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1958-03-18 第28回国会 衆議院 農林水産委員会水産に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月十八日(火曜日)     午後一時四十四分開議  出席小委員    小委員長 鈴木 善幸君       川村善八郎君    田口長治郎君       原  捨思君    松田 鐵藏君       石山 權作君    芳賀  貢君  出席政府委員         水産庁長官   奧原日出男君  小委員外出席者         議     員 赤路 友藏君         外務事務官         (経済局第三課         長)      吉良 秀通君         大蔵事務官         (主計官)   高木 文雄君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    小林 誠一君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 上滝みのと君         通商産業事務官 安福 数夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  イルカ漁業転換に関する件  中小漁業者に対する融資保証に関する件  マグロの輸出振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより水産に関する小委員会を開会いたします。  イルカ漁業転換の問題について調査を進めます。質疑を行います。田口長治郎君。
  3. 田口長治郎

    田口委員 私はこの機会にイルカ漁業転換問題につきまして水産庁当局及び大蔵省当局にお伺いいたしたいと思うのでございますが、イルカ漁業は一月から六月程度までの漁期になっておるのでございまして、当初この問題につきましてわれわれが考えましたことは、この漁期が始まる前につなぎ資金ででも船を作らして転業させなければならぬ、こういうようなことを考えて進んでおったのでございますが、今日どの程度までこの問題が進んでおりますか。聞くところによりますと、まださっぱり転換方向にいっていないというようなことを聞いておるのでありますが、実情はどういうことになっておりますか。また転換はできない、猟銃は取り上げられた、こういう状態におきまして、従来イルカ漁業に従事しておりました漁業者が現在どういうような状態において生活しておるのでございますか、その点をまずおお伺いいたしたいと思います。
  4. 奧原日出男

    奧原政委員 イルカ漁業転換に対しまする方策はただいま御指摘通り、当初われわれが意図いたしましたテンポに比べまして若干おくれておるのでございます。これに関しましては、イルカ漁業者として転換対策対象として取り上げるべきものの選定というものにつきまして、いろいろな問題が経過的にはあったのでございますが、ようやく経過的ないろいろな問題を消化をいたしまして、これが対象基準を取りきめいたしたのでございます。すなわちこれが対象となりますものは、オットセイ条約が交渉されまするその前の二カ年間、すなわち昭和三十、三十一年の両年間において漁業用の鉄砲の許可を受け、火薬の購入許可を受けてイルカ漁業を営みましたもの、こういうことに選定いたすことに基準を取りきめたのでございます。一方公庫との間におきまして、融資問題等につきましていろいろな話し合いをしておったのでございますが、公庫の方におきましても、金融ースに乗るものに関しましての融資を行うということにつきましてその了解が次第に深まって参りまして、そんなふうな事情からやや時期はおくれましたが、すでに公庫の方にも金融機関を通じまして転換対象として取り上げ得る漁業者代船建造融資の申請を届けておるような状況であります。従いましてこの融資がおそらく不日決定して、現実にころがっていくということと相待ちまして、予算で取りきめておりまする助成措置その他の方策が具体化して軌道に乗って参る、かように考えております。今日イルカ漁業者転換という方策が打ち立てられて、まさに軌道に乗ろうとしておる状況にありますので、オットセイの密猟ということに関しましては、漁業者諸君の自主的な組織におきまして、これを厳に慎しもう、こういう協力態勢をしいてくれておるのでございまして、われわれとしてもその協力態勢に対しまして、一日も早くイルカ漁業転換というものを具体的に軌道に上せたい、かように考えております。
  5. 田口長治郎

    田口委員 このイルカ漁業者北太平洋のおっとせいの保存に関する暫定条約締結に当りましては、何とか自分らも猟獲をしたい、こういうような非常な熱烈なる希望があったと思うのでございますが、条約締結の結果は結局日本漁民オットセイ海上猟獲することができない。こういうことに決定をいたしたのでございます。さような関係からいたしまして、一たん日本として条約を結びました以上は、この条約に違反するような漁業者の行為があってはいかない。こういう観点からいたしまして、昨年の四月二十三日と思いますが、外務委員会農林水産委員会で、この条約批准に対する合同審査をやりました場合におきまして、当時の水産庁次長でありますところの奥原氏は、これが対策として現在イルカ漁業に従事しておる漁業者モウカザメその他の漁業転換をさせる。その転換に必要なる国庫補助あるいは融資の問題について、閣議決定した事項といたしまして、当日詳細に説明しておられます。なお内容を繰り返しますと、今まで使っておったイルカ漁業漁船、その三十トン以上の船はモウカザメ転業ができるだろう。三十トン以下の船は廃船にする。廃船にする場合に残存価格として残る分だけを国が国庫補助金として出す、これが一億五千万円である。さらに三十トン以下の船は二十トンに建造させる。その建造補助金が二億五千万円である。さらにモウカザメ転向するのには漁具はえなわが必要である。このはえなわについては一億円を予定しておる。言いかえますというと五億円で国庫補助の方を片づけ、さらに不足分融資によって、完全に国際条約上違反するような漁業者が一人もないように処置をするつもりだ。こういうようなことを具体的に閣議決定事項として述べておるのであります。私どもからいたしますというと、この問題は取締りだけを強化してもどうしても目的を達することができないので、やはり奥原当時の次長が言われましたように、完全に全部の人を転業させる、他の漁業に従事させる、こういうことでなければいけないのだ。日本国際信義を失墜するもとはここにある、かように考えておりました際でありますから、この閣議決定は非常にいいことをやられた、こういうふうに考えまして、賛成をしておった次第でございます。この方向自体は決して間違っていない、ほんとう方向である、こう考えておるのでございますが、この方向が現在具体的にどういうふうに進みつつあるか、その点を一つ詳細に御説明を願いたいと思うのであります。
  6. 奧原日出男

    奧原政委員 ただいま御指摘のように、昨年国会におきましてイルカ漁業者モウカザメ等はえなわ漁業転換させる、こういう政策の方角を御説明申し上げたのでございますが、実はその後の具体的な内容に関しましては、その御説明をいたしました当時と若干の変更を見ておるのでございます。その当時考慮いたしましたことは、イルカ漁船として取り上げる予定の約百七十隻の漁船の中で、三十トン以上のものに関しましては、これはそのままモウカザメはえなわ漁業転向できるであろう。従って漁具補助程度つっかい棒をすれば十分ではないか。三十トン以下のものに関しましては、その船のままではモウカザメはえなわ漁業のように比較的沖合いに出なければならない漁業には小さ過ぎるのでございまして、従いましてこれを全部廃船にして沈船させますとともに、三十トンの代船の建造に対して補助金交付し、さらに漁具補助を出す、こういうようなことに一応予定をいたしておったのでございます。しかしその後いよいよこの政策軌道に上せるという準備に取りかかりました際に起って参りましたいろいろな事情から、現在においてはすべて代船建造でいくという方式を若干修正をいたしておるのでございます。すなわち三十トン以下にあって、国の補助助成というものの手厚さというものが非常に違ってくるということも、これも公平という観点からしましていかがかと存じます。また漁業者の中には比較的建造してから新しく、今これを沈船するということも全く実際的ではないので、むしろ漁船機関焼玉機関からディーゼル機関に改めるとか、その他の整備をすれば十分だ、こういう希望の者も出て参る。その中には、この際比較的海の荒いあの地方において漁業をするよりも、陸に上ってしまうということを希望する者もある。こういうふうな状況にあるのでございます。当事者の希望あるいは公平という観点から見ましたところの配慮というものはそういうことでございますが、それとともに農林漁業金融公庫から融資をいたすに当りまして、やはり金融機関としましては金融ースに合うものに融資をしていくということに一方において責任を負っておる次第でございます。しかし金融ベースという観念は、これは相対的な観念でありまして、個々のケースについて具体的に詰めていけば相当幅のある解決の仕方もできるのではないかと思います。しかしとにかく全然金融の上から取り上げ得ないものについて、これをしゃにむに融資をさせるというふうな行政的な圧力をかけることも適当ではない、かように考えるのでございます。そんなふうにいろいろな事情から、現在におきましては三十トン以下の船と三十トン以上の船との間に、先ほど申し上げましたような、非常な取扱いの差異を設けるという当初の方針も是正いたしまして、そして百七十隻の全部の船につきまして、代船を建造することを適当とするものに関しましては、廃船交付金のほかに船舶建造費に対して二割の補助金交付し、また機関換装し、漁具整備するということを希望し、船舶廃船及び建造を望まない者に関しましては、機関換装及びその他整備費に対する二分の一の補助を考慮する。また全然漁業をやめてしまうという者に対しましては、廃船交付金のほかに船舶乗組員及び銃手に対する退職手当を国において補助をしていく、こういうふうな実際的な考え方に当初の方針転換をいたしたような次第でございます。そういうふうないろいろな事情もございましたのも、イルカ転換が当初の予定の時期よりもややずれて、今日先ほど申し上げましたような段階にあります一つの理由であるのでございます。
  7. 田口長治郎

    田口委員 この百七十隻の中にはいろいろな考え方を持っておられる人が必ずあると思うのでございますが、そのうちで仕事をやめていく人、こういう人に対しまして廃船補助金あるいは退職手当、こういうようなものをお出しになるということにつきましてはこれは非常にいいことでございまして、この点は水産当局及び大蔵当局に私ども感謝したいと思うのでございます。ただ問題は、私らの考えから申しますと、漁業者はやはり海に出して働かせる、こういうことで生活をすることが一番近道でございまして、一時、金が入ったから、この金で食いつないでいく、あるいは陸上の仕事をしていく。こういうような方向に行きますと、御承知のように漁業者の能力でございますから、これはとかく失敗が非常に多いのでございまして、どうしても漁業者はやはり海上生活をさせる、こういうような基本方針をとっていただかなければならぬと思うのでございますが、今の長官からの話によりますと、どうかすると、船を作って海上生活をする、この者とほかの者とが、少し船を作る方に比べますと優遇をされておるというようなことで、そういう意識はないと思いますけれども、暗々裏になるべく金のかからないようなことでこの問題の処置ができれば、こういうようなお気持はないと思うのでございますけれども、結果から申しますとそういうようなことで、やめた者、あるいは金がかからないで転向のできる者が優遇をされて、金をかけて、そうして思い切って新造船を作って転向する、このような部類が待遇が薄くなることによりまして、ほんとう転向するその方を行政的に多少押えられるような結果に、これは役所としてはそういうことは意識しておられないと思いますけれども、さような結果が現われるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございますが、今お話のありましたもう仕事をやめてしまうという人、あるいは換装等、あるいは自分の古い船を改造していく、それから新しく船を作っていく、この三段といいますか、四段といいますか、こういう段階についての処置、いわゆる数字的の処置をもう一度お伺いいたしたいと思うのでございます。
  8. 奧原日出男

    奧原政委員 お答え申し上げます前に、先ほど私の説明でやや言葉を足さなければならない点を気づきましたので、補足して申し上げます。銃手に対しまする退職手当と申しまするものは、これは単に廃航して陸へ上りまするそういうグループの船のみならず、その他のすべての船に対しても交付をされるのでございまして、その点やや言葉を補っておく次第でございます。  さてそこで、ただいま代船を建造いたしまする者と、単に船の改造ということだけでいきまする者と、また陸に上ってしまいます者との間にバランスを失しておるのではないか、こういう御質問があったのでございますが、陸に上ります者に対しましては、船の残存価格は、これはとにかくまるまる交付金として渡されるのでございまして、われわれとしても陸に上ることを少しも希望はいたしておりません。あくまでも漁業者漁業をして生きていくということに進めたいのでございますが、しかしあの沿岸漁場経営漁業経営以外に農業その他の賃労働等にも従事をいたしておるのがその生活のささえであるのでありまして、中にはこの際その他の漁業以外の事業に進出したいという希望の者が出てきますものに対する道をあける意味におきまして、それらに対する対策をとにかく一応講じた次第であります。  そこで代船を建造する者と機関換装して参りまする者との間の比較の問題でございますが、代船建造で参ります者に対しましては、船舶建造費が大体九百万円でございまして、国から出ます金が、廃船交付金及び建造補助金合せまして三百五十八万円、かように相なるかと思うのであります。公庫融資が六割つく次第でありますので、釣払い等考えれば、金融ベースにさえ乗れば、どうにか船を作ってモウカザメ等漁業に進出することができるのではないか、かように思うのであります。それから機関換装によって参りまする者に関しましては、大体換装費が四百三十五万円見当かかるかと思うのでございまして、これに対しまして改造補助金が二百十七万五千円、なおそのほかに漁具が六十万円、合せまして二百七十七万五千円、船の関係だけではただいま申し上げましたように二百十七万五千円の金が出る次第でございます。そこら辺を比較いたしてみますると、とにかくAグループ負担が多いだけに国の補助金も高い、Bグループ助成率を高くいたしましても代船を作るグループに比べればやや低い、こういうところあたりで大体この両者の間のバランスがとれておるのではないだろうか、かように考えるのでございます。
  9. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの御説明によりますと、代船建造の場合大体九百万円かかる、そのうち国から交付する金が三百五十八万円ということでございますが、この三百五十八万円の中には漁具補助のものが入っていないのでございますか。換装の方には六十万円とはっきり言っておられるのでありますが、代船建造の場合それに言及されなかったのでありますが、その点はどうなっておりますか。
  10. 奧原日出男

