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1958-04-23 第28回国会 参議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十三日(水曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            仲原 善一君            平島 敏夫君            相澤 重明君            大矢  正君            奥 むめお君    委員            石井  桂君            井上 清一君            大谷 贇雄君            永野  護君            増原 恵吉君            松村 秀逸君            武藤 常介君            吉江 勝保君            東   隆君            大倉 精一君            鈴木  一君            相馬 助治君            常岡 一郎君            大竹平八郎君            竹中 恒夫君   政府委員    内閣参事官兼内    閣総理大臣官房    会計課長    吉兼 三郎君    法務政務次官  横川 信夫君    法務大臣官房経    理部長     大澤 一郎君    法務省民事局長    心得      平賀 健太君    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務省移民局長 内田 藤雄君    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵省主計局次    長       佐藤 一郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君    文部政務次官  臼井 莊一君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    文部省大学学術    局長      緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    外務参事官   中川  進君    大蔵省主税局税    関部長     木村 秀弘君    会計検査院事務    総局第一局長  大沢  実君    会計検査院事務    総局第二局長  保岡  豊君   本日の会議に付した案件 ○昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その2)(内閣提出衆議院 送付) ○昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その2)(内閣提出衆議院 送付) ○昭和三十一年度特別会計予算総則第 十条に基く使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和三十一年度特別会計予算総則第 十一条に基く使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その1)(内閣提出衆議院 送付) ○昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その1)(内閣提出衆議院 送付) ○昭和三十二年度特別会計予算総則第 十三条に基く使用調書内閣提出衆議院送付) ○昭和三十一年度一般会計歳入歳出決 算(内閣提出) ○昭和三十一年度特別会計歳入歳出決 算(内閣提出) ○昭和三十一年度国税収納金整理資金 受払計算書内閣提出) ○昭和三十一年度政府関係機関決算書内閣提出) ○継続調査要求の件     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の決算委員会を開会いたします。昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十一年度特別会計予算総則第十条に基く使用調書昭和三十一年度特別会計予算総則第十一条に基く使用調書昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その1)、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 文部次官お尋ねをしたいと思いますが、一昨日の本決算委員会におきまして、国立大学火災等が起きたときの費用の捻出方、あるいはその復旧考え方について具体的に質問をいたしたのでありますが、どうも不明確でありました。そこで私は本日再度お尋ねをしておきたいと思うのでありますが、国立学校運営費というものはどのくらい計上されておるか、お答えをいただきたいと思います。
  4. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) 国立学校運営費は全部を含めて約三百九十億になっております。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 今の次官の御答弁ですと、三百九十億といういわゆる予算が計上されておるというのは、これは項目でゆくというと、防衛庁に次ぐいわゆる大きな予算額であると私は思うのです。そこでこの運営費一体査定をし、そうしてこれを予算として認めてもらう場合に、具体的にそれではどういうふうにこの地域学校、あるいはどの学校と、こういうようなことで予算というものが組まれておるのかどうか、こういう点について、細部についておわかりの点を御発表いただきたいと思うんです。
  6. 天城勲

    政府委員天城勲君) 国立学校予算編成の仕方でございますけれども、御存じ通り国立学校経費の中には大学と、それから付属病院付置研究所の三つの項に分れておりまして、大学運営につきましては、基本的な教育研究という仕事がございますので、研究費、それから学生経費というものを根幹の経費といたしまして、これはどこの学校の分が幾らという計算ではなくて、教官総数学生総数というものを前提にいたしまして基準経費をきめて、総体の数を出すというやり方をいたしております。それから新して問題につきまして、たとえば科学技術振興に伴いまして、原子力講座を開設するとか、あるいは物性研究所を作る、あるいは原子核の研究所を作るという新規のものにつきましては、どこにどういう研究所を作る、どこの大学の何の講座をふやすという形で新規のものは計上して参ります。従いまして、国立学校運営費といたしましては、何学校の分が幾らという形では出ておらないわけでございます。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 私はどうもそこが納得ができないわけなんです。おとといの本院の決算委員会におきましても、一体火災等になった場合に、年度末ならばもちろんその翌年度という、おとといの御説明のこともわかるけれども、年度当初においてたとえば火災が起きた場合には、当然予備費支出するなり、あるいは補正を組まなければならぬという考え方に立つと思うのだが、そういうことをしないで、この学校運営費の中で今言ったようなものが考えられるという御答弁が一昨日あったと思うのです。今のお話を聞いておると、いわゆるどの学校幾ら、あるいは教職員に対して幾らというようなものが具体的にきめられておらないということは、これを言い直せば、文部省の必要によって、考え方によってつまんで、どこの学校幾ら大体あてがいをしようというような考え方に立つというふうに私どもが理解をしなければならぬと、こういうふうに思うのでありますが、そういう点についてはあとで言われた、たとえば科学技術振興であるとか、原子力の問題であるとか、そういう新規なものは予算というものを幾らつけるということを今も表明されましたが、一般のたとえば学校について予算を計上するときには、そういうものを考え予算を私は編成に出しておると思うのだが、今度は予算を取ってしまえば、あとはこっちで勝手に使えるのだ、あるいは必要によってつまんでやれるのだということがどうも私は不明だと思う。そういう点について文部省としては、そういう項目使い方について何かお考えがなくてはいけないと思うのだが、現状で一向差しつかえないと、これ以上改善する必要はない、こういうふうにお考えになるのかどうか、一つお答えをいただきたいと思うのです。
  8. 天城勲

    政府委員天城勲君) 前の説明で不十分だった点がございますので、補足をさせていただきながら御説明させていただきます。予算御存じ通りそれぞれ科目できまっておりまするし、総額がきまれば、文部省で適当にばらまいたり、つまみ食いするという意味で、またそういう意味で一本だということを考えておるわけでは毛頭ございません。人件費人件費で、学校教職員が定数がきまりますれば、それはそこに行く、学生経費学生の数がきまっておりますから、そこに配当するというわけで、ただ予算書の上で各学校別予算が出ていないということを申し上げたのでありまして、積算におきましては、それぞれの学生数教官数、それを基礎に置いてやっておるわけでございます。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 しからば、さらに続いてお尋ねをいたしたいと思いますが、国立文教施設費についてはどのくらいの額が、計上されておりますか。
  10. 天城勲

    政府委員天城勲君) 三十三年度で申しますと、約三十億でございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 この三十億を計上されて、計画はどのようになっておるでしょうか。
  12. 天城勲

    政府委員天城勲君) 三十億の予算細み方を御調明いたしますと、大体重点的な工事、これは大きな金額大学の基本的な施設というようなものにつきましては、重点工事考え、その他病院でどのくらい、研究所分でどのくらい、あるいは宿舎でどのくらいというような基礎を、それぞれ予算過程においてきめまして、あとは具体的に現場の状況、あるいは施工の手はずをきめまして、具体的な詳細な予算文部省できめまして、学校に配当するというように私どもいたしております。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 今の御答弁ですと、いわゆる重点的な工事、いわゆる病院であるとか、宿舎であるとか、いろいろな点をあげられましたが、私はこの予算が通ったならば、具体的に計画に基いて配分をしていかなければ、実際にそれらの作業というものは進まないと思うのでありますが、予算が通った場合に、それでは今のあなたの御説明、たとえば重点的についても配分をきめておるのですか。
  14. 天城勲

    政府委員天城勲君) ただいま申し上げましたように、事項重点はきめてございます。しかしA大学の工学部のどの建物という場合に、その金額幾らということは、予算がきまりまして、最終的に技術的な見地から検討したのが、最終の金額となりますが、文部省といたしましては、ただいま申し上げましたようなワクを定めております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 だんだんわかって参りましたが、どうもこの予算使い方について何か文部省だけで、いわゆる頭だけで予算というものは考えておるだけであって、予算編成過程において、こういう必要なものであるから予算を組んでくれというような、どうも使い方にならないような気がしてならない。  そこで、いま一度一つ確認をしておきたいと思うのですが、今の国立文教施設費あるいは国立学校運営費、こういう予算をもらって、今までに予算が余ったことがあるかないか、この予算をきめてもらって、そうして今まで全部使ってしまうということだったのか、それとも今まで余ったことがあるのか、この点一つお尋ねをしておきたいと思います。
  16. 天城勲

    政府委員天城勲君) 余ったという意味は、不用という意味だと思うのでございますが、これは科目ごとにきまっておりますので、必要経費が一応それに達しない分の科目について、不用額事項別に見れば若干ございますが、全体の施策を進めていくために余らしたとか、使わなかったというようなことはございません。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 私は、これは去年だったかね、十七億ばかり余ったことが一度あったと思うのですが、それで、それが何か当時人件費だったかね、期末手当ですか、何かに回ったことがなかったですか。そういう点は私ははっきり記憶してないからわからぬけれども、とにかく私の主としてきょう質問したいのは、せっかく予算はこれだけの必要によって計上してもらいたいということで予算を作ったけれども、その予算の具体的な計画に対する配分が行われないというと、文部省がにぎっておって、そうして文部省考え方でその予算というものは適当にばらまいていくのだということであっては、私は真の運営なりあるいは施設のためによくないと、こう考えておるわけです。そのことが今のあなたの御説明で、たとえばそれがそういう考えであるということがわかっても、それならば、一昨日の本委員会において、いわゆる急遽途中において災害が起きた場合に、これはこの運営費だけでは足りないと見るのが当然だと思う。運営費というのは、今までの計画をしたものについて予算を組んであるのであって、鹿児島大学が焼けたとか、群馬大学が焼けたとか、こういうような不測の、いわゆるやむを得ない火災等によるところの損害というものを考えていけば、その復旧費というものは当然にこれよりも多くならなければならぬ、私はこう考えておるが、天城会計参事官のおとといの御答弁ですと、これらの予算の中でやりくりをする、そうしてできないものは翌年度に本格的に復旧工事をやるのだ、予算をもらうのだ、こういうような御説明があったのですが、おとといの御説明ときょうの御説明と、やっぱり依然として変らないのですか、その点いかがでしょう。
  18. 天城勲

    政府委員天城勲君) 今の大挙の火災お話でございますけれども、おっしゃる通り、一応年度当初に計画を作りまして、それに基いて予算を執行して参りましたので、途中で予定しなかった事故が起きた場合には、それに要する予算はないわけでございます。ただ、その事故——まあ火災でございますが、火災規模の大小によりまして、たとえば一般修繕費などでできる分野は、とりあえず応急措置をとらなければなりませんので、いたしまして、また火災の性質、規模等によりましては、予備費をお願いし、支出して、いただく場合もございますし、過去にもございました。一般には、今大学建物が古い木造のものがかなりございますものですから、これを耐火造に直し、新しい教育体制研究体制に応じた姿に直すという計画を進めております。その計画の実施を促進するという意味で、たとえば木造の場合、建物が焼けました場合にも、それをそのまま復旧するのでなくして、予定しております本来の耐火造計画を促進するという方が全体として効率的でございますので、そういうような場合には、あとでこわすことがわかっているような建物を作るよりも、とりあえず、応急措置をいたしまして、本来の計画に従った再建を、というよりも計画を促進するというようなやり方をいたすために、翌年度計画の中に織り込んで、半該年度応急措置で済ませる、こういうようなやり方をしておる場合があるのでございます。しかし、まるまる焼けてしまって、どうにもならぬ、そういう応急措置のつかない場合には、予備費をお願いして再建をするというやり方をいたしておる場合もございます。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 だいぶはっきりして参りました。今の御答弁ですと、やむを得ざる場合、いわゆる突然の災害によって、一般経常費の中からはどうしても間に合わないというような場合には予備費支出をする、こういう点が述べられましたから、私も了解をいたしますが、ただ、一般経常費の中で、運営費とか施設費の中でその場だけでやりくりをしてしまって、翌年度でなければいわゆる経費をとることができないというようなことでは、学校復旧なり、あるいは教育のいわゆる親切なあり方じゃない、私はこういう点を実は指摘をしておるわけなのです。この点について文部次官に再度一つ確認をしておきたいと思うのですが、他の各省においても、そういう災害等の起きた場合には、当然予備費支出、あるいは補正予算提出ということをしておるのであるが、今天城会計参事官もそういうふうにお答えになったが、次官としても、今後一般経常費を無理にそういうふうに捻出しないで、そしてやはりそういう特別なものについては予算措置を講ずる、あるいは予備費支出をする、こういう点についてあなたのお考え一つ述べていただきたい、こう思うのです。
  20. 臼井莊一

