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1958-02-07 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月七日(金曜日)午前十 時三十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            山下 義信君    委員            有馬 英二君            草葉 隆圓君            後藤 義隆君            紅露 みつ君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 経勝君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   政府委員    厚生政務次官  米田 吉盛君    厚生大臣官房長 太宰 博邦君    厚生大臣官房会    計課長     山本 正淑君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 小澤  龍君    厚生省薬務局長 森本  潔君    厚生省社会局長 安田  巌君    厚生省児童局長 高田 浩運君    厚生省保険局長 高田 正巳君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎭雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (昭和三十三年度厚生省関係予算に  関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 開会いたします。  社会保障制度に関する調査の一環として、昭和三十三年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。前回に引き続き、質疑を願います。
  3. 山下義信

    山下義信君 昨日、診療報酬引き上げに伴う国の負担分に対する予算据置はどうなっているかという資料要求しておいたのですが、今お配りになったようでありますが、この資料の御説明は、木下委員その他の、大臣に対する御質疑が済んだあとで御説明を願う、そういうことにしたいと思いますから、お含みを願います。
  4. 木下友敬

    木下友敬君 私は、大臣お尋ねいたしたいと思います。従って、衆議院予算委員会関係で、大臣がお立ちになれば、そこで私は、私の質問を打ち切ることの失礼をあらかじめ御了承願いたいと思います。  私どもは、これからの日本は、平和で民主的な福祉国家の方向に通まなければならないと考えております。そして福祉国家の建設のためには、これは申すまでもないことですが、りっぱな社会保障制度を確立することが第一の仕事である、こう考えておる。この点については、堀木厚生大臣も、御就任の早々の御発言の中でも、抱負をお述べになっておられるところでありまして、私どもは、堀木厚生大臣には、大きな期待をもってお迎えしたわけでございます。  予算を見ておりますと、なるほど、たとえば日雇い労働者保険治療費補助引き上げ、また、傷病手当金支給法律を新しくお作りになり、あるいは国民健康保険に五分の調整費を作られた、また、歴代の大臣が非常な難問題としておりましたところの無医村対策にも指を染められたなど、たとえ私どもあるいは国民がこいねがっておるところとは相当まだかけ離れておるとはいえ、とにかくこういうところに手をおつけになったことには、私は敬意を表しております。  もちろん、一口に社会保障と申しましても、いろいろの保護政策あるいは年金制度、その他たくさんの問題がありますが、最も重要な政策一つ、ことに今日の厚生問題において最も重要な問題は、国民保険であると思うのでございまして、この点、現政府重要施策一つとして取り上げられ、三十二年を振り出しに、四カ年のうちに全国民保険の恩恵に浴するような施策を講ずることになっております。その第一歩を三十二年度におきまして、三十二年度には、たしか六百九十四万人だったと思いますが、六百九十四万人を新しく加入させるというような御計画でありました。私ども心から喜んでおりましたが、当時私どもは、しかし果して一年間に六百九十四万人の多数を新たに加入させることが可能であるかどうかということには、非常に心配をいたしまして、当局のお覚悟などもお尋ねしていたのでありますが、昨年十一月の末の統計では、わずかに半分にも満たない三百二十万人そこそこで、年度末一ぱいといっても、四百万はおぼつかないということになっておるようでございます。全国民はひとしく、堀木政策に失望を感じておるというのがほんとうじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。この国民保険伸び悩みの原因一体どこにあるか。単にばく然と、厚生当局が怠慢だというようなことだけでは、説明のつかないことではないかと思いますが、この不成績については、厚生省内においても十分分析して、反省しておられると思いますが、大臣がこの点について、何が悪かった、何が間違いで、こういう伸びが悪かったということをどうお考えになっておるかということをまず先にお伺いして、話を進めていきたい、こういうふうに考えます。
  5. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 木下委員から、私どもがやっております事柄について、御批判のうちにも誠意をいろいろ認めていただきましたことは、ありがたいことだと存じております。今御指摘の国民保険につきまして、二十一年度五百万人を予定いたしまして、三千五百万人を予算上決定いたしました。まあ今のところの見込みでは、年度末に四百万人くらいふえるのではなかろうかというふうに考えております。年間の伸びとしては、相当従来の過去の実績から見ますと、伸びておりますが、しかし、予定ほど伸びていないとおっしゃいますことは、事実その通りだと私は思います。このなぜ伸びないかということがお尋ねでございますが、結局問題は、市町村との財政調整をはかりますことについて、私ども考える点が一つあると思うのであります。いわゆるよく言われております基礎的条件のうちの一つとして、地方財政との調整、皆保険をどんどん進めて参ります場合に、地方財政がそのために相当しわ寄せを受けるという問題を解決しないと、予定通りいかないのである。もう一つは、何と申しましても、診療担当者に対して適正な、しかも、最近の医学進歩に応じた診療報酬を決定するというふうな点が、これが二十六年でございますか、以来そのままになっておるということは、診療報酬について担当者が御満足にならない点であります。何といっても、お医者さんの手を通じてやることでございますから、これについて考慮しなければならないということが一つであります。この二つが一番大きな問題でなかろうか。この隘路を打開することが、国民健康保険のなめらかな進行を促すゆえんである、こう考えておるような次第でございます。
  6. 木下友敬

    木下友敬君 大体隘路については、大臣はおわかりになっておるようでございますが、そこで、その隘路をどういうふうに開拓していくかということが問題でありまして、ただ、ここが悪いんだというだけでは、うまく回転していかないのではないかと思います。たとえば、国保の問題でございますが、国保地方公共団体財政を圧迫するために、市町村においても、これの実施を実際に歓迎していないということもかなりある。そこで私どもは、前々の国会から、一体国保改正をしなければならないのではないかということを申しておりましたし、聞くところによれば、堀木厚生大臣のもとでも、国保改正考えておられるということでございます。そこで、この国会国保改正案が出れば、その節またお伺いはいたしますが、ただいまお聞きしたいのは、国民保険推進するということをまあ基礎考えて、そのために一体国保改正をどのようにもっていけばいいかということを考えたとき、厚生大臣が、今国会提出されるであろうところの国保改正案の中で、直接国民保険に寄与する点がございますならば、こういうことで国民保険推進になるような改正をしたいと思われる点があるならば、それを一つきょうお聞きしておきたいと思うのです。
  7. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 国保改正案につきましては、今、関係部局と相談をまとめておりまして、本国会に御審議をわずらわしたいと思っておるのでございますが、今申し上げましたように、地方財政に対する、療養費に対する国庫負担分を増額しなくてはならない。ただいま、昨日以来御審議を願っております予算の面につきましても、地方財政に対して療養給付費の二割、現存二割でございますが、二割及び五分の調整交付金を設置いたしたい。この点につきましては、国民健康保険組合連合会の方では、三割を要求していられますが、現状二割でございますと、どうしても地方財政の窮屈なところ、あるいはこの保険が進んでおりますところに相当額、ある程度の金額をふやしますために、その他の市町村に対しましては、二割を負担できない状況でございます。私どもとしては、二割は国庫負担分を確保いたしたい。その上に調整資金として五分を計上してやりたい。それから、実際の事務費は、現在全額国庫負担原則でございますが、事実上これより多く使っておる。もう一つ考えられますことは、過去の赤字対策等でございますが、財政面におきます問題は、今申し上げましたような点でございまして、これらの点が解決いたしますれば、各市町村自身が、この保険について事務的に考えてもでき得ることでなかろうか。こういうふうに考えておりますような次第でございます。
  8. 木下友敬

    木下友敬君 そうすると、今お考えになっている国保改正国民保険との関連においての重点は、経済的な問題を主として考えておられる、こういうように考えてよろしいのですか。
  9. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 大きな点は、私はそう心がけておるのでありますが、法律案としては、この際にいろいろその他の事柄についても考えたいという考え方のもとに、今原案を練っておる最中でございます。
  10. 木下友敬

    木下友敬君 わかりました。また国保の問題につきましては、法案が出ましたとき、十分質疑をたたかわすことにいたします。  先ほど国民保険伸びがしぶっているということについての大きな原因一つとして、医療費の問題にも大臣は触れられたようでございます。二十六年以来医療費が上がっていない。従って、医療内容が向上しない結果になってきておる。医療の設備は荒廃している。こういうことでは、国民保険を叫んでも、国民にアッピールすることがないということと、また、医療担当者の協力を得られない。であるから、大臣としては、この点を改めて、診療費の方にも大いに力を入れようというようなお考えでございました。これはもう、昨年来非常な問題となっておりますし、きのうはまた、三十億の政府支出の問題につきまして、山下委員から非常に重大な発言があっておりまして、これは、本委員会でも、またあとに問題が残っておると思うのでございます。そこで、それらの点については、私もまだあとにこの問題については議論の余地を残しておきたいように思いますが、きょう私は、話を結核にしぼって、国民保険との関係考えてみたいと思うのです。国民保険推進するためには、先ほど厚生大臣がお述べになりました理由のほかに、結核というものは、また非常に大きな関係を持っておるのではないかと思っております。結核対策についても、大臣は、これも一応相当な意見を述べておられますから、私ども、これには非常な期待をしておりました。昨年厚生省からもらいました、本年度予算要求に対する予報というような意味のものをいただいたときには、結核についても、非常ないろいろな構想を練っておられましたのでございますが、今度予算要求書としてこれをいただいたのをよく見てみますと、どうもきわめて成績が悪い。結核がどれほど日本国民を食いつぶしておるか、さらにまた、健康保険とか国民健康保険財政を危くしておるかということは、もうわかり切ったことであって、そうして厚生大臣が、今度の国会では、結核についてはこれほどのことをして、そのためにはこれくらいの予算が要るのだと言って、非常にまじめに本気でこれと取っ組んで来られた。国民保険計画推進と相待って、予防対策も強化する。予防に応じた早期治療の徹底、あるいは濃厚感染源の患者の隔離には、十分政府の力で強制的に隔離するのだ。国の責任において結核問題を抜本的に解決していくという意気込みであったのです。ところが、先ほども申しましたように、その結果は、大蔵省でもさんざんな目にあってしまって、健康診断及び予防接種を全面的に実施するためには、健康診断及び予防接種に要する経費の国庫補助率を二分の一から十分の八に上げるのだ、X線自動車整備及び医師、X線士保健婦等からなるところの検診班の編成によって、健康診断の体系の整備をはかっていく。全国民に対する受診率を三三%から六四%に上げる、こういうことも言っておられる。そこで、健康診断費補助幾ら幾らだと、あるいは予防接種の費用が幾ら幾らX線自動車整備費幾ら幾ら、こういうような実数をあげて、予定を立てておられまして、総計三十三億五百万円。ところが、大蔵省が今度査定して、厚生省案としてここに提出されておるところの予算を見ますと、全体でわずかに七億九千四百万円、三分の一あるいは四分の一にがた落ちになってしまっておるのです。今度の厚生省予算の問題で、三十億の国庫補助が十億に削られたということは、これはもう根本的な失敗であり、これはもう、どうにもぬぐうことのできないところの、申しわけのできない失敗でありましたが、この結核予算、現在のこの日本衛生状態の中でも、結核というものを最も重点的に置かなければならぬ。ことに国民保険では、どうしてもこの結核の問題を解決しなければ、にっちもさっちもいかぬ、これは絶体絶命の予算だと思ってお聞きいたしておりましたところ、それが三分の一、あるいは四分の一に削られて、そうして一体、初め考え計画がどういうふうに変っていくか。名目だけずっと上げておいて、予算がしぼんだから、十やる仕事を一にしてしまったんだ、二にしてしまったんだというようになさったのか、あるいはもう名目も引きおろしてしまって、これもやりたかったが、これは全部取りやめた。そのかわり、こっちの方は初め通り十分やっていくというお考えなのか。初めの結核施策をどういうふうに変更して、今度の予算案を御提出になっておるか、この点を一つお聞きしたいと思います。
  11. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 木下委員にまことに申しわけありませんが、衆議院予算委員会から、至急出ろという社会党からの御要求がございましたので、はなはだ不満足ですが、ここで御答弁を一応さしていただいたら、向うへやらしていただきたいと思います。  結核につきましては、かねて御承知の通り事柄考えておりましたわけでございます。その根本的な対策につきまして、確かに今回の予算に、第一公費負担原則に従いまして、そうして、国として責任を負って、この撲滅対策に、最近の医学進歩をもってすれば、半減することは困難ではないと考えて、かかっておるのでございます。結果的には、お手元に差し上げてありますような結核対策費になって、昨年に対しまして、約十億という予算の増額が認められただけのものでございます。まことにその点についても残念でございますが、しかし、ともかくもこの予算におきましても、予防面治療面におきまして、従来よりは相当進んだ実際上の効果ができ得る。ことに従来、国民健康診断を行いますところの検診班につきましても十分でなかったのが、ともかくも今回は、検診班の強化ができますし、あるいは化学療法の期間を延長いたしまして、またその他、医療の範囲につきましても、従来不便を感じておりました問題をできることにいたしたということ、まああげれば、そのほかいろいろ、国立の結核療養所数がふえておりますとか、いろいろございますが、それらについて、ともかくも従来よりははるかに実効の上る状態になったということに相なったわけだと私は考えております。ただ、くれぐれも申し上げますように、最初私どもが、公費負担原則で、そうして徹底的にこの問題について責任を負うというふうなやり方につきましては、今回は財政上の理由によりまして、予算を計上することができなかったということは、非常に遺憾だと思っております。
  12. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  13. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
  14. 山下義信

