運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-04-15 第28回国会 衆議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十五日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二十三号   昭和三十三年四月十五日     午後一時開議  第一 刑法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 刑事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 証人等被害についての給付に関する法律案内閣提出)  第四 電話加入権質に関する臨時特例法案内閣提出)  第五 郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第六 中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案内閣提出参議院回付)  第十八回国際オリンピック大会東京招致に関する決議案福田篤泰君外三十四名提出)  日程第一 刑法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 刑事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 証人等被害についての給付に関する法律案内閣提出)  日程第四 電話加入権質に関する臨時特例法案内閣提出)  日程第五 郵便為替法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第六 中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出)  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案内閣提出)     午後四時十四分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。議員芦田均君から、イギリス、フランス、イスラエルの三国における政治経済情況視察のため四月十五日から四月三十日まで十六日間、議員船田中君から、フランスにおける政治経済情況視察のため四月十五日から四月二十三日まで九日間、右いずれも請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって許可するに決しました      ————◇—————
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 次に、参議院から皇室経済法施行法の一部を改正する法律案が回付されております。この際議事日程に追加して右回付案議題とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案参議院回付案議題といたします。
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案参議院修正に同意するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって参議院修正に同意するに決しました。      ————◇—————
  9. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、福田篤泰君外三十四名提出、第十八回国際オリンピック大会東京招致に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  10. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  第十八回国際オリンピック大会東京招致に関する決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。福田篤泰君。     〔福田篤泰登壇
  12. 福田篤泰

    福田篤泰君 私は、自由民主党日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられましたオリンピック大会東京招致に関する決議案趣旨弁明をいたしたいと思います。  まず、決議の案文を朗読いたします。   衆議院は、来る千九百六十四年の第十八回国際オリンピック大会東京都に招致するため、その促進運動を強力に推進し、もつてその準備態勢を整備すべきものと認める。   右決議する。  わが衆議院におきましては、古くは帝国議会以来、戦後は民主国会が発足いたしましてから、体育スポーツに関連のある決議がしばしば上程せられました。すなわち、昭和十年、第六十七回帝国議会において鳩山一郎君外九名の提案にかかる第十二回オリンピック経費補助決議案が上程せられ、全員賛成をもって可決されたのでありますが、大会は、御承知通り、戦争のために中止のやむなきに至ったことは、まことに遺憾にたえない次第であります。また、過ぐる昭和二十四年の五月には、スポーツ振興決議案各派共同提案によって上程せられ、各党全員賛成可決されております。さらに、昭和二十八年には、オリンピック大会招致決議案が満場一致可決されておりまして、国会が、国民体育スポーツに、その時代々々におきまして深い認識と関心とを持っておりましたことは、以上の記録によりましても立証せられるところでありまして、まことに御同慶にたえない次第であります。  本年は、御承知通り東京都にアジア競技大会開催せられるとともに、第五十四回IOC、すなわち国際オリンピック委員会総会が開かれるのでありまして、オリンピック大会招致する計画を推進するためには絶好機会といわねばなりません。