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1958-04-22 第28回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十二日(火曜日)午 前十時三十四分開会     —————————————   委員の異動 四月十九日委員成田一郎辞任につ き、その補欠どして川村松助君を議長 において指名した。 本日委員川村松助君及び佐藤清一郎辞任につき、その補欠として近藤鶴代 君及び成田一郎君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            松浦 清一君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   説明員    大蔵省主計局主    計官      鹿野 義夫君    運輸省自動車    局業務部長   國友 弘康君    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豐君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○自動車にどろよけを装置するの請願  (第一六一六号)(第一六九四号)  (第一七〇二号)(第一七一五号)  (第一七一六号) ○新潟市に国鉄支社設置請願(第一  六一七号)(第一七一七号) ○新潟県に海員学校設置請願(第一  六一八号) ○山形鉄道管理局復活に関する請願  (第一六四四号) ○姫新線鉄道輸送力拡大強化に関す  る請願(第一六四八号) ○瀬戸、西大寺両駅間に新駅設置の請  願(第一六四九号) ○神立、高浜両駅間の茨城県千代田村  逆西地先踏切警報機設置等請願  (第一七〇一号) ○理事補欠互選継続調査要求の件 ○小委員会運営に関する件 ○運輸事情等に関する調査の件  (大阪駅における修学旅行の学生の  事故に関する件及び横浜駅の旅客の  不祥事故に関する件)  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) これより運輸委員会開会いたします。  まず、請願の審査に入ります。  速記をとめて。   〔速記中止
  3. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記を始めて。  それでは請願第千六百十六号、自動車にどろよけを装置するの請願外九件の請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、報告書その他の手続は、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それではこれで休憩いたします。    午前十時四十一分休憩      ——————————    午後一時三十七分開会
  6. 天田勝正

    委員長天田勝正君) これより運輸委員会を再会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  四月十九日成田一郎辞任川村松助補欠、四月二十二日川村松助辞任近藤鶴代補欠、同じく佐藤清一郎辞任成田一郎補欠、以上選任せられました。     —————————————
  7. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、理事補欠互選についてお諮りいたします。  理事成田一郎君が運輸委員辞任し、再び委員に復帰せられましたが、現在一名理事欠員となっております。この互選は、成規手続を省略して、便宜、委員長より理事指名いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。それではこれより成田一郎君を理事指名いたします。     —————————————
  9. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、運輸事情等に関する調査についてお諮りいたします。  本件につきましては、その対象が広範多岐にわたっており、早々に調査を完了することが困難でありますので、本院規則第五十三条によりまして、閉会中の継続調査要求書議長に提出することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、要求書内容及びその手続は、委員長に御一任願いたいと存じますが、これまた御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  12. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、閉会中においても、交通事故防止に関する小委員会を継続して設置し、小委員長及び小委員の構成は、現在通りとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、閉会中の運輸委員辞任及び小委員辞任許可等により、小委員欠員を生じた場合には、これらの補欠選定については、成規手続を省略して、あらかじめ委員長または小委員長にこの指名を御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  15. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、運輸事情等に関する調査のうち、自動車行政に関する件を議題といたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  16. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記を始めて。  それではまず、國友業務部長から大井タクシー、サクラ・タクシー東光タクシーについて、概略の説明にさらに加えてその後の調べた結果等の報告を求めます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 その前に。この報告は相当日時もたっておるし、本委員会において報告をしてもらって、本委員会の他の委員もいろいろ質問があるだろうと思うけれども局長は出てこないというのはどういう理由か、冒頭に明らかにしてもらいたいと思います。
  18. 國友弘康

    説明員國友弘康君) 局長はよんどころない公用で出て、今探しておりますが、探せましたら出て参ります。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 公用で出ておるのに探すというのはどういうことですか。公用で出ておれば探さなくてもわかっているはずだ、どこにいるのですか。
  20. 國友弘康

    説明員國友弘康君) 連絡をとりましてできるだけ早く出て参るようにいたします。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 どうもそれでは納得できぬのですがね。どういう理由局長はここへ出られなかったか、その理由を聞かしてもらいたいと思います。
  22. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは答えられないのですね。はっきりしないのですか。公用なるものがはっきりしないのでしょう。
  23. 國友弘康

    説明員國友弘康君) ちょっと出ておりますので至急連絡をとって、参るようにいたします。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 連絡をとるというのですからやむを得ぬとしましても、この前の委員会においても、聞けばどっかの道路の開通式に出て委員会へ出てこないということを聞いているのですが、この前も出ない、今度も出ない、非常にけしからぬと思う。ぜひきょうは探して、おそくてもいいから出てもらいたいと思う。
  25. 柴谷要

    柴谷要君 自動車局長公用のために出ておるということは私はわかる。というのは、少くともきょう最終の運輸委員会を開くならば、昨日理事会を招集して、理事委員長会議を開いて、きょうの議事日程をきちんと組んで、そうして運輸省あるいはそれを関係官庁に全部連絡をして、きょう出席せいということで、本日出席できないというならば、私はこれは責任問題として追及すべきだと思います。ところが、きょうの十時以降において理事会で決定されて、出ろといっても、あるいはけさのうちに官庁にはおのおの業務があって出かけられたものだと思います。出かけられた先に十分連絡をして、まあ出席をしようという努力が果して行われているかいないかというだけの私はきょうの問題であろうと思います。そういう点で努力されて、また出るというならば、本問題に対しては、出席を求めたあと質問をする、こういうことで議事を後段に回してもらいたいと思います。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 柴谷君のそういう意見があるのですけれども、大体きょうは運輸委員会定例日ということはわかっていると思います。であるから、むしろどうしてもきょう出かけなければならぬという公用があるならば、あすの定例口には委員会開かれますか、開かれるならば私はこういうわけで出なければならぬということを積極的に連絡するのが当りまえだと思います。それをこっちの理事会が開かれないからといって、それでやむを得ぬかもしれませんけれども、そういうことは誠意がないじゃないかと思います。しかも、今聞いてみると、公用でどこかへ出かけましたので、どこへ行っているかわかりませんから、連絡します。何のことだかわからない。公用で出ているんならば行く先がわかっているだろう。そういうことば私納得できません。
  27. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をとめて。   〔速記中止
  28. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  それでは相澤委員から、運輸大臣に対して緊急質問があるという申し出がございましたので、まずこれを許します。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣緊急質問を行いたいと思います。  それは前回運輸委員会におきまして、大倉委員から、去る四月十一日、大阪駅で転落死亡した十文字高校生小沢桂子さんの惨死の問題について、今後こういうことのないようにという強い委員会としての意思表示を行い、また運輸省といたしましても、国鉄なり関係交通機関に対してそういう処置をとる、こういう御発言があったと思うのでありますが、具体的にどのようなその後措置をとられたのか、まず、それを最初にお尋ねいたしたいと思います。
  30. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 相澤委員の今の御質問は、鉄道監督局長がしかるべく昨日厳重な通達をさしておりますでございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 事態は、四月十一日にこの十文字高校の生徒の小沢君が惨死をし、非常な世論というものを起したわけでありますが、当局のいわゆるこれに対処するところの措置緊急性を欠いておったということが、私は非常に遺憾だと思うのであります。で、実は昨日、四月二十一日の朝の七時半ごろ、ラッシュ・アワーの際に、東横線横浜駅の階段で非常に通勤者の人波が多いために、将棋倒しにくずれまして、会社員上田義子さんを初め五人の方が実は負傷をしたわけであります。続いて、同じ四月二十一日のこの七時半以後四十五分、十五分ばかりたってまた二回目に、同東横線横浜駅の階段の上で、非常に混雑をしたために、駐留軍要員和田金太郎さんを初め五人の方が重軽傷々負った惨事を起したわけであります。これは今の大臣答弁によると、監督局長は昨日いわゆる国鉄なり私鉄なりにそういう措置を命じたということでありますが、こうしたことは、前回の本委員会においても、東横線混雑の問題については、すでに大倉委員からその点を指摘をされておったわけであります。にもかかわらず、今日までいわゆるその措置が当を得なかったために、再びここにわずか、十五分の間隔を置いて二回も大きな事故を起しておる、人命損傷しておる、こういうことは私はまことに遺憾と思うのでありますが、運輸大臣としては、どのようにこの問題についてお考えになるか、御答弁をいただきたいと思います。
  32. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 実は私は昨日京都から東上したのでありますが、車中で大倉委員と御一緒になった。大倉委員横浜でおおりになった。そのとき私は予感がしたのです。あの階段の非常に急な、私も一、二度知っております。私は京都の例など見て危険であるということは、就任以前から知っておりまして、たまたまこの間大倉委員からも御質問がありまして、昨日予感があって、そうして帰りまして夕刊を見ますと、御指摘のような軽傷者を出したということは、私もがく然といたしました。それできょう鉄道監督局長に電話をいたしまして、改善命令を出すようにということを通知をいたしましたところ、以前から会社側におきましてあれを改善をするという計画はあるのでございまして、まだ施行はいたしておりませんが、計画がございますので、今、図面等も持っておりますので、その点につきましては、今鉄道監督局長からお答えをさせます。こういう事件が頻発をいたしますということは、起ってから騒いだって何ともなりませんので、起る前から適当な措置をとらなくちゃならぬと思っております。しかし、昨朝そういう軽傷者を出したということは、くれぐれも遺憾でありまするが、この点は御了承を願っておきたいので、今、改善計画につきまして御報告を申し上げます。
  33. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 事故防止につきましては、かねて再三再四注意もし、通達もしておるのでございますが、大阪駅の事件もございまするし、時たまたまゴールデンウィークも控えまして、行楽期に入りまして旅行の混雑が予想せられますので、特に駅内あるいは車内の秩序維持、一列励行なり、割り込み禁止などについて、昨日、時期を見計らってまたあらためて強く国鉄及び私鉄通達をいたしたのでありますが、たまたま、今先生の御指摘通り横浜駅で事故が起りまして、まことに遺憾なことでございますが、この問題については、実はかねてから、これは設備の面と旅客誘導の面とに両方の問題がございまするけれども、まあ押し合いへし合いが起りませんように、いろいろ旅客の御協力も願うと同時に、設備改善いたさなければなりませんので、かねて会社にも注意をしておったのでありますが、この東急乗降場通路改善についてはすでに計画ができ上りまして、本年の二月ごろかと思いますが、設計変更の届が出て参っておるのでありまして、工事施行に当っては国鉄相模鉄道との関係がありますので、協議をしておったようでありますが、会社側としても近く工事に入るようでございます。  その内容は、現在の地下道に対しまする通路一つでございまして、これが、御指摘のように、横浜駅のこの東急乗降場からおります通路が急でございます。これを少し東京方へ寄せまして、電車が今東京方へとまっておりますが、これをもう少し下り方へとめまして、この通路を上り方へ口を移しまして、踊り場が狭いのでありまして、踊り場を広くとりまして、ここに乗降口設備改善設計もすでにでき上っております。近く工事に入りますが、さらにこれだけでは足りませんので、同じホーム下り方にさらにもう一つ穴をあけまして、こちらからもおりられるようにする、そういたしますと、二つになりますので、整理、誘導も工合がよくなりまして、これは今申し上げましたように、設計もでき上り、協議も最近完了いたしましたので、近く工事に着手すると存じております。  それからさらにもう一つ、この下り方の方に相模鉄道ホームが突っ込んで参っておりまして、このホームからもこの地下道へ出るようになっておりますが、この点については、現在国鉄ホームの間に跨線橋が下り方にございますが、これと並行して相模鉄道ホームから直接本屋の方へ出られるように一つ通路をつける、そうすると今混雑をしております地下道がそれだけ緩和になりますので、これは国鉄の線路を横断いたしますので、国鉄協議しておったのでありますが、これはすでに一部工事に着手しております。従いまして、設備といたしましては、この両方設備をできるだけ早い間に完成せしめますことによって、設備改善はできると存じておりますので、この計画をなお促進したいと存じております。以上御説明申し上げます。
  34. 相澤重明

    相澤重明君 設備改善命令を出された、あるいは会社自体としてもすでに計画も持っておる、こういうことでありますが、持っておること自体はまことにけっこうだと思います。しかし、具体的に昨日はすでに本委員会において大倉委員からそういう御質問があったことに対して、一体運輸当局監督局長はどのような措置をとられたか、こういうことが私はやはり問題になろうと思う。そこで、ただいま大臣から聞けば、いわゆる昨日この監督局長のそういう命令が出された、その間にそれじゃ監督局長現地を、少くとも本委員会でそういう指摘をされておるのでありますから、現地調査をされたのか、あるいはまた現地にそういう照会をされたのか、この点についてどのような措置をとられたのか、再度お尋ねをしておきたいと思います。
  35. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) ただいま御説明申し上げました横浜駅の設備改善につきましては、実は本日関係者を私のところへ呼びまして、その事情を聴取するとともに、この設備改善の促進を促しておいた次第でございます。
  36. 相澤重明

    相澤重明君 本日関係者を呼んでいろいろと御相談をされたことはけっこうなことですが、具体的に、二回もこうした人命損傷事故大阪で起きたばかりで、各国鉄なり私鉄なり、そういう交通関係はみずからもこれは当然その措置を考慮しなければならぬのであるが、特に本委員会指摘をされておるのであるから、当然運輸当局としてはそういう具体的な措置を講ずべきであったと思うのですが、それがこの一週間なり十日なり、この期間というものがあるわけですね、十一日に大阪事故が起きておる、きのうは二十一日です。こういう考え方に立っていくと、本日呼ぶというのはわかるけれども、一体それまで、昨日まで、本委員会指摘されたことについてどういう手配をとったのか、こういうことを私はお尋ねしておる。そういう点については今までやらなかったとか、現地調査をしておらなかったとか、そういうことがあるなら率直にお答えをいただきたい。
  37. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 大阪でもって起りました不幸なでき事については、その当時、即時に国鉄からいろいろ事情を聴取いたしたのでありますが、これは前回も申し上げました通りに、旅客の間における割り込み乗車その他の問題もあり、なお国鉄の公安の方面でも警察と連絡して調査をいたしておるようでありますが、この点については、そういう事件が非常に新聞にも大きく取り扱われましたし、また国民の皆様も非常に貴重な教訓を得られて、その反響も大きいのでありますので、私どもとしては、今後の取扱いに遺憾なきを期したいと、こう思っておったのでありますが、そのときにも、この事件についての今後の一列乗車の問題、割り込み禁止通達をいつ出すか実は考えてみたのであります。これはちょうどたまたま先ほど申し上げましたように、ゴールデンウィークでもございまするので、これにも役立つようにというので、実は通達を出すことは早く決意したのでありますが、その時期を二十一日の月曜がいいじゃないかと思って、私の判断で二十一日に通達を出したのであります。設備改善その他につきましては、これはかねがねこの事故防止は私どもの第一の行政行政の目標でございまするので、いろいろ通達をいたしておるのでありますが、なかなか完全な設備もそう早急にはできておらぬようでありますので、逐次陸運局その他とも連絡して、常時気を配っておりますが、横浜については、実は不幸こういう事故が起ったということを、昨日の夕刊で実は知りましたものでございますから、本日午前中に当事者を呼んで、今御説明申し上げました設備改善について、詳細に事情を聞くとともに、その注意を促しておいた次第でございます。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、監督局長はまあ月曜日にこの命令を出し、あるいは指示事項を出すということが最も適当であると判断をされて昨日出された、こういうことになるわけでありますが、それでは具体的に一つお尋ねをしたいのであります。昨日の事故については運輸当局としては、先ほどの大臣の御答弁のように、まことに遺憾であったというだけで、この会社に対してはどのような措置をとれと言ったのか、改善命令については、あとお尋ねしますが、そういう人命損傷については、具体的にどのような措置をとらしたのか、そのことを先にお尋ねをしたいと思います。
  39. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 運輸省がこの会社見舞をせよとかいうことは今言っておりません。しかし、会社はそういうふうに自分設備の不完全と申しますか、そういうふうにして軽傷者を出したのでありますから、会社は適当な処置をとるものと思います。しかし、この点は一応会社側にも私はただして適当なお見舞をするというふうなことも申したいと思います。
  40. 相澤重明

    相澤重明君 大臣の御答弁は非常に慎重な御答弁でありまして、私もよくその点はわかるのですが、監督局長はいかがですか、きょうの午前中あなたは関係者をお呼びしたと言うんですが、関係者はどういうふうにその点について報告をされておりましたか。
  41. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 会社と、不幸軽傷を負われましたり、傷害を負われましたりした方との間のいろいろの慰謝、賠償問題については、これは在来ともこういう事件のときには、これは会社の方にまかせてございますので、私どもの方から何も指示はいたしておりません。本日も、この設備改善を主としてその状況を聴取いたしましたので、その見舞、補償の点については、報告を求めておりません。これはあらためてさらに会社調査いたしたいと思っております。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 形式的な御答弁ではそれもいいかと思うのです。しかし、私は少くとも私鉄にしろ国鉄にせよ、こういう人命損傷事故を起した場合には、何をさておいても、その人たちに対して深甚ないわゆる謝意を表さなければならぬと私は思うのです。また、そうしたお見舞をしなければならぬ、こういうことが当然、私鉄経営者の諸君から運輸省当局に私は報告があってしかるべきだ、いわゆる本委員会で問題になりました洞爺丸にしても、あるいは紫雲丸事故にしても、常に、いつでもいわゆる交通事故の問題については、やはりその遺族の人たちなり、あるいはその損傷になられた方々に対する十分なる誠意というものが披瀝されなければ、この問題はやはりいけないと思う。そういう点を監督局長には特に強い意見を申し上げておきたいと思う。今後、そういう報告がなかったならば、なぜ報告をせぬかというくらいは、運輸省当局としてやってしかるべきじゃないか、これはお見舞の額をどうするとか、あるいは損害賠償をどうするとか、こういうことはもちちろん会社側と御本人との間になるかもしれませんが、報告ぐらいは、私は受ける義務があると思う。そういう点で監督局長に、こういう事故が起きた場合には、その措置を私はとっていただきたい。  それから第二点の問題といたしましては、ただいまいわゆる設備改善命令をされ、しかも、具体的な設計変更等が出されておると、こういうお話を承わったのでありますが、私の聞くところによると、いわゆる東急自分自身設備改善をでき得ると、自分考え方設備は自由に改善ができ得ると、こういうお考えのように私どもは聞いておるわけです。御承知のように、この横浜駅は、これは東急及び相模鉄道、それに国鉄、京浜、こういう、国鉄横浜駅を中心に関係私鉄が交錯をしておる所であります。従って、これらの総合的ないわゆる横浜駅の交通問題をお考えにならなければ、一カ所だけよくしたところで、これは決して混雑緩和なり、あるいは事故を防止するということに私はならないと思う。そういう点について、命令を出され、しかも、本日関係者を呼ばれた際に、具体的にそういうようなことが監督局長の方に、お話にあったのかどうか、この点について先に一つお尋ねをしておきたいと思うのです。
  43. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 本日、いろいろ報告を受け、指示をいたしましたのは、先ほど御説明いたしました東急乗降場の問題と相模鉄道通路の問題、これについての先ほど御説明いたしました事情を聴取し、指示を与えたのでありまして、この国鉄、京浜、東急相模鉄道を通ずる横浜駅全体の問題には触れておらないのでございます。
  44. 相澤重明

