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1958-04-22 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月二十二日(火曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 吉川 久衛君    理事 川村善八郎君 理事 原  捨思君    理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    大野 市郎君       木村 文男君    草野一郎平君       小枝 一雄君    鈴木 善幸君       田口長治郎君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    松浦 東介君       松田 鐵藏君    松野 頼三君       村松 久義君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    川俣 清音君       中村 英男君    森 三樹二君  出席政府委員         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         議     員 足鹿  覺君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    小林 誠一君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  藤巻 吉生君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 四月十六日  委員松野頼三君辞任につき、その補欠として平  野三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平野三郎辞任につき、その補欠として松  野頼三君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員神田大作君及び細田綱吉辞任につき、そ  の補欠として石山權作君及び淺沼稻次郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十二日  委員淺沼稻次郎君、川俣清音君、楯兼次郎君及  び田中織之進君辞任につき、その補欠として阿  部五郎君、細田綱吉君、森三樹二君及び日野吉  夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十九日  狩猟法の一部を改正する法律案成立促進に関す  る請願小枝一雄君紹介)(第三一三五号)  地方卸売市場法制定に関する請願保利茂君紹  介)(第三一三八号) の審査を本委員会に付託された。 四月十五日  競馬法等撤廃に関する陳情書  (第九一九号)  李ライン付近出漁漁船用受信機に対する国庫補  助の陳情書(第九二三  号)  李ライン設定による漁民の損害補償に関する陳  情書(第  九二五号)  日ソ漁業交渉に関する陳情書外七件  (第九二七号)  奥地山村振興対策に関する陳情書  (第  九五四号)  蚕糸業危機対策に関する陳情書外一件  (第九五五号)  市町村農業委員会に対する国庫補助金増額に関  する陳情書(第九  五六号)  蚕糸価対策に関する陳情書  (第九五七号)  狩猟法の一部を改正する法律案成立促進に関す  る陳情書外三件  (第  九五八号)  農山漁村総合的振興対策確立に関する陳情書  (第九六一号)  早場米の時期別価格差継続に関する陳情書  (第九六二号)  酪農振興法の一部改正に関する陳情書  (第九六三号)  漁港整備に関する陳情書  (第九七五号)  地方卸売市場法制定に関する陳情書  (第九九五号)  かんしよ生産振興対策に関する陳情書  (第一〇〇九  号)  有畜農家創設導入資金わく拡大に関する陳情書  (第  一〇一〇号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の  一部を改正する法律案について地方行政委員会  に連合審査会開会申入れの件  三月及び四月の霜雪害対策に関する件  寒冷地農業振興対策に関する件  農業協同組合特別危険準備金に関する件      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。ただいま地方行政委員会審査中の地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案は、会社その他の法人に対する地方公共団体債務保証のほか、これと性格の類する損失補償及び元利補給についても、法律または政令で定める場合を除き、地方公共団体はこれを行うことができないものとする規定を含んでおりまして、農業施策を行う上におきまして重要な関連を持っておりますので、この際地方行政委員会連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めさよう決定いたしました。     —————————————
  4. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 三月下旬の雪害、凍霜害対策について調査を進めます。その後判明をいたしました被害状況及びさきに閣議決定を見ました対策要綱について政府説明を求めることにいたします。藤巻統計調査部長
  5. 藤巻吉生

    藤巻説明員 三月末の霜雪害につきましては、被害が起りましてから一週間ぐらいの状況を取りまとめたものがございまして、これは総額におきまして二百十一億五千五百万円という被害になっております。その後私の力では、府県統計調査事務所を動員いたしまして、もう少し正確な数字を集めておるところでございますが、二十日現在をもちまして、ただいま集計を急いでおります。二十五日過ぎにはその結果がまとまると思われますが、その後私自身が歩きましたり、あるいは農林省の者が方々へ出かけまして調査いたしましたところでは、予想外被害がひどく、この前の二百十一億五千五百万円という数字よりも上回るのではないかというふうに心配をいたしております。何分にもこれは、ことしの冬の暖かい天候で非常に農作物の伸びがよかったところに、寒さが急に来たということで、非常に条件が悪かったわけでございますので、そのために麦その他に非常な被害をこうむったということになっておりますが、いずれにいたしましても被害程度別数字府県別数字は二十五日過ぎにまとめて発表できることと考えております。
  6. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいま被害状況につきましては、藤巻統計調査部長から説明がありましたが、閣議決定を見ました対策要綱について、本名政務次官から説明を願います。本名政務次官
  7. 本名武

