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1957-12-23 第28回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十二月二十三日(月曜日)    午前十一時二十八分開会     —————————————   委員の異動 本日委員鈴木万平君辞任につき、その 補欠として小西英雄君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏石            山下 義信君    委員            有馬 英二君            草葉 隆圓君            紅露 みつ君            鈴木 万平君            高野 一夫君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            藤原 道子君            山本 經勝君            竹中 恒夫君   政府委員    農林政務次官  本名  武君    通商産業政務次    官       白浜 仁吉君   事務局局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    通商産業省鉱産    保安局長    小岩井康朔君   参考人    貝島炭鉱株式会    社大浦鉱業所    次長      杵島  廉君    貝島炭鉱労働組    合組合長    横田  肇君    東京都中央卸売    市場長     飯田逸次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (貝島炭鉱株式会社大浦鉱業所新  管車田坑における爆発による災害に  関する件)  (神田青果市場組合労働賃金未払  問題に関する件)  (炭鉱災害に関する件)     —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  労働情勢に関する調査の一環として、炭鉱災害に関する件を議題といたします。  本日は、本件の調査参考に資するため、貝島炭鉱株式会社大浦鉱業所新菅牟田坑における爆発による災害について、参考人各位の御出席をお願いいたしまして、意見を拝聴することになっております。  参考人各位には、お忙しいところ出席をいただきまして、まことにありがとうございます。これから御意見発表を願うのでありますが、時間の関係もございますので、一応実情について簡単に御説明を願い、次に、各委員質疑にお答えを願います。どうぞよろしく願います。  次に、委員各位にお諮りいたします。議事の都合上、先に参考人全部の意見発表が済みましてから質疑を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  それでは、貝島炭鉱株式会社大浦鉱業所次長杵島廉君からお願いいたします。
  4. 杵島廉

    参考人杵島廉君) ただいま御指名になりました杵島廉でございます。このたびは、大へんな災害を引き起しまして、皆様に非常な御迷惑をかけましたことをおわび申し上げます。  本日は、保安管理者加藤が参って御説明申し上げますはずでございましたけれども、加藤は、変災の前に坑内けがをしておりまして、その後心身ともに疲れて、かぜも引き、ただいま休んでおりますので、保安管理者代理を勤めております私が御説明申し上げます。詳しい図面を、青写真をここに持っておりますけれども、便宜のために、簡単な図面で御説明を申し上げます。  これは、大之浦炭鉱菅牟田坑西卸右一片三尺払の略図でございます。ここで変災を起したのでございますが、この位置は、坑口から約三千メートルの距離でございます。二千九百八十メートルの距離でございます。変災を起しましたのは、昭和三十二年十一月十六日五時三十分ごろでございます。罹災しました方々は十二名でございまして、そのうち九名を殉職させております。その模様を御説明申し上げます。  ここに書いておりますこの図面、これがその切羽でございまして、石炭切羽面、約七十メートルの切羽でございます。この切羽採掘模様を御説明いたします。  ここはこういうふうな傾斜をしております炭層でございまして、こういうところを断面の絵を書きますとこういう姿になっております。これが石炭でございまして、これに石炭を運搬するコンベヤがございます。これが天井を支持している支柱でございます。この点々をやっておりますのは、これは採掘をしたあと充填したあとでございます。これを平面で書きますと、こういうことになりますが、この黒い棒が石炭を流すコンベヤでございます。石炭はこれで、ここでハッパその他によりまして作りました炭はこのコンベヤで流し、ここにコンベヤがあります。なおまた、ここにもコンベヤがありまして、こういうコンベヤで運搬して、その先は炭車に積みまして、坑外に巻き上げるという仕組みになっております。人間がここに入って石炭を作り、またコンベヤにすくい込みますが、通気は、風はこの矢じるしのように入りまして、この切羽面を上って、この坑道を抜けて坑外に行きます。これを上連風道と申します。  この採炭の、採掘の様式を簡単に御説明いたしますと、ここに甲、乙、丙と書いておりますが、これは一番方、二番方、三番方と申しまして、一番方は午前六時、二番方は午後二時、三番方は午後十時入坑することになって、二十四時間を働くことになっておりますが、ここに第一日と書いてございますが、この第一日の日の一番方、甲方採炭をいたします姿はこういう姿でございまして、ここにコンベヤがありまして、ここでこの石炭をくずして、これに積んで流し、充填をする。ここにあるこういう姿、次の二番方は、やはりこの炭をさらに取りまして前進する、炭を流すというやり方、三番方になりまして、これに穿孔炭壁の中に孔をくりまして、ハッパによって炭をくずすという穿孔仕事をいたす。移転と書いておりますのは、ここにあったコンベヤをここに移す、コンベヤ移転、こういう仕事をいたします。そしてこの炭壁がここまで、一番方、二番方によって、この炭壁がここまで前進するということになります、これで一日は終ったことになります。  次の第二日目、第二日目の一番方でまた採炭をいたします。二番方でまた採炭をいたします。三番方でこのコンベヤ移転する。この孔を穿孔すると同時に、この空間を充填いたします。この充填は、水力充填をいたしておりますが、大之浦炭鉱は非常な累層でございまして、炭のこれから上はまだございますけれども、今掘っておりません。今、この山張層と申しますものから五尺と申しますところまで、七枚の炭層に便宜上分けて掘っておりますが、これからこれまでが高さ二十二メートルでございます。そのうちで、石炭だけの炭層が十四メートルでございまして、こんなに密接して存在しております炭層は、日本でもここだけでございまして、こういうふうに見ますと、むしろ二十二メートルの厚い炭層だというような姿になっております。これを採掘しまするにつきまして、この累層でございます関係上、特別な採掘法をいたしております。それは、一つ炭層を掘ってしまいましたならば、すぐその上に炭層がございますから、採掘したあとは崩落させるわけにはいきません。鉄柱カッペによってあとを崩落させていくという、この今日の採掘方法は、大之浦ではとうていやれないのでございまして、そういうことをいたしましたならば、すぐ自然発火になってしまいますので、採掘したあとは、入念に充填をして参ります。その充填材料も膨大な材料でございますから、当然坑外から輸送して、充填いたしております。これは、坑外から六インチのパイプを、坑口から仕事場までつなぎまして、その中に水と砂をまぜて、水の力で砂を流し込む。そうしてこのあとをつめていくというやり方をすでに四十年来やっております。そのやり方を簡単に絵に書いておりますが、この断面で見ますと、この柱が立って、茶色は柱でございます。柱の向うの青いのは竹でございますが、竹をこういうふうに組みまして、竹の向うに、バラと称します麦わらとかかやとかというものを編んだ一つのマットのようなものをこれに結びつけて、そうして水だけがこれから抜けて、砂は中に残る、こういう仕組み充填であって、これを水力充填と申しております。これは、ただいまはやっております圧気充填のずっと前から、四十年前から、大之浦炭坑は今日まで連続して使っておる充填法でございます。  では、変災のありました当時の模様を御説明いたします。この切羽のことを払と言います。この払は山丈が約二・一メートル、この高さを山丈といいます。払の長さが六十九メートル、前進式長壁払でありまして、風量は常時二百十立方米、一分間の量を通しております。この区域を大きく書いたのがこれでございますが、この払の大肩には、この付近を大肩と申しますが、この払の大肩には、電動の局部扇風機を施設してありまして、この局部扇風機、ここで言いますと、この赤が局部扇風機でございます。局部扇風機がございまして、コンベアーエンジンのもとに、深け側より十五インチの風管を二本連結して、大肩払に向けて吹かせております。つまりこのコンベアーエンジン、このところから十五インチと申しますのは、直径が十五インチの風管を二本つないで、ここに局部扇風機をモーターにつけて、ここから上を向けて吹かせておったわけであります。  可燃性ガス含有率は、払面で〇・二%、局部扇風機運転中、払の大肩付近で〇・三%程度でありました。従って、この局部扇風機停止しない限り、払の大肩には可燃性ガスの蓄積は起り得ない状態でございました。災害が起りましたのは、三番方の準備担任有吉という保安係員の方で起しております。さいぜん御説明しました、一番方は採炭し、二番方は採炭し、三番方は穴を掘り移転をする、これは第一日です。第二日は、穴を掘り、移転をし、充填をする。充填をする方の前に起しております。ただいま申しました坑内保安係員有吉は、十一月十五日の三番方二十二時に入坑し、作業者を振り込んで、と申しますのは、作業者仕事を与えて命令しております。つまり振り込んで、それぞれ次の分担作業につかしめております。ここで申します炭壁に穴をあける穿孔及びハッパ準備として四名、名前は省きます。また、この付近から坑木を運搬して、切羽支柱坑木を運搬する仕事として二名、充填のための警戒として、その他充填準備として五名就業させております。ただいま申しました充填警戒と申しますのは、何さま坑外からこういうところをハイプがずっと続いて来まして、このところから六インチのパイプから四立方メートルの水と、この中に砂を入れて、ここから流しますから、こういう勢いで流しますから、砂はとまりますけれども、水はあたかも川のようにこの中を流れていきます。あるときは、ひざの近くまで来るくらいの水が切羽面を流れて、それがゲート坑道を流れていくわけであります。だから、こういうところにいろいろな施設がありますのを、水が来たら警戒をして、機械が水に取られないように、バーチカルポンプなんかを据えまして、このポンプで水を抜き取るというような警戒仕事もせねばなりませんし、凝土受けと称するものをこういうところに作る、いろいろなそういう仕事のために、今申しましたようにありつけたわけであります。  ところで、ちょうどその変災の直前の姿は、充填パイプ故障のため、パイプが詰まって、このパイプ坑口からずっと来ております。このパイプの中がいろんな場合詰まることがあります。あとで御説明しますが、そのときも、その前も、このパイプが詰まったために——パイプが詰まりますというと、一瞬にして何十メートルという間、砂がパイプの中に詰まってしまいます。そうしますと、ハイプを一本一本切って、そうしてその砂を通す。取りのける。これをパイプほがしと申しておりますが、この変災の前に、ずっと一昼夜以上かかってパイプほがしを完成して、そうしてこのパイプをほがし、ちょうど水力充填を行う予定になっておりましたので、ただいま申しました有吉係員のほかに、この充填係員、これも保安係員でございますが、充填係員保安係員小石吉太郎というのが、十五日の二十二時に丙方に入坑して、充填夫を次のような作業にありつけております。この切羽充填囲いとして六名、充填囲いと申しますのは、こういうふうな柱がずっと立っておりますが、この間をこの絵のようにバラを一ぱい詰めて、切羽の高さは大体これくらいでございますが、柱はこの柱この柱立っております。これに青竹をずっと通します。その青竹うしろに、むしろのようなバラをずっと張ります。これをなわでしっかりくくりつける、こういう仕事、これを充填囲い作業と申します。この充填囲い作業に六名ありつけて、またこの区域に、西卸と申しますが、この付近に詰まっておったパイプ、ただいま申しました充填パイプが砂で詰まっております。このパイプのほがし作業として四名ありつけております。災害発生の少し以前に、前記小石係員及び前記充填関係作業者のうち八名は、ハイプほがしを一応完了しましたので、この払の大肩戻り充填パイプ放射口付近に集結して、充填開始の時期を待っておりました。この意味は、ただいま申しました充填パイプほがしの仕事も一応すましましたので、囲いもすましましたので、充填パイプはこういうふうにつないで、ここから吹かせます。この大きな絵で見ますと、ハイプがこう来て、これからこう吹かせるわけでありますが、このところからこういうふうに吹かせますというと、砂と水が滝のようになって、これを流れて下っていきます。そうして一番この樋口のこの付近からだんだん詰まって、砂はずっと残っていく、水はこの間から抜けて、こちらに流れていく、こういう姿でありますが、それで、いよいよ充填を始めようとしまして、この付近に待機しておったわけであります。一方有吉係、一番初め申しました有吉係は、坑内現場事務所で繰り込みを終り、坑内現場事務所と申しますのはよほど先でありますが、この現場事務所には、坑内に下って来ますというと、皆の人をここで一応集めて点検して、その人の仕事分担を示し、また、防災上のいろいろな注意をして仕事にかかりますが、この坑内事務所、この付近にありますが、坑内事務所で繰り込みを終って、乙方田渕係員より作業場の状況について申し継ぎを受けております。つまりこの乙方係員から丙方係員がこの仕事場模様の申し継ぎを受けております。その後二種類の雑務を整理して、二十四時ころ事務所を出て、右一片三尺風道から払に入っております。これから、この右一片風道を通って、この払に入っております。有吉係は、この風道の途中二カ所でガスの測定をしましたが、これは、有吉係というのはインター・ヘロメーターを持っております。ガス干渉計で計っております。二ヵ所でガスを計りましたが、いずれもメタンガスは〇・五%でありまして、また払の大肩、ここでございます。それから中央部、このまん中でございます。中央部で測定いたしましたが、ここでは〇・二%でございます。また、樋口と申しますのはここでございますが、この樋口は、ほとんどガスがかからなかったと言っております。もちろん、この扇風機運転中でございます。ついで十六日午前一時ごろ払を上り、大肩で測定しましたところ、ここで測定しましたところ、メタンガスは〇・二%でありました。その後主として作業者の指揮及び巡視に専心しておりました。有吉係は、巡視中、四時五十分ごろ、局部扇風機がとまっていることを知りました。四時五十分ごろ局扇がとまったということを、有吉巡視中発見しております。有吉係は、局扇運転しないので、故障と判断しまして、電工詰所電工を呼びに行きました。電工詰所と申しますのは、この事務所の近くにあります。電工北崎謙吾君に、これは有資格者でございますが、スイッチの診断を依頼しました。十六日の五時半ごろ、排気卸旧左二片の五尺風道口で、充填担任小石係と、仕事のことで立ち話をしていました。これは、この付近でございますが、さいぜん申しましたこの充填担任係員小石係とこの付近で話をした。そのときに、電工が右一片風道の奥に入っていきました。ここで話をしたときに、電工さんがこれをこう上って行ったことを認めております。有吉係は、これから今度はこちらに行きまして、今の充填小石係と、この小石係というのは、ここに行って殉職したのでありますが、この小石係とここで別れて、有吉係はこちらからこう入って行ったのであります。この有吉係は、このゲート坑道に至り、充填警戒夫に、間もなく充填が開始されるから用意をするよう、いろいろ注意して、電工局部扇風機の修理をしている様子を確めるため払戸樋口を上りかけたとき、払の爆風による衝撃で転倒しております。  これをわかりやすく今説明いたしますと、ここで今充填小石係立ち話をした。その間電工はこれを入って行った。この有吉係という責任者は、こちらに行かずにこちらに行きまして、ただいま申しましたように、充填が始まりますと、川のようにこれが流れますから、ここにおります警戒夫にそれぞれ、もう充填が始まるから警戒をせろと言いながら、いろいろ仕事注意を与えて、こちらからこう上って、それから切羽の中に入ろうとするときショックを受けたと、こう申しております。このガス事故により、前記のように払大肩戻り付近におりました小石係員及び充填夫村上明君、坂口英臣君、川崎功君、松園光吉君、上田光男君、大江政章君、田代兼男君、橋田透君の九名と、電工北崎謙吾君及び同風道において鉱車から坑木下し作業中の梅田満雄君、上脇満義君、計十二名が爆炎により火傷を受け、罹災したものであります。電工北崎君は、幸いにけががだんだんとなおっていっておりますが、何さま重傷でございますので、北崎君の詳細な行動につきましては、まだ目下のところよくわかりません。しかしながら、調査の結果、次の事柄が客観的に推定されます。  まず第一番目に、電工風道に入っていった直後は、電源スイッチは「入」の状態になっていた。災害の直後も「入」のままになっていた。  御説明いたします。これが電源スイッチでございます。このスイッチからケーブルをこう張って、コンベアにも扇風機にも電気を送っておりますが、この電工がこれへ入った直後は、この電源スイッチは入っておった。それから、この変災のあった直後も、このスイッチは入りの状態であった。つまりここに電気を送っておったという状態であったということであります。  二番目、災害の後に局部扇風機スイッチカバーがはずれたままになっておった。この意味は、これがスイッチでございますが、大きな絵で見ますと、この扇風機スイッチはここにございます。このスイッチは、耐爆型の試験を受けた検定合格機器でございますが、これのカバーがはずれておったということであります。  第三番目、局部通気機器を一時間半停止状態におけば、払大肩切詰六メートル程度範囲で、これからここへ六メートル程度範囲で、天井ぎわに五%以上のメタンガスが集積する。これは、十一月十六日福岡鉱山保安監督部鉱務監督官がおいでになって調べられた結果であります。  四番目、このガス停滞の容量は、停止時間を一時間半以上になっても変らないと推定されます。これは、いろいろなことから推定できますが、結局ここに二百十メートルの親風が通っておりますから、一時間半から先は、親風で拡散されて、それ以上にはならないという意味であります。  五番目、局部通気機器停止のときでも、スイッチ位置では、同所を通過する二百十立方メートル毎分通気量で拡散し、通常メタンガスは〇・四程度であり、十一月十六日の停滞試験中でも〇・六%程度でありました。  御説明します。これから二百十メートルの親風がしょっちゅう通っておりますから、このところには、ガスがたまることがありましても、局部扇風機がたとえとまっておっても、このスイッチのところにはガスは〇・六程度しか、あるいは〇・四ないし〇・六しかたまらないということを申し上げました。  六番目、十一月十六日の試験によりますと、一時間半払大肩ガスを蓄積させて、エアーゼットを作動させますと、一分後にはスイッチ位置メタンガスが三・五%が流れてきております。これは、爆発の後に実験したのでございますが、一時間半ガスをここにためて、それから局部扇風機をはずして、スイッチを持っていっているから、運転できなかったので、エアーファン運転しましたところが、ただいま申しましたように、一分間の後には三・五%のガスがここに流れてきております。もしエアーゼットでなくて、電気扇風機でやっておったならば、また早く拡散の量がここに来ておったと考えられます。  以上の事柄を総合して判断しておりますが、いろいろのことにつきましては、ただいま各方面で十分研究討議をされておりますが、その原因はこれであるということをこの席で申し上げる段階でないと心得ますので、ただいま申しました六ヵ条ほどの事実から、ただいまいろいろと検討されておる状態でございます。  概況の説明を終ります。
  5. 阿具根登

