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1958-02-27 第28回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十七日(木曜日)    午後一時五十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            古池 信三君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小滝  彬君            小西 英雄君            西川彌平治君            高橋進太郎君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            椿  繁夫君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君  国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君    国 務 大 臣 河野 一郎君  政府委員    経済企画庁長官    官房長     宮川新一郎君    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    経済企画庁総合    計画局長    大來佐武郎君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選日本貿易振興会法案内閣送付、予  備審査) ○中小企業信用保険公庫法案(内閣送  付、予備審査) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○経済自立発展に関する調査の件  (新長期経済計画に関する件)  (昭和三十三年度経済計画に関する  件)  (昭和三十三年度経済企画庁関係予 算に関する件)     —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を開会いたします。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  本日付をもって高橋進太郎君から、都合により理事辞任いたしたい旨の辞任願いが提出されました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行いたいと存じますが、互選方法は、慣例により、委員長の指名に一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議なしと認めます。それでは理事に古池信三君を指名いたします。     —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 本日は、日本貿易振興会法案中小企業信用保険公庫法案及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案予備審査で付託になっておりますので、まずこれらの三案を上程いたしまして、提案理由説明だけ聞きまして、審議は後日に譲り、引き続き、経済自立発展に関する調査を行い、公報でお知らせいたしましたように、新長期経済計画等について経済企画庁長官及び政府委員から説明を聴取し、引き続き質疑を行いたいと思いますが、この点御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより三法案について提案理由説明を求めます。
  7. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま予備審査に付託されました日本貿易振興会法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  今さら申し上げるまでもなく、わが国経済基盤拡大し、その発展をはかりますためには、輸出振興することが絶対的に必要であります。政府におきましても、つとにその重要性に思いをいたしまして、先般来輸出金融改善、税制上の優遇等輸出振興するに必要と思われる種々施策実施に留意してきた次第であります。しかしながら、輸出振興をはかりますためには、かかる制度的改正のみをもっては十分とは言えないのでありまして、海外市場調査国際見本市への参加広報宣伝活動等のいわゆる貿易振興事業を強力に推進する必要があるのでございます。  この必要性にかんがみまして、従来財団法人海外貿易振興会に対し補助金を交付し、これら貿易振興事業実施させていたのでありますが、国際収支を根本的に改善し、わが国経済長期にわたり安定的に拡大せしめる素地を作るためには、これら貿易振興事業を強力に実施する中枢機関設立し、その行う事業を大幅に拡充強化する必要があるのでございます。このため、政府におきましては、この貿易振興事業実施中枢機関として、今日提出いたしましたような日本貿易振興会構想をとりまとめまして御審議をわずらわすことといたしたのであります。  すなわち、この法案は、以上の趣旨に従いましてわが国貿易振興に関する事業を総合的かつ効率的に実施することを目的といたしまして日本貿易振興会設立しようとするものでありますが、その事業運営に際しましては、中小企業のための貿易振興に特に重点を置く所存であります。すなわち、中小企業につきましては、わが国貿易に大きな比重を占めているにもかかわらず、経済的負担能力が乏しく十分な海外活動ができない実情にありますので、海外市場動向把握とか商品海外宣伝等につき、特別の便宜をはかる必要があるのでございまして、日本貿易振興会事業運営に当りまして、この点に遺憾なきを期する所存であります。  次に、この法案要旨を御説明いたしますと、まず第一に日本貿易振興会資本金は二十億円とし、経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律により、その全額を政府が出資することにいたしました。  第二に、振興会役員としましては、理事長、副理事長理事及び監事を置くこととし、理事長、副理事長および監事通商産業大臣が任命し、理事理事長通商産業大臣承認を受けて任命することになっております。  なお、振興会の行う事業民間業界と特に密接な関係がある点にかんがみまして、民間学識経験者をもって構成される運営審議会を設置し、振興会運営に当って、民間の創意を取り入れ、弾力的な運営をはかり得ますよう特に留意いたしました。  第三に、振興会の行う業務でありますが、日本貿易振興会設立目的に従いまして、おもな業務としましては、貿易に関する調査及びその成果の普及、わが国産業及び商品紹介宣伝貿易取引のあっせん、博覧会見本市等の開催または参加等業務を行わせることといたしたのであります。なお、これらの業務実施に当りまして中小企業のために重点が置かれることは、先ほど申し述べた通りであります。  第四に、振興会の財務及び会計でありますが、振興会は毎年、事業計画資金計画及び収支予算につきまして、通商産業大臣認可を受けなければならないこととしたのを初めとして、振興会の財務諸表、借入金、重要財産処分等についても通商産業大臣認可または承認を受けなければならないこととし、また余裕金運用につきまして一定の制限を付し、振興会会計適正化をはかった次第であります。  第五に、振興会は、通商産業大臣監督に服するのでありまして、通商産業大臣は、振興会に対して監督上必要な命令を発し、または報告を徴し、所属職員をして立ち入り検査ができることといたしました。  最後に、振興会設立に関する事務は、通商産業大臣が任命する設立委員に処理させることといたしますが、設立に当りまして財団法人海外貿易振興会の一切の権利義務を包括承継することといたしまして、従来行なってきた貿易振興事業継続に支障を来たさないようにいたしました。  なお、このほか振興会に対する課税を減免するため、各種税法の一部改正を行いまして、振興会業務運営に遺憾なきを期した次第であります。  以上、簡単でございますが、この法律案及びその要旨を御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。  次に、中小企業信用保険公庫法案について、提案理由を御説明申し上げます。  従来中小企業に対する金融対策としては、中小企業金融公庫国民金融公庫商工組合中央金庫等中小企業専門金融機関貸出資金量増大を初めとして種々施策を講じて参ったのでありますが、元来信用力物的担保力の不足のゆえをもって、通常の金融ベースには乗りがたい中小企業に対して、資金融通を円滑に行うためには、融資資金源増大のほかに、信用補完制度拡充強化がきわめて必要とされるのであります。  この信用補完制度としては、現在中小企業信用保険特別会計による保険制度信用保証協会による保証制度とがあり、逐年その制度改善が行われて今日に至っておりますが、その利用状況は飛躍的に増大し、制度発足以来昭和三十二年十二月までの利用額の累計は、保険制度において千五百八十四億円、保証制度において四千四百億円に達し、中小企業金融円滑化のために多大の貢献を果して参りました。しかしながら、両制度機能並びに業務分野については、かなり重複する面があるのみならず、また、その業務運営及び事業経営の基礎となるべき資産状況についても、なお幾多改善の余地が見受けられますので、信用補完制度の一そうの合理化強化をはかるためには、両制度機能並びに業務分野調整を行うとともに、その機構についてもこの際画期的な整備を行うことが適当であると考えられるのであります。  このような理由によりまして、先般金融制度調査会に諮り、このほどその成案を得ましたので、政府といたしましては、その趣旨にのっとり、機構整備の面については、従来の中小企業信用保険特別会計発展的に解消して中小企業信用保険公庫を創設し、昭和三十三年度において一般会計から八十五億円を出資し、その中二十億円を信用保証協会保証増大に充てるための原資としてこれに貸し付けることとし、中小企業信用補完制度に関する機構強化機能拡充に資することとした次第であります。  すなわち、この法律案は、以上の趣旨に従いまして、中小企業者の債務の保証等につき保険を行うとともに、信用保証協会に対してその業務に必要な資金融通することにより、中小企業者に対する事業資金融通を円滑にすることを目的といたしまして、中小企業信用保険公庫設立しようとするものであります。  次に、この法律案要旨を御説明いたします。  まず第一に、中小企業信用保険公庫資本金は、政府一般会計からの出資金二十億円、経済基盤強化のための資金および特別の法人基金に関する法律規定により、政府から出資された六十五億円および中小企業信用保険特別会計から承継する現有資産の額の合計額をもってこれに充てることといたしました。  第二に、公庫役員としましては理事長一人、理事三人及び監事二人を置くこととなっております。  第三に、公庫の行う業務でありますが、公庫設立目的に従いまして、おもな業務としては、中小企業信用保険法に基く保険業務及び信用保証協会に対する事業資金貸付業務を行わせることとしております。なお、業務方法並びに事業計画及び資金計画につきましては、主務大臣認可を受けなければならないこととしております。  第四に、公庫会計でありますが、その予算及び決算につきましては、公庫予算及び決算に関する法律の定めるところにより、国会承認を受けることになっており、利益及び損失の処理につきましては、損失が生じましたときは利益積立金および資本金を取りくずして整理し、利益が生じましたときは、資本金減額分を埋めるほか、利益積立金として整理することとしております。また、余裕金運用につきましてはすべて資金運用部に預託して行うこととしております。  第五に、公庫についての主務大臣は、通商産業大臣及び大蔵大臣とし、両大臣がその監督を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。なお、保険保証制度業務分野調整につきましては、中小企業信用保険公庫法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案を引き続いて提案いたす所存であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。  次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業振興に必要な長期資金を供給するため、昭和二十八年八月政府金融機関として設立されて以来、主として中小企業設備資金の供給を通じてその合理化近代化の促進に重大な貢献をしてきたのでありますが、中小企業資金需要増加に伴い、その事業規模も逐年拡大の一途を辿り、その貸出残高昭和三十三年一月末現在で約八百四十億円に達することとなりました。  しかしながら、最近の目ざましい経済事情の進展に伴い、中小企業合理化近代化を促進する必要性がさらに強まりつつある現状にかんがみ、中小企業金融公庫がこの面において果す役割もますます増加するものと考えられますので、政府昭和三十三年度財政投融資計画におきましても、同公庫貸付規模を本年度より増加して五百七十億円程度とするよう配慮した次第であります。このような貸付規模増加に伴い、公庫業務を円滑に遂行するためには、その機構を充実強化する必要があると考えられますので、この際中小企業金融公庫法の一部を改正し、もって業務拡大の実勢に即応せしめたいと考える次第であります。なお、この際貸出対象についてもあわせて所要改正を行いたいと考えております。これが本法案提案した理由であります。  次に、本法案概略を御説明申し上げます。  第一は、公庫法第二条に規定する公庫貸出対象のうち、環境衛生同業組合及び同連合会に関する規定について改正を行うことであります。環境衛生同業組合及び同連合会は、昭和三十二年九月、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律施行により、中小企業金融公庫貸付対象となったのでありますが、これを貸付対象とした趣旨は、その組合及び同連合会中小企業者を主体として構成されているものであるからであり、従って、この際これを明確化するため、その直接または間接の構成員の三分の二以上が、常時三十人以下の従業員を使用する者であるものを貸付対象としようとするものであります。  第二は、代表権を有する副総裁を置くことであります。中小企業金融公庫業務は、前述のように資金量増加に伴い逐年増大しており、その内容複雑多岐にわたると同時に、その機構発足当時に比較して著しく拡大している現状にかんがみ、今般代表権のある副総裁を置きまして、機構の充実をはかり、もって公庫業務をその実情に即応して円滑に遂行し得るよう、その体制を整備しようとするものであります。  以上が、法案内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、可決せられますようお願い申し上げる次第でございます。
  8. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上で提案理由説明は終了いたしましたが、審議は後日に譲ります。  速記とめて。   〔速記中止
  9. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記起して。     —————————————
  10. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは次に、経済企画庁長官説明を求めます。
  11. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) このたび、参議院商工委員会が開催せらるるに当りまして、企画庁長官としてわが国経済運営に関し、主として来年度基本構想及び長期経済計画観点より一言ごあいさつ申し述べたいと存じます。  まず、来年度経済運営基本的構想について申し上げます。昭和三十二年度経済推移を見まするのに、前年度からの高度の成長のため、国際収支の急激な悪化を招き、昨年五月以来、金融引き締め措置を初めとする緊急総合対策実施して参りましたが、最近に至るまで、全般的には順調に対策の効果が具現せられて参りました。すなわち、最近におきましては、生産調整が進展いたしますとともに、設備投資も急減いたしまして、鉱工業生産は、年度当初の異常な生産上昇が鈍化し、年度間を通じ、前年度に対し一〇%程度増加となる見込みであります。また、卸売物価は、昨年四月の最高時に比して、食料を除き一割程度の下落を示すに至っております。さらに国際収支は、輸出が高水準を続け、本年度間を通じて二十八億三千万ドルは十分達成できる見込みとなり、輸入は漸次減少しておりますので、実質一億三千万ドル程度の赤字に圧縮できるものと見られ、予想外改善を見るに至りました。  かように最近の国内経済は着実に調整過程が進行して参りましたが、今後内外経済情勢推移には微妙なものがあると思われますので、その動向には一そう注意いたしまして、機動的、弾力的政策をもって対処して参りたいと存じております。  かような観点から、私は内外経済動向を一そう精密かつ的確に把握いたしますとともに、各般経済施策が的確な経済見通しに立脚し、しかも、景気の局面に即応して弾力的に運用される必要を痛感するものであります。このため昭和三十三年度におきましては、以上の趣旨にも沿うて経済企画庁機能拡充強化をはかることとし、所要改正法案を目下本国会に提出している次第であります。  さて、昭和三十三年度経済について申し上げますと、国際的には、米国景気の低迷、西欧経済調整継続後進国経済購買力不足等事情があり、世界経済のかなめとなる米国経済につきましては、何らかの景気調整対策が講ぜられるといたしましても、年度内に世界経済全体として再上昇を期待できるかどうかは、なお今後の情勢推移を待たなければなりません。他方、国内的には、経済活動調整の余波がある程度存続することが予想され、今後経済の安定と均衡を回復して参りますためには、従来のような高度の経済成長率を期待することは困難であります。かような内外経済情勢にかんがみまするときは、国内的な面で経済諸因を過度に刺激するようなことがありますれば、再び対外均衡を失するおそれなしとしません。  従いまして、当面の経済計画といたしましては、対内対外均衡をはかりながら、輸出伸張を中軸として着実な経済成長を実現いたしますとともに、この間において、さきに決定した新長期経済計画の要請を極力充足することを基調としなければならないと存じます。この見地から、昭和三十三年度経済計画の大綱を、本年一月三十一日策定いたしたのでありますが、昭和三十三年度経済目標は次のように実現されることを期待いたしております。  すなわち、貿易につきましては、輸入は三十二億四千万ドル程度と見込まれ、輸出は三十一億五千万ドルの目標をぜひとも達成いたしまして、国際収支では、貿易外収支を含め、実質で一億五千万ドル程度の黒字を確保することといたしております。また、民間投資は多少の減少はありますが、政府支出は若干増加し、消費も健全ながら所得増加に伴って幾分増大し、輸出伸張と相待って鉱工業生産水準は、昭和三十二年度に比べ四・五%程度上昇となり、他方農林水産生産水準も豊作といわれた昭和三十二年度に比し一・四%程度増加となる見込みであります。卸売物価は、年度間を通じて、おおむね現在程度の比較的低い水準推移するものと考えられます。さらに、雇用者数におきましては、前年度に比べ、六十五万人程度増加が期待されます。以上の結果、国民総生産は約十兆二千億円となり、前年度に対して実質三%程度経済成長を見ることとなりますが、この国民総生産規模は、新長期経済計画昭和三十三年度において想定いたします水準にほぼ合致することとなるのであります。  ところで、わが国経済長期にわたって安定した発展を遂げますためには、長期的観点からわが国経済の特質に基く問題点とその解決の方向を把握し、所要施策を総合的かつ着実に実施して参らねばならないと存じます。ことに、昨年の貴重な体験にもかんがみまして、過度の経済の動揺はこれを避けながら、年々適正な規模と速度の経済成長を確保して参りますためには、今後政府民間企業国民の全体を通じてその経済活動の基準となるものが必要であります。  このような観点から、民間有識者多数の御検討を経て、昨年十二月新長期経済計画を決定した次第であります。本計画は、完全雇用への接近と国民生活水準の着実な向上を念願といたしまして、昭和三十三年度から三十七年度にいたる五カ年間において、年平均六・五%の経済成長を持続し、最終年度においては、昭和三十一年度に比し、国民総生産で四〇%、一人当り消費水準で三八%、輸出規模通関ベース)で八二%の上昇をはかり、雇用者は約五百万人の増加を期待することといたしております。  もとよりこの経済成長率雇用の面からは極力高度なものであることが望ましいのでありますが、国際収支資本蓄積制約等からいたしまして、この程度が安定的な経済成長の限度と考えられるのであります。しかも、本計画達成は、政府国民の特段の努力を前提といたしておりますので、政府国民各位の御協力のもとに、その実現のために全力を傾注して参る所存であります。すでに明年度予算の編成に当りましても、この計画推進のかぎである輸出振興、道路の近代化を中心とする輸送力の増強、科学技術振興中小企業及び農業対策等につきましては格別の配慮を加えた次第であります。政府は、今後ともこの計画を指針といたしまして、各般施策に反映させるとともに、実績との検討結果を公表いたしまして、常に計画達成への努力を怠らない決意でございます。  以上、簡単ながら経済企画庁長官として所信の一端を申し上げた次第でありますが、今後の経済運営に当りましては、委員各位のなお一そうの御協力をお願いいたす次第であります。     —————————————
  12. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、経済企画庁関係予算について官房長より説明を願います。
  13. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 経済企画庁関係予算につきまして、簡単に御説明を申し上げます。  経済企画庁全体といたしましての三十三年度予算要求額は、総額二十九億九千五百二十五万八千円でございまして、前年度予算額二十三億二千四百七十六万九千円に比較いたしまして六億七千四十八万九千円の増額に相なっております。  この内容項目別に申し上げますと、経済企画庁の欄におきましては、ここに計上いたしておりまする経費は、企画庁の一般庁費、運営費並びに長期計画、一年次計画の策定に伴う経費国際経済協力その他基本的な経済政策の立案に要する経費、並びに経済動向調査分析経済白書等報告書の作成に要する経費でございまして、総額年度要求額は二億八千九十五万二千円でありまして、前年度二億四千六百五十万五千円に対しまして三千四百四十四万七千円の増額になっております。  このうちおもなものを申し上げますと、経済動向調査分析を的確に行いますとともに、基本的な経済構造経済循環を基礎的に研究いたしまするために一局を増設することといたしまして、定員増加三十名を要求いたしております。この関係経費は千三百八十六万三千円でございます。さらに、海外経済調査を充実いたしまするために七百十一万四千円を要求いたしておりまして、前年度より二百十三万円の増額になっております。さらに、景気観測強化いたしまするために、二千二百三十四万八千円を要求いたしまして、前年度に比べまして一千百六十万三千円の増額になっております。なお、金額は小そうございますが、経済企画庁長官に対して経済動向分析経済運営基本的態度等につきまして意見を申し述べる機関といたしまして、非常勤の参与を三名配置することといたしまして、この関係経費が三十六万計上いたしてございます。さらに、新しい局の運営費といたしまして、四百四十八万五千円を要求いたしております。  前年度より減りましたものは、三十二年度で終りました国富調査関係の六百九十三万二千円が減っております。その他、事務運営を能率化する意味におきまして、若干の節約を加えまして、総額におきまして三千四百四十四万七千円の総額になっておる次第でございます。  第二に、国土開発調査費の項におきましては、前年度千五百九十七万四千円に対しまして、三十三年度千九百七十七万八千円計上いたしました。三百八十万四千円の増額になっております。この経費は、国土総合開発法、電源開発促進法、離島振興法等の法律運営に要する経費、並びにこれらの法律に基きます各種審議会の運営に要する経費でございます。なお、この項におきましては、三十三年度におきましては新しく九州の開発調査を行いますだめに、新規に五百万円を計上いたしております。  第三に、土地調査費の項におきましては、一億八千五百二十七万二千円を要求いたしまして、前年度に対しまして四百十四万四千円の増額になっております。これは、国土開発並びに保全その他国土の利用の高度化をはかるために、国土調査法に基きまして、基準点測量でありますとか、土地分類調査でありますとか、水調査を地方公共団体に委託いたしますとともに、地方公共団体が行なっておりまする国土の調査を補助するための経費でございます。  第四に、国土総合開発事業調整費といたしましては、前年度五億に対しまして、三十三年度要求額は五億五千万円を計上いたしまして、五千万円の増額になっております。これは国土総合開発法に基きまして開発事業を行いまする経費でございますが、原則として各省、各庁に公共事業費として計上いたしてはありますが、全国的に各省庁に計上された事業費を調整するための費用として計上しているものでございます。  最後に、離島振興対策事業費の欄におきましては、前年度十三億八千百十六万二千円に対しまして、三十三年度要求額は十九億五千九百二十五万六千円、五億七千八百九万四千円の増額になっております。この経費は、離島振興法に基きまして、治山治水、港湾、道路等、国が直接工事を施行いたしますもの、並びに地方公共団体が行なっておりまする公共事業、電気導入事業に対する補助を行う経費でございます。この関係経費は三十二年度まで各省、各庁に計上されておったのでありまするが、この経費の総合的、統一的運営をはかりまするため、三十三年度より経済企画庁に一括計上することといたしまして、各省、各庁に移しかえをして、予算実施していく、こういうことにいたしておるのであります。  簡単でございますが、経済企画庁関係予算を申し上げました。
  14. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 以上で説明は終了いたしましたので、引き続き質疑を行います。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  15. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 経企長官にお尋ねする前に、この今の御説明内容と違いまするけれども、経企長官になられて、われわれの委員会においでになるようになってから、経企長官は一ぺんも、お約束を守ったことは全然ないわけです。特に例を上げてみても、前回の委員会のごときは、一週間も前から約束をしておったわけです。ところが、われわれ議員が全部集まってみると、経企長官はきょう神奈川に行きました。何で行ったかと言ったところが、御親戚に御不幸ができたということでございましたので、前々から経企長官に両三度してやられたこともありますけれども、御親戚の不幸であればやむを得ないということでわれわれは了承した。ところが、実はその点は、経企長官は東京におられたのだということを聞いたわけです。でございますから、われわれは理事会としていろいろな日程をきめて、同じ委員の人に話をするのにも自信を持てない。ですから、私は今後そういうことがあっては絶対困りまするし、当時の模様を明確に経企長官からお話を願います。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大へん御迷惑をかけまして相済みませんが、ただいまの件は、東京におりましたことは間違いでございまして、急に不幸がありまして、小田原の方に帰っておったことは間違いございません。
  17. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、ある会合があって、経企長官がそれに出られたということが新聞に出たので、僕はびっくりしてそれを調べてみたところが、確かにおったという話を聞いたけれども、私のお聞きしたのは、全然うそであったということになるわけですね。
  18. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) どういう間違いか存じませんが、私は十一時半ごろ東京を出発いたしまして、小田原の方に参りまして、夕方おそく東京へ帰って参りました。
  19. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 まあ、間違いであれば、けっこうですが、再三再四そういうことがございましたので、今後もそういうことをやられては、委員会を無視するとか侮辱するとかいうことは私言いませんけれども、しかし、会期も短かくなりましたから、今後はそういうことのないように特段に一つお願いをしておきます。  そこで、二、三点お伺いしたいのですが、基幹産業の問題と電気の問題と金融の問題と、この三点にわたってお聞きします。  第一点は、電気の問題ですが、昨年の今ごろ、これは当委員会で決定し、本会議できめることではありませんけれども、北陸電力と東北電力から電力料金の値上げが出ました。電気料金を値上げしてもらっては困るということは、衆参両院で相当論議になったわけです。これは御承知の通り、最終的には通産大臣の行政措置としてやられるのですから、一四%幾らにするということに一応落ちついたようでした。ところが、一週間前の新聞を見ると、あなたは電気料金値上げをしなくてもやっていけるのではないかというような記事が、新聞紙によっては多少違いますけれども、出ておりました。私どもとしては、電気料金値上げ絶対反対ですから、長官のおっしゃるようにいけば、これはけっこうなことであります。しかし、ただそういうことで通産省と意見の一致を見ないということや、あるいは閣内の不統一だということも出ておりましたし、そういうことがいろいろと伝わるわけでございまして、その間の内容を少しくお伺いしたいと思います。
  20. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知の通り、私としましては長期経済計画を策定し、これの基礎を強固にいたしますために、努めて物価の安定を意図いたしておるわけであります。そのときに当りまして、昨年一部の値上げをし、さらに本年四月一日から残余の東北、北陸電力が電力料金の値上げをするということに相なっておることは、御承知の通りであります。そこで、一般業界の方面から、政府の方針が物価の引き上げは困る、なるべく下げるように、安定するようにということであるにもかかわらず、これら基幹産業が、このときに、電力料金の引き上げになるということは非常に困るから、何とかこれに対して善処するようにという御要望が非常に多いわけであります。そこで、私としましては、ごもっともな御意見であるということにかんがみまして、これから両電力に対しまして、昨年一ぺん認可したことでございますけれども、その後の政府経済政策が御承知のようなことにいたしておるのでございますから、この政府の政策に御協力を願うように、両電力ととくと御懇談申し上げたい。なるべく御懇談申し上げて、政府の意のあるところを御了承願うようにいたしたいということを考えておったのでございます。たまたま、衆議院の通産委員会におきまして、この点についての御発言がございましたから、私はこの趣きを申し上げてお答えをしたのであります。同時に、通産大臣に対しましても、私は事情を申し述べて、こういう際であるから、一たんきまっておることであるけれども、何とか両電力の御考慮を願い、あわせてまた、一方電気料金の委員会を作って、委員会において適正な料金の算定を検討中であるから、その結論の出るまで一つ待ってもらうようにいたしたらどうかと思うのだが、どうだろうかということで、通産大臣とも御懇談を申し上げました。通産大臣におかれましては、従来の通産省のとって参りました行政処置もございますので、今にわかに通産当局からそれを発意し、その処置をとるということもどうか、これは企画庁長官として、物価政策その他を担当しておりまする者として強く主張せられることについては、自分の方も異存はないということで、まあまあ両大臣よく調子をそろえて、一つ所期の目的達成するようにしていこうじゃないかというふうにいたしておるわけでございまして、両大臣の間に意見の相違もそうあるわけでもございませんし、その間十分意見の交換をいたしつつ善処いたして参りたい、こう考えておるわけでございます。
