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1958-02-15 第28回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月十五日(土曜日)     午前十時二十五分開議  出席分科員    主査 田中 久雄君       中曽根康弘君    永山 忠則君       野田 卯一君    船田  中君       宮澤 胤勇君    岡田 春夫君       河野  密君    田原 春次君       滝井 義高君    門司  亮君       横路 節雄君    兼務 川崎 秀二君    井手 以誠君       今澄  勇君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         国 務 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁長官官         房会計参事官) 松島 五郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      奧野 誠亮君         防衛政務次官  小山 長規君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     牧野 誠一君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (銀行局長)  石田  正君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  分科員外出席者         警  視  長         (警察庁警備部         警ら交通課長) 内海  倫君         大蔵事務官         (財務参事官) 西原 直廉君         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         大蔵事務官         (主計官)   高木 文雄君         造 幣 局 長 脇阪  實君         印 刷 局 長 山中 一朗君     ————————————— 二月十五日  分科員茜ケ久保重光君、滝井義高君及び横路節  雄君辞任につき、その補欠として門司亮君、田  原春次君及び河野密君が委員長指名分科員  に選任された。 同日  分科員田原春次辞任につき、その補欠として  滝井義高君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  第四分科員川崎秀二君、井手以誠君及び第二分  科員澄勇君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院内閣総理府経済企画  庁を除く)、法務省外務省及び大蔵省所管  昭和三十三年度特別会計予算総理府及び大蔵  省所管  昭和三十三年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 田中久雄

    田中主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和三十三年度一般会計予算中、皇室費国会裁判所会計検査院内閣経済企画庁を除く総理府法務省外務省及び大蔵省所管昭和三十三年度特別会計予算総理府及び大蔵省所管昭和三十三年度政府関係機関予算大蔵省所管を議題といたします。質疑を続行いたします。横路節雄君。
  3. 横路節雄

    横路分科員 きのう私からお尋ねしたのですが、艦船発注につきましては、全部これは随意契約によってやっている。しかもその随意契約をする場合の条文としては、予算決算及び会計令第九十六条にあるわけです。あなたはそのうちの第一号でおやりになった、こういうことなんですが、同じく予算決算及び会計令の第百条には、見積書の徴収というので、「随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上から見積書を徴さなければならない。」こういうことになっております。きのうあなたにお尋ねしましたところがはっきりしませんでしたが、いまだかつて防衛庁としては二人以上から見積書をとったことがない、こういう御答弁でございましたが、そういうように確認しておいてよろしゅうございますか。
  4. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 従来は、昨日もお答え申し上げましたように、匿名随契といいますか、そのものずばりの随契をやって参りました。ただこの場合も予決令の百条によりまして参考見積書をとっております。なるべく二人以上から見積書を徴さなければならないというのは、たとえばメーカーが一人しかないようなときはとれないからという意味だろうと思います。この場合も大体できそうだというようなものがありますれば、参考見積書はとっております。しかし契約の形は九十六条第一号によりまして随契をやる、こういうことにいたしております。
  5. 横路節雄

    横路分科員 随意契約というのは、本来からいえば特別の場合であるわけです。ことに一般の業者というものは随意契約をとることに専心をしております。随意契約であれば競争入札指名入札の場合と違って、その利益は莫大だといわれているわけです。そこで二十八年以降艦船発注に際しまして、あなたの方で随意契約をなさったのですが、大へん恐縮ですが、この分科会が終る月曜日まででけっこうでございますから、一つ分科会艦船発注について、二十八年以降、たとえば甲型警備艦総額幾ら、これは、どこどこ造船所、あるいは駆潜艇、どこどこ造船所というように一つ出していただきたいと思います。よろしゅうございますか
  6. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 承知いたしました。
  7. 横路節雄

    横路分科員 次に、このあとで三年間の防衛計画が細部にわたって出るようでございますが、航空自衛隊で来年三月三十一日までにアメリカの方からF86D六十機の供与を受けるようになっておりますね。あなたにお尋ねしておきたいのは、私どもが今まで聞いたところでは、F86FよりはF86Dの方がたしか速かったのではないかと思います。今私があなたにお尋ねしたいのはF86F、日本で生産をしているこれの速さはどれくらいなのか。F86D六十機というのはアメリカから供与を受けるのですが、この速さはどれだけになっているのか、その点お尋ねしたいと思います。
  8. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 F86Fは最大速度が〇・九マッハマッハ音速でございますから、音速は千百キロくらいだと思います。F86Dは全天候性を持たしたものでございます。ただF86Fに対していろいろな点で性能が上っておりまして、最大速度は〇・九四マッハでございます。音速よりちょっとおそくなっております。
  9. 横路節雄

    横路分科員 そこで私はあなたにお尋ねしたいのは、去年の浜松の兵団がら千歳の上空に飛んできまして、千歳の上空で非常に落ちているわけです。今度はF86Dの速さの速いものを持ってきた場合に、今日本のF86Fでもなかなか容易でないのに、F86D六十機を持ってきて一体どういうようにするのでしょうか。あなたの方で遭難防止に対する対策が十分できていないのに、そういう速さだけ速いものを持ってきても、実際の訓練にはならないのではないですか。そこできのうおとといの予算説明の中にも、航空機事故防止のための費用、それから。パイロットの生活環境改善費等が組まれてあるようですが、この航空機事故防止というのはどういうことをするわけですか。
  10. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 今のお尋ねは、飛行機の運営の方の問題に入りまして、これは防衛局長教育局長の方の問題でございますが、F86Fもいろいろな事故がこれまでありまして、初めてジェット機を使ったものでございますから、はなはだ遺憾でございますが、たとえば訓練関係、それから整備補給関係、その他逐次米側援助を得まして、多勢いって共同で中に入って一緒に教育訓練をするということを重ねまして、操縦整備補給その他のそういう準備を進めておるわけでございます。たとえば86Dでもこれからもらいますが、86Dに関する操縦の問題、整備の問題、補給の問題をずっと練習を積ましておるわけです。この練習を積みまして、飛行機が入ってきますと、練習を積んだ者がそれを扱うということにいたしておるわけであります。それで今お尋ね事故対策の問題でございますが、ちょっと今資料を持ちませんが、来年度には事故対策といたしまして、たしか総額三十五億、それから国庫債務が十五億くらい、総計五十億くらいの費用をつぎ込みまして、徹底的にこの事故対策をやる。この事故対策には直接的なものと間接的なものとございますが、たとえば飛行機関係の距離の足りないものを増すとか、それから飛行場の回りの付属の施設を充実するとか、それから装備関係では、操縦士に関する装備を充実するとか、そういう費用が中心になっております。
  11. 横路節雄

    横路分科員 あなたの方から配付になりました総理府所管組織別予算目明細書防衛庁の中で、研究開発費二十二億五千九百九十九万三千円、そのうち試作品費が十八億七千六百二十万一千円、参考器材購入費五千九百三十六万四千円、これがサイドワインダー購入費になるわけですか。
  12. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 参考器材購入費は、これは前にエリコンを買っていただきまして、それの部品を買う費用でございます。サイドワインダーは別でございます。
  13. 横路節雄

    横路分科員 サイドワインダーについてはどの目に入っているわけですか。
  14. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 サイドワインダーは約総額五千二百万でございまして、これはさしあたり六機程度実験航空隊練習用飛行機につけまして運用するという意味で、六機十二発ずつ買いまして、予備を入れまして十四発だと思いましたが、それに付属の道具を買いまして、その予算総計五千二百万円でございます。これは空幕器材費に入っております。
  15. 横路節雄

    横路分科員 空幕器材費のうちの航空機需品ではなしに、どれになりますかな。器材費の五十六億八千万円のうち、今あなたのおっしゃるサイドワインダーについては、どこの目になるのでありますか。サイドワインダーについては私は試作開発費の中かと思いましたが、今そうでない、器材費の中だというので、器材費の中の目のどこに入っているのでしょうか、五千二百万円というのは。
  16. 山下武利

    山下(武)政府委員 目は器材費となっておると思いましたが……。
  17. 横路節雄

    横路分科員 私の聞いているのは、器材費というものが五十六億八千万ございますが、これは項になっておるが、目はどこになるのですかと聞いている。
  18. 山下武利

    山下(武)政府委員 ちょっと今はっきりいたしませんので、もし間違っていたらあとで御訂正申し上げますが、多分航空機需品費の中だろうと思います。
  19. 横路節雄

    横路分科員 そうすると、航空機需品費の五億三千四百五十二万五千円のうちにこれが入っているわけですね。それから今秋の方で指摘しました9の研究開発費の二十二億五千九百万このうちの試作品費十八億七千六百万、これは国内で誘導兵器を作ろうという計画試作品費ですか。
  20. 山下武利

    山下(武)政府委員 誘導兵器に関する試作品費も入っております。
  21. 横路節雄

    横路分科員 大部分は何ですか、これは。
  22. 山下武利

    山下(武)政府委員 これは今技術開発本部でもって研究をいたしておりますところのいろいろな開発試作品費でございますが、おもなものといたしましては、陸海空のいろいろな編成装備試作費、あらゆるものにわたっておるわけでございます。
  23. 横路節雄

    横路分科員 それからお尋ねしたいのですが、きのうの陸上自衛隊一万人増強のうちの維持費十一億についてはわかったのですが、初度費十六億、これはこういうことになっておりますか。たとえば私がお尋ねしたいのは陸上自衛隊が一万人ふえれば実際には金が幾らかかるのだ、食費や俸給についてはわかったのですが、そのほかに被服だとか靴だとか、それからやはり武器が要るわけですね。本人として完全武装する場合の小銃であるとかその他が要る。それから住むためには当然一人当り何坪という庁舎費が要る。それから演習その他を計画なさっているのでしょうから、いわゆる弾薬が年に何千発というものが要る。そのほかに、今の自衛隊ですから、当然これはトラックその他が要る。ジープ等も要る。こういうものが全部入って一万人で二十七億なんでしょうか。一人当りたとえば何坪という庁舎費あるいは武装した場合の武器、それから年間演習に要する弾薬、それから当然トラックジープというものがそれに付属してくる、そういうものを考えると、どうも一万人の増員に二十七億では私は足りないと思います。二十七億で今秋が指摘したようなものがその中に全部入っているものでしょうか。もしも入っていないとすれば当然一万人の増強に対してそういうものが要るわけですから、そういうものを見込んだ場合の費用幾らになるのか、その点一つお聞かせいただきたいと思います。
  24. 山下武利

    山下(武)政府委員 おっしゃるような初年度費といたしまして十五億ばかり計上してあるわけでございます。御指摘のように一万人増員に対して十五億というのは非常に少いのではないが、これはその通りだと思います。しかしたとえば火器類でありますとか小銃類等アメリカからの援助によるものが相当ございます。それからまた車両その他の装備品類の中で、従来の装備定数を若干上回って保有しておるものもあるわけでありまして、そういうものをこちらに回してくるという余裕もないことはない。そういうふうなものを全部入れまして、差し引きどうしてもこれだけ要るというものを計上いたしましたのがこの数字であります。この中にはきのうも申し上げましたように、個人の装具品でありますとかあるいはそのほかの宿舎の経費でありますとか、一切のものがみな入っておるわけでございますが、必ずしもモデルとして一万人作った場合にこれだけで済むというわけではありません。今回作ります一万人の増員に対してはこれで十分だ、こういうことでございます。
  25. 横路節雄

    横路分科員 今あなたから指摘されたうちでちょっとふに落ちない点があります。それは車両等については今まで購入したもので上回っているものがあるからそれを回すことができるのだと言う。こういう答弁になりますと、今までの計画というのはおかしいじゃないか、こういうことも聞きたいのですが、時間もありません。そこであなたにお尋ねしたいのは、アメリカから供与されてくる小銃火器弾薬車両戦車等もございましょうが、そういうものは陸上自衛隊一万人に対して総額どれくらいになるわけですか。
  26. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 陸上自衛隊で申し上げますと、アメリカからの供与は従来装備費甲類と言いまして、火器とか航空機、要するに重装備のものは大体アメリカ援助に期待しております。初度は修理、更新その他は日本でやっていくという方針でやっておるわけであります。三十三年度分として期待しております装備費甲類総額約五十二億であります。これは期待額であります。
  27. 横路節雄

    横路分科員 これは一万人に対してですか、十六万人に対してですが。
  28. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 正確に申し上げますと一万人増員の分もありますし、従来要請しました十六万人に対する不足分等もあります。それを全部突っ込みまして、大部分は一万人増員関係でございます。それから装備品甲に対する乙としまして軽装備関係、これはほんのわずかでございまして一億三千万、それから弾薬その他あるいは部品その他でありますが、これが約三十六億、これは大部分弾薬でございます。これを総計しまして八十九億三千万というものを期待しております。そのうちどれだけが落着しますかまだ未定でございます。
  29. 横路節雄

    横路分科員 私あなたに特にお尋ねしたいのは、今更装備の点の五十二億、それから弾薬の三十六億、このうち新規増員される一万人の分に見合うものは幾らですか。これは実際これからあなたの方でお出しになる防衛計画という場合に、毎年一万人ずつふえる場合の経費の算定の一つの基礎になるわけです。これは大体でいいですが、一万人の分はどれだけになるのですか。
  30. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 これは先ほど数字を申し上げましたが、これも物でもらうのでありまして、評価にいろいろな問題がございます。ノミナルな価格で評価しておるわけでございます。一万人増員分はこのうち幾らになるか、ちょっと今手元に資料がありませんので、あとで調べまして申し上げますが、私の記憶で大体七十億見当でなかったかと思います。
  31. 横路節雄

    横路分科員 私ども大体ふだんから疑問に思っておりました一万人の増員について二十六億程度費用しか要らない。しかしそれは俸給被服その他であろう。実際に重装備弾薬等を入れた場合には一万人の増員に対しては百億ぐらいになるのではないだろうか。大体陸上自衛隊新規増員の場合には、一人当り百万円になるのではないだろうか、こういうふうに考えておりましたところ、ただいまのお答えで、アメリカから供与を期待しておるもの七十億を入れまして、一万人の増強に対して総額で大体百億、一人当り百万円というので、私たちが考えているのと大体同じ数になりましたから、私は防衛庁の問題については、この程度にしておきたいと思いますが、政務次官、きのうお願いしました三十五年度までの三カ年計画の点については、いつ発実していただけるのでしょうが。
  32. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 きのうも申し上げました通り、いろいろな仮定の問題がたくさん入るものでございますから、私の方でもどういうふうな仮定のもとにやればいいかということで、まだもう少し検討させていただきたいと思います。
  33. 横路節雄

    横路分科員 それではこれはぜひ出していただきたいと思います。  それから装備局長経理局長にお願いをしておきたいのは、あと滝井委員からも質問があるかもしれませんが、私は陸上自衛隊の問題を質問しましたが、海上自衛隊航空自衛隊の場合は人件費、初度費、それからその他の費用が一人当り大体幾らになって、そのうち国が負担する分は幾らが、アメリカから供与を期待しておるものは幾らか。これはあとで他の委員の方から質問があろうと思いますが、あらかじめ用意しておいていただきたいと思います。  それから警察の方は、門司委員から詳細に質問がありますから、私は一つだけ皇宮警察の方にお尋ねしておきたいと思います。きょうの新聞三笠宮紀元節復活反対をしておるということが載っている。私たち社会党紀元節復活に絶対反対なんです。ところが右翼団体が書面であるいは郵便物であるいは面会強要するものがある。あるいは多数のものが押しかけるというようなことがあって、それでけさの新聞には、皇宮警察本部警備部長の談話として、右翼団体の中には危険と思われるものもあるので、特に今回は三笠宮護衛官をつけることにした、これは新皇宮警察始まって以来のことである、こういうことになっている。一体右翼団体の中には危険と思われる動きもあるというのは、現実にはどういうことをさしているのか、その点明らかにしておいていただきたい。これは現に自民党から法案が出されて、今国会重大法案になっておる矢先に、そういうふうに三笠宮反対をされているということに対してすら、すでに右翼団体がそういうふうに脅迫がましいことをやっている。この辺はどんなことなんでしょうが、一つ明らかにしていただきたい。
  34. 内海倫

    内海説明員 この問題に対しましては、皇宮警察本部の方で記事になったようでありますが、警察庁の方で護衛につきましては責任を持って主管をいたしております。警備部長が参るはずでございますが、所用がございまして、かわりまして私から御説明を申し上げたいと存じます。  三笠宮殿下の警衛につきましては、紀元節の問題に関しまして、三笠宮様からこれに対する批判的な御意見を発表されておりますので、これにつきまして、ごく最近になりまして右翼といわれる側の人から、三笠宮様のそういう言動に対してはなはだ遺憾であるというふうな強い意見が表明されたのでございます。十一日の日に右翼の一部の人が宮様に面会を求める、そうして面会した上でいろいろ意見を言いたいということであったのでありますが、三笠宮様としては、この際面会いたしたくないということで、面会には応じられなかったのでありますが、十一日の夕方の八時ごろになりまして、三笠宮邸の方に数名の人が参りまして、面会強要するというふうな状態になったのであります。そこで宮様の御意向を承わったところ、依然として面会はいたしたくないというふうな状態でありましたので、警察の方にも退去させてくれるようにという御依頼でありまして、十一日の夜は所轄の警察署の者が数名参りまして退去させた次第でございます。  その前に、そういうふうないろいろ情報がありましたので、もし宮様の身辺にいろいろ強要をする、あるいは誤まって危害を与えるようなおそれがあるようではいけないという観点から、皇宮本部の方で一名皇宮護衛官を念のために付したいと思うがどうがという意見の上申がございましたので、私どもの方と宮内庁並びに宮家の方と皇宮本部四者で相談いたしまして、皇宮護衛官宮家に派遣するということに決定いたしまして措置をとったのであります。  その後十二日に宮様が名古屋の方の会合に御出席になるということで、十二日の午後の特急でおいでになりまして、きょうの夕方東京にお帰りになるのでありますが、その名古屋の方におきましても、われわれの方に参っております諸般の情報から、東京におけると同様に宮様に対して種々面会を求める、あるいはビラをまいていろいろ反対意見を明らかにするというふうな情報がありましたので、この場合も、名古屋で宮様に面会強要あるいはそれに伴ってもし万一暴行というふうなことが予想されてはいけないということで、護衛官を同行させたのであります。これにつきましては宮様の同意を得まして、一応同行させたのでありますが、名古屋におきましては、一部のところで宮様に対する、紀元節反対意見ははなはだ遺憾であるというふうな、かなり激烈な内容を持ったビラがまかれたほか、宿泊されております名古屋観光ホテルに数名の名古屋右翼の人と目される人々が参りまして、宮様に面会強要するというふうな事実がございましたが、これも宮様の方で面会を拒否されましたので、そこの支配人に一応文書を手交してそのまま引き揚げた、こういう事実でございます。  結果的に見ますと、以上述べましたまような、文書による一応の紀元節反対の御意見に対する反対並びに官邸における面会強要名古屋において観光ホテルに参りまして面会を求めた、こういう事実が起っておりますが、直接に宮様に危害を与える、あるいは精神的にも非常に強い形の圧迫を加えるというふうな、具体的な事態は別段生じておりません。そういう意味におきまして、皇宮警察護衛を付しましたことは一応そういうふうなことの万一を予想いたしましたことと、何分そういう点で必ずしも自分が出て、すぐにいろいろ応待されるというふうなことについては、お困りの御様子でありますので、顔をよく知っておられる護衛官を付した次第であります。以上が大体護衛を付しました経緯並びに護衛を付するに至る状況の概要でございます。
  35. 横路節雄

    横路分科員 今の御答弁で、紀元節復活に対して反対意見を表明されました三笠宮に対する、右翼団体動きに対しての警察庁の取扱いがわかったのでありますが、私がこの際特にお尋ねをしておきたいのは、たとえばよく労働組合の諸君が、年末に年末手当を上げてもらいたい、ベース・アップをしてもらいたいというので官庁に押しかける、そうすると官庁は直ちに退去命令を出す。退去命令を出したが出ない。退去命令を出すか出さないか同時くらいに警察署から動員をして、いわゆる不退去罪として直ちに逮捕する。これは昨年の暮れにも例があった。たとえば先般も問題があったのですが、日本教職員組合に対して、右翼の団体が多数押しかけてビラをまく、あるいはわずか一人か二人の執行委員がその他の者を、何十人かで囲んで、げたで机の上に上って大声叱咤する。そして帰ってくれと言っても帰らぬ。そこで警察に要請をして退去してもらおうと思うが、そういう右翼団体については警察の方ではとかくどうも取り調べたとかあるいは逮捕したとか、少くとも留置してそういうことをしないのではないか。  今度三笠宮紀元節復活に対して反対をされておる。今やところきらわず右翼団体は行動を開始して、三笠宮に対してこういういやがらせをするに至るや、警察ではあらかじめ護衛をされた。ところが右翼団体が、労働組合やその他の民主的な団体に侵入して、机の上に上ってあばれ込んで、何ぼ退去してくれと言っても出て行かないので警察に要請したが、形式的なことしかやってくれない。そういうことが多いという批判があるのですが、あなたの方ではそういう右翼団体に対する取扱いはどのようになさっておるのですか。その点もあわせてお聞きをしておきたい。
  36. 内海倫

    内海説明員 一般的なただいまの問題につきましては、はなはだ責めをのがれるようでございますが、私その方面の主管をいたしておりませんので事情を詳しく存じませんし、また従ってお答えするにも、私のそういう面に関する意見は持ち合せておらないのであります。私の責任の範囲内にあります、皇族あるいは両陛下、皇太子殿下あるいは国内の重要な責めにある方方、外国要人、こういう方に対する警護につきましては、警察庁におきまして私責任を持っておりますので、そういう人たちに対して危害を与える、あるいは非常な精神的な圧迫を加えるものというものに対しましては、それが何人であるを問わず、十分これに対する措置はとりたいと思っておりまするし、また的確に処置いたしたい、かように考えておりますが、一般的なそういう場合における問題につきましては、今のところ私としましては答弁いたしかねますので、御了承いただきたいと思います。
  37. 横路節雄

    横路分科員 重ねてお尋ねしますが、三笠宮面会強要された右翼団体の名前はおわかりでしょう。
  38. 内海倫

    内海説明員 それはわかります。
  39. 横路節雄

    横路分科員 それを一つここで明らかにして下さい。それから団体のほかに個人が強要しているものについても明らかにしていただきたい。
  40. 内海倫

    内海説明員 十一日に三笠宮邸に参りましたのは、宮内庁からの報告によりますと、団体名は明らかにしておりませんが、赤尾敏氏ほか数名ということになっております。それから名古屋におきましてビラをまいたということで報告を受けておりますのは、団体名はこれまた明らかでありませんが、名古屋の伊藤伝次という人になっております。なお観光ホテルの方に面会を求めてきた代表も伊藤伝次氏というふうに報告を受けております。それだけが今具体的に明らかになっております。
  41. 横路節雄

    横路分科員 これは委員長にお願いをしておきたいのですが、公安調査庁の方に委員長の方から一つ要求されまして—団体名がないというのは、これはあるんです。明らかに背後にある。それを公安調査庁の方にお願いして調査していただきまして、ぜひこの右翼団体としての全貌を、この分科会で明らかにしていただきたい。今まで破壊活動防止法なども、ともすれば公安調査庁では、何か左翼団体だけを出していけばいいと思っておられるようですが、左翼団体だけでなく、この際ぜひ右翼団体も出していただきたいと思う。委員長、どうぞよろしく願います。
  42. 田中久雄

    田中主査 承知いたしました。
  43. 横路節雄

    横路分科員 それから一つ大蔵省の主計官お尋ねしますが、きのう私が最後に要望しておきました北海道の開発庁に関してですが、篠津原野の土地改良費六億一千万円のうち、一億六千万だけはことし返すことになっている。返すことになっていれば、その次に篠津原野の開発費の中に一億六千万の償還というものをちゃんと入れておくべきだと思うのに、あの予算の立て方はごまかしじゃないかと思います。返さなければ返さないでいいのですが、どうなっておりますか。
  44. 船後正道

    ○船後説明員 今、担当の主計官を呼びに参っておりますので…。
  45. 横路節雄

    横路分科員 それは委員長、非常にいかぬと思うのです。きょうは初めから聞くことになっている。ほんとうは主計局長に出てきてもらいたいと言ったが、主計局長は忙しいというし、主計局次長も忙しいというからがまんしておったが、主計官は担当官が来なければいかぬというのですが、どうなんですか。
  46. 田中久雄