    委員員(阿具根登君) どうも御苦労さまでございました。  次に、貝島炭鉱労働組合組合長横田肇君からお願いいたします。
  6. 横田肇

    参考人横田肇君) それでは、私が貝島炭鉱労働組合組合長横田肇でございます。  ただいま会社側の方から、災害実態についての概略的な説明がございましたが、私どもの見ました災害に対する御意見を申し上げまして、御参考に供したいと存じます。日時あるいは賃金の問題あるいは時間的な問題については、前説明者の方からなされておりますので、幸いまた図面が掲示されておりますから、あれに基きまして、われわれが考えております事柄を申し上げたいと思います。  あそこの図面にございますように、通常切羽風道との角度は九十度、大体直角になっておるというのが通常でございます。ところが、図面にございますように、あの角度は鋭角になっておりまして、大体五十度の角度になっておるわけであります。そうして参りますと、通風関係は非常に悪化されて参る、こういう現場事態にあったということでございます。  それから、こちらに充填実態についての説明された図面がございますが、あれに基きますと、大体ああいう形になるわけでありますけれども、われわれ労組の立場からは、この充填の問題について非常に重要視しておりまして、去る六月前後でございますが、従来非常に充填がおくれている、このことが保安上ゆゆしいということで、会社側に対しまして、充填のおくれについては絶対にしてもらいたくない。従って、その結論といたしましても、会社側は二間充填を原則にするということをば認めております。ところが最悪の場合でも、ああいう事態であればまだまだよかったわけでありますけれども、災害が起りました当時の実態は、あの間数が、充填された個所から炭壁面にかけまして七間半、従って、最後に書いてございます、間数が一、二、三、四、四間半になっておりますが、あれになお三間重ねて大肩付近はあったということであります。そうして参りますと、落盤等のおそれも十分ごさいますし、御承知のように、通気近道を迫るという形で出て参るわけであります。従って、普通の図面実態でございますと、ああいう角度でも通風が悪くなる。それが充填が七間半おくれている関係近道を通りますから、ずっとこちらの充填あとが出ておりますけれども、あれが一問、二間、三間、四間というところから七間のところを空気が通るという形になるわけであります。そうして参りますと、当然特に扇風機がとまったという場合などは、あの大肩にガスが回流するという事態が出るのは、これは、常識的に判断いたしまして、当然でございます。  次は、数日前までは、エアによるゼットで、切詰めのところのガスの滞流を拡散をいたしておったわけであります。それを電動機にかえまして、ガスの拡散をやっておったわけでありますけれども、少くとも常日ごろ、あそこはガスがたまるということで、大肩付近に働いておる人たちは、頭が痛くなるということを常に言っておりましたし、係員からも、ガスがたまるので注意してくれということを言われておった。こういう実態があったわけであります。このエアーゼットで参りますと、御承知のように、ガスというのは、何か火源がないと、通常爆発するということがないわけでありますけれども、それをばわざわざ電動機、竹に電動機のスイッチをば、ガスは御承知のように軽いので、上部の方へだんだんたまって参るわけでございますけれども、そのスイッチをわざわざあの大肩の図面に書いてございますあの個所の、しかも上部、大体あそこが八、八あるいは七、七のワクが入っていると思いますが、その上部一尺ないし二尺程度下ったところにスイッチをつけておる。こういう点につきましても、保安上われわれといたしましては、経営者側としての、管理者側としての考え方が全く誤まっておるというふうに判断をいたしております。  次は、風量をば、先ほど説明ございましたように、二百十立米ということを言われておりますが、これは法規できめられた最低の線であるわけであります。ああいう鋭角のところで、しかも充填がおくれておって、七間半もあるような個所で、その法規できめられた二百十立米程度風量でよかったかどうかということにつきましても、われわれとしては、はなはだ疑問に思っておるわけであります。風量が多ければ多いほど通風状態もよくなります。ましてああいう鋭角であり、七間半も間隔のあるような実態の中の風量ということにつきましては、当然これは、管理者としても十分考えねばならぬ点があったというふうに考えております。  次は粘土密閉、通常充填がおくれる、あるいは充填された個所におきましても、完全に充填ができないわけであります。深けの方は、比較的通常角度がございますので、一ぱい天井まで詰まるという形ができるのでございますが、充填の終る上部の個所におきましては、通常一尺前後のすき間ができるわけです。そうして参りますと、その点については、原則といたしまして粘土等を密閉いたしまして、通風状態をよりよくしていくという状態を作るのでありますけれども、その点を管理者としては怠っておりまして、ずうっと三、四十メートルこの風道がございますが、うしろの方に対しては密閉をやっておったわけでありますけれども、大肩付近の所四、五十メートルは、密閉がされていなかった。従って通風状態は、七間半というような間隔がある上に、なお粘土密閉がされていないという点から考えまして、相当この通風状態が悪かったというふうに考えておるわけであります。  それからその次は、ただいま説明がありましたように、貝島炭鉱におきましては、水力充填をやっておるわけでありますが、その充填する能力がなかった。つまり採掘をしていくというこの前進の速度と、それからあと充填していくその充填は、当然採掘の前進に対して、それに即応した充填がなされる能力がなければならなかった。ところが、この個所におきましては、往々にしてこの充填がおくれておる。これは、充填故障という点も当然能力の中に入りますが、その後会社側とこの点につきまして話をいたしましたけれども、会社側といたしましても、これを六十インチパイプ一本でやっておりましたが、これを二本にする。二本にして充填能力というものをば増加しまして、採掘の前進に伴って補っていこう、並行して均衡を保たせる、こういう考えを会社側は今度はっきり持ったわけでありますが、結局充填能力という点を考えないで、採掘の方ばかりを進めたというところに大きな欠陥があったというふうに考えております。  それから最後に、当然ああいう悪状態に、それぞれの点が指摘できるわけでありますが、そういう状態にありますれば、当然この採掘をば停止するのがあたりまえであるわけでありますが、その停止をしなかった。幸い、当日は十三名の罹災者に終ったわけでありますけれども、あれがもし採炭の方であったといたしますと、数十名の方が罹災したということになったわけであります。  次に、総体的に申し上げたいことは、あらゆる点において、この最悪な条件が積み重なっておる中で、少くも保安管理者は、作業実態あるいは保安実態につきまして、それぞれ報告を各係員等を通じまして受けておるわけであります。そうしますと、その実態の上に立っての適当な指示措置が明確に指示されていなければならなかった。ところが、ああいう悪実態にあるにかかわらず、そういうような措置がされなかったというように私どもはっきり考えておるわけであります。  それから、火源の問題でございますが、通常スイッチのスパーク等でガス爆発したということに考えられやすいわけでありますけれども、私どもは、現在はっきりいたしておりませんけれども、ガス爆発につきましては、マイトの爆発と、あるいは、あそこの例で申しますと、スイッチを入れて局部扇風機運転を開始する、この際に炭塵等が当然扇風機の中に入っておりまして、往々にしてあそこから火花を発する事態もあるわけであります。また、充填故障になって参りまして、そういう事態の中で、充填故障を判定するために、あるいは充填の流れをよくするために、往々にして六インチのパイプをばたたく場合があるわけであります。そうしますと、当然火を発するというような事態もあるわけであります。そういうことで、現在防爆について、われわれといたしましては明確にいたしておりませんけれども、スイッチというふうに断定するということにつきましては、まだ問題が多々あろうというふうに考えておるわけであります。  それから、局扇がとまったということにつきましては、若干の時間的なズレがあるわけであります。私どもが調査いたしましたところでは、大体午前四時に停止が発見されております。当然この局扇停止したということになりますと、ガスが滞留する。ああいう悪状態にありましたので、常識といたしまして、当然そのような個所で作業をさしておくということにつきましても、これは、係員としての常識を疑わなければならぬということになりますけれども、先ほども申しましたように、刻々上司の方へ、作業実態なりあるいはガスの検定の実態なりが報告されておりますので、当然あのような悪状態の所につきましては、上司の方から適宜指示をさせれば、ああいう事態がなかったというふうに判断をいたしております。で、停止したので係員が検定をしたというような言い方をされておりますけれども、私どもが調査いたしました結果といたしましては、そういうふうにはなっておりません。  それから、電工に連絡をいたしまして、スイッチ故障を指示したということでございますが、御承知のように、防爆スイッチにいたしましても、当然これが故障を起したということになりますと、現場でその修理をするということにつきましては、保安上これは常識としても合点のいかぬ点でございまして、当然スイッチ等が故障いたしますれば、予備品が備えてございまして、その予備品を持って参りまして、取りかえをいたしまして、そうして故障を起したスイッチ坑外に持って参りまして、そこで十分点検をする、これが常識でありますけれども、その予備品が全然なかった。また電工にいたしましても、通常あのような状態の中にあっても、スイッチの修理を現場でするという慣習が、私どもが調査した結果といたしましては、あるわけでございまして、この点につきましても、保安教育には、相当保安管理者はサボっておったというふうに考えております。  それから、有吉係員の行動ですが、少くも局部扇風機が数日前はエァで行われておった。それをば電動機にかえたという理由は、ガスが多いので、常時扇風機運転せねばならぬ、こういう考え方で、会社側経営者といたしましては、あれをば電動機にかえたわけであります。で、菅牟田坑におきましては、ある一定時間、一時間ないし二時間エアがとまるわけであります。そうして参りますと、エアの扇風機停止してしまう。そういうことではあすこの保安の確保ができないということで、わざわざ電動機にかえた。そうして電動機にかえることはよろしいが、当然停止すればガス等の滞留があり、爆発のおそれがあるということでわざわざ電動機にかえたのでございますので、当然電動機が停止した場合には非常に危険状態が発生するということが事前にかかっておったわけであります。従って停止した場合における措置というもの、指示というものが明確に係員になされておりますれば、当然あのような事故は発生しなかった。しかも二時間にわたる停止であったことを考えましても、いかに保安管理者としての日ごろの保安に対する考え方が怠慢であったか、全般的に言いまして、生産能力を上げるということに全精力をば傾倒いたしておったために、保安の問題についておろそかになり、しかもあのような悪状態が積み重なっている中においてすら、管理者としての保安に対する適当な指示を怠らざるを得なかった、こういう実態にあったわけであります。まあいずれにいたしましても、この生産第一主義という観点からすべての作業を推進する、こういう立場が結局あのような鋭角を持った切羽実態を作り、水力充填がおくれる、こういう実態にありながらも、採炭の方はどんどん進めていく、こういうことが最大の原因であり、係員あるいは電工等につきましても、保安教育というものがその実態の中から適当に教育をされていなかった、非常に形式的な教育に流れておった、こういうふうに判断をいたしております。  その他若干早急の間でございましたので、落ちた点もあろうと思いますが、重要な要点を申し上げますと以上のようなわけであります。
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうも御苦労様でございました。  それでは、ただいままでの御意見をお述べ願いました参考人の方々に対し質疑を願います。  なお、政府側からは村田石炭局長、小岩井鉱山保安局長、白濱政務次官が見えております。お含みの上質疑を願います。
  8. 山本經勝

    ○山本經勝君 杵島さんに二、三点お伺いをしたいのですが、まず、先ほどの御説明の際にお話しになった充填パイプが詰まってパイプ直しをやったと言われましたが、それは何日の何時ごろからかかり、何時ごろに完了したか、補足をお願いいたします。
  9. 杵島廉

    参考人杵島廉君) お答えいたします。充填パイブが詰まった日にち、直った日にちというようなことでございますね、充填パイプが割れて詰まりましたのは十四日の丙方であります。そうして直りましたのは十五日の丙方、つまり十六日の五時ごろですね、充填、直前……。
  10. 山本經勝

    ○山本經勝君 一応それでわかりますが、その間、この切羽面の方の採炭作業は進行しておりましたか。
  11. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 進行しております。ただし、十四日まで進行させまして、十五日には入坑を変更しております。
  12. 山本經勝

    ○山本經勝君 入抗変更ということは、その現場へ配置しなかった、こういうことですか。
  13. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 一番方を二番方にかえまして、仕事させております。
  14. 山本經勝

    ○山本經勝君 そうしますと、十四日の丙方、まず時間の……、当初のあれを想定するというと、十時就労と言われましたが、十時とかりに見て、十五日の午後の十時までの間、完全に二十四時間は、一応これはストップしたわけですね。それからその間、同時に採炭作業を進行しておった。ただし二番方の入坑の繰りかえをした、こういうことですか。
  15. 杵島廉

    参考人杵島廉君) そうです——いや、一番方の入坑を繰りかえて二番方にしたと、こういうことであります。
  16. 山本經勝

    ○山本經勝君 十五日の一番方を二番方にいたした……。
  17. 杵島廉

    参考人杵島廉君) はい、切羽の進行は、結局一日を通じては進行いたしております。
  18. 山本經勝

    ○山本經勝君 続いてお伺いいたしたいのですが、先ほどのお話しになりましたスイッチ故障ですね、つまり局部扇風機がとまっておった。そこでその有吉係員電工北崎さんを呼んで、そして修理をさせた、こういうことになっておるようですが、その際にこのスイッチの修理は、そのスイッチのありました問題の肩、風道天井ぎわにつるしてあるその位置で修理をしたわけですか。
  19. 杵島廉

    参考人杵島廉君) はい、その位置で修理をしております。
  20. 山本經勝

    ○山本經勝君 それから、そのカバーをとらずに修理ができますか。
  21. 杵島廉

    参考人杵島廉君) それは予備品が近くに置いてありますから、それを持っていけばできます。なお、電気を切ってやりますというと、たとえそこであけておいても、その個所は最前申し上げましたように、たとえば扇風機がとまっておりましても、その付近にはガスが〇・五ないし六%ございまして、有吉係員としましても、扇風機がとまって、大肩にガスがたまって、延詰にガスがたまっておることは認めておりましたけれども、スイッチの所にガスがあるとは思っていなかったわけであります。
  22. 山本經勝

    ○山本經勝君 この予備スイッチがあれば——これはどこでもそうだと思うのですが、一応取りつけを変更して、予備スイッチを完全なものであれば取りかえておいて、そうして故障の起ったスイッチを安全な、たとえば坑内詰所なり適当な位置に運んで修理をするのが普通ではありませんか。
  23. 杵島廉

    説明員杵島廉君) それは、本人は当然スイッチが予備があったことを知っておるはずでございます。この位置に予備スイッチを置いておりました。かつこのスイッチはこの付近電工がかついでここに持って行っておりますから、そこにスイッチを置いております。
  24. 山本經勝

    ○山本經勝君 そのままでお願いしたいのですが、先ほど御説明のように、払が非常に鋭角になっているという横田参考人の方のお話もあったのですが、これは普通に私ども経験を持っておるものですが、払面と片風道とは、本来からいったら直角もしくは直角より多少前進しておっても、そうひどい五十度なんという急角度になさないものなんでしょうが、その点は常にそういう方式で採炭作業の推進をなさっておったのですか。
  25. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 十分考えたのでございまして、この風道の十メートル肩に断層がございまして、従ってこういうふうなストライキはこういうストライキでございますから、それをこうせざるを得なかったのでございます。それで、私どもとしましても、この切羽面をこういうふな方向にして採掘すべく一応計画してみたのでございますが、この切羽は傾斜が十八度でございまして、こういうふうにやりますと非常に炭壁崩壊の上で危ないと見ましてこれでやったわけであります。そうしてこの所にガスがたまっても、たとえ扇風機がとまっても親風がここを流れておればこの付近には間違いないという見解から、ただいまのような採掘をいたしております。
  26. 山本經勝

    ○山本經勝君 それでこの充填で本来からいったら、先ほど御説明にもありましたように、二間ですか、二間が大体どこの炭鉱でもそういう実情だと思います。ところが七間という間隔がある、メーターについて私の聞いたところでは、約七メーターから八メーター程度あったということですが、そうしますと、払面のいわゆる空間というのは非常に広い、先ほどお話のように、二百十立方メートルの通風があった、これでまあけっこうである、こういうお話でありましたが、かりに風道充填あとから、充填ぎわから採炭払面までの距離が七メートルないし八メートルということになりますと非常にこれは広いわけですね。しかも片風道にしてみますというと、何ですか、八、八、あるいは七、七、これは七尺、七尺あるいは八尺、八尺ということでしょうが、そういうふうになりますと上の方が詰まった形ですよ、そうすると入気から入ってきた風が広い払面に十分にガスを排除するような流れ方をしないという心配が一応起るのですが、そういう点では次長さんの方ではどういうふうにお考えになりますか。
  27. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 御説明いたします。私はただいま山本参議院議員のお話並びにうちの組合長のお話、これらにつきまして、どうか時間を貸していただいて私が十分御説明申し上げたいと思います。  充填のことにつきまして、七間半おくれておったと申されております。しかしこれは六間半でございまして、ただしそれは五十歩百歩でないかということでありますから、まあ六間半がほんとうでございますが、この図画でごらんになればわかりますように、普通の採掘方法をやりました場合、充填をする直前の姿はこの姿であります。充填が順調に行ったときの姿はこういう姿でございまして、一、二、三、四、この四間半ということになります。これはどんなに縮めようとしましても縮まりませんし、かつ永年私どもが採掘してきております充填直前の場合の一、二、三、四、四間半の間隔と申しますのは、安全に作業いたしております。ちょうど変災前の姿はこれがあと二間おくれておりまして、つまり充填は必ず二間ずつ、充填しなければ、一間の充填になりますというと、この水圧の力が強いからこれを吹き破りますので、経験上、二間ずつ充填する、つまり結局二間だけおくれておった。つまり一回分の充填がおくれておったということであります。従いまして今山本参議院議員のお話のありましたのに、スパン、距離が広過ぎるから、落盤の上から言うても危なくないか。通気の上においてはこれを短絡するからさらに悪い。しかも七、七くらいの坑道であれば、のど首をふさいでいるから風が通らぬじゃないかということでありますが、これにお答えいたします。この落盤の問題、先ほど申しました、現場をごらんになればわかりますが、一枚天井の非常にりっぱな天井でございまして、しかしながら、ここに絵をかいておりますが、十五日の丙方、つまり変災直前に、変災がなかったならばここは十五日の丙方で完成しておったでありましょうけれども、その前にここに十三日と四日にかけて空木積みをしております。落盤の危険はないと見ております。のみならば、通気につきましては、ここに赤で書いておりますように、こういうふうに充填囲いなるものをやっております。この充填囲いは、さいぜん申しましたようにバラ、カヤ、わらとか、麦わらのようなもので作ったマットで、こういうふうにがっちりと詰めておりますので、この中に砂は詰まっておりませんけれども、風は全部がこうショートするわけではありません。また一歩譲って、ここをかりにショートしたと仮定しましても、この位置には爆発する程度ガスがたまらないということはその後の実験でもわかっております。つまり二百十立方メートルの風はこれは通っておりますが、七、七坑道で首をしぼっておるかもわかりませんけれども、七、七だったら普通の坑通としては大き過ぎるくらいのりっぱな坑道でございまして、二百十立方メートルの風が通っておれば、親風がそれだけあったら電気用品を使ってもガスは最大〇・五%、〇・六%程度であるということで作業したわけであります。なお、さいぜん組合長から二百十立方メートルというのは法定の最低限だとおっしゃいましたけれども、これはそういうわけではございません。
  28. 山本經勝

    ○山本經勝君 もう一ぺんスイッチのことをお伺いしたいのですが、スイッチを片風道の、しかも天井側につるしているというのはどういうわけですか。
  29. 杵島廉

    参考人杵島廉君) それは、天井側と申しますが、ここの所がこのありますね、大体この付近だったですね。と申しますことは、さいぜん申しましたように、充填のときにこれを川のように両方に流れます、水が。こちらとこちらに。初め充填をしますときには、この大体の水がこれから出て、これからだんだん出て、水はずっと上っていきます。そして、これが一ぱいになるころには、組合長もちょっと申されましたが、最後のところは非常に勘のむずかしいところでございまして、十二分に詰めるというとここに土砂が一ぱい飛び出る。少し早目にやめるというと少し空間が残るというようなむずかしいところでありますが、そのいよいよ最後になりますというと、この水がこちらに流れずにこちらにどんどん流れます。それで低い所にスイッチを置いておきますというと水浸しになりますから、少し高段に置けというので、しかし、こちらの深け側でなくて特に片側に置いておったわけであります。
  30. 山本經勝

    ○山本經勝君 横田組合長にお伺いしたいのですが、私も実は現地へ行って、坑内に入ったわけではありませんが、状況を見てきた。そこで、今のスイッチ位置なんですが、七、七の坑道で、大体普通に見ますと、正確には高さが六尺くらいはあると思われる。そうすると、その坑道の、しかも天井に近い、一尺内外離れた位置に作ってある、取りつけてある。これは今お話のようなことですと、七、七ですから坑道の通過にもじゃまになる場所を選んで、特に高く上げたんだという話を聞いておるのですが、その点はどうなんでしょうかね。
  31. 横田肇

    参考人横田肇君) 通常、今言われましたように、水の関係もありますし、それから箱が通過をいたす状態もあるわけであります。従ってじゃまになるので上部の方へ持っていくというのが通例であるわけであります。これは非常に危険なことでありますけれども、十分注意してやればいいということで、上部の方へ持って参っておるわけです。この現場にもございますが、大体二尺、幾ら低くても上部二尺程度の所に設置してあるはずです。正確にはかっておりませんけれども、大体人間がスイッチをつかまえられる程度になっておるわけです。そういうことから判断いたしましても、幾ら低くても二尺程度ではないかと考えております。
  32. 山本經勝

