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1958-04-16 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十六日(水曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   委員異動 本日委員最上英子君辞任につき、その 補欠として有馬英二君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君            中山 福藏君    委員            有馬 英二君            草葉 隆圓君            斎藤  昇君            寺本 広作君            西田 信一君            谷口弥三郎君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 經勝君            竹中 恒夫君   委員外議員    国務大臣    坂本  昭君    厚生大臣    堀木 鎌三君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省児童局長 高田 浩運君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎭雄君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    大蔵省主計官  鳩山威一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求の件 ○参考人出席要求に関する件 ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○児童福祉法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 開会いたします。  委員異動を報告いたします。四月十六日付をもって最上英子君が辞任され、その補欠として、有馬英二君が選任されました。   —————————————
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 委員派遣要求に関する件についてお諮りいたします。近く数回にわたり帰省いたします中共地区からの引揚者実情調査のため、委員派遣を行うことといたしまして、派遣委員人選日時手続その他については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと存じます。よって委員長は、理事協議の上、進めることにいたします。   —————————————
  5. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 参考人出席要求についてお諮りいたします。日本労働協会法案審査上の参考に資するため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じます。その人選日時その他手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よって参考人意見を聴取することと決定いたしました。委員長理事協議の上、進めることといたします。   —————————————
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案議題といたします。提案理由説明を願います。
  8. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) ただいま議題になりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦傷病者及び戦没者遺族援護に関しましては、昭和二十七年に戦傷病者戦没者遺族等援護法が制定されて、障害年金遺族年金等支給の道が開かれ、ついでその翌年からは、恩給法改正により、軍人にかかる傷病恩給公務扶助料支給されることとなり、また、未帰還者留守家族等援護法により留守家族等に対する援護が強化されましたことは、すでに御承知のところであります。  しかしながら、自後これらの年金恩給等受給者相互間の公平、ないしは待遇の改善、法の対象に含まれていない者に対する措置等に関し、総合的に問題の全般を見きわめて、適切な対策を立てることが強く要請されておりましたので、これにこたえ、昨年五月これらの諸問題を調査審議するため、臨時恩給等調査会が設置され、自来委員各位の極めて熱心な検討が重ねられ、その結果が同年十一月十五日に内閣総理大臣に報告されたのであります。  政府におきましては、右の報告の趣旨にのっとり、戦傷病者戦没者遺族、未帰還者留守家族等処遇に関する諸条件につき措置するという基本方針を定め、その内容等に関し、種々検討を重ねて参ったのでありますが、ここに諸般の調整を終り、別途本国会に提案されました恩給法等の一部を改正する法律案とあわせて「戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案」を提案する運びになった次第であります。  以下、この法律案の概要について、御説明いたしたいと存じます。  まず第一は、恩給法において傷病恩給及び公務扶助料増額されることに関連いたしまして障害年金障害一時金及び遺族年金並びに留守家族手当の額を増額いたしたことであります。すなわち障害年金につきましては、現在不具廃疾程度に応じ、最高十八万一千円から最低一万二千円でありますのを、いわゆる介護手当及び家族加給を加えて最高二十八万七千五百円から最低一万九千円に、障害一時金につきましては、現行八万五千円から最低五万九千五百円でありますのを、最高十六万円から最低十一万三千円にそれぞれ増額いたし、また遺族年金につきましては、現行三万五千二百四十五円を五万一千円に増額し、留守家族手当につきましては、月額一千九百三十七円を四千二百五十円に増額いたしたのであります。なおこれらの増額は、本年十月から実施することといたしましたが、第二款症及び第三款症の障害年金並びに障害一時金の増額は、昭和三十四年七月からとし、また、遺族年金及び留守家族手当につきましては、増額分全額増額昭和三十五年七月からとし、それまではその半額増額することといたしたのであります。  第二は、被徴用者動員学徒戦闘参加者等いわゆる準軍属がおかれていた特殊の状態にかんがみ、その身体障害者及び遺族に対する処遇改善をはかったことであります。これら準軍属が、当時、国家権力により特定の労務に従い、あるいは、陸海軍の要請により戦闘に参加する等により傷痍疾病を受け、ために身体障害を残し、または死亡した場合には、新たに障害年金または遺族給与金支給する方途を講ずるとともに、更生医療の給付、補装具支給及び国立保養所への収容の措置をもとることといたしたのであります。右の場合におきまして、障害年金の額は軍人軍属支給する障害年金半額とし、遺族給与金は一時金分割払い趣旨に基いて年一万五千五百円を五年間にわたり支給することとし、支給の始期は昭和三十四年一月といたしました。  その第三は、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び未帰還者留守家族等援護法の施行の結果等にかんがみ、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護の強化を期するため必要と認められる三、三の点につき、両法において、所要の改正をいたしました。すなわち、軍人遺族で、事実婚にあった配偶者、同一戸籍外父母等遺族年金支給を受けている者に対し、同一の事由による公務扶助料受給者がいなくなった場合は、先順位者遺族年金支給する道を開き、未帰還者留守家族等援護法による療養の期間が近く満了する者についてその期間を一年間延長したこと等がその内容であります。  第四といたしまして、右の諸改正に伴い、関係法律改正をいたしたのであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  9. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本案に対する質疑は次回にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  11. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) この際報告いたします。刑法の一部を改正する法律案ほか一件について、法務委員会連合審査を申し入れましたところ、同委員会において、本日連合審査会を開くことを決定されました旨の連絡がございました。なお日時は十九日午前十時でございます。御報告いたします。   —————————————
  12. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑を願います。
  13. 片岡文重

    片岡文重君 未熟児の取扱いといいますか、成長を助けるために、特別な配慮をされたのがこの法案趣旨だと思うのですが、一般正常児出生率に対して、いわゆる未熟児と害われる子供出生率は、大体どういうことになっておるのかということを一点です。それから未熟児成長率といいましょうか、生まれてくるときにすでに正常な状態でなかったのですから、成長率も他の正常な子供に比べては劣っておると思うのですが、これは計数をもって現わすことは、はなはだ困難であろうと思いますけれども、どの程度成長率というものが見られるのか。特にお伺いしたいのは、どの程度医療機関を置けば、あるいは医療方法を加えればどのくらいの期間正常児になるのか、出生時の状態によっても違うのでしょうけれども、おおむねという程度でけっこうですが、正常児に追いつくにはどの程度期間が要るのであるか、それからまた正常児になってから後の知能程度は果して正常の状態出生した子供たちと遜色がなくなるのか、あるいは程度はやり大きくなるまで正常児には追いつけないものであるのか、こういう調査がもしあったならば教えていただきたい、これが第一点です。
  14. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お手元に差し上げております資料の七十三ページにあります。大体二千五百グラム以下を未熟児としまして、全体の出生の六・六%、数にいたしまして約十一万が未熟児と考えております。それからこの法律によりますいわゆる養育医療指定医療機関に入れて養育医療を施します期間は一応平均七十日を限度として考えております。もちろんこれは未熟程度の差によりましてその間の違いは相当出てくると思います。それから未熟児はもちろんこれはまあ死亡率という点から申し上げますと高いわけで、御承知のように乳児死亡率が千対大体四十の見当になっておりますが、このうちの三分の一、乳児死亡率の三分の一は未熟児が占めておる、現在でもそういう状況になっておるのでございます。それからこれの肉体的、精神的な発育の問題でございますが、これにつきましては、従来の研究ではまだ完全に一致をした状態までは達していないように承知をいたしておりますが、しかしおおよその意見として、考え方として、身体発育は大体就学前までには大部分のものが正常範囲に到達をするといわれております。この知能及び精神の発達につきましては、一般成熟児に比べて大した差はないという説と、多少劣るのではないかという説とこれはありますけれども、この辺は結局具体的なこれは未熟程度にもよる問題でございますので、一概に断定することはいかがかと考えておりますが、いずれにいたしましても出生後すみやかに適正な医療を加えることによりまして大部分のものが肉体的にも精神的にも健全な発達を期待し得るものと考えております。歴史的に相当高名な人ももとは未熟児であったという人もおるような状況でございますので、この辺の問題は一概にどうこうということはできないと思います。
  15. 片岡文重

    片岡文重君 未熟児の出血の原因といいましょうか、未熟児のまま出生をするということは、その生れてくる子供原因がある場合と、その母体疾病あるいは妊娠中毒症等原因があって未熟児として出生してくる子供の数といずれが多いのか、そういう未熟児出生原因について調査をされたことがあるのかどうか、もし調査をされたとするならば、どういう割合になっているか、どういう原因が一番多く未熟児として出生するようになるのか、そういう点を一つお聞かせいただきたい。
  16. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 従来調査されているところによりますというと、約半分はこの未熟原因が判明をいたしております。あと半分は未熟原因がわからないということになっております。原因として考えられますのは、妊娠中の母体の異常、たとえば妊娠中毒症過労栄養障害、結核、心臓病、そういったものに起因するものが多いといわれております。そのほか双体、体が二つ、奇形、胎盤の異常等によっても未熟児は生れることがあるわけでございます。いずれにいたしましても、その大部分というものは、妊娠中の母体の異常に起因する、原因の判明いたしましたものにつきましては母体の異常に起因をするとされております。
  17. 片岡文重

    片岡文重君 大部分母体の異常によるということの御説明のようでありますが、この母体異常のまた原因となることは過労あるいは心臓、その他の病気あるいは奇形ということになるようですが、やはり過労というようなことも相当問題であるし、病気の者は、病気をいかに克服して正常児出生せしめるかということに努力をしなければならぬと思うんですが、そういう点について妊産婦指導あるいは平素の妊娠する前の母体保護、こういうことが未熟児を少くしていく一つの重要な要素になろうかと思うんですけれども、この母体保護の点について、また妊婦指導保護について、現在の保育所等機関で十分にこれを行なっているというふうに考えられるかどうか、特に職場婦人母体保護という点についてどういう指導あるいは保護を加えておられるのか、そういう点について一つお聞きしたい。
  18. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) いわゆる母体保護の問題は、これはひとり未熟児の防止のみならず、健全な児童の育成ないし社会保障全体のいわば根本に位する問題でございまして、これをしっかりやるということが社会保障による将来の社会的な負担あるいは個人的な不幸というものを防止する有力なポイントになるものと私ども考えております。これにつきましては、国としましてはいわゆる妊産婦乳幼児を含めました妊産婦の検診でありますとか、あるいは保健指導でありますとか、そういったことを保健所中心にして実施をいたしております。これが予算として約千七百万円程度のものを国の予算として計上して保持しておる状況でございます。もちろんこれではいろんな面において不足の点が多いし、これがやり方等についても考究をいたさなければならぬと思っておるものでございます。特にそのほか、いわゆる母子健康センターの問題もこういった問題を改善する一つの有力な手段として考えておるような状況でございます。  それから保育所関係につきましては、もちろんこの辺の問題と深甚の関係があることもお話通りであります。これにつきましては一つの問題は、乳児あるいは年少のと申しますか、年令の低い方の幼児、こういったものを保育所に損かって保護をするということが、これは一つ重点と考えなければならぬと常々考えておりましたが、実際の現実の保育所における姿を見てみますというと、どちらかといえば高年令、まあ幼児のうちでの高年今の幼児が入っておりまして、今申し上げました乳児ないし低い年令幼児の入っている率が非常に少い状況でございます。これにつきましては経費の問題その他が考えられるのでございますが、今後この保育所の運営につきましては、むしろそっちの方に相当重点を置いていけるように計費その他の点で考えていきたいということで、現在せっかく検討中でございます。
  19. 横山フク

    横山フク君 関連して……。今局長お話一つ解せないことがあるのです。というのは、妊婦保健指導保健所中心というお話ですが、現在家庭分べんが特に農山村では六、七割ありまして、そうして四万の助産婦保健指導をしておられるわけです。これは保健所中心ということとは少し違うと思いますが、やはり速記録を見られた方々にも誤解するところがあると思いますから、その点は訂正していただきたいと思うのです。今関連ですからそれだけでございます。
  20. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 少し省略をしてものを申しました関係上、あるいは誤解を生じたかと思いますが、私の申し上げましたのは、いわゆる行政機関として、府県の妊産婦乳幼児仕事が現在県の仕事になっておりまして、この県の一つ機関として保健所行政担当者としてやっているわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございまして、もちろんそのほかに、これは助産婦はもちろんのこと、医師保健婦方々が熱意を傾けてやっていられることは、これは私の申し上げるまでもないことでございます。ますますそれらの人々の活動によりましてこの妊産婦乳幼児保健の問題が万全を期せられるように切望していることについては、だれにも劣らないつもりでございます。
  21. 片岡文重

    片岡文重君 厚生白書を拝見をしても、あるいはまた先だって、十一日でありましたか、当委員会における参考人陳述等をお聞きいたしましても、現在の保健所要員において、はなはだ不足をいたしておるようでありまするから、保護訪問等も十分に行うわけにはいかないのじゃないかというように考えられます。特に農村であるとか、あるいは勤労婦人の場合に、この保健所としてはどういうふうな、どういうふうというのは、つまり保護手段方法ではなくして、どの程度一体保護訪問が行われておるのか。都市における保護指導ということは、距離的にいってもあるいは保健所の機構からいっても足らないとは言いながら、まずまずということも言い得るかもしれませんが、特に農村なりあるいは日々職場に勤めておる婦人母体保護について十分に訪問をして保護し、指導することができるかどうかということになると、はなはだ危惧の急なしとしませんが、これらの点について現在十分であるとはまさしく考えておられないと思いますけれども、どういう状態になつておるか。不足だとするならば近い将来にどういう方法をとってその現在足らないところを補っていこうとされるのか、将来の政策につきましては大臣からも御所見を伺いたいと思うのです。  特に予算点等もございますから、ついでに申し上げておきますが、この厚生省からいただいた資料を拝見しても、千八百グラム未満子供を大体入院指導ということになるようでありますが、この千八百グラム未満の未熟児出生児は一万八十九となっております、三十一年度として。しかし三十三年度予算予算措置としては千二百九十五人分だとここに、同じ資料に書いてあります、ということになると、ほとんど一割そこそこのものにしか、一二、三%しか予算が組んでないということになるのですが、これで十分何とか、十分ではないことはもちろんですが、何とかこれでやっていける、そうお見通しを持っておられるのか。十分何とかやっていけるとするならば、どういうわけでそれがやっていけるということになるのか、その点もあわせて御説明をいただきたいと思います。
  22. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保健所における技術職員不足の問題、不足がちであるという問題については、たびたび議論に出ている問題でございます。そういうところに新しい未熟児仕事をやってもらうということは相当むりではないか、その辺の点については私どももいろいろ公衆衛生局とも打ち合せもし、また将来の問題として多少気にかけている、率直に申し上げて気にかけている問題でございます。ただこの保健所としては母子衛生関係は従来とも相当重要なウエートを占めている問題でございまして、たとえば訪問指導件数にいたしましても、たとえば三十一年の実績をとってみましても、妊産婦乳幼児合せまして約四十三万件以上の訪問指導件数に上っている状況でございます。またこの未熟児の数は先ほど申し上げた通りでございますが、これを保健所当りに割ってみますと、大体年間一保健所当り百三十名程度になるわけでございます。まあその辺から一応現状をもって相当やれるというふうに考えておるわけでございます。もちろん今予算の問題についてもお話がございましたが、未熟児の問題全体がいわばまあ三十三年度から発足をするものでございますので、予算その他について十分でないことは、これは私どもも率直に認めざるを得ないと思います。これはしかし一面において新しい仕事だけに、まあこれを、養育医療を行います医療機関もまだ十分整っている所が少いし、ですから行政上の把握もまたそう高きを望めない面もこれは考えなくちゃならぬと思いますし、まあ未熟児対策それ自体がいわば未熟児であるということは、これはいえるかと思いますけれども、一応これで発足いたしまして、今後漸次これを充実をして成熟さしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) この際お諮りいたします。委員外議員坂本昭君から発言許可の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よってこれを許可することに決しました。
  25. 片岡文重

