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1958-02-06 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月六日(木曜日)    午前十一時七分開会     —————————————   委員異動 十二月二十五日委員藤原道子辞任に つき、その補欠として亀田得治君を議 長において指名した。 一月二十日委員亀田得治辞任につ き、その補欠として松澤靖介君を議長 において指名した。 一月二十三日委員小西英雄君及び西岡 ハル辞任につき、その補欠として鈴 木万平君及び後藤義隆君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君    委員            有馬 英二君            後藤 義隆君            紅露 みつ君            鈴木 万平君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 経勝君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 堀木 鎌三君   政府委員    厚生政務次官  米田 吉盛君    厚生大臣官房長 太宰 博邦君    厚生大臣官房会    計課長     山本 正淑君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 小澤  龍君    厚生省薬務局長 森本  潔君    厚生省児童局長 高田 浩運君    厚生省保険局長 高田 正巳君    厚生省引揚援護    局長      河野 鎭雄君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (昭和三十三年度厚生省関係予算に  関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまから、社会労働委員会を開会いたします。  委員異動を報告いたします。  昭和三十二年十二月二十五日付をもって藤原道子君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。昭和三十三年一月二十日付をもって亀田得治君が辞任され、その補欠として松澤靖介君が選任されました。一月二十三日付をもって小西英雄君及び西岡ハル君が辞任され、その補欠として鈴木万平君及び後藤義隆君が選任されました。     —————————————
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 社会保障制度に関する調査の一環として、昭和三十三年度厚生省関係予算に関する件を議題といたします。  まず、厚生大臣から大綱について御説明を願います。
  4. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 昭和三十二年度の厚生省所管予定経費要求額の概要について、御説明申し上げます。  昭和三十三年度厚生省所管一般会計予算要求額は、一千七十二億五千七百五十四万五千円でありまして、これを昭和三十二年度の予算一千十四億三千九百五十五万三千円に比較いたしますと、五十八億一千七百九十九万二千円の増加と相なっております。  昭和三十三年度の予算編成に当りましては、社会保障確立強化のため、特に国民保険の推進、医療機関整備結核対策の充実及び診療報酬合理化を総合的に検討して、これが実現をはかることを目途として参ったのであります。もちろん一定の財政規模の中で、すべてが十分なる伸展を見たとは言いがたいのでありますが、以下御説明申し上げます通り、国民保険計画を初めとして、社会保障諸施策の前進をはかり得るものと確信いたしております。  右予算のうち、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一は、国民保険の推進と、その基礎的条件整備に必要な経費であります。  昭和三十三年度におきましては、本年度以来着手しました国民保険四カ年計画の第二年目として、国民健康保険及び日雇労働者健康保険等の財政の健全化をはかるとともに、社会保険診療報酬合理化並びに医療機関整備等、本計画推進上の基礎的諸条件をもあわせて総合的に検討し、それぞれの配慮をいたしております。  以下、その具体的な諸施策について申し述べますと、まず国民健康保険におきましては、特に大都市を含む市部に普及の重点を置き、被保険者数を三十三年度中に約四百万人の増加をはかることとし、三十三年度末の被保険者数を三千八百三十万人と見込み、年間平均三千六百万人として算定いたしております。  一方国民健康保険財政力を強化するとともに、給付内容改善等をはかるため、従来の療養給付費に対する二割の国庫補助のほかに、新たに財政調整交付金を交付することとし、療養給付費の五分に相当する金額を算定して、三十三年度においては、その半年分、十三億八千二百万円を計上いたしました。  これに伴い、国民健康保険の助成に要する経費は、百五十六億五千八百余万円となり、前年度に比較して、三十四億七千三百余万円の増加と相なっております。なお、事務費の一人当り単価は、前年度の八十五円を九十円に引き上げることとして、積算いたしております。  次に、日雇労働者健康保険につきましては、その医療給付面における財政収支の不均衡を是正するため、従来の国庫負担率一割五分を二割五分に引き上げるとともに、多年の要望であった傷病手当金制度を創設し、三分の一の国庫負担を行うことといたしました。  このため、一般会計から、前年度より五億二千八百余万円増加した十一億八千四百余万円を繰り入れることとなっております。また、組合管掌健康保険につきましても、診療報酬の改訂その他に伴い、収支の悪化の見込まれる財政的に脆弱な組合に対して、その健全化をはかるため、新たに二億円の給付費臨時補助金を計上いたしました。さらに、政府管掌健康保険に十億円、船員保険に一億円を、それぞれ給付費財源として繰り入れることといたしております。  次に、国民保険基礎的条件整備の一翼をにないます医療機関整備拡充に必要な経費でありますが、まず、国立病院施設整備改善のため、十二億一千二百余万円を国立病院特別会計繰り入れ国立東京第一病院ほか四カ所の国立病院整備するとともに、その他の老朽不良施設の改善をはかることといたしております。また、公的医療機関については、前年度に引き続き、僻遠の地で、経済的に民間診療所の開設を期待できない無医地区に対しまして、公的病院出張診療所二十六カ所を開設せしめるとともに、都道府県単位に、医療サービスの基幹となるべき病院施設、機能の整備を行うこととし、これらに対する補助七千三百余万円を計上いたしております。さらにまた、国民保険計画と密接な関連を持っております社会保険医療診療報酬合理化に必要な経費につきましては、診療報酬が平均八・五%程度引き上げられるものとして、それぞれ社会保険生活保護費等に所要の財政処置を講じております。  第二は、結核対策に必要な経費であります。結核は、早期に発見し、早期に治療を行うことが、その対策の要締であることにかんがみまして三十三年度におきましては、健康診断の実施に当って、その内容を改善充実するとともに、新規に百九十八班の検診班に対する補助を行うこととし、一般住民に対する健康診断の実施を一段と強化徹底することといたしております。また、医療費につきましても、新規外来治療におけるエキス線検査培養検査等を、公費負担対象として取り上げる等の措置を講じております。右のほか、国立結核療養所百八十一カ所の経営のための経費を加えまして、結核対策費は、百五十八億二千三百余万円と相なり、前年度に比較しまして十億一千三百余万円の増加となっております。また、別途結核実態調査費として七百余万円の経費新規に計上いたしておりますが、これは、二十八年度に実施して以来、部分的調査により、補足して参りました結核の実態を総合的に調査検討し、今後の結核対策基礎的資料を作成せんとするものであります。  次に、第三は、生活保護及び社会福祉の増進に必要な経費であります。今後、なお、金融引き締め等による調整過程の影響が、引き続き予想されますので、昭和三十三年度の生活保護費所要見込みは、生活扶助人員については、過去の実績と人口増加に伴う自然増等を勘案いたしまして、三十二年度の実績人員よりおおむね三・六%の増加を予定して、月平均百五十万人余と推定し、扶助内容についても若干の改善をはかり、生活保護総額では、前年度に比較して十五億二千六百六十余万円増加した三百八十二億二千二百余万円を計上いたしております。一方、社会福祉関係費では、身体障害者の更生、再起のため、四億六百余万円を計上いたしておりますが、この中には、新たに社会福祉法人の設置した更生援護施設に対する運営費補助並びに盲人の職業活動の便益をはかるための盲人ホーム設置助成費等が含まれております。次に、婦人保護に関しましては、前年度予算において、婦人相談所の設置、保護施設増設等、一応緊急所要の措置は講じましたが、三十三年度においては、さらに十二カ所の保護施設の増設をはかるとともに、新規更生資金の貸付、被服の支給等制度を設けて、転落婦人更生保護の強化をはかることとし、二億三千三百余万円を計上いたしております。また、低所得階層に対しては、その自立更生を促進するため、前年度に引き続き、世帯更生資金貸付補助金として三億円、医療費貸付補助金として二億円を、それぞれ計上いたしております。  次に、第四は、児童保護に必要な経費であります。先ず、児童福祉施設に収容している児童の生活を保障する児童措置費につきましては、施設増加に伴う児童数増加を見込みますとともに、保育所における給食費の増額、養護施設等に収容している児童教育費の増額及びこれらの施設に勤務する職員の待遇の改善等を行うこととし、七十億七百余万円を計上いたしております。また、児童に健全な遊び場を与えるために、新たに全国主要都市に二百十カ所の児童遊園を設置助成することといたしております。さらに、母子保健対策といたしまして、新規に妊産婦、乳幼児の健康指導、助産、栄養、受胎調節に関する指導等を行うため、総合施設を設けます町村に対し、その設置補助を行うことといたしましたほか、未熟児の教育のため、保健婦による家庭訪問指導及び経済的に困窮している家庭の未熟児を入院養育させるために、必要な経費新規に計上し、母子保健対策強化向上をはかることといたしております。以上、児童保護に要する経費の総額は、七十六億三千五百余万円で、前年度に比較して、五億八千六百余万円の増加と相なっております。  次に第五は、戦傷病者戦没者遺族等援護法、未帰還者留守家族援護法の改正に伴う経費であります。恩給法の改正と並行して、近く御審議を願うこととなっております戦傷病者戦没者遺族等援護法及び未帰還者留守家族援護法の改正により、従前の積算による金額のほかに、新たに本改正による増額分を計上いたしております。これは、遺族年金及び留守家族手当を現行三万五千二百四十五円から五万一千円に、障害年金を最低七千円から最高七万九千円に増額するのほか、多年の懸案でありました動員学徒等、準軍属及びその遺族に対しても、今回新たに、障害給与金遺族給与金制度を設けて、遺族年金障害年金の五割に相当する金額を支給することを内容とするものでありまして、その所要額を平年度二十八億七千万円とし、三十三年度はその一部、三億五千八百余万円を計上いたしております。  次に第六は、国民年金制度創設の準備に必要な経費であります。全国民対象とする国民年金制度を早急に創設するため、本年度に引き続き、五人の委員を置いて、その具体的方策調査、企画に当らせるとともに、基礎的資料となる諸調査をさらに整備するために必要な経費として、一千百余万円を計上いたしております。このほか、環境衛生対策の推進に要する経費として簡易水道清掃施設及び下水道終末処理施設整備拡充等のため十七億五千三百余万円を、また、国立公園国定公園施設整備に要する経費一億四千五百万円を計上するのほか、医薬品輸出振興対策として、八百余万円を通産省に計上いたしておるのであります。  以上、昭和三十三年度厚生省所管一般会計予算について、その概要を御説明申し上げたのでありますが、次に、昭和三十三年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  先ず第一は、厚生保険特別会計についてであります。先に申し述べましたように、一般会計より健康保険給付費財源繰り入れ十億円、日雇健康保険給付費財源繰り入れ十一億九百余万円を見込みまして、健康勘定におきましては、歳入歳出とも七百六十八億八千八百四十四万九千円、日雇健康勘定におきましては、歳入歳出とも五十億三千三十一万円、年金勘定におきましては、歳入六百一億七千百三十二万一千円、歳出百十五億七千九百八十九万三千円、業務勘定におきましては、歳入歳出とも四十億六千六百六十万八千円をそれぞれ計上いたしております。   〔委員長退席理事山下義信君着席〕  第二は、船員保険特別会計についてでありますが、疾病部門その他について三億二千五百余万円の一般会計よりの繰り入れを行い、これに要する経費といたしまして歳入六十六億八百二十九万五千円、歳出五十億六千七百五十六万九千円を計上いたしております。  第三は、国立病院特別会計についてであります。先に述べましたように、国立病院施設改善のため、所要財源一般会計より繰り入れするのほか、三億円の国庫債務負担行為を計上いたしております。また新たに、アレルギー、ヴイルス等治療センターをそれぞれ若干個所整備する予定であります。右に要する経費として、歳入歳出とも九十一億九百十一万七千円を計上いたしておるのであります。  最後に、あへん特別会計についてであります。本年度のあへん買い入れ予定量は、輸入四十七トン、国内産三トンでありまして、一方、製薬原料としての売り渡しは、四十五トンを予定いたしております。右に要する経費として、歳入歳出とも二億八千二百九十一万五千円を計上いたしております。  以上、昭和三十三年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計予算につきまして、概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたします。
  5. 山下義信