    山下義信君 昨日お願いしました、診療費引上げに伴う予算措置がどういうふうになっておるかということを、資料で御提出を願ったのでありますが、まず、これは政府提出資料でございますから、直ちに局長から詳細な御説明をいただいてよろしいのでありますが、大臣にかわって政務次官から重点的な点をおっしゃっていただいて、細部は局長から御説明を願いたい、かように思うのです。  この御説明をいただく前に、特に留意して御説明を願いたいと思うのは、この資料を一見いたしまして、不審に思う一、二の点がすぐ目につくのです。それは、十月一日から診療報酬引上げをやれば六ヵ月なんですね。ところが、所々に五ヵ月分というのがありますから、これはどういう関係になっておるかということですね。それから、この引上げに要する給付費の増が左の方に並べてあるのに、それに対する国庫負担措置金額が合いませんが、合わないのはどういうふうに措置するかという点ですね。それから、十億の問題は、昨日来から当委員会の問題になっておりますから、これは一応それとしておきましても、この措置の中に、やはり十億を診療費引上げに充ててある、こういうまあ計算がしてありますね。それから船員保険も、従来から出ておるものを、これまた診療費引上げ分じゃと、充ててあるのですね。そういうふうな二重の使い方をしても、なおかつ五十九億、約六十億の診療費引き上げ手当をしなきゃならぬのに、右の方を見ますと、その十億と一億と、十一億をその方じゃと言うてみたところで、なおかつ、四十一億の予算措置ということになっておるが、この数字の合わないのはどうするかという点ですね。そういう点をひとつ御留意下さって、御説明を願いたい。それで一応、今回の予算措置に、診療費引き上げに対する算定措置は十分にしてあるかどうかということを、総括的に政務次官から御説明を願って、十分でないならない、これで十分だと、どこをつついてもヘビは出ませんということなら、責任のある説明をしていただいて、あと局長から詳細に、この数字の読み方、見方を御説明を願いたい。
  15. 米田吉盛

    政府委員米田吉盛君) ただいまのお尋ねの点は、五カ月と書いてありますのは、明年の二月までの分を十月一日から支払いまして、三月分は翌月回しになりますから、それで、結局において五カ月分ということになるわけでございます。  それから、四十三億といいますものと、ここにあります五十九億というものとの食い違いの点につきましては、局長から説明さしたい。全体的に見まして、きのうから大臣がお答え申しておりますように、万全とはもちろんわれわれとしても言いかねるとは存じますが、現在の段階において、まず相当数歩を前進さした。こういうことで、現状は一応がまんをしていかなきゃならぬのじゃないか、こういうような心境から、これを実施する考えになっておるわけでございます。詳細の数字につきましては、局長から御説明をさしたいと思います。
  16. 山下義信

    山下義信君 総括的には、医療費引き上げに伴う必要なそれだけの予算措置はしてないということですね。足りないということですね。足りなきゃ、八・五%の引き上げは、六カ月分だろうと五カ月分であろうと、できないということになるんですね。ですから、実施は十一月からでもやるか、どうするか、また、八・五%は、七・五%にするか、六・五%にするか、数字をどこで合せるかということになりますね。あるいは足りない分は予備費から出すという約束にでもなっておるのか。でないとすると、この予算数字が合いませんね。この予算数字が合わないということになる。で、その予算数字を合わすような説明をして下さい。予算数字が合わんということになれば、数字のことはあまりこの委員会でつつかなくてもよろしゅうありますが、一応ここで合わしておいていただかないと、合わないのなら、予算委員会で合わすように、ほかの選手に申し送って、あちらででも合わしてもらわにゃなりませんから、ここで、どういうふうにして合せるのかということですね。これは総括的ですから、政務次官から御答弁願いたい。
  17. 米田吉盛

    政府委員米田吉盛君) 十分やって、予算措置が完全に、まあ理想に近いだけの引き上げということができなかった、こういう点を私は申しましたので、今回の平均八・五%を大体五カ月なり六カ月なりを引き上げると、こういう点につきましては、予算措置はできておるわけでございます。もっと、できれば多額の予算措置はやりたい、理想はそういう点だと、ただそれには、現状は不満足である、こういう点を申し上げましたので、五カ月なり六カ月分なりの予算措置ということは、平均八・五%引き上げられるように、しっかりとやってあるわけでございます。詳細の点は、数字の点は、局長から説明さしたいと思います。
  18. 山下義信

    山下義信君 その詳細な局長の御説明を聞く前に、政府責任のある御見解を承わっておる。ここに出ておるこの数字で、この予算措置で、八・五%の診療費引き上げができるんだと、こうおっしゃるんですね。大へんなことですよ。足りなけりゃ足りないとおっしゃっておいてもらわんけりゃ、もし、これで十分できるんだ、この措置ができておるんだということでありますれば、これは大へんなことです。足りなければ足りない——これは不満足で足りないというお言葉もあったが、足りなければ足りない分はどうするかという大綱は、あなたの力で政治的な責任のある御答弁をしていただかなけりゃ、数字が合わないのです。実は、もっとほじればもっと違うかもしれませんよ。しかし、それはまだ、局長説明を聞いてみなければ、ほじるかほじられないかは留保しておきますが、大局的には政府はどういう見解を持っておるか、これは大事なことですよ。八・五%の診療報酬引き上げが、果して予算措置がされてあるかないかということは、天下が相当疑惑を持って見ておる。見方によりましては、一向そんな措置はしてないようにも見えるし、こうしてあれこれ引っ張り出してきて、これも診療費引き上げ措置じゃ措置じゃというような形にしてみても、なお金額のつじつまが合わないのですから、合わないところはどうするつもりかということは、政治的な御答弁をしておいていただかなければ、局長説明を聞くわけにいきません。合っておるのか合わないのか。合わなければ合わないところはどうする。
  19. 米田吉盛

    政府委員米田吉盛君) 先ほど説明申し上げましたように、八・五%の平均引き上げ、六カ月の分もあり、あるいは、五カ月の分もここに書いてありますようにありますが、それについては、予算措置が、手当が十分できております。それを足らないというようなことはございません。
  20. 山下義信

    山下義信君 今の御答弁は、十億と一億をそれに充てたとして、これで足りるという御答弁ですね。わかりました。私は足りないと思う。こういうような数字が出してあるが、国保でいえば六カ月間、その他は、二月までの払いだと言われるから、五カ月分もあります。また、生活保護法のほうに先渡しがあったりして、これは六カ月分でしょう。しかしながら、これは足りない、私はそう思います。それから、今、政府は、これで足りるとおっしゃったのですから、局長説明を、足り模様をもう一ぺん聞いてみて、それで疑義をただしておきたい。大事な数字ですから、この数字が誤まっておったら、失礼ながら左の側にある国保、健保、あるいはその他の健康保険、あるいは生活保護法その他関係政府提出予算書の詳細な概算は聞違っておると言、わにゃならぬことが起きてくるのです。あなたの方の診療費引き上げ手当数字は、この資料を合せるようにお出しになっても、それならば、左の方の各施策健康保険あるいは生活保護法その他の積算は一体どうなっているかということを総ざらいしてみたらば、この数字は狂ってこなきゃならぬと、私は大きな疑問を持つのです。ですから、足りなきゃ足りないでいいですから、率直に、不十分なところはやってみて、こうするつもりだ、ああするつもりだと言わなければ、生活保護法の総体の積算は、もうずうっとそれぞれ、対象人員の増、いろいろな増増増と、いろいろなものがかけられかけられして、生活保護法の三百何十億というものが出てくる。皆それぞれしかりです。国保事務費の計算であろうと、何であろうと、それは、政府提出の三十三年度予算書にちゃんと積算がしてある。私は、その中で、八・五%の診療費引き上げに対する予算措置はどうなっておるかという分だけをつまみ出して、お尋ねしてあるのですから、それを合せるようなことだけで御答弁をしておられますと、今度、左の方の全部の項目の積算の基礎をもう一ぺんお掃除を願うということを願わなきゃなりません。それから、そういう点を含めまして、できるだけ疑義を一つ解明をしていただきたい。
  21. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御説明を申し上げます。  一番左の欄は、診療費引き上げに伴う各管掌別年間の影響額と推定される額です。その次の欄の数字は、十月一日以降の影響額の推定の数字でございます。それで、ただいま山下先生御指摘の六カ月と五カ月とあるのは、どういうわけだという御指摘でございますが、これは、先ほど政務次官がお答えいたしましたように、保険予算におきましては、実際の診療分といたしましては、三月から二月までをとって予算を組んでおります。会計年度は四月から三月末日まででございますが、三月分の診療は、四月以降に支出するということになる関係もございましてそういう習慣で毎年組んでおりますることは、山下先生も御承知の通りでございます。従いまして、政府管掌、組合管掌、日雇い労働者船員保険、これだけのものは、十月一日からだと二月まででございますので、五カ月分を予算に計上をするということになりまするので、五カ月分の影響額が上っておるわけでございます。それから、その次の欄は、各管掌、各制度ごとにおける予算措置という欄でございまして、その第二欄である影響額を支払う予算といたしましては、その次の欄になるわけでございます。政府管掌健康保険におきましては、十八億五千八百万円という推定額でございますので、昨日御説明を申し上げましたように、六百五十九億一千九百万円という厚生保険特別会計健康勘定の保険給付費の中に、それと同額が含まれて計上されておるわけでございます。日雇い労働者につきましても、日雇勘定におきまして、今と同じような関係に相なっております。船員保険の疾病給付部門におきましても、それと同じような関係でございます。従いまして、これらのものにつきましては、第二欄と第三欄との数字は、ぴたりと合うわけでございます。第三欄、余白に何も書いてございません欄は、これは、御存じのように、たとえば国民健康保険におきましては、三千余りの名保険者が、それぞれ自分の被保険者についての予算を組むわけでございます。組合におきましても、組合の方で、一千ばかりの健康保険組合が、それぞれ自分の予算を組むわけでございます。生活保護以下におきましては、都道府県あるいは市、すなわちその制度を運営し、現実に医療機関に支払いをいたしますものが、それぞれ予算を組むわけでございます。従いまして、国の予算措置としてここの欄に上って参りまするものは、そこに書いてありまする、政府が直接運営をし、支払いに当っておるこの三つの保険関係でございます。それから次の欄でございますが、これは、こういう診療報酬というふうなことに関連をいたしまして、各保険なり各制度が払いまするのに対しまして、どういうふうに国が援助をしたかという欄を設けて、その数字を記入してみたわけでございます。国民健康保険におきましては、十八億八千四百万円という数字がそこに記入してございますが、これは、先ほどの十四億四百万円と比較をいたしますと、むしろ多くなっておるわけでございます。おかしいじゃないかという御指摘があるかと存じますが、これは、この十八億八千四百万円というものを分けることが非常に実はむずかしいのでございましてこの十八億八千四百万円というものは、結局調整交付金も入っておりまするし、それから、医療費引き上げに伴う二割分の国庫補助金も入っておりまするし、しかも、調整交付金というふうな制度は、直接医療費引き上げに関連をしてのみ設けられたものではございませんけれども、しかし、実際問題といたしましては、医療費の引ぎ上げ問題もあり、さなきだに財政の苦しい国保に対して措置をするという性格のものでございますので、関連が全然ないとも申せませんので、従いまして、この金額をここに書き込んだわけでございます。それから、政府管掌の十億と船員保険の一億は、山下先生御指摘の通り、これは、従来の経緯から申しまして、先般の法律改正で、政府管掌におきましては、たしか七十条の三でございましたが、健康保険制度の健全な発達をはかるために補助するという、あの規定に基いての補助金でございますので、医療費引き上げがあるからというのとこれは違うわけでございます。ただ、昨日私がこの補助金の額にも言及をして御説明を申し上げておる関係もございますし、また、あのときにもちょっと申し上げましたように、いずれ一本の会計に対する財政的な援助でもございますので、さような意味合いにおきまして、実はそこに書き上げたのでございます。しかし、これは、御指摘のように、医療費引き上げとは、直接の関連ということになりますと、非常に薄いものでございます。むしろ七十条の三によって、政府が健全なる発達をはかるために補助するという性格の金でございますので、そこにカッコをいたしまして、記入をいたしておいた次第でございます。それから、組合管掌に対しまする二億円というのは、これも、医療費引き上げというふうなこともありまして、非常に弱い組合が、さらにいろいろ財政事情が悪化するというふうな関係をもちまして、計上されたものでございます。日雇健康保険につきましては、医療費引上分だけにつきましては、第二欄にございますように、三十三年度の計数といたしましては、一億四千三百万円でございますが、さなきだに例年赤字決算を続けておりまするので、その意味合いにおきまして、医療費引き上げとともに、関連をいたしまして、二割五分まで補助金を上げて、負担金の率を上げてもらいましたので、この差額は、何と申しますか、従来の制度を維持していく上においても苦しいという分に回るということになるわけでございます。  以上を合計いたしますると、保険関係で三十四億ということになっておりますが、十億、一億を差し引きますると、十一億減少いたすという関係に相なります。  それから、生活保護以下の経費につきましては、それぞれ影響額として推定される額の八割なり、あるいは二分の一なり、それぞれの補助率が、あるいは負担率が合計をされておりますので、その率によって計上がされておるわけでございます。一番右の欄を通計いたしますと、四十二億九千百万円ということになりますが、このうち十一億円は、今のような金でございまするので、ただ、私が昨日それに言及をいたしております関係もございましてここに記入いたしましたので、それを明らかにする意味でカッコをいたしまして、うち十一億円はというふうに、口頭で御説明申し上げるつもりでおった次第でございます。  それで、先生の御指摘になりました、政府の、国の予算措置がどうであるかというお尋ねに対しましては、この第三欄と第四欄とをあわせて御説明を申し上げなければならないことになるわけでございます。その点を明らかにいたしまする意味合いにおきまして、かような資料を御提出申し上げたわけでございます。  それから、今、先生が御指摘になっております、この数字が合わぬではないかということでございますが、たとえば、各管掌におきまして、数字が合っておらぬわけでございますが、一番右の欄が第二欄より数字が多くなっておりますのは、今申し上げましたような事情でございますし、また、第二欄より一番右の欄の方が数字が少くなっておりますのは、保険におきましては、各保険者が吸収をする、保険財政の中で吸収をして参るということに相なり、また、生活保護法以下におきましては、公費の負担になって参る、各公共団体の予算が二割分、あるいは半額分組まれますので、それらの制度のそれぞれの予算になって参る、こういうことに相なるわけでございます。従いまして、第二欄、第一欄の数字は、理論的にこれは合っていくべきものでございます。  第三欄で空白になっておりますのは、先ほど申し上げましたように、各保険者なりあるいは公共団体なり、それぞれの制度運営の責任者の予算の中に計上をされるものでございますので、これは、国の予算ではございませんので さようなことにして御説明申し上げておるわけでございます。
  22. 山下義信

