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1958-02-06 第28回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月六日(木曜日)    午後一時四十一分開会     ―――――――――――――   委員の異動 二月五日委員西岡ハル辞任につき、 その補欠として松岡平市君を議長にお いて指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            榊原  亨君            平島 敏夫君            廣瀬 久忠君            松岡 平市君            柴谷  要君            高良 とみ君            市川 房枝君   国務大臣      運輸大臣  中村三之丞君   政府委員    運輸政務次官  木村 俊夫君    捕獲審検審査    委員会事務局長 辻  章男君    海上保安庁長官 島居辰次郎君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○捕獲審検所検定の再審査に関する  法律の一部を改正する法律案(内閣  提出) ○運輸事情等に関する調査の件  (南極観測船宗谷運航等に関する  件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)     ―――――――――――――
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について報告いたします。二月五日に西岡ハル君が辞任松岡平市君が補欠選任せられました。
  3. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を求めます。
  4. 木村俊夫

    政府委員木村俊夫君) 補獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  捕獲審検所検定の再審査に関する法律は、日本国が、日本国との平和条約第十七条に規定する義務を履行するため、連合国要請がありました場合に、旧捕獲審検所検定いたしました事件で、連合国人所有権に関係のあるものを、国際法に従って再審査することを目的とする法律であります。  捕獲審検の再審査要請について、平和条約におきましては期限が定められておりませんが、事柄の性質上、平和条約の効力が発生いたしました後、比較的短期間に連合国要請が出尽すものと予想せられ、国内法であるこの法律存続期間は当初三年と定められておりましたところ、その後三回の改正を経て現在六年と定められ、すなわち昭和三十三年四月二十七日限り失効することとなっております。しかしながら、再審査要請に関する連合国状況にかんがみまして、なお、その要請に対する受け入れ態勢を整備しておく必要があると考えられます。これがため、この法律の一部を改正してその存続期間をなお一年延長いたし、その間に、連合国の模様を見たいと存じます。これが、この法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 本件につきましては、その質疑を次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 運輸事情等に関する調査のうち、南極観測船宗谷運航等に関する件を議題といたします。  まず、政府よりその後の運航経過について報告を願います。
  8. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 宗谷行動につきましては、国民の皆様の関心の的でもありますし、また非常に御心配をかけていると思いますので、行動経過の概略及び今後の見通しにつきまして御説明させていただきたいと存じます。  宗谷は前回の予備観測経験にかんがみまして、一昨年より十八日早く、すなわち十月の二十一日に東京を出港いたしましたのであります。これは昨年二月十五日に離岸いたしまして、帰る途中氷に閉ざされた苦い経験もございますので、どうしても二月の上旬に現地を離脱する方がよろしいということにいたしましたので、従って、東京の出発も早くしたようなわけであります。それからその後は順調に予定通り十二月の二十一日、極地エンタービーランド・クロス岬に到着いたしました。これから大陸に沿いまして西南方にコースをとりまして、ヘリコプターをもちまして進入水路調査を行ないながらリュッツォフ・ホルム湾に接近いたしました。この間に、ビーバーという飛行機を組み立てまして水路偵察に備えておったのであります。お手元に配付いたしております宗谷航跡図についてごらんいただきたいと思うのであります。  一番右の上の十二月二十三日ということが書いてございますが、その十二月の二十三日の未明より氷盤が多少大きくなって航行が多少困難になってきましたが、ヘリコプターによる進入路偵察水路調査というものを続行しながら、氷盤の弱い所を選んで少しずつ前進していったのであります。そうして二十六日、宗谷の前の方にビーバーの発着可能と思われるような海水面を発見いたしましたので、これに接近して飛行機を飛ばそうと思って氷原に進入したのでありますが、氷状が急激に変化いたしまして、一進一退を余儀なくされました。三十一日には強力なブリザードに襲われまして、その後はほとんど行動の自由を失いまして、宗谷の全能力をあげ、また乗組員全員の最善の努力にもかかわりませず、大氷原と一緒に両の方へ西の方へと圧流され、一月三十一日まで、その距離はざっと二百四十海里に及んでおりまして、その間、自力航行ができた距離はわずか四十海里ぐらいにすぎないのであります。なお、宗谷と中央との間は、極地に着きましてから密接な連絡をとっておりまして、六時間置きに連絡をとっておりまして、その航海状況報告を聞いておるのであります。それから一月の三十一日に至りまして、もう少しだ、最後の努力だということで、氷状もやや好転いたしましたので、行動を開始いたしました。外洋に向けて氷原脱出を強行いたしたのでありますが、その行動中、あいにく二月一日の午前五時三十一分に、宗谷は左右両舷にスクリューを持っておりますが、その左舷の方のプロペラーの一翼――翼が四つございます、その一翼を約四分の二ほど折損をいたしたのであります。これは乗組員にとっては相当のショックではございますが、しかし、砕氷能力、つまり氷を推していく力、推力につきましては二割程度減じましたし、また、宗谷の船の進む能力につきましては少し、ほんの少し減じたくらいで、やはり依然として十ノット速力は保持することができるのであります。その後も両舷のスクリューを使いまして運航をやっておるのであります。ですから航海にはもちろん支障は来たさないと思っておるのであります。その後、爆破作業もあわせて行いまして、懸命に少しずつ氷原脱出を試みておるのでありますが、氷原は依然として前進をはばんでおりまして、それでも毎日少しずつ前進を続けまして、今日現在、外洋までの距離は大体七海里であります。しかも、そのうち外洋に近い二海里というものは、氷量が五または六の程度でございまして、もちろんここは航行可能でございます。でありますので、ほんとうのむずかしいのはあとほんのわずか五海里、これは氷量が九または十でございまして、これを爆破作業その他で非常に苦闘しながら進んでいっておるのであります。五海里と申しますと、もっと具体的に言いますと、竹島桟橋から観音崎までが約二十五海里でございます。その五分の一程度で、羽田の沖程度でございます、ということになれば、具体的によくおわかりかと思うのでありますが、なお、目下援助を頼んでおりました米国の砕氷船バートン・アイランド号現地に向いつつありますが、それは宗谷の現在地から東の方約七百三十海里の所に来ております。  そこで、少し横道になりますが、このバートン・アイランドをどういうふうでこれを交渉したか、選んだか、こういうことについて御説明いたしたいと思います。本年の南極氷状というものは非常に悪うございまして日本のみならず他の外国相当の数が氷に閉じ込められておるのであります。一例をあげますと、ベルギー豪州アメリカも一隻閉じ込められておりましたし、この間のモスコーの放送によりますと、オビ号相当氷原の中で苦労をしておるということが出ておりましたが、そういうようなわけで非常に悪いのでございます。そこで、宗谷脱出を早くするためには、つまり本観測を、何とかして最小限度でも本観測を達成するためには、早く宗谷を、自力でも出るでしょうけれども、早く外海に出さなければならない、こういうことからと、それから出るのがたとえば多少おそいと、接岸、輸送その他で相当の口数が要しますので、このことも考えなければならない、こういうことから、現地と一月八日ころから――一月八日と申しますのは、着岸に予定しておった時期でございますが、その一月八日ころから連絡をとっておりまして、少くとも、非常に困ってからおいそらと外国援助を頼んでも、そう急には船は来られないのでありますが、少くとも二週間程度前からいろいろ手配しなければだめである、こういうので、松本船長とも連絡をとって、向う要請に基きましてこちらから頼んだのであります。その前に、私の方といたしましては、外務省を通じてアメリカ、ソ連、オーストラリア、ベルギー、ノルウェー、英国というような各国に、南極における砕氷船状況調査を依頼しておったのであります。それぞれ返事も来ておりましたが、宗谷よりも能力の少い砕氷船もいろいろあるのであります。またそれが有力でありましても、宗谷よりも非常に離れておったのでは、おいそらの間には合わない、こういうのでいろいろと検討いたしました結果、ちょうど近くにアメリカバートン・アイランドという船――軍艦でありますが、その能力を申し上げますと、約六千五百十六排水トン、宗谷より約二千トンばかり多いのであります。それから馬力は一万二千馬力で、宗谷の三倍弱でありますが、砕氷能力は三メートル六でありまして、宗谷の一メートル半よりは三倍までいきませんが、その程度能力を持っております。また、ヘリコプター大型と小型を各一機ずつ持っておるようであります。  そこで、この地図につきまして申し上げた方がいいかと思うのでありますが、日本昭和基地はここでございますが、プリンス・ハラルド海岸。一番近い所と申しますと、西の方、ベルギーが本年度初めてブライド湾という所に基地を作りました。それは約三百海里西の方に当っております。ここにベルギー砕氷船が二隻おりますが、これは宗谷よりも五分の一程度違うので、非常にその能力もありませんし、まだこの二隻とも氷に閉じ込められております。ここにアメリカ砕氷船の割合強力なのがおりますが、これも氷に閉じ込められております。それから日本基地から東の方約六百マイルの所にモーソン基地豪州基地がありますが、ここにおける砕氷船も、これもまた二千百トンぐらいでありましてもちろん宗谷よりも少い。能力も少し弱いのでありますが、それもまた氷に閉ざされているという状況であります。それから南極で一番能力がいいと言われておりますが、アメリカグレーシャー、これは、本年度氷の悪い状況ですが、その翼を破損したとかいうことで、ニュージーランドドックに入っておる、もう出たと思いますが、その当時ドックに入っておる、こういう状況であります。オビはこの辺におりまして、ジョージ五世島の海岸の沖の方におります。それからニュージーランドの方へ石炭を輸送すると、こういうので、これも非常に遠方で問題にならないというので、一番近いのが、ちょうどアメリカの今のバートン・アイランド、それからアトカ、この二隻が貨物船を護送してこの辺を西の方へやって来たというので、非常に近い千三百海里か四百海里ぐらいの所でありますので、これがまあ能力から見ましても、それから時日の点から見ましても、一番近いというようなことで、これを依頼したわけでございます。  そういうようなことでありますが、今の見通しといたしますと、宗谷はあるいは、このバートン・アイランドが八日の朝ぐらいに宗谷の沖に着く予定でありますが、それが来る前に、あるいは宗谷自力脱出できるかとも思っております。ほんのあと五海里でございますから、しかし、また翼を折らないように、非常に今度は慎重の上にも慎重にやっておると思っておりますので、多少の日もかかるかと思いますが、いずれにしても宗谷自力脱出するか、あるいはバートン・アイランドが来てわずかの所を砕いて脱出するか、要するに脱出いたしましてもとの所、去年の十二月二十六日のちょうどリュッツォフ・ホルム湾の東の方、東経四十度の辺、その辺まで帰りますにはざっと二百五十海里あります。宗谷の一時間のスピードは十ノットでございますので、約一日ぐらいの日程があればもとの所まで帰るわけでございます。そこから昭和基地まで、距離にいたしますと約百二十海里でございます。しかし、ここは外洋ではありませんので、そうやすやすとはいかないかと思っております。  そこで、外洋に出ましたならば、何はさておきましても飛行機を飛ばせまして、そうして今の、去年入りかけて、またことしも入りかけておったその進入水路偵察しなければならぬと思います。そうしてもし進入水路があれば非常に幸いなことでございますが、と申しますのは、ここの海流というのは東から西へ流れております。そこで、リユッツォフ・ホルム湾に内流しまして、中の方へ入って、それからクック半島の西を回って流れるわけでございますが、そこで、西の方のクック半島の方は、永原というものがどうしても押しつけられるようなわけであります。ですから東の方のプリンスオラフコストに近い方が割れ目が自然できるようなわけであります。それでございますので、そちらの方の水路を入れるかどうかということを偵察するのがまず大事でございます。そこで、いろいろ場合があるのでありますが、もし宗谷及び今のバートン・アイランド能力と協力して、ある程度昭和基地まで行ければ、これが一番いいのでありますが、ある程度の所まで行けなかったならば――その距離によると思うのでありますが、その接岸した所から昭和基地の所の距離によって、越冬隊の規模も相当変ってくるかと思うのであります。それからもしもだんだん悪くて、バートン・アイランド砕氷能力でも入っていけない、相当の遠くまでしか行けないと、こういうことになりますと、越冬するかしないかということは問題になるかと思います。しかし、そうなりますと、まず去年から越冬されている十一名の人々収容ということが非常に大きな問題になると思います。これにつきましては、方法はいろいろありますが、第一の方法のように、昭和基地の近い所へ着ければもちろん問題ありませんが、そうでない場合においてはビーバー飛行機を飛ばせまして、現地から、オングル島の付近には海水面が先般できたということでございますので、フロートをつけて水面から離水して、そうして向うオングル島の付近海水面に着けます。そこはもちろん昭和基地に近いのでありますので、そこで十一人を何回かに分けて、もちろん四人とか五人でありますが、輸送も可能であるのであります。しかし、南極はいわゆる非常にまあ変りやすいのでございますので、万一、この間は海水面があったけれども宗谷外洋を出たときには、また海水面がない場合もあるいはあるかとも思います。そういう場合においては、昭和基地付近は非常に平らなのでありますので、そりをつけておれば、その飛行機は着陸できるわけでございます。しかしながら、離陸する方の側の今度は場所が非常に問題になるわけでございます。定着氷という所は大体平坦なものでありますが、そうでなくてハンモックしているような、つまり氷盤氷盤が重なっているような所では、五百メーターも滑走路を作るということはこれは並み大ていなことではございませんので、そりでもって昭和基地におりるということは相当困難になろうかと思うのであります。その場合は、幸いにバートン・アイランド大型ヘリコプター、シコルスキーを持っておりますので、それによっていけば、どんな所からでも、またどんな所へでもおりられますので、これによって十一人の人々収容ということがこれは確実にできると思うのであります。その距離もまた大したことはないと思っております。  そういうことをやるのでありますが、いずれにいたしましても、そういういろいろな段階、いろいろな見通しというものは、宗谷が一たん外洋に出ませんことには、確実な見通しというものは立たないわけでございますので、一時間も、一分も早く宗谷外洋に出てくれるということを望んでおりますし、またもちろん現地もそれで今猛烈に五海里の氷と戦っておることと思っております。  以上、大体従来の行動経過と、そうして今現在おる宗谷の位置の状況及び今後の見通しということを御説明いたした次第であります。
  9. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上について、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 松岡平市

