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1958-03-19 第28回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十九日(水曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 高村 坂彦君 理事 佐藤觀次郎君       池田 清志君    簡牛 凡夫君       清瀬 一郎君    小林かなえ君       杉浦 武雄君    千葉 三郎君       並木 芳雄君    原 健三郎君       牧野 良三君    石野 久男君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       平田 ヒデ君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松永  東君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    齋藤  正君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 三月十八日  委員井原岸高辞任につき、その補欠として志  賀健次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員志賀健次郎辞任につき、その補欠として  井原岸高君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員井原岸高君、北村徳太郎君、野依秀市君及  び野原覺辞任につき、その補欠として小林か  なえ君、原健三郎君、池田清志君及び石野久男  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小林かなえ君、原健三郎君及び池田清志君  辞任につき、その補欠として井原岸高君、北村  徳太郎君及び野依秀市君が議長指名委員に  選任された。     ――――――――――――― 三月十五日  義務教育学校施設費国庫負担法案内閣提出  第一三八号) 同月十四日  軍事基地及び自衛隊飛行場周辺学校防音施設  完備に関する請願加藤鐐五郎紹介)(第一  八九八号)  へき地教育振興法の一部改正に関する請願(赤  松勇紹介)(第一九一四号)  同(猪俣浩三紹介)(第一九一五号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第一九一六号)  同(河野金昇紹介)(第一九一七号)  同(北山愛郎紹介)(第一九一八号)  同(楠美省吾紹介)(第一九一九号)  同(齋藤憲三紹介)(第一九二〇号)  同(田中彰治紹介)(第一九二一号)  同(田中角榮紹介)(第一九二二号)  同(田中幾三郎紹介)(第一九二三号)  同(田子一民紹介)(第一九二四号)  同(辻原弘市君紹介)(第一九二五号)  同(横井太郎紹介)(第一九二六号)  同(江崎真澄紹介)(第一九九八号)  同(大島秀一紹介)(第一九九九号)  同(北れい吉紹介)(第二〇〇〇号)  同(中嶋太郎紹介)(第二〇〇一号)  同(原捨思君紹介)(第二〇〇二号)  同(山口喜久一郎紹介)(第二〇〇三号)  同(亘四郎紹介)(第二〇〇四号)  学校保健法制定に関する請願高岡大輔君紹  介)(第一九二七号) の審査を本委員会に付託された。 三月十八日  学級編成規模適正化等に関する陳情書  (第六三二号)  同  (第七一四号)  私立大学学術研究設備助成費等増額に関する陳  情書  (第六三三  号)  高等学校教員定数算出基準解釈統一に関する  陳情書(第六三四  号)  義務教育学校施設費半額国庫負担法制定に関  する陳情書外六件  (第六三五号)  同外二件  (第七一一号)  敬神愛国に関する陳情書  (第七〇六号)  文教施設整備費増額等に関する陳情書  (第七〇七号)  義務教育学校敷地購入費国庫補助等に関する  陳情書  (第七〇八号)  へき地教育振興法の一部改正に関する陳情書  (  第七〇九号)  公立義務教育学校施設費国庫負担増額に関す  る陳情書(第七一〇  号)  義務教育学校通学費財源措置に関する陳情書  (第七一二号)  公立大学に対する研究設備費国庫補助に関する  陳情書(第七一三  号)  義務教育施設費国庫負担制度確立に関する陳情  書  (第七一五号)  社会教育予算増額等に関する陳情書  (第七  二九号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入に関する件  義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第六二号)  盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第六三号)  日本育英会法の一部を改正する法律案内閣提  出第八七号)  義務教育学校施設費国庫負担法案内閣提出  第一三八号)  学校教育に関する件      ――――◇―――――
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  まず最初に義務教育学校施設費国庫負担法案議題といたします。趣旨説明を聴取いたします。松永文部大臣。     —————————————
  3. 松永東

    松永国務大臣 今回政府から提案いたしました義務教育学校施設費国庫負担法案について、提案理由内容概要を御説明いたします。  およそ、義務教育については、国民のすべてに対して、その妥当な規模内容とを保障し、教育機会均等とその水準の維持向上をはかるために国が重要な責任を有するものであることは、言うを待たないところと存じます。この目的を達成するために、義務教育学校教職員給与費及び義務教育教材に要する経費については、つとに義務教育費国庫負担法が制定され、これらの経費に対する国庫負担制度確立されていたのでございますが、教職員給与費及び教材費等と並んで義務教育費基本的要素をなす施設費については、いまだそのような国庫による財政負担制度確立をみていなかったのであります。公立学校施設に要する経費につきましては、戦前は、設置者負担の原則がとられており、きわめて例外的な特別な場合にのみ国庫の援助が行われたにすぎませんが、戦災復旧災害復旧及び六三制の実施に伴う急激な学校建築必要性に応じて、戦後初めて国庫負担制度が創設され、続いて戦中戦後の資金資材の統制、軍用施設への転用等のため改築のできなかった危険校舎改築を促進するために、危険校舎改築促進臨時措置法が制定され、また小学校における二部授業等の不正常授業解消のために公立小学校正常授業解消促進臨時措置法が制定され、漸次、公立学校施設整備費について国庫がその一部を援助する体制が整ってきたのであります。しかしながら、この体制は、戦災復旧あるいは義務教育年限延長に伴う施設整備費について国庫負担をするという建前上、限時的性格のものであり、また、その根拠法規の名称が示す通り危険校舎改築費に関する、あるいは公立小学校の不正常授業解消のための校舎整備費に関する臨時的な国庫補助制度でありますので、最近この体制の存続について少からず不安を持つ地方公共団体が生じ、公立学校施設整備について安定した計画の樹立に困難を感ずるという実情があったのであります。  このような事情を反映して、さきの第二十六国会におきましては、衆参両院は、義務教育重要性地方財政実情とにかんがみ、公立義務教育学校施設等について、政府がすみやかに、必要な措置を講ずべきことを、附帯決議として議決されたのであります。  政府としましては、以上のような沿革と実情を深く考慮し、わが国の義務教育学校における教育の円滑な運営に資するため、今回義務教育学校施設に関する従来の法律を統合し、公立義務教育学校施設整備に要する経費について、国がその一部を負担する制度確立したいと考えるのでございます。これがこの法律案提案する理由でございます。  次に、この法律案内容の概略を申し上げますと、まず第一に、さき提案理由において述べました通り公立義務教育学校施設整備を促進するため、これらの学校施設建設に要する経費について、国がその一部を負担することを定め、これにより、義務教育学校における教育の円滑な実施を確保することを企図しております。  第二に、国庫負担対象とこれに対する国の負担率を定めました。すなわち、公立小学校及び中学校の不正常授業解消するための校舎整備費中学校屋内運動場整備費盲学校及びろう学校小学部及び中学部校舎屋内運動場、寄宿舎の整備費学校規模適正化するために公立の小中学校を統合したことに伴う校舎整備費義務教育学校危険建物改築費について、それぞれ国が二分の一または三分の一の負担割合をもって、建築費の一部を負担することを定めております。以上が、この法律案の骨子でございますが、その他国の負担すべき経費種目経費算定基準都道府県への事務費交付、この法律実施に伴う関係法改廃等について規定しております。  なお、この法律の適用は、本年四月一日からといたしております。  以上がこの法律案提案理由と、その内容概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第でございます。
  4. 山下榮二

