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1958-04-11 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十一日(金曜日)    午前十一時三十一分開会     —————————————   委員異動 本日委員松澤靖介君辞任につき、その 補欠として坂本昭君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君    委員            鈴木 万平君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            坂本  昭君            山本 經勝君            田村 文吉君   衆議院議員            野澤 清人君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   政府委員    厚生省医務局長 小澤  龍君    厚生省児童局長 高田 浩運君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   参考人    全国社会福祉協    議会保育部会長 川口 寛三君    東京中央児童    相談所長    石川 秀雄君    むさしの保育園    長       牧野 修二君    全国社会福祉協    議会児童部長  河村 定治君    武蔵野赤十字保    育園主任保母  青木 きみ君    (園児の母)  中川 はつ君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○児童福祉法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○あんま師はり師、きゆう師及び柔  道整復師法等の一部を改正する法律  案(衆議院提出)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) これより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動を報告いたします。  四月十一日付をもって松澤靖介君が辞任され、その補欠として坂本昭君が選任されました。     —————————————
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査上の参考に資するため、参考人出席を願い、御意見を拝聴することになっております。  参考人各位には、お忙しいところを御出席下さいまして、まことにありがとうございました。なお、長時間お待たせいたしまして、まことに御迷惑をおかけいたしております。当委員会は、ただいま児童福祉法の一部を改正する法律案審査中でございますが、その参考に資するため、各位の御出席をお願いして、御意見を拝聴することになりました。これから御発表を願うのでございますが、時間の関係もございますので、一人当り十五分以内で御意見発表を願い、その後委員質疑にお答え願うということにいたしたいと存じます。なお、御発表願う点については、あらかじめ御連絡申し上げておきました事項について御発言願うのでありますが、項目全部でなく、一部だけの御発表でもけっこうでございますから、よろしくお願いいたします。  次に、委員各位にお諮りいたします。議事進行の都合上、参考人全部の意見発表が済んでから質疑を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それでは、参考人各位から順次意見発表を願います。  まず、全国社会福祉協議会児童部長河村定治君。
  5. 河村定治

    参考人河村定治君) 児童福祉法の一部を改正する法律案についてでございますが、御承知のように、新生児の死亡は、今まで未熟児の率が非常に多うございますので、何とかそういう面で、予防療育の手段を講じてもらいたいというのが私ども関係者の年来の希望でございましたので、今回こうしてこれに対する立法措置をとられますことにつきましては、全く欣快とするところでございます。  ただ、一、二意見がございますのは、訪問指導の場合でございますが、この訪問指導は、法案によりますと、保健所長職員として訪問指導を行わせるというふうになっておるのでございますが、私、保健所内容はよく存じませんものの、ただいまの保健所は、相当仕事が大へんなようでございますので、そこへまた、こうした新しい仕事をくっつけて、ほんとうに法の趣旨が生かせるような活動ができるかどうかという不安がございますので、これは、ほかの一般のお医者さんとか、あるいは助産婦さんにもそういうことができるような配慮が必要ではないかという点でございます。  それから、第二点の母子保健指導につきまして、従来妊産婦、乳幼児等に対しまする保健指導に関する都道府県知事権限保健所を持っております市の市長に委譲されるという点でございますが、これは全くけっこうなことで、従前からこの点も望まれておりましたことで、こうしましてこそ、初めて行政効率化がはかられますし、それによりまして母子衛生の向上と増進が期せられまするので、この点は、全くけっこうなことだと存じます。  それから、第三の費用の点でございます。この費用負担は、医療機関に収容された未熟児についてのみ負担するような方法になっておりますけれども、これは、収容された未熟児だけではなくて、家庭におきまする未熟児につきましても、そういうことができるように配慮する必要があるのではないかと、こういう点でございます。  それから、これは法案そのものについての問題ではございませんけれども、大へん予算が少いという点でございます。御承知のように、二千五百グラム以下の未熟児は十万九千人おると言われておるようでございますし、また、それをさらにしぼりまして、千八百グラム以下の子供が一万人、この千八百グラムというのも、外国の標準だそうでございまして、日本としてはまだ高いと思うのでございますが、それにしてもこれが一万人おる。その一万人のうちからさらにしぼりまして、どうしても入院しなければならないといわれる子供さんが二千五百人もおるというふうな資料でございますが、それに対する予算は、千二百人余りしか見られていないということが非常に問題であるように思います。これは、ほかのことと違いまして、一個の生命に直接関係することでございますから、こういう面には、十分とはいかなくても、こういう疑問の生じないような、人権の尊重は、生まれたときから始まるべきでございますので、こういう点に対しまする国のあたたかい配慮が必要だと思うのでございます。  なお、これに関連いたしまして申し上げたいことは、こういうふうに、新規のことをそれぞれ打ち出されるのもまことにけっこうでございますが、同時に、従来のものについても、やはりそれを充実させるような配慮が必要であろうと、こう思うのでございます。第一点はこれでございます。  それから、次の第二項、保育所に関する諸問題についてでございます。この問題につきまして、こういう意見を述べます機会を与えられました本院の御厚意に対しましては、厚くお礼を申し上げるわけでございます。政府予算が決定いたしまして、それを実行する段階におきまして、保育所予算使い方を従来より相当大幅にお変えになるという案が当局の方にございます。私どもはかねてから、今のままのやり方がいいとは思っておりませんでしたので、これは、何らかの方法を講じて刷新改善をすべきであるということを関係者とともに主張して参ったものでございます。しかし、それは理念的にはそうでございますが、その刷新改善の中味、方法論は、やはり進歩的な、前向きなものでなければならないと、こういうふうに思っておったのでございますが、考え方におきましては、御当局考え方が納得できるといたしましても、それを実現します方法において、相当私ども関係者とは意見の違いがございます。そのために、去る四月七日に保育関係者全国代表者が集まりまして、これに対する協議をいたしました結果、一つ要望決議をいたしました。その内容は、御当局のお考えはよろしいけれども方法論において非常な支障があるので、これがそういうふうなことにならないように十分な配慮をしてほしい、こういう意味のことでございます。その中身につきましては、後ほどほかの参考人から具体的に申し上げるので、私は、ごく概括的に次のことについて申し上げたいと思います。  御承知のように、法制定当時千五百にすぎませんでした保育所が、ただいまは九千を突破しております。これは、いかに保育所地域から、母親から、社会から期待されているかということの証拠でございますけれども、それに対応する態勢と申しますものは、御承知のように、児童福祉法の二十九条に、わずか五、六行で示されているだけでございます。これは、戦後の混乱期にできましたもので、にわか作りのもので、その後の態勢に応じきれないのではないかというふうに考えられるわけでございます。たとえば、この費用使い方にいたしましても、ある時代には定額制時代がございました。それがまた、現員現給制という方法にかわりました。それから、今度の案がもとの定額制に近いような、単価制にかわろうとしております。  それから、費用の出し方にいたしましても、ある時代には交付金であり、ある時代には補助金であり、また昨年は、合せて八割負担は多過ぎるから五割というふうに財政当局の御意見も出たりいたしまして、非常に動揺いたしております。これほどの大事業が、こういう基盤の上でなされていいかどうか。保育所につきましても同様な状態は、今申し上げたようでございます。  また、もう一つ乳幼児の問題といたしましては、幼稚園の問題がございます。幼稚園は、資料によりますと、ただいま六千四百幾ら、この子供五十一万と申されております。保育所には及びませんが、ややこれと同数のものでございます。こういう二つの施設が同じ地域において行われているが、これをどういうふうに連関調節すべきであるか、これは、テーブル・ワークではごく簡単でございまして、幼稚園幼児教育の場であり、保育所の方は社会施設の場であるというふうに、テーブルの上では考えられますけれども、実際、地域に入って考えますと、都市は多少違いますが、小さな地域幼稚園保育園と、軒を並べて建てられないのでございます。現に、幼稚園の非常に多い所は保育園が少いし、保育園の多い所は幼稚園が少いという実態がございます。これはなぜかと申しますと、両者はそれぞれそういうふうな任務を代替している、かわってになっているともいえるのでございまして、こういう点につきましても、解決をすべきではないかと考えられるわけでございます。以上のような大ざっぱな点から申し上げましても、これは軽々に変革すべきではなくして、関係各省、国会はもとより、学識経験者の方々に御足労願いまして、国は、一大調査研究機関でも作りまして、根本的な乳幼児対策を打ち出す時期である、こう考えます。そうした根本的な対策の上で、具体的な仕事を進めるべきではないかと思うのでございます。  それから第三点の、児童福祉行政機構運営状況並び問題点でございます。一口に申し上げますと、国は、子供に対する愛情がまことに少いのではないかということでございます。家庭にいたしましても、子供に対する愛情のない家庭はいい家庭とは申せませんごとく、国におきましても同様に、子供には惜しみなく愛情を注ぐべきでありますが、今の現状を申し上げますと、まことにりようりようたるものでございまして、これをつかさどる児童局陣容につきましても、百名近い人員があったものが、逆に三分の二に減っているようでございます。そしてまた、そこでお扱いになっておる仕事は、児童福祉法で考えておりまするところの噂の片輪にしかすぎない。と申しますのは、児童福祉法では、要保護児竜に対する施策のみではなくて、一般児童健全育成をやるべきでございますけれども、ただいまのところ、あの陣容、あの予算をもってしては、とても一般児童には手が回りませんで、要保護児童対策に日もこれ足らぬという状態でございまして、悪口を言わしていただきますならば、児童局ではなくて、これは児童施設局にすぎないと思われるのでございます。こういう点につきましても、国は十分な対策を講ずるべきであると思います。従いまして、私どもが願っております児童健全育成につきましては、何ら考慮が払われないことになりますので、行政機構運営の問題といたしましては、今後局をそういうふうに充実されるとともに、おろそかになっておりまする一般児童健全育成について、具体的に明確に、効果のある仕事ができるように御配慮を得たいということでございます。  それから、機構の上から申し上げますと、地方の問題といたしましては、福祉事務所の問題がございます。福祉事務所は、福祉三法を取り扱うということにはなっておりますが、実際には生活保護法が中心でございまして、児童の問題はほとんど顧みられていないというのが実情でございます。児童の問題は、子供個々をどうこうするとか、あるいは施設をどうこうするとかということと同時に、あるいはそれ以前に、地域全体といたしまして、子供をどういうふうに考えるか、子供をどういうふうに育成するかという問題が必要なのでございますけれども、こういう状態におきましては、地域における地域ぐるみと申しますか、そういうふうな行政的な活動は何ら行い得ない状態になっておりますので、これはすみやかに、福祉事務所をその地域における名実とも福祉センターであるごとく充実されるべきだと思うのでございます。  以上でございます。
  6. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうも御苦労さまでした。     —————————————
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、東京中央児童相談所長石川秀雄君にお願いいたします。
  8. 石川秀雄

