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1958-04-23 第28回国会 参議院 社会労働・大蔵委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十三日(水曜日)    午後二時八分開会     —————————————  委員氏名   社会労働委員    委員長     阿具根 登君    理事      勝俣  稔君    理事      木島 虎藏君    理事      山下 義信君    理事      中山 福藏君            有馬 英二君            井上 清一君            草葉 隆圓君            斎藤  昇君            塩見 俊二君            鈴木 万平君            谷口弥三郎君            寺本 広作君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 經勝君            田村 文吉君            竹中 恒夫君   大蔵委員    理事      河野 謙三君    理事      木内 四郎君    理事      西川甚五郎君    理事     小笠原二三男君    理事      平林  剛君            天坊 裕彦君            青木 一男君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            左藤 義詮君            佐藤清一郎君            土田國太郎君            林田 正治君            廣瀬 久忠君            宮澤 喜一君            山本 米治君            荒木正三郎君            大矢  正君            岡  三郎君            栗山 良夫君            小林 孝平君            杉山 昌作君            前田 久吉君            鮎川 義介君            野坂 参三君     —————————————  出席者は左の通り。   社会労働委員    委員長     阿具根 登君    理事            勝俣  稔君            木島 虎藏君            山下 義信君            中山 福藏君    委員            有馬 英二君            井上 清一君            草葉 隆圓君            斎藤  昇君            谷口弥三郎君            寺本 広作君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            山本 經勝君            竹中 恒夫君   大蔵委員    委員長     河野 謙三君    理事            西川甚五郎君           小笠原二三男君            平林  剛君            天坊 裕彦君    委員            木暮武太夫君            土田國太郎君            廣瀬 久忠君            宮澤 喜一君            山本 米治君            大矢  正君            栗山 良夫君   国務大臣    労 働 大 臣 石田 博英君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    労働省労政局長 亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君    常任委員会専門    員       木村常次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本労働協会法案内閣提出衆議院  送付)     —————————————   〔社会労働委員長阿具根登委員長席に着く〕
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまから社会労働大蔵連合審査会を開会いたします。  前例によりまして私が連合審査会委員長の職を勤めさしていただきます。  それでは日本労働協会法案を議題といたします。  まず法案の大綱について、政府委員から説明を願います。
  3. 亀井光

    政府委員亀井光君) この労働協会法案は、経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律案に基きまして、十五億の基金を持ちまして事業運営するのでございますが、その基金につきましては、経済基盤強化法律にございまするように、基金はそのままとしまして、その運用収入をもちましてこの事業運営するのでございます。この協会目的としましては、労働問題について研究を行いますとともに、広く労働者及び使用者並びに国民一般の労働問題に関する理解と良識をつちかうことを目的とするのでございまして、その事業内容といたしましては、法律の二十五条にございますように、労働問題に関する研究及び資料整備、そのほかその研究の結果につきましてその資料一般に公表していく、あるいは講座を開設する、あるいは労働組合使用者団体等の行いまする労働教育につきまして、資料の提供あるいは講師の派遣等の援助をしていくというふうな事業をしようとするものでございます。そうしてこの協会の組織としましては、会長一人、理事五人以内、監事二人以内をもって執行部構成されまするが、民主的な運営のために理事会編成をいたしまして、すべて重要事項につきましては、理事会において決定し、これを運用していくという形をとっております、そのほかに、さらに民主的な運営をはかりますために、評議員会制度を設けまして、評議員十五人以内をもちまして構成をし、重要事項につきましては、理事会がこの評議員会に諮問をいたしまして、そうしてそれぞれこの協会重要業務方針決定その他について意見を徴する建前になっております。  そこで、この役員の任命につきましては、一応行政最高責任者でありまする労働大臣任命いたすことといたしておりまするが、特にこの協会業務の性質からいたしまして、「労働問題に関し、公正な判断をすることができ、かつ、深い学識経験を有する者のうちから任命する。」という法律上の条件が付せられておりまして、この協会業務運営に適当な人、しかも公正な判断ができる人を選ぶ建前をももまして、この協会業務の公正な運営を企図いたしておるわけでございます。また評議員任命につきましても、これも一般の労働問題につきまして学識経験ある者の中から労働大臣がこれを任命していくという方式をとっておるのでございます。この評議員会制度は他の特殊法人に例を見ない制度でございまして、この協会業務運営をできるだけ民主的に行いたいという趣旨でそういう規定を設けたのでございます。  さらに、財務関係、その他の監督規定につきましては、一般特殊法人の例にならいまして、それぞれ労働大臣監督、あるいはその監督の際における大蔵大臣との協議事項等、これは一般特殊法人と同じ形をとっております。ただ、一般特殊法人と違いまするところは、業務監督につきまして、特にこの協会業務の公正を期する、あるいは自主性を企図するという趣旨からいたしまして、「協会業務運営自主性に不当に干渉」してはならないという法律上の義務づけを実はいたしておるわけでございまして、この規定は他の特殊法人に見られない、この協会法案において初めて掲げました条文であるわけでございます。  で、以上、大体この協会目的業務内容、その構成等について御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 質疑を願います。
  5. 大矢正

    大矢正君 私は大蔵委員会におきまして、経済基盤強化のための資金、それから特別の基金をめぐる問題についてまだ具体的な論議を一度もいたしておりませんので、この際、労働協会法質問に入ります前に、財政上、また予算措置上疑義の点が二、三ありますので、そのことをただした上に立って、労働協会法についての質問をいたしたいと思います。  第一にお伺いいたしたい点は、もちろん主計局長についてでありますが、一般世上では、四百三十六億という金の全部が経済基盤強化資金であるというように言われておるのでありますが、考え方の上においては、そういう考え方が妥当であるのかどうか、もしまた違うとすれば、違う内容をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  6. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 経済基盤強化資金と、それ以外の基金経済基盤強化という点で区別があるかどうかというお尋ねでございます。いわゆる、たな上げ資金ということで俗称せられておりまするように、三十一年度剰余金が多額に上りましたので、それの中の法定の使途に充てまするもの以外をもちまして、この際経済基盤強化というねらいをもちまして、一つ資金五つ基金を作るという意味におきましては、これはその淵源からいたしまして、あるいはそのでき上りました姿からいたしまして、資金運用部に預託いたしまして、当面のいわゆるたな上げの効果を来たすという点におきましては一つのねらいから出ているものであります。しかしながら、でき上りました姿におきましては、これは法文で御承知のように、おのおの機能を異にするわけでございまして、いわゆる経済基盤強化資金というものは、将来におきまする道路整備港湾整備以下の目的に対しまして将来歳入歳出を通じまして、それらの目的に充てるという仕組みに相なっておるわけでございます。それに対しまして五つ基金の方は、ことにごらんのような協会あるいは特別の法人等出資をいたしましてそれがおのおの所定目的に対して作用する、こういうことでございます。従いまして、これを全体統括いたしまして、将来日本経済というものが伸張し成長いたして参りますることに貢献いたしますことは、これは事実でありまするが、狭い意味経済落盤強化という言葉を使っておりますのは資金の方でございます。全体といたしましては、今申し上げたような趣旨からでき上り、今のような法の規定をいたしておるというのでございます。
  7. 大矢正

    大矢正君 具体的に基金として、たとえば中小企業信用保険、あるいはジェトロあるいは輸出入銀行等として繰り入れられる内容につきましては、これは、まあ、ある程度うなづける面もあるのでございますが、純粋な意味経済基盤強化資金として二百二十一億円設定をされたこの内容というものが、財政法建前であるところの使途を明確にした上で会計予算は組まなければならないというこの原則からいたしますと、非常にはずれるように考えるのであります。具体的にはこれらの金は将来において補正予算等を通じまして、かくかくの内容において使われるということで、道路整備港湾整備科学技術振興または異常災害復旧産業投資特別会計への繰り入れといわれておりますけれども、これは抽象的に数多くのものを羅列したのでありまして、もし本筋としてこういうような内容に将来使われるという可能性があるとすれば、この際その内容財政法建前からいって、また、立法の建前からいきましても、具体的に分けて、その内容を列挙すべきではないかというように私は考えるのでありまするが、抽象的に、こういうものの経費として将来においては使いたいということが書かれているだけでありまして、その間非常に研げております。私はそういうことはさっきも申し上げ通りに、財政法の基本的な支出を明確にして予算編成するという趣旨からは、はずれておるように思うのでありますが、主計局長お答えをいただきたいと思います。
  8. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御承知のように財政法には資金に関する規定がございまして、特別に法律をもちまして資金を設置することを認めておるわけであります。この経済基盤強化資金は、その財政法の四十四条に基きまして設置される資金であるわけであります。資金を作りまするときに、その資金目的を明らかにいたすべきは、これは当然でございまするが、その場合におきまする資金の将来の使途と申しますか、使います使途につきましての限定の仕方はいろいろございまして、たとえば産業投資特別会計におきまして三十一年度補正予算をもちまして作りました資金、これは産業投資特別会計所定用途に充てますための資金である、あるいは現在ございまする学校資金規定がございまして、これは学校施設等に充てるという目的で縛ってあります。それに対しまして、今度は道路整備港湾整備科学技術振興異常災害復旧産業投資特別会計への繰り入れというような五つ用途を指定しておるわけでありますが、この指定のいたし方は、こういうような幅でございまして、先ほど申し上げましたようなものから見ますれば、やや幅が広いということがあるかもしれません。しかしながら、いずれにいたしましても、こういうような使途限定いたしておりまして、将来具体的な支出をいたします際には、今お話のように、具体的に、また歳出歳入につきましての款項別予算を組みまして規定をいたしておるわけでございますから、資金規定の仕方としてはこの程度の限度をもちまして十分であろう。また将来におきまして、具体的に金を使いまするときに各個限定をいたしまするわけでございますから、むしろ資金として設置いたします際には、ある程度幅を持った規定をもちまして、将来における弾力的な運用に備えるという方が現実には適当ではなかろうかという意味におきまして、こういうふうな規定をしたわけであります。
  9. 大矢正

    大矢正君 先ほども私が申し上げましたように、予算編成するに当りましては、その使用目的というものをまず明らかにしなければならないということは、これは財政法原則だと思います。  それから今あなたがおっしゃられた通りに、俗にいう資金というものを設けることができるということは当然四十四条に書いてありますから、これは問題はないと思うのでありますが、しかしその場合といえども、資金を設置するに当りましては、具体的な目標が明らかであり、目的が明らかであることを前提とするのではないかと私は思うのであります。たとえば一般会計予算編成するについては、その使用目的が具体的に明らかになるという前提にあると同様に、資金を設置する場合におきましても、抽象的に多くのものを羅列して、そうしてそれを一本のものにしてこれが資金であるという、こういう行き方は財政法本来の趣旨とは反するのではないかというふうに考えます。たとえば造幣局の特別会計であるとか、あるいは資金運用部の問題、国債整理資金等、こういうようなことがありましても、その内容はほぼ明瞭にいたしておるものと私は思うのでありますが、政府から提案をされておるものは、ある場合には道路整備に使われ、ある場合には災害復旧に使われ、またある場合には港湾整備に使われると言いまして、非常に幅の広い資金というものを留保する結果になりまして、結論としては予算の中に、もう一つまた別の予算を作り上げる、こういう事実が起ることについては、私としてはとうていこれは納骨ができないのでありますが、主計局長の御答弁をいただきたい。
  10. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 先ほどお答えを申し上げましたように、この資金の作り方といたしましては、ただいまの大矢委員の仰せのごとくに、二百二十一億をさらに細分をいたしまして、通路整備に、幾ら港湾整備幾らであるという建て力ももちろん可能でございます、しかしながら、先ほど申し上げましたような経済基盤強化のために備えるという目的使途五つ目的限定をいたしまして、将来におきまして具体的に支出をいたしまする際の弾力性を残しておくという点からいたしますると、むしろそれらの使途をしぼりまして、それらの使途に充てますために一本で資金として持っていく方が将来におきまする経費弾力性を確保し得るゆえんだというふうに考えるのであります。しかしながら具体的に使いまするときは、先ほども申し上げましたように、各個道路整備幾ら、あるいは港湾整備幾らということにつきましての具体的な款項の区分をもちまして、重ねて歳出予算の御議決を願う。その際には、具体的な使途がきまる、本年度のところといたしましては、これは一つ資金、こういうような目的限定を持つ資金であるということで財政法上は十分じゃないかというふうに考えるのであります、
  11. 大矢正

    大矢正君 あなたは今度の予算編成に当って、日本労働協会出資として十五億円というものをお認めになられたのでありますが、たとえば将来において労働協会拡大強化発展をはからなければならない段階が参りましたときには、さらにこの十五億の出資を、これを拡大して基金を増額する方向において、この日本労働協会発展拡大の費用に充てるというお考えなのかどうか、それを承わっておきたいと思うのでありますが、私は必ずしも基金として将来設定しなくても、将来増加させなくても、一般会計としてこれに補助をするとかというような方向において、明瞭な形でできる場合もあると思うのでありまするが、そういう点に対する主計局長お答えをいただきたい、
  12. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 三十三年度におきましては、ただいま御指摘のように十五億円をもちまして労働協会に対する出資をいたしているわけであります。差しあたりまして、この十五億円の出資をもって十分であるというふうに考えているわけでございまするが、将来もし拡充という問題が起りましたときにどういたすかというお尋ねでございまするが、これは法案の従来の御説明でも申し上げていると思いまするが、今回の資金及び基金というのは、三十一年度剰余金というのは、一極の異常なる状態前提といたしたものでございまするから、従いまして将来におきましてどういうような財政状態で、今お話しの労働協会拡充という事態が起りまするか、まあそのときの状態によりまするので、今、労働協会に十五億の出資をいたしましたから、将来の拡充の場合には同様なる方法をとるのだということを、もちろん申し上げるわけには参らぬのであります。そのときにおきまする財政状況におきまして具体的な判断をいたすということに相なろうかと思います。
  13. 大矢正

    大矢正君 衆議院社会労働委員会におきまして、将来この労働協会経費の不足から必要事業ができないという段階においてはどうするかということに対する労働大臣答弁としては、今後も出資の増額、基金増加によってその支出拡大に備えていきたいという御答弁をされておりまするが、こういう石田労働大臣衆議院社会労働委員会における考え方と、また答弁内容と、それからあなたが今言われたことでは多少食い違いがあるように思うのでありますが、局長は一体、そういう大臣のお考えを聞いていなかったのかどうか、それを伺っておきたい。
  14. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 私の申し上げましたことは、本年度の処置は異例な、経済基盤強化資金その他を作りまする剰余金の膨大なものがございましたことを前提といたしておりまするので、仮に将来労働協会拡充いたすという必要が起りました際に、どのような財政状況でございまするか、それにつきましては今日何とも予測をいたしかねるものでありまするから、従いましてそういう前提で出来上りましたものでありまする以上は、そういうような財政状態がいつでもあるというわけには参りかねるということを申し上げたわけであります。
  15. 大矢正