    山下委員長 次にこの法案に対して補足説明を許します。小林政府委員
  5. 小林行雄

    小林(行)政府委員 ただいま文部大臣から御説明申し上げました義務教育学校施設費国庫負担法案について補足説明をいたします。  この法律案は、本則十一条及び附則七項からなっております。  まず、第一条には、この法律目的規定いたしております。すなわちこの法律は、公立義務教育学校施設整備を促進するため、これらの学校施設建設に要する経費について国がその一部を負担することを定め、もって義務教育学校における教育の円滑な実施をはかることを目的とするものであることを明らかにしております。  第二条では、用語の定義を規定しております。  第三条では、国が負担する経費種類と、これに対する国庫負担割合を列記しております。  同条第一項第一号は、小学校における不正常授業解消するための校舎新築または増築に要する経費の三分の一を国が負担することを規定したものであります。これは従来の公立小学校正常授業解消促進臨時措置法規定されていたものを、恒久的な制度として新法律案に取り入れたものであります。  第二号は、中学校における不正常授業解消するための校舎新築または増築に要する経費の二分の一を国が負担することを規定したものであります。これは公立学校施設費国庫負担法規定されていた、義務教育年限延長に伴う中学校校舎整備費に対する国庫負担制度を継受したものであります。従来は国庫負担対象となる中学校校舎新築または増築については、その建築理由義務教育年限延長に起因するものに限られていたのでありますが、今回は、小学校校舎整備と同様に不正常授業解消のための新築または増築に要する経費国庫負担対象とすることとしたのであります。  第三号は、中学校屋内運動場新築または増築に要する経費の二分の一を国が負担することを規定したものであります。これは従来法律には根拠がなく、単に予算補助として行われていたものでありますが、今回法的根拠を与えたものであります。  第四号は、盲学校及びろう学校小学部及び中学部建物新築または増築に要する経費の二分の一を国が負担することを規定したものであります。これは義務教育年限延長に伴う施設建築費に対する国庫負担制度として、公立学校施設費国庫負担法規定されていたものを継受したものであります。  第五号は、公立小学校または中学校を適正な規模にするため、統合したことに伴って必要となった校舎新築または増築に要する経費の二分の一を国が負担することを規定したものであります。これは、町村合併に伴う学校の統合のみならず、教育必要性から学校規模適正化するために、学校を統合することに伴って必要となった校舎新築または増築を、国庫負担対象とするものであります。  第六号は、構造上危険な状態にある義務教育学校建物改築に要する経費の三分の一を負担することを規定したものであります。これは、従来危険校舎改築促進臨時措置法規定されていたのを、今回恒久的な負担制度として新法律案に移したものであります。なお、本条第二項においては、本条第一項に規定する負担対象を明確にするため必要な事項として、不正常授業範囲、適正な規模の条件及び構造上危険な状態にある建物範囲決定に関し必要な危険度判定基準その他の事項政令規定することとしてあります。  第四条では、国が負担する経費種目は、本工事費及び付帯工事費並びに事務費であることを規定したものであります。これは、従来の施設費に関する負担法または補助法におけるこれと同種規定をそのまま踏襲したものであります。  第五条は、工事費算定方法規定したものであります。これも従来の同種法律規定と同様の規定を設けたものでありまして、新築増築の場合は、児童生徒一人当り基準坪数に、児童または生徒の数を乗じて必要坪数を算出し、それから保有坪数を差し引いて国庫負担対象となる坪数を算出する方式を採用しており、危険建物改築の場合は、右の必要坪数保有坪数のうちいずれか少い方から危険でない坪数を差し引いて資格坪数を算出する方式を採用しております。そして、これらの資格坪数を、一坪当り建築単価に乗じて経費を算定することとしております。  第六条は、前条の規定により、工事費を算定する場合の児童生徒一人当り基準坪数の定め方について規定しております。すなわち、基準坪数はすべて政令で定めることとしていますが、その定め方は学校種類別及び建物区分別に、それぞれまず標準的な坪数を定め、これに当該学校児童生徒数、一学級平均収容児童生徒数及び所在地の積雪寒冷度に応じ、補正を加えることとしております。  第七条は、第五条の規定により工事費を算定する場合の、一坪当り建築単価の定め方を規定したものであります。この建築単価は、建物構造別建築費の時価を参酌して、文部大臣大蔵大臣と協議して定めることとしております。  第八条は、第五条の規定により、工事費を算定する場合の特例規定したものであります。当該学校校舎保有坪数のうち、教室に使用することのできる部分がきわめて少いこと等の特別の事由があるため、通常の算定方式で算出した坪数に基いて新築増築または改築を行なったのでは、教育上著しく不適当であると認められるときには、政令の定めるところにより特例を認めることとしたものであります。また、鉄筋コンクリート作り建物の場合、同一空間を作るためには、木造の建物に比し若干多くの建坪を必要とするので、坪数の計算を行う場合政令の定めるところにより、一定の比率で換算して計算することを定めております。  第九条は、事務費算定方法規定したものであります。事務費は、工事費政令で定める割合を乗じて算定することとしております。  第十条は、都道府県教育委員会への事務費交付について規定したものであります。都道府県教育委員会国庫負担金交付返還等に関する事務について国から機関委任された事務を行うものでありますから、この事務を行うのに必要な経費都道府県交付することを定めたものであります。  第十一条は、この法律における本校及び分校取扱いについて規定したものであります。この法律では、本校及び分校は、それぞれ一つ学校とみなして取り扱うこととしております。  なお新法律案は、従来の公立学校施設費国庫負担法等に比し、相当に大幅に条文の整理をした形になっておりますが、これは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律昭和三十年九月二十六日から施行され、負担金交付の申請、決定、取り消し、停止及び報告等に関する事項、その他手続的事項はあげて同法の系列による規定の運用にゆだねられることとなったからであります。  附則第一項は、この法律施行期日を定めたものであります。会計年度変更日である本年四月一日から施行することとしております。  附則第二項においては本法の成立により公立小学校正常授業解消促進臨時措置法の廃止を規定し、附則第三項は公立学校施設費国庫負担法中、災害復旧に対する国庫負担規定を残したものであります。従いまして公立学校施設災害復旧費国庫負担法と改めたわけでございます。  附則第四項は、危険校舎改築促進臨時措置法中、高等学校に関する部分を残し、その他の部分を削除したものであります。従って、題名も公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法と改めるものであります。  附則第五項及び第六項はこの法律案実施に伴う地方財政法の一部改正について、附則第七項は、新市町村建設促進法の一部改正について規定したものであります。  以上この法律案概要について御説明申し上げました。
  6. 山下榮二

    山下委員長 この法律案に対する質疑は追って行うことといたします。     —————————————
  7. 山下榮二

    山下委員長 この際お諮りいたします。目下社会労働委員会において審査をいたしております職業訓練法案に関しましては、本委員会といたしましても重大な関心を有するところでございます。つきましては職業訓練法案に関し、社会労働委員会に対し連合審査会開会を求めたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。  なお連合審査会開会日時等につきましては所管の委員長と協議することとし、その取扱い委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたし、さよう取り計らいます。     —————————————
  10. 山下榮二

    山下委員長 次に日本育英会法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。  質疑を許します。佐藤觀次郎君。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 文部大臣にお尋ねしますが、育英会のいろいろな予算がだんだんふえてくることはけっこうでありますが、一体文部省は大蔵省に対してどのくらいの予算を請求されてこういうふうにきまったものであるのか。育英会金額につきましては、まあ多ければ多いに越したことはないけれども文部大臣はどのくらいな見通しのものであるかというような、そういう考え方を一つ承わりたいと思います。
  12. 緒方信一

    緒方政府委員 まず予算の数字でございますから、私からお答え申し上げます。三十三毎度の政府貸付金予算総額は四十二億四千四百万円でございます。この中にはただいま御審議願っております進学保障制度に要する金額が一億八千万入っております。それで、文部省といたしましては、この進学保障制度にいたしましても、従来の一般奨学金にいたしましても、相当ワクを拡大して要求はいたしました。その額は、要求といたしましては約二十億増というくらいの額を要求したわけでございます。結局来年の予算総額といたしましては四十二億四千四百万円ということを計上いたしておる次第でございます。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 育英会文部省外郭団体として非常に有力な団体でありますが、文部大臣はこれに対してどのくらいの熱意を持っておられるのか、そのことを一つ大臣からお伺いいたしたいと思います。
  14. 松永東