    松岡平市君 私はしろうとで、自分のこの問題について受けた感じだけを率直に申し上げて、海上保安庁長官なり、あるいは運輸大臣の御見解を教えていただきたい。  まず第一は、宗谷の問題について新聞報道が非常にセンセーショナルである、一喜一憂、一体どこがほんとうであるか、ちっともわからないという感じを私たちも受けております。今にも成功するかと思うとまるでもう絶望であるかのようなことをいう。絶望だから引き上げて帰ってくるような方に一生懸命やっているかと思うと、そうでない。そうするかと思うと、犬はどうするかというようなことまで大きな記事で書いている。国民は全くこれはどうなるかわからぬという心配を持っているわけです。これはおそらく、まあ東京でこの観測についての本部もあるようでありますし、いろいろ苦心していらっしゃるということは、私たちもよくわかります。特にまた現地におけるこの船に乗っている人、あるいは基地で越冬して迎えを待っている人、こういう人たちがどのくらい苦労しているかとわれわれは思うのですが、全国民はこの問題について非常な注意を払っているのであります。一体どこらあたりほんとうなのかわからない。これは何も運輸大臣なり、あるいは海上保安庁長官責任をお持ちになることではないと思う。これはやはり海上保安庁あるいは運輸省というのは、おそらくは海上でありますから、輸送ということについてこの計画責任をお持ちになり、この計画を成功裏に遂行するとか、あるいはまた万やむを得ないからやめるとかいうような決定は、必ずしも運輸大臣なり、あるいは海上保安庁長官がおやりになるわけではなかろうと思う。ここで、そういうことについて、決定的な御決定を聞くということは困難だとは思いますけれども、しかし、少くとも船というものを、これは運輸省責任をもって宗谷を回送し、そしていわゆるどうするか、船を引き上げるとか、さらに進入させるとかということについては、その責任については運輸省海上保安庁でお持ちになっていると私は思うわけです。そうであれば、もう少し何とか国民に大体の安堵を与えるというような権威のある発表は私はできようと思う。なるほど、南極の天候というものは非常に変りやすいものに違いない。しかし、大体われわれは初め承知しておったのは、今ごろは離岸する、もうちゃんと新しい本観測越冬隊相当な日数かけて上陸させて、今ごろは去年の経験からかんがみて離岸してくると、こういう計画であったように私どもは了承している。それが今御説明を聞いても、まあ外洋へ出てみなければどうなるかちっともわからない、五里霧中だ、一体観測を続ける見込みがあるのかないのか、まあそういうことについて、何らの見込み現地でも東京でも立たぬというのか、あるいはいつごろまでになればこういうことで、そして万一、本観測が継続できないにしても、これはもう確実に基地にいる人々を何ら不安なしに船へ収容できると、船はスクリューは折ったけれども、しかし、これはこういう能力であって外洋に出れば無事にちゃんと日本に帰ってこれるのだ、こういうようなことを、もう少し権威のある方法で、新聞で、それぞれの新聞のあのニュース報道の自由にまかせるだけでなしに、国民が安堵できるような方法発表されることができないものかどうか、この点をまずお聞きしたいと思う。非常に国民心配しておりますから、海上保安庁長官なり運輸大臣が、その点についての運輸省の立場において、もう少し国民を安堵させるような報道をする方法がないものかどうか、これを一つお教え願いたい。
  11. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) 宗谷行動、その目的に対する使命というものは、これは運輸省が今やらなければならぬ、またやっているわけであります。そこで、いろいろ報道もございますけれども海上保安庁長官といたしましては、松本船長現地人々連絡をとって、そしてその報告その他について、われわれは信頼をしておるのでございます。また出先の人々に対して、東京本部もまたわれわれが干渉したり拘束したりするようなことはやっておりません。船長信頼をいたしておるのでございます。しかし、聞きますところによりますと、本年は非常に氷状が悪い、各国とも相当苦しい状態といいますか、それを切り抜けておる、非常に努力しておると、こういうのでございますから、その真相につきましては、海上保安庁長官から発表をいたしておるのでございます。私は、この現地との連絡による海上保安庁報告国民の方々は御信頼を願うということが最も大切ではないかと思います。新聞報道はいろいろございます。これは記者諸君の取材によることと、またその判断によることだろうと思いまするけれども、われわれの方は、現地報告、それによって国民に伝えておるわけでございますから、どうぞ保安庁の見るところを信頼を願いたいと思うのであります。もとより報道の自由につきましては、私どもはこれに対して何も申し上げることはございません。
  12. 松岡平市

