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1958-03-06 第28回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月六日(木曜日)    午後一時四十四分開開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            田中  一君    委員            岩沢 忠恭君            中野 文門君            内村 清次君            小酒井義男君            坂本  昭君            戸叶  武君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省主計局法    規課長     小熊 孝次君    通商産業省石炭    局長      村田  恒君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    通商産業省鉱山   保安局管理課長  竹田 達夫君    建設省河川局次    長       關盛 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した案件公営住宅法第六条第三項の規定に基  き、承認を求めるの件(内閣送付、  予備審査) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (道路整備特別会計に関する件) ○地すべり等防止法案内閣送付、予  備審査)   —————————————
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件を議題にいたします。まず、根本建設大臣から提案理由説明を聴取いたしたいと思います。
  3. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま議題になりました公営住宅建設三カ年計画につきまして、提案理由及びその内容について御説明申し上げます。  公営住宅建設につきましては、公営住宅法に基き、政府は、昭和二十七年度以降の毎三カ年を各一期として公営住宅建設三カ年計画を作成し、その計画大綱につき国会承認を求めることとなっておりますので、今回、昭和三十三年度を初年度とする公営住宅建設三カ年計画について国会承認を得るため、本計画を提案いたした次第であります。  本公営住宅建設三カ年計画は、現下の住宅事情昭和三十一年度より五カ年聞でおおむね安定させるという基本方針のもとに、住宅対策審議会意見を聞き、公営住宅建設実施状況笠一を考慮して作成し、閣議の決定を経たものであります。  本計画内容は、住宅に困窮している世帯の実情を考慮し、昭和三十三年度より昭和三十五年度までの三カ年間に、第一種公営住宅六万七千戸、第二種公営住宅九万戸、合計十五万七千戸を建設しようとするものであります、また、住宅建設にあわせて必要に応じ共同施設建設することといたしております。  以上、公営住宅建設三カ年計画提案理由及びその内容を申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認下さるようお願いを申し上げます。
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本件に関する質疑は後の機会にお願いいたしたいと思います。   —————————————
  5. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 次に、他の委員会会に付託になっております道路整備特別会計法案は当委員会にも関係がありますので、この際調査案件として本法案を取り上げることにし、大蔵出局から説明を聴取いたしたいと思います。
  6. 白井勇

    政府委員白井勇君) ただいま両院の大蔵委員会において御審議をお願いたしておりまする道路整備特別会計法案につきまして、その趣旨といたしますところを御説明申し上げます。  政府は、今国会に、別途道路整備緊急措置法案を提案いたしまして、当建設委員会において御審議を願っているのでありますが、この法案によりまして、昭和三十三年度から新たに道路整備五カ年計画を樹立いたしまして、道路計画的な緊急整備を行うことといたしております。同法案によりまして、この計画実施に要する国が支弁する経費財源といたしましては、揮発油税収入額を充当することといたしますとともに、財政の許す範囲内におきまして、必要な財源措置を講ずるものといたしておるのでありますが、本事業に関する政府経理につきましては、一般会計と区分して明確を期することが適当であり、また事業計画的な推進に資するゆえんであると考えられますので、新たに道路整備特別会計を設置することといたしたのであります。  従いまして、この会計におきましては、まず国が直轄で行いまする道路整備事業に関する経理と国以外の者が行う道路整備事業に対する国の負担金等の交付に関する経理を行うのでありますが、このほか国が直轄で行いまする道路整備事業に密接に関連のある付帯工事及び受託工事に関する経理をも行うこととしております。  次に、この会計におきましては、一般会計からの繰入金都道府県負担金及びこれにかかわる利息、地方公共団体負担金納付の特例に関する法律規定により納付された地方債証券償還金及び利子付帯工事等にかかわる国以外の者の負担金建設大臣が徴収する受益者負担金受託工事にかかわる納付金借入金並びに付属雑収入をもってその歳入とし、道路整備事業に要する費用付帯工事に要する費用受託工事に要する費用借入金償還金及び利子一般会計への繰入金並びに付属諸費をその歳出として経理することといたしております。  次に、この会計におきましては、道路整備事業に要する費用財源に充てるため必要があるときは、予算をもって国会議決を経た金額限度として、この会計負担において借入金をすることができることといたしておりますが、その借り入れ限度のうち、その年度内に借り入れをしなかった金額がありますときは、その額を限度として、かつ、歳出予算繰越額財源として必要な金額範囲内で、翌年度において借入金をすることができることといたしております。  以上がこの法律案趣旨の主要なものであります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げる次第であります。
  7. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 引き続いて、小熊法規課長から法案内容について御説明願いたいと思います。
  8. 小熊孝次

    政府委員小熊孝次君) ただいま政務次官から御説明のありました道路整備特別会計法案趣旨につきまして補足して御説明申し上げます。  まず、この会計におきまして、道路整備五カ年計画に基きますところの道路整備事業に関する政府経理、これを行うことは当然でございますが、国が直轄で行う道路整備事業に密接に関連のある付帯工事及び受託工事に関する経理をもあわせて行うことといたしましたのは、これらの工事を行う工事現場とか現場事務所従事人員使用機械あるいは施行技術等道路整備五カ年計画に基きまして、国が行う道路整備事業と共通する場合が非常に多いわけでございます。従いまして、実際問題といたしまして、これを区分経理することが不可能でございますので、またその実効もないのでございますので、それを一体としてこの特別会計として行うことが適当である、このように考えたからでございます。  次に、この会計におきまして、一般会計からの繰入金歳入とされ、一般会計への繰入金歳出とされておるのでありますが、歳入となる一般会計からの繰入金と申しますのは、道路整備事業に要しますところの費用で国が負担するもの、それから道路整備事業に要する費用財源に充てるための借入金のうちで、国が負担するものの財源に充てるための借入金償還金利子金額でございます。歳出となる一般会計への繰入金とは、道路整備事業または付帯工事事業につきまして国以外のものの負担金、あるいは受託工事にかかるところの納付金のうちで、これらの事業あるいは工事につきまして一般会計が支弁した経費に相当する金額でございます。  それから、借入限度額でございますが、その限度額のうち、借入未済額歳出予算繰越額財源として必要な金額範囲内で翌年度に繰り越すことができることと先ほど政務次官も申しましたが、これは事業予算において予定した通りに進捗しない場合も考えられますので、その場合に歳出予算につきましては、繰り越し明許費として別途予算国会議決を得るようにいたしまして、翌年度繰り越し使用ができることにしておるわけでございますが、この歳出予算繰り越しに伴い必要となるところの財源措置といたしましては、道路整備事業費に充てるための一般会計のこの特別会計への繰り入れ予算繰り越し明許費といたしますとともに、あわせてさらに借入限度額につきましても繰り越し措置を講ずることにいたしまして、歳出面の執行に差しつかえのないように措置しておるわけでございます。  以上申しましたほか、この会計予算及び決算の作成、提出、予備費使用剰余金の処理、余裕金預託等、これは普通の特別会計規定されておる事項と同様でございますが、この会計経理に関して必要な事項規定いたしますとともに、経過措置といたしまして昭和三十二年度以前の一般会計道路整備に関する費用にかかわる予算によりまして、取得した機械その他の資産で国が引き続き道路整備五カ年計画に基く道路整備に関する事業使用する、そういう必要があるものにつきましては、これをこの会計に帰属せしめてこの特別会計資産として、道路整備事業使用していくことができるような措置を講じておる次第でございます。  以上簡単でございますが、政務次官趣旨説明を補足いたしまして、御説明いたした次第でございます。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
  9. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本案につきましては、本日は説明を聴取することにとどめまして、御質疑あと委員会においてお願いしたいと思います。   —————————————
  10. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは次に、地すべり等防止法案議題といたします。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  11. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。なお申し上げますが、前回の委員会におきましては、第一章総則を議題にいたしておるのであります。本日もその続きの御質疑をお願いいたします。  第一章につきましては、御質疑ございませんでしょうか。
  12. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 ぼた山の今の定義ですね、この間懸案になりました。これがきまれば私ぼた山についての質問をしたいと思うのですが……。
  13. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは第一章の質疑は一応ここにとどめておきまして、あとぼた山所有等の問題の質疑を進めて、それにまた引き、続いてほかの質問をしていただくということにいたして、とりあえず第二章の質疑に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは第二章、地すべり防止区域に関する管理議題といたします。
  15. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 第九条の地すべり防止工事基本計画を作成するということになっておりますが、基本計画というのはどういうことですか、それをり……。
  16. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 第九条の、知事がその主務省令の定めるところによりまして、関係市町村の長の意見を聞きまして、地すべり防止区域にかかる基本計画を作成することになっておるわけでございます。この基本計画につきましては、主務省令によってその内容をきめる予定にいたしておりますが、ただいま考えられますこととして想定いたしておりますことは、地すべり区域内における工事施行区域、それからその工事によって受益する区域範囲並びにその状況、それから地すべり防止施設当該区域内においてどのような種類のものをどのような規模でどのような数、すなわち防止施設種類規模、数量その他防止区域状況に関する事柄一体として防止工事に関する基本計画、こういうふうに考えております。
  17. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 それから、十二条の築造等基準というのは非常にこまかくいろいろあげておりますが、これは何ですか、政令か何かで書けるような性賢のものじゃないですか。
  18. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 築造等基準につきしましては、実はできるだけ詳しく書きまして、従来各省でやっておりました施設なりが相合致しないものがあるというようなことがあってはいけないというふうに考えましてできるだけ詳しく書きたいというのが私ども考えでございます。海岸法のときにおきましてもそういう議論がございまして、隣でやっておるものと方法が変ってもまずいという点が考えられまして、いろいろ御注文があったわけでございます。今回におきましても、できるだけ統一した基準でやりたいということでこの基準を設けた次第でございますが、しかし、なかなかこの基準というものは法律で明記することがむずかしいのでございまして、従いましてこの程度になったわけでございます。よって、実際の工事をやる際におきましては、各省が、もっと詳しい具体的の事項はその地区々々に応じてやらなければならないと思います。が、ここには標準的に排水工専施設としてはこういうものを使え、それから擁壁等構造物はもちろんのことでございますが、安全なものにしなければいかぬ。それからダム、床固等のものにつきましては、浸食の防止目的であるので、その目的を十分達するものでなければならないというふうなことを規定したものでありまして、もっと詳しく書きたいつもりでおったのでございますが、場所々々によりましていろいろと違っても参りますし、もっとこまかい点につきましては現地に即してやりたいということで、こういう焼規定をできるだけということで押入した次第でございます。
  19. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 今の河川局長説明で、十一条はできるだけ数多くやったということは、僕は逆にこんなものは明示しない方がいいと思う。というのは、場所々々によって皆違うのだがら、その範囲において取捨選択するというだけのものを建設省なり、あるいは都道府県がもつた方がいい、こういうことを書くと、技術的に制約を受ける迷いが生ずるというようなことが起り得はしないかというふうに思うのですが、どうなんですか。
  20. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お説ごもっともでございます。従いまして第一項、第三項等におきましては当然のことが書いてありまして、これは安全でなければならないことはもちろん考えなければいかぬことでございまして、どういう形にしろとか、くいの長さを幾らにしろとかということはもちろんそれに縛られてはいけないわけでありまして、そういう現地に即した技術的の問題はここに掲げることはもちろんそういう点から言いましても、書くとかえって迷いを生ずるという点も考えられますので、非常に抽象的なものになりまして当然のことではないかということになったような次第でございます。
  21. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 だから、当然のことは、当然技術者側地すべり対策について技術的な観点から相当考慮しなければならない。むしろ、これはただいまのような河川局長説明によると、くい打ちの長さがどうとか、こうとかいうようなことにわたることはできないけれども、こういうものも明示する必要は僕は全然ないと思う。だから、こういうものは技術の研究なり、あるいはその場所場所によって違うのだから、一々こういうことをやると、地すべりに対してはこういうことをしなければならぬ、こうだということで、また指示する場合も、この法によってこういうものがあるからこれはやらんじゃいけないじゃないかというような迷いというか、一種の基準を厳守するということになって、技術の進歩とか効果が半減するというような結果になりはしないかと思うのです。  もう一つは、こうやって純然たる地すべり対策工事はやってあるのですが、ぼた山の問題についてはあまり触れていない。だから、ぼた山が割合に、技術的に見ても管理の面から見ても非常に問題だろうと思うのです。本質的にこのぼた山をこの地すべりの中に入れたということは私は反対なんです。ぼた山は現在あるやつを限定すればともかくも、将来非常にぼた山管理なり、あるいは通産省鉱山保安法によってこれを厳密に指導するということが行われればともかくも、やはり従来の慣例から見ると、業者を保護するというようなことで、少し採算がとれなくなれば全然うっちゃらかす、そうすると、今までやったぼた山というものはどこの所有に属するか、これはこれから後の通産省の御意見を聞いてしなければならぬけれども、だんだん増加の傾向にありはしないか、そういうようなことから、この地すべりに対しては、ぼた山をとるのなら、これから後の地すべりは、われわれが考えている地すべりというものは、国土の保全というようなことで、いわゆる天然の国土を保全するという観点からこの地すべり必要性が現われてきたのだけれども、人工的なぼた山というものが将来この地すべり法案を根拠にして相当強要されるというおそれがあるのではないか、こういうふうに私は考えている。しからば、この法案を出してぼた山を入れている以上は、この十二条の中にしても、こういう御丁寧な工事なりいろいろな指示をするなら、ぼた山について何かもう少し指示をする必要があったのじゃないか、こう思うのですが、どうなんですか。
  22. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ぼた山は結局個々の石が流れてくるわけでございまして、地すべり一体としまして地下構造の変化によりましてすべって参るものでございまして、おもに地下水が増加いたしまして、すべる面が非常に活動性を増したということによって起るわけでございまして、この地下水の排除ということが非常に大きな眼目であるし、これによって地すべりがとめられるというのが多いという観点から特に排水施設について重点を入れたわけでございまして、これについてはこういう方法をとりなさいということで、現在まで研究した結果によりましてやっている分を掲げたわけでございます。まあ地すべりにつきましては、都道府県知事がやる分もございますが、その他のものもやる場合もございますので、それらの基準につきまして、一般的に知らせておいた方が都合がよろしいという点からもありまして、こういう規定を挿入したわけでございまして、地すべりは、特殊のものである、しかも水を抜くということによりまして、大部分はとめられるという点から、特にこういう規定を挿入したわけでございまして、ぼた山につきましては、一般的の砂どめの工事でできるというふうな観点から、地すべりぼた山につきまして異なったことに取り扱ったわけでございます。
  23. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 私の質問した趣旨は、こんなこまかいことを書いて、かえって窮屈なんじゃないか、道路構造基準なんか、もう少し大きなところだけを押えて、あと政令でいくと、それの方が施行する場合に弾力性があっていいんじゃないかというような考え質問したのですが、その点は大丈夫ですか。
  24. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、都道府県知事以外の者のやる場合に、一般的に基準というものを掲げておいた方が、それらの者が計画を立てたりする場合にも都合がよろしいのでございますし、また知事承認を与えたり、監督、処分を行う場合の基準一つ掲げておいた方が、一般的に明らかにしておいた方がよろしいという建前もございまして、こういう規定を挿入したわけでございます。
  25. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 それはおかしいんだよ。というのは、第十一条で、「主務大臣又は都道府県知事以外の者が地すべり防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ当該地すべり防止工事に関する設計及び実施計画について都道府県知事承認を受けなければならない。」ということなんです。都道府県あるいは国には相当の技術者がおるのだから、これ以外の者が、民間のものが実施計画を出すときも、それを指導すればよろしいので、この十二条で、こまかくやる必要はないという、一つのなにになりはしませんか。
  26. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) もちろん、出て参りまして、都道府県知事が許可するわけでございますから、いけない部分は直させるし、あるいはもっと技術的に改良して、安くできるというような方法があれば、もちろんそれによってやらせるのが必要であるのでございますが、そういう方法は、もちろんやるわけでございますが、今回におきましては、大体の基準法律において定めておきまして、広く国民一般に明らかに示しておこう、こういう趣旨から出ておるわけでございます。
  27. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと今の問題に関連しまして、私も質問したいのですが、今お聞きの通りに、法律できめないで、政令できめてもいいじゃないかという御質疑に対するお答えがあったわけですが、この法案に限らず、私、平素そういうふうの感じを持っておるのであります。政令以下にまかせていいんじゃないかという、かなり小さい事柄、ことに国民権利義務と、そう深い関係もなさそうなことまでも、法律の中にうたわれておるという立法例が、近ごろ相当に見えるように思います。で、この問題につきましても、私、かなりこまかいことを法律に書いているのだなという感じを実は持っておったわけでございますが、ほかでもこういう事例が相当あるように思います。これは法制局の方で、法律できめるものと、政令以下に譲ってもいいものと、何かはっきりした基準をもって立案しておられるはずだと思うのですが、その点はどういうことになっているものでございますか。ちょうど法制局から、部長さん、お見えになっておりますから、御説明いただきたいと思います。
  28. 野木新一

