運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-15 第28回国会 参議院 外務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十五日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     寺本 広作君    理事            井上 清一君            森 元治郎君            石黒 忠篤君    委員            鹿島守之助君            笹森 順造君            杉原 荒太君            永野  護君            野村吉三郎君            佐藤 尚武君            安部 清美君   政府委員    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務省条約局長 高橋 通敏君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   説明員    郵政省貯金局次    長       亀田  覚君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○千九百五十七年十月三日にオタワで  作成された万国郵便条約及び関係諸  約定締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査の件  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それではただいまから外務委員会を開会いたします。  千九百五十七年十月三日にオタワで作成された万国郵便条約及び関係約定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。本件は、本月十日衆議院から送付され、本付託になりましたので、念のため申し上げておきます。  ただいままでの政府側出席者は、外務省から松本政務次官高橋条約局長郵政省から曽山郵務局次長亀田貯金局次長、以上でございます。  質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
  3. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 大会議で初めて作成された貯金国際業務に関する約定というものができたようでありますが、それに関しまして、わが国では為替管理関係等があって、実施について困難があるけれども、外国為替管理緩和等情勢の好転もあるので、参加することになり、また、参加することが必要と認めておるということが説明されておるのでありますが、この件について、政府は、参加する以上、これを便利に運営していくつもりがあるかどうか、その点を詳しく説明していただきたいと思います。
  4. 亀田覚

    説明員亀田覚君) 御説明いたします。  業務内容につきましていろいろとございます。それによりまして外国為替管理法上の問題もあるわけでございますが、業務内容からどういうものがございますかと申しますと、まず、郵便貯金口座開設というような問題であります。次に、貯金通帳輸出入すること、いわゆる外国に持ち出す、あるいは外国から持って入るというような問題がございます。それからまた、貯金預入あるいは払い戻し、また、預けかえというような問題が出てくるわけでございます。その次に、業務を営むにつきまして、表示通貨とか資金決済、こういうような問題が、業務の取扱い方について、外国為替管理法上の問題が出てくるわけでございます。これにつきまして、外国為替管理法令上、それぞれの条文によりまして、大蔵大臣あるいは主務大臣許可とかその他省令、告示などによりますところの制約はあるわけでございます。こういうものの制約が、今後、外国為替管理法令上の推移によりまして今でも許可を受ける、あるいは表示通貨あるいは表示決済というような問題につきましての許可を受けてやったりすることがあるのでございますが、われわれといたしましては、業務をすぐ直ちに実施するということ、あるいは全部をやるということなしに、その業務のうちでできるものからやるというようなことが考えられるわけでございまして、この業務は今のところの事情といたしましては、すぐやるというほどの現実的な緊急な必要度はあまりないかと思いますけれども、この制度がなぜできたかという経緯から考えましたときに、われわれといたしましては、一応入っておきまして、そうして外国為替管理法令上の今後の推移とあるいは現実実施上の要求性等を勘案いたしまして今後実施していきたい、こういう気持でございます。
  5. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 ただいまの御説明は、具体的のことはわかりましたのでございますが、やれるものからやっていこう……、やれるものと今見ているのは何でありますか、それを伺いたい。
  6. 亀田覚

