運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-04 第28回国会 参議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月四日(金曜日)    午後二時五十三分開会     —————————————   委員の異動 本日委員石井桂辞任につき、その補 欠として井上清一君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            仲原 善一君            平島 敏夫君            大矢  正君    委員            井上 清一君            稲浦 鹿藏君            大谷 贇雄君            勝俣  稔君            手島  榮君            永野  護君            西岡 ハル君            増原 惠吉君            松村 秀逸君            武藤 常介君            大倉 精一君            岡  三郎君            鈴木  壽君            相馬 助治君            後藤 文夫君            常岡 一郎君            大竹平八郎君            岩間 正男君   国務大臣    国 務 大 臣 津島 壽一君   政府委員    内閣参事官兼内    調総理大臣官房    会計課長    吉兼 三郎君    警察庁長官官房    会計課長    後藤田正晴君    北海道開発政務    次官      福井 順一君    北海道開発庁総    務監理官    中平 栄利君    自治政務次官  中島 茂喜君    自治庁長官官房    会計参事官   松島 五郎君    防衛庁経理局長 山下 武利君    法務政務次官  横川 信夫君    法務大臣官房経    理部長     大沢 一郎君    大蔵政務次官  白井  勇君    大蔵大臣官房会    計課長     牧野 誠一君    日本専売公社監    理官      村上孝太郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳沢 英蔵君    大蔵省管財局長 賀屋 正雄君    文部政務次官  臼井 莊一君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    厚生政務次官  米田 吉盛君    厚生大臣官房会    計課長     山本 正淑君    農林政務次官  瀬戸山三男君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林大臣官房経    理厚生課長   丸山 幸一君    通商産業政務次    官       白浜 仁吉君    運輸政務次官  木村 俊夫君    運輸大臣官房会    計課長     佐藤 光夫君    郵政政務次官  最上 英子君    電気通信監理官 松田 英一君    電気通信監理官 岩田 敏男君    郵政省経理局長 西村 尚治君    労働政務次官  二階堂 進君    労働大臣官房会    計課長     松水 正男君    建設政務次官  堀内 一雄君    建設大臣官房会    計課長     南部 哲也君         —————    会計検査院長  加藤  進君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局経理    局主計課長)  上野  宏君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十年度国有財産無償貸付状況  総計算書内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を報告申し上げます。本日付をもって石井桂君が辞任井上清一君が補欠選任されました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算昭和三十年度特別会計歳入歳出決算昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十年度政府関係機関決算書昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十年度国有財産無償貸付状況計算書を議題といたします。  去る三月三十一日をもちまして、各省別質疑は終了したのでありますが、その後委員長理事打合会において相談の結果、審議の締めくくりといたしまして、当委員会としては、ただいま委員各位のお手元に配付してありまするような案文のごとき決議を行いまして、政府反省と自粛を促そうということになったのであります。この警告決議案賛成諸君挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致でございます。よって決算委員会警告決議案全会一致をもって可決せられました。     —————————————