    相澤重明君 これは今、国鉄の副総裁も見えたようでありますが、少くとも、この横浜市を中心とした国鉄横浜駅の混雑緩和の問題については、地元の通勤者あるいは地元の人たちの長い要望があったわけです。ところが、国鉄の予算なり、あるいはまた関係私鉄の方々と協議をするにしても、なかなかその経費の問題で意見が一致をしないと、こういうようなことで、混雑はそっちのけにして、実際にはなかなかその話は進んでおらなかったというところが、今日までの、私は、あの混雑が非常に殺人的であるにもかかわらず、実際にでき得なかった理由だと思うのです。そこで、今申し上げたように、東急は大資本であるから、自分のところは自分で直せる、こういう考え方で、国鉄なり相模鉄道なりと協調があったのかなかったのかということは、これは非常に私は大きな問題だと思う。そこで一つ運輸大臣の立場で、そういう総合交通政策の問題と関連をして、どうあるのが正しいのかという、まず運輸大臣の所見を一つこの際承わっておきたいと思います。
  45. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、あの辺を詳細には視察したことはございませんが、ときどき横浜に行ったりいたしておりまするから、私も、しろうとながらに、総合的な対策あるいは施設の改善をしなければならないということは痛感をいたしております。ただ、大倉委員が先日御指摘になった、あの東急の急な階段、あれはまっ先にやらなきゃならぬということは私も考え、しかも、夕刊でもって、軽傷者を出したということでございまするから、まず第一に、この点を直すようにということを、私はけさ、鉄監局長に、事業改善命令を言わしたのです。ところが、時あたかもこういう計画が来ておる、こういうことでござりまするから、これは今お答え申し上げた通りでございます。しかし、御指摘のように、総合的に考えていかなきゃならぬということは、私も痛感をいたしております。しからば、どういう具体的案があるのか、これは、私がお答え申し上げまするより、国鉄なり、当局から申し上げた方が的確にお答えができると思うのでございます。
  46. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと御注意までに申し上げておきますが、実は、運輸大臣は衆議院の方の内閣委員会におきまして、運輸省設置法の質疑と採決が直ちに行われるということで、要求を実はされております。採決でありますると、これはもうやむを得ないことでありまするので、一つ、他の案でなしに、運輸大臣にあてての質問をまとめてしていただきたい。お願いいたします。
  47. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは短時間でございますからね、済んだらまた来ます。
  48. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただし、今大臣も言っている通り、その点は、採決ですから、短時間だそうですので、終れば、直ちにまたこちらへ戻るそうです。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 簡潔に、関連質問を三つばかりやりたいと思います。第一番には、先ほど鉄監局長の御答弁の中で、割り込み禁止等の通達をした こういうような答弁だったのですが、こういうことは、一片の通牒の文書だけでは直らぬと思うのですが、具体的にどういうことになるのですか。割り込み禁止をする、こういうことは、いわゆるホームの現場においてどういうような取締りなり、あるいはどういう方法によって割り込みをなくしようという、何かそういう構想があったら一つ伺いたいと思います。
  50. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 実は、運輸省といたしましては、不幸な事故を起さないようにあらゆる措置国鉄及び私鉄にとってもらいたい。で、それには、特に混雑時には、駅舎内の整理と車内整理が問題でございまして、駅舎内では、どうしても一列乗車の励行なり、割り込みの防止にいろいろ努力をしてもらわなければならぬと思いますので、この具体的な措置は、国鉄におきましても、その駅その駅で事情が異なりましょうし、また私鉄にもそれぞれ、その場所その場所でいろいろな手はあろうかと思います。従いまして、運輸省といたしましては、具体的にこうしろああしろというところまでこまかい指示はいたしておりませんので、国鉄私鉄で十分これを消化していただくことを期待しておるわけでありますが、との問題は、また同時に、前回も申し上げましたように、乗客側の御協力がなくてはできないことでございまして、どうしても交通道徳の面から乗客側の御協力も期待いたしたいのであります。具体的には、前回も高良先生の御質問お答えいたしましたように、設備上の問題、旅客の整理上の問題、誘導上の問題もございまするが、これはまあ運輸省として、その具体的な場所に一々どういう具体策を持っているかという御質問については、これはやはり当事者におまかせしないと、お答えにくいと思うのでございます。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、これは如才ないと思うのですけれども、一片の通牒を流したからというだけじゃなくて、割り込みのできないような設備の方法もあろうかと思いますので、そういう問題もあわせて一つ考慮しながら御指導を願いたいということを要望しておきます。  次には、横浜の問題ですけれども、今の御答弁によりますと、裏口へも穴をあける、あるいは階段も広くする、こういう答弁のように思うのですけれども、私は、ちょっと構想が古いのじゃないかと思うのです。たとえば、考えようによっては、階段を広くすると、逆にかえってあの横浜のような惨事がもっと大きな惨事になるのじゃないかというような気がするのです。つまり、一度にどっと押し寄せてくる、これは階段が広ければ広い階段に一度に……、その事故は一瞬にして起る、こういう性質のものでありますから、階段が広いばかりがこの事故防止の策ではないと私は考えている。たとえば、この場合におけるところの、乗降の設備そのものに新しい工夫をこらすということも考えなければならぬと思いますが、そういうような構想の考え方については、どういうふうにお考えになっているかということについてちょっと伺いたいと思います。
  52. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 東急乗降場につきましては、先ほど申し上げましたように、現在のを少し上り方に移しましてから踊り場を広げまして、同時に電車の停留位置も、現在位置よりも下り方に持って参りまして、旅客の流れが二つに割れるようにする、そういたしますと、さらに下り方のこの通路が足りませんので、そこに通路をあけますれば通路が二つになりますので、今よりもだいぶ緩和される、また地下道につきましては、これは国鉄関係地下道でありますが、この地下道自体が狭いことは事実でございますので、これも国鉄においては今年度広げる計画をいたしておるように承知しておりますが、それと同時に、京浜方面は現在のままでありますが、相模方面については、さらに別の通路ができますれば、これは地下道が二つになったことに匹敵いたしますので、旅客の流れが非常に緩和される、現在の東急乗降場と相模のホームと、この本駅との流れは、この方法によってしか解決できないという現状でございます。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、横浜に限らず、全国的にこの例があると思いますので、早急に一つ調査を願って、同じ事故を再び繰り返さないように、御指導、御監督願いたいと思うのです。この場合、特に私は注意を喚起しておきたいと思うのは、必ずしも跨線橋は、階段でなければならぬという原則はないわけなんです。でありますから、なだらかな斜面を作ってやるというようなことも、非常に混雑する駅舎においては考えられると思いますが、そういうことも一つ参考にして、全国的に一つ調査を願って、対策を立ててもらいたいと思います。  次に、大臣にお伺いするのですけれども、先ほどからの御答弁によりますと、完全な設備がなかなか早急にはできぬが、促進をさしておるというような御答弁があったのですけれども、しかしながら、私鉄あたりを見ると、営利的な設備はどんどんできる、またたく間にりっぱなすばらしいものができておる。ところが、こういう人目に立たない、非常に安全性を欠くような設備については、大した費用はかからぬにもかかわらず、さっぱり工事は促進しないと、こういうところに、私は、監督官庁としての、大きな一つ考えるべき点があるのじゃないか。いわゆる業者が公益性の自覚ということよりも、むしろ利潤追求、営利という自覚の方が優先しておるというところから、安全な必要な設備というものがあと回しにされておる。そして営利性の設備、企業性の設備だけがどんどんどんどん先走っていくと、こういうような状況にあると思うのですが、そういうような、根本的な問題に着目して、そうしてもっと公益性なり公共性なりというものを高めていく、自覚さしていく、そうして交通安全というものを優先に設備をするという、そういうように指導すべきだと思うのですけれども、この点について、大臣の御所見を承わっておきたい。
  54. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私も、あなたのおっしゃることと全く同じ考えを持っております。これを実行しなきゃならぬと思いますが、平素私は、そういうふうに心がけておるのでございまして、ことに中小私鉄設備の悪い所は全国にずいぶんある。いつも御報告申し上げますように、犬くぎが抜けておったとか、電柱が腐っておったとか、駅舎がないとか、そういうような所につきましては、改善を前提として、やむを得ず中小私鉄で値上げを認めておるところもあります。しかし、その値上げは、そういう設備改善せよということを私は条件としております。この点は、次第に改善の向きも出ておると思いますが、問題は大私鉄でありましょう。大私鉄が、いわゆる兼営の熱を出して、本業がおろそかである点は私は認めざるを得ません。それがために、値上げをしていただきたいということを、向うは意見を言うておりますが、この問題は、しばらく別といたしまして、そういう点につきましては、私は、十分今後指導して参りたいと思うのでございますし、大私鉄ほど、そういう点は、注意をしていかなきゃならぬと思います。今のお話東急のことも、たまたまあなたの御経験で御指摘になって、私もはっと思うところがございましたのでございます。おそまきながらでございますが、今日は、鉄道監督局長に、しかるべく命令をするように命じたわけでございまして、あなたの先見の明に対しましては、深く敬意を表する次第でございます。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄の副総裁に、関連して、一つお答えを願いたいと思うのです。国鉄は、やはり横浜駅の場合は、私鉄との交通量の調整あるいはそうした、いわゆる事故を防止する対策というものを、当然お考えになっておると思うのであります。先ほども運輸大臣なり監督局長からのお話で、私鉄の方の改善ということは、若干わかりましたけれども、とにかく昨日のように、二回も人命損傷事故が起るというこの結果を招来をしたことは、やはり国鉄としても、早急にとの設備改善をしないと、その轍をまた踏むことになってしまう、こういうことに私はなろうと思うのです。従って、国鉄相模鉄道に抜ける跨線橋なり、あるいは地下道なり、あるいは国鉄東急相模鉄道、京浜とのそうした交通混雑を緩和する方向というものは、具体的にどういう計画があるのか、この点を一つお答えをいただきたいと思います。
  56. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 相模鉄道との間に話し合いをいたしまして跨線橋を、総予算千三百万円のうち、八百八十万円を国鉄が負担いたしまして、残余は相模鉄道の負担ということで、跨線橋を現在着工しつつあります。  それからもう一つは、地下道の拡幅でありますが、これは本年度の予算といたしまして三千八百万円を計上し、二カ年計画をもちまして、たしか現在六メートルぐらいの幅だったと思いますが、それを八メートル幅に拡幅したい、こういうことで目下進んでおります。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 今の計画お話では、千三百万円からの予算で、国鉄相模鉄道のいわゆる通り抜けといいますか、そういう混雑緩和をはかっているということでございますが、これはいつごろまでにこの工事が完了をして、通れるようになるのか。いま一つは、地下道の問題について、本年度三千八百万円を計上し、二カ年計画で八メートルからの幅に改善をしたい、こういうのであるが、いつ着工をしていつごろまでに終る見通しなのか、これが第二点、第三点として、京浜急行とそうして東急との関連についてはお答えがなかったけれども、それについてはどういう考え方を持っているのか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  58. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 跨線橋は大体七月一ぱいぐらいで完成いたしたいと、こう考えております。それから地下道の拡幅は、予算の関係上、本年度一ぱい、年度内で完成するのが無理でございまして、来年度にまたがるのはやむを得ないと思います。その他につきましては、ただいまのところ、具体的な計画は持っておらない実情にあります。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 これはきのうの東横線横浜駅の七時半と七時四十五分ごろの二回の人命損傷事故というものは、大阪国鉄ホームのいわゆる転落事故から、すでに本委員会指摘をされて十日後に起きた現象なんです。昨日起きたのです。ところが、東横線も、今の改善命令は一応運輸当局が出したといっても、この東横線からおりてくるところ、そうして相模鉄道並びに国鉄の乗降客というものは、一瞬にして渦をなすわけだ。だから、国鉄は具体的に今のような跨線橋なり、あるいは地下道計画を持っても、東横線との関係協議がされておらなければ私はならないと思う。今の話では、東横線とか京浜とかいうものについては、まだ何ら計画がない、こういうようなお話であるけれども国鉄は少くとも中心なんであるから、東横線なり京浜の会社の方とも御相談があってしかるべきだと思う。それができないということは、国鉄の首脳部がいわゆる退職をして、東急の社長なり重役になっていると、だから先輩だからものが言えないと、こういうことなのかどうか、一つはっきりお答えいただきたいと思います。
  60. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 私、ちょっと補足をしてその前に説明さしていただきますが、この東急乗降場通路の問題、地下道に関する踊り場の問題は、先ほどお話しいたしましたように、設計変更でやれることが、その届けも出ておりますし、これが国鉄地下道との関係で、国鉄協議しております。従って、国鉄もこの東急に関する限りは協議をしておりまして、近く工事に入ると、こういうことでございます。先ほどの説明を補足しておきます。  京浜の方との問題は、先ほど私からお答えいたしましたように、まだ具体的な計画がない、こういうことでございます。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 京浜との問題については具体的な計画はないというのですが、今後やるつもりなのかやらないつもりなのか、この点はいかがですか。これは運輸当局から先に聞きましょう。私鉄国鉄の調整の問題ですから、監督局長、どうですか。
  62. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 横浜駅全体の交通緩和の問題は、御指摘通り、なかなか重大な問題でございますので、先ほどの御趣意に対しまして、私ども全体的な計画は練ってみたいと思っております。従って、具体的には京浜との流れについても研究を練る、こういうことになると存じます。
  63. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄の方も、いま一度東急との問題を話して下さい。
  64. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 横浜駅が東京近郊におきまして、非常に混雑の多い駅だということを承知しまして、私もラッシュに見に行ったことは先生も御承知の通りでありまして、それで実は東京都内におきましても、混雑を緩和したいという考えを持っております駅が非常に多いのでございますが、いろいろ予算の関係で、御承知の通りな予算でありますので、なかなか停車場改良費に十分盛るわけにはいかないので、残念に思っております。で、横浜につきましては、跨線橋も作りまた拡幅もするという双方を取り上げたのでありまするが、これは他の面につきましては、今後とも研究をいたして、予算の許す限り手を打っていくということにいたしたいと思います。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄についてはわかりました。そこで、私は運輸当局に、特に監督局長指摘をしておきたいと思うのでありますが、先ほども大倉委員が言われましたように、東急としては非常にいわゆる黒字の線なんですね、特にこの国鉄との乗りかえ等についても、運賃のいわゆる差額等を徴収するについても、かなりの手数料を国鉄東急に支払いをしておるとか、あるいはそれらの地下道の整備等について、国鉄はかなりの努力をしておるということは認められるわけでありますが、二回、目を東京に向けてみれば、渋谷は東急王国とまでいわれるほどの、いわゆる、あらゆる設備というものができておるわけです。ところが、その他のところについては、たくさんの配当金等も出しておりながら、実際には今お話のあったように、依然として改善というものは行われておらない、こういうところにきのうのああいう惨事が二回も繰り返して起きたことになる、こういう点をこれは国鉄関係私鉄との協議はもちろんであるけれども運輸当局として監督上の、私は、指導上の問題であろう、こういうふうに思うのであるが、監督局長はそういう点について今後も一そう努力するつもりであるかどうか、この点を確認をして私の質問を終りたいと思います。
  66. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 地方鉄道軌道、いわゆる私鉄というものは、非常に国民生活に関係の深い重要な企業でございまして、従いまして、特に公共、公益事業としてこれを免許制にしたり、あるいはいろいろな工事施行についても認可をしたり、きびしく監督しておるわけであります。従いまして、やはり公共、公益を旨といたしまして、何といっても、交通機関事故を防ぐことが第一の目的でありまして、安全ということについては、これが第一の本義とするところでありまするので、この点についても今後施設なり、扱いなり、いろいろ運営についてこれは日ごろやかましく言っておるところでありますが、また、あらためてなお一そう指導監督いたしたいと存じております。
  67. 相澤重明

    相澤重明君 一応、緊急質問の第一の東横線横浜駅における遭難事故の問題については、以上で終りたいと思います。第二の問題は、国鉄当局一つお尋ねをいたしたいと思うのでありますが……。
  68. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと、相澤さん、待って下さい。国鉄関係はあらためて議題にいたしまして、その際に一緒にやっていただけませんか。
  69. 相澤重明

