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1958-02-06 第28回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年二月六日(木曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 中村 寅太君    理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 原  捨思君    理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    石坂  繁君       大野 市郎君    川村善八郎君       木村 文男君    小枝 一雄君       椎名  隆君    鈴木 善幸君       綱島 正興君    松浦 東介君       松野 頼三君    阿部 五郎君       赤路 友藏君    伊瀬幸太郎君       石田 宥全君    石山 權作君       稲富 稜人君    久保田 豊君       楯 兼次郎君    日野 吉夫君       山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (振興局長)  永野 正二君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房秘書         課長)     中西 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 昭和三十二年十二月二十三日  委員細田綱吉辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長指名委員に選任された。 昭和三十三年一月十三日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  細田綱吉君が議長指名委員に選任された。 二月一日  委員安藤覺辞任につき、その補欠として足立  篤郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和三十三年一月二十九日  開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六号) 昭和三十二年十二月二十七日  農協役職員年金制度実現に関する請願(稻村隆  一君外二名紹介)(第三五号)  同(相川勝六君外一名紹介)(第三六号)  同(五十嵐吉藏紹介)(第三七号)  同(大島秀一君外一名紹介)(第三八号)  同(植村武一君外三名紹介)(第三九号)  同(内田常雄紹介)(第四〇号)  同(川野芳滿君外二名紹介)(第四一号)  同(清瀬一郎紹介)(第四二号)  同(小坂善太郎紹介)(第四三号)  同(河本敏夫紹介)(第四四号)  同(坂田道太紹介)(第四五号)  同(笹本一雄紹介)(第四六号)  同(周東英雄紹介)(第四七号)  同(鈴木善幸紹介)(第四八号)  同(竹山祐太郎君外三名紹介)(第四九号)  同(田中彰治君外二名紹介)(第五〇号)  同外一件(福田赳夫紹介)(第五一号)  同(藤枝泉介紹介)(第五二号)  同(松山義雄君外二名紹介)(第五三号)  同(福井盛太紹介)(第五四号)  同(灘尾弘吉紹介)(第五五号)  同(中垣國男紹介)(第五六号)  同(渡邊良夫君外三名紹介)(第五七号)  同(松村謙三君外五名紹介)(第五八号)  同(唐澤俊樹紹介)(第五九号)  同(山口好一君外一名紹介)(第六〇号)  消費者米価値上げ反対に関する請願中馬辰猪  君紹介)(第八五号)  甘しよでん粉価格及び買上数量早期決定に関す  る請願中馬辰猪紹介)(第八六号)  機船底びき網魚船違反操業防止に関する請願(  中馬辰猪紹介)(第八七号)  鹿児島県の消費者米価丙地変更に関する請願(  中馬辰猪紹介)(第八八号) 昭和三十三年一月十八日  市町村総合土地改良開発事業実現に関する請願  (和田博雄紹介)(第一二三号)  同(笹山茂太郎紹介)(第三三七号)  農協役職員年金制度実現に関する請願芦田均  君外五名紹介)(第二二八号)  同(池田清志紹介)(第二二九号)  同(伊東隆治紹介)(第二三〇号)  同(生田宏一紹介)(第二三一号)  同(犬養健紹介)(第二三二号)  同(遠藤三郎君外四名紹介)(第二三三号)  同(小笠原三九郎君紹介)(第二三四号)  同(大高康紹介)(第二三五号)  同(大倉三郎紹介)(第二三六号)  同(大石武一紹介)(第二三七号)  同(神田博君外四名紹介)(第二三八号)  同(加藤精三紹介)(第二三九号)  同(上林山榮吉君紹介)(第二四〇号)  同(亀山孝一紹介)(第二四一号)  同外十五件(吉川久衛紹介)(第二四二号)  同(黒金泰美紹介)(第二四三号)  同(栗原俊夫紹介)(第二四四号)  同(小西寅松紹介)(第二四五号)  同(小金義照紹介)(第二四六号)  同(小林かなえ紹介)(第二四七号)  同(小島徹三紹介)(第二四八号)  同(佐竹晴記紹介)(第二四九号)  同(佐々木更三君紹介)(第二五〇号)  同(杉山元治郎紹介)(第二五一号)  同(竹谷源太郎紹介)(第二五二号)  同(田中武夫紹介)(第二五三号)  同(田口長治郎君外三名紹介)(第二五四号)  同(高橋禎一君外二名紹介)(第二五五号)  同(中馬辰猪紹介)(第二五六号)  同(綱島正興君外二名紹介)(第二五七号)  同(床次徳二紹介)(第二五八号)  同(渡海元三郎紹介)(第二五九号)  同外一件(中曽根康弘紹介)(第二六〇号)  同(二階堂進紹介)(第二六一号)  同(長谷川四郎紹介)(第二六二号)  同(原捨思君紹介)(第二六三号)  同(古川丈吉紹介)(第二六四号)  同(保科善四郎紹介)(第二六五号)  同(松田竹千代紹介)(第二六六号)  同(松澤雄藏紹介)(第二六七号)  同(松浦東介紹介)(第二六八号)  同(松永東君外二名紹介)(第二六九号)  同(松原喜之次紹介)(第二七〇号)  同(前田房之助紹介)(第二七一号)  同(森下國雄紹介)(第二七二号)  同(森本靖紹介)(第二七三号)  同(山中貞則紹介)(第二七四号)  同(山本勝市君外二名紹介)(第二七五号)  同(横井太郎君外四名紹介)(第二七六号)  同(早稻田柳右エ門君外三名紹介)(第二七七  号)  同(茜ケ久保重光紹介)(第三四三号)  同(西村榮一紹介)(第三四四号)  同(日野吉夫紹介)(第三四五号)  同(野澤清人紹介)(第三六二号)  同(中山マサ紹介)(第三六三号)  同(橋本登美三郎紹介)(第三六四号)  同(山本粂吉紹介)(第三六五号)  同(八木一郎君外二名紹介)(第三六六号)  