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1958-01-28 第28回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年一月二十八日(火曜日)    午後零時四十五分開会     —————————————    委員の異動 十二月二十三日委員柴谷要辞任につ き、その補欠として安部清美君を議長 において指名した。 一月二十日委員安部清美辞任につ き、その補欠として柴谷要君を議長に おいて指名した。 一月二十三日委員後藤義隆辞任につ き、その補欠として西岡ハル君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     天田 勝正君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君    委員            植竹 春彦君            榊原  亨君            平島 敏夫君            廣瀬 久忠君            相澤 重明君            柴谷  要君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   政府委員    海上保安庁次長 安西 正道君    気象庁長官   和達 清夫君   説明員    運輸省海運局海    運調整部長   辻  章男君    海上保安庁警備    救難部長    松野 清秀君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (南海丸遭難に関する件) ○委員派遣承認要求の件     —————————————
  2. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それではただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について報告いたします。十二月二十三日柴谷要辞任安部清美補欠、一月二十日安部清美辞任柴谷要補欠、一月二十三日後藤義隆辞任西岡ハル補欠、以上選任せられました。     —————————————
  3. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 運輸事情等に関する調査のうち、今般突発いたしました南海丸遭難に関する件を議題といたします。  まず、政府当局より本件に関し説明を求めます。
  4. 安西正道

    政府委員安西正道君) まず、ただいま電報が入りましたので、その点につきまして御報告申し上げたいと思いますが、実は、昨日及びきょう、二日にわたりまして、ただに私ども巡視船のみならず、現地の底びき漁船百八十隻、それからまた南海汽船の僚船数隻及び海上自衛隊掃海艇五隻、航空自衛隊航空機、そういったようなものの応援を得て、ただいまいろいろと現場付近において船体を捜査いたしておりまするが、けさ早朝におきまして、一人死体が漂流しておるのを発見いたしまして、ただいまこれが同船のものであるかどうかについて確認中でございます。また、ただいま報告が参りまして、いわゆる底びき漁船のマンガにどうも本船らしい船体がひっかかったというような報告が参っております。深さが二十九メートルであります。従って、直ちに潜水夫を入れて、果して本船が沈んでおるかどうかということを確めたいというような段取りまで参っておりますことを御報告申し上げたいと存じます。  それからこの南海丸沈没事件原因でございまするが、この点については、いろいろ総合的に判断いたしませんとはっきりしない面がございまするが、しかしながら、一応当時の気象状況、あるいはまた潮流の状況等についていろいろ検討して、目下のところは推定でございまするが、遭難当時と推定されます時刻におきまして、この遭難のございました沼島の付近におきましては、海流流速が〇・五ノットというような流速でございまして、この付近といたしましては、最も潮の流れの強い時刻でございまして、この潮が南の方に抜けて流れておる。同時に気象の谷が、この付近を西南の方から北東の方へと抜けまして気象の谷がございまして、非常に強い風が吹いておりまして、三角波が立っておった。従って、流れは南の方に海流流れておりまするし、また気象は、風は北の方へと向って吹いておるというような最も悪い条件におきまして、ちょうど足を払われて船が転覆した、そんなような状況ではないかというように考えられております。  それから先ほど簡単に御報告申し上げましたが、この汽船乗組員は二十八名でございまして、その以外に乗客といたしまして百三十六名乗っております。合計いたしまして百六十四名乗っておったというような状況でございます。  それから私どものとりました措置でございまするが、二十六日の午後七時に小松島海上保安部南海丸遭難情報を入手いたしておりますが、即刻同保安部所属巡視船さよちどり」ほか神戸の第五管区海上保安本部管内巡視船十二隻が現場に急行いたしております。また二十六日の午後八時には、五管区本部捜査救難対策本部を設置いたしまして、本部長がみずから捜査活動総合指揮をとっておりまするが、二十七日の十六時に捜査救難対策本部現地小松島海上保安部に移しまして、警備救難部長が同地に参って総合指揮官として働いておるような状況でございます。また五管区本部より呉の海上自衛隊地方総監に対しまして掃海艇を動員していただいておりまして、ただいまでは五隻が協力して掃海中でございます。また広島から海上保安庁ヘリコプターが昨日一機飛んで、同地点を捜査いたしておりまするが、この以外に航空自衛隊から三機ばかり航空機が出動いたしております。本日は航空機を館山から一機派遣いたし、また舞鶴からヘリコプター現地派遣いたしまして、海上保安庁といたしましても二機ヘリコプター派遣、一機飛行機を派遣、そういうような状況でございます。その以外に昨日は百八十隻の現地漁船応援に来ておりまするが、これは本日も引き続いて応援をしておるような状況でございまして、先ほど御報告申し上げましたように、遭難船とおぼしきもののある地点をようやく発見しておるような段取りになっておるのであります。  以上簡単に概要を御報告申し上げました。
  5. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 以上、政府説明がございましたが、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと保安庁次長にお尋ねしたいのですが、新聞によると、今、あなたの発表した百六十四人のほかに未確認の者があるように出ておるのもあったのですが、そういうことは現在のところ、何ら報告を受けていないのですか。
  7. 辻章男

    説明員辻章男君) お答え申し上げます。ただいままで私どもの方で確認いたしておりますのは、次長の御説明と重複いたしますが、船員が二十八名、それから一応乗客が百三十六人と考えておりますが、その中で子供が五人入っておりまして、このうち二名だけは確認いたしておりますが、あと三名につきましては、なお不確かな点があるのでございます。今のところ、私どもではこの子供の五人のうち三人が未確定だというだけを疑点に持っております。
  8. 相澤重明

    相澤重明君 この乗客名簿とか、あるいは乗船をしたということはどこで確認をしたのですか。今言った子供がまだ三人未確認だというのだが、おとなの方のそういうのをどういうふうにして調べたのか、その点を御説明願いたい。
  9. 辻章男

    説明員辻章男君) これは小松島にございます南海汽船営業所名簿と引き比べて確認したものでございます。おそらく子供の点があいまいでございますのは、おとな優待券とか乗船券を買いますが、子供は無賃の者がございますので、そういう意味で未確認の者があると思います。
  10. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、何かこのほかに十人とか十一がおったとかおらぬとかいうようなことをちょっと聞いておったようですが、そういうことはないのですか。
  11. 辻章男

    説明員辻章男君) お答え申し上げます。お尋ねの点は、子供が当初十人程度というふうな情報が入ったのでありますが、それが今五人程度であろうというふうに変ってきた点で食い違いがあるように考えております。
  12. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますというと、汽船会社営業所の方で確認したのが以上である。そのほか、船員のほかには全然乗っておった者がないと、こういうふうに考えてよろしいのですね。
  13. 辻章男

    説明員辻章男君) さようお考え下ってけっこうだと考えております。
  14. 高良とみ

    高良とみ君 海運局の方でおわかりでしょうが、南海丸荒天時の航路をとったというところをみると、すでに荒天であるということを知って出港したと、こう認めて間違いないのですか。
  15. 辻章男

    説明員辻章男君) お答え申し上げます。これは先ほど衆議院運輸委員会でも問題になりまして、私どもの方でもなお詳細を確認いたしまして御報告申し上げることになっておるのでございますが、当時の小松島の状況を申し上げますと、十七時に徳島気象官署から強風注意報が出ておったのであります。それが、今まで私どもの方での情報によりますと、どういうものか、小松島の営業所ではその強風注意報を受けずに出港いたしております。それでそのときに強風注意報は受けておりませんが、そのときの出港した船長認識は、雨が小雨であって、それから少し風があるが、おそらくこの風ならば十メートル内外の風であろうという認識のもとに出港いたした模様でございます。
  16. 高良とみ

    高良とみ君 どうして小松島の営業所がそれを受けなかったかということは、何か無電の故障があったとか、あるいはその他落度について、お調べになったのでしょうか。
  17. 辻章男

