運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-08 第28回国会 参議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月八日(火曜日)    午前十一時八分開会     —————————————   委員の異動 本日委員岡三郎辞任につき、その補 欠として秋山長造君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            高橋進太郎君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小澤久太郎君            小幡 治和君            古池 信三君            小滝  彬君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            椿  繁夫君            加藤 正人君            豊田 雅孝君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君    国 務 大 臣 正力松太郎君   政府委員    科学技術政務次    官       吉田 萬次君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁企画    調整局長    鈴江 康平君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選理化学研究所法案内閣提出、衆議  院送付) ○航空機工業振興法案内閣送付、予  備審査) ○日本貿易振興会法案内閣提出、衆  議院送付) ○工業用水道事業法案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会開会いたします。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。古池信三君から都合により、理事辞任いたしたい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  つきましては、直ちにその補欠互選を行いたいと存じます。この互選方法成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より高橋進太郎君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、先ほど委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日は、まず理化学研究所法案審議し、午後から航空機工業振興法案について提案理由説明を聞いた後、引き続き、日本貿易振興会法案及び工業用水道事業法案の順で審議いたしたいと思います。  なお、明日は午後から委員会を開き、中小企業信用保険公庫法案等について参考人を呼んでおりますが、そのあとで引き続き右法案審議を継続いたしたいと存じます。     —————————————
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより理化学研究所法案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 阿部竹松

    阿部竹松君 議事進行について。その理事会で決定したことに異議があるかどうかということを委員長諮らないで、理化学研究所質疑に入ったのですが、本国会の始まるときに、一週間に二回ということをきめてございましたね。これはどうなったのですか。そうするときょう、あすやれば、今週はやらぬということですか。  それからもう一つ大臣出ないことは、予算委員会ある当時は、これは次官が出られてもやむを得ない場合もあるということは、了解しておりましたが、今後はどういうことになるのですか。たとえば、明日でもまた来週の委員会でも……。
  8. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 先ほど理事会では、次の委員会においては大臣出席を得て、そうしてその法案のあれをきめていこうと、こういうふうにきまりました。  それから、あの週二回の問題は、最初のときは都合により金曜日にも委員会開会することもある、こういうきめだったと思うのです。
  9. 阿部竹松

    阿部竹松君 金曜日にやるということは、週二回を前提として、大臣出席都合予算委員会等の振り合いを見て、こういうことなんです、当時の理事会の決定は。ですから、そういうことがいつどこでこわれたものか。それから、委員長の今御答弁あった大臣出席をするということは、今後は大臣はもうあれなんですね、欠かさず出席されるということですか。
  10. 近藤信一

    委員長近藤信一君) そういう方法をとりたいと思います。
  11. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうでしょう。これは議事運営のあれですから、一ぺん理事会にでもその後の情勢でも持ち寄って、今の週二回の問題もあり、それから大臣出席の問題もあってして、いただきましたら……。どうでしょう。ここで急にきめるというわけにいきませんから、これはまあ、理事会で十分阿部さんの意見を中心にしてやっていただきたいと思います。
  12. 阿部竹松

    阿部竹松君 今までとにかく過去七回くらい開かれた委員会に、ほとんど大臣出席しておらぬのです。しかし、予算委員会等の関連もあって、ここで認めたのですね。それと同時に、週二回ということも明確にきめてあるのですね。それをまあ、与党さんも出席非常に悪い。こんなところでルーズにだらだらと法案審議するということは、穏当を欠くとまあ私は判断するのです。ですから、その点を明確にして、やはり委員会を運営してもらわなければ困るのですね。だらだらと委員会をやってもよろしいと、大臣おいでにならぬでも何でもよろしい、ルーズのままに開会を宣告して、委員長の指示によって召集かけても、三十分も四十分も待たなければならぬ、こういうばかげた委員会ならやめた方がいい。
  13. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうでしょうか。阿部さんの御意見もごもっともな点もありますから、いずれ後刻適当な時間に、委員長から理事会を開いていただいて十分懇談していただきましては……。
  14. 阿部竹松