    大矢正君 それじゃ、次のことについて質問をいたしたいと思うのでありますが、この基金として充てる内容というものが、将来使われるような可能性がないかどうかという問題でありますが、私が知り得ている範囲におきましては、昭和三十五年度、六年度、七年度あたりにおきましては、相当大幅な国債償還をしなければならない計画にたしかなっているはずでありまするが、先般所得税法その他の税関係法律を通過する際に当りまして、私は大蔵大臣に対して、明年以降の国の経済伸びと、財政伸び、それからさらにそのことと自然増収剰余金等関係を承りました際には、三十三年度予算編成以降において、たとえば三十一年度あるいは二年度のように、剰余金が大幅にふえる、自然増収増加をし、国の財政が楽になるということは考えられないのじゃないか。従って明年度減税も、今、これは簡単にするというわけには参らないという答弁がありました。しかしこのことの一つは、もうすでに河野経済企画庁長官によって、減税は一千億やるということで打ち消されているようでありまするが、しかしなお大蔵大臣は、それでも河野長官のそういうお考えは納得がいかないということで反駁されていることば、新聞等で御承知でありましょう。かようにして大蔵大臣の言うことが正しいといたしますれば、今後において国の財政上やはり基金というものをこの通り出しっぱなしに出しておいて、それで国の財政のつじつまを合わせるということが困難になり、将来これを使わなければならないという時期が必ずくるのではないかという危惧がするのでありますが、これはもちろん単に労働協会に限らず、経済基盤強化資金との関連において私は言えることだと思うのでありますが、こういう時期にきた場合に、このような基金資金を一体どうされるおつもりであるか、この点についての主計局長お答えをいただきたいと思います。
  16. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいま御審議を願っております経済基盤強化資金等と申しまするのは、経済基盤強化資金とそれから五つ基金から成り立っておるわけでありまして、ただいま大矢委員お尋ねに相なりました点は、その二つにつきまして違ったお答えを申し上げることに相なるかと思うのであります。前者の経済基盤強化資金につきましては、先刻来申し上げておりますように、道路整備以下の目的に対しまして将来使うことを予定いたしておりますいわば消費資金、従いまして将来経済情勢がこれを許す、また財政の需要がこれを必要といたしますれば、当然今申し上げております五つ目的のために使用することをいわば予定しておるということを申し上げられるわけであります。五つ基金の方は、おのおの所定目的に対しまして一つ基本金出資したものでございまするから、これはおのおのその出資をいたしました特別の法人のところにその基金ができるわけでございます。従いまして、その基金は今法律ごらんのように、預金部に預ける、あるいは元金を消費しないというようないろいろな規定がございまして、そういうような管理規定のもとにおいて今後使われて参るというふうに御承知を願いたいわけであります。従いまして労働協会に限りませず、今回出しましたところの基金はいわゆる基本金基金でございましてそれの基金そのものを使うということは考えていないわけでありまするから、さように両者は違った形に相なっておると思っております。
  17. 大矢正

    大矢正君 労働大臣にこの際質問をいたしたいと思うのでありまするが、今の日本労働運動に対して、大臣としてはどういうようにお考えになっておられるのか、まずこの基本的な問題について私は承わりたいと思うのでありまするが、もちろんこれは労働協会とは密接な関係が出てくるものと思いますし、私は今度の労働協会法というのは何かしら政府の、いわゆる労働行政に直接関係があるやに感じられてしようがないのでありますが、この際基本的な問題として労働大臣の当面する日本労働情勢判断の仕方について承わっておきたいと思います。
  18. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 日本労働運動は戦後の波乱期を脱しまして、大きな目でいえば漸次正常のあるいは健全な方向へいきつつあるものと判断をいたしております、しかしながらまだ日本歴史の上における労働運動歴史の浅さその他から、使用者の側は、もう組合運動といえばそれだけですでに反秩序的なものと断定してかかる向きもございまするし、また労働組合側におきましても、労働組合運動のそれ自体の目的社会秩序の改変に向けようとするもの、あるいは客観的な諸情勢と離れて逸脱した行動に走るもの、そういう傾向もまだなしとしないのでありまして、さらに一般社会の労働問題に対する認識はより以上浅いものがあります。従って近代的労使関係のあり方というものについて、この日本労働運動歴史の浅さをカバーいたしまして、でき得るだけ先進国に近づけていきますためには、労働問題を国際的視野において調査研究をいたしますとともに、そのあり方、あるいは実相というものを広く知らしめる必要があると私は考えておるのでありまして、これが現在の労働情勢に対する私の認識でもあり、同時に本法案を提出いたしました意図でもあるのであります。
  19. 大矢正

    大矢正君 あなたは今労働情勢の分析について、社会秩序の改変に向って活動をされているようないわば労働動、労働組合があるという説明をされております。また客観的諸情勢とかけ離れたような労働運動を行なっている労働組合、そうしてまた労働運動があるという説明をされております。これは抽象的な言葉で言われたので私もよくわかりませんので、この際労働大臣は一体どういうような組合の活動、あるいは労働運動内容をさしてこれを言われたのか、例を引いてこの際御説明をいただければ幸いだと思います。
  20. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は社会秩序なり、経済秩序なり、あるいは政治上の態勢なりというものは固定するものではない。従ってそれは常に改変進歩すべきものだと思っております。しかしながら議会民主政治下におきましては、これらはやはり議会政治を通じて、議会を通じて行わるべきものでありまして、そこが議会民主政治の根本である、この議会民主政治下における労働組合の活動範囲、その目標、その限界というものは、これは労働関係の諸法規によって規定をせられておるわけであります。従ってこの労働関係の諸法規の規定中で、労使対等の原則労働者側で裏づけるために労働組合の結成とその団結力が養成される。従って私はそういう範囲の中で、そういう目的をもって行われる組合運動というものは、これは私は議会民主政治下におきまして労働者のための利益をはかる健全な組合運動であると考えておる、しからばどういうところに具体的なその範囲を逸脱した行動があるか、こういう御質問であろうと存じます。これはまあ一々私が自分の所管をいたしておりまする労働行政について具体的な名前をあげて、たとえばどういう種類の組合がどうだこうだということは、これは労働行政の上からいって個々にそういう差別をすることは私は好ましくないと思いますけれども、労働組合の組織力、その団結力をもって直接的に政治上の態勢なり、社会の秩序なり、経済秩序なりというものを直接的に改めようという行動に出ることは、私は議会を通して改めようというのであるならば、これは議会民主政治下において適法であると思いますけれども、その団結力、組織力をもって直接的に社会秩序その他を改変しようとする傾向は、やはり現行民主政治態勢のもとにおける組合のあり力をはずれているもの、そういう傾向がやはり随所に見られる。いま一つはやはり社会の中に……(「随所なんてどこにある」と呼ぶ者あり)随所という言葉は語弊があるかもしれませんが、相当方々に見られる、こういうことが一つあります。  それから随所という言葉は訂正いたします。  それから今一つはやはり社会の中に、あるいは公共とともに一緒になって自分の立場の前進をはかっていってこそ、現実的に労働者諸君の生活の向上というものがはかられるので、私はやはり社会の進歩、客観的な情勢というものとにらみ合せて、社会の人々の理解を求めつつ自分の要求の実現に向っていくということが望ましい。しかしながらやはり労働組合運動の現実の姿の中に、その間に相当なるギャップを生ずる事柄も見られるということを申し上げたわけであります。
  21. 大矢正

    大矢正君 どうも大臣答弁は抽象的で、ふだんですとこういうことはいけない、ああいうととはいけないと具体的な例をあげてお述べになるのだが、このようにして委員会が開かれると、具体的なことを言わぬで、非常に抽象的な言い回し、答弁しかされないので、私は非常に残念だと思うのであります。たとえば労働大臣は総評のスケジュール闘争はいけないとか、あるいは官公労のこういう動きはいけないとかいって、往々にして自分の御意思を述べられることがあるのでありまするが、委員会で私どもが聞けば、そのことを具体的に答弁にならない。さっきから私がお尋ねをしているのは、社会秩序の改変に向けようというような動きがある、あるいはまた客観的に諾情勢とかけ離れたような行動をする労働組合があると、こういうことを言われている。ですから、そういう動きとか活動とか行動というものは、今の日本労働運動の中では具体的にどういうものをさすのかということを私は承わっているのです。どうかできれば端的に総評のこういうのがいけないとか。あるいは官公労のこういうのがいけないとか、全労のこういう動きがいけないとか、具体的な例をあげて御答弁をしていただきたいと思うわけです。
  22. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私はそういうことを一々具体的に申し上げまするよりも、やはり現実に広く世間で評価されている、あるいは世間で考えられている状態というものを申し上げておいた方がこの際はいいんじゃないかと思います。  それから私は何か非公式な会見の中で、私自身の私見をどうこうということを申し上げたように今の御質問でございますが、私はやはり現行法規のワクの中で、そのときどきに起ってくる事象についての見解を労働省としては申し上げておるのでありまして、ただいま申しましたような個々の例について法規を離れていろいろな批評をいたしたようなことはございません。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して、労働大臣の御意見は御意見として承わっておくわけですが、ただ私先ほど来の御質疑の過程で言われている、ある形態の労働運動をさしておられますが、そういう事実があるとなれば、提案なさる政府側の御意見のみならず、われわれとしても非常にこれは重大な問題だと思うんです。国会の立場においても非常に重大だと思われる。その点は何かというと、社会秩序を改変する意図をもって議会民主主義でない直接の行動に出てやる労働運動が、随所というのは取り消されましたが、方々で見られるということを断定しておられる、これは非常に重要であり、どういう労働運動労働行為が社会秩序を改変する目的をもって行われているものと労働行政を担当する大臣が御認識になっておるのか、この点だけは明解にしていただかなければなりません。もしもそういう運動が今日の日本労働運動の中に随所に見られるというようなことならば、これは労働運動そのものだけではなくて、日本の政治そのものについて重大な問題であるとわれわれ関心を持たざるを得ない。で、そういう労働運動、労働行為がどういうところに今日まで見られておったか、この点はぜひ明らかにしていただきます。これは私だけでなくて各委員同じ御意見であろうと思います。石田労働大臣は言葉を糊塗したり、率直でなかったりする方ではないように承わっておりますから、この際堂々とどんどん御意見をお示し願いたい。
  24. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 全般的に相互の理解の不十分その他から健全な労働組合運動というものの発達を阻害している要件が労使双方あるいは一般国民の中にあるということを申し上げたのであります。そこで先ほど随所という言葉を私は申し上げたのですが、それは取り消しました。随所という言葉は非常に誤解を生みますから取り消します。具体的にそれじゃどういうものをさすのか。たとえば一、二の例をあげますると、争議の行き過ぎのためにその経営自体を崩壊に導いた例も二、三ございます。あるいはその争議手段の適当でなかったために、組合の本来の目的が手段の不適当のために達せられなかったという例もございましょう。現在すでに解散になっておりますけれども、いわゆる産別会議のごときは、その会議自体が組合の結成体時代の綱領の中において社会改革をすでに目標にしておられるという実例もございます。私が申し上げたのは非常に極端な例であります。しかし、そういうことが見られる実情というものは、やはり日本労働組合運動歴史の浅さ、それからきます社会の労働組合運動に対する認識の浅さ、あるいは経営者の側で申しますならば封建的な残滓がまだ解消されずに残っているという事実、こういうものはやはり近代的な労使関係を打ち立てていきますための障害になる、こう考えておるわけであります。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 広範な御意見のうち、そういう事実があったとかなかったとかという点について、肯定できる部分も率直にあるけれども、私の聞いている範囲は狭いのですよ、私の聞いているのは。いわゆる社会秩序を破壊する、そういう目的をもって労働行為を行うものが随所は取り消したが方々に見られる、このことは日本労働運動をやっているものからいえば重大な問題だと思う。一国の労働行政を担当する大臣がそういう御認識があるということであれば、その事実は厳格に指摘されない限り、これは労働運動の指導者としては非常に問題を重視しなくちゃいかぬことだと思う。われわれ労働運動労働者の利益を守る立場に立って政党を作っておるものの立場からすると、そういうものが指摘されるならば、あくまでもそういうものは追及しなければいかぬと思う。ところが私が具体的に例をあげることをお願いしましたら、第一にあげられたのは労働争議の結果会社がつぶれた。これが社会変革、社会秩序の改変を目的とした労働運動であるのか、私は絶対そうでないと思う。労働争議そのものが行われる。その労働争議そのものが会社をつぶすために行われるということであるならそれは労働組合の自殺行為である。経営の破綻を来たして、経営者自体の責任において会社がつぶれるという結果が、労働争議そのものと直接に関係づけられて判断されるということは、労働行政を専門に行う担当大臣として私は不可解だと思うのです。多分それは尼ケ崎等の例を挙げているのだろうと思いますが、実情は、一般経済界の認識はそういうところに主たる原因があったとはしないのですから……。  第二の点の労働運動の行き過ぎの結果、労働組合目的を達成することができなかった、そういう例があるということを言いましたが、そういうことはままあり得るでありましょう。これは戦術も未熟であるという点もあるでありましょう。しかしそれは労働組合内で解決される問題であって、社会秩序なり社会改革を目的として行動をする、それが労働組合の要求貫徹とはかけ離れたものである、こういうような、そういう巨体的な事実がどこにあったのか、この点は私お尋ねしなければならぬ。  第三には、産別会議がその目的綱領に掲げておるものがいわゆる議会民主主義を否定する、これは政治革命の方式、そういうものを考えているのだということでありますが、今日離別会議は解体しておる。しかも最終段階には産別会議は一万数千そこそこの組合員をしか擁さない、そういう情勢になってきている、今日それが日本の政治動向をゆがめるとか、あるいは議会政治を危殆に陥れるというような、そういう労働運動が所々に見られるということでありますか。私も労働運動をやってきたものの立場として、全国的な労働争議を見てそういうものを見ることができない。私たちの目が節穴なのか、労働大臣の御認識が正しいのか、もしも労働大臣の御認識が正しいということであるなら、こんな、労働協会とか何とかいうような、こんなものでそれを阻止するなどというようなことは、異常に重大な関心を国会として払わなければならぬ。今日の労働運動を指導しておるものは、大きく分けて総評、全労、新産別、あと中立組合、おのおの大きなところで指導しておる、その指導が社会改革を目指して指導しておるという実証があるならここでお挙げ願いたい。もしもまたそれは私の言い過ぎであった、そこまで極論する意味ではない、労働運動の行き過ぎがままある、こういう意味のことが極言せられてそう言っただけのことなんだということであるならば、そういう点はそういう点で率直に労働大臣もはっきりさせていただきたい。一般大臣の方や保守党の政治家の方がそちこちで政治演説や何かする場合に、ただ単に大だんびらで切って飛ばすような御演説をなさることを、そういうようなととまで私は云々しておるのではないのです。まま私も聞いていますけれども、そういう点はそういう点で一個の主張ですから好きなような御演説をなさることもよかろうと私は思いますが、少くとも国会で、この問題を審議している過程で、担当の専門行政の責任者である石田さんからそういう御認識が、日本国内の労働運動の一角にあるというような御認識があるとするならこれは非常に遺憾だと思う。またもしもあるなら、その点を御指摘を願いたい。私は再度そういう意味で御質問申し上げます。
  26. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私が冒頭に申し上げました通り、わが国の労働運動というものは戦後の混乱を抜け出て次第に健全な形をとりつつあるものという一般的な認識の上に立っておるわけであります。従ってただいま御議論なさっていらっしゃるようなこと、それが非常に普遍的でたくさんあるという意味で申し上げたわけではないのでありまして、今小笠原さんがおっしゃるようにままあるという意味で申し上げたのであります。それから社会秩序経済秩序という言葉は私は使用者側の態度についてとった言葉をそのまま受けての表現になりました。私が申し上げましたのは、使用者側で労働組合というとそれだけで社会秩序経済秩序を破壊するというような認識が使用者にまだ残っておる面が相当あるということを申し上げたのです。それで、その逆に、いわゆる社会秩序、法秩序と申しますと、経済秩序というよりは、議会民主政治下におきまする法秩序、法秩序の維持ということについて必ずしも満足にいかない、行き過ぎが方々に見られる、方々と申しますか、時折見られる状態にあるということを申し上げておったわけでありまして、その程度の認識については、私は冒頭に申し上げましたように、全体としては健全な方向にある、しかし間々あるという小笠原さんの表現が適当でございましたら、その通りの表現でけっこうであります。そう普遍的になおたくさんあるということを言っているわけではございません。ただ全体としてのそういう現象が見られる。まだ労使あるいは国民の間に労働運動というものに対しての十分な認識と知識があると思われない、それを持たせることが必要である、こういう意味で申し上げたのであります。
  27. 大矢正