繭糸価格安定法に基き玉糸の一般買入実施に関  する請願五十嵐吉藏紹介)(第二七八号)  同外一件(橋本龍伍紹介)(第二七九号)  秋田県下国有林野行政処置に関する請願石山  權作君紹介)(第二八〇号)  中海干拓計画調査早期完結に関する請願(櫻  内義雄紹介)(第二八一号)  乳価安定に関する請願吉川久衛紹介)(第  二八二号)  園芸振興法制定に関する請願吉川久衛君紹  介)(第二八三号)  凍霜害防止対策措置法制定に関する請願吉川  久衛紹介)(第二八四号)  優秀乳用種雄牛設置に関する請願吉川久衛  君紹介)(第二八五号)  機舶底びき網漁船違反操業防止に関する請願(  山中貞則紹介)(第二八六号)  消費者米価値上げ反対に関する請願山中貞則  君紹介)(第二八七号)  甘しよでん粉価格及び買上数量早期決定に関す  る請願山中貞則紹介)(第二八九号) 同月二十七日  農協役職員年金制度実現に関する請願小牧次  生君紹介)(第三八一号)  同(高碕達之助紹介)(第三八二号)  同(西村力弥紹介)(第三九九号)  同(戸叶里子紹介)(第四〇〇号)  同外二件(平野三郎紹介)(第四〇一号)  同(有田喜一紹介)(第四三一号)  同(神田大作紹介)(第四三三号)  同(笹山茂太郎紹介)(第四三四号)  木炭公営検査費国庫補助に関する請願(櫻内  義雄紹介)(第四二八号)  土地改良政策に関する請願田中彰治紹介)  (第四二九号)  漁港整備促進に関する請願田口長治郎君外  一名紹介)(第四三〇号)  国有林野開放に関する請願山下春江紹介)  (第四三一号)  漁港整備事業促進に関する請願山下春江君紹  介)(第四五〇号)  積寒地帯土地改良事業事業費増額等に関する  請願山下春江紹介)(第四五一号)  農業協同組合整備特別措置法による指定期限延  長に関する請願山下春江紹介)(第四五二  号)  中海干拓計画調査早期完結に関する請願(櫻  内義雄紹介)(第四五三号)  木曽国有林権益擁護に関する請願唐澤俊樹  君紹介)(第四五四号)  繭糸価格安定法に基き玉糸の一般買入実施に関  する請願宮澤胤勇紹介)(第四七三号) 同月三十一日  農協役職員年金制度実現に関する請願犬養健  君紹介)(第五〇六号)  同(唐澤俊樹紹介)(第五〇七号)  同(武藤運十郎紹介)(第五四一号)  同(永田亮一紹介)(第六二六号)  たばこ耕作組合共済組合法適用に関する請願  (床次徳二紹介)(第五七一号)  同(池田清志紹介)(第五七二号)  水協組役職員年金制度実現に関する請願遠藤  三郎紹介)(第六一三号)  パン用外国産小麦の政府売渡価格引下げに関す  る請願淺香忠雄紹介)(第六一四号)  同(遠藤三郎紹介)(第六一五号)  同(小枝一雄紹介)(第六一六号)  同(河野金昇紹介)(第六一七号)  同(中村庸一郎紹介)(第六一八号)  同(福田赳夫紹介)(第六一九号)  甘しよ糖業振興に関する請願床次徳二君紹  介)(第六二〇号)  同(池田清志紹介)(第六二一号)  奥地製炭及び木炭公営検査に対する国庫補助に  関する請願床次徳二紹介)(第六二二号)  同(池田清志紹介)(第六二三号)  畑地農業改良促進法期限延長等に関する請願  (床次徳二紹介)(第六二四号)  同(池田清志紹介)(第六二五号)  木曽国有林権益擁護に関する請願吉川久衛  君紹介)(第六二七号) の審査を本委員会に付託された。 昭和三十三年一月十八日  日本中央競馬会所有地返還に関する陳情書  (第六号)  スギノハダニを森林病虫害防除法に基く法定害  虫に指定陳情書  (第三〇号)  結晶ぶどう種工業育成に関する法律制定陳情  書(第三八号)  農業霜害等のため大災常襲地帯振興法制定に  関する陳情書  (第四〇号)  消費者米価引上げ反対に関する陳情書外二十七  件  (第四一号)  同外十六件  (第九五号)  東京神田青果株式会社処置に関する陳情書  (第四二号)  小矢部川の礪波中部用排水改修事業促進に関す  る陳情書  (第五七号)  消費者米価地域差等に関する陳情書  (第九四号)  狩猟法の一部改正に関する陳情書  (第九七号)  農地改革による犠牲者救済に関する陳情書  (第九八号)  木炭県営検査に対する国庫助成に関する陳情  書  (第九九号) 二月一日  昭和三十二年産麦菜種災害対策に関する陳  情書(第一五二  号)  自作農貯蓄組合法制定に関する陳情書  (第一五三号)  食糧管理制度撤廃等に関する陳情書  (第一五五号)  農地改革による犠牲者救済に関する陳情書  (第一五八号)  全国国土緑化大会並びに植樹行事鹿児島県開  催に関する陳情書外一件  (第一五九  号)  農地法の一部改正に関する陳情書  (第一六一号)  同  (第二二四号)  国有農地売払価格引下げに関する陳情書  (第一六二号)  被害農林漁家米麦売渡に関する特例法制定に  関する陳情書  (第一六三号)  民有林造林事業に対する国庫補助率引上げに関  する陳情書(第一六四  号)  林業改良指導員の増員及び国庫補助率引上げに  関する陳情書(第二三  ○号)  新農村建設総合対策立法化に関する陳情書  (第三二二号)  農林事業振興対策に関する陳情書  (第  二二三号)  水源林造成事業県営実施存続に関する陳情書  (第三二五号)  農業委員会法の一部改正に伴う補助金合理化に  関する陳情書  (第二三六号)  船唐津漁港整備計画に関する陳情書  (第二三八号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十三年度農林水産関係主要施策及び予  算に関して説明聴取      ――――◇―――――
  2. 中村寅太

    中村委員長 これより会議を開きます。  自然休会明けの最初の委員会でありますので、この際来年度において政府の行わんとする農林水産関係主要施策について大臣の所見を求めることにいたします。赤城農林大臣