    政府委員野木新一君) 御指摘のように、戦前法律と現在の法律と比べてみますと、戦前法律は、きわめて簡素であったのに、現在の法律は相当こまかいという点は、両方の法律を一覧してみますとよくわかるのであります。戦後の立案の態度といたしましては、昔は法律事項じゃなくて、勅令事項というのがありましたから、そうして戦後にはそういうものはなくなりましたから、いわゆる昔で勅令でできたものも、戦後は法律でなければならない、そういう意味で法律の出たこと、また法律に書くべき事項がふえたということは、これはもちろんでございます。ただいま御指摘の点につきましては、まずどうしても法律でなければならぬという点は、お説にもありますように、国民権利義務関係のある事項、これはどうしてもやはり法律でなければならない、こういうふうに覚ております。その他、たとえばここで問題になりました築造基準、こういうのは一体どうであるかという点になりますが、ことにこれは非常に技術的なものでありますから、こういう技術的なものは、あるいは国会の御審議をわずらわすに必ずしも適当じゃないじゃないかという議論もありますし、また政令にまかしてみても、一つ技術という内在的な論理が働くわけでございますから、そう突拍子もないことをやるわけじゃなかろうという、それだから政府にまかしてもいいじゃないかという観点もありますわけでありまして、これは確かに御指摘のように、今後もどうしてもいろいろ検討すべき問題だろうと思います。しかしながら、今の立場といたしましては、大体法律を読んだときに、大綱を書いておいた方が、読む方の人から見ても、大体の基準がわかって便利じゃないか、そういうような観点から、築造基準というような、こういう規定もこの法律、また他の法律もでありますが、設けている次第であります。しかしながら、この点につきましては、御指摘のように、あるいは将来の研究問題として、なお、あるいはある程度政令に譲ってはどうかという点は、確かにもう占領も去った後でありますから、今後の立法としては、なお私ども研究をまたしてみたいと存じております。
  29. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 私、議員といたしまして、法律審議をすることを、どんなにこまかくたってそれをいとうわけじゃ決してございませんけれども政令以下にまかせていい事項であるということがはっきりするならば、便宜の点から申しましても、事柄を早く進めていく点からみても、そういう道の方がいい場合がありはしないか。ただ戦争前におきましては、勅令以下にまかせてならないことまでも、言いかえれば、権利義務に直接の関係のある大事なことまでも、まかせてしまったということもございましたから、それは大いに改めていかなければならないのでございますけれども、その点はよほど研究していただかなければならないものと思います。  それからもう一つは、各省において、それぞれの法案の立案に関係しておられる人の気分によりまして、こまかいことを好む人、そうでない人と、いろいろあるわけですが、それによって各省間のこの案の統制も、第三者から見るというと、ないのじゃないか。これは、法制局の仕事じゃないかと私は思うのです。その点をよく御留意下さいまして、正そう一つ慎重にやっていただきたいと思っております。それだけ申し上げておきます。
  30. 野木新一

    政府委員野木新一君) 御指摘の点は、私どもといたしましても、つつしんで傾聴いたしたいと存ずる次第であります。もう占領後だいぶたちますし、戦後一つ立法の形というものは、一応体をなしてきましたので、これをなお批判して、さらにいい形にするということはさらに私どもは努力しなければならないと存ずる次第であります。各省によって法律の精粗さまざまあるのじゃないかという点、これは必ずしもこれを否定するわけにもおそらくいかないのじあないかと存じます。というのは、やはり正直のことを申しますと、一つ審議の際にはどうもやはり原案が尊重されるということが一つあります。それからいま一つ、きわめて短期間にどっちかといいますと法案を作り上げますので、その点でどうもこれは私どもの方のもっと横の連絡を密にして、担当の参事官同士話し合って注意すれはなお避けることができるかとも存じますが、こういう法案の作成が非常に急速であるという点も、多少横の連絡が不十分になりがちだという点もございます。しかしながら、これがどうしても国の法制全体としてはそうあるべきではありませんのでして、御指摘の点は十分今後も上司にもお伝えしまして、研究して、なおよい法案が作れるようにいたしたいと存じておる次第でございます。
  31. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 私の質疑はそれだけでございます。御発言願います。
  32. 田中一

    ○田中一君 前回の委員会でもいろいろ伺ったのですが、この法律案全部を見ますと、第四章で初めてぼた山の崩壊防止という言葉が出てきて、すべて地すべり防止という前段の条文を採用して読みかえをやって、この法律ができておるわけです。そこで、ぼた山地すべり区域、おのずから違うのじゃないかと思う。現象はあるいは似通ったものがあるかもわかりませんけれども、少くとも、片っ方は天然自然にできているもの、これが地すべり現象を起すということになるのであって、ぼた山自身はもはや人造の、この法律によりますと鉱石の積み重ねというような説明をしているのですが、この二つの同じような現象を持つからといってここに盛り込んだところに、われわれはどうも納得いかない点があるのです、そこで、ぼた山とは何かという点を前回の委員会でもずいぶん伺ったのですが、われわれが満足するような御答弁に接しておらないわけなんです。それで、法制局はこの法律案審議するに当って、ぼた山の定義というものを文章で表わす場合にどういう表わし方をするか、またどういう工合に理解をしてこの法律案法制局としてチェックした上提案されたか伺いたいと思います。
  33. 野木新一

    政府委員野木新一君) 私どもこの法律案審議いたした者の立場といたしましては、ぼた山というのは、この法律で言っているぼた山は何かといいますと、第二条第二項に定義を置いているわけであります。この定義は、ぼた山と普通に言われているのと実質はそう離れないものではないかと存ずる次第であります。すなわち、「ぼた山とは、石炭又は、亜炭」一、ほかの鉱石のことはここでは考えておりませんが、「石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であって」、云々、こう定義しておいたわけでありまして、これはこの文字通りすなおに読んだそのままの解釈でいいのではないか、そう存じている次第であります。
  34. 田中一