    松岡平市君 そうすると、私たちは、いわばその新聞をなるべく、センセーショナルに書いてある大きな活字から見るわけですが、海上保安庁が、それはもうこうなれば、刻々と、少くとも毎日こういう状況だということを何か権威のある方法発表して下さい。それが一点。  それと、私はこれはもう今この段階で論議してみても始まらぬと思うけれども、大体現地とは絶えず打ち合せをしておられる。で、まあそれはせっかくやりかけたことだから、現地に行っておられる人は、多少の危険を冒しても、少々の無理があっても、何とか現地にさらに本観測の者を残して、そして初めの目的を遂行したいと、これはまあ非常に私は熱望しておられると思う。その熱望のあまり、やはりあとで考えてみれば少し行き過ぎがあった、危険があったというふうな事態も私は起りかねないと思う。今、運輸大臣のお話では、現地を何もわれわれは拘束はしないのだ、現地の言う通りだと、こういうことですけれども、私は非常に心配なところがある。そうしたせっかく相当な国費を使ってここまで来て、目の前になにしておって、ちょっとの危険を冒せばやれるかもしれぬという、その現地の何とか初志を貫徹したいという希望に引きずられていく危険というものは、むしろ私は、内地におって運輸大臣なりその他で、多少私は、ある程度その目的を放棄してもよろしい、まず第一に大事なことは、今年は今話によれば非常に南極気候状況が悪いのだ、各国ともに非常に難渋しておる、こういうお話でありますが、それは各国もいろいろあって、それはアメリカやソ連のように非常な大規模な用意をしておるのはその危険に戦えるかもしれないけれども日本のように宗谷というような古船を直して一艘だけやっておるところでは、それは困難であれば、残念ながら私は目的を放棄することもやむを得ないと思う。むしろ私は、現地にいる船長なり、あるいは越冬隊の隊長なりという人たちの希望を、私は、ぜひやりたいという希望を少しぐらいはもうあきらめたらどうだというようなことで、万一の危険のないように私はやっていただかなければ、万一そういうことのために、これはいよいよだめになってきた、船には来たけれども、もう脱出はできないという事態でも起きたら、これは大へんなことだと思うのですが、現地にまかしておるような運輸大臣のお話ですが、その点についての御見解は私と少し違うようでありますが、いかがでございましょう。
  13. 中村三之丞

    国務大臣中村三之丞君) いずれ保安庁長官から見通しを申し上げると思いますが、まだそこの最後のところまでは、私は、これは文部省との関係もありますし、また本部との関係もありますが、まだ最後のところまでいっておらぬと思います。
  14. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 松岡先生のおっしゃることは、一々私ごもっともだと思っておるのでございます。報道に関しましても、実は私のところへ電話がかかってきて、もう最悪の状態ですかとか、もう見通しは非常に明るいですかというふうな表現で私に聞いてこられるのでありますが、私としては、そういう文学的表現は責任ある者としては言えない。ただ、現地のありのままの具体的な状況をお話しするだけでありますということで、むしろ解説は大いにやりますが、なるべくそういう激しい文句はお使い下さらないようにと言って、電話なり、あるいはおいでになるたびごとに、私としてはできるだけそういうことを申し上げておる次第であります。  それから海上保安庁といたしましては、現地松本船長から参ります報告ほんとうにそのまま載せております。それで松本船長といたしましても、そういう何といいますか、判断というものはあまり載せませんで、天候の状況とかあるいは水温とか、気温とか、気象とか、あるいは氷山がどうであるとかいうような具体的なこと、また現在どういうことをやっておる、爆破作業をしておるとか、そういうことを言ってきておりますので、そのまま新聞には載せております。また、六時間ごとに、行動経過はとっておりますので、六時間ごとに発表いたしております。それから幸いにことしは現地との通信状況は、デリンジャー現象というものがあまりございません。ただし、きのうはちょっとございましたが、幸いにいい通信状況でございますので、この通信の能力ということにつきましても、私の方の横浜の通信所が非常に苦心をしまして、ずっと以前には、たとえば一例をあげますと、マダガスカル島の東方とかいうのは、つまり日本からいえばエア・ポケットのようなもので、全然いかなる通信もできなかったのでありますが、しかし、そこも聞えるようにいたしましたし、南極との間も非常に工夫してよく聞えるように、また、こちらの話も聞えるように通信の技術者が献心的な努力を払ってやっておるわけでありまして六時間ごとの定期的な報告以外に、何か、たとえば前進したとか、あるいはスクリューが折れたとか、そういうようなことがあれば、即刻報告あるいは通信するような状態になっておりますが、なお、私の方といたしましても、おっしゃるお言葉は一々ごもっともと思いますので、どうか宗谷の、あるいは現地人々があまりにあせらないように、そういうことももちろん言ってやっておりますが、なお一そうお言葉のことを申し伝えまして、自重してやりたいと思っております。実は、この間スクリューが折れましたときに、多少がっかりしたのでありますが、ある人が来られましてソ連でもアメリカでも、南極という所は大へんな所だ、三べんや四べん行ってもわかる所ではない、二十ぺん、三十ぺん行ってやっとわかるくらいの所だ、そこで、非常に毎年気象状況あるいは氷状も変るのであるから、まず無事に帰られるということが非常な成功である、だから、決してあなた方は落胆してはいけないということで元気づけられたのでありますが、今、先生のおっしゃることも非常にごもっともでありますので、われわれも以後なお一そう慎重なる行動を続けたいと思っております。
  15. 松岡平市

    松岡平市君 それで大体わかりました。特に運輸大臣の、今まだそこまで行っていないのだというお話であって、やや安心したのはわれわれはきょう初めてです。新聞を見て、われわれも一般国民と同じように、ほかに何も方法がないのですから、一喜一憂しておったわけです。最後の段階にはまだ来ていない、まだどうなるかわからないという程度であれば、まず第一に、今言うように、新聞のああいうふうな取扱い方というものについて、もう少しこれは新聞が自重していただけるように何とかお話を願いたいということが第一点。それから、ぜひ一つ私は、現地にまかしておくというような、そして松本船長に全責任を負わせるというような態度でなしに、やはりある程度、これはもう困難だということになれば、責任をみずから中央本部においてだれかがとって、残念ではあるけれども、もう越冬を放棄しろというようなことを、だれかが、船長責任を負わせないで、それは文部大臣がおやりになるのか、運輸大臣がおやりになるのか知りません、しかしながら、その苦しい立場に現地にいる人々を追い込まないということについては、ぜひ一つ責任を持っていただきたい。なるべく早く、もうこれは国費をどう費しておっても、危険なことは避けるように、ぜひ私は、宗谷というものを指揮監督される立場において運輸大臣が善処せられんことを強く希望いたします。また、現地におって非常に苦労しておられる人々に私は深甚なる敬意を表します。と同時に、ぜひ一つ、何とか無理してでもというようなことをおやりにならぬようにわれわれは希望しているんだ――これはおそらく私個人だけの意見ではないと思う。おそらくこの委員会としても、多少の国費をまあ残念ながら特別の事情のためにむだにしても、われわれはいささかも残念とは思わない、要は、あせって、無理をして貴重な、大事な人々を万一失うとか、けがをさせるということが絶対に起らないように、これは一つ、運輸大臣責任において、ちゃんと私は間違いのないようにしていただきたいということを希望いたしまして質問を終ります。
  16. 江藤智

    ○江藤智君 宗谷乗組員諸君が、過去一カ月以上にわたって非常に苦労をしておられるということは、ただいまの御説明でも、あるいは新聞紙上でもよくわかったのであります。また、松岡委員からも今御発言がございましたが、それにつきまして、私の聞くところでは、衆議院の運輸委員会の方では、宗谷乗組員諸君に対する激励の電報か何かを打つような話を聞いておるわけであります。もちろん出すか出さないか、あるいは文案その他もどういうふうにするかということもあとにするといたしましても、せっかく国会あるいは国会の運輸委員会として出すのでありましたならば、やはり衆議院の方とも打ち合せまして、参議院も同じような歩調をとった方がいいんじゃないかと思うのでございますが、その点につきましてお諮りを願ったらいいんではなかろうかと思っております。
  17. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ただいまの江藤君の提案に対して、何か御意見ございましょうか。
  18. 松岡平市