    松永国務大臣 世の中に非常に向学心に燃え立っておる青少年が、家貧しいがためにその進学目的を達することができないという気の毒な学徒が相当ございます。しかもそれが優秀な頭脳を持ち、だれが見ても将来国家の中堅となるようなりっぱな頭脳を持っておるというような子供たちを、何とか国家の手でこれを救い上げて、そうして朗らかな気持で勉強にいそしませたい、こういう考えで、従来この育英事業をやっておるのでございます。特に本年はそうした子供たち中学におる間に、いずれも家貧なるがために、中学を出てからすぐ実業につかなければならぬ、工場に通わなければならぬ、あるいは農業にいそしまなければならぬというような立場にある中学卒業前の子供たちで、校長その他の人々の認定による優秀な頭脳を持っておると認められた人を、一定の規格の試験をいたしまして、そうしてそれを中学におる間から、すでに進学のできるように保障してやる、そうしてその子供たちに、たゆまず向学心を中絶せずに高等学校に進ましてやる、それに対して三千円ずつの保障を出してやる、こういうことなのでございますが、実はこういう制度をもっと拡大しまして、そうして五千人という計画でありますが、私らの方ではもっとこれを大きくしたいというふうに企てておったのでございますが、まずとりあえず本年度だけは五千人ということに、予算関係もありますので、財政上の都合もありますので、やって、そうしてさらに必要に応じて拡大していきたいというふうに考えております。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 育英会貸与によって多数の者が便利を受けることは同慶の至りでありますが、聞くところによると、これは総花主義になっておって、多数の者に二、三千円程度のものを貸す、それがために借り得であるというような空気がみなぎって、あまり困らぬ者までも小づかいがわりに借りるというようなこともあるようでありますが、こういうことでは私は意味をなさぬ、これは一人当りの金が二、三千円では少な過ぎるので、その結果アルバイトをやって学校に行くということになりまして、非常にそこにいろいろな弊害が起きるようになると思っておりますが、もう少し一人当りの金を増してやる方法はないのか、もう少し多く貸せば、当然これがほかにアルバイトをやらぬでも勉学をするようなことになりますので、そういうようなことで、もっと額をふやして貸すような方法はないのか、これは緒方局長から聞きたいと思います。
  16. 緒方信一

    緒方政府委員 現在の一般奨学金金額は、高等学校で千円、大学で二千円または三千円になっております。しかしこれはただいま御指摘のように、そうあまり広くなり過ぎておるというふうに私どもは考えておりません。志願者のうち大体今貸すことのできるパーセンテージは三〇%ぐらいでございまして、戦後の経済変動のために高等学校大学へ出すということは相当な家庭でも非常に困難な経済的な実情でございますので、私どもはむしろやはり一般奨学金につきましてはワクを広げるようなことをすべきじゃないかというように考えております。しかし特に困難であってしかも特に優秀な学生が就学前に進学を断念してしまうというようなことを救うためには、やはり特別の方法を講ずべきじゃないかというのが今度の新しい制度でございまして、このものに対しましては今お話のようにアルバイトをしなくても学業に専念できるようにという観点からいたしまして、高等学校の場合には三千円を貸すということにいたしております。これは私どもの調査で高等学校生徒は自宅から通学いたしますから、大体三千円出せば就学のための現金支出はまかなえるのじゃないかという観点で、三千円にきめておるのであります。なおこれがだんだん学年進行でふえて参りまして、大学の段階に至りました場合この大学の奨学生には相当の金額をふやさなければならぬ、かように考えております。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 なお特別貸与制度の新設によって、今後従来から行われておる一般貸与分予算が減少しはせぬかということが心配されておりますが、そういうことはありませんか。
  18. 緒方信一

    緒方政府委員 これは従来の奨学金ワクの外にこれだけ増額いたしております。一億八千万円は来年度予算といたしましても従来のワクの外で増額をされております。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 なお本案では五千人というふうになっておりますが、全面的に見てわずかな数だと思うのです。各県を平均するとどのくらいになるかというと、非常に貧弱なものであります。競争率もありまたいろいろの条件もあると思いますが、もう少しふやす方法はないのか、あるいは現在どのくらい志願者——五千人というのはどのくらいの比率になっておるのか、緒方局長に伺います。
  20. 緒方信一

    緒方政府委員 一般の奨学生の志願と、それからこれに対応いたします率とは先ほど申しましたように志願者の三〇%ぐらいしか出せていない実情でございます。今度の五千人を目標にいたします特別奨学制度につきましては、まだその志願者が幾らぐらいあって、その割合がどうかということは実績ははっきり出ませんけれども、しかし私ども一応の目安として考えておりますのは、低額所得の階層の子弟を考えます場合に、従来の進学実情を見ますと、進学率の非常に低下しておりますところ、これは年間所得十八万円以下でございますけれども、これの子弟、中学生が三十三万ぐらいございます。そのうちから五千人選ぶということでございまして、これは率にいたしますと一・五%になります。特に成績優秀であって、いわゆる秀才というものが大体どれくらいのパーセンテージあるかということでございますけれども、これは大体一%から二%、三%ぐらいをねらえば、大体その中に含まるだろうということでございまして、今度の五千人ということは、今申しましたようなことから考えまして、一・五%ぐらいに当るわけでございます。なおこれは今後の実績を徴しなければなりませんけれども、これくらいで真に優秀な資質を持っている中学生を引き上げていくのにはまあいいんじゃなかろうか、かように考えております。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 特別奨学金をもらっておる学生が途中で優秀性を失ったというような場合には、中途でどういうふうな処置をとられるのか、その辺のところを一つ……。
  22. 緒方信一

    緒方政府委員 これは優秀性を持続します限り大学生まで進学保障していくという考え方に基く制度でございます。しかしそれが特に学業の途中で本人の責めに帰するような、なまけて学業が非常に落ちたとか、あるいはまたそのほか学業は落ちませんでも、悪いことをして退学になったというような場合には、これは当然その特別奨学生であることを取りやめるということに相なります。そういう措置にいたしたいと思います。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に大臣にもう一つお伺いしておきますが、憲法には教育機会均等ということがうたわれておるわけでございます。先ほども大臣のお話があったように、秀才でも貧乏であるために大学までいかれぬという人がたくさんあると思うのです。しかし予算関係もありまして、一時にはそうは簡単にはいきませんし、先ほど申しましたようにわずか二、三千円を借りておるためにアルバイトをやる、アルバイトをやっておって学業はできぬから、中途でせっかくの意図が倒れるというようなことがあるので、そういうような人に対して、一ぺんにはできませんけれども、今後どのような処置をしてこの矛盾を解決されていくのか。またこの育英会の発展も非常に望ましいけれども、何かほかの方法でこれ以外に奨学資金を出すような方法はないのか、その辺のことについて大臣から御所見を承わりたいと思います。
  24. 松永東

    松永国務大臣 佐藤委員の御質問まことにごもっともだと思います。一生懸命勉強しておる青年たちが、やはり国家から支給する金では足りませんで、そうしていろいろアルバイトをやるとか、いろいろの方法で金を作って、そうして学費の一端に資しようとするようなことがないとはいえません。しかしそういう面も何とかせねばならぬと思いまして、実は文部省内でも、もっと量の上においてもたくさんの人々にこうした恩典を与えるようにし、さらに資金の面でももう少し何とかできないかというので研究をしておったのですが、中教審にも一つ諮問をしようと、今その諮問案を作っておるところであります。何とかそういう、中教審あたりのお知恵を拝借して万全を期したいというふうに考えております。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に、これは要望です。育英会の問題は非常に重要な問題でありまして、文部省教育の責任者として、今後一そうこの育英会の発展のためにできる限りの予算をとられるよう大臣に要望しまして、私の質疑を終ります。
  26. 山下榮二

    山下委員長 他に質疑の方はございませんか——なければ、これより直ちに本案に対して採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認め、これより採決をいたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  28. 山下榮二

    山下委員長 起立総員。よって本案は全会一致原案の通り可決せられました。  なおお諮りいたします。ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成につきましては先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  30. 山下榮二

    山下委員長 次に文教行政に関し調査を進めます。質疑の通告がございますから、これを許します。石野久男君。
  31. 石野久男

    石野委員 私はこの機会に学校統合の問題について文部大臣並びに自治庁の御意見を承わりたいと思います。  政府はことしの予算で十億一千万円の学校統合に関する予算を計上いたしております。この予算を成果的に使用するために、特にどういうような点に基本方針を置いてこれを実施されますか。また地方自活体における教育委員会に対して、どのようなこれの実施のための具体的指導をなさっておられるか、文部省並びに自治庁の関係の御所見を承わりたいと思います。
  32. 小林行雄

    小林(行)政府委員 御承知のように、小規模学校は、普通の規模学校に比べまして比較的経費が割高であるのに比べまして教育の能率が上らないというようなことで、小規模学校を何とか適正な規模にする必要があるということは従来からいわれておったところでございます。たまたま数年前から町村合併が行われるようになりまして、これが国策として取り上げられましたので、文部省としても町村合併に併う学校統合ということを予算化いたしまして、一昨年から国の補助をこれにつけるという制度を立てたわけでございます。ただ適正な規模と申しましても、どの程度が適正であろうかということにはいろいろ意見がございまして、議論が分れるところでございますので、文部省としても慎重に取り扱うために、これを中央教育審議会に実は諮問をいたしまして、その答申を得たわけでございます。大体現在私どもの考えております標準的な規模と申しますと、小学校並びに中学校いずれも十二学級ないし十八学級というような程度のものを想定しておりまして、こういったものが無理なく小規模学校の合併で標準規模にまで引き上げられるというようなことであれば、非常にいいことであるということで、私どもはそういった具体的な計画を各市町村から持ってこられる場合に、その補助金をおつけするということをいたしております。
  33. 石野久男