    ○田中一君 利益をもととしての企業が、副産物的なぼた山築造するわけですわ。そうして、これと他の自然の山とはおのずから区別されなければならぬということは考えられるわけなんです。そこで、この法律の立て方も、最初には全部地すべりという現象、それも自然の山に対する地すべりという現象をとらえての規制を条文ではしているわけです。そうして、最後の四章において初めてぼた山という物件が出てきて、大体のことは同じように読みかえをしたり援用をしてこれを規制しようという立て方になっているわけです。もしも同じような原因によってそうした現象が生まれるということならば、前段に全部盛り込んで書いても私は差しつかえないのだと思うが、ところがあえて第四章に初めてぼた山というものを多り上げてこの法律ができ上っているという点を見ましても、おそらく立案者は、一般自然の山の地すべりの現象と、ぼた山というその山の現象は同じでも、原因というものは相当違うのではないかというような考え方を持っての立案並びにフォームであろうと思うのです。  そこで、一昨日もいろいろ伺ってみて、ぼた山というものはむろんこれ悪意ではないでしょう。自分の必要に応じて悪意でなく築造されたものだ、しかしながら、将来とも、たとえ鉱山保安法があっても、どんどん築造されつつある、築造するのか、あるいは捨てるために集積されたのかわかりませんけれども、そうなりますと、おのずから違うケースのものだろうと思うのです。それが同じような国が、あるいは都道府県費用負担して工事をするということになると、やはり区別して考えなければならぬという点があるのではないかと思うのです。ことにこの法律を見ますと、鉱業権者またはそれとみなされる者の持っている山はこの法律が適用されるのだとなっておりまして、おそらくこの法律ができますと、あるいは意識的に自分の持っている山を放棄するかもわからない、あるいは譲渡するかもわからない。そうした場合には、自然に国がこれに補助をして施設を施行しなければならないことになりますので、どうもここに釈然たらざるものがあるのです。ことに、ぼた山そのものに対する、ぼた山というものは私も見たことがあって知っていますけれども、不動産であるとか動産であるとか、それが山そのものであるのか、あるいは単なる物の集積であるのか、そういう点が明らかになっておらないのです。まあ一尺程度ぼたを積んだ場合には、ぼたというのですか、何ですか、ここに法律にある通り、「石炭又は亜炭等に係る捨石」というものを積んだ場合には山と言わないのかもしれないけれども、これがああして何十メートルという高さになりますと、自然の山以上の山になっております。だから、一つ法律でもってこれを律しようとするのは無理があるのじゃないかということを感ずるわけなんですけれども、その点は法制局では矛盾を感じないで審議なさいましたか。
  35. 野木新一

    政府委員野木新一君) ただいま御指摘のように、いわゆる地すべりと、それからぼた山関係とは、その発生の、原因において異なる。地すべりというのは、土地の一部が地下水等が基因して起る自然現象ぼた山というのは、人工でできた山であって、必ずしも地下水等に基因してすべるという条件ではないようであります。そういう点で、対象が違うということはこれは明らかであると存じます。第二に、こういうような場合において法律を別にすべきじゃないかという点でございますが、これもまた別にしてもこれは法律上不可能ということはもちろんございません。ただ、逆に一緒にするのはおかしいじゃないかという点でございますが、これは法律立法一つ技術の問題にも関連するかもしれませんけれども、大体発生した原因等が違っても現象形態が同じで、それに対する措置ども大体同じ措置がある。要するに、端的にいえば大部分が共通な規定でまかなえるというような場合には一緒の法律でしても、必ずしも差しつかえないのではないか、これが立法政策ないし立案技術の問題になると存じます。本件のぼた山地すべり、これにつきましても、今言ったように、ごらんのように、大体共通の規定が非常に多いわけでありますから、これは一緒にしても法案として必ずしも体をなさないと、そこまで言わなくてもよいのではないかと存ずる次第であります。  次に、いま一点、あるいは触れたのではないかと存ぜられますが、ぼた山を、まあ地すべりの方はこれはよいとして、ぼた山の方はむしろ立法すべきじゃないのではないかという点につきましては、これは一つ立法政策論、国の政策論になると存じまして、私どもとして深く入るべきではなく、むしろ自然にできた山でありますが、その山を管理する責任者がなくなってだれが一体責任を負うのかはっきりしないような山がある。しかも、それが国土の保全と民生の安定を害していると、そういう危険な一つの状態があるという場合に、これを放っておいては、一般社会並びに人その他に危害を及ぼす、そういうような場合におきましては、国としてもこれに何らかの施策を講ずるという点を、政策として十分考えられるのではないかと存ずる次第であります。ただ政策論につきましては、私としては立場上あまり深く触れないことにいたします。
  36. 田中一

    ○田中一君 そうした現象をとらえてここでもって一挙に両方とも規制しようというならば、むろん鉱業権者とみなされる者が持っておるものをも、この法律でもって同じ現象が起きるのですから、それを同じワクでもって規制したらどうかというのです。鉱山保安法は、別に私詳細を知っておりませんけれども、坑内の問題も、あるいは坑外のこうしたぼた山に対するところの防止の方針も法律にあると思いますけれども、現にそれが守られておらぬから、そうした崩壊その他の現象も生まれるということになるわけなんですね。それならば何もあえて鉱業所有者がはっきりしておるものとか、所有者がはっきりしておるものであっても、鉱業権またはそれにみなされる権利を持たない者——みなされる者以外の者は、やはり同じように所有者がはっきりわかっておっても、この法律でもってやるけれども、鉱業権を持っておる者はこれは別なんだという分け方もこれはおかしな話なんです。現象をとらえてこれを是正しようという考え方ならば、これはやはりワク内に入れて、同じような工法なり、それから施設を行えばいいのであって、そうして鉱山保安法は改正すればいいんです。私はこうしたぼた山地すべりとか、あるいは崩壊ということが起ることは、鉱山保安法というものが完全に行われてないからそういう危険があるのであって、それが完全に実施されているならば人が持っていない、所有者のわからないような山にしても、あるいは鉱業権のないものが持っている山にしても、完全にその防御施設というものが行われているはずなんです。しかし、それがそうでないから、こういう問題が起るのであるから、それならば初めから地上にあるいわゆるぼた山と称されている山に対してはこの法律を適用する。この法律によって鉱業権を持っておろうとおるまいと、全部防止施設をしなければならぬということになった方がはっきりするわけなんですよ。ことにこの中にも、主務大臣というものは、渓流以上というものは、上部のものは農林大臣という分け方をしているならば、現在あるところの鉱業権を持とうと持つまいと、ぼた山の崩壊現象というものが現われているならば、これは当然この法律のワク内において、主務大臣を通産大臣なら通産大臣ときめた方が的確になるのです。いたずらに鉱山保安法という主として鉱業の保安を考えておるところの法律を適用するといって除外する必要はないのです。また工法にいたしましても、防御施設にいたしましても鉱山等が全く鉱山保安法と、この法律案に示されたところのものとが同じものであるということがかりに言えるならば、なおさらこっちでこの法律でもって全部を規制するという方が国民は戸惑いをいたしません。山のてっぺんにこれはだれのものかわかりませんという立札をするわけじゃない。鉱山を、鉱業権を持っているものの山か、持っていないものの山か、あるいはまた所有権はあるけれども、鉱山権がないのだという場合も想定されるわけなんですから、そういう責任のないような形をするよりも、国民のためにこれは作るのである、国民に知らせなければならないのですから、そうなれば所管だけは通産大臣にしてこのワク内に入れた方が私は最善な立法方法だと思うのです。この点については建設大臣はどうお考えになっていますか。そうしてそれと同時に御答弁いただけれれば、法制局、それから通産省の方でも、鉱山保安法というものがどういうもので、この条文に現われたものと同じものであるか、違うものであるか、御答弁願いたいと思う。
  37. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように、本法制定に当りましてのわれわれの考えといたしましては、御指摘のように、地すべり現象とぼた山の現象は、これは別個のものである。一つは、何回も御指摘ありましたごとくに、これは天然現象によって起る災害を防止するという観点であります。一つは、これは人工的に当然処置すべかりしものであって、しかもそれが他の法律によってこれが規制されておるはずのものであります。従って本質的に、原因並びに方法においても違うものだということで、われわれは本来は地すべり地すべりとしてやりたいと思っておったわけであります。しかしながら、地元関係の非常に強い要請がございまして、実は今までも鉱山保安法その他でやっておりましてもなかなか徹底しない。それでこれが災害発生の場合においてなかなかこれが処置ができない、そこで掛実においてはぼた山の崩壊に基くところの災害の処置については、毎度のようにこれが紛争を来たすから便宜上この地すべり対策実施する場合に、あわせてこれは立法してほしいという、要請が実は非常に強く地元から出てきたわけであります。そういう関係上、これは本質的に違うけれども、大体この地すべりが起るということは、場所的にやや似たところがありますので、便宜上措置した、便宜上一括して法律化したというところにここに若干の難点があるということは御指摘通りてあります。本来ならばぼた山の崩壊に基くところの措置については、鉱山保安法その他によって当然処置すべかりしものであります。いわば本来からいえば、現象が違うということは御指摘通りでありますが、こういう立法例ははなはだ少いと思いますけれども、しかし現実にぼた山というこれが地すべりと大体似たような災害を起しておる、せっかくこれをやる場合においては、ぜひこれは同時に規定してくれといういわば地元の強い要請を受けて立法した、こういうわけであります。こういう意味において先ほども繰り返したように、若干法の形式並びにこれに対する規制の点についていろいろ議論的にも、あるいは工法の点についても議論のあるところだと思いますけれども、こういうようになった次第でありまして、われわれとしては運営に当って十分御指摘の点は自足正して参りたいと考えておるわけでございます。
  38. 野木新一

    政府委員野木新一君) 立案のいきさつにつきましては、ただいま大臣から申し述べた通りでございます。私ども法制当事者といたしましては、地すべりだけでいけば、一番すっきりして、法案としては非常にすっきりしたものになるわけでありますが、今、大臣がおっしゃったようないろいろな要請並びに政策上の点からこの際同時に規定することにいたしたわけであります。しかし、同時に規定するということが法律として全然成り立たないかといいますと、先ほど申し上げましたように、必ずしもそこまで言わなくてもいいだろう、このような案の形にすれば、一つ法案としてまとめるのも必ずしもそう無理ではない、そういう立場に立ちまして政策の要請を入れまして立案いたした次第でございます。しかしながら御指摘のように、本来性質の違うものもありますので、何かすっきりしない点がある、残っておるという点があるとすれば、これはまあ私どもの不手ぎわだということになると存じますが、私たちの立場は、ただいま申し上げた通りのことになるわけであります。
  39. 田中一