    説明員辻章男君) その点、私ども少し不審に思いますので、なお調査して御報告申し上げたいと考えております。
  18. 高良とみ

    高良とみ君 徳島の午後五時の気象注意報ですけれども、これはどの程度だったのですか。きょうもだいぶ汽車の中で皆の話では、東京地方でも、湘南地区でもあと強風が非常に吹いたのですけれども、そのときの気象庁——あなたの方へお伺いして恐縮ですが、小雨程度、それからそんな強風というような印象はだれも受けなかったと、こういうのですが、どうでしょうか。
  19. 辻章男

    説明員辻章男君) 私どもの方で調べたところによりますと、徳島では、今夜半より風が強くなる、次第に西に変るであろう、明朝まで続く見込みで、海上ならば十五メートルないし二十メートルになるのではないかというふうな気象特報が出た模様でございます。
  20. 高良とみ

    高良とみ君 ときどき私も聞いていて思うのですが、非常にあいまいなんですね、その気象通報なり、天気予報なり、今夜半よりとは一体何時ごろというふうに判断したらいいのですか、夜半というのは十二時も二時も五時もあるし。
  21. 辻章男

    説明員辻章男君) これは今気象庁長官衆議院の方の運輸委員会でなお質問がございますのでおられるのですが、後刻お見えになりましたら、一つ気象庁長官よりお答え申し上げる方がいいかと思っております。
  22. 高良とみ

    高良とみ君 しかし、海運局としては、そういうことについて、ふだん常識的な、船長なりあるいは航海する者に御注意があるだろうと思いますが、私ども通常人として聞きますと、今夜半より風雨強かるべしと、こう言われたら、一体何時ごろと解釈したらいいのかわからないのですよ。夜半よりというのは今後改める必要があるのか、あるいはそれをどういうふうにとれといっておられるのですか。
  23. 辻章男

    説明員辻章男君) これは気象庁の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、気象庁長官からお答え申し上げた方がいいと思うのでありますが、ただ、この船の運航気象特報との関係につきましてお答え申し上げ、御説明申し上げたいと思いますが、これは昨年末から今年にかけまして、約十回程度、あの近海で気象特報が出ておりまして、それを受けました定期船海運会社がどういうふうな運航状況をやっておったかというのでございますが、その特報を受けまして、それから船長判断をいたしまして、この程度海上模様ならば出港を——航海が安全だという判断によりまして、むしろ欠航よりも航行した方が多いというのが、これは実績になっています。でありますから、おそらく船会社といたしましては、そういう気象特報が出たということも念頭に置きまして、その船長判断によって出港するかいなかをきめておるというのが現状でございます。
  24. 高良とみ

    高良とみ君 洞爺丸のときも私たちよく理解し得ないで過ぎたことでありますが、まあきょうは海難審判が何かあるそうですが、一体それは船長一人の判断によるのですか、それとも船を出す方の会社営業所長というようなものもこれに責任があるのですか、どっちに最後決定権があるのですか。そしてもう一つの点は、乗客にも知らせますか、その特報が出た——今回は聞いてなかったのですけれども特報が出たということについて、決定権はどちらにあるのですか。
  25. 辻章男

    説明員辻章男君) 乗客には普通そういう情報船会社としては知らせていないと思うのです。それから出港するかしないかでございますが、これは船長判断によって、出港し得るという場合に、大事をとってやめた方がいいということはございましょうが、これは非常に危険だというのを無理に出港しろというふうなことはございません。
  26. 高良とみ

    高良とみ君 そうすると、十メートルぐらいの強風あるべしということを思いながら、船長が全責任を負って出港する、こう考えまして、そのときには、会社に対しても出港するということは通知していくのでしょうが、それは最後共同責任になるのでしょうか、それとも船長独自の責任になるのですか。それは海に出てからは船長判断によるのでしょうが、その点はどうなんでしょうか。
  27. 辻章男

    説明員辻章男君) これはもちろん出港する際には、会社の方にも出港するということは申し出て参りますから、そういう場合に判断を誤まった責任でございますが、やはり船長責任を負う、こういうことだろうと思います。ただ、それがために大きな社会的な遭難等をした場合に、やはり船長会社使用人でざいますから、雇用者使用人といった——使用人の過失並びに会社責任になるということもございますから、そういうふうな社会的な責任におきましては、もちろん会社責任を負うということになると考えます。
  28. 高良とみ

    高良とみ君 なおもう一点お伺いしておきたいのは、先ほど気象警報特報のあった場合に、大体は普通出港しているというようにおっしゃっておりましたが、その点、これは常識判断として、国民の一人として考えると、非常に天候の激変の多い日本沿岸におきまして、事がなくいっているときには何も国民は思わないのですが、やはり十二分に用心をするというような、そのために出港しなかったというような方例があれば、海運局としても国民に対して顔がいいと思うのですが、それだけ用心しておる、用心したので、風が強くなってきたが事故がなかった、しかし、それは会社としては損であったけれども、とにかくこういうことでお客さんは会社費用において宿屋に泊めたということになると大へん美しいと思いますね。海外の航空会社の場合には、ちょっと故障があってもすぐ帰ってきて、会社費用において全乗客を向うのホテルに入れてそうして出かけていく、何時間後でも帰ってきますよ。そういう点が、そういういい方の例がおありでしょうか、ちょっと聞かせて下さい。
  29. 辻章男

    説明員辻章男君) これは今先生のおっしゃるように、非常に大事をとって、航海すれば安全に着いただろうというようなときにも航海をやめている例もあるかと思いますが、ただ、そういうことで航海をやめましたやつにつきましては、われわれの方に報告もございませんので、いつどういうときにあったかというふうな的確な資料は持ち合せていないのですが、先生のおっしゃったように、大事をとってやめたという事例もあるというように私どもは考えております。
  30. 高良とみ

    高良とみ君 今回の事件は非常な痛恨事でありますが、そのほか各沿岸に相当の犠牲が出たということにつきましては、よく海運局その他で海難救助ということを言っておりますが、海難救助団体もあれば、そのための予算もよく拝聴いたしておりますが、海難事故を予防するということに対して、海運局として今まで御検討になった何か資料でもおありですか。
  31. 辻章男

    説明員辻章男君) これは海運局として、特にそういう調査ということには当っておりませんが、それは運輸省といたしまして、役所機構で申し上げますと、海難審判庁が、これが海難原因を探求するという使命を持った役所でございまして、私どもは、その海難審判庁によって探求された海難原因というものを事あるごとに関係海運会社に知らせるというふうに活動して参っております。なお、そういう点につきまして、その金の問題が意にまかせませんので、ちょうど昨年の国会で、モーターボート競走関係の法律を改正していただきまして、これによりまして得ました剰余金の一部を海難防止にも使えるという御改正をお願いいたしまして、新しく海難防止のために新団体を発足いたしまして、この春ごろから、官民一体となって、なおその金を使いまして、有効に海難防止PR運動をやりたい、かように考えております。
  32. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それに関連して、海上保安庁次長安西君。
  33. 安西正道

    政府委員安西正道君) 海難防止につきましては、海上保安庁で常に施行いたしております。まず、いろいろの遭難ケース研究いたしまして、そうしてこれを漁船等船員にもわかりやすいような形でパンフレットにいたしましてこれを漁業組合とか、あるいは機帆船組合、そういう機構を通じまして、絶えず流しております。それから気象関係予報の施設も、若干ではございますが、海岸地帯に作りまして、きょうは天気が悪いぞ、きょうは航行を中止しろというような予報を絶えずいたしております。それからもう一つ、年に数回、全国各地に係官が参りまして、海難防止研究会という研究会を施行いたしまして、そうして各地方のこの運航関係人たちに、海難防止必要性について常に啓蒙いたしております。また、冬場でございますとか、あるいは秋の台風シーズン、そういう時期におきましては、各地方の各保安部あるいは本部、そういう機構で、関係会社方々にお集まりをいただきまして、絶えずその方面措置研究する、また、台風が近づきつつあるというふうなときには、その台風に対して、諸般対策を具体的に研究するというような研究会を持っております。以上でございます。
  34. 高良とみ