    ○山本經勝君 スイッチの取扱いですが、横田さんに伺いたいのですが、普通予備品があれば、一応故障が起って修理をする場合、その現場で修理をするよりも安全な地帯に運んで修理をする方が安全だと思う。この場合は現場で修理をしたということになっているわけですが、この場合に現場で修理しますから、勢い時間的に見ますというと、午前四時にストップしている。そうしますと、爆発の起ったのは五時五十分です。そうすると、その間の修繕なんですが、その間の修繕ですでにストップ、故障が起ってとまってからあとどれくらいな時間で電工が修理したか。しかも、言われるように、一時間半で五%のガス停滞するということが認定されている、一応事後の検査の結果、そういう結論が出ておるようですが、そうしますと、当然そのスイッチのある場所は少くとも六%内外のガスが一応停滞しておる、こういうふうに判断できてくるわけですが、むろん二百十立方メートルの通気が基本的にはあるから、何にもいかぬかもわかりませんが、とにかく危険な状態においてガス停滞しておる、こういうことは一応推定がつくと思うのです。そうしますと、当然そこの位置スイッチを修理するということになれば、当然その故障の起きたスイッチを直して、そうして電流を通してみなければ、直ったかどうかということの確認ができないと思う。そういう状態ですから、これは当然取りはずして、安全な所に持っていくというのが常識的にも、また理論的にも必要なことであろうと思う。その辺の取扱いについて、特別に係員が何か電工に指示をしたのかどうか、そういう状況について、もしおわかりであったら御説明を願っておきたい。これは両方にお願いしておきます。
  33. 横田肇

    参考人横田肇君) 電工が二番、三番方というふうになっておりまして、大体一人で措置をしているのが実態ですが、たとえば予備品がありましても、この予備品を運搬するということが一人ではとうていできない。五、六メートルの距離であれば一人でどうにかこうにか引きずってでも持って参りますけれども、そういうことはできない。当直一名につきましても、われわれの方はかねがね電工の当直一名は困る、二名にしてもらいたい、電工の係にいたしましても、二番、三番についてはやはり当直をしてもらいたい、こういうことをかねがね言っておったわけでありますけれども、当日もやはり一名の電工しかいなかったのです。一名の電工では、たとえかりに予備品があるといたしましても、どうにもこうにもならないのです。それから通常、大体現場でスイッチの修理をやっておったというのが慣例であるわけです。それからただいま予備品があったと言われておりますけれども、その予備品は、われわれの方では調査の結果、予備品がなかった、こういうふうに考えておるわけであります。従ってたとえ予備品があったといたしましても、一人の電工ではどうにもこうにもならなかったし、さらに予備品がなかったということ、それから通例、慣行として現地でそのまま修理をしておった、こういうことが実情であります。  なお、防爆スイッチの修理については、電工自身も非常に心配しておったわけであります。というのは、カバーをはずして、カバーをはめてからその適否を調べても、九九%までだめなのです。カバーを取りはずした中で、そうして何べんもスイッチを入れて加減調整をして、いろいろなものを挟んだりしてやらなければ、スイッチの修理が完全に行われたという確認ができないというのが、この防爆スイッチの欠点であるわけであります。
  34. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 御説明いたします。ただいまこの防爆スペアの問題でございますが、これは安川製作のHSIOの六五というスイッチを現場近くのここに備えつけておりました。それと、ちょっとお尋ねいたしますが、山本さんの御質問の要旨は……。
  35. 山本經勝

    ○山本經勝君 スイッチでしょう、一応修繕をする、そうすると、電流を通してみなければ、直ったかどうかということの確認ができぬのではないかということを申し上げておるのです。
  36. 杵島廉

    参考人杵島廉君) そうであります。それで、有吉係員の考え方といたしましては、カバーをあけるとか、そういうことは毛頭考えていないのでありまして、カバーをあけるという、つまり生きたまま、電流が通ったまま操作をするということは保安規則でも禁止せられておりますし、私の方としましては、この点の教育は十分いたしております。時間がございましたならばここにデータをもって、どういうことを、何日に、だれが、どこで教育したかというようなこともたくさんございますが、そういう電気を入れたまま修理をするというようなことは、有吉係員としては毛頭考えていなかったわけであります。またただいまおっしゃいましたようにカバーをしてしまってからスイッチの点検をするということをせねば、修理が直ったかどうかということはもちろんわかりません。しかし修理ができ上って運転するということになりますと、扇風機の再運転という姿になります。そういう場合は当然保安係員が立ち会ってガスを点検してやるべきものであります。有吉係員もそれに立ち会うべく切羽を急いで上っておったということはさいぜん申し上げた通りであります。
  37. 山本經勝

    ○山本經勝君 これは局長にお伺いをしたいのですが、この払の一般概況は今すでに両参考人の方から詳細な説明があったわけですが、この払の状態は、たとえば保安規則で規定されておる通風量から見て妥当であったかどうか、その辺の局長の御見解はどうなんですか。
  38. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私の方の調査では、ただいま御説明のように、毎分二百立方、払が通っておったわけであります。風を通しておりますのは、もちろん御承知のようにガスを薄めるということと、またよごれた空気を新しい空気に置きかえるということでありまして、規則では、でき得る限りもちろん少い方がいいのでありますけれども、ただいまの説明のように〇・五%以下の状態になっておったようでありまして、この程度の希釈ならば保安上十分であるというふうに考えております。
  39. 山本經勝

    ○山本經勝君 もう一ぺんはっきり伺っておきたいのですが、保安というのは、災害が起りそうだという状態だけではなくて、一般的に基本的な災害の予防であると思うのですよ、基本的な理念が。たとえば保安法にしましても、保安規則にしましても同様である。この精神に出発している。ところが今局長のお聞きの通りに、十四日には充填パイプ故障によって一昼夜ちょうどとまっている。そこでパイプの修繕をやって、その間払が進行している。そうしますとやはり進行する状態はいつもと変りない姿で進行していることは、杵島さんのお話の通りなんです。ですと、勢い空間が非常に広まってくる。そうすると、たとえば通風量が二百十立方メートルあればこれで十分であるということが一応言えるかもしれませんが、しかし実際の状態は、現場について詳細に見なければわからないのですが、相当通気の空気の動き方、特に鋭角をなした大肩の空気の流動というものは私は順調でなかったと思う。そういう状態は少くとも保安法あるいは保安規則の基本的な理念の上に立って考えるというと、改善されなければならぬ重要な点ではないかということが申し上げられると思うのですが、その点について再度、明白に一つ局長の方から見解を明らかにしておいていただきたい。
  40. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) もちろんパイプ故障充填がかなりおくれました事態は、私どもも保安上決して好ましい状態であるとは考えておりません。しかし保安管理者が、あるいは係員が現場の状況を判定いたしまして、ガス量その他の関係から見て、この状態で操業できるかどうかという判断は保安官にしろ係員、それぞれの責任の担当にまかせておる次第であります。
  41. 山本經勝

    ○山本經勝君 スイッチの問題ですが、言われる位置は何メートルぐらい局部扇風機から離れているかしりませんが、もっと距離を安全な地帯に置いておいても、たとえば先ほどお話のように、水圧充填をなさるから勢い水が流れる。従って水浸しになってはスイッチの機能を果しませんから、そういうことであればあるほど、もっと安全な地帯があったのではないかと思う。こういう点で選ぶ余地はなかったのか。あるいは法的には局長さんはどうお考えになっていますか。
  42. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいまのお話の通り、電気関係の品物は入気側に置くことを一番好ましい状態と考えております。しかしながら、ただいまの御説明のようにこの山だけが唯一の水力充填をやっておりまして、深けの坑道は、充填中はおそらく今の説明のように水浸しになるわけでありまして、電気関係の品物を設置するにはかえって逆に不適当な場所になるというような関係で、おそらく炭鉱側でも好ましい姿ではないけれども、排気側に持っていって管理を十分にして行うというつもりで設置したものと考えております。
  43. 山本經勝

    ○山本經勝君 続いて伺いますが、かりに今のお話のように入気側に置くのが本来であるけれども、片風道ではやむを得なかったということは、この水力充填による作業関係から一応考えられないことはない。そうしますと、その水力充填が現に進行しておる近くでなくて、もっと肩なら肩でも適当な場所が私は図面を見てもわかるようにあると思う。まして天井ぎわと私申し上げたのは、そういう所につるしておくような方法でなくて、肩磐なら肩磐に適当な装置をしてスイッチを置くということも不可能ではない。そこら辺の関係局長さんはどう解釈になりますか。
  44. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 電気機器の置きます場所は、それぞれ担当の責任者にまかせてありますけれども、規則では常時ガスが一%以上多い個所では電気関係の品物を置いてはいかぬということになっておるのであります。従いまして現在設置されておりましたその場所が、ガス量一%を常時こえるような場所であれば、私どもはこれは不適当な場所であるというふうに判定をいたしたいと思っております。しかしただいまの説明のように常時は〇・五%以下のガス量であったというふうに現地で説明いたしておりますので、そういう状態ならば電気製品を置くことも差しつかえない、場所の適不適は問題があると思いますけれども、一応一%以内のところであるならば、置くことは規則上差しつかえない、かように考えております。
  45. 山本經勝

    ○山本經勝君 もう一点明らかにしておきたいんですが、スイッチ故障で、つまり局部扇風機がとまった、こういうことが確認された場合に、少くとも局部扇風機を必要とするこの払の条件では、そこの作業を一応停止して、そうして待避さしておいて修理をして、先ほど杵島さんもお話しになつておるように、ガス検定を係員がやった上でスイッチを入れて作業をやらせる、こういう順序でやるなら、私はいわゆる法の基本的精神、すなわち予防対策として万全ではなかったかと思う、こういう点に関する局長さんの御意見はどうなんですか。
  46. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 係員局扇停止しているのを知りましたときに、仰せの通り直ちにガス量を測定しまして的確に判定をするのが正しい処置だと考えております。しかしおそらく私どもの想像では、係員は平常のガス量、泄出状況というものは相当承知いたしておりますので、ガスが十分にとまってなかったのではないか、あるいはとまっておっても電気を修理する場合にはスイッチを切ることになっておりますので、特別に大きい危険は本人自身が感じていなかったのではないかというふうにも考えるわけであります。しかし係員のとりました処置につきましては、決して十分だとは私どもも考えておりません。目下現地を詳細調査いたしておりますので、判明次第、適当に処置をしたいと考えております。
  47. 山本經勝

    ○山本經勝君 とった結果に対する処置をどうこうということはむろん必要です、今後の予防対策を強化するために必要ですが、私は今そのことを伺っておるわけではない。少くとも予防をするという建前に立って法を運用するなれば、常時一%というのは、およそガスがなければそこの所でもいいのだということは最低線である。それよりより安全な場所を選ぶことができれば、選ぶ余地があるのじゃないかということを申し上げている。そういう点に関するもう少し御親切な御答弁をいただきたい。
  48. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 現在の払におきまして、どこが一番開閉機を置くのに適当な場所であるかの判定は、ちょっとただいま御返事することは困難でございますので、よく現地の方と連絡をとりまして検討をいたしてみたいと考えております。
  49. 山本經勝

    ○山本經勝君 ちょっとお答え願っていることが若干私の質問申し上げていることと食い違うわけなんです。そうではなくて、少くとも今置かれておった場所は、結果的にいえばいい場所ではなかったということになる。スイッチを修理をした、スイッチを入れたその瞬間にスパークしてガスに点火して爆発が起った、その結果論を今申し上げておる。そうであれば、より安全な所を選ぶという結果論も成り立つ。しかし常時一%以下のガスであるなれば、どこに置いておってもいいということでは私はないと思います。ですから多少距離が離れていて不便かもしれませんが、安全を期するためには、その他たくさん広い場所があります。しかも水力条件がよくて水が流れる心配もない場所がある。そういう所に置いておけばもっと安全度が高くなっている。保安精神にのっとって考えると、それが従業員に対する思いやりのある保安管理の仕方ではないかということを申し上げております。その点の局長の見解を伺っております。
  50. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいまの置いてありました開閉機の場所が適当であったか、不適当か、さらにもう少しいい位置があるかどうかという点につきましては、私どもの方でお答えすることが大へん困難でございます。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 横田さんにお尋ねをしたいのですけれども、爆発をしたときのガス量というものは大体どれくらいに判断されますか、これは推定になると思いますけれども。
  52. 横田肇

    参考人横田肇君) 一応私どもといたしましては、五%から一〇%ですね、そのくらいに考えておるわけです。実際問題としてガス爆発をしたわけなんですから、会社側としてはいろいろな調べ方もありましょうけれども、そういう考えの中で、戦後実際問題としてガス爆発したという中で、ではどういう形でそういうことになったかといいますと、湧出ガスもありましょう、あるいは突出ガス、こういうことも考えられるわけでありますけれども、根本的に私どもは坑内ガスがあるものだというふうに考えておる中で、ああいう状態を作ったということ、そのことをあらかじめ会社が知っておって局部扇風機を設置した。局部扇風機もエアでは一時間ないし二時間は各方ごとに停止をいたします。そういう状態の中で、わざわざ電動機にして常時に運転をしなければならないという考え方であすこに非常に危険を予知して設置した、そういう中でスイッチなりをああいう個所に設置した、こういうことについては、常識上はなはだどうも不完全な、不誠意なやり方をしておったというふうに考えておるわけであります。  もう一点は、やはり先ほど申しましたように、スイッチ故障したということでありますけれども、電工はずっとケーブルを調べて上げております。あすこは三往復程度調べて上げております。その間、当然スイッチを切って調べておったという事実も明らかなわけなんです。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 局長にお尋ねしたいのですが、今日までの例として、ガス爆発した例は、ガス量は大体どれくらいのところですか。
  54. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 大体爆発を起しますのは、まあ五%前後から一二、三%くらいの間、その間で九%前後が相当激しい爆発を起すということが一応いわれておるのでありますが、爆発によって何%があったかということはなかなか推定が困難でありまして、破壊の程度の大小その他で一応判定はつけておりますが、大体五%前後から一二%くらい、その間が爆発をいたすというふうに考えております。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つお尋ねをしたい。会社は、ずっとあらゆる個所でのガス測定というものが一番最高で〇・六ですか、おっしゃっているのです。そうすると、一%にもならないという状況でありながら、今のお話を聞くと、五%以上くらいが大体の常識だと言われておるが、そういうことになってくると、この爆発は何でしたかということは、私らは十分に、くろうとじゃありませんから、しろうとでわかりませんけれども、そういう条件というのは、あらゆる系統を引いて説明されたのですが、一番最高の測定が〇・五から六だという。実際の爆発したものは五%から一〇%が常識だと言われる。そうなるとどうも私ども理解ができない。局長はどういう工合にお考えになりますか。どこに欠陥があるかお伺いしたい。今の会社の説明をここでわれわれと一緒に聞いたのですが。
  56. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 〇・五%で爆発することは絶対にございません。従いましてただいまもずっと話をいたしておりますように、払の肩部に断層がありまして、形が少し悪くなっております。そこへもってきまして、充填もおくれておりまするし、一番上の大肩の下の所は相当ガスが濃厚にたまるものと考えております。従って局扇をつけておってガスの排除をやっておった。局扇の動いておるときは、当然〇・五%、あるいはそれ以下であったかもわかりません。しかし私どもの方の爆発後の実験でも、やはり払の大肩のごく一部にはやはり充満程度のものがあったということを連絡いたしてきております。従いまして肩部に相当濃厚なガス扇風機停止とともに停滞いたしまして、それが局扇の動き出しと同時に流れ出してきまして、スイッチはどうせ一回ではない。何回も入れたり切ったりしたのではないか。ちょうど流れてきたときに、切りになったか入りになったかのスパークで、ちょうど手ごろなところで爆発が起こったというふうに考えておるわけであります。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は会社の杵島さんにお尋ねしたいのですが、先ほどあなたの御説明では、最高〇・五とか六とかくらいしかなかった。ところが実際の常識の量からお聞きしてみると、五%から一〇%ですね、五%以上なければ爆発しないということが常識だ、今までの歴史的なもので。そうすると、どうもそこではあなたの御説明だけで、どうして爆発したかということが、僕らは十分にわからぬものがなおわからなくなるのですが、どういう工合にお考えになりますか、爆発した原因は。
  58. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 御説明いたします。ただいまお話がございましたように、このスイッチのこの位置、これは〇・五ないし〇・六以上にならない、たとえ局部扇風機がとまってもそれ以上にはならないということは、その後の実験でも実証されるし、その前のガスその他の測定から見ましても実証されております。しかるに五%ないし一二%で爆発すべきガスは、ここで爆発したならば、その爆発したときには、爆発限界のガスはここであったということは事実であります。それはどこから来たのであろうか、こういうことでございまして、その点は爆発直後実験いたして、扇風機を一時間半とめたわけであります。そうしてここにガスがたまったのを、これはすでに第六番目というのでお話し申しましたが、十一月十六日の実験によりますと、一時間半払いの大肩にガスをためさせまして、そしてエアーゼットを作動させますというと、一分間の後にはスイッチ位置でメタンが三・五%ここに流動してきております。と申しますことは、爆発あとでございましたために、このスイッチその他は設置せずに、この局部扇風機——電気扇風機ではなく、エアの扇風機で吹かせたところが、このガスが一分間流れてきて三・五%になったという事実でございますが——これは電気扇風機でやった場合ですね。しかもこのスイッチはおそらくちょこちょこやったと思いますが、そうしますというと、炭鉱ではちょこ充填と申しますが、そういうちょこ充填をいたしますと、ちょうどピストンのような格好で、ピストン作用でぽすぽす押すということで、この濃厚なガスをさっさっと、ずうっとかたまりのままここに押し込んだんじゃないか、たまたま、何回となくやっておりますときに、これに引火したのでないかと想像いたしております。それらの見解は、一番初めの状況報告の中では省いておきましたけれども、御質問がございましたから、私どもの見解を申し上げます。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ杵島さんにお聞きしたいんですが、いずれにいたしましても、一部の測定でも、どこの場所でも、今まであなたから聞いた測定では、今三・五%という数字が出てきましたけれども……。
  60. 杵島廉

    参考人杵島廉君) これは一番初め申し上げました。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ私の聞き間違いでしょうが、いずれにいたしましても〇・一%以下の測定だと、こうおっしゃいますけれども、組合側のお話を聞くと、四間半か七間半あったと言う。あなたは六間半あったと言う。いずれにいたしましても、二百十立方メートルの風が、それだけの広い所では非常に問題があるというように、私はそう第一に考える。第二には、充填ができないからそういう状態ができる、そうなってくると、生産だけに一生懸命になられて、その保安という問題については、私は、会社側の立場はどうお考えになるかという疑念を持つのです。なぜ充填が正常な形にいくまでその作業場をおとめにならなかったか、この点を一つ最後に伺っておきます。
  62. 杵島廉