    山下義信君 詳しくは、一ぺんこの資料をまた私も詳細に検討いたしまして、次回にお尋ねいたしますが、第二欄と第三欄との関係は一応わかりました。しかしですね、第一欄の数字の算出、あるいはまた、第四欄のそれぞれの出ている措置との関係というようなことは、いろいろそれぞれ検討をして、また次回にお尋ねするようにいたしますが、しかし、結局最終の国の予算措置ですね。国の負担措置、これは、今あなたの御説明通り、きわめてあいまい無量、ここに掲ぐべき性質のものでないものを皆お含めになって、四十二億九千一百万円という数字を出された。しかし、ここでお互いに確認しておかなければならぬことは、今政府が言われるように、十億と一億はここに計上すべきではない。元来こういう資料を作って出されること自体が間違いである。この十億と一億は、診療報酬引き上げに伴う予算措置であるという資料に掲ぐべきものではない。もし掲げるならば、さっき妙なことを言いましたが、結局すべての問題はどんぶりでもらったということになってきて、まあ事実はどうであるかわかりませんが、大義名分は立たない。これは十億と一億は入れるべきではない。しかし、それは明らかにしておかなければなりません。私は、この資料の訂正を求めます。十億と一億はカッコをつけてあるが、疑義のないように、これは、それがための措置ではないのですから、ここに掲げてもらっては因る。そうして結局は、診療費引き上げに伴う予算措置というものは、要するところ国保の十八億、それから生活保護の七億、以下結核予防で一億云々といっているが、要するところ、この十八億、診療報酬引き上げに伴う予算措置として何をしたかといえば、この十八億、これだけなんです。しかもこの中は、中身を割ってみれば、これは、診療費引き上げと何も関係がないものが入っている、私はそう思う。この十八億は、さっき局長が言った、調整交付金も入っている。調整交付金が、一億三千万円でしたか、幾らでしたか、入っている。これを引かなければならぬでしょう。そうしてまた、診療費引き上げどころではない。これは、国保を三十三年度にあなた方が拡張される、それに対する一割の給付費の、いわゆる当然増加すべき金額が入っているのでしょう。これは、この十八億が皆純然たる診療報酬引き上げに入るのじゃないでしょう。それから、今度組合管掌の二億、これは、診療費引き上げに対する手当ですか。手当ならば、これは臨時的なものですね。この二億は臨時的なものですね。組合管掌に対する国庫負担二億というものは、来年はどうなるかわからぬという費用です、これは。それから、日雇いの二億二千万円、これは少し金額が多い。これは、あなたも御説明なさったように、赤字補てんと給付の引き上げと、それから新たに傷病手当金制度を創設した費用、これは入っていない、別のものですね。とにかく給付の引き上げ関係の費用は入っておるだろう。それから、対象人員の自然増、そういうものを加えて二億二千八百万円でしょう。これは、診療費引き上げじゃないじゃありませんか。ですから、きわめてこの数字はあいまい無量です。これは、生活保護の七億というものは、あと足りないのは府県で負担させるというのが引いてある、純粋の国庫負担、それが出ている。これは、生活保護の方の医療費引き上げの六カ月分は九億五千万円と出ている。右の方に国の措置は七億六千方円とあるのは、この差し引き二億ほどは、これは府県が負担するのだというので引いてあるのですか。これは、生活保護や結核予防は別として、社会保険のその診療費引き上げ予算措置というものは、正味そうじゃないじゃありませんか。こういう数字を出して、トータル四十二億とか、あるいは、社会保険でいいますというと、二十何ぼ措置するということになるのですか。二十二、三億、これだけの措置はしておらぬと大蔵大臣は言うておるじゃありませんか。大蔵大臣が言うとる以上に、あなた方はよけい措置してもらうとるように、ここに数字を出しておるじゃありませんか。大蔵大臣は、こんなに診療費引き上げ当ての予算措置は、三十三年度予算の中ではしておりません言うておりますぜ。私は議員ですから、傍聴というわけじゃありませんけれども、本会議でも聞くし、しばしば説明して繰り返しております。答弁をしております。大蔵大臣診療報酬引き上げに伴う予算措置をこれだけしておるという以上に厚生省は書き上げてきておる。こんなにたくさんもらったのですか。もらっちゃいないでしょう、実際は。それをみな診療報酬引き上げにもらったように、こういうふうな形でかぶせて、仰山もらいましたな、これは。そんなにもらっておらぬでしょう。それでこれは、数字が私は非常に不明瞭だと思いますのですが、もう一度詳細に資料一つわかるように出し直してもらえませんか。それならば、こちらの方の国保も、来年度医療費の支払いの見込み、みな出して下さい、各管掌ごとに。あなた方が八・五%引き上げたらこれだけかかるだろうと、かねて予想しておられたその数字が、今日依然としてその数字を用いられておるのかどうか、この左の方の国保政府管掌、組合管掌ごとに各保険の、生活保護もついでのことに詳細に、いずれ予算説明書の中にあると思いますが、来年度の、医療扶助の人員増、それらが、医療費八・五%影響を受けたら、どれだけの医療費の支払い増加になるということの欄も親切に作っていただいて、この数字を出して下さい。  それから、第四段目の数字も、純粋に、診僚報酬の引き上げに充てることのできる金額はどれだけあるのかということをきれいに洗うて、純粋のものを出していただきたい。いろいろなものをまぜて、そうしてこれがその見合いじゅ見合いじゃ言うて、従来から出ておる補助金もみなここへ入れてしまう。従来から出ておるものばかりじゃありませんか。新たに、今度もらったのは、十八億の国保の増です。この増も、中味を割ってみると、調整交付金であったり、いろいろなものが入っておる。これを引いて、そういうものを差っ引いて、純粋に診療費引き上げに使うことのできる国の予算措置は幾らかということを出して下さい。少しこれは、まだ雑物が入っておる、私はそう思う。
  23. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 国民健康保険のこの十八億八千四百万円の中には、先ほど説明をいたしましたように、調整交付金も入っております。その金額として引き当てられる分が入っております。しかし、先生があるいはそういう意味でおっしゃったんじゃないかもしれませんが、被保険者の増による国一体補助金の伸びというものがございます。これはもちろん入っておりません。それで、調整交付金も、非常にこれはむずかしい関係になるのでございまして、医療費引き上げのための調整交付金増も入っておるわけでございます。従いまして、なかなか内訳を作りにくいので、私どもといたしましては、先ほど申しあげましたように、調整交付金の制度が設けられましたのも、結局二割から二割五分に上り・ましたのも、医療費引き上げというふうなこともあって、さなきだに苦しい国保に対する手当をしなければならぬ、こういう趣旨でまあ設けられたのでございまして、従いまして、十四億に対する二割五分という数字だけをここにあげましては、むしろ、何と申しますか、予算決定の経緯におきまするわれわれ関係者の気持にも、反するというふうな意味合いにおきまして、この数字をあげたわけでございます。  それから、組合管掌の二億円は、先生御指摘の通りに、これは、予算書にも書いてございまするように、臨時の性格を持っておる補助金でございます。それで、先ほども申し上げましたし、今また御指摘がございましたように、この十億と一億、これは非常に関連が薄いのでございまするから、これを別個に見まして、資料調整いたすことも、これはできます。ただ、その他のものにつきまして、これを純粋に分けてしまうということは非常に困難でございまして、もしそれをやるといたしますれば、国民健康保険の場合におきましては、十四億四百万円の二割五分の金額だけを一番右の欄に書く。それから、日雇い健康保険の場合におきましては、一億四千三百万円というものの二割五分だけの金額を右の欄に書くというふうなことに、まあしてみればするということになるわけでございます。しかし、それは、およそこの予算の盛られました趣旨とむしろ実態的に離れて参ります。実は、日雇い健康保険におきましても、二割ということで——これはは内部の折衝の経緯を申し上げまして大へん恐縮でございますが、二割ということで突っ張っておりましたものも、診療報酬引き上げというようなこともある。なお二割でも不足じゃないかということで、二割五分ということに実はきまったわけであります。さようなことでございまするので、むしろ右の欄を分けるということがある考え方で書いてみればこうなる、ある考え方で書いてみればこうなるというふうなことになって、実体関係が非常に分けにくい。むしろそういう分け方をいたしますると、ほんとうの気持といいますか、ほんとうの施策の本旨からも若干はずれてくるというふうな気がいたしましたので、かような表を作ったのでございます。  なお、左の第一欄、第二欄に関連することでございまするならば、資料調整できると存じます。
  24. 山下義信

    山下義信君 そういうことをおっしゃると困るのですがね。これは、一診療報酬引き上げに対する予算措置がどういうふうにできている、どれだけの準備ができているということは、結局八・五%に引き上げするについて、あるいはあなた方がやはり単価点数の作業をされる、そういうことのワクがここできまるのですから、どれだけのワクを広げたかということがはっきりしなければ、一体これから先、何もできやせぬことになる。それで、とにかく政府は、この診療報酬引き上げにどれだけの予算措置がしてあるのかということが実際は不明なんですよ。みんな知りたがっているんですですよ。これは、被保険者も知りたがっているし、療養担当者も知りたがっているし、みんな知りたがっているのに、わからぬのですよ。大蔵大臣は、十八億を措置しました措置しましたと、しきりに十八億という数字を繰り返すのです。これは、国保補助の増額のことについて言うのでしょう。その他事務的な支出の増額何億は当然なんですが、それがわからぬのですよ。けれども、ほんとうはみんな知っているんですよ。実際のことを言ったら、あなた方はどんぶりでもらってきている。こういうふうにどんぶりでもらってきて、どんぶりの中身を分けることになると、従来の補助も、診療報酬引き上げ以外に当然補助額を増さねばならぬ。日雇いやその他も……。それでみんな、都合のいいときには、診療報酬引き上げ予算措置でございますと言う。都合のいいときには、またそれは、日雇いの補助を二五%に引き上げたのでございますと言って、補助率の増加をうたうだろうし、そういうふうに、どんぶりにこれはなっているのでしょう。一々分けるのがむずかしいのでしょう。これを一つ一つ診療報酬引き上げ、これはこれだけ、これはこれだけと、計算をしてみて要求したのではない。要求したけれども、いれられなくて、結局どんぶりでそれをもらって下ってきたのでしょう。結局八十何億ばかり、その半分の四十億ほどで戻ってきて、どんぶりのふたをとってみると、三十億が十億に減っている。それから、何もかも引っくるめられたのでしょう。今ここで、診療報酬引き上げにはどれだけの予算措置として引き当てられたのか。そのことを詳しく、ねぎはねぎ、卵は卵、鳥は鳥と、親子どんぶりの中身を分けようとすると困るのでしょう。こまかく言うならば分けて下さい。
  25. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 先生の仰せのことも、私どういうことを仰せになっているのか、そのお気持はよくわかるのでございますが、たとえば、国保でも、給付の補助三十二億、前年度に比べましてふえておるのでございます。その三十二億のうち十八億をここに書きあげておるのでございまして、別にふえたもの全部をあっちに使ったりこっちに使ったりするというようなことにはなっていない。それから……。
  26. 山下義信

    山下義信君 それで幾らかわかりました。
  27. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 全部そういうような、日雇いでも、去年からことしの補助金がふえているのは、予算書でごらんいただきますように、五億何千万円ふえているわけでございます。しかし、それを全部ここへ書き上げておるわけではございませんので、先ほど説明いたしましたように、日雇いにおきましても、二割から二割五分にふえましたのは、診療報酬引き上げということが未決定であった。そうして、それがいよいよきまると同時に、二割じゃやり切れないだろう。それで、二割五分ということになったわけであります。その差額だけを実は書き上げたわけであります。  それから、先生がおっしゃいました前段の、八・五%をいつからやるとかなんとかということにするのに、予算措置がなければはっきりしていない。それがなかなかできぬじゃないか、予算が足りなければ、八・五%のあれには……。
  28. 山下義信

