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1958-04-17 第28回国会 衆議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年四月十七日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 福永 健司君    理事 相川 勝六君 理事 高橋  等君    理事 保科善四郎君 理事 前田 正男君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       青木  正君    大村 清一君       北 れい吉君    久野 忠治君       纐纈 彌三君    辻  政信君       中川 俊思君    南條 徳男君       眞崎 勝次君    粟山  博君       山本 粂吉君    淡谷 悠藏君       木原津與志君    西村 力弥君  出席政府委員         内閣官房長官  愛知 揆一君         法制局次長   高辻 正巳君         国防会議事務局         長       廣岡 謙二君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         総理府総務長官 今松 治郎君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         行政管理政務次         官       榊原  亨君         総理府事務官         (行政管理局         長)      岡部 史郎君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)       岸本 晋君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 四月十一日  委員有馬輝武君及び横路節雄辞任につき、そ  の補欠として木原津與志君及び稻村隆一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員木原津與志君辞任につき、その補欠として  石野久男君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として中  村高一君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員森本靖辞任につき、その補欠として木原  津與志君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員小金義照辞任につき、その補欠として足  立篤郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員足立篤郎辞任につき、その補欠として小  金義照君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員田村元君、林唯義君及び薄田美朝君辞任に  つき、その補欠として南條徳男君、久野忠治君  及び青木正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員南條徳男君、久野忠治君及び青木正辞任  につき、その補欠として田村元君、林唯義君及  び薄田美朝君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十二日  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する  法律案千葉信君外八名提出参法第十三号)  (予) 同月十一日  元満鉄社員恩給法等適用に関する請願(加藤  精三君紹介)(第二九〇二号)  同(笹山茂太郎紹介)(第二九〇三号)  同(中村梅吉紹介)(第二九〇四号)  同(岡崎英城紹介)(第二九八七号)  同外二件(保科善四郎紹介)(第三〇一三  号)  靖国神社の国家管掌等に関する請願(小金義照  君紹介)(第二九〇五号)  建国記念日制定に関する請願八木一郎君紹  介)(第二九〇六号)  建国記念日制定反対に関する請願外四十三件(  辻原弘市君紹介)(第二九〇七号)  同外四十五件(横路節雄紹介)(第二九〇八  号)  同外十五件(武藤運十郎紹介)(第二九八九  号)  山北村の寒冷地手当引上げに関する請願(櫻井  奎夫君紹介)(第二九八八号)  農林省定員外職員全員定員化に関する請願(  荒舩清十郎紹介)(第三〇一二号) の審査を本委員会に付託された。 四月十五日  石炭手当及び寒冷地手当増額に関する陳情書  (第九〇七号)  同(第九八九  号)  旧軍人の恩給加算制復元に関する陳情書外八件  (第九〇八号)  同外一件  (  第九九四号)  建国記念日制定に関する陳情書外五件  (第九一一号)  自衛隊の大津市駐留に関する陳情書  (第九一二号)  建国記念日制定反対に関する陳情書外十一件  (第  九十三号)  青少年を守る運動の強化拡充に関する陳情書  (第九三三号)  定員外職員身分保障に関する陳情書外二件  (第九三九号)  房総沖合海域米海軍演習場設置反対に関する  陳情書(第九五一  号)  同外一件  (第一〇〇三号)  北陸地方建設局の富山県設置に関する陳情書  (第九八四号)  北陸地方建設局の新潟市設置反対に関する陳情  書(第九八五号)  金鵄勲輩年金復活等に関する陳情書  (第九八八  号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国防会議構成等に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出第四二号)  内閣法の一部を改正する法律案内閣提出第四  ○号)  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八〇号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇九号)  特別職職員給与に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第一一〇号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一一号)     ―――――――――――――
  2. 福永健司

    福永委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、質疑に入ります。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは二、三の点についてできるだけ簡単に質問してみたいと思います。  第一番目に特別職職員給与の問題でございますが、私どもふに落ちない点があるわけです。それは何かと申しますと、従来人事院におきます人事官、それから会計検査院におきます検査官というものは、総裁院長であろうと、そうではないその他の人事官検査官であろうと、給与の面では全く同格の扱いを受けております。これは院の構成あるいは合議制建前から、その他あらゆる点から勘案いたしましても、妥当な方法であったかと思うのでありますが、今回の改正案によりますと、総裁である人事官とその他の人事官院長である検査官とその他の検査官との問に差別を設けてあるわけでございますが、これは非常にまずいんじゃないか。仕事の面で多少の差はありましょうけれども、やはり合議制という建前からいきましても、給与の面でそういった優劣と申しますか、差を設けることはどうも不穏当のような気がいたすわけでございますが、なぜこのような差別を設けようとなさるのか。その点をお尋ねしておきたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知政府委員 この法律案は、ただいまの制度におきましては、大蔵大臣の所管に属しておりますので、大蔵省からお答えをいたすのが適当かとも思いますけれども、すでに予算委員会等におきましても、総理大臣に対する御質疑がございまして、それに総理としてのお答えをいたしましたのでありますから、私から内閣見解というものをお答え申し上げたいと存ずるのであります。  ただいまのお尋ねの点はごもっともとも思われますけれども、私ども考え方としては、例を会計検査院にとりますならば、院長と他の検査官との関係は、なるほど合議体ではございますけれども院長検査官のうちから互選される、それから検査官会議議長になる、また会計検査院を代表いたしまして、所属の職員等に対しまする栄典の授与等におきましも、権限責任を持っておるわけでございます。その他いろいろの点から申しまして、対外的あるいは対内的に、議長あるいは院長としての職責を持っておりまするがゆえに、常識的に考えましても、給与についての制度を改めます場合におきましては、その間に差等をつけることが適当であると考えたわけでございます。  それから人事院につきましても大体同様の考え方をとっておりまするわけで、人事院総裁院務総理する、人事院を代表する、また部内の官吏等に対する任命権を持つというような点におきまして代表する。対外的に院を代表する立場にある。対内的に管理責任を負うておるという場合におきましては、やはり組織の運営についての考え方といたしまして、総裁については他の人事官よりも高い格式を付与することが適当である、こういうふうに考えたわけであります。なお申し上げるまでもございませんが、たとえば公正取引委員会の場合、あるいはさらに進んでは最高裁判所の場合におきましても、長となる人と、それから他の方々とには差別が従来ともついておりまするので、そういう点も勘考いたしまして、この改正案を御審議を願っておる次第でございます。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは裏返してお尋ねいたしますが、従来同等に扱ってきたという点に矛盾があるというようにお考えでございますか。
  6. 愛知揆一

    愛知政府委員 矛盾があると申しますると、いささか言い過ぎになるかと思いますが、今回のように差等をつけることの方が合理的であるということを考えておりますわけで、しかしこれは通常の場合に手をつけようと思いましてもなかなかつけられませんので、特別職全体のいわばベースアップを行いますこういう機会に、従来からの不合理の点を是正をいたしたい、こう考えたわけでございます。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私どもといたしましては、やはり合議制という建前を貫いていくためには、院を代表することはありましても、給与の点で何らか差等を設けて、これが直ちに身分権限その他においても差等があるかのごとき感を与えるということは、まずいんじゃないかと思うのであります。この点御本人にお伺いするのはいかがかと思いますけれども人事院総裁にちょっとお尋ねいたしてみたいと思うのでありますが、従来の方式でいった方が運営その他の面で妥当だとあなたはお考えになられますか、それともやはり、差等を設けていった方が理屈として通るというふうにお考えになりますか、その点お答え願いたいと思います。
  8. 淺井清

    ○淺井政府委員 率直に申し上げますが、私どもとしては一応内閣の方に対しましては、従来通りという希望意見を申し述べたことはございます。しかしながら人事院といたしましては、特別職給与は取り扱っておらないのでございます。この問題に対してましては内閣の御決定にゆだねるということも、あわせて申し上げておきたいと思います。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 給与については特に識見の高い人事院総裁が、やはり従来の方式の方がいいと言うからには、私はその方が理屈がやはり通るんじゃないかと思う。しかしこの点については、すでに自民党の方々とも修正についての話し合いを進めておりますので、一応質問を終りまして、あとの問題については、後刻受田委員から詳しくお尋ね願いたいと思います。  次に一般職職員給与についてちょとお尋ねしておきたいのでございますが、それは通勤手当の問題でございます。昨年の七月、人事院勧告の中で、この通勤手当というものが初めて出てきたわけでございますが、私どもは当時も通勤手当の新設というものについては賛成いたしておりません。これはあくまでも本来の姿であるベースアップをやるべきもの、それをやらないで通勤手当というようなものにすりかえたんだという批判をずっとやってきたわけでございますが、とにかく勧告が出たことは事実でございます。この勧告を受けて今度政府の方におきましても、四月から通勤手当支給しようという考えにまとまりまして、今回の提案になったと思うのでございます。ところでこの勧告と今度の政府提出いたしました法立案との関係について、若干異議を持っておるわけであります。そこで最初人事院総裁お尋ねいたしたいのでございますが、勧告の内容によりますと、六百円を最高制限額とする通勤手当支給するとしておるのみでございます。しかし、これに要する経費を約十三億円と見積っております以上、積算根拠はおのずからあると思うのでございますが、大体人事院が妥当なりと考え通勤手当支給方法というもの、すなわちこの十三億円の積算基礎について最初お答え願っておきたいと思います。
  10. 淺井清

    ○淺井政府委員 私から簡単に申し上げますが、人事院といたしまして勧告の面に現われておりまするところは、予算の大体の所要額並びに最高六百円でございます。これはどういう積算根拠によるかと申しますれば、大体この法律案通りでございます。ただ違うところが一点ございまするのは、百円の控除をしていなかったという点でございまして、その他の点については法律通りと御承知願ってよいかと思います。なお進んでお尋ねがございますれば給与局長から御答弁をいたします。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一番明らかに食い違ってきておりますこの百円の控除というものをなぜやったかということについて、政府側お尋ねいたします。
  12. 今松治郎