第十八回オリンピック大会開催立候補を希望いたしておりまする都市は、現在においては東京モスクワ、カラチ、デトロイト、ブラッセルその他でありますが、開催地決定採決は、昭和三十四年、すなわち来年の五月に開催されるところの第五十五回国際オリンピック委員会総会で行われる予定であります。  東京都におきましては、すでに昭和三十年十月、都議会において東京招致決議いたし、東龍太郎IOC委員を通じて本部に伝達せられておりますが、正式招請状は、大会開催に伴う質問書回答書を添えて、本年十二月一日までに国際オリンピック委員会本部提出することに相なっておるのでございます。なお、関係者熱意が実りまして、本年五月、アジア二十カ国の友邦国の若人が東京に相つどい、盛大に第三回アジア競技大会開催されんといたしておりますことは、御承知通りであります。しかも、このアジア競技大会に対する設備は着々と進行し、先月三十日、すでに国立競技場の完成を見るに至りましたことは、まことに喜びにたえません。また、その他の東京都におけるもろもろ設備も、おそらくは、本年のIOC総会においてオリンピック大会招致のための優秀な設備として十分なものと認められることと存じます。また、すでに東京都においては、昭和二十九年レスリング世界選手権大会を、昭和三十一年には世界卓球選手権大会開催し、国際スポーツ大会に対する経験を積んで参りました一方、戦後数年間にはIOC会長エヴリー・ブランデージ氏を初め、IOC関係者は五回にわたって東京都に参り、その関心の強さを示しておるのであります。  従来、オリンピック大会は、アジアにおきましては一回も行われておりません。アジア重要性が叫ばれる今日、世界の大都市でありますわが東京にぜひとも一度誘致いたしたいということは、自由と平和を求めるわれわれ日本人の強い念願でなければなりません。また、近隣アジア諸国においても必ずやこれに賛意を表明されることと期待するものであります。  特にオリンピックは、今や名実とも世界民族の祭典であり、一九一二年ストックホルム大会以来四十年間不参加であったソ連も、ヘルシンキ大会以来出場しておることに徴しましても、その世界的意義が明瞭であります。政府におきましては、昨年十月、文部大臣主催により、オリンピック招致懇談会が設けられ、去る一月には、国民各層を代表される方々により、超党派的に東京オリンピック準備委員会が結成せられました。岸総理は、その結成委員会の席上におきまして「スポーツ振興は、わが国民の意気を高揚し、特に健全な青年の育成に資するところきわめて大なるものがあると存じます。私は、機会あるごとに、次代をになう青年に期待すると述べてきたのでありますが、オリンピック大会のごとき国際的な大会わが国開催することは、大きな刺激となり、また、よりよき効果をもたらすものと考えます。」と言われて、東京招致に対する熱意の一端を披瀝されたのであります。  次の一九六〇年のローマ大会ヨーロッパ地域である関係から考えましても、第十八回大会が欧州以外の他の四大州で行われる見通しはきわめて強いのでありまして、他の立候補地と比較いたして考えますならば、わが東京開催問題こそ、われわれの盛り上る熱意によってその目的を果す絶好機会ではないかと信ずるものであります。(拍手)  何とぞ各位の満場一致の御賛成をお願いいたしまして、趣旨弁明といたします。(拍手
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。これを許します。田原春次君。     〔田原春次登壇
  14. 田原春次

    田原春次君 第十八回オリンピック日本招致決議案に対しましては、わが日本社会党は、これに賛成いたし、その趣旨説明を私に命ぜられました。たまたま、私は、オリンピック参加種目の一つのウエート・リフティング、重量挙全日本学生重量挙連盟会長であり、また、東京重量挙協会会長でもありまして、二重の喜びを持ってその説明をしようとするものであります。  先ほども説明者の言葉の中にありましたように、今度のオリンピック主催を計画しているものが五つありまして第一はアメリカであります。アメリカデトロイトを予想しているようであります。しかしながら、アメリカはすでにロスアンゼルスで以前にやったことがありますから、ほかの国の主催をじゃまするほどわけがわからぬとも思いませんので、これは話し合いで棄権をしてもらったらいいと思います。なお、モスクワも申し込みをするやに聞いておりますけれども、ソビエト・ロシヤのスポーツオリンピック大会参加するに至ったのは最近のことでありますので、これも遠慮してもらったらいいと思います。そうして、一たん第十二回大会日本開催と決定しておったのが、種々なる事情で延びたのでありますから、ぜひとも第十八回は東京招致したいものと思うのであります。(拍手)  来たる五月の二十三日には、IOC、すなわち国際オリンピック委員の多数の人が東京に集まりましてアジアオリンピック大会参加をするのでありますが、非常によい機会でありますから、その節も大いに招致方について力説し、陳情したらいいと思っております。  ただ、ここで問題となりますのは、このアジアオリンピック大会にも、中国朝鮮参加しないのでありまするし、参加させないのであります。中国につきましては、台湾中華民国と称し、そうして中国代表と称して参加を強く要望してきておりますけれども、スポーツ世界においては思想の問題は除外されておりまして国際陸上競技連盟国際バレーボール競技連盟等は、中華民国と称して台湾が来ることは不賛成である、台湾はよろしく台湾と名乗るべしという決議東京アジアオリンピック準備委員会にも来ているくらいでありまして、われわれは何としても中国参加を求めておったのでありますが、もろもろ準備の都合で、これが今回は実現しておりません。