    相澤重明君 じゃ、そうしましょう。
  70. 江藤智

    ○江藤智君 私、一点国鉄の方にお伺いいたしたいのは、国鉄の改良工事の中で、旅客設備の停車場関係の仕事にどの程度に考慮を払うかという根本問題についてお伺いしたいと思います。御承知のように、戦後非常に輸送量がふえたものですから、いわゆる輸送力拡充という方面をまあ非常にやかましく言われた。一ころは、国会におきましても旅客設備なんかやるのはとんでもない、なぜ輸送力拡充の方をやらぬかというような声も非常に強かった。一番いい例は、西ドイツの例などをとりまして、駅の上屋やなんかはそのままになっておるのに、線路増設や何かはどんどんやっておる。日本もこういうふうにやれというような声が非常に強くて、停車場設備費、ことに旅客関係設備費というものは非常な圧縮を受けた。まあ私は、その説ももっともでありますけれども、もともと西ドイツあたりと日本の鉄道とは、設備の方面におきましても、旅客の状態におきましても、天候の点におきましても、非常に条件が違うのだから、旅客設備といえども、これは何といっても旅客の玄関であり、また鉄道の収入を得る場所なんでありますから、ある程度は重点を置いて考えなきゃいかぬ、特に非常に旅客の交通量がふえておりますから、それに対する通路関係というようなものには力を入れなければいかぬというふうに考えておったのでありますけれども、先ほど副総裁の言われる通り、やはり予算の面で思うようにまかせないというようなお言葉もあったのですが、まさしくその通りであろうと思う。まあ私の考えでは、バランスのとれた鉄道の改良工事の格好で、今旅客設備が実施されておるとはどうも受け取れないわけなんです。しかしながら、こういう事故が起ってくると、今度は旅客設備というようなことになって、また今度はその方に引きずられるような格好でもおもしろくないので、この機会に旅客設備というようなものについても、もう一度真剣に御検討になって、これだけのものはぜひ要るのだ、一方において電化であるとか、あるいは近代化というような事柄も必要でありましょうけれども、しかし、旅客設備というのは、戦災をこうむったものは、これはもうその後のバラック的なものが非常に多い、戦災を受けなかったものは五十年以上もたっているような駅も多い。横浜なんかも、これは戦前できたものであって、戦後もその混雑というものは、もう国鉄の中でも代表的になっているようなものもこれまで手がつかなかったというような状態にあるのでありますからして、この機会に災害防止という面からいっても、旅客設備にもう少し頭を向けていいのじゃないか、こういう気がするのでございますが、国鉄の方はどういうお考えでございましょうか。
  71. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私、元来貨物出身でございまして、ことに戦争中は営業運転をいたして、一にも貨物、二にも貨物ということでありましたが、決して貨物を偏重することが国鉄の輸送の責任を果しておることには相ならぬということは深く感じております。と申しまするよりも、現段階におきましては、この東京付近の旅客駅の設備が非常におくれているということを痛感しておる一人でございます。で、ただこう申し上げるのではなく、私が一昨年参りましたときに、特に東京付近の旅客駅ですね、改築の、改善の長期計画を立てたらどうかということを申したこともございまするし、また昨年も本社の旅客課長に東京周辺の旅客設備を、もう一回長期計画計画を立ててほしいということを申したぐらいでございます。それで、旅客はやはり生産につながるものでございまして、これがまた国鉄の輸送量あるいは運賃収入というような点から見ましても、旅客はきわめて重大な対象とならなければならないので、そういう点で旅客設備ということはできるだけ今後も改善して参りたい。と申しましても、決して貨物と旅客とをどちらを偏重するということでなく、相互のバランスをとっていかなければならぬことと存じます。最近は実は貨物も少し低調になって参りまして、といって、貨物の設備をおろそかにするわけではございませんが、それにも増して非常に心配いたしておりまするのは、東京付近の通勤通学の輸送ということでございまして、こういう点について駅設備が現段階において非常におくれておるということは、私ども十分考えておりますので、今後許せるだけの予算をしぼり出しまして、特に混雑駅の緩和に当っていきたい、こう考えております。
  72. 江藤智

    ○江藤智君 長々申し上げるつもりはございませんが、要するに、貨物というのはやはりある程度貨車がなければいけないし、あるいはそれに対する設備がないとこれは運べないのです。ところが、旅客の方はある程度無理をするとやはり無理がきくものですから、戦時中から戦後を通じて設備方面で非常に旅客方面にしわ寄せがされておるということは事実なわけです。でありますから、一つこの機会にそういう点も十分に御考慮になって、バランスのとれた一つ設備を実施できるように御検討あらんことを要望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  73. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは次に、自動車行政に関する件を議題といたします。  前回委員会におきまして懸案になっておりました大井タクシー、サクラ・タクシー東光タクシーの件につきまして、まず山内自動車局長から報告を求めます。
  74. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 本日ちょっと公用で外出しておりまして、おくれましてまことに申しわけございません。  初めに、私の方から内閣の事故防止対策委員会要綱に基きまして陸運局長あて通達をいたしましたので、その内容から御説明を申し上げます。  大体内容といたしましては、事故防止対策本部の要綱そのままを陸運局長に通達をいたしておるわけでございますが、あるいはお手元に配付申し上げてあると思いますが、大体その中に入っておりませんのは、東京都区内につきまして、基本給一万円、最低保障給の額が一万八千円程度を基準として指導をするということは、先般の内閣の事故防止対策本部でもきまったことでございますが、それを明らかにいたしましたことと、もう一つは、事業者に対します監査というものを厳重にやるように通達をいたしましたのと、各関係官庁との緊密な連絡によりまして、この要綱の実施を十分に達成するようにという趣旨をつけ加えて出したわけでございます。  次に、サクラ・タクシーにつきまして御報告申し上げます。先般業務部長から大体の点を御説明申し上げておりますので、その後の事態につきまして御報告を申し上げます。  まず、四月十六日に大倉先生のごあっせんによりまして団交するようにというようなお話で、会社と組合の団交は十八日の午後一時から行われたわけでございます。その内容は、会社と組合との労働協約によりまして、この労働協約の四十七条に、会社及び組合は団体交渉において知り得た機密事項は漏洩してはならないということがあるようでありまして、詳細な内容報告は受けておりませんが、ある程度問題の焦点がしぼられて参ったというふうに聞いております。詳細は、この労働協約の条項によりまして、役所の方にも報告をちょっとできにくいというようなふうに聞いております。  次に、四月十六日の午後四時に、山田社長に東京陸運局に来てもらいまして、早期解決のために最善の努力をするような勧告を陸運局からいたしております。  それから本日、神奈川県の陸運事務所長のところに労使双方を呼びまして、争議の早期解決について勧告を行うことになっておるというふうに聞いております。まだやったかどうかは聞いておりません。  次に、東光タクシーの問題でございますが、これは心臓麻痺で死にました佐藤好光運転手の死因の問題が問題になったわけでございますが、これにつきまして所轄の警察に調べましたところ、心臓麻痺で死んだことは解剖の結果判明したのであるが、警察病院で血液検査をその後行なったところ、その診断書によれば、心臓麻痺の原因は、冠状動脈硬変、世間でいう狭心証であるというふうに死因ははっきりいたしましたので、御報告申し上げます。  次に、大井交通の問題でございますが、戸波運転手の死因につきまして、大井警察署の係官に連絡をいたしまして調べましたところ、下車勤という問題も死因の一つの要素になっておるかとも思うが、それがすべての要因とも考えられない、いろいろな原因があって自殺したのではないでしょうかというように、取調べに当りました警察当局からの報告を受けております。  以上、先般御要請になりましたものに対する調査報告を申し上げる次第でございます。
  75. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと、資料を出したというのだが、何かないのか。
  76. 天田勝正

    委員長天田勝正君) あります。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 どの資料。
  78. 天田勝正

    委員長天田勝正君) これです。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 あったらもらいたい。
  80. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  81. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  ただいまの局長報告に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 この通達に対する質問あと回しにして、まず、今の報告について質問をするのですけれども、どうも東光タクシーの問題にしても、大井タクシーの問題にしても、これは調査をされてこういうものは報告されたのかどうか、非常に疑問なんですが、これは。必ずしも下車勤を命ぜられたためとは限らない、他にも原因があるのではないか、こういう御報告なんですが、どうもこれは報告になっておらぬと思うのですが、それ以上何か調べられたことはないのですか。
  83. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) こういうたとえば、いわゆる死亡事案でございますと、どうしてもやはり直接取調べに当ります警察当局にわれわれといたしましては聞きました以外に死亡の原因を突き詰めるという方法はないわけでございます。その警察当局に聞きまして御報告したのが、先ほど述べた通りでございます。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 ここは法務委員会ではないので、運輸委員会としてわれわれは小委員会まで作ってタクシー事故防止について真剣に取り組んでいる最中に、こういう問題が起った、それを重視をして質問をしておるのでありますから、この調査は警察は警察として、あるいは陸運行政の監督官庁は監督官庁として、その会社は一体どういう内容を持っておったのか、平生どういう工合に運転手を使っておったのかというような営業状態を調べる必要があると思うんですが、そういうものはお調べになったんですか。
  85. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 当人の最近におきます勤務状況並びに会社の状況は調べたわけでございます。初めに、東光自動車の話でございますので、東光自動車の例を申し上げますと、佐藤運転手の勤務状況についての過去六カ月の平均の走行——いや、この会社全体でございますが、この会社全体の六カ月の平均の走行は三百七十一キロということになっております。で、平均の水揚げが八千百八十五円でございまして、佐藤運転手はこの六カ月の平均が三百三十四キロ、水揚げが七千二百二十二円であったわけでございます。で、死亡当日は二百八十二キロ、六千七百円あげておるということは、調査の結果調べております。この会社の休養施設はしからばどうかということでございますが、これは陸運局報告によりますと、休養施設としては完備しておるということでございます。それから佐藤運転手の休みを調べたわけでございますが、十二月の二十日以降三月二十四日まで、当人の希望で一日しかとっていない、その理由は、まあいろいろ陸運局で取り調べたわけでございますが、佐藤運転手の六カ月の平均が——一日の売り上げが少いので休みも稼働したのではないかというふうにわれわれは見ておるわけでございます。それから基本給といたしましては、この会社は三千円でございまして、都内の平均から見ると低い基本給になっております。佐藤運転手の健康状況といたしましては、三十一年七月並びに三十二年の十月に健康診断、これは正規にやっておりますが、その際の診断の結果は、異常を認めていないという報告を得ておるわけでございます。会社の概況につきましては、合計八十二両車を持っておる会社でございまして、まあ大体会社の状態といたしましては、平均よりも少し上の状態ではないかというふうに考えております。経営内容につきましては、大体において普通程度の成績をおさめておるというふうに考えておるわけでございます。まあこまかい数字でございますが、大ざっぱに申し上げますと、大体以上のようなものであります。
  86. 大倉精一

    大倉精一君 大井タクシーは……。
  87. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 大井交通につきましては、戸波運転手の勤務状態につきましては、これは大井交通に三回目の勤務になっております。二十九年の十一月に入社いたしまして、三十年の三月に退社をいたしております。それから三十一年の四月に入社しまして三十二年の三月に退社、それから三十二年五月に入社、本日まで継続ということでございまして、前二回退社いたしました事由は、メーター不当のための解雇ということになっておるわけでございます。その本人のかせいでいる状況でございますが、一般よりもある程度平均低いかせぎになっておるわけでございます。この大井交通の給与体系は、基本給が二千円程度でございまして、無事故手当が千円、愛車手当が千三百円、精励手当が二千六百円ということでございまして、都内平均から見ますと、基本給二千円という程度は最低のものでございます。この会社の走行目標といたしましては、一日三百五十キロ、水揚げ八千円を目標としましてやっておるということでございまして、会社の言うことによりますと、ノルマの強要はしていないということを言っております。下車勤につきましては、これはなくなられた方じゃなくして、会社全部の下車勤の問題でございますが、三月にはございません。二月には二人下車勤をいたしております。それから一月には三人下車勤をいたしております。以上でございます。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 その調べは会社の人からお聞きになったのですか。
  89. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 陸運局において会社からとりました調べでございます。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は別の方法で調査したのですけれども、三百五十キロのノルマ強要はしていないという話なんですけれども、別の形で強要をしている。すなわち十三日間で十万五千円というノルマを強要しております。これは一つあらためて調べてもらいたいと思う。それからまた休養設備にしましても、仮眠するのにもふとんもないということは判明しております。さらにまた事故の場合には、全部これは運転手から月賦でもって天引きをする、しかも、その場合には事故手当あるいは愛車手当というものは全部なくなってしまう、こういうシステムになっておるということを私は知りました。それからまた、車をいためた場合におきましても、これは全部運転手が持つのでありまするが、しかも、軽微なものは会社で直す、直して時価に見積って運転手が負担をする、こういうことも聞いております。たとえばルノーのヴァンパーあたりがへこんだものを直す、この場合に大体時価七千円くらいのものを五千円でもって運転手に転嫁している、こういうことも聞いております。さらに自殺をした運転手——当時の模様は、この運転手は酒を飲むということを会社は言っておるようでありますけれども、酒は飲まないそうであります。その日はいわゆるやけ酒といいますか、そういうような状態でありましたので、特別酒を飲んだのであって、平生は酒を飲んでいない、人間的には非常におとなしい男であったと、こういうことを私は聞いている。原因としましては、何か三人でもってそろって公休をとろうではないか、こういうことで、電話でもって会社の方へ申し入れしたのですけれども会社の岡田という班長に、三人一緒に休むならあしたから来なくてもいい、こういうことを言われたのであわてて会社へ出たのでありまするが、ところが、会社へ出てみると、岡田班長にきょうは休めと命令された。これは下車勤のことなんです、休めということは。こういうような措置をされて、さらに岡田班長から、わびを入れて仕事をするようにしろ、こう言われてわび状を書いたそうでありますけれども、それもいけない、こういうことで、だれか一人責任をとれ、こう言われたのでその御本人が、それじゃおれが責任をとるというので、いわゆる辞表の裏に遺書を書いて自殺をした、こういうことを聞いております。そういう事情当局の方で、あなたの方でお調べになったかどうか、それは全然おわかりになりませんか。
  91. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) お説の通り、この会社の仮眠室は十畳と十一畳の二つの部屋でございまして、ふとんが七、八組しかないという状態で、完備いたしておりません。それから事故の場合の何と申しますか、責任関係でございますが、これにつきましては、自分の責任であるものは本人の負担、一般的なものは、双方不注意というようなものについては、会社が六〇%、本人四〇%というようなことをやっておるのであります。それから最後に仰せられました同僚二名、この人を入れました同僚二名と三人連合して休むというようなことにつきましては、仰せの通りの状態でございまして、会社といたしましては、三人が連合して休むというようなことは、いやがらせ的なことがあるので、あまりいい返事をしなかった、ところが、五分ぐらいしてあと、乗りたいと言ってきたけれども会社はすでにかわりの運転手を手配したあとであるので、断わったということをわれわれの調べに対しても言っております。
  92. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をとめて。   〔速記中止
  93. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記を始めて。
  94. 大倉精一

    大倉精一君 それで、この大井タクシー内容については、これ以上深く入りませんけれども、特にこういうタクシーの問題が国会において問題になっておるやさきにこういう事件が起りましたので、こういう経営者については、当局の方においても特に格段の調査を願って、特別の指導をしなければならぬと思います。それを、いわゆる当局会社の方からだけ事情を聞かずに、従業員の方からも十分事情を聞いて、その会社に対して、具体的に、一つ欠陥を直すような指導措置をしなければならぬと思いますが、その点についての御意見だけを伺っておきたいと思います。
  95. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点につきまして、先般小委員会におきまして、杉本陸運局長も言明いたしておりますように、労使双方から事情を聞いて善処することといたしたいと思います。
  96. 大倉精一

    大倉精一君 それではこの問題はこれで一応打ち切りますけれどもあと通達の問題、あるいはこれに関する陸運局の予算の問題こういう問題については質問を保留します。
  97. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは先ほど御了承を得たように、暫時休憩いたします。    午後三時三分休憩      ——————————    午後三時二十四分開会
  98. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから委員会を再開いたします。  質疑の続行を願います。
  99. 大倉精一

    大倉精一君 次に、自動車局長通達について若干質問をしたいと思うのでありまするが、まず、この通達の中で基本給が一万円、最低保障給が一万八千円となっておるのですが、その趣旨と内容について若干御説明を願いたいと思います。
  100. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 基本給と最低保障給の関係でございますが、これにつきましては、いろいろ意見が本部の中にも出たことはもちろんでございます。それは、一体具体的にそういうものを表示すべきであるかどうかということ、この額が適当であるかどうかということでございます。それで、一万円といたしましたのは、大体そう理論的な根拠ははっきりいたしておりませんが、この程度ならまあ常識的にいいまして、標準のものとして少くともこの程度はやらなければいけないのではないかというつもりで一万円ということを打ち出したわけでございます。それで、たびたび御説明申し上げましたように、こういった給与につきまして、法的強制力というものはなかなかむずかしいわけでございます。行政指導でいかなければならぬ、それにはやはり今の段階におきまして、先ほどいろいろ会社の固定給を御説明いたしましたように、二千円、三千円、大体四千円、五千円程度のものもありますが、そういった状況でありますので、やはり大多数のものが一応行政指導をいたしまして従えるという段階でなければならないということで一万円ということにしたわけでございます。それで、一万八千円といいますのは、これは業界でもこの程度は最低に保障しなければいかぬということで、業界の方の意見全部ではございませんが、ある程度、相当いい会社でもこの程度ならば自分のところは出し得るというような状況もわれわれの方は認識をいたしておりますので、この程度ならばやはり全体的に押し広め得るであろうというので一万八千円ということにいたしたわけでございます。かたがた現在の都内におきます平均給が大体三万円程度でございます。この程度ならば大体最低保障給として全給与の六割程度確保できるということで一万八千円というものをわれわれの方は行政の指導の一番低い状態に置いたわけでございます。
  101. 大倉精一

    大倉精一君 基本給一万円程度及び最低保障給一万八千円程度というのは、これは業界の一応の案として出された案でありますが、その案を基準にされたと思うのですが、その内容もまた業界の案を基準とされた内容を盛っておったか、たとえば業界においては基本給は一万円程度、深夜、家族手当二千円程度、無事故、愛車手当、皆勤手当、燃料節約手当という準固定給、これは三千円から四千円程度、歩合給三千円程度、こういうものを合せて大体一万八千円程度、こういう内容を持ったものだと思うのですが、大体こういうふうに理解して差しつかえないのですか。
  102. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) われわれの方といたしましては、業界のそういうようなのは考えない、自主的に打ち出したわけでございまして、基本給一万円程度、業界におきましても大体一万円、と言いましても、いろいろ内容が違いますが、そういうことをわれわれの方は考えないで、固定給として一万円程度のものを確保した方が時宜に適するのではないかという趣旨で出しております。
  103. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、業界の方の意向は考えずに自主的に考え出したのが一万円と一万八千円ということになるのですか。そうすると、業界の方と偶然に一致したということになるわけですか。
  104. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点につきましては、小委員会におきまして、業界の方の一応の賃金に対する参考人の話がございました。しかし、あの当時われわれ聞きましたが、業界の一万円の基本給というものは、いわゆる常識的な一万円の基本給でなかったようでございました。しかし、われわれの方として出しましたものは、ほんとうの意味の固定給がこの程度あってほしいという意味でございます。
  105. 大倉精一

    大倉精一君 こういうような手当を一応きめ、金額を出すというのは、大体安全運転を実行しようという意味でございますが、業界の案の中で、たとえば燃料の節約、こういう内容があるとすれば、たとえば燃料節約手当というものをかせぐために、エンジン・ブレーキをかけないでスイッチを切って走る。そうなると、いわゆるブレーキ一つだけがたよりになっておるというのでありまして、事故のためには非常に危険な状態が出ると、こういうふうに言われておるのですが、この点はどうなんですか。そういう心配ありませんか。
  106. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) もちろん、そういった事故に直結するような節約というものは、ほんとうの意味の節約ではないわけでございます。運転操作上の、たとえば惰力運転というようなことで燃料の節約をはかるべきものでございまして、危険の状態になるような燃料の節約というものを考えておるとすれば、それはわれわれの方としては、間違いであるということを指摘しなければなりません。
  107. 大倉精一

