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1958-02-18 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十八日(火曜日)    午前十時四十二分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君            中山 福藏君    委員            有馬 英二君            草葉 隆圓君            後藤 義隆君            紅露 みつ君            鈴木 万平君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            片岡 文重君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 經勝君            田村 文吉君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   政府委員    警察庁刑事部長 中川 董治君    首都圏整備委員 水野  岑君    会計画第一部長    自治政務次官  中島 茂喜君    自治庁財政局長 小林與三次君    厚生政務次官  米田 吉盛君    厚生大臣官房長 太宰 博邦君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 尾村 偉久君    厚生省社会局長 安田  嚴君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎭雄君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    宮内庁長官   宇佐美 毅君    大蔵省管財局総    務課長     谷川  宏君   参考人    東京都副知事  佐藤  基君    東京建設局    都市計画部長  山田 正男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件派遣委員報告参考人出席要求に関する件 ○社会保障制度に関する調査の件  (銀河丸遺骨収集無名戦没者の  墓に関する件) ○旅館業法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○社会福祉事業法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 開会いたします。派遣委員報告についてお諮りいたします。本年一月中二回にわたって、樺太からの引揚者実情調査のため、委員派遣を行ったのでありますが、その報告は、口頭報告にかえて、書類による報告委員会会議録に掲載して、ごらん願うということにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 社会保障制度に関する調査の一環として銀河丸遺骨収集無名戦没者の墓に関する件を議題といたします。  本件調査のため参考人出席を求め、意見を聴取することといたしまして、参考人の人選、手続その他については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし1」と呼ぶ者あり〕
  5. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。委員長理事と協議して進めることにいたします。  なお、本日は、東京都副知事佐藤基君、及び東京都市計画部長山田正男君の出席を求めることといたします。  次に、本件調査に入り、御質疑を願うことといたします。質疑の通告がございます。これを許可いたします。
  6. 山下義信

    山下義信君 質疑に入ります前に、委員長にお願いがございます。銀河丸は、去る一月二十日芝浦を出港いたしまして以来、フィリピン島々に寄港しまして、従来に比しまして最も困難な状態のもとに、遺骨収集作業に懸命な努力を払いつつあるのであります。フィリピンにおける現地空気等にかんがみまして、団員労苦も一しおであろうと思うのであります。この際、遺骨収集団並びに銀河丸乗船員一同に対しまして、その労苦を多とする旨、適宜委員長においてお伝えを願いたいと思うのでございます。
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまの山下君提案の銀河丸遺骨収集団労苦をねぎらうため、調査団各位に対し、感謝ならびに激励を行いたいとの御意見については、委員長においてこれを適宜に行いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。それでは、ただいまの銀河丸遺骨収集団に対する感謝並びに激励について、当委員会の意のあるところを厚生大臣から伝達せられんことをこの席から申し入れいたします。
  9. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) ただいまは、山下義信委員から、ただいま、フィリピンの各島峡を回りまして、遺骨収集に当っております者ども並びに船員に対しまして、非常に心からなる御同情のお言葉をいただき、なお、委員会のお計らいによりまして、当委員会といたしまして、その意を表するような激励をしていただくということになりました。私どもも、心から深く感謝いたしますと同時に、今回派遣に当りましては、本人たちほんとう誠心誠意この問題に当っております姿を考えてみますと、一そうありがたく感ずるような次第でございます。手続等につきましては、御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。  なお、この際、はなはだ申しわけございませんが、一言、過般私の病気に当りましてのお礼を申し上げたいと思います。  せっかく重要な案件につきまして御審議を願っております最中に、突然院内において発病いたしまして、そのまま入院いたすことに相なりまして、御審議の上にいかがかと、非常に内心考えたことがあるのであります。しかるにかかわりませず、当委員会におきましては、委員長を初め皆様方から、大へん御同情いただきまして、わざわざ院内にお見舞いをちょうだいいたすということで、深く感楓いたしておるような次第でございます。まことに、御審議の支障になったかと思いますにかかわりませず、当委員会におきましては、順調に諸般の御審議を願っている姿を見まして、一そうありがたく感じておる次第でございます。お見かけのように、昨日から初めて登院いたしました。今後は、一そう御迷惑をかけないように、できるだけ勉強いたしまして、皆さんの御期待に沿いたいと考えておりますので、何とぞ御鞭撻のほどお願い申し上げる次第でございます。あがとうございました。
  10. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 続いて質疑を続行いたしますが、政府側委員並びに説明員参考人を、参考までに御紹介申し上げておきます。  宇佐美宮内庁長官中島自治政務次官谷川管財局総務課長中川警察庁刑事部長参考人としては、東京都副知事佐藤基君、東京都市計画部長山田正男君、政府側から堀木厚生大臣河野引揚援護局長水野首都圏整備委員会計画第一部長、以上の方々がお見えでございますので、お含みの上質疑を願います。
  11. 山下義信

    山下義信君 まず私は、銀河丸遺骨収集に関しまして、厚生大臣お尋ねいたしたいと思うのであります。  海外戦没者遺骨収集につきましては、去る昭和二十七年七月十一日、当参議院の本会議決議に基きまして、政府の手によってこの作業が行なわれることになったのでございます。この機会厚生大臣から、銀河丸の今日までの遺骨収集状況につきまして大要報告をわずらわしたいのであります。なお、すでに銀河丸の今日まで収集終りました遺骨の数は、何体ほどであるのでありますか。また、そのうち氏名の判明した者がどのぐらいありますか。また、判明したとしますれば、その氏名はだれだれでありまするか。この際、御報告を願いたいと思うのであります。  なお、作業はおおむね終了したのではないかと思いますが、今後の予定はどうなっておりますか。その点も承わりたいのであります。従って、銀河丸東京帰港予定は何日でありますか。帰着後の遺骨に対する追悼、慰霊、保管等の措置はいかなる予定になっておりますか。あわせてこの際、お示しを願いたいと思うのであります。
  12. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 南方の諸地域に相当多くの遺骨がある。ことにフィリピンにおきましては、従来現地状況等考えますときに、実は一日も早く遺骨収集についての処置をいたしたいと考えておりましたが、なかなか意にまかせないような状況でございました。今回も、大体全体として、フィリピン地域におけるところの状況が、遺骨収集ができるような状況だということを聞きましたので、銀河丸派遣することにいたしたのでございます。全日程は五十一日間の予定出発いたしましたような次第でございます。現地におきまして、フィリピン側並びに大使館等と連絡いたしまして、予定行動をとっておるようでございますが、しかし、新聞紙にも報ぜられておりますように、ミンダナオの一部等においては、なお収集について、収集団自身が危険を感ぜざるを得ないような部分もあるような報告を受けておるような次第でございます。しかし、非常に一行はその目的を達成する熱意を持って、刻々その状況報告いたして参っておるのでありますが、三月の三日にマニラを出港いたしまして、十一日には東京に帰って参るかと考えております。帰りました際には、心からなる追悼式をいたしたいというふうに考えまして、なお、今お尋ね氏名判明者遺骨遺留品伝達式をもいたしい。そして当委員会の御決議趣旨に沿いたいと考えておりますような次第でございます。なお、具体的なお尋ねにつきましては、政府委員の方から答弁さしていただきたいと思います。
  13. 河野鎭雄

