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1958-03-18 第28回国会 参議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     寺本 広作君    理事            井上 清一君            鶴見 祐輔君            森 元治郎君    委員            井野 碩哉君            鹿島守之助君            笹森 順造君            苫米地英俊君            永野  護君            野村吉三郎君            安部 清美君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君   国務大臣    外 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    外務政務次官  松本 瀧藏君    外務省経済局長 牛場 信彦君    外務省条約局長 高橋 通敏君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国ソヴィエト社会主義共和国  連邦との聞の通商に関する条約の締  結について承認を求めるの件(内閣  提出、衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査の件(国際  情勢に関する件)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間の通商に関する条約締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とし、前回に引き続きこれを続行いたします。  質疑のおありの方は、順次、御発言をお願いいたします。
  3. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 あるいはダブるかもしれませんけれども、この点御容赦願いまして、一、二質問したいと思います。  この通商条約が成立しますというと、ソ連から相当日本品物が入ってくる見込みでございますか、その点を伺いたいと思います。
  4. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ソビエトとの貿易は、従来は非常に少かった次第でございまして、だんだんふえてきておりますが、たとえば、一九五五年でありますと、輸出が二百八万ドル、輸入が三百五万ドル、五六年が輸出が七十六万ドル、輸入が三百八十七万ドル、五七年が輸出が九百三十万ドル、輸入が千二百三十万ドルということになっております。輸入品内容は、大体におきまして、木材石炭がおもだったわけでございます。今般の協定締結によりまして、この量は相当ふえると考えられます。ことに、輸出の面においては、最近の引き当て状況から見まして、普通に行けば、平均二千五百万ドルから三千万ドル、つまり、昨年に比べておそらく二倍半以上の伸びがあるのではないかというふうに考えております。輸入の方については、やはり木材石炭が主になって、そのほかに、石油なども入れたいと思っております。ただ、こちらの方は、石炭につきましては、たとえば日本炭業界現状から申しますと、粘結炭以外のいわゆる一般炭というものは買いにくいということでございます。それから石油につきましては、何分黒海から持ってくるのでありますから、非常に値段の点が不安であるというような点がございまして、なかなかそう飛躍的には伸びないと思われますが、しかしながら、これも二千万ドルか二千五百万ドルくらいは伸びるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  5. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 私、北海道を視察しておりました際に、小樽にたくさんの木材が積んであったのですが、値段は、北海道木材と比べて高いというのですね。箱材みたいな特殊なものに使えばいいけれども、一般パルプにしろ、それから住宅にしろ、非常に高い。それだからもっと安く輸入できないものか、そういう意見がございましたが、いかがでございましょうか、値段の方は。
  6. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは従来は、一つはこちら側が取引態勢が整っておりませんでしたために、向う側に相当高い値段を押しつけられたというようなことがあったようでございます。そこで今回は、通産省の方でも指導をいたしまして、木材輸入に関しては、関係業者協定を作りまして、一本になって交渉するということでやっております。ただいまのところ、値段が相当開いているという話を聞いておりますが、去年に比べればいい状況取引ができるのではないかというふうに考えております。そのほか、パルプ材の点は、これは買わなかったのでありますが、今年は少額でございますけれども、契約ができまして、これは大体順調に入って参るのではないかと考えております。
  7. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 高い値段を押しつけられたのでしょうか。私、ドイツ大使にちょっとその話をしたら、共産主義経済のものは非常にコストが高いということを言っておりますが、どちらでございますか。