    政府委員臼井莊一君) この点につきましては、一昨日の当委員会においても申し述べたのでありますが、だたいま天城参事官お答え申し上げましたように、運営費の一部で何とか当分やりくりできる、こういう部面については、それでやりくりするのでありますが、ただ、これがために、他の諸学校運営に著しい影響を及ぼすというようなことは、これはもとより望ましくないと思います。さようなことがあってはならないのでありますが、そういう際には、やはり当然予備費なりをもって支出をしていく、あるいはさらに、補正予算を組んで、できるだけすみやかに焼けた学校運営に差しつかえないように、生徒にも迷惑を及ぼさないように、研究にも差しつかえないように、迅速にいたすべきものと、かように考えております。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 文部次官の誠意ある答弁で私も了承いたします。そこで、いま一度天城会計参事官お尋ねをしておきたいのは、先ほどの運営費等については、実際に予算編成過程では、必要な問題を提示をして、大蔵省折衝をし、予算をきめる、そこできめた額については、具体的にいわゆる資料を提出するときとは違って、配分がきまっておらないというような印象を私受けた。そこで、予算がきまったならば、予算の執行に当っては、私はやはり予算編成過程において、必要なものでしげたのでありますから、そこで、そういうものをやはり年度当初において配分をきめるべきだと思うのだが、もちろん、その全体を全部何銭何厘までということじゃございませんよ。しかし、原則的にどこの学校については幾ら、どの学校はどういう改造をする、こういう形のいわゆる基本的な立場に立った配分をきめるべきだと思うのだが、あなたはそういう考えを持つかどうか。もし、そういう一応の必要ということで予算を計上してあるから、細部的には別にしろ基本的にはそういうふうに配分年度当初にきめる、こういうお答えがあれば私は再度質問をしませんが、その点いかがでしょう。
  22. 天城勲

    政府委員天城勲君) 予算編成につきましては、先ほど申し上げたようなことで御了解いただいたと思うのでございますが、配分につきましても、積算基礎が先ほど申しましたように、人件費、それから庁費、旅費、それぞれございますので、教官数とか学生数にかけ合わせますれば、その学校配分金額はわかりまして、総額においては学校に明らかにあらかじめ示しております。ただ、配分の時期については、たとえば、ある時期に支出すべきものはその時期に支出するとか、支出の前後はございますから、最初から全部の金額が行くわけではございませんし、予算がそのまま行っているわけではございませんが、大学規模、種類に従いまして、各大学予算の総ワクというものは、今御指摘通り、何銭何厘までは別といたしまして、輪郭は当初に各大学に示しておりますし、私たちも、そのワクに沿って予算の配当をいたしておるわけでございます。
  23. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと申し上げますが、大蔵省からは佐藤主計局次長柳津司課長、末廣主計官木村税関部長がお見えになっております。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 これは大蔵省と、文部省との折衝の問題になろうかと思うのでありますが、最初文部省お尋ねしておきたいのは、各都道府県あるいは市の公立学校ですね、公立学校国立移管をしてもらいたい、こういう場合が私はやはり全国の中であると思うのです。そういう場合に、文部省としては、これは国立に入れてもいいという場合があっても、大蔵省予算というものがどういうふうに査定をされるかということが一番悩みだと思うのですが、まず、基本的に、地方の自治体からそういうふうに公立学校国立移管をしてもらいたい、こういう場合には、各府県について大体何枚とか、あるいはその人口に応じてどうするとか、こういうような何か基準があるのですか。また、地方からそういう移管々申請さたれ場合には、どのようなお考えでこれらの問題を決定するか、これを一つお答えをいただきたいと思う。
  25. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 地方団体の設置いたしております公立学校国立移管をする問題でございますが、国の基本的な考え方をまず申し上げますと、現在国立大学も、御承知のように相当多くございまして、これの整備充実ということには相当財政的にも大きな負担があるわけでございます。特に、戦後のいわゆる新制大学になりましてから、地方大学充実しなければならぬことは最も急務でございますので、これに現在全力を注いでいるという状況でございます。従いまして、考え方といたしましては、現在の国立大学充実を先にいたしたい。公立大学相当ございまして、今お話のように、国立移管を希望しておるところもございますが、これはもともと公立大学として今日まで発展してきております歴史もございますし、地方が経営する大学として特色がある発展をさしていくということも必要かと思いますから、その実情はいろいろございますけれども、国立移管については十分慎重にこれを検討いたしたい。かように考えております。現実の問題といたしまして、国立移管を希望しておる公立大学は現在十校ほどございます。主として医学部関係あるいは農学関係大学でございます。で、この数年来文部省といたしましては、国立移管は一応行なっておりません。大体まあ昭和三十年ごろに移管をやりました二、三の大学がございますけれども、それが最後で、それ以後は国立移管はやっておりません。その考え方は今申し上げました通りでございます。しかしながら、今申しますように、地方でも相当希望がございますので、慎重に一つ調査研究を進めてみたい。かように考えておる次第でございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 もちろん私も基本的には現在の国立大学整備充実ということが優先さるべきことだと思います。それはそうやってもらわなければ困る。しかし、地方公立学校の場合でも、今あなたが指摘されたように、いわゆる農科なりあるいは医科なり、それぞれ特色のあるものがございます。地方によると、経済とか、工科というものはあっても、国立大学があっても、医科がないとか、農科がないということがあり得ますね、その地方に。ところが、やはり国立の方がいいと、こういう結論が出た場合に、私はやはり政府としてはその地域のために国立移管をするのが、総合的な大学というものを持つということが私は必要ではないか、こういうふうに考えるわけです。これは一つの端的な例ですが、私は横浜市大医学部のいわゆる大学国立移管という問題が横浜市の市議会で満場一致決定をして、そうして、文部省なり政府に要請されておったと思うのです。ところが、横浜には工科とか経済という大学国立はあっても医科はないわけです。そういう面から考えて、やはり総合的なものが必要ではないかと思うのだが、どうも文部省は、今あなたが答弁されたように、三十年以降はもうそういうものは考えない。そんな地方の事情なんというものは一々聞いておられませんと、こういうような印象を私ども受けておる。これは国立大学に対する文部省の基本的な考え方が少しずれておるのではないか。こういうように思うのだけれども、その点はいかがですか。
  27. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 現在の国立大学の制度といたしましては、各県一大学という原則をとっておりまして、今お話のように、一応総合大学制で参っております。単科大学もございますが、原則はそうして参っております。しかし、基本的に総合大学にすべきか、あるいは単科大学発展さすべきか、これはやはり議論があるところだと思います。先ほど申し上げましたように、公立大学として今日まで残っております大学は、それぞれ歴史もあり、特色もあるわけでありますから、やはり地方大学として特色のある発展をさせるということも行き方じゃなかろうかと存じます。しかし、いろいろ地方の要望もございますから、慎重に調査研究をいたしたいと思います。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 はい。了解いたしました。大蔵省税関関係の方お見えになっていますね。
  29. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) はい来ております。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 おとといのこの決算委員会で私が御質問を申し上げたのでありますが、国会議員なりあるいは政府の方々なりが外国に旅行をする場合、この外貨の携行について一定の基準がそれぞれの各国を訪問するについてはあると思うのですね。その基準というものがどういうふうになっておるか。一応一つの例があれば、例をあげて一つ説明を私はしていただきたい。  私のおととい申し上げたのは、岸総理大臣が東南アジアを訪問した際に、ネコの目の石とか何とかというのを買ってきたというのだが、一体外貨の携行について、総理大臣なるがゆえに、よけいな外貨が持てるのか、持てないのか。こういう点も実はお尋ねをしたわけなんです。それから税関の調べについて、沖繩の人が羽田を立つときには必要以上の検査を行なったけれども、一体今度は普通の場合と違って、そういうような高価な品物を買って来た場合でも、税関は、別に何ら調べることがなかったのかどうか。こういう二点についてお尋ねをしておきたいと思うのです。
  31. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 外貨の持ち出しの限度につきましては、これは実は税関の所管でございませんので、はっきり幾らということはここで御答弁申し上げかねます。第二点の、人によって取調べの方法が違うかどうかという御質問でございますが、税関といたしましては、関税定率法上特に特権を認められておる外国の外交官等、そういう者に対しましては、いわゆる検査を省略いたしております。それからわが国から外国に行きます首席全権等につきましては、慣例上申告はしてもらいますけれども、しかし普通一般のように検査はいたしておりません。随員につきましては、一般の旅客と同様に検査をし、徴税もいたしております。それから特に犯則等の容疑があります場合、何らかの情報等によって、そういう容疑がある場合には、特殊の検査をいたしております。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 きわめて常識的な御答弁でしたね。私もそのことはよく承知をしておるわけなんです。そこで先ほど申しあげたのは、もちろん各国の大公使とか、あるいは国賓でお呼びをするとか、そういう方々については非礼があっては私はならぬと思う。十分敬意を払って友好関係を進める。これは、私どもが外国旅行をする場合にも、そういうふうにしてもらうことがやはりいいわけですから、そういうわけでそのことは私はよく了承します。ただ、この間のいわゆる沖繩の選挙を目前にした前に、羽田の飛行場を立つ場合に、必要以上のどうもいわゆる税関における検査をしたというようなことを私どもは承わった。これは少しく税関としても今あなたの御答弁されたことと若干違うような気がする。一方においては、またこれは外電が言ったことであるから、責任性の問題はわかりません。おそらくおとといもそういうことはないと思いますという御答弁がございましたが、岸総理が四百万のネコの目の石を買ったとか買わぬとか、こういうことになると、やはり何か自分の方だけは問題にしないで、よその国の者が来ると、そういう必要以上のことをやるんだというような、日本の税関の、大蔵省の態度というものが、どうもあまり感心をしたことじゃないというような印象を受けるわけです。そういう点を私はおそれて、まあそういうことがあってはいけないということで実はお尋ねを申し上げたわけなんです。その点について、そういうことがあったのかなかったのか、一つ端的にお答えをいただきたいと思うんです。その結果によっては質問しますが、あなたの御答弁いかんによっては、私はこれで終りにします。
  33. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 先日の沖繩の宮良さんの事件につきまして、何か税関が政治的な意図によってやったか、あるいは、そういう意図に左右されたかというような疑いを持たれましたことは事実でございますが、これははなはだ遺憾でございまして、税関は、その人の身分がどういう政党に属しておるか、あるいは、その人がどういう職業の人であるかというようなことによって、取調べを二にするということは絶対にございません。先日の事件がたまたま非常に誤解を受けましたので、その点は非常に遺憾でございますけれども、この際、私としてはっきり申し上げられるのは、そういう政治的な意図を持って税関が行動するということが絶対にない、ということを確信申し上げます。  それから、総理の宝石でございますが、これも正確に申告をしていただきまして、価格も、四百万円と今おっしゃったようでございますが、申告には四万円ということになっております。もし四百万円という申告が出ておりましたならば、これは、一体そういうお金をどこから調達されたかということは、やはりこれは税関として調査しないわけには参りませんけれども、しかし、一応先ほど申し上げましたように、首席全権に対しましては申告を信頼するという態度で、今まで申告以上に検査をいたした例がございませんので、その例に従ったわけでございます。
  34. 大矢正

    ○大矢正君 私は、主計局次長に予備費の承認に当って質問をいたしておきたいと思うのでありますが、それは、財政法にも明らかにされておりますように、予備費使用というものは、予見しがたい予算の不足を生じた場合のみ予備費というものは使用されるという原則は明らかでありますが、そういたしますと、予見しがたい事態がない場合には、当然国の会計上、予備費というものは残る計算になると私は思うのでありますが、そういう私の考え方は当然じゃなかろうかと思うのでありますが、念のために主計局次長に御答弁をいただきたいと思うんです。
  35. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) おっしゃる通りでございます。
  36. 大矢正

    ○大矢正君 本日、あなたの方から、「過去五カ年間における一般会計予備費使用額調」という統計表をいただきまして、昭和二十八年から三十二年までの予備費使用の内容について資料に掲上されておるわけでありますが、二十八年以来今日まで五カ年間をながめてみますと、予備費予算額に対して、使用額というものはほとんど一ぱい一ぱいになっておりまして、使用残額というものは、まず顕微鏡で見なければわからない程度にしか残っていないという結果が出ているわけであります。これはもう、さっきも申し上げました通りに、予備費というものは予見しがたいことでありますからして、幾ら昔から国の予算に精通をされている腕ききの大蔵省のお役人さんといえども、予見しがたいことをあらかじめ予見できるはずがないのでありますからして、結果においては予備費使用残額として残る場合もあるでありましょうし、また、目一ぱいの場合もあるということが考えられるんじゃないかと思うのでありますが、それが、これによって見ますと、三十二年におきましては、八十億に対して七十九億の使用になっており、わずかに六百三万円程度しか残っていないという結果が出ておりますが、これは三十二年に限ったことじゃなくて、ずうっと八十億円の予備費予算額できめられてきました二十九年からその通りの結果が出ておりますが、まあ私が考えてみて、実に予備費の見積りというのは大蔵省は上手にやられておるのか、あるいは逆に言うと、あとからつじつまを合せるように、全部これは予見しがたくないものまで、これはみんな予備費の中に入れられておるのか、こういう点については非常に疑義のあるところなんでありますが、お答えをいただきたいと思います。
  37. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ごもっともの御質問かと思います。予見しがたいことでありまするからして、毎年同じようにいつもきっちりと使えるわけのものではないのが事柄の本筋だと思っております。率直に申し上げますと、財政当局の運営という見地から申しますと、最近における予備費金額は少しく少な過ぎるように私どもは感じております。むしろ余っておるところを無理に予備費を出すということよりも、非常に窮屈な感じを持っております。まあ従いまして、ぎりぎりのところまで実際は使用しておるというような状況になっております。
  38. 大矢正