    本名政府委員 ただいま委員長からお指図がございましたが、先般四月十八日の閣議におきまして、今次の霜雪害対策につきまして一応の要綱決定を見たわけでございます。概略について御報告申し上げますが、なお詳細については事務当局から御説明申し上げることにいたします。  今回の霜雪害は、その被害程度が特に激甚であるのにかんがみまして、昨年と同様に、すみやかに次のような措置を講ずることにいたしたわけであります。なお今後発生を予想される同種類災害につきましては、努めてその予防措置に万全を期しますとともに、災害発生の場合にはその被害程度に応じまして、同様の措置を講ずるということをきめたわけでございます。  その措置の第一といたしましては、被害農家につきましては、まず税の減免措置を講ずる必要があるということで、その申請によりまして、予定納税額減額等所得税減免措置を急速に行いたいということでございます。  第二は、農業災害補償法に基く再保険金概算払いをいたしますとともに、共済金の仮払いを迅速に行い得るような措置を講ずるということであります。  第三の措置は、天災融資法によりますところの被害農家実態に即応いたしまして、金利及び償還期限等についても、特に考慮払いまして迅速適切な営農資金の貸し出しを行うということでございます。  第四番目は、今後の施策によりまして、災害による減収を挽回し得るような農作物等については、その被害実態に応じまして、肥料及び農薬の適切な施用等を促進いたしまして、また被害農家の経営の改善のための諸施策を奨励することといたし、これがために必要な場合には、昨年度の基準に準じまして、所要補助、たとえば肥料は三分の一あるいは農薬は二分の一等の補助を行うということでございます。  なおこの施策実施に当りましては、被害都府県は、別に定める助成基準に基く実施細目によりまして、事業計画を定め、農林大臣の承認を受けて対策実施することといたしまして、政府はその結果に基き所要予算措置を講ずることといたしました。  第五は、農作物被害状況に応じまして適切な技術指導等を徹底するため、あるいはまた基本的な予防対策確立をはかるための事務的なあるいはその他対策上必要な所要経費措置を講ずることといたしました。  第六番目は、これは自治庁関係でございますが、被害県あるいは被害市町村に、今次災害によって税の収入が激減いたしましたりあるいは支出が増加いたしまして、財政の欠陥が生じた場合には、地方交付税の中から特別交付税において所要措置をいたすということにいたしております。  さらにまた被害に伴うところの飼料やあるいは種子確保に万全を期する。特に調査がつまびらかになりました場合には、種子等確保についてそれぞれ県と協力いたしまして、その購入あっせんに努めるという措置決定いたしたわけでございます。  以上が先般の閣議において決定したものの内容でございますが、このほかに、被害農家食糧をどうするかという問題——これは主として麦を配給することになろうと思いますが、その食糧の問題と、それに対する代金の問題、あるいはまた自作農維持資金増ワク問題等、それぞれ今後処置すべき問題があろうと思います。なおまた被害農家に対する現金収入の道を講じなければならないというようなことも起きてこようと思います。予算の更改時期でもございますので、現金収入に資するところの公共事業その他につきましては、直ちに新年度予算措置はできないかもしれませんが、県ともよく協議をいたしまして、県の予算範囲内においてできること、あるいはまた農地局や林野庁において手持ちの繰り越しや流用のできるような予算をもって、努めて急速に現金収入の道を講じたい、こういうことも別途ただいま考慮いたしております。特に開拓者資金につきましても特別の配慮が必要でないかというような点について、閣議決定の事項とは別途にそれぞれただいま検討いたしております。  以上が閣議決定に基く内容概略と、今日農林省として検討いたしております概要でございます。
  8. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に質疑を行います。ただいまの政府被害状況及び閣議決定対策要綱説明に関連して、議員足鹿覺君より発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり]
  9. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認めます。足鹿覺君。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま本名政務次官から三月の災害対策要綱について政府考えを聞いたのでありますが、それに関連いたしまして、少し掘り下げて一、二の点をお尋ねし、また災害が最もひどいと言われております私どもの地方実情も一、二申し上げて御再考を願いたいと思うわけでございます。  まず第一に、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の適用の問題でありますが、これはまことにけっこうでありまして、すみやかにやっていただかなければならぬのでありますが、問題はその貸付の資金ワクであります。現在までの被害実情等を見ますると、従来の例は、主として水田であるとか、麦作地帯であるとか、あるいはその他の畑作地帯に多くこの種の被害が出ておったのでありますが、今度の災害の特徴は、関西方面を含む暖地において、暖冬異変で成長が著しく促進しておった地帯に、急激に気象の変化が起きて、降雪あるいは凍冷害が起きた。そのために果樹中心とする被害は、カキなどについて見ましても八割はだめだ、またナシにしてみましても、桃にしてみましても、その他果樹と名のつくものについては、致命的な被害を与えておるのであります。従って、これらの農家実情から見まして、水田あるいはその他の農作物を主として作っておる地帯と同様のワクでもって天災融資をされたのでは焼け石に水ではないか。むしろそのワク実情に即するように広げて、農家営農資金のほんとうの身になるような額にまで引き上げなければ、その効果を期待することが十分できないと思うのであります。その点について政府としては御検討になっておりますか、御措置をまず承わっておきたいのであります。
  11. 本名武

    本名政府委員 今次の災害はまさにただいま足鹿先生の御指摘の通り、従来の水稲あるいは麦作一般畑作とは異なりまして、特殊な作物に影響が大きかったということは非常に問題であると同時に、これが被害が思いのほか大きいことによって、せっかく措置の道が講じられても、ワクが少ければ困るというお話でございますが、ごもっともでございます。御承知の通り、ことに果樹その他特殊作物につきましての融資ワクも別途政令で定めることになっておりますので、その節は、ただいまの御趣旨を体しまして、十分御期待に沿えるように努力したいと考えております。なお詳細については事務当局から説明いたさせます。
  12. 小林誠一

    小林説明員 御説明申し上げます。先ほど本名次官からお話がございましたように、このワク政令で定めることになっております。私たちといたしましては、このワクを定めます場合に、名作物別の再生産をいたしますに必要な現金支出分がどのくらいあるかということを算出いたしまして大蔵省と折衝をいたすことになっておりますので、その現金支出分が相当額あると認められます場合には、その資料をもって大蔵当局と折衝いたしたい、かように考えております。
  13. 足鹿覺

    足鹿覺君 ぜひその実情に即した線で御折衝願いたいのであります。私も忘れておりますが、現在では十五万円ですか、少くともその倍額は希望いたしておきたいと思うのですが、大体農林省としての考え方はどの辺を押えておられるでしょうか、大体の見当でも漏らしていただきまして、大蔵省方面に対しましても、お互いに協力して、農家実情にマッチするように努力すべきではないかと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
  14. 本名武

    本名政府委員 現行の法律では一応運用は十五万円ということになっておりますが、実情はなかなか容易でないということをよく承知しておりますので、努めて増額いたしたいと考えておりますが、具体的にはやはり法の改正を要することになりますので、その点の取扱いについてまた別途考慮をいたすようになろうと思います。考え方としてはできるだけ増額をいたしたい気持でおりますが、その点についてなお今後御相談を申し上げなければならぬことになろうと思います。
  15. 足鹿覺

    足鹿覺君 法の改正を必要とするのですか。ワク政令またはそれにかわる措置によって可能ではないですか。
  16. 小林誠一

    小林説明員 天災法の第二条の四項の一号におきまして、「市町村長が認定する損失額基準として政令で定めるところにより算出される額又は十五万円の範囲内で政令で定める額のどちらか低い額」というふうに規定しておりますので、法改正を要することになると思います。
  17. 足鹿覺

    足鹿覺君 そうしますと、これは非常に緊急を要すると思うのです。当委員会がこの問題をきょう中心にお取り上げ願ったことは、まことに機宜の措置と申していいと思うのですが、少くともそういうことについてお認めになっておる以上は、その法改正等当局としては準備をしていただきまして、そしてこうやって公式ばった質問をすることもけっこうですが、よくお互いが話し合って、でき上ったものを委員会で直ちに正式に議決して、少くとも解放も近い今日、直ちに法改正が実現するような運びにならないと、それでなくてもこの解散によって政局も非常に緊迫をし、政府行政機能も一時停頓をする、こういうことに相なろうかと思うのです。今までやり来たったことはそれでおやりになっても、新しい措置というものは新しい内閣が生まれてさらに一定の期間を経なければ特別国会も開催できないという実情であります。そうしますと、私は今明日が一番大事なときではないかと思うのですが、そういう点について政務次官の方で特に御考慮を願わなければならぬと思いますし、委員長におかせられてもそういう趣旨で適当な御措置をお願いしたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  18. 本名武