    松岡平市君 速記をとめてそこは一つ懇談して……。
  19. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  20. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは速記をつけて。  それでは江藤君の提案につきましては、懇談の中で皆さんがお述べになったように、この際激励電報等は、いましばらく事態を見た後に、次回以降の委員会において決定することにいたし、ただし、本委員会における慎重なる行動を、という趣旨は、鳥居長官の方から現地に伝えてもらいたい、このように取り計らいたいと存じます。  他に御発言もございませんね。
  21. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御発言もないようでございますから、それでは次に、日本国有鉄道の運営に関する件を議題といたします。  最近新聞紙等で問題になっております寝台車事件といいますか、事件というとあまり大きくなりますが、これらの経緯等について、国有鉄道の小倉副総裁に説明を求めます。
  22. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 石井常務から実際の事のいきさつを御説明さしていただきます。
  23. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 本年の一月二十六日から静岡で国鉄労働組合の臨時大会が開催されたことは御承知の通りでございます。その際に二等寝台車二両を静岡駅の構内に留置いたしまして、これに国鉄労組の客貨車協議会の組合員が宿舎代用として使っていたという事件でございます。これは昨年十二月ごろ――客貨車協議会と申しますのは、国鉄労組の中の職能別に組織されました団体でございまして、執行部に対していわば諮問機関的な役割を演じているものかと存じますが、この協議会の方でこの副議長をしております池田君という人から東鉄に対して、宿舎代用として静岡で寝台車を使いたいから出してくれというお申し入れがありましたが、東京鉄道局の運転部の客貨車課長の濱田君が、これに対して拒否をいたしたわけでございます。その後、この池田君からまた先ほど申し上げました濱田君の下におります係長をしております蓮見君という人に、同様の申し入れがありましたが、これもお断わりいたしたのであります。ところが、本年の一月十一日にこの客貨車協議会の静岡ブロックの議長をしております鈴木君という方が、静岡管理局の運転客貨車課といろいろ話をいたしたようでございまして、その結果、上野君と静岡の客貨車課の課員の方から東鉄の方へ問い合せがございまして、東京鉄道管理局では、同じく客貨車課員の福山君という人がこの折衝に当りましてこの二人の間で、お互いどこか誤解があったかと思うのでありますが、お互い両方の局において話がまとまっておるというようなふうに即断いたしたのかと思いますが、予備の寝台車がございましたので、これを回送することに手配をいたしたわけでございますが、この手配は現実には一月十四日になされておりまして、これは輸送手配書というものを作りまして、それに基いて今度は当直司令がその当日になりまして、いろいろと現場の機関に指令するわけでありますが、そういう手配書というものを作ったのでございます。で、二十五日に手配する分につづられておりましたので、機械的に二十四日東京鉄道局の旅客課の当直司令員がそれを見まして自分で手配をしまして、二十六日に静岡駅に回送されたわけでございます。静岡駅に到着いたしました寝台車は、これは静岡駅構内の客車検修線と申しましてかなり駅から離れている所でございますが、そこへ入れられまして、先ほど申し上げました客貨車協議会所属の組合員が夜間宿舎代用として使用したのでありますが、大体その人数は三十名から四十名ではないかと考えられております。  大体、以上のようなものでございまするが、これを静岡管理局におきまして営業部の旅客課員が発見いたしまして、成規の手続によっているものであるかどうかという点も非常に疑念を抱きましたので、旅客課長に報告いたしまして、課長から本社に問い合せ、これは成規の手続によっていないということがわかりまして、初めて事件が表に出て、新聞紙上等に掲載せられたというような結果になったのでございます。これは私どもの方の仕事のやり方に手落ちもございましたし、また扱っております担当の者が即断いたしまして、十分事柄が責任ある個所できまっているかどうかということも確めずに仕事をいたしたという点に非常な欠陥がございまして、まことに申しわけないことと存じます。今後、この点につきましては、研究をいたしましてよく善処いたしまして、今度のようなことの二度と起らないようにいたしたいと考えている次第でございます。
  24. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 私は国鉄の事柄については全然しろうとでわからないのでありますが、結局こういう間違いができたというのは手配書の作成にあるのだろうと思うわけであります。この手配書というのは、ただ単に電話連絡があって、そしてそれで係の人だけでそれをこしらえる、そしてずっとやっていくのだ、こういうふうな方式になっておるのですか。または、主任とか何とかいうような、そういう責任者の何名かの決裁といいますか、承諾というものが要るのですか。今の話によりますと、ただ静岡の方の人と東京の方の人と、この二人で事が運んだと、こういうふうにとれる。それはどうですか。
  25. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) ただいまの御質問でございますが、輸送手配書につきましては、各局でいろいろ、若干やり方が違っておりまするが、問題の起りました東鉄におきましては、実施期日までに余裕のある場合におきましては、客車の回送につきましては、主管の旅客課の輸送計画を担当しております者が、この客車の保守に当っております客貨車課、あるいはこれを回送いたしますればどういう列車を使うかという列車課というような関係の部課と打ち合せをいたしまして立案をいたしまして、そうして部長、課長の決裁を得まして、一方、その決裁に基いてそういう手配の事柄が局報に掲載されまして局報によって、関係現場もこれを確認するということになっております。また一方、局報に掲載されると同時に今度は実際に輸送手配のメモ的な役割になりますが、輸送手配書というものを作りまして立案者が捺印いたしまして、これを毎日々々の客車の操配のいろいろ手配をいたします旅客課の当直のところに置くわけです。当直のところにはそういう手配がたくさんございますので、別に仕訳をいたしまして、二十四日に手配すべき分、二十五日に手配すべき分というふうに分けましてつづっておくのでございます。そして二十四日――本件でございますれば二十四日、二十四日になってそのつづりを見て、そのつづりにあります輸送手配を全部完了するわけでございます。  それからもう一つ申し忘れましたが、実施期日に余裕がない場合には、これは立案のかわりに部課長の決裁を経ましてすぐ電報を関係者に打ちます。これが局報掲載のかわりになるわけでございます。  さらに、もっと緊迫した場合がございます。たとえば車両が途中で故障を起してすぐほかから回さなくちゃならぬ、こういう場合には、旅客課の輸送責任者が関係部課と打ち合せて輸送手配書を直ちに作りまして、そして旅客課の指令で手配をいたしますが、この場合は、翌日、こういうことをやりましたということを日勤の計画者に報告することになっておるのが大体東鉄のやり方でございます。本件の場合には、実施期日までに余裕がございましたので、当然局報掲載その他の手続をとって決裁をとってやるべきことでございますが、それを客貨車の担当者が、もうすでに決裁が済んだものと同じことにして、輸送手続の中につづり込んだというところに間違いのもとがあったのではないかというふうに、ただいままでの調査では考えられるのでございます。決して権限のない者が自由にやれるというような仕組みになっておらないわけでございます。
  26. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 では、今回の場合は、やはりそれに判とか何とかという決裁のしるしがあるはずだと思うのに、今度のはなかったと思うのですが、ない場合でも、これはやれるのでございますか。
  27. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) その点が、御指摘を受けました点が、私どもの方の現在のやり方の欠陥であったと反省しておるのでございます。つまり、決裁とこの輸送手配書の間に、当然輸送手配書が作られる前には正規の決裁が行われておる、緊急の場合は口頭にいたしましても行われておる、それに違ったことはあり得ないという前提で、輸送手配書にはその決裁等の関連を明示しておるようになっておりませんもので、それで結局、そういう決裁がなかった輸送手配というものが、すぐに機械的にルーティンの線に乗ってしまったのでございまして、従いまして今後はこういう点につきまして、今お話のように、決裁と輸送手続書の間を明らかに関係をつけておくというような手続をいたしたいと、かように考えております。
  28. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 そうしますと、今回のこの手配書並びにそれを実行した間においては、何といいますか、仕事をする責任上の欠陥があるということになるわけでございますね。
  29. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 実は、はなはだ申しわけないことでありますが、こういうようなことが起るということも予期していないために、すべて手配書の前段階となる決裁というものはいつも行われておるものという感覚に立っておりましたので、そういう点で今の欠陥に乗ぜられたといっては少し語弊がありますが、そういうようなミスによって、本件が起ることを防止できなかったという点は、深く申しわけないと思っておりまするので、その点の矯正また反省というものは十分いたし、そういう意味におきまして、制度的にやり方において欠陥があったというおしかりを受けても、まことにやむを得ないと思います。
  30. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 この寝台車の一般の貸し切りですが、そういうふうな貸し切りで借りた人が、これを構内に置いておいて、そうして一日とか一晩、宿舎のかわりにするというようなことは行われるものなのでございましょうか。
  31. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 普通の場合には、そういうことはいたしておりませんが、しかし、全然やっちゃいかぬということにはなっておりません。たとえば、これは占領下のときではございまするが、進駐軍の将校等が地方へ参りまして、寝台車に乗って参りまして、ホテル設備の、宿泊設備のないような土地に泊るような場合には、構内に留置して、そうしてこれを寝台に使って寝たということはございます。また、これからも私どもとしては、将来観光団等が参りまして、いろいろ各地を見て回ります際に、十分なホテル設備がないので寝台車を使わしてくれというような場合等につきましては、正当な料金を徴収いたしまして、そういう取扱いをいたすことも、これは決して差しつかえないことだというふうに考えております。
  32. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 この寝台車は静岡の鉄道管理局が借り入れて、そうして東京鉄道管理局から貸し出した、こういうことに形式はなっておるのでございますね。
  33. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) さようでございます。この車は東鉄局所属の車です。それをよそへ回しますときも、その受け入れます局が借りて、受け出す局が貸すという形式にいたしております。
  34. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 そうしますと、この寝台車は東京の局から出ていった、受け入れた方は静岡の局の方になる、そうすると、この寝台車の管理なんでございますが、これは静岡局の方の責任といいますか、管轄に入るわけでございますか。
  35. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 成規の手続でその貸し出しが行われたものとすれば、おっしゃる通りだと思います。
  36. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 静岡の方へ車を回送してしまえば、もう東京の方はそれで知らないのですか。それともまた静岡の方と何かの打ち合せが正式にあるわけなんですか。
  37. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 常識的に申しまして、何のために静岡へ、たとえばどういう目的でもって静岡の局へ貸し出すというようなことは、一応貸し出す方の局は了知してなければならぬと思います。しかしながら、貸し出して何日の何列車で送るという打ち合せになっておりまして、それで所定の列車で送ってしまえば、あとの管理は静岡局、借り受け局の責任だと思います。あとは何日の何列車で返すということになるわけでありまして、その返ってくるのを確認いたしましてもとの所属に納めるのはこれは東鉄の責任でございます。
  38. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 静岡の方は、この寝台車が到着をした、そうすると当然静岡局の人はこの寝台をどういうふうに処置をするかということは、これはまた静岡局の方でいろいろの手続がとられなければならないはずだ。これを留置して置いておくということになれば、やはりそういうふうな手続を踏まなければ置けないはずだと思う。その点はどういうふうになったのですか。
  39. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 先ほど申し上げました通り、機械的な仕事の方には、その指令が載っておりますので、それから以後関与いたしますものは、その車の回送は成規の手続によったものと、こう誤解をすることは、これは無理もないことじゃないかと思います。従いまして、到着いたしました静岡の駅にいたしましても、局の方から何列車で寝台車が二両来るということを言ってきてございますから、従って、これは正常の手続をもって送られたものと、かように考えて、従って、それを二十何番線に入れろという話ならば、その通り処置したということのようでございまして、その際に、しからば、静岡の駅の人たち等が宿舎代用に使われるということを知っていたかどうかということでございますが、おそらくそういうために送られたものと、しかも、それは局の方のもうすでに指示に従っているのだというふうに判断しておったとしか考えられないし、また、事実もそうであろうと思います。
  40. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 こういう問題ができるということは、過去におきまして、労組の要求に対して相当度を過ごした便宜を当局の方でやっておった、そういうふうなことの慣例があるものだから、今度は前よりは少し度は過ぎている、だけれども、それをやってみようというような考えで、それで静岡の方もこれは当局の了解を得ているものなり、こういうふうな考えで宿舎のかわりになっているのだ、こう思ったのじゃないですか。
  41. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) いろいろの労組の大会等について便宜供与をしておったということは、これはそのことの当否はいろいろ御判断があるかと思いますが、ある程度の便宜供与は、過去においても行われておったことは事実でございます。ただ、今回のような高級車両をわざわざ回送して使うというようなことは、私過去においてもなかったと思うのでございますが、それを今お話のように、従来の惰性がさらにちょっと出過ぎて、こういうことを考えるに至ったというようなふうになったかという点については、私ども全面的にそうでないと申し上げるだけのことができないので、大へん申しわけないと思います。
  42. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 静岡の方から東鉄の方へ申し込みが最初あったときに、課長さんも係長さんもこれを拒否しているのですね。これは上の方の人は、こういうことをやっちゃいけないのだというような考え方を持っておられた。静岡の方に行って、静岡の方の幹部の方は、これはやはり東京の方のように、係長とかあるいは課長さんというような人は、そういうふうに考えておったのじゃないですか。考えているように――何といいますか、当局の方は指示か何かかつてやっているのじゃないですか。
  43. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 実は、東鉄の方で課長あるいは係長が拒否したということは、これは間違いないと私どもも信じております。静岡においていかがであったかという点につきましては、この点あるいは静岡局におきましては、もちろんそういう指図をするとかいうことではないにしても、多少事情を知っていても黙認していたというような形勢があるのじゃないかというお話が非常にございますので、私どもの方も非常に慎重を期して、目下厳重に調査いたしているわけであります。あるいはお話のように東鉄のようなきびしい考え方をしないで、あるいは下の方から見れば、御承知でいらっしゃるからいいだろうというような推断を下されるような程度のあいまいな点がありはしないかということも目下考えられないこともないと思って、調査はいたしているのであります。まことに申しわけないことだと思います。
  44. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 これの発見したというのは、新聞報道からいきますと、暖房を入れてくれ、こういうことからわかったようでありますが、そういうことを言わなくても、その駅に何日間か宿舎代用としてあることは、駅の幹部なんかは私はすぐわかるのじゃないかと思うのですが、こういうふうなことから発覚したのですか。
  45. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) おっしゃる通り静岡の駅の幹部にしても、皆宿舎代用に使っていることは知っていたと思います。これに対して多少疑念は持ったようでございますが、成規の手続を経てそういう便宜供与ということが行われているものだというふうに疑わなかった点に手落ちといえば手落ちがあるのじゃないかと思うのであります。  それから暖房の件につきましては、いろいろ説もあるようでございますが、私ども調査しております現在までのところ、暖房について、いろいろ現場でもって入れてくれ、入れてくれないというような交渉があったようでありまするが、それが発見の端緒になったのではなくしてそれはむしろそういう汽罐車が足りなくて暖房までとてもやっていくひまがないとか、自分の方は正式に上の方から話を聞いていないから暖房は入れられないとかというような意味合いのことじゃないかと思うのであります。発見の端緒は、そうではなくして、やはり今お話のように、こういう噂があることはおかしいという疑念を抱きました局員が上長に報告をいたしましたので発見したというのが、私どもの当局側の発見の端緒でございます。あるいは新聞社の方々などは別の観点から御発見になったかもしれません。私どもはそういうことでございます。
  46. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 大体、まあ私の疑問に思っておりますことはこれくらいでございますが、しかし、こういう問題が起きたことにつきまして、とかく最近国鉄の運営につきましては、いろいろな角度から国民が非常な関心を持っておる時期なのであります。新聞にも相当大きく扱われましたし、また新聞の各欄でこれを扱っております。国民としては、一そう関心を深めておることだろうと想像いたします。そこで、この二等寝台車の、今度の宿舎代用に使ったというようなことに対する国鉄当局の現在の考えなり、将来、こういうことの起らないようにするため、どういうふうなお考えを持っておられますか、これを一つ副総裁に。
  47. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) ただいま御指摘の通り、国鉄は近来いろいろな事件につきまして、各方面から鋭い御批判を受けておりまして、私どもといたしましては、日夜戒心いたして評判の回復を心がけて参ったつもりでございます。ところが、今回静岡におけるこの事件が大きく新聞にも取り上げられ、また、大かたのきびしい御批判を受けつつあることは、まことに私ども遺憾であり、また相済まなく、深くおわび申し上げる次第でございます。鉄道の財産は公物でございまして、これをお預りして国鉄本来の使命達成に使用するということが本来の目的でございまして、これを私用に供するということは厳に慎しまなければならないことでございまして、これは規定にもございまするが、規定を超越した常識的の問題でございます。それで何人でもやはり公益を尊重し、公物を大切にするという考えがございましたら、公物を私用に使用すべからざるものであるということはもちろんわかるのでございまするが、まあ今回のかような事件を引き起しましたにつきましては、あるいは深く反省いたしてみますと、現場管理にも多少至らざるところもあったろうと思いまするし、また、車両というような貴重な公物のやりとりにつきましても、事務的なあるいは規定上の不備というものもございましたでしょうし、さらにまた、一般職員の心がまえをさらに改善し、綱紀粛正に努めなければならぬというような点もございまして、今回この事件につきまして、われわれ教えられるところがたくさんございまするので、こういう点は十分反省いたしまして、善後措置も誤らず、これを機会に業務上あるいは公僕精神、そういうものの向上に十分注意して参りたい、かような決心でございます。
  48. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 新聞で拝見いたしたのでございますが、国鉄当局は、今度の問題に対しまして査問委員会とかいうのをおこしらえになっておられるというようなんですが、事実なんでしょうか。
  49. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 査問委員会ではございませんが、これは所管の両局長に十分関係者を集めて厳重な調査を命じまして、私のところで両局長を呼びまして、その経過報告を聞いております。それを称して新聞では査問委員会というふうに名づけたのではないかと思っております。まあ名前はつけませんが、性格的にはそういうものかと思います。
  50. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 もう相当調査をお済みになっておるのでございますか。
  51. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 関係者が広うございますし、ことに、組合の方々からもいろいろお話を承わなければ真相のつかめない点もございます。大体もう両三日でわかるところはわかり尽すのではないか、かように考えております。
  52. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 もう一つ、やはり今度の大会に関連いたしまして、従業員の家族に対して無賃乗車の依頼状を渡してやったというようなことが報ぜられておるのでございますが、これは事実あったのでございますか。
  53. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今お尋ねのございましたことについて、概要を申し上げたいと思いますが、一月の二十九日の日に浜松の駅でもって、国鉄労組の静岡地方本部の執行委員長からの関係職員あての依頼状というものを公告官が拾ったわけでございます。そのことからこの事実がはっきりしてきたようなわけなんでございますが、依頼状というのは、大体はがき大のものでございまして、それに謄写版刷りでもって、一月二十七日から行われる国鉄労組の臨時全国大会に出席するから左記によって便宜を取り扱われたい、国鉄労組静岡地方本部の家族組合員であるからよろしく、という意味のことを書いた依頼状が拾われたわけでございます。それで、地方本部の方でそういうものを出しておったということがわかったわけでありますが、この報告に基きまして、静岡の管理局の方では直ちに、これは無効であるので当然のことでございますが、取り締りの手配をいたすと同時に、組合の地方本部に対しても、口頭並びに書面をもって、警告を発したというようないきさつでございました。それからなお、その同日、問題の依頼状を持参いたしまして静岡駅の改札口を通過しようとした婦人が三人ほどございましたので、この三人の人に対しては、依頼状を没収をし、正当運賃を徴収した、こういうことがございました。なおこのほかに、浜松の駅からこの依頼状でもって乗車した者がほかにも二人ほどあったというようなことがはっきりしたわけでございますが、大体、どの程度これが出されたかというようなことにつきましては、ただいまのところ、まだあまりはっきりしておらぬ点もございますが、十四、五枚程度発行されて、家族組合の地区代表者に手渡された模様である、こういうことでございました。事実の概要は大体そういうことでございます。
  54. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 こういうふうな事柄は、過去においてはこれくらいの、つまり家族の無賃乗者ということは過去においてはあったわけですか。以前においてはこういうことは行われておったわけですか。
  55. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 以前は家族に対しても一定の基準でパスを発行できる建前になっておりましたので、こういう場合には、パスを成規の手続でもらっておったと思います。昨年二月から廃止いたしましたので、まあ今度このようなことが出てきたというわけでございます。
  56. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 そういうふうに国鉄内部の規定が変ったということを、従業員一般に周知徹底を国鉄当局としてはおとりになったことがあるのですか。当然それはおやりになっているはずだと思うのですが、これはどうなんですか。
  57. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 御指摘の通り、過去においても何度もこの点については厳重な注意をいたして参りましたし、それからつい先ごろ、昨年の暮れでございましたか、広島や四国でもこれに似たようなことが行われておるというような新聞記事等が出た時期等もございました。そのつど、厳重な警告を発し、また十分取締りをさせるように、各業務機関に対しては指令をいたしております。
  58. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 そうしますと、国鉄当局の威令が行われていない、こういうことに解釈されても仕方がないのじゃないのですか。
  59. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私どもとしては、できるだけあらゆる方法を講じて、そういう不正な乗車ということが行われないように努力はいたしておったつもりでございますが、まあこのようなことが起りましたことは、まだ私ども努力が足りなかった結果であると思いまして、その点申しわけないと思っております。
  60. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 まあ大体、私しろうと式に想像いたしておりましたようなことで、まだ調査を完全におやりになっていないような点もあると思うのでございますが、これは徹底的に御調査になられまして、もし国鉄の業務規程と申しますか、鉄道法といいますか、こういうふうなものに確かに違反行為、越権行為こういうふうなものがあるということになりましたら、当局としては、何といいますか、懲戒というか処分というか、こういうふうなものに対しては厳重に今度はおやりになるつもりでございますか、まあまた、ぐにゃぐにゃにするつもりですか、どちらですか。
  61. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 十分に事実を取り調べまして責任の所在を明らかにしたい。処分も行うつもりでおります。
  62. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 私は、一応これでとどめておきます。
  63. 松岡平市