    ○田中一君 根本さん、それじゃ地元のそんなに強い要請があるならば、一緒に鉱業権を持っておる者もこの法律に入れて、そしてこの法律の中でもってこういう防止施設はお前がするのだよと、こうきめた方がずっとすっきりするのです。ちようど山の渓流以上の部分についてはこれは農林大臣がやるようになっておりますから、所管区域ですから、現在の。だからそれならば、今の鉱業権を持っておる者の山でもこの法律で規制して、この通りやれということを指定して主務大臣は通産大臣だと、こうきめればいいわけです。
  40. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは立法の建前においていろいろ議論のあるところだと思います。これはぼた山によって起るところの災害をこの法律で一括してやるという立場で立法していないのです。本来ならば、これは地すべりと違って、当然鉱業権者がそうしたところのぼた山によって災害を起すような措置はしてはならないのであって、そういう原因がありますれば鉱業権者において当然これは措置しておかなければならない、こういう規定になっておるわけです、その現行法ではですね。ところが、現実に鉱業権者がはっきりしていない、はっきりしていないために今の鉱山保安法ですか、これによって災害を防止することができない、また地すべりとも全然現象が違うということの結果、現案には災害が起ってからその跡始末だけをしなければならない、こういう現状になっておるわけです。そこで地元関係住民並びに機関からはせっかく地すべり法というようなものができまして、これによって災害を未然に防止するというような立法措置がなされるならば、ぜひこの際所属不明にして、しかも地すべりと同じような災害を住民に、あるいはその地区に与えるようなものにつきましては、ぜひ一括してやってほしいというこれは強い要請がありましたので、便宜上一括してやったものでありまするから、今、田中さんが言うごとくにぼた山によって起るところの災害を鉱山保安法から全部除いて一括これにやれというような御趣旨とも思われまするが、そこまではわれわれとしては踏み切っていないわけであります。どこにも所属しないためにだれも措置していかない、これだけはぜひともこの中において、若干その点においては災害の未然防止という点において大体地すへりと同じような結果になるから、その部分だけで本法に入れて措置を講ずる、こういえ、ふうに考えたわけでございます。
  41. 田中一

    ○田中一君 あなたが言っているように、どっちみちぼた山の現象を、崩壊とか地すべりとかいう現象を防止しようという工事をするわけですから、それならばこの法律でもって鉱業権を持っておる者の山もなさい、同じような防御措置をおやりなさいと言っているんです。やつちゃいかぬことは一つもない、やればいいんですよ。いたずらにそれは鉱山保安法でやらせるんだということでなくして、わからないんですよ、鉱山保安法でやる山か、この地すべり法でやる山か、レッテルが張ってないから国民はわからないんですよ。それならばこれでもって規制して、主務大臣は通産大臣だときめた方がいいんです。国民はその方が安心するんです。現にもう鉱山保安法実施さしておる通産大臣が徹底しないからこういうようなことになるんです。同時にまた、地すべり崩壊等を起すようなぼた山というものの鉱業権者というものは、一昨日も話したんですけれども、弱小なる業者なんです。炭の値段が高いときには掘るけれどもあとはだれかに権利を譲っておいて逃げちゃうんです。そのために北九州、西九州では労働者がずい、ぶん苦い目をなめているんです。同じように人間の生活も顧みずして逃げ出すような中小業者なんですから、ぼた山の処理なんかしようたって金がかかってしゃしません。幾ら鉱山保安法で締めようたって締まらないんです。いきさつを聞いてみると、社会的にそういうことはしないであろうということですがしないならばそうした危険な山を全然なくして何もここでぼた山を入れる必要はなくなってくる。ところが、そういう危険な山ばかりあるから、だれのものかわからぬようなものになってきますから、それに対して地すべりと一緒にぼた山を入れたわけなんですから、そういう形でもって通産大臣の監督権は取ってしまう、一応この法律の中には。けれどもまあ事実は、鉱業権を持っておる者に対しては通産大臣が監督をして、この法律で示している通りの防御措置をやればいい、それで補助の問題はこの通りやれとは言いません、それは自分でやれ、あるいはまた通産大臣は別にぼた山防止施設に対しては補助金を出しているかどうか知りませんが、出しているものなら、その中から出せばいいのです、そういう形にしなければすっきりしないというのです。そして、これで示されているところの、考えられているところの防止施設というものと、鉱山保安法防止施設というものとは全く同じですか、それとも違っておりますか。
  42. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 石炭局長でございます。鉱山保安局長はただいま参議院の社会労働委員会に出席しておりますので、私からお答えさせていただきます。  ただいま御指摘がございましたように、このぼた山の処理をこの地すべり防止法の中に入れていただきまして、いろいろ御迷惑をかけておりまして申しわけないと存じておりますが、私ども鉱山保安法の現在の実施というものが、ある程度手ぬるいという御指摘の点はわれわれの方も大いに反省させられるものがございます。しかしながら、先ほどもお話がございましたように、利益を追求して掘っていくものがそれによって起した災害というものは、あくまで可能な限り、その利益を追求して掘っていった者の、その者の責任においてこれを処理させる、国家の財政の負担にはなるべく御迷惑をかけないようにしたい、こういう趣旨もございまして、現在の鉱山保安法におきまして、カバーできない非常に古いもので、しかも土地と一体となっておりまして、一体だれに責任があるかということが非常に不明確なものがありまして、この分だけを限定いたしまして、この法律の中に入れていただくようにお願いした次第でございます。なお、現在の保安法の実施におきまして、どの程度の災害の防止の予防的な措置をとっているかということにつきましては、保安局の管理課長から、お許しを得まして、説明させたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  43. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 鉱山保安法におきましては、保安法の第三条によりまして、鉱害の防止ということを保安法の重大なるねらいにいたしておるわけでございます。この鉱害の二つといたしまして、ぼた山の崩壊というものも、われわれといたしましては取り上げて参っておるのでございまするが、御存じのように、戦時中あるいはそれ以前におきまして、相当強行増産をいたしますとか、あるいはまだこの鉱害というものにつきましても、認識が十分鉱業権者の方にもございませんし、またわれわれの保安監督の立場から申しましても、それにつきまして十分認識を持っていたとは申せない節もございまして、そういうものが現在地すべりの類似の崩壊現象を生ずるおそれのあるものなんでございます。従いまして、これらのうちで鉱業権者が、先ほども指摘がございましたように、利得を得まして確保しておる鉱業権者というものが現存いたします限りにおきましては、この鉱業権者の責任におきまして崩壊等の現象が起らないように措置させることは、保安法において十分根拠があるわけでございます。ただ、保安法の適用からはずれましたところの、だれが作りましたかわからないというようなものが、崩壊の危険がありますものは自然現象に準じまして、この法律によりまして取り締っていただきたい、そうしまして鉱業権者の管理責任のありますものにつきましては、従来に堆積いたしましたぼた山につきましても、また今後鉱山の確保によりまして、堆積をいたしつつありますところのぼた山につきましても、これは地すべり防止法、あるいはこの地すべり防止法によりますところのぼた山崩壊の取締りの基準等と緊密なる連絡をとりまして、鉱業権者の方から崩壊等の災害を起すことのないように十分取り締って参りたい。その取締り硝準につきましては、ややこまかくなりますけれども鉱山保安法に基きますところの規則を三十年におきまして追加改正をいたしまして収締りに着手して参っているわけでございましてこれの規定をこの地すべり防止法によりますところの政令あるいは規則等と同じような基準にいたしまして取り締りますならば、十分その不均衡は未然に今後は防げるというふうに考えております。
  44. 田中一

    ○田中一君 根本さんね、今、管理課長からああいう説明をしておりますが、実際はだらしがないわけですよ、(笑声)やってやしないのです。ここにあるような築造基準というものを施行すればとんでもない金がかかりますよ。現にもう山の途中で土管を埋めたり何かしてだんだんやっているのです。山を作るのですね、それはもう容易なこっちゃないですよ。しゃしませんよ。ことに、この負担がどのくらいに想定されているか、これは監督局に聞けばわかりますが、一つの山を見て高さ何メートル、幅が何メートルでどうだというこの築造基準によってぼた山を作るから、そういう工事をすればいい、ぼた山を作るから、それにはどのくらい金がかかるか、そうなれば中小業者は負担にたえませんと思います。そうすると、全部が国でするようなことになるのじゃないかという懸念を持っているのです。それは、善意の第三者に譲渡してしまうとか、あるいはおれのものじゃないとうっちやるように鉱業権をよそに転嫁する、そうすると当然国がしなければならない、それを縛るようなものは鉱山保安法にあるのか、あるいはこの法律によって、そうした悪意によるところの脱法行為——合法的な……、こういうものの取締り方法がどこにあるのか、ということになりますと、われわれいろいろな法律立法例を見ましても、善意な第三者にその義務はいくものではないのです。中小炭鉱業者というのは、ことにそういう形で常に権利が移転していくので不明確になっているのです。だから、こいつを縛るということはなかなか困難です。もしも、それが的確に押えられるというなら、押えられる根拠、それから鉱業法なり鉱山保安法でもってどういう形でその義務を遂行させるかということを明確にお示し願いたい。と同時に、建設大臣はそういう点を十分に御理解になってやったのかどうか。といって、もうその掘ったり、逃げたりするような中小業者にあまりたくさんな負担をかけるということも、私どもの立場ではなかなか困難な面もありますので、(笑声)そういう点に対する御理解はどうなのか伺いたい。
  45. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) なかなか意味深長な御質問でございますが、(笑声)御承知のように建設省といたしましては、ぼた山の崩壊による災害までこちらの方がやるという一般的立場ではないのでございまして、ただ所有権者がわからない。だれ人もこれに対して責任を負わない。いわば当然なすべきところの人間が、悪意というか故意によって逃亡してしまったと、その被害が何ら関係なき第三者の一般国民に影響が及ぼされておって、一般の福祉及び公共施設が破壊されていくと、これはどうしても建設省として措置しなければならないという立場にあるわけであります。ところで田中さんの方は、それと同時に、現在の通産省の方ではそういう規定がいろいろあってもそういうものがまだ出てくるおそれが十分にある。だから、そういうものも一括して、建設省において鉱山保安法によって監督すべき権限まで建設省においてやれと先ほどは……。
  46. 田中一

    ○田中一君 違う。主務大臣を通産大臣にすればいいのです。
  47. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) それならばわかりますが、通産大臣にしてやるということになりますれば、これは通産省としては本来自分の権限において十分にやり得る根拠と、またやるという決意のもとに立っておるわけでございます。従いまして、ただ今日までの歴史的事情によって現在所有権者が明らかになっていない、このものだけはどうも鉱山保安法で責任追及をしても、追及ができないから、その分だけを今度の地すべり等の防止措置に入れてほしいとの協議に基いてやったわけであります。従いまして、一般的な鉱山保安法によって監督を十分にやる、やり得るとの信念に通産省が立っておる以上は、われわれはこれに対してそれを信じ、そういうふうにやってもらうという立場において立法措置を講ずるのが当然だと考えておるのであります。
  48. 田中一

    ○田中一君 大臣、まだこの法文というものをすっかり頭に入れていない。これは鉱業権を持っておる者並びにそれとみなされる者は除くのであって、ぼた山所有権者がはっきりわかっておっても、鉱業権を持っていない者、鉱業権者と見なされない者が所有するぼた山というものは当然この法律でもって国がやると、そうなっておるのです。あなたはだれのものかわからぬものを、ぼた山をやると言われますけれども、そうではないのです。所有者がはっきりわかっておっても鉱業権がなくて、あるいは鉱業権がないとみなされておる者、それを持っておる者のぼた山も国がやるのです。だから中小業者というものは、鉱業権を他人に譲ってしまえば現在はぼた山は全部国がやつてしまわなければならんようになるのです、この法律では……。
  49. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) そんなことはないのです。
  50. 田中一

    ○田中一君 どうなるのです。それが違うならば一つ説明して下さい。
  51. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいま御質問がありました点の詳細は石炭局長からお答えになるわけでございますが、本法の対象にいたしましたのは、確かに鉱業権者または鉱業権者とみなされる者の部分を除いておりますけれども、田中先生の今の御質問は、鉱業権者が要するにぼた山を放棄したり、あるいはぼた山所有権を他に譲った場合にどのように追及される立場にあるかということについての立場の解釈を、鉱業権者がぼた山を放棄した場合においてはもう責任を免れるんだと、こういう立場でお話を進めておられるように拝聴したのでありますが……。
  52. 田中一

