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1958-02-27 第28回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月二十七日(木曜日)    午前十時二十三分開会     —————————————   委員の異動 二月十九日委員黒川武雄君及び吉田法 晴君辞任につき、その補欠として重宗 雄三君及び安部清美君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     寺本 広作君    理事            井上 清一君            鶴見 祐輔君            森 元治郎君            石黒 忠篤君    委員            鹿島守之助君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            永野  護君            野村吉三郎君   政府委員     外務政務次官 松本 瀧藏君    外務大臣官房長 田付 景一君    外務省経済局長 牛場 信彦君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件通商に関する日本国インドとの間  の協定締結について承認を求める  の件(内閣提出) ○在外公館名称及び位置を定める法  律等の一部を改正する法律案内閣  送付、予備審査)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  通商に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件(本院先議)、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案予備審査)以上両案を便宜一括議題といたします。  政府より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) ただいま議題となりました通商に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定に関しては、昨年末ニュー・デリーにおいて交渉を続けて参りましたところ、この交渉インド側担当者であるラル商工次官補日印間の円借款問題とも関連して来日しましたのを機に、東京において最終的交渉を続行いたしました結果、二月四日に東京藤山外務大臣とジャー駐日インド大使との間でこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、いわゆる通商協定規定事項である関税及びこれに関連する事項輸出入等についての最恵国待遇のほか、入国、滞在、事業活動、船舶に対する原則的な最恵国待遇をもあわせて規定しており、わが国東南アジア諸国との間で戦後初めて締結する広範な通商協定でございますので、単にインドとの通商航海関係緊密化に資するのみならず、今後わが国東南アジア諸国との通商航海に関する協定締結容易化に役立つこと大きなものがあると期待されるわけであります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたします。  次に、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  まず、在外公館新設につきまして申し上げますと、外務省といたしましては、昭和三十三年度におきまして、ガーナ大使館新設したい考えであります。ガーナは御承知のとおり、昨年三月新たに独立いたしました国でありますが、わが国といたしましては、アジア・アフリカ諸国との友好親善関係増進の見地からも、また、西アフリカの経済的意義から見ましても、ガーナ大使館を置きますことは、きわめて有意義であると認められますので、昭和三十三年度におきまして、ガーナに、法律上のみならず、実際に大使館を開くこととしたい計画であります。  次に、在外公館昇格についてでありますが、過去数年来、各国が交換いたします外交機関は、だんだん公使館から大使館に切りかえていくことが国際的な趨勢となっておりまして、このことは、去る第二十六回国会及び第二十七回国会におきまして、それぞれ数館大使館昇格を行うための法律上の措置につき御審議をお願い申し上げましたときに御説明申し上げた通りであります。特にサウディ・アラビア、ノールウェー、デンマーク、エチオピア及びニュー・ジーランドの五つの国は、かねてから、わが国大使館を交換したい強い希望を表明してきており、サウディ・アラビアは、本年一月十五日以来すでに大使館東京に置いている次第であります。また、ヴァチカンは、ヴァチカン側在外公館には大使館公使館の別を設けておりませんけれども、わが方在外公館大使館にしてほしいとの意向であります。わが方といたしましても、このような要望にこたえますことは、機宜に適したことと考えますので、この際以上六つの国に現在置いてあります公使館を、それぞれ大使館昇格せしめたいと考えます。  このような在外公館新設及び昇格を行うための法的措置といたしまして、在外公館名称及び位置を定める法律に一部改正を行い、また、それに従いまして、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律にも改正を加える必要がありますので、ここに、右二法律の一部改正をうたった本法律案を提出する次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。
  4. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上提案理由説明を承わりました二つの案件のうち、本日これから通商に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件に対する質疑を行うことにいたします。質疑のおありの方は、逐次御発言をお願いいたします。
  5. 永野護

    永野護君 インドと戦前ある財産の相互の押えているものを返すという交渉は、その後どうなっておりますか。
  6. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 先般の円借款の問題、今回の通商協定ともに予想以上にスムースに事が進展いたしました。あわせて在外資産問題等について、引き続きいろいろ協議をしてきておりますが、今のととろ見通しは、若干明るい段階にきているような気がいたします。引き続いてこの交渉をやっております。
  7. 永野護

    永野護君 金額はどのくらいの見込みですか。日本インドに対して持っている財産と、インド人日本に持っている財産と……。
  8. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 調べて後ほど資料を提出したいと思います。
  9. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 これは通商協定ができますと、インドの領事館を方々にお置きになる御計画はございますか。
  10. 松本瀧藏