  8. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これはロシア側に言わせますと、日本に出しておる木材値段は、ヨーロッパでも、イギリスその他に売っておる値段よりもむしろ安いのだということを申しております。コストの点はちょっとわからないのでございますが、一つ考えられますことは、極東におきます木材資源と申しましても、これは結局、開発しますのには相当向うとしても投資をしたり、それから人を——労働者を働かせなければならない。そのためには、日本側でもってある程度安定した買付をやってくれないと、向う側開発計画的にできないから、そこで自然コストが高くなるのだということを申しておったこともございます。この協定ができまして、もちろん、こちらといたしまして、毎年これだけの量を買うということを言うことは、これはできないことでございますけれども、大体、普通の取引の相談を通じまして見当がついて参りますれば、向う側としても、計画的に森林を開発することができるわけでございます。だんだんコストが下ってくるということはあり得ると思うのでありますが、共産主義国であるから必ずしも従来コストが高いということも言えないのではないかと考えております。
  9. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 北海道では日ソ貿易に非常に期待しておりますが、木材石炭のほかに、そのほかソ連からくるようなものはどんな品物で、また、こちらから輸出できるようなものはどういう品物があるのですか。
  10. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは貿易支払協定付属書に並んでおるわけでございますが、先方からの輸入品目木材石炭、それから鉱石としましてマンガン鉱クローム鉱これは従来も入れたことはございます。原油は、これは従来は入っておらないのでございますが、今年は十万トンぐらい入れたい、こういうことでございます。それから、今入っておりますのはカリ塩でございます。昨年これは一万トンほど契約ができまして、今年も引き続いて少しふえるのではないかと考えております。あと石綿でありますとか、若干繊維品というものが考えられるわけです。出しますものは、主として製品、機械関係船舶関係などが多いのでございます。ことに、船舶につきまして、これは相当引き合いが進んでおるものがございます。それから鉄道車両、それから繊維機械電気機械というようなものが主になります。そのほかに、人絹糸なども昨年も相当買いましたし、今年も引き続いてこれは需要があるのではないかと考えております。
  11. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 それに関連する問題ですが、シベリア総合開発はどういうふうに進んでおるのですか、その点お伺いしたい。
  12. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ソビエトシベリア開発は、戦後、戦災復興を目標としまして、二回にわたって五カ年計画がございまして、それが大体成功したということでございまして、今日は西ヨーロッパ工業生産水準に追いついて、さらにアメリカと同じようなところまで持っていこうというふうに考えていると思うのでありますが、その計画を立てるに当りましては、石炭、水力、鉄鉱石、そのほかの鉱石でありますとか、木材というような、資源の豊富な東部地方開発が取り上げられていることは事実でございます。それがシベリア開発といわれているものになるわけでございます。そこで第六次の五カ年計画を、これは一九五六年から六〇年までの計画でありますが、投資総額は九千九百億ルーブルということになっております。それで、これを米ドルに換算いたしますと二千五百億ドルということになりますが、そのうちの半分が東部地域投資されるという計画になっておりまして、その点から見ましても、シベリアに非常にソビエトが力を入れるだろうということは認められるわけであります。それが、しかし東部地域と申しますのは、これはシベリアだけでもないのでありまして、極東東シベリア、カザックスタン、中央アジア、ウラル、東部ヨーロッパに近いところ、さらに中央アジアの方まで含めていっているわけであります。  そこで、こういうふうにソビエトがこの方面に力を入れるとすれば、おのずから日ソの間の資易も盛んになってくるであろうと考えられるわけであります。ただしかし、今すぐどうということは、なかなかちょっと見通しがつきにくい状況でありますが、全般といたしまして、日本側のいろいろな機械資材などに対して需要がふえるであろう。さらにまた人絹糸というような消費物資につきましても、ソビエト側東部シベリア開発のために、いろいろ資材ヨーロッパから貨車で運んでくる。その貨車が向うへ帰るときにはからで帰るわけでありますから、その際、日本から消費資材を買って、ヨーロッパへ持っていけば、ただいま御質問の点からいきますと、ああいう共産主義経済でありますから、ほとんどただで持っていけるということであります。日本人絹糸などがヨーロッパまで運ばれていっているということが現実にあるわけでありまして、その点から見ましても、東部シベリア開発というものは、将来、日ソ貿易を発展させる意味においては、非常に大きな意味を持ったものだと考えられます。
  13. 永野護

    永野護君 東部シベリア開発計画というものは、今の日本現状にかんがみまして、非常に大きな問題だと思うのでありますが、物だけでなくて、労力あるいは技術面の提携というようなことを考える余地はないのでありますか。これは国策の基本に触れる問題だから、外務大臣いかがでございますか、むずかしい点でございますが。