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) これから政府に対して、順次昭和三十年度決算について警告を行うことにいたします。  まず最初に、昭和三十年度決算に関し防衛庁に対し、左の警告を発する。  防衛庁に対しては昭和二十九年度決算に関して当委員会警告を行ったが、昭和三十年度決算に関しても再度警告を発しなければならないことは誠に遺憾に堪えない。   昭和三十年度においては、  1、工事施行に当り処置当を得ないもの 四件  2、物資調達に当り処置当を得ないもの 九件  3、不正行為 三件  の改善されない事項があったが、これ等は直ちに改善対策を講じられなければならない。特に  一、約千億円の尨大な国費を使用する防衛庁として、自主性を堅持して諸計画を策定し、予算有効的使用について特段の考慮を払い、不当不正経理絶滅を期し、不当不正事項責任者に対しては厳正な処罰をもって臨むべきである。  二、会計経理について特に次の諸点につき留意要望する。   1、予算の編成及び執行に当っては、厳密合理的な基礎に立ち、ずさん放漫であってはならない。   2、物資器材調達においては、その時期、数量、規格、価格について、又工事においては設計監督及び検収について周密な検討を行い、一面機構運用及び改善について深甚の考慮を払い善処すべきである。  防衛庁側からの御答弁を願います。
  6. 津島壽一

    国務大臣津島壽一君) 防衛庁予算執行及び経理につきましては、過去の事例にも徴しまして、特に隊員の規律の厳正、また機構粛正経理調達の適正といった点について、非常な努力をして参ったのでございますが、ただいまいただきました当委員会の御警告趣旨につきましては、今後これに沿って最善を尽して是正改善努力を傾倒いたしたいと存ずる次第でございます。何とぞ御了承下さるようにお願いいたします。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、昭和三十年度決算に関し、農林省に対し、左の警告を発する。  農林省に対しては昭和二十九年度決算に関して当委員会警告を行ったが、昭和三十年度決算に関しても再度警告を発しなければならないことは誠に遺憾に堪えない。  昭和三十年度においては  1 経理の紊乱しているもの       一件  2 工事施行に当り処置当を得ないもの       七四件  3 物件管理購入、売渡に当り処置当を得ないもの       四件  4 保険事業運営等について処置当を得ないもの       一九五件  5 補助金経理当を得ないもの      七〇八件  6 不正行為 三件  7 その他 四件  の改善されない事項があったが、これ等は直ちに改善対策を講じられなければならない。特に、  一、農林省決算一般会計及び特別会計を通じ、連年多数、多額不当経理指摘され、改善の跡が十分でない。この事態に鑑み抜本的方途を講ずべきである。殊に経理適正化について自主的反省を深め、是正処置適確迅速に行って国損回復を図り、農林漁業行政全般に亘って適切なる改善具体策を早急樹立実施すべきである。  二、会計経理について特に直轄工事及び代行工事計画及び施行を厳密にし、公共補助事業、殊に災害復旧補助事業について事業費査定及び検査適確にし、その他補助金全般について、資金効率的使用を極力推進し一面事業主体に対する指導監督を徹底すべきである。  これに対して、農林省側の御答弁を願います。
  8. 瀬戸山三男

    政府委員瀬戸山三男君) 農林省関係につきましても、この会計経理についてたびたび御警告をいただきまして、まことに恐縮でございます。ただいま三十年度の決算につきまして御警告を受けるに至ったのでありますが、早急に改善を加えまして、再び警告を受けないように最善努力をいたす所存であります。  なお、特に直轄及び代行工事につきましては、工事を担当する技術職員技術研修自主的監査制度整備代行事業計画及び竣工検査厳正化につきまして意を用いまして、また公共補助事業につきましては、新規災害に対する実地査定励行過年度災害に対する工事着手前の再査定実施災害復旧事業適正実施に対する指導監督強化を行って参ります。その他補助金全般につきましては、補助金交付要件等整備及び監査強化などを行なっておりますものの、なお一そう指導監督強化いたしまして、将来かような警告を受けることのないように最善努力をいたす所存であります。