    田中主査 それでは午後大臣が見えるときに一諾にやってもらいましょう。滝井分科員
  47. 滝井義高

    滝井分科員 まず防衛庁艦船建造関係を先にお聞きしたいのですが、横路さんから大体私の聞きたいと思っていることは御質問いただいて非常に参考になったのですが、その前にまずこの予算の組み方でございますが、昭和三十年までは艦船の建造費というものは船舶建造費として一本にしぼられてきておったわけです。ところがそれが三十一年度であったと記憶しておりますが、三十一年度から二本、あるいは潜水艦なんか入れると三本になってきておるのですが、これはどうしてこういうように、今まで一本でしぼってきておったものが、二本、三本という工合になってきたのか、これを一つ説明願いたい。
  48. 山下武利

    山下(武)政府委員 これはおもに継続費として別項に立てたわけであります。決算をいたします際に継続費は別項にして計算するということに相なっておる関係から、別項に立てる必要があったわけであります。
  49. 滝井義高

    滝井分科員 そうすると、これは大蔵省の主計官に尋ねますが、今まで一本にしぼっておった船舶建造費というのを、艦船建造費、潜水艦、それから三十二年度甲型警備艇、三十三年度甲型警備艦、こういうようにずっと項を改めてきたのは決算の関係だけですか。
  50. 船後正道

    ○船後説明員 お答え申し上げます。従来艦船の建造につきまして、単年度で完成しないものにつきましては、御指摘のように国庫債務負担行為の制度によって運営して参ったのでありますが、昭和三十一年度の潜水艦の建造から、継続費制度に一部を改めております。その理由でございますが、国庫債務負担行為も継続費も、両方とも後年度の国庫の負担となる契約を結ぶという効果につきましては同一でございますが、国庫債務負担行為の方は、その計上いたしました当該年度に契約を結ぶ必要がある。これに対しまして継続費の方は、事業の完成年度までの間に契約を分割して締結し得る、こういう点が制度的に異なっております。ところが大型艦艇につきましては相当構造も複雑でございまして、船体、機関、武装、また武装の中でもこれを数個に分割をして契約をする必要がございます。またその契約を当該年度のみならず次年度におきましてもする必要がある、こういう関係がございます。いま一つは、大型艦につきましては、今申しましたように構造が複雑でございますので、逓次繰り越しをする必要も生じて参ります。こういう関係で大型艦につきましては、三十一年度の潜水艦、三十二年度の甲型警備艦、また本年度計上いたしました三十三年度の甲型警備艦、これは継続費の制度によっております。ところが小型艦艇につきましては、おおむねその計上いたしました当該年度にすべて契約を完了できるものでございますので、従来通り国庫債務負担行為の制度によっております。
  51. 滝井義高

    滝井分科員 どうして今まで一本にしておったものを三つないし四つにしなければならなかったかという理由はただ甲型警備船なり潜水艦というものは非常に大型で、年度をきちんきちんと切るわけにいかぬ、こういうことだけの理由ですか。そうすると二十九年あるいは八年の状態を見ても、その前からずっと国庫債務負担行為と継続費をやってきているわけです。何も大型でなくても、甲型警備船というのはずいぶん前からやってきているのですが、何がこういうようにしなければならなかったというもう少し納得のいく理由というものがなければならないと思うのです。
  52. 船後正道

    ○船後説明員 御指摘のように、三十一年度の甲型警備艦国庫債務負担行為の制度によってきたわけであります。しかしながら、これを実行いたします際に、先ほど申しましたような種種の理由がございまして、大型艦につきましては継続費の制度によるのが、より経費の効率的な使用ができる、がような結論に到達いたしましたので、その後は先ほど申しましたようにこの制度を運用いたしております。
  53. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと方針がそういうように変ったと理解して差しつかえないわけですね。——一応そう理解しておきましょう。  次にお尋ねしたい点は、三十一年度に計画された潜水艦の建造費は二十七億一千八百万円、それが三十一年度に四億五千六百万円、三十二年度に十一億八千三百五十二万問、三十三年度に七億二千九百四十三万円計上されておるわけです。従ってこれは結局どういうことになるかというと、三十四年にもう一回ある程度予算を計上しなければ二十七億にはならない。今三カ年だけでは二十三億六千七百九十五万円、これだけにしかなっていないわけです。従って一体現在この潜水艦の建造状態はどういう工合になっているかということなんです。これについて一つ今の実態を御説明願いたい。この潜水艦というのはおそらく日本が戦後初めて作るものではないかと思うのです。日本艦船技術その他との関係もあると思いますが、何といっても日本が初めて作る潜水艦というものが一体どういう実態で作られておるのか。これをまず知れば他のものは推して知るべしということになるだろうと思います。おそらく一番力を入れておるのじゃないかと思います。今まで船舶建造費として一本の中に入れておったものを、わざわざ今度は潜水艦を作りますぞと言って一つ項を立てて出てきたのですから、この潜水艦の建造状態というものはどういうことになっているが、伺いたい。
  54. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 潜水艦は昨年の三月に契約いたしまして、昨年の十二月に起工いたしております。戦前の潜水艦と違いまして深度も非常に深く、速力その他も相当上っておりまして非常にむずがしい問題がありますので、技術研究所、海幕その他の者をアメリカに派遣しましていろいろ向うのデータを集め、向うの最近の技術等もいろいろ習って、そういう調査の上にいろんな計画を立てまして、まずその模型を作り、また部分的にいろいろの試作、実験を重ねまして、それをもとにしてこの計画を進めておるわけでございます。進水は来年一月ごろの予定でございます。引き渡しが三十五年二月の予定でございます。
  55. 滝井義高

    滝井分科員 防衛庁が三十一年度の計画として潜水艦を川崎重工業に契約したのが三十二年三月三十日、納期は三十四年の三月三十一日になっておる。しかも二十七億一千八百万円で作ることになって、予算をずっと継続費で計上しておる。その潜水艦を川崎重工業に三十二年三月三十日に十四億で契約しておるわけです。そうするとあとの千億ばかりの金というのは一体どういうことになるのですか。総額でいえば二十七億一千八百万円だから、十四億だけは一応契約に上っておりますが、予算の面からいえばあと十三億ですね。十三億というのはどういうことになるのですが。
  56. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 川崎重工業に十四億で契約しております。そのほかに、ほかの警備艦等でも同じでございますが、エンジン、電池、いろんな兵農関係、これは全部別個の契約をいたしまして川崎重工業に官給いたすことになっております。二十七億の予算と十四億の差はそういうものに使われる予定でございます。竣工予定は先ほど申し上げましたように三十五年二月でございます。
  57. 滝井義高

    滝井分科員 当初の計画が三十四年の三月の終りにはできるということになっておったのが、三十五年に一年延びてしまったわけですね。これは防衛庁も御存じだと思いますが、今四万トンくらいのタンカーを作るのでも六カ月でできてしまう。そうすると防衛庁の船は千六百トンから二千トンそこそこなんですよ。一体こういう防衛庁の船だけがどうして造船会社と随意契約をやっておって納期より一年も一年半も二年もおくれなければならぬのかということなんです。三万トンのタンカーが早いのは四ヵ月でできますよ。そうすると、防衛庁のその十分の一もない船、二千トンか千五、六百トンの船がどうしてこんなにおくれなければならぬがということなんです。一体この理由はどこにあるのですが。
  58. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 今お話しの通りに、一般の商船、タンカーその他は、船台に乗っておるのが四カ月くらい、全部で六ヵ月もあればできると思うのです。防衛庁の警備艦は早いもので——普通の警備艦、甲型あるいは乙型の警備艦で、船台に乗っておるのが、初めは相当長かったのですが、最近はこれもだいぶ短かくなりまして六カ月くらい、ところが潜水艦はいろいろ技術上の問題もありまして大体一年くらい船台に乗っております。それから今一般的に非常に長いというお話、まさにこれまでの実績は予定より相当ずれておりまして、われわれもいろいろ苦慮しておるわけでございますが、最も大きな原因は、船を作ります段取りを申しますと、一番初めに要求性能というものをきめます。これは海上幕僚部の方で、今度はこういう目的の船を作る、こういう装備をやりたい、こういう装備に主力を置きたいというような点、速力、エンジン、馬力その他おもな問題につきまして要求性能を出しております。この要求性能を出しますについて、おもな武器は、国内で作って乗っけるものもありますけれども、最新の武器は相互防衛援助計画によってアメリカ側の供与に期待しておるわけでございます。こういうものを作って乗っけたいという要望と向うの供与が受けられるがどうかという関係で、なかなかそこまできまりにくいという点が一つでございます。それから要求性能がきまりまして、計画大案というものを作ります。これは船の要求性能を技術的に表わしたものといいますか、速力、馬力その他の性能のおもな技術的な点でございますが、これをきめまして、それからそれに基いて基本設計を進めるわけでございます。基本設計をやります際に、先ほど申しましたMDAPの武器を、向うの持っておるものはくれますが、向うが発注してくれるというような場合に、発注しまして向うの関係でいろいろそれの製造その他がおくれるとか、また相当長くかかります。時間のかかりますおもな点はそういうところで、極力事前の連絡をよくいたしまして、なるべく計画通りスムーズに仕事が進み、予算計画通りこなしていくことに努力を重ねておるわけでございます。
  59. 滝井義高

    滝井分科員 一番典型的なわかりやすい潜水艦で少し質問してみますが、まず川崎重工業に十四億円で船体、機関こういうのを注文しておる。そうすると残りの十三億程度のものは全然別個のところで潜水艦完成のために必要なものを作って、そしてこれを官給として今度は川崎重工業に持っていく。そうすることによって初めて船が進水ができることになる。ところが進水ができた船は装備がされていない。そこで装備はMDAP関係武器アメリカと交渉してもらったり、あるいはないものは日本の国内に発注するかどうかわかりませんが、とにかく発注して作って装備して、初めてそこに二十七億一千八百万円の船ができる、こういうことになるのですか。それとも二十七億一千八百万円というものは、MDAPによる兵器その他のものは入っていなくて、三菱重工業に十四億で頼んでいるものにプラス官給品だけで二十七億一千八百万円になるのですか。この点一つ大蔵省の主計官に先にお尋ねしておくが、あなたの方では予算を組むときには二十七億一千八百万円というものをどういうように見積ってやっておるのか。今のような工合にやっておるのか、どういうことになっているのか。
  60. 船後正道

    ○船後説明員 艦艇の建造費につきましては、確かに当初の艦艇につきましては何分戦後の空白がございまして、算定根拠その他につきましては相当大まかな見積りもあったのは事実でございますが、最近におきましては経験も積んできておりますし、いずれも材料費また工賃その他の要素に区分いたしまして原価計算をいたしました上で計上いたしております。それからMDAPによりまして米国から期待する武装につきましては日本側としては計上いたしておりません。
  61. 滝井義高

    滝井分科員 二十七億一千八百万円の潜水艦というものは一番大事な装備は抜けておる、こういうことなんですね。そうしますと専門家の防衛庁当局は御存じだと思いますが、最近の艦船装備は砲を一体二門置くか三門置くか四門置くか、どういう装備にするかということが、日進月歩の航空機の進歩と相呼応していかなければならぬ。そういうものの計画が何にもなくてできたところの船というものは、今度は上の装備が変ればその重量その他によって船体もやはり変ってこなければならぬ。そういう無計画な船の作り方が許されるかどうか。少くとも船というものは上の装備関係と船体の関係と不可分のものなんです。それが船を作るときに、三菱重工業には十四億出して船体と機関を作ってもらいましょう、あとはこっちで官給で適当なものを持っていきましょう、そして進水したら上の武装はアメリカさんにお願いしてそれでやります、こういうことになったら、もし非常に重量の重いようなものを持ってくれば大へんなことになってしまう。あるいは吃水その他の関係も科学的に検討されておるはずです。そういうように、一番大事な潜水艦一つとってみても艦船の建造の計画はまるで首尾一貫をしていない。行き当りばったりで全く計画性がないじゃありませんか。さらにその上に、二十七億一千八百万円の潜水艦の価格を三十一年に計上しておるのですが、三十一年に計画したときには少くともそれは二十九年か三十年度のいろいろの物価を基礎にして作っていると思うのです。ところが、あなたの方から出ておる資料を見ても、一体鉄板の薄板、厚板の値上りを見てごらんなさい。ほとんど一倍半から今はやみは二倍以上になっている。そうすると三十一年に作ったところの船はできるはずがないですよ。しかもあなた方がしておる予算の要求の増加は潜水艦についてはやっていない。こういう点一体どう見ておるのですか。
  62. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 先ほども船を作ります段取りについて簡単に申し上げましたが、基本設計を作りますまでには、そういうことはすべてきまるわけでございます。それがきまりませんと——砲を何門もらうか、その重量が幾らということになりませんと、基本設計ができないわけであります。それまでの間にこういう型の五インチ砲をつけたいといいましても、向うの図面がきまして重量が正確なことがわからないと設計ができない。基本設計をきめましたときにはすべてそういうことまできまっておるわけであります。それからいろいろな段取りを進めて参るということになるわけであります。
  63. 滝井義高

    滝井分科員 アメリカがMDAPのこれこれの武器をくれるかくれぬかがはっきりしなければ、これは建造にかかれぬということになる。そうしますと、あなた方が今川崎重工業に契約しておるということは、すでにその見通しがついておらなければできない。見通しがついておるかどうか、まだついておらぬはずでしょう。
  64. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 それはすべてついております。潜水艦は三十一年度に予算をいただきまして、契約いたしましたのは三十二年三月でございますから、約一年かかったわけでございます。せめて半年の間にそういう段取りが全部つけばよかったわけでありますが、アメリカ側の関係、これはことに技術上の問題もありまして、その間にそういう段取りを全部つけて見通しが全部ついたわけでございます。
  65. 滝井義高

    滝井分科員 大蔵省にお尋ねしますが、鋼材価格の推移を見ますと、二十九年の三月に普通鋼棒の建値が四万円だった。この市況は三万六千七百円。ところがこれが三十二年三月になりますと、建値が四万九千円で市況は六万五千五百円に上ってしまった。そうすると三十四年にできるはずの潜水艦が進水するのは一年延びて三十五年二月になってしまった。そうしますと、今請け負っておる三菱重工業は損をしてはやらぬ。幾ら国の潜水艦だって、営利会社ですから損をしてはやれません。おそらく見積るときは四万円か三万六千円で見積っておった普通の鋼鉄の棒が六万五千五百円と倍近くになったのでは、これはもうとてもやれません。一体こういう場合にはどういう処置を講じていくのか。ことし予算の修正をやっていない。これは大蔵省はどうやっていかっしゃるのですか。主計官答弁できなければ局長かだれか来てもらわないと、ここらあたりは非常に大事なんです。たとえば、そのほかに薄板にしても厚板にしてもみんな値上りしている。とにかく船というものは鋼鉄で作ることは確実なんですから、鉄の値段が上り労働者の賃金が上ったらどうにもならぬ。この前この委員会の総括質問でも御質問申し上げたように、三十一年から、契約はやっているが船の建造は進捗していない。三十二年度は一つ契約ができていない。これはもはや今の予算では防衛庁はやっていけぬということを示している。予算の修正をする以外にない。修正をせずにやるとするならば、造船会社に今の値段でやってもらって一応損をさせておいて、何か次にもうけさせることを考えなければならぬということになる。そうすると次の船はろくな船はできぬということになる。大蔵省はこの間を一体どういうように処理していかっしゃるのか。三十四年三月末にできるという契約が三十五年になるといった場合は、その契約違反はどうなるのか。土木工事なら契約違反というものは大へんです。みんな仕事をやめさせられてしまいますよ。何年何月に納期をきめた土木工事なら大へんです。船だけは一年でも二年でもずんずん延ばしていけるということが許されるのかどうかということなんです。しかも自衛力を漸増することは目下の急務であるというのが岸内閣の今までの答弁なんです。やらなければいかぬといって、国民所得の二%という莫大な予算を食ってやっているんです。
  66. 船後正道

    ○船後説明員 お答え申し上げます。潜水艦につきまして確かに三十二年度の予算におきまして継続費の年限を改訂いたしまして一年を延長いたしました。これは先ほど防衛庁の方から御答弁がございましたように、主として設計その他建造着手のための段取りがおくれたためと記憶いたしております。鋼材の値上りにつきましては確かに三十二年分当初あたりから相当大幅な値上りを示しておるわけでございますが、二十七億円の当初の総額の範囲内で防衛庁契約をしたということでございまして、改訂要求もございませんので、私どもといたしましてはそのままにいたしております。
  67. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと防衛庁は、物価が安いときに二十七億一千八百万円かかるという船が今鋼材が二倍にもなったときにその二十七億でできると考えているのですが。船の場合は、まさか土木工事のてんぷら工事みたいにセメントを入れずにバラスだけで工事をするというわけにはいかぬと思うがどうですか。二十七億一千八百万円でできるのですか。
  68. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 船の建造の契約値段の関係でございますが、こういうやり方を大体やっております。警備艦等におきましては材料関係は御存じのようにいろいろ物価の変動もありまして、清算条項を入れてやるというようなことをやっております。ただ清算も無制限にやられると困りますので、上下リミット一〇%までは清算を認めてやっていくという式で、契約の中にそういう構想を入れてやっております。ただ潜水艦は戦前とは比較にならないほど程度が高いものでございまして、材料の値段のみならず各面で非常に未確定の要素がございましたので、船価は先ほどお話のように十四億で概算契約をいたします。中身につきましては、たとえば材料は五億の概算契約でやりまして——これは材料も材質、規格等に非常に特殊なものがたくさんありますので、概算をやりましてある程度上ったら清算で上りを見ておく、その分の余裕は予算上二十七億の中で残してあります。そういう程度の清算は認めてやる。それから工数等にいたしましても、警備艇等の工数はだんだんやって参りましたので見当もつきますからぴしゃっと数をきめてかかれますが、潜水艦は未確定で、初めてでわかりませんから、標準工数を百三十五万工数近くにきめまして、上限は百四十八万工数近く、下限は百三十一万工数まで認めるということにして、その範囲内で清算をしていこうというようなやり方をしております。そういうやり方をとりましてその許容の、もし上りました場合の最高限の値段を二十七億の中で留保して持っており、清算で上りましてもその中で払えるというふうになっております。
  69. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと防衛庁予算は清算も含めて大体一一〇%になるわけですね。みな大体一割程度の水ぶくれをしておるのが防衛庁艦船建造その他の予算である、簡単に言えばそういう形になるわけですね。私、大体わかりましたからこれ以上その問題については申し上げません。  もう一つ疑問に思うのは、甲型警備艦の継続費の関係です。三十二年関係のこれでは二隻作るのに、一隻約十八億程度で三十六億六千九百万円の予算が計上されているわけであります。三十三年に七億三千百八十二万円、三十三年に十二億二百九十万二千円、こういうようにして継続費として二億追加しているわけですね。そうしますと、当初は三十二年度に七億三千百八十二万円計上して、三十三年以降は二十九億三千八百万円であったわけです。そのときは三十三年度は十八億九千四百四万円、三十四年度が十億四千四百二万円、こうなっておったわけですね。ところが三十三年分十八億九千四百四万円を十二億何がしに変更したわけです。すなわち六億九千百十三万八千円だけ減額繰り延べをしたわけです。さいぜんの潜水艦の場合を見ると、金がむしろ足らぬくらいでありまして、一割の清算を持っているにしてもそういうことはちょっと一割くらいでないと思う、鋼材その他の値上りから見て。これは問題だと思いますけれども、それ以上追及しませんが、この甲型警備艦の三十二年度分を六億九千万も一体どういう理由で繰り延べたのですか。ことしの予算書には十二億何がしになっているわけです。
  70. 山下武利

    山下(武)政府委員 繰り延べましたおもな理由は、三十二年度のおもな計画艦艇が当初の予定よりも若干おくれる結果になったせいであります。具体的に申し上げますと、この甲型警備艦はDDAというのとDDKというのと二隻の予定になっております。DDAと申します方が当初の予定では三十二年の十月にエンジンを契約する予定でありましたところが、その見込みが目下のところは本年の三月に契約する予定で進めております。その間数ヵ月のずれがあったわけであります。船体の方は当初の計画はこの一月ごろでありましたのがやはり三月ぐらいに今のところ予定をされております。これもそれだけ延びております。それからDDKの方はDDCという一種の司令官の乗る船でありますが、そういうものとして計画をされておりましたのが、アメリカから供与を受ける予定になりました例のOSP、これがDDC二隻ということになりました関係から、同じ船を作ってもどうかということで、これを年度の途中からDDKと申します対潜水艦を主とする装備を積んだ船に変更するということになりました。その関係契約の時期が相当ずれて参ったわけでございます。これは当初の計画ではエンジンを本年の二月に契約する予定で、船体の方は本年の四月に契約する予定でございました。それが今の見通しではエンジンの方はこの三月に契約をし、船体の方はこの六月ごろの契約になる、こういうふうなことで若干ずれて参っております。そういうふうに線表がずれた関係から三十三年度に支払いをする年割額が先ほど申されましたような額に減って参った、こういうことであります。
  71. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 先ほど申しましたのは、潜水艦の特殊事情に基きましてそういうことをやったということであります。ほかのものはそういうことをやっておりません。ただ潜水艦も会社とネゴをやりまして、われわれの予定見積り価格に引き寄せて、その標準をそこまで引っぱってきたという努力をわれわれはしまして、そういう仕方をして、結果的にそうなったということに御了解願いたいのであります。ただ一〇%上ったと言われますが、結果的には下る場合もあるわけであります。
  72. 滝井義高

    滝井分科員 そうしますと、今の一割というのは潜水艦だけですか、間違いありませんか。
  73. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 潜水艦と、先ほど申しましたように、甲型警備艦の昔のものにはそういうこともございます。
  74. 滝井義高

    滝井分科員 次に、今お述べいただいたように、気のきいた船の建造計画というのはすべておくれておるわけです。さいぜん横路さんから要求のありました一応の計画を、われわれの方へお知らせてもらいたい。この分科会へ出てもらいたいと思います。それから兵員、海上自衛隊員、陸上自衛隊員、航空自衛隊員、それぞれの一人当り経費、これは私の見たところでは、陸上が三十一年ごろ三十万円台だったと思います。それから航空が多分七十万円台くらいだった。それから海上が五十万円台くらいだったと思いますが、それの内訳の正確なところ、最近の一番新しい資料を出してもらいたいと思います。  次に、船はこれでやめますが、日本の船の状態を見ると、非常に修理費が多い。この予算の表面に出ておる額でも、多分十七億くらいと記憶している。これは一体どういうことでこんなにかかるのか。日本の船はこのごろ作ったばがりだとわれわれは記憶している。そうすると、これはおそらくアメリカから老朽艦、フリゲート艦みたいなボロ船をたくさんもらっておるために、それにたくさん修理費がかかるのじゃなかがと思うのだが、この十七億という修理費は、そういうアメリカから供与されている船の修理費が大部分なのか、日本艦船の修理費と、米国から貸与されておる艦船の修理費との割合は、一体どういうようになっているのか、これを一つ説明願いたい。
  75. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 これはちょっと調べまして、あとで……。
  76. 滝井義高

    滝井分科員 時間の関係がありますから、あとで間に答弁をしていただきたいと思います。  次にお尋ねをしたい点は、さいぜん横路さんからちょっと触れておったのですが、航空事故の防止対策なんです。日本自衛隊飛行機はしょっちゅう落ちるといって、国民から非常な不評を買っておるわけです。そこでおそらくそのために相当の経費をつぎ込むことになったのだろうと思いますが、私はちょっと新聞で読んだときには、四十億くらいの金だと思ったのですが、さいぜんの御説明では、三十五億の予算国庫債務負担行為十五億、計五十億だという御説明をいただいた。この細目明細書経費は、一体どの項目に入っておるのですか、それを一つお教え願いたい。
  77. 山下武利