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 物を協力するということは、普通の貿易協定ではできますのですが、技術で協力するということは、物に関連した技術もあるし、人に関連したこともある、経験からきた技術もあると思うのでありますが、そういう意味だと思うのでありますが、ソビエト共和国現状からいって人自体でもって協力するということはなかなかむずかしいことじゃないかと思っております。
  15. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 これはどなたからでもよろしいのですが、今、ロシヤ貿易が始まるときに、戦争前に三つのルートがあったわけですね。ハルピンから朝鮮を通ってくる、それから、ウラジオへ出てきたやつ、それから大連へ出てくるもの——陸路からウラジオへ出てくるものだろうと思います。それで受ける力の港は、敦賀とか函館に出てくるもの……日本の受ける方の港はどこになりますか。それからルートとしてはウラジオだけでありますか、あるいはほかの港からも参りますか。将来もう少し安定したら、大陸を通って日本に来る道も開けるお見通しでありますか、いかがでありますか。
  16. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 日本側といたしましては、別にソビエトとの貿易の港をどこにするかということを政府が指定するということは、御承知通りございませんので、これは将来と申しますか、ごく近い将来と存じますが、ソビエトとの間に定期航路が開けましたときに、日本側の方でありますと船会社でありますが、向う側公団になっております。そういう定期航路の運営に当るものの選択によって港もきまってくることと思います。それからソビエトは、ただいまシベリアウラジオストックのほかにはナホトカがございます。そのような木材等の産地に近いところから積み出しております。将来の問題としまして、大陸を通して運ぶルートはもちろん考えられると思いますが、これは現在、大陸中国政府との関係がはっきりしないと、なかなか実際問題として、むずかしい問題じゃないか、こういうふうに考えております。
  17. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 私の方は、将来別といたしまして、昔のような、当時のシナとロシヤ日本との間の連絡輸入はできないと思いますが、日ソの間の連絡輸入は、船でやる場合には、昔は多く商船だけで受けて、おったのですが、今度は、どういう船でやるのですか。
  18. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは、東の方の航路、つまりナホトカとかウラジオストック日本との間の航路につきましては、ただいま山下汽船、それから川崎汽船、飯野海運、三社が運輸省がら指定されまして、この三社がいろいろ公団と話し合うことになっております。黒海航路につきましては日本郵船になっております。これも近くソビエト側と話しをすることになっております。
  19. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 日本の港はどこで受けておりますか、一番たくさん入ります港は……
  20. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは従来やはり新潟、舞鶴、敦賀というようなところだろうと思います。それから北海道函館というところだろうと思いますが、これは定期航路の開始に当ります会社がいろいろ考えましてきめる。政府としては、これは指定等はいたさないということに運輸省としてはしておられるようであります。
  21. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 最近ヨーロッパコモン・マーケットから——これは世界的に注意を喚起しておるのですが、ソ連と中共とはコモン・マーケットをやっておるのですか、別々ですか。
  22. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは関税をかけているかどうかということになりますと、これはおそらく関税はないと思います。その意味では一種のコモン・マーケットだろうと思いますが、それ以外に、実際上どういうシステムで貿易しているかということは、どうもなかなかつかみにくい点もございます。ただ、ソビエトとの交渉の際に、私どもはソビエト共産圏の国に対して特恵を与えているじゃないかということを聞きました。ところが、そううことは絶対にないのだ、共産圏の国とも、他の資本主義の国と全然同じ条件取引しているのだということを申しておりました。一応それをそのまま受け取っておるよりほかないのが今の状況であります。
  23. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 日本では、通商条約をわれわれ審査いたしますときに、そのつどつど審査をしておりますが、現在日本政府に、日本通商政策というものを、これは戦前と比べるとはっきりするのですが、現在、根本政策というものはあるのですか、そのつどつどによって、できるだけたくさんの利益あるような協定を結びたいというだけですか、何か共産圏に対するもの、あるいは自由諸国に対するもの、あるいは北米とか中南米、何かそういうような大きな大綱というもの、基本政策について伺うことができればけっこうだと思います。何となくそのつどつど、まあできるだけ損をしないようにうまくやっていこうという、そういう考え以外になさそうに見えるのですが、何かはっきりしたイデオロギーがあれば、基本方針があれば一つ承わりたいと思います。