  21. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 河野長官はどういうお考えかは別として、私どもは長官のおっしゃるように電気料金を下げてほしいと、あるいは上げてはいかぬという説には賛成です。ただ、去年のその問題が起きたときの内閣の総理大臣が岸さんであり、自民党さんであったわけです。そしてあれは、私はっきり記憶しておりませんけれども、公益事業令の二十九条か三十条の二項目か三項目に、とにかく端的に申せば、実費は当然電気料金として取ってよろしいということになっているわけですよ。ですからあなたの説でいくと、物価が下ったとか、賃金が安くなったとか、こういうような理屈がつけば、それは違いますけれども、一四%幾ら、これは当然公定相場である。これだけかかるのだ、これだけ認めてやらなければならぬというような数字なわけですよ。五カ年計画に従ってそれが安くなるという筋合いのものじゃない、公益事業令できまっておるのですから。ですから、あなたのお話がスタンド・プレーであるか、あなたのお話が実際その通りであれば、昨年の通産大臣の水田さんがわれわれをごまかした、こういうことになるわけです。この点はどうですか。
  22. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知の通り、われわれは昨年半ば以後におきまして各種の施策を講じました結果、現に、まあ直接電力に関係ないといえばないものが多いかもしれませんが、一般物価が、生産資材において一割程度の値下げになっておるわけでございます。一般消費者の小売価格におきましても、ごく最近の傾向としては、これは下降線をたどろうといたしておるわけでございます。そういう経済情勢にあります際でもありまするし、政府として経済政策をそういうことに変えたのでございますから、そういうことに政府経済政策を変えて、これから運営していこうといたしておりまするときには、当然こういう業界の諸君に御懇談を申し上げて、御協力を願うということは、私は正しい処置ではないかと考えて努力いたしてみたいと、こう考えておるのでございまして、ぜひ、決してスタンド・プレーとかなんということよりも、四月一日の問題でございますから、結論がすぐ出るわけでございますから、現に、新聞料金にしましても、ラジオの聴取料にいたしましても、その他電車賃にいたしましても、可能なものについては御協力を願って、現にやっておるわけでございますから、ぜひ実現いたしたい、こう考えておるわけであります。
  23. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 長官は、あらゆる物価が一割下ったと、こうおっしゃるけれども、それは中小企業がもう金融難でつぶれていくというときは、ダンピングするのですから、当然一割も二割も安いものもあります。しかしそれは倒れていく、倒産する店とか会社の品物であって、一切のものが安くなるということは考えられませんし、また安くなっておるという、一割という根拠を、長官はどこから出してお話しなされるかわからぬけれども、小さい例をとっても、ふろ賃にしたって、電気料にしたって、あるいはとうふのはてまで高くなっておるということは、長官はお知りにならないかもしれませんけれども、われわれは知っておる。しかし、そういう電気料金を上げてはいかぬという説については、ぼくも全く賛成ですから、四月一日まで一つ格段の長官の努力を期待して次の質問をいたします。  次に、石炭ですが、昨秋、長官が北海道に行かれて、遊休鉱区とか休眠鉱区、眠っておる鉱区、これに政府が金をつぎ込んで新鉱開発をやって、石炭のコストを安くするのだというような方針を打ち出して、北海道へ行かれたときに、北海道の夕張に泊って、朝になったら、これは私の考えは間違いであった、今ある既存の設備に金を出すべきだということに改めましたと言って、方針を変られたというのですが、将来の石炭政策はどういうふうになされるか、その点をまずお伺いします。
  24. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私はあまり石炭とか電力とかいうものに従来深い研究もいたしておりませんでしたので、まず、しろうと論ではございますが、非常に遊休な炭田が多い、鉱区が多い。にもかかわらず現在の出炭量はあまりはかばかしくない。ことに、原子力の時代を想定できる今日において、わが国の地下資源はこれを火急に掘り出して、そうしてなるべく重油に置きかえることは一番けっこうな道であろうということで、もし石炭業界がこれに協力ができぬのならば、政府みずからでもやる必要があるのじゃなかろうか、こう考えておったわけであります。ところが、北海道に参りまして、現地の各炭鉱の、何と申しますか鉱山の主任級の技術屋さんその他、実際山におられる諸君と一夕懇談してみましたところが、石炭の出ない原因はそうじゃないのだ。現在までの政府施策において遺憾な点があるのだ。たとえば、財政投融資にしても、貸付の年限が非常に短かい。それから石炭は少し出回ればすぐ値が下って非常に不安定でおる、と同時に、一方金融界の方から見れば、石炭が一番ストが激しいので、非常に投資の対象としては不安定であるというような点に原因があって、どうも石炭業界ははかばかしく進展していかないのだというようなことを、るる各方面から聞かされましたので、それならば、まず第一に、現在の炭鉱の経験のあるものに融資をしてまず掘らせるということが、先決問題だ。あなた方が十分掘っていただくならば、政府みずからやるよりも、それはむろん民営の発展はわれわれの望むところであるということで、私はまず第一次的には、現在の石炭関係者の諸君に、政府から必要なる財政投融資をいたしまして、そしてその他必要な処置を順次検討した上で出炭の増加をはかることが一番当面必要なことであるということに変えたのでございます。この点は確かにお話しの通り、私は勉強をいたしました結果そういう処置をとり、にもかかわらず、鉱区の点で非常に支障がある、鉱区を持ちながら眠っておってやらないというようなことがあれば、第二段としては、当然政府としても必要な措置をとらなければならぬだろうとこう考えております。
  25. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、御方針をお変えになった理由はわかりましたけれども、しかしその変えられて、変えられた結論が、これは直接経済企画庁長官の管轄でない、あるいは通産省の管轄でしょうから、通産大臣の責任かもしれませんけれども、その変えられた結論が一つも通産省の予算に盛られていない。あなたが北海道へ行って堂々と新聞に出し、皆さん方の前で発表し、そういうことが私、明確になったものですから、少くとも自由党内閣で、岸さん以上の実力者である河野さんのお話しであるから、本年度予算に何らか違った形で出てくるものとこういうように思いましたが、全然そういう予算は、通産大臣からいただいた文書あるいは予算書では見られませんでした。  それからもう一つあわせてお伺いしたいのは、昨年度のあなたの方の経済企画庁計画した石炭の使用量ですね、日本の総体的な需給量は五千二百七十万トン、こういうことで、あなた方の方で計画を立てた、通産省にやれということでお互いにやったところが、現在では一千万トン近くの石炭がだぶついておる、あなた方の経済計画というのはそのときにすでに破れてしまった、こういうことについてはどうお考えになるのですか。まさか東支那海に行って埋めるというわけにはいかぬでしょう。
  26. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 石炭はその後非常に条件がよく、出炭量も増しておりますし、また、一方天候に恵まれまして、電力界の使用量も減っておると思います。それからあわせてまた一方におきましては、経済情勢を緊縮といいますか、角度を変えたことのために、使用量も減っております。一時的現象としてそういうことが現われてきたかもしれませんが、私といたしましては、努めて国内にある石炭を優先的に動力源に使用すべきであって、その不足分を重油に待つという施策をとって参りたい。従いましてこれはすでにその当時重油の輸入為替等も決定済みのあとでありますので、今一時的にそういう現象も出ておりますけれども、しかし、長きにわたりましては、その基本方針を立て、その基本方針の上に沿って経営されるようにしたい、こう考えております。
  27. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その方針は方針でけっこうですが、しかし、実際問題として石炭が一千万トン近くあっても、三百万トンぐらい余っておる。そうすると、経営者はあなた方の計画に基いて、これだけ政府は石炭が要るというのだから、石炭を掘る設備を増したり人間を増したりしてどんどん掘らせて、今度は石炭が日本中にだぶついている。経営者はこれは今まで一千トン出したところが、七百トン、こういうことになる、経営者がまず第一番締められる。それで経営者もたまらぬから労働者の首切りをやる、あなた方の言うのはいいが、そのしわ寄せが経営者に来て、最後の段階で労働者にいくというような、このように無計画でやってもらっちゃ困るわけです。しかし、現実の問題として無計画ですから、石炭が三百万トン余っているという今日の実態ですよ、これをどうするのですか。
  28. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今申し上げましたように、こういう事態はそうたびたびあることではないのでありまして、雨が降るとか降らぬとか、天候が暖くて雪どけが多くて水力電気がたくさん稼働したというようなことは、これは計画に盛り込みません。ところが、たまたまそういう事態のあることがある、それと今回、経済状況が一時急激に発展したものが押えられて、稼働が減ってきておるというようなことがあわせて、今のような石炭事情にあるということは、私は業界にも御了承願えるのではないかと思います。しからばこれをどうするかといえば、何と申しましても重油の使用量が御案内の通り非常にふえてきておるのでございますから、この重油の使用量においてこれを加減して、そうしてなるべく石炭の需要にこれを切りかえていくということにして参れば、石炭は幾らあっても余るという事態は私はないのだと、ただし、今言う通り季節的にもしくは問題のありましたときに多少の増減はあるでございましょうけれども、これは大局から見れば、決して多過ぎて余っておって、これは東支那海に埋めるとか埋めぬとかいう問題じゃない、これはまあこういうことを申し上げちゃ恐縮でございますが、戦前の食糧問題は、米が余ってしょうがなかった、海に流せという時代がありましたが、戦後の食糧問題は、幾ら米が取れても取れ過ぎることはないということと同じでございまして、これは外からの食糧の輸入を押えさえすればよろしいことでございますから、それと同じように私はなるべく国内の食糧は増産されることがよろしいことであり、石炭もなるべくたくさん掘られて、それによって重油が少しでも押えられれば大へんけっこうなことではないかと、こう考えております。
  29. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 雨が降って電力会社が石炭を使わなかったから百万トン余りました、百五十万トン余りました、こういうのならばわかりますよ。しかし、石炭を使わなかった、電力会社の貯炭量は百八十万トンですから、根本問題は昨年長官のところの、内閣で決定したところの、国会で何十日もかかって、てんやわんややって審議して決定した予算が、あなた方の行政措置で一五%の引き締めをやったために、影響して今日の状態になっているのですよ。ですから僕は天候が不順とか、そういうことでやったのであれば、これは長官の責任だとか岸さんの責任だと言いませんよ。しかし、あなた方の方で昨年からとってきた経済政策がそうであるから、今年だってどんなことになるかわからない、また、国会が終ったとたん一〇%の引締めだと言われても、これは道義的な責任は私たちは追及できますが、法律的には追及できない、こういうことになるから心配するのですが、そこで、御承知の通りの石炭事情でありますが、外国炭に対して本年はどういうふうに考えているか、重油の点はわかりましたが。
  30. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 工業上必要なものにつきましては別でございますけれども、先ほど申し上げましたように、なるべく国内の石炭を優先的にこれを使用するように、為替の面その他について考慮して参りたい、こう考えております。
  31. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、本年度は原料炭を幾ら、それからその他の一般炭は幾らという計画はできておりますか、あなたの方の五カ年計画ではできておりますか。
  32. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 政府委員からお答えいたします。
  33. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 五カ年計画は三十七年に終りまして、千百万トン足らずの石炭を輸入するようにいたしておりますが、これはほとんど大部分が製鉄用粘結炭でございまして、国内に産出しない炭質でございますので、その範囲は輸入しなければならないかと考えております。
  34. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それは粘結用炭で、一般炭は輸入しないという方針ですか、昭和三十三年度は。
  35. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) ただいまの数字は三十七年度の数字でございまして……。
  36. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 三十三年度を聞いているんだ。
  37. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 三十三年度の数字は、さっそく調べてお答え申し上げます、一部一般炭も入っているかと思います。
  38. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 長官の御答弁であれば、それはあとで調べてからという答弁でも僕は納得いたしますが、政府委員が三十三年度に、日本の輸入のドルの相当額を占めるあの石炭が、調べなければわからぬというような政府委員じゃ実に遺憾だと思います。  もう一つ、あなた方の五カ年計画を読むと、五年後に石炭は電力ではどれだけ使って原子力ではどうだ、そういうことをちょっともう一度聞かしてくれませんか。
  39. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 実は私、長期計画担当なので失礼いたしましたが、輸入炭を三十三年度といたしましては、約六百万トンと想定しているわけであります。それから三十七年度のエネルギーの関係は、原子力の方は、まだあまり確定的でございませんので、場合によっては十五万キロぐらいのものができるかもしれないが、これはしかし、全体の年次供給力の上から言えばほとんど問題になりませんので、五カ年計画におきましては一応三十七年度には原子力発電を数量的には見込んでおらないわけであります。全体といたしましては石炭を六千四百万トン掘りまして、電気の方面では千十九億キロワットアワー、これだけの電力量を予想しているわけであります。石油といたしましては約二千九百万キロリットル程度消費を考えているわけであります。
  40. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今お聞きしたその六千万トンというのはあれでしょう、本年一年の全体の消費量でしょう。
  41. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 六百万トンです。
  42. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 三十三年度の石炭輸入が六百万トン……。
  43. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 六百万トン。
  44. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 六百万トン……、原料炭がどうかそこじゃわかりませんね、本年度は五百九十万トンですか。
  45. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 三十二年度の実績見込は約六百六十万トンになっております。
  46. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで本年ですら、これはさいぜん長官の話しにもありましたが、雨が若干順調だったかもしれないが三百万トンもだぶついている。そこへ持ってきて、昨年度よりよけい入れるという計画でありますから、多少雨が順調に降っても、これは膨大な石炭が余る、こういう結論になる心配がありますが、この点は長官御心配はないですか。
  47. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今年度の実績が六百六十万トンを大体見込んでおります。来年度は六百万トンということにしております。こういうことを言っておるのです。これは要するに、石炭輸入にいたしましても、重油にいたしましても、四半期ごとにこれを割り当てて為替の方は切っているわけでございますから、今後の推移によりまして善処して参るということを基本の考え方に、計画は一応立てておりますが、基本の考え方といたしましては、そのときの情勢実情に応じてやって参りたい。なるべく入れるものは少い方がよろしいという考え方でございます。
  48. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 本年度六百六十万トンというのは、これは通産省の数字が間違いかもしれませんけれども、本年度六百六十万トン入っておりませんよ。私別に数字をどうのこうの申し上げませんけれども、もう少しやはり検討して、通産省とも連絡をとって経済計画を立てていただきたい、こういうように思います。  その次に、本年度の今長官のお話しにもありました輸出入の問題ですが、三十一億五千万ドルですか、これについて完全に実行し得るかどうか。この点について若干お尋ねをしたいと思います。
  49. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは三十一億五千万ドルにつきましては、いろいろ御意見がございます。そんなになかなかむずかしいという御意見が非常に強いのでございます。さればというて、それじゃ三十一億五千万ドルではまだ少な過ぎる、もっと伸びるという御意見も実はあるのでございます。政府といたしましては、これら各方面の意見を総合調整いたしまして、そうしてあらゆる施策を講じていくならば、大体この程度は可能であろう。と申しますのは、これを下げて安全性をとって努力を怠るようなことがありますれば、その結果、御承知の通り経済成長率はもっと低めなければなりませんし、そこに雇用の問題も実は起ってくるわけであります。従ってわれわれといたしましては、政治の理想でございますところの、なるべく雇用の問題を有利に展開をしつつ、そうして経済の破綻を来たさないように各般の条件を調整あんばいいたしまして、そうしてここにわれわれの努力の結果としてでき得る可能の点を三十一億五千万ドルと算定をいたしておるのでございまして、むろん、これが安易な道であるとは考えておりません。通産大臣等の格段の御努力によりまして、皆さんの御協力によって、ぜひこの目標達成するようにしていきたい、こう考えておるのでございます。
  50. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、長官に再度お尋ねしますが、どうも三十一億五千万ドルという額ですね。これは国会答弁用語として作ったか、ほんとうにそうか、非常に私は疑うというよりも心配するわけです。ということは、去年輸出入のバランスがとれないというようなことで、池田前の大蔵大臣と大いに渡り合ったときに、それはドルで持っておっても、品物で持っておっても同じじゃないかという非常に楽観論だったわけです。しかし、私どもがなんぼがんばっても、長官の方は大勢おるから、そんなものは通らなかったのですが、しかし六カ月もたたぬうちにああいうことになったわけです。今度の三十一億五千万ドルでも、これは南方の方も御承知の通り、私帰って来た人に聞いたのですが、あまり本年度より伸びるという見通しがないというお話しでした。中共もこれは長官御承知の通りです。ところが、アメリカですら、どうも本年度より長官は三%伸びるという想定のようですが、そう伸びるという状態にならぬだろうという、私、また聞きですからわかりませんけれども、そういうようなお話しなんです。そうすると、三十一億五千万ドルでもまだ伸びるという楽観論者もあるという。その理論はどこから出してきたかわかりませんけれども、私は長官の説は肯定することができない。しかし、自信と確信を持っておやりになるのですか。
  51. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今申し上げました通りに、これは政府一存で作りました計画ではないのでございまして、これが三十一億五千万ドルは多過ぎる。三十億五千万ドルにおさめることが適当であるという結論に立てば、結論に立ったようにすべてのバランスを出すわけでございます。この長期経済計画は御案内の通り、相当多数の民間有識達識の方々にお集まりを願って出した数字でございまして、政府が一存で三十一億五千万ドルにしなければ都合が悪いからここらにしておこうということで作った数字ではないのでございまして、この民間で出て参りました答申案を大体政府の方も検討いたしました結果、おおむね妥当だろうということで出た数字でございます。でございますから、相当困難はございます。困難はあることは初めから承知でございますが、いろいろな点でこれに努力しなきゃならぬだろう。元来が貿易関係は戦前通りに戻るということはなかなかこれはむずかしいと思います。むずかしいと思いますが、戦前の国際貿易の中に占める日本の貿易の地位を想定いたしますると、現在ありまする地位が非常に低いものですから、そこで、最近の貿易伸張率を見ましても非常な勢いで伸びておるものでございますから、そこで、国際情勢は必ずしも楽観を許さぬけれども、この程度ならばまずまず努力すればいけるだろうし、またやればやれる数字じゃなかろうかということで、ここに結論が出たことでございまして、結論を出してこれを目標といたします以上は、政府におきましてもこれにあらゆる行政の可能な点をしぼりまして、そうして達成をするということに努力していきたいということでやっておるわけでございますから、どうかさよう御了承いただきたいと思います。
  52. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その努力しなければならぬということは私わかります。しかし、その二%なり四%という数字は、これだけなければ日本の経済状態がだめになるからという数字じゃこれは困るわけです。やはり三%を増すためには、やはりあちらさんのいわゆる情勢もあるわけですよ。日本の実情だけ判断して三%伸ばさなければならぬというのはこれは理屈にならぬ。三%伸ばすには、日本の国内の要素が半分と、取り引きするあちらさんの要素が半分なければ、いかに河野さんが答弁なすっても、通産大臣を連れて来て答弁なさっても話しになりません。外国の事情はどうですかということをお聞きしている。僕が聞いたのは、アメリカさんの方にいってもあまりけっこうじゃない、南方の方もあまりけっこうじゃない、もちろん中共はそうであるというようなことになってくると、日本は確かに三十一億五千万ドル買ってもらいたいかしらぬけれども、あちらさんの方はそうはいかなかったら、三十一億どころか三十億ドルもできない、こういうことになることを私は非常に心配するのですが、ただ努力しましょうとか、努力目標だとか、シビアな数字だ、そういうようなことでは、日本の国内の判断だけでは困ります、対外の方はどうなんですか。
  53. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) でございますから、ただいま申し上げましたように、世界の貿易現状から見て、日本の貿易の占めておる地位は非常に低いと、これはみなどこも一ぱい詰っちゃって、日本が飽和点に近いまでにやっておる、それを伸ばすということなら、非常にむずかしいということはありますけれども、全体の世界の物の動きから見て、日本の占めておる地位は非常に低いのでございますから、かつて日本が戦前に経験したことも考えあわせますれば、まだまだ相当に伸びられる要素があるのじゃなかろうかと、これを今お話しの通り、海外の事情が悪いじゃないかとおっしゃいますけれども、それじゃ具体的に昨年に比べてことしはこの点がこうだめだ、あの点がああだめだということがあるかというと、なかなか困難ではありますけれども、まあたとえば中共貿易にしましても、せっかく各般の御努力によりまして鉄も一応話がついたと、その他の点についても決して暗い話しばかりではない。中共の協力も得られる格好になっておるわけでありますし、対ソ貿易にしても昨年に比べれば決してまずいわけじゃない。対米貿易にしましても、一部取り立てて品目によってはやかましいものもありますけれども、他の問題になっていないものにつきましては、決してこれが萎縮しておるわけじゃない。欧州方面も悪いとは言いながらも、たとえば今までなかったようなものでも向うに行こうとしております。日英の通商協定にしても、決してこれが萎縮傾向にあるのじゃないのであって、私は、今取り立てて悪い点は、ちっともないことはございませんけれども、その半面においていい面も決してないわけじゃない。楽観論を申すわけじゃありませんが、その努力のいかんによっては、やれる可能性はあるものだということが、各方面の意見の総合的な結論だ、こう思うのでございまして、さればといって放っておいてできるものかというと、決してそういうものじゃない。国内の物価も、先ほどお話ございましたが、私の申しますのは、生産資材の卸売物価の物価指数が統計が出ておるわけでございます。その統計が今私が申しますように、おおむね一割程度の引き下げになっておるのでございまして、この物価は国際物価に比べまして国際物価を下回る数字が出ておるわけでございますから、そういうふうに物価の傾向としても、昨年に比べて輸出のしやすい物価水準にきておる。生産の面においてもそういう点にきておるということで、条件が悪いものばかりあるわけじゃないのでございますから、努力のいかんによったらできるのじゃなかろうかと、こう考えておるわけであります。
  54. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今の長官は手放しの楽観論者のようですから、幾ら言っても、これはわからぬかもしらぬけれども、とにかく昨年のように国会終ったとたん、一週間も経たぬうちに一五%引き締めじゃというようなことを出して、国会を混乱させないように一つお願いしたいと思います。ただ、私は、その長官は全部おれたちだけできめたのじゃないと、あらゆる民間人とか、学識有識者を集めていろいろと討議して結論を出したというのですが、僕は決して長官のことをかんぐるわけじゃないのですが、長官は、たとえば独禁法改正審議委員のメンバー見て、もう全然このメンバーじゃけしからんというようなことで、独禁法改正したいという人ばかり集めて、これで独禁法改正委員会作って、独禁法改正やったでしょう。笑いごとじゃないのだ。あんたそんなことを言って笑っているけれども、あんたも、独禁法改正委員だって、見て、いやなやつをオミットして独禁法改正してもらいたいという人、そういう人ばかり集めて民間人、有識者集めた、今度の輸出三十一億五千万ドルどうするかなんていって、僕らのようなむずかしいことを言うやつは絶対集めんで、あなたの好きな人だけ集めて、これで結論でございますと言ったって、これはとても話しにならぬのだから、ただあなたは国会答弁用語として、そういう連中を集めて、そうして、きめているだけであって、しかし、まあ、河野長官のお手並みを拝見するということで、次に移ります。  それで、その次に、中小企業の問題をお聞きしたいのですが、とにかく昨年の暮れに団体法案通りました。しかし、まだ商工組合として発足しているところはないのですが、次から次へと、まあ現在では倒れていくわけです。こういういろいろな問題があって、不渡り手形等においてももう明治、大正、昭和三代のうちに昨年ぐらい多いときはないというような状態なんですが、こういう点について率直なところを、長官として、こういう中小企業を含めたところの日本国の経済をどうするかということのお考えを一つ承わっておきたいと思います。
  55. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お示しの通り中小企業の諸君が昨年の景気の変動の結果、大企業からのしわ寄せによりまして、非常に困難な地位に立たれましたことは、われわれも非常に遺憾に考えておるところでございます。がしかし、この間にありましても、政府といたしましては、相当の資金中小企業方面に融資、運転いたしまして、可能な程度の御協力は申し上げたつもりでございます。と申しますのは、何と申しましても、わが国中小企業産業上に占める地位は非常に大きいものでございまして、この発展向上が、かかってわが国産業発展の基礎になりますことは、御承知の通りでございます。要はこれらの中小企業の諸君の設備の近代化でありますとか、合理化でありますとかいう点に、先般の組合法を通じつつ政府としては格段の努力をしていくことが必要であろう。で、この中小企業の育成強化をなるべくすみやかに改善をして、そこにわが国産業の基礎を確立していくことが基本的な考え方じゃなかろうかということで、せっかく通産大臣にも御努力を願っておるわけでございます。
  56. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その通産大臣に御努力願っても、それは通産大臣努力しておるかもしらんけれども、効果が上らない。そういう場合にどうするかということをお尋ねしておるのですが、それは去年組合法を作っても、もうすでに大企業と中小企業と団体交渉やるという一項目もある。これは私より豊田先生などがよく御承知かと思いますけれども、もうすでに大メーカーと中小企業と、もう団体交渉どころか、商工組合もできないうちに、もう団体交渉やりませんと、団体交渉やるのならば首を切りますよ、組合交渉やりませんということで、大企業の圧迫がひしひしと中小企業に来ておるのですね。こういうところに一つ二つの法案を作って二十億金を出しますぐらいでは、どうも助からぬと思うのですが、しかし、あんた方の方で作った五カ年計画には詳しく書いておりませんね。そういう点については詳しく書いてございませんね。詳しく書いてございませんから、私はその一点、二点を拾い上げて、これは質問できませんけれども、一体どういうことにするかということを伺いたいのですがね。全然中小企業は、かりに二十億、三十億出すぐらいじゃ助かりませんよ。根本的にどうするのですか。あの組合法じゃ絶対助からない。
  57. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま申し上げました通りに、日本の産業の中に占めておりまする中小企業の力というものは、非常に大きいのです。従って日本の産業計画を立てるということは、中小企業をむしろ重点に置いて考えていかなければならぬということは、御承知の通りであります。従ってわれわれの作る経済計画にいたしましても、一方においてこれらの設備の改善、育成強化ということを考えつつ計画を立てていかなければ、所期の目的達成されませんことは、御承知の通りであります。従いまして一部財政投融資は基本的な、基幹的なものに回るにいたしましても、この中小企業の設備の近代化等につきましては、通産省を通じて相当に御努力願うことに考えてわれわれやっておるわけでありまして、今言う通り一点、一点これはなかなか種類も多いのでございますので、万般にわたりますが、これを一々拾い上げてどうということはございますけれども、通産当局からその点については御説明があると考えております。
  58. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 阿部さんもういいのですか。
  59. 島清