    片岡文重君 まあその前に一つ大臣の御所見を伺っておきたいのですが、今の局長の御答弁ですと、どうにかやっていけるというのですが、たとえば保健所における保健婦が、私の調べたところによると、東京都内においてすら保健婦自身出産の四、五日前まで勤務に服しておるという状態が見受けられます。このことはその婦人だけがそういう過激な勤務をしておるということではなくて、保健所全体がやはり少い人員で与えられた職務に忙殺されておるということを雄弁に物語っておると考えられますが、こういう状態のもとで、特に未熟児出産のおそれある母体保護出産までの指導出席後の指導、こういうことに万全を期し得るかといえば、これははなはだ疑問だと私は思います。特にしからば最初の年であるから、今後これを土台として改善をしていきたいという御意見のようですけれども、その最初の年としては、少し、特に入院養育を要する未熟児の場合には予算が少な過ぎるのじゃないか。施設等が十分でないならば、なおさら予算を十分にとって、費用の点でめんどうを見て、不十分なところを補っていくべきであって、施設の十分でないところに、さらに予算も少いということになれば、一そうその未熟児保護というものは手薄にならざるを得ないと思う。やはりたとえ夫熟児という恵まれない条件のもとに出生したとはいいながら人権には変りはないことですから、いやしくもこういう点に、この未熟児保護の点にお考えをいただきますならば、もっと思い切った施策が考慮されてしかるべきではないか、こう思うのですが、保健所における現在の要員で果して十分に今後母体保護に責任を持ってやっていけるのかどうか、こういう点についてもう一度お伺いし、さらに一つ大臣からこの点について将来どういう方法でこの不足を補っていかれようとされるのか、たとえば保健所における保健婦医師等要員充実に対する方法等も、この際伺っておきたいと思います。
  26. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 母子衛生妊産婦乳幼児仕事自体がずっと従来のやり方でやって参りまして、何とかこれを、もう少しがっちりやることにしなければならないし、そういう方途工夫をいたしたいということで、せっかくこの母子衛生全般の問題について研究工夫を重ねておるところでございます。まあ未熟児の問題のみならず、この妊産婦乳幼児の問題は、やはり社会保障の最も根本的なものとして、もっと強化しなければならない、かように考えておるのでございますが、それに関連をしまして、その一つの問題は、現在これが実施の主体が県になっておりますけれども、しかしこういった、おなかを抱えたお母さんでありますとか、あるいは赤ん坊を抱えたお母さんであるとかいうものの世話というものは、もっとやはり身近なところで世話をする仕組みにすることが一つ考え方としてとるべきものではないか、言いかえれば市町村がこの面に、もっと積極的にやることが一つの解決の道になるのではないか。さらにそり母親の健康の問題というのは、やはり個人々々の問題というよりも、母親の一つのグループと申しますか、これを集団的に、まあある程度組織化しまして、これとすなわち市町村の活動と結び合った形でやっていくことが一つのいき方ではないだろうかというようなことで、この辺の問題を含めて検討いたしておりますので、今後一つ趣旨の線に沿いましてこれは充実して参りたいと思います。それからなお保健所の、未熟児に対する訪問指導関連いたしまして、直接訪問することはもちろんのことでございますけれども、保育器を保健所に備えつけまして、それを無料で貸し出して養育の手助けにする、そういうことも実は今回の予算で計画をいたしておるのでございまして、それらのところ全体としてお話通りに不十分な点はございますけれども、今後鋭意努力をして参りたいと考えております。
  27. 山本經勝

    ○山本經勝君 保育所の問題で一、二点質問申し上げます。  第一番には、この御提出になっておる資料を拝見いたしますというと、大体保育所の数が一万四千数百という多数に上るように思います。これは無論私設保育所を一応含めての数ですが、この間参考人の河村さんからのお話にもありましたように、大体九千内外、これはいわゆる私設保育所を除いたものですが、しかも、それでもってなお不足する状況が訴えられておりました。それからなお資料を見ましても、全国社会福祉協議会が都道府県協議会に諮問したといいますか、組織を通して三十一年の三月一日現在で公私のこの施設の実情調査をされた問題点等資料に載っております。それを見ましても、実はその施設がまだ足らぬのである。しかも、この政府提出の資料の中で無認可のものが六百七十五もあり、あるいは目下認可申請中のものが百五十六、こういう数字になっておるようであります。そうしますと、当然これは非常に必要なもので、ことに協議会の調査によつて要望されておる点を考えますというと、季節的な保育所等はさらに増加をする必要があるということが指摘をされておるのです。ですから、こういうような必要な状況に対して、厚生省としてはこの保育所というものに、もう少し力を入れて施策を推進する必要がありはしないかと思うのですが、厚生大臣のこの点まず御見解を伺っておきたい。
  28. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 先ほど片岡委員からも、現在の保健所状況でもって実際に未熟児の養育、指導等ができるのか、ことに訪問指導ができるかというふうな御質問で、私どもごもっともな御質問であると思うのであります。まずそれについてお答え申し上げますが、私案は現在の職務に当りましたときに、たしかこの委員会でも申し上げたと思うのでありますが、厚生行政の一番問題点は、末端の実際に国民と日々接触するところの機関そのものの弱体な状況一つの大きな欠点であるということを申し上げて、実は保育所の強化をはかりたいということは、現在もなお捨てていなかったんでありますが、三十三年度の予算に当りまして、この問題につきまして何とか解決をいたしたい。ことにただいまは母子衛生に関しての問題でありますが、実に最近保健所は各種の新しい施策に伴いましての仕事を引き受けておりまして、仕事量はふえるばかりであります。しかるに医師の充足もよくない、あるいは保健婦さんの充足もよくないというふうな情勢でありますので、これらに対して国庫の負担割合をふやして参りますことは、地方財政に寄与いたしますと同時に、地方自身がこの問題についてさらに積極的な活動をしてくれることに、大きな導因になるのでなかろうかということを考えておったのでありますが、不幸にして今回の予算に当りましては、所期の目的を達成いたしませんでした。結核問題から考えましても、保健所の任務はますます重大になってくるというふうな情勢でございます。で、まあ保健所のせめて現場の手を幾分でも省けるというのは、今度の結核対策で検診班に対して定員をふやすことができたという点が従来の保健所仕事を幾分緩和したのでなかろうかと……。で、未熟児に対しましては、現在この法案に盛って対象になっておる人間が大体全国でたしか約年間十万人と推定いたしておりますので、まあ一カ所、一保健所当り年間約百三十名、これはまあ平均でございますから、必ずしもこれによることができないのでありますが、年間約百三十名である。そうすれば、医師助産婦あるいは保健婦等の活動によって法の目的とする点も、ある程度できるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておりますが、しかし何しろ最近の国民の健康の問題につきましては、新しい観点から新しい政策が行われるというふうな情勢であって、現状でも非常に手不足であるという点は私どもも認めざるを得ませんので、これが強化については今後努力いたしたい、こう考えておるのであります。それから山本さんの御質問の保育所、一体保育所を今後どうするのかという問題につきまして、私どもとしても今回の予算でも私設保育所は数はちょっと記憶いたしておりませんが、相当多く、今度は従来に比して私は多く予算上は認めたつもりでございます。獲得したつもりでございますが、今後保育所の問題につきましては、これを未熟児といい、それから保育所でもって扱います児童というものも、すべて新しい憲法、新しい児童憲章の精神にのっとりまして、当然私どもがこの方面の仕事を推進強化して参らなくてはならないというふうに考えておりますので、今回の御審議を願っております未熟児の、児童福祉法の一部を改正しまして、未熟児問題を新しく取り上げ、そうして未熟児問題からスタートするということは、私どもとしてもこの方面に対して、児童の福祉に関しまして積極的な施策を推進いたしたいという行政方針のもとにいたしておりますことは間違いないことだと思うのであります。
  29. 山本經勝

    ○山本經勝君 続いて伺っておきたいのは、この厚生省のお出しになっておる資料の、先ほど申し上げました協議会の調査に基く問題点と言われるものを見て参りますと、こういうようなことが書いてある。総体的に施設の少い県においては徴収率が悪い。これは徴収率、つまりこの保育所の費用をそれぞれこれに入所する児童の家庭が負担をしておる実情であり、またそれに対する国の補助、あるいは都道府県の補助、そうしたものが財源になって運営をされておるのですから、結局この言葉をそのまま受け取るなれば、総体的に少い施設の県においては徴収率が悪い。それから反対に比較的この施設の多いところは割合にこれらの徴収率がいいということを端的に受け取りますというと、何か非常に、この種の非常に必要である施設が偏在をしておるような印象を受けます。で、また表を見ましても大体そういうような傾向を示しておるようでありますが、これには何が非常に重要な原因がありはしないか、こう思うんですが、これは局長さんのほうから、かなり詳しく御解明をいただいておきたい。
  30. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) お断わり申し上げておきますが、その資料は、実は私のほうから出したものではございませんで、私どもとしては関知をいたしておりませんのでございます。ただ、御質問の点について申し上げますと、この前参考人お話にもありましたように、保育所の県別の、まあ普及率と申しますか、数をとってみますというと非常にアンバランスになっている。これは事実でございます。それから、それと、今お話しの徴収率との関係でございますが、数の少い所が徴収率が比較的低くて、たくさんある所が徴収率がいわば高いというととは、これは一概にそういうような結論は出せないものと私どもは考えております。実際、実績について見ましても、必ずしもそういうようにはなっていないように承知をいたしておるのでございます。ただ、現実の問題として、生活保護の階級、あるいは、まあボーダー・ラインの、いわゆる低所得の階層の児童がたくさん入っております所は、これはおのずから、従来の基準によりますと徴収の額が少い、そういうことになるわけでございます。まあ、徴収の問題につきましては、こういう所で申し上げるのもいかがかとは思いますけれども、徴収の基準の問題と、それからもう一つ、実際にそれをどういうように実施をしているか、まあその辺の問題が実はからみ合って現実の姿になっておるわけでございまして、今申し上げましたように、必ずしも保育所の数との関連においてこれを断定するということはいかがかと考えております。
  31. 山本經勝

    ○山本經勝君 今の資料は、なるほど厚生省が出された資料ではなくて、調査室のほうで発行しておる資料でございますが、これは、一応、先ほども申し上げたように、福祉協議会が都道府県にあります。中央のこの種協議会を通して実態を調査した、こういうことになっておる点からも、私は、厚生省のほうでこの種の調査をなさったことがあるなれば、その資料の御提出をいただきたいし、あるいはここで御説明願えれば御説明をいただきたいんですが、非常にこれが時間を食うなれば、また次会にでもやむを得んと思う。そこで、一応、現在この施設に働いております保母の総数が推定をされておる。これによりますと一万九千七百八十四人というものが現在の数であるが、さらにこれを七分の十倍にして、少くとも二万八千二百六十五人くらいな保母が必要であるということが指摘されております。それで、むろん、これは申し上げるように、厚生省が出された資料ではないと言われますし、またそうでありますから、厚生省はそう必要ではないとお考えになっておるのかもしれません。しかしながら、この間の参考人の青木さんが、保母としての立場から非常に苦しい保母の実情を訴えておられました。先ほど片岡委員からもこの点に関するちょっと質問が触れられたようでありますが、大体、もしこの調査が、あるいは報告が正当であると仮定するなれば、一万九千七百八十四名ですから、約二万人と見てもいい。ところが、実際必要とする人員は二万八千二百六十五名だと言われておるとすれば、少くとも非常にこの保母の数が不足をしておる実情であると判断せざるを得んわけです。そのことが、たとえば、保母の任務遂行のために必要な活動が無制限な状態に追いやられて、そうして交代要員がないものですから、家庭の婦人である保母等は流産等も起るというような悲惨な話が訴えられておる。こういう実情とあわせ考えます場合に、これはやはり増員が必要だと思うのですが、まず局長に伺いたいのは、現在の公立私立を通して保母の総数は何名あるか、それからこれが預かって世話をしておる保育所子供は総数何名ぐらいなのか、それからひとつ御説明をいただいて次の質問に移りたいと思う。
  32. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保母の数につきましては、御承知のように、最低基準によりまして、児童三十人に一人ということに基準が決まっておりまして、それによって現実運営をいたしておるわけでございます。この数については、一方において今お話しのように足らないという議論がありますと同時に、全体としてそう足らなくはないというような議論もございますし、この辺については、これは、最低基準全般の問題として検討すべき問題かと思うのでございます。いずれにいたしましても、保母の方々が一生懸命に努力を傾けてやっていられる現状につきましては、私ども敬意を払っておるのでございます。それから総数につきましては、保母の現在員は、全体として二万五千三百六十三名でございます。
  33. 山本經勝

    ○山本經勝君 今申し上げましたような一応こちらの手元にあります資料ではそうなっておるのですが、厚生省としては二万五千三百六十三名という現在員でまあまあというところだという見解かもわかりません。ところが、私は、本来この種施設の中で働く保母の皆さんも、労働者でありますから、基準法の適用は当然あると思う。それはまあ厚生省ですから、労働省とは直接所管も違う問題ですが、この労働の基準がやはり法が定める線で一応守られる程度要員を配置するとしたら、この二万五千の数で足りるのですか足らんのですか、そこら辺はどうなんですか。
  34. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは、その辺の問題も考慮いたしましていわゆる保育所における人員上の最低基準々定めておるわけでございます。もちろん、臨時的に相当労働が過重になる場合もこれはあろうかと思いますし、その意味で超過勤務手当の問題等が出てくるわけでございますけれども、この辺が国の予算としては十分でないことはこれは事実でございますが、この辺はいわゆる現実の市町村等において善処せられることを私どもとしては希望をいたしておるわけでございます。
  35. 山本經勝

    ○山本經勝君 この間の参考人の詳細な訴えのお話を伺った際に、保母は、つまり自分が生んだ子供と同じ気持でそうして親代りになって働くんだ、こういうことを言われた。全くその通りであるし、また、そうでなければこのいたいけな子供を預かって世話するということはできないと思う。そこで、そのときに言われた項目の中で、たとえばこうした子供に対する教育の問題あるいは健康の管理、それから家庭の調査というような仕事に大別すれば分れるでしょう。そしてこういう広範な仕事を、しかも朝の七時から晩の七時なり七時半に及ぶということが訴えられておる。これは明らかにむちゃくちゃな労働だと思うのですが、こういう状態改善されなければならぬ。ところがさらにひどいのは人道上の問題としても考えなければならないのですが、母たる保母が、自分が妊娠をして流産をしたという事実さえも述べられておる。それほど過労をさせるような状態に置いておくということは、これはやはり保母の定員の増加による交代要員を必要とする実態であろうかと思うのです。こういう点は厚生省としてお認めになるのですか、ならぬのですか。
  36. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在保育所の運営に要します補助金として、いわゆる保育所措置費の補助というのがございますが、これにつきましては最低基準児童三十人に一人の割合での保母ということを対象として補助金を出しておるわけでございます。もちろんそのほかの職員についてもそれ相当の手当はいたしておりますけれども、保母についてはそういう状況でございます。
  37. 山本經勝

    ○山本經勝君 年中無休で働かされておる。お正月が四、五日休みであるという程度で、そのほかに休みもないということが訴えられたのですが、そういうことが事実であるとすれば、これはもうその点だけでも違法な実態に追いやられておる、こう判断せざるを得ぬのですが、その点はどうですか。
  38. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは土地土地の事情柄によっても違うとは思いますけれども、まあ理論的に申せば、結局保護者の疾病または労働のために保育にかける児童保護するところが保育所でございますから、いわゆる幼稚園とその意味において違うわけでございますから、そういう必要が年中無休にあるということであれば、そういうようなことになるわけでございますが、実際問題といたしましては、たとえばひと月三十日ないし三十一日でございますけれども、それをまるまる全部保育をしているということにはなっていないわけです。この辺についての根本的な議論になれば何方の面からあると思いますけれども、実績としては三十日あるいは、三十一日を相当下回っておる現状でございます。
  39. 山本經勝

