○受田
委員 私は、今世論のきびしい批判を受けている旧軍人
恩給増額問題の、その批判の根抵に横たわるものは、この
恩給法という
法律が、先ほど以来申し上げているような旧弊のままの形の生い立ちに立っており、しかも
法律の文章から、
法律の形態からが昔のままに残されているところに問題の
一つがある。もう
一つは軍人という特権的な存在であったものが、金額の上薄下厚への努力はさることながら、依然として階級差が残されて、旧軍人の形態の階級差がそのままの形において残されているというところに、批判の第二の理由があると私は思うのです。従って私自身から
考えましても、旧軍人に対してはなはだお気の毒な点は、先般来
政府が三百億増額を決定された当時の新聞世論を見ましても、旧軍人
恩給復活という批判の中に、大将、元帥は月に六万円も七万円も
恩給をもらう、これは莫大な
恩給取りではないかと書いてある。元帥という階級は
恩給法にないのである。ないのに元帥ということが書いてある。これは大将の仮定俸給七十二万円ばかりのそれを、月割りにして計算した
考え方であろうと思いますが、そうした知性の高い人すら旧軍人
恩給というものがばかげて高いものだという先入観を持っておられるので、そういう新聞にも誤られた数字が堂々と書いてある。これは、それらの人々も新聞に出される前に十分検討していただかないと、りっぱな社会人として尊敬されている方々の権威を失墜するという心配を当時しておったものである。しかしながらそういうところの数字上の先入観から来る旧軍人に対する、特に高級軍人に対する伺い
恩給額に対する批判は、要するに軍人
恩給をもらう人全体に対する批判となり、さらにそれが英霊となられた遺家族の上にも及んで、批判を受けるということになっておるわけです。私は、
政府与党の諸君が十分この
恩給法の性格を新感覚に切りかえなかった大欠陥が、そういう結果をもらしたものだと思っている。
従って、私は今から今
松長官及び
人事院総裁並びに
事務当局の最高
責任者としての
恩給局長、及びこれが背後を色どる法制的解釈を、
法制局第二部長殿にお伺いし、それによって解決せられなかったところのものを、この三百億裁定の最高
責任者である岸内閣総理大臣に、次の
機会に伺うということにしたいと思います。今から申し上げる数々の問題点について明快なる御
答弁をいただきまして、
国民全体の疑惑に包まれたこのなぞを解決していただくことを御要望申し上げて、今から順次
お尋ねします。
第一点は、こうした古い思想に立つ
恩給法の形を何とかして変えたいという努力を人事院当局がなさっております。人事院は過ぐる
昭和二十八年に国家
公務員退職年金に関する勧告要綱をお出しになっておられる。この勧告要綱を拝見いたしますると、その冒頭に、
恩給という文句は古い観念であるから、新しい形で退職年金制度にすべしという、ただいま総務
長官がおっしゃったような形の方向へ勧告がされております。この勧告は
昭和二十八年に出されておるのでございますが、自来日月をけみすること満五カ年、依然としてこの解決を見ていないというその理由はどこにあるか、これに関しまして、総務
長官の御
答弁をいただき、同時に引き続き
人事院総裁は二十八年に勧告されたこの勧告要綱が実現をみないことについて、いかなる見解を持って、おられるか、相次いで御
答弁願いたいと思います。