    大矢正君 私は労働大臣、あなたとここでお互いの思想上の問題で議論をするという気ではなくて、法案審議についてわからない点があるから私は質問申し上げているので、決してあなたと私自身は議論をする気はありません。そこで、けさの新聞なんかにも出ておったようでありますが、総評は、近く行われる衆議院の選挙に際しまして、その投票日の前日に、国民大会のようなものを開いて、選挙に対する、何と申しましょうか、激励か、応援か、何かそういうようなことをするということが新聞に出ておりました。おそらく労働大臣もお読みになったと思います。私は総評の人と会ったわけじゃありませんから、その信憑性はたしかめるわけには参りませんが、とにもかくにも、新聞にそういうことが書かれておりますので、こういうことは、そうすると、労働大臣の言うところの、社会秩序の改変にこの運動が向けられているのだという解釈になるわけですか。
  28. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それは選挙を通じて国政の方向をきめようということでございますから、残るのは公職選挙法との関係だけであると思っております。そういうことを指しているわけではございません。
  29. 大矢正

    大矢正君 そうすると、総評のそういうような運動それ自身は、労働大臣考えている範囲におきましては不当なものであり、不正なものであるという考え方ではない、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
  30. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その通りであります。
  31. 大矢正

    大矢正君 それじゃ次に、客観的な諸情勢とかけ離れて労働運動がしばしば行われているということを言われておりますけれども、たとえば私鉄の賃金値上げのストライキに対して、河野経済企画庁長官は、あなたと同じ閣僚の一人として、もし賃金の値上げが行われた場合には、将来において運賃の引き上げは行わないという強硬な態度を述べて、どちらに被害を受けさしたかわかりませんが、労働運動に対して水をさすような発言をされておりまして、これはあなたといえども、同じ閣僚の一人として、それは河野さんが勝手に言ったことで、おれは知ったことではないということは言えないんじゃないかと思いますが、そうすると、こういうように考えて参りますと、私鉄が行い、かつストライキを行なったあの内容というものが、今の政府考え方からいけば、これは明らかに社会秩序あるいは客観的な諸情勢の上においてかけ離れた内容である、労働組合の要求と行為は、客観的な諸情勢からかけ離れた行為であり、ゆえに政府としては、ゆえに閣僚の一人として、もしも賃金の値上げが認められる場合においては、運賃の値上げは行わないのだという強硬な態度になって現われたというように私は解釈をしたわけですが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  32. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 河野企画庁長官が、新聞紙上に載っておる発言を実際されたのかどうかということは私は承知いたしておりません。また私も河野君のそういう御意見を直接的に承わったことはございません。しかし労働賃金と運賃の問題とは、これは私は直接的に関係があるものだとは思っておりません。だが、運賃値上げという問題を決定いたします場合の基本的要素、これは私の所管ではございませんが、私の私見をあるいは国務大臣としての考え方を申し上げます。運賃の値上げを承認するかしないかという判断になる基礎というものは、やはりその企業の経営の内容というものによるだろうと存じます。おそらくそういう経営の内容判断する上において、その何分の一かの中に賃金の問題というものは、それは考慮に入れられるかもしれません。しかし私は特に民間企業の労使間の紛争というものは、やはり基本的には自主的に解決せられるべきものであり、かつそれが自主的に解決を見られない場合、あるいはそうでなくても第三者のあっせん等によって平和裏に解決する。第三者と申しますと、中央労働委員会その他のごあっせんによって解決せられるものが適当であって、政府がこれに対してその決定に際して、いろいろの干渉がましいことをするのは望ましい状態ではないと考えております。
  33. 大矢正

    大矢正君 あなたは総評の闘争に対して、しばしばスケジュール闘争と称し、こういうような闘争というのは好ましくないという判断の表明がされておりますが、私は直接あなたから聞いたわけじゃありませんが、新聞その他では明瞭にそのことが載っておりますし、またあなたは財界に対する労働教育等の中で、労働情勢の分析等の中でそういうような発言をされているようなことが新聞でも二、三私は拝見をいたしたのでありますが、そういう考え方をお持ちになっておるかどうですか。
  34. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は総評の運動方針それ自体、特にスケジュール闘争それ自体というものについて批評をいたしたことは公式にございません。ただ、官公労その他の場合は別といたしまして、民間の各企業においては、企業の状態が違う、あるいは経済的な諸情勢がそれぞれの年度によって違う、そういう状態の中で画一的に年中行事的にやられることは望ましいことではない。むしろそれはその状態に応じて現実的に解決されていくのが望ましい方法だと私は私なりの考え方としては持っております。しかし労働大臣といたしまして、まあスケジュール闘争という方法それ自身について公式にそういう見解を申し述べたことはないのであります。願わくばそういう形でなく、それぞれが各企業あるいは各業種に応じて労使間の問題は団体交渉をつめていくという形で解決せられる方向にいくことが望ましいと私は考えております。
  35. 大矢正

    大矢正君 あなたは衆議院社会労働委員会で、労働協会というものは、これは教育活動を行うんではなくて、いわば普及運動なんだというような御答弁をされているのですが、教育活動を行うということと、それから普及、まあ何を普及されるのかわかりませんが、とにかく普及をするのだということでは多少の何か相違があるような感じもするし、また全く同じ内容のものであるというような解釈もされるのでありますが、この際この点を明確にしていただきたい。
  36. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この協会目的といたしますのは、内外の労働情勢あるいは労働問題についての調査研究をいたしまして、その研究の結果を世間に明らかにしていく、それから西欧あるいはそのほか先進国の状態、あるいは国内におきましても、よき労使の慣行が樹立されている状態、それに至る経過、そういうようなものを世間に紹介をすることによって、労使関係というものを近代化し、それによって産業平和をもたらして、国の経済力の増強に役立たせようという考え方をしておるわけであります。
  37. 大矢正

    大矢正君 そうすると教育ではないという解釈になるのですか。まあはっきり一つその点をお答え願いたいのであります。
  38. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 教育という言葉がいろいろな意味に使われます。私の申し上げております意味は、そういう知識を広く国民大衆の中に与えるということが教育であるならば、それは教育という言葉を使っても差しつかえないものと思います。私どもはそういう意味で知識を広く知らせることによって良識を養う、その良識の基礎の上に立ってよき労使慣行を立てていきたいと、こう考えておるわけであります。
  39. 大矢正

    大矢正君 あなたは衆議院社会労働委員会におけるわが党のある委員質問に対して、教育活動というのは、それは業務目的の具体的な内容のところに「労働組合及び使用者団体等の行う労働教育活動に対して援助を行う」、ここに初めて教育活動というものが生れてくるんであって、それ以外には教育活動はないということをあなたは衆議院で言っておられるんです。ところが実際問題として提案理由の中には、明らかに教育活動ということが出てきております。それはどこにあるかというと、こういうように書かれておる。いわゆる労働教育に努めて参ったところであり、また今後とも政府労働教育を継続したいと思います。しかし労働教育にはその性質上、また技術士政府または地方公共団体が行うことを不得手とする分野も少くございませんので、当協会においてこれをやるんだと、こう書いてある。そうすると法律内容では教育活動はしないといって大臣答弁をし、そうしてそれが趣旨なんだと、こういう。提案理由の中では教育活動を実際に行うんだという、そこにやはり食い違いがあるように思うのでありますが、お答えいただきたいと思います。
  40. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ですから教育という言葉の持っております内容についてはいろいろ御議論がございましょう。この法律の中で教育という言葉を使っておりまするのは、第四章業務の中の、四号だけに使っておるわけであります。知識の普及あるいは研究成果の発表、そういうふうなことを教育という言葉を当てはめるといたしますならば、また労働省設置法に基いてやっておりまする労働教育というものも大体その範囲で行なっておるわけでありますが、それを教育という言葉で申しますならば、教育という言葉を使ってもそれは別に差しつかえないことだと思います。そういうものは今までのような、いわゆる官庁や地方行政機関でやることは適者でない、適当でないと申しますより不十分、十分でない、あるいは大衆性において欠けるところがあるというような意味合いから民間の人によってやっていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  41. 平林剛

    平林剛君 全労働協会を発足させるということは、政府が自分でやるというのは適当でないというような御答弁をなされましたが、その意味で民間の中における一つの機関として設けたい、そういう趣旨のようにお聞きしたのでありますが、そうだとすると、この法律案の中に、労働大臣がいろいろな権限を持って、いろいろな監督上必要な命令を出すことができるという根拠は、一体どういうところから出てくるんですか、今のお話は。この法律案労働大臣監督をするということになっておりますれば、形を変えて民間でやらせることになりまして、今の御説明趣旨とは全く反しているのではないだろうか、こう理解されるのでありますが、その点を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  42. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この労働協会がやろうと思っておる仕事、これは労働省設置法の中に規定されておりまする労働に関する——設置法の第三条の一号に「労働に関する啓もう宣伝」という項目がございます。その項目の中に入ることでありますが、そういう行為が、これはまあここにだいぶ差しさわりがございますけれども、いわゆる役人、官僚と申しますか、そういう教育を受けておった人々の発案やあるいは計画やあるいは行為で行われるのでは、大衆性に乏しく効果が十分に期待できない。従って、それを民間の人でやっていただきたいと、こういう意味で申し上げたのであります。その不十分な点を民間の人々の民間のセンスでもってやっていただきたいと、こういうことを申し上げたわけであります、そこで、この法人に対する監督権を労働大臣が持っておる、それと矛盾するのではないか、という御質問でございますが、労働大臣がこの団体に対して持っております監督権は、これは一般政府出資に基く特殊法人の示す当然の条件でありまして、それでもなお、この協会の中立性、独自性を失わしめないために、その監督権は経理財政の面だけにとどめる、あるいは、適法ならざる、あるいは目的に逸脱した行為をなさしめない程度にとどめて、その業務、この法律の差し示す範囲内の業務の遂行については中正を維持せしめる規定を別に設けておるわけであります。で、労働大臣監督権というものを、国家が出資した団体に対してこの程度に、ほかの特殊法人はもっと厳格なものを持っておるわけでありますが、最小限度にとどめておるわけであります。従って、業務内容は、やはり民間の人々によってやっていただくのでございます。
  43. 平林剛

    平林剛君 民間の人にやってもらう、民間の人にやってもらうと、こう言うんでありますが、法律案の中では、業務に関し監督上必要な命令をすることができるようになっておりますから、実際上は、政府が民間のベールをかぶせておいて、そして大衆的あるいは民主的な性格を持っているかのような誤解を与えておいて、実際には政府監督をすると、こういうことがはっきり法律に書いてあるんであります。あなたの御答弁は、その点は法律案とずいぶん食い違っておる。また、経理や財政のことだけであれば、何も労働大臣がこれに監督をする必要はないのであります。元来、私どもこの法律案をいろいろ検討してみますと、経済基盤強化法律案から財源を求めておるだけで、この経済基盤強化法律案そのものはまた別に議論はいたしますけれども、政府の今日まで国民の前に宣伝をしてきた政策をひとつ集中的に含めたようなものであります。そういう意味では、この資金日本労働協会に出すということも、この労働協会を使って政府の政策を広げるというふうに理解もできるわけであります。そういう意味からいきますというと、どうも実際は政府がこれを監督労働教育やその他のことを行うというふうに理解ができますが、私のこの見解は間違いでございましょうか。
  44. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働大臣業務上行います監督は、この法律にも三十五条の二項に明記してございますように、「法律の適正な施行を確保するため」、つまり、目的違反の場合だけであります。それから、経理財政上の監督なら労働大臣がやらなくてもいいという御意見は、おそらく大蔵大臣がやればいいという御意見だろうと思うのでありますが、これは他の特殊法人におきましても、それぞれ所管の大臣監督を行うことになっておるわけであります。私の説明法律内容とは、私は食い違っていないと思っておる次第であります。
  45. 大矢正

    大矢正君 主計局長に、経理上の問題について、また、予算編成考え方についてこの際承わっておきたいと思うのでありますが、労働省の予算の中には、労働情報蒐集に必要な経費として三千百六十万円、労働教育に必要な経費として千六百十九万円、それから、労働統計調査の実施に必要な経費として六千十四万円、合計一億七百九十三万円という金が労働関係の労使に関係する問題に対して特に必要な経費として計上をされておるわけでありますが、大蔵省が予算編成をするに当っての考え方として、労働省の予算の範囲においてはなお仕事が不足な面があるので、その意味を確保するために労働協会というものを作るという考え方でこの労働協会というものをお認めになったのか、あるいはそうじゃなくて、この際民間という名前において——実質的には大蔵大臣がすべての権限がありますから、民間なぞと言っても大笑いです。世の人はおそらく笑うだろうと思うのでありますが、表面は一応民間という言葉が使われておる。民間という名において、たとえその仕事の内容において重複する面があってもこの際こういうものを作ったほうがよろしいのだという考え方においてあなたは予算を組まれたのか、このいずれであるかということを御答弁いただきたい。
  46. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御指摘のように、労働省におきましては、従来から労働教育と申しまするが、一連の経費がございまして、主として週刊労働あるいは地方の委託費の関係をまかなっておるわけであります。従来こういうような経費でまかなってきたのでありまするが、やはりただいま労働大臣がおっしゃいましたような趣旨で、労働省自身が行いまする範囲にはおのずから限界がございまするので、今回こういう協会を作りましてその足らざるところを補って十分に啓蒙普及と申しまするか、そういうような機能を行なっていただくという意味におきましてこの経費が入っておるわけであります。
  47. 山本經勝

    山本經勝君 この際お伺いをしておきたいのですが、問題になっております労働協会基金すなわち十五億円の基金を大蔵省でお認めになった根本の理由を伺いたいんですが、だいたいここに説明資料に書かれておりますように、四百三十六億三千万円の三十一年度の余剰金が決算上一生まれた。そこで、二百二十一億三千万円をもって経済基盤強化に充てる、それからなお二百十五億円が残ったので、それを五つ特殊法人に充てて基金とする、こういうわけなんです。ところが、御承知のように、日本財政経済状態というのは、最近異常な不況の中に陥ってあえいでいる。これは、大蔵省も十分御承知だと思う。そうしますというと、そうした余剰金があるほどなれば、この余剰金はもっと広い意味において不況対策に引き当てるべきではないかと思う。これは、国の財政を預かっておられるのですから、当然大蔵省の任務だと思う。ところが、事を好んでこの十五億円といえども労働協会と称する直接国民経済に重大な影響を与えないようなところへ配置をしてそうしてやられようということについては、私は、どうも大蔵省の財政あるいは運用の面での考え方が現状の国内情勢にそぐわないという印象を強く受けるのですが、申し上げるような趣旨においてこの十五億円を労働協会資金として提供された根本的な理由、あるいはさらに付帯して諸般の問題があったと思いますが、最初には労働省の要求が三十億であったとか聞く。これを十五億に負けて半額にしてその金を出してやる、こういうことになって参りますというと、だいたい大蔵省の考え方にも非常にあやふやなものがあるような印象を受けてならない。この点をまず局長のほうから御解明をいただいておきたい。
  48. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 財政政策全体の問題でございまするから、私がお答えするのは適当であるかどうか存じませんが、御承知のように、昭和三十一年度に非常に大きな剰余金が出ました。この剰余金をいわゆるたな上げをいたすということが財政政策の基本であるわけであります。その後におきまして、御承知のように、まあ経済状態が現在のような状況であるわけでありますが、やはり現存の堅実な政策を維持して参るという必要は依然としてあるわけなのです。国際収支の状況も若干改善をしておりますが、しかしながら、まだまだ気をゆるめるという状態には参っておらぬ。従いまして当年度の、三十三年度予算を組みました考え方の基本でございまする前々年度剰余金のうち、当年の使途に充てないものは、これはいわゆるたな上げをいたすという政策につきましては、引き続きやはり必要であるという考え方をいたしておるわけであります。そのうちで大体半分に当りまする二百二十一億円という金が、いわゆる経済基盤強化資金ということで、将来その目的のために、将来の経済基盤強化のための資金として充てる、残りはこれをまた五つ基金にいたしまして、おのおのに区分した結果、これが現実の購買力にならないように措置いたしまするとともに、将来にわたりまして、おのおの五つの必要な目的に充てるということを考えたのであります。十五億という金は、これは利子収入をももましてこの協会経費に充てるわけでありますから、協会事業規模というようなものも考えてみまして、大体この程度のもので所期の目的を達し得るのではないかというふうに検討いたしまして、十五億円という金は労働省と御相談いたしまして、内閣で御決定願った次第であります。
  49. 山本經勝