    説明員亀田覚君) ちょっと質問にすぐお答えしなくて恐縮でございますが、この条約が今度オタワ会議で提案されました経緯をちょっとお話しさしていただきたいと思いますけれども、実は、この国際貯金業務といいますものは、前のブラッセル大会のときにフランスあるいはスエーデンといったようなところで話が出まして、実施連絡委員会においてこれを研究し、次期大会にその検討の結果を提出するということになりまして、実施連絡委員会の中の専門小委会というものが作られまして、それにフランスベルギーイタリア日本専門小委員国になったわけでございます。日本は、御承知のように、郵便貯金につきましては、世界でも相当制度歴史も古く、内容も充実しておりまして、こうした専門小委員国に選ばれたわけでございます。そうして、この専門小委員国間で検討されまして、それが実施連絡委員会の案といたしまして今回のオタワ会議に提出されたわけであります。この国際貯金業務は、従前からフランスイタリアフランスベルギーあたりで、移民とかあるいは労働者あるいは旅行者が非常に外国為替外国振替とまた違った意味で利用されてきておったわけであります。現在でも、エジプトイタリアあるいはスーダン、それからイギリスとその植民地の一部あるいはエジプトとの振替とか払い戻し業務が現在行われております。こういったことの個々的業務万国郵便連合条約の中に取り込んで、今後ほかの諸約定と同じように国際的に利用していこう、そういったようなところからこれが出てきたわけでございます。  それで日本も、さっき申しましたように、さしずめは海外出かせぎ人とか、移民とか、外国旅行者等利用等につきましては、現在、今度の条約に署名いたしておりますところの国々の顔ぶれからいたしましても、今のところ、そんなに緊急なあれはありませんけれども、しかし、われわれといたしましては、今後そういった意味から出てきたこの制度につきまして、加入いたしまして、そうして今後この国際貯金業務に、万郵連精神にものっとりまして、国際的に提携していく。なお、加入しておれば、各国貯金業務についての情報や経験などか交換されることによりまして、今後のわれわれの万郵連業務への協力あるいは国際貯金業務の仕事にも密接な関係が持てるということで署名したわけでございます。  それで、それじゃ実施するということになりますと、さっき申しましたようなわけでいろいろなやり方がありますが、じゃ、貯金口座開設ということは、外国為替管理法上の性格から申しますと、これは同法三十条の「債権に関する制限及び禁止」ということによりまして、貯金口座開設ということは、これは外国為替管理法令上の外貨債権の発生の当事者となるということでございます。これが今申しましたように、三十条の規定によりまして、これが外国為替管理令の十三条とかあるいは外国為替管理に関する省令十六条などの規定で、大蔵大臣許可を得なくてはならない関係でございます。これは今のところは、外国為替銀行あるいは本邦に営業を営む保険会社旅行あっせん業者等が認められておるのでございますが、しかし、こういったものも、今後こういった制度が必要だということになれば、大蔵大臣許可をしていただけるということも考えられるわけでございます。  次に、貯金通帳輸出入でございます。これは、こういった通帳外国為替管理法の四十五条で「支払手段等輸出入」ということに触れるわけでございますが、これによって、これも外国為替管理令の十九条の規定において、大蔵大臣許可を受けなければならぬということになっておるわけです。これも、もし必要があれば、大蔵大臣許可をしていただけるということも考えられるということになります。  次に、預入払い戻しあるいは預けかえでございますが、これも、このうちで外貨支払いということと、あるいはその支払いを受ける方とによってこれは別になってきますが、これも外国為替管理法の二十七条から二十九条の「支払制限及び禁止」という規定によりまして、外国為替管理令十一条の「支払制限及び禁止の免除」という規定によりまして、主務大臣許可を受けなければならないのですが、これもその支払いをする方とあるいは受ける方とによって、その許可が必要であったり、なかったりというような問題が出てくるわけですが、これも現在の外国為替管理法上の制限制約ということは、おもに資本の投資だとか、外貨のむだづかいをなくすると、貴重な外貨を大切にするというような精神から考えましたときに、この制度も、ものによっては大蔵大臣の方で許可をされることが考えられますし、現在でもそれが実際、実行上できるんじゃないかと思われるものもございます。  それから、表示通貨資金決済でございますが、これは、この業務を行うにつきましての、たとえば輸入報告書払い戻し承認書、あるいは預替請求書などの金額は、これは預け入れと、払い戻しと、それから預けがえを受ける国の通貨で表示することになっております。それで、その表示通貨につきまして、現在、通貨の指定に関する省令規定によりまして、限られた通貨がきめられておるわけですが、これも、大蔵大臣許可があれば当然別の通貨でもできるわけですが、そうした指定された通貨でも、現在利用される国もあるわけでございます。それから、今度は資金決済でございますが、これも、いわゆる標準決済方法に関する規則というものがございまして、それによりまして、この標準決済につきまして、また、この標準決済以外についても、大蔵大臣許可を受ければできるわけでございます。  