    ○大矢正君 昭和三十三年度の新しい会計年度における予備費の額というものはどのくらいになっておりますか。ここに実は資料を持っておりませんので念のために……。
  39. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 三十二年のときと同額で、これは二十九年から同じでございますが、八十億ということで変っておりません。
  40. 大矢正

    ○大矢正君 そういたしますと、あなたの答弁によれば、予備費は八十億円では、なお少いんだというのが大蔵省予算編成当事者の考え方である。とすれば、三十二年度にもなぜ八十億円という限度において予備費が計上されておるのか、私は不可解なんですが、御存じのように、三十三年度には経済基盤強化資金として四百三十六億円、しかもそのうち二百二十一億円というのは、これはまあ言うならば何ら目的がない形で保留をされておるのであります。こういうものを片一方で作っておって、片一方では、もしあなたの言を信用すれば、八十億の予備費では少いというならば、その中にむしろこの二百二十一億円というものを入れることの方が妥当じゃないか。全部入れるかどうかは別でありますが、妥当じゃないかと思いますが、そのことについてのあなたの御見解を承わっておきたい。
  41. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 予算編成の際に、予備費金額をどのくらいにするかということは非常にむずかしい問題でございまして、戦争前には現在よりも相当高い比率の予備費を、予算総額に対して比率の高い予備費を実際に組んで参っております。しかし、また終戦後におきまして、財政法等を検討いたしました際に、一面、予備費というものをあまりふやすことは行政府の専断を招くおそれがある、従って予備費というものはできるだけ少い方がいいんだ、こういうふうな議論が一面あったのでございます。それで従来相当多額に計上せられておりました予備費というものを、まあできるだけ縮めていく方針として、という考え方に立ちまして、最近におきましては非常に少くなっております。もちろん予算使用の弾力性ということとあわせてこれは考えなければならないのでございますが、昔は予備費を十分に取ると同時に、予算の款項目の流用を非常に厳密にいたしまして、他の費目へ使うことがなかなか困難でありました。終戦後はそういう予備費をできるだけ少くすべしという原則にむしろ立ちまして、予備費は比較的少く組んである。しかし、それでは実際の予算運営の操作に間に合わないおそれがあるというので、現在の財政法の建前におきましては、もちろん国会の承認を経てのことでございますが、その範囲内においては予算の費目の流用というものが戦前よりもやや楽になっております。従いまして、この現実の問題の取扱いに当りましては、まず既定の予算で余裕の生じましたときには、そういうものをできるだけ流用する、そうしてまた必要に応じて予備費を出すというようなやり方を、実際としてとっております。従いまして、予備費が比較的窮屈でございますが、同時にそういう弾力的な運用と相まって、ともかくも操作をやって参ってきておるわけであります。まあ予備費を前年度よりもふやすかどうかということについては、実際問題といたしまして、予算編成の際やはり議論はございましたが、しかし前年よりもふやすということはなかなか大きな問題でございまして、特別の事情のない限りにおきましては、予備費予備費として従来の通りの扱いをして計上するのが穏当であろうということで、三十三年度も同額とした次第でございます。
  42. 大矢正

    ○大矢正君 私は最後に一言、大蔵省の特に主計局に対しまして申し上げたいと思うのでありますが、それは今国民の中で多くの批判が出ておりますことは、年度末になると、官庁というものはとかく予算できめられたその額を、たとえそれが効果があろうがなかろうが、使ってしまわなければ、次の年の予算の要求に対して支障があるというような考え方から、これが効果が伴わない形で使用される場合が往々にして多い、もっと極端なことをいえば、むだに使われるということで国民の批判が強く出ておることも、大蔵省としても御承知の通りだと思います。こういうことを放任しておけば、これはまことに国民の貴重な税金をむだな方向に使うという結果が出て参りますので、私どもとしましては納得のいきかねるところであります。特に今度の予備費の承認をめぐって一言申し上げておかなければならぬのは、それは私が見た範囲内においては、必ずしもこれは予見しがたいという前提ではないものが含まれているような気がするし、それからもう一つの場合は、次の年の会計に持ち越してもさほど問題がないものまでが、いわば予備費として消化をされているというような内容もあるように見受けます。これは見方の相違でありますから、あなたがそうでないとおっしゃいますればそれまででありますが、私が見ている範囲では、どうもそういうことが、個々にわたって検討してみますと考えられますので、こういうことは翻って考えますと、当てがわれた予算を全部各省各庁は使うという、従って不必要なものまで使われる危険性があるので、極力この予算というものを圧縮して、いわば予見しがたいものでないものまで、あるいはまた予見しがたいという立場が考えられないようなものまで、突っ込んでものを考えておられるような面がなきにしもあらずだと考えるのであります。  そこで私は、この際大蔵省に一言申し上げておきたいことは、あなたが言われておる通りに、八十億円の予備費では少いのだという議論もあるかもわかりませんけれども、また反面翻って考えてみれば、八十億円という予備費を全部これをその会計年度の中で使用してしまいたいという、こういう考え方もあるのじゃないかという気がいたしますので、このような点については、国民の疑惑を招くという点からも十二分に考慮されまして、予備費として、盛られた金額は、これをきれいに使えばそれでよろしいというような考え方がもしあったとすれば、今後是正をしていただきたいということを要望をいたしておきまして、私はこの一般会計の予備費、それから特別会計の予備費に対する承認を与えたいと思います。
  43. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がないと認めます。よってこれをもって質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります、御意見のおありの方は、予備費を承諾するかいなかについて明確にされた上、御発言を願います。  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  これより採決に入ります。昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十一年度特別会計予算総則第十条に基く使用調書昭和三十一年度特別会計予算総則第二十一条に基く使用調書昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その1)、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書、以上七件を問題に供します。昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件は、いずれも承諾を与うべきことに賛成なされる方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  45. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致と認めます。よって昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その2)外六件は、いずれも全会一致をもって承諾を与うべきものと議決されました。  なお、以上七件に関し、本院規則第百四条により本会議における口答報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他一切の手続につきましては、慣例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、以上七件を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     仲原 善一  平島 敏夫     相澤 重明  大矢  正     奥 むめお  石井  桂     大谷 贇雄  永野  護     増原 恵吉  松村 秀逸     武藤 常介  吉江 勝保     東   隆  大倉 精一     鈴木  一  相馬 助治
  47. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御署名漏れはございませんか。——御署名漏れはないと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それじゃ速記をつけて。     —————————————
  49. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十一年度政府関係機関決算書を議題といたします。  本日は法務省の部を審議いたします。検査報告批難事項は第十四号であります。まず会計検査院から概要の説明を願います。
  50. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 山形の地方法務局で、昭和三十年の初めから三十一年度にかけまして、供託課におります事務官の清水某によりまして、歳入歳出外現金——これは供託金でありますが、これは領得されたものが三百六十万円あるわけであります。これはこの事務官が、課長であります出納官吏の補助者といたしまして、供託金の日本銀行への預け入れ及び還付、下げ戻しの場合の小切手の作成、並びに出納官吏不在時の供託金出納保管事務に従事しておりました間、出納官吏の判こをほしいままにとりまして、それで小切手を振り出して、預入金を引き出しておった、これが三百万円の大部分でありまして、もう一つ供託金を今度は逆に日本銀行に預入しないで領得した、これが二十万円ばかりございます。  以上であります。
  51. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  52. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。  次に法務省から概要の説明を願いま
  53. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) ただいま会計検査院から御報告がございました事実は、御指摘通りでございまして、まことに大きな国損を生じまして申しわけなく、遺憾のきわみに存じておる次第でございます。  本件のかような犯行が長期にわたって容易に行われました原因は、その直接の監査に当ります供託課長がきわめて事務に不なれな上、事務に対する監督が行き届きませんで、一切の事務をこの清水保夫にまかしたというような、きわめて遺憾な事態がございまして、その結果かような犯行を重ねられた次第でございます。なおまた、発覚の端緒といたしましては、この供託課は供託課長のほか、この清水及び女の雇の三名の小さな課でございます。この女の職員が清水の挙動に不審を感じまして、課長の不在中に出納官吏の印箱のそばに行って何かいじっておるというような変なそぶりを見まして、局長に報告いたしまして、局長が直ちに調査いたしました結果、この犯罪を犯人が自供いたしましたので、直ちに検察庁に自首させまして、以来検察庁に身柄を拘束の上捜査の結果、本件犯行が明らかになった次第でございます。直接の責任者である供託課長が監督をいたさなかったという結果にほかならぬので、まことに遺憾に存ずる次第でございます。特に、本件の犯行が昭和三十年の四月から三十一年の十二月まで、約一年半の長きにわたって発覚しなかったという点は、ただいま申しました供託課長の監督不行き届きのほかに、この間におきまして、直接の上司であります山形地方法務局長が、部内の他の課長に命じまして、事務監査を数回実施しまして、また上級の官庁であります仙台法務局からもその間監査に参っているのでございますが、清水が現金出納簿の残高と突合いたします日本銀行の預金証明書の金額を改ざんいたしましたり、またはなはだしきは、その証明願いを偽造いたしまして、日銀の印を偽造して、にせの日銀の帳じり残高証明書を作成いたしまして、それを監査官に提示いたしましたために、遺憾ながら監査官の方でそれが偽造であるということを見破ることができませず、ついつい間違いないものというので監査を通しておったような次第で、かような偽造につきましても、検察庁の方で処分の対象になっているのでございます。かように本人がきわめて、巧妙な方法を用いましたことと、直接の監督者である供託課長が事務監督、またおのれの事務を十分に行わなかったというような結果、かような不祥な結果を招来いたしまして、まことに遺憾に存ぜられるのでございます。  この国損につきましては、供託関係については、法務省予算並びに大蔵省の方でそれぞれ補てんの措置をとることにいたしまして、約三百六十万円の大きな国損の結果になっているのでございます。この国損の補てんにつきましては、目下出先の山形地方法務局で支払い命令の請求をいたしまして、債権の確保をいたしますと同時に、その清水本人の父親並びに内妻がございますが、内妻の親で任意弁済を申し出ておりますが、何分年額三万というような少額の申し出でございますので、それでもっては、なお百年もかかるというようなことで、国損の補てんがなかなか早急にはできませんので、目下債権の債務名義の確定を求めるとともに、もう少し多額の金額を払うように交渉中でございます。  なお、この件につきまして、本人は懲役三年六カ月の刑が確定いたしまして、懲戒免職、なお、面接の上司である供託課長につきましては、この本人の不正に領得いたしましたうちから一万円借りて費消しておる事実がございまして、この点につきましても、検察庁におきまして、供託課長の身柄を拘束いたしまして捜査をいたしたのでございますが、本人と共謀の事実、あるいは情を知ってその金を借りたという事実が出ませんで、不起訴処分になりましたので、本人につきましては、懲戒免職の処分をとったのでございます。  なお、山形地方法務局長は、本件発覚後退職の申し出がございました。山形地方法務局長につきましては、重大な過失あるいは故意ということが認められませんので、本人につきましては、その願いをいれまして退職させましたので、懲戒処分にはいたさなかったわけでございます。  なお、かような本件の事故を契機といたしまして、今後再びかような事故が起りませんように、われわれといたしまして、民事局長と連名で、当該地方法務局のみならず、全国の地方法務局に対しまして、かような保管金の取扱いは当然供託課長がみずからやらなければならぬことになっているのに、それが行われていなかったということからかようなことになったので、必ずみずから行い、小切手帳及び出納官吏の印の保管を厳重にするように、また監督者が保管金の残高の照会をする場合に、みずから必ず行うように、なおまた日銀から残高証明をとる場合は、必ず監査官みずからが日銀から受け取って、改ざんあるいは変造のおそれのないように、またやむを得ず使をしてとらしめた場合には、直ちに電話をもって日銀にその事実を確認するように、今後励行するよう通知いたしまして、その励行をはかっているわけでございます。  なおまた、本件の犯罪の態様からいいまして、書き損じ等の名義で——小切手は大体年々進行番号で進んでいるのでございます。その進行番号に入れますために、現在使っている小切手帳の番号を書き損じの欠番といたしまして、その欠番を利用いたしまして、この不正の小切手を出しておりますので、今後かような欠番を生じた場合には、直ちに日銀に連絡をして、かような不正な小切手が支払われないようにいたすことにいたしまして、事故の絶滅を期している次第でございます。大体以上事件の概要を御説明申し上げました。
  54. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって説明は終了いたしました。質疑のある方は順次御発言を願います。
  55. 大矢正

    ○大矢正君 会計検査院にお尋ねをいたしたいのですが、これは必ずしも法務省に限ったことではありません。各省にあることですが、予算項目の中に報償費というのと謝礼金というのが出ておりますが、法務省の場合はこういうものが一体何に使われるというふうにお費えになっておられるか、これは会計検査院にお尋ねいたします。
  56. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 法務省の場合には、各官署がございまして、報償費というもの、これは検察庁にも各高検から地方検察庁までございます。これのうちほめること、普通のと申しますか褒賞その部分と、そうでないたとえば情報を提供する、そういう人にやる、報償金の中にはこの二種がございます。もう一つ調査活動費というのがございます。これは後段に申しましたような情報提供者に報酬として出す、こういう二種がございます。
  57. 大矢正