    高良とみ君 海難審判所がいろいろな資料を集めているというが、それはすべて事後処置なんですよ。そして今のような、モーターボートの収益を海難防止に使うというようなことだって、ごくわずかなものだと私は思うのです。そういう国辱的な、少し風が吹くと、今度のケースなんか、全く恥かしくって、世界にも話ができないような被害を招いておる。そのほか、事あるたびに、大きな台風でなくてもずいぶん海難が多いのですね。これに対して、運輸省としては、海難防止協会というようなものだけでは、とてもこれは常にあとを追っかけていって、事後帆置だ、これは国民としても納得し得ないことだと思うのです。モーターボートでもうかったものだけで海難防止PRというようなことでは、これは恥かしいと思うのです。そのほか、ヨーロッパでは、世界じゅう海に出て仕事をしておる国は多いのでありますが、もうちょっと御研究になりまして、突っ込んで一つそういう……。風が二十メートルなり、あるいは十五メーターの突風東支那海から来つつあるということについて……、気象庁にもあるいは海上保安庁にも、私はそのときにずいぶんいろんな方にある方面ではお目にかかったのです。保安庁方たちにもお目にかかったのですが、その人たちがみんな宴会なんかに出ているときにこういうことが起るのですね。こういう点は十分に御研究下さいまして、ごく少数のだれかれの責任に押しつけるわけにいきません。気象庁落度であった、あるいは徳島管区落度であったということはできないのでありまして、全体の機構として、海に出ておる国民の生命を守るという点で大きな欠陥がありはしないかと思う。それが、洞爺丸あり、紫雲丸あり、北川丸あり、そういう、後にまたこれを繰り返すということについて、遺憾ながら……、お互いに防止についてもう一つ協力してやっていただかないと、これは何とも世界に顔を向けられないように思うのですが、いかがなものでしょうか。それについて、一つ大へんやかましいことを申し上げるようで恐縮ですが、私どもの怠慢もありますならば、一つ何とかお教え願って、これが防止に行くように、そうして、あれは突風であったと言われるかもしれませんけれども、あれだけの強風が来つつあるならば、もう一つ、この狭い島国ですから、通知が行って、そうして悲劇を繰り返さぬような対策、抜本的な方策をお立て願うように、一つ大臣にお伝えおき願いたいと思うのですが、どうですか。
  35. 安西正道

    政府委員安西正道君) ただいま高良先生からお話がありまして、まことに恐縮に考えておる次第でございます。先ほど海運局の方から説明がありましたように、海難防止協会等を設立することを考えておりまするが、しかし、根本的には、やはり海上保安庁という機構がございまして、この政府機構で絶えずやってはおるわけでございます。しかし、何分にも、海上に働いておられる方々の数というものは非常に多いものでございますので、なかなか十分に手が届かないというような面もございます。また、制度上の問題につきまして、船員の養成でございますとか、あるいはまた船舶の検査でございますとか、いろいろ諸般の問題があろうかと考えております。また、気象の伝達の機構等につきましても、気象庁の発しました電報が、われわれの保安部で受信しておるのと、多少そこに通信関係か何か、ただいま調査中でございまするけれども、時間の食い違いがございまして、今回の場合に間に合わなかったというような点もございまして、こういう点を、十分に今回の経験に徴しまして、一そう関係者寄りまして研究して努力して参りたいというように考えております。
  36. 柴谷要

    柴谷要君 南海丸は、大体いつごろ建造されて、工費はどのくらいかかっておるのか、それから一つ
  37. 辻章男

    説明員辻章男君) 南海丸は、昭和三十一年の三月に進水いたしまして、それから同三月に竣工いたしております。工費は約一億三百万円でございます。性能は、ディーゼル機関、千四十馬力をもちまして、普通の航海速力十三ノット半でございます。乗客定員は四百四十四名、乗組船員が二十八名という船でございます。
  38. 柴谷要

    柴谷要君 二十八名の船員が乗っておられるけれども、この船員資格、もちろん、船長は乙二航海士となっておるが、その他二十七名の船員は、おのおの資格を所有しておる船員乗船されておるかどうか、その内容をちょっと知らしてもらいたい。
  39. 辻章男

    説明員辻章男君) そのこまかな資格船員内容につきましては、今資料を持ち合しておりませんので、後刻御報告申したいと思いますが、われわれの方で、そういう資格船員の点で違反であるかどうかという点をさっそく調べましたが、この点につきましては、船員局に照会したのでございますが、違反の事実はないというふうに伺っております。なお、内訳につきましては、後刻御報告いたします。
  40. 柴谷要

    柴谷要君 南海丸小松島−和歌山間の就航回数は大体何回くらいですか。
  41. 辻章男

    説明員辻章男君) 遭難いたしますまで九十航海をいたしております。
  42. 柴谷要

    柴谷要君 一日の回数は。
  43. 辻章男

    説明員辻章男君) 一日三航海でございます。
  44. 柴谷要

    柴谷要君 小松島−和歌山間の航路は、南海汽船だけではなしに、ほかの船も通っておると思うのだが、何社この間航行しているか。
  45. 辻章男

    説明員辻章男君) これは南海汽船以外に宝海運という会社がございまして、これが徳島和歌山、海南の航路をやっております。
  46. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、少し問題をお尋ねしておきたいと思うのだが、新聞によるというと、小松島−和歌山間の客争奪のために危険を冒しての運航が非常に多い、まあこういう新聞が出ています。それからもう一つは、小松島海上保安部が再三にわたって警告を発している、こう新聞に出ているのだが、これらの内容について、知る範囲を一つ教えてもらいたい。
  47. 辻章男

    説明員辻章男君) 海上保安庁関係につきましては、海上保安庁から御答弁になると思いますが、いわゆる競争関係でございますが、これはむしろ小松島と和歌山間との競争といいますよりも、大阪から小松島間、これは今おもに関西汽船とそれから阿波国共同汽船というのが配船いたしておりますが、むしろ航路としましては、この阪神間と徳島小松島というものを船で直行するか、あるいはこの南海汽船によりまして、和歌山で電車に中継してやるかということにおきまして、いわゆる競争関係に立っているわけでございます。ただ、新聞紙上でいわれますように、そういう意味では確かに競争意識はあると思いますが、そのために危険を冒して云々というふうなことは絶対ないとわれわれは考えております。
  48. 安西正道

    政府委員安西正道君) 小松島海上保安部がこの航路についてどんな措置をとっているかという点につきましては、まだわれわれ確認いたしておりません。従いまして後刻調査いたしまして御報告申し上げたいと存じます。
  49. 柴谷要

    柴谷要君 新聞が伝えておりますように、小松島海上保安部では、再三にわたって警告をしておるというのだが、その警告の内容は、海上保安部としても、どういう警告を何回出しているかという内容について、次回の委員会等に必ず資料として出してもらいたい。  それから大体小松島−和歌山間で南海汽船が一日三往復やっている、この事実を通じてこの輸送状況を掌握されておりまするか。大体一航路二百名なら二百名で三往復なら六百名、そういうふうなものの月間なり、年間なりをおとりになっておられますか。
  50. 辻章男

    説明員辻章男君) 今、手元にございませんので、後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。
  51. 柴谷要

    柴谷要君 それから同日南海丸が危険を冒して出帆したのですが、そのときの状況が、船長営業所長に対して、風が非常に強いから大事をとりながら、いわゆる陸に近づいて運航をしていくと、こういうことを言って出帆されたというようなことが新聞に書いてあるのだが、そういうような事実が確認をされているかどうか。確認されているならば一つ……。
  52. 辻章男

    説明員辻章男君) そういう事実は確認をいたしておりませんが、やはりあの航路はときどき強い風が吹きますので、大体会社としましては、非常に平穏なときの航路と、それから多少海が荒れたときの航路と二つ考えておりまして、風の多少強いときには淡路島に近い航路をとっておったようでございます。それであの船の遭難したときの航路もやはり淡路島寄りの航路をとっておったようでございます。そういうことを営業所長と話し合って行ったかどうかにつきましては確認をいたしておりません。
  53. 柴谷要