    山本經勝君 私の申し上げたいのは、今の二十三年度予算もいよいよ国会を通過して実施になっている。ところが、その後の日本の国内の財政経済状態は異常な不況に追い込められておるという現状じゃないかと思うのですが、この点はどうお考えになるのですか。
  50. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) その点につきましては、随時予算委員会その他におきまして、大蔵大臣からお答えを願っておる次第でございまして、現在の状況が、いわゆる不況対策という意味において何らかの措置をいたしまするよりは、堅実な基調を引き続き維持して参る必要があるということにつきまして、しばしば大蔵大臣お答えいたしましたことで御了承を願いたいと思います。
  51. 山本經勝

    山本經勝君 これはもっとも所管が違うから、失業問題の増加等について直接大蔵省が御存じないかもわからぬ。ところが本年は、二月以降現在まで失業労働者の数というのは約四万近く増大しておるやに聞いておる。そういう状態でありますというと、中小企業の倒産やあるいは経営困難、こういうような実情がきわめて顕著に現われておることは、私は大蔵省といえども認められるであろうと思うわけです。そういう状態であるなれば、もしこうした資金を固定して、基金として寝かしておくというよりも、むしろもっと積極的な、困窮した勤労者に対して職場を与えるなり、あるいは何らかの形でこの不況を切り抜けるような応急の措置に振り向けられてしかるべきじゃないか。ところが、今局長さんのお話を聞くというと、つまりこの命は経済基盤強化のために将来に向かって基金としておいて、その利子を上げて、その利子を使っていくのであると言われるのですが、少くともこれはやはり一つの寝せ金になると私は思う。それで、もしこの経済基盤強化という考え方の上に立って、あるいは五つ法人を設置し、それに資金を与える、さらに二百二十一億三千万円の、経済基盤強化資金とするというような形で、これは将来各種の事業支出されていく、でありとすれば、少くともこの剰余金のうちで、現に運転を可能とするところの四百二十六億三千万円の金の、そのうちで可能な最大限度、当面するそういう不況によって起る失業者の救済なり、あるいは中小企業の倒産なりをカバーする方向に向けて資金運用することの方が正しい意味における国の財政の運転ではないかという、しろうとなりの判断をいたすわけです。ところがそれをしいて、この種基金にして寝かすということは、どうも意味が理解できない、そこをもう少し御親切なお話を聞かしていただいて、理解を深めさせていただきたい。
  52. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいまお話しがございましたような経済情勢につきましては、予算編成のときにも予定をある程度いたしまして、たとえば失業対策費であるとか、あるいは失業保険の給付金であるとかいうようなものにつきましては所要の措置をいたしまして、前年度に比べまして相当な増額をいたしておるわけなんであります。あるいは中小企業の点につきましても、予算の上におきまする中小企業対策費、あるいは財政投融資の面におきまする国民金融公達、中小企業金融公庫以下相当な貸付額の増加をいたしておりまして、中小企業のために相当な措置をいたしておるわけであります。そういうようなものも頭に入れまして、経済の基調全体といたしましては、やはり堅実な方針でやって参る必要がある。なかんずく前々年度剰余金という、毎年におきまして経常的な収入を予定し得ない収入でございまするので、一般的な経費をそれに引き当てますることは、現在の状況から見て不適当であろうという判断をいたしまして予算を組み、その後におきまして終始いろいろな御議論がございましたが、大蔵大臣からいろいろな機会に申し上げて参りました通り、この編成方針で考えましたところの基調というものは現在引き続き維持いたす必要がある。現在はお示しのように生産調整、在庫調整というような段階なんでございまして、いろいろな現象が現われておるわけでございまするが、なおこの調整の時期というものを長引かせぬためには、むろん今の基調を維持して参る必要がある。なお具体的なこまかい点につきましては、これまた金融の問題でいろいろな勘案をいたすというのが現在の財政金融の考え方でございまして、その考え方に基きまして大蔵省としてはやって参るということでございます。
  53. 山本經勝

    山本經勝君 もう一点お伺いしておきたいのですが、この経済基盤強化と言われる二百二十一億三千万円、それからその他のいわゆる五つ法人に対して特別の基金に引き当てると言われるものが二百十五億円、そうしますと、この二百十五億円というものは、経済基盤強化ということは意味しないものなんですか。
  54. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 先ほど冒頭にお答えを申し上げましたように、経済基盤強化という言葉におきまして資金の名前といたしておりまするのは、御指摘のように二百二十一億という金がそれに引き当ててあるわけであります。従いまして、いわゆる経済基盤強化資金というのは一本の資金でございまする二百二十一億円に該当いたすわけであります。しかしながら残りの五つ基金につきましても、これは日本の国民経済の長期にわたりまするところの発展ということを頭に置きまして、これは今申し上げました経済基盤強化資金五つ道路整備以下の目的とは違いまするけれども、最も政府として重要と考えまする用途に対しまする基本金というものを、この法律の示しますような意味におきまして設定をいたしまして、将来にわたりまして、そういうような目的がこれらの特殊法人によりまして遂行できるということをねらっておる次第であります。
  55. 山本經勝

    山本經勝君 今の局長さんの御答弁ですというと、つまり五つ法人に特別の基金として支出することはやはり、経済基盤強化には該当しなくても、重点的な当面の施策である、こういうお話です。そうしますと大蔵省としては、この問題になっておりまする労働協会法の中に盛り込まれた労働協会なるものが、そうした意味における経済的な寄与を国のためにする、こういうように理解ができるんですが、そう理解してよろしいですか。
  56. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 健全な労使関係と申しまするか、十分に、先ほど来労働省からお答えのございましたような、知識なり常識なりが普及をいたしまして、健全な関係ができまするということは、将来にわたりまする日本経済強化発展のために非常に重要であろうという考え方に出発をいたしておるわけでございます。
  57. 山本經勝

    山本經勝君 一点だけ局長にもう一度。同じ問題ですが、この十五億円の資金を投下する、それを基金として、その金利によって九千万円の金を上げる、その九千万円をもって運転する、この協会が、もう少し突き進んでいけば、そうした基金によって、今の重点施策として当面の五つ基金を設定したのである、こう言われるのなれば、どういう経済効果が現われてくるのか、そういう点を一つ大蔵省の方から御説明をいただいておきたいと思う。
  58. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) その点は、先ほど来御答弁のございましたように、健全な労使関係が発達をいたすということは、これは、国民経済の非常なる将来の発展のために、最も重要なる寄与の一つであるという意味におきまして、これは当然国民経済の将来の発展に寄与し貢献いたすものだというふうに考える次第でございます。
  59. 大矢正

    大矢正君 労働大臣お尋ねをいたしたいのでありますが、先ほど私は、労働省の予算の中に、労働関係労働教育関係、調査、統計関係、こういう内容で一億七百九十三万円の多額に上る予算が計上されている、にもかかわらず、なおまた労働協会というものを作って、労働問題に対するところの調査研究、その他普及活動をしなければならないという理由は、一体どこにあるんだという質問をいたしましたところが、主計局長は、それは、労働省が予算の中で盛られておる範囲の仕事をする上に当って、なお不足する分を、労働協会はこれを補うのだという答弁をされておりますが、労働大臣の立場においても、今主計局長が述べたと同様な考え方でおられるのかどうか。
  60. 石田博英

    国務大臣石田博英君) その通りであります。つまり役所でやります範囲、あるいは役所でやります能力、あるいは役所でやるセンスと申しますか、そういうもので求められないものをこの協会でやっていきたいと、こう考えておるわけであります。
  61. 大矢正

    大矢正君 労働大臣は、ただいま役所では求められないものを労働協会を作ることによって求めることができるんだという表明がありましたが、それはどうも抽象的であって、私には理解しにくいのでありますが、たとえば、事業内容などを比べてみますと、まず具体的な事業の中で、労働問題に関する研究及び資料整備、第二番としては、出版、放送事業、あるいはまた労働講座、こういうようなことは、実際問題としては、これは当然今日まで労働省それ自身としてもやられてきたことでありまするし、明らかに予算編成の上におきましても、編成の理由の説明書の中にそういうことが載っております。それからまた労働組合使用者団体に対するところの労働教育活動に対する援助におきましても、従来まで労働省あるいは地方の自治体というものが行なっていることも事実でありまするが、そうすると、一体この労働協会に今労働省が行なっている範囲の仕事以外に何を求めることができるのだということについて、非常に具体的な、内容としては理解のしがたい面が出てくるのでありまするが、それは、一体精神的な問題なのか、対人関係の問題が中心でございまするからして、それは精神的な問題なのか、あるいはそうではなくて、具体的な仕事の内容の裏づけの上においてそういうようなものがあるのか、そのいずれであるのかをこの際明らかにしてもらいたいと思いまするし、できれば、具体的な事例をあげて、こういうことは労働省ではできないけれども、この労働協会ができることによってすることができるんだというようなことがありましたら、この際述べていただきたい。
  62. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 二つに分けて御質問でございますが、その二つにやはり共通するものがあると思います。端的に申しますと、ここに、「労働問題に関し出版」ということ、どうも私は文筆の世界で育ってきた人間でありますが、役所で出す出版というものは、まずわれわれでも読む気がしない。一般の人に至ってはなおさらであります。しかし、非常に、逆にまた専門的な部門においてあるいは資料として、その価値は相当高いと思います。これを大衆性のあるものにし、さらに非常に広く知識の普及をさせるというのには、やはり私はそういう特殊なセンスが必要じゃないか、こう思うわけであります。そういう、役所でやれない、やってやれないことはないじゃないかという議論になると思いますが、これはよく官僚主義という言葉が使われますが、これは具体的に何かと言われれば、なかなか表現がむずかしい問題でありますけれども、実際問題として、雑誌の編集を見ましても、同じ写真グラフを見ても、私は、官房長官時代もたびたび悪口を言ったのでありますが、役所の機構 役所でやりますというものでは、どうしても、結局専門の新聞社等が編集するものにはかなわない、その大衆性魅力において違う。それでは役所でやることを全部やめればいいじゃないかという議論になりますが、これは逆に、今度は資料としての価値は高い。その役所で求められないものを民間の人々のセンスによってやって参りたい、こういうことでございます。
  63. 大矢正

    大矢正君 大臣のお言葉ですが、どうも理解できないのでありまするが、労働省それ自身の出発というものは、これは労働者に対するサービスということを中心として作られたことは当然なことでありますが、そういう、一番国民に親しまれなければならない労働省のお役人さんが、今、労働大臣説明によると、国民にはあまり親しまれない出版物の配布やその他ばかり行なっているというお話でありまするが、これはまことにむだな話でありまして、そんなむだな金を使うことに、なぜ一体大蔵省は毎年予算を認めるのか、私には、とうていこれは理解ができかねます。労働大臣は、わかりやすく、国民と親しませる意味労働協会が必要なんだ、これは出版活動においても、放送活動においても、あるいは労働講座等においても当然言えるかと思うのでありますが、そうすると、三十四年度以降の労働省の予算、三十三年も当然入りまするが、その中には、講座であるとか、出版であるとかいう、こういうような予算というものは盛られない結果が出てくるのではないかと思うのでありまするが、その点については、大臣はどう思いますか。
  64. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 先ほどから申しましたように、それはいかなるむずかしい、めんどうな問題でありましても、やはりこれをわかりやすく、親しみやすく取り扱っていくということが望ましいのであります。しかし、それでは、何人にもそういう能力があり、またそういうことが可能であるか。またいかなる、今まで訓練を受けたり、経験を持った人でも、共通的にそういうものが求められるかということになりますと、私はやはり人の才能あるいはその人の経てきた経歴、そういうようなものが相当大きな影響を持ってくると思うわけであります。従って、役所で求められない分野というものが、研究、調査、啓蒙、宣伝という分野に非常に大きくなってくるように私は考えるわけでありまするし、まず世間でも大体そういうふうに思うのではないか。それでは役所でやる調査、研究というものは不必要か、役所でやる講座の開設なんというものはやらなくてもいいのか、こういう議論になるかと存じますが、私はやはりこれは並行してやってもいいもの、つまり、資料として、あるいはそういう特殊な専門的な知識の普及として、そういうものはそういうものでやっていいのじゃないか。まあ申しますならば、高級な総合雑誌も必要であれば、大衆雑誌も必要である、月刊雑誌も必要であれば、週刊雑誌も必要だというような意味合いで、民間の大衆性を持った啓蒙活動というものが大きな効果をもたらすものと考えておるわけでございます。
  65. 大矢正

    大矢正君 どうもあなた逃げ口上で盛んに言われているのじゃないかと思うのでありまするが、これは私がわからないのじゃなくて、ほかの人もおそらくわからないと思うのですがね、一体片方では固いものをやり、片方ではやわらかいものをやるという大臣説明だ、端的に言えば。それじゃ労働協会というものは研究的な立場で、科学的な立場において資料整備を行なったり、あるいは研究をしたりすることをしないのかどうかということになってくる、あなたの言う答弁でいくと。これは特に国民に親しまれるものだけしかやらない、こういうように聞こえるわけだ、そうなってくると、それじゃ、この労働協会が本来の目的とするところの科学的の立場における研究資料整備は、これは労働省にまかしておいて、そうしてそうじゃない、当面今すぐ必要なことだけをこの労働協会はやって、ほかはやらない、こういうふうに聞こえるのですが、少くとも私はその資料や、その行う活動の範囲がやわらかいとか固いとか、大衆性があるとかないとかいうことは、あくまでも一つの基礎があってなされていることであって、その基礎がなくて、大衆性があるとかないとかいう論議は成り立たないと思うのでありますが、労働大臣はこじつけで何とかこの労働協会がなければ、労働省も仕事をやりずらいのだということを言うために、へ理屈としか聞こえないのでありますが、もっと私のような頭の悪いような男でも納得のいくような答弁をしていただきたい。
  66. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働協会がなければ労働省が仕事をしにくいというような考え方ではないのでありまして、労働問題というものの普及及びこれについての各層の良識の涵養というものには、これは私は労働協会が民間の人々の手によってやっていくことが必要である、これが設置されましたら、先ほど申しましたように一定のワク以外の関係は労働省としては持たない、協会自体の自主性によって運営をしていただくつもりであります。  それから先ほど大衆性云々というお話を申し上げましたのは、主として啓蒙及び宣伝という分野についてお話申し上げました。研究及び資料整備ということにつきましても、労働省は労働省自体として労働問題について研究やあるいは資料の調査はいたしております。しかしその研究というものは、主として労働関係法規を施行するという建前からの研究であります。労働問題を広く社会学的な意味、あるいはそのほかの各般の立場からする研究というものを労働省としてはなかなかやり得ない状態であります。たとえば資料にいたしましても、労働省はその役所の機構によってなし得る資料、それから研究者が違った立場、社会問題、社会科学やその他の立場から行う研究に必要な資料整備とはおのずからまた限界も、あるいは相違も生じて参るのでございまして、そういう建前において民間のセンス、民間の経験、組織、そういうものをいかしていくことが私は労働問題についての良識の涵養に非常に必要であり、効果があると考えておる次第でありまして、これはいわゆる官僚のやる仕事というものの限界、特質については、これは一般的な認識でありまして、その一般的な認識をこえた大衆性を持たせようという考え方は、これは決して逃げ口上ではなくて、これが本質である、こう考えておるわけであります。
  67. 大矢正