    参考人石川秀雄君) 石川でございます。  最初児童福祉法の一部を改正する法律案内容でございますが、これは衛生局の問題でございまして、われわれと少し専門部門が違うので、よくわかりませんのでございますが、相談所側から見ました一つ問題について申し上げたいと思います。  未熟児の問題は、さっき河村さんからお話がありましたように、非常に死亡率が高いので、適当な保護をしなくちゃならないのでございますが、現状におきましては、相談所としましては、特別な施設を持っております乳児院に預けておるわけであります。都立におきましては世田谷乳児院あるいは日赤の乳児院等にお預けしておるわけでございます。世田谷乳児院におきましては、大体ベッドが二十くらいございますが、冬場におきましては、希望者が三倍くらいに達している、こういう状況でございまして、未熟児生命に危険がある乳児も十分に保護することができないというような状態になっておりますので、一日も早くこの法律が通過されんことを望む次第でございます。  次に、保育所の問題でございますが、これは、東京都におきましては、保育所の問題につきましては、福祉事務所長知事権限を委任しておる関係がありまして、相談所としましては、少し縁が遠いような問題でございますので、専門家があとおいで下さいましておりまするので、その方にお譲りしまして、私は、第三番目の、児童福祉行政機構運営状況並び問題点につきまして、相談所長として見ました点を二、三申し上げたいと思う次第でございます。私の意見のうちには、河村さんのただいまの御意見と、多少ダブっておる点があると思いますけれども、その点は、一つ御了承願いたいと思います。  児童福祉法が実施せられた当時の保護しました児童数に比較いたしますというと、現在は五倍に達しております。児童福祉施設におきましても、現在は四倍に達しておるわけでございます。それで、児童相談所いろいろ受付件数を調べてみましても、ただいまは、十七万件ぐらいに達しておりまして、毎年一割程度ふえておるというような状況を示しておるわけでございます。私ども東京都の一つの実例を申し上げましても、最近の子供状況でございますが、たとえば、家出児というような問題をとってみましても、三十二年度で警視庁管下保護しました家出少年の数は、一万二千八百人に達しておるわけであります。全国では、おそらく十何万という数に達しておるんじゃないかと思うのでございますが、これは、最近非常に増加しておりまして、昨年は特に急激に増加しておる次第でございます。それからまた、警視庁の統計を見てみましても、昨年の刑罰法令に触れた少年たちでございますが、約二万人ございます。それから、不良行為というようなことで警察が補導しました児童の数は二十万人であります。大体東京都の児童の数は三百万人でございますので、この二十二万という数は、非常に大きなパーセンテージを占めておるのではないかというふうな気がするわけなんでございますが、顧みまして、われわれ児童相談所だけではなくて、全国児童相談所機構等が非常に弱体なために、こういう問題に十分に取り組んで行けないということは、まことに残念な次第だと思う次第でございます。それで、先ほど河村さんからもちょっと触れられたのでございますが、いわゆる児童福祉行政機構と申しますか、中央におきましても、地方におきましても、非常にこの行政機関が弱体でございまして、こういうふえていく子供に対して対処することができない、これに対処しきれないというような状況でございますと同時に、むしろこの機関が衰微していくんじゃないかというようなことをますますおそれる次第なんでございます。河村先生お話があったのでございますが、厚生省児童局人員を見ましても、福祉法が実施せられたときは、九十八人あったそうなんでございますが、ただいまは、定員六十名なんだそうでございます。私の方の児童相談所は、大体職員が五十名でございますので、全国を管轄されておられる児童局がどうも六十名という数は、非常に少いんじゃないかというような気がいたすわけでございます。地方の県におきましても、いわゆる児童福祉行政を専管しておる課のないという県が六県にも達しておるわけでございます。われわれ全国児童相談所長会議等を開きまして、いろいろ御意見を承わっておるのでございますが、どうも児童の問題につきましては、どこでも関心が薄いんじゃないか。何か行政改革とか何とか、人員の整理とかということになりますというと、一番最初にしわ寄せになるところは、どうも児童の問題だということで、いろいろこぼされておるわけなんでございますが、児童相談所でございますが、児童相談所は、各県、五大市に、大体今百二十二カ所あるわけでございますが、このうち、職員の数が十名以下というような貧弱な相談所が、まだ全国に十七カ所もあるわけでございます。一番完備されておる、A級といわれておる相談所でございますが、これも全国で十三カ所しかないというような現状でございます。それから、児童相談所が一県に一カ所しかないという県が十五県くらいあるようでございます。実は、先般全国児童相談所に対しましてアンケートをとったのでございますが、これは、今の児童相談所は、一体どこに問題点があるのか、児童相談所仕事をする上において、どういう点が一番問題になるかということでアンケートをとったんですが、期せずして皆一致しております点は、人員が足りない、こういうことでございます。厚生省の方からは、いわゆる児童相談所事務の方針をきめられました児童福祉必携というようなものが出ておるのでございますが、それを見ましても、とてもそれに追っついていけないんだ、人員がとても不足なんだ、まあこういうことでございます。それから、児童相談所の数が少い。それから、児童相談所を充実してくれという声がほとんど全部から出ておる、こういう状況でございます。それから、全国児童相談所長会議というのを一年に一度開きまして、いろいろ議論をするのでございますが、ここで人員不足の問題でございますが、以前は、相談所職員国庫補助職員であった、まあこういうことなんですが、これが補助金制度がなくなったというようなことで、どうもどこの県でも人員を充足してくれない、こういうことでございます。それで、われわれの仕事は重要なんだから、ぜひ補助金制度を復活してくれということを厚生省に強く要望してきておったわけなんでございますが、補助金制度じゃなくて、全額国庫負担職員を配置してくれとか、むしろ相談所は国立にしてくれとかいうような要望が強いのでございます。それから、児童福祉司という児童相談所職員でございますが、ケース・ワーカーの人たちがおるのでございますが、これは、児童相談所職員の中でも、相当重要な仕事をやっておるわけでございます。たとえば、警察からの通告児童につきまして、いろいろ家庭調査をいたしましたり、措置児家庭調査並びに措置後の家庭の調整、それから里親、職親のいろいろな指導、それから教護院から出てきましたような子供たちの自後指導というふうに、相当重要な仕事を持っておりまして、この仕事児童相談所仕事の中核をなすわけでございますけれども、ただいまの福祉司の数は、全国で四百七十人にしか達していないということでございます。昨年政令が改正されまして、人口十万ないし十三万人に一人ということなんでございますから、少くとも八百人くらいはなくてはならないわけなんでございますけれども、四百七十人にすぎない。この間、相談所長会議なんかでもいろいろ聞いてみたんですが、県の方ではとてもふやしてもらえそうもない、もう政令違反でもかまわぬ。こういう状況は、結局その補助金という問題に相当関係を及ぼしておるのじゃなかろうかと思うのです。東京におきましても、四十三人でございますが、私の方は、少くもまあ八十人は必要でございますので、予算要望しましたのですが、全部削られてしまった。まあこういうような状況でございます。  それから、このいわゆる児童相談所というものは、今度の大戦の跡始末、いわゆる浮浪児とか孤児とかというような保護仕事が大体終りまして、これからいよいよ相談所の本来の仕事に取り組んでいかなくちゃならないのじゃないかという時代に達しておるわけでございますが、いわゆる問題児を早期に発見して、早期に治療していくというような方向に今後向っていかなくちゃならないと思うのでございますが、これには、いわゆる精神医学先生、それから心理の判定員という人たちが重要な役割を占めるのでございますが、これが不足しておるわけでございます。これももちろん、そのいまの人件費というような問題と非常に関連性があるわけでございますが、ことにこういう人たちは、特別のめんどうを見てあげないというと、安い役所にはなかなか来たがらないのでございまして、まあ例えばお医者さんなんかは、これは保健所研究費が出ておるというようなことでございますので、相談所のお医者さんにも一つ研究費を出してもらいたいというようなことを盛んに厚生省へお願いしておる次第でございますけれども、なかなか実現できないというような状態で、まあ困っておるような次第でございます。  それから、先ほど河村さんから、福祉事務所の話に触れられましたのですが、児童福祉法におきましては、第一線機関として、相談所と並んで福祉事務所が並立されておるのでございますけれども、先ほどのお話通り社会福祉主事さんは、生活保護仕事に追われておるのでございまして、児童福祉法の本来の福祉事務所仕事というものにほとんど取り組んで行けないというような状況があるわけでございます。で、まあわれわれの方としましては、児童専門に担当する社会福祉主事さんを福祉事務所に置いてもらえないか、こういうことでございます。そのために、福祉事務所児童福祉法仕事も相当円滑にいくのじゃないか。従いまして、相談所仕事も多少楽になるのじゃないか、まあこういうことを考えておるわけでございます。  それから、児童委員さんの問題なんでございますが、先ほど申し上げましたように、児童相談所の性格というものは、だんだん変ってきておるということになりますというと、問題児の早期発見ということが相当な重要な部分を占めるわけなんでございますが、われわれとしては、児童委員さんに活動していただきまして、一つ早期発見もしていただく。それから、まあ健全育成の面にも児童委員さんの御活動を期待しておるわけなんでございますが、ただいまの状況は、要保護世帯の児童というものに児童委員さんも追われておるのでございまして、われわれといたしましては、何か専門児童委員さんというようなものを作っていただいて、こういう方面に特別に活動していただいた方が非常にいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。  結論を申し上げますが、われわれ児童相談所としましては、少年の心身ともに健全な育成ということは実に重要な問題である。結局、国家の第二国民といいますか、今後この国を背負って立っていくこの少年たちを、健全に育成していかなくちゃならない重要な仕事であるということを、われわれは十分に考えておるのでございますけれども、どうも当局におかれましては、こういう仕事は非常にじみでございまして、効果がすぐ目の前に現われない、十年先、二十年先の仕事であるというようなことで、どうも少しおいてきぼりを食っておるのじゃないかということを非常に痛切に感ぜられる次第でございます。それから、相手が子供でございますので、子供施設が少いとか、こまるとか言って、国会へ陳情に押しかけるということもございませんのでございますので、一つ十分この辺をおくみ取り願いたいと思っておる次第でございます。  簡単でございますが、問題点につきまして申し上げたわけでございます。
  9. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうもありがとうございました。     —————————————
  10. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、全国社会福祉協議会保育部会長川口寛三君にお願いいたします。
  11. 川口寛三

    参考人(川口寛三君) 川口でございます。  保育所の重要性は、今申し上げる必要もないことでございますので、先刻河村参考人から申し上げましたように、児童福祉法ができましてから、保育所に対する公けの責任が明らかにされ、いろいろ助成の道が開けました結果、十年後の今日では十倍以上な、九千をこえる姿になっておるということでございますが、さらに、その内容につきまして、公立、私立の関係を考えてみましたときに、三十一年五月の調べによりまするというと、法のできます前の時代の公けの数からは、二十三倍余の公立の増加を見ておりまして、現在では、九千からのうちの四千二百八十一と、半分をこえておるような数になっておるにもかかわらず、民間の施設につきましては、わずかに六倍ほどの増加にすぎない現状になっておるのでございます。これは、保育所は、施設がふえればそれだけ仕事ができるのだということばかりに考えられませんのでありまして、また、公立の施設は、私の施設より力があっていいということにばかり簡単には考えられませんで、私ども、やはり民間の社会事業の意義を思います者にとりましては、社会的に重要な保育所の問題で、民間の施設があまりに比較的に伸びていかないという姿は、一応考えてみる必要があるように思うのでございます。  以下、そういうようなことから起っておりまするいろいろの問題点について、現状を申し上げてみたいと思うのでございます。  非常に施設がふえましたことは望ましく、その分布は全国に広がっておりまするけれども、ただ、府県における助成の結果、別に必要な地域を目ざされて、計画的にその施設ができたということは言えない現状でありますことは、今日各府県にありまする保育所の分布の状態と、その地域の地区の事情等を考えてみればすぐにわかることではないかと思うのであります。ある県におきましては、人口に比較いたしまして、人口千に対して二七・六という最高の高知県のような保育所に恵まれたところがあるかと思いますと、わずかに一・九七にすぎない栃木のような地域もございますし、また全国では、平均で七・一人といわれておりますのに、東京はその平均よりも少い。また東京ばかりでありません。東京が三・四一人であれば、大阪もやはり三・六六と、全国の人口に対する比較で平均以下になっておるという姿は、ほんとうに保育所がその地域のため適当な仕事をやっておるのであるかどうかということが疑われるのでございます。言うまでもなく、府県におけるその姿は、また市町村の地域におきましても、分布におきましても、それが考えられるので、この適正に配慮されていない保育所、これが基本になって、いろいろの保育所の問題が、同じ保育所だからといって取り扱われるところに一つの困難性があるのでありまして、これからの保育所につきましては、十分そういう点を考える必要があるのではないかと思うものでございます。なお、保育所をこしらえますれば、その施設を遊ばせておくということは考えられないことであり、できるだけ定員一ぱいに子供を入れようと考えることは、これは当然でございます。そうなりますと、やはり保育所の性質上、遠くから子供が来ることができませんとすれば、やはりその付近の子供をもってその保育施設を満たすということになることも当然であり、またそうなりますと、どういう子供がその施設に入ってくるかということから、いろいろの保育所の姿が問題になり、ある点からは、保育所は必要以上にふえているのではないかということも議論をされて、一部の現象から批判したり、そうかと思うと、保育所は足りない足りないという声が常に叫ばれておるというような結果になることは、皆さんもおわかりのことだと存ずるのでございます。これが公立の保育所でございますれば、原則的にいわゆる措置児を扱うということになります。措置児を扱うためには、措置権者が措置の基準を、その施設を活用するような基準を持つということも、これは当然であります。そこで、そういう姿になりますことから、全国的な視野からこれを考えまして、保育所に入れる子供の一応規格をきめたらどうだ、いわゆる措置の基準を一定すべきではないかというような議論も出て参るのでございますが、もしそういうようなことが行われますとするならば、おそらくかくのごとき分布状態の非常に散らばっておる、差のあるところに、窮屈な定木によって子供を入れるということになりますので、その施設が十分に活動するということはできなくなってくるのでありまして、全国的視野から見た措置の妥当性、それから、その地方において十分その施設を活用するという、その地域における児童福祉施設としての扱い方、これらにつきましては、ただ一部の観点からこれを律することの困難性を思っておるものでございます。最近ばかりではございませんが、常に保育所に関する予算の膨大、膨張というようなことが問題になります結果、その膨張に備えるために措置基準の検討を問題にし、あるいはまた、定員を厳守することの極端な励行を強要するような結果、実際に今申しましたような分布状態にある保育所が、その地域のためには多少の定員をこえても収容してあげねばならないという事態にぶつかった際に、ただ形式的にこれを拒むというような姿になる制度は、これは考える必要があるんではないかと思うのであります。いたずらに利用の消極的な考えをするよりも、むしろその地域において子供が喜び、親が喜び、そうして施設が十分にフルに働けるならば、これを生かすような道を講ずべきではないかと思うのでございます。施設の増設につきましての認可方針につきましても、最近予算の膨張に心をいたした結果かどうかは知りませんが、非常に、新しく建てるということにつきましては複雑厳重な手続きを要するようになっております。従いまして、最近は、なかなか増設の困難が民間では叫ばれているようなことでございます。国家的、社会的にいろいろと働かねばならない重要な使命のある保育所が、これから伸ばそうという社会において、そういう外部のワクからチェックをされるということ、そうしてまた地域的な末梢的な問題が予算をきめる中心議論になってしまって、そういうふうにして節約した、あるいはまた予算を節約することによって、その地域保育所が生きた仕事になっているであろうかどうかということを考えますときに、必要な予算が削減されたために、実際にその保育所運営が、いわゆるゆがんでくるというような姿が見えるのでございます。この点は、また一方においてそれが指摘されて、それだから、予算は削減する余地があるのだというようなことがもし政府で考えられるとするならば、将来の児童福祉保育所に関する伸展というものは、まことに遺憾にたえないのでございます。  次に、措置費と保育料との関係について申し上げたいと思いますが、われわれは、国の予算の足りない、足りないということを言って、措置費を上げていただくことにいつも努力をいたしております。しかしながら、それが実行に当りまして、保育所の多くにおきましては、それだけのせっかく国がきめました限度をも受けないで、そうしてそれ以下の経営をしているというような矛盾を来しているのでございます。それはどういうわけかと申しますと、結局措置費をよけいにすれば、それだけ今度は保育料を上げなければならないのだということがきめられて、その保育料の金額と措置費の金額が悪循環になって、一方で措置費を上げて職員の改善向上をはかりたいと思えば、それじゃ保育料を上げなければならぬというようなことにすぐ結びつけられてしまいますために、今申しましたように、それだけの措置費をいただかないでも、保育料を安くした方がその地域のためには適当だというふうな姿が起ってきます。しかも、措置費が最低基準を維持するに必要な費用だということを御当局が言われていることを考えますと、みずから最低基準以下の措置費で経営を認めているということになります。これは、はなはだ矛盾といってもいいんではないかと思います。その結果は、御承知通り保育所の内部のいろいろの充実改善が行われない、あるいは保母さんたちの待遇が十分行われないというようなことになっておりますが、その保母さん方の待遇等の問題につきましては、他の参考人から御説明があろうと思いますから、私は省きますが、ただ、そういうようなことのために、措置費と保育料の問題をぜひ何とか解決をしていただいて、必要の経費は必要の経費として国が出し、また、保育料は保育料としてやはり別に考えるような通をとっていただきたいと念願しておるものでございます。  それから、入所に当りましての手続の問題でございますが、いわゆる東京で言いますれば、福祉事務所を通して、そうして収容することになるのでございますが、その入所措置をきめます場合に、いわゆる保育料を決定する関係から、一々給与証明を添えていかなければ、保育所へ入れることができないということになっております。これは、保護者の負担をよく調べるために、その制度も決して意味のないことではないのでございますが、中には、保育料の全額は十分私は払えます、だから、福祉事務所へ行かないで、そうして子供を預かってもらいたいのだ、しかして園長は家庭を調べまして、なるほど保育に欠けている家庭だということがわかっておりましても、やはり一応は福祉事務所へ行って措置するのでなければ、いわゆる保育所としての建前ではない。もしそういう子供を預かるとすれば、それは、いわゆる措置児のあきのあった場合に、定員に達しない場合に、私的児を預かるということの建前になっております。しかし、今申しましたように、ことに民間等の施設におきましては、いわゆる園長がいろいろの経営の責任を負ってやっていることでございますので、必ずしも私的児であるから、保育所に適しない子供であるというような点から、私的児であるから措置児予算は減してもいいというような、予算に響くようなことになることは、これは考えなければならないことではないかと思うものでございます。  また、保育所の充実強化に妨げとなる理由の一つに、保育園がその地域のためにやっている施設であるので、地域本位にいろいろ仕事をやる、この場合に国は、全国的視野から、そうしたいわゆる地域の特殊性による扱いというものが認められないで、そういう保育所はいわゆる正当な保育所でないというような考え方になるために、経営に当りまして、形を整えることに苦心をする姿が見えておるのであります。いわゆるお役所の監査というものに通ることのために、わざわざ監査を受けるために、監査を受けられるような準備をするということ、事実、園長、職員は、そういう現実と違ったような資料を整備するというようなことも、あるいは絶無ではないんじゃないかと思われるような形に追いやられておる現在の保育園の扱いは、現場のものといたしましては、まことに不可解にたえないのでございます。今回厚生省におかれましても、保育所現状から、根本的に改善の案をお作り下すったということでございます。これにつきましては、私ども、現在の今申しましたような諸問題の解決は、全く基本的にもう保育所の問題を改めねばならない時期になっておることを思いまして、双手をあげてこの御方針に対しては賛成をいたし、いっときも早くその実現を期待いたしておるものでございますが、ただ、何分にも、その改善しようという保育所の今の姿が、きわめて乱雑な中に発達をしてきております関係から、これを一つの基本に基いて整備をするということのためには、かなり混乱を来たすことになることをおそれまして、できるならば、それらの混乱のないような暫定的な処置をとりつつ、基本的な線に持っていくような、ゆとりのあることに願いたいと思うのでございます。もちろん、理想としてそうありたいが、予算がないからできないということは、事務当局としては当然な御意見であろうかと思いますが、いわゆる国の政治として、大事な保育所がそういうことによって根本的に直り得るという道があるならば、その費用は、どのくらいの費用で混乱を防ぎ得るかというようなことの御調査を願い、また、それらの経費の捻出のことにつきましても、いろいろとお考えを願いたいと思うものでございます。いわゆる保育所は、地域のものではありますけれども、やはり全体の国家的、社会的な見地から、現在の保育所の姿、また児童を守るその保育所の動き方が円滑にいくかいかないかということは、全く子供福祉の点からいって、ゆるがせにできない問題であると思いますので、御参考になるかどうかわかりませんけれども現状について一言いたした次第でございます。
  12. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ありがとうございました。     —————————————
  13. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、武蔵野赤十字保育園主任保母青木きみ君にお願いいたします。
  14. 青木きみ