    柴谷要君 同日、逆コースの定期船は、非常に風が強いというので、運行を中止しておるけれども南海丸は中止せず出帆した、こういうことだが、こういうことだが、逆コースの方の船の判断船長がされて中止をしたのか、この点がはっきりしておったならば聞かしてもらいたい。
  54. 辻章男

    説明員辻章男君) それは当南海丸が実は同日十三時に和歌山を出まして、徳島に十七時に着いております。それから十七時半に出港をいたしまして遭難したわけでございますが、その後、徳島から二十二時に宝海運の船が和歌山の方に出港の予定でございましたが、これは欠航いたしております。
  55. 柴谷要

    柴谷要君 和歌山から小松島に向って出る船が、これが中止をした、こう新聞に出ておる、やや同時刻に。ところが、南海丸は無理をして出帆した、こういうふうに新聞は報じておるのだが、その点はしっかり確認されておりますか。
  56. 辻章男

    説明員辻章男君) 同時刻和歌山を出る船が欠航したということは確認いたしておりません。おそらくそういうスケジュールはないと思っておりますが、なお確かめましてお答え申し上げます。
  57. 柴谷要

    柴谷要君 何というか、瀬戸内海で最近起きた事故以来、運輸省としても、非常に近海航路の特に定期船につきましては、厳重な検査もし、再びこういうような事故の発生しないように非常に努力をしておるということで、この前の運輸委員会で皆さん方の決意を聞いたが、こういう不祥事態は、まあ注意をし、また皆さん方が緊張してやられておっても、船の運航については、船長の権限によって出港したり、あるいは中止したりする権限がある。いわゆる自己の技術が優秀なために、まあまあこの程度ならばということで、多分技術優秀な船長だと聞いておるから出港されたと思うのだが、その際に、いろいろの判断をやはり船長にまかせっぱなしでおくのか、それとも他に相談をするような、いわゆる営業所長等にも、一応船長がその状況を伝えて出港を中止するとか、あるいは出港するとか、こういう状況判断の決断を下すときには、多少の意見を徴する人があるのかないのか、こういう点についてお調べになっておられますか。それとも全然そういうことは知らないと、こう御回答になりますか、お尋ねいたします。
  58. 辻章男

    説明員辻章男君) これは本件に関しまして、南海丸の出港につきまして、そういう事実があったかどうかは確認いたしておりませんが、これは船会社の一般的なやり方といたしましては、大体船長がこの程度ならば行けるということの意見を述べれば、特別の事情がない限り、大体出港をさすというのが一般のやり方のようになっております。
  59. 柴谷要

    柴谷要君 事故が発生して、非常に不祥な事故が起きたということを新聞に書き立てられて問題になり、いつも国会に取り上げられておるのだが、それに付随して、実は遭難救助といいますか、捜査といいますか、こういう事故に対して海上保安庁の船が非常に貧弱で、ボロ船で、波が高いと十分な捜査ができない、こういうことが新聞に書かれておるのだが、実際に海上保安庁として捜査並びに救助というような場合に、万遺漏ない態勢になっておるかどうか、その点もお聞かせ願いたいと思います。
  60. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 今先生がおっしゃいましたようなことが新聞にも出ておりますし、私も見ました。現在海上保安庁は、巡視船と称するものは全部で九十三隻ございます。そのうちには旧海軍当時使っておりましたいわゆる駆潜特務艇と称する太造百トンぐらいのもの、船令も十三、四年でありますが、こういうようなものが二十隻も含まれておる、こういうような状態なんです。九十三隻という隻数だけから見ましても、これはもう現在の海難発生状況、それから海難ばかりでなしに、警備関係の仕事もございますし、これがもう九十三隻が全部優秀な船でありましても足らぬのですが、なおまた、今の九十三隻のうちにはそういう船もあるということです。ですから、今度の事件に際しましても、第五管区本部を中心にしまして、その隣接管区等の船もまじえまして、出れる船はとにかく全部出そう、こういうことで先ほど次長から説明しましたように、今回の事件に際しまして十二隻に対して出動命令を出したのですけれども、しかし、そのうちには相当やはり性能の悪いのも含まれておるということで、十二隻出動命令を出しましても、それじゃ全部がすぐ出たかと申しますと、当時もやはり相当吹いておりましたし、すぐには出られぬ船も若干あった、そういうような実情でございます。
  61. 柴谷要

    柴谷要君 われわれが十分探求したから結論を出すというわけにいきませんが、大体の状況判断から推して、どうも船長のいわゆる判断が誤まった、こういうようなのが一番どうも高いように思われるのだが、現在までの運輸省の調べの中では、やはり船長状況判断を誤まってこういう遭難が発生したと、こういうふうに今お考えになっておられるか。それとも他に重大な過失が発見されようとしておるか。この点について知る範囲のことをお知らせ願いたい。
  62. 安西正道

    政府委員安西正道君) これはもう非常に重要な問題でございますので、監督官庁である海運局といたしましても、また取締り官庁である私どもの出先機関におきましても、現在調査中の事項でございます。従いまして、果して船長責任があったか、あるいはほかの方に責任があったかという点については、ただいま御答弁はできないわけでございまするが、ただ、どうもああいう突風が、四十メートル近くの突風海上に吹くという事態は、あの当時の気象判断からして非常に困難ではなかったろうか、というふうに考えております。従って、相当不可抗力に基く要素が大きいではないかというような想定をいたしておりまするが、こういう点につきましては、非常に重要な点でございますので、調査してから御報告さしていただきたいと考えております。
  63. 柴谷要

    柴谷要君 どうも船の事故ともなるというと、不可抗力という言葉がよく出るのですが、少くとも港に停留しておる、あるいは港付近を航行しておる、こういう状況のときには不可抗力ということもある程度考えられるのですが、かなりの強風の中を無理押しをして出港して、そして途中で受けた遭難ということになると、今次長の言われたような、不可抗力ということにはほど遠いのじゃないか。こういう場合には十分に原因を探求されて、再度こういう事故の発生しないように、やはり責任の所在を明らかにすることがまず第一だと思う。そして問題をあいまいにすることなく、十分一つやってもらいたいと、これが一つの要望です。  それからもう一つは、ややもするというと、基礎の大きい国鉄であるとか、その他大きな会社であるというと、遭難者に対する弔慰というものも相当できるわけです。ところが、何々会社の傍系で、資本金が小さいのだというような理由づけのもとに、遺族に対する弔慰等が非常に今日まで各所でやられておる。まことに弔慰というような額じゃないと思う。こうしたような問題は十分運輸当局としても、もうできたことは仕方がないということでなく、これらの不祥事態に対して、十分発生させた会社等に対しては責任を負わせて、そうして十分な弔慰のできるように、運輸省としてもしかるべく処置すべきだと、こう思う。これらの点について、見解があったらお述べをいただきたいと思う。
  64. 安西正道

    政府委員安西正道君) 補償の問題につきましては、辻君から述べてもらうことにいたしますが、事故原因につきましては、ただいま小松保安部を中心にいたしまして、いろいろ研究いたしておりますから、研究ができ上りましたら御報告できるだろうと考えております。また、同時に、いろいろな物理的、化学的な判断も必要かと考えまして、本日波の状況等調査せしめるために、水路部の明洋という船を現地派遣いたしまして、必要な科学者を乗せまして現地派遣いたしております。従いまして、相当いろいろな根本的な原因の究明もできるのではなかろうかというように考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  65. 辻章男

    説明員辻章男君) 遭難者の弔慰につきましては、私どもといたしましても、できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと思っております。なお、これに関連しまして御報告申し上げますと、幸いこの会社は一人当り二十五万円の保険に加入いたしておりまして、これは第五北川丸のときのように定員過剰というような法令違反のことは今のところ考えられませんので、これはそっくり、少くともその分は遺族の方にお渡しできると考えております、なお、それ以上、できるだけ御趣旨に沿うように努力したいと思います。
  66. 江藤智