  3. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農林水産行政全般につきまして、私の考えておりますところは、すでに昨年当委員会において申し述べたところでありますが、今後は皆様の御協力を得て、その基本的な考え方を予算案に、法律案に、あるいは行政施策において、着実に具体化して参る考えであります。今国会に提出いたしますこれら予算案及び法律案につきまして、皆様方の御審議をいただくに当り、予算案編成及び法律案制定の基本となりました農林水産行政重点について、その概要を申し述べたいと存じます。  農林水産業につきましては、その生産性向上し、他産業均衡のとれた所得を確保することに努めるとともに、拡大する国民経済に対し十分な食糧と原材料とを供給するため、長期的観点に立って、その生産構造近代化食糧総合的自給力強化することが必要であります。これについて最近農民諸君のたゆまざる努力が政府施策と相待って生産力向上し、外米の輸入は過去の水準に比べここ一両年その輸入量の減少を見て参りました。しかしながら、生産構造近代化食糧総合自給力強化や、またこれらを通じて達成されるべき農林水産業と他産業との均衡のとれた発展は、いずれも一朝一夕にその成果を期し得ないことは申すまでもありませんので、政府といたしましては、これまでの施策充実強化に加えて、新しい発展方向への施策の展開をはかる方針の下に、三十三年度予算編成または所要法律案制定をいたすこととした次第でございます。この結果予算案におきましては農林関係総額約一千八億、これを前年度約八百九十五億と対比いたしますと約百十三億の増加となりますほか、所要財政投融資による資金三百一億を確保することといたした次第でございます。  その施策重点につき概要を申し上げます。  第一に農林水産業生産基盤強化をはかることであります。ます農業につきましては、土地改良事業開拓事業推進をはかり、農業のよって立つ生産基盤強化し、かつ、これを長期的観点から計画的に実施する必要がありますので、三十三年度は、食糧増産対策関係といたしまして、国費で約二百九十三億円と前年に比べ約二十四億円を増加し、さらに特定土地改良特別会計農林漁業金融公庫愛知用水公団及び機械開発公団政府資金を大幅に増額するほか、小団地等土地改良事業助成基金六十五億円の制度を新設し、これらをもって新長期経済計画の初年度として土地改良事業開拓事業計画的実施推進して参る所存であります。  土地改良事業につきましては、特定土地改良工事特別会計による国営事業につき事業量拡大とその計画的推進をはかったのであります。特に八郎潟干拓事業につきましては、本格的に着手することとして事業資金確保事業執行態勢整備等所要措置を講ずることといたしました。  一般会計による国営及び県営基幹的な土地改良事業につきましては、工事完了予定地区部分効果発生率の高い地区、他事業との関連上緊急を要する地区等重点を置き、一般的に前年度を上回る事業費増額をはかり、残事業量の圧縮に努めることといたしております。なお、長期的観点から、計画的に農業生産基盤強化するため、土地改良干拓開拓を通じ、全体設計及び調査計画拡充をはかり、これに備えることにいたしました。  団体営灌漑排水事業及び耕地整備事業につきましては、補助及び非補助のそれぞれの事業を通じ、重点を、基幹工事末端工事早期に完成して、事業効果早期発現をはかること及び積寒、湿田、急傾斜等特殊地帯農業振興計画実施促進並びに畑地改良事業の立ちおくれの是正に置いて適切な運用を期すことといたしましたが、特に明年度からは、補助事業のほか非補助融資事業の伸張に格段の意を用いることとし、事業資金増大と小団地等土地改良事業助成基金の新設による融資利率の低下をはかることといたしました。  愛知用水事業につきましては、本格的な工事態勢が整った事情に即応いたしまして、必要な国費政府資金を計上し本年度九十一億円をもって所期事業量の遂行に努めることといたし、また篠津泥炭地開発事業につきましても、所要事業費確保して所期事業実施を行う所存であります。  次に開拓事業につきましては、開墾建設工事につき継続地区早期完成促進するとともに、事業の進捗を期しているのであります。特に営農不振な既入植地に対しましては、建設工事促進を行うとともに既入植者の旧債の整理営農資金貸付増加等措置を行い、計画的に不振開拓地振興をはかって参りたいと存じます。新規入植地につきましては、従来懸案となっていた機械開墾方式導入増加と、入植者営農類型改訂拡充実施に移し、これに応じて必要な補助金特に政府融資金大幅増額を行い、営農早期安定を期する等開拓方式の刷新を行うことといたしました。また既存農家経営規模拡大して健全農家育成をはかるため、新たに地元増反に対し助成措置を講ずる道を開きました。  また農地開発機械公団事業につきましては、事業拡大をはかり、特に所有機械の効率的な運用を期することといたしました。  防災事業につきましては、災害発生を未然に防止することの重要性にかんがみ防災ため池農地保全干拓堤防等それぞれの計画に基いて事業の増強をはかることとし、特に地すべり対策事業については、新たに特別の法律制定してその対策を進めることといたしました。  なお、農地対策強化をはかるため、三十三年度自作農維持資金を前年度の五割増に大幅増額して、旺盛なその資金需要にこたえることとした次第であります。  次に、漁港につきましては、漁港整備計画に基く修築事業早期完成を期し、前年度に比べ約二割増の所要経費を計上して、整備事業実施するとともに、局部改良事業及び区域内保全施設充実をはかることとしたのであります。なお、三十三年度におきましては、三十七港の完了を予定いたしております。  また国土保全上も特に重要と考えております治山事業につきましては、荒廃林地の復旧、防災林造成水源林造成等に努めることといたし、特に三十三年度におきましては、予防的治山事業拡充し、効果増大を期することといたしますほか、さきに申し述べましたように、特別法制定地すべり地域に対する防止事業強化をはかることといたしました。また増大する木材需要に対応いたしまして、奥地林開発を中心とする林道網整備促進いたしますとともに拡大造林重点とする造林及びせき悪林地改良推進して参る考えでございます。  第二には農林水産業経営改善し、その安定と発展をはかることであります。農業につきましては、食糧総合自給力強化という目標に照らしまして、生産基盤強化と相待って試験研究改良普及事業を初め、各般の施策充実強化することに心がけました。この見地から、食糧生産基幹である水田の生産条件改善に留意したことは申すまでもございません。と同時に従来とかくおくれがちでありました畑作振興につきましては、畑作関係試験研究について、国及び地方を通じ農業試験場の機構の整備拡充をはかるほか、総合的に試験研究推進をはかることとし、さらに特技普及員設置等畑作関係普及事業充実するとともに各種耕種改善施策強化に努めた次第であります。園芸作物につきましても、園芸振興調査会を設ける等その振興はるか措置を講ずることといたしました。また寒冷地帯についてこの家畜機械国有貸付事業を継続するほか、北海道につきましては新たに畑作営農改善資金導入することとして畑作経営地域的特性に応ずる施策強化いたしました。  次に畑作経営の確立にも密接な関係を持っております畜産振興につきましては、家畜改良増殖家畜導入飼料自給度向上畜産技術向上等一貫して施策充実をはかったのでありますが、三十三年度におきましては草地改良事業化種畜牧場整備のほか、特に流通段階改善重点を置いて、牛乳乳製品につき、需要増進価格安定の見地から、新たに酪農振興基金設置し、また飲用乳等学校給食助成を行うほか牛乳乳質改善事業実施することとして施策拡充を期したのであります。  