なお、朝鮮に対しましても、朝鮮民主主義人民共和国におきましては、すでに単一種目国際競技連盟には六つ参加しておりますバスケットボール、バレーボール、サッカー、ボクシング、ピンポン、ライフル銃六つ国際競技連盟に入っておりまするから、せめてこの六つだけでも今度のアジアオリンピック大会には参加をさすべきものであるということで、いろいろと要望を並べておりましたけれども、各種事情がこれを許さず、ついに今回は朝鮮側不参加となっておるのであります。従って、一九六四年に日本招致が決定しまするならば、われわれは、諸般の困難を排除いたしましてお隣中国チームと、お隣朝鮮チーム参加できるように、万般の準備をすることが当然であると考えております。(拍手)  その一例といたしましては、ドイツが非常によい例でありましてドイツにつきましては、西ドイツ東ドイツと、不幸にしてドイツは敗戦の結果二つに割れておりますけれども、スポーツ世界においては、その二つの障害が除去されておりまして、東西両ドイツ各種国際競技並びに先年の豪州のメルボルンのオリンピック大会にも出場しておるのであります。たとえば、一番が東ドイツでありますと東ドイツ国旗をあげる、二番が西ドイツなら西ドイツ国旗をあげるというようにいたしまして、国歌につきましては、双方話し合いで、ベートーベンの曲を歌うことによって調整がとれておるということを聞いておりますから、われわれがもしも努力をいたしますならば、中国台湾共同出場、韓国と朝鮮共同出場も困難ではないと考えるのでありまして、この面についても一そうの努力を重ねるべきものであると考えております。  スポーツ世界が、こうやって、国際間の緊張を緩和し、国際間の対立を緩和するに幾分なりともお役に立つことはけっこうであると考えまして、わが日本社会党は、心よりこの決議案賛成するものでございます。(拍手
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました、  採決いたします。本案可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。  この際、文部大臣から発言を求められております。これを許します。文部大臣松永東君。     〔国務大臣松永東登壇
  17. 松永東

    国務大臣松永東君) ただいま御決議になりましたこの御決議に対しまして、一言述べる機会をお許し願いたいのであります。  オリンピック大会東京招致するということは、全国民の強い要望でございます。従ってただいまの御決議に対しまして政府といたしましては、十分その趣旨を尊重いたしましてあらん限りの力を尽して招致するように努力したいと存じます。  これだけ申し上げさせていただきます。(拍手
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、刑法の一部を改正する法律案日程第二、刑事訴訟法の一部を改正する法律案日程第三、証人等被害についての給付に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長町村金五君。      〔町村金五君登壇
  19. 町村金五

    町村金五君 ただいま議題となりました三法案について法務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、刑法の一部を改正する法律案は、最近における涜職及び暴力的行為実情にかんがみ、悪質なあっせん贈収賄刑事被告事件証人等に対する面会強請または強談威迫及び他人生命等に害を加えることを目的とする凶器準備を伴う集合等行為を新たに処罰することにするとともに、輪姦的形態による強姦罪器物損壊罪等を非親告罪としようとするものであります。  本法案は、三月二十日本委員会に付託され、政府説明を聴取し、参考人意見をも聞き、慎重審議を重ねましたが、質疑のおもなものを一、二申し上げますと、まず、あっせん収賄罪についてであります。政府はこの程度の処罰規定によって岸内閣主要政策であるいわゆる汚職完全追放を期待できるか、本法案抜け穴だらけざる法案であるとか、骨抜き法案だとかいわれるが、政府は真に汚職追放する熱意があるのか、何ゆえ第三者供賄罪を設けないか、請託を要件とした理由、不正行為、わいろの意義範囲いかん等々の問題をめぐり、活発な質疑が行われたのであります。次に、暴力関係についてでありますが、暴力に関する本案の諸改正によって正当な労働組合活動が弾圧される危険があるのではないか等の質疑がありました。  これに対する政府答弁の詳細は会議録に譲りますが、ここにごく概略だけを申し上げますと、まず、あっせん収賄罪立法は、将来、学者、専門家の間においても非常に論議があり、理論的にも、また立法技術の上からも、きわめてむずかしい問題とされており、諸外国の立法もまちまちであり、わが国においても、右の事情から、今日まで法制化を見るに至らなかったものである。この種の立法は、一歩運用を誤まれば、善意の公務員、ことに議員政治活動制肘を受け、また、いわゆる検察フアッショを誘発するおそれもあると同時に、法解釈上の疑義により誤まった嫌疑のため取り返しのつかない損害を与える危険がある。あっせん収賄罪によって公務の公正と公務員廉潔性を確保することはもちろん必要であるが、あらゆる場合を無制限に網羅的に処罰対象とするような立法は、刑罰に過大の役割をしいるものであり、決して適切な対策ではないと思う。そこで、本案は、現段階において明白に悪質と思われるものだけを刑罰対象とした次第である。いわゆる汚職追放は、法律の力のみでなく、あわせて道義の高揚、公務員自粛自律と、国民の批判と協力とに待つべきものであり、その他、行政機構について責任を明確化するとともに、清潔で正しい政治道義を樹立するよう政党自身も考慮する等、広く汚職の根源をつく総合対策が根本的に重要である。