    ○山本經勝君 この間の参考人の青木さんの話なんですが、これは超過勤務手当の問題、局長お話しになったのですが、むろん措置費やあるいは入所して納めておりますそれぞれの児童の家庭からの納付金なんか、そういう金でもってまかなわれておる。ところが一応それはそれであっても、年間が公立の保育所で超過勤務手当として二千円の頭打ちになっているということがいわれている。これは私は明らかにこれまた基準法に違反する措置であると思うのですが、しかもこれが国やあるいは都道府県等が経営をしている、あるいは施設をしている公けの設備であることはさらにいまわしい事実だと思うのですが、この点局長はどうお考えになっておりますか。
  40. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 国の予算として、いわゆる補助金の基礎として組み込んでいるのは確かにお話しのように二千円でございますし、 これの増額については今後努力すべき一つの問題だと思うのでございますけれども、これは結局施設の運営管理に当っております、あるいは児童措置に当っております市町村ないし地域社会において足らざるところは相当自主的に補っていただくことが私は一つ考え方だと思うのでございます。もちろん二千円相当の超過勤務しか出せない、まあ金額としてはそうでありますけれども、それより以上、状況によって、地方の実情によって出すということは当然あり得るわけでございますので、根本的には少な過ぎるという点はございますけれども、そういうような点も一つ御了承いただきたいと思います。
  41. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) 関連質問……。今の山本委員の質問しておられる超過勤務の二千円ですね、これは九千円ベースで計算すれば約四十二時間分くらいの手当になるのです。ですからこれはなるほどこれでいいと思うのですよ。実際に保母さんたちが年に四十二時間くらいで済ましておられるならばまことにけっこうです。ところが局長実態知っていないのだか、知っておってどうも知らぬような顔をしておるのか知りませんが、実際の女子職員というものは一日二時間、一週間に六時間、一年に百五十時間をこえては、時間外勤務をさせてはいけないことになっておるはずなんです。ですからその点では厚生省二千円超勤を出すということはまことに労働基準法を守っておられてけっこうなんです。しかし保育所の実態というのは実際はそうじゃないのです。この間の方が言っておられたのはまだ控え目かもしれません。婦人労働者の場合だったら朝七時から晩はたしか十時まででしたか、この間の青木さんの話でも日雇いに出かける日は朝四時、五時くらいから出かける、それから晩おそくまで、帰って十時から十一時くらいまで、子供にパンを買ってそうして見てやらなければならぬ、そういうこともある、ですから保母さんの生活というものは超々勤務をしておるわけなんです。その点で一体厚生省は労働基準法を守らせる意思があるかないか、ちょっとお聞きいたしたい。
  42. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保育所における保母さんの実情につきましては、今お話しのように相当苦労をしてやっておられるところが相当多いであろうということは十分私らも考えておるのでございます。従来率直に申し上げまして児童福祉法児童福祉施設というものがいわゆる社会事業という点から出発をして今日までやって参りました関係上、いわゆる普通の職場と違った考え方で運営、管理されておる面が相当あるのじゃないかと思うのでございます。そういう意味でいろいろ理屈を越えた実情というものが相当あると考えられるのですが、これらの問題については今後きのうもこれは申し上げましたが、児童福祉施設等の運営管理の問題、勤務形態の問題、給与形態の問題、その辺を一つ十分検討いたしまして、今後のあり方その他について施設の方も工夫してもらうし、私ども指導なり監督をいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。もちろんこの労働基準法を守るべきことは、国の法律でございますからこれは当然でございまして、省は違いますけれども、同じく私どもはそれはその線に沿ってやらなければならぬことは言うまでもないことでございますが、ただ全般問題として、きのうから申し上げておりますように、従来明けても暮れても措置費、措置費ということで金の面に追われて、そういった施設全体の運営管理という面についての指導監督という点が十分なされていなかった、今後大いにやらなければならぬ点であるというふうに考えておることを御了承いただきたいと思います。
  43. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 鳩山主計官も御出席になっておられますので、お含みの上御質問願います。
  44. 山本經勝

    ○山本經勝君 今、私が申し上げている労働強化の実態、今の坂本さんのお話と同じ問題だと思うのですが、その中で、これと関連して考えられることは、この調査資料といいますか、協議会からなされた報告の集約の中には所要の職員を置いていない施設が半数強である。つまり、たとえば九千数百に上る多数の施設の中で所定の職員を履いていない施設が半数占めているのですから、まあこれは大へんな実態だと想像せざるを得ません。そうすると、局長の先ほどの御答弁にもありましたように、三十人に一人の割合で、総数にして二万五千三百六十三名の保母を置いてあるから、まあまあというところであろうという御主張である。しかも基準法に違反しておるような事実が、疑いが非常に濃厚であるけれども、そういう点で、むしろ財政的な措置が不十分であれば、市町村等地方公共団体が所轄の地域でもって何らかの措置を講じてやることが望ましいと、こういうような御意見である。そこで私どもが今申し上げているのは、相当大幅な保母の増員、施設の増強をはかって、この種必要な、国民の要望する施設の強化をはかるということは私は絶対に必要だと考える。しかも参考人等の意見によれ、ばその実態、はむちゃくちゃな労働強化を強いられて、そのために健康を害したり、あるいは生活の困窮が起って長く続かないというような事態さえも訴えられておる、その間の食い違いが非常に大きいわけです。で、これは一つ委員長の方への要望でございますが、東京都内にもあまたこの種保育所あるいは未熟児施設等もあるのですから、この委員会から一度調査をするようにお願いをして、そうしてその上で慎重な一つ検討をして参る、こういうことが必要だと思う。ですから今の食い違いの点等については局長の方から、もう一度説明をいただくとともに、委員長に以上のような御要望を申し上げます。
  45. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど保母についてのお話がございましたので、保母を中心にして申し上げたのでございますが、御承知のように保育所には園長でありますとか、小使いでありますとか、調理士とか、いわば保母以外の職員がおるわけであります。従いまして、特に園長等については、御承知のようにほかの仕事と兼務のものも相当いるような次第でございます。この欠員と申しますのは、主として、むしろ数としてはそっちの方のいわゆる保母以外の職員に欠員が多いことはこれは事実そうでございますし、御想像にかたくないと思うのです。保母のいわゆる、私ども保育所の生命というのは、いわゆる保育力の充実ということでございますので、この保育力の充実につきまして、すなわち保母の充実につきましては、私どもも十分力を入れて参りたいと考えております。
  46. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 委員長への要望につきましては、あとで理事の方とも十分御相談をいたしたいと思います。
  47. 横山フク

    横山フク君 保育所における妊産婦保健指導については、保健婦職場争いをするわけではありませんけれども、お医者さんにもいろいろな分科があり、ことに専門医制度が置かれる現在でございます。保健婦が一般公衆衛生の面を担当し、ことに結核の分野で非常に多くのものを占めておる。それを妊産婦保健指導まで保健婦がするということは妥当でない。と申しますのは、分べん期間のことは保健婦はできない。分べん期間の実際の問題は解決しない、クリニクとしての実際を知らないで、品で指導するだけです。保健婦がその妊婦保健指導し、従って腹部の診察等の問題があるのに、各地方の保健所では婦人科の医者もいない。保健婦だけを置いてある、そうして妊産婦保健指導をするということでは実はほんとうの意味の保健指導に当っていないと思う。妊産婦保健指導をほんとうに考えるならば、助産婦の定員を当然置いてしかるべきであるし、定員があって、それが実際置かれていないという形も不穏当であると思う。私は保健婦助産婦中心にして、民間の助産婦がその手足となって、そうして一体となって保健指導をしなかったら、この問題は完全を期せられないと思うのですが、これに対して厚生大臣はどうお考えになるのでしょうか。
  48. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 私から申し上げて、足らなかったらまた大臣からお答え申し上げますが、保健婦助産婦との業務分野につきましては、これは法律のいわゆる根本問題でございますので、そちらの方の所管局の方でお答え申し上げるべき筋合のものかと思います。現実に保健所におきましては、保健婦助産婦と両方の職員を置くということになっておりますが、現実の問題として欠員等の関係があって、片一方が欠け、あるいは片一方が置かれるというような実情になっているところもあるいはあるかと思いますが、私どもとしてはやはり両方が置かれて、それぞれその得意とするところに従って保健指導の業務を行われることを希望をいたしているわけでございます。
  49. 横山フク

    横山フク君 両方が置かれることを希望するということはわかるのです。しかし保健所ができてからこの間この面で何ら努力していただいた跡がない。それで妊産婦保健指導が向上するとは思えない。もちろん保健婦妊産婦保健指導をするのは業務外ではありません、業務の中にございます。しかし助産婦妊産婦保健指導をすることを業とするもので専業になっている、そうして分べんを開始する場合、分べんということがほんとうにわからなかったならば保健指導はほんとうにできない。分べんは自分がしないのに、どうしても、最終的責任を負わない人がその初めの段階において指導するという形になると、ここに多少の食い違いがあって、現在そういう食い違いからきた事故が間々発生している現実でございます。それだけに私はこの問題に対してもう少し熱意をもって、そうして保健所助産婦が、ことに産婦人科の医者のおられないところには助産婦を置くような形にそれは督励していただきたいと思う。それは大臣にぜひお骨折りを願いたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  50. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 専門家の横山さんのおっしゃることで、私としてもその通りだと思いますので、今後十分努力をいたしたいと思っております。
  51. 横山フク

    横山フク君 なお先ほど片岡さんからのお話もございましたけれども、この未熟児を未然に防ごうと思ったらば妊娠中の保健指導以外にない。先ほど局長は大きな原因として妊娠中毒症をおあげになりました。もちろん妊娠中毒症も大きな原因ですけれども、それと並ぶか、あるいはそれ以上の問題として梅毒、性病があるわけでございます。これはおあげになりませんでしたけれども、こうした問題等で妊娠中の保健指導をいたそうと思った場合には、やはり助産婦が活躍しなければならぬと思います。と同時に、妊産婦手帳によって保健指導の成績が相当上って参った。この妊産婦手帳はこれは世界で日本だけしかこれを取り上げたのはないと言うて世界の産婦人科学界に大いばりで発表したわけでございます。そうして成績も相当上ってきて、今日の妊産婦の死亡あるいは乳児死亡率が減ってきたということに大きな功績をなしている。過般の予算でもって、これが平衡交付税の形になって、そうして補助金という形を打ち切られた、これはちょうど大蔵省からも来ておられると思いますけれども、私は未熟児対策も非常にほしい問題だと思う。しかし未熟児対策をする以前にこの妊産婦保健指導対策ということが大いに必要であろうと思う。各県で平衡交付税となっておりますと、多少いたしている県もあるわけでございます。積極的にやっている県もございますけれども、この面に対してほとんどしていない県もあるわけでございます。そうして今度の予算でもこれは新たに妊産婦手帳という項目が出ていたのを承知いたしておりますけれども、それが途中で消えてしまった。そうして未熟児の方だけの予算が出たということは私は本末転倒だと思う。未熟児の前に妊産婦手帳によって妊産婦保健指導にもっと重点を置くべきであったと考えるのですけれども、これはやはり病気になってから治療する方が成績が現われて、効果が上るからおよろしいわけでございましょうか。それからやはり病人を作るのを待った方がよろしいという形になるかと思いますけれども、私はそうじゃないと思います。病人を作らない、医者さんが休業するような形にするのが私は厚生行政だろうと思いますので、そういう面に予算をお使いになっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。十分になったそうで、私はこれでやめなければならないそうでございますが、与党のつらさでございます。(「たっぷりやりなさい」と呼ぶ者あり、笑声)
  52. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 妊産婦手帳は、私ども妊婦乳幼児保健指導の一番基本的な要素と考えて、何とかこれをもっとがっちりしたものにしなければならない、特にこれをいわゆる学齢に達するまでその健康歴をはっきり記録として残し、まあ就学の場合における参考にも資するというふうに持っていかなければならないと思っておるのであります。これが残念ながら、今御指摘のように、まあ私どもの考えている状態にまで至っていないのが現実の姿であります。これは大へん私ども社会保障、広く言えば社会保障全般、狭く言えば母子衛生の観点から残念この上もないと考えておるのでございます。何とかこれを一つしっかりしたものにしたいと苦慮をいたしておる。今後十分努力をいたしたいと考えております。
  53. 横山フク

    横山フク君 局長の御意見はわかったのです。しかし、局長の御意見だけじゃ動かないのを私はよく知っておるのでございます。ちょうど大蔵省からもおいでになっていらっしゃるのですけれども、大蔵省ではやはり予算は予防的な形に見えた方がよいのでございましょうか。一応この問題に対してこの点にはどうというようなことをお教え願いたいと思うのです。
  54. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 御質問の点は母子手帳の経費を平衡交付金のいわゆる交付税の対象、地方向治の範囲にまかしておいちゃいかぬというお説と思います。全般的に予防行政こそわれわれとしては厚生行政としてまず第一に力を入れておるということは、結核その他の対策を見ましてもわれわれは当然そういうふうにやっておるつもりでありますが、ただ交付税の対象とされておる事項は重要でないのだということでは決してないわけであります。厚生省関係の中にもそれぞれかりに言えば食品衛生の監視員とか、その他たくさんの事項が交付税でまかなわれているわけでございます。それをどういう事項をそれでは交付税でまかなっておるかということになりますと、大体その仕事は相当長年やってきておる、それで地方もみなその重要性を認識しておって、まあ一々補助金の形で出さなくてもそういったことはよく行われるであろうというようなものをなるべく交付税で入れる、そこがまあ地方自治と中央行政との調和点というふうに考えてやって参っておる次第でございまして、決して予防的なものは軽視するから補助金が出ないのだ、こういうことは全くの誤解と思いまして一つその点おわかり願いたいと思います。
  55. 横山フク