    参考人(青木きみ君) 青木でございます。私は、保母の立場から、保母が現在置かれております状況のありのままを御報告いたします。  まず、保母の労働時間のことについて述べます。私どもの労働時間は、勤労者の方の八時間労働に加えて、出勤に要する時間と、それから帰宅時間を加えたものが私たちの労働時間になるのでございます。ところがそれが正確にいかなくて、ある場合には、緊急のときなどが出て参りまして、お子さんをお預りしたまま、長時間にわたり私たちの労働が続けられている状況でございます。ここで、ちょっと私どもの一日の仕事内容を報告いたしまして、御了解を得たいと思いますが、保育に欠ける子供たちをお預かりしている以上、そうしてしかも年令が小さいお子さんで、母親との接触が非常に要求されている子供たちを、終日、母親の接触よりももっと長時間私たちは接触していくのにつきまして、私たちは、母親の代役をしなければならないのでございます。大へんこまかいことを申し上げましてあれですが、子供の昼寝から食事の世話、そうして恵まれない子供たちの身の回りの世話、洋服のつくろいをすることもございます。そそうをした場合の洗たくから、おむつの洗たく、そうしてよごれた洋服をそのまま家へ持って帰せない家庭状況にある子供たちには、洗たくもしてやらなければなりません。また、一日働いている母親のため、お子さんのためには、おふろへもなかなか連れて行ってやれない場合がありますので、大へん不潔な場合がございます。頭の毛も洗ってやらなければならないときもありますし、つめも切ってやらなければならない。母親としての仕事の一切を私たちが引き受けているのでございます。  それから保育所は、幼稚園と違って、教育的な面は果されていないという一般に誤解が相当にしみ込んでいると思いますけれども、私は、保育所幼稚園の区別は、幼児教育の面ではあり得ないと思います。   〔委員長退席、理事山下義信君着席〕 同じ年令の子供たちをお預かりしている以上、幼児教育への配慮というものは、当然なされなければならない。そうして恵まれた家庭子供以上に、将来大きくなって世の中に害を及ぼさない子供にするためには、より以上の教育的な配慮を考えて仕事をいたしております。それから、恵まれない子供の庭につきまとうところの健康管理というものの配慮、それから、子供を通して家庭への健康管理、それから家庭生活への相談、給食の手伝い、一日の仕事の中には、いろいろな面から私たちはまた、保育料の徴収、福祉事務所への連絡、自転車を走らせて一日かけ回って、そうして四時になりまして一般子供たちをお帰ししても、その後、お部屋の掃除やら、翌日の仕事の支度やら、そうしてさらにまた、その後は勤労者の家庭の方々に面会し、家庭調査をするためには、夜分私たちは働かなければなりません。いろいろな家庭の相談やら、そういったものは一切夜されなければならないのでございます。また、私たちがお子さんをお預かりして、居残りの子供たちを母親の手に渡すまで、五時の退所時間以後お母さんが連れに来て下さるまで、六時はいい方で、七時、八時、ときによると九時ぐらいまで残される場合がございます。一人でも残っていれば、私たちは帰ることはできないのでございます。私は、この年令になっても、おそ番のとき、時計とにらめっこしながらお母さんの来るのを待っているときの情なさは、若い保母さんたちにとっては、より以上のことだと思うのです。そういう仕事の中で、私たちは、やはりあすへの希望のために講習も受けなければなりません、勉強に励まなければなりませんと思って、夜分講習所へなんかに参りますときに、重い足を引きずって参りますときの、その会合などで、ほかの方がよく批判されておられますけれども、保母さんて、何て疲れた顔をしているのだろう、いつ見ても、ちっともさっぱりしないわねということをよく言われますけれども、私たちも人間であり、女である以上、さっぱりと気持よく、健康で明朗な保育がしたいし、私たち自身も明るく過ごしたいと思いますけれども、どうにもやりきれないときがたくさんあるのでございます。そのほかに、日曜とか祭日は、つぶれることがたくさんございます。これは、労働基準法や何かを伺っておりますけれども、私たちの仕事には、一切それが高ねの花に思えるのです、母親たちと一緒に接触し、たまに接触の少い親子を一緒に遊ばせるためには、日曜日とか休日をとらなければできないのです。運動会、遠足、そういった行事は一切休日をつぶすわけでございます。春休みも夏休みもなく、ただお正月の皆さんのお休みのとき、四、五日間の休暇をいただくだけで、あとはどうにもならないのでございます。それから、毎日の保育の中にも、お昼どきに休めるというようなことは絶対できないので、たとえ少しの時間もいろいろな話し合いをして、休むような時間を取っても、子供の泣き声がすれば、やはりその方に神経を取られます。騒音にも神経が使われます。それから、生きた命を預かる私たちの仕事は、やはり突然起きた災害に対するいつもの心がまえも持っていなければなりません。非常に神経を使う仕事をしているつもりでございます。そして大体夏になどなりますと、登園時間が早いお子さんは六時半ぐらいから、そうして帰宅時は、先ほど申しましたように、九時ごろまでお預かりし、夜の食事も持たせないで来るさびしい子供たちにパンを買って与えたり、御飯を作ってやったり、そうして眠くなって寝かしてやるまで私たちがしなければならない。私たちは、非常に親御さんよりもむしろ長時間の接触をしているために、子供への情が移るので、どうにもやり切れないと思いながら、やはり一生懸命にやらざるを得なくなってしまうのでございます。そういったわけで、平均九時間はいい方で、十二時間労働というような状態なのでございます。  それから、それでは過重な労働の積み重ねで、私たちの体が病気になった場合を考えていただきますと、まず、病気になって一人の保母さんが倒れた場合、三十人に一人の保母、三十人に一人と申しましても、あの動き回る子供たちのため、非常に最高の疲労になるのですが、それ以上に一人倒れますと、プールされている保母さんがおりませんために、二組を一人で受け持つようなことになります、五十人、六十人の子供さんを一人で受け持つということになると、これは、どなたがお考えになっても、ちょっと無理だろうと思いますし、私たちは、ただもう機械のように動き回って、そして神経をすり減らされているような状態です。それから、一人が倒れ、次々そういった過重労働で倒れていきますと、若い保母さんたちは、今度は私の番だわ、次は私の番かもしれないと言って、病気で倒れる番の来るのを自分でもって待っているような、そういう状態にあるのでございます。また、病気で倒れた保母さんの方にとりましても、普通の事務と違って、休んでおる間、山積みされているから、出勤すれば、それだけすればいいという仕事と違って、自分が休めば、ほかの保母さんがオーバーロードになるということを考えますと、ゆっくり休んでいられないのでございます。そうしてつい無理を重ねる。また、長期欠勤の場合ですと、どうしてもそういうような無理を長く続けさせるわけにいきませんので、施設側でも、臨時の保母さんを雇うことになります。ところが、その臨時の保母さんを雇う費用がどこにもないので、つい病気で倒れた保母さんの費用をそちらへ回す。保母さんは、十分な療養費を得られないで、ついにはやめていかなければならない。そういったケースが次々と現われるのでございます。また、女子の職業でありますので、結婚もし、子供もできる場合、子供ができたときに、産前産後の休暇などというものはなかなか取れない。今のような状態で、つい無理をして流産をしてしまった、人の子供を育てながら、自分の子供は持つことができないというのが保母さんの状態なのでございます。それから、いろいろ事務上の障害もございます。せんだって神奈川で、お子さんを守るために、保母さんが足を切断されたということも聞き及んでおります。そういった場合も、先ほど申しましたような状況で、十分な療養費も払われないままにやめていくのではないかと案じられるわけです。  それから、保障の点をお話し申し上げますと、ただいま最低賃金制のお話が出ておりますけれども、保母は、最高賃金制で押えられているのでございます。これは、七千二百円となっておりますけれども、現在平均を出したのを見ますと、各県で五千円ぐらいのところがずいぶん多いのでございます。高校を卒業しましても、七千円から一万一千円ぐらいの収入を得ているのを聞きますと、高校を卒業して、さらに専門の教育をし、そうして人並み以上の苦労をし、苦労をすることはもちろん覚悟の上で飛び込んだことではございますけれども、五千円から六千円というような収入で、しかも、きまった昇給もないというようなことでは、やはり長い間には考えなければならない、考えさせられることじゃないかと思います。それから期末手当も、今年度は〇・五出ましたようですけれども、私たちには、まだ何も今までに期末手当というものは出されていないわけでございます。それから、超勤のことを考えますと、先ほどのように、ひどいときになりますと、八時、九時まで預かる場合、超過勤務手当などというものは、年、措置費の中に二千円しかございません。超過勤務の時間は、百五十時間を婦女子はこえてはならないということが基準法ではありますようですが、私たちの仕事は、その倍を上回っているほどの仕事になっているにもかかわらず、保障の点では、四十二時間分の保障しかされていないということになります。  それから、退職金ももちろんございません。退職金を経営者の方々が御配慮下さってお出しになる場合でも、それの埋め合せがないことを考えると、私たちは、退職金を請求することもできない状況にあります。それから、恩給はもちろんございません。私自身も、年とったら一体どうしようかということを考えることが最近たびたびございます。五、六千円の収入、しかも、基準の七千二百円の収入でも、ある保母の家計簿を見ますと、七千二百四十円の収入で自立をしようと立ち上ったのですけれども、四畳半で三千円、食費が三千円、ガスと電気が五百円、新聞が三百三十円、おふろが二百円、紙代百円、衛生費百円、残金十円だそうでございます。この中に、若い保母さんの化粧代、映画、本を買うお金も一切入っていない。これを出すためにはどうしているのと聞きましたら、生活費をつめるよりしようがない。生活費の三千円をつめていくより映画一つ見ることはできないという状況でございます。  このように、何年たっても楽しみはない。いつかの大会のときだったと思いますけれども、若い保母さんが、楽しみは眠ることだけねと言ったことを聞いておりますけれども、確かに私たちにとっては、眠るだけが唯一の楽しみになってしまうのでございます。何か人間の生活から考えますと、非常に情ない感じがいたしますけれども、ここで、昭和二十九年から二カ年間の労働科学研究所と母子愛育会と社会事業協会で、保母の疲労調査をされたのをちょっと御披露申し上げますと、もう御存じでいらっしゃると思いますけれども、日本産業衛生協会の疲労研究班が各種の産業分野の成績を調査いたしましたときに、保母に匹敵するような疲労度の強い職業は、ほかにはあまりないということが出されました。精神的な、たとえば、いらいらするとか、気が散るとか、物事に熱心になれなくなる、神経的の、感覚的のものは目が疲れるとか、足がふらつくとか、めまいがするとか、そういったものの普通総平均価が、身体的症状では一九・一%ですのに、保母さんの疲労度は、二八・三%ということが出ております。それから、精神的症状では、総平均価が一二・二%ですのに、三倍に近い三四・五%というのが保母の疲労だそうです。それから、神経感覚的症状としては、総平均価が九・八%ですのに、二倍に近い一七・五%というのが保母の疲労度になっております。そして貧血状態一般状況は貧血状態が非常に多い。これは、重要視しなければならないと報告されております。しかも、一週間を通して日曜日にもその疲労が下っていないということが出されたことは、私たち自身も驚いたわけでございます。疲労の積み重なりが一週間ごとに解消されていない。日曜日にも疲労度が下っていない、そういう症状なのでございます。私たちは、進んでこの事業に入ってみましたものの、非常に過重の労働と保障の低さを皆痛感するわけで、こういったようなことで、経験年数は大体三年未満、三年未満が六七%でございまして、一年未満が三八%、そういったような腰かけ的な仕事になってしまうのでございます。保母自身が母親になってこそ、人様の子供の母親がわりになる仕事ができるというものですのに、母親になってからはできないような状態、しかも、長く続かないという状態は、決して子供にいい影響じゃないと思います。そしてこの神経的な疲労というものが、私どもも、いつも情なく思うことは、若い保母さんたちが、どうにもならない、無意識に神経的ないらいらさが子供に当る。児童福祉を守るために働いているわれわれが、かえって子供にいらいらとヒステリックに当るような結果になったんでは、これはどうにかしなければならないと思うのは当然だと思います。最近は、指導者が非常に質の向上を叫んでおられますが、私たちももちろん、現場に働くものは質の向上が第一だと思って働いていますけど、非常に責任だけを過重にかけて、保障の点ではかえって逆コースをたどっていくような、そういった矛盾さを感じているのでございます。  今、社会福祉を願って、皆さん方が御努力下さいます国情の中で、保育所というものが民衆に密着した大切な仕事であるということは、保育所というものの仕事を決しておろそかに考えてはならないのじゃないか、私は、むずかしいことはわかりませんけど、何かそんなような感じがいたします。婦人週間が何回めぐってきても、もう少し保母さんとしての社会的な地位が高められてほしいということを切に願います。でも、私たちの毎日の努力が、きっと御熱心な皆様方の御努力によって、いつかいい日の来ることを信じて働きたいと思います。  大へんつたない言い方で、お聞き苦しかったと存じますが、保母の実情の報告を終ります。
  15. 山下義信

