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1958-03-07 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年三月七日(金曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長代理 理事 笹山茂太郎君    理事 吉川 久衛君 理事 原  捨思君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    石坂  繁君       大野 市郎君    清瀬 一郎君       小枝 一雄君    椎名  隆君       鈴木 善幸君    田口長治郎君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       丹羽 兵助君    松浦 東介君       松野 頼三君    伊瀬幸太郎君       石田 宥全君    石山 權作君       稲富 稜人君    小川 豊明君       川俣 清音君    栗原 俊夫君       楯 兼次郎君    永井勝次郎君       中村 英男君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         外務事務官         (移住局長)  内田 藤雄君         大蔵政務次官  坊  秀男君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (振興局長)  永野 正二君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      金子 一平君         大蔵事務官         (国税庁税部         所得税課長)  亀徳 正之君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  藤巻 吉生君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   中島 清明君         農 林 技 官         (農地局建設部         開墾建設課長) 小松 義郎君         農林事務官         (蚕糸局糸政課         長)      保坂 信男君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   大和田啓気君         参  考  人         (北海道上川生         産農業協同組合         連合会代表、北         海道永山農業協         同組合理事)  塩尻 五郎君         参  考  人         (新潟県農業会         議副会長)   瀬水 淳英君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月七日  委員永山忠則君、阿部五郎君及び日野吉夫君辞  任につき、その補欠として河野金昇君、栗原俊  夫君及び永井勝次郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員河野金昇君及び栗原俊夫君辞任につき、そ  の補欠として永山忠則君及び川俣清音君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 三月七日  狩猟法の一部を改正する法律案内閣提出第三  〇号)(参議院送付) 同月六日  水協組役職員年金制度実現に関する請願(畠山  鶴吉君紹介)(第一三三三号)  農協役職員年金制度実現に関する請願木崎茂  男君紹介)(第一四〇七号)  狩猟法の一部改正に関する請願保科善四郎君  紹介)(第一四〇八号)  同(横錢重吉紹介)(第一四〇九号)  農地改革による旧地主に対する補償反対に関す  る請願外六件(石田宥全君紹介)(第一四五〇  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業課税に関し、参考人出頭要求に関する件  海外農業移住に関する件  印旛沼干拓に関する件  甜菜に関する件  糸価安定に関する件  農林省職員の定員に関する件  農業課税に関する件      ————◇—————
  2. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。印旛沼干拓に関する問題について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 御異議なしと認め、質疑を行います。小川豊明君。
  4. 小川豊明

    小川(豊)委員 きょう実はこの問題は農林大臣あるいは農地局長等においでを願ってお聞きしたいと思ったのですけれども、それぞれ御都合があるそうですから、時間の関係上、私の方もごく要約して聞きますから、御答弁も簡単でけっこうですから、お願いします。  第一は印旛沼手賀沼干拓計画というものが発表されたわけです。印旛沼手賀沼は、御承知のよう湛水の被害で沿岸民生命財産は非常な危険にさらされておったわけです。この計画が実行されることによって、その生命財産が守られ、あわせて農耕地造成されていくというので、沿岸の人々は多年の宿望が達成されて非常に喜びかつ期待も大きかったわけであります。ところが農林省ではこの計画をたびたび変更されていくので、沿岸民としては一喜一憂しているわけです。そこでこの計画変更されていく理由として聞くところによると、東京湾地帯にいわゆる京葉工業地帯造成されていく、これに要する工業用水等が問題になって、印旛沼の水を逆に東京湾に落して、工業用水にする必要があるという意見建設省側が持っているので、この意見との調整がつかないために工事の計画変更されたり、着工がおくれたりしている、こういう話があるけれども、それは事実なのかどうなのか、まずこの点を簡単でけっこうですからお聞きしたいと思います。
  5. 正井保之

    正井説明員 ただいまは印旛沼干拓計画につきましての御質問でございますが、計画変更がいろいろございましたことは事実でございますが、その理由といたしまして、京葉工業地帯工業用水との関係におきまして、建設省との調整がつかないためにということになっておるのか、こういう御質問だと存じますが、この点につきましては、京葉工業地帯の構想は県として非常に熱心にやっておるようでございますが、建設省からこれでどの程度の工場が誘致され、従って工業用水としてはどの程度確保したい、というふうな申し出なり話はまだ聞いておりません。従いまして、それとの関連においての調整がつかないために計画変更がなされたというふうな事情はございませんので、そのように御了解願いたいと思います。
  6. 小川豊明

    小川(豊)委員 そういう事実がないというならば、それは技術上の問題だけで変更されたのであって、そういう関連における変更はない、こういうふうに承わっていいわけですね。  次にもう一つ問題があるんですが、これと関連して今農林省では長浦干拓計画が進められている。ところがこの京葉工業地帯の五井、八幡地帯には、十万トンくらいの船が入る大きな築港が進められている。これはもちろん建設省の仕事であろうと思うんですけれども、そうすると農林省長浦干拓は中止してもらわなければならないということが、京葉工業地帯造成という点から出てくるんだそうです。そこで長浦干拓——これは建設省自身で言っているのかどうか知らぬが、やめてほしいという意見を持っておる。ところがその取引として、もし長浦をやめるならば、建設省は、印旛沼水面埋め立て許可権を持っておる、許可してもいい、それをやめないならば許可しないんだというような話があるわけです。もしそういうことだとすると、省間の取引の材料に印旛沼が使われておるということであって、省間の権限なりなわ張りのために、せっかくの計画実現に至らない、多数の沿岸民を失望させる結果になってくるので、あなたの方としてのこれに対する決意というか、態度というか、そういう点をお聞きしたい。
  7. 正井保之

    正井説明員 現在着工中の長浦干拓について、建設省ではそれをやめてもらいたいというふうな意見を持って、印旛沼干拓事業関連しまして交換条件的に、農林省の方に建設省の方としてそういう意向を持っておる、あるいはそういう話があるというふうな御質問かと存じますが、そういうふうな話はないわけであります。ただ県としましても、ただいま代行で八幡浦干拓をいたしておりまして一部できた工区はございますが、その他についてただいまお話しの工業地帯築港造成関連しまして計画変更を命じてもらいたいというふうな申し入れがあったことは事実でございます。その点につきまして、私どもとしましては、既定の計画もございますし、県の申し出について、そのように同調いたしますということは、まだ申し上げられない段階でございまして、原則としてすでに着工いたしましたものは、当初の計画通り進めたいという考えでございます。
  8. 小川豊明

    小川(豊)委員 印旛沼干拓というのは長い間の懸案なんです。当然これは干拓して埋め立てなければならぬ。水面埋め立てなり何なりは建設省許可が要るのです。ところが建設省はこの許可をしてないということを聞いておりますが、建設省から許可を受けてありますか。
  9. 正井保之

    正井説明員 ただいま手続中でございまして、まだ正式の許可はおりておりません。
  10. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで私はお聞きしたいのですが、建設省許可をしないのは、長浦干拓取引して、農林省長浦干拓をとりやめるならば印旛沼水面埋め立て建設省の方で許可してもいい、それをやめないなら許可できないというふうな話を聞いているのですが、あなたの方は、役所としての文書申し入れなりあるいは話し合いなりはないという御答弁ですが、事実はそういうことになっているのではないですか。その点はどうなんです。
  11. 正井保之

    正井説明員 ただいま水面埋め立て許可関連いたしまして文書の往復のことのお話でございますが、口頭でもそういうふうな、片一方を認めれば許可するというよう意向を漏らされたことはないわけでありまして、実は八幡浦干拓してこの辺に工業地帯造成したいという県の希望もあるわけでございますが、これにつきましては、それの水源としまして印旛沼の水に期待するよりも、その地帯につきましては養老川の水を利用したいという計画を持っているようであります。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 私がお聞きしておるのは、印旛沼の水を八幡で使う使わないということではなくて、長浦干拓をとりやめて工業地帯造成に使えるようにしてほしい、そうでないなら逆に印旛沼水面埋め立て許可権建設省にあるが、なかなか建設省が判を押さない。そういうばかばかしい経過の中にこうした計画というものが変更され頓挫されているということは、これは聞き捨てならない話なんで、その点をお聞きしているので、印旛沼の水を引くとか引かないとかいうことは、農林省関係じゃないので、あなたの方で、そういう事情はないのだから、印旛沼計画は断固として進めていくのだ、こう言うのならそれでいいわけです。
  13. 正井保之

    正井説明員 印旛沼計画については計画通り進めて参りたいというふうに考えております。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 いつも役所答弁はそういうふうに参りたいとかそう思うとかいう答弁なんだが、私はそうでなくてもっとはっきりして、この計画をこのまま——少々の変更はあるかもしれぬが、実施していく決意があるかないかということをお聞きしているんです。決意がおありならそれでいいんです。
  15. 正井保之

    正井説明員 そういう決意のもとに事業を進めて参りたいと思います。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、国は多大な犠牲を払って農地改革をやった。この農地改革の成果というものをおさめていくのには農地法一つのたよりなんだ。ところが農地法という法律がかなりゆがめられているのじゃないか。一つの実例を申し上げるならば、住宅公団ができて都市計画法によって区画整理を進めていくんだそうです。そうすると、農民の持っている土地区画整理法でいくと、三割四分七厘ただ取り上げられていくわけです。何でただで農民土地を取り上げるんだと言うと、都市ができて地価が上るので、農民受益者でもうかるから三割四分七厘ただ土地を取り上げてもよろしいんだ、こういう形で取り上げていくんだそうであります。農民農業をやっていくことを希望している。従って土地を売るということが前提にならなければ、受益者にはならない。あくまでも農業を継続していく場合に、三割四分七厘——かりに一町歩土地を持っているとすれば三反四畝七歩というものをただ取り上げられていくわけです。農業生産に非常な障害を来たしていくわけです。農民はこれに対して反対しているわけですけれども、これについて建設省で聞くと、区画整理法は別に農林大臣の何らの指示許可も必要としない、だからおれの方でぐんぐん進めていくんだ、こう言って進めて日本各地にすでに十数カ所こういう問題が起ってきている。ところが区画整理をするということは住宅を建てるということが前提なんだ。従ってその区画整理をしたものは宅地になる。耕地を宅地にするには、これは農地法によって許可を必要とする。ところが区画整理法ではそういうものは農林省の何らの容喙を受ける必要がないというのが建設省答弁です。前提宅地を作って住宅を建てていくということです。すでに既成事実がどんどんできていってしまう。農民のために農地を守る農地法のことを一体あなたの方ではどういうふうに解釈し、どうこれに対処していくつもりか、その点をお尋ねしたい。
  17. 正井保之

    正井説明員 住宅公団等宅地造成をするために区画整理事業をやる場合には、事前に私どもの方へ連絡をして処理をするということに両方で相談をいたしております。それから区画整理実施について、従来農林省の方に連絡なしにそういった事業が進められる建前になっておりましたけれども、この点につきさまして事前連絡をするように、また農家の経営に非常に影響のないようなことにいたしたいということで、実はただいま建設省の方とも相談いたしております。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの答弁と違うのです。だからここでお聞きしているのです。建設省区画整理をするには農林大臣指示許可も何ら必要としないから、私の方では私の方の考えで進めていくと答えている。区画整理をするということは宅地を作ることなんです。そういうふうにすでに区画整理をしてしまって、既成事実を作ってから農林省の方へこれを宅地に転換したいけれどもどうだと言ってきたっておそいでしょう。事前にもっと協議をしてからしなければならないにもかかわらず、あなたの方では協議する協議すると待っているわけだが、向うでは一つ協議してこないでしょう、現実の問題として松戸の問題は協議してきていないでしょう、きていますか。
  19. 正井保之

    正井説明員 従来区画整理事業実施する場合に事前連絡なり協議というものがなかったために、お話よう農地転用というような問題について、ある程度既成事実ができたあとでそういう問題を持ってくるということで、その間事務の運営が円滑でなかったわけでありまして、この点改めるべく、ただいま建設省事前連絡なり協議につきまして打ち合せをいたしているわけであります。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 今現に十数カ所でそういう計画がなされ、どんどん進められているのです。松戸の場合には公団が二百名の警官を持ってきて、農民の、土地取上げに対する反対にもかかわらず強行してきているわけです。そういうことが一方において行われていながら、あなたの方ではこれから協議をしてもらうつもりなんだと言ったって手おくれではないですか。特に私はあなたの方の措置として非常に感服したのは、あそこにどこかの製カン会社農地を買い入れて工場を建てると言っておった。ところがあなたの方で農地法建前から、それは許可相ならぬということで不許可にしている。農民生産力の低い水田であるからこれを売り払って畑にしたいということで、ぜひ買ってくれということを嘆願したはずです。私の方へも何とかならないかと言ってきた。しかし私は農地をつぶすということは重大なことだから、これは賛成できないと言っておったわけですが、あなたの方ではこれを不許可にしているのです。この措置は英断であった。ところがすぐ幾らも離れないところの同じ市内で、一方には農民が泣き叫んで抵抗している事実がありながら、そこはどんどん宅地化される計画が進められていく。それは協議をしてもらうように今相談をしていると言われるが、農林省自体態度というものをもっとはっきりさせる必要がある。農地法建前からそういうふうに生産力のある、農民の要望している土地許可できないのだということをあなたの方ではっきりさせれば、そういう計画は進められないで済むと思う。もっと山林とか、原野とか、傾斜地とかにいくことも考えられる。ところがあなたの方の態度があやふやになっているので、計画がぐんぐん進められて各地に問題が起ってくるわけです。農民の唯一のたよりは農地法なんです。だから農地法の精神をあなたの方で守り抜く決意があるかどうか、もう一度お伺いいたしたいと思います。
  21. 正井保之

    正井説明員 ただいまお話がございましたが、区画整理がなされたからといって、転用許可をしなければならないというふうな拘束は農地法の施行上ないわけであります。ただお話ようにそういった事実が先行しますことは、農地法建前からも好ましくないわけでありまして、従来そういった区画整理事業実施につきまして、事前協議なり連絡なりというものが十分になされなかったわけであります。その点についてこれから扱いを十分連絡をとりまして円滑に運んでいきたい。農用地の改廃というようなことも最小限に押えていきたいというふうに考えておるわけでありまして、十分そういった点の不十分な点ば改めて参りたいと思います。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなたはそうおっしゃるけれども、すでに区画整理で百坪なりそこらなりどんどん農地宅地化されていくんですよ。それに対して何にも農民は抗弁しようもない。抗弁し得るのは農地法一つがたよりになってくる。その農地法を守るところの農地局態度がはっきりして、こういうところは農地として適切だからこれは許可しないのだということならば、おそらく公団としてもそこへは手を出さなくなるだろう。ところが手を出させてしまってどんどん金をかけさせてやっていってしまって、何億という金をかけてからそれをいけないのだということは、これはやはり片方建設省関係になっている、片方農林省関係になっている、それでは省間の不愉快なものを残すだけになってくる。態度というものをもっとはっきりすればいい。一体公団法というものを作られるときに、こういう重大な問題が起ってくるのだから、当然農林省というものはこの公団法自体の成立のときにもう関与していなければならぬはずだ。ところがどういうわけかこういう事態が起ってくるに対して、農林省として何の手の打ちようもない、見ながら手をこまねいて見ていなければならないということは、これは失態じゃないですか。これは農地法によって守れなくなるじゃないですか、次官もう少しこの点どうです。
  23. 本名武

    本名政府委員 御指摘通り都市計画あるいはその他の農地を侵害するといいますか、つぶしていくようないろいろな計画が、農地立場から見ますと他においてなされていることは御指摘通りであります。われわれは農地法を絶対守り抜くという考え方は毫もゆるめているわけではありません。ただ農地法の本質から参りまして、都市計画とかあるいは住宅公団あるいは工場その他の用途のために転用申請というのは、どういう計画、形の上からなされるかは別といたしましても、常に農地を守るという観点に立って判断いたしまして、その許可、不許可を決定いたしておる、こういうことであります。ただ先ほどからのお話では都市計画が先行するために常に農地が侵害されやすいじゃないかということですが、これは一方において法律でもってやる場合には、一応その計画のよしあしというものは実は申請が出て初めて事務的に扱われるということで、事前相談するということは、どういう方法で相談するかということは、むしろ私どもとしては、法制化してその法制の上に立って事前相談をするというところまでいかなければ、この問題はなかなかきまりがつかないのじゃないかというふうに考えていますが、農地法立場からは、いかなる姿で転用の要請があろうとも、公正な判断によってその許可、不許可を決定いたしていきたい。同時に本質的には農地の減反を防ぐという方向に熱意を持って進んでいく、いわゆる農地法を守り抜くという観点に立っていることは間違いないわけであります。
  24. 小川豊明

    小川(豊)委員 外務大臣も見えたようですからもうこれで打ち切りますが、いま一点参事官、千葉県の船橋緊急開拓で、五十町歩土地山林所有下地主開墾申請許可を受けて、そうして開墾をせずに補助金をとって、供出がかかってきたのは知らない農民にそれをかけてしまって、農民に過重な負担をさしたという事実があるわけなのです。そういう土地に対して、この処理をどうするのでなくて、そういう土地政府が買い上げて解放すべきじゃないかと思うが、あなたの所見を伺っておきたい。
  25. 正井保之

    正井説明員 船橋の事案につきまして御質問がございましたが、実情なり内容、事由を調べまして、その取扱いにつきましては検討さしていただきたいと思います。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなた内容を調べる必要はない、私の方からあなたの方に何回も言ってやっておる。こういう事実があるのじゃないか、こういう事実がありますということをあなたの方で答えているのです。内容を調べる必要も何もないわけです。ただ問題は、そういうふうに補助金をごまかしたり、供出をしなくても済む農民に、それがかかってきたら供出をかけてしまったりした事実に対して、その後の問題をどう処理するかということで、内容を調べる必要はない、あなたもよく知っています。あなたが知らないはずはない。
  27. 正井保之

    正井説明員 まことに申しわけございませんが、私ただいまの御質問の点を承知いたしておりませんものですからら、よく調べましてお答えいたします。     —————————————
  28. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 この際農林漁業金融公庫法改正法案関連しまして、海外農業移住について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。中村時雄
  29. 中村時雄

    中村(時)委員 外務大臣にまずお尋ねしたいのですが、外務大臣自身がおそらく今まで外務省としての関連性でなくして、一般の産業人から外務大臣に移行され、その中にいろいろな外交方針に対する諸問題に努力をされていらっしゃるそのこと自身に対しましては、非常に私たちも敬意をもっているわけであります。  そこで本日は移民問題に、関連をいたしまして、移民問題についての内容あるいはそれに対する渡航あるいは利子補給の問題あるいは利子の返還、そういう基本的な問題は後日に譲るとして、本日は移民行政に対するところの一つ考え方、そういう考え方をどのように把握していらっしゃるかをまず第一にお尋ねしたいと思います。
  30. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 移民問題に対するメンタルテストのようでありますが、日本が現在移民を強力に推進して参らなければならぬことは申すまでもないことであります。過去におきまして人口問題の解決という観点から移民をやりましたことは当然であります。むろん現在も人口問題を解決していくという意味におきまして、移住を促進していくことに力を入れて参らなければならぬことは当然なことだと思います。が同時に、単なる人口問題の解決で国外に人を出すというばかりでなく、現地それぞれの相手国経済発展のために協力していく道において移民ということが、また考えられていいのではないか。その意味から申しまして、優良な性格、質のいい移民を出す。そして現地それぞれの国家の繁栄に寄与していくことは、日本が持っております人口資源を世界平和のために活用することにもなるわけです。そういう面も今日では加味されてきておるのでありまして、われわれとしては、日本の人口問題解決の点からも、また移出先の国家繁栄のために寄与する面からも移民という問題については十分力を尽して参ることが必要だと考えております。
  31. 中村時雄

    中村(時)委員 要約すれば、人口問題と外交移民という二つの線に考えていらっしゃるようであります。そのお考え方はけっこうなんです。考え方と実際に行われる行為というものが一致して、初めて施策方針というものの決定ができるわけです。そこでまずお尋ねしたいのですが、たとえば二十七年、二十八年、二十九年の三年間で大体百六十八家族くらいが移民されている。昔は、戦前昭和八年には、二万三千人から出しているのです。人口問題として考えているというあなたの御構想は、現実に以前と比べましても非常な相違があるということです。これは、私はおわかりだと思うのです。その相違というものを究明していって、初めて送出される移民により人口問題の解決ができる。ところが逆の現象になっている。そういう欠陥はどういうところにあるのかお尋ねしたい。
  32. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 戦後の日本が国際信用を回復しまして、日本人の海外移住に対する受け入れをそれぞれの国に対してお願いしていくには、若干の時日がかかったと思っております。また日本の今日のいろいろな経済事情のために、移民に対する諸般の行政施策が必ずしも過去のように十分でなかったということも言えるのではないかと思います。従いまして、今日過去のように活発になってはおりませんが、われわれといたしましては、今後日本の財政経済の充実と相待って、移民の政策につきましては十分力を入れ、日本移住政策の完璧を期していかなければならぬと思うのでありまして、せっかくそういうことについて努力をいたして参りたいと考えているわけでございます。
  33. 中村時雄

    中村(時)委員 それだったら具体的にもっとはっきり言っていただきたい。たとえば今移民行政をやっているが、移住局なり移住協会がここにあります。それが外務省の下請機関となって日本政府の代表として現われてきている。ところが一方において、ブラジルならブラジルを例にとりますと、向うの民間団体が請負によって日本政府と契約を結んでいくような行き方をとつている。外務省といたしましては、ブラジルならブラジル国家とあなた方との折衝ではないはずです。その点に関しまして、私たち在来から国と国との折衝においてこの問題の帰結をはかるべきだ、こういう考え方をもって常にお話をしておった。ところが事実においてはそれが現われていない。これに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  34. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 過去といいますか、現在と申しますか、現在まで引き続いてでありますが、今お話ように、国と国との交渉を全然やっていないということは言えないと思います。むろん向うの民間団体とこちらの移住協会あるいは外務省を通じてそういうよう関係を樹立しているところもあるわけでありますけれども移民を受け入れるという問題は、やはり政府間の基本的な交渉がなければ、単に向うの私の団体とこちらだけで話し合いが進むものでもないのでありまして、そういう意味において、いろいろな交渉が行われることは存じております。こまかい点につきましては政府委員から答弁いたさせます。
  35. 中村時雄

    中村(時)委員 私のはこういうことです。契約の主体というものは法的に考えてもいろいろあるわけですが、契約は一体政府政府でやっておりますか。
  36. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 政府委員から御答弁申し上げます。
  37. 内田藤雄

    ○内田政府委員 御指摘のごとく、終戦後移住が開始されましたときは、まさに個人の非常な努力によった例が多かったと思います。しかし現状で申しますれば、いわゆる呼び寄せ移民、これが数においていまだ非常に多いのであります。確かに個人の契約によるものが非常に多うございます。しかしアマゾン地区あたりの向うの政府機関が日本移民を受け入れる問題などにつきましては、これは主として政府間の話し合いによって行われております。のみならず、不断にトラブルなども起きますし、また最後には入国査証の問題になりますが、そういった点につきましては、東京あるいは現地におきまして外交機関が不断にいろいろな折衝を行なって移住を進めて参っておる次第であります。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 個人の契約によって、たとえば日本政府とやるとか、あるいは前植原さんなんかのところがありましたがそういうような場合には日本政府と植原さんの契約によってやっておったわけなんです。そこで、個人のそういう契約と政府間の移民に移行されていく契約はどのくらいのパーセントになっておりますか。
  39. 内田藤雄

    ○内田政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、当初個人の努力によりまして相手国の移植民院というようなものと契約を作りまして、その契約のモデルによって個人が契約で参ったというのが実際上多かったことは私は否定いたしません。しかしながら、最近におきましては、ただいま申し上げましたように、政府機関が間に入りまして、もちろん日本政府とその行く人が契約するとか、あるいは参ります移住者がブラジルの政府と契約するというようなケースはございませんけれども、ともかく間に介在いたしまして、呼び寄せの場合におきましてもただいまのような契約をあっせんいたしまして行なっているのが多いわけでございます。のみならず、その後の進転を補足して申し上げますと、たとえばボリビアのごときは移住協定ができまして、これはもうはっきり政府間の話で移住者を送っております。また先ほど申しましたように、アマゾン地区も漸次ふえて参っております。まだ数において南伯の契約移民ほどには達しておりませんが、漸次数がふえて参っております。これなどは政府が間に介在いたしまして契約して参っておる。またパラグヮイなども、これは御承知のようにまだ大きなものにはなっておりませんが、すでに千五百くらい入っております。これなども主として政府間の話し合いに基いてやっておる次第であります。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 こう解釈してよいですね。たとえばブラジルあたりではブラジル政府から向うのいろいろな会社なり個人にそれを移行されてきて日本政府と契約しておったケースが非常に多かった。そのことはお認めになるだろうと思うのです。そこで外務省としてのものの考え方は、将来は、今言ったように、できれば仲介を立てておった契約でなくして、国と国との契約で行きたい考えであると解釈してよいかどうか。
  41. 内田藤雄

    ○内田政府委員 結局中村委員の御質問の趣旨は、おそらくは移住協定か何か結んで、それに基いてやるということを考えておらぬかということだと思いますが、もちろんわれわれはでそれを非常に希望いたしております。あるいは今年中にでもそういうわれわれの希望するものが実現できるかもしらぬと思っておりますが、ただ移住協定ができればその後の移住の現実はすべて国家間のものになるかどうかはわからぬと思っております。移住協定という大きなソクの中で、やはり個人の契約に基く移民というものも相当あり得るのではないかと考えておる次第でございます。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 一つ考え方が、以前の重光さんがいらっしゃった当時よりもその点は一歩前進をしておると思うのです。その当時におきましては、政府政府というよりも、一つの民間団体に自分たちの責任を移行していって、そうして自分たちは最も危険なところだけは逃げようという考え方がはっきりあったと私は思うのです。それが今度は、政府政府の方向に取り上げてみたいということに移行することは、一歩の前進であろうと思う。私は外交上における一歩の前進であろうと見てよいと思います。そこであなたは外務畑におるわけでありますが、移民でもいわゆる農業移民が多い現状です。重要な農政上の問題としてあなたは農業移民を取り上げるというお考えを持っておるかどうか。私は、野党として追及する立場ではないのです。でき得れば協力的にこの問題を円満に前進したいと思っておるので、私は紳士的なす言葉も使っておりますし、協力的な態度もとっておるのでありまして、そういう意味において御質問申し上げておるのでありますから、御了解を願いたいと思います。     〔笹山委員長代理退席、原(捨)委員長代理着席〕
  43. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 非常に御丁寧なお言葉をいただきましてありがとう存じます。われわれ移民の業務に携っておる者として一そう努力をして参らなければならぬと思います。ただいまお話農業上の移民につきましての問題であります。御承知のように、今日まで移民の大部分が農業従事者であったということは当然であります。また今後もおそらく農業従事者というものが多数であろうということも考えられるわけであります。ことに日本農民の諸君は、その技術から言いましても、経験から言いましても、世界的に優秀な経験と技術を持っております。従って、先ほど申し上げましたような、人口問題以外のその国に対する経済協力という立場の責任を果す意味から申しましても、日本農業者諸君の経験、知識というものが大きな貢献をすることは間違いないわけであります。最近では工業に付随する移民、中小企業者とともにあるいは機械とともに出る移民というものも考えられますけれども、大量に出ます移民はやはり農業移民であることに間違いないのであります。そういう意味におきまして、外務省としては日本農業政策と十分緊密な連絡をとり、また日本の農村の二、三男対策その他とも十分関連をさせながら本問題を扱っていきたい、こう考えております。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃもう一歩深く、なぜ私が移民問題を取り上げるか。日本の今の農業方面の経済状態を見ていった場合、土地と労働とそれから資本というような問題が基礎になって経営はでき上っているわけなんです。その面において特に土地の立地条件が一番大きなファクターになっている。そこに今おっしゃった二、三男の問題も、失業予備軍が非常にたくさんある、農地が非常に縮小されつつある、こういうところからいろいろな問題が出てくるわけです。だからその問題を考えていった場合に、外交問題といたしましては、皆様方のお考えよう一つの方針の打ち出し方が一歩前進してきておる。そうすると、次にくるのは、国内的な問題に関するところの農業にあなた方が協力的な態度をとってもらいたい、こういうことになる。そうすると、主体的な問題として国内的には農林の方向の打ち出し方が出されてくるのじゃないか、こう思うわけですが、それに対するお考え一つ伺いたい。
  45. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま私が申し上げましたように、日本の農村というものの今後のあり方は、私は農業関係をやってきたわけでございませんけれども、今御指摘ように、土地も狭い、農業人口もふえる、二、三男の就職問題あるいは就労問題というものも大へんである。しかも将来東南アジア一帯を考えまして、主として農業発達の段階にある東南アジアを控えて、日本の農村の将来の問題というものは非常に大きな問題がたくさんあるのじゃないか。従って、日本の国内におきます農業行政というものも、日本の将来の確固たる経済的安定のためには非常な重要な問題が含まれておるということを、私も農業に従事したことはございませんけれども、門外から見ていて、感じているわけでございます。そういう意味において移民の対策が日本の農村政策と一体になることは絶対に必要なことでありまして、われわれとしては、農林当局と十分連絡をとりながら、そういう意味において日本農村の将来の問題にも若干のお役に立つように努力して参りたいと思います。
  46. 中村時雄