    横山フク君 お話はよくわかったのです。しかしこれはもう長い間やっているから交付税、交付金にまかしても地方ではこれは心配ないというものは補助金から交付税、交付金に回すのだというお話ですけれども、ほかのものがすべてそういう形では困る。またこれが地方でほんとうによくわかってそうしてするのだったら、地方でもってこれが活発に行われているはずなんです。しかし交付税、交付金になったら最後これが行われていない県が数県あるわけでございます。そこで、私はすべての、極端に言ったならば、すべての健康というものは、この妊産婦の手帳から出ていると言ってもいいと思う。妊娠中の母体の健康ということはその子供の健康ということを左右し、その子の乳児時代の健康がその人の青年期の健康に影響するということを考えますと、一番日本の健康の根幹をなすものはこの妊産婦手帳にあるということになると思う。それを軽視するという形は私はいけないと思う。で、どうしても交付税、交付金のような形が、現在の日本でもって交付税、交付金でこれが地方の税制の観点から削られる危険性があるので、私はこれは補助金というような形で国の重点がここにあるのだという形を一つ出すということが必要だろうと思いますので、それをお願いいたしたいと思います。  それから最後に保育器の問題ですけれども、保育器を各保健所へお貸しになるということですけれども、その数等はまだ伺っておりませんし、そう大した数ではない、各保健所一つがせいぜいぐらいだろうと思いまするけれども、この保育器もおそらくこれが民間に貸し渡されるのですから、まああの行李保育器といったような簡便保育器だろうと思うのです。簡便保育器でもって普通の家庭で、そして保健所保健婦なり、あるいは助産婦指導に来るのも、毎日来るわけではなくて、子供未熟児の場合には二十四時間欠かさずに見ていなければならぬ場合がままあるわけです。ことに栄養指導等において感染防止、ことに栄養という問題を考えますと、なかなかこれはむずかしい問題だと思います。これは何キロ以上というような形にすべきであろうと思う。もちろん、ここの要項にも病院等に入れなければならないものもありますけれども、第三にありますけれども、これでは非常にあいまいな形であるし、それは見方も立場によって違うだろうと思っております。これはせいぜい、今もここで谷口委員と話したのですけれども、二千グラム程度のものであったら、やはり民間で、そうして今の保健所の人員でもって保育器があるのだ。かえって保育器というものに安心度を持ち過ぎて危険性を持たせるものだと思います。ことに寒い時期だったら別でございますけれども、普通の時期において保育器というだけに依存するということには、これは困難な形になるだろうと思います。こういう点に対しては、この法案では見ることができないと思いますが、いずれこういう細目というものをお出しになるだろうと思いますけれども、その細目等についても専門の人たちが専門の角度から参画して、そうしてお出しになるなら私はけっこうだと思う。とにかくしろうとといっては大へん失礼なんでございますけれども、薬、器具に頼り過ぎる形を起さないように特段の御配慮があって通牒等をお作りいただくことをお願いいたしたいと思うわけです。
  56. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保育器は一保健所あたり平均二台の割合いでそれを使っております。  それから未熟児の問題は、これはお話のように非常に高度のいわゆる技術的な問題を含んでおりますので、先年イギリスその他、いわゆる外国における未熟児の取扱いについて研究のために人も行ってもらって、それらの知識や向うにおける経験等は十分基礎にして細目の点をきめたいと思いますし、もちろん国内におきますこの方面の権威の方々の御意見は今もよく承わっておりますし、今後ともこの線で進みたいと思っております。  それから、この問題、指導につきましてお話のように非常に相手がデリケートなものでございますので、この点は先ほどからお話がありまするように、保健所の職員だけでは、これは十二分にはいかないと思いますし、新しいこういう制度でございますので、助産婦方々医師方々、開業しておられる方々一つ御援助をいただきまして、御協力をいただきまして、それがますます今後整備されていくように努力をして参りたいと思います。
  57. 横山フク

    横山フク君 今のお話でわかったのでございますが、病院、産院等に入院いたしましても、未熟児の場合は産科のベッドに三十日ぐらい、今もここで話し合ったのでございますけれども、多くの場合、産科のベッドにいるわけでございます。そうして小児科の先生も新しいというか、大きな病院でも小児科の先生がそれに立ち会うという形でもって産科にあるのが主眼になっておりまして、多くの産院において未熟児がそのまま扱われて小児科の病院に産院から移管されることなく産科にそのままあるわけでございまして、産婦人科の先生の分野が相当なウエートになっております。でございますだけにそういう問題については、今後未熟児対策を取り上げられる限りにおいては、産婦人科のお医者様のいないところの保健所等において、助産婦あるいは民間の産科医等の指導を受けて、そうして保育器なり、あるいは未熟児指導というような形に当っていただくように、ただ名だけを取って実質のあがらない形にならないように特段の御処置をお願いいたしたいと思うわけでございます。私の質問はこれで終ります。
  58. 片岡文重

    片岡文重君 この際一つ伺っておきたいのですが、先ほどの局長お話によりますと、未熟児として出生をされた場合これが約半数近く正常な知能を持つ子供になるということが、調査をしておらないのが半数、それから調査の結果として、ちょっとはっきりしませんでしたが、だいぶ認められるやに私さっき聞いたのですが、この知能発育程度が将来正常児にいつかは追いつくということであるならば、これはまた本人の自発的な意欲によっておくれたものを取り返すことができるかと思うのですが、全部が必ずしも自発的な意欲によっておくれた知識の回復をはかるということには困難があろうと思うのですが、こういうおくれた子供たち知能の回復、特に成人するまでの間における知識の回復、知能というよりも知識の回復ということになると思いますが、そういう点の施設については何かお考えになっておられるのかどうか、また何らかの措置をお命じになっておられるのかどうか、この点を一つ伺いたいと思います。
  59. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 先ほど申し上げましたのは、就学前には、まあほとんどのものが正常範囲に到達をする、それから知能ないし精神発達については一般の成熟児に比べて大差ないというのが、これがむしろ一般的な学者の意見でございますけれども、しかし人によりましては多少劣るのではないかという意見をなす人もおる、そういう意味に御理解をいただきたいと思います。従って結局これが対策としましては、この未熟児の初期において十分手厚いと申しますか、行き届いた世話をすることによって将来のその発育のおくれ等が起らないように努めるということが大事なことだと考えます。
  60. 片岡文重

    片岡文重君 それに関連をしてもう一つお伺いをしたいのですが、例の精神薄弱児の問題でありますが、精神薄弱児としての子供たち原因調査してみると、未熟児原因一つになっておるようであります。もちろん先天的に、あるいは後天的にいろいろな原因がたくさんあるようですが、いずれにせよ精神薄弱児として生をうけておる限り、この正常ならざる子供たちに対してのやはり社会的な保護というものは十分考えられなければならないと思うのですが、今年度予算において設けられた通園施設の数、施設等を見ても厚生省として努力をしておられることについては認めるにやぶさかでありません。しかしこの通園施設というのはその施設の付近にある子供たちが利用をできるのであって、集団発生でもしない限りそう一カ所にまとまっておることではなかろうと思いまするし、通園のための父兄の経済的にも時間的にも家庭的にもいろいろな負担が大きくかかるのでございますから、必ずしも全員収容するということも必要ないでしょうし、また通園施設があるということは、これはなきにまさること数等ですから必要だと思うのですが、通園もでき得ない、うちに置くこともできない、こういう重度の精薄児も相当おる。これらについてはやはり児童福祉の面から相当力を入れてやっていただきたいと思うのですが、二十六国会でありましたか、時の厚生大臣神田さんは相当積極的な施設をすることのお約束もされておりまするし、特に重精薄児については今後年々国立の施設を新設していく。とりあえず三十二年度の百名程度の収容施設一つのモデルケースとして作ったのであるから、これを土台として今後計画を進めると、こういうお話であったのですけれども、この収容施設については残念ながら三十三年度は打ち切られております。しかし決して重度の精薄児が減ったわけではございませんので、今後の施設の増設ということについては特段の御配慮をいただきたいと思うのですが、この点について一つ大臣の御決意を伺っておきたい。
  61. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 精薄児の問題は、その前に横山さんに私が答弁すべきのをしませんでしたが、私も実は病院に参りまして、ことに未熟児の現在病院でやっておる点を未熟ながら見て参りました、いかにむずかしいものであるかということを。われわれの想像以上に非常に進歩して最近はこれの対策が行われておる。で、先ほど局長の申しましたように、これは片岡さんの御質問にもお答えするのですが、実際初期において適切な指導をし、それだけまた横山さんのおっしゃいましたようにあやまって保育器に頼っているという簡単な考え方ではできないという問題は痛感いたしておりますので、今後これらにつきましては、御注意の点は十分注意して参ろうと、そしてそれに従って処置して参りたい、こう思っております。  それから片岡さんのおっしゃいました精薄児の問題は、近時これは社会的に非常に要望が強いだけに強く取り上げられておる。これはもう私実際厚生省へ参りまして驚くほど各方面の要望が強い、と同時にその深さと申しますか、強度さというものが精薄児を持った親から見ると非常に、普通のとても要望というふうな言葉で現わし得ないような状況でございます。と同時に神田さんの言われました国立のモデル・ケースとして作ろというのも、これなかなかもう口で言うはやすくて、お医者なり適当な人の選定ということに実は非常にひまどりまして、そこに非常な苦労をいたしましたが、間もなく開所することが日ならずしてできるという状態に今達しましたところでございます。また国の予算だけで言われますが、共同募金なんかの金の割当につきましても、精薄児に対する要望というものが非常に強いのでございます。私ども今後国立の精薄児施設中心といたしまして御期待に沿うように積極的に拡充して参るということだけは、はっきり申し上げることができると思います。
  62. 片岡文重