    ○島清君 関連して二つ、三つ。阿部委員が質問をされまして、それから長官からお答えのありました問題に限定をいたしまして、関連をして二点ばかりお伺いしたいと思います。経済成長率一〇%期待をされまして、雇用量を六十五万に増加せしむる、こういうふうにおっしゃっておられます。今、阿部委員の質問に対しても雇用量の増大をおっしゃったのでありまするけれども、一〇%の経済成長率から六十五万の雇用量の増大を期待されるという数字的な根拠をお示しをいただきたいと思います。お尋ねいたしておりまする私の考え方を申し上げますというと、それは政府は生産性の向上運動をやっておられる。われわれはまた別個な考え方を持っておりまするけれども、いい悪いは別にいたしましても、とにかく生産性向上運動をやっておられまして、労働者の労働強化を強要しておられる半面、またこれから経済成長をやっていこうとするのには、いわゆるオートメーション化というようなことが考えられると思うのです。そこで、どういうふうな観点に立ってこの六十五万の雇用量の増大を期待をしておられるのか、その数字的なことをちょっと考え方について御説明いただきたいと思います。
  60. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 政府委員から御答弁いたさせます。
  61. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) お答え申し上げます。来年度経済成長率は三%でございますが、産業活動指数、鉱工業関係、製造工業関係を中心として産業活動指数は四・五%伸びるわけであります。その場合に雇用増加が六十五万というふうに見ております。内容といたしましては、製造工業につきまして一応雇用係数から見まして製造工業の伸びを見、さらに輸送関係の方に、これも輸送も相当伸びまして、輸送の方へも、さらにサービス関係消費関係は相当に来年度成長は少いにもかかわらず消費は相当伸びますので、やはりこういったサービス関係でありますとか、第三次部門にまあ相当伸びます。それらを積み上げまして約六十五万、これが伸び率と雇用の伸びとの比率がどうかという御心配があるかと思いますが、これは過去の例を見ましても、いろいろ出入りもあるわけでございます。必ずしも一律には出ておりませんけれども、大体ここ数年の動きを見ましても、この程度産業活動の伸びでございましたらば、六十五万の伸びということは、そう不合理な伸びではない、そういうふうに考えております。
  62. 島清