    中村(時)委員 また話が、第二点が非常に前進してきた。以前に移住振興会社を設立しました場合に、そういうふうな観点から農林というものが中心になって、ファクターを持たなければならぬじゃないかということだった。ところが、そのときに吉川さんが農林政務次官をしておって、この努力が逆な方向になってしまったというような経過があります。そこでそういうような事柄を、外務大臣みずからが国内的な行政におけるところの主体を、今言った農業方面に取り上ぐべきであるという考え方は、外務省は在来逆な考え方を持っておった。それを外交関係なるがゆえに一元化をはかって、この会社の設立の方向に運動されたはずです。ところがあなたのお考え——そこがあなたのよさだと思う。やはり一歩前進されて、主体は農業的なものという考え方を打ち出そうといういき方、それに対して敬意を表したわけです。だから外交方針といたしましては、今言ったように、国と国の政府間におけるところの契約の問題に前進をしたい。また実際の移民の問題に関しては農林ということを中心に考えていきたいという第二点が出たわけです。  その第二点からもう一歩入っていきたいと思うのですが、そうなって参りますと、たとえば土地の購入であるとか移民のあっせんであるとかあるいは資金の融通、そういう具体的な問題にちょっと入りたいのですが、その問題に関しては、今まで移民をされる方々に金を貸しております。ところがそれに対するところの利子あるいはまたそでの償還、そういうような問題がなかなか思うようにいかなかったはずです。それに対して一体その処置をどういうふうに考えていらっしゃるか。
  47. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 移民内容としてただいま申し上げましたように、日本農業行政と十分連絡をとり、その意向を表わすことはもちろんでございます。ただ国外の問題に関しましては、外務省が当然責任をとって一元的に扱うべきだと私は考えておるわけなんであります。今御指摘よう土地購入資金に対する利率その他の問題につきましては政府委員から御答弁いたさせます。
  48. 内田藤雄

    ○内田政府委員 ただいままで移住者に対する補助の一番大きなものは渡航費の貸付ということであったと思います。その他の点につきましては、遺憾ながら、率直に申しまして、政府の施策が非常に不十分であったということは私ども認めざるを得ないかと思っております。従いまして資金の貸付その他につきまして従来に増した何かの制度が——つまりいかなる金であれ、移住者の移住の振興のために、寄与する形において使用され得る状態ができるということに対しまして、私どもは何も反対いたす考えはございません。ただ御承知のように、移住の問題は要するに相手国、受け入れ国の気持とか、日本移民自体が愛される移民になるというばかりでなく、われわれの政策自体が相手国にとっても好ましいものであるということは、やはり移住政策を円満に進展して参りますための一つの大事な点ではないかと思いますので、資金移住の振興のために使われること自体にはもちろんわれわれは大賛成でございますが、事が国外に関係を持ちます限りにおきましては、十分慎重にわれわれの考えも入れて、適当な適用をしていただくようにということを希望せざるを得ないわけであります。
  49. 中村英男

    中村(英)委員 関連して。大臣でなくとも局長でけっこうですが、海外移住農民の農具のあっせんは協会ですか、助成会でやっておられますか。
  50. 内田藤雄

    ○内田政府委員 あっせんもしますが、もちろん各個人で自由にお買いになって差しつかえないわけでございます。移住斡旋所に入られましてからあとは、私の了解しておりますところでは、神戸では助成会が主として当っておるように思います。それから横浜におきましてはあそこの地方海外協会が主として当っておるように聞いております。
  51. 中村英男

    中村(英)委員 これはごく最近の二、三日前の話なんですが、移住者がおそらく百万円、二百万円の土地を売って海外移住計画して出てきた。そこで助成会ですかに行きましたら、三年前の農具のカタログがある。しかもその農具は非常に今の物価からいうと高いのですよ。助成会としてはマージンを二割くらいとっておるじゃないか、そういうことで全然お話にならぬというので、引率してきた人が幸い農林経済事情に明るい人ですから、直接メーカーのところに行って農具のあっせんをしていて、二、三日のものが二週間たたなければ片がつかぬような始末です。局長も大臣も聞いておいて下さい。これではせっかく海外移住をする農民が家を売って二百万の金を作っても——これは大へんな金なんです。大勢の人たちでは何千万円の金ですから、十分気をつけて監督して、そういうことのないようにしてもらいたい。大臣よくその点はお願いします。
  52. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま御指摘ような点が過去にあったそうでございまして、そういうこまかい点まで十分監督指導して参らなければいけないと思っておりますので、今後とも気をつけさせることにいたします。
  53. 中村時雄

    中村(時)委員 きょうは大臣はタキシードを着られて、十二時きっちりという話もありましたので、紳士的に私どももこれ以上の問題はこの次の機会に譲りますが、これからが問題ですから、よくそういうふうにきっちりお考えを願いたい。ということは再来週たしか公庫法の問題が出ると思いますが、そのことに関連をいたしまして、大臣必ず出席をして下さるということの確約ができるなればという前提をつけたい。そこで一つ大臣が出席できますかどうかをお聞きしたい。
  54. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 農林水産委員会に出席することは喜んで出席をいたしますが、ただ予算委員会、外務委員会等の関係もございますので、その間の調節をしていただきませんと私も出られないのであります。その間の調節をしていただきますれば、喜んで出席いたします。
  55. 中村時雄

    中村(時)委員 そういうことを言って、いつもあなたは忙しくなってしまう。そこで委員長というのも変なんで、代理なんだが責任を持っていただくかどうかです。
  56. 原捨思

    ○原(捨)委員長代理 承知いたしました。待ちます。     —————————————
  57. 原捨思

    ○原(捨)委員長代理 次に北海道におけるテンサイの問題について調査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 原捨思

    ○原(捨)委員長代理 御異議なしと認め、質疑を行います。  質疑の通告があります。芳賀貢君。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ビート問題についてお尋しますが、第一の点は昨年来北海道におけるテンサイ糖の増産計画が進められておるわけでありますが、昨年度の計画としては既存の日甜の三工場と芝浦の工場工場が昨年秋から操業を行なったわけですが、操業の実績は大体もう把握できておると思いますので、三十二年度におけるテンサイ作付面積、あるいはその収量の問題、あるいは各工場別等に、どの程度の原料が受け入れされて、どういうような生産の推移をたどっておるか、その点をまずお聞きしたい。
  60. 永野正二

    ○永野政府委員 昨年度から日甜の三工場に加えまして、芝浦精糖の工場が操業を開始いたしたのであります。当初年度の初めにおきまして私どもが予想いたしました計画は作付面積は日本甜菜糖の三工場分が二万百七十五町歩、芝浦の工場の分が四千四百十町歩合計いたしまして二万四千五五百八十五町歩という見込みで、操業しようという前提であったのでありますが、その後の実積は、作付面積が著しく伸びまして、その詳細な最終的な数字はまだまとまっておらないのでございますが、大体の実績の見込みといたしましては、日本甜菜糖の三工場分が二万三千百八十三町歩、芝浦の分が五千四百八町歩、日甜の関係におきまして三千町歩、芝浦の関係におきまして千町歩の増加をいたしたのでございます。反収も当初見込みましたよりも若干上っておりまして、大体四千百斤程度に相なっておるわけであります。従って原料の生産高は日甜の関係が九億五千五十二万斤、芝浦関係で二億二千百七十四万六千斤ということに相なっておるのであります。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで本名政務次官にお尋ねしますが、昭和三十三年度の計画はもうすでに大よそ内定しておるわけでありますが、三十三年度においては日甜の美幌工場が建設されることになるのですね。三十四年度に操業ということになるわけですが、当初の計画より北海道におけるテンサイの作付面積が非常に急増しておるということと、それから生産数量も期待の線に沿って上昇しておるということは工場建設と相待って、これは将来に相当大きな希望が持てるということが今から認識できると思うのです。それで三十三年度以降における具体的な計画等についてこの際お示し願いたいわけであります。あわせて、昨年の八月下旬に、当時の小枝委員長が団長になりまして、北海道における農林水産業に関する調査を行なったわけでありますが、調査団の報告等によりますと、特に北海道を地域的に見た場合において、道南地方の適当な個所に建設の要があると認められるという団長報告も当委員会に行われておるわけでありますが、それらのものと関連いたしまして、今後における具体的な工場の建設計画並にこの工場が建設されることに伴うビートの耕作面積の区分とか計画等に対してはどういうことになっておるか、その点であります。
  62. 本名武

    本名政府委員 ただいま局長から三十二年度の耕作面積並びに実績の大体の予想を申し上げましたが、三十三年度の見込みは、これは大体一月ごろの見込みでございますが、日甜は二万二千四百四十七町歩、芝浦が五千八百三十八町歩、北連が四十九百九十五町歩、合計三万三千二百八十町歩という見込みでおります。ただ先ほども芳賀先生お話しの通りに、非常な増産の熱意の上に、今後においてこの数字は上回るのではないかということも考えられます。さらにまた御指摘通り、道南の方にも適当な個所に一ヵ所工場があってもいいのではないかということは全く同感でございまして、北海道の寒地農業の振興の上からも、また国内の砂糖自給の上からも、外貨節約の上からも、ぜひ道南に早急に工場を建設して、これらの生産並びに自給の要望におこたえいたしたいと考えております。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで三十三年度の各工場別の面積割が一応計画されたわけでありますが、これに対しては、工場建設に伴う前提条件として、やはりその工場に提供できる原料確保ということが確認されないと、安易なままで工場建設を認めることは当然できないのです。工場の建設と原料を中心とした耕作面積の確保ということは不可分の状態に置かれておるわけでありますが、今次官の述べられた会社別の作付面積の内容等に対しては、特に北連の場合に本年度から操業開始ということになるので、この各会社、工場別の面積とあわせて地域配分というものがどうなっておるか、特にこれらの計画は、すでに関係の、たとえば北海道庁等に対しても、農林省の方針というものが示達されておるかどうか、その点についてはどうですか。
  64. 本名武

    本名政府委員 実は当初予定いたしました生産計画というものが若干変更になりまして、従って昨年は芝浦精糖、今年は北連、来年は日甜と、新しい工場が建設され、しかも操業されるわけでありますが、今日までの生産の実情と、先ほど申し上げました見込みから検討いたしまして、従来農林省として考えておりました市町村別の地区を各会社に一応割当の形で道庁を経由して示達をいたしております。詳しく申し上げますと、日甜は常呂郡のうちの常呂町と綱走郡のうちの東藻琴と女満別町を除いた地区、それから芝浦精糖の方は紋別市と紋別郡全体と、それから北見市、常呂郡のうちの常呂町を除く全部、こういうふうになっております。それから北連の方は斜里郡、網走市、綱走郡のうちの、先ほど日甜のとき申し上げました東藻琴と女満別町を集荷地域としていくというふうに示達いたしております。  ただこの機会に申し上げたいのは、現地の方からいろいろな御陳情が出ております。その陳情は一応ごもっともでありますので、いろいろ検討いたしましたが、本年度の操業は北連だけでございますので、一応従来示達した区域において操業していただくと同時に、増産の将来の推移等によりまして、あるいはあらためてまた明年度においては検討する必要が起きてくるかとも考えられます。
  65. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今の次官の答弁によると、三十三年度に限っては暫定的な区域割りなのですが、そういうことでは、今後正常な運営を工場に期待するという場合において、持続性がないということになって、これは見通しの上においても暗いものがある。それから工場別に合理的にテンサイ糖のコストを低減させる。これは外国から輸入される砂糖との競争をやる場合においても、国内の砂糖の振興をはかる場合においても重大な問題だと思うのです。特にこの計画を見ても、日甜の三工場の場合には約二万三千五百町歩でありますから、面積からいくと、工場七千五百町歩ということになるわけですね。芝浦の場合には約五千八百町歩、北連が約五千町歩ですね。こういうものがやはり最低限確保されるならされるという形の中でいかないと、現地のいろいろな動きがあるとしても、やはりその工場を中心にした最低限の面積とか原料の確保とか、これは当然なことになるわけですが、そういう点から見て、今の本名さんの答弁はいささか将来に対して安定性がないようなあれなんですが、今表明された区域は三十三年度だけの暫定的なものであるか、その基本は不動のもの——不動といっても確固不動ではないのですが、大体その線でいくべきものであるか、その点はいかがですか。
  66. 本名武

    本名政府委員 ただいま申し上げましたのは、これは芳賀先生も御承知の通りに、生産の上昇率と申しますか、生産状況は非常に変化があります。しかもその変化は減る変化でなくして、ふえる変化ですから、将来において御指摘ような経営の安定やあるいは生産者の工場納入と申しますか、売り渡しの安定の上からいっても、増産される過程において、はっきり恒久的な区切りをつけてしまうということは非常に困難ではないかと思うわけです。同時に今申し上げました数字は、三十三年度一年限りの一応の数字ということで示達をしたわけでございます。
  67. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは変じゃないですか。どうしてそういうことをやるんです。ことし限りとわざわざ注釈をつけなければならぬ理由は、どの工場との関係なんですか。本年度新しく北連工場ができ、明年度は美幌工場ができる。そういうことが計画的に明らかになっておるんですから、工場の建設を認める場合は、その工場の支配区域がどこまでということが決定されていなくて常に不安定なものであるということになると、これは動揺するんです。ですからそういう必要はないと思うんですね。これ以外の地域にビート耕作がどんどん拡大されて、いずれかの工場の集荷区域に入るということであれば話はわかるけれども工場建設の前提をなしているような区域が一年々々変るということになると、これは大きな問題になると思うんです。ですから今言われた点——たとえばこの三社の工場の地域内に、明年なら明年変化が起きるということを予測して、ことし限りと言われておるのかどうか、これは専門的な立場から永野さんから一つお答え願いたいと思います。
  68. 永野正二

    ○永野政府委員 芳賀委員のお示しのように、テンサイ糖工場を建設いたします以上は、その工場の操業が安定して、引き続きできるような地盤がはっきりしておらなければならないということは、私どもも全くその通りであると考えておるのでございます。ただ政務次官からもお話がございましたように、実は最近におきます北海道のビートの作付面積は私ども農林省が予想いたしましたよりもはるかに急速なピッチでふえておるわけでございます。従いまして三十四年度に新しく操業することが可能であるということは、現在の段階でも十分申し上げられると思うのでございます。それによりまして三十四年度以降の日甜の美幌工場及び台糖の道南の工場を建設していいのじゃないかという前提に立っておるわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げました三十三年度の地区割りをきめまして、これに基いて三十三年度の集荷をいたすことと並行いたしまして、今後三十四年度の各工場の集荷区域というものを引き続き検討して早急にきめたい。その場合にはもちろん従来の集荷区域はできるだけ尊重するという考え方はございますけれども、ただ地区別に申しまして相当急激に面積がふえることが確実な地区もあると思いまするので、それらの点も場合によっては考えの中に入れなければならぬのじゃないかというふうなことで、現在まだ確定的な判断を下し得るまでに至っておりませんので、その点は引き続き検討いたしまして、各工場が安定して操業できるような集荷区域をなるべく持続的にきめていくという考えで話し合いをつけて参りたい、こう考えておるわけでございます。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから昨年の当委員会においても、同僚の中村委員から、特に明年度建設予定の日甜の新工場等に対してはその原料を供給できる集荷区域というのを工場建設と同時にどこに限界を置くかという質問があったんですよ。ですから昭和三十四年に操業される日甜の新工場は、およそどこまでがその区域になるかということは、もう昨年からきまっていなければならぬわけですよ。いいですか。ただ問題はそれ以後に建設される、たとえば今振興局長が言った道南なら道南地域に台糖が新しく建てるという場合には、既存の三工場の集荷面積というものには当然影響がくるのです。その方面において変化がくるということは当然予測できるけれども、芝浦、北連あるいは明年度の日甜の新工場の集荷区域に対しては、これは基本原則がきまっておる。毎年々々これを変更しなければならぬという事態はおそらく出ないと思うのですが、それが今年限りというのは、やはり何かの原因か理由がなければ、そういうことは言えないはずだと思う。それで、こういう点を明確にしてもらわないと、陰でいろいろな取引が行われたり、また現地の生産者の意思によって区域が常に動揺するということになれば、原料地域の争奪戦が起きるんですよ。そういうことは当局として好ましい事態と考えておるのかおられぬのか、いかがですか。
  70. 本名武

    本名政府委員 たびたびお話がありましたように、個々の工場に対する集荷区域というものを恒久的に決定しておくことは非常にけっこうなことで、われわれも実はそれを望んでいるのでございます。先ほど来申し上げましたように、作物の性質上生産の伸びが地域的に均一には参らないと思います。同時に北見地区いわゆる網走地区に三工場が来年までに完成するわけでありますので、それらの点はやはり生産の実情に応じて経営の安定が期せられ、また生産者も生産の安定が期せられるような配分が必要であろうという考え方から、本年は一応こういうことにしておいて、必要があれば来年度検討しよう。来年もこのままでいけるのなら、もちろんこのままでいくことになりますが、本年は一応この考え方でいきたい。同時に御心配のような原料の争奪戦のしわ寄せは生産者にくるということ、あるいはまた逆に企業の争奪戦が起きた場合のしわ寄せも結局は生産者にくる、こういう心配が多分にございます。同時に集荷区域をきめてしまいまして、かりに生産が予期以上に伸張した場合には、作物の性質上操業の日数その他によって原料が余るというようなことが起きた場合には、その地区を譲るなり何なりということも起きて参りますが、そういうことを結果からきめた方がいいものかどうか、あるいは事前にその年その年の生産の増減によってきめた方がいいかということは非常に問題になろうと思いますが、本年のところは一応こういうことで、来年は再検討したい、こういうふうな考え方であります。  それから日甜の工場が道南にできた場合には、日甜の既存の工場の原料には影響するが、網走管内の工場には影響はないのではないかというお話ですが、地理的に離れたところですから一応そういうふうになるのでありますが、やはり道南にできるということは、現在の二千五百町歩あるいは三千町歩のものが将来どうなるか、ふえるという見通しはあるけれども、どれだけふえるかということが問題であると同時に、既存の工場の生産の状況ともにらみ合せるということになりますと、道南にできたということ自体、北海道全体の調整を必要とする段階がきやしないか。道南にできたら、これは道南の既存の工場だけの問題でなく、やはり全体として網走管内の工場について考慮を要する場合が起きやせぬかということを一応想像しておかなければならないのではないか、そういうような意味から来年度道南の工場ができることによっても、一応全体としての集荷区域の検討をする必要に迫られるときがきやしないか、そういうふうな考え方から本年度は一年間このような方針でいきたいと考えておるわけであります。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはおかしいですよ。明年は日甜の工場しか想定できないでしょう。台糖がもし道南にやる場合には、何年先になるかわからぬですけれども、明年以降変更しなければならぬ事態というのは生じないんじゃないか。原料地帯が、道南に工場ができて、そっちへ移行するという事態は全然起きないのですよ。ですから、端的に言えば、明年度あたり変更を予測される地域というのは何村と何村ですか。そこを端的に言ってもらいたい。そうすれば大体判断ができます。
  72. 本名武

    本名政府委員 私は実は二段に申し上げたわけでございます。明年度道南ができる場合でなくて、明年度道南ができなくても、生産の伸びの実情に応じて、先ほど局長が申し上げましたように、来年は、一応原則はこの線に沿うて検討する必要が起きて来はしないかということ。もう一つは、われわれの期待としては、今日のこの生産の伸びの工合からいって、でき得れば来年度において、道南の農業振興のためにも道南の工場も操業したいという気持がある。かりにそうなるとすれば、来年度において、先ほど後段申し上げましたように、道南の工場ができたということによって、全道的な考え方もする必要がありはしないか、こういう意味で申し上げました。来年度道南が操業するかしないかということは、私は仮定に立って申し上げたのですが、気持としては、来年度道南を操業させたいという気持でおりますので、その通りいけば、来年度において一応道南が操業するということで検討する必要が起きはしないか、こういう意味で申し上げたのであります。
  73. 中村時雄

    中村(時)委員 関連して。今のお話聞いておりますと、どうも矛盾があると思う。それはどういうところかといいますと、来年度は変更しなければならぬよう考えを持っていらっしゃる。そこでなぜ変更しなければならぬかという矛盾がその前にあったはずなんです。たとえば耕地面積の配分の状況、あるいは運賃の問題、そういうような問題と関連させまして、北の方の北見を中心にしてやった配分の状況がそこに一つの大きな矛盾を持った。その矛盾を直そうというのがあなたの考えならば、これはまた別の問題が出てくると思う。ところがその矛盾の解決を表面に出さないで、今言ったような方法をとってきた。その中で一番最後に現われた日甜を中心として、どこかに伸ばさなければならぬという耕地面積の変更なり、生産量の変更というものが出てこなくちゃならぬので、そういうことを政務次官はわかって言っていらっしゃると思う。そういうことを一応取り除いて、道南は道南を中心としたものの考え方を打ち出してやっていく。北の方は北見を中心としてやっていくという一つ農林省の当初の考え方とおそらく食い違っているに違いない。私はそれを証明せよと言ったら幾らでもやります。そういう点をよく考えられて、そういう問題の矛盾をほかの方に食い込ましていこうという考え方を改めなくちゃならぬと思うのです。その点についてあなたの考え方の概念だけでいいですから伺いたい。この問題は北海道の農業政策としての大きな課題になりますから、おそらく芳賀君を中心にしていずれ後日これを取り上げるということを委員長に確認していただいて、今のお考えを政務次官に打ち出してもらいたいと思う。
  74. 本名武

    本名政府委員 私がお答え申し上げるのに、何か前提があって、その前提に立って話をするからということですが、実は前提も何もないのであります。ただ問題は、やはりかような制度が実在するからには、生産のコストのことも考えなければならない。これはもう芝浦がどう、経済連がどう、どの会社がどうということではなくて、何とか一日も早く各会社の生産コストというものが均一になるということも目ざさなければならないし、そういうよう考え方からしても、やはり合理的な経経営するように、しかも生産者にしわ寄せになる、また集荷の方にしわ寄せになるようなことのないように検討するときが来はしないかということだけであって、別に根拠があって、どうこう申し上げているわけじゃないのです。その点は中村さんの御意見によって御判断なさることは御自由でありますけれども、実際問題として、来年度において再検討するときが来る——これは網走地区だけがどうとかこうとかいうことでなくて、全体として再検討するときが来る。そういう意味で、一町村をどうするとか、陳情があったからどうするかということを抜きにして考えていかなければならぬ時期が来はしないかということを申し上げたのであります。
  75. 中村時雄

    中村(時)委員 だから今言っているように、時期が来るであろうという推定をしているということは、あなたの頭の中ではもうすでにこうしなくちゃならぬという結論がある程度出ているだろうと思います。その出ているだろうということは、事前にその矛盾があったということですよ。あなたはそれを認めるだろうと思うのです。事前にそういう矛盾があったからこそ、そういう問題が起る。その矛盾がどこにあったかということに逆算されてくるわけです。その矛盾を見てみますと、今の農地の割当の問題、原料の配分の状況、あるいは輸送運賃の問題、あるいは今度その矛盾が、ついにはおそらくテンサイ糖の購入資金としての政府の買上値段となって現われてくると思います。時間がありませんから詳しい御答弁は要らないが、概念的にどういう構想を持っているか、その考え方にあなたが一つの結論を持っていらっしゃるならば、その結論を伏せて、元の矛盾のところへ返っていらっしゃい、こういうことを言っているだけです。
  76. 本名武

    本名政府委員 今日の生産の状況からいたしますと、いろいろ御指摘ように矛盾と申しますか、区域や輸送の関係、あるいはコストの関係に影響するような問題が起きて参っておりますけれども、この案を農林省がきめました当時の状況からいたしますと、農林省としては最善の割当をしたということは今日においても変りはない、ただその後において生産状況が、昨年度においてもずいぶん変ってきております。当初この案をきめますときの状況とは非常に変ってきているという事実に立って新しく考えたいということで、決して前提があって物の考え方をきめるという気持は毛頭持っておりません。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この集荷面積の問題は、昨年も新工場建設とあわせて三社間において、特に網走支庁管内における区域の配分の問題は、政府関係の会社とのいろいろな協議の結果、一応これでいくということになった。それで美幌の日甜工場計画として認めることになった経緯の一部は本名さんも忘れてはいないと思うのです。それを一年やってみて、来年また変えるということになれば、むしろ日甜の美幌工場建設構想そのものにも間違いがあったということなのです。この点を言ったわけです。そういう無理なところに建てて、ここにやれば採算上やれるというようなことをでっち上げて、いよいよできたということになれば、これは区域変更をしなければいかぬということであれば、日甜工場の建設自体をこの段階で検討し直さなければならぬということになるでしょう。そこで逆戻りしていくのです。だから事務的に来年はどういう地域に移すということが今からわかっておれば、この機会に述べてもらいたいのです。われわれはむしろそれを検討した方がいいのですから、その点を率直に言って下さい。
  78. 本名武

    本名政府委員 先ほどから申し上げますように、実は今年度の生産計画並びにそれに基いて来年度どういうような作付、どういうような生産がなされるかということによって検討する必要があるかないかをきめるのであって、来年検討する場合には、こうするああするという私の構想は今日持ってやっているわけでは全然ないので、あくまでも来年度の構想というのは何らなく、やはり生産の実情に応じてしかく検討するときが来はしないかということです。農林省としても決して道南に一工場新しく建設することで事が足りるのではなく、将来においてもやはり相当工場はふやしていかなければならぬという考え方もありますので、こういう集荷区域の問題は増設とにらんで将来も検討あるいは修正と申しますか、改めていくときは続くのではないかと思います。しかし将来どの会社にどのくらい工場を作らせるか、来年度の荷集区域はこうするのだああするのだということは、あくまでもこれは今後の生産の実情あるいは工場建設の実情によってそのつど検討していく方が適切ではないか、こう考えているわけであります。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間の都合であまり長々聞いているわけにいかぬですが、それでは明年度女満別、東藻琴はどっちにくっつける気か、それを聞きたい。ことしの計画ではこれは北連の区域に入っている。来年の計画では大体これはどっちへくっつけるのですか。
  80. 本名武

    本名政府委員 ただいまも申し上げましたように、どっちへつける、こっちへつけるということは、先ほど冒頭に申し上げましたように、要望は出ております。要望は出ておりますけれども、どっちへつけるということはあくまでも実情によって判断しなければならぬことであって、そのことについて私どもはこうすることがいいとか、来年度はこうなるであろうとか、あるいはこうしたいとかということは今考えてもいないし、もちろんまだ申し上げたこともありません。全然さっき申し上げた通りの実情に即応してやっていきたいと思います。毎度申し上げますが、また来年度におきまして、先ほど申し上げましたような町村の割当で適切であるとか、あるいはそれで差しつかえないということになれば何ら来年は改訂する必要はない、こういうふうに考えております。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は本名さんが現在農林省の政務次官という立場にあるので、ですから政務次官としての公正なこれに対する態度というものに期待を持って答弁を求めるのです。ですから来年の具体的な問題を決定するときは、あなたはまだ政務次官の地位におるか、あるいは農林大臣になっておるか、それはわからないのですよ。しかしあなたがこの責任の地位におるとおらぬとにかかわらず、これは農林省当局としては一貫した指導方針とかあるいは今後の北海道あるいは国内におけるテンサイ糖政策というものに対しては、筋を通してもらわなければいかぬですよ。そういう狂いが最初から起るということになると、ことしの北海道庁に対しての通達の内容自体をもわれわれは検討しなければならぬと思うのです。この線でぜひやってもらいたい。二月二十八日に通達を出されたが、その点はどうなんです。
  82. 本名武