    ○今松政府委員 控除の額を百円といたした点についてのお尋ねでございますが、この通勤手当というものは、ただいま石橋委員から申されましたような御意見も、私どもも非常に尊重すべき点が多いと思いますが、この通勤手当というものは元来本俸の中にこういうものも含めておるのではないかというような考え方もございまして、そういう点がまず論議の対象になったのでございますが、今回百円を控除いたしましたのは、職員の現に負担しております額が、かつての人事院調査によりますと、町村在住者でも百円程度である、こういうことと、また通勤手当支給されない徒歩通勤者の二キロ以上のものとの権衡、こういうことを考えまして、百円を控除するということにいたしたわけでございます。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 はっきりわからないのでございますが、政府側がしょっちゅう申しております、特に岸内閣になりまして総理あるいは労働大臣等は、勧告あるいは調停、仲裁といったものは十分にこれを尊重し、順守していくということを再三申しておるわけでありますが、これは中身までまるまる尊重するということではないのだというふうに理解できるものですか。
  14. 今松治郎

    ○今松政府委員 私どもといたしましては人事院勧告を尊重するということについてはたびたび申し上げた通りでございますが、今回人事院勧告は先ほども申されましたように、月額六百円を最高制限額とする通勤手当支給するものとしたい、こういう勧告でございます。従いましてその積算根拠につきましては、勧告に当って経費算出のために用いられました基礎とこの案とには若干の相違はございますが、人事院勧告趣旨を十分に取り入れたものである、こういうように考えておるわけでございます。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 事給与に関しては特に実額が問題だと思うのです。職員が幾らもらうかということが問題なのであって、百円控除したことが勧告の線をそれておるとは思わないということは、私に言わせればへ理屈だ、職員は明らかにそれだけもらう分が減るわけでありますから、これは明らかに予算の面におきましても幾らかの差額が出てくるわけであります。現に百円控除する、勧告の線よりも下回る提案をなさっておるわけでありますが、これによって幾ら浮くわけですか。
  16. 今松治郎

    ○今松政府委員 その額につきましては、他の政府委員からお答え申し上げます。
  17. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま御質問になりました所要額の点でございますが、人事院では一般職給与法適用を受けますものについての額としては、一応十三億と申しておるわけでございますが、今御審議を願っております法案で参りますと、十三億に対応するものは十一億数千万円で十二億弱でございます。
  18. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 人事院もそれなりに自信を持って計算されたとは思いますが、やはり十三億というのはあくまで約だと思うのです。その額でいっても一億程度の差、非常に僅少だと思うのですが、そうしますと先ほど質問しました百円を控除するだけで一体どれだけ浮くかということについてはお調べ願っておりませんか。
  19. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま申し上げました金額の差が大体それに相当するということになるわけでございます。ただつけ加えて申し上げておきますと、ただいまのは一般職給与法適用を受けるものだけでございますので、その他のものも予算額としては出てくるわけでございます。
  20. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これで浮いてくる金というものは非常に僅少の差です。そうしますと一枚看板で、いわゆる岸内閣労働政策として掲げております勧告の尊重というものを完全に実施するためにも、それっぽっちの節約をしてあたら汚名をこうむるよりも、それほどのものをのんでいくというくらいの気持がほしいと思うのでありますが、あと与党方々とも話し合いをしたいと思うのですが、総務長官いかがですか、そういう考えになりませんか。
  21. 今松治郎

    ○今松政府委員 この問題につきましては、こうきまります過程におきましては、いろいろ政府部内でも意見はあったのでありますが、いろいろな折衝の結果こういう工合に今回の提案がきまったわけでございます。
  22. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今申し上げましたように、勧告を尊重すると公約しておる以上、百パーセントこれは守っていくという態度で進むお気持はございませんかと伺っておる。
  23. 今松治郎

    ○今松政府委員 人事院勧告を尊重するということにつきまして、勧告通り全部行う方がいいではないかという御意見はごもっともでございますが、私どもといたしましては努めてこの勧告の線に沿うように努力をいたしましたが、この問題についてはただいま提案いたしましたような工合政府意見がきまったわけでございます。
  24. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一度提案した以上、それ以上お答えできないのではないかと思うのですが、それでは先ほど官房長官お尋ねをいたしました人事院会計検査院の問題並びに一般職通勤手当の問題については、後刻与党方々修正についての話し合いをすることにいたしまして、私の質問は一応終り、あと受田委員から詳しく質問していただきたいと思います。
  25. 福永健司

  26. 受田新吉

    受田委員 まず一般職職員給与関係法案についてお尋ねを申し上げます。今石橋委員から、人事院勧告政府取扱いに多少の相違のあることを指摘されたのでありますが、私はこの問題について、もっと掘り下げてお尋ねしてみたいところがあるのです。それは何となれば今回の政府の出されたこの法案は、もともと通勤手当のような諸手当制度というものはなるべく整理統一して、筋の通った新しいものを生み出すべきであるという見解が、公務員制度調査会からすでに答申済みになっているわけです。そういう新しい傾向があるにかかわらず、今さら通勤手当という制度が誕生したということは、何だか時代逆行的な感じを与えると思うのでありますが、これは大体政府としても、人事院勧告がもし現実の問題として筋が通らない場合には、これを取りやめるという考え方もあるのか。この通勤手当を特に人事院勧告通りに取り上げられるとするならば、調査会答申である諸手当の統一ということはお考えにならない前提に立ってやられたのか、そのいずれかをお答え願いたいと思います。
  27. 増子正宏

    増子政府委員 便宜私からお答え申し上げますが、通勤手当という新しい手当の創設ということにつきましては、御指摘のような問題点が確かにあるわけでございます。なお公務員制度調査会答申で申しております諸手当簡素化という点は、御承知のように類似の手当、同じような趣旨から出ております手当は、できるだけ簡素統一化するという点を強調しておるわけでございます。その他経済的ないわば基礎といいますか実態が変って参りましたことによって必要性の少くなってきた手当というものはできるだけ廃止して、本俸の中に繰り入れるべきである、こういう趣旨だというふうに理解しておるわけでございます。ところで今回の通勤手当につきましては、すでにそれと同趣旨手当があるわけでもなし、また人事院勧告指摘しておりますように、民間給与との権衡ということを考慮いたしますと、民間で大部分行われております通勤手当というものは、やはり手当としての必要性があるというふうに考えられたわけでございまして、必要性のある手当は、やはりその必要に応じて新設すべきではないかという考え方によったものでございます。
  28. 受田新吉

    受田委員 民間実態ともかね合って考えたというお言葉もあったわけでございますが、そうしますと、こうした手当を創設するということが常に次の問題を派生するということも考えなければならないと思うのです。今回のこの措置は、有料交通機関のあるところとないところと分けておられるわけです。常に実態に即する取扱いをするという意味からいったならば、キロ数ですべての手当を出すべきである。別に交通機関があろうとなかろうと、徒歩で行こうと行くまいと、とにかく一定の距離以上のところに通勤する者には手当を出すという考え方をおとりになるべきではなかったか。徒歩で通う人には、その支給対象になっていないというようなことは片手落ちではないかと思うのですが、この点いかがでありましょうか。
  29. 増子正宏

    増子政府委員 通勤手当支給と日うことは、私ども考え方におきましては、通勤のために現実相当費用がかかるという点に着目いたしたわけでございます。すなわち先ほど総務長官から申し上げましたように、給与、特に本俸におきましては、大体生計費基礎といたしておりますので、ある程度金額というものは俸給に含まれておるのでありますけれども、そうした平均的に含まれておる金額と比べまして、現実には相当多額通勤費負担している職員がいるわけでございまして、それが生計費の上でもやはり圧迫になっているという点から見まして、そうした相当多額通勤費負担しておるものに対するいわば緩和という意味で、通勤手当支給するという趣旨でございますので、現実にやはり交通機関等利用いたしまして、毎月相当費用負担しておる職員というものを対象考えたわけでございます。従って単に距離手当というような意味ではなしに、通勤費現実負担ということに着目いたしたわけでございます。
  30. 受田新吉

    受田委員 具体的な例をあげますが、たとえば山間僻地学校で、二キロ以上もある遠いところへ女の先生が徒歩で通われる場合、これは自転車で通う平坦地学校通勤と、あるいは一般有料交通機関を利用していける官庁その他の通勤と比べたならば、はるかに高い苦痛があると思うのです。その苦痛は絶対に見のがし得ないと思うのですが、その二キロ以上もあるところを毎日のごとく忠実に通勤するこれらの職員に対して一文の通勤手当も出さない。こういうことは平坦地有料交通機関を利用する人々の交通費負担と比べたならば、非常に大きな私は片手落ちがあると思うのですが、現実の問題としてかかる実態のあることを御考慮になったのでございましょうか、お忘れになっていたのでございましょうか。
  31. 増子正宏

    増子政府委員 御指摘のような事情は私どもも十分承知いたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現実通勤に要する経費負担という点に着目いたしましたためにそういう点は対象外とされたわけでございます。人事院勧告調査等におきましても、そういう点は一応考慮の外に置いておるというふうに承知しております。
  32. 受田新吉

    受田委員 通勤手当を設定する方式が誤まっていると思うのです。大体そういう有料交通機関を利用するとかあるいは自転車を利用するとかいうような表面の形だけを見ようとするのでそうした欠陥が起っておる。キロ数でいけばいい。たとえば転任の移転料の計算というものは、車馬賃というものは、これは公平な取り方がしてあります。従ってこういう場合にあなたはその経費は要らないとおっしゃるが、二キロもある山道を通勤する場合に、夏であればものすごい暑さの中を、くつはちびる、汗は出る、その経済的負担交通機関を利用するものよりはるかに高いところにあると思うのです。これは現実の問題としてはその経費負担の上においても容易でないと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  33. 増子正宏

