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1958-03-20 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十日(木曜日)    午前十一時二十一分開会     —————————————   委員異動 三月十九日委員片岡文重辞任につ き、その補欠として荒木正三郎君を議 長において指名した。 本日委員荒木正三郎辞任につき、そ の補欠として片岡文重君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君            中山 福藏君    委員            有馬 英二君            鈴木 万平君            谷口弥三郎君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            藤田藤太郎君   国務大臣    労 働 大 臣 石田 博英君   政府委員    警察庁警備部長 山口 喜雄君    労働大臣官房長 澁谷 直藏君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    日本国有鉄    道常務理事   吾孫子 豊君    日本国有鉄道公    安本部長    橋本錬太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (ILOの問題に関する件)  (日本国有鉄道岡山管理局に於ける  労働争議に関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 委員会を開きます。  委員異動報告いたします。  三月十九日付をもって片岡文重君が辞任され、その補欠として荒木正三郎君が選任されました。三月二十日付をもって荒木正三郎君が辞任され、その補欠として片岡文重君が選任されました。     —————————————
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 労働情勢に関する調査の一環として、一般労働問題に関する件を議題といたします。まず、ILOの問題について質疑を願います。
  4. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、労働大臣に、先日ILO理事会のいろいろなことが論議されたようでございますから、これに関連して、国際労働機関憲章の問題とフィラデルフィア宣言の問題について、原則的な問題についてまずお伺いしたいと思うのです。  国際労働憲章前文というのが一番大事な、憲章の柱だと私は思うのです。「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができるから、」という書き出しで、いろいろのことがうたわれております。しかし、いろいろのことをうたわれておりますけれども、私たちは、先日のILO理事会との関連から参りますと、ここに結社の自由の原則という問題がまず出てこようと思うのです。ほかの問題はこの次に譲りまして、きょうは、その問題を中心に、御質問をしたいと思うのです。  ここに、その前文に、「結社の自由の原則承認、」ということが明確にうたってあります。フィラデルフィア宣言基本原則の第二に、「結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。」ということを明確にうたっている。この結社の自由ということがILOの骨をなしている。そこで、日本は一時脱退したけれども、戦後十大産業国常任理事国として、いろいろのILO条約勧告について取り組んでおる。だから、この結社の自由の原則という問題について、まずどういう工合にお考えになるか、見解を労働大臣一つ
  5. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、今言われた結社の自由の原則というもの、その原則的にはそうあるべきものだ、こう考えております。
  6. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 原則はそうあるべきだ、原則承認される。そしてあらゆるところにこの原則が適用されていくところに、私はこの憲章宣言精神があると思う。ところが、今日国家事業における公務員並びに国家事業における労働者結社の自由ということが、たとえば、公労法でいくと、四条三項で自由が認められていない。そこに問題が起きてくるわけです。そこで、この問題は、今日世界各国が競って議論をしております。今日非常に話題になっているのは、よくいろいろなところで議論されるのを見ていますと、共産圏における結社の自由ということで、こぞって非難をされているように、いまの結社の自由に対する非難の声は、共産圏で自由であるかどうかということは、私はよく十分に知悉はいたしませんけれども、各国がこぞってここに非難の言を集中しているのが今日の流れじゃないか。それほど結社の自由ということが、今日のILOに参加している国の間ではもう常識である。ところが、日本にはまだそれが認められていない。先日もここで質疑を行なっていると、批准をしているところは三十一である。その他のところは批准をしていない。ところが、表を見てみますと、たとえばアメリカ批准していないと思います。しかし、労働大臣もよく御存じの通りアメリカ結社の自由を制限した何らかの法律があるかどうか、これは問題になってくると思う。それくらいの批准はしてなくても、実際に国内でこれを実施しているのがもう世界常識だと私は思う。そういう問題になってくるのでありますから、今度理事会でこの問題が論議されてきているというのも、私はその流れの中だと思う。だから、参考までに私は申し上げてみたいと思うのですが、この三月十一日から十五日の間に開かれた百三十八回の理事会では、団結権の問題について、二つの決定をいたしております。第一の問題は、こういう工合に決定されているようであります。理事会は、未批准のすべての政府に対し、結社の自由及び団結権の擁護に関する条約並びに団結権及び団体交渉権について原則の適用に関する条約批准し適用することを可能ならしめる必要な処置をとるよう、特別かつ緊急に要請したい。理事会はさらにこれらの条約批准に関しての状態を定期的に検討するという第一議案というものが、理事会四十名のうち三十八名の賛成反対なし、保留一、こういう格好でこの問題が討議決定されておるのです。また、別なところからいきますと、第二の議案では、結社の自由に関する事実調査を行う、具体的な主要な国を行なっていくということになると思うのですが、日本も、この調査対象国になっておったということを漏れ承わっている。最終的には、今後理事会で、事務局やその他で、日本がこの調査対象国になる、八十国のうちで、日本団結権の自由という問題で対象国になるということは、私は非常に残念なことだと思うのです。そこで、第一号議案には、日本政府は、保留という態度をとられたようであります。これは、三十八賛成反対なし、保留一、日本政府という格好だそうでございます。結社の自由に関する事実調査を行うというところでは、賛成が三十五、反対なし、日本政府も、これには賛成をしていられるようでございます。だから、実際問題になってくると、私は、日本の国としては、非常に重大な段階というものがじりじりと迫ってきているような気がするわけです。だから私は、今問題になっている結社の自由という問題については、非常に国全体として考えなければならぬときがきているのじゃないか。第一号の議案、第二号の議案という格好でして、八十何カ国の中に日本が指名されて、この結社の自由に関する事実調査というものが日本に来るということになれば、非常に恥かしいことじゃないかと私は思うのです。そういう関係について、労働大臣はどうお考えになりますか、お伺いしたい。
  7. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まず第一、結社の自由ということについて、これは、原則的にそうあるべきものと思うわけでありますが、それじゃ日本実情が、結社の自由ということについて著しく制限を加えているかというと、私はそうは思いません。部分的に、公務員の場合、しかもその公務員の場合の団結の、そのまた部分において制限を加えておるという事実は認めます。ただこれは、わが国憲法上におきましても、公務員には特定の義務が課せられておるわけでございます。しかし、私は、でき得べくば、この問題をいつまでも放置しておくべきことでないと考えておりますので、私は、労働大臣に就任をいたしましたすぐ直後に、労働問題懇談会に、この問題についての御審議を願ったわけであります。決してこれは、いつまでもこのままの状態でほおかぶりしていいと考えていないということは、それでおわかりいただけると思うわけです。労働問題懇談会で今審議継続中であることも御承知でございましょうし、特にこの問題についての小委員会を設けられていることも、たびたび申し上げておる通りであります。そのほか社会党の方では、衆議院の社会労働委員会におきまして、これは、八十七号条約だけでなく、ILO条約全体について審議をする、批准を促進するための準備をする機関を設けてはどうかという御発言もあり、また、非公式ではございますが、社会党幹部方々からも私にそういう話がございました。そういう点についても、今御協議を進めておる状態であります。ただこれも、皆さん御承知通りわが国国内法に、あの条約をそのまま批准をいたしますると、抵触する部面が相当あります。その間の調整をどうするか。また、国内法も、そのときあるいは現在においても、必要と思わるる背景を持って成立した法律でございますから、その背景をどう考えるかということも、同時に研究をしなければならない問題であります。ILO条約精神及び決議を尊重するということについては、あとう限りの努力をしていかなければならぬことは、言うまでもないのでありますが、それと同時に、それぞれの国々における特殊事情、それから、自主性というものも認められておるわけでありますから、その間を調整をとりまして、できるだけすみやかに解決したいと思っておることが、今私の考え方であります。  それからもう一点は、この三月の上旬から中旬に開かれました理事会における日本代表のとりました態度についての御質問でありましたが、これは、新聞報道では承知しております。しかし、公式の報告にはまだ承わっておりません。実は、政府代表が本日帰国いたします。帰国いたしまして、詳細な報告を聞いた上で、あらためてお答えを申し上げたいと、こう考えております。
  8. 木島虎藏