    本名政府委員 法律では十五万円を限度といたしておりますから、十五万円をこえてワクを設けなければならない場合には、これは法の改正が必要であります。従来の災害種類内容等によりまして、実は十五万円限度に出したということは、私の記憶ではございません。五万円とか七万円という額で従来は出ていたわけでございます。従いましてさっき申し上げましたように、今次の災害は特殊な作物、しかも特殊な地帯被害でございますので、従来の額を努めて増額できるようにいたしたい。しかし先ほど課長から御説明申し上げましたように、査定の基準と申しますか、その基準に従いまして、できるだけの増額がはかれるように、十五万円の範囲内において、従来は五万円、七万円でございましたが、できるだけ増額の道を考えたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿覺君 簡単な問題でありますし、やはり当委員会としても、直ちにこの点だけでも取り上げていただきまして、まあ大体十五万円の範囲内で——一応これは金を借りるわけであります、もらい切りのものではありませんから、農家の要求によっては十五万円未満でも事足りるものもございましょうし、また私が先ほどからるる申し上げましたように、その倍額程度はどうしてもという農家が多いように私の地方では見受けるのであります。といたしますと、ただいまの小林課長の御説明によりますと、十五万円の範囲内でありまして、大体従来は十万円前後で落ちついておるというお話でありますが、それでは私はこのたびの災害対策としては不十分ではないかと思うのです。この点については、農林省だけがお考えになっても、財務当局との下相談もあろうかと思いますし、これは速急に当委員会の態度をおきめ願って、そうして少くともこの問題に対しての措置を急速にきめていただきたいと思うのです。政府もおそらくこういう考え方には御反対はなかろうと思うのです。だれでもその一ぱい貸せというわけではない、一つワクを広げておいて、その範囲内において貸し与えていくわけでありますから、そういうふうにぜひ御考慮願うとともに、私は委員外でありますが、当委員会においてもぜひ御考慮を願いたいということを特にお願いをいたしておきます。あとはまたいろいろとお打ち合せ等に際して私もいろいろと意見を申し上げたいと思います。  それから第四の問題です。この四と二の問題はかね合いがありまして、農業災害補償法に基く再保険金概算払い共済金の仮払いを迅速にやるということは、従来からも例もありますし、特にこれは早くやっていただかなければならぬのでありますが、御存じのように、これは麦作農家のみが対象になっておる。そこで麦作以外の農家に対する措置というものが、四以下五、六、七、というふうに出ておると思うのです。四、五、六、七を見ますと、たとえば肥料農薬施用対策にしましても、これは法を必要とするようにも思われますが、その点はどうか。四、五、六、七は、どういう根拠に基いてどの程度のことはやり得るが、それ以上のことは、たとえば今のお話のように法改正を必要とする、あるいは新しい立法措置を必要とするかというような点を伺っておきたい。  それから、これはあまり大っぴらの話を申し上げるのはどうかと思うのですが、二の、麦の再保険金概算払いの問題ですが、保険対象が、実際問題としてはいつごろまでに締め切っておりますか、私もちょっと記憶うせましたが、この災害前後をめぐって、面積の問題に問題が出てくると思うのです。で、地方によっては、ある程度実情に即した弾力性のある運用ができておる地方もあるようでありますが、そうでない地方もあるように見受けるのです。これは私実際問題として大事な点であろうと思いまして、その点をお含みの上、実情に即するように一つやっていただきたいと思うのです。これはやはり政治でありますから、その伸縮をうまく考えていただきまして、たとえばふだんは相当な保険対象の申告があったものが、何らかの拍子で若干それよりも割っておる。しかし日にちの問題でその点がある程度緩和され、救われるというような場合には、これを弾力性を持たせて実情に即するように運営をしていくことが非常に実際問題として大事じゃないかと思うのです。そういう実情農林省はすでにお聞きになっておると思いますが、御答弁をいただかなくてもお含みをいただいた上で御善処いただければ私は何もこれ以上申し上げる必要はないと思っておりますが、特にこの二の問題について、ぜひ御善処を願っておきたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  20. 本名武

    本名政府委員 御趣旨通り善処いたしたいと考えております。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 それではぜひこれは関係方面とも十分にお打も合せを願いまして、今述べたような趣旨が実現できますように御善処されますよう重ねてお願い申し上げておきます。  次の、四、五、六、七の問題で先ほど述べましたような点、これは法改正を必要としなくても行政範囲内で可能であるのかないのか、その点についてもう少し詳しく御説明願えぬでしょうか。
  22. 本名武

    本名政府委員 別にこの問題については法改正は必要とせずに、行政措置でやれるというふうに考えておりますが、ただ調査が完了いたしますとか、あるいは最終的な被害の結論が出ませんと、具体的に大蔵当局との折衝なり、あるいはまたその予算流用と申しますか、使い方についての事務的な処置が確定いたしませんので、直ちに今ここで適切にどうこうということが申し上げられないと思いますが、いずれにいたしましても行政措置のみでやれるということでございますので、被害調査の結果を待ちまして措置をいたしたいというふうに考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 おそらく閣議の御決定でありますから、行政措置最大限活用していただけるものだとわれわれは考えておりますが、特にこの中で、従来の災害の場合にとられた措置で非常に効果があって、また災害農家からも喜ばれておる措置で、飯米または飼料用の麦の安売り、すなわち特別価格による払い下げ等措置がとられてきておりますが、今回の災害は戦後における最大の地域、そしてその被害高最大だと言われておりますし、先刻来私が申し上げまするように、米どころ、あるいは麦どころのほかに、畑作であって、果樹中心にして生計を立てておる、ふだんから飯米飼料も現金買い、金で買っておるという地帯が非常に多いことは御調査によっても御存じだろうと思うのです。私の鳥取県の一つの事例を申し上げますと、八頭郡の河原町のある部落でありますが、米の供出が年間に四石ばかりしか予約がありません部落で、あとは全部果樹収入によって、年間生計を立てておる。しかもそれはカキを作っておる農家が多いのであります。それがカキはほとんど八専以上の被害でありまして、全く今年もだめでありますが、次の年もどうかということで、非常に農家は不安な状態で困っておりますが、そういったところにせっかく営農資金として最大限の金が融通されたとしましても、営農に回るのではなくして、まず食うために使ってしまうということになって、結局営農資金生活資金にすべて回っていくような結果になろうと思うのです。それを最大限営農資金に回さしめて、そして生活上においても何らかのめんどうを見てあげるということにつきましてはやはり従来もとられて参りました飯米、あるいは飼料用の麦というものの安売り措置が私は必要ではないかと、思うのです。米どころにおきましても、あるいは麦の地帯におきましても、これは同様に必要だと思うのですが、それ以上に、その地帯以外の今述べたようなところにおいては、必要欠くべからざることではないかと思うのです。それがこの措置から落ちておるように思いますが、政府としては御検討になったでありましょうか、その経過なり、お考え方をこの際承わりたいのであります。
  24. 本名武

    本名政府委員 お説の通り果樹を作っている農家も、米麦は他から求めていたにしろ、収入の道が相当とだえたわけですから、直ちに処置をしなければならないということは考えておりますが、御承知の通り、米は米作農家に対する安売り、延納の措置の制度があるのでありまして、今次の災害の場合は、麦作農家に対しては先ほど冒頭に御説明申し上げましたが、ただいまそれぞれ措置考えておりますが、ただ果樹のみを生産しております農家に対しては、ただいまのところその道がないわけでございます。従いまして、融資にたよった資金の中からか、あるいは自己のまかないます資金の中で食糧は求めていただくというのが今の姿になっておりますが、なお御指摘の点もごもっとものようですから、検討はいたしてみたいと思いますが、現行の制度ではその道がないように思われます。
  25. 足鹿覺

    足鹿覺君 法改正を必要としますか。行政措置では不可能ですか。
  26. 本名武

    本名政府委員 法律改正は要らないと思いますけれども、今申し上げましたように、現行制度としては、そういう米麦生産農家に対しての措置でありますから、果樹生産農家に対しても何らかの措置考えなければならないというふうに考えております。
  27. 足鹿覺