    ○田中一君 ちょっと待って下さい。そうではないのです。それは中小業者というものが権利を売っ払ってどこかに飛ぶのが多いのです。現実を申し上げたのです。権利も捨て、自分のからだも隠す人が多いのです。つかまえようにもつかまえようがないと言うんです。これが中小業者の実態だと言うんです。従って私がぼた山をもらって、その本人……その責任は……鉱業権は、そういうぼた山を作った者が、むろん何カ年ですか、これはあるはずです。五カ年でしたか、あるはずですけれども、その人間がおらぬ場合はどうするか、おらぬからといってその崩壊現象をうっちゃっておくわけにはいかない。といって、そのぼた山所有者は、この鉱業権のない田中なら田中です、その場合に私には義務はないのです。その本人は鉱業権を売っ払ってどこかに行ってしまえばそれでおしまいです。責任の追及、責任の追及といって、それを探しているうちに崩壊してしまう。そういう場合に正業を営んでいるもの以外には——大業者以外にはつかめないという場合が多いではないかと言うのです。そういう場合には、その現象をそのままうっちゃっておくわけにいかぬから、当然国がするようになるのじゃないかと言っているのです。誤解しないで下さい。私の言葉が足りないかもしらぬけれども、中小企業者の実態というものはそういうものだと言うのです。あなたたちは知っているはずだと思う。どの場合でも——北九州から西九州の炭鉱業者は、ある日までは、炭の値段が高いときには、三百人、五百人という労働者を使って飯場を切ってやっているけれども、いよいよだめになれば、そんなものはうっちゃらかして逃げてしまう。鉱業権を売って——兄弟に売ったってかまいません、女房に売ったってかまいません。そうして労働基準法があろうとも、そんな金は払うものじゃない。どこかに行ってしまうというのが多いのだ。そうして炭の値段が高くなると、また来て石炭を掘っている。ことにぼた山を掘るというのがあるのです。ぼた山も、ある年代がたつと、鉱業権が設定できるということを通産局は言っておる。そういう融通無碍なぼた山というもののあり方なんです。だから、そういう中小炭鉱業者の現状というものをはっきり認識した上においてこの法律を適用するのか、また通産大臣とどういうお話をしたかということを伺っておるのです。それが普通の中小炭鉱業者の現状なんです。
  53. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいま私が申し上げようといたしました趣旨は、鉱山保安法の第四条によりまして、鉱業権者であるものがすでに鉱害の防止に関する義務を負うておるわけでございまして従ってそのぼた山を他に所有権を移転いたしましても、責任の地位を免れることではないということを申し上げようと思って申し上げたのでございます。中小企業者の対策そのものについては、田中先生の御指摘のように、中小企業対策として別途通産省においてお考えになると思いますけれども、ただいまの論点はそこだけに限って申し上げようとして御答弁を申し上げたのでございます。
  54. 田中一

    ○田中一君 そういうことは困るというのです。私が言っているのは、別途鉱山保安法によって通産大臣は考えるでありましょうなんと言っている時期ではないのですよ。災害があった場合には、直ちに建設大臣はそれを指定なら指定して防止工事にかからなければならぬのです。別途考えるなんということをしないで、このワクに入れておいて、そうして建設大臣は自分が握っておるところのもののうち、所管が通産大臣のものだったら、厳重にその通りにやらせる。やらせるときには、あるいは中小炭鉱業者というものはどこかに行っちゃって責任を負うものがなくなっておるという現象が多いと言うのです。その点、通産大臣と建設大臣との間の了解といいますか、実態というものはどうなっておるか。  それからもう一つ、現在のぼた山はこれに示されておるような基準工事を現在しているならば、しているとおっしゃっていただきたい。また河川局長がそうしたものの山を全部見てきて、現にこの築造基準に示されておるような施設をしておるならば何も言いません、現在……。法律ができないからしませんでしたでは済まないのです。鉱山保安法そのものが不徹底なものであるということになるのです。現にこの築造基準通りのことを今ぼた山がやっているのならば、おそらく建設大臣も見たのでしょう、河川局長も見たのでしょう。見て、通産大臣にまかすというのなら、これは納得します。そういう築造基準に示している通り工事ができていないから困るというのなら、鉱山保安法そのものが不備だということになるのです。その点はどういう工合に実地調査をして法律に書いたのか、お示し願いたい。  河川局長は、この法案を作るに当っては、実地にぼた山の現状を見たはずです。これを見たその実態を説明願いたいと思う。見ていないとは言わせません。もし見ているならば、この法律案に入れて規制をなさいと言うのです。この通りに中小炭鉱業者というものはしないものだということを指摘しているのです。建設大臣も見たと思う。見たならば、このようにやっている、このように現在の鉱山保安法でやっているから別にしたのだという答弁なら、私は納得いたします。建設大臣河川局長の視察談を一つ伺いたいと思う。(笑声)
  55. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私はぼた山の一部は見ましたけれども、私は専門家じゃありませんから、どういう工法でどうかということはわかりません。ただ相当危険な状況であるから、ぜひこういうものも地すべり等の防止法ができるときには考慮してくれという地元からの要請は受けておりますが、専門的な知識がありませんから、それはわかりません。  それから通産大臣とどうやったと言われますが、これは私は前尾通産大臣と、直接にこの問題のために具体的にどうということはいたしません。これは、この立法措置については、事務局同士が十分に連絡してやったことでありまするが、先ほど申し上げましたように、これはわれわれの方では、地すべり法案ぼた山とは別個に考えておったわけです。従ってわれわれの方としては、これを地すべり等の防止法というような形で出すつもりではなかったけれども、当時通産省、それから先ほど申したように、地元の方から、これは原因並びに対策もおのずから違うのでありますけれども、現実に山くずれに相応する被害を受けておるところの一般住民の保護のために、どうしても通産省として現状のままにおいて自分たちで処理ができないというような問題だけをやってくれということで、他の問題については、三管大臣が全責任をもって処置するという立場においてやっているわけでございまするから、今の中小企業の実態、これらについては私もいろいろ事情を聞いていますが、これは通産省として十分それについては現状において措置をするという立場に立っておる以上、そう言ってもそれはできないじゃないか、いうことは、われわれとしては言い得ない立場です。これはやはりそれぞれの主管官庁の責任においてやるという以上は、それを信じて立法措置を講ずるのが当然だと考えております。
  56. 田中一

    ○田中一君 山本河川局長は、実際この法律に示されている築造基準工事を進めておる現状を見たと思うから、その視察談を伺います。
  57. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど大臣から御説明申し上げましたように、立法の経過等におきましては、そういう経過でございます。  それから一方、ぼた山の崩壊によりまして、国土保全上非常に困っている状況にあるということは、私も現地において見ておるわけでございます。  それから、それではぼた山に対して対策が行われておるかということでございますが、これについては通産省とも、この法律の立案当時にいろいろと打ち合せをいたしました。なるほど大鉱山におきましてはやっておるが、中小の問題につきましては、今までにおきましては欠けておる点も考えられる、しかし今後におきましては、鉱山保安法によりまして十分にやる、しかも地すべり等防止法案におきましてやるような基準において、今後連絡をとつて十分やる、こういう約束をいたしておるわけでありまして、あわせて国土保全事業観点からぼた山対策ができるものと、こういうふうに信じておる次第でございます。
  58. 田中一

    ○田中一君 あなた方は、法律さえ作れば物事がやれると思っているんですよ。それがいけないのです。法律を作れはだれでもそれに従わなければならぬということはわかっております。しかしながら、苛酷な法律を作って、現笑にできないようなことを命じても、やれないのです。そういう点については、通産省の方が、炭鉱業者に対する強い愛情を持っております。これは、人間がつぶれちゃ困るからつぶれないような形をもって、愛情を持ってやっておるのです。だから建設省は、法律を作ったらそれを守るだろうということじゃいけないのです。では山本さんは、現在大企業者は、この築造基準による防止施設を現に行なっておるということを確認したわけですね、あなた見てきたんですね、
  59. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ぼた山は、先ほどお話がございましたように、地すべりにつきましては、築造等基準がありますが、ぼた山におきましては、実は法律の中に規定しておらないわけでありまして、その点は、方法等につきましてはもちろん技術的に検討してやるわけでございますが、法律の中には規定しておりません。
  60. 田中一

    ○田中一君 それではぼた山に対しては、どういう築造基準でやって、どういう方法をとるかということを明らかにしていただきたい。地すべりに対してはこのようにはっきりと具体的に——さっき稲浦岩沢委員並びに竹下委員長からも、こんなに詳しく書く必要はないではないかというような質問をしているように見受けられました。このようにしておりながら、ぼた山に対してはそうした基準がないということはおかしな話じゃないかそれなら抜きなさい。
  61. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、地すべりというのは非常に特殊な現象でございまして、地下水等によりまして、すべり面に沿って起る現象でございますので、地下水を抜くという特別の方策をとるのが従来からの的確な方法であるというふうに考えられておりますので、この規定を押入したわけでございまして、ぼた山につきましては、表面の崩壊でございますので、特別の方法規定いたさなかったわけでございます。
  62. 田中一

    ○田中一君 あなたは、ぼた山の地すへり、崩壊の現状というものを、技術家として十分に検討し、お調べになったことがあるのですか。
  63. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ぼた山につきましては、従来一部砂防工事でやっております。これは要するに段切りをいたしまして、すべるのを——斜面が長いと一ぺんにすべるというおそれがございますので、それを段切りいたしまして、一つの勾配でいくのを避けまして、小段等を作り、あるいは土留等を作りましてやっておる例がございまして、これである程度の成功をおさめております。まあこういう方法が中心となって進められるわけでございますが、その他ぼた山の中に水分を含まないようにする方法、水が地下水になって入らないような方法も併用しなければならないと思いますが、そういうような方法を中心としてやらなければならぬ、こう考えております。
  64. 田中一

    ○田中一君 それでは、もうこれ以上この問題について追及しません。ただ、ぼた山に対する築造基準というものをどういう形でやろうかということを、ここで法律に書いてない資料としてお出しを願いたい。そうしてそれも一夜作りのものじゃいけないと思うのです。もう当然できておると思う。従ってそれを、もしも不徹底なものであるならば、この問題については、何といっても、個人の生命財産を脅かす事件がまま起るのですから、そのためには地元の、当面しておる企業者、あるいは災害復旧の経験者等を参考人として当委員会に呼んで、よく聞いて、これなら心配ないということを聞かなければ、私どもはどうしても納得できないのです。そしてそれが、今言う通り鉱山保安法による防止施設というものにまかしてしまうということであってはならぬと思うのです。従って私は、その問題について押し問答してもしようがありませんから……、どうも山本さん、詳しく知らぬらしいや。ただそういうことがあって、それが効果をおさめたということだけじゃいかんですよ。従って私は後ほど相談しますけれども、地元の参考人を何人か呼んで、得心いくまで……。、それまで政府は、ちゃんと、こういう方針でこうしてやるのだということを的確に示してもらって、私は、ここにあるところの築造基準というやつが、全部に影響すると思っておりましたが、まだ逐条審議しないものですから…、そうでないならば別にあるはずですから、明確にお示し願いたい。
  65. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 築造につきましては、都道府県知事なり主務大臣が責任をもってやるわけでございますが、その方法につきましては、従来やっておりまして、成功した例等が、もちろんあるわけでございまして、その他将来におきましても、それに積み上げまして、研究の上やっていかなきゃならぬ方法考えられるわけでございますから、全部というわけには参らぬと思いますが、従来やっておりました方法等につきまして成功した例等を資料として申し上げたいと存じております。
  66. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 関連して。今の築造基準建設省だけの要求でなくて、従来鉱山保安法によって、当然監督しておる通産省は、どういう方法でしておるか、これもあわせて資料にしてもらわなければ全然わからぬ。建設省は全然しろうとなんですから、今度の法案のために、わざわざ通産省の当然実施すべきものを肩がわりするというようなことだから、従来どういう方法によってこういうふうに指導したかという、実績を一つ示してもらいたいです。
  67. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 要求だけですね。  では、速記をとめて下さい。    〔速記中止
  68. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。  それでは、第二章の審議中でございまするが、第二章と第一章とは非常に密接な関係があるようでありますし、なお、第一章の分は、先ほども申しましたような理由によりまして、一応審議を留保しておりますけれども、両章合せて御審議を願った方が便宜だと思いまするので、そういうふうに議事を進めたいと思います。御了承願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 田中一