    片岡文重君 三十二年度の二月から開所するという計画で進められた施設が今もって開所に至らない、これはなるほど要員その他特にこの園の運営に当り、あるいけ指導的な立場に立ってもらわなければならない人が得られない、こういう苦労ももちろんおありのことと思いますが、少くとも、もう三十三年度に入るわけですから、一つぜひこれはさらに一段の努力をもって早急に解決をしていただくと同時に、早急に少くとも私は全国八ブロックに一カ所ぐらいずつ作るように一つ大臣としてお骨折りをいただきたい。前厚生大臣神田さんもこれを土台として総合的な計画を立てて推進をするという約束もあるのですから、一つ堀木厚生大臣も前大臣の約束がほごにならないような御努力をぜひお願いをするわけです。  それからいま一つ最後に申し上げたいのは、特に結核、あるいは小児カリエス等の病気に侵されて学習盛りの子供たちが長く病床に呻吟しなければならないという不幸な子供が相当多くあるわけです。今この学習盛りの子供たちが一カ所に集められて、そこで治療と学習とがあわせ行われるような施設が全国に多数設けられるならば、そしてその学習の結果が少くとも義務教育程度は卒業の資格が与えられるということになれば、これらの子供も新たちも非常に助かると思うのです。十分こういう方面には関心の深い大臣のことですから御承知になっておられると思いますけれども、たとえば千葉県の下志津の療養所におけるベッド学級ですか、こういうものがあるわけでありまして、こういろ施設はやはり文部省の関心も深くしていただかなければなりませんが、何といってもここでは治療が優先をされるわけですし、あわせてこの義務教育卒業という知識と資格とが与えられることが必要なんですから、この点について一ついわゆるベッド学級というものの充実促進といいますか、それと文部省に対する働きかけを所管の厚生省としてぜひ積極的にやっていただきたいと思うのです。これはもちろん今後の問題ですが、これに対する大臣の御所見と、幸いにして私の要望申し上げておることが御了解いただけるならば今後の御決意のほどを一つ承わっておきたいと思います。
  63. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 小児結核なり、あるいはカリエスにかかっている子供は療養期間が長引きますので、これに学習指導をあわせて考える、これは確かに私は一番必要なことじゃないか、そういうことを併用して初めて心身ともに健全に子供がなっていくというふうに考えます。現在そういう専門病棟を持っているのが十八カ所、約九百五十ベッドあるということでありますが、この程度で……。これは国立だけでございますが、民間にもそういう施設を持っている方が相当あり、それらについて特別の配慮と考慮をなすように御忠告がありますので、そういう点で私どもそれに呼応して参りたいと思いますし、今後そういうふうな施設が併用されて病気自身も完全に直るというふうに考えております。文部省の方にはお説を待つまでもなく私文部大臣に言っているのですが、なお片岡さんが私を御鞭撻なさる程度以上に松永さんを私も鞭撻いたしたいと思っております。
  64. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) ただいま大臣はそのような御返事をなさいましたが、初中教育局長から厚生省へ次官連絡と申しますかを私見たのでは、文部省の協力態勢はあまり積極的でないように思うのです。文部省の立場はどうかというと、病人だから教育しなくてもよろしい、これが文部省の立場なんです。ただし文部省は各都道府県の教育委員会に対しては、地方におけるところの結核の療養所については大いに協力してもらいたいということを出している。私は両方見ましてなかなか文部省もずるいと思うのです。これはちつとやそつとの鞭撻ではなかなかうんと言わないと思う。どこに問題があるかというと教材費なんです。今片岡さんの言われたベッド学級も一番困るのは教材費だと思うのです。教室あるいは机、あるいはいろいろな地図だとか、そういつた教材の費用をどこが出すか、だれが責任を持つか、この点が実は厚生省と文部省の間に明確にされていない、これは私は厚生大臣として、はっきり腹をきめていただきたいのです。そうしないというと、一番困るのは第一線の子供を預っている所であります。その点一つ明確に御返事いただきたいのです。
  65. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) だから私坂本さんのおっしゃること、よく両方の欠点を突いていると思う。だから私は片岡さんに、片岡さんが私を鞭撻される以上に文部省を鞭撻いたしますというのは、ただ単純な言葉ではないのであります。私自身はそういうことを専門家の坂本さんに申し上げていいのか悪いのか存じませんが、結核対策でも、なるほど厚生省は、その集団的ないろいろな健康管理ができていないところというものを厚生省がやるということも一つ方法でございます。と同時に、いまだに集団的な生活がある、そうしてそれが診療の対象になりやすいというものをつかまえて結核対策も推進することも私は一つの大きな役割である、それにはやはり学校というものが一つの大きな対象である、それから同町に坂本さんの言われるように文部省というところは教育を主管しているが、そこまで実際に入り得るのかどうか、学校医の問題についても、何といっても文部省から見ると給食の問題、学校医の問題、そういうふうなものについても、文部省から見ますと、とかく二義的になりゃしないかということで、心配がありまするので、打ち明けて申しますと、文部大臣とは、かねてから実はこの問題について相談をしているところであります。それから私の方の担当者自身も、文部省の方にその点についての具体化について相談にやっているわけであります。で、三十三年度の予算として、既配付の予算の範囲でも、学校の児童に対する対策だけは、もっと積極的にやりたいということと、保健所と学校とを結びつけるのをいかにするかというふうな、具体的な問題につきましても、相談さしておるような次第でございます。ただ今後そういう点については、私ども厚生行政としての一つとして重点を指向すべきところであると考えておるので、ぜひ積極的に推進いたして参りたい。確かにお説は、現在の状況の欠陥を指摘された問題だと思います。これが是正に邁進いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  66. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) それでは、大臣の今のお答えは、こう了解してもよろしゅうございますか。少くとも今国立施設のほかに、九百八十ベッドぐらいあると言っておられましたが、その厚生大臣の所管されているところの結核の療育の対象となるこの施設に対しては、厚生省が責任を持ってこの教育を実施するための教材費を出す、予備費からでも繰り出す、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  67. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 国立療養所の関係は、坂本委員が一番よく御存じのところでございますので、これに関する予算、あるいはこれの使い方ということについては、十分御承知だと思うのでございますが、今お話の点につきましては、もちろん予算の制度の許す範囲内においてこれは努力するのが当然のことだと思うのでございますが、その辺の問題は、こういう公けの席上であまり具体的に申し上げない方が、かえってあるいはいいかとも思うのであります。
  68. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) ちょっと今の御返事では困ると思うんです。確かに文部省と厚生省の両方の責任問題、どちらかがみればいいんですよ。両方がはねのけ合っている。その中で、厚生大臣も、みなければならぬということをはっきり言っておられる。だから、私は全体について申し上げないけれども、少くとも大臣の所管の国立療養所、あるいは病院にあるこの療育のことに対しては、厚生省が予備費を出しても、責任を持っていただきたい。私は筋の通った質問をしているのに、公開の席上では御返事ができぬということは、これは少しおかしい。もちろん国立病院は医務局の所管ですから、児童局長からとやかく言えないでしょう。私は厚生大臣から一つ御返事いただきたい。
  69. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 療養所のあり方につきましても、実は私、今再検討いたしております。これは非常に広範にわたって医務局に再検討を命じております。従いましてそれらの問題を考えますと、私もむろん坂本さんの言われる方向でやって参りたいと思っております。実際に今やれば、既配付の予算のうちでも、私は率直に言えば、少しは余裕ができる案ができるんだという考え方を持っております。御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私も一、二点聞いておきたいんですが、まずその第一点は、今度の改正案を見ますと、保健所というのが非常に大きなウエートになっていると思うんです。ところが、私の知っている範囲内で保健所を見てみますと、この問題ばかりじゃなしに、保健所というものは、今の厚生行政のほんとうの玄関口だと私は思うんです。その保健所というものがどういう実態にあるかという問題です。私は少し調べて見たんですが、これは局長からでも実態を教えてもらいたいと思うんですけれども、医者の配置ができていない所がある。看護婦のいないのもあるということまで私は聞きます。これが実態なんだ、これは医者の配置ができていない所はあるでしょうけれども、看護婦さん自身おらぬという保健所もあるということを聞く。だからその点一つどこかの府県をあげて、明確にしていただきたいと思うんです。この整備なしに、私はここで保健所の職員を云々といってみたところで、実効はどうあがるかということを実は疑問に思うんです。ですからそこのところをはっきりしていただきたい。
  71. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保健所関係公衆衛生局の方の所管でございますが、私の承知しております範囲におきましては、保健所の一番の技術職員中心医師につきましては、特に充足率があまり十分でありません。大体現在の充足率が六〇%になっておるように承知いたしております。それでお話のように、常勤の医師がいない保健所があるということも承わっております。
  72. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生省関係者がこっちへおいでになっているでしょう。私はここで明らかにしてもらいたい。これは保健中心保健所にある。その実態がここでつかまえられずに、保健所にまず未熟児は届け出るということから始まるんですから、それは委員長、明らかにしてもらいたいと思います。
  73. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私も厚生省の人間でございますから、ことに保健所の問題につきましては、これは藤田さんも、前に私に御質問になった記憶がございますし、こう見てみますと、坂本さんも、片岡さんも、横山さんも、先ほどから保健所について実情聴取をされておる。そのほか、ほかの委員会予算委員会その他におきましても、私の結核対策推進に関連しておる保健所の整備ということについては、非常にたくさんの御質問がございました。確かに私は申し上げておるのでありますが、これは私就任以来、保健所、つまり現場機構が充実しなければ、単に未熟児対策のみならず、結核対策にしても、その他の公衆衛生関係の問題にいたしましても、これが国民に直接当るところのこの機関充実しないと、絵にかいたもちになりがちであるということは、就任以来痛感いたして、何とかこの充実をはかりたいということを考えて参ったわけであります。私自身も現場に参りまして、保健所を特に視察いたしたのでありますが、確かに今回の予算では、私どもが考えておった保健所充実ということができなかった。保健所は、御承知通りに、私どもの直接の機関ではない、地方の自治体の機関であります。しかし国庫の補助率を多くすることによりまして、地方財政に貢献し、そうしてお医者さんに対する待遇も向上し、定員も充実するであろうということから考えておったのであります。率直に言えば、保健所を地方の自治体の機関としてまかしておくのがいいか悪いか、という問題も根本に私はあると思います。こうして国民に対してわれわれ自身がその健康と幸福を責任をもってやろうとする場合に、地方自治の一方に非常な政治的な理想があり、その本旨を貫きたいという気はいたしますが、と同時にこの両方の調節には相当苦労をしなければならぬ。現在医師の充足率は、確かに私の記憶では六八%くらいだと記憶いたしております。それから二、三の保健所には実際のところ医者の充足すらできないで、実際保健所の活動をしていないというふうなものもあることを、私記憶いたしております。しかし今後これらの問題につきましては、実は予算のほかにも根本的にいろいろ解決しなければならない問題がたくさんございます。私といたしましては、今後ともこの保健所充実については、従来通りの積極的にこれが拡充に努め、なおこれに要するところの予算等につきましても、将来獲得することに努力はいたしたいと思っております。この未熟児の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、ともかくも一保健所あたり年間百三十人くらい、というまあことになるわけでございます、十万人といたしまして。そうなりますと、医師助産婦さん、保健婦さん等を動員してやることについては、まあさしあたりとして私はそう大きな数字にはならないというふうに考える。と同時に、少くとも今回の保健所の面から見ますと、実は結核対策につきましても、従来こっけいなことには、検診の自動車は配置した、しかしその定員は認めていなかった、従ってお医者さんがない自動車である、一応予算上はそうなっておる。それだけ保健所に荷がかっておったという状況でございますが、この分は今回緩和できた、と同時に私どもとしてはこれらの面につきまして、予算々々といいますが、と同時に地域社会のいろいろな開業医の方、助産婦の方、保健婦の方等の全部について、御協力を求めるような方向をどんどん推進して参りたいそれから先ほど横山さんからも御質問がありましたように、保健所未熟児対策が何でもできると私は考えてない。この法律にもそうなっておるのでありますが、どうしたってこれは要するに、最初の診断と適切な処置が必要であるというふうに考えておりますので、それらについて十分今後行政を運用して参ります上に適切な処置を講じて参りたい、こう考えておるような次第でございます。
  74. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや厚生大臣の熱意のほどは私わかります。ただ私が今問題にしているのは、今の保健所という看板がかかっておってお医者さんのおられぬという、今まで充足が十分にできていないということについては、今までの答弁の中で努力中だとおっしゃるのですから、私たちはこれを今直ちにということは申し上げたくございません。しかし私の聞いているところによると、看護婦もおらぬ、事務員が一人おるような保健所が相当あるということを聞くわけです。だからその実態はどうなのか、そういう所に虚弱児の二千五百グラムかを基準において、十万の届出の玄関口がまずそこにあるとすれば、どういう判断をしてどうこの法の運用をしていくのか、そういう場合に、もしもそういうことがあったとしたらどうなるのかということをお聞きしているのです。どうなんですか。それをちょっと聞かして下さい。
  75. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 正確なのはいずれ表にしてお手元に差し上げてもいいと思いますが、藤田委員のように、まるで保健所保健所でないようなものが方々にあるとおっしゃるけれども、私はそういう認識に立っておりません。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事実でなければいいんですよ。
  77. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) その点はおっしゃるほどのことはない。しかし実態は、私が杞憂している点から言えば、これは今後充実をしていかなければ、すべてのことが所期の目的を達成しないということで、私どもとしては特段の努力をいたして参りたい。
  78. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、だから私は大臣の熱意のほどはよくわかる。しかし今の実態はどうなんですかと聞いている。これは一つ関係者がおいでになるときに聞きましょう。それで、私は申し上げれば、こういう実態であったから玄関口をどうするか。私は先日京都に参りましたらそういう話を聞いたものですから驚いたんですがね。その実態を、特にこの法案で重要な問題だからここでお聞きしているわけです。それでなければ届出から出発し得ないと思うんです、判断力がない。それならどういう人が責任を持つかということを明らかにしなければ法の運営ができないじゃないか。条件がそろっている所だけが運用する、条件のそろっていない地域ではこの適用を受けないということになる。これが私の心配の一つですから、後ほど一つ関係者に来ていただくかどうかして明らかにしていただきたい。  それからもう一つ聞いておきたいのは、保育所の問題ですね。ここに私の方の資料があるんですが、東京の地域の保健婦、要するに保母の給与表というのが出ているんです。これを見ますと非常に低いんですね。それで先ほどから賃金の問題が論じられて、それで時間外給与の問題、基準法との関係というものがいろいろ論じられているのだが、その点がどうも高田局長の答弁では、私の聞いた範囲では明らかにならない。それでこれはやはり今後基準法の関係でどうするのだ、ということを明らかに一つ返事をしておいてもらいたい、これが一つです。  もう一つの問題を言えば、私は未熟児保護処置の問題ですね。どれくらいそれじゃ保母というか、保健婦というか、そういう方々未熟児をどのくらいの人数で、どのくらいの能力があって、厚生省のいう規格は何人くらいがどうなのか、どういうことが理想であって現実はどうだ、どうしたらいいというような問題、この点だけは明らかにしておいてほしい。これは御答弁にあったか知らぬですけれども、私は聞いていないんだから、この点明らかになっていないと思うんです。一番最初のやつはあとで聞きますが、あとの二点を一つ明らかにしておいて下さい。
  79. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保母の待遇はお話のように必ずしも十全でないと考えております。これは今後向上に努力をして参りたいと思います。  それから労働基準法との関係においては、これは守るのが当然でございますので、私どもその線に沿って努力いたしたいと思います。  それから未熟児の……。
  80. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 保護基準ですよ。わかりませんか。
  81. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 未熟児につきましては、御承知のように、二千五百グラム以下、各種の段階がございますし、それについては訪問指導するものと、それからつまり入院せしめて養育医療を施すものと両方あるわけでございます。養育医療を施す対象といたしましては、これは非常に専門的な判断を要すると思いますが、大体次のように考えております。呼吸困難である者、あるいはしばしばチアノーゼを起す者、それから吸引反射、嚥下反射の自律がなくて直接栄養を行えない者、それから体温調節機能に異常がありまして、体温の動揺の程度が非常に著しく、発汗等の排泄機能に異常がある者、循環器系の生理学的な機能に異常がありまして、出血性の素質等がある者、そういったいろいろな条件を考えておりますが、もちろんこの抽象的なことでは、これはまあそれだけのことでございますので、こういったことを基礎にして専門的な医師の判断を要すると思います。
  82. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると第一段の今の給与の問題は努力される、これはよくわかりました。今後改善をされる。では要するに基準法関係の労働時間の問題や、長時間労働に対する基準法を守って処置をされる、こういうことは直ちにされると理解していいですね、基準法に沿ってされると。
  83. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 基準法に従ってやることはこれは当然でございますから、その線で指導いたします。
  84. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その辺が指導すると言ったって、あなた、それは指導はいいですよ、当然なことだと私は思う。ところが晩の六時から八時ごろまで働いて、基準外のワクが二千円だといって、これは基準法にはちょっと沿いませんから、そこのところはそういう長時間労働をされたときには、基準法のあの比率に従って処置をする、こういう工合に私は理解してよろしいかと、こう言っている。
  85. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ直接経営の主体は市町村であり、あるいは法人であり私人でございますので、直接的にはこれらがまあいわゆる経営の主体としての基準法上の責任を負うわけでございますし、従ってそれらの施設の中における、まあ労働基準に即応した勤務の形をとるように、私どもとしては十分監督官庁として指導いたしたいと思いますし、それから労働省の方としては、これは労働関係の役所として、もちろんこれは労働基準法の主管官庁でございますから、その立場で処置を行われることは当然でございます。
  86. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 簡単に二、三お伺いしたいのですが、未熟児養育医療をするところの指定医療機関というものが、その指定をするために何か基準があるかどうか、あるいはまた都道府県知事が勝手に指定をするのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  87. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 指定養育医療機関の指定基準につきましては、未熟児を収容します独立した病室と、まあ完備した機械器具を持っていることは当然のことでございますが、未熟児の養育につましては、やはり特殊の専門的な技能を要する関係もございまして、これにある程度習熱をした職員を持っておる、そういうようなことを基礎として、指定はもっとも知事の指定になっておりますが、知事が指定する場合においては、そういうような線によって指定をするようにいたしたいと考えております。
  88. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 そうしますと、これは官公立、私立を問わず、ただいま局長のおっしゃったような施設内容を持っておる所では、そういうものを知事の方に指定願いとか届出とか、そういうことによって指定養育医療機関になれるのかどうか。
  89. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) もちろん申請によりまして、今申し上げました基準に基いて指定の可否を決するわけでございます。
  90. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 その診療報酬の点ですが、診療の報酬は健康保険の診療報酬の例によるとなっていますが、その点について私はかような診療というものは、健康保険のような、いわゆる制限診療ともいわれておるような、診療報酬の例によるということは、いささか納得し得ない点があると考えますが、そういう点において局長は何かお考えがあるかどうか。
  91. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これはやはりいわば医療についての公けの補助の問題でございますので、保険の点数というものを基礎にして、その例によってやることが適当ではないかと思うのでございます。もちろんこの保険の点数については、それぞれの立場なりあるいは考え方に基いて、これは意見がそれぞれあり得ると思いますけれども、これは公けに設けられました機関において、十分議論をされ検討される性質のものであると考えております。
  92. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 その診療報酬の点に対して、社会保険診療報酬支払基金事務所の審査委員会指導というか、そういうことによるような条文がありますが、これもちょっと私は不可解に思うんですが、こういうのはどういうことなんでしょうか。
  93. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 法律の中に御承知のように、基金の審査を経るというようなことを指定をいたしております。これは保険といわば同じような形態になるわけでございます。指導につきましては、行政官庁を通じて私ども指導いたしたいと思います。
  94. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 こういうものは先ほど申し述べました通り、社会保険の診療とは異なった診療内容であるベきじゃないかと思う。それが社会保険の審査委員会意見を聞かなくてはならぬというような、そのことはちょっと納得いかないと思うんですが、この点についてごもっともと考えておいでになっているんですか、どうなんですか。
  95. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 保険の点数というものが、いわゆる一般の医療水準からいえば適正であるか不適正であるか、これについてはまあ人によって、あるいは考え方の違うこともなきにしもあらずと思いますけれども、私どもとしましては、一応これがよるべき基準であると考えているのでございます。
  96. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 かような特殊的な医療に対して、私は特殊的の考えを持なたくてはならぬと考えておるんですが、やはりさしあたって社会保険診療報酬によった方が便宜だ、という意味でこういうことをおやりになっておる、そういうことならわかると思いますが、私は特殊的の医療なるがゆえに、もっと幅のある、深みのある、制限診療などといわれるような診療でなくあってしかるべしと考えるのですが、もう一回この点お聞かせ願います。
  97. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 現在の私ども考え方は今申し上げた通りでございますけれども、非常な御熱意のある御意見でございますので、今後十分一つ検討さしていただきたいと思います。
  98. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) 大臣児童福祉行政に関しまして、五つお伺いいたしたいと思います。  第一点は、先般来児童福祉行政につきましても、保険局、児童局、それからまた結核対策については公衆衛生局、それから保険局、社会局といったふうに、きわめて複雑な行政になっているということが明らかになってきたと思うんですが、今、厚生行政の中でいろいろな盲点がありますが、その一つは、業務調整がうまくできていないということ。もう一つは、専門化が不足しているということ。この二つだろうと思うんです。それでそのことについて二点伺いたいんですが、第一は、厚生省の官房長には一体どんな仕事をさせておられるかということであります。まずそれを伺いたい。
  99. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 官房長について今現にさしておりますことは、主として各局間の調整、仕事の上で調教をはかって、厚生省全体としての方針をきめていくということの、私のスタッフとしての仕事が一番おもな仕事でなかろうか、こういうふうに考えます。そのほか新しい企画でございます、新しいわれわれが考えておる企画を、各局に同じような歩調でもっていくというようなことを考えて、おもにやらしておる、こういうのが現実でございます。
  100. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) ほかの省と違って、厚生省の官房長の働きというものは、これから非常に私は重大になると思いますので、大臣のそのお考えをぜひ完成していただきたいと思います。たとえば、国民皆保険を実施するとなれば、今全然問題になっていませんが、先般大臣に直接御指摘しました輸血の問題、外国では預血返血という制度になっていますが、日本はきわめて不正常な格好で営まれておる。その輸血の問題についても、結局は大病院の配置の問題、従って、医務局、それから今度は供血者の登録の問題、これはむしろ保健所でやるから公衆衛生局、それから薬務局、こうした幾つもの局が関連してくると思うんです。それで、どうかこの点で官房長の機能を充実していただきたいことと、こういうふうな厚生省の今当っているところの目前の任務の中で、皆保険と皆年金という大きなシステムがある。それとまた、環境衛生などを含めた衛生関係の大きなシステムがある。これはどうしても私は、分離する方向へ持っていかないと、この児童福祉行政なんていうのはもう圧縮されてしまって、つぶれてしまうんじゃないかと思うんです。で、厚生行政の分離ということについての大臣の御意見を伺いたい。
  101. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) つまり、厚生行政をよく見ておりますと、専門的な所は非常に専門化しなければならない。しかしながら、一つの社会面に起ってくるものを国民から見ますと、各局が皆担当しておるわけで、それがうまく総合されて国民の生活に入っていくときに、初めて、同じ予算を使い、同じ定員の中でも、効率的なものができ上る。これは私、実は何も厚生省に参りません当時から非常に感じておったわけでございます。従いまして、厚生省の方に参りましてからも、その点については十分注意をいたして、常に私が注意いたしておりますことは、むしろそのことが一番おもじゃなかろうか。幸いに、そういう点では私の過去の経験も、実は技術と事務とがほんとうに吻合いたしませんと何も効率を発揮しない、という仕事に当ってきた期間が多うございます。ことに厚生省では何といっても、多くの問題が専門化の問題が中心になって、すべてのものが分化しているというふうな状況でございますので、分化はさせなければならぬが、行政は総合的なものを行政として国民には出て参らなければいけない。そういう点につきましては、現在の状態もまだはなはだ不十分でございます。絶えず努力はいたしておりますが、なかなか長い間の問題でございまして不十分だと思いますが、今後ともその点は努めて参りたいと、こう考えております。
  102. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) 次に、児童福祉行政の中で、特に皆保険がもう近年中に完成されようとしていますが、義務教育学校の児童たちには、今回学校保健法というものができましたが、その医療の保障についてはまだ十分なものができていない。さらにまた乳幼児に対してはこれがまたできていない。それで保母も非常に困っているのですが、この皆保険と関連して児童並びに乳幼児に対して、厚生大臣とせられて、何か皆保険に関連して、立法措置をお考えになっておられるかどうかお伺いいたします。
  103. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) これらの問題は、今御指摘の点は実際はまだ研究未熟な点であります。私としてはこの問題はもっと研究をした上でお答えさせていただきたい。現在の状態では私はまだあなたにお答えするだけの資格がないというふうに考えますので、鋭意研究してお答えを申し上げます。
  104. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) 次は、労働基準法に関しては先ほど来質問がありまして、局長は、この厚生福祉施設は何か別のようなものであるというお考えを、再々述べておられましたが、これは私は基本的に違っておると思うのであります。むしろ、この際厚生大臣一つこの児童福祉行政関係のある各般については、労働基準法の実施できるように、強力に各部局、各地方にも命ずる。そういうお約束をいただきたいのですが、いただけましょうか。というのはですね、たとえば休憩時間の自由利用についても、これは福祉施設、たとえば乳児保護施設については規定がありますが、保育所については全然規定がないのです。こういう非常に粗略にされている実情から、これは大臣が責任をもって一つやらせる、そういう御明言をいただきたいのです。
  105. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私、命令するのは命令したいと思いますが、これは坂本さん、命令や法律だけでは実際に実績が上らないことは、あなた自身がよく御承知通り。われわれ自身が、その命令をしたことが実行できるような実態を備えてやることに努力するのが、私どもの責任である、こう考えますんで、命令をいたすことが実行できるようにもいたさなければならない。こう考えておる次第でございます。
  106. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) 第五点は、実は私は今の言葉は厚生大臣を叱責しているのではなくて、厚生省を大いに援護しておるつもりなんですよ。たとえば児童局が前に九十八名だったのが、今六十名に減らされておる。あるいは常勤労務者の問題についても、これは予算委員会厚生大臣がだいぶ叱責を受けておったんですが、あるいはこの国立病院、療養所の看護婦の産休定員の問題、これら全部を通じて、私はもっともっと厚生省自体定員をふやし、必要な厚生行政を完全にやるためにもっと強力な御意図を持っていただきたい。肝心の局長あたりが、何かこう、もうあきらめてしまうというような態度でははなはだ困る。私はそういうことを大臣に要求しているんであって、特にこの厚生行政の病院や福祉施設について人の数を増すということ、これについて御努力願いたい。そういう御意思のあられるかないかを承わりたい。
  107. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) お説でもっともでございまして、人間を増します。しかし、実は私は苦労しているのは、人間を増すと同時に適当な人間を選定しその人が喜んでこられるような実態を作る。これが本旨でなかろうかと、その点は実際苦労しているところなんでございます。その苦労はお察しだと思うのでありますが、決して私は厚生行政に新しい熱意を持つことをこそすれ、決してひるむつもりはございません。
  108. 坂本昭

