高橋進太郎     小澤久太郎  加藤 正人     小滝  彬  古池 信三     相馬 助治  阿部 竹松     島   清  椿  繁夫     大谷 贇雄  小幡 治和     小西 英雄
  53. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後は都合によりまして二時に再開することにいたしまして、暫時休憩します。   午前十一時四十七分休憩    ————・————   午後二時二十六分開会
  54. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を再開いたします。  まず、日中貿易について質疑の通告がございますが、この問題を先に取り上げることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議なしと認めます。  それではこれより本問題について質疑を行います。
  56. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちょっと大臣にお尋ねいたしますが、どうも、昨今四次貿易協定の中国側の拒否によりまして、日本の輸出産業の上にも重大な影響があるのではないかと思って、大へん心配をいたしておりますので、それに関連してお尋ねをいたしますが、戦前、日本の対中国輸出の総額は、台湾を除きまして輸出総額の大体一八%を占めていたように思います。ところが、昨年の輸出実績を見ますというと、わずかに六千五十万ドル、二%ぐらいにしかなっていない。一昨年に比べましても七百万ドルからの減少を対中共輸出というものは示しておるのであります。ところが、これは主として私の思いますのには、貿易の無協定、協定がなかった。そういう状態におかれておったことが、大きな原因ではないかと実は思うのであります。今回中国側が日本政府、特に愛知官房長官の談話に刺激されまして、拒否の態度を明確にいたしましたが、この調子で参りますというと、今年度は昨年度に比較して、さらに対中共輸出というものは減少するのではないかという心配を持つのでありますが、まずこの点について、大臣のお考えなり、見通し等についてお尋ねをいたします。
  57. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 第四次協定が御承知のように一応民間側で調印されたのでありますが、これは中共を承認するという問題と——われわれはあくまでも貿易につきましては、極力やっていきますが、直ちに承認というような方向にいくわけにはいかぬというような点で、国旗掲揚の問題などに関しまして、中共の了解が得られたかったという点につきましては、非常に遺憾に思っているのであります。しかし、われわれとしましては、貿易を推進しますことについては、心から誠意をもって臨むつもりでありまして、今後の推移につきまして、極力われわれも十分考えていかなければならぬと思っております。  ところで、第四次協定が結ばれた場合と、結ばれぬ場合とこういうことになりましたら、もちろん非常に差があるのでありまして、一億ドル以上期待いたしておったのでありますが、しかし、そうはいかないだろうと、こういうことになると思います。ただ、従来におきましても、これは協定ができております場合から協定ができていない場合ということになれば、もちろん、協定ができておるのにこしたことはないのであります。ただ、協定ができましても、一つ大きな問題は、御承知のように、現在中共貿易が大きな期待にもかかわらず、多額にならないという大きな原因は、御承知のように中国から輸入する物資がない、米にしましても、国内がかなり豊作であった、大豆にしましても、七十万トン全体としては輸入をいたしておりますが、それ以上大きな期待はできない。また、鉱石なり石炭につきましては、石炭国内で余っておるというような状況、あるいは鉄鉱石につきましても、われわれとしましては、鉄鉱石は極力入れていいわけでありますが、今度は向うの方で輸出能力が十分でないというような関係にありますために、結局一番大きなネックは輸入する物資という点にあったわけであります。その点は、今後におきましても急激に変化するというわけではありません。従って協定ができていましたとしましても、実は輸入物資の面において非常に障害をわれわれ感じておったわけであります。一昨年、昨年につきましても、大きな期待を持たれながらも、その程度にとどまらなければならなかったという理由は、結局輸入する物資ということになるわけであります。実はあまりに大きな期待を持ち過ぎたと、こういう点じゃないかと思います。その上、なおかつ協定の承認が得られぬと、こういうことになりますと、これは確かに不便だと思います。しかしまた、輸出するものといたしましては、鉄鋼とか、あるいは肥料にいたしましても、中共としてもおそらくできれば買いたいという気持を持っておられると思うのであります。また、われわれも極力輸入する物資の点につきましては、打開していきたいという気持を持っております。昨年よりも本年がさらに減るということは、実は予想はいたしておらぬのでありまして、むしろ、昨年よりはふえるというふうに、またふやさなければならぬ、それには政治的問題は別として貿易につきましては極力推進するように努力をしていきたい、かように考えておるわけであります。
  58. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 大臣のお答えによりますと、バーターであるから、向うから輸入をするものが、こちらの期待するようなものが向うに出してもらえないというところに、対中共貿易の伸びがなかった大きな原因のように受け取れるのでありますが、私は西欧各国の一昨年と昨年の対中共輸出の実績を見ましても、減少いたしておりますのは、日本のみであります、残念ながら。西ドイツにいたしましても、三千七百万ドル一昨年ありましたものが四千万ドルに伸びておりまするし、スイスはココム非加盟国ではありますけれども、大体同じような実績を示しておる。英国にいたしましても、フランスにいたしましても、それぞれ一昨年に比較すると、昨年の輸出実績というものは伸びておるのにもかかわりませず、ひとりわが国のみが減少をいたしておるのでありますから、私は今お話しのような、こちらの望む物を向うから輸出してもらえない、輸入することができないというところに、ただ一つの原因があるようには考えないのでありまして、最近鉄鋼のバーター協定がなされて、これから五カ年間にわたって輸出一億ポンドを約束して帰りましたが、その実現さえ私は最近の日本政府のとっておられますような態度では危ぶまれるのであります。今度の細目交渉は、必ず私は今後難航するに違いないと、こう心配するのであります。その理由は、中国側からの見返りの輸入品について、価格あるいはその他の条件が折り合いがつかないというようなことになりますと、実質上向うからの輸出が延期され、あるいは軽減されるというようなことになって参るのでありますから、私はすみやかに、協定の問題を中心として彼我の間に十分な了解点に達するような努力を払わなければ、成立いたしました鉄鋼の輸出につきましてさえも、大きな心配を持たざるを得ないのでありますが、この点について政府の見解をただしたいと思います。
  59. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) お話しの点は、私も十分そういう心配をいたしております。しかし、これは日本の誠意という点は、十分貿易に関しましては誠意を尽し、了解を得たいというふうに念願をいたしておる次第でありまするし、また、その点は十分努力をしてゆきたいというふうに考えておるのであります。ただ、具体的の問題になりますと、協定ができました当時から、輸入する物資につきまして非常なわれわれも実は心配をいたしておったのであります。今後これをどういうふうに打開してゆくかということについて、具体的に極力彼我の摩擦のないように努力をしてゆきたい、かように考えております。
  60. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 中国側の、官房長官談話を理由にするこの四次協定の拒否に遭遇して、あなたの所属される自民党の幹事長は、総選挙が近いものだから、中共の社会党に対するあれは援護射撃であって、これは総選挙が済めば、おのずから時間的に解決するだろうというような政治的な御発言をしておられるのでありますが、私は、たとえば鉄鋼の輸出に関連してこれに必要な粘結炭のアメリカからもらっております価格、これは三十二年の十一月の実績でございますが、二十八ドル二十二セント、それが開らん炭でありますというと十三ドル三十セント前後、こういうよりに鉄鋼のために必要な開らん炭の価格でさえ、アメリカから買っておりますれば二十八ドル二十二セント、開らん炭でありますと十三ドル三十三セント、三十二年の七月ごろの実績を見ましても、同じように違っておるのであります。こういう高いものをみすみす買っていて、そうして安い開らん炭などを入れることができるのにこれを買わない。しかも、中国側の見解をただそうとしないで、むしろこれは総選挙に対する社会党に対する援護射撃をやっておるので、選挙が済めば好転するだろうというような、それこそ国際的影響を無視して、国内的な発言をしておるのでありますが、私どもまことに中国貿易の伸張と拡大を願うものとして、また、日本の輸出を振興していかなければならぬと熱心に考えるものの立場として、まことに遺憾にたえない御発言があるのでありますが、こういうことが対中共輸出並びに今回不幸な事態になっておりますこの四次協定の将来に対して、こういう政治的な発言というものが影響すると思うか、しないとお考えになっておりますか、ちょっと通産当局の意見をこの機会に私は確かめておきたいのであります。