農家経営の安定に欠くことのできぬ役割を果している蚕糸業につきましては繭糸価格安定制度による繭価維持とあわせて、繭品質向上生産費の低減をはかることを目標として、施策充実に努めてきたのでありますが、三十三年度におきましては蚕糸技術指導強化重点を置いて助成措置を講ずることといたしました。なお、蚕糸業振興が販路の拡大流通合理化価格の安定によって左右されるところきわめて大である点に着目いたしまして、米国における消費宣伝事業及び市場調査強化するほか、繭糸価格安定制度充実をはかるため、生糸保管会社に対して政府出資を行うとともに、糸価安定特別会計における証券、借入金等限度額増額して買い入れ資金ワクを五十億とし、その拡充を行うことといたしたのであります。  水産業につきましては、国際漁場確保と未開発漁場開発に努めますとともに、特に沿岸漁業振興重点を置きまして、水産増殖その他の沿岸漁業振興対策事業拡充実施し、また漁場集約的利用の助長、技術改良事業強化漁業共済試験実施拡充及び魚価安定対策推進等を行うことといたしました。なお、水産業現行制度に関する全般的検討を行うことを目的として漁業制度調査会を新設することといたしまして、今後の振興にも万全を期する考えでございます。  また、林業につきましては、森林経営集約化並びに合理化につきまして、従前の諸施策強化いたしますとともに、林業普及事業林木品種改良事業等について事業拡充を行うほか、新たに木炭生産指導強化することとした次第であります。  第三として、農林水産業経営の安定と発展には農林水産物流通改善がきわめて重要であることは申すまでもないことであります。従いまして、すでに申し上げましたごとく、牛乳等畜産物水産物等について、価格安定対策強化する措置を講じたのでありますが、農作物についても価格安定制度の適切な運用をはかるため、食管特別会計に新たに、農産物等安定勘定を設け、イモ類菜種等につき四億五千万円、飼料を含め十億円の予算上の繰り入れを行うこととしたのであります。また、農林水産物輸出振興のため、ミカン、茶等につき所要予算措置を講じた次第でございます。  以上の施策に加え、この際中央卸売市場の業務の改善のため中央卸売市場法の一部を改正し、また、農林中央金庫及び農林漁業金融公庫より農林水産物流通合理化に資する資金を融通する道を開くため、所要法律改正をいたしたいと考えております。  第四に、農山漁村振興対策といたしましては三十三年度におきましても、新農山漁村建設事業を引き続き既定計画に基き推進することとしたほか、海外移住の促進、農村青少年対策等にも一段の努力を払うことといたした次第であります。  また、農林水産業諸団体の活動促進につきましては、農業委員会制度について都道府県農業会議を中心としその活動の充実を期しますとともに、農業協同組合については、事業運営の刷新と自治監査体制の強化をはかるため予算的法的措置を講じ、不振組合につきましては整備強化措置の期限を延ばしてその推進を期することといたしました。申すまでもなく、農林水産施策推進農林水産業諸団体の育成強化に待つところ大でありますので、これら団体職員の身分安定のため法的措置を講ずることとし、農林漁業団体職員共済組合法について成案を得次第御審議をわずらわしたいと考えている次第であります。  食糧管理につきましてはその運営を合理化することとし、このため食糧管理特別会計に三十三年度から部門別に勘定を設けるとともに、三十二年度補正予算において一般会計から資金として百五十億円を繰り入れ、これによって食管会計を健全化することといたしました。  最後に農林関係財政投融資計画について申し上げますと、農林漁業金融公庫のほか開拓者資金融通特別会計、特定土地改良工事特別会計愛知用水公団、農地開発機械公団、森林開発公団等の各事業につき三十三年度における拡充された事業計画に対応して前年度を約百十億円上回る計画といたしたのであります。  以上施策概要を申し述べたのでありますが、各位の一そうの御鞭撻、御協力を今後ともお願いする次第であります。
  4. 中村寅太

    中村委員長 次に、ただいま説明のありました農林水産業主要施策に対する予算措置について説明を求めることにいたします。本名政務次官。
  5. 本名武

    ○本名政府委員 昭和三十三年度農林関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。まず、一般会計における通林関係予算案の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、八百三十億九千七百万円、前年度七百八十九億九千七百万円となっております。これに総理府所管の北海道関係公共事業費八十一億九千万円、前年度七十九億五千万円、離島振興関係経費十二億二千九百万円、前年度九億二千二百万円、及び原子力平和利用等に要する経費一億一千三百万円、前年度一億八百万円、労働省所管の農林関係公共事業費一億五千万円、前年度一億六千百万円、建設省所管の農林関係営繕費六千万円、前年度六千七百万円、大蔵省所管の農林漁業金融公庫団地等土地改良事業助成基金資金六十五億円、前年度○並びに文部省所管の麦製品学校給食費十四億八千万円、前年度十三億円を加えました農林関係予算合計は千八億二千万円、前年度八百九十五億四百万円となり、金額において前年度に対し百十三億一千五百万円の増となっております。  かように関係予算におきまして増額を見ましたおもなものは、農林漁業金融公庫団地等土地改良事業助成基金資金において六十五億円、災害復旧事業費を除く公共事業費において三十一億七千五百万円、酪農振興基金及び牛乳乳製品学校給食費において十二億円、食糧管理特別会計農産物等安定勘定繰り入れにおいて十億円、新農山漁村建設特別助成において四億七千六百万円、農業保険費において三億二千七百万円、漁船再保険特別会計繰り入れにおいて二億五千八百万円、麦製品学校給食費において一億八千百万円、人件費において七億七百万円等であります。  この反面減額になったおもなものは災害復旧事業費において十八億九千七百万円、農業改良資金造成補助金で二億三千三百万円、農林漁業災害営農資金利子補給補助金において一億四百万円、農林漁業協同組合連合会整備促進に要する経費において一億二千八百万円等であります。  次に本予算案編成重点について申し上げます。  第一に、農業生産基盤強化に関する経費についてであります。農業経営合理化農業生産力発展をはかりますため、土地改良事業開拓事業等の農業生産基盤強化に要する経費といたしまして、三百三億五千三百万円を計上いたしました。まず三十二年度より発足いたしました特定土地改良工事特別会計につきましては、同会計において、国費五十四億五千六百万円、借入金十八億円を計上し、七カ年完成の目標のもとにその事業拡大と、計画的実施をはかることといたしました。