    大矢正君 まあ大臣がそういう議論であるならば、一般会計予算の中で労働省が特段、教育講座を行うための予算であるとか、その他この協会に組織するような内容のものは、労働省の予算から切り離した方が私はよろしいのじゃないか、少くとも予算の効率的の使用という立場においては一本に集約して仕事をすべきじゃないかと思うのでありますが、大臣とだいぶ見解の相違があるようでありますから、これ以上このことについての議論はいたそうとは存じません。  その次に私お伺いしたいのですが、大臣の言葉には労働協会というものは大へん自主性があるのだというような話をされておるのでありますが、一体どこに自主性があるのかということをこの際念のために伺っておきたいのであります。たとえば会長は労働大臣任命をする、監事も労働大臣任命をする、理事は、これは会長が選ぶけれども、労働大臣の認可を得なければいけません。それから評議員もこれまた労働大臣の認可を得なければならない。人事面においてはだれ一人といえども労働大臣の認可を得ないで、同意を得ないできめられる人間は一人もいない。それから事業運営についてはどうかと言えば、事業運営は全部、これは内容を明らかにして労働大臣の承認を得なければいけない。それからまた会計上における決算その他についても、これはまた同様である。しかも念のため大蔵大臣のこれまた監査の対象となっている。さらにその上にかてて加えて、もし労働大臣が必要と認めたときは、適宜その労働協会の行う業務幾らでも自由に直すことができる。これだけ法律に規制しておいて、一体労働協会に何が自主性があるのであるか。たとえばあるとすれば、何月何日に労働講座をやりたい、その労働講座を十日延期するとか、一カ月延期するとかといった単なるそういう事務的のことはあるかもしれませんけれども、おそらくそういう内容でいったならば、どういう講師を頼んでどういう内容の講座をするというようなことも労働大臣がやろうと思えばできる。これだけやっておいて、そして民間の非常に民主的な自由な団体であり、国民に喜ばれる、政府には何ら、いわゆる力においても、内容においてもセーブされることのない団体だと、どうして大臣言うことができますか。
  68. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 人事についての規定は、政府が国民の税金から出資をいたしまして作り上げます特殊法人に必要な最小限度の規定を盛っているだけであります。  それから第二には、まず会長の任命、これはやはり労働大臣任命になっております。これについてもしばしば衆議院委員会でも問題になりました。との任命は私はやはりこの自主性を保たしめ、あるいはその公正中立性のもとにおいて国民の信頼を獲得する一番重要なことであると考えております。従ってこれについては、最も良心的な立場の上に立って、大部分の人々に公正だと思われる人事を行う決意であります。しかしそれでは任命の形式を改めたらいいではないか、こういう御議論が出てくるかと思いますが、これは政府出資をしてこういたしているほかの特殊法人の例にならっているにすぎません。事実上の任命については公正妥当を期する決意でございます。それからそうなりました以上は、理事の任免、その他につきましても、これは労働大臣の同意を要することになっておりまするが、会長の御推薦をそのままこれを尊重する建前でいかなければならぬことは当然であります。一たん任命になりました以上は、任期中は特別の事項……特別の事項というのは、法律の第十六条に規定せられておりますような特別の事項、つまり「心身の故障」、これはもちろん科学的な裏付がなければなりません。それから「職務上の義務違反」、これはやはり社会道徳上、あるいは刑事上の問題でございます。それから「その他役員たるに適しない非行」、これもまた同様であります。こういうような明々白々たることがない限りにおきましては、役員の解任などということはできないのであります。  それから業務上の監督についての御議論がございました。先ほど申しましたように、これはこの協会目的違反に限られるのでありまして、講座を置く場合の講師の選定なぞというようなことには、政府が干渉するというようなことは絶対ございません。  それから、その他は主として財務上の、これは国が税金をもって出資をしております以上は、目的違反と財務上の監督はこれはいたさなければならぬのであります。それ以外は、自主性というものはあくまで尊重して参る建前でございます。それから三十五条の第三項に、その自主性を保たしめるための特別の規定も挿入してあるわけであります。
  69. 大矢正

    大矢正君 衆議院の労働委員会でたしかこの協会に対して寄付行為があった場合に、それを受け入れるかどうかということに対して、寄付行為は何かこれを否定しないというような発言があったように実は議事録で読んだのですが、寄付行為が民間団体からあった場合に、これは受け入れることが可能なんでしょうか。
  70. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは法律上は可能であります。しかしこの団体の性格に、あるいは目的にかんがみまして、条件づきのものは受け入れるべきでないという建前であります。それはなぜかと申しますと、よくこの協会の成り立ちが大正時代にありました協調会などと比較されて問題になりますが、協調会は財界からの寄付金と、それに加うるに政府出資でもって作られました。従ってそれはわが国の労働運動上それぞれの役割を果したのでありますが、しかしそれはあくまでも経営者の側の立場というものを離れ得なかった。労使の問題が労使いずれにも片寄らない中正な立場で労働問題というものが理解を深めて参りますために、そういうひもをつけられることをおそれるために、条件づきのものはこれは受け入れない建前であります。
  71. 大矢正

    大矢正君 そうすると具体的に、たとえば協会が行った活動が、経営者の立場としてはまことに好ましい立場であるということから、経営者は協会に対して何分かの寄付をした場合には、特別これは目的を具体的に出してやってくれということじゃありませんから、そういう場合にはこれは受けることになるわけですね。
  72. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それはその基金の性質を厳重に見きわめなければならないと思います。これは一方的に効果を期待したり、あるいはそれを条件としたり、そういうものは受け入れられるべきでない、純粋のものであればそれは受け入れて差しつかえないのだと思いますが、しかしそれでもなおこの協会の性質にかんがみ、その出資者についてもやはり検討を加えるべきものと考えます。
  73. 大矢正

    大矢正君 大臣はたとえばそれが労働団体であっても、あるいは経営者団体であっても、他のいかなる団体からも、言いかえるならば、国以外のところからは経費として使用されるべき内容の金は一切受け入れないという立場の表明ができないかどうか、それからまたそういう考え方を今後とも持たせるように進めていく考え方がないかどうか、念のために承わりたい。
  74. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 特別そういうことを禁止する規定はこの法律の中にございません。しかしながら私はやはり全く無条件なものを除いては、これは受け入れるべきものでないと存じます。といって、たとえば篤志家が死んで、死んだ財産あるいは書物、そういうものを寄付すると言うた場合、これを拒絶する規定を設けることもどうかと考えておりますが、運営に当っては当然考えなければ、との協会自体についての信頼を失うことになるので、それは厳重に注意していくべきものと思っております。
  75. 大矢正

    大矢正君 業務の中の第四項に「労働組合及び使用者団体の行う労働教育活動に対して援助を行うこと。」という規定がありますが、たとえば使用者団体はやりたい、ところが労働組合がその教育活動に反対をしておるという場合に、政府は一体どう処置されるのですか。
  76. 石田博英

    国務大臣石田博英君) この協会に、その場合にどういう活動をするかということについては政府は干渉いたしません。ただ協会の本旨といたしましては、労使双方の間に意見の相違のあるような場合についてはおそらく関与をすることを避けるのが賢明であり、適当であろう、こう私は考えます。
  77. 大矢正

    大矢正君 私は運用上の問題でなくて、法律解釈を聞いておるのです。経営者はたとえば協会に依頼をして、そうして自分のところでこういう教育活動を行いたいと思うのですが、ということで申し入れをする、その場合に労働組合はその教育活動は反対である、もちろん直ちに労働争議その他の発生の中でどうこうという場合ではなくて、普通一般の場合でもそういうことは往々にしてあるわけでありますが、そういう場合は教育活動に対しては、双方に対して一切援助は行わないということに解釈してよろしゅうございますか。
  78. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはいろいろの場合があろうと思いますが、それは結局理事会判断されることと存じます。しかしこの協会の中立性を維持するために、政府として、提案者として現在どう考えるかというと、そういう場合に一方の側だけに援助することは望ましくない、こう思っております。
  79. 大矢正

    大矢正君 それから第十七条の役員の兼職禁止規定というのがありますが、「労働大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」というのは、一体どういうことを目的としてこういうものが作られたのでありますか。
  80. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これはどこの特殊法人でもあるのでありまして、非常に特定な人を求める場合の例でございます。どの特殊法人の場合においても、こういう例外規定を設けてありますが、これはあくまでも例外規定であります。
  81. 大矢正

    大矢正君 これは同じ特殊法人でも、他の特殊法人と違って、こういう団体ができ上るというような、いわゆる特殊法人が作られることによって、人間対人間の問題が往々にして誤まって向けられていくという内容のものでありますから、ある事業団体が事業というものを行うために会社を設立したり、特殊法人となることとはおよそ意味が違うのであります。そういう意味から言えば、一つの経営者の団体のものであっても、かりにその人間が学識経験があり、またその他適格であるというような判断がされるとすれば、役員にすることができるということも、将来においては考え得る問題じゃないですか、その点はどうですか。
  82. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは理事、少数でございますが、この中で非常勤の場合がこれに入ります。そういう場合のことを考慮して考え規定でありますが、実際上の運営につきましては、理事が多数いるわけではございませんので、理事は常勤の人でやってもらうべきものと考えております、五人でありますか。それからただ監事というような場合になりますと、非常勤というようなこともあり得るのじゃないか、こういう場合のことを考えてやったわけであります。
  83. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はいずれこの協会法案の細部にわたりまして、特に運営等については社会労働委員の諸君から、さらに詳細な質疑がかわされると思いますので、大蔵委員の立場から二、三大臣にただしておきたいと、こう思います。  まず第一に、先ほど来労相の労働問題に対する御所信を承わっておりますというと、正に自信満々たるものがあるようであります。この点に対して、敬意を表するか表さないかは別といたしまして、非常に御自信をお持ちのようであります。そこで伺いますが、健全なる労使慣行という言葉を盛んにお使いになりますが、健全なる労使慣行というのは、まあいろいろむずかしい言い回しをいたしますというと、答弁をされるのにまたぐるぐる回りをいたしますので、率直にお尋ねいたします。健全なる労使慣行というのは、少くとも良識あるという言葉を使っておりますが、良識ある政府の労働政策、あるいは良識あるとみずから任じている使用者側の労働政策、これの好まないような労働運動を展開しないことである、こういう工合に私はどうも聞きとれてしようがないのでありますが、さように承わってよろしゅうございますか。
  84. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は近代的労使関係というものは、労使が対等の立場に立って労働問題を処理するというところにあると考えております。従ってその労使の一方の立場の側が、好むと好まないによって、その運動が健全、不健全ということはきまらない。私はこう考えておる次第であります。
  85. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体日本労働運動というのはもちろん戦争前からありましたが、非常に組織が伸びて、しかも広範な労働運動として育ってきたのは終戦後のことであることば言うまでもないことでありますが、これはおそらく否定をなさらないと思います。従ってそういう特別な環境の中で育った日本労働運動というものをただ概念的に健全であるとか、健全でないとか、あるいはだれが好むとか好まないとか、こういう意味で表現することは若干足りない面がありはしないかと私は考えるのであります。そこで石田労相にお尋ねいたしますが、ただいま健全な長い歴史を持っておる諸外国におきまして健全な労使慣行が確立されておる先輩近代国家は一体どこであるか、これを一つお教えいただきたいと思う。
  86. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは労働運動と申しますか、労働関係と申しますか、これは非常に多種多様の状態であります。それぞれの国におきましても一定の水準ということは私は全部が一定の水準ということは言えないだろうと存じます。それからまた非常ないいわゆる後進国におきましても全然ないとは言えないと存じます。ただ私はその健全ということを申し上げましたのは、私の健全というのはいわゆる労使関係の近代化という原則の上に立ち、それが基本的にはヒューマニティと合理主義の上に立ち、しかも法秩序の尊重の上に立って労使双方が労働問題を処理していくという関係が健全であると考えておるわけであります。で、そういう状態一般的になるのにはやはり長い歴史と経験、それにその国の民族性、特殊事情、そういうものが非常に左右してくるわけでございまして、私どもはどの国がわが国より健全だということよりは、諸外国のその姿、歴史的経過というものを正しく知った上に立って日本的な、日本の実情に沿った近代的な労使関係を作っていく必要がある、こう考えているのでありまして、どの国が一般的に健全だというような表現は私としてはいたしたくもございませんし、そういう結論を持っておるわけでもございません。
  87. 栗山良夫

    栗山良夫君 なぜ私がそういうちょっと常識はずれのような御質問をいたしたかと申しますと、それはまああとからお尋ねをいたしますが、要するに近代的な、あなたは今近代的とおっしゃいましたから近代的な労使横行が一応確立されておると世界的にまあ見られる国、それはたくさんの国がありますから、私はそんな国をたくさん求めてはおりません。たとえばイギリスであるとか、西ドイツであるとか、フランスであるとか、イタリアであるとか、アメリカであるとか、あるいはスエーデンであるとか、そういう欧米の主要国、まあ共産圏の国はまたちょっと別な議論がございましょうからこれははずしておきます。自由国家群においてそういう近代廃業が栄えておる国々において近代労使慣行がほぼ確立されておる、こういう工合に見られる国は一体どこであるか。日本と欧米とは事情が違うとおっしゃいましたが、日本の方が後進国であることは事実なのです。労働問題についてはこれは否定なさらぬと思います。従って少くとも先輩国である欧米の近代国家において労使慣行がほぼあなたが考えられるように近代化されておる国は一体どこであるか。これを伺いたい。
  88. 石田博英

    国務大臣石田博英君) それはやはり産業革命以来長い自主的な労働運動歴史を持っておるイギリスなどはほぼそういうことが言えるのではないかと思いますが、しかしたとえば西ドイツ等におきましても労使協議制の実施というような点においてはわれわれが参考にすべき実績をあげておる場合もある、こういうふうに思っております。
  89. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ大体その他多くお尋ねしなくても似たりよったりだろうと思いますが、まあ一応労使慣行が確立されておる、近代的な労使慣行が確立されておるというような例一つをあげていただきましたら大体想像はつきます。アメリカはいかがでしょう。
  90. 石田博英

    国務大臣石田博英君) やはりイギリスほどの長い歴史ではございますまいが、しかしそれぞれ長い歴史を持ち、それ相応の労使慣行が確立され、労働者の労働条件というものも非常に高い水準に維持されておるものと考えております。
  91. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますとですね、アメリカあるいはイギリスその他の近代産業国家が一応近代的な労使慣行の中にある、こういうことでありますと、そういう労使慣行というものは一体どうして育ってきたか。長い歴史を歩んできておりますが、どうして育ってきたか。これを非常に学識経験者であられる石田労相にちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  92. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は別に学識経験者でもございませんが、私の乏しい知識をもっていたしますならば、(笑声)まず第一に、それは長い歴史であろうと思います。そして幾度かの多くの経験であろうと思います。  それからもう一つはやはりそれらの国々の労働法規というものは、やはり最初は禁止的立法であったのを労働組合あるいは労働運動の発達に伴って保護立法にだんだんと変えてきた、議会を通して。みずからの力と議会を通して変えてきた。そういう上に立ち、それぞれ労働組合の組合員の一人々々がその労働組合の責任と必要性を痛感してその組織の中に参加をし、歴史と経験との中から社会的責任を理解し、またみずからの力を自覚したところに由来するものと考えておるわけであります。同時にそういう風潮に相伴いまして、世間一般国民も労働問題についての理解を深め、あるいは使用者側におきましても前時代的な考え方をだんだんと捨て去るに至った、そういうところに私はあると存じます。
  93. 栗山良夫