    ○江藤智君 この航路航海回数は、一日に三航海となっておりますが、このダイヤはどういうふうになっておるのですか。
  67. 辻章男

    説明員辻章男君) 小松島発の方から申しまして、八時、それから、十四時……。
  68. 江藤智

    ○江藤智君 八時に出て何時に着きますか、和歌山へ。
  69. 辻章男

    説明員辻章男君) 八時に出まして、和歌山へ十時三十分でございます。
  70. 江藤智

    ○江藤智君 その船が何時になって折り返してきますか。
  71. 辻章男

    説明員辻章男君) これが十三時五十分に和歌山を出まして、十六時二十分に小松島に着くわけでございます。それから、その船が十七時三十分に出まして、二十時に和歌山へ着いております。それからもう一つの便が、和歌山を九時半に出まして、十二時に小松島に着いております。
  72. 江藤智

    ○江藤智君 それが小松島のもう片一方の船ですか。それが今の場合は南海丸ですか。
  73. 辻章男

    説明員辻章男君) これが当日では南海丸でございます。十七時半に出まして……。
  74. 江藤智

    ○江藤智君 それから、わか丸という方は、その日は……。
  75. 辻章男

    説明員辻章男君) 九時半に和歌山を出まして、十二時に小松島でございます。それが十四時十分に小松島を出まして、十六時四十分に和歌山へ到着するわけでございます。
  76. 江藤智

    ○江藤智君 それからもう一つこれが出るわけでしょう。
  77. 辻章男

    説明員辻章男君) その船が十九時に和歌山を出まして、二十一時三十分に小松島に着くわけでございます。
  78. 江藤智

    ○江藤智君 それで、このわか丸が十九時に出るのですか。
  79. 辻章男

    説明員辻章男君) さようでございます。
  80. 江藤智

    ○江藤智君 運航停止になった船が……。
  81. 辻章男

    説明員辻章男君) これは十九時に和歌山を出ます分は、当日は欠航したわけでございます。
  82. 江藤智

    ○江藤智君 それから南海丸の方は……。
  83. 辻章男

    説明員辻章男君) 南海丸の方は、十七時三十分に出まして、二十時に着くのが遭難したわけでございます。
  84. 江藤智

    ○江藤智君 そこで、この航路は御承知のように南海電鉄と連絡しているので、普通の航路以上にダイヤによって動いている航路なんですが、これがどちらも出て、たとえば遭難するとか、あるいはどちらも欠航するというのが、これくらいの非常に狭い航路ですからして、まあ同じ判断であるべきだと思うのです。それが一方の方は、出て遭難したといい、一方の方はもう初めから欠航しているということについて、何かお調べになった結果がありますでしょうか。
  85. 辻章男

    説明員辻章男君) これは和歌山の方を出ますのは、十九時でございますので、相当強風が吹いておったから出なかったのではないかというふうに想像しておりますが、今御指摘のございました十七時三十分の南海丸との関連におきましては確認はいたしておりません。
  86. 江藤智

    ○江藤智君 一つその点の何か判断資料——たとえば気象通報の伝達の状態において差異があったか、なかったか。たとえばこの資料で拝見しましても、徳島側の方と和歌山側の方との気象注意報の発令の時間も一時間違っておりますね、徳島側の方がおそい。しかも、片一方は、十七時に発令になって、出港は十七時半でしょう。三十分しか余裕がない。片一方の方は十九時に出港する予定の場合に対して、もう十六時には発令になっているから、その間に三時間ある。だからその気象通報の発令から船の出るまでにだいぶ時間の差がありますし、そういうことで船長判断をさせるのに、何か差があったのじゃないか。普通で考えますと、むしろ和歌山の方が、電車の接続のお客が来ているのだから、乗っけて間もなく出なければいかぬというような精神的な負担もあるのじゃないか。小松島の方は、出るだけですから、きょうはもうやめたと言って——途中じゃないのですから……。むしろ和歌山の方が船長あたりの精神的な負担という面においては責任を感ずるんじゃないか。その和歌山の方でさえやめているのに、なぜ小松島の方は、無理して出なければいかなかったかというところに私疑問があるわけなんですが、そういう点について、何かお調べになったことがありますでしょうか。
  87. 辻章男

    説明員辻章男君) この点、実は和歌山側といたしまして、どういう判断をいたしたか、確認してないのでございまして、この点は調べまして御報告申し上げますが、実は十八時三十分に南海丸からSOSの電波を受けまして、この船もすぐに現場に急行したものですから、いわば和歌山の方の出港する予定であったかどうかにかかわらず、救助におもむいたものですから、事実上欠航したわけでございます。そういう点、どういうふうに和歌山の方で判断をしておったかどうか、その点は調べましてお答え申し上げたいと思います。
  88. 江藤智

    ○江藤智君 そこで、徳島の方の気象注意報は、十七時に発令になっておりまして、船は十七時半に出港したということになりますと、もう船長は船に乗り込んでおるし、まあラジオでも聞いて確認したかどうか知りませんが、気象台と、それから会社との間には、特にそういう気象通報をするような、特定のルートといいますか、そういうものはできておったのでしょうか。
  89. 辻章男

    説明員辻章男君) この点、先ほどもちょっと申し上げましたが、どういうものか、南海丸の出港におきましては、小松島の営業所では、徳島気象台の気象通報を受けてないのでございます。で、その点が、一般のラジオでも放送したらしいのでございまして、その辺、どうして入手できなかったのかにつきましては、よく調査いたしましてお答えしたいと思います。  それから気象台との特別な通報の関係でございますが、これは現在は任意に気象台との契約を結びまして、そこと特約があれば、そういう一般の民間のところへは、特に電話その他によって通報するという制度に相なっておるわけでございますが、この点も確認しておりませんので、これも調査いたしまして御報告申し上げますが、今のわれわれの判断では、そういう特約を南海汽船小松営業所ではしてなかったのではあるまいかという想像をいたしておりますが、なお、よく調べましてお答え申し上げます。
  90. 江藤智

    ○江藤智君 まあその点は十分調べていただいてからにしませんと、ここで軽率にその判断については申し上げられませんけれども、まあとにかくこれは電車とも接続して、大阪と四国を結ぶ一つの大きなルートなんですからして、国鉄あたりでやっておりますように、やはり気象通報というものを的確にルートに乗せて早く責任者の船長に通ずるというような方法がぜひ必要であろうと思われるので、その点、十分お調べになり、またその結果によって疎漏があるならば、そういう点をはっきりさせるように一つ御指導願いたいと思います。
  91. 成田一郎

    ○成田一郎君 一点だけ確かめておきたいのですが、さっき海上保安庁次長の御答弁というか、説明の中に、遭難の当時に四十メートルくらいの突風が吹いておったというふうに私は聞いたのですが、私の聞き違いならそれでよろしいのですが、もしそうだとすれば、四十メートルの突風が吹いておったということをどうしてお認めになりましたか、これは非常に重大な点ですから、確かめておきたいと思います。
  92. 安西正道

    政府委員安西正道君) これはまだ、実は先ほどはっきりしたように申し上げましたが、四十メートルであったかどうか、その現地状況確認いたしておりません。ただ室戸岬灯台あたりの付近でその程度の風が吹いたということを報告がございましたので、御報告申し上げたわけでございます。
  93. 松浦清一

    ○松浦清一君 今の風速の関係ですが、海上保安庁から出ておる沈没事件概要の「当時の気象状況は、南々東約一五米で、小雨、」、これは風速のことでしょう。
  94. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) ここに書いてあります「南々東約一五米」と申しますのは、これは私ども小松島海上保安部から保安庁へ来ました報告にあるのですが、これは約十五メーターと書きましたのは、これも小松島の保安部で大体小松島で吹いておる風の強さを当時の天候等から推測したものにすぎないと思います。むろん現場で南々東十五メーター吹いておったかどうかは、これは確実なものじゃございませんので、その点御了承願いたいと思います。大体そのくらい吹いていただろうということを出先から言ってきております。
  95. 松浦清一