このうち、灌漑排水事業につきましては、十六億八千四百万円、うち国費十一億四百万円を計上いたしまして、継続実施中の四地区については既定計画に基いて事業推進をはかり、従来一般会計で継続実施中の三地区を新たに特別会計事業として事業計画促進をはかり、さらに新規四地区に着工いたすことといたしました。  干拓事業につきましては五十二億九千九百万円、うち国費四十三億五千二百万円を計上いたしまして、八郎潟その他継続実施中の七十四地区について、既定計画のもとに事業実施するとともに、さらに新規二地区に着工することといたしました。なお、三十三年度において、三地区、二工区の完成を予定いたしております。また、将来特別会計事業として実施すべき地区といたしまして、灌漑排水五地区、干拓二地区を新たに採択し、これらの地区につき全体設計を実施することといたしました。  次に、一般会計において実施しております国営、都道府県営灌漑排水事業土地改良事業の基幹となる大規模事業につきましては国営灌漑排水事業の一部を特定土地改良工事特別会計に移しかえるほか、継続事業について八十六億八千八百万円を計上して残事業量の圧縮に努めますとともに、団体営の灌漑排水事業耕地整備事業等小規模事業につきましても三十九億六千三百万円を計上し、畑地灌漑事業拡充するほか、特に明年度からは非補助融資に格段の意を用いることとし、このため新たに同事業の指導体制を整備してその伸長に遺憾のないようにするとともに事業資金を六十億円とし、また、農林漁業金融公庫に小団地等土地改良事業助成基金、六十五億円を新設して貸付利子の軽減をはかることといたしました。なお、これらの事業実施に当りましては補助、非補助を通じ、重点を国営、県営等の基幹工業の末端工事早期に完成することにより経済効果早期発生を期すること並びに積寒、湿田、急傾斜等の特殊地帯農業振興計画実施促進及び畑地改良事業の急速な進展をはかることに置き適切な運用を期する所存であります。  次に、外資関係土地改良事業といたしましては愛知用水事業につきまして、国費十五億円、借入金等七十六億四千六百万円を計上、既定計画通り三十五年度完成を目標とし、また篠津泥炭地開発事業につきましては九億一百万円を計上、三十六年度完成を目標としてそれぞれ事業推進をはかることといたしました。  開拓事業につきましてはこれが刷新強化をはかるため、国費六十七億一百万円を計上し、次の施策を講ずることといたしました。まず、新規開拓事業につきましては建設工事促進し、機械開墾方式導入を行うとともに、三十三年度二千五百戸と予定しております新規入植者に対しましては、従来の営農類型を改訂いたしまして、修正営農類型については貸付額一戸当り平均四千五万円、新営農類型については貸付額一戸当り平均五十四万九千円を予定いたします等、貸付金の大幅増額を行い、営農早期確立をはかることといたしました。また、市町村単位に樹立される総合開発計画に基いて実施される地元増反事業に対しましては新たに開墾作業費及び土壌改良費の補助を行う道を開きました。  次に、営農不振の既入植地に対しましては開拓営農振興臨時措置法に基き、建設工事促進をはかるほか、四十億五千九百万円の旧債の借りかえと、これに伴う一億二千六百万円の利子補給及び十六億二千五百万円の営農振興資金の貸付等の措置をとり、計画的にこれが振興推進することといたしました。なお、開拓地の営農指導を充実強化するため、三十三年度において営農指導員九十三人の増員をいたすこととしました。また、農地開発機械公団の保有する機械による大規模機械開墾につきましては、上北、根釧地区事業推進をはかるほか、新たに床丹第一地区及び北岩手地区に着工することとし、さらに国営干拓事業において使用する機械につきましても一部を同公団において供給することといたしました。  土地改良開発に関する調査計画につきましては、三億九千一百万円を計上し、その拡充をはかることといたしました。すなわち土地改良につきましては、継続調査三十一地区推進するほか、新規に内地二地区、北海道九地区を調査することとし、また畑地改良事業振興に備えまして新たに深層地下水調査を行うことといたしました。干拓につきましては継続八地区のほか、新規三地区を加え、開墾につきましては開拓事業刷新の方針のもとに、特定地域大規模開発と市町村総合開発の二大別とし、前者は継続九地区を進めるほか、新規五地区を加え、後者は初年度として四十五ヵ町村において行うことといたしております。  防災事業につきましては災害発生を未然に防止することの重要性にかんがみ、十二億六千三百万円を計上いたしまして、その計画的実施をはかることとし、特に地すべり対策につきましては、その危険のある地域の指定を行い、地すべり対策事業重点実施をはかることといたしました。  次に、農地対策強化につきましては農業経営規模の過小が農業生産力発展農業経営合理化を阻害している現状にかんがみまして、自作農維持創設資金を七十五億円に増額いたすとともに、農地法の適確な運用をはかるための経費を計上いたしました。  以上のほか、農業生産基盤強化のための予算としましては農業機械整備費等に九億九千九百万円を計上いたしております。なお、以上申し述べましたもののほか、災害関係事業といたしましては、災害復旧事業費として五十九億二千二百万円を計上いたしまして、過年災について、極力残事業の解消に努め、二十九年災及び三十年災については三十三年度において完了いたすこととなりました。また災害関連事業につきましては七億九千八百万円を、鉱害復旧事業につきましては三億一千一百万円をそれぞれ計上し、事業推進をはかることといたしております。  第二に畑作振興対策に要する経費についてであります。まず畑作技術の後進性を打破するために畑作関係普及事業充実することといたしましたが、特に明年度から園芸、畜産機械関係特技普及員を設置することといたし、これがため十億四千二百万円を計上いたしました。  次に畑作関係耕種改善事業につきましては、引き続き各種畑作物の原採種苗圃の設置、大型トラクターの導入による深耕、大豆特別指導地の増設等をはかるほか、新たに園芸等振興調査会の設置、園芸技術者養成施設の整備、紅茶製法合理化試験に対する助成を行う等園芸振興対策強化いたすこととし、これらに必要な経費三億三千七百万円を計上しております。  畑作経営は御承知の通り地域により著しく様相を異にし複雑多岐にわたりますので、地域的特殊性を考慮した立地条件に応ずる施策が必要であります。これがため、寒冷地帯に対しましては前年度に引き続き四億七千万円を計上し、家畜及び大型機械の国有貸付による導入、テンサイ、亜麻の原採種圃の設置等を実施するほか、北海道については、新たに地域別に営農目標を定め、農林漁業金融公庫から営農改善資金七億円を融資することといたしました。  畑作物はその性質上特に流通合理化及び価格の安定をはかる必要がありますので、農産物価格安定制度の適切な実施をはかるため、食糧管理特別会計農産物等安定勘定への繰り入れに要する経費四億五千万円を計上いたしましたほか、別途通産省計上の貿易振興費に、ミカン、茶等の海外における消費宣伝活動に要する経費を計上しております。  