    山下(武)政府委員 先ほど歳出として三十五億、国庫債務として十五億というふうにお答えをいたしましたが、これは予算書に載っております航空安全対策、救難対策に当ると思われるものを私の方で拾いまして、それを組み合せて作った数字でございまして、直接予算書につながるものではございません。この歳出の三十五億の内訳を申しますと、飛行場の整備のために九千一百万円、航空管制のために四千三百万円、補給整備のために十二億二千九百万円、救難対策のために十二億一千一百万円、教育訓練のために五千六百万円、合計いたしまして三十五億三千一百万円、それから国庫債務の十五億の内訳でありますが、飛行場整備のために三億四千二百万円、航空管制のために二千八百万円、補給整備のために三億六千万円、救難対策のために八億三千九百万円、合計して十五億七千一百万円でございます。
  78. 滝井義高

    滝井分科員 非常に専門的で、内容がよくわからないので、いずれまたこれは機会を改めて、私が研究してから質問させていただきます。  それから公務災害補償費として、一億六千五百三十九万一千円ありますね。これは公務災害というのは、一体どういうものなんでしょうか。
  79. 山下武利

    山下(武)政府委員 演習に従事しておりますときの災害、その他公務に従事しておりますときの一切の災害を含めたものであります。
  80. 滝井義高

    滝井分科員 自衛隊は今制服、非制服合せて二十四万くらいになっておりますが、このうち一体一年のうちにどの程度の公務災害というものが発生しておるかわかりませんか。——わからなければあとでけっこうです。  次にジェット機に乗る操縦士の養成の経費ですね。これは大蔵省から出ておる「日本の財政」という本があります。これを読みますと、大体一人を養成するのに三年間はかかる。その経費は三千万円だということが書かれております。大体そういうことなのかどうか。一体ジェット機に乗る飛行士というものはそんなに金がかかるものかどうか、一つその実態を御説明願いたい。
  81. 山下武利

    山下(武)政府委員 これはいろいろな計算の方法があると思いますが、私もじかに当ったことはございません。どういうふうな積算の内容で三千万円というものが出るか、それはよく存じませんが、しかしまあ非常に選ばれた中から採用されまして、それがさらに採用されてから一人前になるまでに相当の淘汰を受けまして、そうしてその間に相当激しい訓練を受ける。その間の燃料とか器材費というものも相当莫大なものになるわけでございますから、それくらいな数字になるという計算もあるいは出るかと思います。
  82. 滝井義高

    滝井分科員 それは別に大した正確な資料のある数字ではなくて、いろいろな関連した経費を合せてそのくらいの金がかかるだろうという額なんですね。わかりました。  次に今ちまたを歩きますと、自衛隊の募集のニュース・カーが盛んに町を連呼して回っておるわけです。一体こういう募集あるいは広報活動のためにどの程度の歳出を見ておるのか。これを一つ説明願いたい。
  83. 山下武利

    山下(武)政府委員 まず募集のための経費から申し上げます。三十二年度、本年度の経費は一億二千三百万円、それに対しまして三十三年度は一億七千万円を計上してございます。一億七千万円のおもな内容といたしましては、職員旅費三千四百万円、庁費四千万円、募集事務地方公共団体委託費三千二百万円、赴任旅費三千二百万円、特殊旅費千九百万円、以上のような内容でございます。ふえましたおもな内容といたしましては、採用人員の増加に伴う分がございます。そのほかにいろいろ、たとえばパンフレットあるいは立て看板を増加する、あるいは直接募集に当ります地方連絡部職員の旅費でありますとか、あるいは庁費等もふやすという内容を含んでございます。それから広報関係経費でございますが、これは広報活動というものをどこまでがそれであるかということを見るのがむずかしいわけでございます。今申し上げました募集関係経費の中にも、たとえば広報に役立つと思われるものもあるわけでございます。そういうものも入れて広報と考えますと、本年度予算に計上いたしましたものが、約四千九百万円くらいであろうと考えております。
  84. 滝井義高

    滝井分科員 この予算の明細書を見ますと、募集事務地方公共団体委託費三千二百八十四万五千円というものがあるわけです。今の御説明の中でこまかく分類していくと、そういう御説明になるのだろうと思いますが、募集を地方公共団体に委託をしてやる場合に、身体検査その他の試験をやるわけです。その試験場の問題ですが、ウィーク・デーにやるために、学校その他は使えないわけです。地方自治体は非常に困っておるのです。やる場所がない。こういう点は一体どういうことになっているのかということなんです。今年一万人の増員をせられるというなら、それは失業救済の意味もあるかもしれませんけれども、やはり国費を使ってやられるならば、質のよい人をとらなければならぬという関係が出てくる。そうすると、試験場もないし、身体検査をやるところもない。地方公共団体はかねや太鼓で、試験場をどこか貸してくれるところはないかと探し回っておる。自衛隊がなかなか募集難であるばかりでなくして、試験場難だという、こういう形も出てきているわけなんです。こういう点は、地方自治体にも金はある程度やってまかしたから、それで万事終ったということなのかどうか。わずかな金をもらってその事務をやらなければならぬということになれば、これは地方自治体も迷惑な話なんです。その担当官というものは非常に困っている。実は私はその困っておる現場に行きあわした。そうしたら今度は、労働会館を試験場に使わしてくれぬか。簡単に言うと、労働組合自衛隊増強反対なんです。そうすると手をあげておる。たまたま試験場になっておったところが火事で焼けてしまった、さあ試験をする場所がない。平日は学校ではできない。学校でやることは、教育委員会その他から問題が出てくる。一体昨年よりか五千万円程度予算をおふやしになっておる。これは一万人というものを陸上だけでもふやすのですから、当然それは要るのだろうと思うのですが、その点はどういう方針で地方自治体と連絡をおとりになってやっていらっしゃるのか、これは次官から一つ説明を願いたいと思います。これは自衛隊増強する、質的にやろうというなら、まず試験をするところからりっぱでなければだめなんです。そういう試験をするときからあやふやなことをやっておるから、船を作るときもあやふやなものになってしまって、乗る船もいいものができぬということになるのです。だからほんとうにあなた方が自衛隊増強してりっぱなものにしようとするならば、試験をするときからあなた方がふんどしを締め直してやらなければだめです。
  85. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 各県一つ一つの実情については私は知りません。ただ一般的に申し上げますと、キャンプのあるところはキャンプを使いますし、公民館などがありますところは公民館などを使います。ただ仰せられるような事例があるいはあるのかもしれませんが、その非常に極端な場合の対策についてどうしているかは、当該係官から御説明いたさせます。
  86. 滝井義高

    滝井分科員 その試験場その他の問題については、地方自治体に募集事務をまかしている、あとは集まってきたものを適当にセレクトしてやったらいいだろう、そういう安易な気持で今の募集がやられておると思うのです。だからあなた方は、さて自衛隊の募集の状態はどうなっているかと聞くと、困るだろうと思う。おそらく実情はそうですよ。だからニュース・カーがずっと女の子を一人乗せて町を言って回っているが、だれも見向くものはいません。そういうことで、自衛力を増強するのだといって、岸さんは施政演説のたびごとに、青年に与える訓示みたいなことを述べられますけれども、ほんとうにやろうとすれば、やはりどこまでももう少しふんどしを締め直さなければだめだと思う。一億七千万円の金は捨て金です。社会党は反対だけれども、少くとも国会で議決をされた予算が実施をされる段階になったら、その金がむだに使われることがあってはならぬと思う。われわれは国民の出した税金の運命については、たといその政策に反対であっても、その税金の運命を見きわめる責任があると思っている。従ってあなた方は今地方自治体がどういう状態でこの募集事務に従事しているかという実態を調査されてみるといいと思う。非常に困っています。公民館なんといっても、絶対それは許されない。あいておればいいが、いろいろの行事があったときに、自衛隊を優先にやってくれといっても、それは地方自治体で教育委員会から異議が出ることはきまっている。そうすると、どこかへんぴなお寺が、まああいておるふろ屋ででもやるということになるのです。(「寺も反対だ」と呼ぶ者あり)そういうことになるのです。だからその点はもう少し実情を一つ調査してみてもらいたい、こういうことです。  私、時間がきましたからこれでやめますが、さいぜんの修理費はどういうことになっておりますが。
  87. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 今聞き合わせておりますが、資料にいたしまして後ほどお配りいたします。
  88. 田中久雄

  89. 井手以誠

    井手分科員 私は防衛計画の財政と、増勢の関係お尋ねしたかったのでありますが、昨日来横路委員質問に対して、はっきりした答弁がなかったようです。従って別の面で私お尋ねをいたしますが、お配りになっておる財政法二十八条による参考書類、これに基いてお尋ねをいたしますが、この国庫債務負担行為に、航空機購入三十四年度以降二百七十三億三千四百万円、器材購入四十一億八千九百万円、施設整備二十億四百万円、艦船建造二十五億四千六百万円、合計三百六十億円に上るこの国庫債務負担行為、その内容についてお尋ねをいたします。どういう機種の飛行機をいつお買いになるのが、艦船についても同様にお尋ねをいたします。
  90. 山下武利

    山下(武)政府委員 本年度の防衛庁関係国庫債務負担行為は総額におきまして二百八十億四千四百万円でございます。ただいま言われましたのは、大蔵省の作成いたしました財政法二十八条による参考資料、これによりますと、防衛庁における航空機購入のためのもので、昭和三十二年度から昭和三十七年度まで国庫の負担となる総額のうち百二十五億円余り、これは第二十六国会において国庫債務負担行為として議決を経たものである、これが入っておるというわけであります。
  91. 井手以誠

    井手分科員 いえ、私がお尋ねをしておりますものは、三十四年度以降の国庫債務負担行為の金額二百七十三億三千四百二十万六千円という詳しい数字が載っておりまするので、その内訳を承知したいというのであります。それと艦船建造……。
  92. 山下武利

    山下(武)政府委員 三十四年度以降に支出になるものの中でP2Vの関係では百四十億、F86の関係では八十億ばかりこれが入っております。なおヘリコプターの関係で若干国庫債務負担行為がある模様でございます。
  93. 井手以誠

    井手分科員 その内容を、済みませんがちょっとここに書きますので、全部詳しく教えて下さい。
  94. 山下武利

    山下(武)政府委員 さっきのF86の関係は百億でございます。
  95. 井手以誠

    井手分科員 委員長にお願いしたいのですが、非常に内容が大事でございますから、ゆっくり具体的にP2V幾らで単価幾ら、どの機種の飛行機が何機で単価幾らというふうにお願いしたい。
  96. 山下武利

    山下(武)政府委員 まずP2Vの国産化計画の概要から申し上げます。これは本年度からアメリカ援助を受けて生産を開始するわけでございまして、生産計画といたしましては、総額におきまして四十二機を作る。そのできて参ります年度順に申し上げますと、三十四年度に六機、三十五年度に十二機、三十六年度に十二機、三十七年度に十二機、合計いたしまして四十二機でございます。経費の分担といたしましては、一応考えておりますところが、日本側百五十一億四千八百万円、米側百五十五億五千八百万円、合計三百七億六百万円、負担割合にいたしますと、日本側が四九%余り、米側が約五〇%ということに相なっております。単価は、三百七億が総額でありまして、これが四十二機でございますから、ざっと参りますと大体七億見当でございます。年度別の予算計上額といたしましては、総額百五十一億四千八百万円の日本側負担を、三十三年度におきまして一億九千四百万円、三十四年度におきまして十七億一千七百万円、三十五年度におきまして四十億六千四百万円、三十六年度は五十億七千六百万円、三十七年度が四十億九千五百万円、合計いたしまして百五十一億四千八百万円と相なります。
  97. 井手以誠

    井手分科員 今の分だけでなくて、債務負担行為の全部の総額三百七十億円に上る日本側負担のすべてでございます。ジェット機でも何でも全部。
  98. 山下武利

    山下(武)政府委員 ちょっと言葉が足りませんでしたが、P2Vの単価七億と申し上げましたが、むろんそれは日米両方の負担分を合せてのものでありまして、日本側の負担は約その半分でございます。  国庫債務負担行為の内訳を申し上げます。陸、海、空技術研究所に分れておりますが、合計一括して申し上げます。航空機購入のために百九十三億四百万円、器材費として四十一億八千九百万円、施設整備費二十億四百万円、艦船建造費二十五億四千六百万円、合計二百八十億四千四百万円、これがことしの予算といたしまして承認をお願いしております債務負担行為の全部でございます。
  99. 井手以誠

    井手分科員 だいぶわかって参りましたが、航空機購入の百九十三億四百万円の内訳を承知したいと思います。機種別に単価、それから年度額。
  100. 山下武利

    山下(武)政府委員 少しこまかくなりますが申し上げます。まず陸上自衛隊関係でございますが、陸上自衛隊として考えておりますH19というヘリコプターがございます。これを六機、この合計が二億八千八百万円であります。それから少し大型のH21というヘリコプター二機、これが合計で二億九百万円であります。それから海上自衛隊関係は今申し上げましたP2Vがおもなものであります。総額におきまして百五十二億三千二百万円で、このうちP2Vはさっき申し上げましたが百四十七億九千七百万円でありまして、そのほかS58と申します大型のヘリコプター、これを二機、合計しまして一億七千九百万円であります。この二つが合わさって百五十二億三千二百万円と相なっております。それから航空自衛隊関係におきましては全部で三十五億七千四百万円、この内訳はH19というヘリコプターでありますが、これが七機、七億九千四百万円、それから現在富士重工で作っております昼間ジェット練習機でありますが、その練習機用のエンジン、これは輸入品を予定いたしておりますが、十一機分五億一千七百万円、それからリンク・トレーナーと申します操縦士訓練用に使います機械でありますが、これが二台、七千五百万円、それからF86F第三次生産分、これの所属品として契約を要しますものが二十一億八千六百万円、航空機購入のための国庫債務負担行為は以上の通りであります。
  101. 井手以誠

    井手分科員 ありがとうございました。だいぶんわかって参りました。  それから艦船の方を一つ……。
  102. 山下武利

    山下(武)政府委員 艦船総額二十五億四千六百万円であります。その内訳は、三十二年度計画といたしましては中型掃海艇三隻、五億八千七百万円、それから三十三年度大型駆潜艇二隻、五億四千八百万円、三十二年度大型駆潜艇一億九千八百万円、三十三年度中型掃海艇四隻、十二億一千一百万円、以上合計が二十五億四千六百万円でございます。
  103. 井手以誠

    井手分科員 重ねてお尋ねします。ただいままでお聞きしましたものは大体年度別にわかっておるようでございますが、三十四、三十五、三十六、三十七、四カ年の年度割がわかっておれば承知したいと思います。
  104. 山下武利

    山下(武)政府委員 三十四年度以降の歳出に予定されておりますところの金額を申し上げますと、三十四年度歳出として予定されておりますものは、航空機購入におきまして百四十二億五百万円、同じく航空機購入の年度割で申し上げますと、三十五年度に見込まれますものは四十億一千二百万円、三十六年度五十億三千四百万円、三十七年度四十億八千一百万円、それから装備品の購入でありますが、これが三十四年度四十一億八千九百万円、以下ありません。それから施設整備費で三十四年度二十億四百万円、艦船建造費三十四年度二十三億八千四百万円、三十五年度一億六千一百万円、以下でございません。大体国庫債務負担行為として後年度に影響を持つと思われる経費は以上の通りでございます。
  105. 井手以誠

    井手分科員 そうしますと、この国庫債務負担行為、航空機艦船などの購入はほとんど三十四年度——三十五年度ぐらいにはほとんど終るということでございますね。航空機は若干残りますけれども、そういうことでしょう……。
  106. 山下武利

    山下(武)政府委員 現在わかっております分で、後年度、三十七年度まで影響を及ぼすのは、先ほど申し上げましたP2Vの関係であります。そのほかの艦船航空機は大体三十四年度で切れる、こういうことでございます。
  107. 井手以誠

    井手分科員 ちょっとこまかくなりますが、施設整備というのはどういう内容のものでございますか。
  108. 山下武利

    山下(武)政府委員 各種のものにわたっておりますが、主として庁舎の取得あるいは演習場の施設の取得といったようなものが入っていると思います。
  109. 井手以誠

    井手分科員 演習場は、新たに作られるものあるいは拡張のものだと思いますが、幸い金額も詳細わかっているようでありますから、内容を一つお示し願いたいと思います。
  110. 山下武利

    山下(武)政府委員 施設整備費として計上されております十九億三千四百万円の内訳でございますが、居住施設といたしまして一億七百万円、飛行場施設といたしまして十三億三千七百万円、通信施設といたしまして一億二千万円、設備施設といたしまして一億九千八百万円、その他でございます。先ほど申し上げました演習場というのは、私ちょっと間違いまして、おもな内容は飛行場の施設でございます。
  111. 井手以誠

    井手分科員 それでは飛行場の施設ならば、飛行場の新設、拡張というものはないわけでございますな。
  112. 山下武利

    山下(武)政府委員 この中には次期航空団のために飛行場の取得をしたいという希望を持っておりまして、それの経費の見込みを含んでございます。ただしそれをどこにするかということにつきましては、いまだ決定をいたしておりません。
  113. 井手以誠

    井手分科員 防衛計画によりますれば、これぐらいの将来にわたる国の負担となる契約では足らぬじゃないかと思いますが、来年もまた新たに国庫負担行為というものを起されるようなお考えがございますか。
  114. 山下武利

    山下(武)政府委員 これは来年度の予算を組みますときに、来年度の業務計画というものを立てまして、それに基いてやるわけでございます。今から来年度どうするかということはちょっと申し上げかねます。
  115. 井手以誠

    井手分科員 今は予定されておりません、今予定されているのなら当然いろいろな面に出てくると思いますが、防衛計画によれば来年度、再来年度新たにこういう契約を結ばねばならぬ計画ではないかと考えております。大体そんなことでございますか。
  116. 山下武利

    山下(武)政府委員 これは防衛計画から直ちに飛行場の規模とか数とかいうのが出てくるわけではないのでありまして、それは機種とかあるいはその配置の状況とかいうものできまってくるわけであります。必ず何機にするから飛行場としては何カ所要るとか、どこに要るとかいったような因果関係はないわけでございます。
  117. 井手以誠

    井手分科員 そうしますと、くどいようですけれども、この債務負担行為による航空機の総数は何機になりますか。
  118. 山下武利

    山下(武)政府委員 ただいまのお尋ねは、先ほど私が申し上げました機数をちょっと足していただけば自然に出てくるものだと思います。
  119. 井手以誠

    井手分科員 そうすると、抽象的なことになりますが、千三百機に達するまでにはこの債務負担行為ばかりじゃないでしょう。継続費は艦船が主たるものでございますが、単年度で購入というわけにも簡単に参らぬと思っております。従来の例によれば債務負担行為が中心になっておると考えておりますが、そうなりますと、今ちょっと足してみましたけれども防衛計画の千三百二十機でございますか、これに達するにはなお多くのこういう契約が必要だと考えておりますが、いかがでございますか。
  120. 山下武利

    山下(武)政府委員 おっしゃる千三百機といいますのは、今の防衛計画の終ります年度におきます航空自衛隊の勢力でございますか。航空自衛隊の三十三年度末におきます見込み機数は九百九十機でございます。従ってその残りが何機になりますか、それだけのものは当然増勢を要するわけでございます。それは後年度において考えなくちゃならぬのであります。
  121. 井手以誠

    井手分科員 どうもいろいろありますけれども、もう時間がだいぶたっておりますから後日に譲ります。ありがとうございました。
  122. 田中久雄

    田中主査 昨日の横路委員の質疑に対し、答弁の申し出があります。この際これを許します。高木主計官
  123. 高木文雄

    ○高木説明員 北海道開発庁の予算に計上されております篠津地域泥炭地開発事業費の予算についてのお尋ねでありますが、予算に計上いたしました額は、三十三年度が九億百万円でございます。当該予算の三十二年度の予算額は八億五千万円でございますので、予算の増加額は五千百万円でございます。この九億百万円の三十三年度の予算額の中には、国が農地開発機械公団に交付いたします、公団交付金と呼んでおりますが、その分が一億六千百万円入っております。従いまして純事業費は七億四千万円となります。これを三十二年度と比較して申し上げますと、三十二年度の公団交付金は千八百万円でございますので、公団交付金としては一億四千二百万円の増加となり、事業費としては九千百万円の減少となります。ちょっと端折りましたが、三十二年度の事業費は八億三千五百万円でございまして、三十三年度の純事業費の七億四千万円と比べますと、約九千百万円の減少となります。昨日のお尋ねは、この減少につきまして篠津の事業費をむしろ拡大していくべき時期にあるにかかわらず、予算を減少するのはおかしいのじゃないかという点があったと思いますが、その点につきましては、純事業費の中にもいろいろなものを含んでおりまして、三十二年度の純事業費の中には、土地の買収費であるとか、あるいは事業が新しく始められたばかりでありますので、庁舎、宿舎等の営繕費であるとか、そういう臨時的な経費が約一億三千七百万円含まれておりました。これに該当いたします性質の経費に充てます三十三年度の予算額は二千七百万円でありまして、従ってこの種の土地の補償費あるいは営繕費等の金額は、三十二年度と三十三年度と比べまして、三十三年度は約一億九百万円減額になります。従いまして、たとえばポンプを動かす経費でありますとか、あるいはダムの築造費でありますとか、そういう直接工事と申しますか、物ができ上っていきます性質の純事業費中のさらに純事業費というようなものを見ますと、これは三十二年度に比べまして約二千万円程度の増加ということになるわけでございます。予算額全体といたしまして五千万円程度の増加にとどめました理由は、少し複雑になりましたが、ただいま御説明申し上げましたように、純事業費としては大体三十二年度と同じくらいの事業でやっていったらどうかという前提のもとに計算したものでございます。  もう一つの御質問の要点は、公団に交付する金をこの予算の中に一本で計上しておるのは不適当ではないかという点であったと思いますが、公団に交付いたします一億六千万円というのは、一口に申しますと、国が農地開発機械公団に対して三十年度に借りました金を返す性質のものでございます。昭和三十年度に新しく日本アメリカ一との間で余剰農産物協定が結ばれました際に、余剰農産物の売り払い代金をもちまして、一般には見返り円と呼んでおりますが、その見返り円を国内で使う計画を立てました際に、農業関係に三十億円を充てたのでございます。三十億円のうち、約二十五億円を愛知用水公団の事業に引き当て、この篠津地域の低湿地開発事業には四億五千万円を引き当てたわけでございます。その四億五千万円を引き当てます際に、三十年度の予算をすでに提出いたしましたあとで余剰農産物協定ができました関係もございましたが、その際に一年でも早く篠津の事業を開始してほしいという御要望が、北海道開発庁から強く出されまして、そこで一つの方法といたしまして、余剰農産物特別会計から農地開発機械公団が四億五千万円借り入れまして、そうして北海道開発庁と農地開発機械公団との間に一定の形式の契約を結びまして、この農地開発機械公団が余剰農産物特別会計から借りました四億五千万円で、篠津地域の事業を始めたわけでございます。国と申しますか、北海道開発庁と申しますか、この事業の主体といたしましては、その借りました金を農地開発機械公団に返す必要がございます。その返す返し方につきましては、当初の契約で初めからきまっておりまして、そうして機械公団はこれを余剰農産物特別会計にまた返すわけであります。このことにつきましては、すでに三十年度予算国庫債務負担行為によってきまっております。この返します金は、昭和三十一年度の予算におきまして約千八百万円、昭和三十二年度予算におきまして同じく約千八百万円、これらはいずれも利子相当分でございます。これに三十三年度から元本額に当るものが加わりますので、三十三年度には非常に多くなったのであります。この種の経費をこの地域の予算に計上することがいいか悪いかということにつきましては、この四億五千万円そのものがこの篠津の事業費に充てられたものでございますから、そしてそれが現に機械となりあるいはその借りた金で工事をいたしたのでございますから、返す金を篠津地域の開発の予算に計上することは差しつかえないのではないか、現に三十一年度からそのように継続してやっております。三十四年度以降も同様にいたしまして、この四億五千万円を農地開発機械公団に返すことを予定いたしております。
  124. 横路節雄