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、    昭和三十年度決算に関し、日本国有鉄道に対し、左の警告を発する  日本国有鉄道に対しては昭和二十九年度決算に関して、当委員会警告を行ったが、昭和三十年度決算に関しても再度警告を発しなければならないことは誠に遺憾に堪えない。   昭和三十年度においては、  1 工事施行に当り処置当を得ないもの   一五件  2 物件管理購入、売渡に当り処置当を得ないもの      一六件  3 不正行為 一件  4 その他 一件  の改善されない事項があったが、これ等は直ちに改善対策を講じられなければならない。特に年間の収支二千六百億円を越える大公共企業体としてその運営につき反省すべき事項が多い。連年に亘る当委員会及び世論の批判に鑑み、制度及び運営改善が行われつつあるとは言え、なお格段の留意を払い、運輸業務の健全なる使命達成努力すべきである。  殊に予算執行の面において経費節減合理化契約における業者選定価格積算につき明朗公正な態度を厳守上、資金効率的使用を図るべきである。  これに対して国鉄側の御答弁を求めます。
  10. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいまはいろいろと御注意をいただきまして、まことに恐縮にたえません。今後十分御趣旨を体しまして、一そう努力いたしたいと存じます。なお私ども覚悟を申し上げましてお答えといたしたいと存じます。  御承知のように、国鉄は五カ年計画を樹立いたしまして、運輸機関としての重要使命の速成に非常な決心をもって当っているのであります。その運営合理化につきまして、もっぱら意を用いて参ったのでありますが、予算執行の適正及び経費節減合理化等につきまして、特にさらに意を用いまして、一そう努力いたしたいと存じます。また工事施行や資材の購入などの契約に当りましては、業者選定予定価格積算等につきましても、一そう適正化に努めるよう今後十分指導いたしまして、御警告趣旨に沿い、再びこういうことを繰り返さないように覚悟を新たにして当りたいと存じております。  簡単でありますが、決意を述べまして、お答えといたしたいと存じます。
  11. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって昭和三十年度決算につきましては、質疑段階を終局し、これより討論に入ります。  昭和三十年度決算についての本委員会議決内容の案は、先般来、委員長及び理事打合会におきまして打ち合せました結果を取りまとめて、お手元に配付してある通りでございますが、これより専門員に朗読させます。   〔専門員朗読〕   本件審査した結果  一、会計検査院検査確認又は検査完了した決算のうち決算検査報告指摘された不当事項および是正事項については会計検査院と概ね意見を同じくする。  二、決算審査の結果については毎年度内閣警告を発しており、これに対し内閣においても事態改善努力していることは一応認められるが、三十年度においても会計検査院不当事項又は是正事項として報告したものが二、一八五件、批難金額約六十六億円に上っている事実は、内閣のとった改善措置がなお十分でなく、関係者努力が不足していたことを示すものに外ならない。    ここに三十年度決算審査の過程において明らかにされた事実及び決算検査報告指摘事項等に鑑み、内閣に対し次の諸項について警告を与える必要を認める。   (一) 綱紀粛正    綱紀粛正は、歴代内閣が公約として掲げた問題であるが、公務員の不正、不当は依然として跡を絶たず、決算検査報告指摘されたものの外農林省における肥料の買取譲渡不当指示事件油類等不正購入事件、通商産業省における外車の不正輸入事件等があり、各省庁等に対する国民信頼感にも多大の悪影響を及ぼすものと認められる    このような事態の原因は、各省庁等における上司がその地位と職責に鑑み忠実を堅持し、自ら行動を慎しむと共に部下職員指導監督を徹底し過誤を未然に防止することに反省努力を欠くところがあり、一面、会計経理に関する不当事実に対して特にその責任の負担と追求が形式に流れ行政処分厳正執行されていないところにあると認められる。    内閣は速かに不正不当の根絶を期し、適切な対策を実行して国民不信を一掃するに努むべきである。   (二) 自主的統制監督及び監査会計経理の適正を図るため、会計検査院機能にまつことは勿論であるが根本は各省庁等機構内における自主的統制指導監督の確保が先行要件であり、これを補完する内部監査励行も必要である。    これらの制度は逐次形態を整えつつあるとはいえ、実際の成果は未だ不満足なものが多く政府は今後一層これが充実を図り、その機能の活用および成果の発揮に努むべきである。    又政府関係機関及び国が出資し 又は補助金等財政援助をしている公私団体等に対しては素より、その他のいわゆる監督行政の適正な執行に意を用い、財政資金が終極に至るまで適切且つ十分に効用を発揮するよう努むべきである。   (三) 制度及び運営整備改善    1、連年会計検査院指摘する事項には工事、製造及び物件購入につき、計画設計契約相手方選定予定価格積算中間検査及び検収についての不当事態が多い。これらは各省庁に概ね共通なものであるから、内閣として統一的な改善措置を講じ、不当事態根絶を期すべきである。    