    石野委員 自治庁関係の所見はあとで当局が参りましたときに伺うことにして、文部当局にお尋ねします。ただいまの御説明によりますと、大体小、中学校ともに十二学級ないし十八学級を無理なく統合ができる場合には、それに対して補助を与える、こういうお話でございました。言葉は非常に簡単でございますが、無理なくという言葉が非常に現実に問題を引き起すことになると思うのであります。大体その無理なくということはどういうようなところに基準を置いておられるか、そういうようなことについてちょっとお説明を願いたい。
  34. 小林行雄

    小林(行)政府委員 文部省としては、特に学校を統合するように積極的に各府県の教育委員会に勧奨するということは実はしていないのでございまして、これは現在予算も各府県の希望を満たすほどにはございませんので、積極的に個々の具体的な学校を統合しろというようなことは実は申しておりません。円満にそれぞれの市町村におきまして、学校を統合しようという話し合いができて、ぜひこれについて国からも援助をしてもらいたいというものがあります場合に、経費を応援するという形をとっております。なおいろいろ個々の統合の場合には、それぞれの学校の設置されておる環境と申しますか、たとえば地勢がどういうふうになっておるか、あるいは子供が通学する場合に交通状況がどういう工合になっておるか、いろいろ具体的な条件があると思いますので、それについては、原則的には申せませんけれども、たとえば学校の通学距離等にいたしましたも、大体小学校児童の場合には通学距離が四キロ程度、それから中学校の場合には六キロ程度といったものであれば、大体妥当なものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  35. 石野久男

    石野委員 その場合に、中学校とか小学校などの通学距離が、なるべく六キロないし四キロ以内にということがありますが、もしそれをバスとか何かの交通機関を利用するような場合には、どの辺のところまではあなた方は妥当だと考えておられますか。
  36. 小林行雄

    小林(行)政府委員 私どもは、小学校の場合はなるべくバス通学というようなものはない方がいいのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、しかし非常に便利な場所であれば、それも使って通学するということもあり得るわけでございます。ただその場合に、それならば小学校の場合には何キロまではよろしい、あるいは中学校の場合には何キロまではよろしいということは、実はそこまでは検討しておりません。その辺のところは、父兄なり学校の設置者でありますところの市町村なりが具体的に考えていただきたい、こう思っております。
  37. 石野久男

    石野委員 ただいまのそういうような文部当局の考え方は、具体的には自治庁のいわゆる行政的な指導というようなものに対しても、十分連絡をおとりになっておられますか。
  38. 小林行雄

    小林(行)政府委員 自治庁のそれぞれの関係事務当局の方にも十分連絡がついております。
  39. 石野久男

    石野委員 文部当局は、国庫補助を申請されてこられた場合には、当然地方自治体とか、あるいは町村等の当事者が話し合いをつけてきておるものと見て、それを審査されるものと思いますが、その場合に、先ほど来述べられましたような適格条件といいますか、児童の通学距離とか、その他のいろいろな事情を十分に考慮して補助を与えているのであろうと思いますが、やはりそういう審査はなさっているでしょうね。
  40. 小林行雄

    小林(行)政府委員 それらの点につきましては、私どもとしては及ぶ範囲で十分調査もいたしております。ただ個々の具体的な事例を取り上げます場合には、県の教育委員会にも照会し、また教育委員会のいろいろな判断の資料も私の方でもらって、さらに慎重な審査をいたしております。
  41. 石野久男

    石野委員 茨城県にこういう例があるのです。茨城県の高萩市に東小学校というのがございます。これが今統合するための補助をもらって第一期の建設中であります。この件に関しまして、ただいま小林政府委員から御答弁になられたようなことはだいぶ事情が違うような中で統合が行われているように見受けられた。ここで私はその事情を簡単に申し上げますが、これについてあとで文部大臣から御意見を承わりたいと思うのです。この学校は実は今地方でも非常に問題が起きまして、ものすごく部落が反対したりなんかしているわけです。簡単に申しますと、町村合併が行われる際に、実は非常にへんぴな山間地帯の合併が行われたわけです。そのときに僻地の山間地帯の町村は、いろいろな関係から町村合併に反対したのだけれども、そのうち特に教育の問題について父兄は強い反対をしましたので、町村合併が行われるときには、中学校小学校はいじらない、現状のままでいくというような条件をつけて町村合併をするというような事情もあったわけです。その後昨年の二月に中学校の統合が行われました。この中学校の統合が行われるときにも、急に三月に話し合いが出て、この話をまとめないと困るのだというようなことで中学校の統合をしたわけです。今、高萩市内に中学校生徒が通学しておる学校を申しますと、実は横川、あるいは若栗、中戸川、大能、こういうような地域から通学をしております。今小学校の統合が行われるのもこういうような地域の小学校なのですが、特に通学の距離を申しますと、遠いものでは約二十三キロです。学校から新しい学校への距離だけでもすでに十六キロあります。しかもこの地域は、標高約五百メートルくらいのところから大体海岸地帯へおりてくるわけです。その間発電所が二つもあります。渓谷を利用する発電所を持っておるわけです。それを今小学生をバスに乗せて通わせている。学校からなお奥地に入りますと約七キロくらいあるわけです。七キロないし七キロ半くらいのところから、横川小学校というところへ児童は通学しているわけです。だから一番奥地から見ますと約二十三・五キロくらいあるわけです。こういう地域へ、この四月一日から学校を統合することによって児童を通学させようというわけです。しかもたとえば今横川小学校へ通学しているその一番奥地である金山という、これは官林事業所のあるところでございますが、この地域からは現在中学生が二十名くらい通っておりますが、バスは大体横川というところまで来るわけです。中学生はバスを使っておりますが、横川から金山というところは実はまだバスの運転許可がおりておりません。それを今試運転という形でやっておりますが、当然児童は有料でバスヘ乗らなくちゃなりません。こういうような山間地帯で有料でバスに乗るということはとても困難ですから、児童は朝、懐中電灯を持って横川という無料バスのところまで歩いてくるわけですが、それは二時間くらい歩かなくちゃならない。こういうような状態をずっと続けて一年間きたわけです。たった一年間でありますけれども、その間児童は——これは私の申し上げるのはただ横川というところだけのことなのですが、若栗とか中戸川とか、これと同じようなところがこの地域一帯にずっとあるわけです。この横川の中学生だけでも現在すでに二名死亡しております。その死亡の仕方も、学校から帰ってくるとああと言って背伸びをしてそのまま心臓病で死んでしまっている、こういう状態です。男一人、女一人の死亡者を出している。中学校でさえもこういうふうに無理な統合であるのに、現在東小学校国庫の補助をいただいて建築をしておりまするから、どうしても四月一日から統合しなくちゃいけないというので、地元民は非常に反対しておるが、自治体の当事者は何とか形式統合だけでもしてくれと一生懸命説得工作を現在やっております。こういうような事情を見て参りますると、学校統合もとより私たちも教育内容を充実させるためにけっこうだと思いまするが、文部当局がただいま申しましたように、中学校は六キロ、小学校は四キロという実情の中で、かりにバスを利用いたしましても十七キロも二十キロもあるところを通学させるということは、全くむちゃだと思うのです。現実に生徒はどう言っているかというと、日曜日になれば普通の生徒さんでしたらあしたはどこどこへ行こうと言う。ところがあしたはゆっくり休むんだ、寝るんだと言う。こういう統合の仕方をされるということは許さるべきことじゃないと思うのです。しかも現実に補助をもらって工事をやっておりまするので、高萩市の当局者は、何としてでも工事の打ち切りをされるといけないから、地元民を納得させて、先ほど申しましたように、仮統合ということで学校はそのまま存置するから、何とか仮統合を承知してくれというような了解工作をしておるわけであります。地元民はさき町村合併のときには中学校小学校は動かさないという条件をとった。中学校を統合するときには小学校は全然手をつけないということを言われて、市のためだから仕方がないということで納得したのですが、事実上この一年間の事情を振り返ってみますと、父兄についても非常に負担になりまするし、児童は勉強どころじゃない、健康は非常に低下してきておるという事情であります。ことに父兄の側から見ますると、朝そういうふうに電灯を持って通学し、また帰ってくるというような事情では親御さんも非常な心配をするわけですし、何としても母親の負担が非常に大きいわけであります。こういうような事情は早急に調査の上取りやめていただかなければいけない、こういうように思うわけです。私は実は県当局や教育委員会などにもいろいろ話しましたが、県当局では地元民が賛成してやってくれたんだから、そんな不都合はないと思って上に上げた、こう言うわけです。実際は実情をつまびらかにしていないというような状態でございます。大金田というところに私も何回か行っておりますけれども、冬の時期になりますると道が凍ってしまって、自転車さえも使えないわけなんです。そういう非常に険阻なところ、しかも約十七キロから二十キロのところを、バスはせいぜい四十分くらいでものすごいスピードで走ってくる。一たび事故を起したら大へんなことになると思うのです。しかもこれは平坦地ではありません。三、四十メートルの懸崖の細い道を歩いてくるのでありまして、バスのすれ違うときになるとものすごい危険を感じるようなところでございます。こういうようなことは許さるべきことじゃないと思うのでありますが、こういう事情を文部大臣はどういうふうにお考えになりますか、御所見を承わりたいと思います。
  42. 松永東