    横路分科員 ちょっとお尋ねしますが、実際に今の篠津原野の仕事をやっているのは公団ですか、開発局ですか。
  125. 高木文雄

    ○高木説明員 工事を施行しておりますのは開発局でございます。
  126. 横路節雄

    横路分科員 お尋ねしますが、そうするとこれは会計上の操作のためでしょうか。実際からいくとこういう順序をとっていったわけですね。実際の仕事をしているのは国の官庁である開発局が工事をしておる。ところが余剰農産物特別会計から公団が四億五千万借りて、その金を開発局がまた借りて、そして事業をやる。そして開発局は公団に返すのだ。これは余剰農産物特別会計から直接国の事業官庁である開発局にこの金がいくことができなかったわけですか。これは何も仕事をしないのに公団があって、そこへ一ぺん受け入れておいてから、この開発局にいくということは……。なぜ直接余剰農産物特別会計から篠津原野の仕事についてはいかないのでしょうかね。
  127. 高木文雄

    ○高木説明員 余剰農産物特別会計から一般会計が借り受けまして、つまり一般会計として四億五千万円を歳入に取りまして、そして歳出、北海道開発局の事業費を四億五千万円つけまして工事をすることも可能ではございますが、昭和三十年度におきまして、余剰農産物協定と申しますか、日米間の協定ができました際には、すでに予算国会に提出済みでございまして、はっきり記憶しておりませんが、御審議がかなり進んでおりましたので、御審議の最中にこれを直すということも非常に混乱が起きるのじゃないかということが考えられたことが一つでございます。もう一点は、むしろこの方が、このような複雑な構成をとりました直接の大きな理由でございますが、篠津地域の開発事業には世界銀行から金を借りることを予定しておりました。協定ができましたのはなおあとでございますが、世界銀行から金を借りて、その借りた金で機械を買って仕事をするということが予定されておったわけであります。その場合に、世界銀行から金を借ります際には、北海道開発局が直接借りるという形式をとります場合には、結局国が世界銀行から金を借りなければならないという形になります。非常にこまかい技術論になりますが、世界銀行と契約を締結いたします場合に、国が契約の主体になるといたしますと、いろいろのこまかい点について、法律技術的に問題のあるような規定を挿入しなければならないようなことになるおそれがありますので、その際に新しく農地開発機械公団という一種の政府の外郭の機関を作りまして、その農地開発機械公団が世界銀行と契約をして金を借りる。その目的の一つは、篠津地区における事業に充てるための機械を買う金を世界銀行から借りるためであり、同時に青森県の上北地区と北海道の根釧地区におきます機械開墾事業に充てるための機械を、世界銀行から借ります借り受け主体として、農地開発機械公団を新しく作って、そこで借り受けるという形にしたのでございます。そのようにいたしましたのは、ただいま申しましたような、国が直接世界銀行と契約を結ぶのはいろいろな点でめんどうではないかという点が一つと、もう一つは、機械の寿命は篠津地域の事業だけで尽きるものでない場合がございます。それから上北地区、根釧地区の機械開墾の機械につきましても、両地域だけで機械を全部償却するだけの事業量がございませんので、第二、第三の地域で機械開墾が将来行われるであろうということから、直接借り受けるよりはそういう公団を作って、そして公団で経理をする方がいいのではないかという考え方に立ったわけであります。そこで、そのようにして機械公団を作ることが予定されておりましたので、余剰農産物の見返り円につきましても同様に、機械公団が借りるという形式をとったわけでございます。
  128. 横路節雄

    横路分科員 そうすると農地開発機械公団というのはトンネル公団ですね。これは今あなたからお話しのように、特別会計から一般会計に逆に繰り入れて、一般会計から北海道開発局に出して、開発局がやってもいい、それはできる、ただ国会の審議中でごたごたしては困るからということだが、それはこういうようにおやりになった方がごたごたしたかどうか、かえって私はすっきりしたのではないかと思う。今あなたの方は実際の事業の主体は開発局がやっているというのですね。そこで今度は第二番目の問題としては、国が世界銀行から金を借りる契約の主体に直接なってもいいのだが、いろいろな技術上の問題もあるので、農地開発機械公団が契約の主体になった。ところが農地開発機械公団が世界銀行から何を借りるのかというと、実際には機械になっているわけですね。そこで今あなたから、その機械は何も篠津ばかりでなく、青森、上北等もあるのだからというお話だが、きのうの決算委員会で問題になりましたことは、そのうちイギリスから——きのうはイギリスだというのですが、イギリスから入れたという八千二百万の機械は使用ができない。これはあなたも現地に見に行って、機械が野っ原にぶん投げてあると言っては悪いけど、使用ができないであるのを見てきたはずである。ところが開発局の方に聞くと、それは買わなければならないと言う。会計検査院の人に聞くと、いやそれはとんでもない話だと言う。もしも開発局が実際に事業の主体であり、開発局が実際に一般会計から入ってくるような格好であれば、開発局自身が自分で事業をやっているのだから、役にも立たない機械を買うはずがない。それを世界銀行は金を貸すが、それは別な機械を……。どうもこれは私はちょっと怪しいと思う。非常に問題が多いと思う。八千二百万の開発機械を入れたが、それを使わないでぶん投げてあるというのは相当問題です。私はあなたにお尋ねしたいのだが、今実際に仕事ができないで投げてある、これをどうしても開発局が買わなければならないのですか。開発局が買わないという場合には、農地開発機械公団はその八千二百万円の機械を抱えたままどうなるのですか。開発局の方に聞けば買うのですと言う。これはどうなっているのですか。
  129. 高木文雄

    ○高木説明員 問題の機械が篠津地域の開発事業をいたします場合に一番問題になりました点は、泥炭地でございますので、普通の機械では地盤がやわらかいために客土用の土壌の運搬が不可能だ。そこでいろいろな方法が当時考えられたのでございますが、一つは、今も御指摘の、問題になった機械を買って——これは特殊な機械でございます。特殊なトラックでございますが、それを買って、それで運搬する方法であります。第二、第三の別途の方法もいろいろ比較検討されまして、泥炭地域の開発の経験の深いフランスの技師その他に相談いたしました上で、北海道開発局としてはこの機械でやるのが一番いいのではないかということで、世界銀行に借り入れの申請書を出します際にも、その機械を借りたいから金を貸してもらいたいという申請書を提出しております。ただ何分日本に全然使ったことのない機械でございますので、あまり一挙に入れるのはどうかということで、はっきり記憶しておりませんが、たしか五、六台ではなかったかと思いますが、かなり限られた台数だけを購入して一年間ほど使ってみたわけでございますが、ただいま御指摘のように効率があまりよくございませんので、今のところそれは使用していない、その点会計検査院の指摘を受けたという点は御指摘の通りでございます。これをどういうふうに使うかということにつきましては、ただいま政府部内で研究いたしておりますが、篠津地域の開発事業には確かに不適当であることは、一年の経験ではっきりしたわけでございますが、さればといってこれが全然使いものにならぬものではないのでございまして、北海道の他の地域もしくは内地の他の地域のいろいろな工事に十分当て得るのではないかというふうに考えられます。ただその点は専門家がただいま検討いたしております。それがきまりましたならば、その機械を使うのに最もふさわしい事業地区に振り向けまして、簡単に申しますと、その機械を使うことの最も適当な地区の予算でその機械を農地開発機械公団から借り受けまして、そうして仕事をするということになると思います。いずれにいたしましても、ただ最初実験的に使いました期間ではございますが、最初の間このように使えないというようになりましたことは、調査が不十分であったわけでありまして、この点は申しわけないと思っております。  その場合に、機械の借料の問題でございますが、ただいま御指摘のように、農地開発機械公団は、一種のトンネルのような形になっている部分がありますので、もし北海道開発局が使わなかった場合に、全然借料を払いませんと、農地開発機械公団としては、世界銀行に借款を返済する原資がなくなってしまうということになりますから、従って開発局と農地開発機械公団との間の契約によりますと、最低金額の支払い条項がきめてございまして、もし万一機械を使わない場合にも、ある程度の金額を払うということになっております。しかしそれは単年度の問題でございまして、後年度以降におきましては、その機械を最も十分に使える地域に農地開発機械公団が持っていきまして、そこで使うということになっておりますので、単年度におきましては、会計検査院の指摘のありましたような問題がありますが、今後ずっとその金を篠津地域の予算の中から出さなければならぬのだというふうには私どもは考えておりません。
  130. 横路節雄

    横路分科員 最後はやはりこれは買うのですか。たとえば北海道内の開発に使えばそれは開発局が買う、青森に行けば農林省が買うわけですか。最後は、不要になったときはどこが買うのですか。その点はっきりしてもらいたい。
  131. 高木文雄

    ○高木説明員 現在はまだ最終的に方針をきめてあるわけではございませんが、買うわけではなくて、その機械を使ったところが借料を払うわけでございます。償却期間までの借料が農地開発機械公団に全部たまりますれば、農地開発機械公団としては世界銀行に元本を返せるということになるわけであります。その場合に、これは全く仮定の問題で私どもは実は考えていないのでございますが、全く機械がどこにも使えないという事態になったときにどうするかという点については、現在のところそういうふうに考えておりませんので、十分使える、つまり地盤の篠津ほどには弱くない地帯であれば、十分使えるというふうに考えておりますので、どこにも使えなくなってあとしまつをどうするかという御質問につきましては、ただいまのところちょっと私どもとして、具体的にそのことを考えておりませんと申し上げるほかにはないと思います。
  132. 横路節雄

    横路分科員 今の機械の賃貸料は、ただ世界銀行の利子だけですか。毎年払う賃貸料はたしか当初六百何十万となっておりますが、六百何十万となれば、ちょっと利子にしては高いわけですね。世界銀行の利子はそんなものではなくて安いわけですから、あの賃貸料というものは、元金も入っておるわけですか。
  133. 高木文雄

    ○高木説明員 賃貸料を算定いたします際には、機械の償却年限を考えまして、要するにその機械が最後までに何千時間使えるという計算をいたしまして、その元本とその期間中の利子が回収できるように計算いたしてあります。つまり元本も入っておるのでございます。
  134. 横路節雄

    横路分科員 もう一つ聞きますが、農地開発機械公団は職員は何人ですか。あなたの話を聞くと職員の俸給を払うだけのことで、事業主体は開発局がやっておる。農地開発機械公団は何も仕事していない。そうすると全く職員の俸給だけですね。何人おるのですか、また年間の予算はどのくらいですか、おわかりですか。
  135. 高木文雄

    ○高木説明員 職員の数は全部で三十人くらいでございます。年間の事業量は今のところ約一億五千万円くらいではなかったかと思います。その仕事は篠津地域の機械の場合は非常に特例でありまして、今トンネルということを言われましたが、実体はかなりそれに近いようなことになっておりますが、ほかの上北、根釧については、オペレーターを持って自分で機械開墾を実施しております。それからその機械は現在上北、根釧は冬期は仕事ができませんので、ほかの地域へ参りまして、いろいろな土木事業、特に農地関係の土木事業に従事しておりますので、必ずしも職員が全然遊んでおるというわけではなくて、これは固有の事業を持っております。篠津関係の仕事につきましての職員は、そう大勢おるわけではございませんので、その職員の大部分は、上北地区と根釧地区において機械開墾を実施する事業についての職員でございます。
  136. 横路節雄

    横路分科員 今のお話で根釧、上北等は冬期はできない、冬期の分はどこかへ行って仕事をする。その場合には請負契約でやるわけですね。そこで機械公団というものはどういう性格ですか。民間の他の会社とかあるいは官庁と直接請負契約をしてやれる団体ですが、どうなんですか。
  137. 高木文雄

    ○高木説明員 農地開発機械公団が持っております機械を使って工事をやります場合には、民間の仕事も引き受けられないことはございませんが、現在は民間の仕事は直接はやっておりませんので、国もしくは府県の仕事を別に契約をして工事をやっております。
  138. 横路節雄

    横路分科員 公団はどういう性格になっておるわけですか。これは直接国とあるいは地方公共団体と請負契約がやれる一般の民間の土木業者と同じですか。
  139. 高木文雄

    ○高木説明員 農地開発機械公団法に基く特殊法人でございますから、それ相当に国の監督を受けておりますので、そういう意味におきまして民間と同じということはございませんが、やっております事業の内容は土木事業であるという点では民間の会社と同じでございます。
  140. 横路節雄

    横路分科員 私今までこれをよく調査したことがないのですが、そうするとこれは余剰農産物特別会計から公団が借り入れて、篠津については開発局がまた四億五千万円借りて仕事を始める。この農地開発機械公団は本来からいえば世界銀行から金を借りるのに直接国が契約の主体であろうが、いろいろなことがあって農地開発機械公団がやっている。それは一般の民間の土建業者と同じに、国と直接の契約や地方公共団体と契約をしてやることもできる。一方ではトンネルの公団だ、一方では事業もやる、そうしてしかも機械については、きのう開発局の方に聞けば、これは農林省の農地局がその機械を買ってきたんだ、開発局はあまりよく知らない、だからそういうぶざまなことになった。まことにどうも私どもは農地開発機械公団というものはなかなか不可思議な存在だと思うのです。この点につきましては、私は時間もだいぶたっておりますからこの程度で、あらためて本委員会あるいは他の関係委員会でお尋ねしたいと思いますが、一つ特に要望しておきたいのは、会計検査院に言わせると役に立たぬ、しかし昨日の説明で聞くとどうも買わなければならぬ、今の主計官の話によれば毎年開発局が払っておる賃貸料はちゃんと償却も入れて払っておるんだ、どうもそこら辺のことが——一兆幾らの金の中からいえば八千二百万はわずかな金額かもしれませんが、しかし国民の税金を使っておる。どうも私たちふに落ちない。この点は大蔵省の方でも、また開発局の方でも、直接は農林省の農地局の諸君ですが、こういう機械の購入については十分厳重に注意をしてもらいたい。どうも世界銀行からこの金を借りる際に初めからうわさされていたのです。農業度度土木機械を入れるんだ、それはあまり役にも立たない機械を入れるのではないが、その間に介在してそういう機械を入れる多くの諸君の利潤がどうも入ってくるのではないが、世間の多くの人が疑惑を持っていたのです。どうもまんざらそれがうそでもないように私どもには思われて仕方がない。そういうことはないと思いますが、一つ機械の購入については特段の注意をしてもらいたい。農地開発機械公団の性格についてはわれわれちょっと納得のいかないところがありますが、時間もだいぶたちましたからこの程度で終ります。
  141. 田中久雄

    田中主査 午後一時半より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時五十一分開議
  142. 田中久雄

    田中主査 休憩前に引き続き会議を、開きます。  質疑を続行いたします。河野密君。
  143. 河野密

    河野(密)分科員 大へん恐縮ですが、最初にこまかい問題から質問さしていただきたいと思います。  去年の予算分科会で、私やはりこの席で御質問申し上げたのですが、それは造幣局と印刷局との問題に関係しておることで御質問申し上げましたので、その続きを一つ伺わしていただきたいと思います。  この前、去年の問題で、百円硬貨を出すということで造幣局長から御説明がございました。その後百円硬貨が発行されたのでありますが、われわれの聞くところによりますと非常に評判が悪い。それから新聞、雑誌等にも相当に評判が悪いということが載っております。計画にはずっと載っておりますが、これをこのままお続けになるつもりでありますか、それから一つ伺わせていただきます。
  144. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 このまま鋳造していく考えであります。
  145. 河野密

    河野(密)分科員 百円硬貨をことしは五千万枚、三十三年度は八千万枚をお出しになる、こういう計画のようでありますが、その時分に、去年の硬貨を出すという理由の一つの大きいものは、造幣局の作業量が減っておるということも一つの理由でありましたが、地金があるから、こういうことでございました。ことしの予算書を拝見いたしますと、地金がないようでありますが、これはどういうことでありましょうか。局長からでけっこうです。
  146. 脇阪實

    脇阪説明員 お答えいたします。昨年、御案内のように、百円銀貨を作るという法律が通りまして、昨年九月から製造にかかりまして、年末に出しまして、その後現在も作っておりまして、本年度に五千万枚、金額にして五十億円を作るというこことになっておるのであります。来年度の予算には、ここに出ておりますように、百七十八トン銀を買うということになりまして、手持ちを六十五トン使って、合せて二百四十三トンになるわけでありまして、その予算として十八億七千二百万円、銀だけで申しますとそういう予算が出されておるわけでございます。銀は、昨年申しましたと思いますが、接収貴金属として造幣局その他から接収されておって、その法律が成立しますれば、政府に返ってくるというものが千八百六十トンばかりございます。それはもちろん造幣局はその一部でありますので、その購入は結局一般会計とか、貴金属特別会計でございますとか、そういうところから買わなければならぬので、その買う金として、大体それを目当てといたしまして、十八億七千二百万円が出ておるわけでございまして、造幣局の手持ちといたしますれば、まだわかりませんが、大体今年度五千万枚を作って、最後に手持ちで来年度に繰り越すのは、自分のところで使えるというのが、四十トンばかりになるかと思うのでございます。あとは接収貴金属等の処理に関する法律が成立して政府に返ってくれば、造幣局のものは造幣局でいいのでありますけれども、ほかの会計からこれを購入するということになるかと思います。
  147. 河野密

    河野(密)分科員 それはけっこうですが、ただ接収貴金属の処理法案というものは御承知のようにまだ通っておらないわけなんです。通っておらない法律ですけれども、これは通る見込みが立つかどうかもわからない。ことに国会が解散にでもなればこれは流れるかもしれない。そういう場合はこれはどういうふうに御処置になるつもりでしょうか。これは造幣局の作業量が減っておる。それをこれで補うのだということが、百円硬貨を出す非常に大きな理由になっておるわけなのであります。百円硬貨そのものは、私がさっき申し上げましたように非常に評判が悪い。これはあなた方もよく御存じで、新聞雑誌等にもよく現われておりますからわかっておると思うのでありますが、それにもかかわらず出したのは、一つの理由は、今言う通り地金があるからということ、地金を利用することを考えなくちゃならぬということと、もう一つは、造幣局の作業量が減っておるからこれを補うんだ、こういうことで、いろいろないきさつがあったにかかわらず無理やりに承認をしたような形になっておる。しかし実際にはその通り一つもなっておらない。これは一体どういうわけなんでしょうか。
  148. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 接収貴金属処理の法律等にも関連しての御質問でございますから、私からお答えを申し上げます。  ただいま御指摘のように、造幣局の手持ち銀は大へん窮屈になっておるわけでございまして、また百円硬貨につきましてもまだ全般にふなれな関係等もございまして、やや、いろいろ御非難等もあるようでございますが、この点につきましては臨時通貨法のときにいろいろ御説明申し上げました通りに、今河野委員がおあげのような理由のほかに、大いに経済的であるということが大きな理由でございました。この点は今も変っていないと思います。つきましては、われわれとしては、だんだんこれが一般の方々になれまして、便利でしかも経済的だということで愛用されることを切に望んでおるわけでございます。つきましては、地金をどうするかという問題でございますが、今日すでに接収貴金属の処理法案は衆議院を通過いたしまして参議院において継続審議中でございます。社会党の方々では接収貴金属処理法案についていろいろ御意見もあるのでありますが、この銀は御承知のように、大部分国に帰属する分でございます。法律案の中で非常に意見が分れております点は、民間に返す分につきましていろいろ意見が分れておりますことは御承知の通りでございます。つきましては、われわれといたしましてはぜひともこの国会におきまして接収貴金属処理法案が成立いたしまして、所期の通り百円硬貨の材料といたしまして政府に帰属する銀を使用できるようになることを期待をいたしておる次第でございます。
  149. 河野密

    河野(密)分科員 私は別にそれに対してとやかく言うわけじゃないのですが、せっかく無理をして百円硬貨を出すということになったのに、その実績が上らなければはなはだ不本意だと思うので、御質問を申し上げておるわけであります。  そこでこれは予算関係のあることでありますから局長にお尋ねしますが、三十四年の三月三十一日に終る貸借対照表と、それから三十三年の三月三十一日に終る貸借対照表を見ますと、その金額が半分になっておるのです。作業量は今申し上げたように五千万枚が八千万枚にふえる。しかしこれが半分になっておるのはどういう理由でありますか。
  150. 脇阪實

    脇阪説明員 追って調査をいたしましてお答えいたします。
  151. 河野密

    河野(密)分科員 予算書に出ておることがおわかりにならぬそうですから、それでは一つ印刷局の局長に伺いますが、今度印刷局におきましてはいろいろ問題がありましたが百円札の印刷を減らしておるわけであります。昭和三十二年度におきましては五億九千万枚お作りになっておりましたのを、五億三千万枚に、六千万枚百円札を減らすということになっておりますが、その結果として百円札を作っておる作業量が減りまして、現在の印刷局内における作業はどういうことになりますか、これを一つ伺いたいと思います。
  152. 山中一朗

    ○山中説明員 ただいま河野委員のお話の百円札の硬貨にかかわる減額製造の関係でございますが、私の方の計画といたしましては、三十一、二、三年度全体の計画量においては、大体製造計画といたしましては同程度の作業量を持っておるわけであります。従いまして各工場間におきますところの、たとえて申しますれば、小田原なら小田原で現在百円札を作っておる。これが五百円札を作業の組みかえをいたしまして作る、そういう関係から順次調整をとっていきますれば、絶対量といたしまして計数では減らないのでありますから、人員の減少とかそういうものは起らない予定で計画を進めております。
  153. 河野密

    河野(密)分科員 作業量は有無相通ずるからこれで減らないのだというのでありますが、そうしますと、現在百円札は、私の承知しておるところによれば、みなあなたの方でお持ちの東京、小田原あるいは彦根等で作っておられる。これは百円札が六千万枚減ることになりまして、しかもその作業量は変らないとおっしゃる。そうするとそれらの工場間におけるアンバランスというものは、ほかの札の製造で埋めていく、こういうふうなお考えでございますか。
  154. 山中一朗

    ○山中説明員 ただいま河野委員の方からの——こまかい作業量の問題についてはいろいろございますが、大体方針といたしましては、そういう方針でわれわれは作業を進めていきたい、こう考えておるわけであります。
  155. 河野密

    河野(密)分科員 じゃくどいようですけれども、そうすると各工場においてその従業員の配置転換とか、そういうことは大体やらない、こういうおつもりなんでしょうか。
  156. 山中一朗

    ○山中説明員 三十三年度におきましては配置転換はする必要はないと考えております。それからずっと将来の計画につきましても現在理財、日銀、われわれの方といろいろと相談をいたしまして、これは先刻理財局長あたりからの答弁があったかもしれませんが、大体今の形でいきますれば、われわれは近い将来において職工の配置転換までする必要はない、こういうふうに考えております。
  157. 河野密

    河野(密)分科員 私の承知するところによりますと、この百円硬貨はせっかく作ったけれども、日銀に眠っている分が多い。それにかかわらず百円札の需要が非常に多い、こういうことを聞いておるのですが、もしそうだとすれば、六千万枚現に減らして、これは一般の要求に応するのには少しも支障がないというお考えでしょうか。それとも要求に対して一定のものは、これは硬貨で渡すのだ、こういうような措置もおとりになる所存ですか。
  158. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 通貨の発行の政策に関連する問題でございますからお答え申し上げますが、先ほども申し上げましたように、百円硬貨につきましてはまだそれが一般にファミリアになっておりませんような理由から、いろいろ御非難等も伺っておる次第でありますが、私どもといたしましては、非常に技術的にも研究をして出したものでございまして、だんだんこれが浸透いたしましてなれて参りますれば、相当利用されるものという確信を持っております。つきましては、ただいま御質問のように百円硬貨につきまして、特に一定の金額までは必ず受け取ってもらうというふうな非常識のことを考えておる次第ではございませんで、大体におきまして昨年の十二月以来の発行状況、流通の状況等を勘案いたしまして、自然に浸透していくところに期待をいたしたい。これと見合いまして、百円の日銀券を出して参ることは御指摘の通りでありまして、若干その方が減って参る次第でありますが、これは今申し上げたような自然の浸透の過程に沿いまして、さような事態に持っていきたいという考え方でございます。  なお、先ほど印刷局長が、すでに説明があったかと思うかということでございましたので、この際つけ加えて申し上げますが、実は河野委員も御承知の通りに、今日日本銀行の券が戦前等に比べますと、いわゆる発行元の準備が比較的今までは窮屈になっております。また現実に流通しております千円札等につきましても、どうも中にはよごれて困るというふうな批評もございました点を考えまして、三十三年度の予算を編成いたします際に、予算当局、特に大蔵大臣、日本銀行総裁等も、この点は非常に大切な問題である、ぜひとも発行元の準備も十分にするように、またきれいなお札で大衆に愛されて大切にお金を使うという気風を助長する必要があるというようなことから、相当思い切りまして日銀券の製造計画につきまして根本的に見直したわけであります。大体の考えといたしましては、従来いわゆる耐用命数と申しますか年数と申しますか、これを非常に長く見ておりまして、千円券のごときは大体五年五カ月程度見ておりましたのを平均三年くらいに短縮いたしたい、五百円券は一年一カ月程度をやはり一年程度にいたしたい、百円券も一年五カ月程度を一年程度にいたしたい、こういう考え方をもちまして、ちょっと熟しません言葉でございますが、日本銀行券をきれいな姿にして参りたい、こういうふうなことを予算に織り込んでおります。その点が先ほど印刷局長から、すでに説明があったかと思うかということで言及になりましたので、この際つけ加えて申し上げておきます。
  159. 河野密