    木島虎藏君 関連して、今の労働大臣お話の中に、ILO批准をすると、国内法にそれが矛盾する点がいろいろあると、その矛盾は、国内法ができたのには、日本のその法律ができるための背景があると、こういうことをおっしゃったのです。それに関連してちょっとお尋ねしたいのですが、私どものささやかな経験からいきますと、終戦後あの混乱した時代に、いろいろ団体交渉をやったり、労働組合を扱った経験があるのですが、そのころ非常に私痛感いたしましたことは、日本労働組合占領軍にもらった組合で、自分たちが血と涙でかち取った組合でない、だからこういうことがあるんじゃないかと思って、非常に痛感した事があるのです。これは、どういうことかと申しますと、組合幹部に出ておられる方が、この自分たち仕事に豊富な経験を持っておられる方が少い。口先がうまくて、議論がうまくて、少くとも演説の上手な、大衆から推されるような方が出ておられて、団体交渉をしておるときに、どうもおっしゃることがほんとうにみんなの利益になることだろうかどうかと疑われることが非常に多くて、私は試みに、あなたは、職場に入って何年ですかと言ったら、いや一年だとか二年だとかいう方が非常に多いのでございまして、そこで、そのことを非常に痛感したのでございます。で、当時は終戦後の混乱のときでございますから、その当時幹部方々が、組合内部の方に連絡をするよりは、外の方に指示を受けて動くというような事態がまれにあったのです。それで私は、困ったものだと、こう思いましたが、一体ほかの諸外国では、組合幹部になるのは、あるいは勤務年限が十年以上とか、何年以上とか、相当組合実情を知っ方でなければ幹部になれないというような組合内部規約か何かあるのでしょうか。あるいは近ごろはどうか知りませんが、日本組合ではそういう規約があるでしょうか。その辺のことがおわかりになりましたら、一つどなたからでもいいから、実情を教えていただきたい。
  9. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、常識的に考えて、そういうことはないように思いますけれども、しかし、実情はどうか……。今調べましたその話を聞きますと、アメリカ公益事業労働組合では、その組合規約の中に、組合員になるのには、その企業に勤めて一定の年限を経たものでなければならないと、それから、役員になるのに、やはり勤務年限制限があることがあるそうであります。
  10. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の木島さんのそういうところを私も世界の中に一、二あることを知っています。知っていますけれども、それは、何にも社会的またはその政治の中の制約でないのであって組合が自由にそういう規律を持っているところが、私もいろいろと調べてみるとあると思います。それは、自主的な問題なのです。それは、ここで議論になっている団結権の自由の問題と違うと思う。それからまた、本来労働組合というものは、一年とか十年とか三十年とかいいましても、賃金、給与、生活の問題とあわせて、その労働環境一切、苦情処理の問題まであわせて、われわれの代表になり得るかならないかというところにおいて役員がきまるのであって、本来の姿としては、一年経験あろうと、十年経験あろうと、そんなことは問題でない。むしろ、自分らの百パーセントの要求をどれだけ代表してくれるということで自分役員がきまる。労働組合ばかりじゃないと思う。会社組織もそうなら、地方の一切の民間団体民間団体といわず、その他の団体も、その会の趣旨団体趣旨代表される人が選ばれていくというところに、その団体の活動の意義があると私は思うのです。それはやはりそういうものだと思うのです。だから私は、今のお話はいいですよ。私は何もこだわりませんけれども、本来の姿で私は議論をしてもらいたいと思うのです。だから、今労働大臣は、ほんの一部の制約と言われましたけれども、今の公務員には、罷業権団体行動権団体交渉権の問題まで違う。今の公労法関係労働者には、団体行動権制約されて、団結の自由という問題にまで入ってきているのです。今私らが経験したところで見てみますと、たとえば、チェック・オフの問題あたりでも、先日のILOアジア地域会議では、労働組合の健全な発展のためには、これはやはりむしろ推進していくことがいいのじゃないかという議論が、ニューデリーのアジア会議では議論されているのですが、しかし、いまの団結権の自由、要するに八十七号の条約、それから公労法の四条三項という形から、今の機労の諸君は、一切の団体としての、陳情すらそれに与えられていない。こういう工合になってくるようないろいろの問題が今日世界の中で論議され、実行しようとしている現実というものを、私は、労働行政立場から、労働大臣はよく見ていただきたいと思うのです。むろん労働者生活というものがあるでしょう。労働者生活を守るだけで、仕事はしないかといえば、決してそうじゃない。やはり会社一員として、その事業の中の一員としての役割、任務があると思う。個々の労働者会社との関係企業との関係、それも一つあるでしょう。しかし、もっと大きく、社会人としての役割があって、そのかわりに、今の憲法精神と申しましょうか、われわれ労働者自身がその中で生きていくためには、自分生活というもの、環境というものをやはり要求し、そして守っていくという、これは基本的な私は考え方だと思う。これが頭の一番頂点でぴしゃっと押えられているというところにこの問題が出てきているということは、労働大臣よく御理解されていると思うのです。  そこで、先ほど、国内法の改正の問題、これは当然、公労法の四条三項の問題は改正しなければなりません。その他、地公労法または公務員法にも関係するこれは条約でございましょう。しかし私は、そういうことであればあるほど、この問題というものが、今労働大臣は、懇談会にゆだねて、この問題の結着について推進していく、こうおっしゃいました。これも、昨年の暮れあたりからそういう格好になっているのですけれども、国際労働条約批准促進に関する決議案というのが二十七年の第十三国会決議されているわけです。ここで一番批准決議頂点に達しているものは、私は、国際信用の問題、これは、労働者生活貿易経済発展ということに関連してくる問題だと思います。私は、ちょっと参考までに読み上げてみたいと思うのです。   我が国は、先に再び国際労働機関に  加盟した。然るに同機関において採  択されておる国際労働条約のうちに  は、我が国において未だ批准してい  ないものが少くない。これら条約の  早急な批准は、我が国国際信用を  高め、貿易発展を促進し、経済の  基盤を強化し、円滑な労使関係を維  持することに貢献するものである。   よって政府は速やかにこれら国際  労働条約批准手続をとるべきであ  る。   右決議する。  これは二十七年です。今から見ると六年前という決議がされておるわけです。ところが、百七つのうち二十四、日本批准をしている。ところが、一番基本原則である労働三権というものがその中で一部制約されているというけれども、団結権の自由、これが今じぶんもたついているということは、私は非常に恥かしいと思う。だから、この批准促進に関する決議案がきめられてから、六年以上もたっているのですから、こういう点にどのような手続をおとりになってきたか、この際聞いておきたい。
  11. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 今までとって参りました手続は、事務当局から申し上げます。ただ私は、先ほども申し上げましたように、この問題をこのまま放置しておくつもりではないのであって、そういうつもりでありませんから、労働問題懇談会に昨年の暮れとおっしゃいましたが、九月に——私が就任いたしましたのは七月の中旬でございますから、早々にこの問題の処理とお願いをしておるわけであります。それから、私が一部に制限があるということを申しましたことについて御議論がございましたが、私は、日本の国の法制の中におきまして、基本的に団結の自由というものが脅かされているわけではない。公務員においても、団結の自由が脅かされているわけではない。ただ、その団結のあり方について一部制約が加えられておる。その一部制約を加えられておるものが八十七号条約に抵触するものがある、抵触すると考えられる節がある。従って、その間の調整をする必要があり、それから特に消防夫でありますとか、刑務所の職員、そういう人たちには団結の自由が認められていない。それからそのほか、地方公務員国家公務員法上のいろいろ抵触する部分であり、そういうものとの調整をどうしていくか、それらの法律は、それらの法律が作られた背景がある。その法律を必要とした背景が今日どんな状態になっておるか、どう改めなければならないか、そういう点との考慮を十分払っていかなければなりません。しかし、私は、さっきから繰り返して申し上げまする通り、このまま放置しておく意思はないのであって、何とか処理をしたいという考えでいっておるわけであります。ただ、八十七号条約においては、特に公務員を除外する規定はございませんけれども、団体交渉権に関する条約につきましては、その第六条で、公務員は除外されております。そういう実例もありますから、たとえば、国家公務員団体交渉権がないからといって、それがILO条約に違反するということにはならないと私は思う。しかし、今までの経過措置については、事務当局から説明させます。
  12. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 昭和二十七年は、御承知のように、わが国ILOに復帰した年でありまして、その年の国会において、衆参両院において、それぞれILO関係条約批准促進決議がなされておるのでございます。従いまして、政府といたしましても、たびたび大臣からも申し上げておりますように、基本的にILO関係条約批准を促進するということについては、もとより異論があるわけではございませんので、政府部内において、各条約について逐次検討を加えまして、国内法その他との関係におきまして批准が可能であるものは、批准手続をとっているわけであります。戦後におきまして、わが国批准をいたしました条約は、全体で十でございます。それで、問題になっております第八十七号条約につきましても、ほかの条約と同様に、政府部内においては、従来とも検討を加えてきておったのでございますが、昨年九月、大臣からも申しましたように、労働問題懇談会にかけて、目下小委員会において検討いたしているのは、御承知通りでございます。
  13. 木島虎藏

    木島虎藏君 ちょっと関連して……。先ほど藤田委員から機労の話が出ましたが、現在機労は、馘首になった三役がおりまして、団体交渉ができないという事情承知しておりますが、第一審で、憲法上の組合ではあるが、労働組合法上の組合ではないという判決を受けたので、国鉄当局では、これを相手にせずという措置をとって、一切の話し合い——事実上の話し合いとか、そういうことに応ぜぬという通達を出しているという話ですが、そうですか。
  14. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまお尋ねのございました点につきましては、現在の機労状態公労法違反であるということでございますので、国鉄当局としては、団体交渉に応ずる義務はない、そうしてそういう法律に違反した状態は、一日もすみやかに法律に適合した状態に改めていただきたいということを強く希望しておりますので、そのために、労使関係のけじめをはっきりさせるという意味から、団体交渉はやらない、また、団体交渉とまぎらわしいような、陳情とか話し合いとかというようなこともやらないのだという通達を出していることは事実でございます。
  15. 木島虎藏

    木島虎藏君 前段のことはわかるのですが、あとのことは、団体交渉にまぎらわしいような話とかいうようなことは、実に限界がむずかしいことでありまして、それを、今のように相手にせずなんてやっているのは、少し扱いがひどいと思うのですが、労働大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  16. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、公社がおやりになることなんですが、どの程度の実体を相手にしているのか、いないのか、実はつまびらかにいたしません。しかし、実際問題としては、これは私は、正確に承知しているわけではないのですが、三六協定のようなことはどうなっているのですか、それをちょっと……。
  17. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 労働基準法協定につきましては、これは、いわゆる公労法団交事項というものとは多少性格も違うという考え方に立ちまして、今お話の三六協定というものにつきましては、団交とは区別できるという立場で締結いたしている場所が相当ございます。
  18. 木島虎藏

    木島虎藏君 この際、ちょっと要望しておきますけれども、そう四角四面に突っぱらずに、同じ職員で働かしているのだから、少しはその辺にゆとりをもって、相手にしてやったらどうかということを、労働大臣からもあっせんしてやって下さったらどうかということを要望しておきます。
  19. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、御承知のように、昨年の暮れ、現実的な解決をしようという立場から、今木島さんのおっしゃったような立場から、藤林公労委会長あっせんをされて、そしてそのあっせん案国鉄労働組合承認をした。そうして機関車労働組合はこれを拒否したということになっているわけでございます。つまり現実立場から、労働省といたしましても、藤林あっせん案というものを歓迎をいたしまして法規の解釈からいえば、いろいろ議論の余地がございましょうけれども、今、木島委員のおっしゃいましたような立場から、現実的な処理として、藤林あっせん案を歓迎したのでありますが、残念ながら機労がこれを拒否した。しかも、片一方がこれを承認しておるのに、拒否したという事態があるわけでございます。そこで、現実的な解決の努力を労働省としてしていないのではない。しておるわけであります。しかも、その方法があるわけなのであります。しかも、それができないのではない。国鉄労働組合はやっておるわけなのであります。ですから私は、この藤林あっせん案機関車労働組合が御承認願うということが、一番現実的な解決の方法だと思っております。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の木島委員の触れられた問題ですね。私も、この前に解れたから、きょうは触れようと思わなかったのだが、少し解れられたから私も……、三六協定で、労働者に時間延長とか、時間外勤務とか、こういうことだけは協定して働かす、その他は、陳情すらいかぬ、陳情どころか、当局が従業員に出された書類を見せてくれと言っても、それも見せぬという、こういうのが現実なんですよ。それは、何が根本にあるかというと、労働省等の議論の中で生まれてくるのは、憲法組合であり、公労法組合である、しかし、この四条三項の適用が受けられないから問題があるのだということだけで、そういう処置がとられているわけです。で、地裁の裁判の問題が出ましたけれども、労働省は、よく今まで一貫して、いろいろの労働問題で、地裁というのは一つの段階的な裁判であるから、そういう問題について云々ということを、今までの国会論議の中で言われてきた。私は、今の地裁の決定された——今、控訴中ですから、それに対してとやかく言いたくはありませんけれども、今の根本の根がどこにあるかということを、国会は論議をせなければならぬ問題じゃないかと思う。さっき、労働省の事務局から、批准促進決議案が生まれてからかくかくやって、今の石田労働大臣が就任してから、九月に懇談会にゆだねた、措置したと、こういうことを言われたが、労働大臣は去年の七月でしょう。しかし私は、その間やはり自民党の内閣が続いておったその六年余りの間に、批准促進のために戦後十やったと言うけれども、実際問題として、今度の国会では、私たちが取り上げたからこそこの問題が論議され、ILO全般の条約勧告の問題が今まで論議されている。それは、私もあまり年が古くないから、ずっと昔のことはよくわかりませんけれども、それじゃ二十五、二十六、二十七の国会の中で、ILOの問題というのが、政府当局からわれわれにどういう知悉の方法をやってくれたか、それを聞かしてもらいたい。それよりまだもっと昔、六年間あるのですから、今の石田労働大臣は、そういうことについては議論があっても、一応労働大臣はおやりになっているのだけれども、それまでのことはどうやってこられたのですか、条約や勧告がきまったら、権限ある機関に付議するということが、国際憲章の十九条にきちっと書いてある。その付議する形というのは、どういう工合にされておるか。そういう手続一つも言わぬと、今の労働大臣がおやりになっていることだけを六年間のすべてのようなものの言い方をされても、僕の方は理解できない。
  21. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 今までは、ILO決議された議案その他は、議員に全部配付をいたしております。しかし、その手続で十分であったと私は思いません。そこで、私が就任いたしましてから、この議案等につきましては、政府検討を加えて、政府の意見を付して両院にこれを提出するように、今その準備をさせておるところでございます。今までの手続で十分であったとは思いません。戦前は、これは枢密院にやはり政府の意見を付して出しております。だから、そういう手続をこれからとりたいと、こう思っております。  それから、さっき機労の問題が出ましたが、確かに問題の重点は四条三項です。しかし、四条三項というものが、現にわが国法律として現存しておるんです。それについての是非の議論をすることは、これは自由であり、しなきゃなりませんが、現存している以上は、私はやっぱり守ってもらわなきゃなりません。しかし、それぞれの事情現実的にございますから、その現実的な立場をも考慮して行われたのが藤林あっせん案なんです。しかも、それが労働組合としてそれじゃ非常に無理なものかというと、国労の方はこれをのんでるんですから、私は、のみ得ないものだとは思わない。だから、政府側、公社側の立場をいろいろ御議論なさいますけれども、しかし、政府側、特に労働省側としては、現実的な処理についてただいま申したような努力をしておるんです。その努力にやっぱり応じていただくということが組合側としても、法治国家においてやる組合のあり方ではないかと私は考えております。
  22. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 法治国家とおっしゃいますけれども、それじゃ藤林あっせん案なるものがいかなるものかということであります。そうでしょう。団結権の自由を否定した四条三項によってお前らはその組合を作りなさいということなんです。今問題になっている中心は、団結権の自由の問題なんです。これはやはり、ILOの八十七号の、国際並みのレベルに日本を置くということ、それに関係した国内の法の改正をするべきだと、これは社会党も、先国会において公労法の改正案を出しておりますが、ここで労働大臣とわれわれが議論するということだけでなく、今の国会を構成しているみんなによってこの問題が論議されて、公労法の改正の問題が、私はやはりすなおな形で出てくるという努力がされてこそ当り前だと思うんです。その問題はほっておいて、そして国内法があるから云々という議論には私はならないと思う。私はそうだと思うんですよ。
  23. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それはまあ、これ以上議論することではないと思いますが、私は、このいまのILO条約批准され、そして法律が改正された後においては、これは別問題です。現にまだ法律が改正されていないんです。いない以上は、現在の法律に従ってもらうよりしようがない。その建前が貫かれてそれが前提となって、そして初めて法律の改正ということも意義があるんで、法律を幾ら改正してみても、気に入らないものなら従わなくてもいいんだと、気に入るようにすることが前提だということなら、法律改正を議論する価値がないと私は思う。  それから、社会党が問題にしたからこの問題を取り上げたというのではございません。私は、就任早々、これと最低賃金の問題は、ほうっておいてはいけないから、適当な機関でこれに対する処理を研究するようにということを命じ、そして労働問題懇談会にかけたわけです。
  24. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、その石田労働大臣になってからの手続の問題は一応……、六年幾らも前がある。
  25. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それもお答えをした通り、それを今まで十分であったとは申しません。今までは、全然しなかったわけじゃない。決議条約が決定されますと、その議案日本語に翻訳をいたしまして、原文を添えて各議員に配付し、それから、院にももちろん提出してございます。しかし、それだけでは、いわゆる院に議案として提出した手続であるかというと、これは非常に議論がございましょう。だから、これはやはり明確に政府としては、今までの分を一緒にひっくるめて、はっきりした手続をとりたいと、これはとるように、これも私就任早々命じております。今までやった手続は、これは不十分であった、これも私は認めておるんです。
  26. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、その問題を先に聞いておきたい。  そうすると、この国会に、大体この前の委員会で言われた五十、労働関係が三十一、その他の関係が二十、その数はいいでしょう。数の問題は大筋だけでいいんですから。その問題の、少くとも労働関係の三十幾つの問題は、今度の国会にお出しになるおつもりですか。
  27. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) ただいま労働関係条約の中でおもなものは、先般資料として御配布申し上げたのでございますが、それでもなお十分でないという御意見でございましたので、さらに本日、お手元にお配りしてある国際労働条約の現況報告というものをお配りしておるわけです。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは今もらって、十分見てないんだが、これは三十ほどの条約も全部入っておりますか。
  29. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 全部ではございません。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは、幾つ入っておりますか、何と何と。
  31. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) 一九五二年、昭和二十七年から、五三、五四、五五、五六、五七年理事会において、特に指名されました条約についての実施状況、それから批准しない点はどういう理由であるかという点についての報告書でございます。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この第一の、第一ページですか、この目次にある、これだけじゃないですね、中にもあるわけですね。
  33. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) はい、ございます。特に問題の、結社の自由及び団結権の擁護に関する条約につきましては、冒頭の一九五二年には、きわめて簡単にしか報告は出してございません。しかし、五十六年の報告におきましては、相当詳しく、具体的な内容に触れまして、政府の見解等もここで表明して報告いたしております。
  34. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは、あとから見なければ、今ここでこれをすぐどうこう言えませんけれども、これは、こういう形で国会に付議するという形は、これで付議するという手続はとっておりますか。
  35. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは、付議するということが義務づけられているわけではないんです。つまり国会報告するということなんです。ですから、報告のやり方というものが、今まではつまりロッカーの中にぽんとほうり込んだ程度であった。それではいけないから、もっと政府の意見も付して、過去には政府の意見が十分付せられておりませんから、政府の意見も十分付して、そうして皆さんのお手元にお配りすると同時に、国会報告をすると、そういうことであります。
  36. 山下義信