    参考人杵島廉君) この点については、よく誤解のないように聞いていただきたいと思います。前提を考えずに聞いていただきたいと思います。私どもも実はつまらぬながら保安の表彰を受けた山でございまして、保安優先ということにつきましては、ほんとうに保安委員会を中心に一生懸命にやっておるのでございまして、この場合、しからばなぜ払を中止しなかったかという御質問でございます。七間半は六間半がほんとうでございまして、これは私が現に下って見ておりますし、正確な図面も差し上げて、その図面をごらんになっても、六間半になっております。そうして、何回も申しますように、四間半というのは、どんなに順調なときといえども充填の直前は四間半でございまして、六間半と申しますのは、ちょう一回分の充填、つまり二間充填でございますから——一間充填をいたしますというと、この囲いを破ってやれませんから、一間充填をいたします。つまり一回分の充填がおくれたわけであります。従いましてそういう一回分の充填がおくれても、結果から申しますというと、採炭を中止する方がいいかもしれませんけれども、これはあそこの保安、つまり坑長である保安管理者、課長である副保安管理者、副長、主任、係員というようなところが十分話し合いをしておりまして、これはここでわかっておりますが、十分話し合いをやって、落盤については空木積みをして安心にやっていける、ここに充填囲いを十分にやってやれ、そうしてやったならばスイッチ位置はもちろん安全だ、ガスに対しては間違いない、落盤に対しても間違いないという自信でやっております。なお、十五日の充填、この十五日にやるべくして爆発のためにやらなかった十五日の充填が万一できなかった場合は採炭を中止しろという命令を出しております。つまり私どもは、あの姿ではガスに対しましても落盤に対しても危険ないという考え方でやらせたのでございまして、もしもこの十五日に充填ができなかった場合には採炭を中止しろという命令を出しております。その証拠には、ここにたくさんのマイトの穴を掘っております。そうしてこれにはマイトの装填をいたしております。しかるにこのハッパをいたしておりません。ただ生産だけを考えまするならば、おそらくせっかくここに穴を掘り火薬を装填しておりますから、ハッパしておったでありましょうけれども、万一この日の充填ができないときには採炭を中止するからという考え方でこれのハッパをやらせておりません。これは現在でもマイトはここに装填したまま残っております。私は、決して生産だけを考えてガスに対してもやりっぱなしのことをやったとは毛頭考えておりません。
  63. 片岡文重

    ○片岡文重君 先ほどのお話を伺っておると、特に横田さんのお話を伺っておると、エア扇風機を電動に変えたのは、有吉という係員が、エア扇風機では毎方ごとに一ないし二時間くらいの停止をするということもあるし、ガスも比較的多く発生するというので、それらの危険を考慮してあえて電動扇風機に変えたと、こういうことを言っておられますね。ということは、結局、爆発後の実験というものは、設定された条件のもとに人為的に作られた条件のもとで人為的な実験をするわけです。しかし自然に発生する状況がその事故のあった後に、言うなれば、完全にその事故前の状態が払拭されてきれいになったあとに設定された条件のもとで人為的に行われた実験で、果してその事件以前の自然発生のもとに発生した事態を測定することが百パーセント可能なのかどうか。それから、そういう状態であったとすれば、つまりエア扇風機だけでは不満足であったという従来からの状態であったとすれば、その局部扇風機の予備品等は、当然私はそこに準備されておらなければならなかったと思うのですが、あなたの生産オンリーではなく、防災の点についても十分考えておられたという御説明は、私はすなおに受け取ります。そういうお考えで平素指導しておられたとするならば、当然こういう場所における扇風機電気用品の使用については万全を期しておらるべきである。たまたまガスが〇・五%内外のもので爆発は絶対にないという確信の上にあったから、予備品も持たず、またそこで修理も行なったというお考えでしょうけれども、現に事故は起っているのだから、今までの試験なり実験なりでは、必ずしも百パーセントの成果をあげておらないということが私は立証されておると思うのです。従ってそういう点について、会社側はこの事故にかんがみてどういうふうにお考えになっておられるか。それから今後こういう場合に、やはり電動扇風機をつけるような場合には、予備品なしで現場修理をさせるおつもりなのかどうか、この点についての杵島さんのお考えを伺いたいと同時に、小岩井局長ですか、先ほどこの点について山本委員の一体監督官庁としてこの点はどういうふうにお考えになっておられるか。この事故の起った原因等については、特にスイッチ関係についての質問に対しては、答弁の限りではないというようなお話であったが、一体監督官庁としてこういう事故が起った後に、しかも必ずそれがそうだということは、われわれしろうととして判断できないまでも、少くともこのスイッチの所在が、この事故の一つの大きな関係を狩っていると思われる。それらについて監督官庁として答弁ができないというのは、一体どういう理由で答弁ができないのか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。以上二点。
  64. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 御説明いたします。ただいまの御質問の内容は、爆発は自然発生的に起ったのである、いろいろな条件が偶然に一致して起ったのである、しかるにその爆発あとで人為的ないろいろな実験で百パーセントの判断をすることができるかという御質問であったかと思います。
  65. 片岡文重

    ○片岡文重君 ちょっと発言中ですが、質問の要旨をのみ込んでおられないようですから……。事故が自然発生的に起ったというのではないのです。つまり事故の起る以前の状態が自然発生的に出てきておるわけです。その自然発生的な条件のもとに人為的な措置によって事故が起ったのかもしれない。事故の起った原因は、従って私は自然発生的とはいわない。事故の起る前の状態というものは人為的ではなしに、自然発生的に作られた状態の中で、スイッチの操作あるいはそれの運転等の中で、炭塵によるスパークか何かで起ったかもしれない。だから事故の発生が自然発生的だとは考えておりません。
  66. 杵島廉

    参考人杵島廉君) わかりました。ただいまおっしゃった通りのことにお答えいたします。この事故が起りましたのは十六日の午前五時五十分ごろであります。その後試験を引き続き、すぐやりましたのは……、ちょっと時間はあとで調べますが、引き続いてその日にやっておりまして時間はかかっておりません。しこうして、ここの条件として考えられますことは、二百十立方メートルの親風を通すという姿、これはそのまま変っておりません。それからこの中から出てくるであろうガスの泄出状況、これは何時間かの後に変るとは考えられません。これも同じと考えてよろしいのでございます。一カ月も二カ月もたった後ならば別としまして、何時間かの後ならばこれから出てくるガス量は変らないと考えられます。それから局部扇風機のとまった時間も大体一時間半と想定をして、一時間半この扇風機をとめております。そういう姿におきまして、ただ異なりますのはおそらくこれは電気扇風機をちょこちょこと逆転したのだろうと思いますけれども、爆発あとでは電気扇風機、ではなくエアファン、空気扇風機を逆転しております。それだけの違いでありますが、電気扇風機と空気扇風機では電気扇風機の方がキャパシティが多いのですから、最前申し上げましたように、コンディションとしましては同じ。しかもこれからちょこちょこと風を送る量はむしろ少く送って実験したのでございますから、これはその結果は前の状態と比べてきびしくはあっても決して楽ではなかった、その条件から判断することはまず間違いなかろうと信じます。  次にこういう場合にはスペアを置かなければならないのじゃないかという御意見でございますが、最前から申し上げましたようにこのスイッチのスペアはこの位置に設備いたしておりました。従いまして今後といえどもこういう切羽スイッチ類は予備を置くことにいたしております。
  67. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私の方の質問は、開閉機の位置に対しては私から御返事できないという点はどうしたわけかということのようでありますが、常時一%のガス量以内の個所であれば規則上の差しつかえはない。しかしできる限り入気側の方が好ましいということも事実であります。しかしその範囲内におきましては保安管理者あるいは係員、それぞれの責任者の裁量におまかせしておるわけであります。従って私がここで現在設置されておりました開閉機の位置が不適当であるとか、どこがいいとかいうことは的確にちょっとお答えしにくいということをお答えしたわけでございます。
  68. 片岡文重

    ○片岡文重君 杵島さん、事故がスイッチで起ったというふうに断定をされておられるならば、私は今の御答弁でもけっこうだと思うのですが、かりにスイッチでこの事故が起ったとしても、局部扇風機停止をしておった原因についての究明は当然なさるべきですね。私の今伺っておるのは、先ほどのあなたの御説明で、この事故はスイッチの操作で起ったものとどうも思っておられるような御説明であるけれども、それの断定はしておられない。しかも最初に発見したのは、局部扇風機停止しておったことを発見してこれに対する操作からといいますか、それから行動を係員が起して、それについての御説明がなされておる。従って私たちの了解することは、まずこの電動扇風機に問題があったのじゃないかということが一つ端的に、第一に考えられる。だからもし局部扇風機故障があったとするならば、それでしかも僕らしろうとでどうも不可解なのは、スイッチを入れっぱなしで修理をしたようだけれども、ここに一つ問題があるように思われる。それが一つ局部扇風機スイッチを入れたままで現場で修理をしておる。こういうことはだれが考えても危険だと思われるけれども、今後もこういう操作をお続けになるおつもりか。つまり今後とも電動扇風機だけでなしに、電気施設の故障等については、依然としてこういう爆発の危険があるというようような現場でなお今後もお続けになるおつもりなのか。将来はそういうことでなしに予備品を置くなり、あるいはこれを取りはずして、他のエア扇風機にかえるなり何なり、適切な措置をとって場外なり安全な場所に運び出して修理して、防災の措置を万全にとられるおつもりなのかどうか、こういうことを私はお尋ねしておる。しかしあなたは今スイッチに確かに原因があり、スイッチのためにこの事故が起ったのだと断定されるならば、その点もあわせてお聞きしておきたいと思う。
  69. 杵島廉

    参考人杵島廉君) この事故がスイッチであるという断定云々は、私どもの立場としては申し上げる段階でないということを一番当初に申し上げております。しかし会社側のこれに対する見解はどうかと、つまりスイッチの所にはガスは〇・五ないし〇・六であったにもかかわらず、どうしてそこにガスがきたのか、生まれたのかというような御質問がございましたから、私は流動してきたんだと申し上げたのでございます。従いまして、スイッチがその原因なりと私はここで断言を申し上げる段階でないというのは当初申し上げた通りでございます。  なお予備品を置くということは、再三申し上げますように、その時もやっておりますし今後ともやっています。また一つ電気を入れたままそういう修理を今後させるかという御質問でございますが、これは従来からそういうことはしてはならない、もちろん保安規則にもございますし、これは電気工事の第一課でございまして、このことにつきましては繰り返し繰り返し教育をいたしております。  なお、そういう電工は有資格者でございまして、有資格者になるためには特別なる教育をなしております。記録がございますが、この場合は六坑というところから移ってきた方でありましたが、六坑では八時間の教育を三回、ちょっとこの数字はあとで訂正してそこにありますけれども、そういう教育をして、しかも試験をして優秀な成績で通っておりますが、新坑に移りましてからもずっといろいろ教育をいたしております。特に十一月の十三日、電気扇風機に取りかえるときにおきましては、西鶴という保安電気係員が、ここに扇風機を据えるから、試運転をするときには必ず保安係員の立ち会いを受けてくれというところまで、直前に注意をいたしております。  なお、私どもは電気を切らずに仕事をするということを活線作業と申しておりますが、今後とも活線作業は絶対やらせない。こう考えております。  なおちょっとお話が出ましたが、しからば電気を切ったならば、どこででもあけていいかというようなことに聞えるかもしれませんけれども、これはおのずから坑内の中では、たとえば特免区域というような特別な区域もございまして、こういう所では当然あけてもよろしゅうございますし、入気側では、また電気を切ってさえおくならば、あけてもよろしいのであります。特に危いと思われる所ではあけさせませんが、そこは保安管理者が十分判断いたしまして、電気を切って中を点検するということは安全な箇所ではやり得る、やらせるということを申し添えておきます。
  70. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 質問者の方にも参考人の方にもお願いいたしますが、相当時間も経過しております。次の議題もありますし、次の参考人も控室で待っておりますので、簡潔に御質問、御答弁をお願いいたします。
  71. 片岡文重

    ○片岡文重君 今杵島さんの御答弁の中に、扇風機に対する予備品は備えてあったというふうに御説明があったように伺いましたが、先ほどの横田さんのお話では、現場修理をやったことであるし、予備品はなかったのだ、そういうことはけしからぬではないかという言葉まで、そういう意味のお言葉があったように思うのですが、そうするとこれはだいぶ食い違いがあるようですが、横田さんの先ほどの御説明では、予備品はなかったというふうにおっしゃったように私は聞いたのですが、その通り伺ってよろしいですか。  杵島さんに伺いますが、そうすると、横田さんは予備品はなかったとおっしゃっておられるのですが、杵島さんはやはりただいま御説明の通りに予備品は備えておったというふうにおっしゃってそのままでよろしいですか。
  72. 杵島廉

    参考人杵島廉君) お答えします。ぜひそのままでやっていただきたいと思います。と申しますことは、予備品をここにその前に持って来たこの区域電工は四人おります。この電工諸君がそれに対して証人に立ってくれると信じます。
  73. 片岡文重

    ○片岡文重君 私の言っているのは、電動扇風機の予備品を備えておくべきではないかと聞いているのです。スイッチではないのです。
  74. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 私はスイッチかと思っておりました。電動機の予備を置くということにつきましては、これはいろいろな点で検討を要する点もございまして、私の今の見解ではそういうことは必要はないのじゃないか、保安上から考えましても。それは言い方が悪かったかもしれませんが、これは十分検討を要すべきことでありまして、電動機の予備品を近くに置いておくということは会社はただいまのところ考えておりません。スイッチのことを申し上げております。
  75. 山本經勝

    ○山本經勝君 杵島さんに最後にお伺いしておきたいのですが、この御説明になった図面で見てもわかりますように、払いが非常に、片風道と払い面との角度が鋭角をなして、ガス停滞する条件を自然に作っている、こういう状態が好ましいものではないということを先ほどおっしゃった。あるいはまたその戻り面では充填がおくれて、まあ、六間半といたしましょう、それにいたしましても二間という一日の日程が抜けておりますから、勢いそれが広過ぎている。これもいい方法である、これでけっこうであるというお考えではないように承わる。それからさらにかてて加えて、肩に置かれた局部扇風機スイッチがこれまた理想的な地位にあったというふうにはおっしゃっていない。そうしますと結果からみますと、ガス爆発をして、そうして十二名の罹災者を出しこのうち九名がすでに殉職をする、こういう事実からみますと、こういう作業環境は少くとも改善されていかなければならぬ。事故を起すということは、生産の能率が若干上昇しておっても、一つの事故で企業が莫大な被害をこうむるということは私どももよく存じている。でありますから当然所長、あるいは次長さんといわれる重要な企業の地位におられる限り、こういう状態が好ましくないということについては十分御承知だと思う。そうしますとそういう状態を改善して、安全でしかも能率の上る条件を作り出していく、ということが必要かと考えますが、こういう点についてかいつまんで簡単にお答え願っておきたい。
  76. 杵島廉

    参考人杵島廉君) そのことにつきましては、こういう事故を再び起さないにはどうするかということにつきまして、技術的にも、その他労働組合しとも腹打ち割って話し合いまして対策を作っております。この対策は今おっしゃいましたようなことに触れておりますが、御説明が長くなりますが、私ども労働組合とほんとうに話し合って、同じ目的で話し合ったことをさっそく守っていき、また事実今日まででもいろいろの点は実行いたしております。時間がございましたら、そのことについて評しく御説明申し上げたいと思います。
  77. 山本經勝

    ○山本經勝君 小岩井局長に伺いたいのですが、ただいま申し上げた点は、私どもいつもこの委員会で炭鉱労働者の災害について強調して参ったことでありますが、ところがその予防対策が強力に推進されない裏には、監督行政が不徹底であるということがいつも非難をされ、あるいは指摘されておる。この今度の問題についてみましても、一応基本的には、たとえば二百十立方メートルの通気量があったとか、あるいは片羽におけるガス検定の結果零点何がしかであって、爆発の危険はなかったと言われますけれども、たまたま作業の工程の中で修繕がおくれ、払い面が非常に不調整な状態になり、そうした条件の上に、かてて加えて電動機の事故があった、あるいはスイッチ故障があったということが災害を起している。でありますと、これは現地に対する十分な監督官の派遣によって十分監督指導をしていたはずであった。ところが、こういう払いがいい状態でないということは局長も認めておられる。そうすると、もっと強力なる保安監督行政をやっていくということにならなければ、おそらくこの災害の予防という基本的な対策にはなってこないと思うのです。そこで、特に会社側もすでにその欠点を認められておる。従って局部扇風機を設置したりして、払い面における通気の改善を努力したあとも見られる。でありますが、しかもそれに対する直接のいわゆる監督指導というのは一体どういう方法をもってやられたのか。この払いに関して、あるいはこの新菅牟田坑について現場を検査されたのは十月の中ばごろのように聞いている。その当時の状態災害の起った当時の状態とを比べて、あるいはそれの状況が変化がなかったとかりに仮定するならば、それに対する直接の指導がなされていなければならない。この前の委員会でもこの点伺ったのです。結局局長のお話はあいまいもこたるものであった。そういう点についてはっきりと御解明を願って今後の対策なり、あるいは事故防止に対する必要な指導監督をどうやる、という所信のほどを一つ伺っておかなければならぬと思う。
  78. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいまの大之浦炭坑災害に対しまする私どもの監督につきましては、決して十分だとは考えておりません。たびたび申し上げておりまするけれども、予算その他の関係がありまして、なかなか、重点主義はとっておりますけれども、十二分に巡回ができ得ない。大之浦の場合におきましても、この検査に直接関係のあります曲線スイッチ、これらは私どもの監督が巡回に行きます後に状況が変っておりまして、当時の状況とは多少払いの状況が違うようでありまして、この災害に対しましても直接関連のある注意はいたしておりません。ただ炭塵が多いからこれを十分に取り去るようにという注意のほか二、三ございますが、直接この災害に関連のあるような指示はいたしておりませんでした。もちろん状況が多少違うと思いますが、私どもの監督下におきましても、なかなか十分にはいたしかねておることは承知いたしております。今後一そう監督を十分に督励いたしまして、でき得る限り、さらに一そう最重点主義をとりまして、重要と思われる炭坑に集中して監督を厳にいたしたい、かように考えております。
  79. 山本經勝

    ○山本經勝君 これはこの問題ではないのですが、北海道で一昨年から昨年にかけて重大なる災害が起っている。その際に私どもこの委員会で局長に対して強く要望した点は、少くとも監督行政がどういうふうにとられているかということについて疑問を持っている、率直に申し上げて。それはいわゆる監督官が現地に派遣されて坑内を検査する。そういう場合に会社には連絡がむろんあって、あらかじめ相談をしていかれるようであるけれども、労働組合側は何らの連絡を受けていない。そういうことのために、むろん保安を確保するという基本的な考え方は、経営者あるいは保安管理者、これに従事する労働者との間の一致した協力以外にないと思います。そうしますと保安監督官が現地に着いてそうしていろいろ実情を調査したり、探坑したり注意したりあるいは改善を要求したりするのですが、この際の事柄は組合員が従業員としてその職場に働いておられる、それにも同時に知らせておかなければ一向にその実効が上らないという実態であると思う。今の両参考人のお話を伺っていてもそうです。組合側の横田参考人のお話と経営者の杵島次長さんのお話には食い違いがある。しかしながら、そういうことが、たとえば現地に派遣された監督官がもし保安に関してこういう点が必要であるということで、その事柄について双方に連絡を十分とって話し合う機会を与えるならば、あるいは労働者の意見も聞くなりして万全の方法を講ずる、という積極的な予防対策を講じてもらわぬことには、炭鉱労働者は年々歳々重大な災害をこうむる順序という憂目にさらされていく。局長も御存じだと思うのですが、いつも局長災害は逐次減少の方向にあるというのでたかをくくっておられる。ところが本年などはすでに昨年の実態をオーバーして、死者、殉職者といわれるものは少くとも二十人近く多くなっておる。こういうような実情を考えるときには、私は監督行政を強化して、さらに現地においては特に保安管理者が、生産一本槍でなくて、やはり保安を前提とした生産を考えていくようなやり方に変えていかなければならぬ。それはどうしても保安監督行政の強化がまず先決問題になってくる。災害が起って死んで、そうしてその死んだ人をどうこういってもしょうがないし、またその人たちは償われる方法がない、こういう状態だと思うのです。そういうことで一つはっきりした局長の所信を伺いたい。
  80. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 監督員が巡回に参りましたときに、現地の組合の方々にも十分連絡をとってやるようにというお話でございますが、この問題につきましては、すでに前大臣、組合の代表者との間にお話し合いがございまして、その点は私どもその当時のお話の内容を監督部長あてに鉱秘で伝えてございます。一応監督官が現場に参ります日にちは、巡回監督表のようなもので一般の工員の方々にもわかるように、掲示をするように監督部長に伝えてございます。それから司法警察その他特別の事態で、非常に一緒に回りますことが困難な場合のほかは、鉱業権者の了解があれば監督官と一緒に参りますことは、少しも差しつかえないという趣旨のことを流してございます。これらの点につきましては、今後一そう組合の関係と連絡をとりまして、さらに一そう保安の向上に進みたい、かように考えております。
  81. 山本經勝