    政府委員河野鎭雄君) 大要につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げた通りでございます。当初私どもフィリピン内部におきます対日感情等につきまして、いろいろの声を伺っておりまして、非常に心配もいたしておった次第でございますが、外務省現地大使館等の御努力によりましてフィリピン政府との間に、非常な友好的な雰囲気のもとに作業が進められつつあり、また、国民方々も、全体として非常に協力的な態度をもって今回の計画を迎えていただいておるというふうなことで、私ども、非常に当初危惧しておりました点が杞愛に終ったような感じを持ち、喜んでおる次第でございます。派遣団は、政府職員遺族代表、それから宗教家代表、こういった方々を含めまして 一行十八名で、一月の二十日に芝浦を出港いたしまして、そのうち二名は二十三日に――出発はおくれたわけでございますが、飛行機で参りましたので、向うに着きますのは若干早く着きましてこの二名の先発隊現地におきまして細日の打ち合せをいたしまして、あとから銀河丸で参りました一行と落ち合って、一月の三十一日にマニラ出発いたしまして、それぞれの地点に向って収骨に当ったというような次第でございまして、この十八名の一行を二つの班に分けまして、大体半数ずつでございますが、第一班がルソン地区、それから第二班が、何と申しますか、ルソン以外の南の島々を回る。こういうふうな計画で、一月三十一日にそれぞれの地区に向って出発をいたしておる次第でございます。  今日までのところでは、大体一番端のところまで、もうすでにたどりついております。たとえば、ルソン地区でございますと、二月の十六日に、ルソン地区の一番北の地区でございますツゲガラオという所がございます。この地区に二月の十六日に着いております。これから引っ返して参りまして、その帰途数カ所寄りまして、今月の末には、大体二十五日ごろと予定しておりますが、マニラに人って来て、あの周辺の収骨を今月一ぱいかかってやるというふうな段取りになっております。それから、南の方のずっと一番南まで参りまして、ミンダナオ、それから、ミンダナオからちょっと西南に、ちっちゃなホロという島がございまして、そこまで参りまして、これが二月の十五日、それから引っ返して来まして、大体南の島々の中間の辺まで引っ返して参っております。それは、一月の十七日現在でございますが、この班も、今月の終りにはマニラに帰って来るというふうなことでございまして、三月の一日に両班がマニラに合流いたしまして、そこで追悼行事を行い、それで、三月の三日にマニラを立ちまして、三月の十一日に東京に帰って来る、こういうふうな予定になっております。現在の進行状況から見まして、大体この予定通り進行ができるのではないかと、かように期待をいたしておる次第でございます。帰って来ますのが三月の十一日でございますが、当日追悼式を挙行し、翌日には氏名判明者遺骨遺留品伝達式を行いたい、かように心組みをいたしておる次第でございます。  なお、お尋ね収集をいたしました遺骨の数でございますが、大体現在情報を得ております数字は、氏名判明遺骨が一体ございます。氏名の判明いたしませぬ遺骨が七百六十一体、氏名判明の分につきましては、どなたの遺骨であるか、実は今、電報照会中でございますが、まだ返事を得ておりません。まあ従来各所の収骨状況から判断いたしましても、ほとんどこの氏名判明の遺体を探し当てるというふうなことは、非常に困難なような事情にあろうかと思いますので、大体今申し上げたように、ほとんどもうすべてが氏名判明のしない遺骨ということになろうかと存じておる次第でございます。  それからなお、収骨いたしました氏名の判明いたしません遺骨でございますが、取りあえず、従来の例のように、市ケ谷あるいは厚生本省安置室取りあえず安置をいたしまして、近くできる予定をいたしておりまする無名戦没者の墓ができ上りました場合には、そこに安置するというふうな心細みをいたしておる次第でございます。
  14. 山下義信

    山下義信君 大体の御報告は承わりました。今回の比島における遺骨収集に対しましては、フィリピン政府側が非常に好意的な協力をしてもらったことは、われわれの多とするところでありますが、むしろ一部におきましては、比島駐在日本大使館がかえって非協力であって、冷々淡々たるようなきらいがあったということが伝えられております。私どもは、非常に遺憾とするのであります。昨年われわれが比島に参りましたときに、比島駐在大使に対して、懸案であるこのフィリピン遺骨収集については、大使館も十分努力するように、強く要請しておいたのでありますが、その当時も、大使態度は、私どもとしては、きわめて消極的印象を受けたのでありますが、一部何だかきわめて冷淡であったようなうわさがある。これは、きわめて遺憾である。別の機会に、外務省当局を通して、私は真否をただしたいと思うのでありますが、この際私は、厚生大臣に御所見を承わりたいのは、それは、この収集団行動に関連いたしまして、現地の対日感情は、一部におきましては、相当好ましくない感情が呈されておるのであります。その中に、ことにわれわれとして遺憾にたえないのは、今回の遺骨収集団は、表向き遺骨収集するとは言っておるが、実はフィリピンにおける宝探しをしに来たのである、こういうことを九日付のマニラクロニクル紙が報道しておるということが伝えられております。これは、二月十日の期日新聞記事にもあります。かつまた、昨晩の東京新聞におきましても、このことは非常に心外千万である。いかにフィリピンにおける対日感情が一部において悪いとはいいながら、例えば、銀河丸に向って、ばかやろうというような罵声を浴びせたり、いろいろしておるけれども、この遺骨収集作業宝探しに来たんだというような悪宣伝をするに至っては、はなはだこれは心外千万であるということを強く申しておる。この際、日本政府としてそういうような一部の悪宣伝といいますか、誤解といいますか、そういうものを一掃いたしますために、この際厚生大臣としての御所見の御表明を願いたいと思う。
  15. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 本来フィリピンにおきまして 一番戦争の犠牲者が多くて、私ども今度収集団派遣いたしますのも、一日も早くいたしたい。いまだに四十数万の人々が、何らよりどころなく、風雪にさらされておるということは、私どもとしてどうしても放置することは許さない。一日も早くいたしたいという気持であったのでありますが、今日に至りましたことも、いろいろな外交関係現地模様等を考案いたしまして、今日に至ったような次第でございます。しかし、先ほど政府委員からも申しましたように、全体といたしましては、現地当局並びにフィリピン政府におきましても、私ども心配はやや杞憂になったような状況で、非常に喜んでおりましたところが、御指摘のマニラクロニクルに、団の行動につきまして、私ども自身想像もつかないような記事が出た。おそらくあの団を構成された人間をごらん願いましても、あの団の人々がいかに、何と申しますか、純真な気持、そしてほんとうにおのれを忘れた気持で参加され、行動されておるかということから考えますと、団員自体が、ほんとうに思いも及ばないような記事が出たというようなことで、非常にどんな気持かということを推しはかるようなことができるのでありますが、しかし、それにもかかわりませず、団の人々は、ほんとうに自分の使命達成に向って努力しておられるというのは、一そう私自身としては感慨なきを得ません。決してあの人々行動にそういうことは、何と申しますか、全く想像外の話であるというふうに考えておりますような次第でございます。こういう一部のうちに、まだ私ども心配しているような関係と申しますか、危惧が事実一部にあったやに実際において証明されるのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、団については、団の行動につきましては、私どもほんとうにそういうことは考えも及ばないような事柄であると、深く遺憾に患っておるような次第でございます。  なお、外務当局現地の問題につきましては、外務大臣はよくその旨を申し伝え、今後そういうことのないように、十分気をつけて参りたいと思っております。
  16. 山下義信