    足鹿覺君 私も前のことなのでちょっと記憶にないので何とも申し上げかねますが、法改正を必要としないならば、米を作ろうと、麦を作ろうと、果樹を作ろうと、やはり農民には変りないのでありまして、米の農家だけに適用する、その他の場合にはどうもむずかしいという御判断ではちょっとどうかと思うのです。それは米だけに限るという条件付で前に措置を講じたのではない。たまたまそのときの被害実情が米作農家中心があったということであって、米作農家が配給を受けたときにだけ飯米を出すのだという解釈は、ちょっと当らないように私は思うのです何であろうと、とにかく農民が被害を受けたものに対して出す、あるいは農民以外の、たとえば風水害というような気の毒な被害を受けた方々に対しても、飯米その他の安売りをやるということは私は同じことでないかと思うのですが、その点の御解釈はもう少しゆるく弾力を持たせてもらいたいと思うのですが……。
  28. 本名武

    本名政府委員 実情と理屈としては、まさに私ども同感でございますが、米麦安売り、延納の措置をいたします対象は、米麦生産者、いわゆる飯米農家に対しての被害があった場合の措置でありますが、ただ果樹生産者に対しては、天災法による融資とか、その他の措置によりまして、食糧の購入代金というものを別途考慮いたしまして融資の道を開くとかいうような方法によってまかなっていけるのではないかというふうに考えられますが、なお一そう検討いたしまして、努めて御要望に沿うようなふうに考えていきたいと思っております。
  29. 足鹿覺

    足鹿覺君 いろいろ申し上げたいこともありますが、もう一つだけ申し上げて、あと委員会でいろいろとお話し合いを願いまして、具体的な進め方についてまた他の委員各位からもお話があろうと思いますので、私は終りたいと思いますが、いま一つは、病虫害防除等の機材器具の補助措置というものは、現在の行政措置でもございますが、これは被害地に最大限に重点的にしていただくということも十分御考慮願っておると思いますが、さらに御留意願いまして、御善処をお願い申し上げたいと思います。  大体もうあとの点については、この閣議決定措置要項に大体盛られておりますので、これを行う場合に、ただ法改正を必要とする実情のあるものに対しては、緊急に問題を処理しなければ、ことしの夏ごろに延びてしまうきらいがありますので、その点を政府としても特に御留意願いますと同時に、当委員会におかせられましても、すみやかなる具体的な措置を御検討願いまして、至急に被害農家の要望が今国会に達成できますように御善処を委員長にお願い申し上げまして、私のお願いなり、質疑を終ることにいたします。
  30. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 芳賀君。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二点ばかりお尋ねします。  第一点は、この天災法による融資の問題でありますが、本年の災害によって資金貸し出しをやるのは当然ですが、問題は災害が連年のように起きておるという地帯の場今日はこれにもばく然と書いてあるようですが、延納措置等はどういうふうに考えておりますか。特にこれは開拓関係等においては、開拓営農振興法の規定に基くと災害等が頻発して、償還年次にそれが償還できない、いわゆる固定化したような負債に対しては、これを営農振興法に基くところの資金に切りかえるということが行われているわけです。ですから一般被害農家災害資金等を前年度に借り受けしておいて、本年度償還しなければならぬけれども、災害によって償還が不能であるという農家の延納措置と、それから被害開拓農家に対する従来の資金の延納措置等については、具体的にどういうようなお考えを持っておられますか。
  32. 本名武

    本名政府委員 従来も連年の災害の場合は借りかえの処置をやっておりましたので、今次の災害におきましても、その処置を実行いたしたいと考えております。従いまして、そのために限度増ワクもいたさなければならない、またその処置をいたすつもりでおります。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると貸し出しのワクは二本になるわけですね。今年度の災害によって必要な営農資金の貸し出しと、それから今年度の災害によって従前の政府資金等の返債が不能であるという分の借りかえ処置、これはやはり二本建でいかないと、今年度の営農資金ワクの中に借りかえ措置も入っておるのだということになると、実際農家に対しては借金の借りかえだけに終ってしまうという事態が多くなる、この点は明らかにしていただきたいと思います。
  34. 本名武

    本名政府委員 従来は二本建の扱いはいたさずに、一本にして一応借りかえ分と営農資金分とは、その中において査定の上で区別いたしております。ただ借りかえ資金営農資金がかりに満度に出る場合は問題はないと思いますけれども、少いところ、十分でないところに御指摘のような問題が起きようかと思いますが、ただいまのところでは二本建にしてやるということはちょっとできにくいのではないかと思いますが、また事務的にお答えいたさせます。
  35. 小林誠一

    小林説明員 先ほど政務次官からお答えがありましたように、いわゆる本年度償還しなければならない金額につきましては、その分を払いますと、その年の営農資金に差しつかえがございます。結局そういうことにおきまして、政令等で連年災害におきましてはその限度を上げております。従いまして、その分を払いましても営農資金に差しつかえがないというような措置を従来講じておるわけでございます。
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 開拓の関係はどうですか。
  37. 小林誠一

    小林説明員 開拓につきましても、その額の問題につきましては同様でございます。ただ開拓者につきましては、利率を一般よりもできるだけ安くする、こういうことでございます。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀委員 開拓者関係でお聞きしたのは、昨年開拓営農振興法というものができて、これによると振興計画を立てた組合に対しては、災害等によって政府から借り受けた資金については、これを営農振興法に基く十年償還の資金に借りかえるということになっておる。ですから今次の災害によって開拓地域の農家が従来の償還ができないという場合には、単なる一般農家の場合の借りかえ措置と違ったそういう根拠がありますから、それを活用してやれるものかどうか、その点を伺いたい。
  39. 本名武

    本名政府委員 御指摘のようなことは、当然考えられますが、実はただいまちょっと農地局関係は来ておりませんので、詳細に確実なことをお答えできないことを非常に残念に思いますが、直ちに調べまして後刻お答えいたしたいと思います。
  40. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次は閣議決定要綱の第四、これは災害による減収挽回についての政府補助助成の問題だと思いますが、これについては、たとえば樹勢回復の肥料代であるとか農薬に対する補助であるとか従来まで前例として行われておる政府補助助成等については、行政的な措置で大まかにどれくらい政府資金をお出しになる考えであるか、概算でいいから、この点をお尋ねいたします。
  41. 本名武

    本名政府委員 ただいまのところでは御説明申し上げるだけの数字はできておりません。近く調査内容がはっきりいたしました上で、先ほど申し上げましたように、この措置については具体的な数字を作っていたきいと考えております。
  42. 芳賀貢

    ○芳賀委員 しかし根拠だけはできておるでしょう。たとえば樹勢回復用の肥料代については反当どれだけの助成をするとか、農薬に対してはどの程度の助成をするとか、そういうふうな基準、これがきまっていないと、もう二、三日で解散になりますから、あとでやりますということで、これが六月以降ということになると、もう全く時期を失うということになる。ですから抽象的な論議は必要ありませんが、全国的に大きな災害ですから、一日も早く政府としての行政的な措置をこうやりますということを明確にして、これは現地にもこの線に沿ってがんばって下さいということにしたらいいと思いますが、その点は何もきまっておりませんか。
  43. 本名武