    大倉精一君 要するに、この一万八千円の保障をするということは、一万八千円固定給と同じ意味を持つと解釈しても差しつかえないのですか。
  108. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 固定給と保障給というものは少し差があるわけでございまして、保障給といいますのは、自己の何といいますか、責任にならなくて休んだり、勤務を継続しても一万八千円に達しなかった場合には、一万八千円ということになるのでございます。それから一万円の基本給というのは、ただの一万円の基本給ということで、このほかに歩合給がつくというわれわれの方は考え方であります。
  109. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、一定の条件がそろわなければ一万八千円の保障はされないわけですね、そう考えていいわけですか。
  110. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 自己が自己の責任におきまして、たとえばサボって勤めなかったというような場合には、やはりそれは保障給にはならないのではないかと思っております。
  111. 大倉精一

    大倉精一君 これはサボって云々という言葉があるのですが、そういうものを考慮に入れて考えるということは、非常に私は問題が出てくると思いまするが、この一万八千円という金額を出した根拠が非常に僕は薄弱だと思うのですが、そこで、大体通牒を出されたのが十五日、衆議院の運輸委員会の小委員会において結論を出されたのが十六日、参議院の小委員会において一応の中間的に取りまとめたのが十七日、こういう日取りの順序になっておるのですけれども、この通牒を出される前に、たとえば参議院の小委員会におきまして、大体固定給を六〇%ぐらいにすべきだという論議が盛んに戦わされておった、そういうことを御承和であったと思うのですけれども、この両小委員会の結論を待ってこういう通牒を出されてもおそくはなかったと思うのですが、そういうものを目前にしてこういう通牒を出されたという趣旨はどこにあるのですか。
  112. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) お説われわれの方も十分考えたわけでございますが、また一方、交通事故防止対策本部の決定があって以来、全然まだ何もそれを実施に移していないということでもいけないというので、われわれの方は、政府といたしまして一応きめた線でございますので、早くそれを実施に乗せたいということで陸運局通達をしたわけでございます。
  113. 大倉精一

    大倉精一君 これは、中村運輸大臣もわれわれに個人的に、政府も一応結論を出したのだから、国会の方でも早く一つ結論を出してもらいたいということを言われておったことがありますし、あるいはまた、国会の方の小委員会の結論を尊重してやりたいからというような個人的な非公式な発言もあったわけでありますけれども、だとするならば、国会においていろいろ論議をしておるこの諸般の問題について、あす、あさってに迫った、そういう時期に、早々の間に、この通牒を出さなければならぬという、こういう時期的な問題は、私はなかったと思うのですが、その他に何か理由があったのですか。
  114. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 国会におきまして六割程度、六割を目途としてというようなお話もございましたし、われわれの方の行政常識といたしまして、一挙にそう上げるということも、もちろん、あるいは必要かもしれないと思いますが、逐次やっぱり上げていかないと、なかなか既定の経費の中の分配の問題になりますので、順次国会の御趣旨に沿ってやって参りたいというふうに考えた次第でございます。
  115. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、端的にお伺いするのですけれども、当委員会の小委員会におきましては、固定給を主体とする給与体系を確立をする、こういう全会一致の意見がまとまったわけですけれども、それとの関連性はどういう工合になるのですか。あなたの方の指導の面において、国会におけるところのそういう意思と、それから今の内閣の方の結論、いわゆる一万円と一万八千円という点と、指導上どういう関係になるのか、一つその辺伺いたいと思います。
  116. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点につきましては、しばしば御説明申し上げておりまするように、この賃金につきまして、われわれの方といたしまして、法的に強制するという力もまだ与えられていないわけでございまして、やはり行政指導をいたします際には、逐次やはり国会の御趣旨に沿うようにしないと、かえって国会の御趣旨にも沿い得ないという点もございます。たとえば非常に高い固定給を出しまして、業界全部がなかなかやっぱり従えないという段階でございますと、行政の目標を置きましても、なかなか実施ができない。やはり行政というものは、国会のお示しになりました基礎について、一歩片々階段を上るように業者を指導していきませんと、賃金体系というものが急激にくずれるということも、やはり会社の従業員の方々にも相当大きな問題であるということも仄聞いたしておりますので、逐次御趣旨に沿って参ろう、法的強制ができませんので、行政指導でいきますので、やはりスムーズにやり得るような方途を考えたわけでございます。
  117. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、一万円と一万八千円ならすっとやれるのですか。
  118. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) もちろん、一万円程度、一万八千円程度という程度を指示しております。賃金というものは、やはり年令とか勤続年数とかいろいろございますから、あまり役所の方でぴたっと……、そういうわけにはいかない。そこにはやはりある程度の幅がありませんとむずかしいのではないか、この点につきましては、しばしば御説明申し上げておりますように、会社と従業員との話し合いで役所の差し示したもの、もちろん、以上であっても差しつかえないのですが、無理のない各会社のそういった団体交渉によります賃金の構成が一番望ましいことである、しかし、そのめどといたしまして、一応そういう数字を示したわけでございます。
  119. 大倉精一

    大倉精一君 それでは一万円の基本給と保障給一万八千円、これは全企業に直ちに適用するというわけにはいかぬと思うのです、この金額も。それで、零細企業もこの金額を実施させるについて、具体的にどういう指導をされるか、その指導方法について伺いたい。
  120. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 全企業、全国のものにはもちろん適用になりません。この一万円、一万八千円の二つの給与体系は、東京都区内を中心としてわれわれは計算したものでございまして、日本全国にはもちろん適用にならないわけでございます。先生の御質問の趣旨は、東京都内でもむずかしいところがあるのではないかという御趣旨に受け取れるわけでございますが、不可能なものは、どうしても行政指導でもなかなかむずかしいわけでございますが、現在の東京におきます業界の水揚げ程度というものを見ますと、われわれの方が指導することによって、業者が十分現在のハイ・タク業界の置かれておる地位を自覚すれば、完全にもしも不可能であったとしても、近づけることは可能ではないか、また将来われわれとしまして、行政的に努力するばかりでなく、業界自体においてもわれわれの方に協力をして、自主的にそういうものをやってもらうように、両面からわれわれの方としては指導して参りたい、かように考えております。
  121. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問自動車局長一つお尋ねしたいのですが、今お話の中にあった東京都内の水掲げが現在のようならばと、こういうことでありますが、一体水揚げというのはどのくらいあるのですか。
  122. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) まあ最近の情勢といたしまして、八千円ないし九千円ということを業界から聞いております。
  123. 相澤重明

    相澤重明君 八千円ないし九千円でいわゆる減価償却をして、そうしてこの従業員の給与を考えるということになると、今の一万円基本給という問題については、もっと考えようが別にあるのではないかと思うんですが、その点はどうなんですか。
  124. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 考えようというのはどういう御趣旨かちょっとのみ込めないところがあるわけでございますが、われわれの方といたしましては、現在都内の平均賃金が三万円ということを基準にこの一万円、一万八千円というものも平均的に達成せられるのではないかというふうに考えたわけでございます。
  125. 相澤重明

    相澤重明君 この八千円から九千円というのは、一カ月は何日勤務ですか。
  126. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 十三日勤務でございます。
  127. 相澤重明

    相澤重明君 一日の勤務は何時間ですか。
  128. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 一日十六時間勤務でございます。
  129. 相澤重明

    相澤重明君 一カ月が十三日の勤務で、一日の勤務が十六時間というと、平均走行キロはどのくらいですか。
  130. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 現在の状態でございますと、三百七十キロくらいに数字は出ております。
  131. 相澤重明

    相澤重明君 三百七十キロで大体八千円なり九千円、こういうことで参りますと、その消費量あるいは自動車の減価償却、そういうものから考えていくと、収入というものはかなり私はあると思うんだが、どのくらいの一体収入というものが見込まれておるのかという点について、計算をされたのがありますか。
  132. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) このハイヤー、タクシーの運賃につきましては、御承知の通り陸運局がこれを担当いたしておるわけでございますが、これらの運賃の査定に当りましては、個々の会社について計算をしておるわけではございません。東京都全部のものについてやっておるわけでございます。ただし、資料は個々の会社の資料をとって計算をいたしておるわけでございます。これによりますと、一番わかりやすいのがキロ当りの収入の問題でございますが、昭和三十年におきましては、十九円三十六銭というキロ当り収入を出しております。三十一年度におきましては、二十一円六十二銭、それから三十二年度にいきましては、二十三円七十銭という、これはまあ抽出調査でございますが、数字を出しております。三十年度に比べますと、三十二年度はキロ当りの収入が約二割くらいふえておるという数字になっております。
  133. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまの局長の言うことであると、順次、いわゆる毎年収入は増加をしておると、こういう今の発表だと思うのです。そうしますと、一カ月のうち十三日稼働をして、総額でどのくらいになるかということも、これは計算ができると思うんですが、一カ月の平均した総額というものはどのくらいになっておりますか、統計はありませんか。
  134. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) これはその数字にぴたっと合っているかどうかわからないわけでございますが、担当の方の了解いたしておりますのは、一カ月に十万ないし十一万というふうに了解いたしております。
  135. 相澤重明

    相澤重明君 十万ないし十一万という収入で、しかも、働く者のいわゆる基本給が一万円、一割にもならぬ、まあ最低保障額が一万八千円、辛うじて一・八%、こういうことでありますが、これでは、一体経営といわゆる労働というものに対する現在の世相に考えて、これで陸運当局としては、正しいと考えておるのかどうか、これは非常に私は疑問があると思う。先ほど大倉委員も言われたように、衆参両院の運輸委員会においても、一定の方向というものは出そうというのに、今のこの点から参りますと、収入総額に対する労働者のいわゆる基本給あるいは最低保障額、こういうものは非常に私は少いと思うのだが、その点について、これがやはり正しいという考え方通達を作られたのかどうか、この点についてお答え願いたいと思います。
  136. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点まあわれわれ監督官庁のものにおきましても、できるだけ固定給の高いということは望ましいわけでございますが、また、これは別途ほかの産業の賃金形態と違うこともある程度やむを得ない点もあるのではないか、結局、その程度の問題だろうと思いますが、といいますことは、私どもこれを調べますときに、たとえば保険の外交でございますとか、あるいは漁船に乗っておる人たちの賃金等、いろいろそういった似通った業種のものを見たわけでございますが、やはりすべての運転手の方が何らの監督がなくとも非常によく働くという保証もなかなかむずかしいので、ある程度そういった、よく働けば収入の多くなるという歩合給の要素も、これはまた全然否定するということもむずかしいのではないか。それらの点を考えまして、現在問題になっておるのは、一方の方に非常に重点を置かれておりまして、歩合給オンリー、あるいは歩合給がほとんど八、九割くらいだという点を何とか直していかなければならない。現在、今までの状態におきまして、たとえば六万円も月に揚げておった人があるとしますと、さらに固定給が上り、あるいは最低保障給が上りますと、ある程度揚ってこなければならない、非常に水揚げが多くならなければならないわけでございまして、いわば賃金の分配論になるわけでございます。そういたしますと、そういった運転手の諸君の生活というものもある程度あると思いますので、あまり急激にやってもいけないし、また、この目的にはずれてもいけない、それにはまた先ほど申し上げたように、賃金が法律的に統制できないので、まず第一段階として、ある程度まで上げるということに努力して、そのあとでまた検討したいというふうに行政的には考えたわけでございます。
  137. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の御答弁ですと、最低保障給一万八千円、それに歩合がいわゆる加給されるということになると、どのくらいに収入がなるというお考えですか、まあその他のものもあるでしょうが。
  138. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点につきましては、賃金のトータルというものにつきまして、われわれ上げようということまで強制はちょっといたしにくいので、現在の状態で平均約三万円、その三万円の分配がこうなるのではないかというふうに考えるのでございます。
  139. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は非常にデリケートな問題で、私はこれはあと大臣にお伺いしたいのです。でありますから、その他の点について大臣への質問を保留して、次に質問を進めたいと思います。  この通牒の中で、賃金について、他の地域については各地方の特殊性を考慮して、これに準じて指導をすると、こうなっておるのですが、この特殊性というのは、だれがどういう工合に判定するのですか。
  140. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 特殊性といいますものは、各地域々々で収入も違いますし、人件費も違って参るわけでございます。たとえば非常に閑散ないなかに参りますと、一日で水揚げ四千円というような所もあるわけでございまして、これは一律に施行することはむずかしいわけでございますので、もちろん陸運局が中心になってこれは考えなければなりませんが、警察あるいは労働基準監督局というようなところと緊密に連絡をいたしまして、その地方々々に適した行政指導をやって参るというふうにしてわれわれは仕事をやっておるわけでございます。
  141. 大倉精一

    大倉精一君 そうなりますと、東京を一応一万と一万八千円という数字を出した限りにおいて、各地方のこれに準ずる数字をやはり出さなければならないと思うのですが、これは非常にむずかしい仕事だと思うのですが、これは文章では簡単ですけれども、実際の指導実施となったら非常に苦労なさると思うのですが、この基準が実際きまるとお思いになるのですか。
  142. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 仰せの通りでございまして、ただしかし、われわれがこういう点に非常に強い関心を持っておりますのは、これによって事故が発生をするということでございまして、そういう重点地帯を考えていけば、やはりおのずから地域が限定して参ることになると思います。そのほかの地域におきましては、ある程度安定した営業状態、そう競争もございませんでやっておりますので、こういう所については、それに準じて考えるという式でものを処理して参りたいと思います。
  143. 大倉精一

    大倉精一君 これは大臣お尋ねすることなんですけれども、念のために聞いておくのですが、衆議院の結論、参議院の結論ですね、私は、この問題と関連性があるのですけれども、国会の方の結論についての取扱いはどういうふうに取り扱われるつもりなのですか。
  144. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 国会の御結論につきましては、われわれといたしましては、行政の趣意といたしまして、即応していくように努力していかなければならぬと思っております。ただ、今言いましたように、現実に法的にどうこうせよということもできないという面も相当ありますので、行政的に一足飛びに目的を達し得ない場合には、段階的に御趣旨に沿うように努力をすべきものであるというふうに考えておるわけであります。
  145. 大倉精一

    大倉精一君 これは、もちろんどの項目を見ましても、あしたから即日こうなるという項目は一つもないと思うのです。これは段階を追っていかなければならぬ項目ばかりだと思うのですけれども、国会の方の結論としましても、具体的に指導する場合においては、その手段方法について、当局として考えてもらわなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。さらに、それに基いて、下級機関といいますか、そういうところに、具体的な通牒なりなんなりの方法によって意思を伝えてもらわなければならぬと思う。そういう問題がたくさんあると思うのですが、そういう問題についての取扱いはどういう工合になされるおつもりなのですか。
  146. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私どもといたしましては、もちろん法律的に強制できないというものにつきましては——行政官庁としてはできないのは当りまえでございますが、現在の法令で省令の範囲内で許されておるものは、やはりこの要綱を確保いたしますために、省令を改正しなければならないというふうに考えております。それから東京陸運局におきます処置といたしましては、第一次の実施官庁といたしまして、強力な行政指導をやっていかなければならぬわけでございますが、まず、全事業者に指導方針というものの実施期日を定めて示しまして、強力に行政指導する、この点につきましては、参議院の御決定通りやって参りたいというふうに考えております。そのほか、また小委員会におきましても、たびたび指摘を受けました関係官庁との円満な緊密な連係というものも十分とりまして、単に陸運局だけでなく、監督省、警察庁という各方面から、この内閣におきます指導方針、あるいは委員会でおきめになりました御決議の趣旨を達成するように努力しなければならぬと、かように考えております。
  147. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、やはり国会の衆参両院において決定した事項についても、やはり通牒なりなんなりの方法によって今後通達なさるわけなんですか。
  148. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点におきまして、行政事務について議会の議決がなされました場合には、われわれの方といたしまして、常に下部にもその趣旨を徹底するように努力はいたしております。
  149. 大倉精一

    大倉精一君 その場合に、われわれが決定した、たとえば九番の「給与制度については運転者の生活安定をはかるため特に次の諸点を重視すること。」つまり「固定給を主体とする給与体系を確立し刺戟的給与を廃止すること。」、こういう一項がある。これと今の一万円と一万八千円の関係はどうなりますか。
  150. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点は、先ほど御答弁申し上げましたように、やはり逐次御趣旨に適するように行政の指導をやって参りたい、かように考えております。
  151. 大倉精一

    大倉精一君 この点は、後ほど運輸大臣に対して質問したいと思いますから、保留をいたします。  次に、大蔵省の方は来ていますか。
  152. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 大倉委員に申し上げますが、政務次官は大蔵委員会出席しておりますので、なかなかからだがあかない状況でありますが、ただいまは鹿野主計官が見えております。
  153. 大倉精一