  61. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私としましては、国旗掲揚をしなければ貿易ができないというものではないというふうに考えておるのでありまして、その点は、私は中共もかなり政治的な意図があるのじゃないかということを感じておるわけであります。しかし、それはそれといたしまして、われわれとしましては、あくまで誠心誠意貿易に関して、これを推進するという努力もし、また、誠意を認めてもらうという方向によって全部打開ができるものというふうに考えております。ただいまお話しの、いろいろ中共で安いものがありましたら、もちろん安いものを買うべきで、これは国全体として考えてそういかなければならぬと思っておりますが、その辺の消息については、政府委員から御説明いたさせます。
  62. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今、中共からの石炭等についての問題がありましたが、従来、開らん炭を四十万トン程度買っておるのであります。鉄鉱石につきましては、従来たびたび話がありながらも、先方の都合と了承しておるのでありますが、できなかったのであります。これは別段政府がやらさなかったとか何とかいう問題ではないのであります。今度の鉄鋼業界との協定によりましても、第一年度石炭四十万トン、鉄鉱石四十万トン、こういうことになっております。若干ながらも、輸入の方がふえる傾向になってきたことは非常にわれわれとしましてもけっこうなことと考えております。価格につきましては、今御指摘の数字は、これは物資がかなり高かったときの数字かと思うのであります。米炭につきましても、現在のところは運賃の低下に伴いまして、かなり安くなってきております。CIFにしまして現在のところ二十二、三ドルということになっております。しかしながら、何せ距離の差もあることでありますので、中共炭は横ばいカーブをしまして、米炭とあまり差はございませんが、CIFにしますと、運賃の差だけは安くつくようになっております。ただ、品質の点を考えなければなりません。これは製鉄各社の都合によりまして、メリットの計算率が違うようでありますが、大体米炭を一〇〇といたしますれば中共炭が八四・五というふうな計算を、常識的にはするようであります。そういうような計算をいたしましても、現在のところ最近この業界でいろいろ打ち合せている数字から言いますと、中共炭の方が若干割安になっておるようであります。鉄鉱石につきましても、大体カナダ並みぐらいな価格になっておりまして、アメリカの鉄鉱石よりは若干割安になる。ただ問題は、こういう石炭にしましても、鉄鉱石にしましても、スポット買いというものは割合に少いわけであります。重要なこういう原材料になりますと、かなり長期に確保しなければなりませんので、工業界といたしましては、石炭にしましても、鉄鉱石にしましても、かなり長期の約束を、みないたしておるのであります。従いましてそれを急に破棄をして、中共から多くふやすということも、非常に困難な事情にあるようでありますが、ともかく業界の方の自主的な判断によりまして、日本の需要の増加に伴って、逐次中共の石炭なり、鉄鉱石を増加するという方向で、ああいう五カ年間にわたる協定ができたわけであります。われわれとしましては、その協定が円滑にいきますようにお手伝い申し上げたい、こういうふうに考えております。
  63. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ただいまお手伝いをしたいというのですが、政府が今のような態度をおとりになっております限りは、私は対中共貿易の好転を望むことはできないと、こう思うのであります。なるほど粘結炭のカロリー、炭の性質なり、その質にもよることではございますけれども、運賃だけをとってみましても、たとえば三十二年の七月の運賃を比べてみますと、アメリカから炭を輸出いたします場合、十一ドル七十五セントから十六ドル七十五セントを上下しておる。かりに、距離が近いだけの差はございますという話しでありますけれども、中国から入れます場合、これは局長どのくらいで入るのですか。私は二ドルか三ドルじゃないかと思うのですが、そういうところとの積極的な貿易の努力が、今のようなことでは私は得心ができぬのであります。ことに、長期の協定を結んでおります硫安、大豆等は、一体今度の中共側の態度によって、協定の通りに、輸出入が実施されていくというお考えを持っておりますか、これが第一点。  それから台湾の、今度の愛知さんの談話によっても、だいぶアメリカと台湾に対する気がねが中心になっておるのでありますが、当委員会におきましても、バナナの問題で、だいぶ先般来、議論がございましたが、台湾からの輸入に期待できますものは、私は、不敏でありますけれども、バナナと砂糖ぐらいしかないように思うのであります。それに、せっかく第四次協定のごときが締結をされて、非常な明るい希望を、日本の輸出業界、産業界が持っております際に、これに水をぶっかけるような態度をとられたことは、重ね重ねこれは遺憾でありますが、通産当局としては、対中共貿易と台湾貿易というものを、いずれを一体重視して、今後の通産行政をお進めになるおつもりか、この機会に一つ承わっておきたいのであります。
  64. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 台湾と中共貿易との問題につきましては、この前大竹委員からも御質問がありまして、私、一方を失って一方を立っていくというわけには参らぬのであります。台湾につきましても、従来通りの貿易はやっていって、その上にさらに、中共貿易をふやしていくということでなければならぬと思うのであります。ただこれは、貿易の問題であります。それ以外の政治的な問題につきましては、ただいま政府がとっておりますように、直ちに中共を承認するというわけには参らぬのでありまして、その点は、ある程度切り離して、われわれとしては考えていかざるを得ないという立場にありますことを御了承願いたいと思います。また、先ほどの具体的な御質問につきましては、通商局長からお答え申し上げます。
  65. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今、運賃の差についてのお尋ねが第一点であったかと思いますが、石炭につきましては、アメリカからの場合におきましては、現在のところ、大体十ドル程度であります。中共につきましては、三ドルから三ドル半ぐらいになっておるのであります。運賃を比べますと、かなり中共側の方が安いことは、これは事実であります。先ほど、われわれ官側で、何か制限をしておるというふうなお話がございましたが、これは全然いたしておりません。外貨割当という点につきましては、需要の業界のところでコマーシャル・ベースに立ちまして、有利だというところから買い付けられるように、為替割当をいたしております。中共炭は何ぼだ、米炭は何ぼだというようなことは、全然いたしておりません。
  66. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 役所が貿易の第一線に立っておられるわけはないのでありますから、そういう誤解は私もいたしておりません。ただ、今硫安と大豆、この長期協定を業界で結んでいるのでありますが、今回のように、日中両国の関係の悪化ということが、この長期協定について支障を来たすようなことはないとお考えかどうか。この点、答弁漏れでありますから、重ねてお尋ねをいたします。