本案は、処罰の必要とこれに伴う諸種の弊害との両面を考慮してすでに刑法で用いならされているところの明確な用語を用い、いやしくも解釈上の疑義の生ずることなきを期し、乱用のおそれを戒めると同時に、悪質なものは余すところなく確実に処罰することができるようにしようとする健全な骨格を備えたものであって、世上いわゆるざる法案骨抜き法案では断じてなく、本法案汚職追放に相当の効果を上げ、明るい民主政治の発展に寄与するものであることを確信する次第であるとの答弁がありました。  第三者供賄罪は、昭和十六年の改正まで、長い間わが刑法にその規定がなく、昭和十六年の新立法後においても、起訴されたものわずかに四件にすぎず、また、改正刑法仮案社会党提出案にもその規定がなく、実際上その必要はないものと思われる。この種立法は、わが国では初めての試みであるから、今後の状況により、漸進的に、必要に応じて法制化していくことが最も当を得た方法であると信ずる旨の答弁がございました。  次に、暴力関係については、政府から、持凶器集合罪は、他人生命、身体、財産に害を加える目的をもって、しかも、凶器準備して集合するという、何人にも許しがたい行為対象とするものであり、過般、別府その他各地において発生した暴力団愚連隊等暴力事犯を未然に防ぐことをねらいとするものであり、各種改正規定は、刑事訴訟法改正規定と相待ってそれぞれ現行法の不備を補い、暴力事犯の根絶を期し、もって善良な被害者を泣き寝入りさせないように保護しようとする改正であり、これら刑法規定が健全な労働組合運動を弾圧するなどということは、とうてい想像もできないところであるとの答弁がありました。  本案は、四月十一日、討論なく採決いたしましたところ、全会一致をもって政府原案通り可決されました。  次に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について申し上げますと、本案は、最近における暴力事犯についての刑事手続運用の実績にかんがみ、保釈等に関する規定を整備し、また、いわゆる緊急逮捕をなし得る罪の範囲を改めるとともに、証人が十分な供述をすることができるように、証人尋問に関する規定について改正をしようとするものであります。  本案は、三月十二日本委員会に付託され、参考人意見も聴取いたしましたが、社会党の各委員から、暴行脅迫につき緊急逮捕を認めることは、憲法三十三条に違反するほか、労働組合運動の弾圧に乱用されるおそれがありはしないかなどの質疑が行われ、政府から緊急逮捕最高裁判所判決により違憲ではないとされており、その他、保釈の制限、証人尋問に関する規定改正等本案改正はすべて正当な労働組合活動対象とするものでは断じてなく、現在目に余る町の暴力団愚連隊等暴力事犯対象とし、善良な市民を保護しようとするものであるとの答弁がありましたが、その他の詳細は会議録に譲りたいと思います。  さて委員会においては、刑法及び刑事訴訟法の両改正案につき、自由民主党及び日本社会党委員との間に、両案を修正すべきかどうか、修正するとすれば、いかに修正するかについて、数回にわたり討議がかわされましたが、結局、刑事訴訟法改正案につき、自由民主党及び日本社会党共同提案をもって二点の修正を加えることに決したのであります。その一は緊急逮捕についてでありますが、基本人権を擁護する立場からすれば、緊急逮捕範囲を安易に拡張することは適当でないこと、及び、緊急逮捕は罪状の重い一定の犯罪についてのみ許されるとする最高裁判所判決趣旨等を考慮し、暴行脅迫についてはこの際緊急逮捕を認めないことに改めること。その二は、改正案は、証人等被告人の面前において圧迫を受けて十分な供述ができないときは、裁判所被告人を退廷させることができるものとしようとするものであるが、この場合、被告人の保護と公正な裁判を期する必要から、検察官及び弁護人意見を聞いてこれを決定することに改めるという二点であります。  四月十一日討論なくして採決に入りましたところ、修正案全会一致をもって可決され、修正部分を除く政府原案全会一致をもって可決、結局、本案修正議決せられた次第であります。  なお、刑法の一部を改正する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につき、自由民主党及び日本社会党共同提案による次のような附帯決議案提出され、採決に付しましたところ、これまた全会一致をもって可決された次第であります。  附帯決議案を読み上げますと、   本改正案の実施にあたっては、政府は、検察権警察権の濫用を厳に戒め、政治活動を阻害し或いは労働運動を抑圧することのないように留意し、なお、斡旋収賄罪については、将来所謂第三者共賄に関し、十分検討すべきである。   右決議する。というのであります。  最後に、証人等被害についての給付に関する法律案について申し上げます。  本案は、最近における刑事事件証人参考人またはその近親者に対する暴力事犯発生状況にかんがみ、前二案と同様、暴力立法の一環として証人または参考人供述及び出頭を確保するため、証人等がその供述または出頭に関して他人から危害を加えられた場合に、国において療養その他の給付を行うこととしようとするものであります。  本案は、二月十七日本委員会に付託され、四月十一日質疑を終り、討論なく、全会一致をもって政府原案通り可決された次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  20. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決に入ります。  まず、日程第一及び第二の両案を一括して採決いたします。日程第一の委員長報告可決、第二の委員長報告修正であります。両案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって両案とも委員長報告通り決しました。(拍手)  次に日程第三につき採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第四、電話加入権質に関する臨時特例法案日程第五、郵便為替法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。逓信委員長片島港君。     〔片島港君登壇