    ○大矢正君 謝礼金というのがありますが、それはどういうものですか。
  58. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 謝礼金は、普通の諸謝金と申しまして、外部の者に一応講義をしてもらったとか、研究してもらったとか、そういう場合謝礼金を出します。
  59. 大矢正

    ○大矢正君 私の調べておる内容によりますと、三十年度では百六十万円、三十一年度では百七十六万円、三十二年度では百九十二万円、三十三年度では百七十万円、これは法務省本省だけの報償費としてこれだけ出ております。それから諸謝金というのが、これまた本省関係におきまして、三十年度では六百十四万円、三十一年度では九再八十六万円、三十二年度は九百五十一万円、三十三年度が千十四万円、諸謝金というのは、法務省関係において相当大幅な金額になっておりますが、会計検査院は、こういった本省ないしはその他官署を問わず、報償費それから諸謝金についての検査を細密に行なっておるのかどうかということを承わっておきたいのです。
  60. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 細密とおっしゃいますけれども、証明の範囲内で、諸謝金につきましては、だれだれにどういうわけで渡すかという決議書、領収書まで検査をいたします。それから報償費につきましても同様でございます。
  61. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、証憑書類の検査だけをやる。従ってたとえば普通の各省で事業をやった場合には、その事業と証憑書類が適合しておるかどうか、目的と適合しておるかどうかということを調査されるわけですが、法務省の報償費、それから諸謝金については、そういう事実と対照をするという検査の方法はやらないわけですか。
  62. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 事実と対照すると申しましても、一応謝礼金の場合には、どういう講義をしたか、いつやったかというようなこと、またどういう研究をしてもらったかというようなことは、残りますものについては確認いたします。しかし残らないものもございますので、そういう場合には、その予算の目的に使われたということを確認いたしまして、それで検査を終了いたします。
  63. 大矢正

    ○大矢正君 法務省の経理部長に伺います。あなたの立場から、今私が質問いたしました報償費、諸謝金に対する使い道等の内容、それからこれまた質問したと同様に、どういうようにこれが整理をされているのか、こういう点について、もしできれば、たとえば一つの事例を引いて御説明をいただければ幸いだと思います。
  64. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 諸謝金につきましては、外国法令の調査研究、あるいはまた研修におきまする講師の謝金、かようなものに支出せられておるわけであります。報償費につきましては、あまり内容のこまかいことは存じませんが、最近の例におきましては、諫早の刑務所の看守が被告人を護送する際に、被告人が護送途中列車に飛び込み、自殺をはかった。それを助けるためにみずからも列車の前に飛び込んで、遂に救助することができずに、ともに轢死したという事件がございます。かような行為に対する賞恤金、また検察庁関係におきましては、犯人逮捕の際、特別の危険をおかして逮捕したというような場合の賞恤金、また犯罪の捜査につきましては、犯罪捜査に非常に有効な証拠関係等についての情報の提供者に対する実費の償還というようなものに支出されておる、かように承知しております。
  65. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、諸謝金の中には、たとえば今あなたが申しておるような情報提供者に対する金額というものは緒謝金の中に見積っておるのですか。
  66. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 今の諸謝金の中には、さようなものは見積らずに、ただいまの賞恤金ないしは情報提供者に対して支出するのは、報償費から支出されております。
  67. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、報償の額によりまして、非常に多額なものもあるでありましょうし、それから小金額のものもあるのではないかと思うのですが、その最高と最低のいわば情報提供に対する報償の費用の金額の幅はどの程度のものですか。
  68. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 特にその基準ということについては、私承知しておりません。自分の支出の経験では、二、三千円ないし二、三万円ではなかったかと思うのでございます。詳細はただいま記憶しておりません。
  69. 大矢正

    ○大矢正君 あなたは本省の経理部長さんでしょう。本省ではあなたの承認を経ないで金がどんどん出ていくわけですか。それとも、私は官庁のことはよくわかりません。民間出身ですから官庁のことはよくわかりませんので、この際、非常にいいことを承わったので、参考のために聞いておきたいのですが、そうすると、部長さんの方にはそういうものは一切来ないわけですか。
  70. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 支出官といたしまして、支出の認証、並びに支出行為を担当いたしております。私、数字を覚えるのが、どうも申しわけないのでございますが、金額を、数がたくさんございますので、どうも数字の覚えが非常にへたでございまして、はなはだ申しわけありませんが、今記憶しておりませんので、その点まことに申しわけございません。
  71. 大矢正

    ○大矢正君 これは一年間に、関係官署がたくさんありますが、本省関係で特に予算上見積られているところのいわば報償製、三十二年度は百七十万円、三十一年が百七十五万円ですが、これだけの中でけっこうですが、具体的な地方官署まで調べろということは申しませんが、これだけで大体件数はどれくらいあるのですか。情報を提供してくれたとか何かによって礼金を差し上げる金額は、なかなか覚えていらっしゃらないのか、言いずらいから言わないのかわかりませんが、はっきりさしていただけませんので、件数は一体どれくらいあるのですか。
  72. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 申しわけございませんが、件数も記憶しておりません。
  73. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、予算上の問題として、報償費というものや、それから諸謝金は大したことがないと思うのですが、報償金等で年間予算が、実際に実行してみた場合に余る場合も往々にあるのではないかと思うのですが、今まで諸謝金というものが現実的に予算上余ったというようなことがありますか。
  74. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 大体本省経理で、それぞれの所管の部局で経理しておりまして、私、昨年の九月から経理部長になりまして、三十二年度の過般の決算をみたわけでございますが、三十二年度はそれぞれ余らなかった、かように相なっております。
  75. 大矢正

    ○大矢正君 公安調査庁の方を私調べてみたら、三十三年度予算では諸謝金が二十万円、それから三十二年度では十七万円、三十一年度は十四万円、三十年度も同じく十四万円でございますけれども、この諸謝金というものは非常に少いわけですが、私が聞いているところによると、公安調査庁なんかの情報の入手というものは、ほとんど報償を払って情報を提供してもらうということが多いという話をかねがね承わっておるのですが、年間の予算が二十万とか、ひどいときは十四万くらいしがなくて、どういうわけで報償費を払えるのか。これは本省の場合は、さっき言ったように百何十万という金額で出てきたのですが、公安調査庁は今言ったように十七万から二十万、この程度でどうして報償費を払えるのか。一件二万円のやつが十件あったら、もうなくなっちゃうわけです。特に公安調査庁なんというものは、共産党を唯一の対象にしてやっておられるのですから、相当これは大幅に報償金を張りこまないと、情報なんかなかなか来ないと思うのですが、こんなものでどうして間に合うのですか。
  76. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 公安調査庁の情報提供のお礼と申しますか、これは調査活動費から支出されるものと考えております。なお、本質の諸謝金が公安調査庁と比較して非常に多額になっておりますのは、これは法制審議会の委員に対する謝礼とか、そういう立法関係の謝礼等が相当多額に上っておりますので、本省関係が公安調査庁の諸謝金と比べて多額になっているのは、さような理由によるものでございます。
  77. 大矢正

    ○大矢正君 本省関係の調査活動費というものは、昭和三十一年度には三百三十七万円、三十二年度は二百五十万円あるわけですが、……これはあなた何も首をかしげることはない、予算によって調べたのですから。そうすると、みな公安調査庁にいくわけですね。
  78. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 本省の方の調査活動費は、法務本省の関係で支払われます。
  79. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、公安調査庁は別に調査活動費というものがあるわけですか。あるとすれば、一体予算はどれくらいあるのか。
  80. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 公安調査庁関係では、昭和三十三年度予算におきまして、四億の調査活動費が認められております。
  81. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、調査活動費というものと、それから報償費というものと、それから諸謝金というものとの区分ですが、このような区分というのは、一体これはどういうふうにしてやるのですか。わからなくならないですか、結果としては。  それからもう一つ承わっておきますが、公安調査庁にあるところの団体等調査旅費というのが、あなたのおっしゃられる調査活動費になるわけですか。たとえば三十一年度の、今やっております関係の内容では、五千百六十二万円というものがありますが、三十三年度では五千再五十九万円、大して違いはありませんが、この団体等調査旅費という内容が、あなたの言われる通りに、他の本省その他では報償費として使われる内容なんですか。
  82. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) ちょっと今御質問の御趣旨がわかりませんで、恐れ入りますがもう一度……。
  83. 大矢正

    ○大矢正君 団体等調査旅費という項目があって、それには、三十一年度の今審議をしている関係の中では五千百六十二万円と、それから三十三年度、いわばことしの予算では五千百五十九万円と、こういうものが計上されております。そうすると、こういうものが、他の本省その他でいうところの報償費というものに合うことになるのですか。それとも、旅費という名前がついているのですから、これは汽車に乗って出かけるということになるのですが、そういうものも含んでいるということになるのですか。一体この費用の内容というものは、どういう内容によって構成されているのかということなんです。
  84. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 公安調査庁の組織の中の団体等調査旅費と申しますのは、一般調査に出ます等の旅費、調査活動費は、破壊活動防止法第二十七条等に基く調査に要する経費、かようになっておるわけでございます。
  85. 大矢正

    ○大矢正君 その調査の内容ですが、みずから出かけていく調査もあるでしょうし、それから、他から情報を提供してもらうという調査もあるのでしょうが、そのいずれの場合も、この予算の中で消化をされるということになるわけですか。
  86. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 公安調査庁の職員が出かけます場合は、調査旅費で出かけることに相なろうかと思います。
  87. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、三十三年度では五千百五十九万円という団体の旅費の金が、いわばその調査をする旅費に使われるということなんですか、結果としては。
  88. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 調査庁の職員が調査に参ります旅費ということに相なります。
  89. 大矢正

    ○大矢正君 会計検査院にお尋ねしますが、この団体等調査旅費などというような五千百五十九万、金額としては非常に多いのでありますが、こういうようなものも、具体的に検査の対象として検査をしておられるのですか。
  90. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 検査は一応いたしております。しかし、その内容について、どこまでどういうあれで行ったかという内容までは、私どもそこまでは検査いたしておりません。
  91. 大矢正

    ○大矢正君 そういうことはやったことないですか、今まで検査院としては。
  92. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 今まで、その内容についてはやったことございません。
  93. 大矢正

    ○大矢正君 それじゃその書類上の問題しかこれは残らぬわけですからね、たとえば公安調査庁のお役人さんが、どこどこにまで調査に出かけて行ったということで、会計上は整理をして、その金が他に使用されるということも考えられるのじゃないですか。そういうことはないのですか。
  94. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) それは十分考えまして、もしも他に使用されるというようなことがありますときには、そう考えたときには、十分検査いたしますけれども、予算の目的に使われたということを確認いたしまして、検査を終了いたします。
  95. 大矢正

    ○大矢正君 経理部長お尋ねしますが、矯正官署と目されるところの刑務所や少年院の中にも報償費というやつがあって、それでいわば何か情報提供者には金をやるということになるのですが、刑務所や少年院に情報提供なんということはあるのですか。
  96. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 刑務所、少年院では主としまして、先ほど申し上げました、護送途中の危難を顧みず被護送者の身体生命を守ったというような、賞恤金に脈として使用されます。
  97. 大矢正

    ○大矢正君 報償金の金額の内容、たとえば情報提供等について報償をするという、そういう意味における金額の最低は二、三千円くらいであろうというあなたの御答弁がさっきあったのですが、そういう情報提供者に対する謝礼金というものは、全部が証拠となる書類をおつけになっておられるわけですか。
  98. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 全部に証憑書類がついております。
  99. 大矢正

    ○大矢正君 だいぶさっきから一人で質問しておりまするので、この程度のところで私はまあやめたいと思うのですが、どうもこの調べた内容、それから会計検査院の答弁では、私は少くとも、国費が必ずしも予算にのっとった通りに使われていないような気がするのですがね。会計検査院のこの報償費、調査活動費、それから団体等調査旅費、こういうようなものの検査というものは、もっと積極的にやるべき必要性があるのではないかという気がするのですがね。あなたは会計検査院の立場でどう思いますか。
  100. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 私自身の考えはございますけれども、会計検査院として申し上げますことはいかがかと思いますが、結局、その予算の目的が、多少そういうものでございますので、予算の目的に使われていないということがありますれば、とことんまでやらなくちゃなりませんけれども、その目的通りに使われているということが確認できますときには、それでとどめておる次第であります。
  101. 大矢正

    ○大矢正君 あなた盛んに目的通りに使われている、目的通りに使われていると言われるのだが、それがどうも私にはわからないのです。たとえば、あなた方河川改修なら河川改修をやるとか、道路工事なら道路工事をやるならば、これはでき上った実体とそれから証憑書類と合せてみて、予算と三つくっつけてみて、合っていればこれで確実だということになるが、これは事業の実行の内容は全然おわかりにならない、実物と対照していないのだから。対照するということも現実にやっていないのだから、その点どうして予算通り使われているということが言えるのですか。
  102. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) 先ほど法務省の方からおっしゃいましたように、現場に参りますと、一人々々に渡した額がリストになっております。それで大体、どういう——たとえば破防法関係に使われたとかという説明を受けまして、それで予算通りに使われている、こういうふうに確認するわけでございます。
  103. 大矢正