    阿部竹松君 高橋理事そうおっしゃるから、今後の理事会においては大臣出席の可否を確かめて、それから何時になったら明確に全員そろって開会できるか、ということを委員長が確かめて、もう勝手に四十分も四十五分も待たしておくということは困りますから、その点は委員長において十分配慮していただきたい。そういうことです。高橋さんの発言でよろしゅうございます。
  15. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 今阿部君から提案になった問題については、後日またあらためて理事会において検討いたします。それでは御質疑のある方は、御発言願います。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大臣お尋ねしたいのでありますが……。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行でちょっと。先ほど私は理事会において社会党を代表して申し上げたように、理化学研究所法案の本日の審議に入る前に、さきの委員会において西川委員から突発的な質問が正力大臣に行われ、正力大臣としては、事態が明瞭でないのでこれに対して返答することができないので、当惑された問題があったはずなのです。大臣に対する疑義を、この委員会においてもそれぞれの委員から発言があって、事態がだいぶ明瞭にはなったのですが、まだその問題に解決していないのです。そこで、私は先ほど理事会において申し上げたように、この理化学研究所法案審議に入るに先だっては、その問題をまず明瞭にしてしかる後でなければ審議に入り得ない、かように考えるのです。これに対して当然西川委員から発言があるべきだと思うのですが、きょう欠席のようですが、どういうことになっておるのか、与党理事から、一つ発言願いたいと思います。その次第によっては、きょうはこの審議には入れないと思います。
  18. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 今相馬さんからの御発言につきましては、西川君がここにおられれば、御趣旨に沿うように、西川委員としての発言を求めて処理できると思いますけれども、それは病気のために欠席されておりますので、私としては、大臣おいでになっておりますから、理化学研究所質疑をとにかくやっていただきまして、今の問題は、西川委員出席のときに、あらためて行うということにお願いしたいと思うのです。
  19. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  20. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 衆議院におきまして、理化学研究所法案審議の際に、付帯決議が三項目ついているわけであります。これに対しまして吉田政務次官から、付帯決議につきましては、御趣旨の趣き十分に体しまして努力するという所見を披瀝せられているのでありますが、それにつきまして、大臣に具体的な御見解をこの際伺っておきたいと思うのであります。  それは第一項に「政府は、年次計画的に格段財政的措置を講じ、真に総合的、中枢的研究開発機関たるの実を有せしめること。」というふうになっているのでありますが、研究機関はいろいろ現在すでにあるわけでありまして、原子力関係などについては、相当大規模の研究機関があり、また、今後いよいよこれを発展せしめていかなければならぬのでありますが、その際に、新たに生まれてくる理化学研究所といたしまして、総合的に、しかも中枢的に研究開発機関たるの実を有せしめなきゃならぬというふうな付帯決議がついている。これは非常に大きな問題だと思うのであります。そういう点から見ますると、これにふさわしい「年次計画的に格段財政的措置」ということは、これは容易ならぬことであるというふうに考えるのでありますが、これにつきまして、まず正力国務大臣から御見解を伺いたいと思うのであります。
  22. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 三つの付帯決議がありましたので、それについて間違いないようにと思いまして、特に書面をもって答えました。お手元に御配付申したつもりでありますが、お手元にお届けいたしましたか……。大体それに書いてあります通りに、三年ないし五年でやるつもりでございます。それについては、どうしても今後やはり設備というものを改善しなくちゃならぬ、それからまた、人員も補強しなくちゃならぬということで、そうした上で三年ないし五年でやりたいということでございます。  第二については、御承知通り広く各方面からの識者、参与とかと相談をされて、そういう人の意見も十分取り入れてやりたいと思います。  それからまた、第三の財政の問題でありますが、経理、つまりこれは申すまでもなく、研究のためには二億五千万円、開発のためには八千万円でありますから、その間を混淆せぬよう、混淆せぬために、総理府令でちゃんとそれをきめておりますから、決して混淆するおそれはないのであります。大体そういうことでやりたいと思います。
  23. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大体今までの理化学研究所を見ますると、これは私、現場を見せてもらったのでありますが、大したことはない研究機関でありまして、これを今後法律を改正して、整備強化していくという際に、従来の線に沿っていく、その線で拡大強化していくのか、あるいは今後、この付帯決議にはっきりついておりまするような総合的、中枢的研究開発機関たるの実を上げていくのだと、ほんとうに総合的な研究、そうしてまた、中枢的な研究機関ということになりますと、今日のこの原子力関係等から判断いたしましても、今までの理化学研究所とは、もう全く面目一新したきわめて大がかりのものにならないというと、付帯決議の実が上らぬのだというふうに私は解釈するのであります。従って、予算の要求なども今までのような線では、問題にならぬのじゃないかというふうに考えるのでありまするので、この付帯決議をそのままのんでいかれるということになるならば、よほど莫大な予算措置をやられなければいかぬのだが、それに対して正力国務大臣は、この付帯決議通りの行き方をするべくお考えになっているのかどうか。それからまた、そういう構想でおられるのかどうか。今日お配りになっておりまする衆議院のこの付帯決議についての科学技術庁長官の所信というものは、先般私が速記をとめておったときに要望しました線でお作りになっているのだと思うのでありますが、これを拝見いたしますと、従来の線を整備強化する程度にしか受け取れない。しかし、付帯決議は今申します通り、総合的、中枢的研究開発機関たるの実を有せしめるのだと、非常に大がかりな構想になっておりますが、それとの相互関係、これを伺いたいと思います。
  24. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 私も、この間もちょっと申し上げましたが、今までの研究所建物は実にひどいようです。まずこれから研究するについては、建物設備人員もむろん必要です。その他、しなくちゃならないものもありますが、とにかくああいう今までの建物ではしようがない。それで、今度それにつきましては、わずか三億三千万円ではまだ少い。で、第一年度はまずこれで整備をする、それでここに書いてある三年ないし五年ですから、それは五年がかりでもってやるのですから、その間には漸次むろん予算もふやし、従って設備も改善され、それからまた人員もふやし、また言うならば、待遇なども非常に悪うでございますので、この待遇もよくしなければならない。そういう考えで、とりあえず三十三年度は不十分でありますけれども、第一歩としてそういうことをしたい、こういう考えでおります。
  25. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうしますと、付帯決議に表われている文句は、ただ字句の勢いとかということではなくて、真に総合的、中枢的研究開発機関たるの実を有せしめるように政府の方でも考えられ、そしてそれにふさわしい財政的措置を画期的におやりになるというふうに承知してよろしいのですか。
  26. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほども申し上げました通り、ただ明年は初年度ですから、わずか三億三千万円でありますから、どうしても予算を相当取らなくちゃならないと思う。従って設備を先に改善し、人をふやし、そして画期的に五年間に完成するつもりでおります。
  27. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大体どれくらいの予算措置を必要とするというふうに、将来のことでありますが、正力国務大臣としては構想を抱いておりますか。
  28. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 具体的な問題は、実は今後設立委員会あるいはまた、新しい研究機関理事者等ともよく相談いたしまして考えたいと思います。私どもの理想といたしましては、先般ちょっと触れましたように、ちょうどドイツにございますような、マックス・プランク・インスティテュートと申しますか、ああいったような各般の研究を総合的にできるという実力を有せしめる、そういたしますと、これは具体的な数字といたしましては、ただ、いろいろな点がございまして、たとえば建物の点で土地をどうするとかというようないろいろな点もございますので、はっきりした金額的な数字は申し上げかねますけれども、先ほど大臣が申し上げました通り、おそらく数字としては、現在のものよりもかなり上回っていくのじゃないだろうかというふうに考えております。
  29. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 現在の数字よりもかなり上回る程度では、問題にならぬのだろうと思うのです。そこを大きな懸念を持つものですから、国務大臣正力さんに特にお尋ねをしておるのでありまして、今までの線をちょっと上回っていくぐらいのことでありまするならば、総合的、中枢的研究機関たるの実を有せしめるなんというような大ぎょうな文句になるということ自身が、きわめてこっけいだと思うのでありますが、その点正力国務大臣事務当局の方とでは、どうも食い違いがある、そこが私は心配する点でありますが、この点はどうなんですか。
  30. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 実は私が考え通りやりたいと思いますが、事務当局でも何しろ予算の面だから、はっきりした数字は申せぬので、少し小さく言い過ぎたようでありますが、御希望に沿うようにしたいと思っております。
  31. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それでは、次の問題に移りますが、会社ではいけないという点について、どういうふうに政府当局考えられておるのかという点でありますが、この科学研究所の方から提出しておりまする「科研概要」、これによりますると、株式会社となって以来、着々その成果を上げてきておるというふうにはっきり書いておるのであります。そうしてまた、この間正力国務大臣は非常に現在のあの建物等がきたない、掃除もろくにできておらぬというような委員からの発言に対しまして、会社だからどうもきたないのだというようなお話しが出たのでありますが、会社というものは、短所もあるかもしれませんが、きわめて能率的でありまして、また採算的であって、そういう点では、長所を持っておるのでありまして、会社組織ならきれいに掃除はやるけれども、むしろ特殊法人財団法人にしたら、のんべんだらりとなって、必ずしも掃除が行き届かぬということの方が、これは普通の場合だと思いますので、そういう点からいきますと、この会社というものは、国策会社になっておるのでありまして、単なる会社とも違いますし、会社長所を十分発揮して、そうして本格的にやっていくということになりまするというと、必ずしも会社機構でいくということは悪いのじゃないのじゃないかというふうに考えられるのでありますが、そういう点について、どうしても会社ではいかぬのだ、特殊法人にしなければいかぬのだ、そうすれば第一掃除もきれいになるのだという、そういう点について、大臣の御意見を伺いたいと思います。
  32. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 実は、この会社の目的というのは科学技術振興基礎研究開発の両方やるのだ、従って基礎研究するということは、御承知のように採算をということにはいきません。従来会社でいくと、どうしても採算ということを度外視するわけにいかない。しかし、今科学技術振興をはかるについては、どうしても基礎研究をよくやらなければならない、それについては採算ということをはずれます。だから、どうしてもここにこういう特殊法人にしなければならぬということを考えたのでありまして、なるほど掃除の悪かったことについては、まことに遺憾に存じますが、全体が、つまりただ採算ということばかり、それも採算がとれればいいというので、ああいう状態になったのでありまして、この際ほんとう研究ということに重きを置くのだ、しかし、開発ということも無視するわけではないということでありまして、それで政府も金を出し、また民間からも出すと、そうしてりっぱなものを作っていきたい、こう思っております。
  33. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今後機構を改めて、総合的中枢的研究機関として内容を充実して画期的な再出発をしていくということに対しまして、特にお尋ねをしたいと思いますのは、かような研究を進めていく必要は、ひとり大企業関係だけではない、中小企業関係についても非常に必要であり、むしろ、中小企業合理化といいますか、あるいは生産性向上といいますか、こういうことこそ、きわめて重要な問題だと思うのであります。むしろ、日本においては大企業関係は、今日の大企業の内部の実力から、また資金留保状態からみますというと、相当日立製作所その他にしましても、しっかりした基本的な研究もやっておるのでありまして、むしろ、中小企業ほんとうの改善、合理化、この線から大きな国策的な研究が必要になってくるというふうに考えられるのでありますが、今後の理化学研究所になりまして、中小企業に対しては、どういう貢献をさせようというふうにお考えになっておるのでありますか、その点を。
  34. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 仰せの通り、大企業会社では、研究も相当基本的に十分いっております。ところが、中小企業においては、もちろんその研究があまりいっておりませんから、この理化学研究所には、その点を非常に考えております。中小企業研究機関を持っておりません。だからそれをやはり補ってやりたいというのが、一つ使命考えております。
  35. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その点は大臣から明白に答弁せられましたので、御答弁自身としては、私は満足するのでありますが、しかし、それにふさわしい構想が今回のこの法律案なり、あるいは事業計画なり、そういうようなものにちっとも出ておらぬのではないかという、また大きな疑念をここに持っているのであります。その点について大臣は、今まことにけっこうな答弁をせられましたけれども、それが果して今後堂々と具現化せられていくのかどうか。そういう点につきまして、あらためて大臣のお考えを伺うと同時に、事務当局考えがどうもそんなふうになっておらぬのではないか、また、大臣がその後他の大臣に大いにのしていかれるでありましょうし、正力国務大臣のときはそう言われたが、実際はとんでもないことになっているというのでは、困るのでありますから、事務当局はやや恒久的な性格をもっておると思うのでありますから、この点から、特に事務当局お尋ねすると同時に、どこに一体中小企業生産性向上等に努力をせられる、貢献するということが現われているのかどうか、具体的に指摘していただきたい。
  36. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 従来の科研におきましても、中小企業委託研究をかなり受けているのでございますが、その大口な例を申し上げますならば、自転車の業者の団体のために、年間三十二年度におきましては四千万円程度の金額を使いまして研究をいたしております。これら自転車業界中小企業としましては、大きな自転車業界のために貢献をしておるのでございますが、その他いろいろ各中小企業からの委託研究を相当行なっておるわけでございます。将来の理研におきましても、当然そういったような事業は引き続いて活発に行いたいと思うわけでございますが、それにつきまして、法律におきましては第二十九条に業務内容が書いてございますが、第一号の「科学技術に関する試験研究を行うこと。」ということは、当然中小企業からの委託による研究も、十分行なっていきたいと思うわけでございますし、あるいはまた第三号に「前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。」というのがございまして、中小企業に対しまするコンサルティングの仕事と申しますか、技術指導仕事も、これによってやりたいと思っております。それから、新しい使命として加えられました新技術開発という事業がございますが、これは大学あるいは国立科学研究機関等におきます研究成果、そういうのを企業化できるところまで開発いたしまして、それをできるだけ多くの企業体技術を移していくというふうな仕事もやりたいと思うわけでございます。法文的には、特に中小企業ということをうたっておりませんけれども、先ほど大臣から申し上げましたように、多くの大会社におきましては、自己の研究機関におきまして相当やっておりますけれども、中小企業体はあまりそういった研究機関のりっぱなものを整備いたしておりませんので、そういう方面の御要望に十分こたえていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいまの事務当局からの説明によりますと、これまた先ほど予算措置に対しまして、今までの線を上回るような答弁程度にしか承われないのでありますが、しかし、正力国務大臣は、非常に熱心に私の希望するような線にお答えになりましたので、今後その線に沿って、従来と面目一新したような総合的、中枢的研究機関にせられると同時に、その運用について、中小企業に特に重点を置いていくというふうにぜひともお進み願いたいと思いますが、これにつきましてあらためて正力国務大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  38. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほども申し上げました通り、どうしても中小企業には、研究機関が不十分でありますから、従ってこれでそれを補充してやらなくちゃならぬという考えでおりますからして、あらためて申し上げるのでなく、十分それには力を入れてやりますから、事務当局もその頭でおりますからどうぞ一つ……。
  39. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 この法案によりまする特殊法人理化学研究所の前身は、資料にありまするように、元の財団法人理化学研究所で、これは先般も話がありました通り、皇室から相当御下賜金をちょうだいしている。今度は政府の出資ということですが、今ここに委員会の要求によりまして、不動産等の資料が出ているわけでありますが、この元の理化学研究所時代から使っておりましたこのお金を、現在の物価に直すとどのくらいになるか、また、今後の規模と比較して規模が相当補強されているかどうか。そういう資料がありまするならば、資料に基いて一つ説明していただきたいと思います。
  40. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) 実は最初の委員会のときに、お手元にお配りした資料の中にあるのでございますが、大体その昔使っておりました金を、現在の物価指数に換算して参りまして、どの程度の金になるだろうかということを、御参考に資料の2として差し上げてあるわけでございますが、それをあるいはお手元にございませんければ、口頭で申し上げたいのでございますが、実は大正六年に出発したわけでございますので、最初の年度は非常に少かったわけでございまして、現在の金に換算しまして大正六年におきましては八百四十四万円でございます。物価指数に換算しまして漸次ふえて参りまして、戦前において最も多く使いましたのは、昭和十七年でございますが、昭和十七年におきましては、十二億の予算を使っております。しかし、これは非常に異例でございまして、昭和十七年はちょうど第二次大戦に入っているわけでございまして、これは軍部からの委託研究費が非常に多かったためにふえたのでございますが、その時代、それをはずしまして、大体は年間三億、四億、五億、六億とこの程度数字でございます。でございますから、現在の科研とちょうど同じくらいの年間の金額を使用しているというふうにみていいんではないかと考えております。
  41. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 そうすると戦争前の経費と、これは理化学を大いに振興しなければならぬ、科学技術を大いに振興しなければならぬ、こういう際に、これはいかにも衣がえをして新発足をして、相当強力なということで国民も期待をしているわけです。大臣の御構想もまたその通りなんだが、そうするというと、まあ大体今までとおっつかっつだというようなことなんですが、将来それに対して大いに国費も出して、大いに補強してやる、こういう御構想なんですか、どうですか。
  42. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) それは金で換算しまして同じでありましても、実は戦前は軍事におもに使っているのです。今度のは、全部平和利用に大体向けておりますから、科学技術庁の仕事はみな平和利用だけであります。それだから、そういう意味から言いますと、非常に金がふえているわけであります。
  43. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 それから元の株式会社を改組して、特殊法人として新技術開発をするということが、今後の業務に加えられておるわけであります。そこで、新技術開発ということにつきまして、先般政府説明によりますると、イギリスなどでは公社組織でやらせておる。日本でも先ほど大臣からもお話がありましたけれども、特殊法人がいいじゃないかというお話があったわけですが、日本でも公社組織でやる方がよかったのじゃないか、この点一つイギリスの制度等を詳細に御説明願って御答弁願いたいと思います。
  44. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) イギリスの機関といたしましては、今お話がございましたように、公社組織でございまして、これは約八年前に作られたものでございます。このやり方といたしましては、事業のやり方は、ほぼ私どもの今度考えております理化学研究所でやります仕事と似たようなことでございますが、イギリスの方はその資金を政府からの借り入れによってやっているわけであります。これは非常に低利でございますが、その法律によりますと、イギリス政府は円に換算いたしまして百億円かの金を貸し付けることができるということになっているのでございますが、現在におきましては、現状におきましては、三十億程度の金を借り入れているわけでございます。その金によりまして、やはりイギリス国内に埋もれておりますイギリスの国産技術企業化するところまで、その公社が適当なる工場に委託をいたしまして、それを実現してもらう。そのため上りました成果は、その公社の所有になりまして各方面に使わせる。また、ロイアリティをそこから回収をするというようなことをやっているわけでございます。  それからなお、この前もちょっと申し上げましたが、アメリカにおきましては、同じような組織でございますが、これは純然たる株式会社でやっているのでございますが、その方は民間出資を集めまして、やはり新しい国内の技術事業を始めます場合には、それから資本を出して、株式をそのかわり対価として取るということによって新しい事業を始めまして、そこがうまくいきますと株価が上って参ります。もちろん、配当がもらえますので、その配当と値上りいたしました株を売りまして、また次の新しい技術の育成にそれを使うというふうなことをやっておりますのですが、イギリスの方は大体この前も申し上げたことと思いますが、金を出します方と入ってくる金のバランスを見ておりますと、イギリスの方が上り方は少いのでございますが、漸次好転して参っております。現在のところ、まだバランスがとれておりませんが、近くとれる見込みだということを向うでも言っております。アメリカの方はむしろ営利本位でやっておりますものですから、利益の上り方は、イギリスよりは早いのでございまして、現在も相当収益を上げているというようなことでございます。  それで理化学研究所におきまして、こういった仕事をやった方がいいかどうか、別な機関がいいかということも考えたわけでございますが、何分にも新しい事業でございますし、それからまた、新技術を選択するというようなことになりましても、科研におりまする多くの研究者のいろいろな知恵を借りるという点からいいましても、科研でまずやってみるということが適当ではないだろうかということで、新しい理化学研究所の任務に加えてやっているわけでございます。これが漸次事業が拡大いたしまして、理研の研究業務と分けた方がいいというような、各方面の御意向がそういう機運になりますれば、また、別途にそれを独立させることも可能ではないかと考えてよろしいのでございますが、何分にも最初のことでございますので、そう大きな事務機構も持たないで、できるだけ科研の従来の事務職員を使って、なお科研研究所技術的な知恵も拝借して、開発事業を遂行してみたらどうか。当初の段階としては、私どもはこちらの方がいいと考えている次第でございます。
  45. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 そうすると、今のお話しでは、この新技術開発を理研自身がやらぬということの御説明でしたけっか。
  46. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) そういうわけじゃございませんで、理化学研究所の任務としてその仕事をやっていく。それから将来これは次第にその仕事が非常にふえて参りました場合に、あるいは理化学研究所でない別個の機関の方がいいではないかという議論も出ると思います。その際には、十分検討いたしまして、別個の機関にするということも研究して参りたいと思っております。
  47. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 そこで、その新技術開発を、これはまあよその企業委託してやる、こういうことになっているわけですが、この理研自身で行おうと、こういう御意思はないかどうかということ。それからまた、企業委託をする場合に、その企業はどういうものを選びなさるのか。それからもちろんこの第二十四条で、開発委員会の議を経て行うと、こういうことであろうと思いまするけれども、この政府が選定するということについて、今のところどういうような考えをお持ちですか。
  48. 鈴江康平

    政府委員鈴江康平君) このどういったテーマを選定し、また、どういったとろにそれを委託してやるかという点でございますが、そのテーマの選定につきましては、大体まあ各企業体が自分自身でやろうという研究は、その会社がやりますので、われわれ政府として特に援助をするという必要もないかと思います。また必要がありますれば、そういったものに対して、開発銀行から融資をするという制度もあるのでございますが私どもの考えておりますのは、なかなか埋もれてそういった企業体でも気がつかないといいますか、あるいは気がつきましても、ほかの場所でやりました研究でございますので、それに対する内容を十分調査するいとまがない、あるいはそれに興味がないといったようなものがいろいろあるわけでございます。そういったような研究は、私どもの見るところ、主として国立大学の研究所研究成果とか、あるいは財団法人研究成果、あるいは科研自体の研究成果もございますし、あるいは国立研究機関研究成果もあるわけでございますが、そういったようなものがやはり企業体自身の育てた研究じゃございませんものですから、なかなか親しみが薄い。それでそれを企業化しようという意欲が企業家にないわけでございますから、せっかくの国産技術が埋もれている。そういうものを拾い上げまして、それが果して企業的にうまくいくかどうかというような技術的な検討を加える必要があるのでございます。そういったものを一応拾い上げましてこれは多分大丈夫だろうということになりました場合において、それを企業化するのに最もふさわしいと思われます企業家を選定いたしまして、そこに委託をやりまして、まあ企業規模におきましての工業化をいたしてもらうわけであります。そこでうまくいきました場合には、先ほど申し上げましたように、広く一般にそれを使わせるというふうな趣旨でございます。でございますので、御質問に対しまして、どういうテーマ、あるいはどういうところにやらせるかということは、今後の問題でございますが、私ども一つの例としてこれは適当……、実際にそれをこの機関が今度扱うかどうかということを見たのでございますが、一つ予測いたしました例を申し上げますならば、たとえば従来の科研におきまして、真空鋳造という非常に新しい技術を、画期的なものをやっておりますが、これがやはり企業界においては、新しい技術でございますものですから、どこでもそれを採用するという機運にないわけであります。そういったものを、私どもはこれはまた、技術家の方から見ましても、これは非常にうまくいくだろうという予想がつきますので、そういったものを適当な製鉄会社で実現をしてもらう、それに対する費用は、この理研が支出するわけでございますが、成功いたしますれば、それを企業として引き取ってもらって、金を返してもらいますし、また、実施料を払ってもらうということでございます。  で、とかく日本におきましては、外国の技術に依存することが非常に簡単なものでございますので、国産技術というものはなかなか採用しにくいという事情がございます。そういった点を、何とかこれによって改善していきたいと思っておるわけでございます。
  49. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、今も政府委員からのお話の言葉の裏にもあるわけですが、こういう新技術の関発の成果を実施させるということになりまするというと、企業の面において非常なリスクが多いというような不安なようなお言葉も実はあったわけです。そこで、そうしまするというと、その危険というものは、理研が負うということになる。しかし、この理研に対して半額出資を政府がしておる以上は、この危険の負担というものもやはり政府が負うべきものだと思うのですが、政府はそれについて何らかの援助措置考えておるかどうかという点を、一つ大臣に承わりたい。
  50. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 先ほどもお話がありましたが、この開発というやつは、金額が伴うものでありますからして、従ってなかなかいろいろな案があっても、それをすぐ企業化せないのです。それであるから、それでこの今度の会社は、特殊法人で、そのために八千万円を見ております、政府の出資で。それで危険の責任を政府が負うつもりですから、そうしております。それがつまり特殊法人にしたゆえんであります。
  51. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 もう一点。そこで、この間もいろいろ質問なり、意見が出たわけですが、この理研の役員というものは、非常に重要な地位であり、またこれを一歩誤まりますと、せっかくの御構想がうまくいかぬということでありますが、この間大河内博士の非常な御業績についてお話が出まして、私どももまあ少年時代から非常に敬慕しておったわけであります。そこでそういうような役員の構成ですが、理事長とか、副理事長とかいうような役員の人事構成についての御構想があるものかと思うのですが、この点を一つお尋ねをいたしておきたい。
  52. 相馬助治