  24. 片島港

    片島港君 ただいま一括議題となりました二つ法律案につきまして逓信委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、電話加入権質に関する臨時特例法案について申し上げます。  本法案の主眼とするところは、現行公衆電気通信法によれば、電話加入権質権目的とすることは禁止されておるのでありますが、中小企業者等の場合における実情にかんがみ、新たに一定の条件のもとに期限を付して電話加入者加入権を担保として金融を受けることを認め、その利便をはかろうとするものであります。  この法案のおもな内容について申し上げますと、第一は、電気通信政策上の見地からすれば、電話加入権質権目的とすることは必要やむを得ない場合に局限することが好ましく、また、電電公社の電話拡充計画遂行による電話の普及に伴って加入権の担保価値も漸減する傾向にあるので、本法案においては電話加入権質権設定を許容する期間を昭和三十八年三月三十一日までとしております。  第二は、諸般の事情を考慮して電話加入権目的とする質権を取得することができるものを、国民金融公庫等特定の金融機関及び政令で定めるその他の金融機関並びに信用保証協会及び事業協同組合に限定し、一方、質権設定のできる電話についても臨時電話、戦災電話等を除外しております。  第三は、本法が時限立法であること、電話加入権の担保価値が比較的少額であることにかんがみ、また、電電公社の事務の複雑化を避けるため、質権の対抗要件として簡易な登録制度を採用するとともに、二重質、転質を禁止し、質権の実行についても、できるだけ簡易な手続によることにしております。  第四は、質権者の保護をはかるため、質権が設定されている加入電話の加入者は、質権者の承諾がなければ、公社に対し電話に関する各種の請求ができないこととし、かつ、公社がその加入電話について行う処分についても質権者に対する通知義務を課しているほか、他方、流質を禁止して加入者の保護をはかっており、その他、公社の加入者への返還金に対する物上代位の規定質権の設定等の場合の公社に対する手数料の規定等を設けております。  本法案は、以上述べました骨子のもとに一連の規整を行いましてこの電話加入権担保制度の円滑な運営をはかろうとするものでありますが、なお、附則において公衆電気通信法の一部に所要の改正を加え、また、施行期日は公布の日から起算して三ヵ月をこえない期間内で政令で定めることとなっております。  逓信委員会におきましては、去る三月八日本案の付託を受け、まず提案理由の説明を聴取し、政府との間に質疑応答を重ねて慎重審議の結果、四月十二日質疑を終了、理事橋本登美三郎君より、郵政省設置法の一部を改正する法律案審議状況にかんがみ、郵政省の省名が逓信省に改められるまでの間、本法律案規定中「逓信省令」とあるのは「郵政省令」とする旨の規定本案の附則に加える旨の修正案提出され、次いで討論を省略して採決を行いましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決、ここに本案修正議決を見た次第であります。  次に、郵便為替法の一部を改正する法律案について御報告申し上げます。  本法律案は、内閣提出参議院送付にかかるものでありますが、その改正の要点は次の通りであります。  第一点は、電信為替による送金の迅速化をはかるため、為替金の払い渡しに当り、電信為替証書と引きかえに郵便局の窓口において受取人に現金を払い渡す現行の取扱いのほかに、新たに、差出人の請求があるときは郵便局から為替金の額に相当する現金を書留郵便物として受取人に送達して為替金の払い渡しをする制度を設けたことであります。なお、この取扱いをする電信為替については、現行料金のほかに三十円の付加料金を徴収することとなっております。  第二点は、電信為替のサービス向上のため、差出人から受取人あての慶弔その他送金の目的などを内容とする通信文を電信為替証書または為替金に相当する現金とともに受取人に伝達する制度を設けたことであります。この取扱いの料金は、電信に関する料金を基準として省令で定める金額となっております。  第三点は、電信為替の為替金に相当する現金の払い渡し不能等の場合における取扱い方法を定めたこと、及び、通信文を伴う電信為替の業務の一部を日本電信電話公社に委託することができることとしたことであります。  この法律案の施行期日は本年七月一日となっております。  本案は、去る二月四日逓信委員会に予備付託され、同七日提案理由の説明を聴取し、四月九日の本付託を待って慎重審議をいたしたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと思います。  かくて委員会においては、四月十二日質疑を打ち切り、理事橋本登美三郎君より郵政省設置法の一部を改正する法律案審議状況にかんがみ、郵政省の省名が逓信省に改められるまでの間、この法律による改正後の郵便為替法及び日本電信電話公社法の規定中「逓信大臣」とあるのは「郵政大臣」とする旨の規定本案の附則に加える旨の修正案提出され、次いで討論を省略して採決を行いましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全一会一致をもって可決、ここに本案修正議決を見た次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも修正であります。両案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  26. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————     〔川村善八郎君登壇