で、そういったいろいろな外国為替管理法令上の制約を考えながら、実際必要なものからやりたいと思うわけでございますが、今のところ、さっきから申しますように、すぐ始めなくちゃならぬというものではありませんから、われわれといたしましては、さっきからの条約の作成された経過からいきまして、日本といたしましては入っておりまして、今後の推移によって実施したいということであります。なお、現在万郵連の中でも代金引換に関する約定というものかございますが、これは加入しておりますけれども、日本実施しておりませんし、なお、外国振替約定も、これは大正九年に日本加入したのでございますが、実施したのは昭和六年だったと思っておりますが、というようなこともございまして、加入したからすぐ実施しなくちゃならぬというのでもございませんので、われわれといたしましては、さっきからも何回も申しますように、外国為替管理法令上の制約推移と、それから現実の、実行上の必要性によりまして今後のことを考えていきたいと思っておる次第でございます。
  7. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 御説明でよくわかりました。わが国郵便貯金が早くから非常に発達し、なくなられた下村宏君などの非常な尽力で早く発達したことも承知をしておりますが、ヨーロッパ郵便貯金の発達しているベルギーに、ヨーロッパ以内で国外出かせぎ、移民等を出しているイタリアとの間あたりには、実際の運用もできる条約だと思いますが、日本としては、国内郵便貯金は非常に発達しておりますが、海外移民だの、出かせぎだの、旅行者だのが、これによって国際的の郵便貯金制度条約を利用しましてやっていくということは、私は非常にむずかしいことじゃないかと思う。お話によって、とにかく委員にもなったのであるから、その委員会の原案であるから入るというぐらいの意味じゃないかと思うのでありますが、しかし、こしらえておいて、そうして将来必要がった場合——さしむきはないか、必要かあった場合はすぐ発動できるようにということであれば、それもまた一つの見解だと思います。しかし、そうだとするならば、よほど大蔵省為替管理との話をつけて御準備ならぬというと、よほどむずかしいと私は考えますから、その点に十分御留意をなさったらよかろうということを、よけいなことですけれども、御注意を申し上げておきます。  過般締結されましたアメリカとの間の二重課税に関する協約のごときも、実は大蔵省との間の話がよくついておらないために十分な活用がいかないように私は思うのであります。そういうようなことであっては、国際条約をただたくさん結んだところで意味がないと思うのであります。締結する以上は、よく大蔵省あたりとの交渉を十分に初めからつけておおきになって、そうして実行に入られるようにしていただきたい、こう私は思います。私の質問はそれで終りにします。
  8. 亀田覚

    説明員亀田覚君) お言葉の趣旨はよくわかりましたので、われわれといたしましても、従来から大蔵省とは十分協議いたしましてやってきておりますけれども、今後一そう、大蔵省、その他の関係のところとも十分連絡を密にいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 この中に、中国については単に中国と書いてあるのですが、この中国チャイナということであろうと思うのですが、正式には二つの中国のどちらを意味しておるのですか。
  10. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 御指摘の通り中国ということに、チャイナということになっております。われわれとしましては、これは台湾及び中国の本土を含めた全体の地域にこれが適用になるものである、少くとも理念的と申しますか、建前としてはそういうふうに考えまして 現在、正統政府として代表されている国民政府代表者がこれに署名をし、現実のところ台湾でございますが、その他中国の方も、それは現実においては適用を妨げられているという事情があるかもしれませんが、建前としては全地域というふうに考えております。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、台湾政府が地理的には中国地域代表しておることになるのですか。
  12. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 建前としては、そのように考えております。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 それで、中華人民共和国の方は、加入の手続をとっているのかどうか。あるいは第三条の規定では、加盟国の三分の二の承認が得られなければ入れないのですが、どういうふうになっておるか。