    山下義信君 それは言葉が足りない。それは三番目の分もありましょう。全部引っくるめていえば、そんなことは予算措置がなければできぬ。空白欄のところはあなたがさっき言った通りであって、それは、私の言葉が足りないのであって、しかしながら、政府がどれだけうしろを見るかということもわからなければ、医療費引き上げがスムースに行けるか、行けぬかという大きな要素ですから、私はその意味で言ったのです。ですから、要するところ、くどいことを言ってもいけませんが、この資料は、私どもが見ても、非常に不十分です。わかりにくい。もう一度御親切に、左の方の各種類の健康保険医療費の増額をどういうふうに見たかということをもう少し、もう一欄ふやしていただいて、そうして最後のこの四欄目の数字は、これを一つ内訳を書いて下さい。そうして十億と一億はのけて下さい。ここへ出すと、当然問題になってくるから、のけておいて下さい。そうして十八億というものはどうだ、それから組合管掌の二億はどう、この二億はどういうふうに使われるのか。二億というものは、どういう計算になるのか、つまみ金ならつまみと書いて下さい。(笑声)そういうふうに内訳を書いておいていただけばわかりますから……。これは、私は大いに疑義があるが、一応疑義があるとしておきます。
  29. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 関連して。今の山下委員の質問に関連してお聞きしますが、国民健康保険法の改正案なるものがここに出てから話すべきであろうと思いますが、しかし、予算審議する上において正しい理解をしておかないと困りますので、お聞きしますが、調整交付金の性格なり目的なり、これがはっきりいたしませんと、今の山下委員のように、いろいろの疑問も出てくると思うのです。この説明書を見ますというと、「国民健康保険財政力を強化するとともに、給付内容の改善等を図るため、従来の療養給付費に対する二割の国庫助のほかに、新たに財政調整交付金を交付する」ということになっておる。これをこのまま読みますと、財政調整交付金なるものは、すべての組合に均等に二割五分を出すようにとれますし、しからば、一定の条件下にあれば、財政調整交付金だけは出すととれるわけなんです。この書きようがそうとれるわけなんですね。そこで、そういうことを前提にお聞きするわけなんですが、従来の二割なんかも、一律二割であるというように、あるいは最高二割であるというふうにも考えられるわけです。われわれは、その点は、最高二割とは理解をいたしておりまするが、こういうように、二割そのものの事柄も、この表現でははっきりしないし、そこへもって参りまして、調整交付金なるものの交付先が明確でないとなってくると、八・五%引き上げのための十八億の中には、調整交付金が入っているとおっしゃっても、非常に理解がしにくいわけなんです。調整交付金が、全額十三億八千二百万円ですか、年間を通じて。そのうちの六ヵ月分であって、しかも、目的の組合が限定されておる。限定されておるが、八・五%はどの組合にも出されるということで、私は、これは非常に理解しにくいと思う。ですから、調整交付金に対する性格が出ておらないから、お互いがわかっておりながら出ておらないから困ると思います。
  30. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 調整交付金の性格等につきましては、これは、いずれ法律案に関連いたしまして、詳しく御説明をする機会があると思いますから……。今の御指摘のように、調整交付金でございますから、もらわない保険者もあるわけなんです。財政力の非常に強い保険者は、これをもらわない保険者もあるわけでございます。ということになると思います。ただ、従来の二割というのも、これは、保険者の二割の範囲内で実は調整をやっておったのです。従って、二割以下のものもありまするし、二割以上もらっているものもある、こういうやり方です。ところが、調整交付金を設けました暁におきましては、財政力の強いところにも二割だけは必ずやるということで、財政力の強い保険者に対しましても補助金の増額になるわけでございます。それから、弱いところには調整交付金を回す。こういうことになる。従って、医療費引き上げに関連をして、調整交付金がここに含まれて書き上げてあるけれども、もらわぬものもおるじゃないかということに、次の御質問はなると思いますが、しかしまた、言葉をかえて申せば、そういうことでございますので、医療費引き上げ分の影響額はまるまるもらえるというふうな結果になる保険者も出てくるというふうなことになるのが、調整交付金の性格でございます。それで、先ほど山下先生の御質問のときにも私申しあげた、その意味で特に第一欄を設けたわけでございますが、医療費引き上げますと、まず払うのは、各制度が払うわけでございます。そこに、その制度の財政が強ければ、別にどうということはないわけでございます。それで、その引き上げ額がすぐ響いてくるのは、各制度の支出なんでございます。第一欄でございますね。それで、各制度が強ければ放っておいてもいい。結論的にはそういうことに実際問題としてはなるわけなんです。従って弱いところには、何かの手当をしていかなければならない。その手当の仕方は、医療費引き上げ分だけに手当をするか、全体として手当をするか、また、別個の観点で、たとえば調整交付金で、従来の二割を確実にしてやって、調整交付金ということでその制度自体を手当をしていく。その手当の仕方にはいろいろあるわけでございます。医療費が引き上ったから、それだけ持ってやろうというのは、たとえば、来年になりますと、引き上げ分の影響額が変ってくるわけです。それで、財政的の手当としてのやり方としましては、やはりそこに、調整交付金の制度でありますとか、あるいは全体の、医療費の二割を二割五分にするとか、そういうふうな一つの、今後も制度として成り立ち、来年もすぐ計算のできるような格好における手当が必要になってくるわけです。そういう関係で、まあ私どもといたしましては、ものを考えておるわけでございます。調整交付金の性格につきましては、いずれまた詳しく御説明申し上げたいと思います。一応今のようなことでございます。
  31. 山下義信

    山下義信君 済みませんけれども、一点一つ伺わさせていただきたいと思うのですが、紅露先生もおられますが、実は御一緒にと思うのですが、今回の予算で、非常に私ども残念に思うことは、いつも児童福祉関係予算がばさっと切られて、そして全国の保母や何か皆集めてそうしてまた泣きついて、やっとお情で戻っていく。戻ってくるのを見ると、前年度と同じことだ。それで、今度保育所の関係も、幾らか職員の手当が入っているというけれども、結局中身を見ると、施設費は一億ほど削られて、職員の給与ということは当たりまえのことです。実態は、一億の施設費が削られておるということは非常に哀れの姿です。これは、去年もこうですし、おととしもこうです。繰り返しておるのです。これは一つ、根本的に厚生省考えなくちゃならぬ。大蔵省も非常に指摘する。ことに保育所の現状については批判をする。行政管理庁は、全国的に行政管理庁の機能を動員して、周知のごとく、膨大な児童福祉関係施策についての批判をしている。私どもは、当委員会でも、委員長にお願いして、適当な機会に、児童福祉法関係法律案が出たような機会に、徹底的にこれは一つやらんならぬ、こう考えておるのであるが、さしあたっては、将来保育所行政というかのもののあり方について、厚生省は、基本的にどう改善するつもりであるか。これは、全国に約一万近い保育所、あるいはほとんど八十万人に近い子供、これらに関係のあることでありますから、これは、将来保育所のあり方について、根本的には大いに改善して、改める考えがあるのかどうか。そういうことについてこの機会に当局の方針を承わっておきたいと思います。
  32. 紅露みつ

    紅露みつ君 今、山下委員から御発言がありましたように、児童保護の面の保育所の関係は、これは重大だと思うのでございます。そして、多少は引き上げられたというものの、給食費にしましても、保母さんの期末手当も幾分かは前進したものの、保育料等につきましては、そのままの状態で、いろいろの問題をはらんでいるようでございますので、これは、厚生省といたしましては、そしてまた児童局、御出席ですが、児童局として、これは一番大きな問題であると思うのですが、児童局はあっても、厚生省のうちにおいて、どうもあとに取り残されて、ようやくついていくような形であってはならないと思います。政務次官御出席ですので、政務次官からも、今後どういうふうにしていこうと思うのでありますか。局長の前に、御意見を伺っておきたいと思います。
  33. 米田吉盛

    政府委員米田吉盛君) お二人の御意見は、全く私らも同じ考えでございます。あれこれと、厚生省のことを考えますと、正直のところ、どれもこれもやりたいわけです。ところが、出るものが実は十分でない。そこで、最後には、大きな勢いでおっても、結局現状と調和せざるを得ないという結論に、毎年かも知れませんが、ことし私はそういう感じを持ったのであります。申すまでもなく、社会の健全化、また国運の進展というような観点から考えて、児童の問題ということは、これは、こういう考え方を申し上げることはどうかと思いますが、ある意味においては、大きな生産事業なのです。こういうところで引き合うとか引き合わぬとか、取り出して言うことは申しわけないのですが、百歩譲って、そういう考え方だけから言っても、これは大きく引き合う仕事です。われわれとして十分この点は、今回は、医療の単価の引き上げ問題と取り組んだため、正直のところ、余力がそこまで実は回らなかったというのが実情でございます。お二人の御意見には、われわれ全く同感でございますので、声なき方面に十分これからわれわれの力を尽したい。先般も、実は私、こういうことを申し上げて笑われたのですが、大臣政務次官の任期が非常に短いので、仕事ができにくいということを申し上げた。これは全く、今日まじめな意味でそう思っている。よほどの達人じゃない限り、一年や半年で、あれもこれも解決なんというものは、それは現実にできるものじゃありません。政治の現状は、この前、三年もと申し上げましたが、それは無理でございましょうが、少くも十分これらの点については申し継ぎをいたしまして、われわれのできる範囲の努力を今後この方面にも注いでいきたい。これは、人道の上からも、また利害の上からも、私は当然ここに落ちつくべきで、名のごとき文化国家は、そういうものだと了解いたします。
  34. 山下義信

    山下義信君 そういうことを聞いているのじゃない。説教は私の方が本職です。(笑声)将来どうするかということを、予算の言いわけや何かは、くろうとがいるからいいのです。将来援護率はどうするか。保育料の徴収基準料はどうするか。保育所の性格、あり方というものをどうするかという、基本的な数百項目にわたって、児童局長から、時間的に手っとり早く、もっとできるだけ将来の持っておる構想を一つ示してもらいたい、質問はそれを聞いているのです。
  35. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 児童行政の問題について、大へん御親切な御意見を承わりまして、私ども非常に感じ入っておる次第でございます。ただいま御指摘のありました保育所の問題については、お話のように、行政管理庁、会計検査院、あるいは大蔵省等から、これが実施につきまして、いろいろ批判が行われておるのでございます。私どもとしましては、まず第一に、この会計検査院の検査は三十年度予算執行でございますし、それから、その他のものは三十一年度予算執行についてでございますが、その前後以来、私どもとしては、この保育所の現体制のもとにおける予算執行の適正、それから保育所の指導ということについて、中央、地方一体となりまして、力を尽して参ったのでございます。しかし、本質的に申し上げまして、現在の保育所の補助のやり方、あるいは徴収のやり方等については、やはり率直に申し上げまして、幾多無理な点もあると考えますので、これらの点については、今度の予算の執行を機会といたしまして、ぜひ改善をいたしたいということで、せっかく現在事務的に検討を進めておるのでございます。保育所の問題が、御指摘のように、毎年問題になりまして、これ自体としても非常にむずかしい事態に立ち至りますし、ひいてこれがほかの児童行政の各分野にも相当影響を及ぼす問題でございますので、何とか私は、これをもっとすなおな姿に引き直して、執行を適正にいたしたい。こういうふうに決心をいたしておるのでございます。考え方の方向といたしましては、現在の徴収のやり方、あるいは補助のやり方というのは、あまりにも複雑細分化されておりまして、かえってこれが適正化を妨げておるということもこれはございますし、それらの点から考えまして、もっと簡素化した方式においてこれを実施いたしたいということで、せっかく検討中でございます。もっとも、保育所全体について、この現状というものからして、いろいろこの保育所制度それ自体、根本の制度それ自体についての意見も、私たち聞いていることは事実でございますけれども、この点につきましては、私ども、児童福祉法に定めてあります保育所というものを、その姿において実現をするということを念願といたしまして、それに伴ういろいろな行政上の手段というものを適正化していきたい。かような考え方をいたして、検討いたしておる次第でございます。
  36. 山下義信