  67. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 私たちといたしましては、ただいま大臣からも御答弁になりましたように、いろいろの政治的なにおいもしますが、貿易は貿易として、できるだけ拡大をしたい、こういうふうに考えているのであります。肥料につきましても、昨年秋に大きな契約はできたわけであります。それの積み出しも、順調にいっているのであります。その見返りになります物資につきましても、これまでのところ米その他の物の輸入につきまして、われわれも及ばずながら努力をして参っているのであります。先ほども鉄鋼の輸出のお話しでありましたが、今進行中の契約交渉について、まだ何ともわれわれも申し上げにくいのでありますが、要するに米を十万トン買い取れと、こういうことなのであります。で、米につきましては、われわれ肥料の見返りとして従来やっておりましたし、現在の協定から見ましても、乙類の同類物資の交換でもありますので、大体肥料は米というふうな工合に考えておったのでありますが、今度鉄鋼の輸出に対して米を買え、甲類の輸出に対して乙類の輸入をと、こういう御主張なんであります。まあ、甲類と乙類との異類物資の交換ということは、これはまあ協定上ではおかしいことではありますが、気にするなということでありますれば、それほど絶対困るというわけのものでもなかろうかというふうに考えているのでありますが、何分古米を十万トン買うということになりますと、食糧庁とも十分話し合いをいたしているのでありますが、食糧庁の米の買い入れ計画から見ましても、古米ならばそんなに買う余力がないということなんであります。そこで古米をどの程度にし、新米をどの程度にするかというような問題もありまするし、また、米だけなぜ工合が悪いのか、大豆も今お尋ねがありましたように、二十五、六万トンの契約もできているわけでありまするので、大豆をなぜ使わないかというふうな問題も、われわれとしては考えなければならぬわけであります。鉄鋼のみならず、ほかの輸出についても考慮いたさなくてはいかないわけであります。それらの点をいろいろ考えますと、まだ現段階におきましては、先方の言われる通り、米十万トン古米で買うということにつきましては、われわれといたしまして決しかねているような状況でありますが、何とかこの契約ができますように、いろいろ食糧庁とも話し合いをいたしまして、ほかの物資も入れまして、何とか話ができないものだろうかということで、今打ち合せをしているような状況であります。  で、大豆につきましては、これはかなり大きな契約ができているのでありますが、われわれといたしましても、中共への輸出ということになりますと、見返り輸入として金額の張るものは大豆なんでありますので、年間七、八十万トンの輸入のうち、三十万トン程度のものは、中共から買えるものならば買いたいという念願を持っております。しかしながら、これもまた商売でありますので、高いものを業界に押しつけるわけにはいかぬので、現在のところ輸入の割当方式としまして、グローバルという方式でいたしておりますので、要するに安いところから買うという方式でありますが、その方式におきまして、関係業界にできるだけ中共貿易というものを御認識願って協力を願う、搾油業界も、あまり高くては買えませんが、少しぐらいのことならばしんぼうするとか、また先方とも話し合って、あるいは米国並みに負けてもらうとかいうふうな御努力も願って、何とか輸入も拡大し、輸出も伸びるようにというふうに、いろいろ相談を申し上げているというのが、今日の段階でございます。
  68. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 局長お話を伺っておりましても、向うから鉄鋼の見返りとして古い米を売りたい、出したいと言っている。それを受け入れのこちらの方としては、新しい米じゃないと困る。こういう話をするにいたしましても、また、いろいろな商品を輸出をしてその見返りを受けます場合の価格のきめなどにつきましても、やはり今度のような貿易協定が、十分双方の政府間においてほんとうに支持され、協力される、こういう関係にあることが私は一番望ましいと思います。そういう両国間の政府の態度があってこそ、初めて民間の協定というものが推進されるのだ。しかるに今回このわが国の態度に対し、中共側の最近の報道を見ておりますと、まことに憂慮されるものがございまするので、この政府の所見をただしておるのでありますが、ことに今朝の新聞によりますと北京、天津、上海等におりますこちらの商社の駐在員が三十名ばかりおるが、これが滞在期間の延長の願いを出して拒否されておることが報ぜられております。もし、これが滞在期間が拒否されて、総引き揚げをしなければならぬというようなことになりますると、今後の両国間の通商の話し合いの上に重大な私は支障を来たすものとして心配をいたしておるのであります。通産大臣はこういう現地におけるわが方の商社の駐在員が、大量に最近引き揚げなければならぬというふうな外電がありますが、これに対していかなる対策をお持ちか、この機会に承わりたいと思います。
  69. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私は今度の協定の問題に関しまして、われわれの意思が十分疎通していないことを、非常に残念に思っておるのであります。といって何も中共貿易を放棄するとか、あるいは今後の親善関係を放棄するという考えは全然持っておりません。これは両国ともお互いに考えていかなければなりませんが、中共においてもわれわれの立場ということについての十分な理解を得なければなりません。そういう点におきましては、ただいまのところ少しいろいろ激されておる、もう少しお互いに冷静に、この問題について考えていかなければならぬというふうに思っておるのであります。今後におきましても、極力中共にわれわれの誠意のあるところは、十分認識してもらうような努力を極力していきたいと、かように考えておるわけであります。
  70. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この対米の関係でありますが、今度もアメリカにだいぶ政府は気がねをされ、台湾に気がねをされて、長官談話を見ておりますというと、全く独立国の誇りが失われておるような感なしとしないのでありますが、この対米貿易の見通しでありますが、昨年の実績から見ますと、約十億ドルの入超となっております。で、その後いろいろな商品へけちをつけておる外電などを見ますというと、輸入制限の措置をアメリカでは強化してくるのではないか。特にアメリカ全般の景気の動向等から考えまして、そういう心配がなされるのであります。ことに、東南アジア各国のドル資金の不足というようなことから、東南アジア貿易というものも、そう明るい展望を持つことはできない。そういう国際経済の中にわが国が立っておりまする際に、今回の中共との関係のごときは、日本の輸出入貿易の上に重大な影響があると私は思うのでありますが、政府の本年度の御計画の三十一億五千万ドル、この輸出の達成について、対中共関係をこのままに放置しておいて達成される自信は相変らずございますか。
  71. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) アメリカの輸出入の関係につきましては、まあ貿易だけで見ていくわけにも参りません。ことに昨年は御承知のように鉄鋼とか、石油の緊急輸入をやった関係もございます。これは特別な例外的な年だと思います。また、貿易外におきまして、いわゆる特需の収入というような面もありますので、一がいに世間で言われておるほど大きな片貿易というわけではありません。また、アメリカの輸入制限問題につきましても、これはお互いにどこの国でも、業者としてはそういうことがあると思います。しかし、政府としましては、極力そういうことが行われぬようにという配意はしておるわけであります。従って、ただ意地悪るだけをアメリカがやっておるというふうに受け取るわけにも参りません。これもまた両方が反省をし、最も妥当なところで、貿易の拡大ということを考えていかなければならぬのであります。もちろん、そのことは中共に対しても同様でありまして、われわれは極力中共の貿易を考えていかなければなりせまんが、それにつきまして、アメリカの貿易だけで、もちろん三十一億五千万ドルの達成ができるわけではありません。また、中共貿易につきましても、ただいま、最近におきましては額が非常に少いのでありまするので、伸びの率は非常に多い。また、われわれといたしましても、中共貿易なり、ソ連貿易にも大きな期待を持っておるのであります。その方面はその方面として、各地、いわゆるまた、三十一億五千万ドルの輸出というのは一割一分の本年から見ますと増加であります。どの仕向地に向いましても、一割なり一割五分の輸出をどうしてふやしていくかということで行かなければならぬのであります。私はこういうような中共に関するいろいろな政治的な問題がありましても、貿易としましては、国で拡大するようにし、また、誠心誠意をもって努力すれば必ずしも昨年よりも減少するのだというようなことなしに、一割とか二割とかいうようなことなら、増加は十分可能ではないかというふうに考えておるのであります。もちろん、三十一億五千万ドルの輸出ということは、そうなまやさしいことではありません。しかし、努力次第によって、十分達成できる目標であるというふうに考えておるのであります。あくまでこの目標の実現に向って邁進していきたい、かように考えておるわけであります。
  72. 相馬助治

