○井堀
委員 私の質問に対する御答弁で明らかになったように、実際においてはもう行き詰まっておる。私はこの制度では
中小企業対策はできない。それは今あなたが
お答えになりました、
金融の一例をあげたのですけれども、なるほどあなたがおっしゃるように、零細
企業、
中小企業はどうしてもコスト高になる。でありますから、
金融機関が営利追及のための事業であったのでは、これは最初から採算に合わぬのですから、ほっとくより仕方がない。水が低いところに流れるのと逆な
意味において、利潤の高いところへ融資されてくるというこの必然な勢いをそのままにしておくならば、何も政治は要りません。大蔵省の
金融に対する
役割などというものは、ここにおいては、強者の前には大いに働くけれども、弱者の前には一こうに働きをなさぬということを
意味するだけです。
金融が公的な
性格をやかましく言ってきているのはここにある。口では念仏を唱えながら、実際においてはどこにもそのはけは出てきていない。信用力補強の問題については、なるほど信用保証協会その他の手当も必要でありますけれども、基本的には通産
大臣のおっしゃられるように、
中小企業の弱点をどう解決していくかということでありますから、通産行政の分野においては設備の近代化、あるいは技術の問題その他がいろいろ指摘されておりますけれども、こういう問題もさっきの
金融と同じことなんです。こうすればいい、ああすればいいというだけの話なんだ。それを実際にどう解決するかという問題を、今の金利のような形で掘り下げていったらお手あげです。そういう
政策を具体的に出してこなければ、それが
予算の中へ出てこなければ、われわれは
予算を
審議する意欲が起ってこない。社会主義を背景にする社会党と
資本主義を背景にする自由党の立場の違いはやむを得ぬでしょう。しかしここには
政策上の近似性
——かって鳩山さんが説いておったが、近似性が出てこない。われわれ接近しようとしても、あなた方が一向に現場におりてきていない。これはひとり
金融の問題を例にあげてみて追及しただけであります。いずれをあげてもこういうことが言えるのであります。もっとこういう問題に対して真剣な態度で論議のできるようなデータを出していただきたいということを企画庁に要求する
意味で、また後日質問ができますからそのときに譲りたいと思いますが、せっかくの機会でありますから、もっと
中小企業問題に熱意を持つものなら、
金融の面のように、だれかが言ったように、一応人気取り
政策としては、
中小企業向けの
資金を増額するということについては、与野党ともすぐ一致する。タンクに水を張ることはできますけれども、肝心かなめの必要なところに、のどをかわかして待っておる
中小企業、零細
企業のところには流れてこない。すなわち途中のパイプがとまった。ここが政治が眠り、行政が怠慢をそしられる理由になるのであります。こういう問題をもっと具体的に出してもらいたい。
大蔵大臣、だめです。
中小企業のために一生懸命やります。金利を下げます。どうして下げるかということを言わなければだめなんです。この点はどうして下げるかということでなくて、どうして上ってくるかということを、あれよあれよで見ていくか、あるいはそうなることは必然だということで横着にかまえておるかという違いになってくるわけですが、もっと真剣にこういう問題について真剣な討議のできるような場を作ってほしいことを要望いたして、この問題はきょうの私の質問の
中心ではありませんから、この程度にいたしておきます。
次に
税金の問題について、さっき
春日君も言っておりましたが、ことに今回は勤労所得税を
中心にして徹底的な税制改革をやるチャンスではなかったかと思う。いろいろな条件をあげてこられる、私は多く申し上げる時間がありませんけれども、税制調査
審議会の答申の中にもこのことを大胆にうたっておりますから、私がここで贅言を要しない。そこで私どもは非常に矛盾を感ずる。この問題はあらゆる
政策の上に影響してきます。ただ
税金をよけい出したくないといったような功利的な
考え方にくみするような気持は私はごうもございません。応能課税の原則に基いて、能力に応じて税は負担すべきである。しかし能力のない者に
——私は一例を具体的にサラリーマンの月給袋の中に税がどうなっておるかということを見せてもらったのです。この人は大学を卒業されて、
一つの職場に八年も勤続されて係長クラス、その人の実収は十一月分の給料袋であります。二万二千六百七十一円の収入になっております。それから所得税が五百五十円、税制改革で安くなって、一番恩恵を受ける。ところが住民税が六百四十円、ここは比較的地方でも安いところであります。そのほかに
厚生年金と健康保険料が九百二十円、失業保険が百八十四円、それに共済会が四百十一円、でありますから、ここで手取り一万九千六百三十三円、この人の家計費を私は見てみました。
政府が一番低額の家賃だと誇っております公営住宅の二種に入っております。この家賃を差し引いて持っていきますと、一万六千円足らずになってしまう。親子三人です。でありますから、こういう
実態を見ていきますと、税をここでかける限界などというものは、これも国が
終戦後のように、戦争に敗れて、あと建て直しをやるというような、何もかもさらけ出してやらなければならぬという状態ではもうないはずである。これは
大蔵大臣、非常に責任があると思うのでありますが、ほかの
税金も、
中小企業
の事業税その他もありますけれども、源泉徴収によってきびしく差っ引いている勤労者の
生活費の中に食い込んでおる
税金は改める御意思はありませんか。