    相馬助治君 これは話が違うじゃないか。(大谷贇雄君「もう終るよ、私は」と述ぶ)従って私は、劈頭に私が質問したように、役員の問題その他について談が及ぶならば、私は西川委員発言を求めて、そして与党内部におけるこの間の西川発言というものも調整して、速記の体裁も整えて、次に進むべきであるという意見を述べた。ところが、豊田委員が、その問題としばらく離れて、本法案に関する諸般の質問があるから、それに触れてはどうだということから、われわれは快く、よしそれではその問題に関して大臣質疑を続行しようということで、私どもは折れて質疑にきょう入っているわけです。従って役員問題についてここで議論をするということならば、話を元に戻して、私が劈頭に意見を申し上げたように、西川発言というものをここで何か一応片をつけていただきたい。そうでなければ、私どもとしても、それに関して関連発言もできませんし、ちょっと困るので、私はその事態一つ明瞭に委員長においてしてもらいたいと思うのです。
  53. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 私はその西川発言のことをかれこれ言うたのではないのです。ただ私はちょっとおくれてきたものですから、どういうふうな申し合わせになっておったか、実は知らなかったのです。その点も御了承を願いたいと思うのです。ただ純粋の意味において、理研というものの人事構成というものは非常に大事じゃないか、それについての大臣に基本的なお考えをお聞きをしたいということの意味なんです。その点一つ御了承をお願いしたいと思います。
  54. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) 理研が、今度特殊法人にするというさっきのような重大なる使命を帯びておりまするから、この人事につきましては広く学界の意見も聞くし、それから各方面意見を聞いて、慎重にこれはしたいと思います。
  55. 相馬助治

    相馬助治君 すると、私は一点質問をいたしたいのですが、けさの朝日新聞なんかにも見えていたようですが、科学技術研究に関しての基本的構想の問題についてなんです。本法の審議に関連してぜひ承わりたいと思いますことは、すでに大臣もお気づきの通りに、科学研究というものが、官立と民間とに分かれてそれぞれ行なわれている。官立の面についてはそれぞれの大学において行なわれている。また、各省にこの科学技術に関連をしての研究所をもって行なわれている。それでそれらの横の関連というものは、必ずしもうまくいっていない。これはもう大臣自身も遺憾ながら認めざるを得ない状態であろうと思うのです。従来この科学技術庁長官などというと、伴食大臣をちょっと充てておいたのでありますが、今般は正力さんのようなおせじ抜きにして、実力を持ち将来内閣総理大臣にもなられる方がその席を占めておる。私はまじめな意味でこの段階においてこそこれらの統合発展、そうして必要なものについては十分な予算をつける問題、それから設備の重複している問題については、これを整理し、利用価値を高める問題、それから各省においてもこの研究所の職員というものは、本省の局長、課長等に比して給与の面においても、一段落ちているというようなことも聞かせられておりまするので、そういう問題のバランスをとる問題、これらをひっくるめてこの際本法のような重要な法案審議に関連して構想をお持ちであろうし、持たなければならぬと、かように考えておるのです。従いましてこれについて先般の御発言にも、それらしいものについて若干触れてはおりますが、あらためて長官の御所見を承わっておきたい。それに関連してこの法案のかりに成立した暁には、それらの事項をどういうふうに運んでいくかというような構想もあれば承わっておきたい。
  56. 正力松太郎

    国務大臣正力松太郎君) この理化学研究所で、先ほど申し上げましたような総合的計画を立てます。けれどもこれは申し上げるまでもなく文部省の研究には入り得ません。そこで、私はどうしてもあの調査報告によってきめますと、この研究所ではそういうことをやるが、さらに一歩進んで、やはり技術会議というものを作らなければ、私はあの目的は達せんと思っております。それで技術会議を考えたわけであります。
  57. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後一時に再開することにいたしまして、休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時五十三分開会
  58. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を再開いたします。  まず、航空機工業振興法案について、提案理由説明をお願いいたします。
  59. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 航究機工業振興法案につきまして、その提案理由法律案の概要を御説明申し上げます。  航空機工業が代表的な総合工業であり、かつ、きわめて高度の技術を必要とする精密工業であることは、よく知られているところであります。すなわち、航空機は、機械、電気、化学その他あらゆる技術の総合の上に成り立っておりまして、その生産にはこれら関連諸産業の緊密な協力を必要といたします。また、航空機工業の技術は、産業の技術の最先端をいくものでありまして、これは航空機がきわめて高度の性能を必要とし、かつ、その進歩が著しいことによるものであります。このような航空機工業の基本的性格から、これが発達は、同時に一国の産業技術の水準向上に資するところきわめて大なるものがあると言えるのであります。  また、従来わが国の航空機特に民間輸送機は、ほとんど全部輸入している状況でありますが、航空機特に輸送機の国産化を促進することにより、航空機とその補用部品の輸入を防遏し、さらに進んで、国産機とその部品を輸出することも考えられますので、将来における国際収支の改善のためにも、航空機工業の振興をはかる必要性が痛感される次第であります。特に、航空機は、その構造の複雑性、精密性から、その生産に当ってきわめて多くの部分を、熟練した作業に依存しなければならないので、多くの労務者を雇用することとなり、コスト中に占める付加価値の比率もまたきわめて高いのでありまして、わが国情に適した産業と称し得るのであります。  戦前において、世界の第一流に属していたわが国航空機工業は、戦後約七年間の空白により、世界の水準から全く立ちおくれるのやむなきに至りましたが、昭和二十七年四月講和条約発効後、ようやく航空機の生産が再開されまして、その後官民一致の協力により、ようやく再建の軌道に乗りました。その技術の進歩、工場の整備等も著しく、特に最近ではジェット機及びジェット・エンジンの国産化に手をつけるに至りまして、これに伴い関連機器の国産化も、着々進展しつつある状況であります。もっとも、その内容をしさいに検討しますと、生産再開以来今日までの航空機及び関連機器の生産は、ほとんどすべてが外国との技術提携によるものでありまして、わが国独自の試験研究、設計研究によるものではないのであります。しかしながら、これらの経過を通じて関係企業技術水準もかなり高まりましたので、この際国際収支対策上最も急がれております中型輸送機の国産化を推進することといたしまして、昭和三十二年度及び昭和三十三年度において所要の補助金交付の予算を計上し、必要な設計研究のほか、さらに木型製作等の段階にまで進ましめんとしつつあることは御承知通りであります。  以上のような航空機工業の現状にかんがみ、今後政府及び民間の総力を結集し、できる限りすみやかに、航空機等の国産化を促進するための措置を講じて航空機工業の振興をはかるべく、各方面からの検討を加えた結果、ようやく成案を得て上程する運びとなった次第でありまして、その骨子は、おおむね次の通りであります。  まず、本法案の対象となる航空機等とは、航空機のほか、その関連機器、部品及び材料で、このうち関連機器、部品及び材料につきましては、別途通商産業省令で定めることになっておりますが、それぞれ当面最も急を要する重要なものを取り上げていきたいと考えております。  次に、航空機工業審議会の設置につきましては、前述のごとく、航空機工業の振興政府及び民間の総力をあげて行われるべきであるとの趣旨により、航空機工業のみならず、将来の需要者側たる航空運送事業に関する学識経験者をも加えまして組織した審議会において、国産化の促進のための諸措置を検討していこうとするものであります。特に輸送用航空機の国産化に重点を置く旨を規定の上でも明らかにした次第であります。  最後に、航空機工業振興のための具体的措置として、国有試験研究施設の使用に関する優遇措置設備資金の確保について特に規定を設けております。もともと国有試験研究施設は、その設置の目的に反しない限り、民間の使用をも認める建前になっておりますが、航究機等の国産化を促進するため特に必要があると認めます場合は、航空機等に関する試験研究を行う者に、時価よりも低い対価で使用させる旨の根拠規定を設けたもので、その施設の種類、使用条件等につきましては、政令で定めることにしております。また、資金の確保につきましては、政府といたしましては、如上の航空機等の国産化の必要性にかんがみ、そのために必要な設備資金の確保に努める所存であります。  以上、本法案提案理由及び内容の概要につき御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、可決されることを切望する次第であります。     —————————————
  60. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上で提案の理由の説明は終りましたが、本案の質疑は後日に譲り、次に、日本貿易振興会法案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。  その前に先回の委員会で資料要求がございましたが、資料できていますか……。今いただきました資料の説明をしていただきます。
  61. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お手元に海外貿易振興会取扱いのバナナ、パイ・カン輸入差益徴収金の使途明細をお配りいたしております。ちょっと説明させていただきます。まず第一は、昭和二十九年度分でありますが、差益金徴収額八億一千七百万円余であります。それはバナナとパイ・カンに分れております。バナナはドルにいたしまして三百三十万ドル程度の割当になっております。パイ・カンは五十万ドル程度の割当でありまして、前者が七億四千九百万円、それからパイ・カンの方が六千八百万円、こうなっております。それからこの諸掛事務費として二百五十一万円をジェトロの方がいただきまして、差引残額が八億一千四百万円になるわけであります。  それを閣議了解に従いまして、次の九項目に配分されたのであります。  まず第一は、重機械類の技術相談室への助成金としまして五千万円、それからその次が日本貿易会の調査費の補助金としまして八百万円、それから第三が、ニューヨーク・カメラサービス事業の補助費としまして一千万円、それから第四が、繊維製品輸出振興施設費として二億円であります。それから第五が、日本輸出農林水産物振興会に対します基金分としまして六千万円、それから第六が、産業意匠改善施設対策費として二千万円、それから次が、輸出雑貨検査施設の対策費としまして千五百万円、次が、国際商事仲裁協会に対する資金としまして千五百万円、最後が、このいわゆるジェトロ、海外貿易振興会への基本財産といたしまして四億三千六百万円、こういう配分になっておるのであります。それから注のところでは、この輸入差益金を保管いたします間に生じました預金の利子三千八百万円、これは閣議の了解に基きまして海外貿易振興会が交付を受けまして、一般運転資金に充当したのであります。  それから次は、昭和三十年度分でありますが、差益金の徴収額がバナナ、パイ・カン合計で十三億四千二百万円になっております。バナナはこれは二百二十五万ドル分であります。それからパイ・カンが五十万ドル分であります。その保管中に生じました預金の利子収入が千四百万円でありまして、差益金と利子と合せまして十三億五千六百万円になっております。それからこの諸掛事務費の五百九十八万円余を差し引きまして、差引十三億五千万円、これをその下に書いておりまするように一般会計に二億四千百万円、特定物資特別会計ができましたので、そこへ十億一千百万円、これを要するに、差益金利子収入全部を、一般会計及び特別会計の方に寄付をいたしたのであります。  それから次の注は、差益金を取りましたその基準なり、徴収の時期を書いております。二十九年度分につきましては、バナナは一かご当り千七百円、パイ・カンにつきましては一ドルにつきまして百三十六円八十銭、徴収の時期はバナナにつきましては三十年の二月、パイ・カンにつきましては三十年の六月に徴収いたしております。  それから三十年度分としまして、バナナは入札制度によりましたために、差益基準というものが設定されなかったのであります。入札の実施いたしました時期、いわゆる差益徴収の時期は三十一年の二月になっております。パイ・カンは差益基準が一ドルにつきまして百七十三円十八銭、徴収時期が三十一年の一月ということになっております。  次は、先ほど申し上げました諸掛事務費の内訳を書いておるのであります。二十九年度分、それから三十年度分につきましてそれぞれ書いてあります。  それから差益金の保管の方法でございますが、ジェトロの一般経理とは別扱いにしまして、下記の銀行に預託しておったのであります。二十九年度分につきましては、そこにありますように十行に預託をいたしておったのであります。三十年度につきましても同様であります。それから差益徴収金保管中の銀行利子収入の取扱いでありますが、これも先ほど申し上げましたように、二十九年度分につきましては閣議了解によりましてジェトロに交付しました。それから三十年度分につきましては全額国庫へ寄贈いたしたのであります。  それから差益徴収金の処分方法、これも先ほど申し上げました通りでありますが、二十九年度分につきましては、各種の貿易振興団体に交付されましたし、三十年度分は全額国庫に寄付をしたのであります。  第六には、海外貿易振興会の現在の基本財産の取扱いでありますが、保管方法といたしましては、一般資金とは別扱いにしまして、下記の銀行に預託をいたしておるのであります。で、九行に預託をしておるのであります。  それから最後に、この海外貿易振興会解散後の基本財産の取扱いでありますが、現在の基本金四億三千九百万円、これは先ほど申し上げましたように、二十九年度の差益徴収金からいただきました四億三千六百万円、従来からありました民間からの寄付金として約三百万円程度があるのであります。それから負債額を差し引いた残額の約三億円が日本貿易振興会、それから新しい今度の特殊法人に引き継がれました資本準備金として積み立てることに、法律上明定されることになっておるのであります。負債額は約一億四千万円程度になっております。それは昭和二十六年度以降多い年では五千万円、それから少い年では六百万円、あるいは若干プラスのときもありますが、それらが累計をしまして三十二年度末いわゆる今年の三月末におきまして、約一億四千万円くらいのかかりになっておるのであります。以上で説明を終ります。
  62. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  63. 小滝彬