    山下義信君 総論的にはよくわかりました。せっかく勉強していただいておるようでございますが、たとえば、児童局では、どういうことを検討しておるか、一、二の例をあげて、せっかくの機会ですから、どういうことを研究しておるかということを、具体的にこの機会に、児童局長はお答えを願いたい。
  37. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず、保育所の措置費の問題でございますが、これは、法律によりまして、御承知のように、国が八割、それから府県が一割、市町村が一割、そういうふうに負担をすることになっております。ところが、一面において、いわゆる保護者から保育料を徴収できる分は徴収をするという建前に法律上もなっておるのでございまして、その関係から、両方、すなわち徴収の分と、それから公費の負担の分と、両方合せて保育所全体の運営の経費に当てられておる。そういうような仕組みになっております。従って、保育所経費の全体についての八制とか一割とかということについてではなしに、実際上、予算的に申し上げますれば、全体の経費の三六%を公けで持つと、その八割を国で持つと、従って、実質的には全体の約、二九%を国が持つと、そういうような仕組みになっておりまして、三六%を引きました六四%というものは保護者から徴収する。そういうような仕組みになっておるのでございます。  で、第一に、その徴収についてでございますけれども、これにつきましては、この委員会におきましても問題になったと思いますので、御承知かと思いますが、昭和三十年に徴収の基準というものを定めまして、これに基いて実施をいたしておるのでございますが、その徴収の基準というのが、実は非常に複雑になっておりまして、第一に、地域別に分れておりますし、それから第二に、各世帯の収入、それから世帯の員数、それらを表にいたしまして、なべて言えば、百近くの種類になると思いますが、それらを各家庭に当てはめて徴収をするという仕組みになっております。たとえて申し上げますれば、東京におきまして、月一万円の収入がありまして、三人の家族構成である場合には、保育料四百円いただく。それから、一万二千四百円でありまして、家族が三人の場合には八百円いただく。そういうふうな仕組みになって、ずっとこまかに定められておるわけでございます。従って、市町村がこれを適用いたすにつきましては、各保護者について、あなたのところの収入は幾らですかということをいわゆる調べまして、この表を当てはめてすなわちミーンズ・テストをやって保育料を定めると、そういうふうな仕組みになっておるのでございます。ところが、現実の問題として、市町村においてそういうようなミーンズ・テストをやるということは、これはなかなかむずかしい問題でございまして、御承知のように、国の税金でさえもこれはなかなか、徴税額をきめて徴収するということは、相当困難を伴う状況でございます上に、こういうようなことをやらなくちゃならぬということは、実際問題として非常にむずかしい問題であります。そういうところから、この徴収表を一、二の家庭に当てはめてみますと、取るべきものは取っていないじゃないかと、そういうような議論が出てくる。この点は、私どももある程度認めざるを得ない現状だと思うのでございます。従って、こういうようなミーンズ・テストをやって徴収をするというやり方は、やはり現実においては無理であると思いますので、もっと機械的な形において、たとえば、生活保護世帯なら生活保護世帯、あるいは税金を納めているかいないか、あるいは市町村民税を納めているかいないか、所得税を納めていないかどうか、そういうような機械的なものさしによりまして、従って、家族の構成員数でありますとか、その世帯の実際の収入でありますとかいうことでなしに、そういう機械的なものさしによって幾らというように、もっと段階をごく荒っぽい段階にいたしまして、それに応じてこの保育料をきめる。同時に、それに応じて国の補助金をきめていく、そういうような態勢にしていくことが適当ではないだろうか、そういう意味においてこの徴収の基準というものを全面的に変えなくちゃならぬのではなかろうか、それらの点を第一に検討いたしたい。  それから第三に、それに応じまして現在は国から補助をいたします場合において、各保育所のかかり工合ということを見て補助をする仕組みになっておりますが、これも保育所の数が少い場合においては、もちろん適正に参りますけれども、九千ないし一万という数になりますと、まあもっと単純な仕組みにおいてやらなければならないと思います。結局そういたしますと、子供が一人当り幾ら、子供がたくさんになれば補助金も従ってふえるということで、そういうような仕組みでこれをやっていくことが適当ではないか、基本的にはそういうことを根幹にいたしまして、あるいは地域の問題でありますとか、あるいは乳児を入れた場合においてはどうであるか、そういう場合には特殊の考慮を払うべきだと思いますけれども、基本的には今申し上げましたことを大体中心として、成案を得たいと、せっかく工夫をいたしておる次第であります。
  38. 山下義信

    山下義信君 この問題につきましては、なお重大ないろいろ検討を加える必要がありますから、別の機会でさらに委員会でお取り上げ下さるようにお願いをいたしておきます。
  39. 片岡文重

    ○片岡文重君 今の山下委員の御質問の趣旨は保育料の問題から入っておられたと思います。児童局として今考えておられる構想という意味の中には、それ以外の児童対策等も含まれておる答弁期待しておったのだが、保育所だけで打ち切られておるので、関連して私はお伺いしておきたいと思うのですが、特にこの問題は大臣のおられるところで実は聞きたい。というのは、先ほど政務次官は任期が短かくて、ということを言われ、厳重に申し継ぎをして、ということも言われておったようですけれども、遺憾ながらそういう事実は一つも私には考えられない。で、この三十三年度予算書を拝見して、特に厚生関係予算というものは、岸内閣の性格をよく私は表わしておると思う。同時に、堀木厚生大臣の性格も私は表わしておるのではなかろうかと思う。これらは大臣がおらないのですから、大臣に関する問題はあと回しにして、大臣の出られたときにはっきりと申し上げるつもりですけれども、少くとも予算が十分でなくて、十分な仕事ができないという場合には、約束しただけは履行をして、しかる後にゆとりがあったら新しい事業に回すようにしてほしいと思う。この児童局関係の、たとえば予算を見て、未熟児の養育費ですか、あるいは母子健康センターの設置費、児童遊園地の設置費、これらはいずれも必要なものです。よくこれはやってくれたと思います、感謝しております。しかし、こういう新しい事業を始めるならば、今までの約束をされた問題も解決をしてほしいと思う。三十三年度に約束をされましたあの精薄児童の収容施設、これは一体どうなっておるのか、出された予算書の中には一つもこれには触れておらないようです。さらに、昨日来の説明を伺っておっても、これには全然触れておらない、今の児童局の説明を聞いておっても触れておらない、こういうことでははなはだ遺憾だと思う。もう精薄児の問題については、まさに何とかの一つ覚えとでも言われそうに、私は何回かこの委員会でも発言をしております。ですから、くどいことは言わない。一体九十万を数えられる中で百人そこそこの施設を作って、三十三年度に通園施設を作ろうということもありましたが、この点一体準精薄児の問題はどういうふうにお考えになっておられるのか。さらに年次計画を立てて、具体的に発表するという約束もあったはずですが、あれからそろそろ一年になるが、いまだにその具体的なことは聞いておりません。一体これはどうなっているのか。今までに予算書に表われた大きな特徴として、そういう百人そこそこの国立収容施設を作るにしても、これまでにはもちろん、児童局長が先頭に立って努力されたでありましょう。しかし、育成会の諸君もまさに血みどろな努力をされている、そうして何年間もかかってようやく、九十万人のうちの百人の収容施設を作った、そういうものが弊履のごとくに捨てられている、これでは健保に対する三十億の国庫補助が二十億いつの間にやらカットされている、この問題と同じだと思う。こういうやはり厚生当局大臣や次官のやり方については、私は非常に不満を持つのです。少くとも先人先輩の努力を弊履のごとくに捨て去って、人気とりに新しい事業を手当り次第に始める、こういうやり方については、断じて私たちは了承できない。一体こういうやり方をするというゆえんのものは、やはり任期が短かくて、たとえ半年でも三月でもいる間に、これは堀木がやったのだ、これは米田がやったのだ、こういう名前を残そうとする以外の何ものでもないと思う。こういうことでなしに、少くとも厚生当局にその席のある者は、先ほど次官がみずから言われたごとく、ほんとうにそういう趣旨のことを実施してほしい。そうして予算折衝に当っても、やはりきのう山下君が言ったように、譲り得るものと譲れないものとがあるはずなんですが、その筋だけは明確に立てて厚生行政というものが、それでなくても困難なイバラの道を歩んできた、しかもプリンシプルというものは全然持っておらないのですから、その中で営々として積み立って来た少くとも先人や先輩の努力の結晶だけはくずさないような心がまえだけは、ぜひ私は持ってもらいたいと思う。一体、ほかにもあるのですが、今児童局の問題ですから、これだけに限って御質問いたしますが、精薄児並びに準精薄児に対する厚生省対策、これを一つ、具体的に御説明をいただきたいと思う。
  40. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 精神薄弱児の問題につきましては、かねて片岡先生非常に御熱意のある御支援をいただいているのでございます。おかげをもちまして、三十二年度予算において、多年の要望でありました国立の、これに入れます精神薄弱児は、どちらかといえば程度の重い者を収容する、そういう施設でございます。この収容人員は百人、百人ではもちろんこれは少いことでございますので、これが漸次的に増加をはかっていくということにつきましては、これは私どもも全くその通り考えているのでございます。決して、この一カ所できたからそれで安心をして、じっとしている、そういう気持は全然さらさらないことを、一つ御理解いただきたいと思います。それで今後も、これが定員の増加あるいは個所の増大ということについては、努力をして参りたいと思いますが、ただこの点多少御意見がある点だと思いますが、私どもとしては、とにかく重度の精薄児、それからかてて加えて、めくらでありますとか、あるいはろうあであるというふうにダブっております精薄児、そういう程度の重い者だけを集めて収容してやっていく、そういう施設の運営については、これはその性質上慎重にやっていかなければならないことであると思うのでございます。そういう意味におきまして、一応百人ということで出発をさしていただくわけでございますので、まず三十三年度におきましては、ある程度の経験を重ねて、将来さらに技術的な進歩の方向というものも合せて考えていくことがむしろ適切ではないだろうか、そういうふうに考える点もございまして、一応厚生省といたしましては、三十三年度におきまして国立精薄児施設の定員の増の問題は、省全体としては差し控えたような次第でございますが、もちろんこれにつきましては、今後これが増加をはかっていきたいし、これのために全力を注いで参っていきたいという気持は、これは厚生省全体十分あることを一つ御理解をいただきたいたお思います。  それから一般の、今までありますタイプの精神薄弱児施設、これにつきましては、児童福祉施設整備費というもののうちにそれらの施設整備の費用が含まれておるわけでございます。これは御承知のように国が二分の一を補助するという仕組みになっておるのでございます。その児童福祉施設整備費の総額はごらんの通りに四億二百万円になっておるのでございます。そのうちで精神薄弱児の施設につきましては、一応予算的には約四千万円を計上いたしておるのでございます。  それから精神薄弱児の通園施設につきましては、約千八百万円を計上いたしておるのでございます。  それからなお、職業指導の面についても十分考えて参っていきたいと思いますが、一応予算的にはこうでございますが、実際問題としては、実行の面におきましては、この施設整備費の運営については精神薄弱児の施設、肢体不自由児の施設、そういったおくれておる面に重点を置いて実施をしていきたい考えでございます。
  41. 片岡文重

    ○片岡文重君 考えておられることは考えておられるのでしょうが、具体的に考えておられることが見えてこなければ私たちとしては納得ができがたいと思うのです。昨年の暮に、収容施設の予算として厚生省から提出された際に、その御説明を伺った際にも政務次官にはこれの復活要求を努力するようにというお願いをしました。次官もこれを了承されたのです。復活に努力をするという約束をされたわけです。一体この約束をどのように努力をされたのかを伺っておきたい。  それから通園施設が一千八百万円の予算を組んでおられると言われるけれども、この百名の収容施設をお作りになったときに出された予算は、たしか五千四百万円ぐらいだったと思う。これが、もちろんこの中には三ヵ月ですか、三ヵ月の経営費を含んでおられる。一千八百万円で一体何カ所、一カ所作るのか何カ所作るのか、予算書には何カ所か書いてあったようですが、少くとも一千八百万円でどういう施設をお作りになるおつもりなのか。百名の収容所一カ所作っても三ヵ月の経営費を組んだだけで五千数百万円も要るのに、一千八百万円ぐらいのことで問題になるのかどうか。なお合せてこの三十二年度予算で計上されておるこの収容施設の工事の進行状態がどうなっておるのか、いつから開園できるのか、この点も合せてお伺いしたい。
  42. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 精神薄弱児の通園施設の一千八百万円というものは、精神薄弱児通園施設新設の場合の設備費の補助金でございまして、一応七カ所を予定をいたしております。設備費の補助金でございますから、御承知のように国が半分、それから県が半分と、そういうことになるわけでございます。それから国立の精神薄弱児施設総計五千何百万円というものはこれは国の施設でございますから、建設費はまるまる国が負担をするわけでございます。そのほかに経営費の一部が入っている、そういうことでございます。それからなお、精神薄弱児通園施設ないし一般の精神薄弱児の施設の運営費につきましては、これは児童保護措置費という範疇に入っておりまして、そちらの方から職員の費用でありますとか、あるいは児童のまかない費でありますとか、着物代でありますとか、そういった収容に伴う経費を国が八割補助をする、そういうような仕組みになっておりまして、この分は措置費の方に入っておるわけでございます。それから、この国立の精神薄弱児の施設につきましては、これはこの前も御注意をいただきましたし、私どもも非常に気にかけて進捗をはかったのでございますが、この前の委員会において申し上げましたように、土地の入手について、これは土地の経費が計上されておりませんで、結局国有地の振りかえということになるわけでございますから、その辺の手続に相当実は手間取ったのでございます。その関係で全体として非常におくれがちになりました。それからさらに設計の問題について、これは先ほど申し上げたような子供を入れるわけでございますので、幾たびかこれをやりかえたりなんかしまして、そんなことで全体の工期が非常におくれまして現在執行中でございますけれども、率直に申し上げまして年度内の開園は無理ではないだろうかという現状でございます。こういうふうにおくれましたことは、これはいろいろな事情があったこととは申しながら、私ども非常にその局に当る者として残念に思っておるのでございますが、しかしおくれましたものの、初めての施設でございますので十分念を入れれてやりまして、なるべく早く開園ができるようにさらに一そう努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  43. 片岡文重

    ○片岡文重君 通園施設の設備補助だけだということですが、新しく施設を設ける計画は今のところは全然お持ちになっておらないということなんですか。
  44. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まず、国立の精神薄弱児の施設につきましては、これは結局一つは員数の問題と、一つは場所の問題の両方あると思いますが、まず第一次的にはこの百人の定員というものをもっとふやすということ、これを第一次的な仕事にしなければならないと思います。その次の何としてはこれは一カ所で足りないことはもちろんでございますので、個所数をふやしていくということを将来考えなければならぬと思います。  それから精神薄弱児の通園施設について……。
  45. 片岡文重

    ○片岡文重君 先ほど私が質問したのをあなた答弁をしておらぬはずです。それを一つ答えて下さい。
  46. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 精神薄弱児の通園施設につきましてはこれは七カ所と申しましたのはこれはみんな新設の費用でございます。それからその通園施設のほかに今まであります精神薄弱児の収容施設、これについての約四千万円、これも新築ないし増、改築によります定員の増と、そのための費用でございます。
  47. 片岡文重