  27. 川村善八郎

    ○川村善八郎君 ただいま議題となりました、内閣提出参議院送付中央卸売市場法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議経過並びに結果について御報告申し上げます。  この法律に基き、現在主要都市十五カ所に青果物、水産物等の卸売業務等を行う中央卸売市場が開設され、国民経済に少からず貢献して参ったのでありますが、最近では、流通過程のあらゆる面において公共性が著しく増大して参り、従って、中央卸売市場の業務において中核的な地位を占める卸売業者の責任もますます重大となっておりますので、この際、その経営と財務の健全性を維持せしめますためにも次のような改正を行うこととして、本案提出を見たものであります。  すなわち、第一点は、開設者は、必要があるとき、業務規程をもって卸売業者の取引方法に制限を加えることができるようにしようとすることであります。  第二点は、農林大臣は、卸売人の純資産額が一定額を下った場合は、その許可を停止することができ、この停止された卸売人が、六ヵ月以内に一定額以上の純資産額になった場合におきましては、遅滞なくその停止処分を取り消さなければならないこととし、もしこの六ヵ月の期間内において一定額以上の純資産額にならない場合には、この卸売業務の許可を取り消すことができるようにしようとするものであります。  第三点は、本案が施行になった場合、現在卸売業務を行なっている者は、各自純資産額を三カ月以内に農林大臣に報告せしめ、もしこれらの純資産額が一定額以下の場合には、二年以内に一定額以上となるよう純資産額増加計画を作成して農林大臣に提出せしめること及び、施行後九十日以内に純資産額を報告せず、または純資産増加計画を提出しない者に対しては業務を取り消すことができるようにしようとすること等であります。  本案は、三月十四日提案され、四月十一日及び十二日の両日にわたり質疑を行い、同十二日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決をいたしました結果、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しましては、   農畜水産物の生産から消費に至る流通過程において中央卸売市場の果している重要な役割にかんがみ、政府は、卸売人の整備統合、その財務内容の速急な健全化と育成、保証金、信用基金制度等の検討、卸売人、仲買人、買出人の性格の明確化、類似市場の吸収、地方市場の整備、前渡金、奨励金、手数料等の適正化、取引方法の改善による流通経費の節減、消費者価格の引下げ、安定等を内容とする本法の根本的改正を図るとともに、市場施設の充実のための国の助成を強化し、もって農畜水産物の生産者の経営の向上及び消費者の生活の安定のため、いかんなき措置を講ずべきである。という附帯決議を付し、中央卸売市場制度の抜本的改正を強く要請することといたしたのであります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  30. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  31. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せらました。  公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員会理事古川丈吉君。     〔古川丈吉君登壇
  33. 古川丈吉

    ○古川丈吉君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案目的及び要旨につきましては、去る四日の本会議において本案趣旨説明及びこれに対する質疑が行われまして、各位には十分御承知のことと存じまするので、詳細の説明は省略し、ここにきわめて簡単に本案の骨子につき申し上げます。  第一は、最近における町村合併の著しい進捗に伴いまして次の改正を加えようとするものであります。まず、選挙制度調査会の答申に沿って郡市の区域をもって都道府県議会議員の選挙区とする原則に対し、人口が一定基準に達しない郡市及び飛び地等について実情に即するように、例外的措置を講じようとするものであります。次に、不在者投票の範囲を拡大し、町村の区域外であればこれを認めようとするものであります。次に、町村等の選挙に関するはがき、ポスター、自動車等について新たにその使用を認め、あるいは枚数を増加する等の措置を講じようとするものであります。  第二には、最近における交通、宣伝等の選挙運動手段の発達の状況にかんがみ、かつまた過般の参議院議員の選挙方法の改正と見合いまして衆議院議員の選挙運動期間を二十日間に短縮し、また、はがき及びポスターの枚数をそれぞれ五割及び六割増加しようとするものであります。  第三は、立会演説会における演説順序の決定方法の合理化、その会場における秩序保持に関する規定の整備、選挙管理委員会における証人喚問制度の創設、市町村選挙管理委員会委員の定数の増加等、選挙の管理及び執行に関する合理化をはかるため、所要の改正を加えようとするものであります。  なお、本法は、衆議院議員の選挙に関係する事項については次の総選挙から施行することになっております。  本案は、去る三月三十一日内閣より提出され、同日委員会に付託され、四月三日提案理由の説明を聴取し、自来、岸内閣総理大臣及び郡国務大臣等との間にきわめて熱心に質疑応答が行われ、また、昨十四日には特に公聴会を開き、公述人より意見を聴取する等、慎重に審議を重ねましたが、これらの詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと存じます。  