以上の経費のほか、畑作振興の関連施策について申し上げますと、畑作振興対策の基盤となる畑地における土地改良事業並びに畜産振興に意を用いますほか、試験研究及び統計調査につきましては北海道、九州の地域農業試験場畑作部を、関東東山地域農業試験場畑作総合試験地をそれぞれ新設するのに必要な経費と、統計調査部において臨時畑作調査を実施するに必要な経費を確保いたしましたほか、農業改良資金におきまして新たに園芸用ビニール、凍霜害防除用重油を対象事業として取り上げることといたしました。  第三に畜産振興対策に要する経費についてであります。まず家畜改良増殖及び衛生対策につきましては、六億七千五百万円を計上し、都道府県の種畜設置補助家畜伝染病予防法による家畜疾病予防等従前の施策に加えて、新たに国立の種畜牧場整備強化に着手するとともに、都道府県の家畜保健衛生所の整備強化、新設十カ所、拡充二十四カ所を助成することといたしております。  次に家畜導入についてでありますが、別途寒冷地帯を対象とする家畜国有貸付事業に二億三千三百万円を計上いたしますほか、二億二千万円を計上し、有畜農家創設事業及び畜産による中小農振興対策による家畜導入並びに世界銀行資金によるジャージー種乳牛の導入実施して参る所存であります。  飼料対策につきましては、草地改良に必要な経費一億七千五百万円を計上し、従前の草地改良展示施設に大規模の放牧利用模範施設を加えるとともに、集約的な採草利用を目的とする高度集納牧野につき新たに四千六百町歩の造成改良事業実施することといたしましたほか、飼料自給度向上対策といたしまして、六千二百万円を計上し、飼料作物原採種圃事業の一段の強化をはかりますとともに、畑作地帯におけるカンショを中心とした飼料自給化普及研修事業を行うことといたしております。  以上のほか、農家の購入飼料についてはその品質向上のための施策を従前に引き続き実施いたしますとともに、飼料需給安定法の適切な実施をはかるため、食糧管理特別会計農産物等安定勘定に五億五千万円の繰り入れを行うことといたしました。  牛乳、乳製品の需要増進価格安定につきましては、酪農振興基金を新設するために政府出資五億円及び飲用乳等学校給食二十万石の助成のために七億円をそれぞれ計上いたしますほか、牛乳流通改善に資するため新たに九百万円を計上し、乳質改善事業実施して参ることといたしております。  農民の畜産に関する技術の向上対策につきましては、すでに申し述べました通り特技普及員を新設して農業改良普及事業における畜産部門の強化をはかりますほか、三千六百万円を計上し、畜産技術及び経営診断事業を引き続き実施いたしますとともに、新たに畜産技術講習施設の充実を行うことといたしました。なお関連施策といたしまして、畜産に関する調査統計を充実することとし、前年度に着手いたしました緊急畜産センサス及び牛乳生産量予察調査に加えて新たに肉豚供給予察調査を実施することといたしております。  第四に蚕糸業振興対策に要する経費であります。まず生糸の流通及び需給対策につきましては繭糸価格安定制度充実をはかるため、生糸保管株式会社に対し、三千万円の政府出資を新たに行いますとともに、別途糸価安定特別会計の買入資金ワクを二十億円拡充することといたしておりますほか、前年度に引き続き製糸設備処理を実施して参るため五千百万円を計上いたしております。  次に生糸の需要増進につきましては、九千万円を計上し、従前の米国における消費宣伝事業及び市場調査を一層強化拡充して参る所存であります。  以上の諸施策と相待って、国内における原料繭の合理的増産と養蚕経営合理化措置として、前年度に引き続き技術改良対策及び桑園能率増進対策を講ずることといたしておりますが、特に蚕業技術の改良普及を促進するため、二億八千七百万円を計上し、蚕業技術普及員の設置に対する助成強化することといたしました。  第五に森林資源の開発育成に要する経費についてであります。まず林野公共事業費につきましては、治山事業費に四十二億七千四百万円、造林事業費に二十九億五千四百万円、林道事業費に森林開発公団補助を含めて二十二億二千万円を計上いたしております。これらのうち治山事業につきましては、復旧治山事業にあわせて予防的治山事業拡充するとともに、地すべり防止事業強化することといたしており、造林事業につきましては林種転換を主とした拡大造林重点をおき、林道事業につきましては、奥地林開発を中心に林道網整備をはかることといたしました。なお、以上のほか林業関係の災害復旧事業費等に四億三千六百万円を計上いたしております。  次に林業振興に要する経費につきましては十億七千四百万円を計上し、森林経営集約化並びに合理化につき従前の諸施策強化することといたしておりますが、このうち特に、林業普及事業につきましては、三億六千百万円を計上し、地区制の整備と機動力の強化により、本事業拡充をはかることとし、林木品種改良事業につきましては都道府県の採穂園及び採種園の新規造成に対する助成並びに国有林野事業との協力による林木育種場二カ所の増設を予定いたしました。このほか、新たに、木炭生産指導強化をはかりますため、三千万円を計上いたしております。  第六に水産業振興対策に要する経費についてであります。まず漁港施設の整備拡充につきましては、漁港整備計画に基く修築事業早期完成をはかるため、三十六億九千五百万円を計上いたし、継続三百七十七港、うち完了予定三十七港の整備事業実施するとともに、局部改良及び区域内の保全施設の拡充をはかることといたしましたほか、新たに完了予定港数と同程度の新規着工を予定いたしております。なお、このほか災害復旧事業費等に十億七千五百万円を計上いたしております。  次に沿岸漁業振興につきましては水産増殖その他沿岸漁業振興対策事業拡充実施することとして二億九千八百万円を計上いたしますとともに、水産技術改良事業につきましては、技術普及員の増員と漁場の集約的利用調査の拡大実施等、本事業強化をはかりますほか、漁業共済制度試験実施拡充のため、二千八百万円及び共済金支払い財源の不足に備えるため新たに国庫債務負担行為一億円を計上いたしております。これらの諸施策にあわせて、漁業制度に関する全般的検討を行うことを目的として漁業制度調査会を新設するとともに、別途統計調査部において沿岸漁業対策臨時調査を実施する予定であります。  沖合い及び遠洋漁業の振興につきましては、国際漁場確保と未開発漁場開発についてその発展をはかりますとともに、新たに五百万円を計上して東南アジア等海外漁業に対するわが国の組織的協力体制の確立を期することといたしております。  水産物の流通改善及び販路の拡大につきましては、八百万円を計上しましたが、特に漁獲が季節的に一時に集中する多獲漁について漁業協同組合の系統利用事業促進と出荷の自主的調整について指導の強化をはかることといたしました。  