    ○松浦清一君 沈没の原因を究明するのに、その当時の船の位置における風速というものは非常にこれは重大な問題だと私は思います。ですから、どういうふうな調べ方をしてもどうしてもわからぬというのは、これはどうしようもないのですが、これを一つわかるようにできるだけの努力をしてもらいたいと思います。この南海丸が沈没をした直接の原因については、今のところ、風浪のために転覆をしたというような非常に強い世論がありますけれども、私はまだそう即断する段階ではないと思います。かりに、もし保安庁で予想されるように十五メーターの風速であれば、船というものはそれで転覆するものではないのです、そのくらいでは。果して強い突風によって転覆をしたのであるか、あるいは船体の損傷によって浸水をして沈没したものであるか、あるいはその日二十六、七隻も船が遭難をしておるのですから、ほかの船との衝突によって沈没をしたのであるか、これはまだまだ研究をしてみないと即断のできる段階ではない。私はあえてそういう原因について今究明しようとは思いませんが、ただ問題になるのは気象通報の伝達方式ですね。今御説明を承わるというと、会社気象台との特約のあるものについては、電話等によって連絡をするけれども、そうでないものにはしておらぬというふうに承わったのですが、今まで新聞等に現われておる記事によるというと、徳島気象台から五時に強風注意報が発令されて、そうして小松島の海上保安部南海汽船小松営業所にそれを伝達したのは六時だという。そこに一時間の時間の相違があるわけですね。しかも、五時に発令をされておるのに五時半には船が出帆して、そうして保安部から営業所に伝達したときには出帆して、いなかった、こういうことです。もしかりに、この原因を究明した結果、強風による、突風による沈没であるとしたならば、この間における強風注意報の伝達方式に非常に大きな欠陥があったように思われるのであります。これは将来のことを考えて私は言うのですが、その辺のところ明らかになっておりますか。五時に発令されたのが営業所に伝達されるまで保安庁のところで一時間握っておったのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  96. 安西正道

    政府委員安西正道君) この点につきましては、先ほど衆議院運輸委員会でもいろいろ御質問がございまして、気象庁の方では五時に発令したわけでございますが、実は私の方の保安部署が受け取っておる電報時刻を見てみますと、だいぶおくれておるようであります。そこで、その点をもう一度はっきり確認してみたいと思います。それから御報告申し上げたいと思います。  それからもう一つ気象の伝達の組織でございますが、これは先ほど辻調整部長からちょっと御報告がありましたが、実はこの点も明確でございませんので、私の方の出先官署の報告によりますと、この船会社徳島気象台との間には、気象通報の契約が結んであったということを聞いております。気象庁長官の話では、結んでない、その点にちょっと食い違いがありますので、この点もあとで調べてから報告させていただきたいと思います。従いまして、もしかりに、会社気象台との間におそらく私はあったのじゃないか、気象通報を受ける契約が成立しておったのではないかというように考えておりますけれども、それと同時に、私の方の保安部署におきましても、その部署の管下の船会社に対しまして、気象台から受けました気象通報については、随時通報するようにいたしております。しかし、船会社とおそらく気象台との間には、直接の通報組織が成立しておったのではないかと私は推定いたしております。
  97. 松浦清一

    ○松浦清一君 もしも、気象台とそれから船会社との通報伝達の商業的な契約が結ばれていないというような場合には、気象庁だとか保安庁だとかは、船会社に伝える義務とか責任とかいうものはないのですか。
  98. 安西正道

    政府委員安西正道君) 気象庁としては、その契約がないと特別の気象通知電報というものは伝達する義務は私はないと思います。放送等によっても周知いたしておりますので、それによって十分船はキャッチできる組織になっておるのではないかと考えております。また、私どもの管下の保安部署におきましては、これは通知する義務はございませんけれども、通知させるように従来やらしております。それから各管区本部では、気象台から出る気象通知を絶えずキャッチして、それを短波で、無線で放送して、海上における船舶に気象通知をするようにいたしております。
  99. 松浦清一

    ○松浦清一君 そういうことになりますと、南海丸はたしか十六時に小松島に入ったのですね。十六時に入って十七時半に出帆ということは、一時間半の停泊時間、そして保安庁やそれから気象庁に警報の伝達をする義務がないとするならばだ、そのときに船のラジオが故障しておって聴取することができなければ、それはもうお前は不注意だったんだから仕方がない、こういうことになるのですか。
  100. 安西正道

    政府委員安西正道君) 先ほど申し上げましたように、できるだけ私の方では、義務はございませんけれども、通知するようにしております。しかし、本件の場合におきまして、強風注意報が果して間に合ったか間に合わなかったか、こういう問題につきましては、目下調査中でございますので、調査いたしましてから御報告したいと思います。
  101. 松浦清一

    ○松浦清一君 その点がちょっとあいまいなので、ぜひそれを調べて確かなところの御報告を次の委員会で願いたいと思います。問題を分けていいますと、海上保安庁にも気象庁にも、船舶に対して警報の伝達をしてやらなければならぬ義務はないということ、これは明らかになりました。これがいいか悪いかという問題については、後ほどの問題にしておきます。新聞で報ぜられておることは、世間でもそうだと思っているのですから……。五時に警報が発令されてから一時間後の六時に保安庁から営業所に伝達された。その間、一時間の間警報はどこでもたついていたか、その点を確認してもらいたいと思います。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは予備審査と思いますが、これは実情をもっともっと把握し、またいろいろな資料をいただいてからでないと本式な質問はできないわけですが、先ほどから伺っておりますと、不可抗力だというようなお話です。こういう問題が起ると、いつも不可抗力という暗箱の中に投げ込んでしまう、今度の問題も不可抗力だということにお考えになっておるのでしょうか。これは重大な問題じゃないかと思います。こういう問題が起るたびに不可抗力——これで問題を全く暗箱の中で不明瞭にしてしまう、こういうことが累積して、そしてまた起る。第五北川丸の問題、この前質問をやったのですが、あれから半年たって、またこんな問題が起っているわけです。不可抗力というような点で、どういう点が不可抗力ですか、その条件ですか、あなた方がお考えになってる条件をあげていただきたい。
  103. 安西正道

    政府委員安西正道君) 先ほど一応の推定を申し上げまして、それが大へん問題になりまして恐縮でございますが、ただ、当日の気象と、あの地帯における海流状況から考えまして、どうも予見できないような気象状況に置かれたんではないかというような推定でございます。ただ、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、明洋等を派遣いたしまして、波の研究であるとか、あるいはまた気象庁と連絡いたしまして、その当時の海上における状況等をできるだけ収集いたしましてから結論を下したいと思います。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局、推定に基くこれは判定なんで、しかし、これを不可抗力と判定する根拠もないわけですね。今のところは、確実なそれに対する裏づけはないわけですね。だから不可抗力などという言い方でこの問題をやっぱり最初から臨まないように僕はしていただきたい。かりに不可抗力だとしても、それを追及して、科学が発達すればこれは防げることなんだ。われわれは防げるという前提に立たないでこういうことを追及してみても無意味なんです。こういう点で、心がまえとして、あなたたち責任というような片から問題をお考えになって、問題を暗箱に投げ込むというような態度をおとりになるべきじゃないと、問題を、あくまでも真相を究明して、そして今後の事故を防ぐ、こういうところにあると思うんでありますから、そういう点でやっぱり不可抗力という言葉は撤回すべきじゃないかと思うんです、現段階で。そういう点でも、いろいろ二、三の先ほどから同僚議員によって質問された点についても、非常に不明瞭なんですが、風速の問題とか、それから警報のニュースの問題、その義務がどうなのかという問題、それから気象台というのは、一体国民のサービス機関でないのかどうか、そういう問題について、そういう義務はないんだと、契約がなければ義務がないんだというような形で一体いいのかどうか、そういうことが一体許されるのかどうか、こういう問題もたくさん含まれておるわけですから、これはいずれ後刻明らかにしたいと思います。  もう一つ、こういう問題のときの監督機構ですね。これは実は大臣でも出席していただいてはっきりお聞きしなくちゃわからないと思いますが、これはどういうふうになるんですか、この体系がわからないんですね。今、まあ責任者として船長だということになっておるでしょう。いつでもこういう問題が起るというと、現場におけるこういう職員が責任者だということで、どうも、もっとより大きな責任者が私はあるんだと思うんですが、そういう人たちは不問に付せられるというのが今までのやり方じゃないか。それで船長は今のところ残念ながらなくなられておられるし、死人に口なし、全部そこにまた問題を投げ込んで責任回避ということじゃまずいと思うんですが、大体こういうような民間の事故が発生したという場合においての、運輸省側の監督官庁としての立場はどういうことになるんですか。この関連について一応、私よくわかりませんので、この点を今わかっている範囲内でけっこうですけれども、これは明らかにしてもらいたいと思います。
  105. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それは希望でいいんですか。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや、ちょっとやっぱり話していただきたい。
  107. 辻章男

