○石谷
政府委員 ただいま三十一年度末現在におきましても大体一億六千万石程度の用材消費があるという現状を、申し上げたのでございまするが、ただいまの数字を昭和九年ないし十一年の数字と対比いたしてみますると、当時におきましては国内生産がおおむね六千万行程度、移輸入を合せまして千八百万石程度、さらに国内から移輸出いたしますものが三百万石程度ということで、合計いたしましてかれこれ六千五百万石程度の木材の消費しか国内につきましては実はなかったのでございます。要するにきわめて安定した需給
事情の中にあって林政が行われて参ったということが言えると思うのでございまして、そういう
意味合いからいたしまして、現に存在いたしております国有林につきましても、むしろその現有林を極力温存維持しながらその利用開発をはかって参るという、いわば非常に消極的な資源維持の方策が国有林経営の基本区であったように思います。しかしながらもちろんそういった国有林でありましただけに現有蓄積は
相当のものを保有し、さらに戦後十年の間に
内容的に
相当な発展をいたして参りました
関係上、御指摘のごとく現在は、総額におきまして三十一年度末百三十二億円程度のいわゆる歳計上の剰余金を実は保有しておるという現状であるわけであります。何といいましても
日本林政の最も基本的な、いわゆる弱い面は御承知のごとく民有林の行政面であるわけでありますので、あげて民有林行政の強化策を講じませんことには林政の発展は行い得ないということは当然であろうと思うのであります。従いまして私
どもは極力民有林の施策につきまして手だてを講じておるのでございますけれ
ども、それはそのときどきの一般的の好況の
影響を顕著に受けまして、必ずしもこれを計画
通りに遂行していくことができないといったような
事情のありますことは御承知の
通りであります。従いましていわば林業内部に蓄積されておりまする力といたしましての国有林野事業の成果を、林政一般の推進の面に強力に及ぼして参るということは、私
どもといたしましては従来も不十分ながらやって参ったのでございまするが、今後はさらに一そうこれを徹底をして参る必要があると思うのでございます。そういう
意味におきましては、現在行なっておりまする官行造林事業あるいは保安林の買い上げないし必要な治山工事の実施というようなことも、いわば一般林政面での協力と申しても差しつかえないと思うのでございますが、これらのことではまだまだ不十分であるというふうに私
どもは
考えておるわけであります。そこで一体この歳計上の剰余金でございますけれ
ども、これはいわばこの発生の経緯を
考えてみますると、実は国有林野の資本に見合う資産の一部門であるというような性格を持った部内保有金であるというふうに私
どもは理解をしておるわけであります。従いましてこれらの金額は国有林野の売り払いによりまして得られました現金収入でありますとか、あるいは増伐によって現金増収をいたしたようなものでありまするとか、これらのものが年々積み上ってきた結果がこういうような姿に相なっておるということであるわけでございまして、いわゆる正常な
意味の利益金の累積ではないということは
一つ御了承いただきたいと思います。従いまして私
どもといたしましては、結局これらの内部保有金というものがあるわけでありますが、非常におくれた出発ではございまするけれ
ども、国有林野事業そのもののあり方も、当面いたしまする
日本林政の
方向にからだを合せまして、その
内容改善、体質改善を強力にやって参りたいということでございまして、本年度以降国有林野事業の合理化問題を取り上げまして、これを推進をしていくような取り運びにいたしておるのでございまするが、これらに対しましても、かれこれ必要な投資
内容改善のためのさまざまな施設といったようなものにつきましての投資が、当分の間行われて参ることになりますので、これらをかれこれ見返りました上で、私
どもといたしましては、一般林政への協力
関係をさらに強化して参る手だてを
考えて参りたい、かように
考えておるわけでございまして、実は三十二年度末の状況をもって御
説明申し上げますと、さきに申し上げました百三十二億の歳計剰余金に対しまして、さらに四十億の剰余金の累増が期待されるような現状であるわけであります。その中でいわゆる損益計算上の収支計算をいたしますると、利益金といたしまして三十二年度におきましては、大体二十四億程度のものが計上されるという見通しもあるわけでございまするので、私
どもといたしましては、今後具体的にいわゆる損益計算上の利益金を一応の限度といたしまして、可能な限りの一般林政への協力を国有林野事業がはかって参ることにいたしたい、こういうように
考えておるわけでございまして、現在直ちに
研究課題といたしまして取り上げられる問題といたしましては、民有林と関連いたしておりまする林道の開設に伴うよう事業、あるいは先ほ
ども申し上げました中にございましたいわゆる材木、林種改良事業の中の軸といたしましての育種場の経営あるいは林産物の流通改善のために行いまする各般の事業、こういうようなものは少くとも従来やって参りました事業のほかに、この機会に
研究課題として取り上げるべきものと思うのでございます。ただこれらのものを具体的に解決いたして参りまするためには、現行法規の
検討を要するべき面も多々あるかと思うのでございまするが、以上申し上げましたような点に一応の焦点をしぼりまして、さらに必要な林政面への協力の態勢を強化していくことに努力いたしたい、かように
考えておるわけでございます。