第七に、農林水産関係試験研究改良普及及び統計調査に要する経費についてであります。まず、試験研究につきましては、二十億六千二百万円を計上いたし、これが推進強化をはかることといたしました。すなわち畑作振興の一環としまして、北海道、九州の地域農試に畑作部を、関東東山地域農試に畑作総合試験地をそれぞれ設置する等、畑作関係試験研究強化いたしますとともに、新たに土地利用の高度化をはかるための調査研究及び九州地方における防災営農方式を確立するための調査研究を行うこととしました。また国立の各試験研究機関における試験研究のテーマといたしまして新たに十四項目を加え、各試験研究推進をはかりますとともに、試験研究の効率化のため、蚕糸試験場機構の改編整備及び地域農試等試験研究施設の整備を行いますほか、原子力の平和利用による試験研究推進をはかることといたしました。  次に、農林水産関係技術普及事業につきましては、さきに御説明申し上げました通り農業改良特技普及員五百三十人、生活改善普及員九十二人、開拓営農指導員九十三人及び水産業技術普及員二十五人の増員等により、技術指導の充実向上をはかることといたしましたほか、農業改良地区普及所の強化、植物防疫における実験予察方式の導入による発生予察事業整備等に必要な経費として十一億九千六百万円を計上いたしました。  また、農林水産関係統計調査につきましては十億六千三百万円を計上し、これが整備をはかることといたしました。すなわち新たに畑作地帯における土地条件、作付体系、市場条件等を総合的、体系的に把握するための臨時畑作調査、沿岸漁業振興施策の確立に資するための沿岸漁業対策臨時調査、その他農山漁家就業動向調査、肉豚供給予察調査等を実施いたすこととし、また一九六〇年世界農業センサスのため必要な準備調査を実施するとともに、FAOの要請により東南アジア諸国農業統計関係者の研修を行うことといたしました。さらに、以上の統計調査の充実にあわせて、出張所の機動力を強化する等農林統計調査における能事の増進と精度の向上をはかることといたしました。  第八に、農林水産業諸団体の活動促進に要する経費についてであります。まず、農業委員会関係におきましてはその組織及び活動を維持するに必要な経費十億三千四百万円を計上いたしましたが、特に都道府県農業会議に一億三千万円を計上いたしまして、その活動の充実を期することといたしました。  次に、農林水産業協同組合関係につきましては、その検査指導に必要な経費一億二千八百万円を計上するとともに、連合会の整備促進対策を既定計画に基き推進するに必要な経費を確保いたしました。このほか不振単協の整備強化措置に関しましては、整備特別措置法の期限の延長をはかることとし、必要な経費一億四千五百万円を計上いたしましたほか、新たに水産業協同組合及び森林組合につきましても特別指導及び長期駐在の施策を講ずることといたし、これに要する経費五百万円を計上いたしました。なお農業協同組合中央会の事業活動促進のため監査事業強化を中心として前年同様六千万円を計上いたしましたが、さらに明年度から農林漁業団体職員共済組合法の制定を予定し、長期給付を内容とする共済制度を確立し、農林漁業団体役職員の福利厚生に資するため、これに必要な経費一千万円を計上いたしました。  最後に農業共済団体につきましては、損害評価に関する団体の機能の充実と職員の給与の改善重点を置き、これに必要な経費二十三億四千九百万円を計上いたしております。  第九に、新農山漁村建設総合対策につきましては、新規計画樹立地域を九百地域、事業実施地域を継続九百六十六地域、新規一千地域、計一千九百六十六地域として事業推進をはかることとし、これに必要な経費三十四億三千六百万円を計上いたしておりますが、明年度は既往の実績にかんがみまして、本事業の成果の十分な達成を期しますため、新規実施地域の一部につきましては事業実施期間を三カ年に延長する道を開くことといたしました。なお、小団地事業、桑園能率増進事業等の一般助成事業につきましてもそれぞれ前年度に引き続き実施することといたしておりますが、特に農地集団化事業につきましては畑作地帯に重点を置き事業規模を拡大いたすこととして四千一百万円を計上しております。  第十に、農村青年対策及び海外移住に関する経費についてであります。まず、農山漁村青年の自立を促進し、あわせて農山漁村の振興に資しますため、農村青年対策強化することとし、農村青年建設隊の中央一隊増設、農村建設班四十四班の増加を行うこととし、これらに必要な経費八千八百万円を計上いたしました。また一方海外移住の促進をはかるため、農業移住事業につきましては一万人、農業労務者派米事業につきましては一千人を対象として募集、選考、訓練事業強化するほか、新たに移住促進事業整備することといたしまして、これらに必要な経費四千八百万円を計上しております。  次に昭和三十三年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。  第一に、食糧管理特別会計につき申し上げます。この会計の健全化につきましては種々検討を加えてきたところでありますが、そのためには特別会計制度自体についても改正を加える必要が認められましたので、昭和三十三年度より国内米管理、国内麦管理、輸入食糧管理、農産物等安定、業務及び調整の六勘定を設け各部門の収支損益を明確にするとともにその損益処理を適正化いたすこととしました。新設の勘定区分に従って歳入歳出の規模を申し上げますと、国内米管理勘定五千六百八十八億五千五百万円、国内麦管理勘定七百十六億一百万円、輸入食糧管理勘定一千七百七十九億八千八百万円、農産物等安定勘定五百二十一億七千万円、業務勘定百六十五億二千万円、調整勘定六千二百十億二千八百万円となっております。なお前年度の予算編成と同一方式で計算いたしますと歳入歳出の規模は総計で八千七百六十五億二千六百万円、前年度八千六百四十三億円であります。  米及び麦類の管理につきましては従来の方針を継続して参りますが、三十三年産米の集荷数量は二千九百万石、国内産麦の質入数量は百十九万六千トンと予定いたしております。外国食糧の輸入につきましては需給上必要な限度での買付を予定いたしております。  米麦以外の農産物等につきましても前年に引き続きさ澱粉、テンサイ糖、カンショ生切干、菜種、大豆、飼料等の買い入れ費を計上しております。  損益処理につきましては、調整勘定に調整資金を設けるとともに、国内米、国内麦、輸入食糧管理の三勘定の損益をこの調整勘定に移し整理することといたしましたが、三十二年度において調整勘定における整理の結果は約四十三億円の損と見込まれます。また農産物等安定勘定の見込み損失相当額十億円は調整勘定の対象外でありまして、これを直接一般会計より同勘定に受け入れることとし、他の勘定損益処理と区分しました。