    ○田中一君 前回の委員会で、今言う通りぼた山の本貫というもの、これが明確になっておらないのです。たとえばぼた山というのは、むずかしいのだな。これは、石炭または亜炭にかかわる捨石の集積された形の盛り上ったもので、同質になった場合には、これは山でございますと、こういうのです。そういう説明があったのですね。それからそうじゃない場合、石炭または亜炭にかかわる捨石が集積されたものは、これは鉱山でございますという説明なんですね。どうもそこら辺がはっきりわからないのですよ。法律的な根拠、文字に表わしたところの実体というものが出てこないのです。そうしたものは、一つ法律案に対する利雪が、この法律によってきまるわけですから、その点について政府としては、ぼた山とはかくかくのものである、そうしてその度合いも、草が生えたら山だと言ってみたり、草がなければ捨石かということになるのです。よくそういう点も政府としての態度を、ぼた山に対する見解を明らかにしてもらわないと、実は論議にならないのですよ。同時にまたわれわれは、遠くから見てのぼた山というものを知っていますけれども、実際それがどんなものかわからない、この文字では。先ほども通産省はこの文字を読んで、これでございますと言うけれども、そうすると鉱山か不鉱山かというと、両方にまたがる場合もございます、こういうことなんです。建設大臣はどういう御見解ですか。大臣一人じゃわからないかもしれないが、建設大臣政府を代表してお答えいただきたい。(「それは無理だ」「通産省に先に意見聞こうや、建設大臣に言ったってわからぬよ」と呼ぶ者あり、笑声)
  70. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) どうでしょう。法制局の方から、まず所有権、法律問題の解釈をはっきりしてもらって、そうしてその事実がどうなっているかということを次に詳しく説明してもらうという方が、議事の順序としてはっきりするのじゃないかと思いますが、どうも両方、事実問題と法律問題とがごっちゃになりましてまあわきの方から聞いておりますというと、何だかごちゃごちゃするような感じのしたこともございますので、まず法律問題からはっきり所有権がどうなっているか、あるいは占有権というものがあるか、あるいは地上権があるのか、何もない場合があるのかというようなことから、そのときには、どういうふうな民法上の規定があるか、民法の何条にどういう規定があるかというようなことまではっきりしてもらったら、あとの事実問題を追及して、追及という言葉は悪うございますが、質問するのに大へん好都合だと思うのです。
  71. 野木新一

    政府委員野木新一君) 実は正直申しますと、私もぼた山は見たことはございません。ただこの法律の定義を書きましたのは、他から知識を借りまして書いたのでございます。  この第二条第二項の定義におきましては、「石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であって、」というのがまず第一の要素であります。「石炭又は亜炭」、これはこれでもうはっきりすると思います。「捨石」というのは、これは鉱業関係法律にそれぞれ出ておりますから、これも大体同じことだと思います。「集積されて」、これも集まって堆積されておる、これも明らかでです。「山であって、」というのですが、たとえば山でも俗にミカンの山というが、ミカンを高く積み重ねれれば山である。ミカン一つ一つを見れば動産であるというような用法もあるわけであります。しかし一方富士山と言うと、これはミカンの山と違いまして自然にできた山でありまして、こういうふうに、山というのは、ここの用語としても二つあるわけであります。ここにおきましては、「石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であって、」という、きわめて普通の用語を借りて定義しましたわけでありまして、別にそれだけで、特に説明を加えることもないと思います。ただこれが一体別の法律的の角度で見まして、この定義を不動産なりや動産なりやという、全然別個の法律観点から見ますと、これは基準が違うわけでありますから、一つぼた山というのも、その実態に即して、あるいはたとえば、古いぼた山であってもう何年も捨てておかれたというようなものになりますと、もう草もはえ——実際の実情を知りませんから一応想像して言うわけでありますが——草もはえだりいたして、ほとんど自然の山と同じように普通の地面と一体不可分のようなことになってしまっている。しかも捨石自体もそれぞれ密着してしまって、普通の地面と、置いた土地と密着してしまったというようなことになりますと、おそらく土地の一部になってしまったという場合もあるかと存じます。そうなると、土地と密着して一体不可分の関係になりますると、その見地から見ますと、これは不動産ということにもなるでしょう。しかしながら、ぼた山の捨石の中にある廃鉱ですか、捨石というのは廃鉱その他及びほんとうの石と両方を含むものと思いますが、廃鉱というものはそういう場合でも所有権の対象ではなしに、別途鉱業権の対象になる、こういうような法律関係になってくると思います。ただそこまでいかないもので、まだ捨石がばらばらに個別的に認識できるというような段階におきましては、今言つたような意味の不動産化をまだしていないという場合もあり得るのではないかと思います。これはやはりそこの実態を見て、いろいろの点からその実態によって判断をする、こういうことに法律的にはなるだろうと思います。しかしながら、不動産化しない、いわゆる堆積、捨石が山状に集積されたもの、これが一体ぼた山にならないということにはならないと存じます。この定義のぼた山は不動産的なものもあるし、動産的なものもある。不動産か、動産かということは、別個の法律観点から論ずる場合に、その論ずる必要によって生まれるわけでありますから、この場合とは直接には関係ないのではないかと存じます。  次に、所有権の点でありますが、この所有権の点は非常にいろいろむずかしい問題があるようでありまして、実は私も鉱業法関係を特に専門に研究したというわけではありませんから、あるいは行き届かない点もあると存じますが、所有権の関係につきましては、まず捨石ですから、捨石それ自体としては動産のわけでございますね。それを鉱業権者がこういう捨石を堆積する場合に、一体所有権を放棄して捨てているのか、あるいは所有権を放棄しないで、ただそこに置いておくだけかどうか、これなどはやはり結局事実問題に帰着するのではないかと存じます。たとえば、所有権を放棄してあるぼた山をどこかへ捨ておく、あるいは所有権放棄の意思表示をしてやったというなら、その捨石の個々の動産は無主物になります。何も所有権者がないということになると思います。それがだんだん堆積して山になってくる。しかし、まだ不動産化していない場合にはやはり動産ですから、無主物の動産の集積ということになるというだけにとどまると思います。それが年を経て全く不動産として地面と密着して、だれが見ても一体不可分の関係になって、まうと、これは民法の付合の原理によりまして、不動産所有権者の所有にたる、そういう場合も考えられると思います。それはその場合々々によって具体的に区別して考えるべきだろうと思います。そうして所有権がだれに所属するかということは、第二条第二項の定義とは直接には関係ないわけでありまして、第二条第二項は、所有権がだれにあるかということは一応度外視して定義を規定しておるわけでありますから、所有権があるいは鉱業権者にある場合もあるし、所有権が鉱業権にレない場合もある。いずれにせよ、西方の場合もそれぞれの具体的場合においてあり得る、法律的にはそうなるのではないかと一応存ずる次第であります。
  72. 田中一

    ○田中一君 そうすると、土地を借りて捨て場にしてぼた山になった。そのぼた山は、ある年代というと、何年か知らないけれども、あなたの言葉が上手だから、その現象々々、物々によって違うと言うかもしれませんけれども、そんなものはおれのものではないと言ったらどうしますか。何年かたって、あなたの何年はどれくらいの何年をさしておるのか知らないけれども、五十年か、百年か、二百年か知らないけれども、それが土地の所有権、その土地とぼた山とが同一になった場合ですね。それはもう必然的に、義務的に土地の所有者のものになるのですか。
  73. 野木新一

    政府委員野木新一君) その場合に、他人の土地を借りてそこに捨石を捨てていた。そういうような場合のように拝聴しましたが、そう、いうような場合におきましても、捨てる人がぼたの所有権を留保しておるというような場合には、おそらく不動産化するに至る前に、何と申しましょうか、動産状態においては明らかに鉱業権者のものだ、こういうことは言えると思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、それが一体不可分になってしまった場合におきましては一体どうか。そうすると、不動産の民法の付合の原理によりますと、不動産の所有の方になりますが、ただ不動産留保の意思表示をしておくと、地面のその部分が、あるいは鉱業権者の所有に属するかどうか、こういう点はこまかい点が出てくると思いますが、一般的に見ますと、民法の付合の原理によりまして、不動産に動産が付着して一体不可分となると、それで新しく所有権が生ずる。そういう場合が多いのではないかと存ずる次第であります。
  74. 田中一

    ○田中一君 土地を借りて捨て場にした。それが何年かたって不動産化した場合、土地の所有権が、それはおれのものではないと宣言した場合、鉱業権者はそこに全然おらない、その場合には、ぼた山所有権はどこのだれのものですか。
  75. 野木新一

    政府委員野木新一君) 民法の所有権との関係に基きまして、この法案の件とは直接にはあるいは関係していないのではないかと存じますが、民法の付合の原理によりまして、付合した以上はやはりその賃借権、その土地の所有権者の所有になるのではないか、だからそう解釈したいと存じます。しかしなかなかむずかしい問題でございますから、この点はまたあとで研究いたしました上でお答えいたします。
  76. 田中一

    ○田中一君 捨石が付合の原理によって不動産となった場合に、その捨石には別の鉱業権が設定される可能性があるのか、別の鉱業権を設定しなければ鉱業権を持たれないのかあるいは捨一石をしたという鉱業権者が鉱業権を持って捨てたんだからそれは捨てた者に鉱業権が自動的に持たれるのかということなんですか、どうですか。
  77. 野木新一

    政府委員野木新一君) これは鉱業法のむしろ専門的のことになりますので、あるいは通産省側からお算えがあった方がいいかと存じますが、私どもむしろこの点は専門家ではないのでありますが、一応見解を申し述べますと、捨石といううちには言ったような鉱業法に言う廃鉱ですか、この普通の道路とか石とか、そういう内方おそらく含んでいるものと思います。そのうち廃鉱に属するものは、鉱業法によりまして不動産、本法にいうぼた山になって、そのぼた山は不動産化した場合におきまして、その不動産化した山の中に今言った廃鉱があるという場合、そういう場合におきましては、その土地に、そのぼた山の地区が鉱業権者の鉱業権の範囲になっていれば、鉱業権の鉱業地区ですかになっていれば、それでその鉱業権で行けると思いますが、地区外のような場合は、おそらく別途そのものについて鉱業権を設定しなければ、それを掘採することはできない、そういうふうな法律関係になるのではないかと存じますが、なお通産省の当局の説明をお願いします。
  78. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ただいま第二部長から申しあげました通りで、鉱業法の第三条第一項に「鉱物の廃鉱又は鉱さいであって、土地と附合しているものは、鉱物とみなす。」という規定がございまして、土地と付合して一体となったものも、そこに新しく鉱業権を設定する可能性があるわけであります。
  79. 田中一