    ○山下義信君 これは結局、政府の意見を付して提出されたということになれば、これは審議の対象になりはしませんか。報告というものはやはりそのままでは、そう言うと藤田君と矛盾しますが、そのままの報告であって、いやしくも政府の意見がそれに添えられてありましたら、国会は、それをそのまま認めるというわけにいきませんので、やはりこれは、審議の対象にしなければならぬということになると思いますが。
  37. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の申し上げたのは、議案として提出したものではなくて、報告書として、政府の意見を付して報告者を提出するわけです。従って、それが国会審議の対象には当然なります。それから、その報告書をどう取り扱うか、これも国会の御自由であります。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 憲章の十九条では、一年以内にまあ特別のほかの不可能な、いろいろな事情がある場合には、十八カ月以内に権限ある機関に提出するというのは、議案を提出する義務を書いておるのだと思うのです。だから、私の聞いているのは、今ここへお出しになった、これで、この手続を完了したということですか。議案という形式をとらないのですか。
  39. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) この条約第十九条の(b)にありますものは、ここで、明瞭に書いてございまするように、ILOにおきまして条約が採択されて、その採択された条約は、批准のためにすべての加盟国に送付する、それで、その「各加盟国は、立法又は他の措置のために、総会の会期の終了後おそくとも一年以内に、又は例外的な事情のために一年以内に不可能であるときはその後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にも総会の会期の終了後十八カ月以内に、条約を当該事項について権限のある機関に提出することを約束する。」こういう規定でございます。従いまして、たとえば、今度の総会において何々の条約が採択された、そうすると、その採択された条約はすべての加盟国に送付されてくる。それを受けました政府は、一年以内、少くとも総会の終了後十八カ月以内にその権限のある機関に提出しなければならない、その権限のある機関というものは、解釈上国会であることは明瞭になっておるわけでございます。従いまして、政府は、従来この第十九条の規定によりまして、採択されて送付されて参りました条約につきましては、この十九条の(b)の規定によりまして、国会報告書として提出いたしております。しかし、その報告書というものは、先ほど大臣からも申し上げましたように、それについての批准すべきであるかどうかというような政府の意見が付せられておらなかったのでございます。その点は不十分であったので、今後は、それについての政府の意見を付して国会に提出することにいたします。こういうことでございます。
  40. 山下義信

    ○山下義信君 ちょっと関連して……。私は、専門でないから、従来この種の問題に任意を払ったことはないのでありますが、私の記憶によりますと、従来国会報告されたものは、その条約の写しそのままが、先ほど労働大臣べいわれたように、文書箱に入っておっただけであって、今回のように、こういう形式をとられたのは実は初めてです。今官房長が、このたびはこういうふうな初めて新しい形式をとったと、こう言われた、これは、先ほど大臣も言われたように、議案ではないかもわからぬが、案件なんですね。当然審議の対象になるのですね。しかも、政府の意見を付しておるのですね。こういう報告書の形のものが出れば、従来ただ単に報告という形であるものは、あれは、率直に言えば、法理論にはならぬけれども、資料の体裁で配付されてあっただけなんです。それは、そのものは審議の対象にはならないですよ。それで、すぐそのままでは審議の対象にならない。これは、従来公労法の第四条第二項でありましたか、資金上予算上の措置をするときでも、仲裁裁定をそのまま出してきて、政府の意見が添えてないものが、これが審議の対象になるかならぬかといって、ずいぶん議運で取扱いにもんだことがありますが、今度は政府の意見が添えてあって、こういう報告書の形で出されたらば、少くとも、これは当然扱いは言うまでもなく案件でありますが、審議の対象になる要件を備えているのですね、政府の意見が添えてありますから。これはどういうふうに議運が扱ったか、またこれを案件として当該所管の委員会に、われわれの社労に付託したか、どういう手続をとったかということは、これは以前のことですから、一ぺん調べてみなければならぬと思うのですが、これが正式の案件として取り扱うものであるならば、当然審議の対象になるのですね、これは。そういうことなんです。政府の所見はどうですか、お伺いいたします。
  41. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ちょっと誤解がありますので、明確にしておきたいと思うのですけれども、私は、政府の意見を付さないで、ただ要するにロッカーの中にほうり込むというような今までのやり方は、この憲章に書いてある十九条の規定に照らすと不十分である。そこでこれからは、政府の意見を付して国会にまあ報告しなければならない。で、今までの分については、これはまあ一応報告をした手続になってございますが、しかし、こういう問題についても、総括的に研究をして処理をしなければならないし、処理をするための特別の機関をこしらえたらどうだという話が社会党からあったところなんです。今まで、衆議院でそういう質問も出たわけです。そこで、それについては、今そういうことを研究します。社会党からあるないにかかわらず、そういう機関を設けて、今までの五十件ばかりの案件についての取扱いの処理はしたいと思っております。この資料は、先般藤田委員からの要望に基いて、参考資料としてお配りしたものなんです。
  42. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと、委員長質問するのもおかしいのですけれども、今、十九条の(b)の点で御説明になった、政府の意見を付して報告されるということは、これはわかっておるが、それでは、(c)の点はどういう手続をとられたか。大臣が今言われたように、非常に不十分であったという問題であるならば、その不十分を不十分として、(c)の項によって、国際労働事務局長は通知されたのかどうか。国際機関において日本政府がとった……、国際機構から条約を通知された、それを権威ある筋にこれを提案したと、報告したと、その報告国際事務局長に対する通知ですね。国会にはそういう不十分な報告だった、ロッカーにほうり込んだような、報告といえば報告報告じゃないといえば報告じゃない、そういう手続をとっておられるから、国際労働事務局長には何と言ってそれでは報告されておるか、その点を聞きたい。
  43. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) この点は、第十九条の第五項の(c)の規定に従いまして、国会に対してとりましたその措置を忠実に事務局長あてに通知をいたしてございます。で、先般藤田委員から、その通知の状況と申しますか、それについての資料をという御要望がございましたので、ただ、手元に全般についての印刷の資料がございませんでしたので、その一部を、これは非公式でございますが、藤田委員のところにはお届けいたしまして、説明いたしたのでございますが、なお、全議員にお配りするために、現在資料を整備して、印刷しておりますので、でき上り次第、正式に委員会に提出したいと思います。
  44. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) いや、私が質問しておるのは、この十九条の規定に完全に政府は沿っておらなかった、非常に不十分であったということを石田労働大臣も認めて、そうして自分の場合にはこれを完全な、この規定に従ったものにするためにこういう処置をとっておるということを言われておるわけですよ。そうすると、不十分であったものを十分であったごとくに国際労働事務局長には通知してあるはずである。これはおかしいじゃないかということを聞いている。
  45. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の表現を非常に、五割増しか十割増しくらいに言われるのですが、私は、その十九条に規定してある手続と照らし合せるときに、必ずしも完全であったとは言いがたいものがあると、こういう表現をしておるので、非常に不十分とか、はなはだしく違っておるという、手続上の規定に全く反しておるというような意味で申し上げているわけじゃないのです。いわゆる不親切、不十分であると申しますか、完全に適合しているということは言えない。そこで、より以上親切に、丁寧に、完全に適合するような処置をこれからとることを命じてございます。そういうことですから……。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この問題の始まりは、官房長が、僕が大臣との質疑の中で、三十幾つ……、あとの二十幾つのものをこれから国会に出すかどうか。少くとも労働関係の三十はここへ出すかと言うたら、ここへ出していますというたから混乱しちゃってね、そうだろう、君。こんな処置だけで批准を付議する、提出する、付議するという批判の材料になるの、これ。だから、問題は混乱をしてきたのだから、そこのところを、どういう形でそれでは国会に三十幾つの条約を提出し、付議する条件を整えるのかということを聞いている。
  47. 澁谷直藏