本日質疑を終了しまして、自由民主党の青木正君及び日本社会党の森三樹二君よりそれぞれ提出された両修正案について趣旨説明を聴取いたしました。  修正案のおもなる内容は次の通りであります。  まず、青木正君提出修正案は、公職の候補者の氏名等を冠した団体は当該選挙区内にある者に対し寄付をしてはならない旨の規定を織り込もうとするものであります。  次に、森三樹二君提出修正案は、政府原案における衆議院議員の選挙運動期間を二十日間に短縮しようとする規定を削除してその期間を現行の二十五日間に据え置こうとするものであります。  次いで、政府原案及び両修正案を一括して討論に付しましたところ、日本社会党を代表して森三樹二君より、社会党提案修正案賛成し、青木正君提出にかかる修正案による修正部分を除いた政府原案には反対の意見が述べられ、自由民主党を代表して私より、森三樹二君提出修正案に反対、青木正君提出修正案及びその修正部分を除いた政府原案賛成意見を述べました。  次いで採決に入り、まず森三樹二君提出修正案は否決せられ、次に青木正君提出修正案可決せられました。次に、右の修正部分を除いた政府原案について採決いたしましたところ、起立多数をもって可決せられ、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  34. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。これを許します。島上善五郎君。     〔島上善五郎君登壇
  35. 島上善五郎

    ○島上善五郎君 私は、ただいま議題となりました政府提案にかかわる公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表して反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)  まず、この改正案について総括的に指摘するならば、新聞その他の世論がきびしく非難しておりまするように、選挙を前にしたどろなわ的改正であり、内容がきわめてずさんなものであり、真に必要な改正を避けていることと、選挙運動期間を短縮することによって、金と地盤のある保守党の古い議員諸君に都合がよくて革新的な新人の進出の道をふさごうとする改悪案であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  以下、少しく具体的に反対の理由を明らかにいたします。政府案のうち、町内合併に伴う都道府県会議員の選挙区画定の原則の問題、選挙の管理、執行に関する事務的規定の整備の点、並びに、ポスター、はがきの枚数を増加する点等についてもなお論議の余地がないわけではありませんが、われわれの断じて承服し得ない点は、選挙運動期間の短縮の点でございます。  政府は、最近における交通、宣伝等の選挙運動手段の発達の状況にかんがみて運動期間を二十日に短縮することが妥当である、こう説明しており、また、五日間短縮することによって経費も少くて済むし、候補者のからだが大へん楽になるとも言っております。そうして、これは大した改正ではないかのように装うているのでありますが、しかし、その真の意図には実におそるべき反動的な党利党略がひそんでおることは見のがすことができません。(拍手)  申し上げるまでもないところでございますが、民主政治を真に確立しようとするには、まずその基礎ともいうべき選挙をきれいに正しく行うことが何よりも必要であります。そうしてこのためには、不正、腐敗の選挙運動を徹底的に防止すること、選挙の公営を拡大し、公然たる場において選挙民に政策と候補者の人物を十分に理解し、あるいは批判せしめる機会をできるだけ外く与えることでなければなりません。わが国の今日の公職選挙法は、告示前のいわゆる事前運動をきびしく禁止しておりますことは、皆さん御承知通りであります。従いまして候補者として政策を訴える機会、また、国民の側からいえば候補者から政策を聞く機会は、選挙運動の期間しかないわけでありまして、この大事な選挙運動の期間を五分の一も短縮するということは重大な問題であります。交通や宣伝の機関が発達したからというけれども、少い区でも有権者が三、四十万、多い区では百万以上の有権者を対象にして広大な地域にわたって、中には、北海道のように、山村から山村へ、漁村へと、交通が不便な地域を運動するのでありますから、顔を見せるだけでも、声を聞かせるだけでも、二十日や二十五日ではとうてい行き届かない地域もあるのであります。むしろ、これらの地区においては、選挙運動期間の延長をすら要請されておるのであります。公然たる運動の期間を短縮することは、勢い事前運動が激烈となり、あるいは悪質となるという反作用を起しまして、今でさえ法網をくぐった悪質な事前運動に国民の非難の声が高まっておりまする際に、もしこれ以上露骨、悪質な事前運動が盛んになりましたら、一体どうなるでございましょうか。選挙の腐敗は政界の腐敗、堕落に通じ、汚職、疑獄に通じるのであります。そして、ひいては民主政治そのものをも大きく虫ばんでしまうことを、私ども心配しないわけには参りません。  私がここで特に声を大にして強調したい点は、選挙法を改正する際に、候補者や運動員あるいは現職議員の都合ばかりを考えて改正すること自体が根本的に間違っておるということであります。(拍手)選挙は、主権者たる国民がその主権を行使する大事な行為であります。主権者たる国民の都合、便宜、こういうものをまず考えて法改正に臨むべきものであります。  今回の改正に際しまして自民党の中には、立会演説会をやめてしまおう、街頭演説もやめてしまおうという有力な意見がありましたことは、新聞紙の報ずるところによって明らかであります。