    奧原政委員 代船を建造いたします場合におきましては漁具補助金は計上いたしておりません。その点につきましては、船舶建造に関連してある程度手厚くいっておるので、まずまずこの辺でバランスがとれ得るのではないか、こういう考え方のもとに、漁具補助金は、これについては目下は引き当てておらない次第でございます。
  11. 田口長治郎

    田口委員 この問題は先ほど申しましたように、イルカ漁業者自体海上オットセイを捕獲したい、こういうことであったのでございますが、国と国との関係で捕獲することができない。そのかわりにこの補償料といいますか何といいますか、一五%程度のものを日本にやろうということで、おそらくこの金が三十億程度になると思うのでございますが、加工賃その他を引きましても十五億か十七億程度は、国がアメリカ、カナダ及びソ連から収入をする、こういうことで、そのわずか三分の一程度の金を出して、そうして条約違反をやらないように処置をしようということでございますから、とにかく完全に転業させることが最も必要なことであると思うのでございます。イルカ漁業者生活から申しますと、皆さん方も御承知通り、余裕のある人は、ほかの漁業をやっておるような人に一部おりますけれども、大部分の人は自己資金はほとんど持たないような人ばかりでございまして、そういう連中を国の立場においてどうしてもこういう方向にしなければならないという場合に、転換に必要であるところの漁具補助を出さないということは、私どもといたしましては想像もつかないことでございます。これらの漁業者漁具購入費の六十万円を何とかしろと言ってみたところで、これはできない人ばかり――と言うことは過ぎるかもしれぬけれども、大多数の人はそういうような準備のできない人である。その準備のできない人に船だけを作らして、そして漁具は何とかめいめいやれ、しかもその理由はほかとのバランス上こうなったのだ、こういうことではとうていお話になりませんし、私どもといたしましては、何をさておいても国が十五、六億の収入があり、そのうちの三分の一使って完全に転業させようということでございますから、転業に必要であるところの漁具はこの換装その他とのバランスなんかよりも、転業させることが最も必要でございますから、この代船建造をやる人には漁具補助をやらないということは、実におかしなことと思うのでございますが、役所としてはさようなお感じを持たれませんか。これはほかの委員も同様な気持がすると思うのでございますが、その点はどうなんでございますか。
  12. 奧原日出男

    奧原政委員 イルカ漁業転換対策自身が、先ほども申し上げましたように、周囲の情勢に実際的に適合していきまするために、いろいろ紆余曲折があったのでございまして、ただいま御指摘のありました代船建造に対しまする漁具補助が計上されてないことも、実はいろいろな過程を経まして、とにかくこの辺で代船を建造いたします者と、あるいは機関換装のみで済まします者との間の負担バランスというものを一応とってみたのでございます。ただ実際問題といたしまして、片一方はえなわの漁具購入する。それに対して補助が出る。片一方漁船自身については、ただいま申し上げましたようないろいろな配慮はされておりますが、はえなわ漁具購入することは同様でありながら補助が出ない。そこら辺にいろいろな問題の余地もあろうか、実はかように存じておりまして、今事務当局内部におきましても、この問題を慎重に検討さしていただいておる次第でございます。
  13. 田口長治郎

    田口委員 廃業する人、機関換装する人、あるいは代船建造をする人、これでみんなが好きなものを取れ、こういうことをやった場合、私の承知しておるところによりますと、八%がやはり代船を建造して、そして転業をいたしたい、こういうような意向のようでございますが、もしかようなことをされると、ごく一部分の二〇%のために、八〇%の人が非常に困る、こういうことになるのでありまして、一そう当りは六十万円といたしましても、イルカ漁業者で、転換する大部分漁業者がこれで困る、こういうような結果になると思うのでございます。今長官説明によりますと、いろいろな点もあるので、事務的にも折衝しておる、こういうようなお話でございますが、どうしてこれがそういうように本筋からそれたのであるかということを、私も今この場所で考えてみたのでございますが、廃業する人を優遇する、こういうようなことで、非常に案がよくなった。この案は、大蔵省で大いに協力された。一方において非常に協力していただいたから、少し何か譲らなければならないのじゃないだろうかということで、さように重大視しないでこの問題がへこんだ、こういうようなことではないかと思うのでございますが、これはイルカ漁業者生活状態からいいまして、漁具自分らでやれ、こういうことを言われても、船はできてもその準備ができないのでございまして、漁業転換問題といたしましては、この問題はきわめて重大でございます。ちょうど高木さんもここにおられますし、ガラス張りで希望をとりますと、新しい船を作って転換しよう、こういうような人が八〇%からあるのでありますから、この一点だけは水産庁大蔵省と御折衝を下さいまして――バランスだとか何だとかいうことは別問題でありまして、要は完全に転向させる。しかも国としては五億をこの方に充てておる。五億の範囲内であれば、できるだけ円満なる転向をやらせなければならぬ。こういうような気持で、この問題はぜひ後退しないような方法をとっていただきたい、かように考えるのでございますが、この点につきまして、先ほど水産庁長官の話は聞きましたが、大蔵当局として、高木主計官にはぜひそういうふうにお願いしたいと思うのでございますが、お考えいかがですか、お尋ねいたしたいと思います。
  14. 高木文雄

    高木説明員 ただいまの点につきましては、予算の計算の基礎としては、おっしゃいますように、また水産庁長官から御説明がございました通り漁具は計上されておりませんが、その後私どももこの予算の実行がどういうふうに進みますか、ただいま補正予算が成立したばかりでございますので、その後詳しくは事情を伺っておりませんが、ただ、このモウカザメ漁業転換する人に対して、漁具補助を出したらどうだろうかということについて、数日前から水産庁からお話を承わっておりまして、長官が今答えられましたように、まさに研究をしている最中でございます。おっしゃいます通りモウカザメ漁業への転換を促進することは、私どもも望ましいことだと考えておりますが、しかし同時に、バランスは全然考えなくてもいいかという点については、やはり国の締結した条約内によって、今日まで生業を失う人が相当あるわけでございますから、バランスを無視するわけにも参らないのではないか。その辺かれこれ考えて、なおもう一度よく研究させていただきたいと考えております。
  15. 田口長治郎

    田口委員 どうも水産庁大蔵省も、バランスの問題を頭に置いておられるようでございますが、私どもといたしましては、バランスということが全然わからないのでございまして、エンジン換装にいたしましても、あるいは新船の建造にいたしましても、要は、とにかく完全に全部を転向させるということが基本でなければいかない。どっかバランスを失するというような議論で、それが中途半端になって転業ができない、こういうようなことになると一体どうなりますか。バランスの問題でなしに、これはどうしても、方法は別として、全部を転業させる。しかも、予算は一応五億円とめどをしているのでございまして、五億以上を高木さんの方にお願いするということは、これは私らも考えなければいかないが、この五億の範囲内であれば、バランスの問題よりも、とにかくみなを完全に転業させてしまわなければならぬ。このことを妨げるようなバランス論というものは、どうしても私らとしては想像ができないのでございます。何かバランスをお考えになって、バランスがとれれば、転業は、一部分どころでなく、その八〇%がうまくいかぬでも仕方がないというふうに、結果としてはとれるわけですが、私どもは五億の以内において全部を、形は換装にせよあるいは代船建造にせよ、完全に転業させるという、この線を打ち出してもらわなければ、この問題としては非常に困ると思うのでございますが、もう一回水産庁長官高木主計官から、そこの考え方バランスをとるために転業に支障を来たす、こういう結果になると思うのですが、そういうふうにはお考えになっておらないと思いますから、その点についてもう一回御答弁願いたいと思います。
  16. 高木文雄

    高木説明員 私の方で試算いたしましたところでは、今度の案ではかなりいわば芸がこまかくなっておりまして、いろいろな種類の場合を予定して計算をしたわけでございますが、船を改装するだけで転換ができるという場合、そして船の大きさは全部同じ大きさ、評価額も同じ、――これは実際には個別に違って参りましょうが、同じくらいの古さの船ということで考えてみますと、いろいろな場合のうちで、今の船を一ぱい処分をして一ぱい新しい船を作ってモウカザメ漁業転換するという形に対する助成程度がほかの場合に比べては一番多くなっております。そこでなおいろいろと補助額でなくて、負担額の方から見てどういうバランスになっているだろうかということももちろん考えなければなりません。そこで私どもの今までの考え方としましては、三十トン以下の漁船の所有者が三十トン以上の船に切りかえて、そうして新たにモウカザメ漁業転換する場合の助成額が一隻当り大体三百七十万円くらいになります。それに対して改装の場合は二百九十万円ぐらい、これも改装の程度によっていろいろ違いますが、そのくらいになります。廃業する方に対しての額は二百二十万円くらいになります。それで新しく船を作られて転換される方に対する助成額が一番多くなっておりますので、相互の関係がこれくらいならちょうどいいんじゃないかと考えたわけでありますけれども、今おっしゃいますように、それでは転換がうまく進まないというふうなことでは目的を達しないことになりますので、その点はなお自己負担額の面から見てどういうことになるだろうかということを、今研究をいたしておるのでございまして、その結果によって――現在の段階ではいずれとも御返事いたしかねますが、予算範囲内においてもっと効果的なように考えたらいいじゃないかということについては、まさにその通りでございまして、研究さしていただいて、結果によってはそういうこともあるいはできるかもしらぬというふうに考えておりますが、いろいろな形の転換のうちにどこにどのくらい――全体の規模は百七十隻見当とわかっておるようでございますが、個別の問題がまだつかめておりませんので、現在の段階ではその範囲内でうまく、おっしゃるようにできるかどうかわかりませんので、ここではちょっとそういうふうにいたしますというところまでは申し上げかねる次第でございます。
  17. 奧原日出男

    奧原政委員 もちろん均衡論に関しましては、転換する者相互の問題のみならず、イルカ漁業者とその他の漁業者との問題等、いろいろな問題に関して十分研究をいたさなければならない、かように存ずるのでございます。しかし問題は、ただいまお話がありましたように、補助金バランスの問題と、もう一つは自己負担分のバランスの問題、さらに国庫融資がそれにつきました場合の自己負担分のバランスの問題、いろいろな問題をあわせて考えなければ、単に補助金の階段だけでは簡単に結論を出してはいけない、かように考えております。ただいまできる限り、せっかくのイルカ漁業転換の目的を遂げなければならないのでございまして、そういう意味におきまして、この六十万円の漁具補助の加わるのといなとが、どういう深い影響をこの転換方策自身に与えていくかというふうな問題をもあわせて見通しまして、大蔵省との間にも話し合いをいたしておる最中でございますので、その話し合いの結論を御報告できる日の早からんことを希望いたしておる次第でございます。
  18. 田口長治郎

