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1958-04-25 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十五日(金曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 川村善八郎君 理事 吉川 久衛君    理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君    理事 原  捨思君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    石坂  繁君       木村 文男君    清瀬 一郎君       草野一郎平君    小枝 一雄君       綱島 正興君    丹羽 兵助君       松浦 東介君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    赤路 友藏君       石田 宥全君    中村 英男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         水産庁長官   奧原日出男君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 四月二十四日  所沢市の凍霜害対策に関する請願平岡忠次郎  君紹介)(第三四一二号)  農地等集団化事業に関する請願小枝一雄君  紹介)(第三四四〇号) の審査を本委員会に付託された。 四月二十四日  凍霜雪害農家に対する長期低利営農資金融資  等に関する陳情書  (第一〇五六号)  狩猟法の一部改正に関する法律案成立促進に  関する陳情書  (第一〇五八  号)  北洋さけ、ますの漁獲量確保等に関する陳情書  (第一〇五九号)  自作農創設臨時措置法改正に関する陳情書  (第一〇六〇号)  被害農家飯用麦特定価格による払下げ等に  関する陳情書(第一  〇六一号)  凍雪害対策に関する陳情書外四件  (第一〇六二号)  中央卸売市場法改正に関する陳情書  (第一〇六四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  北洋漁業に関する件      ――――◇―――――
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  北洋漁業に関する件について調査を進めます。  さきに妥結しました日ソ漁業交渉のこれまでの経過及びその内容につきまして、赤城農林大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。赤城農林大臣
  3. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三月十八日にこちらを立ちまして、一ヵ月余にわたりましてソ連側日ソ漁業交渉を進めて、昨日帰ってきました。その間におきまして当農林委員会におきましては大へんな御協力を願いまして、法案等につきましてもほとんど全部にわたりまして可決されるようなお運びを願いましたことを心から御礼を申し上げます。  漁業交渉の問題は、出る前から御承知通り、大きな問題といたしましては、オホーツク海におけるこちらからいえば出漁問題でありまするし、向うから見れば禁漁問題といいますかそういう問題が政治的に大きな一つの問題であったのであります。もう一つは、本年度の総漁獲量をどの程度にきめるかということが問題であったのであります。  私は向うへ行きまして、やはり漁業担当大臣であるイシコフ・ゴスプラン漁業部長を相手にして交渉を進めていく、もしもこの線で交渉がまとまらぬということでありますならば、その上のミコヤン第一副首相、また機会があればフルシチョフ——私が行っている間に総理になりましたが、フルシチョフ首相と話し合わなければならぬというふうに考えておったのでありますが、何といたしましても担当大臣であるイシコフ氏と話を取り組んでいかなければならぬ、こういうことでイシコフ大臣話し合いをしましたことが私といたしまして十回であります。また私が参加しないで私的に話すということで、高碕代表が二回話しておりますので、十二回イシコフ漁業担当大臣話し合いをいたしたわけでございます。さらにミコヤン第一副首相と一回、フルシチョフ総理と一回、前後十四回の話し合いをいたしたのであります。  御承知通りオホーツク海の問題は、公海の自由という私ども主張と、先方の主張公海の自由ということを認めるけれども公海の自由を離れて北西太平洋におけるサケマス漁種保存日ソ両国においてどういうふうにやっていくかということが問題であったのであります。私の方の主張といたしましては、オホーツク海は日本が漁場を開拓したところでもあり、向うで言いますように日米力関係の西経百七十度線というものとは趣きが違うのだ、そういうような関係サケマス漁業をこれでやめるということになることは、日本人の感情からするならば、これは公海の自由を制限された結果になる、こういう主張を徹頭徹尾続けたのであります。ところがソ連側主張は、公海の自由を制限するという意図は全然ない、であるからカニ漁業についても船団の入ることを当然認めておるのだし、それから資本漁業でないタラ釣だとかあるいは底びきだとか、こういうものについての制限をしようという意図も全然ないのだ、でありますから、公海の自由という原則航行の自由と漁業の自由とが主たるものであるけれども、その点について決して公海の自由をここで制限といいますか、とめるという意思はない。しかし私ども考え方としては、主要なる魚種であるところのサケマスがここで漁獲できないということになれば、公海の自由を失うということになる、こう日本人としては当然考えるのだし、率直にいって李承晩ラインの問題もあるし、アラフラ海の問題もあるし、それから日米力の問題もあるので、この問題はどうしても私どもとして承認できない。こういう主張をほとんど全会議について主張してきたのでありますけれども、しかし向う主張をだんだん聞いておりますうちに、公海の自由ということは決してこれを否認するものではない、しかしながらカムチャッカの西海岸にたくさんの川が向うにあるわけでありますが、それに卵を生むために遡上してくるところのサケマスについて、ソ連側としてはこの養殖のために相当の金をかけて施設を行なっておる。ところが最近において乱獲のために遡上するところのサケマスが非常に減ってきておる。ことにソ連機構も去年から改められまして、中央集権的に中央から命令を出して漁獲計画を命令するということではなくて、むしろ地方のコルホーズ等から計画を出させて、その計画の上に立ってこれを認めていくというような機構に変った。そういうような関係からソ連漁民が年々産卵のために遡上するところの魚が少くなってきているということで、イシコフ漁業担当大臣も非常に困っておるのだ、自分も困っておるのだ、こういうような事情で純然たる生物学的な、あるいは資源論的な立場においてこの問題を議論していこうじゃないか、こういうような話にだんだんなってきたのであります。