    ○山本經勝君 これは局長の今のお話、非常に実際と違うと思う。局長の方は逆に、労働組合に連絡等する必要はないという通牒を流しておられるでしょう。はっきりしていただきたい。そういう、この前のこの委員会で問題になった際に、しかるべき措置を講じましょうということであったが、ところが実際は反対に労働組合に、監督官が現地に行って状況を聞いたり、あるいはまた必要であれば一緒に回って実情を話し合う、こういうようなことをする必要はないということを通牒で出されておると伺っている。どちらがほんとうですか。
  82. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいま私が御説明申し上げましたように、司法警察その他の困難な場合を除くほか、鉱業権者の了解があればいつでも監督官と一緒に回ることは差しつかえないと、さらに監督官が参りました日にちは、十分に巡回監督表のようなもので明らかに、何日から何日までどういう目的で来るということを掲示するというふうに指導されております。
  83. 山本經勝

    ○山本經勝君 通牒を出されたのはいつですか。
  84. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 昭和三十一年一月十七日でございます。
  85. 山本經勝

    ○山本經勝君 その内容を一つプリントにしていただきたいのですが、私はその前に、問題は局長がここでお話になることと実際に文書で通牒されたことが大きく食い違っておるということが指摘されている。そうするとその違っているということは、たとえば一応掲示をするということで足りるとお考えになっておる、あるいは鉱業権者が了解をするなれば共に回ってもいい、私はそういうことじゃないと思う。今度の起きた死亡事故、この問題だけではない。たとえば東中鶴における古洞に触れて出水をした、この問題でも同様なんです。やはりそこに働いておる労働者は事前から大体の状況を知っておる。だからそれについてたとえばいつも局長に質問をすると、それを文書であるいは投書をしてもらえばいいと言われたりしますが、実際に毎日働いている職場の実情から、変化する状況について敏感に知っている。そうしますと、そうした者の話を聞かずに保安監督行政がうまく万全にいくとは考えられない。昔は保安監督官が山に行くと、まず会社の寮か場合によったら料亭にいざなわされて、そうして酒を飲んで適当な報告書を書いて持ってきたというようなことさえあったと言われておりますが、私は今はそういうことはないと思う。またあってはならぬ。そこでそういう実情である限り、そこに命を張って、あるいはからだを張って働いている労働者の訴えを聞かずに、保安監督行政が円滑に推進されるとは考えられないのである。その点を私は強調しているのであって、今の局長の言われるように掲示板に掲示をする、あるいは鉱業権者が了解をすれば見せてもいい、こういうような単純なものではないと思う。それで私はあとで伺いたいのですが、基準局長もおいでになりますから、特に基準局で勧告権を持っている。勧告権を持っているとすれば、坑内の実情を見なければ勧告できませんよ。あるいは労働大臣が通商産業大臣に対して勧告権を持っておりますが、この勧告にしても実情を把握せずに何のいわゆる保安対策、あるいは災害予防の対策か、こう申し上げたい。ですから、そうなりますと、たとえば保安監督行政を強力に有効に推進しようとすれば、鉱業権者がこばんでも、ということを申し上げることは妥当でないかもわかりませんが、少くともこばみたいような実情であるなれば、なおさら私は見る必要があると思う。そうすれば組合の生産担当者あるいは保安担当者もおるのですから、それらの人を同道して監督官が現場を見てこういう監督、ああいう監督ということを一応出して、そうしてそれに対する適切な意見を聞いて有効な対策をする、というぐらいに積極的な措置が講ぜられぬ限り、炭坑の災害というのは私は減少するどころではなくますますふえていく、こういうふうにしか判断できないのですが、局長の重ねて所信のほどを伺いたい。
  86. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 現在の内容につきましては先ほど申し上げた通りでございますが、本問題、かなりむずかしい点もございますので、私どもの方で至急考慮してみたいと、かように考えております。
  87. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 官庁に対する御質問は午後に続行いたしますけれども、参考人に対する質問は午後はやれませんから、中鶴炭鉱あるいは籾井炭鉱の問題は、まだ質問が残っております。だから当然午後も来てもらいますので、官庁に対する御質問あるいは御要望は午後に回していただきたい。そうして参考人から十分お聞き願って、せっかく九州からおいで願ったのでございますから、一つそういうふうに質問をしぼっていただきたい。時間もすでに二時になっております。次の約束は一時の方がすでに遠い所から繁忙の中をおいで下さって、次の間に控えておられますので、またそれに関係の方々もたくさん来ておられますので、議事の進行には一つ御協力を願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  88. 山本經勝

    ○山本經勝君 大体参考人の皆さんに対する御質問は尽きたように思います。
  89. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それでは私から一言だけ参考人にお尋ね申し上げたいと思います。  はるばる御多忙のところを御出頭お願い申し上げたのでございますが、ガス爆発については、御承知のごとく数十人の人が一挙に生命を奪われておりまして、現在まで数回本委員会でもこの原因を探究して参りましたが、関係者の方がすでにその犠牲者である場合が非常に多くて、その原因をつかむことができなかったのでございます。法の不備があるのかあるいは会社の行き方にまずいところがあるのか、あるいは直接作業をしておる方々に手落ちがあったのか、私どもは炭鉱の災害を考える場合に、ガスの問題については非常な注意を払っているのでございますが、きょうお聞きしましても、ここが原因であってこれを除去するならば、今後は非常に減少するであろうということが、どうしてもつかみにくかったような気がいたすわけでございます。そこで再三御答弁願いましたけれども、一つだけ御質問申し上げたいと思いますのは、スイッチが中心になって質疑応答がかわされたのでございますが、官庁側から聞いた場合も、一%以下の場合にはスイッチを据えることは違法ではない、しかも〇・五%の場所にスイッチは据えてあって、〇・五%であったならば、スイッチから火花が出ても爆発するということはあり得ない、こういうことを言われております。また杵島参考人の御意見を拝聴いたしましても、これは親扇風機が回っている限り〇・五%の以下のガス量であるはずである。しかもたとえ局部扇風機がとまって、ガスの湧出量があったにしても、一カ月もとまればいざ知らず、この湧出量は変りないんだ、こういうことを言われておる。そうするならば、どこでガス爆発したかこういうことにならざるを得ないと思います。ところがたまたまその直後に扇風機をとめてガスを検定された、ところがスイッチ付近で三・五あった、こういうことをお言いになった、こういうふうに聞いたと思うのです。そういたしますと、三・五あったというのが私の聞き違いでなかったならば、親扇風機までとめて計られて三・五になっておったというならわかりますけれども、局部扇風機がとまった場合でも、親扇風機だけで二百十立方メートルです、それだけの風が流れておってそういうガス停滞はないのだ、こういうことで官庁も許可されておると私は拝聴したわけでございますが、その点簡単に一つお教えを願いたいと、かように思います。
  90. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 非常に大事なところでありますから、御説明申し上げます。三・五%と申しますのは、局部扇風機を一時間半とめてガスをためた後に、今度はエア扇風機を吹かせて、その濃厚なガスをピストンのような形でずっと押してやった、そのときがスイッチの所で三・五になったということであります。たまたまたまっているガスをうちわのような格好で押し出して、それがスイッチ座の所に行って三回五%になった、実験の結果三・五%になったわけであります。もし電気扇風機を動かしておったならば、おそらくまだ爆発限界の程度までのガスを送ったであろうと思います。
  91. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) もう一つお尋ねいたしますが、その場合に親扇風機は当然二百十立方メートルで風は吹いていたと思いますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  92. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 間違いございません。
  93. 阿具根登

  94. 横田肇

    参考人横田肇君) ガス爆発いたしまして、そこにばら綱が張ってあったわけでありますけれども、あれが燃焼いたしております。で、監督官が入りまして新たに対流状態を調べる際に、新しくばらを張りまして相当周到なばらの張り方をしたというように考えております。従って若干以上の通風状態はよくなっておる。  それから通風門がございます。各所に通風門がございまして通風を調整する。この通風門を通じて通風するわけでありますけれども、この通風門が作業状態の中で短時間と言いましても五、六分程度とかあるいは十分程度とかあるいは一、二分程度とか、あけたりしめたりする状態通常あるわけであります。そういう状態の中でこの試験をやられたときには、この通風門は通常状態にそれぞれあったんではないか、こういうふうに考えておるわけであります。それからエアを使って吹かしたのですが、試験のときにはこのエアは坑外から持ってくるエアであるわけです。従って新しい空気がそのばらへ一応充満するわけです。電動機で参りますと通常流れてくる空気をそのまま吹かす。こういうことでございますのでこのスイッチ附近の三・五というのは、そうい勘定の中で若干低くなっておりますというふうに判断ができます。
  95. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 非常に重要なことをお聞きいたしましたので、小岩井局長にお尋ねいたしますが、小岩井局長は、局部扇風機スイッチを据え付ける場所は、一コンマ以下であった場合にはこれは法規に触れないということでごさいましたが、それは局部扇風機が回っておるときのガス量であるのか、それとも親扇風機で二百十立方メートル風を吹かしているから、その間において安全である、一%以下であるということでお許しになっておるのか。かりにとまった場合に三回五%のガスが充満する所に、扇風機スイッチを許可することはあり得ない。これは法規に違反しておると思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになるのですか。
  96. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私ども申し上げましたのは常時という言葉を使っておるわけであります。常時というのは、主要扇風機が動いております所、あるいは局扇が動いておりまして風が常態、普通の状態になっておる、その場合が一%をこえてはいけない。常時の場合に一%以内であるならば電気関係のものは差しつかえない、かような意味でございます。
  97. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) そういたしますと、会社側スイッチを据えられたその場所は、私は違法になるのじゃないか、かように考えるわけでございます。なぜかなれば、ただいま言われましたように、局部の扇風機がとまった場合、それをエアで吹かした場合に三・五%そこを通った、そうすればその詰めの附近は相当なガスが充満しておるに違いない、こういうふうに考えられるわけです。おそらく申請された場合には、親扇風機で風を通して、通常の場合に一%以下であるということで許可したということをただいま言われておりますが、そうした場合に、局部扇風機がとまった場合には、一%以上のガスがそこへくることは当然わかっておる。そこにスイッチを置かれたということは違法になるのではないか。私はこういうふうに考えるのですが、杵島参考人の方はどういうふうにお考えでしょうか、その点。
  98. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 私はそう考えません。その理由といたしまして、ガスがたまっておりますのは一番大肩の詰めといいますか一番高い所でございます。そこには扇風機はもちろん据えておりません。扇風機の据っております位置は常に親風で洗われている状態の所、たとえ局部扇風機がとまっても常に〇・二乃至〇・三という位置であります。そこに据えているということは違反ではないと考えます。  また、いま一つの御質問。瞬間的に、さいぜん申し上げましたが、ちょこちょこ運転するということに際してガスの濃厚のやつがいくだろうというようなこと、これは常時のことではございません。ごく瞬間的なことでございまして、私はそういう見解から法規の違反ではないと考えます。
  99. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) もう一つお伺いいたしますが、ガス爆発はこれは御専門の参考人の方ですから、釈迦に説法ですが、いつも瞬間の問題でございます。どのガス爆発にいたしましても常時爆発限度のガスがあるということはほとんどございません。瞬間的なことで爆発をいたしております。そういたしますと、仮にあの扇風機スイッチが、もっと違った場所にあったとするならば、スイッチが原因で爆発しているとするならば、それは食いとめられたでしょうか、どうでしょうか、お尋ねいたします。
  100. 杵島廉