    相馬助治君 椿委員の質問に関連して私も二、三点伺いたいのですが、椿委員の質問のよって立っている基礎と、私が考えている立場と若干違うかも知らないので、それを私は劈頭に申し上げて質問したいと思います。  台湾との貿易については、かりにこれが不可能になりますれば、さしあたり被害をこうむるのは中小輸出メーカーであって、そういう面からは台湾との貿易なんかはどうでもよいのだという論をなす者に対して、私は反対の態度を持っておるわけであります。いわば、台湾との貿易についても相当考えていかなくちゃならないのではないか。日本の中小企業者の立場からそのことを私は考えているわけであります。しかしまた、一方中共との貿易については、将来を見通して、これもまた十分考えなければならないことは論を待たないわけで、そういう角度に立って私はお尋ねをしたいと思うのです。  最近の第四次協定に関連しての問題は、まさに岸内閣のよろめき政策の結果であり、または別な表現をいたしますれば、藤山外交の無能を暴露したものであって、実はこの問題について前尾通産大臣がわれわれから質問を受けることは、あなた自身はきわめて迷惑であるかもしれない。いわば当面の、今度の貿易についての失態の責任者は、明らかに通産大臣ではなくて、岸内閣総理大臣であり、藤山外務大臣であるという認識に私自身は立っております。しかし何と申しましても、当面の貿易をあずかる責任者はあなたなのでありまするから、そこであなたの見解を承わっておかなければならないと、こういうふうに考える。  第一の質問は、イギリスは中共を承認しております。しかもまた、一方に台湾政府とは貿易を堂々とやっております。これに対して日本の今回の状況というものは、あまりにもみじめ過ぎると考えるのですが、通産大臣はイギリスのこの外交上、貿易上とりつつある策を、どのように教訓的に学び取られておるか、そして何か参考としてこの中から摂取すべきものがありとお考えになっておるか。それともまた、台湾と日本との関係とは全く違うので、問題は別であるというふうに把握されておるのかどうか、これが私の質問の第一点です。  それから第二点は、国旗を立てなくても商売はできるというこの説明はまさにその通りです。国旗を立てなくても商売はできますし、国旗に対してあんな神経質になるのはおかしいじゃないかという議論にも、私は一応耳を傾けますけれども、日本人が真剣に反省しなければならないことは、日本人の国旗に対する感覚というものは、世界民族のあらゆる民族のうちで最低のものです。これは地続きに国境を持っていないせいなのかどうかわかりませんけれども、戦争中に目の丸とか何とかいって盛んに宣伝をして、どうやらこうやら国旗というものに対する目が幾分開けたような思いはいたしまするけれども、民族の本能的な感覚からいって、国旗というものについて、諸外国の国民が考えているような感覚を持っていないと思うのです。そこからくる一つの行き違いだと思うのでございまするけれども、あなたの責任をもって答弁をする領分ではないと思うのですけれども、国旗を立てなくたって貿易できるじゃないかというそういう認識だけでは、とても相手を説得しかねると思うのでございまするが、これに対してどのようにお考えであるか。貿易は貿易じゃないか、政治は政治じゃないか。こっちはその方が都合がいいからその通りなんだが、相手があることであって、相手がそう思わないのでは、これはどうしようもないのであって、当面の貿易の責任者として、この問題について通産大臣の御見解を承わりたいと思うのです。  それから最後に承わりたいと思うことは、これもあなたから責任をもって答弁を求めることは、若干無理だと思うのですけれども、岸内閣の閣僚である責任を分担するあなたにお尋ねをしたいのですが、この第四次協定ができて、そうして国民政府がへそを曲げたときに、これは政府のある人も、あまり高い責任者ではないようですけれども、なにそのうちほっておくうちに、国民政府自身が参るからして心配なことはないのだ、こういう放言を新聞にしておる。ところが、蒋介石総統が頑強な態度を宣言し、いよいよ国民政府の方が強硬な態度を次々と打ってきたので、これは大へんだというので、いささかあわてふためいて、そうして措置をとったという傾向が見えますが、すなわち相手をなめ切って大したことないのだというよけいなことを新聞で言うからして、あとでよけいな心配しなければならない。おのれの頭上につばきを吐くような結果が出てきておると思う。今度の幹事長の談話も、全くそれと似ていると思う。これは社会党に対する援護射撃だから、選挙でも終ってからゆっくりやるのだ。これはそう言われた方にしてみると、非常な侮辱だと思うのです。われわれが相手にけんかを吹っかけて、向うが本気になってなごりつけてくるならばまだしも、にやりにやり笑っておって、今そうして君は怒っているけれども、そのうちに君がくたびれるだろうというようなことでもって、全く放置されて、なめられて、無関心な態度をとられたら、この方が一番相手を憤慨させると思うのです。私はこの際は藤山さんでも何でも国交は回復されていないと言うけれども、先頭に立って政府がやはり自主的に積極的にこの問題を解決するのだという一つの気がまえと行動を、一日も早く起すべきではないか、こういうふうに考えるのでございますが、通産大臣はどのようにお考えであるか、一つ基本的な問題だけを三点あげてお尋ねいたしましたが、明快な答弁を期待いたします。
  73. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 第一点の、英国は中共を承認し、しかも台湾と貿易をやっているではないか、こういう御意見、この点は私はやはり英国と日本とは立場が違うと思うのです。御承知のように台湾政府を承認いたしますにつきましても、終戦の際におきます日本に対する処遇の問題等につきまして、十分なまあわれわれとして感謝すべきこともあったわけであります。それに対して国際信義を守っていくということについては、私は従って直ちに中共を承認できないという立場は、どうも国際信義上やむを得ないというふうに考えておるのでありまして、この点は別に岸内閣としてもよろめいたわけでも何でもありません。当初から政治の問題、すなわち承認の問題と貿易とは切り離していこうという方針をずっと貫いているわけであります。  それから第二の国旗の掲揚の問題であります。私は何も国旗の掲揚そのものを軽視することでは、もちろんないと思っております。ただ、私の申しましたのは、ドイツにおきましては、国旗の掲揚ということなしにやっておる、日本だけが、国旗の掲揚の権利を認めなければ貿易ができないかということになりますと、私は中共の言い分にも、かなり根拠が欠けておるんじゃないかという点を申したのでありまして、国旗の掲揚、しかも、それを権利として認めるということが、日本の現在の立場から言いますと、非常に無理な提案ではないかというふうに考えておるわけでございます。その点は、今後もっとお互いに冷静にこの問題についての話し合いをしていくべきだというふうに考えておるのであります。  また第三点の、これは私は新聞を見なかったので存じませんが、国民政府はそのうちに泣きやむだろうというふうには、われわれは考えておりません。それからたとえそうであっても、言うべき事柄ではないのであります。われわれとしても、要するに三団体に対する回答の意味は、こういう意味だということで、十分国民政府と納得さしていくべきだというふうに考え、また、事柄も重大な事柄でありますので、慎重を期してやって参ったのであります。また、中共に対する今度の問題に対しての幹事長の発言につきましては、私はどういう意味でそういう話が出たかは存じませんが、先ほど来申しておりますように、これは貿易として誠意をもって今後推進し、そうしてお互いの了解に早く達するように、あらゆる努力をするべきだというふうに考えておるわけであります。
  74. 相馬助治

    相馬助治君 私の尋ねたことで若干大臣意味を取り違えておる点があるので、再度お尋ねしますが、私は国旗の問題について申したことは、日本人は国旗に対する感覚が非常に鈍いから大したことじゃないと、こう考えてああいうことをしたんだろうがという意味なんです。すなわち、池田さんに持たせてやったその内容の、この辺までは了解するぞという内容が私は問題だったと思う。で、今度その三団体に政府が発表したあの文章というものを前尾さん、これは率直に、読んでごらんなさい、日本文であの程度の悪文はないです。これは文章が下手なんじゃなくて、だれが読んでもわけのわからぬように書いたから、ああいうことになったんだと思って、その苦心の作であるということに対しては、全く御同情にたえないんですが、ああいうことを出さなければならないような羽目に追い込んだ一番最初が問題だと私は言っておる、岸内閣のよろめきというのは、それを言っておる。いいか悪いかは別としてあんな体たらくになって、今度は中共あたりから、どうかつ食らうくらいならば、最初から池田さんに、うまい了解を与えなかったならばよかったじゃないかということが言い得ると思う。私はそうしろという意味で言っておるのじゃない、要するに、外交というものは、やはり国の責任において終始一貫しなければならぬということを私は申したいのです。そういう意味では、やはり今度の諸般のやり方は、私は不手ぎわの一語に尽きると、こう思うのです。通産大臣はそうは思いませんか、こちらはいいんだが、相手がむちゃくちゃ言うているんだ、こういうふうにお考えになりますか。それとも、やはりこちらはこちらで不手ぎわがあった、読みが足らなかった。善後策として相手に了解させる点が欠けていた、あるいはまた、PRが不足していたというような反省をお考えであるかどうか。通産大臣としてじゃなくて、私は岸内閣の閣僚としてこの失態に対して、失態であるとお考えであるかどうか、基本的なことをお尋ねしておるわけなのです。これで選挙でも終ってから、だんだんにやるなどと言うても、北京にいる商社が滞在期限を延長しようとしても、それが拒否されておるというような、こういう状態では、これは大問題で、のんきなことを言うてかまえていられないと思う。従って、しつっこいようでありますけれども、再度お尋ねしたいと思うのです。不手ぎわであるとお考えでございますか。そして将来どういうふうにしようというふうにお考えでございますか。これ以上聞きませんから、この辺で率直な御見解を承わっておきたいと思うのですが、そしてわが党といたしましては、場所をあらためまして、岸内閣総理大臣、藤山外務大臣、前尾通産大臣の当面の責任者のお三人の方の並んだところで、質問をする用意がございますので、また、きょうはこの委員会において同僚椿委員から、主として経済的な問題に局限してお尋ねすることになっておるので、これ以上やかましいことは言いませんが、率直に一つ御見解を承わりたいと思うのです。