  24. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今日まで戦後の立ち直りをやっておりますし、国際関係の改善ということを、国際社会に出ます準備中という段階でございます。また、日本経済も、今日までの形で復興をやっているときであります。輸出増進という立場もあります。従ってそれぞれの国に対して、それぞれの事情を勘案しながらやってきたというのが事実だろうと思います。ただ、これからの問題といたしましても、通商に関しまして、通商が円滑にいく、必要な品物を交換し合って、日本貿易量を増大するという基本的な考え方は、どこに対しても同じような立場でいきたいと思うのですが、ただ問題は、相手方にいろいろな国家統制があるとか、あるいは為替管理があるとか、そういうような状況を、その場合に勘案していくということであります。ただ単純なイデオロギーだけで、政治思想だけの上で問題を解決するという考え方は現在とつておらないわけでございます。
  25. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 これは牛場局長にちょっと尋ねたいのですが、外務省でずっと明治からおそらく戦前までくらいですか、通商政策に対する非常にりっぱな研究があるのですが、その後がないのですが、その後の方を作られて、これを委員の方に配付されますと、非常にはっきりすると思うのですが、ぜひあれを作っていただきたいと思うのですが、最近のやつは抜けておるのですが、その点をお願いいたします。
  26. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ただいま大臣からお話しがありましたように、戦後は非常に、たとえばガットでありますとか、まあ戦前ない国際的機関ができました。また、いわゆる貿易為替制限という、戦前はほとんどなくて、ごく例外的にしか行われていなかったのが、世界的にこれが行われるようになりまして、従いまして、単に通商航海条約を結んで最恵国待遇を確保しただけでは、なかなか貿易が伸びないという条件になって参りました。従いまして、この最恵国待遇の確保ということはもちろん根本的な要求なのでありますけれども、これは単に第一歩にすぎないので、その上に、さらに芸のこまかい交渉をして、実際に今後、日本貿易を発展さしていく交渉をやらなければならぬということになっておると思います。そういう状況は、確かに戦前立場と違っております。この点はぜひ、今お示しのような考えによりまして、外務省としましても、その点を明らかにするようなものを一つなるべく早く作りまして、ごらんに入れたいと思います。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 前にどなたかお尋ねがあったことならば、もう簡単に御答弁下さってけっこうですが、東京、モスクワ、ストックホルム、ロンドン等の新しい航空路のこともときどき新聞なんかで見るのですが、日本ソビエトとの航空関係の何か話が現在あるのでありますか、どうでありますか。
  28. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ヨーロッパと東洋をつなぐ上におきまして、今お話しルート最短距離で、北極圏を越えていくよりも近いということは、世界的な航空常識になっております。従いまして各国でもこの問題がクローズ・アップされ、最近は、われわれの聞く範囲内で、BOACあたりが積極的にこのルートを開設したいと考えているようであります。現在まで日本は、まだ共同宣言ができましてわずか一年であります。通商条約その他の問題の整備をやってきておりますが、特にこの問題で話し合いをしたことはございません。しかし、将来の問題として、やはり日本最短距離の線を行くということは、われわれも希望しておりますし、日ソ関係がだんだん友好的になっておりますと、将来そういうことは考えられると思います。現在、ソビエトとしては、まだどこの国にもそれを許しておりません。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 それで、許しておらぬというが、話し合いも別にないんですね。
  30. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ええ、現在はまだ……。
  31. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  32. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起して下さい。  他に御発言もございませんようですから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ点者あり〕
  34. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間の通商に関する条約締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件承認することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手
  35. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致でございます。よって、本件全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すベき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから、報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本件承認することに賛成された方は、順次、御署名をお願いいたします。  多数意見者署名 鶴見祐輔 井上清一 森元治郎 鹿島守之助 笹森順造 苫米地英俊 永野護 羽生三七 安部清美     —————————————