    田口委員 高木さんにも水産庁長官にもこれ以上突っ込んだ質問はいたしませんが、どうもさっきのバランス論というのは国から出る金を比較されたバランスの問題と思うのでございますが、非常にたくさんいっておるという三百五十八万円もらって新造船をやる人も、あとまた自己資金として五百四十二万円借金しなければ実際やれないわけなんです。それから割合に国の補助が薄いとお考えエンジン換装その他の人で四百三十五万円。二百七十七万円もらうとすればこっちは百五十八万円で一応仕事ができる、こういうことで、国からいただく金のバランスもですけれども、これだけもらってなお仕事をするのには自己資金としてこれだけは借金となると思うのでございますが、これだけの借金をしなければできないことになるのでございますから、この方のバランスも一つよくお考え下さいまして、先ほどから申し上げますようにガラス張りで、どの形のものをとるかということを選ばせますと、業者の八〇%がその漁具補助のない代船建造でいかなければならぬという気持でおるのでありますから、もうこれ以上私はこの問題については申し上げませんけれども漁具補助がなければ非常に困る問題だということだけは一つ御認識下さいまして御研究願いたいと思うのでございます。  第二の問題といたしまして、これは水産庁長官にお願いしておきたいと思うのでございますけれども漁業の失敗というものは、いつも間に合せの設備でやった場合必ず失敗をしているのでございます。借金をしたくないという考え方から、古い船を買ってきて改装するとか、あるいはエンジンを換装して仕事を始めるとか、こういうような人もあると思うのでございますが、これは強制はできないことでございますけれども、装備だけは十分な装備でスタートさせることが業者を失敗させない唯一の方法だと思うのでございます。この古船あるいはエンジン換装等で――この場合に船齢だとかなんとかは十分御研究になるとは思いますけれども、持っておる船を改装してやろうというふうな間に合せの行き方では、それが失敗のもとになりますから、設備についてはできるだけ充実した設備でやるという指導をぜひやっていただきたいと思うのでございます。  第三の問題といたしましては、これだけの補助金交付金があるにいたしましても、おそらく新造船が九百万円というふうなことになりますと五億近くの融資を必要とすると思うのでございます。今まで私どもが知るところによりますと、新しく船を作る人が自己資金としていつも持っておるのは二割程度でございまして、このイルカ漁業転換業者への国からの交付金補助金を見てみますと、四割五分程度自己資金を持っておる、こういうことになるのでございますから、四割五分程度自己資金を持ってそうして建造資金を借りるという例は公庫においても割合少いと私は思うのでございます。従って公庫融資というものでこれほど有利な融資は私はないと思うのでござ  いますが、この点についてはおそらく公庫の総裁にいたしましても、あるいは部長にいたしましても、よくその数字的な関係はおわかりと思うのでございますから、水産庁で一押し押していただきますれば、ほとんど全部の新造船に融資が必ずできる、こういうことを確信しておりますから、一つ長官自身が乗り出してこの問題をすみやかに処置していただきますように、この席を借りまして特に要望して私の質問を終る次第でございます。
  19. 奧原日出男

    奧原政委員 漁船転換に関しましては、御承知のごとくさきに底びきの関係転換については整然と、とにかく一応目的を遂げたのでございまして、イルカの漁業転換につきましても、われわれは転換の実績のある成果をあげて参りたい、かように考えておるのでございます。そういう意味におきまして、ただいまいろいろお話のございました諸点につきましては、十分拝聴いたしましてわれわれも努力いたしたい、かように考えております。
  20. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際お諮りいたしますが、小委員外の農林水産委員の発言につきましては、適宜委員長において許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めましてさよう決定いたします。赤路友藏君。
  22. 赤路友藏

    赤路友藏君 ただいままでの田口委員の質問に対して、高木主計官長官からいろいろ説明があったわけでございますが、田口委員が言っているように、バランス論が非常に中心になっておる。犠牲者である人たちとの間のバランスということ、これは一応考えの中に入れなければならぬと思います。しかしたとえば廃業する人と、これからなお継続して転換してやるという人とのバランスは考えなくたっていいじゃないか。廃業する人は、廃業ということによって権利放棄しておるのだというふうに解釈ができると思う。もう一つの他の漁業転換の場合とのバランス論は、今回の場合は性格が違っておりますから、考えの中に入れる必要はないのではなかろうか。たとえばまき網の転換であるとか、あるいは沿岸の転換であるとか、底びきの転換であるとか、いろいろ今までやってこられた、それとこれとはおのずから成り立ちが違っておるということ、これは政府の責任において条約をかわしてきている、そうして何といいますか、行政的に条約を守るために転換をせしめておるのですから、しかもその間条約を取りかわした各国からは、それに対する報償といいますか、別な形で金額に換算して大体十七億程度のものが入ってくるのですから、おのずから他の転換漁種とは違っておる。従ってそれとのバランスというものはこの際考える必要はないのじゃないか、こういうふうに割り切っていきますと、バランス論の解決が大体つくのじゃないか、こう私は考えます。先ほど来高木さんの方からも、長官の方からも六十万の漁具補助のことについてはなお検討したいということでありますから、十分そういうような考え方もあるという上に立って一つ御検討を願いたいと思います。  それから自己資金という点が出ましたが、これは長い間今まで相当苦労してやられたと思いますが、あまり自己資金関係を大きくウエートを持せますと、転換が不可能になってくる、ここが非常にむずかしいところだと思う。先ほど来話を聞いておりますと、金融ースに乗らなければ転換できないという結果になるのかと思います。もちろんこれは公庫金融なのでありますが、金融ベースに乗ることはいろいろの考え方があると思う。もちろん公庫の方で融資をする場合、せっかく融資をして仕事をやる、その過程で償還金はどんどん間違いなしに入ってくる。それがまた回転されていって水産全体に非常に大きな効果を残していくということは当然のことだと思うので、ただそこで考えなければならぬことは、大体農林漁業金融公庫融資の相手になるわけなんですが、農林漁業金融公庫というものの性格というものを、この際やはり考慮の中に入れなければならぬと思う。無制限に何でもかんでもむちゃくちゃに出すということではない。しかしながら一般の金融ベースという感覚でやったのでは、農林漁業金融公庫というものを今日作っておる意味はないわけです。それなら市中銀行にまかしておけばよい、農林漁業金融公庫というものをあえて特別機関として作ったということは、これはいささか危険があっても行政上やらなければならぬというので作っておると私は考える。ただ金融の当事者としましては、そういう理論的なものはわかったとしましても、事実上不良貸付をするということになりますと、これはやはり責任上の問題になります。不良貸付はできるだけ回避していかなければならぬ、その点わかるわけなんです。しかしそれじゃ今度のイルカの場合これが一体不良貸付なのか、不良貸付でないのかということになりますと、これはいろいろ見方によって、考え方によって違いが出てくると思う。転換して、そうして初めて操業をやって、漁獲が上ってそれで回転していくのですから、漁獲があるかないかということは、今から推定して言うことはできないわけです。これは過去におけるいろいろな実績等々を見た上で、大体この程度でいけるという推定にしかすぎぬと私は思う。公庫がおやりになっても、水産庁がおやりになっても、あるいは大蔵省がいかなるデータをもってやられてみても、あくまでもこれは推定であって、実績ではないわけです。いかぬと思っておっても、海流の関係なり、あるいは水温の関係なり等によって案外どんと漁獲があるかもしれない。大丈夫だと思っておっても、それらの条件の変化によって悪いときがあるかもしれない。それを最悪の場合のみを考えてやるということでは、これは一般の市中銀行のやり方と何ら変りはないのであって、特別に金融機関として作った限りにおいては、しかもその作られた本質論からいきますと、危険はあっても、なおかつ行政上の措置として当然これにマッチせしめてやっていくという形がとられなければならぬと思う。ここが私は非常にむずかしい点だと思います。このことは、長官にどうせいと言ったってこれは無理な話なのだが、大体主計官公庫の人からこの点についての説明を願いたいと思うのだが、きょう公庫は来ておりませんか。
  23. 鈴木善幸

    鈴木委員長 公庫は来ておりませんが、農林経済局の小林金融課長が見えております。
  24. 赤路友藏

    赤路友藏君 それでは課長から伺います。
  25. 鈴木善幸

    鈴木委員長 今高木主計官もお見えになりました。
  26. 小林誠一

    ○小林説明員 先ほど赤路さんが申されましたことはまことにもっともでございまして、公庫法第一条にも「農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするもの」、そういう意味におきまして、通常の金融ベースから一段下ったべース公庫がやるのがその使命であると私たち考えその線でこれまでも仕事をやっておったと思いますし、今後もその方針仕事を進めるもの、かように存じております。確かにこの問題につきまして、漁獲があるかどうかということにつきましては、これは将来のことに属するのでありまして、従いまして、そういう場合につきましては、なかなか通常の一般の市中の金融には乗りがたいということになろうかと思います。公庫がこの問題につきまして融資をするということで目下検討をいたしておるわけでございまして、この件につきましては、行政指導なり、あるいはその他適当な措置を加えることによりまして、漁獲を上げ、先ほど申されましたように、償還の遅滞が起らないというめどがつきますれば、公庫は喜んで貸すものと考えております。
  27. 赤路友藏

    赤路友藏君 今課長の方から御説明があったわけですが、実際上の問題として、この問題はもう去年から相当長くごたごたしている問題であります。公庫の方でもこれは慎重にやっておるようです。ただ、私が先ほど来言うように、農林漁業金融公庫の性格というものは一点違っておるのだ。普通の市中銀行とは違いがあるのだ。それは単に長期、低利の資金を貸すのだということだけでなくして、本質的に違ったものを持っておる、私はこういう前提の上に立っておる。それから今一番公庫が心配しますのは、結論を言えば、融資したが、それが返せるか返せぬかということです。率直に言えば、どうも金を出しても返せそうにないということを公庫は言っておるわけなのです。そこで問題になるのは、それでは公庫は担保も何も取らないで貸すのかということなんだ。無担保で貸すのならそれはいい。そういう心配もある。担保は取るのですから、今までの話の中にありますように、たとえば船は代船建造をすると九百万円ですね。五百四十万円融資するわけでしょう。船は当然担保になる。九百万円で作ったものを五百四十万円貸して、それを担保に取るわけです。もちろんこれは船齢等の関係もありましょう。これは七年も八年もたてば五百四十万円の価値はないでしょう。それまで一銭も入れないでいれば、公庫がそのままほっておくかということです。今までのケースからいってもそんなばかなことはない。もうちょっと延滞してくるとやかましいことですよ。処分をしたものも相当あるはずです。そうすると、九百万円で作った船が、船齢からいって、たとえば二年たってこれをさばくというた場合、大きな穴があくことなしにできるんじゃないか、私はそう考える。そうすると、今一度のイルカ転換のあり方、本質的な面から考えていった場合は、やや不安があってもこの際は貸すべきだ、そういう方向に持っていかなければいけないんじゃないか。そこで高木さんもお見えになりましたからお尋ねしますが、公庫が一番心配になるのは、私が今言ったこと、しかもこれがかりに償還がうまく計画通りにいかなかった、会計検査院が来て、これは何だ、不良貸し出しじゃないか、こういってやられるのが公庫としては一番いやなんですよ。これが一番痛い。私は率直に言って、心配の点はこの一点しかないと思う。そこをどう踏み切るかということです。再度くどいようですが、言いますと、今度の転換は従来の漁業転換とは本質的に違ったものを持っているということを前提に考えてもらわなければならぬと思う。これは確かに違うんです。そこで、そういう前提の上に立って水産庁大蔵省公庫が話し合えば、線が出てこないなんてばかなことはないと私は思うのです。当然出てくるべきだと思う。その踏み切り方いかんに一切かかる、こういうふうに私は考えているわけです。非常にむずかしい問題です。むずかしい問題ではあるが、とにかく普通の転換業種とは違っているということで、ここらの線を一つ十分検討をしていただきたいと思う。なお個々の面について検討をされるということです。ところが検討々々といってもう一年以上も検討しているんですがね。検討検討で日が暮れたんではその間何をやっているのか。手を上げちゃう。これは補助金も何もやっていないんですからね。業者の方で相当急いでおるということも事実でありましょう。だから、できるだけ早く転換さすために、ここで一つ三者の間でもう一度じっくり話し合ってもらう。それが他との比較とかなんとかいうこと――その犠牲を受ける者の間のバランスということは、これは同じように犠牲を受けるのだから、その中のバランスということは私は考えてしかるべきだと思う。犠牲を受ける者同士の中のバランスは片方がべらぼうによくて片方が悪いということになると、同じ犠牲を受けながら、これはどうも割り切れぬものがありますから、それはいいと思う。ただ、先ほども言いましたように、廃業するというのは、これはいわば権利放棄ですから、権利放棄という考えの上に立てば、これとのバランスというものは考えなくていいということになる。だから改装と今の建造とこの間のバランスになる。私はそういう形でものを一つ一つ割り切っていけば案外むずかしくなく線が出るのじゃないかと思う。長官主計官に御意見があればこの際承わっておきたいと思います。希望とも質問ともつかぬことを言いましたが、できれば御意見を承わらせていただいた方がけっこうだと思う。
  28. 奧原日出男