    増子政府委員 仰せのように直接間接の経費負担ということになりますと、いろいろと出てくるかと思うのでございます。長い道を歩くことによってくつが減るとか、あるいは汗をかくことによって衣服を損傷するというような点になりますと、交通機関利用者の場合におきましても同じような問題は、程度の差はあるかもしれませんが出てくるわけでございます。まあこれはいろいろと考えますと、相当混雑しておる電車、汽車等に乗りますと、冬などはオーバーのボタンがちぎれたりオーバーが破れたりというような点もありまして、交通機関利用という点では、そういったものも考えて参りますといろいろ出てくるわけでございます。なお公平あるいは均衡という点を考慮いたしますと、通勤手当の実際の支給方法というものも非常に複雑になってくるわけでございます。従いまして実際事務の執行の便宜というような点も、現実給与行政としては考えなければならないわけでございまして、そういう趣旨からいろいろ考えれば、こまかな要素もあろうかと思いますけれども、そうした間接的な経費負担というような点は一応除外いたしまして、直接端的な通勤に要する経費負担というふうに、事を分けまして考えたわけでございます。
  34. 受田新吉

    受田委員 自転車で通うべきところを、自転車で通わないで、徒歩でいく人には支給しない。自転車で通えば支給する、こういう考え方でございますか。
  35. 増子正宏

    増子政府委員 この法案におきましては、自転車通勤というのは一応対象にとっておりますので、仰せのようなことになるわけでございます。  なお自転車通勤者に通勤手当支給すべきやいなやという点は、確かに私どもといたしましても、非常に問題といたしまして論議をいたしたのであります。その結果としましては、自転車通勤ということになりますれば、その自転車は、もっぱら通勤のための機関ということになるわけでございます。御承知のように、たとえば朝役所に出て参りまして、夕方帰るまでは、役所に保管しておくということになるわけでございまして、その利用はもっぱら通勤のためということになりますので、その自転車の購入費というものは、端的に通勤のための経費負担というふうに考えていいのではないかということから、通勤手当支給対象といたしたわけでございます。
  36. 受田新吉

    受田委員 これはなかなかこまかい問題のようでございますが、実は人道的にも大きな問題だと思うのです。今あなたのお答えになられたような、自転車購入費というような問題も出てくることになると、またややこしくなるのですが、実際は自転車を用いる人と用いない人があるわけです。そのえり分けというのは、なかなかむずかしいと思うのです。また一方、高級官僚に例をとりましょう。各省の高級官僚は自動車を持っておられる。この自動車で通われる。自動車で朝お宅までお迎えに来て、役所にお届けする。夕方は、高級官僚、局長以上特殊の課長、これらの方たは、役所が済むと国の自動車でお宅までお届けするわけです。そういう方々には通勤手当が出ないことになる。しかしながらこの人々がもし歩いて、たとえば局長が歩いて役所に出るという場合、自動車は要らない、国費を食うのはどうも申訳ないから、私は歩いていく、または都電を用いていく、一般有料交通機関を利用したいという申し出があった場合にはどういうことになるか、この関係お答え願いたい。
  37. 増子正宏

    増子政府委員 有料交通機関を利用しております者につきましては、この法律の規定によりまして、その条件に該当する限り支給対象になるわけでございます。たとえばある局長が、現実に都電に乗り、あるいは地下鉄で通勤しておるということになりまして、この法律に書いてある条件に合致すれば、もちろん支給対象になるわけでございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 そうした実際を考えていくと、局長とか特殊の課長というものは、国の自動車で通勤費に当るものをまかておなっるわけです。山間僻地のそういうところへ通われる人々は、そういう道を選ぼうにも選ばれぬ。他にとるべき手段がない。ないから歩いておる。だからそんなときに、坂道であって自転車で通れないから、自転車に乗れないのであって、もしそれが平坦地であるなら通れる。むしろ坂道の方が苦痛が多い、通勤手当をよけい出すべきだと思うのです。平坦なところへ出して、苦労の多いところに出さぬというこの形をおやめになって一定の距離を中心にした通勤手当という形のものに取りかえられる方が、私は通勤手当の本質に合致すると思うのですが、この点考え直される必要はないですか。
  39. 増子正宏

    増子政府委員 受田さんの御意見は、通勤手当をどういう考え方で出すかということでございまして、いわゆる精神的な苦痛、肉体的な苦痛も、通勤に伴うものであれば、これも通勤手当として見るべきだという御趣旨であれば、お説のようになろうかと思いますけれども、私どもとしましては、通勤手当現実に、経済的に通勤のために経費負担しておるかいなかという点に着眼いたしまして、通勤手当支給することにいたしたわけでありますし、通勤手当というものを、そのように考えて御提案申し上げたわけでございます。
  40. 受田新吉

    受田委員 こまかいことですが、百円の差引規定があるわけです。これは二キロ未満は支給しないから、その支給しない分の百円分を差し引くという、いわゆる基礎控除の格好に当るような形のものでありますが、そういうものでありますか。
  41. 増子正宏

    増子政府委員 百円を控除いたしましたのは、先ほど総務長官から申し上げましたように、原則的な考え方といたしましては、生計費というものを算定の基礎の一部といたしております。現在の俸給の中に、生計費の実体等から見ますれば、通勤に要する経費というものは、ある程度含まれていると考えるのが相当でありまして、そういう趣旨を明らかにするという意味で、控除制をとったわけでございます。すなわち控除される金額というものは、その程度のものは自分の俸給からまかない得るものではないか、まかなってしかるべきものであろう、その他のものにつきまして、いわば俸給でまかない得る以上の分というものを通勤手当として支給しよう、こういう考え方でございます。
  42. 受田新吉

    受田委員 釈然としないところもあるわけでありますが、もう一歩進んでお尋ねします。今度高い方から見る。六百円を最高としておるわけでありますが、実際は、住宅事情などによって、今もっとはるか遠いところから通う人があるわけです。国の宿舎施設、国営のそうした公務員の住宅施設が完備していない今日、やむなく遠くから通っている人がある。それは国の政治の欠陥からくる通勤ということでございますが、そういう人々を六百円で押えるという現象も起っているわけです。実際に即していこうとすれば六百円で抑えなくて、もっと高いところに置いてもいいのではないか。今度は進んだ形でお尋ねしますが、いかがですか。
  43. 増子正宏

    増子政府委員 お説のように、通勤手当支給額にどのような限界を設けるかということには、考え方としてはいろいろあると思います。すなわち実際要する経費は、無制限に金額支給するというやり方もございますし、またその中で一定の距離以内のものは対象外にするけれども、それをこえるものはそのこえた分だけという考え方もあろうかと思います。あるいはまた全額のうちで、その二分の一だけは使用者側負担というような形でやることもありましょうし、そういった支給額の算出方法についてはいろいろあるわけでございますが、私どもとしましては、人事院勧告に従いまして、その最高制限額を六百円といたしたわけでございます。これは御承知のように、民間におけるこの種の制限額の平均額を人事院勧告においては一応基礎とされておりますので、その考え方に従ったわけであります。
  44. 受田新吉

    受田委員 大蔵省にお伺いしますが、この六百円という限度はやはり免税点にも関係してくると思うのです。現物給与というものに対して免税点を大体七百円程度に置いておると考えておるのでございますが、現物給与に対して、何を根拠にして免税点を七百円というところに置いたのか、御答弁願いたいと思います。
  45. 岸本晋

    ○岸本政府委員 現在、所得税法の扱いでは大体六百円程度ということに相なっております。その程度のものは課税しない。どの程度金額が非課税限度として妥当かということの絶対的な理屈は必ずしもないとは存じますが、しかし現実通勤状態あるいは所得の中に占める交通費の割合というものを考えますと、六百円程度までは非課税にしても穏当であろうと考えておるわけでございます。そのほかの現物給与の非課税限度につきましても、大体常識的にこの程度であろうということできまっておるわけでございます。
  46. 受田新吉

    受田委員 国税庁の通牒などが末端には徹底しておらぬようでございますが、そういうことで問題が起るわけです。たとえば今三万円の所得がある公務員がおる。ちょうど限界線にきて、それを趣えればというところでは、百円もらうと今度は税金が百二十円かかるという具体的な例もあるわけです。たった百円の通勤手当が出たために百二十円の税金をとられる。こういう人々は二十円のマイナスになるわけですが、こういう場合にはそれをどう取り扱うことになっておりますか。
  47. 岸本晋

    ○岸本政府委員 ただいま御指摘になりました点は必ずしも通勤手当だけの問題ではございませんで、たとえば特殊勤務手当がある月に百円よけい出た、そのために税金が百二十円よけいかかる、そういう場合もあり得るわけであります。これは給与の線と片一方の所得税の逓減率の段階があるというところから出てくる現象であります。ただいまの御指摘は、自転車の百円の場合にこれに課税するのかしないのかという御質問と了解してお答えさせていただきますと、この点については、国税庁内部で実際問題として課税して妥当かどうか、なを検討いたしたいという希望を持っております。
  48. 受田新吉

    受田委員 今、次にお尋ねしようと思っておったわけですが、自転車通勤の場合に、これは政府考えている現物給与という考え方に立つ通勤手当になるかどうか、いかがです。
  49. 岸本晋

    ○岸本政府委員 これはあと人事院規則できまります通勤手当支給方法によっても変って参ると思うわけです。たとえば自転車の修繕費については修繕してきたという証明がある場合に出す、そういうような人事院規則であれば、これは現物給与の色彩がはっきりして参ります。そうでなくてただ一律に、自転車通勤の人には手当として百円出すという式の支給方法に相なりますと、これはやはり一応現物給与という範囲からはずれて参ります。ただ支給金額が非常に少いわけでありますから、そういう面で何か情状酌量の余地があろうかと考えるわけであります。
  50. 受田新吉