    松永国務大臣 石野委員の今お話しになりました茨城県の問題、これは実は驚いたわけなんです。私も山間僻地に生まれて、小学校時代はきわめてひどい道を通って小学校を終えてきた一人として、今お話しになりましたことに何だかひしひしと胸を打たれるような気がする。でありますから、今仰せの形式的の統合ということは、これは村や市の帳面の上では形式統合ができましょうけれども、御承知の通り実際学校に通学しております子供に対してはかわいそうだと思う。この事実は県の教育委員とも打ち合せ、緊急にやりまして、そして私の方でも実地を一つ研究してみます。そしてあまりにひどいような状況でありますなら、これは何とか一つ文部当局としても考え直さなければならぬのじゃないかというふうに考えております。緊急に一つ調査いたします。
  43. 石野久男

    石野委員 私はその大臣の御答弁は非常によくわかりますし、満足でございます。もちろん事務的ないろいろな手続もありましょうから、調査をしていただきたいのでありますが、まだ逼迫感がないかとも存じますので、ここに地図を持ってきておりますから、簡単に一つ説明しましょう。これが現在の東小学校、これが横川小学校、これが若栗、これが中戸川、この四つの学校を統合するわけです。この距離が、現在バスは直線で出しておりますが、ものすごい速度で行く。これだけでもすでに十六キロあります。これからこちらへかけては七キロ、二キロ、こういうような事情であります。この学校などはとても無理だ。ですから調査は一つしていただきたいのでありますが、四月一日から形式統合をなさるということになると、地方自治体の側では実はその形式統合ということによって学校の校長を結局なくするわけです。教室扱いにするというわけです。これは将来この地域の学校教育を歪曲してしまうことになると思います。私はこういうような地方自治当局者の手違いとかあるいは一つの作為のためにこういう統合がなされて、しかもそこの児童が将来非常に不十分な教育を受けなければならないような事情になるということは、これはこの時期において許さるべきことではないと思います。形式統合などということを言いますと、何か口車に乗ってしまって、地元民は学校は存続するんだからいいじゃないか、こういうようなことで今当局者は盛んに説いておるのでございますが、しかし教室扱いにされますと教員も少くなってしまいますし、施設費ももちろんなくなってしまうわけです。この横川小学校は現在は大体百二十数名です。こういうところを学級扱いだけにしてしまったら、僻地の教育振興というものは全然できなくなってしまうと思うのです。もともとこの横川というところはこの東小学校に統合さるべき地理的環境にはないわけでございます。むしろ僻地教育の振興法を適用して、そういう方面でここの教育の充実をすべきところだと思うのです。それを市当局者がその地域で非常に優秀な学校で、ある人はこの学校は日本一りっぱな内容を充実しておる学校だというふうに説いて、市民を納得させようとしておるわけです。そういうりっぱな学校ができるかもしれませんが、一方ではこういうように僻地の犠牲が出てきておるということは、教育行政上からいって非常にまずいと思います。これは当局は直ちに差しとめていただきたい。このことをいま一度はっきりと大臣の方から御答弁をいただいておきたいと思います。
  44. 松永東

    松永国務大臣 先ほども申しました通り、緊急に調べまして善処します。
  45. 石野久男

    石野委員 この際に大臣にお尋ねいたしておきたいのです。教育委員会のあり方の問題でございますが、従来教育委員会は、公選の時期にはずいぶんと一般の父兄や児童の意見をよく聞いて真剣な態度をとっておられたと思うのです。最近の教育委員会は法の改正以来、案外に児童や父兄向きではなくて、むしろ上の方の当局や中央にだけ目を向ける、こういう形が出ておるように見受けられるのです。今度の場合でも、実際問題として学校教育内容を充実するという言葉の陰に、児童の健康状態がどうなるかということは全然考えていない。それからまたそういう統合をすることによって、家庭の負担がどういうふうに重なってくるかということも全然考慮していない。こういうようなことをこのままでほうりっぱなしにしておきますならば、教育委員会はかえって父兄の教育に対する関心を変な方に導いていくことになって、健全な教育はできないと考えます。私はこの機会に文部大臣に、地方の教育委員会に対する指導方針というか、考え方の問題についての基本的な構想を一つ承わっておきたいと思います。
  46. 松永東

    松永国務大臣 御指摘になりました教育委員会の問題は、重要な問題です。しかし必ずしも今石野委員の仰せられた地方のようなところばかりではない。あまねく所轄の各地方に普遍的に教育行政が円満に行われるように努力してもらっていると思うのです。しかし一面やはり考えてみると、選挙によった時分の方が各すみずみまで骨折ってもらう度合いが濃かったのじゃないかという気がしますが、こういう面については十分研究してみたいと存じております。しかし仰せになったようなそうした誤まった施設が行われぬように十分注意して、警告を発してみたいと思います。
  47. 山下榮二

    山下委員長 石野さん、今自治庁の方には委員部の方から行ってもらっておりますが、関係担当者はそれぞれ地方行政委員会あるいは参議院その他に出ておられてどなたもいないそうです。きょうここへ出席することはとても困難だと言ってみえたので、さらに今督促に行ってもらっておるのですが、出席はとてもおぼつかないのじゃないかと思うので、そのことを一つ御了承いただきたいと思います。
  48. 石野久男

    石野委員 実はこの問題は、文部当局だけではなくて、地方自治庁の指導が適切でなければならぬという点が非常に多いと思うのであります。ただいま委員長からのお話によると、地方自治庁の関係の方々がいろいろな所用のためこちらに出られないということでありますので、私は重ねて文部当局に申しますが、地方自治庁との連携を密にしていただきたい。四月一日と申しますともうあと半月もありません。その間地方において、自治体の方で強引に市民に対して自分たちの意見を強行されますと、その翌日から児童は非常に不幸な立場に置かれると思います。今回私の提起した問題は、おそらく茨城県だけではなくて、各地において同じような問題を持っておるものと思われますので、この際文部当局は自治庁との連絡を十分とっていただいて、それが一般の市民並びに児童、父兄に対して迷惑にならないように、将来教育上非常に悪い例を残さないように重ねて御配慮と御努力をしていただきたい。そのことを一つお願いしておきたいと思います。
  49. 松永東

    松永国務大臣 御指摘になりました学校教育の問題につきましては、地方自治庁とも緊密な連絡をとって、何とかしてそういう悪い結果を生み出さないようにやっていきたいと存じます。
  50. 山下榮二