  37. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、国際情勢等に関する国政調査議題といたし、藤山外務大臣質疑を行うことといたします。  質疑のおありの方は、順次、御発言をお願いいたします。
  38. 森元治郎

    森元治郎君 簡単に二つばかりお伺いいたします。  今日の衆議院で多分総理から御答弁があると思うのですが、例の赤城さんの持って行く親書、あれは、ある機会に発表なさる御用意がありますか。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 総理から親書を持って行くことは事実だと思います。まだ総理の御意見を承わっておりませんから、私から今申し上げるのはあれですが、しかし、内容としてはそう重要な問題ではなくして、赤城農林大臣を紹介するという範囲だと存じております。
  40. 森元治郎

    森元治郎君 これも簡単でけっこうですが、魚の漁獲高交渉一本で赤城さんは行くんだ、それでいけるんだ、魚の漁獲高交渉だけでまとめて帰れるんだというふうに言っていますが、その確信の理由ですね。ということは、平塚さんあたりは、やはり平和条約の心がまえがないとむずかしいのじゃないかというのだが、政府はそれと逆な立場に立っているようなんですが、どんな理由をあげられますか。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、日ソ漁業条約上の委員会の席上で行われておりますいろいろな問題についての妥結点でありますが、技術的な網の問題とか、いろいろな問題もございますし、すでに妥結した問題もございます。結局、最終的には、総漁獲量であるとか、あるいはオホーツク海の船団の問題でありますとか、そういうようなものに集約されているかと思います。総漁獲量の問題につきましても、十四万五千トンという日本側要求がすでに出ております。ソ連側におきましても、平塚代表が帰って来られるまでは、総漁獲量についてのソ連側の提示はございませんでしたが、その後八万トンというソ連側の数字が出たのであります。そうしますと、八万トンと十四万五千トンの間をどう調節するかというような問題かと思うのであります。また、オホーツク海の問題については、ソ連は、本年は船団を許さぬというような考え方のようでありますが、昨年の例もありますことでありますし、この問題について赤城農林大臣としては十分交渉されると思うのであります。それらのことを考えますと、農林大臣が、漁業のエキスパートも現に行っておりますし、また、連れても行かれますし、それぞれ勘案して問題の解決をはかられることは、この問題に関してはできるのではないかというふうに政府としては考えておるわけであります。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 四月十日ごろまでにまとめたいという日取りを言っているのですが、岸内閣の外交でおもしろいのは、期限をきめるんですね。アメリカに行く前にも、この日までにきめると言ってもきまったためしはないのですね。四月十日ごろにまとまらなければ、いわゆる決裂の状態はこの辺だと、まとまらなければ帰ってくるというのは、この辺の事態に想像されることなんですか。
  43. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 交渉のことでありまするから、時間的にいつまで交渉がまとまるということを赤城代表としても考えて行かれるわけはないので、最善の努力を尽されると思います。ただ御承知のように、漁業の問題は出漁の時期等もございますので、そういうことも見合って、できるだけ早く話をきめるというような考え方で出発せられております。昨年が四月六日に話し合いが最終的につきまして、従って、まあその辺を目途にして、できるだけ努力をしてみようということで出発されておりますが、それが四月十日までにという日をはっきり赤城大臣としてはきめて出られたわけではございません。
  44. 森元治郎

    森元治郎君 もう交渉のことですから、十日が十五日になるかもしれないが、もし、できそうならば、ぎりぎりのときまでいる、こういうこともあるわけですね。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) むろん最終的に最善の努力を尽されますから、十日に帰らなければならぬというほかに別に事情があるわけではないのでございますから……。
  46. 森元治郎

    森元治郎君 ときどき新聞に、話がまとまらなければ自由出漁するという強気なことが出ているのですが、魚取りに行くには準備が要るので、あらかじめ政府では秘密命令を出してそういうふうな準備をしているのか、全然しない、しかし時によってはやるという強い御決心がおありになるのか、この点。
  47. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 新聞紙上には、巷間いろいろ赤城政府代表の考え方を推測した議論が出ているようでありますが、赤城代表としては、できるだけ全力を尽して妥結の道に進むという考え方で出発されているのでありまして、その意味において、決心は非常にかたく行かれますけれども、最終的には自由出漁するのだとか、しないとかいう考え方で現に御出発にはなっておりません。
  48. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それでは、本日の委員会はこれで散会いたします。    午前十一時十三分散会      —————・—————