    受田委員 情状酌量というとまことに哀れな対象のように見えますが、そんな無理をして百円かそこらのお金をもらうのは実際苦労だろうと思うのです。私は、たった百円でも税の対象になるということはやはり問題だと思うのです。人事院がどういう規則をお出しになるかしらぬが、自転車通勤手当が免税の対象になるかならぬかということは、軽く見えて非常に重大な問題だ。人事院と十分相談されて次の具体的な対策を一応お立てになったのですか、どうですか。今松さん、自転車の場合の税金の問題は相談されたのですか。
  51. 今松治郎

    ○今松政府委員 税の問題につきましては、私どもといたしましてはまだ決定しておりませんが、税務当局と連絡の上課税対象とならないように努力したいと考えております。
  52. 受田新吉

    受田委員 岸本さんからただいま、自転車がパンクしたときにその修理費を証明書を持ってくれば出すというようなこともあったようですが、パンクの修理代に証明書を必要として百円もらうということになれば、大へんな苦痛だと思うのです。だから、そういうときには、現物給与ということになるが、そういうものがなければならないのだというような、こういう論拠は何とか早く解決しておいてこの法案をお出しになるべきじゃなかったかと思う。ただいまの状況では、まだ税金の問題も解決されておりません。百円くらいの自転車通勤手当を出すのに、税金をかけるのだ、ある特別な場合は情状酌量して許すというようないかめしいお言葉があるということを考えるときに、やはり政府法案をお出しになるときは、こんなものを解決してすっきりした形でお出しになるべきじゃなかったかと思うのです。この点、官房長官、あなたはそうした政府部内のいろいろな見解の統一をはかられる大事な地位にあって、大蔵省と総理府の見解相違というようなものについても調整をされなければならない責任者である。総務長官総理府の最高責任者であられる。あなたはそういう内閣の連絡調整の責任者であり、国務大臣級をもって充てられる重職にあられるのですが、この問題をどう処理されるか、お答え願いたいと思う。
  53. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまのお尋ねの件に関しましては、内閣としては非課税の方向で処理することに考えております。
  54. 受田新吉

    受田委員 それではっきりしました。それで私の伺うところが満たされたと思います。  それからもう一つ給与関係お尋ねしなければならぬのが残っておる。今せっかくうしろに法制局次長がおられるから、この際伺っておきたいのだが、法制局の見解をたださなければならない問題が一つある。それはこの前あなたの方の長官がおいでになられて、未帰還公務員に対する給与の御答弁をいただいたわけでありますが、未帰還公務員の中に給与支給しないという対象になっておる人々がおるわけです。この人々の処遇について、法律見解をもってするならば、国の公務員にして給与を出されないという形のものは、公務員法におけるきわめて特別の対象の職種であるからという意味をもっては免れることのできない重大な問題だと思うのです。国の公務に従事した人々に対して給与を出さなくてもいいのだというこの考え方は間違いとはお考えになりませんか。
  55. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいま受田さんからお話のありました点、実は法制局長官が直接にお答えをした点に関連しての問題であろうと思うのです。実は私も耳にいたしておりましたけれども、その問題について法制局長官なりあるいは私の方の担当部長からお答えをする手はずになっておったと私は承知しております。そういうわけで、私が御答弁をするのには十分に熟しておらないようなわけでございますが、せっかくのお尋ねでございましたので、私の承知する限り申し上げますれば、先般お答えを申し上げましたところは若干正確を欠いておったところもあったようでございます。つまり公務員の地位にある者に対してはやはり手当が出し得るのではないかというようなことでありましたが、その点十分な検討をいたしました結果は、あの関係法律取扱い及び解釈といたしましてはこれを出すことができない、またそういうような取扱いになっておるというふうな見解であるということを承知しております。その関係、公務員でありながらというのはあらためてまた御答弁申し上げるのが筋であろうと思いますが、今この当面の問題としてその点に限定をしてお答え申し上げますれば、実質的に公務に従事しておらないという点がおそらくは、その解釈を特に誤まりとして指摘するというほどのことではないという根拠になるのではないかというふうに考えます。しかしこの問題は先ほど来申し上げました通りに、別途検討しておる担当官がございますので、それからお答えを申し上げました方が正確を期し得られると思いますので、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  56. 受田新吉

    受田委員 こういう席で法制局の統一した見解をお伺いしたいと思っていたわけですが、まだ御連絡ができていないようですから、それはそのままそっとしておきます。  もう一つ問題があるのです。それは暫定手当です。暫定手当について昭和三十三年の四月、今月ですが、今月から無給地に対する三%支給がされておる。来年の今月から本俸にこれが五%が繰り入れられる、こういう形になっておるのですけれども現実に全国の各市町村は統合されて暫定手当というものがすべて同一基準に立つべき状況に立たされておるのです。こうした無給地解消への努力を現になされつつある政府といたされましても、来年の四月を待つまでもなく、できるだけ早い機会に無給地解消への努力をされるべきではないか。現に文部省または自治庁は大蔵省に対して無給地解消のための予算要求をすでにしておった。それが大蔵省の査定で削られたという結果になっておるわけです。各省の強い要望が現実の問題として実を結んでおらない。何とかできるだけ早い機会に無給地解消への実現という日を迎えるための努力が必要ではないのでございましょうか、御答弁を願いたい。
  57. 今松治郎

    ○今松政府委員 ただいまの受田委員の御質問は非常にごもっともと思います。なるべく努力をいたしまして、一日も早くその無給地解消をいたしますような努力を続けて参りたいと思います。
  58. 受田新吉

    受田委員 官房長官お急ぎのようでありますので、次の法案に移り、必要な場合にまたこの法案に返ることにいたしますが、特別職職員給与法改正です。これでまず私別表の中身をお尋ねしてみたいと思うのですが、総理大臣を十五万円にし、国務大臣を十一万円にするというこの給与改訂というものは、何を根拠にしてこの額がきまったのか御答弁を願いたい。
  59. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律案の所管が大蔵大臣でございますので、私はこまかい数字的な積み上げの根拠というものをここに詳細に申し上げることはできないのでございますが、大体これは御案内のように、過去数年間における一般職の公務員の給与ベースアップ、その傾向をとりまして、かつそこにある程度常識的な配慮を加えまして、総理大臣とそれから立法、司法の最高責任者というものを十五万と抑え、それからあとは大体今申しましたように、一般職職員給与ベースアップ、ことに一般職最高給のところのベースアップの変遷を大体取り入れまして勘定したものでございます。その何割何分がどうこうというようなことにつきましては、大蔵省の政府委員から御説明申し上げたいと思いますが、要するにこれは私率直に申し上げるのでございますが、ある程度常識的な考え方を加味しなければかようなものについては政治的な判断はできない、こういうふうに私は考えるわけであります。
  60. 受田新吉

    受田委員 その具体的な積み上げの中身を大蔵省からお伺いしたいと思ったのですが、おらないので仕方ありません。  官房長官は今特別職給与はある程度常識で判断するものだ、こういうことになってくると、これはやはり問題がある。常識で給与がきまるということですね。そうすると、この中に内閣の官房副長官、政務次官、こういう職種があるわけで、これは現に九万円という額に切りかえられるような案が出ているわけです。内閣の官房副長官や総理府の総務副長官と国会議員とが同じ給与でいいという基準はどこから生まれたのであるか。公務員の最高給与を下回らないという基準は、それは一般職であって、常識的に考えた公務員というものではないということであれば別でございまするが、少くとも国会議員の場合官房副長官や総理府総務副長官と同額に取り扱われているということは、給与体系上における国会法の考え方等においても問題があるのじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうかね。これはなかなかむずかしいと思うのですけれども、しかしここへ案が出ているのですから、国会議員と同額でよろしいという結論が出た御趣旨を御説明願いたいのです。
  61. 愛知揆一

    愛知政府委員 これは実は一般職最高給であるところの各省の事務次官のクラスと一方において調整あんばいをとらなければならないわけであります。それから同時に、国会議員は最高の事務職員よりも下らざる待遇を保障しなければなりません。その両方の限界から見まして、まずこの程度が最も妥当であろうということを常識的に結論として出しましたわけでございます。
  62. 受田新吉

    受田委員 二つの面から考えたのだとおっしゃるけれども、しかし従来の給与法改正のつど、この官房副長官というもの、それより官房長官すらも国会議員よりは下であった時代があります。それが最近どんどん引き抜いていっているわけです。これは全く常識的な給与額の改訂であるということになるならば、給与体系そのものにひびが入ると思うのです。やはりはっきりした根拠をもってこの給与の積み上げがされていかなければならぬと思うのです。過去において官房長官すら国会議員より下であった時代がある。いわんや副長官においておやです。また防衛庁の事務次官などがやはり政務次官と同額になっているわけですが、これは事務次官こいうものの中に特別に高い給与をもらう者があるということになるわけなんです。統合幕僚会議議長、これも将来国防省を作る前提として認証官にするためにやはりこういうふうにしておかなければならぬという声も聞いておるのです。何だかこういり特権的なものが上の一角からタケノコが頭をもたげるごとくにぽつりぽつりと出ておるところに私は危険性があると思うのですけれども官房長官、国の公務員の給与全般を見渡した場合に、防衛庁の事務次官、統合幕僚会議議長、こういう方々が政務次官、国会議員の列に突如として頭をもたげているというこの現象を奇異にお考えではございませんでしょうか。
  63. 愛知揆一

