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1958-03-27 第28回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月二十七日(木曜日)    午前十時五十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            成田 一郎君            三木與吉郎君    委員            石原幹市郎君            井村 徳二君            植竹 春彦君            平島 敏夫君            柴谷  要君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 中村三之丞君   政府委員    運輸省航空局長 林   坦君    高等海難審判庁    長官      長屋 千棟君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○海難審判法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○航空法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  海難審判法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 高良とみ

    高良とみ君 本年度海難審判庁予算幾ら増額になっているのですか。ここに統計が出ておりますけれども、これだけではあまり少いように思うのですが、これだけしか増加できなかったのですか、ちょっと御説明願いたい。
  4. 長屋千棟

    政府委員長屋千棟君) お答えいたします。昭和三十三年度海難審判庁予定経費要求額は一億二千九百四十五万八千円でございまして、これを前年度予算額の一億二千六百四十三万四千円に比較いたしますと、三百二万四千円の増となっているわけでございます。
  5. 高良とみ

    高良とみ君 今度の改正によりまして、だいぶ審判官人員がふえる形になるのでありますが、それに見合う費用というのは、どのくらい見積っておられますか。
  6. 長屋千棟

    政府委員長屋千棟君) この人員は増ではございませんので、事務官の中から学識経験を有する者を、ちょうど裁判所の副検事というものに相当する副理事官というものに組みかえまして、能率を上げていこうというのでございまして、経費はまあ要らないということです。要求しておりません。
  7. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、額が変っただけで、待遇に少しの変化もなく、手当等も増なしでいこうというわけでありますと、わずか本年度の増は二百二万くらいしかふえてないのですが、それでは、議会からたび要望のあった海難審判を促進するという要望にこたえられるというお見通しでございますか。
  8. 長屋千棟

    政府委員長屋千棟君) 総体的に申しまして、審判官理事官一般職員事務官に至るまでもっと人がほしいのでございます。しかしながら、国家の財政の要望にこたえまして、何とか今おります人間能率を上げていこうという考えで、苦しいのでございますけれども、今年申し立てのあった一年間仕事はその一年間の間に何とか処理していこう、従来はそれがなかなかできませんで、次年度、次年度へ繰り越しまして、それがだいぶ大きな額になっている、これを処理する、つまり従来からたまっております事件処理するために、人員を要求いたしますと、それが片づいたときにその人間を首にしなければならない、そういう事態が生じてきますので、何とかたまった事件を、能率を上げて、一度にはできませんけれども、たまらぬようにし、またたまっているものを多少片づけていこうという考えで、能率を上げてやっていこうという考えでございます。
  9. 高良とみ

    高良とみ君 能率を大いに上げていこうというお志は大へんけっこうでありますし、また、国家予算が非常に緊縮しているときですから、遠慮なさるも、しかし、ここ数年来の残りようがあまりひどいものですから、さっき委員長からも内々お話のあった通り、十分の一くらいしか審判が済んでないで九割は残っていて、それは年次がたつに連れてみんなのを忘れるということもありますし、証拠がだんだん薄らいでいくことでありますから、こういう状態ではなかなか今度の副理事官がふえて、三支部審判所がふえたということだけでは、その要望にこたえられるかどうかということは、どうも私どもよく理解できないのであります。こういう予算もお組みになったことでありますが、そうすると、今度の審判庁予算を見ますと、七割五分が人件費であって、残り業務費となっている。今度の三支所において審判を行う経費としてあげておられるようでありますが、これもやはり人件費が多少入っているのか、あるいは三支部において海難審判を行うに必要な経費としてあげておられるのは、これは全部事務費になるわけですか。増額の分をちょっと御説明願いたい。
  10. 長屋千棟

    政府委員長屋千棟君) それはみな人件費でございます。この際ちょっと御了解を得ておきたいことがございます。先ほど委員長からお話がございました事件のうち、一割しか処理していないとおっしゃったのは何かの誤まりだと思います。大体八分から一割近くまでが審判に、つまり起訴されるわけです。刑事事件といいますと、大体二割が起訴されるということでありまして、処理は大体一体一年間理事官が、つまり検事に相当する理事官が認知いたしました事件を大体その一年に処理しておりまして、一割しか処理していないということはちょっと、審判申し立てと申しますが、つまり起訴されたものは大体一割だ、処理するのに大体九割以上を処理しておる、こういうことになるのでございまして、一割しかやらぬで九割は残しておるということじゃないのでございます。
  11. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、ここに予算内容に簡単に説明が出ておりまするものの高等海難審判庁及び四地方海難審判庁並びに三支所において、海難審判を行うに必要な経費としてあげておるのが一億一千九百九十三万三千円、こういう額が出ているのですが、これは大体が人件費とおっしゃったのですが、これは全体の人件費の中をさらに説明しただけのことですか。
  12. 長屋千棟

    政府委員長屋千棟君) これ全部が人件費というのじゃございませんで、うち七割くらいが人件費で、あとは庁費、旅費とか物品の購入費とか、あらゆるものに使われているわけでございます。
  13. 高良とみ