    ○大矢正君 あなたね、あなた方が検査をされる場合に、たとえば一つの事業についてやる場合には、その事業を請け負った請負人までおそらくお調べになって検査の対象とされているんですね。ところが、これはさっきの経理部長のお説によると、最高は二、三万円だというお話だと思いますが、私はそんなものじゃない。まだまだこれは大きな金額が情報提供者にやられていると思うのです。率直に言ってそういう話を往々にして聞くことがあります。もしそうだとすれば、一件について相当多額の金をやる場合に、当然会計検査院としても、相手が果して受領しているかどうか、そしてその効果が上っているかどうかを見きわめなければならぬでしょう。報償費というものの目的、それから情報を提供してくれたということに対する、この目的を達成したかどうかということを確かめない限りにおいては、予算が正しく使用されたかどうかという結論は出てこない。あなたはそれを確かめないで、予算通りに使われていると、こうおっしゃるから、あなたが予算通り使われているとがんばるんだったら、僕は一つその事例を明らかにしてくれ、こう言っているんです。どうですか、私の言い方が間違っていますか。
  104. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) おっしゃる通りだと思いますけれども、どうも、そのとことんまでやりますというと、予算使用に対して何か破壊するようになるのじゃないかというような考えも起りますし、それで予算通りに使われた、おっしゃいますように、内容がどのくらいの効果を上げたかということはわかりません。それはわかりませんけれども、その方向に使われたということを確認しただけにとどめておる次第であります。
  105. 大矢正

    ○大矢正君 法務省というところは、とにかく人間の個々行為や団体の行為が正しかったかどうかということを判断をする、そして判断をよくさせるための省ですから、そういうりっぱな省に、かりに汚職があったり、あるいはまた不正な使用があったり、不当事項があったりするなんということは、私はゆめゆめ考えません。考えませんが、しかし、他の省ではすべてにわたって検査の対象とされているにかかわらず、法務省においては、今私が言った、年間全部を通算すれば、これは相当金額になりますよ。億の金ですよ。億の金が検査の対象にこれはならぬわけですから、会計検査院というのは、一件、二万円から三万円の内容まで調べて徹底的にやるのですから、ところが、あなたの方は総体的には何億になるという金になったって、会計検査院の検査の対象にならないのですから、だからあなたの方は一件しか罪人が出なかった、不当、不正事項がなかったということを言われても、それを克明に調べていったら、どういう結果が出てくるかわかりませんよ。かりに十万円やって情報を提供してもらった、その情報が、実際的には十万円の価値あるものかどうかに対する判断というものは、これは非常に重要なものだと思います。できるなら、そこまで会計検査院が判断すればいいんですけれども、それまでやると、行政上いろいろ問題もあるかと思いますので、それまで私はあえて申し上げはいたしませんけれども、おれのところの不当事項は一件しかないということで、大きな瀕をされることは、私は当らないのじゃないかと思いますし、それから、会計検査院に、これは念を押して言わなければならぬことは、こういうような金額使い方に対する会計検査院としての見識ある考えを発表されても、あえて私は問題にはならないのじゃないかという気がするのです。あなたは、何だか他にいろいろ影響もあるような立場から、そういえ報償費、あるいは、諸謝金等に対する検査の方法を、これからどう改善をしたらよろしいかということについての見解をお述べになっておりませんけれども、私はそういうことじゃいけないと思います。少くとも億以上の金が年間使われるのでありますから、そういうものが事実の上に評価されないで、検査の対象からは結果として単に除外される、単に証憑書類によってのみ検査が終るというようなことは、どうも納得がいきませんので、こういう面においては、会計検査院としても今後十分に御検討をされて善処をされるよう私は望んでおきたいと思います。
  106. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) ただいまのお言葉を十分私ども承わりまして、考えたいと思います。
  107. 相澤重明

    相澤重明君 法務省にお尋ねしますが、この批難事項の三百六十万円のいわゆる損害の問題でありますが、先ほどちょっと聞き落したんですが、これは回収はどうなっておりますか。これは会計検査院に先に、両方一つお答え願いたいと思うんです。
  108. 保岡豊

    説明員(保岡豊君) まだ全然回収されておらない部分でございます。
  109. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) いまだ補填にはなっておらないのでございます。
  110. 相澤重明

    相澤重明君 この本人は家も何もなく、あるいはどこへ行ったかわからぬのですか。
  111. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) 本人は今刑の執行を受けているわけ、でございます。そうして、今本人の父親と内妻の親がおりますが、生活程度も余裕がございませんので、現在その二親の方で一年に三万円ずつぐらいの割賦で納めていきたい、かように申し出てきているわけであります。しかし、それではずいぶん長い期間になりまするので、われわれといたしましては、一応支払命令の発付を請求しまして、債務名義の確定をしておきまして、かたわら、この年間三万円をもう少し金額を何とか、向うも節約してもらって金額を多くしてもらおうというので、目下話し合い中なんでございます。
  112. 相澤重明

    相澤重明君 それから、いわゆる期間が昭和三十年四月から三十一年十二月までの間ということですから、一年半ですね、約。従って、この間にまあそういう悪いことをしたということですから、ほかに何か財産等を作っておるということは考えられませんか。
  113. 大澤一郎

    政府委員(大澤一郎君) その点も、現地で検察庁が家宅捜索までいたしまして、所持品、あるいはまた銀行預金その他の隠し財産まで調査いたしたのでございますが、さようなものはなかった。まあ捜査の結果、相当本人は酒をたしなんでおりますし、また、この内妻を連れたり、また内妻の家族を連れまして、休暇を利用して全国方々に大名旅行をいたしておりまして、さような費消の事実もはっきりいたしまして、隠匿財産というものはないという認定になったわけでございます。
  114. 相澤重明

    相澤重明君 次に一つ、民事局長お尋ねをしたいと思うんですが、民事訴訟法の九十四条の解釈について一つお尋ねをしたいと思います。
  115. 平賀健太

    政府委員(平賀健太君) これは、民事訴訟におきまして原告と被告の間で訴訟が行われるわけでありますが、その利害の関係を有しますところの第三者が訴訟に参加してくることがあるわけであります。それに対して、原告または被告——当事者の方から異議を述べる。で、参加の拒否が裁判所によって決定されるわけであります。そのために証拠調べをしたり、その他訴訟費用がかかるわけで、その異議が理由があったかなかったかによりまして、訴訟費用の負担を定める。もし異議が理由があればそれは参加人の負担になりますし、異議が理由がなければ、異議を述べたその当事者がその訴訟費用を負担する、そういう趣旨の規定でございます。
  116. 相澤重明

    相澤重明君 今度は民法の九十四条の二項の意思表示について。
  117. 平賀健太

    政府委員(平賀健太君) 九十四条は、いわゆる通謀虚偽表示と言っておるものでありますが、例をあげて申し上げますと、甲乙二人がおりまして、甲が持っておる不動産を乙に譲渡する意思なきにかかわらず、 あたかも譲渡したかのように仮装をいたしまして、売買契約書を作って、さらに登記を申請しまして所有権の移転登記をする、実は虚偽の売買であります。そういう場合に、その売買は無効だということが第一項に言ってあるわけであります。  それから第二項では、今度丙というのがありまして、登記簿を見ると乙の名義になっているし、まさしく乙が甲から買い受けたんだろうと信じまして、丙が乙からその不動産を買い受けます。そういう場合には、甲は実は仮装売買で乙に売ったんで、乙の所有でなかったんだということを主張できない。丙は所有権を収得する。そういうことが第二項で言ってあるわけであります。
  118. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  119. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記始めて。
  120. 相澤重明

    相澤重明君 同じく民法の九十五条の解釈について。
  121. 平賀健太

    政府委員(平賀健太君) たとえば、今申しました売買を例にとりまして、目的物に関しまして重大な錯誤がある、そういう場合に、その意思表示は無効だ、その売買は無効だ、例をあげてみますと、変な例で恐縮でございますが、不動産の売買、不動産というので、たとえば買い主の方は土地のつもりでおったのが、売り主の方は建物のつもりでおったと、それで土地を買うつもりで実は実物は建物であったというような場合、これは法律行為の要素に錯誤があるというので、その売買は無効だ、非常に極端な例でありますが、一例をあげますと、そういうことを九十五条で言っておるわけであります。
  122. 相澤重明

    相澤重明君 そこで今の解釈を、説明を求めましたから、次に具体的な事例で、私はこれから御質問をいたしたいと思うのであります。まあ法務次官も出ておりますから、初めての問題でありますが、昭和三十年の二月の十日に、小田原検察庁における取調べ等の問題についてお伺いをしたいわけでありますが、これは少しもとの話をしないと、ちょっと理解がなかなかいただけないと思う。小田原から真鶴に至る海の、いわゆる漁場の権利の問題、ここには米神とか、あるいは真鶴とか小田原とか、五つばかりの漁場があるわけです。この漁場は、もとをただせば慶応年間にこの住民が実は漁場を開いたわけです。ところがその後いろいろな、いわゆる漁民の諸君は非常に貧困でありますから、そこに資本家が介入をして、何回かこの漁場の経営というものは変ってきたわけです。しかし河三十戸からあるこの米神という一つの漁場の人たちは、その商売をしなければ食っていかれない。これは確かに法務次官も東海道線を乗ってみりゃわかるけれども、あそこは片側が海であって片側が山である。夏、山だから石の上へ若干ミカンを作るくらいのことはできるけれども、ほとんどが海でもって働いておる。こういう問題について、実はこれは農林の先輩の東先生もここにおるんですが、もちろん農林省との関係もあるのです。あるんですが、昭和二十二年四月二十二日に漁業協同組合のいわゆる法に基いた設立をしたわけです、漁民の諸君がですね。そこで先ほどの御答弁を伺いました意思表示の問題になってくるわけでありますが、当時和洋株式会社というのが漁民の諸君との話し合いのうちに、実は当時は漁業権を一応持っておったけれども、戦後の混乱期には漁民諸君は、実際会社でもうけられてばかりおっては困ると、こういうので。いわゆる祖先伝来、慶応年間から自分たちの祖先がずっとやってきた漁場あるいはこの漁業権というものを返してもらいたい、こういうことで話をしたわけです。しかもその部落の百三十戸の人が、全部が一緒になって漁業組合というものの創立をした。ところがこれに対してなかなか経営者の諸君——まあ政治の悪さというか、政治家の中に介入をして、そうしてなかなか返そうとしない。そこでいろいろ問題が当時出たわけです。今までの中に、地方裁判所、高等裁判所、最高裁、いろいろ事例が出ております。特に一番身近な判決が出ておるのは、昭和三十一年の六月二十九日に公布をしておる昭和三十一年六月二十九日の判決があります。その判決は最高裁の第二法廷で、裁判長裁判官栗山茂、裁判官小谷勝重、裁判官藤田八郎、裁判官谷村唯一郎、裁判官池田克、こういうふうに出ておるのがあります。ありますが、この間における、私はいろいろなずっと裁判記録も読ましてもらったし、あるいは検察庁の取調べの内容も実は見たわけです。その一つを今民事局長に私はこれから申し上げて、あなたの御答弁をいただきたいと思うのでありますが、たとえば昭和三十年の二月十日に小田原検察庁から呼び出しを受けた鈴木信吉、長野啓太郎の、いわゆる漁業組合の代表者、この漁業組合の代表者に対して今まで告訴をしておったのを、小田原の検察庁では取り下げたらどうかと、こういうようなことを、まあ指摘をしてるわけです。そこで漁民の諸君は、自分たち幹部だけ——鈴木信吉というのは組合長ですね。ただ単に私に言われたって因るから、漁民の皆さんと相談をしましょう、こういうことでこの役員会議に諮ったところが、役員会議でそういうことはいかぬ、そんな勝手に実情も調べないで、そしてわれわれの生活権というものを権力や資本力で奪ってしまうというようなことでは困る、われわれはほかに生きていきようがない、あそこで、祖先伝来からある漁場で働くよりほかに方法がないのだ、こういうことで満場一致で——取り下げをしろという検察庁の意向に対して反対をしたのです。それに関係していろいろの形のものが、反対の方から告発が出たとかあるいはこちらから告発が出たとか、こういうような問題が出たのです。そこで私は一体検察庁としては、取扱い方についてどういうふうな考え方を持つかということが、まず第一に疑問になるわけです。私はしろうとだからよくわからないが、一つ法務省としてこの検察事項というものを、国民の生命財産を守るという建前において、そして正当なそういう漁民の歴史的な事実あるいは生活権というものを考えた場合に、簡単に取り下げるというようなことが果して今の検察庁の方針、方針ということでもないでしょうが、そういうことがいいことかどうなのか、ちょっとその点を私はお伺いをしたいと思う。それが第一です。  それから先ほどの民法上の問題として考えられることは、確かに契約なりあるいはその当時の状況なりというものによってものの判断はきまりますね。きまるけれども、いわゆるその漁民の人たちの意思をあまり取り入れない方法というものによって、そして一つの会社なら会社を作ってしまって、漁場というものを独占をしてしまう、こういうようなことであっては、これは少し法律というものはあまり庶民階級には恩恵が与えられないのではないか、こういうように私どもは考えられるのであるが、一体意思表示という、総会等の決議を施行する場合の、そういうものは一体、法律的な解釈というものはどうなるのか、こういう点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  123. 平賀健太

