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小林孝平君 この問題は、
最初衆議院で問題になりました。その結果、
衆議院の
社会党からの追及で
大蔵大臣が
釈明をされ、
正誤表を
提出されるに至ったわけであります。そこで
政府が
正誤表を
提出し、
大蔵大臣が
釈明をされるに至ったことに関連しまして、
衆議院ではこの
訂正、
政府は
正誤表によって、
修正されたのでありますが、この
修正は
外為特別会計の
歳出入自身に直接
関係するかどうかということに関連して追及され、この点はなお
社会党といたしましては、
衆議院におきましては疑義があるし
関係するという
考え方ではあるけれども、
政府は
関係しないとおっしゃっているから、一応このままにいたしまして、先般のような
措置がとられました。そこで
衆議院においては、もし
関係するなら、
予算案の撤回、再
提出の必要があるとして、この結果を将来に持ち越してあるわけです。ところがわれわれは、
政府のこの
正誤表による
訂正、
修正が、こういうやり方だけでいいのか、これは合法的であるか、あるいは、単なる
法律的の解釈ではいいと許されても、
国会運営の
基本的な
立場から、こういうことが許されるかどうか、こういう問題について、慎重に検討する必要があると思って、今お二人にこれから
質問をいたします。
そこでこの誤
まり——政府によって
修正あるいは
訂正されましたこの誤
まりというものは、当初から
政府はこれでいいと、当初お配りになりました
貸借対照表、この
数字でいいとお
考えになっておやりになったことであることは明らかであります。従ってこれは
正誤という
観念から、ちょっと逸脱しているものだと思うのであります。それはあとから申し上げますが、それで
政府は、ともかく当初はこれで十分検討されて、これは完全なものだと思って
提出されたわけなんです。そこで私は、なぜこういうことを言いますかというと、この
経過を
考えてみても、
政府がこれでいいと
考えたのは、
インドネシアとの
賠償に関する
条約が、まだ
批准されておらないから、
批准されてから、これを
訂正してもいい、
一般会計から繰り入れる
措置をとってもいいし、あるいは
原資を少くするという
措置をとっても、いずれにしましても、ともかく
条約の
批准が済んでないから、これでいいと
考えられたのだろうと思うのであります。
ところが、まずそういう
考え方から、これは
政府はその後
訂正されたのでしょうけれども、
条約の
批准が済まない場合あるいは
法律が通らない場合でも、
予算書にはどんどんこれも、
批准されたもの、
法律が通ったものとして
予算が計上されることは、従来の例でも明らかであるから、これは
政府は訂、正されたのだろうと思うのです。
それからもう
一つは、この焦げつき
債権の棒引きの分六百三十億、これは当初
政府は、
一般会計から
外為特別会計に繰り入れるという
考え方をとっておられたのでありますけれども、これはその後、いろいろ
予算の編成が非常に困難になってきて、財源がないというのでおやめになった、こういう
経過もありましょう。そこで今度は、そういうこともあるものだから、この
条約を
批准されてないというので、このままお出しになったのです。ところがこの際も、このまま出そうというときでも、この
貸借対照表をかえて、
原資を変更して、減額して出すという
考え方も
考えられたのでありましょうけれども、それは別個に
減資処理の
法律案を
国会に提案して、これが通ったら、自然にこちらも解消するというような
考え方に基いて、この表というものはこういう原案の
通り出されたことは明らかであります。そういういろいろの経緯があったから、
財政正誤表で
訂正され、そうして
大蔵大臣も、全く異例の陳謝をされたのだろうと思うのであります。こういうふうに
経過を辿って、明らかにいろいろの検討の末、この
貸借対照表というものは出てきておるわけなんです。
そこで、当初からこういうふうに検討されて、こういうものが出て、
大蔵省のこの
予算書の
付属書類一切のその
原本には、この
訂正前の
数字が載っているわけなんです。そうしてこの
原本の
通りこれができてきた。ところがいよいよ追及されて、これに重大な誤
まりがあるということを発見して、この
数字を直したということは、これは従来の
観念の
正誤とは、おのずと
性格の異なるものであろうと思うのであります。こんなものが
正誤なら、これは大
へんなことになるおそれがあります。何でもかでも
正誤でやる、こういうことになるわけです。それから
正誤の意をちょっと別にいたしましても、これは明らかに
修正であると
考えられたればこそ、
国会法の第五十九条の
規定に基いて「
内閣が、各
議院の
会議又は
委員会において議題となった
議案を
修正し、又は撤回するには、その院の承諾を要する。」こういうことを
政府は
念頭におかれて、あるいは明らかに
念頭におかれなかったかもしれませんけれども、少くとも
潜在意識にそういうものがあったればこそ
大蔵大臣は、この間、これは
速記録を正式に見なければわかりませんけれども、あなたの御
説明を聞きましたら、まことに遺憾であります、誤
まりをいたしました、まことに遺憾であります。ここに
正誤をいたしましたから何とぞ御
了承のほどをお願いいたします。御
了承のほどをお願いいたします。こういうことを言われたのは、正式に院の
許諾を求める
形式をとったものではありませんけれども、その精神にのっとって御
発言になったものだろうと思うのです。また、
愛知官房長官は、この前も指摘しましたように、その後当
委員会において
釈明をされたときも、誤
まりをいたしましたから
修正いたします。
正誤表を出します。二回にわたって
お話になりました。これは明らかに