    大倉精一君 予算の編成に当って、主計官は相当影響力を持っておいでになるそうですから、主計官にお尋ねするのですけれども、すでに御承知の通りに、神風タクシーの問題とトラック輸送の問題、こういう路面輸送の監督の問題について、大きく問題になっておりますけれども、結局、この問題がいわゆる監督官庁であるところの陸運局、陸運事務所、これの機構の弱体あるいは人員の不足、こういうものが大きな焦点になっておるということが先般来の調査で明らかになりました。ところが、予算面を見ますと、依然としてこういう路面運送の指導監督面におけるところの予算というものは非常に少い、特に私お尋ねしたいことは、昨年度の予算におきまして、車検場等の予算、陸運局関係の予算が一億八千九百万円というものが使われずにたな上げになっておる。これはかつて車検料というものを二百円から三百円に上げるときに、大臣説明によりましても、この値上げというものは、今まで非常に予算が少かったので、車検業務その他が不円滑にいっておった、この値上げによって、車検業務を円滑にして、皆さんに御迷惑のかからないようにしていきたい、かようなために値上げをするのである、さらにまた委員質問に対しまして、当局側としましては、運輸省は決してお金もうけをするのではない、こういう答弁もあったわけです。現実の問題としては、一億八千九百万残っておる。しかも、現在の陸運局あるいは陸運事務所の予算はどうであるかといえば、非常に少い予算である。たとえば、先般の新潟の問題につきまして、新潟陸運局長をこちらに参考人として呼ぶ、この場合においても、新潟陸運局でこちらに来る旅費の予算がない、こういう始末ですわ。また陸運事務所等におきまして出張する場合におきましても、二泊三日で出張しても千円より渡らない、こういう非常に窮屈な予算でいっておるのですけれども、一体、行政手数料というものはどういう性質のものか、これを一つまずもってお伺いしておきたい。
  154. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 手数料は、本質的には実費支弁の考えのもとにきめられるべきものだろうと思います。今、陸運局の予算のお話がございましたが、おっしゃられますように、特に本年度は、全般的に予算の編成の前提といたしまして、経費の切り詰めということを相当強く方針として打ち出しております。そういう関係で、行政官庁全般の庁費、旅費等についての節約の問題がありましで、その結果、車検場また陸運事務所の事務費につきましても、相当きびしい形になっておるのであります。よく存じております。それと、全体といたしまして、大蔵省の方といたしましては、今おっしゃられました手数料収入と予算の関係でありますが、一億九千万でございますか、一億八千万でございますか、たな上げになる、不用になっておるというお話でございますが、手数料をきめる基準といたしましては、確かに一つの実費そのものを目安にしてきまるものだと思います。ただ収入は全部それに充てなければならないという性質のものではないのじゃないかと思っておりますが、ただ対比してながめる場合に、計数のとり方もございますが、直接的な経費をどの程度の範囲に見るかということによっても、一億数千万円の食い違いがあるかどうかという問題もあるかと思います。ただ全体の経費として相当切り詰めた経費になっているということについては、担当の主計官といたしましても認めざるを得ないことと思っております。
  155. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、主計官にお尋ねするのですが、このような種類の予算をきめるに当って、あなたの役割りというものはどの程度なんですか。これはやはりあなたの一存ではいかないということであるのか、あるいはあなたの考え方というものは相当大きく影響するというのか、その点は、実際問題としてどうなんでしょうか。
  156. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 主計官という立場でございますが、そこは非常にお話し申し上げるのがむずかしいような点なんでございますが、一応事務的な予算の査定の作業の責任者といたしまして、判断を下してまとめ上げて、その結果、局長、次長の御判断を得て、さらに主計局の原案として省議の承認を受けるということで大蔵原案ができるのでありまして、主計官というものは、昔は一課、二課、三課という名前がございましたが、一応担当している係についての責任者という形になっております。
  157. 大倉精一

    大倉精一君 それでは今度の三十三年度予算の一億八千九百万円というものを余したこの原案をお作りになったのはあなたですか、あなたの原案なんですか。あるいはあなたは別の原案を出されて、修正をされて、こういう案になったのですか。
  158. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 担当の主計官としての原案でございますが、先ほど申し上げました全体の庁費、旅費その他の一般的な経費を相当強く節約するという問題につきましては、編成の過程において起った面もございますので、全般的な面で、最終的な原案がそのまま動かされなかったかどうかということについては、簡単に申し切れぬかと思います。
  159. 大倉精一

    大倉精一君 この原案があなたの原案とするならば、あなたは陸運局あるいは陸運事務所の職員が二泊三日の旅行をしても、千円より旅費は当らない、そういう実情を御存じであったかどうか、お伺いしたいと思う。
  160. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 各省の事務の内容の実情につきましては、担当の主計官あるいは私らの係の者といたしましても、相手の省のお方といろいろ詳細にお打ち合せをし、お話を聞いてまとめ上げていっておりますから、まあ主計官としてといいますか、主計局といたしましても、相手の省のお方のやっている事務の内容が全然わからずに査定しておるというわけには申し上げられません。やはり詳細にわたって、できる限りの時間と努力を費してやっております。
  161. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は今起った問題じゃなくて、相当以前から陸運局の予算については問題があるわけなんです。つまり陸運局の事務所そのものが、大臣も言明なさっている通りに、民間業者から建物を借りて、そこに仮住まいをして事務をとっている部面もある、あるいは人間が足らないから業者から事務員を借りて、そうしてお役所の仕事をやらしておる、こういう面もある。そうして旅費は当らない。従って、自然に起ることは、業者から寄付を仰ぐ、あるいは寄付を強要するという面まで発展をして、そこからいわゆる陸運行政というものが非常に紊乱をしてくる、やみ輸送が出てくる、白ナンバーのいわゆる営業類似行為が横行する、こういう現状になって、さらにまたハイヤー、タクシーの問題も出てきて、今日のような工合になってきている。これはいわゆる陸運局あるいは陸運事務所の政治力が非常に弱い、従って、予算が非常に少い、窮屈な予算である、こういうところにも大きな原因がある、こういうことが明らかになってきているのですが、こういう点について、あなたは御存じであったかどうか、そういう点は全然御存じなかったのですか。
  162. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 全然存じておりませんということは決してございませんで、いろいろ実情については伺わせていただいておりますが、なお、自分として十二分に認識があったかどうかという点につきましては、なお今後とも勉強させていただきたいと思っております。
  163. 大倉精一

    大倉精一君 それは答弁じゃないと思うのですが、むろん勉強してもらわなければならぬと思うのですが、私が聞いているのは、要するにわれわれ運輸委員は、あの当時は二百円を三百円に上げて、車検料の収入が多くなれば、それだけ車検業務も円滑になって、陸運局あるいは陸運事務所の窓口も非常に強化される、これは非常にけっこうな話である、こういうことでわれわれは賛成したのです。ところが、その金が一向使われておらずに、どこかほかへ使われてしまった、そうして陸運局あるいは陸運事務所は、依然として窮屈な思いをしている、こういうことですね、従って、こういう状態であっては、内閣でいかに事故防止対策でもって要綱を作られて、監督を厳重にすべし、監査を厳重にすべしと言ったところで、それは一つの絵にかいたもちのようなもので、何にもならない。でありますから、こういうような一億八千九百万円というような金は、当然これは陸運局、陸運事務所の業務強化に使われてしかるべきではないか、当然そういうことはおわかりになっておったのではないか。しかも、あの法律の提案理由説明なり、あるいはその当時におけるところの委員会の質疑応答の内容なり、これらをごらんになれば、あれは余すべき性質のものじゃないと私は思うのですが、これはどうでしょうか。
  164. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 一億八千九百万の余裕金とおっしゃられますが、先ほど申し上げましたように、必ずしも収入は全部その経費に充てなければならぬという趣旨の手数料というものではないのじゃないかと思います。それで実費の面で収入と支出の割合はどうなっておるかということにつきましても、たとえば一億九千万円というのは、やはり現場のほんとうの直接の経費だけを一応まとめておられるのですが、その他にも陸運局の中に、いろいろ登録、車検等の関係に従事しておられる方があるのですが、そういう数字を入れますと、数字はそれほど大きな違いではないかと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、車検料あるいは登録の経費が十分ゆったりした余裕があるというようなことを申し上げられない、やはり相当切り詰めた形になっておるということは認めざるを得ないということでございます。
  165. 大倉精一

    大倉精一君 どうもあなたに聞いておっても、何かこうたよりない気がするのですが、大臣もあるいは山内局長も、大蔵省の方に対しては、この金はこうこういう理由だからと言って非常に強く予算の増額を要求されておる、がしかし、大蔵省の方ではうんと言わなかったというんですね。そこで、たとえばこの車検料というようなものは、たばこを売った利益金とか、あるいは酒を売った利益金とかいうものと違って、これは目的税ではないのですが、目的税的に使われてしかるべきものであると私は思うのですが、その点はどうでしょうか。
  166. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 私からも答弁について注意を申し上げておきますが、今の質疑応答が徹底しないのは、実は、大倉委員質問されていることの中には、このことが起きた成り立ちがある、その成り立ちは、車検料を上げる当時において、政府側の答弁においては、今後はこの増収があるがゆえに完璧に行います、十分に予算を取りますということを政府の答弁として言われておるわけです。ところが、その後増収され、しかも、ここに余裕金が一億八千何がしというものが出たにもかかわらず、これは直接現場だけではない、ずっと陸運行政を含めてそれだけの余裕が出たにもかかわらず、これが使われておらない。これは要するに政府当局の食言であるという、その基礎から質問しておるわけなんです。ですから、主計官に対しては無理なんだけれども、ついに、大蔵大臣委員会出席されないものだから、かようなことになってきた。これを頭に入れて御答弁願えれば、お答えが出てくると思うのです。注意までに申し上げておきます。
  167. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 再三申し上げておりますが、予算というものは、主計局がいろいろな意味で積算をして、まとめていくようにやっておりますが、大体事務を担当される運輸省さんともよく打ち合せをしてやっていることでございます。今おっしゃられた、予算によって陸運の関係のお仕事ができるかできないかという最終的な決定は、やはり閣議なり政府の責任において、それを御判断になってやっておられるかと思います。今の話に返りますが、一億九千万円ほど余裕金があるといいますか、収入の方が多くなっておるじゃないかというお話の点でございますが、これは、必ずしも経費全部をあげておる数字じゃないかと思います。設備の償却等の問題もありますし、その点は、計数そのものについては、よほど詰めてみなければ、私らもどの程度の差額が生じておるかということについては、いまだに疑問があるかと思っております。ただ、申し上げますように、ことしの予算そのものについては、全般的に相当きついことになっておりますので、また陸運関係の経費についても、切り詰めた予算を組んだということになっておりますから、相当きついことになっておるということを、再三申し上げておるわけですが、それと陸運関係のお仕事が、円満にいける、いけないという問題につきましては、私は、この予算によって、やはり工夫してやっていただいていけるものとして、この予算が組まれておると私は思っております。
  168. 大倉精一

    大倉精一君 念のために、当時の速記録をあなたに読んで聞かせますがね、こうなっておる。国務大臣の吉野信次君は「本法案は、いずれも手数料を適正化して、検査、登録業務の円滑をはかるための改正でございますので、何とぞ十分御審議の上すみやかに本法案を可決されるようお願いいたします。」と、こうなっておる。そこで、山内局長は、私の質問に対しまして、「これは御指摘通りでございまして、原価計算をいたしますと手数がかかりまして、そのために二百円を三百円にいたしたわけでございます。御承知の通り行政手数料というものは幾らにしなければならないという規則はございませんが、従前の例で申しますと、もちろんこれによって利益を得るということは、政府の行政行為でございますので、そういうことは考えていないわけでございます。」、こうなっておる。一億八千九百万円が利益であるかどうかということは問題であるとしましても、そういうお金を、あげてこの窮屈であるところの車検業務なり、あるいは窓口業務、監督業務に使われてしかるべきものである、こういう政府の計画であると私は思うのですね。でありますから、そういうつもりで賛成したのだが、賛成して通ってみると使われていない。まるでわれわれはだまされたようなものだ。これは、こういうような提案当時のいきさつを御存じであったかどうか、あなたは。どうでしょうか。
  169. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 全般的な御様子は聞いておりましたが、速記録まで読んでのことはございませんでした。
  170. 大倉精一

    大倉精一君 まことにそっけない答弁でございますけれども、この点はあなたに追及しても……、責任者である大蔵大臣に追及しなければならぬ問題であると思いますが、これを繰り返しておっても始まりませんが、要するに内閣においても、事故防止については、格段の措置をしなければならぬという結論が出ておる。衆議院においても、そういう結論が出ておる。参議院におきましても出ておる。それがためには、窓口指導を強化しなければならぬということが出ている。特に参議院におきましては、要望の中で「陸運局並びに陸運事務所の予算及び人員を確保してその機能を強化し適確、敏速な処理を行うこと。」、こういう要望事項が出ております。これは非常に重大な一項目としてつけ加えているのですけれども、これはやはり予算がなければできないのですね。あるいはまた内閣の方の対策要綱にいたしましても、たとえばこの陸運局のこの事故防止の要綱に対する通達におきましても、「事業者に対する厳格な監査を励行し、本要綱の確実な実施に資すること。」、こうなっている。これはやはり人間がなければできぬ。予算がなければできぬのですね。こういう面について、現在の予算では足りないということはわかっているのですね。そういう点について、当面の措置並びに来年度等におけるところの予算的な措置についてお考えを承わっておきたい。そうでないとこれは絵にかいたもちになる、人間をふやさなければならぬ、お金をふやさなければならぬ、そのお金のひもを握っているのはあなただから、どうするか。
  171. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 別に一主計官がすべてのあれを握っているわけじゃありませんが、今ここに山内局長もおられますし、今度の問題については、実情について十分なお足らざるところを勉強いたしまして、検討していきたいと、今後以降のことについては、予算をどうするということにつきましては、今ここで何とも申し上げられないわけでございますが、実際の事務が円滑を欠くことのないように、われわれとしてもできるだけ努力をいたしていきたいと思います。
  172. 大倉精一

    大倉精一君 山内局長にお伺いいたしたいと思うのですけれども、この内閣の要綱並びにこれに関連するあなたの方の通達並びに参議院の小委員会の結論、衆議院の結論、こういうものを実際に行われんとするがためには、画期的なこの機構の強化ですね、とれにはやはり人員の増強さらに飛躍的な予算の増加、これがなければ実現不可能だと思うのですが、御所見を承わっておきたいと思う。
  173. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) その点、参議院におきます決議にありますようなことは、われわれといたしましても非常に常に望んでいるところでございまして、この車検の手数料におきましては、なぜそういう何といいますか、歳入超過というものが起ったかといいますと、われわれといたしましては、手数料値上げをしたということよりは、自動車の数がふえたということの金高の方が多いのじゃないかというふうに考えております。(大倉精一君「答弁が違う、そんなこと聞いてるんじゃない」と述ぶ)自動車が非常にふえて参りましたので、われわれの方の行政事務は、非常にほかの官庁の仕事と違いまして、繁激をきわめて参りますので、将来とも大蔵省にお願いをいたしまして、円満にできるように予算並びに定員の確保を要求いたしたいと思います。
  174. 大倉精一

    大倉精一君 答弁が違うと思うのです、別に大蔵省にお願しなくても交渉すればいいのですから。私の聞いておるのは、当時、要綱なり結論なりというものを行うには、陸運局、陸運事務所、この機構を強化しなければならぬ、これには人員を増加する、この中には飛躍的な予算の増加が必要である、こう私は思うのですね。これに対する御所見を承わっておるわけです。それで、あなたのおっしゃるように、車がふえたから金がよけい入ったのだと、そうなったら、かりに二百円を三百円としなくてもいいわけなんです。要するに金、人員が要るだろう、こういうことなんですが、それがなくてもやれるというのならばけっこうです。
  175. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 予算、定員がふえなければ、かゆい所に手の届く行政はできにくいわけでございまして、その点、われわれといたしましても、お説のように考えております。ただ、本年度の問題といたしましては、ほかの仕事をとめても、重点をこういうところに指向いたしまして、この事故防止には、十分われわれの方といたしましても努力いたして参りたいと思います。
  176. 大倉精一

    大倉精一君 最後に、局長には一つ遠慮なく大蔵省の方へどんどん要求して、そしてわれわれの意のあるところの実現に一つ積極的に努力をしてもらいたいと思うのです。さらに大蔵省に対しましては、これは、大蔵大臣に機会があればまたお尋ねをし、要望もするのですけれども、要するに岸内閣そのものが道路政策に重点を置く、こうなれば、いわゆるこの自動車行政というものは、非常に飛躍的に伸びていく行政なんです、道路行政というものに重点を置くならば。その伸びていくところのお役所の窓口の予算を削ってしまったら、全くナンセンスです、これは。そうなると、岸内閣の道路行政なんというものも、全く羊頭を掲げて狗肉を売るというようなもので、実態はこれに伴わない、こういうそしりを私は免れないと思うのです。でありますから、私はこの自動車関係行政というものは、将来相当、相当じゃなくて、当然伸びていく、こういう性格の部門でありますから、これに対する予算は、大幅にやはり強化をしなければならないと、こう思うのですが、主計官としての御所見を承わっておきたいと思う。
  177. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) たびたび同じことを申し上げるようでございますが、おっしゃられますように、道路に重点を置くまでもなく、もう自動車の伸びていく趨勢というものは、今後とも著しいものだろうと思います。それに伴っての、車検及び登録の事務もそれに付随して事務量がふえていくかと思います。われわれといたしましても、その実態につきまして、なお認識不足の点がありましたら、よく検討、勉強さしていただきまして、円満に事務がいくように、われわれとしても、予算的な措置をとるべく、担当の主計官といたしましては、今後とも努力をいたしていきたいと思います。
  178. 大倉精一

    大倉精一君 非常にあなたそつのない答弁で、岸さん以上の答弁かもしれませんが、そういう作文ではなかなかこれはおさまっていかないと私は思うのです。でありますから、要望しておきますけれども、来年度予算編成並びに当面の問題として、この交通事故防止に対する予算的の措置については、十分一つ考慮を願って、原案作成に当っては相当強い心がまえでもってやってもらいたいと思うのです。でないとこういう事態は解消しない、こう思いますので、強くこれを要望して、質問を打ち切ります。
  179. 相澤重明

    相澤重明君 主計官にお尋ねしますが、先ほども大倉委員から言われたように、陸運局の予算の少い、あるいはサービスが足りない、こういう点について、運輸委員会としては、毎度意見が出るわけなんだ、それで、あなたにお尋ねしたいのは、あなたは予算査定をする場合に、関係省庁のいわゆる予算編成を見るだけで、現地というものについて当ったことがあるのかないのか、この点はいかがですか。
  180. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 全般的には、担当いたしておりますところは、たとえば私でいいますと、運輸省なり郵政省、国鉄、電電、専売というふうに、非常に多くわたりますので、予算の前提といたしまして、各事業をくまなく見ていくというわけにはいきません。たまさか車検場の関係につきまして、あるいは登録の関係につきましては、運輸省の御案内で現場を見せていただいております。また車検場につきましては、地方の関係も一、二カ所見せていただいております。
  181. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、あなたは先ほどは三十三年度なら三十三年度の予算で仕事はやり得る、こういうお話がありましたが、仕事はやり得るというのは、できるだけしかできないといえばそれで終りなんです。私どものいつも話をすることは、やはり国民の期待にこたえるように、政府関係機関としては努力するというのが当然ではないか、そのために税金を取るなり、あるいは手数料を取るということになると思う。これは私も前にこの委員会お話をしたのですが、たとえば横浜の陸運事務所の場合、電話が一つしかない、だから所長なり担当の係員を呼ぶにしても、遠くの部屋から歩いてこなければならない、こういうようなこともある。これは後日、陸運局でも努力されているようでありますが、あるいは先ほど大倉委員の言うように、建物も民間から借りなければいかぬ、あるいは民間の何々協会というものを作って、そこから人を出してもらって、応援をしてもらうというようなことをしているという実態をあなた方が知っているかどうか、こういうことを私どもお尋ねをしたいわけなんです。その点はどうなんです。
  182. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 建物を借り、あるいは人手を借りてやっているということを聞いておりますが、だんだんその面については解消されつつあるというふうに伺っておりまして、全般的に全部完全になくなっているとまでまだ至っていないようでありますが、だんだんよくなっているというふうにお話は聞いております。なお、そういう点で普通の状態としては、さらに改善すべき点が残されているというふうには思っております。
  183. 相澤重明