    政府委員(平賀健太君) どういう事件がありますのか、ただいまのお話で私十分に理解いたしかねますので、正確な御答弁はできないとも思うのでございますが、まず漁業組合でございますか、これはもちろん法人でございますので、漁業組合としての行為はその代表者がやるわけであります。ですからたとえば漁業組合の持っております漁業権を他の会社に譲渡するという場合には、その譲渡の法律行為は、これは漁業組合の代表者が会社の代表者との間においてやるわけであります。ただその漁業組合には規約——法律もあるわけでありますが、規約もあることでありますから、組合の重要な財産の処分については、代表者の一存ではできない場合もあるかと思うのでございますが、あるいは総組合員の同意、そういうことを言っておるものはほとんどないと思いますけれども、総組合員の、たとえば三分の二とかそういう同意が要るとか、そういうような規約の内容になっているかもしれませんが、それだったら、そういう要件を満たして初めてその漁業権の譲渡ということができることになるわけであります。法律的にはそれだけで漁業組合の行為については規制があるわけで、その規制に従って法律行為がなされておれば、その限りにおいてはその法律行為とは適法、有効だということにならざるを得ないのではないか、具体的な事案がどういうものであるか、さらにその漁業組合の規約なんかどういうことになっておったかということを、さらに詳細に私ども承知いたしませんと、的確なことを申し上げることができないように思うのでございます。  それから何か小田原の検察庁におきまして告訴事件があって、その漁業組合から告訴になっておるのについて、その告訴の取り下げを勧告したという、そういうお話のようでございますが、私民事局の方でございまして、そちらの方の所管でございませんので、こちらはちょっと御答弁をいたしかねます。
  124. 相澤重明

    相澤重明君 時間がないので簡単に、あと外務省の方をやって、午後は予算委をここでやらなければならないので時間がないので、私から申し上げておきますが、実はこの事件の起きたのは、昭和二十三年の四月二十二日に漁業協同組合ができたそれ以降の論争の問題なのです。だから、これは片山内閣以降の問題なのですね、古い問題なのです。けれども、もう何回か検察庁なり裁判所なりでいろいろ問題は起きたけれども、一番根本問題は、とにかくその漁民の働く場所をなくするということが一番大きな問題であると、こういうことになる。それで私はきょうは法務省に指摘をしなきゃいけないというのは、小田原でそういう事件が起きて、そして小田原で早くこれを促進してもらおうと思ったところが、なかなかやらない。今度は横浜の地検に持って来たところが、横浜の地検の方でもいろいろな形で延び延びになった、こういうようなことが、これはあとであなたによく調べてもらわなければいかぬのであるが、昭和二十九年七月から昭和三十三年一月下旬まで、この代表の鈴木信吉組合長は検察庁にも何回も足を運んでおるわけです。あるいは呼び出されて事情を聞かれておるわけだ。ところが当時のこの担当は宮藤という検事なのですが、何か書類がないじゃないかと、具体的に小田原の方から横浜の地検の方にはあまり来ていない、こういうようなお話までされておるというのです。ところが、二十二年以降ずっと何回もやっておるわけなのです。これは一体検察庁というのは、何か書類を受理はしておるけれども、書類はどこかへいっちゃったというようなことがあり得るのかどうなのか、こういう点が私としては非常に疑問になったわけです。ですから、きょうはこまかい点まで申し上げると時間がかかりますから、むしろ法務省にこの問題を一つ調査をしてもらいたい。それでつまりその対象になるのは、米神漁場の問題についていわゆるどういう措置がとられておったか、それから相手の会社は相洋株式会社というのです。これらの権利の問題について、一体検察庁とかあるいは裁判所とかいろいろそれぞれの機関でやっていますが、どうも今の私が御指摘をしたような点が非常に疑問の点がある。それから次官には、やはり何といっても国民の生命財産とかあるいは生活権の保障ということを考えなければならないから、できるならば私は租先伝来の漁場というものは漁民にやるべきであると、こう思うのだが、そういう点について次回までに詳しく調査をして、またいずれ決算委員会なり法務委員会なりでお尋ねをしたいと思いますが、きょうは時間がありませんから、そういう点だけを私から申し上げて、調査をして後刻報告をしてもらいたい。こういうような点について法務次官いかがですか。
  125. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 私もよく事情を存じませんので、ここで即答申し上げることはでき得ません。またお話を伺っておりますると、相当長い期間にわたって争っておる問題のようでありますが、よく調査をいたしまして、適当な機会に御報告を申し上げたいと思います。
  126. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、法務省関係の検査報告批難事項第十四号の質疑は、以上をもって一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。     —————————————
  128. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、外務省関係の決算について審議いたします。  質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  129. 東隆

    ○東隆君 外務省の方は批難事項その他ございませんが、しかし私はこれは会計検査院の方でお調べになっておらなのだと、こう思いますが、この点会計検査院の方からお答えを願いたい。
  130. 大沢実

    説明員(大沢実君) 外務省関係の決算も会計検査院が調べてないわけではありませんので、検査いたしております。御承知の通り、外務省は国内には外務本省のほか、横浜と神戸に移住あっせん所がございます。あとは在外公館がございます。そこで検査といたしましては、書面検査は、これは全部国内は毎月、在外公館は三カ月に一回とまとめてそれぞれ計算証明されまして書面検査をいたしております。それから実地検査といたしましては、本省はもちろん、それから横浜、神戸の移住あっせん所は二年に一回程度の実地検査をいたしております。ただ残念ながら在外公館の分は旅費その他の関係上、ただいままでのところでは実地検査に至っておりません。しかしながら書面検査では相当詳細なものを出していただいておりますので、一応の検査はやっております。その検査の結果、特に検査報告として掲げるものはなかった、こういうことであります。
  131. 東隆

    ○東隆君 在外公館のことについては書面検査をされておる。こういうなにですが、支出をした場合の証憑書類ですね、どういうふうなことでそれをお調べになっておりますか。
  132. 大沢実

    説明員(大沢実君) たとえばアメリカの大使館なら大使館で支出しますと、もちろん契約書があるものは契約書、それから向うの業者の受け取り、これは英語であります。そのレシートなり契約書が添付される。それに簡単な英訳を付して計算証明をつけるということになっておりますので、大体何に使ったかということがわかるわけであります。ただおそらく御懸念の点、われわれもまだ十分でないと思っておる点は、そうした契約のものが果して納入されておるか。行為を契約しておるが、その契約通りできておるかということになりますと、現場に行っておりませんので確認できない次第でありますが、ただ在外公館といいますものが、戦前のとは違いまして、非常に貧弱になっておると申しては言葉が悪いかもしれませんが、あまり施設もどんどん施設するという風でもなく、借家に住んでおるという程度でありますので、第一金額として在外公館一館当りの金額にするとあまり大きな金額使用されてない次第であります。
  133. 東隆

    ○東隆君 外務政務次官見えておりますから伺いますが、海外の方の証憑書類を作る場合に、向うの方ではサイン屋というのがあって、そしてそれがサインをすれば、それでもっていいような、そういうようなものがあるということを聞かされておるのですが、もしそういうようなことがありますると、これはなかなか問題になると思うのです。そういう風評、その他をお聞きになりませんか。
  134. 松本瀧藏

    政府委員(松本瀧藏君) 私もたびたび海外に出まして、在外公館等あたりをいろいろと、業務の実績等あたりもいろいろ調べてみましたが、ただいまのサイン屋が専門にいろいろな紙にサインしていいかげんなことをしているということは一度も聞いておりません。
  135. 東隆

    ○東隆君 会計検査院の方でサイン屋であるかないか、そういうようなことをはっきりおわかりになるような方法がございますか。
  136. 大沢実

    説明員(大沢実君) 実ははなはだうかつでありますが、サイン屋という話もただいま初めて伺ったのでありまして、これは別にそうした偽造であろうというような疑いのある証憑書類が出ておるというような報告は聞いておりません。
  137. 東隆

    ○東隆君 これは私は疑うわけじゃございませんけれども、外務省関係については、特に在外公館、その他については、議会も行って調べたことがございませんし、この決算委員会も行ったことがございませんし、それから会計検査院も行っておらんわけです。しかし今のような交通事情のもとにおいては、会計検査院も海外に出て、そして国費がどういうふうに使われておるか、これをはっきりさせる必要があろうと、こういうふうに考えるわけであります。議院もまた当決算委員会なんかはそういうようなことをやるのが国民に対するところの方法でないだろうか、こういうふうに考えておりますが、委員長はどういうふうにお考えでしょうか。
  138. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいま東委員からのお尋ねでございまするが、私も在外公館の支出状況については、当委員会は、いろいろの意味において詳細に検討を加えるべきだと思っております。  今の東委員の御質疑に関連いたしまして、私から伺いたいことは、在外公館のすべてに対しまして、約四十億の金が使われている。この四十億の金の使い方を調べますというと、大体において人件費、事務費、庁舎の費用というようなものがほとんど三十億くらいになっておるやに見受けます。そうすると、私が質問申し上げるのは、在外公館が在外公館としての活動をされる面においての金の使い方がきわめて少いのではないかという感じを受けるわけであります。私は昨年十四カ国を回りまして、在外公館の各地の実態も見、いろいろお世話になりましたが、各国の公館のあり方と日本の公館のあり方と比較してみまして、まことにその貧弱さと申しますか、活動を十分にすることができないような予算状況にあるのではないかという感じを私は持ったのであります。この点は東委員の御質疑とはあるいは違った意味の質疑になるかもしれませんけれども、こういう点について外務省としてどういうふうにお考えになっているか。四十億の金の使い方のおおよその振り分け、これをまず御説明願って、そして在外公館が十分の外交関係の活動をするのにどれくらいの金が使われているか、こういうことを私は一応伺ってみたいと思います。
  139. 松本瀧藏

    政府委員(松本瀧藏君) ただいま委員長お話の中にもありましたごとく、日本の在外公館の経費等あたりが十分だとは私ども考えないのであります。外国の例と比べてみましても、外務省の予算というものはきわめて貧弱であります。今年も相当増額はしてもらいましたもののまだ全予算の一%にも達していないようなありさまでございます。衆参画院の先生方が海外にお出かけになりますたびごとに、在外公館にお寄りになって、その実情を見て、これではいかん、予算折衝のときには一生懸命お手伝いをするということでいつも言っておるのでありますが、はなはだこれはぐちになるかもしれませんが、選挙区と直接つながりがございませんので、実際の折衝のときにはほとんどどなたもお手伝い願えないのであります。たとえばワシントンにおきまして大使の出張費等がきわめて制約されておる。あるいはフランスの大使の出張費がきわめて制約されておる。さらに英国の大使等の行動範囲が非常に制約されておる、こういったことはすべて予算面から出ておりますので、七十五ドルの旅費を追加してもらいたいあるいは百三十ドルの追加をしてもらいたいというようなことに接しまして、私どもも外務省の一部の仕事をかりまして、これではいかんという気持をいだいておるのでございます。まだ借家住まいをしておるところも多くございます。ほとんど事業費というものがございませんので、人件費とか、こういったものに非常に使われておるのでありますが、外国のそれと比較しましてあまりにも貧弱であるということは私どもひとしく考えておる次第でございます。  なお、細かい点に関しましては、たとえば人件費幾らである、あるいは事務費が幾らであるということは、一つ政府委員にこれを答弁させます。
  140. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 政府委員の御答弁の前につけ加えて申し上げたいことは、アメリカ、英国、フランス、ドイツ等における公館の経費は、概略それぞれどのくらいになっているか。その中の、人件費を抜きまして、純粋の活動資金と申しますか、そういう方面に使われる金は、従来どのくらいになっておったかということをあわせて御説明願います。
  141. 中川進

    説明員(中川進君) ただいま委員長の御指摘の点から先に申し上げますと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、この四館の年間の経費、ただいま幾らになっておりましたか、ちょっと資料を持っておりませんので、後刻資料として提出させていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  142. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私から申し上げますが、アメリカの公館でどのくらい金がかかって、英国の大使館、フランス、ドイツの大使館で一カ年どのくらいの金が使われていたかということはわかりませんか。これは決算委員会で決算審議をやっているのですから、概略でけっこうですから、およそどのくらい、何億とか……。
  143. 中川進