    松岡平市君 簡単に一つ関連の質問をいたします。石井常務理事にお尋ねしたいと思いますが、先ほど三木委員の質問で、寝台車はレールの上を走って寝台の用をつとめるのが通例ですが、そうでなしに宿舎の用に供したことがあるか、これからも供するかという質問に対して、例をあげて占領下に進駐軍のために、宿舎に供したことがある。それから将来観光客等のために、これを供する場合もあり得ると、二つ例をあげられたのだが、従来そのほかに、いわゆる進駐軍が占領下において宿舎に使ったことと、それから将来そういう計画もあり得るということ以外に、宿舎として使った事実の有無をはっきりしていただきたい。
  64. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 私のただいま存じております話では、調査とは別でございますが、過去におきましては、今申し上げたことよりほかにはないと思います。ただ、これは将来寝台車などをたくさんもし私どもで持つことが許されるような経営状態になりまして、また一般に生活水準も高まってきた場合におきましては、何も観光団に限らず、国内の旅客からの申し入れによりましても、そういうようなことを、正当な料金を収受してやる貸し渡しということもございますが、貸し切り料金を収受してそういうようなことを行うということも考えられないことはないと思いますが、過去においては、何しろ御承知のように車も少うございますし、各駅の留置線も十分ではございませんので、進駐軍時代に行われた以外には考えられておりません。ただ、もう一つ申したいのは、これも汽車に乗っていただいたあげくの果のことでございまして、ただ、全然汽車に乗らないで宿屋がわりということは、過去においてもございませんでした。
  65. 松岡平市