    委員外議員坂本昭君) 最後に一点、今度の保育所措置費のことでございますけれども厚生省の原案としては六十九億程度で、その中で三十八億を保育徴収料として徴収し、それから二十五億を国の負担とし、あとたしか六億程度を地方自治団体の負担にさせるような、そういう大まかな計画で原案を作っておりますが、この原案についてのいろいろな批判があり反対があり、全社協あたりでも方向はいいけれども、具体案としては絶対反対の意向を漏らしておるわけです。これについて担当の局課ではきわめて慎重な態度をとっておられますので、目下私もこれを是としているのでありますが、大臣とせられましても十分慎重な態度でおられると思いますが、大臣のお考えを最後に承わって私の質問を終りたいと思います。
  109. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 児童局、関係局が慎重な態度をとっておりますのは私の方針でございます。従いまして、私といたしましては同じ方針でいく、ただ方向としては私も悪くはないと思いますが、そのために保育所発達強化に役立たなくては、何のための改正かわかりません。慎重に各般の意見を聞きまして、そして最善を尽したいというので、当局に命じて慎重を期しているような次第でございます。
  110. 木下友敬

    ○木下友敬君 民間の篤志家が身寄りのない子供を集めて、乳児院というようなものを作ったり、あるいは養護院というようなものを作ってやっておるのが実情でございますが、保育院などは保育料を取りますが、捨子というようなものを集めたり、また親が二人とも死んでしまって身寄りのないのを集めている、これはどこからも収入がないわけです。そこで赤い羽根というようなものから寄付してもらって、また公けの面からも補助をいただいて、そうして経営をしておる。非常に経営は危ない基礎のない状態でずっときておる。そこでだんだん子供が大きくなってきて、義務教育まで学校に通わせて終らせると、私が調査したところでは、そこでは三輪車の運転を覚えさせて、それで軽い運輸業をその社会福祉法人がやっておるのです。それで収入がある。同情があるから割合頼みが多くて収入がある、もうかる。そこでもうかったものを社会福祉法人に寄付する形になる。それで子供たちの着物だとか、あるいは家の修繕とか、ガラスとかを入れたというようなことをやっておるのでありますが、税務署の方では、こういう寄付したものについてあれは贈与税というのですか、何か利益があったために所得税に類する贈与税というものを取る。これは税法からいけば、仕事をして利益があって、その中からよそに贈与したから税金を取る。これは普通かもわからぬけれども、篤志家がそういう気の毒な子供を育てるために事業をして、わずかもうけたものをそこに使っていくというのに、贈与税を取るなんということは、私非常に理念としておかしいと思うのですが、厚生省としては、たとえば会社の利益の中から学校法人に寄付した場合には、これは認可を得れば税金を免除してもらえるとかいうようなことがあることです。こういう向きが全国にはかなりあると思う。そうなれば厚生省としては通牒を出すかなどして、寄付には税金のかからぬようにする方法を講ぜよというようなことでもやられたならば、そういう社会福祉団体は非常に喜ぶだろうと思う。これは実情でありますが、こういうことを今まで御存じであったかどうか、あったならばなぜほうっておったか。また御存じなかったとすればこれからさっそくにでも、そういうような寄付者に向っては、それは利益の方から差し上げたけれども、税金を免除してもらうというように努力をしてもらいたい。あえてこれは社会福祉法人の中の仕事でなくとも、たとえば私なら私がそこへ寄付した場合でも、その贈与税というものは免除してもらうというところまでいかないと、民間のこういう仕事は非常に困っているのじゃないか。だいぶおそくなりましたから、ほかのことはもう割愛してお聞きしませんが、これについてだけはしっかりした御意見を承わっておきたい、こう思う次第です。
  111. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話のありました養護施設でありますとか、あるいは乳児院でありますとか、これらの施設につきましては、施設の性質上、保育所と違いましてほとんど全部といっていいほど公費の負担でまかなっておる、そういう状況でございます。ただその単価が必ずしも十全とは言えない状況のものもあると思いますので、そこでまあ経費の問題について、いろいろ地方の施設において御苦心になっておることも私たち承知をいたしております。今お話しになりました点につきましては、社会福祉法人の範囲内におきましての収益事業で、片一方の本来の社会福祉事業に注ぎ込むにつきましては、これは別に税金の問題は起らないわけでございますけれども、社会福祉法人でない別の人格者が、社会福祉法人に寄付をするという点につきましては、今お話のような問題が起るかと思います。これは税法全般の問題でもございますし、実情として十分理解できる点もございますので、よく関係の当局とお話の線に沿いまして相談をいたしてみたいと思います。
  112. 木下友敬

    ○木下友敬君 今のそのお答えの民間の仕事であるけれども、ほとんど全部公費でまかなっておる、こう言いますが、そうでないのもあると私は思うのです。たとえば食費は公費からくる、しかしながら着物だとか住居などについては、これはもうどうしても赤い羽根とか、民間の寄付によらなければしようがないという状態のがかなりあるわけであります。公立のものは別ですよ。それと今の第二番目の社会福祉法人が事業をしている、運輸業を今やっていることを申しましたが、これは社会福祉事業の範囲外かもわかりません。そういう社会福祉法人がそういう営利事業をするということに間違いがある、という説も出てくるかもわからぬけれども、社会福祉法人の仕事を全うするためにそういう仕事をやっておる、そうしてそこからきた利益を社会福祉法人の仕事の中につっ込んでいくとき税金が現に取られておる、実際に取られておる。ですから問題は、その運輸業というものが社会福祉事業法人の本来の仕事じゃなくて、別動隊としてやられておるから、そういう税金が取られるということになるのだろうとは思いますが、それにしてもそういうような苦心をしてやっておるし、そのことがまた社会福祉事業の経営面に大きく寄与しておるのだったら、厚生省としては、それに何とか税金を納めんでもいいような方法を講ずるための御尽力がほしい、こういうわけなんです。
  113. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 児童福祉施設につきましてのいわゆる経営費、まあ飲食物費、あるいは被服費、これも少額でございますが、それらの経費につきましては、これは公立、私立を問わず措置費として私の方から補助をいたしているわけでございます。ただまあ、お話の点はそれでは不十分であって継ぎ足さなければならない、その金の調達についていろいろ御工夫になって、今お話のような事例があるかと思います。今お話の点はよく承知をいたしましたので、十分一つ関係の当局とも相談をさしていただきたいと思います。
  114. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私から。今児童局長は自分の所管に関連してものを考えて言ったと思うのですが、私は民間で典型的にそれをやっていたのです。一方において利益を得て、それをいわゆる社会福祉事業に投じておる、そうすると税金取られましてね、もう手痛い目に会った。それから私商工会議所に関係いたしておりましたときに、高橋さんが、かつて商工大臣をいたしました、あの方が一番主張しているのは、せっかくいい社会事業に寄付金を出すときに、それを所得のうちから出すのだから、所得として一つやはり税金の対象になるというふうな問題で、それを直さなければ社会事業は発達しないというので、非常に私どもにも協力を求められたことがございます。率直に申して、大蔵省は税金を取る官庁ですからなかなか頑強でございます。私もこの点につきましては、自分自身も手痛い経験を持っておりますので、なお一そう努力を続けたいということを申し上げたいと思います。
  115. 山下義信

    ○山下義信君 議事進行についてでありますが、先ほど藤田委員保健所に関する質問に対しての、公衆衛生局長の答弁をさきに済ませて下さい。
  116. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所の職員の充足状況、特に医師保健婦、看護婦等について充足状況が悪い。医師が一人もいない所があるし、また看護婦、保健婦のいない保健所もある。それで果して完全ないろいろな公衆衛生行政、それからまた今御審議を願っております未熟児対策がやっていけるかどうか、というような御質問があったとのことでございますが、保健所の職員の充足状況が非常に悪いということは、私も御指摘を受けて、私どももいろいろ努力をいたしております。特に医師の充足状況が悪い、これは全般的に。全国平均してみますと約六〇%でございます。保健婦が六六%くらいでございます。ただこれは地方的に非常に差がございまして、特に都市の保健所では比較的充足状況がいいのでございますが、いなかの方に参りますと充足状況が悪いという状況でございまして、残念ながら、まだ専任の医師が一人もいないという保健所も若干あるのでございまして、少し古い資料ではございますが、私どもの調べました資料では、専任の医師が一人もおりませんのが、七百八十八カ所のうちで九カ所ございます。しかしこれも他のもよりの保健所から兼務をしてこの仕事を行う、というようなことをいたしているわけでございまして、専任一人しかいないというのが九十四カ所というような、まだそういう状況でございまして、これは早急にいろいろな方法で是正していかなければならない、そういうふうに考えております。保健婦、看護婦が一人もおらない、専任の保健婦、看護婦がおらないという保健所は現在ないというふうに承知いたしております。
  117. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると第一に、九カ所医師がおらない所でも届出にこたえるだけの措置ができるということですね。これが一つの質問です。  それから保健婦、看護婦のおらないというのはない、どっちか一人はおる。そのことはよくわかりました。わかりましたから、きょうとはいいませんから、実情について一ぺんその資料をいただきたいと思うのです。それでないと、そういうことをわれわれの担当委員会以外の人から指摘されて、私も調べるまだ時間がない、よう調べます、これはいずれ調査のときに調べますけれども、この点は明らかに私は出してもらいたい。なぜ言うかというと、先ほど厚生大臣の非常に熱意のある答弁がありましたので、私はそれに期待します。しますけれども現状というものをやっぱり把握しておかないと困るということです。だからこの法案が通ったらやはり、こういう法律が完全に実施できる条件というものが備わっていなければ困るというので、私は質問をしたのです。じゃ一応了解します。
  118. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 人数別の資料がございますから、後ほど提出さしていただくようにいたします。
  119. 横山フク

    横山フク君 今の資料追加で、その資料で人数別をいただくときに、その場所がA級であって、医師が何人で保健婦が何人で実在員は何人と、定員を書いていただかないとわかりませんから、お願いします。
  120. 山下義信