    ○理事(山下義信君) ありがとうございました。     —————————————
  16. 山下義信

    ○理事(山下義信君) 次に、園児のお母さんとしての立場から、中川はつさんにお願いします。
  17. 中川はつ

    参考人(中川はつ君) 私、園児の母、中川はつでございます。  私の保育園は、北区でもとても下層階級だと思います。現在夫婦共かせぎとか、親一人子一人の子供が多いように思われます。私の保育園は、現在子供が百六十人おりますけれども、夫婦共かせぎがその中で百十名おります。それで、三十名が行商とか内職をしております。あとの何名ですか、二十名でございますか、それは、うちで小さいお店をしているというような家庭子供ばかり預かっております。それで、保育園に預ける時間でございますけれど、保育園は、八時から四時半までといわれておりますけれども、どうしても働くためには会社へ行く通勤時間もございますし、残業もしなくてはならないという始末で、朝の五時ごろから、ときには、日雇いなどしておりますと、朝の七時にノートを渡さないと働くことができないものですから、通勤時間を含めますと、六時ごろか五時半ごろ保育園に連れていかなければならないわけです。で、保育園にお願いしたいのですけれども予算もない、保母さんの手当も少くて、働く時間が多いため、過労で倒れてしまう保母さんがとても多いのです。私たちは、ほんとうに預かっていただくのは申しわけないのですけれども、どうしても保母さんにお願いするよりほか道がないのでございます。御近所に頼むと、やはりお礼とか、お金がかかってしまうものですから、母親たちが集まりまして、特別保育の場合には、何か保母さんに上げようではないかということにしたのですけれども、保母さんは、個人的に何もいただいてくれないのでございます。ですから、母親が特別保育料として月二百円、それから父母の会費として三十円、冬は全然暖房がありません。かわいい子供を、ほとんど一日保母さんに頂けておくのに、冷たい部屋ではかわいそうですから、暖房費五十円、全然保育費を納めていない措置費でも、四百三十円ぐらいのお金はどうしても納めなければ、保育園に預けることができない。で、そういう人たち保育園は言わなくても、よけいお金が、三百円も四百円もかかるので、そのお金は全然未納になってしまうのです。そのために、ほかのお母さんたちからいただいたお金で、全然払えないところの子供の分まで補っていくという始末。そういう子供はやめさせればいいじゃないかということですけれども、そういう子供こそ、保育園では預からなくちゃならないことになっているのです。ほんとうにまずしい子供ばかりの寄り集まりなのでございますけれども、これは、ほんとうの私の近所の人のことなんですが、二、三の実例を上げまして、皆さんに聞いていただきたいと思うのでございます。  これは、私の近くの者なんですけれども、五十才で、トンボ鉛筆に勤めているものでございますけれども、家族が六人ございます。月給が一万四千五百円でございます。子供が四人おりまして、中学一人、小学一人、保育園に二人頂けております。お母さんがぜんそくなどで半年ばかり寝ておりましたけれども保健所の検診の結果、開放性の結核だということがわかりまして、入院になってしまったのです。そのときにお金がなくて、幾らか知りませんけれども、借金をしたそうです。で、お父さんは、子供四人がいて、二人保育園に預けて、残業でもして一生懸命働こうと思うのですけれども、四人の子供がかわるがわる病気だ、けがをしたと、会社に始終迎えに行くので、残業もできないありさまです。借りたお金の利息が一割も取られるのだそうです。どうしてそういうところから借りたのと聞きましてたら、借りるところがわからないし、貸してくれるところがないから、利息を取って貸すところから借りたと言うのですね。それで、毎月利息に追われて、生活がとてもできない。保育園の方は、保育料は二人で百円なんですけれども、二人でも、これは特別保育がありますから、四百円か五百円上げているはずです。それで、保育所の方からは、全然請求がないものですから、つい保育費を全然払わないで、もう七カ月も全部未納になっているそうです。保母さんたちも、ほんとうにかわいそうだけれども仕方がないわというので、見ているような状態なんです。  もう一軒は、向山さん、これは親一人子一人で、失対事業とか申すものだそうですけれども、月給七千円だそうです。これには、保育料四百円ときめられてあるそうです、特別保育ですから。   〔理事山下義信君退席、委員長着席〕 この家庭も、親一人子一人ですから、特別保育料が三百円かかっております。で、家賃は二千五百円だそうです。そのほか食べたり、いろいろなことをして七千円で、保育園に六百円払って、七千円ではとっても苦しいそうです。これは私たちも、ほんとうにかわいそうだからと言って、下着とか何か上げたりなんかしているのですけれども、家賃ばかりでなくして、電気とか水道、みんなかかると思うのです。とても苦しそうな生活が私たち見て、気の毒に思ったからなんです。  それから前野さんという、この方も近くの方なんでございますけれども、御主人が慢性じん臓病で、入院したり退院したり、二年間ほど繰り返しているのでございます。家が心配ですから、途中で退院してしまって、帰ってすぐ働くと、すぐまた出てしまって入院するという状態なんでありまして、子供さん一人六百円で預けて、お母さんが卵売りをしているんでございます。卵売りをしていまして、最近赤ちゃんが生まれてしまったんです。妊娠したばかりに、保母さんに、子供おろそうかしらと相談して、保母さんも、その方がいいと言ったそうですけれども、主人も近くよくなるんでしょうし、一人だけではほんとうにさみしいからというんで、母親のほんとうにあたたかい気持で生んでしまったんです。ですけれども、お父さんの入院医療費はただなんだそうです。ただ小づかいが、一日十円二十円はどうしても必要だというんです。お母さんが卵を売って生活をしていたんですけれども、赤ちゃんが生まれてしまったら、今度働けなくなってしまったんです。その赤ちゃんも、近所に預けると、三千円ぐらい出さないと頂かってくれないそうです。保育園でそういう施設がありませんものですから、どうしても働かなくちゃならないんで、生まれてまだ四十日くらいの赤ちゃんをおんぶして、卵ざるをさげて、一人の子供保育園へ預けて、毎日歩いております。一日売ってどのくらいになるのって聞きましたら、一個一円ぐらいしかもうけていないから、一日百十円か百二十円がいいところだわ。けれども、お父さんに小づかいを一日二十円づつあげられるのよというような状態の人がおります。  それから、もう一人は、夫婦共かせぎで、案外よかったのですが、とても御主人が弱くて、たくさんお金もいただけないというんで、保育料は五百円だったそうです。その御主人というのは、けがをして頭を打たれたために、ときどき発作的に異常がくるそうです。最近になって、会社もやめさせられてしまったそうです。御主人が、奥さんにやめさせられてしまったことを言うのがいやで、毎日お弁当を持ってどこか行って、職探しに歩いていたそうです。二カ月日に、奥さんが、どうも変だから、会社へ行ってみましたところが、あなたの御主人は、ほんとうにまじめでいいんですけれども、休んでばかりいるし、病気があるから、会社としてやめていただいたと言うそうです。それでは、失業保険はどうなっているんですか、と聞きましたら、とてもルーズな会社で、そのうち何とかする——やめていまだに失業保険をいただいていないそうです。それだもんで、奥さんがとても困っちゃいまして、もちろん主人は就職探しているんですけれども、奥さんが病気みたいになってしまったんです。それで、奥さんは一日二百円の日給です。最近奥さんもからだが悪くなってしまって、寝たり起きたりしているんですけれども、一週間続けて休むと、会社の方から、やめてほしいというようなことを言われるんだそうです。そのために、ここの家でも、やっぱり特別保育だったんですが、保育料五百円のほかに、三百円か四百円入れなくちゃならないわけになっているんです。で、保育料が二カ月ぐらいもう滞納になってしまって、とても元気のいい奥さんで、父母の会などで、率先していろいろな活躍してくれる人だったんですけれども、このごろは出なくなっちゃったんです。子供をおぶって来るたびに、保母さんに、悪いわね悪いわねと言うんですけれども、保母さんは、いいからいいからと言うんで、働いているんだそうですけれども、奥さんが病気になってしまって、だんなさんがまだ全然働けないという状態にあるときに、最近そういう状態だというのがわかったとき、それでは措置費をすぐしましょうと言ったら、措置費ってすぐ取れないんだそうです。そういう家庭というのは、保母さんが見てすぐわかるんですから、即座に、それでは一銭も要らないよというような家庭に何とかしていただいたらどうなのかしらというように考えるのであります。  それから、これは私の問題なんでございますけれども、私、三年前に主人が失業しました。失業しましたと同時に、精神的の疲労と申しますか、とてもからだが工合悪くなってしまったんです。そうしましたら、胃かいようじゃないかしらと言われたんですけれども、とても入院もできませんし、病院へ行って、胃かいようだから入院しろと言われるのがおそろしくて、毎日買い薬をして、二カ月ばかり過ごしました。しかし、失業保険がありましたので、親子四人で八千円足らずで生活していましたけれども、失業保険は切れてしまうし、そろそろ働かなくちゃならないという時期になりましたけれども、一才と三才の子供をかかえて、私は内職もできないのであります。そして、近くにこういう保育園があるということを聞きましたので、さっそく保育園へ行きましたところが、ほんとうに気の毒だけれども、保育料は高いんですよ、というわけなんです。何だかかからないではいれるそうですけれども、と聞きましたら、措置費の定員がありまして、すぐには措置になれないからと申されたんです。一体幾らかかるのかと聞きましたら、赤ちゃんは千五百円で、三つになる子供は九百五十円でしたか、忘れましたけれども。とても働かなかったら困ると申しましたら、何とか一生懸命骨を折るし、一人ぐらいやめるでしょうから連れていらっしゃい、ということになりまして、お願いいたしました。そのとき、人見知りする一才の子供を保母さんに預けるというときの気持、母親としてほんとうにお話し申し上げようもないような気持がいたしました。ほんとうに鬼にならなければ預けられない。もう、会社へ行っても、今ごろ泣いているのじゃないかしらというような気持で仕事をしていましたけれども、やさしい保母さんがして下さいますので、一週間くらいでやっとなれまして、どうやら保育園に行かしていただけるようになったんですけれども、とにかく保母さんが朝から晩まで、母と寝る時間のあとは、みんな保母さんと一緒にいるんです。そんなようなわけで……もう上ってしまったんですけれども、とっても大へんだと思います。私の家庭では最近主人もどうやら働けるようになりまして、一人は学校へ上り、もう一人の子供保育園に入っているのでございますけれども、前に入れたときに、三カ月たって措置になりましたですから、そのときの借金が六千円くらいあったんです。それを、働きながら百円、五十円と返していって、今二千円くらい残ったんです。その二千円を、もう一年でまたあとの子供が行くときに、何か保育園が高くなるというようなことを叫ばれていますけれども、もし今までのままで、これから上らないでいて下さったら、私も、保育園を終るまでに借金を返せるし、何か明るい、文化的とまでもいかないけれども、生活ができるのじゃないかと思うんです。  それで最近、うちの保母さんが結婚して、一人やめたんです。そのあとへ臨時の保母さんが来たんですけれども、その人が二、三日前こんなお話をしていたのを聞いていただきたいと思うんです。いなかの保育園にいまして、いなかの子供って、ほんとうにきたないんですけれども東京にもこんなきたない所があるのかしら。二才や三才になる赤ちゃんならいいけれども——その方は赤ちゃん組を受け持っているんです。赤ちゃんなのに、麦と米と半分ずつ入っているのが多いんですよと申されました。きのうなどはまだよく煮えていないのを、一体こういう人のお母さんは、子供のことをどう考えているんだろう、どういう生活をしているんだろう、ほんとうに保母していくのもいやになってしまったわ、というようなことを言われるんです。長いことその赤ちゃん組の保母さんをしていらっしゃる方が、そんなこと言っても、この辺の人は、映画も見ないし新聞も読まない、夫婦共かせぎで、朝起きたら保育園へ持って行って保母さんに預けて、あと働くだけしかないのよ。子供のことをしてやらなくちゃいけないのだから、今からそんなことを言って、あなた勤まらないのよ、そんな会話を聞かされたんです。それで、夫婦共かせぎだったら、とってもお金が取れるのだろうと思って考えてみますとき、結婚します前からずっと勤めていますと、月給も上ると思うんです。結婚するために女性が一度やめまして、子供が生まれた。今度就職するというと、パートタイムとか、それでないと、一日二百円とか百五十円の臨時しかないのであります。もちろんそういう方のだんなさんという人も、やめたり入ったりするから、必ず月給って少いんです。夫婦が働いても、ほかの人の半分にしかならないような家庭が多いものですから、とても生活に困るんです。そういう家庭ばっかり預かっている保育園なものですから、特別目につくのだと思うんですけれども。  それから、子供がときどき皮膚病がうつったりなんかするのでございます。そうしますと、隔離をしなくてはならないからと言って、預かってくれないんです。そのとき、会社の方はやっぱり休まなくちゃならない。御近所に頼むと、より以上高くなってしまうから、やっぱり母親が休むということになるんです。そのために、すぐやめさせられる。ですから、母親というのは、もう半年くらいで転々と歩かなくちゃならない。そのためにやっぱり収入も少いというような状態に置かれる人が、結局、共かせぎして子供を預けるのじゃないかと思うんです。  私は、母親として、こういう所へ出たこともありませんし、人様とお話ししたこともありませんものですから、お断わりしたのですけれども、ほんとうにもっともっと困る人が来て、ここでお話しすればいいのですけれども、そういう人は、とても行けないからと言われまして、来ましたのですけれども、ほんとうに私がここで申すより、赤ちゃん組が御飯を食べているときに、皆さんに来て見ていただいたら一番よくわかるのではないかと思います。ほんとうに一日中保母さんのところにいて、母とは夜寝るだけの子供なんですから、せめて気持よく保母さんと遊んでいただくような保育所がところどころにあってほしいというような気がいたしまして、皆様にお願いするわけでございます。
  18. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ありがとうございました。     —————————————
  19. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、むさしの保育園長、牧野修二君にお願いいたします。
  20. 牧野修二