    松岡平市君 そうすると、私は石井さんにお聞きしなければならない。これも同じく三木君が、しからば、これが静岡駅の構内で宿舎として使われた、日にちについてはいろいろでありますが、少くとも二日か三日使われておるのをどうして発見しなかったか、気づかなかったかという質問に対して石井常務理事は、おそらくこれは成規の手続を経てそうなったものだということで疑わなかったのだ、こう考える、こういう答弁をなさっておる。そうすると、はなはだ私にはわからない。成規の手続を経て今までそういうことをやったことはないのだ。進駐軍がたまたま占領下に使ったことはあるけれども、そのほかに一ぺんも使ったことがないものを、駅の静岡管理局の人か、静岡駅の人か知りませんが、これは進駐軍ならともかく、進駐軍でも近ごろそういうことをしていないようですが、それが静岡駅の構内で二日なり三日なり宿舎として使われているのを、成規の手続を経てそういうことをやったものだと思って別段疑わなかったものだろうという答弁は、まことに私は矛盾すると思う。そういうことは今まで例がないのだ。従って、成規の手続を踏んだところで、そういうことは非常に異常なことであってそれはもう疑わざるを得ないのだと思いますが、それをあなたは疑わなかったのだろうというようなことで答弁しておられるが、そこはどういうことになりますか。
  66. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 寝台車を営業の目的でそういうことに使ったかということは、先ほど申し上げた通りでございます。私どもは、言葉が足りませんが、労組に対する便宜供与ということでそういうことをやった、その車の回送なり何なりが、正式の手続で回送されてきた、こう考えて、労組に対する便宜供与としてそういうことをやっておるという即断を、皆現場の者は持ったのではないか、かような即断を現場の者が持ちましたことは、まことに、今までの慣行で、そういうふうに現場の者が即断するというような情勢に今までありましたことは、まことに申しわけなかったことだと、こう思っております。営業用ということでありますれば、何分とも不思議に思ったと思いますが、便宜供与の一種として、疑念をはさまなかったのではないかと思うのでございます。
  67. 松岡平市

    松岡平市君 だんだん質問をしなければならぬ、私は簡単にやめようと思ったのだが。組合に対する便宜供与、これは供与をすることについては、先ほどあなたおっしゃって、従来ある程度の便宜を供与しておった、こういうことですが、今まであなた方の方は、国鉄当局として、組合に対する便宜供与のうちに、客車を、特に寝台車を、寝台車というような、国鉄のこれは大事な営業機関です、機関を組合のそういう便宜のために供与するということを、従来やっておられたのだと、これはもうそう言わざるを得ない。先ほど、そういうことをやっておったことについては、決してあなたの方は肯定なさらなかったのだが、今度は見つかったけれども、今あなたの話を聞くというと、従来は大体便宜供与というようなことで、今までの大会等でそういうことをやっておったのだ、今度もその便宜供与として別に疑わなかったのだと、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  68. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 過去におきましても、高級車を回送して宿舎あたりに使わしたような便宜供与をやっておらなかったものと思っております。また私どもの方で、ただいままで調査いたしましたところで、そういうようなことはやっておりませんでございます。ただ、いろいろな現場供与がございますので、現場の者が――これは大会はしょっちゅう静岡で開かれるわけでございませんので、あちこちで開かれますので、現場の者としては、そこまで全国的に前例があるとかないとかいうことはこれは了知できないと思います。まあ一種の便宜供与という言葉でもってやられておる、回ってきた、というふうに即断した。そういう即断する根拠について、いろいろと組合のためにやっていたこともあるだろうというおしかりは、これはまことに当然で、われわれも申しわけないと思うのでありまするが、しかし寝台車をしょっちゅういつもそういうように使っていたという事例は、私存じておりませんし、今まで調査いたしました範囲では、そういう事例はございません。
  69. 松岡平市

    松岡平市君 組合に対する便益の供与というようなことについては、これはちゃんと適当な措置を講ずる、こういう便益を供与するというようなことはちゃんと私はきちんときめてあると思う。ちゃんと関係者には、それぞれ総裁名か副総裁名かで、示達をして、ここまでは供与をするのだということになっておって、そういうことは静岡管理局あるいは静岡駅で……、今言うように、初めてのことだとおっしゃるならば、そういうものが、便益の供与というものの範囲にとうてい含まれない、国鉄当局が供与する便益の外だということについては、これは静岡で大会が初めてであるから、その現場の者が――少くともあすこに三日なり四日なり二等寝台、二等寝台というのは、もと一等寝台ですよ、これはコンパートメントがあったというのだから。その寝台を二台つないで、何日か寝泊りしておるのに、疑いを持たなかったということになれば、これはそういうふうな言い方だと、われわれは、現在もなおあなたの方が組合に対してどれくらい便益を供与しておられるのかちょっと見当つかない。そこを現場の者は、そんなものは大会の際には便益供与であるということで、大して疑わないのが常識的だということであれば、これは私はまことにどうも、あなた国鉄の最高幹部のお一人だけれども、これはまあ容易ならぬことだと私は考えます。従来、これは率直に申し上げて、国鉄のアベック闘争、これは世間でそう言っております。新聞等もしばしば書きます。まあわれわれも、それは国鉄一家と称して、国鉄が管理者であれ、労働者であれ、仲よく円滑にやられる、円満に国鉄の運営をされるということは希望することでありまするが、しかしながら、ときには労働組合の闘争のために、車の運転もとめられ、配車もとめられるというようなことをして、どれくらい国民がそういう場合に、憤激したり迷惑したかということは、御承知であるはずだと思う。そしてその裏側にはアベック闘争、こういうことを言われておる、これも御承知だと思います。たまたま今度発見をしたのだとおっしゃいましたけれども新聞の言うことはうそかもしれぬけれども、その前に暖房を通せという要求があったと新聞が伝えておるが、そうではなしに、まああなた方は、これはおかしいと気づいたとそうおっしゃるけれども、気づく前には、これは便益供与の一種であると、大して不思議にしなかったのだと、こういう説明をしておられるということであれば、私は今日なお国鉄が労組に対して、まあ、ときにはアベック闘争と言われても仕方がないような、緊密というか、どうもわれわれには理解できない関係を、今なお持続しつつあるのじゃないか、こういう疑いを持たざるを得ない。しかし、私は、ここで一々それを、今さらどうだこうだと、もう済んだことですから、言おうとは思わない。特に、労働組合の今回の事件に対しましては、どの新聞もずいぶん辛らつな批判を加えておる。おそらく組合の幹部諸君といえども、こういうことについては、十分な反省をしておられると、こう思うので、私はそういうことを追及はいたしませんが、労働組合の諸君に反省を、あるいは責任を追及しないかわりに、それは今あなたの御説明等聞けば、管理をする当局側として、やはりきちっとなすべきことはなす、組合といえども、それは規律ある区別はするというような点において相当欠けておられる、どうも残念ながらそういうふうな印象を持たざるを得ないと思う。これは、まあいろいろな見方もあろうと思うのです。先ほど申しましたように、当局と労働者、国鉄労組と仲よくやられることについては、これはもうけっこうであります。しかしながら、こういうふうに、今あなたが御答弁の間に、どうも疑わざるを得ないような便益の供与というようなことは、これはもう少し慎しんでいただきたい。先ほど来、たとえば乗車券の問題があった。これは、もう今度は今までのように乗車券を発行しないならば、組合長、あるいは何とか議長の名前で、よろしく頼むというはがき大くらいのを出せば、それで大ぴらに通っていく。たまたま公安官が拾って発見した、こういうことであります。それはあなたの方は、何枚か出したらしいと言うけれども、しかし、それ以外に、そういうもので大いに利用されて、あなた方御存じないけれども、それは大いばりで無賃乗車が行われておるかもしれないじゃないか。そういうものを、まあ看過するというか、今度は看過なさらなかったけれども、まあ最近ずっとそういうことを大目に見るというか、そういうことは大した問題じゃないという気風が、国鉄全般に充満しておる、その結果がやはりこういうふうな、われわれ想像もできないような不愉快な事柄が起って来る原因であると思うのです。先ほど副総裁は、そういう点について、これからよく気をつけるとおっしゃいましたけれども、この点については、一つもう少ししゃんとした管理をしていただきたい。これはどなただって労組側といえども、そう私はきちんとした管理ということについては別段の異議があろうとは思わない。その点については副総裁はどういう所見を持っていらっしゃるか、もう一ぺんお聞かせ願いたい。
  70. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 便宜供与につきましては、これは組合の自主性を尊重する意味から申しましても、また法律の面から申しましても、みだりに拡張すべきものではございませんで、私の方としましては、協約なり協定なりによりまして限定しております。それで、これは組合ということと離れるかもしれませんけれども、最近におきましては、いろいろ世間の御批評もありましたので、家族パスの廃止、あるいは物資部運賃割引廃止というようなものもいたし、また組合に対する便宜供与の点につきましても、いろいろ合理化すべきものは合理化しつつあることはあるいは御承知かと思います。で、今回の寝台につきましても、これは便宜供与などすべきものでは絶対にございませんで、私どもは便宜供与なんというカテゴリーに入るとも全然考えておりません。ただ石井常務が申しましたのは、あるいは静岡の構内の下級職員は組合員でございますから、そういう面から見てそういうふうな誤解を生じたのじゃないかと、こういうことだったと思いますし今後につきましても、先生のおっしゃる通りに、はっきりけじめを立てまして、便宜供与ということは組合の自主性尊重の点から言いましても、厳格に限定いたしまして、二度とかようなことが起らないように努めますと同時に、また先ほど申しましたように、鉄道の施設と申しますのは、すべて国家からお預りしている公物でありますから、これを決して私用に供することがないように常に管理者もまた職員もすべて公僕精神に徹して、公益の優先ということに邁進いたしたい、またこういう点で管理当局も強化いたし、われわれも十分自粛自戒し、またこういう旨を職員に徹底させる機会をできるだけ多くこしらえまして、できるだけ御期待に沿っていきたいと、こう覚悟いたしております。
  71. 松岡平市