    政府委員澁谷直藏君) この点は、先ほど申し上げましたように、条約が採択された際に、その一年以内、おそくとも十八カ月以内に国会に提出しなければならないということでございまして、その手続は、正式に従来もとっておったわけでございます。ただ、その提出の仕方が十分ではなかったという点がございますので、今後はそういう点もなお改善を加えて、十分なものにいたしたいということでございますので、従来、ことに日本が脱退しておりました期間中に採択されました条約については、当然第十九条の手続は適用されないわけでございますので、これらも含めて、労働関係の未批准条約が三十二あるわけでございます。従いまして、これは、第十九条の第五項の(b)によって国会報告書を提出するという問題にはならないわけでございます。しかしながら、国会審議の資料としては、当然必要でございますので、先般資料をお配りしたのでございますが、これはなお不十分である、こういう御指摘がございましたので、それを補足する意味におきまして、今回、本日お配りしたような現況報告をお配りした、こういうことになっております。
  48. 山下義信

    ○山下義信君 済みませんがね。私、これは報告書か資料かということをお聞きして、大臣報告書だとおっしゃったわけですが、それからまた、資料だというお話もあったんですが、報告書か資料かということは、はっきりしておく必要があると思うのですがね。
  49. 石田博英

    国務大臣石田博英君) さっきから申し上げておる通り、このお配りするこれと、それから第十九条の(b)によってやる手続のものとは違うわけでございます。これは、第十九条の(b)によってやる手続は、今までもこの十九条の(b)によってお配りはしておりましたけれども、そのお配りの仕方と申しますか、取扱い方について、私が今日見て、必ずしもこの規定通りとはいえない面もありますので、これからはそういうことのないように、政府の意見も付してちゃんとした形において報告書を国会に出すようにいたしたい。これが一つです。それから、それでは、今までやっておった三十なり、三十幾つ、そういうものについてどうなっておるのだ、またどうするつもりだという藤田委員質問があって、そのどうなっておるかということについて資料を藤田委員にだけはお配りしたけれども、この間、全部に配れというお話でございましたので、今これをやっておるのでございます。これをお配りした。しかし、なおそのほかの資料でも、まだ印刷中のものもございますから、それは印刷のでき次第お配りいたしますということで、二つに分れておるわけでございます。
  50. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。資料なら資料でよろしい。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで問題は、今の労働大臣の発言に沿って議論を進めるならば、労働憲章の十九条は、一年以内、あわせて、困難な場合でも十八カ月以内に権限ある機関に提出するということになっているのです。そうでしょう。それは議案として提出する、付議するということ、審議して下さいという形で提出しなければいかぬと私は思うのです。政府の意見をつけて、肯定で出す場合とか、肯定、否定をせずに出す場合と、私は、形は二つあると思う。いずれにしたって、権限のある機関に付議する、提出するということは、議案として出さなければいかぬと思う。単なる報告であってはいかぬと思う。  そこで、今までの問題は、一年以内、十八カ月以内ということでありますから、労働大臣がもっと具体的な手続でやるというなら、私は、やはりこの国会に、全部の問題というものが、一年も十八カ月もみな過ぎてしまっているんだから、この憲章精神に沿おうとすれば、やはりその精神に沿って、労働大臣の今やろうとする気持は生かさなければならぬと思う。
  52. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 十九条の(b)に規定されているのは、議案として提出するということではなく、そういうことを義務づけられていることではなくて、報告書として提出する、つまりこういうことが行われてそれについて政府はどう考えているかということをつけて提出するものと、提出したものを院がどう取り扱われるかということは、これは院の御自由だと思う。  それから、その手続は、今までも十八カ月以内に政府はやっておりました。やっておりましたが、ここには政府の意見を付するというようなところまでは書いてないと思うけれども、精神は、政府の意見を付すというところまでやるべきだ、つまり政府の意見を付すということは今までやってなかったのです。戦前は、枢密院には政府の意見を付して出しておりました。しかし戦後はやってない。しかし、ここには書いてないけれども、やはり政府の意見を付して出すべきものだと私は考えますので、これからはそういう取扱いにしたいと思います。  そこで、今までたまっているやつはどうするかということになるわけです。そのたまっているやつについては、今少したまり過ぎておりまするし、それだから、これは、あなたは御存じないかもしれませんけれども、衆議院では、何か特別の機関をこしらえたらどうだという意見も出ましたので、その特別の機関をこしらえてそこでそれについての処理を促進するようにしたい、こう考えております。従って、それについて批准をなすべきものが出て参りましたら、そのときは議案として提出をいたします。こういうことです。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それで問題は、取扱いそのものが国会審議にゆだねるということでありましょう。国会がみずからの権限において審議するということになるでしょう。それは、形の上ではそうだ。しかし、国会がみずからの権限において審議するというなら、審議するような形、できるような形というものを整えなければいかぬということを僕は言っている。
  54. 石田博英

    国務大臣石田博英君) だから、それは、今まではこれに、文章に書いてある通りのことはしてあるのです。書いてある通りのことはしている。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もらったけれども、何が書いてある。
  56. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 報告だけはしてありますよ。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 付議する、提出するということが全部ある。何が書いてある、何も書いてないじゃないか。
  58. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 政府の意見を付するということは、法規上は義務づけられていないのです。十九条の五項の(b)というのは。それだから、それは、文章通りのことからいえば、やりましたといえばやりましたことになるのです。なるけれども、その精神は、やはり戦前日本政府が枢密院にとっておったような取扱いを私はすべきだと思うから、これからいたしますというのです。また、今までもするように命じております。しかし、それでは今までのやつをどうするかということは、今までも十九条の(b)の文字通り手続はしてあるわけです。だから、それはそれでいいというわけじゃないのですよ、精神からいえば。だから、精神をくんだやつは、今までも済んだやつは、何か適切な機関を設けて、それによってそれを処理をいたしたい、こういうことを申し上げているのです。
  59. 山下義信

    ○山下義信君 関連して。私は、これは政府のあげ足取りをするのじゃありませんけれども、しばしば質疑応答を承わっておりますと、ILOのこの条約の問題については、いろいろ国内法との関係もあるので、労働問題懇談会にこれを検討させている、こういうことをしばしばおっしゃるけれども、これは、今しばしば御指摘になりました条約の規定からいきますと、条約精神に違反するもので、権威のある機関にすぐかけなければならぬということになっているが、権威のないそういう労働問題懇談会などでこれを扱っておりますということは、これは、非公式なことならともかく、公式の席上でそういうお取扱いをしておるというようなことは、条約精神に沿わぬうらみがあると思いますが、いかがですか。
  60. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この労働条約国会に対する手続は満点だとは申しませんけれども、さっきから申しております通り、やっておるわけであります。  それから、労働問題懇談会というものは、閣議の決定に基きまして、労働省に設けられておる機関でございまして、政府は今この問題の処理をどうしているかと聞かれて、御質問があるわけですね。そういうことに対してはお答えしておる。政府は、今政府の中の機関にかけて検討をしておるということで、ILO憲章の示しておる手続関係ございませんのです。つまり政府政府態度決定及び処理決定について、どういうことを今やっているのだという御質問に対してお答えをしておる。
  61. 山下義信

    ○山下義信君 私は、そういう回りくどいことをなさらずに、すぐに国会におかけになることが、この条約精神に沿うのじゃありませんかと、こう申しておるわけです。
  62. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 回りくどいとおっしゃいますけれども、労働問題懇談会というのは、労働者側、使用者側の代表と公益と、三者構成でできておりまして、労働問題の関係のものは、大体重要なことは、大がいそこに御相談申し上げまして、今まで行政をやって参りました。で、ILO条約というものは、八十七号だけでなく、ほかにたくさんございます。そのたくさんあるやつも一緒に考えなければならない。八十七号と最低賃金に関するものとは、私は、就任早々、この条約の中でも一番重要な、問題の多いものだ、そこで、政府としての考え方を早くきめたいと思いましたものですから、そういう常に御協議を申し上げておる。また、御相談を申し上げたわけでございます。それは早く提出して、早く批准案として提出すればよかろうとおっしゃる。それはその通りでありますが、それをなぜそういういろいろな機関、利益代表とか、いろいろな立場の人に御相談申し上げるかというと、先ほど申し上げましたように、国内法にいろいろ抵触する規定があり、あるいはその法律ができた背景があり、そういうものについての国内のいろいろの立場からの御意見の調整を行なった上で行いたい、こういうことであります。
  63. 山下義信

    ○山下義信君 よくわかりました。よくわかりましたが、労働問題懇談会は、閣議決定で御設置なさったものであって、これは権威あるものとして高く評価なさって、国会の答弁にそれをお持ち出しになる以上は、しばしば藤田委員その他から質疑がありましたように、その審議の内容、経過は、公式の席上で御報告なさる義務が私はあると思うのです。それはおっしゃらないで、もっと結論が出るのを待っているとか、懇談会にかけているとか、一つの逃げ口上にこれをお使いになることは、みずからその機関が権威のないことになり、国会に、各条約精神に沿わないので、そして一つ政府の対策としてこれを御利用なさっておるということは、だれでもそれが感ぜられることでありまして、適当な機会に、まじめに、どのように、これがあなた方の政府部内で熱心に検討されておるか、進んでおるかということを、これは、率直に御報告になる自然政治上の徳義が私はそこに発生すると思うのです。
  64. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働問題懇談会審議の経過というのは、これは、会長がいらっしゃいまして、私どもの方の役所からも、常にオブザーバーとして出席をいたしておりますから、私は毎回出ておるわけではございませんが、それは、報告を求められれば、報告を申し上げます。
  65. 山下義信

    ○山下義信君 適当な機会に御報告を願います。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私もその問題なんです。さっきの問題がそういう工合に整理されて、昨年の九月にその小委員会ができて……。
  67. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 小委員会はもっとあとです。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 しかし、懇談会に委任されておるのは、昨年の九月でしょう。
  69. 石田博英

    国務大臣石田博英君) そうです。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 小委員会のできたのは懇談会内部の問題で、それを九月にやって、今三月ですよ。四月にならんとしているのに、この最低賃金と、それから団結権の八十七号だけの問題を焦点にして検討してくれと言っても、懇談会があまりにも長くなり過ぎるのじゃないか。だから、今のような問題が出てくる。だから、それは、われわれが言ってみたら、懇談会に委託しているから云々という、ほんとうに逃げ口上としか考えられない今の状態なんですから、私は、きょう直ちにできなければ、この次のときには、会長以下二、三の代表者が来て、ここで明確に一つ報告をしていただいて、私らも質問さしてもらう。そうして早くさしてもらいたい、これを一つお願いをしておきたい。
  71. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その会長以下の御要求は、これは、会長というのは別の人ですから、私じゃありませんから、だから、御要求があれば、御出席もなさって御報告もなさるでしょう。だから問題は、どういう工合に行われてきたかと申しますと、九月に私から諮問をいたしまして、前後三回にわたって総括的な御議論が行われました。それから、本年の二月に、同懇談会において、この条約の解釈及び国内法との関連について詳細な検討を加えるといって、小委員会を設置いたしまして、月二回開催を原則としてすでに二回にわたり検討を続けており、来たる四月一日に第三回の小委員会を開くことになっております。今の状況はその通りでございます。
  72. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ、その小委員長ですか、会長ですか……。
  73. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 小委員長は前田多門氏、それから会長は、中山伊知郎氏。
  74. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 来ていただいて、一つわれわれに御報告いただきたいと思います。  それから、もう一つ大臣に聞いておきたい。私は、八十七号と九十八号との関係というのは、大臣のおられぬとき、少しお尋ねしたのだけれども、これは不即不離の条約だと思う。大臣は、どういう工合にお考えになっておりますか。
  75. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 非常に深い関係にあるとは思いますけれども、条約としては、別に作られておるものと思います。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは、条約九十八号と八十七号だから、それは、条約としては別といたしまして、しかし、そこに盛ってある内容というものは不即不離の関係にある。切り離せないものである。それで、九十八号は批准した、八十七号は批准していない、これはおかしいじゃないか。
  77. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 九十八号は、公務員は除外してあるのですから、だから、わが国国内法と抵触しないのです。しかし、八十七号には、公務員を除外してございませんです。だから、わが国国内法と抵触するおそれのある部分があるということであります。
  78. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、問題になってくるのは、政府考え方は、公務員もいかなければ、地方公務員もいかなければ、公企労の関係労働者もいかぬ、こういう格好で、一切のものを、これに手をつけようとしない。関係法規も手をつけようとしていない。今回といいましたけれども、今までの歴史の中では、これは相当長くたっているわけです。相当長くたっているのに、そういう状態なんです。そこで私たちは、ここにおいても疑問を持つわけです。   〔委員長退席、理事山下義信君着席〕
  79. 石田博英