    相澤重明君 そこで今の、あなたはだんだんよくなっている、しかし、だんだんよくなるというのは、毎度、いわゆる宇田国務大臣は昨年も経済の見通しはとんとん、よくなる、とんとん大臣のあだ名もついたくらいだけれども、実際は経済は大へん混乱をした。前の池田大蔵大臣はついにスロー・ダウンをきめたのだから、あのとき国鉄の予算についても、いわゆる百億からのスロー・ダウンをしなければならない、こういうことにして、運賃を一方において値上げをしながら、そういうことをやったということは、ずいぶん不信を買っていることは、あなたも承知だと思う。きょうは国鉄のことを言っているわけではない。今、運輸省陸運局のことを話しているわけだが、あなたの査定をされるときに、現場の実情というものを、若干は見たかもしれぬけれども、実際に車検を受ける人たちが払う手数料によって、それで収入はどのくらいある、しかし、歳計と現金の収入と支出の点は違いますから、もちろんその点はわれわれもよく知っておりますけれども、少くとも国民の立場から見れば、そういう取扱いの手数にしても、できるだけサービスをしてもらいたいし、あるいは陸運局の作業全般について、やはり向上するようにしてもらいたいというのが、これは一般国民の立場なんです。そういう点から来ると、車検の手数料を全部合せると、その業務に従事している人たちの年間の給与費というものは、全部出るのではないか、こういうふうに私どもは今までのいわゆる計算の中から考えられるが、あなたはそういうことを計算したことがあるかどうか、これは一つの例です。例ですが、あなたはそういうことを計算したことがあるかどうか、一つお答え願いたいと思う。
  184. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) ちょっと御質問の御趣旨がわかりにくかったのでありますけれども、車検場の手数料でもって車検場の人間が全部まかなえるかどうか……、現在の段階ではまかなえると思います。
  185. 相澤重明

    相澤重明君 まかなえるということになれば、実際に政府の、いわゆる運輸省の予算の中で、そういう現業に従事している人たちの給与総額というものは、手数料だけで出てしまうということになるわけです。そうすると、一般の行政事務費というものは税金でまかなわれるということになるわけです。ですから、いわゆる地方の者から見ると、何だ、政府は税金を取っている、一方においては現場の車検の手数料を取っている、その手数料で人が全部まかなえるにもかかわらず、実にそういう人員が窮屈である、あるいは機械の設備等も少い、こういうようなことから考えると、これは大蔵省はもうけているのじゃないか、こういうふうにいわれるわけです。そこで、お尋ねをしたいのは、一体各省の予算をあなた方が編成をして、大蔵省が査定をする場合に、一律にいわゆる予算の申請に対して何割を減らすとか、あるいは庁費については一律に何割を削るとか、こういうような考え方を今までとってきたのではないかということを考えられるのですが、その点はどうなんですか。
  186. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 各省からの御要求については、非常に大きい御要求もあれば、非常にかた目に見積った御要求もあります。ですから、それを一律にということにはいきません。やはり現実にやっておられる実績その他を勘案して予算の取りまとめをやって参ります。決して一律主義にはやっておりません。ただ、全体の節約として旅費をどのくらい、あるいは庁費を何%ぐらい節約するというようなことで、一律にある程度の目安を作ることはございますが、予算編成そのものは決して一律ではございません。御要求額に対しまして一律というわけでは決してございません。
  187. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、各省の提出した内容について実情をよく調査をし、あるいはお聞きをして大蔵省は査定をするということに、あなたの答弁からはなるわけですね、そうすると、あなたの答弁でそういうことを信じるということになると、これはあなたがやはり実情を知らない、いわゆる運輸省陸運局の予算を査定するに当って、実情の把握が十分でないからこそ、やはり現場の人員なり、そうした手数料なんというものの半面にサービスというものが十分に行われない結果になってくるということに理解ができるのだが、その点はどうなんですか。あなたはどう思っていますか、自分は正しい、間違いがない、こういう考えですか。
  188. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) その点は、先ほどからもしばしば申し上げましたように、いろいろの局あるいは運輸省の会計の方から詳細にお話をお聞きをし、勉強させていただくのであります。その結果、御相談をし、まとめていく、御承知のように予算は決して主計局、大蔵省が一方的に作り上げるというものでもございませんので、相手の省の方といろいろと長いこと、激しい折衝の結果まとめ上げられるのでございまして、私自身、決して陸運関係の全体のお仕事を微に入り細にわたってわかるというような時間的な、また経験の時間からいきましても、とてもそういう認識はないかと思います。ただ全体として、ほかとのバランスその他につきましては、自分の認識があやまたぬようにという意味で、各省の原局の方とも相談をしながら、ほかの省あるいは運輸省内の経理につきましても、大蔵省としての見解をその中にまぜて予算を編成させていただいておる、そういったような形になっております。
  189. 相澤重明

    相澤重明君 主計官に考えてもらわなければいかぬのは、少くとも政府予算を編成する場合に、その基礎に立った資料を作り、あるいはまた予算全体を形づくっていくのはあなた方の立場です。最終的には、あなたのさっきのお話のように、政府が最終的に決定をするものである、閣議で決定するものであるけれども、しかし、その一番根本になるのは、おそらくあなたたちが中心で作ることだと思うのです。そういう点から考えると、私どもはやはり、先ほど大倉委員の言うように、十分実情というものを把握をして、その上に立ったところの予算の編成が行われなければならぬ、査定が行われなければならぬ、こういうように考えるわけです。そこで、先ほどのお話を聞いておるというと、運輸省当局あるいは陸運当局にも十分事情をお聞きになり、そうして両者が了解されたものがこの予算額である、これは一応私は政治的な答弁としてはもっともだと思うのです。しかし、この運輸省なり、あるいは陸運局から求められておる予算額というものは、私はかなり決定されたものとは開きがあると思う。そこで、山内自動車局長お尋ねをしたいのだが、あなたはもうこれでやむを得ないというか、これで満足だ、こういうお考え方でこの予算というものをあなたは今の大蔵省が言うように、主計官の言うように了承されているのかどうか、この点をもっとはっきり答弁をしてもらいたい。
  190. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 予算は結局各省が出しまして、それが大蔵省で査定を受け、その間非常に各省と大蔵省との間に折衝があるのは御承知の通りでございます。しかし、最終的には閣議で決定されるわけでございますので、運輸省といたしましても、もちろんこの予算で納得をいたしておるわけでございません。また主管の局長といたしましては、当委員会でいろいろの方面から御指摘を受けましたように、われわれの方としては、十分の定員であるということは、主管局長としては言えないわけでございます。もちろん将来にわたりましては、いろいろ御趣旨にありますように、さらに機構、予算、定員というものを充実していかなきゃなりませんが、本年きまりました以上は、われわれといたしましては、できるだけあらゆるものを合理的に使い、陸運行政をあやまちないようにやっていかなければならぬ、かように考えております。
  191. 相澤重明

    相澤重明君 自動車局長に端的に一つお答えをそれじゃ願っておきましょう。今までの予算編成過程において、大蔵省と折衝をされ、あるいはその中で不満足ながら、とにかく決定されたものが国会に提案せられる、こういうことについて、私どももよくわかります。そこで、あなたの方で今後行う場合には、予算を編成する、この大もとをきめる場合には、少くとも国会において討議された、あるいは国会に政府が提案をされたその趣旨に基いて、私は予算というものは作らるべきである、こういう点について、いわゆる国会の尊重ということは当然だと思うのだが、あなたはそういうふうに御答弁をいただけるものかどうか、この際一つ確認をしておきたいと思う。
  192. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 私どもといたしましては、御趣旨に沿って毎年予算の申請をいたしておるわけでございますので、今後におきましても、陸運行政が円滑にいけるような予算定員をまず大蔵省に申請をするということはもちろんでございます。
  193. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃ、主計官に最後に一つお答えをいただきたいと思うのですが、あなたは、今までいろいろわれわれが質疑をした中にも出て参りましたのは、実際にこの現業について十分実態を把握されていると私は考える。そこで、予算編成というものが、ただ画一的に各省から出されたものの意見を聞いてみたり、そして大蔵省の政治的な立場でいわゆる予算というものを査定されるということであっては、国民に対するほんとうの奉仕にはならぬと思う。そこで、実態というものをいわゆるこういう機会を通じて調査をされ、あるいはそういう意見を聞く考えをもって対処されるのかどうか、こういう点について、あなたの一つ考えを最後にいただきたいと思うのです。
  194. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 相澤委員がおっしゃられる通り、その点につきまして、われわれといたしましても、今までできる限りの努力はしてきたようなつもりでございますが、なお足らざるところがありますれば、今後とも十分勉強して、実態を認識して予算編成に携わっていきたいと思っております。     —————————————
  195. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、ただいままでの御質疑のうち、大臣に御質疑願う分はこれを後刻に譲りまして、次に、日本国有鉄道運営に関する件を議題といたします。  相澤委員から質疑の通告がございますので、これを許可いたします。
  196. 柴谷要

    柴谷要君 緊急質問。大へん恐縮でございますが、各位に一つ御了解願って緊急質問をいたしたいと思います。  志免鉱業所の問題に関連をして、国鉄調査委員会を設置されたことは、すでに本委員会においても言明されかつ詳細にわたってお尋ねをしたのでありますが、聞くところによりますると、昨日中間報告国鉄当局になされたと連絡をただいまいただいたのでございます。この中間報告を詳細にわたって一つ説明していただけるものならば説明をしてもらいたい、かように考えますが、まず一つ、これからお願いをしたいと思います。
  197. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 志免のただいまお尋ねのございました調査委員会は、四月の七日以来非常に熱心に御検討をいただいておるわけでございますが、まだ委員会として正式に御意見をおまとめになって、国鉄総裁の諮問に答えられというところまでは立ち至っておりませんので、ただいまお尋ねのように、一応の締めくくりをつけたというような形にはまだなっていないように伺っております。
  198. 柴谷要

    柴谷要君 中間答申がきのうなされておるということが確たる筋から入ってきたのです。その中間報告がどのようなものがなされておるか、それを伺いたい。と申し上げますのは、調査委員会設置の際に、私が質問をしたことに総裁がお答えになりまして、調査委員会の結論については、明らかにするとともに、その結論に従って国鉄当局は実行していくと、こういう御答弁があったはずです。でありますから、これこそ間違いのないところを、今より十分ほど前に私が入手いたしましたこのことは、事実間違いなく国鉄当局に中間答申としてなされておると思うのです。全文を説明をいただくというのはあまりにも時間がございませんから、要約したところで一つまあ中間答申を御説明願いたい、こう思うわけであります。ただいまの御答弁でありますと、まだ全然出てないというのですが、これはまさしく出ておるという確認をとってきたのですから、お隠しにならないで一つおわかりのところは御発表をいただきたい。
  199. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 実は、委員会の方で特に志免炭鉱の処理の問題について、基本方針というようなものからまず先にきめて、基本方針がきまった上で、それに伴う第二段、第三段の問題についても、さらに検討を続けよう、こういうことでおやりになっておるわけでございますが、その基本方針につきまして、一応の委員諸先生の御意見はまとめられたのは事実でございますが、この結論を正式に答申をし、また発表するということは、さらに第二段、第三段の問題とも関連いたしますので、外部に発表することはまだ正式の終局的の答申というわけでもないから、いましばらく保留したい、こういう委員会の御意向でありますので、私どもといたしましては、それをここで御報告申し上げることは御遠慮申し上げた方がよくはないかと思いまして、ただいまのように申し上げたわけでございますが、それでお許しがございますれば、委員会の方の御了承を得た上で申し上げるようにさしていただきたいと思うのでございますが。
  200. 柴谷要

    柴谷要君 多分そういう御答弁があると思ったのですが、最初にそうおっしゃっていただけば第二段の質問はいたさなかったのです。しかし、それは極秘の中に出されたものでありますから、公開の席上で御発表になることはやはり信義の上からいってできないと思う。これはごもっともと思うのですが、ただ、いろいろ関心を持っておりますだけに、外部に漏れない範囲において一、二の関係者には多少輪郭ぐらいはお話を願いたい、こう思いましたために、緊急質問として申し上げたわけですが、実はこの問題については、いろいろ委員会ごとに私の方からお願いを申し上げておるのでありますが、国会の請願なり、陳情等が行われておりまして、委員会においても慎重にこの問題の取扱いについては、再三にわたってお願いを申し上げておきましたが、どうか、これが上にもより一そう慎重に本問題の取扱いについてはやっていただきたいという希望を付して、まあこの問題の成り行きについては、十分監視をしてもらいたい、こう思っておりますが、いずれ機会がありましたら、極秘にいたしますという約束をして、多少の一つ内容については、お聞かせいただきたい、こういうことだけ要望して私の質問を終りたいと思います。
  201. 相澤重明

    相澤重明君 副総裁にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、四月の十七日ですか、いわゆるこの春闘なるものの処分を行わなければならぬということで、その処分というものが行われたということでありますが、一体その処分というのはどういう理由によって行われたのか、また、その内容はどういうものであるか、この機会に一つ説明をいただきたいと思います。
  202. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 私から。ただいまお話のございました四月十七日の処分と申しますのは、東京鉄道管理局長が処分の通知をいたしましたそのことをさしておいでになるんだと考えますが、これは、十七日の日に東京鉄道管理局長が懲戒処分の通知をいたしましたのは、今次の春季闘争におきまして、それの第三波並びに第四波に関連して、無許可の職場集会を開催いたしまして、全員職場を離れるというような事態が起った個所の責任があると認められる職員に対して、この懲戒処分の通知を出したわけでございます。
  203. 相澤重明

    相澤重明君 ただいまの吾孫子務理事の御答弁ですと、四月十七日の春闘の処分通知というものは、懲戒処分であり、今次春闘の第三、第四波に関連をして、無許可の職場集会を行なった個所の責任者に発表されたというのでありますが、これは東京鉄道管理局だけでありますか。他の管理局なり、あるいは国鉄部内にはそういうことはなかったのでありますか。
  204. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 他の管理局におきましても、すでに今次春季闘争の責任を明らかにする意味で処分の通知をいたしたところがほかにもございます。東京はその一部であるわけでございます。
  205. 相澤重明

    相澤重明君 この処分が、具体的に東鉄は何名、その他の新鉄とか、あるいはどこの局とかいうことを、おわかりになったら御発表いただきたい。
  206. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 他の地方各管理局等で通知いたしましたものの数は、ただいま手元に持ってきておりませんですが、東京鉄道管理局で四月十七日に懲戒処分の通知をいたしましたものは、全部で、いわゆる厳重注意というものまで含めますと、千六百八十九名という数になっております。ただし、いわゆるほんとうの意味の懲戒処分というのは、停職二カ月というのが二名、それから停職一カ月が二名、それから減給一カ月十分の一というのが八名、それから戒告が十九名、これだけがいわゆる日鉄法による処分であります。あとは、訓告が別に三十五名、それから注意を与えた者が千六百二十七、こういう数になっております。
  207. 相澤重明

    相澤重明君 副総裁にお尋ねをしたいと思うのですが、今、吾孫子務理事が発表になられたこれらの不当処分について、一体国鉄当局としては、各鉄道管理局なり、それぞれの業務機関でそういう処分を発表する際に、具体的な連絡をいろいろされたり、あるいはまた、そういう報告を受けてこの処分というものがなされているのかどうか、副総裁、その点をお答え願いたいと思います。
  208. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 処分につきましては、一応現場の管理責任者たる所属長であるところの鉄道管理局長にまかせておるのであります。
  209. 相澤重明

    相澤重明君 さらにお尋ねをしたいのでありますが、今次の国鉄労働組合と国鉄当局とのいわゆる団体交渉、あるいは賃金、労働問題等についてのそうしたいろいろな折衝等について、あなたはやはり春闘の処分というものをしなければならないとお考えになって、こういうことを認めておるのかどうか、まずその点を一つお尋ねをしたいと思うのです。
  210. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 認めております。
  211. 相澤重明

    相澤重明君 どういう理由でそのことを認めておるのですか。
  212. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいま吾孫子常務から申しましたように、時間内の職場集会あるいは職場の離脱というようなことは、やはり国鉄運営の規律を守る上からして処分の対象になると、こう考えております。
  213. 相澤重明

    相澤重明君 それでは具体的にお尋ねをしたいのでありますが、今、副総裁の言うように、職場の規律を乱し、職場の離脱をはかったということが、あなたのこの処分しなければならぬことだと、こういうことでありますが、一体具体的にどこの局ではどういう職場離脱によって事故が起きたのか、あるいはどういう作業内容というものがいわゆる支障を来たしたのか、こういう点について、あるならば発表をしていただきたいと思うのです。
  214. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 今次の春季闘争全体の様子は、一口に申し上げますれば、昨年の春季闘争等に比較すれば、それほど激しいことはなかったのでございますが、やはり場所により部分的に、ただいまも副総裁が申されましたように、職場規律を乱して業務の正常な運営を阻害するというような事実が起った所がございますので、そういう所に対しましては、やはり責任は明確にしなければならぬということから処分をいたしたような次第でございます。それで、ただいまこちらに処分の通知書の写しを私持っておりますが、その中の一つの例として申し上げますと、たとえば茅ケ崎の客貨車区の加藤武君というのに対しては、左記の通り懲戒処分をすることに決定したから、通知をするということで、事由として、昭和三十三年三月二十七日、二十八日、茅ケ崎駅において無許可の職場集会を開催し、当日勤務の職員を参加させ、業務の正常な運営を阻害したことは、職員として著しく不都合な行為であるため、処分として停職二カ月と、なお、注意として、この処分に異議があるときば、この通知を受けたときから二日以内に個所長に申し出られたいということで、四月十七日付管理局長の名前でこういう通知を出しております。
  215. 相澤重明