    ○小滝彬君 私この法案賛成で、皆さんの質疑を聞いていたのですが、その答弁に関連して私は一つはっきりしたいと思うので、簡単にお伺いいたしたいと思います。この第一条に、非常に総括的にやるというようなことが書いてあるので、大いに海外の仕事が多いし、これはまた貿易省でも作るんじゃないかというような意見もありますが、しかし実際の資金面などから見ると、そういう心配はないと思うんです。ただ、むしろ私はこの資料をもらって見ても、今度その出資は二十億あっても、実際に使えるのは一億数千万円、そして昨年の費用と、今年度から使えるのを見ると、大して差がないと思うんです。ところが、従来ジェトロの活動が不十分だったというのは、金でその活動を制限されたという面が多いようですから、私は私なりの考え方としては、こういう第一条の目的も大げさに書いてあるし、また、二十一条にも事業の種類も書いてありますが、これを制限される意向はないのか。実際の効果を上げるのには、あれもやり、これもやるというような野心的なことをやっても、実はあぶはちとらずで、何もできないんじゃないかと思います。そこで、この項目を見ると、出版物の刊行だとか、いろいろあるんだが、それについては類似の団体があるから、それにまかせてもいいようなものが相当ある。あるいは民間の商社にやらしても、こういう貿易出版関係をやっている所で、ただで取り扱うというようなところもある。これは従来はジェトロの方で、いや、これはおれの方でやるのだというようなことでがんばっていたんですが、どうですか大臣、どうせそれは、理想としては金をできるだけつぎ込んで、大いに活躍さした方がいいんですが、もう少し事業をストリーム・ラインして、大公使館でもできぬというような所でいろいろ事業所を設ける。そして活動が、従来とも海外の調査とかいうようなことが主になって、だんだん今日まで発達したんだから、そういう制限的にやる御意向はないか、僕はそういうふうにやっていただきたい。ほかのところでできないことをやっていただきたい。そうした方が効果的であって、今後の非難を押えるのにも、かえって適当な措置じゃないかと思うんですが、どうですか。
  64. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この運営に関しましては、御承知のように、運営委員会なりの御意向にもよらなければなりません。また、政府としましては、かなりのひもつきといいますか、補助金でいっておりますから、その点についての制約はあるわけでございます。それ以外につきましては、いろいろお考えになって、貿易振興会が主導性を発揮してやっていただかなければならぬと思うんですが、今おっしゃるように、あれもやろう、これもやろうで、どれも中途半端になってしまう。これはもう全く策を得ないものだと思うのでありまして、もちろん、本年度の予算は十分なことはできませんでして、われわれとしても遺憾に思っておるのでありますが、何しろ金のワクがきまって、昨年よりはだいぶ多くはなっておりますけれども、むしろ従来やっておりましたことを、もっと有効に、また率直に見ますと、宣伝にしましても、もう中途半端な宣伝しかできぬというような面があったのを、さらに適切な宣伝を重点的にやってもらうというようなことで、従来が、大体どうも中途半端なことであったわけでありますが、よけいいろいろなことをおやり願うよりも、従来のことを徹底してやってもらう、あるいはまた、重複していろいろやっておられた面があると思いますので、そういう点は調整して、有効に、ほんとうに効果が出てくるまでやってもらうということでないと、ただ単に、あれもやっております、これもやっておりますというだけのことでは、意味をなしませんので、その点は十分注意をいたしたい、かように考えております。
  65. 小滝彬

    ○小滝彬君 これは今までのジェトロの定款に出ているものよりも、項目もよけいあげられているし、そして官僚というものは、何でも自分のところへ縄張りをとりたい気持を持っておるから、少くとも大臣がそういう指導方針をもって考えていただき、まあ、運営委員会も、これについては重要な発言もするでしょうし、指示も授けるでしょうが、これは今申されたような趣旨で指導していただきたいということを希望いたします。  それから今審議会のお話が出ましたが、審議会について、過日、豊田委員から、中小企業の重要性、それとの関連を述べられた際に、運営委員会の方へは、中小企業関係の人をもちろん入れる、これは慣例上もそうなるかもわからぬというようなことをおっしゃったように記憶しておりますが、私はこのような特殊法人は、特に中小企業を利益するものであるというふうに固く信じておりますし、これまでこうしたものに関係した人間としまして、こういう組織というものは、中小企業に、より恩典と申しますか、便宜があるというように私は見ておるのでございます。そこで、運営委員会委員に、中小企業に関する知識のある人が選ばれることは非常にけっこうですけれども、この事業というものは、海外における事業というものを重視するからには、もちろん、国内の中小企業のことも知っていなければならないが、国際経済とか、あるいは外国市場についての相当実地の知識も持った人、学識のある人を入れてもらわなければならないというように考えるわけなんです。で、その際には、大竹委員もこの前言われたと思うんですが、肩書きを何十も持ったような人が片手間に来られる、結局そういう人で網羅して、いろいろつり合いからして、あれを入れるならこれを入れなければならないというような、おざなりのことになっては、せっかく運営委員会ができても、ほんとうにその目的を達成し得ないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。で、私は、特にこの仕事は、海外的な関係があるので、その点に留意していただきたいと思うし、おそらくそれは大臣もお考えになっておると思うんですが、その点は私の申し上げたような意見に、御同感であるかどうか、それだけ……。
  66. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) もとより、これは貿易のことに関しますので、貿易のことを御存じないということになると、たとえ、どういうほかに適格の点がありましても、これが第一の条件だと思うのでありまして、中小企業に関しましても、中小企業の貿易のことについての知識を持っておられる方が、一番望ましいわけでありまするから、輸出振興という点については、まあ、第一の条件は、貿易振興に対する考え方を持っておられるということが必要なことは、これは私はいなめないことであります。しかる上に、また中小企業のことについても知識を持っていただく、こういう方が望ましいということであります。
  67. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 関連して伺いたいんですが、先般私から、中小企業に重点を置いてもらいたいという希望を申し上げ、また、ただいま小滝委員からもそれを強調せられたのでありますが、それに関連いたしまして、本日の資料を見ますると、海外貿易振興会の基本財産の取扱い、保管方法を見まして、預託をしておる金融機関は、全部大企業金融機関であります。中小企業の専門金融機関などには全然オミットしてある。こういう点が頭隠してしり隠さずで、貿易振興会というものは、表面はいろいろ言われるが、実際のところ、大企業重点運営がせられておるということが、ここにはっきり出ておると思うのでありますが、この点について大臣及び事務当局見解を承わりたいと思います。
  68. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は現在までのところは、御指摘のように、大きな銀行、あるいは信託銀行になっております。別段その大銀行をひいきしたというわけでもありませんので、まあ割に近くって便利がいい、まあ何と申しますか、いわゆる商売でありまするので、いろいろ頼みに見えたというようなことで、別段深く大銀行をひいきするとか、その中小金融に関する機関を差別したというふうなことではないようであります。今度のこの新法人になりますと、法律で若干の制約が出て参りまして、第二十八条に余裕金の運用というところがあるのであります。従いましてこの業務上の余裕金の運用につきましては「国債の保有」、それから「資金運用部への預託」、「銀行への預金又は郵便貯金」、「信託会社又は信託業務を行う銀行への金銭信託」ということに限られるのであります。従いましてまあ普通の銀行、または信託会社というのが、まあ大よその対象になるのではないかというふうに考えております。
  69. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 これは深く考えられなかったというのでありますが、今回のこの審議に当って、大体中小企業に重点を置いて運用をするように、運営をしていくようにということについては、深く、反対に考慮を払わなければいかぬようになっているのでありますから、そういう点では、すべての点において深く中小企業に留意をせられ、そうして、ことにただいまのところ、中小企業金融は逼迫がちなんでありますから、この資金の運用等については、むしろ中小企業に重点を置いてやっていくべきものだと私は確信するのであります。そういう点で、ただいま将来制限ができそうだということでありますが、銀行の中には、当然商工中金等は入り得ると思うのでありますが、かりに入っておらぬ、入らぬということになるならば、これは改正していいことなんであって、それくらいの留意をしなければ、幾ら先般来大臣中小企業に重点を置いてやっていくのだ、いくのだと言われ、また、事務当局もそういうふうに説明せられていても、全く頭隠してしり隠さずで、こういうことだから信頼ができぬのだということになるのであります。そういう点において、通産大臣一つ今後における御見解を承わりたい。ことに、改正すべきものは小さな改正なのでありますから、そういうことをしてでも、中小企業に重点を置いた資金の運用もやるし、また、その他の運用についても、もちろん留意を払っていくということをこの際明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  70. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 銀行の中には、やはり商工中金は入らぬようでありまして、お話しのまあ中小企業に対する貸付を専門にやるところについては、ただいまのところ、あるいはこの四つの項には入らぬかとも思うのであります。もっとも御承知のように、出資の方は、これはもう預金部資金に限られると、こういうことになりますから、もちろん預金部資金の性格はまあ、最近におきましてはあらゆる方面に出しておりますので、必ずしも中小企業と、こういうことにはなりません。しかし、大体は零細な金を集めていって、中小企業その他一般の地方に貸し付けるという性格でもありますので、資金の運用部預託ということは、これは出資の運用部預託につきましては、これはやむを得ないと思います。余裕金の運用につきましては、これはまあ従来こういうような特殊法人がいろいろやります場合の運用で、確実なところと、こういう意味で、こういう規定になったと思うのであります。さらにまあ、余裕金の運用につきましても、中小企業というところまでは実は考えていなかったことも事実であります。しかし、この中のワクのもとに、何らか方法を、中小企業の金融機関に預託するような事実上の方法がないか、検討いたしてみまして、善処いたしたい、かように思う次第であります。
  71. 小滝彬

    ○小滝彬君 さっき運営審議会のことをお尋ねしていたのですが、この運営審議会というのは、私は今後非常に重要になると思うのです。役員につきましては、国会議員が不適格であるというので除外されているということはわかるのですが、運営審議会などは、超党派でこういう貿易振興ということには関与しなければならない。国会議員もよくこの運営振りを知っておれば、今後これをもり立てていく上にも好都合じゃないかと思うのです。こういう諮問機関である運営審議会などについては、もちろん、法律上は排除してあるわけではないし、適任者があれば、国会議員をこの中にまじえて差しつかえないと思うのですが、現在では、もちろん具体的な考えは、それは大臣は持っていないと答弁せられるでしょうが、しかし考え方としてどうなんですか。この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  72. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) まあ、法律上は制約はないわけでありますが、必ずしも国会議員を排除しなければならぬというふうには考えておりません。ただまあ、いわゆる政治的には中立であっていただきたい。率直に言いますなら、自民党の方は入れれば、社会党の方も入れなければならない、こういうようなことにもなって参りますので、その点はよほど慎重に考えていかなきゃならぬと思います。ただいまのところ、実は国会議員の方を運営委員に充てるということについては、あまり考えておりません。ただ、私の今考えますところは、まあ、いわゆる中の論議が、あまり政治的になり過ぎてもどうかというふうに考えておるわけであります。
  73. 小滝彬

    ○小滝彬君 いや、それは国会議員なるがゆえに入れるのではないのでして、現に審議会とか、委員会で、議員が入っておるものもあるので、国会議員をしておるがために特に排除するというような考え方は、私はまあ将来、そういう政治的に流れるという御心配からだったかしれませんが、そういう考え方は、私は必ずしも妥当ではないのじゃないか。あるいは、いろいろな党派の人を入れてもいいのではないかと思うのですが、今まあ、大臣の方ではそういう考えはないということになれば、ここで議論をしてもしようがないのですけれども、ここは単にこのジェトロに関する問題だけじゃないのですが、国会議員なるがゆえに適当な、たとえば加藤正人さんみたいな人がおられても入れないというのは、議員がそれによってピーナライズされるということなんですが、ただ、それだけでもって排除されるということは遺憾に思うので、私はここで私の意見だけを述べて御質問はいたしません。  それからもう一つだけ、これでやめますが、この前経済企画庁の方から、貿易に関連して出してもらいました三十一億五千万ドルという内容についても、一応の書面を拝見しました。私はこれについていろいろ意見がありますけれども、ここでは長くなりますから申し上げません。どう考えてみても、輸入の額はこの程度以上に切れない、そして貿易外の方で支払がこれだけある。そうなれば努力目標として三十一億五千万ドルというところへくっつけなければならないというところで作文されたかのような印象を受けた。そこで、私は輸入について考えてみたのですが、まあ、今度は外貨予算も発表された。この内容を、私一々承知いたしておりませんけれども、この輸入の方式と申しますか、これは通商局長お尋ねするのですが、輸入の方式というのですか、まあ需要者割当とか、あるいは消費者割当とか、AA制とかいうものがある。ところが、もちろん情勢の変化によって、そのやり方を変えなければならぬこともあるだろうし、基準のとり方を変更しなければならぬ必要もあるでしょうけれども、非常にしばしば変更されて、業者がこの次はどうなるかしらということでいろいろ運動をしたり、いろいろ動き回ったり、こういう状態では、私は商売の安定というものが害されるおそれがあるので、できるだけこういうものは必要やむを得ない場合を除いては変えないようにした方がいいのじゃないか。ある期間実績を見ないというと、その成果もわからぬから、軽々に変えるべきじゃないというような考えを持っておるのですが、しかし、今のAA制度のごときは、なるべく外貨を節約しようという趣旨で、ある程度これまでよりもこれを縮小しようというお考えかのように聞いておりまするが、私はそれは必要なことだと思うのですが、そうして今度も多少削られたように思うのですが、大体の今のお考えはどうなっていますか。AA制度に関する事務当局のお考えはいかがですか。
  74. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) このいわゆる貨物に関します外貨予算の実施の方法になるわけでありますが、まあ今AA制、いわゆる自動承認制、それからグローバル制、それからいわゆる個別割当制、まあ大ざっぱに分ければその三つになると思うのであります。AA制につきましては、われわれ事務当局といたしましては、事情の許す限り、やはり拡大の方向に持っていくのがほんとうの商売をする上に、安い物を最も合理的な地域から買うというために、やはりAA制が一番いいのじゃないか。役所が人為的な輸入外貨の割当をする、それが時期がおくれるというようなことでは、商売の阻害になりますので、やはりAA制が一番貿易自由化の線にも沿いますし、合理的なやり方であろうと思うわけでございまして、ここ数年来、その方向で進んで参ったわけであります。ところが、昨年以来ああいうような外貨事情になりましたので、率直に申しますと、足踏みをしているというのが現状であります。が、われわれは事情の許す限り、あれは拡大の方向に持っていきたいというふうに考えています。ただ、三十三年上期の自動承認制につきましては、一部拡大をいたしましたもの、いわゆる新商品を追加をいたしましたものと、それから従来のその自動承認制の品目から割当の品目に落したもの、二つあるわけであります。割当に落しましたのは、いずれも国内産業その他の関係があって、最近の何と申しますか、産業不振の状況にかんがみまして、輸入を自由にするよりも若干押えた方がいいという商品だけを、ごく少数割当にしたのであります。心がまえとしては、この商売の安定と合理的な遂行という点から言いますと、やはりAA制は拡大した方がいいのじゃないか、もちろんこれは外貨事情にもよりますが、そういうふうに考えております。
  75. 小滝彬