    理事山下義信君) 次に、政府委員から御説明を願います。
  6. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 事項別につきまして、若干補足説明をさせていただきます。お手元に御配付申し上げてございます「事項別調」という表を続いて御説明申し上げます。  一ぺージから三ページまでは、各事項につきまして、対前年度予算との比較が載ってございますが、特に事前に申し述べたいと存じますのは、三十三年度予算におきましては、旅費、庁費施設整備費におきましておおむね五%の節減が行われておりまして、そのために、対前年度と比べまして、減になっておる事項があるわけであります。これを事前に申し述べておきます。   それで、三ページの次でございますが、各事項に入りまして、一番が国民年金制度準備費でございます。これは、過去におきまして各種の調査をやって参りまして、三十三年度におきましては、事項の(2)にございますが、国民年金基礎調査といたしまして、九百九十二万二千円計上いたしてございますが、これは醵出年金負担能力調査しようという趣旨のものでございます。  それから、番号の2の保健所の費用でございますが、これは、対前年度で三千五百七万三千円の増になっておるのでございますが、補助率は、従来通り三分の一でございまして、これは、人件費におきまして、期末手当通勤手当等が新たに含まれましたので、それによる増が入っておるのでございます。保健所整備費といたしましては、新設五カ所予定されております。  それから、次をめくっていただきまして、医師充足対策費といたしまして、保健所医師の充足のために、大学並びにインターンのあるものに対して貸与の制度を設けておりますが、それの新年度における増を見込んでおります。  それから、3の結核対策でございますが、これは、まず第一の健康診断及び予防接種費といたしまして、四千五百三十三万三千円増となっております。これは、新たに、一般国民に対する健康診断におきまして、ツベルクリン反応と同時に、間接撮影をやるという事項並びに精密検査におきまして培養検査をやる、それからフィルムの使用について、新しい穴なしフィルムを使用するというような、健康診断の中身を充実いたしまして、その徹底を期そうという趣旨のものでございます。それとなお、検診班として百九十八班、これが約二千百万円ほどでございますが、これは、レントゲン自動車を使って、検診に行く要員について新たに補充しようという趣旨のものでございます。  それから、医療費におきましては、対前年度比で、三億八千四百七十六万六千円増加いたしておりますが、これは、対象人員がふえておりますと同時に、化学療法の期間を、従来四カ月で計算いたしておりましたが、平均五カ月で計算しておるということと、エッキス線検査塗抹培養等検査の部門におきまして新たな事項補助対象に加えた。かような要素を含んでおる次第でございます。  それから、六番の療養所運営費におきまして、対前年度比六億三千七十五万二千円増となっておりますが、これは、国立の百八十一カ所の療養所につきまして、人件費の増のほか、食費を、従来九十六円十銭でございましたものを、百二円に引き上げております。それから研究費医師研究費を、従来の六千四百十円を一万二千円に引き上げている。かような要素が入っておる次第でございます。  それから、次のページを開いていただきまして、四番の項目らい対策でございますが、これは、対前年度比五千七百二十万円の増と相なっております。  この主要なものは、運営費の増でございまして、食費が、従来患者食費九十六円十銭を百二十円に引き上げております。その他、患者の慰安施設といたしまして、シネマスコープの装置を二カ年計画で完備する。糞尿の処理をはかるというような事項が入っておる次第でございます。それから、その他という事項の中に、らい予防事業委託費といたしまして、二百十九万七千円組んでございますが、この中には、らい患者出所者に対する生業資金貸付四十万円を新たに含んでおります。  伝染病予防費につきましては、節減部分以外には、従来前年度と大きな変りはございません。  それから、次のページをめくっていただきまして、六番の精神衛生対策費におきましては、病床整備が、三十三年度は公立で二千百五十床、法人立五百床と相なっております。それから、三番目の措置入院補助金が五千百三十五万六千円の増となっておりますが、これは、対象人員を前年度より増を見込んでおります。  それから、七番の性病予防費は、三十三年度は六千五百二十九万円を計上いたしてございますが、特に健康診断重点を置くという構想でございまして、強制健康診断につきましては、それぞれ大幅に対象人員の増を見込みまして、計上いたしておる次第でございます。  それから、八番の原爆対策につきましては、対前年度に若干の減が立っておりますが、これは、対象人員は前年度と同じように見込みまして、ただ、健康診断費単価におきまして若干減になっている結果でございます。  それから、九番の家族計画普及費につきましては、対前年度とほとんど変っておりません。八ページを開いていただきまして、(1)の受胎調節実地指導員費におきましては、助産婦さんの手当月一千円、二千七百六十三人分、従来通りでございます。それから、その事項で、(4)の項目の、家族計画相談事業用器材整備費補助が落ちておりますが、これは、前年度で一応完了ということに相なっておりまして、かように減になっている次第でございます。  十番の環境衛生対策費総額で十七億五千三百六十六万三千円でございますが、その上にございますカッコの数字、総額で七千三百七十五万円、これは離島関係分でございまして、ワク外で経済企画庁に組んであるものでございます。実行上は、厚生省に移しかえて使うということになるようなわけでございます。簡易水道は、十億二千六百二十五万円で、前年度に比し、五千百二十五万円の増となっております。それから、二番の東京湾大阪湾し尿海洋投棄禁止対策といたしましては、前年度に比し、若干減になっております。これは、五%の節減分でございます。それから、次のページを開いていただきまして、一般清掃施設は、前年度に比し千五百万円の増になっておりまして、四番の首都圏施設整備費、これは、前年度予算におきましては、東京湾大阪湾し尿海洋投棄禁止対策として一本になっておりましたが、それを二つに分けまして首都圏関係分をここに計上してある次第でございます。五番の下水道終末処理施設整備費におきましては、これは、カッコの中の一千万円は、北海道開発庁に計上してある分でございます。それから、六番の蚊とハエ駆除運動費につきましては、前年度に比し八百六万五千円の減になっておりますが、これは、単価原材料費だけにしたということ、その他個所の若干の減でございます。  それから、十一番に参りまして医療機関整備費でございますが、これは、国立病院整備費といたしまして、十二億一千二百一万八千円組んでございまして対前年度比六千二百九十一万四千円の減になっております。カッコの中に三億円というのがございますが、これは、債務負担行為でございます。公的医療機関整備につきましては、七千三百八十一万円でございまして、前年度に比し二千八百八十一万円の増となっております。僻地診療所運営費が増となっておりますが、これは、前年度ふえたもの並びに新規の三カ月分でございまして、大体一カ所二十万円でございます。  それから、十二ページを開いていただきますと、ここで十二、十三は、前年度節減によりまして若干減っておりまして、十四の項目輸出振興対策におきまして、カッコで示してございますのは、通産省計上でございまして、新たにこの二番目の独創的医薬品輸出開拓費として、五百万円が計上された次第でございます。  それから、十五番の小児麻痺ワクチンは、これは新規事項でございまして、いわゆるポリオのワクチンを日本においても製造しようというので、新規施設を、これは予防衛生研究所がありますが、措置費といたしまして、本年度といたしまして、試験的に二十二・五リットル分を製造しよう、こういう趣旨のものでございます。  それから、十六の国立病院特別会計への繰り入れにおきまして、前年度に比しまして、一億五千四十六万三千円の減となっておりますが、これは、十月以降医療費の引き上げを見込みまして、それに伴って収入が増になるという関連におきまして繰り入れが減っておる次第でございます。  十七番の生活保護費総額といたしまして、三百八十二億二千三百六万九千円と相なっております。その一番の生活保護補助金が、前年度に比しまして、十五億一千七百三十二万四千円の増となっておりますが、これは、大体この保護人員増加に伴いまして、五億四千二百万円の増となっております。それから、医療費改訂分の半年分を見込みまして、この分で七億六千三百万円の増と相なっております。それから、施設事務費の分で、増が約一億二千七百万円でございまして、それから児童諸費、これは、六才未満の児童に対しますいわゆるおやつ代と称するものでございまして、月五十円を百円に上げまして、この分が九千五百万円、今申し上げましたものが大体生活保護費で、増になっておりまする主要なものでございます。それから、そのうちで、特に生活扶助人員の見積りにつきましては、先ほど大臣から、三・六%と申し上げましたが、そのうち約一%は人口の自然増の分でございまして、二・六%は経済界の情勢に応じた対象人員の増、かような計算をいたしております。  それから、次のページを開いていただきまして、十八番の低所得階層対策で、世帯更生資金貸付金、医療費貸付金、次に貸付事務費補助三千二百万円が計上されておりますが、これは、新規事項でございまして、積算の基礎は、民生委員十二万五千人につきまして、五百円という積算の基礎でございます。  それから、二十番の身体障害者保護におきまして、四億六百五十一万一千円が計上してございますが、これは、各個につきまして援護率を従来の七五%から八〇%に引き上げている関係が主要な事項でございます。それから、戦傷病者分につきましては、相当大幅に減となっておりますが、これは、対象人員が毎年減っておりますので、その関係でございます。それから、三番の更生援護施設事務費補助、これが前年度に比しまして、二千二百二十一万七千円の増となっておりますのは、このうち新規社会福祉法人分五百四十六万三千円が計上されておりますが、これは、社会福祉法人の経営いたしておりまする更生援護施設にも新たに措置費を出そうということでございまして、既存の九カ所分を計上いたしている次第でございます。それから、五番の施設整備補助の中に、新たに盲人ホーム、これは試験的に四カ所、盲人の職業活動のための事務所といったものを整備していこうという趣旨のものでございます。  次のページを開いていただきまして、婦人保護費が、前年度に比しまして、六千八百六十八万七千円の減と相なっておりますが、この減の大きなものは、一番の婦人相談所の設置で、前年度三十八カ所の相談所を設置して、各県に一つずつ置くという経費が七千七百九十万と大幅に減になっていることと、四番の保護施設の設置費が前年度三十九カ所設置されまして合計いたしまして五十四カ所の施設整備が終りましたので、三十三年度においては、設置の箇所数が減っているという関係が主でございます。そうして七番の婦人相談事業費補助金の中で、新たに更生資金貸付、被服費等の支給、かような項目を起しまして 一応更生資金の貸し付けにつきましては二千人を予定し、被服の支給については二千人を予定いたしております。  それから、次のページの、二十三番の社会福祉施設で、三番の地方改善施設につきましては、前年度に比し、一千十五万円の増になっておりますが、これは、隣保館、協同浴場を前年度より箇所数をふやしている次第でございます。  二十四の児童保護費の中で、一番の措置費補助、これは、六十五億九千六百三十二万七千円、前年度に比し、四億一千六十五万三千円の増と相なっておりますが、これには保育所運営費が含まれているのでございまして、保育所の関係分といたしまして、頭の六十五億九千六百万円のうち、二十五億三千二百七十五万三千円が保育所の分でございますが、その中には、〇・五カ月分の期末手当六千五百万円、それから幼児の給食費を、従来の七円十銭から八円十銭に引き上げることと、乳児の給食費二十四円三十銭を三十円に引き上げる、かような措置に要します六千二百万円の分を含んでいる次第でございます。保育所以外の経費につきましても、期末手当並びに教育費単価の値上げという内容を含んでおります。それから、次のページを開いていただきまして、八番に、児童福祉施設整備費補助四億二百万円と計上されておりますが、この中の保育所の新設分が、前年通り一億二千万円と相なっております。  それから、二十五番の母子保健対策のうちで、二番の未熟児養育指導費として二千五百七十八万九千円が新たに計上してございますが、これは、未熟児、いわゆる生れたときに目方の非常に少い未熟児につきまして、その軽い者は、訪問指導をしてそうして保育費等を貸していく、重い者については、入院さして、その医療費を見ようという趣旨のものでございまして、備考にございますような人員が対象人員として積算されておる次第でございます。それから、三番の母子健康センター設置八千万円、これも新規事項でございます。  それから、二十六番の母子福祉貸付金が五千万円減に相なっておりまするが、これは、本年度の実績に徴し、かつまた地方の資金量、それから償還されます資金がまた原資として利用される等の関係から、減と相なっております。次の償還促進事務費補助、これは新規事項でございまして、千六百万円を県の事務費として交付しようという趣旨のものでございます。  それから、次のページ、二十ページになりまして、社会保険国庫負担金でございます。これは、総額といたしまして、六十一億七千六百八十七万一千円で、前年度に比し十二億九千五百九十五万一千円の減と相なっておりますが、その主要な項目は、一番の健康保険給付費財源繰入、前年度三十億が十億と相なっておるということでございます。それから、その次の日雇健康保険給付金財源繰入というのがございます。対前年度比五億二千八百七十三万六千円に相なっておりまするが、医療給付費分のほかに、傷病手当金三分の一負担額、この金額は、七千五百十万七千円と相なっております。これは、十月以降五カ月分の計算でございます。  それから、次のページの二十八、健康保険組合等補助におきまして、事務費補助対象人員の伸びで、四千三百九十六万円の増、新たに給付費の臨時補助金として二億円が計上されております。  国民健康保険助成費といたしまして、百五十六億五千八百五十七万九千円計上いたしまして前年度に比し三十四億七千三百二十二万四千円の増加になっておりますが、一番の保険補助金、これは、被保険者数予算上三千六百万人となっておりまして、前年度予算に比し、百万人の増という形に相なっておる次第でございます。   〔理事山下義信君退席、委員長着席〕  先ほど大臣申し上げましたように、三十三年度の末におきましては、約三千八百万人が予定されております。それで、三十二年度の末におきまして、今日の見込みでは、三千四百万人の見込みでございまして、三十二年度予算に計上されておりますような形で、年平均して三千五百万人というふうに、伸びなかったということからいたしまして、明年度は四百万人の増と見込まれた次第でございます。三十三年度におきまして、予定通り四百万人伸びるといたしますと、あと国民保険対象人員としては、約一千万人が残るという形になりまして、これを三十四年、三十五年度において吸収していくという形に相なろうという計画でございます。事務費は先ほど大臣から申し上げました通り、八十五円が九十円として計上されておる次第でございます。それから、次のページ、二十二ぺージをあけていただきまして、療養給付費補助金、これは、従来通り二割の補助の分でございますが、財政調整交付金として五%相当分、これは、十月以降という、半年分の見込みの金額でございます。  それから、その次のページの三十一番、留守家族等援護費におきましては、これは大幅に減となっておりますが、死亡処理の進捗に伴います減でございます。なお、この留守家族等援護費の中に、先ほど大臣から申し上げました、恩給法改正による分が含まれているわけでございます。  それから、三十二番の戦傷病者戦没者遺族等援護費の、遺族年金及び障害年金という中にも、恩給法改正に伴います引き上げ関係の分が含まれておる次第でございます。  国立公園等の整備におきましては、直轄関係で整備費が七千万円、それから補助関係で六千万円と相なっておる次第でございます。  以上が大体主要な項目でございまして、その他の経費といたしましては、厚生省の研究機関の費用といったようなものが含んでおる次第でございます。それで厚生省所管合計といたしまして、対前年度五十八億一千七百九十九万二千円の増となっておりますが、さきに申し上げましたような、簡易水道施設費その他がさらに他の省に計上されておる次第でございます。  次に、特別会計に参りまして、健康勘定保険料収入でございますが、被保険者数は、前年度予算で五百九十四万五千人を、三十三年度予算では六百九十万四千人と見込んでおります。これは、実績によりまして、相当な増を見込んでおる次第でございます。  それから、次のページを開いていただきまして、一般会計から受け入れは、先ほど申し上げました十億円と相なって、二十億の減と相なっております。  それから、五番の保険給付金といたしまして、六百五十九億一千九百六十二万二千円計上されておるのでございます。対前年度に比し、七十一億五千九百十三万二千円の増と相なっておりますが、医療費の引き上げによる保険経済の負担分といたしまして五ヵ月分、これは十月から実施いたしまして、三十三年度分として五カ月分計上しておるわけでございますが、この分が十八億五千七百九十九万四千円含んでおる次第でございます。  かような収支でございまして、九番の予備費におきまして、四十一億二千八百三十二万一千円が計上されておる次第でございます。  それから、次のぺージ日雇健康勘定でございますが、これは、保険料収入が、前年度に比し、二億九千三百六万二千円増に相なっておりますが、傷病手当金の実施並びに医療費の増に見合いまして、国庫負担増加しますとともに、保険料を引き上げる計画が含まれておりまして、摘要にございますが、保険料、一級、事業主十一円、本人十一円、これは四百円以上の階層、四百円以上については一級とする。それから、二級は二百八十円から四百円未満、三級は百六十円以上二百八十円未満、四級は百六十円未満、かような四階層に分けました。従来は二階層だけでございますが、四階層に分けまして、保険料も若干引き上げたい、かような考え方が入っておる次第でございます。これが日雇健康勘定の分でございます。それから、医療費の関係は、これも五カ月分が計上されております。十月から二月までの分でございます。  それから、次のページをめくっていただきまして年金勘定におきましては、保険料収入が四百三十八億五千六百九十四万六千円、かようなことに相なっておりますが、これは、被保険者の自然の増による分が大きい要素となっております。それで、年金勘定におきましては、収入支出の差額が積立金になるわけでございますが、御参考までに申し上げますと、積立金総額は、三十二年度末には二千三百二十億九千八百円、かような見込みでございまして、三十三年度末といたしましては、それにさらに四百八十五億九千百万円が積立金に回る予定でございます。それから、次のページ年金勘定でございますので、便宜省略させていただきます。  それからその次の三十四ページ、これは、厚生年金保険業務勘定でございまして若干の増を見ておるということで、これも省略させていただきます。  それから、三十七ぺージに参りまして、「船員保険特別会計予算要求額調」でございますが、これも、被保険者の若干の増、標準報酬の増等によりまして、保険料収入がふえておる次第でございます。  それから三十八ページ一般会計よりの受入金は、三億五千二百十九万円でございまして、それぞれの部門につきまして、法律に規定してある受入金のほかに、疾病給付部門につきましては、前年通り一億の受け入れをいたしておる次第でございます。船員保険には特別な事項はございません。  四十ページへ参りまして、国立病院特別会計予算要求でございますが、これは、先に申しましたように、十月以降半年分の医療費引き上げによる収入増を見込みまして、料金収入がふえておる次第でございます。それに伴いまして、一般会計からの繰り入れが若干減と相なっております。そうして四十一ページへ参りますと、国立病院特別会計歳出の諸項目説明がございますが、九番の国立病院の経営に必要な経費が、前年度に比し三億九千五百七十三万五千円ふえておりますが、これも、患者食費を九十四円十銭を百三円に引き上げております。国立病院について、ほかに特記する事項はございません。  それから、次のあへん特別会計につきましては、歳入分におきまして、四十五トンを売却する。それから購入は、外国産の四十七トンと国内産の三トンで、五トンは繰り越しにしていきたい、かような計画でございます。  以上、きわめて簡単でございましたが、事項別につきまして、概略御説明をさせていただいた次第でございます。
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それでは、質疑を願います。
  8. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この質問に入るまでに、一、二事務的なやつを先に質問したいと思うのです。  特別会計の分ですけれども、厚生保険の標準報酬が、一万二千六百五十九円が、今年度一万三千百二十円になっておるんですが、ところが、あとの方へ行くと、厚生年金の標準報酬が減っておるんじゃないか。これはどういう勘定で違ってしまったか、そこのところを先に一つ。  それから、もう一つは、日雇健康保険の段階を四百円からどこで切ったか、それも一つ知らせて下さい。