    愛知政府委員 防衛庁の事務次官は各省の事務次官より高いランクにあるものとは、私は思いません。ただ異例として統合幕僚会議議長でありますか、これが事務次官の最高級と同じランクになっておると思いますが、これはただいまお話がございましたが、将来認証官にするとかなんとかいうような含みで特殊性を認めておるわけではございません。なおただいまお話がごさいましたが、給与の体系の方もなかなかむずかしい問題でありますが、同時に私どもとしては認証官というような制度を含むところの公務員の身分の体系については、機会を見まして抜本的に整理すべきものとかねがね考えまして、よりより研究もいたしておったわけでございますが、まだ成案を得るに至っていないわけでございます。それから給与の体系に戻って申し上げますが、大体ここにも表としてごらんいただいておるものがございますが、これは見ようによってはいろいろの見ようがあると思います。一つのところだけを取り上げて、これはもっと優遇した方がいいのではないか、あるいはもっと格下げすべきであるというような、いろいろな御意見はあり得ると思いますが、私は、最近の状況から見まして、これは相当程度慎重に各間のバランスを考えて成案を得たつもりでございまするので、先ほど来お話がございますような、たとえば政務次官とか内閣官房副長官というのは、現在のところ実際の問題として、政務次官はもとよりでございますが、官房副長官というようなものも、国会議員が原則的に就任しておるというような関係も見なければなりません。他方これが各省の事務次官よりも下位に位するというようなことは、給与の体系としていかがかというところで、落ちつくところが大体国会議員と同格ということに相なるわけでございます。
  64. 受田新吉

    受田委員 もう一つここで九万円クラスの例をあげてみたいんですけれども、団家公安委員会委員というのが一つあるわけです。これは私又からしばしば指摘したのですけれども、この国家公安委員会くらい出席常ならざるなまけ者の多い委員会はないのです。私たちの調査したところによると、大体一年に五十回前後やっていればいい方なんです。その中に出席が一年を通じて三十日という委員もおるわけです。一年に三十日ですよ。それで月額九万円という金額をいただいておるわけです。このくらい歩当りのいい給与はないです。こうしたあたかも非常勤の性格を持つような委員会委員を、常勤の性格を持つ末女員会の委員と同じような取扱いをするというところに問題があるのであって、一年のうちに三十回か四十回、せいぜい五十回程度会議を開く程度委員会委員をわざわざ国会議員と同列のクラスに入れておくということは、私は問題があると思うのです。いかがでしょう、長官。何とかこの際英断を振われたらいかがですか。
  65. 愛知揆一

    愛知政府委員 その点は実は私どもも非常に頭を悩ました点でございます。率直に申しまして、国家公安委員上、会委員というのは、従前の特別職の俸給表から申しますると、非常な高位にございまして、国務大臣と同格であったわけであります。これはどうしても格下げをいたさなければならぬ、また先ほどいろいろの御意見もございましたが、国家公安委員長委員とは格つけを変えなければいけないということを考えて、このランクにいたしたのでございます。もう一つ、ただいま御審議を願っておりまする特別職関係法律案の第四条をごらんいただきたいのであります。新たに第四条をかくのごとく改めまして、「第一条第九号から第十四号までに掲げる特別職職員のうち、他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行い、当該職務、事業又は業務から生ずる所得が主たる所得となる者には、第二条に規定する給与は、支給しない。」ということに、今回この法律基礎を直していただきたいと考えておるわけでございますから、自然、一例を具体的に申し上げることは恐縮でありますが、たとえば日本有飲の製鉄会社の社長の方に国家公安委員をお願いいたしておりますような場合には、その方には国家からは一文も差し上げないということに、この法律が成立いたしますればなるわけでございますので、その点は御了承を願いたいと思います。
  66. 受田新吉

    受田委員 この第四条にこの項を入れておられることは非常に敬意を表するわけです。これは今一例をおあげになられましたが、そういう人もあれば、また弁護士のような場合も、これは他の職務ということになると思うのです。これもさように心得てよろしゅうございますね。
  67. 愛知揆一

    愛知政府委員 この法律に規定されておる通りでございまして、この職務を執行いたしまするために必要な実費というようなものがございます。そういうような場合の手当のようなものは別でございますが、弁護士の場合でも、相当高額の所得者でありまする場合は、この俸給はお払いをしない、こういう建前にいたすつもりでございます。
  68. 受田新吉

    受田委員 個々の認定の基準というものがまたむずかしいことになると思います。ここは一つ十分厳格にやっていただくこととそれから他に職務を持っていないと目される人々がこの職に当るときば、依然としてたとい一年に二十日か三十日しか出なくても、この九万円を出すことになるのでございますね。
  69. 愛知揆一

    愛知政府委員 この法文の文理解釈といたしましては、他の職業が何でありましても、製鉄会社の社長であっても弁護士であっても、その方から生ずるところの所得が主たる所得であり生計を維持するに足ると認められるものについては、国家からの俸給は出さない、こういうことになるという解釈でございます。
  70. 受田新吉

    受田委員 そうするとこの九万円よリ高いところにあるものが主たる所得で、低いところにあるものは従たる所得とかように考えてよろしゅうございましょうか。
  71. 愛知揆一

    愛知政府委員 大体そう考えてよろしいと思います。つまり常識的に言えばその九万円以下の所得といいますか、九万円以上ももらっておるような方であれば、これはもう差し上げない、これは明白に申し上げられると思っております。
  72. 受田新吉

    受田委員 弁護士の標準収入というものがどういうところに置かれておるか、これは人々によって違う、と思うのですが、九万円という額は、これは相当の収入があるということになると思うのですが、弁護士の基準はこの九万円と比較してどの点に落ちついておるか。すべて研究の上この法案が出されておると思うのです。お答え願いたいと思います。
  73. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはその人によって、具体的のケースによって違うと思います。なおこまかくは他の政府委員から御説明いたします。
  74. 岸本晋

    ○岸本政府委員 この第四条の運用の方法につきましては、まだ詳細に検討中でございまして、これといって確たる方針をただいま申し上げるわけには参らないのでございますが、大体官房長官からお話がありましたように、ほかの職務からもらっておる所得の方が、この法律による俸給より多くて、それが主たる所得になっておるというような場合は除く、という抽象的な方針で今考えております。御指摘の弁護士の場合はどうなるかということでございますが、これもただいまのところでは、今申し上げた方針に従って、個々的に判定いたしていくよりいたし方がないと考えております。
  75. 受田新吉

    受田委員 現在、弁護士で委員をやっておられる方があるわけです。これはどういうふうに検討されましょうか。
  76. 岸本晋

    ○岸本政府委員 その点非常に不勉強で申しわけございませんが、現在やっておられる方の個々の所得をどう判定するか、まだ実は今のところ検討しておりませんので、法案の成立後直ちに調査いたしまして研究したいと思います。
  77. 受田新吉

    受田委員 大体この九万円クラスの中には、普通の委員というのは国家公安委員だけなんです。あと委員長がここに入っているわけです。従ってこの公安委員の級をもう少し下げるという取扱い、あるいは非常勤の取扱いにするとかいう方法をとった方がきわめてはっきりしていいじゃないでしょうか。
  78. 岸本晋

    ○岸本政府委員 国家公安委員だけについての御質問でございますので、事務的にお答えさせていただきます。国家公安委員のランクが、つまり常勤の方でもランクが高過ぎるのではないかという点が第一の御質問かと思います。しかし国家公安委員は、ほかの同列に並んでおります委員長と比較いたしますと、下の方に一般委員がありますが、この一般委員に比較いたしますと、国家公安委員は特別な職務を持っております。単なる外局の委員であるというばかりでなく、警察庁長官の任免権を持っているとか、あるいは警察庁を管理するというような任務を持っております。一般の一番下の委員とは、若干趣きを異にいたしております。職務の重要性から申しますと、むしろ上の委員長と同格にいたした方がいいのではないか、こういう考えでございます。  それから第二点の、全部非常勤にしたらいかがかということでございますが、これは現在のあるいは過去の人選から参りますと、あるいはそういう御議論になるかとも思いますが、将来これだけを専任で来られる、これによって生ずる所得が主たる所得になる方も、出て参るわけでございます。そういう場合も予想いたしまして、一応上の欄に入れておるわけであります。
  79. 受田新吉

    受田委員 警察庁長官を任免されるのは国家公安委員会であって、国家公安委員個人ではないと思うのでありますが、どうでございましょう
  80. 岸本晋

    ○岸本政府委員 御指摘通りでございますが、そうした委員会構成メンバーとして、そうした重要な任免権を持っているわけでございます。
  81. 受田新吉

    受田委員 それは大きな考え違いであって、国家公安委員個人として警察庁長官を任免することはできない。従って現に教育委員会というのがあります。各府県にそういう機関がある。この教育委員会委員は、きわめて薄給である。ところが任免する教育長は非常な高給であるという現象が起っているわけです。こういうこととつり合いをとらす意味でも、そういった委員会構成するメンバーの一人を、国務大臣と同じところに置きたいとかいう考え方をお持ちになるとか、警察庁長官より高い給与を与えるという考え方は、古い考え方だと思う。たとい給与が低くても、警察庁長官は最敬礼して、その人の命令に服従しなければならないという格好をとれば、統制はとれるのであって、警察庁長が、公安委員給与が自分より低いからこばかにするとかということだったら罷免すればよい。従ってその間の統制は、特に給与で統制をとるのではなく、実質的なお互いの職務執行の内容によっていくのであって、そこの区別をはっきりしていただきたいと思います。  それからもう一つ、これに関連するのですが、国家公安委員会委員長は国務大臣でもって当るので、それがないわけですが、勤務日数のきわめて少いものを、常勤の性格のものに置くということは、あやまりだと私は思う。これは常時開かれているような形の委員会ならいいけれども、一年に三十回か四十回程度しか開かないような委員会——出勤簿を見ると三十日や四十日しか出ていない。そういうことを一つ考えていただいて、できれば、式部官長というのがここにあるのですが、われわれとしては、あなた方が直さなければわれわれの手で考え直さなければいかぬ。式部官長は八万円とある。普通の委員会委員よりちょっと貫禄を高めたいというならば、ここのまん中に入れればいい。いろいろな手がある。そこのところはちょっと常識的にこの法案を作られたおそれがある。一つもっと公平な判断をしていただいて、職務内容というものを考えておきめいただいたらと思います。それではもう一つ、これは長官からお答え願いたいのですが、第一条の2に、「大使の俸給月額は、特別の事情により」云々と掲げてございまして、「十一万円とすることができる。」という規定がございますが、一等大使の十万円をこえて十一万円にするという場合は、これは常識的に考えて大物がそれにいくというような場合だと思うんですけれども、さよう了解してよろしゅうございますか。
  82. 愛知揆一