    ○小滝彬君 いや、私は原則論としてはお説の通りで賛成ですがね、それじゃ例を言えば、これはまあ通商局長は詳しく御存じでないかもしれませんが、たとえば銅なんかは、今きわめて、最近少し好転したようですけれども、まだ、非常に不況に陥っている。そこで地金とか、くずとかいうものは輸入を今停止しておる。ところが、その鉱石の方はAA制度で入ってきておるのですね。そうなるというと、この中小鉱山なんかの救済策というものは、ほかの方でも考え得るかもしれぬけれども、そう補助金を出すわけにもいかない。結局輸入の鉱石が比較的良質で比較的安く入ってくるということになれば、この中小鉱山というものは、相当苦しい立場に追い込まれはしないか。ところが、そいつはまあ、三井とか三菱が比島あたりへ投資しておる関係などで、AA制度にしなければならぬような関係も一面においては考えられるけれども、しかし、さっきから中小企業の話が出たので、私中小鉱山のことを考えてみたのですが、このAA制度をずっと持続するというと、ほかの鉱業関係の人もまた海外でそういう契約をして、そうしてそれをどんどんAA制で持ってくるということになると、中小鉱山に対する圧迫というものは、ことに、今銅が値下りしておるようなときに、非常にきついものになりはしないかということをおそれるので、こういうのについては、やはりAA制度では現在の段階においては、おもしろくないのじゃないか、国内の鉱山に対する関係においておもしろくないのじゃないかと思うのですが、これはもし、今後の方針について御存じだったらお伺いしたいと思います。これで質問を打ち切ります。
  76. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この銅鉱石の取扱いの問題でありますが、確かにお説もごもっともと思うのでありますが、まあ昔は銅の輸出国といわれた日本も、最近の状況から言うと、やはり輸入をしなくちゃいかぬような事情になって参っておるわけでございます。まあ、そういうようなこの長い目で見ましてどうしても輸入しなくちゃいかぬというようなことで、銅鉱山の海外における開発、資源確保というようなことで着手をされたのであります。従いまして、今一時的に銅の需要が工合が悪いからといいまして、すぐこいつをやめるというわけにはいわぬのじゃないか。われわれは対策といたしまして、もちろん、国内でいろいろなことはやられておりますが、輸入面につきましては、銅くずのやはり自動承認制、これをやめまして、それでまあ建前としては割当でありますが、まあ、現実には割当も、実はいたしておりませんような状況なんですが、いずれ国内の状況が回復いたしますれば、需給の状況として、銅をやはり輸入しなくちゃいかぬような立場にもなりまするので、今せっかく海外において開発をしかけたものをとめちまうというわけにもいきません。大体の数量その他も把握ができておりますのでAAだからといって、むやみに入ってきた中小企業をそれで圧迫しているという事実も実はないわけなんです。まあ、そういうようなことから、このAA制を続けておるのが実情なんでありますが、それは非常にシリアスな影響を及ぼしておるということでありますれば、それも考えなくちゃいかぬと思いますが、実はこの予算の編成過程におきまして、そういう議論は聞けなかったのであります。
  77. 小滝彬

    ○小滝彬君 いや、声は出ているのだ、大いに。まあけっこうです。     —————————————
  78. 近藤信一

    委員長近藤信一君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日岡三郎君が辞任され、その後任として秋山長造君が選任されました。     —————————————
  79. 加藤正人

    ○加藤正人君 簡単に三点ばかりお尋ねいたします。運営審議会のことについては、各委員からいろいろな御質問があって大がい尽されておる。このジェトロの改組された後の振興会の仕事がうまくいくかどうかということは、全くこの運営審議会の活動いかんによると思うのであります。これを機動性、弾力性を活発にしていくようにするためには、どうしてもこの力による必要があると思うのであります。この法案によりますと、この委員会に諮問のない、理事長から諮問のない場合には、積極的に、また能動的に意見が述べられるように、こういう建前になっていないようであります。従って、この運営委員会を権威づけるためには、審議会に必ずこういう事項について付議しなければならぬというような事項を、法文上明定するということの必要があるのじゃないか、何か構成分子によっては、遠慮しがちにしておりますと、自然審議会があってなきがごときような存在になりやすいのでありますが、ある事項に対しては、必ず運営委員会に諮らねばならぬというような点を指定して明文化しておいたら、そういう憂いがないようになるのじゃないかと思うのですが、こういう点についてはどうですか。
  80. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 第十八条の運営審議会につきましては、第二項は「理事長の諮問に応じ、振興会の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。」、それから第三項の、前項の事項に関し、運営審議会は理事長に意見を述べることができる、これは積極的に解釈願って、振興会の業務の運営に関する重要事項については、理事長に積極的に意見を述べることができる、こういうように御解釈願って差しつかえないのであります。ただいまのお話しの通りに、運営に関しては、自由に、また積極的にいろいろ意見を述べていただくというのが、われわれの運営審議会の運営について考えておることなんです。
  81. 加藤正人

    ○加藤正人君 次に伺いますが、役員の任期のことでありますが、現行ジェトロの規約によりますと、任期は三年ということになっております。本法によっては、これが四年に延長される、一年延長になるわけであります。延長をするという必要性が、何か積極的な理由があって延長されるのかどうかということでありまして、まあ、事業は、どうしても事業成果は人によって得られるのだということでありますが、この事業のごときは、最もその点を重要視しなければならぬ、従いまして、一度委員に任命されると、大した事故のない限り、長くその任に安眠するというようなきらいが起ってくる。もし不適格なものであれば、なるべく早くこれを更迭するということができるように、この任期がなるべく短かい方がいいように思われるのであります。こうした意味からいって、役員の任期は現行の三年程度が適当であろうと思われるのでありますが、今回、さらにこれを四年に一年ふやしたことについては、何か積極的な意味を含まれておるか、その点についてお伺いしたい。
  82. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この役員の任期が、従来三年でありましたのは、御承知のように、まあ、民法上の財団法人であります上に、率直に言いまして、かなり臨時的なという意味があったように思います。今回、それを四年に直したという感じではなしに、今、一般の特殊法人につきましては、みな原則は四年でありまして、また、この振興会がかなり安定して、また継続的にやっていくのでありますので、まあ、特別にこれを三年に、ほかの特別法人と違いまして、三年に短縮しなければならぬというほどの逆の理由もないものでありまするから、他の特殊法人と同様に、まあ、四年にしたということでありまして、積極的に延ばしたという感じでわれわれやったわけでもないのであります。
  83. 加藤正人

    ○加藤正人君 事実は延ばしたわけですね。据え置き、そのままにしておくことはできなかったのですか。
  84. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) これは不可能なことでもありませんが、他の特殊法人は全部四年であります。他の特殊法人より特別に任期を短かくしなければならぬ、こういう理由もありませんので、御承知のように、まあ全部、今度は法律でいこうとして、御審議願っておるものですから、他の法律にある特殊法人と比べまして、特別にまた、これだけは三年というほどの理由もなかった、こういうことであります。
  85. 加藤正人

    ○加藤正人君 他の特殊法人の任期が長いために、いろいろなここに安居して、何ら実績が上らないにもかかわらず、任期が終るまでほうっておかなくちゃならぬというようなきらいがあるのではないかと思うので、そう申したわけです。現在ジェトロには、役所からかなりの人数が参っておりまして、これらの人には、それぞれ重要な任務に当っておられるように聞き及んでおるのであります。そうして、これらの人々は、大体二年あるいは三年でまた役所に戻っていかれる。このようなことでは、その人々のジェトロ、また、今度の改組後の振興会に腰を落ちつけて、仕事をそれに没頭してやるという気に自然ならないということに、打ち込んでやることにならないという傾向にいくことは、これは当然でありまして、そうして、そのような人々によって、このジェトロの中枢的な地位が占められておるということは、自然ジェトロの仕事に活が入らぬということの自然的な傾向が出てきやせぬか、きらいが出てきやせぬか。おそらく、そういうような何といいますか、習慣が行われたという発端は、当時発足時代であって、自然ジェトロに人材がなかったというようなことから、いわば応援的にそういう人を出したのが、自然そういう風をなしたと思います。今度ジェトロを改組するに当って、今後そういうようなことを一切中止する。長くその仕事に腰を入れて没頭するというような人を得るためには、どうしても腰かけ的な、二、三年で本省に帰るのだというような、海外見物をしていればいいんだというような考えの起らぬようなふうにしたらどうか。まあ、今までのやり方を変えていただいたらどうかと、こういうことなんです。
  86. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 御承知のように、まあ、従来のジェトロは財団法人でありまして、あまり基礎の固いものではなかったものでありまするから、なかなか人が得られない。また、発足当初でありましたので、結局まあ役所が応援をしませんとできなかったと、こういう事情にあるわけであります。今回こういう特殊法人にして、出資も二十億にしていただき、恒久的なものだということになりますと、勢い人も得られることになりまするし、また、だんだん人の養成もできてくると考えております。ことに今度の、ほかの特殊法人には、役所から行きますのも恩給を通算するという制度がありまして、そういうようなことも相当見られるわけでありますが、これにはそれをやめまして、もう行く人は、とにかくやめて行ってもらう。また再び帰えるということを考えずに、まあ、これは将来場合によりましては引き取るにしましても、向うの人になり切ってもらう、こういう考えでそういう規定を、この中には入れておりません。御趣旨のように、ほんとうにもう恒久的に貿易振興会に奉仕してもらう、こういう考え方を貫いておるわけであります。
  87. 加藤正人