    参考人(牧野修二君) 牧野でございます。  ただいま、前の参考人がそれぞれ申し上げましたように、保育所というものが、児童福祉法施行後、政府並びに先生方の御努力によりまして、非常な発展をして参りましたが、施行後五年たった時分から、いろいろな客観情勢などで、それに触れると時間がなくなりますからやめますが、だんだん保育行財政というものが変態的症状を現わすようになってきた。その結果、今度は保育所自体も変態的症状を現わすようになってきた。その症状につきましては、ただいま前参考人からいろいろお聞き取り下さった通りであります。そこで、厚生省当局としても、この点を非常に心配されまして、現高田局長が就任されると早々、中央児童福祉審議会にこの問題を投げかけまして、そして特に中央児童福祉審議会におきましては、特別保育を研究する部会を設置いたしまして、そして十数回会合を開き、慎重に研究したのでございます。しかしながら、何分にも問題は複雑錯綜しておりまして、そしてその研究委員の方々はそれぞれの意見がございますが、私個人といたしまして、そのとき申し述べました考えは、現在の保育所行政というものは、すでに量的変化によって必然的に質的変化を来たしているから、今日の児童福祉法よりこれをはずしまして、別個な、いわゆる独立的な方策を考えて、そしていわゆる児童保育に関する体系を確立した方がいいというような考えを持ったわけであります。しかしながら、これはなかなか、ある一つの理論的な問題でありまして、実際上にこれをどういうふうにするかということはむずかしい。いろいろ問題が複雑しております関係上、まだ結論が出ず、その後いろいろな関係がありまして、それはちょっと中絶状態になっておるのでございます。これに並行いたしまして、全国社会福祉協議会保育部会におきましても、特別保育研究委員会というものを設置して、そしてこの保育事業を永遠の安きに置くにはどうしたらいいだろうということを寄り寄り研究を続けておったのでございます。ところが、たまたまこの三十三年度予算編成を前にいたしまして、何とかこれについて具体策を立て、そして保育所の行財政というものを改革しなければならないということを当局でお考えになったわけであります。これは、われわれとしても、すでに何らか解決しなければならないと考えておりますから、意見は一致したわけでございます。そこで、幸いにしまして厚生当局の方から、いろいろ民間の意見を聞きたいというお話があり、まあ忌憚のないお話し合いをいたしました結果、一つの改善策の方法というものについて、一応両者意見が一致したわけであります。それで、改善策の方法と申しますのは、先ほど来お話がございました点をごく概念的に、時間の関係がございますから、申し上げますが、まず第一に、措置費と徴収費との悪循環であります。この悪循環を断ち切らなければ、絶対に保育内容あるいは保母の身分保障というものの向上はできない。従いまして、この悪循環を断ち切るというための一つの具体的方策としては、いわゆる措置費によってリンクするような徴収でなくて、定額保育料製度を確立するという御意見、これに対して、私ども非常にけっこうであると賛成いたしました。  その次に、援護率の撤廃でございます。これは、先生方はもう行財政の御専門家でいらっしゃいますから、申し上げることございませんが、いわゆる援護率などは結果の問題で、実施前において援護率をきめるということは、不合理きわまるものであります。これはやはり、そういう観念は撤廃していく。従って、先ほど申しました悪循環を断ち切るということと、やはり意味通ずるものだろうと思います。  それからその次に、現在の徴収基準というものをやはりこの際御破算をしてしまう。これは、御承知通り、たとえば、地方におきましては、これを各十五階級に分けておりますが、一階級の差がわずか二百円、実際に農村地帯に参りまして、わずか二百円の所得差を判定するということは、ことにそれが市町村吏員にまかせられておるという点において、実際上非常に困難な問題でございます。もう一つは、一応あの表は、幾らの収入に対して幾らということになっておりますけれども、それも、たとえば都会におきまして、幸運にして公営住宅のくじに当った者と、不運にして当らざる者によっては、すでに住居費において大きな差がある、従いまして、表面の収入において差をつけておりましても、実際の家庭の生計というものまで突っ込んでいかないことには、この徴収基準表は決して合理的でない。ですから、理論的にも合理的でない。また、これを実施する際におきまして、先ほど申しましたように、非常にむずかしいという点については、やはり厚生省当局も、これを検討された結果、これを御破算にする。もう一つは、これはやはり悪循環に関連することでありますが、いわゆる規模の大なるものと小なるものに入れた場合とで、その規模によって保護者の負担が違ってくる。たとえば、何ら収入を得る家庭に変化がなくても、その配置されておる保育所の規模によって、いわゆる負担額に変化が生ずる。こういう規模差を生ずるということはいけないから、これをやはり廃止するというような方法であります。  これらが主として保護者の負担の問題に関連いたすのでございますが、その次には、つまり保育料、保育の措置費制度の問題でございます。せっかく最低基準を維持するに足るべき費用として、措置費を設定しておりますけれども、これが、いまの悪循環のために、そこに非常な差がある。これは、国庫負担のいわゆる国民に対する均当化という問題から、そこに非常な、たとえば規模設定と称するような変態的な状態が現われまして、それで、その結果の犠牲のしわ寄せとして、保母の俸給が二千円、三千円、一方においては、措置費限度額一ぱいの支給をする、そういうようなことが、いわゆる国庫負担をしておるという立場から考えて、決して正しいものでないから、これをつまり平均化していこうというために、ここに保育単価制を設定するというお考え、私どもは、この構想に対して賛成したわけであります。  それからなお、いわゆる事務の簡素化でございます。これは、先生方御承知通り、行管から指摘されておりますいわゆる幼稚園化及び教習の不適正、これを指摘されて、その文書の中に、それは何ゆえかということに対する見解として現われておるのは、いわゆる事務の非常に複雑であるという点を指摘しておる。私は、指摘の仕方自体に、非常にそれだけを指摘するというところに、あの行管の非常な認識不足があると思いますが、これは別問題といたします。とにかく一応そういうふうに指摘しておる。従いまして、その点は、やはり一応われわれも耳を傾けて反省しなければならないという意味におきまして事務の簡素化をする。たとえば、先ほどの収入認定にいたしましても、いわゆる納税層によって区分するということは、町役場吏員がすわりながらにしてそれをなし得る、はるかに事務の簡素化でありますから、これにつきましてやはり賛成。  なおまた、現員現給制、これをやめにする。現在の現員現給制は、真実の意味の現員現給制でないことは、すでに先生方御承知通りだと思います。かかるつまり似て非なる現員現給制はむしろやめて、そうして民間の弾力性のあるその活動を期待するという意味のやり方をするというお考えであります。これに対しても賛成でございます。そうして、むしろいわゆる厚生省指導は、そろばん片手に査察指導をするのでなくて、事実調理師がそこにいようといまいと、頭数によって給食がうまくいっているという判定を下すのでなくて、実際上何カロリー、あるいは蛋白質がどのくらいといった内容を監察するのがいわゆる行政指導であるという意味合いにおきまして、やはりその方向に向っておられますところの厚生省の案というものには、われわれ双手をあげて賛成したわけでございます。そうしてその後私どもとしては、この構想が十分に生かされることを期待したわけです。ところが、三月一日の全国所管課長会議におきまして、厚生省が、一つの案といたしまして、決定ではございません、案といたしまして内示されましたのを仄聞いたしまするのに、それが実は、その方法がいよいよ形作られたときに意外なる形として現われたということで、全保育界は非常に驚嘆し、そうして御承知通り、過般の決議となったわけであります。それでたとえば、もちろんこれは案でございますから、この案がそのまま実施されるものとはまだ断定しがたいのでございますが、仮定の問題としまして、これがたとえば実施された場合、われわれが双手をあげて賛成をいたしましたその改善趣旨というものが完全に生かされているかどうか。まず第一におきまして、その徴収の問題でありますが、保育事業は、先生方御承知通り保護者から経費を求めまして、いわゆる一般国民から入れる。しかしながら、特に今日は、いわゆる低額所得者に対する対策問題が重要であるため、その意味におきまして、保育所のいわゆる対象は、この低額所得者が、いわゆる厚生省案によるA、B、C、D層に及ぶそのC層に当るわけでありますが、このC層のいわゆるパーセンテージから見ましても、三十二年度におきましては大体六六%、過半数以上を占めておる。約七割に近い、これに対するいわゆる保育料、定額保育料という考え方を当てはめますと いわゆる幼児の場合四百五十円になります。これはしかし、その市町村民税の、住民税の納税者ということになるのでございますが、この点につきましても、厚生当局自体としては、非常に御苦心なさったようであります。たとえば、固定資産税を納めておるものも考えられますが、しかしこれは、固定資産税は市町村によって違うという点において、非常に適正なものを把握しにくい、あれやこれやをお考えになって、そうして結局、住民税ということになったようでありますが、しかしながら、その住民税は、御承知通り、均等割と所得割によって構成されておるというふうに、いわゆる人頭税の意味も入っておるという意味合いから申しますと、つまり低額所得者、ニコヨン等におきましてもやはりこれに当てはまるのじゃないか。そうなりますと、その層につきましては、従来よりいわゆる徴収強化という結果を来たすのではないだろうかというふうなこと、もう一つの問題は、いわゆる納税を基礎として考えますときに、御承知通り、前年度の収入に対する納税でございます。しかしながら、今日のように経済の変動の激しいときには、前年はいわゆる納税者であっても、本年は失業しておるというふうなことがあり得るわけです、市町村民税自体のあの——私、全くしろうとでございますので、誤まりがあったらば御教示願いたいのですが、いわゆる非課税対象の中には、失業者は入っていないようであります。そういたしますと、もちろん、たとい入っておりましても、本年はいわゆる非課税対象に入っておりますが、前年の納税者というようなことになりまして、収入に対する本年の納税というような関係から考えますというと、ここにいわゆる末端措置現象においては、これの徴収について、実に情とそれから形式上において、非常な矛盾の中に落ち込むのではないかというような、いろいろな問題がございます。これに対して、結果としては一応厚生省の案は、いわゆるプール制を考えて、それにおいて、つまり一地方地域内におけるいわゆるプール制による調整というようなお考えがあるかのように伺っているのでございますが、もしそうなりますといった場合に、それが幸いにしてプール調整ができ得る場合はいいけれども、でき得ない場合に、これはいわゆる貧弱な市町村の財政負担になりやしないか。財政負担になる結果は、それを負担し得るものが負担しないところに、その必然の結果として、いわゆる措置の引き締めという状態が生じやしないかということを憂えるわけであります。  なおそれから、ある市町村吏員の話ですと、これは一吏員の話でございますから、全般的と言い得るかどうか存じませんが、いわゆるそういうふうな、つまりかれこれ徴税しなければならぬという意味において、また別な意味において、事務の簡素化を生じないということを心配しておったようでございます。  それからその次に、保育所自体に関してどのような点があるかと申しますと、まず第一に、保育所自体に対しても、やはり何と申しましても人件費が、これは予算ベースでございますが、従来の措置費限度額におきましては、人件費が一万円ベースでございますが、今回の案は、仄聞するところによると、七千円のいわゆる予算ベースであるらしい。予算実行のベースであるらしい。一挙にして三千円下るということは、これに対する対策も、つまり使用者たる園長として考えなければならないというようなこと、その結果としましては、あるいは保母のいわゆる退職、罷免、減給、あるいは有資格保母の非採用というような状態が生じやしないかという点でございます。保育単位の、たとえば六十人を保育している施設が、地域の要求によりまして、七十人に増員した場合にどうなるか。そうすると、それによって保育単位の収入というものは、総額において月額五百円の増である。ところが、最低基準を守るとすれば、保母一人を入れなければならない。これに対する費用が約八千円、それから、それによって二十五日給食する、その費用が二千七百五十円、合計約一万円の金額がいる。しかしながら、やはり収入増は五百円、ここにおいて、結果といたしまして、最低基準を、われわれはこれを破壊するという結果にいかざるを得ない状態になりゃしないかという、いろいろな点がございます。なお、たとえば青森におけるこの資料東京におきます資料等が完全であるかどうかは、ちょっと保証しがたいのでございますが、そういったことがございますが、時間がございませんから、一応私そういう点を申し上げておきます。  なおそれから、一つ申しおくれましたが、今度の改正案において、非常に乳児にウエートを置いているという点は、私、非常にいい点で、保育所本来の使命に近づけようとしていることであるというふうには考えます。結局のところ、どうも最後の結論といたしましては、たとえば、いわゆる保母がボロ家屋におる。このボロ家屋では、いつまでたってもしようがないから、いわゆるとんとん屋根を、これをかわらぶきにしよう。そうしてこのむしろ敷きを、これを板敷きにしようという趣旨でお考え下さった点、これについては、われわれ賛成であります。しかし、これを直すに当りまして、今度は、そういうふうにしたために、部屋が狭くなりまして、中に住んでおった人間が今度は住み切れない。そのうち幾人かの人間が野宿しなければならないということになったのでは、いわゆる趣旨が必ずしも生きないのだという点につきましての意見が、先般の全国保育事業関係代表者緊急会議における結論と相なった次第であります。
  21. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうもありがとうございます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をつけて下さい。  休憩いたします。    午後一時二十分休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  23. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。  午前中、参考人の方から御発表になりました意見に対して、質疑を行います。質疑のある方は、御発言願います。
  24. 坂本昭