  14. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) この点につきましては、先方は何ら加入、その他の加入と申しますか、これに関する意思表示は何らやっておりません。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 全然意思表示はなくて、われ関せずというような態度でおるのですか、もう一ぺん。
  16. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 現在のところ、そのように何ら別に意思表示とか、それに対する反響と申しますか、リアクションと申しますか、何ら聞いておりません。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、郵便連合というのは、その成立の歴史また条約そのものの性質から見て、政治色のない技術的な業務的規則のようなものでであると了解するのですが、そういう意味で、日本中共約定業務規則たるゆえに結ばれているのは、先ほど国民政府チャイナ代表だというのとちょっと話が違うのじゃないか。
  18. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) その点建前と申しますか、理論的な問題でございますね。それから現実的な問題とはこれは区別して考えると、すなわち、現実といたしましては、あくまでもあの地域との、実際上郵便やら小包往復とか、そういう問題が現実の問題としては起きて参りますので、それに関する何と申しますか、業務的な全く技術的な取りきめというのは、これは必要ではないか。ただ、まあ理念的と申しますか、そういう理論的な問題としては、一応全部を含むというふうにまず考えまして、現実としては、それが妨げられている状態を念願に入れまして、その状態を、その障害を除くための業務取りきめ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 各国ともチャイナに対しては、日本と同じような態度をとってやっておられるのですか。
  20. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 一々各国につきましてその意見を聴取したことはございません。しかし、おそらく同じような考え方でやっているのではないかと考えております。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、中共をまだ承認しない国で、業務協定をやっている——交渉を始めたりあるいはやっている国はあるのですか、何カ国か。
  22. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 現在のところないようでございます。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 専門家条約局長に伺うが、この業務協定中共と結ぶ場合に、これはいわゆる問題になる中共承認論とどういう関係に立つと解釈したらよろしいのでございますか。
  24. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) われわれといたしましては、この郵便料金でございますとか、小包料金でございますとか、その往復交換の問題でございますので、まあ純技術的な問題であると考えております。従いまして、もちろん、できたら現実の問題として、取り上げます内容によって、まあ個々に検討する必要がございますが、一般的に考えまして、そのような技術的な業務取りきめでございますから、承認の問題は起らないのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  25. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  26. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それでは速記を起して下さい。  万国郵便条約及び関係約定に関する質疑は、本日のところこれで終っておきます。   —————————————
  27. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、国際情勢に関する調査を問題に供し、質疑のおありの方は、質疑をお願いいたしたいと存じます。
  28. 永野護

    永野護君 インドネシア反乱軍情勢は、何かその後ニュースがありますか。
  29. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) いろいろとインドネシア在外公館からの情報が入っておりますのと、他の方面、チャンネルを通じて集めましたそれによりますると、だんだんと静まってきておること、スマトラにおきまして、中立地帯めいたところもございまして、そこらあたり指導者等あたりが、これ以上いろいろあつれきを、摩擦を生ずることは双方に非常に損害が多いから、大体一つおさめてもらいたいという空気も相当強くなっております。従いまして、だんだんと事態は収拾されていっておるようにわれわれは考えております。
  30. 永野護