    ○片岡文重君 それから、これを最後にしますが、国立収容施設を作ったり、あるいは自治団体、あるいは私立による施設等を作り、もしくは補助をするような場合に、信頼すべき資料がまだ十分整っておらないから、これらの点も十分調査の上で、ということがこの前たしか御説明の中にあったはずです。で、その信憑するに足る資料がないからということが国立収容施設の増設を打ち切る重要な一つ資料にも私はなっておったと思う。そこで前の神田大臣もこれは年次計画を立てて信憑するに足る資料をそろえ、これに基いて年次計画も立てて収容するように努力をするという約束がされておったわけです。で、その具体的に調査を進めておられるのかどうか、進めておるとするならば、どういう方法でその調査を進めておられるのか、この点を一つ聞いておきたいと思います。
  48. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 精神薄弱児の実態について的確な資料を把握するということが必要なことは言うまでもございませんし、その意味において三十三年度予算要求をいたしまして精神薄弱児の実態調査の費用を要求いたして最後まで私ども努力をいたしたのでございますけれども、何しろ全体が御承知のような状況でございましたので、残念ながらこれは計上されるところまで至らなかったような次第でございます。そういう意味においてまあ的確な科学的な資料を得ることがことしむずかしくなったことははなはだ残念でございますけれども、しかし同時に、まあ先般来申し上げておりますように、また御指摘をいただいておりますように、全体としてとにかく足らないことはこれ言うまでもないわけでございます。まあ、先ほどお話のありました九十万というもののうちには、これは九〇%以上は大体知能指数五〇以上であり、従ってまあ私どもの方というより、むしろ学校の方のお世話になるグループでございますが、それにしましてもやはり数万というものはこちらの方の手をかけなければならない対象でございます。  一面収容力と申しますと、国立の精薄施設が百人、一般の精神薄弱児の収容施設が約五千人というようなことで、お話にならないような状況でございますので、資料資料として、足らないことは現実でございますから、そういう意味において今後努力してみたいと思います。
  49. 紅露みつ

    紅露みつ君 この保育所、まあ今は片岡委員の精薄の問題が続いておるのでございますが、この児童問題は相当まだ問題が残されておるんでございまして、先ほど勝俣委員から御要望がありましたように、私もまた別の機会を一つお作りいただいて審議したいという希望を持っておりますので、その点申し入れます。
  50. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 紅露委員からのただいまの申し入れでありますが、あとで理事会を開きまして、理事会の問題といたしまして取り上げることにいたします。
  51. 片岡文重