    本名政府委員 現在検討いたしておりますが、それは従来の災害基準を上回っても下らないという考え方で検討いたしております。ただ問題は、その被害の農産物の内容等にも若干動きが違っておりますので、今後やはり被害実態がつかめました上で、従来の基準を上回るかどうかということが確定されると思います。いずれにいたしましても、従来の基準を下らないような考え方で検討いたしております。
  44. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは災害対策としてまず肥料代、農薬、それから転作用の種子、これらに対しては当然従前の事例を根拠にして政府補助、助成を行うということを確認しておいていいわけですね。
  45. 本名武

    本名政府委員 肥料農薬については先ほど申し上げましたことはここではっきり申し上げておいても差しつかえないと思います。ただ種子の場合は直ちに間に合うものがどこにあるかといいますか、種子の交流とかその方法などが土地の事情その他によっていろいろ変ってくると思います。  それともう一つは全体の被害実態というものの上に立ってどの程度の助成をするかということを考えなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても従来とられた措置から下るようなことのないようにいたしたいという方向で検討いたしております。
  46. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に農業災害補償法関係なのですが、一般の農家災害補償法に基いて共済金の仮払い等を受けることになるのですが、いつの災害でも開拓地というのは被害の度合いが非常に多いのです。特に麦作地帯のような場合も、開拓者の諸君は共済組合に加入している率が非常に少いわけなのです。ですからせっかくこの制度があるにもかかわらず、共済金を受けるという恩恵に浴することができないというような人たちが非常に多いわけなのですが、こういう人たちに対しては、何らかの特別な開拓者等に対する災害施策というものが必要になってくるのじゃないかと思いますが、特に具体的にお考えになっておる点があればこの機会に述べていただきたい。
  47. 本名武

    本名政府委員 どうもたびたび同じようなことを申し上げるようでございますが、開拓地における被害もただいま調査中でございますし、その調査の結果によりまして、先ほど足鹿先生の御指摘もありましたように、御期待に沿うように善処いたしたいと思います。ただ開拓者の場合には、資金の面において延納やあるいはそのワクの問題で相当考慮を払わなければならないということを十分意にとめまして、ただいまその対策を検討いたしているわけでございます。
  48. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただすべてが融資だけにもっていくということは先行きよくないですよ。特に生産力の低い農家の場合、借金政策だけで解決しようとしても返済能力が全くないんですから、融資対策だけでは災害対策として非常に誤まったことになってくると思うのです。午後にまた農地局長が来てからお尋ねしますが、十分慎重を期してやってもらいたいと思います。  最後にもう一点、要綱の六にある被害都道府県並びにその市町村のいわゆる地方団体の災害対策等が行われていますが、今国会において地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案というのが審議中なんです。これにはたとえば十二条の二等には容易ならぬ条項が載っておるわけでありますが、これらの法律がもし政府の意図通り成立するような場合においては、今後地方団体が災害に対する債務の保証あるいは損失の補償等を積極的にやって、被害地域の振興対策等をはかるという場合には重大な支障が来るのです。農林省はまさかこれに賛成されたのではないと思いますが、災害等にぶつかると、直ちに響いてくる法案の内容になっておりますので、この際農林省としては、同じ政府の中で、なぜこのような法律に対して賛成をされておったのか、この点を参考までにお尋ねしておきます。
  49. 森茂雄

    ○森説明員 十二条の二は、災害の場合に債務保証あるいは損失補償地方公共団体等で行う場合には関係するわけでありますが、地方財政法の四条の三あるいは四条の四の積立金の関係におきましても、災害により生じた経費あるいは減収の補てんの財源に充てることを認めておりますし、さらに十二条の二におきましては、政令で定める場合として、災害等の緊急やむを得ない非常に特例の場合につきましては、自治庁の方で政令等で考えるようにしたいという言明でありましたので、全体的な農林行政上支障のない範囲内で自治庁で認めていただける、こういう御了解の趣旨のもとに賛成をしておるわけであります。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林省はなぜ賛成したかという点だけを聞ければいいのです。きょう地方行政委員会に連合審査の申し入れをすることになっておるのです。農林省として賛成するのはちょっと変だと思うから、聞いておいたのです。
  51. 本名武

    本名政府委員 ざっくばらんに申し上げて、心から賛成して出したわけでありませんが、今参事官のお答え申し上げました通り自治庁とは、政令によって従来の制度上、運営に支障のないようにいたすことができるという確認のもとに一応これを認めたわけでございます。ただ私どもは、自治庁側の説明として、やはりこういう規定を設けませんと、地方団体のいろいろな運営の上に将来欠陥が生じてはいけないという一つの別な目的には反対するわけにもいかない。しかしこっちの言い分を聞いて政令の定めによって運用できるならば、やむを得ないというようなところで提案いたしたわけであります。
  52. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 私から政府一つお尋ねします。霜雪害対策実施要綱というのが政府閣議決定にございますが、三月末だけではなしに、四月初めに凍霜害が発頻しております。従ってこの閣議決定に追加さるべきものであると考えますが、この点はどういうようにお考えでございますか。
  53. 本名武

    本名政府委員 三月末の災害のみならず四月の初旬における諸般の災害もこれに含まれております。なおその後において発生が予想されるものについては、そのつど、発生した場合は被害程度に応じまして、先ほど御説明申し上げました要領によりまして処置をいたすということにしております。
  54. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいまの本件に関連をいたしまして、寒冷地農業振興対策特別措置の問題について、川村善八郎君より発言を求められております。これを許します。川村君。
  55. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 私は寒冷地農業の振興対策について、政府の所信をお尋ね申し上げたいと思います。  御承知のように、北海道並びに東北地方等では、累年寒冷地として冷害を受けておりまして、農家の負債は歴年増すばかりでございます。これに対しましては若干の金融措置は講じらえれておりますけれども、それのみではとうてい被害農家を救うことができないばかりでなく、寒地農業振興ということは絶対望み薄でございます。そこでこの際政府におきましては適切なる特別立法措置を講じて、被害農家を救済すると同時に、寒冷地農業の振興をはかる御意思があるかどうかを本名政務次官にお伺いを申し上げたいと存じます。
  56. 本名武

    本名政府委員 御指摘の通り金融対策を初めといたしまして、寒冷地農業に対する諸般の施策は、行政措置予算措置によってやって参りましたが、特に昨年農林省に寒冷地振興対策室を設けましてさらに具体的に寒冷地対策に対する諸般の施策を樹立し、また実行に移しております。しかし御指摘の通りになかなか後進性の強い、しかも、気象的に地理的に非常な悪条件下にある北海道を初めとする寒冷地帯におきましては、この経営の安定あるいは寒地農業の振興にスピードがおくれて困るという声を常に国会におきましてもお聞きしておるわけでございます。ことに本国会におきましては、衆参両院の委員会においてこれはもっと強力な裏打ちを必要とするために立法化しろという御意見もたびたび承わっております。当初に御意見が出ましたときには、農林省としてはこれを検討いたしたいということをお答え申し上げておりましたが、その後におきましてだんだん検討が進みまして、ただいまではこれが目的貫徹のために強力な推進をいたします必要上立法措置をいたしたいと考えておりまして、その上に立ってただいま最終的な準備をいたしつつあります。従って、この成案を得次第近い国会においてこれを皆様にお諮りいたしたい、このように考えております。
  57. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいま調査いたしております霜雪害対策について原捨思君より自由民主党、日本社会党共同提案にかかる決議をいたしたい旨の申し出があります。この際これを許します。原捨思君。
  58. 原捨思