    本名政府委員 二月二十八日の通達というのは先ほど申し上げました内容の通達であります。局長名をもって北海道の農務部長あてに出した通達であります。内容は、三十三年度の網走支庁管内における集荷区域は、日甜は常呂郡常呂町、それから東藻琴村及び女満別町を除く網走郡、それから芝浦精糖は紋別市、紋別郡、北見市、常呂町を除く常呂郡、北海道経済連は斜里郡、網走市、網走郡東藻琴村及び女満別町、こういうふうに通達をいたしておるわけであります。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題はこの程度でいいですが、ただ望ましいことは、この疑惑を持たれた芝浦にしても日甜にしても、やはり利潤追求の会社です。それを国の政策の中で保護しながらやらすということになっているのです。この本体はあくまでも利潤追求でやっていくのです。ですから片寄ったようなことになると、やはり必要以上の疑惑を受けたり何かしなければならぬですから、そういう点はぜひ御注意願いたい。この将来の発展ということに対してお互いにすべて期待を持ってやっておるわけですから、そういうことに最初から狂いが出たり何かしないようにしてもらいたい。今年はこれでいくのでしょうし、また将来の問題等に対しても私たちは注目していますから、まあ変なことにはならぬと思いますが、老婆心ながら御注意申しておきたい思います。  次に申し上げたい点は、三十二年に精製されたテンサイ糖の買い上げの問題、価格決定の問題です。これはいろいろ論議されておったと思うのですが、たとえば特に今年の場合は芝浦が新しく創業したわけです。この新工場を持った会社からの買い上げと、それから既存の施設を持ってやっておるところの日甜の三工場の製品の買い上げという問題とは、これはいろいろ御苦心なさったと思いますが、どういうように算定方式と買い上げの方式を決定されたか。
  84. 本名武

    本名政府委員 ビートの生産は北海道農業に欠くことのできないことで、今日までこの増産の奨励をし、かつ工場の新設も進めて参ってきたのですが、やはり原料を確保するということと、生産された砂糖が安くなるということがこの仕事のねらいでなければならない、そういう点に立って非常に苦労して、いろいろ大蔵省ともかなりの折衝をしたわけであります。内容につきましては食糧庁の方から御説明申し上げたいと思います。
  85. 大和田啓気

    ○大和田説明員 御説明を申し上げます。御承知のように三十二年産のテンサイを材料とするテンサイ糖の製造は、日甜の三工場以外に新しく芝浦が出ましたので、新しい工場の建設費その他歩どまりの悪さ、そういうものをどういうふうに考えるかということに問題の焦点があったわけでございます。結論を申し上げますと、原料費、製造費それから管理費等につきましては、新工場、旧工場の差別はいたしませんで、いわば標準的な能率的な生産費というものを見て、日甜も芝浦も同一にいたしております。しかしながら借入金の利息あるいは減価償却費、資本利子というものにつきましては、日甜と新しく建設をいたしました芝浦と当然違うわけでございますから、そういうものにつきましては日甜の事情、芝浦の事情に従って査定をいたしました。また歩どまりにつきましても創業の初年度でございますので、芝浦が日甜に比べて非常によくない事情にございます。それをすべて価格に織り込むわけにはいきませんので、日甜は一二・九〇%の歩どまりといたしまして、芝浦は約一%下げまして一一・九二%と査定をいたしたわけでございます。従いまして以上の計算をいたしますと、一ピクル当り日甜は四千六百二十五円、芝浦は六千十円、そういう数字に相なっております。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この方式は今後も継続していくということになるのですね。どうですか、これもやはり一年限りで来年はまた考え直すことになるのですか。
  87. 大和田啓気

    ○大和田説明員 この方式と申しますか、工場がたくさん出る場合に、工場、ごとの価格を設定するということは非常に困難であろうと思いますので、原料費とか製造費とか管理費とかいうものは標準的な生産費でやって、それ以外の新しく建設に基いて増高いたしました分は、新しい工場については特に見るという方式は、今後も方式として続けていきたいというふうに考えております。
  88. 芳賀貢

    ○芳賀委員 暫定方式はあとでけっこうですから資料をお願いしたいと思います。  もう一つお尋ねしたいのは、ことしの原料の買上価格ですね。これは振興法によって期日までに原料価格を政府が算定して公表しなければならぬということになっておるのですが、現在作業の段階はどのくらいに進んでおりますか。
  89. 大和田啓気

    ○大和田説明員 法律に従いますと、四月末までに決定いたすことになっておりますが、まだ具体的な作業にはかかっておりません。三月の中旬から下旬にかけて具体的な作業にかかります。従いまして私の方の係官にこまかいデータをそろえさせております。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 原料価格の点はまだだいぶ余裕があるそうですから次の機会に譲ることにして、きょうはこの程度で終ります。     —————————————
  91. 原捨思

    ○原(捨)委員長代理 この際お諮りいたします。本日午後調査の予定であります農業所得税の問題について、新潟県農業会議副会長瀬水淳英君、北海道上川生産農協連代表、北海道永山農協理事塩尻五郎君の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 原捨思

    ○原(捨)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  午後は一時半から開会することにいたしまして、これにて休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十四分開議
  93. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際繭糸価格安定問題について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 御異議なしと認め、質疑を行います。吉川久衛君。
  95. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私はただいま議題となりました繭糸価格の安定制度に関連をいたしまして、大臣に二、三の点についてお伺いをいたしておきたいと思います。繭糸価格安定制度は、昭和二十七年、糸価の安定帯価格を維持することを目的として発足いたしまして、発足当時は政府には売り渡すべき保有生糸がありませんでしたので、抑制に非常な困難を来たし、輸出取引にも阻害を来たしていたことは、大臣よく御案内の通りでございます。しかし三十年に特別買い入れ制度を設けて制度を強化しましてから、その後の糸価の下落に対処して、相当の成果をあげております。ところが最近玉糸の下落に伴って、業者も原料生産農家も非常な動揺を来たしております。ことに悪い時期に、農林省から買い上げの糸を制限するような、ワクを縮めるような感じを与える発表等もなされまして、非常な動揺をいたしておるのでございます。このことは、農林省としては非常な不手ぎわであったと思うのでございますが、当然統制なりあるいは価格支持制度というものを持っている限り、勢い資質が低下をいたしまして、質より量というような傾向の出てくることは免れないことではございますが、こういう点は平素において農林省で十分指導さるべきでございまして、こういう時期にあのよう措置をとられることは非常に遺憾であると私は思うのでございます。蚕糸業の問題について赤城農林大臣は、特にこの方面については詳しく御存じでございますので、詳細にわたっては伺いませんが、六月から始まる新物の不安はあまりなかったのでございますが、先月の末から政府への持ち込みが急にふえて参りましたことは御承知の通りでございます。この様子を見まして、需要が引っ込みまして、供給が過剰になり、持ち込みがますますふえてくるというような悪循環の現象が現われて参ったのでございます。十九万五千円くらいの相場を予定して原料繭を買っておった製糸家は下れば損をするというので、ただいまのところ非常にあわてているような状況でございます。一昨日も民間の関係機関の諸君がよりより協議をいたしまして、三月から生産制限をする。設備の制限だけではなくて、三割の設備制限のほかに、なお二割の操短をやるというような自主的な努力もいたしているのでございますけれども、一向にまだ不安が取り除かれないような状況にございます。そこでこの急激な変動を、大臣は異常な変動とお考えになると思いますが、これについての御所見を伺います。
  96. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ただいまお話がありましたように、生糸の糸価が下落の傾向にあります。これにつきましては、私どもといたしましても、支持方法をとってきたのでありますけれども、一面においては、昨年御承知のように非常に繭が豊作でありました。それから下落の傾向にあるというので、これを紡ぐ方にも急いでおるようなことで、この糸価が下落するということはひいては養蚕農家に影響を及ぼすということではいけないと私ども考えております。そこで私ども考えておる点につきまして、せっかく御質問もありましたので明らかにしておきたいと思うのであります。昭和三十三生糸年度に適用いたします最高最低価格は、従来の水準を動かさない、こういう方針のもとに、今月中に繭糸価格安定審議会に諮問をいたしまして、その意見を聞いた上ですみやかに決定いたすつもりであります。  それから第二には右の最低価格決定に関連いたしまして、今後の糸価維持につきましては生糸の需給事情を改善するために必要な施策を総合的に講じていく必要のあるのは申すまでもありません。そこで、生糸の消費の促進について、政府の補助事業のほかに、この際蚕糸業界自体一体となって強力に需要の促進、開拓に努力させることといたしたいと思います。一方生糸の生産面につきましても、需給事情に即応いたしまして、必要な生産の調整——今もお話がありましたが、操短等につきましても有効な措置をとるように強力に指導していきたい、こう考えております。  なお、糸価安定資金の問題でありますが、買い入れが多くなり、また買い入れを多くして糸価を安定する必要があるのではないか、こういうことでありますので、すでに今国会におきましても、糸価安定特別会計法の改正案を提出して御審議を願うことになっています。そしてこの糸価安定特別会計を充実するために必要な措置を講じておるのでありますが、現在のよう事情でありますので、最近の生糸価格の動向等から見まして、今申し上げましたような対応措置を業界自体において強力に推進することと並行いたしまして、政府におきましても、糸価安定制度を維持するために必要な措置——今の糸価安定特別会計法の改正案を提出審議している上になお遺憾のない措置を講じていきたい、こう考えております。
  97. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 大へん明快なお答えをいただいて満足するのでございますが、繭糸価格安定法の第一条には「異常な変動を防止すること」とございます。「生糸の輸出の増進及び蚕糸業の経営の安定を図るために、繭及び生糸の価格の異常な変動を防止することを目的とする。」とこの制度の目的が明らかにされております。この「異常な変動を防止すること」とありますので、今回のごとき場合はまさにこれに該当するわけでございまして、この法律の第四条、第五条によって最低価格の改定をなすべきものでない、従来の方針を動かさないということをここに明らかにされましたことは非常に妥当なお考えであると喜ぶものでございます。第二条に「予算の範囲内」ということがございますので、民間の団体の諸君が非常に心配をいたしておりますが、「予算の範囲内において最低価格で生糸を買い入れる。」ということは、これは法文の体裁でありまして、条文の意味はあくまでも第一条の目的を達するためでありますから、予定された買い入れ資金に不足を生じた場合には、補正その他の方法によって価格の維持に万全を期されると私は信じていたのでございますが、大臣も資金については価格維持に総合的な施策をやり、今回二十億増加いたしまして、残りが四十億になりますが、それで大体安定をさせる見通しがあっても、なお不十分な場合には遺憾のないよう措置をする、こういうお答えのように理解してよろしゅうございますか。
  98. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ただいま糸価安定資金のワクを二十億拡大する法案を出して御審議を願っておるわけでありますが、これのみにおいて安定の目的が十分果せないという場合には、そのワクをなお増加するというようなことにつきまして、いろいろ手続その他もありますけれども、そういう方針において安定の目的を達していきたい、こういうことで目下検討中でございます。でありますから、今のお話ような方向に向って安定をさしていくことにいたしたいと考えております。
  99. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 そのお考え方でできるだけ急速にいろいろ御検討願えれば、業界はやや安定を見るであろうと思いますが、今回のこの異常な変動の直接の原因は、玉糸の一般の買い上げというものが行われていない——御案内の通り玉糸というものは以前は輸出品ではなかったのでございますが、近年アメリカへ非常に輸出されておるのでございます。この玉系は特別買上げの制度になっておりますが、これが業者への割当制でございまして、割り当てられてない業者がダンピングをやるというようなことが行われておりますので、これが私はそもそも値下りの直接の原因ではなかったかと考えているのでございます。今までも歴代の農林大臣に、玉糸の一般買い上げをやるのが妥当ではないかということを御質問いたして参りましたが、歴代の大臣は、それは輸出生糸と同じ取扱いをすることが妥当であるというような御返事をいただいてきたのでございますが、いまだにその措置がとられていなかった、そのことが今回のこの玉糸の異常な値下りとなり、玉糸の値下りが生糸の価格維持も破られるのではないかという不安を味び起して、今業界はノイローゼの状態になっておるのでございますから、ぜひこの際は玉糸の般買上げをやることがこの混乱を除く一つの道であると私は考えるのでございます。この点大臣はどういうお考えでありますか。  もう一つ、玉糸業者は戦後急に繁栄をいたしてきた業界でございまして、この機会に中小企業団体法による調整組合などを農林省が指導して作らせて、そうして窓口を一本にするような方法でもとられたらどうか。もちろん今直ちにというわけには参りますまいが、こういうことも相当に予算的措置が伴うので、一つ十分検討して、できることならすみやかに実施していただきたいと思うのでございます。  以上二点についてお答え願いたいと思います。
  100. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 玉糸につきましては、御承知のように、日本では生糸といささか区別がございますが、外国市場におきましては非常に需要も多いし、一緒のよう考えているようであります。そういう関係で、この外国の需要が生糸並びに玉糸に非常に影響してくる、こういうことであることは御承知の通りであります。でありますので、実は玉糸につきましても対策を講じて、この間価格を一応きめたのでありますが、なかなか維持ができないというような状況でございます。この生糸と一緒に買い上げするかどうかということにつきましては、またさらに検討を続けていって、これを総合的に考えていくということが必要であろう、こういうふうに考えております。今直ちにここで申し上げる段階に至っておりません。  それから中小企業団体法における調整組合を作ったらどうかということでありますが、あの中の条文によりますと非常に条件がむずかしく感じられるように私記憶いたしております。ほんとうに破産状態といいますか、そういう状態の場合にというふうに何かあるように記憶しておりますので、こういう点をなお検討した上においてこれをきめていく、こういうふうにいたしたいと思います。
  101. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私は最後に、赤城農林大臣としては畑作振興に非常に御熱意を持っておいでになるので、養蚕農家は畑作地帯が多いのでありまして、養蚕を離れて他に転向することのできないものが非常に多いのでございますから、そういう農民立場も十分お考えいただきまして、すみやかなる措置一つとっていただきたい。それからただいままでの大臣のお答えで、従来の方針を動かさない、資金については十分考慮しているということで、私は業界は非常に安心をされると思いますので、私の質問はこの程度で終っておきます。
  102. 笹山茂太郎

  103. 栗原俊夫

    栗原委員 同じく繭糸価の安定の問題について少しくお尋ねしたいと思うのですが、ただいま吉川委員質疑応答で大体尽されたように思いますけれども、二、三点さらにお尋ねをしてみたいと存じます。  まず先般の予算分科会で、繭糸価安定法による現行の最低、最高の支持をかえないということをここであらためて確認願ったことは非常にけっこうでございますが、先ほど吉川委員の御質問の中にあって大臣の答えのない、しかもこの問題を解明していくのに一番大事な問題として、今度の生糸の下落がなぜ起ったかという一番大きな原因——相場の騰落にはときたま一時的な現象として仕手の操作、売り買いのいきさつから起る場合もありますけれども、今回のは果してどのような原因で主としてこの下落が行われておるか、政府としての受け取り方、把握の仕方、この点を一つお述べを願いたいと思います。
  104. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 この原因等につきましてはいろいろあろうかと思いますが、一つは、先ほど申し上げましたように、去年繭が非常によくとれていたということ、それからもう一つは、繊維界一般の下落状況というものが生糸の方にも相当影響しているのじゃないか。でありますが、お話ように、農産物の価格安定とかあるいは繭糸の価格安定ということは、畑作農業におきましても必要なことでありますので、その措置をとってきておるのでありますけれども、それにおいてもなお下落の傾向があるというのは、やはり経済界一般の繊維事情が非常に悪いということのあおりを食っているといいますか、そういうことに私は考えておるのであります。
  105. 栗原俊夫

    栗原委員 そういうことになりますと、蚕糸業界全体が非常に苦しい見通しだ、こういうことになるわけです。そこでいよいよ春の養蚕の準備にかかっておるわけですが、農林省としては、繭の方は増産計画を推し進めておる、しかしどうも繊維事情が悪くて、一方においては下落をしている、この矛盾といいますか、この成り行きについてはどのようなお考えでおるのですか。
  106. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 今お話ような状況でありますので、ことしの予算等におきましても、御承知の通り海外の消費、これは生糸ばかりでなく、織物としての消費、宣伝により販路を拡大するということが一つだろうと思います。もう一つは今もお話し申し上げましたように、生糸業界においてある程度はやはり操短ということも必要でないか、これは強く指導して、そういうふうに仕向けたいと思います。と同時に、価格を安定維持しなくてはならぬという必要が迫っておりますので、政府における価格安定資金のワクを拡大いたしまして、政府がそれを背負っていくのだというような態勢を整えて、養蚕農家の不安動揺をなからしめて参るようにしていきたい、こういうよう考えております。
  107. 栗原俊夫

    栗原委員 繊維界はなかなか見通しが暗い、その中で生糸もそばづえを食う、しかし政府としては養蚕の増産計画を進めていく、そのためにいろいろな事情があるけれども、諸般の施策の上に立って、特に繭糸価安定法にのっとって下値を保証しながら、養蚕は安心して増産に励んでよろしい、このように受け取ってようございますか。
  108. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 その通りでございます。
  109. 栗原俊夫

    栗原委員 次にいま一つ確認しておかなければならぬ問題は、先ほどこれまた吉川委員からの質問があったわけですが、全体の繊維の見通しが暗いという中でも特に問題になるのは、日本で生糸について繭糸価安定法による下値の保証があるのだ。あるにもかかわらず、同じ生糸である玉糸の値段を一向にだかない。十六万五千円でだくというような姿に見えておったものが、今日十二万五千円というような工合に放置されておる。これが一方においていわゆる生糸の最低値の保証についての不信感を抱かしておる。これは非常に大きな今度の下落の直接の原因になっておる、こう思うのですが、昨年審議会においてもこれらの問題を心配して、いろいろ苦しい条件のもとにはあるけれども、何とかそうした全体的な立場に立って生糸の十九万円を保持するために玉糸の方のめんどうも見ろ、こういうような方向を強く要望したけれども、一向にこれが具体化されていない。この点一つ率直に認めて、そしてここで生糸全体が今くずれておる、これを盛り返すてこになる重大な言明をしていただきたい、こう思うのですが、いかがでございましょう。
  110. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 繭糸価格安定審議会における御意見もあります。ただいまの御意見もありました。吉川委員の御意見もありましたが、それにつきましては捨てておくわけではありませんので、今その方法をいろいろ進めておりますから、その具体的な進め方等につきまして、なお蚕糸局長から御説明をいたさせます。
  111. 須賀賢二

    ○須賀政府委員 玉糸につきましては、昨年以来輸出の振わなかったよう事情を背景にいたしまして、業界全体が非常に不況に陥っておりますことは、私どもも十分承知をいたしております。昨年末に一応の手当をいたしたのでございますけれども、それをもっていたしましては十分な効果を上げ得なかった。その後業界からも重ねていろいろ御要望がありまして、われわれといたしましても業界とも十分相談をいたしまして、目下玉糸に対する対策につきましてはいろいろ取り進めておるわけでございます。その方法等につきましては、われわれの方でいろいろ研究をいたしておるのでございますが、近く安定審議会も招集いたされることになっておりまするし、その機会になお内容的に十分詰めまして、できるだけ早い機会に施策を講じて参りたい、こういうふうに考えております。
  112. 栗原俊夫

    栗原委員 大体これで終りたいと思うのですが、ただいま大臣並びに局長の御答弁ですが、ただ単に玉糸が苦しいから玉糸業界を何とかしてやれということじゃないのです。率直に言って蚕糸業の中の大きな石であり、これをはずせば玉糸がくずれることによって生糸がくずれ、生糸がくずれることによって養蚕それ自体もくずれていく、こういうことなんで、単なる一部分の玉糸業者が苦しいからこれを救えというのではなくして、蚕糸業を安定させるために玉糸に強力に手を打ってくれ、これが少くとも審議会の要求なんです。そうしてこれもきのうきょう始まったのではありません。昨年すでにそういう徴候が見えたときに、十分これを言っておきながら、二カ月たち、しかも十六万五千円が十二万五千円と四万円も下っておって、これから研究するというようなことでは、これは政治じゃありませんよ。こういうことでどこに責任があるかと言いたいのです。こういうことは一つ政府の責任において、審議会だ何だといろいろ責任をあちらこちらへ分散するようなことでなしに、当面の蚕糸業のくずれというようなものをどうするかというようなことを大きく打ち出して、くずれようとするこの蚕糸業というものにほんとうに目くぎを打ってもらいたい、こう思うのです。一つこれは大臣からほんとうに日本の蚕糸業が安心できる、よろしい引き受けたと胸をたたくようなすっきりした御答弁を願いたい、こう思います。
  113. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お話がありましたように、私どもは玉糸業者がまずいからその業者を救うということのみで考えているわけではありません。やはり今のお話ように生糸といいますか、養蚕業全体の一環としての玉糸の問題という考え方のもとで玉糸に対する対策も考えておるのであります。いろいろ御意見等もありますので、そういう御意見を尊重いたしまして対策を立てたい、具体的な問題は少しおくれましたが、もう少し待っていただきたい、こう考えております。     —————————————
  114. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 次に農業移住の問題について質疑を続行いたします。中村時雄君。
  115. 中村時雄

    中村(時)委員 せっかく農林大臣がいらっしゃったので農政全般にということになりそうですが、これはまた何かの機会にあなたの考え方を出していただきたいと思う。ただ言えることは、あなた自身農林大臣になって以来、赤城農政として何をやろうかという一つの筋が私たちにはどうしても今までの農林行政一般のいろいろの施策方針の中から受け取れない。そこであなたもせっかく大臣になられたのだから、せめてこのことだけは農村にという一つの打ち出しくらいのようなことはしておいていただきたい、このように念願しておるわけなんです。そういう意味においてこの移住問題と、またもう一つはあなた方の膝下にあるところの定員化の問題に関して一、二お尋ねをしてみたいと思う。  移住問題に関しましては、これは外務大臣と両大臣の御出席の上において質疑応答をやっていきたい、このように念願したのでありますが、何かの御都合があられたので、本日は農林大臣の御欠席のために次会にこれを繰り延べたので、一、二だけあなたにその全体の面よりも具体的な問題としてのお考え方を承わりたいと思う。というのは、御存じのように今まで移民行政として大体一万戸くらいの考え方を持って移民行政を行なっているのですが、実際にはほとんどそれに達してない。達してないという一つの原因を調べてみますと、いろいろな内容の機構に矛盾がある、こういうことが出てくるわけなんです。そこでその矛盾に対して、あなたに一、二の是正するの考えがあるかどうかということを伺ってみたいと思うのです。  まず第一点は、あなた自身日本農業労働の問題に関して、特に二、三男対策としての農業移民の取り上げ方を農林行政の一つの大きなワクで取り上げてみたいというお考え方を持っていらっしゃるかどうか。
  116. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 農業労働力が、まあ過重という表現が当るかどうかわかりませんが、とにかく農村人口をもっと減らしても、もっと生産性を上げていかなくちゃならないということ、特に二、三男対策等につきましては、私も御意見ように各方面から進めていかなくちゃならないと考えておりますが、そのうちにおきまして移民という問題も非常に重大であり、また取り上げなければならぬ問題と考えております。一万戸の予定で去年よりは多くしておりますが、非常に不十分であります。それにつきましては中村委員も南米等を御旅行なさったり視察もされておられるので御承知だと思いますが、私も一昨年こういうことで行きましたが、二つあると思うのです。ブラジル等の憲法に基く法律上の問題等におきまして、移民につきまして向うの国内法における制限が御承知の通り二分制限法というようなのがありまして、正式に移民ということがまだできておりません。そこでほかの計画移民とか呼び寄せ移民という形で移民を出しておりますので、ブラジルだけにとってみまするならば、そう急激にこれを出せるというわけにはいかない事情一つあると思うのです。もう一つは国内の事情かと存じます。移民の問題につきましては、内閣にも移民問題の審議会でしたか、名前ははっきり覚えていませんが、そういうものができておるのであります。そういうことで閣議了解か何かで、向うに対しての移民の扱いという点については外務省においてこれを扱う、国内の選考とか訓練とか送り出しというようなことは農林省がこれを扱うというようなことになっておるのでありますが、私も感じていることは、移民の総合性やら調整の点において欠ける点がある、こういうのが一つのネックでもあるというふうに考えておるわけであります。
  117. 中村時雄