    ○片岡文重君 理事会でこの児童関係をさらに続いてやっていただけるように私もお願いいたしますが、今の児童局長の御答弁ですと、その事実調査も今年度は打ち切られるという重大な御答弁だ。少くとも施設その他の補助、あるいは新設ができないまでも、調査だけはやはり約束してもらわなければ、あまりにも私は誠意がないと思うのですね。  そうしたらさらに、大臣出席の際に、十分大臣にも申し上げるつもりですけれども調査を進めるに当ってすぐに費用が要るということも考えられますが、費用がなくても現在の人員で少くとも計画くらいは私は立てられると思う。そういういつでも予算ができ次第、実行に着手できるような計画くらいはすみやかに樹立していただいて、できるだけ早くこの委員会にも提示していただいて、実施する誠意のあることを一つ私は見せていただきたいと思う。これだけを要望しておきます。
  52. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 午前中はこれくらいで休憩いたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  54. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。御質疑願います。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は資料要求をしておきたいと思います。第一に、国民健康保険の実態が明瞭になるような資料をいただきたい。国民健康保険改正案が出るようですし、で、皆保険関係で非常に重要でありますから、これに今の国民健康保険の実態というものを、われわれにわかるような資料をいただきたい。  それから第二に、国民年金制度の検討中だと聞いておりますので、たとえば社会保障制度審議会に提出されているような一切の資料、それから五人委員会に出しているような資料、内外ともに国民年金に関係した資料をいただきたい。  それからもう一つは、生活保護の関係ですね、生活保護の関係の実態全部というのはむずかしいけれども一つの場所を限ってでもけっこうですから、生活保護の実態の資料をいただきたい。それだけお願いいたします。
  56. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 以上ただいまの要求いいですね……。
  57. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連して私も資料一つお願いしておきたいのですが、それは重要施策として厚生省が昨年の十月四日でしたかに、当委員会に配られた資料があります。その資料というよりは、あれは説明ですね、あの説明書を作られてから、この予算が今度は出されております。それまでの間に厚生省関係で岸内閣から発表されたいろいろな公約があるはずです。その公約で、予算上ついに計上し得なかったもの、それは一体どういうものであるのか。その、項目別に要求した金額と、削られた金額、もしくは削除されてしまった項目、こういう点を一見してわかるような資料一つ出していただきたい。
  58. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) わかりますか。
  59. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) わかりました。
  60. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 予算の、特に厚生省所管の予算について総括的な質問を申し上げ、同時に細部に入りたいと考えておったのですが、大臣並びに次官もおられぬので、総括的な質問はまあ後日に譲るということにいたしまして、事務的な面から御質問を申し上げてみたいと思う。ただ私のいろいろお聞きしたいことが多数あるわけなんですが、こまかい点についても大臣からお聞きしたいような節もございますので、非常に質問の整理をしていくのに困難を感じておるわけです。事務当局としてもお答えにくい点があるかもわかりませんが、できる範囲内での御答弁でけっこうと思う。  この今回の予算を見て、先ほど片岡委員なりそれぞれの委員の方からおっしゃったように全く私もがっかりしておるんですが、この説明書によりますと、概算六十億ばかり増額したということによって、一応国民保険計画を初めとして社会保障施策が前進をはかり得るものとの確信をいたしておるようなことを表現しておられる、もってのほかであろうと思うんですが、そういうような点はいずれ大臣から詳しく聞きたいと思う。  そこで、最初国民保険の問題についてお聞きしたいのですが、午前中国民健康保険予定通り、三十二年度推進しなかったその理由について、木下委員から御質問があり、大臣から一応の御答弁があったわけなんですが、あの答弁だけでは私は満足はいかないのです。もう少し核心をついた、ほんとうに医療保険というもののわかった立場における御答弁をいただきたい。従って高田局長からしていただいてけっこうと思うんですが、国民保険予定通り推進し得なかったというのは地方財政との関連が一つの問題点である、第二の問題点は診療報酬の合理化、昭和二十六年以来のあの診療報酬の据え置きによるところの医療担当者の協力を得にくかったという、この二つが主たる理由のように言われておるわけです。なるほどそれは大きな理由であり、われわれもその理由はもちろん見のがすことのできない理由でありまするが、私はそういうこと以外にもいろいろな理由があると思う。特に総括的に言いますならば、国民保険をするという場合において、その制度自身が国民から喜ばれる制度でなきゃならぬと思う。で、そうした喜ばれないような条件下に皆保険をするという拙速主義が、私前々から疑義を持っておるわけなんですが、まず第一に喜ばれない条件として財政的なことを一応考慮せずに考えた場合には、当然給付条件ということが問題になってくると思う。これは健康保険並みにするというようなお考えで、第一次か第二次要綱には当局考えておられたようですが、給付条件が、五%であるということは、一応今までの国民保険の・被保険者からすれば、あるいは大した問題じゃないと思うのですが、これから救い上げられる対象者は、御承知のように、非常に、零細な収入しかない階層を対象にしたものになってくる。そうしますと、ふだん保険料をかけておって病気になった場合に五〇%の給付であるということは、非常に今までの国民保険の被保険者と違って、これからの被保険者に対しては非常な大きな負担であり、喜ばれざる理由はそこにあると思うのです。そういうことに対しての配慮は、ただ単に従来既成の組合をひっくるめてただ二割の療養費補助を出すと、あるいは五分の調整交付金を出すという程度でもって、果してこれから非常に組合をまかない得るものかどうか。保険収入が少いということと同時に、被保険者自身がそれを喜ばれない条件だと思うのです。そうした点について、やはり調整交付金というものはいかなる組合でも五分しか出せないのだ、最高五分だということでもってまかなおうとすれば、かなりまた促進がおくれるのじゃないかと思うのですが、まずそうした点について普及促進が阻害された大きな原因一つは私はそこにあると思う。ちょっとその点をお伺いしたい。
  61. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 今の国保の普及がおくれました原因について、御指摘になりましたのは給付率でございますが、それをも含めて国保の給付の内容がどうもあまりよくないから、これは給付の範囲という問題もございますが、給付の内容がよくないからそれが阻害しておるのではないかという節の御質問でございます。まあいろいろ見方はあろうかと思いますが、新規に開始するところのことを考えてみまする際に、たとえ給付の率が五割でございましても、今まではまるまるそのときどきに自分が全部払っておった人を組織して参るわけでございますから、まあ未組織よりは組織した方がよくなるわけで、従ってその点におきましてはやはりそのことよりは、新規開始がなかなか思うようにいかないのは、大臣があげましたような事情の方が、給付率五割にしてみてもなかなか財政的に立っていかないというふうな事情の方がむしろ強かったろうと私は考えるのでございます。しかし、いずれにいたしましても、今、竹中先生御指摘のように、国保の給付の内容をもう少し上げていくということは、これはもう御指摘の新規普及を促進するという観点からも、またその他の観点からもこれは非常に望ましいことのように思うのでございます。それで、その点につきましては、実は私どももいろいろと考えてみたのでございまして、私どもの希望といたしましては、できればこの際一ぺんに給付の率をもう少しあげるというふうなことをも希望いたし、さような考え方で案を練ったこともあるのでございますが、しかし、一つには、それにはそれだけのやはり国の援助というものも必要になって参りまするし、そういたしますと、新たに広げるということと、さらに給付率がよくなるための財政的な負担というものがかかってくるわけでございます。さような、まあ国家の財政上の点も勘案いたし、さらにまたもう少し本質的な問題は画一的に一ぺんにこの給付の率を上げるということをわれわれが考えましても、個々の保険者々々々の事情ではそう簡単に上げられるだけの力があるかどうか、その辺のところにも画一的にやるということにつきましては、これは相当実態的に見て無理がある。そのことによる——たとえ、国庫の援助が若干増加されたとしましても、保険料の増徴というものが当然これは伴うものでございますから、さような実態に即しての配慮、それからまあ第一点の国の金をどう使うかということにも関連をいたすわけでございますが、この際皆保険推進するという立場からものを考えますと、まず全然ゼロである人に対して、すなわち未組織の人に対してこれを保険の網の中に入れていくという、このことがまず第一段として考えられなければならないというふうな、まあものの先後と、それを一ぺんにやることがむずかしいとすれば、どっちかといえばそっちの方に重点を置かなければならないというふうな、ものの先後の考え方からいたしまして確かに御指摘のように、給付率が低いことははなはだ残念でございますけれども、これを画一的に上げるという方針は実はとらなかった次第でございます。しかし、この上げられるものからは徐々に上げて参りたい、こういう意図を持っておるのでございまして、個々の保険者の実情に即して上げられるものからは上げていく。その際には調整交付金等で配慮をいたして参りたい、こういうことを実は考えておるのでございます。従いまして、御審議をいただく予定になっておりまする法案におきましては、従来はその給付の率というものにつきましても法律ではきめておりませんでございましたが、最低限をきめるということによってまあミニマムだけは法律で確保して、それ以上はそれぞれの実情に即した率の引き上げをやれるような法案にいたしたいというふうにただいまのところ考えておるわけでございます。  なお、給付の内容の改革ということに関連いたしまして、今申し上げましたのは給付の率でございますが、給付の範囲につきましては、できるならばこの際被用者保険と同じような給付の範囲、これにも御承知のようにばらばらがございまして、被用者保険よりは劣っておる保険がちょいちょいあるのでございますが、できますならば原則的には給付の範囲だけは一つ統一をして被用者保険と同じ考えのようなことにいたしたい、さような意図のもとにただいまいろいろ研究をいたしておるような次第でございます。
  62. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 私が申し上げた普及が促進しなかったということは、お説のように、市町村あたりの団体の、まあできれば、理事者側になるわけですが、理事者側のちゅうちょするのは、市町村地方財政が圧迫を受けるという懸念、だからそれを取り除くと、私が申し上げるのはそうでなくて、実際に被用者である一般の健康保険の被保険者がこの制度に対して感謝しているようなことを絶えず聞くのです。ところが、国民保険の方の被保険者からは一向に喜ばれないような声を聞くわけなんです。特に、その喜ばれないことが未適用の方々に響きまして、一つの世論的な空気が促進を阻害する。それが、やがては府県会、市会議員あたりの方にも反映して、当局が立案するときに非常にそれが障害になっておるということを私は知っておるので、その点を申し上げたんであって当然、一番大きな支障は地方財政関係というのもわかるわけですが、その喜ばれざる原因が、今言われたような、率とか範囲とか、いろいろなことが関連してくるわけなんです。  そこで、その次にお伺いしたいのですが、もとより、これが強制加入の建前で皆保険をやられることになっているんですが、そうなってきた場合に、前々から議論のあるように、医療というものが一つの線の上を出ないことになるという懸念が、十分、医療担当者としてもあるし、被保険者としてもあるわけなんです。それは、やはり、保険財政の観点からして当然やむを得ない一つの行き方ではあろうと思うんですが、医学が進んでいって、よりよき医療医術ができるというにかかわらず、保険財政の面からして一定の制約を受ける——当局はお控えになっておるようでありますが、制限診療という言葉を使っておりまするが、制限診療をしなきゃならんというようなことが、現実に、皆保険になった場合には、よけい大きく響いてきます。これを補う方法としては、いわゆる差額負担、差額徴収ということが当然考えられなけりゃ、国民保険ということに突入していく場合に、日本医療をレベル・ダウンをしてやるのならそれでいいんですが、そうでない場合には、当然これを補うところの方法がなけりゃいかんと思う。特に、教育関係者に聞きますというと、皆保険になってきた場合において、高等な医術を特に修練するために研究室に残って研究をするとか、あるいは、そうでなしに、普通の学校の講義自体でも、そういうものは社会保険では将来利用できないんだからということで、その講座の出席率が非常に悪いということを開くわけなんです。で、教育的見地から考えてもそうですし、また、人命尊重の意味から言うても、一つの規格診療で、それ以上のことをし場合においてはいけないんだ、切り離してやれということに今なっておりまするが、それでは被保険者の受給権ということからしても相当大きな問題があると思う。被保険者はある程度の診療をしてもらえるんだ、それ以上のことはできないんだという場合には、当然今までの受給権は確保してその上プラス・エックスというものだけの差額を持てばよりいい治療はできるんだという制度は、当然この際考えられなければ、国民保険がスタートする場合においてきわめて私は不合理だと思う。そういう考え方をお持ちになっておられるのかどうか、皆保険を前提とした場合における一つのお考えを聞きたいわけです。従来からこの差額負担という問題は出ておりましたけれども、従来の考え方と、今日の事態とだいぶ事情は違っております。これをやる場合に、法律改正でもってやるべきものであるのか、あるいは省令その他でできるものか、よく存じませんが、手続が複雑であれば、やはり複雑なりに手続は努力しなければなりませんし、簡単にできるものであるならば、特にこの際議論しなくても、行政措置でできるものであるならばお考え願いたいし、そういうような点について制限診療に対する差額負担ということについてのお考えを、承わりたいと思います。
  63. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 保険医療医学医術の進歩に十分に即応しないでいわゆる制限診療であると言うていろいろある面から非難を受けておることは、私ども十分承知をいたしております。ただ、今日のような制度をとっておりまするのは、ただ経済の観点というわけではむしろございませんので、保険が今日のように現物の医療を給付するという建前をとっておりまする以上は、やはり給付そのものについてある程度の規格といいますか、そういうものがなければ制度の運用といたしまして非常に工合が悪いというふうな観点から、あるいはまた、九千万人の国民のうちで受けられるのはほんの何万分の一とか何千分の一とか非常にわずかな人しか均霑しないような利益を保険の給付としてやるというふうなことも、これは不公平な観点にもなりまするので、まあさようないろいろな観点から、相当程度普及をし、かつまた、学会等においても公けに認められた医療なり何なりというものを給付するというふうな建前からいろいろな一つの規格といいますか、そういうものを設けておることは、御指摘の通りでございます。私どもは、この保険医療の改善といいますか、これが医学医術の進歩におくれないような努力は相当いたしておるつもりでございますが、やはり、御指摘のように、日進月歩で、どうしてもそこにズレが出て参るということは、これは否定しがたいかもしれないと、かような反省も持っておるわけでございます。そこで、皆保険に関連をいたしまして、皆保険と言う以上は、どうしても今のような問題を解決しなければいけないじゃないかという御意見でございます。私どもも、基本的には先生の御意見、御指摘と同じような気持に立ってものを考えております。ただ、差額徴収というものは、これはなかなか取り上げ方が非常にむずかしいのでございまして、うっかりこれを取り上げますると、むしろ、何と申しますか、被保険者にとって非常に重大なことにもなり、また、現在の保険制度の根底をゆるがすような問題にも発展いたしかねない性格を持っておるものでございます。今日でも、先生御存じのように、限られた部分においては差額徴収をある程度認めております。たとえば、入院の部屋代というふうなものにつきましては、これはもう実に明確にだれにもわかるものでございますから、そういうふうな限られた分野におきましては差額徴収の制度を認めておるわけでございますが、これをどの程度にどういう方法でもって認めて参るかということにつきましては、先ほど申し上げましたこの制度に伴う逆の弊害というものとも十分にらみ合せまして検討を加えて参らなければならん重要問題だと存じております。従って、今日までのところ、私どもといたしまして、成案を得てはおりません。しかし、その物事の考え方の方向におきましては、弊害を伴わないようなもので、しかも、先ほど御指摘になりましたような今日の保険医療に対する一つの不満、非難というふうなものの緩和にもなるような方法を研究をいたしてみたい、かような心組みでおる次第でございます。医療保険といたしましては次の大きな研究テーマの一つであろうと、かように考えておるわけでございます。
  64. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 今の御答弁なんですが、その答弁の中に実際において矛盾がある。と申しますのは、もとより現行健康保険法が現物給付という建前にあることは私も十分承知しておるわけです。大体医療を物と見る表現からしてほんとうはおかしい、現物給付というようなことを……。従って物と見るからお説のように規格が要って、物にはこれこれの条件がなければならぬというようなことになってくる。医療は物じゃない、動いておる。ですから普通の、ほかの物を支給するような観念で医療保険を扱うということ自体——まああなたの責任じゃない、昔からなんだが、ここに一つの大きな矛盾があると私は思うのです。そこへもっていって、今引例なされた入院料の問題なんですが、現物給付の建前だから、現物給付しておるものにほかのものが加わってはいけないというにかかわらず、入院だけは認めておるということになるわけです。入院というものの効果といいますか、医療効果というものは精神的なものであって、いい病室へ入れば気分がいいとか、あるいは体裁がいいとかいろいろなことがあるでしょうが、おもに気分的な問題だと思う。そうでなくして、ほんとうにきょう抗生物質を使えば肺炎にならなくて済むのだというような場合に、やはり病名がはっきりしなければこれは使えないというような今の行き方、それに対して医者がやれば審査で削られる、無料奉仕だというようなことに現実はなっておる。そういうような場合に、やはり予防的に少くともきょうやってやれば病気が三日か、五日早くなおるのだというようなときに、あるいは小さい子供が来たときに、医者としてやりたいというような場合に、診療指針のいろいろなことで制約があるわけですね。それをできないというときには、せめて医者が損をしないというような考え方がなければならぬと思うのです。そのときに本人の意思によって、一部負担でなくして、本人の意思で出すのだというならば、そういう親切というか、高度の治療をさして一向差しつかえないと思う。一部負担のように、本人の意思にかかわらず法律でとられるというのでなくして、相談ずくでやるのだから一向差しつかえないと思う。ただ御指摘のように、限界がむずかしくて明白でないと困るということはよくわかるのです。ですから相手はしろうとであるのだし、差額を取る場合に、保険給付のものにかかわらず差額を取ったりするようなことがあったら重大問題です。なかなかその間実際私どもむずかしいと思うのです。ですが、入院料のようにはっきりしたものは、特に私は歯科の補綴などははっきりしておると思うのです。使用材料によって違うのです。だからそういう明白のものについてだけ、少しでもそういう方向に進むような努力を私はお願いしたい。こういう気持が根底にあったものだから差額負担というものについて質問したわけなんです。しかし、いずれにしても医学の向上を阻害したり、研究意欲を阻害するような制度が国民保険の中に盛り込まれるということになれば、これは重大なことだと思う。だから、もちろん取り上げた場合いろいろな弊害があるでしょうが、その弊害の除去に努め、弊害が少いようなことで、ぜひそういうふうに御研究願いたいと思う。  次に、続いて保険局長に聞きますが、調整交付金の、先ほどの私の質問にあった問題なんですが、どうやら仄聞するところによると、その調整交付金の交付する条件というものが、一定の定められた給付条件のものであって、保険料の収納率もある程度に達したものというような、どういう意味ですか、調整交付金の性格に奨励金的な意味があるのじゃないかと思う。ほんとうに調整交付金のほしいのは保険料が十二分に入らない非常に弱い組合で、従って給付条件なども高い水準でないところあたりを救ってやらなければいかぬと思う。ところが、お考えの中ではそうでなくして、今言いましたような条件を満たされなければ交付金を出せないのだということになれば、また別の角度からそういう弱い組合に対しては何か救援の手がなければ財政は確保されないと思う。そうした点でいずれ法律案が出たときに調整交付金についての議論が出ると思うのですが、一応簡単でけっこうですから、そういう点はどういうふうにお考えになっておるか。
  65. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 調整交付金の一番のねらいは、今竹中先生御指摘のように、負担力の弱いところにこれを交付するということでございます。それが制度の本旨でございます。その他災害の場合にはどうとかいうようないろいろなことがあると思いますが、大筋は先生の御指摘の通り、ただその負担力が弱いところと申しましても、これはなかなかそれをどうしてはかるかという問題がある。それからまた先生御指摘のように保険料を、ほかと同じように、十分取るだけの保険料を取っておるかどうかということも見てそうして交付をいたさなければならぬ。従ってこの調整交付金を交付いたします際には、一般並みに保険料は取ったとして足りないのがどれくらいあるかというふうな計算をいたしまして交付をいたすわけになる。しかし、制度のねらいは、今先生仰せのように負担力の弱い被保険者を多数かかえておる保険者、こういうことが趣旨でございます。
  66. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 それから、事務費の問題なんですが、前年度の単価が八十五円、ここで九十円、五円上っておるわけですが、あれは百十五円か何かが実額であるということですが、どういうことで九十円にしたか。
  67. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 私ども要求は本年度、三十三年度におきましては一人頭百十五円ということで要求をいたしました。三十二年度が八十五円でございます。それで三十三年度で認められましたのが九十円でございます。なお、ついでに申し上げてみますと、前の三十一年度が六十八円幾らだったと思います。年々引き上げていっておるわけなんでございます。それで、私ども要求は決して過大なものを要求したというわけではございません。大体過去の実際に渡っておる事務費調査いたしてそういう要求をいたしたわけでございます。それが全額実現いたさなかったことははなはだ私どもも遺憾かつ残念に思っておるわけでございます。
  68. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 全額実現できなかったということについて残念であるということなんですが、当局はそれでいいのだが、実際に組合の方で困るのじゃないかと思うのです。それでなかなかこれの受け入れがおくれておる、事務費がどんどん入らないということを聞くわけなんですが、これは何か隘路があるわけなんでしょうが、受け入れ側の方の事務整理がおくれて府県でもらう場合に非常におくれるということを聞くのですが。
  69. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 特にこの金が現実に入らないということにつきましては、私ちょっと今のところ心当りはないのですが、大体やり方といたしましては、概算で第一・四半期幾らというふうに流しております。それで最後の精算はこれはもちろんおそくなりますけれども、概算交付をやっておるはずでございますから、さほど、特にこれの流し方について隘路があるというふうには考えておりません。
  70. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 それから、その一次は組合管掌の問題なんですが、医療費に対する国庫負担考え方が一貫しておらぬ、これはそういうことになると思うのですが、医療保険問題に対して申し上げる意見なんですが、国の責任をどこまで医療保険に対して持つのかという一貫性がないことによって、この組合に対する二億円というものも給付臨時補助金になって参ります。もとより組合の保険財政というものが政府管掌よりもいいということはわかっておりますが、やはりいいならばいいなりに国の責任を明らかにして、これを助けてやるという考え方は当然あるべきだと思う。で、臨時となっておる限りは、おそらくこれは率直に申しまして八・五%広げることについて組合からのはね返りがある。それに対して一つの慰留策と申しますか、得心策というか、口止め策というか、とにかくそういうようなことに、臨時となる限りは考えられる節があると、やはり組合に対してもある程度の国の責任を明らかにした補助というものを出すという建前でないと、皆保険というものについての普及の点からも私はくずれてくると思う。組合に対してはどういう考えを持っておられるか、特にこれは弱小組合だけということになっておるのですが、弱小であろうが何であろうが、一応医療保険に対してはこうだと、この程度国が責任を持つ、特に弱小にはそれ以上こうだというのが正しいと思うのですが、御所見はどうなんでしょうか。
  71. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 医療保険全般に関しまして、今先生が仰せのように国の責任を明らかにする意味におきまして、一定のきまった割り当てか何かでこれを援助していくというようなことは確かに一つ考え方でございます。実は私など主管局長といたしましてはそういうような考え方と希望を持っておるわけでございます。ただ、この組合という場合におきまして、今のような建前から、たとえば一割なら一割、五分なら五分というようなものが国庫の、国の責任を明らかにするというふうな意味から、はっきりと定率で入っていくという全般の制度が今日は成り立っておりませんので、現在の組合の制度といたしましては、原則的にはやれるものが集まってやるという建前をとっておるわけでございます。従って、ということは組合の業務が不能になりました場合には、これは組合を解散いたしまして政府に引き継ぐ、その債権債務を政府に引き継ぐというように現存の法律の建前になっております。組合は幸いにして比較的財政状態がいい組合が多うございますので、従って、まあ医療費引き上げというようなものがございましても、これは十分組合の財政の中で吸収していける組合が多いのでございます。ただ、この限られた組合におきましては、政府管掌と同程度、あるいはそれ以下に、たとえば標準報酬を取ってみましても、それと同じ、あるいはそれより中には下のものもあります。料率の点でも政府管掌以上に現在取って運営しているようなものもございます。従って、そういう弱い組合につきましては、その医療費引き上げというようなことがございますと、現実的に組合の運営に支障を来たすというものがまあ出てくるのがあるわけでございます。そこで、それらのものに対しまして、まあ先生先ほど口止め策と仰せになりましたが、口止め策というような意味ではございませんで、現実にそういうようなものが出てくることがある。それらに対しまして総額二億の範囲内におきまして補助金を出して、さような組合に対して措置をいたしたらということで今回の予算は計上されたわけでございます。ところが、先ほどの、現在の組合制度に対してできなくなったら解散して政府管掌に入ってくればいいじゃないかという建前になっているわけでございますから、そういうことをせぬでもいいじゃないか、その医療費引き上げというようなことがあって、とてもそれがしょい切れぬのならば、つぶして政府管掌に入ってくればいいじゃないかというふうな、あるいはまた片一方で議論が出てきかねないような制度の建前になっております。しかしながら、また、これは考えものでございまして、たとえ昨年度その組合が非常に悪うございましても、あるいは解散をして政府管掌に入るというよりはお互い同士でやっていきたい、財政状態も、保険財政のことでございますから、ただ一年だけでこれの組合の運命というものを判断するわけにいかぬ。しばらく財政状態をながめれば、あるいは好転する時期も来得るわけでございます。一方また組合には組合としての何と申しますか、事務的にいろいろ見まして長所もあるわけでございますから、非常に困難を来たすようなものは直ちにつぶれてしまえというふうな態度をとることもいかがであろうか。従って、新規にかような補助金を計上いたしまして、さような組合に対するてこ入れをして、しばらくその推移を見る、こういうふうな趣旨の補助金を計上されたわけでございます。
  72. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 次に、医療機関の整備拡充についてお聞きしたいのですが、国民保険の四つの柱の一つとしてこれを厚生大臣は取り上げられておりますが、この説明書によりますると、国立病院施設の整備改善のために十三億円というようなことになっているのですが、国立東京第一病院外四カ所となっている。大体においてこの機関の整備というものについては機関そのものの整備もありまするが、医療機関の普遍化という意味の整備の点から考えてみますというと、この予算の使いようが都市偏重のような感じを持つわけなんであります。昨日同僚委員の質問で、全国の官公立病院を初めとしての分布状態などを資料として求められたわけなんですが、やはりそういうものをわれわれ承知いたしませんと、この予算でもって果して無医林解消策の一環としての機関整備というものにはならぬと思う。そういうものは別に考えておられるのか、あるいはただ今あるものの施設の整備という意味なのか。重点はどこにあるのか、お聞きしたい。
  73. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 国立病院の整備につきましては、既設の国立病院の中で最も基幹的な病院、指導能力、医療能力の非常に高い病院、その病院を選びまして整備をしていく。従いまして国立病院の基幹病院に関する限りはそれぞれ都会地にございまするので、都会地の病院の整備拡充ということでございます。全体の国立病院以外の病院の整備につきましては、会計課長から申し上げました資料の十一ページの11、医療機関整備費の中の(2)の公的医療機関、ここに盛られておるわけでございます。これは市町村、都道府県等の病院の整備は、御承知のごとく起債なり、あるいは厚生年金の還元融資なりによって主として今日は整備されております。おりまするが、やはりこの措置法の、市町村等におきまして財政力の弱いところ、しかも地方には病院がほとんどないか、あるいは全くないにひとしいというような地域は、この起債だけでなくしてこの公立病院の補助費でもって補助をいたしまして、さしむきといたしまして病院のない地区の病院設置ということを促進して参りたいという予算が、(2)の公的医療機関の中の公立病院の項に盛られているわけでございます。両々相待ちまして、かたがたは日本全体の医療の水準を高めていく、かたがたは日本全体的に見て病院のない地方に病院の設置を促進するのだ、こういう日本立で参っているわけでございます。
  74. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 次にお尋ねしますが、看護婦等の養成所の建設補助金が三百万円減額になっているわけですね。これはどういう意味合いで減額になったのかということと、あわせてこの機会にお尋ね申し上げておきたいのは、歯科における衛生士というものが御承知の通りございます。当然この衛生士の養成所につきましても、国でそういう衛生士というものを認めて作られた。府県でささやかな地方財政の中で小規模ながらやっているわけなんですが、これに対するやはり助成の意味で補助金というものは当然なけりゃならぬと思う。こうした点について、次年度予算等において当然配慮さるべきだろうと思うのですが、局長の御所見を承わっておきたい。
  75. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 看護婦の新しい制度が終戦後できました当時は、新制度による看護婦設置の希望が全国各地にございました。従いましてこれに対応するために、私ども相当額の看護婦、保健婦等の養成所の建設補助費を組みまして、この設置を奨励して参ったのでございます。今日のところは、大体この必要なところと申しますか、あるいは養成所を付設するというような病院におきましては、看護婦の設置というものは一通り行きわたって参っております。最近では、今度は准看護婦から看護婦になるための二カ年のいわゆる進学コースでございますが、従来の准看護婦の養成所を進学コースに切りかえたいとか、あるいは新たに進学コースを作りたいのだという希望に変って参ってきております。しかしながらその希望は、今年度の実績によりましてもそう多くはないのでございます。今年度も実は九百万円ございますけれども、私どもは積極的にこれを勧奨いたしましてこれを消化したというような事情がございますので、大体昭和三十三年度では六百万円程度の補助金で間に合うのではなかろうか、こんなふうに考えてこの予算を計上したような次第でございます。  それから歯科衛生士の養成所の補助でございますが、これはお説のごとくに、歯科衛生士というものを普及発達させるということは、非常に重要である、歯科衛生上きわめて重要であるということを私どもはよく存じておるつもりでございます。ただ長い間地方に歯科衛生士養成所を設置するというふうな御希望がなかったわけで、昭和たしか二十八年を最後としまして二十九年以来補助金が全然出てなかった。来年度作りたいという所が一部出て参りましたので、私どもも積極的に補助金を計上すべく努力したわけでございます。最後まで努力いたしたのでございまするけれども、きわめて残念なことにそれがいれられませんので、歯科衛生士養成所の補助が計上できなかった。これは私どもといたしましても大へん遺憾に存ずる次第でございます。
  76. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 どうかその衛生士の問題につきましては格段の御努力をしていただきまして、次年度においては少くとも一カ所くらいはやはりこれまた国の責任で助成して、歯科医師というものは、医師と違って国民対比からいって非常に少いわけであります。どうしてもこれは補助金が要るということでお作りになったんですから、正しい意味の医学をよく理解した衛生士としての必要限度の医学の理解した者を送ってもらわぬというと非常にこれは困る問題がある。どうかそういう点で格段の御努力を賜わりたい思います。  次に婦人保護費の問題で二、三お聞きしたいのですが、今回の予算を見ますというと、売春防止法というものを本気で四月一日から実施するという気であるかないかさえ疑うような保護費しかここに出ておらない。厚生白書によりましても書いてありまするように、二十八年の十六国会以来これが議員提案されておりながらそのつどそのつど審議未了になり、あるいは最後には否決になったというような運命をたどっておるのは、その主たる否決の理由は法案の取締り、処罰に重点を置いて、保護施策に対して考えられておらなかったということが当時否決になった大きな理由のようにここに書いておられるわけです。当然私も同感でありまして、やはり保護施策というものが十二分に配慮されて、受け入れ態勢をしてやらなければ、これは実施するというてもなかなか困難だろうと思うのです。それを具体的に来年度のこの予算書を見ますというと、婦人の保護費というものを見ますというと、むしろ前年度三億円であったものが二億三千万円、合計において七千万円からの減額を見ておる。その減額されたことについて受け入れ態勢はもう十分だという意味合いでこれは減額になったのか、そうした点を私ははっきりと聞きたいと思う。で、やはり厚生白書によりますというと保護施設が足らぬということで、現在、昭和二十二年以来十六カ所あったのが三十三年度内には三十九施設をふやして千二百七十人を収容できるような施設をするのだということがここに書いてあるわけなんですが、それが半数も現在実現を見ておらない。しかもまた来年度におきましても、これに対する予算措置というものがきわめて貧弱であるということなんです。従ってこの婦人保護ということに対しまして、売春防止法と関連してどういうような考え方を持っておられるのか、もうこれで足れりとしておられるのか、少くとも前年以上のものでなければならぬと思うのです。まあこれは、あるいは言い過ぎかわかりませんが、売春汚職ということによってむしろ業者が踏み切った、売春汚職の効果は業者をして踏み切らしたということが私はあると思う。あのことのために外地の業者は本気になって今転業を考えておる。そうしてみると、今までのような状態で受け入れ態勢を考えておったんではとんでもない話だ。四月の一日にはもう完全に転業するんだということになってきますというと、職業補導、あるいはその他の結婚あっせん、いろいろな面において受け入れ態勢が十分でなかったから遺憾である。一向にそういうことについての配慮がないように私は思う。その点を一つ承わりたいと思います。
  77. 安田巌