    ○加藤正人君 わかりました。
  88. 海野三朗

    ○海野三朗君 今の加藤委員からのお話を私はずっと伺っているのですが、それに関連をいたしましてお伺いしたい。この海外貿易の振興を幾ら叫んでみたところで、単に民間人だけにまかしておくということは私はどうかと思う。それでありますから、通産省からなり、領事館、あるいは大使館あたりには、商務官というようなものをやはり通産省から二、三人ずつやっておいて、そうしてこの貿易振興の方と連絡をとって、この貿易のほんとう振興をはかる必要があるのではないか、こういうふうに思いますのですが、今までのところ、ほとんど通産省方面から商務官というようなもので、領事館あたりに出ているのはほとんどない。イギリスあたりのやり方を見ていると、領事館なり、あるいは大使館に来ているのは、半分商人にすぎない、商売人ですよ。それでありますから、今日の外交というものは、私は経済外交だと思うので、昔のように大使とか、あるいは領事とかというものが、ふんぞり返っている時代ではないのじゃないか、こう思うのです。そういう点から見ましても、どうしたって通産省の役人が二、三各領事館あたりに、みなばらまくだけのお考えはないのかどうか。  この点と、先ほど豊田委員が質問をいたしましたのに関連いたしまして、もう一つ私はお伺いいたしたい。この海外貿易振興会の基金の、財産取扱いでありますが、これを見るというと、東京銀行とか、三井とか、住友銀行ばかりになっているのだが、大体こういうのは商工中金あたりに扱わしたらどうですか、幾らかでも。商工中金は中小企業に金を貸している商売なんだから……。ところが、基金がないものだからして貸されない。実にみじめな結果を招来しているので、私は少しでも準備金なり、それだけの余裕があったならば、ここに商工中金を入れられたらいいじゃないか、ここに入っていないわけは、どういうわけでありますか、それを私はお伺いいたしたい。
  89. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 第一点の商務官の制度でありますが、御承知のように、戦時中に一度商務官という制度をやったのでありますが、どうもこれがうまくいかなかった。といいますのは、結局通産大臣の指揮命令に従う者と外務大臣の指揮命令に従うという者との、セクショナリズムかもわかりませんが、それがぴったりいかなかったという実例がありますので、現在の行き方は、通産省から参りまする者も、みんな外務事務官に振りかわって行っておるわけであります。ただいま三十人くらい外務事務官として通産省から各大公使館に行って、一体になって商務官と同様な仕事をやっておるわけでありまして、われわれはその人数を極力ふやしたい、かように考えておるのでありまして、役所の行き方としますと、これも限界がありますから、一面はこういう特殊法人からいろいろ貿易の仕事をやる者、役所側の立場から行きましたら、あくまで経済外交というような問題が主眼でありますから、経済のわかった通産省の連中を外務省に出仕をさせるというような行き方を今後も強力にやっていきたい、かように考えておるのであります。  それから第二の余裕金の運用の問題でありますが、これは確実にということを期しましたために、他の場合と同様な考え方で規定ができておるのであります。余裕金はそう額も多くないと思います。出資の分につきましては、御承知のようにこれは運用部資金として預けなければならぬことになっておりますので、先ほども申したのでありますが、この規定のあるいは運用として、ただいまお話しのような趣旨に従うようなことができるかどうかということを検討いたしたいと思います。
  90. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまのお話しでは、検討したいとおっしゃるのでありますが、この銀行へ金を預ければ、その銀行が大へん働きをするのです。東京銀行とか、三菱信託などを助けていくということはない。私は少しでも金が余れば、商工中金にでも回して、そうして中小企業を救うという方へ金を少しでも預けていくというのが本筋だと思うのですが、この点はいかがでしようか。東京銀行とか、三井とか、住友、そういうところにだけ預けていこうというその理由を伺いたい。理由は少しもないのじゃないか。むしろ商工中金とか、そういうところに金を取り扱わせるのが、少しでも中小企業を救うゆえんじゃないかということを伺いたい。もしそうするとすれば、こういうようなことはもう改めて、通産省は金が少しでも余れば、これを商工中金に取り扱わしめる、そういうことにお改めなさったらいかがでしょう。
  91. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) この余裕金の運用ということでありまして、これは随時出納をやるという意味でありまして、おそらくジェトロは余裕金よりも、むしろ借り入れに回る場合が多いのじゃないかと思います。あるいは貸し借りほとんど相殺されるというのが原則でありますので、出納を確実なところでやらせるという趣旨でありまして、商工中金でありますと、貸し付けてすぐ引き出すというのじゃなしに相当期間貸す、預けるということでなければ意味をなさぬのであります。出資でありますと、あるいはおっしゃるようなことができるかと思います。ところが、それにつきましては、御承知通りいろいろ協議をいたしたのでありますが、これは運用部資金に預けるということに、例の経済基盤の強化基金ということでありますので、それは限定されておるわけでありますので、こちらの方は、ただいま申し上げましたように出納というほどの意味でありますので、従来の他の場合におきましても、みな同様の規定によっておるのであります。従って、従来のほかの例に従ってこういう規定にしたわけなんです。
  92. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はこの金を銀行に預けるとか、あるいは持たせるということは、一面においてはやはり相当そこで利用されるのですね、短期間に金を貸してやるというようなこと、それで商工中金というものは資金が足りなくて、中小企業者のごく零細なものは、五万円から十万円という金を二カ月とか、三カ月でもって切ってやっておるのが現状であります。私はその零細なものをたくさん見ておるのです。それですから、そういうところに利用されるように、やっぱり金に少しでも余裕があったならば、そういう方面に、つまり商工中金などを利用する方が、本筋にかなっておるのじゃないかと思うのです。東京銀行なり、そういうところに入れておけば、また借りるときも御便利だとおっしゃるならば、今日までその銀行から貿易振興会が役立たせてもらったお金が、どれくらいありましょうか。私はそれを一つお伺いしたい。  それから海外の商務官に今三十人ほどやっておられると言いましたけれども、そういう人たちは外務省に入ってしまって、一体遊びにいっておるのか、何をしているのでありますか。私は率直に申し上げたい。たとえばこの軽目羽二重の問題にいたしましても、アメリカの国会を通って一年経って実施期に入るというときに、あの騒ぎをやって報告をしておるようなざまなんです。あのときのアメリカへ行っておった日本の通産省の人はだれであるか、あるいはこの席におられるのかもしれないけれども、何しておるのであるのか、それを早く知らしてこそ、商務官の仕事じゃないのですか。また、日本の貿易の品物についてアメリカがストップをやるというようなことは、いち早くこれを探知して、そうして向うの消費組合というようなものとお互いに連繁をとって、これを阻止するという方向へ働かなければならないのではないか、私はそういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  93. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま外務省に通産省から派遣しております要員は、経済外交の面におきましては、非常に喜ばれておるのでありまして、また技術官も、そういう姿で今非常に重用されております。また従って、今後におきましても極力先ほど来申しておりますように、その人数を増すべきだというふうに考えておるのであります。おっしゃるように、あるいは経済情勢を早く察知して、それに対する対策を講ずるということは、これは当然のことでありまして、ただいまのお話しの羽二重の問題の際にどういう事情がありましたか、お聞きする点から申しますと、確かにどうも対策を怠っておったというふうに感じられるのでありますが、それにつきましては、外交官の行き方もさることながら、やはり輸入制限、その他の問題に関するアメリカの経済界の動向というものに対して、日本の貿易振興会等も極力向うの機関を使いまして、いろいろ調査をするということが必要であろうかと思うのであります。外務省なり、外交官の方にもぜひやってもらわなければなりませんが、民間の向うのいろいろな調査機関を使うということも必要であります。外務省全体の要員も、必ずしも多くはありませんので、手が回りかねるということもあるかと思いますが、この貿易振興会等の調査網といいますか、そういう調査網なり、また向うの調査機関を利用しての調査、それから外務省の調査、そういうものと両々相待って完全を期していく、こういうやり方でなければ私は効果は上らないと思っておりますので、これはもちろん、両方とも極力伸ばしていくべきであるというふうに考えている次第であります。
  94. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は重ねて大臣にお伺いしますが、あの軽目羽二重のあのときの騒ぎ、私は前から商工委員をやっておりますから、そのことを知っているのでありますが、一年も前に出ているアメリカの法案を、日本の輸出の絹織物の禁止の法案を、それを報告するのに、一年もたってから言ってくるという怠け方というものは、一体どういうところから来るのでありましょうか。こういう現象を、あなたはどういうふうにお考えになりますか。一年経っていよいよ実施期に入る前に大騒ぎしてきて、ここの委員会においてまた騒いで、ここからアメリカの下院、上院の商工委員長あてに請願の電報を打っている。あんなへまなことは、一体どうしてそういうことが行われているのでありましょうか。
  95. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 私も当時その話を聞いて驚いておったのでありますが、実際の実情は、どういう原因からそういうことが起ったかにつきましては、つまびらかに承知いたしておりません。しかし、その後はそういうようなことはなかったように私は聞いております。今後におきましても、もちろんそういうことのないように、また事実、そういうような外交系統も、あるいは貿易振興会系統も拡大しておりますので、そういうことはもう万々ないというふうに考えております。
  96. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣にお伺いするのが穏当であるかどうかわかりませんけれども、きのう議運で総理の出席を願って、いつ解散するかという質問をしたわけです。しかし、結論はあいまいもことして、はっきりわからなかったのですが、私どもなぜそういうことを聞いたかということは、つまり五月十八日ごろまで国会がある場合と、世上うわさに上っているように今月の二十日ごろ解散する場合では、法案審議に非常に食い違いが生ずるわけです。総理ですらいつ解散ということは明確に言わないのですから、大臣にそういう点はお聞きしませんけれども、大体どの法案を当委員会で早くあげて欲しいかという大臣の気持を率直にお伺いしたいわけです。  それから正直に申し上げまして、先日参考人おいで願って開いた当委員会におきまして、豊田委員から、今あるジェトロの状態と比べて見て、大した発展がないのではないかというような質問に関連しての発言がございました。私もその通りに思うわけでございまして、こういう問題については、十分審議をしなければならぬ、こういうふうに考えますと同時に、これでもたついているうちに、一例をあげれば、水道法案のような、即刻これは問題なく上るような法案を巻き添え食わしちゃいかんというように考えますので、もし大臣の方で、どの法案から先にあげてくれ、これが最も大切だというようなことがあれば、別に大臣の言質をとらえて委員長理事打合会でどうしようこうしようというのではありませんけれども、つまらない法案で論議して、どうしても通さなければならない、あるいは簡単に通る法案を巻き添え食わせたら、どうも穏当でないという気がしますので、その点をまずお伺いします。
  97. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま御審議願っております法案は、いずれも重要でありますので、決してどれだけ通していただいたら、あとはもう通していただかなくてもよろしいという問題ではないと思います。また、私はお出ししております法案は、全部通していただかなければならぬというつもりでおりますので、相当十分御審議願っても、大体は通していただけるのじゃないかというふうに考えておるのであります。  日本貿易振興会につきましては、従来と変りばえがせぬじゃないかという御意見につきましては、私はとにかく予算でもうすでに通過いたしておるわけでありまして、二十億の出資をして特殊法人化するという点でも、これは大きな変革だと思うのであります。従来の財団法人でやって参りました場合と、二十億の出資を得て恒久的にこの貿易振興会を通じて、常に貿易振興の中核体としてやるんだということは、かなりやはり意味が違ってくると思うのでありまして、まあ、その意味におきましても、ぜひとも貿易振興法案は通していただかなきゃならぬ、かように考えておるのでありまして、あるいは国会の御審議の御都合によって、いろいろまた皆さん方で御想像になって、これを先に通して簡単に片づけていったらいいじゃないかというようなお話しでありましたら、これはもうやむを得ないところでありますが、私としましては、ぜひとも全法案を重要に考えておりますので、極力審議を進めていただきまして、お通し願うようにお願いする次第でございます。
  98. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたは全部重要法案だとおっしゃるのですが、確かに担当大臣としては、そういうことになるかもしれません。しかし、新聞報道がうそであるかほんとうであるか、あなたの方の党の政調会では、現在百七十件ある法案のうちに三十八件にしぼって、なおしぼらなければならぬという重要法案というものを明確にきめておる。おそらく前尾通産大臣は御承知で、今とぼけておられると思うので、私それ以上発言しないわけですが、ただ、衆議院の場合とは違って、私どもの委員会は国土開発委員会とか、科学特別委員会、こういうものがないのでございまして、御承知通りに。三つの委員会分を一つでやらなければならぬ、こういうことになりまするので、あとで最後に法案がたくさん残ったり、あるいはまた夜に日を次いで審議しなければならぬというような状態になっては困りますので、大臣にお伺いしたわけです。  まあ、その点はそれといたしまして、次にさいぜんの私の発言にあれして、変りばえがせぬではないかという、こういうような大臣のお話しでしたが、私どもは変りばえせぬとは言っておりません。あなたたちが発言されるように、大した美しい言葉で提案をされ、説明をされておるようですが、あなたたちの期待されるように、あるいはまた思っておられるようにいかぬのではないか、若干それは伸展はございましょう。しかし、私どもは、そうおなかのすいたところにめしをたべるようにいかぬという前提条件で話をしておるわけで、そこで本法案内容をお伺いする前に、どうしてもその現在あるジェトロというものが頭に浮んでくるわけです。私三月五日から百五十のこういうそれぞれのジェトロに関係ある中小組合の連合会とか、貿易商とか、そういうところを聞いてみました。二、三例をあげてみます。これはまず、ジェトロは中小企業に恩典はなく、大商社に一方的に利用されておる。次に、相手国の情報を少しも知らせてくれない。従って利用価値はない。あるいは第三点、これはちょっとどうかと思いまするが、こういうことを書いてございます。ジェトロの理事が北米を視察する場合、業者としてはつき合いでせんべつ、送別会、慰安会等の負担がかかるだけで、あとは新聞に載っている程度の情報を聞くだけである。業者から見ても、役職員には農林省、通産省等の古手が多く入っておる。こういうことです。あるいはまあ、ある商品を輸出したい、ジェトロの農水産課へ照会したところが、半年をたっても情報を一つも提供してくれない。年に二万五千円の賛助会費を取られて、それに対して資料送付が英文で多過ぎる。自分の業種に全然関係のないものまでたくさん送ってくれて、自分に関係あるものは、おざなり程度にしか得られない。その次は、商社の海外支店が系列を強化して縮小させる方針が、政府によってとられている。このときにジェトロが強化されると、大手商社にもっぱら利用される結果になると思う。われわれとしてはジェトロには期待できない。むしろ、中小企業のために専門のあっせん所なり、貿易の業務機関を作ってもらいたい。これが大体私のそれぞれ調査した百五十の、同じような意見もありまするけれども、こういう意見です。ですから行政を担当されている通産大臣あるいは通商局長は、こういうことを御承知なのか、御承知でないか。その点をまずお伺いいたします。
  99. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 従来の財団法人の海外貿易振興会が、かなり非難がありましたこと、また、思うような実績の上らなかったことは、事実でありまして、それでありますから、われわれもこれに国がほんとうに力を入れて、そうして非難のない、そうしてまた実際に効果が上るものに仕上げなければならぬという決心をしました理由も、そこにあるのであります。ただ、いろいろ従来の貿易振興会についての批判につきましても、まあある面の方々の言われるままの悪い面ばかりであったわけではないのでありまして、もちろん喜ばれておる面もたくさんあったわけです。しかし、いいところは伸ばし、悪いところは矯正するというふうな考え方で、今回それを思いきって直していこう、こういうことにいたしておるのであります。また、大体におきまして、従来まあ、本部が大阪にありました関係もありまして、国内の連絡が私は不十分であったと思います。それで国内の方々が、貿易振興会の利用という点に非常に欠けておりました。それはやはり国内のPRが足らなかったというふうに考えておるのであります。やはり本部は中央に置きまして、実質の仕事は、大阪がかなり多いと思います。しかし、今度は連絡という点になりますと、どうも東京に全国的な機関があります関係で、本部はやはり東京に置いて、そうして国内との連絡もはかって、いろいろこの振興会の存在すらはっきり御認識のない面につきまして力を入れていくということで、今後の効果を十分上げていくようにということを、われわれねらっておるわけであります。
  100. 阿部竹松