  75. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) まあ結果から見て批判をされれば、いろいろとあると思います。しかし、御承知のように、これは民間協定であります。政府としましてはそれに対して、協定に対してどういう態度をとるかということでありまして、その点は以前から別に変った方針でやっておるわけでも何でもないのであります。また、話し合いのことでありますから、向うにおいでになって、いろいろ話が出る。われわれの最も希望しているようなところにいかずに、ああいうような協定に調印して帰ってこられた。従って、これをどう従来の方針を曲げずに処理するかということであります。私は、政府としましてもああいうふうにやらざるを得なかったというふうに考えておるのであります。結果によっていろいろの御批判はありましても、事の成り行きから考えてみますとやむを得なかった、かように考えておる次第であります。
  76. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 関連してちょっと一点。今関連して相馬委員から通産大臣にお尋ねがありましたが、日本人は国旗に対しての認識が非常に薄いというお話があったわけですが、民間協定としての、国民の一部の代表の人が行って、その人々が国旗に対する認識が非常に薄かったために、ああいう協定をされた、ところが、政府が権利として認めぬということは、私は政府がこれはやはり国旗というものにいかに重大な意義を持っているかということだと解釈をしている。そこで、ドイツは国旗を立てぬでも非常にどんどん貿易をやっておる。そこで、ドイツは中共に対してどのくらいの貿易額を持っているか、それから自由国家群と日本との貿易高はどのくらいであるか。また、国民政府との貿易高、また中共との貿易高、この点を一つお示しが願いたい。またさらに、この協定なくしても、ドイツは貿易が伸びておる、日本も伸び得るのであるというふうに先ほど大臣お話がありましたが、その点についてさらにもう一度御答弁が願いたい。  また、中共貿易というものにつきましては、国民も要望しておりまするし、私どもも商売は商売として、政治的意図とは別個にして伸ばさなければならぬと思う。一体どのくらい伸び得る可能性があるかどうかという点についての御所見を承わりたい。
  77. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいまお尋ねになりましたところの西独等との関係のことは、数字に属すると思いますから、私からちょっとお答えさしていただくことといたします。西独と中共との輸出入額でありますが、まず一九五五年におきましては、中共から四千五百九十万ドルの輸入になっております。五六年におきましては、五千四百二十万ドルの輸入、五七年におきましては九月までしか数字がわからないのでありますが、三千万ドルの輸入であります。西独から中共への輸出は、五五年におきまして二千六百二十万ドル、五六年は三千七百万ドル、五七年はこれまた九月まででありますが、四千万ドル程度の輸出になっております。  それから中共の自由諸国との貿易でありまするが、若干数字が古いものしかわからないのでありますが、一九五五年におきまして、対共産主義国との中共の貿易でありますが、全体の八割を占めております。八割強、八〇・七%であります。それからいわゆる自由諸国家とは、一九・二%で、五六年におきましては、若干変動がございまして、対社会主義国家とは七五・三%、対自由諸国家とは、二四・七%、こういう工合に対自由国家群との貿易額が若干ふえる傾向になっております。絶対額でございますが、とりあえず対自由諸国家群との貿易を申しますと、輸出が三億千六百万ドル、輸入が四億九千四百万ドル、五六年におきましては、輸出が四億三千二百万ドル、輸入が六億四千三百万ドルになっております。この今申し上げましたのは、絶対額の数字は、中共と対自由主義諸国家との数字でございます。
  78. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 中共貿易について、協定ができなくてもふえることは可能だということを先ほどお答え申し上げました。それは先ほど来申しておりますように輸入の面におきまして非常な大きな隘路がございます。昨年は、協定の問題もさることながら、そういうような面で貿易が思うように伸びなかった、こういうことになります。しかし、今回の鉄鋼の協定を見ましても、鉄鉱石を入れる。従来は鉄鉱石はちょっと開発したあとでなければ入らぬものだというふうに考えておりましたが、そうではなしにある程度開発もされ、鉄鉱石を入れるということができる。また、昨年は御承知のように外貨が非常に問題のある年でありまして、鉄鋼なり、石油の緊急輸入というようなことで、ほかの外貨は極力切らなければならない、こういう実情にあったわけであります。しかし、本年は国際収支の面からいいますと、場合によりましては大豆等の輸入も去年ほど切らなくてもいいのではないか、もう少しふやしていけるのではないかというような考えも持っております。輸入の面で相当打開していけば、鉄鋼にしましても、肥料にいたしましても、ある程度昨年以上にふやして輸出ができるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
  79. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 本問題に関する質疑は、この程度にいたします。   —————————————
  80. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  81. 阿部竹松

    阿部竹松君 前回も若干論議いたしましたので、ほとんど御質問申し上げる点がないわけであります。なお、この法案の内容は、環境衛生法の施行に伴なって、直さなければならぬ点と、副総裁を新たに設けるという二点のようですが、第一点目の、環境衛生法に関しては、当然の措置だと思いますので。質問はございません。  第二点の、副総裁を設けなければならないという理由についてお尋ねいたします。御承知通り、この中小企業金融公庫ばかりでなくして、これは当委員会関係でないかもしれません、国民金融公庫の場合も、今度副総裁を一名ふやしてほしい、これは大蔵省関係かもしれませんけれども、そういう申し出があるやに承わっております。初めは小さく出発して、少しやると、こういう機構の拡充を常に言い出してくるわけです。御承知の日銀ですら、副総裁が一名しかおらぬ。これは何兆円という金を扱っておる。ところが、わずか七百億円ぐらいの金を扱うこの種の小さい公庫で、総裁から、副総裁から、理事まで必要であるかどうか。私は必要ない、必要ないというよりも、現在の機構でやっていけるのではないかというような気持がするわけです。従いまして、そこの御見解を承わっておきたいと思うのであります。
  82. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 機構は、極力大きくせぬように済むものでありましたら、押えていくのが一つ考えであろうと思います。しかし、御承知のように、中小企業金融公庫は、毎年、これは政府の貸付金もふえて参っておるのであります。三百億とか四百億というような程度のときには、それだけの、副総裁の置くというほどの存在でなかったかもしれません。しかし、現在におきましては、これがいかに重要な役割をしているかについては、今さら申すまでもないのであります。また、資金も非常に大きくなりましたし、また、この公庫の果しております役割というものも、特に重要性を増しておるのであります。昨年におきましても、御承知のように、その支出をふやし、あるいは政府の貸付金をふやしたり、また、その運用についてのやかましい論議も行われたのであります。その際におきまして、われわれとしましても、総裁一人が各地方を回って、そうして、適切な仕事をやるというわけにも参りませんので、やはり総裁にかわって、相当権威のある仕事を各地に浸透させていくということを考えます場合には、当然副総裁を置いていいのではないか。こういうふうに考えた次第であります。
  83. 阿部竹松