    高良とみ君 ここにうたってありますように、その審判を行うほかに海難原因を探究しておられるのでしょうか、全体として予算面から見るとわずかな増であって、残りの一割の仕事を推進なさるのにもよほどスピードをお出しにならなければできにくいだろうと思うのであります。もっとほしい人件費でもありましょうけれども、一応了承いたしました。困難も多いだろうと思いますけれども、これが予算面から見た海難審判庁内容だということを了承いたしましたので、質問を打ち切ります。
  14. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 最後に、私からも一言お聞きしておきますが、海難審判庁審判官及び理事官は、ちょうど裁判所における裁判官検事に相当する職であり、職務内容海難に限りますけれども、やはり裁判官検事という仕事を担任されておる。ところが、その身分は行政官と司法官という違いがありますために、待遇においてはおそろしいそこに差異があると承知いたしておりますが、ちょうど該当する等級といいますか、まあ役所の管理機構という対比でなくて、普通世間が受ける対比においてどの程度の待遇差異があるのか、この機会に明らかにされたいと思います。
  15. 長屋千棟

    政府委員長屋千棟君) ただいまの御質問は、衆議院の方でもいろいろございましてお答えいたしたのでございますが、一番手っとり早く、わかりやすいように御説明申し上げますと、審判官一人当り平均給与額は、年間五十六万二千円でございまして、これを裁判官一人当り給与額六十五万五千円に比べますと、約八五%に相当する給与を受けておるのでございます。それからまた理事官一人当り給与額年間四十三万五千円でございまして、これを検察官一人当り給与額五十四万四千円に比べますと、約九一%に相当する給料を受けておるのでございます。
  16. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  18. 松浦清一

    松浦清一君 私は、本件に対して賛成討論を行います。  従来海難事件に関する審判一般刑事裁判と並行し、ときには刑事裁判が先行する事件が少くなかったのであります。この種の事件は、そのときの気象状況、船型、船舶の耐風性等、その原因を探究することが先決であることは申し上げるまでもございません。従来もしばしば問題になりましたように、刑事裁判よりも海難審判を優先し、かつ、その審判を迅速に行う必要があります。しかるに、多数の人命に損傷を与える忍びがたいこの犠牲に対しまして、早期結審が強く要請されるにかかわらず、海難審判処理に当って、海難審判関係職員の定数並びにその待遇は必ずしもその要請に沿い得るものとは言えません。従って、政府はこの際、海難事故の防止に必要なあらゆる施策を講ずるとともに、海難審判事務早期処理ができるように予算その他の特段の考慮を払うべきことを要請いたしまして、賛成討論にかえます。
  19. 高良とみ

    高良とみ君 私も、この海難審判法改正案に対しまして賛成の意を表します。この海難審判業務は、国民が近来の海難の増加に伴って深い関心を持っておるところであります。しかし、海難審判最後結審が出ますのが今までおそかったという感じをみんな持っておるのでありまして、たとえば洞爺丸事件のごときものも、ほとんど国民はもう数年前のこととして、憂いを持ちながら、先の次の次の海難事件に心を奪われておりますのに、審判の方がおくれているということは非常に遺憾であります。どうか今回の改正によりまして、もっと国民要望にこたえるように、迅速にして明快な審判が行われますことを希望いたします。それとともに、予算の面でも十分な処置がなされますように、しこうして、この司法裁判との具合いも十分につけられて、適当な処置をなさることを要望いたしまして、賛成意見といたします。
  20. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  海難審判法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手
  22. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他の手続につきましてはて、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  報告書には多数意見義署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     成田 一郎  植竹 春彦     三木與吉郎  井村 徳二     平島 敏夫  柴谷  要     岩間 正男  市川 房枝     松浦 清一  高良 とみ     石原幹市郎     —————————————
  24. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、航空法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  25. 岩間正男

    岩間正男君 この前、私は空の管理権の問題、領空権の問題について、事務当局からいろいろ説明を求めたのでありますが、この問題につきまして、民間の平和的な航空を真に発達し、それを保持し、それから推進させるという点から考えても、現在の日本の空は、日米行政協定によって制約されている、こういう点で非常に基本的な問題があるという点について、これは運輸大臣の御出席を求めて質問をいたしたい、こう考えておったのですが、実は、ここで政府委員出席を特に要望したいのですが、それは、日米合同委員会関係者である外務省の千葉欧米局長出席を求めたい。この前の御説明だけでは、これは大臣ではちょっとこの点あるいは不明な点があるのじゃないか、やはり担当者から直接この問題について聞くことが非常に重要に思いますので、ぜひその処置をとっていただきたいと思います。
  26. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止
  27. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  ただいまの岩間委員の御要望につきましては、その処置委員長に御一任願いたいと存じます。  それでは、他に御質疑がございましたら御発言を願います。(「なし」と呼ぶ者あり)別に御質疑もございませんようですから、これを次回に譲り、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時二十一分散会      ——————————