    奧原政委員 水産庁といたしましては、イルカ漁業転換ということを効果のある成果を上げて参りたい、こういう観点から大蔵省の方にもまた金融機関の方にもそれぞれ話を進めておるのでございます。いずれの方面においても、もちろん若干まだ話が残っておるのは、それぞれの立場上やむを得ないのでございますが、転換の本旨というものに対しては十分な理解をいただいておる、かように考えておりまするので、まだ残っておる問題はできるだけ早く結論を出すように努力をいたしたい、かように考えておるのでございます。  なお、自己資金にあまりウエートを持たすな、こういう御意見がございましたが、後ほど数字をあるいは資料等で申し上げてもよろしゅうございますが、本件は、純然たる自己資金というものの負担は、他のあらゆる場合に比べて非常に軽く相なっております。その点で非常な支障があるということはない、かように考えております。ただ先ほどの漁具補助問題等の若干残っている問題はありますけれども、とりあえず御返事を申し上げておきます。
  29. 高木文雄

    高木説明員 公庫融資については、申すまでもなく公庫は独自の責任で融資をされるわけでございますので、ただいま御指摘のように、一つ思い切ってやれと言われましても、私どもから公庫の方に思い切ってやれというわけにも参らないのでございますけれども、まさに御指摘通りの特殊のものでございますから、そういった気分で仕事を進めて参りたいというふうに考えております。
  30. 鈴木善幸

  31. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 イルカ転換の問題については大体二つにしぼられたようであります。いわゆる補助金交付の場合のバランスの問題と、金融ースに乗るか乗らないかというようなことで相当に意見もあったようでございます。そこで、金融ースに乗るということは結局その漁業が成り立って利益があるかどうかというのが大体の考え方でございます。そこでイルカ漁業転換についてはモウカザメの釣漁業転換させる、こういうことになっておるようでございますが、モウカザメ漁期というのは一体いつごろかということと、それからモウカザメの釣漁具とマグロの釣漁具とはほとんど同じでございますが、そういう点から私はモウカザメの釣漁業のみならず、その漁具を利用し、漁船を利用して、マグロ釣漁業もやらしたならば採算ベースに乗っていくのじゃないかと思いますが、モウカザメ漁具だけで、モウカザメ以外はとらせないということで進むのかどうかという、この一点をまずお伺いいたします。
  32. 奧原日出男

    奧原政委員 イルカ漁業漁期はもちろん年によって若干のズレはございましょうが、大体一月から五月と考えております。そこでモウカザメ転換させるのでございますが、モウカザメ漁業は当然同時にマグロを混獲するのでございます。私も一昨年でございましたか、東北を旅行いたしまして、モウカザメ漁業者に対してマグロの混獲を大っぴらに認めてもらえぬかという陳情を受けたのでございますが、幸いにいたしまして、目下四十トン未満の漁船につきましては、マグロの漁獲は自由に相なっているのでございます。それはその後規則を改正いたしまして、小さな漁船経営上むしろそういう弾力性を持たした方が適当だという観点に立ってそういうことにいたしたのでございます。従って当然合法的にマグロも十分混獲し得る、かように考えております。
  33. 川村善八郎

    ○川村(善)小委員 この転換漁業の名前をモウカザメ漁業と言うから、モウカザメでは採算ベースに乗らないと言う金融機関が出る。長官の御答弁のように、モウカザメ並びにマグロ釣漁業の混獲をさせるのだという線を打ち出すと、これははっきりして、農林漁業金融公庫でも理解できるはずです。それからさらにもう一歩進んでサンマ棒受網漁業等も併用させるということになりますと、これもまたつけ加えて、いわゆる採算ベースに乗るということにも相なりますから、あまり名前を制限して、――モウカザメ漁業に重点を置かれることはもちろんわかりますけれども、そういう名前をあまり強く出しますと、間違った考えも起りますので、私が要望しますのは今幸い四十トン未満の漁船はマグロをとってもいいということに改正になったそうでございますから、その名前もモウカザメ漁業にカッコしてもよろしゅうございますから、いわゆるマグロも混獲することが合法的にできるのだ、それからさらにもう一歩進んでサンマの棒受網漁業もやれるのだというような転換の導算をすれば、転換漁業者も喜びますし、また金融公庫等でも認識して、金融ベースに乗せることができると思いますから、そういう線を打ち出して、長官農林漁業金融公庫に御折衝されることを望みまして、質問を終る次第でございます。
  34. 奧原日出男

    奧原政委員 これからモウカザメという言葉をやめまして、はえなわ漁業ということに名前を変えることにいたしたい、かように存じます。当然その季節によりまして、サンマ及びカジキマグロの突棒及びはえなわ、この三つは組み合わされた一つの経営体として、その収支を総合的に考えなければならないと考えております。
  35. 鈴木善幸

    鈴木委員長 イルカ漁業転換の問題につきましての調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  36. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に、高木主計官がせっかくおいででございますので、中小漁業信用基金制度の問題につきまして赤路友藏君から質問がございます。赤路友藏君。
  37. 赤路友藏

    赤路友藏君 高木主計官にはたびたび来ていただけないので、この際主計官にお尋ねしておきたいと思いますが、中小企業融資保証法に基く漁業信用基金の問題でありますが、これは当初発足いたしました場合、金利が非常に高くつくというので問題になったわけですが、当時の考え方といたしましては、中小零細漁業者の諸君が問屋であるとか、あるいは高利貸しというような、非常に高利な金を借りてやっておる、これを何とかして打ち切ろう、少し金利は高くなってもこの際はそれらのものを打ち切るということをまず第一段階にして、漸次金利引き下げを考えていこうじゃないか、こういうことでこれが出発したわけであります。その後なかなか金利が下らないわけなんです。依然として末端の方の金利は、日歩に計算いたしまして安いところで三銭四厘から五厘程度についておるのではないかと思います。今度御承知通り政府提案で農林水産委員会の方に酪農振興基金法が出ておりますが、この酪農振興基金法の説明を聞き、その後いろいろの質問の過程でこれの金利がやや明確になって参りましたが、大体二銭六、七厘、そういたしますと相当大幅な差ができてくるわけです。それから中小企業金融公庫の方の保証面から参りましても、これらの点では相当差があるように思うわけであります。何とかこの際この金利を引き下げる方法はなかろうかというのでいろいろ調査をいたして参りましたが、まだことしの決算は三月一ぱいですから出て参りませんが、大体本年度は相当持ち直っておるようでありまして、黒字が九百五、六十万出るのではないかというような予想が立てられてきておる。しかも運営が当初からいたしますと、現在に至ってかなり軌道に乗ってきているようでもあるので、この際思い切ってやはり金利の引き下げということを考えるべきでないか、こういうふうに思いますが、主計官の方でどういうふうな構想を持っておるかお聞かせ願いたい。
  38. 高木文雄

    高木説明員 中小漁業融資保証制度につきましては、たまたま私その制度を昭和二十八年度に作りました当時にも関与いたしておったのでございますが、そのときには中小企業の融資保証制度と大体同じくらいの金利でいこう、とにかく発足してみよう、何しろ漁業は水ものでどういうことになるかなかなかむずかしいということで、よくわかりませんでしたけれども、とにかく中小企業と同じくらいに合せていこうじゃないかということでスタートしたわけでございます。その後中小企業の方の対策が進みました関係等もあり、中小企業保証制度は発足当初におきましては非常に成績がよろしいといいますか、会計が黒字になって参りましたこともございまして、漸次保証業率を下げまして、ものによって若干違いますが、現在では二分見当にしております。その際に農林省から漁業についてもこれを下げたいというお話をしばしば承わったのでございましたが、不幸にしてこちらの制度につきましては、発足直後に一部の府県ではございましたが、かなりの赤字を出しまして特別会計の方の基金も漸次減少して参り、一時は非常に心配した状態で基金を一億ふやさなければならぬということでふやしたというような事情にございましたので、保証料の問題につきましても、どうも事故率がはっきりいたさないために今動かすわけにも参らぬということで見送っておったわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、近来は非常に健全な運営という状況で、黒字にと申しますか、過去の赤字を埋め得るような状態になって参っております。そこで本年度の予算の際におきましても、水産庁からはこの従来の方針といいますか、健全化してきたら考えようということに従って、そろそろ三分を下げたらどうかという御要求がございましたのですが、とにかく会計年度末まで見まして、そうしてもとの基金の六億の赤字で減っております分が埋められましたならば、そういう問題を一つ検討してみようじゃないかという話し合いになっております。つい最近も伺いますところでは、その後予定通り関係者の御努力によりまして、回収等の成績も上り、ほとんど基金は六億に復元するような状態になっておりますそうでございますので、各特別会計なり各保証協会なりの決算の様子を見まして、それがわかり次第この問題を取り上げていきたい。そうして今後もう少し保証料率を下げても十分間違いなくやっていかれるという見通しが得られましたならば、来年度の四月からというわけには参りませんが、研究の材料がそろい次第研究をいたしまして、なるべく早い機会にそういう方向考えたいというふうに思っております。
  39. 赤路友藏

    赤路友藏君 高木さん当初これに関係されたということでありますので、非常に幸いだと思うのですが、従ってこの法律のできたいきさつなり、その後の過程は十分御注視願っておったと思うのです。今の御答弁によりますと、健全になってきたが、なお決算を見た上で大丈夫だと見た場合はそういうふうにやろうということなのですが、大体今までの――もちろん正確な決算表がぴしゃっと出てこなければこまかい面まで出ないのですが、現在までの運営の状況で大体の推算というものはすでにできておるのです。もう三月もあと余日ないのですから、間違ったものがぽんと飛び出してくるとは私は考えないわけなのです。確かに中小企業の保証の方と違いまして、この漁業保証の方では当初相当悪かったということは認めざるを得ない。しかし今日の段階では完全に繰り入れるべきものは繰り入れてしまって、そういう不良な状態がなくなって黒字の状態になってきておる。この際ここで踏み切ってそういう措置をとってもらうことが、私はこの法律を作った本旨にも合うのじゃないか、こういうふうに考えるわけなのです。今の御答弁でいきますと、これはいつのことになるか見当がつかぬということになるわけなのです。そのままでいけば、三十二年度もこの三月で終った、三十二年度はまずよかったが、もう一年見てみようというようなことにもなりかねないと思うのですが、そこらの点はどうでしょう。
  40. 高木文雄

    高木説明員 私の答弁が下手であったかもわかりませんが、私の今申し上げられますことは、いずれにいたしましても決算の数字を見た上で検討いたし、上司にも相談した結果でないと申し上げかねますけれども、一年もかかるということではないのでございまして、四月一日からというのはちょっとごかんべん願いたいという程度で御了解願いたい。
  41. 赤路友藏

    赤路友藏君 まことにくどいようです、で、あるいは御答弁願えないかもしれぬと思いますが、この保証料率を当時中小企業とのバランスで三分でやったのですが、これを下げると言えますか。
  42. 高木文雄

    高木説明員 今考えておるのは下げる方向考える。何分に下げるということは申し上げかねますけれども、とにかく現行の三分よりは下げるということで研究中でございます。
  43. 赤路友藏

    赤路友藏君 これはあまりこういうところでは無理だと思うので、一つ下げるということで理解いたしましょう。それで、四月一日からは無理だ、しかし長くはならぬでしょう。二カ月もあればけっこうじゃないでしょうか。そのくらいのことはにおわせませんか。
  44. 高木文雄