そういう立場から、ソ連側からいえば、自分の方では種をまいてそれを育てておるのだ、日本側は種をまかないで草を刈り取るだけであっては困る、こういうような話も出たのであります。しかし私の方では、公海において育ってくる魚であるから、たとえて言いますならば生みの親より育ての親ということもあって、公海におってどこの国の魚でもない、公海において育ったものをある程度漁獲するということは当然でないか、しかしそれを全部産卵に遡上するものをとってしまうということではこれは問題であるけれども、ある程度のものは差しつかえないのじゃないか、こういうようなことで議論をしたのでありますが、その程度という量の問題じゃなくて、向うでいうのにはプリンシプルの問題だ、プリンシプルというはどういうプリンシプラルかといえば、お産のために産院に上ってくるものをその目先において母船でとってしまう。そうすると、河川に上ってくる魚がアンバランスに上ってくる。それぞれの川へ適当に上ってくるならば格別、どこの川へ上ってくるかわからない途中において、これも目先で大量に母船漁獲されるということになると、ある川には非常にたくさんのサケマス産卵のために上ってくるし、ある川にはほとんど上ってこない。こういうところのアンバランスを生ぜしめることは、これは西北太平洋の全体の魚類資源保存という意味から非常に困るのだ、こういうことで非常に強い向う主張であります。この主張は、中途ミコヤン第一副首相に会いましたときにも、そのことを非常に強く主張しておったのであります。私どももそういう関係から毎日同じような議論を続けておったのでありますが、私ども主張相当強いので、一度こういう話になったのであります。総漁獲量を八万トンにしよう、それからそう日本オホーツク海の問題を強く主張するならば、実はどうしてもことしからやめることにソ連側としては強い決心を持っておったのだけれども、来年この問題を討議することにして、それじゃもう八万トンでいこう、オホーツク海には一船団で六千五百トン以内の漁獲量、こういうことで来年の問題にするよりほかない、こういうことでありましたので、私も一時はそのままでもう引き揚げようかというふうにも考えておったのでありますが、漁期も迫っておりますし、日本漁民失業という問題もありますし、それからオホーツク海の問題につきましては、向うが非常に強い意思を持っておったのであります。話の中途におきましても、一体私の方で承諾しないということになればどうするつもりかという話をしましたところ、途中で、実はそういうことになると、一方的にもこれはやらざるを得ないというような態度がしばしば見えたのであります。しかしソ連側といたしましても、そういう問題で日ソ間の紛争を起すということは、これは今のフルシチョフ平和友好政策から見て好ましいことではないというような態度は十二分に察知できたのであります。そういうような関係でありますので、これはねばっていればまだ話は進むであろうというふうに考えまして、それではそういうふうに資源の問題、あるいは生物学的な問題から、産卵に遡上するところのサケマスを保護して、そうして資源増大をはかるという意味においてオホーツク海を産卵の場としてお互いに保護していくというようなことにわれわれが協力する、こういうようなことにするならば、一体どういう漁獲量等についての考え方があるかというようなことを話し合っておりましたところ、だんだんにオホーツク海は一船団、六千五百トン以内、漁獲量は十万トンというような線が出てきたのであります。しかしそれについては私も日本政府代表として、農林大臣として来ておる以上、公海の自由というものをなくするという建前でなくて、生物学上の問題から北西太平洋サケマス資源増大するという、そういう意味からならば私も日本へ帰ってからオホーツク海の問題を日本国民にも訴え、政府とも相談して来年からはこれをやめるというようなことには大いに努力しよう、こういうことで共同調査の結果を経て努力するというようなことで、話が十万トンというふうにまとまりかけてきたのであります。ところが、いろいろな情勢から見まして、どうしても来年は強い向う意思がはっきりしてきておったわけであります。そういうような関係から考え、あるいは漁期も迫っておる、こういうことで日本漁民失業とか、こういうような形に持っていくことは、日ソ関係友好から考えてもとるべきことではないのじゃないか、こういうような話をだんだん進めておったのであります。そこでどうせ来年やめるということに努力をするということならば、なお一歩進めて一つ来年のことをことしきめるというようなことは少し早い話であるけれども、しかしソ連側主張も非常に強いし、また公海の自由というものを全然なくするというような建前でないならば、また私どもの方の考え方も、またソ連の方の考え方ももう少し進めることができる、こういうような話し合いがさらに進んだのであります。そこで結論的に申し上げますと、来年からオホーツク海の出漁というものは日ソ平等の立場に立って両方ともこれを差し控えることにする。その理由は先ほどから申し上げましたように、西北太平洋サケマス、ことにマス産卵場として、カムチャッカ半島西側で南側、これがほとんど産卵場になっておるわけであります、その産卵場を保護して、そうして両国共通西北太平洋魚類資源を維持し、増大する、こういう目的のために来年からしばらくオホーツク海における母船式漁業は差し控えようではないか、こういうことになりまして、そうして漁獲量は本年度におきましてはいろいろな話し合いの結果、去年が十二万トンでもありまするし、日本の準備も進んでおるときであるからして、十一万トンに決定する。こういうことに相なったわけであります。そこでこれは条約上の問題でもありまするから、両国委員会が開かれておりまするし、委員会の席上で、委員会の場においてこれを決定するというような形で、二十二日の朝三時ごろになりまして、委員会において最終決定をいたしたのであります。  委員会決定につきましては共同コミュニケを出しましたので、日本の新聞にも載っておったように私も承知しておりますが、その要点を申し上げますると、第一に、本年はオホーツク海の公海出漁する日本母船は一隻、漁獲量は六千五百トンをこえないものとする、これが一つであります。それからオホーツク海における来年度からの出漁に対しましては、オホーツク海のカムチャッカ半島西側北西太平洋におけるサケマス産卵場として考え、その産卵場に遡上せんとして近寄りつつあるところの近くにおいてこれを漁獲することは魚類維持増大のために適当でないことを考慮して、来年度から日ソ両国が平等の立場に立つ出漁を差し控える。もっともソ連においては母船式あるいはそういう漁業を今やっていないのでありますけれどもソ連側主張といたしましては、ソ連側としても権利はあるのだし、やろうとすればやれないことはないのだけれども自分の方でもこれをやらないことにするから、平等の立場でこの出漁を差し控えようじゃないか、しかし、公海の自由は依然としてお互いに認め合っておることであるし、カニの問題にいたしましても、その他小漁業等についてはお互い漁業の自由を認めるし、航行の自由はもちろん認めるという形でそういう取りきめをするということを、委員会ではかったのであります。