    山下義信君 海外における遺骨収集は、今回をもって終りとせられるつもりでありますか。なお、あるいは別に、次の御計画がありますかどうか、この際承わっておきたい。  また、関連いたしまして、かねて中国の方に保管されておりまする遺骨の受取りは、いつごろこれを受け取られ、どのような方法でこれを受領されるというお考えでありますか。この際承わっておきたいと思います。
  17. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 大規模な遺骨収集は、このフィリピンが最後に残ったものと了承いたしておりますが、なお、南方地域で残っている分がありますので、それについては、今後適切な処置をとりたいと、こう考えておりますような次第であります。  それから、中共その他からの遺骨の問題並びに当方が保管いたしておりますところの中国人の遺骨問題等につきましては、大体、山下委員が御承知だと思いますが、私どもとしても、一日も早くこの問題の処理に当りたいと、こう考えておるような次第でございます。
  18. 山下義信

    山下義信君 フィリピン遺骨収集のことを伺いましたついでに、去る昭和二十四年の一月九日に、約四千柱のフィリピンからの遺骨が佐世保に帰還されたのでありますが、その四千柱のフィリピンから帰還された遺骨は、どういうふうに措置されておりますか、承わっておきたい。
  19. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 政府委員から……。
  20. 河野鎭雄

    政府委員河野鎭雄君) ただいま御質問の遺骨のうち、二千五百柱につきましては、遺族が判明いたしまして、そちらの方にお渡しをいたしているわけでございますが、残りの分につきましては、遺族がわかりませんので、市ケ谷に、その他の地区遺骨と一緒に安置をいたしている次第であります。
  21. 山下義信

    山下義信君 銀河丸状況につきましては、大体ただいまの御報告でわかったのでありますが、関連いたしまして、私が本日特に承わりたいと思いますることは、かねて政府の手によりまして建設される予定になっておりまする無名戦没者の墓の建設の件でございます。このことも、すでに海外戦没者遺骨収集のことを当参議院が特別の要請をいたしまして、実行されまする当初から、無名戦没者の墓の建設につきましては、強い関心を持って参ってきたのであります。申すまでもなく、このことが政府におきましても御同意に相なりまして、政府の手によって建設されるということに相なったのであります。しかも、そのことは、すでに昭和二十八年十二月十一日の閣議でこの墓の建設が決定され、納骨される遺骨の範囲、あるいは墓の性格等も大体において御方針がきまったのであります。だんだんと御準備を進められまして、昭和三十一年十二月四日の閣議におきましては、この墓の敷地も、閣議決定としてきまったのであります。すなわちその敷地は、東京都千代田区三番町所在の国有地の一部を充てられることになったのでありまして、その国有地の一部とは、すなわち千鳥ケ淵水上公園前の、いわゆる宮内庁用地約四千七百坪がこれに充てられるということがきまったのであります。昭和三十一年十二月と申しますると、すでに二カ年に近い以前のことであります。しかるに、今日までその建設が一向に進捗しないというのはどういうわけか。私どもに了解しがたいのであります。三十二年度の予算には、この建設費が計上されておるのでありまして、しかるに、今年度にはお使いにならない。すなわち建設は一向に緒につかない。この予算は、このまま三十一年度に繰り越していくということ、私どもといたしましては、実にこれは遺憾にたえないのであります。世出いろいろなうわさが伝えられております。どういうわけで今日までこの建設が進まなかったのであろう。不審にたえないのでありまして、この際私は、この戦没者の墓の建設が行き悩んできたその事態を明確にされていただきたいと思う。すでに今日まで、八回にわたって海外戦没者遺骨収集され、それらの遺骨は、およそ八万一千九十四体と伝えられております。いまだこれが、政府庁舎の一部にそのままにされてありまして、放置されておるということは、国民感情として許されません。どういうわけでこの建設がかくのごとくに遅滞されているのか、明確に願いたいと思うのであります。われわれが聞くうわさによりますというと、この敷地用地には、宮内庁関係がある、その一部に宮内庁職員庁舎がある。これを移転しなければ、敷地が決定することができない。その営内庁の職員の建物を移転するということが非常に行き悩んでいるために、敷地問題が解決ができなくて、今日に及んでいるということを聞くのでありまして、どういうことなんです。あと事態が明確になると思いますが、どういうことなんです。私は社会党です。社会党戦没者遺骨の問題や、墓の問題を取り上げますることは、いかにもふさわしくないように聞えるかもわかりませんが、これらのことは、党派やイデオロギーの問題ではございません。死者に対する礼を厚くいたしますることは、人道的の問題であります。こういうことをおろそかにいたしまして、どこに道義の確立があります。おそらく、思うに政府当局者は、かくのごときことはきわめてささたることであると考えて、事を軽々しく取り扱ってきたったのではないかと疑わざるを得ないのであります。宮内庁関係のことによってこれか渋滞しているとは何事ですか。これらの多くの兵士たちが、天皇陛下万歳と言って戦死した。その戦没者の墓の建設を促進するのに、宮内庁関係によってこれが妨害せられておるとは何事です。私は、そういう事実があるとするならば、これはゆゆしき問題であると思うのであります。われわれが、千鳥ケ淵の付近にこの戦没者の墓の敷地を選定いたしますることに賛意を表したのは、一つには靖国神社に近く、一つには皇居に近く、これらの戦没者の霊が永遠に眠るにふさわしき地点であるとして賛意を表したのであります。その敷地が、この宮内庁関係庁舎移転等に関連をいたして、解決が長引いて、渋滞をいたしたということは、許しがたきことであると私は思うのでございます。事態を明確にしていただきたい。また、世上伝うるところによりますと、その宮内庁の宿舎の候補地を他に求めようとする、たとえば、代官町の国有地にこれを移転しようとするとしますと、またそこには自衛隊が、いわゆる昔の近衛兵とでもいうか、皇居守護の部隊の兵舎を建設するために難色を示しておる。そういうようなことがからんで、この戦没者の墓の敷地が今日まで決定をみることができなかったということも聞くのであります。これは何ということですか。一方では宮内庁が妨害をし、一方では自衛隊が妨害をする。そういうことでこの建設が遅延しておるというような事実がありとしまするならば、私は、これは許しがたき問題であると思うのであります。この際、今日まで墓の建設が遅延いたしておりました事情を明快にしていただきたい。私どもが、この建設の促進を小林厚生大臣の時代に強く要求いたしまして、昭和三十一年の十一月には、地鎮祭を執行したはずであります。一年半近い以前に地鎮祭を行い、それなのに、建設が進まぬというようなことは、私はこれを黙過するにしのびません。本日は、関係者の方に御出席をいただいたのでありますから、東京関係としましては、部市計画の上にどういう問題があって、どういう御交渉をなされたのか。これらの点につきまして、当委員会で御証言が願いたいのであります。また、その敷地に関連いたしましての緑地帯の計画等に関しまするお考えもお示しを願いたいのであります。また、厚生省当局と解決がついたならばついた、どうならどう、懸案になっておるなら懸案になっておるという状態を明確にされたいのであります。宮内庁長官出席を願っておりますから、宮内庁としては、どういう考えを持っておられるか。どういう関係があったのであるか。今後この戦没者の墓の敷地の問題について、どう協力されるというお考えであるかということを明確にされたいのであります。また、首都圏整備委員会の計画部長出席ということでありますが、首都圏整備委員会としては、どういう意見を持っておられるか。またどういうふうに協力する考えであるかということを明らかにされたいのであります。  大蔵省の政府委員出席であると思いますから、大蔵省関係者としては、ことに管財局長としては、どういう方針を持っておられるかということを明確にされたいのであります。従いまして、これらの問題をすべて総括して、厚生大臣としてはどういうお考えであるか。今後の建設の見通しについて、御所信を御表明を願いたい。いつごろ墓を作って下さるのか。いつごろまでには建設を終了されるというお考えであるかということを、明確に御表明を願いたいと思うのであります。従いまして、私は、総括的には厚生大臣から御答弁を願って、関係の各位とされましては、今日までの経過並びに今後のお考えにつきまして、明確に御証言を願いたい、かように考えるのでございます。
  22. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 正式にまだきまったわけではございませんが、無名戦没者の墓につきまして、だんだん経過をお話しになって、おしかりを受けたことにつきましては、非常に私としても申しわけなく考えております。実は私、厚生大臣になります直前の五月三十一日に、今いろいろおあげになりました関係当局の事務当局が、一つのこの墓につきましての覚書を作っておるのであります。と同時に、今御指摘のように、三十二年度予算におきまして、約五千万円をすでに計上して、そうして国会において御審議の上、通過しておるような状況でございましたので、円満に進行することと思っておりましたが、自後どうもこの問題が具体的に進んでいないということを発見いたしまして、まことにこれでは申しわけない次第であり、予算を通過さしていただいた国会に対しても、また、特にその推進力になられました本委員会に対しても、申しわけないというふうに痛惑いたします。実は、少し余談でございますが、この問題が延びておりますことについて、砂山重政氏が、亡くなられるちょうどその日に、ちょうど山下さんが怒られると同じように私に怒られた。めったに怒ったことのない人が怒ったのであります。で、それより前に、実は私自身大臣として現地を見に参りました。これではとうてい事務当局にまかしておけない。私自身の責任において、早急に解決いたしたいというので、現地に参りまして、将来の構想を練ったわけであります。ただ事務当局の方といたしましても、今お話のように、各関係官庁にわたる問題で、一つ宮内庁の官舎敷地になっておる。その官舎敷地を移転してやるために、大蔵省が相当心配しなければならない。なお、建設関係におきましては、緑地帯に指定してある。私どもとしても、最初きまりました案よりは、実はできるだけりっはなものを作りたい。当初の二千数百坪では、何といってもふさわしくない。約五千坪程度はぜひほしいという考え方を持っておりました。そういう関係から、関係事務当局自身も、そういうふうな各方面の考え方を織りまぜて、しかも御趣旨に沿うようなこの無名戦士の墓地を建設いたしたいというところから、実は延びまして、まことに申しわけございません。やっと、最近になりまして、いよいよ関係事務当局の考え方もまとめることができまして、直ちにあの場所を地ならしいたしまして、工事にかかり得るような状況に相なりました。はなはだ延びておりましたのですが、やっとその運びになりました。この上は、一日も早く設計に沿うて工事を試行いたしたい。まあごく一部、完成というには、植樹その他の点がありますので、それらについては、時期も選ばなければなりませんかと思いますが、今年の、三十二年度に予算が残りましたことは、まことに申しわけございませんが、一日もすみやかにこの工事にかかりたい。今後は順調に参るだろうというふうな考え方でおりますので、今年の半ば過ぎまでにはぜひ完成いたしたい、こういうふうに考えておりますので、御了承を願いたいと思います。
  23. 山下義信