    中村(時)委員 私のお尋ねしたいのは、あなたがどれだけの熱意があるかということです。そこで対外的な問題といたしましては、今あなたのおっしゃった通り、ブラジルと限定いたしましたなれば、国と国との問題でなくして、中間的な存在を持ったところのいろいろな会社なりあるいは私的行為なり、そういうものが在来いろいろな問題を起してネックになっておっただけなのです。また国内的な問題といたしましては、これは今言った機構の問題が出てくるわけです。そこで私の聞いているのは、農林行政の一環として考えられるかどうかということ。たとえば対外的な問題は、先ほど外務大臣もいらっしゃいまして、そういうことは国と国との間において契約を結んでいけるように努力をしたいと一歩前進的な発言をされたわけです。今まではそういうことはなかったわけです。あくまでも外務省がその責任を下部団体にかぶせておきながら、自分は逃げようという考え方を持っておった。だから下部組織におきましては御存じのよう移住振興会社を作って、自分たちの一つ考え方の責任をそっちに持たしていこう、こういうやり方をしておったわけです。その当時この会社の設立の問題のときにも、当農林委員会の連中がみんな集まりまして、いろいろ相談の結果、当然農林省の発言権を強く出そうじゃないかということも話し合った。ところがいろいろな事情がありまして——その内容は御存じの通りですから申しませんが、遂に外務省の方の方向に一元化されてしまったという経過もあったわけなのです。その結果が今ごろになっていろいろな面に蹉跌を来たしている。あなたが視察に行かれたのと私が行ったのとは立場がおのずから異なっておったわけなのです。それはともかくといたしまして、一つの例をとってみてもいいのです。たとえば今この会社自身に融資されているところの金額は、政府出資が七億二千五百万円、そうですね。ところが一番大きな問題になりますのは、アメリカ銀行からの借款なのであります。このアメリカ銀行の借款は千五百万ドルあるわけです。これは非常に大きな金です。そこでその使い道をよく見てみますと、ほとんどが商業資本的な方向に使われておるということなのです。これだけの会社を作りながら、事実の上においては、われわれの考えていった方向とは全然逆の方向になっている。たとえば渡航費の問題、昔であれば国が補助をしておる。今は全部借入金です。そのために利子も払わなくちゃならぬ。しかも現地におきましては、御存じのようにインフレの非常に高進しておるような状態であり、とてもじゃないけれども、それに応じたところの利子を払うことすらでき得ない。事実調べてごらんなさい。ほとんど利子は入っていないという状態になっております。こういうような状態の欠陥を考えた場合に、たとえば、半分の補助をしてやるとか、以前は全額補助しておったのですが、あるいは農林省の機構の中において、少くとも開拓課の一係においてこれを取り扱わすのではなくして、せっかく内閣において、そういうような審議会を作ることになれば、それがもう一歩前進するような体系にプッシュするというような方向を私は期待しておった。ところが、あなたは、内閣に何か名前は忘れましたが審議会があるようだという御返事ではとてもじゃない、あなたの能力的な感覚の中には、この移民問題に対して、口では熱意があっても、実質的に熱意があるとは私は受け取れない。だからそういうような面に対して、あなたが具体的にこういうところはこう考えてみたいというお考えがあったら、お聞きをしておきたいと思うのです。
  118. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 これは移民の戦後における歴史的な経過から見ていかなければならぬと思うのであります。中村委員も御承知かと思いますが、第二次戦争というようなことが起きましたので、従来の移民というものは、何か日本が侵略的な意図でもって送り出すのじゃないか、あるいはまた、移民も現地におきましてひとかせぎをするといいますか、錦を飾って返すのだというふうな考え方を、日本が持っているのじゃないか、こういうふうに受け入れ側においても考えておったと思うのであります。そういう考え方であったのが、受け入れ側においても、第三次戦争終了後に、考え方が変ってきまして、日本から出ていっております移民は、やはりその国のよい市民となって協力しているのだ、日本へ戻るという気持もなくて協力しているのだ、こういうよう考え方に変ってきましたので、今申し上げましたように、法律は変えなくても日本移民を歓迎する、こういうような形に過渡的に変ってきておりますので、戦前のよう日本からたくさん送り出すというような事態がまだこなかったのです。これは私から申し上げる必要もないと思います。そういう過渡的に向うの好意によって移民が出せるというようなことから、だんだん移民の問題も正常化するといいますか、常時進み得るようなときに入ってきたのが今日だと私は考えております。そういうことでありまするから、熱意とか、そういうものがあるといたしましても、従来といたしましては熱意だけでなかなか移民を送るという程度にはいっていなかったのであります。移民の問題につきましても、これから本格的にかかっていく時期に来ておるのだ。やはりそういういろいろ歴史的な、というと非常に長いですが、歴史的なといいますか、経過的な問題ともからみ合して、これに対しての対策を進めていくということが私は必要だと思いますので、従来、御指摘ように、非常に熱意々々といいながら、やっていないんじゃないか、熱意の入れ方が足らないんじゃないか、あるいは施策としても欠けておる点があるんじゃないかというようなことでありますけれども、確かに方策としては不十分だと思いますけれども、熱意等につきまして、それを実現する方法等につきましては、これからだ、またこういう時期に達しておる、こういうふうに私は見ております。
  119. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたが正直に今までのところはいろいろに欠陥があったということを、率直に認めていらっしゃるようですから、それ以上追及はいたしませんが、たとえば一つの例を——これはいつかの機会にゆっくりお話ししたいと思いますが、パラグァイのフナム地区にとってみましても、入植計画三百八十戸に対して実際入植の実績は二百戸しかない。あるいはアルゼンチンに対しても、入植計画八十一戸それに行った者は一人もない。なぜ行かないか、なぜこういうふうになるかということをお考えになれば、国内的な機構の上にいろいろな問題がある。今それを一つ取り上げてみましょうか。かりに移住振興会社の購入の土地の問題にしましても、移住振興会社が土地を購入しますと、そこでだれかがそこへ行きたいという考え方になる。向うに行ったら土地を買わなきゃなりません。買おうと思えば資金が要る。ところが、政府の貸付資金は三十何万円くらいしかない。そうすると、とてもそれはでき得ないというような結果が出てくる。また借りようと思っても、その金は実際にはなかなか貸してくれません。法的には認められております。法的には認められておるけれども、実際にそれだけ貸してくれるかということになると、貸さないということになる。そこでいろいろな矛盾が出てくるので、各県やあるいは村や信連や、そういうものが裏づけになってやっと送り出しているのが現状なのです。ということは、その会社自身にいろいろな問題がある。この前にも新聞にありましたように、その内部組織の中にいろいろな矛盾撞著がある結果が、一般の農民がそこまで踏み切ることができ得ないという実情になっておるわけです。それさえ改めていけば、もっと進路がはっきりしてくると私は思う。そこで今一番移民の方々が問題にしていらっしゃるのは何かといえば、土地を選ぶということ、またそれに伴うところの営農資金がほしいということ、そういう面に対して、私は何がどうということは申しませんが、将来においてあなたが十分そのことを勘案していきたいというお考えを持っていらっしゃるかどうかをお伺いしておきたい。
  120. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 海外移住振興会社につきましては、いろいろ御指摘ような点があると思います。専業的というか、自分たちだけが移民の問題を扱うんだというようなやり方につきましては、相当是正すべき点があるんじゃないかと思います。そこで今一、三の例をあげられましたが、現地におきましても事情は違うと思うのです。たとえば、パラグァイ、こういうところには土地を買って初めから入れるというところもありますし、またところによりましては、初めから営農計画やら農業事構が違うところがありますから、向うへ土地を買ってすぐに農業に従事できるというところばかりもないのじゃないかと私は見てきておるのでありますが、やはり三年とか何年かは向うの農業事情や、言葉等をよく修得して、その後において、日本でいえば自作農といいますか、向うでいえば地主とい言いますか、そういうような形に移るのがいいという国もあると思うのであります。でありますので、初めから金を持って向うの地主になるんだ、あるいは自作農になるんだというようなことばかりでは、国によってはいけない場合もあると思うのであります。パラグァイ等においては初めからそういうことができると思いますが、そういうように一律にはいかない点があると思います。しかし、金を用意していくということは、それは二年後におきましても、三年後におきましても必要なことでありますから、そういうことについての考え方は同感いたしますが、こまかいことでありますが、これも御承知のように、自作農維持資金等におきましては、内地から出る者につきましては相当な措置をとっております。しかし向うへ持っていく金等につきましても、将来相当考えなければならぬことである、こういうふうに思っております。
  121. 中村時雄

    中村(時)委員 私がなぜそれを聞いたかといいましたら、一つは、たとえば現地における今まで行っておった移民の方々の営農の問題と、それから終戦後、これから渡っていこうとする営農の問題の方々と、あるいはそれを定住していって、ほんとうの営農をやろうという方々、あるいはまた今あなたのおっしゃったように、労務者として出ていって行おうとする場合の考え方、いろいろあるのです。そういうことはよくわかっているのです。私はいずれ近い将来に、十分検討をお互いにしてみたい、このように思っておりますが、今概念的なことを言って、大臣の考え方がどこにあるかということをただしているわけなのです。ということはどうしてかといいますと、たとえばこの会社自身の取り上げ方の中に、外人借款による投融資ですね、それなんかを見ましても、そのうちの投資、融資いろいろ分れていきますが、融資の場合も、派米労務者の渡航費の問題にしましても、これは住友銀行から年五分で貸そうじゃないかという話し合いがあっている。それをけって、今度はこの会社から貸し付けている。幾らで貸し付けているか、七分五厘で貸し付けている。だからたとえばきょうの朝日新聞か何か出ていましたけれども、向うへ行ってみると、実際にもらっている手取りの給料よりもはるかに安くなってしまう。それでそれじゃ困るから高いところへ行こうと思えば、今度は逆に送還されてしまう。こういうような事態まで起ってきている。だからこういうところの個々の問題はいずれかの機会にするといたしましても、あなたのお考えように、非常に困っている土地の購入の問題、渡航費の問題その他に関するところの一番の問題は金の問題なんです。資金の問題なんです。そこでその資金の問題にしても、何かの方法を講じてでもそれに対して助力をしていきたいという熱意のあることを認めて、この次に一応その個々の問題を取り上げていきたい、このように思っております。移民の問題は一応外務大臣、大蔵大臣、農林大臣御出席の上で検討していきたい、このよう考えております。     —————————————
  122. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 次に農林省関係の定員の問題について調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 御異議なしと認め、質疑を行います。中村時雄君。
  124. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣は先般の国会において、要するに定員法の問題について衆議院あるいは参議院における内閣委員会の決議を御存じであるかどうかお尋ねしたい。
  125. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 承知しております。
  126. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると定員外職員は、二上四年に制定されました定員法のしわ寄せとして生まれてきたものでありますが、これは御存じの通りだと思うのです。そこで定員内職員と同様な仕事に従事しておりながら、実際には定員外職員ということで、経済的にも身分的にも非常に差別をされている。このことは大臣自身もよくわかっていると思いますが、そこで二十六国会において、この定員外職員の経済的、身分的差別をなくするために、この衆参両院の内閣委員会においての決議があったわけなんであります。そこで政府はこの内閣委員会の附帯決議を今度の政府案はどのように尊重されて打ち出されてきたか、まずこれを第一点お尋ねしておきます。
  127. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 その決議を尊重いたしまして、定員化をできるだけ多くしていきたいということで、事務的に申し上げまするならば、行政管理庁を中心といたしまして、各省の人事担当といいますか、官房長、秘書課長等が集まりまして、定員化を進めてきたのであります。ただ国家公務員法の全面的改正というようなことも目前に迫っておりますので、全員の定員化ということにつきましてはいろいろ意見やら議論もあったのであります。私の方といたしましては、この点につきましては相当単純なる労務というようなことを除いて、相当数の定員化を要求して折衝してきたのでありますが、その結果につきましては、現在定員法の改正案、あるいは予算に付属して定員が掲げてありますが、そういうところに一応がまんせざるを得ないというようなことできておるわけであります。
  128. 中村時雄

    中村(時)委員 そういたしますと大臣の一つ考え方といたしましては——私が先ほど聞いたのは内閣全般の一応の問題を聞いたわけです、内閣を代表して農林大臣に御答弁願ったわけですが、そこでそれを限定いたしまして、農林省の、あなたの所管の当局におけるところの定員の問題に対してお尋ねをしていきたいと思うわけなんです。三十三年度の予算要求に当って、あなた方が常勤職員あるいは常勤的非常勤職員の全員定員化ということをおっしゃいましたが、そういう意味において当初は要求されたのですか。
  129. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 全部というわけではありませんけれども、実際公務員としての取扱いをすべきもの、こういうものを拾いまして、全員でありませんが、相当数を要求して折衝を続けてきております。
  130. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは先ほどあなたのおっしゃったような常勤的非常勤勤務のもの、あるいは常勤職員の問題、それが、私は善意に解釈しまして、参議院衆議院の内閣委員会に伴ったところの決議を具体的に行うために全員定員化の方向を打ち出した結果、人数が減ったというならば話はまだわかる。ところがそうでなくして、当初からあなた方の考え方が何名の者という考え方で打ち出されたのか。その点は非常に重要なことなんです。その点でもう一度、しつこいようですが、お尋ねしておきたい。
  131. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 内閣委員会等の決議の趣旨に従って要求をしたのでありますが、しかしこれは御承知の通り全員というわけにはいきません。やはりその中には職務の性質その他国家公務員法に規定しているところの公務員としての適当な職務を担当しているかどうかという問題もありまするから、そういう点を検討した上で要求をしたのでありますが、それは初めやはりそういう面におきましては全面的な要求であります。初めから定員化するのは無理だという非常勤等の職員もありますのでそういう点につきましては要求をいたしません、公務員としての定員に該当させるが適当だというものにつきましては、ほとんど全部に近く要求いたしまして折衝を進めてきた、こういう経過であります。
  132. 中村時雄

    中村(時)委員 非常に大事なことなんですよ。というのはあなたがそれを衆参両院の附帯決議を尊重されて一応農林当局における定員を全部定員化そうという努力をしていかれた。しかしそうでなくしてやはりその中の一部分的なものの努力をしたのか、あるいは最初は全面的に努力していったけれども、行政の方でそれができなくてこういう結果になったのかということは打ち出しが違ってくるわけなんですね。最初から自分たちが勘案をしていって——現在三万六千七百四名おります、その三万六千七百四名のそのものを定員化そうという努力をされておったのか、あるいはそうでなくして最初からある特定の数量というものを、何名か知りませんが、当初あなたが考えられていたその定員化しようという数、その問題との相違が出てくるわけなんです。そこでその相違というものは当初あなたが要求されたものとどれだけの相違があったのですか。
  133. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 初めから三万七千余全部が定員内に入るべきものだとは考えられないものがあります。だからその一部を切り離して、同じ職務の責任と職務の度合いといいますかそういうものに基準を置いて、当然定員化されてしかるべきものというものにつきましては全部の要求をした。だからその中で同じよう立場のものの一部は切って一部は定員化するという考え方じゃないのでございます。定員化することが国家公務員としての場合筋が通らぬものだけは除いたというだけで、筋の通るものにつきましては全部を始めから要求した、こういうことであります。
  134. 中村時雄

    中村(時)委員 その筋がせん気筋か何筋かわかりませんが、その問題はあと回しにするといたしまして、それでは三万六千七百四名のうちであなたは何名要求をしました。内容の問題はあとから御質問したいと思います。
  135. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 数の点につきましては事務当局から……。
  136. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 農林省といたしましては、今回の定員外職員の全体の要求の考えといたしまして、当初から行政管理庁との折衝を通じて、その過程におきまして対象とすべき妥当な考え方といたしましては、さきに国家公務員制度調査会の答申もございまして、その中には……。
  137. 中村時雄

    中村(時)委員 いや、要求は何名かと聞いておるのです。
  138. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 それをちょっと申し上げないと、考え方が出ないものですから……。  そこで、そういう答申案の趣旨によりまして、たとえば単純な労務者であるとか、あるいは随時雇われるような補助職員であるとか技能職員であるとか、こういったような者につきましては今後の公務員制度全体の改正に待つということにいたしまして、それらを除いた者について一定年限以上の者につきまして要求いたしたのでありますが、概略の要求は、常勤労務者に中心を置きまして一万七千四百十八名を要求いたした次第であります。
  139. 中村時雄

    中村(時)委員 最後の結論として、時間がありませんから私の方で調べた報告を申してもいいのですが、その一万七千四百十八名——これにもいろいろな疑義があり、その取り上げていく一つの職種別の問題にも疑義があるのですが、それはあとに回すといたしまして、実際には七千五百九十名、これが定員化されていったわけです。そこで、一万七千四百十八名と七千五百九十名との間には大きな相違が出てきたわけです。その相違というものは、一体いかなる理由をもって削減されたものかお尋ねしておきたい。
  140. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 われわれの要求といたしましては、今申しましたように技能労務職員を除き、かつ一定の勤続年数——具体的に申し上げますと勤続年数二年を越える者ということで算定いたしたのでございますけれども、最終的に管理庁におきまして査定を受けた考え方は、各省の組織の規模であるとか、あるいは職務の内容から見まして、職務の重要度や、あるいは定員の構成であるとかあるいは責任の大小であるとか、こういったようなことを勘案して、行政管理庁におきまして各省のそれらの業務の実態について調査いたしたものがあるわけであります。その調査に基きまして、今申し上げたような基準によりまして管理庁の方で査定をした。従って相違を申し上げれば、われわれの方は勤続年数で要求をし、管理庁の方は今申しましたような職務の内容、重要度、責任の大小、定員の構成、組織の規模、これらの点が勘案されてきまったと承知しております。
  141. 中村時雄

    中村(時)委員 あなた方の言う年令別の問題、あるいは今言った学歴別の問題、そういうようないろんなこまかい問題は次に回すといたしまして、それではさらに定員外職員を職種別に見ますと、定員化されているところの比率が相当異なっておるわけです。これは御存じの通りだと思うのです。そこで、その点いかなる根拠に基く基準によって決定されたか、その基準ですね、それを明確にお答え願いたい。
  142. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 抽象的にはわれわれが管理庁から聞いておりますところの基準は今申し上げた通りでございまして、職務の重要度、責任の大小、定員構成、あるいは組織の規模、こういうことを目安にしておりますが、具体的に管理庁におきましていろいろの基準を設けられまして、各省の定員の実態につきまして今申し述べましたよう観点から調査されたものがあるわけであります。そこで当然その調査に基いた今の判断から結果しますならば、定員の中には事務職員もあればあるいは技術職員もおる。事務職員の中にも係長が何人おるとかあるいは課長補佐が何人おる。あるいは技術職にはどういう職務の責任者が何人おるか、こういうものが具体的に出て、それに基いて今申しました職種別のそれぞれの区別ある基準が出た、こう了承しております。
  143. 中村時雄

    中村(時)委員 大臣お聞きになってよくおわかりであろうと思うのです。定員法に基いていろいろな考え方がその基礎から打ち出されておる、事実先般予算委員会におきましても、同僚の川俣議員が質問している中で、岸総理はこう答えている。公務員制度改革を参考に決定したということです。この公務員制度改革については実はまだ国会に提出されてないはずなんです。私はそう記憶しておりますが、あなたはこれをどういうふうに取り上げていらっしゃいますか。
  144. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほどお話がありましたが、私の方では年令別とか学歴別という基準は置かなかったのであります。大きな基準といたしましては、勤続二年以上というようなことで出したのでありますが、その点につきまして各省等の組織その他についていろいろ行政管理庁の調査に基いて、私どもの全部の要求は通らなかったのであります。そこで国家公務員法の改正というものはまだ定員について出ていないんじゃないかということでありますが、調査会の答申もありますので、今国会においては現在提出はされておりませんけれども、近く提出するというような見通しのもとで、行政管理庁におきましても現在の資料に基いて査定をいたした。その結果私どもの要求通りにはいかなかった、こういう実情でございます。
  145. 中村時雄

    中村(時)委員 これはあなたに責任があると私は思うのです。というのは、事務当局にあるというのではない。それであなたにお尋ねしているのです。国会というものは立法機関なんです。そうでしょう。そうすると、立法ができ上ってその施行される過程においてこういう問題が基本的に出てくるなれば話はわかります。私たちも納得します。ところが実際には今あなたも答弁されましたように、これはまだ調査会の答申案です。具体的には立法化されていない。見通しがあることはけっこうです、それはあなた方自身の御判断ですから。通るかどうかはわかりませんけれども、もしも通らなかったらその基準はどうなりますか。どこかに矛盾があるから通らないということになっていく。にもかかわらず、それをいかにも通ったようにして追求していくということは、これは国会無視も私ははなはだしいと思う。正常に冷静に考えてごらんなさい。その取り上げ方の問題というものを一体農林大臣はどういうようにお考えになっておりますか。
  146. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 答申案に基いて今検討いたしておるのでありまするから、この国会に提出するか、あるいはその次の国会に提出するかということは、これは内閣全体の各省との検討の結果を待たなければならぬと思います。答申にあった、国家公務員法の改正といいますか、それが出ているからというわけじゃなくて、それは検討して出す予定のもとでいるから、こういうことであります。でありますから、それをこの国会に提出するかどうかということは各省その他の検討が済んでからということになりますから、それはもう国会に籍を置かれる中村さんも御承知だと思います。この国会に必ず出さなくちゃならぬという準備が進んでいないときには、その次におくれることもあるのであります。決してそれを放擲しておるというわけではないのであります。
  147. 中村時雄

    中村(時)委員 だからそれはいいのですよ、あなたの考え方考え方として。だからそれが法律化された結果において、農林省なりあるいは行管なりあるいは全部の人たちが集まって相談した上でこういう結果が出てくるなればそれは私も納得しますと言っておる。ところが、片一方の骨子になる法律が上程をされたといたしましてもまだ決定はされていないのですよ。ないにかかわらず、施行される方の面だけを、はやすでに決定しようとするこの考え方、この考え方に対して矛盾を持っていませんかということを聞いている。
  148. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 その法律が出る前に、私どもの主張のように大部分を定員化するという考え方もありましょう。それからまたその法律が出るという前提のもとにわれわれが考えているところで、今の定員法に基いて極力定員化をしていって、その法律の出るときにおきましてはさらに包含していく。まだ定員化しないものまで包含していくという考え方もあると思うのであります。私の方では現在の定員法のもとにおいて極力これを定員化していく、こういうことであります。
  149. 中村時雄

    中村(時)委員 それではあなたがまじめに答弁して、わかるようなわからぬようなことを言っておるから、一点だけを確認しておきますが、あなた自身は法案が出てくれば、もう少し自分自身としては定員化の幅を考えさせられる点もあるんじゃないか、このように理解していいですね。それをもう一度確認しておきます。
  150. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 定員法の改正の問題だろうと思いますが、私の方では定員法の改正におきまして、もっと私どもの要求が通ることは希望いたします。希望いたしますが、一応内閣として出している問題でありますから、これは私の方で直していくといいますか、ふやしていくというようなことは、一たん出したものについては考えられませんが、ふえることににつきましては私どもは期待をするといいますか、希望いたしております。
  151. 中村時雄

    中村(時)委員 期待というのは、人がやったものを待っていることなんです。希望というのは自分の頭で意識しているだけのことなんです。大事なことはあなたがそういう考え方を持っておるならば、具体的にいかなる努力をするかということです。そうでしょう。だからその点に対して、あなた自身ような政治力のあられる、しかも内閣で発言権の強いその農林大臣が、わが農林省内という考え方になれば、その一つの方向の確立もできるのじゃないかという、これは私の期待なんです。だからそういう点をよくあなたも考えての御答弁を願いたいと思うのです。
  152. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 中村君の期待もよくわかります。それから私の希望も御承知だと思うのでありますが、定員法の定員化の問題につきましては、大体内閣といたしましてきめたわけであります。定員法も法律として御審議を願っておるわけでありますから、それ以上は国権の中心である国会のいろいろな問題に私は期待をしておる、こういうわけであります。
  153. 中村時雄

    中村(時)委員 だからそこまであなたがおっしゃるなれば、今国会に基本的なものが法案として出ているでしょう。だから基本的なものが通過をしていった結果において、行うべきが妥当ではなかったかということを私は先ほど聞いたわけです。あなたもそれは承認されるだろうと思う。ただあなたの所管でないから、あなたをこれ以上追い込んでみたってしょうがないので、これは管理庁なりを呼んで一応私たちは追及をしたいと思いますから、委員長はこの点配慮を願いたいと思います。  そこで今度は法案の関係から少し考えてみたいと思うのですが、今度の定員化案を見てみますと、非公共事業関係で例をとってみましたならば、農産物検査補助の五割、水産統計が三割、一般事務が七・五割、また被害補助が一・五割というふうに三段階になっておる。これは大臣も御承知でありますが、そこでこのような段階をどういう理由で設けられたかお聞きしたい。
  154. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 全体としての各省間の均衡もありましたが、農林省内におけるいろいろな面から均衡を保ってやったと思いますが、詳しくは事務当局から答弁いたさせます。
  155. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど御指摘の問題につきましては、作業の過程においてはそういうふうな矛盾もあったやに聞いておりますけれども、先ほど申しましたような管理庁の一般的な基準に照らして査定を受けた、こういうふうに了承をいたしております。
  156. 中村時雄

    中村(時)委員 それではもう一点お尋ねしますが、今まで大蔵におきましても、あるいは行管におきましても、このよう考え方——このようなというよりも恒常的な新設機関の設置は、職員定員の増加としてこれは常に認められておったわけなんですね。そうでしょう。今まで新しい恒常的な機関を設けるというときには、それに伴うところの職員というものは定員増加として認めるべきである、このように私は考えているし、またある部分はそういう発言もしていらっしゃる。これに対して農林大臣はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  157. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 新しく機関を設ける場合には、やはり定員を増すということで設けるのが常道だろうと思います。設けた上においてやはり非常勤の者などを使うといいますか、入れる場合はあると思いますが、初めにおいてはやはり定員の問題の関連において新しい機関を設けてやるのは当然のことだと思っております。
  158. 中村時雄

    中村(時)委員 やはり農林大臣農林省の管轄下においてそういう考え方を持っていらっしゃることは敬意を表するのです。ところが残念ながらそれが出ていない。どのように出てないかというと、たとえば水産の統計と被害補助、この二点についてしぼって例をとって説明してみたいと思うのですが、この二つはいずれも新設業務に伴って、その業務遂行上に必要な職員を定員として認めず、前者は常勤職員で、後者は常勤的非常勤職員で責任ある業務を恒常的に遂行しているので、当然定員化するものでなくちゃならぬと私は思うのです。ところが実際には今言ったようにほとんど全員定員化していないのです。これはいないのですよ。ところが農林省内で設置している、新設であります。これはあなたのお考えと、今言った定員化していないという例と、その説明がどうしても矛盾するわけです。これに対して一つ御説明を願いたい。
  159. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 例があげられました被害調査員等の問題でありますが、これは私がなってから新設したのでなくて、それで常勤的非常勤、あるいは非常勤でありますから、これは定員化すべきだということで主張して、今度非常に骨を折ったのであります。ところがそれが全部にいきませんで、一部分だけになっておるようなことが実態であります。
  160. 中村時雄

    中村(時)委員 ということの実態はまことに遺憾であると、あなたの考え方は出てくるだろうと思うのです。それは遺憾であるということだけでは困るので、これから特にその面については重点的に施策を考えていただきたい。その点今後におけるあなたの考え方で遂行してもらいたい。いかがです。
  161. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 これから新しい機関を設けたり、農林省の組織法なんかが改正される場合には、当然定員化していく。今まで定員化していない問題についても筋が通らないものは筋を通すように努力いたします。
  162. 中村時雄

    中村(時)委員 それからもう一つお聞きしたいのは、農地に林野です。農地、林野の定員の数を見てみますと、どうも私には納得のいかない点が多分に出てくるわけなんです。そのことはどういうところにあるかといいますと、公共事業関係における定員化数算定の基礎というものが、私にははっきりしてこない。この問題だけから見ていきますと、上層部だけはたしかに一部分入っておるようです。ところが実際の定員化になってくると、その上層部だけでなく、下層部のところが非常に大きな根拠が出てくる。それに対して一体どういう理由の算定基礎をつけられたのかをお伺いしておきたい。
  163. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私の方では上層、下層という基準によっていたしたのではないのでありますが、こまかい点につきましては事務当局から答弁いたさせます。
  164. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お尋ねの点は、林野庁と農地局におきましては、公共事業といいますか、仕事の性質上似ているにかかわらず、定員化の比率が相違があるという御質問ではないかと存じます。これは同じ公共事業につきましても、農林省内部ばかりではなしに、農林省と他省との関係においても比率が違うのでありまして、たとえば農林省では比率が四〇%でございますけれども、各省を通じた定員化率は二五・九%、約二六%、これはどういうところからこういう比率の相違が出てくるかと申しますと、先ほど申しましたような基準に照らして考えますと、たとえば農林省農地局の公共事業におきましては事業の下請が非常に多い。ところが事業によっては直轄で全部みずからやるというような仕事も多いわけであります。そこでたとえば農地局における現場の人員構成におきましても、比較的に責任度の強い監督的地位に立つ者が多いということになりますと、先ほどの基準に照らして考えてみますと、当然定員化すべき性質のものがふえてくる。つまり職種の内容、責任の大小という観点から、下請をやっているよう事業におきましては、監督的地位の職員が比較的大きい、こういうふうな関係で比率が高まる。同じことは農地局と林野庁におきましても、そういう構成の相違から今申し上げたようなことが起っておる、こういうことでございます。
  165. 中村時雄

    中村(時)委員 今度の定員化はこの表を見てみますと、常勤職員の一部が出ているようで、常勤的非常勤職員は、統計の被害補助員を除きますと、これは別になりますが、今言った公共関係あるいは非公共関係としても除外されている。常勤的非常勤職員の経歴、勤務年数、あなたの方は勤務年数を中心にとられておったようですが、職務内容等の実態から私はどうしても納得できない。これはあなた方が隠して作った表かどうか知りませんが、あるところから私の手元に入ったわけですが、この表を見てみますと、一年未満と、一年から三年、三年から五年、五年から七年、七年から十年、十年以上、こういうふうになっている。それをここで詳しく申しますと時間がありませんから、数字的なものと実際に定員化されてきたものと見比べてみますと、非常に大きな矛盾が出てくる。これはあなたもおわかりだと思う。その矛盾を一体あなた方はどういうところから今後解決されていこうとしているのですか、その点をお伺いします。
  166. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 矛盾があることにつきましては矛盾を除去する方法を講じておるわけでありますが、とりあえず非常勤の職員等につきましては常勤的非常勤、こういうふうにだんだん上げていくという方法もとっております。そういう方法によって、これは全体としての考え方でありますから、私どもの方だけで全部通すというわけにもいきませんので、この程度におさまったのでありますが、おさまっただけでは済まされないと思います。
  167. 中村時雄

    中村(時)委員 そうおっしゃるならば、それじゃ具体的にもう一言聞いておきたい。たとえば統計における被害補助員を定員化していったのですね。これは大臣御承知の通り。ところが同じように臨時検査の補助員は定員化の対象からはずされておる。これは一体どこに理由を求めているのですか。
  168. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 全体のワクがきまったことと、ワクがきまった上におきまして、それを一歩ずつでも定員化しようということで九十名は定員化したのでありますが、その区切り点といいますか、区画点につきましては、なお事務当局に説明いたさせます。
  169. 中村時雄