なお別に御審議願います昭和三十二年度一般会計補正予算案に、本会計の運営の健全化に資するための資金百五十億円の繰り入れを計上いたしておりまして、三十二年度の本会計の損失が決算上確定いたしますれば、その金額だけこれを減額いたすこととしておりますが、この資金の残額は三十三年度において調整資金として調整勘定に引き継ぐものといたしました。  第二に農業共済再保険特別会計について申し上げます。この会計の各勘定を通じまして、歳入歳出はともに百七十四億二百万円となっております。このうち基金勘定につきましては、三十二年度末において農業勘定の剰余金を本勘定に受け入れることが見込まれますので、その歳入歳出はともに三十億二百万円を計上しております。  次に農業勘定でありますが、歳入歳出ともに百十六億四千三百万円を予定しております。前年度の予算に比べまして二億二千四百万円の増加となっておりますのは、法律改正に伴い共済金額の国庫負担割合を引き上げ、また一筆石建制の採用に伴い共済金額を石当りに改め、引き受け数量の基礎を過去三カ年の実績の平均に置いたことなどのためでありまして、これにより一般会計からの受入額は二億一百万円増加し、八十億二千六百万円となっております。  次に家畜勘定につきましては歳入歳出ともに二十六億七千三百万円でありまして、牛馬の死廃病傷共済の掛金国庫負担と家畜加入奨励金との合計額五億九千四百万円を一般会計より受け入れることになっております。  第三に国有林野事業特別会計につき申し上げます。この会計の歳入歳出は、ともに四百五十四億五千五百万円であります。本会計においては特に木材の供給について、当面の需給計画上国有林よりの必要供給量を確保することはもちろん、将来わが国の経済の発展に伴い増大する木材需要に対応し得るよう、森林生産力の増強に特段の配慮を払うこととしております。北海道における風倒木の処理も三十二年度で完了いたしますので、三十三年度は、右の処理期間における内地の節伐方針を変更するとともに、北海道についても正常な伐採に移行せしめることとし、伐採量としては、六千百十八万三千石、前年度五千八百四万九千石を予定した次第であります。特に三十三年度における事業重点としては、北海道風害跡地の更新の拡充強化と、これに伴う林道開発促進並びに国有林の経営編成事業充実に主眼を置くとともに、水源林造成事業のための官行造林並びに治山事業についても特にその増強をはかることといたしております。  以上の各特別会計のほか、特定土地改良工事特別会計、開拓者資金融通特別会計、糸価安定特別会計につきましては、別途御説明申し上げておりますが、森林火災保険特別会計につきましては保険料率二割の引き下げを行うこととし、漁船再保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証の各特別会計につきましては、前年に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。  次に昭和三十三年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。昭和三十三年度における農林関係財政投融資計画は三百一億円、前年度当初計画三百十二億円、繰り延べ後の計画百八十七億円でありまして、その主なものは次の通りであります。  まず農林漁業金融公庫につきましては、三十三年度の貸付計画として土地改良百二十三億円、自作農維持資金七十五億円、農山漁村総合開発二十八億円、共同利用施設二十六億円、林業三十五億円、漁業三十八億円、開拓十二億円、寒冷地営農振興対策七億円、その他を含め計三百七十五億円を予定いたしております。この原資計画といたしましては産業投資特別会計からの出資八十億円、資金運用部等からの借り入れ百十五億円、回収金等百六十億円計三百五十五億円であります。小団地等土地改良事業助成基金につきましては、さきに申し述べた通りであります。なお農林漁業金融公庫は従来直接貸付を行っていなかったのでありますが、三十三年度から、一部直接貸付を実施することといたし、東京に営業部を設けるほか、全国に支店三カ所を設置することといたしております。  次に開拓者資金融通特別会計につきましては、三十三年度の貸付計画のうち営農及び共同施設資金は、すでに御説明申し上げました営農類型の改訂を織り込んで五億九十万円を予定し、不振地区振興対策資金は十六億二千五百万円を予定し、営農不振の既入植の農家に対し年次計画に従い一戸当り平均十一万円を融資することとし、また農地開発機械公団の地区営農資金は三億六千五百万円、ほかに前年度の貸付残二億円を加え貸付総額二十七億八千二百万円となっておりますが、この原資計画資金運用部から十八億円を借入し、その他は回収金等でまかなうことといたしております。  特定土地改良工事特別会計資金構成は、資金運用部からの借り入れ十八億円、一般会計からの繰り入れ五十四億円、その他四億円でございます。  愛知用水公団事業の三十三年度の総事業費九十一億円に見合います資金計画は、国費十五億円、資金運用部からの借り入れ五十億円、世銀借り入れ八億円、その他十七億円であります。  森林開発公団事業の三十三年度総事業費は十七億円でありまして、これに見合う資金計画国費二億円、資金運用部からの借り入れ十五億円であります。  農地開発機械公団事業におきましては三十三年度国営干拓事業に対します土木機械の貸付事業のための資金五億円を資金運用部から借入することといたしております。  以上御説明いたしました農林関係予算案中、補助金の総額について申し上げますと、公共事業費関係三百三十五億五千万円、公共事業費以外の一般経費で百六十七億九千三百万円計五百三億四千三百万円の補助金を計上しておりますが、前年度に比し公共事業費において三億三千百万円の減、公共事業費以外の一般経費において六億四千五百万円の増となり、差引二億一千四百万円の増となっております。なお地方財政再建促進特別措置法に基く補助金は七億四百万円となっております。  最後に定員外職員の定員化の措置について申し上げます。従来定員外職員でありました常勤職員等につきましては三十三年度において、政府の統一方針に基き、その定員化を実施することといたしましたが、農林省所管におきましては一般会計及び特別会計を通じその総数七千五百九十人となっております。  以上をもちまして農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財政投融資計画概要の御説明を終ります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 中村寅太

    中村委員長 午後一時より懇談会において提出予定法案について説明を聴取する予定でありますので、お含み置き願います。本日はこれにて散会いたします。     午後零時九分散会