  9. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) ただいま御質問の第一でございますが、健康保険保険料収入、これは、健康保険その他も、三十二年の十月までの実績を抑えまして、そうしてその実績によりまして計算したのでございまして、健康保険につきましては、若干増となっておりますが、年金の方は、御承知のように、標準報酬の取り方が違っておりまして、健康保険は最高が五万二千円、年金保険が一万八千円で押えておりまして、実績の取り方、時期は同じでございますが、計算の仕方も同じでございますが、それによって前年度予算と変っているはずでございます。  それから、日雇いの方をもう一度……。
  10. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 日雇いの段階をおっしゃいましたね。あれは四百円と……。
  11. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 四百円以上を一級といたしております。二百八十円以上を二級といたしております。百六十円以上を三級といたしております。それ以下が四級と、かようになっておるのでございます。
  12. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 はい、わかりました。  それでは、大臣にお尋ねしたいのですけれども、最近に出た厚生白書から見ますと、生活保護をしなければならぬ人、それと同じような人が千百十三万人おると、こういう白書が出ておる。一面、労働行政の面から見ると、労働者保護という建前で、要するに国の経済政策、予算を立てると、石田労相は、こういう工合に言っておるわけです。そうすると、厚生行政というのは、九千万国民生活をどう守っていくか。いつも与党や政府、大臣としても、社会保障の拡大強化ということをおっしゃるのですが、ほんとうに予算を見ると、どうも私は、昨年よりそれだけ貧困階層がふえている。予算としてはどうしても物足りない。  それからもう一つは、白書の結論は、これは常識的だと思うのです。国会論議一年の間からできた結論が、白書によっては結論として出てきたと思うのだが、要するに、国における政治の、要するに、国政として医療制度の確立という問題、年金制度の問題というのがやはり重要な結論としてやらなければ、貧富の差がはなはだしくなるばかりなんだという、だれが読んでもそういう結論になっていると思う。そうなると、私は、この国民健康保険の動きを見てみても、政府は、三十五年までに皆保険をやるというのだが、今、今度五分ふやされたそうですが、五分くらいでは、私はとてもやれないのではないかというのが一つ。  それからもう一つ、年金というのが、医療制度、年金制度というものが厚生白書の結論として出ているのに、一千万円くらいの調査費を取って、まあことし一年間をお茶を濁すということじゃどうなるのかと、私は、厚生大臣に相当期待をかけておる。だが、どうもその点がふに落ちない。だから、一般的な厚生大臣としての考え方ですね、一つおしなべて、どういうお考えに立っておられるのか、一つここでお聞かせ願いたいと思うのです、まず最初に。
  13. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) まあ、非常に厚生白書の貧乏の問題が問題になっておるのでありますが、実はことしの厚生白書は、特に貧乏問題を取り上げて、客観的にどう見るべきかという問題に主点を置きまして、そうして、そこにひそんでいる問題については、いろいろな立場からいろいろ考えていただけるようにという考え方であったわけでございます。実は、厚生白書だけで、すぐこれで結論を何事も出しておりませんので、たとえば、厚生白書のうちの三百七十四ページに、現在の保護人員の数が出ております。で、ごらん願いますと、実は三十二年の一月から七月までは、過去の数字と合せて書いてあるのですが、総人口に対する比率といたしましては、これはまあ、現実に確かな数字なんでありますが、この推移から見ますと、保護対象人員は減っておるのでございます。しかし、ただこの数字で減っておるということだけで、私どもは満足できない。と申しますのは、確かにこの数字には間違いないのでありますが、経済の調整過程において出てくる保護世帯対数及び人員対数は、むしろ今後に表われるのじゃなかろうか。これは、過去の実績が示しますので、私どもとしては、予算で今度、先ほど会計課長がお答えいたしましたように、三・六%の増を見込んでおります。そのうちの一%は人員の増である。二・六%はこの経済の調整過程におそらく今後出てくるだろうということが過去の実績から推意される。で、厚生白書から見ると、実はそういうふうなことも考え——これは実は、数字だけ見れば今のところいいのだという、これは十一月まではあまりふえておりません。十一月までは最近統計ができておりますが、ふえておりません。ただこれは、問題点としてそれを出しております。  それから、よく言われます賃金所得の、今御指摘になりました保護世帯を合せまして、いわゆる低所得階層というものを三十九ページにあげておるのでありますが、これが御承知の通りに、生活保護世帯も合して二百四十六万世帯、千百十三万人、総人口の一二%がまず低所得階層として見られるということも確かにあげておりまして、これがだいぶ問題になっておるのでありますが、総人口に対する一二・四%というものは、率直に言えばほかの例にも、ほかの国にもとり得るパーセントであります。しかし、その世帯の消費水準そのものの内容から見ますと、非常に問題になってくる。これは、全体の経済の基盤の非常に大きいところは、所得を分配いたします場合に相当できる問題がありますが、日本の現状の経済の実態では、非常に低いということが私は言い得るのじゃなかろうか。  それから、今例におあげになりました格差の問題は、これもここに問題を提供をいたしておりますが、これは、問題のとり方によっていろいろあると思いますが、二十七年以来格差がややふえたという問題は、二十七年までは、これはまあ藤田さんよく御承知の通りに、生活給というもの本位であったということが非常に強く日本の所得に出ておりました。自後ある程度の、その点について、資本から生ずるところの所得というものも幾分ふえて参りました。これは、その格差を大きくする一つの原因であることは事実であります。しかし、戦前に比較すれば、比較にならないほどの程度であります。もう一つは、国民の賃金所得の間にも非常に格差が生じてきているという問題も私は一つだと考えます。しかし、いずれにいたしましても、まあこまかく言えばいろいろ議論の余地はございますと思いますが、結論的に、藤田さんが、要するに、国民保険推進と年金制度によって、初めて社会保障は、何と申しますか、相当推進するんだとおっしゃる点は、もう全く私もそうだと思います。  国民保険推進につきましては、私、半歳の仕事ではございましたが、ともかくも二つの非常に支障になっている分に予算的処置としては講じ得られたのではなかろうか。それは、今御指摘のように、医療費を医療給付費に対して二割から二割五分にした、事務費が九十円になった、あるいは、診療報酬について、八・五%を半年分としても、ともかくも予算増額を見込み得た、二十六年以来据え置きの分が少くともできた、というふうな点は、国民保険推進する従来の支障になっておりますものについての予算的処置としては、相当講じられたんじゃないか。これがなしに皆保険ということを言っても、地方財政との調整ということもできていない、あるいは、診療報酬合理化というものについてもできていないというふうでは、実際国民保険ということを言っても進み得ないんではなかろうか。進み得ないと言いましても、実は、三十二年度は四百万人ふえる見込みでございまして、これは従来の実績から見れば相当ふえております。しかし、今後支障を予想される大きな問題だと思うんで、今回予算的処置を講じたのでありますが、二割五分ではどうも不十分じゃないか。これは国民健康保険組合等は三割を要求していることも事実でございますが、現状は、実際は二割を平均してもやれないという状況でありまして、実際二割というものがベースになって参りますれば、従来地方財政の点から見て進みにくい点は、私は、相当緩和されるのでなかろうかというふうに考えております。事務費もやや実費に近くなって参りましたので、この点も緩和するんでなかろうか。  それから、国民年金制度につきましては、社会党の方ではいろいろな案をお示し願っているのでありますが、この問題のむずかしさというものを知っておられるだけに、その準備として不足じゃないかというお話も起ることももっともだと思いますが、本年度は、ただ基礎的の調査というものは割合に進んでおるのであります。今後は、いろいろな案を考えまして、その案に応じての検討をすべき段階になっておるというふうに考えておりますんで、むろん、三十二年度よりは実質的に年金制度について準備を進めたい。かたがた、厚生省の中にすでに年金問題について相当準備をいたしておるものがあるわけでございますから、それらと合せまして、ことしは大いにこの問題の解決に努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、堀木厚生大臣は岸内閣の一員であるわけで、厚生行政を担当しておられる重要な役割の位置におられる方。で、問題は、私は、その千百十三万というのは、岸さんがいわゆる貧乏追放、要するに、貧乏の内輪に入るのか入らんのかということが聞きたいんです。あれだけ何をおいてもまず貧乏追放と言われている岸内閣の中で、これだけの数字が出ているのに、この数字は貧乏追放の貧乏に入るのか入らんのか、私は、やはり、その問題を少しお話を願いたいと思う。昨年も九百七十二万人、生活保護に百五十万人の対象、まあ実績がずっと減っているというけれども、その基準を上げなければ、基準をしぼっておけば、そのワクの中で実績でやるなら、どんな数字でも出て参りましょう。しかし、問題は、貧乏を追放するという基本問題、これは今の政府の基本問題だ。基本問題からいって、これだけの数字が出てきているのに、これは貧乏の内輪に入るのか入らないのか、この点はどうなんですか。
  15. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 貧乏の中に入ると私どもは考えております。ただ、貧乏の中に入ると思いますから、去年からその標準は上げておるのです。実際、三十二年度予算から。だから、標準を落して考えておるのではございません。それから、まああまり厚生白書にとらわれますのはどうかと思いますが、少くともこれらについて御承知の通り、三十二年度予算から、低額所得者として医療関係、教育関係その他について施策が行われ始めたわけでございます。ですから、決してこれらをなおざりにいたしているつもりはないわけでございます。
  16. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生大臣自身は非常に熱意をお持ちのようですけれども、具体的に現われてきている数字というものは、私は、国民に訴えられている問題とはかけ離れているとしか考えられない。私は、まだたくさん問題がありますけれども、これはまああとに譲りますけれども、根本的な問題として、労働大臣が勤労国民のほこの上に立って経済政策を作ると言われた。ところが、労働省の予算を見てみても、口では百万以上の失業者が出ると、こういうことを言いながら、一万五千人くらいしか失業対策費を組んでいない、今度の予算は、今度、厚生行政の面になってくると、貧富の差がはなはだしくなってきて三%余りのワクを広げたと、こうおっしゃる。ところが、一つの頭からそういう原資のワクをこしらえてその中にどの標準を合わそうという形以外にないのであって、私は、抜本的に貧困生活をなくしていこうという政策の大本にのっとった予算じゃないと思うんです。これは、だれが考えられても私はそうじゃないかと思う。片方でそういうことを言い、実際的には、要するに、国民生活を守る施策というものが施策の上に現われてこないというのは、どういうところにポイントを置いておるか。だから貧乏のうちに入るか入らんのかというような質問をせざるを得んようになってくるのですね。そこらあたりを厚生大臣としては、こういうことをもっと明確に——これは予算を出されているのだから、これ以上のことについての問題もおっしゃるかもわかりませんが、この白書がこう出てきて国民生活実態というものも大臣もよく御存じだし、私らもよく実態に触れている。ところが、こういう問題が内閣の中で置き去りにされているのは、岸内閣の根本的な面がそういうところに手を差し伸べないということなのか、宣伝だけなのか、厚生大臣から見られたところを一つお聞かせ願いたい。
  17. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) まあ率直に申して、藤田さん、今度の予算を通じて、ともかくある程度の、あなたからごらん願えば、あなたの立場から見れば、むろん満足でないであろうということも、私十分推測できます。また私自身が厚生関係の仕事を担当しておって自分の意図しているところが全部できているとは思いません。しかし少くともあなたのおっしゃった方向に私どもとしては努力しておるという実績が何もないことはない、事実あるということだけは申し上げます。ただ、われわれ自身が新しい視野から見て全体からどう考えるか、今年度私ども自身が意図している分につきましても、やはり国際収支の関係がうまくいかないという点は、貧乏追放の面から見ましてもやはり解決しなければならぬ根底的な問題の一つであるというふうに考える状態に当面いたしまして、できるだけの努力はいたします。しかしその点から見まして、私どもとしては決して現状に満足しておるつもりはございません。特におあげになった低所得者階層に対する社会的な諸施策というものは、これは新しく三十二年度から取り上げられて予算化して参りましたものでございますが、われわれもこの問題についても、さらに一そう今後対策を進めて参りたいということには変りはないわけでございます。
  18. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今、国際収支の問題が出ましたから、少し私の考え方を申し上げてみたいと思うのです。問題は厚生行政、要するに国民生活を守る行政というものは、私は労働行政とやはり非常に密接な関係に相通じていると思うのです。そういう立場から私は両方がそれを考慮しながらこの問題をやっていかなければ私はできない問題だ、こう思うわけです。そうなると、昨年は産業の投資が非常に繰り延べになるような状態で外貨の不足という問題が出て参りました。まあこの批判は別といたしましてそれでは一面資本力のある、財源力のある大企業、独占企業はどうかというと、どんどんオートメーション化をしている。そこから失業者がどんどんほうり出されている。その影響は、中小企業が圧迫されて次から次へと倒れている。だから、私は失業者が三十三年の初めになったら百万も出るのだということを言わざるを得ないと思います。そういう関係にあるわけです。それではオートメーション化したところはどうかというと、労働者保護の立場からいったら、今日の工業国と言われているところには週四十時間労働というものがしかれている。こちらは四十八時間で食えないから居残り勤務をして生活しなければならぬというところまで追い込まれている。こういうのが私は労働行政の関係だと思うけれども現状だと思うのです。そういうところには手を講じないで、そのオートメーション、まあ科学や機械の進歩による生産増強という問題は出てくるけれども、あわせてそれはやはり生産増強は国民の購買力、国民の福祉に帰ってくるという施策が根本に出てこなければ——私は今日民主政治、福祉国家を世界中の国が目標にしているといっていいと思う。そういう流れとは食い違っておる。そういうことを国内でおやりになっている。この厚生行成の面に参りましても、私たちは貧困生活者を置き去りにされているという以外に何ものも考えられない。ことしは貧乏追放をあまり言われないそうでございますけれども、しかしあれだけ宣伝しておいて、それでことしになってからそれはあまり言わぬということだそうですが、私は言う言わぬの問題じゃない、これは今日どうしてもやらなければならぬ。貧困者の生活を守っていく、国民生活を守っていくというのは政治の基本だと私は思っている。そうなってくると、その関係においてもっともっとこの内閣の基本方針というものをそこに持ってきてもらわなければ——厚生大臣はもっと意欲があると言われましたけれども、閣内において食い足りないということをお漏らしになりました、私はその問題もあるでしょうけれども、厚生大臣の立場としてはあらゆるものをおいてもそこに持っていこうという努力があってしかるべきじゃないかと私は思うのです。これは意見ですから御意見があったら承わりたいと思う。  それから、問題は厚生年金ですが、けさの新聞を見ますと、何か段階をつけて二百円出して、三十五年満期で、三十才から五十九才までかけて、六十五才から千円刻みで渡していくというような年金制度が出たようです。どうもあの内容を議論するわけじゃございませんが、あれはどこから出たかということも私はよくわかりません、しかしことしの予算で一千万円くらいしか取らずに、そうして実際に内閣の言われることと、やっておられることとが全然違うのじゃないかと私は思うのです。だから、そこあたりはいつの時期に厚生年金の結論を出してどんな案か知らぬけれどもいつ具体化しようとしておられるのか、そこのところを私は聞きたい。
  19. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 前段の、私の主として政治の重点を執行すべき心がけについては全く同感であります。私は絶えずその点について努力をいたしたいと思います。  第二の国民年金の問題も、けさほどの新聞に出ておりますのは、だんだん一つの具体的な案になって検討を進めるという段階に入ったということの証明にはなります。しかしまだ実は、昨日私が見まして、数案を事務当局に示唆してその試算をさせるように命じたところでございます。しかし私どもとしては一日も早くこの国民年金制度を全国民に執行したいものであるというふうな考え方は決して後退しておるわけじゃございませんで、できるだけ準備段階を急ぎまして、そうして実施を一日も早くしたいという考え方であります。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はほかの人の概念的な御質問もあるようですから、私はこれで……あらためて午後もあしたもありますから、質問したいと思いますけれども、ただもう一つだけ聞いておきたいのですけれども、重要施策として三十三年度予算の構想を持って内閣の中で今度の予算を立てるように努力をされたようですけれども、最初の厚生省が立てられた予算とこれだけ食い違ってきて、厚生大臣としては今説明は非常にすらすらとおやりになったけれども、これはどうなんですか、実際にこれでもう完璧だとおっしゃらないにしても、どうなんですか、これはやれるというかやるというか、これだけ変ってきても、気持はどうなんですかね、厚生大臣として……。
  21. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 三十三年度予算に当りまして最初の私どもの構想、私自身としてやりたいと思いましたことは、今地方財政との調整及び医療費の引き上げ及び大きな問題としては結核対策推進という問題があげ得ると思います。あと無医地区の解消につきましてはやり方によっては金額的にいろいろ考えられますが、全体的にはそう大きな金ではない、大きな金になりますのは以上申し上げました三つだと思います。で、前の二つにつきましては、率直に申し上げますが、三十三年度予算財政上の問題に制約されまして、半カ年分しか予算は計上できませんでした。年度当初からいたしたいと思っておりましたのは、不幸にしてその点で何と申しますか削減の運命になった。それから結核対策につきましては、もっと根本的な問題を解決いたしたいという考え方であったのでありますが、しかし、ともかくも全体予算の構成からいろいろ御批判はありましょうが、あの上から見ますと、とうてい私どもが基本的に考えておりますような大改革をするという問題につきましては、相当何と申しましょうか、難航に逢着をしたということは事実でありますが、しかし先ほど御説明申し上げましたように、予防面におきましても、治療面におきましても、従来よりはよほど私は実効をおさめ得る進んだ状態に置くことができたというふうに——約十億の増額によりまして、できる状態になった。むろん基本的な方策をまだ私としては捨てているわけではございません。全体として今後も努力をいたしたいとは思いますが、しかし結核対策に対しましてもある程度の前進は見たということも考えておるわけであります。予算総額といたしましても、一応昨年度に比しまして相当額を増加いたしております。すでに厚生省予算総額としては千七十二億をこしておるというふうな状況であり、六十億に近いものが新しく計上されておる、そしてこれが平年度化いたしますれば相当の金額になることは御想像願える点であります。で、考えております状態について、必ずしも全体としてむろん満足できる状態ではございませんが、考えておりました基本的な方策についての何と申しますか、レールだけは敷けた、基礎的な条件の問題についての解決を将来きめ得る状態なんだということは私言い得るのではなかろうかと、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  22. 山下義信