    ○島清君 私がお尋ねをいたしましたのは、そういうような平面的な説明ではなくして、資本主義が最高度に発達をいたしまするというと、要するに資本の固定的増大化がはかられて、そうして労働者に対する生産性向上が要求をされまして、そうして生産量はふえるけれども、労働者の数は減少していくという形をとってくるわけです。まさにまた今、日本の経済の実態の中におきますところの労働者の労働力というものは、そういう形で生産力は高まっておるけれども、しかしながら、労働者の数は減少しつつある、こういうように失業者がふえておる、こういうような格好をたどってくるわけです。あなたがおっしゃったように流通部門の方に働きます労働者というものもふえる傾向もありますけれども、というて、この経済成長率から六十五万という雇用量の増大を見込んだのは、要するに今までのこのあり方というものが、そのまま来年度の姿であるというふうな平面的な積み上げをしたのであるか、それともオートメーション化であるとか、あるいは生産性の向上の強要であるとか、こういうような要素というものを織り込んで六十五万という数字を出されたのか、ということをもっと掘り下げたことを私はお尋ねをしておるわけなのです。そういうような御答弁をいただきたい。
  63. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 生産性の向上、ないし生産が上りましても、労働量がそれほど要らないのではないか、大体そういうようなオートメーションの進歩によりそういう傾向があるということはおっしゃる通りでございます。私どももそういうことは考慮いたしております。いたしておりますが、最近の実績はそれを含んだ実績で、そういうことを考慮いたしましても、この程度の伸びがある、かように存じております。
  64. 海野三朗