    ○山下義信君 私は二点ほど伺いたいのであります。  その前に、大臣が見えておりますので、私どもの審議の方針をこの際お耳に入れておきたいと思うのでありますが、われわれの社労委員会としましては、実は、国会が児童の問題をできるだけ重大に、機会があったら取り扱うということを、従来この委員会が皆さんとともに強く念願しておりまして、児童の問題を重大に取り扱う国家こそ文化国家であるという考えのもとに、実は吉田内閣のときは吉田総理に出てもらい、それから鳩山内閣のときには鳩山総理にお出ましを願ったのであります。今回の通常国会におきましても、児童福祉法関係改正案が出るということを仄聞しておりましたので、機会があったら一つ総理にも出られて、子供のことをお互いに一つ重大に相談してみる機会を得たいと実は思ったのでありますが、今回機会を得なかったわけです。しかし当委員会といたしましては、児童福祉法の一部改正案が出まする機会に、一つ重要に審議しようじゃないかというので、二月の理事会でこれを重要視するということを相談いたしまして、審議の方法等も実は相談いたしまして待ちかまえたのであります。非常に審議の時日が少いことも予想されまして、われわれの意図するような、この問題をクローズ・アップすることが不十分であったわけなんでありますが、私どもも本案の改正には賛成でありますので、審議の促進に協力するにやぶさかではないのでありますが、実はこれは少しぐちめきますが、われわれがそれほど意気込んだ割合に、関係者が意気込んでいないことは、お互いに実は残念だ。先般保育所関係者の、わが国におけるそれぞれの立場の代表者といいますか、数氏の諸君に早くから連絡して参考人として出席してもらった。その参考人の諸氏の意見さえ聞いておればいいのでありますけれども、これは関係者には早くからわかっておるのにだれも傍聴に来る者がない。保育所関係者が、自分たちの利害のことにはわあわあわあわあ言いまするけれども、国会で自分たちの問題を審議してもらうということに、いかに関心が薄いかということをお互いにまざまざと見るのでありまして、これは遺憾にたえない、同時に、関係者が熱心であろうとあるまいと、われわれが重大視して力こぶを入れなければならないのでありますが、同時に、先ほどから藤田委員等からも御注意があったのでありますが、大臣が見えておりますから、右総代でおいでになるのでありますから、主管局長だってあるいはきわめて限られた関係の課長さえ来ておればいいようなものでありますけれども、やはり省議にお差しつかえない限りに関係者がお出まし願う方が、事を重く議する上にいいんじゃないかと思う。非常に、事はこれは小さいようでありますが遺憾に思うのは、今回は直接保育所のことにお触れになった改正案ではないのでありますが、何といたしましても、今の児童行政の当面の重大問題は保育所でございますから、保育所の改革を厚生省が企図されておるのでありますから、この問題が当然出てくることは予想されることなんであります。保育所の主管課長は、承わるところによりますと二つに分れて、予算関係は企画課長が持っておられますが、保育所施設の運営や指導その他は、おそらく、私が思い間違いならば取り消しますけれども、吉見課長がそれではないかと思うのであります。御婦人であるけれどもお出ましになって、私は終始この審議に大臣にお供してこられて聞いておられるがいいと思う。きのうから御無理を願って実は大蔵省の担当の鳩山主計官には来てもらって、本日も長時間来ていただいておる。私は今後とも児童問題は問題が重くても、対象者が子供であり、ややもすると軽視される傾きがありますので、今後機会がありましたら、厚生省もみずから威容を整えて、そうしてこれを重視した形をお示し願いたいと思う。これは私のぐちなり希望なりであります。  そこでさいぜんからいやみを言うのじゃありませんけれども児童局長の御答弁は熱心に御答弁をいただいておるのでありますが、私が聞いておると、そこに大臣がおいでになるからお叱りを受けるかもしれませんが、児童局の主体性ある御答弁をしておられない。これはいかぬと思う。幸いにそばに大臣がおられるのですから、委員の質問に応じてやはり一歩前進的の御答弁をするように、事務当局としての限界がありますが、そこに大臣がおられるのですから、御相談なさって、やはり主体性のあるような御答弁をなさるように望みたい。こういう機会に一歩前進しなければ、前進の機会はない。それをああいうふうな弁明的のような、あるいはまたあいまいもこたる、つまり現状維持の御答弁をなされるということは、言いかえると大蔵省の代弁をしておられるにすぎない。さもなければ、大蔵省の予算のワクの中で御答弁をしておられる。やはりそれはそれとしてぶちまけておっしゃってもよろしゅうございますけれども、やはり児童局は児童局としての、昨日から申し上げるようにやはり一つの理想もあるでしょう、希望もあるでしょう。現実はこうであるけれども、こういうことを希望しておりますと、事政治的な政策に関連すればそばの大臣に御相談なさって、できるだけ希望も披瀝されて、それで逸脱した答弁をして、まだ予算が未決定で、大蔵省が承認していないから、あとにこうした言質をとられては困る、というような非常な慎重な答弁をするというと、こういういい機会に一歩も前進することができないのであります。先ほどから苦衷は了といたしますが、実は非常にもの足らぬ感じがいたしたのであります。  そこで私は第一点は鳩山主計官にお伺いいたしたい、大蔵省側に質問をいたしたいと思います。二つありまして、簡単に伺うのでありますが、実はこの保育所予算中心にして大蔵省の見解というものを実は伺いたかったのです。基本的の方針、その他を伺いたかったのですが、もう時間がないからそれはよします。あなたの方ではこれを補助費に戻したことに非常に不満を感じている。先ほど横山委員にお答えになりましたように、できるだけ地方交付税の交付金の中にこれを入れることにして、なるべく補助費をはずそう、はずそうとしておるのに、この児童福祉関係の補助費だけが残っておるのだというので、これを非常ににらんで、そうして折あるごとにそれをいじめておいでになるというふうに私ども思う。これはあなたの方から、大蔵省で発行している「国の予算」の中に堂々とその所見を、百二十三ページに大蔵省の見解としてお述べになっている。こういうことも伺いたいのでありますが、これはよします。別の機会にします。大蔵省の考え方というものは、できれば児童福祉関係も二分の一の補助に切りたいということを明らかに公文書にお述べになっている。百二十三ページを帰ったらごらん下さい。それでそういう広範な議論はやめまして、この保育所予算だけで大蔵省の見解を私は伺います。それでさしあたって今回の保育所改善は、これは私どもも多年要望しておりまして、他の委員諸君もお述べになりましたように、われわれは基本的には賛成です。しかしあなたの方がうんと力こぶを入れていただかぬければ改革はできません。いわゆる何でもかんでも改めればいいというのではありません。少しでもいいように改めていただかなければならぬ。改善の改革をしていただかなければならぬ。そこでどうしてもあなたの方がうんとおっしゃっていただかなければ、せっかくの改革がしばしば指摘されましたように改悪にならないで、改善をしていただくには、どうしてもお金の問題がある。これは大蔵省としてどういう一つ御尽力を願えましょうか。それを具体的に承わりたい。大へん長い間申しましたが、結局今出している金のワクの内でやれということでは、私は改善にならぬと思いますが、鳩山主計官はどう考えておられますか。
  121. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 保育所措置費の交付のやり方を根本的に改めようということが、当初から厚生当局から御相談がありまして、私どもの方といたしまして、いろいろ今まで各方面の御意見が相当強く出て参りましたので、これらをにらみ合せて、ぜひとも三十三年度からやり方を変えるべきだということにつきましては、厚生省のお考えと全く同感でございました。予算の折衝の途中におきまして、いろいろ御意見を伺い、かつ相当な御批判をいただきまして、私ども非常に啓発されたのでございますが、結果におきましては、やはり成立いたしましたこの予算で、今年の措置費はやるというふうに、現在のところは考えているわけでございます。今年の予算編成の過程におきまして、やはり一番問題となりましたのは、徴収の関係におきまして、会計検査院の方からいろいろ意見が出て、その前に行政管理庁の方からいろいろ御意見があった。それらのことはだいぶ前の事態につきましていろいろの調査があったのでございますが、かように片方において、現在の保育所の通常が、その当時におきまして相当ルーズの面があるのではないかというようなことが、一部に非常に言われたのであります。私ども担当しておりまして、各現場の方々の御意見をいろいろ聞きまして、非常に保育所の運営というものはつらいのだ、また徴収もちゃんととってないじゃないかというようなことにつきましても、なかなかもって徴収というものは並み大ていのことでない、というようなことをよく承知いたしたのでございますが、片やこれらの意見が出るということは、現在の保育所が非常に多種多様の運営がされている。それこそ朝の六時から晩の七時、八時まで保母さんが体をすり減らしてやっておられるというようなこともありますし、片やたとえば行管の報告書にもあるのでありますが、夏休みをやっている保育所もあるというようなことでございまして、保育所の幼稚園化というようなことが一部に言われ、そのように現在の保育所行政が非常に多様に運営されている、それで率直に申し上げますと、これはお叱りを受けるかも存じませんが、非常に熱意のある方もある。そういう所はもちろん非常に運営も苦しいし、それを端的に申せば、良心的な経営をすればするほど保育所の運営というものは困難になってくる。言葉が悪いのですが、いいかげんな運営をすれば何とかやっていけるじゃないかというようなことが、だんだんと私どもにしてもわかって参ったのでございますが、そういうような事情がございまして、保育所につきまして、従来一部にこれはやはり地方庁に、地方の自治に相当まかせないと、画一的な方式で国がぴしゃりとやるというふうになかなかいかないのじゃないかというような意見も一部にはあるのでございます。そうでございますが、結局、従来保育料を取り足りない部面は、これは徴収を適正化していくということによりまして、それらによって受けます収入の増加につきましては、これはなるべく保母さんの待遇改善なり、あるいは児童の利益になるような、そういうような面でそれを使っていったらいいじゃないかということで、予算の際に、そういった事情を織り込みまして、何らかの改善をこれでやるのだということで、予算を組んだ次第でございます。現実に案を今厚生省の当局と一緒になりまして、私どももいろいろ勉強さしていただいておりますが、これが先ほど申し上げたように、非常に多種多様な姿になっておりますので、これを画一的な基準でやりますと、ふえる所も出るかわりに、減る所も出る、減る所につきましては、保母さんを減らさなければならないとか、給与を切り下げなければならないという問題が起るというような事情でございまして、非常に実行がむずかしいということを痛感いたしております。なお、今後厚生省と案を研究を続けまして、それを実施していろいろな支障のないような案を何とか見出したいということで苦労しておるわけでございますが、私どもできるだけ努力をいたしたいと思いますが、予算につきまして、ただいまここで足りない場合はどうするかというようなことを申し上げられれば非常にいいのでありますけれども、ただいま予算も成立したまぎわでございまして、今後の措置をどうするかということまで、そこまで考えておりません。
  122. 山下義信

    ○山下義信君 全く御懇切な答弁をいただきまして、今おっしゃったように、私ども保育所の現状の弊害は、これは自他周知のごとくわかっている。これは運営なり、措置費の出し方なりがいろいろ複雑化している、非常に千差万別になっているという状態をできるだけ画一的にするということは、もうこれはどうしても断行せねばならぬ。それがために、極端なことをいえば、少々不利になるところもあろうと、私どもは僣越でありますが、国会として、多少そういうところはやむを得ぬ場合もあるでしょう、画一にする以上は。また、そういう方向にただ単に複雑化したものを整理するという方法じゃなくして、そういうやり方は、これが補助金制度の持っている、補助金制度であればこそやれるのであって、もしこれが大蔵省がかねてしばしば漏らすごとく、地方交付税交付金の中に入れて地方にまかせるというならば、保育所の形態は、俗に言う実情に沿うとか、自治の何とかということで非常に千差万別であります。わが国の福祉の施設として、そのような千差万別でいいかどうかという問題も出てきますから、やはりできるだけ平等の福祉をみんなに与えるという上から行けば、あまりこれがピンからキリまで違い過ぎるということはこれは許せない。従って、補助金制度でなからねばこれができない、今こそ、補助金制度であればこそ保育所の制度に対する改革の手が打てるのでありますから、これらに対する補助金制度は、制度自体としてはまだまだ必要であると同時に、強化していかなければならない、こういうことになるわけですね。私は問題は、今あなたのおっしゃったような点も、もとより今後改革していかなければならないのでありますが、それはいろいろな手続やり方を改めるということは、期するところは保育所の姿を本然なものに戻していくということです。保育所とは何ぞやということを、もう一ぺん再検討して、保育所本来の目的、本来の姿に戻るということを、その保育所の経営の姿が幼稚園化とかなんとか、いろいろ模様が、いろいろに姿が変っていくことは、これは保育所の本来の目的の上から、そういう姿になる場合がある。言いかえますというと、ただ託児の子守さへしておればいいというような保育所から、だんだんだんだん保育ということのテクニックが発達してきまして、いろいろな学問、経験の積み重ねられて、それが深まれば深まるほど、その内容が幼稚園的になるということは、これはいなむべからざる事実です。幼稚園的になるということは、その内容です。そのレベルです。ただその姿が、それが経済的に幼稚園化していくということは、これはいけません。保育所発達していく道程から言いますと、過程から言いますと、子守さへしておればいいという時代から、だんだん保母の専門的な技術というものやら知識というものが深まってきて、そうして保育所のあり方というか、これが発達して参りますると、自然幼稚園に似たような姿が出てきます。これを幼稚園化したといって、幼稚園には補助はやっていない、従って幼稚園化する保育所には補助を切るべしという大蔵省の見解であったとすれば、飛躍だと思う。ともかくも画一的にするということはけっこうであります。私は、保育所を本来の姿に戻そうという努力を大蔵省も厚生省もやってもらわなくちゃならぬ。本来の姿に戻すということになってくると——本来の姿でなくてもいいのだということになったら、もろもろの改革はナンセンスである。本来の姿に戻すということになると、その保育単価はどうするかという問題、徴収基準はどうするか、一体徴収していいかどうか、根本的な問題です。保育料の徴収ということは、これは第二義的で万やむを得ないときに、市町村長は徴収することができる、実費を徴収し得る。それから徴収することができるということは、徴収するということは、保育所の経営費の本来の財源に不足を生じたとき、これは言うまでもありません。従って、保育所本来の姿に戻すという基本的な方針の上に立ったら、保育料の単価というもの、それから徴収の基準というものも、その点で考えにゃ、何を目的に単価をきめ、何を目的に徴収基準をきめるかということを伺わなければなりません。今日の姿のままのバランスの上に立って、そうして保育単価をきめ、あるいはその単価から割り出して、また徴収基準を、これだけ取らなければバランスがとれぬなどというならば、保育単価も、それから徴収基準なんかも、まずこの金額は、一体保育所の本来の目的の上に立って、これだけの単価を見積るべきだ、また、これだけの徴収をさせるべきだという上から割り出して出てきた単価であり、徴収基準額でしょうかね、大蔵省はどういう見解を持っておりますか。
  123. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 私どもの理解しておりますところによりますと、まあ会計検査院ももちろんそういう解釈でありますが、やはり保育料というものは適正に取るべきである、国の側から言いますと、その保育料の負担できないものについて負担するというのが、児童福祉法の原則になっているように、私ども現行法律を読んでいるわけでございます。それで、それは国の方といたしましては、法律のワク内で取るべきものは取ると、要するに子供がおりまして、たとえば相当な所得のある金持の子供がおって、その子が保育所に入所する場合には、かかった経費は当然自弁というのが原則のように私ども法律を読んでおりますので、従って、それが払えない、経済的に払えないというものが出て参りまして、その部分措置費で見るというふうなことと読んでいるわけであります。もちろん、これは政策問題といたしまして、児童の将来の、国民の一番スタート・ラインにおける保育というものが重大だということはもちろんでございます。それらのものについて公費で負担していくべきだという思想ももちろんあると思いますが、現行法の読み方としましては、やはり払えないものについて公費で見ていくというふうに私どもは読んでおります。間違っておれば訂正します。そこで、そこに確かに問題がございまして、一方におきまして、農村等におきましては、幼稚園と保育所を別々に設けるということはできないので、保育所を作りまして、まあ普通ならば幼稚園に行くような家庭のお子さんでも保育所へ行っているというのが現在の農村地帯における保育所の実情だと聞いておりますが、そのような場合には、やはり適正な保育料というもの、これは自由契約児という形で入ってくると思いますが、それはやはり実費主義でいく、現在の保育料としますと、やはり時間の関係等もありまして、幼稚園の費用程度にはどうしても経費がかかるというようになりますので、そういうような方々にも来てもらうためには、やはり保育料としてはなかなか実費全部を取り得ないというのが実情ではないかと思います。これらの点につきましては、なお将来相当検討すべき問題を含んでおると思います。現状としては、われわれといたしまして、そのように解釈いたしております。
  124. 山下義信