    山下義信君 きょう初めて詳しい予算説明をいただいたのですから、よく見せていただきまして、あらためてまたいろいろお尋ねいたしますが、その前に二つだけ伺っておきたいと思う点があります。おそらく厚生省予算につきましては、厚生予算のまあ大部分ですが、社会保障の問題につきましては、おそらく本国会の焦点で、堀木さんは忙しいことだろうと思います。あるいは厚生大臣の御答弁のいかんによりましては、それが解散のきっかけになるかもわからぬと私は思うのです。今のようにレールが敷けたなんというようなことをおっしゃると容易ならぬことである。あなたは鉄道マンですから、しばしばレールが敷けたと、こうおっしゃる、もしそのレールが曲っていたら大へんなんですから、ですからまあ、この国会の花形です、厚生大臣は、と私は思っております。  二つほど、お尋ねいたしたい点は、一つはさしあたってのことですが、八・五%の社会保険医療費の値上げをする、十月からその値上げをするのだと、こういうことですね。予算のどこを見ましたらその医療費の値上げ分が計上されてあるかということを一つ御説明願いたい。それで八・五%の値上げをすれば十月以降幾ばくの医療費増額するのか。それが、政府の負担分として予算の上に出てくべき金額がどこに幾ら計上してあるかということを御説明願いたい。それで、あとの足りない分はどこから出すつもりか。被保険者から幾ら取るつもりか、どうするつもりかということを、きょうは予算書の説明ですから、予算書の中でどこに幾ら計上してあります、どこに幾ら計上してあります、合計八・五%の医療費の引き上げに要する経費はこういうふうに計上してありますということを一つ御説明願いたいと、こう思うのです。  ついでに私のお尋ねしたいことを申しておきましょう。いま一つは、はっきりしていただきたいと思う。それは診療報酬合理化については、すでに厚生大臣は正規の機関によって正規の諮問を出されてそうしてその答申が出されてあることは周知の事実です。しかるに先般新聞の報道するところによりますと、何か十五人委員会というようなものを作られて、そうしてあらためてそこで検討を加えることにするとかしないとか。厚生大臣は、そういう委員会なんというものは一向聞いたこともないし、おれの関知することではないなんというようなお話も出ているとかいうことでありますが、その取扱いはどうされるつもりでありますか。茶話しでもなさるというような程度のことならば、どういう懇談会をお打ちになってもそれはけっこうでありますが、どういうふうにされるつもりであるか。既定の方針でお進みになるお考えであるかということも私は明確にしていただきたい、こう思うのです。さしあたって従来から当委員会が深い関心を持っておりました問題でありますから、一つは予算の上にどう計上されてあるか。一つは今の合理化についてどういうふうな始末をつけていくつもりであるか。従来の御方針通りでおいでになるか、どうされるかということを伺いたいと思うのです。
  23. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) ごもっともなお尋ねでございますが、第一段の八・五%は各種社会保険及び生活保護結核対策費等におのおの八・五%を織り込んで計上いたしましたが、こまかい各種保険につきましての金額については、政府委員から答弁さしていただきたいと思います。  それから診療報酬につきまして新聞が報道いたしております十五人委員会に関連しての御質問でございますが、むろん山下委員のおっしゃる通りに、診療報酬につきましては中央社会保険、医療協議会が法律上要求されておりますところの唯一の機関でございます。私どもは公式にはこれによって九月の初めから十二月の初めまで御審議を願いましたもので、中央社会保険医療協議会の意見の答申に基きまして本問題を決定すべき筋合いであることには聞違いございません。ただ、中央社会保険医療協議会自身が指摘いたしておりますように、こまかい八・五%を上げるということの内容の事務局案につきまして実施までに一段と完璧を期したいと思いまして、事務的にこれらの問題につきまして意見を徴することは私どもとして当然の責任だと考えておりますので、これらにつきまして各方面の御意見及び調査資料をちょうだいいたしまして、それらについて検討をいたすということはどういう場合でも当然すべきでなかろうかというふうに考えておるような次第でございます。
  24. 山下義信