    河野(密)分科員 次にお尋ねを申し上げたいと思いますのは、この三十三年度特別会計予算の八十二ページにあるのですが、印刷局特別会計給与総額算定表というものがございます。これによりますと、印刷局の給与総額が二十五億八千七百余万円ということになっております。これは昨年よりも相当ふえておるわけでありますが、一体二十五億八千七百万円という俸給の算定は何を基準として算定したのでしょうか。
  160. 山中一朗

    ○山中説明員 ただいまの御質問でございまするが、印刷局の給与総額につきましての算定は、大体昨年仲裁裁定に基きまして裁定されました基準の單価と、それからはね返りますところのいろいろな地域給とかあるいは時間外勤務手当とか、こういうものを総体として計上しておるわけでありまするが、こまかく申しますと、大体本俸につきましては、三十二年度の予算単価の一万四千百九十八円に裁定額千四十五円を足しまして、さらに前国会で問題になりましたところのいわゆる予算単価と実行単価の差額、これがわれわれの方で大体五百十円あったわけでありまするが、これを順次平均化するという意味におきまして、五百十円から百七十円引きましてその四分の三を本俸に織り込んでおるわけであります。これが大体二百五十五円であります。これに昇給原資といたしまして四%、これを見込んだものが大体総額になるわけでございます。
  161. 河野密

    河野(密)分科員 私がそれをお尋ね申し上げるのは、今局長が仲裁裁定によるはね返り分を計算に入れておる、こう言うのでありますが、私の承知しておるところによれば、印刷局においてはまだ仲裁裁定が労使双方間のあれによって決定しておらないはずだろうと思うのですけれども、その決定しておらないものをどういう基準によって組み込んだのであるか、それを承わりたいと思います。
  162. 山中一朗

    ○山中説明員 御承知のように、現在仲裁裁定の完全実施というところまでは三十二年度はいっておりません。しかしながら、大体仲裁裁定による裁定額によりまして、ただいま申しましたように昇給その他の原資を織り込みますれば御質問のような総額になるということでございまするが、われわれといたしましては、三十二年度の仲裁裁定は本年度中には実施したい、こう考えておるわけでございます。
  163. 河野密

    河野(密)分科員 本年度中に実施すればこの額は多少動くと思いますが、それはどういうお見込みでしょうか。
  164. 山中一朗

    ○山中説明員 三十三年度につきましてはその額で動かないで執行できる、こういう予想をわれわれは立てております。
  165. 河野密

    河野(密)分科員 私の承知しているところによると、仲裁裁定の実施について意見が違っておる点がまだある、それを考慮に入れないで三十三度の予算を組んでおられるのでありますから、その仲裁裁定の実施に対する双方の妥結点に到達したあれによると多少狂うのじゃないでしょうか。それは狂わないという見込みでありますか。これは三十二年度分だけであって、三十三年度についてはもう大体妥結したものという想定のもとに、従業員側の要求の通りというあれでお組みになっておるのですか。
  166. 山中一朗

    ○山中説明員 お答えします。ただいまのお話でございまするが、御承知かもしれませんけれども、大体今まで紆余曲折を経まして、三十二年度の仲裁裁定についての実施についてあらゆる検討と交渉を重ねてきたわけでございます。昨年の十一月末を目途といたしましてこれを協定する、こういうことになっておったのでございますが、いろいろと甲論乙駁が出ましてそれが現在まで延び延びになっておるわけであります。二月初めに至りまして大綱と申しますかほとんど部分的な表現の違い以外は、われわれとしましては逐一各条を相互に確認し合いまして、大体現在の三十二年度の仲裁裁定通りの実施ができる、組合の方もその内容においては実質的、計数的にはそう異議がないのではないか、こういうようにわれわれは承知しておるわけであります。
  167. 河野密

    河野(密)分科員 そうすると計数的には違いがない、ただその協定がまだできておらないが年度内には協定に到達するつもりである、こういう御趣旨であると承わっておきます。  次に、私は今度は少しく問題を大きい問題に移しまして、これは大蔵大臣から伺いたいのであります。現在外貨の保有量は一体どのくらいでありましょうか。巷間九億七千万ドルとかいろいろ言われておりますが、これを一つお答え願いたいと思います。
  168. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 一月末の推定で大よそ九億六千万ドルと考えております。これから焦げつき債権並びに短期の貸借といいましょうか、債権債務を引きまして実際使用し得る外貨というものは大よそ四億ドル、かように私大つかみに考えております。なおこまかいことの数字は正確に一々申し上げたいと思います。
  169. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまの大臣からの御答弁に補足して申し上げます。一月末の数字は報告の都合で確定したものではありませんが、ほぼ間違いないという推定数字で九億六千二十万ドルとなっております。そのうちから御承知のインドネシアのオープンの額が一億七千七百万ドル、それから韓国及びアルゼンチンのオープン・アカウントの債権が九千七百万ドル、これは流動性にはいろいろ問題はございますが当面すぐとって使える金ではございません。それを差し引きますと六億八千六百万ドル、そのほかに短期の外貨債務としてすでに借りておりますIMFからの借款でございますとか、米国の輸出入銀行からの特別借款でございますとか、綿花借款、ユーザンスといったようなものを込めまして大体短期債務が四億二千二百万ドルございます。従ってそれらは債務見合いの外貨になっておるわけであります。一方におきまして日本の短期の外貨債権と申しますか、輸出手形でまだ入金してない取り分が一億四千五百万ドル、それを合せますと大体実質の保有外貨といたしましては四億九百万ドル程度になる。これが一月末の概数でございます。
  170. 河野密

    河野(密)分科員 大体九億六千万ドルある、しかしこのうちには焦げつきの債権もあるし、インドネシアの当然削るべき分も含まれておるし、短期のものもあるから、実際において使用し得るものは四億ドル程度である、こういうお話であります。そこで私はお尋ねしたいのでありますが、去年一萬田大蔵大臣がアメリカに行かれましてIMFあるいはエキジム等からの借款をしてこられたというのでありますが、IMFからの借款一億五千五百万ドル、エキジムからの借款一億二千五百万ドル、こういうことは大体その通りでありましょうか。
  171. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 IMFから一億二千五百万ドル、それから輸出入銀行から綿花借款を含めて一億七千五百万ドル、綿花借款六千万ドルの計上分をのけますと一億一千五百万ドルであります。
  172. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ちょっと補足させていただきます。ただいま大臣のおっしゃった通り数字でございますが、一月末現在におきましては、IMF借款は全部借りておりますけれども、輸出入銀行からの借り入れば一億一千五百万円ドルのうちの八千七百万ドルだけ借りておりまして、まだ引き出ししないものが残っております。それだけちょっと補足させていただきます。
  173. 河野密

    河野(密)分科員 一般会計予算総則の第十一条と第十二条にありますが、国際復興開発銀行からの外資の受け入れが二億ドル、それから日本道路公団法に基いて道路公団が、これはどこからが存じませんがとにかく一億ドルの借款をすることについて政府が保証しておるわけでありますが、これは外貨との関係においてはどういうことになるのでありましょうか。
  174. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のお話のものは世界銀行からの借款になるのでありますが、外貨の関係ではそれだけ外貨の手持ちがふえるということになります。
  175. 河野密

    河野(密)分科員 そこで、このIMFからの借り入れ、それからエキジムからの借り入れ、これは外国為替特別会計の操作によってやり得る、こういう考えなんでしょうか。国家の債権債務に対しては何らの増減がない、関係がないというお考えなんでしょうか。これはどうなんでしょうか。
  176. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまの御質問の趣旨でございますが、操作によってと申しますのはどういう意味でありましょうか。
  177. 河野密

    河野(密)分科員 それでは私からもう一つ申し上げますが、IMFからの借款ですね、これは一体何に基いてIMFからの借り入れをしたのでしょうか。
  178. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 それは国内法的には外為資金特別会計法によりまして借金ができることになっております。それからIMFの規約の中に引出金が規定されておりますので、それによって借款をいたしたわけであります。
  179. 河野密

    河野(密)分科員 私は、このIMFからの借り入れというのは国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律、この第十一条によってやったんじゃないかと思うのでありますが、これはどうなんでありましょうが。
  180. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 両方の法律でできるわけでございます。外為資金の方にも外貨を借り入れることができることになっております。
  181. 河野密

    河野(密)分科員 そうしますと、この法律の第十一条によりますと「大蔵大臣は、外国為替資金特別会計の負担において、基金との開に左に掲げる取引を行うことができる。」こう書いてありますが、そうして「本邦通貨による他の基金加盟国通貨の基金からの買入」でありますから、日本の金でドルを買う、こういうことによってIMFからの借入金をしておるということなんだろうと思いますが……。
  182. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 その通りでございます。円を出しまして買っております。その円は日本銀行のIMF勘定に積み立てられております。
  183. 河野密

    河野(密)分科員 そこで私は大蔵大臣に伺いたいのですが、これは大蔵大臣の権限でできることのようでありますが、外国為替資金特別会計の負担においてこれはやることなんで、結局においては、この国際復興開発銀行からたとえば電源開発会社が借りるということを保証するのと、これはどこが違うのでしょうか。外国為替資金特別会計の負担においてやることについて、国会へどういうわけで御報告にならないのでございましょうが。
  184. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 「負担において」ということは書いてございますが、IMFから円をもって外貨を買うわけであります。その場合に、いわゆる金利手数料に相当するものはとられるわけでありまして、これが外為会計に負担がかかってくるということでございます。
  185. 河野密

    河野(密)分科員 これは考え方としては法律の不備でしょうか。これだけ外貨の問題がやかましいときに、今伺えば九億六千二十万ドルといっても、実際は今の短期資金というものはIMFの短期資金やらそういうものをみな入れてこれを計算しているわけで、国の計算からいえば非常に重大な問題なんですが、これを予算の総則にもどこにも知らせないで、大蔵大臣の権限だけでやれるということは少しくおかしい。この六カ年なり何なりかで外貨を借り入れる場合において、国家が保証する場合においては、債務負担行為としてちゃんと予算の総則に書かなくちゃいかぬ。しかもこれははるかに大きな影響力を持つものが大蔵大臣の権限だけでできる。もしこれがこれでいいのだというならば、私は法律の不備だと思うのですが、大蔵大臣どうでしょうか。
  186. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は大蔵大臣の権限で、外為会計法によってできると考えております。
  187. 河野密

    河野(密)分科員 私は今できるできないを尋ねているのじゃないのです。外貨を受け入れるときに国家が保証する、これは確かに危険を負担するからでしょうが、少くともこれについて、今事務当局からお話しがありましたように、一応手数料とかそういうものは支払いをする、こういう負担はするわけであります。そういう国家の資金の負担をする、そのこと自体が大蔵大臣のただ個人的な権限だけでやれるというのは私は少しくおかしいと思うのですが、大蔵大臣はおかしいとお考えになりませんかと私は尋ねておる。
  188. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 ただいまのお話でございますが、実は外為会計法をごらんになりますと書いてありますが、要するに外為会計法で短期の外貨資金の売買ということはできることになっております。またそれが外為資金を置いた一つの大きな理由だと思います。  なお先ほどの「負担において」という金利手数料等は、これは歳入歳出の方にと申しますか、収支の方に出て参りますが、ただ借りる方につきましては短期の金繰りの問題ということで、外貨売買ができるというふうに考えております。
  189. 河野密

    河野(密)分科員 私はその点については多少意見が違いますが、これは見解の違いですからあまりこれ以上申し上げることはやめます。  そこでもう一つ伺いたいことは、この国際復興開発銀行から借り入れる外資というものは、国家が保証するものと保証しないものとあるのでしょうが。
  190. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 国の保証になるものと日本開発銀行の保証になるものと、二つあったと思います。
  191. 河野密

    河野(密)分科員 それは向うの要求によるのですか、日本の経済事情によるのでしょうか。
  192. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 お答えいたします。これは先方の希望によりまして、どちらにするかということがきまるわけでございます。
  193. 河野密

    河野(密)分科員 そうしますと、たとえば電源開発とかあるいは道路公団とかいうように日本の法律できまっているものは別ですが、私の知る範囲においては国際復興開発銀行から受け入れている外資の件数は二十九件あるということでございますが、これは間違いありませんか。
  194. 西原直廉

    ○西原説明員 ただいまの河野委員の御質問は、わが国が国際復興開発銀行から借り入れた借款の件数のことと存じますが、これは先日成立いたしました川崎製鉄の分を含めまして九件でございます。
  195. 河野密

    河野(密)分科員 これは、私の数字はあるいは間違いかもしれませんが、そうしますとそのうちで国家が保証しておるものは、この電源開発促進法によるこれだけということになるのでしょうか。それとも開発銀行を通してまたほかのあれに行くものの中にも、国家が保証しているものが相当ある、こういうことになるのでしょうが。
  196. 西原直廉

    ○西原説明員 お答え申し上げます。国際復興開発銀行は、貸付につきましては全部政府の保証を要求しております。従いましてただいま申し上げました九件は、全部政府保証になっております。その中で、九件と申し上げましても、開銀が一括して借り入れまして、そして四つに分けて出しておりますのが一つございますので、それも一件として今申し上げましたから、それを四つに分けますと十三件、こういうことになります。
  197. 河野密

    河野(密)分科員 そうしますとこの国際復興開発銀行から借り入れるについては、すべてここにある、総額は一億ドル、この範囲にはずれるものはないということですね。
  198. 西原直廉

    ○西原説明員 ただいまの二億ドルと申しますのは、目下交渉しておりますものに限るわけでございます。そういうことであります。
  199. 河野密

    河野(密)分科員 この前の補正の分を加えるともっとふえる、こういうわけですね。
  200. 西原直廉

    ○西原説明員 その通りでございます。
  201. 河野密

    河野(密)分科員 そこでその第十二条に「日本道路公団法に基き」これは開発銀行ではないわけですが、これは一体どこを相手方としておるのでしょうか。
  202. 西原直廉

    ○西原説明員 道路公団の分につきましては、大体やはり国際復興開発銀行を予定しております。
  203. 河野密

    河野(密)分科員 この形式が違っておるのはどういうわけなんですか。これは前のやつは復興開発銀行という名前をはっきり入れておる。あとのはそういうあれがないのは、どういうわけなんでしょうか。
  204. 西原直廉

    ○西原説明員 道路公団の方は、公団法の方にそういう文句を入れることになっております。
  205. 河野密

    河野(密)分科員 次に私がお尋ねしたいのは、これから日本が負担する分も入れて、対外債務は一体どのくらいに政府は考えておるかということでございます。現在きまっておりまするもので、賠償協定によるものがフィリピン、ビルマ、最近きまったインドネシアがありますが、そのほかに連合国の財産の補償、それから戦前の債務の支払い、赤十字国際委員会に対する交付金、平和条約に基かないクレーム、それからその他の特殊債務等になるようでありますが、もとよりこれはこれからのものも含まれておりますが、これからの対外債務というものは、年々一体どのくらいのことを考えておられるのか、これは非常にむずかしいと思いますが、この対外債務の支払い能力というもの、日本の支払い限度と申しますか、そういうものはどういうふうにお考えになっておられますか。
  206. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまの対外債務ですが、民間の対外債務も入れまして、これは円で出ておりますが、総計約六千五百八十八億七千万円になっております。内訳は、今御指摘の点がすべて含まれておるか、それは私今ちょっとわかりかねますが、今申しました数字について、もう少しこまかい内訳を申し上げることにして、入っておるかいないかも確かめてお答えいたします。
  207. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大臣からお答えになりました六千五百八十八億七千万円、大体六千五百九十億くらい、多少これは推定等が入っておりますので、そういうふうに押えていただきたいと思います。この内訳を大ざっぱに申し上げますと、外貨債、国が外貨をもちまして国債等で借りておる分が約千五十八億、約千六十億近くになっております。それから賠償、これは御承知のように、フィリピン、ビルマ、インドネシアというふうなところがございますが、これが大体三千百六十億くらいになっております。それから借款、これは政府の借ります借款が千六百七十九億、約千六百八十億くらい、これの合計が五千九百億くらいになろうかと思います。以上が政府を主体とするところの外国に対する債務、こういうことになるわけでございます。  次に民間の外資があるわけでございまして、これが大体六百八十七億になっております。これを合計いたしまして大体六千五百九十億、かように押えておる次第でございます。従いまして、申し上げるまでもなく、これらの中には、返済につきまして賠償のごとく役務及び生産物をもって払いますものと、外貨をもって払いますものとに分れるわけでございますが、ただいま河野委員の御質問は、外貨をもって払うものという点に非常に重点が置かれておるかと存じますので、一応これを分けて申し上げますと、申し上げました全体の六千五百九十億くらいのうちで、外貨をもって支払うものは、大体三千百億くらいということになろうかと思います。六千五百九十億というのは、ドルで申しますと約十八億ドルでございますが、そのうちの八億ドルくらいのものが外貨をもって支払うもの、こういうふうに大体考えられると存じます。
  208. 河野密

    河野(密)分科員 非常に詳細に恐縮でした。そこでこれは、よく問題になっておりますガリオア、イロアという未解決の十八億六千三百万ドル、これはいろいろに計算しておるようでありますが、私の持っておる数字では、十八億六千二百万ドルと出ておりますが、これは含まないのですね。
  209. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。ガリオア、イロアは含まれておりません。
  210. 河野密

    河野(密)分科員 そこで私がなぜこういうことをお尋ねするかと申しますと、これは大蔵大臣だけにお尋ねするというのは、あるいは的はずれかと思いますが、政府がお出しになったいわゆる新長期経済計画というものを私が通読したところによると、こういう外国に対する債務というものに対しては、ほとんど考慮の中に入れておらないように私には思われるのでありますが、大蔵大臣いかがですか。
  211. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この五カ年計画のうちには、経常海外余剰というところがありまして、ここでそういう点を十分考慮せられておると考えております。
  212. 河野密

    河野(密)分科員 確かにそういう経常海外余剰というものがございますが、それではついでにお尋ねしますが、この新長期経済計画の中で、最初に経済企画庁がお立てになったもとの古い計画の中では、たとえば財政資金が幾らとかいうことをきわめて明瞭に出しておるのですが、今度の新経済計画によりますと、そういう財政資金が一体幾ら要るのか、それからこの総額の資金といいますか、これが一体幾らを予定するのかというようなことはきわめて不明確であります。そこで、新長期経済計画予算との関係ということが非常に問題になるのでありますが、私はこれはいずれ河野長官にお尋ねするつもりでありますが、大蔵大臣に関係があるので、財政の方面においては一体どれだけの資金需要というものをこれに対してはお考えになっておるのか、この点を一つ明確にしていただきたいと思うのであります。ことに大臣もごらんになってわかると思いますが、今度の計画においては、財政収支の内訳で、たとえば財政消費とか行政投資とか振替支出とかあるいは政府の経常余剰とか、なかなかわかりにくい巧みな表現を使っておられるのでありますが、こういう点からあれしまして、一体財政需要をどれだけに考えておるのか、そうしてその財政需要に対して、その内訳はどういうふうにするかというようなことについて、これは大蔵大臣に何もここで数字お尋ねしようというのではごいませんで、大蔵大臣の考え方としては、おそらくこの長期経済計画というものを十分お考えになっているに違いないと思いますから、これに対してどういう基本的に考え方を持っておられるのかという点を、一つお尋ねしたいと思うのです。
  213. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は一方において総生産の伸び、今回は約三%程度の伸びを見ておりますが、これに対応いたしまして、他面におきまして、普通の国民の消費、同時にまた財政の物資並びにサービスに対する需要、言いかえると財政の消費がどうなるか、これにさらに先ほどお話があります海外関係の出入りその他のもの、あるいはまた国際収支の黒字、また海外余剰ですが、これらをよく勘案して、総生産との関係において消費と投資を考えているわけであります。そして経済の伸びに対応して、財政も経済もごく均衡を保って推移していくという構想を持っておるのですが、そういうふうな見地から、三十三年度においては、大体財政からくる物資、サービス等に対する需要は、一応千二百億程度、これはほかの数字も申し上げないと十分わかりませんが大体千二百億程度を考えております。
  214. 河野密

    河野(密)分科員 私は今の大蔵大臣の御説明ではっきりしないのですが、それではこういうように一つ質問したい。この新長期経済計画は、一体日本の何をこれによって示そうとしたものか、大蔵大臣はどういう意味を持っておるものとお考えになりますか。
  215. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 経済計画の目的は、いろいろな角度、またいろいろの見地から考えられますが、やはり経済の計画をする以上は、むろん今日の場合においては、安定した経済の基盤のもとで、最も早い機会において完全雇用を達成していく、こういうような意味合いにおいて、私は経済が計画されていくベきであり、また計画されておる、かように考えております。
  216. 河野密

    河野(密)分科員 実は私も私の党で五ヵ年計画を立案した経験を持っておるのですが、五ヵ年計画とか六ヵ年計画というのを立てる一番やさしいというか、一番しろうとわかりのする方法というのは、今年ならば今年を土台にして、それに対して成長率を幾らに見る、そうすると五年後にはこれだけになる、そこから逆算していろいろな問題をやる、コルム方式というのでしょうか、そういういき方でやるのが、これはだれでもわかるいうと語弊があるかもしれませんが、一番簡単な方法でありますが、私は政府がおやりになった新長期経済計画というのは、全くそれ以外の何ものでもないと思います。ただここでもちゃんと書いてありますように、昭和二十七年度における日本の経済の最も望ましい姿というものを出して、これに対して数字を合わせていく、こういうこと以外にはないと思うのであります。それでありますから、新長期経済計画というものがあっても、今年の予算というものは、この新長期経済計画とは何の関係もない、こういうことなんです。これはお前はお前、おれはおれ、こういうこと以外の何ものでもない。大蔵大臣に私がどうお考えになりますかとお聞きしたのは、これをどう評価なさるかということを私は伺ったわけであります。
  217. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私も河野さんと結局同じようになるのじゃないか。私たちの五ヵ年計画もやはり一つの基盤をとりまして、そうして内外の情勢から見ると、こういう程度に大体伸びていくだろう、その伸び方についてはそう無理もないだろうという見地から、やはり三十七年度のある姿を描いておるのです。たとえて言うてみたならば、およそこの五ヵ年問の経済の伸びというものは、いろいろ違った点もありますが、六・五ぐらいのところをとっておるのであります。こういうふうな程度の伸び、むろんそれについてこういうふうな伸び方は非常な困難を伴うだろうというようないろいろな意見もありましょうが、しかし実際達成し得るであろう、必ずしもけたがはずれておるというようには私は考えておらないのでありまして、十分努力すれば達成し得る、そういうふうな伸びだ、かように考えております。またたとえば三十三年度の伸びはわずかに二三%あるいは三%ぐらいだといいますけれども、三十二年度の伸びが大きいため、三%の伸びでも、五ヵ年計画にいう六・五%程度の基準年度に対する伸びと、三十三年度においてはそう変らぬ、これは数字で大体そういう程度になると思います。やはりお話のように単なる空想ではありません。そのときの実際のある基盤、その上に内外の情勢を積み上げていく、そういうふうな考え方で、正しい考え方だと思います。
  218. 河野密