    説明員(中川進君) それでは、在外公館の予算というのは、ただいま委員長から御指摘ありましたように、大体五十億でございます。そのうち四割、大体四割三分から四分くらいというものが御承知の通り人件費でございます。それから一割、一割一分から二分くらいの間になりますか、それが現地補助員給与というようなものでございます。それに先ほどから御指摘の借料等が、これは約四億、三億九千万でございます。それに電信料、これが三億余りでございます。それから先ほどの旅費でございますが、旅費には三通りございまして、任国にあって動き回る旅費、この中には東京へ連絡に帰る旅費もあるわけでございますが、そういう旅費、これが約一億ぐらい、それから赴任帰朝旅費と申しまして、新しく転勤を命ぜられまして、たとえば東京からワシントン大使館へ赴任する、あるいは逆にドイツならドイツから東京に帰ってくる。あるいはジャカルタからイギリスにかわるという赴任帰朝旅費が三億三千万くらいございます。約六%くらいあるわけでございまして、こういうような主な費用を除きましたものが、先ほどから御指摘の事業費と申しますか、活動費のようなものになるのでございまして、非常にわずかでございます。そこで先ほど御指摘の米、英、仏、独の大使館でございますが、非常に大ざっぱなことで数字に間違いがありますれば訂正さしていただくという含みのもとに、ワシントンが大体二億か二億二、三千万見当じゃないかと思います。それからイギリスの方が一億三、四千万程度だと存じます。それからフランスがほぼ一億、それからドイツが八、九千万程度と、大体この程度と思いますが、あるいは、先ほど申し上げましたように、詳細な資料を持っておりませんので、後刻もし何でございましたら資料として提出さしていただきたいと思います。
  144. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それからもう一つ伺いますが、昭和三十一年度の決算について全在外公館総額ひっくるめまして、交際費二億六千万円というようなふうに見受けるのでありますが、今のお話を伺いますと、ロンドンだけですでに一億何千万円とこういうことになりますれば、最近はこの三十一年度のこれから比べまして、非常に数倍ふえておるわけでありますが、それとも私の方のこれは計算違いでありましょうか。
  145. 中川進

    説明員(中川進君) 私がただいま申しましたのは、交際費だけでございませんで、この五十億の全部の経費配分でございます。それで先ほどから申し上げますように、その約四割二、三分ぐらいまでは人件費でございまして、在勤法その他の人件費でございます。交際費自体は御説明通りまさに二億六千万円でございます。そしてこれを八十三ぐらいありますか、公館にまいておるわけでございます。たとえばロンドンでございますと大体七百万円から八百万円程度の年額の交際費を配っております。
  146. 高野一夫

    委員長高野一夫君) あまりに少額なので実は驚いているようなわけであります。今、松本政務次官からお話がありました通りに、どうも私も予算審議のときに何ら審議しなかったのはまことに遺憾でありまするけれども、これはどういうことに影響があるかというと、在外公館にせっかく金をかけてやったところで、十分資料の収集なり情報の収集あるいはそのほかの資料の作成というようなことにどれだけの効果があるかどうかということに非常に影響があると思うので、それでむしろ金を惜しまずに、ある程度十分の活動資金を用意しておいてすることの方が国家的見地からいっていいのじゃないか、私は率直に言ってそう思っておるのであります。たとえば、われわれが参りますと、案内、いわゆる税関等万端のいろいろお世話を願うわけです。これはおそらくまたきょうもガイド役を勤めるのか、あしたもまたかというように、こういうふうに領事あるいは書記官等が考えられるだろうと思う。そうすると、実際日本から行く、国会あるいは官庁から行かれる人の世話は、やはり在外公館でめんどうを見られるのが私は当然の義務だと、それをいやいやながらめんどうをみるという気分を起させるようなことがかりにあるとすれば、これは自分の職務をほったらかして案内なりお世話なりをしなければならない状態に置かれているからであろうと思うわけであります。そうするならば、その辺にやはり人件費をふやして、あるいはその大使館員とか領事館員の人を、そういう面の世話係をふやすということは在外公館として当然じゃないか、こういう点について政務次官に伺いますが、何か御考慮になったことありませんか。
  147. 松本瀧藏

    政府委員(松本瀧藏君) ただいま非常に力強い御意見を委員長から伺いまして、非常に私ども意を強くしておりまするが、どうか、ただいまのような意見が、一分予算審議のときに反映するように今後一つお願いしたいと思うのでありまするが、ほんとうにその通りだと思います。たとえば資料の収集にいたしましても、その経費が足りないために十分できなかったこともございますし、あるいはせっかく議員の先生方がヨーロッパ等あたりお回りになりますときに、三名ぐらいしかいない在外公館もございまして、そこの館員が飛行場に迎えに行きますときに、自動車のガソリン代まで自分のポケットから出さなければならぬ。いろいろな事故が起った場合に、途中もし事故があった場合には、その負担はだれがするかというような、実にわれわれが聞きましても気の毒のような事態がございます。昨年もそうでございましたが、今年も一生懸命に省内力をそろえてやったのでございまするが、大幅にはもちろんまだ予算は増額されませんでした。もし昔の拓務省の関係予算を今の外務省からとったといたしましたならば、インドあるいは中南米の二流国ぐらいの外務省予算しかございませんので、今後も一つますます努力いたしまして、もっと在外公館のメンバーが思う存分、一つ国家のために活躍できるように、予算獲得に専心したいと思うのでございます。予算委員会におきましても、大へん外務省の問題はいろいろな角度から質問がございます。おそらく質問の数からいったならば、量からいったら一番多いのじゃないかと思いますが、予算面からいたしますると、まだ一%にも達していないような事情でございます。いろいろとこうではないかああではないかということを言われまするが、予算が少い。もっととってやろうという方はまだ一人もございませんので、一つ、今後、ほんとうに私真剣にお願いするのでございまするが、御協力下さらんことを切にお願い申し上げたいと思います。
  148. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 最後に、私の希望しておきたいのは、日本が大国であるか小国であるかは別問題といたしまして、日本の公館の人たちが肩身広く活動ができるようなふうに、特に東南アジアについては、岸総理は非常な関心をお持ちでありますが、ああいうような事大思想の盛んに見受けられるところにおける公館のあり方、体裁というようなものについても、目に見えないところに相当の金が要るはずだと思うので、これは決算に関連して、私どもが意外に在外公館の支出が少額であるという点を指摘いたしまして、この点について次年度予算編成に十分御考慮願うように希望を申し上げておきます。
  149. 相澤重明

    相澤重明君 私は松本政務次官に先にお尋ねをしたいのでありますが、今更委員高野委員長からも指摘をされましたが、外務省の在外公館の予算が少いというのは、やはり外国に国会議員等が行った場合に、どうもあまりいい顔をしないのじゃないか。どうも外務省の出先はあまり親切じゃない、こういう話を聞くのがこれはやっぱりそういう問題になってくるのじゃないか。あなたはまたどうも外務省は努力をしているのだがとこういう話があったけれども、そういうことは何かあなたはお感じになったことはありませんか。
  150. 松本瀧藏

    政府委員(松本瀧藏君) 私が奉職いたしまして後のいろいろな事柄でございまするが、両院の先生方ずいぶん海外においでになりまして、パスポートのお世話等もいたしました。便宜供与の一つ電報も打ってくれということでございましたが、全部、一人残らず在外公館にいろいろお世話になったと礼状を書いておられます。そのたびごとにもっと予算をとってやらなくちゃかわいそうだということでございましたが、先ほど申しましたごとく、決してこれは別に意識してやられたのではないと思うのでありまするが、率直に申しますると、選挙区と直接つながりがございませんので、非常にプレッシュアー・グループが少いので、はなはだ外務省としましては大蔵省との折衝のときには不利であるということは事実でございます。
  151. 相澤重明

    相澤重明君 おとといの予備費使用のいわゆる決算委員会におきましても、私から在外公館あるいは外務省のPRの問題について、実は指摘をしたわけです。残念ながら日本のそういう点については、私は各国と比較をしてみてあまりいいとは言い得ないと思う。それはやはり何といっても予算が少い。こういうところに問題の本質があると思うのです。そこで在外公館が十分に活動でき得る態勢をやはり作らなくちゃいけない。こういう点については私も同感です。またそれをやってもらわなければ因る。それから、時間がないからあまり申し上げられませんが、一つこれは基本的な問題ですから、お尋ねを——これは次官ではほんとうはお困りだと思うのですが、よく移動大使あるいは経済界の元老を大使として派遣をする、こういうことは、何か外務省の、今のいわゆる外務の実際のやり方がもの足りない、こういうところでこの移動大使というものを政府が派遣をするのじゃないかという国民的には印象を受けるわけです。こういう問題についてあなたはどういうふうにお考えになっておるか。また外務大臣と相談をして政府にはどうそういう場合にお考えを述べておるのか、この点を一つ先にお尋ねしたいと思います。
  152. 松本瀧藏

    政府委員(松本瀧藏君) 移動大使の人選につきまして、財界、実業界から選んだことがときどき質問の対象になったようであります。巷間伝うるところによりますと、外務省は外部の者をあまり起用しない、こういう風評もあったことは事実であると思うのであります。もっと民間から大使を起用したらいいではないか、民間からもっと公使を起用したらいいではないかというような質問委員会等においてございました。しかし率直に申し上げますると、外務省のたとえば在外公館の任務というものは相当にこれは専門的の仕事でございまして、ただ民間から簡単に人を選ぶというわけにいかないのでございます。もちろん中には人はございます。しかしながらこういう方々はワシントンであるとか、あるいはパリであるとかロンドンであるとか、きわめて制約されたポストしか望まれないのであります。従ってこういうポストにつけたい人を、外務省の方で目をつける方々はなかなか国内の仕事等からいたしまして動かれない、多少そういうこともあったでございましょう。外務大臣の構想といたしまして、一応移動大使として臨時ではあるが、一つ出してみようと、各方面に出しまして確かに成果はあったと思うのであります。これに意を強くいたしまして、今年も一つ移動大使を出したい、これは必ずしも財界の人に限らず、場合によりましたならば、議員の先生の中からも一つ出ていただくようなことが将来起るのではないかということすら、私個人としては考えております。さらに先ほど申しましたごとく、調査あるいは旅費等あたりが非常に制約されておりますので、たとえばアルゼンチンにいますところの大使が、他の国、周囲の国に回るとか、あるいはアメリカの大使がカナダとか、あるいはキューバとか、その他メキシコ、中南米に回るということはなかなか困難なんでございまして、そこで一つ移動大使、ことにその地区に関して多少専門的な知識と関心を持っておるような方に、また第三者の目から見た実情等あたりを一つ報告してもらって、それを基礎にして将来経済外交を推進したいという意図から、この制度を設けられたのでございます。もちろん完全無欠とは申されませんが、しかしながら相当成果がございまして、私どもは将来もこの制度を続けていきたいという気持でおります。
  153. 相澤重明

    相澤重明君 外務次官の今話された考えというのは、若干私は見解を異にするわけです。私はやっぱり在外公館なり、あるいは各国との折衝は外務省を通じてやるべきである、外務省はそのためにやはり若い学校卒業者を年々採用して、長いやはり経験というものを積まなければ私はほんとうの仕事ができない、で、むしろ現在のほんとうの仕事ができないというのは、人が足りなかったり、予算が制約をされたりしておるから、思う存分の働きができないのだと、こういう考えを私は基本的には持つべきだと思う。ただ若干のいわゆる政治的な面で移動大使というものを考えることは、これはあり得るだろう、私もそれは全部やっていけないということを言っておるのではない。けれども少くとも外交の問題のルートを、やはりあっちこっちからやるというようなことは、私は日本の外交としてはとるべき方針ではなかろう。しかもこの移動大使等については、相当のいわゆる金額が必要になってくる。むしろそういうものを私は在外公館に増してやるべきではないかと、こういうような点も考えられる。しかしこれは今議論をする時間がございませんから、私はあなたの御答弁をいただいたけれども、何か実業界とか財界の古ダヌキを外国へ持っていけば、いかにも日本の外交が促進するのだというような考え方は、僕は根本的に誤りだと思う。そんなことならば外務省の専門的な立場というものは必要じゃないじゃないか、こういう国民のやはり疑惑を受けるわけです。ですからむしろ私は自信を持って外務省はそのルートというのは一本化してやっぱり外交というものをやらなければいけない、こういうふうに私は考えているのです。これはいずれそういうことはお話しましょう。  そこで一つ次に、時間がないからお尋ねしますが、海外移住者のいわゆる渡航費の貸付、あるいはそれの償還、こういうものについて検査の結果はございましょうが、一つしぼって私お尋ねをしたいのですが、外務省の在外公館そのものがあなたのおっしゃったように、場合によると、二人か三人のところもある、五人くらいのところもある、こういうことで非常に活動が鈍いために、結局は民間のいわゆる海外移住協会といいますか、あるいはそういうようなところがかなり民間外交としてまあいろいろ問題をやっておるわけです。現にサンパウロのいわゆる海外移住の五十周年記念でも産経時事で取り上げて、いわゆる民間外交促進をしておる、こういうようなことも私は知っております。そこで具体的にお尋ねをしたいのは、海外移住の振興株式会社というのがございますね。これには政府幾ら金を出しておるのか、それからその代表者はだれであるのか、その点をお尋ねをいたします。
  154. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) 会社の資本金は現存十三億でございます。それから米銀から金を借り入れる契約がございまして、そのワクとしては一千五百万ドルのワクがございますが、現在まで借り入れましたものは三百万ドル、これを円貨に直しまして計算いたしますと、両方合せまして二十三億八十万というのが現在の会社の資本金になるわけでございます。それから今年度これは予算の中でなお三百万ドル借り入れることができるようになっております。しかし、これはまあその後の会社の事業の経過を見まして、場合によっては借り入れることになろうかと思いますが、もしそれが加わりますれば、これは約十億が加わることになるわけでございます。会社の首脳部の名前を申しますと、取締役社長が大志摩孫四郎、専務取締役が矢野征記、常務取締役五十手巻三、同じく常務取締役前田克己、そのほか監査役が二名でございます。
  155. 相澤重明