    ○原(捨)委員 決議案の案文を朗読いたします。    昭和三十三年三月及び四月の霜雪害対策に関する件   過ぐる三月及び四月関東以西に広汎に発生した霜雪害は、特に低暖地で成育が促進せられていた麦類、果樹、蔬菜等に対し、戦後最大の損害を与え、被害農家の窮状にはゆゆしいものがある。   よって、政府被害の査定を急ぐとともに、左記により速急に対策を講じ、もって農業再生産確保と農業経営の安定を図るべきである。      記  一、被害農家に対しては「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」の適用により、すみやかに経営資金の貸付を行い、併せて利子補給、損失補償措置を講ずる。なお貸付金額については最高額までを貸付け得るよう特に考慮する。    被害の特に著しい農家に対しては政令による地域指定を行い、三分五聖資金を融通し、償還期限を五年とする。    なお、累年災害を受けた農家に対しては、既貸付金につき償還延期及び借換資金の貸付を行う。  二、被害都府県に対しては、自作農維持創設資金枠を拡大して被災農民に融資するとともに、既貸付金の償還延期を行う。特に被災開拓農家に対しては振興計画の遂行に悪影響を与えないための財政資金災害資金を賄うよう特段に配慮する。  三、農業共済金の早期決定、早期支払のため特別の措置を講ずる。  四、被災作物の減収の挽回に必要な肥料及び農薬に対して、その所要量の二分の一の補助を行う。  五、被害農家の購入する病害防除機具に対し二分の一の補助を行う。  六、被災農家が不足する食糧及び飼料につき政府から米麦の安売り措置を講ずる。  七、農作物等種子確保に要した経費は、その購入価格の二分の一を補助する。  八、被害農家の農業所得税については、収支計算書を附して申告したものに対しては、翌年度以降への損金の繰認越控除を認めるとともに地方税の減免を行う。  九、被害地方公共別体に対し、特別交付金の増額措置を講ずる。  十、被害都府県に対しては、救農土木事業及び副業奨励等を行い、被災農家現金収入の途を講ずる。    なお、連年の農林漁業災害に際し、その都度方針を決定する煩を避けるため、被害農林漁業者、その団体、又は関係地方公共団体が行った災害対策のための費用につき法律上の制度として国が補助金を交付し、その他特別の措置を講ずることとするよう速急に検討するべきである。  右決議する。   昭和三十一二年四月二十三日       衆議院農林水産委員会
  59. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいま原君より提案されました昭和三十三年三月及び四月の霜雪害対策に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお本決議の政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  61. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に寒冷地農業振興対策について、芳賀貢君より、自由民主党、日本社会党共同提案にかかる決議をいたしたい旨の申し出があります。この際これを許します。芳賀貢君。     —————————————
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際日本一社会本番見並びに自民党を代表いたしまして、寒冷地農業振興対策特別措置確立に関する決議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    寒冷地農業振興対策特別措置確立に関する件   北海道をはじめとする寒冷地帯は、気象条件が厳しく土地条件が劣悪な上に二十八年以来連年の冷害により、農家の負債は累積し、経営内容は、著しく悪化している。   政府は、これにかんがみ、昨年以来農林漁業金融公庫の貸付計画中に所要経費の一部を計上し、また農林省寒冷地農業振興対策室を設置して、鋭意、寒冷地における畑作地帯不安定農家の地域別経営安定対策の樹立に努めているが、この際、酪農化、機械化、輪作化等を主軸とする寒冷地農業振興に確固たる見透しと総合性を与え、一層これを促進するため、寒冷地における営農改善計画の樹立、実施につき国及び地方公共団体が行う行政指導に対し、積極的な財政上の援助を与え、かつ農林、漁業金融公庫からする長期低利資金の貸付等についても融資条件の大巾な緩和若しくは融資方法の根本的な是正を図る等の特別措置を講ずるものとし、これがため、現行諸法規の改訂乃至は新規の立法措置につき特段の考慮を払うべきである。  右決議する   昭和三十三年四月二十二日        衆議院農林水産委員会  趣旨内容について簡単に申しますが、本決議案に言うところの寒冷地帯とは、北海道を初めとする寒冷地帯、たとえば五月から九月までの積算温度が二千六百度以下の地帯はこれを対象とするということにいたしまして、これらの地域は気象条件がきびしく、土地条件がきわめて劣悪で、しかもその他社会経済的な条件も整備されておらず、冷害の頻度が非常に高いというところに寒冷地帯の宿命的な特色があるわけであります。このような悪条件下にある窓冷地帯の農業経営は、他の地域に比べまして土地利用は制約され、土地及び草地の改良ははなはだしく立ちおくれており、生産手段も不備で、技術水準が低く、地方収奪的な農法が行われておるため著しく不安定であります。またこのため農民の所得水準は他の地域に比べて非常に低下しておりまして、しかもその経済的な基盤は悪化しておるわけであります。たとえば北海道のような場合におきましては二十万戸農家で平均三十万円租度の固定化した負債を今日背負っておるというような点を見ましても、いかに寒冷地帯の農業生産力が劣弱でありさらに農家の所得水準が低位であるかということが実証されておるわけであります。  従ってこのような寒冷地帯の農業経営を安定させるために拡大再生産への道を着実に進めることができるようにする必要があるのであります。すなわち農業の酪農化、機械化あるいは輪作化等を目ざしまして、土地及び草地の改良、畜舎、尿ため、サイロ、堆肥場や農業機械器具等の生産手段の整備、さらには流通改善施設の整備などを速急に行うとともに、これらの施設や手段を運用して農業経営を発展せしめる技術を農民に習得させる等、これに必要とする措置を講ずべきであり、これがためには資本投下と指導体制の確立が絶対に必要であります。  さらに一方寒冷地帯の農民の現状におきましては、経済力が弱いために右のような資本投下を自力のみによって行うことが不可能であり、また現行制度下におきましては、融資条件がきびしいために資金の導入を行うことが非常に困難であり、さらに万全の指導体制を確立することも至難な事態に置かれておるわけであります。  以上のような現状に対処しまして、政府におかれましても寒冷地帯に対する農業の特殊性にかんがみ、特に昭和三十二年度には農林省官房の中に寒地農業の対策室を設けまして、寒冷地帯農業の特殊性の上に立った総合的な調査を進めると同時に、一方また本年度からは農林漁業金融公庫等の融資の面におきまして、いわゆる寒冷地帯営農改善を対象にいたしました総合融資の道が開かれることになったのであります。すなわち主畜農業地帯、あるいは混同農業地帯等の類型に分類いたしまして、この地域の対象農家に対して総合融資、いわゆるセット融資の道を開いて、本年度におきましては公庫から七億円程度資金の融通をするという新しい意図のもとに金融措置が講ぜられることにつきましては、今後の寒冷地帯農業の著しい前進を示すものであると、われわれも賛意を表しておる次第であります。しかしながら根本的に寒冷地帯における農業振興を推進するためには、この対策をさらに拡大発展せしめるとともに、対策について、将来に対する確固たる見通しと総合性を与える必要があるのであります。従って以上の諸点に基きまして、根本的に寒冷地帯における農業を振興させるためには、次の事項を総合的に実施する特別の措置が講ぜられるべきであります。  すなわち第一には、寒冷地帯における不安定な農家に対しまして、農業経営を安定化させるための営農改善計画を樹立させ、これを計画的に実行させる必要があり、これがため国及び地方公共団体が強力な指導を行うこととして、これに必要な財政上の援助を積極的に行うことであります。  その二は、右の常農改善計画を実行するために必要な資金については、長期低利資金の融通その他財政的な措置によってこれを確保することとし、特に長期低利資金の貸付に当っては、現行の融資条件の大幅な緩和を考察するとともに、真にこの資金を必要とする農家に対して、資金が流れるように融資方法の確立をはかることを考慮すべきであります。しかも融資の方式につきましては、従来のような縦割り的な用途別金融方式を改善いたしまして、農業経営の自立、安定化を確立するための総合融資、すなわちセット融資方式が望ましいのであります。  以上のような特別措置は、現行制度の是正をはかるべきものであるから、現行法規の改訂、あるいは新たなる立法措置によらなければこれを実現することができないのであります。  最後につけ加えておきたい点は、現在におきましてもいわゆる積寒法なるものがありまして、寒冷地帯の特殊地域に対しましては、この積寒法が成立以来相当の成果を上げておるということは、認めることができるのでありますが、ただ積寒法は、とかく特殊農業地帯の地域の振興を使命といたしました、いわゆる振興立法、計画立法であるというところに、その性格が置かれておるわけでありまして、本決議案の趣旨に述べる寒冷地農業振興対策の立法化の意図するところは、寒冷地の個々の農家対象といたしまして、個々の農家を基礎にした総合的な営農確立のための確固たる施策を進めるための背景ともなるべき制度化に重点があるということを、特に強調いたしまして本決議案の趣旨説明にかえる次第であります。
  63. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 ただいま芳賀君より提案されました寒冷地農業振興対策特別措置の確定に関する件を、本委員会の決議といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     「異議なししと呼ぶ者あり〕
  64. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお、本決議の政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願います。  政府の本両決議案に対する御発言を求めます。
  65. 本名武