    ○海野三朗君 関連して。何パーセントの伸びだからといって、六十五万というそのパーセントと人間との関係をはっきり言ってもらわないと困る。品物がよけいになっても、人間がふえないでやってゆけるじゃないか、その関係を、パーセントと人数の結び付きを一つ。
  65. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいまの御質問の点でございますが、過去の経験から見ましても、産業活動が二十九年あたり三・五%伸びて五十万の増加をしております。昨年、一昨年は非常に産業活動が伸びておりますが、本年度三十二年度としましては大体九・七%ぐらいの伸び、約一〇%でございますが、その場合に雇用増加は百十五万という数字が出ております。むろん、その間にただいま御指摘のような生産性の向上によって御指摘のような傾向があるというふうに考えられますけれども、それを考慮いたしましても、私どもの経験からいたしますと、そういう数字が出て参ります。計算の基礎につきましては、非常に複雑な計算でございますが、グラフを画きまして限界効用係数を求めておるわけでございます。
  66. 島清

    ○島清君 これ以上お聞きしてもしようがありません。大体勉強が足りなくて、変貌する資本主義の実態を把握しておられませんので、これ以上私は質問する勇気を持ちません。  もう一点だけお聞きしておきたいのは、これは長官からお答えをいただきたいと思いますが、今、長官は日本の経済成長をはかっていくのには、いわゆる産業構造の中に占めております中小企業の広範な問題について十分な考慮を払わなければならないという、こういうことの御答弁がありました。それはその通り私どもも同感でございます。同感でございますけれども、しからば、こういったような中小企業者振興と育成をはかるために、今までなされておりました金融政策に対して、どういったようなお考えを持っておるかということが明確にならなければならぬと思います。今までの日本の金融政策をながめてみます場合には、富国強兵でございまして、富国強兵と通じます要するに強大なる資本への金融構造があったわけであります。そこで、それでは平和憲法のもとに産業振興をはかっていこうとする金融政策としては、私はつじつまが合わないと思うのです。今までは普通銀行からいわゆる中小企業の諸君が金を借りられないというので、その人々に対する、その企業に対します金融政策というものは、特別な金融政策をとっておられるわけです。そこで、私は特別化しておりますところの金融政策というものが普通化しなければならない。そうしてわずかな独占資本家に対するいわゆる金融機関というものが特別にならなければならない。私は逆にならなければならないと思うのですが、ほんとうに経済伸張を裏づける金融政策といたしましては、そういうふうに持っていかなければならないと思うのでありますけれども、そういう問題についてはどういうふうにお考えになるかということを、まずお答えいただきたいということが一点と、さらに、経済伸張をはかろうとするのには、今総合的なエネルギー対策をどうするかという問題だと思います。これは長官はしばしば発言しておられまして、電力の再々編成という問題をしばしば御発言のようでありますが、この電力の再々編成という問題は、要するに需要量が供給量をはるかに上回った今のような設備では、ちょっと追っつけないというような問題から、この問題が発生していると思うのでありますけれども、さらには、経済成長をはかっていこうとするのには、工業力を高めようとするのには、今非常に問題になっておりますのは、工業用水の確保の問題等もあると思うのですよ。そういったような総合的な政策もまた変りつつあります、変貌しつつありますところの日本の経済的な客観情勢、これにマッチさせて、どういったような総合的なエネルギー対策を持つか、さらに電力の問題、石炭の問題については、阿部委員から御質問があったのでありますが、私は電力の再々編成等の問題をどうやってマッチさせて、日本の経済成長をはかっていかれるかというような問題について明確に、つまり金融の問題、さらに総合エネルギー対策の問題、これを一つ電力の再々編成の問題に重点を置かれてやられるか、御答弁をわずらわしたいと思います。
  67. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私はわが国中小企業に対する金融の組織、制度としましては、相当なものが用意せられており、現在におきまして、これをどういうふうにして円滑に流れるようにしていくかということが、一番肝要である。もちろん、資金の潤沢なことは大事なことでありますけれども、問題はこれがどういうふうに円滑に流れるようになっていくか、その一つの現われが、団体法なりその連帯性のもとに、これをやっていくということになろうと思います。昨年の下期におきますところの経済の変則時代におきましても、全国の各金融の関係をながめてみますると、必ずしも大都市におきましては、相当の金融梗塞、逼迫がありましたけれども、地方の小都市におきましては、金融梗塞、逼迫は非常におくれて出てきております。それがまたごく末期におきましては、米の豊作等の関係等もございまして、むろん、これが特殊の京都における西陣織でありますとか、一の宮におきまする羊毛の織物関係であるとかいうような特殊なものにつきまして、特殊の事情のありましたことは、もちろんでございますけれども、総じて申しますれば、中小企業に対する金融上の問題は、ある程度一般のむしろ昨年の実態は大企業の方が金融梗塞を受けた。それが長期の手形になって中小の方にしわを寄せていった。そこに問題が起きてきたということは事実でございますけれども、そういう点等からいたしまして、一応中央から中小企業金融対策として相当の資金運用いたしましたことによって、ある程度資金融通は見たのじゃなかろうか。むろん、一部にはお示しの通り非常に特殊の事情、また、特別に取引の膨大等によってお困りになったことはあったと思うのです。今後におきましては、むろんお話しのような点もございますけれども、われわれとしては、現在ありますところの中小企業に対する金融機関を十二分に活動をせしめて、そしてこれが融通を円滑にしてやっていくことによって、ある程度目的達成することができるのじゃなかろうかというふうに考えております。  それから次に動力に関する問題でございますが、ことに電力のことでございますが、これも明確に一つ申し上げて御了解を願いたいと思うのでありますが、電力再々編成ということが問題になっております。これは私自身の考えといたしましては、長期経済計画を円滑に遂行する上におきまして、これを成長せしめる上におきましては、その基幹となるべき産業につきましては、特にこれが安定を期待いたすわけでございます。たとえて申しますれば、電力料金が地域的に差等がつくとか、電力料金が不安定で、これが上昇の危惧があるとかいうようなことも、努めて避けるようにいたさなければならぬ。石炭もまたしかりであると思うのであります。そういう見地から参りまして、現在の各九電力の内容等について検討いたしてみますると、その置かれておりまする地位が、五、六年前と今日とは、だいぶ条件も違うようでございます。従いまして過去六カ年間の経過推移から見ましても、相当に検討に値するものがある。この推移経過から見て検討の結果、現在の九電力によって、現在の制度によってこれが将来の一般産業の発達の目的を充足することができるということであれば、好んで変革をする必要はないのであろう。目的達成できるならば、現状のままでよかろうじゃないか、改善の必要があるとするならば、どの点に改善の必要があるのかということをしさいに検討いたしまして、そして世論の帰趨を待って政府としては善処して参りたい、これが私の気持であります。が、その結果、現在九電力の諸君、並びにわれわれ通産大臣とともにお願いいたしておりまする民間委員の諸君に、いろいろ御勉強を願っておるという現状でございます。その結論はまだ出ておりませんが、一部に広域経営という言葉もあるようでございます。そういう課題もあるようでございますが、いずれにいたしましてもまだ結論を見ておりません。が、結論としては、ただいま申し上げましたように、将来のわが国産業構造を十分に成長に至便ならしめるように、そしてまた、この狭い領土におきまして産業の分布等も十分にうまくいきますように、これら国家の目的に合致するように電力のあり方をあらしめたいものだという目標を持ちつつ、現在の制度機構が果してこの目的に沿うことができるかどうかということについて、なお一段の検討、勉強を加えた上で結論を出したい、こう考えております。
  68. 島清

    ○島清君 今の電力の再々編成の長官の御答弁は、それは政治家河野一郎氏としての御答弁でありまするならば、それでよろしゅうございますけれども、私のお聞きしておるのは、政治家河野一郎氏にお尋ねをしておるのではなくて、経済企画庁長官として経済成長を助けていくのには、総合エネルギー対策の中に電力事情はかくあらなければならぬというような立場に立たれて再々編成の問題をお取り上げになっておられるのか。それからお取り上げになっておられるとするならば、どういうような再々編成のお考でそれを考えられて進めていかれようとするか。こういうことをお尋ねをしたのでありまして、言葉が足りなかったのかもしれませんが、その意味でお答えを願いたいと思います。
  69. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま申し上げました通り、電力の問題は、お示しの通りわが国の基幹産業でございまするし、産業発展の上において非常に重大な問題でございます。しかも、組織が全国民にみな影響のあることでございますので、政府におきましては、一方において電力料金制度調査会も作っております。また一方におきましては、せっかく私の所属いたしまする自民党におきましては、党において特別委員会を設けまして、これに対する党議決定を急いでおりますこの過程におきまして、民間におきましても、それぞれ意見を目下取りまとめ中と私は承知しております。また、われわれどもといたしましても、これら民間の意見の中で、九電力の意見のほかに、公正なる民間の意見も拝聴いたしたい、こういうことで、特に七人の諸君にお願いをいたしておるわけであります。従いまして私といたしましては、これら各方面の意見が取りまとめがついて、それを拝聴いたしました上で、私の意見は申し上げたいと、こう思いますので、はなはだお尋ねに対して御無礼な答弁でございますけれども、今私は企画庁長官としてこれらの諸君にお願いをしておる過程において、私の私見を申し述べることはどうかと思います。私は意見を聞かずに自分独断でやって参るならば、この際意見を申し述べることもけっこうでございまするけれども、今せっかく人様にお忙しい中をお願いして調査の結果を待っております際に、私が勝手に意見を申し述べることもどうかと思いますので、せっかくのお尋ねではございますけれども、しばらくの御猶予をお願いしたいと思います。
  70. 小滝彬