    松岡平市君 もう一点だけ。先ほど今回の事件が起ったことについて、まあ輸送手配書といいますか、そういうものが成規の手続を経なくてもちゃんと出せて、当局から静岡に寝台車が輸送できた、そういうことは非常に困るので、今後はそういうことができないように気をつけると、こういうお話でしたが、これはどういうことをなさるか知りません、しかし、鉄道はレールをもって、レールが敷いてある所へ貨車や容車をいかに動かすか、それだけ私は鉄道の商売だと思います、商売といえば。その貨車を動かす、あるいは客車を動かす、寝台車をどこからどこへ動かすということ、これは大事な仕事なんだが、そいつが今のようなことで成規の手続を経ずにその輸送手配書をだれかが作って入れさえおけばこれは通る、これは重大な事柄である。迅速とか、なるべく手数を省いてとかいうことでしょうけれども、これはやっぱりそういうことは、これは非常に大きな国鉄の欠陥の一つだと思うのです。いろいろあろうと思うんです。どう直せとか、どうしろとか、もうおそくなりましたから論議はいたしません。私も多少従来、たとえば当直司令というような身分ということについて論議されたことも知ってはおります。これは一日もすみやかに国鉄当局におかれては再びだれが故意にこういうことをやろうとしてもできないという自信の持てる組織、あるいは人員の配置ということをすみやかにやっていただいて、先ほどおっしゃったように、まあここで一応の答弁としてこれからそういうことがないようにいたしますというようなことの答弁だけで過ごされない、きちっともうこうしておけば、どんなにしてもそれが起らないんだ、起るはずがないんだという自信の持てるくらいに、すみやかに変えていただきたい。適当な機会に私はこういうふうに変えたと、私は当委員会において説明をしていただきたい。そういうことを期待してよろしゅうございますか。
  72. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 御趣旨の通りにいたすつもりでおります。
  73. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今までのところで大体尽きておると思うんでありまするが、先ほど今回の事件については十分研究して善処するという当局のお話でありましたが、こういう事件はなるべく早く調査を終えて、けじめをつけないと、時期を失してやると、これはピンぼけになるおそれがあると私は思うんです。大体調査はいつごろ終り、いつごろ責任を明らかにするという見通しでやっておられますか。
  74. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 今週の終りから来週の初めにかけまして最終の調査を完了して、結論を出したいと存じますが、これは関係者が多いことと、静岡と東京と両方にまたがっておりますために調査が延びましてまことに相済まないのでございますが、今一生懸命に調査しておりますので、ただいま申し上げた期日までには正確に調査を終えると存じます。
  75. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから、鉄道は従来も、また今日でも無賃乗車とか、不正乗車ということを相当厳重に取り締っておられると思う。今回のこういう事態は最も悪質な私は無賃乗車というか、不正乗車というか、不正使用であろうと思うんです。料金その他の問題は、これはどういうふうになるんですか。
  76. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) その点についても検討をいたしておるわけでございますが、ただこの場合、私どもの方で一応成規の手続を経たものでないにせよ、便宜供与したという格好になれば料金を請求することが正しいかどうかという点は今検討さしておりますが、できれば私ども相当の使用料を徴収するのがいいんじゃないかと考えて研究しております。
  77. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 その点僕はちょっとおかしいと思うんですがね、最初成規の手続でいろいろやったときには、これはいかないというわけで、それがその後まあ不正といいまするか、欺かれつつこういう事態が行われたんでありますから、これは研究もくそもない、当然不当使用というか、無賃使用じゃないですか、研究する余地があるんですか、こういうこと自体に対して。身分上の責任についてはいろいろまだ研究の余地がありましょうが、少くとも料金関係とか、使用料関係について何か研究してこうしなければならぬという問題が残っておりましょうか。
  78. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 御疑念はごもっともでございますが、一応料金を徴収することによって正当な貸借行為になるというわけには行きかねると思うんでございます。でございますから、あくまでも不正な使用であれば部内者の不正使用でございますので、むしろ処分というような方で処理するということで、損害賠償的なものになるかという点が疑問があるというふうに一応考えておるのでございますが、しかし、その点よく実は法律専門家に検討を命じておるわけでございまして私どももその点まだはっきりしたお答えができかねるのでありますが、考え方としては、でき得る限り料金等も徴収いたしたいと考えておるわけでございます。
  79. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうすると、無賃乗車や不正乗車の場合は、あれはどういうふうに処置されるんですか、普通の場合ですね。
  80. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 無賃乗車は、これは営業法違反にもなりますので、乗車した運賃に懲罰的な運賃を追懲するという処置をいたしております。今回の、先ほどお話の出ました静岡で発見されました婦人に対しても正規の運賃を追徴しておるわけでございます。
  81. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほどの普通乗車の場合は別ですけれども、今回の寝台の不正使用という、こういうような事態については、やはりそういう点についてもけじめをはっきりしてもらいませんと、いつもそういう点がぼかされてしまうということで、だんだんこういう麻痺状態に入ってくるんじゃないかと思うので、この点よく研究して十分な処置をとってもらいたいと思います。  それから、先ほど松岡委員が言われたのでもう尽きておるのでありますが、こういう最高級車両がこういうことに使われておる、このこと自体がもう国鉄精神というか、何か麻痺し切っておるんじゃないかというようなことで、表現がきつくなっているかもしれませんけれども、こういうことが平然と行われておること自体にもう極度の私は麻痺があるんじゃないかと思う。今、副総裁も公僕精神徹底とかどうとか言われますが、これは今言われるのに限ったんじゃなくて、常に公僕精神、公僕精神ということを言うておられる。これは公共企業体でありますから公僕精神とか、サービス精神が、ことに鉄道のごときはそれは第一にやらねばならぬ、子供でもわかり切っておるにもかかわらずこういう事態が行われておるということに私は非常に危険というか、心配がある。鉄道はわれわれの生命を託しておるのですから、もし緊張を欠いたり、麻痺をしておるということであれば、いつどこでどういう事故が起るかどうかはわからないと思いますから、私どもはそれを一番心配しておるのであって、ことに今回のこの事態は職権乱用というか、公物を欺いて不正使用したといいますか、これはもう非常なことであろうと私は思うのであって、たびたび副総裁は言明されましたけれども、生命を託す鉄道であるだけに、私どもは今回の事件を非常に遺憾に思い、かつ心配するんです。ここまで国鉄精神が、言葉は強いけれども麻痺してしまったかということを私どもは遺憾に思うのでありまして、これはひとりこういう物を使ったあの人たちばかりじゃなしに、私は国鉄の幹部も相当考えてもらって、やはり自粛なり反省の色を何らかの形で表わさなければ――こういうことがたび重なっていって非常な大事故でも起きた場合には何と国民にわびていいか私はわからぬようなことになると思うのであって、そういう点につきまして私は重ねてもう一度国鉄最高幹部としての所信を伺いたい。
  82. 小倉俊夫

    説明員(小倉俊夫君) 本件に関しましては、問題点が少くとも二つございまして、一つは寝台車を宿泊の用に供したという点でございまするが、これは先ほど来申し上げました通りに、深く自粛自戒する点でございまするが、もう一つの点は、かような車両のやりとりをごく下級の、責任のないところでするような業務組織になっているのがいかぬのではないかという御指摘がございました。この点を申し上げますと、決して言いわけらしくおとりいただかないようにお願いしますが、実は客車は各局に配属になっておりまして、保管の責任を局が持っております。ところが、局の中で足りない場合がありますると、他局にこれを申し込んで借り受けます。そこで、客車の局間の貸借というものが出て参ります。この場合、たとえば鉄道は夜、夜中も運転いたしておりまするので深夜のやりとり、あるいはごく緊急のやりとりというようなことがございましてこれを敏速にするためにそのときの宿直、あるいは実務担当者がやりとりの証票を書くこともなきにしもあらずでございまして、それは後刻上長に了解を求めなければならぬことでございまするが、本件のごときは緊急でもなく、また夜、夜中でもございませんので、こういう場合にただいまの緊急を持ち出すということは弁明がはずれていると思いまするが、結局緊急の場合を予想して、そういう下級職員でもできるようなことが、緊急の場合でない場合にも拡張して行われるおそれがあるというところに禍根があるのではないかと、この点につきましては先ほど来申し上げまするように、客車というような重要財産の貸借関係につきましては、もっとほんとう責任ある者が判断をしてやりとりをしなければならない、そういう点につきましてはただいままでに機構、あるいは規定の上で不完全な点も思い当るのでございまするので、こういう点につきましてはさっそく改善の努力をいたしてみたいと、それでこれは単に客車のやりとりの本件に関してでございまするが、そのもう一つ奥に、先ほど来申し上げましたように、もっともっとわれわれは公僕精神に徹し、公物の尊重という精神を涵養していかなければならぬ、そういう点に、私どもはなはだ至らないところをおわびいたしますとともに、今後努力をお誓いする次第であります。
  83. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に御発言ございませんか。
  84. 柴谷要