    山下義信君 厚生大臣に総括的に御答弁をいただいたのでありますが、竣成の時期についての確たる御派返答がなかったように思うのでありますが、その点を承わりまして、御病後でもございますから、厚生大臣への質問はこの程度にいたしまして、あとは、関係部局に質疑いたしたいと思いますが、竣成の時期につきましてのいま一度御答弁をいただきたいと思います。
  24. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 大へん怒られまして、なんでございますが、今私は、まあこれで行けば、秋には……、ただその、何と申しますか、こまかくまだ工事の段組を……、やっと土地の問題が解決しましたものですから、基本的な工程その他について、何と申しますか、私どもとしては、敷地にどれだけかかって、これがどれくらいという、一つ一つのダイアグラムを作らなければなりません。しかし、秋ごろまでには一応完成したい。しかしそれが、それじゃ全部、全然もうあと手を入れなくていいようになるかどうかという問題は、もう少し具体的なダイアグラムを作りまして申し上げたいと思いますが、今のところ、秋ごろまでには完成いたすという決心をいたしております。
  25. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、参考人の御意見を聴取いたしたいと思います。東京都副知事佐藤基君にお願いいたします。
  26. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 無名戦没者の墓の件でありますが、これは、先ほど山下委員からもお話がありましたが、きわめて有意義な企てで、東京都としても、これについて十分御協力申し上げている次第でありますが、このいきさつにつきましては、先ほどお話のありました、昭和二十八年に届出があって、東京都については、道路のつけかえという点に関して三十一年に御連絡があったのであります。図面なしでお話して、ちょっとお聞きにくいかと存じますが、ところが、この道路つけかえという問題が、経費も非常にかかりますし、また、その道路をつけかえる場所がいわゆる都市計画公園区域でありますので、しかも、東京都の考え方といたしましては、道路をつけかえなくても、りっぱな無名戦士の墓ができるというふうに考えておったのであります。そこで、それに基きまして、政府関係者と連絡しまして、最近に至りまして、道路をつけかえないで、道路は従来通り堀ばたの方に置いておいてもいいということにきまりましたので、あとは、東京都としては、一日も早くこれができることを望んでいると、こういうふうな状況であります。従いまして、現在の状況は、東京都といたしましては、何も問題はございません。
  27. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、水野首都圏整備委員会事務局計画第一部長にお願いいたします。
  28. 水野岑