    ○小滝彬君 ちょっと阿部君の質問に関連いたしまして事務的なことをお尋ねしたいと思いますが、これは阿部君のしり馬に乗るわけではありませんが、率直に申しまして、衆議院の予算委員会とか、あるいはこの委員会で、前尾大臣河野大臣の話を聞くと、ニュアンスが相当違った点もあるので、これは私は何も大臣に質問をするわけではないが、通産省と貿易の数字を作るときに、十分の打合せがなかったのではないか、その辺どうなっておるのかお聞きいたします。というのは、さっき阿部君は三%とか四%とかいうことを言われたが、国民総生産のパーセンテージであって、貿易についていえば一一%以上の伸びを予定しておるわけだ。ところが、物価が昨年から比べて一割下がると、量でいうと二割ぐらいも伸びなければいかぬ。ところが、それが通産省としては責任もあるから非常にむずかしいということを大臣は言われるかもしれませんが、企画庁の方としてはこれで押そうという大臣の政治的考慮もあるかもしれませんが、どうも私聞いていて、事務的にどこまで練られてきたのか。その委員会もあるそうですが、どうですか。通産省はこれを作るときに十分打合せに乗っておるか。そうすれば、私が好意的にこの答弁を聞いていて、うまく調子がそろった答弁になるのではないかと思いますが、ちょっと今までの事情を。
  71. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先に私から答弁いたしまして、あとから事務当局に補足説明をいたさせます。この特別長期経済計画を作りましたのは、その委員会の発足いたしましたのは昨年の……
  72. 小滝彬

    ○小滝彬君 いや貿易のことです。
  73. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 貿易の点につきましては、これは通産省は、内輪話をすれば、もっと伸びるだろうという意見でございまして、大蔵省の方がもっと渋かったのでございまして、その間に立って、完全に各省の関係調整いたしまして、企画庁でこの辺が妥当だろう、それはこの長期計画の線と合致する線であるということでいたしたのでありまして、決して企画庁が下の方にあるのを上に引き上げたというふうなものでは絶対にございません。
  74. 小滝彬

    ○小滝彬君 もしそうとすれば、これも大臣に要求するのではないのですが、どうせ計画というものは、企画庁の主管においてやられているから、たとえばエーリアライズ、国別に一体どういう点を見ているか、今阿部さんが心配されているのは、アメリカでは輸入制限もあるし、ヨーロッパでもコモン・マーケットができているとか、あるいは東南アジアについては資金不足とか、いろいろ悲観的要素もあると思うのですが、同時に河野大臣説明のように、全体の比率から見れば、戦前より減っていることはよく知っています。同時に日本のマーケットというものも非常に変ってきているし、商品の種類も変っている。そこで、地域別の、こまかなものは出ないかもしれませんが、おそらく勘でやられたのではないから、エーリアライズ、地域別にどういう……。それからもう一つは、たとえば品目的にいえば繊維品なんかは非常に値下りして、今後の見通しはどうなるか、あるいは鉄鋼なんかはどうなるかという面なども、きょうでなくてもいいですが、この次の委員会にでも出していただき、今あれば配っていただくということにしたら、みんなの理解も得られると思うのです。
  75. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいまの地域別、商品別の資料につきましては、他の委員会に提出したこともありますので、至急に調製いたしまして、お出ししたいと思います。ただいまの御質問の点、大臣からお答え申し上げた通りでありますが、これを作りますにつきましては通産省、大蔵省事務当局で相当何回も検討いたしまして、むろん地域別、商品別に相当掘り下げて検討いたしました。むろん弱気の人と強気の人と、いろいろ見方はありますが、見解はいろいろあったと思いますが、相当三十一億五千がむずかしい、いろいろ努力が要るということを認識いたしておりますけれども、努力目標として、これくらいは努力すれば達成できるということで、結論を出したような次第でございます。
  76. 小滝彬

    ○小滝彬君 これはもちろんこの数字につきましては、株屋なんかが出している投資方針に出ている説明では、これが非常にいいという議論もあるのでむずかしかったと思いますが、そういう掘る下げたものがあればけっこうです。  最後にお伺いしたいのは通関ベース貿易をとっている。私のしろうと考えでは、私も貿易は長い間取り扱ってきたのですが、どうもこういうものを策定する上に不適当ではないかというのが私の私見です。何となれば通関ベースでいけば、延べ払いとかローンというもので出たものも通関ベースには出る、しかしながら、企画庁が非常な関心を持っているのは、国際収支をどうするかということになれば、現実のペイメントということが非常に重要になる。しかりとすれば、通関ベースを大きくしても、極端なことをいえば外国にうんとローンをやるということでは、通関ベースは多くなるが、事実は日本の国内のインフレの要因を作ることにもなるので、国際ベースを重視した人の立場からいえば、通関ベースというのはおかしいじゃないか、これは私の考え方なんですが、その点だけお尋ねして、私は与党でもありますし、これくらいで終ります。
  77. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま申し上げております三十一億五千というのは、実質の為替ベースで見ておるのであります。
  78. 小滝彬

    ○小滝彬君 ところが、これの説明では三十七年のターゲットには通関ベースとはっきり出ているのじゃないですか、今大臣はこの通り読まれている。
  79. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) その数字を私もちょっと……、長期計画の数字ではないかと思うのでございますが、来年度の三十三年度年次計画にとっております三十一億五千、輸入の三十二億四千と申しますのは、実質為替ベースでとってございます。むろんあれは、その算定の基準につきましては、集計いたしますときに通関ベースも出しますし、輸入の場合も通関ベースと為替ベースと両方合せております。それで無為替輸入なり無為替輸出なりその関係も操作いたしまして、実質為替ベースの貿易バランスを見ております。
  80. 小滝彬

    ○小滝彬君 僕の言っているターゲッド、目標を書いたものを通関ベースでこれだけにするというのは、目的から見て不合理じゃないかという僕は理論的な事務当局の見解を聞いたのです。両方とることは必要です。
  81. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいまの大臣のごあいさつのときに申し上げましたのは、御指摘の通り通関 ベースであります。小滝委員御指摘のように通関ベースでやった方がいいか、為替ベースでやった方がいいか、問題はあると思います。短期的な三十三年度経済運営の基本的なことをどうするかというところに私どもが掲げましたのは、特に国際収支の点に重点を置きまして、為替ベースだけ計上いたしました。長期計画で為替ベースでとるか通関ベースでとるか問題はございますが、一応長期計画では、為替ベースの数字と通関ベースの数字を掲げまして、物量的にどの程度出ているかということを一応出すために、通関ベース、合せて為替ベースでどのくらいになるかということを計上いたしてあります。
  82. 小滝彬