    阿部竹松君 大へん失礼ですが、前尾通産大臣は公庫法の内容を、全部御承知ないのではないかという気がするわけです。これが一つの営利会社であれば、代表者が必要であるし、代表者が事故あるときは、かわるべき者が心要であるかもしれないけれども、正直に申し上げまして、総裁ということになっておるけれども、御承知通り、国家の財政法のしからしめるところによって一切を処理しなければならない。会計検査院の検査も受ける。もちろん、主務大臣であるあなたの指示も仰がなければならぬ。こういうことになってきますと、一体地方回りをして何をやるか。貸付額も、金利も、一切きまっているのですよ。どさ回りをして、一体何をやるのですか。一切ワクの中で与えられた仕事しかできない。地方を回って仕事をするといったら、やることは越権行為だけです。それにもかかわらず設けなければならないということは、僕はどうしても納得できないのです。これは通産大臣関係ではございませんけれども、当委員会で石井副総理から提案された北海道開発株式会社法案がある。政府が二億円お金を出すといっておる。ところが、この会社の一カ年間の役員の使う費用は約六千万円、六千万円の金をもって総裁以下理事あるいは職員に充てるという。僕は機構をこしらえて失業救済をやるならけっこうです、そういう方針で割り切るなら。しかし、公庫の精神からいって、そういうものをこしらえないでもって、たとえば、一カ年間何がしかの金が余ったとしても、積立金にするなり、あるいは一人でも多くの人に貸すために僕はやるべきだと思う。公庫というものは、一切ワクに縛られておりますから、そんなに独自の権限を総裁なら総裁が発揮することはできない。それほど不安なら、これは考え直さなければならない。こういうことになるのですが、これは失業救済機関というふうに割り切れば、別問題ですが、今、大臣の御答弁では、法案の精神と違ってくるように思うわけです。その点をもう一度お尋ねします。
  84. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 通産省及び大蔵省が監督をしておると申しましても、これは一々の貸付について、具体的にいろいろなことを指示するわけでも何でもありません。大きなワクで話をしておるわけであります。また、会計検査院の検査は、これは別に公庫自身の活動とは関係はないのであります。仕事の内容は、この公庫に相当まかされておるわけであります。また、それでありますから、現在もいろいろ手続が繁雑であるとか、適切なところに金がいかないとか、いろいろな問題でこの公庫に批判を浴びせておるようなわけであります。それにつきましては、幹部の構成につきましても十分考えて、そして、より適切に仕事をやってもらわなければならぬということであります。われわれ監督いたしまする者から申しましても、その機構については十分配慮をして、そうして大いに督励をする。こういうことでなければなりません。そういう意味におきまして、この法案を御提案いたしたわけであります。
  85. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣は、お金が円滑に回らないとおっしゃるけれども、それは副総裁がおらないから円滑に回らないのでなくして、日本の国の経済状態からかんがみて、絶対量を公庫に投資してあげることができないから足りないわけでしょう。そういうお説でいくと、今までの総裁や理事は何をやっておったか。僕はそういう逆論も生れてくると思います。しかし、そういう意味でなしに、やはり絶対量が足りないから、今まで十分な、皆さん方の御要望にこたえるだけできなかったのであって、副総裁一人ぽつんとふやして、そうして円滑に回るなどということは、とても私は考えられない。しかし、そこで現在の理事を副総裁にするということらしいのですが、まあ、権限の違い方ですね、それから待遇等については、どう変るのですか。職責上の立場と待遇上の立場と二つの点。
  86. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 第一点の、権限がどういうふうに違うかという問題につきましては、現在の理事につきましては、代表権を持っておりませんけれども、副総裁につきましては、代表権を与えるということになりますので、いろいろな仕事につきまして副総裁の判によって、すなわち印鑑によって処理ができるというようなことになりまして、従来よりも、ある程度いろいろな問題について便利になるのじゃないかというようなふうに考えられます。  それからもう一つの、待遇の問題につきましては、現在の理事のうちから、うちと申しますか、その人数の範囲内において、副総裁を選ぶということになりますので、この報酬はある程度上ると思いますけれども、別に全体の経費につきましては、そう大きく上らないというふうに考えております。
  87. 阿部竹松

    阿部竹松君 そう大きく上りません……、でない。そう……というのは、どういうことなんですか、その、そうというのは。
  88. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 金額そのものは、今持っておりませんが、現在、理事につきましては、給料が月額十五万円程度と私は承知しておるんですが、副総裁を置きますというと、大体それよりも三万かそこら上るのじゃないかというように考えております。  これはあとでもう一ぺんはっきりしたことを申し上げたいと思いますが、大体その程度じゃないかというふうに考えております。
  89. 阿部竹松

    阿部竹松君 結局、しかし、仕事の上ではまあ大差ないということは、長官、あなたもお認めになるでしょうね。十五万円の給料を十八万円に上げて副総裁という肩書きをつけて、何ぼ副総裁になったからといって権限があっても、公庫法のワク内しか動けないわけでしょう。そういうふうになりませんか。とにかく一升ますのうちしか動かすことができないのですから、利達行為はできないわけです。三菱銀行とか、ほかの富士銀行のようなわけには、これはいかぬわけでしょう。そうしますと、必要がどうしてもあるという説には、僕は了解できないのですが、その他に、別に本法案の半ペらな一ページくらいの法案に反対してみても始まりませんから賛成はしますが、そのものずばりで、どうして必要なんだということをはっきりお聞かせ願いたいと思うのですがね。
  90. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 非常に厳格にいいますというと、これは、副総裁がなくても、それは何とかかんとかやれないということは私はないと思います。しかしながら、やはり代表権を持ちました副総裁を置くということの方が、何かにつけて便利ではないかというふうに私ども考えておるわけでございまして、現に、たとえば、国民金融公庫につきましても、副総裁制度をとっておりますし、あるいはまた、住宅金融公庫につきましても副総裁制度を現にとっておりますし、また、現在国会の審議をいただいております農林漁業金融公庫につきましても、同様な副総裁を置こうというようなことをお願いをしておるわけでございますので、先ほども大臣からお話がありました通り、まあいろんなワク内にはめられておりますけれども、そのワク内においているんな問題がたくさんあるわけでございますから、やはり機構がある程度大きくなりますというと、総裁、副総裁を置いた方が便宜ではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  91. 阿部竹松

    阿部竹松君 便利だから、何もあわてて設けなければならぬということには通ぜぬでしょう。あなたはある方の例ばかりあげられて、賛成しやすいように御答弁したのですが、私はない方の例をあげる。日銀だって副総裁、あれだけ大きいけれども一人しかおりませんし、それから輸出入銀行もそうなんですよ。そうすると、大体私に言わせれば、端的な言葉で言えば、大体総裁一名で間に合って、副総裁置かなければならぬということは、ちょっとおこがましいのじゃございませんか、と言いたいところなんです。それでやれないということになれば、これはやむを得ませぬけれども、この次の委員会にはこの金融公庫の総裁においで願って、必要か必要でないかということをこれは聞いてみなければならぬと思うのですが、どうですか長官、あなたが自信があるかどうかということは、僕は総裁に君がやっておるとどうも金回りが悪いといって通産大臣も言うておるから、それで補助を一人つけなければならぬということで、そういうことで聞かなければならぬと思うのですがね。
  92. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは、現在置いてないものもあるわけなんですが、また置いてあるものも相当あるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、農林関係におきましても今回こういう制度を設けようというようなことになっておりますが、これは先ほどからいろいろ申し上げておりまするように、非常に厳格に申し上げますというと、それは副総裁がどうしてもいなければ公庫としてはやっていけないということにはならぬわけでございますけれども、やはり置いた方がいろんな面において便利であるというふうに私ども考えておるわけでありまして、たとえば総裁が相当長期にわたりまして欠勤するような場合、あるいは外国に行くような場合、そういうような場合におきましては、やはり国内におきまして、あるいはその病気欠勤中に副総裁として代表権を持った副総裁の名において処理するというようなことが、対外的にいろいろその方がいいんじゃないかというような例もありますので、やはり私どもとしましては、この際置いた方がよくはないかというふうに考えておるわけでございます。