    山下委員長 平田ヒデ君。
  51. 平田ヒデ

    ○平田委員 私は初中局長さんに一言だけ申し上げたいのです。時間がなくて実は私、立ち上ることを許されなかったのを特別にお願いしたわけでございますが、昨日の午前中、特殊教育の振興促進に関する懇談会が第三議員会館の第一会議室で開かれたのであります。私おくれて参りましたので、文部省の方から出ていらっしゃったのかどうか、ずっと見ておりましたけれども、私のおる間はどなたもお見えになっていらっしゃいませんでした。こういう特殊児童を持つ方々、私は三百人くらいお見えになっているのじゃないかと思ったのですけれども、私はああいう人たちの声を文部省の方々に聞いていただきたいと思うのです。予算ども非常に少うございますし、それにことしはまた減っているようでございます。そういう子供を持っていらっしゃる父兄の方々、あるいはそういう子供の教育を担当していらっしゃる方々の声を聞いて下さるだけでも、私は満足というわけにはいきませんが、そういうお気持がほしい。特殊教育については現在課がございませんけれども、私どもとしては課として独立したものを持って、この教育を振興したいという考えを持っております。ですから局長さんなどほんの十分でもよろしゅうございますから、お顔を見せていただきましたならば、どんなにみんなが心強く思うかと考えるわけでございますが、どうぞこういうときには進んでお出ましいただいて、ああいう人たちの声をお聞きいただきたいと思います。私はそうすることによって、この予算どもふえていくのじゃないかという下心があるわけでありますけれども、それをお願いしたいと思います。  それからもう一つは、二週間ばかり前のことですが教育大学の付属盲学校生徒が四十人ほどここに傍聴に参りら、私が案内したのですが、あそこの学校は今改築をされておるそうです。昨年から始めて、それが二棟できる予定が一棟の半分しかできておらない。それで二階の方の教室におる生徒たちは便所へ行くのにもいろいろなことで大へん不自由なことだそうであります。それであと一千万円ほどありますと、その半分を継ぎ足して一棟できるのだそうでありますが、それができていない。私はよく調査していないのですが、一棟の半分で一千万円でしたら二棟だと四千万円かと思いますが、これが三年計画だということを聞いたわけであります。もしそうだとするならば、私は大へん情ないことと思いますが、ああいう生徒たちのためには特に意を注いでいただきたい。これは全国にたくさんあるわけでもございません。たった一つじゃないでしょうか。これなども早く改築を進められてせめて一棟だけでもやっていただきたい。半分にしておくというようなことをせずに、三年計画というようなことはおっしゃらないで、私はせめて三十三年度中に仕上げるくらいなことは局長さんおできになると思います。だからそういう点について、ほかの振興法とかなんとかおっしゃいましても、御自分の直轄である学校がそんなことでは、ほかに幾ら奨励なすっても無理じゃないかと思います。どうかその点について一言お答えをお願いしたいと思います。
  52. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 御指摘の点は私まことにごもっともだと思います。私も機会あるごとに特殊教育の方々のお集りには欠かさず出ておるのでございますが、きのうは国会開会中で参議院で御質問があったので伺うことができなかったわけでございますが、いろいろ陳情等もいただいておりますので、後によく研究させていただきたいと思います。
  53. 小林行雄

    小林(行)政府委員 東京教育大学の付属の盲学校でございますが、御指摘のございましたように、これは従来木造の教室でございましたが、ああいった特別の教育を行なっておりますので、一昨年から改築を始めました。ただ途中で国府台、これも教育大学の付属でございますが、国府台のろう学校の方も、盲学校の方が改築を始めたからおれの方も始めてくれというので、実は非常に競争になりまして、私ども片方ができ上ってからと思っておったのでありますが、国府台の方も昨年は手をつけたわけでございます。お話のございましたように、ああいう特殊の教育を扱う学校でございますので、三十三年度にも雑司ヶ谷の付属学校の教室につきましたはできるだけ改築の速度を早めたいと思って、予算も一応確保しております。     —————————————
  54. 山下榮二

    山下委員長 それでは、次に義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案及び盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題となし、審査に入ります。質疑の通告がございますから、これを許します。高村坂彦君
  55. 高村坂彦

    ○高村委員 これは事務当局でもよろしゅうございますが、義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案によりまして、国が教材費に要する経費の二分の一を負担するようになることはまことにけっこうだと思いますが、それにしましても、今回の予算で出ておりますのは十五億円、一体今日全国で一年間に父兄が負担しております義務教育における教材費はどのくらいになっておりますかおわかりでございましたらお示しを願いたいと思います。
  56. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 PTA等の父兄負担にかかわるもので、当然公費で支払うべきものが約百五十八億と報告されておるのでございます。そのうち教材関係は約九十八億程度が教材費の系統でございます。
  57. 高村坂彦

    ○高村委員 九十八億の中で、この法律の制定によりまして地方公共団体が二分の一負担するということになりますと、三十三年度予算におきましては国費が十五億、地方の負担が十五億、三十億ということになって、それでもなお六十八億円の負担は父兄が持たなければならぬ、こういうことになるのでありますか。
  58. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 実はそのほかに理科教育振興法がございますので、この関係国庫負担が約五億、それに伴いまして地方負担分が五億、合せまして四十億が教材費系統の関係でございます。
  59. 高村坂彦

    ○高村委員 この法律案はきわめて簡単な法律案でございますが、内容はきわめて重要な意義を持っておると私は思うのであります。今日全国の父兄がその負担の軽減ということに対しては非常な関心を持っておる。ぜひ一つできることなら父兄の負担のなくて済むような方向に、今後御努力をいたしていただきたいと思いますが、文部大臣のこれに対する御所感を伺いたいと存じます。
  60. 松永東

    松永国務大臣 仰せのように、これは義務教育費でありますから、当然公共団体並びに国家負担せねばならぬことは申すまでもありません。これをPTAあるいは父兄に負担させるいうことは、私どもは不合理な話と存じますので、できる限りこの負担の軽減をはかっていきたいというふうに考えまして、本年度も相当努力はしたのでありますけれども、結局財政の都合上、右申し上げるような程度に落ちついたのであります。これはもう来年度はもちろんのことぜひ努力をいたしていきたいというふうに考えております。
  61. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 ただいま大臣からお答えがありましたが、この教材費の系統の関係経費は、本来市町村でまかなうべき経費でございますので、教材費の国庫負担及び理科設備の国庫負担、それに見合う分の地方負担分のほかに、地方財政計画交付交付金の方で市町村の経費を充実しておりますので、この関係経費を今年度は大幅に単位費用の引き上げを行いまして、教材費の地方負担の十五億と合せまして約五十億の財源措置をいたしましたので、私どもはある程度PTAの軽減に役立つかと思いまして、この旨を近く通達いたしまして、できるだけ父兄負担の軽減に資するように教育委員会の御配慮を煩わしたいと考えております。
  62. 高村坂彦

    ○高村委員 これは政府委員からでけっこうですが、この法案内容によりますと、小中学校における教材に要する経費について国がその二分の一を負担する、こういうことになっておるわけです。今のお話を承わりますと、地方は交付税等によってさらに相当額を負担する、そういうことになりますと、実際においては国がその二分の一を負担するのではない。結局予算範囲内においてことしは十五億、あとから地方が幾ら負担しても、それは国としては来年度予算でこれを追加的に見ていく、こういう制度ではないわけでありますな。その点を確かめておきたい。
  63. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 これは本来教材費につきましては市町村が負担すべき経費でございます。そこでそのうち国は教材費の一部を負担しております。ところがこれですと、どうしても地方は負担金負担金でもらっておいて、地方負担分を出していただけないというところもございますので、最小限二分の一は負担していただく、こういう趣旨で地方財政計画にさらに十五億をふやしたわけでございます。もちろんこれだけでは三十億ですからとても足りませんので、地方教育費を充実するという意味におきまして、今回単位費用の引き上げを行いまして増額した次第でございますが、今高村委員の御指摘になりました点の通り、さらに地方は負担することが必要である、こういう意味に解釈していただきたいと思います。
  64. 高村坂彦

    ○高村委員 私はその点について若干の疑問を持っておるのです。元来この義務教育経費というものは、教材費は地方が負担すべきものだというふうにきめてかかることについて、私は若干の疑問を持っておる。実は教員の給与費については、これは都道府県負担しておりますが、これは二分の一国が負担しておる。ところが今度施設費につきましても、本日その提案理由の御説明がありましたように、国がこれ回を負担すべきものだという建前で大体できておると私は思う。そういう意味からいえば、教材費も考え方としてはやはり国が当然一部を負担すべきものだ、こういうふうに考えていいのじゃないか、その点はどうでございますか。
  65. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 この地方財政法によりましても、また学校教育法に基きましても、教育費の負担設置者負担の原則になっておりまして、義務教育につきましても地方負担が原則でございます。そこで例外的に給与費につきましては二分の一の国庫負担をいたしたわけであります。さらに建物につきましても二分の一ないし三分の一の負担を国がしておるわけでございます。そうでないものの経費つまり学校の運営費につきましては、原則として市町村でない都道府県のいわゆる地方負担が原則になっておるわけでございます。特に教材費を義務教育で取り上げた理由のものは、PTAの負担が一番ここにしわ寄せされておるというので、国が負担をいたしたわけでございます。しかしながらこの額が少いので、これだけでよろしいということになりますと、やはりPTAに負担をかけるということになりますので、そういうPTAに負担をかけるということは好ましくないと思いますので、地方負担を原則にいたしまして、必要最小限度のものを国が持つという考え方に立っておりますので、もちろんこの教材費の国庫負担もふやしまして、また同地に地方の負担分もいたしまして、そしてPTAの負担を一日も早く解消いたしたい、かように考えております。
  66. 高村坂彦