    中村(時)委員 まあ部分的ながらあなたの努力は認めていきますけれども、今言ったように、職種別に見ましても、当然定員化されるのが同率でなければならぬものが較差が出てくる。これはあなたも認められたわけですね。将来それをよりよき方向に均衡化していって全員定員化の方向に努力しますと言っておりますから、その点は一応私たちも納得して見ていきますが、納得するという意味は、今後あなたがいかなる努力を払っていくかということを期待しながら見ているということですから、その点御承知願います。  それから次に公務員制度の改革を前提とした定員化案があなた方はあるといいながら実際に農地局においては技能関係常勤、そういうものが何名であるかをお尋ねしたい。
  170. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 定員化したのは農地局においては千百五十六名です。
  171. 中村時雄

    中村(時)委員 自分でわかっていないから横から紙をもらって、そういうことを言ったのだけれども、私の聞いているのは、農地局において技能関係の常勤が何名おるか、こう聞いておる。ところが私の調べたのでは三百七十名中で百十三名が定員化されておる。ただあなたがどこまでこのことに真剣に取り組んでおるかと思ったから御質問したのです。ところが案の定あなたはちっとも勉強していなかった。お隣から聞かされてあわてて言った数字がまた間違った。こういう結果が出ておる。だから真剣に考える場合には真剣に考えてほしいのです。三百七十名中百十三名定員化している。林野では八千五百九十二名中千三百八十二名定員化しているのです。このことは公務員制度改革と私は矛盾をしていないかということをお聞きしたい。
  172. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 私は教わってやったのじゃなくて、見てやったのであります。私もこれに関係しましたから——農地局で定員化されたのは確かに先ほど申し上げました千百五十六名であります。その内訳につきましては、なおこまかい点はそこまでは私は数字を覚えていませんから、もし必要がありましたら事務当局から……。
  173. 中村時雄

    中村(時)委員 事務当局に対してその矛盾がないかということをお聞きしたい。
  174. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 御指摘通り農地局におきましては、技能常勤職員で技能職員と称せられる職員は三百七十名でございまして、今回定員化されたものは百十三名でございます。林野庁はそれに対応する技能職員は五千百五十九名でございまして、そのうち定員化されたものは一千三百八十二名でございます。どうしてこういう差がついたかという点でございますが、これは先ほど申し上げたように、それぞれの基準がございまして、その基準を具体的な職種の例によってかりに御説明いたしますと、農地局関係における技能職員をこのような数字にいたしましたのは、たとえば干拓樋門の監視責任者であるとか、あるいは人夫の棒頭、こういうような責任のある地位の人、林野におきましては、やはりそういうような一群の長になる人、あるいは国有財産の管理責任者で刻印を持っているような責任者であるとか、こういったような先ほど申しました職務の重要度、責任の大小というようなことに照らしていろいろの基準を作って管理庁では調べたわけであります。その基準に基いて今言ったような職種を例として申し上げたのでありますが、そういう例によっておわかりのような一定の責任ある定員内職員と職責において責任の均衡をとるというようなことからこういう数字が出たものであります。
  175. 中村時雄

    中村(時)委員 どうも私の質問からピントがはずれている。あわを食わんで質問をよく聞いてもらいたい。較差を聞いたのじゃない。あとで速記録をごらんなさい。私が聞いたのは、今言った常勤が三日七十名中百十三名、これを定員化している。林野では八千五百九十二名中千三百八十二名定員化されている。それが公務員制度と矛盾をしないかと聞いている。なぜならば、公務員制度というものは、御存じのように三つに分けられておるわけです。一つは国家公務員、一つは技能関係におけるところの国家労務職、もう一つは国家臨時職、この三つが中心になってできているのです。公務員制度の改革というものは、この三つが中心だから、このような技能というものは当然公務員のこの中に入るべき筋合いのものじゃないか、こういう考え方なんです。ところが入るべきものであるにかかわらず、これだけを除外するという一つ考え方というものは、一体どこにあなたの考え方があったのか、こう聞いておるわけです。
  176. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 お話ように、国家公務員制度調査会の答申におきましては、三種類のグループに分けて公務員の職種を規定いたしておりますことは、御指摘通りでございます。しからば、この答申の趣旨に沿えば入るべきものではなかろうかという御質問でございますけれども、技能職員、あるいは労務職員について、この答申に基いて果してどのような線を引くかということは、実はいろいろ問題があり、検討を要すべきところでございまして、それゆえにわれわれとしても、この点については管理庁といろいろ論議を重ねてきたわけであります。しかしこれについて明確な線を引けないということのために、今回の暫定措置をとり、今後の公務員制度調査会の改正を待つということになっておるというのが現状であります。
  177. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣にお尋ねしたいのですが、今の御答弁でもおわかりのように、事務当局でもいろいろな疑議があるのです。この中には、どれだけの幅をどうするか、内容をどのように確定していくか、そういう問題がまだ残っておるので、定員法が通った結果においてまた考えたい、これだけの幅が出てきております。それに伴って、農林大臣としましては自分の足元のことですから、努力をして定員化の方向をとるお考えを持っていらっしゃるかどうか。これが第一点。  第二点は、これは農林大臣を通じてでもどちらでもけっこうですが、今おっしゃいました農地局の三百七十名のうち百十三名、このように御発表なさったのですが、農地局の方は下請やいろいろなものがありますが、この員数そのものにあなたは責任が持てるかどうか、これをお尋ねしておきたい。
  178. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 今事務当局からも御答弁申し上げましたが、公務員本来ばかりでなく、労務職とか臨時職に分かれておりますが、そういう点から考えて、私も公務員制度の改正を待って、入れるべきものは入れなければならぬと思っておりますが、現在、たとえば農地局において技能職員三百七十名のうち百十三名しか定員化ができなかったということは、各省の割り振り等もあって、その間になかなか均衡がとれなかったのであります。しかしどういう線でとったかといえば、国家公務員法にも書いてありますように、職務の複雑性と責任の度合いという基準によらざるを得なかったのであります。しかしその基準によって、百十三名の線で切ったことが果して正しいかどうかということについては、相当疑問があると思いますが、それだけを定員化するということにつきましては、ともかくも職務の複雑性と責任の度合いということから、これをいたしたのでありますが、将来の定員化につきましては、先ほどから申し上げましたように、定員化すべきものは定員化の努力をなお続けていくということを申し上げおきたいと思います。
  179. 中村時雄

    中村(時)委員 ということは、実際に基準通りにやっていったら、そんなに人がいないということなんです。それはあなた自身がよく御存じのはずです。  そこで最後にもう一点お尋ねしておきたいのは、非公共関係において、先ほどからお話がありましたように、技能、労務、あるいは庁務関係のそういう定員外職員を、定員化の対象から除外しておるということがはっきり出たのです。ところが現在の定員内には、これらの職種の人も含まれておるはずです。私はそう見ておる。そうすると、それらの職種の人も含まれているにかかわらず、同じ職種の人が含まれていないという矛盾が出てくるのです。それに対し農林大臣はどうお考えですか。わからなければ、もっと具体的に言いますけれども……。
  180. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ともかく、先ほど申し上げました職務の複雑性と勤労の度合いということを具体化した基準によって、そこまでを入れたのでありますから、基準に該当している者は定員化した、こういうことであります。
  181. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣、どうも苦しい御答弁ですが、たとえば勤務年限にしても、ちゃんとそれに当てはまっていて、しかも職種別に見まして、タイピストにしても、運転手にしても、あるいは農地における牧夫あるいは農夫、そういう者の中にも実際定員化されている者もあるのです。ところが定員からはずされている者もある。そういう矛盾が、事実この中にはまだ残っているのです。だから、あなたは将来これを定員化されていこうという一つ考え方を持っていらっしゃるかどうか。時間がありませんから、私もきょうは深くは申しません。いずれまた官房長を呼びまして、また行管の連中も呼んで話し合いをしなくちゃならぬけれども、あなたのお考え方によって、われわれも内面的に援助すベきものはどんどん援助していきたい。こういう考え方があるからお尋ねしているのですが、その点どういうふうにお考えになっているかを、お尋ねしておきたい。
  182. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 個々には、そういう批判を受けるような面もあるかと思います。全部が、私どもの希望通り定員化しませんから、そういうことになっていると思うのであります。でありますから、定員化についてはなお最善の努力をしていきたいと思います。
  183. 中村時雄

    中村(時)委員 最善の努力ということは、今言ったように、技能、労務、庁務、そういうよう関係の定員外職員は、定員数の対象から除いているけれども、現在の定員の中にはそういう者もあるのだから、そういう種別的な問題は解決していくように努力するのだ、このように私も期待いたしましょう。  そこで最後に、もうすでに予算は衆議院を通過してしまっているのですが、あなた方は内閣委員会の審議結果によっては、予算を訂正する意思といいますか、あるいはそこまでいかなくても、最悪の場合でも、予算のワク内において、今言った農地局で、実際には数が百十三名もいないというようなことがはっきり出てくれば、これはワク内の問題ですから、当然振りかえもできると思うが、そういう事柄はお考え願えるかどうか、一つお尋ねしておきたい。
  184. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 内容を、まだ詳しく検討いたしておりませんから、検討の上において、お答えする機会があればお答えします。
  185. 中村時雄

    中村(時)委員 答えは要らぬのです。そういうことが実際に出てくれば、それだけの弾力を持って、あなたがお考えできるかということだけなんです。
  186. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 内容が、今御指摘ようなことになっているかどうか、私詳しく承知しておりません。でありますので、検討の上ということを申し上げたのであります。
  187. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、内容がそういうような結果になったら、そういうことができるかということを聞いているのです。
  188. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 でありますから、今中村さんの御指摘ようなことが、私の方において矛盾していないと見ることもありますし、矛盾しているという場合もあるかもしれませんから、これは検討しなければ申し上げられないと私は思います。
  189. 中村時雄

    中村(時)委員 矛盾しておった場合にはどうするか。
  190. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 あなたの方の矛盾が、私どもの方の矛盾でない場合もあります。そういうことがありますから、検討しなければ申し上げられませんが、予算を伴うような場合には、また追ってこれは考えざるを得ないと思います。
  191. 中村時雄

    中村(時)委員 はっきりしてもらいたい。これは一番大事なところですからね。そうすると、私の言うような方向になるかならぬかということは、あなたの認識の仕方です。あなたが私のよう考え方になっているのか、あるいはそうでなく、矛盾でないのだという結論になるか、主観的にはそれはあなたの考え通りです。もしも私の言っているような方向に、そういうようにあなたがお考えになった場合には、今言ったように振りかえの方法をとるかということをお聞きしているんです。あなたの結論がそうでなければ、そういう方法はとらないと言えば、それでけっこうなんです。何もわからぬことを聞いておるのじゃないんですよ。それを検討してみて、検討してみてと言うが、それ見当違いの話なんですよ。私の言っていることははっきりしておる。あなたも私も言っていることが一致していれば、そうしましょう、一致しなかったら、それは残念ながら違います、と言うだけでしょう。
  192. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 だから繰り返して申しますように、あなたの方で矛盾がある、しかし私の方では矛盾でないという場合もあります。それからまた矛盾をしていることを私の方で認める場合もあります。その認める場合でも、これは予算を伴うというような場合には、今直ちにこれを振りかえるというようなことは考えられませんが、可能な範囲においては直さなくちゃならぬと思いますが、その点はもっと検討を続けませんと、私の方でも確答を申し上げられませんから、検討の上において措置を講じたいと思います。
  193. 中村時雄

    中村(時)委員 私の与えられた時間がきっちりなので、一応これでやめますけれども、あとに行管の問題が残ってくるわけなんです。行管の問題とからめて、あとで理事会なり何なりでもう一度この問題を取り上げたいと思います。     —————————————
  194. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 農業所得税の問題について調査を進めます。  本日は先に決議しました通り、参考人がお見えになっておりまするので、この際まず参考人より意見を聴取することにいたします。  それでは最初に、塩尻五郎君にお願いいたします。次に瀬水淳英君にお願いいたします。
  195. 塩尻五郎

    ○塩尻参考人 ただいまから参考人としまして農業所得税の問題で御説明いたしたいと思います。  私たちの村は北海道上川郡永山町でございますが、私は上川農業協同組合連合会の代表といたしまして、その管内及び全道的な範囲で多少お話し申し上げたいと思います。  まず第一に、各税務署及び札幌国税局と話し合いをいたしました問題について、最初に国税局及び税務署のとっております農村に対する態度を申し上げたいと思います。札幌国税局は、最初は各農民団体及び農協その他それぞれの団体の意見を十分聴取するというような話をしておりましたが、二月七日に札幌国税局は、国税局の考え方の基準を発表いたしまして、われわれの意見は一応聞きおく程度で、その後開示いたしました標準率は一向に修正をいたしておりません。それから各税務署におきましては、二月十日ないし十二日の三日間に、全道的に各税務署ごとに各町村にその内容を開示いたしております。この問題に対して各町村におきましては、それぞれの立場から国税局に意見を申し述べる者及び各税務署に直接意見を申し述べる者もございましたが、二月十七日には札幌の局に対しましてそれぞれ農村団体の意見を申し述べております。しかしながら、このことは意見を申し上げただけであって、一向にこれに対する態度変更はあまり現われておりません。それが末端の税務署に入りましていよいよ町村段階の御説明に参りますと、税務署は各町村ごとにそれぞれの収入及び必要経費を示しまして、この標準率によって計算をしてよこせという指示をいたしておりますが、その内容における矛盾を追及いたしましても、各税務署ともこれを修正しようとはいたしません。特に新聞等で拝見いたしますと、農民が、指示する標準率をのまない場合には、直ちに更正決定をするというような記事が北海道新聞を通して発表されております。このことは申告以前において納税者に対して非常に脅迫的な印象を与えておるように感ぜられるわけであります。  今まで申し上げましたのは、国税局及び各税務署が各町村に対してとってきた態度でございますが、次に開示された標準率の矛盾について町村がどのように困っておるかという実情を申し上げてみたいと思います。  まず経費率の問題につきましては、これはこまかくその開示された根拠に基いて御説明いたさなければむずかしいことでありますが、時間もございませんから、一、二点指摘いたしまして、矛盾がその中に含まれておるということを御参考に申し上げたいと思います。  まず第一は、最も正しいはずであるべき市町村の市町村税、これが所得税に及ぼすいろいろの税収額がございますが、この町村税の累計をもって割りましたところの反当の必要経費が、幾ら役場でこれを税務署に持ち込みましもて、決してぴったり合わない標準率が毎年出て参るのでありまして、今年もそれと同じことが指摘されております。それから農家がどうしても納得できない一つには、北海道における牛馬費の認容率の問題でございますが、大体七〇%を適用しておるわけであります。この三〇%を削った理由といたしましては、三割ぐらいの農家は馬を飼育していない、だから七〇%である、こういうふうに申しておるわでありますが、この三〇%の中には、自動耕耘機その他によるものもありますし、あるいは馬を飼育せざるところの小農家があるわけであります。これは自動耕耘機その他専業の馬車追いの馬を借りて起してもらうわけでありまして、実際の農業経営に消費いたします分量からいきますと、当然一〇〇%になると考えられるのであります。特に自動耕耘機その他のものを除外いたしますれば、これは当然一〇〇%認容しなければならぬものであります。これは単に一、二の例でございますけれども、こういうような矛盾もたくさん包含いたしておるということを御指摘申し上げるわけであります。  次になわ延びの問題でございますが、作物報告事務所は、上川支庁管内あるいは十勝支庁管内、北海道をおしなべて生産量を計算する場合には、われわれとしては責任ある数字を出しておると思われるけれども、個々にその町村の反別あるいは反収を指摘せよと言われた場合に、これは決して正しいものではないと明らかに申しております。そのことは標準率の取り方がその町村の各反別もしくは反収を把握するためにとっておるのではないから、これはその町村に適用されては誤まりを生ずるとわれわれは聞いておるわけであります。このような大体統計調査部の資料に基きまして、一部の町村はそのまま、もしくは一九・九%であるとか、いろいろ非常に大きななわ延べ等も適用いたしておる町村もございますが、この問題が末端の農家においてどのような課税の実態を生ずるかといいますと、農家自体には非常にでこぼこがございます。その中で正しい申告をいたしておりますところの農家は常にこの問題で第三者の被害を毎年続けなければならないわけであります。すなわち、昭和二十年の終戦以来まじめに申告をしておった者、まじめに米の供出をいたしておった者、こういうような正しい農家が常に間違った数字の下敷きになって今日も呻吟をしなければばならないわけであります。そこで、われわれ市町村において、実際に農家についてこの課税の実務を行い、あるいは指導をいたす者といたしましては、忍び得ざる苦痛を味わうものであります。このような意味におきまして、当然作報自体の数字そのものすら正確度を欠くというものを、これをまた再びどこにあるかわからない架空の数字をもって正しい農家に対しまして非常な苦しみを与えるという札幌国税局あるいは税務署自体の指導、あるいはこれを実行せんとするところの強硬な態度に対しましては、われわれとしては非常に苦痛を感じておるものでございます。  それから次に申し上げておかなければならないことは、担税力の問題でございます。御承知の通り、昭和二十八年、二十九年、三十年を一年のけまして三十一年、これは北海道開拓以来の大凶作でございました。この北海道の凶作に対しましては、昨年度の国会におきまして多額の経費を投入され、農民の救済のために当っていただいたわけでございますが、ようやくお正月を一つ越えましたときにわれわれに襲いかかってきましたものは、借りましたあらゆる政府資金を始め、生産資材の資金あるいは市町村民税等あらゆるものの償還が待ちかまえておったわけでございます。このような苦しい北海道の農民が、ようやくお正月を一つ過ごしただけで、普通並みの所得税を払えるであろうかどうかということは御想像にまかせるわけでございますが、このよう立場に立って、昨年来北海道協同組合連合会を初め農業委員会、北海道議会、町村会、これらあらゆる北海道の各団体が、大蔵省を初めそれぞれの政府機関に対しまして、本年度の所得税に対しましては特別なお考えを願いたいという陳情をいたしておるわけでございます。農林大臣が北海道に来られましたときにも、あるいはわれわれの代表からお話をいたしておったと思うわけでございますが、過日われわれに示されましたところの所得税の開示を見ましたときに、まずわれわれの管内で二石九斗八升四合何がし、約三石の反当平均の村を筆頭といたしまして、二石八斗、二石七斗くらいがずらりと並んでおるわけでございます。かく昭和三十年の豊作以前において考えてみますときに、三十年からは二斗何升、その他の年におきましては一俵以上の収穫率の増加が本年度の所得税の開示に当って反収として示されているわけでございます。この開示を見ましてわれわれは全く驚愕をいたしておるわけでございます。細民を救うのが国の政治であり、この政治を行うためには末端のそれぞれの機関が最も心を込めて行わねばならぬというときに当りまして、全く何といいますか、食う米もない農家からなお上着を取り、ズボンをむしるというような感じがいたされてならぬのでございます。また一方十勝地方の道東地帯におきましては、本年度もあわせて冷害凶作を受けておるわけでございますが、この地方の豆類の価格の決定のいたし方について一言申し上げてみたいと思うわけでございます。  大体北連の発表価格でこれを七六%を二四%とっているわけでございます。これはなぜ北連の価格一本建にとらないかといいますと、業者に入ります価格は、まず仲買人がおってこれらが集めて参ります。そうして業者に入って参るわけでございますし、また一部には直接農家から買うものもございましょうけれども、買上値段が非常に高いのであります。北連価格よりも業者価格の方が高く押えられているわけでございます。これは中間に一つ機関を通します以上当然でございますが、これはほんとうの農家の手放れ価格ではないのであります。これを標準率の中に織り込みまして豆類の価格算定に寄与いたしておりますために、農家の手取価格が非常に高く押えられるという実情が明らかに出ておるわけでございます。それからまた、この中には規格外の、検査に通らない豆類も相当量にあるわけでございますが、これらの価格等が当然その中に算定をされまして大幅に引き下げられてなければならないわけでありますが、これらにつきましても、税務署の開示いたしておりますものの中には農民の納得のいかないものが多数含まれておるのでございます。  そのほか一面各町村で計算をいたしますときに、税務署はどのよう態度をとっているかという中で、従来特別控除をいたしておりました用人費の問題等が、本年度は一反歩当りどれだけの耕作人員がかかるから、お前の家には家族が何人おるから用人はこれだけでよろしい、こういうように、一つの基盤のますのようなものを作ってそれに当てはめようといたしておりますが、北海道の農業は、御承の通り、田植えをいたしますのには五月の十五日ごろからぼつぼつ始まりまして、大体最盛期は五月の二十日ごろから五月一ぱいで終る上川の中央部地方、あるいは五月の二十日ごろから六月の五日ごろまでに終る空知管内、こういうように、大体地帯別に多少のずれはございますが、その地方々々が十日間くらいの間にすべての田植えを終るわけであります。あるいはまた稲刈りにいたしましても、大体十日ないし十五日間の間に作業を終らせるわけでございます。でありますので、その期間に一度に多数の用人費がかかるわけでありますが、これをお前のうちでは、自分のうちで済んだら隣のうちから隣のうちへと一月の間かかって田植えをしたならば用人費は要らなくなるではないかというような方式で押えられては、まことに迷惑な次第でございます。こういうような面につきましても、十分に考慮を払われなければならないと思うわけでございます。これらの問題の諸点につきまして、各税務署ごとに、農業協同組合の連合会あるいは町村の協同組合その他各農業関係団体が連日のごとく陳情あるいは修正方に出かけるわけでございますが、がんとしてこれの採用というものが一向に行われないわけでございます。そして刻一刻と申告の期日は迫って参ったわけでございます。そこでわれわれといたしましては、どうしてもこれは末端の税務署だけの話し合いの結果では解決がつかない、何とか国会の御審議の中で一日も早くこれらの矛盾を解決していただきたいということがわれわれの念願でございまして、何とぞ本委員会等におきまして調査団等の派遣をしていただいて、一日も早くこれが解決をはかられんことを切にお願いを申し上げる次第でございます。
  196. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 次は瀬水淳英君にお願いいたします。時間があまりありませんので、簡潔に願います。
  197. 瀬水淳英

    ○瀬水参考人 私、新潟県農業会議副会長をやっております瀬水であります。私は大体三点にしぼりまして実情を申し上げてみたいと思います。  その第一点は、新潟県の本年度の作況ということ。そして第二点はこれに対して税務当局がどのよう考えを立てておるかということ。そして現在三月十五日の申告期日を目の前に接えまして、われわれがどのよう立場に置かれておるか、この三点を簡潔に申し上げたいと思います。  まず第一点でございますが、新潟県のことしの収穫高が作物統計事務所において発表されましたのはたしか五百二十五万石というふうに発表されておるわけでございますが、これには従来の面積に比較いたしまして八千町歩はどの歩延びがあるというようなことをかすかに漏れ承わっておりますので、この点につきましての検討は今差し控えます。しかしながら少くとも相当程度の作ができたということは私どもも認めるのでございますが、百姓がからだをもって強く感じとっておりますことは、自分のたんぼの中で稲を刈ってみて感じておりますことは、昭和三十年よりも決して多くとっていない、これが百姓としての、自分で稲を植え、稲を刈ってこしらえてみた実感でございます。しかも豊作といわれますところのわれわれの県が、昨年の一カ年の間の気象の推移、自然現象の推移等を考えますならば、少くとも次の二点、すなわち最近十カ年間に非常に急速に、しかも莫大な投資を行いましたところの土地改良の結果、それと二、三年来の農業技術の長足な進歩、それに農薬及び肥料の大量の投入、機械器具等の大量の投入というような非常に大きな資金、技術あるいは肥料、消費資材等を多額に投入いたしました結果ようやくにしてつかまえ得た安定策でございまして、自然現象のみによってはむしろ凶作に近いものになったということは百姓がみな認めておりますし、技術者自身もこれを認めておるようでございます。そこでこのような状況の中で、表面的にはきわめて豊作であったというようなことに幻惑されたように私どもは感じておりますが、国税当局の考え方は、新潟県に対する課税の見方がきわめて天文学的数字であると私どもは驚いておるわけでございます。われわれは従来この標準を発表されるためには一つ農業団体と十分な協議を遂げていただきたいということは年々申し入れておりますし、今年度ももう昨年の十一月以来当局に申し入れ、お願いをいたしておるのでございますが、それが基準町村のしかも有資格者標準であるという今年耳新しく聞きます方法によって発表せられましたのが二月六日でございます。しかもこれは県下各税務署一斉に発表されました。しかもこの発表が私どもに回付せられたのでございますが、これで私どもは直ちに各税務署並びに県全体を通じましていろいろと団体的な折衝を持ったわけでございます。なるほど形式的にはわれわれの折衝の対象として出してきて下さいましたことは感謝いたすのでございますけれども、さて私どもの十分納得のできる形で教えていただきたいということでいろいろ承わりましても、新潟県の場合は各税務署ともに、作物統計事務所の数字もこれは参考にすぎない、あらゆる資料は参考にすぎない、これは実態調査によって税務署自身がつかまえた反収である、この反収を基準といたしまして、それに税務署の考えておる米価をかけて、それを所得として査定しておるのだ、こういう非常に強い御態度で示されたのでございまして、その反収あるいはこれに要します経費というようなことにつきましては、とうていわれわれが納得どころか理解のできない数字が示されておるのでございまして、その後その数字及びこれが市町村民税等に影響する点等につきまして、しばしば折衝を重ねるのでございますけれども、何ら進展いたさなかったのでございます。しかもその間に上京等いたしまして、国税当局あるいは関信国税局等に陳情折衝いたしまして、いろいろ御指導あるいは御協力を得るかのような御返答をいただいておるのでございますが、残念ながらこれが具体的に末端税務署に指示あるいは伝達がされておらない向きも出て参りまして、せっかく東京におけるいろいろの御努力あるいは御配慮がなかなか現地の農民にまで徹底してこないというのが実例でございます。反収あるいは費用その他のことにつきまして具体的な例は持っておりますけれども、これはもし御質問等がございますれば申し上げることにいたしまして、実情を概略的に一応申し上げておきます。  そこで私どもはこれでは困るということで、さらに問題を反収に一応しぼりまして、反収だけでも何とかならぬかというようにいろいろお話しいたしましたところが、驚くなかれ、ごく最近におきまして新潟県十四税務署、そろいもそろって一斉に、それでは二升下げてやろう、全部一斉に、しかも全部同じでございます。岩手県の果てから、富山県に接するところから、山形県に接するところから、群馬県に接するところから、佐渡の離島に至るまで、同じ条件であろうと存じられたかもしれませんが、全部一律に二升引いてやろうということでございます。ジャガイモとかあるいはカンショとかの単価は全然変化はございません。畑の野菜の単価につきまして一円を引いてやろう、こういうことでございます。これ以上反収については一歩もまかりならぬという強い態度でございます。従いましてすでに現在各税務署ともに壁にぶつかっておるわけでございまして、しかも時間切れが三月十五日に参っております。しかも承わるところによりますと、本委員会における御審議の中で、三月十五日というものは私どもは多少ゆるく考えてもいいのではないかというふうに新聞等を通じて考えたのでございますけれども、新潟県における各税務当局は、はっきりと三月十五日を延長するということはまかりならぬということで、すでに町村説明会に入り、あるいは一部指導に入り、あるいは一部すでにそれに屈して申告納税をいたしたという向きもあるわけでございまして、私どもはここで皆様方に御協力をお願いいたしたいことは、まず第一に、まだどこでも農民の団体が納得いたしておりません。また納得せしめるだけの御説明と資料の開示を受けておりません。従いましてこれを十分に納得させていただくために、三月十五日という期限はぜひとも一つ延長されるよう御配慮いただきたいということ、そしてその配慮を前提にいたしまして、反収あるいは経費その他の問題につきまして、少くとも百姓が納得できるような交渉が持たれるように、ぜひともそういう方向に持っていっていただきたいということ、そうしてしかも現在すでに納税をいたしております者は、標準の作成その他が変更いたしますれば当然のことでございますけれども、早急に返還等のことが講ぜられるよう措置が願いたい、こういうよう考えております。  さらに最後の点は、町村税等に影響することのないよういろいろ御配慮がいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、具体的な事例等につきましては御質問等がございますれば申し上げてみたいと思います。
  198. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 これより政府及び参考人に対し質疑を行うことにいたします。質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  199. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長にお諮りしますが、参考人諸君には非常に御苦労ではありますが、審議を促進する関係上、参考人諸君にもお伺いしたい点もありますし、あわせて大蔵当局並びに国税庁の当局にも関連して質問をしたいと思いますので、あわせて質疑が行えるようにお取り計らい願いたいと思います。  それともう一つは、この農業課税の問題は農業政策の上からいっても大事な点でありますので、農林大臣が出席できないとすれば、せめて農林政務次官くらいはこの席に出席するよう委員長から要求願いたいと思うわけであります。  そこで質問に入りますが、第一にお尋ねしたい点は、これは国税庁当局に対してでありますが、実は聞くところによると、本日国税庁長官が病気のために出席不可能ということを聞きました。これはやむを得ないことでありますが、本委員会の審議上非常に残念なことだと思います。長官が出席になればあえて政務次官の御出席を願わなくともよかったのでありますが、長官が出席できない場合は、あと部長、課長の諸君は政府委員ではありませんので、やはり政府としての責任を持ってもらう関係上、政務次官においでを願ったということをお断わりしておきたいのであります。それで資料の問題でありますが、実は前回の二月二十七日の当委員会におきまして資料の要求を行なったわけであります。ところが昨日提出されました資料なるものは当委員会において要求した資料と全くその内容を異にするものでありまして、これはまことに不誠実きわまるものであります。なぜ当委員会の要求に対して要求通り内容を整えた資料を提出することができなかったか、その点を国税庁当局から説明願いたいのであります。
  200. 金子一平