第三におきましては、漁獲量は本年度十一万トンにすることをきめたのであります。第四におきましては、昨年共同調査を行わなかったのであります。というのは、ソ連側機構改革をいたしまして、ゴスプラン等ができて、そういう機構改革のために共同調査が行われなかったことを非常にソ連側も遺憾に思ってわびているようなかっこうでありましたが、これは条約上も共同調査をすることになっておりますので、本年におきましては詳細なる調査計画を立てて、学識経験者が現地につきあるいは資料につき資源調査をする、こういうことを決定いたしたのであります。その他こまかい、今まで話が出ましたカニの問題や、それから距岸距離規制区域等の問題につきましても、わが方の主張をほとんど全部認めまして、委員会最終決定を見たような次第であります。  それからなお一つ申し加えておきたいと思うのでありますが、実は母船は入らないということにするならば、独航船はどうなんだ、こういう問題を二、三日話し合ったことがあるのであります。そうすると産卵途上において独航船を使って産卵を妨げる、そして川へ上るところのバランスをくずしていく。しかも川においては、向うでは産卵施設その他に金をかけている、そういうことにするならば、やはり独航船においてそののど首産卵途上に上るものを漁獲するというようなことになっては、やはり結果は産卵場に上ってくるところの魚がアンバランスになってくる、こういうことであるから、基地をもってする独航船も同じように扱いたい、こういうようなことでありました。商業的な大きな漁船によって産卵のために遡上するサケマスを押えられることがお互いに苦痛ではないかということでありましたので、独航船ならば差しつかえないかということを再々念を押したのでありますが、独航船についても同じような扱いをしたい、こういうことでありますので、これは今後の問題に残しまして向うの話を聞いたことにしてきたのでありますけれども扱いとしては、向うとしては同じように考えておる、こういう立場をとっておったのでありまして、後はどの交渉一つの課題になるかと思いますが、今のところでは独航船も含めて、来年から産卵のために遡上する魚を産卵場の入口でとるということは差し控えよう、こういうような結果に相なったのであります。  話の途中において、率直に申しますといろいろ問題があったのであります。たとえばそういうことになると、私どもの方では、海洋国として漁業のために生きている日本としては、世界的にあちらこちらに支障が起きる、こういうようなことでずいぶん話もいたしましたが、向う側からは、むしろ支障にならないのだ、共通目的で魚の資源増大していくのだからして、かえってほかへの主張が強くなるのではないかというようなことも言っておりましたが、私どもとしては、主張は弱くなるというようなことでずいぶん争ったり議論もいたしたのであります。  そういうような経過をもちまして、二十二日の朝委員会において正式の決定をもちまして共同コミュニケを出してこちらへ帰ってきたということでございます。私どもといたしましても、渾身の努力をいたしたのでありますが、向うの話の中にももっともな点も相当ありましたし、また来年に持ち越すと、来年これが向うでは相当強い態度をもって臨むことも当然予想され、またこれを持ち越すということがありますならば、漁獲量は八万トン、こういう態度を一歩も先に出ない、こういうような情勢下にありましたので、そういうふうに話をいたしたのであります。この点につきましては、向うミコヤン第一副首相イシコラ漁業担当大臣と全く同じ意見でありました。フルシチョフ総理に会いまして話をいたしましたが、これはほかの政治問題の話を一般的にしたのであります。漁業の問題も話をいたしましたところ、実は漁業の問題はおれもよく知っているのだ。そして、これは日ソ両方のために一つ御成功を祈るということで、フルシチョフ総理は、この問題にこまかくは触れませんでした。そういうような状況で、私といたしましてもまことに不満な点があるのでありますが、一つ御了解をお願いしたい、こういうような考えを持っております。  一応大体の御報告でありますが、今回の日ソ漁業交渉についての御報告を申し上げます。委員会は各数日をかけまして、私が行きましてからも三十数日かかったのであります。話はなかなかむずかしいことでありましたが、その程度できまったのであります。重ねて御了承をお願いし、御報告を終りたいと思います。
  4. 中村寅太

  5. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の日ソ漁業交渉妥結に当りまして、赤城農林大臣におかれましては、約一カ月にわたって、モスクワにおいて政府代表として最大の努力を続けられて、このような結果をもたらされたことに対しましては、ひとり私だけではなく、当委員会同僚委員各位も、大臣の御苦労に対して深く敬意を表しておるのであります。  ただこの機会に十分明確にしておきたい点は、今回の最終的な妥結の場合に、明年度からオホーツク海域出漁しないという取りきめを行なったのでありますが、交渉の大原則としてはあくまでも公海の自由の原則の上に立って、オホーツク海の出漁問題等に対しましても、数量はともかくといたしまして、あくまでも日本主張というものは続けていくという、一貫した態度が当初堅持されたはずでありますが、最終段階においては、むしろ日本側から、明年度からオホーツク海には出漁しません、そのかわり数量の面においては十一万トンの決定をしてもらいたい、こういうような意思表示をしたということが国内に伝わっておるわけであります。この点は非常に重大な点であると思うのでありますが、今の大臣の御報告によって大よその経緯はわかったのでありますが、交渉最終段階において、十一万トンの数量確保することを主にして、明年度からオホーツク海には出漁しません、こういうような、日本としての既得権益を放棄するような形の中で、数量確保だけに努められたということに対してはなかなか了承しがたい点がここにあるのです。ですから、この点に対して、もう少し具体的に御説明を願いたいのであります。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 何日でしたか、日は忘れましたが、高碕代表が帰る日に、私とイシコフ大臣交渉をすることになっておったのであります。ところが帰るということであるならば、高碕代表も立ち会ってもらいたいという向うからの要求がありましたので、高碕代表と私と、政府代表代理塩見農林次官と三人で立ち会ったのであります。そのときの私ども主張は、十二万トンを三年間を継続してきめる、そこまでは折れる、三年間継続するということになれば、去年は豊漁とし、ことしは不漁として、これから三年やれば、豊漁不漁を二年続けるということなるから、十二万トンを確定的にきめようじゃないか、こういう話をしたのであります。ところが条約上は、御承知通り科学的基礎に立って総漁獲量はきめるということになっているので、五七年、昨年の調査統計等は出ているけれども、ことしの調査等は出ておらぬ。