    山下義信君 前段の予算のことは保険局長から具体的に承わることにいたしましょう。  後段の、いわゆる十五人委員会といいますか、そういうような一つの機関をお持ちになりまして、これからそこでいろいろと御検討になると、こういうお考えのようでありますが、大体どういうふうな組織といいますか、形でそういうものをお設けになるお考えでございますか。
  25. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 五人、五人、五人の十五人委員会ということがある新聞に出ておるのでありますが、要は今申し上げましたような点を検討して参りますのに一番いい方法を事務的に考えたいということでありまして、決して何と申しますか、中央医療協議会にかわるものだとか、あるいは現存ありますようないわゆるマル単の協議会だとか、そういう式のものではないと御承知おきを願いたいと思います。
  26. 山下義信

    山下義信君 いろいろ衆知をお集めになって世論に、耳を傾けられ、あるいはまた関係方面とさらによく御協議になりますことはきわめてけっこうなことでありまして、私ども何もそれが悪いとは思いません。しかし扱い方によりましては、正式な法律上の機関をお持ちになっておられるその公式の答申もあってさらに同様の問題をたとえ非公式とはおっしゃっても一つの機関を持ってそこでいろいろと論議をせられるということは厚生当局みずからが公式の機関を否定することになるのでありまして、私はその取扱い方によりましては、これはいわゆる中央社会保険医療協議会の存在といいますか、権威といいますか、それを厚生大臣みずからが無視することになるのでありましてよほどこれは慎重にお扱いにならなければいけないのではないかと思うのであります。その辺につきましてどういうふうな御配慮を持っておられますか。
  27. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 私の見解は山下委員の見解と全く同じであります。私どもは中央社会保険医療協議会自身の答申を無視するような別個の機関によって この問題を審議するということはございません。
  28. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 先ほどの質問、どなたか……。
  29. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 診療費引き上げに関連する予算をどこを見たらいいのかという御質問でございます。  二段に分れるのでございますが、政府が直接支払いに断っておりまするものと、そうでなく、他の保険者なり、あるいは公共団体なりが医療費の支払いに当る場合と二つございます。それで政府が直接その支払いに当っておりまするものは、保険の方で申しますると、政府管掌健康保険日雇労働者健康保険船員保険疾病部門、こういうことに相なるわけでございます。それらはそれぞれの特別会計歳出医療給付費の見積りの中に、政府管掌健康保険でございますると十八億百五千八百万円、それから日雇……。
  30. 山下義信