    説明員辻章男君) すべての責任船長に押しつけるという考えをしているわけじゃないのでございますが、ただ、ある一定の気象条件の場合に、当該航路で安全に航海できるかどうかという点につきましては、船長の意見というものが非常に有力になる。でありますから、かりにこういう条件ではとても航海には自信が持てないということを船長が言えば、それを会社の首脳部においてぜひ行けというふうなことは起り得ないという建前になっておるわけでございます。で、もし船長が行けるということで行った場合に、こういう遭難事件を起しまして、それは船長責任会社の上には責任がないのだということではならぬと考えております。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 何というか、やっぱり危なっかしいところです。これは経験主義に立っておるわけです。もう少しこういう問題を科学的に明確にしなければいけないと思います。船長のいわば今までの手腕と経歴と、そういうものが非常にこういう問題を決定していて重大な要素になっておるわけですね。私は非常にやっぱり危ない。先ほどそういうところから不可抗力というような言葉が飛び出すんじゃないか。しかし、これはやはり科学的にこういう問題をもっと明確にしておくということがない限りは事故は避けられないんじゃないか。なるほど、今まで事故を起したことがない、多年の経験がある、しかも、優秀な技術家だ、こういうことで船長にまかせたかもしれぬけれども、やっぱりそれは人間の経験の範囲内で、その船長にもいろいろな身体の条件もありましょう。年令によってそれは能力のいろいろの衰えということも考えられる。そういうところで今されておる行政の仕方に私は問題があると思う。当然会社との関係ですが、私のお聞きしたいのはもう一つ会社に対してこういうような航路を許し、それから船の監督、検定までやりまして許しているつまり監督官庁としての立場を伺いたい。監督機構というものは十分なのかどうか、こういう点ではどういうようになっておるんですか、こういう問題が起った場合に、これは民間だから会社やあるいは船長責任だということでは済まないような気がするんです。常にどの程度これが監督の体制が成り立っているのか、これは非常に抽象的な質問でありますけれども、こういう点について、何かお感じになったことがありますか。
  109. 辻章男

    説明員辻章男君) 運輸省といたしまして、こういう遭難事件等に対する平生の行政措置でございますが、これにつきましては、船舶の安全性につきましては、定期的に検査をいたしまして、船の安全というものを、特に旅客船につきましては厳重な検査をいたしまして、絶えず船の安全を保つようにやらせておるわけでございます。それで運航の面につきましては、これはどういうりっぱな船でありましても、大暴風等に耐え得るようなものではございませんので、これはおのずから運航判断につきましては、運航業者の良識を待つというのが現在の状況でございます。
  110. 松浦清一

    ○松浦清一君 今のことに関連して。船長と、それから船会社との船舶運航に対する責任の問題ですね、これはこの前のときにも、洞爺丸、紫雲丸、第五北川丸のときにもずいぶん問題になったんですが、意見を述べたり、御意見も伺ったんですが、法律上からいえば、船舶運航の絶対の権限を船長は持っておるわけですから、これは条件が悪いということで出港をしないで済む、形式的に考えたらそういうことになっておる。しかし、船長会社とはやっぱり雇用関係にある。船長会社に雇われている。従って、四時に入った船がもう五時半に出帆しようとするためには、四時ごろには早い者は来て、切符を売っておるわけです。乗客というものが詰めかけている、そういう条件のもとで、少々船長が条件が悪いから見合したらどうかと思っても、この状況なら出帆してくれという、こういう会社の営業上の制約が船長の意思に加わってくるということは、これは当然な話だと思う。これからしばしば国会の中でもその点については問題になると思うのですが、保安庁の方も海運局の方も、船長責任云々ということについては、よほど慎重な判断をして御答弁をなさらぬというと、これは問題である。これは、私意見として申し述べます。
  111. 天田勝正

    委員長天田勝正君) これは答弁を望みますか。
  112. 松浦清一

    ○松浦清一君 いや、けっこうです。
  113. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それでは、私からも二、三伺っておきたいと思うのですが、まず、私は洞爺丸事件、紫雲丸の事件等について、本院として現地に見舞に行った当時、議運の理事をやっておりましたのでこれに参加をいたしたのでありますが、それらの審議をする場合は、起きたらすぐ翌朝相談をいたしておる。そういう早い期間に相談をするにもかかわらず、きょうほど、調査をしてからお話を申し上げますとか、未確認だということのお答えの多いことは、私の経験ではかつてなかった。それから、もう日をおかずして直ちに、洞爺丸事件等のごときは、現地に飛んで行っても、海上保安庁は、かくかく徹底した警告を発したと、気象庁はこうやったというようなことで、それらなど、まあ、しろうとが聞いても、そう間然するところはなかった。ただ、現地の幹部が、あの強風の中にも洞爺丸が出港するというのに寝ておったといったようなことが遺憾な点でありますけれども、いずれにしても、事態としては、そう未確認なんというのはたくさんないですよ。ところが、今度はあまりにそれがあり過ぎる。ちょっと委員各位の質疑の中を拾ってみても、気象の伝達の問題にしても、まことにこれは不可思議なんだな。会社強風注意報を知らなかった。これを新聞で見たら、だれでも驚いたに違いない。かりに、最終的な責任がどこにあるかを議論する前に、人命を預かる会社というものが、契約がどうあろうとこうあろうとも、それをいつも積極的に気象通報などはキャッチするような責任を持たないところに、一体航路を認可していいのかどうか。その責任がまた運輸省にある、当然そういうことに私はなってくると思う。かりに、それが会社にも責任があれば船長にも責任があろうし、その場合に死屍にむちうつなんということでは解決はいたさない。こういうことは、私はすぐ大阪の海運局へでも連絡して、その中継ぎでもすぐ運輸省はキャッチできる問題である。これを今会社側を責めてもなんだからあなた方を責めるのだが、こんな不思議なことが、今、松浦委員から指摘されたけれども、一時間も放置しておいたとか、こういうような問題ですね、これは、なぜ今ごろ、きょうは翌朝じゃないのですよ、もうすでに一日を置いておるのだな。一昨日のことをきょうやっておるにもかかわらず、しろうとが新聞を見ても不思議に思うようなことを未確認だなんということは、これはとても了承できない。それから柴谷委員の質問にありました、必ずしも小松島と和歌山の間でないにしても、競争があって、そして危険を冒しても出港するんだという御指摘があったわけだけれども、そういうことは一般論なんですからね。今度の二十六日だけに限って、そういう競争がひょいと起きたのではなくて、一般論なんで、そのことはやはり私は、当然キャッチされておらなければならないと思う。こういうことは一体どうなっておるのです。それから江藤委員の御指摘の、一方だけは欠航しておるのだ。その一体認定の差はどうなるんだ。これも調べは足りていない、未確認でありますから、それも調べてみると、おかしな話なんですね。それから気象通報の契約の問題にしても、これまた同様です。その他あまりに未確認事項、あるいは調査しなければならない事項が、きょうの御答弁には多過ぎるので、かようなことでは、とても今後の海難に対して、国民は不安でたまらぬという気がすると思う。これらは、いつ一体調べて答弁してくれますか。すぐできることだと私は思うが、どうですか。
  114. 安西正道