    本名政府委員 ただいま二つの御決議をいただいたわけでありますが、前段の冬霜害決議に対しましては、伺うと、若干立法措置その他の検討を要する点があるように思いますが、御趣旨全体としてはごもっともでございますので、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。なお寒冷地対策の御決議につきましては、先ほど田村委員からの御質問にお答えした通りでございます。御趣旨に沿いまして善処いたしたいと思います。
  66. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 先刻決議をいたしました地方行政委との連合審査の件は、地方行政委員長との打ち合せの結果、明日開催いたすことにいたしました。質疑をなさる方は、あらかじめお含みの千で御用意を願います。     —————————————
  67. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 さきに法律改正を行いました農業協同組合の責任準備金の問題について、調査を進めます。質疑を行います。芳賀貢君。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先般、農業協同組合法の一部改正を行いましたときに、協同組合が行う共済事業についての改正が行われたわけであります。その当時当委員会におきましては、附帯決議を付しまして、今後の運営のために政府に強力なる善処を求めておったのでありますが、これらのその後の経過、どのように処理されておるかという点に関して、経済局長から御説明を願います。
  69. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 農業協同組合が行います共済事業の特別危険準備金の免税措置につきましては、先般の協同組合法一部改正法律案の附帯決議第二項に、そのことが要請されたのであります。その経過につきまして、今まで片づいている点だけを、一枚紙の書類にして差し上げておきましたので、それをごらん願いたいと思います。  まず第一に、生命共済事業についてでありますが、これは現在、生命保険事業について法人税法の課税上いろいろな問題がありますとともに、異常危険準備金は制度上認められておりませんので、今にわかに農協が積み立てます異常危検準備金についてだけ、これを損金に算入する制度ということは、全体の生命保険事業との関係から、認められないのであります、しかしこれは全般的な問題として、いずれかにはっきりしなければならないと大蔵省側でも言っておりますので、今後引き続いて検討いたします。  第二に、建物更正共済事業については、現在これが、農協以外の機関では営んでいない、いわゆる建物の満期保険という種類のものでもありますから、これも、保険事業全般との関連において検討したいということであります。  第三に、火災共済、輸送、自動車共済の損害共済事業については、現行法人税法上異常危険準備金の免税措置を講じておりますから、これも他の例にならいまして同様に取り扱うこととし、三十二年度事業分からこれを適用することになります。金は大体二千二百万円程度とにいうことでございます。従いまして、附帯決議につきまして、農協の行う共済事業についての異常危険準備金全般について法人税の免税の措置を講ずる、こういう御決議になっております。この農協の行われます共済事業につきましては、いろいろ新しい考案でありまして、この問題につきましては、こういう保険をやるのを、法律に基かないで、勝手にいろいろなことをやることはいいか悪いか、もしやるのであれば、やはり特別の法律を作って、多数の加入者の擁護をはからなければならない その際に一般の保険事業との関連をどう解決するか、こういう問題が残りまして、三十二事業年度分の法人税につきましては附帯決議の通りいかなかった分が相当残った、これが経過であります。
  70. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二、三点お尋ねしますが、この点については、今経済局長が述べられたのでありますが、この法案審議の場合も、共済事業の中に特別危険準備金の積み立てをしなければならぬということを法律の中で明記したわけですね。ですから、今後共済事業をやる場合においては、特別危険準備金は強制的に積み立てさせられるということになるわけですね。ですから私どもとしては当時も、それではこれらの準備金に対してはすべて税法上からいうと損金算入の措置がとられるかということについては得に意を払ってお尋ねしたわけでありますが、あのときの局長の答弁からいうと、私たちの解釈——大体これは損金算人になることが大蔵省でも了解がついておるというような印象が強かった。ただいまの御説明によると、今の段階ではまだそこまでいっておらぬということなんですが、この点は非常に今後共済事業の運営上大事な点になるんじゃないかと思いますし、強制積み立てをしなければならぬ特別危険準備金に対して、これが税法上の免税の取扱いを受けないということに対しては了承しがたい点があるのですが、これはいかなる理由でそういうことであるか。
  71. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私どもは、当初は農協の共済制度につきましては特殊のものである、一般の保険とは違うのだ、こういう建前でやっておるわけであります。しかし保険担当の役所からいたしますと、これはなるほど多少違ったところはあるけれども、やはり保険の一種だ、従って全般的な問題として解決しなければいかぬから、農林省の言うことはわからぬでもないけれども、もう少し研究する余裕をくれ、こういうことであります。そこで私の方でびしびしやりまして、実は三月中に法人税法の施行令を流してもらわなければいかぬというので、時間的に相当制約されまして、ひょっとすると全体がだめになるような心配もある。それでは決議の趣旨が全部ゼロになってしまうから、問題の解決してる点だけでも早くやっていこう、こういう趣旨でやむなく二段に分けたわけであります。
  72. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、協同組合の事業としては、これは特別危険準備金の積み立ては、やはり一本になって積み立てされるわけですね。その場合に、たとえば生命とか火災とか、それから建物更生共済等がそれに包括されるのであって、表面から見れば、これはやはり特別危険準備金の積み立てというものは一本の姿で事業の上に現われてくると思うのです。ですからそれを区分して、そしてこの分だけに対しては損金算入ができてこの分だけについてはできないということになると、やはり事業の運営上非常に支障がくる場合があるんじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  73. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 その点は経理をはっきり区別できますから、一向差しつかえないと思います。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 現在困難性かあるという点は、これはおそらく大蔵省の立場から見た場合に、たとえば損保事業については生命共済とかは異常危険準備金の損金算入措置はまだ講ぜられておらないから、協同組合の行う共済虚業等についても類似の生命共済に対しては免税ができないというところに論拠があるのではないかと思うのです。しかし農協法の場合においては、繰り返して言うようですが、明確に準備金の積み立てということは強制されるわけです。ですから普通の準備金とか積立金に対しても税法上からいうと損金算人の扱いをするわけです。これは現段階においてはまだ全都がこの対象にならぬとしても、これは今後の問題としては全面的に税法上の取扱いを受けることができさるというふうな努力は農林省としても続けられると思いますが、その点並びにその見通しはどういうふうですか。