    阿部竹松君 今ここでおわかりになるかどうだかわかりませんけれども、私が今申し上げた点と関連するのですが、どういう商社が今までのジェトロを利用しておったんですか、ここでおわかりになりますか。
  101. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 具体的にならば、ちょっとここで商社の名前までも覚えてはおりませんが、先般のあの参考人説明を聴取せられましたときにも、るる御説明がありましたが、大商社、中小商社の代表が、それぞれ利益を受けておるという開陳をしたことは御存じの通りであります。で、先般も私から御説明を申しましたように、業務の性質上、大商社よりも、中小の商社の方に利用を願っている割合の方が多いわけでありまして、先般もいろいろ調査あるいは宣伝の場合、あるいは貿易あっせん所の仕事、それから国際見本市の仕事というふうに分けまして、いろいろ数字で御説明申し上げましたが、要するに大部分が中小企業に恩恵がいっておるとわれわれは確信をしておるわけでありますが、しかしながら中小企業と申しましても、これは非常に数の多いことは御存じの通りでありまして、中間の加工業者の方からいいますと、自分の作っているものがどこへ輸出されているかわからぬという方々も、かなりおられるんじゃないかと思うわけであります。そういう人たちは、率直に言うと、貿易業者まかせなんでありまして、海外の市場調査をそれほど深くされてない向きもあろうと思いますし、そういうことは無関心に、とにかく注文があれば、それをとられることであろうと思います。かりにそういう人たちにお尋ねになった場合に、あるいはジェトロの名前も知らぬし、どういうことをやっておるかわからぬという人たちも、それはないことはないと私は思いまするが、しかしいわゆる貿易業界からは、非常にその存在理由も認められ、利用を願っておるのでありまして、それは確かに従来は民法上の財団法人でありましたがために、役所がその補助金の交付という面におきましては、監督はいたしてはおりましたが、全般的な監督はするすべもなかったようなわけであります。そういうことから、今度特殊法人としてお認めを願って、資本金も二十億円出すということになって、いわゆるちゃんとした貿易振興の中核機関になるわけでございます。従来がほんとうにうまくいっておったということであるならば、あるいはこれは若干逆説的な言い方になるかもしれませんが、こういう法律でお願いする必要はないかもしれぬと思いますが、若干うまくいっていなかったればこそ、今度こういう特殊法人として、こういう法律で新しい貿易振興機関として発足したい、こういうわけでありますので、われわれといたしましては、これはいかなる法人におきましても万人に満足がいくということは、これは非常にむずかしいことだとは思うのでありまするが、少くとも、今度新しい装いのもとに発足する日本貿易振興会につきましては、われわれとしては、従来のそういう批判を教訓として、そういうことのないように、最善の努力を尽させたい。これは、われわれは監督官庁側になるわけで、直接運営の衝に当りませんが、多分その新しい理事長なり役員が、そういう意気込みで運営をされるものであろうと確信をしておるわけでありますし、われわれといたしましても、監督官庁としまして、そういう方向で指導をして参りたい、こういうふうに考えております。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 機構をすっかり変えてしまってお金を投ずるんですから、局長の御答弁のようなことになろうと思います。従って新しい法案審議をすればいいことになるんですが、私どもは、やはり現在の姿があまりでたらめであるから、どうしてもそれが参考になる、将来こういうことがあってはいかぬというように考えて、苦しいことを御質問するわけですが、局長がおっしゃるように、私がこれを調べたのは百五十くらいですから、数が少いんです。しかしその百五十全部調べてみても、こういうことを明確に言うんですから、あなたのおっしゃる大手よりも中小が多く使ったという、言葉だけでなくして、そういうことを明確に資料で示していただかなければ、ただあなたのお話を私疑いませんけれども、しかし私の調べたのとは全然違う。で、答弁でなく、そういう明確なやはりその数字があると思いますが、その点はいかがですか。
  103. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今のお尋ねの点につきましては、前回数字で実は御説明を申し上げたのであります。なんならばこれを印刷にしましてお配りもいたしますが、詳細はあとで刷りものにして配らしていただこうと思いますが、先般御説明を申しました点の要点だけを、かいつまんで申し上げますと、市場調査につきまして、まず第一に調査結果を、いろいろな月刊雑誌なり、日刊の広報というようなもので業界に周知徹底をはかっておるのでありますが、要するにその発行部数のうち、大半が中小企業関係に配布をされておるというのがまず第一点。それから業界から受託調査として、調査の依頼を受けておりますが、それも大部分が中小企業関係であります。それから業界の専門家によりまする特殊市場調査というものをやっておりますが、これも大部分が中小企業の業界団体から派遣を願っておる。それから図書館の利用者も、その大部分が中小企業になっておる。それから次に貿易あっせん事業でいいますと、出品者も、これまた大部分が中小企業関係、またあっせん所におきます引き合いあっせんの件数も、大部分が中小企業になっておるわけであります。次に国際見本市につきましても、大体小間数の過半が中小企業関係になっております。ただ最近東南ア地域で、後進国で行いました見本市は、重機械類を中心にしたのがございますが、その場合は抜きにしましても、その半分が中小企業関係が出品をした。それから次に海外のPRの関係でありますが、これもこれまでアメリカ、カナダにおきましてPRをいたしました、問題になりました商品というものは、大部分中小企業関係の商品になっておるのであります。マーケット・リサーチにおきましても、全部が中小企業の関係の商品なんであります。それから農水産物、医薬品につきましては、関係の輸出組合等と共同施設でいろいろな調査、宣伝をいたしておりますが、これもまた大部分が中小企業関係になっております。意匠改善の事業にいたしましても、海外の優秀見本品を収集をしていきまして、各地方にそれを巡回展示をいたしておりますが、大部分が中小企業関係になっておるのであります。それから留学生としましてデザイナーの養成をもいたしておりますが、これも中小企業が大部分ということになっておるのであります。国内のPRの関係におきましても、現在九カ所に支部を置きましてやっておるのであります。これは若干経費の関係で手不足でありまして、十分なことはできていないのでありますが、支部の拡充につきましては十カ所程度に拡充をいたしまして国内におけるPRをやり、中小企業者の貿易相談にも従来より以上に手厚く応ぜられるように態勢を整えていくというふうに考えておるのでございます。  大体以上でありますが、われわれのいろいろな面から調べましたそれぞれの事業別の中小企業者によっての利用割合というものは、要するに半分及び大部分というのがいずれの事業についても言えることなんでございます。しかしながら、たとえば金属洋食器の問題、あるいは体温計の問題にしましても、やったことは中小企業の関係でありますが、それらはジェトロのやったことのすみずみまでも関係業者に熟知願っておったかどうかということについては、これはそこまで手が伸びていない面もあったのではないかと思うのであります。従いまして、主要都市におられます貿易業者、中小の貿易業者は知っていただけましても、まあいなかにおられるメーカーの方々にはそれだけ価値判断を願っておったかどうかということについては疑問があろうかと思うのでありますが、しかしながら少くとも従来やっておりましたことは、繰り返して申すようでありますが、大半、大部分中小企業が対象になっておるということであります。
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 大半が中小企業というのですが、その数字をお知らせ願いたいわけですよ。たとえば調査事業というのがこれは六点でございます。一般市場調査報告とか、それから貿易あっせん事業というのは、引き合い件数、ニューヨークから始まって七点、それから国際見本市事業が海外見本市参加というのから始まって五点、それから海外広報宣伝事業及び宣伝映画製作費とかテレビ宣伝放送などがございます。しかし全部集めても、また宣伝映画製作件数でも昭和三十年四件、三十一年五件、三十二年七件しかやっていないのです。あなたのおっしゃる通りにそう仕事をやっていないのですよ。私の資料が間違っておるかどうか知りませんが、実際私も調べたのです。ですから、お説の通りにどうも実はうなずけないのです。
  105. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先生のおっしゃった数字が何かちょっと私には……。この調査と申しましてもいろいろな調査をいたしておるのでありまして、従いまして、たとえば今私が言いました中で、この依頼を受けましたいわゆる委託調査、これは大体年間に九百件に上っておるのであります。これを仕分してみますと、全部が中小企業関係になると思います。それから特殊市場調査、これも年間二十五班程度が出ておるのでありますが、これも全部が中小企業関係なんであります。その他にも、いわゆる現地からそのときどきの市況なり、駐在地のいろいろな経済状況を報告をしてきておりますが、かなりの部分が中小企業に役立つものなんでございます。また、このあっせん所の事業にしましても、まず、あっせん所の仕事は、商品をかついで歩いてあっせんするといいますよりは、そこで商品のそういうルートを設けまして展示をして、いつからいつまでにこういう商品の展示をいたしますということでまず広告を、新聞記者を集めまして、現地のそれに興味を持つバイヤーを誘致するわけでございますが、そうしてそこでまず見せてあっせんにかかるわけなのであります。まずその見せました商品、いわゆる出品者のうちの九〇%は中小企業、こうなっております。また引き当てあっせんをした件数が一万五千件に年間としては上っておりますが、そのほとんど大部分は中小企業であります。で、この大商社は、かりにニューヨークにしましてもロンドンにしましてもそうでありますが、広範に支店あるいは出張所、駐在事務所を配置しておるわけでありまして、そういうふうな引き合いとか、あるいは調査とかというようなものは、自分の手で大部分やっておるわけです。ただ、国際見本市というようなことになりますと、各国がそこでやります関係上、これは大商社も中小商社も一緒に参加をしておるのであります。  国際見本市について従来の例でいいますと、たとえばニューヨークでありますとか、フランクフルト、ブラッセル、シアトルの先進国で行われました日本見本市の出品の小間数のうちの七〇%は、これは中小企業関係になっておるというのは明白な事実なのであります。もちろんその大企業も大商社も参加はいたしておるのでありますが、大部分は中小企業ということになっておるわけであります。  これらのいろいろな国際見本市の参加あるいは市場調査あるいは貿易あっせん事業、その他広報宣伝にいたしましても、特にいなかの地方になりますと、もっぱら府県の商工部あるいは貿易課とかという所との連携を密にしてやっておるのでありまして、従いまして今、先生の御指摘のような点から察しますと、あるいはそういういなかの地方におきまして、中小のメーカーさんにまでやっていることが御了解願っていない、あるいはもっと利用しようという意気込みといいますか、心がまえができていないのじゃないかというふうに感ずるのであります。従来、大府県は別にしまして、いなかでは府県の商工部なり経済部との連携を実は中心にやってきておるのであります。まあ、今後ジェトロそのものの支部を拡充することによりまして、直接そういう中小企業の業界にも接触をさしたいというふうに考えておるのでありますが、まあ少くとも今までのところ、やっていることを数字的に調査をしますと、そういう結果に実はなるわけなのであります。しかしながら、従来資金的な制約もありまして、それぞれの仕事が十分できなかったこともあろうかと思います。従いましてその業界のすみずみにまで、いなかのその中小企業のすみずみにまで事業内容を御了解願っていなかった、あるいは御利用願っていなかったということはあろうかと思うのでありますが、少くともこれまでやってきましたことの大部分は、中小企業を基本的にやってきたということは、これは明白な事実であります。その点は一つ御了解を願います。
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 私のお尋ねしておるのは、あるいはいなかでないかというお話ですが、決して岐阜県とか山梨県の山奥で調べたのでなくて、神奈川県あるいは兵庫県あるいは大阪府を対象にして調べた。それから、あなたの今おっしゃった調査事業の中の受託調査件数ですね、局長さんが九百件とおっしゃったけれども、私の調べたのでは六百六十件、それからまたほかのことをやったとおっしゃいますけれども、調査件数にして昭和三十一年は八十五件しかない。そこでどういうところで中小が多い、中小が多いとおっしゃったかわかりませんから、きょうこの場でなくてもけっこうですから、どういう商店が多く利用したかということを、この法案審議終了される前に一つお知らせしていただきたいと思います。  その次にお伺いいたしますが、ジェトロの海外施設というのが現在ございますね、たとえばハンブルグとかテヘランとかシンガポール、クワラルンプール、これは全世界に幾つ出しておるのですか。
  107. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は地図に書きまして、どういう施設を世界各地に出しておるかというお配りをいたしておりまするので、これで一つごらん願いたいと思うのです。  大きく分けまして、調査員の中に派遣調査員、それから委嘱調査員、それから貿易あっせん所それから駐在員事務所、それからその他関係の組合、輸出組合でありますが、その共同施設をやっておりますが、一つこの表をごらん願いたいと思います。
  108. 阿部竹松

    阿部竹松君 それならいただいておるからわかるのです。私の質問するのは、海外に三十五の施設があって、そうしてドイツのハンブルグ、これは大蔵省が行っている。それからブラジルのサンパウロ、これも大蔵省、それからマライのクワラルンプールは農林省なんですが、出先がそれぞれ違う。ですからこの内容をお聞きしておるわけです。図面にちゃんと記号までついていただいておりますから、その点でなくて、そういう理由をお聞きしておるわけです。
  109. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) それは先ほどお尋ねの中の、海外貿易振興会の職員の中で官庁から行っている者が何名あるかということのお尋ねがありまして、大臣からもちょっとお答えがありましたが、別の紙でお配りをいたしておるのであります。  現在海外職員が七十四名のうち十二名が通産省、それから農林省、大蔵省関係から行っております。七十四名のうち十二名官庁から派遣をしておる、その理由になろうかと思うのでありますが、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、設立をしましてからまだ三、四年にしかならぬ、三団体が統合しましたのが二十九年でございます。それ以来この大学の卒業者をとりまして職員の養成にかかっているわけでありますが、なかなかまだ幹部といいますか、中堅職員になれませんし、大部分が民間から採用しておるわけであります。ところがなかなか地域によりましては、技術者を派遣しなければいけない。ところが技術者というようなことになりますと、どこの会社からもなかなか出してくれぬというようなことで、やむを得ず通産省の若手の技官から行ってもらうというようなものもありまするし、もちろんそればかりではありませんが、大蔵あるいは農林省方面からも、まあこの応援を願いまして、今御指摘のありましたように、通産からは七名、大蔵からは二名、農林から三名、要するに合計十二名行っておるわけです。先ほども、これは何か見物に、あるいは語学の勉強に出しておるんじゃないかというふうなあれもありましたが、決してそういうつもりではないのでありまして、行った者はそれぞれ非常によく働いておるので、いい報告もよこしておるのであります。決して民間から採用されて行った者と、劣らぬと申しますか、より以上の優秀な成績を上げておるのであります。しかし、これは過渡的に応援として各省から出しましたので、われわれといたしましては、振興会の職員が漸次充実するにつれて、官庁からの者は引き揚げるべきではなかろうかというふうに考えております。行く以上はもう役所と縁を切って、そのジェトロの職員になり切っていくということでなくてはならぬというふうに考えておるのでありますが、さしあたりのところはどうしても、民間からと申しましても、なかなか実際問題になりますと、いい人をなかなか採用しにくいというふうな面もあるわけであります。まあ現在程度の応援は、私は個人的にはやむを得ないかと思っておりますが、今後の方向といたしましては、できるだけやはりこのジェトロはみずから内部でもってそういう職員を養成して、他からの応援を求めずにいくべきではなかろうかというふうに考えております。
  110. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、新しい法案と関連してくるのですが、今のジェトロは全部吸収して機構改革をやって、二十億の金を出して実施すると、こうおっしゃるわけですが、それと関連して、たとえば農林省とか大蔵省あるいは通産省から、それぞれその衝に籍のある人が今まで入っておる。今後どうなるかということです。その人たちは、やはり通産省に籍のある方は通産省にやはり籍を置いたまま行くわけですか、その点はどうなんですか。
  111. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この建前は、現在行っております者は、一応退職したという格好で行っておるわけであります。しかし、二年なり三年なりいたしまして帰ってくるときには、それは元へ戻してやるというまあ約束のもとで行っておるわけであります。従いましてこれは全体の一部になるわけでありますが、行った者は各省へ帰られぬということではなしに、農林省にしましても通産省にしましても、事務官あるいは課長というものは数がありますので、人事のやりくりでそれをやっておるのであります。で、ただ、いろいろ誤解がありますのは、もうほんとうに役所をやめて行っている者は、これはもちろん自分の昔の役所に帰るということでなしに行っておる者ももちろんでございますが、これはもうやめて行っておるわけであります。今申しました海外へ行っておる十二名のごときは、これは一時役所から応援をしてやったということで、いずれ二、三年たったら元へ戻るという建前で行っておるのであります。法律的形式を申しますと、一応退職して退職金をもらって行っておる、従って元に戻ってきますと再採用というような関係になりまして、たとえば恩給の計算とか何とかになりますと、それだけ空白にもなる、若干不利になる、ずっと前からおった者と比べますと不利になるわけですが、それは、まあ話し合いで、納得の上でそういう応援隊を出しておる、こういうことです。
  112. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう関係はわかりましたが、そうしますと、現在ある施設も将来これはますます拡大して、国内のPR活動も大いにやるというのですから、国内施設もどんどんこれはあれですね。また拡張していくということになりますのですね。  もう一つお伺いするのは、たとえば通産省なら通産省からニューヨーク、あるいはほかへ通商官という何名かの人が行っているところがございましょう、そういう人の関係はどうなりますか。
  113. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在通産省から、いわゆる在外公館へ派遣されている、身分的には外務省事務官になって行っておるのでありますが、一応その一時的にせよ外務省に籍を移しまして、外交官になって行っている者が現在三十名ございます。で、ニューヨークについて見ますと、現在二名、最近一名行きましたが、二名になっております。これと貿易あっせん所との関係ということになるわけでありますが、これは率直に申しまして非常にうまくいっていると申し上げてよかろうかと思います。私も一時ワシントンの大使館に御厄介になったのでありますが、通産省出身の人間がおるところとおらないところと比較してみますと、非常にこの両者助け合ってうまくいっておるわけです。で、その仕事上の重複があるかないかという問題、これは全然ございません。もう毎日のごとく顔を合わせ電話であれして、まあこの商品ごとのいろいろの引き合いの調査とか、あっせんとかいう問題は、在外公館にきたやつは全部あっせん所の方に回していただきまして、そこで処理をしていく。あまりむずかしい一般的な調査事項になりますと、在外公館の方に頼んでやります。両者がダブらぬように表裏一体となってやっておるのであります。で、こういうあっせん所等の機関の持ち味というものが、その現物を見せて、商品を見せて、そこでいろいろ引き合いをするということをやるのでありますが、これは在外公館では実はできないわけでありまして、そういう面につきましては在外公館も応援をして、たとえばカン詰ならカン詰、あるいは絹織物のショウをやるときには、在外公館長みずから音頭をとりまして人を集め、あるいは新聞記者集めをやる、業界にも話しかける、パーティにも出てあいさつをして、できるだけ公私とも集まりをいたしまして効果を上げていく、こういう次第であります。通産省から行っている者と、それからジェトロの現地職員とは非常にうまくいっているのであります。一、二在外公館との関係で摩擦があるという意見も聞くのでありますが、まあ人間の社会でありますので、全然そういうことはないとも言い切れぬのでありますが、こういう機関といたしましては、私は両者の関係は百パーセント円滑にいっていると申し上げていいのじゃないか。戦前におきまして、この在外公館と、それからその当時の貿易組合中央会が出しておりました現地職員との関係は若干摩擦があったのであります。そういうことからあるいはそういう摩擦があるのじゃないかという過去の先入主というようなことから議論をされる向きもあるのであります。私は、現在のところ中央におきましても通産、外務、非常に連絡を密にしてうまくいっておりまするし、現地におきましても摩擦はほとんどない、こう申し上げていいんじゃないかと思っております。まあ、人間の社会でありますので、これは人の性によりまして若干ごたごたがある人もあったかもしれぬと思います。まあ、大よそこういう制度としてみれば間違いなく円滑に私はいっていると、こう思います。
  114. 阿部竹松