こういうことから見ると、今後三年間継続して十二万トンというような、固定的なものにきめるということは、これは条約科学的基礎を阻害するので、そういうことでこれはできないのだ、こういうような話が出たのであります。そこでいろいろ話を進めている途上におきまして、赤城大臣努力をするというようなことでなくはっきりこれはお互いにやめるということであるならば、十一万トンまでは、日本漁民立場考え、私の方で責任を持ってそれを引き受けてもいいということを、イシコフ大臣から話が出たのであります。それは思わず口ばしったというような格好で、向うでも計画量は十二万トンでも、ことしは十二万トンも非常に困難です。日本では十万トンということにはなったが、そのほかに五万から六万トンを、規制区域外でとっているので、それから比較しても、ソ連漁獲量は、計画の十二万トンはことしは非常に危険だ。去年は十四万トンの計画で十五万トンをとっておるのでありますが、ことしは十二万トンの計画でありますけれども、その十二万トンについても非常に危ぶんでおるのだけれども、十一万トンくらいならば何とかなるというようなことを、率直に言うと、うかつに口ばしったのであります。  そういうようないきさつがありましたので、その後において、高碕代表もいろいろ経過を内地の方で報告されたと自分承知しております。そこで私の方といたしましては、オホーツク海の問題と取引というような考えではなく、来年度におきましては、これは私の見通しから見れば、どうしてもやめるようなことに立ち至らざるを得ない。ソ連は、御承知通りはっきりきめたことは、もうてこでも動かぬというような形でありますし、こっちもそれに対してあくまで頑強に、私の方の理由を徹頭徹尾何回も、毎日々々同じことを繰り返しながら交渉を進めておったのでありますが、そういうような見通しを持っておりましたので、そういうようなことでありますならば、日本立場といたしましても十一万トンという主張を通した方がいい、こういうことで、取引というような考え方ではなく、向うの実情もよくわかってきましたし、そういうような関係からするならば、これははっきり委員会等においてそのことを決定して、やはり十一万トンというものを確保した方が、将来の総漁獲量決定の上において非常に有利である、こういう考え方から、十一万トンを主張いたしたのであります。でありますから、オホーツク海の問題は、これを取引の具に供しようが供しまいが、私の見通しといたしましては、来年度においては、必ず向うから強硬にやめることを提案し、それが妥結できないならば、一方的にもこれをやろうというような意思が非常に強かったのであります。実はことし、それをよほど考えておったようであります。これは去年の委員会におきましても、ことしの委員会においてはこの問題を提起する、もうやめてくれということを強く言っておりました。でありまするから、ことしは当然向うの腹組としては、この問題を解決してお互いにやめるということにならなければ、総漁獲量等の問題についても触れないという態度が強く見えておったのであります。でありますので、来年度においては、オホーツク海の問題は、話し合ってもとても向う承知しないというような見通しがありました。そういう点から考えますならば、やはり将来の総漁獲量決定についての基礎を一歩でも進めておいた方がよろしいという考え方から、そしてまた日本漁民失業を少くするという立場からも十一万トンを主張していった方がよろしい、こういうふうに考えましたので、十一万トンの主張をいたしたのであります。そういうような関係で、実は最後に十一万トンにせぬかという話をいたしましたところ、向うでも相当あわてたようであります。実はそういうことを口走ったのだけれどもミコヤン首相にもうルシチョフ首相にもそのにとを話してないのだ、だから少し猶予を置いてくれということで、最後におきまして数日これが延びまして、そうして最後に向うの首脳部の了解を得て十一万トンというふうに向うでも応諾いたしたのであります。でありますので十一万トンというのは、将来における総漁獲量決定の上におきまして、日本立場を有利にするし、本年度におきましても、そういう主張を通した方が日本のためになるという立場から私ども主張いたしたのであります。オホーツク海の問題は、それを取引の具に供するとか供しないとかという問題は別といたしまして、来年度におきましては、これは必ずやめざるを得ないようなことになるという見通しを持ちましたので、将来における総漁獲量の基礎をここで作っておいた方がいいのだ、こういう立場から、全然関連ないとは申しませんが、そういう立場から十一万トンということを主張いたした、こういうふうに御了解下さればいいのじゃないか、こう考えております。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は、特に本年度漁獲量交渉妥結の経緯だけから見れば、十万トンよりも十一万トンの方が有利であったということは言えますが、しかし両国間の外交上の権利というものを一部放棄してまでも、今年度だけの利益を獲得するためにかかる挙に出たということ対しては、われわれとしてはなかなか了承することはできないのであります。しかも今回の交渉に当りましては、未解決な講和条約の問題あるいは安全操業の問題等をも切り離して、特に漁業交渉の面だけに集約して両国間の交渉を進めるという原則的な態度の上に臨んだわけですからして、かりそめにも今後の講和条約等にも関連を持つところの権利の放棄をこの交渉の過程の中で含めての取りきめを行なったということに対しては、やはり将来に対して大きな過恨を残すのじゃないかということを私は特に指摘しておきたいのであります。  さらにお尋ねしたい点は、最終決定がなされる以前に、今年度日本及びソ連が約三ヵ年間にわたって共同調査を行うという取りきめがすでに決定になったのでありますが、この共同調査が行われることは、今後のオホーツク海の漁業が果して両国間においてこれを禁漁するような措置をとらなければならぬかどうかという結論も、共同調査の結果によって明確になる点でないかと思うわけです。共同調査を行う以前に、もうすでにオホーツク海に対しては出漁しないということになった場合においては、共同調査を行なった結論がどうであっても、これは共同調査の示す成果を非常に減殺することになるのじゃないかというふうに考えるわけでありますが、この点はいかがですか。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 第一点の平和条約との問題と切り離すということは、日本政府態度でもありましたが、私どももその点につきましてソ連の首脳部とも話し合いましたところ、やはり漁業問題は、御承知通り一昨年にきめました日ソ間の漁業条約というものができているのだから、これを平和条約を締結するというような問題とひっかけて、それをやるなら日本に有利にするとか、やらないなら不利にするとか、そういう問題は全然考えていない。