修正だと思っておるから、一片の良心がおありだから、そういうことをおっしやられたのだろうと思う。そこで私は、これはこの間も申し上げましたように、一ぺん
お話になったら、これは間違いということもあるかもしれませんが、この責任ある
官房長官が二
へんにもわたって
修正をいたします、こういうことをおっしゃったのは、明らかにその
国会法第五十九条の
規定に違反する、こういう
立場から御
発言になったのだろうと思うのです。、だから、当然これは
政府の
立場から言えば、いろいろこれからまた御
釈明になるでありましょうけれども、明らかに何といっても、
修正であり
訂正であります。そうしてさらに、この
正誤とは一体何か、これは
国会の
常識上あるいは世間の
常識上、
正誤というものは、
原本に正しく書いてあったものが
印刷の間違い、これは英語ではミスプリントであります、
印刷の間違いでできたのを正すというときに
正誤という
言葉が使われておるのです。従来、ややともすると
政府の部内においては、便宜上字句の一部
修正等をこの
正誤の
方法でやられるということも行われておりましたけれども、こういうふうに
基本的な問題である、しかも、きわめて国際間の問題でもあり、こういう問題を、六百五十億にも及ぶこの経費、しかもこれは
一般会計から補てんするという
方法もあり、
原資を削るという
方法もある、こういういろいろの
方法がある、このことを
正誤でございますというようなことは、これは納得できぬと思うのであります。もし、かりにこういうことを認めますれば、今後これが悪用される結果になって、たとえば、
衆議院で指摘しました
——予算自身に
関係するとすれば
——これは
予算案を撤回し、再
提出しなければならないと
衆議院では主張されたのでありますが、そういう際に、こういう
正誤表でもってやられるということになれば、こういう五十九条の
規定すらも、これはじゅうりんすることはできると思うのです。そこで私はこの問題に対してどういうふうにお
考えになるかということをただしたいと思うのであります。
そこで、この際ちょっとつけ加えますが、おそらく
政府は、これは正確な
予算案ではない、
参考書類である、こういうふうにおっしゃると思うのです。この前も、
官房長官はそういうふうにお答えになりました。しかし私は
——事務当局はまだ
資料を持ってごないが
——過般、本
会議が一月二十七日に開かれる
予定が二十九日に変更になったときに、
愛知官房長官に対して、この席上でお尋ねいたしました。どういうことをお尋ねしたかと申し上げますと、この二十九日には必ず一切の
書類が
提出されますか。この
政府のごたごたして、世上伝えられるように、
圧力団体に屈して、重大なる
政府の
最初の
基本方針と全く異なったような方向にいろいろ
修正されて、
予算案というものはできつつある、そういうような
経過から見ると、二十九日までには間に合わぬのではないか、間に合いますかとお尋ねいたしましたら、必ず間に合わせるとおっしやる。その必ず間に合わせるとおっしゃったとき、私は重ねて念のために申し上げて、私は、
予算案それ自体はもちろんでありますけれども、
予算案に付属すべき一切の
書類、これは従来、
予算案を
提出されるとき
政府は
提出された一切の
書類を完備されますかと申し上げたら、いたしますと、
官房長官おっしゃった。私はその際に、さらに、もしそれがいささかでも不備があったらどうします、二十九日の
施政方針演説は聞くことはできませんがどうしますと重ねてお尋ねしたら、
官房長官は、そんなことは絶対いたしません。さきに
安井委員長は、そういうことはないと言われておるのでありますから、もしありましたら、その際あらためて私は善処いたします、こうおつしやった。ところがどうです。こういうことになった。この
関係書類——私は念のために、こういうことが起るだろうと思って尋ねた。こういうことを言えば
官房長官はおそらく、それは
参考書だよ、こうおっしゃるだろうけれども、私は
参考書であろうが何であろうが、一切の
書類と申し上げた。しかもこの一切の
書類と申し上げたけれども、これは
財政法の第二十八条でございましたか、
予算案に添付すべき
参考書類として「左の
書類を添付しなければならない。」という
書類に該当すべき
書類でります。従って
愛知官房長官の先ほどの言明、これについては別に
官房長官に責任をただしたいと思いますが、ともかく、そういう
性格のものであります。それを単なる
正誤表で一切をやる、われわれは、そういうことを認められません。しかも
大蔵大臣は本
会議で、何とぞ御
了承のほどをお願いいたしますと、われわれに
了承するかどうかということを尋ねられた。われわれはこれを、ただいまのところは、今後のことはわかりませんが、ただいまのところ、この御
了承のほどお願いいたしますというあなたのきわめて御丁重の
言葉ではございますけれども、
了承できないのです。
了承できません。
了承できないと言えば、
大蔵大臣は、これはただ念のためにちょっと言っただけだ、あなたがしなければ、しないでいい、こういうことをおっしゃるかもしらん。こういうことは、いやしくも
了承して下さいとお願いしておって、しないと言ったら勝手にせいというようなことは、よもやおっしゃらないと思う。そういう
態度は、やくざの
態度に類似したものだと私は思いますから、これは御
答弁まで私が言っておるようですけれども、
安井委員長に申し上げますが、できるだけ議事をすみやかに進める必要があると、あなたが繰り返し言われるから、こういうふうな
形式をとったのでありますが、今後御
答弁があれば……。あらためて、私はこれだけ申し上げれば、おそらく
大蔵大臣も
官房長官も、これはあらためて、
修正だと、こうおっしゃると思いますが、念のため御
説明願います。