    愛知政府委員 その点は御指摘通りでございまして、今後あるいは将来の国際情勢にかんがみまして、いわゆる大物と申しますか、場合によれば総理大臣とか議長とかいうような、国家として最高責任者になったような人すら、あるいは大使になるということも想像されないではない、いわんや国務大臣を歴任したというような人が大位になるということは、きわめてあり得ることであろうと思います。そういう場合に備えまして、特別の規定を置くことにいたしたわけでございます。
  83. 受田新吉

    受田委員 大使の五号俸にわたる俸給の段階の中に一つ増えたわけですが、これはふえるんでしたら、大使の号俸の中に入れられた方がはっきりしていいんじゃないでしょうか。これをワク外に出して取り扱うよりは、そういう措置をしておいた方がよかったんじゃないでしょうか。
  84. 岸本晋

    ○岸本政府委員 事務的な問題でありますのでお答えさせていただきます。俸給表のワク内に入れますと、普通の経歴の者でも勤続年数がたって、ある程度全員がそこまでいけるという可能性を持たせるわけでございます。ところがこの大使の十一万円という特別号俸は、勤続年数が長かった、ベテランだという意味ではございません。先ほど長官から申し上げましたような意味で任命いたすわけでありますから、一応ワクの外にはずしてるわけであります。
  85. 受田新吉

    受田委員 少くとも十一万円という新しい号俸が特別俸として出てきた以上は、これは陰の方にそっとしまっておくべきではないと思うのです。何となれば、十一万円の大使を作る必要があるということがはっきりしてる以上は、ちゃんとこれに入れておけばいい、もしこのようなワク外に出さなければ大使にはならぬというような者があれば、任命しなければいい。一万円くらいで大使になるならぬという議論にはならないと思うほかの特別職の中にはこういう例がない。大使だけこういう例外をお作りになったわけですが、これは金額によって大使が動くということでなく、むしろその個人のいろいろな特色がこれに伴うものでございますので、たとい国務大臣、総理大臣の大使が行かれたとしても、給与は大使の一番高い号俸で行かれてけっこう国際的な信用は回復する。大物が行くときには外国が、時に一万円高い大使だというので、特別に歓迎するというわけではないのですから、給与の上で大使の貫禄がつくわけでなくて、その、実力につくわけです。そういうことを考えたならば、このワク外にこの一万円多い特別号俸をはみ出すことは、どうかという感じを持つのでございます。私の所見に異議がございますか、あるいはある程度共鳴する向きもありますか。これは判断をされる立場から長官から伺いたいと思います。
  86. 愛知揆一

    愛知政府委員 まことにごもっともなお考えでございまして、これも実は相当ども苦心いたしましたのですが、ただいま岸本政府委員からお答えをいたしましたような経過で、どうも率直に申しまして、これを号俸の中に入れておきますと、相当長く大使の経歴ができたというような場合に、これをやはり最高給にと考えるのは、外務省その他の人情としてあり得ることでありますが、そうなりますと、特別職といいましても、いわゆるキャリアの外交官というものは、一種の一般職でありまして、そういうものに特に格づけを表の中に入れておきまして、さような期待を持たせるということはいかがかと思いましたので、政治的にも別格のものがあり得るので、そういう場合には特例によることといたしたい、こういうのがまあまあというような考え方で、こういう案にいたしたわけでございます。
  87. 受田新吉

    受田委員 今岸本さんが御心配されたようなところは、たとえば五号俸へ早く行ってしまって、十一万円まで上らなければならぬということですが、実際問題の取扱いとして、このままにしておいて五号俸の十万円になってから三年も五年も大使をやっておれば、やはり結果的にはこれはもう一番高い号俸をもらって相当期間たつのであるから、やはりこの一条の二項によって特別の事情によって月額によりがたいという中に入ると思うのです。一番高いところへ行って、そして三年も五年もこの五号俸に入っておりますと、やはりこの条項へ入る対象になると思うのです。そういうことがあり得ると私は思うのですが、いかがでしょうか。そういうような特別の事情という仲間へ——そういう一番高い号俸をもらった大使が何年も何年も勤務するうちには特別な事情へ入る、そういう場合が起り得るのじゃないでしょうか。
  88. 愛知揆一

    愛知政府委員 少くともこの立案者の気持としてはそういうことをやらないようにというつもりでやっておりますので、施行上もそういうようなことはないと考えます。
  89. 受田新吉

    受田委員 これは外務省のお役人に実情も聞いてみたらいいと思うのですけれども、大体外務省の大使が多過ぎるということがこの前問題になったわけです。認証官が多過ぎると、ずいぶんここで論議されたのです。従って外務省畑でなくして、一般から有能な人を抜擢するがゆえにこういう規定があっていいということになり得るとも思うのですけれども、実際は民間から抜擢する場合であっても、十一万円に当るということはなかなか困難なのであって、やはり国務大臣と同じくらいの人であっても、実際の給与は十万円という五号俸で差し向けられる場合が多い。まれに十一万円を用いるということになると思うのです。これは御所見を伺っておりまするので、われわれの方でまた検討を加えることにいたしたいと思います。  いま一つ、二人の長官がおいでになりまするので、この特別職及び一般職につながる高い観点から御答弁願いたいのですが、大体国の公務員に与える給与を扱う役所が一方特別職は大蔵省がやり、一般職総理府がやっておるわけです。そこで双方の連絡調整というものをやる機関としてはやはり総理府の方が受け持ちをしておるのじゃないかと思うのです。公務員制度調査室というものに各省にまたがる公務員の給与の連絡調整という責任があるのですが、そういう考え方から言うならば、総理府は大蔵省を含む給与の連絡調整をはかる機関であると了解してよろしゅうございますか。
  90. 愛知揆一

    愛知政府委員 御承知の通り、行政機構の改革の案につきましては、総理府に人事局と申しますか、そういうようなものを設けまして、特別職関係一般職関係もあるいはその他の公的な立場におる勤務者の給与問題等についても、一元的に総理府で取り扱うようにいたしたい、こういうふうに考えておるのであります。現在のところは大蔵省に特別職給与関係の所管が残っております。その点は機構としてははなはだ不便なのでありますが、総理府において事実上大蔵省の給与担当者とも特に緊密な連係をとり、また人事院等とも十分な連絡をとりまして支障なきを期しておるようなわけでございますが、先ほど申しましたように、現状の体制に政府としては満足しているわけじゃございませんで、いずれ近い機会に成案をぜひ成立させたいという考え方で進めたいと思っております。
  91. 受田新吉

    受田委員 大蔵省と総理府の見解が違うというような場合に、政府の意図が二つの方面から流れてくるという危険もあるわけです。この特別職給与法ども一般職を参考にされておきめになられておるでおろうが、一方では常識も働くということにもなり、人事院という機関は特別職へは全然タッチできないので、人事院総裁そのものが、かしこみかしこんで大蔵省の指図に従う、こういう形になってきたわけです。そういうところを考えますと、筋の通る一般職給与が、特別職職員給与によって曲げられた形で出る問題もあるといういうことになりますので、その間の調整をはかる機関としては、最終的には総理府の方で給与の全般を見渡してある程度の結論を出し得るような権限も必要ではないか。これは基準はあくまでも一般職であって、特別職は例外的な形で給与が検討されてきておるわけです。一般職の基準に準じて特別職は常に給与の体系を考えてきたわけです。特別職給与を基準にして、一般職がきめられているわけではないのであります。そういう意味からいいましたならば、総理府でその間の連絡調整をはかられるということはきわめて必要ではないか。そうして人事院考えている勧告その他の構想が、それによって具体化する、こういう方向へ持っていかなければならぬ。そうしませんと、官房長官はかって大蔵省へ御在任のときお考えでございましょうが、大蔵省の次官や局長が、今度国が出資している特殊法人の機関の長に出られるような場合、御承知のように公庫や公団の総裁理事長で月給を二十万円とっておる。副総裁が十五万円、理事が十二万円ないし十万円、監査でさえも八万円もらっておるのです。これは国務大臣、総理大臣よりも非常に高い給与をもってそういうところへ出ておられるのは、大体大蔵省の高級のお役人である。大蔵省の次官や局長をやられたらそうしたその次のポストで不自由をせられない。しかし人事院とかその他のお役人の方々は、出ようにも出る道がない。ひじを抱いてなげいておられるのです。そういうことを考えてみると、大蔵省という役所は少しわがままをなさっておると思うのですが、公庫や公団の総裁や副総裁に、何を好んで総理大臣の二倍も一倍半もの給与をお出しになるかということも、私は了解に苦しむのでございます。岸本さんはただ事務的な処理をされるだけで、非常に御苦痛しておられると思いますが、一つ改めていかなければならぬと思う。しかるにことしの初めごろそれをまた上げようという動きがあって、ものすごく高いところへ引き上げようとしておったが、世論におされて押さえたようですが、この点官房長官、また岸本政府委員とせられまして、そうした特殊法人の高級職員いわゆる理事者に対する給与をこの際特別職一般職とよくかね合うて、できれば引き下げるという形をおとりになるお考えはないか、もしそれをやる場合に、現実にそれらの機関の給与を引き下げるという場合に、法制局としては、これは既得権侵害になると思うかどうか、お答えを願いたいと思います。
  92. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、公団、公社というところの仕事になりますと、性質上他の一般の市中の金融機関あるいは会社と仕事の関係ども非常に密接でもあり、またそれらのところの職員給与が、これはいいか悪いかは別問題でありますが、現実の問題としては一般の公務員よりも相当高いのでございます。それらとの均衡ということも考えなければならないのでありますから、一挙に現在の公社、公団の役職員給与を引き下げるなどということは、現実の事態としては、せっかくの御提案でございますが、現在のところ政府としてはさようなことはできない。ただなるべく自制するようにというような気持は常に持ち続けて参らなければならぬと思いますが、現在のところこれを引き下げるというようなことは私どもとしては考えておらぬわけでございますから、自然、既得権の侵害というようなことも仮定の問題になるわけです。現在のところはさようなことを考えておりません。
  93. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 私に対する御質問は、政府関係機関における職員給与を減額することが既得権の侵害になるのではないかという御質疑だと存じますが、御説のように既得権——憲法の規定から申しますれば財産権でございますが、これは既得権としてあるいは権利として、俸給請求権として発生しておりますものを減額するのは、まさに憲法、二十九条の規定の保障しております財産権の侵害になりますが、請求権の発生していないものにつきましては、事の当否の問題は別といたしまして、必ずしも財産権の侵害になることはなかろうというふうに考えます。むろん公法のうちには、そういうものを減額することは適当でないということで、法律によりますと減額をすることをしないという保障をしておるものもございます。そういう指定のものは別でございますが、一般的な関係で申し上げますと、その通りでございます。
  94. 受田新吉