平和条約の問題は平和条約の問題として、日本の出を待つといいますか、フルシチョフ首相どもしんぼうして日本の出を待とうと——これはいろいろ話をしましたところがそういうことでありますので、平和条約とは切り離して進めていこうという態度は、ソ連側条約上の問題として了承いたしたのであります。  安全操業の問題につきましては、率直に申しますと、ソ連側では日本で人の領海において安全操業を言うのは少し言葉がおかしい。日本の近海操業ということならまだ話はわかるが、まだきまらぬところへ、おれの方では自分の領土だと思っておるところへ、安全操業というような、当然の権利があるというようなことは、ちょっと言葉が悪いというようなことを言っておりました。これは平和条約と関連があると、こういうようなことを言っておったのでありますが、当面の漁業交渉の問題は、条約上の根拠に立ってお互いに平等の立場に立ってやろうじゃないか、こういうような話になったわけであります。そこで今お話のように、私どもも西経百七十五度の方とは違って、ここは前から日本が開拓した場所であるし、現に二船団も入っているところだから、これをやめるということは日本としてもできないことだということを私も主張をいたしたのであります。しかし先ほどから申し上げましたように、西北太平洋資源を維持し増大するという共通目的のために、大きな立場からこの産卵場を保護し魚類増大をはかろう、こういうような立場からするならば、今も規制区域等について距岸川十海里とか二十海里とかいう話もしてきておりましたので、そういう立場からならば、公海自由の原則を全然否定しないということであるなら、これは了解してもいいのじゃないか、こういうことから話し合いを進めてきましたことは先般申し上げた通りであります。  第二の点につきまして、私ども共同調査の結果によらなければこれは判然としない、こういう建前相当堅持してきたのでありますけれども向う側から言いまするならば、自分の方の資料はもうこれだけあるのだ、共同調査を待たなくても自分の方では確然と遡上する魚種が減って、そして向う漁民失業状態やら、相当の統計及び資料が全部整っておる、これを調査してもらえばその実態はわかるのだ、こういう主張をしたのでありますが、それはソ連側ではわかっておるだろうけれども、私の方ではわからぬということを繰り返して話したのでありますが、そういう資料等を見ますると、やはり向うの言うこともうそもないというような点は認められたのであります。そういう点から考えまして、共同調査を経てこれを決定するというのが筋だと私も考え、またそういう主張はしたのでありますが、そういう調査の問題、あるいは来年度における相当強い向う立場——それはことしもやめようということで、実は初めからそういうことになっておったのでありますが、そういう立場をいろいろ政治的に考察いたしますると、共同調査というものは当然オホーツク海におきましても、それから今申し上げたカムチャッカの河川等におきましても調査はすることになっておりますが、その調査の結果はそういう事実を確認するという形になって、逆な形になるかとは私も考えております。しかしながら向う調査報告等によりますると、なるほど魚類資源保存という点では、来年度からこれはしばらくやめて、その経過を見るということが適当じゃないか。こういうような政治的判断の上に立ちまして、実は委員会決定をそういうところへ持っていった、こういうことになっております。お話の通りのことが筋でもありますし、私も筋はずいぶん主張したのでありますが、どうもそうもいきませんで、結局やめることになるならば、共同調査はあとから確認するという形で、その事実を認めることになる、こういうふうに考えましたので、先ほど申し上げましたようないきさつをもって結論を得たわけであります。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣お急ぎのようでありますから、あと二点だけお尋ねしておきますが、そのうちの一点は、今回のオホーツク海に出漁しないという取りきめは、オホーツク海域全面についてではないと思うのです。これはおそらく現在まできめられておったオホーツク海のサケマス規制ライン内における出漁はしません、こういうことであると思いますが、いかがですか。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 規制ラインが広がったという形になりますか、母船による漁業オホーツク海の公海において双方ともこれを差し控える、こういうことになっていますから、今きまっておる規制区域だけではないと思います。しかし公海において小漁船とか、タラ釣とか、あるいは底びきだとか、こういうことは公海におけるいずれの場所においても行なってもよろしい、こういうふうに承知しております。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、現在までの規制ラインは御承知通り北緯四十八度から五十八度十分まで、それから東経百四十六度から大体百五十五度の線が大まかな規制ラインですね。これが今度拡大されて、ソ連の言う領海というのは距岸十二海里ですから、それ以外の海域は全部これを公海とみなして、これを規制ラインにすることになると、問題は非常に重大だと思うのですね。しかもこのオホーツク海はソ連領だけで囲繞されておるわけではないのです。一部ではありますが、北海道の稚内から根室沖に至るまでの間は、これは日本の領土がオホーツク海域の一翼をなしておるわけなんです。日本の場合には今度は領海説は十二海里ではないわけです。そういうことになるとオホーツク海の双方の領海の距岸距離主張は違うとしても、とにかく公海とみなされるところでは、母船式によっては操業ができないということになると、先ほども大臣の説明がありましたが、しからば母船式以外の操業によってはどの程度にやれることになっておりますか、その点はいかがですか。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知通りオホーツク海の公海全部が規制区域になっておりますけれども母船の規制区域及びはえなわ、流し網等の規制区域も別にあるわけであります。今回はオホーツク海の公海におけるということは、やはり母船の問題が主でありますから、規制区域は依然として母船の規制区域、オホーツク海の公海においてとはいいながら、母船の規制区域内に母船が入ることを差し控える、こういうことになっております。このことにつきましては、これは来年のことでありますから、来年の委員会等においてその区域等についてはなお検討することとになると思いますが、母船を主とした区域における母船出漁をやめるということで、ほかの流し網とか、はえなわの区域もありますからその点は何ら影響はこうむっていないわけであります。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 その点が大事なんですけれども、そうするとオホーツク海域における漁獲数量は今年度は六千五百トン、これは従前の規制ライン内において六千五百トンをとるということだと思うのです。