  93. 阿部竹松

    阿部竹松君 前の吉田元総理がおったころ、ほかにわあわあ騒がれてもあのがんこじいさんですから、あまり国民の税金を使ってはいかぬということで、機構の縮小を一生懸命やってきたわけですよ。それから三年間たたぬうちにあなた方が一生懸命努力して、がんこじいさんが悪く言われて、機構縮小でなるべく国民の税金をそういう人件費に使わなかったというのに、その次の道楽むすこがだんだんだんだん機構を拡張してやめる前よりもまたひどくなってきたのですよ。とにかく何ぼでもふやすのけっこうだけれども、しかしあなたの言うお説でふやさなければならぬという理由はとうていありませんよ。そういうお金があるなら、当然先ほど申し上げました通り、一名でも多くの人に金を貸してやるべきである。なければだめだということにならぬのです。何でもかんでも法案が与党が絶対多数であるから通ると思ってそういうむちゃくちゃなことを言っても僕はだめだと思うのです。そういうお気持は全然起きないですか。当然多く、これも結局国民の税金の中から投資してやるのですから、長官が金を勝手に貸すわけじゃない。日本銀行でさえ副総裁一人でがまんしておる。わずか七百億か七百五十億でほんとうに少い金を扱っているところが副総裁を置かなきゃならぬ。理事もふやさなきゃならぬ。この次は何をふやすのですか。そういうことになってくるのですよ。その点はもう一度確かめてみたいと思います。
  94. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 先ほど来申しておりますように、中小企業金融公庫が小さい間はあれですが、そのワクが相当ふえて参ったのでありますし、そのワク内、それでも非常に資金需要から見ますと少い、その少い金をいかにうまく活用していくかということでいろいろ問題があるわけであります。私は、そうして、相当代表権を持った人がもう少し具体的な問題にも浸透して、中に溶け込んで各地の実情を把握して、そうして、相当事務を早く処理していけるようにしたいというふうに考えておるのであります。現在におきましてもどうも公庫は金を貸すのがおそいというようなことも言われておりますが、だんだんと極力早く処理していくというような点につきましても副総裁を置いた方がより迅速化するというふうに考えておるのであります。仕事はもちろん以前よりはずっとふえておるというふうに考えておるのであります。
  95. 小西英雄

    小西英雄君 この際ちょっとわからぬ点を聞きたいのですが、いろいろ政府の出資をしている会社とか、公団とかいろいろあるのですが、その際には総裁というその職制を置く場合と、理事長と——まあ商工中金なと理事長だが、これによるといろいろ総裁ということを非常につけた、何か政府なり何かが、例があって、こういう場合には総裁を置いて、こういう場合には理事長やと、何か資金関係の量においてそういうことを考えられるのか、その点ちょっと私はわからぬのですが、これは一つ企業庁長官でもいいし、大臣にでも一ぺんお尋ねしたいと思っておったので、この際……。
  96. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 制度的にははっきりした区分はないようであります。ただ、たとえば、その、農林中金というのは理事長制をとっておる、あるいはまた公営企業金融公庫というのは、これは理事長制度をとっております。しかし、たとえば電源開発とか、あるいは中小企業金融公庫とか、あるいは日銀とか、そういうものは総裁制をとっております。これは別に制度によって、こっちの方は総裁をとる、こっちの方は理事長制をとるというはっきりした区分はないということになっております。別に何といいますか、たとえばその電源開発というのは理事長というよりも総裁という名前の方がいいじゃないか、あるいはまた中小企業金融公庫というのは政府の出資がほとんど全部でありますし、また政府財政投融資で全部できておりますから、これは総裁という名前がいいのじゃなかろうか、あるいはまたその商工組合中央金庫というのは、これは民間の出資も相当ありますから、これは理事長がいいじゃないかというような何かその辺は私もよくわかりませんが、大体そういうことになっているようであります。
  97. 小西英雄

    小西英雄君 これは国民の立場から、非常に総裁をつけると、理事長ということより印象が総裁の方が非常に何かわれわれの古い頭かなんか尊いような感じもするのですが、国民の金、税金を預かって、そこの上に、公僕みたいなものが、私は総裁でござる、副総裁でござると、また内容的に今ちょっと聞いたのですが、大蔵大臣よりも一平理事でも毎月のサラリーが多いと、こういう、それで、その制度自身も、何か一つ政府の方で一貫したこれは一つ通産大臣あたりから発言してもらって、閣議かなんかでもう少しピンとくるような一つ自後、組織をもって何か一貫したものにやってもらわぬと、これはわれわれ非常に今後困るので、そういう点を私関連して要望いたしておきます。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 今の小西委員がいみじくも触れられたのですが、その小西委員は、大蔵大臣よりもという御発言ですが、あの総理大臣より高いのですよ、一国の総理よりこの種の機関が。大体こういう公庫とかいうものの給料はどこで査定するのですか、長官、どうなんですか。
  99. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 給料の査定につきましては大蔵、通産の両方の所管になっておりますので、両方で査定をするということにしてございます。
  100. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は、この給料のことなどとやかく言いたくないのですが、しかし指導的地位にあられる長官としてどういうようにお考えになるのですか。大体そうしますと、理事が十五万円もらい、総裁は二十万円かそれ以上もらっておると思うのです。そうすると、そういう待遇は、これはもう三井銀行とか三菱銀行とか富士銀行と同じ並みで、やることが政府のお役人と何も変らないということになったら非常に矛盾を感ずるわけです。岸総理よりも倍額ももらっておるということになると、これは問題になりませぬか。
  101. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は私は、先ほどその給料の額を間違えて申し上げましたので訂正を申し上げます。現在理事は十万円を月に……私は十五万円と言いましたが、私はもっと十万円より多いのではないかと思っておりましたが、十万円でございます。それから総裁は十五万円ということになっております。従いまして副総裁につきましては、そのほかの例にならいまして十三万円というふうに、まあ考えております。私が先ほど非常に大きい数字を申し上げましたが、これは全く間違いでございます。ただいまのお話に対しましては、私どもの方としましては極力こういう給料が、政府機関でございますから高くないように一つしたいという気持は持っておりますけれども、やはり全体の、たとえば農林漁業金融公庫とか、あるいはまた商工中金とか、あるいは国民金融公庫とか、そうしたバランスの関係もありますので、それと同一歩調で大体進みたいというふうに考えております。
  102. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 時間がもうだいぶ経過しておりますので、三点一括してお尋ねしますが、簡潔に御答弁願います。この中小企業金融公庫と国民金融公庫を合併したらどうか、あるいは商工中金、中小企業金融公庫についても合併したらどうだというような意見などがあるわけですが、やはり窓口は多い方がいいというふうに私どもは思うが、それについての大臣の御所見を伺いたい。  それから第二は、先般も予算委員会で御質問申し上げたわけですが、商工中金への今年度の債券引受額はわずか三十億円だということであります。今年は団体法が施行になりました年でもありますし、新たに商工組合資金需要というものも相当出てくるのではないか。商工中金に対する政府の援助はこれで十分かどうか。政府の中小金融に対する見通しについてお示し願いたい。  それから団体法のときにもいろいろ問題になったわけでありますが、中小企業者というものの定義の問題、これは中小企業信用保険法におきましても、金融公庫法においても、常時使用する従業員の数が三百人、商業またサービス業は三十人、鉱業は千人以下の会社及び個人というふうにきめられておるわけです。この団体法では、この政令で中小企業者の定義の例外として輸出陶磁器製造業については九百人、織物の機械染色業は六百人、織物メリヤス製品の卸売業は五十人と比較的多い人数を認めておるわけです。しかし、これらの業種も組合を結成しておれば別ですが、個々では、中小企業金融公庫から融資も受けられない、信用保険も利用できないということになるわけです。そこで団体法は中小企業の組織に関するところの基本法として成立したものであって、その中で中小企業者であると認められた業種があって、法律では中小企業者でないというようなことができてくるわけです。こういうようなことは、大へん困ったことじゃないかと思うわけです。不統一の感を持つわけであります。別の機会におきまして、ぜひともこの中小企業者というものの定義を統一をするというお考えがあるかないか、その点を承わりたいと思います。