    栗山良夫君 ただいま欧米先進国は、まあ長い歴史と経験の上に近代労使慣行を確立してきておる、こういうことをおっしゃいました。私もその通りだと思います。そこで問題は、その上長い歴史、まあ歴史のことはおきましょうが、経験によってそういう労使慣行ができてきたということであります。そうすると、この経験というものを分析いたしてみまするというと、私もそんなに深くあなたほど勉強しておるわけではありませんが、私が知る範囲においては少くとも産業革命以後においても奴隷労働、そうして賃金搾取、この二つを打ち破るべきですよ。労働者みずからが時の使用者あるいはこの使用者を守る政権、これと激しい抵抗をしながら労働者の力によってここまで対等のバランスができ上ってきておる、こういう工合に私どもは簡単に申しますと。こまかく言えとおっしゃることであれば、もう少しこまかく申しますが、これでおわかりいただけると思います。そういう体験、そういう経験を通じて育ってきておる、こういう工合に私は理解しておりますが、私の理解が間違っておるかどうか。もし間違っておるとすれば具体的にお教えを願いたい。
  94. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 結論的にはあなたの御意見と私も同感でございます。
  95. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が今申し上げましたことについてですれ、大体労相も御異議のないということでお認めをいただきました。そこで問題になるのは日本労働運動であります。終戦後にわかに絶対権力でありましたところの占領軍の手によって解放せられて日本労働運動というものが育ったわけであります。そうしてその間今日まで法の庇護がありましたけれども、そこに若干の行き過ぎ、足りなさがあったことはそれは事実でしょう。私もそれは認めます。認めますが、欧米先進国ですら労働者のそういうたゆまない、まことに血のにじむような努力で近代労使慣行ができ上ってきておるということは、常に使用者なり、時の、その使用者と不離一体である政治権力というものは受け身であった。そうして受け身であり、守勢の立場に立ちながら、ようやくにして労働者の力によってある点にバランスをしておる。そうしてそのバランスが労使双方の研さんによってさらに進んでいくと、こういう状態にあると、私は見ておるわけであります。従って日本労働運動も、やはりほんとうに日本の産業を愛するならば、無軌道であってはいけません。私はそういうことを強弁しようとは思いませんが、やはり日本の労使慣行というものも、ほんとうに近代労使慣行を確立するならば、労働者の統一された、整備された意識と、使用者の守ろうとする意識とが相対して、そうして近代労使慣行というものを作り上げていかなければ安定しないのではないか、長い将来にわたって安定しないのではないか、こういうことを考えますが、いかがでございますか。
  96. 石田博英

    国務大臣石田博英君) やはり長い労使関係を安定させ、その問題を合理的に処理していくためには、労使が法の上でも、また力の上でも、バランスをとっていくことが必要ではないか。それは、しかし法秩序の中でバランスをとっていくことが必要であると同時に、労使双方ともやはり社会との連帯性というものの自覚が必要であろう、こう私は考えておる次第でございます。
  97. 栗山良夫

    栗山良夫君 社会の連帯性とかですね、法秩序とか言われますが、そういうものは、やはり労働運動の場合を考えますれば、これはもうそのときどきの世相と申しますか、社会情勢と申しますか、そういうものによってやはり進化していかなければならぬ、そういうものだと思います。従って頭から、こういう法律のもとにおける労働運動を展開しろとか、こういう環境のもとにおいて、社会秩序のもとにおいてやれと、こういうことでは、ほんとうの意味労働運動を発展させ、産業平和——先ほど産業平和という言葉をお使いになりましたが、そういうものを招来する早道ではないと私は考える。  そこでもう一ぺん振り出しに戻りますが、大体認識はわかって参りました。石田労働大臣は、自信満々で労働政策について御答弁になっておると私が最初申し上げましたことは、そういう点に若干、労働省としても、あるいは労働省と申しますか労働大臣、また労働大臣を出しておられる自民党でも、労働問題そのものに対する……やはり一歩下ってこれを見る、そういうゆとりがなければいけないのではないかということを私は考えるわけです。ただいまの自民党の労働問題の考え方は十全である。石田労働大臣の労働問題の考え方は十全である。これによって法律を作り、諸般の組織を作って、近代労使慣行を確立するのだと、こういう考え方は、少し日本の産業平和の上に間違いを起すのではないか、こういうことを私は心配をする。従ってその点について、私は今だいぶきめつけた言葉で申しましたが、どうも今までの御答弁なり、石田労政をおやりになってからのいろいろのこと、あるいはもっと前からでもけっこうでございます。各歴代の労働大臣のやり方を見ておりますというと、そういう気持にどうもならざるを得ないのでありますが、この点はいかなる御所見をお持ちでしょうか。
  98. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は、労政をやって参りますに当って——労政でなくても、何でもそうでありますが、およそ大衆政治、民衆政治家として立っていく上に当りましては、広く、多くの人々の意見を聞かなければならない。これはもう基本的な態度であろうと存じます。しかし、行政府をあずかり、その責任の衝にあるものといたしましては、最終的には自己の責任においてこれを実施するのであります。従ってその実施をいたしまするときには、十分の自信と確信を持って行うのでありまして、それらに対する是非の批判は、やはり選挙を通じて国民から与えられると私は考えております。決意をいたしますまでの間は多くの人々の意見を聞かなければなりませんが、決意をいたしましたときには、十分の自信と確信を持って、そしてその責任において事を行うという建前で私はなければならないと存じます。  それから前段の御質問の中に、法秩序とか、あるいは社会秩序というものは固定するものではないと、私もその通りであろうと存じます。常に改められていかなければならぬものであり、政府といたしましても、その社会情勢の進展に伴って、法改正を常に心がけていかなければならないものだと思っております。しかしそれはどこを通して行うべきかと申しますと、これはやはり議会を通じて行う建前、民生政治下においては議会を通して行われるべき建前であり、それが行われるまでの間は法律を守るというのが、やはり法治国家の建前でなければならないと存じておるわけでございます。法秩序を保つその法の内容は、これは常に足らざるを補い、過まてるを正す努力を間断なく続けて参ることは申すまでもないことでございます。
  99. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちょっとまだその点が私は理解し尽せないのでありますが、たとえばそれでは一つの具体的な事例で申し上げます。吉田内閣当時に、三公社五現業の労働問題について、たとえば仲裁裁定が出た場合において、吉田内閣はこれに服さなかったのであります。それで服さないから、法律建前から言って、はなはだ穏当を欠くではないかというので、当時の労働組合は相当なレジスタンスを示しました。またわがわれわれ社会党もこれに応援をいたしました。それでその結果、当時の吉田内閣は相当な労働組合に対する弾圧をもって臨んだことは、あなたが御承知通りであります。ああいうやり方は、近代的な労使慣行確立の上において正しかったとお考えになりますか。正しくなかったとお考えになりますか。
  100. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は戦後公労法が制定せられましてから、仲裁裁定がおよそ約三十回くらい、あるいは三十二、三回あったのではないかと存じます。そのうちで十数件は、これはいわゆる完全実施と言うことはできないと思います。そのことは、それじゃ公労法に違反であるかということになれば、いや、公労法十六条の規定に……公労法の、条項は忘れましたが、とにかく予算上、資金上不可能なものがあれば、国会の議決を経るという規定に基いたものでありますから、公労法に対する法律の違反であるということは私は言えないのではないかと思います。しかしながら、それでは公労法の法の精神、あるいは公労法の原則から言ってどうかと申しますと、私はその当時の諸般の情勢、これはもちろん私がよく承知するところではございませんから、そういう点からのいろいろの説明づけはもちろんございましょう。ございましょうが、公労法の精神から申しますと、私は公労法の精神に合っているものではないと思っております。公労法の精神はやはり官公労に対して争議行為を禁じ、その代償として、かわりとして仲裁裁定の完全実施ということをもって、労働条件の維持に当っていくというのでありまして、予算資金上不可能な場合云々というのは、これはきわめていわゆる例外規定である。例外規定を三分の一も適用するということは公労法の精神から言って好ましくないと私は考えておる。しかしその当時は別な事情のあったこともございましょうから、私はその昔時のその行為自身をとらえて不当であると断定をするのではございません。現在の私の考え、私の尺度から申しているわけでありますから、誤解のないようにお願いをいたします。
  101. 栗山良夫

    栗山良夫君 吉田内閣当時の日本の保守党とただいまの保守党とは、なるほどあるいは統一をせられ、あるいは分裂をし、幾多の変遷を経てきております。終戦後でも変遷を経てきておりまするから、従って吉田内閣当時のことについて、今の自由党に、どうであったかという御質問を申し上げることは、それは全然違うのだ、こうおっしゃるかもしれませんが、幾多の変遷を経てきておっても、日本の保守党そのものの性格というものはそう大して変っていないと思います、これは私の意見ですが、変っていない。そういうふうなあるいは政党でありながら、今の仲裁裁定の問題については、これ以上私がお聞きしても石田労相は腹の中でどう思っていられようと、御答弁がしにくいことはよくわかっておりますから、お尋ねをいたしません。いたしませんが、大体考えておいでになることはよくわかります。その通りなんです。それだけ労働問題に対する政府は進歩をしている。しかもこのことは、最近は仲裁裁定を完全に実施すると現実に言い、かつ実行しておられまするから、まあそれでいいと思います。そういう意味であなたは選挙を通じてあれが真なりということは、実行に移して、もしそれが間違っておるとすれば選挙を通じて国民の審判を仰ぐのである、こうおっしゃいましたが、それはなるほどその通りでありましょうが、そこまで大上段に振りかぶらなくても、時の保守党でありましても、保守党の労働大臣としてはもう少し労働問題というものについて自画礼讃というか、全責任をもって推進するので、何ものにも耳をかさぬという態度でなくて、もう一歩下って、若干のゆとりをもって労働問題を進めていく、こういう余裕はお持ちにならぬかどうか、こういうことを私はお尋ねをしておるわけです。
  102. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 非常に抽象的な御質問で、まあ私の主として心境についての御質問だと存じますが、私が先ほど申し上げましたことは、何ものにも耳をかさないのだということを申し上げたのではございません。決意をいたしますまでの間には十分人の意見を聞かなければならず、各方面の御意見を聞いて、そうして基本的態度をきめなければならぬと存じます。しかし一旦基本的態度をきめて、それを実行に移しました場合におきまして、その効果を真に上げるのにはやはりその責任者は十分の自信をもって事に当らなければならぬ。最高の責任を負う者がみずから自信なくして事に当ることは、それはやはり国民に対する不信だと、こういう考えを私が持っておるということを申し上げたのであります。私のやっておりますることについていろいろ御意見があるならば十分私どもはお聞きもいたしまするし、各秘の法律案の草案作成に当りましても、それぞれの機関の御意見を参照いたしまして実行に当っておる次第でありまして、ただその結論を得て実行に移す場合は十分の自信をもって当るという心がまえを申し上げたのであります。なお、それでは人の意見を聞く余裕がないということですが、これは十分お聞きをいたしまして、私自身が納得し、あるいはもちろん十全のものではございませんから、足らざると知ったときは改めるにやぶさかではないのであります。
  103. 栗山良夫

    栗山良夫君 抽象的というお話ですから、それでは具体的に一つ一、二伺いますが、第一番に日本の今労働運動で困っている問題の一つは何かと申しますというと、この提案にも書いてありますが、使用者労働運動そのものを否定するような者がある、こういうことをおっしゃっております。これはその通りであろうと思います。従ってそういうものを労働省は徹底的に教育をして、こういうような使用者の下に未組織のままで放置されている多数の労働者がおります。こういうものについて労働組合の組織が早く広範に行われるように、こういう積極的な努力を石田労相はおやりになる御意思があられるかどうか、それを伺いたい。
  104. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私はこの協会の啓蒙、宣伝活動の目的一つもそこにあるのでありまして、たとえば最低賃金制を実施するための労使間の意見の調整をいたすにいたしましても、組織がないために通勤な労働者側の代表者を選びにくい状態、特に中小企業における組織率は非常に低いのでありまして、こういうものを高めていくためにこの法律案に期待をいたすばかりではなく、行政各般の面においてもそういう方向に積極的に努力をいたすつもりでございます。
  105. 栗山良夫

    栗山良夫君 それではもう一つ伺いますが、私は、この基金をもとにして労働協会を設立されて、労働問題の教育をやられるということについての賛否については、まだここで明らかにする段階ではありませんが、問題は、こういうことに国費を使った方がいいか、もう少し端的に率直に、日本の近代労使関係を確立するために使わなければならぬ重要な仕事を労働省は手落ちにされてはいないか、こういう点を一つ疑問に思っております。  それは何かと申しますと、御承知のように労働組合法と並んで日本の労働立法の中の重要な労働基準法、この労働基準法の実際の運営の状況、実施の状況というものは、私はほんとうはこの資料をいただきたいと思うのですが、どれだけの事業場があって、何年目に一ぺんずつ検査をしていて、その結果違反件数はどうであったかということを知りたいと思うのでありますが、私が数年前に労働委員会に所属をしておったときに、全国の各地の基準監督署等へ参りまして、そうして事情を聞き、資料をちょうだいしたときの記憶によりますというと、基準法の厳重なる実施はきわめて乏しいものであります 逆な言葉で言えば、基準法はあってなきがごとし、こういう状態に、法律運営をなおざりにしておいて、そうして近代労使関係の樹立などということは少し言葉が過ぎはしないか、悪口になるが。こういうことであります。従ってこういうことをおやりになる前に、いささかでも労働者に取れる金があったならば、労働省の役人でも足りなければふやして、そうして労働基準法の完全な実施のために努力をする、こういうことでなければならぬと思いますが、そういう御決意はおありかどうか。
  106. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 労働基準法をいかなる事業、いかなる産業にも完全に適用していくということがやはり私は近代的労使関係の樹立の基本であると思っているわけであります。従ってそういう方向に向けて間断ない努力をしていく決意でございまするし、また私自身就任以来積極的に改善の方途を講じて参ったつもりであります。ただ、わが国の労働基準法の要求は、わが国の産業界のある部分については現状に即さない面も、あるいは現状からいって進み過ぎている面もいろいろあるのでありまして、それが御指摘のような基準法の完全実施が十分ではなく、あるいは違反件数が多いという現象を生む原因であろうと存じます。それは労働問題というものについての認識の不足だけではなく、そういう精神面や観念面ではなく、現実面にも相当もる。そこで経営者、使用者の一部の中には、基準法を現状に合うように改正すべしという議論もございますが、私はわが国の産業界全体のレベルの上から見て、ある部分については進み過ぎている面もあるという事実は認めます。そのギャップは指導啓蒙ということによって埋めて、できるだけすみやかに基準法の要求する線へ全産業が近づいていくように、こういうことを努力することが労働省の現実に即したやり方であると考えておるわけでございます。その指導の面におきまして、罪人を作るのが目的ではございませんし、日本のように中小企業や零細企業の多い実情のもとにおきましては、悪意ではなく、知識の欠けている点から起ることもございます。従って啓蒙、教育、宣伝ということによりまして、このギャップを埋めて参りたいと思っておるわけでございます。現に昨年の九月に商店の週休制を一部分に実施せしめました結果、今非常に大きな勢いで全国的にこの週休制実施の運気が高まりつつあるような情勢でございます。そういうようなことを通じまして、できるだけすみやかに全職域が基準法の要求するところに合致するようにやって参りたいと思っておるわけであります。
  107. 栗山良夫