    政府委員安西正道君) ただいま委員長のいろいろ御指摘がありまして、まことにはっきりしない面がございまして恐縮に存じております。ただ、私どもの部内の機関で報告が一応それなりに参っております。また、海運局気象庁、それぞれ現地から報告をとっているわけでありますが、しかし、その点に食い違いがございますので、その点をはっきりさせてから御答弁申し上げたいと考えております。従いまして、きょうはっきりした御答弁ができない点はまことに申しわけないと存じますが、さっそく役所に帰りまして現地と十分連絡しながら関係機関の資料をもとにしてはっきりした判断を至急御報告申し上げたいと思います。
  115. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 私は希望いたしておきますがね、一番最後の、たとえば気象通報の契約が、保安庁から見れば、あるのだというし、気象庁はここに見えておりませんが、衆議院において、さような契約はないのだ、こういうけれども、これくらいなものはあなた方がそれぞれの立場で答弁に立っておる最中であっても、下僚にちょっと命じて——これは自分の下部機関なんですよ。会社へ尋ねるなんという筋のものではない。下部機関なんだから、御答弁に当りながらだって、電話連絡すればすぐ真偽がわかる。こういうことすら未確認だということを私はまことに残念だと思って指摘しておる。その点は指摘するにとどめておきます。  ところで、二点その次に伺いたいが、他の船も遭難しておる。本日の議題は南海丸でありますが、しかし、他の船も二、三遭難しておる。ところが、新聞——といってみたところで、この南海丸についても、大新聞が一面と三面とまるで遭難者の数を違えて報告しておる。同じ夕刊に、たとえば三面には百二十五名と出ておるのに、一面には百六十五名と出ておる。こういうことだからやはりあなた方の正式の報告をわれわれは求めるのです。ですから他のものも全部正確なものを一つ報告をしてもらいたいというように思いますが、それはいつ提出されますか。
  116. 安西正道

    政府委員安西正道君) 私の方は今電話で聞いております。
  117. 天田勝正

    委員長天田勝正君) それはいつになりますか。
  118. 安西正道

    政府委員安西正道君) 今明日中にはっきりさせたいと思います。
  119. 天田勝正

    委員長天田勝正君) その次に、この報告を見ましても、この船の定員は四百四十六名であるという。しかるに、乗っていた人は乗客だけで百三十六名、全部合せても百六十四名しか乗っていない。すなわち定員をはるかに下回っておる数である。それでなおかつこういう遭難が起きた。これがもし定員一ぱいに乗っていたら、洞爺丸のような大事件になったと思う。ところが、これは新聞ですから真偽のほどはわかりませんが、この船はもともと設計に欠陥があるとは書いてありませんが、重心が高い、よって砂を船底に詰めて重心を下げて運航しておる、こういうことが出ておるのですが、もしそういうことならば、これは人命を預かって運航する船としてはまことに不適格ということになる。これは船舶局の関係かもしれませんが、この真偽はいかがなんですか。どなたか御答弁できますか。
  120. 松浦清一

    ○松浦清一君 関連して。今委員長が指摘しておられたように、確かにこれは新聞報道でなしに、この船は旅客船というより遊覧船的な構造に作られておって、非常にトップ・ヘビーであったということですが、これは航路というか、沿岸ですね。
  121. 辻章男

    説明員辻章男君) さようでございます。
  122. 松浦清一

    ○松浦清一君 沿岸航路だから、まあ何メーターの風であったか知りませんが、もし強い風速のために転覆したのであるとすれば、将来たとえば沿岸航路であっても、船舶の構造については研究を要すべきだと思うのですよ。その構造の面についても十分やはり調査をされて、当時の現場における風速を調べられた結果、ああいう船体の構造ではこの風速に耐えられないのだということを計数的に一つ割り出して、そのことが船体検査をされた官庁の役人の方々に不利益になろうとなるまいと、将来のやはり問題ですから、一緒に調査を願いたいと思います。
  123. 辻章男

    説明員辻章男君) ただいまの船舶の構造の問題でございますが、これは船舶局が主管しておりまして、船舶局長は衆議院におりますので、私はまた聞きで、まことに恐縮なんでございますが、私どもが船舶局の方に確めたところでは、新しい、最近船の復元性につきまして、従来よりもより厳重な基準でやっておるわけでございますが、その基準にも合致したということを確認してこの船は就航しておるように承わっておりますので、この点申し上げます。
  124. 松浦清一

    ○松浦清一君 衝突をした形勢も調べた結果ないと、それから座礁をしたというようなことでもない。座礁したということはないことは確実でしょう。私は衝突するというようなことはあり得たかもしれぬと思うのですよ。そういうことでなければ、やはり強風による転覆と見られるわけですね。だから従来の、いろいろ規格があることは私も承知しておりますけれども、その規格について再検討をやるべきではないかというのです。今までの状態では、あれでよかったかもしれない。しかし、こういう事故が起ってみると、沿岸航路だということでこの辺の構造なら大丈夫だという試験の結果、一ぺん検討し直してみないと、また起ってくる問題なんですから、それを言っているのですから……。
  125. 天田勝正

    委員長天田勝正君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  126. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  それでは、ただいま和達気象庁長官が見えられました。先ほど会議以前において、和達長官は非常に病気が重いのに押して出席されておるというところから、委員各位は、それは人道問題であるから、もう質問は御遠慮申し上げよう、こういうお話でございましたけれども、せっかく見えられましたから、ごく短時間ならば御質問されたらいかがかと思いますが、いかがいたしますか。
  127. 柴谷要

    柴谷要君 前にわれわれ委員として申し合せたことですから、短時間といっても、どうも話が深く入っていきますと時間が長引きますので、きょうはこれで打ち切っていただきたいと思います。(「賛成々々」と呼ぶ者あり)
  128. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 和達長官、お聞きの通りです。先ほどもすでに会議前に相談いたしまして、今申し上げたように、本日はこちらから遠慮いたそう、かわるべき人があればということでしたが、かわるべき人が全部洞爺丸の審判の方の関係で行っておられるということでありますので、どうぞ御退席になってお休み下さい。
  129. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 一言申し上げたいと思います。まことに厚いお心づくしでありがとうございます。それではそのお言葉に甘えて、次の機会にできるだけお役に立ちたいと思います。  それにつきましては、せめて参りましたのでございますから、どういう資料を、あるいはどういうことを調べてくれということだけ伺って参りましょう。それをできるだけ調べてこの次こ……。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは要望を申し上げたいのですが、当地における今までの気象の、何といいますか、状況ですね、つまり具体的に申しますと、今度のような突風というのは、これは今まであの辺の気象の中でどういう関係になっておりますか。これの何か統計のようなものがあるのではないかと思うのですが、一月中心にそういう統計、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  131. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 他に資料等の御要求はございませんか。
  132. 江藤智

    ○江藤智君 先ほど申しましたけれども気象の伝達方法でございますね。
  133. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 和達長官、先ほど一般論としても私からも注意したのですが、今回の場合、あまりにも当局側が、研究いたしますからとか、また未確認のことが多過ぎる。気象のことについては、今江藤さんも言われましたが、さらにこの気象通報の契約につきまして、同じ運輸省の中で、気象庁側は衆議院において、そういう契約はしておらないというお話だし、それから海上保安庁は、しておるというお話があって、こういうようなことは、自分の下部機構であるから、答弁に当りながらも、下僚をして直ちに調査させることができるのではないか、こういうことを私は指摘したわけなんですが、あまりそれがおそい。で、こういうことも早くしてもらいたいということを要望いたしておきます。  それでは、どうぞお引き取り願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 速記をつけて。  それでは、本件に関しましては、今回はこの程度にいたし、まだ確認されてない事項等を資料にして提出もしてもらって、次回においてさらに研究をする、このようにいたしたいと存じます。     —————————————
  135. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 次に、委員派遣の要求に関する件でございますが、先般決定されて留保になっておりました委員派遣に、今回紀阿航路海難事故及び重要港湾の現況等の調査のため、という理由にいたし、本院規則第百八十条の二により、委員派遣承認要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認めます。  なお、要求書の内容及び手続等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、これまた御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 天田勝正

    委員長天田勝正君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十八分散会