  103. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 第一点の中小企業金融公庫と商工中金との合併の問題につきましては、これは従来からもいろいろ言われております。ことに、これは金利の関係がありますので、一本にすべきではないかと、こういうふうな議論も強いのであります。私どもも真剣に検討して考えた問題であります。しかし、ただいまのところこの両公庫は、組合金融でも長期なり、あるいは設備資金というような関係で、その目的を非常に異にいたしております。中小企業者を相手にしておりますことは同一でありますが、そのうちで金融の分野が違うわけであります。そうして金利の問題は、ある程度いろいろな方法によりまして、代理貸しというようなことでやっておりますが、そういう調整の方法をもってし、またこの二つに分けておりますのは、やはりサービス業という点から考えますと、窓口の多いという方がより借りる方から言いますと、便利である、こういうふうに考えておるわけであります。  それから商工中金につきまして、ことしの預金部引き受けが三十億で十分かという御意見があろうかとも思っておりますが、これはわれわれも決して十分だと思っておりません。ただ御承知のように、これは財政投融資ワクにほんとうは入れなくともいいものでありまして、ことしの中途においてどんどん引き受けをやることができる、こういうことに相なっておるわけであります。それで、三十億も実はもうあげておかないでもいいじゃないかという議論が本年ありまして、しかし、やっぱり債券の引き受けをやるのだという表示のために、ともかくワクは置いておいてもらいたい、こういうことでありまして、従って今後の金融の推移いかんによりまして、さらに引き受けをしてもらえる話し合いになっておるのであります。相当な額を引き受けてもらうように、金額についてもいろいろ話し合いをいたしておるのであります。決してこの三十億にこだわっているわけではございません。むしろお話のように団体法も通りまして実施に移りますので、そういう関係からも、資金をもっとふやさなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。  第三点の中小企業者の定義につきましては、これは目的が違いますので、金融の場合の定義と、また団体法の場合の定義といろいろ違っておりますのは、従来からもそうでありますが、ただいまお話のような相当大きな雇用人数にいたしました理由につきましては、長官からお答え申し上げます。
  104. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 陶磁器関係につきまして、そのうちで輸出関係のものにつきましては、いろいろ私の方でその実情を調べてみたのですが、従業員大体九百名程度でないというと、商工組合もなかなかできない。また九百名と三百名の従業員の方の工場を見ますというと、大体その生産性についても、そのほかの点においても同じだというような状況でありましたので、この団体組織法の政令によりまして、そういう輸出関係の陶磁器業者につきましては、従業員を例外的な措置としまして九百人ということにいたしたわけであります。それから織物の機械染色整理業につきましても、やはり同様の意味からいいまして、六百人程度ということにいたしました。それから鉱山業につきましては従来から大体千人程度でこれを扱っておりますので、千人以下ということにいたしたわけであります。それから建設業につきましては、これは普通ならば三百人まで認められるのでありますけれども、三百人ということになりますというと、非常に大企業ということになって参りますので、私どもの方といたしましては、逆にこれを減らしまして百五十人程度、それ以下ということにいたしたわけであります。それから織物の問屋とかそういうものにつきましても、これは原則といたしましては、三十名でございますが、五十人と、これもその従業員一人当りの取り扱い高とか、そういうものもいろいろ検討いたしまして、それからまた、五十人と七十人の場合はどう違うとか、あるいは百人の場合はどう違うかというようなことも検討いたしました結果、五十人程度が適当じゃないかということにいたしまして、とりあえず例外的な措置としてこの五つの業種を認めたわけでございます。ただこれをすぐ中小企業金融公庫の、あるいは商工中金の直接の融資の対象にするかしないかという問題につきましては、これはなお研究する余地が相当あるのではないかというように考えます。私どもの方としましては、今回の公庫法の方が先に検討されまして国会に提案されました関係もありますので、この問題につきましては、さらに検討をいたしまして、将来、大臣がおっしゃいましたように、果してこれを統一的にやった方がいいか、あるいはまた、やはり別な扱い方にした方がよいかという点につきまして、十分検討しました結果、これをどっちにするかということをきめたいというふうに考えておるわけであります。
  105. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後に一点お伺いいたしますが、この法案通りますと、副総裁になられる方はまだおわかりになっておらぬかもしれませぬけれども、現在公庫の理事の中から出られるのか、それともよそからお入りになるのか、その点が、もしおわかりになっておらなければけっこうでございますが、わかっておればお示し願いたいということが一点。  もう一つは、今、議運で特別職のやはり俸給の点が問題になっております。私も今、長官にお伺いしてよくわかったのですが、その長官の訂正された数字でも、やはり私ども考えておったのよりは多いわけです。ということは、事務次官の方でも十万円もらっている人が多いわけです。次官と総裁は名前が違うし、仕事も違うと言われればそれまでですが、やはり次官級くらいが相場ではないかというふうに考えております。川上長官よりはるかに高い金額をもらうということは、川上長官も非常に遺憾だと思うのです。そこで、議運で特別職の件を論議することになっておりまするから、あらゆる公庫とは申しませんけれども、参考のために、長官所管の公庫の分だけでもけっこうでございますから、ここで論議する筋合いでないかもしれませぬけれども、参考資料を、もしわかっておれば後刻お知らせ願いたいと思います。
  106. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 実はまだきまっておりませんので、ただいまお答えすることを留保したいと思います。
  107. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今、大臣がおっしゃいましたように、第一点の問題につきましては、これはまだはっきりきまっておりません。従いまして、現在の理事の中から昇格しまして副総裁にするか、あるいはその他の方面から持ってくるか、それはまだきまっておりません。  それから、第二の問題につきましては、これは一般の公庫につきまして、やはり全体的に給料を引き上げるということになりますというと、やはりこの公庫につきましても同様な措置をとられることになると考えております。
  108. 小西英雄

    小西英雄君 阿部君から先ほど副総裁を置く際に、総裁に一ぺん来てもらって、われわれ中小企業のことをここでもういろいろな角度から検討しているのだが、国家資金を、七百億の金を、総裁とか副総裁とかいう大きなえらい立場から、ほんとうに困ってきて、一万円未満の中小企業に対するサービスを、総裁とか副総裁という名前をつけて適当な仕事ができるのかどうか、一ぺん総裁のいろいろ立場というか、われわれ質問したい。阿部君も、副総裁を置く前にそういうことはどのようにするのか、あるいは、その代表権というのは別に理事でも何でも、取締役でも平取締役でも代表権持てるので、何も副総裁でなければ代表権持てぬというのはもってのほかで、われわれそういう点は、ほんとうに中小企業の問題をあらゆる角度から真剣に検討している間に、中小企業といったようなものに総裁、副総裁というような必要は感じぬのだが、一つ委員会において、阿部君からも先ほど、総裁に来てもらって、副総裁を置かなければ仕事ができないかということを尋ねてみたいのだが、一つそれを委員長にまかすから、一ぺん委員長考えでやって下さい。
  109. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  110. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をつけて。  それでは、まだ御質問もあろうかと思いますが、本日は、この程度にし、次回は十七日午前十時に開会することにして、本日は、散会いたします。    午後四時二十一分散会    ————・————