    受田委員 政府関係機関あるいはその他の特殊法人ですね、こういう国の出資に基く機関の職員給与というものは、法律でその基準が定められているわけではないのです。だから大蔵大臣その他の主務大臣との相談あるいは理事会できめた形でいくわけであって、法律的な制約は受けていない。だから申し合せを変更することでどのようにもなるわけだ。その点は、法律でその権利を表明されている形の一般公務員の給与とは、いささか性格を異にするものじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  95. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 御説明が十分でなかったと存じますが、要するに財産権の保障と申しますのは、国の公権力によりまして個人の持っている財産権を侵害する、こういう面に現われてくるわけでございます。そういうところに典型的に現われてくるわけでございますので、特に法律で俸給の額を定め、しかもその俸給の額を定めた法律に基いて俸給の請求権が生じたもの、そういうものにつきましては既得権の問題が発生いたしますが、そうでないものにつきましては、同様の意味の既得権の侵害の問題は生じてこないであろうというふうに考えるわけでございまして、結論におきまして先ほど申し上げた通りと存じます。
  96. 受田新吉

    受田委員 官房長官、今のような御解釈ですが、既得権侵害というようなものは法律で定めた場合に起るので、主務大臣と大蔵大臣等が相談してきめるというような場合に、変更の可能性はあってもいい、これは既得権の侵害にはならないという御意見もあるのでありますが、これはきわめてそこがずるいきめ方で、融通のつく形でこういう機関の理事者側の給与はきめられておると思うのです。それで一般職員給与というものはそう違いません。これは地域給を中に取り入れた程度のものであって、公庫、公団の職員給与はほとんど同じです。公社だって同じことです。だから一般職員は変らない。しかるに理事者の方が倍も一倍半もとっておるというような変形的な体系ができているわけだ。これを一つ引き戻さないと、民間給与をうんと高める一つのとりでにもなるし、民間理事者側がまた高い給与を要求する一つの根拠にもなると思う。やはりこれは大事な問題であると思いまするので、長官としては政府部内の意見をよくまとめられる意味で、おのおの方の意見を十分お聞き届けの上で御答弁願いたいと思う。
  97. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど私が申し上げましたように、具体的な数字でお示しするだけの用意が私自身としてないのでありますけれども一般職の普通の公務員よりも公団、公社の方が、概して言えばある程度給与は上位にあることは否定できないと思うのであります。そういう関係もございますし、私としてはただいまのところ、公団、公社の役職員の現行の給与を下げるということは、全然考えていないわけでございます。従って法律上これが既得権の侵害になるかどうかということは、理論的な問題としてはあるのでありますけれども現実の行政上あるいは政治上の問題としてはございませんので、かりに法律上の既得権侵害を起すようなことであっても、そういうことは起さないようなことをやりますから、この点は問題にならないというふうに考えておるわけでございます。なお法制上の見解はただいま法制局次長から申し上げました通りで間違いはないと思います。
  98. 受田新吉

    受田委員 これで私質問を終らせていただきたいと思いますが、国民が高い代償を払って国に納めたその税金の行方をはっきり見守るところに、私たち国会やまた政府のあなた方の責任もあろうと思います。従って国の出資に基く政府機関の給与を、国会が監視もせず、また国民もこれを放任しているというような形では、これは私は許されないと思う。やはり田の半額出資とかあるいは全額出資とかいういろいろな形で運営されているのですから、結局国民の血の税金でまかないがなされている。その理事者がいたいずらに高い給与をもらってでんと控えておられるということは、非常に国民に悪い印象を与えると思うのです。だからそれは今ここにおいでになっておられる方々にしましても、そういうところに行った方の高い給与をうらやまれるか、あるいはにくしみを持って見ておられると思うのです。そういうときに、国民が歓迎して、二十万も二十五万ももらっても、ああ、けっこうなことだと喜んでいるならいいですよ。しかしだれも喜んでいる人はない。もらっている本人だけが喜んでいる。こういうものは勇敢にこれらを所管する政府、特に大蔵省等におかれてきびのい制約を加えなければならぬ。大蔵省だけではなかなか手が打てない。それは大蔵省の役人がそういうところに行っておられるからなかなか手が打てない。そこで一つ内閣として手を打たれる必要があると思うのです。これは国民感情の上からもゆるがせにできないことだし、今官房長官一般職員の給与が高いところに置かれてあるとおっしゃったが、私たちが調査したところでは、一般公務員に比較してただ地域給等を本俸に繰り入れている程度であって、給与の総額というものは異なっておりません。そういうところでただ理事者だけが高いのです。これはきわめて明瞭なんです。そういうところで一つ官房長官、せっかく大蔵省の事情にも通じておられるあなたが、その間の連絡調整をとられて、これらの機関の理事者側に対する高い給与を抑えるための措置をおとりになっていただきたい。既得権侵害という法律上の制約を受けておらないということになれば、実に事は簡単に運ぶはずなんですから、給与を引き下げられてその職を辞する者がおれば大いに歓迎すべきだと思う。今回の給与改正に伴う関連的な御質問をしたわけでございますが、十分部内の意見をおまとめになられて——この声は私一人の声でありません。ここにおられる自民党の方々も、私の意見に反対の方がおられたならば、ここで御表明を願いたいのです。全員御賛成です。従ってこの委員会の空気というものは、こういうところに非常にきびしい声を持っているところをおくみ取りの上、適切な措置をとられることを要望いたしまして、私のお尋ねを終ります。
  99. 福永健司

    福永委員長 これにて各案についての質疑は終了いたしました。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上の各案について前田正男君よりそれぞれ修正案が提出されております。この際各修正案を議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。前田正男君。     —————————————
  100. 前田正男

    ○前田(正)委員 給与関係法案に対しまして、修正案を提案いたしたいと思います。その案本につきましては、お手元にお配りいたしましたような、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案と、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案及び特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案、こういったような内容のものでございまして、その内容は一つこの際朗読を省略さしていただきたいと思います。  そこでまず特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案の要旨を申し上げます。  これはもっぱら施行期日が変った問題でございまして、本法案審議が他の法案審議との関係上おくれて参りましたので、政府原案の施行期日である、昭和三十三年四月一日をすでに経過しております関係から、これを公布の日に改めたものでありまして、改正の規定中特にさかのぼって適用する必要がないと思われます一部の条項を除きまして、四月一日からこれを適用することといたしたのであります。  また他の二つの法律案に対する修正案は、いずれも施行期日に関するものでありまして、本年四月一日施行となっておりますのを、公布の日に、改めて、四月一日にさかのぼって適用することといたしておるのであります。  何とぞ御賛成をお願いいたしたいと思います。
  101. 福永健司

    福永委員長 これにて各案に対する修正案の趣旨説明は終了いたしました。  次に特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び同案に対する修正を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  まず前田正男君提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕〕
  102. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって前田正男君提出修正案は可決いたしました。  次にただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、修正通り修正議決いたしました。  ただいま修正議決いたしました特別職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に関し、附帯決議案が提出されております。その趣旨の説明を求めます。ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  104. 福永健司

