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政府委員(
竹内壽平君) 昨年の九月十一日の当
委員会におきまして、
調査方の御質疑がございまして、早速
調査をいたしたのでございますが、御答弁申し上げる機会が今日までなかった次第でございます。そのときの問題は、あるいは簡単に書面で御返事を申し上げておったかと思いますが、なお、重ねて申し上げることにいたしたいと思います。
まず第一は、網岡登氏の証言の点でございますが、被告人竹本ほか一名に対する業務上横領被告事件の第四回公判、これは昨年の四月十七日でございます。この公判におきまして網岡証人が岩沢議員のことに関連した
事項の証言をしておるのでございますが、
現地からの
報告のありました点を申し上げますると、自分は、これは網岡証人でございますが、自分は
昭和二十五年以来
太田川
改修工事対策委員会の
委員ををしておるのであるが、
補償金問題が未解決の
状態にあった
昭和二十八年八月ごろから岩沢議員が、
委員会と
建設省当局との間に入ってあっせんの労をとるようになった。
昭和二十九年の五月ごろ中央と交渉をするために
委員数名が上京をいたしまして、同月七日ごろと思われるが、岩沢氏立ち合いのもとに
建設省当局と交渉をいたしました結果、同氏のあっせんによって二億六千六百万円を五ヵ年間に出すということにきまった。そこで
委員の間で岩沢氏その他世話になった人に、
補償金の一割ぐらいは礼に出さぬばならないだろうというようなことを雑談的に話し合ったが、その相手方、日時、
方法、
金額などは
委員長にまかすことになった、というような証言をしております。なお、そのあとの方へきて、これは
報告にはカッコに入れて書いてございますが、網岡証人はのちに一割というのは必要
経費を含めて一割という意味であるというふうに供述を変更しているということがカッコの中に人っておるのでございます。こういう
報告が参っております。それから、御質疑の第二の点でございますが、竹本、高木の両名が共謀の上百五十万円を横領した事実、これは起訴状の第一の事実でございます。これは十一月二十一日付の第一回の起訴状の第一の事実についての御質疑でございましたが、
本件の百五十万円は
昭和三十年四月四日借主大畑春一、保証人高木美之外二名の名義で
広島市信用金庫草津支店から百五十万円を借り受けまして、そのうち百万円を森沢県
会議員に、五十万円を増村市
会議員に贈与したものでございます。同年八月中旬ごろ高木から竹本に、何とか
補償金を流用して返済したいと持ちかけたところ、竹本もこれを了承しまして、同月三十一日
広島市農業協同組合に預金していた
補償金三百万円を担保に、竹本名義で百五十万円を同農協から借り出して、右個人債務の返済に充当したものである、こういうふうな事情になっております。
次は、竹本が単独で百五十万円を横領した事実でございますが、これは
昭和三十一年十一月二十一日付起訴状の第二の事実でございます。
本件の百五十万円は竹本個人が
昭和三十年九月三十日同人が
代表取締役をしている草津食品工業株式会社の北洋物産株式会社その他の取引先に対する
支払手形の
支払いに充当したものでありまして、もっぱら個人的な商取引に流用したものと認められる
金額でございます。
最後に、竹本が支出した個人的見舞金五十万円、これは第二回目の起訴の
昭和三十一年十二月三日付起訴状の別表10の事実でございますが、その個人的見舞金の使途についての御質疑でございました。竹本が
昭和三十年七月四日個人的な見舞金に使ったと称せられる五十万円は、同人が千葉県船橋市の岩沢議員の自宅に持参して、同氏の夫人に対する病気見舞として贈与したものである、というふうに認められる
金額でございます。
これが御質疑にかかる
事項の御
説明になるわけでございますが、先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、
本件は昨年十一月二十七日判決がございまして、ただいまお答え申し上げました検事の認定と若干食い違ったところがございますので、あわせて御
報告申し上げておきたいと思います。
十一月二十一日付の起訴状第一の事実、これは県
会議員、市
会議員にお礼として贈与した百五十万円の分でございます。それと十二月三日付起訴状記載の別表10の事実、五十万円を岩沢夫人に病気見舞として送ったという事実、この二つの事実につきましては、無罪という判決が下っております。その無罪となりました理由につきまして判決は相当詳細に理由を掲げておりますが、これを要しまするのに、
補償金が
決定いたしましたことに関して先ほど申し上げました県
会議員、市
会議員並びに岩沢参議院議員の
方々にあっせんの労をとっていただいたということにつきまして、それに対するお礼として
補償金額の三%の範囲内でお礼を出すことは、
総会において承認せられたものであるという認定をいたしておりまして、判決の言葉をそのまま借りて申しますならば、「このような
補償金額の
決定が陳情、折衝いわゆる政治家の介在等により左右されることの当否、また
補償金が前記のごとき
支払方法であることが、行政措置として当を得たものであるか否かは、これはしばらくおき、被告人らがこれらの人たちに機を見て何らかの
方法により謝礼をすることを考慮したことは、深くとがむべきでないと言わねばならない」、こういうふうに論断をいたしております。従いまして、さらに判決は言っておりますが、「要するにこれらは被告人らが選挙を機会に、病気を機会にそれぞれ従来の右
草津対策委員会に対する尽力に対してその謝礼として送ったもので、運動資金の事実にほかならず、被告人らに不法領得の意思があったものとは認められない」ということで、横領の犯意を否定いたしまして、主文のごとき無罪の判決をいたしております。
以上が
本件の結末の
概要でございます。