    山下義信君 ちょっと待って下さい。親切に説明していただきたい。予算資料も配付されてあるのですから、第何ぺージの第何項のどこの幾ばくの金額の中に含まれてあるということを説明していただきたい。
  31. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) それでは先ほどの事項別の資料で御説明いたしますと、国民健康保険関連をいたしましては、二十二ページでございますが、二十二ページの二番、三番、これは直接の医療費は各保険者が払います。従って、その医療費のふくらがりの予算措置は各保険者が取るわけでございますが、それに対して政府が援助いたします金が二番、三番の中に合計十八億八千四百万円入っているわけでございます。それから、その次は政府管掌の健康保険でございますが、二十七ページ特別会計健康勘定歳出保険給付費六百五十九億何がしというものの中に十八億五千八百万円、これは五カ月分として入っております。これでその引き上げ分につきまして支払うわけでございますが、これに対しまする、まあ、これ直接というわけではございませんが、政府管掌全体に対する国の財政援助といたしましては、その前の歳入のところに、二十六ページに、一般会計より受け入れ十億というのが関連をいたしておるわけでございます。これはもちろん直接の関連ではございません。  それから、組合の健康保険関連をいたしましては、これは各保険者がそれぞれ面接の支払いの予算は組むわけでございます。しかしそれに対する援助といたしまして、二十一ページ事項の28(2)二億円というものが計上されております。これは御存じのように全部の組合ではございませんで、その中で非常に収支の悪くなる組合に対する補助金でございます。  それから日雇労働者健康保険につきましては、三十ページに日雇健康保険特別会計歳出、5保険給付費四十八億二千一百何万円という歳出がございますが、この中に五カ月分一億四千三百万円の支払いの増が入っております。そうしてこれに対します援助といたしましては、歳入の日雇勘定の歳入の方、二十九ぺージ二番、一般会計より受け入れ十三億五千一百万円の中に含まっておるわけでございます。ただし、これは今の歳出の全体に対する二割五分という計算をいたしておりまするので、今申し上げました一億四千三百万円のものに対しては全部手当をしてある、こういうふうに考えてよろしいかと存じます。  それから船員保険でございますが、三十九ページ船員保険歳出六番、保険給付費四十三億、その右側の方に割り書きがしてございまして(1)疾病保険三十二億云々というのでございますが、その三十二億のうちに七千一百万円だけ、ふくらがり分が五カ月分が入っております。なお、この七千一百万円に対するものではございませんが、これの国庫補助の援助といたしましては、三十八ページ船員保険歳入の二番、一般会計より受け入れ三億五千二百万円のうち一億円が船員保険財政への配慮として計上されております。その摘要欄に、疾病給付部門については一億円ということが書いてございますのがそれでございます。  それから生活保護でございますが、生活保護は、御存じのように直接の支払いの予算は府県なり市なりの予算と相なるわけでございますが、その八割分が国庫の負担ということになりまするので、その経費が十三ページ事項17の(1)生活保護補助金三百七十八億の中に七億六千三百万円が入っております。  結核予防法の関係におきましては、これも生活保護法と同じような関係でございますが、二ページ結核対策事上項3の(2)医療費、この中に医療費補助金として八千万円が入っております。  それから精神衛生関係におきましては、六ページ事項精神衛生対策費(3)措置入院補助金六億八千四百万円のうちに二千万円ほど入っております。  それから留守家族援護法の関係は、二十三ページ事項31の(1)留守家族等援護費十一億四千三百万円のうち千六百方円ほど入っておるわけでございます。  大へんそれぞれの予算関連してばらばらになっておりまするのでまことに申しわけございませんでしたが、御説明を申し上げれば今の通りでございます。
  32. 山下義信