    ○金子説明員 御指摘の点御説明申し上げます。何分にも札幌は遠隔の地でございますので、電話の行き違い等がございまして、はなはだ隔靴掻痒の資料が出てきた、かようなことでございまして、私の方といたしましてもできるだけ詳しいものをということで重ねて連絡をいたしたい、かよう考えておりますので、御了承いただきたいと思います。御承知のようにただいま全般的な各署の農業課税の話し合いがまだ済んでおりませんから、担当の者が現地に出かけるというようなことで、担当者が少うございます関係上、十分の資料をお手元に差し上げられなかったのでございまして、まことに残念に思っております。
  201. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先般の当委員会において、国税庁長官に要求した資料を御存じと思いますが、どういう資料を当委員会が要求したか、これはメモをとられておったので忘れてはおらぬと思う。当委員会がどういう資料を要求したか、ここでお述べ願いたいと思います。
  202. 金子一平

    ○金子説明員 先般の御要求は、反当収量をこまかく出すように、こういう御要求であったかと記憶いたしております。
  203. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうばく然とした問題ではないのです。こっちはわかるように要求しておるのです。いいですか。北海道における米の生産地帯であるところの空知支庁管内と上川支庁管内における各税務署ごとの町村別の反収です。その反収は、一つは、国税庁当局が昭和三十年の十月二十八日の閣議決定の線に沿って、実収等については統計調査部の資料を尊重しなければいかぬということが一つの基本をなしておりますので、実収の把握については必ず農林省の統計調査部の資料をまず尊重するということになっておる。ですから標準の作定に当っては、国税庁としては農業に対する国の調査機関である、最も信頼を寄せることのできる統計調査部の資料をまず取り寄せておられるはずです。これはもうすでに受けてある。それから統計調査部においても国税庁に対しては関係の資料は出してあるということが言明されましたので、それでは統計調査部が示したこの両支庁管内の各町村の実収平均反収の資料をお出し願いたい。もう一つは今回の標準作定に当って、各税務署が開示するために用意された、いわゆる税務署が作定されたこの基準になるところの基準反収を資料として出していただきたい。この二点を当委員会において要求したのでありますが、昨日提出されましたのはそういう内容を全然持っておらないただ一枚の資料だけを出されたにすぎないのであります。これは全く不誠実そのものと言わなければいけないと思うのです。委員会が資料を要求する場合の根拠は、これは御承知と思いますが、衆議院規則第五十六条によって、委員会が必要と認めた場合には資料とかあるいは報告の提出を内閣及び関係の官公署に対して行うことができるというこの根拠があるわけです。われわれは国会の審議上必要と認めて先はど申したような資料の要求をいたしたのでありますが、それに対し何ら誠意のある資料を出されなかった。先はどの部長のお話によると短時日の間でそういう資料の取りまとめ、ができなかったというような弁明がありましたが、すでに二十七日から昨日まで一週間を経過しているわけです。ですから誠意を持って、札幌国税局に対して電話等の通報によって、これこれの資料を送ってもらいたいということになれば、即刻これは到着するものと私は考えておるわけなのです。それで果して誠意を持って当委員会の要求した資料を中央に送達するよう指示を与えたかどうか、その点はいかがです。
  204. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、御承知のように、実は国税庁といたしましては各局に標準率の作成を一任しております関係で、私の手元には資料はございません。それで直ちに先般国税局に電話を入れたわけであります。その間に行き違いましてかような資料を提出しなければいけなくなりましたことはまことに遺憾に存じます。各町村の分を局の方はおそらくすぐ電話を入れたと思うのでございますが、要するに取りまとめに時間がかかり過ぎてとりあえずこの一表だけ送ってきたというようなことで、なるべく早くお手元に差し上げたい、かように思います。
  205. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで私は念のために農林省の統計調査部長に対して今週の月曜日に、この上川、空知両支庁管内の反収資料を出してもらいたいということを要求したのでありますが、これはもう直ちに資料がきて、すでにもう届いておるわけなんです。ですから距離的に見れば札幌国税局もそれから札幌統計調査事務署も同じ北海道の札幌に事務所を持っているわけです。連絡の費用とか経費等においては大蔵当局の方が多分に経費を持っていると思うのですが、どういう方法をとっても資料を用意しろといえばできるはずです。あえてやらないところに問題があると思います。政務次官はこの問題はきょう初めてだと思いますが、どうです。あなたの所管の事務官僚がとったこの態度ですね。
  206. 坊秀男

    ○坊政府委員 お答え申し上げます。先ほどから金子直税部長が申し上げております通り、御要求に従いましてさっそく手配をいたしたことは間違いございません。しかるところ今日までおくれておりますことは、御承知の通りただいま農業所得税の話し合いにつきましてその資料を持って交渉の最中であろうと私は思います。そこで今お尋ねの農林省の統計事務所からはすぐきたが、国税庁からはこないのはどういうことかということですが、これは私は見てきたわけでございません。またよその省のことをとやかく申すわけではございませんが、農林省の方はそういった統計を作ることを仕事としておる役所でございますし、大蔵省の国税局はそういったような資料を参考にし材料にして税金を納めてもらうという仕事をしておる役所でございますので、その間に多少の差異が生じたのであろうと考えます。
  207. 金子一平

    ○金子説明員 技術的な問題が一点ございますので、私からも一言申し上げさせていただきたいと思いますが、国税局は各基準町村の分につきましては一応統計をまとめております。残念ながら各市町村の分につきましては、これは署にまかしておるよう関係でございまして、全部各町村の分を、手元に持っておりません。そしてさらに札幌の局から各税務署に連絡をいたしまして、税務署から取り寄せなければいけないというような技術士の問題がございますのでおくれました点を、さらにつけ加えさせていただきます。
  208. 芳賀貢

    ○芳賀委員 こういう問題はあまりしつくこ言う気はありませんが、それでは統計調査部長にお尋ねします。統計調査部がお示しになった北海道関係の町村の資料は、札幌の国税局に一括して出されたのか、あるいは北海道全管内の各税務署ごとにこの資料をお出しになったのか、いかがですか。
  209. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 札幌の統計調査事務所から札幌の国税局にお渡しいたしまして、それから先末端へ流れておることと承知しております。
  210. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ部長の言うのとちょっと違うじゃないですか。北海道のを全部一括して統計調査事務所はあなたの方の国税局にやっているのですよ。だからこの控えはあるのでしょう。この中から書き抜いて関係の税務署ごとにその分だけを配付するということに手順はなるわけなのですね。これに対してとやかくそう別に弁解は要らぬ、とにかく誠意がなかったということをお認めになればそれでいいわけなのです。  その次にお尋ねしたい点は、特にこれは政務次官にお尋ねしますが、同じ農業所得税問題等について、たとえば農林水産委員会における質問に対する当局の答弁と、大蔵委員会において同じ問題の質問に対する答弁とはこれは同じですか違いますか。
  211. 坊秀男

    ○坊政府委員 お答え申し上げます。国会における答弁は本会議であろうと予算委員会であろうとどこであろうと、私はこの間に差異があるべきものではないと思います。
  212. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで政務次官にお尋ねしますが、当委員会において二月の二十七日に昭和三十二年度農業所得税に関する件についての決議を行なっています。これは当然委員長を通じて大蔵大臣、国税庁長官あるいは関係方面にもこの趣旨がすでに届いておるはずです。政務次官もこの農林委員会における決議というものはお読みになったと思うのです。この内容によって国税庁当局はこの決議を尊重されてどのような具体的措置をその後講ぜられましたか。
  213. 坊秀男

    ○坊政府委員 早速関係の各局へ回したことと思います。
  214. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ政務次官はこれをごらんになったわけですね。
  215. 坊秀男

    ○坊政府委員 私は国会開会以来、各委員会だとか方々へ引っぱり出されておりましたために、実ははっきりと記憶はいたしておりませんが、大へん申しわけないと思っております。
  216. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは大蔵大臣としてもこれらの国会における決議というものは十分尊重するという誠意をもって、この趣旨がすでに地方の国税局なりあるいは末端の税務署等に漸次浸透しつつある、あるいは浸透したというふうにわれわれは善意に理解して差しつかえないですね。
  217. 坊秀男

    ○坊政府委員 さよう考えております。
  218. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ここで参考人諸君にお尋ねしますが、大蔵当局の国会における農業所得税課税の態度は、まず地方における標準の開示に当っては、これに先立って関係団体、いわゆる農業団体あるいは関係の市町村の代表とか、そういう関係団体の代表を集めて、そして標準作定に当ってはその一応の案を示して、各関係者の意見を徴して、それらの意見というものを十分尊重して最終の案を作って、それを開示するということになっておるわけです。われわれとしては当局がそういうふうな説明をしますので、当然地方においてはこのことが実施されておると思っておるわけですが、ただいまの参考人諸君の御意見によると、そういうことが具体的に行われていない。ただ形式的に関係者を一応集めたような形だけはとるけれども、それが何ら参考にもなっておらぬし尊重もされておらぬ。また末端の税務署管内においてはその形式さえもとられておらないということを聞いたわけでありますが、この点に対してもう少し詳しく具体的な内容をお述べ願いたいと思います。
  219. 塩尻五郎

    ○塩尻参考人 札幌国税局では二月七日に北海道の七団体と申しますが、農業協同組合の連合会であるとかあるいは農民同盟、農村連盟、開拓者連盟、いろいろございますが、七つの農業関係する団体、特に酪農関係も含めておりますが、こういうような団体の関係者を集めまして開示をいたしておるわけであります。ここにそのとき開示されました資料も持っておるわけでありますが、全道的な各基準町村別の開示が行われております。これに対しまして二月十七日に各農業団体から、こういう面は多少こうしてもらいたいとか、ああしてもらいたいとか、あるいは間違いはこうであるとかというようなそれぞれ意見書を出しておるわけでございます。それに対しましてほとんどその修正が行われておらないというところに問題があるわけであります。それから町村段階に対しましては、各税務署が二月の十日から十二日にわたりましてそれぞれ関係町村を集めまして、そこで基準町村の根基表だけを発表いたしておるわけであります。そして基準町村の分については公租公課が幾らである、そのうち固定資産税あるいは建物、大農具諸車税というようにそれぞれこまかく分類をいたしまして基準が発表になっておりますが、この点につきましても先ほど指摘いたしましたが、町村の税金すら町村の基準と食い違いを生じておる、これはもう明らかであります。その町村の税額の総額を反別で割ったものと税務署が反当標準率で出す価額と、金額が同一でなければならぬのが当りまえでありますが、こういうものすら一つの町村として合っておりません。その他につきましても一々指摘をしておられないわけでありますが、その点を逐一各町村が税務署に参りまして指摘をいたしましても、これはもう標準だからがまんしなさい、あるいはその面についてはここに出ておらぬがその他の方で見てあるとかいって、全部逃げ回るわけであります。そしてまあこれでおやりなさい、こういうことでございまして、端的にこの標準率の一部を修正するということはまだ聞いておらないわけでございます。
  220. 瀬水淳英

    ○瀬水参考人 新潟県におきましては、前々から国税当局、特に関東信越国税局の最高幹部の方々とも二回ほどお会いをいたしまして、初めはきわめてなごやかに出発したのでありますけれども、その後標準のとり方、あるいは考え方等につきまして種々論争を続けて参っておるのでございますが、その標準の考え方というような論争がかわかないうちに、二月六日突如として一方的な通告によりましてそれぞれの税務署に農業団体の代表を御招致になりまして、主として新潟県では農業協同組合の各連会並びに市町村農業委員会、これが中心になりましてこれに地域よりましては農民組合も参加いたしまして、これが大体農業税の団体として税務署と折衝いたしておりますが、そうしたものの代表が呼ばれまして発表になったわけでございます。その後その標準のあり方というとについての論争、及び反収その他のとり方の基礎等につきまして具体的な資料の提示を求めておりまするけれども、先ほど申しましたようにわれわれが実額調査をしたのだ、農家に直接出向いてわれわれがつかんだ反収であって、その他の資料は参考に見たのにすぎないのだ、こういうことの一点ばりでございまして、論争の場ができないのであります。そういうような繰り返しのままに今日に至っておるようであります。
  221. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政務次官にお尋ねします。御存じの通り現在行われている農業所得税の課税方式は反当標準課税方式でありますので、課税標準を作る場合にも反当り標準というものは一番基本をなすわけですから、その場合所得の根源である農地の中から、たとえば一反歩当りの農地から生産される生産額であるとか、その生産物の価額評価であるとか、こういうものは非常に慎重を要すると思います。ですから、いささかでもこの根拠に架空なものがあっては基準の権威は全く失われる。ところが農業の場合は米の供出の場合でも税金の場合でも、面積の食い違いが往往にしていろいろな場合にあるわけです。それで今回のこの課税に当っても、現実の問題としてなわ延べ反別の処理は当然問題になるわけであります。この点については、三月五日の大蔵委員会においてわが党の横路委員がただしたのであります。基準反収を策定する場合、税務署がただ単に一方的になわ延べ面積なんかを統計調査部の実収平均反収にいたずらに加算してこれを標準として押しつけるような行為をやっているやに聞いておるけれども、そういうことを実際にやっておるのか、こういう質問が行われたのです。これに対しまして国税庁長官は、そういうことは現地においてはやっておらないと思う、一方的に押しつけるようなことをやっておるとすればこれは是正しなければなりません、こういうような意味の質疑応答が行われておるわけですが、現実の事態は相当これと違う。先ほどの参考人の意見を聞かれても、統計調査部の反収資料を尊重しなければならぬのに、ほとんど各町村の基準反収というものはこれを尊重していないという結果が生まれてきております。こういう点は国会における当局の答弁内容と現地において行われている実態とは大きな食い違いがあるわけですから、中央における当局の態度が本旨であるとするならば、末端においてこれと相反しているようなことが行われる場合においては、当然速急に是正されてしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  222. 坊秀男

    ○坊政府委員 およそ税金の徴収は公正妥当でなければなりません。従いまして徴収のし過ぎもいけませんし、し足りないということも同様にいけない。そういうことから勘案いたしまして、ただいま御質問農業所得については反当収量が非常に大事なものだということにつきましては、私も全く同感でございます。その反当収量をはじき出すのに、私は専門家ではないから詳しくは存じませんけれども、機械的になわ延びといったようなものを一方的に織り込んで、無理に反当収量が多くなるというようなそろばんの仕方をすることは戒心しなければならないことであろうと存じます。
  223. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政務次官はまことにもっともなことを言っておられる。反別はどこではかってもますに入れたように狂いのないものです。一反歩からどれだけ生産されたかということは、的確な調査を行えばそう大きな狂いはない。ただそういう調査のやり方とか信頼度等についてはいろいろ調査の目的を持ってやる場合にその意識があまりにも加わると、いささか狂ったようなものが出ますが、この場合、われわれとしては一番信頼を寄せることができるのは、いろいろな批判もありますけれども政府調査機関であるところの農業統計調査部が行う調査に権威を持たして、これを基準にするという以外、他に方法はないと思うのです。それが一方的に税務署の諸君の勘がそれに加わって、たとえば実反別一反歩から二石なら二石これはあるという調査の決定が出ておるのに対して、これが二石二斗とか、二石五斗、こういうことになったような架空の数字が加算された反収というものに対しては、何人も信頼を寄せることはできないのです。しかしながら、現地の国税局あるいは税務署等においては、政務次官の意に反したようなことを従来まで往々にしてやっておるわけです。これをわれわれは委員会等において指摘もしますし、また地方の農民諸君もこの了承できない事態に対して、これを是正してもらいたいという声が非常に強いわけです。ですから、この点は政務次官の言われた通り、現地においてそういう不合理性が現在行わておる場合においては、速急にそれを是正して、正しい標準を開示して、みんなが喜んで税金を納めるようにしたらどうか、このことに御異存はありませんか。
  224. 坊秀男

    ○坊政府委員 御意見まことにごもっともでございますが、相当技術的なこともお話し申し上げて御了承願いたい点もありますので、事務当局から説明させます。
  225. 芳賀貢

    ○芳賀委員 何を言っておるのだ。これは政務次官に聞いておるのです。政務次官の先ほどの答弁が最も正しい政府としての態度である。われわれはそれでよろしいということを言っておるわけです。だから政府として、大蔵大臣のかわりできよう来ておられるのでありますが、政府のほんとうの考え方が、末端の国税庁の役人諸君の手において行われていないのです。そういう事態が往々にあるというわけです。ですから、それに対しては、やはり国の方針として速急に是正されるべきではないかということをさらに再確認を願っておるのであって、何もこれは技術的にとやかく言う余地はないのです。一反歩からほんとうにとれた収量が幾らかと、いうことを調べるのに、だれも異論があるはずはない。そのことなんです。
  226. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 政務次官より、事務的なことを補足説明させる、こういった趣旨の発言がありましたから、それを許しました。
  227. 金子一平

    ○金子説明員 技術的な問題になると思いますので、私から一言だけつけ加えさせていただきます。今政務次官から同じ反別の収獲量が違うはずはない、こういう御答弁がありましたが、実反別一反歩当り、実際の反別の一反歩当りの場合におきましては、これは農林省の発表いたします作報統計数字も、税務署の見ております数字も、もし客観的な正しさがあるといたしました場合には、合致すべき筋合いのものであろうと思います。しかし御承知のように、税務署でとっております数字は、これは農業委員会の台帳面積によっておるような次第でございます。そこで実際の反別と税務署の言っております台帳面積によります反当収穫量というものが、まま食い違いがある場合があるわけでございます。
  228. 川俣清音

    川俣委員 関連。基本的なことを聞きたいのですが、税法上所得課税主義であって、面積に課税するわけじゃない。面積に課税することになると、権限を国会があなた方に委任をいたしておらないはずです。所得課税なはずです。どうしてそんな面積を問題にするのです。この点政務次官どうですか。
  229. 坊秀男

    ○坊政府委員 どうも徴税についてはくろうとでないから、私の私見になるかしれませんけれども川俣委員の御質問の御趣旨は、まことにごもっともだと思います。決して面積に課税するのではくて、所得に対して課税するのが所得税の建前である。そこでその所得をはじき出すためには、やはりその反別といいますか、広さといいますか、そういったようなものも、材料といいますか、それになるのではないかと思います。やはり反別を度外視しましては、所得というものはなかなかはじき出せないものじゃないかと思います。
  230. 川俣清音

    川俣委員 あなたのところに国会が税法上与えておる権限は、所得に対して課税することを与えておるのであって、面積は関係ない。従ってなわ延びがあるかないかというようなことは問題ではない。なわ延びがあって収量が多ければ多いなりの課税が行われるというだけのことであるので、なわ延びがあるかないかということは関係ない大体相続税の場合にも、台帳主義をとっておられるのでありますから、なわ延びとか何とかいうことは問題ない。収量があるかないかということなのです。収量があるかないかということは、個々の収量です。町村になわ延びがあるかないかという問題じゃなく、個人になわ延びのところがあるかないか、すなわち収量が多いか少いか、隣と比較してみて反別が同じであっても、一方が幾らのなわ延びがあって収量が多いか多くないかということだけで、収量だけの問題。なわ延びがあるかないかということは、あなた方調べようと思っても個々の調査はできるものじゃない。個々の調査がやれますか、やれないでしょう。やれなくても、問題は、収量だけは調べなければならないということです。従って、個々の収量があるかないかということであって、個々の収量の調査の基礎になるものは、統計調査事務所の収量が一応の調査の目標になる。しかもその調査の生産物は、統計調査事務所で調べた必要経費というものが加わってそれだけの生産財が得られたということ、生産数量と必要資材と密接不可分のものである。収量だけを、なわ延びだけをよそから持ってきて、統計調査事務所のものに当てはめることは、統計学上問題にならない。学問的にも成り立たないようなことをどこからやるのですか。少くとも国民から税金をとるというからには、科学的な根拠がなければならぬはずです。科学的な根拠、正確な根拠なしに課税をするということは、やめられることが必要だと思う。これは国会の権威にかけても、与えていない権限を乱用することは、綱紀粛正の上からも断固取り締らなければならぬ。この点だけ答弁願いたい。
  231. 坊秀男

    ○坊政府委員 川俣委員のおっしゃる通り、あくまでも所得課税であって、所得を出すためには、それはなるほど収量ということが最も大きなファクターになるだろうと思います。その収量を個々の人々について考えるためには、やはり広さというようなことも一つの材料にならなければならない。全然無視してしまうというものでもなかろうと思いますが、技術的な点もありますので、詳しくは事務当局から答弁させます。
  232. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、国税庁が昨日私のところへお届けになった資料の中に、基準町村というものが出ておるわけです。北海道の国税局管内において、水稲並びに畑地帯を通じて、一体何個所の基準町村を策定になったか、その点はいかがですか。これは事務当局でいい。
  233. 金子一平

    ○金子説明員 お答え申し上げます。大体平坦部、中間部、山間部、それぞれ区分して標準率を作定しております。今の平坦部、中間部、山間部ありますものにつきましては、各所ごと一カ所を指定しておるわけであります。
  234. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうじゃないんです。北海道の国税局管内で何カ所基準町村をきめられたか。これは時間がないからこちらで申し上げますと、北海道は四カ所です。水田地帯が三カ所、畑地帯が一ヵ所。資料を出すならせめて四ヵ所くらいをお出しになったらどうかと思うのです。ただ一カ所しか出ておらぬ。そこでお尋ねしますが、基準町村の反収を決定せられる場合、北海道全体で四力村しかないのですから、特に慎重を期する必要があると思うのです。この作定に当って一体農林省の統計資料を尊重されたかどうか、その点いかがですか。
  235. 金子一平

    ○金子説明員 御指摘通り、各基準町村の収獲量を決定いたします場合におきましては、先般お話のございました閣議決定の線に沿いまして、農林省の発表された統計を十分尊重して地方の税務署で収穫量をきめる。ただし、実際におきましては、税務署の方におきましても、在庫米の調査でございますとか、坪刈りでございますとか、そういった独自の調査の方法をとると思います。しかし、終局的には今申しました作報の統計資料も尊重してきめる、かようなことになっております。
  236. 芳賀貢

    ○芳賀委員 北海道の水田地帯は束旭川村と風蓮町と長沼町、この三カ所です。畑地帯は十勝支庁管内の芽室町ということになっているのです。そこで私は一つの事例をとって申し上げます。平坦地帯に東旭川村というのがありますが、この村の統計調査部が示した基準平均反収は二石五斗九升一合ということになっているわけです。これを国税局においては、この通り尊重すればそう狂わぬ数字が出てくると思いますが、一体この町村の基準反収は幾らになっていますか。
  237. 金子一平

    ○金子説明員 ただいま御指摘の東旭川村の収穫量につきましては、まだ資料が参っておりません。これも合せて先般依頼してございますので、参り次第資料を差し上げたいと思います。
  238. 芳賀貢

    ○芳賀委員 部長、冗談じゃないですよ。これは基準町村ですよ。僕は北海道の各町村を言っているのではないんです。国税局が選定した基準町村の反収の調査がまだできていないなんていうことで、どうして今年の税金を取るのに間に合うのです。東旭川村という基準町村ですよ。統計調査部では二石五斗九升一合ということになっているが、あなたの方はどのように決定しているかということなんです。
  239. 金子一平

    ○金子説明員 取り寄せました基準町村のは、岩見沢の区長沼の分だけが届きまして、東旭川の分は残念ながらまだ届きません。これも実は農業会議をやったのですが、あのときまだ正確な最終的なものが出ておりませんでしたから、ただいま局に電話をもって照会中でございます。わかり次第御報告申し上げます。
  240. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では私からお教え申し上げます。この基準町村に対して国税局は二石七斗五升三合という決定をしており、統計調査部は二石五斗九升一合で、一反歩当り一斗六升二合の狂いが基準町村の上で出ているわけです。こういうずさんな架空の反収をことさら加算して、それを基準にして適正な課税が行えるかどうかということを常識ある部長はどう思っておるか。
  241. 金子一平

    ○金子説明員 東旭川におきまして、作報の発表した統計と税務署のこれは実は私まだ確認いたしておりませんのでどういう数字かわかりませんが、一石七斗五升と税務署が見ていたといたしますと、おそらく先ほどちょっと私から申し上げましたような台帳面積と実際の反別との差がここに若干反映しておるのではないか、かよう考えます。この点につきましてはさらに十分調査いたして御報告申し上げたい、かように存じます。
  242. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうやり方で一体基準町村というのがうまくいくのですか。一反歩当りの面積というものは先ほど言ったように狂いがない。同じ面積の土地から、東旭川村は平均反収は二石五斗九升一合しかとれていないと農林省調査機関が立証している。ところが税務当局は、そうではなくて、この村は一反歩から二石七斗五升と三合とれるという標準を作っておるわけです。東旭川村というのは北海道に一カ村しかない。土地条件も同じです。その土地の一反歩平均収量が一斗六升も違うような標準を作られて、これで善良なる農民が素直にわかりましたと言って税金を納めることなんかできないですよ。こういうことが現在現地において行われておる。これは重大な問題になると思うのです。大蔵委員会あるいは当委員会等におきまして、国税庁長官あるいは大蔵大臣は、こういうような基準反収に対してなわ延びを理由にした架空な加算が一方的に行われた場合は当然是正しますとはっきり言明しておるわけです。そういうことを国会において言いながら、現地において一番基本になる基準町村においてこのような狂った反収基準を作成して、架空の反当所得の上に立って課税を強行することになれば農業政策の面から見てどういうことになるか。これは農林政務次官にお尋ねします。
  243. 本名武