    ○柴谷要君 皆さんの御質問が終ったようですから、最後に御質問と答弁との間に、ややもすると誤解を招くような点があるので私は明らかにしておきたいと思います。と申しますのは、国鉄労働組合と国鉄当局との間に便宜供与という問題が無制限に拡大をされているような、聞き取りようによってはとれるような発言があったと思う。ところが、私は各級機関の委員長を十二年もやって席をはずしたのですけれども、少くとも国鉄労働組合は当局と便宜供与に関する協定を結んでずっと自主的にやってきたと思う。ところが、その協定以外にはみ出して当局に便宜供与を与えてくれといった交渉を私は一回もやった覚えはない。またそのような、要求をしたこともないと思う。ところが、たまたま今回このような、予想もしない事態が発生をした。これは国鉄労組始まって以来だと思う。当局もこのようなことは一回もタッチしてないと思う。ところが、あたかも今回のような処置が累年行われておったかのような、便宜供与の面において行われていたかのような印象を与える発言もあって、また答弁もあった。そういうことでは私は遺憾だと思うので、明らかに副総裁からお答えを願いたいと思うことは、便宜供与に関する協定以外にはみ出して、国鉄労組に便宜供与を与えておったかどうか、そういうことは私の知る範囲においては絶対にない、かように確信をいたしておりますけれども、この点を明らかに一つしていただきたいと思います。
  85. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 便宜供与ということにつきましては、今お話の通り組合側とも話をし、当局側として現場に数年前からある基準を通達しておるわけでございます。その通達しておる基準を越えて施設の利用その他について組合側からお話がかりにありましても、少くとも国鉄当局がそれを認めるということはないはずでございます。しかしながら、微細な点につきまして、実は今度の静岡の事件のような、公共の客車を使うなんていうことは絶対になかったと思っておりますが、こまかい点でいろいろまあ今度のような事件が起りましたので、私どもも過去のいろいろ大会等における現地の取扱いについて反省する意味でさらに調べをいたしておるのでございますが、いろいろこまかい点を見ますというと、やはり便宜供与に関する通達なんかには書かれてないようなことで、いろいろなことが絶対なかったとも言い切れない点があるように思われますので、そういうような点を今後は絶対にないように、国鉄の労組としてもお考えいただきたいし、また私どももそういう誤解の種を招くようなことは厳にないように、下部機関まで徹底するような処置を講じたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  86. 柴谷要

    ○柴谷要君 もう一つお尋ねをしておきたいのですが、私は二等寝台のようなものを他局が貸してくれ、こういう申し入れを一方の方に、所有局の方に申し入れをするということが、単なる一課員の権限ではできないことになっている。これは私も当直司令をやって、夜間等において上長のいない場合には、局長権限をもって行使してよろしいということに当直司令というものはなっておる。ですから、緊急の……ただし、その場合は緊急の場合だけなんです。そういうような状態でありまするから、これは緊急事態でないということは明らかなんですから、これは一課員だけの独断で東鉄局に申し入れをして借りたものとはゆめゆめ私は思っておらない。そうなりますと、関係上長が了承の上でその手続がなされているものと私は解釈をしておる。しておる。ところが、片や受け入れ局の方としては、いわゆる申し入れを受けたけれども、まだそれを手配をする以前でもあるし、課長なり係長はこれを拒否したということは明らかになっておる。でありますから、相手局から貸してくれという申し入れを受けた場合に、自局で当面使わずに予備車なり、あるいは休車となっているものを他局に貸してやるという権限は当直権限でできるのです。こういうことが私はいわゆる借り受け局の方のやはり相当資格を持った人たちが、いわゆる了解をしない限りは一課員がこれを出せるとは思わない。ですから、あえて規定の改正等を行わなくても、今日の状態の中ではっきりしておけばいささかもこのような問題は起きないと思う。そこに今度の問題が発生したと思う。まことに遺憾な問題でございまするが、あえて規定の改正をしなければできないというような答弁ではなしに、現行の規定を順守させれば絶対にこういう問題は起きないのですと、こういう御答弁があってしかるべきではないかと思いまするが、この点はいかがでございましょうか、お尋ねをしておきたい。
  87. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 借り受け局の方で上長が了解を与えたかどうかという点につきましては、先ほど私も御答弁の際にその点について十分ただいま調査中であると申し上げたのでございまして、柴谷先生のお話を肯定もいたしませんが、また現在では否定もいたさないのでございます。ただ、現在の規定自体に欠陥がなくとも励行で直るじゃないか、お説の通りでございますが、しかしながら、やはりこの客車の運用などにつきましては十分自後においても検討を厳重にしなければ、たとえ緊急な場合であって、権限をまかされた係員の措置がやむを得ないものであったとしても、その措置が妥当であるかどうかということはやはり上長が判定をして、その後の計画その他指令の実行等について今後を戒める意味におきまして、あるいは今後の勉強になる上におきまして十分検討しなければならないし、また車の操配の責任者である課長なり、あるいはその下の計画者は知っていなければならないのでありますから、そういう点について現在のやり方をさらに一歩進めて、そういう点を明確にするという改正も今回の事件と無関係といえば、別問題といえば別問題でございますが、さらに反省をして直すということは必ずしも不適当な措置ではないと、こういうふうに考えておるのですが、ただおっしゃるように、今回の事件は規定の励行をやっていただければ当然免れたことであると、かように考えております。
  88. 柴谷要

    ○柴谷要君 最後に一言、私はまああえて、きょうは各先生方の御質問を聞いておりましたが、一番私が悲しく感じましたことは、四十六万の職員の全体の中で、わずかな人たちが何といいまするか、便宜供与の拡大という意味においてこういう手配をした、これはお調べ願えればわかると思いますが、これを計画実行された方は何人でもないと思う。この人間の、わずかな人たち計画が誤まった考え方の上に立ってこういうことをされた。この事件をもって先ほど石原先生のお言葉の中にありましたことですが、この行為をもって全職員がすべてこういうような状態であり弛緩しておる、このことはいついかなる場合において大事故が発生しないとも限らない、こういう御発言がありましたが、まあお言葉にお返しするわけではありませんけれども、四六時中重大なる職務を遂行しております職員がすべてそういう考え方を持っているとは私ども考えておりません。むしろ現場の者はあの苦難な、今日のような労働過重の中においても敢然とダイヤをふやし、列車数をふやし、そうして挺進しておる職員の努力というものがみじんも現われてきておらない、その発言の中には、こういうことを私は悲しく思った。果してそのことが国鉄全職員がそのような弛緩した態度でいるというような印象を国民に与えることは今後私は国鉄事業の運営に当って職員のやはり意気にも関係すると思うのです。どうか一つそういう意味に立ってあえて職員の弁明をするわけではありませんけれども、とにかく今日の発生した事態については謙虚な気持で再びかかることを繰り返えさないという反省のもとに国鉄労組としては慎重な態度をとられていると思う。国鉄の労働組合事態がその問題を要求し、かつこれを実施したのではなく、いわゆる諮問機関である協議会の、いわゆる自分が日夜客車を持っている人たちが事情を知っているためにまあ何といいますか、安易な気持で国民の批判を買うとか何とかいう大きな問題と考えずに、いわば軽い気持で静岡へ持って行った、こういう事態なんですから、この問題については今後かかることのないように、われわれまた大いにその責任を痛感してかかる間違いのないように努力をいたします。また国鉄自身としても努力をすると思う。どうかそういう意味におきまして、今回の措置に対しては、真相を明らかにして、しかるべき措置をされることはけっこうだと思いますが、それは単なる下級職員のみ責任を負わせて、そうして事の真相を究明し切れないで終るということについては、どうか一つ慎重な態度で国鉄当局としても臨んでいただきたいと同時に、四十六万従業員がそのような気風の上に国鉄の運営に当っているとは私ども考えておりません。どうかこの点は、そういう立場に立って国鉄があたかも堕落していて、今にも事故が起きそうだという予感的な言葉で国民の前に臨んでいただかないように、切に要望して、私は質問を終ります。
  89. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私が先ほど申し上げた言葉につきまして、まあ若干柴谷君、誤解といいまするか、勘違いされておる点もあるようであります。私もちろん国鉄全職員のあの激職激務に対しては、私はほとんど一週間に一回ぐらい汽車に乗って往復しておりますから、もう重々感じておるわけであります。ただ、先ほど申し上げましたのは、こういうことをした者よりも、こういうことが行われるような事態になっておることについて、幹部にも非常な責任があるのじゃないか、幹部も十分自粛自省というか、反省の色も示してもらわなければならぬということを申し上げたんでありまして、こういうことが行われたことにつきましては、確かにこれはやはり全部じゃありませんけれども、弛緩の気持があったことは、私はこれは事実であろうと思う。そういうことが行われるに至ったについての幹部の私は反省を求めたのでありまして、その点は柴谷委員も一つ誤解のないように。四十六万の全従業員に対して、全部がこういう気持になっておるのだということを言ったんでないということは、間違わぬように一つしておいていただきたいと思います。
  90. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 本件につきましては、先ほどの御答弁で、近く真相が明らかになり次第、本委員会において発表する、こういうお話でございましたから、本日はこの程度にとどめたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二分散会      ―――――・―――――