    山下義信君 今、御指摘になりました総額は幾らになりますか。政府の予算面の中に御計上になりました総額は幾らになりますか。
  33. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 四十三億二千四百万円程度になるかと思うのでございますが、ただいま申し上げました日雇い労働者の関係が非常に入り組んでおりますので、その関係で、あるいは今申しました数字がちょっと減ってくるかもしれません。もう一度計算をいたします。
  34. 山下義信

    山下義信君 数字をお尋ねしておるのでございますから即座にお等えをしていただかなくてもよろしゅうございますから、一応速記には残りましたけれども、これが印刷されまして配付されるのには時間がかかりますので、今御説明いただきました分は、至急に資料として、お手元にあるはずですから、あなたの方のお手元にあるのをお読み上げになったはずですから、またそうあるべきですからそのものを一つお刷り願って明日までに委員会に御配付を願いたい。それで、今の御説明の中にはだんだん、まだ伺わなければ不明瞭な点があります。一応数字のことでありますから、何もあげ足をとる必要はありませんから、十分御検討をしていただいてトータルを合うようにしていただいて、予算のことですから、予算総会でも問題になるかもしれない。ここで伺うのはいいおけいこになるかもわかりませんから、それを資料にしてちゃんと御配付を願いたい。  それで、いま一つ関連して伺いたいのは、おそらくこれは厚生省に対する御質問の、これから焦点になると思うのですが、しかし、ここでは委員会のことでありますから、私は一応伺っておかなければなりません。どういうわけで健康保険の三十億を十億に減らされてどういうわけでそれを黙ってお下りになりましたか、その御心境を一つ御披露を願いたいと思うのです。くどくとは申しません。天下あげて関係者が問題にしておる。どういうわけですらっとレールを伝わるようにお下りになりましたか、そのお下り工合を御披瀝を願いたい。これはですね、お下りになることはできないはずなんです。政府みずからが国会にお約束をしてこれは新聞にも書いております。これは政府の公約違反だと言っておる。わが党もこれは問題にします。政府が国会にくどいほどお約束になっている。当時の大蔵大臣は今の一萬円大蔵大臣です。そうしてかたくお約束になっている。何もその当時の成り行きで三十億が出たのではない。ただ単に赤字のことじゃない。これは健康保険制度のために、こういう国庫負担制度をしくのだ。意気軒高として御公約になった。その三十億が十億になって、どういうわけでそのままお下りになったか、その心境を率直にお述べになって下さい。どういう言いわけをなさるのですか。他のことをいかに、先ほど藤田委員に御答弁になり、どのように言葉巧みにお答えになりましても、私はこの二点をもってして近来にない厚生省の大黒星です。失礼でありますが、関係者は笑っております。三十億が十億に削られた……。医療費増額を要求したのとすりかえられたのか、どうされたのか。どんぶりでもらってきたのかどうか、どうなっているのか。あけてみたら、医療費は幾らか認めておると言われたかわりに、ばっさり三十億、結局差引二十億返納したような形になっている。このいきさつというものは、厚生省について関心を持ちますものがことごとくあぜんとして言うところを知らない。大黒星です。言いかえますと、失礼でありますけれども、わが国の社会保障制度の上の、非常に大きな今日までお互いが努力して、ようやくここまでこぎつけてきた三十億の負担というものを、一朝にしてなげうってしまったということは、わが国の日本の社会保障制度の、歴史の上に一大汚点を残した。どういう御心境か、これでいいというお考えか、どういうお考えでお下りになりましたか。私はそれ以上ここで申しません。まず御心境を御披瀝願いたい。これは国会としても、御答弁の次第では承服しがたいと私は思う。どういう御心境で三十億を十億に削られてそれでのうのうとしておいでになるか、御心境の御披瀝をお願いしたい。
  35. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 御質問の、三十億の一般会計から政府管掌健康保険繰り入れますのが、三十一年度三十億、三十二年度三十億が繰り入れられておったにもかかわらず、三十三年度におきまして十億になりましたことにつきましては、まことに私としては遺憾に存じております。と同時に、この問題は山下委員がお話しのように、何も赤字対策ではない、政府管掌健康保険の健全なる発達を促すために必要であるということを、過去において政府当局も説明しているわけでございます。ただ診療報酬の引き上げと引きかえにいたしましたわけではございませんので、御承知の通り、今申し上げましたように、国民健康保険、それから健康保険組合、それから日雇健康保険等につきまして、諸般の施策をいたしますという上から見まして、やむを得ずこの点につきましては譲歩せざるを得ない。一般財政全体の調整からやむを得ずせざるを得ない。実態的に見ますときには、実はこの問題につきまして減らされましたことはまことに遺憾でありますが、政府管掌健康保険組合自身の健全な発達についての、この三十億の問題と、十億の問題は、さらに今申し上げました他の社会保険の問題と総合的に合せまして、やむを得ざるものとして了承いたしましたような次第でございます。ただ、今後政府管掌健康保険組合自身の健全な発達に支障があるか、ないかという問題が実態的に残って参りますので、三十三年度としては、私どもとしては一応他の社会保険の解決をする関係から譲歩いたしたというふうにお考えを願いたいと思うのであります。
  36. 山下義信

    山下義信君 私は、言葉が過ぎないように注意しながらこれを発言しなくちゃなりませんが、やむを得ずして譲歩したと、他の保険補助増額さける関係上、などというようなことは、私は答弁にならぬと思います。他の保険は他の保険、独自の理由があって、国民健康保険国民健康保険として、日雇健康保険増額も、あるいは給付の新費目を創設し、あるいは国保を推進するしに必要な補助であって、そのものの補助が増したからといって政府管掌の健康保険にはプラスになるものじゃない。その保険、それぞれが独自の立場があるのでありまして、他の保険増額になったからといって、健康保険を削ってよろしいという理由は成り立たぬのであります。この健康保険国庫負担という問題は、国会があげまして、堀木厚生大臣は議員でありまするから御承知の通り、二十五年の社会保障制度審議会の創設以来関係者が何といいますか、ほとんど血をしぼるようにいたしましても、どうしても耳をかさない、この問題に振り向かない政府当局であった。それでここまでこぎつけた努力というものは容易なものじゃありません。国会で決議をいたしましたことは幾ばくありましょう。何回ありましたでしょうか。しかも前回の三十億の国庫負担の場合は、言うまでもなく被保険者の負担を増しまして、一部負担のあの戦い、難関を通りまして、そうしてこの三十億の国庫負担というものを見まして、実に歴史的なこれは三十億です。政府全体の一兆幾千億の予算から見ますと、あるいはわずかな金額であるかもしれません。しかし関係者にとりましては、社会保障の観点に立ちますこの三十億という国庫負担には、重大なる意義がある。当時の速記録をここに取り出すまでもありません。われわれは食い逃げをするのじゃないかということで念を押しましたが、そういうことはしないと、大蔵大臣も約束してある。政府全体が公約してある。しかるに被保険者の負担を増し、一部負担という悪制度を施行して、そうしてここで突如として医療費増額、他の保険補助のわずかばかりのその増額をしたということにかこつけて、健康保険を二十億を減額してもよろしいなどということを、のうのうとおっしゃるということは、私はとうてい許されないと思う。国会との公約について厚生大臣はどうお考えになるか、明らかな公約違反ではありませんか。
  37. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 今おっしゃいましたように、確かに政府管掌保険組合の三十億の問題は、その問題として削減さるべきものでないという点につきましては、おっしゃる通りだと思います。ただ、一定の予算のワク内におきまして私どもが問題を解決しなければならないために、そういうふうな状態になったことであって、私としては、その点はまことに申しわけない。過去のいかにしてこの三十億が獲得されておるかという点は、過去に皆さんの御努力及びそれに対する政府の答弁等も十分了承いたしております。できるだけこの問題の、三十億を削減するということにつきましては、私どもとしてこの運命にあわないことをできるだけ努力いたしましたわけでございますが、何しろ一定のワク内においてものを解決していこうという場合に、やむを得ざる状況に相なったというふうにお考えを願いたいと思う次第であります。
  38. 山下義信

    山下義信君 私は了承はできません。政府が公約を違反しておかれて、そうして言いわけにならぬ言いわけをされて、それで了承はできしません。善後措置はどうなされるおつもりですか。これに対する対策はどうなさるおつもりですか。仕方がありませんでした、そういうことで済みません。それに対する御対策があるはずです。三十億の負担を削られた、被保険者の負担を増しておいた、そういうことをしておいてどうするつもりですか。これは責任のある政治家が、やむを得ないことでありましたと言いわけにならぬことを言いわけにして、それで済むということは私はないと思う。どういう対策をお考えになっておりますか。
  39. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) むろん過去に、この三十億が入りました経過については、私ども十分承知しております。ことに今御指摘のように、被保険者の一部負担、あるいは保険料率の引き上げ等が行われておったことも事実でございます。ただ実態的に御承知の通り、三十一年度、三十二年度にわたりまして、相当の黒字が出ております。従いましてこれらの問題につきましては、私どもとして三十億が削減される以上、ある程度解決しなければならぬというふうに考えておるわけであります。三十三年度の決算及び三十三年度の見通し等を十分つけました上で、それらの問題についても善処したいという考え方でおるわけでございます。
  40. 山下義信