    参考人杵島廉君) 私はあすこの据えておりました所は十分安全と考えて、またあとから考えても、しからばそれ以外の安全な所はどこかと今おっしゃいましても、ここだということを即答できかねております。  なお、仮にスイッチカバーをはぐらずに、防爆の検定を通ったそのままの姿であったとしますならば、たとえどんなに瞬間的にガスが多く流れても問題はなかったのじゃないかと思います。私どもはかねて一%以上も常時あるような気流の中に電気品を使おうということは毛頭考えておりません。そういう意味においてスイッチ位置が云々ということもさりながら、ただいますぐ、しからばこの位置だという適当な位置も考えかねるわけでございまして、防爆機器をその姿のまま使うということは、これは何と言いましても今後電気を十分使いこなす、安全に使いこなすという意味において大切なことだと心得ております。
  101. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 私はただいま質問いたしまして、お答えいただきましたけれども、残念ながらどうも私には納得することはできませんけれども、本委員会の職責で、これ以上自分の私見を申し述べることも何かと思いますから、これで私は質問をやめますけれども、私はこういう大きな事故が起った場合に、今後炭鉱のガス爆発というのをなくするために、失礼をかえりみず質問もいたしましたし、おいでも願いましたけれども、それに対してのお答えは、私どもが考えたようなお答えでなくて、何も悪いところはないんだというお答えであったことを、それが当然であるなら当然といたしまして、おなくなりになった九名の方々、あるいは今まで数十名、数百名の人がガス爆発のために死んでおられます。それを私どもはほんとうに心いくまで知ることもできなかったし、あるいはまあ現場も今後見さしていただきたいと思っておりますが、一つ御協力願いまして、今後かかる事故のないように一つ御協力を切にお願いいたします。  なお局長に、先ほど山本委員からくどく御要望があっておりましたことた十分一つお守り願いたい、かように思います。非常に時間が過ぎましたので、一応貝島の問題はこのくらいにいたしまして、その他の問題は午後に譲りたいと思いますが、いかがでございましょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   それでは午後は三十分後に開かしていただきます。  休憩いたします。     午後二時二十一分休憩      —————・—————     午後三時十九分開会
  103. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 再開いたします。  神田青果市場組合労働賃金未払問題に関する件を議題といたします。  本日は、本件調査上の参考に資するため、参考人の御出席を願って意見を拝聴することになっております。参考人には忙しいところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。これから御意見発表を願うのでありますが、時間の関係もございますので、一応労働賃金等の未払いの実情及び対策等についての御意見発表を願い、次に各委員の質問にお答え願うことにいたしたいと存じます。どうぞよろしく願います。  なお、本日御出席を依頼しておきました東京都副知事佐藤基君は東京都市計画委員会の会議を主宰するため、当委員会への出席はいたしかねるとのことでございますから御報告いたします。  東京ト中央卸売市場長飯田逸次郎君からお願いいたします。
  104. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 今度の神田市場におきます丸東の業務の取り消しに伴いましてその善後処置につきまして本委員会の皆さん方にまでかような御心配をおかけするようなことになりましたことにつきまして開設者の当の責任者といたしましてまことに申しわけなく存じておる次第でございます。すでにこの二十日の日の本委員会において、農林省の渡部局長さんから御説明があったかと思いまするが、東京都の神田市場におきまする卸売人である丸東神田青果株引会社が経営不振によりましてついに債権の未払いを生じ、荷主に対する未払い等を生じましたような関係から、東京都といたしましては業務規程によりまして、七月の三十一日付をもって一月の営業停止を命じ、その間再建の方策を命じておいたのでありまするが、遺憾ながらその間に再建の方策もつかない関係から、さらにその後二十日間の営業停止の延期をいたしましたけれども依然として目鼻がつかぬというような関係で、ついに九月の二十日に至りまして農林大臣から営業の取り消しを受けたわけでございまするが、この丸東には従業員として百四十八名の方がおられたのでありまするが、その方が営業の取り消しの関係から九月の二十二日付をもって解雇をせられた。それでその給料及び会社の内規による退職手当と合せまして約千五百余万円が未払いという形になっておることはまことに遺憾に存ずるのであります。その後の職員の方の就職状況は、あるいは渡部局長から御説明があったかと思いますが、おかげさまで業界の非常な御理解と御協力によりまして百四十八名の方のうち百三十八名の方がすでに就職を決定せられたというような状況になっておりますることはわれわれも非常に喜んでおるのであります。この従業員の方々の未払い給料と、それから退職手当につきましてもこのまま会社が倒産をしたということでそのまま放置していくことはいろいろの点においてよろしくありません。従ってわれわれもできるだけこの線に沿って御協力を申し上げたいというのでこれは丸東の債務のうち中央卸売市場の将来の信用保全及び流通改善に必要な債権に対しましては何らかの方法において措置をしなければならぬというようなことから、神田におきまする残存の会社の大手筋の三社、これに協力方を依頼してそしてその協力によってただいま申し上げたような将来の市場信用保持、それから流通改善、まあ社会政策的な面、そういうような点を考慮しなければならぬ。再建に対して若干の手当をとっていきたい。かように考えまして、農林御当局の御指導と御協力を得まして、その後残存三社と折衝をいたしておるのでございます。そして目途につきましては、農林省の局長さんからお話があったかと思いますが、やはり残存の会社のいわゆる能力といいますか、残存会社の財政ということを考慮に入れつつ、しかも残存会社が丸東の取り消しに伴う、いわゆるまあ反射的利益といいますか、そういうようなものを得る、それに応じて協力をさせたいということで、今まで折衝を続けて参りました。それが大体われわれの考え方としては、総額一億を残存会社が一応何らかの方法によって按分をいたしまして、協力を願う。その一億によって丸東のいわゆる債務のうち信用保全、それから将来の流通改善、それから社会政策的に放置できないもの、そういうようなものにつきまして、何らかの手当をしていきたい。こういうようなことでいたしておるのでありますが、農林水産委員会におきましても御説明申し上げましたが、非常にその間こちらからはお願いをするようでありまして、なかなか折衝にひまどりました。今もって最後的なはっきりした結論を御報告申し上げる段階にまで、まだ至っておりませんけれども、大体われわれは折衝の過程においてはまあ峠を越したのではないか。近くわれわれの期待する協力方が、三社によって承認されるであろうことを、深く期待をいたしておるわけでございます。それができますればその範囲内において、従業員の方々の未払い給料、退職手当等に対するものについても、若干の措置を講ずるようにいたしていきたい、かように考えておるのでありますが、これはあくまで残存の会社は協力という考え方でありまして、丸東の債務を肩がわりするという観念ではないのであります。従いましてこの一億というものにつきましても、その支出の名目は債権債務の肩がわりということでなくって、やはり見舞金という形にいたさざるを得ないのでありますが、そういうような形において何らかの措置を講じていきたい。かように目下努力中であります。  特に年末を控えましてこれが最終的な段階にいってある程度の手当というようなものが支給が困難にしても、何らかの方法で一時的な融資というようなことも最後にはやはり考えていきたいので、目下せっかく努力中でありまするので御了承をいただきたいと存じます。  非常に簡単でありまするが丸東の処理の経過と、われわれの考えております、そして目下折衝いたしておりまする内容について御報告を申し上げ、御了解をいただきたいと存じます。
  105. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうも御苦労さまでございました。  それでは質疑を願います。なお、農林省側から農林経済局長渡部伍良君が出席されております。
  106. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 飯田さんにお尋ねしたいのですが、この前の二十日の委員会におきまして、農林省の局長からいろいろとその実態についてはお聞きしたわけです。ところが、問題になってきますのは、今も飯田さんが指摘されましたように、千五百万円の賃金の未払い、要するに九月分賃金と、それから解雇予告手当、それから退職金、こうなるわけです。ちらちらとこの前の委員会でどうも残存会社からとるというか、一億円の金で賃金そのものについて、未払いの労賃そのものについて、割引云々という言葉が出てくる。私たちとしてもどうもふに落ちない、あらゆるものに優先して賃金の保障というものがされてこそ、私は通常な建前だと思うのにかかわらず、そういうようなものが出てくる。だから、今も少しお話に出てきたんですが、最終的には見舞金という格好で云々ということがあって、何かこの前の委員会と同じような雰囲気が飯田さんの口から出たんですよ。私たちは何といっても労働者の賃金というのは基準法にも明確になっておりますように、あらゆるものに優先をして払う。年末を控えておるから何といたしましも、さしあたりどのような名目であろうと一億円という金、一億円が妥当であるかどうかというところにも私は議論があると思います。残存会社がやはり市場のスケールの中で利益を受ける、でありますけれども、いずれはともかくといたしましても、この整理をされるのには二十六年以後いろいろな問題があったけれども、今日まで監督官庁である農林省と東京都が見てこられた。だがらそういう意味におきまして、私はやはり責任の立場におられる方がこの会社の整理をされるときには、私はやはり責任をもってこの労賃の問題は整理をしてもらいたいということを強く申し上げた。この前の農林省の局長のお話では、大体この次のときまでには努力をいたしますというお話もあったんです。だから、そのお話も聞こうと思っているのですが、まずその前に飯田さんにどういうお考えでこの処理を、年末も差し迫っておりますけれども、労賃の問題をお考えになっておるか、具体的なお話をお聞きしたい。
  107. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) われわれの開設しております市場において、また日ごろわれわれが監督いたしている会社の倒産によってかような御迷惑をおかけしたということについては、われわれも非常に責任を感じておるのでありまして、その点では何とかしてその善後措置について、あとう限りの努力を払っていきたいということで、営業の取り消し以後及ばずながら努力をいたしておるのでありますが、遺憾ながらまだ御期待に沿うような結論を最終段階においてまあ得られていないことを申しわけなく存じておるのでありますが、従業員の方につきましても社会政策的な見地からも、やはりこの際倒産をしたということで、そのままに放置しておくわけにはならんというようなことから、何とかして未払い給料、退職手当等については何らかの措置を講じていきたいということで、努力をいたしておりますが、先ほども申し上げましたように、これはあくまで債権債務の肩がわりというような考え方では今度の問題が処理できないような立場にあり、どうしてもそれを残存の会社に協力をしていただいて、それによって処置をするというような関係から、おのずからそこに協力をいただくものに限度が出てきて参っておるのでありますが、それが先ほども申し上げましたように、われわれは向うさんの方の財政能力というようなことと、それから利益の限度というような点等を考慮いたしましてまあ一億という線を出して、その線によって折衝をいたしておるようなわけでありますが、その範囲内において、それぞれ先ほど申し上げましたような産地の未払い金、それから従業員の方々の未払い給料と、それからその他市場の信用、流通改善等、このままに放置しておくことは適当でないものに対して見舞金という形である程度の手当を残していきたい、かように感じておるようなわけであります。従いまして協力を得る限度が、いわゆる債務といいますか、債務に比較して非常に少いわけでありまするので、従ってわれわれとしてもその点について非常に苦慮はいたしておりまするけれども、また債権者の方々におかれましても、その点を御考慮いただきましてわれわれの努力によって、若干でもそういうことをいたしたいというわれわれの努力も一つお買いをいただきたい、かように実は考えて、及ばずながら努力をいたしておるようなわけであります。
  108. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで問題になる経過はまだ私は詳しく述べませんでしたけれども、二回にわたって再建案というものを出して、この再建案をやろうと働いている方その他が努力されたということを聞いておる。そうなると、それに対して監督官庁の立場から取り消しになったのですから、十分に納得いかなかったのかしりませんけれども、ここにもやはり何とか継続していけば労賃の問題が出てくるわけじゃないのですから、ここにも一つ問題がある。だからそういう関連から大胆にお取り消しになったということ。それから今のお話を聞いていると、債権債務の肩がわりでない、こういう工合におっしゃいました。そうすると、この話は一億円の金というものはむしろ都がそれじゃ握って処置をされるわけですか。そこのところをまず最初にお聞きしたい。
  109. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) この処置はどういうふうにするかという御質問でありますが、われわれといたしましては、東京都が直接これを処理するということは本来の建前からいって適当でありません。できれば別に一つの機関を作りましてそれに処理をさせたい。しかしながらそれには実は協力をしようとしておられる残存の一社の方が、われわれだけで別の機関を作って処理するということだけはごめんこうむる。それはわれわれがやはり債権者の矢面に立つことなんで、そういうことはわれわれとしてはごめんこうむる。われわれとしてはあくまでそういう立場に立ちたくない。従って協力するにしてもそれは東京都に対して寄付をしよう。それで東京都の方でしかるべく処置をしてもらいたい、こういうようなことでございまするので、先ほど申し上げましたように、これを東京都で直接処理するということは適当でないと考えまするので、別の機関を作りまして、東京都は残存三社から寄付を受けましたものを歳入歳出予算を通しまして別に作ります機関に交付する。それでその機関の名においてそういうような措置を講ずるようにしていきたい。かように方法としては考えておるのでございます。
  110. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうなってきますと、あとのいろいろの問題はさておきまして、問題の焦点になってくるのは労賃の問題なんです。ここできょう取り上げているのは、労働者の賃金の問題、その他の問題については適当な場所があると思います。この一億円という見舞金で、東京都の主導権によってこの問題を処理しようということに理解してよろしゅうございますね、見舞金ですから。そうなりますと、その労賃の問題というのは、やはりその最重点として置かれ、最優先に扱われるという考え方に立ってよろしゅうございますね。
  111. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 従業員の方の未払い給料につきましても、われわれは十分考慮をしなければならぬことは先ほどから申し上げておりますが、何と申しましても、中央卸売市場といたしましては、やはり中央卸売市場のいわゆる信用保全、それから流通改善、ことに産地への未払いというようなものは、御案内のように、中央卸売市場法による、いわゆる委託販売制度から出てくるものでありまして、そういうような制度からくるものについては、これはどうしても優先的に考えることが、いわゆる今後の市場信用保持の問題、それから流通改善等から当然でありまするので、われわれはそれをまず第一優先に考え、それから賃金等につきましてもその次に考えていきたいと、そのようにわれわれとしては考えおるわけでございます。
  112. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると何ですか 今のお話を聞いていると、何か賃金という問題は、最優先に扱うということは、基準法にもあるがどうか、その通りだとさっきおっしゃった。今度は第二段的に考えるというお考えのようになってくるわけですけれども、市場保全のために云々ということが重要な問題だということをお話になりました。ここで農林省が出された負債の分を見てみましても売買仕切金未払い額、これは現地買付ですね。これが八千三百万円、給料が千五百万円です。その他は個人の借入や銀行の融資ということになっている。どういうことでおやりになろうと、会社の全局というものを、直接じゃなしに、東京都が主導権でおやりになる、そういうやはり今の市場を、今後東京都がやっておいでになるものから考えてくると、一つは買付人の問題でしょう。生産者の問題でしょう。一つは、何といっても東京都も、たくさん働いておられる方がおるわけですが、今日、労働基準法が守られて、それは社会的にも責任を持たなきゃならぬ問題として、やはりこれは重要な問題である。私たちは、あらゆるものに優先して賃金が払われるものだと理解をしております。基準局長の見解も、大体そういう御見解であると思う。そうなってくると、一億円という見舞金一つをここで取り上げてみましても、今あなたのおっしゃった分は、百パーセント払える条件に今あるんじゃないですか。そう思うんですが、どうですか。
  113. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 賃金、それから退職手当の未払いに対して百パーセント払い得ないじゃないかというようなお言葉でありまするが、先ほど申し上げましたように、非常に丸東の債務は多い、五億ばかり実はございます。それに対して、いわゆる資産といいますか、そういうものでございますが、これは、一応名目上は三億近くあるようになっておりますけれども、実際はいろいろの面におきまして、それを、不良資産等を修正したりその他をいたしますと、かなり減ってくるわけであります。そういうような関係でありまして、非常に資産と債務とがアンバランスになっておるわけで、あります。そんな関係から、これが清算段階に入りましても、おそらく十分配分ということが困難であろうことはわかるわけであります。従ってこのまま放置していくことはよくないということで、さしあたりそういうような、先ほど申し上げたような点につきましては、何とか処置をしていくことが必要であるというようなことから、一億円という線によって折衝をいたしておるようなわけでありまして、この一億円によって、相当多額の債務に対して見舞金を出すというようなことになりまするので、われわれとしては、できるだけ、まあ見舞金という名前ではあるけれども、差し上げたいという気持は十分持っておりまするけれども、遺憾ながらやはり限られた一億円という中でそういうような債権に対して手当をしていくことになりまするので、従業員の方々につきましても、おそらくはここで全額ということは保証はいたしかねる状況にあるわけでありまするので、その点を御了承いただきたいと思います。
  114. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私の申し上げておるのは、あらゆるものに優先して賃金をまず支払ってもらうということが一つのお話の中心にしておる。今あたなのおっしゃった生産者への補償、委託販売だから補償するということは、信用度合いの問題であるということのお話がありました。その負債は八千三百万円、従業員の方は千五百万円、一億円の見舞金だったら、それでも金が余る。その他個人の借り入れとか銀行との問題は、資本金が四千万円で、その他の財産、要するに資本を持っておる株主またはそこの会社の幹部、こういう方々は、私はこういう状態になってきたんだから、責任をもってお払いなされたらいいと私は思う。都が主導権をもって清算するというようなら、私はやはり都の立場からいくと、生産人との関係と、どうしても基準法できまっておる貸金の問題というものは、優先的に取り扱われるということにされても、この原資の中ではいけるんじゃないか。また私はこの原資の問題については、いろいろ問題があると思いますが、それに触れなくてもいけるんじゃないかと思いますので、その点についてのお答えを一つお願いいたしたい。あなたのお話をそのまま聞いて、生産人の委託者の分については支払わなければならぬ。この両者を合せても、この一億円という原資でまかなえるじゃないか。そのほかにいろいろ会社の責任、今日までやってきた役員の責任がありましょう。株主にも、その利益を受けていた人たちが、やはり自分の選んだ役員がそういうことをしでかしたんですから、その中には責任がある。だからそこにはやはりこの前の委員会でいろいろ意見も出ましれけれども、そういう責任をもってどうしても処理しなければならぬ問題は、都がやはりそういう形でおいでになっておるんだから、そういう処理の方法があろうかと私は思うんです。そこらの問題について何か御意見を承わりたい。
  115. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) ただいまも御説明を申し上げましたように、非常に債務が多くて、しかもその資産はわずか、従って差引をいたしますと、ほんのわずかより債権者の方々には割り当らないんじゃなかろうかというわれわれ見通しによりまして、そのうち、特に前々から申し上げておりますような債権については、そのまま放置するわけにはいかない。何らかのやはりこの際手当をしていくべきだということで、産地の未払い金、それから従業員の方々の未払い給料及び手当、それからその他神田市場の信用保全上、それからまた将来の青果物の卸売業務の円滑化をはかるために手当をするというようなものが、かなりあるわけであります。そういうものに対しまして、まあ一億という一つの目途といいますか、一億という限度においてそれぞれの手当をいたしていくというような関係から、遺憾ながらそれぞれの方に全額皆いくというようなことは困難であるということをまあ申し上げているようなわけでございます。
  116. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 東京都が、債権債務の肩がわりでないということによってこの問題の処理をしようとおっしゃるわけでしょう。そうでしょう。その一億の額の高い安いは私は今申し上げませんけれども、そうなってくると、生産者の問題と労賃の問題を主体的にお考えになって、その他の信用云々という——抽象的な言葉でよくわかりませんけれども、私はどういうところに負債がたくさんあるということはわかりませんけれども、それは会社の——会社ですから、会社自身が責任を持って処理する、私財提供の問題もあるでしょうし、その他の問題で処理されるというようなことでないと、それまでに五億のやつにまんべんに——肩がわりでないと片一方で言うておいて、それに対してまんべんにその穴埋めをしようという考え方じゃ、ちょっと私は監督官庁である東京都のおやりになるお考えでは少し僕は理解がいきにくいのです。だからお尋ねしているのです。
  117. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) 重ねての御質問でありまするが、都のまあ考え方といたしましては、やはりあくまで中央市場の信用保全、将来に対する信用保全、それから卸売業務の流通改善、それから社会政策的な面を考慮するというような点から、まあいろいろとその見舞金を支出いたします対象についてもそれぞれ限定をいたしていきたい、お説のように、まんべんなくということは、なかなかこれは、わずか一億でございまするのでできませんので、やはりその対象につきましては十分検討いたしまして、ただいま申し上げたような方針に沿うものに限定をいたしていきたい。しかもその限定をいたしましたものにつきましても、相当の多額に上りまするので、一億円では全額それをまかなっていくということはまあ困難な状況にあるわけでございまするが、あくまでわれわれとしては産地の未払い金及び従業員の方々の未払い金に対してはできるだけ考慮をして、他のものとはその考え方を別にいたしまして、できるだけ有利に一つ解決するようにいたしていきたいと、かようにまあ考えております。
  118. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうもその流通云々という言葉がさっぱり——ここに個条書きで出てくる銀行の負債や、個人の負債というところにまで入ると思うのですが、そういうことまで都の主導権でおやりになるときに、見舞金は債権債務の肩がわりでないということまではっきりおっしゃりながら、そういうところまで手を差し伸べるという考え方で、その労働者が働いた賃金、退職積立金の問題まで削減しようというような、私は監督官庁としてのお考えはどうも納得いかないのですね。私はちょっとあとでまたお聞きしますが、農林省の局長にお尋ねしたいのです。私はこの前いろいろ御意見を伺いましたけれども、もう一段やはりその労賃の優先という立場から考え直してみよう、努力してみようとおっしゃっておりましたから、きょうまでにお考えをまとめておいでになったことだと思いますので、ちょっと聞かして下さい。
  119. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 先般の委員会で労働基準局長の御答弁を伺いまして、私の方でもさらに厚生省の方とよく御相談し直したのですが、結局会社に対する労賃の請求権は、これは依然として残っておるわけであるます。従って会社に対しては、この一般先取特権で、共益費用に次ぐ最優先の順位を持っております。しかし先般の委員会で申し上げましたように、会社側に対して幾ら債権があっても、御説明申し上げましたように、年三億以上の負債でありまして、その中に一部不動産がありまして、それは銀行の担保に入っておりますから、いわゆる特別先取特権で取られますから、さかさに振っても出ない。それから生産者に対する仕切金も同様に幾ら会社に請求しても出ない。そこでわれわれがとっておるようなことになったのでございます。すなわちそれは中央卸売市場の開設を農林省が認可をし、その中に入る卸売人は農林大臣が許可する、こういうことになっておりまして、この中の卸売人がそういうふうな状態になって、今後事業を継続していくに当って、適当な資力信用がなくなったのだから、それを取り消す。従って取り消した場合には、その会社はほかに仕事ができませんから、当然解散ということになります。解散の財産に対して各方面の債権は残ります。しかし、それは残っても、四億以上に上る負債に対して、マイナス三億以上の負債、純マイナス資産でありますから、いかんともしようがない。そういうことは卸売市場の信用保持上放置できないから、神田市場の残存有力筋と協議いたしまして、何とか神田市場の信用を保持するために協力すべきじゃないかということで、先般来申し上げました見舞金ということにしておったわけであります。従いまして労賃を労働基準法の趣旨に従って最優先的に支払っていく、これは先ほど飯田場長は仕切金、労賃、こういう順序で申されましたが、これは同順位で、両方とも最優先に考えたいと私は考えております。一、二、三とあります。三はまた余ったものでやってもらったらいいのじゃないか、こういう考え方に立っておるのであります。そういうふうに、見舞金でありますから、直接会社に対する労賃の支払い請求権、あるいは特別機関から払うのが、丸東の労賃支払い義務をそのまましょったのとは違うのであります。従って最優先に払いたいけれども、百パーセントは払えない。多少残る。これは給料はどうしても払ってもらわなきゃいかんと思うのです。だけれども退職金等については、なるほど会社に退職金の規定が、実にりっぱなものがあります。ところが一文も積んでいない、こういうふうな状態でありますから、その点はやはりある程度がまんしてもらわなきゃいかんのじゃないか、こういうふうな気持をこの前申し上げたのでありまして、やはりその考え方でいくより仕方がないのじゃないか。飯田場長の言いますように、四億以上の債務に対して一億しか協力が得られないわけであります。それぞれの部面においてがまんをしていただくより仕方がない、こういう考え方であります。
  120. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、何ですか、農林省の今の局長の考え方は、賃金、九月分の賃金と予告手当、これは処理をする。あとの退職金については相談をしたい、こういうことですか。
  121. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 私の気持はそうであります。
  122. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで私は局長にお尋ねしたいのですけれども、今、先ほど申し上げましたように、一番ここで今重点に浮き彫りされてきたのは、生産者の、要するに委託料ですか、何というのですか、仕切金ですか、これはまず賃金が先ですけれども、賃金と退職金と、仕切金の問題が一番重点に浮んできているわけでしょう。その浮んできている問題をここでは一億円の見舞金で債権債務でないのだ、肩がわりじゃないのだといって行政上の問題として市場保持のためにこの問題は処理しようとおっしゃるのですから、あとの問題は会社自身に責任を持たすことであって、その東京都や農林省の間で処理されるというのなら、この二つの優先的な問題を合せても一億円にならない、そうでしょう。ならない問題なら私は退職金の点でここらで相談して値切るというような話は出てこない、私はやはり賃金も退職金も同じように最優先として扱うというところに考え方の根本を置いてもらわなければこの問題は私は納得ができんということをこの前の委員会から申し上げておるのです。その面で努力しようとおっしゃってきょうは具体的にそういうお話が出てきたのですけれども、ここはやはり東京都と農林省と話し合っていただいて、明確にやはりそういう一つの見舞金であろうと何であろうと、そういう形のものが動いてきているのですから、この動いておる中で処理しようということをここでやはり約束してもらわないと、これはあなた従業員にしても困ると私は思うのです。これは社会通念ですよ。これは先に払うということは法律でもきまっておるし、社会通念なんです。だからそれは、あなたここのところはそういう工合に約束してもらわないと、そういう工合にするということに努力してもらわないと困ると思うのです。それをある一定の段階までであとのものは相談するなんということではちょっと納得ができんのですよ。特に、それで年末も迫ってきていますから、就職されたといっても、一、二の会社にお入りになる、苦労されて業界の方もあっせんをされたかしりませんけれども、まだ十人残っておられます。それから新しい会社に入られても一から出発して、せっかく十年とか、何年か知りませんけれども、退職金というりっぱな規定があって、それによって老後の保障、それから退職金というのは賃金あと払い的なものですから、日常の賃金もやはりしんぼうしたと申しましょうか、退職金があるためにやはり賃金のかわりとして退職金をもらえるということでしんぼうしてきているやつを、退職金の分は一ぺん相談して会社に積み立てがないから云々ということだけではこれはちょっと納得がいかんのですよ。ここのところを十分に一つ考えていただきたいと思います。
  123. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これはお気持はよくわかるのですけれども、とにかく東京都に指定寄付をし、特別の機関を通じて払うというところまでに法務省とか法制局等から相当法律的なそういう全然関係ない他人の負債を背負い込むということは会社の背任になるかならないかというその法律上の問題にまでなったのでありまして、そういうふうにもうはっきりその気持はわかるのですけれども、法律上は全然関係のない人に回り回って金を出すのでありますから、その受ける方もやはりその点は区例してもらわなけば私どもとしても処置ができない、こういうふうに考えるのであります。お気持はよくわかるのですけれども、今いろいろ研究した結果、どうしてもこれ以上のことはわれわれの研究の結果では出てこない、こういうふうに考えます。
  124. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) お二方のお話を聞いておりますとね。少し食い違うているようですから、その点を一点質問しておきます。先ほど飯田市場長のお話では、これは東京都に寄付するのであって、この分配その他については、これは東京都が何か委員会でも作っておられるというようなことで、寄付された方はその使い道については何も言っておられない。ところが局長のお話を聞けばだね、都が払うべきではないし、その三者の方が払うのだから条件をつけにくいというようなことを言っておられる、大体どうなんですか、その一億円というのはどこにどれだけ払えというひもがついて寄付されたのですか、それとも東京都にとにかく見舞金として一億円寄付しますということなんですか。
  125. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) この一億円ということにつきましては、これはまだ確定はいたしておりませんが、今までの折衝の経過から言いますと、あくまで残存三社が結局支払いをするというようなことはしない、あくまでしない。ことに、先ほども局長さんからもちょっとお話がありましたが、そういう大きな金を会社が支出することはあるいは背任行為になりはしないかということがかなり大きな問題として検討されたくらいであります。従いまして、それはやはり公共団体に指定寄付の形をとっていきたい、こういうわけであります。東京都はそれを受け入れまして、そうして東京都が予算を通しまして、東京都自身で払うということは、先ほどから申し上げているように、適当でないとわれわれは考えておりまするので、別に財団法人を作りたいというように今考えているわけでありますが、その財団に交付をいたしまして、財団が財団の名において債権者の方々に見舞金として支出をするということで、東京都は一応通り抜けのような形になるわけであります。それに対して、しからば指定寄付をする上において残存三社の条件の一つとしても、これはいろいろ条件がついておりますが、その中にも、これは産地の未払い金だけでなく、そのほかのやはり市場の信用保全、将来の流通改善に、このままで放置しておいては支障を来たすようなものについても手当をするというようなことが言われているような次第であります。
  126. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 私、今の経過をそのまま繰り返す煩を避けまして、東京都が特別の機関を通じて見舞金を交付する、こう申し上げているので、私の言っているのと飯田さんが言っているのとは食い違いがありませんから……。
  127. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それでは財団の構成はどういうふうにお考えになっておりますか。それはすでにできているものと言いますが、その構成ですね、それを一つお知らせ願いたいと思います。
  128. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) この際別の支払い機関というのは実はまだできておりませんが、われわれの構想としては、最初は全市場の、中央卸売市場の青果の卸売人の方々をもってそういうような財団を作りまして、ただ今回の問題だけでなくて、将来にも備えてそういう措置をし得るものを作っていきたいというのがわれわれの実は考え方であるわけであります。でき得べくんば、将来は、そういうところではある程度の日常から、日ごろから歩積みをいたしまして、卸売人が歩積みをいたしまして、そうしてこういうような問題が起きましたときには即刻それぞれの適当な手が打てるような、一つの積立金の制度のようなものも将来は考えていきたい。かようなことで全市場の卸売人の方々はそういうものができることを希望いたしまして、折衡をいたしているのでありますが、それが年末までには早急にこれが実現ということが困難になって参りましたので、年末対策としては一応そういう組織を通ずることなくして、何とか若干でも産地の方々、それから従業員の方々に対して何らかの措置が講じたいというので目下考えていろいろの方面と折衝いたしておりますが、将来はやはり私の考えとしては、全市場の卸売人の方々をもってそういうような財団、それには東京都も一枚加わってよろしいというところまでまあいっておるわけでありますが、そういうものを作りまして、それでそういう財団をもってこの支払いもしていただくし、将来こういうようなことが起きたときにはやはりその機関を通じて処理をしていただく。それからまたただいま申し上げたように、もう一つ積極的にその財団が将来のためをはかって、一つの積立金制度のようなものまでそこで実施いただければいいんじゃないかというふうに実は構想をもって進んでおるわけであります。
  129. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこにまあ農林省の局長一つの段階としてはあとで積立金の問題は相談するとおっしゃったんですが、私は両方ともの、飯田さんも局長もおっしゃっていることは、今の賃金と仕切金のやつが最重点として手当をしようということで、見舞金、要するに債権債務の肩がわりということと離れて、一部のさしあたりの処理をしようということですから、私が考えてみると簡単だと思うのです。そこで、まあ一つの考え方を、会社が銀行から借りたとか、その他の個人が借りたというものは会社の責任で処理されるというお気持なんですから、今の賃金と、それから予告手当というものに含めて退職金も含めてやはり最優先として百パーセント払うように一つ努力をこの年末にかけてしてもらうということで、私はこの問題を円満のうちにおさまるようにもう一段と努力をしてもらいたいと思う。東京都の飯田市場長局長も、賃金の最優先的に払うという基準法の精神に沿って私はこの問題を今日から年末までにおいてもいろいろと組合の方々がおいでになるからお話もできることだし、何でしたら私自身も意見を申し上げる機会を作ってもらえばいいのですから、私はやはり従業員の賃金、退職金は百パーセント払える、払おうという基本の上に立ってこの問題を処理していただくということをここで一つお約束を願いたいと思うのです。どうですか。
  130. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 繰り返すようですが、われわれのできる範囲は、先ほど来申し上げたところであります。お気持は私どもも全く同じなんですが、とにかく財源の問題になるわけですから、それだけでも切り離してやれば一億だか五千万円だから何でもないように言われますが、やはり全体との関連において処理しなければできないわけでありますから、御趣旨の点は十分よくわかるのですけれども、今すぐはっきりしたお答えはできないのであります。
  131. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それではそういう工合に努力するということはいいですね。
  132. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 今まで努力の結果ここまで到達しているわけです。なお努力しますけれども、努力したが百パーセントそれが出るかというあれが出ますと、あとでまた抜き差しならぬことになりますから、答弁が苦しくなっているわけですが、その点は御了承願います。
  133. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 市場長さんのお話を聞いてみると、卸売人をもって財団を構成していく、こういうことになるとすれば、これは卸売人の人たちだったら、自分たちの負債を一番先に取ることはわかっていることです。一億の財源ができた、これが寄付の形で都に持ってこられる。そうした場合において、その後の問題はいざ知らず、この一億円というのは四億何がしの赤字に対するやはり私はこれは財源としてお求めになったものだと思うわけなのです。そうするならば、その寄付は、これは特定の利害関係ある人が構成をするならば、自分に利害関係のあることだけしかこれは述べない。たとえばこれを極端に申し上げて、そこの従業員全部の方の代表の方がこの構成になるとするならば、これはいわゆる自分たちのだけ取ってあとはどうか考えられるだろう、卸売の人だったら、卸関係の人を最善に考えられる、これは当然なことであって、それですから、気持はわかるとおっしゃっておるけれども、これは気持はわかっておられないのではないかと私は思うのです。そこで一応聞きたいのは、一億というのは、これは農林省か都から出された金だと思う。一応……そうしますと、それを出された基礎は何か、三百坪の丸東の敷地があいた。そこを三つの会社が手に入れて、そうして、たとえば五年なら五年後には一億以上の利益があると見られて一億とされたのであるか、それとも損は覚悟の上で市場の資金流通ですか、信用を増すために出されたのであるかというのが一つ。  それから、いやしくも農林大臣が許可をしたということになるならば、神田の市場は四つ許可される場合には、相当慎重審議して四つの市場を許可されたものと私は思う。それから人口の非常に減少等で売れなくなって倒産するとか何とかといえば、これは三つにしぼることも考えられるかもしれないけれども、東京都の人口はますます多くなってきている、生産物は非常に過剰になってきたというならば、三つに減らさなければならない理由は私は成り立たない。なぜ三つに減らさなければならなかったか、一億円出させるということは、もう一つふやさないという前提があるはずです。今まで四つだったのを三つにして、あとはふやしませんから一億円出して下さい、あと一つ分は皆さんの利潤でございますよということがあるからこそ一億の金も出てくるのであろうと思うし、言われたのであろうと思う。そうなってくれば、これは、この三百坪の売地というものは一億円以上のこれは価値のあるものだと私は判断する。そうした場合にたとえばもう一カ所それでは認可するというようなことがあり得るかいなか、その三点について一つお答えを願いたい。
  134. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) きょうは私から、特にこの一億が出てきた根拠といいますか、そういうようなことについて御説明をいたしたいと思いますが、実はこれは非常にばく然とした言い方で恐縮でございますけれども、やはりわれわれが三社と話を進めていきました過程において出てきたのでありまして、やはりあくまでこの残存の会社に無理を押しつけて、その財政を危殆に瀕しさせるようなことは、これはとても望めないのであります。従ってそういうことは十分に念頭に置いてのことです。  それからもう一つは、やはりたとえあれにしても、やはり丸東がなくなったことに対するいわゆる反射的利益と申しますか、われわれはそういう言葉を使っておりますが、残存会社があるはずだから、やはりそれを一つの目安に置くということは十分考えられる。そんなようなことで、まあ折衝を重ねました過程において、大体一億程度ならばお互いに了承もし得られるんじゃないかというところで自然に出てきたものでありまして、これは、はっきりとこういう数字からこういうふうに出てきたというようなものでは実はないのでございますので、その点を一つ御了承をいただきたいと思います。  それからもう一つ、許可をする意思はないかということは、これはむしろ私よりも農林御当局からの方がよかろうかと思います。
  135. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 私の方では許可をする意思はありません。なぜかと申しますと、第二に御質問がありましたが、なぜこういう倒産が起きたかというものに関連するところでございます。これは、御指摘の通り市場の、特に青果の場合におきましては、終戦後米麦重点主義というので、生鮮食料品が非常に少なかったので、相当無理をして、何といいますか、肥料とバーターで野菜を出させるというような、いろいろなことをして集荷しておったわけです。そのときは相当の産地に対する奨励金とかあるいは仲買い、小売に対する奨励金というものを出すことの意義があるいはあったかと思いますが、現在御指摘の通り取扱い量がふえている、にもかかわらず奨励金というものは大体手数料の多いところで三割、少いところでも二割内外を占めておるわけです。その上に、産地に対する前波企というものを出しておるわけです。そういうことがありますので、われわれの常識からいえば、生産量がふえれば、そういうものはどんどん減っていいはずなのが、ここ数年を調べてみますと、だんだんふえているわけです。そこで卸売り市場の卸売り人の数の問題が非常な問題になっているわけです。水産の方の関係では、東京の、これはずいぶん数の多かったやつを、築地でも数社減らしております。大阪も大きいものは二社に減らしております。その残った人たちもやはりこの競争は激しいので、その中でやはりもう一ぺん一本にしたらいいじゃないか、こういう議論が非常に強く出ておるわけです。一本にすると、これが独占の弊に陥りやせぬかと、こういうような話も出てくるのでありますが、ともかくまだ未解決の問題が残っているわけです。どんなにやっても二社以上あれば過当競争になりまして、前渡金を踏み倒されるし、奨励金を取られる。おまけに仲買い、小売にあやつられて、そっちにも奨励金を取られる。ですから卸売り人は委託手数料として、生産、水産、青果等によって違いますが、四%ないし一〇%の手数料は確保されているにもかかわらず、こういうものが出てくるわけであります。従って、そういう点からいいますと、今後新しいものを許可することは、私の方では考えてないのであります。神田の場合には、今そのほかに一億を残存会社に出させますから、なお神田は一番過当競争が激しい所でありますから、その二つの理由で、神田では今後新しく許可するという考えは全然ありません。
  136. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それで一億円出せというのは、三社でやらせるから一億円出せということになるわけですね、今の答弁を聞いてみても。あとの一社はつぶれたけれども、全然あとに一社、またここにやらせる意思はない。三百坪あるから、一社も二社も、土地からいうならできるかもしれないけれども、もう君たちの競争相手は一社も出さないから、この三百坪は君たちが今度使っていいのであるから、利潤がふえるから、一億円出しなさい、極端に言えばこうなんですね。それならば、その金になぜひもをつけなければならないか。それならば、そういう恩恵があるから一億の金を持ってきた、そうして考え方が市場の信用、資金の流通等を考えて、一億円を配分するとおっしゃる、それはわかる。それならば、ほかの人たちを平等に考えて、自分の肉体の労働を売った人を同じように考えて、そうしてそれが市場の信用を増す唯一のものであるかどうかという場合、おわかり下さっておると思うのですけれども、ただいま私が申し上げたように、一億円にはもうひもはないんだ、そのかわり一つふやさないというりっぱな公約をされておる、だから一億円という寄付が出てきた。そうするならば、為政者の皆さんが一億円はどうあるべきだという考えが出てこなければできない、私はそう思う。そうした場合に、一つの生産物を売った場合の対価、金を貸した場合の対価、自分の体を、労働で奉仕した場合の対価、何を優先的に考えるかというならば、これは、おそらく世の識者あげて、自分の体を労働で売った人の賠償を一番優先的にしなければならないと言うに違いないと私は思うんです。で、そういう点に立って、高い地位にある市場長さんや局長さんも、ただいま政務次官もお見えになりましたので、一つ結論を急がねば時間もございませんので、簡単にお答えを願って、そうして一つ年内に、正月を迎えんとしておる今日、自分の働いた金代をいただけないでおる方々のために、一つ思いやりのある御返事を願いたい、かように思います。
  137. 飯田逸次郎