2、食糧管理特別会計運営健全化滞貨病変米処理促進および農業共済保険特別会計における災害補償制度根本的改正については、二十九年度決算審査の結果に鑑み強く政府警告したところであつて、その後一部法律の改正又は処理方針決定等が行われ、改善への方向にあることは認められるが、これらの措置によって問題は解決したものでなく、更に経費節減運営合理化および災害補償制度の適正な運営についての根本的な改善措置が緊要であって、これが施策について一般努力を払うべきである。    3、国有財産管理運用および処分については問題が多く、世論も厳しく、国会においても論議され、また会計検査院からも指摘されている。     管理運用の適正と処理促進については国民全般の注目するところであるから、いやしくも不信を生ずることがないよう努むべきである。    4、各種補助金     各種補助金経理については逐次改善の跡が認められるが、更に公共事業費補助において事業費査定、及び検査適確にし、一面事業主体に対する指導監督を徹底すべきである。また、災害復旧事業において昭和二十八、九両年発生災害工事に対する補助金で現在にいたるもその予算措置さえ採られていないものが多額に及んでいるが、これは資金効率的使用不当工事発生防止の観点からもその早期交付について特段の努力を払うべきである。又、農林水産関係奨励補助金は毎年百数十億円に上っているが、その種目が多岐零細に過ぎ又は既にその目的を達し補助の意義が薄いものについては再検討し、農林水産業振興本来の目的達成を期すべきである。なお昭和三十年度決算審査を終了するに当り、本委員会は叙上の趣旨に基き、問題の多い防衛庁農林省及び日本国有鉄道に対し特に警告を発してその注意を喚起した。  三、三十年度決算に関し審議した太田川の河川改修に伴う補償金農林中央金庫等の融資に関する件等については更に継続して審議を進めることとする。  四、以上の外、前記決算については格別の異議がない。
  12. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本件につきまして、討論の通告がございますので、順次発言を許します。
  13. 大谷贇雄

    大谷贇雄君 私は自由民主党を代表いたしまして、昭和三十年度の決算四件に対しまして、承認を与えんとするものでございます。しかし、これを承認するに当りまして、ただいまの決議趣旨ども考え合せまして、強く政府要望をいたしたいのであります。  決算に対しまする会計検査院批難事項が近年三千余件に達しておりまするということは、まことに遺憾にたえぬところであります。三十年度の決算におきましては、会計検査院報告によりますると、相当の改善の跡が認められるようであり、また、すでに提出されておりまする三十一年度の決算は、さらに批難件数また金額等も漸次減少をいたしておりまして、従来の非常に悪い状態が幾分なりとも改善されたものといたしまして、私ども政府努力を多といたしておるのであります。しかしながら、それにいたしましても千百余件、金額にいたしまして二十五億円というような膨大な金額でございまして、まことに国民の信をつなぐことのできない次第であります。従いまして、政府当局におきましては、今後とも一そうの努力をいたされまして、不当件数絶滅を期していただきたいということでございます。  そのためには政府当局が、国会あるいはまた会計検査院警告要望を深く実施していきますることはもちろん、さらに真剣に諸般の事項について深く反省を持っていただいて、国民の血税を大事に守っていくという努力、そうしてこういう事態が起りまするというと、国民不信というものはつのっていくのでありまするから、そういう不信の念というものを払拭する、そのことに最大の努力を払っていただかなければならぬと思うのであります。  なお、具体的に申しますると、現在の制度あるいは機構、またはその運営の仕方、業務監督、統括、さらにはこれを助ける内部監査という点につきましても、徹底的な改善を加えていくことが必要であると存ずるのでございます。こうして不当事項発生をなくしていく。なおそれでも不幸にいたしまして、不当事項発生をするというような場合がありまする場合におきましては、できるだけ早くその善後措置を講じて、国損回復をはかっていただかなければならぬのであります。また、不当事項担当者監督者に対しましては、信賞必罰の立場から厳正なる処分をもって臨んで、十分にこの反省の機会を与え、また職員全体の戒告といたすべきものであると考うるのでございます。  要するに、改善の実をあげて、国の財政が合法的に経済的に経理をされ、予算というものが有効適切に使用をされて、この国民諸君が辛苦の結果納めておりまするところの税金が、納税者のために利益と、そうして福祉と幸福をもたらすようにすべきものと考うるのでございます。ことに批難事項の多い各省庁におかれましては、特段の注意をこの際喚起をいたしたいのであります。  以上の要望を付しまして、私はこの決算承認いたすものであります。
  14. 大矢正