    高木説明員 そのくらいの期間で研究の結論を出せると思います。
  45. 赤路友藏

    赤路友藏君 けっこうです。     ―――――――――――――
  46. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次にマグロの輸出振興に関する問題につきまして調査を進めます。質疑を行います。政府委員としては外務省から吉良経済局第三課長、通産省から安福事務官等がお見えになっております。田口長治郎君。
  47. 田口長治郎

    田口委員 この機会に、マグロ関係でロイン、ディスクの問題につきまして政府当局から御答弁を求めたいのでございます。根本問題といたしまして、日本から輸出するものは原料そのままで輸出するより多少でも加工度の高い品物を輸出しなければならぬ。そういう方向日本の輸出商品としてはどうしても将来考えていかなければならぬと考えておる次第でございますが、マグロにつきましてはカン詰の輸出商品があり、冷凍マグロの輸出があるわけでございます。このカン詰の輸出はけっこうでございますが、冷凍マグロラウンドを何とかある程度加工したロイン、ディスクの形で輸出ができるようになれば、いろいろな点におきまして非常に便利である。こういうふうに私は考えるのでございますが、この考え方はおそらく水産庁も外務省も通産省も同様のお考えでおられると思います。もしそうでないという御意見がございますれば、この際承わっておきたいと思います。
  48. 奧原日出男

    奧原政委員 ロイン、ディスクの輸出は非常に伸びて参っております。昭和三十二年におきまして約五千五百トン、三十一年が三千六百トン、三十年が七百トン、こういう数字を示しておるのでございます。ただわれわれはロイン、ディスクの輸出が伸びているということを必ずしも手放しにそのまま伸ばしていいというふうにはとうてい考え得ないのであります。今日アメリカの業界におきましては、日本のマグロの輸出に対しましていろいろな輸入阻止運動を展開いたしておるのでございます。この運動の一つは、南カ州のサンペドロを中心にいたします漁業者関係でございますが、また同時に、アメリカの業者も非常にデリケートな動きをいたしております。アメリカの業界は日本の業界とは異なりまして、必ずしも統制的な組織を持っておりませんので、それぞれの部分々々の利害からその立場に応じて反対の声となって現われてくる、こういう実情にあるのであります。そこでわれわれは、その総合されない部分々々の反対の声も十分頭の中に置きましてアメリカに対する輸出の規制を考慮しなければならない、かように考えるのであります。ロイン、ディスクの輸出が最近このように伸びて参りましたのは、むしろアメリカのマグロを従来原料といたしておりました。パッカー筋よりも、マグロの実績を持たないパッカーが、日本で加工されましたロイン、ディスク、しかもアメリカで加工するよりも安い原価で手に入ります日本からのロイン、ディスクをカン詰にいたしまして、新たにそれを国内の販売市場に出す、そういうことは今までのマグロをやっておりました大中のカン詰業者として自分たちの市場を撹乱されて忍びがたい、こういう声が非常に大きくなって参っておるのでございます。御承知のごとく、アメリカの日本に対するマグロの輸入阻止の運動がキング法案というようなものに結晶されまして、まさに議会において審議の議題に上っておる次第であります。一方におきまして、昨年の暮関税委員会におきまして、日本のマグロの輸入について公聴会が開かれたのであります。そこで、日本といたしましては日本マグロの需要者でありますパッカー連中がロイン、ディスクに対して一斉に反対の火ぶたを切っておる、こういう状況にかんがみまして、昨年の十月ロイン、ディスクの新規の契約をストップいたしまして、既契約の分だけアメリカに輸出いたしましたのがたしか千トン見当。そんなことで、アメリカに当時残っておりましたものが輸出されまして以来、現状におきましてはロイン、ディスクの輸出はストップしておる、こういう状況にあるのであります。昨年十二月の関税委員会の公聴会でもロイン、ディスクを取り扱っておりますカン詰業者の諸君は公聴会においてあまりにも反対の話が激しいので、とうとう発言を取りやめた、こういうふうな状況で、必ずしも関税委員会がやがて大統領に出されると予想されまする報告の内容について、ロイン、ディスクについてきわめて有利な内容のものが出るであろうとは予測いたしかねるのであります。そういう情勢でございますので、われわれといたしましてはロイン、ディスクの取扱いを今後どういうふうにしていくかということにつきましてはアメリカに対する冷凍の全体の輸出の政策の問題の一環といたしまして、どういうふうにこれを規制していくかということをよく研究をいたしたい、かように存じておるのでありますが、まずその全体的な一つの結論が出ますまでの間は、ロイン、ディスクをアメリカに輸出するということについては非常に慎重な態度をとって、これによって現在持ち上っております日本品排斥運動に油を注ぐようなことのないように注意を払いたい、かように考えておる次第でございます。
  49. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの話によりまして、キング法案が今国会にかかっておる、こういうようなお話でございますが、キング法案の内容はどういうもので、ロイン、ディスクに対してこの法案がどういうことで触れてくるのか、その点を一つ御説明願いたいと思います。
  50. 吉良秀通

    吉良説明員 お答えいたします。キング法案の内容を先に申し上げますと、これはカリフォルニア出身の民主党のキング下院議員が昨年の八月に下院の歳入委員会に付託した法案でございますが、マグロのカン詰とまるマグロの両方込みにいたしまして、アメリカ全体の輸入量を制限しようという法律であります。このキング法案に並びまして同工異曲の法律案がアット法案とかウィルソン法案とかトルプソン法案、マグナッソン法案と、並んで出ておるわけでございます。キング法案というのはその中の代表的なものであるということで、よく例に引かれるわけでありますが、マグナッソン法案なんかも内容的に見ますとキング法案に比べて日本にとってはさらにきびしい内容のものであります。今かりにこのキング法案というものを中心にいたしまして内容をかいつまんで御説明いたしますと、大体におきましてマグロの年間輸入量というものを、アメリカの過去五ヵ年の歴年の平均消費量というものを基準にいたしまして、その平均の消費量の三五%か、マグロ換算にいたしまして二億ポンド、トン数にいたしまして十万トン、そのどちらかの数字をとりまして、大きい方を年間の総輸入量とするという法案でございます。それが数量的な制限でございまして、そのほかにカン詰につきましては一律に三五%の税率をつける、それからカン詰以外のマグロ、つまり冷凍並びに問題になりまするロイン、ディスクなんかにつきましてはポンド当り六セントという税金を課することになります。ただし、税率につきましては若干エスカレーター式になっておりまして、最初の段階におきましては無税の段階がございまして、それから少しふえますと税率が高くなってくる、最後にはあるところをこしますとポンド当り六セントになる、そういうふうに段階式に税率を規定したものでございます。これはキング法案の骨子でございますが、マグナッソン法案がこれよりきびしいと申しましたのは数量的な制限も、キング法案では三五%ないし十万トンとなっておりますのを、マグナッソン法案では二五%ないし重量で七万五千トン、こういうふうにきびしくなってくるわけでございまして、税率も、カン詰につきましてキング法案で三五%一律になっておりますのを、マグナッソン法案では税率は一律に四五%というようなことになっております。そういうふうな点でマグナッソンの方はきびしいわけでございますが、こういうようなものがキング法案ないしはマグナッソン法案の骨子でございます。  そこで、これがどういうふうにロイン、ディスクの輸入の影響があるのかということになりますと、これはカン詰とマグロと全部ひっくるめてまるマグロ換算のトン数について言っているわけでございますが、要するにこれらの法案の大体のバック・グラウンドになっておりますのはカリフォルニアのパッカーでございまして、すでに御承知だと思いますが、米国のマグロのカン詰業の大部分は主として南カリフォルニアのロスアンゼルスかサンディエゴの方に集まっておるわけでございます。有名なキャンプ、ウエストゲート、スターキイストのいわゆる三大パッカーその他群小のパッカーは、すべてロスアンゼルス、サンディエゴあたりにおるわけでございますが、このキング法案の背景になっておりますのはこういうふうにカリフォルニアのパッカーであります。これらが推進して日本のマグロの輸入を制限しよう――この法案の中をさらに検討していきますと、比較的に冷凍マグロの輸入には寛大で、これは原料でございますが寛大で、ただカン詰の方は少しきびしくなっているというような点もあるのでございます。ロイン、ディスクという問題になって参りますと、従来日本の方ではこの商品は新製品でございまして、まるマグロに比べますと外貨手取りもいい、加工された製品で外貨手取りもいいというようなこともありまして、輸出を伸ばす上に試験的に同情的に見てきたわけでございますが、もともとロイン、ディスクの日本からの輸入につきましてはカリフォルニアのパッカー連中ないしは漁業者連中が敵視しておりました関係もありまして、日本側どしては水産庁、通産省の行政指導もございまして、この反対しているうるさいカリフォルニアのパッカーの方にはなるべく出さないようにして、マグロのパッキングが専業でない東部の野菜や肉類のカン詰工場ないしは西北部のワシントン州方面におりますパッカー連中に試験的に供給してきた、こういうふうな経緯もあるわけなんでございますが、輸出量が相当伸びるに従いましてますますカリフォルニアのパッカーの反目嫉視を招くというふうな結果になりましたので、そういう意味から見まして、ロイン、ディスクの輸出をこのまま推進していきますならば、ますますカリフォルニアのパッカー連中の反対が強化されまして、マグナッソン法案ないしはキング法案、こういうふうな日本ののど元を締めつけてしまうようなマグロ輸入制限法案をますますアメリカの議会で審議されまして、それが通過する可能性もだんだん強くなってくるんじゃないか、そういう意味で、こういうふうな輸入制限法案も出ておる折柄でございますので、先ほど水産庁長官もお答え申しましたように、日本としては昨年の暮れからロイン、ディスクの対米輸出については、このままではいけないということで、いわば低い姿勢をとりまして一時見合せるということになっておる次第でございます。
  51. 田口長治郎

    田口委員 ただいま第三課長の話を聞きますと、キング法案その他につきましてロイン、ディスクと直接に結びついたものは全然ないようなお話でございますが、これはマグロ製品及び原料、総括的の問題で、特にこの法案がロイン、ディスクをねらっている点は全然ない、こういうふうに了承してよろしゅうございますか。
  52. 吉良秀通

    吉良説明員 お答え申します。このマグナッソン法案並びにキング法案を見ましたところ、特にロイン、ディスクというものに対してこれを禁止するとかあるいは禁止的な高関税を課すというところは見当りません。ただ私が先ほど申し上げました通り、こういう法案を推進しておるカリフォルニアのパッカーが、従来ロイン、ディスクというものに対して反目といいますか敵対しておった関係があるということだけを関連として申し上げた次第であります。
  53. 田口長治郎

    田口委員 法案自体にはなくてカリフォルニア州のパッカーが反対しておるということでございますが、この販売経路から考えてみまして、私がカリフォルニアのパッカーであってもやっぱりこの問題については反対をすると思うのでございます。その理由は結局ラウンドよりも便利で安いものをこのマグロ・カン詰の本場に送らないでほかの地方にばかり売っておる、こういうようなことでございますから、これは供給されないカリフォルニアの業者としてはとうてい忍ぶことができない問題でございますから、当然反対せざるを得ない、こういうふうな考えでございますが、そのカリフォルニアには全然売らないで、シアトルだとかあるいは東海岸だとか、そういう方面だけに売る、こういうような販売政策をとったのでございますか、その点を一つ御説明願います。
  54. 奧原日出男