    ○田中一君 新しく鉱業権が設定され「たとみなす、こういうことですか。
  80. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 「鉱物とみなす」ということでありまして、それを新しい鉱業権を設定いたします場合には、もう一回それにつきまして新しい鉱業権の設定をいたさなければならない、こういうことであります。
  81. 田中一

    ○田中一君 そうすると第二部長説明は、鉱業権区域内にその捨石があった場合には、当然鉱業権があるというような説明ですが、それでいいのですか。それと今の場合は新しく設定をしなければならぬと、どっちですか。
  82. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 私の説明が少し足りなかったわけでございますが、第二部長が申し上げましたように、元来自分の持っておりました鉱区の範囲内におきましては、新しい鉱業権の設定は不必要だと存じます。当然自分のもとの権利に基いて、つまり自分の鉱業権を持っておるわけであります。しかしながら全然他人の所で区域外でそういう事態が生じました場合には、鉱業法に基きまして新しい鉱業権の設定を必要とする、こういうわけであります。
  83. 田中一

    ○田中一君 私がこういうことをうるさく聞くのは、これはぼた山そのものが国民に害をなす場合の方が多いという前提から言うわけです。これはどうもぼた山があるために、付近の住民なら住民が幸いであった、いわゆる幸いを享受する機会はないと思うのですよ。  そうすると今度はもう少し伺います。と、かつて自分の区域内にあった、区域内に捨てた、しかしながらそのぼた山は当分の区域内であるけれども、不動産になる前の状態であった物権、何か動産としての状態にあった場合、その全体の鉱区の所有権を譲渡した場合に、そのぼた山だけは動産としてお前の方には譲らないのだということを言った場合には、その鉱業権というものは新しく分離されるものなのかどうかということはどうなんですか。つまり鉱業権を持った人が、自分の鉱業権区域内に捨石をした、それでぼた山ができた。その権利を他人に譲渡したがぼた山は譲渡しないよ、これは鉱業権外だ、というのは動産としてあるのだからこれは売らないよと言って、もとの権利を持っている人が留保してある。これが第二部長が言っているように、何年たつか知らぬけれども、いつの間にか不動産化した場合、これには鉱業権は新しく設定すべきものか。あるいはその区域内にあるから、当然これは土地の所有者、鉱区内にあるのですから、その鉱区の権利者の鉱業権かという点はどうですか。
  84. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ただいまの場合は、土地と付合して一体となるような状態になっておりました場合には、譲渡を受けました次の鉱業権者の鉱業権の範囲内に吸収されると解釈いたします。
  85. 田中一

    ○田中一君 不動産とみなされない状態の場合は。
  86. 村田恒

    政府委員(村田恒君) その場合は動産としての取扱いを受けますので、前の鉱業権者に権利が残っております。
  87. 田中一

    ○田中一君 そうすると、これは鉱業権は及ばない区域ですね、鉱業権は及びませんね、このぼた山鉱山保安法には関係がない山ですね。そうすると鉱業権の及ばない山というものは、鉱山保安法の適用を受けないで済むのですね。
  88. 野木新一

    政府委員野木新一君) 私の答弁が足りません。 したら、専門の石炭局長に補充していただくことにいたしまして、一応お答え申し上げます。鉱業権の設定せられた地区内におきましても、その地区内にあるものが全部鉱業権者の所有とか何とかいう問題ではないわけでありまするから、今仰せになりましたいわゆる動産的のぼた山がある地域が、鉱業権の設定される地域の中にあるという場合におきましても、まだ動産である限りは、先ほどから申し上げておりますように、従いまして、動産たるぼた山はもとの鉱業権者の所有に属する。新鉱業権者の鉱業権としての権利というものは、当然動産であるぼた山には及ばないというのは、動産である限りは、別に新しくそこに鉱業権を設定するとか何とかいう問題は生じないわけであります。
  89. 田中一

    ○田中一君 そうなりますと、そのぼた山に対しましては鉱山保安法の適用はございませんね。
  90. 野木新一

    政府委員野木新一君) そのぼた山が新鉱業権者によっても引き続きぼた山として使用されるという場合ならば、鉱山保安法の適用があると思います。しかしながら、もうぼた山は旧鉱業権者が自分の所有に属しておって、持っておって、新鉱業権者としてはそれはぼた山としては使わない、全然別個の所にぼたを捨てるということになると、おそらく今の鉱山保安法関係におきましては、新鉱業権者の義務というものは、すでに自分の方で使わないぼた山というものについては、おそらく及ばなくなるのではないかと存じます。
  91. 田中一

    ○田中一君 そうなると問題はますます建設省としては腹をきめなければならぬのではないかと思います。で、今の何年たったら不動産化するかということからきめないと、不動産化すれば鉱業権というものはあることになるわけですね。不動産化しないで動産としてあって、石炭の一部分と、あるいはその石、砂利、砂、上等の蓄積したもみというものとはおのずからこれには鉱業権及ばないわけですよ、そういう答弁では。そういたしますと、そういう形のぼた山というものは、長年たって不動産化するぼた山もあれば、動産化するところのぼた山というものもあり得るのです。そうすると動産でもあるか、不動産であるかということのけじめというものは、どこかで線を引きませんと、同じぼた山という現象があっても、それに対しては鉱山保安法が及ばないぼた山もあれば、及ぶぼた山もあると言うことなんですよ。かつて鉱業権を持っておった者が作ったぼた山にも、そのような違いがあるということなんですね、本質的には。そうなりますと、なおさらのこと、ぼた山というものの本質、定義といいますか、これに該当するぼた山というものはこれだ、ということが文字の上で明らかになりませんと、概念だけではぼた山を承知することはできなくなってくるわけですね。分れ目がそこに出てくるわけですよ。いろいろ権利が違ってきて、そこで動産か不動産かというけじめもわからない。三十年たったら、三十五年たったら、五十年たったらということになると、大体おそらく鉱業法なり鉱山保安法か何か知らぬけれども、そういうものにぼた山を作る、ぼた山の登録ぐらいはあるいはあるかもしれません。鉱山保安法というものはりっぱに鉱山の保安を律しておるような法律であるならば、そういう危険物に対しては、いつからどこに作ったということの台帳ぐらいあるかもしれませんけれども、そこが明確になりませんと山々個々についてこれはだれの権利か、どういう山でどういう性質のものかということがわからないと、都道府県知事にしても、それからことに地元の住民に、責任の所在というものが明らかにならないわけですね、今の説明では。今言う通り、鉱業権の及ばないぼた山というものもあるということなんです。そのぼた山というのは山ではないのです。砂礫や石炭を積んで置いてある、動産だ。なに石だって上だって商品ですよ。決してこれはそんなものは何でもないということはない。商品ですよ。やはり商品を積んで置いた山、これは鉱業権が及ばなければ、それらの山に対しては鉱山保安法にゆだねるということは、非常に危険であるということになる。
  92. 野木新一

    政府委員野木新一君) 私のただいまの説明をいまちょっと補足いたしますと、新鉱業権者の、鉱山保安法の第四条の鉱業権者としての義務、この義務は旧鉱業権者が作って、自分にその所有権を有している動産のぼた山、それには及ばないというような趣旨のことを申したわけであります。というのは、鉱山法の第四条はあくまでも鉱業権者というものを対象として規定しているわけであります。ただ、先ほどちょっと申し落したと申します点は、旧鉱業権者でありましても、その自分の作ったぼた山管理は、自分の鉱業権者であった当時において、鉱山保安法関係のいろいろの命令とか何かに違反しているという状態にあったとすれば、罰則の責任という点は、やはり現在鉱業権者でなくなってしまっても罰則の責任は残るわけです。それを付け加えておきます。
  93. 田中一

    ○田中一君 責任はあるということですね。責任は残るということでしょう。
  94. 野木新一

    政府委員野木新一君) 刑事上の責任です。
  95. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ちょっと今のに関連して私もわからない点をお尋ねしたいのですが、通産大臣の監督の権限の及ぶ範囲と及ばない範囲があるわけですれ。つまり、鉱業権者であるかいなか。やめてまだ五年たつかたたないかという問題があるわけですね。通産省の権限の及ばない点を今度建設省の方で取り締っていこうというのが、この法のねらいだろうと思うのです。そのねらっているのをもう少し区分けするというと、鉱業権者の手を離れたぼた山であって、通産省の監督の権限を離れたぼた山ですね、そのうちで所有権のはっきりしているものとそれから所有権者のわからないものとの二通りある。あるいは民法の付合の原則によって国の所有になっているものもあるだろうし、もとの所有権の、土地を持っておった者の所有に帰属しておるぼた山もあるであろう、そのいろいろの種類がありますけれども、そのいずれを問わず全部この取締り法の対象になるということじゃないかと思いますので、まあ私がこれをずっと通覧したところでは、通産省の監督と建設省の監督とをあわせて行えば、少くとも法の建前としては漏れるものはないはずである。しかし、事実上目の届かないところはあるかもしれない、こういうことになるのじゃないかと思いますが、そういうふうに理解をしていいのでしょうか。
  96. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その通りでございます。
  97. 田中一

    ○田中一君 そこで今度は実体論になると、そういうものを、六百二十三カ所のうち、百九十七カ所は鉱業権がある。百五十二は鉱業権のない者が持っているものだ。全然わからないものが七十四ある。こう言われておるのですけれどもぼた山というものの本質が動産か不動産かということで非常な違いが出てくるわけなんですね、もう不動産になってしまえば、これは鉱業権がそのままその区域に及んでおるということになるのです、鉱、石を含有しておるから。申請しないでもそこに生まれてくるということになるけれども、動産に対しては鉱業権がありません。石炭の品物そのものが積んであるのですから。そうすると品物であるか不動産であるか、というけじめはどこでつけるかということになると、これは非常にむずかしい問題が起きてくるわけなんです。これは明確になってねらないわけですね。これはただ民法院そういう場合にはそうだという扱い方を示したのであって、何かそういう面の裁判所の判例でもございませんか、しいて言えば帰属の判決例ですね。
  98. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ただいままで承知しておる範囲では、付合した状態に関する判例はございません。
  99. 田中一