    国務大臣石田博英君) だから、同じことを繰り返すようになりますけれども、そこで放置、今までのは……。放置と言ったらおかしいが、そういう国内法との関係批准が行われていなかったけれども、この問題をそのままにしておくことができないから、所要の研究調整措置を今とりつつあるわけです。しかし、国内法というものは、突然できたものではなくて、それは、その法律ができる必要性と背景があって生まれてきたものなんです。それもあわせて考えなければならない。  それからもう一つは、政府が今とっているやつは、もう動かすまいとかかっておるとおっしゃいます。けれども、動かすまいとかかっておるならば、労働問題懇談会に付議したり何かしません。知らぬふりをして、国内法と抵触しますから、批准することはできません一本やりで通すこともできるわけなんです。
  80. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 背景の問題が出てくると、憲法にも背景が出てくる。この条約も、背景があってできておる。そうでしょう。今の国際常識状態からいえば、私が先ほどから申し上げたように、団結権の自由なんというものは、もう議論をするような段階は、遠く世界各国では通り越しておると僕は言っておるのだ。だからこそ、いまのこの問題が問題になっておるから、九十八号と密接な関係にある八十七号は、懇談会におかけになっているからといって懇談会にかけているのだから、熱意があるからと、こう盛んに言われますけれども、昨年の九月から、もう六カ月以上もたっているのに、そのままほうってある。もう何も問題が起っていないときには、そう法議論をしなくてもいいかもしれません。一カ月や半月、その批准の決定がおくれても、そう問題はない場合があるかもわからない。しかし現実、今国鉄の方が来ておられますけれども、機労との関係には非常な問題が起きて、これを何とかしなければならぬというのは共通、労働大臣もそう考えているから、懇談会にかけておられるけれども、しかし、何とかしなければならぬという共通の問題点があるなら、もっともっと急いで、もっともっと早く国際的な実態に合うように努力をしようということが私は問題だから、こういう議論をするわけです。だから、会長といいますか、懇談会の会長というか、小委員長といいますか、そういう人に来てもらって聞きたいということも、一面からいえば失礼な話になるのだ、よその機関に対してね。しかし、そういうことをあえてせざるを得ないという現実というものを、僕はやっぱり労働大臣はよく考えていただきたいと思うのです。
  81. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それはね、堂々めぐりみたいな議論になりますがね。それは、あなた方から見れば、何をぐずぐずしているか、きまりきったことではないかという御議論なんだが、私は私で別の考えがある。また、公共企業体や国家公務員は別にすべきだ、九十八号条約では公務員は除いてあるじゃないかという議論をする人もあるわけです。そういう立場もあるわけです。ですから、政府がこれについての意思決定をする場合に、一面の、片方の意見ばっかりを聞いているわけにも参りませんのです。そこで、各種の立場におられる人で構成しております懇談会に御議論を願って、それぞれの立場からの意見の調整を今はかっておるわけなんです。そんな簡単に問題が片づくような問題なら、とっくの昔に批准もしておるわけなんです。そうでないから時間がかかっておる。それから、その背景というものは、やっぱり相当な背景があってできてきた。  それから、もう一つ私はお願いをしておきたいことは、この八十七号条約というものは、こういう今申し上げたような経路をたどって検討しておりますけれども、それによってどういう措置が現行法規に加えられるか、これは将来の問題。現在は、四条三項というのは生きているのです。だから、生きているものは守ってもらわなければならないという法治国の建前もやっぱり御了解願いたい、こういうことです。
  82. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その四条三項を守るとか守らぬという議論をここでしているわけではない。その問題はその問題で議論したらよろしい。私の議論していることは、九十八号と八十七号の問題の関係についてお尋ねしているわけである。だから、今あなたはいろいろ言われた。いろいろ言われたけれども、そういう主観もあるでしょう。それは立場が違うけれども、しかし、私は、われわれの立場だけでものを言っているのではない。日本立場社会党の主観だけでものを言っているのではない。国際的な批准決議をさっき僕は読み上げたが、この精神に沿って、国際的な関係一つの国として日本が立っていかなければならぬからこそ、この問題を議論している。それを簡単に……、僕はこの問題で議論しようとは思わぬけれども、おれらの立場があるのだからその通りだというような格好でこの問題を議するというところに問題があると思うのです。
  83. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私の立場で言っているわけではないのです。私は、客観的に見て、労働大臣という立場から見て、国内のいろいろな議論というもののあり方を見てみますると、あなたのような議論をされる人もあります。相当多いでしょう。しかし、そうでない人も相当多いのです。現行法規通りでいいのだ。ILO憲章精神を尊重するということと、自主性を保っていくということは、それは、双方ともに認められなければならぬことだという議論をする人もあるのです。それだからこそ、調整にひまがかかるということを言うているので、私は、私の個人的意見はあります。しかし、個人的の意見でこの問題を処理するわけには参らないのです。だから、それぞれの立場のあの人々の意見の調整を今はかっているところなんです。それがぐずぐずしているのはけしからぬとおっしゃるけれども、それが早くできるようなものならば、とっくの昔に批准しているのです。そこに問題の深い根があればこそ、その調整に時間がかかっているわけなんです。こういうことを申し上げているのです。私の立場を一本きめておって、それでその懇談会というものを制約したり、どこかへ引っぱっていこうというようなことをしているわけではございません。その証拠には、私は全然出ませんです。
  84. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この議論は、ここで繰り返しても、いつまでも続くでしょう。しかし、私の申し上げているのは、九十八号というものと不即不離の問題なんだから、これがまた、われわれの立場だけで言っているのではなしに、国際的な常識として、この問題は真剣に取り組まなければいかぬ問題じゃないかと、こう言っているので、それは、労働大臣立場もわかりますが……。
  85. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 真剣に取り組んで参りますと、さっきから何十回となく申し上げているじゃありませんか。
  86. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私の考えでは、どうも取り組み方が足らぬと思っている。
  87. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 足らない点は補います。
  88. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、この次に、一つ労働省にあっせんを願って、関係の人を呼んでもらいましょう。  私は、まだ続けてほかの問題があるのですけれども……。
  89. 山下義信