    坂本昭君 私は、本日、児童福祉の第一線に立っておられる皆様方の御苦労を承わりまして、衷心から感謝にたえない次第でございます。なお、きょうは、きわめて積極的に種々の御意見を聞かせていただきまして、われわれとして非常に稗益いたしました。特に児童福祉法の制定以来、生活保護的な、いわば社会保障制度的な内容を持っておったこの法が、さらに一段と発展、飛躍すべき段階に達している、そういうふうな参考人の方々の御意見を承わりまして、非常な示唆を受けたのであります。しかも、特に第二の国民である乳幼児について、国で大いにやるべきであるということの激励を受けたことについて、感謝申し上げたいと思います。ただいまから、私は、本日は参考人の方にのみ、時間の関係もありまして、簡明にお尋ね申し上げて、御意見を聞かせていただきたいと思います。まず、公述されました参考人の順番に従ってお尋ね申し上げます。  最初に、河村参考人に対しまして、二点をお伺いいたしたいと思います。その第一点は、いろいろ御説明もありましたが、乳幼児問題というものは、きわめて重要な転換期にあります。特に本日は御指摘ありませんでしたが、無認可の保育所もきわめて激増している。その数は六百七十五もあると聞いておりますし、さらに、保育に欠ける乳幼児で、保育所に入らなければならないもの、しかも、入っていないものが、児童局長の説明によると、約二十五万人もあると聞いているのですが、そういうふうな日本の実情で、しかも、ことしの多分十一月には、国際児童福祉研究会議が日本で開かれるということも承わっておりますが、基本的な乳幼児対策について、全社協の児童部長として、どのような考えを持っておられるか、まず、示唆的なことでけっこうでございます。聞かせていただきたいと思います。
  25. 河村定治

    参考人河村定治君) 基本的には、先ほど意見を申し述べましたときに触れておきましたが、施策が非常にばらばらであるということが言えると思うのでございます。ある部面は医療機関で、ある部面は生活保護法施設で、ある部面は児童福祉法施設でというふうに、非常にばらばらになっております。こういうものと、児童福祉法の理念、国民を横割りにしまして、おとなと子供に分けたという、その考え方とには、矛盾があるように思うわけでございます。そこで今回は、未熟児の問題を児童福祉法の中でお取り上げをいただきましたが、これは児童福祉法本来の趣旨に非常に沿ったいい考えでございますので、将来ともに、未熟児だけでなくて、昨年問題になりました結核児童だとか、そのほか、重障障害児、ダブル・ハンディキャップと申しますか、そういう子供だとかというふうなものを、せっかく横割りにしましたいい児童福祉法ができておるのでございますから、児童福祉という観点でお取り上げを願いたい、こういうことでございます。  それからなお、先ほどちょっと申し上げましたが、幼稚園保育園というふうな問題につきましても、同様に縦割りに考えて、あるいは教育的、経済的、文化的というふうなことではなくて、子供福祉というふうな立場で考えていただきたい。子供福祉の中で教育があり、生活があり、というふうに考えていただきたい。大まかに申し上げまして、そういうふうに思うわけでございます。
  26. 坂本昭

    坂本昭君 第二点は、このたびの厚生省保育所に対する措置費の改善案につきまして、例のA、B、C、Dに分け、さらに仄聞するところでは、六大都市を除いた所では、六十人、九十人というところで区分をして、九百六十円、八百三十円、七百六十円というような区分をしておりますが、この改善案に対して、全社協と厚生省、これはどういうふうに一体、御相談をなされたか、これが一つ。それから次に、なるほどこの基本的な点、前向きの面では厚生省とも同じ意見だが、具体的な面ではどうもいろいろな御異議があるようですが、現在の案に対して賛成か反対か。それから三番目の点は、反対だけれども厚生省がこれでやれと言った場合に、最悪の事態の場合、全社協としては、どういう処置をとられますか、そうしてその処置について責任を持って全国保育所に指令をすることができるか、その点を一つ伺いたい。   〔委員長退席、理事山下義信君着席〕
  27. 河村定治

    参考人河村定治君) 第一点の点でございますが、これは先ほど牧野参考人の方からもちょっと申し上げましたが、保育所のやり方についての刷新改善の要があることは、かねてからの希望でございましたので、いろいろな機会にそういう問題について検討もし、厚生省お話し合いをいたしたことがございますけれども、非常にこれが具体化しましたのは、昨年の十月末、全国保育施設代表者協議会をやったときでございます。このときに同様な意見が各地の代表から出まして、その際に部会を開きまして、そういう問題をどういうふうに取り上げるかということにつきまして、御当局の方とも今までよりはさらに一歩進んだ話し合いをしたわけであります。そのときに、大体の線といたしましては、当局の方でお考えになっておりまする刷新改善の方向と、関係者が考えておりまする方向とは、方向としてはそう違うものではないというふうに感じられましたことは、先ほどの牧野参考人の言葉の通りでございます。そのうちに、御承知通りに、予算編成期になりまして、ああいうふうにいろいろとお世話を願ったわけでございまして、その間には、この問題はしばらく停滞せざるを得なかったのですが、この予算問題が進行するにつれて、予算を増額、確保するためには、やはりこういう刷新改善方法も考えなきゃならぬという事態になったわけでございます。話が前後して恐縮でございますが、そこで私どもの方では、十二月の二日でございました、いろいろとそれまでお話し合いをいたし、あるいは私どもの方だけでいろいろ考えましたことをまとめまして、第一次の意見発表を行なったわけでございます。それから年を越しまして、二月になりまして、二月の一日であったと記憶いたしておりますが、御当局の方でやや具体的な、ただし、数字はないところの改善案ができましたので、私ども関係者はまたこれに伴ういろいろな研究、調査、討議をしたわけでございます。その後三月一日に、御当局の方で全国の所管課長会議をお開きになりまして、その際初めて数字が示されました。そこで私どもは、その数字と今まで考えておりました、希望しておりました刷新改善方法とを比べ合せてみたわけです。そういたますと、刷新改善の中に期待していたようなものは、遺憾ながら数字の面では満たされないということを発見したわけでございます。そこで、それから数次会合を開きまして、今日まで接触をいたしておりますことは、お考えは、まことにけっこうである、その勇気には敬意を表するものでありますが、しかし、これは考えてみれば、やはり相当な予算をもって実行すべきものであったので、今のような予算でこれをやるということになりますと、非常に無理が参りますので、何とかその点についても考慮を願えないものであろうかというふうなお話し合いをしておるわけであります。もう一ぺん振り返って概略を申し上げますと、方向、理念については賛成でございましたけれども、いよいよの方法論になりますと、非常な食い違いを発見したと、こういうことでございます。  それから賛成か反対かというお尋ねでございますが、これは先ほど申し上げましたように、考え方、理念としては賛成であるけれども、今考えられておるあの方法は反対である、こういう点でございます。  それからまた、この方法当局がどうしても実行された場合に、そちらはどうする考えかと、こういうことでございますけれども、この点につきましては、私どもは常日ごろから事務局だけの単独の考えでございませんで、保育部会の総意を聞いて、それに基いてやるようにいたしておりましたので、そういう事態になりそうな場合、あるいはなった場合も、従前通り何らかの形で全国関係者の総意を聞いて決したいと、こう思うわけでございます。
  28. 坂本昭

    坂本昭君 どうもありがとうございました。  では、次に石川参考人に御意見を聞かしていただきたいと思います。中央児童相談所長としての専門家として、基本的な乳幼児対策に対してわれわれにヒントを一つ与えていただきたい。
  29. 石川秀雄

    参考人石川秀雄君) どうもなかなかむずかしい問題だと思うのでございますが、まあわれわれの方といたしましては保育所関係、それから母子寮とか助産施設の方は福祉事務所長の方に委任されておる関係でございまして、児童相議所長といたしましては、乳幼児院並びに養護施設というような措置関係なのでございますが、乳幼児院の問題につましては、今般の改正案が出ておりまして、私の方で一番困難な問題は未熟児の問題であったわけであります。この未熟児の問題を乳幼児院で取扱うということで、これは限られた施設に限られておりますし、それから日赤が相当な赤字を負担してやっていただいておるということで、ベッド数も限りがあります。希望者も非常に多いということで、非常に困難を感じておったわけなんでございますけれども、一応こういう法律が実施されますというと、こういう問題は解決するのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。まあ幼児の養護施設とかいろいろな施設の問題につきましては、ただいまのところ別段問題はないわけでございますし、ただ、これとちょっと離れるかもしれませんですけれども相談所といたしまして子供の問題で一番困っている問題は、先ほども申し上げましたように、最近非行児童が非常に多くなってきておるということ、われわれの方として教護院が満員だと、ことに女の子の性的な不良行為というものが非常にふえてきておりまして、これの措置について非常に困難を感じておるわけなのでございますが、私の方の教護院では百名の定員なのでございます。そして横浜の家庭学校へ特別お願いしまして五十名を入れておりまして、まあ百五十名なんでございますが、満員でございまして、一時保護所に相当な数がいつもたまっておるという状況でございまして、ほかの子供に対して非常に悪影響を及ぼしておるわけなんでございます。それで、昨年度の予算で国立の女子教護院ができるということで非常に期待をしておったのでございますが、この予算が通らなかったというようなことで、実はわれわれの方としては、非常に失望しておるわけでございます。そのほか、精薄の施設というのが非常に少いのでございまして、全国で五十万、東京都で五万といたしましても、私どもの方で措置しておるものが大体八百ないし九百ぐらいの数でございまして、重症の精薄児を入れる施設が全然ない。今度国立の百名の定員の施設ができるわけでございますけれども、私の方で持っておる重症の精薄児だけでもそれ以上オーバーしておると、こういうような状況でございます。御質問に応ずるお答えであったかどうか疑問でございますけれども、一応お答えいたします。
  30. 坂本昭

    坂本昭君 次に、川口参考人にお伺いいたしたいと思いますが、三点についてお伺いいたしたいと思います。大へん御苦労なさっておられ、特に民間保育所の経営の困難について御説明があり、さらに東京、大阪のような大都会できわめて多数の放置された措置児があるということ、またさらに、これははなはだわれわれとしては心外に思いましたが、どうも二重帳簿存在の必然性のようなお話もうかがわれて、いかに御苦労なさっておられるかということがわかったのですが、それらのことで伺いたい点は、市町村が当然すべき徴収事務、この事務保育所としては、全部保育所でひっかぶってやっておられるのが事実であるかどうか。そして、たしか三十二年度からは、監査指導員といいますか、それが数百人、各県に二、三人ずつできたはずなんですが、そういう人たちは一体何をしているかということをまず第一にお伺いいたします。
  31. 川口寛三

    参考人(川口寛三君) ただいまお尋ねの問題の、保育料徴収の仕事を園長でやっておる所が大部分であるかということでございますが、まあ全体的には、園がやるのはよけいなことだとは承知いたしておりますけれども、そういうことになっております。これは別に、福祉事務所の方から、手が足りないからやってくれということを覆われているということによってやっておる所もあるかもしれませんけれども、私どもの方の実情から申しますと、やはり保護者の様子などを知りましたり何かする便宜や、それから始終お母さんに接する機会がありますので、そうした保育料の徴収は園がやる方が、かえってお母さんが役所的な所から徴収を受けるような目に会うよりも、お母さんとしては親しみを持っていいんじゃないかというような点から、むしろ積極的にこの仕事を手伝っておるというような関係でやっておる所もございます。それから中には、そういう手数をすることによって、多少この徴収に対する手数料というようなものが考慮されて、園の収入に期待があるのでやっておるというような所もあるようであります。そのやる気持については、いろいろあるかもしれませんが、大部分園が扱っておるというのが多いように思っております。  それから、ちょっと心外の気持でお聞きいただかれて、はなはだ恐縮をいたしております。監査に対するわれわれの苦労のあるところを御理解を持って聞いていただくことができればありがたいのでございますが、形式的に申しますれば、そんな不都合なことは、当然いいとしてやっておるわけではないし、また、でき得べきものではない。監査は、なお厳重にその内容を調べられることによって、そんなことで監査が通っておるはずはないのでございます。私の申しましたのは、その監査の形式を整えるための仕事だと、こういうことでございます。たとえば、いろいろ買物をします場合の、何と申しますか、領収証の整理をするとか、あるいはまた費目をそれぞれそろえるというような場合に、措置費、事務費の中に、何と申しますか、融通性があまり認められていないのでございます。でありまするので、今まで大体われわれの聞いておるところは、費用のかかるのはよろしいけれども、この措置費からはこれしか出してはいけない、そういうものはあるはずはないと、こういうことを言われますけれども、なかなか実際の問題としては、そういうことができないで苦しんでおる場合がありますので、そういうときに、やはり事情を訴えて、こういう形式によって整理しておりますということによって、御理解を得た監査ぶりであるということを申し上げたわけでございまして、決して虚偽のどうの、あるいはそういうことで済ましておるということでは絶対にございませんから、その点はどうぞ御了承を願いたいと思っております。  それから、指導員の問題でございますが、これは東京都にはやはりありますけれども、これは都の民生局の方で事務をとっておられるようでございまして、実は私どもは直接監査員からのいろいろの監査は受けたことはないので、福祉事務所の方の監査をやっておられるのじゃないかと考えておるような実情でございます。
  32. 坂本昭