ですからこの規制ラインというものはやはり従前通りの区域であって、この区域の中において六千五百トンの漁獲量をことしはお互いに同意する、こういうことであると思うのです。ですからこの規制ライン以外にもやはり公海はあるのですね、ですからこれに対しましては、別に今回の不出漁の取りきめとはこれは関連がないという態度をとってしかるべきと思いますが、この点はいかがですか。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほどの答弁の中で、流し網とか、はえなわはオホーツク海の外であったので、さっきの私の答弁を訂正いたしておきます。  それから御承知通り、ことしはオホーツク海の公海における母船の規制区域内において、母船一隻六千五百トン以内を漁獲する、こういうことは今お話しの通りであります。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしたい点は、先ほど大臣の御説明の中に、実はオホーツク海において基地独航方式によってやられてはどうかというような話もあったというようなお話もありましたが、これは今日大臣から面接お伺いした新事実であって特に一昨日の当委員会においては、水産庁長官も出席されてその話を持ち出すいとまは全然ないほどにオホーツク海問題は困難であったという、そういう中間報告があったわけです。これを本日大臣から承わりますと、基地独航方式の問題も実は話を進めたのだけれども、これもやはり母船式と同じようなことで、向うは同意しなかったというようなお話がありましたが、私たちの解釈からしますと、従来の経緯を見ると、この漁獲量においては、たとえば昨年度は全体において十二万トンですね、そのうちオホーツク海域においては一万三千トンということが内容であったわけです。その数量の範囲内における、たとえば母船、流し網等の配分に対しては日本政府の責任において行政的な措置を講ずるということは、今日までとれたら一貫した方針だったわけですね。ですから、本年度の場合においても、私どもは従前通り十二万トンの総量のうちオホーツク海域においては六千五百トン、それ以外は東カムということになったわけであります。この区域内における数量の範囲内における母船、流し網の配分というものは、当然政府の責任においてこれを指導しておやりになるというふうに考えておるわけであります。ですから、この点は、東カム、西カムにかわらず、やはりこの基本的な態度によって今後処理されると思いますが、その点はいかがですか。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今度のことしの取りきめにおきましては、オホーツク海の公海における規制区域内におきましては、母船一隻、それから量においては六千五百トンをこえない、こういうことになっておりますので、今のお話のように、日本政府において、その量等につきましては、全体から見て、あるいは六千五百トン以下にするような場合もあるかと思います。しかしながらそのかわりに独航船を基地から出すということについては、先ほど申し上げたように、資源の保存上から、母船でとっても、独航船がその入口の回りでとっても、産卵場を撹乱する、こういうような立場から、基地からの独航船によってオホーツク海の産卵場の近くで漁獲するということは差し控えよう、こういうことになっておりますので、その分を独航船によって補う、量を減らしてその六千五百トン以内の配分を独航船だけによってやるということは、これはやり得ないことだと考えております。  それから水産庁長官からその話がなかったように聞いておりますが、これは最終的な二、三度の会合においてそういう問題を私も確めたものですから、私が帰ってくる前に水産庁長官報告が来ておらなかった、こう思います。最終的な二回くらいのときにその問題を私の方から話し合った、こういう経過になっております。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 それで、一昨日の長官の報告によれば一応了承できるのです。基地独航の話を全然持ち出さないで、そうして母船だけの話をして、一隻で六千五百トンということであれば、これはそういうことであったということも言えるのですが、大臣は熱意を持って沿岸漁業の利益をはかるために、それでは基地独航でやらしたらどうかという話までされたのですからして、そうなると、この規制ライン内において六千五百トン以内の漁獲であれば、これは資源保護の上からいっても、今年度の場合はこれでいくということになっているから、母船式と基地独航と操業方式が違っても、いずれにしても六千五百トンしかとれないのです。ですから、規制ラインにおいて六千五百トンしかとれぬという場合においては、母船だからいけない、独航船だからいけないということにはならないと思う。しかも東カムにおいては、これは今後の問題でありますが、十万三千五百トンはやはり母船、流し網に配分されるわけです。だから、私はオホーツク海における母船一隻を排してという意味ではないのです。母船を中心にして六千五百トンではあるけれども、多年の念願であるところの、しかもこの母船式は来年はもうやれないということであれば、この機会に六千五百トンの範囲内において、母船操業を主体にするのではあるけれども、基地独航の方式というものを一部取り入れて、そうして少量であってもこれをやらすというようなことも、交渉の取りきめの中にはそういうことはうたわれてないからして、日本政府の責任においてその配分はやれるのでないかということを私はお尋ねしておるわけです。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知通り、去年は母船二隻、一万三千トン、ことしは母船一隻で六千五百トン、こういうことになっておりますので、そうしてまた委員会決定が六千五百トン母船一隻をもってする、こういうことになっておりますので、私も独航船によって来年度からはかわり得ることについていろいろ交渉してみたのでありますが、先ほどから申し上げましたように、独航船によってとれないような形で、産卵場へ遡上するサケマスをとれないようにしようじゃないか、こういう強い考え方でありますので、取りきめの経過から見ますと、やはり母船一隻を中心とした六千五百トン、こういうことでありますので、それが独航船にその一部分をかわり得るという見通しはない、こういうふうに私は見ております。でありますから、お話のような点も話しはしてみたのでありますが、かわり得る可能性はないと御認識下さるよりほかないじゃないか、こう考えます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣が直接言われるのですから間違いがないのですが、私たちの考えから言うと、交渉内容の中にはそういうことは規定されていないのですよ。だから、これは一部基地独航方式を採用するとしても、日本政府の責任と指導によって、ソ連側に対して不信行為が起きないようにやればいいじゃないかというふうにも考えるわけです。先日私もお尋ねしたのですが、もし六千五百トンの範囲内において、たといそのうちの一千トンであっても基地独航のごとき方式によって操業するということは、政府の責任でおきめになる場合は、これは今回のこの条約締結の内容に対する侵犯行為になるか、ならぬか。むずかしい表現になりますけれども、そういう点に対してはどうなんですか。そういうことはやはり国際信義の上から全くうまくないのか、その程度のことは日本政府の責任においてやればやれることであるかどうか。その点を大臣からもう一度お尋ねしておきたい。