    本名政府委員 ただいま御指摘のことは事実であるとお話から察することができるわけでありますが、かようなことがあればまさにこれは重大な問題でございます。従いまして、農林省といたしましても十分な検討をいたしますが、ただ、先ほど直税部長のお話を伺っておりますと、何か台帳との違いがあるということですが、この台帳と現物との違いからそのような差ができたということであります。実は私今突然伺ったのですが、これは納得が参りませんので、よく大蔵当局に実情を伺いましてその上で意見を申し上げたいと思いますが、しかし、台帳と現物が違うということ自体これがまた大へんなことになるので、まずここから直していくと同時に、一斗六升なにがしの違いはあるべきではないという考え方をもって今後進んでいきたいと思っております。
  244. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで私は最も極端に近いような例を簡単に二、三申し上げます。これは上川支庁管内の富良野税務署の管轄でございますが、この富良野税務署においては中富良野村というのがあるわけです。この村は上川支庁管内においても非常に泥炭地帯でありますが、土地改良が進んで相当増産の成果は上っておるわけです。ですから統計調査事務所はこの村は平均二石六斗八升九合という認定をしておるわけですね。これに対しまして税務署の方は、今度は二石九斗四升九合ですね、大体三石です。そういうような、とにかく北海道の北辺地帯において、一昨年高碕大臣が北海道へ来て、こういう冷害が連続した不安定な農業地帯において、もう水田を作ることは危険である、むしろこれは国策としてやむべきであるというような、そういうような、そういう判断もしたその地帯において、村平均、二千四百町歩で、二石九斗四升五合の平均反収があるというような、こういう認定を税務署はやっておるわけですね。いいですか。それからもう一つ、これはあまりに差がひどい町村として、南富良野村というのがある。この村は統計調査部は一石八斗九升二合ということになっておりますが、税務署はこれに四斗四升四合を加算して、二石三斗三升六合。ですから一反歩一俵以上違うのですよ。四斗四升。それから山部村というところは統計調査部は二石二斗二升七合でありますが、これに対しましては反当四斗一升を加算して、二石六斗三升七合ということにしてあるわけです。これが上川支庁管内の一つの実例であります。次にこれは米の一番生産の上るところの空知支庁管内でありますが、ここにもそういう極端な事例があるわけであります。これは滝川税務署の管内でありますが、新十津川村というのがありますが、これは統計調査部は二石四斗、それを今度は税務署の方は二石七斗二升三合、こういうような過大な加算を行なっております。三斗二升一合加算しておる。それから四斗台になると、やはり滝川税務署に江部乙村というのがありますが、これは統計調査部では二石三斗九升二合、税務署はこれに四斗七升六合加算しまして二石八斗六升八合、こういう事例が多々あるわけです。一俵ないし二俵あるいは一斗五升というような極端な加算を行なっておる。これが統計調査部の反収よりも税務署の方が正確である、これに応じなければ標準課税方式でなくて、個々に申告しなさい、われわれは三月十五日に締め切って更正決定をしますというような、こういう態度というものは、政治の中において、しかも毎年のように続く災害地帯において、架空な所得の基礎の上に立ったような税を押しつけるということは、これは断じて容認できない事実だと思うのですよ。こういう点に対しましては、実は大蔵大臣の出席が必要なんですが、予算委員会に出ておるのでやむを得ませんが、大蔵政務次官のこれに対する、今後どういうようにこれを善処されるか、このまま強行されるか、これはすなおに是正すべきであるか、いずれの判断を検討の上に持たれるかお尋ねします。
  245. 坊秀男

    ○坊政府委員 その収量を出すということにつきましては、いろいろと慎重を期しておりますけれども、今お示しのような実情につきましては、これは事務当局をしてよく調査、検討させたいと思っております。
  246. 安藤覺

    ○安藤委員 関連して。ただいままでの質疑応答を拝聴いたしておりまして、また今芳賀委員のおあげになりましたような統計事務所の反収と、大蔵省の国税庁においてあげられております反収との開きが、あまりに大きく、同時にその個所があまりに多いことに驚愕するのであります。およそ政治を行う上におきまして、行政を執行いたして参ります上において、あくまでその政府が示し行政府が示すところのものは万人をして納得せしめる科学的な根拠に立たなければならぬと存じます。しからばなぜにこうした開きが出てくるのであろうか。これについてわれわれは統計事務所についてはわれわれの担当しておりまするこの委員会関係上深く理解を持っているものでありまするが、国税庁におかれましては、この統計事務所の統計を重要なる参考としてその反収を見るというお話でございますが、しかりとするならば、国税庁それ自体においていかなる権威ある調査機関をお持ちになっているのか、これを一つ承わりたいと思う。
  247. 金子一平

    ○金子説明員 どういう権威ある調査をやっているかというお話でございますが、先般の委員会で申し上げましたように、私ども現在第一線の税務署におきましては約二千名程度の農業所得の専担員がおります。やはり私どもといたしましては、でき得べくんば農林省の発表されました作報の統計に、乗っかってと言っては語弊があるかもしれませんが、大体同じ線で課税が進められればこれは理想的であります。私ども税務署でこれはどんなに勉強いたしましても、専門の統計をやっていらっしゃる方には及びませんから、でき得べくんばそういうことをいたしたいのでございますが、数年前に発表されました閣議決定の線におきましても、これが指定統計であります関係上尊重はしなければいかぬが、この通りやってはいかぬというよう建前になっております。やはり課税の問題といたしましては、税務署の責任におきまして調査を進めてやるという建前をとらざるを得ない現状でございます。そこで私どもといたしましては、在庫米調査もあるいは坪刈りあるいは粒数調査というような方法をとりまして、同時にその地方の農業の精通者の意見を十分に伺いまして、反収なりあるいは村全体の収穫量を見ていくというようなことでやっていることを申し上げておきます。
  248. 安藤覺

    ○安藤委員 ただいまの御答弁を全幅的に信頼いたします。必ずあなた方はそうなさっておられるに違いありません。しかしそうなさっておられることはあなた方のみならず、作報におきましても同じような真心と科学的方式において、そうして農民に同情を持ちつつ統計を出しておられる。その結果は、二つの真心と二つの科学的基礎を持ったものがこの大きな開きを出しているということは、私は納得できない。そこで私は申し上げたいのでありますが、税務署は税務署としての立場においてなさなければならぬ、こういうことが建前になっているといたしまするならば、せめてもに税務署は税務署の立場においてなすと同時に、作報もなすであろう、そうしてこれを一つ一つの別別のものにせずに、今度は両者立ち合ってこの調査をする一つの努力を持つことはできませんか。
  249. 金子一平

    ○金子説明員 これは国税庁の直税部長としての個人的な意見でございますけれども、今後の問題といたしましては、私はだんだんとそういう方向に持っていく、あるいは作報の資料に全く依存するというようなことでもいいのじゃないか、これは個人的な意見でございますので御了承いただきたいのでございます。さよう考えます。しかしただいまの段階におきましては、先ほど申し上げましたようなことで行かざるを得ない、かよう考えます。
  250. 安藤覺

    ○安藤委員 ただいまの御答弁も、そういう個人的な御意見であるにかかわらず、あなた方がその方向に向って御努力下さることを私は信頼し、またぜひそうあってほしいと念願いたします。  これからお尋ねすることは、本来総理大臣もしくは大蔵大臣、農林大臣の御出席のもとにおいて私は承わりたいと思うのでありますけれども、今日のところそのことも不可能でありますから、大蔵、農林両政務次官において一つ御考慮おき願いたいと思うのです。  先ほど申し上げました通り、反収において一俵違ったり三斗違ったりというような大きな開きを持たして、これが権威ある国税庁の調べでございますといって出したのでは、これは農民をして政治に対し行政に対して疑いを持たせるばかりであります。国の乱れはそこからきます。この意味におきまして、これはどうしても両者一致せしめられたところの調査機関を設けるなり、これにかわる何らかの方法を講ぜられるなりして、権威ある、ほんとうに農民がここまで手段を尽して調査せられた結果として現われたものであるならやむを得ませんと納得する方向に、この反収調査の機関を持っていかれることを急速に企画化され実現されることを私は特に要望いたしまして、私の関連質問を終ります。
  251. 坊秀男

    ○坊政府委員 安藤委員の御意見ように、国家の農業収量に対する調査が税務署と作報とによって違うというようなことはあるべきことではなかろうと私も考えます。しかし現実の現段階におきましては、それは先ほどから直税部長も申し上げております通り、やはり税務署は税務署としての立場から調べていかなければならないというような状況にあることも御了承願いたいと思います。将来におきましては安藤委員の御意見ように極力甲乙のないよう調査に持っていくべきが当然であろうと思います。
  252. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど安藤委員からも質問がありましたが、国が調査する場合にはその根拠というものがあってやるのですね。たとえば内閣設置法であるとか、農林省設置法であるとか、あるいは大蔵省設置法というような組織法がありますね。そして国の行政機関はその各根拠に基いてその任務があるのです。ですから、調査をやる場合には内閣の統計局もありますし、農林省の統計調査部もあるわけなんですが、これに対抗できる権威のある大蔵省の調査機関というものは一体どこにあるのですか。現在の国の機関の組織の上に立って、これは農林省のが間違っていて大蔵省のが正しいのだといって、一番正確といわれる調査の結果を反駁してそれを是正させるだけの強い根拠のある調査機関というものは、現在大蔵省はどこに持っておるのですか。
  253. 坊秀男

    ○坊政府委員 先ほどからも申し上げております通り、大蔵省は税を公正妥当に徴収するという目的を持ちまして、全国各税務署に、農業所得を把握しかつ徴収するために二千名の署員が活動しておるわけでございまするし、大蔵省といたしましては、この二千名の税務署員というものに——それは人間でありますから個人々々はあるいは批判される点もあるかもしれませんが、機構といたしましてはこの二千名の税務署員に信頼を置いておるわけであります。
  254. 石田宥全

    石田(宥)委員 統計部長に伺いますが、先月の二十七日の本委員会において統計部長は、県段階における数字は確信を持って申し上げることができるというお話でしたが、さっき瀬水参考人が述べたように、新潟県の場合は対前年比で申しますと五%増している。八千町歩ふえているわけですね。そこで、かりに同じだとすれば、面積がふえれば反収は減らなければならないのです。ところが、面積が八千町歩ふえておって、さらに収量がまた非常な増収だという数字が出ている。これは一郡の例でありますけれども、対前年比で反当三斗五升の増収ということになっている。この場合は中頸城郡でありまして、相当大きな郡でありますが、一郡で平均して三斗・五升の増収、しかも面積において今申し上げたようにやはり四%上っている。こういうことがさっき安藤委員指摘されたように、いやしくも農業関係する者、少くとも農業というものを理解する人としては、統計に対してもまた信頼感を持ち得ない一つの重大なる要素だと思うのです。統計というものは大体一つの趨勢値でいろいろ見てこれを判断して、ものの資料にするということが私は常識だと思うのです。ところが、全く常識を逸脱しているこういう事実に対しても、なおこれで自信を持って発表されているかどうか、これが第一点。それから、全県的あるいは全国的なトータルにおいてこれを見る場合は正確度のやや高いものがあり得るかもしれないが、これが一市町村の場合、あるいは個人等になった場合に、これを当てはめるということはとるべき策でないと私は思うのですが、これについては統計の立場で一体どうお考えになりますか。
  255. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 昨年新潟県は非常に作況がよかったわけでございまして、前年よりもかなりいい結果が出ているようでございます。私ども調査も、自信があると申してはあまり言い過ぎるのでございまして、正確な数字を出すように常々努力はいたしておりますが、なお今後も改善をしていく必要がある部分も相当ございます。ただ、先ほど先生から、収穫量が同じな場合は、面積がふえれば反収は減るはずだというお話がございましたが、私どもの方の出し方は、反収と面積と別々に出しまして、それをぶっかけて全体の収穫量を出しておりますので、新潟県におきますように、面積もふえ反収もふえることがあり得るわけであります。この点は御了解願いたいと思うのでございます。  それからなお第二点の御質問でございますが、私ども調査は、御承知のように県段階はやや正確でございますが、郡段階、町村段階、ことに農家個個の収量なり面積なりになりますと、相当精度が落ちるということ御承知の通りでございます。
  256. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで次に部長にお尋ねしますが、統計というものを重要な参考資料にしておる、こういうお話ですが、一体この統計の数字というものをどういうふうに扱っておるか、これを一つ伺います。
  257. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまお話のございました統計の資料をどういうふうに扱っておるかという点でございますが、各基準町村におきまして、先ほども申し上げましたように、在庫米の調査、あるいは坪刈り調査をやりまして出ましたものと、それから農林省で御発表になりました統計とを彼此勘案しまして、同時にまたその地方の精通者の御意見も十分参考にいたしまして、そこにやはり若干なわ延びというようなものも反映する場合もございましょうし、あるいは達観して加算をし、あるいは減算をするというようなことで、最終的な結論が出るのだろうと思います。
  258. 石田宥全

    石田(宥)委員 そうしますと、もう少しはっきり、たとえば面積の場合を申しますと、作報の一つの面積がある。それから市町村民税の税対象の面積がある。農業委員会一つの面積を押えておる。農業共済の対象としての面積もある。こういうふうな面積がほとんど一致しないというのが実情なんですね。その場合に、一体税についてはどういうふうに面積の把握をされるのですか。
  259. 金子一平

    ○金子説明員 今御指摘の面積のとり方でございますが、これは実は各局によって多少違っております。大多数の地方では、共済組合の面積によってみたり、あるいは農業委員会の台帳面積によってみる、かようなことになっておろうかと思います。ただ地方によって多少とり方を違えておるところがあるということを申し加えておきます。
  260. 石田宥全

    石田(宥)委員 さっき川俣委員指摘したように、私は面積にこだわるわけじゃない。問題はやはりかつては石当りの所得でありましたが、今度は反当所得になっておりますから、結局反当の収量が問題なわけです。そこで今一例をあげて面積の点を言ったわけですが、そういうふうにとらえどころがないというわけですね。そこで、地方地方によって違う。これは国税庁としては税務署なり局なりに、反当の把握の仕方は一任してある、こういうことですか。
  261. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまの面積の把握のやり方、あるいは台帳の面積のとり方につきましては、これは局に一任いたしております。
  262. 石田宥全

    石田(宥)委員 局に一任をして、局の方でどういうふうに把握するかということについての一定の方針はないわけですね。
  263. 金子一平

    ○金子説明員 これはたとえば東京国税局なら東京国税局の管内、あるいは関東信越なら関東信越の管内におきまして、同じ局の管内で、あるいは共済の面積によってみたり、あるいは農業委員会の一面によるというようなことはございません。おそらくこれは全部統一的に指導してやっておるはずでございます。ただお話のございましたなわ延び等の見方につきましては、これは平坦部あるいは山間部それぞれの地方によって、相当違っておりますので、郡段階で農林省が御発表になりましたなお延びのパーセンテージというものをそのまま個々の市町村にそっくり当てはめるということは申すまでもなく危険でございます。そこでそういったなわ延びを各町村におろして標準率を組みます場合におきましては、もちろんこれは直接には面積に反映するのでございませんで、反当りの収穫量に反映するわけであります。この場合におきましては、相当慎重に——まあ大体各納税者のすべてについて標準率を適用しても無理がない、危険がないというような確信を持てる程度しかおそらくなわ延びを見てないと思います。私どもの方といたしましても、全国画一的にどういうふうにしてどういうパーセンテージをかけてやれというような指導はできませんので、地方々々の実情に即しました無理のない円滑、適正な課税ができますように指導してやっておるわけであります。
  264. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間がおそいようですから……。面積は問題ですが、一体反収の場合に作報の数字を参考に取り入れられておるようでありますが、反収の場合に作報の数字というものはどう取り入れておるか。
  265. 金子一平

    ○金子説明員 申すまでもなく、こちらの方は各農家につきまして在庫米の調査なり何なりによりまして出てきました数字と、各町村につきまして農林省の方から御発表になりました反当りの収穫量というものを比較いたしまして、あわせて地方の精通者の意見を伺って、まあ大体ここら辺かということできめております。
  266. 石田宥全

    石田(宥)委員 ここに一つ問題があるのです。さっきから面積についても、収量についても農家側の意見を十分尊重し、取り入れて最終決定をするとこうおっしゃった。ところが参考人は二人とも、ほとんど農民側の代表の意見を聞いてくれない、全然聞いておらない、精通者の意見は全然取り入れておらないということをちゃんと口をそろえて言っておる、これが問題なんですよ。
  267. 金子一平

    ○金子説明員 先ほど申しましたようなことで、税務署で一応開示すべき案をきめます。そのあとの段階におきまして局が各署のバランスをとりまして、それじゃ大体これくらいでよかろうかという内定をいたしましたものを各県ごとに農業団体の方々に開示をして、それから数字的な説明をするわけでございます。各県ごとの話し合いが一応済んだあとで、今度は郡の段階あるいは町村の段階に移す、かような指導をやっておるわけでございますが、先ほどの参考人の公述ではその点が遺憾ながら十分局の方で数字的な説明をなし得なかった。かようなことじゃないかと思います。その点につきまして私どもも極力関係の団体の方々の御意見を承わり、またこっちからも議論すべき点は十分に論議を尽して、全国的と申しますか、同じ国税局の管内の各県あるいは各市町村のバランスのとれたもので標準率を作りたい、かよう考えて仕事は進めておる、またしかく努力いたしておる次第であります。
  268. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは一番問題なんですよ。かつては昭和二十九年度の農業所得税の賦課については農民団体、農業団体並びに市町村長等の意見を十分入れて、納得の上にやるべき方針であるにもかかわらず、それをやらなかったということで、全国的に再調査の手配をしたことがあるのです。ところが、私どもはその方針が変ったのではあるまいかと実は危惧の念を持っておった。しかるに先般二十八日の本委員会における国税庁長官の答弁も、本日の金子部長の答弁も、これはやはりその方針が変っておらないということを再確認をしたわけです。しかるに現実においては至るところにおいて、市町村段階においても郡段階においても、県段階においてすら一方的な数字を示して、農民側の意見を全く取り入れておらない。こういう事実、これは想像でも推理でもなんでもない。その事実が二人の参考人によって明らかになった。参考人の諸君にも、この点をさらに念を押したいのであるが、北海道全体において、あるいは新潟県全体において、市町村長並びに農業団体の代表との間に十分討議を尽し意見の一致を見て、そうしてその最終決定の段階に入っておるような郡なり町村なりがあるかどうか、重ねて二人にお聞きしたい。
  269. 塩尻五郎

    ○塩尻参考人 不幸にいたしまして、私はまだ北海道の道内の税務署なり局で満足して妥結したところを聞いておりません。ただ聞きますことは、何とか一日も早く多少なりともわれわれの納得する線を組み入れてもらいたいという声のみ聞くわけであります。
  270. 瀬水淳英

    ○瀬水参考人 新潟県におきましては、先ほど申し上げましたように、十一月及び十二月、関信越国税局の幹部諸公に来新を願いまして、準備的な会談を持ちました。その後、各新潟県農業会議を中心といたしまして、各郡の代表者等により幾たびかの会合を持ち、そして情勢検討の結果、それぞれの税務署において早く標準を作り相談をして、そうしてわれわれの納得のいく標準を示してほしいということで、しばしば申し入れ、折衝等をいたしておりましたけれども、その結果は、ただいまのお言葉ではありましたけれども、二月の六日に各税務署ごとに団体の代表を招臨されまして、かように標準が決定されたからということで御開示に相なっただけでございまして、御開示になる前にこのような標準を発表したいと思うが諸君の意見はどうであるかという御意見の聴取はいたされておりません。しかも現在これに不満でございますので、いろいろな方法によりまして折衝し、特に二月十一日には大挙上京いたしましていろいろ局並びに庁の御意見、御指示を得ましたので、これをさらに新潟県に持ち帰りまして県下全税務署長諸君とわれわれが一堂に会しまして、統一ある見解のもにお互いに理解を深めつつ基本的な県段階のお話し合いをした方が非常にスムーズにいくではないかということで、新潟におけるある程度の連絡の役目をお持ちになる新潟税務署長及び関東信越の駐在員にお願いをいたしたのでありますが、すこぶる業務多端である、けれども時日が非常に切迫しておるというようなことでお断わりがございまして、従って新潟県農業会議の存じまする限りにおいては、県段階における税務署側との折衝というものがなされておらないのでございまして、しかも各税務署段階におきましては、それぞれの形において折衝が行われておりますけれども、現在私どもの知り得ておりまする情報といたしましては、公式に妥結をいたしたという税務署と農業団体は一つもございません。しかるところ、お急ぎとのことでございまして、十五日にそれぞれ説明会ないしは指導会等を開始されておりまするのが実情でございます。
  271. 石田宥全

    石田(宥)委員 事情はわかりましたが、二十七日の本委員会における決議は、政務次官は御存じないということでありますが、この点は部長にお伺いいたしますが、当日当委員会における質疑は午前中でございまして、お昼の休みにでも税務署側が発表しておる基準町村の標準はこれは妥当性がないように思う、これを直ちに各町村にまでおろしてしまうと混乱を大きくするおそれがあるから、すみやかに昼食休憩中にでも手配をせられたい、こういうことを申し上げたわけであります。そしてその夕刻この決議がなされ、その決議については委員長からさっそく国税庁長官に対してこの決議の趣旨を体して、善処すべき旨の申し入れがあったという報告を承わっておるわけでありますが、この昼食休憩中の電話等による手配と、それから委員会の決議に対する対策と、この二つに分けて一つ具体的に承わりたい。
  272. 金子一平

    ○金子説明員 ただいまお話の局なり各税務署に対する手配は、時間ははっきり覚えておりませんけれども、直ちに関東信越国税局の局長並びに直税部長に伝達いたしました。その結果先生からのお話の点は、つまり各署と町村との間に話を進める点を直ちにストップすることにつきましては、一応国税局から各署に伝達されたはずでございます。さらに問題のある各署には局員が派遣されておるやに私は承わっております。  それから第二点の、委員会における決議の取扱いにつきましては、直ちに衆議院の農林水産委員会からかくかくしかじかの決議があったから、課税について十分慎重にしかも円滑適正にやるように各国税局に指示をいたしました。以上でございます
  273. 石田宥全

    石田(宥)委員 関信局に対して電話連絡があったということでありますが、その数日後の三月一日の日に、新潟税務署長は、さよう連絡は受けておらない、こういうことを答えておる。この点ももし疑いがあれば瀬水参考人が承知しておるはずでございます。
  274. 金子一平

    ○金子説明員 新潟の署長の答弁は私は何らかの行き違いがあったんじゃないかと思います。つまり私の方といたしましては、税務署に直接指示することはいたしませんで、局に責任を持たしてやっておりますよう関係で、局からは指示があったけれども、中央からの指示あるいは国税庁から直接の指示はなかった、かようなことで答弁したのではないかと思います。その点は私は関東信越国税局から署に直接連絡がありましたことと確信いたしております。
  275. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま質疑応答を政務次官がお聞きですが、国税庁としての基本方針である農民団体代表との間の協議がほとんど行われておらない。一方的に作られた数字を一方的に示して強行しようとする態度が明らかなんです。基本的な方針をわきまえないところの今日まで進行したものはこれは当然白紙に返して、最初から踏み出し直さなければならぬ、こう思うのですが、どうですか。
  276. 坊秀男

    ○坊政府委員 ただいまの御質問でございますが、今日お二方の参考人の方が見えまして、そしてまた徴税当局と納税者の間において話がなかなか行き悩んでおるということは私も非常に遺憾に存じております。しかしながら確定申告もすでに目睫に迫っておる今日でございますが、これを全国的に見ますならば、相当話し合いがつきまして、もうこうやって行き悩んでおるというような個所はきわめて少いように相なってきている次第でございます。こういう事態が起っております地域につきましては、さらに一段とよく話し合いをいたしまして、解決をしていきたい、かよう考えておるのであります。
  277. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは基本的な方針を誤まって今日に至っておるのだから、白紙に返すのが私は当然だと思うのです。今日問題になって国税局なり国税庁なりにまで出かけてくるということは、あなた方どうお考えになるかわからないけれども農民諸君が北海道から出かけてくる、新潟から出かけてくる、これはなまやさしい仕事じゃないのです。北海道ではあの凶作のあとを受けて、もう経済的に非常に困窮している中をわざわざ中央まで出かけてきている。新潟でもその通りですよ。そこで、今残っておる部分が少いのではないか、こういうことであるけれども、私はこれはよく実態を調査したならば、おそらく全国的に同様な事態ではないかと考える。よしかりに百歩を譲って、いかにも強引に押しつけられて涙をのんで承知したといっても、承知したものは承知したとして、今日まだ妥結に至らないところの部分については、当然白紙に戻して、基本方針に沿うところの手続を経べきものであると思うがどうですか。
  278. 坊秀男

    ○坊政府委員 今度の徴税につきましていろいろ不満の点のある地域もまだ相当残っておるであろうということは、今日参考人の方が見えてるるお話を承わったのですから、私も考えます。だからそういうような地域におきましては、さらによくご意見を承わらしていただいて、そして善処していきたい、全部これを白紙に戻してしまうという御意見でございますけれども、十分御意見を承わって妥結をしていきたい、かよう考えます。
  279. 石田宥全

    石田(宥)委員 白紙に戻すといっても戻し方があるわけですね。一応署の原案というものは提示されておるから、それは原案として、これから団体代表との間に、団体の方の数字等も出し合っていくという道も一つあるし、それから根本的に数字の把握の仕方についてまでさかのぼるという問題もあるわけです。そこで前段の税務署で一応示した数字を基礎にするのは今までの経過から見て当を得ないとすれば、やはり税務署の今まで示した数字を破棄して、その数字を積み上げるところの話し合いというものが根本的になければならぬ。たとえば基準町村をきめるのも税務署が一方的にきめておる。これはさっき私は一つの材料として質問をしたのですが。そこでいろいろ統計の数字もあるし、市町村の住民税対象の面積もあるし、農業委員会もあるしあるいは農業共済のものも面積で言えばある。あるいは反収にしてもやや似たものがあるわけです。その反収を押えるのに税務署では実額調査というものをやるとこう言うのですね。その実額調査をやる個々の農家の対象にどこをとるかということが根本の問題なのですよ。そこでその根本を誤まって、誤まれる計数の上に立って積み上げた数字は破棄すべきだ、こう思うのですが、どうですか。
  280. 坊秀男

    ○坊政府委員 税務署の開示した数字が全然間違っておるという御意見でございますが、これは全然間違っておるということではなくして、作報の資料というものも尊重いたしまして、そして作ったものでございますから、これは全然間違っておるから破棄してしまえということは、大蔵省なり国税庁といたしましては、これを破棄するということでなしに、やはり一応これを認めていただいて、今後話し合いを十分やっていくということによって妥結していきたい、かよう考えております。
  281. 石田宥全

    石田(宥)委員 統計の数字を参考にするということが何か非常に正しいように次官考えておられるようだけれども、実はその統計の数字を参考にするその参考の仕方が問題なのです。というのは、たとえばこういうことをやっておるのですよ。さっき部長は、坪刈りなり粒数調査なり在庫調べなりいろいろやっておる、こう言っておるのです。ところが実際の計算をやってみると、三十一年の生産額に対して統計の作況指数をかけて、それに供出以外の、率直に言えばいわゆるやみ流しの米というようなものをプラス・アルファして、そうして実際の反収をはじき出すようなことをやっておる。正確な数字、信憑性のある数字が基礎にあって、そうしていろいろなものを参考にするというならよいけれども、つかみどころのない数字をいい加減に持ってきて、それに作報の作況指数などというものをかけて、そうしてあいまいな数字を出しておるのです。一体自信のある数字はどこからどうやって出すのですか。わかりますか。実額調査というなら、農民の納得する農家を対象農家として、農民の納得できるような坪刈りなり粒数計算なりをやっておればよい。ところがしろうとの税務署の役人が粒数調査だとか、坪刈りだとか、一体何がわかるのですか。そういうことをやって、そうしてできたものは、ちょっとどうも危いから、自信がないから、そこで統計の作況指数などというパーセンテージを持ってきて、ぶっかぶせて、これでもまた足らないだろうから、農家はやみ売りをしておるだろうから、そのやみ売りを何%入れるか、こういう修正をやっておるのが実情じゃないですか。そういうものがどうして原案にしてやれますか。われわれはだからそれを信用できない。
  282. 坊秀男