    ○小滝彬君 もちろんそういうふうにとれば、その点は意味があるのですね。どうもありがとうございました。
  83. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣に一、二点お伺いいたしたいと思います。まず最初に、私は政府機関経済関係の人事につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、私は自民党でもございませんし、社会党でもありません。無所属でございますので、そういう意味におきまして、政府の人事に対するやり方につきましては、比較的公平な立場でものが見れるわけでございます。どうもこれは政府自身が与党色を発揮するという意味で好みの人事をするということは、これはある程度また私は差しつかえないと思う。しかしながら、どうも最近のいろいろ人事を見まするというと、たとえば商工中金に今度北野氏が理事長になった。私は国でよく知っておるのでありますが、最近まで次の選挙をねらって猛運動をしていたというような方が、いつの間にか商工中金の理事長になった。私はそれ自体をとがめるのじゃないのでありますがこれから通産大臣にもいずれ質問をいたしたいと思うのでありますが、たとえば日本貿易振興会法案が最近出ることになっておるのであります。特に私どもは、今までございましたジェトロの人事などを見ましても、何かこう片寄り過ぎた人事、それからまた、それのみではございませんが、一般経済関係のあるいは審議会の委員であるとか、あるいは何とかの会長とか、何とかの理事長というような人事を見ますると、東京、大阪でもそうなんでありまするが、あまりに片寄り過ぎた人事が非常に多いと思う。これは私は一一指摘はいたしませんが、長と名のつくものならば何でも引き受けるというような人が、東京にも大阪にもたくさんいるわけであります。そういう人に大事な大きな仕事を預けていきましたところが、実際問題としてやれるものじゃないのであります。何とかの政府関係の非常な重大な会長なんかになっておるような人が、自分は会長を三十幾つ持っているとか、それから理事長とか評議員の名前を二十幾つ持っているとか、そういうことを自慢にしておるような人が、比較的そういった政府経済問題の機関のその会長とか何かになっているのが非常に多いのでありますので、いずれ法案審議のときに私どもはただしたいと思うのでありますが、あなたは経済企画庁長官とし、また現政府の実力者といたしまして、どうか野に決して遺賢がないわけじゃないのでありまして、そういったような人たちをむろん野におる方でありますけれども、さらに隠れた野の遺賢のたくさんあることを十分お含み下すって人事をやっていただかないと、何か時間的にもそういうようなきまりきった人というものは、実際の問題ではできないのであります。一つこの点をまず長官の意見をお伺いしたいと思います。
  84. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今お話しのようなことは、よく話が出るのでございますが、つい、たとえば東西の商工会議所の会頭をお願いしようとかいうことで、どうしても公共性を持った地位におられる人がつい優先的にその選に当るというようなことがありがちでございまして、従って実際委員にお願いしても、御出席は非常に困難であるとかいうような場合がままあるわけでございます。私も全く同様に考えておりますので、ただいまお話しの点につきましては、よく総理に私からもお話をいたしまして、十分注意をしていただくように申し上げます。
  85. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 特に一つそれをお願いいたしまして、次に、私は新貿易の五カ年計画の問題につきまして一、二点お尋ねをいたしたいのでありますが、あるいは数字的な問題が出るので、大臣御自身御答弁しにくいことは事務当局からでもけっこうなんでありますが、三十三年から、いよいよこの長期経済計画のすなわち五カ年計画というものが発表されてすでに段取りについているわけでございますが、この五カ年計画というものをわれわれがしさいに見まするというと、まことにある意味におきまして精緻であり、あるいはまあ科学的であるということが言えるのでございますが、ただ、私どもは貿易計画につきましては、多少この計画目標につきまして不審の点があるわけでございます。御承知の通り貿易自体はただいまもいろいろお話がございました通り、世界の経済に左右されるということはこれはいうまでもないのでございますが、そういう意味におきまして、この経済計画におけるところの貿易計画というものが一つの私は盲点になるのじゃないだろうかというように考えざるを得ないのであります。たとえば今度の経済計画によりますというと、国民所得を年平均六・五%の成長率にいたしておるわけであります。これが拡大していくとこういうことになっております。そういたしますると、三十一年度国民所得は大体七兆七千億円、これが四〇%増加する形になりまするから、最後の三十七年には約十兆八千億円、こういうことになるわけでございます。一方貿易の方は、これは先ほど通関ベースの問題で出たのでありますが、やはり通関ベースで出ておりますが、年率一〇・五%、それから輸入が五%の率で成長するということになっておるのでありますが、この国民所得の六・五%の成長率は、これは過去における大体七年間の平均状態としてわれわれは割り出されたものと考えておるのでありますが、輸出入の成長率は昭和三十一年度に基礎を置いたようにも聞いておるのであります。従いまして国民所得の成長率と同じ計算法によりますというと、輸出入の成長率というものは、もっとずっと高くならなければならないと思うのでありますが、まず、この点について一つ伺いたい。
  86. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) お答え申し上げます。御指摘の通りの数字になっておるわけでございますが、まず輸入の方でございますが輸入につきましては三十七年度経済規模から計算いたしまして主要な原料その他の輸入量をはじいておるわけでございます。この輸入の伸びが五%、年率で五%、成長率よりも低いということになっておりますが、実は三十七年度に想定されます経済規模からはじいて出ておるわけでございまして、実はこの点三十一年度の実績をもとにして伸び率を出しておりますが、三十一年度、それからまだ実績は最後的には出ておりませんが、三十二年度という年は、過去数年の輸入実績を見て参りますと、急に飛び上ったように輸入がふえた年でございます。たとえば三十年度から考えてみまして、輸出入それぞれの伸びは、それほど率としては変らないわけでございます。私ども輸入の方の率が低いのは今のような三十一年度の実績が普通の状態に比べましてかなりこれは繰り上げ輸入とか見越し輸入とかいろいろな点がございまして、かなり高かった。そこからスタートいたしますために、伸び率として低くなっているという点があるわけでございますが、三十七年度国民所得に見合った生産に応じた輸入量は、これで確保できるという計算になっているわけでございます。輸出の方は成長率が一〇・五%になっておりますが、これはこの最近数年間比較的、まあことにこの二年ぐらいは特別にはね上って伸びたという形にはなっておりませんで、輸入に比べましてはカーブがなめらかに伸びておる形になります。もう一つは特需収入というものが現在大体年に六億ドルございますが、この長期計画では三十七年度には大体二億五千万ドルぐらいまで減るだろう、その分を埋めて参らなければ、正常輸出によって埋めて参らなければなりませんので、これらの事情がかみ合いまして、先ほどお話しのございましたような成長率になっております。私どもこの輸出輸入がこの経済規模に対して非常に少いというふうには感じておりません。たとえばもしも輸入依存度というものが、今とそう変らないとすれば、経済規模の伸び率と輸入ないし輸出の伸び率とは大体同じでよろしいわけでございます。それにいま幾つかの事情が加わりましてこの計画のような数字になっているわけでございます。
  87. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 世界経済が昨年の上半期のような状況ならば、問題はないのでございますが、非常に最近は不景気になって、いわゆる下降景気を伝えられているわけでございます。日本の、たとえばこの輸出の伸び方を一つとりましても、世界の貿易成長率は大体約五%であります。ところが、日本の輸出はこれは輸出だけにとってみると、実に一七%、こういう率で今まで進んできているわけであります。これはまあ、敗戦日本にとりましてはある意味において驚異的な数字であろうと、私どもはかように考えるわけなんでございますが、こういうような状況にあるときに、先ほど申し上げました通り輸出は一切といっていいほど世界経済にも支配される、こういうことなんでありますが、それで特にこまかいことは、これは次回に事務当局からお聞きしまして、大臣にこの点について一、二点お尋ねをいたしたいことは、先ほど阿部委員からの質問の中に指摘がございましたが、まず大きな一つの問題としまして、米国の景気の問題、並びにこれは本委員会でもしばしば問題になっております例の軽工業の輸入制限の問題であります。それから米国自体がすでに昨年連邦準備銀行の公定歩合を下げております。これは私どもは専門家ではございませんが、一応アメリカの経済というものが下降におもむいたと、こう私は考えても差しつかえないと思うのでありますが、これらに関連いたしまして、長官といたしましてアメリカの、まあ本年に限るわけではございませんが、最近の経済景況というものについての御判断を一つお聞きしたい。
  88. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しの通り、対米貿易、ことに輸出は非常にめんどうにありますことは、いろいろな要素から御判断の通りと考えますが、また、私が申し上げますことは、楽観論ばかり言ってしかられるかもしれませんけれども、実は昨年私アメリカへ参りました際に、商務長官といろいろと懇談をいたしました。その際に私が受けました印象、たとえば具体的に申しますと、カニ類の輸入関税の問題につきまして、特にこれは戦前にアメリカが罰則的に上げた関税がそのままになっておる、こういうものはすみやかに下げてくれたらどうかという話をいたしたのでございます。この問題の取扱い等に対する商務長官の応答等は非常に好意的でございまして、私はわが方の十二分の努力によりまして、困難の中にも解決点を見出すことはできないことはないという気持を、印象を受けて帰ったのでございます。ただ、最近の体温計の輸入について向うが特別の関税をかけるとか、その他特殊のものについてかけるとかいうことはございますが、つい両三日前でございましたか、私はアメリカの合板関係の業界の人が見えられまして、これに対してわが国の合板の輸出の問題について、いろいろアメリカ国内の情勢等について懇談をしてみました、この人の話しによりますと、たとえば合板の一つをとってみましても、わが国で非常に問題にいたしておりますように、アメリカの方ではそう心配していない。ただせっかく日本が合板の輸出について規制をしておるその措置は、アメリカとしても非常に好ましい姿であるから、一つそれをアメリカで問題にしないから、直ちにこれを撤廃して、さらにより多量の合板を輸出するという措置をなさらぬ方がいい、さらにこれ以上の輸出をすることは、アメリカの業界としては要望していないということを申す向きも、実はあるわけでございます。ただ総じて申し上げますれば、アメリカの弱い業界に対して、わが国の業界が非常に適切なものを廉価にして向うの業界に強力な圧迫を加えるというものがままあるわけでありまして、こういう点につきましては、十分なる調査、もしくは談合をいたす必要があろうと思うのでございますが、総じて申しまして、私は今後政府並びに民間の格段の努力は必要でございましょうけれども、さればといって、そう長期にわたって今のように日米間において貿易上トラブルがますます悪くなるというようには私は考えられないのじゃなかろうか、アメリカ全体の景気につきましは、皆さんもう御承知の通りでありまして、まあ先行き悪いということよりも、大してよくなるということは困難かもしれないが、まあまあ何とかアメリカでも措置をとってゆくだろうというふうな見方がいいんじゃないか。でわが国において経済界全般の努力によりまして、アメリカに対してアメリカ国内市場の需要に応ずる生産の転換の計画を立ててゆきますれば、今後さらにアメリカ市場に対する日本の貿易、日本の産業基盤強化してゆくということは、むしろ金のないところに売るよりも、アメリカのような金のあるところに向ってわれわれが健闘することの方が賢明じゃなかろうかという気がいたしますので、私は対米貿易につきましては、一そうの努力をする必要がある、またその効果は上るものと私は期待いたしておるのでございます。そこに日本の産業発展貿易の将来は見込めるのであって、これは対応できるような態勢に日本の産業を持っていくというのでなければ、なかなか東南アジアを目標にしていくだけでは、むずかしいのじゃなかろうかと思うのでございます。
  89. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 総括して二点を大臣にお尋ねをいたしますが、一点は、この計画によりますと、最後の三十七年には東南アジアの総輸出額が非常にふえることになるわけです。十六億五千万ドル、こういう数字が出ておるわけです。これは従来の一〇・五%から見ると、たしか倍以上になるわけなんでありますが、こういう大きい数字を盛り上げたのには、いうところの岸総理のいわゆる東南アジア構想というものが盛られて、こういうところに数字が出たものでありましょうか、この点をお伺いしたい。  それからいま一点は、ヨーロッパの問題でありますが、御承知の通り西ドイツに最近非常にドルが集中せられ、従って輸入が非常に各方面とも制限をせられておるような状態でありますが、これに対しまして日本の貿易が今後支障を来たすようなことはないかどうか、この二点をお聞きいたしまして私の質問を終りたいと思います。
  90. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの東南アジアの貿易につきましては、事務当局より後ほど御説明をいたさせますが、欧州に対する日本の貿易は御承知の通り対英関係は別にいたしまして、その他の国につきましては、ドイツ以外の国はイタリアにいたしましても、スイスにいたしましても、そう取り立てて大きなものは従来もそうなかったんじゃなかろうか。これについてはむしろたとえば最近のマグロの輸出にいたしましても順次、魚のカン詰にいたしましてもミカンのカン詰等も入るようになって参りましたし、大きなまとまったものはなかなか困難でございますが、日本と同じ国情にございますので、雑種類のものとしては、決して私はそう共同体がどうである、こうであるということをやかましくおっしゃいますけれども、こまかなものを日本が出して、そうしてしかもこれがすぐれたりっぱなものをやれば、これに対する魅力は相当にあるのじゃなかろうかというので、欧州共同体の問題につきましては、相当議論がございましょうけれども、もともとが日本とそう貿易関係において強かったところでございませんので、これがために日本の貿易に非常に大きな影響を与えるということはないんじゃなかろうか、むしろ、これは今後の努力によりまして、入ってゆくということは、ある程度期待できるんじゃなかろうかというふうに考えております。むろん、対ドイツ、対イギリスの貿易につきましては、これは別途対英につきましては、日英通商協定等につきまして相当に将来考えられることでございましょうし、また、対独につきましてもこれはまた別途考える道があるんじゃなかろうかと考えておりますので、総じて申しますれば、そう悲観的な材料ばかりあるんじゃなかろうと、こういうように考えております。今申し上げましたように東南アジアの問題につきましては、事務当局より御説明いたさせます。
  91. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 三十七年度の東南アジア向け輸出は、計画の本来には地域別の数字は示しておりませんが、大体十六億五千万ドル程度の数字になっておりますが、これは輸出の市場別構成では、三十一年度と同じ割合を見ておりますので、世界全体に対する輸出の伸びと同じ伸び率を見ておりまして、別段率を上げているわけではございません。ただ、註にもございますが、東南アジアと一口にいっております中に、近接のアジア、つまり台湾、香港、琉球、南朝鮮、これだけ入っておりますので、もっと狭い意味の東南アジアの数字ともしお比べになりますと、かなり大きいように見えますけれども、これらを全部含めますと、伸び率は輸出全体の伸び率と同じになっておるわけでございます。
  92. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は先に石炭の問題についてお伺いしますが、粘結炭を国内に産しないからと言われた。しかし、この粘結炭のある代用をなし得る研究が行われておるはずでありますが、その輸入する粘結炭をどれほど国内の炭に切りかえておるのであるか、それを一つお伺いいたしたい。
  93. 大來佐武郎

    政府委員(大來佐武郎君) 私どもも、従来から北海道で国内炭を粘結炭に使う研究が行われておることを承知しておりますのですが、何分製鉄業の規模が非常に拡大いたしまして、粘結炭の所用量が膨大になる。それから、エネルギー全体の需要が逼迫といいますか、需要量が非常に大きくなりまして、いずれにしてもエネルギーがこの五年計画では、エネルギー消費の三割三分を輸入に待たなければならないというようになって参ります。国内炭で、非常に技術的に経済的にまだむずかしい点があるようでございますが、それで製鉄用の粘結炭に向けますと、今度は石油なり輸入炭で、またいずれにしてもエネルギーの穴を埋めなければならないというような事情もございますので、まあ、製鉄用粘結炭、溶鉱炉もだんだん大型になって参りますから、そういう強粘結炭につきましては、輸入に依存するという建前になっておるわけであります。
  94. 海野三朗

    ○海野三朗君 私は今そういうことを聞いておるのではないのです。国内で粘結炭が出ないから輸入しなければならない、これはわかることですが、今日までの研究の結果によって、粘結炭を減少せしむることがどれくらいできたかということを聞いておるのです。そういうことをお考えになって、この五カ年計画を立てるのでなければ、根本からぐらついておるでしょう。ただ数字上の計算だけで、ことしは六百万トン入れる、昨年は六百六十万トンというような数字の勘定ならば、だれだってできるのですよ。私は、この国内で粘結炭を研究して、そうしてどれくらい粘結炭の輸入を減らすことができるのであるかという、そういうことを私は聞いておるのであります。
  95. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお示しの点でございますが、実はこの計画企画庁が一切わかっておってやるわけではないのでございまして、農村関係のことは農林省、ただいまの石炭関係のことは通産省の石炭の専門の行政をやっておりますところ等々から、全部資料なり、各方面の調査を、また意見を聴取いたしまして、それを経済企画庁で取りまとめておるのでございますから、むろん、ただいまお示しのような点につきましては、通産省の石炭局におきましては十分考慮いたしておると考えます。しかるべき機会に通産省の方へ御質問下されば、お答え申し上げることと考えます。
  96. 海野三朗