    河野(密)分科員 これを土台として日本の経済のあり方というものを均衡のあるように持っていきたいというそういうあれは、均衡をするのにはどうしたらいいかということについては確かに意味があると思うのですが、これは一種の腰だめということ以外にはあまり意味がないのじゃないか、こう私は思うのですが、それは別として、この経済計画というものと、現実の実際の動きというものとは、別々とは申しませんけれども、違っておる。そこで大蔵大臣にお考えいただきたいと思うのはこの経済計画というものは何べんかお出しになりましたけれども、これは当ったためしがない。少しも当らないのであります。当ったためしはないのだけれども一つの標準にはなる、腰だめにはなる、こういうあれはあると思うのです。そこで私はもうこれ以上質問をすることを差し控えます。もっと大勢いるところではなやかに質問したいから、やめますけれども、そこで大蔵大臣に承わっておきたいのは、この経済計画というふうなものを立てて、日本の景気の測定をするというようなことはこれはお考えになっているんじゃないんでしょうね。日本の経済の測定は、景気の測定というふうなものをここでやる。政府が日本の経済の景気、不景気というふうなものの測定もこれを土台としてやるんだと、こういうふうにお考えになっているのでしょうか。それともそういうことは考えておらぬというおつもりでしょうか、どうでしょうか。
  219. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私はこの計画に基いてどうしようというのじゃありませんが、内外の特に国際的な経済の動き、これは特に日本としては早期にかつできるだけ正確に把握する必要があると思います。そうしてそれがまた同時に日本の経済の景気に大きく作用いたすのであります。そうしてそういうふうな観点から日本の経済をやはり早期にこれに対応していく、順応の態勢を常にとらしていく、こういうのが私は非常に必要であると思います。そういうふうな総合的に景気の情勢に順応していくという、そのことが従来欠けておったのじゃないか、これはむろん行政面におきましても、ともすれば必ずしも統一ある方針が実行に移されていかないというような点も端的に現われておりますが、同時に各経済に携わっておる諸機関がどうもばらばらな行き方をするような状態です。こういう点を一つ内外の景気の情勢をよく把握するように、そしてこれに早く順応する、そういうふうなことを把握するのは、どうしてもなかなか民間でもうまくできませんから、政府においてできるだけいい統計等を集めて——何もそれであるからどうしようというのじゃありませんが、そのときどきにおける内外の情勢はかように動きつつあるということを国民一般にも示すというような行き方はいいことだという考え方から、今回企画庁に対して、そういう仕事をする予算的措置をとった次第であります。
  220. 河野密

    河野(密)分科員 あまり抽象的なあれですから、お答えにくかったと思いますが、私そこで大蔵大臣にお尋ね申し上げますが、現在大蔵大臣も御存じのように、日本の経済の実態を見る見方に対して、全く相反する二つの考え方があるわけですね。一つは、政府もそうおとりになっていると私は考えているのですが、現在の経済の情勢というものを相当にきびしいものと考えて、そうして政府が去年以来おとりになった政策というものを大筋においては変更を加えるべきものではないという考え方が一方にあると同時に、一方においては、政府の去年からとった政策というものは、間違いの連続だ、現に政府の予言したことで一つも当ってはいないじゃないか、大体ことしの外貨の赤字が四億七千五百万ドルあるといわれておる、去年の暮れは二億四千万ドル、最近では年度末には一億三千万ドルで済むだろう、とこういうように言って、一つも経済の実態というものは、政府はつかんでおらぬじゃないか、そこでこの経済というものもここらで大きく手直しをすべきだ、デフレの傾向というものが相当に強く浸潤しておるからして、ここで政府のとるべきものはむしろ去年以来言ってきたと逆な方向に進むべきである、こういう議論が相当に強い。私は名前はあげませんけれども、経済学者、経済評論家の間に二つの意見があるわけなんですね。今度の予算を見ると、これは一萬田さんもう御存じのように、そのどちらをとったのか、政府の態度というものはきわめてあいまいであって、どちらの見解に従っておるのか、いわばこのごろはやりの言葉で言えば、よろめいておる姿そのまま現われておるのです。大蔵大臣は、最近の国会の中の答弁等を見ても、これまた二つにとれるようなことがわれわれに看取できるのでありますが、私はこの国会の中で大蔵大臣が発言されたことできわめて重要だと思われる発言が二つあると思います。一つは、財政投融資はふやす、財政投融資はふやしたけれども、その財政投融資の資金は日銀のオーバー・ローンを解消するのだ、だからしてこれは世間でいうように景気を刺激をするものじゃないのだ、こういうことをあなたはお述べになっておった。これは非常に重大な発言だと私は思います。もう一つは、私は直接聞いたわけじゃないですが、新聞に伝えられるところによれば、四月ごろになれば公定歩合の引き下げも考えるのだ、こういうような意味のことを言われた。これはもう考え方は非常に違っておるように私は思うのであります。この点は一体大蔵大臣は今度の予算を組むに当って、日本の経済の実態をどういうふうにお考えになっておるか、これを私は明確にしておいていただきたい。あいまいもことして済まされる問題じゃないと思うのであります。
  221. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まず日本の経済をどう見ておるかということを申し上げる前に、まず私明かにしておきたいことは、先般の新聞等で書かれておる公定歩合の問題であります。これはああいうふうな扱いにされるべき言葉は私は述べておらないのです。これは質問者の質問が、昨年から——言いかえれば前国会においていわゆる積極財政等について経済の見通しを誤まったじゃないか、また今後ああいうあやまちを繰り返すことはおもしろくないじゃないか、私はあやまちをしたとか、繰り返すということについては肯定いたしませんけれども質問者の言葉つきはそういうお言葉がありまして、そうしてこれに対して今後どういうふうな考えを持っておるか、そういうあやまちがかりにあったとすれば、そういうあやまちを繰り返さぬようにしなければならぬ、こういうお話に対しまして、私も過去を顧みまして、これにはやはり先ほどから申しますように、一つには内外の経済の動きをすみやかにキャッチする点において欠けるところがあったのと、そういうふうな経済の動きをキャッチした場合に、経済の諸機関が有機的にすみやかに対応して機動的な措置をとらない、そういう点に欠けるところが多かったと自分は思う。従って今後におきましては、特に金融というような面におきましては、まずそれがためには今日の不均衡を是正しなければいかぬから、輸出を増大して金融もゆるやかになり、そしてオーバー・ローンも解消するという方向に持っていかなければならぬが、同時にそういう際においてはむろん金利も下る傾向をとるのだ、金利体系というものの確立が必要だ、あるいはその金利体系の確立とともに公開市場政策もとれる、またそういう場合は預金支払い準備制度も考えられる、そういうふうな状況下においてむろん中央銀行の公定歩合というものも機動的に上げるときは上げ、下げるときは下げるようにすることがいいのだ、こういうような御答弁をしたのであります。今後私どもが金融市場をどういうふうに持っていこうかという一つの考え方を申し上げたわけでありまして、今公定歩合について現実にどうするということは全然考えておりません。これは、前々月くらいにやはり予算委員会における御質問に対して私は明確に考えていないということを御答弁申し上げておったわけでありまして、その間において何ら相違はないのであります。私が日本の経済の現状をどう把握しておるかということに関連してまずその点を明らかにしておけば、これは御理解願えると思いますので、その点を明らかにいたしておきます。私は日本の経済については、前からその主張でありますが、別に悪いというふうには実は考えていないのでありまして、行き過ぎておるのだ。言いかえればインベストが貯蓄を越えてそうして古い蓄積、これは蓄積外貨に当るわけでありますが、この古い蓄積外貨を食って拡大をしていく、これはそのこと自体ですでに過去の蓄積というものには限界がある、そういう行き方については当然ある限界がある、こういうふうな考えを持っております。同時にそういうふうな拡大というものはまた内外の市場の関係から、いわゆるものの需給のバランスを失して行き詰まる、であるから、どうしてもそういうふうな過度の膨張というものについては、早くこれを抑制するの措置をとるのがいいんだ、こういうふうな考え方に基いて日本の経済を見た場合に、先ほどから申しますように、幾らか行き過ぎている。そこで是正の政策を実行に移して、この膨張を抑制するその過程が今進みつつある。まだそれが完了しない。今日では生産段階にも入りまして、そういう調整の最終段階に近づきつつあると私は考えておるのでありますが、しかし今日の経済の情勢は、その調整に入る段階にある。そこでこれに対応してやはり従来の抑制の政策というものを完了するまでは持続しなければならぬ。またその経済の膨張を抑制するその段階においては伸びようとするところを押え、かつ若干は後退をさせる必要もあるんじゃなかろうか。そこにいわゆる若干のいろいろな動きと、また景気が悪いというような情勢が出るのも、これはやむを得ない。しかしそれ、だからといって日本経済の本質が非常に不景気に突入しつつあるというわけではない。これは現実に日本経済が貿易、特に輸出に多く支配されるのでありますが、日本の輸出というものは別にそういう現象は呈しておりません。むしろ輸出はだんだん増加を見つつあるというほどにはいきませんが、決して別に低下の情勢はたどっておらない。そこでこの調整過程が済めば、またそこにものの需給の均衡を得た経済の形において、私は徐々にさらに発展を遂げる、そういう工合に安定を害せずして発展をさする、そういう政策を打ち出していったらいい、こういうふうな考え方で、日本の経済を見ておるわけでございまして、非常に不況であるとか、あるいはまたいい、そういうふうにも考えておりません。要するに、安定した経済、行き過ぎておる経済をあるところにおいて安定せしめて、それを持続させよう、そういうふうに私は日本の経済を考えておるのであります。
  222. 河野密

    河野(密)分科員 非常に中心の点を把握するのに困るのですが、そうすると現在多くの経済学者あるいは評論家が言っておるようなデフレというふうには考えておらない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  223. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は、今日非常なデフレとは考えておりません。これはむろん業種別によりましては、従来からの設備拡張、いわゆる生産力の非常な拡大が起っておる、生産とその需要が不均衡である、従って滞貨が非常にある、価格も非常に下る、販売も非常に苦労する、そういう面においてデフレ的な要素があることは私は決して否定はいたしませんが、経済全体としては、たとえば基幹産業といったものを見てくると、決して生産力が拡大し過ぎておるという状況はまだない。むしろ経済の拡大についてそういうものが隘路にすらなっておる。これはエネルギーにおいても、またその他の産業についても同様なことが言えると思いますが、その全体と——今日調整作用というものが行われておる、その状況を経済全体の不況ということに持っていくことには私は賛成いたしておりません。
  224. 河野密

    河野(密)分科員 大蔵大臣は、財政投融資が今度は相当ふえます、それに本年度において繰り延べたものも、カットしたものもこれを復活するというようなことになって、財政投融資が相当にふえる、これは刺激の材料にならないのだ、むしろ日銀に対する五千億のオーバーローンの解消に振り向けるのだ、こういうふうに先般来言っておられますが、一体こういう財政投融資が効率的に使われるということに対してどういう手段をおとりになるのですか。今まで通り野放しにしておいてただそういうことを期待するということですか。政府はこれに対する特別な処置をおとりになるでしょうか。
  225. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今後の金融におきましては従来のような行き方とは異なりまして、むろん法律的な規制をやるということは、私は金融の性格から見て不適当と考えておりますので、考えておりませんが、しかしごく大まかに申し上ぐれば、政策的に法律によってかような状態を金融について実現させたいというそのことを、私は自主的にやらせるのには、どういう機構でそれが可能であるかということを一応想定いたしまして、そうしてそういうような機構を今日考えて、それを実行に移し——完成はいたしませんが、今日実行に移しつつあるのであります。それは一つには、これは通産行政その他にも関連するのでありますが、従来金融は適正でないのではないか、言いかえれば重要産業の資金等が必ずしも充足されないにもかかわらず、不急不用の資金が出るではないか、あるいは中小企業の資金が思うようにいかないじゃないか、こういう点が指摘されるのでありますが、しかしこういうことについては、私は他面において産業政策というものの確立が必要であると思うのであります。それでありますから、他面において今後は事業計画というものを明らかにしてほしいというのが一つ、これはただ全部の事業ということについて考えるということには及ばないが、日本経済の基幹産業、根幹になるような産業についてそういう事業計画を立てる、これはまず可能である、企業自体の数も少くして、こういうふうに思っております。まずそういうふうな事業計画、年度計画が、たとえば三十三年にはわが国の基幹産業の計画はかようになっている、こういうタイミングでこういう資金が要るということを明確にしておく必要がある。それを一面金融の面におきましては、金融機関を総合しておる融資調整委員会というのが今ありますが、この委員会においてこれに対応する資金計画を立てて実行に移していく。一方大蔵大臣の諮問機関として資金審議会があります。この資金審議会においていろいろと金融の基本的のものについてお考えを願うのでありますが、同時に私はここに小委員会を設けまして、そして金融機関からの報告を受けて、金融機関が果して今申しましたような方針を実行しておるかどうかということを見ていく、その結果を待って大蔵大臣が行政指導をやる、こういうふうな形によりましてやるのが今私の考えておる基本であります。そういう基本のやり方を通じまして財政投融資を、たとえばすでに日本銀行の資金が出て、ある設備が完了した。しかしそれは本来からいえば長期資金でまかなうべきものである。しかし民間に長期資金がそれだけ集まらない、むしろ国家財政的に長期の金が集まって、それが使わずにずんずん蓄積されるというような事態は、私はやはり今日、今後において日本の産業が安定を取り戻した暁におきましては、財政からそういう金を出していく。そして今言ったような機構を通じてその金が結局は日本銀行に還元をしていくというように、ある程度ひもをつけるというと語弊があるかもしれませんが、関連をつけていく。こういうふうにいたしまして日本銀行の金が長期に使われておるというような現状を早く打破して、日本銀行の金は、長期の金は長期の源から出ていく、かような方向に持っていきたいと考えておるわけであります。
  226. 河野密

    河野(密)分科員 また機会をあらためていろいろお尋ねをすることにいたしまして、最後に私は一つだけお尋ねしたいのでありますが、先ほど私が申し上げましたように政府が経済計画をお立てになったりいろいろして、現実の経済の動向の一挙手一投足についてのいろいろな見解を発表されるということが、いいか悪いかということはこれは別問題でありますが、私は現在において政府のなすべき仕事というものは、今の日本の経済にとって何が一番必要であるかという点を明確に示す、日本の経済の向うべき方向を示すということが私は一番なすべきことだと思います。その意味において政府が昭和三十三年度においては三十一億五千万ドルの輸出の達成が、これは至上命令なんだという態度を貫かれるならば、私はそれは一つの考えであろうし、私自身はけっこうなことだと思うのです。そういうことが日本の経済のあり方として、ことしは一体何が課題なんだということをむしろ示して、その向うところを政府が率先しておやりになるということが、私は現下においてとるべき政府の態度だとこう思うのです。ところが予算を見ても、それから政府のその後の国会内における御答弁を聞いても、それがいつでも動揺していらっしゃるから私たちは——私ばかりでない、国民全体も非常にたよりないと思うのだが、そこに私は今度の一番大きな問題があると思うのです。私はむしろ政府としては今年の至上命令は何だということをはっきりして、そうして動揺しないようにすることが必要だと思う。これは大へん言いにくいことですけれども、私は先般の予算編成の過程におけるああいう醜態だったら、おそらくふだんのときであったら、大蔵大臣の首が二つあっても三つあっても足らないと私は思う。大蔵大臣が黙ってそのいすにすわっていること自身が私はおかしいのじゃないかと思う。今の政治というものに一つも責任がないし、今の政治に対する考え方にそれぞれの信念を持たないというところに私はすべての欠陥があるように思う。私自身は大蔵大臣が考えておられることにちっとも不賛成ではないので、その点はむしろきぜんたる態度がないというところに一番問題があるのじゃないかと思う。私は昭和三十三年度の政府の予算においては何をすることが一体われわれの使命であるか、それをどういうふうにしてやるのだということのはっきりした態度を示して、国民とともに歩むという態度が必要なんじゃないかと思う。あとはもう質問はいたしません。
  227. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 河野さんのお言葉に対しましては、私いろいろとありがたく拝承するのでありますが、しかし私どもの三十三年度の経済の目標は今お話がありましたように、輸出をできるだけふやして、そうして少くとも三十一億五千万ドルは達成しなければならぬ。これは雇傭の関係から見ても、また経済の面から見ても最低限であります。これを達成するに必要な予算にしても、財源があるからこれを歳出に充ててもいいのだというようなことをいたさないのでありまして、実質的歳出は千億にする。余剰はこれをたな上げするというような予算編成の基本方針を作って、これは大体実行に移したと思いますが、こういうこともできるだけ——むろん国政でありますから、全然国政が停滞することもいけませんから、やむを得ないことはやらなくてはならぬと思っておりますが、そういう最小限度で切り詰めても、要するにできるだけ財政の需要を少くして、同時に国内的な消費も抑制をして輸出に振り向けていく。できるだけ輸入を少くして輸出を増大する。かような考え方を貫いていくつもりであります。
  228. 脇阪實

    脇阪説明員 大変おくれて失礼いたしました。お答えをいたします。この六十九ページにもございますように、従来造幣局はお金を発行いたしますと、貨幣回収準備預金というものを全部日本銀行からもらえるわけであります。それが三十二年度の年度末におきましてはこのように三百二十億円あるということであります。ところが従来、昨年の会計法が改正になります前は、地金が返ってさましたらその地金を持つことができませんでした。回収準備資金では金を持つことができないということになっておりましたので、返ってきました地金を特別会計の方に預かりまして、そして反対に未納利益というものを充てておったのであります。それが本年の末になりますと十六億何がし、約十七億円ございます。ところがまたその地金を使って貨幣を作って出しますと、利益は回収準備金の方へ金が行ってしまうのですけれども、その地金を使ったがために地金がなくなってしまいますから損になります。それを相殺するという規定もありませんでした。それから地金を回収準備資金が持つということもできませんでした。それでは造幣局の特別会計の方がはっきりしないではないかというので、特別会計法が前々国会において改正法が成立いたしまして、今後回収準備資金は金のほか、つまり預金のほかに地金を持っておれ、こういうことになりました。それで今度貨幣が返って参りますと地金がすべて回収準備資金の方へ入っていくことになります。地金と預金と二本建てになって参ったわけであります。そこでこの四月一日、三十三年度から全面的に会計法が施行されるわけでありまして、三十二年度末にあります場合において、ある地金は全部回収準備資金に移しなさい、全部地金を移すわけであります。そのかわり今までに納めなければならなかった未納利益であるとか、こういうものは納めぬでもよろしい、それから損金があったのはそれはもういいから資本を減らしなさい、こういうことですっきりさせようということになりまして、この四月一日の年度がわりにこの貸借対照表が済みました。その次の日に全部地金を回収準備資金に移します。そうして今度はただで必要な地金だけをもらうということに相なります。それで来年度の末になりますと、結局運転地金が、貨幣としては百トンでありますけれども、工業減がありますから、百十トンとか渡され、運転資金になるわけであります。また装金関係として貨幣と関係ない方に地金が多少ございます。それが加わりまして二億ばかり残っておる。そのかわり今までありました地金は全部回収準備資金にいきましてその方がふくれるように六十九ページになっておりますが、そのかわり未納金もないし、欠損金もない。すべて初めから毎年毎年その仕事しただけがはっきり数字に出てきて、地金の関係がオミットされるということになったのでありまして、貸借対照表が非常に変って参りました。
  229. 田中久雄

    田中主査 今澄勇君。
  230. 今澄勇

    今澄分科員 私は大蔵大臣に外国映画、輸入外貨の割当についてお伺いいたします。本年度九百万ドル計上されておりますが、この割当をめぐって外国映画輸入制度に対し大いに改善をする点もあり、かつまた他にいろいろと疑義があって非常に問題の点が多いです。そこで現在外国映画の上映館はわが国で約二千館、戦前の約三倍、洋画の輸入本数が戦前三百本から四百本を上下しておったけれども、現在は百八十九本に制限をされております。しかしてこの外国映画輸入制度は昭和二十五年米軍占領当時の軍政のもとにおいて、当時米国映画輸出協会の代表者ジョンストン氏と、時のわが国の大蔵大臣との契約が基礎となって今日まで継続され、八年間、業界の情勢もその後だいぶ変っております。なかんずく不合理な点は米国の商社が極端に優遇をされておるということであります。たとえば輸入本数において十社の米国商社の取り扱う長篇物は百二本、これはわが国に入る米国輸入映画総数量の約八〇%に相当しておる。そうして外国映画がわが国においてあげる利益金の八五%を米国の商社に握らしておる。そうしてわが国の商社はどうかというとわずか二十本しか許されておらぬ。全くこういう外国の商社にその八割を握らして、日本の商社がほとんど立ち入る余地がないという、昭和二十五年の占領下における契約を、今日までそのまま置いておくということは、これは講和条約を結び、独立した日本の現状から見て不適当だと思いますが、大蔵大臣のお答えを願いたいと思います。
  231. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お尋ねの点でありますが、今のお話のように、外国映画はただいま三十二年度において約百八十五本輸入いたしております。そのうちでドル地域から百二十二本というふうになりまして、大体においてアメリカの映画がたくさん入っておるということはその通りであります。これは日本の教養文化の上に役立つ映画を入れるのが目的でありますから、地域的にこれを特に制限するというよりも、そういうふうな意味で相当の調整を加える必要もあろうかと思っておりまして、今後そういう点に十分注意をしていきたいと思います。
  232. 今澄勇

    今澄分科員 これはヨーロッパの映画、ソ連の映画、いろいろ諸外国の映画とアメリカの映画との関係はありますが、それよりも私が今聞いているのは、アメリカの商社がほとんどその全部を独占している、日本の商社はわずかに二割にも満たない、こういう現状は非常に不公平ではないか、そういう昭和二十五年の取りきめを今日に至るまでずっと踏襲しておるということは、まことに私どもは納得できないが、そういう地域的な問題も御答弁がありましたが、そうでなしに外国商社と日本商社との間にどうしてこういう差別をつけておられるかということを聞いておるのです。
  233. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 先ほどお話がございましたように、占領直後におきましては、その前からやっておりました割当をどういうふうにするかという相談をいたしまして、結局まず外国映画の総数を二百十五本にきめました。そうしてそのうち米国については百五十本ということにして、その対象につきましては、戦前における各国の輸入本数というようなことを参照してきめたわけであります。米国商社につきましては日本であげました過去の配給実績、それから米国における封切り本数というようなことで分けたわけであります。おっしゃるように現在は百二十二本で、当時よりは減っております。そのうちお話のありましたように、三十二年度におきましては、メジャーの十社が百一本ということになっております。これはいろいろ問題もあろうかと思いますが、映画に対する外貨割当はこれから非常にふやすということも不可能でございます。そういうふやすことができます情勢がきましたならば、そこで考えられるかと思います。むしろこういうものは最近の国際収支から申しまして縮めていきたいというような観点からいきますと、なかなかその辺はむずかしい問題でございます。なお三十三年度につきましてはまだどうするか決定しておりません。
  234. 今澄勇

    今澄分科員 私が聞いておるのは、国内の需要が多いのに映画の輸入が少いから、現実の問題として、一本に一千万円並びに二千万円というプレミアムがついておる。これは莫大な利権のようなものなんで、政治家で関係しておる人もある。私はそういうことを言おうとするのじゃない。こういうものをアメリカの商社にばかり、そんなにむちゃくちゃに与えて、肝心の日本の政府が日本の国内の商社をてんで虐待するということは、これはあとでもっと詳しく聞きますが、大蔵省においてはこの際考え直さなくちゃならぬと思います。  次に蓄積円の制度ですが、この蓄積円の制度は、外貨の流出を節減するために設けられた制度ということになっております。すなわちこの制度が創設された一九五四年十二月末の蓄積円の残高は二十六億三千万円、昨年十二月末の残高は二十七億円で、ほとんど増減がありません。しかるに蓄積円の毎年々々の新規発生高は三十億円ないし四十億円に及んでおるのですから、制度創設後現在までの三カ年間には約百億円に達しなければなりません。しかるにこの残高が一つもふえていないということは、同額の金が蓄積を解除されて、何らかの形でよそに出ておる、アメリカ本国へ還流しておるということになるのです。これは本制度を設けたあなたの今言ったような外貨の節約なんというようなことは、全然これは意味が通らなくなる。どうしてその蓄積円が日本国内に多くたまっておらないのか。私はこの点についても大蔵省がもっと考えてみなくちゃならぬことがあると思いますが、とにかく蓄積円の残高が全然変らないというのは、これはその間に増加したものが何が原因で消えていったか、一つお聞きをしたいと思います。
  235. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 御承知のように蓄積円は、三十年度におきましては金額四十四億を対象にいたしまして、一応電源開発会社に低利をもって貸付をさせる。そして三年据え置いて、以後三カ年分割半年賦払いにするということをいたしました。なお三十一年度につきましても、それに準じまして、三十億円を対象といたしまして電源開発会社に同じ条件で貸付をさせております。それからなお蓄積円がたまりましても、たとえば外国の映画会社、撮影会社が日本へ参りまして、日本で共同で撮影をするような場合があります。こういう場合には蓄積円を解除いたしております。それから最初二十八年でございましたか、これにつきましては、そのころの蓄積円は二十億円くらいでございましたが、うち九億円は米ドル送金を認めまして、あとは、米国業者の本邦内における負担金でありますとか、あるいはロケーションの費用でありますとか、あるいはまた日本映画の海外配給権を購入するための支払いでありますとか、あるいは宗教団体等に対する寄付ということで、蓄積円を相当処理させました。残高としては変っておりませんが、その中で電源開発会社に相当貸付をしておる。そのほか日本国内で必要な経費を支払っておるというようなことであります。
  236. 今澄勇