    坂本昭君 次に、先ほど河村参考人から、最悪の事態の場合には、保育部会の総意を聞くという説明がありましたが、保育部会長さんとしてお伺いしたいのは、全国保育関係代表者緊急集会で要難、決議されたことによりますと、改善案の内容には絶対反対であると、もし実施されるとするならば、重大なる事態を生ずることを憂慮する——その重大なる事態、先ほどのお言葉によりますと、改善案では大混乱を来たすと言われておりましたが、重大な事態というのは、どういう内容でございますか。
  33. 川口寛三

    参考人(川口寛三君) この間の緊急大会の決議に対する保育部会の気持といたしましては、実は緊急大会が済みました後に、保育部会の委員会を招集いたしまして、実は保育部会としては、すでに当局の方にいろいろ要望しておる事項もあるし、それからまた、それに対して当局のお答えも受けておるようなことであるのに、今日の緊急大会においては、絶対反対を明示して、そしてこういう決議をしたが、今後の保育部会は、この緊急大会の線でやるとなれば、今まで全国の保育部会できめたいろいろな要望事項等が当局に出ておる、それとの関係をどう扱うか、それをきめる必要があるのではないかということの部会委員会を開いたのでございます。そうしましたところが、まあ部会は部会としてそういうふうにやっておって、緊急会議はそのときのいわゆる参会者が決定したことだけれども、今後の問題については、やはり保育部会は保育部会としていろいろ研究をする必要があるというような考えを持っておりますのです。それで、憂慮する事態と申しますのは、今まで保育部会におきましても問題になっておりました保母さんの首切りが起るとか、あるいはまた減給が起るとか、また保護者の徴収金額のために退所するようなことになるとか、あるいはまた逆に、こういうことのために保育所が、何と申しますか、本来の使命でないような方に向う——本来の使命でないということは、いわゆる保育料の払えない方等をやってこそ保育所としての使命があるという点が少しゆるんでくるのではないかというような事態、そういうようなことをそれぞれ考えまして、混乱といい、また重大な事態、こう考えたわけでございます。
  34. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、最後に、厚生省の現在の案で強行された場合ですね、保育部会長さんとしては、もちろん保育部会の総会をお開きになると思いますが、強行された場合、部会長さんとしてはどういう決意、お腹をお持ちになられますか。
  35. 川口寛三

    参考人(川口寛三君) これはやはり、保育部会としては、各県から出ておる代表の意見を尊重してきめるほかにないと考えております。緊急会議の方がすでに各県の意見をまとめてくるようにという連絡をとってやってきておるので、従って、保育部会が今までどういうことの決定をしたかということも出席の方々は御存じのはずと思っておったのでございますが、去る緊急会議がこういう決定になったということは、やはり今まで保育部会で連絡したことが各施設の方に徹底していなかったためだと、こういうふうに思いまして、今後も保育部会がそういうような各施設に徹底しないような決議をしたり、あるいは態度をきめるということについては、相当考えなければならぬ。しかし、そういうふうに各施設と保育部会とが緊密な連携のもとにやっていくということについては、今日の全社協の機構等、あるいは地方社協の機構等からいうと、なかなか容易でないということが憂慮されております。従いまして、部会長としての考えは、できるだけそういったようなものの連絡をとってやるということ以外には考えられない問題であります、しかも、その連絡をとることは容易なことでないなということを痛感しております。
  36. 坂本昭

    坂本昭君 川口保育部会長さんのお年で、まあいわばお孫さん。曽孫さんに当るような方の保育に専念しておられることを、ほんとうに心から感謝申し上げますとともに、どうも、かなり事態は重大であると思いますので、部会長さんとしての慎重なる御決意を、今後の事態の進展に伴ってお定めになられんことを御要望、お願い申し上げておきます。ありがとうございました。  次に、青木保母さんに、きょうはちょうど婦人週間の始まりなんでございますが、どうも先ほどのお話、まことに感激を持って聞かせていただきまして、もっといろいろこまかいことをお聞きしたいのですが、参考人に対してきわめて冷淡な質問のみでお許しを願いたいと思うのです。三つお尋ねしますが、第一は、毎年大陳情をせられて、予算獲得のために、ことに、ことしなどまことに涙ぐましいような大陳情をされておられますが、しかも、その保母さんたちは、先ほどのような、労働基準法にも反するようなそういう生活をしておられながら、なおかつ予算獲得のためにこうした努力をしておられる保母さんとして、そういう予算獲得と保母の立場について、一体どんなふうにお考えになっておられるか、その気持を聞かせていただきたいと思います。
  37. 青木きみ

    参考人(青木きみ君) 私は一保母の立場から、毎年この陳情のことについて頭を痛めさせられるのでございますが、   〔理事山下義信君退席、委員長着席〕 当然厚生省がお出しになっていらっしゃる予算をそのまま受け入れられないで、そうしてしかも、私たちが——社会事業界に働く人たちというのは非常に私はおとなしい方たちが多いと思うのです。その方たちが、黙っていられない、立ち上らざるを得ないような状況になるのは、これは当然なことで、陳情を行わなければ——行なって予算を取るというのでなく、立ち上らなければ、いても立ってもいられない気持のままに私たちは立ち上るのでございます。ところが、私は現場で働いておりますのに、先ほどから申しましたように、一人の保母が抜ければオーバー・ワークになってしまう、そのことを考えますと、現場を離れることのつらさというものは非常なものなのでございます。それで、現場は離れたくないし、大きな道から考えてやはり皆さんと一緒に立ち上らなければならない、一体どうしたらいいものか、ずいぶん迷います。そうして、私も実は昨年ちょっと子供にけがを起させたことがございましたもので、いよいよその仕事の重大さを感じましたものですから、今年の予算獲得運動には、十分にお手伝いもできないまま、じっとがまんして保育に携わっておった次第でございますけれども、私は厚生省のお出しになった予算が決して大きいものでない——ほかのいろいろな関係から考えて、私のしろうと考えかもしれませんけれども決して大きいものでないのに、厚生省の方々はそうやって予算を取るために御苦心なすっておられるので、そんなことのない、何と申しますか、厚生省がお出しになった予算だけでもせめて取っていただけるような、かけ引きのないところをお出しになり、そうしてそれがいれていただけるような、厚生省のあと押しをするために、私たちが時間と費用をかけて、そうして現場を捨てて立ち上らなければならないようなことがない時代が来てほしいといつでも思うのでございます。それで、陳情運動は、もちろん私たちの本意とするところではございませんけれども、それをしなければだめなのなら、やはり立ち上らざるを得ないと思いますし、それからそのあとの現場の者たちの手不足の結果、陳情運動に参加した保母さんたちからいろいろ聞きますと、疲れ切って病気で倒れでしまったとか、保育所の中がだいぶ乱れてしまったとか、それから留守居をあずかる保母さんたちがオーバー・ロードでまた次々と倒れてしまったとか、決してよい結果を聞かないのでございます。そこで私は、どうぞ何らか——どういう方法ですか、私などにはわかりませんけれども、何らかの方法で、厚生省の方々がお出しになったものだけは、もちろん不当なものはそのように処置されると思いますけれども、最小限のものだけは確保していただけるような、そういった方向に早くなってほしいと思います。現場の者から陳情運動を、毎年恒例のようにそういうことがなされる時代から早く切り上げて、安心した保育がしたいと思っております。
  38. 坂本昭

    坂本昭君 次にお伺いしたい点は、現在の保育所の保育業務の指導、たとえば給食の指導とか、教育とか、最近やかましいしつけとか、そういうことについて、厚生省は実際にどういうふうにしておりますか。
  39. 青木きみ

    参考人(青木きみ君) 保育の内容の質の向上を指導者は叫んでおられますし、現にいろいろ保育部会を通してとか、それから厚生省から出されます保育要領と申しますか、そういったものからいろいろな点で指導は受けております。ただ現任訓練と申しますか、そういった私たちの直接のいろいろな勉強はなかなか受ける機会がなく、民間のいろいろな研究団体、そういったものへ私たちが進んで参加するような方法をとっております。厚生省の方から直接の給食とか、そういったものの指導と申しますか、時折係の方がいらして、そして施設側が呼ばれまして指導を受けることがございます。その程度でよろしゅうございますか。
  40. 坂本昭

    坂本昭君 その程度しかないということでございますね。
  41. 青木きみ

    参考人(青木きみ君) はい。
  42. 坂本昭

    坂本昭君 三番目に、最近措置児がふえてきていると思うのですが、保育所を出てですね、つまりうちへ帰る、そういった子供、まあ保護者としては非常に迷惑なんでしょうが、そういうふうな子供がふえてきてはしないかどうか。それからまた、最近の保育所のあり方について、保母さんの耳に入る保護者、親ごさんたちの意見を聞かして下さい。
  43. 青木きみ

    参考人(青木きみ君) 保育所を出て家に帰るという意味がちょっとつかめないのでございますけれども、どういう——小学校に上ったからという意味でございますか、それとも、措置されております入所中に家に帰る、家庭のお母さんに渡すというのでなくでしょうか、その点……。
  44. 坂本昭

    坂本昭君 ほんとうは、預けておきたいのだけれども、保育料がかさんだりなんかして、お宅の保育園にもお預けできなくて、親ごさんが引き取るかどうするか知りませんが、とにかく出ていかれるという意味です。
  45. 青木きみ

    参考人(青木きみ君) そういうケースはございまして、現場に働いている者の一番苦しいところで、たとえば措置のワクが非常に狭められてきて、保育にかけるという限界が、お役所で考える保育にかけるという限界と、私たちが直接その家族ないし子供を見て保育にかけるという限界のワクのとり方が大へん違うような気がいたしまして、私どもは確かに保育にかけていいとみなしても、これは措置児にすることができないといって追い返される場合、また定員が一ぱいになって措置児を受け入れることができないので、どうしてもやむを得ず、入れることができないのですよ、と言ってお返しする場合があります。そういう場合、その後の子供状態を調べたことがございますけれども、お母さんはこれから生活が困窮しているから働きたい。働きたいので職を探している毎日なのです。現在、職を探している。毎日留守している。それは、ときどきは保育にかけていいと思うので、もう職を探すことが確実なものですから、保育にかけるものとしてみなして入れてほしい、入れてあげたいと思いますが、やはり職がきまらなければ保育園に入れることができない。その場合、その間の空間の子供たちはどういうふうにされているか調べてみますと、こういうケースがございました。かぎをかけて子供を部屋の中へ閉じ込めておく。おやつや何か一切あてがい扶持でかぎをかけておく。そうしますと、子供ですから外へ出たさに、ある時間が参りますとどんどんどんどん戸をたたいて騒ぐ。それで大家さんから大へん苦情が出たので、今度はかぎを子供に渡してそして親が仕事を探しに行く。子供がかぎを持って遊びに行く。そしてお昼どきに帰ってきて食事をすれば規則的な生活もできましょうけれども子供に時間の観念もございませんし、一日遊びほうけて、お昼どきもそのままにして抜いてしまうといった非常にかわいそうな立場を聞きますと、私たちはどうにも入れてしまわないわけにいかないのです。それで定員外になった場合でも、やはりそういうような状況のときには入れてしまっているというようなことになるか、またはどうしてもその融通がつかない場合は、同じ部屋の方に極力私たちの方から行ってお願いをして、その間見ておいてあげて下さいというような処置をとっております。  それからお母さん方が、保育園に対するいろいろな意見と申しますか、非常に今まで申し上げましたことに関連して参りますれども、保育のワくというものの狭さをお母さん自身が感じておられると思います。それから最近は非常に保育園が、ただ昔の託児所的な子供の捨場という考え方でなく、親たち自身も集団生活になれさせて社会性を発達させなければ——そういうむずかしい言葉ではなかなか申しませんけれども早く入れてほしい。年寄りがうちにいる、いれば保育にかけないとされておりますけれども、あまり年をとったおばあさん方が子供たちを見ておるということは、やはり私たちの目から見れば、保育園にかける場合があるのです。そういうことで若いお母さん方は、集団生活に入れて——そしておばあさんは病気も持っているし、集団生活に入れたいというときに、その限界が違ってくるわけなんです。私はもう少し、いつも考えておることは、幼児教育ということの一元化ですね。あの年令の子供たちに全部同じ教育を受けさせて、しかも、保育園に一日預からなければならない家庭子供は、何らかの方法でさらにまた預かるというような差別のない教育を親たちも望んでおるんじゃないかと思います。それから保母さんたちがそうやって陳情をし、休まれるということは、お母さん方にとってとても不安らしいのです。それでうちの子供の方の先生はまたお休みでほかの先生になっている、何だか五十人も六十人も預かると不安ですね、という声を方々から聞かれるわけです。だから、そういう点からも私たちの保障は全額とまではいかなくても一部国庫負担になるような方法になってくれたらと思います。大体私どもの耳に入ってくるようなことはそういったようなことだと思います。  それから、先ほどお母さんの参考人の方から申し述べましたように、保育料の高いということが親にとって一番難点らしゅうございます。たとえば入りますときは、どうしても入れたいために、全額払いますねと念を押しますと、はい、払いますと言ってしまったと言うのです。ところが、何カ月かたちますと、滞納が始まります。滞納が始まったので調査しますと、保育料が払えない。ところが、払えないということをはっきり言える親はよろしいけれども、やはりいろいろ面子か何かあって、経済的に苦しいから退所させますというはっきりとした理由を持って出てくる親ばかりはないのです。それで大へんお互いに苦しい立場になることがあるのですけれども、引っ越しますからやめますと言ってやめた親が二人ばかりございました。そして引っ越すからといってやめておいて、その後買物のときに、私たちが帰るときにときどき会うのです。そうしますと、お母さんの方がとても気まずい思いをして、先生が向うから来たと思うと、つつっと向うに逃げていく、それていく、そういうときに何とも言えない気の毒さがあるわけです。それで保育園を終了したら今度はお金がかからないだろうと陰で言っておる声も聞きますし、確かに親にとっては負担が相当きついだろうと思っております。そんな点を感じております。
  46. 坂本昭