    参考人飯田逸次郎君) まあ一億円を残存の会社が協力の意味において出すという、これはまだ決定はいたしておりませんが、まあある程度の協力は惜しまないということを、すでにはっきりと明言をいたしておりまするので、大いに期待をいたしておるのでありますが、それを出すゆえんのものは、御指摘のように、やはり丸東がなくなって、そのなくなったために、再びそこのあとに作るという考え方は持っていない。従って、今まで丸東の取扱っておった荷あるいはその場所というものが残存会社に割振られていくという、まあこれは無償で、もちろん行政措置として分配をすることでありまするので、これに対価的なものを考えるわけにいかないのでありますが、しかし、何といってもそれによりまして一つの反射的利益があることは、争えないわけであります。従って、そういうものを念頭に置きつつ協力をするという線は出てくるわけであります。それは御指摘の通りであります。従いまして、われわれとしてもそういうような反射的利益もあることだから、一つ協力しようという私は根拠も出てぐるんじゃなかろうか、われわれから依頼するというか、そういうあれも出てくるんじゃないか、こういうことで折衝を重ねた結果が、大体今まで申し上げたようなところまできておるわけでございます。それで、それにつきましては、あくまで協力する金は、やはりあくまで市場の信用保全、流通改善というようなものに使われることが絶対に必要なわけでありまして、もしそれが全然そういうものに関係のないところにいくということになりますると、これはかえってマイナスになるおそれも多分にあるわけでありますので、そういう点については、これはわれわれとしても、やはりあくまで市場の信用保持並びに流通改善ということにそれを使うことを、もちろんわれわれとしても言っておるわけでありますし、向うもそれを強調しておるわけであります。それから、まあこれはもちろん一般の方々の言い分だけでありますので、私は何もそれを取り上げてはおりませんけれども、やはり法律的に言えば、すべての債権は平等ということで、まあ強くおっしゃるけれども、これはそれではいかぬ、それではいかぬという線で、そこにはやはりあくまで原簿をつけなければならぬという考え方で進んでおることは、かねがね申し上げておるような通りでありまして、さような線に沿って今後ともできるだけ一つ努力をいたしまして、皆さんの御期待に沿うように努力をしていきたいと、かように考えております。ただ、まあ年末に押し迫りまして、こんなところまできて、まだもって皆さん方に年末にはこういう対策をすることになったということを御報告できないのは、まこと残念でありまするけれども、私は最後の五分間まで努力をいたしまして、何らかの形で、融資というような形になっても、何とかして一つある程度のことをいたしたいという努力を、今後とも最後の五分間までいたす覚悟でおりまするので、御了承をいただきたいと存じます。
  138. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 大体今飯田市場長の申されました通りでありますが、ただ、先ほどからお話し申し上げておりますように、第三者の債務を残存会社が引き受ける場合に、法制局その他権威筋の背任の限界はどこにあるのかということで、初めはなかなか背任になるからできない、それで、今の東京都を通じて見舞金という格好にすると、こういうことにしたのですが、それでまだ得心してくれないので、法制局その他と打ち合せたときに、やはり出すことによって将来会社のためになるという説明ができなければいかぬと、そのためになるということは、売場を開設者たる東京都から分けてもらうことが一つあると、売場を分けてもらうことによって、努力すれば丸東が扱った量を神田に引くことができると、この二つのことは利益じゃないかと——これを場長は反射的利益と、こう言っておるわけですが、そういうことによって背任にならぬじゃないかということで、私の方からそういう趣旨の通牒を残存三社に出しまして、そして裏付けしているような関係でありまして、すぐそのAのものをBが肩がわってやるというわけにはどうしてもいかなかったわけです。そこにわれわれの苦しい処置上の問題があるのでありまして、その点を十分御了承を願いたいと思います。
  139. 本名武

    政府委員(本名武君) ただいま委員長が御指摘下さいましたように、労働対価に対する解決が、今日に至ってついていないということは、まことにお気の毒であるばかりでなく、残念なことでございます。その意味におきまして、いろいろ説明があったと思いますが、鋭意解決のために努力をいたしているわけでございます。と同時に、また一方の債権であるところの出荷者、生産者に対しても、これは一日も早く決解をしていかなければならない。その意味におきまして、両方でき得れば一緒に解決をいたしたいという気持で努力をいたしております。なおまた、今、市場長からお話がありましたが、最後までがんばって、そして市場といたしましても、融資を仰いでも、この問題は解決したいという熱意が披瀝されましたし、また農林省といたしましても、これが実現いたしますように、今後も十分努力いたしたいと考えております。なお、この問題が起きたその原因あるいは経緯は、申し上げるまでもございませんが、市場の今後のあり方については、なおこれを機会といたしまして、農林省は再びこのようなことのないように、特にまあ市場法の一部改正をいたしまして、再び前轍を踏まないように努力と検討をいたしておるような次第であります。御了承をお願いいたします。
  140. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は最後に意見一つ申し上げたいと思います。私は、このような、二十六年からずっと続いてきたこのような営業の状態の中で、結果的には、今ここで論議する千五百万円そこそこの給与を、何億の中で努力するか、せぬかというような議論をするということは、私は悲しい状態だと思う。だから、今政務次官が言われたように、今後こういうことの絶対間違いのないように、監督官庁は一段と努力をしていただきたい。私は今までの質疑をもう一度繰り返す気はございません。  それからもう一つの問題は、具体的に起きている今度の問題が、たびたび指摘されるように、労働の問題、または仕切りの問題、こういうものが信用度合い上、いろいろ問題の支点になってきている。私は、この問題は何といっても労賃の問題を最優先に取り扱ってもらうように、一段と年末にかけて努力をしていただくようにお願いしておきまして、意見を終ります。
  141. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) では参考人に対する質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  参考人には長い間貴重な御意見を聞かしていただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  本件に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  144. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、委員の異動を報告いたします。十二月二十三日付をもって鈴木万平君が辞任され、その補欠として小西英雄君が選任されました。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  145. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。  次に、炭鉱災害に関する件を議題といたします。貝島炭鉱の爆発事件以外について御質疑を願います。
  146. 山本經勝