    今澄分科員 この蓄積円で電源開発会社に貸しておる金、これに伴うボーナスで送っておる金、——三十二年八月に五億四千万円、百五十万ドルですか、とにかく一、二度送っておられる。だけれどもこれはまあ大した金額ではない。一番問題なのは、日本の国で再プリントして東南アジアその他に輸出をして、その東南アジアに輸出した向うの外貨は日本に入らない。これは直接本国に行くのですから、何のことはない、全くアメリカの商社を不必要に優遇して、しかも外貨の節約にも何にもなっておらぬのです。こういうアメリカの商社の中には、日本の劇場経営者に対して興行収入の七〇%をよこせという、高率の上映料を現に要求しておる者がいる。これに対してわが国の興行主は、映画が足りないためにこれに屈従をしまして、全くアメリカ商社の一方的な独占のもとに現在の日本の洋画が押えられておるというこの現実は、やはり大蔵省の外貨の割当が当を得ておらぬからだ。これは日本の商社と同じく、一本当りの外貨割当を三万五千ドルなら三万五千ドル、こうして国内の業者も外国の業者も少くとも半々くらいにして現金を割り当てて、ぴしっとした、抜け道のない方法をおとりになった方がいいじゃないか、こう思っておるが、大蔵大臣の御意見はどうですか。
  237. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この映画の輸入については従来のいろいろないきさつもありますが、御意見の点は、先ほど私が申し上げましたように、やはりごもっともと思う点がありますので、検討を加えていきたいと思っております。
  238. 今澄勇

    今澄分科員 これは私はあまり取り上げたくなかったのでが、根本的な検討を加えて、日本の映画文化の向上のためにも、肝心かなめの映画の輸入に関して不明朗な雰囲気がうかがわれるということはなくしていただきたいと思います。  それからもう一つは、米国商社に対する極端な優遇措置について、まず課税の問題からお伺いいたします。米国商社が昭和三十二年度内にわが国であげた収入は七十四億円、うち三〇%の二十二億円を東京にある米国支社の収入とし、残りの七〇%、五十二億円を米国にある本社の収入に配分をしております。この日本支社の収入二十二億円の中から、在留米国人の社員その他の——これは非常に高いのですが、人件費、それからプリント代、宣伝広告費等一切をまかなっておるから、表向きから見ると在日のアメリカ商社は赤字決算となっておる。これに対しては税金がかかっておらぬ。七〇%という最も高額の利益をアメリカ本国の本社に移して、そうして残りを二〇%にして、その二〇%のわずかの全体のもうけの中からいろいろなものを引くのですから、それは帳簿上はなるほど黒字にはならぬでしょう。これが黒字でないからといって黙認しておるということは一種の脱税になるのじゃないか。これをかりに日本の商社と同様に、米国商社がわが国で得た配給収入総額七十四億円を利益勘定に計上し、他方損失勘定に、日本の支社経費の輸入フィルム代その他を、わが国の商社と同様にして一本平均三万五千ドル相当額を計上して損益を計算しますと、およそ十億円の法人税及び事業税が増徴となるはずなんです。日本の商社に対しては四〇%というきびしい課税方針で臨み、扱わせる数はわずかに二十二本なのに、アメリカの商社には百何本も扱わせ、税金の面ではこういう優遇措置を講じて、どうしてもこれがもうかっていくような措置というのは、どう考えてみても私はこれに対しては納得がいきません。大蔵省はどういう方針でこういう措置をとっておられるか、これも一つお聞きしておきたいと思います。
  239. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 お答えいたします。課税の問題に入ります前に七割、三割の取り分でありますが、これは私どもはなはだ残念だとは思っておりますけれども、米国映画は主としてあの十社でいいのが作られまして、やはりあの映画が入らないと日本の映画業者は困るというようなことでございますので、条件がなかなか改訂できないで、はなはだ残念なことでございますが、現在はおっしゃるように三〇、七〇であります。その七〇につきまして日本が税金を一五%かけております。そして支社の所得になりました現金に対しましては、私、国税庁の方にお聞きしたのでありますが、やはり課税をいたしておるそうであります。ただ会社の方で何か異議があるということはあるそうでございますが、課税はしておるという話を聞いております。
  240. 今澄勇

    今澄分科員 大蔵大臣にもよく聞いておいてもらわなければならぬと思うのは、これはあげ足しをとろうとも何とも思っておりませんが、こういう力のあるものには——防衛庁予算大蔵省の査定の中で大体大手をふってまかり通る。なかなか削減が困難だ。またこういうアメリカの映画の輸入については、今、為替局長も、遺憾ながらとみずから認めているように、日本国内であがった利益の七〇%も向うへやって、その残りの二〇%が東京支社の所得で、しかもその東京支社の所得へ税金をかけようとすれば文句が出て、そうして実際にはほとんど赤字であって税金をとれないのです。こんなことで日本の国民全体から税金をとろうだとか公平な政治をやろうとおっしゃっても、私はなかなかこれは了承できないと思うのです。国税庁長官、見えておられますか。
  241. 原純夫

    ○原(純)政府委員 国税庁は来ておりませんので、私から知っておる限りお答えいたします。今お話の外国の映画関係日本にあります——これは関係会社が日本にあって子会社のようなものですが、それが使用料収入を得て、七割を向うに送っておる。その三割分から経費を引きました残りに対しましては課税をいたしております。私数字を手元に持っておりませんからはっきりは申し上げられませんが、決してこれは全然課税をしていないというのではなくて、たしか九社か十社あったと思いますが、その中で今までの課税額合計が一億をこえるというのもあったように私は記憶しております。しかも申告に対して調べまして増差を出す。三割、五割という増差が出ているというのがかなり並んでおったように思います。数字を持っておりませんので、いずれわかりましたら大体のところは申し上げたいと思います。
  242. 今澄勇

    今澄分科員 私はアメリカ商社、ここに十二社、それが大体納めた税金の一覧表を、これは私の方で調べたのだが、持っております。だが私はここでこれは発表しません。いろいろ問題がありましょうからあなたの方で資料を整えて、あとでどの商社が一体どれだけ納めたかという一覧表を一つ予算委員会に出して下さい。それによって一つ私はもう一ぺんあなたの方の資料で皆さんにきっちりした質問をしておきたいと思います。  問題はこの外国映画の割当が非常に不均等であり、かつは商社の取扱いが非常に不公平である。これは占領下のアメリカの圧力で行われたものがそのまま続いているのですから、だらしがないと思います。そこでどういうわけでこんなになっているかということを先般聞いてみたところが、外国映画割当審議会なるものが構成されていて、この委員会で決定された事項を大蔵省はしんしゃくして、従来の実績主義をとっておる、こういうのですが、こういう審議会と大蔵省の方針等についての関係はどういうことになっておりますか。一つお答えを願いたいと思います。
  243. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 仰せのように大体外国映画の連絡協議会というものがありまして、そのうちの輸入部会にお諮りいたしまして、毎年の割当方針等をきめております。この協議会と申しますのは二十二年の三月にできたのでありまして、その中に輸入部会と審査部会とが二つございます。大蔵大臣の事実上の諮問機関ということで置かれております。ここの意見を十分参酌して私どもは決定をいたしておる次第であります。
  244. 今澄勇

    今澄分科員 その委員会というのは法的根拠はないのですね。権限、人選等どういうふうな勧告機関ですか。そこできめたものがそのまま行われるのですか。
  245. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 今、申しましたように、大蔵大臣の事実上の諮問機関でございまして、実は省議決定で作られております。
  246. 今澄勇

    今澄分科員 省議決定で作られたその審議会に、邦画製作配給代表者永田雅一、元大蔵省におられました長沼弘毅、外画輸入配給業者代表で映配社長の塩次秀雄、そういう関係の人たちばかりでこういう審議会を省議で決定したものであろうが作られて、その審議会が過去の実績主義をとるからというので、こういう方向がいつまでも直らぬというのは非常に不明朗だと思います。少くとも映画を見る需要家の代表、あるいは映画館の館主、そういう公平な顔触れにしてこの審議会を開かれたならば、おそらくは二十五年のアメリカの占領軍の圧力できめたような、今まで私が御質問申し上げたこういう不明朗なことは、この審議会で直っておると思うのです。だから大蔵省としてはこの審議会を隠れみのにして、そうして占領軍時代の圧力で屈したそのときの姿をそのまま温存しておるというのは私は了承できません。これは大蔵大臣は初めてお聞きになるだろうと思います。だから今日私は大蔵大臣にきょうこういう御質問を申し上げるということをお伝えしておいたのですが、大臣からこういう問正題について自分はどういうふうに考えておるということを一つお答え願いたいと思います。
  247. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 輸入映画のことについていろいろ御意見がありまして、さらにまたこの審議会について御意見もありましたが、私はそういう審議会も今までのところ相当の成績を上げておると考えておるのでありますが、しかしそういう審議会を含めて全部について一つ検討を加えてみることにいたしたいと考えております。
  248. 今澄勇

    今澄分科員 大蔵大臣は全部について検討を加えるという御答弁ですが、こういう問題は入った映画にプレミアムがつかなければそう問題はないのです。だが一本入れば二千万円もプレミアムがつこうかというだけにみんなも注目しておるし、しかも大蔵省の態度が二十五年の決定以来一つも変っていないということについてもこれは非常に問題になっておるのです。一萬田大蔵大臣は、ぜひ一つ一本あたり三万五千ドルなら三万五千ドルにきめるか、日本アメリカの商社を半々にするか、一挙にやるのがむずかしければ三分の一は日本商社に扱わせるとか、少くとももう少しみなが納得するような方向で本問題を解決されるように私はお願いをします。もう一ぺん大蔵大臣のこれに対する抜本的考え方を聞いておきたいと思います。つまり実績主義をとるか、新たなる検討を加えるかということです。
  249. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはこうあるべきかということと同時に実情ということも考えてみなくてはならないと思いますので、それらの点も十分勘案をいたしまして納得のいくような結論を出したいと考えております。
  250. 今澄勇

    今澄分科員 この問題は大臣も御検討願えるというのですから一つ公正な処置をお願いをしておきましょう。  そこで終りに当って、昭和三十三年度の防衛庁費は非常にふえましたが、防衛三カ年計画というのがあって、それを数字に直すと三十四年、三十五年と二百億ずつくらいふえていくことになるのです。なおこのほかに防衛分担金の削減がありますから百億くらいになりますが、なおそのほかに毎年の義務費の増加、交付税の繰り入れ、さらに軍人恩給、社会保障費の今後の自然増、その他を組み込むと五百億くらい毎年予算が増加してくるということにことしの予算数字その他の計画、自然増を見るとなるわけです。そこで私は問題点は今年は予算がここに出ておりますが、一体来年度はどういう方針で予算を組まれるか。私は健全財政を建前にしてもし大蔵大臣がおやりになるとすれば、もう必然的に増加する予算増が今後二年、三年と予想せられるということになると、今後の予算編成というものは大きな制約を受けることになる。まさか増税をするわけには参りますまい。こういうものに対する大蔵大臣の見通し、基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  251. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お説のように今後の国家の財政上の需要というものは膨張といいますか、ふくれる懸念が強いのであります。これにつきましては何としても日本の経済の拡大をはかり、そうして税収をまず確保することは申すまでもありません。今後の日本経済の成長ということを考えてみますと、他面従来の歳出において再検討を加えて、節約すべきものはほんとうに節約するという方針を貫いていきますれば、先ほどから御指摘の程度の歳出増は、私はまかない得ると考えておるわけであります。
  252. 原純夫

    ○原(純)政府委員 先ほどの数字でございますが、個々の会社の税の申告なり課税なりを出すのは、法律の建前からいいましても慎重でなければいかぬということで御遠慮したいと思いますが、ただいま手元にきましたもので概括的に申し上げますと、手元の数字は十社の数字でありますが、大部分を尽しております。二十八年から三十二年までの四年くらいの年度で、中には三年の年度のもありますし、五年のものありますが、大体四年くらいの年度の申告所得額は約二十三、四億になります。私今日の子で計算しましたので、間違いましたらあとで訂正しますが、税額で九億二千万くらい申告で納めておる。それに対しまして調査の結果今までに処理いたしたものは、事業年度で半分ちょっと、六割くらいの年度処理をしております。その結果出ました増差税額は約四億円、所得ですと十億円というようなことになっておるようでございます。もちろん一部に審査の請求が出ておるというふうにも聞いておりますけれども、これについての税の申告処理は鋭意いたしております。間違いがありましたら後ほど訂正いたしますが、一応目の子でざっとはじきますとそういうふうなことでありますので申し上げておきます。
  253. 今澄勇

    今澄分科員 今の問題の蓄積円の詳細なデータを主査から一つ要求してもらいたい。それから外国商社の税金のトラブルがいろいろある。なかなか相手は腰が強くて今国税庁の出先の諸君が非常に弱っている。これらの状態についての調査の一覧表を、これは分科会ですが主査にお願いしておきます。  もう時間もないからこれで終りますが、大蔵大臣に聞きたいのは、今のあなたの答弁では全然話にならぬのです。昭和三十二年度の税の自然増収からくる剰余金の一部が三十四年度の予算の歳入増に使用されるとしても、これを歳出の増加にはもう絶対に回せません。とすると、三十四年度からは税の増収の範囲内でしか歳出増加はできないということになるのです。だからあるところを節約してと言いますけれども、今年の予算の編成であなたが見られたように、それがいかに困難であるかということはわかっている。だから今年の予算審議に当って今までにいろいろ議論を尽してきたが、一番重大なポイントは軍人恩給にしろ何にしろこういう状態になって、毎年々々の自然増を約束したからには、防衛庁も含めて五百億ずつこれからふえていくのに、もし増収これに伴わなければ赤字公債ということにもなるのか。一体どういうことにこれからの予算編成というものはなっていくのがという見通しを、大蔵大臣は、大蔵省専門の分科会ですから一つこれを明らかにしておいていただきたいと思います。
  254. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今のお話でございますが、私今三十四年についてどういうようなふうになるが、具体的な数字の用意を持っておりませんが、しかし三十四年については、私は日本の経済は相当の伸びを見ると思っております。三十三年においては三%の増でありますが、五カ年計画からいっても平均やはり六・五%程度の成長率になるくらいな、またそういう成長を見るような行き方をいたしております。そういうことを考慮に入れますと、三十四年度は私はやはり相当の税収上一種の伸びを見る、かように考えておるわけであります。また同時に先ほどお話の三十二年度の繰り入れも影響してくるものがあると思いますが、私はこれは相当のものがあると考えております。これは使うべきものではない、しかしこれは歳出の性質によっては、三十四年度において日本の経済に刺激を与えて悪いというような情勢はもはや私はなくなると考えております。これの使用を今回のように特にたな上げをして使用しないことは、三十四年度においては私は必要ないと思います。ただこういうふうな資金の性格からして、どういうふうな歳出に使うべきかということは慎重に考慮を要すると考えております。
  255. 今澄勇

    今澄分科員 答弁の結論が自然増収に落ちつくようなことでは、私は大蔵省が予算編成の基本的な態度に欠けるものがあると思います。しかしもう時間もきましたからこれで質問を終ります。
  256. 田中久雄

  257. 門司亮

    門司分科員 ごく簡単に大蔵省と自治庁に二、三の意見だけを聞いて、あとはまたこの次の機会にいたしたいと思いますが、最初に聞いておきたいと思いますことは、これは大蔵省に聞いておきたいのですが、今度の予算に例のとん税の収入が五億ばかり見てあるようであります。このとん税というものは大体こういうものを国税に入れておく必要がないのではないかと私は考えるのだが、どうなのですが。やはりとん税というものを特別に大蔵省は国税にして取らなければ悪いという何かあるのですが。
  258. 原純夫

    ○原(純)政府委員 先般とん税につきまして、特別とん税を地方に譲与することにいたしましたときに、いろいろの点について、御詮議があり、ただいまの結果になったことは門司さんも御承知だと思いますが、もともととん税というものは御承知の通り非常に古い税でありまして、各国も国税で、しかもこれが何と申しますか、国際的な通商条約あるいは各般のそういう船舶関係の条約というものとうらはらになっておる。     〔主査退席、岡田主査代理着席〕 つまり最恵国待遇というような場合にはこういうものについてもいろいろな動きが出て参るというようなことで、ずっと国税であったし、その上税の性質からいいまして、流通税というものはなるべく広い地域の課税地帯がある方がいいというようなこともございますし、また使用料というような行き方で地方税というような声も聞かれますけれども、国も港湾については御案内の通り相当額の事業費を出しておる、いろいろそういうような点を勘案いたしまして、先般改正いたしました際も国税に今回は残す、地方に特別とん税を譲与するというようなことで制度ができておるというようなことであります。
  259. 門司亮

    門司分科員 今のは少し違いはしませんが。特別とん税を設定したのは、船舶の固定資産税を半分に下げたというので、これはこしらえたんでしょう。五円のとん税を十八円に上げたというのには、そこに問題があったのではないでしょうか。現在では固定資産税を半分に下げて、そのかわりにとん税を上げる、こういう形になって、そして上げただけのとん税自身すら実際には地方に配付していないのでしょう。あなたの言うのには、どこの国にもあるからというのですが、そういう経緯があるのです。船舶の固定資産税を半分に安く下げて、そのかわりこの税金を高くとるという方針をとっている。国税だというけれども、現在のとん税は地方税の性格を持っている。地方税のかわり財源です。
  260. 原純夫

    ○原(純)政府委員 その経緯はこうでございます。先般その措置をいたしましたもともとは、とん税を上げようというのがもともとなのであります。とん税が当時五円でありましたけれども、五円のとん税は国際的観点からいってあまりにも安過ぎる、国際的に見ますと、まず二十円、二十五円は普通である。三十円、四十円あるいはもっと高いのがあるかと思います。いずれにしてもそういうわけで上げた方がよろしい、それは国内の船それから外国の船両方に影響がくるわけでありますが、外国の船は国際並みの負担であるから、当然負担の増加に耐えてもらう。一方国内の船については固定資産税というものが御承知の通りある、従って負担の増加を避けなければならぬ。各国との比較で見ますと、固定資産税に当るようなものを船に現在の日本の税率程度にかけているところはないというようなことで、それではとん税は上げて、日本の船が固定資産税の方ととん税の上った分で負担増になるというのはいかぬから、固定資産税を軽減しようということで、すでに軽減になっておったわけでありますが、そのさらに半分にするということにいたしたわけで、その減収分を補うというような意味で特別とん税が与えられた。私どもの計算では地方団体の減収分を若干上回るというような数字になっておったと思います。その後どういう実際の動きになっておるか私きわめておりませんが、そういうつもりでいたしておりますので、地方に特別とん税がいくというのはそういう経過的な事情に基く調整のためのものであるというふうに考えておる次第であります。
  261. 門司亮

    門司分科員 筋が通らないですな。今お話のように、国内船の固定資産税を半分に下げたので、その穴埋めにやるというのですね。ところが上げたのは、この上げた分の負担はやはり外国船もしなければならぬのですが。すると結局外国の船舶の犠牲というものがある程度日本の固定資産税に流れ込んできている、こういうことに形はなるのですね。これは国内だけで操作がされているんじゃないんですね、そういうことに解釈していいんですか。
  262. 原純夫

    ○原(純)政府委員 それは本来国税でありますから、上げた分、特に外国の船の負担する上った分は、これは国の手に入るということでよろしいという判断をいたしました。日本の船がそれで負担増になる分は固定資産税を下げて調整しようということで、その分は固定資産税を下げて、そして国でたしか十五円を十八円にして十円分を地方に上げたというような格好になっておると思います。ですから、国内における措置は、固定資産税との関係を調整するということで、全体としてはやはり国の税であるという観念で措置しておるというふうにお考えをいただきたいと思います。
  263. 門司亮

    門司分科員 あなたはそういうふうに言いわけをするけれども、固定資産税をそれじゃどうして下げたが。固定資産税を下げるということになって、もしこれが特別とん税が別の処置でとったということになると固定資産税を下げたということに問題が出ますよ。別の形で解決しなければならない。何がために船舶業者の固定資産税だけを下げなければならなかったかということ。これは自治庁はその当時の状況は一体どうなんです。特別に固定資産税を船舶、だけに下げなければならぬという理由がありましたか。
  264. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御承知のように、外航船舶につきましては、国際競争ということを考慮いたしまして、一般の固定資産税の三分の一の負担にとどめておったわけであります。     〔岡田主査代理退席、主査着席〕 しかしながら船舶に対しまする課税は国際間におきまして種々雑多でございます。国によりましては課税していないところもあるというような状況でございますので、やはり国際競争に関係いたしますような外航船舶につきましては、固定資産税を思い切って軽減した方がよろしいんじゃないか、こういう議論が出て参ったわけであります。しかし関係市町村の財政収入が減少して参ることもございますので、その穴埋めとして国の方から財源を譲与する、こういうようなことでとん税が引き上げられます機会に、その一部を関係市町村に譲与する。そういうような関係から引き上げられまするとん税の一部を特別とん税というような形において立法された経緯があるわけであります。
  265. 門司亮

    門司分科員 そうでしょう。国が上げるからといって上げたわけではない。やはり地方税の方が減収するから、その穴埋めをしなければならぬ。だから大蔵省の言い分は少し違うでしょう。片方の固定資産税が下ったから、その穴埋めをしなければならぬという事情があったんです。そういう事情がなかったら何でそういうことをやりますか。
  266. 原純夫

    ○原(純)政府委員 私の記憶で申し上げたのでありますが、私の記憶では、やはりとん税の何が先であったと思いますが、いずれにしてもそれは並行でということでけっこうであります。いずれにしても固定資産税を下げると甘過ぎるといいますか、それだけ何があるからとん税を上げろという話ではありません。やはりとん税が五円では安過ぎるという点から話が出たと思いますが、しいてそれがどっちが先だということは言わないでもよろしいと思います。事柄は両方相対応したものであるということでございます。
  267. 門司亮

    門司分科員 事柄は相対応したものであるというが、税の本質が違う。固定資産税であるべきものが固定資産税をやめてとん税でとるということになると、外国にも影響してくる、いろいろな問題にも関係してくる。  同時にもう一つ聞いておきたいのは、これ以上あなたと水かけ論をしても始まらぬと思いますが、こういう税金は経緯を持っている。同時に港の維持管理はだれがやっておるんですか。
  268. 原純夫