    政府委員水野岑君) 本問題につきましては、昨年でございますか。厚生省の方から私どものほうに、関係各省と非常に関係が深いので、いろいろ中を取り持ってあっせんしてもらいたい、こういうお話がございまして、私ども委員会といたしまして、この重要性にもかんがみまして、できるだけ早く円満に解決いたしますように努力して参ったわけでございます。そこで、まあいろいろないきさつがございましたが、結局この無名戦没者の墓をりっぱなものにする、東京の大きな名所にする、こういうような観点に立ちまして、私どもは、いろいろごあっせんもいたしたわけでございます。その間私どもは、もうできるだけの努力をいたしたつもりでございますが、何分微力な点もございまして、時日を要したわけでございますが、先ほど厚生大臣からお話がございましたように、最近に至りまして、やっと解決をいたしまして、閣議決定になりました。約二千四百坪、こういう無名戦没者の墓の用地以外に、それに隣接しております宮内庁敷地約二千四百坪程度を無名戦没者の墓に追加をする。こういたしますと、閣議決定になりましたものよりは広くなりまして、そうしてりっぱな墓になると考えられるのでございます。そうしてまあこれは、宮内庁御当局にも非常に御配慮いただいたわけでございますが、宮内庁宿舎用地といたしましては、代官町の方へ移っていただく、こういうことで、大体解決をしたような状況でございますので、今後私どもといたしましては、その線に沿いまして、無名戦没者の墓のところに、なお一部宮内庁の宿舎用地が若干残りますが、その分につきましては、公園決定をはずす、あるいは代官町に宮内庁の宿舎の代替地を求めるわけでございますが、その代官町につきましても、公園決定がなされておりますので、その点につきましては公園決定をはずす、こういうような措置につきまして、建設省、東京都に十分私どもの力から申しまして、そういう措置をとりまして、この無名戦没者の墓並びに官内庁宿舎の建設が円滑に行われますように、努力するつもりでございます。
  29. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、宮内庁の答弁を求めます。
  30. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 無名戦没者の墓の建設につきましては、大体千鳥ケ渕の宮内庁の官舎敷地という話がぼつぼつ出ましたのは、三年くらい前かと思いますが、具体的に厚生省から御相談がございましたのが一昨年の暮れ近くだと思います。いろいろ、宮内庁といたしましても、他で立ち退きを命ぜられておるような宿舎もございまして、あの土地を将来のそういった敷地として考えておりましたのですが、ほかならぬ墓地建設でございますので、先ほど御指摘になりました通りに、そのうち二千四百余坪を差し上げるということで、それが基礎になりまして、一昨年の暮れの十二月の閣議決定に相なったわけでございます。それに伴いまして、予算措置もせられまして、その敷地内に――あすこ全部は約六千三百坪ほどございますが、そのうち、そのとき決定になりました敷地の中にございまする建物六戸を移す、その地ならしの予算宮内庁、建てかえる方は大蔵省ということでございまして、本年度に入りまして、宮内庁といたしましては、整地もいたしたわけでございます。ところが、その後、先ほどお話のございましたような、道路のつけかえ問題等で困難な事情ができまして、代替地を出すから、もう少しほしいということがございまして、官舎地区でございますから、他にあればけっこうだということで、進んでおったのでございますが、先ほど来他の方から御説明申し上げましたように、いろいろな事情がございまして、だんだんおくれましたが、最近になりまして、代官町に一部代替地をいただくということで、解決を見たわけでございます。結局六千三百坪のうち、そこにございます十六戸の建物を移す土地を除きまして全部をこの無名戦没者の墓地のために提供するということで解決を見たわけでございまして、ただその住宅の移築の方は大蔵省の方で今度やっていただくわけでございます。すみやかにこの大事なお仕事が進むことをわれわれとしても念願をしておるわけでございまして、いろいろな事情でおくれたことはまことに申しわけないことでございますが、われわれといたしましては、きまった線でいろいろ努力をしたことだけは御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  31. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、大蔵省御答弁願います。
  32. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 大蔵省といたしましては、三十一年の十二月四日の閣議できまりました方針にのっとりまして、大蔵省が本件につきましてやるべきことを着々努力をして参ったわけでございますが、簡単にその間のいきさつを御説明いたしますると、大蔵省といたしましては、宮内庁の宿舎が、これは行政財産の公有財産になっておりますが、十六戸本地の上にありまするので、これを他に移転をするということをやる必要が起ったわけでございますが、そのための予算措置といたしましては、三十二年度の予算で八戸分、八百万円程度、それから三十三年度分として八戸分、やはり八百万円程度、合計千六百万円程度の予算を用意していたわけでございますが、そこで三十二年度の八戸の移転につきましてもいつでもできるような状態にあったわけでございますが、ただいままで御説明がありましたようないろいろな事情でそれが延び延びになったわけでございます。と同時に、もう一つの問題といたしましては、当初の閣議決定の墓の大きさがその後いろいろ関係各省の間で御研究になった結果大きくなったわけでございますので、その結果宮内庁の持っておりまする土地の方にまで食い込む、その結果その土地にかわるべき土地を、大蔵省が持っておる皇居に近いところにそのかわりの土地を何とか確保したいという宮内庁の御要望がございましたので、私どもといたしましては皇居に近いところでなければまだ使っていない土地は方々にあるのでございまするが、宮内庁の御要望もごもっともでございますので、皇居に近いところということで探しますると、代官町の一部の敷地しかないわけでございます。そこも先ほどお話がありましたように、自衛隊の方の御希望もありまするし、またさらに私どもとしては、国有地をいかに利用するかということは総合的に将来の計画を全体としてひっくるめて考えた上できめなければいけないという建前をとっておりまするので、今すぐあいているから宮内庁に差し上げるということはなかなか困難な事情もございまして、さらに最近きまりました代官町の一部の敷地宮内庁の方に所管がえをする土地につきましても、その上に現在警視庁の拳銃射撃揚がある、それを取りこわさなければ宿舎が建たないというような事情もございますので、なかなかさら地を宮内庁に差し上げることが今まで困難であったわけでございます。最近関係各省との話し合いで話がきまりましたので、大蔵省としては、先ほどの宿舎の建設費のほかに、将来の宿舎の予定地として千五百坪程度を大蔵省が現在管理しております代官町の土地を宮内庁に提供するということにいたしたわけでございます。
  33. 山下義信

    山下義信君 私はね、この種の問題でございますから、いろいろに申し上げて、この建設に汚点を印するようなことは自分としても避けたいと思います。当委員会が本問題を取り上げることになりまして、関係の各位が御熱心に御協力いただいたことは、私の方からむしろ感謝いたしたいくらいで、よく御協議をしていただきました。お話さえついて建設がスムーズに進むということになりますれば何をかいわんやでございます。言いたいことがたくさんあります。追及したいこともたくさんあります。しかし、この神聖な墓の建設の経過に不快な記憶を残すことは、本員といたしましても本意ではございませんので避けます。先ほど私が冒頭に申しましたことで、関係各位は十分御反省をいただいたことであろうと思いますが、将来とも御注意に相なって、国民が非常に不愉快な感情をいだかないように、ことにこの宮内庁に職を奉ずる者十分戒心を加え、今後とも善処されんことを強く要望いたしておきます。私は宮内庁長官にいま一度今後の御所信を承わっておきたいと思います。
  34. 宇佐美毅

    説明員宇佐美毅君) 本問題につきましては、当初からわれわれといたしましては誠心誠意務めたつもりでございますが、ただいまいろいろおしかりも受けたのでございますが、御趣旨に沿ってわれわれとしてはできるだけの努力をいたしたいと考えます。
  35. 山下義信