    栗山良夫君 労働協会を設立するのに十五億円の基金を用意をせられて、この経費を確立してこの仕事に当ろうとされております。私がお尋ねいたしました、ただいまの労働基準法の完全実施、あるいは無理解な使用者を説得いたしまして、未組織の労働者に対して組合組織の結成を推進していく、こういう仕事はただ口でここで労相が積極的に努力をするとおっしゃるだけでは実を結ばない仕事であります。これは私もその点については若干実情を承知いたしておりますが、少くとも労働省が、ただいま石田労相の発言の通りに、積極的に推進をしようという御意思をそのまま行動に移すということでありまするならば、相当な資金と相当な人的要素とを用意してかからなければ、これは花の咲かないことであると私は思います。従って、そこまで、労働協会までも設立して近代労使慣行の確立に邁進しようという熱意を持っておられる労働大臣であり、しかもその大臣に今お尋ねをすれば、未組織労働者の組織の問題にしても、基準法の問題にしても、積極的に努力をするとおっしゃったのでありますから、そういうことの具体的な構想並びに行動の開始について、御用意が私は当然あると思う。従って、そういうことについて二点お伺いをしていきます。  第一は、今の二つの問題について、労働大臣は広く天下にその意思を談話で発表せられるか、あるいは声明で発表せられる御用意があるかどうか。  それからそれについて予算を獲得して実行に入る御用意があるかどうか。この二点についてお尋ねをしたい。
  108. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 未組織労働者の組織の拡充、それから基準法の完全実施への努力ということは、これは私は今までしばしばあらゆる機会に申し上げておることでございまして、すでに省内においても、もう徹底をいたしております。あらためてどうこうという必要も……、この公けの国会の席上において明言をいたして、これも何度も明言をいたしておるのであります。あらためてそういうことを言うのは少し私は、何と申しますか、屋上屋を重ねる感があると思います。  それから予算の面でありますが、労働省の人的構成の充実ということについては今後とも努力をしていくつもりであります。人的構成だけでなく、その事業上の予算の獲得には努力をしていくつもりでございます。ただ、こういう問題は、やはり機運の醸成ということが非常に必要である。先ほどもちょっと申しましたのでありますが、わが国の商店の週休制実施すら非常にむずかしい問題で、困難が非常に多かった。しかし、一たん始めますと、そしてそれをジャーナリズムが取り上げ始めますと、私の方で驚くほど広い範囲に広がりつつある、これはやはり機運の醸成であります。労働協会はそういう機運の譲成というものに役立っていくものと私は確信をいたしておるのでありまして、個々の指導、個々の摘発、これはもちろん怠るわけではございませんけれども、それと同時にこの機運の醸成というのは、私は案外時間的経過を少くして大きな効果を上げるものと、こう考えておるわけであります。
  109. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は最後に、まあ結論的なお尋ねをする前に、もう一、二お尋ねをいたしたいと思います。それは日本の産業の最近の傾向を見まして、私は大へんに憂えていることがあります。大へんに憂えていることがあります。それはどういうことかと申しますと、あなたが御承知のように欧米各国と違って、かりに労働条件の一つである賃金問題だけを取り上げてみましても、欧米各国においてはこれは若干の差はありますが、大企業と中小企業との賃金の格差というものは十対九ぐらい、十対八ないし九です。ところが日本の場合は十対三から六ぐらいの間です。こういう同じ労働をし、あるいは中小企業の方がもう少し過酷かもしれませんが、そういう労働をしながら、これだけ大きな賃金格差がありまするから、これを何とかして埋めなければ、岸さんが言われる……まあ今度は看板を下しておられますから、追及できないかもしれませんが、貧乏の追放ということは私はできないと思います。従ってそういう意味で、労働問題は労働問題だけで処理できないものである。やはり広い産業経済全体の政策の中で労使関係の安定、こういうものを進めていく以外に私は道はないと思うのです。そういう意味で、石田労相は労働大臣ではありまするが、経済閣僚の一人であることは間違いありません。従ってそういう意味で、今の日本の産業経済の進み方、あるいは実態というものをどういうふうに把握されておるか、これをどういう工合に処理しようとしておられるか、これを伺っておきたい。
  110. 石田博英

    国務大臣石田博英君) わが国の労働問題、特に賃金の問題、賃金格差の問題に大きな影響を持ちますのは、ただいま御指摘の通り、産業の規模による生産性の相違、それからくる賃金格差の存在であります。これは私は一つはその産業構造の上で日本は非常に生産性の高い能率のいい大企業と、そうして非常に生産性の低い中小企業と、両方並立しておるという特殊性、それからもう一つは、今度はその就業構造におきましても、いわゆる先進国におきましては、第一次産業、第三次産業というものに比べて第二次産業が非常に多いのでありますが、日本は第一次産業、第三次産業が多くて、第二次産業が非常に少いという、この就業構造、産業構造における特殊性というものがこれは非常に大きな要素をなしていくのでありまして、これを改めていくことなくして、労働問題だけ独立に処理できないということは、まあ御意見の通りでございます。従って長期経済計画におきまする雇用の状態の改善の目標も、あるいは中小企業の経営の改善につきましても、これはやはり両方とも、この産業構造、就業構造の改訂ということ、これを改めていくということが主眼点になっておるわけでありまして、しかし日本中小企業の存在というものは一朝一夕にでき上ったものではなく、長い歴史を持っておりますだけに、一挙にこれを改修することは困難でありますが、長期経済計画の目標は何かと言えば、一言にして言えば私は産業構造、就業構造を改めることだと考えておる次第であります。しかし労働政策の上からもやはりそれを促進する措置が必要であると考えまするので、たとえば失業保険の適用範囲の拡大、あるいは最低賃金法案の提出等によりまして、これを下からの支えとして、日本中小企業の体質改善に資して参りたいと思っておるわけであります。さらに次年度におきましては、労働政策の重点を中小企業に働く労働者の福祉施設の改善、増設に向け、あるいは今日まで処理困難となっておりました中小企業における賃金債権確保の問題の解決にも向けて参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  111. 栗山良夫

    栗山良夫君 私がお尋ねしたいと思うのは、今御答弁をいただいた自民党のお考えというものは大体承知をした上でお尋ねをしておるわけです。長期経済計画の問題についてもねらっておるところ、自民党のお考えになっておるところは大体わかっておってお尋ねしておるわけでありまして、産業の二重構造を改めていきたい、そういうことによって勤労者の福祉増進をやっていきたいという、そういうお考えはお考えとして私は受け取っておるわけです。ただ問題は、今おやりになっておること、たとえば団体法の成立であるとか、中小企業に対する若干の金融をつけるとか、まあいろいろなことをやっておいでになります、またわが党もそれを力説しておりますが、そういうことは要するに胃けいれんの頓服薬のようなものであって、今とっさに困っておるものについてどうするかということでありまして、長期的に産業の二重構造を解消していくほんとうの根本的な療治ではないと私は見ておるのです。なぜかと申しますと、あなたは今中小企業の非常に弱体であることもお認めになりましたが、なぜ中小企業日本産業の中で弱体であるかという分析が足りないと思います。もし分析ができておれば今のような政策は出てこないと私は思うのであります、と申しますのは、最近の日本の産業の大企業から中小企業までの構造をずっとごらんになるとわかるが、大企業の方からくるところの、要するに資本を中心としたところの産業の系列化というか、あるいはまあかた苦しい言葉でいえば独占の強化と申しますか、そういうことがひしひしと拡大されております。そうしてその系列化からはみ出たところの中小企業というものは、いかに今の労働大臣のお言葉で二重構造を改めるために努力をしよう、団体法で救おう、あるいはまた金融をつけようとしたところで、とうてい太刀打ちのできないような傾向に今進みつつあります。これを御否定なさるならばまた問題は別であります。しかしわれわれは幾多の産業構造の分析をやりながら、そういう自信を深めております。私も社会党の産業委員会の方の仕事をやりながら、最近特にそういうことを痛切に感じております。従って労働大垣が特別な大きな労働組合とかあるいは全官公労とか、そういう組合が労働問題について激しい抵抗をするから、これをどうしようこうしよう、近代化の労使慣行にしようというような狭い意味で問題をお取り上げになっておるならば別でありますが、日本の全勤労者の福祉増進のために、特に中小企業のおくれておる労働条件にある勤労者の地位を向上してやろうということであれば、ここに日本使用者に向って、労働者に要求せられる以上に、もっと大幅に、もっと強く、もっと具体的に使用者に要求をせられなければならぬ数々の問題があるのではないか、そういう問題を労働大臣研究し、具体的に項目をつかみ、そして使用者にこれをぶつけていくだけの御勇気を持っているかどうか、これを伺いたいと思います。
  112. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私は中小企業の現状の改善、日本の産業の一重構造の改革、そういうものの必要性を認識し、その目的を達成するために、私の所管である労働政策はいかにあるべきかと考えておるわけでありまして、労働政策以外の問題は、これは私がここでお答えをする問題でないだろうと思います。そこでその状態を改善するために労働政策として何をなしているか、先ほどから大企業や公企業の労働運動だけに注意を向けておるのではないかという話でございましたが、私は公企業に対しては仲裁裁定の完全実施を建前として、公労法の尊重ということを求めているだけであります。それから大企業、大企業と申しましても私企業の労働問題の処理についてはその自主的解決を期待しておるわけでありまして、これに対して特別の干渉を行なった覚えはございません。それ以上にいわゆる労働政策の重点は、この賃金格差の解消と恵まれない中小企業労働者諸君の状態をどう改めていくかということに実際上の施策の重点は向けて参ったつもりでございます。今国会に提出しております法律案の性質をお考えいただきましても、また基準法実施の建前から行政指導を行なっておるその成果の具体的事例をごらんいただきましても御理解がいただけることと私は存じております。しからば使用者に対してそういうことをより積極的に要望する意思はないか。私は使用者に対しては間断なく要望して参っておるつもりでありまして、使用者団体その他にいろいろ講演その他の要望がございますが、その速記録等をお読みいただきましても、私は使用者側に対して労働者としての立場から労働条件の改善ということについての要求を申し上げておるだけであって、それ以外のことは言っていないつもりであります。そういう態度で一貫をして参っておるつもりであります。
  113. 栗山良夫

    栗山良夫君 この問題はさらにお尋ねをすれば切りのないことでありますが、ただ一言だけ申し上げておきますのは、ただいま自分は岸内閣の中で労働大臣として労働行政の責任を持っておるのだと申しました、それはその通りでしょう。その通りでありますが、しかしそれと同時に岸内閣の閣僚であります。従って岸内閣の閣僚である限りにおいては、岸内閣全般の政策についてやはり参画せられる力をお持ちになっておるわけであります。そういう意味において、労働行政だけでなくて労働行政運営していく上において必要な経済政策、産業政策の推進に向っては今後とも……大体のお考えはよくわかりましたが、より以上の一つ努力をせられたいということを要請しておきたいと思います。  それから第二に、第二と申しますとおかしいのでありますが、先ほどの小笠原君とあなたの質疑応答の中で、要するに社会秩序の問題、労働組合の政治活動の問題等が若干取り上げられておったようでありますから、従ってこの問題について私は抽象的でなくて、ごく具体的に一、二点お開きをして質問を終りたいと思います。ただいまの労働組合で、その組合の実力をもって時の政府の転覆をはかろうなどという考えを持っておるものは一つもない、こう考えていいと私は思います。確信を持っていいと思います。従ってこの点については、冒頭のこれがくずれますと議論が分れてきますから、この点は最初にお答えを願いたいと思います。そういう組合があるかないかということですね。私はないと確信しておる。あくまでも議会主義というものを尊重してその中でいろいろな活動をしておる、こう思いますから、この点はお答えのときにまず最初にお答えを願いたい。そういう前提の上に立つと、ただいま全官公労、三公社五現業等が一つ労働組合の要求を持てば、それが直接政治問題とぶつかる、これは否定なさらないと思います。そういう意味で政治問題というとちょっと語弊がありますが、要するに相手は政府でありますから、資本家というものはない、資本家イコール政府でありますから、交渉の相手は政府であります。また決定する多くの分野を国会が握っておるというようなこともあります。そういう意味で、ややもすれば政治的に見られやすい、こういう点は否定なさらないと思いますが、そのこととは別にただいまの、そういう議会を中心にして、議会主義を完全に守りながら、ただいまの保守政権が主導をしておる日本経済なり産業のやり方、こういうものを保守政権とちょうど対立的な立場にある社会党の持っておる綱領なりあるいは政策、こういうものを運動をしていこう、こういう流れがあると思います。そういう動きのあることについて、これをお認めになるかならぬか、あなたの御意見を伺いたい。
  114. 石田博英

    国務大臣石田博英君) まず労働組合についての全体的認識でありますが、全体的認識としては栗山さんの御意見と私は同感であります。  それから、その労働組合が議会を通じて自分の利益、あるいは利益と信ずることを達成するためにある政党、あるいはある個人を選挙を通じて応援をなさる、これは全く自由でありまして、問題は公職選挙法の問題が残るだけだと、こう考えております、
  115. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうすると、そういうことはお認めになりましたが、ただいま自由党と社会党とが完全に対立した政策を持っておる。そうして日本の多くの労働組合というものは現実に保守党でなくて社会党の政策というものをみずからの運動に対して利益があると、通俗な言葉で申せば、利益がある、こういう理解をしてこれを支持する、そうしてこれを応援していく、こういうことはまああり得る、こうお認めになりました。そうすると、そういう姿で展開される労働運動というものは、あなたは好ましいとお考えになるか、好ましくないとお考になるか……。
  116. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 好ましいとも好ましくないとも私の、つまり労働大臣として申し上げる問題ではない、こう思っております。それは一向差しつかえないことでございます。ただ、私が労働大臣として、それは好ましいとか好ましくないという表現を用いる問題ではないと思います。
  117. 栗山良夫

    栗山良夫君 これはあるいは岸総理にお聞きしないというと無理かもしれませんが、それが今あなたの言われるように、公式な発言として、好ましいとも好ましくないとも言えない、その運動は自由である、こうおっしゃる限りにおいては、そのままでやはり労働行政というものは少し今おやりになっておるよりは変ってくると思うのです。ところが、今おやりになっておるやり方というものは、その言葉の逃げ道としては、法規を守れ、こういう法規の範囲内で行えということを前提にして、いろいろと革新派と言われておる労働組合運動に、いろいろ機会あるごとに、まあ、私から言えば制肘らしいものがいろいろな形で加わってきている。そこにやはり少しのすでにトラブルというものが起きて参っておると思います。従って、あなたは、話は一番最初に戻りますが、欧米の労働組合運動歴史を経て発展をして今日のような状態に労使の問題が安定をして、政治権力と安定を一応しておるという今日の状態になるまでには、お互いに真剣な剛健琢磨の結果がこうなっておるわけであります。従って、日本のようにまだ上歴史は新しいのでありますけれども、欧米のやはり貴重なこの体験というものを通じて、歴史の必然はそういうことになるにきまっておるのです、これはだれが何と言おうと。労働者がだんだん目ざめてくれば、ただ百年か百五十年おくれているだけの話で、日本の場合だってだんだん欧米各国のようになるだろうと私は自信を持っておる、そういう意味で。もう少しゆとりのある、労働組合に対するところの見方をされるということが必要ではないか。私は石田労働大臣の今日のここにおける話し合いを通じては、そう激しくたださねばならぬようなお言葉はなかったと、私に対してですよ、なかったと思います。しかし、ほかでときたま言われること、あるいはまた岸内閣の閣僚のうち、あなた以外の閣僚が言われること、あるいは自民党の幹部であられる方が言われることの中には、必ずしも今日私とあなたの間で取りかわした言葉の範囲でない、私の理解しにくいことが数多くあります。そういう意味でこういう言葉を申し上げたわけであります。この点も一つ深く理解しておいていただきたいと思いますが、同時に所信も伺っておきたいと思います。
  118. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 私以外の人の発言、これは私が責任を持つわけには参りません。ただ私が今日ここで御質問お答えをいたしましたような考え方、これは私の労働行政に対してだけでなく、   〔委員長退席、社会労働委員会理   事山下義信君着席〕 私の政治的信条であります。従って、よその場所におきましてこれと違ったような、こういう考え方と違ったようなことを申した覚えもございません。こういう考え方労働行政に当って参りたいと思っておる次第でございます。
  119. 平林剛

    平林剛君 同僚議員から細かい点についていろいろお尋ねがありましたから、私は最後に二、三点だけ先ほどの質疑応答で、まだ解明のつかないことについて最終的にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  この日本労働協会法の第一条の目的についてであります。第一条には「労働協会は、労働問題について研究を行うとともに、広く労働者及び使用者並びに国民一般の労働問題に関する理解と良識をつちかうことを目的とする。」とうたわれております。研究の方はこれは別にいたしまして、労働者使用者国民一般に労働問題の理解と良識をつちかうためには啓蒙なり教育なり、宣伝が必要になってくることになります。そうすると、との法律案には、はっきり文字として現われてきておりませんけれども、明らかに日本労働協会というのは広く労働問題に対する指導的役割を果すことになるのではないか。啓蒙、教育、宣伝の中に指導的な役割が加えられて活動され、また運営をされるのではないかという読み方ができるわけであります。提案者である労働大臣は端的に指導的役割を果すものであるかないか、この点だけでけっこうでありますから、お答えを願いたいと思います。
  120. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 指導といいますると、一定の方向づけを目標として、それで引っぱっていくというニュアンスを受け取りがちでありますが、そういう意味では本協会目的とそれは相反するものと考えておるわけであります。むしろ、労働問題についての知識を広く普及せしめることによって理解を深めていこう、その知識を広く普及し、認識を深めるということを基礎としての良識を高めていこうということでありまして、一定の労働運動というものを一定の方向づけをする目的をもってそれを引っぱるという意味の指導を行う意思はございません。そういうことは目的ではありませんし、そういう行為をいたすことは、やはり目的違反だと私は考えております。
  121. 平林剛