    ○海野三朗君 しからば、私は今ここでそういうことを伺わないで、あとにそれは残しておきますが、私は商工委員をずっと数年来やってきておる間に、国内で産するところの石炭でもって粘結炭を幾ら補うか、どういうようにすれば補い得るかということを、再三通産当局にも言いました。そうして、それはここまで研究ができておるのだ、何%入れれば粘結炭の代用ができるのだという、そういうことができておるはずだと思いますから、そういうことについてお調べになった資料の提出を、私はお願いいたしたいと思います。  それから、この五カ年計画をお立てになっておりまするが二、三日前でありましたか、鉄鋼使節団が中共に行って、五年間に対して一千億円の輸出ですか、まあ二千億円の輸出入の約束をしたといいまするが、果してあれは実行できるでありましょうか。その辺について長官のお考えを伺いたい。私はこれはできないと思うのです。なぜできないかと申しますると、稲山氏が行ってやっても、これは値段の問題で売れません。高くつくのです。そこで出てきます問題は、私がお伺いいたしたいのは、財政投融資の問題です。なぜ電気の方に対して財政投融資をやって、中山伊知郎君がどうとかこうとか新聞に見えておりましたが、鉄鋼の方には、少しも財政投融資をやっていない。それはとんでもない間違いであって、今のうちに施設の改善をやっておかなければ、鋼材が安くできないのです。従って、値段が高くつく。ヨーロッパあたりと競争できない。そうしますと、稲山氏が行って約束をしたといっても、それは値段の点で折り合わないから、私は輸出はだめになると思うのですが、そういう点についての、財政投融資をなぜ鉄鋼の方にこれを省いたか、先が見えないというふうにしか私には考えられないのでありますが、長官はいかようにお考えになっておりますか。
  97. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お示しの通り、製鉄事業につきましても、非常に重要な産業でございますから、政府といたしましても、格段の配慮をいたしておるのでございまして、御案内の通りわが国の製鉄業はいずれも世界銀行その他から、財政投融資よりももっと安い金利の金を借りて所要資金を導入いたして施設をいたしておりますことは、御承知の通りであります。これらの導入につきましては、政府といたしましても十分なる協力をいたしてやっておるのでございまして、また、決してこの鉄鋼政策について、産業に対しまして、政府が財政投融資を怠っておるというようなことはないのでございまして、できるだけこれらの所要資金の調達につきましては、政府としても協力をいたしておりますことは、なお詳細は通産当局にお聞き下さいますれば、明快になると私は考えております。
  98. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういうことに対しましては、長官としては極力努力をして、困る場合には、骨を折ってやろうとおっしゃるのでありますか。
  99. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) おっしゃる通りであります。
  100. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はこの北九州方面のあの八幡製鉄の戸畑の工場を視察したのでありますが、財政投融資がないために、設備を今ストップしておるような状態である。これでは、今のうちに設備を早く改善しておかないと、国際場裏に立っての競争の際には、もう行き詰るのです。私はそれを思いまするがゆえに、この経済五カ年計画といって、石炭幾ら幾らといいますけれども、こんなことは私はできないのではないか。根本の基礎産業に力を入れてもらわなければいけない。そういうことに対しましては、過日もちょっと通産大臣に伺ったのでありますが、世界銀行の方からどうにか融資するだろう、それから民間の方でも協力するだろうというお話しでありましたが、あなたが閣僚の一人として、そこにどれくらいの御熱意があるのであるか、それを私はちょっとお伺いいたしたい。
  101. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは、御承知の通り、昨年各産業につきまして施設が少し行き過ぎるという傾向にありましたので、一部繰り延べをいたしたわけであります。その繰り延べが、たまたま今海野さんが御指摘になりますように、工事を中止しておったものがあるではないかというようなことにぶつかったのではないかと思いますが、決して全体の産業の伸びから申しますれば、製鉄が立ちおくれておるというようなことはないのでございまして、日本の三大製鉄、もしくは何大製鉄と申しますか、これらの重大な企業につきましては、十分私は他の産業均衡をして発展して参ることに少しも支障は来たしていないと、こういうふうに考えるのでございまして、これは一部行き過ぎたものが一時的に停止をしたことはある。それは設備投資拡大を押えたことが、たまたまそれがぶつかったのであって、これらの業界が資金難のために今どうということは私は考えておりません。今後そういう必要がありますれば、政府におきましてはいかようにも協力いたして、そうして決してわが国の基幹産業として他の産業に支障のないようにいたして参らなければならないと考えております。
  102. 海野三朗

    ○海野三朗君 昨年の九月までは、鋼材の値段がすばらしく上った。建値の倍以上にもなって、手に入らなかった時代がありまするが、その後政府がこれを輸入した。輸入したところが、世界的不況と、それから日本の経済的な影響によってがた落ちになってしまって、ただいままで値段がずっと低くなってきた。つまり、元の建値でさえもが売れないという状態、こういう状態は、基幹産業に対する政府の見誤まりじゃないかというふうに私は思います。こういう際には、やはり企画庁長官としては、よっぽどしっかりしていただかなければならないのじゃないか。がた落ちです。一トン九万円もして手に入らないというやつが、昨今は四万円程度で品物が売れないという、こういうことでは、基幹産業がそうでありますから、小さいところの企業が皆ばたばた倒れていく。こういう状態は、私はもう少しあなたがしつかりネジをかけると申しますか、もう少ししっかりやっていただきたいと私は思うのですが、今日までのこの五カ年計画も、まことにけっこうです。けっこうですけれども、もうおそらく五カ年計画じゃなくて、二年、あるいは一年くらいもどうかと思うのです。実は失礼な話しでありますが、昨年の予算のときに、私が三月末の予算が通過するときに当って、池田蔵相に、一千億の均衡財政とか何とか大きなことをいっていばるけれども、どうです、と言って念を押したところが、いや大丈夫だ、絶対大丈夫だ、と言っておられた。四カ月たつかたたない間にこの大変動でしょう。これは明らかに、私は悪口をいうわけじゃありませんが、ときの政府の見誤まりであると思う。経済的にこんな見通しのきかない話はないじゃないかといって、私はずいぶん悪口を言った、実際そうですから。せめて一年ぐらいその通りになっているのならいいけれども、四カ月ですよ。三月の末に予算が通って、七、八月には、ばたばただ。こんな見通しということはないじゃないか、と言って、私は非常に嘆いたのでありますが、今度は五カ年計画、今おっしゃることについては、あなたのもう少し確たる御信念を私は伺っておきたい。もう少し先の見える計画をお立てになって下さい。たとえば、この石炭なんかそうなんです。私はさっきから考えておりまするが、そこにおる大堀君がよく知っておるはずだが、私はこの前から、石炭の粘結炭ができないから、国内で弱粘結炭を上手に焼けば、相当強粘結炭が得られる。強粘結炭でもってコークスを焼いた結果が得られるのであるということを主張いたしまして、その後、研究ができて、相当のところまでいった。いったからして、それが今日粘結炭の輸入をいかほど阻止しておるかということを私は申したのでありますが、今お話しによれば、各省からの資料によってやったのだとおっしゃる。それはごもっともでございましょうが、そういうお考えよりも、もう少し私はこういうところに、研究ということに対してお心を注いでいただかなければならないと思うのです。オートメーションの問題にいたしましても、先ほどの答弁なんか事務当局はお話がなってないのです。なってないということは、先ほど島委員が聞いたことは、パーセントと人数の関係とを聞いているのです。それが全くできないのです、事務当局は。まるでぼんやりとしたお話しで、あんなことではだめなのです。たとえば三%伸びるとか、四%伸びる、それで六十五万人とは、どこからその数字を割り出してくるか。パーセントと人数の関係、そういうことをもう少しとくとお調べになってしっかりやっていただかなければ困る。はなはだ苦言を呈して相済みませんけれども、これに対するあなたの確たる御信念を伺っておきたい。
  103. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) だんだんの御意見でございますが、昨年は御承知の通り政府の考えておりましたことと、民間の考えとが、少しちぐはぐになりまして、予想以上に設備が過大な投資になり、これを途中で変更しなければならない事態になりましたことは、まことに遺憾のことでございます。従いまして、今後におきましては、これらの経験を十分生かしまして、再びそういう轍を繰り返さないように、慎重に案を検討いたしたつもりでございます。いろいろの点について御意見もございますが、諸般の御意見は十分これを伺いまして、なお、今後とも一ぺん立てた計画を絶対に変更しないなんということはないのでございまして、むろん、五カ年長期計画におきましても、国際的な関係もございますし、国内の経済動向もございますから、むろん遠い先を見つつ、現実に即しつつ、やって参らねばいかぬと考えております。従って今お話しの通り、確かにこれを五年間変えずにやっていこうということは考えていないのでございまして、遠きをおもんばかりつつ、三年ぐらいしましたら、さらにこれを拡大して、もっと日本経済がよく発展することを期待いたしつついたして参るのでございまして、ただ、初めからあまりに完全雇用拡大ばかり言っても仕方がありませんから、そういう点につきましては、十分諸般の条件を検討いたしまして、この程度はどうしてもやらなければいけない、やればできるという程度にとどめつつ、一方失業者の多少出ますことも、はなはだ残念でございますけれども、それにはそれに別途対策を講ずることといたしまして、この程度の案を立てておるのでございまして、いろいろな御意見を承われば承わるだけ、また、年々従来と違いまして、その実態について十分検討を加えまして、その実態とこの計画との間の開き等につきましても、これを全部一般に発表いたしまして、そうしてその上に立って将来の改善を期していきたい、こう考えておるのでございまして、いろいろ御意見拝聴いたしまして、十分注意して参りたいと思います。
  104. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほどだれか委員の方からちょっと触れられましたが、この学識経験者ということも、カビがはえたような人間ばかり並べたのでは困ると思う。実際こう思うのです。それで鉄鋼の問題につきましても、一つの例でありまするが、八幡でも富士でも、あの大会社には四十代、三十七、八ぐらいの実に前途有望な頭の持ち主がおります。あまり世の中に名前が現われないそういう方を一番利用なさったらいいのじゃないかと思う。私はこれを申し上げておきたい。それと同時に、また年をとっておるような人をも入れて、また、そういう若い人を入れて、若い人ばかりでもいけませんけれども、しかし、五十以上のお年寄りばかりじゃ勘がいけないのです。ところが、若手のすばらしい連中もおりますから、やはりそういう方面の頭脳を集めて、野に遺賢がたくさんありますから、そういう若い者の意見を御参考にしていただいたら私はけっこうだと思うのです。
  105. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう時間がないからあと一分で、資料だけ私もらいたいと思うのです。結局私の聞きたいというところは二つあるが、その前の一つは道路計画です。重点施策としておりますが、最近言っておる言葉は、東京なんか、西部劇の町を歩いているようで、それは地下鉄を作っているからしようがないけれども、ところが、今までの道路政策を見て、これから重点施策として道路を作る従来のやり方から見て、どういうふうに道路に対する施策を持っておるのか。これは建設省の部類かもしれないが、従来の建設省のやり方を見ておるというと、われわれは建設省に道路を作らせることに非常に危険を感ずるのです。危惧を感ずるのです。というのは道路、ガス、水道、電気、いろいろありますが、総合的に全然できていない。結局都道府県にまかせることが多いと見えて、国道でも全くあっちを掘り、こっちを掘っておる。しかし、基地に通ずる道路は、なかなかりっぱな道路があるのです。私は道路計画を一体どういうふうに昭和三十三年度においてやるのか、それを経済企画庁としてどういうふうに建設省と話し合って、基本的な総合経済に基くところの道路計画を立ててやるのか、これを資料として明快にわかるように出してもらいたいと思う。それは道路を作ればもうかるということを皆な言っておるのです。だれも同じように道路を取り上げたのは、もうけるためにやっているのじゃないかということを言っているわけです。というのは、今あそこの工事を見ておると、どういうふうに入札したのか知らぬが、人事院のところは酒井建設がやって、その向うは別の何とかいう建設がやっている。こま切れです。早くやらなければ都民に迷惑がかかるのです。ところが、やっているやり方はてんでばらばら、こっちに土が盛ってある。あっちに盛ってある。(「地下鉄だろう」と呼ぶ者あり)地下鉄ですよ。しかし、地下鉄の例を見ても、工事を請け負わせる方法というのも、河野さんあたりから考えてもらって、電気料金を押えるように、もうちょっと効率の上るように、政府の金が生きてくるように、これをやって、もうけていけませんと会社に私は言いませんよ。会社はもうけてもいいと言っているのです。もうけたらもうけただけの仕事をあとで残してもらわなければならん。道路というものは基本的にこれは残っていくわけだからね。そういう点で経済企画庁の方で道路計画に対する構想といいますか、それをどう考えているか。それから建設省の方に対して、今まで、従来の道路行政、道路施策、ああいうものに対して建設省についてどういうふうなことを考えておるか。私は、それを理解があるように、今後国民的にこれは重大関心を持つわけです。日本の経済と重大関係があるわけです。だからそれについて明快に一つ出してもらいたい。それがなければこれから重点施策としてやるといったって、ちょっと私は納得できないからね。これは請け負わせる方法も、従来の方法はこれだけれども、こういう談合方式とかいろいろなものは困るから、どうするのだというふうなところまで私は考えて、それを施策としてやはり示してもらわなければ心配でしようがない。一分経ったからやめますがその資料をお願いします。  あとは次に回します。
  106. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 資料はいいですね。
  107. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今の点は建設省の方によく連絡をいたしまして、建設省の方から提出いたします。
  108. 岡三郎

    ○岡三郎君 いや、建設省の方からじゃなくて、企画庁としての道路計画、ここにあるのですよ、今長官の説明の中に重点施策としてやると書いてある。
  109. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは重点施策として……。
  110. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから計画を見せてもらいたい。
  111. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  112. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を始めて。
  113. 海野三朗

    ○海野三朗君 いろいろ中小企業関係法案が出ておりますが、中小企業者全体から集まってくるお金、たとえば事業税とか物品税、所得税とかそのしぼり上げるお金と、それから中小企業者に回すところのお金、それをすべくくった資料を一つお願いいたしたいのであります。これ、全体だから、全体にわたっているのでありますから、経済企画庁の方がいい、それを一つお願いしたい。
  114. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 今の資料につきましては、御期待に沿うようなものができるかどうかなおよく勉強いたしまして、あらためて御答弁いたします。
  115. 近藤信一

    委員員(近藤信一君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  116. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記起して。  ただいまの連合審査の件につきましては、委員長理事打合会におまかせ願って、そこで態度を決定したいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 近藤信一

    委員長近藤信一君) では、次回は三月四日に開会することにして、そのときまでに付託された法案提案理由を聴取し、本付託になっている二法案輸出保険等の改正案、計量法の改正案の審議に入ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————