    ○高村委員 その問題につきましては私はいろいろまだ若干の議論をする余地があるかと思いますが、これはまあ見解の相違でございますから、これにとめておきます。  次に盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしますが、この特殊教育の振興ということが、私は、先ほど平田委員からもお話がございましたように、非常に重視されなければならぬ段階にきておると思うのです。私もきのうこの特殊教育の振興促進に関する懇談会に出まして、実はしばらくおりまして、こうした不幸な子弟を持っておられる父兄の方々の切々たる意見も伺ったのですが、やはりこれは今日日本の教育一つの盲点になっておるのじゃないか、こういうことを感じたわけです。そこでぜひこれは一つ文部省としても、こういう問題をもう少し計画的に重視して進めていくということが必要であろうと思うのですが、それにつきましては、きのうの要望の中にもございましたが、文部省初等中等教育局の中に独立の課を一つ置いてもらうことが必要じゃないか、こういうことを考えるのであります。これまで同局の中に特殊教育室というのがあったのですね。ところがこれを行政整理で廃止されたのですが、しかしこれはみそもくそも一緒にしてそういうものを整理するということは、間違っておると思うのです。まずこうした特殊教育に関する課が特設されますと、そこで十分調査もされ計画もされて、こうしたほんとうに不幸な方々の教育について国家としても充実した政策が実施できるようになると思うのですが、これに対しまして文部大臣はどういうお考えを持っておられますか。一つ御所見を伺ってみたいと思います。
  67. 松永東

    松永国務大臣 御承知の通りこれはもともと一課をなしておったのです。それが簡素化の、行政整理のために、これもほんとうに必要であるのにかかわらず、これを取りはずしてしまって、今御指摘になった通り室になっておるわけです。どうしてもこれはやはり一課を設けて、御指摘の通りあのかわいそうな特殊教育を受ける人々を何とかしなければならぬというふうに考えておるわけであります。これは省内でも問題にしておりまして、御指摘のようにもうこんな室なんかで、わずかな——これはまあ人間を特にふやす必要はありませんけれども、しかし必要に応じてはやはりそれぞれの事務も充実させなければ、手が届きません。ぜひ一つそういうふうにやりたいと思って、今検討を進めております。
  68. 高村坂彦

    ○高村委員 盲学校ろう学校並びに養護学校への就学奨励法というものがございますが、この中の義務制になっておる小中学部につきましては、もちろん国として相当めんどうを見ておるわけであります。今回幼稚部、高等部についても、この法律改正により、また予算措置によって若干の進展を見ると思いますが、私どもはそうした方々の実情をいろいろ聞いてみますと今回の措置だけではまだ足らぬような気がする。たとえば現在の支給項目というものをさらにふやして、そういう方々の通学等の便をはかり、また教育の充実等に資することが必要だろうと思いますが、こういう点について、ことしは予算措置もございませんからやむを得ないかと思いますが、こうした問題について、これは将来の問題でございますが、一つ文部当局の御決意を伺っておきたいと思います。
  69. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 御承知の通り義務教育につきましては教科書、給食、そのほかに寄宿舎の雑費あるいは通学費等についての助成が出ておるわけであります。今回の改正によりまして高等学校につきましては教科書のほかに新たに給食費の補助を見たわけでございます。私ども義務教育にできるだけ線をそろえたいということで全部を要求して参ったのですけれども、大蔵省とのいろいろ折衝の過程におきまして、逐次義務教育の線にそろえる、こういうことで基本的に了解しておりますので、今後逐年増強いたしまして、なるべく早く義務教育と同じような線にそろえたい、かように考えます。
  70. 高村坂彦

    ○高村委員 これはぜひ一つ御努力をお願いしたいと思います。  次に実は当委員会で第二十四国会におきまして付帯決議をいたしておるわけでありますが、その付帯決議では義務教育学校における特殊学級というものを整備充実するような法律を制定してもらいたい、こういうことにたしか相なっておったと思うのでありますが、これについてその後文部省ではどういうふうに検討し、また努力をしてこられましたか、お示しをいただきたいと思います。
  71. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 特殊学級の整備につきましては、御指摘の通りどもも非常に必要性を痛感しておりまして、現在大体小、中合せまして約千五百程度でございます。それに収容しておる児童生徒の数は約二万数千でございます。もちろん不備でございますので、これをできるだけ助成いたしたいと考えまして、昨年度に引き続きまして今年度も特殊学級の設備費補助というものを予算に計上しておるわけでございます。額は少うございますが、八百万程度を計上しておるわけでございます。今年も前年度に引き続き特殊学級の設備を充実し、さらに管理局の方で所管されておりますところの特殊学級についての建物経費等もございますので、その両面を通じて整備いたすことが一つでございます。さらにもう一つはこれも本国会に提案いたしております義務教育の定数標準に関する法律によりますと、一学級特殊学級の場合は十五人でよろしい、この場合には一人定員を配当するような規定もございますので、この面を定員の面で新しく今度は立法化いたしたわけでございます。御指摘になりました立法化全体については、まだその域には達しておりません。今後十分検討いたしたいと考えております。
  72. 高村坂彦

    ○高村委員 一体現在特殊学級の対象になる人数がどのくらいおるか。私が聞きましたところでは八十万以上もおるというふうに聞いておるのですが、その中で、今伺いますとわずが二万程度がようやく特殊学級として特別なる取扱いを受けておる、こういうことでまことに心細いように思いますが、この数が正確にわかっておりましたらお示し願いたい。
  73. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 これも推定でございますけれども、今御指摘になったように大体八十五万程度を推定いたしております。
  74. 高村坂彦

    ○高村委員 盲学校及びろう学校の幼稚部、高等部のことにつきましては、今日まだ法律の制定によってこれを国家がめんどうを見るということになっておらないのであります。従ってどうもこれに対する財政援助が国としてできない、地方まかせ、こういうことになっておりますので、地方によっては、その地方の財政状態等にもよっていろいろ扱い方に高下があろうと思うのです。やはり一般の学童と違って、こうした気の毒な人に対しましては、先ほど申しましたように私は国家が特別な施設をするということが必要だろうと思うのです。そういう意味からして、地方財政の非常に窮屈なために、所によってめんどうを見ることが十分でないというところが非常に多いようでありますが、こういうものを何か法律規定して、国も若干めんどうを見て、ある程度一定水準のもとにめんどうを見るというような考え方をすることがいいのじゃないかと思いますが、これについて文部当局はどういうふうに考えておられますか、伺っておきたいと思います。
  75. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 御承知の通り盲学校ろう学校については、すでに義務教育として給与費も二分の一負担、あるいは建物も二分の一負担教材費も国が二分の一負担になっております。それから御指摘になりました精薄、その他肢体不自由等の養護学校につきましても、義務教育につきましては、義務教育に準じて建物も二分の一負担、教員の給与費も二分の一負担教材費も二分の一負担、こういうふうになって、事実上義務教育と同じような線にそろえておるわけでございます。私どもはこの法律の適用によりまして、地方にアンバランスのないように期待しておるのでございます。特に本年度は国立の肢体不自由の学校教育大学の中に新設することにいたしましたので、これがモデル・スクールになることを期待しておるわけでございまして、地方もできるだけ国の財政援助と相待ってこういうものの教育のために御努力願いたいと考えております。
  76. 高村坂彦

    ○高村委員 私はきわめて気の毒な子供のために、国家として見るところがあまりにも少な過ぎると思います。しかし漸次前進してきていることは認めますが、なるべく歩度を早めて、こうした方々の父兄の気持も十分察していただいて、この問題が国家としても大きく取り上げられる、そしてそうした方々が早く社会のためにも尽し得られるような道を講じていただきたい、このことを特に希望いたしまして、私の本法案に対する質疑を終らしていただきます。
  77. 平田ヒデ