    政府委員(安田巌君) 婦人保護の予算につきましては、お話のように昨年が三億三百万円、それから本年が二億三千数百万円でございますから、六千数百万円が減少いたしておりますことはその通りでございます。これは主として今お話の中にもありましたのでございますが、三十二年度におきましては、婦人相談所を全部作らなければならぬ予算が入っております。それから保護施設が三十九カ所新設するという予算が入っております。そういったような臨時的な費用というものが入っておりましたために、三億二百万円になったのでございますけれども、三十三年度におきましては、保護施設につきまして十二カ所増設するというのが臨時的な予算でございますので、従ってお話のような、総額におきましては、若干減ったというふうな結論が出たわけでございます。しかし、内容を見ますというと、売春婦に対する更生資金の貸し付け、それが三千二百万円ばかり入っておりますし、その他被服費等の支給の費用も入っておりますので、まあまあこの程度で来年度やっていけるのじゃないか。そこで、収容保護施設の現況でございますが、今御指摘になりましたように、私どもせっかく二十九カ所の施設の予算を取りまして、各府県にそれを作るようにといっておりましたが、なかなか踏み切りが悪くてできなかったのでございます。ところが、昨年の十月ごろからだんだん様子が変って参りまして、ことに昨年の十二月の末日限りで、愛知県の業者七百人が全部転廃業をしたというようなこと、それから岐阜が約七割転業したというようなことで、だんだんと各府県で認識して参りまして現在のところでは、残った三十九県全部保護施設を建てる計画を出して参りました。ことに既存の建物を補修等によりまして利用して、そういう施設を設けるというところも相当数ございましたので、そういった予算をほかに回しますと、今のところ、三十九施設でなくて四十九か五十施設ぐらいはできる見込みになっております。そういったようなものと、それから今お話しになりました今まであった十六施設を加えますと、まあまあ大体五千人近い収容力が出てきたのじゃないか、こういうふうに考えております。いろいろこれは実際にどの程度、婦人相談所に参りましたもののうちから、収容保護しなければならぬようになるかというようなことがわからないわけでありまして、今申しましたような状況から見まして、まあまあ何とか間に合うのではないかというような気がいたしておるわけであります。
  78. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 まあ、府政責任の地位にある局長が言われたのだから、それでいいのですが、私としては今日の売春防止法に対する受け入れ態勢としての予算措置としては、きわめて不十分だという懸念を持っております。  それからもう一つ最後にお聞きしておきたいのですが、婦人相談員の問題なんですが、私が三、四県視察に回ったときの実態は、婦人相談員の方々の報酬というか、謝礼というか、嘱託料というか、きわめて零細なんです。それに対しての不満は私は聞かなかった、御当人からは……。それよりもその御当人が言われることは、相談に来たときに何も与えてやれないということなんです。ただ口先だけでいろんなことを言うてみたところで、口頭禅であって、やはり対象の婦人層というものが、従来の生活環境からして、長年の悪習慣があったりしておるので、ただ口で修身教育のようなことを言うてみてもだめなんで、やはり温情のある措置をするのには金が要る。そうした面においての予算がないということなんですね。もう少し、ただ相談所だから口で相談したらいいということでなくて、相談して指示を与えて、その指指した後のことをある程度めんどうが見てやれるようなものでなければ、私たちは困るということを相談員が訴えた。そうした点についてお考えはどういうふうであられるのか、そういう点を最後にお聞きしたい。
  79. 安田巌

    政府委員(安田巌君) 婦人相談員の報酬につきましては、これはいわば嘱託のような格好になっているものでございますから、月額が九千円で、確かに低いと思います。今年もせめて一万円に引き上げたいと思ったのですが、いろいろ今回の予算のような事情で成功しなかったのでありますが、まあしかし、大体女の人で、初めからそういったような俸給であるというようなことで入っていただきましたので、今もお話がありましたけれども、大体それでお骨折りを願っているような格好になっております。それで、今の相談に来ました売春婦に、何かあたたかいことをしてやるような金でもあったらということ、これは確かにそういったような金があるといいのでありますけれども、なかなか予算の上に乗らない金でありまして、最小限度は、婦人相談員が歩き回る足代であるとか、そういったようなものが見てあるわけであります。そのほか売春婦がすぐにでも生活に因るということでございましたならば、大体相談所へ送りますと、相談所で一時の収容施設がございますので、そこへ入れる。そこで食べさせる費用もこれは国で見ております。そうしてそこに収容している間にいろいると就職のあっせんであるとか、あるいは帰郷させるようなことをする。もちろん帰郷いたします場合に旅費が要るので、そういった旅費を見る道がございます。それでもうまくいかないような場合には、収容施設に入れるというような段取りになっているわけでございます。これからだんだんとそういったケースが多くなると思いますが、現在のところは、今申したようなやり方以外には考えていないわけなんであります。
  80. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 そういうような考え方なり、制度が一応あるのだが、その制度そのものも、予算の面で実効が上らなかった、今まで……。まして先ほどから申しますように、今後はそういう人が非常に一時にそういう施設に殺到してくるというようなことになると、私は大きな混乱が起きやしないかということを懸念しているということを申し上げて、私の質問を終ります。
  81. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。   〔速記中止
  82. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。  本日の本問題に対する質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会