○
石野委員 茨城県にこういう例があるのです。茨城県の高萩市に東
小学校というのがございます。これが今統合するための補助をもらって第一期の
建設中であります。この件に関しまして、ただいま
小林政府委員から御答弁になられたようなことはだいぶ事情が違うような中で統合が行われているように見受けられた。ここで私はその事情を簡単に申し上げますが、これについてあとで
文部大臣から御意見を承わりたいと思うのです。この
学校は実は今地方でも非常に問題が起きまして、ものすごく部落が反対したりなんかしているわけです。簡単に申しますと、
町村合併が行われる際に、実は非常にへんぴな山間地帯の合併が行われたわけです。そのときに僻地の山間地帯の町村は、いろいろな
関係から
町村合併に反対したのだけれ
ども、そのうち特に
教育の問題について父兄は強い反対をしましたので、
町村合併が行われるときには、
中学校、
小学校はいじらない、現状のままでいくというような条件をつけて
町村合併をするというような事情もあったわけです。その後昨年の二月に
中学校の統合が行われました。この
中学校の統合が行われるときにも、急に三月に話し合いが出て、この話をまとめないと困るのだというようなことで
中学校の統合をしたわけです。今、高萩市内に
中学校の
生徒が通学しておる
学校を申しますと、実は横川、あるいは若栗、中戸川、大能、こういうような地域から通学をしております。今
小学校の統合が行われるのもこういうような地域の
小学校なのですが、特に通学の距離を申しますと、遠いものでは約二十三キロです。
学校から新しい
学校への距離だけでもすでに十六キロあります。しかもこの地域は、標高約五百メートルくらいのところから大体海岸地帯へおりてくるわけです。その間発電所が二つもあります。渓谷を利用する発電所を持っておるわけです。それを今小学生をバスに乗せて通わせている。
学校からなお奥地に入りますと約七キロくらいあるわけです。七キロないし七キロ半くらいのところから、横川
小学校というところへ
児童は通学しているわけです。だから一番奥地から見ますと約二十三・五キロくらいあるわけです。こういう地域へ、この四月一日から
学校を統合することによって
児童を通学させようというわけです。しかもたとえば今横川
小学校へ通学しているその一番奥地である金山という、これは官林事業所のあるところでございますが、この地域からは現在
中学生が二十名くらい通っておりますが、バスは大体横川というところまで来るわけです。
中学生はバスを使っておりますが、横川から金山というところは実はまだバスの運転許可がおりておりません。それを今試運転という形でやっておりますが、当然
児童は有料でバスヘ乗らなくちゃなりません。こういうような山間地帯で有料でバスに乗るということはとても困難ですから、
児童は朝、懐中電灯を持って横川という無料バスのところまで歩いてくるわけですが、それは二時間くらい歩かなくちゃならない。こういうような
状態をずっと続けて一年間きたわけです。たった一年間でありますけれ
ども、その間
児童は——これは私の申し上げるのはただ横川というところだけのことなのですが、若栗とか中戸川とか、これと同じようなところがこの地域一帯にずっとあるわけです。この横川の
中学生だけでも現在すでに二名死亡しております。その死亡の仕方も、
学校から帰ってくるとああと言って背伸びをしてそのまま心臓病で死んでしまっている、こういう
状態です。男一人、女一人の死亡者を出している。
中学校でさえもこういうふうに無理な統合であるのに、現在東
小学校も
国庫の補助をいただいて
建築をしておりまするから、どうしても四月一日から統合しなくちゃいけないというので、地元民は非常に反対しておるが、自治体の当事者は何とか形式統合だけでもしてくれと一生懸命説得工作を現在やっております。こういうような事情を見て参りますると、
学校統合もとより私たちも
教育の
内容を充実させるためにけっこうだと思いまするが、文部当局がただいま申しましたように、
中学校は六キロ、
小学校は四キロという
実情の中で、かりにバスを利用いたしましても十七キロも二十キロもあるところを通学させるということは、全くむちゃだと思うのです。現実に
生徒はどう言っているかというと、日曜日になれば普通の
生徒さんでしたらあしたはどこどこへ行こうと言う。ところがあしたはゆっくり休むんだ、寝るんだと言う。こういう統合の仕方をされるということは許さるべきことじゃないと思うのです。しかも現実に補助をもらって工事をやっておりまするので、高萩市の当局者は、何としてでも工事の打ち切りをされるといけないから、地元民を納得させて、先ほど申しましたように、仮統合ということで
学校はそのまま存置するから、何とか仮統合を承知してくれというような了解工作をしておるわけであります。地元民は
さきの
町村合併のときには
中学校、
小学校は動かさないという条件をとった。
中学校を統合するときには
小学校は全然手をつけないということを言われて、市のためだから仕方がないということで納得したのですが、事実上この一年間の事情を振り返ってみますと、父兄についても非常に
負担になりまするし、
児童は勉強どころじゃない、健康は非常に低下してきておるという事情であります。ことに父兄の側から見ますると、朝そういうふうに電灯を持って通学し、また帰ってくるというような事情では親御さんも非常な心配をするわけですし、何としても母親の
負担が非常に大きいわけであります。こういうような事情は早急に調査の上取りやめていただかなければいけない、こういうように思うわけです。私は実は県当局や
教育委員会などにもいろいろ話しましたが、県当局では地元民が賛成してやってくれたんだから、そんな不都合はないと思って上に上げた、こう言うわけです。実際は
実情をつまびらかにしていないというような
状態でございます。大金田というところに私も何回か行っておりますけれ
ども、冬の時期になりますると道が凍ってしまって、自転車さえも使えないわけなんです。そういう非常に険阻なところ、しかも約十七キロから二十キロのところを、バスはせいぜい四十分くらいでものすごいスピードで走ってくる。一たび事故を起したら大へんなことになると思うのです。しかもこれは平坦地ではありません。三、四十メートルの懸崖の細い道を歩いてくるのでありまして、バスのすれ違うときになるとものすごい危険を感じるようなところでございます。こういうようなことは許さるべきことじゃないと思うのでありますが、こういう事情を
文部大臣はどういうふうにお考えになりますか、御所見を承わりたいと思います。