    福永委員長 それでは速記をとって……。前田正男君。
  105. 前田正男

    ○前田(正)委員 附帯決議の趣旨を説明さしていただきます。まず案文を朗読いたします。     附帯決議案   今回の特別職職員給与改正に関しては、本日の質疑において明らかにされたごとく、各俸給額に対する官職の格付が極めて不均衡杜撰である。   政府はすみやかに特別職職員全般にわたってその職責の再検討を行い給与の是正措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。  この決議案の要旨につきましては、本日及び過日来の各委員質問にも明らかな通りに、特別職の間の格づけが非常に不均衡ずさんでありまして、特にきょうも質疑がございましたように、人事院あるいは会計検査院人事官及び検査官というふうな方たちと、その総裁院長との間の給与の格付の問題等も、これは同一にすべきじゃないか、こういうふうな点でありますとか、あるいは内閣官房長官とか総務長官とかいう重職にある人が、衆議院の事務総長とか最高裁判所の判事、検事総長あるいは国会の図書館長よりも下にある、こういうふうな点も非常におかしいのではないか。あるいはまた国会議員であるとかあるいは国会議員がやっておられます政務次官というようなものが、国会の職員である法制局長より下にあるとかあるいはまた事務次官と同格であったり、こういうふうなことも、これは国会法にも国会議員は官吏よりも上回るところの給料をもらうというようになっておると思うのでありますが、全般にわたりまして、いろいろと不均衡の点が非常に多いと思うのであります。また国務大臣の点を見ましても、衆参両院の副議長と同格であるということは、われわれも考えられるのでありますけれども、国務大臣が、国会図書館長とか検事総長とかあるいは最高裁判所の判事と同格である、こういうふうにもちょっと考えられないのでありまして、これらの点を考えて参りますと、相当再検討する必要があるのではないかと思います。そのほか、この特別職の中にありますところの内閣あるいは総理府にあるところの委員会委員委員長の間、また常勤の委員と各委員の間とか、こういったものがこれまた非常に不均衡になりまして、特に実際に出席しておる日数があまりたくさんありませんので、片一方は常勤で毎日出席している委員と、同じ委員の中で非常な給料の差があるとか、こういうふうな点は、職責の実態を明らかにしていないのではないかと私たちは思うのであります。こういうふうな常勤で毎日出勤されて、職責を果しておられるというような方たちは、もう少し再検討していくべきである。また実際に職務しておられる内容が、そう常勤的でないというふうな力に対しましては、もう少し考慮を払うべきではないか、こういうような点、あるいはまた先ほど受田委員から言われました大公使の給料の問題等、これはやはり根本的に、全面的に、この際再検討すべきではないかと思うのであります。そこで今回の提案になりましたものにつきましては、今申しましたような点から、われわれといたしましては、非常に不満でございまして、この今回の法案はほんとうに暫定的なものであるというような立場から、一応やむを得ずこの委員会といたしましては承認されたようなことでございますけれども政府はすみやかにこれを全面的に再検討して、もう一ぺん私たちの方へ提案をしてもらうべきではないか、こういうふうに考えておるのであります。  なお先はどこの決議を提案するに当りまして、申し忘れましたけれども、この附帯決議は、自由民主党、日本社会党共同の附帯決議でございます。そういうことでありますから、この院の中におきまする内閣委員全体としての偽わざる一致した強い意見でありますので、政府もこの点を一つよくお考え願いまして、すみやかなる機会に再検して提案をしてもらいたいというのが、この附帯決議の趣旨でございます。  先ほど申しました通り、自由民主党、日本社会党共同で提案いたしました附帯決議でありますので、何とぞ全会一致で御賛成を賜わらんことをお願いいたします。
  106. 福永健司

    福永委員長 前田正男君提出の附帯決議案について採決いたします。本附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  107. 福永健司

    福永委員長 起立総員。よって前田正男君の提出の附帯決議案は可決いたしました。  次に一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案を一括して討論に入りますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。まず前田正男君提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって前田正男君提出修正案は可決いたしました。  次にただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  109. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案修正通り修正議決いたしました。  次に防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。まず前田正男君提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  110. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって前田正男君提出修正案は可決いたしました。  次にただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案修正通り修正議決いたしました。     —————————————
  112. 福永健司

    福永委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣法の一部を改正する法律案及び国防会議構成等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。各案に対し保科善四郎君よりそれぞれ修正案が提出されております。この際各修正案を議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。保科善四郎君。
  113. 保科善四郎

    ○保科委員 ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する修正案を朗読いたします。   行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一条を次のように改める。(施行期日)  第一条 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用する。  理由、各省を通じまして、今回定員化を予定しております常勤労務者の給与予算が、従来の常勤職員給与という目から職員俸給という目に組みかえられています関係上、及び新規増員についても、昭和三十三年度における各省庁の事業予定計画遂行に相当の支障を来たす等の関係から、本案の附則第一条を「交付の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用する。」に改めようとするものであります。  次に内閣法の一部を改正する法律案に対する修正案   内閣法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一項中「昭和三十三年四月一日から施行する。」を「公布の日から施行し、  昭和三十三年四月一日から適用する。」に改める。  その理由、予算の執行上支障を来たしますので、附則第一項中「昭和三十三年四月一日から施行する」を「公布の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用する」に改めるものであります。   次に、国防会議構成等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案   国防会議構成等に関する法律の一部を改正する法律案の一部を次のように修正す   る。    附則中「昭和三十三年四月一日」を「公布の日」に改める。  その理由、防衛二法案が公布の日から施行することに相なっております関係上、本案もこれと歩調を合わして、附則中「昭和三十三度四月一日」を「公布の日」に改めようとするものであります。  以上でありますか、何とぞ御賛成をお願いいたします。
  114. 福永健司

    福永委員長 これにて各修正案についての趣旨説明は終了いたしました。  これより行政機関職員定員法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案を一括して討論に入ります。討論の通告があります。これを許します。西村力弥君。
  115. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は日本社会党を代表して、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対して、反対の意見を述べたいと思います。  国の仕事に携わっておる人々は、非常に低い待遇にありながらも、公務員としての自覚に立って、その部署々々において自分の全能力を発揮して国民に奉仕したい、こういう気持で努力しておるのでございます。ところがその職員の中には、完全に定員のワク内に入って身分の安定しておる人々と、それから形式的にニカ月ごとに契約が更新される、だれもそういうことを言われたり言ったりしないのであるけれども、形式上二カ月ごとに更新になるという不安定な状態にある職員、それから日々雇用されるという状態に置かれている職員とあるわけなのでございまして、それらの常勤労務者といわれる諸君、あるいは常勤的非常勤者といわれる諸君、そういう人々は自分の意欲と能力とを全部フルに出してやっておるにかかわらず、そしてまた他の定員内の職員と同じ仕事を果しておるにかかわらず、そういう不安と矛盾の中に置かれるということは見のがし得ないことであるわけなんです。しかもそれらの人々に給与される金というものは国民の税金である。一部公共事業においては地方負担もありまするけれども、結局同じ国民の税金なのでありまして、その税金が完全に生かされる道というのは、結局それらの諸君の不安を解消して喜んで全能力を発揮してもらうという方向に持っていくことが非常に必要なことであるということは、私から申し上げるまでもなく、本院においてもしばしばこの意思の表明が、あるいは決定が行われておるわけなのでございます。そういうわれわれの、本院の意思に沿うて政府は今回一応これらの諸君の定員化をはかったわけなのでございますけれども、実際に十万近くもおる職員の中のごく一部にこれをしぼってきておる。一体そうしぼった根拠は何であるか、こう言いますると、これは一応の手直しだと言うだけであって、全然その根拠がない。各官庁がその所掌事務を行うためにこれだけはぜひ定員化しなければならぬという要求を出したにかかわらず、これに対して行政官理庁が査定をした。行政管理庁は査定をするという仕事を権限として持っておるのかもしれませんけれども、その理由がわれわれとしては全然納得できない。しいて言うならばそれを査定する立場にある官庁の権威を保持するために、理由もなくそういう査定をやってしぼっていく、こういうことだろうと思うのです。それを大蔵省がまたぐんとしぼってきておる。大蔵省は本来の性格として金を出すまいとするから、金がよけいかかる、財政支出が大きくなるという場合において、そういう本来の性格をむき出しにするということも言えますけれども、今回は事の性質が違う。これをやらないででてきたものをまるまるのむと大蔵省としてのこけんにかかわる、権威をそこなうというのかどうか知らぬが、そういう立場からしばってきておるんだ、こういう工合に私たちは言わざるを得ないわけなのでございます。一体こういう状態に職員を放置する考え方は、一般の企業家が臨時工とか社外工とかいう立場に労働者を放置しておいて安く使い、あるいはいつでも首を切れる状態にしておくのと軌を一にするのだ、こういう工合に思えるわけなのでございまして、これはたとい自民党を基盤とする政府であるとしてもはっきり率先して全員を定員化すべきである。私たちが考えるには、自動車を運転する諸君でも、あるいは炊事をする諸君でも、あるいは雑役に当る諸君でも、とにかくある一つの仕事をなしとげるために欠くことのできない一部面を担当しておる。そこには仕事の軽重というものはないはずなんです。公務員となるには法律の端っこもわからなければならぬ、あるいはまた経理の一部もわからなければならぬ。ホワイト・カラーでいるのが公務員らしい、そういう考え方が従来日本の国にずっと続いてきておる。私たちはそういう考え方を否定する。たとい炊事をする人であっても、働く仲間である、同志である、そういう立場に立って、これからの私たちの考え方を推し進めていかなければならぬと思う。今回出て参りましたものは、一部定員化せられたものでありまして、その点について私たちはそれもだめだというわけではございませんけれども、なぜこれを全面的にやることをしないのか、こういうことについて非常に不満でございます。私たちは、今回の法案にはそういう理由で賛成することができおいわけなんでございます。私たちの希望することは、後に附帯決議にも出るはずでございまするが、せっかく本院の意思を実現しようとする気持を持たれるならば、完全に本院の意思に沿うた法案にすべきである。ぜひそのように今後の努力を願って、私の反対の意見の開陳を終ります。
  116. 福永健司

    福永委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、保科善四郎提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  117. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって、保科善四郎提出修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  118. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって、本案は修正通り修正議決いたしました。  次に、内閣法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案を一括して討論に入るのでありまするが、別に通告もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、保科善四郎提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって、保科善四郎提出修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって、本案は修正通り修正議決いたしました。  次に国防会議構成等に関する法律の一郎を改正する法律案及び同案に対する修正案を一打して討論に入るのでありますが、別に通告もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、保科善四郎提出修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって、保科善四郎提出修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  122. 福永健司

    福永委員長 起立多数。よって、本案通り修正議決いたしました。  ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 福永健司

    福永委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように取り計らいます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十分散会      ————◇—————