  75. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、一つはやはり農林省といたしましても、協同組合が行う共済事業につきましては、やはり特別法が要ると思うのです。そういう点も議論になって、これは数年前にも問題になりまして、大蔵省保険事業法を適用しようという話があって、現在はそれをそのまま適用するという説は大体消えております。従いまして農林省の方の責任でその制度をはっきりせよということで引き受けなければならない立場になっております。従いましてそれとの関連においてこの問題はやはり特殊性を主張して特殊の扱いをしてもらう、従いましてここにも書いてありますように、向うでもだめだとは言っていないのです。君の方から制度の立て方というか構成、そういうものをもう少し聞かせい、わしの方は一般保険事業との関連でこれは一般保険事業と違うんだからこうやるんだという説明ができるようにしてくれ、こういう筋であります。従いまして私はこれは少々困難があってもぜひ実現しなければならない、こういうふうに考えております。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は局長も御承知のことと思いますが、もしも今後特別危険準備金が法人税法上の損金算入はできないということにかりになれば、これは何も急いで国会において農協法の一部改正をやるまでの必要もなかったようにわれわれは考えられるわけです。ですから、改正趣旨が、そういうところにも相当ウエートがあったというふうに解釈されますが、今局長が答弁されたように、私たちはもう解放を前に控えておりますから、将来のことはちょっと言えませんが、官僚であるあなたはまだ命が続いているんですから、この点に対してはやはり法律趣旨、使命というものを十分体して、この実現についてはあくまでも努力してもらいたいと思います。  次に、特に建物共済事業に対する考え方なんですが、これは建物の満期保険というような、一つの新種の保険であるというような解釈も行われておるのですが、この点に対してもわれわれとしては全面的な理解をすることが困難なんですね。ですから、なぜ更正共済が満期保険であるか、あるいは新種の保険というのはどういう性格のものであるか、その点の御説明を願いたい。
  77. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは一般保険事業にはない、協同紹介で特に考案しておる制度であります。従いまして一種の新種事業と建物については言える、こういうことであります。しかしこういう制度が一般の保険事業でも成り立たないわけではないと思います。あるいは向うがこれをまねてやるかもしれません。しかしいずれにしましても、大蔵省の中で税の立場と保険の立場と二つの部局があるわけでございまして、税の方があるいはいいと言っても、保険の方で保険一般に影響があるというようなことで、中でも相当もめまして、早急に結論を出すことができなかったわけであります。私どもの方では、これはいい考え方で、現に動いておるんだから、やはりそれを事実として認めてもらわなければ困る、こういう主張であります。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただ農家の建物等が対象になっているのです。ですからこれは必ずしも満期保険という性格ではないと思うのです。非常に老朽して、たとえば寒冷地等においては夏向きの住宅等をこのまま保険に付して、そうして一面は貯蓄的な性格もあると思うのですが、やはり十年なら十年の契約期間内において、もう使用にたえないようなことになって支払い対象になるようなパーセントがだいぶあると思うのです。そういうことになると、やはり純然たる満期保険とは、これは貯蓄類似のものであるということだけの解釈には行かないと思うのです。火災保険なんかよりは危険率は少いとしても、やはりそういう農家の建物を対象にするという実態に即して考えた場合においては、これは新しい試みでもあるし、また奨励すべき一つの方式であるとすれば、当然税法上の扱いに対しても大蔵省を十分説得して、同調させる必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  79. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お説の通りでありますから、私の方では今後大いに馬力をかけて努力いたしたいと思います。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農林省の管轄のもとに、農業協同組合以外にたとえば水産業協同組合の共済会とかあるいは全国森林組合連合会等の行う共済事業等もあるわけですが、今後いろいろな分野においてこういうような共済事業が行われるわけなんですが、同一農林省の所管内におけるいろいろな系列の共済事業に対しては、今後これを統一して、強力な指導をしていく必要があると思いますが、その点に対する見解はいかがですか。
  81. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お説の通りであります。これは団体の数なり事業量からいきますと、共済組合が一番大きいのでありますが、しかし協同組合の方がむしろ立ちおくれているような状態であったのですが、最近の状況では非常に伸びてきておる。従いまして、これは農林漁業団体の共通の問題として処理しなければならないと考えております。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最後に一点お尋ねしますが、三十二年度の決算期に当面して、先ほど局長の言われた短期の火災共済等に対しては、これは特別危険準備金が損金算人に当然なるわけですが、それ以外の未決定の分に対しては、当然決算上準備金の積み立てを行なった分に対しましても、これは課税対象に、つまり利益としてこれをみなすことになるわけです。これは本年度の課税上から言うと、これを根本的に解決することはできないと思いますがしかし経過的に何らかの課税上の緩和措置というものを、大蔵省と話し合いをつけてやることができるかどうか。それから次には少くとも三十三年度の決算期までには、先ほど申した未解決の点に対しましては、必ずこれを解決するというような見通しの上に立っておられるかどうか。この二点をお尋ねいたしておきます。
  83. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 第一点につきましては、これはかけ合っております。今できるかできないか詳しく検討しておりません。それから第二の点につきましては私の考えはぜひそうしたい、そのつもりでかけ合います。
  84. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後一時六分散会