    坂本昭君 お母さんの方の中川さんに一つ伺いたいのです。赤ちゃんをぜひ見に来て下さいということなので、これはいずれ皆さんと相談して行く機会があると思いますが、今、保育料が出ましたけれども、普通、あなたの場合、一体保育料がどれくらいだと一番安心して保育所子供さんを預けることができるか、実はこれについては、こういう意見も聞いておるのです。婦人の日雇い労働者の一日の賃金、これは地区によって違うでしょう、二百五十円の所もあれば三百円以上の所もあるでしょうが、婦人労働者の日雇いの一日の賃金が大体保育料として一番安心して預けることのできる金額だということを聞いておるのですが、お母さんとして、保育料はどれくらいがいいか聞かして下さい。
  47. 中川はつ

    参考人(中川はつ君) 日雇いをした場合、一日二百五十円でございますね。二百五十円でございますと、母と子供と、子供二人いる家庭もございます。そういうときに、結局七千円、五千円取りましても、家賃がやはり二千五百円や三千円必ずかかる、電気代、水道代、お米でほとんど一ぱいだろうと思うのです。できることでしたら子供におやつもあげたいし、たまに着物も買わなければならない。ですから、保育園にあげる費用は、日雇いなどはほんとうは全額免除してもらいたい、そんなに考えております。
  48. 坂本昭

    坂本昭君 最後に、牧野参考人にお伺いいたしたいと思います。三つ伺いたいのですが、先般高田局長に、今度の厚生省原案で徴収した場合にどのくらいの見通しを持っているかといって、予算委員会でお尋ねしましたところ、三十八億程度徴収の見通しを持っておる、そういう説明がありました。このたびの予算は二十五億三千三百万円ですが、今の厚生省の原案では、これは予算が余るのではないかと思われる節もあるのですが、いかがですか。
  49. 牧野修二

    参考人(牧野修二君) 私も実は何分にも忙しいので、大ざっぱな計算でございますが、ちょっと略算をしてみたわけであります。それで略算の方法としては、実は二つの方法をとったわけであります。それで、これは前年度、三十二年度のことでございますが、入所児童が約六十三、四万、そして、そのうち措置児が約六十万、それに対するA層、B層、C層、D層のパーセンテージを大体仄聞しておりますので、それを掛けまして人員を出す。それにそれぞれの徴収額を掛けましたならば——ただし、それはいわゆる層の中の乳児と幼児との区別がはっきりつかめませんので、一応全部を幼児として考えて、そうして概算いたしましたところが、大体一年間に三十六億の徴収になる。従いまして、乳児の徴収分を加えますれば、高田局長が大体三十八億とおっしゃったのは、私のしろうとの計算とほぼ一致するというように考えます。そういたしまして、問題は、この三十八億の徴収は、一応援護率を肯定するという意味合いでなく、予算編成の目途としてどの程度のいわゆる徴収率として考えられるかという点を一応推定したわけであります。そういたしまして、従来が、つまり昨年が三六%の援護率、徴収率が六四%でございます。そして、厚生当局希望しておりますのは、いわゆる援護率四〇%、徴収率六〇%と仄聞しておりますので、一応その線で、徴収率六〇%という意味合いでやりますと、六六、三十六で、措置費六十億になる。そうすると、それから三十六億——局長のお話はもっとこまかいから三十八億になるのですが、私の至っての概算では三十六億、これを引きますと二十四億残る。二十四億はいわゆる保護費でありますから、それに八割の国庫負担をいたしますと、約二十億、しかし、これは先ほど申しましたように、全部幼児と推定したのでありますから、先ほどのお話の三十八億で計算し直せばほぼ出るじゃないか。従いまして、そこに今日の予算でやっていただきましても、幾分か残るのじゃないか、これは実に失礼な推定かもしれませんが、そういうふうに考えます。  もう一つの問題は、とにかく行管及び大蔵省あるいは会計検査院等が指摘しております点は、いわゆる徴収の不適正であります。それから行管は保育所幼稚園化、すなわち措置の不適正であります。それで措置費、いわゆる限度額そのものについては指摘していないように私は理解しておるわけであります。従いまして一応、いわゆるそれらの勧告を受け入れるものとして考える、そうした場合には、いわゆる徴収の方を改善する、しかしながら、何事も改善することはいいことでございますから、その際に、いわゆる混乱なり出血を起さないで、なお指摘されなかったところの限度額問題をも改善できればこれにこしたことはない。もっと根本的にいえば、先ほど来お話のある、いわゆる児童に対する福祉行政と教育行政との一本化という問題もありますが、あまり欲を言っても仕方ありませんから、先ほど申し上げた意味で、さしあたりは指摘された徴収の方だけを改善をする、そうして限度額の方は少くとも今度は、三十三年度は、刺激、混乱を起さないように従来の方法をやっていった場合には、二十五億三千万円でできるだろうかどうだろうかというようなことをちょっと推算してみたわけであります。もちろん、これも実にこまかくするには、それについてこまかいデータがなければなりませんが、残念ながら民間人の私としては、それが手元にございません。ただ要するに三十一年度決算における措置費の全額、これが一応、つまり現行制度における措置費でありますから、それに今度は三十二年度においては、先生方及び厚生当局の御努力で超勤手当二千円がふえておりますから、これを児童一人当りの月額にして加算をして、それからいまだ通達は行われませんが、〇・五カ月の期末手当及び給食費の増額があります、従いまして、これをも加算いたす、そうすると三十一年度と比較して、三十二年度における児童一人当りのいわゆる全額が出る、現行措置費限度額制度における金額が出る、それに三十一年度以後三十二年度、それから三十三年度に予想さるべき自然増加の人員を加える、そういたしまして、どのくらいのそこに、現行制度のやり方をした場合には、幾らかかるだろうかということを、やはりこれも乳児と区別することは非常にめんどうでございますから、大ざっぱにやりますれば、六十二、四億でないだろうかというふうに推定いたします。それからかりに六十四億といたしまして、そこに一応その徴収については、本省の改善の内案ですか、この内案をそのまま実施するという場合には、やはり三十六億、それを差し引きまして、それに国庫負担に八割を掛けると大体二十五億二千万円でできるのではないだろうか。かりにもっと詳しくすれば、あるいは一億くらい足りなくなるのかもわからない。しかしながら、この算定の根拠自体も、昨年における入所児童のパーセンテージでございますから、すでにこの三月には相当数退所して、そうして新入児がありますから、その構成のパーセンテージも変化してくる。でありますから、場合によればもっとふえるかもわかりません。しかしながら、それらにつきましては、事、子供の仕合せの問題でございますから二、三億程度のことでもし済むならば、むしろ予備費の支出もしくは補正予算、必ずしも今回の内案によった場合には補正予算を組まずに済ませるという断言は、これは神様よりほかに断言し得ることでないので、場合によれば補正予算ということも、年度末等においてはあり得るとしたならば、一応この措置費の方につきましては、これは混乱、出血があるということが目に見えている以上、これを十分慎重に研究して、もちろん改善趣旨というものはけっこうですから、それが実際に生かされるようなことのために御研究を願う。さしあたりは徴収の改善をやっていただくというふうにしていただきたいというのが私の考えでございます。
  50. 坂本昭

    坂本昭君 次に伺いたい点は、この前私も高知県、東京都で少し計算してみましたが、百八十人あるいは二百人以上の措置児童を収容している保育所といえば、比較的黒字になる傾向があるように思いますが、この点については、どういうようなお考えでございますか。
  51. 牧野修二

    参考人(牧野修二君) それは全く議員先生のおっしゃる通りでありまして、大体その個々の施設によって違いますけれども、大まかな意見は、二百人以上は、一応例示されたる保育単価においては黒字になる。従いまして、その点は保育研究会におきましても、かりに、その当時、金額は例示されておりませんが、かりに保育単価制をとった場合には、勢い単価制のとり方によりましては、いわゆる弱小規模が経営困難に陥る。それから膨大規模が経営が楽になるということが生ずる。しかし、そういうふうなことはやはり困りますから、弱小規模については、保育単価とは別個な、いわゆる経営措置的な救済策を講じてやりたい。それから、今度は膨大なる規模というものは、これは、全国的に例を見ても少いのですし、また保育所における児童の通園距離等から考えても、あまりに膨大なる規模というものは好ましくない。従いまして、それについては厚生省としては、いわゆる適正規模といいますか、標準規模というようなお考えを立てていただいて、順次これを御指導願うというふうにしていただきたいということも申し上げたわけであります。
  52. 坂本昭

    坂本昭君 私として、皆さんの参考人の結論的な気持で、ほぼ牧野参考人意見でわかりましたが、最後にお伺いしたいのは、結局、今の状況であるならば、三十三年度の方針としてはどうするか、ただいま徴収方法のみを改良して限度額は従来のを踏襲するという一つの御意見を述べていただきましたが、あらためて結論的な意味で三十三年度の方針をどうするか、それと先ほど触れておられましたが、児童保育法といいますか、少し変った考えで幼児教育の問題について論じておられましたが、あなたの根本的な幼児対策についてのお考えを述べていただいて、結論としていただきたいと思います。
  53. 牧野修二

    参考人(牧野修二君) 私は、先ほどちょっと申し上げましたように、実は乳児及び幼児でございますが、もちろんそれからなお広げましては児童でございますが、いわゆる成人以前の者、すなわち児童等に対しては、やはり成人と違いまして教育ということが絶対に必要な過程にある、それから一方、今日の社会情勢から考えまして、やはり社会保障が必要である、成人の場合には、ある意味において、もちろんサイド・ワーク的に教育をすることもありますが、ある意味においてこれは経済保護で足りる場合が大体根幹をなす、それでその意味におきまして、私は、事児童に対する対策は、教育制度と社会保障制度がミックスした形で行われなければならないというように考えるわけであります。そうして、それは単に私の考えでなくして、現実の日本における両者の制度の発展というものが好むと好まざるとにかかわらず、それが必然的な傾向をたどっておるのではないか。たとえば以前は、椎名先生の例などを見てもわかるように、貧民教育と普通児の教育が教育においてもなされておった。ところが、今日ではこれが両者一体化されまして義務教官となって、それでその義務教育の中において、いわゆる困窮者に対する制度が行われておる。これが何よりも大きな事実であります。なお、最近は盲児施設の場合におきましても、たとえば、以前はその盲児の義務教育につきましても、寄宿舎がございましたが、単にそれは月謝を奨励費として予算に計上してあるだけであって、そうして食費等はなかった。その際に盲児施設は非常な機能を発揮したわけであります。ところが、おととしでしたか、さきおととしでしたか、いわゆる義務教育奨励の案が採決されそれが実施されまして、そうして今日は貧困盲児等が学校の寄宿舎において安心して通えるようになった。ここに一面盲児施設の今後の新しい分野というものを考えなければならぬ事態もありますが、とにかくそういうようになった。それからまた特殊学校あるいは養護学級等の設置が盛んになりまして、そうしてやはりここに教育と社会保障というものが一体化されつつある、これらの必然的な傾向からしましても、やはり私の考えておることは必ずしも不当でないというふうに考えるわけであります。従いまして、この問題を幼児保育に当てはめますときには、私はやはりそれがその二つのミックスした形においてなされるべきだ。その意味においては、それのいわゆる行政的な機構までも考えなければなりませぬので、これはまことに行き過ぎた考えかもわかりませんが、私は年来の主帳である児童省の設置によって、そうして文部省と厚生省とのそのセクションの問題等もそういう形において解決されるよう先生方にお力添えを願えればありがたい。  それからなお、立ちましたついでに、もし先生方に誤解をお招きしてはいけないと思いますから申し添えますが、要するに、先ほども申し上げました現行措置費制度をなにするという意味は、これが全面的によいという意味で立っておるということではないのです。つまりこれは波乱が起きるし、年度内において実施になるということでないように、いわゆる年度最初においてやる、そういう意味合いにおいて、さしあたり今までなれてきたいわゆる現行措置費制度、しかも、その徴収の方の改善だけはお手をつけるのは無理からぬことである、これも今の例示そのままを全面的に承認するのではなくして、なお検討を願う。しかしながら、それだけはやはり改善しなければならないでありましょうという意味でございますから、どうぞ御了解を願います。
  54. 坂本昭

    坂本昭君 どうもありがとうございました。
  55. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 参考人の方々に対する質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  参考人各位には長時間にわたり貴重なる御意見をお聞かせ下さいまして、まことにありがとうございました。この機会に委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  57. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  提案理由の説明を願います。衆議院議員野澤清人君。
  58. 野澤清人

    衆議院議員(野澤清人君) ただいま議題となりましたあん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  本案による改正の第一は、現在医業類似行為を行うことを本年末まで認められている、いわゆる既存業者に対してその期間をさらに三年間延長し、同時にその間にあん摩師試験の受験資格を認め、これに合格した者は、あん摩師の免許を受けることができることといたすことであります。  第二は、指圧を業とすることを本年末まで認められていた者に対して、その期間をさらに三年間延長しようとするものであります。  以上が本案の趣旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決せられるようお願い申し上げます。
  59. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本案に対する質疑は、次回以後にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時九分散会      —————・—————