    相澤重明君 副総裁、ことしは、私どもが一般の世論を聞いておりますと、なるほど、先ほど吾孫子務理事の言うように、昨年の春とは違って、とにかく問題はそうなかったと、こういう点を私どもは聞いておった。また、本運輸委員会においても、大倉委員なり、私なり、柴谷委員から、それぞれ、労使問題であるから、自主性を持って、そうして団体交渉を促進をして問題を解決するようにということで、副総裁も、誠意を持って団体交渉を進めると、そうして俗にいわれるところの混乱を起さないようにすると、こういうお話があって、今年私どもは、そういうふうな形で国鉄の労使は事が済んだと、また一般から、むしろ労働界から言わせれば、国鉄はことしは寝ておったじゃないかと、こういうような批判まで私どもは聞いておるのでありますが、今あなたの答弁をされたことなり、吾孫子理事答弁をされたことから見ると、だいぶ激しい戦いをやったように思うのだが、一体その点はどうなんですか、そういうふうにあなた方は理解をしているのですか。それとも、本委員会で言われたところの、団体交渉は精力的にやり、しかも、公益事業でありますから、混乱を来たさないようにやるのだと、こう言って、実はむしろ春のいわゆる闘争などという感じは持たなかったと、こういうふうにわれわれ考えておったのですが、その点はいかがなんですか。
  216. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私は一昨年と昨年の経験を持っておりますが、今年がまあ俗な言葉で言いますれば、最も姿勢が低かったということは、明らかな事実でございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、職場の規律を乱るという、部分的にそういう事態が発生したことは、遺憾でございまして、その部分につきましては、これは残念ながら処分せざるを得なかったと、こういうことでございまして、大体処分も、一昨年、昨年から比較いたしまして、処分の程度も軽かったのでございまするし、また、われわれとしても、そういう点は意を用いたのでございまするが、ただいまのような事情で、ただいま御説明申し上げましたように、やはり職場の規律を乱した者については、ただ見のがすということも、職場の規律を守る上からおきまして、見のがすことはできませんで、やはりそれ相当の処分はいたさなければならぬと、こう私は考えたのであります。
  217. 相澤重明

    相澤重明君 副総裁は職場の規律規律と、こういうことを言われておるのでありまするが、私はむしろ今年の春の国鉄事故というものは、いわゆる架線の故障であるとか、あるいは脱線であるとか、あるいは台風による被害であるとか、そういうようなものが一般国民としては非常にまあ大きな災害として関心を持たれて、こういうものを何とか早く直せないものかというような私は関心があったと思う。それで、国鉄労働組合と国鉄当局との団体交渉というものは非常によく進んでおって、いわゆる去年や一昨年のようなことはないということで、国鉄労働組合は今むしろ組合がないのじゃないか、組合が寝ているのじゃないかと、こういうようなことまで私どもはよく聞いたのでありますが、今のあなたのお話では、そういうことでなくて、職場の規律ということで、何か列車の脱線事故や架線事故、台風、風水害による事故がたくさんあったんだけれども、そういうことより以上に、やはり国鉄の輸送業務に支障を来たした、こういうような印象を私は受けるのでありますが、あなたは、そういう職場の規律というものは、運転規則なり、あるいは列車の輸送に支障を来たしたという考え方に立ってそういうことをやっておるのかどうか、この点についで、再度一つ答弁をいただきたいと思うのです。
  218. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいま事故と御比較になりましたが、私どもは、事故は自然現象でございまして、これと労働問題とを同一には考えておらないのでございます。それで、とにかく先ほど申し上げましたように、無届で職場の集会をし、所属長の業務命令に従わなかった、あるいは全員の職場離脱を行なったというようなことについては、管理者の責任上、やはりその職場の規律の維持ということが必要になって参ると、こう考えておる次第でございます。
  219. 相澤重明

    相澤重明君 どうも、御答弁をいただいておるのだが、私どもになかなか理解できないのは、職場の規律ということを言われる、あるいは所属長の許可を得なかった、いわゆる無許可、無届、こういう形で言われておりますが、それぞれの職場において、作業に支障がなければ、これは何も……、何をもって職場の無届とかあるいは無許可とか、影響があると言えるのかと私は思う。つまり、従業員は、当然詰所におるなり、あるいは駅の構内におるなり、そこにおらなければ当然次の職務はできない、そういう意味で、仕事の合間にお互いに話をしたり、相談をするということが、どこが私は悪いのか、職場の規律を乱すのか、ちょっとわからないんでありますが、これはむしろ運輸大臣に聞いておいた方がいいと思うのですが、総選挙が間近いから、一つこの際組合に少し処分でも出して、たたいておこうというような考え方でこの十七日という時期を選んだのではないか、こういうにおいが大へんするわけです。これは運輸大臣は、国鉄当局が組合と何ら大したいさかいもないのに、あるいは今私が申し上げたように、職場の規律あるいは職場の作業の支障、こういうようなものをあまり影響がないと思っておるのにそういうことをされたということは、やはり労働運動に対する不当な私は弾圧なり、あるいはそういう政治的な意図というものが考えられておるのじゃないか、こういうふうに思うのだが、運輸大臣は一体今度の問題についてどのようにお考えになっているか。これは一つ基本的な労働運動に対する理解力の問題ですから、今までは、運輸大臣は、私鉄運賃の値上げにしても、内容がはっきりしなければ断固として不当なものは値上げを認めない、こういうことで、本委員会でも十分その誠意を披瀝されて、私どももさすがに中村運輸大臣だ、こういうことで今日まで協力をしてきたつもりでおりますが、今度の処分を見ると、全く、総選挙というものが近い、そうしてもういよいよ今月のうちには解散だ、こういうような目の前で、一体こういうことをやるということは、岸内閣の方針として、中村運輸大臣国鉄当局にやらしたんではないかというようなにおいが強いのだが、あなたはそういう点についてどのようにお考えになっているか、これを一つお伺いをしておきたいと思うのです。
  220. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、国鉄に対しまして、国鉄の組合を弾圧せよというようなことも申したことはないし、また申すべきものではありません。これは、国鉄との間の労働契約によってやっておるのでありますから、国鉄に、良識を持って労使間の正常なる慣行を確立していただくという以外に私は念願はないのであります。また総選挙と別に関係しておるものではあるまいと私は思いまするが、しかし、いずれにいたしましても、やはり正すべき点は正しておくということは、これは私は認めざるを得ないと思いまするが、大局といたしまして、国鉄当局と労組の間は、今後とも正常化し、そしてこの業務の安定をしていただきたい、こういうことを私は念願をしてやまないのであります。
  221. 柴谷要

    柴谷要君 大臣は非常にきれいごとを言っておるようですがね。きれいごとを言うなら言うように、やはり国鉄の現状というものをよく認識されて、もっと大臣として今後尽すべきことを尽さなければならぬと思う。私はあえて苦言を呈したいと思うことは、国鉄の現状というものを大臣がもう少し把握されておるならば、少くとも各官庁が年度末手当を出された際の実績をごらんになればよくわかると思う。現業における国鉄の作業というものは、他の官庁とは比較にならない特殊なケースなんです。かつて、これは古い話だが、二千三百九十円の賃金ベース決定の際に、国鉄の賃金というものは他の官庁よりは当時三百円高かった、その賃金を今日に引きかえていくならば、二千円以上二千五、六百円高くなければならない、ところが、これらを今日ならすと、同じなんです。しかも、年度末手当に至っては、国鉄は辛うじて〇・一じゃありませんか。全電通あたりは、公式にいえば〇・二五を出し、それから数日置いて〇・一を出しておる。〇・三五ほとんど電通あたりは出しておる。ところが、あなたがそういうきれいごとを言われるならば、もっと国鉄の現状というものを把握されて、そうしてあなたが監督大臣であるならば、もっと力を入れてやらなければ、私はやはり国鉄の実績というものは上ってこないと思う。国鉄にあなたが命令を発すると同時に、あなたがもっと責任というものを考えて、十分やってもらわないことには、これは、国鉄の職員は浮ばれない、こう思うのです。これは国鉄当局としても、年間予算を通じて営業費の増加というものには最大の努力を払ったけれども、遺憾ながら運輸省の力が足らなかったために、大蔵省から予算が取れないという事実は、われわれがあえて追及しなくも、数字の上にはっきり現われておる。そういう予算を与えておきながら、たとえば横浜駅に事故が起る、あるいは大阪事故が起きる、起きれば改善命令だ、業務命令だ、そんなことで国鉄の現状というものが改善されていくと思っていたら大間違いだ。もっと与えるものは与えて、それで失敗したら、これはあなたの責任においてどんどん処罰するなりなんなりしてやったらよろしい。ところが、そういうことを手薄にしておいて、予算はほんとうに与えないでおいて、そうしてやるべきことをどんどんやれやれと言っても、これはできっこない。これは、その点を特に大臣誠意をもってやられたと思いますけれども、その実績が出ていないということを、本国会を通じて、最後の日だから、あなたにまとめて一つ苦言を呈し、かつ、今後必ず改選されてくることでしょう、話を聞くと最高点という話があるから、その最高点でおいでになれば、これは当然運輸大臣は継続されると思うのだが、その際においても、これを苦言としてあなたが快く受けて立たれるように私は切に希望しておきたい。
  222. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 柴谷委員の最後の御苦言は私も最後に承わります。しかし、今の年度末手当も、それはほかのも十分でなかったかもしれません。しかし、今日の国鉄の業績をもってして、現状をもってして、約十億の年度末手当を出すことに私もいささか努力いたしたことは、これは御了承を願いたい。多々ますます弁ずるということは、いいことでございますけれども、あの程度の努力は一つ御了承を願わなければなりません。
  223. 大倉精一

    大倉精一君 関連して副総裁にお伺したいと思うのですけれども、私は、国鉄のそういう問題はよく知りませんけれども、今度の処罰は、国鉄法三十一条によってなされたのですか。お答え一つ簡単に願いたい。
  224. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) そうでございます。
  225. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、三十一条の一項一号の「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合」の処罰に当ると思うのですけれども業務上の規程に違反をするということについては、非常に広範な事例が国鉄の中にあると思うのですが、いかがでしょう。
  226. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 職務上の服務規程その他いろいろな規程がございます。
  227. 大倉精一

    大倉精一君 職務上の規程に違反するという事例の中で、たとえば運転規則とか、その他の規則に違反をして、そして業務命令を出しておるとか、あるいは仕事をやらしておるという事例がたくさんあると思うのですが、そういう事例はありませんか。
  228. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 規程に違反して業務命令を出しておる場合があるのではないかとおっしゃるのですか。
  229. 大倉精一

    大倉精一君 業務命令というかた苦しいものでなくても、現場の監督者が運転規則なり、その他の規則にこれは違反をしておる、しておるけれども、人員が足らぬ、予算が足らぬからやむを得ずそういう仕事をやらしておるという事例はありませんか。
  230. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) いろいろ作業の内規とか運転上の規程というようなものは、かなり弾力があるものもございますので、それぞれ承認を得て特例に応じた業務命令を出すという場合もございます。
  231. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いておるのは、必ずしも規則通りにやれば汽車が動かぬという場合もあると思う。操車場の場合の作業なんか、そういう場合にはやはり規則に違反しておると知りながら、現場の監督者はやはり命令して仕事をやらせなければならない、また現場の従業員はその命令に従って仕事をやらなければならぬという事例がたくさんあると思うのですよ。そういう場合には、やはり話し合いで納得づくでやっておるわけなんだね。労働者が処罰を受けたというのですけれども、これは悪いことをやったとあなたは言いますけれども、悪意でやったのではなくして、これは労働運動の行き過ぎかどうか知りませんけれども、とにかく憲法で保障された労働組合の活動としてやっておるのですね。当然これは処罰とか何とかいうのではなくて、それこそ国鉄一家の話し合いとして、今後を戒めるなりなんなりで処理をされるべきだと思うのですね。こういうときに法規違反だということで処罰しておる。それじゃ運転規則なんかに違反した場合には、知らぬ顔してやっておるけれども、そこに矛盾があるので私お伺いするのですが、この際、やはり厳罰主義もけっこうなんですけれども、厳罰主義ということでなくて、そういうようないわゆる悪質な違反といいますか、そういうものじゃなくて労働組合の活動としてやった違反事項その他については、やはりその労働問題が円満なる解決をした後においては、円満に今後を戒めるなり、話し合いをするなりなんなりして解決する、これが当りまえじゃないでしょうか、どうでしょう。
  232. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 今回の場合は勤務時間に食い込んで、個所長が承認をしないのにもかかわらず、強引に職場集会を開くという形で職場を離れたということでございましたので、責任をとったわけであります。
  233. 大倉精一

    大倉精一君 そういうことはわかっておる、そういう事実は。ただ私が聞いておることは、これは副総裁にお伺いしたいのですけれども、たとえば運転規則その他を守らずに仕事をする、あるいは守って仕事をすれば操車場その他が動かない、こういう場合には、やはり運転規則というものを若干曲げても仕事をやってもらわなければならぬ、上司はそういうことをやらしておる。その場合に、作業規則や運転規則を話し合いの上で納得づくでやっておるわけです。この場合でも、上司は悪意でもって運転規則を破れと言ってるわけではない、善意でもってやっておるのです。今度の場合におきましても、これは労働組合の活動として、憲法で定まった労働組合の活動としてやっておる。あるいは行き過ぎとかなんとかいう議論はあるでしょう、あるでしょうけれども、悪いことをやったという部類には入らぬと思う。それをあなた方がしゃくし定木で、これは規則違反だといって処罰をもって臨むのは、対外的なゼスチュアの効果をねらうなら何をかいわんやでありますけれども、いわゆる平常国鉄一家といわれておるととろの国鉄において、こういう問題については、あるいは話し合いによって今後を戒めながらやっていくという、そういう雅量ある態度というものが必要であり、かつ、それは将来における労使関係を円滑ならしめていくことになると思うのですが、副総裁、どうでしょうか。
  234. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 今回の処分が何か意図があるようなふうにお考えになるかもしれませんが、決してそういうようなことはありません。それだけばはっきり申し上げておきます。それでただいま先生がお話しになりました規則違反もほかであるんじゃないかというお話でございます。これは確かにございます。たとえて申しますれば、現在の営業法では、定員以上乗せてはいけないというようなことがありますが、現段階におきまして、通勤輸送その他で、そういうことをいたしておりますればかえって旅客、公衆の御迷惑になりまして、通勤輸送、通学輸送を妨げることになる、そういう場合は、もちろん管理者あるいは所属区長の責任において、この法律の通りに励行できない例は現在ございます。この法律というのは、必ずしもそのときの時勢に合わない点もございますので、そういう場合には所属区長の、あるいは命令者の責任において、旅審、公衆に御迷惑をかけないということを優先的に考えていたしております。しかしながら、今回のこの問題はそれとは性質を異にいたして、所属区長の業務命令に違反してかえって旅客、公衆に御迷惑をかける、あるいは国鉄の使命の達成の上に支障を来たすおそれがあるということでございますから、これは両者同一には置けないと、こういうふうに考えております。
  235. 大倉精一

    大倉精一君 これは長く論議をしようとは思いませんけれども、所属区長の命令に従わなかったということでございますけれども、これは労働組合として組合活動を片っ方においてやり、片っ方において所属区長の命令をしっかりやると、こういう立場におるわけです、一般組合員というものは。皆さん御承知の通り、労働組合というものに団結がなかったら組合の意味がない。団結とは何ぞや。指令一下正々堂々と統一ある行動ができるということです。だから、統率下にある組合員の行動というものはどっちの命令によって律せられるか、これはいろいろ規則とかなんとかありましょう、ありましょうけれども、これは一方的に所属区長の命令に従わなかったから処罰するんだと、これはどうも私は合点がいかない面がたくさん出てくると思います。むろん、これは行き過ぎとか、行き過ぎないという面もあるでしょう、そういう面もあるでしょうが、私が今要望いたしたいことは、こういうときにこそいわゆる国鉄一家として内部でおさめていく。国鉄一家というのはちょっと上層部の方の関係ばかりではないのですね。何も知らぬ組合員、一般の操車場で働いておる組合員はむずかしい規則は知りませんよ。ただ組合の命令でやった、それをいけないというので首切られた、これは変だぞということになる。こういうことでなくて、争うときは正々堂々と争う、そしておさめるときは、ほんとうに国鉄一家として家の中でお互いに話し合って、こういうことはいけない、ああいうことはよかった、こういうことは今後こうしようじゃないか、こういうことを話し合いでおさめていく、こういう工合に処理をされるということが上層部の一つの手腕であると思う。厳罰をもって臨むならだれでもできる。私が総裁になったら厳罰をもって臨むのは簡単にやれます。そういうことでなくて話し合いでもって事を処理をしていく、こういうことに重点を置いてこういう問題の処理をしてもらいたい、こういうことを私は要望したいと思います。
  236. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどの運輸大臣答弁は、私は先ほど申し上げましたように、運輸大臣としてはおそらく誠意をもって努力をされたと思うのです。そこで、私が先ほどお尋ねしたのは、運輸大臣はそういうことを国鉄当局命令をしたり、あるいはそういうことを聞いて相談をしてやられたか、こういう点について御質問したのでありますが、運輸大臣は別にそういう命令もしなければ、相談も具体的にはしておらなかった、こういうことですから、本委員会で、いつも運輸大臣に、国鉄の問題についても、労使双方が健全な発達をするように、そしてまた、団体交渉等で問題を解決をするように、こういうことを言われておったことを、そのまま運輸大臣は守っておったと思うのです。その点については、私は大へん運輸大臣に対しては敬意を表しておったわけでありますが、今度の、時期的に見てですね、十七日というのは、もう四月の、とにかく二十五日に国会が解散になる、あるいはおそくたって二十六日というのは、この十五、六日にはわかっておった、そういうことから考えてくると、これは一つこの際、労働組合というのは頭からたたいておけと、こういうにおいというものが、だれでも感じられたというのは、私は当然だと、こう思うのであるから、私は、そういう点があったのか、こういう御質問をしたわけです。そこで、私は一つ国鉄当局に、まあ運輸大臣については、そういうことですから、了解しましたが、国鉄当局お尋ねしたいのでありますが、十七日以降において、他の地域で処分の発表されたものがあるのかどうか、あなたの方で御存じであるのかどうか、この点についてわかっておったら一つ答弁願いたいと思うのです。
  237. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 実は、はっきり記憶しておりませんけれども、四月十七日の東鉄が処分いたしました際に、まだ春闘関係の処分が済んでいなかった所がだいぶ残っておりましたですから、その後の所もあったかと思います。まだ処分の通知をしておらない所も残っておるのじゃないかと思います。
  238. 相澤重明