    相澤重明君 私は先ほど言った基本的な問題を申し上げたわけですが、もちろんそれだけでは足りない。また日本の移民ということについては、まあ相当長い歴史を持っておるわけです。しかしここに外務省の歳入歳出という点を考えて参りますと、やはり確かに海外移住のそういう民間の機関というものについても出資をするとか、あるいはできるだけの努力をされるということについては、全面的にいけないということは私は申し上げません。それはやかなければならぬこともあるでしょう。しかし今のお尋ねをしたこの額あるいはその構成等から見ると、何が岸総理大臣の好みのような考えがするわけです。これはあれですか、端的にお尋ねしますが、大志摩社長は岸さんとお友達ですか。
  156. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) 私は岸総理の個人的なことはあまりよく存じませんが、しかしかつて私は前国会におきまして、この会社の問題に関連して御質問が出ましたときに、岸総理がお答えになっておりましたが、脇で伺っておりました。それによりますと、岸総理は、大志摩氏と学生時代からの友人であるということをおっしゃっておられましたから、友人であろうと存じます。
  157. 相澤重明

    相澤重明君 まあ私は個人的な問題についてあまり突っ込みたくございませんが、やはり自分の知っておる人がなにの会社をやっておるから、それに重点的に資金を投入するとか、あるいは知っておらないからそれには冷淡にしていいということにはならぬと思います。海外移住の問題については、先ほど申し上げたように、各新聞社においても相当積極的に努力をしておりますね。そういうような中ですから、むしろ外務省はやっぱり責任態勢というものを確立して、そうして日本の外交については、もうわれわれが一手に引き受けるのだと、それだけの私は自信を持ったところの考え方でなければ、ほんとうに予算もとれない。先ほど委員長が言ったように、できるだけとってやりたいと思っても、外務省の考えが、時のいわゆる頭にのっかった人の考え方だけで左右される、こういうことでは私はやはり日本の外交のほんとうのあり方じゃないんじゃないか、一貫したやはり自信を持った方針というものを私はとるべきだ、そういう中に初めて外務省の予算というものも確立をされるし、在外公館においても信頼ある日本の外交官としての活動ができるんじゃないか、こういう点も思うわけです。この点についてはいずれ機会を見てまた私も御質問をしたいと思うのですが、どうか外務省はそういう立場に立って、一つ自信を持ってこの外交を進めてもらいたい、こう思うのです。その点について次官お答えをいただきたいとともに、先ほど東委員から指摘された、たとえばこの際、両院の決算委員会において、在外公館についてはできるだけやりたいと思うけれども、また反面この国費という問題から見れば、決算上の処理もしなければならぬ、こういうことについて会計検査院なり決算委員会なり、そういうものに一度公館の実情というものを検査してもらう考え方があるかどうか、この点についても一つお答えをいただきたいと思うのです。
  158. 松本瀧藏

    政府委員(松本瀧藏君) ただいまの先生のお説は非常に尊重すべき点が多多あったと思います。私どもも意見を全く一にしております。先ほど外務者の役人にもっと専門的に外交をやらしたらいいではないかというお話がございましたが、その通りだと思います。ただ足りないところをもちろん補足的に、財界あるいは国会筋等あたりから補足的にお手伝い願うということは、もちろんこれは排すべきではないと思いますが、やはり外交はオーソドックスなやはり外務省外交にしなくちゃいかぬということは私ども強く考えておりますのと同時に、先ほどのお説に対して非常に私ども意を強くいたします。  さらに在外公館の費用の点でございまするが、昨年までの予算考えてみますると、〇・七%に——一%以下でございます、〇・七%に達しないほどのものであったのでございますが、ことしは少し上回りましたが、まだ一%に達しておりません。せめてイタリア並みの一・七%くらいまで、もしわれわれが予算を確保することができれば、移住政策あたりにつきましてももっと積極的にわれわれは施策遂行ができるのではないかと思いますので、これもあわせて一つ今後とも先生の御協力を願いたいと、こう考えます。
  159. 相澤重明

    相澤重明君 今の決算の問題はどうなんですか。
  160. 中川進

    説明員(中川進君) ただいま御指摘の在外公館の会計検査院もしくは国会御当同者の実地検査というものは、私どもといたしましても実はかねがね希望しておるのでございまして、御承知のようにいろいろ会計検査院法上の手続が——はっきりざっくばらんに申し上げまして、それは大体におきまして、少くとも五十人や百人いる役所を単位にしましてやっております、多いところは何千人。しかし先ほど申し上げましたように、少いところは二人しかいないところの公館もあります。三人の公館になりますと、まだ十幾つございます。そういうことでございまして、とてもちょっと、言葉は悪うございますが、ちょっと正確に内地の官庁並みにいろいろな証明手続をやるということはかなりな負担になるわけでございまして、そのために本来の外交活動がともすれば鈍るというようなことがあっては困るというので、その特殊事情を会計検査院御当局には口頭で十分に説明はしておるのでございますが、しかし何と申しましても、やはりその検査をなさる検査院当局の方が直接そういう人の少い、それから言葉もそう言っちゃあれでありますが、通じない国へ行っていただきまして、証明上いかにしたらこれを合理的に、しかも報告の、規定するジャステスを実現するためにはどういう手を打っていただいたらいいかということを見ていただきたい。さらにこの法律を御審議いただきます国会の代表の方が、ぜひ一つお忙しい中でございますが、在外公館の経理というものは実情はこうなんだ、ここにボトルネックがある、こういうように直せばいいというようなところを、私どものいろいろな御説明のみならず、実地に一つごらんいただきまして、そして御指導いただけば、私どもとしては非常にありがたい、こう思っておるわけでございます。ただ、今まで残念ながら、会計検査院当局でも大蔵省等に対して海外出張旅費を、この点に関して御要求になったとか、正式に御要求にならないまでも御希望があったということを漏れ承わっておりますが、ついておりませんので、私どもといたしましても、しかしそうかといって放ってもおけませんから、大体年によりましては、出ない年もありますが、大体二回ないし三回平均いたしまして査察使というものが出ております。いわゆる検非違使でございますが、この大きな偉い人に私どもの会計の専門屋を必らずつけまして、そしてこれが全世界の八十有余の公館のすみずみまで回りまして、帳簿の末から備品の端に至りますまで、全部現場で点検して参りまして、書類その他で報告しておることが果して間違っておるかおらないかということをしさいに調べました上で、帰って本省の上司に報告しておるわけであります。ただまあ何と申しましても、査察使の予算関係その他で、一カ所三日ないし四日泊れればいい方でありまして、その間会計の今申しました検査をする者は、ほんとうにもう気の毒なよう——私自身も実は受けた方でございますが、夜も寝ないくらいで、ほかの方はいろいろ政談、大きな話でありますとか、経済問題でありますとかというようなお話をしておられますが、会計の係官はほんとうにこまかい、あのテーブルはどこで買ったか、幾らなんだというようなことをずっとやって調べておりますので、今までのところは私どもといたしましては、大過なくやっておると、こう思っております。
  161. 仲原善一

    ○仲原善一君 時間がございませんので、簡単にお伺いいたしたいと思いますが、問題は、先ほど相澤委員からお尋ねになりました海外移住の問題でございます。これは先ほどの御答弁によりますと、まあ世銀でございますが千五百万ドルの契約がある。そのうち現在出ておるのは三百ドルでございますが、残りの金額は要求によっていつでも借り入れる態勢にあるのかどうか、特にことしは三百万ドルは今後の状態によって借り入れる可能性があるというようなお話しでございましたが、残りの部分についてはどういうことになっておるのかどうかということと、それからその次は、移民の関係で農業者以外の移民と、それから農業者に分けて、大体どういう比率のお世話をしておられるのかということですね、それからお世話になっている金融の問題ですね、金融はどういうふうなやり繰りでおやりになっておるのか、この点をお伺いします。
  162. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) ただいま御質問の千五百万ドルの件でありますが、これは理論上は日本が要求すれば借りられると思いますが、しかし借りますれば、もちろん金利も払わなければなりませんし、また元利の支払いの政府が保証いたすことになっておりますので、結局予算の面におきましてそれが認められておりませんと、今年度たとえば三百万ドル以上借りるということは、私どもとしては一応行政官の立場としては、これはできない、こういうふうに考えております。  それから第二の移住者の内訳でございますが、これは正確に申しますと、われわれがほんとうにキャッチできますのは、渡航費の貸付を行なっている移住者につきましては、まず大体把握できるわけでございますが、いわゆる広い意味の移住になりますと、御承知のごとく現地でいろいろになって、あるいは親類等の縁によりまして、呼び寄せの形で移住しておる者の数が相当ございます。まあ数から申しますと、実はこれを移住といっていいかどうか存じませんが、いわゆる花嫁の形で海外に出ておる者の数が依然として相当な数に上っておりますから、広い意味の移住者ということで、その内訳がどうかということは、ちょっと私今正確に申し上げかねます。しかしごく普通の意味で移住者という場合には、まず九五%までは農業移住者とお考えいただいて間違いなかろうかと存じます。  それから融資の問題でございますが、現在まで会社が使いました金の一番大きいのは移住地の買い入れでございます。これが四件ございまして二億六千二百万円、それから短期労務者でアメリカへ参りました派米労務者の旅費の貸し付けをいたしておりますが、これが一償二千六百万、それから農業関係のいろいろの団体あるいは個人に対する貸し付けが二億七千三百万、それから工業関係で四千五百万、漁業関係三千八百万、それから企業投資の形のものがほかに一億二千六百万ございます。なお、現地法人を設立いたしておりまして、それの出資といたしまして六千三百万というのがございます。大体以上でございます。
  163. 仲原善一

    ○仲原善一君 移住問題は国策としても非常に大切な問題だろうと考えておりますが、農林水産の部会でもずいぶんこの問題を取り上げて研究しておるようでございますが、特に農業移民についての金融の問題、今の額をお伺いしますと、非常にわずかなようでございますが、それに対する何と申しますか、金融の条件ですね、期間であるとか期日であるとか、そういうものは現況はどうなっておりますか。
  164. 内田藤雄

    政府委員(内田藤雄君) これは実は私ども自身もしばしば農林水産委員会に呼ばれまして、だいぶいわゆるつるし上げをされたのでありますが、実際われわれ自身といたしましても、従来農業関係の融資が非常に進んでいないということにつきましては、会社に対しましてもたびたび注意を喚起いたしております。ただ従来のいきさつを申し上げますと、会社ができまして以来日も浅いことでございましたので、そういう基準につきまして確固たる政策がなかったということにつきましては、われわれ自身も責任を感じております。それで特に問題になりますのは、今ブラジルが特にそうでございますが、インフレが非常な勢いで進行しておりまして、現地の通貨にかえて貸しますと、また借りる方でいいますれば、当然現地通貨建てでなければ困るわけでありますが、みすみす為替差損が必ず起るということがはっきり予測される事態であるわけでございます。そういった関係で長期の融資というものに対しましては、やはり財政当局の立場からしますと、みすみす外貨の価値を減らしてしまうということになりますので、そういった関係もありまして、従来非常に臆病な態度で臨んでおったということもございまして、非常に貸し出しなどが進展しておりませんでした。それで条件なども据え置き三年、それから六年返還でございます。そうして金利が八分というようなことに従来はなっておりましたので、これでは国内の常識から見ましても、農業融資としてはとうてい妥当なものとはいえないわけでございます。で、最近この問題につきましては幸い大蔵省の方とも現在話し合いが進んでおりますが、ほぼ国内の農業金融と大体同じ程度の条件にしようということで基本的には最近見解が一致しておりますので、今後はこの点もよほど進行するんではないかということを期待しておるわけでございます。
  165. 仲原善一

    ○仲原善一君 この問題についてはずいぶんお伺いしたいことがたくさんございますけれども、時間の関係できょうは一切取りやめます。ただいまお話通りに金融の条件についても相当八分といえば非常に高い利子でございます。期間にしても三年据え置き六年というのも非常に短期間でございますので、こういう金融のベースではとても農業移民なんということはおぼつかないことでございますので、そういう点はとくと御考慮を願いたいと思います。幸い大蔵省ともお話し合いが進んでおるようでございますので、その点も十分御考慮の上で善処していただきたい、いずれも機会を見てこの問題についてはとくとお尋ねいたしたいと思います。
  166. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、以上をもって外務省関係の決算質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。
  168. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、継続調査についてお諮りいたします。  国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査は、従来より調査して参りましたが、諸般の事情を勘案いたしまして、本院規則第五十三条により継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  なお、要求書の内容及びその手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後一時四十六分散会