    ○坊政府委員 御質問内容が、非常に数字を積み重ねていった、技術的な点に触れておりますので、事務当局から御答弁させます。
  283. 金子一平

    ○金子説明員 お答えいたします。先ほど基準町村を農民相談してやらないのはおかしいじゃないかという指摘がありましたが、基準町村はやはり調査一つのやり方といたしまして、これは署の方においてきめております。できるだけ農民の方々とも御連絡をすべき筋合いのものかもしれませんけれども、実際問題といたしまして、農村の関係の方も非常に忙しい場合も多うございます。一々話し合いでそれをきめるとか、あるいは立ち会っていただくということも、場合によってはできない場合も多い関係上、署の独自の立場におきまして大体決定いたしております。しかしその選び方といたしましては、やはり特殊、異例なところを選ぶのでなくて、中庸を得た町村を選定の対象にする、かようなやり方でやっておるわけであります。それからまた実際の坪刈りにおきましても、また経費の調査のやり方にいたしましても、やはり相当の件数のものを選びまして、しかも比較的収支の明らかになった——生産費の計算等はなかなか技術的な問題もありますので、十分説明のできるような、あるいはある程度資料のそろったと思われるような方を対象にして選んでおる。かような実情でございますので、私は必ずしも税務署がでたらめな調査をやっておるというふうには毛頭考えておりません。ただその場合におきまして、やはり先ほど御指摘のございました作報の作況指数と申しますか、そういう外の資料も使いまして、出ました数字をなるべく客観的な、正確度の高いものにしたい、かようなことで作況の指数なり、あるいは作報の発表されました統計を利用しておることは事実でございますが、先ほども申し上げましたように、人員その他の点で必ずしも——必ずしもというよりは、全面的に税務署の出した数字が正しいというようなことは決して申し上げませんけれども、しかし今日の与えられました条件におきましては私は相当やはり精度の高いものが出ておるのではないかと思います。それから数の中にはやはり見当違いなものが若干あるかもしれません。そういうものにつきましては、十分関係団体の方と話し合って直していくべきである、かよう考えておる次第であります。
  284. 川俣清音

    川俣委員 関連して。今せっかく原主税局長が見えたので、あなたの責任だと思うから話しておきますが、秋田の例です。坪刈りをやった。上中下やった、上は何反歩くらいに相当する面積か。中は何反歩くらいに相当する面積か、下は何反歩くらいに相当する面積か。加重平均してどうなったかと聞くと、それは調べておりません。坪刈りはやりましたけれども、上は何反歩に当るかわかりません。中は何反歩に当るか、それはとうてい人員等が不足で調べておりません。ただ平均してみればこうなりますという。そんな統計上の無知に基くようなものが信頼する基礎になりますか。あなたはそういうことを今まで指示されたのですか。この点だけ聞いておきます。
  285. 原純夫

    ○原(純)政府委員 私は税の執行の方は今やっておりませんから、聞かれましても第三者になりますけれども、同じ税の仕事でありますから、多分こうであろうというところを申し上げます。  上中下という段階をとるということは、要するにその地域なら地域のことについての把握をなるべく正確にやろうという趣旨でやるわけですから、そのところどころによって上と中と下の面積なり何なりというものはそれぞれ違って参ると思います。それが大体その地域の作柄を把握するのに適当な程度に選んでおるかどうかということが問題であろうと思いますが、この作業は長年の歴史もございます、御専門の方から見たら、いろいろ問題もあるかと思いますけれども、私どもとしては相当努めてやっておるという意味で、決してこれが落第だというふうには私は思っておりません。いろいろまた御指摘があり、改めるべき点があったならば、改めなければいかぬと思いますけれども、一生懸命合理的にやろうというつもりでやっておるわけでありますから、これは全体がいかぬというお話でなくて、どこが悪いと、悪いならば悪い点を御指摘いただきまして、それはわれわれも十分検討して改めるというふうに参りたいと思います。
  286. 川俣清音

    川俣委員 それは原さん非常に重大な発言です。どれが上か中か下かということが、第三者から見て適当であるか不適当であるかということは、上の部類が何反歩くらいある、中の部類が何反歩くらいある、下は何反歩くらいに相当するか、そこで加重平均されて初めて平均というものが出てくるのですよ。これは統計の常識じゃないですか。少くとも課税をするというからには、こういう基礎がなければならぬはずじゃないですか。でたらめに課税するなんてことは慎しまなければならぬ。国会が設けられたのは出たらめな税金を取ってはいかぬというところから、国会の発生があるのです。少くとも徴税の任に当っておる者が、いい加減な統計をもって課税の基礎にする、これは慎しまなければならぬ。  そこで部長に聞くけれども、どのくらい米が残っておるか調べたというのですね。標準町村四百八十何戸の中で三軒調べた。四百八十何軒の中で三軒調べて、余剰米が幾らあったというようなことを調べて出したなんて、それは参考にはなるかもしれないが、調査なんていうことはいえますか。三軒ですよ。坪刈りをやった、六個所やった。六個所の名前を知らせろといったら、二軒は知らせられないという。なぜかと思ったらどうも四個所だけほんとうにとって、二個所だけとっておらなかったらしい。名前は知らせられない。しかも一軒は無断でやったというので、窃盗の告訴を起されている。窃盗を起したようなことで何で科学的な調査なんです。人の物を坪刈りするのに所有者の許可も得ないでとってきて、それが調査資料なんて警察みたいだ。しかもさらに調べてみると、坪刈りをしたのは一反歩に対し何株くらい生えたところかと聞くと、それはわからない。一反歩に一体何株植えたかわからないところを坪刈りして、それが正確だというのはどこから出てくるのです。あとから調べたら一坪ではない。一坪一合何勺の面積だ。なわをまるく張って一坪だという、それはなわの範囲内は一坪かもしれないが、一体六十八株あるのか、七十四株あるのかわからないで、そこで坪刈りをしたような坪刈りの調査がありますか。少くともこの一反歩には何株くらい生えておるのだということがわかって、それでこれは適正な株を握ったか握らぬか、それで初めて坪刈りするならば別です。しかも坪刈りと畝刈りと反刈りにおいては、学問上において誤差があることは明らかなんです。日本一を決定する場合でも坪刈りについての誤差というものは見ておるのです。この誤差も何も見ないで、しかも普通の農家で収納する場合と、坪刈りでやった場合と、少数でやる場合とでは誤差が出てくるのは当りまえのことなんです。その誤差を見ることが大切なんです。私は無理にそんなことをやれとは言わない。結局あなた方が調査した、調査したというけれども、みなうその調査なんです。あるいは参考にはなる。それは要は、最後のところは石田君が述べたように、人の資料をとってきて、目分量でこのぐらいならば適当であろう、それであとは一つ話し合いで減らそうか減らすまいか、これなんです。二千人というけれども、二千人の日当と行動を見てごらんなさい。そんな十分でございますなんという資料が出るような日当と旅費と人を使っておりませんですよ。正確なものを出しましたというからには、その行動に裏づけがなければならぬ。裏づけの旅費も与えない、超勤手当も与えないでおいて、資料は十分でございましたなんということが言えますか。それだけの厳重な資料、対抗できる資料を持つからには、やはりそれだけの旅費なりあるいは坪刈りしたならば弁償なりあるいは立ち会いを求めるなり、それらのことをして初めてこれならば第三者に対抗できる資料だということができるのです。ごそごそどろぼうして持ってきたような資料をもって、これで私の方が正確でございますということが言えますか。それでもまだあなたは正確だと言うのですか。その点はっきりして下さい。
  287. 金子一平

    ○金子説明員 ただいま川俣先生から御指摘がございましたような、三戸しか調べていない、しかも所有者に無断で持っていったじゃないかというような御指摘も、もし事実だとすればまことにこれは申しわけない例だと思います。私どもの指導のやり方といたしまして、現実に局の方で署を指導しております場合には、これはやはり十戸あるいは二十戸、各基準地の調査についてできるだけ多くの件数をやるように指導しておる。今御指摘のございましたような人の問題その他の関係で、現実の問題といたしましてあるいは十分手が回らなかったところもあろうかと思うのでございます。しかし大多数のものにつきましては、私は局においても特にむずかしいところにつきましては、十分とはいかぬと思いますが、相当件数を調べておるというよう考えます。かようなわずかに一戸あるいは三戸というようなところは、これはごくまれな例じゃないかと思うのでありますが、それにしても今後こういったことのないように十分注意いたしたい、かよう考えます。ただ三戸という場合においても、私はやはりそれだけできめておるのではなくて、ほかのいろいろな資料をにらみ合せて総合勘案して結論を出しておるというのが普通の場合かと考えます。今後こういった点につきましては十分注意いたしたいと思います。
  288. 大野市郎

    ○大野(市)委員 関連して。いろいろ技術的な問題がありますが、私は政務次官に一つ率直にお聞き取り願いたい、また御決意を願いたいのですが、今お聞きのような状況で、この問題は毎年のことでありまして、しかも問題はせんじ詰めたところ坪刈り自信の問題から発展している。それでなわ延びがくっついちゃったので、ずいぶん一俵も多いようなものが出ておるわけです。あなたは先ほども、これは常識的な線で当然であろうと思いますけれども、われわれ担当委員が申し上げますことをすなおに聞いて下さって、そういうのが筋であろうということを先ほどおっしゃった。ところが事務当局としては一生懸命つっつきまして、事務当局の意見を固執いたしておられるのであります。これじゃ何時間やっても、夜通しかかると思います。いかがでございましょうか。夜通しでも何でもけっこうですけれども、あなたの御決意でこれはまだ進展できる。その方法はつまり昭和三十年、ただいまの原君がおられるごろからいわゆる県なら県単位の上層機関で、農業会議所と相談をして一つの基準線が出たならば、あとは非常にスムーズにいっておるのです。それがいかないからこの問題が出ていますので、農業会議所単位の話し合いで一向らちのあいていないところは振り出しに戻ってらちをあけていただく、こういうことをあなたが御表明なさって下さればよろしい。確定申告は三月十五日だから、日がないからどうしようもないというのは私はけしからぬ話だと思う。これは二年前のときも五月三十一日まで延ばされた。そういうトラブルから起きた便法もあったのです。ですから三月十五日が確定申告だから、私は良心的には疑問だがやらざるを得ないということは、よもや政務次官はお考えにならぬと思う。ごく妥協した結着としまして、納得納税の基本で農業会議所と話し合いをさせる。振り出しに戻って、基本的などの問題を取り上げるかということはいろいろ意見が出ると思いますから、その点を含みにしていただいて、振り出しへそこから戻っていただく、県農業会議所の折衝に戻していただくという基本線をあなたはおっしゃっていただけませんか。
  289. 坊秀男

    ○坊政府委員 全国的に見まして、今の大野委員のおっしゃられたように、県農業会議所段階で解決したところもすでにあるわけでございます。しかしこの問題を生じておるというような地域につきましては、これは税務署ごとに解決をしていきたい、こういうことでございます。さらにまた三月十五日の確定申告日というものでございますが、これは原則といたしましてはどうしても期限までには納税をお願い申したいのですが、個々の場合につきまして、どうしても解決がつかないような場合には、若干の弾力性を持たしていくのは、去年もそういうことをやったのでございますが、そういうふうに持っていきたいと思っております。
  290. 大野市郎

    ○大野(市)委員 これは率直に申し上げまして、納得さえいけば、多少不満でも今まで納税をしてくれておった農民諸君なんです。それがその形をくずされたので、いろいろな根本的な問題までほじくり出して議論が出てくるのです。日が迫っておるというのでありますならばなおさら、個々のというのが対税務署との個人という関係ではとうてい納得できぬ。これはどうしても問題の起きている県単位で話のつかないところは、あなたの御決心でこの席上でその気持をはっきりされれば、この問題はお互いもっとスムーズに進むのではないかと思われますので、あなたの御決意をもう一回促します。
  291. 坊秀男

    ○坊政府委員 私が先ほど申しましたのは、基本的には個々の税務署ごとにやっていただきたい、しかしながら郡単位とかいうようなところで解決がつくといったようなものは、これは市町村とかそこでやっていただく、ただ全体的に県段階に戻せということにつきましては、ここでそういうところまでいくということはどうしても申し上げかねます。
  292. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどから政務次官いろいろ御答弁になっていますが、問題に対してあなたは最初答弁するのは非常にすなおな正しい答弁をされるのですよ。そのあとでだんだんあなたの答弁が一貫性を欠いて狂ってくるのです。これは後刻議事録をお読みになればはっきりわかるのですが、あなたもいやしくも政務次官でしょう。政務を担当しているのですよ。そばについておる諸君は、行政機関の職員ではあるけれども政府を代表して責任のある答弁ができる資格で来ておるのではない。補助員とか説明員ということで今日は来られておるわけで、本来からいうと国税庁長官が来て当然答弁の衝に当るのですが、病気で出席できないので、それ以上責任を持っておられるところのあなたに来てもらっておるわけです。ですから先ほど来の参考人の陳述並びに問題点等から農業所得税の本年の課税に対する実相というものは全国的に、また地方においてどうなっておるか、これはいろいろな問題点があるなということは、およそおわかりだと思うのですよ。ですから、不合理な基礎の上に立って作成された標準の開示されたという場合においては、やはり良心的にもう一度当局としても検討して、これは不合理があるから是正しなければならぬというふうに認められた場合においては、率直にこれは是正するのが当然であると思うのです。その場合も現地において協議がととのわなくてなかなか問題が進行しないという事態もありましょうし、一方においては、ずいぶん無理はあるけれども、その地方において泣きの涙でやむを得ずあきらめてこれに応ずる地域もこれは当然あるのですよ。そういう弱い最初から正当の主張のできないような地域の不当な課税とか、標準の根拠等についても、この機会にあわせて当局として調査なさって、この面にも不合理があるという場合においては、当然進んで是正さるべきであると思いますが、いかがですか。
  293. 坊秀男

    ○坊政府委員 おっしゃられるように、きょう参考人の方々とか、あるいは各委員の方々の御意見を承わりまして、全国をながめてみまして、まだ徴税当局と納税者との間において話がまとまっていないところがあるということは私も十分承知をいたしました。さようなところにつきましては、今後十分よく話し合いをいたしまして、御納得のいく納税をしていただくように善処していきたいと思っております。
  294. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでけっこうなんですが、不合理が現在あるいは今後において発見されて、それを是正するという場合には、相当の時間がかかるのですよ。委員会が要求した単純な資料さえも一週間かかっても出せぬような事態の中において、相当厳密にこれを検討して是正するという場合においては、確定申告の期日の三月十五日にはあともう一週間しかないでしょう。ですから政府の失態と、信頼のおけないようなそういう根拠から派生して是正しなければならぬ事態については、これは当局の責任において是正すべきであって、その期間は、期限とか何とか言わずに延期するのが当然なんです。農民に迷惑をかけておいて、十五日になれば何でもかんでもやらなければいかぬということは、これは政務次官の発言と全く内容が異なっているわけです。是正するだけの時間的な余裕というものは当然かかるのだから、従ってその対象になる地域については確定申告の期日を当然将来に延長されるということは必然なんです。政府の責任において当然やらなければならぬと思う。いかがですか。
  295. 坊秀男

    ○坊政府委員 基本的には、これはもう法律できめられておりますように、どうしたって確定申告の期限は三月十五日ということに相なっておるのでありますから、私はここでそれを延ばしていいというようなことは申し上げかねます。しかし個々の場合におきまして、なおかつ問題のしこりが残っておるというような場合には、私は去年もそういう例があったかと思いますが、若干の日延べというようなことも考えられるべきことだと考えております。
  296. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合政務次官の個々と言われるのは、納税対象者、当然確定申告をしなければならない義務を有する農民個々じゃないのでしょう。あるいは全国のその問題のある地域の国税局とか、あるいはその国税局の管内における問題のある税務署とか、それをあなたは個々というのでしょう。まさか農民一人心々に問題があって、一人々々考えるという場合には、これは三月十五日までに申告をさして、標準課税に異議のある場合には個人申告をやりなさい、あなた方に対しては個々別々に検討を下して、そうして更正決定をやりますという、その個々ではないと思いますが、いかがですか。
  297. 坊秀男

    ○坊政府委員 私の個々と申しましたのは、たとえば問題の残っておる市町村というようなことを申し上げたのでありまして、甲、乙、丙、個々別々の納税者、こういうようなことを申したのではありません。そういうようなところは例外的に若干の日延べをしてもこれはやむを得ないということを考えておるわけであります。
  298. 芳賀貢

    ○芳賀委員 個人でないということはわかった。しかし町村個々ということなんですか、この段階からいって基準町村を選定して厳密な経費率等を算定するということは——これは国税局の範囲内において基準町村は平垣地あるいは山間地、中庸地帯、畑地帯とか——ですから、問題は局全体に関係を持っておるわけです。その局において策定した基準なるものに問題があったということになると、これは問題を指摘する町村だけということにはならないわけなんです。そうなると、やはりその個々というのは、結局国全体の中における地方の局あるいは局管内の少くとも税務署単位というところまで個々の解釈というものを持っていかなければ、これは正常なる問題の処理にはならないと思うのですよ。全く不合理の中において、単なる小さな一町村だけが問題があるということを指摘した場合に、その町村のみを取り上げる。そうすると、もう国のやることは最善を尽してやってくれておるのだと過信して、その間違いを指摘できなかった町村に対しては不公平になる。まさかあとで税金を返すということはなかなかおやりになりませんと思いますが、この点は最初から問題のある地域の局あるいは税務署管内においてはもう一度その不合理というものを検討して、先ほどから繰り返して言われますように、農業に精通しておられる人たちの、権威者の意見を常に尊重しておるということでありますが、きょうの参考人の陳述からいうと、尊重しておらぬということになる。これは政府としても全く遺憾のきわみであると思いますので、今後検討に際しては精通者の、それもやはり個々ではないと思います。その地域の農民を代表する機関、あるいはその地域の農業諸問題に対して精通するところの権威を持ったそういう機関の代表というものの意見は、当然尊重されなければならぬということが前提になるのであるとするならば、ぜひ検討についてはそれをおやり願いたい。この点はおやりになりますか。
  299. 坊秀男

    ○坊政府委員 御意見ではございまするが、局単位でもって日延べをするということは、これはなかなか困難だと思います。と申しますのは、先ほどからいろいろ御指摘もございまして、泣き寝入りで承知しているところがあるのだ、こういう御意見でございましたが、局単位から見ますと、全部が全部泣き寝入りでもって了承しておるところばかりだとは私は思いません。国のために、重い税金を納めるのはつらいけれども一つ納めてやろうということで了承、納得を得ておるところもたくさんございまするから、その局単位でもってこれを画一的にやっていこうということは私はできないと考えております。
  300. 芳賀貢

    ○芳賀委員 全部の局じゃないのですよ。問題のある、あるいは生じた地域というものは、少くとも基準町村の設定からいって、これは局が先にやっているのですから、そこから出発しておるのだからして、問題の生じた地域という場合においては、当然その地域にあるところの局あるいは税務署というものは単位になると思うので、ぜひそのようにやられてはどうか、こういうことを言っている。ですから、その地域の局全体に問題がない場合には、これは何もそこまでどうしろというのではないのです。その点は政府次官も言われる通り、全然問題のない局の地域があるとすれば、これは何もそこに波乱を起せと言うのではない。問題のある地域の局あるいはその局管内の税務署等については、これは当然再検討の必要がある。そこを明らかに区分してお答え願いたいのです。
  301. 坊秀男

    ○坊政府委員 ただいま御指摘の札幌国税局の管内におきましても、すでに解決を見た地域もたくさんございます。というようなことから考えまして、局単位でもって、やっていけということは、これはちょっと考慮いたしかねることを御了承願いたいと思います。
  302. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今政務次官は何を根拠に言われたのですか。先ほどの金子部長の答弁によると、北海道においては、各町村において、税務署の方でもまだ正式な最終的な会議が行われるところまでいっておらないので、税務署としての資料を出すことができないということを言っているでしょう。それをあなたは、大部分の町村はこれに応じたと言っておられるが、何を根拠にしてそういうことを言われるのか。——課長、黙っていなさい。あんたがつべこべ言うからそういうことになる。部長さえ、ちゃんと後に控えて、まじめに答弁しているのに、あなたは問題を狂わすような……、それじゃ、終ったところがどことどこか、言ってごらんなさい。北海道の町村の中で、どれだけの数の町村が、この標準課税を全面的に了承してもうすでに申告を終り、どの税務署が作業を終えたか。そういうところが大部分あるとすれば、それをここでお述べになったらどうですか。
  303. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 どなたに対する質問ですか。     〔「政務次官だ」「そう答弁したんだから」と呼ぶ者あり〕
  304. 坊秀男

    ○坊政府委員 札幌管内におきまして、大部分とは申しません、たくさんの解決したところがあるということを申し上げたわけでございます。これは速記を見ていただけばわかりますから、事務当局から答弁いたします。
  305. 芳賀貢

    ○芳賀委員 坊さんは政治家ですから、こまごましたことを知っているはずだとは私は言わないのです。しかし政治家としての良識を持って、大蔵行政の政務を担当されているのですから、その良識の上に立った判断が下の事務当局にも行われればそれでいいわけなんです。  私が先ほど事例に出した空知支庁管内と上川支庁管内は、北海道全道の中の約七割の米の生産地帯なんで。この地帯の税務署管内の各町村は、一方村もこれに応じていないのですよ。そうなると北海道においては、少くともその七割の米作地帯の町村がこれにまだ応じていないということなんです。その上北海道は約六十万町歩の畑作地帯を持っていますが、そのうち一番の中心をなすのは十勝支庁管内です。この管内においても、先ほど参考人が言われた豆類の基準価格の問題とか雑穀等の問題があって、この関係町村もまだ全面的に了承しておらぬ。こういう事態の中で、北海道の局管内におきましてなんてあなたが言われても、これは当を得ないのです。もしあなたの言うことがほんとうであるとするならば、あすの日にでも北海道へ出かけられて実情を調査になれば、これは瞭然とするわけなんです。ですから私たちはものを誇大に取り上げて言っておるのではないのです。現地の実情をすなおにわれわれは把握して、そこに政治上の問題点があるので、これの間違った点は是正するのも政治の一つではないかということで私は質問しておるわけです。良識の上に立った答弁を願います。
  306. 坊秀男

    ○坊政府委員 今北海道管内におきまして問題になっておる各町村につきましては、各町村ごとに意見を述べていただき、これと十分相談をいたしまして、そしてだんだん妥結の方向に進めていきたい、こういうことを考えておる次第でございまして、局全体を通じて個々に問題があるから、この局に限って、この局を単位として三月十五日の確定申告の期限を日延べしろという御意見に対しましては、これはどうも私どもといたしましては、承知いたしましたと言うわけには参らない、かように申しておる次第でございます。
  307. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体真意はわかるのですよ。ですから、これは結果論になりますが、今の答弁からいうと、札幌国税局管内のおそらく大部分の町村が、これは了承できませんということになれば、必然的に札幌国税局全管内がやはり検討を要するという事態もまた起きることにもなるのですよ。そうなれば結局私が申し上げた通り、問題のあるその地域の局全体あるいは税務署管内全体を検討しなければならぬことになるので、結果的には今の政務次官の答弁をそのように理解して差しつかえないのですね。
  308. 坊秀男

    ○坊政府委員 結果につきまして、どういうことになるから、お前の言ったことはどうだ、それを了承いたしていいかというお話でございますが、私は今のところその結果というものにつきましては、国税庁あるいは国税局におきまして、個々の市町村に対しましていろいろ御相談を申し上げておるのでございまして、札幌局管内の多くの部分が三月十五日には確定申告できないといったようなことのないように鋭意努力を続けていきたいと考えておるのでございますが、その結果どういうことになるから、これをお前了承しろとおっしゃられても、ちょっとこれを承知いたしましたと申すわけには参りません。
  309. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体政務次官の考えというのはわかっているのですが、税務署あるいは国税局が取り上げて検討するということになれば、必然的に期限が延びるのですよ。延ばしたくないと言ったって、結論が出るまで延びますから、政府の責任において正常な処理が行われるまでは当然期限が延びる。これはあなた、確認することができるでしょう。
  310. 坊秀男

    ○坊政府委員 結果がどうなるであろうからこれを確認しろとおっしゃられましても、これを確認というわけには、私は参らぬと思います。国税庁といたしましても、ただ手をつかねて、じんぜん日を送っておるわけではございません。納税者の方々だとか、あるいは農業代表の方々とこれから折衝を続けまして、できるだけ確定期限までには納税をしていただくという努力を続けておりますのが大蔵当局でございますから、その結果こうなるであろうから、今これを確認しろということをおっしゃられましても、ちょっと了承いたしかねる次第であります。
  311. 石田宥全

    石田(宥)委員 関連して。今の問題ですが、徴税の責任を負っておられる長官が、この間こう答弁しているのです。従来の慣例もあるので三月十五日の確定申告にはこだわりません、こう言っておるわけです。従来の慣例とは、先ほど大野委員指摘されておるように、かつては五月三、十日まで延長したこともある。それから多くはやはり局管内または税務署単位で折衝が続けられますから、税務署単位が大部分ですが、延長されておるのです。だから徴税の責任者である長官の答弁を、次官は認めるのか認めないのか。食い違いがあるとすれば、これは大へんなことですから……。
  312. 坊秀男

    ○坊政府委員 私は徴税の最高責任者である事務当局の長官が、どういうお答えをしたかにつきましては、まだ聞き及んでいないのでございますが、おそらく今の御質問通りだと思います。長官は、おそらくそういったしこりを残しておるところについては、前例もあるから、若干の日延べをしてもいいというふうなことを申し述べたのであろうと思いますが、さような意味におきましては、長官の言われたことは、これはむろん私より以上の専門家でございますから、その通りであろうと思います。
  313. 川俣清音

    川俣委員 農林省の統計調査部の米の実収高発表、これは農林省の発表ではなくして、閣議に報告されて、政府の責任で発表されておるはずです。従いまして、大蔵省の調査が真実であるとするならば、閣議決定に大きな変更を与えなければならないということを、十分承知されての自信のあるものでありますかどうか、この点だけお尋ねしておきます。
  314. 坊秀男

    ○坊政府委員 先ほど安藤委員にお答え申し上げました通り、徴税の方の調査と札幌の調査というものは……。
  315. 川俣清音

    川俣委員 そんなことを聞いているのではない。農林省の統計調査部の発表ではなくして、中央審議会の議を経、閣議決定を見て発表されたものである。すなわち政府の発表でございます。統計調査部の発表ではございません。閣議に報告されて、閣議発表になっておるのでありますから、閣議発表を変更するだけの有力な材料をお持ちだ、こういうふうに了解してよろしいかどうか、こう聞いておるのです。
  316. 坊秀男

    ○坊政府委員 閣議決定の発表と、税務署の徴税の基礎となる調査というものとは、これはやはり軌を一にしていいと思います。
  317. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、自信ある発表だが、閣議決定を変更するだけの自信はないのだ、こう理解してよろしいのですか。閣議決定に大きな変更を与えるだけの十分な資料を持ってのものかどうか、こう聞いているのです。
  318. 坊秀男

    ○坊政府委員 閣議決定の発表の線に沿うて、処理していってけっこうだと思います。
  319. 芳賀貢

    ○芳賀委員 参考人諸君にも夜分まで出席を願って、まことにこれは迷惑をかけると思っているので、これ以上本日質疑を続けるということは困難だと思います。しかしただいままでの質疑を通じて、政府を代表する大蔵政務次官並びに農林政務次官におかれても、この実態がどうなっているということを十分認識されたと思う。特に当委員会が行なった決議に対する尊重の態度も、政務次官を通じてはっきりしましたので、今後問題の処理が、いかよう政府の責任において善意に処理されるかということに対しては、われわれは重大な関心を持っているものであります。ですから、この事態の正常なる解決が行われるということは、今から察知できるわけでありますが、本日指摘された問題点の全面的な結果等に対しては、これは農林委員長を通じて、成規の手続を経て、その報告を当委員会にお出しになるように、これは委員長を通じて要求されたい。これだけを申し上げて私の質問を終ります。
  320. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 ただいまの芳賀君の提案につきましては、委員長においてさように取り計らいます。  二月二十七日の国税庁長官の農業所得及び農業課税の発言につきまして、金子直税部長より発言を求められておりますので、この際これを許します。金子直税部長。
  321. 金子一平

    ○金子説明員 先般の当委員会におきまして、石田先生から、三十一年度の農業課税の課税人員、課税所得、課税額と、三十二年度の予算で見積っております同様の数字との比較を求められたのでありますが、これに対する北島長官の答弁中に、数字の点について若干違っている点がございましたので、訂正をさせていただきたいと存じます。  三十二年度の予算で見積っております課税所得は、三百五十五億と申しましたのは三百五億の間違いでございます。それから課税額が、五十億と申しましたのは三十四億の間違いでございますので、御訂正をいただき、かつ御了承をいただきたいと思います。
  322. 笹山茂太郎

    笹山委員長代理 ただいまの申し出につきましては、委員長においてしかるべく善処いたします。  本日はこれにて散会いたします。参考人諸君におきましては、夜分おそくまで御出席いただきまして御苦労さまでございました。     午後六時五十七分散会