    相澤重明君 私の聞いておるのは、新潟にしろ、水戸にしろ、高崎にしろ、それぞれそういうことをやろう、あるいはやった、こういうことも聞いておるわけです。それらのいろいろな話を総合して私どもが聞くと、たとえば、こういうことが、これは運輸大臣もきわめて、本委員会でこういうことを聞くということは、残念だと思うのですが、いわゆる職場集会なり職場大会というものが、全然列車に支障のない時間に行われておる。列車に支障はない、業務に支障がない、そういうものについても、いわゆる現場長が許可をするとかしないとかいう理由をとっておる。これは明らかに、今、大倉委員の言うように、労働組合が、労働者が一致団結をして、そして統一行動をとる、あるいはまた少くとも、そういう相談をされる場合に、外でやる場合とうちの中でやる場合と、これはあろうと思うのです。だから、その必要によって、労働組合としては自主的に判断をされて、そして特に支障のないようにやることは、これは私は当然だと思うのです。今年の春闘については特に私は、先ほど申し上げましたように、それらしいものは一つも一般からは言われなかった。むしろ国鉄労働組合は、ちっとも闘争をやっておらぬじゃないかという非難さえ一般に受けておる、こういう話を私は聞いておった。ところが、ここに一つの問題は、話を聞いてみると、今、言う通り、全然列車にも支障がなければ、その他の業務にも支障がない、その時間のある、休みの間に職場大会を持ったのに、この職場大会を無届けでやった、無許可でやったということで処罰する、あるいは組合がビラを張った、ビラを張ったのはけしからぬ、こういうことでいわゆる処分をしている、あるいは減給しているということも私は実は聞いておるわけなんです。このビラがいいとかいけないとか議論はあるでしょう、議論はあるかもしらぬけれども、そうなれば先ほども話が出ましたように、現在はもう総選挙態勢ということで、どこでも町へ行ってごらんなさい、ビラが一ぱい張ってありますよ。これは、衆議院の候補者になる予定の方々なんかは全部もう名前が張ってあるわけです。ビラが張ってあるからいいとか悪いとか、そのビラの張り方が曲っておったかまっすぐになっておったかというようなことまで議論をして、そうして処分をするなんというようなことをやっておるなんということは、私は少し、労働運動に対する理解というものもなければ、労働組合というものを全然認めないというその精神がここに出ておるのではないか。だから、この問題については、労働組合に対する不当な弾圧、圧迫であるという考え方以外には出てこないのじゃないか。一つ一つの事例を見て、ビラの張り方が曲っておるとかまっすぐである、ここにビラが張ってあるからいけないというようなことを言ってその処分をしておる。あるいはまた時間内に、実際に時間内に食い込んだといっても、全然作業がないものに、休み時間にやっておるのに、その時間内に食い込んだという形式論議で処分をする、こういうことば全くもう労働組合というものを私は認めておらない、むしろ率直にいえば、これはいわゆる戦後の民主主義というものをじゅうりんをしたファッショ的な考え方に私は立っておるのじゃないか、こういうふうに思う。しかし、まさか国鉄当局の幹部といえども、ファッショに立ってこういうことをやったものとは思いません。思いませんが、行き過ぎは、これはもう私は、はなはだしく今回のこの処分というものは行き過ぎである、こういうふうに思うのだが、あなた方はそういう内容について知っているのかどうか、そういう点、一々取り上げればたくさんもう持っておるわけです。それで運転係が組合員であるとかあるいはないとか、組合員と連結手と運転係との若干の口論で、もうすぐその人はいわゆる首切りの対象になるとか、こういうようなことまで動かして、そうして処分を大きく取り上げておるというようなことは、これはあまりにも労働対策というものに対して無知じゃないかというような非難まで受けてしまって、せっかくの中村運輸大臣が労働行政について努力されておることについて、国鉄当局の幹部が少し親心というものをとることができなかったのじゃないか、私はこういうように思うのだが、副総裁はそういう点について知っておるかどうか。あるいはまた、そういうことを具体的にお知りになった場合にはどうするのか、そういう点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  239. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 私どもは決して厳罰主義をもって臨んでおるのではございません。今回の処分にいたしましても、ほとんどその大部分が厳重注意でございまして、今後注意をしてほしいということであります。ただ、この懲戒になりました者につきましては、所属長の再三再四の話にも承服せずに、指導者として、国鉄の労組として許されてない限界をこえての行為があったので、それでやむなく処分をいたしたのでございまして、もちろん私どもは常に親心は持っておるつもりでございまして、しかし、それは決して厳罰主義ではありませんが、国鉄という、こういう重要な使命を持つ企業をあずかっておりまする以上は、企業の正確な運営、正常な運営をいたすためには、職場規律ということが最も大切でございますから、所属長の制止をきかずに、逸脱した行為をいたすものについては、決して厳罰ということでなく、適正な処分はこれはいたしていかなければならないと思います。決してビラの張り方が曲ったとか、まっすぐだとかいうようなことを取り上げて、ひどい懲戒処分を加えているというような事例はないと確信いたしております。
  240. 相澤重明

    相澤重明君 まあ時間がありませんから、私は簡単に申し上げておきますが、今、副総裁の言うような、実際に国鉄職員に対する親心というものがあれば、労働運動に対する理解がもっとあっていいと私は思う。今のような処分が行われたということは、労働運動というものに対するやはり無理解というものがそういう形になってきたのじゃないか、こういう点をすなおに私は考えているわけです。国鉄を愛するということは、国鉄職員としてだれ一人として思わないものはないわけです。実際に現場で働いておる者ほど、私は幹部の諸君が考えるより以上に国鉄を愛しておると思う。国鉄を首になれば自分国鉄に勤めることができないから、国民の負託にこたえて輸送業務にいわゆる誇りを持って私は国鉄の労働者諸君は働いておる、こういう確信を持っております。ですから、そういう点からいけば、幹部の皆さんのこの労働運動の理解力というものが、そうした問題を起さずに済むのだということを私ははっきり指摘をしておきたいと思う。そこで、先ほど吾孫子務理事の御答弁になった一応のいわゆる処分といいますか、こういうものをしたけれども、その中で二十日以内でしたか、二十日以内に何とか本人から申請があれば云々ということを言われましたが、そういういわゆる苦情処理というのか、あるいは手続ですね、そういうものを現在やっておるのかどうか。これはあなたは国会で答弁をされただけで、実際に労働組合にはそういうことは何にも話もしないし、通達もしない、こういうことであっては、これはもうここでただ答弁したにすぎない、こういう点がありますので、今のあなたのお話しになった点をいま一度お答えをいただいておきたいと思うのです。
  241. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 処分に異議があるときは、通知を受けた日から五日以内に申し出られたいというのがございます。それで現実には苦情処理に関する手続という労働協約がございまして、その協約に基いて苦情処理をやっておりますので、実際の状況といたしましては、この処分の通知をいたしましてから正式にほんとうに発令するのに相当ひまがかかっておるという事実がたくさんございます。
  242. 相澤重明

    相澤重明君 他の委員からの御発言もございますから、私はこれで終りますが、先ほど申し上げましたように、くどいようですが、運輸委員会においては、常に国民の負託にこたえて交通輸送業務の重要性というものについて、できるだけ一つ関係人たちには努力をしてもらいたい、こういうことで常に主張を私どもはして参りました。またその通り運輸大臣も今まで努力をして、誠意をもってそういうふうに業務をやらしてきたと思うのです。ところが、今回のこの十七日なり十九日にそれぞれに発令したということは、総選挙を目の前にして行なったという事実に私は変りがない、また、総選挙に対するところの労働者の行動というものを一つここできめつけてしまおう、あるいは萎縮さしてしまおうというような印象というものはやはりぬぐい去ることは私は非常に困難だと思う。それで、もしほんとうに総選挙というものと無関係に、単に今、副総裁や常務理事の言うように、これは労働運動の行き過ぎだ、あるいは職場の規律だということでお考えになるなら、時期というものの判断を誤まらないような適切な措置というものをとらなければ私はならぬ、こう思うわけです。この点については、今からでもおそくないわけでありますから、むしろ私はあなたが、副総裁が言われるように厳重注意というような問題であるならば、この際は積極的に取り消すくらいの私は熱意があってよろしい、そうすれば、なるほどこれは選挙のために労働運動の弾圧をやったのではない、労働者に対する圧迫をやったのではない、こういう印象を受けられると思う。そういうような私は考え方をもってやるのが、先ほどから運輸大臣誠意をもってお答えになっておることと同じような考え方になるのじゃないか、まことに時期的に誤解を招く、あるいはまた労働運動というものに対する無理解というものが今日のこういう措置になったということを私は遺憾に思うわけです。申し上げたいことはたくさんありますが、そういう点を今後一つ十分気をつけてやってもらいたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  243. 大倉精一

    大倉精一君 時間がないようですから、運輸大臣に端的に三つか四つお伺いしますから、一つ簡単にお答え願いたいと思います。まず第一番に、いわゆる自動車事故に関する問題につきまして、衆議院の運輸委員会並びに本院の運輸委員会におきまして、それぞれ検討を続けておったのですが、たまたま運輸省自動車局長の方から四月の十五日付でもって、先般きめられましたところのタクシー事故防止に対する内閣におけるところの自動車部会、これの要綱に関する通牒が流されたのでありますけれども、これは、私は運輸大臣がかねがねおっしゃっておったように、国会におけるところのいろいろな小委員会の結論を尊重してという言葉があったのですが、衆議院における結論は十六日、参議院におけるところの結論は十七日に出たのであります。私のお伺いしたいことは、いわゆる両院の結論を目前にして、なぜ早々の間にこういう通牒を出さなければならないのか、いわゆる両院の結論を待ってそうして双方相考慮しながら具体的な指示を出すべきじゃなかったか、こう思うのですけれども、この結論を目前にして通牒を出されたというその理由について、参考のために伺っておきたいと思う。
  244. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 御承知のように内閣に事故防止対策本部というものがございます。そうしてそこに自動車部会がある。この自動車部会が主導権を握って、事故防止対策を早くやってもらいたいということを私は申しました。一体この事故防止対策につきましての見方は、私は各方面そう変りはないと思うのでございます。従いまして、とりあえず内閣の事故防止対策の具体化につきまして、陸運局長に申したのでありますが、衆参両院における御決議なりまた対策は、これまた今後これを基礎として陸運局長などに通知をするはずでございまして、多少はこちらが早まった感はあるようでございますけれども、御趣旨は全体としてこれを陸運局通達するということに現在も今後も変りなくやりたいと思っておりますし、また、そういうふうな線に沿っておる次第でございます。
  245. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、やはり内閣の要綱に対して出されたと同じような通牒が、衆参両院の結論に対しましても、いわゆるその内容を検討し、具体策を検討された上において、各局長なり末端の方にこういう通牒を流される、こういうふうに理解していいのですか。
  246. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) そういうふうに御了承を願っていい、現にそうやっておりますから。
  247. 大倉精一

    大倉精一君 何か通牒を出されたのですか。
  248. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) これは衆参両院の決議は、その線において従来ともやっておるのでございまして、今後もこれはケース・バイ・ケースのみならず、順次これをやっていくつもりでおります。
  249. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、やはり四月十五日付のようなこういう文書にして通牒を出されるというのか、あるいは決議を参考にして指導をするという程度なのか、その点はどうです。
  250. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) それは文書によって通牒することもありますし、それから御決議の趣旨を要するに実行に移すということでございますから、これは文書によってやることもございましょうが、または口頭その他現実に行政指導をしていくということも私はやっていかなければならぬと考えております。
  251. 大倉精一

    大倉精一君 その点を実は私は聞きたかったのでありますけれども、文書によってもやるが口頭によってもやるとおっしゃるのですけれども、一体それはどちらになるのですか。これはやはり衆議院、参議院の小委員会の決定を、全項目にわたって直ちに文書にということはこれは私はできぬと思うのです。この項目に沿って検討をされ、対策を立てられた上において、逐次文書によって通牒として末端に徹底させる、こうしなければならぬと思うのですが、その点はどうです。
  252. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) たとえば地方陸運局長などの全体の会議等も近くやるでございましょう、予算が通ったのでございますから。そういう場合にも相談において話し合いをすることもあります。しかし、個々の場合におきまして、通牒なり通達なりをやるということもあり得ると思うのでございまして、要するに、適当なる手段によって衆参両院における御決議の趣旨の具体化ということに努力することは申すまでもないことでございます。
  253. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、その点について、具体的に一つお伺いしておきたいと思うのですけれども、いわゆるこの一番大きな問題点になるのは、事故防止について非常に重要なことは給与の問題である。これは、内閣の要綱においても、両院の結論においても、一致をしておると私は思うのですね。この大事な給与に対しまして、十五日付の運輸省自動車局長の通牒によりますと、基本給は一万円、保障給は一万八千円という、こういう数字を出して通牒をしておられる。ところが、参議院のわれわれの結論は、いわゆる固定給を主体とする給与体系を確立をすべきであるという、こういう結論を出しております。この点の指導を具体的にどういう工合におやりになるのか、そして、また、いわゆる地方においては地方の実情を云々ということがあるのですけれども、地方の特殊性というものを一体どうやって検討されるのか、この点についても、大臣一つ御見解を承わっておきたいと思う。
  254. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、固定給というものの割合を引き上げていく、これが一番の大きな問題であると思う。つまり、歩合給というものを引き下げる、なくするということは、これはなかなか不可能でございますけれども、従来よりもこれを、歩合給をなくしていく、そして、いわゆる一種の保障給によって運転者の生活の安定をはかっていくというふうに考えておる。しかし、これらの問題につきましては、一定の限度は示しましたけれども、それ以上の事柄につきましては、これは私は、労働組合と会社経営者等の団体交渉その他においてやっていただかなければならぬのでありまして、何から何まで、この給与問題に運輸省が関与することは、ちと私は行き過ぎだと思います。その行き過ぎは私は避けなきゃならぬと思う。しかし、今日、許可をしておるのでございますから、業界の健全なる発展を希望するという意味において、また、運転者の生活の安定をはかる、そして事故防止に寄与するという意味から、一応こういう基準を示したのでございまして、今後は、私は、労使の間においてお話を願っていってもらいたいということを希望いたしております。
  255. 大倉精一

    大倉精一君 今の、民間の産業の給与に関して政府として関与すべきではないという、その御発言は、私は正しいと思う。その通りだと思うのです。がしかしながら、免許事業に対してはどうかというと、これは議論の余地があるから、きょうはここでその議論はいたしません、いたしませんが、私の言いたいことは、今運輸大臣が、大幅に固定給を引き上げることは大事だと、こうおっしゃるけれども、私は、大幅に引き上げるということは、そういう表現自体が気に入らなかった。二千円の固定給を大幅に一〇〇%引き上げても四千円だ。そこで、いわゆる六〇%という論議も出ましたけれども、数字を出すのは好ましくない、こういうことでもって、いわゆる固定給を主体とする給与体系を確立する、こういう表現に変ったわけであります。従って、この趣旨はよくおわかりだろうと思うのですが、これは固定給一万円と保障給一万八千円というこの考え方と相当開きがあると私は思うのです。でありますから、これは段階を追ってという御答弁になるかもしれませんけれども、特に給与問題が交通事故に大きなウェートを占めておるというところが一致しておりますから、でありますから、特にこの点については、大臣としては、指導上気をつけて留意をしてもらわなければならぬと思うのです。もう一回、この点について御答弁を願います。
  256. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 仰せの通りでございます。私は、大体この給与の平均を三万円と抑えますと、やはり六割程度の固定給ということは、これは一つの目安として私は努力をいたしていきたいと思います。
  257. 大倉精一

    大倉精一君 最後に一つお伺いしておきたいことは、いわゆる対策は、いろいろ文章には書かれておりますけれども、これを実施することについては、あるいは予算措置を伴うのもあると私は思います。こういう問題について、大臣はどういう工合にお考えになっているか。たとえば、いわゆる「事業者に対する厳格な監査を励行し、本要綱の確実な実施に資すること。」となっておりますけれども、やはり現実には、末端の予算なり、人員、定員というものが必要だと思うのですが、この点に対する大臣としての考え措置についてお伺いした、  もう一つは、労働組合を作ることについて、経営者が理解をしなければならぬという要綱があるのでございますけれども、最近の実例を聞いてみますと、労働組合組織を作った業者には、銀行は融資をしないというところもあるやに聞いておる。これは真実かどうかはわかりませんけれども、しかしながら、こういうようなものを実施することについては、いわゆる中小企業者といいますか、零細企業者に対する融資のあっせんといいますか、そういう面についての問題も考慮しなければならぬと思うのですが、この二点について、一つ大臣にお伺いをして質問を終りたいと思います。
  258. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 私は、率直に申し上げますが、融資のことまで、今、自動車、ハイヤー、タクシー会社に世話するということは考えておりません。彼らは彼らの自己信用と、それから自己の経営によって融資をしてもらう、と申しますことは、私は思いますのに、この自動車、ハイヤー、タクシー会社は毎日現金が入りまして、いい成績ならば、現にあの京阪神のハイヤー・タクシー会社は日に一千万円入るそうでございます。現金が入るのでございますから、銀行はある意味において、頭を下げて預金をしてくれと頼みに来る所もあると思います。しかし、全部とは申しませんよ。その点、現金が入るということ、タクシーに乗るのに台風手形で乗る人はありゃあせん、全部現金で乗るのでございますから、相当長所があると思います。しかしながら、会社の経営いかんによりましては、これはなかなか困難なところもあると思いますが、従って、陸運局長をして、今、現在の予算の範囲内において監査をするように東京はやっております。この間も、私が大阪、名古屋に行きましたときも、検査をやれというふうに私は要求をいたしておきました。これは別に正式の文書じゃございませんが、衆参両院のいろいろの御決議につきましても、私は陸運局長に話しましてやるように申しておきました。それから陸運事務所等の予算につきましては、今回は、三十三年度予算においてあの程度でござりまするが、将来また次の年度の予算につきましては、私はもっと努力をしていかなければならぬと思っておる次第でございまして、現在の車検場あるいは陸運事務所等の予算につきましては、決して満足はいたしておりません。これは一歩、もっと前進させていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  259. 大倉精一

    大倉精一君 本日は、この程度で質問を打ち切って、当局の御努力に期待するとともに、今後この問題については、逐次実施の報告を求めたいと思います。きょうはこの程度で質問を終りたいと思います。
  260. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 本日は、この程度で散会いたします。    午後五時四十八分散会