    永野護君 民間の業者の間には、反乱軍政府軍両方の方といろいろな取引の話もあるようであります。何とか、具体的に申しますと、スカルノハッタとの間の何らかの方法で調停をする必要といいますか、インドネシアのためにですけれども、同時に、それは日本のために非常に必要だということは皆言っておるのですけれども、何かチャンスを見つけて、日本が骨を折るようなまだ機運にはなりませんか。
  31. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 今直ちに日本先方にいろいろな話を持ちかけるということは、少し時期でないと思うのでありまするが、ただいま永野先生からお話のありましたごとく、スカルノハッタとの間の意思が一致いたしまして、国内の安全と平和繁栄という線に向うならば、日本にとっては非常にけっこうなことだと思いますので、時期を見まして、機会があれば、ぜひ役立ちたいという気持でおります。
  32. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 インドネシアの問題に関しまして、船舶の問題はどうなりましたですか。先方からは、日本の船を買いたいとか借りたいとかいうことを言ってきておりましたが……。それから、新聞報によりますと、ソビエトが、船舶を提供したというような報道もちらっと見受けたようでありますが、その点に関しましての、何か情報をお持ちでございますか。
  33. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) この問題に関しましては、オランダ政府との関係もございますので、政府が直接取り上げてやる筋合いではないという原則に基きまして、インドネシア政府当局日本船舶協会との間のあっせんみたいなことはもちろんいたしましたけれども、インドネシア政府日本船舶協会との間にいろいろ話が進められました。ところが、一応成立したかのごとく報ぜられたのでありますが、料金の問題で一応暗礁に乗り上げたことは御承知通りでございます。その後、なお、インドネシア側といたしましては、一つこれをまとめたいというのと、いま一つ出て参りました線は、賠償のワクの内で何か船舶問題が解決できないであろうかというような気持の上から、いろいろとこの問題がさらに発展してきておるように思えるのでございまするが、まだ日本との関係におきまして、インドネシア船舶問題をギブ・アップしていないということだけを申し上げることができると思います。
  34. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 ソビエトの問題はどうでしょうか。
  35. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ソビエトの問題に関しましては、正確な情報が入っておりませんが、私ども新聞承知しておる程度でございます。
  36. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 ただいまの御説明でほぼわかりましたが、しかし、そのほかにもいろいろなまちまちの情報を聞いておるのでありまして、たとえば、日本にはあちらからの、つまりインドネシア側で希望しているような船舶の持ち合せがないということであります。つまり先方では、島と島との間のごく小さな航路、近距離な航路に使うというような、そしてまた、特殊なデッキ・パッセンジャーなどを積み込むような船舶先方では希望されているのに対しまして、日本側ではそういう船舶の持ち合せがない。それで交渉が進まないというような説も方々から聞かされておるのでありまするが、ただいまの政務次官の御説明では、そういう点に触れられていないのでありまして、そういたしますというと、そういったような日本に適当な船がないというような問題は、実際上の問題にはなっていなかったのでありますか。
  37. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) インドネシア日本船舶協会との交渉の過程におきまして、向うの注文するいろいろな船が出て参りました。しかしながら、日本の持ち合せの船の中には、先方が言っている通りにマッチするものがなかったことは事実でございます。従って、最大公約数を見出しまして、一番向うの注文にかなうようなものをそろえたという話でございます。しかしながら、後ほど料金の問題でこれが暗礁に乗り上げて、従いまして、先ほどもちょっと御説明申し上げましたごとく、賠償の中にもしこれを入れて、先方が希望しておりまするような船舶が作れるかどうか、こういう問題をいま一つ議題となって出かけておりますので、早晩この問題は表面化するのではないか、こう思います。
  38. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 関連して。インドネシアの方へ賠償物資として三百万ドルほど繊維品を送るというようなことが言われていますが、これはほんとうでございますか。
  39. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ちょっと私は確信がございませんので、これははっきりしたお答えができないのでございますが、間違えますと、ちょっと困りますので、調べまして一つお答えしたいと思います。