    山下義信君 関係者に対する、今お述べになりました方々への質疑は、ただいま申し上げましたような趣旨で私は省略いたします。他の委員質疑は別でございます。この際関連して承わっておきたいと思う。それは、自治庁並びに大蔵賀管財局総務課長お尋ねをしておきたいと思うんです。実は、ただいま問題として伺ったのは、国の建設する無名戦没者の墓についてでございますが、なお従来からありまする全国各地にわたっての戦没者、あるいは殉難者等に、国に殉じた者の墓園等につきまして、全国的に見ますというと、非常に荒廃をいたしておりまして、目に余るものが多々あるようでございます。これは終戦直後占領軍の命によりまして、いろいろとこれを取りこぼち、あるいは廃止し、あるいは処理をいたしたような関係もあったかと思うのでありますが、相当全国的に、私どもが見まして、問題になるようなものが多々あるのでございます。これは、ここで一々具体的に申し上げたいのでございますが、時間の関係もありますから省略いたしますが、ずいぶんひどい状態であります。しかも、そういう状態は数十個所に及んでおる。最近各市町村とも、何といいましても人生における最大の礼儀をもって処理をしなければなりませんこれらの墓地のことでございますから、各市町村当局におきまして、管財局からこれらの墓地の払い下げを受けて、そうして市町村において管理をしたいということで、それぞれ申請、あるいは希望等を表明しておるようでございます。  そこで、自治庁に伺いたいと思いますが、こういう状態でございますから、市町村において、この国に殉じた人たちの、いわゆる戦没者の墓等の保管等につきましては、これら公共団体で維持、管理をさせてはどうかと思うのでありますが、自治庁はどういう方針を持っておられるかということを承わりたいと思うのであります。これは憲法の規定や、憲法そのまま自治法に引いておられますあの宗教に関係する問題ではないと思いますので、墓でございますから……。それらの疑念はないと思うのでありますが、自治庁としてはどういう方針を持っておられるかということをこの際承わりたいと思うのであります。  また関連して、大蔵省管財局としてはどういう方針でおるか。実は、管財局自身が現在は管理者であるが、ほったらかしてある、荒廃に帰したままになっておるので、具体的に私はそれらの地名を一々資料を所持しておるのでございますが、管財局としてあるいは払い下げたのがある、しないのがあるし、はなはだしきに至っては個人に払い下げてしまって他に転用されているのがあるし、いろいろある。どういうふうな方針でおられるかということをこの際自治庁並びに大蔵省から承わっておきたいと思う。
  36. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。  参考人の方には非常に御多忙な中を御出席願いまして、まことにありがとうございました。適宜お引き取りをお願いいたします。どうもありがとうございました。  それでは、小林局長御答弁願います。
  38. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 地方団体が、それぞれその地域にあるそういういろいろな関係の墓地等につきまして、これを自主的に管理をする、こういうことは、私は、憲法並びに自治法がこの政教分離という建前をとっておりますが、そうした特定の宗教にかかわりがなく行われますことにつきましては、特に憲法、自治法に抵触しておるものと考える必要もないのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。
  39. 谷川宏

    説明員谷川宏君) お答え申し上げます。現在の法律の建前におきましては、国が直接墓地を管理することもできまするし、また地方公共団体におきまして墓地の用に供するというためでありますると、無償貸付、あるいは譲与、ただで公共団体に差し上げるわけでございますが、そういう道も開かれております。そこで私どもといたしましては、大蔵省が直接墓地を管理するということは適当ではございませんので、できるだけ地方公共団体が管理していただくという方向でその墓地を――墓地の用に供する土地を、国有地を公共団体に譲与するということにいたしていきたい、かように考えております。
  40. 山下義信

    山下義信君 大蔵省管財局の御方針をきわめて明快にお示しになりましたのでありまして、私はよくこれを了とするのでありますが、そういう御方針でございますれは、現在、すでにいろいろと申請が出ておりますものや、懸案になっておりまするようなこの種の問題につきましては、できるだけ一つ適切に、すみやかに御処理を願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  41. 谷川宏

    説明員谷川宏君) 具体的に十分検討いたしまして、すみやかに処理をしていきたいと思います。ただ、具体的の事務は各地の財務局、あるいは財務部でやっておりますので、さらにそれらの地方の出先機関に対しましても、今後落度がないように指導をしていきたいと思いまするが、具体的の場合に、ほんとうに墓地として、新しく墓地を作るのか、そうじゃないのか、先ほどもお話がございましたように、転売をするというようなことがないように、十分個々の事案を検討していきたいと考えております。
  42. 山下義信

    山下義信君 先ほど自治庁の小林さんから御所見の御表明があったのでございますが、自治法との関係はよくわかったのでございますが、今、管財局がそういう御方針だということになりますれば、外地方の市町村等におきましてその種の希望、計画、要請等がありまする状態を御調査をいただきまして、できるだけ何らかの、自治庁としての御方針といいますか、御指導といいますか、適当に一つ心配を願いたいと思いますが、小林さんの御意見を承わっておきたいと思います。
  43. 小林與三次

    政府委員小林與三次君) 今のお話でございますが、自治庁、それぞれの市町村、県がそうした仕事を自主的にやることにつきましては、われわれも差しつかえないと思っておりますが、自治庁が積極的に乗り出して、そういう問題をどうこうするということは、自治庁の役目から申しましても、そこまでするのはいかがかと、これは率直に申しましてそういう感じがいたしておるのでございます。
  44. 山下義信

    山下義信君 だんだんと事態が明確になりまして、ことに墓の建設が急遽促進するということで、本員も、せっかくこの問題を委員会でお取り上げ願ったかいがあると思いまして、多とするのでありますが、最後に私は、警察庁長官の御出席をいただいておるのでありますが、警察方面の御所見を承わりたいと思うことが一つございます。  実は、国の無名戦没者の墓をやっていただくことをわれわれは要請いたしました当時から、大いに注意をしなくてはならぬことを考えたのでございますが、この全国至るところに忠霊塔の建設、あるいは戦没者慰霊碑等の建立等を名目といたしまして、相当な何と申しますか、いかがわしい計画等が続出いたしまして、あるいはこれらを利用する犯罪行為、詐欺事件等が相当あるのではないかと思うのであります。これらにつきまして警察当局はどういうふうに御調査になっておられますか。また、今後ともどういうお取締りの御方針でおいでになるかということを承わっておきたいと思います。
  45. 中川董治

    政府委員中川董治君) お話の問題に限らないのでございますが、いろいろ地方等で寄付金募集に関連して問題があることは多いのでございます。寄付金募集で、正常な正しい寄付金は、もちろんわれわれの関与するところではないのでありますが、そういう寄付金という名目に籍目して、事実と違うことを言って募金をして、刊法の詐欺などに値する場合が間々見受けられますので、この問題に限りませんけれども、寄付金募集に関連して詐欺などの起るような事例につきましては、われわれ刊罰法規の適用につきまして常に注意をいたしておるのであります。刑法の詐欺になる以外は、寄付金そのものといたしましては、御案内のように、社会福祉事業法関係がございますが、そのほかに、一般的に地方公共団体等で寄付金募集に関して条例で規制なさっている向きがございます。現におひざ元の東京都は、寄付金募集をする場合において、東京知事の規制があるわけでございますが、その規制をもぐってやった場合には、罰金刑が科せられておるのであります。そういう規制をもぐったものについては犯罪として刑罰の適用に努力しておるのでありますが、今後ともどしどし正しい行為に対しましては助長して参ることは当然でございますけれども、それに隠れて犯罪等があります面につきましては、直ちに追及していきたい、こう考えております。
  46. 山下義信

    山下義信君 最近具体的に当局として検挙せられましたような事例がございますか。忠霊塔、慰霊碑等の建設に関連しまして、刑事事犯的なような事件がございましたか、最近はないようでございますか。
  47. 中川董治

    政府委員中川董治君) これは各地でやってておりますが、しっかりした統計できちっと申し上げることは今不可能なんですけれども、ずっと私ども各地の報告を聞いておるのですけれども、大きな事件は今のところないようでございます、最近は。
  48. 山下義信