    平林剛君 先ほどから同僚議員と労働大臣といろいろな労働問題に対する質疑応答が行われています。これらの質疑が行われるというのは、従来行なってきた政府の労働政策と、それから、これに質問する議員の考え方との間にいろいろな違いがある。やはり労働政策を行う場合には、自由民主党が行う場合と、日本社会党が行う場合とはおのずから多少の違いが出てくる、あるいは根本的な違いが出てくるかもしれません。そこで先ほどから議論しておりますように、従来労働組合側の行き過ぎた行為、これは社会党からみた場合には行き過ぎた行為とみない場合があるかもしれません。ところが自由民主党からみればこれは行き過ぎた行為と、こういうふうにそれぞれ判断が違ってくる場合が私はあり得ると思うのであります。使用者側の行為についても、これは同様なことが言えます。そうなりますと、少くともこの日本労働協会が労働問題に対する啓蒙、教育あるいは宣伝を行う場合には、その運営をするところの人によって、また考え方によってやはりなるべく中立にいこうとする意思は持つであろうけれども、やはり節々に自分の考えが指導されるということに必ずなると思うのです。これはあなたはならないというお話でありますが、私は結果的に従来の例からみると、必ずそういう方向に傾いてくる、こういう考えを持っておるのであります。しかしこれは見解の違いでありますから、これ以上答弁を求めませんが、しかし、かりにもそういう疑いがあるものに対してこの法律第三十五条は、「協会は、労働大臣監督する。」と書いてあります。先ほど私は大矢委員の質疑のときに関連質問お尋ねをしたのであります。政府委員会に対して提案の理由を説明するときの提案理由書を読んでみますると、こう書いてある。提案理由の第四に、「協会の財務、会計簿につきましては、政府が多額の出資をいたすことにかんがみまして、予算、決算等会計上の重要事項について労働大臣の認可または承認を受けることを要することとするとともに、労働大臣が、必要な命令等をすることができることとし、協会の管理を適正ならしめることといたしております。」云々と書いてありますが、ここのところは、大体先ほど質問お答えでは、三十五条の監督というところに関係するように読めるのでありますが、ほかには労働協会労働大臣監督するという根拠の説明が書いてありませんから、大体この第四に掲げてあることが第三十、五条の監督権を生んできた根拠になっていると思います。そこで先ほど私がお尋ねしたところが、まさしくこの提案理由に書いてあるように、政府が多額の出資をすることだから、労働大臣監督をするのだ。同時に労働大臣が答えたのは、法律目的に反した場合にやはり監督もできるのだ、こういうお答えがありました。三十五条は明らかにその二つの答えが伴わないと説明がつかないのです。しかし私はここで一々政府の提案理由の説明の欠陥を指摘するわけではありませんが、提案理由の説明では、先ほど読み上げただけしか書いていない。法律目的に反した場合に労働大臣がやるのだということを提案理由には書いていない。法律の中には、はっきりとその趣旨が書かれてあります。そこで第三十五条の労働大臣監督権というものは、業務全般に及ぶということが考えられるわけでありますが、この点は提案理由には触れられておりませんで、法律はそういうふうに読める。ちょっと提案理由と、法難の中には言葉が足りなかったという点があるように思いますが、それはお認めになりますか。
  122. 石田博英

    国務大臣石田博英君) ただいま御指摘の点では、提案理由が御指摘の点を完全に満足させるような提案理由でなかったということは認めます。しかしそれは三十五条の二項と三項とをあわせてお読みいただきたいと思うのであります。二項だけをお読みになりますと、そういうふうにおとりになれる場合もありますが、三項でそれをぐっとしめてございますから、そういうことは生じないのでありまして、ここで重ねて御審議の便宜上明言をいたしておきますが、労働大臣監督をいたしますことは、この法律目的に対して違反をした場合と、それから財政上の問題だけに限るのでありまして、それ以外のことは三十五条三項の規定によって行えないことになっておるわけでございます。  それからさっき答弁は要らないとおっしゃいましたが、これも誤解のないように申し上げておきたいことは、確かに個々の労働問題、あるいは労働問題が生じて参りますような労働組合その他の行動がありました場合におきましては、それらについての認識は立場によって違います。また同じ社会党でも違う場合もありましょうし、われわれの政党でも違ってくる場合がございます。しかしこの協会がなそうといたしますことは、そういう個々のそうした事例について批評家的、あるいは裁判官的な判定を下させることが目的ではないのでありまして、そういうことをさせるのではなく、基本的な労働問題についての知識を普及させるということでありますから、これも誤解のないように申し上げておきたいと存じます。
  123. 平林剛

    平林剛君 重ねてお伺いいたしますが、まあ経理上の問題について労働大臣監督権があることが適当であるかないかはこれは別にいたします。しかし法律目的に反した場合に労働大臣監督権があるということは、これはなかなか意味が深くなってくると思うわけでございます。なぜかと言うと、先ほど読み上げたように、法律目的国民一般、あるいは労働者使用者に「労働問題に関する理解と良識をつちかうことを目的」とし、啓蒙、教育、宣伝を行う。啓蒙、教育、宣伝を行わなかったら、これはもちろん法律目的に反しますから、労働大臣は大いに教育、啓蒙、宣伝をやれということになるかと思います。そういうありきたりの解釈で労働大臣監督権を理解していいのかどうかという点は、私は問題が残るだろうと思います。そこで今度労働大臣監督上一番問題になるのは、おそらく教育、啓蒙賞伝の中身、それが問題になろうと思う。たとえば、それじゃあもっとつめてお尋ねをいたしますが、この日本労働協会が労働問題について研究を行なって、いろいろな結論が出る。この場合に教育、啓蒙、宣伝を行う。この宣伝教育、啓蒙が政府の意思と反している場合であっても、労働大臣はこれに対して「業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」という条項を使って命令をなさったりするようなことはしない、そう読んでよろしいのか、こういうことであります。
  124. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは衆議院社会労働委員会でも私は明確に申し上げておきました。政府の意図と違った、あるいは政府考え方と違ったことをなさいましても、それはやむを得ないことで、第三十五条の三項の規定協会業務運営自主性に不当に干渉と、こう考えます。政府の意図と違うからという理由をもって業務上の命令を下すことは「不当な干渉」であると、私はこれはもう衆議院でも明確に申し上げておきました。ただ本法案目的に反する行為というのは、たとえば営利事業を行うとか、あるいは金貸しをやるとか、こういう極端に、明確に、議論の余地のない目的違反の行為を指すのでございます。
  125. 平林剛

    平林剛君 もう一つだけ……。しかし今あなたが政府の指導方針と、あるいは政府の労働政策と違うことを行なってもやむを得ないと、こういうことで大へんその言葉を受けとるときれいであります。しかし元来その役員のすべてを政府労働大臣任命をする、こういうことがあるのだから、そんなはっきりしたことを言えるのであって、もしそれほどきれいなことを言えるなら、やはり評議員なり、監事なり、役員についても労働大臣任命でなく、ほかの方法を考えるべきではないかと、こういう疑問にもなってくるわけです。これはまた政府のお出しになった考えと多少違いますから、これで論争するつもりはございませんけれども、やはりそこのところが、そこまで言うならば、そのことについても政府は少し考え直さなければならぬ点があるのじゃないか、こう思うのであります。そこで具体的な例でありますが、自在的に行わせる、あるいは政府の方針と違ってもやむを得ない、こう言いますけれども、たとえばこの事業の中に放送を行うという場合がありますね。この場合に、たとえば争議を行なっている、日本の労働団体の一番大きな総評が、あるときは政府と対立し、あるときは資本家と対立をして一大争議が行われている、こういうときに日本労働協会がいろいろ研究して、その所見を放送を行う、自主的に行う場合でもこれはそういう時期に行うことは議論がある。たとえば先ほどの質疑で、河野企画庁長官が私鉄の争議で貸上けを認めるならば、これは運賃値上げについても関係があるといって、争議の最中に言明をすることは、労働大臣先ほどの感覚ではそれは断然経理上関係があるというけれども、そんな専門的の、あるいは常識的のことをわれわれは問題にしているのじゃないので、争議をやっているときに、そういう発言をすることが一体どういう政治的な影響を与えるかに問題があるのです。同じように労働団体が一大争議を行なっているときにこの放送を行う、しかもそれをもしかりにその時期に行う方が効果があると政府判断をしたときに、この業務命令でおやりなさい、こういうようなことをやれば、これまた問題になるのです。こういうこともせないということになっているのですか、この点を一つ明らかにしておいていただきたい。
  126. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 第一、この協会目的はそういうふうに個々に起っているジャーナリスティックの事象ですね、そういうものをとらえて、それを材料にしてそれについての見解を発表するとか、どうかということをやらせるのではないということを、これはまず第一に申し上げておきたいと思います。  第二には、そういうことではございませんけれども、しかしながらこういうことをやらなければならない、あるいはやっていいということ、両方とも三十五条の三項に規定しておる自主性に対する不当干渉と考えます。
  127. 山本經勝

    山本經勝君 この点詳細な内容については、後ほどの社労委員会でいろいろお伺いをするのですが、まだここは連合審査の席上ですから、連合審査の席上において大臣がおっしゃった言葉の中で不明瞭であるというよりも最後ぼやかされて十分にはっきりしておらぬ問題がある。それは小笠原委員質問をいたしました際に、こういう表現でおっしゃったと思うのです。これは後にこの会議録を見れば詳細にわかる、直接団結力、組織力で社会秩序を変革しようとする行動を組合がやるというようなやり方は云々ということで、しかもそういう事象が随所に見られるというので、随所をお取り消しになった。ところが肝心の今の言葉は消えておらない、そのあとでまた同じ言葉の中で方々にあるという御表現をなすっている、これはあげ足とりのようなんですが、これは非常に重大な基本問題だと思う。これを直接団結力あるいは組織力でもってこの社会秩序を変革しようとする行動を組合が計画してやっておるという組合があるのかないのかという質問には、最後大臣はうまくぼやかして、消えてなくなっしまった形になっているが、これは実は会議録に消えておらぬと思う。これは基本的に重大な問題ですから、連合審査会の席上において一度解明をしておいていただきたい。
  128. 石田博英

    国務大臣石田博英君) これは会議録に、もしそういう言葉づかい上の間違いがありましたら、私がこれから申し上げることと違っておりましたら、取り消していただきたいということを委員長にお願いをいたします。私が申し上げたうちで方々とか、随所ということは明確に取り消します。  それからもう一つは、社会秩序経済秩序という言葉は、これは使用者の中に労働組合という言葉、そのこと自体がもうすでに社会秩序、法秩序をこわすものだという考えをまだ持っているものだ、こういうものもまだおるということを申し上げまして、その言葉をそのまま労働組合のいき過ぎ行為のまくら言葉のように使ったように私も思います。従ってこれも取り消します。私が申し上げたいのは、やはり労働組合の中にもその歴史の浅さからいき過ぎた行為をしておるものをなしとしないという実情にかんがみて、この協会の必要性を痛感するというふうに明確に訂正をいたしておきます。
  129. 山本經勝

    山本經勝君 あざやかに訂正をなさったので、(笑声)次の言葉を言いにくくなってしまった。ほんとうは取り消してもらわなくてもいいのです、今最後の問題が一つ引っかかっているのです。それは日本労働運動は日なお浅い、歴史が浅い、こういうことはしばしば言われていることなのですが、なるほど日本労働運動というのは、戦後のごとくみな認識していると思う。ところがそうでなくて、明治の末期から始ってずいぶんやはり長い歴史を積み重ねてきている。しかもあの大東亜戦争といいますか、第二次世界大戦の中間になりまして、重大な段階になりまして労働組合は全部つぶされたのですが、その前から労働運動はあったのです。ですから歴史が必ずしも短いということにはならないのです。その間にあって国家権力が労働運動を禁止し、取締りの対象といたして治安維持法とか治安警察法、この種の弾圧法があった。ですから、そういう強烈な権力をもって集会をけ散らし、あるいは演説会をとめ、団体交渉にいく組合の代表をいわゆる不当に検束して、そして豚箱にぶち込む。こういうやり方をやられたために実は伸びなかった。ところがそういう荊棘を経てあの戦争となり、戦争の深刻ないわゆる破綻的な状態の中で自己批判をし、かつ世界各国の重大な関心と、何といいますか、勧告に基いて労働組合運動は復活した。こういうことですから、私は単に日本労働運動が時間的に日が短いということだけではなくて、そういう要素があったということについては、これは後ほど審議する過程でも重要な問題ですから、単に労働運動の期間が時間的に見て非常に短かかったということは戦後をさすのか、あるいは戦前を通じてさしておられるのか、その点は私はやはり今後の労働運動の推進に当っても、また現下の労働運動の実態についても非常に重要な要素を持っていると思う、しかも同時にこういう労働運動の進展に対して、きょうもどなたか質問をされてちょっと触れられたようですが、協調会なるものが大正八年に作られ、そして協調会はしまいには御承知のように争議の調停、あっせんまでやり、とどのつまり産報となって、いわゆる国の政策の下請機関のような役割を果して、労働運動を抑圧したものである。このような状態で進んできたと思う。私は時間的に見ますと、なるほど外国の労働運動より短いでしょう。しかしながら内容において、そういう国の政策、あるいは権力の干渉、圧迫、そういったことによって実は労働運動は正常な形に伸びず、労使関係は確立せられなかった。こういう実情のもとにおいて、敗戦という結果によって連合軍の絶対権力でもって労働組合法の制定等が行われた、こういういきさつは、私は日本労働運動を見る場合に、非常に大事な問題であると思う。特に十数年にわたって日本労働運動は暗黒時代があった。こういう事実をお認めになるのかどうか、この点をまずはっきりしておいていただきたい。
  130. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 歴史の浅さという言葉は、私はいろいろな意味で言えると思います。一つ労働運動歴史の絶対年数、それから申しましても、やはり欧米先進国は産業革命以来やはり数百年の歴史を持っている。日本労働運動も明治の末年から今日までの約半世紀に近い歴史を持っていることは十分承知をいたしておりますが、しかしそれにも増した長い歴史がある。しかしそれだからといいまして、戦前のそういう歴史を否定するものではありません。また戦前におけるわが国の時の政府労働運動に対してはもっぱら禁止的立法——工場法その他で安全あるいは衛生管理というような面における保護立法は若干ありましたけれども、しかし労働運動としてはこれは禁止的立法でもって臨んできたということも認めます。それから十数年にわたる労働運動の暗黒時代があったということも私は認めます。それと同時に、もう一つ歴史の浅さとしてあけなければならないことは、全国的な規模において労働運動というものが行われたのはやはり戦後でありますから、そういう意味ではやはり非常に浅いと言えるでありましょう。ただたとえばドイツ等におきましてもビスマルクの時代、あるいはその次の第一次大戦の時代、あるいはヒットラーの時代、ドイツの労働運動史をひもといて見ましても、三度にわたる相当長期にわたる暗黒時代があった。世界各国とも労働運動の創成期におきましては、もっぱらこれを禁止的立法をもって臨んだ事例でありまして、これはやはり各国とも労働運動の当然なめなければならなかった非常に不幸な運命であったろうと思うのであります。そういうものの中から拾い上げ日本労働運動の特殊性というものをあげ、その特殊性だけからではありませんが、その特殊性の中から出てくるいろいろの事柄を、全体としては健全化の方向をたどっていますけれども、未成熟の面があるのだということを申し上げたのであります。
  131. 山本經勝

    山本經勝君 それでは私、もうこれで質問をやめますが、後ほどまた続きをやらしていただきます。
  132. 山下義信

    委員長代理(山下義信君) 他に御質疑ございませんか。——御質疑もないようでありますから、社会労働大蔵連合審査会は終了いたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 山下義信

    委員長代理(山下義信君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会はこれにて終了することに決定いたしました。  それでは連合審査会は散会いたします。    午後五時二十三分散会