  40. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 今、ジャワは非常にだんだん物資が不足して、そういう賠償生産物資というのでなく、現実に必要なのは消費物資だ。それで日本としてはこうした国交を回復した以上は、スカルノの今の政府を援助しなければならないということになろうかと思うのですが、今永野議員からも言われたように、これは何とかした形で、今のスカルノ政府を援助しても他方から恨まれるということになるので、賠償を有効に使うためには、どうしても反乱軍とそれから政府との間の妥協ですか、何らかの一致、それが必要だと思うのですが、日本政府でできないと——ちょっと今その時期でないこともごもっともと思うのですが、どこかそういうふうな今イニシアチブをとっている国があるでしょうか。米国とか、イギリスとか。
  41. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 先般バギオで行われましたアジア地区会議におきましても、この問題が出たということを聞いておりまするが、いろいろとデリケートな問題がございますので、直接今手を出すことは一つ差し控えようという結論だったそうであります。しかしながら、お説のごとく、事態がもし悪くなってますます混乱を生ずるようなことがございましたならば、日本がせっかく賠償の本日批准交換をいたしますが、成立をいたしましても、日本のこういった努力に対しまして多少なりとも支障を来たすことは非常に困ると思うのであります。だんだんと静まっておりますが、しかしながら、ほんとうに和解のできまするようにしてもらうことが、日本としては望ましいので、機会を見まして、一つ努力をさせてもらいたい。ただ、今ここに直接日本が手を差し伸べますということは、いろいろ国際関係等ございまして時期ではないと思いますが、十分ただいまの気持は、われわれしんしゃくいたしまして、将来努力させてもらいたい、こう考えております。
  42. 永野護

    永野護君 関連して。同じことなんですが、私この前にもこの席でお話ししたと思うのですけれども、今のようなまるで火事場騒ぎのようなときに、それは金の面からいっても、人的の構成からいってみても、平時の外交関係の担当者とその資金だけで運用していくのはどうも実情に合わぬのじゃあるまいか、こういう騒ぎのときは、特別の人と、特別の資金を供給して、それに対する対応策を立て、おさまったらそれだけの資金も要らないし、人間も要らぬから、帰ってくるというような扱い方をするのが実際策ではあるまいか、この前もこの席でも申し上げたのですが、そういう感じを非常に痛切に思うのです。と申しますのは、今のインドネシアの実情はほんとうに流言飛語が乱れ飛んでいるのが今の実情だと思います。そうして、日本の方へ入るのはいわゆるジャカルタ発のニュースが多いので、従って、それは非常に楽観説が多い。大体において楽観論でいいとは思うのでありますけれども、ソースが少し片寄り過ぎているのではないかという気持もいたします。公けの資格を持っている日本代表が動く時期でないと私も思いますけれども、といって、何もしないで、ただぼんやりしているというのはどうかと思うのでありますから、大使とか何とかいうような公けの資格を持たないで、最小限度に見て実態を正確に把握するという、何らかの手が要るのではないか、こういうふうに考えるのであります。今の鹿島さんのお説と同じことになるのでありますが、まあ大きい市場であるだけに、あれだけの騒ぎが起っているときにただ漫然見ている。そうしてまあ大使の交換もできていないので、総領事級の人に全部をまかせておいて適当であるかどうかという感じがするのでありますから、ことに、この前も申しましたように、日本外務省の予算が非常に切り詰めてやっておられるから、こういうときに実に困っておられるだろう、こう思いますから、その予算面において何らかの応急措置を至急にお講じになって、こういう非常時に対応する政策を何かおとりになる必要があるのではないか、現にとっておいでになればまことにけっこうなんですけれども、重ねて申し上げておきます。
  43. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 仰せの通りでございまして、もっと十分なる資料を正確なソースを通じて得て、そうして正確な判断を得るということは大事だと思うのでございます。残念なことには、先ほどお話の中にもございましたごとく、外務省の予算が十分でないために、非常に残念に思いまするが、できる限り一つ今後も努力していきたいと思います。ソースといたしましては、ジャカルタばかりでなく、オランダ系の筋から入っておりまするニュースも相当ございます。これはまあ非常に悲観的なものが多いのでございますが、本日の批准交換が終りました後に、早急に正式の大使館設置ということになりますので、そうなりましたならば、もの少し機動性を持って、いろいろな向う調査もできるのではないかと思いまするが、最大限の努力を一つさしていただきたいと、こう考えます。