    政府委員松本瀧藏君) 今の数をふやす計画は目下のところございませんけれども、必要に応じまして、あるいは考慮するということはあるかと思います。
  11. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 第一条第二項で、「日本国に対し、インド英連邦諸国に与える特恵若しくは利益又はインド国境貿易を容易にするため隣接国に与える利益の享受を要求する権利を与えるものではない。」こういう例外がありますが、これを具体的に言いますと、たとえば、日本繊維あたりインドに入る場合、ランカシャーから出てくる繊維に対する課税はどのくらい違ってくるのですか。
  12. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) インド特恵関税を与えているのはイギリス本国と、イギリス植民地と、パキスタンの三つであります。繊維に対する関税は、大体私の記憶によりますところでは、日本から入りますものの半分くらいのものだろうと思います。なお、詳しいことはただいま調べまして資料として提出いたしたいと思います。
  13. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 国境貿易はどのくらいの差があるのですか、特別の恩恵を与える……。
  14. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この国境貿易と申しますのは、ただいまインドが与えておりますのは、東西パキスタン、ビルマ、ネパール、ブータン、中共——中共と申しましてもチベットでございます。それからアフガニスタン、ゴアなんかも考えられますが、これはもう主としてやっておりますのがパキスタンネパールであります。  それからチベットとも相当程度行われておるようでございまして、これはほとんど無税でもあって相当程度のものが動いておるということのように承知しております。ただ、この国境貿易を容易にするための利益と申しますものは、ガットにおきましても認められておりますので、それと同じ範囲で日本も認めるということでございます。
  15. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 第五条ですか、「各締約国は、所在地のいかんを問わず国家企業を設立し、若しくは維持し、」云々とありますが、国家企業というのはインドの側のことを意味するのですか。日本交渉の経過、第五条の……。もうちょっと詳しく。
  16. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) この規定でも、これはガットにありますものをほとんどそのままとったわけでございます。それで、国家企業と申しますと、日本側では食糧庁がこれに該当します。それから、専売公社もそうでございまして、たばこ及び食用塩につきましては、専売公社がこれに該当するわけであります。インド側におきましては一九五六年の四月に、兵器製造製鉄航空機製造空輸事業鉄道輸送造船事業等、十七種の産業国営事業に指定しておりますために、だんだん国家企業がふえて参っております。そのほかに、現在でも国家貿易公社、ステーツ・トレーディング・コーポレーション、これは典型的な国家企業になるわけでございます。従って、この規定は、実質的には日本の方に利益が多い規定でございます。
  17. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止
  18. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起して下さい。
  19. 永野護

    永野護君 先ほども説明のありましたインド国家企業の種類をもう一度、ちょっと済みませんが。
  20. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 兵器製造製鉄航空機製造空輸事業鉄道輸送造船事業等全部で十七種の産業国営産業として指定いたしまして、もちろん、全部国営にしてしまうという意味ではなくて、こういう事業国家がやることができるということにしたわけでございます。
  21. 永野護

    永野護君 そうしますと、インドで、たとえば日本人製鉄事業経営しようということはできないわけでございますか。
  22. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 新規事業は、これはおそらく認められないと思います。
  23. 永野護

    永野護君 そうすると、向うの国営製鉄業に参加することはできますか。
  24. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 国営はこれは全部政府資本でございますのでできないと思います。ただ、現在現存しております民間の製鉄会社がございますから、それに参加することはできるわけでございます。
  25. 永野護

    永野護君 新しい鉱山の開発には鉄道の敷設が伴いますが、その鉄道もやはり日本人経営というわけにはいかぬわけですね。
  26. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 日本人経営ということにはいかないと思います。ただ資材を出しましてそれを延べ払い的に回収するということはこれはできるわけでありますけれども、経営に参加するということは国営事業上できないと思います。
  27. 永野護

    永野護君 私は正確な数字は知りませんけれども、鉄道運賃が非常に高いように聞いております。そうしますと、日本人がこしらえた鉄道日本人が開発した鉱山生産物を輸送しますときに、そのコストに非常に大きな影響を与える運賃、これを日本人経営ができないと、極端なことを言えば、幾ら高い運賃をきめられても仕方がない。それだけインドで作る鉄製品コストが高くなる。日本へ持って来るのにそういうふうなことが考えられるのですが、そういうときに日本人経営参加というようなことは余地はないものなんでしょうか。
  28. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは経営参加という形ではむずかしいと思うのでありますが、もちろんそういう開発します際は、交渉が行われて当事者間に契約もできるわけでございましょうから、その際に鉄鉱石の値段をきめる際の一つのファクターとしまして、輸送費などにつきまして、これをなるべく低くきめるように交渉するという余地はこれは十分あると存じます。また、政府の方でもそういう場合には大いに業界と協力いたしまして、そういうふうに交渉いたしたいと思っております。
  29. 永野護

    永野護君 その点に余地があればけっこうだと思います。
  30. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめて。   〔速記中止
  31. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を始めて。  それでは、通商に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件に対する質疑は、本日のところこれにて終了いたします。本日はこれにて散会いたします。   午前十時四十五分散会      ——————————