    大矢正君 私は社会党を代表いたしまして、ただいま議案になっております昭和三十年度一般会計歳入歳出決算外三件につきまして、承認を与えたいと思います。ただしかし、承認をするに当りましては、次のことを特に強く政府並びに当局に申し上げておきたいと存じます。  それは三十年度の決算内容を見ますと、件数において二千百八十五件、金額において六十六億円の不当事項不正事項指摘をされておりますが、これを二十九年度に比較いたしますと、件数においては六十一件、また金額におきましては七億円の減少を見ておりまして、表面的には大へん政府並びに当局努力によって不当、不正事項が減ったかのような印象を受けるのでありますが、しかし私はこの件については、会計検査院さじかげんや、あるいは重点的な検査方向によりましては、逆にこれが増加を見る危険性がまだあるということを考え合せて見る場合におきましては、二十九年度より三十年度においては、件数において、金額において減少を見たといいまして、手放しに賛意を表するわけには参りません。特にこの際大きな問題として指摘をいたさねばならないことは、歴代内閣決算決算委員会において審議をする段階においては、すでに変っているという実情から、前の内閣、前の政府が行った事項について指摘をされる結果、これはみずからのものでないというような感じがあるのかどうかわかりませんが、一向に内容が充実してこない点については、まことに遺憾とするところであります。特に昨年の三月十二日に三十年度の決算についての説明が行われ、四月五日から質問に入って以来、きょうまで約一年間の間におきましては、農林省の問題、あるいはまた通産省の内容において、あるいは水産庁、特に会計検査院の中におきましても、非常に国民から批判されるべき不正事項が起きまして、多くのひんしゅくを買ったことにつきましては、まことに遺憾とするところであります。  私は、この際防衛庁に一言申し上げてみたいと思うのでありますが、それは各省庁予算獲得について特にたやすく予算を確保できるのは、これは防衛庁であるということが始終言われております。これはもちろん日米関係、あるいはまた安全保障等関係において防衛庁予算をより多く、しかも楽に獲得できるという立場に置かれているのではないかと思うのでありますが、その使途におきましては、近年非常に多く批難事項をあげられているということにつきましては、まことにこれはまた遺憾であります。おそらく私の想定では、予算計画上においての内容が非常にずさんなために、当然批難されるべき事項が起き上ってくるのではないか、それはこの前予算をつける場合に安易に予算をつけ過ぎるきらいがあって、一番件数の多い批難事項を出しているということが出てきておるのではないかと思いまして、この点につきましては、防衛庁に対して厳重に私は申し入れをいたしておきたいと存じます。特に綱紀粛正をめぐり、また機構上の欠陥をめぐりまして、さらには運営上の欠陥等におきまして、今日まで一年間の間決算について論議をいたして参りましたけれども、依然として解明をされず、解決の策がないということにつきましては、これまた遺憾に存じますが、今後三十一年度の決算審議するに当りましては、この点を重点的に取り上げられまして、各省庁態度を明らかにしていただきたいと思います。  特にまた、国外におけるところの予算執行については、検査が不十分であり、国民多額税金が合理的に、しかも効率的に使用されているかどうかというところにつきましては、なお疑わしい部分もあるのでございますが、この面につきましては、しかるべく善処方要望いたしたいと存じます。  以上をもちまして簡単でありますが、私の承認を与えるに当っての、政府並びに当局への厳粛な申し入れといたしたいと存じます。
  15. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 私は縁風会を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十年度決算四件に対しまして、これを承認したいと存ずるのであります。  しかし三十年度の決算におきまして、会計検査院が不当な経理として指摘したものだけでも三千百八十五件、その金額は六十六億円の多額に上っておりまする事実を見ますると、まことに寒心にたえないのであります。なおこのほかにも、当委員会において取り上げられました事案で遺憾に思われるものもあることについて、政府当局の深い注意を喚起したいのであります。これは申すまでもなく、国民の納めた税金でありますから、これが政府の手によって国民のために最も効率的に、また正しく責任をもつて使われなければならぬのであります。それが何十億という金が、会計検査院検査で批難を受けておるという使い方は、まことに遺憾千万であると思います。三十一年度の決算もすでに国会に提出されておりますが、それによりますると、幸いにして三十年度の決算よりも幾らか改善成果が見られるようでありますることは、決算委員の一人として、せめてもの明るい感じを持つのでありまするが、しかしこのくらいな程度の改善ではまことに不十分であると思います。