    ○原(純)政府委員 港湾の管理は府県の場合もありまするし、また市というようなところでやる場合もあります。
  269. 門司亮

    門司分科員 港の管理は今日地方団体に移っている。そうすると港を利用するものについては、これはやはり地方税なら地方税の形で港を管理するものに譲るべきだと思う。港に何も金を注ぎ込まないで——今までは多少経費を投じておったかもしれませんが、最近の港の状態は御承知のように非常にたくさんの金が必要である。船舶が大きくなっておりますし、それから昔のように沖取りではしけでとるというようなことは許されませんし、どうしても接岸荷役以外の方法がなくなってきた。従って港の維持管理ということは日本一つの大きな課題です。従って地方ではこの港の関係については特に地方の財政の中でも独立採算制になっておるはずである。一般会計から大体個々に足りない分を、今のところ地方自治体で注ぎ込んで辛うじてやっておる。従って日本の港の復興ぶりを見てごらんなさい。どこへ行っても六万トン、八万トンという大きな船ができている。これを接岸させるところはどこにもありはしない。これは日本の将来の貿易関係から非常に大きな問題だと思う。従って港の維持管理というものを完全にやっていこうとするには、先ほどから言っておりまするように、特別とん税自身の持っている性格というものが、どの国でもとっているからとるということでなく、やはり港の維持管理をするのに、港に関する税金は納めた方がいいと思う。ことにさっきから言っているように、地方税との関連性を持っておるわけでありまして、今までは御承知のように船舶の固定資産税というものが入ってきておった。それを減らしたためにこういう処置をとったのだから、この辺であらためてこの税金は地方に委譲したらどうかと考えるのでありますが、一体自治庁はどうなんですか。こういうふうにした方が自治庁の方もやりいいと思いますが。
  270. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 とん税は性格上税率も全国的に一定にすべきものだと思いますので、やはり国税でやることが望ましいと思います。その国税でとりましたものをどの程度譲与するかということは、地方の独立税の体系なり、あるいは地方交付税の制度なり、他の譲与税の制度なり総合して考えるべきものだというように思いますので、とん税の収入につきましても、その額を譲与いたします場合に、譲与を受ける団体の財政状況等ともにらみ合せて考えたいというふうに存ずるわけでございます。
  271. 門司亮

    門司分科員 港の性格は国の性格ですぞ。地方自治体の輸入、輸出をやっているわけではありませんよ。国の経済を維持することのため、国の経済を助長することのための港の一つの政策ですよ。その港の管理というものを地方の自治体が今日やらされておる。それに国が税金を持っていくことはどうもおもしろくないという考え方はおかしいじゃないですか。だれのための港です。港というのは地理的条件が備わっておりますから、人工的なものとはいっても、地理的条件があって、国がどこにこしらえようといっても勝手に作ることができないのです。背負っておるところはやはり背負っておるのですよ。そうしてしかも国家貿易と密接な関係を持っておる港であることは御承知の通りなんです。そう考えてみますと、この税金は今お考えのように、普通の地方財政上のものの考え方から、足りないものは何かの配付税の考え方でやったらよかろう、そういう考え方でこれはやっていけますか。自治庁自身の考え方というものを先にはっきり聞いておきたいのですが、これは総理大臣もそう言っているのです。憲法の趣旨は守るのだ、こう言っている。そうすれば財政上の独立もやはり考えてやらなければならぬ。政府がどこまでも財政上の独立を考えないで、必要があればくれてやるのだという態度でいっている間は、総理大臣の答弁と少し違いはしませんか。この税金に関する限りは、やはり港の維持管理をするのに、そこにこの税金が使われるという形をとって、港の整備をすることの方が国のためだと思う。こういう考え方が出てきませんか。
  272. 郡祐一

    ○郡国務大臣 自主財源を増強いたしますこと、歳入構成をよくして参りますこと、これは絶えず心がけねばならないことでありますし、それに伴うて直すべき点もまた多々あると存じます。実情に即しながら今後もいろいろと考えて参りたいと思います。
  273. 門司亮

    門司分科員 しかもこの税金は、総額から見ると国が八円をとって地方が十円とっている。税金配分関係からいっても地方の方がこれは大きいのです。だからもし政府のようなお考えであるとするならば、配分関係から見ても私はおかしいと思う。しかしこれ以上ここで議論はいたしません。  次にもう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、例の国有提供施設等所在市町村助成交付金というのがあります。これは法律がはっきりいたしません。法律によりましても算定の基礎がはっきりしていないで、ほとんどつかみ金というと語弊がありますが、大体そういう形で去年は五億、今年は千億ということで出ておりますが、これはやはり算定の基礎をはっきりする法律をこしらえることが必要だと思うのですが、この点はどうですか。
  274. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 門司さんよく御承知のことだと思いますが、一交付金の制度をどういう性格のものとして立法するかということにつきましては、いろいろな議論があったわけであります。その結果、固定資産税そのものでもない、また単なる補助金そのものでもない、要するに中間的な性格のものとして生まれて参ったわけでございます。そういうような経緯もございますので、ある程度一部の金額につきましては、財政状況その他を考慮して配分できるようになっておるわけでございますが、やはり現在のいろいろな議論のあります際におきましては、このようなことで一応運営をなお続けていきまして、その間にさらに検討を加えて参りたいというように存じておるわけでございます。
  275. 門司亮

    門司分科員 そういう答弁をしているが、ところが一方ここにもう一つ、国有資産所在市町村交付金というのがあります。これは形づければみんな日本の国有財産であることには間違いがないのです。ただそれが違っているのは、駐留軍関係の諸君が使っておるというようなことで、一方は法律による配分をしておらぬ。一方は課税の対象としてきちんと見ておる。それでどれだけ客体があるからどれだけの税金だ、これは算定の基礎がはっきりしている。同じ国有財産で、同じものなんです。ただ使用目的が違っておるということだけでこういうつかみ金のような制度があるということは、いろいろな事情があるというけれども、これははっきりした方がよいと思います。やはり所在市町村としてはこの問題ははっきりしておいてもらった方が、予算その他を組むにしても必要だし、幾ら配分してくれるかわからないというようなことでは私はやはり困ると思います。この辺もやはり自治庁のものの考え方というものをはっきりしてもらいたい。何でも役人がとってお前たちに分けてやるのだというような考え方がまだ残っておる。自主的財源を与えるというならば自主的財源を与えなければならぬ。法律自身もこしらえてはっきりとしたものをやればよい。事情があるということで一たん取り上げておいて、そうして交付金のよう形で分けてやるというようなことでなくて、やはり算定の基礎だけは明確にする必要があると思いますので、もう一度その点をお伺いしたい。
  276. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 自治庁の考え方は門司さんもよく御承知のことと思います。できるだけ客観的なものを基準としてやりまして、そこにしんしゃくを加えないで配分するように考えて参るわけであります。御指摘になりました国有資産所在市町村交付金、これは国有の資産でありましても対価を徴しまして他人に貸しつけておるというような性格のものを対象にしておるわけでありまして、従いましてまた固定資産税ずばりの金額を所在市町村に交付するわけであります。これに対しまして基地交付金の方は、公用施設に類するものにつきましても当該市町村がこうむりますいろいろな財政負担等も考慮いたしまして、固定資産税的な財源を供与する、こういう仕組みにいたしておるわけであります。従いまして、また駐留軍の使用しております資産でありまして、単に住宅だけではありませんで司令部的なものも対象にしておりますし、また飛行場、演習場というような施設もこの交付金の対象としておるわけでありますので、若干そこにやはり運営の面において差があってよろしいのではないかと思っております。しかしまた門司さんのおっしゃっております点はまことにごもっともでありますので、基地交付金につきましても、全体の八割相当分は全く価格按分で交付するというようなやり方でやっておるわけでありまして、できるだけ市町村の自主性をそこなわない方法で運営して参りたい。そうして漸次お話になりました方向に持っていく努力をいたしたいと考えております。
  277. 門司亮

    門司分科員 今奥野さんは価格のお話をされましたが、価格にしても今の自治庁の見積り方には二つあるでしょう。大蔵省の管財から出た価格と、調達庁から出た調査資料というものが違うわけです。どっちを主にしておいでになりますか。
  278. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 政令で国有財産台帳に登載されております価格を基礎として配分することに定められておるわけであります。
  279. 門司亮

    門司分科員 そういうことで大蔵省の管財から出た資料を大体中心として配分されておると思いますが、実際の価格というものは、やはり台帳に載っておるその価格も一つの価格に違いないが、調達庁が一応調査した資料も必ずしもうそではないと私は思います。問題になるのは、こういう二つの価格が出て参りますと、どっちをとっておるかというと、実際は大蔵省の価格の方が非常に低いんですよ。実際の数字を持ってこいというならここで話してもよいのだが、大体半分までとは言わないが、かなり低額のものになっておる。これを基礎にしておのおの分けられるということになりますと、配分を受ける自治体側の方ではそのもの自体について自分のところで算定したものと政府の方で考えておるものとに大きな開きが出てくる。これもあなたの方では、一つのこういう価格にのっとってやっておるのだ、こう言うのだが、実際もらう方になると、どうも政府の考え方は少しおかしいというようなことで自治体間に多少の不公平が今日出ておると私は思います。これらの問題を解決するのには、やはりどうしても国有資産と同じような形で一応算定の基礎となるべきものをどこかに法律的にはっきりしておいて、そうしてこれを解決するという方法が一つの考え方ではないか。  それからもう一つの考え方は、この駐留軍関係の問題というものは最近特にはなはだしくなっていると思いますが、国有財産として使っておるといえば使っておる、遊んでおるといえば遊んでおるというような、要するに遊休的なものが私は考えれば出てくると思う。そういうものに対しても、当該自治体から考えてみるとかなり厄介なものである。今の考え方からいけば、結局使用しておるものが大体算定の基礎になって私は配分されておると思うのだが、最近駐留軍の引き揚げその他に伴ってまだ国有財産の方にも返ってこない、実際は軍が使っておるというような形の遊休施設がかなりたくさんおると思う。そういうものに対する配分等についても、何らか法律的な措置をここで一応講じておかないと困りはしないかと思う。この問題に関しての今までの話では、法律の措置は要らないような話をしておるが、いずれにしてもこういうものを明確にしようとするには、やはり法律によってその配分の根拠なり、あるいは積算の根拠なりというものを見出さないと、どうもつかみ分けのようなことばかりやって、自治庁の役人が何か自分の金を自治体にくれておるようなものの考え方で配分すると困ると思う。ですから重ねて聞いておきますが、どうしても立法化する意思はないのですか。
  280. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 価格の点につきましては、国がその台帳に登載しておる価格でありますので、理論的にはやはり適正な価格が登載されている、こう考えたいわけです。しかし実際問題としては、御指摘のような問題はたくさんございます。そういう点につきましては今後も大蔵省当局と話し合いながら、適正な価格に切りかえてもらうように努力して参りたいと思っているのです。また現にそういうような是正の行われたものもあるわけでございます。なお返還された施設で未利用のもの、これにつきましてはある程度配分に当って考慮していかなければならないと思っております。これを正確に立法化する問題につきましては、なお政府部内でいろいろ意見のある問題でありますので、十分話し合って参りたいというように存じておるわけであります。
  281. 門司亮

    門司分科員 あとは時間がございませんので、この次の機会に譲っていただきます。
  282. 田中久雄

  283. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 大蔵大臣にぜひ伺っておきたい文教問題があるわけです。御承知のように、国立劇場の建設につきましては、長年にわたって国民が要望してきたことでもあり、またわが国の文化の伝統を保存し、一方において日本の文化的水準ないしは芸術的分野というものを世界的な舞台にまで伸ばすという意味から、国立劇場を建設せよという声は、明治の初めから起っておるのであります。いわれ因縁をあなたに申し上げるまでもなく御承知だと思うのでありますが、すでに昨年の末に、文化財保護委員長ないしは政党関係の国立劇場促進議員連盟の代表者が、岸総理大臣ないしは関係の閣僚等とお会いいたしましたときには、大宮御所、青山御所に敷地も決定して、来年はそれに相当する予算を取るということを言明をされたわけであります。しかるにその後予算編成の途中にこれが逆転をしまして、ついに大宮御所の敷地もきまらなければ、予算の計上も昨年度に引き続き、わずか一千万円ということであれば、何らの解決の方策がつかなかったわけであります。従って大蔵大臣にお伺いしたい点は、そのことについて、私が先般この衆議院予算委員会の劈頭でお尋ねをいたしましたときに、文部大臣の申すには、もはや少数の閣僚しか反対しておらない、その少数の閣僚とはだれかということを確かめてみますと、大蔵大臣以外にはないそうであります。大蔵大臣は何でも忠君愛国の思想から、大宮御所に御反対だということでありますけれども、その間の事情につきまして所信のほどを明らかにしていただきたい、かように思う次第であります。
  284. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 国立劇場の敷地の問題でありますが、まず私の考えましたことは、大宮御所が忠君愛国の立場からどうとか、そういう意味ではないのでありまして、むしろ国立劇場というようなものがどういう規模で、どういうふうなところにあるのが一番適当か、そしてそういう適当とするところの敷地が確保され得るかいなか、こういう点について国家百年のために慎重に考慮する必要があるだろうというのが、私の考え方であります。この青山御所のところに敷地を持って行ったのも、私の聞くところによれば、ここが一番いいからここにするというのではなくて、当初の第一候補地はパレス・ハイツにあったように私は聞いておるのであります。岸総理がアメリカに行かれてアイゼンハワーと話した後において、アメリカ兵が非常に大量の撤兵を急速にやるという事態が新しく今日生じておるわけであります。そうしてみると、従来第一候補地であったパレス・ハイツが候補地になり得る可能性が非常に出てきたというふうに私は考えて、これはそんなに急がなくても十分将来を考えて敷地をおきめになった方がいいと思う、こういうふうに申しておるわけでありまして、なおこの点については今後もしもパレス・ハイツがいいということになれば、具体的に一つこれが将来どういう時期に敷地として自由に使い得るかという点についても検討を加えていってみたい、かように考えておるのであります。なおまた私の考えでは、やはり国立劇場は一つ日本の文化の表徴であります。国会とやはり近いところに並んであるというのが国の表徴として非常に適当じゃなかろうか、別に青山ならそんなに遠方というわけでもありませんが、やはり国会の近くにあるのが適当じゃないか、これが私のただいまの気持でありまして、こういう点を一つ十分御検討下さって敷地をきめることを希望いたします。
  285. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私も大宮御所でなければならぬということでもないのです。ただ問題は、長年来待望されておったものが一度大宮御所にきまって、そうして大蔵大臣さえ承知をするならば着手されるというまぎわになって事態が逆転したということは、大臣はどういうお気持であるか知らぬけれども、自民党は文化政策に対して不熱心であるという印象を世間に与えるわけであります。その意味でも非常に残念であるし、国家的な見地から見ても、たとえば昨年はソビエトのボリショイ・バレー団が来て新宿のコマ劇場へ出演をしたけれども、やはりできるならばバレー専門のところで舞台を踏ますことがいいことであり、また近くはアメリカの各種のバレー団も来る。それから日本の歌舞伎というものは、今日相当な高い料金をもってしなければ歌舞伎座へ入ることができない。このような双方の事情を考えてみるときには、相当に日本の文化水準を引き上げ、またこれを顕揚するためには、事態は差し迫っておるのであるというふうに認識をしていただかなければならぬ。しかるにそのパレス・ハイツでありますと、これは向う様の関係もあるわけですから、従っていつ撤退するものともわからない。現にアメリカの地上軍は逐次撤退の方針がありますが、空軍であるとかあるいは英連邦関係の軍隊というものはいつ撤退をするかわからない。三年も四年も先の候補地について折衝しておるということでは、これはせっかくの国民の期待というものと全く背馳するわけであるから、われわれはこれにかわるところの代替地を見つけなければならぬということを申しておるわけであります。従って大蔵省の事務官僚の方が賛成で、大蔵大臣だけが反対だということは、つまり大蔵大臣が何かあるということは私的にはいろいろ聞いておるわけです。実は忠君愛国的思想に基いておるわけですけれども、それにしてもこれはかえって皇室に大蔵大臣が御迷惑を及ぼしておるのじゃないか。皇室の方では、宮内庁関係はむしろ、どうせ大宮御所というものを一部割譲しなければならぬということになるならば、それは国立劇場にお貸しするのが一番筋だということをいっておるわけであって、早くこの問題について終止符を打ってもらいたいというのが、この国立劇場建設の裏の真相であります。先般も宮内庁の長官を呼んで聞いてみたところが、はっきりそういうふうに申しておるのであって、その意味から一つぜひ大宮御所に賛成するか、その賛成をすることができなければ、パレス・ハイツというものは一体本年中にも解決することができるのでしょうか。この点をぜひ伺っておかないと、私としては非常に不安でたまらぬわけであります。
  286. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 このパレス・ハイツの問題は、私の考えましたのは、アメリカ兵の大量撤兵が最近になって非常な速度で行われる。これは最近起ったことです。従いましていかにもあとになって何か異なった意見を申し上げるようになったのでありますが、しかしそういうことが最近に起ったので、これはいたし方がないと思うのでございます。私は何も青山の方に絶対に反対するというのじゃないのでありまして、ただ当初の第一の候補地がどうやら何とかなりそうに思われまして、これはどうもいいところだ。私はいろいろと御意見もありましょうが、これはいい場所に建設されるのがやはりいいと思いましたので、ちょっとのことを急いで将来に悔いを残すことは適当でない、このように思いますので、よりいい敷地がある、それでパレス・ハイツがいいとなれば、これについて——これはいつあくかということは今後交渉をしてみなければ言えないのでありますが、しかしこれも撤兵していろいろな場所があくのに、あそこだけは何としてもおるのだという理由は私は発見しにくい。わが方においてあそこが国立劇場を作るのに一番いい敷地だということを確立すれば、撤兵をするのですから、さらに兵舎があくのですから、これは何もおれはあそこにがんばって国立劇場を作るのにいい場所なのにどかない、このようなことは絶対にあり得ないという常識に立っておるので、そういうようなことで一つ考えていきたい。要するに私の申し上げたいことは、むろん今後国運の隆盛とともに国民の表徴であられる皇室がいろいろと仕事もふえる、また従ってお住居についても広いところを要することは当然予想される。そういうことがありますが、それよりもやはり国立劇場というものを作る以上は、一番いい場所を選定するということが必須の一つの条件であると考えますがゆえに、こういうことを申し上げておるわけであります。従いましてパレス・ハイツがいいのだ、その方ができればいいのだということでありますれば、こういうような新しい事態のもとにおいて先方といろいろと折衝をするということは適当である、かように考えております。
  287. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 国立劇場の問題でもう一点だけお伺いしておきたいのは、実はこのことについては担当の文部大臣はもう強力に推進しております。それから官房長官もこれについては全く全面的な賛意を表しておる。それから岸総理大臣も非常に熱心であられる。従ってもうあなた一人だけがそういう立場から新しい観点を持っておられる。それについてはいろいろ聞いてみると無理のない点もあるように見受けられるのです。しかし問題は、それならいつまでにこれを決定するかということについては、官房長官の言明では、今度の予算編成までは間に合わなかったが、予算を審議しておる最中でもこれは決定をして予備費からでも出すということを官房長官は公けの席上で言っておるわけです。公けの席上とは議会ではありませんけれども、数名の代表者に対して言明をしておるわけです。従って大蔵大臣、ここに伺いたい点は、それだけ違う土地の方がいいとおっしゃるならば、おっしゃるで、大体いつまでに解決するお気持があるのか。大蔵大臣と文部大臣と話をして、そうして対外折衝もすれば、それで進捗をするわけですから、ぜひとも私はこの国会中にも問題を落着していただきたい、かように考えておるわけです。大体どの程度にまでこの問題を解決するだけの気持で進むのか、その点を最後に伺っておきたいと思います。
  288. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私、いつまでにどうということは、今ここに何も申し上げるだけの用意を持っておりません。そういうことがよければ、私としてはそういう方向に交渉を進めて——これは国有財産のことですから、私がそういう見地から交渉を始めてもいいと思っておるわけですが、それにしても、大体私が文部大臣あるいは文化財保護委員長委員とも話をした際に、三十三年は一応敷地がどこときまればいいと思う、その敷地に基いて設計をするのだ、それが三十三年の仕事だ、実はこういうようにも聞いておったわけでありまして、何もそれなら今すぐあかなくても、たとえば一年先にあけることができるというふうになれば、使用が十分可能であろうかと思うのでありますが、そういう点をはっきりいたしまして、そして第一候補地であった。パレス・ハイツの方に、こういう機会の間に、できるならいいということがはっきりすれば、そういう条件をもって一ぺん文部大臣ともよく事情を話して交渉を進めていくのもよかろう、かように考えておる次第であります。
  289. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それからもう一つこの機会に、これは大蔵省の問題ではないし、通産省に伺うべき筋の問題ですが、私は日本経済を大きな目から見まして、工業の発展の地域というものは、東京一つの中心地である。それから京阪神がそれに次ぐものである、さらに北九州の工業地帯、この三つが今日までは日本の工業を支えてきた地帯である。ところがわが国の将来の経済構造というものを見ていくと、やはりさらにもっと日本の貿易水準なり工業水準というものを高めるためには、新しい工業地帯というものを建設していく必要があるのじゃないかというふうに私は考えるわけです。あなたもたびたび名古屋やあるいはその隣接地帯、四日市等を視察する機会があって、中部地方の最近における経済的な発展ということには相当に認識を深くせられておることと思うのですが、通産省の持っておられる経済五カ年計画、それからその後に続く計画というものの中には、中部経済圏というものをもっと工業的に発展させていこうという一つの着想があるように聞いておるわけであります。これに対しては、大蔵省としては今日どういう御構想を持っておられるか。これは、私は北海道開発計画というものが農業方面にあるとすれば、やはり工業の新しい発展計画というものは、ここに一つの急所を見つけていかなければならぬ、それによって日本の貿易水準、経済水準というものを今日よりも一割ないしはそれ以上にふやすことが十年後にはでき得るような気がしておるわけで、そういう考え方もあるわけであります。従ってそれらにつきまして、大蔵大臣の常識的な御答弁でもけっこうであります。またそれに関連しての部局長の御答弁がいただければ、仕合せであります。
  290. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私のいわば常識的な考えであります。従ってごく大ざっぱな私の考えと申しますか、そういう意味におきまして、私は川崎さんがお考えになっておられるであろうと思われることに大体見解が一致するのじゃないか。私も長い間名古屋地方におりまして、あの地方の経済の状態並びにあそこの経済を条件づけておるいろいろな事情について若干知っておるのであります。それで私の考えでは、今後やはり工業的の発展の地域として中京地区が一番大きな規模を持つであろう、そしてそれにふさわしい条件を持つだろう。しかしそれにはどうしても港湾というものが非常に大事なものになる。しかし自然の形からいえば、たとえば四日市の港は私は相当いい港であろうと思う。それで四日市の港と名古屋の港を相補完させて、重複しないようにして、あれを一つの港のような形態に、今後いろいろな施設に改良を加えていったらいいと思う。そうして今のところ新興の産業である石油化学のセンターに四日市地方をするというような構想も、これは私非常にいい構想であると思う。それともう一つは太平洋に面する名古屋、四日市と相対して、北陸地方と名古屋とを結ぶ横の交通網といいますか、これは山がありますからなかなか困難ですが、それをどういうふうに結ぶかということが一つの問題で、今後の日本経済の開発については、そういう点に非常に注意しなくてはならぬ。たとえば富山地方に非常に工場がある。名古屋の工場にはボーキサイトあたりも十分たくさん入ってくるのですが、富山の工場ではボーキサイトが欠乏しておって操業度が短縮しておるが、名古屋の港には船に充満しておる。こういう事態を改善していけば、工業の進歩に非常に貢献するだろう。そういう意味合いをもちまして、今後の工業の開発については、中京地区に特に関心を持ってよかろうかと考えております。
  291. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 このことに関連しましてもう一問だけ伺っておきたいのは、今中部経済圏というものの構想に対して非常に明確な御答弁をいただいたわけでありますが、ことに北陸地方を含んでの関連的発展ということまで言及されたことはけっこうだと思いますが、私は名古屋地方の産業に一つだけ大きく欠けているものがあると思う。あの辺は諸産業ほとんど整備をされております。たとえば通信工業にしても、自動車工業にしてもその他の産業にしても、他の地域にない産業が整備をされておるのですが、残念なことには鉄鋼産業というものの関連がない、中核であるべきところの製鉄所、鉄鋼産業というものがないために、中京経済圏の発展というものが相当に阻害されておるような気持もするわけです。やはり心棒を入れるものは製鉄業、鉄鋼産業だと私は考えておるのでありまして、将来の経済計画の中には当然これが日本的な見地からも含められなければならぬというふうに考えておるのですが、そういうような案に対して通産省でもそれは考えておられるようですが、大蔵大臣としてはいかようにお考えでありましょうか。
  292. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点について私今具体的に、こういうふうな条件であるからけっこうであるというふうに結論を出すわけには参りませんが、しかし名古屋を中心としてここにやはり一つの工業地帯を作ろうとすれば、これはやはり総合的な開発でなくてはならぬという意味におきまして、でき得べくんば将来ここに製鉄事業ができるということはやはり望ましいことだろうと考えております。
  293. 田中久雄

    田中主査 明後日は午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時散会