    ○田中一君 そうすると、実態としては当然建設省が担当しなければならないというものがどんどんふえてくるのじゃないかと思うのですよ、開顕は。そこで今ここでこういう数字を表わしておるけれども、これは通産省が示したものであるというけれども負担に耐えないものはどんどん捨てていく、これは不動産だぞと言って何か通産省が言ったところが、いやこれはそうじゃありませんと、これは動産ですと主張すれば、鉱業権の及ばない山が出てくるのじゃ、ないか、という危険を多分に感ずるわけなんですよ、だから不幸にしてそれが動産としてのぼた山を持っておる人が的確にいるけれども、ただ鉱山権はない、本人はしかしかつては鉱山権を持っていた、ただ義務はあるだろうけれども負担すること。はできないということになると、全部建設省の百五十二の方に入ってくるわけですね、そういうことは十分に調べたのかどうか。実態というものを、どうも山木さん調べていないらしいのだ、この間の話を聞くと。この数字は通産省からもらった数字と言っていたからね。
  100. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) いろいろお話がありましたが、この法律の建前上先ほどいろいろ御議論がございましたが、これは現実に所有者並びに鉱業権者がわからないために、責任を追及することができないものを、これは対象にしているわけですが、田中さんが言うのは、今のような動産とか不動産とか、むずかしいいろいろないきさつがありまして、さらにこういうふうに帰属不明、あるいはまた責任を追及し得ないものが相当出る可能性がある、現実に。それが一番問題だというふうにお示しになっていると思います。ところがこれにつきましては、通産省といたしましては、従来は、戦時中あるいは戦後の波乱のために、十分監督その他ができなかったのでありますが、今や行政機構も整備されましてそして鉱業権の移転は厳密に監督しておるはずであります。あるいはまた所有権が移転してから後、こういう立法措置をやろうというときでございますから、責任の追及ができないようなぼた山をそのまま放置するということはあり得ない、しないという建前なんです。従ってぼた山については、従来の鉱業権者あるいは新たな者ができましても、全部それについては責任追及をやるという法律的な措置、行政的な措置をとる。こういう立場に立っておりますから、今後はそういうものは出さないという建前をとっておるわけでございます。従いまして建設省としましては、これは通産省のそうした措置をわれわれは前提として、事後の措置をするという建前になっておるわけであります。今の責任追及できないものが多く出るであろう、それをどうするかということを建設省に追及されても、われわれの方としてはちょっとお答えできないので、これはむしろ通産省でそういう事態を絶対に出さない、出さないことができるということが証明されることが、現在一番大きな問題でなかろうかと思います。
  101. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 ただいまの建設大臣説明は大体了承したんですが、そこで通産省が現在この植樹保安の対象にお願いしたいというぼた山の数はどうですか、幾らくらいですか。そうして将来絶対この線をふやさないということはどうなんですか。
  102. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 通産省といたしましては、本法に適用になりますぼた山につきましては、いわばわれわれの方の保安法によりますところの監督、調査、そういうものの行き届かないものでございますので、正確に責任をもって調査したわけではございませんけれども、このぼた山の流出でありますとか崩壊等につきましては、農林省等にも植樹をお願いしますとか、管理者不明のものにつきましても、そういうような観点からいたしまして各関係県等とも連絡をいたしまして、そうして数字をなるべく把握しようということで調査いたしましたものによりますと、現在二百二十六程度のものがございまして、そのうちでも先般も問題になりました所有者が完全にわからないというものが七十四程度になっておる。さらにこのうちで県の調査を大体信頼してよろしいのではないかと思いますものが、二百二十六のうちで五十七は福岡県に大体ある。これにつきましてはある程度確かなことではないかというように、関心を持ちまして資料を集めました調査は、そういうような状況でございます。
  103. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 そこで今の御報告で今のぼた山の対象になるであろうぼた山というものは、最大限二百二十六と承知していいですか。
  104. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 百二十六と御了解願ってけっこうであります。
  105. 田中一

    ○田中一君 不明というのはちょっとおかしな話なんで、その不明というものは土地台帳には土地の所有者はわかっておるんですか。
  106. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) これは調べておりませんが、おそらく土地の所有者はあるものと思います。
  107. 田中一

    ○田中一君 土地の所有者があるならば、それが何年たったらば不動産になるかしらぬけれども、これは第二部長からきっといずれ、何年だということを的確に言うかもわからぬけれども、そうすると、それは不動産化したものならば土地の所有者のものじゃございませんか。不明じゃなくて土地の所有者のものになるのじゃないの。不明というのはどういうことですか。そこまで調査しておりませんという答弁をするのがいやなんですか。
  108. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 通産省といたしましては、そこまでの権利関係調査はいたしておりません。
  109. 田中一

    ○田中一君 先ほど植樹をしたり何をさしたりというのは、そういう山に対する植林等は、だれが施行しておるのですか。
  110. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) 県におきまして施行していただいております。
  111. 田中一

    ○田中一君 他人の持っておる所有物に対して、県が勝手に植林するということの権限は、今現存の法律のどこにございましょうか。
  112. 村田恒

    政府委員(村田恒君) それは、県の当局が所有者の了解を得て、その了解のもとに植樹を行うわけであります。
  113. 田中一

    ○田中一君 所有者の不明なものはどうしておりますか。
  114. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ぼた山所有の帰属が明確でないものにつきましても、土地の所有については、大体これが明確になっておるものと考えられます。従いまして、その場合には、その土地に立ち入ります権利を確保いたしますためには、土地の所有者の了解のもとにこれを行なっておるというふうに考えます。
  115. 田中一

    ○田中一君 それでは、この七十四のぼた山の実態というものの権利関係、その不明の分の現状、それから台帳において山林になっておるか、あるいは平地になっておるか、宅地になっておるか、たんぼになっておるか、それから税金はどういう形で徴収しておるのか、そういう点を一つこの法案審議中に、衆議院もまだこれは審議したばかりだそうですから、時間はありますから、どうかこれを的確に不明のものの実態というものを調べて、当委員会に資料として出していただきたいと思います。
  116. 竹田達夫

    説明員(竹田達夫君) ただいま申しましたのは、福岡県当局の資料をわれわれの方で信用いたしたものでございますので、それらの調査につきましては、県当局にお願いするのが最もよろしいかと思うのでございますが、本案の審議中に、ただいまおっしゃいましたような非常にむずかしい調査ができるかどうか、これは全力を尽して建設省の方とも連絡をいたしまして努力はいたしますけれども、その点はお含み願いたいと思います。
  117. 田中一

    ○田中一君 そういうことを政府から伺おうとは思わないのですよ。最善を尽してできないものはできないのです。会期は五月十八日までございますから、直ちに作るということの御答弁でいいのです。
  118. 村田恒

    政府委員(村田恒君) 福岡県当局とも連絡いたしまして、できるだけ最善を尽しまして資料を提出するように努力いたします。
  119. 田中一

    ○田中一君 福岡県当局なんという言葉は要らないのです。不明の分七十四に対して要求した資料です。
  120. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 私もう一つ質問いたしますが、委員長質問が少、多過ぎるきらいがあるかもしれませんが、大事な点がありますから質問いします。  田中さんからいろいろ質問がございましたのと関連しておるわけでございますが、この第二条の第二項に、「この法律の施行の際現に存するものをいい、」ということが書いてある。この問題につきましては、この前も私質問いたしたのでありますが、石炭局長おいでにならなかったのであります。よくお聞き願いたいのです。この法律の条文を見ますると、この後所有者がわからない部分ができてくるというようなことをどうするかという問題がある。これは先ほど田中さんからお尋ねのあった問題だと思います。それについては、建設大臣の御答弁としては、建設省だけではいけないの、で、通産大臣の方で責任を持って、そういうことのないようにやってもらうことになっておるから安心しろと、こういう意味だったのです。そこで、現行の鉱山保安法でどうなっておるのか、私はまが研究が十分でありませんから、間違っておるのかとも思いますけれども、現行法では、現在の鉱業権者及びこれとみなされる者、それに該当しない者、その権利を失った者に、五年間というような期限付きで通産省の方の手が及ぶのだと思う。それ以後に所有者がさっぱりわからないというようなことについては、現行法では通産大臣の手が及ばないのではないか。これは及ぶとすれば、問題はないのです。及ばないとすれば、新たに法律の条項を何かでお作りにならなければ取締りができないのではないかと、こう思うのです。建設大臣の御答弁では、それを取り締る法律を新たに作るという御約束はなかったのであります。それがどういうことになっておりますか、どうお考えになっておりますか、その点を伺いたいと思うのです。
  121. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ただいまの委撃の御福の点は、先ほど御質問がございました、今後に対してこのような事態の発生しないように、通産省はどういうふうにこれの保障措置をとるかという御質問のように了解いたしますが、これは一番大事な点と私ども存じますので、現在の鉱業保安法の第四条に規定いたしますところの、ぼた山一等を作りました場合に、それに対する保全の義務を負わしております。その義務は、今委員長指摘のように、たとえ鉱業権者でなくなりましても、五年間というものは継続して存するわけであります。なお、その後鉱業権者でなくなりましても、第二部長が申し上げましたように、刑事上の責任は、もし自分が鉱業権者であったときに、保安上適当でないことがあった場合には、刑事上の責任は残るわけです。しかしながら、保全するための施設をやるというような義務は逃げてしまいます。それで問題は、それじゃそういう事態を発生せしめないためには、鉱業権を移転いたしましたり、あるいはぼた山管理権を移転していくということを、どういうふうにしたら阻止していけるかということがポイントになると存じます。これは現行法におきましては、ぼた山の鉱業権の移転そのものにつきましては、鉱業法上のいろいろ監督の方法がございますが、ぼた山だけを切り離して、つまり生みつぱなしにしてそれを捨てていってしまう、そういう場合も、必ずある種の移転行為を伴う。従いまして、移転に対しまして認可制をとるというところまでは、なかなか現在のところむずかしいと思います。しかしながら、現行の保安法の運用の上におきまして、非常に厳格なる届出の制度をとらせまして、その届出の場合に、これをきわめて厳重な審査によってその相手方が、将来において起るかもしれない災害に対して、十分なる予防措置、あるいは十分なる復旧措置をとらないような人間には、これを譲り渡すことを非常に困難にしていくというふうな行政上の運用をとりたいと、こう考えております。また将来、なお研究中でございまするけれども、研究の結果法律の上においても、何らかの法的措置が必要であるということがはっきりいたしました場合には、またあらためて御相談申し上げたいと、こういうように考えております。
  122. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 私がお尋ねしているのは、鉱山保安局の手の及ぶ間譲り渡すことを認めるとか認めないとか、その手の及ぶ間のことはそう心配じゃないのですよ。そんなことを離れて、もう十年たった、二十年たったというようなときに大地震があった、そんなことも予想しなければならない。そのときにはちょっと、認可をどうするとかいうような、今のお話とは関係がなくなるのですね。もう手を離れてしまったあとの問題になりますから、所有者がわからないというものが出てくると思うのですね。そのときには、やはりその取締りの法が必要じゃないか。しかし、この法律の第二条の第二項によると、現在あるものだけに制限されておって、将来そういうふうにして起るかもしれないというものはちっとも予想してないのです。だから、通産省建設省でもう一つ法律をお作りにならなければ、その取締りはできないで、ちょうど今まで何十年かの間に何十カ所か取締りに困るぼた山ができた、それに相当するものが、数は少々少くても、将来できるということは当然予想できるのです。その法律を作る必要があるのではないか。それを作ることを通産省でお考えになっていないとすれば、どうしてもここにそのことを、この条文の中にうたっておかなきゃ心細いことになっていくわけなんです。それで法律を、将来取り締る規則をお作りになるお考えがあるかどうか。法律がなくちゃ取締りはできませんよ、それは。
  123. 村田恒

    政府委員(村田恒君) ただいま委員長の御指摘通りでございまして、私がただいま御説明申し上げましたのは、現在鉱山保安法が現実に適用できるというときの範囲におきまして、ぼた山の権利を移転いたしましたり、あるいは鉱業権を移転いたしました場合に、これをいかに取り締っていくかということであります。これが第一段階は押えられますけれども、第二段階、第三段階に移って参りましたときに、このような事態が発生いたしたような場合にはどうしていくかということは、今後において立法措置については、ただいま直ちには考えておりませんけれども、至急に研究いたしまして、所要の措置をしたいと思います。
  124. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) よく御研究願いたいと思っております。  ちょっと速記とめて下さい。    〔速記中正〕
  125. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記つけて下さい。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時二十一分散会