    阿部竹松君 松尾局長のおっしゃる通りうまくいっていれば問題ないのですが、たとえばこれは国交回復しておらぬから通商官は行っておらぬでしょうけれども、去年の北京の見本市で問題になった日本商品の万年筆、あれなどもまことにけしからぬ、日本の商品はもうごまかしじゃないということが新聞とか、ラジオに出まして、私ども大阪まで行って見ましたところが一ダース二百円から二百二十円なんです、僕は、一本大体二百二十円か、二百五十円かと思いましたら、一ダースが二百二十円か、二百五十円で売っているのです。それなんか悪いのが当然なんです。悪くてもいいという条件で買っているのですから。しかし、そういう裏面を書かぬで、表面だけ書いて、日本商品はけしからぬと言っている。イギリスは日本をレッテルどろぼうだと言っている。そういうことはイギリスに通商官も行っておりますし、ジェトロが完全に機能を発揮しておればそういうことにならぬ。どろぼうはお互いさまです。こういうことを一方的に日本が押しつけられております。これを直そうというのが今度の構想かもしらぬが、それが全然うまくいっておらぬ。それをどういうふうにするか、ただ機構を変えて、簡単に法律の条文を作り直して、そうして今度法人格を変えたとおっしゃっても、そう局長のおっしゃるように、簡単に効果が上るとお考えになるわけですか。
  115. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 中共の場合は、これはちょっと事情が違いまして、今もお話がありましたように、要するに何ぼのものという、値段で取引したのであります。そこでそういうものは、たとえばアフリカ向けのこういうものなんだ、それでもいいというようなことで出たわけであります。御承知のように、日本は先進国にも売っておりますが、まあ、何というか、アフリカの土人向けの商品も売っているようなわけでありまして、中国にそういう万年筆を出す場合、いわゆる文房具としての万年筆を出さなくちゃならなかったわけでありますが、値段の点で、それでもいいというようなことだったというようなことで、まあいわばデコレーションとしての万年筆が出たというようなことであの問題を起したのであります。われわれの方の輸出検査の面におきましても若干不備の点もあったようでありまして、その点は関係の機関あるいはその関係の検査員についてもそれぞれ必要な処置をしたのであります。また各国のデザインの模倣といいますか、盗用という言葉を言うと、またおしかりを受ける面もあろうかと思いますが、この点につきましても、確かにわれわれ日本の商社、メーカーとして反省すべき点はあるんじゃないかというふうに思っております。もちろん外国人が日本のデザインを盗用する場合もありまするし、その事例も現地からそれぞれ報告も来てはおりまするが、まあ人の悪い場合を責めることはもちろん必要でありまするが、われわれの方の側の手落ちにつきましては、これは深く反省をして、そういうことのないようにいたさなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、イギリス関係につきましては、確かに日本側の方が悪かった場合の方が多いのであります。そういうことから、デザインの進歩、改善という面と同時に、そういう模倣とか、盗用というようなものを防止しなくちゃいかぬということが、一つの輸出振興施策の一環になっておるわけであります。これにつきましては、今三つのデザイン・センターを設けまして、その防止をいろいろやっておるわけであります。これとても最善とはいえぬと思いますが、いろいろ措置をいたしておるのであります。
  116. 阿部竹松

    阿部竹松君 もう一つやるそうですから、私もう一点だけお伺いして、あとの質問は次回に譲りますけれども、今の局長の御答弁が親切丁寧これきわめておるので、時間は多くかかっても一向要領を得ないのですね。私ありがたいのはありがたいんですが、時間使った割にさっぱり能率が上らぬので、気がもやもやしてきたので、最後に一点お伺いしておきますが、これが出発しますね。今回これがオーケーということになりまして、中共とどういう関係になりますか。たとえば総理大臣と、政府と関係を持った理事長とか、役員ができますし、今度は、今までと違って政府から相当太いワイヤ・ロープがつくわけですね。それで中共へ行ってどんどんやってもいいということになりますか。その点いかがですか。
  117. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は、海外貿易振興会の共産圏関係の事務の問題なんでありますが、これにつきましては、いろいろな制約もありますしいたしまするので、まあ三十三年度の事業規模程度からいけば、中共関係につきましては、やはり従来通り日中輸出入組合が中心になってやっております。それと国際貿易促進協議会が中心になってやっておるわけでありますので、まあ中共関係のいろんな、そういう見本市とかいろんな市場調査というものは、やはりそちらの方におまかせをして、少し様子を見た方がいいのじゃないかと思っております。  それからヨーロッパにおきます東欧の共産圏諸国につきましても、こういうジェトロの職員がやりますよりは、在外公館でやった方が便利の場合が非常に多いのでありまするので、さしあたりは、さきの人員の配置上でも御存じの通り、まだ全世界のすみずみまで行き渡るほどの人間を派遣するほどのまだ体制に至っておりませんので、共産圏との関係につきましては、もう少し事態が進んだ上で考えてみたい。さしあたりは、それぞれの機関でやっていただく方がよかろうじゃないかというふうに考えております。
  118. 阿部竹松

    阿部竹松君 在外公館でやった方が便利でいいといったところで、中共には在外公館はないでしょう。あなたのおっしゃる御答弁では、在外公館でやった方が便利であるといっても、ないものは、どうにもならない。  もう一つは、こういうことなんですか。暫時見るということは、将来こういう機関でもって中共貿易を取り扱うということなのか。岸総理は善隣友好と言うんですから、ですから将来取引をジェトロを通じてやる、頼まれればということなのか。その点を一つと、もう一点は、それを全然やらないものかという、イエスか、ノーかでけっこうですから……。  それからもう一つ、中共貿易もしだめだということになれば、そういうところに携わっている人は、今回のこの法案の決定後も恩恵を受けない、こういうことになるのか。これも、イエスか、ノーかでいいですから。それだけです。
  119. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 中共につきましては、現在日中輸出入組合が処理しておるわけです。あそこにおきます見本市にいたしましても、いろんな事務はあそこの団体がやっておるわけです。また国際貿易促進協議会もやっておるわけです。またそこへジェトロが入っていくということは、若干摩擦の面もあろうというふうに考えまするので、しばらくは今の日中輸出入組合なり国際貿易促進協議会の方にまかせておく方がいいのではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、将来事情によりましてはもちろんジェトロが入っていく必要があれば入っていっていいんじゃないかと考えております。現在の日中輸出入組合なりの事業につきましては、それぞれ別に予算を見ておるわけであります。     —————————————
  120. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではまだ御質問もあると存じますが、本日はこの程度にして、次に工業用水道事業法案を議題といたします。まず、本案の内容について御説明を願います。
  121. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 工業用水道事業法案内容の概略につきましては、前に提案理由のときに御説明いたしたと思いますので、その法案内容について条文のおもな点を拾って御説明申し上げます。  第一条は、目的は、前の提案理由で御説明いたしました通りでございますが、要するにこの事業法の目的は、工業用水の重要性にかんがみて、工業用水道事業の運営を適正かつ合理的ならしめるためのものであります。そのような事業につきましては、第二章——第三条以下におきまして事業の届出及び許可制の規定を設けております。工業用水道事業は御承知のように、その大部分の場合が地方公共団体でございますが、地方公共団体は、その団体の性質からいって地方の発展、福祉をはかるのが本来の趣旨でございますので、地方公共団体の場合には一応六十日前までの届出ということで事業の確認をいたします。しかしまれな例でございますが、地方公共団体以外で事業を営みます場合には、やはり工業用水道のいわゆる公共性にかんがみまして、これには許可制をとっております。しかし、地方公共団体が事業を営みます場合の届出の場合にも六十日前の事前届出という形にいたしまして、第五条の許可の基準に合致——失礼しました。六十日前までの事前届出にいたしまして、その事業内容等につきましては、後ほど御説明をいたします施設基準に合致しておるかどうかというような問題について十分検討いたしまして、もしその場合に、事業内容等に問題がございますれば、適当な行政指導なり、あるいは内容いかんによっては工事設計の変更等の指示をするような仕組みにいたしております。実際上は地方公共団体の事業内容にあやまちなきを期しておる次第であります。  次に、第五条の場合は許可の基準を掲げておりますが、これは第三条第二項に掲げておりますような、地方公共団体以外の者が事業を営みます場合の許可の場合の基準をここに掲げておりますが、この中にございますように、特にその許可に際しましては、やはり施設基準に適合しておるかどうかというような点も、特に十分審査をして参りたいと思います。  次に第六条でございますが、これは地方公共団体である工業用水道事業者が、先ほど申しました届出によって事業をやるわけでございますが、その場合の給水能力、給水区域等事業の非常に重要な点につきまして変更をしようとする際には、やはり事業開始のときとほぼ同様な指導が必要であると思われますので、四十日前の事前届出制という制度にいたしておるわけであります。地方公共団体以外の者がそのようなことをやります場合には同じく許可制をしておるわけであります。工業用水道事業は、その水道、工業用水を受ける方の工場の側からいいまして、まあ法律趣旨にも書いてございますように、豊富低廉でしかも安定した供給を受けることが必要でございますので、そういう意味から第九条におきまして工業用水道事業者が勝手に事業をやめ、あるいは廃止をやるというようなことでは困りますので、この場合にもそれぞれ休廃止につきましては届出あるいは許可の制度を設けているわけであります。  次に第三章におきましては、先ほど申しました工業用水道事業を営みます際に、やはりその施設ができるだけ経済的に、しかも安全度の高い施設であることが必要でございますので、そのような意味から第十一条にそれぞれ施設基準を設けております。このような施設基準に合致することの要件を備えることを法律の上でも要求いたしております。そのような施設基準を設けまして、その施設基準に適合しないために工業用水道事業の運営が、適正かつ合理的な運営に支障がある、あるいは公共の安全を害するおそれがあるというような場合には、第十二条によりまして、通産大臣はその工事設計の変更を指示することができるようになっておりまして、これが先ほど申しましたように、地方公共団体の場合におきましても、事前届出の際等におきまして、このような事実上の指導等なりを実施して参る仕組みになっております。  なお、そのようにしてできました工業用水道事業の施設につきましては、先ほど申しました工業用水を要求する方の側が、やはり安定した供給を受けなければならないし、また工業用水道の事業には、やはりその貯水池でありますとか、あるいは道管にある程度圧力をかけるような、水圧をかける等の関係もございますので、公共の安全というような点もございます。そのような意味から第十四条におきまして、施設基準に適合するように、当初の、設置当初だけではなくて、その後においても施設基準に適合するように維持することを法律で要求いたしておりまして、そのような点に支障があります場合には、やはり改善するように指示することができるように十四条に規定をいたしております。  さらに第四章に参りまして、そのようにして、なお工業用水道事業者が事業を営みます場合には、工業用水道事業の公共性にかんがみまして、また工業用水を要求する方の工場の立場からいたしますと、途中で工業用水を中断をいたしますことは、工場にとって非常な大きな問題であります。そういう意味から申しまして、給水義務を第十六条に規定をいたしておりますが、工業用水道事業の公共性にかんがみまして、このような趣旨の規定を設けたわけでございます。  なお、工業用水はやはりその利用する工場の側にとって、できるだけ低廉な、経済的な値段であることが必要でありますし、しかしまた同時に、工業用水道事業として安定的な経営が行われなければ工業用水の安定供給もできないわけでございますので、そのような意味合いで供給規程を第十七条に設けることを規定しておりまして、この供給規程の第十七条の第三項におきまして、供給規程にはこのような条件に適合することが必要であるというような規定を設けております。地方公共団体におきましては届出、それ以外の事業者が営む場合には認可ということにいたしております。  さらに最後に第二十条におきまして、工業用水道事業の重要性にかんがみまして、第二十条の規定で特に事業者に対しまして、工業用水道の布設につきまして国家が必要な資金の確保その他の援助に努める宣言規定を設けております。従来も御承知のように、ある程度補助金あるいは起債のあっせん等をして参っておりますが、そのような国の援助について特に明文を設けたわけでございます。  第五章の雑則におきまして、第二十一条の自家用工業用水道の規定をいたしておりますが、最初に申しましたように、この法案は工業用水道事業法律でございますので、事業でない、いわゆる自家用のものにつきましては、本来直接の規制対象ではないわけでございますが、しかし工業用水道事業によって供給される工業用水と、自家用に使われる工業用水とは相互に補完関係に立つわけでございます。また工業用水は、御承知のようにその水源等につきまして、だんだんと水源が少くなりつつあるというようなことにもかんがみまして、自家用、工業用水道の実情をよく把握する意味合いにおきまして、二十一条で届出の規定をしていただくように規定をしておるわけでございます。  なお、この全体の規定の中には工業用水道事業の、相関連いたしまして、事業を営むための土地の立ち入りでありますとか、あるいは土地収用ができるような規定も入っておりますし、さらに、第二十二条等におきましては工業用水道事業の今後の育成強化のために水源調査もやるようにいたしております。  なお最後に付則のところでは、第二項以下に経過規定を設けまして、現在すでに事業を営んでおる者等につきましては、経過的な簡易な措置をとるようにいたしておるわけであります。  以上、法案の大体の骨組みを、条文のところについて御説明を申し上げました次第であります。
  122. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、本日は、この程度にいたしまして散会いたします。  次回は、明日午後一時に開会いたします。    午後四時十七分散会      —————・—————