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田中一君 それはむろん
土地収用法の第三条に
規定されておりますところの三十五の
事業というものに、この
首都圏整備法にきめておりますところの、第三章二十一条の3に示しておるものは、ここには該当しておりますけれども一、やはり
首都圏という
一つの、しいて申しますれば
一つの
思想です、
思想を総合的に表わすには、
個々のものだけでは
解決されないんです。ある場合には
下水道に対してはこれは認められた、しかしながら
道路を認めぬというようなことがあるかもわかりません。こういう場合は認めたけれどもタクシー業者は認めぬということがあるかもしれない。従って
個々の問題は両方の
法律を照合して入ると可能であるけれども、
首都閥そのものは総合
計画なんです。決して
個々の
事業の
計画じゃないんです。ほんとうに真剣にやるつもりならば、やはり
土地収用法をこれに
指定して、これによって手業を推進するということがなければ、これは絵にかいたもちです。何ら進むものじゃないです。ことに
首都圏整備委員会などは少数の人間がおって、
建設大臣が
委員長になる、
建設大臣というものは
個々の
事業を所管してるものであって、それが兼務で
首都圏整備委員会の
委員長なんということは、根本さんの頭にはそんなこと、秋田辺なら別ですけれども、
東京都のことなんかにはそんなに熱を上げられるものじゃないですよ。その現状からみればなぜ
土地収用法を
適用するような
措置をとらなかったのか。一体
建設大臣並びにこの
事業に
指定される所管の大臣というものは、
土地収用法というものは主権を脅かすものであるという前提に立つから間違いを起すのです。私は今日あるところの
土地収用法という
法律は、
国民の権利を守るためのものであるということは断言できます。ところが多くの官庁職員諸君は伝家の宝刀としてそれを隠しながら、
土地収用法を発動いたしますとあなたは損になりますから、この辺で話し合いをいたしましょうということをして、今まで
国民をだましてきておるのです。役人が強いのではないのです。
法律が強いのです。
法律がある精神をはっきり示しておるにもかかわらず、役人の口
一つでごまかそうという考えを持つから、
国民が
納得しないのです。ことごとく
土地収用法を発動して、是非を明らかにするような方途をとるならば、どの場合でも
国民は
納得いたします。私の知っている事例でもこういう例を知っております。最近の例で話し合いで補償問題を
解決した、ある一人の者は
解決した。一方同じような事例で、判決で補償をもらったときの金の方が多かったという例を知っております。
土地収用法そのものを悪用なさる役人がいるから
国民は
納得しなくなってくるのです。私はこの
市街地開発区域整備法案はほんとうの背骨の入らないもので、
実施できるものではないと思っております。おそらく事務当局では、これに
土地収用法を
適用しようという
条文を入れたかったでしょうと思うのです。なければ
適用できやしません。
土地収用法を
適用する
事業に対してすら
抵抗が強いにもかかわらず、こんなものはできっこありません。そして
土地収用法というものは伝家の宝刀で、これを発動すると
国民は損する、ひどい日にあうぞという印象を宣伝しているあなた方が悪いのです。
法律そのものはりっぱな
法律です。もう
一つこれで、私は常に言っている、物には物をという
思想が入るならばこれは完璧です。
国民の権利を守るための
土地収用法を、なぜどこに
抵抗があって入れたんですか。他の三十五の
事業というものも、はっきりと
適用されたにもかかわらず、なぜ市街地開発
整備計画の中には抜いたんですか。そんなことでは全然この
事業を行うという意図がないものだと私は断定せざるを得ないのです。幸いここに
審議会の
委員の重盛君、石井君がおられるのですから、こういう
法律案がおそらく
審議会でかかっただろうと思うのです。(石井桂君「そいつはかからない」と述ぶ)かからないか。あんな
法律案を出して
東京都民並びに付近の
区域内の住民をだましてはいけません。する意思なんかありゃしません。できっこありません。次の
国会でもこれに対してほんとうの魂を入れるというふうな
法律改正をしなければ、そんなものほんとうに絵にかいたもちです。私はもうそれ
一つで、こんなもの解散ぎわ前の会期末に
審議するのはまっぴらだと思っております。じっくりやれやしない、くどく言うけれども、
土地収用法を
適用した
事業ですらできないのです。なぜかというと、これは
国民の私権を脅かすものであるという
思想をもって役人が
国民に宣伝して、話し合いでものをきめましょうとばかり言っている。話し合いできめて、片方で訴願してやった場合、訴願してやった場合の方が補償金が多かったという事例を
建設大臣知っているでしょう、あなた方の方の
事業関係です。知ってますでしょう。私はことごとく
土地収用法という
国民のための、
国民の権利を守る
法律かあるから、どの
事業でも全部これを
適用してやるということならば、なるほど最初のうちは時間かかかりますが、
一つ二つ判例というものができてくると
国民は
納得するものです。この点についてこれは根本さん、解散になると今度は内閣かわるでしょうから、いつまでもあなたが大臣続けておられることを希望しますけれども、まあ最後の
建設大臣として、
土地収用法に対する所管大臣として、ほんとうのあなたの腹を示していって下さい。