    奧原政委員 カリフォルニアの大手のあるいは中規模のパッカー連中も、その中の利害は非常に複雑でありかつ微妙でございます。大手は漁業者をかかえておりまして、そうして日本から比較的安いものを入れ、同時にまたアメリカの国内漁業者の生産いたしますものを、日本から入りますものの価格と見合って仕切っていく、こういうふうな操作をして原料を手に入れておるのであります。また中にはそういう漁船をみずから持たないで――大部分の中規模の業者がそうであるのでありますが、そういう漁船をみずから持たないで、日本からラウンドのものを輸入することによって原料の供給を仰いでおるというのが、多くの中規模のものの形態であるようでございます。そこでロイン、ディスクが南カリフォルニアに入っていくことに対しましては、これらの工場に従業しておる労働組合との間にむずかしい問題をそこに起して参るのでございます。従って一方においては、そのかかえておる漁船団のことも考慮し、また他方においては工場で働く労働者との間の関係等もありまして、カリフォルニアの連中はロイン、ディスクを今まで日本から引き取っていないというのが実際の姿であるのであります。ただ一部の会社にありましてはカリフォルニアよりもむしろプェルトリコに工場を持っておりまして、そこではロイン、ディスクを引き取っておる、こういうふうな事実も一部にはあるのでございますが、ともかく日本からのロイン、ディスクの輸入を喜んでおらないというのが大勢的な姿であるように了解いたしております。
  55. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの長官の話によりまして、カリフォルニアの漁業者関係、これはもうロイン、ディスクにしてもラウンドにしても、できるだけ日本から来ないことを喜ぶのでございますから、日本からの輸入を阻止するような動きをすることはやむを得ないと思うのでございます。ただアメリカとしては消費の関係と工場の能率その他がありまして、自国で生産するマグロだけでは足らないという問題があるのでございますから、漁業者の反対は本質的にはずっと継続すると思うのでございますけれども、結局アメリカの消費と工場の能力等を考慮して、アメリカのカン詰業者がその間の数量は決定すると考えるのでございます。そういうふうに考えてみますと、あとは結局工場に働いておる労働者の問題、こういうことになると思うのでございますが、私が聞いておるところによりますと、バンキャンプなんかの支配人がロイン、ディスクが一、ラウンドが三という割合でカリフォルニア地帯においても日本からとったら、これは工場の能率も非常に上り、従って労働者の待遇も改善される、労働組合も決して不平どころでない、かえって喜ぶだろう、こういうようなことを言っておるように私どもは聞いておるのでございます。かような点から申しまして、カリフォルニアでこの製品を入れないということは、むしろ実際にやってみた結果ではなしに、こういうところであるから、もしこういう製品を作ったらいろいろな摩擦ができるだろう、こういうようなこちらの思惑でここに入れないで、ほかの地方に入れたのではないか、こういうような印象を受けるわけでございますが、この点につきましては実際はどうなんですか。
  56. 奧原日出男

    奧原政委員 バンキャンプがラウンドの三、それからロイン、ディスクの一という割合で冷凍物を買うことはやぶさかでない、こういうことを申しておりますのは、さらにその裏の意味があるのでありまして、すなわちラウンドを消費するもの以外にはロイン、ディスクをアメリカでカン詰の原料として使わせない、そういうことでなければいけないのだという別な裏の意味があってそういうことを申しておるのか、かように考えておるのであります。ただいままで私たち御説明申し上げましたのは、今の当面しておりまする段階におきまするロイン、ディスクの対策の問題として申し上げたのでございます。当面しておる段階におきましては、実はアメリカの国内におきましてはカン詰業者の、ことに原料入手上の一つの統制態勢というものは、日本のカン詰あるいは冷凍マグロの業界がとにかく曲りなりに総合的な態勢を持っておるのに引き比べまして、全くてんでんばらばらであるのでありまして、またアメリカの国情としてこれを何らか統制的な形に持っていくということはこれは独禁法等の関係が非常にやかましい。私が昨年共同宣伝問題でアメリカへ参りましたその会議の際にも、公正取引委員会関係の者が来まして、そしてその話し合いは純然たる共同宣伝の問題についての話し合いをするべきだ、いささかも商取引の範囲に首を突っ込んではならないというふうなことをやかましくくぎをさしたような事実があるのでございます。そういうアメリカの状況下におきまして、今のお話のような比率でアメリカが統制をとって買っていくというふうなことは、これはなかなか困難であろうか、かように考えるのであります。しかしそれはそれといたしまして、今後のロイン、ディスクの取扱いの態勢を一体日本としてはどうしていくかということにつきましては、これはアメリカのマグロ業界の状況等ともにらみ合せまして、ただいまお話のありましたような点も一つの素材といたしまして消化をして、十分慎重にこれに対する統制のある輸出の態勢を確立する方角で検討しなければならない、かように考えております。
  57. 田口長治郎

    田口委員 今私が聞いておりますことは、カリフォルニアに品物が今まで行っていないということについて、それは品物を送ったけれども向うで反対してきたのか、あるいは初めから、こういうようなトラブルが起りそうなところだから、一つ遠慮してトラブルの起らないところにだけ販売しよう、こういうことであったのか、その点をお伺いしておるのでございますが、三十年ごろから試売しておられる、三十年ごろからカリフォルニアに実際にロイン、ディスクを送られて、そしてこういうものを送ってもらっては困る、そういうものがあればそれを一つお示しを願いまして、なるほどこれは日本だけが遠慮してここに送らなかったのではなしに、実際に送ってみたところがやはり工合が悪いのだ、こういう判断の資料にいたしたいと思うのでございますが、私自体からすれば、漁業者もおるしあるいは労働者も多いのだから、この地域にこれを送ったらめんどうなことが起るかもしれぬから、そういうめんどうが起らないところだけを考えて品物を出そうか、こういうことで今日のロイン、ディスクの販路というものができておるとすれば、なお大いに研究する余地があると思うのでございますから、その点をはっきり御答弁願いたいと思います。
  58. 奧原日出男

    奧原政委員 実は商売の実際については、必ずしも私個人としては明快なるお答えをする知識を持たないのでありますが、私昨年あちらへ参りまして、あちらのしかも日本との共同宣伝問題をぜひ実現したいという立場から、非常に努力をしてくれた若干のゴービー氏以下のカン詰業者と話し合いましたその際の私の体験によりますれば、とにかくカリフォルニアでは現状においては日本に対してロイン、ディスクについての引き合いをあえてしようとしていない、こういうところに今まで取引がないという実際があるのかとかように思うのでございます。従ってロイン、ディスクはカリフォルニアに行かずに、ただいま吉良課長からお話のありました方面へ行く、そういうことによって、それらの連中もなぜ日本はああいうアメリカで味方をしようというものまで敵に回すような商売をしてくれるのかというような結果を招いておる。こういうのが事実のようでございます。
  59. 田口長治郎

    田口委員 どうもその点がはっきりしないわけですが、これは吉良さんから聞いた方がかえってはっきりすると思いますが、このラウンド三に対してロイン一、これで労働組合も非常に喜ぶのだ、待遇改善もできるのだ、こう言っていることに対してその裏があるということでございますが、その裏は結局ほかの地方には売ってくれるな、自分のところに独占させろ、こういうような意向と思うのでございますが、ほかに売るな、おれのところにだけ売れ、こういうことはたといそういうような気持があるにしても、おそらくカリフォルニアのパッカーとして世間に対して言えないことでございますし、また日本からいたしますと、今までマグロを使っていなかった工場が新たに使うようになって、新しい方面に販路を拡張した、こういうようなことになるのでございますから、その点をよくかみ合せて考えてみなければならないと思うのでございますが、いずれにしましてもこれはカリフォルニアのカン詰業者が怒ることは当りまえで、こういうことで怒らないという業者は世界のどこにもないだろうと思うのです。安いものを供給してそして競争相手のところにばかりその品物をやって、自分らのところに品物が一つも来ない、こういうことでございますと、これは怒るのが当りまえで、ただそういうような事情から怒っておる。怒っておるためにキング法案その他の関係もあるから全体的に眠らしてしまおう、これもどうも芸のない行き方でないか、こういうふうに考えるのでございますが、そうするよりほかに道がなかったのですかどうなんですか。私らの立場からすれば、一応ストップしておいて、そして法案がこのストップによってどういう動きになるか様子を見ておろう、こういう状態でおられては大へんでございますが、ストップをし、さらに適切な手を真剣になってお考えにならなければいかぬと考えるのでございます。怒るようにしておいて、そうして怒ったからストップしてしまう、これではどうも芸がないのでございますが、眠らしたことは現在眠らしておられるのでありますから、この眠らしておるものを一日も早く起す、こういうことに対して、何か役所として具体的な処置を講じられつつあるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  60. 奧原日出男

    奧原政委員 先ほども申し上げましたように、ロイン、ディスクの問題はそういういきさつをもって今ストップをいたしておるのでございます。ただわれわれはここまでとにかくアメリカの市場を開拓して参ったのでございまして、ロイン、ディスクで五千トンと申しますれば、アメリカの冷凍マグロの全体の輸出量が四万五千トンないし五万トン、それのロイン、ディスクはラウンドとすれば、二倍になると考えていけば、相当高い割合にあるのであります。そこまで努力いたしましたものを、今何ら将来の根本的な対策を講ずることなしに放置しておく、こういう意思は持っておらないのでございます。われわれとしましては、現状の態勢につきましてはアメリカの国内の情勢をも考慮しまして、日本の信用を保持いたしまするために、これが運営について非常に慎重な態勢をとりまするとともに、並行しまして今後の問題につきましてはアメリカの在外公館等からの連絡等をも徴しつつ検討をいたしていかなければならない、かように考えております。
  61. 田口長治郎

    田口委員 水産庁長官は今の販売方法ではカリフォルニアの業者が怒るはずだということを考えられませんか、その点はどうですか。
  62. 奧原日出男

    奧原政委員 私の感想を申し上げることは、直ちにカリフォルニアに反映をいたしますので、これは差し控えたいと存じますが、とにかくカリフォルニアのきわめて親日的なるカン詰業者が、日本は何でああいうばかなことをするのだ、アメリカの日本の品物のお得点を怒らせるということを、ロイン、ディスクの無統制な輸出によって招いておるではないか、こういう話を私にしみじみといたしておりましたことをお伝えいたしまして、御了承いただきたいと存じます。
  63. 田口長治郎

    田口委員 親日的な人を怒らしておるじゃないかということは、今の販売政策が悪いんで、バンキャンプの支配人が言うように、品物そのものはとにかく労働者に対しても非常にいいし、業者も喜ぶものだ、これを一つもやらないで競争相手のところにだけやるから自分らを怒らしておる、こういうふうになると思うのですが、何で怒らしたのかというても、これはもう品物自体が悪いから怒らしたのでなしに、その品物の分け方が怒らせるようにこっちでやっておるから、それで怒らしておると思うのです。そこにわれわれとしては大いに研究の余地があると思うのですが、その点はどうなんですか。
  64. 奧原日出男

    奧原政委員 私のいささかの体験によりますと、アメリカの業界の方がそのときどきに言われるお話を必ずしもまともに受けて、そしてわれわれの方でそれに応ずる対策考えるということが適当でない場合も少くないように思うのであります。将来カリフォルニア方面に販売するというふうな問題につきましては、同時にアメリカの国内におけるこれが配給及び加工方面における一つの統制と申しますか、ある程度の規律というふうなものと相待たなければ、これまた非常な困難な問題を繰り返す、かように思うのであります。そういう態勢がアメリカはなかなかできにくい国である、かように考えておるのでございます。しかしそういうお話も一つのお話として、アメリカに対する販売政策というふうなものを検討するしの一つのデータとして十分消化をいたしたい、かように考えております。
  65. 田口長治郎

    田口委員 吉良課長にちょっとお伺いしますが、アメリカの各地の公館から、この問題に関しましてあなたの方にはどういうような報告、どういうような希望、こういうような情報がいっておりますか、一つ関係のある公館ごとにお聞かせを願いたい。
  66. 吉良秀通