    ○山下義信君 これは検討しておりますと切りがございませんから、同僚諸君も機会をあらためてしようじゃないかということでありますから、これはあらためて時間をとってやりますが、保育所をやります者も政府関係者も、双方がごまかし合いじゃいかぬ。なるほど保育所の方にも行き届かないところもあるでしょう。指摘される点もあるでしょう。しかし、鳩山主計官からもおっしゃった、取れるものから取っていくと法律に書いてあります。取れるものから取っていいという前に法律の要求しておりまする保育に欠くるものというものを非常に極言をしておいて、そのほかのものは取れるのだという立場でものを言うのならば、みな取らなければなりませんよ。どこまでが負担能力があるかという問題ですよ。八千円や九千円で三人世帯でいる、その人の子供を預けるのに、八千円や九千円でどうして五百円、六百円の保育料が納められますか。今度そういう点を改革なさろうというのでありますから、私は双手をあげて言いますが、保育に欠くるという解釈を見ると、その他のものは徴収できるものだということになって、なぜ徴収せぬかというおしかりをするというようなことは、これは保育所というもの自体をこれはあなた方の方が幼稚園化しようとしている、なるべく保育費を納めるものを入れようというのと同じではありませんか。保育に欠くるということは、これを十分事態に即応するように解釈なされますと、これはなかなか妙味しんしんたるところがある。私はこまかに申しません。保育に欠くるものとはどういうものであるかということは、厚生省はおそらく何かできめるでしょう。これは法律で、保育に欠くるものとはこういうものであると規定しておったら、今のようなゆがめられた状態には保育所は陥らなかった。これが法律にこまかな規定がないために、あなた方が勝手に解釈して、保育に欠くるとか、生活保護階層者だとかというようなことで、あとはみな保育料が払えるものだということになっていきますと無理が生ずる。これは法律には、労働のために保育に欠くるもの、つまり子供を頂けなければならぬもの、当然これを対象にしてやるのだと書いてある。それを解釈しますと、これは貧乏なために保育に欠くるのじゃありませんよ。保育に欠くる条件は貧困のみじゃない。保育に欠くるというこの条件をどういうふうにするかということは、そのときの政策でありますから、厚生大臣がおきめになるのでありますが。これをどんどんどんどん狭めてきている、有料主義の保育所に今日したのはだれがしたのです。だれの罪ですか。有料主義にしなければ保育所が立たないようにしたのはだれなんです。そうして有料主義で保育料を納めるものの子供がずっとふえるから、真に保育に欠くるものが預けようとすると預かってもらう余地がないような状態にしたのはだれですか。そうしてその生活にあえぐ者が何百円という多額の保育料を納めなければ子供が預かってもらえないというに至っては、保育所の機能とは何ですか。こういう保育所がどこにありますか。われわれは中共ともソ連とも競争していかなければならぬ。あちらはみんな国営で無料じゃありませんか。しかるに、日本の保育所は多額の保育料を徴収せられる保育所なんです。これを本然の姿に返して、元に戻してもらわなければいかぬ。できるだけ国の力で、そうして保育に欠くるようなそういう対象者に福祉を与える保育所に戻す余裕があれば、有料のものを保育するのはいといません。これは有料でもけっこうでしょう。これを本然の姿に一つ返すと同時に、従って、保育に欠くるものを多数入れる保育所になるように、あなたの方の大蔵省の見方、大蔵省の補助の出し方というものを変えてもらわなければならぬ。一体三六%というのはどこから出てきたのです。三六%の補助費を出すというのは、何に基いて三六%というのを出したのか。しかも、大蔵省の方は保育所はだんだんと幼稚園化していると言いながら、援護率はだんだんとふやしてきたじゃありませんか。みずから矛盾している。援護率をふやしてきたということは、措置費がだんだんふえてきたということは認めるでしょう。そして一面には幼稚園化してきている。だんだんだんだん有料化して幼稚園化してきている。政府みずから理論が矛盾していると私はそう思う。だんだん援護率を上げて下さるのは一面じゃありがたい。三六%は何を根拠にしてそれを出したのか、一つの腰だめです。法令に何の規則もない。あなたの方から出していただく法令は、十分の八の負担ということが法律できめられている。十分の八国が負担する。保育所に要するところの経費の十分の八を国が持つということが厳として法律にある。その通りの負担をしているかどうか私は吟味していかなければならぬ。そうして三六%という援護率を大蔵省は勝手にお使いなさって、そうして何一つふやしても、保母の待遇一つ改善しても、たった三六%しか補助せぬでしょうが。法律は十分の八補助せよとあるのですよ。三六%しか補助を受けないから、足りないだけは保育料にかけなければならぬという、悪循環をしていかなければならないのじゃないか。赤字の出るように、出るようにとすれば、赤字の出るところは、不幸な父兄にこれを背負わせる、そうしてその徴収をやかましく言うことによって、よってたかってめちゃくちゃにしておる。いじめるというよりは、めちゃくちゃにしておる。支離滅裂にしておる。私はここで一つ大蔵省も今回の改革に厚生省と十分一つ根本的に御相談下すって、そうして同じものでも、ワクの中で徴収基準や、あなた、単価をあっちへ置いてみたり、こっちへ置いてみたり、何十種類かあったものを六種類か、五種類に縮めてみたところで、伸ばしてみたところで、肝心かなめの経費が償って、事実上立っていけるところの補助を国が与えなければ、結局袋の中のネズミで、助かる道をなくしてたたくのと同じことですよ。改善ならば改善のように方法を改めるならば、きついものもこの改革に従う。保育所一つみんながこれを改めるということになるならば、やはりそれだけの財政の裏づけをしていかなければならぬということでなからねば、いたずらに世間を騒がせ、いたずらに保育所を混迷させるだけであります。改革が改革になりません。今、非常に鳩山主計官は含みのあることをおっしゃいましたが、予算がきまったあとですぐどうこうということはここでは言えないとおっしゃいましたが、私の意のあるところはおくみ下さったと思う。将来とも、今、厚生省一つの試案をテストとして見せた。けんけんごうごう——私も拝見した。試みに出したこの試算というものは、一体これは何を基準にして単価をきめたのだろうか。何を基準にして、保育料をこういう基準にして徴収しようとするのかということが、私にも理解がしがたい。どうか一つ、大蔵省の方でも十分この改革を機会に、一つ保育所を立て直すように御尽力を願いたいと思いますが、鳩山主計官の御所見を承わりたい。
  125. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 保育所予算につきましては、先ほど御説明申し上げた通り、まあ私どもといたしまして、できるだけの努力をいたしたつもりでございますけれども、非常に金額自体があまり前年度に対してふえてないということから、ことしの運営につきましても、なかなか苦しい面があるということはよく承知いたしております。それから改革案につきましては、私といたしましては、厚生省当局もこれは全く同じ考えと思いますが、これを実施いたしまして、非常に方々に支障があるというような案では工合が悪いのでありまして、保育所の運営が円滑にいくということをまず第一に考えていかなければならないと存じております。山下先生のおっしゃることは、よく私どももわかっておるつもりでございますが、今後一そう努力していきたいと思います。
  126. 山下義信

    ○山下義信君 大へんお時間をとりまして恐縮でありました。いま一点は、希望でございますから、これは申し上げてお答えをいただいておくだけのことにして終了いたします。  厚生大臣にはこの機会に、私は久しぶりにこのことを申し上げるのでありますが、先般はまことに失礼をいたしました。そのときの勢いとは言いながら、大へん御無礼をいたしました。御了承を願いたいと思います。  伺いたいと思いますのは、これは先ほどから同僚委員からも御指摘がありましたように、行政管理庁が指摘をいたしました、あなたの方の福祉行政のいろいろ問題点を指摘したのでありますが、総括いたしまして、行政管理庁が指摘いたしましたのは、まあ非常に福祉行政が複雑多岐になり過ぎておるということと、それからいま一つは、第一線の機関その他が弱体であるということ、それから児童福祉行政が少し片寄り過ぎておる、一般児童問題に手が及んでいないという点が指摘してあるというような点でありますが、それで私がお願いしたいと思いますのは、なるほど、私ども前から心配しておったのでありますが、実は児童相談所というもののあり方が、児童の福祉のセンターになっていないのであります。主として児童の資質の鑑別を主につかさどっている。前からこれを児童福祉のセンターに一つするように、極力、折あるごとにやろうじゃないかというので、いろいろ一部そういう改正も行なったこともあるのでありますが、どうしてもこの社会福祉に押されまして、児童福祉行政もある意味からいえば社会福祉事務所が牛耳っておるというのが、今日の制度の立て方だ。社会福祉の全般のことは社会福祉事務所が総合センターだといえば、児童相談所がそれに従属的な立場もやむを得ぬかもしれませんが、しかし、もう今日になりますと、私は児童相談所というものを何とかこれをもう一ペん考えていただいて、児童福祉行政というものが保健所にもまたがり、先ほどからも御議論が出ましたが、あるいは福祉事務所にもまたがり、それから児童相談所にもありというような状態で、それは施策は関連するのでありますから、それはやむを得ませんけれども中心がない。それは知事がするのだから、保健所も知事が指揮すると、こういえばよろしゅうございますけれども、今の未熟児の問題でも、保健所にやらすというが、児童相談所は何の関係があるかといえば関係がない。これは一つの組織でございますから、上下の関係が、何か中心といいますか、構成といいますか——がないというと、並列主義になっておりまして、しかも、重大な欠点は、社会福祉の方にこの児童福祉行政の強力な権限があるという立場で十分一つ研究を願いまして、児童相談所を児童福祉のセンターにするがよいかどうかということを取上げて御検討一つ願ってみたい、こう思います。  それからいま一つは、児童福祉審議会のメンバーがどういうふうになっておるか知りませんが、何と言うても、この審議会も相当有用に御活用願わなければなりませんので、この委員人選は、もう古い、その方面の昔からの有力な人もけっこうでありますが、同じ顔ぶれですとマンネリズムになりやすいのでして、児童福祉を有力にしてもらいますためには、やはり当代の第一流のAクラスの各方面の有力な人が進んでこの児童福祉審議会のメンバー等に、今後とも御選任を願うという方法はいかがであろうかと思う気がいたしますので、まあこれも一つの問題。  それからいま一つは、多年のこれは懸案なんであります。この児童委員、民生委員を兼ねるということが、この長い間これが解決ができません。これは児童福祉法の中にありまして、民生委員児童委員を兼ねるものとすと、こうありますが、あすこを一条削りまして、まあこれは専任の児童委員ができる——これは大蔵省もそこにおいでになるのでありますが、児童委員を別にすれば経費がかかるというのならば、ただいまの民生委員の中の五千人でも、一万人でもよろしゅうありますから、民生委員の数を減らしまして、それだけ専任の児童委員を作れました方がはるかに——そういう専任の児童委員がないということは、私は非常な一つの弱点だろうと思います。これは一つお考えを願いたい。一般児童問題について御尽力を願わんけりゃならぬことは言うまでもございません。三十三年度予算に御尽力をいただいて児童の厚生施設、遊園地等の新規の予算もいただき、私も非常に多といたしておるのでありますが、ぐずぐずいたしておりますと、よその方の委員会から、いや、何とか児童センターだとか、遊園地とか、盛んに宣伝いたしております。これは法律の中に、児童福祉法の中にある。児童福祉施設児童館、娯楽センター、そういうものを児童の厚生施設として作るのだと、児童福祉法にちゃんときめてある。よそのお世話になる必要はありません。それは地方市町村においてこれに銭を出すということは、大蔵省も双手をあげて御賛成でございますが、何も別の法律を作らなくても、児童福祉法の中に児童館等を建設するのだということがあるのでありますが、こっちの仕事なんです。しかし、わきの方からこういう火の手が上ってくるのは、うかうか、ぐずぐずしているから……。どうか一つ、そういう点を御検討いただいて、ちょうど児童福祉行政ども、これも昨日と同じように、根本的に一つ御解決を願わなければならぬ段階と思いますので、ぜひ御尽力を願っておきたい。大臣の御所見を承わって、私の質疑を終ります。
  127. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 山下委員から児童に関しての非常に御造詣の深い御議論を拝聴いたしました。それにつきまして、過般私に関して発言しましたことで御釈明をいただきまして、私、山下さんが非常に熱心であるあまりと思っておりますので、別段私自身としては取り立てて考えていないのに、むしろ私の至らないところに反省の機会を与えられたものだと、こう考えておりますので、はなはだ今、御釈明をちょうだいいたして恐縮に存じております。  問題の児童相談所及ひ児童福祉センターとして考えるべきじゃないか、福祉事務所に従属すべきもののような形で改めていくべきでなかろうか、また、そういう傾向なきにしもあらず、こういう御意見であります。なお、審議会の委員人選について、新しい、何と申しますか、世界観、人生観に立って新しく児童福祉を守ろうとするのに適当な人を選ぶべきである、さらに、その観点から民生委員との兼務ということに安んじるべきでなかろうというようなお話につきましては、私も過般山下さんかこの委員会で、児童行政は今やまさに曲りかどに来ている、将来に対する根本的なしっかりした考え方のもとに行政を遂行すべきであるというふうな話につきましては、全く御同感であります。確かにこれは戦後の新しい社会作りの一つであり、民主主義の基本的のものとして、新しく取り上げられなければなりませんです。しかも、早急に発達して参りましたために、これらについて根本的な検討を加えるべき時期に来ている、しかし、それは消極的に考えるべきでなしに、そういう新しい観点から積極的に推進するということにつきましては、全く私自身同感でございまして、今後検討を続け、この次にはりっぱなものにしてお目にかけたい、こう考えております。  児童館や遊園地等の問題もお触れになりましたが、実は私、民間にいるときにこれらの問題を処置したいと思った経験を少々持っておるわけであります。今後、すべての児童行政について根本的な再検討をいたしますと同時に、この点の行政の飛躍的発展を期したいものだと考えております。
  128. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。
  130. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この本児童福祉法の一部を改正する法律案に賛成の立場から意見を申し上げたいと存じます。  きょうの質疑の中にもありましたように、この法案が具体的施策として現われまするには、いろいろとまだこれを受け入れる態勢の中で足らないものがあるということが質疑の中で行われました。いろいろと希望の意見も同僚委員から述べられたのであります。私はここで第一に考えますのは、やはり保健所の整備というものを、大臣の御発言にありましたが、あの熱意をもっと馬力をかけて進めていただきたい。  第二の問題は、保育所における保母その他の方々の待遇の問題、特に長時間労働、これに対する答えと申しましょうか、保護というものが十分にできていないように私は思う。だから、その点については特段の御努力をお願いをしたいと思うのでございます。  それから第三番目には、何といっても世の中の、この説明書にもありますように、だんだんと未熟児というものが皆さんの御努力によって減りつつありますけれども、まだまだ非常に死亡率も高うございますので、その点については、一段と皆さんの努力の必要というものが今日求められているのじゃないか、こういう点につきましても、特に担当当局におかれましては、万般の御努力を一つお願いしたい。  まだ申し上げたいことがございますけれども、大体この法案によって一歩踏み出していくことになりますので、その点は十分な御配慮をお願いいたしたいと思います。  特に、この法案成立に当りまして、私たち社会党初め自民党の皆さん、各派の一致した御意見によりまして、付帯決議案を決議いただきたい。私がかわりまして、この付帯決議案の決議について、皆さんに御審議を願って、満場一致できめていただきたいことをお願いしたいのであります、     児童福祉の一部を改正する     法律案に対する附帯決議案  児童が次の時代をになうべき国民であるのにかんがみ、政府は、児童福祉に関する施策を強化し、特に次の事項に努めるべきである。  一 児童の健全育成のための対策を早急に実施すること。  二 保育所に関しては、その配置の整備、運営の合理化を図るとともに、保育料の適正化、保母の待遇改善に努めること。  三 未熟児対策のみならず、強力なる総合的母子保健対策実施すること。  四 児童福祉行政機構を整備拡充するとともに一般国民の理解と協力を得るよう努めること。  右決議する。  以上であります。
  131. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより児童福祉法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  133. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました藤田君提出の付帯決議案を議題といたします。藤田君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  134. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。よって藤田君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     木島 虎藏  横山 フク     勝俣  稔  谷口弥三郎     西田 信一  斎藤  昇     山下 義信  藤田藤太郎     松澤 靖介  竹中 恒夫     寺本 贋作  木下 友敬     有馬 英二
  136. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十九分散会    ————・————