    ○山本經勝君 前回のこの委員会で、東中鶴炭鉱の水没に関する質疑を進めておったのですが、たまたまその質疑の過程で明らかになってきたことを、かいつまんで繰り返しますと、この炭鉱は大正鉱業の租鉱権であって、その租鉱権が認可をされ、施業案が提出をされて、その施業案によって鉱業を行なっておったわけですが、たまたまその間に保安監督官が現場を見たところが、どうも施業案と違っている、行き過ぎた採掘をしておるという状態が確認をされた。そこで、現場に行った貝田監督官が、所長に対して口頭ではあったが、その違反事実を指摘して注意を与えた、と同時に、その保安監督官は、当然なさるべき手続として、通産局長に対してその実情を報告する、こういう手続をするはずであったが、ちょうど貝島炭鉱のガス爆発事故等があって、課長不在のために手続ができなかった、そういう事情で、結果的には、あの災害がその間に発生している、こういう状況であるということが、一応局長の口からも御説明をいただいて明らかになっておる。そこで、こういう種類の問題、特にこの場合は水没でありますが、その出ました水が古洞であったということ、しかもその古洞には本来先ほど申し上げました施業案通りに行われておるなれば起らなかった事故であるということが考えられる。そういう事情のもとにあります。から、勢い施業案の違反ということが、同時に災害の、原因でもあったということが言えると思うのです。   〔委員長退席、理事勝俣稔君着席〕 そういう点について、この前、局長からもお話がございましたので、再度この基本的な点をまず冒頭明らかにしておきたいので、局長から御答弁をいただいておきたいと思います。
  147. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいまのお話、その通りでありまして、監督官が参りましたときには、相当鉱区外に坑道が出ておったということは認めておったわけであります。しかし、従来のやり方によりまして、監督官が帰りましてから、成規の手続によって、通産局長に連絡をいたし、処置をつけたいという考えでおりましたところ、その間に大災害が起ってしまったというようなわけであります。そこで、私ども今後できますことなら、従来の考え方を、もう少し拡張解釈と申しますか、考え方を広めまして、従来は保安法は鉱業法に基いた正しい鉱区内にのみ適用するという方針を明らかに立てておったのでありますが、今後は、鉱区外に坑道が出ました場合でももしその鉱区外に出た区域の危険内包のために本鉱区が大きく急迫の危険にさらされるという認定がつきました場合には、今後監督官として直ちに保安法上の措置として、具体的に申し上げますと、法の三十六条の発動として作業をとめるようにしたい、かように考えております。
  148. 山本經勝

    ○山本經勝君 これは、最も正確なことは、この前もお話があったように、一応排水をして、死体収容ということが行われたあとで、現場について明確に論議しなければならぬでしょうが、鉱業法の六十三条の施業案の認可に関する規定の中でも明かなように、四項ですかに明白に規定されておる。その施業案によらなければ鉱業を行なってはならないという規定があるわけなんですから、そういう当然な取扱いが行政的にしかも敏速になされなければ、こういう種類の事故が防止できないということは、御承知のようにあの八幡——今八幡になっておりますが、八幡地区並びに遠賀郡のこの一帯には、この前もしばしば申し上げたように大体四層の炭層があって、その四層が層によって鉱業権者が違う。それぞれ施業案の実施状況は違っておる。従っていつこうした種類の事故が起らないとも確言できないのが実情である。そういう意味から、特に局長にもお願いなり、要望なりとして申し上げたのですが、こういう鉱区の採掘に関する禁止というものは、現在の法的な基礎の上では、若干問題があるように聞いてもおりますし、またそういう節々がうかがえる。むしろ私がこの前申し上げたように、大体法の不備なのか、あるいはまた鉱業権者あるいは実際にやっておる保安管理が不都合であったのか、あるいはまた行政官庁である保安当局が、いわゆる指導監督を怠っておるのか、それらのいずれなのかということを申し上げたら、そのいずれでもないというお話であった。そうしますと、十八人の死んだ人々は、何のために死んだかわからない。しかも原因も究明されずに、しかもその原因を究明しなければ、おのずから生まれてくる責任の所在が明かにならない。こういうことでは大へんであるから、この後における対策を出していただけるのか。この点はあらかじめ御検討おき願いたい、こういうことを申し上げておったが、その点を一応局長の方から御説明をいただいておかなければならぬと思う。
  149. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 坑内出水の災害につきましては、私ども重大災害一つとして、きわめて大きな関心をもって対策も考えており、すでに監督部長をして詳細に実施させておるのでありますが、たまたま東中鶴炭鉱の場合におきましては鉱業権者側も旧坑のありますことを十分に御承知なかったようでありますし、当方としましても設定されました鉱区内ではまだ大丈夫という認定に立っておりましたところ、その後ぐんぐん坑道が進みまして、たまたま災害を起しましたわけで、今後はこの出水災害につきましては、従来もかなり各方面で研究もされておりまして、まあ方法も二、三ございます。今後鋭意これらの方法を検討いたしまして、なお旧坑の関係につきましては、今後とも一そう隣鉱区の状況を詳細に検討して施業案を認可するようにもいたしたいという方法で、万全を期したいと、かように考えております。
  150. 山本經勝

    ○山本經勝君 今の局長さんのお話は、旧坑があることを鉱業権者は知らなかったというようなことは、これはだれから報告を聞き、だれからそういう連絡がありましたか。私は局長が現地に行かれたとは思わない。だとすれば、出先である福岡の通産局、鉱山保安監督部がそういう報告をしているのか、あるいは直接業者からそういう連絡があったのか。これは私は二十七日でしたか、現地についていろいろ事情を聞いたのですが、旧坑があることは知っている。ただし、どの位置にあるということが確認できぬということを言っておりましたけれども、旧坑があるということは知っている。しかも施業案を出すときに、旧坑がありはしないかということが論議された。ですから、当然私は知っておったと思うのです。これらの連絡、報告等はどこからどういう筋合いでありましたのか。
  151. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) ただいま旧坑を知らなかったと私の申しますのは、もちろん旧坑はわかっておりますけれども、その旧坑との間隔が十分にわからなかったという意味で、私の表現が誤まっておったと思います。   〔理事勝俣稔君退席、委員長着席〕
  152. 山本經勝

    ○山本經勝君 旧坑があって、しかもその旧坑の排水のために新たに二坑から、昭和二十八年度からこのかた八千万円という資金を投じて坑道の掘さくをやっている。排水施設をやろうとしている。現に工事中なんですが、そういう状態はむろんわかっておったし、私ども現地で、聞いたときにもそのことは皆知っている。しかも大正鉱業の鉱区は、租鉱権でもって佐藤さんがやっている東中鶴炭鉱です。ですからその間の関係は非常に明白である。ところが施業案通りにやっておれば、私はあの古洞に突き当る心配はまずなかったと考えます。ところが実際は四百メートルという長い坑道をとっておきながら表面には二百八十メートルという虚偽の報告をしている。そういうことでごまかしているのです。ですから、私はやはりこの種の採掘については、厳重に監督機関が強権を発動してもしかるべき措置を講ずべきだと思う。こういう点については、現行法では非常に不備な点が多々あると私は考える。そういう点について幸い石炭局長おいでですから、鉱業法と保安法との間の矛盾点、その問題点というものを、一応ここで明らかにしておいていただきたいと思います。
  153. 村田恒

    説明員(村田恒君) ただいまお話のございましたように、現在の法規をもってしては、完全にカバーしきれない部分がいろいろあると存じます。特に今お示しの古洞の所在、それらの所在については、終戦後の鉱区原図というものは各炭鉱にございますので、これを立ち会いまして、われわれの方が強制的に全部見るということをいたしましたならば、ある程度これは整備できると存じます。ただし、それ以上のものにつきましては、残念ながら通産局にありましたものは全部戦災によって焼けてしまいました。ただ古老の言等によって、これはいろいろ調べるほかないわけでありますが、最近起っております炭鉱の災害につきまして、岐阜の亜炭山、それからさらに今お話の東中鶴、それから籾井、こういう例を見ましても、いずれも旧坑の払いあとの古洞にぶち当てて、その結果の災害が多いわけでございます。そのために、先ほど来いろいろ保安局長からも申し上げました現行保安法の拡張解釈の問題及びまた必要があります場合には、これの法律の改正の問題、さらに現在の鉱業法第七条すなわち盗侵掘に対しまする解釈の問題、さらにその不備な場合には必要があります場合にはこれに対する法律の改正の問題、これらの点もいろいろ全部あわせて考えていかなければならぬと存じております。さらに保安監督を強化すると同時に、鉱業法に基きます鉱業監督というものを徹底していくということが、先ほどの古洞の所在を発見する等、これらの点について最も重要だと思われます。そのためには、本年度約七十万円ほどの予算でございましたのを、明年度におきましてはこれを約三倍にいたしまして、主として盗侵掘の防止、それからさらに施業案を認可いたしますについての実地の調査というものを徹底する、こういうふうな方法を今考えて、予算を要求中でございます。
  154. 山本經勝

    ○山本經勝君 そうしますと、つまり現在の法的なあれからいいますと、施業案通りにやっておらなければ鉱業を行なってはならぬという明確な禁止規定がある、その禁止規定を実際に強く実施に移さして行くためには、つまり鉱業監督といわれる一般的な監督官をもっと強力に出せばできると、こういう解釈なんですか。
  155. 村田恒

    説明員(村田恒君) それでは申し上げますが、施業案を認可いたしまして、鉱業権者がその施業案通りに採炭を行なっておるかどうかということは、この施業案自体、その範囲内の問題でございます。従いましで、他人の領分に入り込みまして、隣の鉱区に入って勝手に石炭採掘するということが行われますと、いわゆる盗侵掘の場合には施業案の範囲を逸脱するわけでございます。これに対しましては、現在のところ法律上の措置等はとらないで行政上の措置として、鉱業法第七条違反になるわけでございますが、鉱業権者にその行為をやめろ、採掘をやめなさいということを勧告いたします。あるいはその個所を閉鎖してしまう、つまり坑口を結さくして、この坑口は閉鎖命令を出したものという工事場に掲示をする等、行政指導をやっております。さらに、場合によれば告発して司法上の処分を求める、こういうような建前をとっておるわけであります。しかしながら、東中鶴の場合あるいは籾井の場合でも明らかなように、いろいろ午前中お話がありましたように、災害が起ってしまってからどうするのだという議論ではおそいわけであります。災害の起る前に、貴重な人命をいかにして保護するかという措置をとることが最も肝要だと考えられます。従いまして、保安の方におきましては、先ほどのような拡張解釈ができれば拡張解釈によりまして、事前にできるだけこれを防止する、と同時に、鉱業法の問題につきましては場合によりまして法律改正が必要であるならば法律改正をやりまして、法律上今申し上げました行政措置、行政上の処分ではなくして、法律上の処分でその行為を禁止するというような措置をとることが必要だと考えております。ただ、それぞれの法律につきましては、たとえば鉱業法は現在主として権利の問題を扱っております。主として保安の方におきましてはじめて行為の制限が行われるという法律体系になっておりますので、どちらの法律をどういうふうにいじっていったらいいか、同時に、どちらの法律をどういうふうに解釈していったらいいかという問題について、法制局とも十分相談した上で結論を得たい、その結論を得ました上で、国会とも相談いたしまして、今後の措置をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  156. 山本經勝

    ○山本經勝君 ただいまの局長さんのお話でよくわかりましたし、また今後の対策推進の上で非常に大事な問題だから、それは非常にそれでけっこうだと思いますし、私どももともにやっていかなければならないと思いますが、そこでもう一点保安局長にお願いをし、伺っておきたいのは、今の東中鶴炭鉱の実情は、その後の経過を私詳細に存じませんが、およそ五十日といわれたのは十一月の下旬ですが、それにしましても一月の中旬ころまでには少くとも水揚げにかかる。ところが私どもの観察では、あの古洞は二百万坪に上るものであるということがいわれている。そうしますと五尺の層ですから、かりに完全に五尺層で、二百万坪の部分に水がたまっておるとするならば、膨大な水量であって、およそ簡単に排水ができるとは考えられない、しかも排水能力が非常に不十分である、これは現地の状況を見られた現場の派遣班の人たちもよく認められておる。そこで、いろいろと手を尽して排水能力の強化をはかってはおりましたけれども、坑道の事情がなかなかそれを許さない。たとえば何百馬力という強大なポンプを据えつけて排水をするのには、坑道は狭い、従ってコース巻きで台車に乗せてやっておるから、周囲の作業も思うようにさばけない、こういう実情であったと思う。そうしますと、この水揚げというものは容易なものではない。この水揚げが東中鶴炭鉱の経済的な力をもってしては不可能であるということになり、永久に十八名は、この地上に上ってくることは不可能な実情さえも起りはしないかということを心配するわけなんです。この点について、保安局長という立場で、特に具体的な方法をお考えになっているのか、あるいは今まだ具体的な方法が考えられていないのか、そこら辺を明らかにしていただかないというと、今後の事業継続もさることながら、まだ重大な死体の搬出ができないという状態であると思うのですが、そこら辺はどうでしょうか。
  157. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 災害が起りまして一番最初に私どもが心配いたしましたのは、一刻も早く死体を収容するということでございました。従って、現地とも十分連絡をとりまして、当初の計画を聞きましたところ、ただいまのお話の通り、非常に坑道も狭いし、揚水に困難をきたしておるということでございましたが、一応計画を急速に立てさせまして、当時数日後でありますが、大体六十五日くらいかかるという連絡を受けておったのであります。そこで、私どもはさっそく現地の方に連絡をとりまして、どうしても技術的に六十五日もかかるならば、これもやむを得ないけれども、一刻も早く死体を収容しなければならぬという趣旨から、何とかこの日数をもう少し短縮できぬかという相談をいたしたのでありまするけれども、その後揚水が予定いたしておりましたよりも非常に困難——と申しますのは、計算通りにいきませんのは、揚水していきますと、まず坑道が割れてない計算でやっておりましたのが、相当坑道に割れる個所が多い、従って、それを修理しないと次に進めないという計算で、相当予定がおくれておるわけでございます。現在でもまだ現地としましては、数十日かかるという以外には、確たる計画も立たないようでございます。この点、まことに遺憾に存じておりますが、なお最近鉱業権者からも私手紙をいただきまして、大へん申しわけない、しかし最後の死体を収容するまで、現在自分は必ずやる気でいるからという意味の手紙もいただいておりますし、現在現地からも、この排水作業を放棄するという点につきましては、全然まだ連絡を受けておりません。非常に苦しい状態にありますことは承知いたしておりますが、もしこれが万が一鉱業権者側におきまして排水ができないという事態になりました場合には、あるいはそういうおそれの多い場合には、私どもも前例のないことでありますので、ただちにはっきりお答えができませんけれども、それぞれ至急検討いたしまして、研究をさしていただきたいと、かように考えております。
  158. 山本經勝

    ○山本經勝君 その局長さんのおっしゃる研究ということはどういうことなんですか、突っ込んでいえば、たとえば東中鶴炭鉱が自分の能力をもってしては不可能であるということであれば、国が責任を持って、揚水をしても死体の搬出をする、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
  159. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) そういうふうに一度に考えていただくと非常にむずかしいのでありまして、国の方で責任を持つと言い切ることもちょっと目下できませんし、あるいは関係市町村にお願いをしてみる、あるいは親鉱区の中鶴炭鉱にも相談のできるものなら相談をするという、今のところはっきり確たる方向がきまらないのであります。従って、至急にそれらの関連において検討さしていただきたいと、かように考えております。
  160. 山本經勝

    ○山本經勝君 それに関連して非常に重要な問題だと思うのですが、九州採炭の新手二坑は、この問題の赤石層にたまっておる古洞の水を排水してこの炭鉱を採掘したいということで事業を進めておることは、せんだっても申し上げた通り。そうしますと、この問題は、この問題の水がたまたま東中鶴炭鉱の租鉱権に属する鉱区の中に流出した、こう考えても不都合ではないのではないか、あるいはまたそのために数千万円を投じてやっておる排水が必要でなくなる、こういうこともまた言い得ると思うのです。ところがそういうような話は、これはなかなか、ここで局長が単にお考えになっても、国が負担するかどうかという問題も困難性を持っている。これは実は直接好意的に相互に大正鉱業が親鉱業であるからということ、あるいは今の排水事業の、救済との関係において協力をし合うという話し合いができるということは、これは簡単に私は期待が持てぬと思うのであります。そうすると、いやしくも従業員として働いておる人が十八名いまだに死体を搬出することもできないのでありますから、これが揚水困難であるということになれば、あるいはすみやかに揚げることが困難であるということであれば、協力するために国がしかるべく手を打つという積極性を局長は持ってもらわなければ困ると思います。これを私はきょう即答してもらいたいということは、しいて申し上げることは無理ですが、しかし、まだ揚水も相当日時がかかるという見通しですから、通常国会が来月また再開されるから、そこで十分掘り下げた検討をすることもできるでしょうが、そこで基本的な考え方は、やはりこの大きな事故の、しかも私どもしいて言わしむるならば、いわゆる保安監督上においても、あるいは租鉱権の問題をめぐっても、これは当局側にも若干責任を感じてもらわなければならぬ点がある。そのことは村田石炭局長のお話の通りなんです。今までもし言われるような解釈や行政運用ができておったならば、こういう事態にならぬと思う。遺憾ながらそういうことができておらぬ点に問題がある。それは、この間から強調する通りなんです。そういうことから考えても、何らかすみやかに排水工事が進捗するような方法を講ずるため、政府が必要であるならば手を伸べてやるというような腹を、すみやかにこの委員会で局長発表願っておかなければ、これは帰ってさっそく質問されて困る。しかも実情はいまだにおばあさんが孫の手を引いて水の中から何か形見が出やせぬかということを言って立っておる、こういう気の毒な実情を現場で見ますと、私どもはこういうことを強調せざるを得ぬのですが、局長のお考えを再度お答え願っておきたい。金を出すとか出さぬとかいうことは言えぬと思います。しかし、国の責任を持つというぐらいだけは言い得ると思うのです。しいていえば、この前、局長はみずから保安監督上の手落ちもあったということを認められて、中山委員からひどく追及されて言葉を濁されたけれども、私は、こういう考え方が基本的に局長にあるならば、はっきりした態度をとってもらわないと、一向にけじめのつかぬのらりくらりの応答で時間が済んでしまう、こういうことであるし、最終的にはさらに困難を累加する、こういうことになると思う。どうでしょうか。
  161. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 至急に積極的に御趣旨に沿い得るように一つ検討さしていただきたいと思います。
  162. 山本經勝

    ○山本經勝君 もう一点。検討と言われるよりも、もっと積極的な意味で、乗り出して局長自身現場を見られたら、私どもが説明するよりもよくおわかり願えると思う。実情は御承知なんですから、あの姿はやはり放ってはおけない。しかも不安が日に日につのりつつあるのですから、その実情を基礎にして、すみやかに解決に乗り出す。つまり現場を見ていただけば、いわゆる揚水能力があのポンプでは十分ではない。しかも古洞の上にも新らしくつけたかどうかしりませんが、つけるように私どもは注意して帰った。そこで揚水能力を上げて、一日も早く、まず問題は死体を搬出して自後の対策ということになってこなければならぬと思うのですが、そういう意味での協力方ができますか。
  163. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私が現場へ行って見ることはいつでも私もできるのでありますけれども、現在現地からの連絡では、もう坑道に制限があって、ポンプをたくさんぶちこむこともできない。現在が最高能力発揮の状態でありまして、本卸し、連卸し、両方ポンプを設置いたしまして、まあ漸次ではありますけれども、追い水の方向に現在進んでいるわけであります。残念ながら非常に坑道崩落のために長時間かかることは残念でありますけれども、目下のところは、追い水の方向に進んでおりますので、この状態を積極化させることに専念したい。なお一方、ただいまのお話のように、万が一の場合の処理につきましては、おくれないように一つ上司とも御相談してみたい、かように考えております。
  164. 山本經勝

    ○山本經勝君 それで、私はできれば要望を申し上げておきたいのですが、局長は一月の中旬ごろににでも一度現場を見てもらえばいいと思うのです。これは何日もおって現場を見てもらおうということでなくて、実状を現場について見てもらう。そして関係者を集めて聞いてもらう。東中鶴あるいは大正鉱業、あの関係している炭鉱関係の諸情勢をよく聞きとっていただかぬと、どうもこの前から何ぼ話してみても、のらりくらりと局長がうまく答弁されるものだから、核心を離れてしまう。そこで私はいつも質問をするのに苦労しているのです。そういうところを御理解願って、一回現場を見てもらって、通常国会でゆっくり掘り下げて今後の対策を十分検討していただきたいと思います。
  165. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本件に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時七分散会