  20. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今回の委員会決定までに至る取りきめの経過から申しますと、日本政府において六千五百トン以内のものを独航船にかえて幾分でもいけるということは、やはり国際信義上できないことだ、こういうふうに私は考えております。
  21. 中村寅太

  22. 赤路友藏

    赤路委員 先ほど北洋問題について大臣からいろいろ経過を聞きました。私は質問条項はたくさんありますけれども、質問はいたしません。ただ重要な点二点だけを御注意申し上げまして、今後の参考にしていただきたいと思う。まず第一点は、ソ連は沖取り漁業によってサケの河川への遡上がアンバランスになっておる、こういうことを言っております。これは遡上性の魚については生物学的理論から申しますと、一応そういうことは言えると思う。それとともに奥地開発による河床の変化ということが実に重大な要素になっていますから、資源論で論じる場合はこれを忘れてはならぬと思う。  もう一点は、今いろいろ報告を聞きましたが、日ソ両国ともに調査資料はなお不十分だと思う。従って漁獲量の妥当性ということは、これはなお不分明であるし、不確定であると考える。そういう要素が非常に大きい。従って共同調査を急速にやってもらわなければならぬ。その場合注意すべきことは、昨年も日本側から学術調査団を出す約束済みのものをとうとう入れなかったという事実がありますから、こういうことのないように、十分御注意を願いたい。  それから第二点の方は、先ほど大臣が申されましたが、オホーツク海の双方出漁しないということは、これは平等に考えてやっているということです。ところがソ連側におきましてはこの河川の条件からいいまして、魚の遡上というものがピークヘくれば必ず漁獲する。それからもう一つは、落ち魚は漁獲する。この面から見ました場合には必ずしも平等でない、不平等だということもはっきり言えると思う。これらの点も今後十分御検討の上資料にされて善処願いたいと考えます。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御注意をいただきまして感謝いたします。実は交渉のときにも、共同調査の場合に、川へ遡上するばかりでなく、山林を伐採したり、カムチャッカでもいろいろやっております。そういう点で遡上する魚が少くなる原因に、やはり奥地開発というような問題もあるだろうということを私どもも指摘いたしたのであります。そういう点から考えまして、現地について学術研究者の調査が必要だということで調査をすることにいたしました。共同調査の点につきましても、今お話のように資料が十分でありませんので、今度の委員会におきましては調査の細目の日程までとりきめました。私どもも、昨年はなぜやらなかったか、条約上にも共同調査ということがあるではないかということを責めました。これは非常に向うも遺憾の意を表しておりしまた。これについては先ほども申し上げましたように、機構改革があって、そのひまがなかったので申しわけないということを言っておりました。そういう関係から、今年は具体的な調査計画日程等も作り上げておきました。  それから遡上する魚をやはり向うではとっているではないか。余っているなら余ったものも、これは途中で整理してもいいではないか。この議論については非常に向うでも困っておりまして、実はおれの方の領海の問題まで君は口を出すのか、領土、領海でとるということを日本から口を出される理由はないということで、大分怒っておりましたが、全体の資源から考えるならば、領海においても全部とらないというなら話はわかるけれども、これを整理して、入ってくるものをある程度とるし、また下りてくるものもとる、こういう事実があるということならば、われわれが母船で途中で少量のものをとることについて何ら問題はないはずだ。私は間引き論をやったのですが、途中で間引きした方が資源にはかえっていいのではないか。そういう点から考えれば、ある程度の間引きというものは優生学上からいっても、資源増大からいっても差しつかえない。こういう話は十二分にしたのであります。ところが非常にアン・バランスで、領海の問題まであまり口を出されては困るということで、ずいぶん議論をいたしまして、御注意の点は私も言ったのでありますが、今後の調査については私ども主張の方がその点では強かったのであります。そういうことを注意してまた調査に当りたいと思っております。
  24. 中村寅太

    中村委員長 川村君。
  25. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 赤城農林大臣には長い間御苦労さんでありました。相当に効果の上りましたことにつきましては、私は感謝の意を表します。従って私は農林大臣に対しては御質問を申し上げません。  ただ一、二点水産庁長官にお伺い申し上げたいことは、まず第一点は、昨年は十二万トンでありましたものが、今年十一万トンとなりましたので、業界には母船も減らすべきであるとか、あるいは独航船も減船すべきである。この減船という中には、二千五、六百万円か、あるいは二千九百方円の補償を出して減船すべきであるという議論もございます。中には休漁にしておけという議論もございます。このいずれをとるかということと、それから昨年から見ると、一万トン減っておるのであるから、休漁にしてもやはり昨年より若干上回った休漁船を出さなければならぬということは常識として考えられるのでございますが、水産庁長官としては、もう農林大臣がお帰りになったのだから、大体相談もしたことと思いますが、どういう方途で、一体どの程度独航船を休漁させるか、その点だけをお伺いいたします。
  26. 奧原日出男

    ○奥原政府委員 大臣がお帰りになりましたので、休漁に伴いまするいろいろな問題を目下急速に結論を出すべく努力をいたしておる次第でございます。そこで民間におきまして、一方において母船を減らすべきである、あるいは独航船につきましてこれを減船をする、あるいは昨年以上の休船をするべきである、こういうふうな意見がありますことはわれわれも承知いたしておるのであります。しかし水産庁といたしましては、せっかくの代表団の御努力で十一万トンが確保されたのでございまして、経営という立場だけから考えれば、数を減らして、そして将来の収益をできる限り確保するということが望ましいという考え方もございましょうけれども、われわれといたしましては、母船にいたしましても、また独航船にいたしましても、できる限り経営だけの観点から数を減らすという考え方にだけ立つべきではないのでありまして、北洋の漁業に依存しております漁民大衆あるいは漁村の状況等から考えましても、全部の船が就業する、こういう態勢に進んでいくべきものではないか、かように目下考えておる次第でございます。しかしながら船団編成等に関しましては、業界においてそれぞれ自主的にいろいろお話し合いをなされるべき問題でございますが、その話し合いの取り運びにつきまして、当然われわれといたしましても努力しなければならないいろいろな前提があろう、かように思うのでありまして、それらに関しましては御相談を受けつつ、われわれとしても全力をあげて努力して参りたい、かように考えております。