政府当局は今後も真剣に努力をして、批難事項に該当するような事柄の起らないようにしていただきたいと思うのであります。そのためには政府当局が十分な反省をいたすべき点を反省し、正しい経理が行われ、明るい経理が行われるようにする必要があると思います。それには一面制度改善も必要でありましよう。そういう点がありますれば、十分な改善をすみやかに行うように努力をされたいのであります。機構や組織、手続、監督監査の各般にわたって真剣な検討をして、よいことは着々と実行をしていただきたいと思うのであります。そうして、もし不当な、不正な事態が起ったならば、一日も早くこれが善後措置を講じて、国の損をでき得る限り少くする、同時に国民の前に明るい政府の行政の事実を示して、国民の信頼を高めるようにしていただきたいのであります。  なお私は、つけ加えてちょっと申し上げておきたいのでありますが、決算委員会における審議の際に、政府当局が出て御懇切な答弁もあるのでありますが、その際に弁明をしていい事柄は、もう少し勇気をもって弁明をされてもいいのではないかと思います。しかしまた批難事項等に対しては、百方陳弁に努めるということではなくして、改める点はいさぎよく改めるという態度をもって臨まれて、黒白を決算委員会が明らかにするというだけでなく、これに臨まれた政府当局の方もみずから、やはり黒白を自分でさらに明らかにして今後の善処をするというような、公明にしてかつ決然たる態度をもって、予算執行に当るという態度を示してもらいたいと思うのであります。  簡単でありますが、かような希望を述べまして、私はこの案を承認いたしたいと思うのであります。
  16. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計歳入歳出決算外三件につきまして、無所属クラブを代表いたして、これを承認いたしたいと考えるものであります。  しかしながら、この承認に当りまして、政府に対し若干要望いたしたいのであります。私は、前の昭和二十九年度の決算討論の際にも申し上げたのでありますが、三悪追放を叫び、綱紀粛正を掲げておりまする岸内閣といたして、国民の貴重な税収入をもって大部分が充当される国家財政執行状況について、責任をもって当らなければならないことはきわめて当然のことでありますが、それを遂行するためには、岸内閣には何か一つ欠けておるものがあるのではないか。それは、岸首相のたびたびの言明にもかかわらず、綱紀粛正について、確たる信念と、道義心がないということであります。それなくいたしまして、いかなる制度上の改善も、その他の改革も全く意味をなさないのであります。確たる責任遂行の信念の欠除こそ、今なおかくも多い決算上の諸問題を提起させておると言いたいのであります。もちろん従来に比較をいたしまするならば、事態はやや改善せられておる点も事実でございましょう。全く望みなしとは言わないのでありますが、半面、毎年々々多くの批難事項指摘をせられしかもそのうちのある部分は、新聞、雑誌等に報道をせられ、いわゆる汚職事件として納税者たる国民の怒りを買っておるのであります。私は一々事例をあげて事こまかに論ずる気はないのでありますが、百年河清を待つというような状態では、行政機構欠陥や、運営の拙劣さ、当委員会における決算審議の限界等と相待ちまして、問題の解決がますますおくれ、事態改善の道はいよいよ遠しとしなければならないのであります。これでは、せっかく三悪の追放や綱紀粛正国民に誓った政府といたしまして、はなはだ無責任であるのみか、その信を内外に失うことは火を見るよりも明らかであります。この際政府といたしましては、有能練達の行政担当者も数多くあるのでありますし、真に誠意と責任ある政策をもって事に当る信念を強固にされるよう強く要望ずるものであります。  次に、これらに関連する諸問題のうち、別して注意をいたさなければならないのは、これまた常に指摘されておるのでありますが、いわゆる補助金政策の乱脈さであります。この本案の事態を見ましても、農林省補助金の当を得ないものが七百八件もあげられておるのであります。国家施策を重点的に、かつ強力に遂行する必要上よりいたしまして、この政策がしばしばまたとない汚職の温床になるという危険性もあるのであります。農林省のごとき、巨額の年間予算の中でも相当の部分を補助金に占めておる場合は、問題は全く重大であるのであります。先般の当委員会における農林中金のごとく、当委員会で幾ら究明をしてみましても、いまだなお多くの疑問が残されておるということの事実一つだけを見ましても、貴重な税金が一体どこでどのように使用せられておるか、暗然とした気持を起さざるを得ないのであります。衆参両院で約二カ月の審議期間を費やして、慎重に審議された国家財政、すなわち政策の肉付けとなる予算が、終局において行方不明となったり、裏面に疑いを持たざるを得ない結果になったり、国民をして政治不信の声を上げさせているこの事実は、特に問題の多い各種補助金政策について再考を促しておるものと言わなければならないのであります。  