    理事(山下義信君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  90. 山下義信

    理事(山下義信君) 速記を起して下さい。     —————————————
  91. 山下義信

    理事(山下義信君) 議事の都合によりまして、次に、日本国有鉄道岡山管理局における労働争議について質疑を願うことにいたします。  吾孫子日本国有鉄道常務理事並びに橋本日本国有鉄道公安本部長が出席でございます。
  92. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 岡山の先日の事故の問題について、吾孫子常務は、よく詳しいことを調べたいというお話がありましたから、この前はあまり追及しなかったのですが、どうなんですかね、この前の報告以後に、あの報告と違ったところはありませんか。
  93. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) この前、十二日の当委員会におきまして、概要を御報告申し上げたわけでございますが、こまかい点で、まだよく事情を聞いておらなかった点がございましたので、その後岡山の管理局長本人を東京に呼びまして、詳しく説明を聴取いたしました。その結果、先般ここで御説明を申し上げておりました荒筋と、別に食い違ったということはございませんでした。より詳しくいろいろな事情を明らかにした、こういうことでございます。
  94. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 わかりました。そうすると、第一に問題になってくるのは、調停委員会国鉄との関係が問題になってこようと私は思うのです。調停委員会というのは、三者構成の機関として意義ある、時の氏神と申しましょうか、両者の争点というものをやはりここで調整するという国家の機関なんだ、そうですね。国家の機関である調停委員会委員長国鉄当局との関係というものを見てみると、はなもひっかけない状態のように——私は、この報告を聞いて間違いないとすれば、私たちの聞いたのとあなたの点とを考えてみて、どう言われても、広島の調停委員長の二回に対する自主交渉できめなさいという、あっせんの段階において二回もそういう手続をとっておって、この現状ではどうにもなりませんから、当局も前進した形でこの問題を処理しなさいということを非常に強く勧告しているのに、国鉄当局は何ら耳をかそうとしなかったというのに、根本のここの出発点があるような気がするのです。私は、この点が非常に遺憾だと思うのですよ。これは第一点ですよ。だから私は、やはりそういう問題は、地域の調停委員会に両方がやはり努力をしてゆだねるという形をとらなければ、労使の紛争というものは、当局の力によって押えつけるというような形というものは、私は、非常に何といっても残念なことじゃないか。だから、今後地方の地域におけるいろいろの問題が起るのが、調停委員会と当局との関係についてどうお考えになりますか。どういう関係を今後お持ちになろうとされるのか。これを聞いておきたい。
  95. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 調停委員会との関係は、概要だけ申し上げたいと思いますが、二月十三日に、国労の岡山地方本部が広島地方の公労委の委員長に調停の申請をしたわけでございます。それで、その調停が受理されたというところまですぐになったわけではございませんのですけれども、二十五日に、この問題につきまして岡山の管理局長が広島の地方公労委の浜井委員長のところにごあいさつに出ましてその際に、訓告の処分を受けた人たちの一月期の昇給の問題について、いろいろごあっせんお話を受けたわけでございます。その翌日の二十六日にも、委員長は使用者側並びに労働者側の委員をお集めになって同じように局長を招致して、事情を聴取されておるわけはございますが、この問題につきまて、いろいろと突込んだお話のあったのは、むしろ二十五日の方に多かったように報告を聞いておるのでございますけれども、当局側にもいろいろな事情がございまして、調停委員長のおっしゃる通りに即答いたしかねるような点もいろいろございましたので、ここで委員長のおっしゃる通りにすべてお受けするということもできかねるというふうに申し上げましたため、それでは、そのときのお話では、三日の日に現地に、岡山の方へ自分が出向いて、そこでさらにあっせんを進めたい、こういうようなお話が出ておったのでございます。ところがその日、二十六日であろうかと思いますが、浜井委員長の方から御連絡がありまして、三日は都合が悪いので延ばして、そのときには、追って日付は連絡する、こういうことで、一応延ばされたのでありますが、その後浜井委員長の方から、その日付を十日にしたということを、国鉄当局側と組合側の双方に対して御連絡がありまして、そうして、十日に浜井委員長が岡山に来られたということでございます。それで、この十日に浜井委員長が岡山に出向いて来られることになるまでの間の委員長と岡山の管理局長との間のいろいろな折衝につきまして、国鉄当局委員長に対して何か失礼にわたるようなことがあったということはないように——私どもが調べたところでは、ないように考えているのでございまして、いろいろ委員長からお話のありました点を、そのまま全部お受けするというわけにもいきかねる点があったので、委員長のおっしゃる通りにならなかったという点は、これはまたやむを得なかった点もあろうかと思うのであります。それから、十日の日に委員長が岡山の方へ来られた際には、この日は、朝から組合側が庁舎の前あるいは屋上等でちょうどデモをやっておりまして、ごたごたしている最中でありましたので、局長自身は、駅頭まで委員長をお迎えするということはできなかったのでありますけれども、代理の者がちゃんとお出迎えをし、そうしてそれからあとは、委員長に会いまして、またお話もいただいている、こういうことでございまして、特別にその委員長に対して失礼にわたるというようなことはないように、十分注意しておったように、私どもはまあ調べましたところでは、そういうふうに認められます。
  96. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、今、委員長に失礼したというような発言はしていないと思うのです。国家の機関である調停委員会が、二月の十七日、十八日の調停委員会から出発をして、それで、そこであっせんという問題が起きてきて、しかし、双方に言い渡されたことは、今の現状ではどうにもやはりいかないから、これをやはり当局も前進をして、これはあっせんですから——労使の問題のあっせんだから、あなたの方は、委員長が言ったことをそのまま、はい、よろしいと言って受けるか受けないか、これは労使双方の問題ですから、そんなことを私は聞いているのじゃない。そういう格好で前進をして何とか解決を、自主交渉しなさいと言って、一ぺんおやりになって、二十三日におやりになって、それでまた、二十六日に調停委員会で、委員長から、もう一度とにかくやってくれないかということを調停委員長から言われたけれども、それは、団体交渉あとできていないわけですね、三十六日以後。だから私は、委員長に対して失礼とか何とかいうものじゃなしに、民間の労働委員会の労使調整の問題、あわせて国鉄の、対公社関係の調停委員会というものは、基本の労使の調整事項を扱って、やっぱり労使双方をより客観的な面からこの問題を調整しようとする努力に対して、この経過をずっと見ますと、国鉄当局というものは指も触れていないということであるから、私は、調停委員会というものをどうお考えになっているのか、この機関をどうお考えになっているのかということをお聞きしているのです。私の聞いておるのはそこなんですよ。
  97. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私は、少し勘違いしてお答え申し上げたかと思いますが、調停委員会というものに対しては、これはもちろん、団交で解決のつかなかったものをそこで解決していただくための機関でございますから、私どもとしても、また国鉄当局全体、当然のこととして十分これは常に尊重するという気持でおるわけでございます。決してそれを無視するとかどうとかいう、そんなような気持は毛頭、岡山管理局長といえども持っておらないと思うのでございます。それで、ただ今度のお話は、ここで内容の全部を申し上げることも必ずしも適当でないと思いますが、要するに、昇給の問題につきまして、限定された人について、何人かの人を今度やるんだということのあっせんを受けて、その場で返事をしろというようなお話があったようでございます。それに対して、まあ局長としては、将来の成績によって——勤務成績によって考えるというところまではお答えしたようでありますけれども、それ以上に、何人か具体的にやれというようなことは、それはちょっと御返事いたしかねるということであったように聞いておるのでございますが、そのほかにも、いろいろ問題はあったでしょうが、それは、できるだけはもちろん、私ども本社の者も、それから地方下部機関の者も、調停、仲裁ということに対しては十分敬意を表して、またそれによって労使関係の正常化を保つということを常々期待しておるつもりでございます。
  98. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 よくわかりました。  ところが、事実問題は、そういう格好で進んでいないんですね。あっせん事項というのは、自主交渉をさすということもあっせん事項の一つだと思うのです。私は、あっせん一つの手段だと思うのです。そういう中で、あっせん案という格好で出すか、調停案という格好で出すか、これは技術の問題だと思う。問題は労使の問題が解決すればいいんですから、調停事項として。ですから、一つあっせんの形だと思うのです。その形の中で、自主交渉というものがほんとうに何も進んでいない、進めようとしなかったというところに、私は今度の問題の出発点があるんじゃないかと、こう思うのです。ですから私は、この点について、先ほど常務理事が言われたような気持で、より客観的な法的の機関、この国家の機関に対してもう少し、私の見る目が間違っておるかどうか知りませんけれども、私たちのささやかな経験から言っても、この国鉄当局のおとりになった態度というものは、真剣味が足らなかった、国家のあっせん機関、調停機関に対する国鉄当局の取り組み方の真剣味が足らなかったと思うのです。この点は、特に私は強く申し上げておきたい。  それから、第二の問題は、十日になって、警察を七十名待機さした。なぜ、当局と組合との間においては、賃金の交渉もあるでしょう、しかし、業務その他の一切の関係があるのに、陳情に来たその事前から警察に動員をかける、また、陳情が見えてからかけられたか、その間のことは、まあ言い方があると思いますけれども、とにかく警察を呼ばなければいかんという気持、それから、もう一つ私が疑問に思うのは、局長と組合等が話し合いをしておる間に、営業部長が行って、勝手に警察の者を動員して、二階の者を引きずり出して、非常にたくさんの重軽傷者を出したと、そうじゃないとこの前はおっしゃいましたけれども、結局、局長が、どうも遺憾であったと——あなたはあやまったと言ったが、遺憾であったと、まあ同じことだと思うけれども、そういう結末から見ても、話し合いの間に、八木営業部長ですかがそういう処置をとったということ、この事前に警察をなぜ待機させなければならなかったか。私は、労使関係というものは、この前も非常に強くあなたに要望しておきましたけれども、労使の関係というものは、そんなものじゃないと思うのですよ。あらゆる一切のものは、労使の自主的な交渉によってきめていくというのが大原則だと思うのです。その大原則に対して、私は努力が足らぬと思う。そういうために、一貫して見ると、この調停委員会に対する考え方も、何かじゃま者扱いのような感じを私は受ける。そういう感じで、労働組合に対しても、頭からこれは観念的にレッテルを張って、もうちゃんと手回しをしておる。そこまでは第二段ですが、第三段になってきたら、話し合いをするのだと言いながら、もう営業部長がそういう勝手な処置をすると、そして結着の証明はどこがしたかというと、局長が遺憾の意を表したということで証明されるというように、順序を追っていくと私は——私ばかりじゃなしに、ほかの人が見たらそういうように感じる問題だと思う、この問題は。だからその点は、私はやはり、当局としては、考えをあらためて反省してもらいたいと思うわけです。だから、この前も申し上げましたと同じようなことを今申し上げておるわけですけれども、この点について一つ、調停委員会に対する問題はわかりましたが、あわせてこの全体の問題について、吾孫子さんの見解を承わっておきたいと思います。
  99. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 労使関係の問題は、当事者間で自主的にきめるのが大原則であるべきだという先生のお言葉は、まことにその通りだと思うのでありまして、私どもも、根本的な考え方としては、常にそういう気持で自分たちもやっておるつもりでございますし、また、下部の方に対しても、そういう指示をいたしておるつもりなのでございますが、いろいろ行き届かない点がたくさんあちこち出てくることがありますというようなことは、まことに遺憾に思っております。申しわけないと思いますが、できるだけその原則は徹底させるつもりでおるわけでございます。  そこで、具体的な今度の岡山の問題でございますが、これは、実はこの日は、私の言葉の使い方があるいは適当を欠くかもしれませんけれども、委員長が現地においでになると、それに対して組合としては、委員長に対しても示威をすると、こういうようなことであったのじゃないかと思うのですが、早朝から多数の組合員が管理局の庁舎に押しかけて参りまして、そのうちかれこれ八十人くらいの人が強引に、制止も聞かないで押し込んできて、屋上へ上ったというのは、朝の八時ごろなんでございます。大体八時十分ごろに上ったわけでございます。それで、管理局の庁舎には、ごく少数の守衛しかおりませんので、まあ労使関係話し合いというにしても、やはり平静な状態で、落ちついて話し合えるという状態で話をするのが、労使関係の問題を円満に処理していくためには必要なことじゃないかと私ども考えておりますので、そういう大ぜいでわいわい押しかけてくるという式のことはお断わりするという建前をとっておるわけでございます。特に大ぜいの職員が執務しております際に、多数の組合員が押しかけてきて、まあ歌を歌ったり、ばたばたしたりするということは、仕事のじゃまにもなりますので、そういうことはやめてほしいというので、一応は制止したのでありますが、局の局員の力だけでは及ばない。それで、八時二十分ごろに公安職員を二十七名ほど呼びまして、やむを得ない場合には、公安職員の実力を使ってでも解散してもらいたい、こういうつもりで、公安職員をまず呼んだわけでございます。そういう状態になります前に、再三放送をいたしまして、放送で、とにかく解散してくれということは何度も言っておったわけであります。しかし、まあ聞かれない。そこで、単に放送だけではなかなかいけませんので、十一時三十四分ごろ、局の文書課長、労働課長が書面をもちまして、組合側の藤井委員長に対して退去要求書というものを渡しております。そしてその要求書では、十一時五十分までには出てくれということをはっきり文書にも書いて渡してあるわけでございます。それでどうしても出ない場合には、実力で排除することもやむを得ないということも、何度か言っているのでありますが、その書面を渡しまして、十一時五十分まで待ったわけでありますけれども、依然として同じような状態が続いておりますので、十一時五十五分に、八木営業部長が重ねて藤井委員長に対して口頭で退去を通告したのでありますけれども、なお退去しない。そこで、どうしてもこれは守衛あるいは公安職員の手だけでは言うことを聞いてもらえないという状態でありますので、やむを得ず、十二時過ぎましてから、十三時五分ごろに、局長が県の警察本部長に対して警察官の出動をお願いをし、同時に営業部長が、これまた所轄の岡山西警察署に警察官の出動を要請した、こういうような事情であったわけでございます。その後実際に警察官が局に来られるまでの間には、なお時間があったわけでございまして、この間十二時四十分ごろに、労組員約二百五十名のデモ隊が岡山鉄道管理局庁舎にまた進入しようとしたわけでございまして、これを守衛が阻止したのでありますけれども、そのとき阻止した守衛の末菅正文君というのは、コンクリート壁に押しつけられて、全治一カ月の胸部挫傷を負うというようなことまで起ったわけでございます。まあこういう状態で推移したわけでございますが、先ほど申し上げましたように、十二時五分ごろに、局としては、警察官の出動を要請しておりましたので、十三時二十五分ごろに警察官が六十八名、局の庁舎の西側道路上まで前進されて、待機された状態に入ったわけであります。そういう状態の間も、もちろん局としては、放送も繰り返していましたし、警察官も来られたのだから、妙なトラブルを起したり、けが人を出したりしないように、早く解散してくれと言うことはもちろん、この間も何度も話をしておったわけでありますが、依然として同じような状態が続いておる。それで、十四時三十三分から三十七分くらいの時刻に、警察官は、管理局庁舎の玄関前にすわり込んでおった労組員約六十名だけは、警察官がそのときに排除したわけでございます。そうしてそれでもまだ警察官は外におったわけでございますが、十五時二十分ごろになりまして、警察官四十名が庁舎の中に入って、待機の状態に入った、こういうことでございまして、組合員に対しては、とにかく早く出てくれということを何度も言っておりましたことでございまするし、まあこの間、警察官が現地に到着してから庁舎の中に入られるまでの間にも、相当時間がありまして、組合側では、もし出なければ、警察官との間にもみ合いというようなことが起るということも十分予想される状況にあったわけでございますが、それで、局長といたしましては、少しでも早く出てもらって、けが人を出すというようなことはしたくないという気持から、十五時三十五分ごろから、組合代表である藤井委員長を局長室に呼びまして、畑中書記長というのも一緒に来ておりますが、そこで、局長から、早く出て行けという通告を、最後の通告をしておったわけでございます。この通告をしております際に営業部長が、十五時五十分ごろになりまして、その際局長に対して、もう実力行使をしようと思うけれども、よろしゅうございましょうかということを、八木営業部長が局長の指示を求めたわけでありまして、それに対して局長は、よろしいという許可を与えると同時に、委員長に対して、早く行けということをさらに強く要請したわけであります。まあしかし、なかなか委員長はすぐその場を立つということにならなかったと見えまして、この間約十五分ほどたったということでございますが、委員長が屋上におもむいた際には、すでに警察官の実力行使が行われて、全部がおりてしまったあとであった。これは結局、管理局長が委員長に対して最後的な通告をしたにもかかわらず、直ちに委員長が現場に行かなかったために間に合わなかった、こういうことでございまして、この実力行使が行われるまでの間に、先ほど来申し上げましたように、十分時間的余裕もあったことでございまするし、客観的に見て、部内連絡に不十分な点があったとは私どもは認められないのでございますが、ただ、局長が、全員が庁舎外に出たあとで、下におりて遺憾の意を表したというのは、これは、局長のこのときの発言並びにその発言をした気持というものも確かめておる次第でございますが、下におりて、局長が組合員の前で話をしたことの要領は、早く退去しろということを再三言ったのに、従わないからこういうことになった、これはまことに遺憾である。今後絶対にこのようなことをしないようにされたいということを言い、最後の段階で部内連絡が不十分な点があったことは遺憾であったと、こういうふうに申したそうであります。それで、局長がこのような発言をいたしましたのは、最終段階において現場の情勢把握のための連絡がとれなかったので、委員長への通告打ち切りの時期を失したというふうに局長が判断しましたので、その意味でこういうことを言ったんだと申しております。もっと早くはっきり打ち切りをすれば、こういうことにならないで済んだのであるし、また、その最終段階で、公安職員や警察官が屋上に上って、実力行使に入るぞということは、もうわかっておったはずでありますが、委員長が現場にかけつけるのが、結果的に見て、おくれてしまったということが、そのときの屋上の状況というものをよく局長として把握していなかったという点に原因があったのでございまして   〔理事山下義信君退席、委員長着席〕 そのために通告打ち切りの時期を失したというふうに考えて、最後の段階で部内連絡に不十分な点があったことは遺憾である、こういうふうに言った。そういうことを取調べの結果明らかにいたしたような次第でございます。
  100. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その手続その他の問題については、運輸委員会で何か参考人を呼んで聞くという話を私は聞いておりますから、この焦点の問題については、当局と組合との関係の……けが人が起きたすぐの問題、具体的な問題には私は触れません。触れませんけれども、しかし、吾孫子さんもよく御承知通り、その労使の関係というのは、いろいろの苦情の処理の問題から団体交渉に移り、そして具体的交渉が行われていくところに、——労使の問題というのは、年がら年中けんかしているわけじゃないのだから、そういう形なんですから、私はやっぱりこの問題を見れば、交渉というものが、調停委員会が二回も三回も開きながらこういう格好になっているというところに問題の焦点がある。だから、その点をよくお考えになっていただかないと、こういう問題が起きる。社会の損失、また国鉄自身の私は損失だと思うのです。だから、非常に私は残念なことだと思います。私はこれ以上、この問題について議論はしませんけれども、ただここで、一言だけ聞いておきたいことは、公安委員というのは、どういう形になっているのですか。あれは従業員の中から生まれるのか、他から募集して、公安委員というのを採用して、独立してやらせるのか、その点はどういう格好ですか。私よくわからないのですが、公安委員じゃない、公安官ですか……。
  101. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 私から御説明申し上げます。  鉄道公安職員は、日本国有鉄道の施設内の公安維持の仕事を担当いたしておりまする国鉄職員を、日本国有鉄道の総裁が、その担当しておる者の中から適任者を推薦いたしまして、運輸大臣が指名いたしまして、その職務を行う、こういうことになっております。それで身分は、国有鉄道の職員でございまして、仕事は、国鉄の施設内におきまして、秩序の維持でありますとか、あるいは犯罪の防止でありますとか、あるいは事故の防止でありますとか、調査でありますとか、そういったような仕事に当っておるわけでございます。
  102. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ。じゃ、警察権との関係はどういうふうになっておるのですか、何か、いろいろ公安官のやられたことを聞いていると、警察と同じようなことをやっているような感じがするのですが、どうですか。
  103. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 鉄道公安職員仕事といたしましては、ただいま申し上げましたように、総裁の命令を受けまして、国鉄の施設内におきまして秩序維持の任務を有する、こういう仕事を持っております。従いまして、その職務の内容は、鉄道公安職員規則の規定に定められております。なお、そうした者に捜査権を付与いたします場合には、ただいま申し上げましたように、国鉄総裁から運輸大臣に申請いたしまして、その指名された者が鉄道公安職員としての捜査権を行使するという権限を与えられております。でありますから、通常の秩序維持権と申しますか、そういうものは、国鉄総裁の命令のもとに仕事をいたしております。それから、捜査の仕事になりました場合には、運輸大臣の監督下に入るということになっております。
  104. 木島虎藏