  27. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 長官はでき得る限り母船独航船も減らさずに、北洋漁業の将来から見ると、ことしは十一万トンであるけれども、来年は十二万トンになるか十三万トンになるかというような思惑といいましょうか、そういう点も加味しての御答弁だと思っております。私も長官と同じ意思でありますが、とにかく独航船側は独航船側で、おのおのの立場において、これはもう休業でなく減船をする、そして政府も補償すべきであるというような前提に立ってやっておることは、長官もお聞きだと思っております。しかし政府といたしましては、長官談で発表しておるように、もう補償は出さない、こう言っておるので、当然休業していかなければならないと思っておりますが、その休業船もやたらに多く出すというと、今度は来年が十二万トンになった場合、あるいは十三万トンになった場合、一体その船を選択するのに困難を来たすのではないか、私はこういう想像を持っておるのでございますが、大体隻数において業界は業界でそれぞれ出すでありましようけれども水産庁長官としては去年の三十九隻という点で考えておるか、それから若干上回った隻数でも認めるという考えであるか、この点をどうか率直に述べて下さい。
  28. 奧原日出男

    ○奥原政府委員 先ほど申し上げましたように、できるだけ全船出漁していただく、こういう方針でいろいろ検討をいたしておるのでございます。今業界のお話し合いでまとまる線をどの程度に期待しておるかということにつきましては、具体的数字についてはまだ申し上げ得る段階に到達してないことを御了承いただきたいと存じます。
  29. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 長官に率直に述べてくれというのは、私は内容も知っておるし、自分も業者であるから申し上げているので、昨年十二万トンの場合で三十九隻自主休業をしていっておるのです。だから十一万トンになって一万トン不足になったから当然それ以上のものは考えているけれども、七十隻という意見もあります。百隻という意見もございます。また中には、いやそうでない、来年はまだとれるかもしれぬから、昨年通りでいいという意見もあります。そこの中間をとってもまあ五十隻くらいが適当かと私は思うのでございますが、長官は今その段階でないといったようなことをにおわすなら、それでは一体業界が七十隻と持ってきたときに七十隻認めますかどうか、こういうふうに聞いた方が答弁しやすいでしょう。
  30. 奧原日出男

    ○奥原政府委員 私たちもちろん業界の自主的なお話し合いをただ傍観する意思はないのでありまして、われわれもいろいろその前提については御相談にあずかりたい、かように考えております。ただこの問題は非常にデリケートな問題でもあるし、一体水産庁がどういう意思であるかというようなことをいろいろそんたくしておられる方々も大勢いらっしゃるのでございまして、今この段階で申し上げますことは、話をまとめるのにかえって都合が悪いかと存じますので、御了承願いたいと存じます。     —————————————
  31. 中村寅太

    中村委員長 ただいま審査中の養鶏振興法案について川村委員から発言を求められておりますので、これを許します。川村善八郎君。
  32. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 御承知のように、今国会は本日あと数時間で解散をするというような決定をしておるのであります。従って本委員会もきょうで終りを告げなければならないと思うのであります。かような段階に至りまして、本委員会に付託になっております法案の結末をつけなければならないと思うのであります。そこで、昨日当委員会におきまして参議院から送付になりました養鶏振興法案を議題といたしまして審議を進め、質疑応答がかわされたのであります。一応質疑は打ち切りまして、討論採決に入るまでの段階は踏んでおりますけれども、この質疑応答を通じてわれわれが検討してみますと、内容においても相当不備な点が見受けられるようであります。かかる法案をかりに通してやってみましても、内容が不備であって、法の精神に基く行政が行われない点も相当あると思うのであります。またただいまかりに通しましても、数時間後に国会が解散するということになっておりますから、本会議が通るかどうかという問題も疑われるのであります。かような次第であるから、われわれといたしましては、この委員会において一応結末をつける意味におきまして、農林省においても今後内容も十分検討して、この次の国会において農林省からそれぞれの内容を進めまして政府提案にした方がいいのではないか、かように考えますので、委員長からも本委員会にお諮りを願うと同時に、大臣の所見を承わりたいと存ずるのであります。
  33. 中村寅太

    中村委員長 ただいま川村善八郎委員から申し出られました件を了承して、農林省当局に御意見を聞きたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 中村寅太

    中村委員長 御異議なしと認め、そういうことにいたします。赤城農林大臣
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 養鶏の振興の必要性につきましては、川村委員も御指摘のように、政府といたしましても十分に考えておるところでありますので、御意見の趣旨を尊重いたしまして、十分に検討をいたしたいと存じます。ただ解散後の特別国会に提案するかどうかということにつきましては、少額ながらも予算を伴っておりますので、今直ちに解散後の特別国会に提出するという約束をすることはできにくいとは考えておりますが、十二分に検討の上御意見の点を尊重していきたい、こう考えております。     —————————————
  36. 中村寅太

    中村委員長 この際委員会を終了いたしますに当り、一言ごあいさつ申し上げます。  十二月二十三日第一回委員会開会以来本日までに委員会を開くこと三十二回、可決法案十五件に及んでおるのであります。この間、委員長ふなれにもかかわりませず、円満裏に委員会の運営をなし得ましたことは、全く委員各位の御協力のたまものと厚くお礼を申し上げる次第でございます。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十七分散会