  44. 永野護

    永野護君 申すまでもありませんけれども、日本経済自立のために、インドネシアの動きというものは非常に大きな影響がありますから、従来の観念にとらわれないで、今度の大使は超特級の大物を一つわずらわすよう、ちょうど時期も時期でありますし、それから初めてスタートするという関係もありますから、できればハッタスカルノと対等に話のできるような大物の大使を願いたい。そして、正常なきまり切った仕事だけをやればいいように安定したら、それはまたおのずから人のやりくりで、別の考え方をとってもいいと思いますけれども、このとき、この際は、思い切った大物をわずらわすようにお願いしたいと思います。これは質問じゃありません、希望ですけれども。
  45. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 外務大臣は、今度のインドネシアに派遣いたしまする大使のことにつきましては、非常に腐心しておられます。また、十分ただいまのようなことを考えておられますので、慎重に、しかも現実的にお仕事のできまする大使を、今いろいろと考えておられます。特にこのインドネシアに送る大使の問題に関しては重要視しておられるということだけは、この席で申し上げておきます。
  46. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 二つの点についてお尋ねしたいと思います。  一つは、先ほどの佐藤委員からの御質問に関連することですが、インドネシア船舶の問題、先ほど政務次官から、適当な船がないと、こういうようなお話がありましたが、まあ内容的に言いますと、チャーターするなら、チャーター料金の問題というのが実は実際上一番問題点ではないかと推測するわけです。それともう一つは、この問題が発生した当時が、まだ賠償協定というようなものが存在せぬ、きょう批准を交換されて、賠償協定も実施されてくるわけなんでありますが、この船舶の問題を賠償サービスの一つとして取り上げるというふうな考え方がおありかどうか。最初問題が発生した当時は、ほかの国との関係からしても、日本政府が表面に立つことは好ましくないというような事情もあったわけなんですが、賠償ということであれば、その点も若干変った考慮ができるのではないかと思うのであります。いずれにしても、この問題を賠償のサービスの一つとしてやるようなお考えがあるかないか、その点をお尋ねしたいと思います。
  47. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 仰せのごとく、インドネシアの沿岸航路船舶というものは、主としてカーゴ・ヴェセルでパッセンジャーをとるような特殊なものでないと役立たぬということをいろいろと向うから言われております。その意味におきまして、今、日本の持ち合せ船舶では十分これが役立たないということは、先ほどの佐藤先生のお話、また、私の回答のときにも申し上げた通りでありますが、従いまして、この賠償実施細目の中に船舶の問題が取り入れられるかどうかということが今問題になっておりますので、もちろん、これはもし技術的に可能であり、そういった希望で双方の合意を得ることができれば、当然そういった方向に進むべきではないか、こう考えるのでございますが、目下のところ、この問題を今検討しております。
  48. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 もう一つの問題は、これは全然別のことですが、最近いわゆる首脳会談——首脳会談の予備会談ということが新聞に報道されておりますが、その新聞の報道とは別に、外務省関係国の政府筋等から出たオーセンティックな情報を持っていたら、御説明願いたいと思います。
  49. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 本日の電報を私まだ見ておりませんが、昨日までに入っておりまするものによりますると、たとえば、アメリカの日本大使館、英国等あたりから、若干向うでの判断いたしました情報が入ってきております。
  50. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 その内容、要点だけでいいです。
  51. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) いろいろとその内容につきまして、こまかい点も触れておりまするが、一応この大使級の予備会談というようなものもいいではないかというような動きがあるようでございまするが、その他に関しましては、ちょっとこまかい点記憶にございませんので、必要がございましたら、また調べて回答したいと思います。
  52. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて。   〔速記中止
  53. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を始めて。  それでは本日は、これにて散会いたします。    午前十一時二十八分散会    ————————