さらに、もう一つ強調しておきたいことは、予算内容とその執行について、予算案の審議決算審議との関連性であります。予算案の審議については多くの時日と慎重な質疑応答を繰り返し、全国民の前にその内容を明示して論戦し、やがて通過成立すれば、その執行については政府が直接衝に当るもの、決算は、体裁を整えて国会に提出すれば、それでよいのだという工合に、少し安易に流れておるのではないか、そういう疑いを私は持っておるのでありますが、予算決算は同一行為の開始と終結に相当するものであって、政治的にその不可分性、同一性はあらためて論ずるまでもないのであります。政府といたしましては、その意味において、より全体的な責任体制をはっきりさせて、いたずらに国民不信と怒りを買うような愚を避けるべきであります。また私といたしましても、会計検査院と当委員会だけが執行状況を直接知っておるこの状況を少しでも改善いたしたいと考えるものであります。  いずれにもせよ、今度の三十年度決算承認するに当り、以上の点を強く要望し、かつまた今後の決算審議について、これらの諸点をもっと究明して参りたいと思うのであります。  以上をもちまして、私はこの三十年度決算承認いたすものであります。
  17. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は日本共産党を代表しまして、ただいま発せられましたこの警告決議案の効果を見守るために、この決算案に対しまして、賛成するものであります。それにつきまして、二、三の要望点について、私は付け加えておきたいと思います。  第一に申し上げたいのは、今大竹委員からも話がございましたように、この決算委員会審議はもっと生きた審議でなければならない、この結果については十分にこれは政策面に反映しなけばならないと思うのであります。結局三年前、二年前の問題は過ぎてしまった、当時の責任者もいない、それでこれが承認されたんだから、ほおかぶりだ、こういう態度では、この決算審議の意味というものは、非常にこれは弱くなると思うのであります。従いまして、われわれは幾多の三田事件を追及する、しかしその根底にはあくまでもこれを現実の政治面に大きく取り入れて、そうしてこれによってものを正すという態度でなければならないと思うのでありますが、そのような面が非常に欠けている。われわれがどのような警告を発し、また真剣な討議をしましても、これがこの決算審議が終った瞬間に関係者の頭から消えてしまって、やれやれといったような態度では、実際決算委員会審議そのものが軽視されているという結果になるのでありまして、この点について、ここで具体的な例はあげませんけれども、十分胸に問うて、関係者はこれらの決算委員会のこの審議過程に照して、今後の政策を明らかにしていただきたいと思うのであります。  第二に、私は先ほどからも指摘されましたように、三十年度におきましても、二千件以上の膨大な不当事項指摘されておるのであります。これは世の中で汚職と呼んでおります。この汚職の根源はどこにあるかという問題につきまして、二十九年度の決算討論を今振り返って見ますると、やはり政治の根源を正さなければならない。一方において日本の政治に曲ったものはないのか。ことに、もうアメリカとの関係におきまして、行政協定、安保委員会治下におけるところの日本政治の中には、現実の国民生活とすでに合わないいろいろな食い違いが生じておるのじゃないか、そのような点からなかなか憲法も正しく文字通り守られないというような面で、たとえば自衛隊の問題のごときが発生しておるのであります。そういうことをそのままにしておいて、たとえ綱紀粛正上を叫んだとしても、これは全く本末転倒でないかというふうに私は考えるのであります。従いまして、岸内閣に対しましては、ことにもう三悪追放ということが昨年の、二十九年度決算通りましたあとにおいて、一つの政策として掲げられたのでありますけれども、しかしその具体面におきましては、今の基本的な日本の政治態勢を正すという点において、はなはだ不十分である。こういう態勢でほおかぶりしておっては、これはどうしてもその根源からもろもろの諸悪が発生するという事態を私はなくすことができないと思う。こういう点を論議いたしたのでありますが、今やはり同じようなことを繰り返さなければならないということは、非常に当委員の残念に考えるところであります。われわれはこういう点で予算執行の面において、この日本の根本的な政治態勢との関連を明らかにすべきだと考えます。  第三の問題でありますが、この決算を振り返って見るに当りまして、この予算執行された方が非常にやはり国民大衆の、ことに勤労者大衆、あるいは貧困者というような人たちに恩典が浸透するように行われているかという点について、非常に疑問なきを得なかったのであります。私はこの一年間の長い審議の期間に、一方においては二億、九億というような大きな不正にはあまり鋭いメスも当てられないで過ぎてしまった。それにもかかわらず、一方におきましては、たとえば生活保護者のごときは非常にその後厳格な規格によって律せられております。