    山下義信君 私の質問は以上をもって大体終了いたしました。
  49. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連してちょっとお聞きしておきたいのですが、遺骨収集の場合に、最近の新聞で伝えられるところによると、なお収集に当って相当危険な区域がまだ残存しておる。収集できないで引き揚げたということが伝えられておりますけれども、これに関連して駐在大使協力がはなはだ消極的である。少くとも積極的ではないということも伝えられております。この危険区域について駐在大使あたりがもっと日常了解を得るような、あるいは少くとも誤解を招かないような状態に持っていくように積極的な努力をしておったならば、すぐに端的に解消はしないまでも、必ずしも見込みなしとしないのではないかというふうに考えられるのですが、厚生省としては、この危険区域にある遺骨収集をそのままもうやむを得ないからということでこのまま打ち切ってしまうのか、今後なおこれが収集について努力をされるのか。もし、されるとするならば、どういう方法でこれを危険区域の遺骨収集努力をされるのか。その具体的なお考えがあるならば、一つこの際お聞きしておきたいと思う。
  50. 河野鎭雄

    政府委員河野鎭雄君) 先ほども総括的にはお話申し上げたような状況でございますが、ただいまお話のございましたように、ごくまあ例外的と考えていいんじゃないかと思いますが、一、二カ所まあ行けなかった地域はあるような報告を受けております。私ども当初予想したところでは、あるいはもう少し奥に行けない地区が出て来やしないかというような危惧をいたしましたが、そういうような点からいくと、今度は大体計画通り行けたんではないかと考えておるわけであります。大使館等現地の機関が非協力であったんではないかというような御指摘でございますが、先ほど山下委員からも最近の新聞紙上でその辺の記事が出たことを御指摘されたわけでございますが、私どもずっとやってきました間におきましては、外務省、あるいは在外公館を通じまして、まあ非常に御協力いただいたものと実は私ども考えておるわけでございます。その間若干報道班員も参っておるわけでございますが、感情的な行き違い等もあって新聞記事等にその辺のまあ表われと申しますか、非協力的だったというふうな記事が出たようなこともあったようにも聞いておるわけでございますが、これは各新聞に一斉に出たことでもございませんので、私ども外務省から伺っておるところでは、ただいまちょっと申し上げましたように、若干の感情の行き違い等もあってああいうふうなことになったのではないだろうかというふうに記事を読んでおるわけでございます。まあ今後ももう日がないわけでございますが、先般外務省とも連絡をいたしまして、そういうふうなことのないように十分まあ現地の方にも連絡をとるというふうにお答えをいただいておるような次第で、今後まあそういうことが起らないのではないだろうかというふうに期待をいたしております。
  51. 片岡文重

    ○片岡文重君 大使館態度ということは、まあちょっと今のは参考的にそういうことも危険区域の解消方法として考えられるのではないかということで申し上げたのだが、私がお尋ねしておるのは、今度の遺骨収集に半当って、一応近くまで行ってどうしても入れないということで引き返してしまって、なおそのいわゆる危険区域の中には相当の遺骨があるのではないかと考えられておるにかかわらず、収集も断念したかのごとくに伝えられておりますから、断念したとするならば、この収集作業だけを断念したのであって、あと続けてさらにあきらめずに何らかの方法を講じて、残されたたとえわずかの遺骨でも収集するような努力をするのかどうか、それをお尋ねしたいわけです。
  52. 河野鎭雄

    政府委員河野鎭雄君) 実はフィリピンに四十七万といわれる遺骨が眠っておるわけでございます。フィリピンに限らず、こうした遺骨収集は、すべての遺骨を持ってくるというふうなことは事実上まあ不可能なわけでございます。象徴的な遺骨を持ってくるというふうなことで、今回も大体主要な地点二十カ所程度を選びまして、スケジュールを組んだわけでございます。たとえば行けなかった地区と申しますか、ミンダナオ島の西南の方に、一番まあ端の方でございますが、ホロという所、そこは市内は収骨ができたわけでございますが、奥に入ると土民の関係でちょっと無理ではないかというふうなことで奥地に入ることを断念した。その地点にはまあ一応行った。大体主要な地点には一応行って、奥地に入れないというふうな状況のように承知いたしておるわけであります。まあ全部を持ってくるということでなしに、象徴的な遺骨を持ち帰るというふうなことでございますので、ただいま申し上げましたホロ地区の、さらにまた奥をもう一回やるというふうなことまではちょっと考えにくいのじゃないかというふうに考えております。
  53. 片岡文重

    ○片岡文重君 戦没者遺族の身になりますと、一人々々の気持は皆同じですから、たまたま集団――集団地域といいますかね、たくさんおったところに属するものはそれでも納得できると思うのですが、たとえ一体でも二体でもあるということが現実に確認をされて、それでしかも収集できないということになると、残された遺族の人たちにとってはあきらめ切れないものがあろうと思うのです。先ほど一人々々については氏名が判明しない――大部分が判明しないわけですね、先ほどの御説明では。しかし、一人々々の遺骨の判明はしなくとも、大体そこの土地でどういう部隊が玉砕したかということはわかっているはずですから、従って、これがAの遺骨であり、これがBの遺骨であるということはわからなくても、少くともその部隊に属した者のだれかであることには間違いないんですから、戦没者遺族になれば、その中に自分のむすこなり、自分の夫なりというものがいるということははっきりしておるわけですから、従って、氏名が判明しなくても、その中におるんだということがわかれば、たとえ腕の骨一本でも持ってきてほしいというのが私は情だろうと思う。しかも、それがはっきりあるということがわかっておるとすれば、どうしても持ってきてほしいという気持になるだろうと思うのだが、そういう点で、あるかないかわからないという状態であるならば、これはまあ費用の点もあるでしょうし、いろいろな事情もあって続けて長くおるというわけにはいかんでしょうし、いろいろ誤解を招いても今後のことにも差しつかえますから困るでしょうけれども、現にあるということが確認をされておるような地帯については、もっと積極的に、現地においてはわれわれの想像する以上のものがもちろんあるでしょう、非常な御苦労を冒しておられると思いますが、遺骨収集団が行かれたときだけの積極的な努力はもちろんですけれども、その前も、それからそのあとにも、フィリピンに駐在される大使館なり、出先機関の諸君もともに協力をしてやったならば、たとい時日はかかっても、私は収集できるのじゃないかというふうに考えるんですけれども、そういう点について、厚生省としては、一応もうやむを得ないということでこれでもう打ち切られるのですか、それとも、何らかの気長な気持でもとにかく全部を収集するという努力を続けられるのかどうか、その点を一つ聞いておきたい。
  54. 河野鎭雄

    政府委員河野鎭雄君) ただいま行けない地区に必ず発見できる遺体があるというふうなことは、ちょっと申し上げにくいのではないだろうか。と申しますのは、ほかの地区でも同様でございますけれども、もう十数年たっておりまして、かりに遺体があっても、それが遺体であるかどうかもわからない、あるいは、風化をしておるというふうに聞いておるわけです。そういうふうな状況でございますので、ただいま申し上げたような行けない地域にどれだけあるかというふうなことは、はっきり実はいたさないわけであります。ただ、今後の問題といたしまして大規模な収集団派遣するというふうなことは、南方に関する限り、大体これで一応一段落としていいのではなかろうかと考えておるわけでありますが、その他の地区でも、たとえば、インドネシアでも、戦犯の遺骨があるというふうなことも聞いておるわけです。こういった残った遺骨がはっきりしたものにつきましては、幸い在外公館もあることでございますし、そういった機関を通じて適切な処置をとりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  55. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  56. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。  休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  57. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。  社会福祉事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
  58. 米田吉盛