    木島虎藏君 私は、ごく簡単に、関連して質問いたしたいと思いますが、御答弁も簡単にお願いいたします。  先ほどの話を聞いておりまして、警察官が行って出した、それで、委員長が行ってみたときには出ておったということがありましたが、第一に、警察官は一体どういうふうにして屋上から出したのか、みんなを引っぱり出したのか、出なさいと言って、警告しておいて出したのか、あるいはいきなり実力行使を使ったのか、そこら辺のところを一つ簡単に……。これは、警察の方がいいでしょう、警察がやったのですから。
  105. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 先ほど国鉄側からお話がございましたように、朝八時から、管理局の屋上を占拠といいますか、たてこもったような状況であった、警察に応援要請がありましたのは十二時過ぎ、実力行使で排除いたしましたのは午後四時、この間十数回にわたりまして警告をいたしたのでありますが、どうしても退去しない、で、警察官は約七十名、鉄道公安官二十名に協力をいたしまして、一人々を三、四人の者で抱えるようにして下におろしたのであります。こういう場合に、よく負傷者の問題等が取り上げられますので、当時、県の警備部長、それから岡山東警察署の警視一名が、そういう意味で、現場の状況を詳細に見るということで、現場に臨んでおります。当時約八十名の鉄道組合員が屋上に寄ったのでありますが、全部を排除いたしますのに要した時間は五分間であります。従って、その間大きなトラブルはなかったと思っております。
  106. 木島虎藏

    木島虎藏君 今のお話を聞くと、五分間で出したということでありますが、負傷者が出るように思えぬのですが、どういうわけで負傷者が出たのですか。
  107. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) この負傷者の点でございますが、私どもの調査によりますと、先ほど吾孫子常務理事から申し上げましたように、本件につきまして出ました負傷者としまして調べておりますのは、十二時四十分ごろに、守衛が一カ月のけがをしたということと、この退去に際しまして、組合の組織部長の小林延明という人が、左関節部挫傷の約十一日のけがをした、このように聞いておるところであります。
  108. 木島虎藏

    木島虎藏君 小林という人は、二カ月の負傷だったのですか。
  109. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 診断によりますと、十一日の診断でございました。通院加療十一日間、三月十日から三月二十日まで十一日間、こういうことになっております。
  110. 木島虎藏

    木島虎藏君 それが負傷されて、それで、どっかの病院に入院するなりして、もう出られたのですか。
  111. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) どっちの方ですか。
  112. 木島虎藏

    木島虎藏君 その小林さんという方。
  113. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) ただいま申し上げたようなけがでございますので、翌日管理局庁舎に参ったということを私ども聞いておりますが、大したけがじゃなかったように聞いております。
  114. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その十一日の診察だった、事実は二カ月近い負傷だと。それで、診察したお医者さんが誤診であったというところまで僕ら聞いておるのですよ。そういう話をされるのはちょっと……事実の問題は、はっきりしておいていただきたいと思います。
  115. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 警察官が出動いたしました際に負傷者が出るというのであれば、これはなかなか問題だと思います。そこで、この負傷の点につきましては、私どもは、できるだけ詳細に調査をいたしたのであります。当時新聞に報道されましたのは、十数人の負傷者が出る。小林という人は左肘骨折、治療二カ月あるいは三カ月と書いた新聞もございます。私の方では、本人がその直後岡山の鉄道病院の外科に診療を受けておりますので、この病院の外科医長と外科医師二人について、当時の模様をただしたのであります。その語るところによりますと、三月十日午後四時過ぎ、小林という人が非常に興奮した面持で当病院に診断を受けに来たので、一応外部より診断するとともに、レントゲン撮影を行なった結果、左肘関節尺骨オレクラノンの骨折のようなものが見られたが、その骨折の状況が鋭利でないため、古い骨折ではないかと思ったが、あまりにも本人の興奮した状態と、その気迫に押されて、その場で、左尺骨骨折、治療期間二カ月と一応考えて、まあ本人にそういうことを話した、こう言っております。十一日の夕方、小林という人から、直接電話で診断書の要求があったが、三月十日の骨折かどうか疑わしいので、十二日に再び来るように言いまして、診断した上、岡山医科大学の整形外科の助教授に、このレントゲン写真を持っていって見てもらった結果、レントゲン写真の骨折ではないかと思われるのは、古い骨折か畸型と思われたので、畸型と認めて、左肘関節部挫傷、治療十日間と診断をした、こういうことであります。十二日の診断状況について、この二人の医者が言いますところは、患部ははれがきていない。患部の患者の訴える痛みの部分と、レントゲンに見える骨折ではないかと思われる部分とが一致していないし、またあいまいである。出血斑が認められない。レントゲンの所見で、骨折部分が鋭利に折れた像が認められない。骨折部分の関節運動がかなり自由であるというので、レントゲン写真に出ておる骨折は古いものと認める、あるいは畸型ではないか、こういうふうに認めたと言っております。で、十二日診察のとき、以前に骨折などをしたことがあるかということを本人に聞きましたところ、十四才ごろに上膊の骨折をしたことがあり、小さいときに左腕関節の脱臼をしたことがあると言うので、本人に対して、どうもこの骨折は古いものか、あるいは畸型ではないかと思うと言いましたところが、本人は、これにあまり反発をせずに、先ほど申しました診断書をもらって帰ったということでありまして、この両方の医者の陳述は、警察の方で取っておるのであります。なお本人は、翌十一日、問題は十日に起っておりますが、十一日にも、さらに約二百名の者が管理局に押しかけて集団交渉をいたしておりますが、その際にも、添え木はしておりませんでしたが、包帯で腕をかけまして、終日組合員の指導に当っておったと、こういう状況であります。
  116. 片岡文重

    片岡文重君 関連して、ちょっと伺っておきますが、岡山管理局の屋上から屋外まで、エレベーターか何かで出るのですか、それとも階段になっておるのですか。また、その距離はどれくらいあるのですか。
  117. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 私どもにわかっておるところでは、四階の建物で、その上に屋上がございまして、エレベーターもございますはずでございますが、四階になっておりまして、階段がございます。
  118. 片岡文重

    片岡文重君 そこで、私は非常に不思議だと思うのですが、四階建で、その上が屋上になっておって、そこに大体八十人くらいおった。それを警官が七十名、これは全部屋上に上ったとして、一人の組合員を三、四人ずつでかかえるようにしておろしたと言われるんだが、四階の屋上から階段を一段ずつおりて屋外まで七十人の警官と、かりに公安官が二十名、全部かかって九十名、当局は二十名と言っておるんだから。そうすると九十名、そうすると、この九十名の人たちが八十人の組合員を三、四人ずつでかかえおろして、わずか五分間くらいで終るのですか。
  119. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) その排除にかかりましたところ、そういう抵抗とかトラブル等もあまりなく、相当長時間、上でいろいろやっておりましたので、下におりるという気持になったのでしょうか、四階から一階まで、階段を一つ一つ連れておりなければどうしてもおりないという状況ではなかった。私の申し上げましたのは、屋上から排除するのに約五分を要し、あとは管理局の前のすわり込みをしておるもう一つのグループの方に合流をしていった、こういう状況であります。
  120. 片岡文重

    片岡文重君 あなたのさっきの説明では、一人の組合員を三、四人でかかえておろしたという、こういうお話であったので、そういうことになると、たとえ一刻も早く屋外に退去したいという気持があっても、その気持というものは、私は動かないと思う。胸の中にあるから足を動かしたというわけではない。やはり足で動いたということになれば、どう考えても、かかえおろしたとなれば、五分間では無理だと思うのですが。
  121. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 五分間で屋上から排除をいたした、別にトラブルも起っておりません。
  122. 片岡文重

    片岡文重君 どうもあなたの説明の信憑性も一つ、私はそこでは疑わしいと思うんだが、まあ同じような問題について、運輸委員会でも相当念を入れてお聞きになっておられるんだし、現地からの参考人もお呼びになるやに聞いておりますし、かたがた、私申しわけないが、少し歯痛その他で少し不愉快なので、実は質問をしないつもりだったのですが、今のような御報告を伺っておると、どうもやはり二、三聞いておかざるを得ないので、お尋ねするのですが、警官隊が出動を余儀なくされた事態というものは、そうすると、いつ国鉄から要請をされておるのか。国鉄から国警に、警官隊の出動を要請した時間というのは、一体何時ごろなんですか。
  123. 山口喜雄