    吉良説明員 ロイン、ディスク問題はここ三、四年の歴史を持っておりまして、先ほどちょっと御質問がございましたが、現実にこれは加州に上ってそこで問題になったから、加州を避けてほかに売るようになったのかという御質問がございましたが、私はたまたま四年前にはロスアンゼルスの領事をしておりまして、あの辺のマグロの業界の実情は若干知っておりますが、そのときの、私の狭い経験かもしれませんが、申し上げますと、そのころにすでにこのロイン、ディスクの試験的な輸出があったわけであります。初めにサンフランシスコに上りまして、ちょっと風変りな商品だというので税関あたりを刺激した。ところが加州にはチューナ・リサーチ・ファウンデーションという調査団体があるわけですが、これはアメリカのマグロ・カン詰業者すなわちフィッシュ・キャナーズ・アソシエーション、これが持っております調査機関でございますけれども、これがかぎつけまして、これは必ず漁業者ないしカン詰業者同士間の問題を引き起すからというので、すでに日本側に忠告と申しますか、あまりこういうふうなものをお出しにならない方がおためになりますという式のいやがらせ的なことを言ってきたことはございます。そういうふうなことがありますので、ロイン、ディスクの輸出については、加州に関する限りは注意しなければならぬという頭がわれわれ政府当事者の間にはあったわけで、業界もその間の経緯は知っておるはずでございます。そういう経緯があってずっと今までロイン、ディスクの輸出についてはなるべく加州を敬遠するということになっておるのでございます。  それから各公館のロイン、ディスク問題に関する見解でございますが、そういうふうな経緯もございますので、加州、サンフランシスコ、ロスアンゼルスの総領事館からは、特に輸入制限問題でうるさい折柄、加州のパッカー連中が輸入制限法案を出しておるような事情でございますから、ロイン、ディスクの加州向けのみならず、結局ほかへ出ることが加州の反目を招いておることなのだから、当分これは様子を見た方がいいということで、サンフランシスコ、ロスアンゼルスは強硬にロイン、ディスクの対米輸出については反対、と言ってはおかしいのですが、厳に注意すべしという固い態度をとっております。それに対しまして従来の供給先でありますシアトル、ポートランド地区ないしはニューヨーク東部方面のことになるわけでありますが、シアトル方面のパッカーはサケ、マスなどの専業者ございますが、サケ、マスの原料の手当がむずかしいという関係から、一部マグロのカン詰をやっている。こういう連中は、今日本のロイン、ディスクなしにはうまくやっていけぬというような立場にもございますので、そういうふうな土地の事情を反映いたしまして、シアトルの方の総領事館からはロイン、ディスクは加州を刺激しないような方法で、何とか方法を見出して、継続して輸出をやってほしいという意見がきております。それと同様な立場にありますのが、ニューヨークの総領事館でございまして、これは東部の方に入っておる関係もございますので、元来カルフォルニアのシアトルの業者と同じでございまして、カルフォルニアの業者を刺激しないような輸出方法はないか、ただし目下はマグロの輸入制限運動がかなり熾烈になりつつあって、具体的に法案などもメジロ押しに議会などに出ておる状況であるから、ロイン、ディスクについては自省がしかるべしとニューヨークは申しております。ワシントンはこういうふうな各地の異なる意見を勘案しながら、日本側では、ロイン、ディスクの輸出については十分注意してやってほしい、それから取りあえず去年の暮れからとめておりますこの措置につきましても、ワシントンとしてはそれはやむを得ない措置である、こういうふうに見ておるようでございます。最近またあらためてロイン、ディスクの問題につきまして在外公館に問い合せをすでに発しましたが、その返事はまだまとまっておりませんので、いずれまとまり次第御報告する機会もあるかと思っておりますが、大体従来と同じではないか、つまりサンフランシスコ、ロスはこちらの空気を反映して、当分ロイン、ディスクのあれについてはよした方がよろしい、そのほかは何とか方法を見出すならば輸出をすべきじゃないかというふうな意見がくるのじゃないかと想像しております。そういうふうな現状でございます。
  67. 田口長治郎

    田口委員 大体様子はわかりましたが、この問題は国と国との関係もさることながら、一種の商売でございますから、商売をやっている業者が努力をしてある程度の打開をし、そうして、役所と連絡をする、こういうようなことが必要と思うのでございますが、今日までこの関係業者でそういう方面に努力をしておるのでございますか、あるいはどうも役所で頭から眠らされたから、もう努力も何もしないで、そのまま放任している、こういうふうな状態にあるのでございますか、この問題を考究する上におきまして、あるいは打開する上におきまして非常に必要なことと思うのでございますが、役所で知っておられる日本側の業者の努力というものについて一応御説明願いたいと思います。
  68. 奧原日出男

    奧原政委員 輸出組合及び水産業組合の見解は、大勢的にはアメリカの現在の動向に徴して、ロイン、ディスクの問題について現在やっております措置を継続することの方が妥当ではないか、こういうお考えがおありのようでございます。しかしそれにいたしましても、もちろん将来のロイン、ディスク――マグロの輸出政策のうちの一環としての地位をどういうふうに考えるかということについての配慮役所で忘れないようにしてもらいたいという気持には変りはないと考えております。一部業者が、どういう事情かは存じませんが、昨年の十月輸出をストップいたしまする際に、経過的な措置は講ぜられたように承知をしているのでありますが、どういういきさつでその措置から漏れたのかは存じませんが、若干作った業者がおありの様子で、今輸出をさしてくれぬかという陳情も受けております。しかしそれに対しましては、ただいま吉良課長からお話がありましたように、アメリカの現在の情勢もさらに掌握しなければいけないと考えまして、そういう趣旨によりまするアンテナも目下張りつつある状況でございます。
  69. 田口長治郎

    田口委員 この問題は、今まで質疑応答いたしましたところによりまして私は感ずるのでございますが、カリフォルニアの業者が怒っておるのは、むしろ日本で怒らしているのではないか。そして行き方によりましては加州の業者もロイン、ディスクをある程度供給することによってほかとのバランスがとれるというようなことで、そう毛ぎらいをしないで加州にも何とかしてほかの地方と同じ待遇で処置ができるのではないか。バンキャンプなんかが、加州ではできないけれども自分の工場でずっと遠方の所にあるプエルトリコなんかでは、このロイン、ディスクを買ってやっておる、こういうような点から考えましても、これは使った方が便利である、また経済である、こういうふうな点が必ずあると思うのでございますから、さようなものをマグロのカン詰の主産地に送らないで、ほかのところにだけ送るということは、これは販売政策上まずいのではないか、こういうことで販路についてもう一度考えてみる必要があるのではないか。またこのロイン、ディスクが非常に喜ばれるということに対しましては、いろいろな理由もありましょうが、やはりおもな原因は価格の問題であると考えるのでございますが、安い原料、こういうことになりますと加州が怒ることもまた無理からぬことでございます。少くともラウンドとバランスのとれた価格で出すべきである。どういうことで価格がそんなに有利になっているか存じませんけれども、もしこれが自分の作った製品をできるだけ多く販売しようというふうな国内業者の過当競争によって価格が安くなる、それがまた一つの原因になっているとすれば、価格の問題は日本としてはよほど考え処置を講じなければならないんじゃないか。それからロイン、ディスクで先方で何となしに気にかかることは、先ほど数字を示されましたように、二、三年の間に急速な勢いで量が増しつつあるというようなことで、将来どうなるかというふうな心配も多分あると思うのでございますから、この数量を当分三十二年の実績といいますか、そういうところに押えて、そしてどこまでも伸びるという不安を一掃するような処置を講ぜられることもきわめて必要じゃないか、こういうふうに考えるのでございまして、どうもキング法案そのもののねらいがロイン、ディスクそのものをねらっておるんじゃないということ、加州の業者が怒っておるその原因はここらにあるのだ、こういうような点から考えまして、今申します販路の問題、あるいは価格の問題、数量の問題、こういうようなことの調整によりまして何とかある程度の道が開けるのじゃないか。これはもちろんそれで承知しましたということは向うは言わないのでございますが、大体において了解のつくようなことの日本での声明でもできるよりな、さような道が開けるのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、外務省としてはこの問題に対してどういうことで進まれようとするのか。いわゆる外交の立場もありますし、また直接にこういう問題についてタッチしておられるのでございますから、まず外務省から御意見を聞きまして、そしてその次に水産庁の話を承わりたいと思います。
  70. 吉良秀通

    吉良説明員 お答えを申し上げます。先ほど来から委員も申されております通り、私また答弁しております通り、ロイン、ディスクという商品の本来のメリットと申しますか、これは確かにまるマグロ輸出よりも有利なことでもありますし、外貨手取りがいいし、先方にとってもいいということもありましょうが、わが国にとってもいいところの加工した製品ということで、原則的にそれだけとりますと非常に奨励すべき輸出品なのでありまして、試験的輸出の段階から、そういう意味で外務省としても単なる素材輸出よりも加工された製品輸出という方向に持っていきたいというような原則に立ちまして、同情的にこの発展を見守ってきたわけでございます。それが試験的な段階からだんだんコマーシャルな、本格的な輸出になりましたのですが、片や先ほど来から問題になっております加州方面の反対がございまして、ほかの地域に出す、それが相当な量になってくるから、ここで従来の価格なんかも問題でございまして、つまり日本からのロイン、ディスクで作ったカン詰の価格が加州でまるマグロで作ったカン詰の値段より安くなるということになれば、加州としても黙っておれない事情になってきたのでありますから、御指摘通り、まさしく価格問題というものが従来とも日本におきましても必ずしも十分な注意が払われておったとはいえない節もあります。これは関係省でもいろいろ御苦心なさいまして、業者間の申し合せ価格というものは作っておりましたが、日本の原価計算が中心になっておりまして、米国におけるこれがカン詰に加工されていく段階におきます原価計算というものと見合せた輸出値段にはなっておらなかった。そういう点で、西北部ないしは東部に入るカン詰の値段が加州のカン詰より安くなるのじゃないかという懸念が起ってきて、加州の反対が強くなったという点も考えられますので、この価格という点については今後の輸出対策としては十分考慮に入れていかなければ、これはアメリカの市場を撹乱する要素になるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから御指摘のありました数量の問題でございますが、試験的な段階から逐年累増いたしましたので、こういうこともまた不安の種になるのじゃないか、そこでやはり冷凍マグロの中に占めるロイン、ディスクの適正な量というものを各種の市場のデータによって判断して、これもあるところで業界の自主規制に待ってやるか、何らかの方法で一定の数量的なめどを持って秩序ある輸出というものをやらなければならないのじゃないか、そういうふうにいたしまして、すでにこの数量規制の問題につきましては、客年関税公聴会でかなりロイン、ディスクに対する風当りの強いのを予想しまして、日本で規制しなければならないというときに、価格の問題とあわせて数量規制も実施すべしというふうな意見もすでにわれわれ外務省、通産省、水産庁各方面にございまして、一時はディスカッスしたこともあったわけでございますが、数量を那辺にすればアメリカ側が満足するのかわからなかったので、その辺もさたやみになったままに輸出停止を実施したということになっているのでありますが、今後ロイン、ディスクの輸出対策考える場合には価格なり数量というものをあわせて考えていかなければならぬと思っております。それに一番重大な問題でございます販売地域の問題でございますが、従来は加州がうるさいというので、これを迂回してほかの地域に行く、それがまた今のロイン、ディスクに対する反対の重大な要素になっているという点も考えなければならないので、これは委員も御指摘通りバンキャンプの支配人の言がもし真実とすれば、加州方面でもこれを重要視しておる、三対一の比率でロイン、ディスクが入るならば労使間のめんどうな問題も起さないで、しかも会社自身ももうかるという証拠ともとれますので、これは水産庁長官も申されましたように、有力な一つの手がかり、素材としてわれわれは研究していく、こういうふうな方式通りにいくかどうかわかりませんが、加州のパッカーの連中の勢力関係も非常に微妙複雑でございますから、バンキャンプの言う通りにパッカーが言っているのかどうか、その辺は究明しなければならぬ点でございますが、いずれにしても、加州方面でも当然ある方式によれば日本のロイン、ディスクを円滑に輸入できるというふうな気配も見えますので、こういう点はさらに業界とも十分な連絡をとりまして、さらに研究いたし、いたずらにほかの地域にだけ回して加州に回さないということによってこの問題に対する反対を強くさせるというふうなことのないようにできれば幸いだと思っている次第であります。販売地域につきましても十分な研究をして、価格、数量、販売地域その他も考えまして、各方面――と申しますと、加州のパッカーも東部のパッカーも西部のパッカーも、それらに使われる労働者の関係考えまして、おおむね各方面を満足させるようなロイン、ディスクの輸出方式というものを早急に見出さなければならない、こういうふうに考えまして、関係水産庁、通産省にも、また業界にも外務省としてはお願いしたいと思い、またお願いしている次第でございます。特にロイン、ディスクの輸出一時停止ということは、確かに加州から出ておりますキング法案とかマグナッソン法案阻止の一つの方法としてとられたあれでございますが、幸いにしてもしわれわれの努力が効を奏しまして、今度のアメリカの議会でマグナッソンあるいはキング法案等がもし通過しなければ、われわれとしてはすぐにもまたロイン、ディスクの輸出について考えなければならないわけですから、そのときに今まで通り方法でいけば永遠に問題を残すだけでございますから、その輸出再開のときを控えまして今から価格、数量、販売地域等につきまして米側の各方面を一応満足させるような方式を研究したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  71. 奧原日出男