ところが、そこまで一挙に改正しようとすると、世論の非難を浴びる、来たるべき総選挙にも悪影響を及ぼす、また、法案の通過が困難になる、こういう配慮から、今度は期間の短縮だけにとどめたのであって実はこの期間短縮の改正案の意図の中には立会演説会廃止、街頭演説廃止という底意があることは、おおいがたい事実であります。(拍手)これは、私が前申しました主権者たる国民を全く無視したものであり、国民の望む選挙公営の拡大、公明選挙とは全然逆行する反動的改悪といわなければなりません。今回は期間の短縮だけで、立会演説や街頭演説には何ら触れていない、影響を及ぼさない、こう言うかもしれませんが、これもとんでもない欺臓でございまして、昨日の公聴会においても、選挙管理委員長たる公述人が、選管ではどう努力しても従来に比べて四日間だけは立会演説会の日数が減るということを明らかにしております。  要するに、この期間の短縮は、主権者たる国民から選挙運動を受ける機会、政策や候補者の人物を知る機会を大幅に奪ったものであることは明らかでありまして、(拍手)私どもの断じて賛成し得ない点であります。  また、この改正は、新人の進出を困難ならしめ、名の売れた古い人々、現職議員に都合のいい改正であることも事実で、世論はこれをきびしく非難しております。科学の飛躍的な進歩、人工衛星、ミサイル時代といわれる今日、内外の政局は大きく変化し、発展しております。この新しい時代には、私は新しい時代の要請をになった新人がどんどん政治舞台へ出てくるようでなければほんとうではないと思う。(拍手)今回の改正は、新人の進出を食いとめ、日本の政治を動脈硬化に陥れて、歴史の流れをはばまんとする、おそるべき反動的改悪と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  なお論じたい点はたくさんございますが、お約束の時間もありまするから、私の討論は以上をもって終りますけれども、今日からでもおそくないという言葉がありますように、あやまちを改むるにちゅうちょすることなかれと自民党の諸君に言いたいのであります。どうか私どもの反対に胸に手を当てて静かに耳を傾けていただきまして、政府提案全会一致をもって否決されんことを望む次第であります。(拍手
  36. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます、     〔賛成者起立
  37. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって本案委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  38. 山中貞則

    山中貞則君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  39. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法博案を議題といたします。委員長報告を求めます。社会労働委員長森山欽司君。   〔森山欽司君登壇
  41. 森山欽司

    ○森山欽司君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経経並びに結果の大要を簡単に御報告申し上げます。  戦傷病者戦没者遺族の援護に関しましては、さきに本院を通過いたしました恩給法等の一部を改正する法律案と並行して戦傷病者、戦没者遺族及び未帰還者留守家族等の処遇に関する諸条件につき措置いたそうとするのが、本改正法案提出の理由であります。  次に、本法案のおもなる内容について申し上げますれば、まず第一は、恩給法において傷病恩給及び公務扶助料が増額されることに関連いたしまして、障害年金、障害一時金及び遺族年金並びに留守家族手当の額を増額いたしたことであります。  第二は、被徴用者、動員学徒、戦闘参加者等、いわゆる準軍属が当時国家権力により特定の労務に服し、あるいは陸海軍の要請に基き戦闘参加という特殊の状態により傷痍疾病を受け、これがため身体に障害を残し、または死亡した者には、新たに障害年金または遺族給与金を支給する方途を講ずるとともに、更生医療の給付、補装具の支給及び国立保養所への収容の措置をも講じたのであります。  第三は、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び未帰還者留守家族等援護法の施行の結果にかんがみ、軍人の遺族で、事実上婚姻関係にあった配偶者、同一戸籍外の父母等、遺族年金の支給を受けている者に対し、同一の事由による公務扶助料の受給者がいなくなった場合は、先順位者の遺族年金を支給する道を開き、また、夫帰還者留守家族等援護法による療養の期限が近く満了する者についてその期間をさらに二年間延長する等、援護の強化をはかるため、両法に所要の改正を行なっておるのでございます。  本法案は、一月二十二日本委員会に付託せられ、三月一日厚生大臣より提案理由の説明を聴取した後、審議に入り、国民年金制度と遺族援護との関連、あるいは内部疾患の公務認定基準、準軍属の範囲等の諸問題について審議が行われたのでありますが、その詳細は会議録について御承知願いたいと存じます。  次いで、本日の委員会において質疑を終了、直ちに採決を行いましたところ、本案全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  42. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  44. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。     午後五時十八分散会