    政府委員(山口喜雄君) 管理局長から県の本部長に対して電話で要請がありましたのは、十二時五分であります。
  124. 片岡文重

    片岡文重君 国鉄にお伺いしますけれども、団体交渉において、すべてが組合側の要求通りに妥結できない。国鉄立場からいえば承認できない。これも、国鉄立場からいえば無理からぬことでもありましょうし、そういう事態はむしろ常態でありますけれども、この点について私もとやかく言うわけではありませんが、少くとも団体交渉に当って、誠意の見られない場合に、低劣な労働条件にある組合員が多数、心をいらだたせる事態というものは、しばしば見受けられるところでありますが、しかし、だからといって、これが直ちに器物を損壊する、あるいは暴力をふるうと、こういう事態でもなかりそうですし、そういうときばかりもないですし、特に屋上等におる場合に、どれほどの業務妨害があったかわかりませんが、少くとも、今、国警の御説明では、すでに屋外に出たいという気持が組合員の中に動いておったということが、国警の諸君ですらこれを看取することができるんですから、そう警察隊をわずらわさなくとも、私は、両当事者間の話し合いによって、十分円満に退去せしめることができたと思うのです。国警をわざわざ動員をし、そして双方に負傷者が出るような事態に巻き込んだ責任というものは、やはり私は、国鉄として十分感知しなければならないと思うんですが、国警の出動を要請した時期というものが少し早かったのではないか。特に先ほどの御説明では、部内連絡も不十分であったということですが、この点も、局長と要請した営業部長との間には、十分な連絡をとっておらない、意思の疎通も欠いておったのではないか。先ほどの常務理事の御説明では、局長室にこの公安支部長である営業部長が来て、実力による組合員の屋外退去を実施すると、よろしいかという指示を仰いだと言われましたが、先ほどの御説明の中にあった時間を総合してみると、この時間は、藤井委員長と局長とが話し合いをしておる時間ですから、おそらくその話し合いの、双方の面前においてこの指示がなされたものと思う。そうすると、組合委員長も、警官の実力行使が行われるであろうということがその場でわからなければならないはずなんです。安閑として、その混乱の起ることを局長室におって待っておるというようなことは、われわれの常識からいって考えられない。これは、明らかにこの十五時五十分ごろに、いや三十五分ですか、先ほどのお話では、指示を仰いだという時間は、私は、あとから考えられたものではないかと思うんですが、この点については、間違いないのでしょうか、この点も。それから、先ほどの国警出動の理由が私どもには納得できませんので、その点についての具体的な内容をお示しいただきたい。
  125. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほども申し上げましたように、朝の八時十分ごろから、何度も放送をしたり、それから書面を渡したり、あるいはまた、口頭で話したり、何度も退去の通告をしておるわけでありますけれども、どうしても退去しない。それで、さっきもお話がございましたように、十二時五分ごろに、局長から県の警察本部長に対し、また、営業部長から所轄の西警察署に対して、警察官の出動を要請したと、そういうことでございまして、そしてまあ、いよいよ警察官の実力行使が始まった際に、比較的何もトラブルもなしに、五分間ぐらいでおりたということは、その前に、すわり込んでおる連中に対して、これももちろん、何度もおりろと言ってるわけでありますが、そのときに、自分たちは、委員長がのけというのならのくと、こういう返事で、局側の言うことはそのまま聞かないと、こういうことであったので、委員長と書記長に局長室に来てもらって、そこで、早くみんなを撤退させるようにしなさいという通告をしておった。そのときに、通告をしたけれども、なかなか委員長はすぐ立っていかないと、それで、そういう話の最中に八木営業部長が、実力行使をしようと思うがよろしいかと聞かれたので、よろしいと返事をし、それはむろん、委員長も知っておったはずだと思いますが、その同じ時に、委員長に対して、こういう状態だから、早くしなさいということを言ったと、ところが、すぐには立たないで、十五分間くらい、いろいろなことをごちゃごちゃ言っておったらしいのでありますが、その間局長としては、現場の様子がもっとよく、部内連絡がよくて、だれかすぐ知らせにくるとか、あるいは局長の部屋におった者をだれか派遣して、屋上のそのときの状況をすぐ知るとかいうことが十分にできておれば、もっと早く、もう通告を打ち切って、席を立つなり何なりして、早く行けと言ったはずであったんだが、その点に、部内連絡に不十分な点があったと思ったので、その点を遺憾だということを言ったというふうに聞いております。
  126. 片岡文重

    片岡文重君 少くとも労使双方がけが人が出るような事態に追い込むような状態に置かれておって、しかもなお、警官隊、公安官を実力行使せしめる、こういう重大な指示を与えるのに、当の最高の責任者である局長が部内の十分な情勢を把握しておらないということは、はなはだ私は軽率だと思うんですよ。しかも、その重大な情勢に置かれておることを十分に把握しないで、軽率にも、おそらくこれは、一片の感情にかられて指示を与えたんだろうと思うんです。そこで指示を与えたとすれば。そうしてしかも、今、常務理事の言われるように、そういう指示を与えておきながら、起った混乱の状況報告もしない。受けないでというか、させないというのか、おそらくこれは、組合から要請があって、やむを得ず組合員の前に出て行って、遺憾の意を表したのだろうと思うのでありますが、こういうやり方に対して、常務理事としては、経営管理の面からいって遺憾とは思われませんか。
  127. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 当時の状況というものをいろいろ聞いてみますと、先ほど来申し上げますように、組合側としても、もう十分、ぐずぐずしておれば、実力行使によって撤退させられるということもわかっておったはずでありますから、局長のこの場合にとった処置というものが、特別に間違っておったというふうにも考えませんし、また、事情をいろいろ聞いてみますと、組合委員長が、たまたまみんなが実力行使で出されるときに、その場にいなかったということについて、何か自分が逃げていたというように思われるのではないか、そうではないのだということを釈明してもらいたいという気持もあって、局長に話があった模様でございまして、局長としては、委員長立場考えて、下に出て、先ほど申し上げたような説明をしたのだと、そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  128. 片岡文重

    片岡文重君 委員長の気持も考えて、わざわざ屋外に出て行って、あいさつをされたほどの誠意のある局長であったならば、私は、もっと事態の解決は円満にできたであろうと思われますが、そういうことであるならば、いずれこれは、適当の機会に、またわれわれも十分真相を調査の上、お尋ねの機会を持ちたいと思うが、少くともそういう興奮した事態の中に行って、お前らが早く退去しないからこういう事態になったのだと、こういう言葉が、たとえ前提があったとしても、局長の口から、その混乱し、興奮した集合の中に述べられたとするなら、これは事態がおさまるはずがないのです。やはり組合員が一応納得をして解散をするからには、当然その起ってきた事態の責任というものを局長が率直に披瀝をして遺憾の意を表したからこそ、組合員はやはり引いたと私は考えざるを得ない。また、藤井君がどういう態度をとったかわかりませんが、これもまた、自分の目の前でもって実力行使が行われるという指示が与えられておって、それを便々と見ておったということも考えられない。従って、この今の御報告についても、私どもは、先ほどの国警の御報告と同じように、そのまますなおにお受けするわけには参りませんが、重ねて最後に一言伺っておきますが、少くともこれだけの事態を起してしまった原因というものが、部内の連絡不十分、指示の徹底を欠いたことということに私は最大の原因があると考えます。この点についこて、管理局長のとった手続に遺憾がないと、先ほどおっしゃったのだが、現に営業部長との間の連絡の不十分もあり、さらに部内、守衛その他関係者から、その情勢の報告を刻々に取り寄せておらなかったということも、この事態を起した原因でもある。ともあれ、常務理事みずからおっしゃるように、局長が部内連絡の不十分であったということを率直に認めておるとするならば、認めるかいなかは別問題として、不十分であったことだけは事実なんだから、こういう点について、将来経営管理の面から、国鉄としてはどうされるつもりか。この事件に対する局長の責任というものを国鉄としてはお考えになっておられるのかどうか、将来はこういう場合にどうされるのか、この三点を一つ、最後にお聞きしておきたい。
  129. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) これは、管理局長としては、打ち切りの時期を失したというふうに判断をしたと、こういう意味で、部内連絡が足りなかったというふうに意見を言われたわけでありますが、客観的に見ますと、このときの朝からの状況というものを見れば、特段に不都合なことはなかったと思いまするし、また、部内の連絡が特に不十分であったというふうには、客観的には私どもは認められないと思っております。ただ、いずれにいたしましても、こういうようなトラブルが起りますことは、好ましいことではございませんから、今後こういうことを何度も繰り返して、世間をお騒がせすることのないように十分戒心いたしたい、こう思います。
  130. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 時間がありませんので、私から一点だけ質問申し上げますから、簡単に一つお答え願います。  国鉄には公安職員は何人を、岡山駅には何人通常配置されておりますか。
  131. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 中国の現場の方に、ただいま大体二千八百五十名の公安職員がおります。岡山の方には、大体百十名ぐらい配置しております。
  132. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 岡山の百十名の人たちは、ほとんど移動が多いと思うのですが、常時おる人ですね。列車に配置されておるとか、あるいは沿線に配置されておる人が相当おると思いますが、常時待機しておる人はどのくらいおるか、これをお尋ねしておきたいと思います。
  133. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 先ほど申し上げましたように、公安職員仕事の内容が、列車警乗でありますとか、あるいは構内の取締りでありますとか、いろいろな職務を持っておりますので、大体半数以下くらい常時出ておると思います。
  134. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) そうすると、残っておる人が半数としまして、五十名残っておる。その大部分がこの問題に動員された、こういうことでございますね。
  135. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) この岡山の事件が早朝から発生いたしましたので、前日勤務に服しておりましたものの一部が岡山管理局の庁舎の方に出動いたしておるような関係でございまして、当日出て参りましたものと、それから、前日から引き続きまして岡山の管理局の方に参りましたものと、両方おるようになっております。
  136. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) そうしますと、この双方の交渉は、犯罪を構成しておるものとお認めになって、公安職員をお使いになったのですね。
  137. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 公安職員がこの管理局庁舎に参りましたのが、先ほど申し上げましたように、常務理事からお話がありましたように、組合員がすでに庁舎に侵入したあとでございまして、そのあと、公安職員といたしましては、管理局長の命令によりまして、常時働いておりますところの鉄道施設内の秩序維持あるいは公安維持という業務を遂行するために出動いたしたようなわけでございます。
  138. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 鉄道公安職員の職務は、「鉄道施設内における犯罪並びに日本国有鉄道の運輸業務に対する犯罪について捜査することができる。」これが法律で定められた私は公安職員の任務だと思います。これが規程化されてはおりますが、これが本来の任務だと思っておるのですが、それに該当すると思って公安職員をお使いになったのですね。
  139. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) ただいま申し上げました仕事は、国有鉄道の施設の管理権に基きまして公安職員が与えられておりますところの、施設内の秩序維持あるいは公安維持という仕事を履行いたしますために、当日の朝八時半ごろから、岡山管理局の庁舎に出勤いたしております。それで、ただいま委員長から御質問のありました職権は、犯罪が発生いたしました場合に捜査する権限というものは、これは、国から直接的に与えられなければならぬところでありますので、鉄道公安職員の職務に関する法律に基きまして捜査権限の方は与えられております。
  140. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) そうすると、労働運動について公安職員をお使いになるということは——この鉄道公安職員の職務に関する法律ができたあの動機を十分御承知だと思いますから、こういう問題に公安職員を動員されることは、私はいかがかと思うのですが、これも同様なのだ、あのできた趣旨に沿って同様なものだと、こういうふうにお考えになっておるのか、あとから公安職員の性格が変ってきてそういうものにまで使っていいということになったのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  141. 橋本錬太郎

    説明員橋本錬太郎君) 鉄道公安職員国鉄施設内におきます秩序維持に関する仕事の基準といたしましては、昭和二十四年の総裁選鉄道公安職員基本規程、これにきめられて仕事をいたしておるものでございます。なお、捜査権に関しまする法律は、昭和二十五年の法律第三百四十一号鉄道公安職員の職務に関する法律で、捜査権の範囲等について規定されておるものでございます。
  142. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それじゃ休憩いたします。    午後二時一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