    奧原政委員 ただいま吉良課長からお話しせられたことで、将来ロイン、ディスク統制態勢の問題を解決する場合におきまする問題点は大体網羅されたものと考えるのでございます。要は、この関係の業界の方々がいたずらに過当競争というふうなものの弊に陥ることなく――これは私は生産者のみのことを申しておるのではございませんので、同時に輸出業者の方々にもさらにお願いするのでございますが、統制態勢が一たび必要に基いてしかれた以上は、その統制態勢を尊重する、こういうことに徹せられて、同時に数量、価格、あるいは販路等についての整然たる新しい展開をはかっていかなければ打開できない、かように考えるのであります。たとえば数量の問題につきましても、現にカン詰の問題について具体的に発生した事件でありますが、アメリカに対しては油づけカン詰を出さないということに相なっておるのにかかわらず、ヨーロッパ向けのものがニューヨークに揚げられる、あるいはカナダ経由でアメリカに送り込まれる、そういうふうなことを避けなくちゃならぬ。また価格の問題にしましても、片一方において割り戻しを行いまして、そして統制価格を現在きめておるのにかかわらず、実際はそれが破られておる、こういうふうなことが起りましては、とうていアメリカの信用をつなぐということは困難に相なるかとかように存ずるのであります。どちらにいたしましても、合理的な統制方式を考えるとともに、関係の業者の方々の自主的な統制に対する順応ということをぜひ期待をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  72. 安福数夫

    ○安福説明員 ただいま水産庁長官並びに吉良課長の方の説明で尽きておると思いますが、通産省といたしましても、将来にわたって永続的にこのロイン、ディスクの輸出を停止する、禁止する、そういうことは毛頭考えていないわけでございまして、その問題を現段階において出しますと、法案の審議の過程において非常に微妙な問題もあるわけでございます。そういった事情につきましては、外務省を通じまして、在外公館との間の情勢の検討を常に行なっておるわけでございまして、先ほど吉良課長からも御説明がございましたように、現在法案の見通しがある程度ついた段階におきまして、さらに私どもこのロイン、ディスクの出し方についての最終的な結論を得たい、こういうように考えておるわけでございます。その際当然先ほど御指摘のございました数量、価格、あるいは販売方法、そういった三要素がおそらく中心的な問題になろうかと思うわけでございますが、販売方法につきましては、おそらくアメリカの業界内部の事情がかなり密接に関係するわけでございまして、そういった事情につきましてもさらに十分な検討を加えた上で最終的な結論を得たい、こういうように考えておるわけでございまして、現在でもこの問題について、折々私どもの方でどういった方向でこれを解決するか、そういった点について研究しておる段階であります。
  73. 田口長治郎

    田口委員 どうも各政府委員の答弁と私らの気持と少し食い違っておる点は、法案の処置がついて、そのときに一つほんとうに、合理的恒久対策を立てたい、これは私聞き違いかもしれませんが、そういうふうにもとれるのですが、私らといたしましては今ストップをしておるこのままで法案の処置まで待つということは芸のないことではないか。何かあすからでも各地ともに喜ばれるような具体案を作ることに御努力されてはどうか、こういうことでございまして、それが法案が処理された後の一つの基礎的方式になるかもしれませんが、それは必ずしも法案の成立される八月まで待たないで、今行き詰まっておるものを打開するために、あすからでも一つ向うで各地ともに喜ぶようなそういう法案を研究されてはどうか、こういうことを言っておるのでございますが、その点はどうなんですか。
  74. 奧原日出男

    奧原政委員 私たちも八月までこの問題を放置しようとは少しも考えておりません。ただ非常にデリケートな問題でございますので、ただいま吉良課長がお話を申し上げましたように、アメリカの情勢をもう少しつかみました上において、当面いたしております滞貨問題の処理を検討いたしたい、かように考えております。また将来の統制態勢の問題につきましても、同時に並行しまして十分検討をいたして遺憾なきを期したい、かように考えております。
  75. 田口長治郎

    田口委員 今の長官お話によりまして、直ちにでもあらゆる努力をしてみたい、こういうようなお話でございますが、その努力の具体的な方法といたしまして、こういう問題は役所だけで一生懸命やられても、どうもかゆいところに手が届かないような点があるのでございますから、むしろ役所と業者が連絡して、業者の責任におきまして、先方と連絡するものは連絡し、調査をするものは調査をし、さらに話し合うものは話し合って、こういうことであれば大体先方は満足ではないけれども大きな不満もないというような具体的の案が、むしろ役所で作られるよりも、業者を指導して、業者に主としてそういう具体的な案を作らしてみる、こういうことが近道であり、実際的であるというふうに考える次第でございます。私が特に心配いたしますのは、ペルーだとかあるいはエクアドルあたりから同じロイン、ディスクをアメリカに出しておる。それがちょうど日本の三十年の状態と同じ程度と思うのでございますが、日本がいたずらにストップしておる間に、外国の商品がぐんぐん伸びてしまう、かような心配もいたしておりますし、何とかこの道を開くということについては、あすからでも努力をしてもらわなければ、非常に困る問題ができるのじゃないか、ことにラウンドで出す場合いろいろな難くせのつくものが、この製品で出せばそういうようないわゆる不良的のものがなくなる。あるいはラウンドで出せない小さい魚まで、この商品であればどんどん出せる。輸出の価格の調整のやり方によりましては、それだけの利益を漁業者にも還元できる、こういうような利益があるものを、日本が眠っている間に外国からどんどんアメリカに入れていくというようなことにでもなったら大へんでございますから、一日も早く眠りをさますような具体案を作らなければならぬ。その具体案を作るのには、実際的にはやはり業者にいろいろアメリカの商人とも当らせて、そして案を役所が指導して作るというようなことが実際的と思うのでございますが、こういう方法につきまして長官及び外務省ではどういうようなお考えを持っておられますか、お伺いをしたいと思います。
  76. 奧原日出男

    奧原政委員 先ほど来いろいろお話の出ておりました問題はことにアメリカを相手にいたします商取引については、政府間の協定で売り先をどうきめるとか、あるいは役所の方でどうこうするとかいうふうな問題で解決する面は非常に少いのでありまして、結局アメリカの市場というものが非常に総合態勢を欠いておりますが、日本の業界の自主的な総合機関というものが、その間の情勢をしっかりと掌握をして、そして必要なる検討を役所と一緒になってやっていくということによって、初めてほぐれてくるのじゃないか、かように考えております。そこで実は業者の個人々々の方がお持ちになる情報は十分尊重さるべきものでありましょうけれども、アメリカに対する関係がいろいろデリケートな際でございますが、しかし輸出組合あるいは水産業組合等の総合的な団体において、また同時に国際マグロ協会等の団体におきまして当面しておりまする問題をどういうふうにしていくかというふうな点についての検討を一そう促進するように指導いたして参りたい、かように考えております。
  77. 吉良秀通

    吉良説明員 水産庁長官のおっしゃったことに尽きるかと思いますが、外務省といたしましても、いかにして満足なる輸出方式を見出すかにつきましては、われわれは全くしろうとなのでございまして、水産庁並びに通産省方面からのアドヴァイスをいただくとともに、さらにまたこの商売をやっておる第一線の業界団体等からもいろいろ御助言を得まして、そういうものを参考にいたしまして関係省で満足な輸出方式というものを発展させていくべきだと思います。ただしすでに御承知通り日本の業界団体とアメリカの業界団体との、数量とか価格とか販売地域等に関する相談はあまり大っぴらになると、これはアメリカの独禁法の関係もございまして、かえって話がめんどうになるという点もありますので、業界と業界同士の話にはそういう点に十分気をつけていただくようにわれわれも御注意を申し上げたいと思っておるわけでありますが、業界が積極的にその商品の売りさばき方法についてアメリカの業界と当られること自体は決して悪いことではない、われわれとしてはむしろやっていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。聞くところによりますと、輸出水産物組合でありますか、これがアメリカでアメリカの弁護士を雇いまして、これを使ってアメリカ業界の意向を探らせておるというふうに聞いております。これなんかも一つの方法かと思いますが、いろいろな方法を使いまして、アメリカの業界が何を考えておるかというようなことを早くつかみ出すようにしていただきたい、これは業界に希望する次第であります。
  78. 田口長治郎

    田口委員 今の御説明のように業界とタイアップしてこの問題を推進されるというようなことになりますれば、やはり水産庁がその衝に当られるのですか、通産省、水産庁で当られるのですか、その衝に当られる役所を一つ聞いておきたいと思います。
  79. 奧原日出男

    奧原政委員 輸出水産物の水産業組合に関する関係水産庁がいたします。それから輸出組合に関する面は通産省の通商局でやられます。結局両方が一緒になってそれぞれの団体と話し合うというふうなことに相なろうか、かように考えております。
  80. 田口長治郎

    田口委員 この問題は業者とともに解決する道を至急研究してもらいたいのでございますが、今長官お話によりまして、大体水産庁と通産省とが窓口になるようでございますが、外務省も一つ外からアドバイスしてもらう、こういうことで問題を具体的に処置をしてもらう、さような熱意をお願いいたしまして私の質問を終る次第でございます。
  81. 赤路友藏

    赤路友藏君 田口委員から今まで詳細にわたって質疑があり答弁があったのですが、これは単にマグロ問題だけでなしに、水産物輸出全体にも関連する問題だと思うのです。今まで水産輸出振興法に基いて審議会があったはずだと思うのだが、最近開いたことはございますか。
  82. 奧原日出男

    奧原政委員 本日開いておるのであります。私は委員会に呼ばれましたので、残念ながら欠席をいたしました。
  83. 赤路友藏

    赤路友藏君 この前も本委員会の方で、大臣に対する総括質問の中で、水産物輸出について少し質問をしておきましたが、たとえば本年度農水産輸出振興関係の事業費ですか、通産省の方で五千万円余り組んでおる、こういうような話があったわけなのですが、これはむしろ三十一年度からするとうんと少くなっておるのじゃないか。もっと調べなければいかぬというので齋藤君にやかましく言ったのですが、どうもこれは通産関係なのですが――といっても水産の方の関連性がある。それで双方の連絡が不十分なために、とった予算が十分に使われていない、こういうきらいが今まである。今後はそういうことのないようにしてもらいたい。特に水産物の輸出マグロにしましても、あるいはサケ・カンにしても、カニ・カンにしてもそうなのですが、最近では海外市場の関係等もありましょうし、いろいろな事情があって担当滞貨しておる。これは事実です。それだけにもっと熱意を持ってこれに対する対策は真剣に考えてもらわなければならぬ。これは官庁だけがやっきになってもいかぬことであって、関係する業者ももちろん努力してもらわわなければならぬ。ただせっかく水産輸出振興法というものができて、それに審議会があるのに、ほとんど審議会も開かないなんということでは、私は困ると思う。今田口委員から言われておったことも、そういうような審議会を開いて、それらのものを含めて水産物の輸出についての三十三年度のあり方を基本的に考えていく必要があるのじゃないか。その中からそれぞれ当面問題になるものを摘出しつつ、そうしたものを積み重ねていくということによって、三十三年度はその方向でいくのだ、より多くの人を寄せるのだから、カン詰の業者はカン詰の業者、冷凍業者は冷凍業者等々とそれぞれのケースでもって情報もとっておるだろうし、官庁の情報も民間の情報もいろいろ集めて、その中で衆知を集めて検討していくということによって、水産物の輸出振興をはかるということを積極的にやられるべきであると思う。今の長官の御答弁のように、長官委員であるが開かないというのじゃこれは熱心だとはいえぬと思う。だからまず当面の、今田口委員から言われたことをも含めて、早急に会議を開いて――せっかくある審議会、それのために置いた審議会なのですから。それのための法律なのです。審議会が運営されなければ法律自体が死んでしまう。だから通産省あたりで予算をとっておったって残している。これでは私は何をしていることやらわからないと思う。十分に一つそれらの点で善処していただきたい、こういうふうに希望しておきます。
  84. 鈴木善幸

    鈴木委員長 当面の二つの問題に対する調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十一分散会