    山下義信君 私はもう少し伺わなければなりません。どういうふうな御善処のお考えがあるのですか、御方針をお示しを願いたいと思います。私がこの問題に対するあなたの誠意ある御対策が明らかにならぬ限りには、私はあくまでも厚生大臣の責任を追及せなければならぬと思います。好ましいことではありませんが、やむを得ません。私情においては忍びませんけれども、あなたの責任は追及しなければなりません。私は厚生大臣の仕事は予算を取ってくるばかりが能でないと思う。予算を取ってきさえすれば腕のある厚生大臣だ、そんなには思いません。厚生関係は圧力団体を持っていない、あなたの背後に力強いプッシュする力はこの関係には弱いのです。従って厚生大臣に無理をいって、厚生省予算を二千億にしてこいといってもそれは無理です。われわれが努力するほかない。しかしいやしくもそのチャンピオンとして陣頭にお立ちになった以上、譲るべきものと、譲るべからざるものとあります。私は健康保険の三十億に関する国庫負担こそ、他の何ものも投げ打って、これは確保していただかなければならぬと思います。三十億が十億に削られたということは、財政の都合だ、あるいは何かはかのいろいろの都合で、というような簡単なことで済まされるもので私はないと思う。もし十億に削られたことを涙をのんで下ってきたというならば、それに対する対策はこうするという決意がなければ、私は下られぬと思う。ここは委員会です。具体的に伺う委員会です。本会議でおうような御答弁でお済ましになるところと違いますから、具体的にお示し願いたい。そのことに対する私はお考えがあるはずだと思う。御決意があるはずだと思う。お差しつかえなければ御披瀝願いたい。もし大臣としての責任を明確になさることをごちゅうちょなさるならば、私は考えなければならない。委員会も考えなければならない。どういうお考えでありますか、重ねてお伺いしたいと思います。
  41. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 御指摘の点は、私どもも何と申しますか、十分考えざるを得ない問題でございまして、現在の保険財政の状況からは、率直に申して減らされることにつきましては、おっしゃる通りの経過を経ております。私も申しわけないと思いますが、しかし当時、その問題につきましては被保険者に相当の負担をかけております。従いまして、この問題について現在の状態として被保険者に対してやはり負担の軽減をはかることをしなければならないという考え方を持っているのでございます。ただこれは、山下委員も十分御承知の通りに、保険財政は一時黒字である、あるいは赤字であるということをもって、その財政の前途に対する見通しをつけないわけにはいきません。ただ本年度赤字であるということだけでは問題は解決しません。それらにつきまして長期的の見通しを立ってこれらを考慮いたしたいという考え方に立っているわけでございます。
  42. 山下義信

    山下義信君 大臣の御答弁は、実はある程度新聞にも出ております。あるいは場合によっては、保険料の引き上げを考えなければならぬというようなことも出ております。ただ、あなたの口から承わらぬから、新聞の報道を信じていいかどうかわからない。そういうことでお説明になるならば、当然これは健康保険の一部改正案が法律として出なければならぬ。間に合う、間に合わぬは別として、そういう御準備をなさるかどうか、そういう御決意があるのかどうかということは公式の席で承わっておく必要があります。そういう御準備をなさいますか、そういう御方針でお進みになりますか。
  43. 堀木鎌三

    国務大臣堀木鎌三君) 御承知の通り予算が最近きまったばかりなので、しかしともかくも今の見通しとしては、私はある程度保険料を下げることがやるべき処置であるというふうに考えまして事務当局に検討を命じております。しかしそれが具体的にどうなるかという問題につきましては、先ほど申し上げましたような長期見通しとの勘案によりまして物事を考慮していきたい、そういうふうに考えておるような次第であります。
  44. 山下義信

    山下義信君 私は、この問題は非常に大きな問題であって、ただ社会労働委員会だけの問題ではなくして、おそらくこの国会での社会保障制度を議論される焦点だろうと思います。幾多の機会にあなたはこれに対する所信を表明なさらなければならぬ場面がたびたびあるだろうと思います。私は同僚の堀木厚生大臣として切に希望しておきます。閣議の席からすらすらとお下りになったのはよろしいが、自地ともに周知のごとく政局が動きまして解散になれば当然内閣は総辞職です。あなたの地位ももう旦夕に迫っておる。願わくば有終の美をされて、厚生大臣として所信に邁進されるこの人がと、かねて声望の高い理論家としてのあなたの名を最後まで保持され、守るところは守って私は厚生行政のために大きなプラスの足跡を残しておいていただきたいと思うので、こういうことをやすやすとまかり下ってどうのこうのという言いわけをされるようでは私はあなたの面目はどこにあるかと言いたい。この問題は日をあらためてもう一度全員で伺いますから、その御答弁いかんによりましては厚生省に関する諸問題につきましては、当委員会は重大な決意をしなくちゃならぬと私は思う。予算委員会やよその方では問い詰められていろいろ答弁をし、この席ではいいかげんにして立ったということがあったならば私どもは承知ならぬ。もし御決意があり、対策がきまり、御所信をお示しになるならば、まずこの委員会の開会を委員長にお求めになってこの席で御発言になるように私は希望しておきます。  いま一つは、これは簡単で済みますが、今、会計課長の御説明を承わりますと、31の留守家族の援護費の費目が二億三千万円も減額になっておるということですね。これは何のために減額になっているのかと思っていた。会計課長がいわく、これは死亡処理をするためにこれだけ援護費が減るのだということ、これは留守家族援護法を、いわゆる死亡処理をする援護法をこの国会に提出する考えであるかどうか、どうですか。その留守家族援護法との関係はどうなっているか、予算ではこうなっている、予算の裏づけする法律の改正はどうするのか、その死亡処理に関する留守家族援護法の改正案を出すつもりか出さないつもりか、出さないならば予算を修正しなくちゃならぬ。私はここで承わったことを党へ帰って報告しなければならぬ。留守家族援護法の吟の死亡処理に関する法律の改正案を出すつもりなのか、出さないつもりなのか、ついでに聞いておきましょう。
  45. 河野鎭雄

    政府委員(河野鎭雄君) 山下委員の御質問にお答え申し上げたいと思いますが、ここに計上してあります予算と、ただいま御質問のございましたいわゆる死亡処理と申しますか、未帰還者処理の法律の問題とは実は関係がないのでございまして、ただいま御指摘の法律の扱い方につきましては、いろいろ誤解の面もあるようでざいますし、なお関係者と十分話し合いをした上で善処いたしたいと、かように考えておるわけでございます。  ここで減額になっておりますのは、年々そういった特別の制度を待たなくても調査究明の結果、死亡処理ができると、あるいは引き揚げがあったために未帰還者から落ちて留守家族の適用を必要としなくなる、そういうふうな人々が相当あるわけでございます。そういうふうなためにこれだけの減額を見ておるわけです。  具体的な数字を申し上げますと、前年度大体一万六千人くらいの対象者があったのが、三十三年におきましては一万二千人程度に減るわけでございます。その関係で、これはそういった政策と離れて事務的に自然にこう減ってくる、こういうような関係になっておるわけでございます。
  46. 山下義信

    山下義信君 わかりました。今のこの留守家族のいわゆる未帰還者の減少する見込みの詳細なる具体的な数字、さらに最近三カ年間どういう状態で推移してきているかということをあわせて数字をあげて資料として御提出を願います。先ほど会計課長の御説明は、今般死亡処理をするに従って善処する滅である、こういうことが説明された。速記に残っておりますので、今の言葉を申しあげたのですが、私はきょうとりあえずこれだけのことを御質疑をしておきます。
  47. 木下友敬

    ○木下友敬君 資料の要求について。  全国の医療施設の一覧表ですね、たとえば国立病院、済生会病院、日赤、鉄道病院というのがたくさんございますが、これを東京都ならばそれはどういうふうに配置をされているかという配置図、これは、全国のものを一覧表にして提出を願います。国立、公立及び百ベッド以上の私立の、あるいは法人立病院など、とにかく厚生省はふだんそういうことははっきりわかっていると思うが、そういうものを一目でわかるようなものを、そして願わくば人口二十万以上の都市では配置図もほしい。そういうものは厚生省はできておると思うがほんとうは、それを一つ。ただ写しを出していただけばいいと思うのです。ないはずはないと思う。
  48. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) ただいまの御希望の資料は地方別に、たとえば都道府県別に、あるいは大都市別に、経営主体別の百品ベッド一以上の病院の数を出せという御趣旨でございましょうか。それならば直ちに御提出できます。
  49. 木下友敬

    ○木下友敬君 配置図、配置の状況も合せて全国のですね、それはあるでしょう。それがなければ厚生省予算はやれない。たとえば川崎市にはどういう病院があるかというくらいのことはわかっておるでしょう。わかっていませんか。どこどこには鉄道病院がある、日赤病院もあるというような、それがわかっておらなければあなたどうなりますか。
  50. 小澤龍

    政府委員(小澤龍君) 府県別に、あるいは大都市別に医療施設の配置の数の調査はございます。それでよろし一しかったら提出いたします。
  51. 木下友敬

    ○木下友敬君 数だけでなくて、名前があるでしょう。名前がなくて、数だけあるというのはおかしい。厚生省にそんな資料が、ぱっと見せられぬようなことでは困る、府県に行けば府県にちゃんとあるのですよ。
  52. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたします。    午後一時四十三分休憩      —————・—————    午後二時五十六分開会
  54. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。  本日は、都合により、これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会      —————・—————