一日五十四円という、これは野犬狩りの食糧にも足りないような額を与えられている。そうしてこの生活保護の適用を受けている人が非常に多い。ボーターラインを加えたときには一千万をこえるという事態に対して、ますます厳格になり、そうして半面におきまして、非常に大きな資本に対しましては見逃しがなされているということを、つくづく感ぜざるを得ないのでありまして、ここにも日本の政治の根幹を正すべきことが起っているのじゃないか。民主主義政治などと言っても、このような事態が放置されておって、決算がこのような形で行われているということについては、非常に今後われわれとしては反省をし、また関係者に深甚なこれは考慮を促すべきだと思います。  最後に申し上げたいことは、内部監査の問題であります。会計検査院から指摘されましたこの二千件余りの問題というものは、しかし、これは会計検査院の能力、機構関係もありまして、まことに不当事項の何分の一にも過ぎないものであり、この底には膨大な氷山の底が残っているはずだ。この問題を徹底的にやはり追及するという体制が、自粛体制が一体官庁内部にあるのか、こういう点で、われわれはこの審議の過程におきましても、やや詳細に調べて見たのでありますけれども、しかし、どうも非常に内部監査の体制というものはゆるんでいる。そうして馴れ合いが多いという事態があるわけであります。しかも、これを総合的に政府がこれに対して監督をする、指導をするという機構が、この責任の所在が不明確であります。このことも明確になったわけでありまして、これは当委員会の課題としまして、実際の実情を調査し、そうしてこの問題についても、これは一つの課題として今後追及していただくことを私からも委員長要望しておったのでありますが、この点でもっと系統的な、そうして真にそのような内部監査を有効にして、膨大な検査院の目の届かないところに自粛の光を当てるという体制を今後確立するために、検査院、決算委員としては、十全な努力を今後継続しなければならないのじゃないかということを考えるわけであります。  以上の点を述べまして、私の討論を終ります。
  18. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって、討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。まず昭和三十年度一般会計歳入歳出決算昭和三十年度特別会計歳入歳出決算昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十年度政府関係機関決算書を問題に供します。  本案につきましては、お手元に配付いたしました案、すなわち、先ほど池田専門員に朗読せしめました案の通り議決することに賛成諸君挙手を願います。   〔賛成者挙手
  19. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致と認めます。よって昭和三十年度決算は、全会一致をもって配付案の通り議決されました。  次に、昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十年度国有財産無償貸付状況計算書を問題に供します。  本二件につきましては、異議がないと議決することに賛成諸君挙手を願います。   〔賛成者挙手
  20. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって異議がないと議決いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容につきましては、審議中にありましたる各委員の御意見を十分織り込むことといたしまして、また、同規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の内容につきましては、ただいまの本委員会議決内容によりこれを作成することにいたしまして、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、順次御署名を願います。   多数意見者署名     仲原 善一  平島 敏夫     大矢  正  井上 清一     勝俣  稔  手島  榮     永野  護  西岡 ハル     増原 惠吉  稲浦 鹿藏     松村 秀逸  武藤 常介     大谷 贇雄  大倉 精一     岡  三郎  鈴木  壽     相馬 助治  後藤 文夫     大竹平八郎  岩間 正男
  22. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御署名漏れはございませんか。——御署名漏れないものと認めます。  次回は、委員長及び理事打合会において協議の上連絡申し上げます。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時四十三分散会