    ○平田委員 関連して。私は雪の多い東北地方でございますけれども、盲ろう学校の中に屋内体操場を持たないところが非常に多いのでございますが、それに屋内体操場ばかりでなくて、民家を借りて、そしてめくらやおしの子供の教育をするところが多いのでございまして、それがまだ改築も思うようにできない。義務化されておりながらそういう状態でございますけれども、外の運動場も持たない、それから屋内体操場も持たないという盲ろう学校は全国ではどれくらいの数に上っているでしょうか。私、その辺の学校に参りますと、一体文部省ではめくらやおしの子供たちは運動はしなくてもいいと考えているのでしょうかという質問を受けます。私は、そんなことは文部省は考えておりませんとは申しておりますけれども、出したいとは思ってもなかなか思うようにならないし、県の方の負担も容易じゃないらしいのでございまして、どんなふうにお考えになっていらっしゃるか。それから数などはどんなことになっておりますか、お伺いしておきます。
  78. 小林行雄

    小林(行)政府委員 盲ろう学校屋内運動場を作るということでございますが、私、実は数字に関する資料を今持っておりませんので的確なお答えはしにくいのでございますが、ただこれから盲ろう学校屋内運動場をお建てになりたいという場合には、従来も実行上補助をおつけしております。二分の一の補助をおつけしている例が年々ございます。ですから特に御希望のあります向きについては県を通じてお申し出をいただけば、文部省の方で取り計らいができると思います。
  79. 平田ヒデ

    ○平田委員 そうすると補助は確実に幾らでも出していただけるということでございますね。お申し出があればとおっしゃいますから、そういうふうに地方へ行って申してよろしゅうございますか。二分の一は出ますのですか。
  80. 小林行雄

    小林(行)政府委員 従来は盲ろう学校についてはやはり校舎の不足分を補うという建前で予算をもらっておりますが、特に事情がございまして屋内運動場をお建てになりたいという分については、予算範囲内で補助をおつけいたします。
  81. 平田ヒデ

    ○平田委員 もう一点だけでございますが、特に寒い方ではめくらの子供が点字をいたしますけれども、薪炭費が非常に不足しております。ちょうど目あきの子供が夜学校に行っているが電灯が消えているのと同じで、手が凍ってしまって点字が打てないそうでございます。そういうことを考慮してほしいという声も起きるのでございますけれども、この点についてはいかがでございますか。
  82. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 これは地方財政計画の問題でございますので、地方財政の中で盲ろう学校とか、そういう特殊学校経費を十分に見てあげることが必要だと思っております。そういう意味から、従来その他の教育費の中にありましたのを、その他の教育費の中から特殊教育経費は別にいたしましたので、私どもはその経費を上げることによりまして、できるだけ豊かに盲ろう学校経費を見るように今後も努力をいたしたいと考えております。
  83. 平田ヒデ

    ○平田委員 どうぞ今のお言葉の豊かにを、ほんとうに実現していくようにお願いいたします。
  84. 石野久男

    石野委員 関連して。この際PTAの運営の問題について大臣に一つお伺いしておきたいのでございますが、PTAが今教材費だとか、施設費等に非常に父兄の立場からも協力しているわけです。それは非常な額に上っておって、文部当局もそれをなるべく少くしようとすることを今度いろいろお考えになっていると思いますが、現実にPTAの会長とか、理事者というものは、実は学校に積極的な協力をし、学校施設をよくするとかなんとかすることを一つの誇りに感じているようであります。そのためにすばらしく広大な計画を作りまして、それをPTAの会員に押しつけると言ってはいけませんが、結果的には押しつけるような形が出ているような現状があるように見受けられるわけです。どの親にしても子供を学校に入れている以上は、やはりなるべく設備をよくしようという考え方を持つというのは当然なんでございますから、そういうことに対してはまっこうから反対できませんが、実質財布から勘定しますと、非常に大きな問題が出ているわけです。ただしそれに反対をするということになると、どうも子供がいじけてしまうとかなんとかいうことで、父兄が非常に微妙な立場に置かれて苦しんでいるという実情があるわけでございます。現在東京あたりで私どもの調べたところでは、小学校あたりでも大体年間一万円以上の金はPTAに使われているんじゃなかろうか。それから中学あたりになりますると、少くとも一万二千円ないし三千円ぐらいの金が使われている。こういうことになれば、東京都内でもし中学に二人、小学校に二人というようなことになりますると、年間約四、五万円の金を使うことになって参ります。これは地方においても大体その半額程度は必ず負担をしているものと思われます。この際このPTAの会長さんないし理事者が、積極的に学校施設とかあるいはその他教材費等の不足を補うための協力態勢を作ることはけっこうだけれども、これを今の情勢のままでほっておきますと、これは父兄にとっては負担が増加するばかりで、とめどなく広がっていくものだ、こういうように考えられますが、文部当局はこのPTAに対する指導の問題——会長さんのリードする形に対してどの辺のところにめどを置いて指導されるか。とにかく野放しで、理事者が協力するのはそれはけっこうだから受けますよというような態度をとるのか、そういう点についての大臣の所見をこの際承わっておきたいと思います。
  85. 松永東

    松永国務大臣 石野委員の御質問まことにもっともなことで、私どもこれを一体どうすればよかろうかというようにふだんからいろいろ研究を重ねておるわけなんです。と申しますのは要するにPTAは学校と家庭との連絡、そうして円満な教育を施していくということのためにある。しかしさればといって、あまりに消極的に、与えられた学校と家庭との間の連絡だけで、あとには一歩も踏み出してくれるなというようなことになりますと、先ほど仰せになったようにやはり教育の振興という面に非常に支障を来たす面がある。でありますから、PTAの会長などになっておられることを、一種の名誉と心得て、そうして一生懸命活動してもらいたいことはやまやまですけれども、さてそういう活動が激烈になりますと、仰せになったように経費がかさんでくる、その経費はわれわれの念願しないほかの方面にまではみ出してくるというような面もあるのであります。従ってこの点は、やはりほどほどにやってもらうということよりほかにないのだと思うのですが、申すまでもなく、義務教育は御承知の通り無償が原則でございますから、そうしたいろいろな負担をPTAもしくは父兄にかけるということは、これはもう何とかしてやめなければならぬというふうに考えております。従ってそうした負担を軽減するように、文部省当局としては非常に努力を重ねてきているのでございますけれども、しかし御指摘になりましたPTAの負担並びに父兄の負担等については、これは非常に研究をしているところでございまして、何とかして、消極的に落ち過ぎてもいかぬし、さればといって積極的にあまり膨大な計画を立てても、やはりいろいろな点に弊害を及ぼすということになりますので、そうした面のないように一つ指導してみたいというふうに考えております。
  86. 石野久男

    石野委員 PTAが学校教育に対して協力して、なるべく教育のなにをよくしようというために、あまりに消極的になってはいけないということは私もよくわかりますので、その点は大臣の言われる通りだと思います。ただ積極的な者があまりに積極的過ぎて、事実上はこの問題は各地で大きな問題になっているわけです。このことは文部当局もすでに御承知のことだと思いますので、これについては、ただ考慮しているだけではなく、何か一つ大臣あたりが積極的に指導するということが大事なんではないかと思いますが、そういうような意図をお持ちになっておられるかどうか伺いたい。
  87. 松永東

    松永国務大臣 御指摘のようなことを念願いたしまして、時間の許す限りそうした会合に私は出て行きまして、右の趣旨を訴えているような次第なのであります。なお今後とも一つ続けて大いに——今言う通りあまり積極性を持ってもらっても困るが、さればといって投げやりの消極性でも困ると思いまして、先ほども適当な表現の言葉がありませんので、ほどほどにやってもらいたいと言いましたが、その点を一つよく理解してもらおうというふうに考えております。
  88. 石野久男

    石野委員 この問題は、東京なら東京という一地域における問題ではございませんで、全国的にそういう傾向がきわめて顕著でありますし、これは推測の範囲ではないと思うのです。大臣ができるだけ出向いて行ってというようなことでは、この弊害を除去することはできない。私はむしろやはりこの際文部当局は十分な検討を加えた上で、何かの指示をなさる必要があるのではなかろうか、こういうように思いますけれども、大臣はそれについてはどういうふうにお考えになりますか。
  89. 松永東

    松永国務大臣 十分その弊害の面もわれわれは認めておりますので、さらに本日あなたの仰せになったことをよく検討いたしまして、そうして一つ緊急に指示をしたいというふうに考えます。
  90. 山下榮二

    山下委員長 本日はこの程度といたします。  これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会      ————◇—————