    政府委員(米田吉盛君) ただいま議題となりました社会福祉事業法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。  この法律案は、社会福祉事業の範囲を拡張し、社会福祉審議委員の任期を延長したほか、一定規模以上の市について二つ以上の福祉事務所を設置することができることとし、また、社会福祉法人につきまして定款記載事項の簡素化及びこれに対する指導監督の充実を期することを内容としているものであります。  すなわち、改正点の第一は、新たに社会福祉事業として結核回復老後保護施設を経営する事業及び隣保事業を加えたことであります。  その第二は、従来社会福祉審議会の委員のうち関係行政庁の職員以外の委員の任期が一年とされておりましたのを二年に改めたことであります。  その第三は、従来指定都市以外の市につきましては、一つの福祉事務所を設置することを建前としておりましたが、これを政令で指定する人口おおむね二十万以上の市につきましては、その実情に応じて二つ以上の福祉事務所を設置できることとしたことであります。  その第四は、現在定款の必要的記載事項とされております資産の総額につきまして、これを定款の必要的記載事項からはずし、資産の変動のつど定款の変更を行う必要がないこととして、社会福祉法人の負担を軽減するとともに行政事務の簡素化をはかることとし、また、社会福祉法人の指導監督につきまして、厚生大臣のほか都道府県知事報告徴収及び検査の権限を行使することができるものとして、社会福祉法人に対する指導監督の充実を期したことであります。  その第五は、低利融資事業による貸付金に関する証書について印紙税を課さないものとしたほか、以上の改正に伴い関係条文の改正等所要の措置を講じました。  以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ槙重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  59. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、政府委員より細部の説明を願います。
  60. 安田嚴

    政府委員(安田嚴君) ただいまの提案理由につきまして、若干補足をいたしまして御説明申し上げたいと思います。  社会福祉事業法の一部を改正する法律案要綱というのが三ぺ-ジにございますが、第一に、結核回復老後保護施設を経営する事業及び隣保事業を社会福祉事業に加えたこと、これは御承知のように、社会福祉事業法に、現存第一種、第二種と規定された社会福祉事業の種類があるわけでありますけれども、結核回復者後保護施設、すなわちアフター・ケア施設につきましては、従来それについて、社会福祉事業としての規定がなかったわけであります。それから隣保事業、これは隣保館でありますとか、市民館でありますとか、そういうような形でちょいちょいございますけれども、無料または低額の料金で、住民にいろいろの施設を利用させまして、そうしてその住民の生活の改善とか、向上をはかるとかというような仕事でございます。その二つを今回社会福祉事業の種類の中に加えたわけでございます。  それから第二番目は、これは社会福祉審議会というものが、厚生大臣の諮問機関にございますけれども、その委員の任期が現在一年でございますので、これは他のこの種の審議会でも大体二年または三年になっておりますので、実際運用いたしました経過から見ましても、二年を適当と考えまして、二年に延長いたしたい、こういうことでございます。  第三番目の、指定都市以外の市で、政令で指定する人口二十万以上の市は、条例で、二以上の福祉事務所を設置することができるものとしたこと。というのは、福祉事務所というのは、現在は御承知のように、府県の地域につきましては、大体人口十万について一つの福祉事務所というような規定があるわけであります。  それから推定都市につきましては、これもやはり人口十万について一つというふうに規定されておるのでありますけれども、普通の市でございますというと、それは幾ら多くても一つの福祉事務所を置くという規定になっておるわけであります。これはたとえば福岡でありますとか、川崎とかというふうに非常に人日の多い市におきましても、福祉事務所が一つでありましたが、これは住民の側からも非常に不便でございますので、それを二つ以上置くことができるというふうにいたしたいのでございます。それから、社会福祉法人の定款の記載事項を簡略化したこと。というのは、規定の社会福祉法人の定款の中に資産総額ということがあるのでありますが、これが記載事項になっておりますと、建物を建て、土地を買い、絶えず資産の総額が変ります。そのたびに一々厚生大臣の認可が必要になってきますので、これは非常に出す方も大へんだろうと思いまして、事務を簡素化いたしたわけでございます。  それから、社会福祉法人に対する報告徴収及び検査の権限を都道府県知事も行うことができるものとしたこと。これは、現在厚生大臣だけが持っているのでございますけれども、しかし、実際問題といたしまして、全国にたくさんあります社会福祉法人につきまして報告をとるとか、あるいは検査をするというくらいの権限は、都道府県知事が持っておりましても――持っていなければ不便なことも多々ございますので、これをそういった事項に限って、都道府県知事が行うことができるものとしたのでございます。  それから、第六の、低利融資事業による貸付金に関する証書について、印紙税を課さないこととする。これは、生計困難者に対して無利子または低利で資金を融通する事業による貸付金、たとえば世帯更生資金なんかのことを考えているわけであります。そういったものには、収入印紙を張らなくていいという規定を、この機会に入れたわけでございます。  以上簡単でございますが、御説明申しました。
  61. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
  62. 米田吉盛

    政府委員(米田吉盛君) ただいま議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  昨年、旅館業法の一部が改正され、旅館業に対する従来からの公衆衛生上の規制に加え風俗的見地からの規制をも行い得るものとされたのでありますが、第八条に規定されている婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勘令が、本年四月から、売春防止法附則第二項の規定によって、廃止されることとなりましたので、これに伴い関係規定の整備をはかろうとするものであります。その内答は、第八条中に従来規定されておりました「婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令に規定する罪」を「売春防止法第二章に規定する罪」と改めるとともにこれに伴う経過措置を規定したものであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  63. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 政府委員より細部の説明を願います。
  64. 尾村偉久

    政府委員(尾村偉久君) ただいまの法律案につきまして、補足の説明を申し上げます。  現行の旅館業法の第八条に、旅館の営業者、または、その代理人、使用人その他の従業者が、当該営業に関して……。それから三号になりまして「婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令に規定する罪」を犯した場合には、許可を取り消しましたり、あるいは期間を定めて営業の停止を命ずることができるようになっているのでございますが、これが売春防止法の付則の方に施行期日につきまして、売春防止法の付則第二項、すなわちこれは「婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令は、廃止する。」という付則になっておりますのが、三十三年の四月一日から施行するようになっており、同時に売春防止法の第二章が四月一日から発効するようになっているわけであります。従いまして、この旅館業法の八条三号の、この勅令に規定する罪を、売春防止法に規定する罪に置きかえませんと、四月一日からこの八条三号に関する規定がなくなるわけでございますので、これを改正をお願いしておるわけでございます。で、この結果、実際にはただいまのように、旅館業法の八条三号を「売春防止法第二章に規定する罪」とするほかに、付則といたしまして三十三年四月一日からこれを施行する。なお、経過規定といたしまして、これの発効いたします前に、前の勅令によりまして罪を犯したという場合には、この許可の取り消し、または常業停止の処分は従前の例によるという経過規定をきめているわけでございます。以上でございます。
  65. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。  社会福祉事業法の一部を改正する法律案旅館業法の一部を改正する法律案、両案に対する質疑は、次の機会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時二分散会      ―――――・―――――